辺境のベリー・メリー
●
暗黒の竜巻に切り裂かれた世界にも、冬は等しく訪れる。
アポカリプスヘル。物資に乏しいこの世界では、冬を越すのは厳しいものだ。暖を取るための薪や灯油、十分な食料。それらが不足すれば、体力のない者から力尽きてゆく。
しんしんと音も無く降り積もる白を、時に大人たちは死神のようだと云う。ひそりひそりと忍び寄り、夜のうちに命を狩ってゆく死神のようだと。
けれど幼い子供たちは目を輝かせ、雪が好きだと口々に云うのだ。極限世界に生まれた彼らは子供といえど立派な働き手で、冬になれば大人と一緒に薪を集めたり雪の中から作物を掘り起こしたりと重労働が増えるにも関わらず。
「だってね、いい子にしてたらサンタさんが来るんだよ」
大事そうに抱えているクリスマスの絵本はぼろぼろで、何度も補修した痕が残っている。拠点に住む奪還者が、壊滅した集落から持ち帰ってきたものだ。元々はその奪還者が自分の子供のためにと調達してきたものだというが、今では拠点の子供たちの共通の財産として大切に読まれている。年長の子供が小さな子供に読み聞かせてあげるのが、ここでの慣習なのだという。大人がそうしろと云ったのではない。子供たちが決めたのだ。
なんてことのないお話。
クリスマスの日には、サンタクロースが子供たちにプレゼントをくれる。
トナカイが引くソリに乗ってプレゼントを配るサンタクロースの背景には、降りゆく雪がきらめく星々のように鮮やかに描かれている。
「今は世界がめちゃくちゃだから、サンタさんも昔みたいにお空を飛べなくなっちゃったんだって」
「でも、最近は強い奪還者さんが、食べ物とかひとりじめする悪いやつらをやっつけてくれてるらしいじゃん?」
「だからきっとそのうち、またサンタさんが空を飛べるようになるよ。その時までいい子でいなくちゃね」
サンタクロースの絵本は、極限を生きる子供たちにとって文字と道徳を覚える為の教科書であり、共通の話題たるコミュニケーションツールであり、そして何より夢を与えてくれる宝物でもあるのだ。
●
「そこまで云われたらさ、お節介のひとつも焼きたくなるだろ、なァ?」
そんな心温まるエピソードを話せて聞かせてきた男は、一見『子供の為に』なんてお節介とは無縁そうな風貌だったけれど。
ジャスパー・ドゥルジーの二色が混ざり合う眸のいろに、揶揄うような表情は見られない。どうやらそれなりに真剣であるらしい。
「というわけでさ、その『強い奪還者』さんこと猟兵たちで、サンタクロースになっちまおうって作戦よ」
十二月二十四日。クリスマスイブ。
アポカリプスヘルを訪れ、子供たちにプレゼントを配る。それが今日集められた猟兵達の、大切な任務というわけだ。
「転送はそっちの指定したタイミングや場所に合わせるからさ、プレゼントを配る方法や演出は各自で自由に考えてくれ。昼間に拠点に行って子供たちに聲かけて手渡しでもいいし、オーソドックスに子供たちが寝てるところにこっそりプレゼント置いてくでもいいし。拠点の大人たちにも話はつけておいてあるから、夜中にこっそり家を訪問したって大丈夫だぜ」
そこまで説明をしてから、ジャスパーはただ、と少しだけ表情を曇らせる。
「ひとつだけ、気を付けてもらいたい事があってさ。あんまり高価なものは、避けてもらった方がいいかもしれねえ」
この世界では、だれしも生きるのに必死だ。
大量の物資との交換や換金が効くような高価な品を子供たちだけが貰えるとあっては、いい顔をしない者が現れないとも限らない。悲しい事ではあるが、日々を必死で生き延びている人々を責める事はできない。
それに何より、世界の外から大量の物資を運び込む行為はオブリビオン・ストームを呼び寄せる可能性がある。
「過ぎたるは……ってわけさ。俺らは貧しい者達に慈悲の施しを与えに行くんじゃねえ。子供がイブにサンタからプレゼントを貰うって当然の権利を受けれるように、ちょこっと手助けをしに行くだけだ。だから……そうだな、例えば子供たちで遊べるおもちゃとか、家族で食べきれるぶんの焼き菓子とか、そういうささやかなモンが丁度いいんじゃねえかな。あとは……なにもモノにこだわる必要もねえかもな。一緒にクリスマス料理を作るとか、そういう『体験』も立派なプレゼントだと思う」
そこまで含めて任せるぜ、とジャスパーは肩を竦めた。
「人手が必要だったら俺も現地で手伝うぜ。ひとりでも多くガキンチョどもが笑顔になるなら、それなりに気合入れて頑張りますとも」
シシシ、とぎざぎざの歯を見せて転送の準備を進め乍ら、集まった猟兵ひとりひとりに目を合わせて云うのだった。
「頼んだぜ、サンタさん」
ion
●お世話になっております。Ionです。
待ちに待ったクリスマス。「サンタさん」が訪れなくなって久しいこの世界で、皆様にサンタさんになって貰うお話です。
ジャスパーが云っている通り、演出は皆様にお任せです。
子供たちの前に堂々と姿を現してプレゼントを配ったりイベントを開催したりしてもいいですし、夜中にこっそり子供たちの枕元にプレゼントを置いていくような定番のサンタさんでもオッケーです。
拠点の大人たちには話をつけてあるので、夜中に窓からこっそり侵入したりしても大丈夫です。
ただひとつ、高価すぎたり大量すぎるプレゼントなどは適しません。拠点の平和を乱したり、オブリビオン・ストームを呼び寄せる事に繋がってしまいます。子供たちの生活を支えるというよりも、今日この日をうんと楽しんで希望を持ってもらえることに重点を置いたセレクトの方がベストです。
●グリモア猟兵について
お誘いがあった場合のみ、案内役のジャスパーが同行します。雑用から盛り上げ役まで、お気軽に使ってやってくださいませ。
●プレイングについて
オープニング公開後、断章を投稿する予定です。その時にタイミングなどをお知らせいたします。
それでは、素敵なサンタさんにお会いできるのを楽しみにしています。
第1章 日常
『アポカリプスヘルのクリスマス』
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POW : 子供たちに、ちょっとしたお菓子や食べ物をプレゼントする
SPD : 子供たちに、手作りのおもちゃ等をプレゼントする
WIZ : 子供たちに、絵本や実用書などをプレゼントする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
その拠点に決まった名前はない。
今はストームによって建物を破壊されたファストフード店の巨大な看板だけが残っているのを差し「ポテト・ヴィレッジ」と呼ぶ者も中にはいるが、定着はしていない。錆びた看板は食欲をそそるビジュアルですらなく、目印以上の役割は果たしていないからだ。
元々は何の変哲もない片田舎だったそこで、人々は肩を寄せ合って過ごしている。今でこそ猟兵達の活躍によって拠点と拠点の物流も徐々に復活しつつあるが、基本は自給自足が中心だ。畑を耕し、数少ない家畜を大切に育てながら生き延びている。
銃を手に危険な外部に赴く奪還者もいるが、元々実戦経験に乏しい彼らは文字通り命がけだ。オブリビオンと遭遇し、逃げのびる為に貴重な銃弾を使い果たしたにも関わらず何の糧も得られなかった――時にはそんな日もある。
毎日がぎりぎりで、死と隣り合わせの、この世界ではありふれた日常だ。
ここでは子供たちも立派な働き手だ。農業に従事し、下の子供たちの面倒を見る。冬が近づくとなれば暖かいセーターを編んだり薪を集めたりと仕事は増える。
それでも彼らは遊ぶことを忘れない。大人の手伝いが終われば広場や廃墟に集まってきゃあきゃあと子供らしくはしゃぐのだ。
かけっこや手遊びといった定番のものから、「奪還者ごっこ」と称したこの世界ならではの遊びもある。極限世界でも希望を失わない大人たちを見て育った子供たちもまた、毎日を懸命に生きているのだ。
夜になれば子供たちはそれぞれの家に帰る。建物を新たに建築するほどの余裕はなく、ストームの襲撃を免れた建物に住んでいるかたちだ。当然、ひとつの屋根の下にひとつの家族では収まらない。助け合わねば生きていけない事を、皆が知っている。
子供たちはクリスマスやサンタクロースといった単語を口にすることはあっても、ごちそうやプレゼントが無い事に不平を漏らす事は滅多にない。それが大人たちの負担となる事を薄々気づいているのだろう。
「あんな小さい子らがねえ、物分かりがいいもんで。助かるけれどやるせないよ」
「この日だけでも、本当に奇跡が起こればいいのにな」
そう呟いた大人たちは、猟兵たちの申し出に深々と頭を下げ、二つ返事で請け負ったものだった。
「何とお礼を云ったらいいか……私達が協力できることがあれば、なんでも仰ってくださいね」
――さあ、サンタクロースがやってくるよ。
だってみんな、いい子だったもの、ね。
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プレイング受付:12/26(土)朝8:31~12/28(月)夜23:59
🔵が集まり切らなかった場合は延長します。
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白紙・謡
サンタさんの絵本を皆さんで大事に大事にしているなんて
なんて素敵なのでしょう
わたくしも物書きとして
今宵は良い子のみなさんに物語を紡ぐ事に致しましょう
夜中に拠点の大人の方に案内頂いて
わたくしは寝ている子供たちのお部屋の外から
おいで、おいで、と部屋のなかに
絵本の物語通りのサンタさん
彼に
「よいこのみんなへ メリークリスマス!」のカードと
プレゼントボックスを部屋の中に置いて頂きます
もし子供たちの誰かが起きてしまったなら
しぃ、と人差し指を立てウィンクひとつ
キラキラ消えるサンタさん
プレゼントはわたくしが真剣に選び抜いた絵本
幸せな物語、やさしく温かい物語、元気な冒険物語
子供たちの夢見るせかいが広がりますように
●
白紙・謡(しるし・f23149)。
少女の姿をしたままの架空の存在である彼女は、実は数々の書を手掛け続け六十年も間近。
だからこそ今回の呼びかけを聞いて、真っ先に駆けつけてきたのだった。
「サンタさんの絵本を皆さんで大事に大事にしているなんて、とっても素敵でございますね」
子供たちの純粋な想いも微笑ましく愛おしいし、そして何より、そんな彼らの支えになっているのが本だという事が、謡はとても嬉しかった。
「まるでわたくしの方が先にプレゼントを頂いてしまったかのような心地ですが……。物書きとして今宵は良い子のみなさんに物語を紡ぐことに致しましょう」
夜、子供たちが眠りにつく頃。
謡は拠点の大人たちに話をつけて、子供たちの部屋の外でペンを握る。
さらさらと書きつけられる紙上の物語から招かれ出でたるのは、赤い服に赤い帽子。ちょっぴりふとっちょな体に豊かな白髭をたくわえた、絵本の通りのサンタさん。
「お願い致しますね」
謡が微笑み掛ければ、ひげもじゃのにこにこ顔で子供部屋に入っていった。
何人もの子供たちが身体を寄せ合って眠る側に、大きな袋から取り出したプレゼントボックスをそっと置いていく。
ふと、一番ちいさな子供がううん、と唸って身じろぎをした。サンタさんは動きを止めて息を潜めたけれど、子供は大きく伸びをして、それから目を開けてしまう。
ぼんやりと瞬いていた瞳が、真っ赤なお洋服のおじいさんを見つけてあっとまん丸に見開かれる。
「サ……」
しぃ、とサンタさんは人差し指を立ててウインクひとつ。
それからまるで淡雪がお日様に溶けてしまうように、きらきらと微かに光りながら消えていってしまうのだった。
「……ゆめ、だったのかな」
もう一度眠ろうと布団に入りかけた子供の手に、何かが触れる。
赤と緑の鮮やかな包装紙で包まれた、サンタクロースからのプレゼント。
「ゆめじゃ、なかった……!」
小声で呟きつつ瞳を輝かせる子供を、謡は部屋の外からこっそり覗き込んで笑みをこぼすのだった。
(「本当は今すぐ開けたいでしょうに、ちゃんと静かにしてくださってるのですね」)
サンタさんが“しい”って云ったから。
皆を起こさないように。
そして何より、楽しい事を皆と共有したいからでしょうか、と謡は推測する。
そんな良い子へのプレゼントは、「よいこのみんなへ メリークリスマス!」とやさしい字で書かれたメッセージカードが添えられていて。
箱の中には、謡が心を込めて選び抜いた絵本たちが入っているのだった。
幸せな物語、やさしく温かい物語、元気な冒険物語。
子供たちの夢見るせかいが広がりますように、と願いを込めて。
大成功
🔵🔵🔵
乱獅子・梓
【不死蝶】
プレゼントはモノじゃなくて
『体験』でもいいと言っていたな
…よし!いいこと思い付いた
子供たちの前に姿を現し
小さなサンタ帽を被せた焔と零を見せて
まずは子供たちと交流を図る
どうだ、サンタドラゴンだぞ
俺たちはサンタの助手といったところだ
…自分で言うのもアレだが、サンタコスプレの俺とか
最高に胡散臭いだろうが
サンタからお前たちに
楽しくておいしいプレゼントがある!
焔のブレスで焚き火を作り
棒にマシュマロを刺して火にあてる
これだけでも美味いが、更にこれを
チョコと一緒にビスケットで挟めば絶品スイーツの完成だ
これをスモアと言う!
完成された立派な菓子ではなく
自分たちで作るという特別な体験がプレゼントだ
灰神楽・綾
【不死蝶】
この世界の人たちの境遇や頑張りは
どこか自分たちの故郷を思い出させる
何か力になってあげたいよね
サンタさんは色んな姿かたちをしているんだよ
俺たちはトナカイみたいなものかな
梓に話を合わせながら子供たちと交流
…梓本人がサンタさんになっても良かったんだよ?
梓たちが火の準備をしている間に
俺は持ち込んだマシュマロ、ビスケット、チョコを用意
スモアだなんて夏のキャンプ以来だなぁ
マシュマロは火にあてすぎると
丸焦げになっちゃうから気をつけてね
でも時には失敗しちゃうのも楽しさのひとつ
いっぱい焼いていっぱい楽しんじゃおう
きっとこの世界で料理や食事は生き残る為のもの
でもそれだけじゃないってことを伝えていきたいね
●
ダークセイヴァー生まれのふたりにとって、この荒廃世界はどこか懐かしささえも感じさせる。
「何か力になってあげたいよね」
「ああ。プレゼントはモノじゃなくて『体験』でもいいと言っていたな」
漆黒纏う灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)と、純白羽織る乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が揃って頷きあう。
力の及ばぬ怪物に文明を破壊され、支配されて。それでも理不尽の中で懸命に生き延びている人々。
中でも子供というのは特に未来の象徴だ。彼らに宿る希望の灯火が消えないようにと、二人はあれこれ頭を悩ませた。
「……よし! いいこと思い付いた」
「何するの? 梓」
梓の相棒である炎竜の焔と氷竜の零も、主人の肩の上で二人の話に耳を傾けていた。
●
「わ、お兄ちゃんの連れてるその子たち、すっごくかわいい!」
今まさに遊び場に繰り出そうとしていた子供たちが、二匹の竜を指差して歓声を上げる。
「どうだ、サンタドラゴンだぞ」
そう。焔と零はお揃いのちっちゃなサンタ帽子を被っていたのだ。子供たちに褒めて貰って嬉しいらしく、キューキュー、ガウガウとそれぞれ満足そうに鳴いている。
「ドラゴンさんもサンタさんが好きなの?」
ちっちっち、と梓は人差し指を揺らした。
「コスプレとかじゃないぞ。本物のサンタだ」
「えーっ、サンタさんは人間のおじいちゃんだよー?」
「サンタさんは色んな姿かたちをしているんだよ、おじいちゃんだけでプレゼント配るのは大変でしょ?」
綾の言葉に、子供たちはそういうものなのかなあと首をひねる。
「そして俺たちはサンタの助手といったところだ」
「そうそう。トナカイみたいなものかな」
梓に調子を合わせつつ、綾はこそっと耳打ちする。
「(梓本人がサンタさんになっても良かったんだよ?)」
「(……自分で言うのもアレだが、サンタコスプレの俺とか最高に胡散臭いだろうが)」
「(ふふ、それは確かに)」
「(言っておくがお前もいい勝負だぞ)」
自覚はあってもその理由で納得されると多少ムッとはするもので、クスクス笑う綾を肘で小突いてやる。
「ま、そんな事より。サンタからお前たちに楽しくておいしいプレゼントがある!」
「おいしい!?」
「プレゼント!?」
魅力的な言葉に即座に反応する子供たち。梓はニッと笑い、持ってきた薪を組み上げ始める。
「お手伝いすることある?」
あかぎれの目立つ手を伸ばしてくる子供たち。見ててもいいぜと梓は断りを入れたが、目を輝かせている彼らはどうやら手伝いたくて仕方ない様子。
「んじゃ、これをこうしてだな……」
そうして梓と子供たちが準備を進めている頃、綾も持ち込んだ食材たちを取りやすいように並べていく。
組み上げた薪に焔がブレスをかければ焚火の完成だ。
「ドラゴンさん、すごい!」
「そしたらこれを、こうして」
先端を削った枝にマシュマロを刺して火にあてる。とろっととろけて色づく様子を、子供たちはまるで魔法のようにじっと見つめていた。
「すっごく美味しそう」
「もう食べられる?」
「これだけでも美味いが、今日は特別な日だからな」
とろけたマシュマロをチョコと一緒にビスケットで挟めば、絶品スイーツの出来上がり!
「これをスモアと言う!」
「すもあ!」
「スモア食べたい!」
「うん、皆で作ってみよう」
綾も笑って、マシュマロを刺す枝を子供たちに配っていく。
「うまくできるかな」
「一か所だけ火を当て続けると焦げちゃったり落ちちゃったりするから、くるくる回しながら焼いてみて」
子供たちの腕前は様々だった。綾のアドバイスを受けて上手にできる子もいれば、おっかなびっくりの子や、思いっきり炙り過ぎてしまう子もいた。
「うわっ、真っ黒だ!」
けれどどの子も楽しそうに火を囲っているのだった。彼らの笑顔に、二人もサングラスの奥の眼を細める。
「たくさんあるから少しくらい失敗しても大丈夫だ」
「そうそう。いっぱい焼いていっぱい楽しんじゃおう」
どっさり山盛りのマシュマロを見て、子供たちはわーいと大はしゃぎ。
そして上手に焼けたマシュマロを挟んでぱくっと食べれば、誰しもが満面の笑顔。
「おーいしー!」
「とろっとしてて、ざくざくしてて、とってもあまい!」
サンタさんとお兄ちゃんたちも食べよ、と高揚した声に勧められて、綾たちもスモアをぱくり。
「スモアだなんて夏のキャンプ以来だなぁ。悪くないね」
「完成された立派な菓子ではなく、自分たちで作るという特別な体験が何よりのプレゼントだ」
おっきなスモアにかじりつく二匹を眺めながら、梓が満足そうに云うのだった。
「うん」
綾もつられて彼らを見、口元を緩める。
――きっとこの世界で料理や食事は生き残るためのもの。
「でも、それだけじゃないってことを伝えていきたいね」
今はそれが特別な体験でも。
力を合わせ、乗り越えていく先に、きっとこんな日常を取り戻せる時がある。
そして何よりも。
「あちっ、舌やけどしちゃった!」
「あはは、よくばりすぎ」
日々の厳しさから解き放たれたような子供たちの笑い声。この日がきっと、未来を結ぶ活力となってくれる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朧・紅
オズさん(f01136)と
僕たちはサンタなので~す♪
ねーっ
甘いお菓子好きですかーっ
そうです
皆もサンタさんになりたくないですか?
空想造血でポポンとサンタ帽子をプレゼント
お菓子をたぁくさん作って
いつも頑張って下さってるおとーさんおかーさん
大人のみんなにもプレゼントしちゃいませんか
内緒ナイショ
しーっ
やるですオズさん!
やり方忘れてオズさんをチラ見しながら僕も混ぜ方お教えするの
ぅやぁキャンディきらきらかわいい!
僕はねー
じゃん、オズさんとシュネーさん!
ちょっとへにょったですけれど(照
チョコチューブで描いたのです
オズさんや皆も何か描くですか?
せーのでサプライズ
オズさん笑顔がいっぱいですねっ
クッキーおいひぃ♪
オズ・ケストナー
紅(f01176)と
わたしたちはサンタだよっ
ばばーん
サンタさんのおてつだいをしにきたんだ
ねー
みんなであまいおかしをつくろうと思うよっ
ふふ、みんなもサンタさんだ
大人には、なにつくってるかひみつね
しーと指立てて
クレナイ、やろうっ
やり方を見せながら一緒に作った生地を伸ばして
みんなのすきなものはなーに?
形をつくるところがいちばんたのしいんだもの
クレナイ、なにつくる?
わたしはきょうはねえ、砕いたキャンディを飾っちゃうよ
わあ、シュネーとわたしっ
わたしも、クレナイとロウくんかくっ
すきな形に型で抜いたり
手で整えて
みんなでラッピングして
せーのっ
クレナイには
赤いステンドグラスクッキーとふたりのクッキー
おいしいねっ
●
「わたしたちはサンタだよっ、ばばーん」
プラチナブロンドのミレナリィドール、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)が眸の色と同じキトンブルーのサンタ帽子を被れば。
「そう、僕たちはサンタさんなので~す♪」
朧・紅(朧と紅・f01176)――ふたつの魂を持つ少女の主人格《紅》も、真似してラベンダー色のサンタ帽をすっぽり。
それから二人、顔を見合わせてねーっとスマイル。
「サンタさん?」
「まだ若いじゃん、見習いなの?」
不思議顔の子供たちに、オズは「サンタさんのおてつだいをしにきたんだよ!」とにっこり説明。
「みんな、甘いお菓子好きですかーっ」
「好き好き、大好きっ」
「そうだよねっ。だからきょうはみんなであまいおかしを作ろうと思うよっ」
紅の言葉にはしゃいでいた子供たちはオズの提案に一瞬きょとんとして、それから先程以上に顔を紅潮させて大盛り上がり。
「作れるの!?」
「ぼくたちが!?」
「そう、みんなで」
紅は空想造血――血液から創造物を生み出す力でポポンとサンタ帽子を生み出して子供たちにプレゼント。
「魔法だ!」
「サンタさんはやっぱり魔法が使えるんだ!」
「お菓子をたぁくさん作って、いつも頑張って下さってるおとーさんおかーさん、大人のみんなにもプレゼントしちゃいませんか」
「「やるー!!」」
ぴょこぴょこ跳びはねて大喜びの子供たち。そんな和やかな様子に、丁度近くを通りかかった中年の女性がにこにこと微笑みながら去っていった。
「たいへんっ、大人にはひみつにしなきゃ」
「内緒ナイショ」
二人がしーっと指を立てると、子供たちもはっと襟を正してしーっの物まね。
素直な様子に、紅もオズももう一度顔を見合わせてくすくす笑った。
「やるです、オズさん!」
「クレナイ、やろうっ」
●
バターに砂糖、小麦粉に卵。
「サクサクのコツはね、まぜすぎないことっ」
「そうそう、あとでいーっぱい触るから、ここではちょっとで大丈夫です」
手慣れた様子で混ぜるオズの様子をこっそりチラ見しながら、紅も子供たちにやり方を伝授。
「まとまってきたよ」
「これを形にするの?」
「そうそう」
麺棒やいろいろなかたちの型を取り出して、紅はにっこり。
「これで伸ばして好きな型で抜いてもいいし、手で好きなかたちにしちゃってもいいんですよ」
「手で? そんな簡単でいいの?」
「うんうん、形をつくるところがいちばんたのしいんだもの」
思いっきり楽しまなくちゃ、とオズ。
「みんなのすきなものはなーに?」
「わたしは……やっぱりサンタさん作ろうかな!」
「オレは車!」
「ハート型にする!」
「クレナイ、なにつくる?」
「ふふ、出来てからのおたのしみです!」
おしゃべりしながら楽しく形を相談し合う子供たち。粘土遊びみたいに楽しく作ったいろいろなかたちを鉄板に並べていく。
「みんなとっても素敵です!」
「もっとかわいくなるとっておきのまほう、かけちゃおうかな」
一緒に自分のクッキーを並べたオズが取り出したのは、丁寧にくだいた色とりどりのキャンディたち。
「これを飾っちゃうよ」
「焼くのに? 溶けちゃわない?」
びっくり顔の子供たち。
「どうなるかはあとでのお楽しみっ」
「あたしのにも飾っていい?」
「もちろん」
好きないろ選んでね、と渡したキャンディが生地にちりばめられていく。
オズが召喚したふしぎなオーブンに鉄板を入れれば、スタートボタンを押したい子供たちが押し合いへし合い。なんとかじゃんけんで決着をつけて、焼成スタート!
色づいていく生地を、キャンディの変化を、子供たちはオーブンにへばりつくようにしてじっと見守っていた。
焼き上がりを告げる音に、離れててね、と断りを入れて紅がオーブンを開く。
あける前から漂い始めていたいい香りがふわりと強まって、サクサクおいしいクッキーの完成!
「美味しそう!」
「見て見て、キャンディが溶けてゼリーみたいになってる!」
初めて見るカラフルなステンドグラスクッキーに、目を輝かせる子供たち。
「ほんとだ、キャンディきらきらかわいい!」
同じくらいきらきら顔で、紅もとっておきの『魔法』を披露。
「これで好きなの描きましょ!」
取り出したのはそう、チョコチューブ。かわいくデフォルメされたお顔をプレーンクッキーの上にペイントしていく。
「クレナイ、なにかいてるの?」
「じゃん、オズさんとシュネーさん!」
ちょっとへにょっちゃったけど、なんて照れ隠しと共に紅が見せたのは、青いおめめと桜色おめめの二人組クッキー。
「わあ、シュネーとわたしっ」
大切な姉であり友達である彼女とお揃いが、何よりうれしくて。
「わたしも、クレナイとロウくんかくっ」
オズも目つきの悪いねこぐるみを再現すべく、チョコチューブを握るのだった。
●
皆で心を込めて作ったクッキーを、かわいくラッピング。
「みんなびっくりしちゃうかな?」
「おねえちゃん、おにいちゃん、ありがと!」
「ラッピングしてないぶんは、みんなでたべましょ!」
手を合わせていただきます。おいしさにますます大輪の笑顔に顔を綻ばせながら、オズと紅も顔を見合わせる。
「オズさん笑顔がいっぱいですねっ」
「おつかれさま、クレナイサンタさんっ」
せーの、で交換こするクッキー。きらきらステンドグラスに、それぞれと相棒のペアのクッキー。
「んー、クッキーおいひぃ♪」
「おいしいねっ」
二人も笑顔の輪に加わりながら、美味しいクリスマスは更けていくのだった。
子供たちがおうちに帰る頃、笑顔がもっともっと広がる時を楽しみにしながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シグレ・ホルメス
オモチャや本をこっそり枕元に配っていこう。体力には自信があるからな、プレゼントの入った袋を担いでせっせと配りに行くとしよう
子供たちの部屋が建物の上の階にいる場合は面倒だからジャンプしてよじ登り外の窓から入るぞ。…泥棒みたいだな
ああそれと、プレゼントの経費は悪いが他の猟兵持ちで頼む。今はスカンピンだからな。というか私も貧者の部類に入ると思うし、甘菓子の一つくらい恵んでほしい所だ…自業自得と言われればそれまでだが
子供たちはこれから先も、苦汁を飲まされ、否応なく厳しい道を強いられるだろう
だが、それでも諦めず希望を持つならば、今日この日くらいは出来ることを手伝おう
私も「往生際が悪い」のは好きだからな
●
「よっ……と。うん、順調だな」
ぱんぱんに膨らんだ袋は、呟く小柄な女性とは不釣り合いに大きい。けれど並外れた身体能力と戦場で鍛えた体力を武器に、蒼い眸のエルフ――シグレ・ホルメス(放浪者・f29335)は家々を渡り歩く。
「次はあそこか」
仰ぎ見たのは元はマンションだったらしい大きめの集合住宅。手にしたメモには、三階の一番左の部屋に子供が住んでいるとある。ふう、と大きく息を吐いて呼吸を整えたシグレは大きくジャンプして壁をよじ登り、鍵のかかっていない窓から室内に入り込んだ。
(「……なんだか泥棒みたいだが、サンタクロースとはこういうものらしいからな。煙突もないし」)
実の所、シグレにしてみれば単純に階段をいちいち登るのが面倒だったからなのだが、結果的に良かったのかもしれない。
可愛らしくリボンをつけたくまのぬいぐるみを、眠る女の子の枕元にそっと置いて。再び身を翻らせたシグレは音を立てないように丁寧に窓を閉め、次の家へと向かう。
「しかしプレゼントの経費が向こう持ちで助かった。出せないと言われたら、此処の住人達の前に私が飢えて死んでいたかもしれない」
オブリビオン討伐ではないが、これも猟兵の仕事という事なのだろう。子供たちに行き渡るだけのプレゼントを調達しても少しばかり余るほどの金銭を、シグレは受け取る事が出来た。
正直なところシグレ自身も懐が温かいわけではないので、大いに胸を撫でおろしたものだった。
あてもなく各地を旅するシグレはやんわり言えば貧しい方で、はっきり言えばスカンピン。自業自得と云われれば否定はできない、とシグレ自身は思っている。とにかく他人の面倒を見ている場合ではないのかもしれないが、それでもシグレにこの仕事を請け負わないという選択肢はなかった。
この地に生きる子供たちはこれから先も苦汁を飲まされ、否応なく厳しい道を強いられるだろう。
それでも諦めず希望を持つならば、今日この日くらいは出来る事を手伝いたい。それがシグレの想いだった。
「……私も「往生際が悪い」のは好きだからな」
ふ、と形の良い唇が微かに弧を描く。闘いは拳を降ろしたら負けなのだ。ズタボロになっても諦めず、しがみついて食らいついて、それで相手が音を上げたら勝ちだ。――だろう?
「さて、夜が明けるまでに配り終えてしまわなければ。仕事の後には豪華なディナーまでは届かずとも、甘菓子のひとつくらいは問題ないだろう」
身体を動かした後の甘味はきっと格別だ。期待に胸を弾ませながら、体力自慢のサンタクロースは夜の路を駆けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
事前にアトランティックサーモンと調理器具や調味料一式等を持ち込んで……これくらいなら、影響は無い筈ですよね
●POW
クリスマスにはサーモンと言う
近年の流行にあやかって、持ち込んだサーモンを解体ショーの『パフォーマンス』をして『料理』し
刺身やクリームチーズ(と味噌を混ぜた)のサーモンのなめろうを子供達や大人の方々にご馳走を
ジャスパーさんにもお手伝いのお願いを
調理場をお借りできれば
解体したのを使って色々料理出来ればと、この世界だと魚の類いは調達は難しいかも知れませんが
希望を持って頂く為にも
その為にも、これからも色々頑張らなくては
ジャスパーさん
これからも宜しくお願い致します
●アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●
「食材と調理器具と……これくらいなら、影響は無いですよね?」
「うんうん、問題ねえよ」
転送を担った男のお墨付きがあるのだから大丈夫。
蒼鉛のクリスタリアン、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)がジャスパーと共に持ち寄ったのは、一応必要最低限にした調理器具や調味料たちと、そして。
「お姉さんたち、何それ!?」
「でっかい魚!!」
川魚くらいしか見たことがなかった子供たちが、ビスマスが携えたアトランティックサーモンに目をまん丸にしていた。
「私がよく訪れる地域では、クリスマスにこのサーモンを食べるのが最近はやっているんですよ」
「鳥のお肉じゃないんだ」
「これをお姉さんが今からご馳走にしてくれるんだけどさァ、どっかでっかい調理場って借りられねェかな?」
ジャスパーの質問に、子供たちがはいはーいと競うように手を上げる。
「元々レストランだったでっかい建物があるよ! 誰でも使っていいとこ!」
「やるじゃん」
サムズアップのジャスパーと一緒に、ビスマスが子供たちに笑いかける。
「そうしたら皆さんにひとつ、おつかいを頼んでもいいですか?」
「いいよ、なになに?」
「お友達と……それから、手が空いている大人の人がいたら、呼んで来てください」
「大人も?」
「ええ。折角大きな魚ですから、みんなで食べるのが一番です」
それに、何と言ってもクリスマスは、みんなでお祝いするものだから。
●
「サーモンなんて、あのヘンな竜巻が起きてからは食べてなかったな」
子供たちがあちこち声をかけてきた成果もあって、大きな調理場に集まった人々の中には大人たちもちらほら混ざっていた。流通が途絶える前の過去を懐かしむ大人たちにも楽しんでもらえるよう、ビスマスは腕を振るう。
手慣れた様子でヒレを落とし、切込みから内臓を取り出していく。頭を落として身を削いでいくビスマス。臨場感のある解体ショーを大人たちは期待の眼差しで見つめ、子供たちは目を丸くしながらも魅入っていた。
生き物を丸ごと解体するという光景は、平和な世界ならショックを受ける子供も少なくはないだろう。誰も怖がったりしない事に、ビスマスはこの世界の過酷さを改めて感じ取った。
かつてはUDCアース以上に栄えていたこの世界も、今では暗黒の竜巻に分断されている。物流の復活が進みつつあるとはいえ、海から離れた地で生の魚を食べるのは難しいだろう。だからこそ今日は心置きなく刺身を堪能できるように、生で食べられる養殖のサーモンをチョイスしてきた。
綺麗に削いだ刺身。余った部分は丁寧に叩いて、クリームチーズと味噌を混ぜたなめろう仕立て。和と洋を合わせたとろける味わいは、そのままでもいいし、ご飯にもパンにも合う万能選手。
ジャスパーも鮭を洗う水を持ってきたり、盛りつけたりと手伝いに奔走する。
「ぜんっぜん乗り切らねえわ、ちょっとそっちのテーブルも拭いてくれねえ?」
あっという間に埋まったテーブル。両手が皿で塞がったジャスパーは子供たちにもお手伝いをお願いしつつ、ふと調理場に目を遣る。
まな板の上でクリームチーズとサーモンを器用に刻みながら混ぜていくビスマスの横顔がとても楽しそうで、知れず笑みが零れた。
「「いただきまーす!!」」
大きなレストラン跡地はあっという間に笑顔と歓声で包まれて、まるでかつての賑わいを取り戻したかのよう。
「お魚とチーズ、すっごく美味しいね!」
「また食べたいけど、この辺じゃ海の魚は手に入らないからな」
今日めいっぱい味わっとかなきゃ、と目を細める大人たちに、後片付けを終えたビスマスが近づく。
「魚の獲れる川はありますか? この辺りの魚でしたら……」
なめろうにお勧めの魚をすらすら述べるビスマスに、大人たちは真剣に聞き入っていた。
「チーズなら保存が効くしな」
「いい魚が手に入ったら、うちでも作ってみましょう」
「ほんと? やったー!」
また食べれるかも知れないと聞いた子供たちが笑みを深める。つられてビスマスも笑った。材料が無いからと言って諦めずにあるもので美味しい料理を作り出す工夫は、ビスマスがなめろうに魅入られたルーツでもある。その心が既にこの地に芽生えている事が、とても嬉しかった。
「ジャスパーさん」
一仕事終えて子供たちと談笑していた男に、ビスマスは声をかける。
「……これからも宜しくお願い致します」
「何だよ、改まって」
ぎざぎざの歯を見せて、ジャスパーは笑った。
「こっちこそ頼りにしてるぜ、ビスマス」
「はい!」
子供たちに負けないくらいの笑顔で、ビスマスは頷いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シルヴィエート・ラーヴル
メリー様(f00481)と
昼間の拠点へ
メリークリスマスですわ!
メリー様とお揃いの白い衣装を纏ってバーン!と登場ですわ
プレゼントは私お気に入りのお姫様が出てくる絵本を選んできましたの
お姫様が幸せになる物語、夢があって素敵でしょう?
でも夢ってやっぱり自分で掴んでこそ!!今の時代は待つより自分の足で探しに行く素敵なお姫様ですわ!!
皆さんがそんな素敵なお姫様になれますようと微笑んで
メリー様がかけてくださる魔法に子供達と一緒に目を輝かせ
まぁまぁ、これは可愛らしいお姫様になれましたわね!
皆様とても素敵ですわよ
夢や希望がきっともっと皆様を輝かせてくれますわ
良いクリスマスをお過ごしになってくださいまし
メリー・アールイー
シルヴィエート(f25627)と参加
昼間の拠点へ
メリーメリークリスマス!
雪の妖精のような、真っ白なふわふわ衣装で登場
シルヴィが用意した絵本のプレゼントは
あたしがクリスマス柄の布の切れ端を繋ぎ合わせた
ファブリックラッピングで包んだよ
物語のお姫様も可愛らしいが、
幸せを自分で掴みにいくお姫様も素敵だねぇ、応援したくなっちゃうよ
皆もそんなお姫様になりたいかい?それなら魔法をかけてあげよう!
【百光潤色】
雪のように白い飾り糸がシルヴィと子供たちに降り注ぐ
彼女たちの服を、リボン結び蝶結び花結びなどで飾ろう
がんばって生きる子供たちに喜びを、ささやかな幸福を贈りたい
それくらいのお節介はさせとくれよ
●
白は、雪の色。
白は、まっさらキャンパスの色。
まだ何にも染まっていない、未来の色。
だからシルヴィエート・ラーヴル(お姫様Lv1・f25627)もメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)も、今日はお揃いの真っ白ふわふわ衣装でこの地に降り立ったのだった。
昼間の拠点で雪だるまを作る女の子たちのグループに、そっと近づいて。
「メリーメリークリスマス!」
「メリークリスマスですわ!」
声をかけられた女の子たちが振り向いて、それからぱっと笑顔になる。
「お姉ちゃんたちのお洋服、かわいい!」
「雪の妖精さんか、お姫様みたい!」
子供たちの評価にメリーも勿論嬉しそうに眼を細めたが、特にシルヴィエートは満更でもない様子。
「うふふ、ここの女の子たちはいい子なだけではなくて、人を見る目もあるようですわね!」
何せ彼女は王子様を探し求めるお姫様(自称)。凛とした顔立ちと女性としては高めの背と圧倒的破壊力のトリプルコンボが色々と邪魔をしているが、子供たちはそんな事はおかまいなしに褒めてくれたのである。
「そんないい子たちには、是非ともプレゼントを差し上げなければ」
「本当!?」
「ああ、本当だとも」
メリーが取り出した袋は、彼女がクリスマス柄の布の切れ端を繋ぎ合わせた特製のファブリックラッピング。
「わあ、カラフルでかわいい!」
色とりどりのラッピングにはしゃぐ子供が、ふとメリーの顔を見つめる。
「おそろいだね」
幼女のような姿のヤドリガミ。その顔を分断する継ぎ接ぎ痕。フランケンシュタインの怪物じみた姿にも、子供たちは怖がることなく笑うのだった。元々警戒心が薄いのもあるだろうが、何よりメリーの人懐こい笑顔がそうさせるのだろう。
「あたしは昔旧い布団だったからね、何回も打ち直して繕ってきたのが残ってるのさ」
「ヘンなの!」
たとえ話のようなものだと思ったらしい。子供たちがきゃっきゃと笑い声をあげる。
「開けていい?」
「勿論」
リースにトナカイ、様々なクリスマスモチーフが不規則に並ぶ包を解けば、中から出てきたのは……。
「あたらしい絵本!!」
「おひめさまだ!!!」
「私のお気に入りの絵本ですわ」
フリルたっぷりのドレスを纏うお姫様の絵に子供たちは満面の笑顔になり、シルヴィエートが誇らしそうに胸を張る。
オーソドックスで、だからこそいつの時代も女の子のハートを射止めるお話だ。美しいお姫様が、王子様に見初められて幸せを手にする――。
「夢があって素敵でしょう? そんなお話も素敵ですが、でも私思うんですの」
胸に手を当て、シルヴィエートは声を張る。
「夢ってやっぱり自分で掴んでこそ!! 今の時代は待つより自分の足で探しに行く素敵なお姫様ですわ!!」
びしっと指差す先は、拠点の外。
今はまだ危険に満ち溢れた世界だけれど、やがて力を手に入れた子供たちは羽搏き、外の世界で幸せを見つけるのかもしれない。
「自分の足で?」
「そんなお姫様だったら、あたしもなれるかな?」
「なれますわ、お姫様に相応しい心を忘れなければ」
シルヴィエートの言葉に聴き入る子供たちに、メリーもうんうんと頷いた。
「物語のお姫様も可愛らしいが、幸せを自分で掴みにいくお姫様も素敵だねぇ。応援したくなっちゃうよ」
――みんなもそんなお姫様になりたいかい?
目を輝かせてうなずく子供たちに、メリーもとっておきを披露。
「それなら魔法をかけてあげよう!」
まるでシンデレラに幸せのきっかけを与えた魔女の杖のように、しつけ針を振り翳す。白い飾り糸が子供たちと、シルヴィエートにも降り注いだ。
「わぁ……!」
子供たちの笑みがますます深くなる。
おさがりのお洋服の上に、雪のようにきらめく飾り糸のデコレーション。リボン結びに蝶々結び、花結びなどでかわいくアレンジが施されていた。
「おひめさまのおようふくになっちゃった!」
「まぁまぁ、これは可愛らしいお姫様になれましたわね!」
それこそ継ぎ接ぎの目立つワンピースだって、繕い痕を隠すのではなく惹きたてるように飾りつければ、絵本のお姫様にも負けないくらい可愛い衣装に早変わり。
「それに、ドレスよりも動きやすいよ」
「ほんとにおうじさま探しに行けちゃうかも」
「皆様、とても素敵ですわよ」
「おねえちゃんたち、ありがと!」
「何の何の、このくらいのお節介はさせとくれよ」
子供たちと殆ど歳の変わらないように見えるメリーがそんな事を言うので、子供たちはまた面白そうに笑うのだった。
「おばあちゃんみたい」
それからあっと口元に手をあてた。
「おばあちゃんみたいにやさしいってことだよ」
「ふふ」
肩を揺らすメリー達に手を振りながら、子供たちは家に帰っていった。ママに見せてくるねと、何度も振り返りながら。
「大したことはしていないよ。彼女達のがんばりに比べたら、ささやかすぎるくらいさ」
でも、とメリーは呟く。
「そのささやかな喜びや幸福が、希望に繋がるといいね」
「ええ。夢や希望がきっともっと皆様を輝かせてくれますわ」
子供たちの姿が見えなくなるまで、二人も手を振り続けるのだった。
「良いクリスマスをお過ごしになってくださいまし」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
いい子にしていたんだからサンタが来るのは当たり前だ
サンタの服は目立つし似合うか微妙なんだが、見られた時に普通の格好だったら不審者だもんなぁ
SPDで判定
夜の寝ている時に男の子の枕元へプレゼントを置く
俺が持っていくのはマントだ、目立つ奴じゃなくて奪還者が着ていそうな地味な物
無事に大きくなれるように祈ってサイズは大きめにする
【変装】でサンタの姿で【暗視】【忍び足】を使ってこっそりと部屋に入り、枕元へプレゼントを置く
布団を蹴っていたらしっかり掛けなおして同じく【忍び足】で出ていく
見つかったら【落ち着い】てサンタの【演技】をして【言いくるめ】て出ていく
●
予め話を通していた家に訪問しようとして、ルイス・グリッド(生者の盾・f26203)はつと目線を落とす。真っ赤なサンタ服に包まれた自分。
(「……落ち着かないな」)
自分に似合っているとも思えないし、派手な服装に慣れていないというのもある。昔から――ルイス自身は殆ど忘れてしまった遠い記憶だが――傭兵まがいのことをして生き延びてきた習性だろうか。しかし真夜中に見知らぬ男が子供部屋に侵入するのだ、この格好でなければ不審者に見られてしまうかもしれないと腹をくくった。
高い背に鋭い眼光。自分がお世辞にも人相がいいとは言えない事は、ルイス自身痛いほど自覚している。それに加えて左目のメガリスを隠すべく眼帯までしているのだから、これくらいの偽装はしておくべきだろう、と。
訪れた部屋には、十歳前後の男の子たちが寝息を立てていた。この家に住む男の子たちはやんちゃな子ばかりだとルイスは聞いていた。仕事が終われば木の枝を銃や剣に見立てて奪還者ごっこに興じている子供たちだ。強くて格好いいものに憧れる子供らしい一面の裏には、腕のいい奪還者になって皆の暮らしを良くしたいという思いも含まれているのだろう。
そんな彼らを後押しするように、ルイスが枕元に置いていったのはマントだ。かつて子供たちがテレビの向こうに見た正義の味方たちが纏うには随分地味なものだが、素材は丈夫で質のいいものを使っている。この世界の正義――奪還者には相応しい一品だ。
大きめのマントは、今の子供たちでは少し裾を引き摺ってしまうかもしれない。けれど動けないほどではないし、彼らが大きくなった時にきっと助けとなってくれる筈だ。
「うーん……」
ふと子供のひとりが身じろぎをして、ぱちりと目を開けた。意識はまだ半分夢の中にいるらしい、ぼんやりとした眼差しがルイスを見る。
「……さんたさん?」
「メリークリスマス」
子供がそのまま眠りにつけるように優しく囁いて、布団をかけなおしてやる。大人の手伝いと遊びで疲れていたらしい子供は、素直にそのまま眠りの中に落ちていった。
布団をかけなおす時、子供の手にマメやあかぎれがあるのを夜目の効くルイスは気づいていた。それだけ日々を懸命に生きているのだろう。
一度命を落とし、記憶を失ったルイスには馴染みのない『子供』の時代。小さな手で懸命に生きる彼らを祝福するように、ルイスはもう一度だけ、口の中で呟いた。――メリークリスマス。
彼らの未来があたたかい光で満ちているように。そう願いながら、寡黙なサンタクロースはそっと子供部屋を後にしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
戀鈴・シアン
レン(f00719)
俺も会ったことはないな……
なかなか会えないのなら、俺達がサンタになろうか
実は衣装を準備したんだ
ハクのもあるよ。小さな相棒用の、赤い帽子とケープ
よし、二人ともバッチリ
きみ達は本当に赤が良く似合う
スノードーム
とてもいい案だと思う
子供たちは雪が好きだそうだし
ああ、硝子なら任せてよ
俺の能力で幾らでも創り出せる
丸に星にハート、いろいろな種類の容器を用意しよう
ああ、みんなで作るのも楽しそう
きっと希望に繋がる楽しい想い出になるよ
これで完璧だな
レンも立派なサンタさんだよ
いつもの笑顔のきみの手を取り
きっと喜んでくれるさ
きみと準備をするだけでも、こんなに楽しかったんだもの
レン、ハク。行こうか
飛砂・煉月
シアン(f25393)と!
サンタか~何か夢があるよね
オレは会えたことないけどさー
うん、オレ達がなっちゃお!
衣装? シアンちょー準備イイじゃん
ハク、揃いだってと云えば楽しげな鳴き声
シアンは赤と青の調和が綺麗だね
プレゼントは手捏のスノードームとかどう?
硝子はシアンがいっぱい出せるんだよね
一個見本作って
絵本風のつくりかたの本書いて~
スノードームの簡易セット届けちゃおうよ
これなら簡単に子供たち皆で作れるだろうし!
一緒に体験感覚で作るのもアリ?
準備して昼間に行こっか
シアンに手を伸ばし
――行こ、サンタさん
へらりと笑う
子供達の喜んでくれると良いんだけど
オレ達が楽しかった分まで届けばイイな
ん、行こ
シアン、ハク
●
おひさまみたいなあたたかい赤の眸の青年と、氷めいた涼やかな青の眸の少年が、並んで雪に覆われた通りを歩いている。
「サンタか~何か夢があるよね。オレは会えたことないけどさー」
人懐っこい笑みと共に飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)が云い。
「俺も会ったことはないな……」
そういえば、と戀鈴・シアン(硝子の想華・f25393)が言葉を返す。
「なかなか会えないのなら、俺達がサンタになろうか」
「え、シアンそれ名案!」
目をきらきらさせる主人の様子に、相棒の竜槍ハクも何だか嬉しそう。
「実は、衣装を用意したんだ」
シアンが携えていた包を開く。中に入っていたのは人間用のサンタクロースの衣装一式が二セットと、それから。
「ハクのもあるよ。レンとお揃いのやつ」
同じ素材で仕立てた、小さな赤い帽子とケープ。
「揃いだって、ハク!」
楽しそうに鳴く相棒に、煉月も笑みを深める。
そうして衣装に身を包めば、二人と一匹のサンタクロースの誕生だ。
「よし、二人ともバッチリ。きみ達は本当に赤が良く似合う」
シアンの言葉に、揃って同じ色の眸を持つ一人と一匹もまんざらではない様子。
「シアンは赤と青の調和が綺麗だね」
「そうかな? そう云って貰えると嬉しいよ」
さてさて、これで格好はばっちり。となれば次に必要なのは、子供たちに配るプレゼント。
「高価なものは駄目って話だったね」
「それなら手捏のスノードームとかどう? 硝子はシアンがいっぱい出せるんだよね」
「スノードーム。とてもいい案だと思う」
シアンがそれこそ硝子細工のように繊細な掌を宙に向ける。いつの間にかその上に、ふわり、ときらめく硝子結晶が浮かんでいた。
「硝子なら任せてよ。俺の能力でこんな風にいくらでも創り出せる。それに」
「それに?」
「子供たちは雪が好きって云っていたものね」
まだ見ぬ子供たちを思い浮かべ、シアンが顔をほころばせた。
「オレたちで全部作っちゃうのもいいけどさ、折角なら作る所も楽しめたらいいんじゃないかって思うんだよ」
物資が不足している以上、この地で一から作れるものはとても限られているはずだ。生活に不必要な置物とあればなおさらだろう。貴重な体験となるはずだ。
「オレとシアンで一個見本作って、絵本風の作り方の本書いて~、スノードームの簡易セット届けちゃおうよ」
「いいね。そうしたら容器は皆で好きなのを選べるように、いろいろなかたちのものを用意しよう」
定番の丸型にかわいいハート、クリスマスらしい星型も忘れずに。
「これはまだ試作品だけど」なんて断りを入れつつ、硝子花瓶のヤドリガミはいとも簡単に芸術品のような容器を作り出していく。魔法のような光景にハクは楽しそうに二人の周りを飛び回り、煉月もわくわくと声を弾ませる。
「いいねいいね」
「小さい子も簡単に作れるように、装飾品もいろいろキットに入れておこう」
「一緒に体験感覚で作るのもアリじゃない?」
「ああ、みんなで作るのも楽しそうだ。きっと希望に繋がる楽しい想い出になるよ」
二人で意見を出し合いながら、キットを作り上げていく。作り方の本も無味無臭な説明書にならないように、かつ読みやすいようにと工夫を凝らして。
●
「うん、これで完璧だな」
「ちょっと張り切って作りすぎちゃったかな?」
「少し余るくらいがちょうどいいよ。やりたかったのにもらえなかったって子がいたらかわいそうだ」
かわいくラッピングしたキットたちを、更にサンタクロースらしい白い袋に詰め込んで。
「今から行けば、ちょうど子供たちが遊びに集まって来るころだ」
「じゃ、さっそく――行こ、サンタさん」
へらりと笑って煉月は大切な友に手を伸ばす。おひさまみたいな笑顔の青年の手を、シアンも嬉しそうに取るのだった。
「レンも立派なサンタさんだよ」
煉月の肩の上で、ハクがもの言いたげにきゅうと鳴いた。
「もちろん、ハクもね」
満足そうな白銀竜の様子に、二人のサンタさんは顔を見合わせてくすくすと微笑んだ。
●
雪の降る拠点を先導するのは、赤鼻のトナカイさんならぬ赤眸の空飛ぶサンタさん。
その後をついていきながら、煉月が口を開く。
「子供達も喜んでくれると良いんだけど」
「きっと喜んでくれるさ。きみと準備をするだけでも、こんなに楽しかったんだもの」
「へへっ、そっか。嬉しいな。……オレ達が楽しかった分まで、届けばイイな」
二人と一匹が目指す広場から、子供達の笑い声が聞こえてくる。
その笑顔が更に灯る時を思うと、どちらからとも知れず自然と足が速まっていった。
「あっ、サンタさんだ!」
子供たちのひとりがシアン達に気づいて声を弾ませる。
――楽しい時間の、はじまり、はじまり。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
陽向・理玖
【菊】
年に1回の事なんだし
ささやかなご褒美位
あったっていいもんな
こういう世界だ
頑張って生きてるだけでいい子ってもんだろ
兄さん何がいいかな?
俺さあんま材料とかいらなくて
簡単に作れるような菓子とか配って
ついでに作り方とか教えられたらいいなって思うんだけど
出来るかな?
サンタ姿は少し気恥ずかしいが
子供達が喜ぶなら頑張るぜ
てか兄さんそっち!?似合うな…
いやさすがだぜ
大きな袋を担ぎ
メリークリスマス
いい子にしてたからサンタが来たぞ
袋からラッピングされた菓子出し
美味いか?
作り方も教えるから一緒に作ろうぜ
ああ皆で
子供達の笑顔を見れば
喜んで貰えたかな?
兄さん俺も何か嬉しい
表情緩め
うん
撫でられくすぐったそうに笑って
砂羽風・きよ
【菊】
あぁ、そーだな
夢みたいなことが起きても不思議じゃねーし
頑張ってる子にプレゼントあげようぜ
お、いいじゃん
そーいうのも楽しくて子供達も喜びそうだな
子供でも作れる菓子は沢山あるから出来る、出来る
はは、めっちゃ似合ってる
え、なんでって理玖がサンタだから俺はトナカイだろ?
そりを手で引いて
メリークリスマス!サンタの登場だぜ!
ちゃんといい子にしてたか?
2人で作ったスノーボールやチョコマフィンを渡して
これはな、実はお前達でも簡単に作ることが出来るんだぞー
よし、そうと決まればサンタとトナカイと一緒に作るか
折角だ家族も皆でやろうぜ
――大成功だな
理玖の案がよかったから子供達も大喜びだ
ぽんと頭を撫でて
よかったな
●
どこからか、子供たちの聲が聞こえてくる。仕事を終えた彼らは、陽が落ちるまでの間の自由時間を謳歌しているのだろう。
「いい子にはプレゼントが、っていうけどさあ」
そんな微笑ましい光景に目を細めて、陽向・理玖(夏疾風・f22773)は云う。
「こんな世界で頑張って生きてるだけでいい子ってもんだろ」
「あぁ、そーだな」
頷くのは砂羽風・きよ(ナマケきよし・f21482)。猟兵としては珍しい部類の、平凡な暮らしをしている青年だ。もう一人の人格と出逢わなければ、猟兵にならなければ、目にすることのなかった荒廃世界。
「それに、年に一度のクリスマスだ」
「ささやかなご褒美どころか、夢みたいな奇跡が起きても不思議じゃねーし。頑張ってる子供にプレゼントあげようぜ」
きよの言葉に耳を傾ける理玖のほうは、世界が優しいとは限らない事を知っている。同時に人々の優しさも、それを守りたいと思う自分の心も。
生まれ育った境遇は違えど、今はかけがえのない友人。それに何より、子供たちのために出来る事をしたいという想いはふたり一緒。
さてさてそんな理玖ときよ。今は自分たちが何をするかの話し合いの真っ最中だ。
「俺さ、兄さん。あんま材料とかいらなくて簡単に作れるような菓子とか配って、ついでに作り方とか教えられたらいいなって思うんだけど……出来るかな?」
「お、いいじゃん。そーいうのも楽しくて子供たちも喜びそうだ」
「思い付いたは思い付いたけど、どんな菓子がいいのか全然ピンとこなくて」
「そこは俺にドーンと任せろよ、子供でも作れる菓子は沢山あるから出来る、出来る」
ドーンに合わせて自分の胸を叩くきよ。
「さすが兄さん」
『きよし』ののぼり旗を掲げた屋台で披露される腕前は伊達ではない。彼を頼もしく思いつつ、理玖も準備を進めるのだった。
●
時は流れて。
二人で丹精込めて作ったお菓子を袋に詰めて、背負う理玖は真っ赤なサンタ姿。トレードマークのオレンジ髪よりなお鮮やかな色彩に、気恥ずかしそうに頬を搔きつつも。
「これで子供達が喜ぶなら頑張るぜ」
「はは、大丈夫だよめっちゃ似合ってる」
理玖の肩を叩くきよもお揃い――……ではなかった。
「兄さんそっち!? なんでそのセレクト!?」
「なんでって、理玖がサンタだから俺はトナカイだろ?」
そう。茶色の着ぐるみに立派なツノ、ついでに赤くてまあるいつけ鼻までつけた、トナカイ姿だった!
「似合うっしょ?」
「似合う……いや、さすがだぜ」
これも愛嬌と人徳のなせる業、だろうか。
いつの間にか用意していた屋台にプレゼントと理玖を乗せて、
「しゅっぱーつ!」
とそりを引く姿も、何だかやけに板についている。彼の屋台が移動式なのも、きっと絶対無関係ではない。
「メリークリスマース♪」
子供たちの集まる広場に、トナカイさんとサンタさんがそりで登場。
「わあ、サンタさんだ!」
「ほんとにトナカイのソリで来てくれた!」
歓声をあげる子供たちを見れば、理玖も悪い気はしない。さっきの恥ずかしさはどこへやら、大きな袋を担いで颯爽とそりから降り立った。
「メリークリスマス。いい子にしてたからサンタが来たぞ」
取り出す小さなプレゼントは、中が見えるように透明なラッピングに包まれていて。
「お菓子だ! 食べていい?」
「おいしそうだし、すっごくかわいい!」
「これはな、実はお前達でも簡単に作る事が出来るんだぞー」
理玖サンタと一緒にプレゼントを配りながら、トナカイきよが笑いかける。
「これを?」
「この雪みたいなのも?」
まあるいスノーボールクッキーを指差す子供。
「いけるいける」
「このおっきいふかふかも?」
チョコたっぷりのマフィンに目を輝かせる子供。
「そっちはもっと簡単。焼くとこだけ大人にやってもらえばそこの一番ちっちゃい子でも出来るぞ」
「ええっ、やりたいやりたい!」
「作り方も教える絵から一緒に作ろうぜ。まあ、まずは折角だから食べてみろよ」
サンタさんの提案に、子供たちはにっこり笑顔でいただきますの大合唱。
口の中でサクサクほろほろ消えていくスノーボールも、お腹にたまる甘いマフィンも、子供たちにしてみればそれだけでごちそうだ。
「おいしいねえ」
夢中で食べる子供たち。急いで食べ過ぎてしゃっくりが出てしまった子に目を細めつつ、きよは立ち上がる。
「よし、そうと決まればサンタとトナカイも一緒に作るか」
「はーい!」
「折角だ、家族も皆でやろうぜ」
「さんせーい!」
「パパとママも呼んでくるね!」
「おう、あっちのおっきい調理場で集合なー」
ぱたぱた散らばる子供たちの背中に声をかけるきよ。その姿が見えなくなったころ、傍らのサンタさんに視線を遣る。
「――大成功だな」
「喜んで貰えたかな?」
「あの笑顔見りゃ一目瞭然だろ、理玖の案がよかったからだ」
ぽんと頭を撫でれば、理玖が頬を緩ませた。
「……兄さん、俺も何か嬉しい」
ぶっきらぼうに見られがちな友が、そう云ってくすぐったそうに笑うので。
「よかったな」
ぽんぽんと、優しく撫で続けるきよだった。
「さて、もうひと仕事頑張りますか」
サンタさんとトナカイさんは荷物をまとめ、再びそりを駆りだすのだった。
より多くの笑顔のために。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
善哉・鼓虎
ミィナちゃん(f26973)と!
ミィナちゃんメリクリやで!
いやーうち的にはこの依頼はめっちゃ嬉しいんや。うちがサンタさんになれる!
猟兵さんになる前はこんなこと出来んかったからなぁ…。
作戦はオーソドックスにこっそり枕元に置くで行こうと思う。
ふふふ!猟兵さん力でたくさんプレゼントをゲットしたからな♪
ぬいぐるみに絵本に車のミニチュアなんかが主やな。ミィナちゃんはお菓子たくさんやな!
それもええと思うでお菓子もこの世界では貴重やし。
(サンタ仕事を終えて)
ミィナちゃん、おつかれやでー付き合うてくれてありがとな。はいこれうちからのクリスマスプレゼント。クッキーやからまた食べたって。
メリークリスマス!
ミィナ・シャットブロンシュ
鼓虎ちゃんf24813と
ひもじいって辛いよね…ミィナも同じ様な村で育ったからわかるよ
だから、ミィナはたくさんたくさんお菓子もってくよ
飴ちゃんに甘いクッキー、あと蕩ける様なチョコレィト!
食べたくなっちゃうけど今日は我慢
ね、鼓虎ちゃん、二人で沢山夢を配ろうね!
忍び足で鼓虎ちゃんと子供達の元へ
寄り添い眠る子供達の枕元に沢山のお菓子を置いて行くよ
ふふ、この子達幼馴染達の小さい頃に似てる
二人とも元気かな…?
配り終わった途端お腹がなっちゃう…けど鼓虎ちゃんのクッキーをみれば思わず笑顔になっちゃうかも
ミィナにとって鼓虎ちゃんがサンタさんだね!
えへへ、メリークリスマス!来年も又、お菓子配りにこよ?鼓虎ちゃん!
●
「ミィナちゃん、メリクリやで!」
「うん、メリークリスマス!」
ビビッドなオレンジのショートツインテールと、銀色の獣耳が揃って嬉しそうにひょこひょこと揺れている。
ツインテールが善哉・鼓虎(ハッピータイガー・f24813)、獣耳がミィナ・シャットブロンシュ(求道者・f26973)だ。
「いやーうち的にはこの依頼はめっちゃ嬉しいんや。うちがサンタさんになれる! 猟兵さんになる前はこんなこと出来んかったからなぁ……」
「ひもじいって辛いよね。ミィナも同じ様な村で育ったからわかるよ」
古びたギターを携えたソーシャルディーヴァと、神隠しでこの世界に飛ばされたキマイラ。どちらもこの世界の過酷さを知っているからこそ、出来る事をしたいと駆けつけたのだ。
「だから、ミィナはたくさんお菓子を持ってきたんだよ」
甘いクッキーに、蕩けるようなチョコレート。
「うんうん、ミィナちゃんナイスセレクトや……おっ、飴ちゃんもある!」
鼓虎が目を留めたのはやっぱり、自身の髪や眸に負けないくらいカラフルな飴の詰め合わせ。
「鼓虎ちゃんも、この世界じゃ手に入れるのなかなか大変って云ってたもんね」
「そうそう。その代わり、一口舐めただけで疲れも吹っ飛ぶ美味しさやねん」
「ふふ、食べたくなっちゃうけどガマンしなきゃ。鼓虎ちゃんのプレゼントは?」
「うちはこれや!」
鼓虎セレクトは、ちっちゃいおもちゃの数々。ぬいぐるみに絵本に、車のミニチュアなどなど。
「いいね、クリスマスって感じがする」
「これでめいっぱい遊んでくれたら嬉しいなあ」
大人のお手伝いも、子供らしく遊ぶことも忘れない子供たち。彼らの幸せに想いを馳せながら、二人で心を込めてプレゼントを包んでいく。
「ふふふ! 猟兵さん力でたくさんプレゼントをゲットしたからな♪」
「たくさんの子供たちに配れるね。直接会って渡すのも喜ばれそうだけど……」
「やっぱここは、オーソドックスにこっそり枕元に置いてく作戦で行こう」
「うんうん。そうしよう」
すっかり準備を終えてしまった二人は、顔を近づけて笑いあう。
「……ね、鼓虎ちゃん、二人で沢山夢を配ろうね!」
「勿論や! 一晩宜しゅう頼むで、ミィナちゃん」
●
忍び足で、子供たちの部屋へ。
充分に行き届いているとは言えない毛布で皆があたたまれるように、寄り添いあって眠り合う子供たち。鼓虎サンタからとミィナサンタから、それぞれのプレゼントをそうっと置いていく。喜んでくれますようにと、願いを込めて。
色とりどりの枕元。眠る子供たちに小さくばいばい、と手を振って、二人はドアを閉じる。
「どんなに大変な境遇でも、子供の寝顔っちゅうんは平和に見えるなあ」
「さっきの子達、幼馴染達の小さい頃にちょっと似てた」
ふふ、とミィナは笑みをこぼす。
過酷な環境を共に生き延びてきた、大切な幼馴染たちだ。離れ離れになったのは、この世界につきものの悲劇があったわけではない。ただ、想い合う彼らの側に自分がずっといるのは邪魔なのではないかと、思ってしまったから。勿論優しい彼らは、そんな事は云わなかったけれど。
(「……なんて、ふふ、ちょっと格好つけすぎたかな」)
実際に彼らの気持ちを聞いたわけではないけれど、ミィナには彼らが愛し合っているようにしか見えなかったのだ。そしてそんな彼らに心を騒がせてしまう自分にも気づいてしまったから、やっぱり側にいてはいけないと思った。書置きひとつ残し、ミィナは自分の路を歩み始めたのだ。
「二人とも、元気かな」
「この世界の人たちは強い。きっと元気でやっとるで」
鼓虎の言葉はただの慰めではなく、拠点を繋ぐ『通信網』たる彼女が実際に見聞きしてきた実感が伴っている。その役目を自ら引き受けた鼓虎は、人々の繋がりがこの世界で何よりも支えとなることを知っているのだ。それをわかっているからこそ、ミィナも嬉しそうに頷いた。
●
プレゼントを配り終えた頃、くぅぅと控えめにミィナのお腹が訴えの声をあげた。
「……あ」
慌てて居住まいを正したけれど、しっかり聞いていた鼓虎はくすくすと肩を揺らす。
「ミィナちゃん、おつかれやでー。付き合うてくれてありがとな」
「うん、鼓虎ちゃんもお疲れさま」
「ただ、もう一人いい子にプレゼントを配らなあかんねん」
「そうだったっけ?」
リストには乗ってなかったけど、とメモを見るミィナの手元に。
「はい、鼓虎サンタからいい子のミィナちゃんに、クリスマスプレゼントや」
ちょこんと乗っかる、クッキーの詰め合わせ。
「わ……」
充実感と疲労を同時に滲ませていたミィナの顔が、みるみるうちに満面の笑みになる。
「嬉しい、ありがと! ミィナにとって鼓虎ちゃんがサンタさんだね!」
「良かったぁ、喜んでもらえて」
サプライズ大成功やな、と鼓虎も嬉しそうな笑顔。
「改めまして、メリークリスマス、ミィナちゃん」
「えへへ、メリークリスマス! 来年も又、お菓子配りにこよ? 鼓虎ちゃん!」
――その時は、ミィナも鼓虎ちゃんにとっておきをプレゼントするね、なんて、心に決めながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【雅嵐】
子供達へ夢を与えに参ろうか――この、トナ鹿サンタでな!
(トナカイ着ぐるみパジャマでサンタコスをした)(ばばーんとポーズを決める。かっこいいやつ)
ん?ああ、せーちゃんは鹿じゃからね、いやトナではなく…
まぁもうええか
子どもたちよ、トナサンタズじゃよ!わしは隻眼のいけてるトナサンタ嵐号じゃ
サンタのじいさんは腰痛で動けんのでな、代理じゃよ
偽物? 違うんじゃよ、トナでは配れんから人の形をしておるんじゃ!(せーちゃんどうにか言いくるめよ!ウィンクばちん!)
おお…微笑みで誰でも言いくるめて…さすがというか…おそろしや!
さてプレゼントは、楽しい光景じゃよ
菓子もあるが炎と桜が躍るのをプレゼントじゃ!
筧・清史郎
【雅嵐】
ああ、そうだな
今宵の俺達は、どこからどう見てもトナさんたさんだ
気に入りの着ぐるみパジャマにサンタ帽着用で臨み
友に倣い、同じポーズをしてみよう(雅やかに)
(自分のパジャマや角はトナカイではなく実は鹿な事には気付いていない)
では、皆に夢を与えに行こうか
笑み咲かせ、友と共にいざ、トナさんた出陣だ(きりりとする鹿)
友のウインクに笑み返し
偽物?ふふ、俺達は良い子にだけ見えるトナさんたズだ
君は良い子にしていたのだな、ではプレゼントをあげよう
(ナチュラルに言いくるめつつ、キラキラ雅スマイル)
甘い菓子に添えるのは、楽しいいろ
友の炎に桜花弁を戯れされて
クリスマスの空に、とっておきの秘密の魔法をかけようか
●
誰もが目を留めるような、見目麗しい男性が二人。
「子供達へ夢を与えに参ろうか――」
「ああ、いい子たちのために――」
こくこくと頷きあって、しゅっと流れる様な動きでとても格好いいポーズを決める。
「この、トナ鹿サンタでな!」
漫画だったらばばーんと集中線が描かれていたところである。見せ場というやつである。格好いいイケメン達も、今日という日はクリスマスに相応しいトナカイ着ぐるみパジャマに身を包んでいるのである。
「今宵の俺たちは、どこからどう見てもトナさんたさんだ」
ばばーんの青年に倣い、雅やかにポーズを決めているのは筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)だが、動物に詳しい人から見ると何だか違う。主にツノのあたりが、ちょっぴり惜しい。
「……せーちゃんのそれは鹿じゃからね、いやトナではなく」
こちらは正真正銘のトナカイ、終夜・嵐吾(灰青・f05366)がこっそり呟くけれど。
またとない経験に心を弾ませている友の姿を見ると、細かい事はいいかとも思えてくるのだった。
「まぁもうええか」
「では、皆に夢を与えに行こうか」
常らしくふわりと笑んだ清史郎の顔が直後、きりりと使命感に燃える。
そう、子供たちが喜んでくれるなら、鹿だのトナカイだのは些末な問題なのだ。……たぶん。
●
「なんか茶色いのが来たよ!?」
子供たちの第一声は、こともあろうに『茶色いの』であった。
「茶色いのってなに……わ、ほんとに茶色いお兄さんたちだ!」
おもしろーい、と寄って来る子供たち。元気が良くていい事だと二人は顔を見合わせてくすりと笑う。
「ふふふ、子どもたちよ、トナサンタズのお出ましじゃ!」
「トナサンタズ?」
「わしは隻眼のいけてるトナサンタ嵐号じゃ」
「そして俺が、トナサンタ雅号」
おふねの名前みたい、と誰かが呟いた。
「サンタのじいさんは腰痛で動けんのでな、今日はわしらが代理で来たんじゃよ」
「ほんと?」
ちいさな子供は目を輝かせるけれど。
「でもお兄さんたち、着ぐるみじゃん」
グループの中でも背の高い女の子などは、おませさんな表情で疑ってきた。
「サンタさんのトナカイは本当のトナカイなんだよ。お兄さんたち、偽物じゃないの?」
「……に、偽物とな?」
痛い所をつかれた。ぐ、と嵐吾は言葉を詰まらせる。
「違うんじゃよ。トナでは配れんから人の形をしておるんじゃ!」
「えー、じゃあトナカイの姿にも戻れるの?」
いくら妖狐といえど、伝承のように自由自在に化けれるわけがない。うーんと悩んだ嵐吾は、結局傍らの清史郎にウィンクばちんでアイコンタクト。
(「せーちゃんどうにか言いくるめよ!」)
その様子をにこにこと見守っていた清史郎が口を開く。
「偽物? ふふ、とんでもない。俺達は良い子だけ見えるトナさんたズだ。君は良い子にしていたのだな」
ではプレゼントをあげなければな、と今日一番のとびきりキラキラな雅スマイルを浮かべたのだった。
途端に女の子はどこかぼうっとした表情でこくこく頷いた。よく見れば人型サンタを疑っていた子だけでなく、他の子達も清史郎を見てへにゃんとしていたり、つられて笑顔になっていたり。
「おお……微笑みで誰でも言いくるめて……」
よくよく考えてみれば、清史郎の言葉はおませちゃんを筋の通った理屈で丸め込むという点では特別際立っていたわけではない。嵐吾の言葉と同じくらいだっただろう。それでもヤドリガミゆえのどこか現実離れした雰囲気と雅な所作で、ナチュラルに丸め込んでしまうのだから。
「さすがというか……おそろしや!」
何というか、友人で良かった。そう感じずにはいられない嵐吾だった。
トナサンタさんたちの袋から取り出されたのは、かわいらしくラッピングされたお菓子の数々。
「わあ、おいしそう!」
それだけだって、子どもたちの心を弾ませるには十分すぎるほどだったけれど。
「まだまだ。これはただの前座じゃよ。本当のプレゼントは……」
清史郎と嵐吾が顔を見合わせて、せーの、でそれぞれの力を空に向けて解き放つ。
「すごい……!」
「きれい、きれい!」
妖狐の炎と、桜箱の花弁。自在に踊る色彩が、抜けるように青い冬の空に鮮やかに咲き誇る。
幽玄の狐火と幻想の桜は互いに触れ合っても燃えてしまうことはなく、戯れあうように寄り添っては離れていく。まるで、楽しそうに雪原を駆けまわる子供たちのように。
クリスマスに相応しい、とっておきの秘密の魔法。
「大人たちには内緒だぞ」
「そうそう。良い子にしか見えない不思議な魔法じゃからの」
心を奪われたように立ち尽くして魅入っている子供も、はしゃいで手を叩く子供も、みんなみんな大輪の笑顔。
それを見つめるトナサンタたちもつられて笑顔になりながら、楽しい時を共に満喫するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
小雉子・吉備
[チーム・蛟]で行くよ
事前に〈九頭雉鶏精メダル〉を霓虹ちゃんに改造して貰って、それを併用してUC発動し
サンタ風の九頭雉鶏精テクターを纏った真の姿で子供達にプレゼントを配って歩くよ
テクターが元々赤々しいから
違和感は余りは無いかな
プレゼントは食べ物は事前に【料理】して用意した吉備団子各種(あんこ、チョコあん、抹茶あん、ジャムあん等)
それ以外は、童話やおとぎ話等
後、他にも現地の人に役に立ちそうな本も用意できればかなっ?
それはそうと、霓虹ちゃんも真の姿に……トナカイっぽい服を来たら、その角とモフモフで余り違和感ないね
彩虹ちゃんもトナカイっぽく改造されてるし
《アドリブ絡み掛け合い大歓迎》
蒼・霓虹
[チーム・蛟]でクリスマスパーティーに乗り込みましょう
事前に〈彩虹〉さんと吉備ちゃんの九頭雉鶏精メダルを【メカニック】で改造して仕組み、わたし自身もUCで真の姿に
あっ、トナカイらしい服も来ていかなくては
これで、彩虹さん共々トナカイ仕様の出来上がり、吉備ちゃんのそのお姿、やはり思った通り違和感ないですね。
わたしの方はトナカイ仕様の彩虹さんに【騎乗】して【操縦】しながら吉備ちゃんとプレゼントを配り歩きます
それにしても、クリスマスパーティーなんていつぶりでしょうか
だいぶ懐かしく感じますね
ジャスパーさんにも普段お世話になっているお礼にクローバーのアクセサリーわプレゼントを
《アドリブ絡み掛け合い大歓迎》
●
「はい、出来ましたよ」
「さすが霓虹ちゃん、お仕事早い♪」
「うまくいったでしょうか。ちょっと使ってみてもらえますか?」
「うん!」
元々テクター召喚の力が備わったあやかしメダルを、更に今日のための特別仕様に改造して貰って。
小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)が解放した真の姿は、真っ赤な九頭雉鶏精テクターの要所要所がサンタさん風になったクリスマスバージョン。
「わ、これなら子供たちも喜んでくれそう」
「良かった! よく似合っていますよ、吉備ちゃん」
ほっと胸を撫でおろしているのは、虹龍の戦車乗り、蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)だ。機械いじりは慣れたものだが、誰かのために施す時は少しばかり緊張するものだ。
「霓虹ちゃんもクリスマスの格好するの?」
サンタ帽風の頭部や、もこもこのファーのような飾りがついた胴体部を鏡で確認しながら、吉備が声を弾ませる。
「そうですね、折角ですから」
霓虹も同じく真の姿を解放する。人間の少女に近い姿から、獣人を思わせる姿へと。二本の虹龍のツノも、力の開放を受けてより鮮やかに、より神々しくきらめくのだった。
戦場に降り立てば神らしい荘厳ささえも感じさせる姿だが、にこにこと穏やかな笑みを浮かべている今の霓虹はファードラゴンめいた愛らしさの方がより際立っている。
「それ、いいね。虹のトナカイさんって感じ」
「折角ですから、彩虹さんも特別仕様です」
ぽんぽん、と少女の小さな手が優しくたたいたのは、霓虹と同じく虹龍の力を宿した猟機人・彩虹の背。普段は主に人型形態や戦車形態を取る彼の姿は、今では後者をベースによりトナカイに近づいたフォルムになっている。
『ちゃんとトナカイらしくなっているでしょうか?』
「バッチリだよ! キビたち、誰が見ても完璧なサンタさんだね」
既にプレゼントの準備は終えている。あとは子供たちに届けるだけ。
頑張ろうね、と三人――正確には一人と一柱と一機になるのだろうか――は目配せしあうのだった。
●
「わ、見て見て! ちょーかっこいい!」
「なになに? ほんとだ、すっごーい!」
霓虹たちの姿を見て、真っ先に寄ってきたのはやんちゃそうな男の子たちのグループだった。
「メリークリスマス♪サンタとトナカイでプレゼントを配りに来たよ」
「今のトナカイってこんなかっこいいの?」
子供たちが一番心躍らせているのは、トナカイフォルムの彩虹だ。オブリビオンとの交戦が盛んな地域では喪われたテクノロジーである戦車を蘇らせ、戦闘に用いている事も少なくないが――奪還者が護身用に銃火器を備えているのがせいぜいのこの辺りでは、巨大な機械がとても物珍しいようだ。
『え、僕ですか? なんだか照れちゃいますね』
自分が注目されるとは思っていなかったらしい彩虹が気恥ずかしそうに云うと、子どもたちは「かっこいいトナカイがしゃべった!」とますます声を弾ませる。
「良かったですね、彩虹さん」
「子供たちを呼び込んで回る手間が省けちゃった」
霓虹と吉備も、子供たちにつられて頬をほころばせながら。
「さてさて、プレゼントだよ。いい子にしてたひとー!」
「はーい!」
「ぼくも、ぼくも!」
「いいお返事だね! ちゃんとみんなにあるから、順番に並んでくれるかな?」
ともすれば押し合いへし合いになりそうな元気な子供たちを上手にいなしながら、吉備はひとりひとりにプレゼントを配っていく。
「おだんごだ! 美味しそう」
吉備サンタからのプレゼントは、あんこにチョコあん、抹茶あんにジャムあんなど、食べて美味しい詰め合わせ。それは勿論、
「吉備団子だよ」
「きびだんごって、桃太郎にでてくるやつ?」
「その通り! よく知ってるね。絵本は好き?」
「大好き! 皆で読んでるんだよ」
「キビ……サンタさんも大好きだよ」
良かったらこれも皆で読んでね、と童話やおとぎ話などの絵本も手渡す吉備。子供向けだけではない。丈夫な作物の育て方や食べ方、建物や日用品のメンテナンスなど、資源に乏しい地で役立つ知識の詰まった本も選んできた。
「パパにみせてあげなきゃ」
笑顔でありがとー! と礼を述べる子供たちを、霓虹トナカイと吉備サンタはひとりひとり撫でてあげて。
「メリークリスマス、良い一日を!」
こちらも負けないくらい、幸せな笑顔で見送るのだった。
●
「もう一人、プレゼントを渡したい人がいるんですよ」
「というと、やっぱり?」
「はい、あのお方です」
彩虹の背に乗って辺りを見回す霓虹が、自分たちに負けるとも劣らず目立っているその男を見つけたのと。
「お、何かド派手なパフォーマンスやってんな」
その男――ジャスパーがこちらに気づいたのは、ほぼ同時だった。
「お疲れ。なんか手伝えること……は、もう無さそうか?」
空っぽのプレゼント袋に目を落として、ジャスパーが腕組をする。
「ひとつだけあります」
「お、何だろ」
「これ、受け取って貰えますか」
霓虹が差し出したのは、小さな四葉のクローバーを模ったアクセサリーチャーム。虹龍のツノとお揃いの、淡く輝くきらめきを放っている。
「いいのか?」
「日頃お世話になってるお礼です」
「そっか、サンキュ」
陽の光に当てていろを楽しみながら、ジャスパーが目を細めた。
「へへ、虹の神様の直々のプレゼントだろ、ちょーいい事ありそう」
どこにつけようかな、と笑うジャスパーの懐で電子音が鳴る。スマホを取り出して眺め、「おっと、そろそろ」と踵を返しかけて足を止めた。
「霓虹と吉備と、それにそのでっかいのも、良い一日をな」
「はい」
「ありがと、ジャスパーさん!」
男を見送って、二人も拠点を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイン・セラフィナイト
レイ(f12771)と。
真の姿(大人の姿)で。
この世界はやっぱり過酷だな。クリスマスの時ぐらい、目一杯遊んでもらわないと。
それじゃあ、お菓子をプレゼントしようか。クッキーやパウンドケーキ、クリスマスケーキも作らないとな。
ん?俺の書物の中から絵本を?ああ、それなら好きに持っていって構わないよ。(境界術式で本を召喚)
なんだかこういう光景を見るの珍しいな。レイが子どもに囲まれてるのは。
……そうか、弟がいたのか。よし、できた。みんなで分けて食べるんだぞ。
たくさんあるし、絵本を読みながらでもゆっくりな。
そんなことない。だってその……俺は、レイがそういう幸せを掴むのを願ってるから。
(アドリブ等歓迎)
レイ・アイオライト
アイン(f15171)と。
こんなに辛い世界でもしっかりと生きてるんだもの。柄じゃないけど、協力させてもらうわ。
アインはお菓子作りってなると、逆に邪魔しちゃいそうだし、アインの魔導書の中から絵本でも探しましょうか。
ん、ありがと。お菓子完成まで子どもたちに読み聞かせるわ。
……私も昔は、弟にこんな風に本を読み聞かせてたっけ。もう死んじゃったけどね。
……子どもたちの前で暗い話はなしね。
さ、アインのお菓子が出来上がったみたいだし、みんなで食べましょうか。奪い取ったりしちゃダメよ。
もしあたしに子供ができたら、笑って暮らせたりするのかしら。
……なんて、そんな日ありえないと思うけど。
(アドリブ等歓迎)
●
褐色膚の女性義賊、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)が見上げるのは、共にこの地に降り立った青いドラゴニアン、アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)の涼やかな顔立ち。
いつもはレイよりも背の低い少年だが、時折こうして青年の姿になるのだ。その詳細な理由をレイは知らないけれど、小さなアインも大きなアインも、自分を慕ってくれるのは事実らしいと受け止めている。
「この世界はやっぱり過酷だな。クリスマスの時ぐらい、目一杯遊んでもらわないと」
「こんなに辛い世界でもしっかりと生きてるんだもの。柄じゃないけど、協力させてもらうわ」
「柄じゃない、ねえ」
いつもよりも低く、自信に満ちた聲でアインは笑った。ぶっきらぼうな物言いをしがちなレイが、本当は優しさゆえに他人と距離を置こうとしている事を、アインは知っているのだから。
「何よ」
「いや、何でも。それじゃあ、俺はお菓子をプレゼントしようか」
クッキーやパウンドケーキといった、日持ちのするものは勿論。
「クリスマスケーキも作らないとな。特別な日だけのお楽しみがあってもいい」
「アインはお菓子作りね。あたしが手を貸そうとしても逆に邪魔しちゃいそうだし……」
別のアプローチを探しましょう、とレイは思考を巡らせる。
「そうだ、子供たちは絵本が好きって云ってたわね。アインの魔導書の中から絵本を貰ってもいいかしら?」
「ん? 俺の書物の中から絵本を? 勿論、好きに持って行って構わないよ」
お菓子作りの準備を整えながら、アインが宙へと手を伸ばす。
特に魔法道具を用いたり詠唱したりという事もなく、展開された境界術式から本の山が紹介された。
「違うの混ざってるかも知れないから、一応ざっと目を通しておいて」
「ありがと、助かるわ」
元々無尽蔵の魔力を持つアインだ。青年の姿となった時には、日常動作を行うくらいの気軽さで複雑な術も扱える。実際本人にしてみれば、本棚から手で本を見繕うのと大差ないのだろう。
……と。
「なんだかいいにおいがする」
くんくんと鼻をひくつかせながら、子供たちが二人の元にやってきた。
「いいとこ来たね。今このお兄ちゃんがお菓子を作ってくれるところよ」
「え、ほんと? ラッキー、ちょうどお腹ペコペコだったんだ」
「クッキーならもう少しで焼けるから、待っててくれるかな」
「じゃ、先にあたしからのプレゼントを受け取って貰おうかしら」
レイが差し出したのは、今しがた選んだばかりのクリスマスの絵本。
「みんなで読んでるのとは違うやつだ!」
「せっかくみんなで集まってくれたから、クッキーが出来るまで読んであげようか?」
「やったー!」
お行儀よく座る子供たちに笑みを零しながら、レイは絵本を開く。
流れる様な朗読に、アインがへえ、と片眉を持ち上げた。
「なんだかこういう光景見るの珍しいな。レイが子どもに囲まれてるなんて」
「……私も昔は、よくこんな風に読み聞かせをしていたのよ。弟がいたから」
柘榴めいた紅い眸が、ふと昔を懐かしむように細められた。
「もう死んじゃったけどね」
手をかけたのは、他ならぬレイ自身。大切な弟だからこそ、彼の凶行を自分が止めなければならなかった。
「……そうか。弟がいたのか」
アインが呟く。こちらを不思議そうに見上げてくるちいさな子供に、ふと記憶の中の弟の姿が重なって見えて――振り払うように、レイは首をぶんぶんと振った。
「子どもたちの前で暗い話はなしね」
だからアインも、それ以上深くは追求しなかった。
「……よし、できた」
古いオーブンから鳴り響くアラームに扉を開ければ、中からさくさくのクッキーたちの登場だ。シンプルな丸やハート型のほかに、ツリー型やジンジャーブレッドの形など、クリスマスになぞらえたものもたくさん用意されている。
「わあ、やったあ!」
「食べていい?」
「ああ。ちゃんとみんなで分けて食べるんだぞ」
「奪い取ったりしちゃダメよ」
「はあい」
優しいお兄ちゃんとお姉ちゃんの言いつけをしっかり守って、喧嘩せずにクッキーを分け合う子供たち。ふふ、と微笑ましそうにレイは頬を緩めた。
「食べ過ぎないようにね。お兄さんがまだまだお菓子を焼いてくれるみたいだから」
「ん、期待しててくれ」
早速スポンジ生地を立て始めているアインに、子供たちの期待の眼差しが集中する。
「これよりおいしいものが出来るの?」
「お兄ちゃん、すごいね、魔法使いみたい」
「はは」
本当に魔法使いである事を知らない子供たちの言葉に、アインは肩を揺らして笑った。
「もしあたしに子供ができたら、こんな風に笑って暮らせたりするのかしら」
子供たちを眺めながら、ふとレイが呟く。
「……なんてね、そんな日ありえないと思うけど」
「そんなことない」
即座に返ってくる否定。レイが視線を向けると、金色の眼差しがまっすぐにこちらを見つめていた。
「だってその……俺は、レイがそういう幸せを掴むのを願っているから」
青年の姿になっても真摯なアインの、それは紛れもない本音なのだろう。
それが嬉しくて、けれど穢れきった自分が人並みの幸せを手に入れられるとは――手に入れていいとは、まだ思えなくて。
「……ありがと」
レイはただ、困ったように微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鎹・たから
【煌々】
昼、堂々と
良い子にしているこども達の元に
サンタさんは必ず訪れます
そう、今まさに(テテーン
と、かっこよく艦長のトナカイ(キャバリア)から降りてみました
メリークリスマス(ふくふくふわふわミニスカサンタ
艦長も何処からどう見ても完璧なサンタですね
…?
ええ、我々はコンビのサンタなのですよ(有無を言わせぬ澄んだ目
プレゼントはふあふあのぬいぐるみ
寒い夜もあなたを暖めてくれるはずです
ヴィルジールの絵本もとっても素敵な贈り物です
ひとつひとつを、こども達ひとりひとりに渡しましょう
今年もよくがんばりましたね
サンタはあなた達ががんばった姿をしっかり見ていますよ
あなた達が良い子である限り
きっと素敵な未来が来ます
ヴィルジール・エグマリヌ
【煌々】
トナカイの角を飾りつけたキャバリアに乗り登場
嗚呼、Casparが四つ足で良かった
私もサンタの衣装に身を包もう
たからも衣装、良く似合っているね
キャバリアから地上へスマートに着地を決めれば
メリークリスマス、なんて子供たちにご挨拶
良い子にプレゼントを届けに来たよ
私からは絵本を送ろう
澄んだ湖がある美しい森のなか
動物たちや鳥たちがのんびり過ごして居るだけの
――優しくて温かな物語
たからの縫い包みも可愛いね
この子達の良き眠りの友に成りそうだ
贈物は想いを籠めて
ひとつひとつ手渡ししよう
メリークリスマス
君たちが正しい道を往く限り
これから先も良いことが、きっとあるよ
たとえば、今日みたいにね
●
男の子たちのハートを鷲掴みにする、鋼鐵の獣。CdCと銘の刻まれた青藍の機体は、頭部に雄々しい角が飾り付けられている。
「なにあれ!? かっこいい!」
「おれ知ってるよ、強い奪還者が乗ってる戦車ってやつだ!」
「トナカイだよ」
ぴかぴかの角を差しながら、機体から二人の人物が降り立った。
「良い子にしているこども達の元にサンタさんは必ず訪れます。そう、今まさに」
ともすれば男の子たちよりも低い背を、ふくふくふわふわなミニスカサンタ服に包んでいる女性が鎹・たから(雪氣硝・f01148)。女性らしい体つきももこもこの着膨れに隠れてしまえば、まるで同じくらいの歳ごろの小さなこどもにも見える。
「メリークリスマス。良い子にプレゼントを届けに来たよ」
こちらもオーソドックスなサンタ服を着こなしているのは、艶めく藍髪が目を惹く青年ヴィルジール・エグマリヌ(アルデバランの死神・f13490)。何を隠そう『トナカイ』の操縦者であり、宇宙世界に古くから伝わるカジノ艦の長だ。
この世界に生まれ育ったこどもたちはトナカイに扮した機体を戦車と認識したが、正確にはキャバリアだ。人型のものが多いキャバリアの中では珍しい四ツ足を誇るCasparが、意外なところで役に立ったかたちである。
「(良く似合っているね、たから)」
「(艦長も何処からどう見ても完璧なサンタですね)」
目配せし合い、ふふっと笑む二人だが。
「サンタさんが二人いるの?」
「トナカイが機械になっちゃったの?」
こどもたちは素朴な疑問をぶつけてくる。
「最近は何かと物騒だからね。ちゃんとプレゼントを届けられるように、トナカイには体を張って貰っているんだ」
ヴィルジールは穏やかな口調でそう説明し。
「ええ、我々はコンビのサンタなのですよ」
粉雪のようなきらめきを宿す澄んだ眸でたからも云う。
「でも、確かにこのトナカイだったら竜巻もへっちゃらだろうね」
「サンタさんも一人じゃ大変だもんな」
こどもたちが納得してくれたところで、二人のサンタさんはそれぞれのプレゼントを贈るのだった。
「たか……ちいさなサンタさんからは、これを」
たからが差し出すのは、ふあふあのぬいぐるみ。くまさんにウサギさん、茶色に真っ白。色も形もさまざまだけど、どの子もくるんと愛らしい半丸ボタンのおめめと、たからサンタさんにも負けないふかふかボディを持っている。
「寒い夜もあなたを暖めてくれるはずです」
「ありがとう!」
「お名前つけなきゃ。なにがいいかな」
ひとつひとつ心を込めて贈られたぬいぐるみを、早速ぎゅーっと大切そうに抱いてくれるこどもたち。表情が変わりにくいたからの口元もほんの少し緩んだようだった。
――だってたからは、戦場でもそうでない場所でも、『こども達のため』に戦い続けてきた女性だから。そのための名前も持っているのだから。
「可愛い縫い包みだね。この子達の良き眠りの友に、そして話し相手に成りそうだ」
こちらははっきりと優しい笑みを浮かべて、ヴィルジール。
「こんなに素敵な贈物の後では少し緊張してしまうな。私からのものも、気に入って貰えるとありがたいが」
そう云って、かれが手渡すのは薄くて四角い包み。それは勿論、この拠点のこどもたちが大好きな――。
「絵本だ!!」
ぱあっと笑顔を見せてくれるこどもたちに、ヴィルジールの緑色も細められる。
「大きいサンタさんこそ、絵本もとっても素敵な贈り物です」
透き通った美しい湖や木々の描かれた表紙に、ちいさく添えられた「V.A」の文字。
この拠点のこどもたちのためにと、ヴィルジール自身が筆を執ったものだ。絵本の中には飢えも略奪も存在しない。自然の中で動物や鳥たちがのんびり過ごして居るだけの――優しくて、温かな物語だ。
そして、二人のサンタさんからのプレゼントは、贈り物だけではなくて。
「今年もよくがんばりましたね。サンタはあなた達ががんばった姿をしっかり見ていますよ。あなた達が良い子である限り、きっと素敵な未来が来ます」
「メリークリスマス。君たちが正しい道を往く限り、これから先も良いことがきっとあるよ。たとえば、今日みたいにね」
たからサンタさんは真っ直ぐに。
ヴィルジールサンタさんは腰をかがめて目線を合わせて。
プレゼントを手渡した時のようにひとりひとりをしっかりと見つめて、二人は言葉を贈るのでした。
「ありがと。今日の夜、このこと一緒に寝るね!」
「絵本は帰って妹と読もうっと!」
笑顔の花を咲かせたこどもたちが、それぞれの家に帰っていく。
立派なトナカイに乗って現れたサンタさんたちは、こども達の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けているのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
丸越・梓
アドリブ、マスタリング歓迎
_
サンタさん、か。
ああ、ぜひ俺にも手伝わせてくれ。
_
普段のスーツとは別に、モッズコートを羽織る
万が一にも子どもたちの夢を壊さぬようにファーフードを目深に被り
子どもたちが寝静まった頃を見計らう
大人たちには顔を見せてしっかり挨拶をしてから、そうっと子どもたちの元へ
…なんだか懐かしいな
俺が孤児院にいた頃も、弟妹たちにこうやって内緒でプレゼントを枕元に置いたりしたこともあった
そんなことを思い出しながら子どもたちの側へ置くのは、絵本やあたたかなマフラー、ぬいぐるみや筆記用具
寝返りで乱れてしまったのだろう毛布をかけ直してやり、その健やかな寝顔にフと双眸細め
「──メリークリスマス」
●
やや長めな濡羽鴉の髪の奥、覗く眸は夜のいろ。
凛と伸びる背筋の男性は、名を丸越・梓(月焔・f31127)という。猟兵である以前に刑事であり、しかも動いていないと死ぬのではないかと揶揄されるほどのワーカーホリック。今日も直前まで仕事をこなし、この世界に降り立ったころにはすっかり夜も更けていた。
「――……サンタさん、か」
大人たちに礼儀正しく挨拶を済ませた後で、普段のスーツの上にモッズコートを羽織り、万が一にでも子供たちに見つかった時に夢を壊さないようにとファーフードを目深に被る。そうっと子供たちの部屋に入る時、梓は甘く胸が締め付けられるような心地を覚えた。
(「なんだか、懐かしいな」)
梓は孤児院育ちだった。『きょうだい』たちの間で一番年上だったから、大人たちに代わってこっそり弟妹たちの枕元にプレゼントを置いたりしたこともあったのだ。
何度も繕った掛布団にくるまる子供たちの寝顔を見ると、あの時の事を思い出す。実は来たる翌日、クリスマス当日は梓自身の誕生日でもあるのだけれど、それよりもきょうだいたちに何を贈るかに頭を巡らせているような子どもだった。
それを孤児院という環境と、長兄という立場が育んだ健気な自己犠牲だと大人たちは云うけれど、梓はそうは思わなかった。ただ、弟や妹の喜ぶ顔が、自分にとって何よりのクリスマスプレゼントだったから。
宵色の眸にあたたかな光を宿し、今の梓が子どもたちに贈るのは絵本やあたたかなマフラー、ぬいぐるみに筆記用具など。あいさつ回りの時に子供たちの好きなものや足りていないものについて訊ね、それに合わせた品々を選んでいたのだ。
やんちゃそうな男の子が、半分毛布から身体を飛び出させて寝ていた。かけ直してやる時に見えた健やかな寝顔に、梓の双眸が細められる。
どんな極限世界でも、子供たちというのは変わらないものだと思う。真っ直ぐでひたむきで、そして大人たちが思っているよりもずっと、強い。
(「そして、彼らが安心して眠れる場所を護っているこの地の大人たちも、強い」)
子供たちがこうして健やかに生きていける世界なら、きっと大丈夫だと梓は頷いた。今は雨に打たれ泥に塗れるような境遇でも、その先に虹を望めるその時まで、彼らは踏みとどまれる。
「――メリークリスマス」
誰の耳にも届かなかった呟きの、その願いは、誰の心にも確かに届いた。
そっと部屋を後にする梓を祝福するように、静かに雪が降り始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
天元銀河・こくう
昼に拠点へ
ルイ(f13398)、ぬこ様(PCの肩定位置)と
服はサンタワンピ姿
ぬこ様にはルイからの帽子を被せて
「サンタが空を飛べなくなった?
奴なら、今もピンピン飛びまわっておるわ!
もっとも奴は忙しい
そこで、我らの出番というわけだ!」
上空を駆け華麗に子らの前に参上
ルイの夢幻郷が整ったら
ドローンを展開し光や音楽を放つ即席ライブステージを演出
子らと共に歌や踊りを楽しもう
ルイの飛びこみ参加も歓迎するぞ!
UCグッドナイス・ブレイヴァーで中継配信すれば
別所の子らにも共有できるだろうか
飛翔はできんが、子2人程度ならUCスカイステッパーで抱えて飛びあがれる
空はだれのものでもない
いつでも、貴様らの手で掴むがいい!
冴島・類
こくうさん(f16107)、ぬこ様と
世界毎に夜の景色は違うし
全てが華やかなわけではない
でも、日々生きる為必死な子らが
夢見る燃料があっても良いはずで
共にいたら明るくなる、こくうさんを頼り
彼役なら赤い服でいきます?
ぬこさまに帽子見せ
うんかっこいい!
昼に拠点へ
こんにちは!
さんたさんのお手伝いに来たんだ
君達に、魔法の景色を贈りに
夢幻郷を眠らせる対象指定せず
幻の景を見せるだけに編み、空へ
さぁ、雪と星が降るよ!
飛べないさんたの話が流れる世に
あなたとそらを駆けたなら
夢を信じれるでしょうか
彼らが楽しんでる隙を縫い
親御さん達に家族で楽しんでと保存の効くしゅとれんを渡したら
では、僕も飛び入りで一緒に踊りに行こうか
●
冬特有のすこんと抜けるような青空を見上げながら、冴島・類(公孫樹・f13398)はこれから訪れる寒さ厳しい夜を想像していた。
世界毎に夜の景色は違うし、すべてが華やかなわけではない。少年の面影を残した見た目に反し、うんと昔から人々を見守ってきた彼はそれを知っている。
でも、と類は思うのだ。日々生きる為に必死な子らが、夢見る燃料があっても良いはず、と。
だから今日声をかけたのは、友の中でもとびきり明るくて、笑顔や希望の強さを知っている少女。
「彼役なら赤い服で行きます?」
「勿論だ! 折角なら動画映えするような、鮮やかで華のあるものにしよう」
キトゥンブルーと琥珀のオッドアイをきらめかせ、その少女――天元銀河・こくう(黒猫・f16107)が云う。早速選び取った服は、鮮やかな真紅のワンピース。
「せっかくならぬこさまもお揃いで」
「おお、気が利くなルイ!」
類がぬこさまと呼んだのは、こくうの肩が定位置の猫――たぶん猫、ひょっとしたらぬいぐるみ、そんな感じの不思議な生き物。最もこくう自身がバーチャルキャラクターであるから、多少ビジュアルが不思議なのもご愛敬である。
ハチワレの頭をすぽっとサンタ帽子で覆って、ぬこ様もご機嫌だ。
「うん、かっこいい!」
「よし、これでどこから見てもサンタの関係者だな!」
同じくご機嫌のこくうと一緒に、子供たちの集う遊び場へ。
●
「こんにちは! 君たちはこのあたりの子かな」
雪だるまを作っていた手を止めて、類を見上げる子供たち。
「うん、そうだよ」
「僕たちはさんたさんのお手伝いに来たんだ」
持ち前の柔らかい笑みで、類が笑いかける。
「僕『たち』……?」
目の前の青年はどう見ても一人だ。不思議そうに眉を顰める子供たちの、上空から聲が轟いた。
「貴様らはサンタが空を飛べなくなったと勘違いしているようだが、奴なら今もビンビン飛び回っておるわ! このようにな!」
上空を華麗に駆け、登場したのがこくうとぬこ様。子供たちはまず空駆ける少女達に驚いて、それからもうひとつ疑問を抱く。
「どうしてそれを知ってるの?」
「ん? サンタが現役という事をか?」
「そっちじゃなくて、わたしたちがサンタさんが飛べなくなったって話してたこと」
目を丸くする子供たちに、こくうはふふんと得意そうに鼻を鳴らす。
「サンタが何でもお見通しだからだ。だからこそ貴様らがいい子でいたかも、欲しいプレゼントもわかるのだぞ!」
子どもたちがますます目を見開いた。サンタさんってやっぱりすごいんだね、と口々に言い合う。
「とにかくサンタはまだ現役だが、奴は忙しい。そこで、我らの出番というわけだ!」
「そう、君達に、魔法の景色を贈りに」
類の手から編み出されるのは、まるで夢の世界から飛び出してきたような心躍る光景。実際それは誰かを癒す鮮やかで力強い夢幻に誘う力だけれど、今日の『夢』は起きたままでも見られるとっておき。ふわりと空に――こくうの周囲へと解き放たったそれが、昇って登ってちかりと弾ける。
「わ……」
「さぁ、雪と星が降るよ!」
瞬間的な眩しさに思わず眇めた子供たちの眼が直後、驚きに見開かれる。
陽の光を受けて、赤から黄色、青から紫へときらめく不思議な星屑たち。
ふわふわと蛍のように淡く光る、幻想の雪たち。
その中を、まるで重力など無視したようにこくうが軽やかに跳びはねていた。優雅に、楽しそうに。
「お姉ちゃん、すごい!」
「お姉ちゃんが飛べるんだもん、サンタさんもまだ飛べるんだね!」
興奮に顔を紅潮させて、口々に歓喜の声をあげる子供たちに、類が頬をほころばせる。
(「やっぱり、彼女を頼って良かった」)
あっという間に子供たちの心を掴む彼女の力は生来の明るさと、動画配信で培った技術の賜物。今回の煌びやかなパフォーマンスも、辺りを飛び交う小型ドローンと拠点のあちこちに設置したモニターが生配信中だ。勿論、ここではない拠点にサンタという希望をもたらすこともできる。
「せっかくのクリスマスだ、わたしと一緒に空を飛びたい子はいるか?」
「え、いいの?」
「じゃあわたし飛びたい!」
わたしも、僕も、と群がる子供たちに、はははとこくうが肩を揺らした。
「一度に二人までだ。まずは早かった貴様と貴様」
高度を落としたこくうが女の子と男の子を抱え、再び空へとスカイステップ。
「すっげー!」
「高い、高い!」
笑いに包まれるライブ会場に、中継を見て子供も大人も集まって来る。
類は子供たちに見つからないようにそっと大人に近寄った。
「これ、家族で楽しんでください」
それは類の云うところの『しゅとれん』。バターも砂糖も、それにドライフルーツやナッツもたっぷりの焼き菓子は保存が効くし、何よりリッチな味わいと栄養価の高さが冬を生き延びる助けともなってくれるだろう。
「ありがとうございます。何から何まで……」
「いえ。喜んで頂けるのが一番嬉しいです」
心からの笑顔で類は云うのだった。そして改めて、今の自分のかたちを実感する。祀られる鏡でしかなかったころは、人を愛し慈しんでも、こうして手を差し伸べる事など出来なかったのだから。
失ったものは戻らないけれど、失わないように二本の足で駆ける事が出来る。それが何より、嬉しくて。
「ははは、空は誰のものでもない! いつでも、貴様らの手で掴むがいい!」
縦横無尽に空を駆け、笑いに包まれるこくうの元へ、類はその脚で戻るのだった。
折角なら、僕も飛び入りで一緒に踊りに行こうか――と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クロト・ラトキエ
千之助(f00454)と
僕は到底いいこでは無かったので、
サンタクロースなどとんと縁がありませんでしたし。
“聖”なんて付く役回り、甚だ不似合いな類いですが…
何だかお隣が泣く程やる気でいらっしゃいますし。
…ま、偶にはイイですかね。
家屋潜入?余裕ですけど…
素直に大人の方に入れて頂きましょ?
服装はいつもの黒尽くめ。
とはいえ、こちとら暗器使い。隠して運ぶはお手の物。
すっかりサンタさんな千之助を眺め、声にせず笑って。
ほら、先を急ぎましょ?
夜は長い様で短い。
仲間外れを作らぬ様に。
あの子らが起きたら…
きっと大人達が、『今年はサンタさんが飛んで来てくれたんだよ』なんて、
新しい物語の一頁を語ってくれるでしょうから
佐那・千之助
クロト(f00472)と
うっ…サンタさん、絶対やる…(涙目
子供達可愛さについホロリ
行くぞクロト。…家屋潜入は得意じゃっけ?
夜にこっそり
もし目を覚ました子供に見られても大丈夫なように
絵本のサンタと同じ格好で
背負った袋の中身は、いつでも美味しいチョコレート
面と向かっては渡すのは照れるし
クロトみたいなイケメンサンタ、子供達の初恋泥棒になりかねないし
くくく…子供達は何も知らずに眠っているようじゃ
可愛い寝顔にときめきつつ
起きて笑顔になるといいな…
音を立てないよう、プレゼントを枕元へ
緊張感すごい…
そして達成感いっぱい
贈る方も幸せを贈られる、嬉しいクリスマス
よいこのクロトへ後で贈る分もあるのは秘密なのじゃ
●
最初はやんわり断ろうかと思ったんですよね、と後にその青年、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は語ったという。
「僕は到底いいこでは無かったので、サンタクロースなどとんと縁がありませんでしたし。何より“聖”なんて付く役回り、甚だ不似合いな類いですし……」
ではなぜ気まぐれを起こしたのかと、問われれば。
「うっ、何て健気でいじらしい子どもたちじゃ……」
人々の目印になるようにと髪を伸ばしているような『お人好し』が、人目もはばからず涙ぐんでいるのを目にしてしまったからである。
常闇の世界でひときわ目立つ陽光色の髪をしたその青年は、佐那・千之助(火輪・f00454)。魔の血を引きながらも人を愛する彼である。
「サンタさん、絶対やる……」
こうなれば梃子でも動かない事をクロトは知っているし、別段拒否する理由もない。
「……ま、偶にはイイですかね」
泣くほどのやる気を見せる千之助の姿に、クロトも傭兵らしい損得勘定はひとまず置き去りにする事にしたのだった。
●
「さて、では行くぞクロト」
「はいはい」
長い髪を束ねてサンタ服に身を包み、やる気十分な千之助と、いつもの柔和な笑みでその後ろをついていくクロト。
「……クロト、家屋潜入は得意じゃっけ?」
「え? まあ、余裕ですけど」
この拠点だったら、それこそどの家でも簡単に入れると思いますよ、とクロトは云う。クロトでも手こずるような複雑な鍵がここいらにあるとは到底思えない。
「でも……普通に大人の方に話を通せばいいんじゃないですか?」
「……面と向かって渡すのは照れるじゃろう」
「はあ」
千之助のおっとりとした話しぶりは堂々とした威厳すら感じさせるが、意外とこういうところがあるのだ。ふふ、とクロトは声に出さずに笑った。
「それにクロトみたいなイケメンサンタ、子供達の初恋泥棒になりかねないし」
「それは千之助も似たようなものだと思うんですけど」
魔の血が流れるゆえの容色の良さに、目を惹く髪色と不思議ないろの双眸まで備わっているというのに、どうにもこうにも自覚に欠ける男である。
「ま、今日は千之助の希望で来ましたからね。良い夜を迎えられるよう、僕も尽力しますよ」
「ありがとう、クロト」
すっかりサンタさんな千之助の袋の中には、いつでも美味しいチョコレート。目立たぬように黒ずくめのままのクロトは手ぶらに見えて、スムーズな『潜入』のための道具たちを至る所に隠し持っている。
●
まるで合い鍵を持っていたかのように速やかに窓が開き、千之助が子供部屋に降り立つ。
「くくく……子供達は何も知らずに眠っているようじゃ」
言葉とは裏腹に、千之助の眼差しは優しい。平和の象徴のような安らかな寝顔をこの地で見れた事に嬉しさとときめきを感じながら、音を立てないようにそーっとプレゼントを枕元へ。
(「起きたらどんな笑顔を見せてくれるじゃろうな。喜んでくれるじゃろうか」)
かわいい寝顔が満面の笑顔に変わる所を想像すれば、千之助自身もつられて笑顔になるようだった。
プレゼントを置いた瞬間、子供がううん、とちいさく唸った。はっと千之助が息を呑んだが、子供は寝返りを打っただけでまたすうすうと寝息を立てる。
「(危なかったぁ)」
息をつく千之助の顔は緊張感から解き放たれた安堵と、そして何より達成感でいっぱいだったという。
「ほら、ぼうっとしてないで先を急ぎましょ?」
そんな千之助を窓の外からクロトが急き立てる。
「少しくらい余韻に浸っても……」
「夜は長い様で短いですよ。仲間外れは可哀想です」
せっかく、行き渡るほどのプレゼントがあるのですから、と。
一見ドライなクロトの物言いには千之助と、そして子供達への配慮が籠っているのだった。
●
すべてを配り終える頃には、もう東の空が微かに明るみを帯びていた。
「お疲れ様」と、どちらともなく二人は笑い合って。
「あとは僕たちではなく、大人たちの仕事ですね」
クロトの言葉に、千之助が視線を向ける。
「もう少し経ってあの子らが起きたら……きっと大人たちが、『今年はサンタさんが飛んで来てくれたんだよ』なんて、新しい物語の一頁を語ってくれるでしょうから」
「ああ、そうじゃな」
大きく伸びをする千之助。傍らに置かれた白い袋は、すっかり空っぽになっているけれど。
サンタ服の懐にこっそり、もうひとつだけ包みを隠し持っている事を、クロトは知らない。
(「クロトはああ云っていたけど、ちゃあんとよいこじゃったからの」)
いつも飄々と笑みを浮かべている代わり、本当の心がどうにも見えにくい彼だ。柔らかい仮面とはまた違った笑顔が引き出せるかと思案すれば、なるほどと千之助は思う。――大人に贈るクリスマスプレゼントは、夜中にこっそり気づかれないように贈るよりもよっぽど緊張するものであるかもしれない。
けれどきっと、うまくいったときの充実感もまた、かけがえのないものであるに違いないのだ。
「ああ。いいものじゃな、クリスマスというものは」
くつくつと喉を鳴らして、千之助は笑うのだった。
贈る方も幸せを贈られる――そんな日だ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルナ・ステラ
子どもたちのために何かしてあげたいです!
わたしにできることは―
【楽器演奏】でしょうか?
<日中>
現地の砂、薪、要らなくった入れ物などある物資でできる楽器の作り方を子どもたちに教えながら一緒に作りましょう。楽器を作れさえすれば、わたしがいなくなった後も音楽を楽しめますよね…
楽器ができたら鳴らしてみましょう。そして、少し慣れてきたら皆で演奏してみましょう!
わたしも獣奏器で一緒に演奏します!
不完全な楽器でも、不慣れな演奏でもいいんです。皆で一緒に楽しみましょう!
<夜>
UCで夜空を流星で彩り、子どもたちが願い事を叶えられるように【祈り】ましょう!
みんなが少しでも幸せな気持や楽しい気持ちになれたらいいな♪
●
白いマントに、微かに虹を帯びたような銀髪。
雪景色の拠点に降り立ったルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)は、まるで冬の妖精さんのよう。
「子どもたちのために何かしてあげたいです! わたしにできることは――」
得意の魔法で何かする、というのも考えた。けれどそれだけでは、子供たちが楽しめるのは今日限りだ。もっと何か、長く楽しめるものを贈りたいとルナは思う。
「他にわたしの出来ることは、動物さんとお話しすることや、楽器演奏……そうだ、一緒に楽器を作って、子供たちと演奏しましょう」
そうと決まれば、ルナはさっそく準備に取り掛かるのだった。
●
「おねえちゃん、こんな感じでいいかな?」
「ばっちりです!」
集まってきた子供たちを、ルナはとびきりの笑顔で出迎えた。予め子供たちに声をかけてまわり、楽器作りの材料を集めて貰っていたのだ。
木材に空き容器、砂や輪ゴムなど。物資に乏しい拠点でも気軽に使えるような品々。
「えんそうかいやるって聞いたけど、ほんとにこんなのでいいの?」
「これだけあれば、いろんな音が出せますよ。みんなで作ってみましょう」
まず、砂はちいさな容器に入れて、ぴっちり蓋をする。そのままでも楽しいサンドシェイカーになるし、もう一工夫して持ちやすいように棒をつけてみれば、
「あはは、マラカスだ!」
「色を塗って自分だけの楽器にするのも楽しいですよ」
絵具や色鉛筆を並べるルナ。子供たちが顔を見合わせてにっこり笑顔になる。
「クリスマスだから、赤と緑にする!」
「ぼくはお星様を描こうかなー」
空き缶は綺麗に洗って並べるだけで、楽しいドラムセットになる。もうちょっと複雑な工作が出来るおにいちゃんおねえちゃんなら、ストローの拭き口と目打ちで開けた穴で手作りの笛も作る事ができる。
木を張り合わせて輪ゴムを通せばギター。ストローを並べてくっつけたマリンバ。
最後の方にはルナの提案だけではなく、子供たちも案を出し合って、たくさんの楽器を作ったのだった。
「まずは鳴らしてみましょう。そして、少し慣れてきたら、皆で演奏してみましょう!」
カンカン、ぴいぴい、素朴な音も皆で集まれば、どんなオーケストラにだって負けないくらい。
ルナも鼓舞の獣奏器で共に音を奏で、演奏会は大盛り上がり。
「みてみて、流れ星!」
手作りカスタネットを奏でていた子供が指差したのは、夜空を彩る無数の流星たち。こっそりルナが呼び寄せた、スペシャルなクリスマスプレゼントだ。
「皆でお願い事をしましょう!」
ルナ自身の願いはひとつ。――子どもたちの願いが叶いますように。
見上げる子供たちの顔は喜びにあふれていて、ルナの心もあたたかいもので満ちていくようだった。
大成功
🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
最愛のジャスパー(f20695)をお誘いして
じゃたこサンタモードでお仕事頑張りたいな☆
Glanzの改造リアボックスに
ありったけのプレゼントを乗せて、いざ出発ゥ♪
オレの愛機は伝承のトナカイさん達に
負けないぐらいイカしてるぜ。
ジャスパーとFinsternisがついてこられるよう留意しつつ
【悪路走破】もなんのその!
【情報収集】しておいた子供達の住居を周りたいな。
プレゼントは2WAYの物中心に用意。
ぬいぐるみ型の小銭入れや、辞典付きの児童書等々
生活に必要かつ、イイコ達のニーズに応える物を♪
ふと思い浮かぶのは
異世界に居る、精霊の息子達のコト。
ねぇ、ジャスパー。
この後…あの子達のサンタさんをしにいこっか?
●
サンタクロースの装いの隙間から、スカイブルーの触手がご機嫌に揺れている。
「ジャスパー、お待たせ!」
白銀に青纏う相棒の宇宙バイクGlanzに跨ったパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が手を振る先、ジャスパーも同じくサンタ服を身に纏い、漆黒に赤のバイクFinsternisに乗ってやってきた。
「いやー、アガるね、聖夜のツーリング」
二人とも改造済みの大容量リアボックスに、ありったけのプレゼントを詰め込んできている。そう、これこそが今宵のサンタさんのそりとなるわけだ。
「ジャスパー、最初からバイク操縦センスあったけど、最近ますます上手になってるもんね。タコ感激♪」
「そりゃもう、最高の師匠が傍にいますから?」
「ふへへ、照れちゃうなあ」
身体の触れ合うタンデムもいいけれど、自分の好きなものを最愛の恋人と一緒に体験出来るのはまた違った嬉しさがある。くすぐったそうに笑みつつも、二人きりでじゃれあうにはまだ早い。
「そろそろ出発しよっか。オレ達の愛機は伝承のトナカイさん達に負けないぐらいイカしてるぜ、なんてね」
「おう、どんな僻地にだってひとっ飛びだ」
こつんとフィスト・バンプ交わし、雪道に繰り出した。
●
先導するパウルは鮮やかに愛機を駆りつつも、後方のFinsternisがついてこられるように留意するのも忘れない。対策はばっちりしてきたとはいえ、ジャスパーが雪道を走るのは初めてだった筈だ。くわえてパウル自身は、それこそ雪だろうが砂利だろうが問題にならない。飛ばし過ぎないように、けれどなるべく早く確実に配り終えられるように、絶妙なコントロールでパウルはGlanzを走らせるのだった。
予め年齢や性別、家族構成や好みなどをリサーチしてパウルが選び抜いたプレゼントは、2WAYのものが多い。たとえばぬいぐるみ型の小銭入れや、辞典付きの児童書など。
「こっちはリバーシブルの防寒ジャケットか。やっぱモノが少ねえっていうから、なるべく色々使えるようなやつをチョイスしてんのか?」
「勿論、それもあるけど」
ジャスパーの問いかけに、パウルが思い出すのは先程プレゼントを置いて来たばかりの家のこと。二つの家族に子供が四人、それにオブリビオンに両親を殺されて孤児になった子も合わせ、五人が身を寄せ合うようにして同じ部屋で眠っていた。
「ここでは『家族みんなで』とか、『友達みんなで』とか、ひとつのものを共同で使う事が多いんじゃないかなって思ったんだ。ジャスパーが話してたクリスマスの絵本もそうだし……だから、いろんなイイコ達のニーズに応えられるものがいいなって♪」
「なるほどなあ、さっすがパウル」
そんな風に楽しく言葉を交わし合えば、ぱんぱんだったボックスの中に残るプレゼントも残り僅か。
冬の夜が明けるにはまだ早く、これなら間に合うだろうとパウルは隻眼を細める。
「ねぇ、ジャスパー」
無意識に揺れ動く恋人の尻尾を見れば、パウルの脳裡に浮かぶのは異世界の『息子』たちのこと。互いを想う気持ちから生まれた、森の精霊さんたち。
「この後……あの子達のサンタさんをしにいこっか?」
一人前になるためにがんばっている彼らも、きっと今はすやすやと夢の中に違いないから。
「自分の『息子』も喜ばせらんねえような奴が、他人のガキのサンタ役だなんて笑わせるもんな」
くつくつと喉を鳴らしながら、けど、とジャスパーは付け加える。
「残りのプレゼント配り終えて、あいつらにも渡しに行ったら――その後は俺だけのサンタさんになってよ、パウル」
「ジャス……」
パウルの好きな不思議な色の双眸が、雪明りに照らされてちかちかと瞬いていた。
「俺の欲しいもんは、もう決まってるから」
――サンタさんなら知ってるだろ? イイコの欲しいもの。
誘惑するように耳元で囁いて、ぱっと離れる。
「さて、そうと決まったら残りのプレゼントもちゃちゃっと配っちまおうぜ」
ハンドルを握るジャスパーの隣、ゆでだこみたいに真っ赤になったパウルの姿があったという。
大成功
🔵🔵🔵
真白・時政
カラスくん(f13124)と
ウンウン!毎日頑張ってるイイコにはご褒美あげないとネ
ポッコリお腹にふさふさおヒゲはウサギさんにはムリだカラ帽子だけ被ってェ~
ちゃァ~んとうさ耳も忘れてないシ、コレでうサンタさんなの~!
プレゼントはオツカレサマの意味も込めてあまァいココアとマシュマロ!
あったかァ~いココアはホッとスるし
マシュマロを溶かして飲むと更にアマアマになってオイシーの~!
んフフ、うサンタさんのオススメ。どォかなどォかな?
カラスくんもちゃァんとメンドー見てるゥ~!エライエライ!
カラスくんはトナカイさんだけどカラスくんなんだヨ
んフフ~なんでかはナイショ♥
サンタさんもウサギさんだから丁度イイでショ?
ヤニ・デミトリ
ウサギさん(f27611)と
他人の為にって柄じゃあないスけど
こーいうとこにこそサンタは来なくちゃァね
そーでしょ、ウサギサンタさん?
サンタの相棒ならやっぱコレっスかね
UCでトナカイの姿をとって首元のベルを鳴らし
子供達に呼びかけるっス
俺からはクッキーの詰め合わせをどーぞ
色んな動物がクリスマスっぽくアイシングされたやつ
見たことのあるものもないものも楽しみが持てますよーに
裏に名前が書いてあるから
皆で当てっこしてくださいね
フッ俺は仕事にマジメなカラスっスからね
ん?ヒヒ、最近の奪還者はトナカイの姿にもなれるんス
あっちのうサンタもすこーしアヤシイけど善いサンタっスよ
カラスなのにて…こ、こまけえことはいいんス
●
「他人の為にって柄じゃあないスけど、こーいうとこにこそサンタは来なくちゃァね。ウサギサンタさんもそー思うでしょ?」
「ウンウン! 毎日頑張ってるイイコにはご褒美あげないとネ、カラストナカイくん♪」
ウサギとカラス。愛称で呼び合う二人は、それに相応しい姿をしている。それぞれ真っ白と真っ黒なのだ。
ウサギ――真白・時政(マーチ・ヘア・f26711)は、かすかにウェーブがかった白い髪に抜けるように白い膚。いつも思いっきり目を細めて笑うから視認しづらいが、白い睫毛の奥にある双眸だけが赤いのもウサギめいている。
カラス――ヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)は、ヒトに化けるのを得意とするブラックタール。一見普通の好青年の、沈むような黒い膚は確かにカラスと呼ばれるに相応しい。その膚と、機械を寄せ集めた尻尾だけが、彼が生来の人間ではない事を物語っている。
そのヤニの姿がてろりと溶けるようにして、ヒトの姿からトナカイの姿に変異するころ、時政もうさ耳のついたサンタさんの帽子を被ってご機嫌笑顔。
「ポッコリお腹にふさふさおヒゲじゃウサギは跳べないカラ、帽子だけサンタさんね~」
ひょこひょこうさ耳を揺らす時政。ヤニも首元にベルをくくりつけて、ちりんちりんと鳴らすのだった。
「さて、楽しいクリスマス会のはじまりはじまりっスー♪」
●
ベルの音に誘われてやってきた子供たちは、時政サンタとヤニトナカイに目を輝かせる。
「トナカイだ! はじめて見たよ!」
「でも、サンタさんがちょっとちがう。おじいちゃんじゃなくてかっこいいおにいちゃんだ」
「あはは、照れちゃうネ~」
イイコイイコ、と時政が細い目を更に細める。
「今日はみんなのために、サンタとトナカイからプレゼントを用意したっス」
まずヤニが差し出したのは、可愛らしいクッキーの詰め合わせ。色んな動物を模ったクッキーはアイシングで更に可愛く、かつクリスマスっぽくデコレーションされている。
「マフラー付けたリスさん!」
「こっちはなんだろ、誰かわかる?」
「鳥さんかなあ……?」
「裏に名前が書いてあるから、みんなで考えて当てっこしてくださいね」
食べるのも忘れて真剣に悩む子供たちに、ヤニが笑いかける。
「わかった! ペンギンさんだ!」
「あったりー♪」
「本物は見た事ないけど、えほんに載ってたよ!」
「さてさて、サンタさんからのプレゼントも受け取ってネ~」
時政がたくさんのマグカップをお盆に乗せて運んできた。中にはとろりとあまぁい香りのする、赤みがかったブラウンの液体。
「ココアだ!」
「みんな、ちゃァんとお手伝いして疲れてるデショ? そんな時はあったかァ~いココアでホッとしてね」
わーい、ちょうだい、と寄って来る子供たちを、時政はちょっと待ってね、と一旦制止させる。
「このままでも美味しいけど、マシュマロを溶かして飲むと更にアマアマになって、もっともっとオイシーの~!」
「マシュマロを……?」
「溶かすの……!?」
目をまんまるにする子供たちの前で、あったかココアにマシュマロが投入される。淡く雪みたいに溶けていくマシュマロをじいっと見つめる子供たちに、はいっとマグカップを差し出して。
「これでよし♪ んフフ、サンタさんのオススメ、どォかなどォかな??」
「んー! おいしいー!!」
「デショデショー??」
疲れも吹っ飛んじゃう甘さと美味しさに、ひとくち飲めばぱっと笑顔の花が咲く。
子供たちにココアを取らせてあげながら、ふと時政がヤニの方を見る。彼も子供たちに囲まれて、一緒に動物当てゲームをしたり、ココアを受け取った子に「熱いからゆっくり飲むんスよ」と声をかけたりしてあげていた。
「カラスくんもちゃァんとメンドー見てるゥ~! エライエライ!」
「フッ俺は仕事にマジメなカラスっスからね。一度引き受けたからにはそりゃもうバッチリっスよ、ウサギさん」
二人が呼び合うのに、子供たちの顔に疑問符が浮かぶ。
「カラスくん?」
「ウサギさん??」
「そ、カラスくんはトナカイさんだけどカラスくんなんだヨ」
「ヒヒ、最近の奪還者はトナカイの姿にもなれるんス」
「カラスで、トナカイで、奪還者??」
「そういえば普通のトナカイさんはしゃべらないよね。トナカイさんは奪還者さん?」
「でも、カラスさんでもあるの?」
ますます不思議そうな子供たちに、時政がにーっと笑みを深める。
「んフフ~、サンタさんもウサギさんだから丁度イイでショ?」
「こまけえことはいいんス。あっちのサンタもすこーしアヤシイけど善いサンタっスよ」
「んもう、少しアヤシイは余計ヨ~」
二人のやり取りに、不思議がっていた子供たちも楽しそうな笑顔になる。
「不思議なサンタさんとトナカイさん、ありがとね!」
「うんうん、皆がちゃんといい子にしてたからっスよ」
「今日もちゃんとイイコにして、あったかくして早めに寝てネ~」
そしたら夜にもとっておきのご褒美があるかもヨ、と。
サンタさんとトナカイさんは、子供たちを笑顔で見送るのだった。
大成功
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