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羅針盤戦争〜海を渡りし鋼の身~

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●グリードオーシャン

 それは津波のように押し寄せて。
 世界を覆い尽くそうとする、破滅の音色。
 海の世界たるグリードオーシャンにあるもの悉くを、海と闇の中へと鎮めるべく。
 ああ、誰が望んだのだろう。
 いったい、誰が何を夢見ているのだろう。
 七大海嘯たちによる大攻勢は一切の躊躇いと呵責なく、ひたすらに苛烈に突き進む。
 例えその兵が果たしたとしても、何の問題もないのだ。
 骸を重ねて、さらにその先の道へとするだけなのだ。
 ただ突き進む姿は、いっそ、一幕の劇めいている。

『…………』

 その中でも一際、異形と思えるのは鋼の身だ。
 海中を高速で泳ぐ姿は人型ながら、明らかに人類の範疇を超えている。
 色彩は海と重ねたかのような青。だが、鋼鉄の機械である事は疑う事ない。
 宇宙を渡る技術を用いて作られた存在であり、故に生半可な事で止まるなどありえない。水陸両用の鋼の兵は先兵として放たれたものであるが。
 先を進むものが、必ずしも弱いとは限らない。
 むしろ派遣された先で威力偵察などを行うが為に、その戦闘力は確かと言えるだろう。
 それらが多数。その推進機能で海中を渡り、ただひたすらに攻勢へと討って出る。
 近くに船などあれば、それを滅ぼすべく。


『敵影、捕捉――これより、殲滅へと移行』


 血の通わぬものが、海を赤き色に染めようと、その瞳を輝かせた。



●グリモアベース


「さて、始まりましたね。グリードオーシャンの海をかけた羅針盤戦争が」
 そう語るのは秋穂・紗織(木花吐息・f18825)だ。
 ゆっくりとした声は戦争という荒事を理解していないように思えるが、それが彼女の常。変わることのない調子は、集まった猟兵たちを信頼している証でもあった。
「今回は、蒼海羅針域の破壊に向かう敵の迎撃が任務です」
 敵は大艦隊を用いての質量での作戦へと出たのだという。
 派遣される兵の数の総量はいうまでもない。
 ならば、集まりきる前に各個撃破を狙うべく、迎撃へと討って出ようという事である。
「ましてや、この戦闘が他の島に影響が出ないとも限りませんし」
 それならば言うまでも無い。討って出る事で、被害が減るというのならば。
 今回は船が貸し与えられており、海を渡る能力がなくても戦う事が出来る。
 足場としては十分で、無理に動かす事がなければ戦いに耐えるだけの頑強さとてある。
 が、戦闘となれば揺れるのは確かで、そこは船上戦として注意しなければならないだろう。
 海上では飛行や転移といった能力の一切が封じられている為、海上での戦いも自在に出来る相手には何かしらの工夫が必要となるだろう。
「もっとも、敵は先兵。索敵や、威力偵察を任務とするので、不自由はあっても船上へと乗って来るようにもなるでしようが」
 それでも海上戦、船上戦と準備は必要。
 慣れぬ戦いだからこそ、求められるものはより大きく。
「だからこそ、意味のある戦いとい事でもあるのです」
 ふわりと微笑んで、紗織は戦場へと赴く猟兵たちを見送っていた。


遙月
 初めまして、或いは、何時もお世話になっております。
 MSの遥月です。この度もどうぞ宜しくお願い致しますね。

 戦争シナリオという事で、まずは速度重視で進行させて頂く事になります事、どうぞご容赦頂けると幸いです。

 海上で戦う事が難しいのでしたら、船上戦へと移るのがベターと、手段と方法の方は提示させて頂いております。
 出来れば海上戦が出来た方がよいかもしれませんが、出来ずとも船上戦とすれば戦闘自体は可能です。
 ただし、敵は水陸両用の機体という事と、船上ならば船上で揺れるなどに注意が必要となります。
 また、一切の飛行や転移に類するものは「海上では阻害され、一律で不可」とさせて頂きます。
 

 何かと難しいシチュエーションですが、どうぞ、宜しくお願い致しますね。
 
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プレイングボーナス……海上戦、船上戦を工夫する(海上では飛行や転移が阻害されています)。
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第1章 集団戦 『ウォーマシン・タイプマリン』

POW   :    襲撃は速やかに
【急速接近からの超高温ヒートカトラス 】による素早い一撃を放つ。また、【水中から船・陸上へ強襲出来る推進機構起動】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    障害は燃やし沈めて
【機敏な動きで右腕に担いだマルチランチャー】を向けた対象に、【通常炸裂弾頭か高速誘導魚雷】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    命と宝は根こそぎに
自身の【頭部(メガリス探知用センサーユニット)】が輝く間、【敵位置を常に補足し】放つ【銛型高速徹甲弾】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。

イラスト:良之助

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須藤・莉亜
「海で吸う煙草も良いもんだねぇ。」
ビール…、は仕事が終わってからかな。

先ずは貸して貰った船を血界形成であらゆるモノに変わる血に変換。UCを解除したら元に戻るしね。
血で自在に動く足場を作って海上で動き易くし、血で鎖を作って敵さんらを縛り、血で作った槍で串刺して、血で作った剣で斬り刻んでいこうかな。
敵さんの攻撃は血で作った盾で防いだり、血飲み子と黒啜を持たせた悪魔の見えざる手に防がせたりとかかな。
あ、敵さんが撃って来た弾も血に変換出来るならしとくかねぇ。

「これで敵さんの血が吸えたら言うことないんだけどなぁ…。」
まだまだ先は長そうだし、他の敵さんに期待しよう。



 海は何処までも広く、その青い色を波打たせている。
 吹き抜ける風は、潮の香りを含ませて。
 揺れる船上で、ゆらりと紫煙を流すのだ。
「海で吸う煙草も良いもんだね」
 これから戦いだというのに、深く煙草を吸い込む須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
 胸へと届くは何時もの煙草の臭いだけではない。
 清らかで、冷たい海の気配と共に肺を満たしていく。
 此処に冷えたビールでもあればひとつの海への旅。 
 が、これから先に赴くのは、あくまで戦場なのだ。
「さて、行こうか。帰りにビールと煙草を、浴びるように飲んで、吸う為にねぇ」
 烟るようにぼんやりとしながらも、莉亜の紫の瞳は海の中へ。
 高速で海中を泳ぐウォーシンへと向けられている。
 あくまで機械。その身に、吸い尽くすべき血が一滴がない事に、やれやれとを竦めながら、指先でなぞるは貸し出された船だ。
「少し借りるよ、後でちゃんと返すからさぁ」
 しばらくの間、形がどうなれ構わないだろう。
 莉亜のいる場所こそ吸血鬼の領域。
 ならば、全ては深紅の鮮血で満たされる。
「血は統べられてこそ。その中で佇んでこそ、さ」
 発動されたユーベルコードは血界形成。周囲の無機物、つまりは船を、ありとあらゆるモノに変化する紅い血液へ変換し、操作するものだ。
 つまり今、莉亜の周囲を包むのは流動する紅の血液。
 波打つ海の上なれど、自在に動く赤い血で足場となり莉亜を支える。
 更に血で編まれるのは鎖だ。海中を自在に動くというのなら、まずはそれを縛するまでと、四方八方へと放たれる血鎖の網。
 海中を自由に動けど、唐突な縛鎖に海戦仕様のウォーマシンが絡め取られ、海上へと引き摺り出されていく。
「と、流石に引っかかれば後は、だね」
 敵の頭部が瞬き、一瞬の間に銛型の徹甲弾が九連発で放たれるが、流動する血液が盾となり、それを弾く。
 血を統べるものこそ吸血鬼。
 その魔性からは、決して逃れる事など出来はしない。
 例え、その身に血が一滴と流れていないとしても。
 撃ち込んだ銃弾さえ、自らの支配する血液へと変換していくのが莉亜なのだから。
「さて、お返しだね」
 軽い言葉と裏腹に、漂う血液が無数の槍となって疾走して鋼鉄の身を串刺しにする。
 鎖と槍。二つに縛られ、穿たれた機械はもう動けない。
 だというのに、膨大な血液を圧縮して形成されるは深紅の剣。
 圧縮からなる質量、刃の鋭利さ、威力は問う必要もない程。
「これで敵さんの血が吸えたら言うことないんだけどなぁ……」
莉亜が指を鳴らせば、空を奔る血色の斬閃。
 風を斬り裂き、海を紅く染める血刃の瞬きが機械戦士を両断し、砕けて弾ける部品――鋼という無機物を、更に自らの支配する血へと変換していく。
 血を吸い、生命を奪い、存在を支配していく夜魔こそ吸血鬼。
 その夜の主たる姿の片鱗を見せて、紫の髪を払う莉亜。
 気怠そうに、ぼんやりと、それこそ気づけば懐の煙草へと指を伸ばしながら。
 その背を隙と、鎖を潜り抜けたウォーマシンが海中より迫るが。
「だからさぁ」
 見えざるは悪魔の手。
 契約者である莉亜を護る為にある透明な両腕が、白き大鎌と黒の大鎌を一閃させる。
「――返り血のひとつぐらい、もってきてよねぇ。斬り裂いても、何もないんじゃ、寂しいぐらいだよ」
 斬り崩された鋼を再び操る血へと変換させつつも、それでは満たされない莉亜の渇き。
 だが、の戦争は始まったばかり。
 なら、これからの敵に期待しよう。
 血への渇き訴える喉。
 今は煙草の紫煙で鎮めて、誤魔化す。
 自在に流れ動く、赤い血に包まれながら。
 ゆらりと流れて、漂う紫煙のひと筋。
「血、血、血。まだまだ血が足りないゆねぇ」
 渇きの色として、立ち上る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
戦争機械の名を冠する者。
伊達ではない筈、油断は、できない。

『マルチプル・キャバリア』
ディスポーザブル03を操縦、船上にて、誘導弾魚雷を放ち範囲攻撃
また、回点号を操縦し海上で、オーラ防御、敵ランチャーを防ぎ、シールドバッシュ、シールドを用いた格闘とマシンガンの弾幕にて、魚雷を掻い潜ってきた敵ウォーマシンを迎撃します。

だが、こちらも長き戦乱の世に生れた物。
決して劣らぬと示さねば……!
瞬間思考力、船上へ上がってきた敵ウォーマシンへ、
雷の弾丸を放ち、属性攻撃。即座に騎兵刀を怪力で突き刺し、
海中へ蹴り戻します。

…敵が上がって来れたのは自分の操縦ミスだ!
冷静に、もっと上手く動かさねば…ッ!!



 敵対するは戦争機械の名を冠する者。
 決して伊達ではなく、油断など出来はしない。
 何故なら、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)もまた、戦乱の為に生まれた存在なのだから。
 ただ戦う為に作られた存在がどれ程に危うく、そして過激であるかを知っているのだ。
 自らの命をも顧みぬ、果敢なる姿を。
 無謀とあれど、命令と勝利の為ならばその身を捧ぐ機械兵士の存在を。
「決して舐めてなどいないよ」
 疑問を抱くより先に、剣を抜いて戦場を駆けるが小枝子。
 余りにシンプルな鋼鉄の規律を以て、今もまた戦場へと身を投じる。
 自分が悪霊という存在である事を、遥か後方へと捨て置いて。
「起動――動く敵群、悉くを破壊しろ」
 召喚し、操るのは永き戦塵にて紡がれし鋼の巨人たるキャバリア、ディスポーザブル03。
 まるで唸るような駆動音を周囲に響かせ、船上で構えるのは巨大なミサイルコンテナ。
 轟音と共に放たれるのは誘導性を持たせた魚雷群たち。
 高速で疾走するのは瞬間の存在。
 ただ、敵を捕らえて共に破滅の兵器に他ならない。
 眼前の海中を駆け巡り、爆音と吹き上がる水飛沫を以て、その成果を知らせる。当たればタダで済まさないと戦乱の狂気そのままに炸裂させていく。
 自壊をもって敵を撃ち壊す武具など、この世界ではまさしく正気のものとは思えないだろう。
だが、そんな狂気が渦巻く戦場を潜り抜けてきたのが、小枝子なのだから。
それこそ、死しても戦い続けるかのように。
「まだだ。敵がいる以上、船は守り切る」
 脳波でディスポーザブル03を操りながら、小枝子自身が操作する回点号がスラスターを噴かせて海上を滑るように動く。
 巨大なシールドを構えながら放つのは電磁徹甲弾を連射するマシンガンの弾幕だが、それもサイズが違う。驟雨の如く周囲にばらまかれ、連続して巨大な水柱を立ち上らせる。
 だが、巨大であれば強いのかというのならば、それはまた違う。
 機械と思えぬ機敏な動きで放たれる、戦争機械のマルチランチャー。炸裂弾頭を連続して受けた盾が一気に破損し、オーラ防御を纏う胴体にも着弾。
 衝撃はそのまま鋼の軋みとなって回点号と、それを操縦する小枝子を揺るがす。
「確かに、戦争機械。その名の通りだな」
 だが、とスララターを噴かせながら横手へと滑る回点号。
「こちせも永き戦乱の世に生まれた物」
 潜り抜けた戦場のひとつひとつがあるのだ。
 自分が辿り着き、得た勝利が胸にある。
「決して劣らぬと示さねば……! いいや、示してみせる!!」
 瞬間で判断を下して上空へと跳ぶ回点号。
 鈍い鋼の音と共に船上へと着地。見れば敵機が船上へと上がり、強襲を仕掛けようとしている。
「だが、させない!!」
 言葉と共に放つのは雷撃を纏う銃弾。一発で大破はならずとも、動きが止まった固体へと騎兵方を突き刺すや否や、蹴り飛ばして他の船上に上がってきた機体諸共を海へと叩き戻す。
「冷静に、もっと上手く……!!」
 敵が船上へと上がって来たのは自分の操作ミス。
 少なくとも海上を駆けていたのならば、小枝子が攻撃をもっと引き受け、敵を引き寄せる事ができた筈なのだ。
 もっと上手く、何の被害も出さずに。
 それでいて、甚大なる損傷を敵に与えなければ。
 小枝子の試行は戦争の色に染まり、他を知らないからこそ、より輝かしい勝利を求め続ける。
 他の日常の幸せを知らないから。
 戦塵の火と鋼の鼓動のみを、己の傍においているから。
「冷静に、もっと上手く動かさねば……ッ!!」
 何処までもストイックに、戦の中を駆け巡る。
 輝かしい勝利という形を、思い描くよりも早く。
 もっと冷静に、もっと上手く、もっと強く――何処までも戦塵たる姿を極めようとかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルカ・スノードロップ
アドリブ◎

【水中歩行】【足場習熟】による海上戦

【視力】(動体視力)で敵の動きを【見切り】ながら
《選択UC》を発動しておきます
水中の暗さは【暗視】で対処

敵の銛型高速徹甲弾は
【ロープワーク】を駆使したシェンヌ・ダルジャンを使って【武器受け】
そのまま【盗み】、【ランスチャージ】【投擲】【槍投げ】【誘導弾】で【カウンター】をお見舞いしていきます
が、一本は直撃してしまいますが、ここで発動しておいた《選択UC》の効果で
こちらが受ける筈だったダメージをそっくりそのまま返す【だまし討ち】です!



 彼が崇めて信じるのは、かの女神。
 美と恋愛、豊穣の女神たるアフロディーテへの信仰こそが主体。
 鈴を転がすような声も、きめ細かい肌も、その祈りの元だからか。
 願いに報いてこそ女神だと、祝福の微笑みの元にある姿はまるで少女のように。
 今は、舞うかのように水上を躍り歩き、跳ねてみらる。
 それがベルカ・スノードロップ(少女を救済せし夜の王【中将】・f10622)の見せる姿。
 本来ならば溺れてしまう筈の水の上とて、女神へと奉納する舞踊のように動き回るのだ。
 翠色の髪を艶やかに靡かせて。
 水を弾くきめ細やかな肌に、海風を纏わせながら。
 囁くのは、この場にいる敵手へと。
「さて、群がる機械兵士達。どうしましょうか」
 あれらは決して美というものを理解しないだろうものたち。
 鋼鉄の身は、ただ戦乱の中で蹂躙すべくあるもの。
 ならば、全てを潰し、海の底へと沈めなければいけないだろう。
 百年と立てば、海底にて宝石のような珊瑚がその身へと飾られる筈。
「少なくとも、その無粋な砲火を止めなければなりませんね」
 海上へと一気に跳ね上がるウォーマシンの姿。
 頭部が輝いたと見るや、一気に放たれる九連の高速徹甲弾。
 本来なら急浮上からの強襲と不意打てる筈だが、ベルカの琥珀色の瞳はその動きを見切っている。
 例え水中がどんなに暗かったとしても。
 どんなに機敏な動きをしていたとしても。
「この目からは、逃れられませんよ」
 美とは瞬間の存在。
 暗がりでこそ、仄かにある美しさ。
 そして――彼が祈りを捧げる女神は戦神の貌を持つが故に。
「これはお返ししましょう」
 しゃりん、と微かな音色を立てたのは黒と金の色彩が織りなす鎖。
 シェンヌ・ダルジャンという魔術で編まれたそれが、八つの碇型の徹甲弾を絡め取り、緩やかな円を描く動きを制して、そのまま敵へと返してみせる。
 さながら長い布で刀剣を絡め取り、相手へと投げ返すような。
 美を極めた舞は、そのまま武へと通じるという体現。
 そのまま八の徹甲弾は放ったウォーマシンへと着弾し、残る一発がベルカの腹部へと突き刺さるかのように見えたが。
「すべて、しのぎきって、お返しします」
 既に発動していたベルカのユーベルコード。
 受ける筈だったダメージをそのまま攻撃してきたものへと転嫁させる効果により、ウォーマシンの中核へと徹甲弾の衝撃が返されている。
 返されるのは八と見せて、トドメとなるだまし討ちでのトドメの一撃。
「さあ、どうでしょう。動けないのならば、そのまま沈みますか」
 それともと、囁く声ともに伸びる金と黒の鎖、シェンヌ・ダルジャン。
 するりと首に纏わり付けば、ベルカの舞うような動きに合わせて撓り。
「その戦の首、花のように海に落としますか?」
 砕かれる鋼鉄の頸。ぽろりと、海の底へとウォーマシンの頭部が墜ちていく。
 二度と帰ることはない、深くて深い、果てなき底へと。
 誘うは神官たるベルカの舞踏。
 しゃりんと鳴り響き、するりと流れる鎖、シェンヌ・ダルジャンを伴って。
 海の上にて舞い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セレン・アキシマ
連携アドリブ歓迎。

船に上がられると面倒なことになりそうだね。
というわけで、いってきまーす!

軽口をたたいて船から飛び降りつつ【伝説の人魚姫】起動。
5m弱の人魚の姿になり【高速泳法】で素早く海中を移動、なるべく船から離れた海域で戦闘を開始したいかな。
接敵できたなら【水中機動】で動き回りつつ、手持ちの銛を振り回したり、メガリス”ラインの黄金”(クリーピングコイン)を飛ばすことによる【範囲攻撃】で【水中戦】を行っていくよ。
敵からの攻撃は【野生の勘】で察知を試み、【水中機動】で回避を試みるよ。



 快活なる少女の声は、どんな時も翳りはしない。
 赤茶色の瞳は確かに真剣。敵というものを知っている。
 このグリードオーシャンの世界に生きるからこそ、何よりこの海を大事だと思うから。
 決して戦で錆びたものなど、この海にあってはいけないと思うのだ。
 この海は自由で平穏なるものであって欲しいと、セレン・アキシマ(とりあえず突っ走る・f26172)は願うから。
 まずは、軽やかな声を出そう。
 この世界で生きる、治部かを助けてくれたみんなの為にも。
「船に上がられると面倒なことになりそうだね」
 ぐっと、身を伸ばすセレンが見つめる先では、高速で巡るウォーマシンの姿たち。
 自由自在に動く彼等が、戦域を船の上まで広げれば被害も大きくなる。
 だからこそ。
「というわけで、いってきまーす!」
 周囲にそれを不安と思わせない為にも、軽口と共に船から飛び降りるセレン。
 同時に発動されるユーベルコード。
 メガリスを使う事によって、巨大な人魚へと変身するのはまるで御伽話の存在のよう。
 優雅に水中を泳げば、光を受けて輝く鱗と背びれ。
 自由自在にと駆け抜ける姿は、海こそが私の世界だと歌いあげるかのよう。
 そのまま高速で游ぎ、ウォーマシン達の間を駆け抜け、自らを標的とさせて追いかけさせることで、船から離れた所で戦いを始めようとする。
 釣られたウォーマンシ達は急速接近と共に、ヒートカトラスによる素早い斬撃を繰り出す。
 だが、それを野生の勘で察知したセレンは水中を縦横無尽に泳ぎ回り、悉くを避けていく。
 水陸両用と、水中の特化。
 その差が明確に現れ、セレンの動きに翻弄されるウォーマシン達。
すれ違い様に携えた青い金属からなる銛でなぎ払い、出来た隙へと勢いを乗せて刺突を繰り出す。
 ただ敵の頑丈さも凄まじい。装甲が罅割れ、銛で貫かれてもまだ動き続けるのは、妄念に取り憑かれた海の亡霊のよう。
 簡単に終わってはくれない。
 易々と倒せる相手では、ないのだから。
「なら、耐久戦だね。他なら兎も角、海の中で負けるつもりはないよ」
 弾くように飛ばすのはメガリスである”ラインの黄金”。
 複数枚でひとつにして、自在に動く金貨が海中で煌めいたかと思えば、自在に海中を動き回り、周囲にいるウォーマシンたちを撃ち据えていく。
「さあ、そこだね!」
 独りでに動く金貨に頭部を撃たれ、動きが鈍った一体へと、セレンの青い銛が深く、深く、その機械の動きを止める程に突き刺さる。
 即座に身を翻し、討たれた同胞を気にせずに切り込んできた機械の刃を避けるセレン。
 互いにこれという決定打を持たない長期戦。
 だが、確実に海中であるという点で、人魚へと変じたセレンに分がある。
「さあ、泳ごうか。この綺麗な海で、少しだけでも」
 戦いの悲しい色を、削ぐように。
 燦めく鱗と背びれを波打ち遊ばせ、セレンは海の中で踊る。
戦いの為だけにある機械の全てが、深き海の底で眠るまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノエル・フィッシャー
【WIZ】
あれが噂に聞く銀河帝国水泳部という奴だね。こっちは飛べない、敵は泳ぎ放題、さてどうしたものかな。答えは簡単だ。海の上に足場を作ればいい。幸いそのための力がボクにはある。

UC【王子様と十字架の世界】で上空から次々に大十字架を海に落とし、暗礁めいた迷路を生成、敵の動きを阻害すると共にこれをボクの足場とする。
飛来する敵徹甲弾を十字架を壁にして回避しながら、十字架を華麗にジャンプしながら距離を詰めていく。そして十字架の死角から敵の頭部センサーユニットをアリスランス【魁一番槍】にて一突きし、そのまま機能停止を狙うよ。

アドリブ・共闘歓迎だよ。共闘時は十字架投下に集中するね。



 その青き瞳が見つめるは、深き海の裡。
 自在に泳ぐは水中機動に長けたウォーマシン達。
 ならばと空を仰ぎ見ても、この世界の空は飛ぶ事を許さない。
 まるで閉ざされ、封じられた世界。
 海という不確かな中を進む事のみを許されたような。
「いいや、そういう場所だからこそボクがいる」
 高らかなに宣言したのはノエル・フィッシャー(イケメン王子様・f19578)。
 女性とは思えない程に凜々しい美貌をもって、戦場となった海中を覗き込む。
「あれが噂に聞く銀河帝国水泳部という奴だね。こっちは飛べない、敵は泳げない。……ああ、なんて閉じられた道なんだ」
 それこそ、シンデレラの為のドレスと馬車がない。
 意地悪な義姉たちは、自由に美しく、城で躍るというのに。
「だけれど、だからボクなんだよ」
 魔女の手助けなんていらない。
 未来への希望を溢れんばかりに抱く、王子がそのまま助けて、光へと導く。
 それこそ、シンデレラも、白雪姫も。
 もう、泳げなくなってしまった人魚姫も。
「不自由な物語と、悲しい結末とは要らないだろう。ここに、答えと道を作ってみせよう。幸いそのための力がボクにはある」
 海風に揺れるは薄い紫の髪。
 胸に手をあてて、ノエルが囁くのは祈りの歌。
『『キミの【罪】はボクが引き受けよう――それがボクの【罰】だから』
 その言葉で呼び出されたのは、天より降り注ぐ夥しい数の十字架達。
 降り注ぐ数に限りはないと思う程。
 本来ならばこれは出口をひとつしか持たない迷宮を作る為の力であり、術なのだ。だが、それが海に存在するとなれば。
「さあ、君達はこの迷宮から出られるかな? 閉ざされ、閉じ込められたのは今度は君達だ」
 船上より飛び立ち、迷宮を形作る十字架の上に降り立つノエル。
 自由を奪われたウォーマシン達が十字架へと攻撃を仕掛けるが、それで崩れるほどノエルの力は、引き受けた罪と罰は軽くない。
 徹甲弾でも傷つかず、高熱の刃も弾き返す。ならばと出口に立つノエルへと迷路を踏破しようとする。
 虱潰しに迷路を攻略していく速度は凄まじいが、それは数の利を捨てるという事でもある。
 奇跡的に出口へと辿り着いた一体が、ノエルへと連続した徹甲弾を放つが、それを華麗にジャンプして避けてみせる。
「この迷路を作ったのはボクだよ。なら、どう出るのか、攻めるのかなんて、最初から判っているんだから」
 だからと次々に十字架を足場にして上下、左右へと飛び跳ねて徹甲弾を避け、距離を詰めていくノエル。
 気づけばその手に握られているのは、細くしなやかな馬上槍。
 もはや跨がりて先陣を駆ける愛馬も、その後に続く軍がなくとも、その銘と姿は、かつての間々に。
 魁一番槍。その名は掠れていないのだと、跳躍の勢いを乗せた穂先が煌めく。
 美麗なるノエルの姿は、機械兵士のセンサーをもってしても掴めず、見失い。
「苦痛がないよう、一瞬で終わらせてあげよう」
 十字架を飛び越え、死角より迫るノエル。
 頭部ユニットを狙って瞬くは優美にして、慈悲たる一閃。
 一突きで機能停止に追い込み、海の中へと沈ませていく。
「機械の身で、痛みがあるならだけれど――あったら、嫌だしね」
 そのまま再び十字架の上に跳躍するノエル。
 次なる標的を見つけ、携えた槍と共に海の上を飛ぶ。
 空を飛ぶ翼も、海を渡る尾ひれもないけれど。
 ひとの想い、希望の道行きを阻むものはありはしないと、燦めく切っ先が告げるのだ。
 そして、戦の為だけの機械に、終焉という眠りをもたらすべく、その身を翻し続ける。
 全てが静寂の海へと帰るまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
僕は意外と泳ぎが得意なんだけど
あくまで地球の一般人の特技レベルの話だ
この状況で海に飛び込む程向こう見ずじゃないから
きみはこの子たちと戦ってね
UC【百獣の王】

図鑑から召喚する動物はメガロドン
海中に沢山放流して敵と戦わせる
メガロドン対ウォーマシンか…
B級映画にしたら面白いかな
けれどのんびり見物はできないね

全体の流れを俯瞰しつつ
船上から【早業】で昆虫針を【投擲】し支援
狙いは右腕のマルチランチャー
正確性より手数を重視し針千本の【串刺し】にする
上手く壊せれば僕のメガロドンが有利になるだろう
かっこいいな…鮫

船上には来させない方向で立ち回るけど
もし上がられたら早業で蹴り飛ばして海に落とす
意外と動けてごめんね



 人として、人のようになりたくて。
 けれど、そうなりたいと願う時点で、既に遠く。
 祈れば祈る程、願えば願う程、ひとより遠ざかる。
 それこそ――機械がこのブリキの心臓に、人間の心が欲しいと願うように。
 切実に夢見る程、夢は夢と知るのだ。
 けれど、そう。
 今、眼前で海を泳ぐ機械たちよりはきっとマシなのだ。
 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は紫の瞳を優しく揺らす。
 それこそ、人の情から離れた証ではあるのだけれど。
「僕も意外と泳ぎが得意なんだけれど、あくまで地球の一般人のレベルの話だ」
 船上より、戦いの為にと海中を駆け巡るウォーマシンたちへと言葉を零す鵜飼。
 あくまで温和で物静か。
 繊細なる容貌は、戦いに関わるスタンスからかけ離れていて。
「この状況で海に飛び込む程、向こう見ずじゃないから、きみはこの子たちと戦ってね」
 自分は戦わない。
 ただ眺めるだけだと告げるその想いは、どうのようなものなのか。
 ただ合理的であるからだと言えるのか。
 それとも、浮世離れし過ぎた精神構造は、現実に則さないものなのか。
 少なくとも、鵜飼が呼ぶものこそ、彼の精神構造を告げるのだろう。
 繊細で物静か。だからと、危険ではないという事ではないのだ。
「おいで、おいで――」

 びらびら、びらびらと、独りでに頁を捲らせるはひとつの図鑑。
 その中から呼び出そうと、たった一枚の姿を探すかのように。

「さあ、おいで――≪百獣の王≫」
 与えられるのは表面的な自由。
 本質的には呼び出した鵜飼に支配されながらも、その姿を顕すのは過去に在った巨大なる鮫の姿。
 海の獣としてならば、古代の王と呼べるその名はメガロドン。
 それも一体、二体ではなく、大量に放出されるそれは自然の驚異に他ならない。ウーマシンが鋼の身でメガロドンの牙を防ぎ、マルチランチャーから誘導魚雷を放っても、尽きせぬ数と暴力の奔流。
「メガロドン対ウォーマシンか……B級映画にしたら面白いかな」
 さながら海中で起きているのは混沌と狂乱。
 血と肉が弾け、青い海に赤い色が滲んでも鵜飼は微笑みを浮かべるばかりだ。
「けれどのんびり見物はできないね」
ただ柔らかく笑って眺めるのではなく、全体を俯瞰する鵜飼の紫色の眸。ただ喰らい合わせては、肉を貪る鮫では鋼鉄の身には分が悪い。
故にと船上から鵜飼が構えるのは昆虫針。
 これもまた常ならぬ気配を滲ませるのは、持ち手の精神のせいか。それとも、使われてきた経緯か。
 少なくとも、今、この戦場で取り出された以上、普通の針だなんて言えはしない。
「さて、僕の鮫を傷付けて、苛めるのは誰かな? 君の、その腕かな?」
 一瞬だけ細められる鵜飼の目。
 瞬くより早く振るわれる腕から放たれるのは無数の昆虫針。
 一や十ではなく、百を超えて千に至る程。正確性を失っても、二度、三度と鵜飼の腕が翻る度に迸る針が、ウォーマシンの右腕とマルチランシャーを剣山の有り様へと変えていく。
 そして、そうなれば壊れるより早く、装填された魚雷たちが誘爆する。
 もしも痛覚があれば苦悶にのたうち回るであろう、右腕と右半身を噴散されたウォーマシンの姿。
 それにトドメを刺そうと、迫るメガロドンの巨大な顎。罅割れた装甲に牙が突き立てられ、鋼鉄の身を粉砕して咀嚼していく。
「かっこいいな……鮫」
 少年が憧れの存在を前に心奪われたかのように、うっとりと情に濡れた声を零す鵜飼。
 だが、それは鮫に蹂躙される人型に向けるものではないだろう。
 ひとでありたいから、ひとらしくなりたくて。
 そうなりたいと思うからこそ、元より、ひとではない。
 普通に求めて、焦がれる異端の精神性が、喜びの色をその顔に乗せて。
「おっと」
 けれど、現実から離れすぎてはいないのが鵜飼。
 船上に飛び乗ろうとしたウォーマシンへと素早く距離を詰め、勢いを乗せた回し蹴りで吹き飛ばし、再び鮫の渦巻く海へと叩き落とす。
「意外と動けてごめんね?」
 そして、再び鮫がもたらす混沌の中へ、鵜飼は異端が紡いだ針の先を、幾千と振るうのだ。
 敵が尽きるまで。
 かっこいい、と鵜飼が感嘆の声を向ける鮫たちは、どんなに不利になっても、負傷しても引いたりなどしない。
 だって――ソレは、全て鵜飼の都合のいい夢の具現なのだから。
 自由を謳歌し、自然の本能の元に動くように見えて。
 けれど、鵜飼が求める姿しか描けない。
「かっこいいな……」
 ひとらしくありたくて。
 ひとよりも、ひとらしくと。
 そう願いながら、見つめるのは己の夢である鵜飼。
 海の底より深く、その願いは沈んでいる。
 果たして、真実に目覚める時は来るのか。それは判らない。
 これだけ広い海を探しても――鵜飼の求める「人らしさ」は、ないのかもしれない。
 ただ、鮫と昆虫針の蹂躙が続いていく。
 それを見たいのだと、鵜飼が望む限り。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビードット・ワイワイ
ウォーマシンとはこれはまた
親近感を感じるがいささか大きさが足りん

海に適応しておるは我がメカモササウルスである
海中戦こそモササウルスが本領を発揮する
速さが自慢であるか
ならばこちらも付き合おう
我が巨体をくねらせ回遊
雷撃放ちて牽制しつつ機体を壊し
体当たりにて機体を砕く

人型から逃れられぬ古き機体よ
古代にして最新のメカモササウルスを電脳に焼き付け焦げよ



 海中で渦巻く暴力。
声も届かない水の中で、けれど、明確な思いが届く。
 それは或いは、音に頼らない声。
 同じく機械の身だから通じさせた、電波の交わり。
「ウォーマシンとはこれまた親近感を感じるな」
 通信を送っているのは、こちらもウォーマシンであるビードット・ワイワイ(絶対唯一メカモササウルス・f02622)だ。
 だが、その姿は人型ならかけ離れている。
 戦乱に必要なのは破滅をもたらす理不尽な力。
 人型に留めているのに美学と汎用性はあれど、必要なのはそれではない。
 それこそ不条理と嘆かれる程のものが求められるのだと、ビードットの身体が告げている。
「だが、些か大きさが足りん。この海を生き抜くには、な」
 その言葉と共に、更なる変貌をもたらすビードットの姿。
 陸上戦闘能力と秒ごとに理性を失う事を代償に、全長300Mのメカモサカルスへと変身するのだ。
 無論、得るのは外見だけではなく、異常なまでの力も。
「海に適応しているは我がメカモササウルス――海中戦こそ本領を発揮する」
 巨躯をうねらせる姿は、確かに破滅の顕然。
 周囲を飛び交うように海中を泳ぐウォーマシン達は、巨体へのひとつの抵抗だったのだろう。
「速さが自慢であるか。ならば付き合おう」
 ただ身をうねらせる。それだけで巨大な水の奔流が生み出され、ウォーマシンたちを撃ち据える衝撃となる。
 回避する所か、接近することもままならない中、角より放たれる電流砲で敵機を痺れさせ、動きを止めさせれば、そこに迫るのは巨神の如き体躯。
 質量と速度。ふたつが合わさったものは、破滅の鉄槌として鋼の身を微塵へとうち砕くのみだ。断末魔の音さえ、水に閉じ込められて流れる事はない。
 ビードットは電波通信の元で、全てのモノへと訴えるのみ。
「人型から逃れられぬ古き機体よ」
 或いは、その思想よ。
 親近感が兵器に必要ならば、銃身に人の姿でも彫るがいい。
 剣に人の顔でも描くか。否だろう。
 全ては破滅、破壊が為に。
 希望こそをまず打ち砕く禍々しさを、その身とせようと。
「古代にして最新のメカモササウルスを、電脳に焼き付け、焦げつき、その身を微塵と砕けさせよ」
 放たれる電流砲で焼かれた機体の群れを、ビードットの巨躯が纏めて粉砕していく。
 巨体に見合わぬ程の高速と機動力。ただそれだけで、逃れる事は出来ないと絶望が迫るのに。
「どうした、まだ足掻くのか?」
 角から放たれる電流が、己が理性も焼き切りながら、破滅の閃光となって海中を走り抜ける。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(水中用装備を装着し艦上から海中へ。●水中戦に移行)

私の故郷に元から存在していたのか
それともこの世界で生産されたのか
どちらにしても……今を生きる人々の為、騎士として立ち塞がるのみ

さあ、お相手いたしましょう

マルチセンサー●情報収集と●暗視で敵配置把握
UC使用
緩やかな挙動で包囲突撃を誘発し、その間隙●見切り微細な三次元●水中機動で位置取り調整
刃を最小限の動きで躱し相手の勢い乗せたすれ違い様のランスチャージで●串刺し反撃
●怪力で振り払い各個撃破

星の海の三次元戦闘では速度よりも姿勢制御が命
戦闘では無く略奪に特化され過ぎましたね

それしか知らぬというならば…同胞として骸の海へ沈めさせて頂きましょう



 水中用装備へと換装し、船上へり海中へと飛び込む白き姿。
 これもまた戦機の身。御伽の騎士ならんとする、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)だ。
 水中戦へと移行し、広がるのはエイの翼のような推進器と、尾のようなテールブレード。
 一気に加速して接近し、激戦の最中へ真っ直ぐにと切り込んでいく。
 最も苛烈なる戦場に、真っ向から。
 それしかトリテレイアは知らない。彼の騎士道は、決して道を逸れる事を許さないのだから。
「しかし」
 センサーが捉える姿は何処かトリテレイアにも似ている。
 過去、トリテレイアの故郷に元から存在していたのか。
 それとも、此方の世界に島としてプラントが落ち、そこで生産されていたのか。
 どちらとも取れず、また、心のようなものは感じない。
 恐れを抱かず。
 だが、高揚も希望もない、冷徹なるセンサーアイの光。
 けっして、瞳などと言葉に出来ないものを、トリテレイアは見つめて。
「どちらにしても……今を生きる人々の為、騎士として立ち塞がるのみ」
 盾を構え、切っ先を向けて、やはり真っ向より挑むがトリテレイア。
 マルチセンサーで捉えた情報で、地形と敵の市は全て把握して。
 勇敢であれ、無謀ではないのだから。
 故に今、機械騎士の舞踏を見せようと切っ先を揺らす。
 緩やかな挙動で海を泳ぐトリテイレアの姿は、まさに絶好の獲物。包囲は簡単となれば。そのまま囲んで突撃するのみと高速接近するウォーマシン達。
 だが、それはトリテレイアに誘導されたものだと果たして気づけたのだろうか。先手を代償として、後の先を取るその刃の存在に、気づけたのか。
 波状攻撃のように次々と攻め立てるウォーマシンの姿は正攻法として正しい。が、故に読みやすく、その挙動を見切った上で微細に己が位置を逸らすトリレテイア。
「星の海の三次元戦闘では、速度よりも姿勢制御が命」
 その言葉通り、翼のような推進器から得た僅かな勢いと、最小限の動きのみで敵機の突撃を避けながら、すれ違い様に相手の勢いを利用した切っ先で串刺しにていく。
 なんと――儚い。
 鋼鉄でありながら、無謀に突き進む姿は一度限りの道行きのみ。
 まるで銃弾か砲弾か。一度使えば打ち捨てられて当然との。
 作られた主からの命令がそうさせるのか、それとも、何も抱かないからこその、儚さ、いいや、空虚さなのか。
 自分達に、魂はあるのだろうか。
 すれ違い様に動力炉へと一閃を穿つトリテレイアに過ぎる思考。
 その同胞たちには、善き所へと逝けるのだろうか。違うというのならば、己はどうだ。
「など――戦の最中に思う事自体、同胞への無礼なれば、全力で葬るのみです!」
 次々と迫る突撃包囲網。
 ランスチャージだけで対応できなくなると見るや、大盾を槌の如く怪力で振るい、敵のセンサーを打ち砕いていく。
 三次元での戦いは、僅かな動きが命綱。
 地上の前後左右だけではないのだ。そこに上下という高低差が加われば、精密な挙動と狙いが必須となる。
 攻撃の為に取るルートと勢いの演算。その後に続ける動きへの計算。更には、防御側が取ると思われる動きへの予測。
 水中機動でそのか細い綱の上に立ち、トリレテイアは機械騎士の戦闘舞踏を演じてみせる。
 次々と討ち取られ、海中へと沈む敵機。全てトリテレイアの反撃でという事に気づいても、それを打破する可能性が1%でもあれば、そこに殺到してしまうのだ。
 そこに己が命を賭すという事も判らずに。
「貴方たちは……戦闘では無く略奪に特化され過ぎましたね」
 心の有無を論ずれば、きっと自分にもその刃は向くから。
 あくまで何も知らない同胞たち、そのように特化され、利用されてきた者たちへと、トリテレイアは言葉を重ねる。
「それしか知らぬというならば……同胞として骸の海へ沈めさせて頂きましょう」
 故に、だからこそ。
 この機械騎士の舞踏、この刃を恐れる事なく越えてくれ。
 何も感じぬのではなく、恐怖を踏破し、その先にある輝きを見つけてくれ。そうすれば、ただ悪戯に突撃と反撃を繰り返す、絡繰りの舞踏は終わるのだから。
 例えトリテレイアの身に刃が突き刺さったとしても――それは、この戦いの中で、同胞が変われたという奇跡に他ならないのだから。
「私の刃を恐れるもの、この舞踏を越えること能わず」
 されど、心持つが故に。
「さあ、さあ――遥か時と、深き海の中で錆び付いただけではないと、見せてください!」
 理想を共に出来る同胞がいればと、願うからこそ。
 より苛烈に振るわれるトリテレイアの刃は、自らを囲む憐れな機械人形を、残らず串刺しにしていく。
 その空虚な胸の裡を、穿ち抜いて。
 鼓動も心も知らぬ、その身体を海底へと沈めながら。

 果たして、戦機の身は心を得る未来があるのだろうか。

 今はただ、虚ろなる機械人形が、骸の海へと還る。
真の意味での同胞などいないのかと、トリテレイアが胸の裡で嘆くのは、静寂に包まれた海の底で。
 それでもと、苦悩して進むからこそ御伽は続くのだ。
 いずれ、戦機の騎士が抱きし、その理想を叶えるまで。
 それは海より広く、深く、果て無き世界へと広がる物語だとしても。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェフィーネス・ダイアクロイト
アドリブ◎

(未だ戦の序盤
敵の手札が完全に揃わぬ内から私の船を出すには聊かリスキー
どうせ他猟兵も向かっているだろう
ならば)

借船で移動
船の運転は手練れ

足場となる船は多数あると見た
隠れ蓑には十分すぎる

【金葩の禍】使用
船上から制圧射撃・貫通攻撃で敵に遠距離乱射
場所は何処でも可
多く命中すれば良し
敵と距離取り船の舵を切る
敵に無駄に喋らす為に意味無い会話を持ち掛ける

何故貴様は此処へ降り立った
貴様を作った輩の命か
鉄塊の末路など誰も気にせぬし哀しみすら抱かんだろうからな
貴様は適任だ
照準に迷いがあるぞ(嘘の揺さぶり

敵の攻撃は船で逃避して回避か銃弾で相殺
オウガの蒼炎を込めた呪殺弾で駄目押し
敵の核を撃つ

The end



冷艶なる菫青の眸は、何を羅針の標として未来を見つめるのか。
 そこに宿るは打算か、それとも願いか。
 狡猾なる心は、何処にあるのか。
 浮かべた笑みからは何も読み取れない。
 まるでその身の奥へと隠したオウガの存在のように。
 シェフィーネス・ダイアクロイト(孤高のアイオライト・f26369)は、ただひとり、海に立つ。
 孤高というには余りにも聡く。
 孤独というには、余りにも鋭く。
 ただ、己か心のみ羅針盤とした菫青石の眸が、海の先を見つめるばかり。
 羅針盤戦争も未だ序盤の最中。
 シェフィーネス自身が持つ船を出すには、聊かリスカーと言えるだろう。物品の負傷はそのまま今後に繋がる上に、シェフィーネスの海賊船は、シェフィーネスただひとりの物なのだ。
 故に誰かが為になどありえはしない。
 友、家族、絆?
 いいや、笑わせないでくれよ。私は私なのだから。
 私欲結構。他人の利の為など、どうして信用できるというのだ。
「せめて船の操舵を、手馴れの私がした事に感謝して欲しいがね」
 そう口にしつつ、借船の甲板に乗り出すシェフィーネス。
 予測通りに、貸し出された船は多く、足場となる所か隠れ蓑として十分に過ぎる程。
「ならば、私は私らしく、他など知らぬと行かせて頂こうか」
 かちゃりと、撃鉄を起こすのは愛銃たる『M.K.& agros』。
 刻まれた家紋とイニシャルに苦く笑うシェフィーネス。
 そう、己は己――過去が変わる事も、この銃をどのように扱うかも、変わりはしないのだ。
『──Loose lips sink ships.』
 口ずさむは歌のように。けれど、劇の狂言回しめいた思いを込めて。
命中したのは、他の猟兵との交戦をしようと、他の船上へと飛び出たウォーマシンへと。
 古びた小銃で成せると思えない射程での狙撃に加えて、鋼の装甲を貫通する威力。が、それで片付く筈がないとはシェフィーネスも判っている。
 連続して銃撃を浴びせれば、即座に身を翻し、敵との距離を取る為に火事を切る。
 傍目で見ればまるで敵前逃亡。連続で狙撃し、それで倒せないからと距離を取る卑怯者――に見えてしまうのが、シェフィーネスの狡猾さ。
 罠に嵌まり、毒を受けた相手をどうしてマトモに相手にする必要がある?
既に災いは撃ち込まれ、後はそれが芽吹くのを待つだけなのだから。
「何故貴様は此処へ降り立った?」
 後方へと言葉を投げかけるのは、相手が高速で追撃を仕掛けて来ていると判るから。
 答えはない。だが、それは発声機能という余計なものを持たされなかっただけ。
 意味と意思の伝達。戦術の共有の為に、機械は常に交信で言葉を送り続けているのだから。
「貴様を作った輩の命か?」
 ついに追いついたウォーマシン。
 地上への強襲機構を起動させ、恐ろしく早い動きでシェフィーネスへと肉薄する。
 それをひらりと、跳躍して避けてみせるシェフィーネス。床から樽に、樽の上から木箱の上へ、木箱から更にマストへと。
 いっそ華麗とさえ見える動き。反撃しようと思えば、片手に持つ小銃で幾らでも出来るだろう。
 だが、しない。菫青の眸は、狡猾なる光を讃えるばかり。
 それこそ、指標とするのはただひとつなのだ。
「いやいや、そんなのを聞いても無駄か。鉄塊の末路など誰も気にせぬし哀しみすら抱かんだろうからな」
 高熱を帯びるカトラス。その斬撃の威力など、察するだけで十分。
 だが、決してシェフィーネスには届かないという自負がある。
「まさに貴様には適任だ。それこそ使えば打ち棄てられる銃弾と変わりない。……ああ、迷いがあって照準に揺れているのではなく、なまくらだからもう無理なのか?」
 挑発の言葉としては過ぎるもの。
 だが、けれど、これを全て無視出来ない。
 何を言われたのか。何を口にされたのか。
 その全てを、ロボットであるウォーマシンは全体に共有すべく、一文字一句逃さずに伝達しているのだから。
「それはお前達の仲間も、同じ程度の低さという事なのだろうな。裏切らないのは金だけ――お前は、ただの鉄くずだ」
 激昂したのか、それともただ攻勢に出るべきと判断したのか。
 高速接近し、一気に振り抜かれるヒートカトラス。掠めたシェフィーネスの銀髪が空に散りながら、熱で燃えていく。
「私の髪を斬って燃やすなど、厚顔無恥だな。さしずめ、物の価値も知らんのだろう。例えば……」
 続くカットラスの斬撃を、船の障害物を盾に、或いは足場にして跳躍して避けるシェフィーネス。
 それはあくまで時間稼ぎだから。
 そう、例えば。
「お前はこんな言葉を知っているか? 『口は災いの元』」
 そう、つまりは――『Loose lips sink ships.』。
 最初に撃ち込んだ弾丸、【金葩の禍】と謳われた災厄に他ならない。
そして、種を明かす時は全ての終わりの時と、シェフィーネスが指を鳴らせば、それは起きる。
 機械の中枢たる動力源から生える棘。
 吸い上げる血も、罪も機械にはありはしない。だが、このウォーマシンはシェフィーネスの言葉の全て仲間達に伝えているのだ。
「いやいや、本当に怖いね。口は災いの元、何が起きるやら、だ」
 内部から生えた棘に、鋼鉄の装甲など無意味。
 一瞬で致命傷に近いダメージを負い、膝を屈するウォーマシン。駆動の限界から、せめてシェフィーネスだけでもとヒートカトラスを振り上げるが。
「これが引導って奴だ」
 向けられた銃口の奥に宿るのはただの呪殺弾ではない。
 めらめらと燃える蒼き炎は、オウガのもの。
 狂気と妄念にて燃える焔は、深く、昏く、喰らい付いたものを逃さない。
 これがダメ押し。敵対すれば、自らの利になると見れば、必ずや義も思いも道理も無視して、果たすシェフィーネスの戦い。
「それじゃあ、せめて金貨になってくれよ?」
 放たれる呪殺と蒼焔を纏う銃弾が、ウォーマシンの中核、その魂というべきものを穿ち、蝕み、そして焼き払う。
 そして、ただ残るのは静けさと海風ばかり。
 シェフィーネスの何時もである、独りきりの空間が残る。
「……The end」
 呟く声に寂しさなど欠片もない。
 それが何になるというのだろう。その思いが、何をくれるというのだろう。
 ただ心が求めるがままに、シェフィーネスは海を見つめる。
 揺れる世界と、この羅針盤戦争。
 導かれて訪れる先は、一体何なのか。
「少なくとも、死人にそれを知る事、見る事は出来ないね」
 冷たい笑いが、海の上に漂う。
 棄てきれずに菫青石へと宿った感情の名を、隠すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
……なるほど、ここだけでもそれなりの大群だな
海の上で、地の利も向こうに傾く

まあ、だからといってやることは変わらない
“いつも通り”――だ

他に猟兵がいれば、無理なく周囲と連携して戦闘を運ぶよ
波音、風の向き、迫る敵の数と速度
目(【見切り】)と耳(【聞き耳】)で得られる情報はすべて頭に入れておく

足場が揺れるなら、揺れには逆らわない
むしろその力を利用して、回避や移動の援けにするよ
射撃は揺れの収まった一瞬、
あるいは空中に逃れた瞬間など、揺れの影響を受けないタイミングで
――さすがにそれで狙いを外すほど、腑抜けてはないつもりだ
もう随分と、これ一本でやってきたからな

切り抜けるさ
こんなところで死ぬ気はないからな



 渦巻く海は、それこそ戦の激しさに誘われたかのように。
 波の激しさは海中で戦う他の猟兵たちの苛烈さそのものなのだろう。
 そして、それをもってしても討ち果たせない敵のウォーマシン。
 命を重んじる考えなど微塵もなく、ただ殲滅の為にと最後の一兵となるまで戦うだろう。
「……なるほど、ここだけでもそれなりの大群だな」
 ましてや、撤退や後退を考える事のない機械の軍勢。
 一度勢いの乗られれば覆すのは難しい。その上に。
「ましてや海の上で、地の利も向こうに傾く」
 だが、どうしたというのだろうと穏やかな笑顔を浮かべるのが鳴宮・匡(凪の海・f01612)だ。
 どんな戦場、どんな死線にいてもその姿が揺らぐ事などありはしない。
 茶色の瞳は過酷な戦場を見つめて、逸らさなかった。
 夜に似た藍の髪は、どんな戦火を潜り抜けても色褪せもしなかった。
 ならばこれまで通りに。
 他と変わる所なんて、ひとつもない。
「まあ、だからといってやる事は変わらない」
 声色も凪いでいるから人を落ち着けるのだろう。
 けれど、その奥底にあるのは、夥しい戦火の激しさ。
 そこから生まれた穏やかさは、そう、如何なる事があろうと不変なる心そのもの。

「“いつも通り”――だ」

 鳴宮から、それを奪えるものなどありはしないのだから。
 銃を片手に船上を駆ける姿は、それこそ揺れる戦域などまるで気にしないかのよう。
 むしろ、より激しく敵が攻めている場所へと向かう。
 他に猟兵がいれば無理なく連携するというのならば、逆に足りない部分は補うという事。ほぼ十全に対応出来ている以上、もっとも敵が猛攻を仕掛けている箇所へと遊撃に行くのが鳴宮の今の仕事だ。
 途中での波音、風の向き、迫る敵数とその速度の把握も忘れはしない。鋭い目と耳で捉えたその情報は、決して鳴宮を、そして仲間達を裏切らないのだから。
「さて、そんな訳でだ」
 最も敵が勢い付いた甲板上へと躍り出る鳴宮。
数を把握するや否や、手にした「異邦人」の名を冠する自動式拳銃の引き金を引く。
 戦場を奔る銃声と、金属装甲を穿つ甲高い悲鳴。
「お前達が何を考え、何を狙っているかなんか知らない。だが、“いつも通り”に退場を願おうか」
 瞬間、成宮を敵と見做したウォーマシンの頭部が輝き、九連発にもなる徹甲弾が射出される。
 どれもが高速。音を越える速度を誇る銃撃の群れを避けるられる筈がないと、誰もが思う中。
 ひゃんと風切る音が流れ、その後に徹甲弾が何にも当たらず、滑空し続ける虚しい音が美いた。
「おっと、流石に早いのはウォーマシンか。狙いも正確」
 その穏やかな表情を変える事のない鳴宮。
 彼曰く、ただ単純に船が揺れたのであれば、それに逆らわず、むしろその力を利用して回避の援けにしただけなのだと。
 だが、その一歩自体が、歴戦からなる絶技。揺れの動きを見切り、波の音を聞き届けて、実際に揺れるより先に動いているのだ。
 その目は最早、一秒先の未来を見ているとさえ言える鳴宮。
 故にこそ、揺れる船上の戦いでこそその真価を発揮させる。
 波や敵の徹甲弾の射出で足場が揺れると見るや否や、その揺れる向きへと先んじて動く足と重心。
 まるで流れて滑るように成宮の長身が動き、その影を踏むように敵の放った弾丸が突き刺さる。
「ただ早いだけじゃ、敵には当たらないさ」
 そして、揺れが止まった瞬間に放たれる銃撃の精密さ。
 ウォーマシンの関節など、装甲の間を穿って撃ち込まれるそれは、もはや死神の鎌に等しい。
 足場が揺れる為に避けるに避けられず、防ぐ方法も判らない。
 まだ水中ならばウォーマシン達に勝機はあったかもしれずとも。
「――さすがにその程度で狙いを外すほど、腑抜けてはないつもりだ」
 随分と長く、鳴宮の手に収まった銃ひとつ。
 激しい戦場を、これ一本で潜り抜けてきたのだから。
「切り抜けるさ。“いつも通り”」
 言葉にするや否や、俊足の踏み込みを見せる鳴宮。
 黒い疾風となってウォーマシンの背後を取り、核の真上へと銃口を突きつける。
「こんな所で死ぬ気はないからな」
 そして、銃声も“いつも通り”、とても軽やかに。
 敵対した者の命を奪う音色を奏でる。
 心が揺れる事などありはしない。
 今、ここにある自分を信じてもよいのなら。
「こんな所で、こんな程度で揺れるつもりもないからな」
 鳴宮は戦場に顕れる凪ぎたる姿として、銃声を響かせ続ける。
 奪いて零す命と共に、空薬莢が海へと落ちていく。
 決して取り戻せない。
 だから、本当に大事なものは、決して零さないように。
 穏やかなる眸は、眼前の敵を見据えるのだ。
「そろそろ、終わらせようか」
 静かなる声に、銃声が続く。 
 船上へと上った全ての敵が、駆逐されるまで。
 まるで一流の指揮者が導くよにう規則正しく、澄んだ音を立て続けたのだ。
 けれど、鳴宮の銃を知るものならばこう言うだろう。

――“いつも通り”の銃声だ、と。
 
変わらず、揺れず、凪いだ貌が海の戦場と共にある。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アネット・レインフォール
▼静
到着時は既に戦況も動いてそうだが…
確か飛行不可という話だし、少し検証してみるか
(念動力で瓦礫を浮かせたり投射し)

しかし海や船上での戦いはこの世界ならではだな
豪華客船で船旅とはいかないらしい

察するに…水中戦は敵に分があると見るべきか
ならば少し戦術を変える必要もありそうだ

▼動
移動は船・敵の上を早業で八艘飛びし
落下時は結界術で箱状の浮きを作り足場にでも。
揺れには葬剣を船に刺す事で対応を

船の損害は少ない方がいいだろう

船に近づく敵は剣戟で優先対処。
遠距離なら緋槍を【天帝ノ貫穿槍】で数体纏めて叩き
引寄せて堅実に撃破していく

―この技も久しぶりだな―

振回しや吹き飛ばして他の猟兵にも動き易い状況を作ろうか



 この海はあらゆる翼を縛る法下にある。
 自由を認めないのか、それとも海を踏破する事に意義があるというのか。
 飛行、飛翔、転移。あらゆるものを封じる海に抗うは、船ばかり。
「ふむ、無理か」
 ひと掴みの瓦礫を海へと落とすアネット・レインフォール(剣の異邦人・f01254)。
 念動力で瓦礫や物体を浮かす事は出来る。
 しかし、それを海の上へと飛ばすとなれば、どのようにしても不可能。低空であれ飛んでいる事には他ならない。
 これが海の世界の法。厳しい海のこそ、生きる場であり道なのた。
「なら、そのように行かせて貰うさ」
 呟くと共に、船から船へと跳躍し、飛び移っていくアネット。
 自らの手、戦術の一端が封じられているというのに、その姿に気負いなどはない。
 元より、十全に戦えるとは限らないのだ。
 今、出来る事が自分の力だと心得る武人だからこそ、その動きは止まる事ない。
 船から船へ、颯爽と駆け抜けるは一振りの刃のよう。
「海や船の上での戦いはこの世界ならではだな。豪華客船の船旅とはいかずとも――その経験、武人の剣技を磨くひとつにさせて貰おう」
 故に止まる事なく、アネットが踏み入るのは戦陣の真っ只中。
 察するに水中では敵に分がある。
 ならば戦術を変えねばならないと、抜き放った霽刀【月祈滄溟】を片手に漆黒の瞳を向ける。
 言うまでも戦況は動き、傾き、猟兵達の優勢。
 だが、相手はウォーマシン。命を惜しむ事などなく、最後の一兵が果てるまで果敢に攻め続ける。
 後退はない。撤退もない。そも、玉砕という言葉も知らない。
「人形の戦法――と侮るつもりはないさ」
 船の間を跳び往くアネットを見つけたウォーマシンが、水中より急速に迫り来る。
 まるで騎兵の突撃だと零しつつ、アネットが取り出すのは【狐】の刻まれた緋の突撃槍。
 するりと揺らすように頭上で一振り。
 そのまま旋回を加速させれば、まさに渦巻く炎と化す緋槍の姿。
「突撃が得意というのなら、それを自由にさせはしないさ」
 そう、この技を使うの久しぶりだと、全霊をもって投擲されるは緋槍【月花舞狂】。
 深紅の軌跡を描きながら神速で奔る一閃。三体のウォーマシンの急所を貫きなから、鮮烈なる輝きを散らす。
 そう、光を以て。
 ただ瞬いて消えるのではなく、輝く標として結ばれるのだ。
 アネットと穿たれたウォーマシン達を繋ぐのは闘気の鎖。
「自由に動けるのは自分達だけ、だと思うなよ?」
 アネットの宣言と共に瞬時に巻き上げられる闘気の鎖。
 自ら突進する勢いも合わさり、姿勢を崩しながらアネットの元へと引き寄せられれば、待ち受けるのは霽刀の冴え渡る鋭刃。
 青い三日月を描くは正確無比なる剣戟。
 流れる水のように澱みなく、止まることなく、鋼鉄の身を斬り捨てて、次へと至る連続剣閃。
 滄溟晶の放つ青光がきらりと煌めいて斬光を残せば、両断されたウォーマシンたちが崩れ落ちる。
 鋼鉄であれ、振るわれる迅き刃の前では意味はなく。
 アネットが纏い、武器に宿らせる闘気は例え龍の鱗とて斬り裂くのだから。
 止まらない。止められない。
 確たる想いと覚悟のなき者には。
 正負の方向性がどうあれ、強き志のなき者に、アネットの武技は止められない。
「さて」
 その残骸の上に飛び乗り、更に跳躍するアネット。
 青き刀と、緋色の槍を携え、舞うかのように海上を駆け抜ける。
 翻る槍撃は敵を撃ち据えて吹き飛ばし、相打ち覚悟のヒートカトラスごと斬刃が敵を斬り伏せる。
「鍔は誰だだ。まだ尽きないのだろう。そして、鋼の人形は止まれないのだろう」
 他の猟兵が動き易い戦況を作る為にも。
 数多の武具、戦場を潜り抜けた武人が、海の戦陣の中央へと切り込んでいく。
「なら、せめてと刃で、戦の為の存在らしく、戦の中で果てさせてやろう……心がないというのなら、せめて、な」
 果敢なる刃は、虚ろな鋼の人形たちを斬り崩して。
 反撃の勢いと隙など一切与えないと、その槍で穿ち抜く。
 全ては終わらせる為に。
 まだ始まったばかりの、この羅針盤戦争で、何も失わずに勝利へと繋げる為に。
 アネットの振るう武は芯なる心を宿すが為に、決して、心を得られなかった鋼の人形を前に止まる事はなかった。
 流れる海風。冷たきそれよりなお冴え冴えとした刃が、悲しき戦の人形を骸の海へと葬るべく、煌いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
性懲りも無く過去が未来を害そうとするか……
だが無駄だ
何を目論もうが必ずや阻んでくれる

海上を往くなら、其処に住まうものに任せるのが良かろう
海上も海中もお前ならば自在――獲剔、移動はお前に任せる。脚と動け
波を目晦ましと使い、絶えず位置を変え続ける様に図ると同時
得られる情報の全てで以って敵の動きを見極め、攻撃を見切り躱す
――蹂刀鏖末、余さず穿て
本体は元より、飛来する弾とて此の刃の檻から逃れる事なぞ叶わんぞ
怪力乗せた斬撃で悉くを的とし斬り落として呉れる

此れよりお前達が行く事の赦される海は骸の海のみ
幾度戻ろうとも其れは変わらぬ約定
過去の残滓に行ける場所なぞ何処にも無い――其れを心得、疾く潰えろ



 果てなどないような海原こそ、グリードオーシャンという世界。
 だが、その海を見つめる石榴のような隻眼は燻る怒りを滲ませている。
 海や空のように清きものではない。
 一種の嫌悪であり、拒絶ですらある。
 視線に宿る想いで相手を切れるのならば、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)の視線は過去の残滓たちを斬り棄てているだろう。
「性懲りも無く過去が未来を害そうとするか……」
 それは今を生きるもの、必死で未来を掴もうとする者の特権なのだ。
 苦しみ、のたうち、それでもと手を伸ばす。
 そんな過去を抱いて進むからこそ、その痛みがあるからこそ――明日という輝きを、愛しいと言えるというのに。
 全てを覆せるというのなら、過去に抱いた思いはどうなる?
嬉しさは、喜びは。嘗ての愛と友情は、何処にいくというのだ?
 儚く消える泡などに、してくれるものか。
 全てを抱き締めて進むしかないのだと、鷲生は思いを噛み締めるからこそ。
「だが、無駄だ」
 抜き放つ刀、秋水の鋭さは、潜り抜けた戦場の数だけ研ぎ澄まされている。
 共に歩んだ者たちの思いと、強さもまた同様だろう。
 それは今、隣にいなくても、確かなものだと言えるから。
「何を目論もうが、必ずや阻んでくれる」
 鷲生は孤剣にあらず。
何処で何を過去が起こそうとも、志を同じくするものが必ずや断つと信じているから。
「往くぞ獲剔――移動はお前に任せる。脚と動け」
 海面へと跳躍して鷲生が乗るは巨大なホウライエソ。
まるで忠実なる愛馬の如く、主の命を受けて走るそのものこそ獲剔のだ。荒波の如く海面を走り抜け、言葉通りに鷲生の足となる。
 周囲にうねる波をも目眩ましと使いながら、絶えず位置を変え続けるようにと指示を出す鷲生。
 それは決して、敵手を恐れているからではない。
 勝負は常に一瞬。刀光剣影と、僅か数瞬、呼吸のひとつで勝敗は決するのだ。
 故に烈士たるその瞳で、耳で。
 肌に刺さる殺気を手繰り、敵の位置と、その動きの流れを読み取り。
 零れる鷲生の吐息は、誘いの一手。
 脱力と弛緩。次への動作に繋がらぬと見た戦機が海中より飛び出し、九連の徹甲弾を放つ。
 確かに、常人が見れば隙と言えるだろう。
 だが、そんな者を果たして鷲生程の剣士が見せというのか。
「痴れ者が――所詮は何も抱けぬ、残滓だろうて」
 ゆらりと流れた鷲生の身体。まるで蜃気楼めいているが、足場となっている獲剔の動きと、自らの重心移動を重ねて見せた体術。
 全ては誘い。相手の意を読み、攻撃を見切り、刹那で動きと位置を変じさせてみせたのだ。
 攻め筋ならば縮地と呼ばれる程の絶技を以て、九連の弾丸の悉くを躱して見せる鷲生。
「剣に心を向けた者を知っているのなら、このような浅い物にかかりはしない。それほど、貴様らの抱く物が浅いという事」
 ゆらり、するりと。
 まるでつかみ所のない、朧なる月の如く。
 ただ金を弾く、琥珀の髪が微かに揺れたのみ。
 そして、鷲生がそんなただ美しいだけの動きに留まる筈がない。
「――蹂刀鏖末、余さず穿て」
 躱すと同時、身ごと翻して放つは飛翔する斬撃の刃。
 幾何学模様を描き、複雑に交差するのはまさしく斬刃の檻。
 もはや海中へと逃げる事も出来ず、自らに迫る剣閃を打ち砕こうと徹甲弾を叩き付けるが、その悉くが斬り裂かれる。
「無駄だ、如何なる弾丸も、どのような身もこの檻から逃れる事など叶わんぞ」
 怪力を乗せて奔る無尽の斬閃。
 悉くを的として斬り伏せ、塵も残さんと、戦機の身を露と散らせる。
 千にも迫る刃で刻まれれば、何も残る筈もないのだ。
 それこそ、残るは吹き抜ける海風ばかり。
「此れよりお前達が行く事の赦される海は、骸の海のみ」
 次なる一閃を放つべく、海の狂乱を見つめる鷲生。
 そう、過去は過去としてあるべき。
 決して今へと蘇り、今と現を覆してはならなぬのだから。
「幾度戻ろうとも其れは変わらぬ約定」
 判れといえど、判らぬからお前らなのだろう。
 だから刃で葬るのみ。貴様ら残滓を何度でも、この刀にてその身が掻き消えるまで。
 いいや、それこそを救いと思え。
 真実の貴様らは、果たして、己が潰えた先、他のものを踏み潰して返り咲きたいのか。
 今に咲き誇る幸せを踏み躙って、己は倖せだと嗤えるのか。
 この海の果てにあるのは、今を貪って輝く愚かな黄金だとでも。
 否、認めぬと赤き隻眼が鋭き光を宿す。
「過去の残滓に行ける場所なぞ何処にも無い――其れを心得、疾く潰えろ」
 振り抜く鷲生の刀は、苛烈なる慈悲。
 判らぬのならば、ただ、終わるまで斬るのだと、海の上で流れ往く。
 何度でもなど、貴様らが苦しいだけだろうよと。
 行ける場所がない最果てなど見せはせぬと、災禍祓うべく在りし秋水の切っ先が、微かに濡れる。
 それはこの海の飛沫か。
 誰かが零せし、涙なのか。
 ただ一振りの前で掻き消える、儚いものなれど。






 残るは文字通りの残党殲滅戦。
 逃げる事、下がる事を知らないウォーマシン相手故に。
「ああ、確かに、過去の残滓に行ける場所もなければ……戻れる場所もあるまい」
 骸の海ならばといえど、そこを拒みて今の現にいるのだ。
 ならば、戦の裡で果てるのがまだよいというのだろう。
「聞く耳を持たん奴らめ。……対峙すべきは今と未来ではなく、自らの心残りだろうに」
 或いは、過去から逃げ回って今にいるのか。
 過去の残滓と一括りに出来ないものがあるのは判りつつも。
 戦いの終わった余韻、熱を帯びた身体にと煙草の煙を吸い込む鷲生。
 馨しき香りは、思考の熱を冷ますように。
全ての敵影を討ち果たした海に、ゆったりと流れていく。
 少なくとも今は、この戦いは、完全に勝利したのだ。



 けれど、さらなる残滓の目論見が成る前に。
 その喉元へと迫るべく、この海を踏破しなければならないのだ。
 翼の自由を奪い、予知の力を阻む、この青き海の果てに何が待つのか。
 全ては過去の泡と、消え去るのか。
 それとも、全ては泡沫の夢と、未来ごと消え去るのか。
 羅針盤の示す戦争は、始まったばかり。
 ただ、初戦を制した事実が海の上に広がり、次へと繋がる。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月02日


挿絵イラスト