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猟書家の侵略~弓箭火鏃之秋

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #今川義元 #羅刹 #武田信玄 #魔軍転生 #夕狩こあら #うわばみ

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「猟書家の幹部の一人である今川義元が、クルセイダーの目論む倒幕――徳川幕府の転覆を実現すべく行動を始めたのは皆も知っているだろう」
 そのひとつ、東海道は三河国、鳳来寺山で動きが見えた、と――。
 凛然とした声で告ぐは枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
 彼女は睫の長い冴えた瞳を寄越して、
「鳳来寺山の中腹にある鳳来寺は、或る羅刹の一族によって守られているんだが、ここに今川義元が、魔軍将・武田信玄を憑装したオブリビオンの大軍勢を率いてやって来る」
 狙いは羅刹の抹殺。
 今川義元は、徳川の一族を輩出しながらも世俗を捨てたと嘯き、あまつさえ、信長を桶狭間へと手引きした羅刹の血脈に積年の恨みを抱いており、今回の擾乱でサムライエンパイア全ての「羅刹の里」の掃滅を企んでいる。
 狙いは其だけでないとは、帷は更に言を足して、
「彼奴は羅刹を骸の海に沈め、オブリビオンとして掬い上げようとしているんだ」
 屈強な肉体を持つ羅刹を皆殺しにし、自軍に組み込む――。
 今川軍は既に「超・魔軍転生」を執行し、盟友たる「甲斐の虎」を憑装した配下を抱え、自軍を大幅にパワーアップしているが、そこへ更に戦闘力の強い羅刹を加えて、盤石な軍事力を確保しようとしているのだ。
 集まった者達と頷きを揃えた帷は、「そこで」と口を開いて、
「そんな危機的な状況に陥る前に、君達に彼等をやっつけて欲しい」
 軍勢が鳳来寺の本堂に至る前、参道で迎え撃つ。
 険しい山中にある鳳来寺は、麓から1,425段の石段が続く参道があり、軍勢が攻め込むには自ずと長く細くなる。
「君達なら、この土地に詳しい羅刹と協力してオブリビオン軍勢を撃退できるだろうが、この時、“海道の弓取”たる今川義元が超長距離から、命中箇所を破壊する『仕留めの矢』を次々と放って来るので、注意して挑んで欲しい」
 見事、軍勢を撃退する事がかなえば、後続に控える今川義元と戦う事になる。
 彼自身は猟書家の力が制限される為に憑装はしていないが、この時にも放たれる「仕留めの矢」は射る毎に精度を増し、一方で彼の間合いに入ればファンタジスタの如き蹴撃が炸裂するので注意しよう。
 而して大将を倒せばあとは烏合の衆となり、羅刹と共に全ての軍勢を叩き潰せるので、どうにか凌ぎきって欲しい、というのが帷の依頼だ。
 ぱちん、と弾指の音で説明を終えた帷は、開いた掌手にグリモアを喚び、
「サムライエンパイアにテレポートする。暴悪に命を踏み躙らんとする者達に、たっぷりと荊棘をくれてやれ」
 と、希望の光を送り出すのだった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家のひとり『今川義元』の侵攻を食い止める「虎と弓取り」シナリオです。

●戦場の情報
 サムライエンパイア、三河国が鳳来寺山の中腹。
 周囲を山に囲まれた峻険の地で、山の中腹にある鳳来寺には、左右に森を見る表参道の1,425段の石段を登らなくてはなりません。景観は、歌川広重の六十余州名所図会「鳳来寺山巌」を参考にして頂ければ幸いです。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『うわばみ』(集団戦)
 今川義元が鳳来寺山の麓に置いた「巨大な瓢箪」から無尽蔵に出てくる大蛇。
 身体が大きいため木と木の間を抜ける事は出来ず、参道を登ってくるしかありません。今回は魔軍将「武田信玄」の霊魂を憑装しており、格段に戦闘力が上がっています。
 この時、今川義元が超長距離から、命中箇所を破壊する「仕留めの矢」を次々と放って来るので、お気をつけ下さい。

 第二章『今川義元』(ボス戦)
 嘗て「海道一の弓取り」としてサムライエンパイアにその名を轟かせた戦国武将がオブリビオンとして蘇り、クルセイダーの下につきました。
 ※今川義元は憑装していません。

●プレイングボーナス『羅刹達と協力して戦う』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 羅刹は猟兵ほど強くありませんが、周囲の地形を熟知している為、地形を利用した戦術を考えてくれそうです。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 集団戦 『うわばみ』

POW   :    噛みつく
【鋭い牙】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    巻きつく
【素早い行動】から【巻きつき攻撃】を放ち、【締めつけ】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    炎を吐く
【体内のアルコールを燃焼した炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 東海道御油宿から延びる鳳来寺道を進み、鳳来寺に至る――。
 篤信な参詣者を集める鳳来寺は、伽藍が改築されるなど徳川幕府の手厚い庇護を受けていたが、これらの社殿が羅刹によって守られていると知る者は余程居ない。
 羅刹らは人知れず山里に棲み、峻嶮な石嚴を師と仰いで修行に明け暮れていたのだが、当山が猟書家・今川義元に狙われる事になったのは奇縁か宿命か、危急存亡の秋は積年の恨みが籠められた矢文によって知らされた。
「長、仁王門に刺さった矢に文が括られておりました」
「矢とな!? 霊木に護られる参道を、一体どうやって……!」
 其は今川が射た必中の矢。
 彼の花押が記された文は、嶮しい参道を飛び越えて仁王門に突き刺さったのだが、次は仁王門を更に越えて本堂を狙うと書いてある。
「むむむ。海道一の弓取りが、桶狭間の雪辱を果さんとしているというのか……」
 慥かに、織田を桶狭間へと手引し、今川を討たせたのは、徳川の一族をも輩出した我等が羅刹の仕業であったが、本人が報復に来るとは寝耳に水。
「ふむむ……相手は卓越した弓の名手……どうすべきか……」
 暫し思案する羅刹の里の長。
 伝令が次々と駆け込んだのは、それから間もない。
「長、山の麓に何やら怪しげな瓢箪がありまする」
「大変です! 瓢箪から大蛇が次々と出て群れを成し、参道を登って参ります!!」
 人ならざる怪異が、攻めて来る――!
 複数の偵察の話を纏めると、今川は「二の門」から見える参道の入口に陣取っており、地に置いた瓢箪から大蛇を大量に召喚して参道から攻めさせると同時、自らはその場から矢を射掛け、羅刹の迎撃を牽制しているという。
 大蛇は巨躯のあまり木と木の間を抜ける事は叶わず、参道を登ってくるしかないので、里の者達は森に潜んで参道を來る敵を待てば、矢から身を守りながら敵を討つ事が出来るのだが……果して、尋常の力で異形の怪異に敵うだろうか。
「むむむむむぅ……万事休すか……!!」
「長!!」
 里の者達が死の気配を感じ取った、その時――。
 本堂に飛び込む矢を手折って現れた猟兵が、「待った」の聲を掛けた。
青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)

性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう

戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風

雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします


ティー・アラベリア(サポート)
家庭用人形ティー・アラベリア。ご用命を受け参上致しました!
わぁ!今回は敵がいっぱいなのですね!
沢山燃やして、皆様の戦闘をご支援します。
ふふふっ、楽しみですね!

・基本行動
火力支援によって、他の猟兵の活躍をサポートするように行動します。
魔導波探信儀の偵察・索敵・地形把握機能で取得した敵味方の位置情報と地形情報と連動させ、92式魔杖による広範囲の火力投射(援護射撃・制圧射撃)によって味方の行動を援護します。
その他、必要に応じて90式魔杖を使用した狙撃、95式魔杖を使用した対空戦闘を実施します。

・UC使用
支援が必要な場合:突撃破砕魔導射撃
火力が必要な場合:砲撃妖精突撃射撃

※アドリブ・連携歓迎です※


フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」

◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。

◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも


フィオリナ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
普段から冷静沈着で人当たりが良く優しいお姉さん。
実は猫と弟を溺愛する困ったさん。隠しているつもりが割とダダ洩れ
口調は「私~だわ」「私~かしら」『下の名前+さん付け』
胸にトラウマがあるため巨乳の敵には容赦しない。絶対に。

◆戦闘
オートフォーカスで敵をロックオンし、遠距離からの魔法系UCで戦う。
アイギスの盾で相手のUCを相殺したり、敵の弱点に応じた属性攻撃等を
得意とする。フィニッシュはバベルの光が多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。

◆非戦闘
動物と話す等、情報収集を中心にしつつも、ハッキングやシステム破壊等
荒業で対応することも



 参道の両脇に広がる森に潜み、参道を登り来る敵を側面から強襲する。
 本隊が鳳来寺山の里の羅刹達と協力して蟒蛇(うわばみ)の群れを迎撃するとなれば、本殿を狙う今川義元の必中の矢を禦ぐは――サポートを請われた猟兵達だ。

「矢に括りつけられていた文には、本殿を狙うって書いてあったんだよな」
 言って、鳳来寺本殿の正面に立ったのは青原・理仁(青天の雷霆・f03611)。
 積極的に人助けするような柄では無いが、靴底に敷いた眞白の玉砂利に血斑が染むのは忍びなく――畢竟、不器用なぶっきらぼうは、此度も無辜の命を見捨てきれず、手を貸す事にする。
 而して須臾。
 足許に長い睫を落していた射干玉の黒瞳が、義氣凛然と上を向いた。
「……言葉通り、矢面に立ってやるよ」
 必中の矢の発射を止める事は出来ない。
 然し命中を阻む事は出来る。
 鋭利い星眸(まなざし)を遮っていた前髪が漸う明るく、耀ける白金を帯び始めたのは気の所為でなく、我が身中に宿れる厖大な魔力を雷電と迸発(ほとばし)らせた理仁は、【ライトニングアクセル】――本殿目掛けて飛び込む二の矢を雷撃に迎撃した!
「スピード上げていくぜ」
 強弓より放たれる瞬速の矢より速疾(はや)く、輕捷(はや)く!
 理仁は視覚を研ぎ澄まして矢の軌跡を捉えると、振り被った雷拳を強く剛く叩き付け、本殿の扁額に突き刺さる筈の鏃を打ち砕き、その破片を玉砂利に轉がした。

「家庭用人形ティー・アラベリア。ご用命を受け参上致しました!」
 美し金髪に艶を彈き、楚々とカーテシーをするティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)は随分と綽然たるものだが、實の處、優秀なメイド人形は既に情報収集と解析を完了している。
 ティーは『99式防空魔導波探信儀』を偵察に、鳳来寺山の地形情報を細かに集めると、今川の位置や瓢箪が置かれた座標、軍勢の規模や陣形等、有用な情報を仲間と共有する。
 而して今川より放たれる「一射必中の矢」も、湖水の如く澄める青瞳に二度も映せば、軌跡や速度は一縷の曖昧もなく把握できよう。
「びゅーっと飛んできて、どーんと刺さる。こんな感じですね!」
 ばっちりです☆ と莞爾と咲む花顔が眩く白んだのは間もなくのこと。
 花車の躯体に秘められた魔力を澎湃と横溢(あふ)れさせたティーは、敵が引く強弓と全き同じ強弓を繊手に模ると、強度、射角、速度からタイミングまで全て模倣(コピー)した【即席相殺魔術】(インスタント・カウンターマジック)を射た!
「ばーんと相殺です!」
 科白は輕快だが、命中を得た瞬間の衝撃は圧倒的。
 必中の矢と必中の矢が鏃を合わせた刹那、空を衝き上げる様な波動に胸が圧される。
 豊かな金髪を勢い良く梳らせたティーは、本堂の前に堂々正対して、
「さぁ、何射でもどうぞ!」
 悉く相殺して見せましょう、と塊麗の微笑を湛えるのだった。

「里の皆さんは安全な所へ避難を」
「むむむう……ここは一旦、東照宮へ逃げた方が……」
「――いえ、今は猟兵に守られる本殿が最も安全です」
 落ち着いて、と羅刹らを嚮導(みちび)く凛冽のソプラノ。
 聲の主は、フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。
 オブリビオン軍勢の侵攻に動揺する里の者達の心を靜め、鳳来寺本堂の大広間に集めた佳人は、傍らの猟兵に目配せをひとつ、治癒を頼む。
 而して赫緋の麗瞳に結ばれた黄昏色の佳瞳も凛乎と皆々を見渡して、
「偵察に出ていた人に怪我はないかな。ボクが傷を癒すよ!」
 任せて欲しい、と白磁の繊指に『銀月琴ルーナ・プラータ』を爪彈くは、フォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)。
 彼は美し音色を紡ぐや七色の歌声を広げると、里の者達に心の平穏を與えていく。
 動揺が落ち着けば、二人は其々のパートナーにこの場を預け、
「マシューは皆と一緒に居て」
「ルナも、此処に居るだけで皆の力になるから」
 二匹を救ったように、里の者達を、無辜の命を守りたい――。
 必ずや鳳来寺山の騒擾を鎮めてみせると、決然と立ち上がるなり雄渾を萌した姉弟は、爪先を蹴るや本殿の外に躍り出て、次々と射掛けられる「必中の矢」に向き合った。
 目下、仲間の猟兵が幾度と放たれる矢を折っては彈き、相殺しているが、「私達も」と須臾の瞥見で意を通じ合わせた二人が、繊麗の躯に玲瓏と魔力を帯び始める。
「フォルセティ、行くわよ」
「フィオ姉ちゃん、任せて」

 ――全てを貫け、ロンギヌスの槍よ!

 片や淸冽と凍える氷の魔槍を405本、片や霹靂を迸る雷の魔槍を415本。
 代々、宮廷魔術師を輩出してきた名門ソルレスティア家の血統を継ぐ姉弟は、それらを全て収斂して、光り輝く巨大な槍――【ロンギヌスの槍】(ランサ・ロンギヌス)とし、執拗に迫り来る矢を迎え撃った!
 これには如何な剛力に放たれる矢も敵うまい。
 閃爍と煌めく槍鋩に慣性も質量も呑み込まれた鏃は、里の者達が息を呑んで見守る中、玻璃(ガラス)の如く砕け散り、塵と化していく――。

 斯くして本堂が守られたなら、本隊と動く猟兵も心置きなく参道へ走れよう。
 本堂と其処に匿う里の者達を頼む、と聲を置いた猟兵らは、急ぎ山を降りるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

黒瀬・ナナ
エンパイア全ての「羅刹の里」の掃滅を企んでいる、なんて聞いたら安心してご飯も食べられないじゃないの。
よぉし、ここはおねえさんが一肌脱いで頑張っちゃうわよ!

先ずは持ち前の『コミュ力』で『元気』に話しかけ、現地の羅刹さん達に協力をお願い。
広めの場所に誘き寄せられたら、大群をまとめて一気に片付けられそうなのだけれども……何処か良い場所はないかしら?

『視力』と『聞き耳』、目と耳と『第六感』で敵の攻撃の軌道を察知し躱す。
…どうしても無理だったら『気合い』で我慢。痛くても泣かないめげない諦めない!

周囲の羅刹さんや他の猟兵さん達を巻き込まないようにしつつ、
集まってきたうわばみを雷神様の力を借りて纏めて一掃!



 巨蛇の妖異「うわばみ」は、凡そ酒食ある處に現れては其を奪って飲み干すというが、大食いの大酒呑みである黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)が場を同じくする事になるとは、偶然か奇縁か判然らない。
「こんにちはー!」
 本堂に漂流う劔呑を和らげる、氣爽(きさく)なコントラルト。
 心の壁を感じさせぬ明るい聲で里の者達の輪に入った彼女は、葵巴の『天下自在符』を見せて猟兵たる身を明かすと同時、邪を討滅する為の協力を――地形の情報を請うた。
「広めの場所に誘き寄せられたら、大群をまとめて一気に片付けられそうなのだけれども……何処か良い場所はないかしら?」
「ここら辺で広めの場所と云ったら……利修仙人さまの辺りでしょうか」
 狭隘の山岳地に開けた場所は尠いが、仁王門の前にある利修仙人を祀る一画なら或いは――と話す羅刹の言を聽いたナナは、大蛇が本堂に登り至るより速疾く参道を駈け下り、そこで軍勢を迎撃する事に決めた。
「――よぉし、ここはおねえさんが一肌脱いで頑張っちゃうわよ!」
 美し大瑠璃の聲が凛冽を帯び、澎湃と闘氣が溢れる。
 鋭利(するど)い発氣に揺れた前髪の奥、琥珀色の麗瞳が烱々と光を湛えて捉えるは、未だ視えぬ邪――視覚と聽覚、そして僅かに馨る酒の匂いに妖の襲来を察知したナナは、眞紅の鱗甲をぬらぬらと蜿らせながら、ズッズッと這い上がって來る巨蟒(うわばみ)の群れに奇襲を仕掛けた!
「お腹が空いているなら、これをあげる!!」
 側面――ッ!!
 参道は軍勢が攻め込むには自ずと長く細くなる上に、元々細長い大蛇の躯は側面からの攻撃に弱く、先陣はナナの右腕に降ろされた雷神の力に痛烈に楔打たれる。
 目下、匂える花顔は閃爍と煌めく霹靂に白み、
「雷神様、其の御力を……邪を貫き惡を灼く雷光をお貸し下さい――!!」
 わたしはあなた、あなたはわたし。
 今、この右腕は、天を轟かせる雷神様の右腕――!
 丹花の脣に紡がれる祝詞が喚んだ稲妻が邪氣を裂き、鱗甲を打擲して身を痺れさせると同時、巨大化した右の繊臂が豪快に敵群を薙ぎ払う!
 前衛が切り崩されたなら、後続がぬらりと骸を越えて襲い来るが、優れた五感と第六感で巻き付き攻撃を逃れたナナは、巨蛇の海に揉まれながらも雄渾と右腕を振るった。
「エンパイア全ての『羅刹の里』の掃滅を企んでいる、なんて聞いたら安心してご飯も食べられないじゃないの! 此処で確実に止めなきゃ――!」
 無数の蛇が犇々と押し寄せるが、痛くても泣かない、めげない、諦めない!
 ナナは柳眉を顰めながらも義氣凛然と、邪の渦中に霹靂を疾走らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
斯様な時でなければ、幽邃なる山渓を愛で古刹に詣でる楽しみもありましたが。
それは事の畢った後に考えましょう。


まず羅刹の面々に天下自在符を見せ、協力を要請。

兎に角も矢を防ぎ、且つ此方の攻撃を可ならしめる場所が必要です。
身を隠せる大岩や樹木の密な地点への案内を頼み、そこを射座に。

準備が出来れば【怪力】にて矢を絞り、【嵐射】による射撃を開始。
木々の間も潜れぬ大蛇なら、狙いを付けず面で制圧していくのも有効な筈。

付近に他の猟兵がいなければ、案内役殿に密着して貰った上で三連射を放ち、敵のみを射抜いて参ります。

その後は即座に物陰に身を隠し、矢に警戒しつつ撤収。
他の場所へ移動し、残る敵も仕留めていきましょう。



 逆流する大河の如く御坂段を登る軍勢とは逆に、本殿から参道を駆け下りる。
 向かい風に前髪を掻き上げられ、烱々と燿う竜胆色の瞳を暴いた鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は、我が背を追う案内役の聲に従って視線を右手前に投げた。
「お武家様、そこな岩場に利修仙人の祠がありまする」
「成る程、射座に申し分無し……導師の三鬼を從えた神通力に肖りましょう」
 此処こそ今川の矢を禦ぎ、且つ此方の攻撃を可ならしめる場所と、麗瞳は光を湛えて。
 山里の羅刹に『天下自在符』を示し、邪の討滅の為に協力を要請した彼が求めたのは、身を隠せる大岩や樹木の密な地点。
 而して利修仙人の石像前に嚮導(みちび)かれた景正は、鳳来寺の鎮護を誓願して石碑の翳を借りると、五人張りの剛弓『虎落笛』を構えた。
 玲瓏の星眸(まなざし)を矢筈に落としながら、佳脣は眞白の息を零して、
「斯様な時でなければ、幽邃なる山渓を愛で古刹に詣でる楽しみもありましたが――」
 降り立って直ぐに本堂を離れたが、名木・傘杉も仁王門も過ぎた今こそ、脇目もふらず降りた事が惜しまれると竊笑を噛み殺した景正は、自嘲に己を慰みつつ、長い睫を上に、上に、葉陰に覗く蒼穹を仰いだ。
「――それは事の畢った後に勘考えましょう」
 視線と鏃の向く方向は等しく、上空。
 膂力いっぱい引き絞られた剛弓は、ひやうと射放して弓返りするや、無数の矢を穹へ。而して杉の枝葉を潜った鏃は大身槍の穂先と變わらぬ程に巨大化し、間もなく登り來たる巨蛇の群れに槍鋩の雨を降らせた!
「木々の間も潜れぬ大蛇なら、狙いを付けず面で制圧していくのも有効な筈」
 読みは剴切。
 秀でた鼻梁に僅かにも酒の匂いを掠めた刹那、鎮西八郎の強矢が如く【嵐射】を放った景正は、案内役の羅刹に密着して貰った上で神速の三連射を放ち、朱々と繁噴く血煙の中で敵だけを次々と射殺していく。
「おおお、確かにあの長く大きな躯では、雨と降る矢は受けるしかありませぬ……!」
「何より邪の進軍を密にする狭隘(せま)い参道が有難く」
 鳳来寺山の峻嶮を愛でる代わりに感謝を置く景正。
 彼が羅刹と瞥見を交す最中も弦打ちの音は竟ぞ止まず、矢は石穿の雫の如く降り落ち、眞紅の鱗甲を貫かれた大蛇らは、血濡れた躯をぬらぬらと這いずりながら射手を探すが、今川の矢を警戒する景正は一点に留まらない。
 彼は石嚴に足を掛けるや、羅刹が案内する他の場所へ移動して、
「敵軍の進路である参道には出ず、常に翳影から射掛けていきましょう」
「お武家様、次は此方へ」
 と、見事な連携で巨蛇の群れを仕留めていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
【POW】
低地側の不利を覆す程の力、流石猟書家といったところか

UC発動、羅刹達へ協力要請を
神聖な参道を穢し登って来る奴らを退治したい
協力してくれないか

羅刹達へ依頼し中腹に幾らかの篝火を設置
この際〈冥府の槍〉の炎を灯した松明を渡し火を入れる際混ぜて貰う

蛇達は槍で[串刺し、怪力]で蹴り落とし後続の蛇を巻き込む
攻撃は敵の動きを[視力と戦闘知識]で捉え[武器受け]、反撃へ繋げよう
羅刹達には木々等常に物陰からの遠隔攻撃を要請

必殺の矢は篝火に混ぜた己の炎の揺らぎを感じ取り脚と腕に[力を溜め]
槍に盾状に[結界術]の障壁を張り上方へ受け流すか障壁のみ破壊させる

今川の恨み、羅刹達へ届く前に俺が冥府へ送ってやろう



 葵の紋所を見せれば、徳川に縁ある里の者達は跪坐(ひざまず)くだろう。
 然し彼等にこそ立ち上がって欲しいと、須臾に平伏さんとする羅刹達に手を差し伸べた鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)は、その心の内に冥府を結ぶ秘呪を詠唱した。
 一方で音吐となる言は端的に、邪の討滅の為の助力を請う。
「神聖な参道を穢し登って来る奴らを退治したい。皆々協力してくれないか」
 端整の脣を滑るテノール・バリトンは喊ばずとも透徹(すみわた)ろう。
 凡そ感情の色に揺れぬ佳聲は、然し鳳来寺山を守護する羅刹の矜持に烈々と炎を燈し、穢れた躯で侵入せんとする妖を我等が手で排撃せんと、看々雄渾を與えていく。
 彼等の瞳に闘氣の兆を認めた相馬は、継ぐ言に嚮導(みちび)いて、
「低地側の不利を覆す程の力、流石は猟書家といった處だが、為す術は有る」
「獄吏さま、篝火を並べ終えました!」
「ああ、其処にこの松明で火を燈してくれないか」
「これは……青く揺らめく……不思議な火ですな……」
 其は相馬の情念を薪として然える『冥府の槍』の炎を移した松明にて、之を参道の中腹に並べた篝火に混ぜる。
 而して整えられる表参道に迎えられた大蛇の群れは、眞紅の鱗甲をぬらぬらと蜿らせて登り上がる中、仁王門の前に立つ紺青の炎――相馬に進軍を阻まれた。
「文には本殿を狙う、と書いてあったな。要之(つまり)、此処に的は無い」
 海道の弓取を自負する今川の気位の高さを勘考えるに、既に矢文を射た仁王門を的にはしないだろうと読んだ彼は、仁王門周辺にこそ里の者達を潜ませた。
 目下、僅かな酒の匂いに先陣の到達を見切った相馬は、鋭利い牙が迫った刹那に鋭鋩を突き刺し、或いは石突に薙ぎ払って後続に押し返してやる。
「――矢を!」
 先陣が乱れた瞬間には、参道の両側から剛弓を構えた羅刹達が一斉に矢を放ち、相馬の【哭燈火】に強靭を得た鏃が、次々と鱗甲に突き刺さッた!
 間隙なく降り注ぐ痛撃に、大量の巨蛇が血濡れた身を絡め合って蜿打つ景は壮絶だが、相馬は戰いの最中にも沈着と、篝火に混ぜた己の炎の揺らぎを感じ取っている。
 金の烱眼、その煌々と燿う玲瓏の彩は、今川が放つ必中の矢を聢と捉えて、
「通すと思うか」
 然う。
 彼が門番を預って、矢の本堂に向かう事を許す筈が無かろう。
 相馬は槍を胸の前で縦に構えると、須臾に結界を張って障壁を成し、剛力に放たれた矢を強盾の前に相殺した。
 射放の衝撃を身に返し、矢が二つに別れれば、その間には一角の鬼が堂々屹立して、
「今川の恨み、羅刹達へ届く前に俺が冥府へ送ってやろう」
 ――と、冱月の如き金瞳を烱々煌々、樹々の向こうに隠れる首魁を射るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リコリス・ガレシア
無垢で純粋な旅人
戦闘時は天叢雲剣に宿るクールな鬼少女

その場所に不釣り合いな声が響く
「羅刹のみなさん!わたし達も協力するのです!」
元気よく胸を張り
「こう見えて、わたし達は強いのですよ!」

敵の攻撃を受けると同時に帽子が舞い、人格が切り替わる
「……我が主も趣味が悪い」
彼岸花柄の黒着物、般若の面を斜めに被る少女が、隻腕となった右腕に握った天叢雲剣を振るう
「鬼を守り、蛇を斬る羽目になるとはな」
怪力でぶった切りながら嘯く
「首一つの蛇では相手にならん」
UC使用。一振りで9体の蛇を屠る
「亡霊に利用されし憐れな蛇共よ。格の違いを知れ」
『九頭斬り』
飛んでくる必中の矢を斬り落とし
「我が同胞を貴様の好きにはさせんぞ」



 玲瓏の光が解けて影を暴いた時、其の眩さに羅刹達は彼女を仙女と見紛うたものだが、豈夫(まさか)その仙女が鬼神の如く戰うとは思ってもなかったろう。
「羅刹のみなさん! わたし達も協力するのです!」
 本堂に満つ劔呑を払拭する、淸澄のソプラノ。
 佳聲を紡ぐはリコリス・ガレシア(多重人格者の神器遣い・f28348)。
 鳳来寺山の仏法僧らも斯様に美しく囀るまいか、莞爾と頬笑みながら顕現れた旅人は、元気よく胸を張ると、葵巴を記した『天下自在符』に猟兵たる身分を明かした。
「こう見えて、わたし達は強いのですよ!」
 無垢の微咲(えみ)に不安が和らぐが、繊麗の躯に純白のワンピースを纏い、スカートの裾を楚々と揺らして参道を降りる背中は、花車で、可憐で――。
 大丈夫だろうかと数人の羅刹が随行したが、彼等は木々の翳影に隠れる中、その両眼に脅威の景を焼き付ける事となる。
「……少し、お酒の匂いが漂流ってきました」
 洞察に優れたリコリスが、その秀でた鼻梁に酒馨を捉えた時だった。
 ぬらぬらと照る眞紅の鱗甲を擦り付け、圧し合い、宛ら大河の逆流する如く押し寄せた大蛇の群れが、素早く蛇腹を伸ばして襲い掛かる――!
 果して無垢の旅人は巨邪に絞められて畢るか。
 ――否。
 断じて否。
 突貫の衝撃に鍔広の帽子が颯ッと舞い上がり、ブリムに蔭を落としていた長い睫が交睫して間もなく――薄く開いた花脣が佳聲を滑らせた。
「……我が主も趣味が悪い」
 人格が代わったとは、装着者に合わせて變わる『魔導衣』が示そう。
 彼岸花柄の黒着物、般若の面を斜めに被る少女が、珈琲色の麗瞳を漸う赤く赫く、鬼の氣を迸発(ほとばし)らせていく。
「奇縁か宿縁か――鬼を守り、蛇を斬る羽目になるとはな」
 絞めつけられた筈の躯に隙間が出来たのは、隻腕となったからで、左腕の欠損を補っていた神器が『天叢雲剣』へと姿を結ぶや、少女は右腕に其を振り被って我が身に巻き付く大蛇を打切(ぶったぎ)った!!
 濤と繁噴く血潮を浴びた花顔は冷艶として、
「首一つの蛇では相手にならん」
 囁くや刀鋩は一振りで九つの蛇を屠り、長大な躯を泣き別れた首が朱々と宙に躍ると、間もなく上空を飛びゆく必中の矢に刺さる――!
「亡霊に利用されし憐れな蛇共よ。格の違いを知れ」
 蛇頭を貫いて落ちた矢を草履の底に組み敷いた少女は、赫緋の麗瞳を烱々と、
「我が同胞を貴様の好きにはさせんぞ」
 参道の先の先、大将・今川が滾らせる邪氣を睨め据えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
階段をゆっくり下って。
蛇共は階段をズルズルと登って来やがるが、手を合わせに来たって訳じゃねぇよな。そもそも手ねーか(笑)
新年の酒盛りか?飲食はどうなんだ?あー…帷に聞いておけば良かったぜ。

二丁銃を引き抜いて【クイックドロウ】で先頭の数匹を撃ち抜き、【挑発】して視線を俺に集めるぜ。
羅刹共は側面から攻撃すりゃ良い。注意は引いてやる。──最もアンタらに出番があるかは疑問だが。
チンタラしてると此処の参拝者は俺が頂いちまうぜ?
UCで周囲を消し飛ばす。多少石段に焦げ跡は残るが。ま、これぐらいは勘弁してくれよ?
飛んできた矢は視界にも納めず、撃ち落とす。
──そう慌てるなよ。今川義元。せっかちな男はモテないぜ?



 狭隘の参道、1,425段ある御坂段をゆっくり下る。
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)も撃手なれば、「次は本殿を狙う」と文に認めた今川が、“海道の弓取”たる矜持を棄てて「的」以外を狙うとは考えられず、本殿の位置や射角を意識して下れば、決して当たる事は無いと艶笑(えみ)を浮かべる。
 スッと通った鼻梁は、僅かに馨れる酒の匂いを鋭敏(するど)く感知して、
「――扨て、蟒蛇共が表参道口からズルズルと登って来やがるが、信心深く手を合わせに来たって訳じゃねぇよな。そもそも手、ねーか」
 両手を翩翻(ヒラリ)と飜し、竊笑を噛み殺す。
 諧謔を零して細めた麗瞳は蓋し玲瓏の彩を烱々と、間もなく木々の間に覗く眞紅の鱗甲を捉え、硬質の指を腰へ――ダブルホルスターへと滑らせた。
「一家総出で新年の酒盛りか? お前ら飲食はどうなんだ? あー……帷に聞いておけば良かったぜ」
 何故なら、死人に口無し――死に往く巨蛇に食む口も無いからだ。
 大蛇が鎌首を擡げ、鋭牙を剥き出した瞬間に『双魔銃 オルトロス』を抜いた麗人は、魔犬の口に閃爍を彈くや丫(ふたまた)の舌を射抜き、脳天を撃ち、鋭利い銃聲の後に血の雨を降らせた。
「そら、先頭が崩れた」
 云った瞬間、ひやうと風を切る音が語尾に被さる。
 参道の中腹、霊木の翳影に潜んでいた里の者達が、敵戰列の乱れた隙に一斉に射掛け、長大な躯に次々と矢を沈めたのだ。
「木の間も抜けられない巨躯だ、側面から射れば必ず何処かに命中る」
 嘸かし射手は心地良かろうと口角を持ち上げたカイムは、双頭の魔犬の咆哮を鳳来寺山に轟かせ、蟒蛇(うわばみ)の底無しの健啖に鐵鉛を饗していく。
「──最もアンタらに出番があるかは保障出来ないな。俺も“ご利益”には与りたいし、チンタラしてると此処の参拝者は頂いちまうぜ?」
 羅刹の負けん氣は扱い慣れている。
 カイムは小気味佳い流瞥(ながしめ)を葉陰に注ぐや、須臾に佳顔を目眩く白ませ、【紫雷の銃弾】(エクレール・バレット)――! 紫雷を纏った銀の銃彈の嵐に、大蛇の群れを灼き尽くしたッ!!
「ちぃと焦げ跡は残ったか……ま、これぐらいは勘弁してくれよ?」
 悪ィ、と視線は焦熱の跡を捺擦(なぞ)る一方、オルトロスの砲口は上に――本堂へと放たれる必中の矢を撃ち落とす。
 而して力無く落ちる矢の破片を眼路に映したカイムは、漸う睫を持ち上げ、
「──そう慌てるなよ。今川義元。せっかちな男はモテないぜ?」
 と、参道口に据わるであろう首魁に挑発的な艶然を注いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
位置を把握できるのはお互いに
あとはどちらの戦力が勝るか、ですね

羅刹達に話し掛け、今川の弓を防ぐ、または身を隠せる所を聞く
戦いに利用できる場所がないか聞いておき倫太郎と共有

早業の抜刀術『神嵐』を羅刹を狙っている敵を優先
次に倫太郎が狙っていない敵の順で使用
2回攻撃を活用、一撃で封じられない時は二撃目も同じ敵
一撃で封じられた時は他の敵を狙う
その後は動けない敵を追撃、複数ならなぎ払いで一掃
羅刹達に戦える者が居れば追撃を要請

攻撃後は速やかに身を隠し、再び攻撃の繰り返し
敵の攻撃は武器受けにて防御、力が強く防げない場合は残像にて回避
今川の弓に警戒し放ってきた時は視力と見切りの武器落としにて矢を落とす


篝・倫太郎
【華禱】
ご丁寧に石段使って来てくれンのはありがてぇけど
こいつは狙い易いが狙われ易いのが難点か

守護職の羅刹達に
身を隠しやすい場所や迎撃に適した場所
風の流れの癖なんかを確認
夜彦と情報共有

拘束術使用
敵が射程内に居るのを確認し
石段脇の木々の間から鎖での先制攻撃と拘束
同時に衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で
なぎ払いからの範囲攻撃

一か所に留まる事の無いよう
ジャンプも利用して立ち回り

敵の攻撃は懐に入らなきゃ、入れさせなきゃ問題ねぇだろ
寧ろ、今川の援護射撃が厄介だな

援護射撃は第六感と聞き耳を元に見切りと残像で回避
念の為、拘束術の鎖で射線をずらすようにし直撃回避
オーラ防御とジャストガードで防ぎ
武器受けで受け流す



 凡そ峻嶮な山岳地は攻めるに嚴しい難所だが、低所且つ狭隘の参道から進軍する不利を取って猶も羅刹の里を討滅せんとするとは、余程の恨みがあるに違いない。
「――徳川と縁ある此処なら尚更か」
 天下自在符に記される葵巴を琥珀色の烱瞳に捺擦(なぞ)る。
 里の者達に協力を要請し、彼等に鳳来寺山周辺の地形や気候、そして現況を具に聽いた篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、我が手元からつと視線を移した。
「今川も随分と力で押して来る。まるでゴリ押しだな」
「甲斐の虎の力を――“侵掠如火”を頼みにしているのでしょうか」
 先の大戰で刃を交えた信長の信玄装を否應にも思い起こす、と――。
 山中に漂流う劔呑を感じつつ、靜かに答えるは月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)。
 倫太郎と共に羅刹らに話し掛け、身を隠せるような翳蔭を借りたいと願い出た夜彦は、仁王門を更に下った利修仙人の祠が剴切だろうと言う助言に従い、目下、軍勢が迫るより速く御坂段を駆け下る。
 二人は颯と疾走りながら一瞥を交して、
「ご丁寧に御坂段を登って来てくれンのはありがてぇけど、参道は狙い易いが狙われ易いのが難点か」
「お互いに位置を把握できるのなら、あとはどちらの戰力が勝るか、ですね」
 上等だ、と靜かに闘志を燃やす。
 これまでサムライエンパイアに侵攻する猟書家幹部を幾度と撃退した倫太郎と夜彦は、此度も侍の國を守って見せる、と烱瞳に燈る光を結んだ。
 而して二人が利修仙人の祠に至った時である。
「この時分、風は麓から吹き上がると言っていたが……酒の匂いが混じってるな」
「成程、瓢箪から出ただけはあるようですね」
 近い、と須臾に目配せを交し、石碑の翳に身を隠す。
 翳影から覗き見れば、眞紅の鱗甲をぬらぬらと蜿らせながら、ズッズッと這い上がって來る巨蟒(うわばみ)の群れが捉えられよう。
「倫太郎」
「ああ、任せろ」
 狙いは、先陣が石碑を横切って直ぐ――木と木の間も抜けられぬ巨躯が、その長い長い身を晒す瞬間だと意を通じ合わせた刹那、先ずは倫太郎が仕掛けた。
「――通りゃんせ、とはいかねぇな!」
 影もなく音もなく放たれるは、災禍を縛す【拘束術】!
 狭隘の参道に長大な躯を犇かせて進む大蛇の群れを、不可視の鎖に纏めて縛したなら、捩じ切られる程の衝撃が腕に伝わるが、膂力を振り絞り、拇指球を踏み締めて堪える。
 ギチギチと力が抗衡する中、倫太郎は次撃を促して、
「夜彦!」
「承知」
 而して夜彦も心得たものだ。
 竜胆の劔士は應じるや否や、霞瑞刀[嵐]の蒼銀と耀ける刃を暴いて【神嵐】――!
 美し刃紋に破魔の氣を滴らせた霊刀が一閃、倫太郎と鬩ぎ合う大蛇の鱗甲を斬って角逐を解くや、刃を返して疾走った斬撃が視認する全ての鎌首を斬り落とした!
 血の雨が紅き骸を叩く中、更なる後続がどろどろと這い出ずる惨憺が眼路に広がるが、その後続を掣肘するは矢の雨――羅刹の戰士達で、参道の両側に隠れた弓兵が次々と矢を射掛け、蛇の進軍を堰き止める。
「木と木の間も抜けられない巨躯です。射れば当たるというもの」
「ああ、これも“必中の矢”だ」
 眞紅の雨が肌膚を濡らす中、小気味佳く艶笑(えみ)を結ぶ夜彦と倫太郎。
 初撃に大打撃を與えて敵の進軍を楔打った二人だが、彼等は血に滑る石嚴を蹴って狭隘の戰場を飛び渡り、一か所には留まらぬ注意深い立ち回りで優勢を奪っていく。
 彼等が参道に躍り出る時は殊更の警戒を敷こう。
「今は寧ろ、今川の援護射撃が厄介だな」
「本堂からの位置を忘れなければ、回避は叶う筈です」
 然う。
 今川は先の矢文で「次は本堂を狙う」と寄越して来た。
 “海道の弓取”を自負する男が的を違える事は無し、必中の矢が常に本堂を狙い続けるなら、此方はその射線に入らなければ佳い。
 そして、軌道が読めるなら、必殺の矢とて本堂に向かう間に手折れよう。
「倫太郎、あれを縛められますか」
「勿論、災いを齎すものは何でも」
 其は『至る可能性』を悉く断つ男には易い仕事。
 刻下、宙に投げられた不可視の鎖が剛弓に放たれた矢を拘束すれば、その見事な手並みに塊麗の微笑を注いだ夜彦が、刃鳴一閃、矢を二つに別って落とす。
 而して力無く御坂段に落ちる矢を見た倫太郎は、夜彦の腕を褒めて、
「いい腕だ」
「倫太郎こそ」
 ニッと結び合う微咲(えみ)の妙々たること。
 倫太郎と夜彦は今川が射放した矢を足許に組み敷くと、再び爪先を彈いて今度は上に、上に――高き霊木の葉陰から拘束の鎖と破魔の刃撃を叩き込み、羅刹らが射る矢と併せて巨蛇の進軍を駆逐していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
わたしも、生まれ故郷はこの世界の羅刹の里の一つ。
全くもって他人事ではありません。
……ええ、お父様やお母様たちを、かつての『私』と同じにしてたまるものですか。
(※『私』=前世の自分。自身の転生時に零れ落ちた魂の欠片がオブリビオンと化して襲ってきた経験あり)

羅刹のみなさんには一度隠れてもらい、わたしは堂々と身を晒して「仕留めの矢」の狙いを集めます
そこで【闇の精霊さん】にお願いして飛んできた矢を悉く吸い込んでもらいます
矢が効かないとなれば大蛇が来るでしょうが、そこで先程射かけられた矢を吐き出してもらえば、大蛇に打撃を与えつつ、矢を放つのを牽制できるはずです
後は羅刹の皆さんと協力して掃討に当たります



「みなさんは本堂の中に隠れていてください」
「むむぅ、角を持つ同胞よ。ワシらシュッと走って東照宮に逃げることも出来るぞ?」
「長老さま、沢山の猟兵に守られる此処が一番安全です」
 わたしが守ってみせる、と佳瞳は玲瓏の彩を湛えて――。
 劔呑の満つ鳳来寺本堂、不安気な表情で集まった羅刹達に決して扉を開けぬよう伝え、自ら正面に出た荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は、玉砂利を敷いて深呼吸をひとつ。
 言葉通り矢面に立った少女は、淸けし音を彈く玉石に血斑は染ませぬと凛然を萌すと、己が周囲を巡る精霊たちに凛乎と囁いた。
「わたしも、生まれはこの世界の羅刹の里の一つ。全くもって他人事ではありません」
 数奇な運命を辿って育ちを違える事となったが、父母は侍の國に在る。
 祖父の御霊もこの地で靜かに(?)眠るのだと、スッと長い睫を持ち上げたひかるは、草木の精霊が伝える不穏――今川が射た「必中の矢」の接近に朱の鼻緒を踏み締めた。
「……ええ、お父様やお母様たちを、かつての『私』と同じにしてたまるものですか」
 ――私。
 嘗て少女は、転生時に零れ落ちた魂の欠片がオブリビオンと化した「もう一人の自分」と邂逅し、戰い、彼女を倒して再び一つとなった訳だが、本当のひかるとなった今こそ、もう誰も骸の海を潜らせたくないと思う。
 風の精霊が間もなく矢が到達すると報せたなら、合点(こっくり)と首肯いたひかるは闇の精霊にぺこりと一礼し、周囲に幽昏の闇を広げて貰った。
「お願い、闇の精霊さん! 飛んでくる矢を全部吸い込んじゃってください!」
 発動、【闇の精霊さん】(ダーク・エレメンタル)――!!
 “海道の弓取”を自負する今川が的を違える事は無いと、その矜持を読んだひかるは、扁額へと結ばれる矢の軌跡に「指向性ブラックホール」を展開し、次々と射掛けられる矢を悉く吸い込んで貰う。
「沢山吸い込んだら……今度は吐き出してください! お返しします!!」
 而して時空の狭間に吸い込まれた必中の矢は、的を變えて闇より出ずる。
 標的は――辛うじて御坂段を登って来た蟒蛇(うわばみ)!!
「これで本殿を守りながら、大蛇に打撃を与えられる筈です」
(「おおおおぉぉー!」)
 大将今川の矢に倒れる大蛇には、思わず里の長老が驚嘆を零そう。
 扉を開けぬよう言われたものの、一角の娘が心配で心配で心配だったおじいちゃんは、格子窓からコッソリ外の様子を伺っていて、コッソリとガッツポーズをキメる。
(「遙か昔、天才軍師が草船で矢を借りたと聽くが……娘はそれ以上じゃ!!」)
 長が無音の喝采を見せれば、広間で身を寄せ合っていた女子供も漸う勇気を得る。
 斯くして羅刹らは同胞の活躍をコッソリと、コッソリと応援するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
徳川殿様縁の寺か…念入りに狙われそ
寺山の坊さん方?助太刀するよ
オレも羅刹だからねェ

羅刹達
>石や材木他樽や桶に詰めて階段上から転がし敵にぶつける物を作る?と提案
・毒入り酒
・火薬と瓦礫詰めに導火線付けて点火するやつ
あり合わせ作り方を提示
オレの【毒使い/罠使い】知識で何個か作れるかな

オレは森の地形を訊いて【地形の利用】
此方の視界条件良い地点の樹上から標的を多めに捕捉
UC発動ためクナイ、手裏剣を複数【念動力/投擲】命中狙い
UCで動きの鈍くなった蛇から攻撃しクナイでトドメを【暗殺/忍び足/毒使い】

>今川の矢
【野生の勘/情報収集/聞き耳/視力】で躱し
被弾は動けない蛇を盾にしたり【激痛耐性】で凌ぐ

アドリブ可



 己が猟兵たる身分を明かし、里の者達の協力を取り付けるに見せた『天下自在符』にも葵巴が記されているが、鳳来寺を護る彼等こそ徳川の庇護を得る縁者だ。
「徳川殿様縁の寺か……念入りに狙われそ」
 恨みは深そうだと、矢に結ばれた文を読む鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)。
 峻嶮な山岳地は攻めるに嚴しい難所だが、低い参道口から狭隘を通って進軍する不利を取って猶も羅刹を討滅せんとするとは、盟友・武田の力を頼みにしているのか。
 トーゴは溜息ひとつ吐くと、今川の花押より目を外して、
「――遠慮なく高所の有利を取らせて貰うか」
 云って、不安気な面持ちで己を見る羅刹らに、里にある資材を確認し始める。
「石や材木を集めて、樽や桶に入れよう。これを御坂段から轉がす」
「大蛇らにぶつけると?」
「何せ奴等、地を這うしかないからな」
 言いながら周囲を巡る赫緋の烱瞳は冱々と、不圖(ふと)酒樽を見つけると、此度の敵――蟒蛇(うわばみ)にはもってこいだと毒を入れる。
 其は歴戰を経て積み上げた知識と経験の賜物か、トーゴは羅刹と共にその場にある資材で罠や兵器を作り上げ、それらを仁王門から次々と蹴り落とさせた。
「木と木の間も抜けられない巨躯だ、躱しようも無いだろ」
 読みは至当。
 眞紅の鱗甲をぬらぬらと蜒らせ、長大な躯を圧し合って参道を登って来た蛇の群れは、轉がり落ちる樽に顔面を打たれ、毀損(こわ)れて飛び散る毒入りの酒を浴び、導火線に結ばれた火が炸裂させる瓦礫には血を吐くしかない。
「扨て、オレも行こうか」
 前衛が大きく乱れた時には、トーゴ自身が爪先を蹴って上へ、上へ――広い視野を確保できる樹上より眞紅に波打つ蛇の群れを組み敷くと、その手に暗器を馴染ませた。
「毒酒で存分に酔ったろ。千鳥足を踏むにも肢は無し、毒菱の庭で瞑りな」
 千鳥砂嘴ひと刺し浅しニワトコに、天地五感を掠め狩る――其は【千鳥庭】。
 音もなく影もなく投げられたクナイと手裏剣は、大蛇に無数の傷を創るも痛痒は無し、然し三半規管を狂わせる毒が漸う死の床へ、巨躯を激しく蜿打たせる。
 夥多しい数の蟒蛇が犇く景は壮絶だが、トーゴは眉一つ顰めず惨憺に飛び降り、
「必中の矢は本殿に結ばれた儘――射線さえ遮らなければ命中らない」
 優れた感と勘、そして常に本堂の座標を把握していれば十分に回避できよう。
 後は動きの遅鈍くなった蛇から順にトドメを刺すだけだと、素早くクナイを疾走らせたトーゴは、端整の脣から低く鋭利いテノールを零して、
「オレも羅刹だからねェ。そらこっちに味方するよ」
 と、まだ温い巨骸に言を置いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
たかが蛇ふぜいが、いっちょ前に軍隊気取りか?
お前らごときじゃ俺は満足できねぇ。武田の軍略もくそもないな。これじゃ

覇気を全開にして怯ませて、こちらに気を引きつつ、ダッシュで距離を詰めて捨て身の一撃で斬り捨てる
噛みついてこようとしたら、グラップルで上顎を腕で、下顎を足で止めて、そのまま力任せにうわばみの口から引き裂く
義元の矢は軌道を見切り、残像で避けつつ、うわばみを壁にして同士打ちを狙う
「蛇ふぜいが勝てると思ったか?おめでたいな。お前らごときじゃ俺は満腹にもなりゃしねぇよ」



 孫子に通じた武田と盟を結び、それでいて高所を下から攻めるか。
 凡そ峻嶮な山岳地は攻めるに嚴しく、狭隘の参道を通って進軍する不利は明らかだが、劣勢を呑んで猶も羅刹を討滅せんとするとは、余程恨みがあると見える。
 然う。
 あるのは恨みだけだ。
「――武田の軍略もくそもないな。宛如(まるで)匹夫の勇だ」
 参道を駆け下りつつ、竊笑を噛み殺すは御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)。
 柳葉の眉に触れる前髪は、この時分は麓から吹き上がるという涼風にさやと揺らされ、スッと通った鼻梁は、その風に乗る僅かな酒の匂いを捉えている。
 軍勢が近いかと烱眼を絞れば、眞直ぐに伸びる杉の木の間からは紅き長蛇の群れが――眞紅の鱗甲をぬらぬらと蜒らせながら、ズッズッと参道を這い上がる蟒蛇(うわばみ)の侵攻が見えた。
 夥多しい数の大蛇が犇く景は壮絶だが、刀也は之に片眉を持ち上げ、
「たかが蛇ふぜいが、いっちょ前に軍隊気取りか? お前らごときじゃ俺は満足できねぇって、そのバカでけぇ図体に刻んで遣るよ」
 云って、覇氣を迸発(ほとばし)らせる。
 大風の颯々たる、瀑布の澎湃たる、炎の烈々たる闘氣が堂々正対すれば、蛇は否應にも惹き付けられよう。
 底無しの健啖が垂涎して飛び掛かれば、刀也は一氣に爪先を蹴って大蛇へと急接近し、【剣刃一閃】――ッ! 不屈の獅子の如く煌めく『獅子吼』の冱刃に斬り捨てた!!
「蛇ふぜいが勝てると思ったか? そりゃ随分とおめでたいな」
 しとど返り血を浴びて間もなく、鋭眼が別なる個体を捉える。
 ズル、と崩れ落ちる巨躯を乗り越えて現れた大蛇が鎌首を擡げるより速疾(はや)く、強靭な膂力で上顎を摑んだ刀也は、素早く下顎に足を掛けて押し留め、そのまま力任せに引き裂く!
 夥多(おびただ)しい血と肉が身を叩いて落ちるが構わない。
 刀也は朱に染まる視界から烱々と青瞳を燿わせ、
「お前らごときじゃ俺は満腹にもなりゃしねぇよ」
 と、愈々鏖殺の氣を横溢(あふ)れさせていく――!
 今川が放つ必中の矢は、彼が文に宣言した通り本堂に的を結んでおり、本堂の位置から軌道を読めば回避出来るし、射線に巨蛇を招けば矢に討たせる事も叶おう。
 刀也は大蛇の海を踊って鮮血の波濤を噴き、
「俺を満足させるなら、憑装でなく甲斐の虎を寄越せよ」
 と、血も拭わずに嗤笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月隠・望月
鳳来寺、ここは鍛錬によさそう……だが、それは後。
今川義元の羅刹の里掃滅の企みはわたしにとっても他人事では、ない。鳳来寺山の羅刹たち、今川の撃滅に力を貸してほしい。

今川義元の矢に備え【式鬼・鴉】を上空に飛ばそう。鴉とは五感を共有している、ので仕留めの矢の軌道を空から見られるだろう。矢が当たる位置を【見切り】、回避したい。羅刹たちに矢が当たりそうな場合は無銘刀を盾にして【かばう】(【武器受け】)

今川の蛇は参道を登ってくる、とのこと。参道の敵を狙撃するのによい位置があれば教えてもらいたい。
蛇の動きを阻害するよう銃撃し(【制圧射撃】)侵攻を遅らせたい。
蛇の炎は、氷術を籠めた弾を撃ち込んで消火しよう。



 峻嶮な山岳地に切り開かれた、1,425段の御坂段。
 多くの参拝者を迎えながらも、幽邃の深林に漂う霊氣は淸冽を解かず、我が肺腑に満つ淸澄なる空気に何処か懐かしさを覚えた月隠・望月(天稟の環・f04188)は、参道を囲繞(かこ)む山林に漆黒の麗瞳を巡らせた。
「……鳳来寺、ここは鍛錬によさそう……だが、それは後」
 ぽつぽつと、平淡に零れるあえかなソプラノ。
 丹花の脣を擦り抜ける佳聲に凡そ感情の色は無いが、彼女も或る忍の里の若頭なれば、サムライエンパイアに侵攻する猟書家の、特に今川義元の羅刹の里の掃滅は、決して他人事では無い。
 彼女は鳳来寺山の羅刹達に、葵巴を印す『天下自在符』を見せて協力を要請し、
「今川が放った蛇は、御坂段を登ってくる、とのこと。参道より來る敵を狙撃するのに、佳い位置があれば、教えてもらいたい」
「ふむぅ……それなら利修仙人の祠が良かろうと」
 霊木・傘杉を下り、仁王門を潜った先に利修仙人を祀る場所がある。
 峻嚴の岩肌が剥き出た其処なら、幾許か空も見えようと言う里の者に從って参道を駆け下りた望月は、件の場所に辿り着くなり『式鬼・鴉』を上空へと飛ばした。
「――これで、矢の軌道が空から見られる」
 目下、彼女の射干玉の麗瞳は、黒翼を広げる使い魔と五感を共有している。
 鴉が葉陰を抜けて高く高く舞えば、優れた視力は今川の位置さえ捉えられよう。
 而して望月は“必中の矢”の射放のタイミングから射角、速度の全てを見切って、
「……文に認めた通り、狙いは本堂……か」
 矢張り、“海道の弓取”を自負する男はその矜持を――的を違えぬ。
 結果に結ばれた射線を遮らねば回避が叶おう、と交睫ひとつして視覚を變えた望月は、烱眼を地上に、幾許か酒の匂いを連れて迫る蟒蛇(うわばみ)の群れを射た。
 紅き鱗甲をぬらぬらと、ズッズッと這い登る長大な躯を映す黒瞳は玲瓏の彩を煌々と、白磁の繊手に握り込めた『霊子小型拳銃・壱式』に霊氣を籠める。
「木と木の間も抜けられない巨躯なら、何処にでも命中る、だろうが……」
 云って、石碑の翳影から瞬速の銃彈を一氣に撃ち込む――!
 侵攻を遅延(おく)らせるなら陣頭を制圧すべきか、望月は大蛇が猛炎を吐くより先、氷術を籠めた冱彈を以て頤を砕き、擡げた鎌首をぐったりと石段に沈める。
 参道に潜む羅刹には、いざという時には『無銘刀』を盾に差し出す用意もしているが、味方の骸に進路を阻まれた無数の大蛇の渦動を見るに、潜んでいた方が良いだろう。
 望月は広い視野を得ながら冷靜に怜悧に戰況を読んで、
「火が回るより速疾(はや)く駆逐する。蛇は……この場で、始末する」
 仁王門も潜らせぬ――と、鋭眼を烱々と輝かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
性懲りも無く現れたか……
何度戻ろうとも同じ末路を辿る事すら理解出来んとは
能々出来の悪い頭だと見える

元より地の有利はあるが、より活かしたい
曲がるとなれば速度が落ちよう――そういった地点への案内を頼めるか
後は森の中から出来る事をしてくれれば良い

此れより先、一段たりとも上らせん
――破群領域、悉く的と知れ
集中させた勘を以って、音に気配、風の流れを計り読み
飛来する矢は叩き落とし
蛇共は曲がる点より姿の現れる瞬間を叩き潰して呉れよう
此の刃はお前達の身丈よりも遥かに先から届く
逃れる事なぞ叶わんぞ――疾く潰えろ

寺を襲うなぞ、己を破った何処ぞの残骸と同じ真似だと気付かんのか
愚かな愚行、果たされる事なぞ有り得はせん



 海道一の弓取りたる今川義元も、これまで幾度と猟兵の手で骸の海に還されたろうが、何度も同じ末路を辿る愚も、記憶を浄われて生前の恨みは浄われぬ不毛も、オブリビオンの稟性(さが)と謂うなら――これほど淺猿(あさま)しい事は無い。
「性懲りも無く現れたか……能々出来の悪い頭と見える」
 佳脣を滑るハイ・バリトンに溜息を混ぜる鷲生・嵯泉(烈志・f05845)。
 連中の白痴に付き合うのは猟兵たる己だけで十分、里の者達を危険に曝す事も無いと、今川軍の撃滅を預った彼は、1,425段ある御坂段のうち「傘杉」の辺りで軍勢を迎え撃つ事にした。
「孫子に通じる武田を憑装して低地より攻めるとは、余程力があるか恨みがあるかだが、元より此方に有る地の有利は、より活かすべきだろう」
 嵯泉が選んだのは、参道が蛇のように蜿蜒を見せる傘杉周辺。
 どれだけの大軍で押し寄せようと、道が曲がれば速度は落ちようと霊木の翳影を借りた彼は、秀でた鼻梁に僅かに酒の匂いを捉えると、間もなく陣頭を捉えた。
「酒気を帯びて参道を登る不届き者が本堂を拝めると思うな。此れより先、一段たりとも上らせん」
 この時分は風が麓から吹き上げると聽いたが、軍勢の到来を示す振動も、邪の気配も、感と勘を研ぎ澄ませば手に取るように判明る。――然う、腹立たしい程に。
 嵯泉は鋭き隻眼に赫々と火色を燃やすと、幾分にも速度の落ちた軍勢の先頭に目掛けて『秋水』を抜刀し、白銀と耀ける刀身を長く、長く、鞭の如く延した刃を叩き付けた!
「――破群領域、悉く的と知れ」
 言は怜悧に、撃は苛烈に。
 鞭と化した刃は美しく刃紋を躍らせるや、半径96m圏内に捉えた蟒蛇の巨躯を乱打し、眞紅の鱗甲を朱く赫く斬り刻んでいく――!
「此の刃はお前達の身丈より遥かに先から届く。逃れる事なぞ叶わんぞ――疾く潰えろ」
 参道が曲がる地点より蛇の吻が現れた瞬間が死の淵。
 白蛇の如く形態移行した『秋水』が軍勢の先頭を切り崩せば、葉陰に潜んでいた羅刹の弓兵が次々と矢を射掛け、骸の山を築いて更に進軍を阻んだ。
 而して今川の矢は如何だろう。
 嵯泉は烱眼を巨蛇に繋いだ儘、刃鳴一閃して矢を叩き落とし、
「矢文で『本堂を狙う』と誓った男が矜持を違える訳も無し――」
 然う。
 常に的と狙い続ける本堂の座標を把握していれば、軌跡を読むのは容易いと、ひやうと波打つ刃が命中を許さない。
「寺を襲うなぞ、己を破った何処ぞの残骸と同じ真似だと気付かんのか」
 嵯泉は今川が最も嫌うであろう男を引き合いに暴虐を咎め、
「道理に非ざる愚行、果たされる事なぞ有り得はせん」
 と、参道口に控えるであろう首魁を睨め据えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と連携を。
『兼元』の大刀で【地擦り一閃『伏雷』】を使用です。
まず多重詠唱で威力と速度を身体の限界まで上昇させて。
限界突破とリミッター解除で更に底上げしてから仕掛けます。
速度と威力維持に継戦能力を。斬る直前に重量攻撃と破魔を。

仕掛ける方法は参道周辺の茂みと木々を利用します。
参道を駆け下りる形でジグザグに移動しつつ斬り捨てます。
道幅にも寄りますが高速移動しつつ攻撃は可能だと考えます。
本来全力ダッシュは困難ですが悪路走破でなんとかなるかと…。

義元の矢も狙っているようなので走破方法に工夫を加えてみます。
ジグザグ走破の途中で直進してみるとか。残像を生みながらとか。
思い付きで。


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と協力。
大蛇は厄介だけどそんなに難しくなさそうかな。
一番の問題は狙撃の名手っておっちゃんだねぃ。
僕は狙われちゃう可能性高そうだからなぁー。
とにかく墨ねーだけでも対応できるからよかった!

限界突破した状態で封印を解いた【紅妃舞】発動!
舞う紅の花弁を参道一帯に幕みたいに展開させるよ。
これで少しは狙撃がやり難く…なればいいな…。
大蛇さんもこの花弁ですぱぱーっと攻撃だよ。
墨ねーの刀の方が切れ味鋭いからサポートを中心にv

僕自身はそんなに動かずに建物とか樹の影に隠れてる。
考えられない場所から攻撃とか流石にないとは思うけど…。
もしもに備えて周囲を厳重警戒しておくね。う!



 凡そ峻嶮な山岳地は攻めるに難く、狭隘の御坂段を登って進軍する不利は明らかだが、劣勢を呑んで猶も羅刹を討滅せんとするとは、余程力があるか恨みがあるかだ。
「たしかヘビさんはトラさんを憑装しているんだったねー」
「はい……甲斐の虎……風林火山、の……武田信玄です……」
 金絲雀が輕やかに囀れば、應じて囁くは大瑠璃。
 鳳来寺山の仏法僧も斯くも美しくは啼くまいか、幽邃の深林に言を交す二人の少女は、目下、傘杉に向かって御坂段を降り始める。
 ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)は透徹の青瞳をぱちくりと、隣する浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)に佳聲を置いて、
「この森で火を放たれたら大変だじょ」
「確かに……今の……風向きでは……火は……瞬く間に……広がってしまいます……」
 里の者達は、今の時分は麓から風が吹き上がると云っていた。
 蟒蛇(うわばみ)は木と木の間も抜けられぬ巨躯にて、進路は必然と参道と決まるが、表参道口から火を吐いて這い上られては、高所の有利は一気に打ち消されよう。
 道すがら懸念を口にした墨は、仲良く繋いでいた手をきゅ、と握り直して、
「……ロベルタさん。一旦、離れて……戰い、ましょう……」
「墨ねー、もしかして」
「……はい。……なるべく、早く…………参道を……駆け、下ります……」
 大蛇の群れが御坂段を這い上るより先、下方で迎え撃つ――。
 其が最善の策とはロベルタも理解ろうか、少女も白磁の繊指を強く握り返すと、凛冽を萌して首肯を返す。
「う! 僕が墨ねーを全力でサポートするじょ!」
「……後ろ、は……任せ……ました……」
 信頼の絆に結ばれたなら、手を離したって大丈夫。
 名残惜しく指先を離した二人は、交睫ひとつするや麗瞳に烱々たる光を湛え、迫り来る邪の気配に五感を研ぎ澄ませるのだった。

  †

 切り揃えの前髪の下、蘇芳色の佳瞳が黒石目塗りの鞘を見詰める。
 而して鼻緒を踏み込め、呼吸を整える。
「……全力で……疾走……すれば……牛岩、くらいまでは……」
 仁王門を通らせては勢い付くだろうと花脣を結んだ墨は、『真柄斬兼元』の互の目乱刃の刃文を暴くと、凛乎淸冽――その身に八雷を下ろす。
 蒼き霹靂が迸発(ほとばし)った瞬間、爪先を蹴った彼女は宛ら雷光の如く駆け走り、速疾く、敏捷(はや)く、影も捉えられぬ程の高速で御坂段を下った!
(「……必中の矢、を……躱す……には……緩急と……変則……!」)
 正に稲妻が然うであろうと、墨が辿る軌跡はジグザグと規則性が無い。
 残像を生みながら疾って的を絞らせぬのも有効か、墨が勘と感を研ぎ澄ませつつ仁王門を潜れば、目下、スッと通った鼻梁に酒の匂いが過った。
(「……近い……!」)
 瞬速の風に前髪が煽られ、玲瓏の彩を湛えた烱眼が映すは眞紅の大河。
 牛岩に長大な躯を叩き付けるように突貫する大蛇の群れを捉えた佳人は、破魔の霊氣を最大限に籠めて一閃――ッ、二尺三寸三分の大刀に陣頭を斬り捨てた!!
 御坂段を駆け降りる最中、ずっと八雷の名を唱えていた墨だ。
 その繊手から繰り出たとは思えぬ程の斬撃が、雷電を帯びて放たれれば、巨蛇は深紅の鱗甲にしとど血を浴びて石段に斃れる。
 濤と繁噴く血飛沫はロベルタには見えまいが、竟ぞ火の手の上がらぬ参道が墨の活躍を教えて呉れよう。
「大蛇は厄介だけど、墨ねーならそんなに難しくなさそうかな」
 うんうん、と頷く可憐が潜むは傘杉の翳影。
 墨に全幅の信頼を置くからこそ、動を行く彼女に対し靜を預ったロベルタは、魔法劔『プリンチペッサ・ロッソ』に施された幾重の術式を解き、【紅妃舞】(ファヴィッラ)――眞紅の薔薇の花瓣を参道一帯に展開した!!
「一番の問題は、狙撃の名手っておっちゃんだねぃ。必中の矢を阻めたらいいけど!」
 御坂段いっぱいに舞う紅の花弁は、射放された矢を攻撃すると同時、此処を通る蟒蛇の巨体も容赦なく切りつける。
 ぬらぬらと参道を埋め尽くす巨体が無数の花瓣を躱せる筈も無し、蟒蛇は薔薇を猛炎に灼くすより速く、その鋭刃に血を流すしかない。
 而して煙より血臭を嗅ぎ取ったロベルタは、返り血を浴びる事なく微笑を零す。
「墨ねーの兼元の方が切れ味鋭いから、僕のは補助的にしかならないけど……それでも、すぱぱーっと華麗に攻撃するんだじぇ♪」
 考えられない場所から攻撃するとは流石にないと思うのは、矢文を読んだから。
 “海道一の弓取り”を自負する今川は、文で「次は本堂を狙う」と宣言したのだ。
 その男が矜持を、あらぬ場所に的を違える事は無いと読んだロベルタは、参道に重点を於いて牽制を敷く。
 少女は一地点から動かぬからこそ眼路は広く、
「それでも、もしもに備えて周囲を厳重警戒しておくね。う!」
 墨に万一の時があれば、己に代わって薔薇の花が護って見せる、と――青き麗瞳は閃爍と煌めきつつ、五感に伝わる戰況を捉え続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

名将と呼ばれた今川義元も羅刹の命を狙う外道に堕ちたか。羅刹の皆は滅ぼさせる謂れはないはずだね。勝手な蹂躙は阻止しようか。

野外生活は長いが、生憎この地には明るくない。羅刹に地形を詳しく聞こうかね。隠れるのに最適な場所を、ね。

羅刹に教えられた地形に【忍び足】【目立たない】で隠れて移動しながら不意討ちに最適な位置に移動。飛んでくる仕留めの矢は【戦闘知識】で軌道を読み、【残像】【見切り】で回避。奇襲に最適な位置に来たら、炎の戦乙女を召喚、炎の戦乙女に接近戦を頼んで、アタシは30cm以上の距離を保って【気合い】【怪力】【串刺し】を併せた渾身の【槍投げ】で攻撃する。


真宮・奏
【真宮家】で参加

サムライエンパイアの歴史には詳しくありませんが、羅刹の皆さんは滅ぼされる程の恨みをぶつけられる理由は検討付かないはずですよね。一方的な暴力は許しません。阻止してみせますよ。

羅刹の皆さんに地形を詳しく聞きます。防衛に最適な場所とか。

敵の通り道にトリニティエンハンスで防御力を上げ、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で立ち塞がり、更に【結界術】を展開して防衛線を強化。敵が30cm以内に近寄ってくる前に【属性攻撃】で氷属性にした【衝撃波】で攻撃。飛んでくる仕留めの矢は強化した防御で凌ぎます。


神城・瞬
【真宮家】で参加

今川と武田にどんな歴史があったかは詳しくは知りませんが、羅刹に恨みを向ける筋合いはないはずですね。一方的な蹂躙は許しません。羅刹の里、護ってみせますとも。

羅刹の方に地形を詳しくききます。出来れば、戦場を広く見渡せる所とか。

さて。敵が大きい分、視認はしやすいですね。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を敵の大きさに併せて【全力魔法】で【範囲攻撃】化して展開、【高速詠唱】【魔力溜め】した全力の氷晶の矢で追撃。飛んでくる仕留めの矢は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。



 幽邃の深林を眺め見る。
 有事でなければ家族で鳳来寺山の景色を楽しみ、仏法僧の鳴声に耳を澄ませたろうが、山の麓に邪の気配が――猟書家・今川義元が矢を番える今は急がねばならぬ。
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)は急ぎ本堂から参道を駆け下りて、
「サムライエンパイアの歴史には詳しくありませんが、この世界の今川義元もまた桶狭間で織田信長に討たれ、その敗因が彼を招き入れた羅刹にあると思っているようですね」
 羅刹が織田を桶狭間に手引きした、と――。
 天下を目前に潰えた無念も強かろうが、その羅刹の血脈を預る徳川が天下泰平を敷いた事を恨んでいるのだろう、と粗方の予想は付く。
 蓋し理解と共感は別だとは、佳脣を滑るソプラノが告げて、
「……でも、徳川の庇護を受けていると言うだけで、鳳来寺の羅刹の皆さんが滅ぼされる程の恨みをぶつけられる理由は無い筈です」
 これは理不尽な逆恨みだ。
 若しくは強靭な肉体を持つ羅刹を軍勢に引き込みたいだけだと、紫苑色の麗瞳は煌々と光を増していく。
 美し栗色の髪を揺らす彼女を追う神城・瞬(清光の月・f06558)は、暫し思案した後に口を開いて、
「此度、参道口から登り来る大蛇は、甲斐の虎を……武田信玄を憑装しているとか」
 彼奴は孫子に通じ、軍略に長ける強敵だ。
 凡そ峻嶮な山岳地は攻めるに難く、狭隘の御坂段を登って進軍する不利は明らかだが、劣勢を呑んで猶も羅刹を討滅せんとするとは、武田の力を――“侵掠如火”を頼みにしているのかもしれない。
 瞬は里の者達に『天下自在符』を見せた時に聽いた話を思い出して、
「今川は武田と甲駿同盟を結んでいたらしく、古き盟約に從って武田が骸の海より掬い上げられたようですが……群雄を退けるならまだしも、羅刹を恨む筋合いは無い筈です」
 甲斐の虎もまた頤使(つか)われただけなのだ。
 幾度と送り返した御霊を徒に引き上げては使い潰す、連中の遣り口が腹立たしかろう、瞬は義憤を露わに、無辜の命を巻き込ませぬと奮闘を誓う。
 二人の背を追って疾る真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、より言を嚴しく、
「――名将と呼ばれた今川義元も外道に堕ちたか」
 力の大きさや恨みの強さだけで、道理無き虐殺を行うようになったとは。
 彼奴も嘗ては天下を取るに相應しき戰國武将、正に“海道一の弓取り”だった訳だが、骸の海を潜って現れたのは、唯だ弓に優れただけの男とは情けない。
「そんな些末(つまら)ない男に羅刹の里の皆が滅ぼさせる謂れは無いね。――とまれ、小人の身勝手な蹂躙を阻止するとしようか」
 本堂を離れる前、響らは鳳来寺山の地形を詳しく訊ねた。
 特に身を潜められる場所は無いかと情報を請えば、里の長老が「利修仙人の祠のある處なら御三方に丁度佳かろう」と答えてくれたので、目下、真宮家の者達は今川の大軍勢が仁王門を潜るより速く参道を駆け下りているのである。
 野戰に慣れた響なら、これだけの狭隘と峻嶮も我が物としてみせよう。
 歴戰の勇士は二人の愛し子に目配せして、
「今の時分、風は麓から吹き上がると云っていたね」
「母さん……微かにお酒の匂いが漂流ってきます……」
「――ええ、間もなく来ますね」
 而して聡い子らは、その優れた嗅覚に敵の漸近を捉えよう。
 酒を入れた瓢箪より無尽に出ずる蟒蛇(うわばみ)は、その長大な躯に大量のアルコールを染ませ、ズッズッと這い上って来る――!
 眞直ぐに伸びる杉の蔭から大蛇の進軍を捉えた三人は、靜かに闘志を漲らせて、
「一方的な暴力は許しません。絶対に此処で阻止してみせます」
「鳳来寺を守り続ける羅刹の里の皆さんには傷ひとつ付けさせません」
「さぁ行くよ、奏! 瞬!」
 鳳来寺を開山した利修仙人が見守る中、巨蛇の討滅に動き出すのだった。

  †

「こいつらに火を吐かれちゃ拙い。麓から吹き上がる風で一気に広がるからね」
 蟒蛇の侵攻で最も懸念すべきは火だ。
 風林火山を掲げる武田を憑装した巨蛇が吐く侵略の「火」が、迅速の「風」に乗れば、折角の地の利も忽ち掻き消されてしまう。
 故に響は会敵時、初撃にこそ警戒を十分にして、
「――なに、火を吐く前に始末しれば佳いだけさ」
 冷靜にして怜悧、そして何より豪快。
 眞紅のマントを翻し、漆黒の戰装束姿を暴いた竜騎士は、紅玉(ルビー)の煌めく武器飾りを掲げるや、その閃爍に秘められる魔力を解放して【炎の戦乙女】(ホノオノヴァルキリー)を召喚した。
「さあ、行くよ、燃え盛る炎の如く!!」
 而して戰乙女は赫々と赤熱する槍の穂先に應えよう。
 響が繊手に握る『ブレイズランス』と同じく闘氣を熱と迸発(ほとばし)らせた槍は、乙女の手で轟と旋回するや、その鋩を大蛇の吻に突き刺し、敵の陣頭を挫いた!
 一匹が鋭牙を剥き出した瞬間の上頤を貫かれて倒れれば、別なる一匹が骸を乗り越えて襲い掛かるが、戰乙女は更に前進――ッ! 今度は下顎を貫いて血の雨を浴びる。
「近接を頼むよ。アタシが遠距離から援護する」
 三匹目を狩るは、響が渾身の力で投げた赫緋の槍だ。
 炎に包まれる矢の如く飛び込んだ赤熱の槍鋩は、大蛇が鎌首を擡げた瞬間を強襲して、ぬらぬらと照る紅い鱗甲をしとど血飛沫に濡らした。

「――流石は母さん。火の使い方が慣れている」
 と、感歎を零す瞬が据わるは高い杉の木。
 樹上から広い視野を得た彼は、鬱蒼たる葉陰より戰況を見ているのだが、狭隘の山岳地でも見難いという事は無い。
「木と木の間も抜けられない紅い巨躯ですから、視認はしやすいですね」
 的が大きくて助かる、と呟く彼の手には『六花の杖』。
 瞬は氷の結晶のように透き通った魔導杖を一振り、周囲の空気を凍らせて絢粲(きらきら)、瀲灔(ちらちら)と六花を躍らせるや、其を一気収斂して氷の矢に――合計485本の【氷晶の矢】を射掛けた!
「射れば命中るような大きな的ですが……闇雲には撃ちません」
 精確精緻に、結界で指定した領域だけに降り注ぐ――これも必中の矢だろう。
 半魔の躯に秘められた厖大な魔力は、間隙を置かず第二射、またも485本の鏃を放ち、巨蛇の絶叫を足許に敷いては骸と化していく。
 葉陰に潜めば必中の矢に狙われる懸念は無し、
「先に矢で届けられていた文には、“次は本堂を狙う”とありましたね」
「はい、“海道一の弓取り”を自負する者が、的を――矜持を違えるとは思えません」
 瞬の言を告ぐ奏は、目下、紫瞳に宿る玲瓏の彩を鮮やかにして。
 里の者から防衛に最適な場所を教わった奏は、【トリニティエンハンス】に堅牢を得た身を強盾の如くして参道に立ち塞(はだ)かり、瑞々しい生気に敵を惹き付けると同時、結界を展開して防衛線を強化する。
 彼女は怒涛と押し寄せる蛇を結界の防壁に押し留める傍ら、矢の気配を察して、
「本堂の位置を常に把握し、そこへ射掛けられる矢の軌跡を読み切れば回避は叶いますし、逆に射線を遮れば矢を手折る事も出来るでしょう」
 云って、繊手に握る『アクア・セイバー』に全力の魔力を注いで凍気を帯びさせる。
 ぱち、ぱち、と空気が一気に冷やされる音を連れて大きく振り被った奏は、大きな氷の壁に蛇の頭を斬り落とし、その頭上を抜けんとする必中の矢を打ち砕いた!
 はらり、と力なく石段に落ちる矢を組み敷いた烱瞳は、直ぐに参道口へ注がれ、
「――さぁ、次はあなたの番です」
 と、矢を絞った主の居る方向を睨めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
来たのは今川だな?よしわかった、必ず殺す
アンタらも手伝ってくれよ───海道一の弓取りを徹底的に追い詰めようぜ
誰一人として死なせない。死ぬのはカスどもだけだ

今川の矢とうわばみの炎はどうにかする
セット、『Reflect』
炎を『放つ』ってこたぁ…飛び道具として定義できる範疇だ
周囲の無機物は俺の手駒と成った
飛来する矢弾も炎も、全て反射で羅刹に届かせない
それどころか反射を繰り返し、送り返してやるのさ

『仕留めの矢』は破壊の一矢、うわばみが食らえば死ぬのは道理
炎ですらうわばみの群れを焼き殺すだろう
あぁそうだ、矢一本は今川に還してやる
クルセイダーに従うしか能の無いカス野郎が
さっさと降りてこい
そういう挑発だ



 鳳来寺本堂の大広間に集まった里の者達が、矢に届けられた檄文を中心に輪を作る。
 皆々が緊張して「羅刹滅殺」なる文字を読む中、ひょっこり身を乗り出して花押を解析・照合したヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は、佳脣より鋭利いテノール・バリトンを滑らせた。
「来たのは今川だな? ――よしわかった、必ず殺す」
 一同が驚愕するより迅速く、彼等の眼前に『天下自在符』をぶらり垂れ下げた青年は、其処に印された三つ葉葵に平伏を求めるでなく、情報の提供と共闘を持ち掛けた。
「アンタらも手伝ってくれよ――“海道一の弓取り”を徹底的に追い詰めようぜ」
「そ、そんな事が……」
「なに、簡単さ」
 其が匹夫の勇で無いとは、一縷の曇りも無い空色の瞳が示そう。
 虹彩に湛えられる光は烱々と冱えて、闘志を……いや殺意を燿わせ、
「誰一人として死なせない。死ぬのはカスどもだけだ」
 桶狭間で敗れたカスは、甦生(よみがえ)ろうともカス。
 其の事実を結末として突き付けるだけだと本堂を出たヴィクティムは、利修仙人の祠の周辺に陣取り、羅刹らと共に大蛇の侵攻を迎え撃つ事にした。

  †

「今川の矢とうわばみの炎はどうにかする」
 そう言って羅刹の弓隊に隠れているよう指示したヴィクティムは、己は御坂段の正面に立ち、間もなく姿を現した赫蛇が炎を放射するのを魔導防壁に迎える。
「炎を『放つ』ってこたぁ……飛び道具として定義できる範疇で、俺のモノに出来るってこった」
 ――セット、Create Program『Reflect』(ダンドウノシハイシャ)。
 繊麗の躯の周りに紫紺の電脳魔術を展開し、参道に存在する全ての無機物にアクセスし支配下に置いた彼は、眼路いっぱいに喰らい付く猛炎を鏡の如く跳ね返すと、その焦熱を蟒蛇(うわばみ)にそのまま返した!
「体内にアルコールを溜めているんだろ? 俺や羅刹達よりよく燃えるさ」
 眞紅の鱗甲にはお似合いだと、巨蛇に絡み付く炎を愛でるヴィクティム。
 烈々と炎を映す青い瞳は、本堂へと向かう今川の矢の軌道を聢と捉えており、
「……『仕留めの矢』は破壊の一矢、大喰らいのうわばみに食らわせても良いが……あぁそうだ、一本は射手に還してやったらいい」
 鹵掠を好むは吝薔(ケチ)で無し、冒瀆を籠めて射返してやったなら、必中の矢を喰らった今川は如何な表情を晒すだろうかと、嗚呼、肉眼で見られぬのが惜しかろう。
 ヴィクティムは炎に焼き殺される大蛇を組み敷きながら挑発し、
「クルセイダーに従うしか能の無いカス野郎が。さっさと蛇の骸を越えて来い」
 と、端整の脣の端を持ち上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

司・千尋
連携、アドリブ可

大蛇が入ってる瓢箪って
妖術なのかね?


攻撃手が足りているか敵に押され気味なら防御優先
無理なら敵の数を減らす事に注力
敵と30cm以上距離を取る事を最優先で行動

羅刹達に協力を頼み
有利になりそうな地形や戦術を教えてもらう


攻防は近接や投擲等の武器も使いつつ
基本的に『翠色冷光』で攻撃
回避されても弾道をある程度操作して追尾させる


仕留めの矢は鳥威で防ぐか『翠色冷光』で撃ち落とす
何回撃っても無駄だぜ
全部防いでやるよ


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
羅刹達への攻撃は最優先で防ぐ



 二の門にまで偵察に出た羅刹の言う事には、今川が取り出したる酒入りの瓢箪の口から続々と這い出た蛇が巨きくなり、無数の蟒蛇(うわばみ)となったらしい。
「大蛇が入ってる瓢箪って……今川の妖術なのかね?」
「豈然(よもや)“海道一の弓取り”は妖術遣いだった?」
「大蛇の本体が瓢箪だったとか」
「とんだ塒巣(ねぐら)を持ち出して来た」
 つい、つい、と滑らかな動きで会話を交わす呪術人形の『宵』と『暁』。
 輕やかな足取りで参道を降りる姿こそ生ける如く、案内人の羅刹も喫驚を零そう。
「武芸者さまも妖術遣いにあらせらるか」
「――いや、俺のはちゃんと絡繰りがある」
 事実(タネ)が無ければ怖かろうと、操り糸を引いて竊笑するは司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)。
 三葉葵を印す『天下自在符』に身分を明かし、鳳来寺山の里の者達の協力を得た彼は、目下、案内された利修仙人の祠へと至り、御坂段の正面に立つ。
 この時分、風は麓から吹き上がると聽いたが、スッと通った鼻梁を掠める酒の匂いに、凄まじく長大な大蛇が迫るのが判然ろう。
(「――近い」)
 翠玉と燿う麗瞳が烱々と凛然を萌し、程無くして巨蛇の群れが押し寄せる。
 眞紅の鱗甲をぬらぬらと輝かせて現れた蟒蛇は、千尋を捉えるや垂涎して鋭牙を剥き、蛇腹の躯をグンと伸ばして嚙み付かんとした!
「そう易々と喰われるかって」
 ニ、と嗤笑を零した麗顔が玲瓏と白んだのは、この刹那。
 千尋は、青く碧く、閃爍と煌めく【翠色冷光】に風を裂くと、眼路いっぱいに迫る大蛇の吻を貫き、ごぶりと血を吐かせる。
「木と木の間も抜けられない巨躯だ。的が大きくて助かる」
 撃てば命中ると翳影に流眄を注げば、木陰に潜む弓隊が陣頭の乱れた隙に矢を射掛け、狭隘の参道を赫蛇の骸で堰き止めていこう。
 透徹の翠瞳は凄絶の景を見る傍ら、今川が放つ必中の矢の軌跡も聢と捉えており、
「何回撃っても無駄だぜ。全部禦いでやるよ」
 と、絶妙のタイミングで射線に割り込ませるは『鳥威』。
 先の矢文で「次は本堂を射る」と告げた今川なれば、“海道一の弓取り”たる矜持が的を違える筈がなく、而して本堂の位置を常に把握し続ける千尋は、其処に“代わりの的”を置いて遣るだけだと、必中の矢を相殺する。
 彼は力なく砕け落ちた矢を組み敷くや、参道口を睨め、
「扨て、次は射手だ」
 と、御坂段に眞紅の絨毯を敷いて「主賓」を迎える用意をした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『今川義元』

POW   :    仕留めの矢
【大弓の一矢】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    鷹の目
【大弓】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    飛鳥墜とし
対象のユーベルコードに対し【、蹴鞠の要領で体勢を崩すほどに強烈な蹴り】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ケーレス・ネメシアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「――可怪しい」
 火も煙も立たぬと鋭眼を絞るは、猟書家・今川義元。
 彼は峻嶮な山岳に守られる鳳来寺を攻めるに秘策があって、盟友たる武田信玄の霊魂を憑装した蟒蛇(うわばみ)が、侵略の「火」を吐き、麓から吹き上る「風」に炎を広げて山中を焼く算段だったのだが、火は一向に上がらない。
「豈然(よもや)」
 ――いや、豈夫(まさか)。
 不意に忌わしき者達の存在を過らせながら、駿馬に鞭打って参道に入る。
 艱嶮も狭隘も佳く行く良馬と共に御坂段を登れば、石段には夥多しく血が流れており、これぞ蛇の血と気付いた刹那、眼路いっぱいに飛び込む骸の山に喫驚した。
「こ、れは……!! 悉くやられたのか!!」
 眞紅の鱗甲が濁々と血に濡れてブツ斬りに、巨大な蛇腹の塊がシュウシュウと灼けて、形を解いていく――其は魑魅魍魎の無惨な末路。
 尋常の羅刹が人ならざる妖異をこれほど殺められようかと、更なる懸念が過った瞬間、左右の叢林から次々と矢が射掛けられ、瓢箪と馬が貫かれる――!!
 この時、今川は吃ッと眉を釣り上げ、
「ッッ、羅刹め!! やりおったな!! 桶狭間では織田を手引きした盗人どもが、此度は猟兵を引き入れたか!!」
 云って間もなく、翳影に潜んでいた猟兵が颯然と現れる。
 然れば今川は木陰に投げた烱眼を直ぐに精鋭に結び、剛弓を番えるのだった。
御剣・刀也
よう。退屈すぎて死ぬところだったぜ
あんな蛇どもじゃ武田信玄を憑依させるだけ無駄だ
さ、やろうか。お前の弓と俺の剣、どっちが上か尋常に勝負!

仕留めの矢で狙われても、つがえるところが見えれば、射つ瞬間がわかるので第六感でそれを察知し、見切り、残像で避けて次をつがえる前に勇気で恐れずダッシュで一気に懐に飛び込んで捨て身の一撃で防御ごと斬り捨てる
「海道一の弓取りか。へ。震えが止まらねぇや。射つ瞬間が分からなかったら、結果は違ったかもな。あんたとやれて楽しかったよ」



 累々と横臥わる大蛇の死屍を組み敷き、男が立っていた。
 精悍なる長躯にしとど返り血を浴びた其の男は、濡れて愈々艶を帯びた前髪の奥から、蒼き炎と燃ゆる瞳を烱々と、御坂段を上り来た猟書家・今川義元を睨め据える。
「――よう。退屈すぎて死ぬところだったぜ」
 冷艶のテノール・バリトン。
 聲の主は御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)。
 彼は血に滑る冱刀『獅子吼』を強く握り直すと、淋漓と朱を滴らせる鋭鋩を正面に――今川の眉間に向けて言い放った。
「あんな蛇どもじゃ武田信玄を憑依させるだけ無駄だったな。甲斐の虎は織田信長に憑装させた方がまだ戰えた」
「……貴様、先の大戰を経た者か」
 答えは待たずとも眼前の光景が示して見せよう。
 今川は血を噴いて斃れる馬より飛び降りるや剛弓を構え、眞正面に立った彼を是とした刀也もまた、骸が狭霧と化す前に降りてくる。
 而して烱眼は結ばれ、
「さ、やろうか。お前の弓と俺の剣、どっちが上か尋常に勝負!」
「應とも。かの第六天魔王を凌駕した修羅を生かしてはおけぬ!」
 一足で踏み込まんとする刀也に対し、今川が左回りに不断の矢を射掛ける。
 其は凡そ矢とは思えぬ速疾さだが、火縄銃に対抗する為に作られたという天武古砕流を受け継ぐ刀也なれば、その眼路には聢と矢の番える挙動が捉えられ、そして射放の瞬間が判然ったなら、回避も十分間に合おう。
 研ぎ澄まされた勘と感、そして優れた身体能力を以て矢の鋭利な鏃まで捉えた刀也は、其を目尻の際に見送り、或いは頬の皮一枚を切らせて致命傷を逃れた。
 必中必殺の矢を誇る今川も、これには喫驚を隠せず、
「ッッ、仕留めの矢を躱すなど……!!」
「成程、これが“海道一の弓取り”の腕か。――へ。震えが止まらねぇや」
 云って、瑠璃の烱瞳は玲瓏の彩を閃爍と、佳脣には小気味よい艶笑さえ湛える。
 生粋の武人気質だからこそ前進が叶おう、不撓の劔士は創痍を怖れず一気に踏み込み、今川の懐に迫るや『獅子吼』を振り被った。
「射つ瞬間が分からなかったら、結果は違ったかもな」
「――ッッ!!」
「いや、止そう。若しもの話など酔狂だ」
 刃鳴一閃、【雲耀の太刀】――!!
 膂力いっぱい、上段より振り下ろされた冱刀は、咄嗟に防禦と構えられる剛弓も構わず斬撃を叩き落し、今川の黒き衣を血潮の雨に濡らした――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
参られたか、義元公。
過去の因縁について兎角は申さぬが、羅刹が憎いなら当方がお相手致そう。


しかしあの強矢の前に切り込むとなれば、少し策を練らねばなりますまい。
――心苦しい願いとなりますが、案内役殿に諮って助太刀願いましょう。

適度に大きな樹を数本伐ち、義元公目掛けてまっすぐ倒れるよう押し込んで頂きたい。

私はその内の一本に愛馬と共に乗り込み、傾いていく樹幹を道と盾の代わりに【懸騎万里】による【騎乗突撃】を仕掛けます。

矢に狙われれば放たれるより迅く斬撃の【衝撃波】で牽制し、そのまま飛び込むまで。
公を跳ね飛ばせたら、刃を返しての【2回攻撃】で間髪入れず一閃。

坂東武者の馬上剣、粗忽なれど御寛恕あれ。



「羅刹め! 一度ならず二度までも楯突くかッ!!」
 嘗ては織田を、現世(いま)は猟兵を!
 何より徳川の一族を輩出する血脈が腹立たしかろう、今川義元は降り注ぐ矢を狩衣の袖に払いつつ、矢雨の向こうに正対する男に烱眼を絞った。
「――参られたか、義元公」
 青鹿毛の優駿に跨る偉丈夫、麗顔の額に黒曜石の角。
 目下、凛乎嚴然と御坂段に立ち塞がった鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)が、佳脣より冷艶のテノール・バリトンを滑らせる。
「過去の因縁について兎角は申さぬが、羅刹が憎いなら当方がお相手致そう」
「その角……貴様、羅刹にして猟兵とは業腹なッ! 我が怨嗟を引き受けると言うなら、此処に斃れる蛇らより惨酷く、寸断寸裂(ズタズタ)にして遣らねばならぬ!」
 彈かれたように今川が弓を番え、同時に景正も騎馬にて抜刀する。
 この時、狭隘の参道で小回りが利くのは今川だろうか。蹄音が眞ッ直ぐ駆けるに対して左に爪先を彈けば、必中必殺の矢は馬の首を射抜く筈――だった。
 然し景正の『濤景一文字』が絢爛たる濤乱刃を暴いた刹那、その閃爍が合図だったか、参道に叢生する大樹がみしみしと唸り声を上げ、眼前に倒れ込んで来る――!!
「な、に――ッ!!」
 喫驚に目を剥くと同時、腹で煮えていた嚇怒と瞋恚が炎と爆ぜる。
 翳に潜んだ羅刹らが木を伐ったのだと眉を蹴立てた今川は、強烈な蹴撃で幹を折るが、次々に倒れ込む大木に押し込まれ、眼路を塞がれてしまったのが悔しかろう。
 景正はその内の一本を愛馬『夙夜』と共に伝い、颯爽と疾って、
「果敢な助太刀に感謝を。推して参ります」
 策謀は得意でないが、策がなくては強矢の前に切り込めなかったに違いない。
 心苦しくも助力を頼んだ案内役に謝意を告ぐと同時、預った力を必ずや届けて見せんと闘氣を迸った蒼瞑の劔鬼は、【懸騎万里】――人馬一体の突撃を仕掛けた!!
「左右顧みず穿ち抜き、天地の外まで真一文字に突き通る。鞍馬の戰を御覧じよ」
「ぬっ、ぐっ、をおお!!」
 荒波の如き威が肌膚に迫るのが瞭然るが、傾く樹幹が盾すれば矢は命中らず。
 蹴り上げるか――否、衝撃を覚悟で飛び退いた今川は、大木を道とする景正を狙うが、彼は弦が鳴るより迅速く斬撃を叩き付けると、構える弓ごと今川を跳ね飛ばした!
 巖壁に叩き付けられた今川は、身に疾る痛撃に歪む眼に、須臾に肉薄する武者の灼輝と、澎湃と溢れる劔圧に時を止めよう。
「坂東武者の馬上剣、粗忽なれど御寛恕あれ」
 而して後。
 濤と繁噴く血飛沫が両者を訣った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
敵でも名高い武人が恨み戦じゃ哀しーねェ
今川の亡霊…オレは一介の日陰者に過ぎないが何回でもアンタを追い返すよ
オレも同族も今を生きてんだからな
話す途中にもUCで強化し
樹上を渡り今川の直近で真横から
代償の流血と手裏剣を【念動力で投擲】
相手に弾かせるか避けさせ同時に上からクナイを【投擲/串刺し】
同時に
強化した念動で先に投げた武器を敵にぶつけ
自分はそれに紛れ手にしたクナイで斬り付け【暗殺】

【スライディング】で足元を抜け背後を取れれば首か背、腰等を拳で打ち櫛羅の毒を撃ち込み矢継ぎ早に攻める

防御
>【野生の勘/視力】で身躱し
被弾は【武器受け/激痛耐性】で堪え反撃
弓取りに矢を番えさせちゃ終わるからねぇ

アドリブ可



 畢竟、過去が甦ろうと過去が變わる事は無い。
 鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は我が隠里の幼友達と彼女の墓を思い起こす度、嚴然たる事実に晒されるが、戰國の雄が現世の条理から目を背けるとは情けなかろう。
「……名高い武人が恨み戰じゃ哀しーねェ」
 硬質の指を櫛にくしゃりと前髪を掻いた少年は、その掌で額に翳を差すも、指の間から覗く緋瞳を烱々と――眼下に敷く今川義元を射る。
 丹花の脣を擦り抜ける佳聲は、虎落笛の如く淸冽(つめた)く冷えて、
「今川の亡霊……オレは一介の日陰者に過ぎないが、何回でもアンタを追い返すよ」
 労を厭う身でも無し。幾度と、幾度でも。
 過去は變えられずとも、未来を變えて生きるのだと、忽ち鏖殺の氣を練り上げた彼は、【降魔化身法】――我が血筋に憑き代償を喰らう化生を降し、葉陰に紛れて樹上を渡る。
 目下、今川は仲間の猟兵に引き付けられていよう。
 トーゴは優れた視覚に様子を窺いながら今川の体側に回ると、三つ編みを解いて暗器を取り出し、小さくとも鋭利い鋩を投擲した!
「――ッッ!! 深林から手裏剣……他にも猟兵が隠れているな!!」
 羅刹が射る矢と違って、トーゴが投げる刃は念動力によって緩急が付けられる。
 狩衣の袖では禦げぬと舌打ちした今川は強弓に振り払って刃を落とすが、次いで火縄銃より速く飛び込むクナイは凌げず、咄嗟に差し出した手甲を楔打たれる。
「くっ、小癪な……ッッ!」
 じわ、と流血が痛みを広げた時だった。
 既に落した筈の暗器が、一斉に鋩を揃えて襲い掛かり、足許を狙われた今川が視線を落した刹那、警戒の解かれた樹上からトーゴが瞬息の間に斬り付ける――!!
「ずァア嗚呼!!」
 時を殺す鋭撃に烏帽子を別たれ、額より血を流す巨邪。
 身に疾る痛撃を嚇怒に變えた烱眼が吃ッとトーゴを睨め据えるが、剛弓を構えた時には既に彼の影は無く――、
「弓取りに矢を番えさせちゃ終わるからねぇ」
 然う、彼も“海道一の弓取り”の必中必殺の矢を免れる事は出来ない。
 ならば構えさせぬと、研ぎ澄まされた勘と感は、今川の細かな挙措から初動を見極め、矢を番えるより速疾(はや)く暗器を投擲し、不断に眼路を脅かした。
「ッッ、ッ……!」
 漸ッと正面に彼を捉えたと思えば、彼は身を低く弓の当たらぬ足元を滑り抜け、側面、いや、背後に回って当身一發ッ、掌に握り込める『櫛羅』の刃鋩を沈める――!
「オレも同族も今を生きてんだからな。其処に過去が生きる余裕は無い」
 後頸(うなじ)に触れるテノールは凍えるほど冷たく――傷口より猛毒を広げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
おいおい、何驚いてるんだ?猟書家ある所に猟兵有り。こっちにも仕事熱心な猟兵が多くてね。アンタらの行動は大概、俺達に筒抜けさ。

二丁銃の銃口を片手、空に向けて一発、発砲。
馴染みが薄いだろうと思ってな。『こういう武器』だってのを知っておいた方がフェアだ。火薬と銃弾は無粋とか…まさか言わねぇよな?

飛んでくる矢を【クイックドロウ】で撃ち落とし、銃と弓の遠距離戦と洒落込むか。俺の【癖】を覚えるつもりなんざ悠長な話だ。んな猶予与えるかよ。
途中から【属性攻撃】で紫雷を纏わせ、弓を狙って銃弾を撃ち込むぜ。
天下の弓取り。まさか得意の得物を弾き飛ばされるなんざ屈辱だろ?
どうやら──少しばかり俺の方が上手だったようだ



 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)が挑発を得意とするのは、表情の變化や心の機微に敏く、相手の感情の襞まで読む事が出来るからだ。
 嘗ては織田を、現世(いま)は猟兵を引き込んだかと叢林に怨嗟を向ける今川に対し、彼は累々と横臥わる蛇の骸を轉かすと、飄然と語尾を持ち上げた。
「――おいおい、何驚いてるんだ? 猟書家ある所に猟兵有り、さ」
 相手が昂ぶる程、語調は輕妙に流麗に。
 差を際立てるほどヘイトは御しやすいと、ユーモアをたっぷりと肩を竦めたカイムは、羅刹に代わって矢を向けられると、したりと桔梗色の麗瞳を細めた。
「こっちにも仕事熱心な猟兵が多くてね。アンタらの行動は大概、俺達に筒抜けだ」
『……端初(ハナ)から読んでいたという訳か』
「熱心な上に優秀だからな。でもまぁ、アドバンテージを得るのは此処までだ」
 云って、両手に握った儘の『双魔銃 オルトロス』の一挺を蒼穹に向ける。
 銃爪を引くや一發――ッ! 幽邃の深林を抜けて鳳来寺山に砲音を響かせたカイムは、これぞ我が得物と、硝煙を靉靆(たなび)かせる魔具を見せた。
『己から手の内を明かすか』
「銃器は馴染みが薄いだろうと思ってな。『こういう武器』だってのを知っておいた方がフェアだろう。豈夫(まさか)火薬と銃弾は無粋とか……言わねぇよな?」
「その心構えや殊勝。なれば尋常に勝負ッ!!」
 殺氣に燿う烱眼を結び、カイムは銃を、義元は弓を手に左回りに爪先を彈く。
 弦打ちの音と魔犬の咆哮が重なった刹那、鐵鉛と鋭鏃が手を結び合うよう軌跡を一に、両者の間で爆ぜるのが小気味佳かろう。その破裂音を裂いて響くは、【銃撃の協奏曲】(ガンズ・コンチェルト)――96分の1秒で撃ち出される冱彈が、螺旋を描いて跳ぶ!
「It's Show Time! 銃と弓の協奏と洒落込もうぜ!」
 二射目が精度を上げているのが判然る。
 既に銃彈の速度を捕捉(つか)んだか――だが其はお互い様だ!
 好敵手を得たり、と凝縮された時間の中で塊麗の微笑を零したカイムは、途中から彈く鉛に紫雷を纏わせ、必中の矢でなく今川の大弓へと照準を變える。
「海道一の弓取りって云ったな。過去も然り、現世の天下も取らせる訳にはいかねぇよ」
 得物は見せたが、己の癖を覚える猶予は與えない。
 霹靂を帯びる銃彈は燦然と、彈頭を閃爍に隠したのが奏功したろう、今川の視覚の限界を脅かした鋭彈が見事に必中の矢を潜り、剛弓を彈いて手を痺れさせる――!!
「得意の得物を彈き飛ばされるなんざ、屈辱だろ?」
『ッ、ッッ!! 豈然(よもや)が我が弓を落とすとは……!!』
「どうやら──少しばかり俺の方が上手だったようだ」
 ごとり、今川の足元に轉がった剛弓がカイムに軍配を上げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
弓なら闇の精霊さんの力でどうとでもなりますけれど、蹴りですかっ!?
えっ、どどどどうしましょう、接近戦はわたし苦手……ってもうすぐそこー!?
はわ……こ、こっち来ないでくださいっ!!!

義元が蹴りのレンジに入って脚を振り上げた瞬間、咄嗟に【黄金玉砕蹴】発動
破れかぶれで咄嗟に出したにしては異様に鋭い蹴り上げが義元の股間を襲う
(オブリビオンとはいえ、今川義元も元は人間の男性なはずなので金的は超効果的なはず)

上手く封じこめたら、激痛で悶絶してる間に手持ちの精霊銃の弾を至近距離からしこたま撃ち込み、それでも仕留めきれなかったら付近の適当な石(石灯籠の一部とか)でがっつんがっつん殴ります(火事場の馬鹿力発動)



 同じ角を持つ同胞を心配し、格子窓からコッソリ外の様子を伺う里の長老の周りには、今や多くの羅刹が群がり、密に密に、固唾を呑んで戰況を見守る。
 斯くして里の者達の視線を集めた荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は今、今川義元の霹靂の如く迸発(ほとばし)る殺氣を一手に預ると同時、巨邪の接近に狼狽えていた。
『娘よ、羅刹にして猟兵とは業腹な……その細首を蹴り折らねば気が済まぬ』
「海道一の弓取りがですか!?」
 弓はどうしたと草木の精霊まで喫驚するが、その間にも漲る怨嗟が距離を詰める。
 劔呑を察した風の精霊が「逃げよう」と親友の袖を引っ張るが、本堂を背負った少女は皆々を護らんが為に動けない。
 矢なら闇の精霊が吸い込んで見せようが、この距離では親友まで吸い込んでしまうと、漆黒の闇が苛立ちを露わに威嚇するが、今川は角ある者を前に決して退かぬ。
 精霊達がぴったりと寄り添う中、ひかるは「はわわ」と恐慌を露わにして、
「えっ、どどどどうしましょう、接近戰はわたし苦手で――」
『ならば好都合。直ぐに首の骨を折ってくれる』
「ってもうすぐそこー!?」
 じり、と足半に玉砂利を嚙んだ今川が、軸足の拇指球を踏み込めた刹那だった。
「はわ……こ、こっち来ないでくださいっ!!!」
 豪速の蹴りが炸裂するより速疾く、今川の振り上げた脚の間へ飛び込む咄嗟の右脚は、【黄金玉砕蹴】(ゴールデン・ボール・クラッシュ)――!!
 破れかぶれにしては異様に鋭い蹴り上げが、義元の股間へズゥムと沈んだ――!!
『ぐもアッ!!!!!!!!!!!』
 絶叫ッ! 悶絶ッ!! 大捻轉ッ!!!
(「決まったーッ!! 天使の右脚ッ!!」)
 これには様子を窺っていた長老も里の者達も震撼しよう。
 ひかるが極悪シュートを決めた瞬間、想像するだに昇天する一撃は精悍の躯を折って、苦悶の表情を浮かべた今川がジャリ、と膝で玉砂利を慣らす。
『あああぁぁっぁあああああ後から響く…………!!!!!!!』
「オブリビオンとはいえ、元は人間の男性ですから、やはり金的は特効ですね……」
 上手く封じ込められた、と冷や汗を拭うひかる。
 少女は今川が目を白黒させる間に精霊銃を構え、「よしきた」とばかり精霊達がそこに飛び込むと、九色九彩の冱彈が次々と撃ち出される!!
 而して精霊達がボカスカと今川を殴る間、ひかるは更に石灯篭の頂にある宝珠を摑んで殴り掛かり、火事場の馬鹿力でがっつんがっつん殴り倒す!!!
『ああああああ!!! ああああ嗚呼ああああ噫噫!!!』
 そうして。
 美し仏法僧の囀る鳳来寺山に、雄々しい絶叫が谺するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
うわばみ退治を先導したのは私達のはずですが
強い恨みの矛先は如何足掻いても羅刹の彼等に向くのですね

いくら憑装で強化されようとも、私達には届かぬということ
それを身を以て知らしめましょう
……倫太郎、任せましたよ

倫太郎とは別行動
羅刹である倫太郎が陽動し、敵の気を引く
羅刹達から貰っていた情報や移動時見つけた身を隠せる障害物を活用
目立たないように移動し、敵へと接近していく

視力と聞き耳から倫太郎と敵の位置を確認
駆け出して刃が届く所で倫太郎が仕掛けると同時に早業の火華咲鬼剣舞
敵も一筋縄ではいかないのも承知
攻撃を受けようとも激痛耐性にて耐え、怯まず攻撃を続ける

羅刹への恨み
敢えて利用させて頂きましたよ


篝・倫太郎
【華禱】
俺らの介入程度で失敗する程度の策なら
猟書家なんて立場、返上しちまえ

さて、この挑発に乗ってくっかなー
ま、精々派手に邪魔してやるさ

本命は夜彦の一撃だからな

拘束術・真式使用
鎖は弓ごと拘束するように放ち
同時にダッシュで接近して鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払い

出来るだけ大弓を扱いにくい状況を作る事に専念
繋いだ鎖で作り出したバランスは可能な限り維持
バランスが崩れた場合も弓を射らせないように立ち回る
必要であれば、暁想を用いて接近戦

羅刹の膂力、嘗めて貰っちゃ困る……!

敵の攻撃はオーラ防御とジャストガードで防ぎ
負傷は激痛耐性で耐えて
以降の攻撃には生命力吸収を乗せてく

夜彦の挙動に意識を向ける余裕は作らせない



 嘗ては織田を、現世(いま)は猟兵を引き込むかと、叢林を睨め据える今川義元。
 余程怨嗟が強いか、葉陰に僅かにも影が動けば、必中の矢が里の者達を射抜くだろうと精鋭二人が鋭利く流眄を結び合う。
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は長い睫の間より佳宵の彩を注いで、
「……うわばみ退治を先導したのは私達のはずですが、強い恨みの矛先は如何足掻いても羅刹の彼等に向くのですね」
「そのヘイト、俺に向けられるかもしれないな」
 同じ羅刹なら如何だろう、と琥珀色の彩を返すは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
 先ずは無辜の命へ向かう憎悪を引かんと、其の爪先は累々たる蛇の骸を轉がして、
「俺らの介入程度で失敗する策なら、猟書家なんて立場、返上しちまえ」
『なにっ』
「その程度の力量じゃ、クルセイダーに天下を取らせてやれやしねぇよ」
 と、シュウシュウと灼ける骸に片脚を乗せ、身を乗り出して挑発する。
 堂々たる立ち姿は、先の大戰で第六天魔王を討滅したならでは、織田の信玄装を破った事実こそ、彼の男に届かなかった今川を駆り立てよう。
 目下、嚇怒の染む烱眼は眞直ぐ参道に向けられ、
『……そこまで云うなら覚悟は出来ていような』
「当然」
 而して沸々と迸る怒氣を預った倫太郎は、そっと耳打ちする夜彦の科白を聽く。
「いくら憑装で強化されようとも、私達には届かぬと――身を以て知らしめましょう」
「ああ、夜彦は俺が引き付ける間に、本命の一撃を頼む」
 頼み、頼まれ、信を預け合う。
 此度も特別な絆に雄渾を得た倫太郎は、華焔刀 [ 凪 ]を構えて不敵に咲み、
「俺が羅刹の代表として戰ってやるよ」
『羅刹にして猟兵たる貴様を見逃す筈も無し……いざ、尋常に勝負ッ!!』
 今川が矢を番えると同時、【拘束術・真式】――最終にして究極の縛鎖を投げる。
 必殺必中の【仕留めの矢】と射線を結んだ縛鎖は、両者の間に大きな衝撃を爆ぜるが、命中した箇所を破壊するのはお互い様、そこからが勝負。
「ま、精々派手に翻弄してやるさ」
『な、にを……!!』
 不可視の鎖は圧倒的波動を潜り抜けて推進し、二の矢が放たれるより速く剛弓を絡め、凄風の如き弦打ちを阻む――!
「“海道一の弓取り”も、弓を射られなきゃ一介の武者だ」
『ッ、ッッ弓が……ならば、直々に鏃を突き刺し断ち切ってくれるッ!』
 無論、その隙を逃す倫太郎では無い。
 今川が番える筈だった矢を握り込めた時には、倫太郎は一気に踵を蹴って距離を詰め、膂力いっぱい振り被った薙刀の鋩を叩き付けたッ!
「これ以上近付くと蹴り技が来るだろうが、中距離じゃまだ俺に分がある!」
『遠距離を避けて近接にも侵入らず……矢張り、織田を殺めた男は伊達ではない!』
 ぶわり、颯々たる大風が倫太郎の前髪を掻き上げたのは、防禦の脚が刀身を蹴り彈いたからだろう。而して今川も風圧に烏帽子を跳ね上げ、両者の鋭眼がギラと睨め合う。
 何より額に存在感を示す黒曜石の角が腹立たしかろう、
『貴様を捩じ伏せ、その角を折って同族を絶望に突き堕として遣ろう!』
 繋いだ鎖で距離とバランスを保たんとする倫太郎に対し、今川が得意の射程に持ち込むべく接近を図るが、彼は大弓の扱い難い状況を作りつつ、艱嶮にして狭隘な御坂段を妙々と立ち回った。
「羅刹の膂力、嘗めて貰っちゃ困る……!」
 時に不可視の縛鎖がギチギチと張り詰め、今川の両脚が石段に踵を落した時だった。
 鬱蒼たる杉木の翳影より颯爽と現れた夜彦が、愛刀『夜禱』の柄頭に手を掛けながら、今川の真横へ突き進む――ッッ!!
『なっ、……奇襲……ッッ!!』
 全き不覚だったのは、倫太郎が夜彦に意識を向ける余裕を作らせなかったからだろう。
 霞と消える蛇の骸に紛れた夜彦は、事前に羅刹から聞き及んでいた叢林の木蔭を伝って目立たぬよう移動し、参道の熾烈な剣戟を追って今川に接近していたのだ。
「倫太郎の陽動に感謝を」
 丹花の脣に頼れる盾の名を滑らせた夜彦は、硬質の指に柄を握って抜刀――ッ!
 すらり、夜天に燿う銀月の如き身を暴いた刀は、瑠璃色の炎を帯びて【火華咲鬼剣舞】――流れる様な劔舞を踊りつつ、玲瓏と灼ゆる鋩を今川へと差し出した!!
 鈞ッと鏗鏘の音が散ったのは、拘束を受けた儘の弓が噛み合ったからだろう。
 今川は鬼神の如き表情で夜彦の冱撃を押し返し、
『無骨者めッ、我が羅刹抹殺の戰を邪魔立てをするなッ!』
「卑怯と言わず無骨と……その気概、執着が仇となりましょう」
 無論、一筋縄では往かぬ敵とは承知している。
 初撃を彈かれた夜彦は想定内と云ッた處か、嫋やかな劔舞に衝撃を受け流すと、返す刀に瑠璃炎の一太刀を浴びせたッ!!
「本命は弐の太刀――羅刹への恨み、敢えて利用させて頂きましたよ」
『な、んと……ッ、最初から其が狙いであったか……――ッッ!!』
 躍る火粉は花瓣の如く舞い散り、濤と繁噴く血花を灼く――。
 今川は竟ぞ倒れぬ黒曜石の角を睨めつつ、その視界を青く蒼く染めゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

義元、桶狭間の出来事は今生きている羅刹には直接関係ないだろう?関係ない因縁で殺戮は筋違いってもんだ。害が及ぶ前にアンタを止めるよ。見苦しくて見てられないねえ。

その矢にはなるべく当たりたくないんで、前面の抑えは子供達に任せて【忍び足】【目立たない】【忍び足】で敵の背後を取る。敵の矢は【残像】【見切り】で回避、回避しきれなかった分は【オーラ防御】で軽減。余裕があれば【カウンター】で【衝撃波】。上手く背後を取れたら【怪力】【グラップル】で拳を入れて【態勢を崩す】。追撃に【気合い】を入れて飛竜閃。怒りの方向を間違えて八つ当たりするような男は嫌いでねえ。吹っ飛びな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

義元公、桶狭間の敗戦はさぞや無念だったと思いますが、過去の因縁を今の羅刹の皆さんに押し付けるのは違うでしょう?今の世に過去は必要ありません。骸の海に還って頂きましょう。

態勢を崩される訳にはいきませんので、引き続きトリニティエンハンスで防御力を上げ、。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で攻撃を引き受けます。攻撃を引き受けるのに専念しますが、母さんの背後からの攻撃が当たったら、【衝撃波】【二回攻撃】で攻撃を加えます。この世界は今生きている人達のものなので!!関係ない過去を押し付ける人は物凄く迷惑なので退場願います!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

まあ、桶狭間での事は無念だったのは分かりますが、復讐の矛先が羅刹全体とは極端な。大体、今の羅刹の皆さんが貴方に何かしましたか?義元公。筋違いの八つ当たりで殺戮させる訳にはいきませんので。

UCを相殺されるならギリギリまでUCは使わないで置きましょう。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【結界術】を相手に向かって展開、【武器落とし】を併せた【誘導弾】で追撃。敵が態勢を崩した時を狙って【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の槍で攻撃。敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。関係ない因縁で殺戮を振りまくのはやめて貰いましょうか。さあ、退場願います!!



 蛇の骸がシュウシュウと煙を立てて消えゆく中に、何者かが立っている。
 猟書家・今川義元が怨嗟を澱ませる眼を絞れば、其処には眞紅の大蛇を組み敷いて猶も赫々と耀ける麗人が、真宮・響(赫灼の炎・f00434)が弓張月の如き横顔を見せていた。
 響は交睫ひとつ置くや、長い睫の間から炯々たる紫瞳を今川に射て、
「義元、桶狭間の出来事は、今生きている羅刹らには直接関係ない事だろう? 謂れない因縁で殺戮に掛かるのは筋違いってもんだ」
 佳脣を滑る恐ろしく冱えたコントラルトは、叢林に潜む羅刹も耳を澄ませていよう。
 彼女が理不尽な殺意を向けられた里の者達の聲を代われば、今川もまた彼等に届くよう聲を張って答える。
『笑止。この者達の親の親が謀略を弄したなら、子の子たる者が其を償わねばならぬ』
 其こそ侍の世の法なり、と――。
 義元は葉陰に僅かにも影が動けば、必中の矢に射抜かんと憎悪の瞳を巡らせる。
 彼の恨みの強さに触れた神城・瞬(清光の月・f06558)は、今川が昂ぶるほど穩やかなテノール・バリトンに睥睨を止めて、
「……桶狭間での事は無念だったのは分かりますが、復讐の矛先が羅刹全体とは極端な。大体、今の羅刹の皆さんが貴方に何かしましたか? 何もしていないでしょう」
『猟兵よ、今の者こそ“答え”なのだ。我が覇道を閉した不届き者どもが、子孫を残して生き永らえている――その血脈こそ惡』
 己が絶え、織田の野望も断たれた。
 ならばそれらを手の内で謀殺した羅刹の血脈を断たんとするのは当然であろう、と――今川が殺意を剥き出しにするのは、己も織田も成し得なかった天下統一を果たした徳川の一族を輩出するからもあろう。
 之を聽いた真宮・奏(絢爛の星・f03210)は然し首をゆるく振って、
「義元公、桶狭間の敗戰はさぞや無念だったと思います。しかし過去の因縁を今の羅刹の皆さんに押し付けても、過去が變わる訳ではありません」
『何を、小娘が知った口を』
「いいえ、これは事実です」
 己は年若く、母に較べれば経験も淺い猟兵だが、戰いの日々で理解った事がある。
 オブリビオンは幾度と生死を繰り返す中、記憶を浄われながら生前の恨みは浄われず、決して變えられぬ過去に取り憑かれる――悲しい生きものだと。
 今川もその輪廻に囚われたのだと、美し紫瞳を煌々とさせた奏は、言を継いで、
「――だから私達は過去でなく、未来を變えるんです」
 怨嗟が無辜の命を蹂躙し、哀しみを撒き散らす未来を變える――。
 可憐が勇気いっぱい、此度の戰大将を見据えれば、響も瞬も凛乎堂々と正対して、
「ああ、害が及ぶ前にアンタを止めるよ。嘗ての名将が見苦しくて目も当てられない」
「ええ、今の世に過去は必要ありません。骸の海に還って頂きましょう」
 と、宣戰布告するのだった。

『畢竟、我等は何処までいっても相容れぬ。……――いざ、尋常に勝負ッ!』
 訣別を告ぎ、大弓を構える今川。
 先に超長距離から仁王門を射抜いた「必中必殺の矢」が番えられるが、鏃を向けられた響らは随分と落ち着いている。
「その矢が木陰に向けられては困るが、とはいえアタシ達だって当たりたくない」
 然れば奏と瞬が雄渾と前に踏み出て、
「私が盾となり、矢を惹き付けます」
「僕が牽制を敷く間に、母さんは“背後”へ」
 と、肩越しに淸冽の流瞥を注ぐ――子らも随分と逞しくなったものだ。
 響は二人の鋭気に満ちた星眸(まなざし)に頷いて、
「前面の抑えは任せたよ」
「はいっ!」
 而して信頼を預った奏は、精霊の力を秘める『エレメンタル・シールド』を構えると、【トリニティ・エンハンス】――我が魔力を以て揺ぎ無い強靭を引き出す。
「精霊よ、我が魔力に結ばれて烈々たる炎を、澎湃たる水を、颯々たる風に護り給え!」
 云えば、三彩の光が奏を包み、彼女ごと盾を固く堅く、アイギスの如くしよう。
 奏は内から滾々と漲る魔力に『蒼天のサーコート』の裾を翻しながら、繊麗の躯に纏う『白銀の鎧』を煌々と輝かせ、今川の視線を、弓の的を引き付けんとする。
「仕留めの矢と云いましたか。この盾で受けきって見せます!」
『佳かろう、海道一の弓取りの矢を受け取って死ね!』
 射放――ッ!!
 凄風の吹き荒ぶ如く弦打ちの音を鳴らした大弓が、ひやうと風を切り裂く。
 鋭利い鏃が盾を射抜き、奏を貫く――それ程の威力だったが、矢は彼女が帯びる闘氣の波濤を前に鏃を砕き、箆(矢柄)を折ッた!!
『ッ、ッッ……剛弓にも耐える矢が……!』
 幾分にも瞠目する今川に対し、奏は凛然と言い放って、
「貴方の矢は私達には届きません!! この世界は今生きている人達のものなので!! 関係ない過去を押し付ける人は物凄く迷惑なので、速やかに退場願います!!」
 過去よりの使者に、現世に生きる者達を殺めさせはしない――と、宛ら雄峰の如く立ち塞(はだ)かるのだった。

 ――時に。
 二人の子に前衛を任せた響は、背後で護られるのでは無い。背後に“回る”のだ。
(「扨て、好きに動かせて貰おうか」)
 霞と消えゆく蛇の骸に隠れ、叢林に影を潜める。
 木陰や樹上には羅刹の里の者達が弓を構えており、彼等に助力を得れば移動はスムーズに行えよう。
 響は優れた聽覚に御坂段の劔戟を拾いながら、自身は跫音と気配を殺して前に、前に、今川の真横を越えて背後まで回りきる。
(「これだけの移動が叶うのは、子供達が今川の瞋恚を引き付けてくれたからさ」)
 何をも貫く必中必殺の矢、その矜持が仇となったとは本人には言わない。
 破れぬ盾を前に執着する今川には、言の代わりに撃を呉れて遣り、
「吹っ飛びな!!」
『な――ッッ!!』
 背襲の【飛竜閃】――ッ!!
 全身を槍の如くして翳影より飛び出した響は、ガラ空きの背中に『ブレイズフレイム』を一閃! 膂力いっぱい加速した斬撃を叩き付けると、撞ッと轉がる敵将に鋭利い痛罵を浴びせた。
「怒りの方向を間違えて八つ当たりするような男は嫌いでねえ。これ以上、みっともない様を晒す前に去りな!!」
『ぐっっ……嗚呼……ッッ!!』
 斯くして敵が態勢を崩した瞬間こそ狙っていた瞬は、麗瞳を烱々と燿わせ、
「義元公。貴方に筋違いの八つ当たりで殺戮させる訳にはいきません」
 と、今川が吹き飛ばされた地点にピンポイントで結界術を展開する。
 神霊なる領域に囲繞(かこ)まれ、進路も退路も絶たれた今川は、矢継ぎ早に飛び込む魔彈に矢を構える時の猶予も潰されよう。
『ッ、くッッ……おぉおッ……!!』
「貴方はこれ以上、身勝手な憎悪に現世(いま)や未来を振り回してはなりません」
 白磁の指に『六花の杖』を握り込めた瞬が、凛冽なる凍氣を帯びた其を大きく一振り、美し六花を舞い散らせたのが最期。
 透明に煌く花は冷気に結ばれて集まり、竟に【氷晶の槍】となって射掛けられる!
 光を彈く鋭鋩が向かう先は――今川義元!!
「関係ない因縁で殺戮を振りまくのはやめて貰いましょうか」
『――ッッ、ッ!!』
「さあ、退場願います!!」
 絶対零度の鋭鋩が矢筒を穿ち、今川の胴へ沈む――!!
 而して硝子の如く透き通る氷晶の槍の柄が、朱き紅き血斑に染まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と共闘。
前回と同じく『兼元』で【地擦り一閃『伏雷』】を使用。
多重詠唱でユーベルコードの能力の底上げを十分に行って。
身体機能は封印を解いた上でリミッター解除し上昇します。
更に限界突破して維持に継戦能力を用います。

さて。今回は直線一足飛びで今川義元の元へ駆け斬ります。
恐らく直線でも的にはできないのでは…と考えました。
しかし達人なので見切りと第六感で回避する備えはします。
懐に入り込んだら速度を維持したまま破魔籠めた重量攻撃を。
鎧砕きと鎧無視攻撃も加えた斬撃をしようと思います。

ただ何かの拍子に体勢を崩され止められた場合は…。
その場合には…お願いしますね。ロベルタさん!


ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と連携。
僕が墨ねーよりも先にダッシュで近づくね。
攻撃する墨ねーのサポートをする為だよ。
…これでも遅いとは思うけどね。墨ねー早い。

矢が怖いからジグザグに走ってみようかな。
矢で狙われたら『ミスティルテイン』で斬り払う。
視力と見切りと第六感の駆使と早業でできる…かな?
念の為にオーラ防御と激痛耐性を身体に纏っておくよ。

「う! 勿論、墨ねーのサポートはするっ!」
もし墨ねーの技が止められた場合は補佐するよ。
破魔纏った重量攻撃の【錠前】を今川のおっちゃんへ。
顔でも番える腕でもどこでもいいから全力で蹴るよ。
あ。腕は鎧砕きと鎧無視攻撃を加えた蹴りでいく。
鎧に攻撃が吸収しないようにねぃ♪



 御坂段を登り来る男に、鳳来寺山の霊木が騒めく――。
 浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)も小さな神社を守護する巫女なれば、幽邃の深林に満つ神霊の氣が、凄まじい邪の氣配に戦慄いていると感じよう。
 彼女はシュウシュウと蛇の骸が煙と化す中、強大な怨嗟に視線を結んで、
「……あの者……が……猟書、家……今川……義元……」
「う? 墨ねー……?」
 金絲雀の聲に鸚鵡返しをするロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)。
 墨の蚊細くも張り詰めた聲に視線を揃えた少女は、憎悪を噴き上げてやってきた狩衣の武者を佳瞳に映すと、そうっと流眄に墨へと問うた。
「……なんであんなに怒ってるのかなぁ?」
 然れば墨もそうっと花脣を耳元に寄せて、
「……桶狭間で……織田信長に……敗れた原因が……羅刹にあると……恨んでいて……」
「えー、負けたのを他の人の所為にしてるの? ダメなおっちゃんだねー」
 わるいおっちゃん、と齒に衣せぬ物言いが彼女の魅力。なのだが。
 墨は咄嗟に蛇の骸の翳影に潜むと、ロベルタの口を袖に隠してグイグイ。
「あ、あの……ロベルタさん……えっと……こちら、へ……」
「んむっ……んむんむ……っ」
 二人、ちょこんと煙に隠れて内緒話をする。
 ロベルタが美しベニトアイトの瞳を瞬く中、墨は真劔な聲で囁いて、
「……羅刹が……徳川の、一族を……輩出した……事も……あると……思います……」
 桶狭間に引き込んだだけでは、これ程の恨みは抱くまい。
 今川を討った織田さえ成し得なかった天下統一を、徳川が果たしたという事実が瞋恚を募らせている――だからこそ、徳川の庇護にある鳳来寺山を攻めたのだと墨は言う。
 蓋し理解と共感が別だとは、淸澄の聲が聢と示して、
「……全ての……羅刹、の……抹殺を……目論んで……いる、ようですが……そんな事を……したって……過去は……變わり……ません……」
 過去から甦ろうと、過去を變えられる訳では無い。
 怨嗟が生むのは哀しみのみ、と訣別を告げた花脣は、大蛇の骸が消える前に必中の矢の攻略を話し合うと、すっくと立ち上がるのだった。

  †

『あれが……此度、羅刹が引き込んだ猟兵か……!』
 叢林を睥睨していた今川が、御坂段を駆け降りる一陣の風に気付く。
 その速さに烱眼を絞った邪が、剛弓に矢を番えて的とするが、颯然たる風はジグザグと駆けたかと思えば、石嚴を伝ってジャンプ! 軌跡の読めぬ動きで的を絞らせない。
『っっ、ちょこまかと……!!』
 ふうわと搖れる白銀のポニーテールでロベルタと判然ろうか。艱嶮且つ狭隘なる参道を素早い三次元機動で駆け下りた少女は、びゆうと弦鳴りして飛ぶ魔矢を烱瞳に捉えると、蒼炎の刃『ミスティルテイン』に切り払い、血濡れた石段に置き去りにした。
『な、に――!』
「うぇ~い♪ 視えればできるもんだね!」
 慥かに弓速が光速を超える事は無かろうが、反射を反應に變える速さは妙々。
 卓越した勘と感で軌跡を見切ったロベルタは、前方の今川を注視すると同時、後方からそれこそ光の速さで疾る雷光――地擦り一閃【伏雷】にて迫る墨をも捉えている。
「八雷の名の元に……今川義元の元へと……駆け斬ります……!」
「う。墨ねー、やっぱりはやーい!」
 美し紫電を帯びた墨は、鼻緒を踏み締めるや一足で参道を駆け降り、眞直ぐ、一直線に敵将の懐めがけて『真柄斬兼元』を抜刀する――ッ!!
『ッ、ぬッッ……をおおお……っ!!』
 弓が一度に狙える的は一つ。ロベルタを狙った後で直ぐに墨は射られない。
 その隙に飛び込むに目眩き紫電と化した彼女は、二尺三寸三分の大刀に閃爍を迸らせて斬撃を叩き付けるが、初撃が今川の意地に彈かれるのは想定内。
 今川は墨を捉えるや歯切りして脚を浮かし、
『ッッ……だが、体勢を崩す程に我が“飛鳥墜とし”は威を増す――!!』
「――眞正面……からの……袈裟斬り……退いて、躱すと……思っていました……!」
『な、に――ッッ』
 宛如(まるで)時間が止まるよう。
 花脣は全幅の信頼を寄せる少女の名を、小さく、然し確かに、呼んで。
「お願い……します……ロベルタさん……!」
「う! 勿論、墨ねーのサポートはするっ!」
 全力で、と添えられて閃く【錠前】(セッラトゥーラ)ッ!!
 スカートの裾をふうわりと揺らし、その裾からスラリと出た脚は鞭の如く撓り、下から上へ、戰槌の如き蹴撃を炸裂させた――!!
『ずっ、ぁあ!!』
 電撃に打たれるような激痛を左腕に受け取った今川は、思いがけず弓を彈き宙へ。
 而して「失敗(しま)った」と背筋を凍らせる間も無い。
 この時、身を低く更に懐に入り込んだ墨は、劔速を維持したまま刀を返して逆袈裟に、その細腕からは想像もつかぬ膂力で大刀を振り抜き、血華を咲かせていた――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
ようやく来たかよ
こうなってるとは知らずに、馬鹿の一つ覚えみてーにチンケな矢ァ撃ってるだけの能無し君?
そりゃ羅刹にもしてやられるわけだ
クルセイダー程度に従ってるのも頷ける無能っぷりだぜ

さて、こんだけボロカスに言えばキレてくるだろうよ
すぐさま矢を放ってくるだろうぜ
それもドタマ狙いだ。侮辱されたら武で返したがるもんなぁ?

だから俺は、待つだけでいいのさ
鼻先にある死を感じながら、『報復』という名の後の先の為に
誘いに乗ったらお終いさ。その精強たる武は地に落ち、無能はどうしようもない雑魚に成り下がる
さぁ羅刹ども!奴はもう猟兵しか相 対処できない存在じゃあない
武器を構えろ!俺が守ってやる
盛大な反撃といこうぜ!



 烟り立つ煙霞の向こうに人影が見える。
 累々と横臥わる大蛇を組み敷く男は、無惨な死屍に落としていた瞳を此方に向けると、口端を持ち上げて嗤笑った。
「――ようやく来たかよ。こうなってるとは知らずに、馬鹿の一つ覚えみてーにチンケな矢ァ撃ってるだけの能無し君?」
 待ち疲労(くたび)れたぜ、と肩を竦めて。
 暇を持て餘したか、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は爪先に巨骸を轉がして今川の方へと遣ると、其処に飄然と言を被せた。
「はは、それだけおめでたけりゃ羅刹にもしてやられるわけだ」
 端整の脣は滑らかに嘲罵して、
「同じ骸の海を潜った織田信長は天下を狙ったが、これだけ無能ならクルセイダー程度に従うしかないのも頷けるぜ。實の處、徳川に弓が引けないから羅刹を狙うんだろう?」
『ッ、ッッ』
 然うだ、眞に怒れる時は口より手が出る。
 これだけボロカスに言えばキレるだろうと、スッと通った鼻梁はその儘、流眄に今川を探ったヴィクティムは、言い終わらぬ裡に弦鳴りする剛弓に竊笑を零した。
『さがな口を……ッッ!! 直ぐに噤ませて遣るッ!!』
「――そうだろう、ドタマ狙いだ」
 ドンピシャ、と時すら殺して飛び込む鏃に、塊麗の微笑を湛えるヴィクティム。
 嚇怒に染まるも精確精緻な矢が眼路に迫れば、彼は脳天を貫く筈だった其を鋼鐵の手に摑むと、矢に籠められたエネルギーを腕に吸収していく。
「俺は待つだけでいい。誘いに乗った無能が、どうしようもない雑魚に成り下がるのを」
『な、ん……如何云う事だ……ッ』
「直ぐに理解る」
 鼻先にある死を感じつつ、『報復』という名の後の先の為に――必中の矢を受く。
 完全な脱力状態で発動したReuse Program『Fragarach』(オンテキヲコロスホウフクノツルギ)が煙霧に紛れて“弱体化ウイルス”を撒いたとは、武の衰微で実感できよう。
 今川が愕然とする中、冷艶のテノール・バリトンは叢林に透徹(すみわた)り、
「さぁ羅刹ども! 奴はもう猟兵しか相 対処できない存在じゃあない」
 矢を、と號せば参道の両脇から無数の矢が雨と降り注ぐ――!!
『ッ、ッッ……ッ!!』
 不意に空を仰いだ今川は、桶狭間の記憶を蘇らせたに違いない。
 此度、羅刹の里の者達を主役と置いたヴィクティムは、彼等が射るべき的を示して、
「俺が守ってやる。――さぁ、盛大な反撃といこうぜ!」
 彼等の勝利と幸福が未来まで咲き誇る――その始まりの瞬間を見届けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

司・千尋
連携、アドリブ可

残念だけど
そろそろ帰る時間みたいだぜ?
武士なら引き際は潔くして欲しいよなぁ?


羅刹達に頼んで今川がどこにいるか常に把握できるようにしておく
大丈夫だとは思うけど
逃げたり隠れたりされないように
注意しておこう


攻防は近接や投擲等の武器も使いつつ
基本的に『翠色冷光』で攻撃
回避されても弾道をある程度操作して追尾させる


敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用

仕留めの矢は撃ってくる位置がわかってるなら防ぐのは容易いはず
撃ってくる瞬間を見極め対応

狙撃手は位置がバレたら不利だよなぁ



 大蛇の死屍が狭霧となって消えゆく靉靆の中に、影がチラつく。
 今川義元が烱眼を絞れば、絡繰人形が動いているのが判然ろう、
「――噫、仏法僧の聲が聽こえる」
「そろそろ帰る時間。骸の海へと還る時間」
 ふわ、ふわ、と狐尾を揺らして語らうは『宵』と『暁』。
 狐面の彼等を絲に操る司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は、長い睫を落して二人を見ながら、ゆっくり、こっくりと首肯いた。
「ああ、武士なら引き際は潔くして欲しいよなぁ?」
 皮肉めいた聲を置き、交睫ひとつ、段下の今川に流眄を注ぐ。
 今しがたの会話を耳に聞き拾った今川は、苛立ちを露わに弓を番え、
『……羅刹が引き入れた猟兵とやらは、随分と安い挑發をする』
 噤め、と云うや震えた弦鳴りが必中の矢を放つが、之こそ千尋の狙い通り。
(「怒れ、瞋れ。俺だけに的を絞って呉れた方が闘りやすい」)
 ひとつは、今川を逃げも隠れもさせぬ為に。
 ひとつは、叢林に隠れる里の者達を射させぬ為に。
 何より、始点と終点が判然れば射線が読み易かろう。千尋は細かく分割した『鳥威』に矢の軌道を遮らせ、幾らでも再展開できる其に命中を代わらせつつ、己が瞳は常に今川の位置を捉え続けた。
「狙撃手は位置がバレたら不利だよなぁ」
 後は撃つ瞬間を見極めれば佳いと、佳声を滑らせる千尋は怜悧にして冷徹。
 彼は今川の御坂段を踏む音から弦打ち、弓返り、矢の風を裂く音も具に拾って相殺し、その衝撃が目尻の脇を掠める最中に【翠色冷光】――青白く耀く光彈を放って返した。
「扨て、その必中の矢とやらは“理”から遁れられるのか」
『――ッッ、如何云う事だ』
「すべての彈道は空中に対称の放物線を描くって言うだろ?」
 語尾を持ち上げると同時、スッと細む翠瞳は艶麗。
 視界に迫る鏃を閃爍の光条に灼き、次いで迫る二の矢は異様な軌跡に追尾して手折った千尋は、間隙無く放つ第三射に説明を代わらせ、
「俺は遁れられる。翠色冷光は諸有る影響を受けないんだ」
 時は須臾。
 物理法則を無視した灼光が二条、洒落た曲線を描いて左右より迫る――!
『ッッ、このような跳び方があるものか……ッッ!!』
 今川が目を剥いたのは其だけでは無い。
 千尋が眩い光に着弾点を何度も示した事で、「的」の位置を把握した羅刹達が、叢林の翳影から一斉に矢を放ち、今川の眼路いっぱいに矢を浴びせる――ッ!!
 而して刻下。
 矢彈の雨を浴びた「的」が、赫い汐を跳ね上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
嘗ての海道一の弓取りも、残骸と堕ちれば此の様か
だが恨みに眩んだと為ればさもありなん
そんな輩に此の世界を渡すなぞ出来よう筈も無い

あの矢に当たれば御仁等は唯では済むまい
木立からは出ぬ位置より、弓や投石での遠撃で以って
奴の距離感を狂わせる様に頼む

鏃の向きに視線、体捌き。弓での狙いは見極め易い
戦闘知識で以って見極め見切り、カウンターで斬り落とす
――至攻白極、穿て氷刃
囲い飛ばす衝撃波に本命の氷刃を交え、幾度でも叩き斬ってくれよう
凍てつき腐り落ちる其の身が何時迄も躱せると思うな
止まれば最後――其の首、刎ね飛ばす

如何な手段を用い様とも逃さず滅してくれる
疾く潰えろ、過去の残滓
お前に其れ以外の結末は無い



 瓢箪と良馬を射られた今川義元が、吃ッと叢林を睨め返す。
 葉陰に僅かにも動く影あらば、必中必殺の矢に仕留めんと射掛ける烱眼は怨嗟に満ち、その濁りに最早天下は映らぬかと、鷲生・嵯泉(烈志・f05845)が冷嚴と見詰める。
 哀れとは云うまいが、溜息は零れよう。
「嘗て“海道一の弓取り”と呼ばれた戰國の雄も、残骸と堕ちれば此の様か」
『……貴様、羅刹に引き込まれた猟兵か』
 ぎろり、目尻の際に眼玉を寄越す今川には冱えたバリトンを返して、
「恨みに眩んだと為ればさもありなん。同じく骸の海を潜り甦った織田には幾許か氣骨があったが……畢竟、視野の狭窄な輩に此の世界を渡すなぞ、出来よう筈も無い」
 云えば、逆鱗に触れたか、叢林に向けて番えられる筈の矢は隻眼の男に向けられる。
『噤め。舌を射て遣る』
「その腕なら叶おう」
 蓋し之こそ嵯泉が狙っていた事。
 必中の矢を前に、霊樹に隠れる全員を護る事は叶わずとも、己一人に的を結ぶなら戰い易いと鏃を映した嵯泉は、斬禍の一刃『晶龍』を抜くと、その耀きに遠撃を呼んだ!
「だが其の前に返報を受けて貰う」
 須臾に木立から弓や投石が飛来し、今川の距離感を狂わせる。
 葉陰に潜んだ羅刹達が飛び道具で牽制すれば、今川は憤怒と焦燥を掻き立てよう。
『小癪な真似を……ッッ、その程度で“海道一の弓取り”の矢が折れる筈も無し!!』
 瞋恚を滲ませた弦打ちが矢を彈くが、辰砂と灼ゆる烱眼には全てが捉えられている。
「鏃の向きに視線、体捌き――弓での狙いは見極め易い」
 視線と鏃を一にせねば射られぬのが弓。
 瞳の向きが定まれば、達人ほど顔を、爪先を、身体を揃えよう。
 而して射放の瞬間を見切った嵯泉は、抜身の刀に今川の矢を払い落とすや、振り抜いた『晶龍』に雪晶繚乱を漂流わせ、参道を吹き上がる風を冱々と冷やしていく――。

「――至攻白極、穿て氷刃」

 軈て凍氣に結ばれた水分は玻璃と輝く氷に、氷の楔となって無数の刃に。
 術者が刀を一振りするや、氷刃は鋩を揃えて段下の今川へと襲い掛かッた!!
『ッ、ッッ!!』
「如何な手段を用い様とも、逃さず餘さず滅してくれる」
 弓が一つの的しか狙えぬのに対し、氷結した刃は餘りにも多く、然も嵯泉は今川が凍てつき壊死するまで何度でも斬撃を繰り出す気概。
 端整の脣は眞白の息を零しながら、虎落笛の如く寒々と科白を滑らせ、
「疾く潰えろ、過去の残滓。お前に其れ以外の結末は無い」
 全ての時が止まった時こそ其の首、刎ね飛ばして呉れる――と張り詰めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月隠・望月
今川義元、怨みはわかるが、過去の人物であるおまえのそれを今の羅刹に向けるのはお門違い。

刀で【衝撃波】を放って敵の動きを阻害しながら接近し、【剣刃一閃】で攻撃しよう。
矢筒から弓を取る動作、弓をつがえる動作、そういったものを妨害して、弓が放たれるのを阻止したい。とはいえ、すべて止めるのは難しい。

鳳来寺山の羅刹たち、今川に矢を射かけて、やつの意識を逸らしてはもらえまいか。ほんの一瞬でいい、隙ができたら一息に近づいて、首か、少なくとも攻撃の要の弓手に斬りかかろう(【切り込み】)。
こんなことを頼む以上、ここの羅刹たちに怪我はさせられない。もしそちらに敵の攻撃が向いたら全力を以て【かばう】。約束しよう。



 今川の矢がいかぬよう、全力を以て庇い護る。
 羅刹の里の者達にそう固く約束した月隠・望月(天稟の環・f04188)は、目下、今川の怨嗟を預るべく先ずは能辨に迎えた。
「今川義元、怨みはわかるが、おまえのそれを今の羅刹に向けるのはお門違い」
 花脣を滑るは、鳳来寺山の仏法僧より美しき大瑠璃の聲。
 蓋し囀る科白は、一縷と繕わず直截的に、
「過去より甦ろうと過去はかわらない。羅刹を殺しても、桶狭間の敗北は覆らない」
『ッッ……小娘よ、黒曜石の角を額にして云うか……!!』
「おまえは、おまえと、おまえを討った織田もつかめなかった天下に泰平を敷く徳川への恨みを、かの一族を輩出した羅刹にぶつけているに過ぎない」
『ッ、ッッ!!』
 図星を突かれたか、返す言も無く脣を歪める今川。
 然し手は出ようか、嚇怒して弓を番えた男は必中の矢を射るが、望月は無銘の刀を抜刀して一閃ッ、凄風の如き劔圧を放つと、その軌道を掣肘して返す刀に手折った!
『な、に……我が仕留めの矢を禦ぐなど、そのような事が……ッ!!』
 始点と終点が明らかな弓は軌跡が読み易い。
 そして矢筒から弓を取る動作、弓を番える動作などの初動を止めれば、射放そのものも阻止できる、と衝撃波を叩きつけた望月は、今川が喫驚した隙に合図を送った。
「――返報の矢を」
 云えば叢林から一斉に矢が放たれ、今川に目掛けて雨の如く鏃が降り注ぐ。
 之には愈々今川も瞋恚を露わに、
『羅刹めッ……貴様の親の親も我を陥れたが、子の子とて小癪な真似をする……!!』
 御坂段を何段か飛び降りて矢を躱しつつ、吃ッと葉陰を睨める。
 霊樹の翳に僅かにも動く影あらば、必中の矢に仕留めて呉れようと烱眼を絞った邪は、この時、懐を潜る圧倒的な殺意の波動にゾクリと時を止めたろう。
「里の者達に感謝しよう。ちょうどの隙が出来た」
『な、に――』
 其は轟然たる大風の如く、澎湃たる怒涛の如く、熾々と然え上がる燄の如く!
 一氣に闘志を漲らせた望月は、爪先を彈くや一息に肉薄して【剣刃一閃】――ッ!!
 溢れる才を以て刃を振るい続け、而してユーベルコードの域にまで達した圧倒的な斬撃を叩き付けたッ!!
『――ずぁああ嗚呼ああ唖唖ッッッ!!』
 濤と繁噴く血潮を連れて参道を轉げ落ちる今川を、漆黒の麗瞳が追って、
「過去はかえられない。だから、わたしは――未来を、かえる」
 と、交睫をひとつ、玲瓏の彩を冱々と輝かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
【POW】
引き続き羅刹達には物陰からの攻撃を要請

俺は〈冥府の槍〉を使い接近戦に持ち込む
[決闘]に関する知識を駆使し、弓による攻撃だけではなく身体各部の動きも考慮した距離を取らせない立ち回りをして行きたい

仕留めの矢
俺が体勢を崩していれば致命的な箇所に――では逆ならば

先程受けた仕留めの矢を[戦闘知識と学習力]で分析
篝火や魑魅魍魎の死骸に残った俺の炎を射出の瞬間に爆ぜさせ、羅刹達への攻撃要請としよう
虚を突かれた状態で放たれた矢は俺の左腕側で受ける
勿論[結界術]で障壁を張りダメージ軽減を図るよ

[激痛耐性]で痛みをやり過ごしつつ敵へ突っ込みUC発動
傷口から立ち昇る炎も流し込む

鳳凰はお前のところには来ない



 中央の柱間を通路とする仁王門は、左右に配された仁王像が妖異の類を退けていたが、此度は鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)が門前に立ち、過去からの使者に立ち塞がる。
 大蛇の死屍を組み敷く修羅、その額に覗く赫角が今川を苛立たせよう、
『……羅刹が引き込んだ猟兵も羅刹とは忌々しい』
「戰國の雄が随分と筋違いな腹を立てる。織田に討たれ、その織田すら届かなかった天下に泰平を敷く徳川への恨みを、かの一族を輩出した血脈に代えているだけと云うのに」
『なっ、にを……ッ!!』
 会敵劈頭、今川が嚇怒に眉を蹴立てるが、これで佳い。
 佳脣を滑る科白が幾分にも荊棘を帯びるのは、「必中の矢」の的を絞らせたいからで、強い怨嗟を羅刹に向けられるより己一人で預ろうと、相馬は躊躇いなく図星を突く。
 畢竟、弓は始点と終点が判然れば軌跡を読み易いのもあろう、
「角が憎ければ折ればいい。その腕なら叶う」
『云ったなッ!!』
 須臾に矢筒へ手を遣る邪に対し、拇指球を強く踏み込んで御坂段を駆け降りた相馬は、紺青の炎を喊ぶ『冥府の槍』を手に一氣に肉薄した!
「但し射られればの話だが」
『ッッ、金剛力め……!!』
 鈞ッと鏗鏘の音がしたのは、大弓と黒槍が角逐したからだろう。
 相馬は射放だけでなく、今川の身体や挙動から距離を取らせぬ立ち回りを探っており、歴戰を経て積み上げた知識と経験則、そして戰闘勘が見事に今川の間合いを制した。
『小癪な……弓を射させぬ氣か……!!』
「――いや」
 今川の弓は殺す。
 蓋し羅刹の弓は生かそう。
 相馬は先の戰いで受けた「仕留めの矢」の感覚を、既に己の血肉としており、僅かにも今川が射ようとした際には、我が炎を焚べた篝火を、或いは大蛇の骸に残れる炎を被せるように爆ぜさせ、其を里の者達への攻撃の合圖とした。
「耳を澄ませ。間もなく仏法僧が鳴くより快い音が聽こえる」
『な、ン――』
 時にして須臾。
 謂れ無き怨嗟を寄越された羅刹達が、返報の矢を一斉に射掛ける――!!
 ひやうと風を切る音が集まれば宛ら虎落笛の如く、そして驟雨と降り注ぐ矢に息を呑んだ今川は、その耳に相馬の低く冷たい聲を拾い、時を、止めた。
「――鳳凰はお前のところには来ない」
 來たるは善悪の疆界に立つ獄吏、彼が連れる死のみ。
 一角鬼は今川の内にある冥府の門を開くか、黒槍の刺突撃に訣別を告ぐと、【炮烙棘】――紺青の炎に灼き尽くすと同時、内部で枝分かれした黒楔を炸裂させた!!
『ッ、ッッ……ッ――!!』
 最早、今際の絶叫も叶うまい。
 猟書家・今川義元は爆裂四散し、鏃のひとつも残さず鳳来寺山を去るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月19日


挿絵イラスト