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高嶺の花に捧ぐ

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●盗賊の末路
 しくった――全力で逃げながら、ヒューは後悔していた。
 実にらしくない行動をとってしまった。彼はあくまで旅人の荷物を掠めて逃げるだけが取り柄の盗賊。斬った張ったは得意では無い。
 だというのに、怪物も彷徨く危険きわまりない荒野にわざわざ出でて、探しにきたものは。
 腰履きの小さな鞄で揺れる、可憐な白い花。五芒の形をした八重咲きの、掌に納まる程度の小さな一輪。
 崖の近くに咲く咲いていたそれは幸せを呼ぶとされ――主に、花嫁に送られる。
 自分を覆う大きな影に気付き、ヒューは咄嗟に前へと転がり出た。
 竜が爪を振るった。彼の回避能力など無為だとあざ笑うように――背の肉が半分以上抉られた。
 彼は二度三度受け身もとれず転がって、そのまま動けなくなった。
 霞んだ瞳で、目の前に転がる指輪と花を見つめる。彼が今際に見た夢は――。

 初めての仕事の日。
 ずっと子供の頃――丘の上の富豪の屋敷に忍び込んだのが、彼の初めての仕事だった。
 病弱な令嬢が療養のために使っているのだと聴いて、もっとも下っ端のヒューが偵察に送り出されたのだ。
 金の美しい髪。草原のような色をした優しい瞳の少女。
 忍び込んだ盗賊に「ご機嫌如何?」とにっこり笑った世間知らずの子供。
 ――名前はクレア。変な女だった。
 挙げ句に茶を振る舞って、上等な焼き菓子も差し出し――盗賊仲間にどうせなら金目のものをとってこいと後でしこたま殴られた記憶がある。
 しかし当人にとっても予想外のことに、令嬢と盗賊の交流はとても密やかに――十年近く続いた。
 少女はもう少女を脱しつつあり、縁談も決まっていた。
 身元のしっかりした大商人の青年。いけ好かないほどの好青年で、商いにつきながら、後ろ暗いことも、やましいことも無いのは調査済みだ。
 クレアは浮かない顔をしつつも、受け入れていた。
「わたしも下町を駆け回って見たかったな。雲海の向こうの景色とか、巨大樹に登ったりとか……で、ヒューと一緒にお宝を見つけるの」
「あんた、いつになったら盗賊がなんたるもんかを理解するんだ……?」
 まあ、いいさ。今度珍しいお宝をとってきてやるよ。
 それが二人の最後の会話になった。
 机の上にわざとらしく置かれていた指輪を掠めたのは誰の望みだったのだろうか――。

●願い
「彼は罪人でございます。誰からも省みられぬ、狡い、悪党でございます。荒野で無惨な死を遂げようと、誰からも同情されぬお方。ただひとり、クレア様を除いて」
 アム・ニュイロワ(鉄線花の剣・f07827)は淡淡と告げる。
「彼は初めて、彼女の望みを叶えようと思ったのでございます。盗みではなく、生きるためでなく。誰かの幸せのために、自分の力で宝を得ようと考えた……」
 だが、盗賊ヒューを待ち受けていたのは、死の天命。
 オブリビオンと遭遇し、逃れられず――そしてそれは既に過去のこと。彼を救うことはできないのだと。
 彼女は僅かに瞼を伏せ、しかし猟兵たちから目を逸らさずに話を続けた。
「ですが、困ったことがひとつ。彼はクレア様の指輪を所持しており……これが無ければ婚姻が果たせないのでございます。そこで皆様には、この指輪を取り戻しに、彼が絶命した断崖へ向かっていただきたいのです」
 ヒューがクレアに送ろうと考えた白い花の咲く場所へ。
「そして……彼の最後の願いを皆様に叶えていただけないでしょうか。ただの一輪で良いのです。荒野の花を花嫁へ届けていただきたいのでございます」
 幸せの門出を、彼の代わりに。
 告げて、アムは深く頭を下げるのだった。


黒塚婁
 どうも、黒塚です。
 緩く運営予定です。予定は未定ですが。

●一章:集団戦『戯れる仔竜』
 草原での戦闘です。

●二章:ボス戦『ワイバーン』
 崖に接した平地での戦闘です。
 花の採取を行ったかどうかは三章で触れていただき、戦闘に注力していただいて構いません。

●三章:結婚式
 心情をメインとした纏め、となります。
 能力内容は気にされずにご参加ください。
 指輪は届ける必要がありますが、花を届けるか、クレアにヒューの死を語るか、秘めるか。
 皆様のご意志の儘に。
 (意見が割れた場合は、多い方になります)

 今作は上記の展開になっております。
 それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
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第1章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エリーカ・エーベルヴァイン
その生き方は愚かだけれど、言葉通り救い様が無いけれど、
その最期が、大切な誰かのためなんて
……本当に狡い方ね

トリニティ・エンハンスで主に防御を強化
ルーンソードで敵の体力を削りながらも、
私は仲間を守る意識で立ち回るわ
攻撃は、仲間の隙を埋める様に間合いに入る

接近時は、至近からの爪の攻撃に特に警戒
攻撃したら間合いから即時離脱を徹底するけど、
仲間が危なければその限りではないわ
戦う以上傷付かないなんて無理でしょうけど、
それでも、……誰にも傷付いて欲しくは無いの

手向けの戦い、なんて言うつもりないわ
オブリビオンは討伐するし、花嫁のための指輪は返していただくまで
だけど、一つだけ
……生きていて欲しかったわ、貴方に


ユラ・フリードゥルフ
最後の願い、か。盗賊のおにーさんは、最後にしても最期にする気はなかったんだろうにね。
行こうか。
それが願いで、届ける先があって、待っている人がいる約束なら。
荒野まで、花を摘みに

【WIZ】
で、まぁ先に仔竜か、遊んであげる気はないよ。

【灰の棺よひらけ】で近くにいる仔竜達を巻き込もう
他の猟兵達が攻撃しやすいように【時間稼ぎ】を
うまくタイミングを合わせて【2回攻撃】をいれていきたいな
言っとくけど、俺より上にいても届くから

敵の攻撃は【残像】で躱したいけど、君たちが上手く制御できるか俺が避けれるか勝負だね


俺の花じゃ、荒野の花とは違うけれど
道をつけるよ。盗賊のおにーさん(貴方が向かった場所まで)


アドリブ歓迎


イトゥカ・レスカン
彼にとっての何よりの宝は、きっと彼女だったのでしょうね
ヒューのそれまでがどうだったのであれ
彼女への想いに嘘があるとは思えません
せめてその最後の願い、届けましょう

直接戦うのは少々不得手
回復と支援に私は務めましょう
疲弊や傷の目立つ方へ生まれながらの光で癒やしを
前をお任せする分、このくらいはさせてください
疲労するだけで癒せるなら安いものです
あなたの痛みは引き受けましょう。憂いなくお行きなさい

癒やし手に徹するなら自身が迂闊な傷を負わないように気をつけなければ
離れても近づいても危険はありますが
離れている方が私には対応しやすいでしょう
大技の射程に捉えられぬよう立ち回りを

(アドリブ・絡み等ご自由に)



●風に囁く
「最後の願い、か。盗賊のおにーさんは、最後にしても最期にする気はなかったんだろうにね」
 ユラ・フリードゥルフ(灰の柩・f04657)は遠くを見るように、眼鏡の下、アメジストの瞳を細めた。
 草原の向こうは見通せぬ。どんな気持ちで、ヒューは此処に立ったのだろう。
「彼にとっての何よりの宝は、きっと彼女だったのでしょうね」
 イトゥカ・レスカン(ブルーモーメント・f13024)の言葉に、エリーカ・エーベルヴァイン(花蕾・f03244)は、小さな吐息を零す。
(「その生き方は愚かだけれど、言葉通り救い様が無いけれど……」)
「その最期が、大切な誰かのためなんて……本当に狡い方ね」
 ささめきは、風に浚われる。
 それは仲間に届いたか、どうか。ユラは気にせず向かうべき場所を見つめた儘、口を開く。
「行こうか、荒野まで、花を摘みに」
 それが願いで、届ける先があって、待っている人がいる約束なら。
 静かに、深く。イトゥカが頷いた。
 自身にまつわることは殆どが曖昧であるけれど。今、成したいことは決まっている。
「せめてその最後の願い、届けましょう」
 そうね、とだけ告げ、彼女は草原を駆け抜ける風に紫の髪を踊らせ、先へと歩き始める。
 オブリビオンは討伐するし、花嫁のための指輪は返していただくまで。
 けれど。
「……生きていて欲しかったわ、貴方に」

 草原の至る所に、いくつかの群を作り戯れる仔竜が存在した。
 猟兵たちを見つけるなり、仔竜たちは小さな身体で、飛びかかってくる。
 じゃれつくような動きに邪気は無いが、如何に未成熟でも備える爪は竜のもの。
 凛と剣を構え、魔力で自身の守りを強化し――エリーカは迎撃する。
 繰り出した剣戟は鋭く。鮮やかな一閃で仔竜の翼を落とし、くるりと返し、腹を穿つ。
 軽やかなステップは踊るように。仕掛けた直後、飛びかかってくる仔竜達の間合いより飛び退く。
 緩急をつけつつ、巧みに前に立つ彼女を頼もしいと――敵の攻撃の範囲に入らぬように立ち回り見守っていたイトゥカが、不意に警告を発した。
「エリーカ、横です」
 爪を剣でいなしつつ逃れ逃れ、ひと呼吸おいた彼女へ――氷でできた旋風が草を散らしながら、迫っていた。
 退くかと思っての警告であったが、彼女は身構え、そこから動かぬ。
 ――誰にも傷付いて欲しくは無い、その意志を体現するように。
「おねーさん、任せて」
 そこへ、ユラの何処までも冷静な声音が響く。
「さぁ全て、逝くべき場所へ逝けるように」
 従える小さなドラゴンと、脚に備えた暗器より――彼が解き放てば舞い散る桜の花びらとなりて。
 まるで彼自身が桜吹雪と変じたかのように、吹き荒れる。
「言っとくけど、俺より上にいても届くから」
 不遜な笑みを刷いて、ユラが告げた通り。氷の嵐は桜が打ち砕き、周囲を取り巻く仔竜ごと儚く散らす。
 更にイトゥカの聖痕より輝く聖なる光が、彼とエリーカを繋ぐ。
「前をお任せする分、このくらいはさせてください」
 琥珀色の瞳は穏やかに、彼女の意志を肯定した。
「あなたの痛みは引き受けましょう。憂いなくお行きなさい」
「ええ――任せたわ」
 勝ち気な性格そのままの笑みを返して、彼女は再び剣を繰る。
 置いて行かれぬようイトゥカと揃い後に続きながら、
「俺の花じゃ、荒野の花とは違うけれど。道をつけるよ。盗賊のおにーさん」
 ユラは風に舞う桜の残滓に、言付けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

星噛・式
SPDで対応

「古今東西昔からドラゴン退治は華があると相場が決まってる」

仔竜相手にインビジブル・ステップで宙を舞いながら突進やブレスを回避している

彼女も猟兵歴は長くドラゴンや邪神を狩ったことは1度や2度ではない

今更、仔竜を狩ったところ武勇伝が増えるわけではないが、やはり竜退治となれば気分も上がるものである

ステップで竜の背中に周りそのまま翼を切り落とし地面に叩きつける

「将来は伝説の竜になったかもしれないな。そうなった竜と戦ってみたかったものだ」

そう呟くとトドメを刺した

「さて、前座は終わり。次がメインだな。伝説の竜が出るのか、はたまた上位の危険種が出るのか」

鼻歌を歌い、指輪を探しに草原を歩いていく


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と組み
侭ならぬ話だな
人間、というものは

…罪人か

師を後方に庇い、前へ
師には傷一つ付けさせぬ
…御身も無茶は避けられよ

【餓竜顕現】で広範囲の防壁も兼ねる攻撃を
師の範囲攻撃に重ねて薙ぎ払うことで
多く仔竜の巻き込みを図る

爪による攻撃は見切りや第六感を活かし回避
避けきれねば暴竜の剣で受ける
また、仔竜の暴走現象で師に被害が及びそうなら
急ぎ駆け、壁となる
愛嬌があるのは見目だけか

大事無いか、師父
肩越しに無事を確認して

近くに他猟兵がいるなら連携も厭わない
早々に数を減らせるよう死角を補い行動を

そうか
――罪人とて、叶えられるべき願いもあるのだな


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ふん、何も人に限った話ではない
己の力を見誤れば誰もが辿る末路だ
…罪人とはいえ、願いを無下にするのは寝覚めが悪い
疾く済ませるぞ――やれるな、ジジ

後方、仕込み杖で描いた魔方陣より【女王の臣僕】を召喚
広範囲に展開、凍らせ麻痺させ仔竜共の動きを封じる
可能な限り多くを巻き込む事で暴走し易い業の頻度を減らし、ジジと暴竜が力を揮い易い状況を整える
前線で戦う者へ支援は怠らず死角を補うよう敵挙動を観察
多少であればオーラ防御で対処可能だが従者の目が怖い
此方に攻撃が及ぶ様ならば見切りや第六感で回避を試みる

…全く余計な気ばかり回しおって
庇われる度に増えていく従者の傷に胸を痛め
内心の安堵を直隠して


ユウカ・セレナイト
ええ、ええ、受け取りました
アナタが、彼女へと届けたかった願いと祈り
なればそれを叶えるのは、私の使命と心得ます

――さあ、歌いましょう

紡ぐのは【未来を紡ぐ者たちへの譚歌】
皆さんのお力を、私の歌声で支えましょう

潰えた命へ想いを馳せる、その優しさを
託された願いを繋ぐ決意を
その為に今こうして剣を取り戦うその姿を
困難にも、痛みにも決して膝を折らぬその勇壮さを
讃え、歌い紡ぎましょう
――その姿こそが未来を切り開く剣となるものであると!

それはそれとして、できれば仔竜には近づかれないようにしましょう
ええ、私の本体は器物ではありますけど
この身体も、痛いには痛いので
特にあの爪なんか、きっと私の本体は一撃です……!


アガーテ・エルツ
このヒトは花ヲ贈ると言うのナラ、
何故指輪ヲ盗んだのでショウカ。

矛盾していテ、理解不能デス。
……デスが……
間違ってもイナイ。
ソンナ気も、シマス。

【WIZ】
『エレメンタル・ファンタジア』を使用

相手ガ何の属性の現象を使って来るカ確認後、『高速詠唱』。
反対の属性、同じ現象デ打ち消ヲ狙いマス。
デスガ、只打ち消すダケではアリマセン。
『範囲攻撃』『2回攻撃』をする事デ、
打ち消しタ直後のカウンターも狙いマショウ。

攻撃したばかりナラ、油断もあるカモしれマセン。


セロ・アルコイリス
あー。
なんでしょうね、このココロ。
同情、同情、同情?
おれらみたいな盗人は野垂れ死ぬのが似合いですが

けどまぁ、ヒュー
あんたのココロ残り、奪りに行きましょうか

指輪はどこにあんのかな、と

数で来るなら他の猟兵サンとも連携して戦えたら重畳
上空の敵にゃ【暴風雨】
近接されりゃダガーで攻撃しましょう

死なねー程度なら傷付いたっていい
戦いの中でも指輪が落ちてねーか足許に視線走らせる
大切な指輪なんでしょ、
『ふたり』にとっちゃ要らねーもんだったとしても
踏まれて潰れちゃ堪んねーです

誰が見付けても、安堵しつつ
やっぱりなんだか判らないココロがあって
もやもやしたりするかもしんねーです

※アドリブ歓迎


キアラ・ドルチェ
御伽噺の中ならば…二人は結ばれてハッピーエンドだっただろうに
せめて少しでも良い結末を、この物語に与えられるよう頑張りますかっ

ではでは魔女は魔女らしく、ドラゴン退治ですよ~!
「ネミの森の子犬たち、来て下さいっ」
もふもふふかふかな子VSミニ竜…何かちょっと和むかもー?(戦闘中です

小さいと言っても竜は竜、油断してると怪我しちゃうかもですね
子犬たちを指揮して、一体に対し包囲陣系を敷きながら集中攻撃を
確実に倒してゆきます

…追い払うだけで済むならとどめはさしません
生命をむやみに奪うのは、自然の摂理に反しますから
「全ては生きていればこそ、ですから」
ああ…クレアさんに何て伝えましょうね(今から悩み中


冴島・類
彼がもし…
今までの罪を
天命で贖うことになったのだとしても
生きた命の中で抱いた望みは届いたって、誰にもばちは当たらない、んじゃないかな

それに…花嫁さんは笑顔と花で祝福されてしかるべき
これは、どの世界でも共通だしね

戦闘では竜の動きを注視
何を放つか挙動で読みながら
巫覡載霊の舞にて回避、攻撃をこころみつつも
フェイント、薙ぎ払いを用いて相手の姿勢を崩し
自身や味方の攻撃が当たりやすいよう動く
近づく際は特に、爪の動きに注意

随分元気な竜君だ
けど、ごめんよ
届け物を探しにいかなきゃいけないんだ
負けないよ…参る

地に伏せ、墜ちろ
猛き竜の子

絡みは歓迎
見た目にこにこ、ふわふわ笑う少年
中身は常に、冷静な
年配の宿りがみ


露霧・霞
……あたしには難しいことはわかんないッスけど、なんだか可哀そうッスね
盗みはよくないことッスけど、でも気持ちはわかるような気がするッス
だからせめて花だけでも届けてあげたいッス

爪に気をつけながら、グラウンドクラッシャーでバトルアックスを叩きつけるッスよ。頭を狙うッス、頭を
出来るだけ距離は取りたいところッスけど、こちらも近接武器ッスし、出来るだけ囲まれたりしないように、攻撃しては距離を取りっていうのを心がけたいッス
もしそれでも囲まれたりしそうだったら、誰かと背合わせに戦うなどして死角を減らしたいところッスね
攻撃を食らっちゃったら……痛いッスけど、我慢ッスよ!

アドリブや他の人との絡み等歓迎ッス!


海月・びいどろ
探し物をしなくてはいけないの
仔竜たち、ボクとも遊ぼう?
たくさんの海月の機械兵士を喚び出して、お相手するよ

ふわふわ、ゆらゆら。
一撃で消えてしまうから、迷彩を纏わせた後に、フェイントを仕掛けて
隙をついたらマヒ攻撃しよう
動きを封じてしまえるなら、囲んでしまって、畳み掛けるよ

かわいいけれど、攻撃はしっかりと
眠っていてもらわないと、探しに行けないもの
…他に猟兵たちがいるなら、手伝うよ

誰かにとっては悪い人でも
彼女にとっては良い人だった
ヒューは、花嫁のために、きれいな花をあげたかったのかな
……指輪を盗ったのは、どうして?
ヒトって、むずかしいね



●願いを届けに
 ええ、ええ、受け取りました――ユウカ・セレナイト(すべての夢見る者たちへの賛歌・f13797)は祈るように、目に見えぬ誰かへ応える。
「アナタが、彼女へと届けたかった願いと祈り……なればそれを叶えるのは、私の使命と心得ます」
 願いを尊ぶ彼女にとって、それは必然。
「……あたしには難しいことはわかんないッスけど、なんだか可哀そうッスね」
 露霧・霞(あたしってば最高ッスよ・f00597)はふるりと首を振り、ツインテールを揺らした。
「盗みはよくないことッスけど、でも気持ちはわかるような気がするッス」
 ――だからせめて花だけでも届けてあげたい。
 彼女の思いに、そうだね、と。ふわふわとした印象の少年が笑顔で同意する。
「彼がもし……今までの罪を天命で贖うことになったのだとしても。生きた命の中で抱いた望みは届いたって、誰にもばちは当たらない、んじゃないかな」
 それは冴島・類(公孫樹・f13398)の内面を滲ませるような穏やかな一言――外見こそに、にこにこふわふわとした印象の少年だが、中身は相応に老成したヤドリガミ。
「それに……花嫁さんは笑顔と花で祝福されてしかるべき。これは、どの世界でも共通だしね」
 柔らかな言葉に、そッスね、と霞は笑って――振り向き様に、バトルアックスを振り下ろした。
 見た目を裏切る怪力は、片手で無骨な斧を易々扱う。
 だが、あくまで牽制の無造作な一撃。爪を振るおうとした仔竜は紙一重で難を逃れ、一度彼らと距離をとった。
 ユウカはそれを目の当たりに――少しだけ眉を下げた。
 使命を果たすための困難は、充分承知しているのだが――仔竜そのものには脅威を覚える。特にあの、小さいけれど、立派な爪。
「きっと私の本体は一撃です……!」
 本体が器物のヤドリガミなのに――否、だからこそ。怯えるユウカの意見に、確かに、と類は辛く笑う。
 ならば下がっているといい、星噛・式(赤水晶・f10488)は艶然と笑んで前に進んだ。
「古今東西昔からドラゴン退治は華があると相場が決まってる」
 歴戦と実力に裏付けられた自信で、彼女はより強く輝いていた。
 ――今更仔竜を狩ったところで彼女の武勇伝に加えるには小さすぎる。だが竜退治は心躍るものだと。
 癖のない銀髪を煌めかせ、気付けば彼女は一足で距離を詰めていた。
 そのまま仕掛けるかと思いきや――跳躍し、空を蹴る、更に蹴る。
「高く舞い、速く駆け抜け、一撃で終わる」
 宙を自在に駆ける彼女を捉えきれず、炎のブレスが空を掻く――未熟な竜では、彼女に触れることも、彼女の高みまで届くこともないと見せつけるように。
 変幻自在な赤結晶の塊を繰りて、仔竜を翻弄する。
「負けてられないッスね」
 不敵な表情で零すと、霞は実直に草原を走る。
 仔竜の爪や、ブレスが浅く肌を斬りつけようと。臆さず辞さず――思い切り振り上げたバトルアックスが風を斬る。
 頭を狙い、垂直に渾身の力で叩きつける、単純な一撃。だが、その破壊力は草原に数メートルのクレーターを穿つ。仔竜はひとたまりもない。
 ひゅ――風が彼女の頬を掠めた。
 宙に逃れた仔竜が吐き出した疾風のブレス。認識し、どう逃げようかと考えた瞬間、背中に温かな気配を感じた。
 彼女を庇うべく、類が駆けつけたのだ。
「随分元気な竜君だ。けど、ごめんよ。届け物を探しにいかなきゃいけないんだ」
 ――参る、と。
 声音を改め、類は銀杏色の組紐飾りの付いた短刀で、風を払う。力は神霊体である彼には届かない――そして、くるりと場所を入れ換えるように、霞が斧を振り下ろす。
 力強い舞踏を見せる霞と、神秘的な揺らぎで応対する類。
 そして悠然と空を駆け、美しくも無情に命を摘む式。
 ユウカの銀色の瞳には、何処までも広がる草原も、仲間の姿も、懸命に戦う仔竜たちも。全てきらきらと輝いて映る。
 その感情を胸に。過去を思い、今を見つめ――溢れる旋律を唇に乗せた。

「さあ語り讃えましょう、そのみちゆきを」
 潰えた命へ想いを馳せる、その優しさを。
 託された願いを繋ぐ決意を。
 その為に今こうして剣を取り戦うその姿を。
 困難にも、痛みにも決して膝を折らぬその勇壮さを――讃え、歌い紡ぎましょう。
「――その姿こそが未来を切り開く剣となるものであると!」

 彼女の歌は猟兵を鼓舞し、その四肢に更なる力を宿らせる。
 気合いをこめた一声と共に霞が複数の仔竜を巻き込んで地に叩きつければ、
「地に伏せ、墜ちろ――猛き竜の子」
 類の刃が、腹を斬り裂く。
 すっかり宙を征く仔竜も減った――そろそろお終いか、式はひとりごちると、残る一体の背面に回り込む。
 返し、軽やかなステップで即時踏み込むと、一刀で仔竜の両翼を落とした。
「将来は伝説の竜になったかもしれないな。そうなった竜と戦ってみたかったものだ」
 足元に臥せる、可能性を秘めた仔竜に嘯き――あっさりとその命を断つ。
「さて、前座は終わり。次がメインだな。伝説の竜が出るのか、はたまた上位の危険種が出るのか」
 鼻歌と共に、次なる戦場へ。

●星のことば
「侭ならぬ話だな。人間、というものは」
 ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)が低く零した言葉を、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)はふん、と一蹴する。
「何も人に限った話ではない。己の力を見誤れば誰もが辿る末路だ……罪人とはいえ、願いを無下にするのは寝覚めが悪い」
 言いながら、スターサファイアの瞳は涼やかに敵を捕らえる。
 草原に身を隠した仔竜どもが、じわりじわりと距離を詰めてくる。
「疾く済ませるぞ――やれるな、ジジ」
 無言のいらえ、従者は静かに頷くと、地を蹴った。
 誓い宿した黒剣を払いて、寄せる仔竜を乱暴に散らす。
 その様は黒き暴風の如く。主に敵を寄せ付けぬように立ち回る。
 ばっと浮遊した仔竜が風を起こす。疾風のブレスが、ジャハルの黒い肌を裂いても、彼は顔色一つ変えぬ。
 彼の、身を省みぬ戦い方を後ろで見つめ――アルバが僅かに目を伏せる。
 それも一瞬。悟られる前に薔薇色の指先で仕込み杖を手繰り、魔法陣を描く。
「控えよ、女王の御前であるぞ」
 朗と唱えれば、空を覆うように、無数の青き蝶が舞う――羽ばたきと共に輝く鱗粉が落ちていく。
 幻想的な光景は、仔竜たちを凍てつかせる無情なる魔術。
 ――やれ、と。師が視線で促せば、星守の竜人も続き、解き放つ。
「映せ」
 鋼の鱗と眼球無き瞳を持つ、半人の暴竜は、顕現するなり仔竜どもを薙ぎ払う。
 圧倒的な力の前に、彼らの牙もブレスも意味を成さなかった。ただ、蹴散らされていく。
 そんな前方の喧噪を隠れ蓑に横から姿を現した仔竜が、アルバの背後をとった。
 小さな鳴き声と共に、石礫の雨を生み出す。
 なんの、皮肉げな笑みを浮かべ、彼は応じ――ようとしたが、従者が煩いと気付いて、距離をとる。
 既に黒い風が、それと彼の間に割り込んでいた。
「師には傷一つ付けさせぬ」
 礫ごと一息で斬り伏せる。力任せに引き裂かれた仔竜の死骸は、無惨でもあった。
 それを気にも留めず、
「大事無いか、師父……御身も無茶は避けられよ」
 肩越しに振り返ったジャハルに、私を誰だと思っているとアルバはそっぽを向いた。あの程度、受け止めて疵がつくものか。
 だがそんな悪態を声にのせることはない――おそらく、実際に疵付くのだ。生身の傷と引き替えに。
「……全く余計な気ばかり回しおって」
 前を征く従者に聞こえぬように、アルバは零し――片やジャハルは先に聴いた師の言葉を、ふと思い返す。
「そうか……罪人とて、叶えられるべき願いもあるのだな」
 独りごちた言葉は風に掻き消えて。彼もまた忘れたように振り返らなかった。

●饗宴
 風は征く――辿り着くべき場所へ、仔竜の群れを道標に。
「御伽噺の中ならば……二人は結ばれてハッピーエンドだっただろうに」
 キアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)は寂しそうに呟いた――のは一瞬の事。持ち前の明るさを、取り戻す。
「せめて少しでも良い結末を、この物語に与えられるよう頑張りますかっ……ではでは、魔女は魔女らしく、ドラゴン退治ですよ~!」
 くるりと振り返れば、白金色のマントが陽を受けて、きらりと輝いた。
「ネミの森の子犬たち、来て下さいっ」
 ドルイドの杖で指揮を執れば、もふもふでふかふかなコボルト人形たちが現れる。
「仔竜たち、ボクとも遊ぼう?」
 そこへ、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)がゆらりと姿を現した。
 幻想的な存在として、電子的な輝きを伴い、彼が指先を巡らせれば。
 もこもこと押し寄せる子犬と、ふわふわゆらゆら揺れる海月の機械兵士が、仔竜を取り囲んだ。
 ぎゅうぎゅうとひしめく光景を見つめ、
「何かちょっと和むかもー?」
 戦闘中だとわかっていてもキアラの頬が少し緩む。様々な光を見せるびいどろの瞳が、でも、と一度瞬いた。
「一撃で消えてしまうから、気をつけて」
 彼の言葉通り――数の上では劣勢の仔竜たちは、爪や疾風のブレスで三分の一ほどを屠っている。
「はい、怪我しないよう油断はしませんっ」
 小さいと言っても竜は竜ですからね、キアラはきゅっと表情を引き締めた。
 キアラの子犬は実直に。びいどろの海月はそのものが幻影のように相手を惑わしながら、一体一体を取り囲み、屠っていく。
「眠っていてもらわないと、探しに行けないもの」
 小さな悲鳴をあげながら動かなくなっていく仔竜たちを見つめ、ごめんなさい――キアラは胸の裡で囁いた。
 生命をむやみに奪うのは、自然の摂理に反する――たとえ、オブリビオンであっても――この世界に息づく生命であるならば、ドルイドの心は痛む。
 いずれ、動く仔竜たちがいなくなり。子犬も海月も役割を終え、忽然と消え失せる。
 先程まで賑やかだった草原が急に静かになる。不安を呼ぶような風……ぽつりとキアラが呟いた。
 少しずつ、風が強くなっていく気がする。
 その静寂を裂くような風の音に、びいどろはそっと目を伏せた。
「ヒューは、花嫁のために、きれいな花をあげたかったのかな」
 ……指輪を盗ったのは、どうして?
 疑問は尽きない。
 そして彼の言葉で、キアラは胸にひっかかっていることをひとつ、思い出す。
「ああ……クレアさんに何て伝えましょうね」
 そんな彼女の逡巡も。
 思考回路の道筋を辿ることはできども、そこで迷う理由が――彼にとっては難題だった。
「ヒトって、むずかしいね」

●指輪の行方
 そう、人の心は難しい。
「――このヒトは花ヲ贈ると言うのナラ、何故指輪ヲ盗んだのでショウカ。」
 黒曜の瞳は射程外の仔竜を捉えながら――アガーテ・エルツ(黒幼枝・f03896)は疑問を吐き出す。
「矛盾していテ、理解不能デス。……デスが……間違ってもイナイ。ソンナ気も、シマス」
 作り物めいた造作は無垢なる疑問にくすむことは無い――だが心は違う。
 さて、どうでしょうねぇ――セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は肩を竦めた。
 彼女ほどでなくも、彼もココロの中に渦巻くそれを、なんと名付けるか。確信を逸らすように、行く手を遮る仔竜を見つめる。
「おれらみたいな盗人は野垂れ死ぬのが似合いですが……けどまぁ、ヒュー。あんたのココロ残り、奪りに行きましょうか」
 軽やかに、セロが地を蹴って――彼を捉えようと、仔竜が招いた炎の雨が降る。
 だがそれは彼に届く前に氷の雨が打ち消した。
「それデ終わリではアリマセン」
 後の先、仕掛けたアガーテは更に範囲を広げ、氷の雨を草原に展開する。
 降り注ぐのは指先程度の氷柱。だが冷たい刃に翼を傷つけられれば、仔竜は地に縫い止められるより他にない。
 だがそれは何時までも降り注いでいるものでもなく――ひとたび、氷雨を避けていた仔竜達が加速しながら、猟兵に迫る。
「一度、片付けておきましょうかっと」
 セロは下から突進してきた仔竜に応じ、無駄なく彼の肢体は動いた。上半身を下げつつ、腰の後ろに佩びた無骨なダガーを抜きて、爪を合わせる。
 衝突の勢いを利用し、一足で飛び退くと、彼は東雲色の瞳を悪戯っぽく細めた。
「雨あめ、降れふれ──」
 空を洗う、荒々しい風の矢。
 間を詰めようとする仔竜の群れを彼の喚んだ矢が一掃すれば、清涼なる風が寂しく啼いた。
 そしてアガーテが土を隆起させ津波を起こし、地から迫り来る群れを押し流す。
「さて、指輪はどこにあんのかな、と」
 敵襲が落ち着いたことを確認し――否、戦っている間から、注意深く探っていた――セロは周囲をゆっくりと見渡す。
 求めるは、盗賊が奪った指輪。
 ふと視界の端に不審な煌めきを認める。
 それは草原の向こう側――むしろ草原の果て、というべきだろう。
 枯れ果てた荒れ地。上空には烈風が吹き荒れている。
 目敏く見出したにも関わらず、あー、気の抜けたような声で、彼はぼやく。
「竜ハ光る物ガ好きダト聴きマスガ――」
 セロの背より同じものを確認したアガーテが、瞬きひとつ。淡淡と呟いた。
 鈍い輝きはワイバーンの足元に。それは崖より迫り出した枯れ木の上で、闖入者達を睥睨していた。
 だからといって、諦めるつもりはない。
「大切な指輪なんでしょ、『ふたり』にとっちゃ要らねーもんだったとしても、踏まれて潰れちゃ堪んねーです」
 ――なんとしても無事に取り戻さねば。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 崖から吹き上げる烈風が啼き、風を纏いて、ワイバーンが襲い来る。
 宝は渡さぬと言わんばかりに。
 ――その願いは果たせぬと、嘲るように。
キアラ・ドルチェ
指輪が壊れたら元も子もないのです。崖から引き離さねば
「貴方の根城を奪いに来ましたよっ♪ 竜さんこちら、手の鳴るほうへっ!」と挑発しながら、[全力魔法]で森王の槍を放ちます
さあおいでなさい、一方的に攻撃を受けたくなくば、早くこちらへ…!

…ちょっと無謀でしたか、私肉弾戦はからっきしなんですけれど…

出来るだけ接近される前に[高速詠唱]で何発か叩き込めるといいのですが
接近されたら、恐怖を押し殺しながら相手を睨み付けます
「貴方が奪った命の落とし前、つけてもらいますよ?」
それはある意味成り行きで仕方ないのかもしれない
でも。私はこの不条理が悲しく腹立たしい!
だからせめて! 指輪は届けるんですっ、絶対にっ!


冴島・類
よりにもよって、な場所だなあ
脅威的な声や威圧にも、頰をかき

上空から飛来するワイバーンに対峙
味方の猟兵さん達と、相手の距離を冷静に計算、注視

視野の広さと降下速度…
初撃はあちらに有利だろうね
なら、まず一撃、を避けて味方が攻撃に転じる隙を狙えたら

糸を手繰り、傀儡を呼ぶ
おはよう、瓜江
出番だよ

フェイント使いながら、移動中狙われるのを避けながら
ワイバーンの飛来し攻撃放つ
軌道の着地点に滑り込み
完全に力抜き
オペラツィオン・マカブルにてブラストかダイブの威力や風圧の無力化狙う

嗚呼、そんなに強く吠えないでおくれ
せめてこの花は
散らせるわけにはいかない

以降も、味方への攻撃の無力化や
薙ぎ払いでの体勢崩しを狙い応変に動き


露霧・霞
今度はワイバーンが相手ッスか
今回は竜というか、空飛んでる連中に縁があるッスね

基本的にはこちらを攻撃しようと近づいて来たところを、武器の雪割使って(ユーベルコードの氷力刃舞で)ぶん殴るッスよ。カウンターってやつッスね
あたし、ワイバーンを引きずり落とす方法持ってないッスし、向こうが攻撃してくる瞬間に狙いをつけるしかないッスよね
もしくは誰かが地面に引きずり下ろした時に便乗するッスかね
こういう空を飛んでる相手に有効な攻撃手段も、今後用意しておいた方が良さそうッスねぇ……
あとは指輪ッスか……回収しないわけにはいかないッスもんね。出来れば戦闘が激化する前に回収したいッスけど

アドリブ他の人との絡み歓迎ッスよ


イトゥカ・レスカン
大切な願いを預かっているのです
これは未来へと手渡さねばならないもの
過去の欠片のあなたには、申し訳ありませんが譲れません

此度青の散花は私も攻撃を
幾枚もの花弁を手の平から見送って
さあ、お往きなさい
一枚一枚、縦横無尽に。けれどワイバーンのみをしっかり狙って
特に指輪を傷つけることがないように
衝撃等で危うければ花弁ひとひら、盾代わりに致しましょう
彼女の門出にこれ以上の傷は、もう必要ないのです
手を休めずに花弁を繰り、着実に追い詰めていきましょう

味方に傷が目立つ際は生まれながらの光で回復を
適度な傷は男前とも言いますが
あまり無用に増やさぬようにお気をつけて
くれぐれも直せぬほどの傷を負いませぬよう


ユラ・フリードゥルフ
【WIZ】
おっきいなぁ……。でも、悪いけど、俺たちも俺たちで用があるんだ。
通してもらうよ。その先に。

俺の目とそっちの目、どっちが良いか比べてみようか(不敵に笑い
他の猟兵のおにーさんやおねーさん達と協力しつつ
頑張るよ

急降下からの一撃は、残像で避けるのは難しそうかな
でも一度見たから次は外さないよ
俺があんたの動きを止める番だ

それに今、急降下してきてるってことは手が届く場所にちょっとは居るわけで
俺のナイフだって届くよね
放つ暗器は牽制程度 時間稼ぎになれば幸い

爆風の範囲もチェックしておこうかな 
うん、一発やられたら、俺、倍返し主義だから

目指す場所があるんだ。だから負けられない



●飛竜と踊る
「よりにもよって、な場所だなあ」
 ゆっくりを周囲を見渡した後、ワイバーンを正面に仰ぎ――冴島・類が頬を掻く。
 威嚇を意図する飛竜の長い咆哮が、びりびりと空気を揺らす。
 睥睨されれば、身が竦む――まではいかないが、緊張に指が強ばった。
 高所に位置取った飛竜が落とす影は、猟兵達の足元まで伸びている。それを辿るように視線を向けたユラ・フリードゥルフが小さく息を吐く。
「おっきいなぁ……。でも、悪いけど、俺たちも俺たちで用があるんだ。通してもらうよ。その先に」
 黒縁眼鏡の向こう、電脳世界を展開しつつ――現実が見せる画は。
 飛竜は屈強な翼を僅かに持ち上げ、翼を広げる。たったそれだけの動作で、そちらに吸い込まれそうな気流が生じ、猟兵達の視界を砂埃が隠した。
「……問題は指輪ッスね。戦闘が激化する前に回収したいッスけど」
 露霧・霞がぽつりと零す。戦闘の余波で毀れるのも、吹き飛ばされて崖に落ちても困る。
 まずはワイバーンを――指輪を忘れる程、充分引きつけましょうか、類が言えば。
 じゃあどう引っ張る、ユラが軽く首を傾げた。
「そういう時は、こうです!」
 朗らかな声をあげたキアラ・ドルチェは、唐突に数度手を鳴らす。
「貴方の根城を奪いに来ましたよっ♪  竜さんこちら、手の鳴るほうへっ!」
 さあおいでなさい――呼び掛ける彼女の声音は、自身を叱咤するように。
 彼女の誘いに乗るように、ワイバーンがいよいよ羽ばたいた。
 ごうと、風が唸り、吹きつける突風が視界を乱す。相手の出方に注視しながら、類は十指の糸を手繰る。
「おはよう、瓜江……出番だよ」
 濡羽色の髪がさらりと音を立て、彼の言葉に応えるように身を起こした。
「おねーさん、おにーさん、来るよ!」
 鋭い声が飛ぶ。ユラの視た世界では、飛竜は急降下し、その鉤爪をディアナへ向けていた。
 それを遮るように類と瓜江が立ち塞がる。その進路にふらりと紛れ込んだように、力の抜けた状態で、そこに居た。
 至近距離で感じる竜の息づかい、立っていられないほどの風圧。
 その前に脱力状態で身を曝すのだ。だが、泰然と類は微笑む。
「嗚呼、そんなに強く吠えないでおくれ――せめてこの花は散らせるわけにはいかない」
 瓜江が爪を受け止める。
 彼を信じ、その結果を見届ける前に、キアラも杖で大地を叩く。
「森のディアナよ、汝が慈悲もて我に想い貫く槍を賜らん。万物よ自然に還れ!」
 数十の植物の槍が地より、天へと放たれる。
 地面ぎりぎりまで引きつけたところからのカウンターだ。飛竜は回避できず、身体で受け止める。
 心底憎らしいものを見るかのように、それは恐ろしい眼光でキアラを睨んだ。
 その場に確りと踏みとどまりながら、彼女も睨み返す。
 威勢良く引きつけてみたものの、肉弾戦は不得手。至近距離で飛竜と向き合うとなれば恐怖は消せぬ――だが絶対に負けるものかと、意志を籠めて。
「そっちばっか見てていいッスか?」
 声は、上から響いた。
 放出された槍に紛れ、跳躍していた少女が大きく身体を捻った姿勢で飛竜の頭部に迫っていた。
「こういう空を飛んでる相手に有効な攻撃手段も、今後用意しておいた方が良さそうッスねぇ……」
 羅刹らしいひとりごとを零しつつ、ツインテール踊らせ、霞は笑んだ。
 振り上げているのは氷の魔力宿す薙刀――雪割。
「この一撃は痛いッスよ! 歯食いしばれッス!」
 刀身は彼女の背から大きな弧を描き――垂直に、ワイバーンの頭を割りに掛かる。
 軌跡を氷の結晶がきらきら舞うが、あくまで薙刀の力であって、霞は全力で叩きつけているだけである。
 手応えはあった。だが同時に腕に痺れが走る――堅い。
「……ッ、流石にこの一撃で斬るのは無理ッスか」
 ワイバーンが彼女を振り払うと、ひとたび空に逃れ、旋回する。
 いえ、逃しません――イトゥカ・レスカンがブルーアンバーの瞳でその軌道を追いかける。
「大切な願いを預かっているのです。これは未来へと手渡さねばならないもの――過去の欠片のあなたには、申し訳ありませんが譲れません」
 静かに、されど鋭く言い放ち。
「咲いて、開いて、」
 掌から解き放たれたのは青琥珀で作られたブルーエルフィン。
 蝶に似た花弁が空に舞い――飛竜に追いすがり、包み、纏わり付き、裂く。
 しかし――美しき宝石の華を力任せに振り切り、竜は加速する。顎を開いたかと思えば、地まで揺るがすような咆哮を放った。
「俺の目とそっちの目、どっちが良いか比べてみようか」
 黒い軍服の裾を翻し、前へ。黒縁眼鏡越しに視線を注ぎ、ユラは口元に不敵な笑みを刷く。足元からするりと暗器をひとつ抜いて、ワイバーンが一番接近する地点まで、耐える。
 吹き飛ばされそうな衝撃波の後、爆風が猟兵達を弾く。
 それぞれに構えて堪えた。牽制のために放った暗器は飛竜の頚元、鱗と鱗の間に刺さり、連れ去られる。
 けれどそれでいい。ユラはアメジストの瞳を細めた。
「速いね。でも一度見たから次は外さないよ。俺があんたの動きを止める番だ」
 俺、倍返し主義だから。淡淡と言うが、割と熱が籠もっている。
「多勢に無勢、何処まで耐えられるかな?」
 穏やかに言い、類は瓜江を操り誘導するような動きで、飛竜の攻撃を誘う。
 相手が滑空してくるタイミングを狙い、霞が肩口狙い、氷力刃舞を放つ。
 弱そうな皮膜を斬り裂きながら、やっぱり翼狙うのが一番ッスよねーと、明るく笑った。
 怒りに満ちた怒声を雷雲のように戦場に響かせ、ワイバーンはひとたび猟兵達から距離をとった。
 ワイバーンの翼が三分の一ほど引き裂かれ。その喉元には深々と暗器が刺さり、肩口には深い傷が覗いている。まるで力一杯叩き込まれたかのように荒々しい傷口の周辺は、軽く霜が張っている。他にも、全身を鉱石で傷つけられている。
 それでもまだ悠々と空を舞う飛竜を、
「貴方が奪った命の落とし前、つけてもらいますよ?」
 青い瞳がきっと睨みつける。
 何一つ不自然なことはない――だがどうしようもなく不条理な物語。
 キアラがどんなに腹を立てようと、彼は甦らない。
「だからせめて! 指輪は届けるんですっ、絶対にっ!」
 彼女の心からの叫びに、ユラが頷く。
 ――目指す場所があるんだ。だから負けられない。
「彼女の門出にこれ以上の傷は、もう必要ないのです」
 再び青琥珀のブルーエルフィンを掌に。イトゥカが告げる。
 死者のために。そして――花嫁のために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

海月・びいどろ
キミの住処に、ヒューが立ち入っただけのこと
……なのにね、そのねがいの結末を、見てみたいと思うんだ

どうして、かな

機械兵士の海月たちと交代、次は硝子海月のともだちといっしょに、ドラゴンの攻撃を封じ込めるよ
その長い手足を貸してね、ジェリー

迷彩を纏わせて、キミは後ろから
ボクは前からおびき寄せて、囮をするよ
海月の人形でフェイントを仕掛けていくね
ジェリーがぎゅっと抱きしめたなら、海月の毒はさっきの子たちより、強力な麻痺を送るよ
他の猟兵たちとも、協力しよう

あの輪っかで、何が繋ぎ止めらるというのだろう
それでも、ヒトは、それがないとダメなんだよね

…ヒューの、身体
どこかにあるなら、落ち着くところに眠らせたい、な


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
…ふん、空の覇者にでもなった心算か
その不遜な翼、引き裂いてくれる

ワイバーンに対して【暴虐たる贋槍】を発動
無数に、広範囲に降らせる事で行動自体を制限する事も出来よう
また戦の中で竜の行動を常に観察
己の第六感を駆使し、急降下や爪による一撃の予兆は見逃さず
我が魔術で業の行使自体を封じてみせよう
強敵故、猟兵への支援は殊更惜しまず
竜が隙を見せたら即座に声掛け
なければ魔術で作る位の心構えで行くとしよう
私には従者の守りがある
ならば、一体何を恐れる必要があるというのだ?
信頼を胸に、然れどジジが無闇に傷付かぬよう

――ああ、あまりに矮小で脆い
然し何よりも尊い物
…せめて、彼女にこの願いを託さねば


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と組み

奇遇だな
俺も美しい拾い物は好きだ
…だが、帰すべき場所があるのなら別だ

環が欲しければ代わりをくれてやろう

師のもとへ攻撃が及ばぬよう前へ
第六感、見切りを活かし、駆け
急降下を躱しながら【怨鎖】で攻撃
鎖で繋ぎ動きを阻害し、他猟兵や師の攻撃を当て易く

流石に地に繋ぎきれぬなら
鎖をワイバーンへの足掛かりに
翼を用いての空中戦も厭わない
指輪のある辺りを巻き込まぬ事には気を払い
師の攻撃に合わせて背や首を狙い、地へ墜とす事を狙う
少々の巻き添えを喰らう程度は耐えてみせよう

竜の下の、金の光
…小さいものなのだな
人の願いの形というのは

ああ、そうか
娘が攫って欲しかったのは、この環ではなく


セロ・アルコイリス
宝は渡さねー、ってか
宝を前に盗人が退くワケねーでしょうが
思う存分、やり合おうじゃねーですか
ただし指輪は返してもらいますよ

『学習力』『カウンター』『激痛耐性』で、喰らっても返す気持ちで
基本的にはダガーで攻撃
他のUCも応じて使う

戦いつつも指輪を拾える機会を狙う
他の猟兵サンが拾えそうなら、ワイバーンを攻撃して気をこちらに逸らしたい

他の猟兵サンと連携した方がいいなら補助に回る心持ち

あんたにヒューとクレアのココロが判るんですか、竜
なら教えてくださいよ
なにが彼らの願いだったのか

どんな形でも『ヒューから指輪を渡したかった』って
そんな浪漫を夢見ちゃいけねーですかね

※アドリブ歓迎


アガーテ・エルツ
指輪ハ、『ふたり』にとってハ要らない、モノ…
……デハ、『ひとり』になってしまったラ。
それハ、必要なモノに?


【POW】
『先制攻撃』でワイバーンが急降下をスル前に『鉱糸』を使用シマス
攻撃を使用トする直前に『全力攻撃』を受けれバ、
驚いテ貰える、かもしれマセン
最初ガ外れてモ『2回攻撃』で再チャレンジ、デス
動揺ヲ誘えれバ、他の仲間の攻撃チャンスになるカモと
他にモ、急降下や攻撃ガ来そうなタイミングでハ仲間に周知ヲ


ワイバーン、貴方にとってハ、キラキラした一つカモしれマセンが
「それ」がなくてハならない
……そんナ事も、有る様デス


*アドリブ歓迎デス


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

轟く咆哮が樹々を震わせ
巻き起こる風に「宝」が転がり落ちぬかのみ
ちらと視線を遣る
直ぐに竜を見据える眼差しは
穏やかに揺るがぬまま

第六感を研ぎ澄まし
声を掛け合い死角を補う
残像、見切りで回避
フェイントで敵の予測を躱して翻弄
流星の如き符で捕縛し皆を援護

光りものがお好みならば――此方は如何?

恭しく差し出す手指に挟んだ護符を
高速詠唱で解き放てば
白金に輝く幾多の鳥が金属の鋭さで疾翔
二回攻撃で休む間も与えず
堅き鱗の隙を突きて肉を喰む、鳥葬

嘗ては大空を、星の海を、悠々と飛翔していただろう巨躯
沢山の風景を
美しい宝を見て来たのでしょうね

貴方の胸をいっとう躍らせた光輝く思い出を抱いて
骸海へと還りなさい


星噛・式
SPDで対応

威嚇するかのように低い咆哮をあげ空気を震えさせるワイバーン

「伝説には程遠いが、さっきの肩慣らしで体も温まったところだ。かかってこいよ」

ワイバーンも式の行動先を予測し攻撃を仕掛けてくる

「お、先読みかぁ、なら俺の鷹の目とどっちが読めるか勝負しようぜ」

ワイバーンが先を読み攻撃してくるよりさらに未来を見通しうえをいく

式の"見切り"や本来の速さも合わさり、その動きは最早本当に未来が見えているのではないかというレベル

「首を長くして花嫁が指輪と一輪の花を待ってるんだ」

結婚などとは程遠いが式だが同じ女性として花嫁の気持ちは痛いほどわかっていた

※敵の仕留め方は任せます!
アドリブもご自由に



●輝きの元へ
 既にいくつもの傷を負っている飛竜の咆哮は、感情的な色を見せていた。
 それを見、聴き――海月・びいどろは光を閉じ込めたような瞳を、僅かに臥せる。
 あの日もキミはそうやって哮っていたのだろうか、と。
「キミの住処に、ヒューが立ち入っただけのこと……なのにね、そのねがいの結末を、見てみたいと思うんだ」
 どうして、かな。問いかけども、解を求めず。首を傾げたまま、友人を呼びだす。
「メーデー、こちらビードロ。至急、応援を要請します。――キミの力を貸して欲しいの。」
 何も無い空間がきらきらと輝いたかと思えば、一点に集まり、彼の傍に硝子細工の海月が揺蕩う。
「その長い手足を貸してね、ジェリー」
 自身は海月のふたご――ももいろを操って、すうっと幻のように、前へと進んだ。
 そんなびいどろ目掛け、ワイバーンが急降下してくる。咆哮が衝撃破となって先んずるを、ももいろがふわりゆらりと受け止める。
 次に爆風が――彼らの頭上で散った。
「――運の悪い奴等め」
 無数の風で作られた魔法の槍が、爆風が地を荒らす前に穿ち、攫っていった。
 のみならず、次々と飛竜を追って天へと放たれていく。
「……ふん、空の覇者にでもなった心算か。その不遜な翼、引き裂いてくれる」
 薔薇色の指先で星追いを鮮やかに繰り、アルバ・アルフライラは目を細め。
 彼と飛竜を直接結ばぬような位置でジャハル・アルムリフが黒剣を返した。
 風の槍に追われながら、飛竜は旋回してくる――。
「奇遇だな。俺も美しい拾い物は好きだ……だが、帰すべき場所があるのなら別だ」
 来い、と。
 鋭く視線を送り、駆った。同時――飛竜が急降下してくる。
 片腕を広げる形で、ジャハルは迎え撃つ。斬りつけるのかと思えば、その掌から、一筋の血が、零れている。
「環が欲しければ代わりをくれてやろう――鎖せ」
 空に、一筋の黒い線が引かれた。
 ――黒く染まりゆく血で編まれた鎖が、彼とそれとを強固に繋いだのだ。
 更に迷彩で姿を隠していたジュリーが、ぎゅっと飛竜の背に抱きついた。長い足を絡ませ、ぎゅっと毒を注ぐ。
 ぎりぎりと、怨鎖が軋む。
 ワイバーンは当然、鎖を引きちぎるか、ジャハルを投げだそうとしている。だが彼は両手で鎖を引き、全身で押さえ込み耐えている。
 そんな従者の姿を、スターサファイアの瞳はじっと見つめる。
 その表情が苦痛に歪むことはない。その口は苦悶を上げることもない。
 裡で肉が悲鳴をあげようと、血を零そうとも、彼は立ち続けるだろう。
 全幅の信頼を抱くものを前に心配など不要だと――アルバは信じて、次なる魔術を編む。
 早く片付ける――それが最良であると。
 同時、地を駆ったのは、セロ・アルコイリス。
「宝は渡さねー、ってか。宝を前に盗人が退くワケねーでしょうが」
 何処か楽しそうにワイバーンへと告げ、指輪へと真っ直ぐに参ずる。
 たとえ窮地に追い込まれようと、楽の感情しか持たぬ彼にとっては――如何にあの『ココロ』を盗るか、その好機を常に探っていた。
「指輪ハ、『ふたり』にとってハ要らない、モノ……デハ、『ひとり』になってしまったラ……それハ、必要なモノに?」
 先に聴いた彼の言葉を思い出し――アガーテ・エルツは裡で思考する。
 わかるような気もする。わからないような気もする。
 思考の間に、黒い鎖が砕けた。
 だが――アガーテがすぐさま鉱石の糸を放つ。
「こんナ事も出来マス」
 不可視の糸は飛竜の全身を搦め捕り、一瞬、その動きを阻む。彼女の全力を乗せた糸捌きは竜の頚にぎゅっと巻き付いて、推進を許さない。
「無様、いえ、お見事です――」
 空に編まれた網に掛かったかのような飛竜を、涼しげな視線で見つめながら賞賛すべきは猟兵達の手際だと都槻・綾はそっと囁き。
「光りものがお好みならば――此方は如何?」
 すらりと伸びた指先で護符を挟みて、差し向けた。
「時の歪みに彷徨いし御魂へ、航り逝く路を標さむ、」
 圧縮されながらも、彼の詠唱はよどみなく朗々と余韻を残し。
 白金に輝く幾多の鳥が、刃の如く疾翔する。
 空に拘束された飛竜を耀く鳥が啄む。脆くなりつつある鱗から、禍々しい血が珠と弾ける。
「指輪ヲ――」
 アガーテの声を合図に、セロは一足で駆ける。
 猟兵達の攻撃で自由に天を舞うことも許されぬ飛竜を出し抜き――盗人は鮮やかに、指輪を奪う。
 それに気付いたか、ワイバーンが殊更大きく身体を揺らして、咆哮を放った。
 猟兵達の攻撃を怒り任せに振りほどいたことで、翼に、尾に、頚元に、引き裂かれたような傷を増やし、飛竜は歪な形になりつつあった。
 叫んだ事で冷静になったか。
 飛竜は大きく羽ばたき、猟兵達の及ばぬ上空へと距離をとった。
「お、先読みかぁ、なら俺の鷹の目とどっちが読めるか勝負しようぜ」
 星噛・式が、それへと不遜な声をかける。
 赤水晶の瞳は戦意に輝きて、真っ直ぐ伸ばした腕の先、赤い刃も同じ光を宿している。
「伝説には程遠いが、さっきの肩慣らしで体も温まったところだ。かかってこいよ」
 それの目には、彼女は極上の輝きを放って見えただろう。
 急降下してきたそれへ、セロはホルダーを放り出して、牙を尖らせる。
「あんたにヒューとクレアのココロが判るんですか、竜――なら教えてくださいよ。なにが彼らの願いだったのか」
 判るってんなら、こいつをくれてやりますよ。
 風圧に逆らって、彼は走る。
 そして、式の視た二十秒――。
 ワイバーンは知らぬ。ジェリーは未だにその頚元で毒を注ぎ続け、それの速度は落ち込んでいる。
 獰猛な爪の一閃に、臆さずセロがダガーを振るう。
 追撃を許さず、地で待ち構えていたアルバの風槍が翼を破って、直感的に飛び込んだジャハルが、毒持つ尾の先を斬り落とす。
 その隙に、アガーテの鉱糸が頭部の角を巻き取り、ぐんと後ろへ引っ張る。喉を曝して、飛竜は仰け反る。
 だがそれも諦めていない。あの赤く耀く石へ、傷付いた尾を振るう――。
 その流れを識っていれば、彼女が立つべき場所、返す力は決まっている。
「ワイバーン、貴方にとってハ、キラキラした一つカモしれマセンが、『それ』がなくてハならない……そんナ事も、有る様デス」
 糸で押さえながら、アガーテがそう告げた瞬間。
 斜めに走る紅の一閃、肉を断つに相応しい幅広の刃へと変じた結晶塊を、式は振るい終わっていた。
「首を長くして花嫁が指輪と一輪の花を待ってるんだ」
 その一言と同時、竜の血が雨のように降り注ぐ。
 大きく戦慄き、ワイバーンは穴だらけの翼を幾度か動かし、後退した。
 既に勝負は決した。だというのに、飛竜は矜持の如く大きく顎を開く――然し、その反動で崖の向こうへとバランスを崩した。
 その様をただ静かに、綾は見つめ――猛々しい、琥珀色の瞳。何処までも飛べる屈強な翼。遙かなる過去に『本当に』存在した竜へと思いを馳せる。
 ――沢山の風景を。美しい宝を見て来たのでしょうね。
「貴方の胸をいっとう躍らせた光輝く思い出を抱いて――骸海へと還りなさい」
 綾の声音は静かに。再度鳥葬を送る。それはせめてもの慈悲であったやもしれぬ。
 崖の向こうへと落ち行く飛竜を見送る青磁色の双眸は、微笑みに細められていた。

 セロは東雲色の瞳を細め、再度、指輪を見つめた。
「どんな形でも『ヒューから指輪を渡したかった』って……そんな浪漫を夢見ちゃいけねーですかね」
 飾り気のない金の環。しかし良質なものであると一目でわかる輝き――ケチな盗賊ではとても用意できない、上質な貴金属。
 盗ってみたものの。むしろ、そんなことしかできぬ自身の無力さを感じ取った盗賊が、崖に咲く花と共に、それを返そうと思ったならば。
 ジャハルは軽く瞑目する。
「……小さいものなのだな。人の願いの形というのは」
「――ああ、あまりに矮小で脆い」
 然し何よりも尊い物だと。アルバは溶けて消えそうな微笑みを浮かべた。
「ああ、そうか」
 娘が攫って欲しかったのは、この環ではなく――。
 皆まで語らず、従者は口を閉ざす。すべては終わった物語。

 あの輪っかで、何が繋ぎ止められるというのだろう。びいどろは瞬き、思う。
 或いは――阻めるものなのか。
「それでも、ヒトは、それがないとダメなんだよね」
 ぽつりと零した、びいどろの視線の先に。もうひとつ、ボロ切れがあった。
 なんとなく拾い上げてみれば、帯のようなもの。千切れてしまっているが、岩に括り付けられていたような形跡がある。帯に斑と染みこんだ血が、人が成したことだと示している。
「……そっか、キミは、もういないんだね」
 崖を見つめる。指輪が守られたのは、ワイバーンのお気に入りだったからか。
 ヒューの執念だったのか。もうわからない。
「……せめて、彼女にこの願いを託さねば」
 ささめき、アルバは絶壁の白い花を見つめる。
 それは荒れ地において――凛然と、美しく咲いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『指輪と邪魔者』

POW   :    パワーで指輪を回収・場を盛り上げる

SPD   :    スピーディーに指輪を回収・場を盛り上げる

WIZ   :    スマートに指輪を回収・場を盛り上げる

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 祝福の鐘が鳴る。
 指輪を届けた猟兵達は、是非にと婚礼の宴席に招かれた。
 花嫁たっての願いで決まったという式場――彼女が療養に使った屋敷の前、青空の下に敷かれた席は、豪奢というよりも品のある温かな一席。
 色とりどりの装花、心を込めて用意されたであろう正餐。
 固定された席はなく招かれた人々が絶え間なく行き交い、談笑している。
 優しげな新郎の横にいる美しい花嫁は――ヴェールの下、儚い笑顔を浮かべていた。時折、誰にも悟られぬよう、誰かを探すように視線を彷徨わせている。
 誰を探しているのか。知っているのは猟兵だけ。
 何を求めているのか。それを知っているのも――。
冴島・類
皆で指輪を回収しお届けに

花はつみすぎないよう注意し
届けるまで萎れぬよう
水を浸した布で切り口を包み

皆、お疲れ様でした…
本題はこれからですね

どう告げたものか
もういない、人の心を
憶測や付け足しは好まない

ヒューの死は、僕は告げない
他の方がどうするかは
任せます

人と人の繋がりは伊達じゃない
…今日この日に
彼が姿を見せないこと
代わりに僕らなんかが来ること
それだけで…多分

だから
指輪を届けた後は
彼が届けたかった
想いの代わりに
唯、花を

「あなたにこの花を
そう、願った方から
お届けものです」

差し出し笑む

「どうか、しあわせに」

僕らに
貴女の願いは叶えられない

君に、幸い在れ
幸い在れ
其れこそが
幸いだと

渡した後はことほぎの祝詞を


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と

…婚礼の作法など教わっておらんぞ、師父

あの娘に何を告げるべきか
それを求めているのかも己には分からず

花嫁となった娘よりは
悪党だった男の胸裡の方が
余程近しく感じられる気がする
あの男が、もしも此の場に在れたなら――

花嫁たちの傍には行かぬままに
会場の見える木陰から
静かに華やかな会場を見守る
まるで光と影で隔てられた、住む世界

師父よ、紐か何か持っていないか

屋敷の入り口、その格子へと
風に飛ばされぬように
名も知らない白花だけを結わえて飾り
其処から旅立つのだろう門出を、遠く祝う

例えばそうして、それで満足だと嘯くのだろうよ

なあ師父
案外あいつは笑っているかもしれんな
舞い落ちてきた花ひら見上げて


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
お前…私が知っていると思うてか?
少なくとも、我々の為るべき事は済ませた
後は娘の門出を見守るしかなかろうよ

ふふん、私がいると目立って仕方がないだろう?
等と軽口を添えつつジジと離れて式を見守るとしよう
ふむ、紐か?
これで足りるかと、差し出したのは己の外套に結わえた白き紐
従者の行動を、格子へ飾られるそれを確と見守る
まるで娘の行く末を祝福するかの様に揺れる花へふと笑い掛けて
――ああ、そうさな
お前の言う通りかも知れぬ

刹那、仕込み杖で魔方陣を描き
行使するのは風を生む魔術
風に乗せ、式場へ降らせるは白き花
盗賊が乙女へ贈らんとした、幸せ願う花

――喜べ、ヒューよ
最期に託した願い、確かに叶えたぞ


ユラ・フリードゥルフ
【WIZ】
欲しい本当のもの、会いたい人…か

指輪を返すのは、他のおにーさんやおねーさん達に任せて、俺はそれが上手く行くように時間を稼ごう

微笑んでお祝いに来たのだと告げて
周りの人が訝しむようであれば、昔世話になった者に頼まれたのだと告げよう

おねーさんに、盗賊のおにーさんについて聞かれたら、少し出かけていると
戸惑うようであれば
おねーさんがあまりに綺麗だから、今は出てこれないのかもね。と悪戯っぽく笑って。

渡す荒野の花は一輪
花冠にしたらって思ったけど、おねーさんが冠を受けるのはきっと俺からじゃない方が良い

白い花には、魔を払う効果もあるという
おねーさんのこの先が幸せに、幸せになろうと思えるものになるように


海月・びいどろ
ヒューはクレアのために花を探しに
クレアは今も、ヒューの姿を探して
…あの輪っかで阻めるものなんて
もしかしたら、ふたりには、ないのかもしれない

ねぇ、海月たちも頑張ったから
お祝いの席に参加しても、いいよね

白い花を誰かが渡すなら、お任せして
ふわふわ、ゆらゆら、おどってみせるよ
その間に、だれが、何をしてもしらないふり
いなければ、硝子海月のともだちに花を託そう

ポケットに、斑の帯をしまい込み
いなくなってしまったこと、ボクからは言わないよ
ヒューのほんとうの気持ちは
この口から言えることではないもの

…幸せとは、なんだろう?
けれど、その願いだけは、届けたいと思うから
――珍しいお宝をキミへ。どうか、しあわせに。


セロ・アルコイリス
花は他の猟兵サンが贈るでしょうし
指輪も返した

おれはヒューと同じ盗人だし、祝いの席なんざ不釣り合いだから
ちょいと離れた場所でこそっと見守ろうかなと

真実は言わねーです
『お幸せに』
花にその言葉を託したかったヒューが、
花嫁の表情が曇るのは望まねーでしょうし

けどだからって嘘も吐きたくねーから、この距離がいい
盗賊なんてモンの本質なんてあんたは知らねーままでいいんです

クレアが望んで、他の方から真実を聞いたとしても、
おれから言えるのはこれだけです

お幸せに、クレア。

※アドリブ歓迎


キアラ・ドルチェ
颯爽と人ごみを駆け抜け、花嫁を盗みに来る怪盗…
そんな御伽噺の結末を幻視してしまう

一体何をすればいい? 何を語ればいい?
わからない…このままお祝いを述べて帰るのが良いんじゃないかな、って

…いいえ、やっぱりそれじゃダメっ!
「クレアさん、これヒューさんからですっ」と白い花を渡し
「彼から伝言です、宝探しの旅に出る、お前は足手纏いになるから連れていけない」
「だからそこで幸せになれ…おめでとう」

…うそつき?
ええそうです、魔女はうそつきですから!
そう嘯きながら、やはりぼろぼろ泣いてしまいます

…ああ、クレアさんに真実がばれないといいな
ああ、クレアさんにほんとうが伝わるといいな
わからない…私の本心も幸せな結末も


アガーテ・エルツ
【WIZ】
「コミュ力」使用

サア、指輪を回収したナラ届けなくてハ
そして、花モ

「クレアさん、ご結婚おめでとうゴザイマス
お招き感謝いたしマス

この指輪ヲ持っていた人ハ……
…………
……ソウ

大変な宝ヲ探し二、急ぎ向かわなくてハならない、と
コレを私達二預けたのデス
どうぞ、お幸せ二、と

『エレメンタル・ファンタジア』で
『春風』の『微風』ヲ
白い花を乗せて、宴席に降り注ぐ様二
クレアさんノ背中ヲ、押せる様二
勿論人に危害ハ与えマセンよ
これハ「彼」からクレアさんへノ贈り物

嘘ヲ生まれて初めてつきマシタ
……ずっト考えテいたのデス
彼女ヲ置いて行かざるヲ得なくなった今
彼ハこう望むのデハないか…ト

*アドリブや仲間との交流歓迎デス


イトゥカ・レスカン
澄んだ空に温かな宴の席
どこかお二方の人柄が滲むよう
彼女の隣にあれないことも
この席に居れないことも
……きっとヒューには口惜しい事でしょうが
後ろ暗いところのないお方と結ばれることは
せめてもの救いなのでしょうか

花→届ける ヒューの事→他と揃える
それが彼の願いですから
花はお届けしたいと思います

おめでとうございます、クレア様
こちらの花は幸せを呼ぶ花だと、そうお伺いしました
これを貴方に届けてほしいと
ヒューから私たちは託されました
彼は、貴方の幸せを心から願っています
ですからどうか、お幸せに
貴方が笑顔でなければ彼もきっと笑えません

貴方のこれからの日々が、
どうか曇りなく晴れやかでありますように

(アドリブ等歓迎)


露霧・霞
白い花と指輪はクレアさんに届けてあげるッス
けど、あたしはヒューさんの死自体は隠す方で動きたいと思うッス

本人がここに来ることはできなくなったけど、白い花を託された……って感じッスかね
あとは「今後別の街でまっとうな仕事を見つけたから、もうこっちには戻ってこれなくなったッス」って伝えるッス
上二つは、他の人との齟齬がない範囲でッスね。自分にできるのは、花を渡すことと、ヒューが今後顔を出せない理由のフォローぐらいなものッス
もし死を語る人が多い場合は、それを黙ってみてようと思うッス。他の人の意見を邪魔する気はないッスから

どちらになるにせよ、クレアさんが幸せになってくれればいいッスね……。


都槻・綾
彼にとって誠の宝であったひとへ
花は届けたく
然れど死は秘めていたい
死者は永劫、生者の心を盗んでしまう
青年は還らず
彼女は『此れから』を歩むひとだからこそ

婿殿が席を外した折
花嫁の元へ

ご結婚おめでとうございます
…誰かお探しですか?

彷徨う目線について柔らかに問う
『誰か』と紡いできた歳月や逸話を聞けたなら
楽し気に笑み浮かべ

貴女も其のひとと一緒に
素敵な冒険譚を編んで来られたのですね
町を駆けれずとも
雄大な景色を見れずとも
共に長い月日の旅をしたのでしょう

花盗人は罪にはならぬと申せども
胸躍らせる日々――心に咲かせた花めきを
互いに盗みあったのでしょうから
貴女も立派な盗賊ですね

添える笑みは
内緒話をする悪戯っ子のように



●光と陰
「……婚礼の作法など教わっておらんぞ、師父」
「お前……私が知っていると思うてか?」
 居心地悪そうに身じろいだジャハル・アルムリフの言葉に、アルバ・アルフライラは美しい貌を背け――そして意地悪く、微笑む。
「ふふん、私がいると目立って仕方がないだろう?」
 平和な場所だ。そんな師の戯れを、彼は容認した。数歩、ジャハルから離れて婚礼を眺めようと歩んだアルバはそこに先客がいることに気がつく。
 しっかり張り出した木の枝に座り――自分の白い髪で遊んでいる男へ、声を掛ける。
「そこのあなたは……まだ挨拶もしていないでは?」
 問われたセロ・アルコイリスは肩を竦める。
「おれもヒューと同じ盗人ですし」
 祝いの席なんざ不釣り合い――嘯き、宴席へと視線を送る。
 婚礼の席をやや離れたところから臨める樹木はいくつかあったが、様々な条件を考えるに、辿り着いた場所を同じくするも必然か。
 気付いておらねば、向こうがこちらを見る事はあまりないだろうが、彼らはここからでも花嫁の表情を窺うことくらい造作はない。
「結局、ヒューは欲しいもんを手に入れようとして……しくじっちまった、か」
 ひとりごち、セロは柔らかに微笑んで、東雲色の瞳を細めた。
「綺麗なもんですよ」
 直視できないくらいに――その言葉に導かれるように、ジャハルも宴席へと視線を向けた。
 彼女は微笑んでいる。猟兵達がその表情に蔭りを読み取るのは、彼女の抱える『心配ごと』を知っているからであろう。あれは決して、作り笑いではない。
 そして、あの笑顔を曇らせることをヒューは望まない。
 ジャハルはひとたび目を瞑る。
(「まるで光と影で隔てられた、住む世界……」)
 明るい場所で微笑む花嫁の心など、彼には解らない。
 むしろ悪党だった男の胸裡の方が余程近しく感じられる気がする、と。
「少なくとも、我々の為るべき事は済ませた……後は娘の門出を見守るしかなかろうよ」
 静かに吐き出した彼へ、師は穏やかに言い。
 異論は無い。自分達には何もできず。語る事も難しいと判断したから、離れ見守ると決めたのだ。
 それでも――。
「あの男が、もしも此の場に在れたなら――」
 口元を押さえつつ、暫し考え――ふと思い立ったジャハルは、アルバに問うた。
「師父よ、紐か何か持っていないか」
 ふむ、彼は軽く首を傾げつつも、これでよいかと外套に結わえた白き紐を渡す。
 どうするつもりかと見守ってみれば――ああ、なるほど、と師は笑んだ。

●ことほぎ
 ヒューはクレアのために花を探しに。
 クレアは今も、ヒューの姿を探して。
「……あの輪っかで阻めるものなんて、もしかしたら、ふたりには、ないのかもしれない」
 海月・びいどろはそっと呟く。
 彼は宴席に加わって、二人を正面から見つめていた。
 二人を祝うように、彼が喚びだした硝子細工海月がふわふわ、ゆらゆら、踊っている。
 時折彼が糸を手繰れば、ももいろも不規則な動きで人を魅せる。人々の評判は上々だ。
 そうして多くの皆の視界をひきつけて、彼は花嫁を見守るのだ。
 これから仲間達が彼女に何を告げ。彼女はそこに何を思うのか。
 新郎が挨拶のために少し席を外した――クレアは暫しひとりで悩んだ後、意を決したように席を立って――少し離れた場所で静かに佇む。
 その視線は何かを求めて彷徨っている。いっそ屋敷の入口までいってみようか、そんな動きであった。
「ご結婚おめでとうございます……誰かお探しですか?」
 そんな彼女へ、そっと――都槻・綾が声をかけた。
 驚きながら振り返る花嫁に、人の善い微笑みを見せ、指先を唇にあてた。内緒話を、と示すように。
「よろしければ、聴かせてもらえませんか? その『誰か』のお話を」
 そんな彼の言葉に、クレアは本当に嬉しそうに微笑んだのだ。

 ――『仕事』をするためにやってきたのに。まったく仕事をしなかった盗賊。
 作り話だと知ってきいても、心躍る世界を聴かせてくれる。
 こちらが勝手に次の約束をとりつければ、律儀にやってくるのだ。
 菓子に釣られた、などと嘯いて。
 自分の前では善良でありたかったのだろうか?
 そうであって欲しい。羨望と幻想をそこに委ね、彼もまた守ってくれた。

「初めて『仕事』をしてくれたと思ったら――……戻って来てしまったけれど」
 薬指に光る指輪に左手で触れて、クレアは困ったような表情で笑う。
 黙ってしまった彼女へ、そこまでの話を真摯に穏やかに相槌うちつつ聴いていた綾が、口を開く。
「花盗人は罪にはならぬと申せども。胸躍らせる日々――心に咲かせた花めきを互いに盗みあったのでしょうから……貴女も立派な盗賊ですね」
 悪戯っ子のような笑み。
 青磁色の瞳に映る彼女の表情は――驚きから、素直な喜びに、ころりと笑った。

 そんな彼女の元に、猟兵たちが連れ立って挨拶にやってきた。
「クレアさん、ご結婚おめでとうゴザイマス。お招き感謝いたしマス」
「いいえ、こちらこそ…………指輪も、ありがとうございました」
 深く頭を下げられてしまい、その指輪ヲ持っていた人ハ……アガーテ・エルツは言いかけて、ひとたび口を閉ざす。
 ――猟兵達は皆、ヒューの『行方』を秘めようと考えた。
 ヒューはクレアに何も告げなかった。クレアもまた、告げていない。
 もういない人の心を憶測や付け足しは好まない――冴島・類は思う。
 彼の想いは行動でしか知らぬもの。勝手に名前をつけてはならぬもの。然し今日クレアを悲しませることは……彼の『願い』ではないだろうと。
「あなたにこの花を……そう、願った方からお届けものです」
 そう類が言い、一輪の花を差し出したのは、ユラ・フリードゥルフ。
 ――五芒の形をした八重咲きの、掌に納まる程度の。可憐な白い花。
「おめでとうございます、クレア様」
 イトゥカ・レスカンが穏やかに、周囲を見渡す。
「澄んだ空に温かな宴の席――どこかお二方の人柄が滲むようですね」
 ありがとう、と花嫁は素直に頷く。そしてそっと添えられたここは特別だから、という言葉にイトゥカは深く頷いた。
 そんな彼女を前に、キアラ・ドルチェは一度開きかけた口を閉ざした。
 いっそただ明るくお祝いを告げて帰ろうか――そう思っていた彼女の脳裡に、不意に鮮明なイメージが浮かぶ。

 ――颯爽と人ごみを駆け抜け、花嫁を盗みに来る怪盗……。
 そんな御伽噺の結末を。

 ヒューの死は告げぬことは、皆一致で決めた。けれど――このまま、誰も。彼の存在を覆い隠してしまって、いいのだろうか。
「……いいえ、やっぱりそれじゃダメっ!」
 ぶん、振り切るように被りをふると、ユラの手渡した花を青い瞳でじっと見つめ、告げる。
「クレアさん、これヒューさんからですっ」
 言葉に乗せてしまえば、堰を切ったように。キアラは一息に言葉を紡ぐ。
「彼から伝言です『宝探しの旅に出る、お前は足手纏いになるから連れていけない。だからそこで幸せになれ……おめでとう』って」
 ……ソウ。首肯し、アガーテが彼女の話に乗る。
「大変な宝ヲ探し二、急ぎ向かわなくてハならない、とコレを私達二預けたのデス。どうぞ、お幸せ二、と」
「その成果によっては、まっとうな仕事の誘いもあるっていってたッス……だから、もうこっちには戻ってこれなくなったッス」
 更に露霧・霞が言う。その赤い瞳はじっとクレアを見つめ。クレアもまた、猟兵達と真っ直ぐ向き合い。彼らの言葉を聴いていた。
 戦いのようッス――過ぎった考えに霞は瞬き、彼女に応えるように決して目は逸らさなかった。
 ただ、類は思う。
 きっと嘘だと彼女は解っているだろう、と。
 ……今日この日に彼が姿を見せないこと。
 代わりに僕らなんかが来ること――それだけで……多分。
 しんと沈黙してしまった場を動かすべく、彼が改めて祝福の言葉を告げようとしたとき。

 ひゅう、と。強い風が吹いた。
 招かれた客人達から、悲鳴が上がる――否、歓声だった。
 風に運ばれた、白い花びらが。ゆっくりとひらひらと頭上を舞う。いくつも、いくつも。

「こちらの花は幸せを呼ぶ花だと、そうお伺いしました」
 そっとイトゥカが囁く。
「ヒューから私たちは託されました――彼は、貴方の幸せを心から願っています。ですからどうか、お幸せに……貴方が笑顔でなければ彼もきっと笑えません」
「どうか、しあわせに」
 どこまでも優しい声音で、類が祝詞を捧げる。
 僕らに貴女の願いは叶えられない。
 君に、幸い在れ――幸い在れ。其れこそが幸いだと。
 異国の祈りに耳を傾けながら花に目を奪われたように天を仰いでいるクレアへ、
「白い花には、魔を払う効果もあるんだって。おねーさんのこの先が幸せに、幸せになろうと思えるものになるように」
 儚げな印象を与える微笑みを浮かべ、ユラが『誰か』の祈りを送る。
「貴方のこれからの日々が。どうか曇りなく晴れやかでありますように」

●祈り
「欲しい本当のもの、会いたい人……か」
 ユラはアメジストの瞳を瞬き、空を見る。
 抜けるような蒼穹だ。白い花がよく映えた。今も時折、名残惜しげに流れていくものがある。
「死者は永劫、生者の心を盗んでしまう。青年は還らず、彼女は『此れから』を歩むひとだからこそ」
 これでいいと綾は言う。
 けれど、うう、と唸る少女が一人。アガーテと霞に挟まれた、キアラだ。
「……うそつき? ええそうです、魔女はうそつきですから!」
 唇を震わせ嘯く。ずっと堪えていたが――いよいよ決壊してしまったようで、涙がぽろぽろと零れる。
「……私モ、嘘ヲ生まれて初めてつきマシタ」
 アガーテはそっとキアラの手をとる。
 どうしてそんなことをしたのかは解らない――ただ、キアラはぎゅっとその手を握り、彼女を支えに立っている。
「人のためでも……嘘吐くのって、疲れるッスね」
 霞がぽつりと零す。いつも元気の良い彼女も、何処か神妙な空気を纏っている。
 気遣うような彼女の言葉に、ええ、ええ、キアラは同意する。一度込み上げた涙はなかなか止まらない。
 ……ああ、クレアさんに真実がばれないといいな。ああ、クレアさんにほんとうが伝わるといいな。
 わからない――私の本心も幸せな結末も。
「どちらになるにせよ、クレアさんが幸せになってくれればいいッスね……」
 柔らかな微笑みを浮かべ、霞が願う。
 その言葉に更に涙腺が緩んで――結局、キアラはアガーテの手を握った儘、涙が尽きるまで泣いてしまった。

 びいどろはポケットの中で、拾った帯を握りしめる。
 ……幸せとは、なんだろう?
 ヒューの一生は、これで報われるのだろうか。彼にはわからない。正解を教えてくれるただの一人も、この世にいないのだ。
 ――けれど、その願いだけは、届けたいと思うから。
 掌に残った花弁を吐息で飛ばし、ささめく。
「――珍しいお宝をキミへ。どうか、しあわせに」
 そしてクレアは何処へ行くのだろうと、その後ろ姿を見守りながら。

「――喜べ、ヒューよ。最期に託した願い、確かに叶えたぞ」
 自分の仕事の出来を見届け、仕込み杖を降ろしたアルバは瞑目する。
「なあ師父。案外あいつは笑っているかもしれんな」
 舞い落ちてきた花弁を仰ぎ、ジャハルが囁く。
 師弟のやりとりをぼんやりと聞きつつ、セロはヴェールを靡かせ、いずこかへと歩いて行くクレアを見つめる。
 その先できっと彼女は最後の贈り物を見つけるだろう。それが僅かなる希望を、幸せになろうという想いを、灯してくれれば良い。
「盗賊なんてモンの本質なんてあんたは知らねーままでいいんです」
 恐らく『彼』も、セロのように――遠くからそう言っただろう。
「お幸せに、クレア」


 屋敷の入り口、常であれば人を寄せ付けぬような門構え――その格子に、白い花が一輪、結わえられていた。
 危険な荒野から舞い戻った盗賊が、婚礼に顔出しなどできぬと――彼女の門出をそこで祝って、踵を返す。
 そんな光景がぱっと浮かんで、クレアはただ遠くへと目を凝らす。
 背を向けたまま、片手を振り去って行く男の幻影が、浮かんで消える。
 もう二度と会わない――会えない。猟兵の言葉を疑うつもりがなくとも、或いはすべて信じられなくても。それは変えられない運命なのだろう。
「そうね……幸せになるわ。誰よりも」
 丁寧に白い紐を解き。手にした花を抱きしめて、彼女はそっと囁いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト