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羅針盤戦争〜見敵必殺の天使たち

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ネルソン提督

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●クレマンソー級空母
 大海原を征くは巨大なる空母。
 その名を呼ぶには過去を紐解かねばならず、しかしてそれが過去に在りし船の名と共に存在自体も同一であるかは真実ではない。
 過去に歪みしもの。
 過去から滲み出たもの。
 それオブリビオンである。故に、そのオブリビオンである七大海嘯『舵輪』ネルソンも、彼が駆る巨大空母もまた嘗て存在していたものとは別物であることだろう。

 対位に七大海嘯は本格的な攻勢に出た。
 異世界である『サムライエンパイア』から通じる渦潮を破壊しようとしてるのだ。それは、この世界特有のグリモアによる予知が及ばぬ領域があることからも絶対に阻止ししなければならないことである。
「帆船だろうが、空母だろうが、海戦の基本は変わらん」
 オブリビオンにして、七大海嘯『舵輪』ネルソン提督は海原と空の彼方を見据えて言う。
 彼の傍らには天使たちが渦を巻くようにして寄り添っている。

「見敵必殺。それが全てだ。準備せよ、天使共。俺はお前達の奇跡には期待していない」
 ネルソン提督は寄り添う天使たちを追い払うように手をふる。
 天使たちはほほえみながら、その手に応えるようにして空母の甲板に整列し、白き羽を広げる。
「そうだ。それでいい。お前達の最大の武器は、その翼と魔法による推進力だ。空母の甲板によってそれを最大まで加速すれば、飛行を阻害されたこの海で、お前達だけが枷から解き放たれるのだ」
『クレマンソー級空母』が制圧した島と、その周辺海域は飛行能力の阻害されるのだが、空母のカタパルトによる加速によって阻害効果を無効化される。
 故に、この海上にあって天使たちは確実に敵の、猟兵の先手を取ることができる。

 これは鉄甲船に乗り込みやってくる猟兵たちにとって驚異でしかない。
「ああ、そうだとも。戦場において、もし空飛ぶ兵器が一般化するような時代があるならば、より早く、より高く飛べる戦力を保有した側が勝利するはずだ」
 ネルソン提督の考えは間違っては居なかった。
 この世界でなくても、それはあらゆる世界の歴史を顧みても同様であっったことだろう。
 故に彼の力は他の七大海嘯と比べて接近戦に弱くとも、この海上にあってはどの七大海嘯よりも難敵であった。

「さあ行け天使共よ。科学と魔術と戦略で敵を撃破するのだ――」

●羅針盤戦争
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)だった。
「お集まりいただきありがとうございます。グリードオーシャンにおいて『蒼海羅針域(コンキスタ・ブルー)』の中心にある『サムライエンパイアに通じる渦潮』を破壊せんと七大海嘯が侵攻を開始しました」
 それは多くの猟兵が年末年始にかけて見た予兆に由来するものであった。
 予知が阻害されるグリードオーシャンにおいて、『蒼海羅針域』は、七大海嘯を探し出す唯一の手かがりである。
 これを破壊されるようなことが在れば、敵拠点を発見することはおろか、猟兵達はこの世界に来ることができなくなってしまう。

「はい、そのために皆さんには七大海嘯の制圧した島、海域に赴き、オブリビオンを打倒しながら七大海嘯の拠点を探っていただきたいのです」
 ナイアルテが告げるのは、『アンヘル島』と呼ばれる島を制圧した七大海嘯――『舵輪』の『ネルソン提督』との対決であった。
 それならばと鉄甲船に乗り込んで海戦に挑もうとする猟兵がいるのも当然である。
 しかし、事はそう簡単ではないのだとナイアルテは瞳を伏せる。

「この海域は飛行能力が阻害されます。しかし、敵であるネルソン提督が放つ天使たちの飛行能力は『クレマンソー級空母』の力に寄って、この飛行能力を阻害する効果を打ち消しています」
 こちらは空を飛べず、あちらは一方的に攻撃の届かぬ高高度から爆雷を投擲してくる。
 それでも船に近づかなければ攻撃することもできない。

「敵は必ず皆さんに先制してきます。これは逃れられぬ痛烈なる敵のアドバンテージですが……ネルソン提督は他の七大海嘯と違い、接近戦に持ち込みさえすれば他の七大海嘯と比べて、ではありますが与し易い敵です」
 猟兵達が考えなければならないことは二つ。
 如何にして、敵の先制攻撃である天使たちに寄る爆雷の投下を凌ぐか。
 そして、如何にしてネルソン提督が座す『クレマンソー級空母』に接近するかである。

「難しい戦いになることは想像に難くありません。ですが、それでも皆さんであればと私は信じています。どうかネルソン提督を打倒し、制圧された島の人々を救って下さい」
 そう言ってナイアルテは猟兵達は戦乱渦巻くグリードオーシャンへと転移させるのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『羅針盤戦争』の戦争シナリオとなります。

『アンヘル島』と呼ばれる飛行能力の阻害する効果のある海域を制圧した七大海嘯『ネルソン提督』との戦いとなります。
 飛行能力が阻害されていますが、敵の放つ天使たちはカタパルト加速に寄って、この効果を受けず、皆さんの攻撃の届かぬ高高度から爆雷に寄って攻撃してきています。
 これを躱し、『ネルソン提督』を打倒しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。

 それでは、羅針盤戦争を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります。
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第1章 ボス戦 『七大海嘯『舵輪』ネルソン提督』

POW   :    天使の行軍
【カタパルトで加速射出された天使の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の天使】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    天使による高高度爆撃
【天使達が投下する爆雷】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【位置と予測される移動範囲】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    武装天使隊
召喚したレベル×1体の【透き通った体を持つ天使】に【機関砲や投下用の爆雷】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エィミー・ロストリンク
【POW】
天使をカタパルトしてくるなんてすごい戦術ー!?
でも驚いているだけだと思ったら大間違いだよー!

スペースシップ「ブラックゴースト」を呼び出し、キャバリア・アカハガネに搭乗して甲板にて迎撃
ブラックゴーストの砲撃に対空砲火をしつつ、アカハガネのガトリングキャノンで弾幕を張り、手数の多さで天使の撃ち落としを敢行する
防御面ではラクチェの要石で海水を鉄水に変えて船体をコーディングして、少しでも大破の可能性を引き下げる

先制攻撃後はUC「RT:星の海を制覇せし船」を発動させて、あらぬ方向からの砲撃でクレマンソー級空母を強襲
思念ハックで敵の攻撃方向を読んで、ブラックゴーストからも攻撃する

一気に行くよー!



『クレマンソー級空母』のカタパルトから飛び出す天使たち。
 その姿はまさに天上における戦いの主力であろう天使たちの力を十全に引き出すための射出装置としての役割を果たしていた。
 飛行能力の阻害。
 それがこの海域に在る呪いであるのか、それとも呪われし秘宝によるものであるのかはわからない。けれど、それでも七大海嘯『ネルソン提督』は敢えて天使たちの飛行能力と己の持つ『舵輪』『クレマンソー級空母』の科学。そして、戦術でもって己の利とする戦場へと作り変えていた。

「さあ、天使共よ。征け。この海域の空はお前達のものだ」
 舞うように飛ぶ天使たちがカタパルトによって加速された速度のままに空を飛び、猟兵達が騎乗する鉄甲船へと迫る。
 爆雷を透過する天使たちの攻撃は苛烈を極めていた。
 こちらからの攻撃は高高度からの爆雷故に届かない。けれど、あちらは容赦なく攻撃を落してくる。
 
 ここまで徹底されてしまえば、こちらの鉄甲船が沈む方が早かっただろう。
「天使をカタパルトしてくるなんてすごい戦術ー!?」
 エィミー・ロストリンクは、その純真なる精神でもって『ネルソン提督』の戦術に舌を巻く。
 本来であれば天使たちの飛行能力を阻害される海域を彼の持つ科学と戦術でもって利点へと変えた手腕は見事であった。
 故にエイミーは驚いたのだが……。
「でも驚いているだけだと思ったら大間違いだよー!」
 手にしたのは呪われし秘宝、メガリス。
 黒き幽霊船の模型が入ったボトルシップ。そのコルク栓が抜かれた瞬間、現れるのは浮遊する巨大なるスペースシップ『ブラックゴースト』。

 しかし、本来巨大化し浮遊する『ブラックゴースト』はこの海域の呪いとも言うべき飛行能力阻害によって海水に着水する。
 だが、エィミーはそれだけではない。
 彼女自身が騎乗するキャバリア『アカハガネ』が『ブラックゴースト』の甲板にて天使たちから落とされる爆雷を空中で迎撃していく。
 ガトリングキャノンが火を噴き、次々と空に爆雷の火の玉が咲く。『ブラックゴースト』の対空砲火もまた落とされる爆雷を防いでいく。
「手数の多さならこっちのほうが有利だよー!」
 エイミーは5m級機動兵器である利点、その戦術を持って天使たちからの空襲の尽くを防ぐ。

 さらにラクチェの要石……海水を鉄水に変えるメガリスを用いて、『ブラックゴースト』の船体をコーティングし、爆雷の被害を抑える。
 空を飛ぶことができぬのであればこそである。
「天使の編隊に穴が空いたー! なら!」
 キャバリア『アカハガネ』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 それはエィミーのユーベルコードに反応した瞬間であった。RT:星の海を制覇せし船(リターン・オール・オーシャン)……それこそがユーベルコードの名であり、エイミーの電脳召喚。
 大型宇宙戦艦『暁』があらゆる方向から転移し、砲撃を『クレマンソー級空母』に加える。

「――空を飛ぶ戦艦だと!?」
『ネルソン提督』はその空前絶後なる光景に瞳を剥く。
 彼の戦術は確かに卓越したものであった。未来の戦術とも言うべきカタパルトによる加速と魔法、魔術を組み合わせた天使という戦力を最大限に活用するものであった。
 けれど、電脳魔術はさらにその上を征く。
 突如として転移してくる巨大な宇宙戦艦から放たれる砲撃は、どこから打ち込まれるのかもわからぬほど。
 故に、予測不可能な砲撃を『クレマンソー級空母』は躱すことはできない。
「違う……これは、こちらの思念を読んでいるな――猟兵!」
「その通り! 一気にいくよー!」
 彼女のユーベルコードが読み取るのは相対する者の思念。
 電脳魔術に寄って繋がったパスによる思念をハッキングし、『ネルソン提督』の次の一手を潰すように『ブラックゴースト』からも砲撃が飛ぶ。

 それはまさに異次元なる艦隊戦であり、エィミーは電脳魔術に寄って、『ネルソン提督』の戦術を凌駕するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…確かに一方的に空から攻撃されるのは脅威だけどね

来る方向が分かっているならば、対処するのは容易い

第六感が敵の殺気や自身の危険を捉えたら、
大鎌を武器改造した大楯に変形させて怪力任せに上に構え、
上部に集中し限界突破したオーラで防御して受け流しUCを発動

…今度は此方の番よ。そう何度も同じ手は通用しない

"演算、仮面、飛翔、魔光、誘惑、道化師、軍略"の呪詛を付与し、
●団体行動の知識から敵の●空中戦機動を●瞬間思考力で見切り、
●誘惑の魔力を溜めた●誘導弾を乱れ撃ち天使達を洗脳、
帰還する●演技をさせて敵艦に爆雷を投下する●だまし討ちを行う

猟兵相手に常識的な戦い方をするとは…
過信が過ぎるというものよ、提督



 飛行能力を阻害される海域に置いて、空を飛ぶ者はその力を阻害される。
 わかっていたことであるが、猟兵達は鉄甲船の上で戦うほかなく、同時にオブリビオン、コンキスタドールの首魁でもある七大海嘯『ネルソン提督』の率いる『クレマンソー級空母』のカタパルトから放たれる天使たちの爆雷に寄る空襲は苛烈を極めていた。
 一度の爆雷による攻撃であれば、鉄甲船も耐えることができるだろう。
 けれど、天使たちは爆雷を落した位置を覚え、再び舞い戻る頃にはその命中精度さらになる高みへと昇華している。
「天使どもよ。猟兵達が乗る鉄甲船を沈めろ。彼らに空を飛ぶすべはなく、あの船しか奴等の足場はない。こちらが空を制する……なるほど、制空権とでも言うべきか。それを握っているのだ。存分にやつらに思い知らせてやれ」
 七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』はその名に恥じぬ戦術で持って猟兵たちを圧倒していた。

 先制を許す形になってしまった猟兵たちにとって鉄甲船は移動の手段であり、足場であり、同時にウィークポイントにもなっていた。
「……確かに一方的に空から攻撃されるのは脅威だけどね」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、敵である『ネルソン提督』の戦術の強かさを認めた上で、その瞳を向ける。
 天使たちの爆雷による投下攻撃は脅威であった。
 確かにそれは認める。
 だが、天使たちが飛んでくる方向がわかっているのならば――。

「対処するのは容易い。天使たちの悪意、害意、殺気……それらが来るとわかっているのならば」
 リーヴァルディの手にした『過去を刻む者』グリムリーパーが死者の想念を吸収し、その刃を巨大化する。
 黒き大鎌は海上に在りて、黒月の如き弧を描く。
 それは大盾の如く。
 吸血鬼狩りの業・千変の型(カーライル)。

「……術式換装」
 空に向かって放たれたオーラが爆雷から鉄甲船を護る。
 重たい衝撃がリーヴァルディの体にのしかかるように走る。それほどまでに天使たちの爆雷の攻撃は苛烈を極めていた。
 足が軋む。
 けれど、皮肉なことに海上であったことが幸いした。
 リーヴァルディの受けた上方からの衝撃は全て鉄甲船から海中へと流れていく。
 もしも、ここが海上ではなく地上であったのならば、リーヴァルディは衝撃を受け流すことができなかったことだろう。

「……今度は此方の番よ。そう何度も同じ手は通用しない」
 その瞳が輝く。
 見据える天使たちの行軍。
 その動きには戦術に裏付けされた計算と動きの統一性がある。
 故にそれを瞬間的に読み取り、リーヴァルディは魔力を高める。放つ魔力弾に込められたのは誘惑の魔力。
 撃ち放たれた弾丸が天使たちを捉え、その身体を洗脳し『クレマンソー級空母』へと帰投させる。

 その視界の端に視える『クレマンソー級空母』は、突如として錯乱したと思われる天使たちの爆雷によって爆炎を上げた。
「……! 天使共が裏切った……いや、違うな。これは洗脳の魔術か! 味な真似をしてくれる……!」
『ネルソン提督』が呻く。
 洗脳の魔術によって天使たちがこちらに攻撃を加えてくることを考えていなかったのだろう。
 爆炎が上がりながらも、未だ轟沈することのない『クレマンソー級空母』。
 けれど、それでも敵のカタパルトに打撃を与えたことは大きい。

 あの爆撃が続けば、猟兵達の乗る鉄甲船も沈む。
 故に敵の攻撃力を削ぐことこそが、目下の得策であった。
「猟兵相手に常識的な戦いをするとは……」
 リーヴァルディは確かに彼の戦術を評価していた。
 天使たちの練度の高さ、その戦術を匠に操る術も。けれど、ここにあるのは超常の存在。
 生命の埒外にある者たちである。

 故にリーヴァルディはつぶやくのだ。
「己の戦術に過信が過ぎるというものよ、提督――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
制空権を握られるのは嫌な物ね
敵天使がカタパルトで射出され戻れるのは、ブーメランの如くなるように羽の角度を調整しているからだろう
良く出来た仕組みだ

「天蛇王ッ!!」
神器蛇矛を呼び出して「真の姿」の龍装束を纏う

先制の爆雷対策は、頭上で蛇矛を旋回させ、紋章の力で九つ頭の大水蛇を絡み合うように上昇させ、天高く巻き上げる事だ。爆雷を防ぎつつ天使を攻撃する。敵軌道を読んで置くように出すのがコツだ【アート、見切り、属性攻撃、封印を解く】

「七海無双とでも名乗ろうかしら!」
神器の副作用の猛将テンションで哄笑
大水蛇の一つの頭上から空母を見定め、後は雪崩落ちるように突貫する

「敵将ネルソン! その首、貰い受けるわ!!」



「制空権を握られるのは嫌な物ね」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は猟兵達が乗る鉄甲船に次々と透過されてくる爆雷を防ぎながら、天使たちの編隊を見上げ称賛と共に苦々しい思いであった。
 コンキスタドールの首魁、七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の編み出した戦術は見事なものであった。
 天使たちと言う超常の存在を科学と戦術で持って、さらなる脅威へと練り上げた手腕。それは凄まじい戦術眼を持つ者でなければ為すことのできなかった業であったことだろう。

 現に今も猟兵達の乗る鉄甲船には絶え間ない爆撃が行われている。
「カタパルトで射出され戻れるのは、ブーメランの如くなるように羽根の角度を調整しているから……よくできた仕組みだ」
 紅葉は関心してばかりは居られないと呼吸を整える。
 どちらにしても敵の先制攻撃である天使たちの爆雷を凌がねば、こちらの敗北は必定である。
 故に彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

「我が武威へと並び立つ、九頭の蛇神の神威をここに示しなさい……天蛇王!!」
 神器蛇矛――天蛇王(テンジャオウ)を召喚し、開放された真の姿である竜装束に身をまとった紅葉が彼女の頭上で蛇矛を振り回す。
 手の甲に輝く紋章の力が大水蛇を絡み合うように上昇させ、天高く巻き上げるようにして爆雷の尽くを爆破させていく。
 天上に爆炎と爆風が吹き荒れ、その威力の前に鉄甲船も軋む。
「――ブーメランのように動くっていうのなら!」
 振るう九頭の大水蛇がうねるようにして空を飛び、『クレマンソー級空母』へと帰投しようとする天使たちを、その巨大なる顎でもって噛み砕いていく。

 完全に紅葉は天使たちの編隊と、その爆撃のコースを読み取っていた。
 美しい、完璧なる戦術。
 それに応える天使たちの超常なる力が災いしたと言っても過言ではないだろう。理想的な放物線。
 天使たちの消耗を最小限に抑えた編隊軌道。
 通常の海戦であれば『クレマンソー級空母』を操る『ネルソン提督』の圧勝で終わったことだろう。
「けれど、ここに在るのは猟兵よ。そのやり口、もう見切った!」
 紅葉が九頭の大水蛇の一つの頭上の上に立ち、『クレマンソー級空母』目指して海上を疾駆する。

「天使共の軌道を読んだか……! だが!」
 手にした銃を構える『ネルソン提督』の姿が視える。
 その重圧は確かに強大なるオブリビオンそのものであったかもしれない。けれど、今の紅葉には些かの恐怖もなかった。
「七海無双とでも名乗ろうかしら!」
 神器を開放した副作用とでも言うべきか、物語に出てくる猛将の如きテンションで哄笑する紅葉。
 雪崩れるように九頭の大水蛇と共に『クレマンソー級空母』のカタパルトの上へと突貫する。

「敵将ネルソン! その首、貰い受けるわ!」
 紅葉の手にした蛇矛が唸りを上げる。相対する『ネルソン提督』の顔に初めて焦りが見えただろう。
 放たれる銃弾を弾き返しながら紅葉は蛇矛を振るう。
「まだ、だ! 俺はまだ終わらない! 天使共!」
 紅葉へと殺到する天使たちの群れ。
 しかし、それらの尽くを蛇矛で振り払いながら紅葉は『クレマンソー級空母』のカタパルトの上で乱舞するように討ち果たしていく。

 その姿はまさに彼女の言葉通りではないが、『七海無双』と呼ぶにふわさしい戦いぶりであったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
◆SPD

予めUCでゴーレム達を召喚しておき、全機体を水中戦仕様に改造
さらに【迷彩】を施し(【メカニック】【武器改造】【防具改造】)
【目立たない】様に海中から鉄甲船へ向かわせる

自身は敢えて目立つ様に水面を駆け(【水上歩行】【早業】)
ゴーレム達の動きを悟らせない様に立ち回る
敵からの攻撃は【見切り】【第六感】を駆使して回避
同時に手裏剣を【投擲】して敵を迎撃

ゴーレム達が鉄甲船に攻撃可能な距離に移動できたら
全機一斉攻撃。自身もそれに乗じて鉄甲船に接近して乗り込もう

上手く乗船できたなら、【忍び足】で敵の死角へ移動
気付かれない内にネルソン提督に【暗殺】を仕掛ける


別に、空が飛べなくてもやりようはあるって事さ



 爆雷の雨が降りしきる海上。
 そのさらに高高度を飛ぶのは七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が率いる天使たちであった。
 天使たちは、この飛行能力が阻害される海域に在って、その阻害される効果を物ともせずに空を舞う。
 それは『クレマンソー級空母』のカタパルトによって射出されたことによって、飛行阻害の効果を振り切っているからである。
 まさに科学と戦術、そして天使たちの持つ魔法での推進力が掛け合わさったからこそ出来る凄まじき戦術であった。
 対する猟兵達は飛行阻害によって空を飛ぶことはできず、彼らの足場は鉄甲船のみであった。

 だが、海洋世界であるグリードオーシャンにおいて空を飛ぶことが戦いを制することではないと猟兵は知っている。
 月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は、その一人であった。
 彼がユーベルコードによって召喚した魔導機械式ゴーレムたちは全てが水中戦仕様に改造され、さらには迷彩を施されて海中から『クレマンソー級空母』へと迫っていた。
「別に、空が飛べなくてもやりようはあるってことさ」
 こともなげにハルマは呟き、海面をわざと目立つように駆け抜ける。
 それは彼が猟兵であるからこそできる業であったことだろう。
 水しぶきを上げ、さながらジェットスキーのように海面を走るハルマに天使たちは爆雷を投下していく。

 天使たちの攻撃は回数を重ねるごとにその精度を増していく。
 故にハルマは時間を稼ぐこととと、進撃の速度でもって『ネルソン提督』を追い詰めなければならなかった。
「海上を走るか、猟兵! だが、近づけはさせんよ。天使共はすでにお前の位置を、そして速度を知っている。二度目はない!」
 一度目の爆撃は躱すことができても、二度目の爆撃はそうではない。徐々に精度が上がってきているのをハルマは感じ取っていた。

「――だけど、何も無策で飛び込んだわけじゃない。皆、出番だ!」
 ハルマが捜査権だ瞬間、海中から飛び出すのは魔導機兵連隊(レジメント・オブ・ゴーレム)であった。
 海上でハルマが派手に走っていたのは、海中より来る彼らの行動を『ネルソン提督』に悟らせぬためであった。
「何……! 海中戦力だと!?」
『ネルソン提督』の瞳が驚愕に見開かれる。
 確実に爆雷に寄る先制でハルマを葬り去れなかったことが、全ての敗因と言えるだろう。
 彼が派手に海上を駆け回ったおかげで、『ネルソン提督』は海中のゴーレム達の動きを感知することができなかったのだ。

 次々と『クレマンソー級空母』の甲板状に這い上がっていくゴーレムたちとハルマ。
 天使たちが抵抗するようにゴーレムたちと組み合う。
 その間隙を縫ってハルマは『ネルソン提督』へと忍び寄る。
 これだけの乱闘ともなれば、以下に七大海嘯であるコンキスタドールであっても隙が生まれる。
「乱戦……ならば、次なる手は」
 暗殺。
 もしくは、狙撃。
 
 しかし、未だ『クレマンソー級空母』に取り付いた猟兵の数は少ない。これで導き出されるのは、狙撃ではなく暗殺。
 この乱戦の様相が全てを物語っている。
「そういうこと」
 ハルマの一撃が背後から『ネルソン提督』の背中を強かに打ち据える。
 魔導蒸気式旋棍の一撃が打ち据えられ、完全なる不意打ちを持って、『ネルソン提督』を捉える。

「が――っ! くっ……天使共!」
 不意打ちの一撃から素早く体制を整え、『ネルソン提督』の囲いが厚くなる。
 しかし、ハルマの一撃が『ネルソン提督』に痛烈なる打撃を与えたことは事実だった。
「空にばかり気を取られて油断したな……お前の命運も此処までだ!」
 それに満足し、ハルマは後続の猟兵たちのために『クレマンソー級空母』の甲板を痛めつけながら、再び暗殺の機会を狙って乱戦の中に潜むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レムリア・ザラタン
人工ではない天然の海の上にこうして立つ事が出来るとは、感無量だな
気分は上々、派手に行くとしよう

海上に顕現させた本体へ乗艦
レーザー砲とGMLSによる【弾幕】で【対空戦闘】を展開し敵爆雷を迎撃
落としきれなかった分はバリアフィールドで【盾受け】する

さて、では対艦戦といこうか
爆風と水柱に紛れ、後部ハッチから密かに【水中機動】特化のウォーマシン隊を投下
いつか居住可能惑星の海を調査する為と設計され、終ぞ生み出される事のなかった者達だ
各機、本物の海に来た気分はどうだ?
…結構。存分にはしゃいでくるがいい

海流の動きを【情報収集】し侵攻ルートを算出、連携
海中から魚雷と水中用ビーム砲をありったけ空母に叩き込んでやれ



 幽霊船の噂を知っているか。
 神出鬼没為る武装艦の名を知っているか。その名は『レムリア』――全領域対応型艦船。
 グリードオーシャンの海に現出した姿は雄々しく。
 まさに武装艦の名にふさわしい威容であった。本来であれば放棄された研究艦の残骸や戦場跡に現れる船である。けれど、今は本物の海の上に浮かぶ。
 本来の艦船としての役目を十全に果たす喜びが、ヤドリガミであるレムリア・ザラタン(Stargazer・f28070)の胸を打つ。
 誇らしく、それでいて満たされる気分。
 なんて清々しい気分であろうか。これこそが己の存在意義であるとさえ感じていたかも知れない。
「人工ではない天然の海の上にこうして立つ事が出来るとは感無量だな。気分は上々、派手に行くとしよう」
 彼女の言葉通り、武装艦『レムリア』がグリードオーシャンの波を割って進む。

 その現出した『レムリア』の直上に飛ぶは天使の群れ。
 その姿は神々しく、まさに超常なる存在の先触れであったことだろう。しかし、その天使たちが投下する爆雷は科学の力。
 七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』のはなった天使たちは、この空を飛ぶことを阻害する効果を持つ海域に在って尚、猟兵たちから制空権を奪ったままであった。
「レーザー砲、GMLS、用意。対空戦闘にて敵が投下した爆雷を迎え撃つ」
 レムリアの指先は本体である『レムリア』と連動するように電脳魔術に寄って自在に動く。
 彼女の目は照準。
 彼女の指は砲塔。
 ならば計算は必要なく。己の存在意義を果たすために迷いなく対空迎撃に寄って投下される爆雷の尽くを討ち果たしていく。

 バリアフィールドが展開され、船体を覆う。
 爆風から己の本体を護り、さらなる爆雷の投下からも身を守るのだ。
「さて、では対艦戦といこうか」
 レムリアの瞳が捉えるは『クレマンソー級空母』。天使たちの群れは、あのカタパルトとから射出され、今も尚猟兵たちを苦しめている。
 けれど、何も案ずることはない。
「ファンタズマプロセッション……昔取った杵柄、という奴だ。ウォーマシン隊、全機発艦用意。――存分に本懐を遂げてきたまえ」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 爆雷が引き起こす爆風と立ち上がる水柱にまぎれて『レムリア』の後部ハッチから密かに水中軌道特化のウォーマシンたちが水中へと投下していく。

 そのウォーマシンたちは嘗てペーパープランにとどまり、ついぞ建造されることのなかった機体たちである。
 スペースシップワールドにおいていつか居住可能惑星の海を調査する為に設計された機体である。
「終ぞ生み出される事はなかったが……各機、本物の海に来た気分はどうだ?」
 レムリアの言葉にウォーマシンたちの炉が燃える音が聞こえる。
 ああ、これこそが本懐。

 兵器として生まれた以上、その目的を果たしてこそである。
 故に喜びに満ちた炉心が燃える音が聞こえる。それはレムリアにとっては、音楽用に奏でられるものであったことだろう。
「……結構。存分にはしゃいでくるがいい。海流のデータを送る。侵攻ルートの算出は任せておけ」
 レムリアから得られた海流のデータを元にウォーマシンたちが海中を征く。

 これまでも海中から空母に乗り込む猟兵はいた。
 けれど、海中から空母自身に打撃を与えることを選んだのはレムリアが初めてであった。
「――なんだ、今度は!」
『クレマンソー級空母』の甲板の上で『ネルソン提督』は揺れる己の乗艦に起こった不測の事態に顔をしかめる。
 それはレムリアが放ったウォーマシンたちが海中から魚雷と水中用ビームにて、ありったけ火力でもって空母を沈めんとした攻撃であった。

 それはさらに『ネルソン提督』の動揺を誘う。
 レムリアは観測したデータから、ウォーマシンたちが本懐を遂げたことを知る。あの空母は確かに脅威だ。
「確かに見事な戦術。けれど、過去のものだ。常に最新をゆく。時代は過去を踏まえた上で進んでいくものだ」
 けれど、空母はさらに海中からの攻撃、魚雷、潜水艦にて駆逐されるものである。それ故にレムリアは、『クレマンソー級空母』の移動力を奪い、この海域に留めることに成功したのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
おっとクソゲー発見伝
天使を引き連れたイケメン提督とかどんな創作だよって思わなくも無いけど…
まあ手堅い戦法は嫌いじゃないよ
空母が非常にアンバランスだけど


空の敵は何か
即ち天気也…ってね
『天候操作』で上空に雷雲や暴風を発生
天使たちの飛行を阻害しようか
姿勢が安定しない中で落とされる爆雷なんて当たる訳無いでしょ?
まあ万一を考えて『オーラ防御』で爆風をガード

さて後は進むだけ
前面の海上にオーラの盾を発現させて足場にしながら海を駆ける
後は接近するのみ
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:C.S】起動
時間加速開始、一気に接敵してネルソン提督を切り刻む
近付いてしまえばこっちのもんさ



 制空権を握った七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』は揺れる『クレマンソー級空母』の甲板の上で苦虫を潰したような顔をしていた。
 これまで猟兵達が『クレマンソー級空母』に取り付くことはあっても、空母事態に攻撃を加えることはなかった。
 せいぜい甲板を傷つける程度であった。
「海中から直接空母を叩くだと……! だが! 散発的な攻撃だ。まだこちらは制空権を握っている! 天使共!」
『ネルソン提督』の号令と共に天使たちの群れが飛ぶ。
 それは高高度からの爆雷を持って、猟兵たちを駆逐せんとする絶望的な攻勢であった。

 爆雷が上げる水柱や爆風が猟兵達の乗る鉄甲船を鎮めようと無数に投下され続ける。
 今はこれを防ぐ猟兵達がいるおかげで鉄甲船が沈むことはない。けれど、何も手を討たなければ時間の問題であろう。
「おっとクソゲー発見伝。天使を引き連れたイケメン提督とかどんな創作だよって思わなくもないけど……」
 爆風荒ぶ中、月夜・玲(頂の探究者・f01605)はその瞳に『クレマンソー級空母』の上で猟兵たちを相手取って戦うコンキスタドール、『ネルソン提督』の姿を見やる。

「まあ手堅い戦法は嫌いじゃないよ。空母が非常にアンバランスだけど」
 玲の手が天にかざされる。
 対するは天使の群れ。
 今も高高度から爆雷を投下し、玲の頭上から容赦なく爆炎と爆風を撒き散らしている。
 空を飛ぶ敵。
 その敵とは何か。玲にとって答えは簡単なことであった。
「空の敵は即ち天気也……ってね」
 その天候操作の力によって雷雲と暴風を引き寄せる。それは空をゆく天使たちにとってもまた耐え難いものであったことだろう。
 如何に素早く飛ぶことが出来る天使たちであっても、荒れ狂う風の前には無力である。
 飛ぶことはできても姿勢を制御するのは難しい。

「そんな風の中で落とされる爆雷なんて当たる訳ないでしょ?」
 玲は鉄甲船から飛び降り、オーラを足場に海上を一気に駆け抜ける。
 大時化のように荒れ狂う波間を蹴って、飛ぶ。飛ぶように走る。手にするは模造神器の二振り。
 彼女の瞳はすでに敵を捉えていた。
 下手に『クレマンソー級空母』が動かなかったことも幸いしていた。他の猟兵達が空母事態に攻撃を加えてくれていたおかげでもあった。

「封印解除、時間加速開始」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 開放されるCode:C.S(コード・クロノシール)によって、時間加速が玲の手にした模造神器引き起こされる。
 大波を蹴って、玲が『クレマンソー級空母』の甲板へと飛び込む。踊りこむように走り抜け、一気に目指すは本丸である『ネルソン提督』。

 しかし、他の七大海嘯と比べて与し易い相手と言えど、強大なるコンキスタドールであることには変わりない。
「――来たか、猟兵! こちらの足を止めれば、即ち俺自身に狙いを定めることは『知っている』」
 その瞳が未だ戦意を喪っていないことを玲は知る。
 そして、その力が未だ健在であることも。けれど、関係ない。彼女が振るう二振りの模造神器の斬撃は、例えわかっていたとしても回避することなど不可能である。

「知っていたからってなんだってのさ。近づいてしまえばこっちのもんさ」
 今や時間さえも玲の味方である。
 加速した時間の中で『ネルソン提督』の動きは、それでも素早かった。
 けれど、玲とて模造神器の振るい手である。
 放たれた斬撃の速度は人智を越え、コンキスタドール『ネルソン提督』の体に癒えぬ傷跡を刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「ほう、天使が相手か。
漆黒の魔女にして死霊術士たる我へ喧嘩を売っているな?
よし、買った!」

海戦であるなら我の死霊魔術の出番。
来い、我が下僕の【死霊船団】よ!

我の魔力の続く限り召喚される幽霊船の艦隊。
すべて沈めるのと、そちらの天使が尽きるのはどちらが先かな?
根比べと行こうではないか。

「さあ、死霊兵団よ、突進してくる天使たちを大砲と弓矢で迎撃せよ!
いくら沈められても構わぬ。
こちらは死を恐れぬ無限の艦隊よ」

どんな時代の船だろうと海戦の基本が変わらぬことには同意しよう。
戦いは数!
沈められるよりも早く艦隊を生み出せばいいだけのこと!

「一隻でも敵に接近できれば我の勝ちだ。
死霊兵団の近接戦を見せるのだ!」



 天使の行軍の如くグリードオーシャンの空を征くは七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が放つ天使たちであった。
 天使たちは飛行が阻害される海域にあって、『クレマンソー級空母』のカタパルトから射出されることによって強引ながら確実に空を飛ぶ術を得て、海域の制空権を握っていた。
 それは未だ猟兵たちをしても破られることはなく、次々と投下される爆雷の前に鉄甲船は、防がねば轟沈させられてしまうだろう。
 故に猟兵達は海上の足場である鉄甲船から即座に離れることができなかったのである。
「ほう、天使が相手か。漆黒の魔女にして死霊術士たる我へ喧嘩を売っているな? よし、買った!」

 そう気炎を上げるのは、フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)であった。
 彼女は爆雷が引き起こす爆風と水柱を前にして怯むこと無く瞳をゆーべるコードに輝かせる。
「我が魔力を以って地獄の門より来たれ、不死の艦隊よ」
 海戦であるのならば、フィアの死霊魔術の出番である。
 敵が天使の群れという数でこちらを圧するというのならば、こちらもまた数で対抗するのである。
 フィアのユーベルコードによって召喚されたのは幽霊船団である。
 その船に乗るのは言うまでもなくアンデッド軍団。彼らはフィアの魔力を代償にして召喚されたものたち。

 すでに死した者たちであり、爆雷を前にしても怯むことはない。
「さあ、我が下僕の死霊船団(アンデッド・フリート)よ、我の魔力の続く限り奴等を蹂躙せよ!」
 放たれる幽霊船団。
 それはフィアの魔力が尽きるまで戦い続けるだろう。しかし、その膨大な物量は通常の死霊魔術の使い手であれば、即座に魔力が底をつく。

 だが、此処居るのは不老不死の漆黒の魔女である。
 彼女の魔力量を知らぬ者は笑うだろう。だが、彼女の魔力の総量を知る者は、彼女の言葉が真であることを知る。
「さあ、死霊兵団よ、突進してくる天使たちを大砲と弓矢で迎撃せよ! いくら沈められても構わぬ。こちらは死を恐れぬ無間の艦隊よ」
 まさに壮大なる海戦であった。
 天使たちが投下する爆雷に寄って沈む幽霊船団。
 けれど、その数よりも多く天使たちが大砲や弓矢に寄って撃ち落とされていく。

 あちらは数を減らすが、フィアの操る幽霊船団は彼女の膨大なる魔力量と共に数を減らすどころか増えていくのだ。
 どれだけ爆雷で吹き飛ばしても、即座に補充される船団。 
 それは正に悪夢であったことだろう。
「どんな時代の船だろうと海戦の基本が変わらぬことには同意しよう。戦いは数! 沈められるより早く艦隊を生み出せばいいだけのこと!」
 フィアは彼女が手繰る魔力の量による力押しで天使の群れを駆逐していく。

 迫るは『ネルソン提督』の乗艦である『クレマンソー級空母』である。
 すでに猟兵達が数多飛び込む甲板へとフィアの操る幽霊船団が取り付く。
「一隻でも敵に接近できれば我の勝ちだ。死霊兵団の接近戦を見せるのだ!」
 彼女の号令と共に甲板へと上がっていくアンデッド軍団。
 吹き飛ばされながらも、果敢に甲板へと上り、無尽蔵なるアンデッドたちによって『ネルソン提督』は徐々に追い詰められていく。

「この数……! 天使共は何をしている! これだけの数を取り付かせるとは……!」
 彼の焦りも尤もであろう。
 何故なら、フィアの繰り出したアンデッド軍団の数は尋常ではない。
 膨大な魔力量を誇ると言っても限度がある。これではまさに相対するのは悪魔であった。
「そうさな、確かに悪魔よ。だが聞け。我が名は漆黒の魔女。どれだけ戦術家であろうとも、魔女の手繰る死霊魔術の前には、天使を使役しようとも粉砕されるのみ!」
 覚悟するがいい、とフィアは不敵に笑い、アンデッド軍団を魔力が尽きるまで……それこそ、彼女が腹ペコになるまで召喚し続け、『ネルソン提督』は悪夢のような泥試合へと引きずり込まれるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
貴方の戦術は既にナイアルテ様から聞き及んでいます
故に先手を取られても、落ち着いて対応も可能になるのです

七竜珠を用いて周囲に無尽蔵にある海水を操り
船ごとすっぽりと覆うようにドーム状の防壁を形成
更に自身のオーラを防壁に浸透させて耐久性を上げ防御します

もちろん守るばかりではありません
流動する大量の海水のせいで見えづらい水の防壁の内側で
気づかれないうちに[天の回廊]を発動させていたのです
天使さんたちの飛ぶ空は、すでにわたしの迷宮の内
空間を入れ替え、捻じ曲げられたその空を行くものは
銃弾も爆雷も全て、たった一つの出口へと導かれるのです
そう……提督、貴方の許へです



 七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が繰り出す天使たちの姿は透き通った透明なる姿であった。
 底に備え付けられた爆雷を投下する力。
 それは飛行能力が阻害される海域にあっては驚異的なものであったことだろう。海上にありては『クレマンソー級空母』に接近するために海原を征かねばならず、けれど、天使たちの爆雷は常に敵の先手を撃ち続ける。
 そうなれば、『クレマンソー級空母』に近づく前に爆雷の前に船は轟沈してしまうだろう。

 今も尚猟兵達の乗る鉄甲船は爆雷を防ぎながら進んではいるが、未だ制空権を取り戻すことは叶わなかった。
 それほどまでに天使たちの爆撃は凄まじいものであった。
「しかし、猟兵。これほどまでとは……! だが、それでもまだ天使共は残っている。爆雷を投下し続けろ。奴等の船を沈めさえすれば、この海洋で俺を止めることはできん」
『ネルソン提督』の戦術は確かに驚異的なものであった。
 科学と魔術、そして戦術を組み合わせた力は未だ制空権を取り戻せぬことが証明している。

 だが、猟兵にとってそれは敗走する理由にはなっていない。
「貴方の戦術はすでに聞き及んでいます」
 その声は爆雷が降り注ぎ、水柱を立て爆風が吹き荒れる戦場にあっても尚、静かに響き渡るものであった。
 声の主、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は、その瞳を真っ直ぐに『クレマンソー級空母』の甲板にて他の猟兵たちと戦う『ネルソン提督』へと向けていた。

 確かに制空権を奪われていては、必ず天使たちの攻撃は猟兵達に先ずるものであった。けれど、ソナタの瞳に焦りも不安も恐怖もない。
 何故なら、既に『ネルソン提督』の戦術はグリモア猟兵から伝えられている。
 知っているのと知っていないのとでは、戦いにおいては天と地ほどの差がある。
「故に先手を取られても、落ち着いて対応も可能になるのです」
 ソナタの周囲に浮かぶは七竜珠。
 彼女を守護する謎の水晶結晶であるが、その力を用いて鉄甲船を包み込む海水のドーム。
 防壁の力を込めた海水のドームは爆雷の投下を受けてもびくともしない。そこにはソナタのオーラも浸透させられていた。

「ええ。もちろん護るばかりではありません」
 ソナタの瞳がユーベルコードに輝く。
 海水のドームによるヴェールの奥でソナタの歌声が響き渡る。
「迷える子羊、導く御手……」
 流動する大量の海水はソナタの存在と鉄甲船すらも外側からは窺い知ることはできなかった。
 けれど、天使の群れは次々と水のドームの内側にある彼女たちを殲滅せんと爆雷を投下し続ける。
 どれだけ強固なる防壁を生み出したとしても、飽和攻撃の前にはいつかは崩れ去ってしまう。ソナタたち猟兵にとって最悪の事態は海上の足場である鉄甲船を喪うことである。

 故にソナタのユーベルコードは歌われるのである。
 彼女がただただ防御に徹していたわけではない。彼女の歌うユーベルコードには意味がある。
 そのユーベルコードの名は天の回廊(ソウテンニサクイチリンノハナ)。
 そう、確かにこの空は、今天使たちのものである。だが、ソナタのユーベルコードは戦場全体を包み込む力。
「すでに貴方たちはわたしの迷宮の内……」
 それは空間支配の権能。
 ソナタの歌声はオーロラとなって戦場の空を包み込む。

 美しいオーロラはしかして、天使たちにとっては滅びの輝きである。
 それは空間を入れ替え、捻じ曲げられた空を飛ぶものは全てたった一つの出口へと導かれる。
「そう、すでに空間は繋げ終えているのです。わたしはすでに聞き及んでいます。敵を知るということは、やはりどんな力にも先んじるもの。どれだけ貴方がわたしたちよりも先に攻撃を届けることができても」
 それでも情報と言う名の力がソナタたちの力となって、『ネルソン提督』へと降り注ぐ。

「――この気配……! まさか!」
『ネルソン提督』が空を見上げる。
『クレマンソー級空母』の甲板上にはソナタのユーベルコードによって捻じ曲げられ、繋げられた空間の出口。
 そう、これまで天使たちが投下した爆雷の全てが、その出口から『ネルソン提督』に降り注ぐ。
「これを狙っていたというのか――!」
「そう……提督、貴方の許へです」
 ソナタの歌声が響く。
 それは散りゆく者たちへの鎮魂歌であり、同時にコンキスタドール『ネルソン提督』の逃れられぬ滅びへの序曲となり、繋げた空間から吹きすさぶ爆炎が轟くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…さて…天使達をカタパルトで射出してくるとはね…
…それならこちらは海中を進んでいくとしよう…
改造装甲車【エンバール】を水中モードにして出撃…海中を走って行くよ…
…カタパルト射出である以上、天使達は水の中には入れない、機関砲も威力が低減される…
…脅威となるのは爆雷のみだけど…時限式は目算が立たないだろうから接触式か磁気反応か…
…車の周囲に術式組紐【アリアドネ】を細かい目の網状に配置…更に糸を通して衝撃を防ぐ障壁を張ることで爆雷からの衝撃を防ぐよ…
…魔術と科学の組み合わせはそちらだけの物じゃない…
…空母の下部に辿り着いたら【尽きる事なき暴食の大火】を発動…
…船底から燃やして穴を開けてしまおうね…



「……さて……天使たちをカタパルトで射出してくるとはね……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は改造装甲車『エンバール』の中でつぶやく。
 確かに七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の戦術は見事であった。
 こちらは海上を行くしかない。
 足場となるのは鉄甲船だけしかなく、空をゆこうにも飛行を阻害する効果がある海域に在っては、それは不可能である。
 しかし、『クレマンソー級空母』に備えられたカタパルトが天使たちの飛行を可能としていた。

 科学と魔術、そして『ネルソン提督』の持つ戦術が組み合わさった時、それは恐ろしいまでの力となって猟兵たちを苦しめるのだ。
 だからこそ、メンカルは考えた。
 制空権は奪われたままであり、それを奪うことはほぼ不可能である。ならばこそ、メンカルの視線は海中へと向かう。
「それならこちらは海中を進んでいくとしよう……」
 彼女の騎乗する改造装甲車『エンバール』はスペースシップワールドに存在するマインドミナBVAの外殻を用いた装甲により陸上、水上、水中、空中あらゆる状況を走破するようにカスタマイズされた装甲車である。

 グリードオーシャンにおける海中であっても進めぬ理由ないのだ。
「天使たちはあくまでカタパルト射出。ならば天使たちは水の中に入れない。機関砲も爆雷も威力が低減される……それに」
 そう、爆雷が脅威であったが、それも薄い。
 何故なら時限式は目算が立たない。
 猟兵達の乗る鉄甲船を潰すためには接触式か磁気反応のどちらかであろう。故にメンカルは術式組紐『アリアドネ』によって細かい目の網状にした障壁と為すことで、爆雷が投下されたことによる爆風から生み出される水圧、衝撃を完璧に無効化し海中を進むのだ。

「……魔術と科学の組み合わせはそちらだけのものじゃない……」
 そう、個々にあるのは知の魔女である。
 異なる世界を渡り歩く者。猟兵であるメンカルにとってあらゆる世界の全てが学ぶべきものである。
 故に三世界の技術を統合してオリジナルの術式を生み出すまでに至った稀代の魔女。
 そんな彼女にって海中を行くのはそう難しいことではなかった。

 悠々と『クレマンソー級空母』の下部へと至る。
 これまで彼女と同じく空母事態に攻撃を加える猟兵は居た。その猟兵の攻撃は空母の横っ腹を叩くものであったが、メンカルは違う。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
 そう、彼女のユーベルコード、尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)は船底に放たれる。
 白き炎は如何なる存在も燃料にする白色炎。
 その力は言うまでもない。船底を溶かし、さらなる炎となって燃やし穴を開けていく。

「この振動は……! まさか船底に攻撃を受けているのか!」
『ネルソン提督』が揺れる空母の上で猟兵たちと刃を交えながら、続く空母の異変に気がつく。
 天使たちによって穴は塞がれるかもしれないが、すでに浸水してしまった空母は移動することは出来ないだろう。
 この場に釘付けにされてしまう。
 しかし、メンカルの放った白色炎は消えない。
 あらゆるものを燃やすユーベルコードの炎は、その名の通りに塞がれた穴をも溶かし、食い散らかすように穴を再び広げていくのだ。

「どれだけ強大なコンキスタドールだろうと、空母という利点を喪ってしまえば、乗艦と共に運命を共にするしかない……」
 メンカルの放つ炎がさらに穴を広げていく。
 それは『ネルソン提督』の命運が尽きるカウントダウンのように燃え続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
ハハハ、天使達は文字通りの鉄砲玉だね。滑稽なことだ。

敵POWUC
加速射出された天使達を鉄甲船の甲板で迎え撃ちます。
進路を見切り(×瞬間思考力)、それに正面衝突する形で衝撃波(×なぎ払い)を放って、彼等の突進力との相乗効果でダメージを増大させて鉄甲船に辿り着く前に破壊しましょう。(同時射出された場合は範囲攻撃で対応)
基本的に爆雷などもこれで撃ち落します。

一区切りついたところでネルソンが視認できるなら彼を、できないなら第六感で何となくいそうな場所(クレマンソー級空母の艦橋か)に向けて『アララトの流星』を放ちます。

トラファルガーの教訓は活かせているかね?



 真紅のスーツに身を包んだ偉丈夫がグリードオーシャンの海原を往く鉄甲船の甲板上に佇む。
 彼の瞳の先にあるのは天使の群れ。
 ただし、その天使たちが持つのは爆雷であり、投下されれば爆風と爆炎を撒き散らすおぞましき殺戮兵器である。
 高高度から投下される爆雷を防ぐ手立てはなく、しかして対抗しようとしても飛行能力を阻害する効果のある海域においては猟兵達は空を飛ぶことも敵わない。
 それ故に制空権は握られたままであり、一方的に猟兵達は爆雷に寄る攻撃を受けねばならなかった。
 しかし、それでも真紅のスーツの偉丈夫――シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は笑っていた。

「ハハハ、天使達は文字通り鉄砲玉だね。滑稽なことだ」
 七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が指揮する『クレマンソー級空母』のカタパルトによって加速し、射出される天使たち。
 それを迎え撃つのは、シーザーのユーベルコードであるアララトの流星(デウス・ルークス)である。
 単純で重い光速の魔力弾。
 それは単純であるがゆえに凄まじい威力を伴って海面を割り、カタパルトから飛び出した天使を穿つ。

 それは一瞬の撃墜劇であった。
 飛べば天使達は加速によって即座に猟兵達の乗る鉄甲船へと迫るだろう。なれば、それを阻めばいい。
 すでに進路はシーザーによって割り出されている。
 光速で放つ魔力弾の衝撃は天使達をと正面衝突を引き起こし、ただのそれだけで次々と天使達は霧散し消え失せるしかない。
 手にした爆雷をも巻き込んで爆発する光景は、まさに流星が堕ちたかのような凄まじものであった。
「――む、同時射出か。即座に対応してきたか」
 敵であるコンキスタドール『ネルソン提督』もさるものである。

 猟兵であるシーザーが天使達の射出を阻もうとするのであれば、狙いを定めさせないことで天使達を放つのだ。
 片方が潰れても、片方が飛べばいい。なにせ天使達は撃ち落とされても補充が効くのだ。猟兵たちのように替えのない戦力ではないのだから。
「ならば、このように」
 シーザーの指が鳴る。
 それはユーベルコードによって放たれる魔力弾の効果範囲を切り替えた瞬間であった。

 これまでは魔力弾による狙撃であった。
 けれど、シーザーは魔力弾を散弾のように広範囲に広げ、天使達を撃ち落とす。威力は低くなるかもしれないが、天使達が抱えるのは爆雷である。
 威力の下がった魔力弾であっても十分に誘爆させられる。
「ほう、これにも対応するか……『ネルソン提督』……やはり、こちらを見ているな!」
 シーザは鉄甲船から身を乗り出し、彼の第六感が告げる方角へとユーベルコードを輝かせる。

「直接狙い打たせて頂く――砕けたまえ」
 駆けるはアララトの流星。
 迸る光速の魔力弾の刻む軌跡は一直線上に走り、『クレマンソー級空母』の甲板上で猟兵たちと交戦する『ネルソン提督』の肩を射抜く。
「ぐっ……! 狙撃か! だが! 俺はもう『知っている』……! 二度目は許さなぬ」
 ほう、とシーザーは撃ち抜いた『ネルソン提督』が未だ健在であることに愉快そうな笑みを浮かべた。

 過去の人物の名を持つコンキスタドール。
 それは完全なる同一なる存在ではないのかもしれない。過去に歪み、過去から滲み出た存在であるがゆえに。
「トラファルガーの教訓は活かせているか」
 やはり、違う存在であると言わざるを得ない。
 その名を持つものがたどった末路。
 それを知るがゆえに。シーザーは己の一撃が致命傷ではないにせよ、その名の持つ宿命と業のままに、『ネルソン提督』の最期を予見するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎

俺は元々空なんて飛べないんだからそこの所は問題ないが、問題は爆雷の方か
彼方に届かないなら、届く物にすればいいだけだ

SPDで判定
水陸両用のオートバイに乗り込み、空母へ向かう
その時、外套も被って【迷彩】を使いながら【運転】【操縦】【航海術】でオートバイを乗りこなして近づく
相手から捕捉されたら水面を義眼のメガリスの橙の災い:爆破【爆撃】で水飛沫を上げ、それに紛れるように【地形を利用】し進む
空母の側まで行くと【クライミング】【忍び足】で敵の近くまで行き、銀腕を【武器改造】でナイフ状にして【早業】【不意打ち】【暗殺】【鎧無視攻撃】の技能を使いながら攻撃



 未だに爆雷の爆炎と衝撃、そして海中に落ちた瞬間に立ち上る水柱が鉄甲船を揺らす。それも一度や二度ではない。
 無数に高高度から投下される爆雷の脅威は未だ制空権を握った天使達……七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の健在を意味していた。
 彼の操る乗艦『クレマンソー級空母』は、猟兵達の攻撃に寄って傾き始めているとは言え、カタパルトから射出される天使達の群れは次々と補充され、猟兵達の海上の足場とも言うべき鉄甲船を沈めようと迫るのだ。

 天使達に対抗しようと空を飛ぼうにも、この海域は飛行能力を阻害する力が働いている。故に猟兵達は海上、もしくは海中から侵攻する他なかったのだ。
「俺はもともと空なんて飛べないんだから、そこの所は問題ないが……」
 問題は爆雷か、とルイス・グリッド(生者の盾・f26203)は未だ爆撃が続く鉄甲船の甲板上で呻く。
 これが強大なるコンキスタドール、七大海嘯の力。
 制空権を握られている以上、相手の先制を受け続けるしかない。しかし、爆雷を防がねば鉄甲船事態が沈められかねない。

 そうなってしまえば、ルイスと言えど戦いを続行することは難しい。
 だが、その瞳に諦めの文字はなかった。
「彼方に届かないなら、届くものにすればいいだけだ」
 鉄甲船から水陸両用のオートバイに乗り込み飛び出したルイスは『クレマンソー級空母』へと走る。
 確かに打って出るほかない状況とは言え、それは無策に尽きる行動のように見えただろう。
 どれだけ的が小さくなろうとも、高高度から爆雷を投下する天使たちにとってルイスは的でしかなかったのだ。

 けれど、ルイスは外套を頭からかぶり迷彩効果を使いながら水上をオートバイで駆け抜ける。
 上げる水しぶきと波間に身を隠しながらルイスは空母へと近づく。
「……天使共! 猟兵が取り付こうとしている。排除しろ!」
 天使達の目はごまかせても、コンキスタドールである『ネルソン提督』の眼まで欺く事は難しかった。
「――くっ! 輝け! メガリス・アクティブ!」
 義眼が橙の災いに輝き、迫る天使達を爆破し、爆風に紛れるようにして空母の甲板へと躍り出る。

 すでに猟兵達と交戦し消耗しはじめていた『ネルソン提督』の動きは精彩を欠いていたと言ってもよかっただろう。
 けれど、それでもなお強大なるコンキスタドールであることには変わりない。
 加えて、『ネルソン提督』は不意打ちや狙撃の類を警戒している。
「だが、それでも――!」
 他の猟兵達が混戦に持ち込んでくれている。
 天使達も『ネルソン提督』を護るために乱舞している今こそが、ルイスにとっての好機であった。

 メガリスである銀腕をナイフに替え、ルイスは『ネルソン提督』に迫る。
 完全なる不意打ちの一撃。
 けれど、その一撃は『ネルソン提督』に防がれる。手にした銃のバレルで防がれている。
「この俺に不意打ちとはな! そう簡単に取れると思うな!」
 他の七大海嘯と比べて与し易いと言っても、やはり強大なるコンキスタドールには変わりない。
 しかし、それでもルイスの腕、銀腕には勝算がある。
 なぜなら、彼の義手にして銀腕は呪われし秘宝、メガリスである。その銀腕は形状を変えることが可能である。
 それこそ受け止められたナイフの形を替え、鋭い切っ先にして『ネルソン提督』へと一撃を加えることなど不可能ではないのだ。

「『知っている』からこそ、生まれる隙だってあるものだ!」
 その一撃は確かに『ネルソン提督』の胸へと突き立てられる。
 迸る鮮血が、癒えぬ傷跡として刻み込まれ、一気に戦いの趨勢を傾けさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安里・真優
【心境】
「ついにこの日が来ちゃいましたかー。」
故郷のこの世界で戦争…うーん。実感がわかない。


【対先制攻撃】
『対空戦闘』で迎撃して対処です。
ダコタンはタコ墨で『砲撃』して迎撃…
カメゴンは謎の『念動』で逸らして…
マンボンは…えっと…『燃焼』しててください。

私は『属性攻撃』雷撃魔法を『高速詠唱』の速射で『スナイパー』です
行きます。攻撃魔法「エネルギーボルト」です

【戦闘】
私にいい考えがあります。
空を舞うのは空中に適応しているからです。
海に適応していないから飛ぶんです。ならそこが深海になればどうでしょう?
ユーベルコード発動!!
私?『深海適応』してます。巨人の肉体を舐めないでください。
よし、総攻撃です!!



 グリードオーシャンの海原を5mを超える巨人、安里・真優(巨人の冒険商人・f26177)が行く。
 その姿の雄々しきことと、可憐なる女性としての姿はアンバランスに映ったかもしれない。けれど、それはグリードオーシャン以外の世界を知るからである。
 彼女にとってグリードオーシャンは故郷と形容するにふさわしい。
 他の世界を知る猟兵であるからこそ、大きな戦い――『羅針盤戦争』と名付けられた戦いが引き起こされたことに眉根を寄せるのだ。
「ついにこの日が来ちゃいましたかー」
 口に出してしまえば、それはあっさりと己が受け入れることのできるものであると思っていた。
 だが、実際には違った。
 未だに実感がわかないのだ。

 空には天使の群れ。
 爆雷の爆炎と衝撃、それに海に落ちて立てる水柱が凄まじい。
 けれど、それでも真優は征かねばならない。
 どれだけ実感がわかなくても、このグリードオーシャンは彼女の故郷であるのだ。ならばこそ守らなければという思いのままに彼女は巨人としての力を振るう。
「こんなときにこそ! ダコタン、カメゴン、マンボン、いくよ!」
 彼女のペットである特殊な色をしたタコであるダコタんとリクガメであるカメゴン、そしてメガリスを食べて飛行能力と巨大化を得たマンボウが其々の特色を用いいて天使達の爆撃を迎え撃つのだ。

 ダコタンは蛸墨で砲撃して爆雷を撃ち落とし、カメゴンは謎の念動で爆雷の軌道をそらす。
 マンボンは爆雷を誘爆させる燃焼脳力に寄って真優に迫る攻撃を防ぎきった。
 彼女自身も放つ雷撃の魔法によって爆雷を撃ち落とし、グリードオーシャンの空に爆風を巻き起こすのだ。
 しかし、爆雷を迎撃しているだけではジリ貧である。
 敵の目的は猟兵の海上での足場である鉄甲船だ。このままではいずれ沈められてしまう。

「私にいい考えがあります。空を舞うのは空中に適応しているからです。海に適応していないから飛ぶんです。なら、そこが深海になればどうでしょう?」
 その言葉に頷く余裕のある者はいなかったかもしれない。
 正直に言えば、どういうことなのだと首を傾げただろう。けれど、真優は見えている。
 彼女がこの局面をどう切り抜けるか、その未来が。
「ダコタン。やっちゃってッ!!」
 放たれるのは、深淵からの呼び墨(シンエンカラノヨビスミ)である。
 ダコタンの放つちょっと怪しいタコ墨が噴水のように吹き出し、雨のように降りしきる。戦場全体が『グリードオーシャンの深海』と同じ環境に変化する。
 それは言うまでもなくあらゆる場所を深海其の物に変えるユーベルコードである。
 もちろん、空もまたダコタンの墨によって染まるがゆえに深海と同じ環境へと変わるのだ。

「空も深海であれば、翼があっても沈むしかありません! 私は巨人ですよ。この肉体を舐めないで下さい」
 真優は深海の中であっても、潰れることもなければ行動を阻害されることもない。彼女は巨人である。
 深海という凄まじい圧力のかかる状況であっても潰れることなどありえない。
「よし、総攻撃です!!」
 天使達は既に大空から失墜している。
『クレマンソー級空母』を護る要である天使達は今はもう居ない。ならば、真優は、その巨人の体を生かし、突撃する。

「環境を変えるユーベルコードだと……! 深海と同じ……身体が……重い……!」
 コンキスタドールである『ネルソン提督』であっても深海への適応は難しかったのだろう。
 そこへ放たれる真優の巨人としての力が叩きつけられ、『ネルソン提督』は盛大に吹き飛ばされ、甲板上を勢いよく跳ねていく。
 その姿を見ながら真優はガッツポーズを決める。

「まだ実感がわかない。けれど、それでも故郷を戦争で滅ぼさせるわけにはいかないんです。だから、倒させていただきますよ、『ネルソン提督』――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

マレア・ソレッタ
あっちだけ自由に空飛べるってずるいね!
でも、海の上ならボクだって負けないんだから!

というわけでサーフボードでの【サーフィン】で空母を目指すよ。
天使がカタパルト射出されてくるだろうけど、充分な威力の出る速度で突進するとなると、あっちだってそう簡単には飛翔方向を変えられないはず。
波の動きを利用してのスラロームや切り返しで進路を撹乱しながらかわしていくよ。
いざとなったら一旦海に潜って【息止め】からの【素潜り】【遠泳】でまた空母を目指して行くよ。

最後はメガリスでもあるサーフボードの力で空母の甲板へジャンプ!
ネルソンを見つけ次第、海神殺しを叩き込むよ。



 天使に寄る爆雷の攻撃は未だ鳴り止まるところを知らない。
 爆炎を上げ、衝撃波が飛ぶ。
 凄まじいまでの攻撃。本来であれば、飛行能力を阻害する効果のある海域において空を飛ぶ者が在る事自体が異常である。
 けれど、七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』は『クレマンソー級空母』に備え付けられたカタパルトに寄って加速力を得た天使達の魔法に寄る推進力でもって、これを克服したのだ。
 さらに戦場である海域の特性を理解した上で放たれる天使達の爆雷の雨は『ネルソン提督』の戦術に寄って難攻不落。
「そうだ……そのはずだった! だというのに、やはり猟兵は脅威だ」
 甲板上に叩きつけられた『ネルソン提督』が立ち上がる。
 数多の猟兵達の攻撃を受けて傷だらけになりながらも強大なるコンキスタドールとしての力は健在であることを知らしめる。

 どれだけの攻撃を受けても尚、『ネルソン提督』のアドバンテージは消えない。
「あっちだけ自由に空飛べるってずるいね!」
 マレア・ソレッタ(風と海と太陽の子・f26497)は鉄甲船の上で憤慨した。
 制空権を握られたまま天使達の爆雷に寄る攻撃は一方的だった。
 爆雷を防がねば足場である鉄甲船が沈む。
 そうなってしまえば、猟兵は天使達に一方的に狙われ続けるだろう。そうなってしまえば、如何に猟兵と言えど『ネルソン提督』に勝利することは難しい。

 だが、マレアはサーフボードを片手に飛び出した。
「でも、海の上ならボクだって敗けないんだから!」
 荒れる波に乗ってマレアは海原を行く。
 サーフィンをするように波に乗り、加速する。目指すさきは『クレマンソー級空母』である。
 かの空母に『ネルソン提督』がいるのであれば、彼を討たねば戦いに終止符を討てない。それに襲い来る天使たちだって、考えように寄ってはマレアの脅威とは成りえない。

 カタパルトによって加速を得ているのであれば、十分な速度を出すためには簡単に飛翔方向を変えようがない。
 ならば、そこを突く。
「飛び出した瞬間はまっすぐにしか飛べないでしょう! ならさ!」
 荒れる大波を障害物としながら、交互に躱すようにサーフィンするマレアの動きは天使達にとっては狙いのつけがたい存在であった。
 ときには切り返し、進路を撹乱しながら進むものだから、投下する爆雷が当たらないのだ。
 だが、衝撃波までは防ぎようがない。爆風に煽られるようにしてマレアはサーフボードごと海中に没する。

「まだまだ――!」
 そう、彼女は風と海と太陽の子である。
 グリードオーシャンの海のことは彼女が一番良く知っている。息を止め、一気に素潜りで海中を進む。
 爆雷の衝撃が海中にまで及ぶ。
 けれど、それでも進む。この戦いは彼女の故郷での戦いでもあるのだ。なればこそ、止まるわけにはいかない。

 一気にメガリスでもあるサーフボードの力を開放し、海中から海上に飛び出す。彼女の視線のさきに在るのは『クレマンソー級空母』の甲板上で猟兵たちと天使が入り乱れての混戦の渦中にある『ネルソン提督』の姿であった。
「見つけた……!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 手にした銛の先端が無数の針へと変形し、投擲された一撃が『ネルソン提督』の肩を貫く。
「ぐっ……! 銛の一撃など……!」
 だが、引き抜こうとして、それが引き抜けぬ事を知る。
 何故なら、そのユーベルコードの名は海神殺し。
 その身一つで巨大なる海獣を狩り続けて来たマレアにとって、その一撃こそが彼女の怒りを証明するものであった。

 自然の恵みをコンキスタドールに奪われぬようにと、彼女はその一撃を持って、意志を示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティノ・ミラーリア
あんな高いところから……嫌な相手だね。

先制爆撃は「狩猟銃」の迎撃と「纏影」の【拠点防御】で凌ぐしかなさそうかな…。
初撃を凌いだら「影狼」をシャチの形状で生成し水中に退避、「纏影」で一体となるよう補強しつつ騎乗。
その速度で回避、「纏影」で守り、海中の【闇に紛れる】ことで高高度からの索敵を逃れよう。
空母に辿り着いたら≪影の暴虐≫を発動し、空母の影も取り込んだ「影狼」の【鎧砕き】で船体を攻撃。
下に取り付いてしまえば、もう出来ることは無いんじゃないかな…?
その後は「狩猟銃」や「影槍」を用いて【蹂躙】。

アドリブ・連携可



 空を舞う天使達の群れは高く。
 その姿は高高度を飛ぶ故に見上げる猟兵からは攻撃を放つこともままならぬ程の圧倒的な攻撃手段であった。
 科学と魔術、そして戦術が正しく合わさったときにこそ発揮される常勝なる力。
 それが七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の力であったことだろう。
 猟兵達が海上の足場としている鉄甲船は、それぞれの働きに寄って沈むことはまだない。けれど、それは手をこまねいていれば、時間の問題であることは、どの猟兵にも共通する考えであったことだろう。

 故に猟兵達は己の知恵とユーベルコード、能力の全てを使ってこれの対処に当たるのだ。
「あんな高いところから……嫌な相手だね」
 全ての猟兵に対して先制する圧倒的な制空権。
 空は、この海域に置いて飛行を阻害する効果によって天使達のものとなっていた。それ故に投下される爆雷は一方的な攻撃である。
 爆風と爆炎が衝撃波と共に鉄甲船を揺らし、空を見上げたティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)は中性的な顔を崩さずにいた。
 天使達の先制攻撃である爆雷の投下には手にした異端の神々や魔獣を狩るための首領銃から放たれる呪詛を載せた弾丸が放たれ、空中で爆散させる。
 しかし、それだけでは鉄甲船へのダメージを抑えることはできない。
 それ故に己の影から無尽蔵に生成される自律防御を誇る影が凌ぐ。

 揺れる波間を見下ろす。
 爆雷の攻撃は確かに凄まじいし、絶え間なくやってくる。
 耐えるだけではいずれジリ貧であるのは言うまでもない。しかし、他の猟兵達が次々と己の持てる力を持って『クレマンソー級空母』へと乗り込んでいけば、天使達の爆撃も収まってくる。
「なら、今だね――影狼」
 ティノの影から狼型の眷属が現れ、グリードオーシャンの海上へと飛び込むとシャチの形へと姿を変える。ティノの影が補強するようにシャチの姿へと変わった影狼にまとわりつき、その上に騎乗し海上を行く。

 影はどんな形にも姿を変えることが出来る。
 影は己の一分でありながら、己の自由への標でもあった。それ故に荒れ狂う波間すらもまるで障害とすることなくティノは『クレマンソー級空母』へとたどり着き、巨大なる空母故にあふれる影を操る。
「さあ、暴れておいで……」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、影の暴虐(シャドウ・ランペイジ)。影を操る能力に秀でた彼であるからこそなせる業である。

 周囲の影と眷属を集結させ、彼が騎乗してた影狼を巨大化させる。
 それは巨狼の顎となって、『クレマンソー級空母』の船体に牙を突き立てる。カタパルトが軋みを上げ、船体からも嫌な音が響き渡る。
「取り付いてしまえば、もう出来ることは無いんじゃないかな……? さあ、行くよ」
 ティノの瞳に捉えたのは『ネルソン提督』であった。
 数多の猟兵たちと戦いを繰り広げ、混戦のさなかにあってさえ彼は未だ消滅することはなかった。

 これがコンキスタドール。
 七大海嘯と呼ばれるオブリビオンの力。彼を護る天使達を狩猟銃や影の槍によって蹂躙と呼ぶにふさわしい活躍で薙ぎ払っていく。
「此処まで牙を届かせるか、猟兵!」
『ネルソン提督』のはなった弾丸と呪詛を載せた弾丸がぶつかり合い、周囲に火花を散らせる。
「遅い」
 小さく呟いたティノの影から放たれた影の槍が『ネルソン提督』に迫る。しかし、それすらも天使が身を挺して庇う。

 だが、本命はそれではない。
 ティノの能力は影を操る能力。それは自身の影だけではなく。
「俺の影、をも操る、だと……!?」
 そう、影であれば、あらゆるものの影さえも操るティノにとって影在る者は全てが攻撃の対象となる。
『ネルソン提督』は、自身の影より現れた槍の一撃に寄って両足を貫かれ驚愕する。
「――嫌な事をする相手には、嫌なことを。そうだよね?」
 そのつぶやきは、影の槍の鋭さと共に『ネルソン提督』を消耗させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
対空戦闘法を心がけて読心術で心を読んで催眠術で誘惑してる間にUC発動
足下の地中から潜水艦の搭乗口が現れ飛び込むよ〜♪
発進っ♪

眷属淫魔87人に操縦を任せて〜♪
地形を利用し最大船速を保ったまま、敵が巨大な程に威力を増す螺旋錐大衝角(ドリルパイルバンカー)による邪神(ぴゅあ)の神罰を敵空母の船底目掛けランスチャージ♪

眷属
『目標発見、本艦直上!』
『推力移動最大!』
『耐衝撃オーラ防御全開です!』
『本日のおやつの祝勝プリン出来てます!』
『ピュアニカ様、私達はいつでも行けます!』

『『『『ご命令を!!!!』』』』

さあ、突撃だよ〜っ♪

『星界を穿ち破りし(ギガントラム)ーー』

『一角獣(モノケロース)ッ!!!!!』



 天使達の行軍は止まらない。
 カタパルトから射出される天使達は魔法の推進力をもって空を自由に飛ぶ。
 本来であれば飛行能力を阻害する海域である。しかし、カタパルトによって十分な加速を得た天使達は、その枷から解き放たれるように大空を舞い、猟兵の攻撃の届かぬ高高度からの爆雷によって、猟兵たちを苦しめていた。
 足場となる鉄甲船を沈めてしまえば、猟兵達に勝ち目はない。
 けれど、自身達が持ち得る全ての能力を駆使して戦う猟兵たちにとって、この程度の苦難は当然のものでもあったことだろう。

「淫魔の国の神様でお姫様で国民的アイドルだよっ」
 純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の姫【邪神潜水艦艦長】・f30297)は尋常ならざる美貌を持つ少女であった。
 彼女の魅惑の微笑みは、天使達であってさえも容易に催眠の虜にしてしまうほどであったことだろう。
 その美貌を目にして天使達は爆雷を投下することを一時忘れてしまう。

 けれど、それで全てがクリアーされたわけではない。
 手を振りながら、ピュアニカは微笑む。僅かな隙さえ生まれればよかったのだ。足元から現れたのは潜水艦の搭乗口。
 それは彼女が眷属とする淫魔たちが操縦する例え宇宙や地中、異界でも航行可能な潜水艦であった。
「潜航開始~♪ 発進っ♪」
 ピュアニカの号令と共に淫魔たちが操縦する潜水艦がグリードオーシャンの海中を行く。
 その速度はピュアニカのユーベルコードの力を持って更に加速していく。
 海上、空中への防御は確かに七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の戦術の前には鉄壁そのものであったことだろう。

 だからこそ、幾人かの猟兵がそうしたようにピュアニカもまた潜水艦という戦力を持って海中よりの奇襲を行うのだ。
『目標発見、本艦直上!』
『推力移動最大!』
 淫魔たちの言葉が響く。それにピュアニカは満足げに頷き、その掌を目標である『クレマンソー級空母』へと向ける。
 すでに船底に深刻なるダメージを受けていた『クレマンソー級空母』であったけれど、さらにダメ押しをしてやろうというのだ。

『耐衝撃オーラ防御全開です!』
『本日のおやつの祝勝プリンできてます!』
『ピュアニカ様、私達はいつでもいけます!』
 なんだか微妙に戦場にそぐわない言葉が飛び交った気がするけれど、それはそれである。
 ピュアニカが立ち上がり、その手を振るう。
 それは指揮を取るものの姿であり、同時に彼女たちの頂点に立つ者の姿でもあった。
 淫魔たちは皆彼女の号令を待っている。
 ご命令を、と恭しくも、されど士気高く。ピュアニカのたおやかな唇が紡いだ号令は。
「さあ、突撃だよ~っ♪『星界を穿ち破りし(ギガントラム)ーー』」

 その瞳がユーベルコードに輝く。
 潜水艦に備えられた対巨大特攻属性螺旋錐大衝角による穿孔突撃。それこそがピュアニカのユーベルコード。
「――『一角獣(モノケロース)ッ!!!!!』」
 放たれる一撃は凄まじき衝撃となった巨大なる『クレマンソー級空母』そのものを海上から一瞬であるが跳ね上げさせるほどであった。
 衝角から空いた穴、そこからピュアニカは淫魔たちとともに次々となだれ込み、甲板上で戦う『ネルソン提督』と天使、そして猟兵達と混戦を繰り広げる。

 それは正に混沌と呼ぶにふさわしい乱戦であった。
「天使と淫魔……これでは撤退することもかなわんか……! だが!」
 他の七大海嘯から比べればという意味では与し易い相手である『ネルソン提督』。しかし、彼の抵抗は凄まじいものであった。
 超絶為る美貌を持つピュアニカをしてでも天使は籠絡できても、『ネルソン提督』は籠絡することは叶わなかったことだろう。

 だが、それでも衝角による一撃に寄って『クレマンソー級空母』に甚大なる被害を与え、『ネルソン提督』の命運をさらなる加速で持って敗北へと推し進めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
こちらも空を飛べたらなあ手間ァ少なくていいんでござるが
ま、せめて船旅でも楽しむとしますぞ

最新を学ぶのであれば拙者はルドゥタブルの例に倣うとしますぞ
乗り込んだ鉄甲船のマストに陣取り座り込みの狙撃姿勢で待機でござる
落ちた直後の【爆雷】に銃弾を早打ちでござる
船に直撃する前に爆発させて天使ごと落とせばいいでござるよ

全周囲から群がる天使を叩き落としつつ最大射程ギリギリまで近付いたら甲板のネルソン目掛けて狙撃
あの時代の銃とは精度も射程も違うので予想外でござろう
強い向上心は悪くないでござるが自分の末路と陸戦についても知るべきだったでござるな



『クレマンソー級空母』は数多の猟兵達の攻撃を受けて、その船体を大きく傾がせていた。
 けれど、未だカタパルトは無事であり次々と放たれる天使達の群れは凄まじい速度と数で猟兵達の海上の足場でもある鉄甲船へと迫る。
 爆雷を投下する高高度からの爆撃。
 それは言うまでもなく見敵必殺なる先制攻撃であった。
 この先制攻撃に先んじる手段はなく、猟兵達は必ずこの爆撃に対する対策から先ず行わなければならなかった。
 それがこの海戦が長引く原因にもなっていたことを、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は正しく理解していた。

「こちらも空を飛べたらなあ。手間ァ少なくていいんでござるが」
 しかしながら、この海域は飛行能力を阻害する効果が広く発生している。
 その枷とも言うべき効果を無効化せしめたのが七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』の戦術であった。
『クレマンソー級空母』のカタパルトという科学。
 天使の群れという魔法。
 それによって実現した確実なる先制攻撃。それこそが猟兵たちを苦しめ続ける。だが、エドゥアルトは飄々としていた。
「ま、せめて船旅でも楽しむとしますぞ」
 口笛でも吹きそうな雰囲気ながら、彼が手にしたオートマチックライフルと共に鉄甲船のマストに陣取っていた。

 狙撃体制で待機していた彼の瞳に映ったのは天使たちから投下された爆雷であった。
 瞬間、エドゥアルトの瞳がユーベルコードに輝く。
「Feuer!」
 それは一瞬にも満たない時間であったことだろう。爆雷の投下を瞬時に捉え、凄まじい速度で放つ銃弾。
 その銃弾の一撃が爆雷を貫き、天使ごと爆発させ、撃ち落としていくのだ。
 Fast Shooting(ファストシューティング)の銃声が鳴り響いたのは、一発であった。

 だが、その超絶為る速射によって実際に放たれたのは、無数の弾丸。
 それら全てが空をゆく天使達を貫き、爆散させたのだ。
「船に直撃する前に爆発させて天使ごと落とせばいいでござるよ。花火みたいでござるな~」
 口笛を鳴らしエドゥアルトはうそぶく。
 けれど、その力量は確かなものである。故に天使達は、エドゥアルトこそを標的とする。
 群がるようにして全方位から迫る天使達の群れをエドゥアルトは尽く撃ち落としながら鉄甲船を進ませる。
 彼の瞳に捉えるのは『ネルソン提督』である。

「ヴィクトリーではなく、『クレマンソー級空母』でござるか~最新を学ぶ姿勢、その向上心は評価できるんでござるがな~。拙者はルドゥタブルの例に倣うとしますぞ」
 その瞳に映るのは、『クレマンソー級空母』の甲板上で無数の猟兵たちと乱戦に持ち込まれた『ネルソン提督』の姿であった。
 エドゥアルトが座すマスト、それは奇しくも歴史の再現であったかもしれない。
 嘗て在りし歴史。
 もしかしたのならば、違う『ネルソン提督』であったのかもしれないことは言うまでもない。

 アレはオブリビオンである。
 コンキスタドールであったとしても、エドゥアルトの知る歴史の『ネルソン提督』ではない。
 故に、『知っていた』のかもしれない。
「あの時代の銃とは精度も射程も違うので予想外でござろう。強い向上心は悪くないでござるが、自分の末路と陸戦についても知るべきでござったな」
 だが、『ネルソン提督』の名を持つ以上、その宿命から逃れることはできないのかも知れない。

 エドゥアルトのはなった弾丸は、彼が倣った故事と共に『ネルソン提督』の胸を穿つ。
「ガっ、は……――! 狙撃……! やはり狙ってくるか……! 天使共!」
 胸を穿たれても尚、『ネルソン提督』は消滅しない。
 やはりオブリビオンである。それ故に、彼は化け物じみた耐久力で持って七大海嘯と呼ばれたコンキスタドールとしての実力を発揮し続ける。
「天使をけしかけたでござるか~……だが、それでも消耗はしたでござるな。皮肉なことでござる」
 エドゥアルトは、その末路を知る。
 それはきっと、この海戦においても変わることはないのだろう。

 故にエドゥアルトは天使達の尽くを撃ち落としながら、その爆風を持って『ネルソン提督』の手向けとするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
空を飛ぶ天使…これが死神なのでしょうか?

回点号に搭乗、操縦。
推力移動、水上を高速で移動し、爆雷を回避、
同時に、進行方向へ落ちてくる爆雷を動体視力で捉え、
パルスマシンガンの弾幕で撃ち払う。

死神ならば捉えてみせろ!捉えられるものならば!
跳べ、回点号!!
『回点槍』シールドエネルギー充填。
瞬間思考力、次々と投下される爆雷を空中を跳ねて回避、
ジグザグと機動を変え、位置と移動予測範囲を掴ませず、一気に海上を突き進む。

提督、ネルソン!!空母と共に骸へカエレ!!
貫通攻撃、空母へと弾丸を放ち、部位破壊、次いで、
シールドバッシュ、キャバリアで体当たりし、同時に、貫通部位からエネルギーを内部へと押し通す!



 猟兵とは異なる世界を渡り歩く者である。
 故にグリードオーシャンという海洋世界においても、戦乱が続く世界、クロムキャバリアにおける兵器の代名詞であるキャバリアの汎用性は言うまでもない。
 故に、この海洋世界に置いても5m級戦術兵器の有用性は証明される。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の駆るクロムキャバリア『回転号』が推力移動で海上を高速で駆け抜ける。
 その姿は正しく鋼鉄の巨人。
 どれだけ天使達が爆雷を落とそうとも、超能力によって増加された加速能力は、捉える事はできないのだ。
「空を飛ぶ天使……これが死神なのでしょうか」

 元よりクロムキャバリアは空を封じられた世界。
 この海域の飛行能力を阻害する力は、クロムキャバリアを駆る小枝子にとっては、ある意味で親しんだ戦場であり状況であったことだろう。
 殲禍炎剣の砲撃が常に頭上を捉えている世界で戦ってきたのだ。今さら爆雷の一つや二つなど回避することなど容易い。
 爆雷をパルスマシンガンの弾幕で打ち払い、爆風の中を飛ぶ鋼鉄の巨人と共に小枝子は吠える。
「死神ならば捉えて見せろ! 捉えられるものならば!」
 彼女の咆哮に圧されるようにして『回転号』は飛ぶ。
 それはまるで槍のようであった。

 解き放たれたユーベルコードの輝きがキャバリアの機体を包み込む。
 跳ねるように空中を飛ぶ『回転号』は降りしきる爆雷の雨を躱しながらどこまでも飛んでいく。
 なにもない、足場もない空中でさえ、見えぬ何かを蹴り飛ばすようにして飛ぶ姿は、鋼鉄の巨人と言うにはあまりにも美麗であった。
 雷のような軌道尾を描きながら、海上を進み、『クレマンソー級空母』の甲板上へと飛び込む。
「提督、ネルソン!! 空母と共に骸へカエレ!!」
 手にしたパルスマシンガンから放たれる超貫通力を持つ一発の弾丸が『ネルソン提督』へと放たれる。

「巨人兵器……! この期に及んで、このような兵器まで!」
 しかし、『ネルソン提督』とて七大海嘯の一つに数えられるコンキスタドールである。その危機察知能力は軍を抜いていたことだろう。
 キャバリアを見て瞬時に特性を見抜き、その弾丸の威力を知る。
 受けてはならない。受けた瞬間お己の体が吹き飛ぶと知る。故に躱し、空母の甲板から船底まで貫通した弾丸が空母事態を激しく揺らす。

「まだまだ――!」
 小枝子のユーベルコードが激しく輝きを増す。それはまるで機体と己を同一のものとし、同時に一つの回点槍(カイテンソウ)となるように敵を穿つまで止まらぬのだ。

 放たれた超能力ハニカム構造のシールドエネルギーが放たれ、一撃が『ネルソン提督』を捉える。
「ぐっ――! 天使共は何をしている!」
「天使ならばすでに躱してきました。それに他の猟兵達だっているのであります!」
 故に此処で仕留める。
 仕留めることができないのならば、消耗させる。
 受け止められたシールドバッシュの一撃をさらに振りかぶって叩きつける。一撃で終わらぬのならば、二撃。
 二撃で終わらぬのならば三撃。
「穿てェ――!!!」

 打ち込まれたシールドエネルギーが『ネルソン提督』へと注ぎ込まれ、押し通された力が『ネルソン提督』の体を焼く。
 その体を吹き飛ばし、甲板上を跳ねさせるように叩きつけながら、小枝子は己のキャバリア『回転号』と共に勝利の咆哮を上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(●防具改造で脚部にフロート…浮きを装着しスラスターの●推力移動で水面を滑走)

制空権を確保するためとはいえ、中々の力技ですが…
ある意味では私もかの提督と似た思考回路なのかもしれませんね

とはいえこの世界の安寧の為、相容れる訳でも無いのですが…!

腕部格納銃器から天使達の目測阻む●目潰し用煙幕特殊弾頭を発射しつつ、センサーでの情報収集と瞬間思考力で突撃を●見切り回避や頭部、肩部格納銃器での●乱れ撃ちスナイパー射撃で対空防御

ワイヤーアンカーで空母の甲板に飛び乗り

護りには些かの自信がありまして
さあ、こちらの手番です

怪力で操るUCでカタパルト粉砕
●操縦する鉄球で退避する提督を捉え爆破拘束
甲板に叩きつけ



「制空権を確保するためとは言え、中々の力技ですが……」
 だが同時に合理的でも在ると、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は七大海嘯『ネルソン提督』の戦術に理解を示していた。
『クレマンソー級空母』のカタパルト。
 天使の魔法に寄る推進力。
 そして海域の飛行能力を阻害する効果を組み込む戦術。
 それらから導き出される対処法はトリテレイアの考える戦術と似通っていた。
 故にある意味では己とかの提督とは似た思考回路であるのかもしれぬと自嘲する。

 だが、それは同時に互いの手の内を読むことができるということである。
「とはいえ、この世界の安寧の為、相容れる訳でもないのですが……!」
 トリテレイアは脚部にフロート装備のままスラスターによる推力移動で海上を滑走しながら、腕部に格納された銃器で天使たちの高高度から爆撃を防ぐため煙幕特殊弾等を発射しながら、煙に包まれた海上をひた走る。
 爆雷の一撃は容易に鉄甲船を鎮める威力を持っている。

 ならば、その高高度からの爆撃。
 その目測を誤らせる方が早い。故に煙幕という手段を選び、己はセンサーで集めた上方を元に突撃していく。
「爆雷の雨の中を行くことなど!」
 そう、恐れを知らぬ戦機であるトリテレイアには容易いことであった。
 どれだけ爆風と爆炎が己の機体を舐めようとも、それでも止まることはない。肩部格納銃器から放たれる弾丸が乱れ打たれ、投下される爆雷の尽くを爆散させ続ける。

 爆煙と煙幕と相まってトリテレイアの姿は一瞬煙の中に消える。
 だが、次の瞬間彼の腕から放たれたワイヤーアンカーが『クレマンソー級空母』の甲板を捉え、その機体を躍り出させるのだ。
 すでに『クレマンソー級空母』は数多の猟兵達の攻撃を受けて傾き始めている。船底にいくつもの穴が空き浸水を始めているのだろう。
 甲板上も穴が穿たれ、これまでのように天使達の爆撃は起こらないだろう。
 だが、それでもなお『ネルソン提督』は立つ。
「……ここまで追い込まれるか……だが、それでもお前達は俺たちを捉えることはできないだろう。どれだけ今ここに在る俺を仕留めたところで、俺は再び蘇る」
 それはトリテレイアも知るところのものであった。

 七大海嘯は、その本拠地を見つけぬ限り何度でも蘇ってくる。
 その恐ろしき力を前にしてもトリテレイアは恐れない。
「それが恐れる理由に為るとでも。戦わぬ理由に為るとでも。例え貴方が優れた戦術を持っていたのだとしても、護りには些かの自信がありまして。さあ、こちらの手番です」
 その手には拘束鉄爪内蔵式対装甲破砕鉄球(ワイヤード・ジェット・モーニングスター)。
 些か蛮族じみた攻撃方法であることあトリテレイア自身も理解している。叩きつけた鉄球がカタパルトを叩き割り、ワイヤーに繋がれたバーニアから炎を噴出させ振り回し、『ネルソン提督』へと叩きつける。

「なんという――!」
「銃火器よりは騎士としての格好がつくでしょうか」
 振るう鉄球が『ネルソン提督』を捉え、飛び出した鉤爪が放電し、その体を逃さない。そのまま振り回し、上段から叩きつけるようにカタパルトへと落とす。
 その衝撃は再び、空母を軋ませるには十分すぎる威力であり、同時に『ネルソン提督』の強靭なるコンキスタドールとしての体を消耗させるには十分であった。

「どれだけ優れた戦術家であろうとも、この世界を脅かしていい理由になどなっていないのです。提督、お覚悟を――」
 トリテレイアは叩きつけた鉄球をたぐり、さらなる戦いへと繰り出す。
『ネルソン提督』を守らんと集まってきた天使達を薙ぎ払い、それでもなお『ネルソン提督』を追い詰め続ける。
 その勇猛なる戦いぶりは、正しく海上の騎士。
 鉄球の一撃は尽く天使達を振り払い、再び『ネルソン提督』へと叩きつけられるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
アンヘル島……珍しくない名前なのかもしれませんが、スペースシップワールドから降ってきた島ならちょっと意味が変わってきそうです。

……来ましたか。取り留めのない考えはここまでですね。

『第六感』で上空にやってきた天使たちを察知したら、『視力』で降ってくる爆雷を見つけ、「フィンブルヴェト」からの氷の弾丸と『スナイパー』の技術で爆雷に対空射撃、船より上空で爆発させることで防ぎます。

天使たちの爆雷による攻撃を凌ぎつつ鉄甲船で接近、こちらの射程に入ったら【氷の狙撃手】でネルソン提督を狙い撃ちます。

こちらには速さと高さはありませんが……射程もまた、戦局を決める要素です。



『アンヘル島』。
 それは海洋世界であるグリードオーシャンを構成する島の一つの名である。
 その名の由来、どの世界から落ちてきた島であるのかは解明されていないが、この島の海域にあっては、飛行能力を阻害する効果が発せられている。
 それ故に猟兵達は空を封じられ、しかし七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が操る『クレマンソー級空母』から放たれる天使達は、その枷を破って制空権を手にしていた。
 その爆雷の投下による飽和攻撃は猟兵たちを苦しめ続け、如何に『ネルソン提督』が優れた戦術家であるかを証明していた。

「アンヘル島……珍しくない名前なのかもしれませんが、スペースシップワールドから降ってきた島ならちょっと意味が変わってきそうです」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は、その名の由来を考えていた。
 彼女の脳裏に真っ先に浮かんだのはスペースシップワールドにおけるオブリビオン、黒騎士『アンヘル』であった。
 かの強敵の名と同じ名を持つ島。
 確かにかの島がスペースシップワールド由来の島であるのならば、意味合いも変わってくるものだろう。そう勘ぐるには十分な名であったのだ。

「……来ましたか。取り留めのない考えは此処までですね」
 彼女の瞳に映るのは天使の行軍であった。
 猟兵達の海上の足場である鉄甲船を沈めようと爆雷の攻撃を開始したのだ。降りしきる爆雷の数を数えることはほぼ不可能であったが、セルマはその瞳を輝かせる。
 手にしたマスケット銃『フィンブルヴェト』を構え、鉄甲船への直撃弾だけを狙いすましたかのように放つ氷の弾丸で船上から、はるか上空で爆発させることで直撃を防ぐのだ。

 爆雷が爆発し、爆炎が降りしきる中、それでもセルマは瞳を閉じることはなかった。
 瞳を閉じれば、次の瞬間には爆雷の炎が迫る。
 故に目を凝らしてみるのだ。彼女のスナイパーとしての第六感が言う。
 片時も目を離さず、そらさず、降りしきる爆雷を見極めて無駄玉を打たぬようにと。その一撃一撃が未来への活路を切り開くのだ。
「間合いに入った――逃しません」
 セルマの瞳に映ったのは、数多の猟兵達の攻撃に寄って傾いた『クレマンソー級空母』の甲板上で猟兵たちと戦う『ネルソン提督』の姿であった。

 すでに満身創痍であるが、それでも尚戦い続ける。
 天使達の姿もある。力はそいでいるのに、それでも尚戦い続けるのは、それが己の義務であると知っているからであろうか。
 かつての歴史を紐解けば、わずかでも理解できただろうか。
 いや、とセルマは思っただろう。
 どれだけ過去に名を為した者の名を持つ者であっても、あれはオブリビオン。コンキスタドールである。同一の名であっても、違う者だ。
 故にセルマはマスケット銃のスコープを覗く。
 此処に在るのは、氷の狙撃手(アイシクル・スナイパー)。

 放たれた弾丸は狙い過たずに『ネルソン提督』を貫く。
 一瞬で氷結する弾丸が、その体の動きを止め驚愕に見開かれた瞳がセルマを捉える。
「バカな、この距離を当てるだと……!」
「こちらに速さと高さはありませんが……射程もまた、戦局を決める要素です」
 セルマはスコープに映る獲物の姿を見やる。
 其処に在ったのは、確実に己の弾丸が標的を貫き、氷結後からでもって彼を消耗させたという事実であった。

 どれだけ強大なるオブリビオンであったとしてもセルマには技量がある。
 狙撃手としての絶大なる力が。
 上空を抑えられ、速度で下回るという逆境を覆す長距離射程という力。セルマだからこそ為し得ることのできた超長距離射撃。
 これまでの経験と、彼女の実力が重ね上げた強大なるコンキスタドールを追い詰める一射となって、『ネルソン提督』を追い詰めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
この気迫、この風格……まさに『兵の将たる者』だ。
拙者、愛久山清綱。ネルソン卿、いざ参る!

■闘
敵は天使を放ち、鋭い一撃を放つ……されど突撃あるのみ。
【剣宿・現】で憑神体に変身し、【空中戦】を挑む。

先ずは、放たれた天使たちの陣形を目視。
そこから「集団から離れている個体」に向かって【ダッシュ】で
突進、【怪力】を込めて突進を抑えつつ、隙を見て横切る。
他の天使に協力される前に、素早く切り抜けるぞ。

敵陣を抜けてからが、勝負。
刀に【破魔】の力を最大限に込めて斬りかかり、魂のみを絶つ
【貫通攻撃】の太刀を浴びせるのだ!

道を外れているのは、百千万も承知。
俺は俺の方法で、己の責務を尽くさん!

※アドリブ歓迎・不採用可



 猛禽の翼を広げ、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は飛ぶ。
 この海域には飛行能力を阻害する効果が広く発せられている。
 それは言うまでもなく空を飛ぶ清綱にも影響を及ぼしていた。普段よりも身体が重く、羽根の羽ばたきは弱々しい。
 けれど、ユーベルコード、剣宿・現(ツルギヤドシ)によって天空舞う剣神の力の一部を操る憑神身体へと変身した彼は強引に飛ぶのだ。
 カタパルトから射出される天使達の速度は、それでも並ぶことは出来ない。
 爆雷の一撃は重く、清綱を強かに打ち据えるだろう。

 だが、それでも清綱は進む。
「剣の神は、我と共に在る……」
 飛翔し続け、剣気を放ち続けながら、天使達の陣形を目視し、突き進む。飛び込むようにして天使の群れへ突撃し、一体に組み付く。
 放つ剣気によって組み付いた天使を薙ぎ払い、清綱は天使の群れを振りほどきながら傾く『クレマンソー級空母』の甲板上へと躍り出る。

 その体は満身創痍であった。
 天使達の攻撃に寄って清綱もまたボロボロであった。対する『ネルソン提督』もまた満身創痍。 
 数多の猟兵達の攻撃を受けて、傷のないところなどないというのに凄まじい重圧を未だ放ち続けている。
「この気迫、この風格……まさに『兵の将たる者』だ」
 清綱は『ネルソン提督』の放つ重圧に震えた。
 それは恐怖からではない。圧倒的な力を前にしたからではない。
 これはそう、武者震いというやつであった。目の前のコンキスタドールは確かにオブリビオンかもしれないが、清綱にとっては武者であった。

 故に敬意を払い、名乗る。
 本来であれば必要ではない行為であったことだろう。
「拙者、愛久山・清綱。ネルソン卿、いざ参る!」
「俺を卿と呼ぶか、猟兵! コンキスタドールとなった俺を!」
 その体は互いに血まみれである。
 どれだけ互いが無茶をしてきたのかを推し量るには十分な時間があった。

 だからこそ、ここで退くことなどできはしなかった。
「外道に堕ちたとしても、卿の戦術は見事。故に此処で卿の命運を立たせて頂く。道を外れているのは百千万も承知。俺は俺の方法で、己の義務を尽くさん!」
 それは嘗て在りしいつかの誰かが告げた言葉であったことだろう。

 己の義務をまっとうせよ。

 その言葉は『ネルソン提督』にとっても当たり前のことであったのかもしれない。
 そうしなければ生きることのできなかった時代があった。
 全てが正しいとは言わない。過去から滲み出て存在であればこそ、過去に歪む存在でも在る。
 本当に己がそれを言ったのかを理解できなくても、その名を持つのであればこそ、対峙する他無い。
「ならば、お前達を滅ぼそう。俺はそういう『者』だからだ――!」
 交錯する互いの刃が火花を散らせる。

 憑神体へと変身している清綱の斬撃を持ってしても、『ネルソン提督』は止まらない。
 けれど、それでも常に剣気を放ち続ける力は、徐々に『ネルソン提督』を押し、さらに破魔の力を最大限に込めた斬撃の一撃が、袈裟懸けに振るわれる。
 その一撃はしかして肉体を傷つけるものではなく、魂のみを立つ斬撃。
「将たる者としての責務、その身に宿した力と共に絶たせて頂く!」
 清綱の斬撃は確かに『ネルソン提督』の魂を切り捨てただろう。
 彼もまた限界を超えている。天使達の苛烈なる攻撃。その爆雷の中を切り抜けてきたのだから。

『クレマンソー級空母』が傾いていく。
 それはまるで『ネルソン提督』の運命を暗示するように、静かに、けれど確実に沈みゆくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
空が飛べないのは厄介だね
でも空から来ると分かっているならやりようはあるよ
ドローンを観測機器代わりに使い
落ちてくる爆雷を探査しデータをゴーグルに送付
ガトリングガンの弾幕で空中にいる間に爆破させるよ

爆撃を凌いだら使い魔を召喚し
鉑帝竜に乗って接近しよう
念動力で動いているから
空中でも水中でも動けるんだよね
飛竜が海に潜るというと変な感じだけど

まかせるのですよー

空母に乗り込んだら
使い魔の鱗を散弾のように空に飛ばして天使達を迎撃
触れれば金属化の能力で彫像と化すからね
海に落ちれば二度と浮かんでくる事はないだろうね

なんだかもったいないですの

邪神は無視して
僕は銃撃を神気でガードしつつ
ガトリングガンでネルソンを攻撃



 超常なる力か、それとも呪われし秘宝メガリスの力か。
 どちらとも知れぬがこの海域は飛行能力を阻害する効果が広く発せられている。だが、その効果を振り切ることができたのは、七大海嘯『舵輪』の『ネルソン提督』が率いる『クレマンソー級空母』だけであった。
 カタパルトを備え、そこから得られる十分な加速と魔法に寄る推力によって天使達は飛行能力を阻害する効果を振り切って大空を我がものとするように飛ぶ。
 高高度からの爆雷の爆撃は猟兵たちを苦しめたが、それぞれのやり方で踏破し、『ネルソン提督』に打撃を与え続けたのだ。

「空が飛べないのは厄介だね。でも空から来るとわかっているならやりようはあるよ」
 観測機器のようにドローンを飛ばすのは、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)であった。
 しかし、ドローンもまた飛行するもの。この海域の効果はドローンにさえ影響を及ぼす。
 だが、それでも観測機器としての役割は果たせるのだ。落ちてくる爆雷を探査し、そのデータ全てを晶は装着したゴーグルに転送させ、全ての位置を把握した上で携行型ガトリングガンの掃射によって弾幕を張り巡らせる。

「速射能力なら!」
 アレだけの数の爆雷を飽和的に攻撃されてしまえば、如何に猟兵達が乗る鉄甲船といえど保たない。
 だからこそ、晶はガトリングガンによって爆撃を凌ぎきり、式神白金竜複製模造体(ファミリア・プラチナコピー・レプリカ)が無数に召喚され飛び立つ。
 鉑帝竜に乗り込んだ晶は念動力で持って操縦するが故に海中へと飛び込む。
 飛竜の姿である鉑帝竜が海に潜るというのは妙な感じがするのだけれど、それでもこの場を凌ぐには、海中を行くしかないのだ。
「まかせるのですよー」
 使い魔達の微妙に間延びした声が楽観的な気持ちにさせてくれる。

 爆雷の雨が降りしきる中、晶は海中を潜航する。
 海上では使い魔達の放つ超硬の鱗が弾丸のように空に飛び、天使達を迎撃する。
 その鱗の弾丸はただの弾丸ではない。
 触れてしまえば金属化の能力に寄って彫像と化してしまうのだ。そうなれば、海中に没し、二度と浮かんでくることはない。
「なんだかもったいないですの」
 と内なる邪神の分霊が物欲しげな声を上げたが、晶は無視した。

 すでに『クレマンソー級空母』は数多の猟兵達によって船底に穴を開けられ、船体は軋み、悲鳴を上げるようにして没し始めていた。
 そこへ晶は乗り込み、使い魔たちと共にカタパルトの上へと躍り出る。
「とりつかれたか……! 天使共、敵を振り落とせ!」
『ネルソン提督』と天使達の抵抗は苛烈だった。
 どれだけ数多の猟兵が攻撃を繰り出しても、『ネルソン提督』は消滅しない。あれが強大なるコンキスタドールの力である。

「ここまで強大なコンキスタドールであるのなら!」
 鉑帝竜が唸り声を上げるように咆哮しガトリングガンを撃ち放つ。
 その斉射は天使達の囲いを食い破り、『ネルソン提督』へと叩き込まれる。その姿は満身創痍。
 使い魔達の鱗弾が次々と天使達を彫像化し、ガトリングガンが砕いていく。
「がーおーですのー」
 その暴れっぷりは正しく飛竜と呼ぶにふさわしいものであり、カタパルト上で咆哮を上げる姿は、爆炎と共に、その機体の色を炎の色に染め上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
天使を従えた軍人ですか。
持てる力で有利な状況を作り上げて攻めてくるのは厄介ですね。

それではこちらもスーパーロボットを使用しましょう。
と焔天武后に乗り込み操縦。

先制攻撃対策として、水上歩行と推力移動による水上ホバリングで移動し、第六感と見切りで攻撃回避しつつ空母に向かう。
躱しきれない攻撃は結界術による防御壁&天耀鏡による盾受け&機体に纏ったオーラ防御で防ぎ、反撃で焔天武后のレーザー射撃・スナイパー・一斉発射で天使達を撃墜。

UC使用後は更にスピードアップして、攻撃を回避するか防御しつつ空母に接近。
雷月に雷の属性攻撃・神罰を纏い、鎧を無視して貫通するなぎ払いにてネルソン提督ごと空母を一刀両断します!



『クレマンソー級空母』がグリードオーシャンの海上にて傾ぐのを大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)はスーパーロボットである焔天武后のコクピットの中から見つめていた。
「天使を従えた軍人ですか……持てる力で有利な状況を作り上げて攻めてくるのは厄介でしたが……」
 だが、それでも終わりはやってくる。
 どれだけ科学と戦術、そして魔法に寄って組み上げられた猟兵にとっての不利なる状況。
 そのどれもが猟兵に寄って覆されてきたのだ。
 ときには己の持てる力を。ときには己の知略でもって。過去から滲み出た存在であるオブリビオン、コンキスタドールの全てを踏破し、その一撃を叩き込み続けてきたのだ。

 詩乃もまたその一人である。
 スーパーロボットである焔天武后は海上にありて、ホバリングの要領で移動し天使達による爆撃の尽くを躱し空母へと迫る。
 カタパルトの上へと飛び出した瞬間、焔天武后の頭上に降り注ぐ爆雷が機体を揺らす。
「くっ……! 焔天武后!」
 詩乃の叫びと共に焔天武后のアイセンサーが輝き、天耀鏡と結界術、そしてオーラの力で爆風を防ぎながら、放たれたレーザー攻撃が空母の空を舞う天使達を撃ち落とす。
「これで、突破を……! 世の為、人の為、これより祓い清め致します!『ネルソン提督』、お覚悟を!」
 詩乃の瞳に宿るはユーベルコードの輝き。
 彼女の神性、神力発現(シンリョクハツゲン)による力がスーパーロボットである焔天武后の姿を戦巫女の姿へと変える。
 可憐にして神聖なる姿へと変えた焔天武后は神力による飛翔能力で高く空へと飛び上がる。

 飛行能力を阻害する海域に在りて、その姿は天使たちと同様に枷を振り切って天にも届く勢いで飛翔し構えたオリハルコンの刃の懐刀を振りかぶる。
 その切っ先に集まる雷の力がほとばしり、グリードオーシャンの空を明滅させる。
 それは正に神々しい姿であったことだろう。
「これは、間に合わない、か……」
『ネルソン提督』は諦めたわけではなかった。
 常に最善を。
 常に斎場の結果を求めてきたのだ。天使達もそうである。奇跡には頼らない。願わない。ねだらない。
 それ故につかめる物があると知っているからである。

 それはコンキスタドールとなった今でも変わらぬ高潔なるものであったのかもしれない。
 故に、それが歪んでしまったことが詩乃は悲しく思うのだ。
「その乗艦と共に果てなさい。これが神罰です――!」
 直上より放たれる凄まじき斬撃の一撃。
 それは雷の力をまとう焔天武后が放った渾身の一撃であった。まるで天より放たれた雷の矢が突き刺さるように『クレマンソー級空母』の船体を一刀の元に両断し、その一撃と共に『ネルソン提督』をも雷の奔流に飲み込ませる。

 断末魔の悲鳴はなかった。
 けれど、詩乃は確かに手応えを感じていたことだろう。
 己の持てる力を持って己の責務を全うした嘗ての誰かの残影。オブリビオンであり、コンキスタドール。
『ネルソン提督』の最期を看取るように、両断された『クレマンソー級空母』がグリードオーシャンの海へと沈んでいく。

 その残骸は海底に残る前に霧散し骸の海へと消えていくだろう。
 けれど、それでいいのだ。
 かつての『ネルソン提督』が残した言葉は、世界を違えても、それでもなお人々に奮起を促し、誰かの足を進めさせる。
「――この一撃を持って手向けとしましょう。『ネルソン提督』。見事な戦術でした」
 詩乃は祈るように神聖を発露させながら、焔天武后と共に七大海嘯『ネルソン提督』を打ち破ったことを戦いに参加した全ての猟兵達の勝利として告げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月03日


挿絵イラスト