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銀河帝国攻略戦⑦~果てまでブッ飛べカイザー・レイ

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●開戦
「状況は理解したぜ、銀河帝国が本気を出してきたみたいだな」
 納・正純は今回の作戦の情報について目を通しながら、集結する猟兵たちに向き直ってこう言う。
「スペースシップワールドを守るため、皆の力を貸して欲しい。狙いは、カイザー・レイだ」

「ミディアのユーベルコードによって、『ワープドライブ』が使用できるようになったことは知ってるな? 今回はその力を利用して宇宙をワープし、敵地へ乗り込んでもらうことになる」
 しかし、敵に『エンペラーズマインド』がある限りは、『エンペラーズマインド』の周辺宙域にまでしかワープすることはできない。
 そのため、猟兵たちには敵地にほどなく近い場所までワープで接近した後、宇宙船による通常航法で敵地に乗り込んでもらうことになるという。
「だが、敵地のド真ん中に近付くための俺達の宇宙船を撃ち落としてくる厄介な兵器がある。それが、カイザー・レイだ」
 『カイザー・レイ』は、巨大特殊ミラーから構成される戦略防衛兵器。
 一度発動してしまえば、エンペラーズマインドから放射されるエネルギーを宇宙空間へと反射して、こちらの宇宙艦艇を次々に破壊してしまう恐ろしい兵器だ。
「それを壊さない限り、こちらの積極的な攻勢は厳しいだろう。だからこそ、猟兵の皆にはここをまずぶっ壊してきて欲しいんだ」

 だが、破壊をやすやすと許すような帝国ではない。障害はもちろん存在する。
 『ディクタトル級巡洋戦艦』。それが今回、猟兵たちが相手取る戦艦の名だ。
 多数の兵員を擁し、艦載機も搭載可能。栄光ある帝国軍艦隊を支えたこの量産型巡洋戦艦は、『カイザー・レイ』の周辺で警戒行動を取っている。
「巨大な主砲、大量の艦載機……。恐らく、コイツを放置してカイザー・レイのミラーを破壊しようとしても、迎撃されて厳しい状況になってしまうだろうな」
 カイザー・レイの動きを停止させるには、地道にミラーをすべて破壊する他に道はない。
 そしてミラーの安定した破壊のためには、まずは戦艦を破壊する必要があるのだ。
「だから猟兵の皆には、戦艦の破壊を中心に作戦を立てて欲しいんだ。それが結果としてミラーの破壊につながり、帝国を追い詰めることに繋がるからな。どうか、よろしく頼む」
 銀河帝国との決戦の時が近付いている。正純は説明を終え、必要な資料を整えると、猟兵たちにそう告げるのだった。


ボンジュール太郎
 お疲れ様です、戦争だ! やったぜ。
 そんなわけでカイザー・レイをぶっこわすために戦艦をぶっ壊しましょう。
 遠距離からぶっ放して戦艦を壊したって良いですし、戦艦をそのまんまぶった切ったりするのも良いでしょう。なんとか中に侵入して、内部をどうこうするのも美味しいですね。
 つまり……自由だ!!

 皆様の良い感じの活躍を期待しております。
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第1章 ボス戦 『ディクタトル級巡洋戦艦』

POW   :    主砲発射用意!
予め【主砲にエネルギーを充填しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    航空各隊、邀撃に移れ!
【両舷カタパルト】から【直掩艦載機】を放ち、【対宙迎撃】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    オール・ウェポンズ・フリー
【兵装使用無制限状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ベモリゼ・テモワンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須藤・莉亜
「戦争は良いね。どこも闘争で満ちてるや」
さて、僕も頑張ろう。

眷属の腐蝕竜さんを召喚して、彼に乗って戦艦と戦う。

腐蝕竜さんには爪での引っ掻き、噛みつき、体当たり、尻尾でのなぎ払いなんかで攻撃してもらう。

僕は大鎌を22本に複製して、腐蝕竜さんの周りに展開。
腐蝕竜さんへの攻撃を大鎌を盾にしてなるべく防いでみよう。

「宇宙空間での戦いっていい感じ。テンション上がってきたよ」
さて、落とされないように頑張ろう。


レイラ・ツェレンスカヤ
うふふ、うふふふ!
レイラ、宇宙船がひとつほしいと思っていたのだわ!
この船、レイラが欲しいかしら!

とはいえ、近付くにはまず主砲が邪魔なのだわ!
レイラの大砲の魔法で壊してから近づくかしら!
まあ、とっても綺麗に光って、狙いやすいのだわ!
こっちを向いているけれど、うふふ!
常に【捨て身の一撃】なレイラの攻撃、いかがかしら!

あら! この程度で傷付いてしまうのかしら?
未来の世界の乗り物だというのに、無様で、惨めで、可愛らしいのだわ!
壊れるところが見たくなってしまうかしら!
今日のところは、奪うのは諦めて壊すことにするかしら!


エーカ・ライスフェルト
wiz
【宇宙バイク】のエンジンをぶんぶんいわせながらディクタトル級巡洋戦艦に突っ込むわ
ひゃっはー! たーのしー!!

……こほん(咳払い)
私も結構【属性攻撃】が育ったからね
魔力を込めまくってから、白い炎っぽいものを巡洋戦艦にぶち込むわ


巨大な主砲?
当たったらおしまいだから頑張って避ける。避ける進路は主に前だ!

大量の艦載機?
囲まれたらおしまいだから頑張って避ける。避ける進路は主に前だ!

つまりは【騎乗】と【見切り】とひゃっはーよ
不規則な加速で三半規管と内臓がぐーらぐら揺らされて吐きそうになりながら、でも元気一杯に巡洋戦艦に近づくわ

「炎の矢をご馳走してあげる。行きなさい【ウィザード・ミサイル】!」


神羅・アマミ
妾、はじめての宇宙デビューじゃぜー!
…しかし、銀河を股にかける猟兵どもは戦艦を相手にしてるってマジかよ。ありえんじゃろ。

しかしどんなデカブツでも頭さえ切り落とせばどうにかなるってもんなんじゃろ?
コード『見切』を発動し敵のメイン艦橋目掛け突進、その勢いと力任せでブチ破り指揮系統に混乱をきたすのが目的じゃ。
破れる?破れるよね?妾の耐久値、強化ガラス以下ってことないよな?

しかしアレじゃな、帝国兵相手に宇宙戦ってことは「奴はどこだ!奴が見えない!」「艦長!敵は既に我々を射程に捉えていまぎゃあああ!」的な会話が艦橋で繰り広げられるってことじゃな。
妾攻撃する側だから聞こえんけど。
ヒィヒィ言わせたるぜー!


カチュア・バグースノウ
スペースシップなんとかが滅亡するんでしょ?
止めなきゃね!
戦艦が相手?いいわねぇ、でかい相手は好きよ!思い切りできるし!

内部に侵入してめちゃくちゃにしてやるわ!
「フェイント」「だまし討ち」を駆使して、せきゅりてぃーの目をかいくぐるわ

機械の目が誤魔化せればいいけど
「見切り」で攻撃を避けるわよー!

攻撃はアックスソードブレイクで!
壁に走る線を!操作盤を!めちゃくちゃに!
こういうのは勢いが大事よね
最奥までたどり着けたら、勢いよくホームラン!イエス!


アドリブ、絡み歓迎


ティオレンシア・シーディア
今度の相手は戦艦?拳銃で墜とせってことぉ?
…いや、いくらなんでもちょぉっと無茶ブリすぎない?

正面から戦艦の相手なんてやってられないわねぇ。拳銃程度の威力じゃ普通に撃ったって徹るわけないし。
〇先制攻撃の●鏖殺を〇鎧無視攻撃でバラまいて、艦載機を墜としながら近づくわぁ。
カタパルトからなら逆に侵入できそうよねぇ。
中で好き放題暴れて混乱させれば、味方への〇援護射撃になると思うのよねぇ。

戦艦吹っ飛ぶ前に逃げられればいいけど…いざとなったら●滅殺で外壁ブチ抜くことも考慮に入れるわぁ。できるかわかんないし、正直あんまり試したくないけど。

…やっぱあたし、こういうデカブツ相手にするの向いてないわよねぇ?


フォルティ・アルディリア
●あたしの歌を聴けーーっ!!震えろ、その魂!!
戦艦だから人員多いよね?それなら、中にいるその人員の魂(ハート)、あたしの歌で震えさせちゃうよっ☆
この宙域に届くように回線をセットしてから
「好戦的にばっかりなってないで、あたしの歌を聴けーーーーっ!!【Variable harmonize shock】っ☆」
と思いっきりハイテンションで前フリを叫んで、戦艦に出来るだけ近づいてその周りを飛び回りつつ【Variable harmonize shock】を歌い続けて戦艦の人達に戦う気力を徹底的に奪っちゃうよっ☆
「♪ShaLaLa想いをはじけさせて歌え ShaLaLaこの果てまで響き叫べ!♪」


荒谷・つかさ
中々壊し甲斐がありそうな相手ね。
面白そうだし、やってやろうじゃない。

「神威」に騎乗し、宇宙空間を駆けて全速力で戦艦へと接近。
その速度を乗せた【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を真っ直ぐ戦艦に叩き込むべく、
主砲の砲塔がこっち向いて光り始めたら「ジャンプ」の要領で神威を蹴って加速。
更に大剣「零式・改二」に着けたブースター「誉」で自身を「吹き飛ばし」てもっと加速、単身で突撃。
砲撃を掻い潜れそうならそのまま「鎧砕き」技能で装甲を砕き「衝撃波」技能で中までしっかりダメージを与えるわ。
もし狙い撃たれても落ち着いて、その砲撃を「武器受け」と「衝撃波」技能でエネルギーを散らして切り裂きながら突貫よ!


出水宮・カガリ
カガリは潜入に適さない、大火力の破壊手段も持たない壁だ
ならば壁らしく、その道を阻もうか

【鉄門扉の盾】で盾受けの構えのまま、【無敵城塞】の状態でカタパルトに降り立とう
まあ集中砲火を浴びるだろうが、それも永遠ではあるまい
弾の切れ目を待って、【錬成カミヤドリ】で盾を複製し壁を作る
その後は複製した盾を集めて押し出すことで艦載機の列を乱したり、
【鉄血の明星】でカタパルトを粉砕したり、艦載機のエンジンを破壊して回るぞ
妨害が追い付かず艦載機が飛ぶようなら、複製した盾を飛ばして操縦席を外から覆う
近くに仲間がいれば、その壁となる事を優先しよう
本来はそちらが本分だ

艦が落ちそうになれば、宇宙服の推進力で離脱する


リダン・ムグルエギ
22立方メートル
宇宙空間だとちっぽけに見えるでしょ?
えぇ、実際ちっぽけ
ただし、厚みを数mmにして薄く引き伸ばすと…どうなるかしら?

アタシは巡洋級戦艦…っぽく見える「ガワ」だけを作って、超遠くからゆっくりと迫るような感じで動かすわ
雑な作りはアートの腕前と、観察者の五感を狂わす催眠術の応用の模様でごまかすの
表面にはある程度防具改造で強化したプレートとかも貼って、流れ弾で即破壊、という事態は防ぐわ

そう、今回の役割はデコイ
こちらに艦載機を多く放って戦艦回りが手薄になったらその分突撃する猟兵達が有利になるでしょ

でもアタシはデザイナー
戦いなんてからっきし
だから攻撃されたら…即座に逃げるわ!
たーすけてーえー


ユエイン・リュンコイス
巡洋戦艦……なんともはや、スケールの大きい事だね。でもこれなら、攻撃を外す心配はなさそうだ。

基本は黒鉄機人を前面に出し、ボクは支援に回るよ。
【情報収集、戦闘知識、フェイント、メカニック】で相手の兵装やその配置、攻撃の密度を測りつつ、戦艦に接近するよ。『ガジェットショータイム』で有効そうな武器を機人に装備させつつ、【カウンター、鎧砕き、鎧無視攻撃】で対艦戦闘だ。
仲間が攻撃を受けていれば、兵装へ『叛逆せよ、報復の祈りは此処に在りて』で【かばい、援護射撃】をし、火力を封じようか。

十分に接近出来たら、機関部や艦橋へ【破壊工作、属性攻撃】込みの『絶対昇華の鉄拳』を叩き込んでやろう。


アドリブ・連携大歓迎。


高柳・零
ほう、ビーム反射兵器ですか。厄介な兵器ですね。
何としても破壊しましょう。

「宇宙戦艦を斬れと…やって見せましょう」
宇宙服に移動用バックパックを背負って、リモコンで操縦します。

主砲の攻撃は見切りで避けます。砲塔の動きを見れば射線は読みやすいので。

艦載機は衝撃波で攻撃しつつ、オーラ防御を纏わせた盾受けで身を守り移動します。
「盾持ちにこの程度で足止め出来ると思わないでください」

全武器使用して来たら、艦載機の破片を衝撃波で弾きそちらを攻撃させて、ゆっくり目に戦艦に近付きます。

接敵したら、天斬りで重要部分(艦橋、噴射口、燃料補給口など)を滅多斬りします。
「図体がデカいので、斬り放題ですね」

アドリブ歓迎です


ユーノ・ディエール
アドリブ連携歓迎
ユーノ・ディエール、遅れて申し訳ありません!
対艦戦闘ですね、しかもディクタトル級ですか
では私は敵の主砲を潰し、本体の攻撃力を削ぎ落しましょう
この戦争、絶対に負けられません

クリスタリアンの本領……とまでは言えませんが
能力を限定開放、迷彩で自身を隠蔽
クルセイダーの高速形態に騎乗して
敵中枢へ一気に近付きます

勿論単騎では難しい作戦です
ここは仲間と連携して確実に進軍しましょう
多少の反撃は念動力で防ぎ、艦載機は友軍に任せ
直上から対空砲火を誘導弾のレーザーで破壊します
カタパルトをミサイルの一斉発射の2回攻撃で破壊を狙います

敵の威力を削ぎ落したらUCで主砲を艦橋ごと狙います
これで……終わりよ!


矢上・裕一郎
「敵は巡洋戦艦か…腕が鳴るな。“死神”の名は伊達ではないということを教えてやる」
長年愛用するパイロットスーツとヘルメットに身を包み、≪機械仕掛けの我が相棒≫を使用、対艦装備と対空兵器、そして宙戦仕様に換装されて少しシルエットが変わった彼の愛機「夜明号」を召喚し搭乗
≪操縦≫と≪空中戦≫の技能で敵艦載機や敵艦を攪乱及び攻撃を回避しつつ、≪一斉発射≫で攻撃
敵艦載機を≪存在感≫で引き受け味方の攻撃のチャンスを作る
敵戦艦に乗り込んだ味方がいる場合、戦艦を撃沈させないよう気を付けつつ主砲及びその他兵装を破壊していく
自分が敵艦の破壊をする必要がある場合、ギリギリまで接敵し≪零距離射撃≫で攻撃をする



●多対多
「戦争は良いね。どこも闘争で満ちてるや」
「カガリは戦をそういう風に思ったことはなかったが……ふむ、ふむ。そういう考えもあるのか」
「今度の相手は戦艦? あたしそんな派手な武器無いわよぉ? これを拳銃で墜とせってことぉ? ……いや、いくらなんでもちょぉっと無茶ブリすぎない?」
「んー、大丈夫でしょ。アタシもデザイナー、戦いなんてからっきし。でも、だからこそ。自分の得意なもので勝負していきましょ」
 星海に瞬く星々の群れ。光って輝き、白く目映い光を放ってそこにある。
 その光の中に、銀河帝国に立ち向かうべく、人々の希望を背負って立つ、宇宙の中で星々よりも強く煌めく光があった。その名は猟兵。人々の希望を背負って立つ者の名だ。
 彼らは宇宙服による通話を行いながら作戦の方針を共有すると、それぞれがやるべきことのために散らばっていく。
「大佐殿! 敵機多数出現! 方位2486-7S!」
「猟兵どもめ、遂に来たか! よろしい! 総員特級戦闘態勢、急げ! 艦載機、準備ができたものから順次出ろ! 主砲のエネルギーもチャージしておけ!」
「「「了解!!」」」
 戦略防衛兵器、カイザー・レイ。その少し手前の宙域に佇むディクタトル級巡洋戦艦を中心に、戦端の火蓋が切って落とされようとしていた。

 宇宙空間を自在に動ける高性能宇宙服を身に纏った猟兵たちは、まるで滑るように宇宙の中を移動していく。目指すはディクタトル級巡洋戦艦だ。まだ主砲の射程距離ではないものの、大量の艦載機が猟兵たちを始末しようと宇宙空間を飛来してくるのが見える。
 会敵まで、あとわずかといったところ。その中で、リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は一人何かしらの工作を行っていた。彼女の糸捌きが唸り、ミシンが高速で彼女の思い浮かべたものを形に変えていく!
「艦載機、もう間もなくで猟兵に……ッ!!? 報告! 報告です!」
「何事か! 良い、落ち着いて申せ!」
 リダンが工作を完了させたのと、敵機の中がにわかに騒がしくなってきたタイミングはほぼ同時。それもそのはずだ。敵機のこの混乱は、彼女が引き起こしたものなのだから!
「22立方メートル……。宇宙空間だとちっぽけに見えるでしょ? えぇ、実際ちっぽけ。ただし、厚みを数mmにして薄く引き伸ばすと……どうなるかしら?」
「わ……! 私たちの船のすぐそばの宇宙空間に……! 突如として、敵の!! 敵の巡洋級戦艦が現れました!! こちらの主砲圏外ギリギリで停滞、いえ……! ゆっくりと、こちらに迫ってきています!」
「な……ッッ!? 聞いていないぞ、そんな……! い、いや、ありえない! エンペラーズマインドの恩恵で、きゃつらはワープなど……できない、はず……!!」
 そう、リダンは巡洋級戦艦そのものを作り出したのではない。あくまでも、「巡洋級戦艦っぽく見えるガワ」だけをこの場で作っただけに過ぎない。
 【レプリカクラフト】。彼女のユーベルコードによって作り出された巡洋級戦艦っぽく見える「それ」は、しかし工夫と応用が詰まった彼女の傑作だ!
「分かっています……!! しかし! ご覧ください……ッ! モニター出力、今出ます!」
「ッッッッッ……?! アレは……! たしかに、敵の戦艦ではないか……! 猟兵たちめ、まだ何か策を隠していたとでも……! あの船から一斉に攻撃されては、カイザー・レイは……!! ……全艦載機に次ぐッ! あの戦艦を破壊せよ! 「何よりも優先」して、だ!」
 レプリカクラフトの雑な作りを放置しておくリダンではない! 彼女は持ち前のアートの腕前でガワの見た目だけを正確に、そして圧倒的な速さで整え、観察者の五感を狂わす催眠術の応用を利用した迷彩模様の筆致を、敵戦艦に披露したのだ! 完璧なデコイ・アートである!
 この時の敵戦艦内の慌てようはいかほどのものであっただろう。彼らは皇帝からカイザー・レイを死守せよとの命を受け、ここにいるのだ。しかし、それを脅かす脅威が唐突に目の前に現れたと感じた彼らの目を笑うことなど、誰にできようか!
「全機良いか! 敵の戦艦を潰せ! コアマシン付近に攻撃を集中させるんだ! これで倒せなければ、我ら迎撃部隊の名折れと知れ!」
「了解!」
「よしよし、これで艦載機もこっちを優先せざるを得なくなった、か。あら、攻撃される予感……。ここは……即座に逃げるわ! たーすけてーえー」
「おー、助けを呼んだか? うん、うん。ならば……カガリに任せろ」
 リダンの生み出したレプリカクラフトに向けて、敵の艦載機が迎撃せんと速度を上げて対宙攻撃を次々と放っていく! 狙いはレプリカクラフトの中心部分、本来の戦艦ならばコアマシンが搭載されている部位を狙って一斉攻撃を行ってきた!
 だが、それをレプリカクラフトの裏から現れて、見事に受ける男の姿があった! その名を、出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)という!
 彼はユーベルコード【無敵城塞】を発動すると、敵の集中砲火を一手に引き寄せ、敵の攻撃をほとんど防いで見せたのだ! 流れ弾も少々レプリカクラフトの戦艦に当たるが、それはリダンがあらかじめ防具改造で強化した増設プレートが防いでいく!
「な……ッッッ!! 何ィ……ッ!? 我らの集中砲火が、防がれ……! もう一度だ! もう一度行くぞ!」
「うーん、みんな頑張ってるみたいだ。さて、僕も頑張ろう」
「そうねぇ、それじゃあたしも頑張っちゃおうかしらぁ。乗せてくれる?」
「カガリも行くぞ。一緒に連れて行ってくれ」
 今はまだ薄っぺらい眷属図鑑をめくり、魔力を注ぎ込んで異形たる眷属を宇宙空間に召喚せしめるのは須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
 彼は【眷属召喚【腐蝕竜】】を使用すると、その背中に多くの猟兵を乗せてリダンの生み出したデコイの影から一気に飛び出した! 集中砲火をカガリに邪魔されて躍起になっている艦載機たちを尻目に、猟兵たちは敵の戦艦へと急速で接近していく!
「なんだ今の竜は!? 戦艦に直接攻撃を……ッ!? し、しかし! 猟兵どもの戦艦をこれで落としさえ、すれ、ば……ッ!?」
 艦載機に乗っていた敵たちが、リダンのブラフに引っ掛かっていたことに気が付いた時にはもう遅い。莉亜の駆る腐食竜は、宇宙空間をひた走って戦艦に向かっていく!
 デコイに引き付けられて艦載機たちもほとんどいない今、莉亜の竜はまさに一騎当千と言える活躍を見せた! 戦艦の横っ腹に爪で二度ひっかきを喰らわせて外壁にとっかかりを作ると、傷跡が出来た部分に思い切り噛み付いては更に抉っていく!
「報告します! 敵の、戦艦と思しき影は……?! て、敵の、ブラフ、であったと……!」
「~~~ッッッ! なんだとォ!? 予備の艦載機も出せ! あの竜に思い通りにやらせるな! 猟兵たちに侵入されたら、この船は持たないと思え……!」
 そうして腐食竜へと向けて放たれる、敵機からの数えきれない迎撃の雨! だが、敵の迎撃を予期しない猟兵たちではない!
 手に持つ宇宙空間の闇の中で白く輝く大鎌、血飲み子を大量に複製し、腐蝕竜の周りに展開して敵の攻撃を弾くのは莉亜だ!
「宇宙空間での戦いっていい感じ。テンション上がってきたよ」
「出ろ! 早く出ろ! あの竜が、恐ろしい竜が来ちまーーーーーッ」
 彼女が竜への攻撃を次々と流れるようにいなし、弾丸の雨嵐を宇宙のチリに変えている間も、腐食竜の暴虐は止まらない! その大きなしっぽでカタパルト上の発進しようとしていた艦載機を全て薙ぎ払い敵の迎撃を止めると、莉亜以外の猟兵たちをカタパルトへと下ろすことに成功したのだ!
「正面から戦艦の相手なんてやってられないわねぇ。拳銃程度の威力じゃ普通に撃ったって徹るわけないし。……だから、あたしは中でひと暴れしてやろうかと思うんだけど、どうかしらぁ?」
「カガリは潜入に適さない、大火力の破壊手段も持たない壁だ。ならば壁らしく、潜入を邪魔する敵の道を阻もうか」
 カタパルトに降り立つ猟兵の名前は、カガリ。そして、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)。二人とも、リダンや莉亜に同じく、銀河帝国の悪逆を許さぬ光の一つである!
 ティオレンシアは自分の使い慣れた回転式拳銃、オブシディアンを。カガリは彼の本体でもある大盾、鉄門扉の盾をそれぞれ構え、ギリギリで飛び立つことで腐食竜の攻撃から逃れた艦載機たちに向き直る!
「生身の猟兵がいくら集まったからってよォ! 攻撃も防御も、この集団の前には敵わねえだろうが!! 死ねッ!!」
「ああ、カガリたちが一人だけなら、きっとそうだったろう」
「でもお生憎様、あたしたちは独りで戦う訳じゃないのよねぇ」
 宙を飛び交う艦載機の攻撃をひたすらに受け、守り、はじき、いなし、止め、封じ込めるのはカガリだ! 彼は鉄門扉の盾を深く腰を沈めた状態で構え、盾受けの姿勢を取ると、そのままもう一度【無敵城塞】を発動して敵の攻撃を全て受けていく!
 集中砲火を受けるカガリの後ろから、合間合間に神速の射撃速度で確実に艦載機を撃ち、墜とし、破壊していくのはティオレンシアだ!
 彼女の回転式拳銃から飛び出して宇宙空間を荒らしまわる鉛の弾は、まるでガンプレイを敵に見せているかのように一度の銃声で敵を即座に複数墜としていく! 彼女の【鏖殺】は、狙った獲物を逃がすことはない神速の弾丸の群れ!
「……やっぱあたし、こういうデカブツ相手にするの向いてないわよねぇ? 狙うなら、ああいう拳銃の弾で落ちる手合いの方が向いてるわぁ」
「やるな、ティオレンシア。うんうん、すごいぞ。カガリも、もっと盾になってみせよう」
 二人の猟兵たちがカタパルト上で獅子奮迅の活躍を行う間も、腐蝕竜は敵戦艦を荒らして回る! 今度はカタパルトに向かって思い切り爪の暴虐を見せつけると、猟兵たちの即席侵入経路を作って見せた!
 彼らの活躍によって、戦場のペースは既に猟兵に傾きつつある! その隙を見逃さず、カガリは【錬成カミヤドリ】で盾を複製し、さらにそれらを一つに集めることで巨大な盾を作り出した! そしてそれを即席の壁にし、押し出すことで艦載機の列を乱しつつ、敵戦艦の内部に入り込む!
「奴らをこれ以上進ませるな! ここで俺たち、重鎧部隊がアアーーーーー」
「オイ!? どうした、何でいきなり倒れえ、エエーーーーー」
「俺達の、鎧の、一点だけを狙って……? ば、化け物ーーーーー」
 猟兵たちの進軍を止めるべく慌てて出張ってきた敵の兵士たちも、口の端にあふれ出る言の葉を言い切ることなく沈んでいく。
 重い鎧を纏っているのにも関わらず倒れ伏す彼らの鎧には、例外なく一つだけ銃創が残っていた。スポット・バースト・ショット。ティオレンシアの放つ弾丸は、重い鎧ですら連続で正確なショットを行うことで貫き、例外なく敵を倒していく!
 敵戦艦の中は既に混乱の真っただ中だ! 猟兵たちの初撃は、銀河帝国に大きな打撃を与えることに成功したと言って良いだろう!

●主砲、沈黙
「えーっと、コイツら倒さないとスペースシップなんとかが滅亡するんでしょ? 止めなきゃね!」
「敵は巡洋戦艦か……腕が鳴るな。“死神”の名は伊達ではないということを教えてやる」
「巡洋戦艦……なんともはや、スケールの大きい事だね。でもこれなら、攻撃を外す心配はなさそうだ」
「へー、戦艦丸ごとが相手? いいわねぇ、でかい相手は好きよ! 思い切りできるし!」
「妾、はじめての宇宙デビューじゃぜー! ……しかし、銀河を股にかける猟兵どもは戦艦を相手にしてるってマジかよ。マジだった。全然怯んでないわ。ありえんじゃろ……こわ……。戸締りしとこ……」
 先駆けに続けと言わんばかりに、猟兵たちの第二陣が敵の戦艦に向けて近付いていく。彼女らが行くのは、もしかしたら世界のため。彼らが行くのは、もしかしたら自分の思いを通すため。
 それぞれの思いを胸に秘め、軽く戦法を共有しながら猟兵たちは宇宙を駆ける。野原を走る疾風のように、空に瞬く流星のように! 望んでか望まずか、人々の希望となって彼らは行くのだ!
「よーっし、皆突撃したね? それじゃあ行くよっ! あたしの歌を聴けーーっ!! 震えろ、その魂!!」
「潜入してきやがった猟兵たちは今どこにいるッ?! 早く2番モニターに出力しろよボケッ! 指示が出せねえ! 主砲はもうチャージ済んでるんだよなッ?!」
「知るかよクソッ、こっちだって外から来やがってる猟兵に迎撃命令出す必要があるんだッ! 艦載機! 42番から66番、全部出していい!」
 戦歌鳴りやまない戦域の中でも、宇宙空間に良く響き渡る歌声を放つのはフォルティ・アルディリア(ヴァリアブル☆シンフォニッカー・f05860)!
 普段ならば宇宙空間の中で音は鳴り響かないのが常ではあるが、しかし、それは宇宙服によってすでに解決済みの問題だ! そしてなによりッ!!
 フォルティの声には、フォルティの唄には! 彼女の魂(ソウル)が籠っていやがる!! 気持ちとノリがたっぷり乗ったその声が響かないなんてことは、この世の中には絶対にないのだ! それが宇宙だろうと関係あるか!
「戦艦だから人員多いよね? それなら、中にいるその人員の魂(ハート)、あたしの歌で震えさせちゃうよっ☆」
「大佐殿! 回線番号不明なユニットからオープンチャンネルで音声が! 猟兵からです、繋ぎます……! こ、これは……ッ!?」
 戦乱の場となっているこの宙域の全てに自分の声が届くよう、あらかじめ回線をセットしたフォルティは、深呼吸を一つする。深く吐いて、吸う。思いを声に込めるには、ありったけの感情を飲み込んで爆発させねばなるまい! そして、フォルティがーー今、口を開いた!
「好戦的にばっかりなってないで、あたしの歌を聴けーーーーっ!! 【Variable harmonize shock】っ☆」
「……ア……アアア!! なんだ、この耳障り、な、ァァ……ッ! ク……ッ、すぐに切れ! 何をしている! すぐにこの耳障りな音を遮断しろ! ……グウウウアアアアアアアアア!」
 戦艦を指揮しているのだろう、大佐殿と呼ばれている兵士が、フォルティの歌を聞いてうずくまる! 敵を滅ぼすための戦意が、殺意が、この歌を聞いていると失われていくようで、敵意の塊である彼は彼女の歌を否定することしかできないのだ!
「♪ShaLaLa想いをはじけさせて歌え ShaLaLaこの果てまで響き叫べ!♪」
「な、なァ……。大佐はああ言ってるけど……俺、この音そんなに嫌いじゃないかも……。嬉しいっていうか、愛されてる? 感が……。いや、俺だって初めての感覚なのに……?」
「俺知ってるぜ、これ「ウタ」って言うんだ。なんだか……。データでしか知らなかったけど、この声にこもってるのが……情熱ッてヤツなのか……? ……なァ、さっきは怒鳴って悪かった……」
 思いっきりハイテンションで前フリを叫び注目を集め、戦艦に出来るだけ近づいてその周りを飛び回り、フォルティはユーベルコード【Variable harmonize shock】を歌い続けていく!
 彼女の歌声に乗せられた情熱! 歌にこもった歓喜! 歌に秘められた慈愛! その全てが、戦艦の兵士達に届いていく! 文化も思いも敵味方の違いも関係ないその真摯でまっすぐな歌声は、彼らの戦う気力を徹底的に奪っていく!
 フォルティのユーベルコードが! いや! フォルティの歌が、猟兵に奇跡をもたらしたのだ! 艦載機の動きは鈍り、エネルギーを放射するべく命令を待っていた主砲も完全に停止していく!

「ほほー! あやつめ、本当にやりおったわ! カトンボ共の動きが鈍っておるぞ!」
「この敵の混乱……。打ち合わせ通り、フォルティがやったみたいね! すごいじゃない、あの子!」
 フォルティの歌声をバックに戦艦へと突撃していくのは神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)とカチュア・バグースノウ(蒼天のドラグナー・f00628)の二人だ!
 彼女たちは敵の混乱に乗じて首尾よく宇宙空間を移動し、ときに艦載機からの攻撃を見切り、受け、自動小銃の迎撃をいなしていく! それでも艦載機からの迎撃が濃い場面は、フェイントの動きを多数組み込んで敵の攻撃を全て避けていくではないか!
 狙いは敵戦艦の頭蓋! 即ち、指揮系統の集まったメイン艦橋である!
「外は外で動ける人達に任せて、あたしたちは内部に侵入して指揮系統をめちゃくちゃにしてやりましょうか! ね、アマミさん!」
「おぬしも良いこと言うのう! あれじゃろ? どんなデカブツでも頭さえ切り落とせばどうにかなるってもんなんじゃろ? よっしゃーアマミちゃん行ったらァーーーーーッ! ……ところで、アレ強化ガラスじゃよな? 破れる? 破れるよね? 妾の耐久値、強化ガラス以下ってことないよな?」
 宇宙空間を飛び回り、墜とした艦載機を足蹴にして加速しながら、アマミは特殊な合金によって作られた和傘を、カチュアはまるで鉄の塊のような大剣、鉄塊を思い切り振り回していく!
 そしてそのまま敵戦艦の艦橋付近に降り立つと、勢いのまま武器を強化ガラスにブッ込む! 猟兵の超常の一撃をその身に受けた強化ガラスは一拍置いて粉々に破れ、敵戦艦の中に重力と無重力の境はなくなっていく!
『緊急アラート。緊急アラート。メイン艦橋の外壁に破損が見付かりました。乗組員は至急対処を行ってください』
「何だ……ッコイツらァ! どこから来やがったんだ?! 全然見えなかったぞ……! 大佐殿、ここはお逃げ下さ……アアアーーーーーッ!!」
「バカやろッ大佐を逃がす前に強化ガラスが割れちまってんだ! 俺がこいつらを止めてる間にすぐに作動させろ! バブルジェルかエアーブロ、えお、を、あ、え……?」
 強化ガラスが破られ、宇宙空間に敵戦艦のメイン艦橋部分の大気が流れこんでいく。敵の乗組員が、敵の装備が、対象を問わず宇宙の闇に飲み込まれていく!
 中には多少動ける敵もおり、割れた強化ガラスを補修しようと動く敵もいる。そして更には果敢にも反撃を行おうとする敵も、だ。しかし、その様な輩の攻撃はアマミに届くことはない! 【見切】!
「ククク……クハハハ……ハァーーーーハッハッハッハ! 見える! 見えるぞ! 其方の攻撃が手に取るようにわかるのじゃ! 最早妾には一切が通じると思うな! オラッ死ねーッッ!!」
「さって! アマミさんも絶好調みたいだし、あたしもやっちゃうわよ! よいしょ!」
「クウ……ッ! 猟兵め、こんな場所にまで……!」
「大佐! 第二デッキまでお逃げください! あそこでなら、まだ指揮が……!」
 アマミとカチュアは、その勢いと力任せで指揮系統に混乱をきたし、思い切り暴れ、思い切り壊していく! すでにメイン艦橋はめちゃくちゃな有様だ!
 そして、彼女たちが戦艦内で大立ち回りを行っている最中、宇宙空間で自在に飛び回る二つの光がある! いや、もう一つ光が増えて……三つだ!

「ユーノ・ディエール、遅れて申し訳ありません! 対艦戦闘ですね、しかもディクタトル級ですか」
「ユーノといったな、よろしく頼む。艦載機の指揮系統が乱れ、主砲も止まっている今が好機だな」
「カチュアたちも上手くやってるみたい。それじゃあボクらも打ち合わせ通りに。ボクは黒鉄機人を前面に出して、裕一郎の支援に回るよ」
 使い古されたパイロットスーツに、同じく使い古されたヘルメット。幾多の戦場を、数多の戦火を共に潜り抜けてきた装備に身を包み、ユーベルコード【機械仕掛けの我が相棒】を用いるのは矢上・裕一郎(死神・f04178)。
 ユーベルコードによって呼び出されるのは、少しシルエットが変わった彼の愛機「夜明号」。裕一郎は宇宙空間に召喚された愛機に搭乗すると、計器と装備武器、操縦方を確認していく。
「対艦装備と対空兵器が変化しているか。推進装置や姿勢制御装置も宙戦仕様に換装され、短期決戦仕様になっている。——これならば」
 宇宙に、一つの夜明けが訪れる。光、光、光。裕一郎は宙の闇を斬り裂いて飛び、敵の艦載機空の攻撃をマニューバ飛行で避けつつ、時に迎撃しては撃墜の華を咲かせていく。
 彼が操縦桿を一度操れば、「夜明号」は敵の攻撃を踊るように舞い踊る。彼が火器を発砲すれば、「夜明号」はまさに死神の如くに例外なく敵を倒し、艦載機部隊を壊滅させていく! 彼の操縦の腕と、空中戦の経験があってこその戦果である!
「これでも俺はパイロットでな……「死神」の所以を教えてやろう!」
「たかが一機に……ッ! 一機だぞ!? ただの一機だ! それがどうして……!! 闇に紛れて奴が見えない!」
「そうは言っても……! こっちはあの一機に良いようにされているうえに、こっちの動きまであの人形野郎に読まれてるみたいで……!」
 敵の艦載機も、当然全力で猟兵たちを屠らんと攻撃を行っている。しかし、しかしだ。「死神」に、彼らの攻撃は届かない。死を届けるのは、あくまでも「死神」の役目。死を届けるからこその「死神」なのだ!
「裕一郎は相当上手くやってくれているみたいだ。黒鉄機人、ボクらも負けていられないよ」
「なんだよこれッ?! なんで俺の戦闘機が溶けていくんだ?! うわアアアアアッ!」
 艦載機や敵艦を攪乱しつつ、適宜装備している武器の一斉発射で戦艦にダメージを与えている裕一郎を手助けするのは、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)と黒鉄機人。
 ユエインの白い指先が黒い空で動けば、繋がる絹糸を通して黒鉄機人が十全な活躍を見せていく。ユエインへの攻撃を止め、味方の猟兵を狙う敵を妨害し、時に隙が出来た敵に向かってその右手を振り下ろす。超高熱を伴って放たれる昇華の鉄拳の前に、敵は飴細工のように溶けていく!
「アイツを早く墜とせッ! 艦載機がダメなら対空砲火だ! 最低でも弾幕を張って動きを止めろ!」
「ここは仲間と連携して確実に……! ユエインさんに合わせて私も!」
 更に、ユエインと裕一郎の動きをスムーズにする活躍を見せるのはユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)! 彼女は自分に飛び交う反撃は持ち前の念動力で防ぎ、直上へと移動しては敵の対空砲火を誘導弾のレーザーで次々と破壊していく!
 そしてそのままユエインの背後へと発進し、彼女の好きを突こうとする艦載機の群れをカタパルトごとミサイルで破壊していく! また、ユーノは時折スタークルセイダーの高速形態に騎乗して敵を翻弄するように宇宙を走ると、敵中枢へ一気に近付いては攻撃を重ねていく!
 ユーノを狙おうとしている敵はユエインの機人が溶かし、そして彼女たちの手助けで裕一郎は十全にその腕前を発揮していく! 三人の活躍はそれぞれがそれぞれを活かし、敵の攻撃を寄せ付けないようであった!
「協力に感謝します、ユエインさん。こちらの意図を組んでくれて助かりました」
「気にしないで、お互い様さ。……ねえ、戦艦の前部、主砲付近の敵が少なくなっているみたいだ。狙ってみる? エースパイロットさん」
「こちらもまだいける。異論は無いさ、黒鉄の人形遣い!」
 戦っている間もユエインはその場に併せて状況を読み、情報収集を欠かすことはない。彼女の指で黒鉄機人が踊る間に、彼女は次の目標を決めていた! 敵の主砲である!
 相手の配置や攻撃の密度を測りつつ、戦艦の周りの艦載機を適宜破壊しながら主砲へと向かっていく三人。そのころ、第二デッキに移動して指揮系統をなんとかわずかに回復させた敵たちも、猟兵を始末せんと動き出していた!
「主砲は撃てるな?! もはや残りエネルギー残量などに気を回すな! もはやこの船は墜ちるものとして考えよ! 主砲の準備ができ次第、猟兵どもに向けて撃ってやれ!」
「了解です大佐殿! エネルギーリチャージ開始します! 70……80……! もう撃てます!」
「良し! 主砲、撃てーーーーッ!!」
 猟兵たちが主砲を破壊せしめんと接近したその矢先、今まで沈黙を保っていた主砲が突如として活動を再開した。光と熱が主砲の中に集まり、今にも二人を消し去ろうとするのが見える。 しかし! それを邪魔する二人がいた!
「しゅ……主砲撃てません! エネルギー伝達に何らかの障害が発生しております! このまま撃てば……! この船ごと全て吹っ飛びます!」
「な……何だとォッ?!」
「しかしアレじゃなー、帝国兵相手に宇宙戦ってことは今頃三下チックな会話が艦橋で繰り広げられるってことじゃな。妾攻撃する側だから聞こえんけど」
「ま、こういう内部からめちゃくちゃにしてやるってのは勢いが大事よねー。……あら? なんだか重要そうな配線に操作盤! 思いっきりぶっ壊すわよー!」
 主砲の攻撃から三人を救ったのは、アマミとカチュアだ!
 彼女ら二人はメイン艦橋潜入後も更に場所を変えながら大きく暴れ、時にセキュリティを掻い潜り、時にセキュリティをぶっ壊しながら前へ前へと進んでいたことが、主砲のシステムにも多大なダメージを及ぼしていたのだ!
「もはや……もはや構わん! 主砲放て! 何人かの猟兵を道連れに出来れば、それでーーーーッ!」
「……あれ、止まった? でも、念には念を。『世を憎まず、他者を恨まず。これは、ただ然るべき報いだけを願った者達の祈りだ』」
 システムに障害が残っている状態でも、尚も主砲の発射を敢行しようとする敵の行動は、しかしユエインによって止められる。彼女のユーベルコード、【叛逆せよ、報復の祈りは此処に在りて】は敵の攻撃を封じる超常の力。
 彼女の行動が敵の悪あがきすら止めてみせたのだ! すでに彼らの前にさしたる危険はない! 今こそ主砲を破壊するときだ!
「こいつで最後ーーーーッ! ヒィヒィ言わせたるぜー!」
「なんか良いとこまで来たみたいね! 勢いよくホームラン! イエス!」
「零距離だ……! 全部持っていけ!」
 内側から、外側から、猟兵たちの攻撃は主砲に多大なるダメージをもたらしていく。しかし、まだ一撃足りない!
 そこにダメ押しと言わんばかりに全力のユーベルコード、【虹輝宿星】を放つのはユーノだ! 最初から主砲を狙うことに全力を賭けていた彼女の攻撃が、今届く!
「念動収束、超エネルギー開放――七色の渦に呑まれて、落ちなさい! これで……終わりよ!」
 ユエインの協力によって主砲にギリギリまで接敵することに成功し、零距離射撃で全力の攻撃を行うのは裕一郎。生体結晶エネルギーを収束した渾身の一撃を最後に見事決めて見せたのはユーノ。
 そして内部から敵戦艦のシステムを破壊し続けるアマミとカチュア、彼らの突撃を歌でサポートしたフォルティ。猟兵たちの活躍は、敵戦艦の主砲の完全な破壊という形で敵に大打撃を与えるのだった!

●斬って燃やして貫いて
「うふふ、うふふふ! レイラ、宇宙船がひとつほしいと思っていたのだわ! この船、レイラが欲しいかしら! エーカ、もっと飛ばして欲しいかしらー!」
「良いわよレイラさん、ちゃんと掴んでいてね! いくわよー! ひゃっはー! たーのしー!!」
 旧型の宇宙バイクのエンジンをぶんぶんいわせながら、半壊状態のディクタトル級巡洋戦艦に止めを刺してやるべく突っ込む人物が二人。宇宙空間では音はしないのが普通だが、このスペースシップワールドでは出るのだ! 再現性はない!
 話を戻して、宇宙の星海を駆けるのはエーカ・ライスフェルト(電脳ウィザード・f06511)とレイラ・ツェレンスカヤ(スラートキーカンタレラ・f00758)の二人だ! エーカの旧型宇宙バイクにレイラが同乗している形である!
「宇宙戦艦を斬れと…やって見せましょう」
「あら、零さんも私と同じ手合い? 中々壊し甲斐がありそうな相手よね。面白そうだし、やってやろうじゃない」
 彼女たち宇宙バイク組が宙を走る隣で、抜き身の剣を片手に戦艦に向かう二人組の姿もある。
 零式・改二を抜き放つのは荒谷・つかさ(焼き肉担当・f02032)。そして刃渡りの長いバスタードソードを構えるのが高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)だ。
 彼らの獲物に、戦場の光が反射して煌めいていた。
「艦載機! 予備の艦載機部隊はどこへ行ったのだ! あんなに大量にいたはずではないか!」
「既に、艦載機は現在出撃しているものしか……! 後はこの船に積まれている防空システムのみが後は頼りとなる状況でございます……!」
「まあ、エーカ、見て! あの船、とっても綺麗に光って、狙いやすいのだわ! 何だかいくつかのお顔がこっちを向いているけれど、うふふ!」
「うわあ、大量の防空システムにそこそこの艦載機? 囲まれたらおしまいだから頑張って避けるわよ、レイラ! まあ避けると言っても……やることは加速だけなんだけどね!」
 戦艦に急速接近するレイラとエーカを、いまだ健在な艦載機と防空システムが捉える。数百の銃口が彼女たちを向き、せめて一矢報いようとしているのが分かる!
 しかし、敵の迎撃は哀しいかな虚空へと消える! なぜなら、エーカの宇宙バイクが轟音を立てながら、とんでもない速度を出しながらも不規則に加速をし続けているからだ! 避ける進路は主に前、つまりはまっすぐか斜めまっすぐしかない!
「この速度で走る宇宙バイクを見たことある? 多分私もこんなに速度を出して走るのは初めてよ! ひゃっはー!」
「止めろッ! あのバイクを止め……ッ!!」
 ならば接近して前方の進路を閉ざし、壁となることで彼女たちの接近を食い止めようとした敵の艦載機たちも、同乗しているレイラが血槍チェルノボグを振り翳し、突き立て、払えば障害にもならない!
 騎乗×暴力×加速×捨て身! 彼女たちの攻撃は速度を増し、重さを増し、敵を蹴散らしながら戦艦に近付いていく!
「あら、あら! 艦載機も意外にもろいのね? 常に捨て身なレイラたちの攻撃、いかがかしら!」
「これが……猟兵……ッ? 俺達の船が、こんなにも簡単に……ッ!!」
 彼女たちが派手に近付いている間に、零は静かに宇宙服に移動用バックパックを背負い、遠隔式のふしぎなリモコンで操縦して高速で戦艦に向かっていく。
「ほう、あれが目的のビーム反射兵器ですか。厄介な兵器ですね。何としても破壊しましょう」
「させると思うのかよッ、このダボがァッ! あいつだ! アイツを狙えッ、お前らァ!」
 戦艦の奥にそびえるカイザー・レイを見やり、あれが作戦の最終目的かといった顔で頷く零の前にも、艦載機の群れは怒りと共に現れる。
 彼らは銀河皇帝の命を受けてあの戦略兵器の防衛に当たっているのだ。猟兵たちに破壊されるわけにはいかないのだろう。
 残弾を気にせず撃ちまくって迎撃行動に出る艦載機の群れを相手に、零は衝撃波で攻撃しつつオーラ防御を纏わせた盾受けで身を守っていく!
「盾持ちにこの程度で足止め出来ると思わないでください」
「それに、猟兵はこちらにもいるってことを忘れてるんじゃないかしら? 一人相手に意識を取られ過ぎたわね」
 零が刃を煌めかせて奔らせた斬撃が艦載機を仕留め、仲間を落とされた敵が更に零を集中して狙っていく。
 その攻撃をいなし、流し、見事に受けていく彼の後ろから愛馬神威に騎乗し、宇宙空間を駆けて全速力で走るのはつかさだ。彼女は零に気を取られた兵士たちを速度の乗った剣技で葬る! この空域で、彼らの剣が光るとき。それは敵の艦載機が落ちる合図であった!
「零さん、良かったら乗っていく? お互い狙いはアレでしょう?」
「良いんですか、荒谷さん? では、遠慮なく。と、その前に……」
 艦載機の群れがほとんど消えて失せた頃、つかさたちも敵の防空システムに発見される。飛び交う弾丸を止めるのは、零が宇宙に漂う艦載機を衝撃波で弾いて完成させた急ごしらえの壁だ。
 その壁が攻撃を受けてくれている間に、つかさと零の二人は一気に加速して近付いていく!
「主砲もすでに機能停止、防空システムもこの程度なら問題なし、か。ねえ零さん、隠し包丁って知ってる? 私は右から行くつもりだけど」
「自分も同じようなことを考えていました。図体がデカいので、斬り放題ですね。では、自分は左から」
 戦艦に接近し終えた二人は、それぞれ別の進路に進むと自分の獲物を再度構えなおす。つかさが放つ剣技は、【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】。
 零もまた彼女と同じように剣の握りを確かめて柔らかく握りなおすと、一つ大きく息を吸って止め、【天斬り】の構えを取った。
「重剣術奥義……!
「天に変わって……!」
 零式・改二に装着してあるブースター、誉で更に加速を行い、つかさは戦艦の向かって右部分に狙いを定めた。すでに迎撃部隊もほとんど機能していない。装甲を砕きで中までしっかりダメージを与えるために、全力を攻撃の一念に賭けようではないか。
 戦艦の向かって左側を担当する零も、狙うべき箇所を見つけたようだ。彼が目指すのは燃料補給口。この戦艦全体に良く「火を通す」なら、最も適した場所と言えるだろう。彼の見立てが奇麗にハマった形である。
「この剣に、打ち砕けぬもの無し!」
「悪を斬るっ!」
 二人がありったけの技術、力、そして思いを込めた刃を振るうのは正に同時のこと。ディクタトル級巡洋戦艦は、右から左から彼らの斬撃によって装甲を剥がされ、切断された装甲の内部からはいくつも爆発が起こるのが見て取れた。
 つかさが刀を一度振るえば、柔らかいものを斬るかの如く装甲に傷が付き、その刀身からは衝撃波が放たれて内部機構にもダメージを与えていく!
 零のバスタードソードも、その刃がきらめくごとに燃料補給口付近の厚い装甲とロックが切断されていく! 彼は燃料補給口を滅多切りにすると、猟兵たちに合図を送った! 事前に決めておいた、「退避」の合図である!
「あら! この程度で傷付いてしまうのかしら? 未来の世界の乗り物だというのに、無様で、惨めで、可愛らしいのだわ!」
「……こほん。私も結構【属性攻撃】が育ったからね。魔力を込めまくってから、白い炎っぽいものを巡洋戦艦にぶち込んであげようかしら!」
「クソッ、くそう! 猟兵の奴らめ……! アイツらはどれだけ強いのだ! 化け物ではないか……!! こんなの、勝てるはず……!!」
 三半規管と内臓をぐらぐらと揺らされて吐きそうになりながらも、しかし元気一杯に。最後に巡洋戦艦に近付いたのは、エーカとレイラのバイク組。
 彼女たちの手元には、既に目を凝らせば可視化しているのではないかと思えるほどの濃い魔力が渦巻いている。
 エーカの手元には、熱。常であれば宇宙空間には存在しない炎の魔力が、彼女の超常の力、ユーベルコードの元で寄り集まり、大量の炎の矢へと姿を変えていく!
 レイラが用いるのは、【волшебство・пушка】。別名、タイホウノマホウ。匂いなど存在しない宇宙空間に、何かの香りが漂っていく。これは、血だ。血の匂いだ!
「そんなだから、この戦艦の壊れるところが見たくなってしまうかしら! 今日のところは、奪うのは諦めて壊すことにするかしら!」
「炎の矢をご馳走してあげる。行きなさい! 【ウィザード・ミサイル】!」
「ちくしょうッ!! 銀河帝国に……! 栄光あれーーーーーッ!!」
 彼女ら二人のユーベルコードが、ボロボロになった敵の戦艦に向けて一気に放たれていく! 巨大な血の杭が、何本もの炎の矢が!
 エーカのユーベルコードで熱された血の杭がつかさの破壊した外壁を越えて敵の戦艦を貫くたび、どこかの壁が、どこかの重要部が、音を立てて壊れていく!
 レイラの杭で脆くなった部分と、零が滅多切りにした燃料補給口へ向けて炎の矢は寸分の狂いもなく過たず宙を飛ぶ!
 そして多くの猟兵によって内部を念入りに破壊され、さらに大量に漏れ出した燃料に引火したディクタトル級巡洋戦艦は、彼女たちの攻撃から数瞬の後に大爆発を起こし、宇宙のチリとなっていく!
 この勝負、猟兵たちの勝利である! 合図で脱出していた猟兵たちは、そのままカイザー・レイのミラーの一部を破壊すると、次の戦いに向けて帰路に付くのであった!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト