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如月の揺籃(作者 かやぬま
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#サクラミラージュ  #プレイング受付日時:23(土)8:31~24(日)23:59 


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#サクラミラージュ
#プレイング受付日時:23(土)8:31~24(日)23:59


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●ドジっ娘女給の『事件』
「ごめんなさい! ごめんなさいっ!」
 花の帝都の大通り、そのただ中に人だかりができていた。
 その中心で、少しばかり距離を取られるようにひとりぺこぺこと頭を下げる少女。
「君ねぇ、どうすれば普通に歩いていて転んだ挙げ句、人を巻き添えにしてテラス席にぶち込んだりできるんだね!?」
 少し離れた所からは、恰幅のよい紳士然とした格好の男性が、見るも無惨に崩れた屋外テラスのテーブルや椅子に埋もれながら腕を上げて怒鳴り散らしていた。
 少女は、女給であろうか。ハイカラな袴にエプロン姿も愛らしい、活発そうな印象を与える姿で、男の方へ心底申し訳なさそうにもう一度頭を下げた。
「本っ当に、ごめんなさ――あっ!!」
「きゃあっ!!」
「こ、こっちへ来るんじゃない!!」
 女給が思いっきり頭を下げたところで、勢い余って前にまろび出てしまい――距離を置いていたはずの群衆の中へと突撃してしまう。

 ――どうして、いつもこうなんだろう。
 ――私のドジのせいで、人に迷惑をかけてばかり。

 いっそ、何もしないでいた方がマシなんじゃないかって? そんなの、私が一番分かってる。
 じゃあ、何でわたしは。

 ――あの日確かに死んだはずなのに、今、こうしてここにいるんだろう?

●ドジっ娘女給の『執着』
 本体である懐中時計の文字盤に目を落としていたニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)は、猟兵たちの気配を察するとすぐ向き直って一礼をした。
「ご多忙の所、お集まり頂き感謝する。定刻通りにて、説明を始めさせて貰おう」
 ぱちんと時計の蓋を閉じて懐へとしまい、ニコはしゃーっと用意していた白いスクリーンを下へ引っ張って広げると、プロジェクターの電源を入れる。
 随分と古風なプレゼンをするのだな、という猟兵たちの視線も気にせず、ニコはかちりと手元の機械を操作して、サクラミラージュの大通りを投影した。

「帝都の大通りのただ中に、突如影朧が現れた。皆には、此れの対処をお願いしたい」
 おっ、戦闘か? そう手ぐすね引いた者もいただろう。ニコはスクリーンに影朧の姿を映しながら、言葉を続ける。
「影朧の名は『小日向・桜』、かつて旧名家に使えていた女給――だった」
 過去形。ということは、何か事情があるのか? 見た目はハイカラな愛らしい女給にしか見えないというのに。
「小日向嬢は一言で言えばとても、すごく『良い子』だった。女給としての心配りも申し分無い、立派なお嬢さんだったのだが。一つだけ、致命的な問題を抱えていてな」
 ニコが眼鏡の位置を少し直してから、映像を切り替える。

 割れたティーカップ、散乱する塵埃、無残に折れた花の枝――次々と映し出される惨状には、何ということか、終わりが見えない。あれ今何か、崩れたお屋敷が!?

「此れは全て、小日向嬢が意図せずに『やってしまった』ことだ。こういうのを――うむ、『ドジっ娘』と呼ぶそうだな?」
 いやいやいや、ドジのレベルが尋常じゃないですよ!? 天災級ですよ!?
 そんな猟兵たちの身震いに気付いているのかいないのか、ニコは猟兵たちがこの事件を引き受けてくれるものと信じて疑わずに話を進める。
「小日向嬢は、今や影朧となって帝都に現れた。本来ならば即座に斬り捨てるべき存在なのだが……どうも、事情があるようでな。それを今から説明しよう」

 帝都桜學府の目的は、あくまでも『影朧の救済』である。
 影朧だからと言って、問答無用で斬るということはない。
 そこに事情があるならば、当然聞く耳だって持つものだ。

「影朧となった小日向嬢は、どうやら『かつて迷惑を掛けてしまった主に、ドジを踏まずに給仕をして褒めて貰いたい』という執着のもとに舞い戻って来たようなのだ」
 だがな、というグリモア猟兵の言葉と共に映し出されたのは、大騒ぎの大通り。
 重度のドジっ娘体質がそうそう容易く改善されるはずもなく、むしろ影朧となってヤバイ級のユーベルコヲドとなってしまった。
「皆にはまず、大通りで図らずも帝都を騒がせてしまっている小日向嬢と戦って無力化させるまで追い込んで貰いたい。そうすれば、事件解決の糸口が見える」
 ニコは一度目を閉じ、そして開いて、猟兵たちに信頼の眼差しを向けた。

「小日向嬢のことも、帝都の人々の事も、何卒よろしくお願いする」

 虹色の星型のグリモアが回り、開かれる先は幻朧桜舞い散る大正の世。
 そこでは、影朧と呼ばれるオブリビオンに、癒しと赦しと転生がもたらされる――。





第3章 日常 『彩る泡の傍らに』

POW甘味も頼む
SPD軽食も頼む
WIZ今日のお勧めも頼む
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●その名は『如月の揺籃』
 レトロな雰囲気を漂わせるお屋敷は、桜の記憶通り、確かにそこにあった。
 一度は壊してしまったけれど、ああ――建て直されたのだと、そう信じた。

『……あ、れ』

 何やら、雰囲気がおかしい。
 おかしいというか、自分の知る『それ』ではない。
 人が日常を過ごす場所ではなく、人を迎え入れてもてなす場所の気配がした。

「ようこそいらっしゃいました、小日向・桜さん」
 状況を理解できずに周囲を見回すばかりの女給に、穏やかな声が掛けられる。
 見れば、壮年のギャルソンエプロン姿の男性が微笑みを湛えて、開かれた門扉の前に立っていた。そう、何故お屋敷の門扉が、常に開かれているのか?
「ここは、旧如月邸。現在は、カフェー『如月の揺籃』として運営されております」
『カフェー……に? そ、それでは、お屋形様は……っ』
 男性は一度目を閉じ、そして開いて桜を見据えて、告げた。

「貴女がお仕えした当主は、先々代にあたります。如月家が名家と呼ばれていたのも昔の話、今は人よりほんの少しばかり財を残されただけの存在です」

 桜が落命して過去の存在となり、そして骸の海から傷ついた影朧としてよみがえるまで、どれだけの時間が流れただろう。
 お屋敷は建て直せるが、人の命は戻らない。時の流れに抗えず老いて人は世を去り代を変えて、それでもなお桜の思い出の地は残されていたのだ。
『そん、な。では……私、は』
「如月家に、代々伝えられてきた言葉があります」

 ――いつか、小日向・桜という女給が戻ってくることがあれば。
 ――どうか、温かく迎えてやっておくれ。

 桜は瞠目する。それがもし、遂に最期まできちんとお仕えすることが出来なかった、自分を見放したと思っていた主の遺言なのだとしたら。
 何と、何ということだろう。
「さあ、桜さん」
 男性は――現如月家当主にしてカフェーのオーナーは、お屋敷を改装した店内へと女給を迎え入れる。
「如月家一同、今こそ約束を果たす時。どうぞ、存分に腕を振るって下さい」
 女給は、一歩を踏み出す。自分こそ、本懐を果たす時だと。

●ご案内
 カフェー『如月の揺籃』は、由緒正しき大正世界のお屋敷の雰囲気をそのまま残したまま、コーヒーや紅茶にデザート、軽食をお供に穏やかなひと時が楽しめます。
 けれど一番の名物は『クリームソーダ』。売れ筋代表はメロンやスミレ、イチゴですが、リクエストをすれば皆様好みの色と味で提供してもらえます。お任せも歓迎です。
 小日向嬢は、皆様のおかげでもうドジを踏むことはありません。安心して給仕を任せて、お好きなように『如月の揺籃』でのひと時を過ごして下さい。
 声を掛ければ、小日向嬢が反応します。お気軽に声を掛けてあげて下さい。
(グリモア猟兵のニコは、最後まで転移に専念しますので登場しません)

 女給としての仕事を全うしたいという小日向嬢の願いを、どうか果たさせてあげて下さい。最後の大舞台、よろしくお願い致します。