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Tへと至る拳/不死殺しを滅殺せよ

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #『アズマ』 #神

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●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「ヒーローズアースで、猟書家が動き出したようだ」
 集まった猟兵たちを見渡し、少年めいた賢者は言った。
「猟書家の名は『アズマ』。端的に言えば、徒手空拳を殺人技のレベルまで高めた純粋な戦闘者……と、言ったところか。
 彼奴はセンターオブジアースに向かい、神々が守る『不死の怪物』の力を奪おうとしておる」
 そこまで言って、ムルヘルベルは頭を振った。
「いや……正確に言おう。不死の怪物の力は、確実に奪われてしまう。
 アズマは不死の怪物を守る番人を殺し、怪物の封印を解いてしまうからだ」

 そもそも不死の怪物とは、神々の力を以てしてすら滅ぼすことができない不死不滅の怪物のことを言う。
 センターオブジアースには、そうした太古の怪物がいまなお封じられているのだ。
 封印を守るのは、いまだセンターオブジアースを離れない旧き神々……『神獣の番人』たち。
 アズマはそのうちの一柱を、その絶大なる力によって殺してしまうのだという。

「アズマは不死の怪物の力を、配下に分け与え強化するであろう。
 彼奴らはその強化を『スナーク化』と呼ぶ。つまり、神々の間に、スナークの名を恐怖の形として広めるのが狙いなのだ」
 このまま放っておけば、怪物の力を得たオブリビオンがさらなる災厄と蹂躙をもたらすだろう。
 そうなる前にスナーク化した敵を排除し、アズマを倒さなければならない。
「幸い、現地に居る神々が力を貸してくれる。
 彼らは伊達に神ではない。共に戦う仲間としては十分頼れるはずだ。
 あるいは『秘密結社スナーク』を名乗り、スナーク化の恐怖を払うか……どちらであれ効果はある」
 そこでムルヘルベルは、問題の怪物について語った。
「此処に封印されていた怪物の名は、『蚩尤』。
 四目六臂であらゆる兵法と武器術に通じていたとされる獣頭の怪物だ」
 中国神話に名を残す同名の魔性そのものなのかどうかは、もはや誰にも確かめることはできない。
 確かなのは、怪物はその名に相応しい力を持ち、敵はその蚩尤の力を得ていること。
「だが、ともに戦う神々は怪物の弱点を知っている。
 そして僥倖なのは、アズマ自身は怪物の力を身につけていないことだろう」
 どうやら、猟書家としての力が逆に制限されてしまうらしい。
 ならば弱敵なのかと言えば、否ーー“怪物の力など必要ない”ということでもあるのだから。
「前哨戦の敵にせよ、アズマにせよ、易い敵ではない。
 しかしオヌシらならば、神とともに邪悪を滅することが出来るはずだ」
 そう言って、ムルヘルベルは持っていた本を閉じた。
「不死すら殺しかねないほどの強敵を、その力で滅殺せよ。
 オヌシらの健闘を祈る。……生きて帰ってこいよ」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 おでんです。猟書家シナリオ第六弾はヒーローズアースから!
 絡め手がないぶんシンプルに強い敵が相手となります。
 猟書家ってなあに? とか詳しい話は、下記のURLをご参照ください。

●参考URL:猟書家の侵略
『 https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre.htm 』

●プレイングボーナス条件
『神々と共に戦う(神は強いです)』
 もしくは、
『猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)』

●プレイング受付期間
 11/24(火)08:30前後まで。
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第1章 集団戦 『ジャスティスクルセイダーズ』

POW   :    ジャスティス・クルセイド
【剣先】を向けた対象に、【天から飛来する十字型の光線】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    ジャスティス・グレートレイジ
【己の正義を妨害する者達への怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    ジャスティス・オーバードライブ
自身に【強大なる聖なる光】をまとい、高速移動と【聖剣からの光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヒーローズアース:センターオブジアース
『なんと素晴らしい力……これが、スナーク化か!!』
 白亜の騎士、ジャスティスクルセイダー。
 歪んだ正義を掲げる狂った騎士どもの姿は、その破綻した信念に相応しい異形と化していた。
 すなわち、新たな二本の腕や二つ目の頭部、あるいは極端な体の巨大化……!
 怪物『蚩尤』の強大な力が、そういった変異をもたらしたのである。
『我らは力を得た! この力で神々を皆殺しにし、真なる正義を敷くとしよう!
 猟兵恐るるに足らず。アズマ様に近づけさせるな!!』
 転移した猟兵たちに行く手を阻む、異形の騎士ども。
 しかし幸いなことに、こちらには味方がいる。
「猟兵よ、援護する!」
「蚩尤に封印を再び施さねば……!」
「あの力は、解き放たれてはならないものなのよ!」
 名だたる神々が助太刀に参上したのだ!
 拳鬼・アズマを倒すため、神々とともに異形の騎士どもを滅殺せよ!
アルトリウス・セレスタイト
正義とは己自身にしか通用しないものと理解すべきだぞ

戦況は『天光』で常時把握
自身への攻撃は『絶理』『刻真』で触れた瞬間終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

意図的に正面から向かい秘密結社スナークだと述べておく
名乗ったら秘密でない気もするがまあ良かろう
秘密結社らしいので個人名は秘匿

何にせよ耳目は集め、気付いた者は何かしらの感情を抱くだろう
故に条件を満たす
オブリビオンのみを目標に空理で消去
目標外の全ては障害として無視される
仮に乱戦でも問題はない
仮に消えない個体があれば『討滅』を乗せ打撃で対処

※アドリブ歓迎



●恐怖をも消し去るモノ
『スナークの力、正義を執行する力! なんと素晴らしい!!』
 腋のあたりから第二の両腕を生やした白騎士が、感動に打ち震えた。
 誰が見ても、邪悪な怪物に堕した理想の残骸にしか思えない。
 それがオブリビオンというものだ。それ自体が、世界を脅かすマイナスなのだ。
「なんという邪悪……蚩尤の力がもたらした歪みか」
 神々はその常軌を逸した姿に恐怖を抱き、不死の怪物の恐ろしさを思い出した。
 スナークという言葉を恐怖の象徴として刻み込むという、敵の思惑通りに。

 しかし。
「スナーク化など存在しない。"それ"は、俺たちの名だ」
 アルトリウス・セレスタイトは、真っ向から恐怖を否定した。
「秘密結社スナーク。それが俺たちであり、あれはただの二番煎じに過ぎん」
『何……? この素晴らしき力を、我らの正義を否定するか、猟兵!』
「するとも。憤るならば、その正義とやらで俺を叩き潰してみせるがいい」
『ほざけェッ!!』
 ジャスティスクルセイダーが迫る! 強大な光が異形の身体を包み込んだ。
 光はやがて武器の形に凝縮され、こわばった四臂の掌に収まる。
「気をつけよ、猟兵! 真正面から喰らうのは危険だぞ!」
「仔細ない」
 神の警告を聞き流し、アルトリウスは片手をかざした。
 するとジャスティスクルセイダーの目の前に、青い亀裂が生まれた。
『何……!?』
 亀裂からほとばしったチェレンコフ光めいた輝きが、邪悪な光を飲み込む。
 1ではなく、0――すなわち、完全なる虚無へと還す根源の光が。
『ば、バカな!! 我々の正義が、形すら遺さず消え去るというのか!?』
「お前たちは何一つ成し遂げられずに滅びる。それだけだ」
 亀裂が消えた時、そこにはたしかに何も遺ってはいなかった。
 屍すらも、何一つ。最初から、何も居なかったように……。

成功 🔵​🔵​🔴​

須藤・莉亜
「猟兵組織『秘密結社スナーク』の街角支部から来た莉亜です。よろしくー。」
さて、名乗ったし蛮活…じゃない、戦いを始めよう。

UCで吸血鬼化し、強化された戦闘能力と生命力吸収能力を駆使して戦う。
ついでに周囲にArgentaも展開。これは防御と敵さんらへの攻撃に使って行く事にするかな。

周囲の敵さんらから奪った生命力を、強化と再生に充てつつ攻撃して行く。
なんかピカピカしてめっちゃ速いけど、僕と同じ戦場にいるなら逃さない。
一応神様達にはちと離れて貰って、全力で周囲の敵さんらの生命力を奪う。
殺気がダダ漏れなら狙いもつけ易いよねぇ。
んでもって、生命力を奪われて動きが鈍った敵さんを殴る。ついでに血の味見もね。



●正義を啜るモノ
『秘密結社スナーク、だと……? フン、ふざけた浅知恵を使いおって。
 スナークの名は恐怖の象徴! これより降り注ぐ神々の血がそれを証明する!』
「へえ、いいセリフだね。けど、降り注ぐのは本当に神様の血なのかなあ?」
 いきがるジャスティスクルセイダーを前にして、須藤・莉亜はへらりと笑った。
「もしかしたら、キミたちのほうが血を流す側なのかもしれないのに」
『……猟兵め。どうやら、不死の怪物の力を知らんと見える!』
 ジャスティスクルセイダーの肉体が、メキメキと異形化した。
 もう一対の腕! さらに全身が一回り近くパンプアップし、瘴気を放つ。
 脈動する光の色は白――ただし、邪悪に歪んだ正義を表すかのような濁った色。
 ほとんど灰色に近い、正義とはとても言い表せない病んだ光だ。
「猟兵組織、『秘密結社スナーク』の街角支部から来た莉亜でーすっと。
 じゃあ神様たちはちょっと離れててくれるかな? 巻き添え食うかもだし」
「あのような敵を、たったひとりでなんとか出来ると言うのか?」
「まあ一応、一度はこの世界を救ってるし?」
 莉亜はあっけらかんと言い、自ら封じた吸血鬼の力の片鱗を解放した。
 病んだ光と対称的な赤黒い瘴気を放ち、ミシミシと骨肉が軋む。
 全身から迸る殺気と禍々しい血の臭いに、神々は顔を顰め、一歩下がった。
「さあ、遊ぼうか。どっちが先に死ぬのかな?」
『魔物め、退治てくれるわ!!』
 白と黒が同時に地を蹴り、すさまじい速度で衝突した。
 鎌と剣! 拳と拳! さらに莉亜の周囲に浮かぶ銀の槍が敵に襲いかかる!
『小賢しいぞ!!』
 ジャスティスクルセイダーは四つの腕を力強く振るい、銀の槍を薙ぎ払った。
 がら空きの胴に、上体を大きくねじった莉亜のストレートが叩き込まれる。
 ドォン――!! というすさまじい衝撃音。白亜の騎士が吹き飛んだ!
『ぐお……!!』
「――逃さないよ?」
 吹き飛んだジャスティスクルセイダーに、莉亜は猛スピードで接近する。
 そして筋肉が爆ぜるほどの力を込め、血を流しながら強烈なラッシュを叩き込む!
 人体にかけられたリミッターを、吸血鬼の再生能力で捻じ伏せて全力を出す。
 あまりにも暴力的で、しかしそれゆえに一撃一撃の威力は桁違いだ。
『ぐ……!! こ、この力……我の身体から生命力を奪っているのか!』
「そういうこと。吸血鬼が噛み付くだけの魔物だとでも思ったかな」
 莉亜は一瞬だけ、覚醒時と同じ獰猛な笑みを浮かべた。
 敵は兜の下で恐怖の表情を浮かべた――そして、頭部が兜ごと粉砕される。
 降り注ぐ血を浴びて、莉亜はごくりと喉を鳴らした。
「だから言ったのに。でもこの味は、悪くないね」
 血まみれの鬼の姿は、まるで不死の怪物そのものを思わせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
神様が味方ですか。
ダークセイヴァーにも、こうやって人間に直接味方してくれる神がいたら良かったのですけどね。

それはさておき、どうやら強力な敵が相手の様です。
神々が遠距離から敵を攻撃してくれるなら、その隙に【ダッシュ】で敵集団に接近しましょう。
敵は剣先を向けて来るでしょうが【敵を盾にする】様に動いて光線を回避、あわよくば敵の仲間に光線を当ててやりましょう。
誰がどこからこちらを狙っているか【瞬間思考力】で素早く判断する必要がありますね。
後は乱戦をすり抜けながらユーベルコードで敵を斬っていくのみです。
一撃で倒せなくても、剣を【切断】したり腕を斬って【武器落とし】出来れば構いません。
後は神々に任せます。



●神なき世界より
 かつてダークセイヴァーにも、人間に加護もたらす神々が居たという。
 だが世界は闇に包まれ、吸血鬼が黄昏をもたらし、神とは怪物と同義になった。
 ときに吸血鬼にすら牙を剥く――あの世界の神とはそういうものだ。
(こうして人間に直接してくれる神々が、あの世界にいたらよかったのに)
 ハロ・シエラは、ともに戦う神々の姿を見て、心のなかでため息をついた。
 戦闘に不要な思考だ。やはり自分はまだまだ未熟だと、気を引き締める。
 神々の多くは、人間と変わらない姿を持つ――しかし漲る力は相応のもの。
 頼もしく思う反面、後悔というか、哀しみというか、そんな感情がよぎった。
「猟兵よ、我々は後ろを守ろう! どうやらそのほうが、力を振るえそうだ」
「ご配慮感謝します。――では」
 ハロは神々が繰り出した光の雨による牽制の間に、白亜の騎士に接近した。
 敵は三体……普通のジャスティスクルセイダーならば御せる数だろう。
 だが、蚩尤の力出強化された敵は、その程度の数ですら手にあまりかねない。
 もしもスナーク化によって神々に恐怖が刻み込まれれば、状況は悪化する。
『滅びよ、猟兵! スナークの名を広めるための生贄となれ!』
「私は、サー・ジャバウォックを打ち倒しここへ来ました。
 いまさら怪物の名を騙る雑兵に屈するほど、私の剣はなまくらではありません」
 四つの腕から繰り出される猛烈な剣技、しかもそれが三方向からである。
 ハロほどの卓越した剣士でなければ、どこかで防御を崩され死んでいただろう。
 ハロは細剣で打ち合うのではなく、しなやかな筋肉で斬撃をいなし続けた。
 光線を敵に当ててやろうと考えていたが、さすがに敵もそう甘くはない。
 しかし、攻撃の手を緩めさせることは出来た。ハロはその一瞬に攻撃を行う。
 薄布を何枚も重ねていくように、数の利を地道に覆していくのだ。
 敵の攻撃はハロに決定打を与えられない。代わりに、彼女の反撃は通る。
 ひとつひとつの傷自体は小さい。だが、それを数十回も重ねたならば!
『ぐ……!!』
「――隙を、見せましたね」
 待ち望んでいた好機がやってきた。積み重ねた果ての、偶然という必然が。
 ハロは体勢を崩した敵に水銀じみた速度で間合いを詰め、頸部を断つ。
 一撃だ。 そして今度こそ敵の亡骸を盾に、残る二体の攻撃を防ぎ……跳躍!
『『上だと!?』』
「たとえ、直接打ち合えないとしても――その腕を切り落とせば!」
 ハロは空中で体操選手めいて身体をひねりながら、烈風のような斬撃を放った。
 剣閃は大剣そのものではなく、異形化で生まれた敵の腕の付け根を斬る。
 怪物の力を得ようと、関節部が脆弱なのは変わらない弱点だ!
「神々よ、とどめを!」
「――請け負った!」
 力を貯めていた神々の力が、矢となり槌となり白亜の騎士たちに叩き込まれた。
 連携による勝利だ。ハロは、倒れ伏した騎士たちの残骸に着地する。
「……私は、借り物の力に酔いしれるようなことはしません」
 神なき世界を戦い抜いた少女の力は、いわば人間が持つ可能性の証左。
 怪物を当てにした正義失格者どもとハロを分かったのは、その一点にある。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒川・闇慈
「ごきげんよう、クルセイダーズの皆さん。秘密結社スナーク、魔導部門統括の黒川と申します。もっとも魔導部門構成員は私一人ですが。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
神話によれば蚩尤と黄帝の決戦では黄帝側の応龍が嵐、あるいは水の力でもって蚩尤を打ち破ったとか。ここはその故事に習ってみましょうか。
高速詠唱、属性攻撃、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用し風獄刃軍を使用します。激烈な竜巻の中ではご自慢の高速移動能力も活かしにくいのでは?

「一説では蚩尤の側に嵐を抑える風神や水神などがいたせいで手こずったとも言われていますが……この場にそんな気の利いた存在はおりませんようで……クックック」

【アドリブ歓迎】



●温故知新
『うおおおお……!!』
 ジャスティスクルセイダーの体が、メキメキと一気に肥大化していく。
 注ぎ込まれた蚩尤の力により、巨大化というわかりやすい変異を遂げたのだ。
 それに比例して、ジャスティスクルセイダーの放つ白い光も強まる。
 聖性など欠片も感じられない、独善的正義を形にしたような病んだ光が。
「これがスナーク化だというのか……!?」
「ビビってんじゃないわよ、いいから動きを止めなさい!」
「わ、わかっている!」
 二柱の男女神が言い争いながら、見えない力で巨人騎士を縛ろうとした。
 だが! 巨人騎士は強引に枷を破壊し、大剣を振り回して神々を吹き飛ばす!
「ぐあああっ!!」
「きゃあっ!!」
 勝負あったか……巨人騎士は、図体に見合わぬスピードで神々に迫る――!

 しかし、その時である。
 巨人騎士の行く手を阻むように、猛烈な竜巻が両者の間に生まれた。
 真空の刃がひしゃげた鎧を切り裂き、風圧が岩盤ごと巨人騎士を吹き飛ばす!
『ぐううっ!! こ、これは……猟兵の力か!』
「ご明察です。さっそくですが自己紹介をしておきましょう」
 ふわり、と神々の前に降り立った黒衣の魔術士が、慇懃に礼をした。
「ごきげんよう、クルセイダーズの皆さん。
 秘密結社スナーク、魔導部門統括の黒川・闇慈と申します」
 闇慈はちらりと肩越しに振り返り、神々の無事を確かめてから、こう続けた。
「……もっとも、魔導部門構成員は私一人ですが。クックック」
『嘗めた真似を……! スナークは恐怖の象徴、そんなものはおためごかしだ!!』
「では、こうしましょう。滅びず生き残ったほうが真のスナーク、というのは?」
『いいだろう――ならば死ね、猟兵!!』
 巨人騎士はさらに白い輝きを放ち、向かい風にまっすぐと突き進んだ。
 なんたる強靭さ、そして己を正義と盲信する狂ったエゴか!
「待てよ、風……? そうか、蚩尤を滅ぼしたという帝の故事か!」
「聞いたことがあるわ。応竜がもたらした嵐……それを再現しているのね!」
 神々の察した通り。闇慈の狙いは、風の力で蚩尤の力を削り取ること。
 二柱は顔を見合わせて頷くと、残された力を竜巻に注ぎ込む。
「我らの力も貸すぞ!」
「昔話の通りにしてあげるわ!」
「これはこれは……ありがとうございます。まさしく神話の逆パターン、ですか」
 一説によれば、蚩尤は嵐を抑える風神や水神を味方につけ対抗したという。
 しかし、敵にそんな味方が居ようはずもなし。膨れ上がる竜巻が巨人を呑む!
『ば、バカなあああっ!?』
「これが本当の神風、ということで。さあ、終わらせるとしましょう」
 闇慈がダメ押しの魔力を注ぎ込むと、竜巻は無数の真空の刃となった。
 巨人騎士の体は、数百の肉片に引き裂かれ……ついには、雲散霧消する!
「残念です。不死の怪物の力を得ても、不死そのものにはなれなかったようで」
 闇慈は皮肉げな笑みを浮かべ、血の一滴さえも風で散らし、消し去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天道・あや
【星の軌跡】

いやー暫く来ないだろうなーって思ってたんだけどなー。セブス。まだシンフォニック・スコア、完成してないし。でもまあ、ピンチとあっちゃ仕方ナッシング!

神様よし!仲間よし!あたしよし!それじゃ、藤原先輩、黒城さん、行きまショータイム!

あたしは神様達と一緒に行動!

うっす!お久しぶりです神様!あの蚩尤って奴の力を封印出来そうな感じですが、出来るんですか?なら援護しますんで、封印、お願いします!

という訳で一部の神様が封印準備してる間、他の神様と一緒にその神様達を守る!UCを発動しながら【おびき寄せ、挑発】で注意を引いて、【ダッシュ、足場習熟、見切り】で避ける!

そして、封印出来たら、反撃だー!!


黒城・魅夜
【星の軌跡】
ふふ、神殺しのダンピールたる私が神々と共闘とは
世の中には面白いこともあるものです

あやさんと神々が封印の準備をしている間
私は忠重さんと共に直接攻撃を行いましょう
私達「猟兵秘密結社スナーク」は
邪悪なる脅威を討ち滅ぼすものなのですから、ふふ

「早業」で巡らせた鎖の「範囲攻撃」を攻勢防壁とし
さらに「オーラ」を展開しながら攻撃を防ぎ肉薄
同時に、無数に踊る鎖の群れは敵を「精神攻撃」のように幻惑し
「残像」の私に対する攻撃を「誘惑」するでしょう
どれが本当の私さえ分からぬその歪んだ認識で
己の正義を語るなど笑わせます

UCを発動
あなたたちがいかに巨大であっても無意味
魂さえ穿ち抜く私の牙の前ではね、ふふ


藤原・忠重
【星の軌跡】【POW】

全身から闘気を漲らせつつ、神々の前へ。

「悪行を以て邪悪を砕く、秘密結社スナーク見参ってな」

「俺たちの名を騙ろうなんて太え野郎だ。覚悟しろよ? バッタモン共」

【ダッシュ】で敵へと突撃し、UC発動と共に【ジャンプ】。
【念動力】で操ったオーラを【オーラ防御】でバリアと変え
自身を砲弾とした【砲撃】のような、【衝撃波】を伴う飛び蹴りを叩き込む。
その後も自在に空中を舞い、【空中戦】を続行。

味方を狙った敵UCは妨害するが、自分狙いなら止めない。
飛んで避けて、同士討ちの隙をぶん殴る。

「やっぱりお前ら、スナークでも正義でもねえらしい」

「ただの邪悪として、俺たちスナークに食われちまいなッ」



●星の軌跡を描きて
『恐れよ、神々よ! これこそが貴様らを殺す、正義の刃。スナークの力!
 我らの正義はアズマ様の力を得てようやく成就する。そのための贄となれ!』
「そのような異形に成り果てて、正義などとよくもほざく……!」
 神々は強大な存在だ。しかし彼らも、全知全能などではない。
 往時ですら為し得なかった不死殺しである。敵は、その怪物の力を得た。
 ジャスティスクルセイダーは四つの腕や巨大化した体躯を武器に神々を圧倒する。
 恐るべきは、スナークという恐怖の象徴がもたらす副次効果だろう。
 神々が怪物の力を警戒すればするほど、それが巡り巡って敵を強化する。
 恐れを知らぬ勇者であるには、彼らは怪物のことを知りすぎていたのだ……!

「ったく、借り物の力でいきがるたぁ、情けねえ連中だ……ッ!」
 だが、白亜の剣が振り下ろされようとした時、割り込む影があった。
 藤色の軌跡を流星のように描き、繰り出された拳が剣を真っ向迎え撃つ。
 がぎん! ……と、大岩をハンマーで殴ったような轟音が響いた。
『何奴!?』
「よくぞ聞いてくれたじゃねえか。悪党の流儀はわきまえているらしい」
 拳を突き出した男は、ニヤリと不敵に笑った。
「悪行を以て邪悪を砕く、秘密結社スナークの藤原・忠重、只今見参ってな!!」
 忠重はわざとらしい演技がかった調子で名乗りをあげ、剣を弾き飛ばした。
 ジャスティスクルセイダーがたたらを踏む。そこへなだれ込む無数の鎖!
『こ、これは!?』
 まるで生きた触手めいてジャスティスクルセイダーを絡め取った鋼の鎖は、
 さながら獲物を捕らえた食虫植物のように閉まり、そして締め上げる。
 めきめきと白い鋼の鎧がひしゃげ、歪み、砕け……ついには四肢を引き裂いた!
『がぼ……っ!!』
「中身のない正義を標榜する輩に相応しい、なんとも脆く呆気ない鎧ですね」
 血の雨の中に女がいた。黒城・魅夜は昏く艶やかに嗤う。嘲笑と、侮蔑。
 降り注ぐ血が人の形に凝り固まったかのような、不気味な摩の気配があった。
「それにしても……神殺しのダンピールたる私が神々と共闘、とは」
「おいおい、そこは言いっこなしだろ。だって今日の俺たちは、なあ?」
「ええ、わかっていますよ。私たちは"猟兵秘密結社スナーク"、ですからね」
 忠重の目線に、魅夜は意味ありげな一瞥を返しつつわざとらしく言った。
 怪物の名は、怪物のものであるがゆえに、恐怖を喰らい増大化する。
 ならばその名を奪い、怪物を屠ることで恐怖をも殺す。それがこの作戦だ。
 目の前で繰り広げられた圧倒的な力こそが、なによりも説得力である。

「というわけで、神様の皆さんお久しぶりです! あたしたち、参上!」
 ふたりに遅れてシュタッと着地したのは、天道・あやであった。
 彼女はふたりに前線を任せ、神々の前に降り立ち、そしてこう言った。
「あの蚩尤ってヤツの力を、封印できそうな口ぶりでしたよね?」
「あ、ああ……だがそれはあくまで、侵入者どもを撃退せねば叶わぬ話だ。
 敵はいまもなお、蚩尤の力を引き出し続けている。その根元を断たねば」
「なるほど……じゃあ、あの怪物の力そのものを今ここで封印するのは?」
 あやに言われ、壮健な男性の姿をした神は唸った。
「出来ない……わけではない。しかし、術式に集中せねばならぬ」
「なら安心! あたしたちスナークが、神様たちを守ってあげるから!」
 あやはくるりとふたりのほうを振り向いた。魅夜と忠重は同時に頷く。
「では、手はず通りに。私と忠重さんが敵を抑えましょう」
「ようはぶちのめせばいいってことだ。いつも通りな!」
 忠重と魅夜は踵を返し、襲いかかる敵集団へ自ら打って出た。
 張り巡らされた鎖の結界が、白き刃とそこから迸る病んだ光を阻む。
 迷路じみたその鋼の道を藤色の軌跡が駆け抜け、音を超えた蹴り足が鎧を砕く!
『なかなかやるな、猟兵……! 怪物の名を奪い怪物になろうてか?』
「奪う? そりゃこちらの台詞だ、俺たちの名を騙るふてえ野郎どもが!」
 忠重は二段蹴りを繰り出し、敵の四つ腕による同時攻撃を弾いた。
 そして空中で身を捻り、三段……いや、四段蹴り! 強烈な空中連続攻撃!
『ぐうっ!? 我らが簒奪者だと? ほざくな……!』
「いいや。お前らは居眠りこいてる化け物から力だけ奪って、名前までパクってるバッタモンどもさ」
 忠重の笑みから、ジャスティスクルセイダーは不穏な気配を察した。
 周囲を遮る鎖の結界。制限された視界、そしてこれは……囮か!?
「そのような有様で己の正義を語るなどと、笑わせます」
 背後から声。そして、魂をも穿ち破壊する牙が、ぞぶりと鎧を貫通した。
 血を噴き出し、がらんどうの騎士が斃れる。魅夜がそこに居た。
「やっぱりお前ら、スナークでも正義でもねえらしい」
「ええ、所詮は道程、超えるべきただの障害です――あやさん」
「こっちもおっけー! さあ行くよ、神様たち!」
 彩の歌声を号令として、神々は収束させた霊力の波を敵に叩きつけた。
 ジャスティスクルセイダーが取り込んだ蚩尤の力そのものを縛る不可視の網だ。
 ただ叩きつけるだけでは、敵の力を抑えきれず、そもそも術式が練れない。
 だがあやの歌声が力を与え、そしてふたりの戦いが時間を稼いだ、今ならば!
『か、体が……! 動かない、だと……!?』
「残念っ! 即席で手に入れた力じゃ、そこが限界だったみたいだねっ!!」
 あやはレガリアスから圧縮空気を噴き出し、空中をスケートめいて滑った。
 そして頭部めがけた鋭いハイキックが、ヘルムごと敵の頭部を粉砕する!
「よーし、これであたしも参戦だ! 行こう、藤原先輩、黒城さん!」
「ええ。三人揃っての秘密結社、ということで」
「怪物(スナーク)らしく、ただの邪悪を食っちまうとしようじゃねえか」
 形勢逆転。三つの色ある風が戦場を駆け、怪物の僭称者どもに裁きを下す!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
ダチと/f28022
心情)ほォ、シユウ。俺(*うち)の坊とはまた別らしい。どっちも本物だろうな。あいつのケが混ざるかァ。面倒だなィ。しっかし、こっちの神はずいぶんと《ヒト》だなィ。あの熱気ァ俺にゃキツイ。名乗りやらはダチ公に任せて、俺は俺のできることをするさ。どォもスナークです。
行動)眷属どもは焼け石に水。俺を乗せるでけェ《虫》だけ呼んでおこう。高くへ飛んで、元気な《過去》どもにひとつ問うのさ。《アズマってやつの弱点はなんだい?》ああ、むりに答えンでもいいさ。どっちにせよおしまいさ。五感・体温・怒りの熱。ぜんぶ失せりゃア真っ暗け。冬の夜は長く、厳しいぜ。朝まで生きてられるかな?


オニキス・リーゼンガング
友(f16930)と
心情)猟兵組織スナークの者と名乗りましょう。
友はブージャムのほうが近そうですけどね。
聖騎士と神が争う構図、正直ものすごく面白いです。
向こうが正義を名乗るならば、こちらには世界を守るという大義がございます。
天を穿たば気候を変え、大地殴らば地形を変える。
わたくしの武勇、いかんなく発揮させていただきましょう。
行動)ふむ…名だたる神々の氣はひと目でわかりますね。
敵・味方・友。区別がつけやすくて大変けっこう。
友の氣を読み、巻き添えを食わないよう気をつけ、
"夜"が来ましたら敵の氣を読み、近場から打ち斃していきましょう。
いつか明けると思いましたか? 残念ながら極夜ですよ。



●神々の闘争
 古来より、様々な神々が習合され、あるいは別の神格として分割されてきた。
 歴史の変遷と異文化により、善神が別の地では悪魔とされることもしばしばだ。
 そうして神々は矛盾した一面を同時に得て、信仰という力を得てきた。
 アヴァター、荒御魂と和御魂、グナ……つまりは、"側面"である。
 といってもそれは珍しいことではない。人間にも同じようなものがある。
 ペルソナ。場合と状況に応じて仮面を付け替える、ごく当たり前の社交性だ。
 神とヒトの違い――それは力の有無と、己にすらもままならぬという点だろう。

「……てなわけだ。あれも、俺(うち)の坊も、どっちも"蚩尤"だろうなァ」
 戦場を見下ろす空の上、ブブブブ……と耳障りな羽音に混じる朱酉・逢真の声。
 オニキス・リーゼンガングは開かぬ眼で友の顔と戦場を交互に見、一つ頷いた。
「なるほど。世界が変われば、そうしたこともあるものですか」
「下手をすりゃア、同じ世界であろうがな。覚えはあンだろィ」
「さもありなん。しかし――これはなかなか、いやかなり面白い状況ですね」
 オニキスの声音には、少なからぬ愉悦の色があった。
「正義を名乗る聖騎士と神々が争う。この状況自体が皮肉のようだ」
「ひひ。ンなことをのたまうようじゃ、お前さんもいよいよ"らしく"なってきたな」
「卑俗になった、という意味で?」
「いいや。昔の性分がいい具合に出てきたって意味だよ」
 男の姿をした神の一側面(あるいは残骸)たちは、軽口を叩きあった。
 どちらもくつくつと肩を揺らし、そしてオニキスがひらりと虫の背から降りる。
 眼下は混迷の戦況。神々は、どうやら不死の怪物の力に圧されているようだ。
(なるほど、よく見えます。強大な気の奥底に見え隠れするたしかな恐怖――)
 オニキスの盲た眼は、ときにただ見るよりも能く物事を視る。
 怪物どもの最大のパワーソースは、それを恐れる神々の感情そのもの。
 友が降りてこないのも納得だ。あれらは、かなりヒトに、"いのち"に近い。
「まったく面白い。ならばひとつ、わたくしも流儀に倣うとしましょうか」
 オニキスは拳を握りしめた。それだけで、大気が軋み、歪み、ひしゃげた。
 重力に従い、質量を無視したでたらめな一撃が、鉄槌のごとく大地を砕いた。
 ――KRAAAAASH!!
「『な、なんだ!?』」
 驚愕の声は、神々と聖騎士の両軍から同時にどよもした。
 土煙がたちこもり、その中から悠々と進み出る影……つまり、オニキス。
「上から失礼いたしました。わたくし、秘密結社スナークの者です」
 オニキスは剽げた様子でこともなげに言うと、つい、と上を指差す。
「"あれ"も同じく。そういうわけですので、名称の剽窃はご勘弁ねがいたく」
『猟兵か! それもただの人間ではないな……ふん、小賢しいぞ、死に損ないめ!』
 ジャスティスクルセイダーはどうやら、怪物の超知覚で片鱗を掴んだらしい。
 それは侮りというものだ。オニキスはただの死に損ないなどではないのだから。
「それがあなたがたの正義ですか? 実に結構、自分勝手でこその正義です。
 ――しかし残念ながら、こちらには世界を守るという大義があるものでして」
 オニキスは繰り出された剣を弾き、刃をレールのように使って懐に潜った。
 敵の巨体は、オニキスの三倍をゆうに超える。まさしく巨人と人間の差だ。
 ならば、裡に込めた力はどうか――答えは、拳を繰り出せば一目瞭然。
『がはっ!?』
「とまあこの通り、鎧袖一触でございます」
 怪物じみた巨体は、穿たれた胴体の穴から徐々にひび割れ、そして砕けた。
 血と鎧の残骸が降り注ぐ中、オニキスは一縷たりも血塗れになることはない。
「天を穿たば気候を変え、大地殴らば地形を変える――これぞわたくしの武勇。
 さて、名だたる神々よ。どうか、あなたがたのお力も見せてくださいませ」
「……そう言われては、我らとて臆してはいられぬな!」
 神々が恐怖を払った。この世界を旧くから守り続けたモノたちの矜持である。
 ジャスティスクルセイダーの力が減じていく。オニキスはゆるゆると笑った。
「古来より、怪物殺しはこうやるものでございますよ。しからば、いざ」
 趨勢が逆転する。白が退き、神々が攻め込む番だ!

「あーあ、まったく鬱陶しいぐらいヒトらしい連中だなァ、ありゃア」
 対して上空では、逢真がなんとも残念そうな様子でため息をついた。
 ただ呆れているというだけでなく、いとおしさを感じながらの嘆息である。
 たとえるなら、たくましく成長した子どもを名残惜しみつつ喜ぶ親のそれだ。
「ま、俺は俺の出来ることをするさ――なァ、お前さんたちは蚩尤なんだろう?」
 逢真は誰に言うともなく呟いた……声としては、それは羽音にかき消される。
 だが、聲としてはどうか。それは神の御言葉であり、蛇の囁きであった。
『俺のとこにも同じ名前の坊が居るのさ。だからこォして呼びかけも出来る』
『な、なんだ、この声は……!?』
 神々の攻勢にうろたえるジャスティスクルセイダーの頭に響く聲。
 それが頭上の逢真による呼びかけであることも、敵は気づかない。
 蚩尤とは争いと病毒をばらまく悪神。同じ名の眷属を、逢真は有する。
 名とは呪であり、呪とはつながりである。人間が言うところの類感呪術だ。
『なァ、ひとつ教えておくれよ。お前さんたちの力をくれてヤツのことさ』
『あ、アズマ様がどうしたというのだ……!!』
『そう、そいつさ。――そいつの弱点は、なんだい?』
 知恵の実を喰らえと囁く蛇のような声は甘やかで、暖かで、そして恐ろしい。
 ジャスティスクルセイダーはせせら笑い、そして叫んだ。
『バカめ、そんなことをわざわざ教えてやるとでも思ったか!!』
『ひひ。元気だねぇ――ああ、そうだろうさ。だが、"それでいい"』

 ジャスティスクルセイダーは空を仰いだ。
 太陽の代わりに輝く赤い星から、黒がとぐろを巻いてうねり、現れた。
「あ、アペプだと……!? 太陽喰らいの怪物まで抜け出したのか!」
「いや違う! あれは我々が知る怪物とは別だ!」
 神々もまた、空を覆わんばかりの大蛇の威容にどよめいた。
「へぇ、"こっち"も居るかい。ま、今回はそっちが相手でなくてよかったなァ」
 エジプト神話に名を残す大蛇は、赤い星に重なった太陽をつるりと飲み込んだ。
 そして夜が来る。何もかもが闇に閉ざされ、熱は消え、静寂が訪れた。
『さ、寒い……! 我らの力が、スナークの力が、感じられぬ!』
「それは当然でしょう。なにせこれは、明けることなき極夜なのですから」
 ただひとり、オニキスだけが自由に動ける。
 その身は悪霊、熱を生むことなく、ただ奪い冷やすマイナスの存在。
 眼は盲て何も見ず、ゆえに闇に惑わされることもなし。つまりは、独壇場。
「さようなら、僭称者たちよ。どうやらあなたたちは不死ではないらしい」
 拳が、闇とともに失格者どもを微塵に砕いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クラリス・シドルヴァニス
ここがヒーローズアース…勇者達が活躍する世界ね。神話の時代から世界を護り続ける神と共に戦えるなんて、光栄なことね。

不死の怪物とは、恐ろしいわね。あの者達は、騎士?だけどあの異形の姿からは、邪悪な気配を感じるわね。
魔法のペンダントに《祈り》を込め、ユニコーンを召喚するわ。その背中に跨がり、【ユニコーンチャージ】による《騎乗突撃》を敢行。《なぎ払い》《武器受け》で光線を切り払いながら前進し、敵軍の陣形を崩すと同時に押し戻していきます。《動物使い》《動物と話す》技能で愛馬と意志疎通し、《オーラ防御》でダメージを軽減しつつ、お互いを励まし合って戦うわ。最後のトドメは、神にお任せね。


宮前・紅
【SPD】
神を殺すなんて無礼千万。俺も一緒に戦うよ♪︎
相手の攻撃(UC)、身体が大きくなるみたいだね、俺の攻撃も当てやすいとは思うけど、戦闘力も跳ね上がっているみたいだし一か八かの戦いになるね
きっと攻撃を完全には避けられない(激痛耐性)
UCを発動して攻撃を受けた時に流れた血で自分を強化するよ
敵との間に引力が発生するから俺の攻撃は避けられない筈
身体が大きくなって、皮も分厚くなってるかも知れないけど必ず穿ってみせる(貫通攻撃)
フェイントを駆使して、コンツェシュを突き刺していこうか!
その間に神様も攻撃してくれると思うし、任せよっと♪︎

あはははは!楽しもうね……異形の騎士様?

アドリブ·連携大歓迎です


戎崎・蒼
【POW】
真逆、番人を殺してスナークの名を恐怖という物で広めようとはね……放ってはおけないな
何にせよ、封印を解き放つのは止めて貰おうか

出来るだけ敵の攻撃が当たるのは避けたいけれど、命中率が高い
全部とはいかないまでも攻撃を避けつつ、隙が出来たらこちらもUCを放って、相手のUCを封じてみよう(見切り+捨て身の一撃)
封じられたのなら後は皆に任せるよ
僕も畳み掛ける意味合いでテルミット弾、Syan bulletを敵に打ち込んでみる(スナイパー)

…僕達「秘密結社スナーク」は決して君達を許しはしない
神々に楯突くのが正義なら、僕のこれも近しく正義だ
覚悟はいいかい?

※アドリブ連携大歓迎


木常野・都月
神様!
神様が助けてくれるのか!
凄いじゃないか!

これなら死なない化け物騎士の力もきっと何とかなる!
だって神様だから!

神様、神様…
しがない妖狐の俺だけど、頑張るから、助けてくれると嬉しいです。

[野性の勘、第六感]で嗅覚、聴覚をフル活動、敵の動きに注意したい。

あとは…チィ、ちょっと手伝ってくれ。
UC【精霊共鳴】でチィのバックアップを受けたい。

チィの月の闇の[属性攻撃、範囲攻撃]で敵を押し潰したい。
月の満ち欠けによる闇で敵を押し潰してしまいたい。

敵の攻撃は[カウンター]で対処したい。
対処しきれないなら[激痛体制]で我慢したい。

いたいけな黒狐を集団で攻撃する……それがお前達の正義か!?
随分酷い正義だな!


フォルク・リア
敵集団を見て
「随分と気が大きくなっているみたいだな。
まあ、元は自分のものでないにしても
侮る事は出来ないか。」

神々に
「俺の力でも隙を作る位は何とかなるだろう。
後は、一体ずつ仕留めて行こうか。」
攻撃と援護(自分含む)の役割分担をして、
アンノウンブレスを発動棺群を敵の前に出現させ
敵が棺の蓋を破る様に仕向けて敵に【呪詛】を放つ。
幽霊には念動力で敵の動きを封じると共に
超感覚で敵の動きを捉えさせ、
それをテレパシーで自分と神々に伝達。

また、幽霊の姿を猟兵や神々。敵騎士やアズマに変えて攪乱し
同士討ちを誘発しながら神々が攻撃する隙を作る。
「神頼みなんてするがらじゃないけど。
此処は頼むよ。しっかり決めてくれ。」


穂村・理恵
(深呼吸)……よし、りょ、猟兵の秘密結社『スナーク』所属、ヒーロー見習いの穂村理恵、ただいま参上!……です!
この世界出身のヒーロー(見習い)として、その野望、止めて見せます!

封印と相手の事は神様たちの方が良く知ってますよね?
すみません、教えてください神様!
その為の隙は、私とこの子達が作ります!
高速詠唱でUC【吸熱炎霊】!しかも今回は強い感情を燃やし焦がす(精神攻撃/継続ダメージ)紫の炎、『紫焔』バージョン!

敵の攻撃には紫焔の動物たちでかばい、やられそうなら残った子がその熱を食べ強化して補い、連携します!
私に突ける弱点なら私も積極的に攻め、でなければ神様の援護をします!

※アドリブ歓迎です



●怪物の名を滅ぼせ
「……ずいぶんと気が大きくなっているみたいだな」
 スナーク化がもたらす全能感に酔いしれる、ジャスティスクルセイダーたち。
 その姿を眺めながら、フォルク・リアはひとりごちた。
「まあ、もとは自分のものでないにしても、神々ですら殺しきれない不死の怪物。
 そんな力を取り込んだとあれば、侮ることは出来ないか……実に厄介な相手だ」
「あの者たちも、かつては正義を標榜するに足る高潔な騎士だったのでしょうに。
 それとも生前から、あのような堕落ぶりだったのかしら。だとしたら呆れるわ」
 クラリス・シドルヴァニスは、騎士らしからぬ敵の振る舞いに眉根を寄せる。
 気品あるそのふるまいと装いから分かる通り、クラリスは騎士の血筋だ。
 仮にも聖騎士のはしくれたる身として、敵の醜態は見るに堪えなかった。
「心ばかりか身体すらも異形に成り果てて、怪物の力を誇示するだなんて。
 たとえ相手がどれだけ強大だとしても、聖騎士として退くわけにはいかないわ」
「違いない。にしても、アズマとかいう猟書家も大胆なことをする」
 戎崎・蒼はクラリスとフォルクの言葉に同意しつつ、こう言った。
「よもや不死の怪物を見張る番人を殺し、怪物の力を奪い取ってしまうとは。
 そもそも、神々を殺してみせる時点ですさまじい。ここで消耗は出来なそうだ」
 蒼の言葉通り、敵はジャスティスクルセイダーだけではない。
 この先に待つアズマを倒さなければ、蚩尤を再封印出来ないからだ。
 いかに消耗を避け立ち回るか……それも、重要なポイントだろう。
「で、でも神様が助けてくれるなら心配ない……ですよ!」
 と、少々たどたどしい不器用な敬語で、木常野・都月が言った。
「一緒に戦えば化け物騎士も、猟書家もきっとなんとかなる。だって神様だから!
 お、俺はしがない妖狐だけど……でも、神様が味方についてくれるなら……!」
「そうそう、なんとかなるって♪ それに神を殺すなんて無礼千万だよ!
 いくら怪物の力を手にしたからって、そんなことしたらバチが当たるよねぇ?」
 宮前・紅はニコニコ楽しそうに笑いながら、都月の言葉に同意した。
 口ぶりはいかにも信心深くおとなしいように感じられる。
「えっ、い、いや、あの……!」
 しかし都月は紅の顔を見て、不安になった……笑顔の質が、少々"違う"のだ。
 端的に言うと、少々頭のタガが外れたたぐいの人間の顔をしていた。
 狐の野生の勘とでも言うべきか、実際それは当たらずとも遠からじ、である。
「だからこれはアレだよね、神罰? 的な? 正義の行いっていうかさぁ♪」
「……紅、あまり人を困らせないようがいいよ。というか、遊ぶな」
「あははぁ、蒼くんに怒られちゃったぁ♪ もしかして俺にかまってほしかった?」
 蒼が口を挟むと、紅はけらけらと笑いながら蒼をからかう。
 どうやら顔なじみらしい……と言うには、蒼の表情はかなり剣呑だが。
(よ、よかった! 敵と戦う前になんか起きる気配がした……!)
 内心、都月はほっとしていた。猟兵同士で面倒事などまっぴらごめんである。
 やはり頼るべきは神々だ。なにせ神様なのだから……と、改めて思った。

 ……ところで。
「あ、あの! お取り込み中のところすみません!」
 そんな一同に横から口を挟んだのは、穂村・理恵である。
「敵の分析とかも大事ですけど……あれ、やらないとダメな気がしますっ!」
「アレ? ……ああ、例の秘密結社の話か。たしかにそうだな」
 フォルクはこくりと頷く。その表情は目深に被ったフードで伺えない。
「しかし、見てのとおり俺は名乗りとかそういったものに不慣れなタイプでね。
 どうせこうして肩を並べるんだ、誰かが代表して名乗るというのはどうだろうか」
「蒼くんやってみたら? 意外とサマになるんじゃない?」
「どうせそれを見て笑うつもりだろう? 僕はパスだ」
 紅のからかいのせいか、蒼はつんとNOを突きつけてしまった。
「ならば騎士として、私が務めましょう。……あなたにも協力してもらっても?」
「えっ、私ですか!? ま、まあそのつもりではありましたが……!」
 クラリスはやや驚きつつも頷いた理恵に、ありがとうと微笑んだ。
「名乗り? 神様がいたらそれで大丈夫なんじゃ……」
「かもですけど、あの力を少しでも削れるならやれることはやらないと!」
 都月の言葉に理恵は言うと、クラリスと肩を並べて前に出た。
 相対するはジャスティスクルセイダーの群れ。
 いずれも巨大化や新たな腕や頭部の生成といったふうに、異形化を起こしている。
 身体を包む光は聖性を宿すものの、明らかに害意を放っていた。
「……よし。わ、私たちは、りょ、猟兵の秘密結社『スナーク』です!!」
「神話の時代から世界を護る神々とともに、お前たちに裁きをもたらすわ」
 スナーク。敵が名乗る怪物の名を、猟兵たちは自らの組織の名とした。
 怪物の名を以て怪物を討つ。一種の呪術めいた対抗策である!
『スナークだと? 否! スナークとは我らの名、正義の象徴であり恐怖そのもの!
 いくら名を剽窃しいきがったところで、貴様らに我々を滅ぼすことはできんぞ!』
「……ずいぶんと"らしい"噛みつき方をしてくれたものだ。効果覿面だな」
「だねぇ♪ じゃあその力とやら、たっぷり楽しませてよ? 異形の騎士様!」
 呆れるフォルクに対し、猟兵側から先手を打ったのは紅であった。
 むしりとった赤いブローチが細剣コンツェシュに変じ、稲妻じみた速度で奔る!
『バカめ! その程度の剣で我らの正義の鎧は……ぐおっ!?』
 巨大化したジャスティスクルセイダーがたちはだかるが、しかし!
 分厚い白の鎧を紙のように切り裂き、刃はその内側の肉体をすら断つ!
「あれぇ? 俺たちには滅ぼせないんじゃなかったっけぇ~?」
『貴様……!! 思い知れッ!!』
 巨体から繰り出される剣戟を、紅はくるりと軽々跳躍して躱した。
 斬撃が大地を抉り吹き飛ばす。そして怒りの敵が雪崩を打って襲いかかる!
「来るぞ! 俺たちも猟兵を支援するんだ!」
「ああ、援護に回ればあの力を抑えることも出来るはず!」
 神々は前衛を猟兵に任せ、蚩尤の力を抑えるための術式に集中した。
 そして殺到する敵の動きを押し止めるのは、フォルクが召喚した幽霊の群れだ!
『これは……う、動けん!』
「俺の力でも、隙を作るくらいはなんとかなるらしい」
 スナークとしての名乗りは、神々の心から怪物への恐怖を取り払った。
 そして神々と猟兵が連携することで、敵の持つ力が大きく減じられたのだ。
 神々とフォルクによる二重の拘束が、異形の肉体を見えない枷で縛り付ける!

『ちぃ……あの術師と神々を殺せ! そうすれば我らの力はより強まる!』
「そうはさせません! ヒーロー見習いとして、止めてみせます!」
 理恵は前衛をすり抜けようとする動きの早い敵の前に素早く割り込んだ。
 そしてユーベルコード"吸熱炎霊(フレイムイーター)"を発動する。
「あなたたちの正義なんて、正義とは認めません! ――みんな、おねがい!」
 動物型の炎霊たちがジャスティスクルセイダーの身体にまとわりつく。
 怪物の力で強化された異形は、その程度の炎では燃やせない。
 しかし吸熱炎霊の強みは、物体や生物から熱を吸収してしまうこと。
 敵が燃え上がらせる怒りや歪んだ正義という「感情」の熱をも奪えるのだ!
『な、なんだこれは……き、気力が、萎えていく……!』
 そして熱を吸った炎霊は、その熱によって紫色に煌々と燃え上がる。
 ある獣は剣を受け止める盾となり、ある獣はトーチめいて異形を焦がす!
「よし、俺たちも行くぞ、チィ! ちょっと手伝ってくれ!」
 同じ獣の姿をしたモノたちの奮闘ぶりに、都月は背中を突き動かされた。
 彼の呼びかけに応じ、狐の姿をした月の精霊・チィがふわりと現れる。
「神様、神様……俺、頑張るから。だから、神様もどうか助けてください!」
「力を注ぎ込めばいいのだな? 任せよ!」
 神々は有り余る神気を、都月の掲げたエレメンタルロッドに注ぎ込む。
 狐霊・チィが宝玉部分にするりと入り込むと、凝縮された光が膨れ上がった。
 まるで月のように輝く光は、敵が放つ病んだ光を引き剥がし、圧し潰す!
「月の闇に……圧し潰されてしまえっ!」
 膨れ上がった月の魔力は、ブラックホールめいて黒く反転し、重力を生んだ。
 巨体をも跪かせ、ついにはめきめきとひしゃげさせるほどの圧力だ!
『ぐ、おおおお……!! おのれ、我らを、我らの正義を否定するか……!!』
 しかし、恐るべきは蚩尤の力、そして歪んだ正義の怒りか。
 ジャスティスクルセイダーたちはなおも攻撃に耐え、異形化を加速させる。
「見苦しいな。その力の封印を、解き放たせるわけにはいかない」
 蒼は冷たく言い、"沈黙の掟(オメルタ)"を以て白亜の鎧を縛り上げた。
 正義の怒りによる醜悪な強化を、三重の拘束が縛り、そして封じ込めてしまう。
 神々の術式が追い風となり、巨体をもめきめきと縮小させていく。
『わ、我らの力が、スナーク化が、封じ込められるだと……!?』
「……僕たち"秘密結社スナーク"は、決して君たちを許しはしない。
 神々に楯突くのが正義だというなら、僕のこれもまさしく正義だ。
「つまり、やっぱり俺たちがやってることは神罰ってことだよねぇ? 蒼くん♪」
「違う。……けど、やることは変わらない。さあ、覚悟はいいかい?」
 蒼の冷たい瞳は、まさしく罪人を裁く処刑人のそれであった。
「敵はもう動けない、終わらせてくれ!」
「心得たわ――我が眷属よ、いまこそ風となって駆け抜けなさい!」
 クラリスはペンダントから現れたユニコーンに飛び乗り、拍車をかけた。
 美しい意匠の施された両手剣をかるがると振り回し、敵陣へと吶喊する!
「神々の力は我らにあり。最期はせめて、騎士のはしくれらしく散れ!」
 クラリスの刃は、ある意味では敵に対する慈悲だったのかもしれない。
 断首の刃が首を刎ね、そして神々の凝縮した光の矢が身体を滅殺する。
 ひとつ、またひとつ。一角馬のいななきが響くたびに敵は斃れていった!
「あはははは! ざまあないなぁ。借り物の力じゃ、所詮はこんなものかな?
 きっとアズマとかいうのは、もっと俺を楽しませてくれると信じてるよ♪」
 一方で紅の振るう細剣は、処刑というよりは残酷な拷問じみていた。
 愉悦と快楽にまみれた剣は、敵に屈辱的な死という終わりをもたらす。
『な、なんということだ、これが……これが真のスナークだというのか!?』
「あなたたちが広めようとする恐怖を、私もこの子たちも絶対に許しません。
 殺されてしまった神様のぶんも、反省して骸の海へ還ってくださいッ!!」
 巨体をも飲み込むほどに燃え上がる紫の獣たちが、理恵の号令をうけ殺到した。
 恐怖するのは神ではなく、ジャスティスクルセイダーのほうである。
 秘密結社スナークの戦いは、華々しくそして苛烈な勝利を収めたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイニィ・レッド
見るに堪えねェ醜態ですね
騎士モドキ
人様の縄張りに土足で踏み入りやがって

霧雨に潜伏
神サマに攻撃を仕掛ける騎士モドキを奇襲
霧雨の中から鋏を刺し込み
一撃で仕留めてやりましょ

神サマ
ちょいと失礼しますよ
視界悪くしちまいましたがイケますよね?
アンタらは好きにドンパチやって下さい
自分は其れに乗じますンで

以降もスピードをフル活用し
攻撃を仕掛ける態勢に入っている
騎士モドキを刻みます
神サマに直撃しそうな攻撃があれば優先的に叩き落とし
そのまま鋏をブチ込んでやりましょ

正しくねぇな
テメェ自身の力じゃねぇだろ
与えられた力で正義ヅラしてんじゃねェよ

問答する価値も無ェ
失せろ
正しくねェモノが雨の中に立つな



●雨とともにヤツが来る
 ざあざあと、センター・オブ・ジ・アースに雨が降る。
 先を見通せぬほどの霧雨……センター・オブ・ジ・アースにはありえない現象だ。
『なんだこれは? 神々の連中の悪あがきか? 小賢しい!!』
 ジャスティスクルセイダーは、そのかそけき努力を徒労とあざ笑った。
 おおかたスナークの名と我らの力を恐れ、逃げ隠れようとしているのだろうと。
 雨の向こうに影が見える。いかにも頼りなさげに佇む人影が。
『死ね――!!』
 ジャスティスクルセイダーは剣を尽き出そうとした。
 異形化して得た、四つの腕による同時攻撃。神ごときでは逃れられない。

 だが。
『……え?』
 その四つの腕は、同時に肩口からずるりと外れ、脱落した。
『な、なあああああッ!?』
「見るに堪えねェ醜態」
 じょきん。
 じょきん。
 じょきん――。
「騎士モドキが、人様からパクった力でイキって、挙げ句に神殺し気取りか」
 じょきん。
「正しくねぇ」
 じょきん。
「てめぇらのそれは、正義なんかじゃねぇ」
 じょきん――。
『ごぼ……っ』
 ジャスティスクルセイダーの声は、血のあぶくにかき消された。
「問答する価値もねェ。正しくねェモノは、雨の中に立ってちゃいけねェ」
 人影が現れた。赤い、赤いずきんを被った人影が。
「てめぇら全員、ゴミみたいに死んじまったほうがいい」
 レイニィ・レッドは言った。そして、肩越しに神々を振り返る。
 ジャスティスクルセイダーに、神々の姿は見えていない。
 雨がすべてを覆い隠す。そして、正しくないものどもを閉じ込める。
「神サマ……ちょいと失礼しますよ。アンタらは好きにドンパチしてください」
「ま、待って。あなた……一体、何?」
「猟兵ですよ。たしか……ああそうだ、秘密結社スナーク、それです」
「ち、違うわ! そうじゃなくて」
 女性神が言った。……おそれを表情に浮かべながら。
「あなたは、一体、何?」
 レイニィは振り返った。その面持ちは、フードで定かならない。
「さあ。ただの、雨の中の赤ずきんですよ」
 それは神ではない。
 悪魔でもない。
 ……だが、人間とは言えなかった。
 それは伝説という名の、恐怖だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
蚩尤の力と聞いちゃあ黙ってられないな!

蚩尤なら煙とか霧で視界を塞ぐ戦法かな?
神さまと一緒に戦って、位置を教えてもらおう!
【覇気】と共に龍のような【大声】を上げて、威嚇しながら吶喊だッ!
うおおおおおお!!!

ブルった剣先を覇王方天戟で叩き逸らして、【なぎ払った】勢いで跳び込んで【劉家奥義・蚩尤激甚脚】!
どっせーい!

劉家の旗を敵陣のど真ん中にぶっ刺して【存在感】を誇示!
正義とか信念とかに拘ってるなら、安い【挑発】の【パフォーマンス】にだって乗っちゃうでしょ
お前たちの蚩尤の力と私の蚩尤の技、どっちが強いか勝負だ!!

あとはもう【怪力】で戟をぶん回して激甚脚で蹴っ飛ばして大暴れの【蹂躙】だ!!



●劉家絶招、仕る
『スナーク化の力、これこそ我らの正義を貫くためのアズマ様の寵物!
 さあ神々よ、恐れよ、そしてひれ伏せ! 怪物を恐れ、滅ぶがいい!!』
「くっ、蚩尤の力を得ただけにしては、あまりにも強大すぎるぞ……!」
「我らの恐れが、奴らの力になっているというのか? なんと情けない!」
「けど意識するなっていうのは、無茶だよ!」
 神々は障壁を張り、ジャスティスクルセイダーの猛攻を凌いでいた。
 スナークの名がもたらす恐怖と、恐怖による力の増幅。
 原理はわかっている、だがわかっているのとどうにか出来るのは別の話だ。
 神々ですら――あるいは神々だからこそ――意思のもたらす変化は制御出来ない。
 敵として相対する以上、その力を警戒するのは当然のこと。
 そして彼らは皆、不死の怪物の恐ろしさを身を以て知っていた。
 たとえ虚勢を張ったところで、存在に刻まれた恐怖と畏怖は拭い難い……!

 しかし、その時である!
「うおおおおおお――ッ!!!」
 大地を揺るがす大音声とともに、流星のごとき輝きが一条落ちてきた!
 KRAAAAAAASH!! それはまさしく神の鉄槌のように、戦場のど真ん中に着弾!
『『『グワーッ!?』』』
 ジャスティスクルセイダーの巨体が吹き飛ぶ! 異形化してなお!
 土煙が晴れ……現れたのは、覇王方天戟を肩に担いだ劉・涼鈴である!
「蚩尤と聞いては黙っていられないわ! 劉・涼鈴、ただいま参上だよ!!」
「猟兵の援軍か! かたじけない!」
「ううん、気にしないで! さあ神さま、私に続いて!!」
 涼鈴はやおら劉家の旗をど真ん中に突き立て、雄叫びを上げて敵陣に飛び込む。
 そして繰り出されるは、劉家の絶招たる奥義!
「お前たちの蚩尤の力と私の蚩尤の技、どっちが強いか勝負だ!!」
『こ、こいつ、なんという力強さ……まさか、競り負けるのか!? 我らが!?』
「ぶっ潰れろ――蚩尤、激・甚・脚ッ!!!」
 絶大な威力の襲撃が、敵を吹き飛ばし、方天戟が闇を裂く!
 見よ、劉家の麒麟児ここにあり。その戦いぶり、まさしく無双の一語なり!

成功 🔵​🔵​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
……蚩尤、旧き神。その名前
でも、ここに、いるモノ、ちょっと、違うみたい

この世界の、神様の、皆さん
私は、違う世界……の、狂気に堕ちた女神。その血を引き、死骸を、身体に、宿す者
あなた方……にとって、どう感じるか……は、分からない。けど、私は、この力を、振るう

(Glim of Animaを灯し、掲げて)
私の……幸福感。それと、目の前の、騎士たち……の、血肉、貴女に、捧ぐ。
羽ばたいて、私の心の、仮面。モリガン

ただ、彼女が暴れる……とこ、見てるだけ、じゃ、いられない
(皮膚を突き破り腰から生えるカラスの翼)
生体内蔵式の、クランケヴァッフェ。怪力、乗せて、近くの騎士、刺し貫く
生命力吸収し、回復しつつ、持久戦



●屍より産声をあげしモノ
「な……なんという、禍々しくおぞましい力か……!」
 端正な顔立ちをした若い男性姿の神が、思わず顔を顰め呟いた。
「口を慎め。彼女は助太刀に来てくれたのだぞ!」
「存じてはおります。しかし――」
「……いい。その反応が、正しい、から」
 グウェンドリン・グレンジャーは、若い男性神を諌めた別の神に言った。
 彼女の腰のあたりからは、皮膚を突き破りカラスめいた翼が生えている。
 それは間合いに踏み込みすぎた愚かなジャスティスクルセイダーを串刺しにし、
 ドクンドクン……と、水分を汲み上げる植物の蔦めいて脈動していた。
 吸っているのだ。騎士の身に蓄えられた、不浄ながらも潤沢な生命力を。
「私は、この世界とは、違う世界の……狂気に堕ちた女神の、血を引くもの。
 その死骸を、身体に宿し、力として、振るう者……そういうもの、だから」
 グウェンドリンはそう言いつつも、力を振るうことを躊躇していなかった。
 グールドライバーとはそういうものだ。神から見ても、異質でおぞましい。
 しかし彼女の無表情から放たれる声音には、確かな意思が込められていた。
 敵対者への殺意、そして狂気に抗い従えようとする、"人間"の意思のチカラが。
「……い、いえ、失礼いたしました。窮地を救われておきながら……!」
 若い男性神は頭を振り、力の化身と思しき光の剣を生み出す。
「そうだ、我らも征くぞ! 猟兵に負けてはいられん!」
 男性神を諌めた別の神も力を武器の形に凝縮し、敵に戦いを挑んだ!
「……旧く、けれども、狂気に堕ちざる神。それが、この世界の、神、なのね」
 グウェンドリンは、はたして彼らの姿にどんな感情を抱いただろうか。
 答えは定かならず――なぜならここは、戦場ゆえに!

 グウェンドリンは敵の生命力を吸収し終えると、ばさりと翼を広げ飛翔した。
 そしてぼんやりと青い輝きを放つランプを掲げ、ぽつりぽつりと呟く。
「……私の、幸福感。それと、目の前の、騎士たち……の、血肉。貴女に、捧ぐ。
 羽ばたいて、私の、心の仮面(アルターエゴ)――"モリガン"、よ」
 その身に浮かび上がるは車輪の紋様――そしてランプの輝きが強まった。
 死神の青ざめた肌めいた輝きから現れたるは、狂乱と戦の勝利を司る魔神!
『何……!?』
「……飛んで、モリガン」
 心の仮面、グウェンドリンの一側面でもあるモリガンは狂乱の術を解き放つ。
 すなわち、狂気である。不死の怪物の力をもってすら抗いがたき狂気だ!
 ジャスティスクルセイダーは頭を抑え、あるいは猿叫をあげ、痴れ狂う。
 グウェンドリンは哀れな騎士どもを次々に串刺しにし、喰らっていく。
 まさしく悪魔の業。だがそれこそが、彼女の一部であり、戦う力でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
抜群の強敵の気配に笑み、名乗りを上げる
「秘密結社『スナーク』。スペース剣豪の神酒坂だ」

「神さん方。ちょいと待ちねぇ」
神様達に【礼儀作法】で断りを入れ、前に出る
連中にはちょちょいと指で示せば意図は通じるだろう

・方針
向けられた剣先、奢りに満ちた十字の光線を【見切り】、銀河一文字の切り上げで【切断】したい
光線だろうが正義の威光だろうが、剣刃に合えば一閃あるのみだ

「何故、こんな事が出来ると思う?」
【覇気】を籠めて告げる
「それはお前さん達が偽物のスナークであり、偽物の正義だからさ」

要はスナークと言う意味の奪い合いだ
敵の気を挫き、味方の士気を上げる戦いだ

「神さん方、お待たせした。一つお力をお借りしたい」



●剣刃、白亜を断ち切りて
『――何奴!』
 ジャスティスクルセイダーは、目の前に立ちはだかる男を誰何した。
 奴らはスナーク化により高揚していたが、その熱も一瞬で醒めたらしい。
 戦士として正しい本能と言えよう。
 もしも高揚と狂乱のままに踏み込んでいたなら――死んでいたはずである。
「秘密結社"スナーク"。スペース剣豪の、神酒坂・恭二郎だ」
 伊達男は涼しげな笑みを浮かべて言うと、肩越しに神々を振り返った。
「神さんがた。ちょいと待ちねえ。どうかここは、俺に任せてくれねえか」
「……心得た」
 神々も余計は手出しはすることなく、恭二郎の戦いを見守る構えだ。
 茶々を入れると逆に邪魔になることを、神々は察したためである。
 恭二郎は感謝の言葉を告げ、あらためて敵に向き直り、掌を上向けた。
 そして犬か猫でも誘うように、ちょいちょいと指先を曲げてみせる。
『貴様……!!』
 それで十分だった。白亜の騎士の殺意が、爆発的に膨れ上がる。
 紛れもない強敵だ。恭二郎の涼やかな笑みは、剣士のそれに変わった。

 敵は複数……だが、一斉に襲いかかるような愚は犯さなかった。
 数の利は絶対的である。少数が多数を打ち破ることなど基本的にはありえない。
 地形なり兵糧なり、別の要因が絡むか何かしなければ、多が個を潰す。
 それが常識である……もっとも、尋常の戦場における話だが。
 猟兵とオブリビオンの戦いは常識を覆す。ましてや恭二郎は練達の剣豪だ。
 迂闊に多方から戦いを挑めば、逆に付け入る隙を与えかねないのである。
「さあ、来な」
『――ぬおおおおッ!!』
 おそらく敵の中で一番腕に覚えがあるのだろう、四つ腕の騎士が踏み込んだ。
 その手のすべてに剣を生み出し、死角なき同時攻撃を繰り出す。
 受ければ死。
 避けても死。
 さりとてカウンターを狙うには隙間がない。
 恭二郎は後の先を取った。
 つまり剣を、剣から放たれる光線をも断ち切り、活路を"斬り"拓いたのだ!
『……み、みご、と』
 一瞬の交錯のあと、異形の騎士は真っ二つに両断され、どさりと倒れた。
 敵味方双方がどよめく。恭二郎は残心をしたうえで、言った。
「何故、こんなことが出来ると思う?」
『『『……ッッ』』』
 放たれる覇気を前にして、敵は固まる。
「それはお前さんたちが偽物の怪物(スナーク)であり、偽物の正義だからさ」
 百聞は一見にしかず――いまの立ち会いが、すべてを示していた。
「さて、神さんがた。おまたせした。ひとつお力をお借りしたい」
『こ……ッ、殺せェエエエ!!』
「……応! 我らも神たる本領を見せてくれる!」
 恭二郎の言葉を皮切りに、両軍は爆ぜた風船めいて殺気を迸らせた。
 スナークという言葉への恐怖は、何もかもが真逆になっていた。
 恐れるのは神々ではなく、ジャスティスクルセイダーのほうだったのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウォリア・ノーヴァ
零時(f00283)と
アドリブ歓迎

そう大きな声で呼ばずとも、聞こえている…
(強者の波動を感じ、ドラゴンに乗って上空を飛んでいたが、すっと零時の隣に降り立つ)
フフ…しかし、今度は「神」に協力するとは……レイジ…オマエは全く面白いヤツだな…!

彼の視線を見て、敵を把握
「永遠の星」を掲げて己の【封印を解く】…「伽藍鎧装!星竜剛身!」

…哀れな事だ
…正義たるは何か、「星の戦士」として…教えてやろう

【シールドバッシュ】×【捨て身の一撃】×【威圧】×【恐怖を与える】!
天から飛来する十字をものともせず突き進み、【勇星の煩悶】で空間ごと捻じ曲げる勢いでその「蚩尤の紛い物」と化した肉体を、ぐしゃりと圧縮してやろう!


兎乃・零時
ウォリア(f14305)と!
アドリブ歓迎

騎士め…なんか力を得たらしいけど…ま、負けないからな!
神様も援護助かるぜ!沢山力貸してくれ!

…こんな戦場なら、ウォリアも居そうな気がするよな…意外と居たりするかな…
ウォリア―!いる―!?
…いたー!?え、まじ!?そんな事在る!?



まぁいいや!いてくれるならありがてぇ!

よぉし!
薬飲んでUC

全身に

水【魔力溜め・オーラ防御】だ!
両手両足魔力を籠めて
ジャンプ×ダッシュと駆け上がる!
そう簡単に!この俺様は捉えられないぜ!!!

スナ―クだか何だか知らんが!光線程度じゃ止まりはしねぇ!気合で耐える!

ぶっとべ騎士ども!

光【属性攻撃×踏みつけ】で蹴り飛ばせぇ!!!

うっしゃぁ!



●英雄の世界に降り立つは
 奴らは正義を謳いながら外道を働き、騎士を名乗りながら獣と化す。
 何もかもが欺瞞であり、歪み、そして堕落していた。
 異形の力を得た今、もはや敵には大義名分すら存在していない有様だ。
 なんと醜く……しかし、強大なことか。兎乃・零時は、帽子のつばを押さえた。
「妙な力を得たっていうのは、ウソじゃないみたいだな……!
 けど、ま、負けないぞ。神様、援護をしてくれ、俺様が前に出る!」
 零時は近くの神々に呼びかけ、魔法の弾丸を乱発して敵の攻勢を退ける。
 だが恐るべきは蚩尤の力か。巨体の騎士が身を盾とし、魔力砲撃を防いだ!
『この程度の魔法で、我らの正義を止めようてか! 笑止なり!』
「なんだとぉ!? くそっ、けどこっちも盾になれそうな奴がいない……!」
 零時の魔法は強力だが、十全な威力を発揮するには相応の準備が必要だ。
 前衛を務める相棒がいてこそ、光の力は遺憾なく発揮されるのである。
「待てよ、こんな戦場ならアイツもいそうな気がする……いや、居てくれ!」
 零時は半ばすがるような思いで叫んだ。
「ウォリア! ウォリアーッ! いるかー!?」
 先頃、サムライエンパイアの戦いで邂逅した、謎めいた騎士の名だ。
 仮に居たとして、この乱戦状況では届くはずがないと思われたが……。

『……そう大きな声で呼ばずとも、聞こえている……』
 ばさり、ばさりと羽ばたくドラゴンとともに、降り立つもの。
 それはまさしく、ウォリア・ノーヴァに他ならなかった!
「えっ、まじ!? ほんとにいたー!? そんなことある!?」
『呼んだのは少年……いや、レイジ、オマエだろう』
「お、おう、そうだけどさ……!」
 零時はなんとも言えない表情で、帽子を被り直した。
『事情は……把握している。強者の波動を感じたのでな……』
「なら、力を貸してくれるかっ?」
『ただの助力であれば……拒むところ、だが』
 ウォリアは言った。
『鬼の次は、今度は神に協力するとは……フフ、オマエはまったく面白いヤツだ。
 レイジよ……お前の意志に、報いよう……哀れなる騎士の残骸を、討つために』
 ウォリアは『永遠の星』を掲げ、叫んだ!
『伽藍鎧装! 星竜剛身!!』
 ドウッ!! と重力波を迸らせ、その身が雄々しき巨体へと変貌する!
『新手か……!? 我らの正義を妨げる愚か者どもめ! 報いを受けよ!!』
『……まったく、哀れなことだ。正義たるは何か……それすらも忘れたか……!』
 向かってくる堕落騎士の四つ腕を、ウォリアは真っ向受け止めた。
 そして桁違いの膂力を発揮し、異形の巨体を跳ね除け、剛拳を叩きつける!
『ぐおッ!?』
 3メートルを超えるほどに膨れ上がった堕落騎士は、砲丸じみて吹き飛ばされた!
 着弾した騎士が周りの騎士を巻き込む。戦場にどよめきが走った!
『星の戦士として、正義とは何かを思い出させてやろう……!』
「さっすがだなウォリア! よーし、俺様も負けないぞ!!」
 零時はごくりと秘薬を飲み、宝石兎(クリスタリアンラビット)に変身した。
 そして水銀じみた速度でウォリアの頭上を飛び越え、七色の光線を放つ!
『な……ッ!? は、疾い! 我らの剣をくぐり抜けるとは!』
「へっ! そう簡単に! この姿になった俺様は捉えられないぜ!!」
『我から目を逸らすとは……その報いを、受けるがいい……!』
 零時にかまけていると、ウォリアが猛然たる勢いで進軍し、敵を滅殺する。
 かといってウォリアの相手をしていると、零時の不意打ちを許してしまう。
 まさしく無敵のコンビネーションだ。蚩尤の力をもってしても抗いがたし!
「おお、あのふたりの勇猛さ……まさに古代の勇者そのもの!」
「私たちも、負けていられんな。神の意地を見せねば」
「ええ、そうね! この地の封印は私たちの役目だもの!」
 追い詰められていた神々はふたりの戦いぶりに奮い立ち、彼らを援護する。
 光の輪を生み出して敵を拘束し、あるいは魔力の雨を降らせるのだ。
『何故だ?! スナーク化を、怪物を恐れる神の心が、我らに力を与えるはず!』
『……笑止。借り物の力でいきがる怪物など、恐れる理由がない』
「そういうことだ! スナークなんて怖くないし、全部ぶっ倒してやるぜ!」
 ウォリアの空間圧縮波動が、ジャスティスクルセイダーを捉えた。
 身動きできない敵集団を、光のごとき速度で放たれた零時の蹴りが貫く!
『ば、バカな――ッ!!』
 堕落騎士、爆散! 圧倒的なふたりの力が、敵に恐怖をもたらす!
「うっしゃあ! やっぱサイコーだぜ、ウォリア!」
『レイジよ……オマエも、見事なものだ。さあ……次へ征くぞ!』
「おうっ!!」
 颯爽たる勢いで、ふたりの猟兵は戦場を駆け抜ける風と化す!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

安喰・八束
○臥待(f15753)と

四面六臂に牛頭鳥蹄…まあ詳しくは知らんが
要は魍魎憑きか?

名乗り上げるなんざ、鉄砲撃ちの作法じゃあねえんだが
秘密結社スナーク
猟兵が一、安喰八束
――此れより、悪党共を成敗致す

…臥待の啖呵はガキの口喧嘩みてえだな
付け焼き刃ってのは同感だ
てめえらにゃ義心すら無かろうに

悪党だのなんだのこれだけ煽りゃ激昂して巨大化してくれるかね
その巨体に用がある
動きを見切りながら懐に飛び込み「狼牙一擲」
肉薄し大動脈に銃剣を叩き込み出血狙いの一撃(見切り、鎧無視攻撃、傷口をえぐる)
臥待、これで血は足りるか!!

…こんなもんの貸し借り気にするなんざ
お前さんも大概律儀でいやがるな


臥待・夏報
やっさん(f18885)と

蚩尤知らないのか、エンパイアって中国ないもんね……
魍魎憑きというより神降ろしかな
同じ意味かもしんないけど

同じく秘密結社スナーク、臥待夏報
正義の逆はまた別のなんとやら!
やーい善悪二元論、お前の信念付け焼き刃!
怒らせれば怒らせる程都合がいい(挑発、時間稼ぎ)

おっけー、これだけ膨れたら血袋としては十二分!
大量の血を用いて内臓を抜かれた牛の真実を描き
呪詛の炎で一帯を焼くよ
攻撃は一回、対象を選んでなるべく周囲の敵も巻き込んでおく
正義も悪も神も魍魎も知ったことじゃない
思い知れ、仲間外れは誰なのか

敵の血を借りるのは気が楽だなあ、やっさんのを借りるよりも全然いいよ
返す必要もないからね



●正義も悪も、神も魍魎も関係なく
「なあ臥待、ひとつ気になることがあるんだが」
「急に改まってどうしたの、やっさん」
「いやな……蚩尤ってのはどういう怪物だったのかと思ってよ」
「…………あー」
 安喰・八束の言葉に、臥待・夏報はなにやら納得した様子で頷いた。
「そうか、サムライエンパイアって中国がなかったんだね……蚩尤知らないのか」
「四面六臂、牛頭鳥蹄の神だとは聞いてるがな。どうもピンとこない」
「そうだね。まあひとつ言えるのは――あんなみすぼらしい連中とは違う、かな」
 夏報の言葉に、ジャスティスクルセイダーどもの殺気が膨れ上がる。
『みすぼらしい、だと? それはよもや……我らを指して言った台詞か』
「そうだけど、怒った? これで怒ってくれるなら話は早いんだよなあ」
「ラクしようとしてんじゃねえよ、まったく。とにかくアレだ、名乗りな」
 八束は呆れた顔でツッコミをいれつつ、おほんと咳払いをした。
 名乗りなど、鉄砲撃ちの作法ではない。とはいえそれが必要ならば……。
「秘密結社スナーク、猟兵が一、安喰・八束」
「同じく臥待・夏報! 正義の逆はまたなんとやら、ってね!」
「ああーーこれより、悪党どもを成敗いたす!」
『貴様らッ!!』
 悪党。その言葉が、どうやら連中の逆鱗に一番触れる台詞らしい。
 ジャスティスクルセイダーの群れが飛び込み、猛然たる勢いの連撃を放つ。
 四つの腕すべてに武器を生み出しての攻撃は、死角の存在しない難敵だ。
「やーい、善悪二元論! お前の信念、付け焼き刃ー!」
「ガキの口喧嘩かよ……だがまあ、付け焼き刃ってのは同感だがね」
 大きく後ろに飛び退り、敵の攻撃を避けながら、八束は言った。
「てめぇらにゃ義心がない、その正義とやらで達成したい目的もねぇだろう。
 ただ与えられた力で喜んで、はしゃいで遊んで回ってるだけのガキ同然だ」
『ほざけ、猟兵ァッ!!』
 ジャスティスクルセイダーの体が、みるみるうちに巨大化していく。
 それはリーチの増大と同義。これ以上は、ふたりの身体能力では避けきれぬ!

 ――しかし。
「ようし。そのぐれぇデカくなってくれりゃあ十分よ!」
『!?』
 飛び退ると見えた八束は、まるで獣じみた身のこなしで間合いに飛び込んだ。
 リーチが増大した代償として、敵は至近距離の攻撃に反応できない。
 八束は銃剣をねじるように突き出し、関節部を抉り敵の肉体をぞぶりと貫く!
『ぐお……!! やるな、猟兵。だがこの程度では我らは倒れぬ!』
「だろうな、そんなこたぁ先刻承知よ――臥待、これで血は足りるか!!」
 八束は敵ではなく、後ろで待機していた夏報に呼びかけた。
 しとどにあふれる血が敵味方を濡らす。夏報はにっこりと笑った。
「おっけー! これだけ膨れたら、血袋としては十二分だよ!」
 溢れた血は意志を持つスライムめいてうごめき、地面に"真実"を描き出す。
 内臓を抜かれた牛の真実――それは、焔となって燃え上がる一種の呪いだ。
 吹き出した血は、いわばガソリン。ただし、燃えるのは敵だけである!
『うおおおおおッ!?』
「正義も悪も、神も魍魎も知ったことじゃない。さあ、思い知れ。
 "仲間外れは誰なのか"――そして、焔に巻かれて焼け死ぬのが誰なのか、ね」
 炎はジャスティスクルセイダーから冷静さと身動きの自由を奪った。
 八束は慣れた手つきで頸動脈や急所を抉り、殺し、次をまた殺す。
 屠殺者の動きである。炎は、やはり八束を燃やすことはない。
「敵の血を借りるのは気が楽でいいなあ。やっさんのを借りるより全然いいよ」
「そりゃ血の質がどうこう、って話か?」
「うーん、まあやっさんはもう少し健康に気をつけたほうがいいかも?」
「余計なお世話だ……」
 八束は倒れ伏した敵にとどめを刺しつつ、嘆息した。
「いやいや。実際のところ、敵の血なら返す必要もないでしょ? だから気が楽」
「……こんなもんで、貸し借りを気にする必要もねぇと思うがね」
 夏報の妙な律儀さに、八束はまたため息をつくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
匡兄さんf01612と

蚩尤ってこんな感じ?
やっぱ強ぇのかな?

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波飛ばし残像纏い間近の敵にダッシュで間合い詰め
UC起動しグラップル
拳で殴る
…てか腕も頭も増えてるしどこ狙えばいいんだ?
神々に助力請い
了解だ
弱点狙い攻撃

はーさすが匡兄さん
本領発揮じゃん

あの戦争から1年か
何もかも全く届くと思っちゃいねぇが
呼んでくれた
だから俺だって
負けらんねぇ
匡兄さんの邪魔する奴は全部ぶっ飛ばす

クソ野郎
他の力ぶんどって
いい気になってんじゃねぇ
怒りは判断力を奪う
弱点も聞いたし付け入る隙は十分
第一バランス悪すぎだし
もう動きは見切った
拳の乱れ撃ち

そっちはどうよ?
だよな
どんどん行くぜ


鳴宮・匡
◆理玖(f22773)と


俺も実際の話は知らないけど
怪物の名前ってくらいだし強いんじゃないかな

神様たちに話を聞いておこう
弱点の指示と――理玖が狙いやすいように助言と援護を頼む
……ああ、こっちは弱点さえわかればいい
急所を狙う、なんて何千何万と経験してきたことだ
やり方は身に染みてる
多少異形だったところで変わりやしない

牽制は通常弾を用いて行い
本命の――弱点へ通すのは影を纏った銃弾だ
何発撃ち込めば倒せるか見ながら効率よくやっていくよ

邪魔が入って思い通りに行かないと苛立つだろ?
でも本当はそういう時こそ冷静にすべきなんだ
じゃないと、ほら――また一人減った

ああ、こっちは問題ない
次々行こう、止まってられないしな



●拳を弾丸となし、弾丸を殺意となし
『オオオオオオオッ!!』
 4メートル近い巨体に成り果てた堕落騎士の咆哮が、戦場を震わせる。
 四ツ腕、さらに双頭。加えて巨体化とくれば、異形化のオンパレードだ。
 大剣が見劣りするほどの巨体……繰り出される攻撃は一撃一撃が脅威である。
 神々はこれを縛ろうと力を振るうが、膂力で引きちぎられてしまう!
「ちぃ、やはり蚩尤の力か……! せめて手足の自由を奪えれば!」
「……手足の自由を奪う。それが、あれを殺す弱点なんだな?」
 鳴宮・匡はある神の呟いた言葉を聞き逃さず、反芻した。
「あ、ああ。蚩尤は手足を拘束され、三日三晩苦しみ続けようやく封印された。
 彼奴の手枷足枷が外されたのは封印されたあとのこと。
 すなわち動きを奪いさえすれば、我らの力であの不死を弱められるはずだ」
「さすがに胴体狙いじゃ埒が明かねえ、ってことか。了解だ」
 陽向・理玖は匡と顔を見合わせると頷きあい、神々に後退を頼んだ。
 代わりにふたりは前に出る。理玖がさらに前衛、匡はやや後ろで射撃を務める。
「行くぜ、匡兄さん――変身ッ!!」
 劉珠をドライバーにセットすると、理玖の姿は一瞬にして変貌した。
 全身を覆うは蒼き竜の鎧。理玖は脅威的速度で地を蹴り、騎士を迎え撃つ!
(……あいつ、いつもながらに張り切ってるな)
 匡はジャスティスクルセイダーの手足を狙いながら、理玖の背中を見て思った。
 今回の作戦に際し、理玖を――自らを"兄さん"と慕う若者を呼んだのは自分だ。
 直接言葉にされたことはないが、理玖が気負っているのはわかりきっている。
 匡は自分を"人でなし"と自嘲するような男ではあるが、機微にはむしろ敏い。
 敏いからこそ、対比的に自分の内面を気にする――と、それはさておこう。
 とにかく匡は、理玖が発奮していることを所作から見抜いていた。
 おそらくそれが、自分とともに戦うことに対する気負いであることも。

『邪魔をするな、猟兵ァ!!』
「邪魔をしてんのは、そっちだろうがッ!!」
 蒼と白の装甲がぶつかりあい、ドウン――と衝撃が空間を揺らした。
 体格差は二倍……いや、もはや三倍近い。白亜の騎士は巨大化を続けている。
 ミシミシと鎧は軋み、ひしゃげ、歪む。見るもおぞましい怪物そのもの。
 理玖をして圧されかねない力量差。だが、理玖は装甲の下で奥歯を噛み締めた。
「今だって、届くと思っちゃいねぇ……けど、俺を呼んでくれたんだよ!
 だから俺だって、負けられねえ……負けてらんねぇんだ――よォッ!!」
『ぬうっ!?』
 理玖は感情の爆発を力に変え、歪んだ正義の怒りを押し返した。
 相対的に小さく見える竜の戦士は弾丸じみた速度で蹴り足を放つ。
 KRAAAASH!! 巨体が揺らぐ――そこへ狙いすました弾丸が手足を貫いた!
「匡兄さんの邪魔をする奴は、全部! ぶっ飛ばす!!」
『貴様……!!』
 堕落騎士は四つ腕で迎え撃とうとした……だが、手足は動かなかった。
 匡の狙撃である。弾丸は鎧の関節部から手足の腱を的確に撃ち抜いていた。
 神々がそこに乗じて拘束封印魔術をかけ、蚩尤の力を封じ込めてしまう。
 つまり、身動きが取れない。対して理玖は、もはや敵の動きを見切っている!
「やっぱかっけぇな、匡兄さんは――けど、俺だって!」
 怒りに怒りで対抗してはならない。頭は冷え切って澄んでいた。
 明鏡止水の境地に達した理玖は、飛礫のような量の拳足を鎧に叩き込む。
 十、二十、三十――打撃は百に到達し、ついに巨人の体を砕いた!
『バカなッ!!』
「他の力分捕っていい気になったクソ野郎。思い知れよ」
 とどめの踵落としが頭部を砕き、騎士の残骸は爆散する……!

「匡兄さん、どうよ! 俺もなかなか――って」
 得意げに振り返った理玖は、唖然とした。
 二体。匡の周りに、さきほどの騎士ほど巨大ではない敵が転がっていた。
 自分が相手していた敵を斃している間に、匡は反撃していたのだ。
 見た感じ、それらは無傷に見える……銃撃が見事に急所だけを狙っている証。
「ん。見てのとおりだよ。苛立ってる奴は動きが単純だ」
「……やっぱすげぇな、匡兄さんは。本領発揮じゃん」
「理玖だってよくやってるだろ。おかげで俺は助かってるよ」
 こういうときほど、匡のあっけらかんとした態度は困ったものだ。
 なにせ褒め言葉も平然と出してくる……身構える隙すらない。
「……ありがとよ! けど、まだまだこっからだ!」
 理玖は装甲を纏っていてよかったと、心から思った。
 拳を突き合わせて打ち鳴らすと、竜の戦士は逃げるように次の敵へ向かう。
「……なんだろうな。俺、いまなんか間違ったかな」
 匡は頭をかきつつ後に続いた。やはり、人付き合いは難しいなと思いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイアルテ・ブーゾヴァ
役目を果たしましょう。
「秘密結社『スナーク』の名において、貴方達の名を尽く塗りつぶしましょう」
生命維持装置のリミッターを解除し、CITOGにより巨大な鋼鉄機械兵となり神々に助力を乞いましょう。

敵の数は多く不死の怪物の力によって強化されている。ならば、私が為すべきことは!
鋼鉄の翼を広げ、ジャスティスクルセイダーズの放つ光線が神々に及ばぬように防ぎましょう。

敵が巨大化するのならば、そのためのユーベルコードです。
どれだけ異形であろうとも。
私の体に刻み込まれた完成された武術に『不敗』の二文字はありません。
『アズマ』の名を持つ者…皮肉なものです。

私も嘗ての貴方のように振るいましょう。誰かのために、拳を!


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

狂える騎士共め…邪魔をするなよ…
行くぞ…私は処刑人…そして秘密結社スナークだ!!!

神々と協力して敵群を攻撃

鉄塊剣を振るい[なぎ払いと鎧砕き]で敵を攻撃
[ダッシュとジャンプ]で攻撃を回避しよう

神は彼らだけではない…来い!死神よ!奴らに死を齎せ!!!

【リビング・アーマードゴーレム】で
[地形を破壊]しながら地中よりイシュ・タブを召喚
敵群に[恐怖を与えおどろかせ]奇襲させよう

イシュ・タブの持つ大剣の[範囲攻撃と怪力]で
巨大化した敵群を[踏みつけたり、暴力]の限り、叩き潰そう

その隙に神々と共に敵群を攻撃し[蹂躙]してゆこう…!


ヴィクティム・ウィンターミュート
…まったく、面倒ったらありゃしねえな
またしてもこの世界で戦うことになるとはよ
『ネームレス』はとっくに廃業したんだが…しょうがねえな
期間限定、特別サービスで復活といこう

ハァイ、神々の皆様方
ちょっくら手伝ってやる──なに、楽な仕事だよ
"上半身を飛ばして送るから、そいつを潰してくれればいい"
どういう意味か分からない?じゃ、実演しようか
──セット、『Amputate』
ターゲット設定、実行
あら不思議、趣味の悪い騎士紛いの上半身は斬り飛ばされた
あとはそいつを好きに潰して、トドメを刺せばいい
大抵の奴は、脳を潰せば死ぬだろう?

超能力でも無ければ達人の技巧でも無い
良くある事故を自由自在に起こしてるだけなのさ


リーオ・ヘクスマキナ
……対象が邪神でも、正義でも
狂信者の歪んだ信念が傍迷惑な結果を生むのは、どの世界でも共通かぁ
猟書家の前に先ずは貴方達からだ
その信念、撃ち砕かせて貰うよ!

勿論、神様には協力を要請する

最初からUCを発動。周囲に展開して幻で撹乱
赤頭巾さんの幻影を「被せた」槍に敵の目を引き付けさせ、その間に神様やホンモノの赤頭巾さんに仕留めてもらったり
周囲の風景と同化するよう、光学迷彩の要領で俺の姿を幻で隠し、その間に狙撃したり
何千本もの槍の雨に見せかけた幻の中に、ホンモノの槍を数本混ぜて後ろからグサリ、なんてやったりとか

……カギ爪の男がそうだったように、猟書家本人もかなりの強敵って話だしね
消耗は出来るだけ抑えないと



●猟兵としての役目、戦士としての役目
『我らこそはスナーク化を果たした正義の騎士! そして貴様らを殺す者!
 さあ、我らを恐れよ! 我らの力を恐れ、そして我らの名を恐れるがいい!』
 朗々たるジャスティスクルセイダーの名乗りが、戦場に響き渡る。
 目に見えた異形化、そして目に見えずとも感じられる強烈な殺意と覇気。
 神々をすらも殺害しうるその力は、まさしく怪物の片鱗であった。
「くっ……奴らめ、もはや封印をほぼ完全に解き放ったか」
「このままでは、超古代の惨劇が再び起こりかねぬ……!」
 神々は不死の怪物を――蚩尤を知る。その力を、恐ろしさを、強大さを知る。
 ゆえに封印が解かれればどうなるか、彼らは理解"してしまう"。
 翻ってその恐怖が、スナークという存在しない怪物への恐怖に転じる。
 正しく蚩尤の脅威を知るからこそ、敵に力を与えてしまうのだ!

「神様! あいつらの言うとおりに恐れてちゃ逆効果だよ!」
 そんな神々に、颯爽と駆けつけたリーオ・ヘクスマキナが叫んだ。
「あいつらはそうやって、不死の怪物の力を知る神様を警戒させてるのさ」
「つまり、我々が正しく奴らを警戒すれば、それが奴らの力になる、と?」
「ならばどうすればよいのだ。敵を敵と思わずに斃せと!?」
「普通に考えればめちゃくちゃだろうね。けど、俺は知ってるんだ」
 リーオは大きな帽子のつばを掴んで、笑った。
「対象が邪神でも正義でも、狂信者の歪んだ信念がはた迷惑な結果を生む。
 だからこそ、そういうどうしようもない連中を倒そうとする力もあるんだってね。
 ……俺"たち"は、そのために来た。ああいう手合いは、俺たちの得意分野だよ!」
 然り。そしてリーオの言葉に応えるように、ふたつの影が飛び出した。
 金髪の乙女、ナイアルテ・ブーゾヴァと、漆黒の処刑人、仇死原・アンナだ!
「役目を果たしましょう」
「ああ。猟兵として――そして処刑人として、狂える騎士どもを処刑する!」
 アンナは振り下ろされた白亜の剣を、鉄塊剣によって受け止めた。
 轟音と衝撃がほとばしり、背後のナイアルテの長い髪を揺らす。彼女は動じない。
「秘密結社スナークの何おいて、あなたたちの名をことごとく塗り潰しましょう。
 ――我、神の名においてこれを鋳造す。来たれ、鋼鉄の翼よ……!!」
 ナイアルテは生命維持装置のリミッターを、躊躇なく外した。
 するとその褐色の肌を覆うようにして、巨大な鋼の翼が背中に生える。
 翼はナイアルテの体を包み込み、膨れ上がり……ばさりと広がった。
 現れたるは、騎士の巨体をも上回るほどの、重厚にして苛烈なる機械兵!
 これこそが、生命維持の限界を外したナイアルテの姿なのだ!
「ならば私も鋼鉄の巨人を召喚しよう。来い、死神イシュ・タプよ!!」
 めきめきと地面を割り、アンナの愛機たるキャバリア、イシュ・タプが顕現!
 動力部から迸る地獄の炎を手足に纏い、二体の機械兵士が敵を迎え撃つ!
『秘密結社スナークだと? 我らの名を僭称し力を奪うつもりてか! 笑止!』
「僭称者はどちらでしょうか。言ったはずです、その名をことごとく塗りつぶすと」
「恐怖を与えるはお前たちではなく、我らだ。そして、恐れるのはお前たちだ!!」
 怒りに任せた攻撃を、二体の巨大機械兵は真っ向から受け止めた。
 巨大な剣も、刃から放たれる病んだ光も、鋼鉄の装甲を貫くには足らぬ!
「なんという勇ましさ。我々も戦わねば……!」
「そうそう、それでこそだよ。力を貸してね、神様!」
 リーオは奮い立った神々の姿に莞爾と頷くと、ふたりを支援するため闇に紛れた。
 召喚した相棒の"赤ずきんさん"とともに幻術によって戦場に潜伏し、
 ナイアルテとアンナの攻撃で怯んだ敵を、闇討ち同然に狙撃していくのだ。
 優れた狙撃術を持つリーオと、あらゆる武器を使いこなす赤頭巾だからこそ出来る芸当である!
「奴らの力を縛り付けるぞ! 動きを止めれば援護になるはず!」
「承知した――いや待て、あれはどういうことだ!?」
 その時である。若い男性の姿をした神が、騎士の異様を見て叫んだ。
 さらなる異形化を起こしたか? 否……それはむしろ逆の現象である。
 神々を狙って包囲網を突破した騎士が……正しく言えばその上半身が、
 突然何の前触れもなく"消滅"、いや"切断"され、空中を舞っていたのだ!
「まったく、面倒ったらありゃしねえ。またしてもこの世界で戦うとはよ」
 いつからそこにいたのか、ヴィクティム・ウィンターミュートがうっそりと言った。
「"ネームレス"はとっくに廃業したんだが……まあいいさ、期間限定で復活だ。
 さあ神々の皆様がたよ、ちょっくら驚きのマジックを見せてやるよ」
 ひとつ、ふたつ。
 ヴィクティムが指を鳴らしたり目線を向けるたび、次々に怪物の上半身は吹き飛ぶ。
 これこそがネームレス――ヴィクティムの電脳魔術なのだ!
「なあに、こいつは"よくある事故"さ。さあ、反撃といこうぜ」
 猟兵たちの意気に乗じ、神々は猛烈なる進軍を開始する!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『アズマ』』

POW   :    決別拳
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    瞬断脚
【神速の蹴り】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    捨身投
【自身に近接攻撃】を向けた対象に、【投げ技によるカウンター】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイアルテ・ブーゾヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ――『アズマ』。
 その名が意味するところを、男は決して口にしない。
 する必要がないのか、あるいは意志と呼べるものは存在しないのか。
 仮面の下の貌(おもて)は定かならず、ただひとつ確かなのは……殺意だ。

「殺す」

 ただ一言、男はそう言った。
 それだけで空気が張り詰め、神々の中には冷や汗をかいて膝を突く者すら居た。
 大なり小なり、生命が生命を奪うのには理由が存在する。
 獣とて遊びやストレス解消のために命を奪うことがあるのだ。
 それにすら、"遊びのため"だとか"ストレス解消のため"という理由がつく。
 快楽殺人鬼のようなサイコパスでも、快楽を求めての行為である。
 理由なく生命を奪うモノなど、この世には存在しない。
 機械ですら、起動した人間の意志があってこそ動くものなのだから。

 だが。
「おまえたちは、殺す。神も、人間も、そうでないものも、なにもかも殺す」
 アズマに、"それ"はない。
 殺意のほかには、快楽を求める心も、苛立ちも、食欲も、なにもない。
 そもそも欲求というものがない。だが意義も、意味も、なにもない。
 猟書家だからとか、そういうレベルですらないのだ。
 数万、数億年を閲して磨き上げられ凝縮されたような、厳然たる殺意である。
 殺意だけが、そこにある。研ぎ澄まされ、剥き出しとなった殺意が。

 アズマという名は、不敗を象る名だという。
 敗北という文字を識らぬ、無敵の武術に由来するという。
 同じ武術を修めた女が此処に居る――それにすらも男は反応を示さぬ。
「猟兵も、神も、怪物も、すべて殺す。ただ、殺す」
 言葉は脅迫や示威というよりも、ただの宣言、あるいは事実確認であった。
 殺すのである。
 あらゆる武技を、魔術を、何もかもを押しつぶし、圧倒して、殺すのだ。
 やつにはそれが出来る。神々ですら皆殺しにしてみせるだろう。
 対抗しうるは猟兵のみ――まさしくそれは、不敗という概念そのもの。
 覆す方法は奇跡、すなわちユーベルコードのみ。

 かつて誰かのために振るわれた拳の面影は、もはや其処にはない。
 そこかしこから始原の炎、地球の中心より萌え出る火柱が噴き上がった。
 世界の中心。剥き出しの殺意を迸らせる怪物を討つには似合いの舞台か。
「戦うことが、怖くはないのか。この身の前に立つことが、恐ろしくはないか」
 立ち向かう意志を見せた猟兵たちに対し、アズマは言った。
「ならば、殺してみせるがいい。――さもなくば、お前たちも殺し尽くす」
 試すような言葉は、はたして挑発か、あるいは。
 闇色の仮面は何も映さない。踏みしめた両足がみしみしと地を軋ませる。
 ただひとつ確かな殺意が、ただひとつ確かな答えを示す。

 この男は、殺さねばならない。
 全身全霊を賭けて、死力を尽くさねば、殺せない。
 ただ、それだけのことである。
 
●プレイング受付期間
 11/29(日)23:59前後まで。
神酒坂・恭二郎
「行きついてしまったお人だね……」
いっそ現象と化したが如き殺意に溜息が漏れる
純度を突き詰めた結果なのだろう
殺意ならば万物不常の理を体現したものか……

「おっと、言葉は無意味だね」
何処まで行っても剣聖には至らぬ、スペース剣豪の結論なんてただ一つだ

・方針
居合で行こう
剣の間合いの中に入った物を斬る居合ではなく
拳の間合いの中に入って斬る居合だ
柄頭を当てた距離で斬る。そんな居合の技だ
【覚悟】一つがあればいい

剣に優位の間合いを投げ捨てて、敢えて拳の間合いの内で挑む
我ながら頭が悪いが、此処を勝負所と見定めたから仕方ない
後は賽子を振るだけだ

この灼熱の“今”を奴が感じられないのなら
それは哀しむべき事かもしれない



●武の、行き着く果て
 己も、ああした境地に覚えがないと言えば嘘になる。
 武とは結局のところ、己の意を通すために暴力を極めるということだ。
 活人剣だなんだとおためごかしをしたところで、他者を害することに変わりない。
 当然だが目を背けがちな事実を常に心に留めることが大事なのだ。
 神酒坂・恭二郎は『アズマ』の姿を見た時、まず最初にため息をこぼした。
 いっそ現象と化したが如き殺意。ある意味では、武人として理想的な姿。
 研ぎ澄ませた殺意は淀みなく、驕ることなく、また躊躇することもない。
 万物不常の理を体現したような……だが、どうしようもなく哀しい有様だ。
「行き着いてしまったお人よ。言葉は無意味だろう」
 恭二郎はゆったりとした、しかし隙のない所作で居合を構えた。
 瞬間空気がぴっちりと張り詰めて、もはや誰も手出しできなくなる。
 見えない壁が、恭二郎とアズマを円形に包み込んでいるかのようだった。
 仮に不用意に踏み込んだ愚か者がいれば、即座に拳と剣で鏖殺されるだろう。
 達人同士の立ち合いは、そのような領域に至る。これが、実例だ。

「…………」
 アズマはオーソドックスな正拳突きの姿勢で、微動だにしない。
 先の先、後の先、どちらも完璧に奪えるだけの集中力。
 攻め込めば死ぬ。
 だが待てば死ぬ。
 恭二郎はにじり寄る――寄らざるを得ない。挑むのは己のほうだ。
 数ミリ動くだけで悲鳴を上げたくなるような恐怖が襲う。……心地よし。
(何処まで行っても、俺は剣聖には至れまい)
 口元の笑みをこらえきれない。
 真剣勝負の愉悦を殺しきれない。
 無念無想の境地など涅槃のごとし……だが、己はそれでよい。
「悪いね、先駆者よ」
 恭二郎は言った。
「其処を退いておくれ――俺が行く道なんだ」
 はたして言葉が先んじたか、あるいは後に回ったか。
 両者は同時に動いていた。

 素手と武器には、0と1ほどの隔絶が存在する。
 あらゆる戦いにおいてリーチは絶対的な差であり、素手では埋められない。
 魚は空を飛べないし、鳥は泳げない……そういうレベルの常識だ。
 だが道を究めた者は、そんな常識をたやすく覆す。
 そういう化け物こそが、ユーベルコードという境地に達する。
 アズマの拳は紛れもない魔道だった。
 剣より疾く、そして鋭く、重く、強烈な拳。
 常識外の一撃を破るには、常識外の一撃を以てする他になし。

 拳が、恭二郎の胸部を捉えていた。
 紛れもなく即死の一撃。心臓を貫いて骨と肉が背から噴き出す威力――で、ある。
 そのはずだった。だが結果は、両者が反発力めいて吹き飛ぶだけ。
「…………ぐ、ッ!!」
 圧し殺した呻き声を、どちらともなく漏らしていた。
 口元からぽたぽたと赤黒い血が溢れう。アズマも、恭二郎も。
 何が起きた? ……卓越した動体視力の持ち主ならば見抜いたことだろう。
 拳が着弾するコンマゼロゼロ秒前、恭二郎の柄頭が敵の腹部を突いていた。
 そしてわずかに敵の体を押し出し、勢いを殺さぬまま刃を当てて斬っていたのだ。
 拳の距離で繰り出す居合。常識外の一撃――まさしく、勝負師の業。
 アズマの鋼鉄じみた腹筋に、横一文字の剣閃が刻まれていた。
 加えて、柄頭による衝撃。アズマは血を吐き、捨て、そして構える。
 胸部をぶち抜く拳の威力は、押し出しによりわずかに殺されていたのだ!
「……哀しいねえ」
 恭二郎は言った。
「この灼熱の"今"を、お前さんは感じられないなんてさ」
 口元を朱に染めながら、いっそ涼やかな笑みだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「うん、楽しそうで美味しそうな敵さんだね。」
そうは思わない?神様?

UCで吸血鬼化して戦う。
作戦はシンプル。神様に、僕を囮に僕ごと敵さんを攻撃してもらう。
それで隙が出来れば、僕も体を再生しながら全力で喉元に噛み付いて血を奪うかな。
敵さんの気を引く様に全力で体を直して全力で血を奪いにかかる事で、神様の動きを悟られない様にする事にしよう。

という事で、僕は強化された戦闘能力を駆使して敵さんに突っ込む。
拳が命中して破壊された箇所はすぐに直しつつ、こっちもお返しに二振りの大鎌でバラしにかかるって事で。

「いやぁ、素手でここまで破壊されるとはねぇ。」
まあ、それでも死なないのが僕っていう鬼なんだけど。



●鬼と鬼
「っははははは!!」
 まるで無邪気な子供のような、心の底から楽しそうな笑い声だった。
 神々は肝を冷やした――あれは敵ではなく、味方の声だというのに。
 須藤・莉亜の戦いぶりは、それほどまでに壮絶なものだったのである。
「楽しいなあ! ねえ、キミは楽しくない? どっちでもいいけどね!」
 アズマは何一つ応えることなく、淡々と拳を繰り出し、足を振りかぶる。
 一撃ごとに莉亜の手足は破壊され、骨が砕け、肉が飛び出し、臓器が爆ぜた。

 そして、恐るべき速度で再生する。吸血鬼の再生能力だ。
「ああ、痛い痛い! 痛みを感じるのも久々かもしれないなあ!」
 莉亜は普段のダウナーな雰囲気をかなぐり捨て、狂った笑みを浮かべていた。
 拳が頭部を砕く。半壊した頭部を血の力で再生させ、強引に体を掴む。
 肩を掴んだ腕が膝で破壊される。くの字に折れ曲がった片腕が急速に再生する。
 原初の血統(オリジン・ブラッド)。吸血鬼が吸血鬼たるその所以。
 自己の崩壊すらも厭わぬ速度で繰り出される攻撃は、アズマにさえ匹敵する。
 防御も回避も考えない、ごくごくシンプルな猪突猛進。
 戦術など欠片も存在しない……しかしそれゆえに、強い。
 命を削るなど、莉亜にとってはどうでもよかった。
 もしかしたらこの先、いつか後悔する日が来るのかもしれない。
 だとしても、今はどうでもいい。だって、こんなに、愉しいのだから。

 神々の心胆を寒からしめたのは、なによりも莉亜の提案だった。
「――行くぞ、頃合いだ!」
 神々は莉亜の言葉に従い、彼が掴みかかった瞬間に全力を解き放った。
 莉亜をも巻き込んだ壮絶な集中攻撃。当然のように、莉亜の体は消し飛ぶ。
「――……愚かな」
 アズマは小さくそう言った。その声すらも光の奔流に呑まれた。
 莉亜は無限じみた再生力を武器に、死なばもろともで攻撃を命じたのだ。
 もっとも、この程度では彼の命脈を断ち切ることなど出来ないが。
「いやぁ、素手でここまで破壊されるとはねぇ――けど!」
 ぞぶりと、莉亜の牙がアズマの鎖骨付近に食い込んだ。
 肉ごと血を貪る。ぶしゃあ、と噴水じみた量の赤が始原の焔に混ざった。
「それでも死なないのが、僕っていう鬼なんだ。だからさあ、もっと楽しもうよ」
 武を究め、純化された殺意という境地に到達した鬼と。
 原初の血統を受け継ぎ、死すらも超越した吸血鬼。
 同じ鬼の戦いは、どうやらまだ始まったばかりであるようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
そうか
では退場しろ

破界で掃討
対象は戦域のオブリビオン
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、魔力を溜めた滝内で統合し『解放』を通じ更に魔力を注ぎ干渉力を極大化
天の星を束ねたが如き魔弾を全方向へ斉射
更に射出の瞬間を『再帰』で無限循環、間断なく継続
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

速さ強さ巧みさ
全て正面から捻じ伏せよう
故に全力で俺を滅しに来い
僅か緩めれば消滅以外無いと知るが良い

届く攻撃は『刻真』で部分的な加減速により偏向、『天冥』と合わせ逸らし『天光』で見切り回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給
※アドリブ歓迎



●滅殺VS滅殺
 蒼き光が降る。
 それは可視化された滅び。
 一切の道理もなく、ただ純粋に存在を滅殺する研ぎ澄まされた原理そのもの。
 殺意を研ぎ澄ませた不敗の象徴を滅ぼすには、まさしく似合いの光だ。
「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す」
『アズマ』は機械的にただそう言い、あろうことか拳足で光を迎撃していた。
 速度も鋭さも人外の域に達しているが、恐るべきは光を拳で砕くという芸当だ。
 アルトリウス・セレスタイトが生み出す蒼き光は、原理の結実。
 世界の外側、根源から組み上げた消去と滅殺の概念そのものである。
 これを拳で砕くなど、いわば空を拳で砕くようなものだ。
 どれだけコップで水を汲み上げても、海という概念は壊せない。
 当然の理だ。常識、倫理、そういうレベル以前の、根源的な摂理である。
 だがこの男は、その摂理をただ力と技術によってねじ伏せようとしていた。
 何故?
 ――殺すためだ。
 目の前の敵を、
 アルトリウスを、
 ただ殺すためだけに。
 理由などない、
 因果もない、
 感情もない。
 殺すから殺すという矛盾。アズマは、それを現実にしようとしている。
 これほどの化け物でなくば、不死の怪物は殺せないのだろう。
「――いいだろう。ならば全力で来い。俺を滅しに来るがいい」
 アルトリウスは自身の周囲の時間流を加速させ、魔弾と同時に攻撃を仕掛けた。
 概念的速度から繰り出された攻撃を、アズマは無意識で反応し受け流す。
 魔弾が降り注ぐ。両者は魔弾の雨の中を高速で飛びながら拳を繰り出しあった。
 まるで竜が雷鳴轟く黒雲の中を、喰らいあいながら飛翔するかのようだ。
 人間が手を出せる次元の戦いではない――いわんや、神をや。
「あの猟兵は、一体何者なのだ。一体、どのような術理を修めればあのような」
 若き神は、ただ呆然と呟き、見上げるほかなかった。
 神すらも滅殺する、恐るべき蒼き光と、その中を切り裂く二条の光を。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーフィ・バウム
戦場に立つなれば。【覚悟】はいつでも。
けれど、貴方に殺されるつもりはありません!

「秘密結社スナーク」のユーフィ、参ります。
ありったけの【勇気】と共に!

アズマには【衝撃波】を見舞い間合いを測りつつ、
敵の打撃を天性の【野生の勘】、培った【戦闘知識】を
駆使して【見切り】、【カウンター】の【鎧砕き】の
一撃で削る

相手の攻撃を完全に避けるのは難しいでしょうが、
【激痛耐性】や他耐性で堪え
攻撃の手は止めない

【力溜め】つつ【怪力】の
拳や蹴りを打ち込んでいきますよ!
溢れる【気合い】と共に!

消耗させ、相手の隙を作ることが出来れば
【ジャンプ】で舞いつつの《トランスクラッシュ》!
オーラを込めたヒップアタックで勝負です!



●勇気を胸に
 蛮族たるもの、戦場での死を恐れるべからず。
 されどそれは無駄死にに非ず――死を以て勝利すべし。
 幼き蛮族戦士、ユーフィ・バウムは大人顔負けの覚悟を心に秘めていた。
 敵が超絶の拳士であろうとも、向こうに回して怯みはしない!
「秘密結社スナークのユーフィ、参ります!」
 さながら戦士の礼のように名乗り、ユーフィは正面から飛び込んだ。
 尋常の立ち合い――ことに格闘戦であれば、体格差は絶対的な差になりえる。
 それを覆すのがユーベルコード使いであり、そして猟兵とオブリビオンだ。
 ユーフィは懐に踏み込むギリギリのところで踏みとどまり、拳で空を薙いだ。
 拳撃は衝撃波を生み出す。アズマは空気そのものを裏拳で叩き踏み込む。
 ユーフィは頭部をスイカめいて砕かれる己を幻視した。コンマ秒後の現実だ。
 野生の勘がもたらした危機感知に従いユーフィはしゃがみこむ。
 頭部狙いの肘打ちを回避。立ち上がりながらタックルを――棄却。
 もしも彼女がプラン通りに飛び込んできたら、鋭い膝が迎え撃っていた。
 布石である。ユーフィは拍子を崩したところで相手の膝を取りに行く!
「――甘い」
 しかし敵はさすがは不死殺しか、ユーフィの搦手すらも読んでいた。
 繰り出しかけた膝を斜め下に抉るように叩き込むことで、ユーフィの腕を撃つ。
「く……!」
 常人であれば骨どころか肩から引きちぎれていた一撃である。
 ユーフィは衝撃に逆らわず吹き飛ばされた。ごろごろと地面を転がる。
 アズマは地面を砕くほどの踏み込みでユーフィを追う。危険だ!
「この程度の痛みで、私は止まりませんっ!」
 即座に起立したユーフィは、大地を断ち割るかのようなかかと落としを防御。
 あえてのクロスガードである。踏みしめた両足がバガンッ!! と地面に埋没。
 力比べの格好になる……拮抗! ユーフィは力任せに押し返す!
「何?」
(消耗を待っている余裕はない、ならっ!)
 ユーフィは作戦を変更し、一か八かのボディアタックで打って出た。
 体勢を崩されたアズマでは、反撃が出来ない。ボディアタックが炸裂する!
「……!」
 今度はアズマが吹き飛ぶ番だ。両足と片腕を地面に突き刺し勢いを削ぐ。
 たらり、と額から血が一筋溢れ、仮面を汚した。立ち合いは互角、いや……!
「……戦うことを恐れず挑むか。ならば、殺す」
「いいえ、勝つのは私たちです。ここで死ぬつもりはありません!」
 両者は再び大地を蹴りぶつかりあった。命を賭け、命を掴む死闘を征するために!

成功 🔵​🔵​🔴​

天道・あや
【星の軌跡】

……このとても鋭く冷たいプレッシャー。即ち殺の気、…殺意。どこぞのサングラス掛けた龍のおっさんとかこの辺りを牛耳ってた鋼神さんとかを思い出すような…

一人だと厳しかったかかも

でも、今回は黒城さんと先輩が居るから問題ナッシング!黒城さんよし!先輩よし!あたしよし!それじゃ、過去の壁、ぶち壊して進ませて貰うぜ?未来への道を!


今回は先輩にお任せ!あたしはサポート、相手の動き【見切り】、先輩の邪魔にならないタイミングでCDを投擲したり相手の気を反らす為に【存在感】アピールして【おびき寄せ】!


……真正面から立ち向かってる先輩が倒れそう、膝をつきそうになったら先輩に向けUC発動!先輩!頑張って!


黒城・魅夜
【星の軌跡】
ふふ、その幼稚な恫喝があなたの殺意とやらですか
あなたの浅薄な「殺意」と悪霊たる私の無際限の「悪意」
どちらが真に怖ろしいものか知るといいでしょう

忠重さんが前線ですね
ならば私は遊撃として忠重さんのフォローを
忠重さんの輝くオーラが作りだす「闇に紛れ」ながら
「早業」「範囲攻撃」で鎖を舞わせ撃ち出します
ふふ、ですがその目標は──大地
地の底を穿ちあなたの足元から無数の鎖があなたを襲うのです
回避しようと体勢が崩れれば忠重さんの餌食
鎖をまともに喰らえば……ふふ、それがあなたの終わり
思い出しなさい、もともとあなたなどは
世界に存在したことさえなかったのですよ、ふふ


藤原・忠重
【星の軌跡】【POW】

自然現象の如き凶拳を前に、常と変わらぬ太々しさで。

「薄っぺらな殺意、幼稚な暴力」

「そんなものじゃ、人の心は折れねえ。曲がらねえ」

鏖殺? やってみせろ、できるものなら。

【気合い】を入れ【覚悟】を決め、真正面から【ダッシュ】。
ガードを考えず、【捨て身】で拳足を【乱れ撃】つ。
四肢を砕かれようと【激痛を耐え】て【念動力】で浮き、
オーラの【砲撃】【誘導弾】で【弾幕】を張り【継戦】。

致命の急所に敵UCが迫れば、直撃寸前でUC発動。
砕かれた傍から形を結ぶ、物質性を持つ精神波動の身で戦闘続行。

『俺が俺を曲げねえ限り、俺は死なねえ』

況して、頼れる仲間もいるとあらば。

『猶更負ける気がしねえ』



●星の如く輝け
(これほどの鋭く冷たいプレッシャー……ひとりだと、厳しかったかも)
 アズマと相対する天道・あやは、こめかみを流れ落ちる冷や汗を拭った。
 こうして構えているだけでも、可視化されるほどの殺意があやの全身を貫く。
 まるで針のむしろに押し込められているかのような、苦痛と息苦しさ。
 彼女がいくつもの強敵との戦いをくぐり抜けていなければ、
 とっくに心折れていたかもしれない。

 だが、あやを立たせていたのは、何もこれまでの戦いの経験だけではない。
 ともに戦うふたりの仲間――黒城・魅夜と藤原・忠重の存在があらばこそ。
 彼らは泰然自若として、微笑みすらしてこの人の形をした鬼と相対していた。
「……黒城さんよし! 先輩、よし! そして……あたし、よし!!」
 重く覆いかぶさるプレッシャーを振り払うように、あやは元気に叫んだ。
「さあふたりとも、過去の壁をぶち壊して進ませてもらおう! 未来への道を!」
「ええ、もとよりそのつもりです。相手が誰であろうと」
「当然だ。殺意や暴力じゃ、人の心は折れねえ。曲がらねえ!」
 アズマはぐっと腰を落とし、低く呟いた。
「恐れを抱きながらも戦うことをやめないか――ならば、殺す」
 言葉は形を得た鋼鉄のように重々しく、そして実感を伴っていた。
 先に仕掛けたのはアズマだ。巨体が、一瞬にして三人の間合いに踏み込む……!

「やってみろ、出来るものなら!!」
 これに対しまっすぐ戦いを挑んだのは忠重である。
 その身を輝くオーラが包み込み、アズマと鏡合わせめいて拳を繰り出した。
 激突するたびに大気がドラのように鳴り響く。威力は、敵のほうが上だ。
 打ち合うたびに忠重の拳足は砕かれ血が噴き出すが、彼は止まらない。
「どうした、俺を殺すんじゃねえのか!!」
 腹の底からドスの効いた声を放ち、挑発する。アズマは無言。
 がら空きの胴へ抜き手が放たれる――と見えたが、アズマは不可解にも伏せた。
 そして地を薙ぐ蹴撃を繰り出す。狙いは忠重ではない、鎖だ。
 オーラの影に隠れた魅夜が、地の底に打ち込もうとしていた鎖である。
 アズマは忠重の相手をしながら、魅夜の狙いを読んでいたのだ。
「この程度は悟られますが……ですが、いつまで私たちを相手していられますか?」
「そうだよ、ここにはあたしだっているんだから!!」
 逆方向からあやの攻撃。投擲されたCDをアズマは見もせずに裏拳で撃ち落とす。
 そこへ忠重のオーラ砲撃。裏拳の勢いに乗った回し蹴りが光の魔弾を撃墜した。
「チッ、遠間の牽制じゃ届かねえってか? ならやってやるぜ!」
 忠重はオーラによる弾幕を放棄し、こちらからあえて敵の間合いに踏み込んだ。
 そこはアズマの領域だ。当然、狙いすました拳が胸部をぶち抜こうと奔る。
 心臓を抜き取るどころか、拳の衝撃は背中から臓物ごと血肉を爆ぜさせるだろう。
 それほどの一撃を忠重はまともに受けた……しかし、死んでいない!
「俺が俺を曲げねえ限り、俺は死なねえ」
 血の唾を吐き捨てて、忠重は言った。けして無傷ではない。
 だがその誓いが、我は此処にありというエゴが、忠重を立たせる。
 物質化するほどの精神波動、それこそが忠重の本質であり、真の姿なのだ。
「それにお前と戦うのは俺だけじゃねえ……なおさら負ける気がしねえな!!」
 アズマと忠重は超接近距離で攻防を交わす。威力、速度、技量、いずれも敵が上。
 だが砕かれようともがれようと斬られようと、忠重は倒れない。下がらない。
 児戯じみたその傲慢さこそが、鉄壁に思われた敵の防御に亀裂を走らせる!
「先輩、頑張って! 後ろにはあたしがいる、隣には黒城さんがいるんだから!」
 あやは敵の攻撃を牽制しながら、ボロボロの忠重に叫んだ。
 心を揺り動かす声の魔術。それが、忠重の口元に笑みをほころばせた。
「当たり前だろうが、俺がこれしきで斃れるものかよ!」
「そうこなきゃ! ――さあ黒城さん、いまだよっ!」
「ええ。私の鎖は何者をも逃さぬことを思い知らせてあげましょう……!」
 忠重は顔面狙いの拳を真正面から受け止めた。しかも頭は爆ぜていない。
 ぶちこまれた拳を強引に鼻っ柱で押し返したのである。なんたる傲岸不遜!
 アズマは気圧されたかに見えた。その時、地面から無数の鎖が蛇めいて出現!
「――これは」
 アズマは鎖を迎撃しようとする。だが拳を引けば忠重はその隙を逃すまい。
 刹那が永遠に思えるほどの状況判断……アズマは、鎖の魔力を警戒した。
 四方から襲いかかる鎖を神速の打撃で迎撃する。そして防御――あやのCDが命中!
「させないっ!」
 クロスガードしようとしたアズマの動きが、ほんのコンマ秒だけ遅れた。
「――これが、俺たちだッッ!!」
 お返しとばかりに、忠重は全体重を乗せてストレートパンチを繰り出す。
 胸部ど真ん中に拳を叩き込まれたアズマは、地面と平行に吹っ飛んだ!
 敵がいかに強大であろうと、恐れることなく、おもねりもせず、ただ突き進む。
 愚直なまでに三人の信念と覚悟が、恐るべき猟書家の殺意を上回ったのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

劉・涼鈴
殺す? そいつぁ無理だね! だって私がいるから!

【気合い】入れていくよ!!
私の突撃に合わせて、【インフィニティ・ブレイカー】と【アサルトケルベロス】で体当たりを仕掛けて【吹き飛ばし】!
さらにダイナソウルから首だけ瞬間召喚したギガレックスの【ジェノサイド荷電粒子砲】で【砲撃】!

お前は強いけど、人生楽しんでないね!
ずーっと高みに登って、ひとりぼっちだ!
戦うのだって遊ぶのだって、相手がいてこそだよ!
つまんないヤツになんか、負けてやるもんか!

神速の蹴りを【野生の勘】で【見切って】、全身全霊の【劉家奥義・鷹爪嵐迅脚】で蹴っ飛ばす!!
でぇりゃあああ!!



●劉家の誇りにかけて
「でえええやああああっ!!」
 劉・涼鈴は裂帛の気合を込め、練り上げた気を拳に集中させた。
 そして大地を踏みしめ正拳突きを繰り出す――アズマの拳と正面衝突!
 ドウン――!! と、余剰したエネルギーが大気をドラのように打ち鳴らす。
「……殺す」
「殺す? そいつぁ無理だね! だって……私がいるんだからっ!!」
 両者は大きく飛び離れ、そして円を描くように間合いを保った。
 ちょうど90度ぶんの移動をしたところで、再び激突。今度はアズマが仕掛ける!
「お前は強いけど、人生楽しんでない! ずーっと高みに登ってひとりぼっちだ!」
 涼鈴はアズマの突撃を迎え撃ち、無数の乱打を丁寧にいなした。
 拳、拳、足、拳――フェイント、脇腹狙いのミドルキック。膝と肘で挟み殺す。
「戦うのだって遊ぶのだって、相手がいてこそだよ!」
 涼鈴は蹴り足を離すと同時に、軸足を切り替えてハイキックを繰り出した。
 アズマは裏拳でキックを弾き、ショートフックを放つ。涼鈴は後退。無傷!
「つまんないヤツになんか、絶対負けてやるもんか!!」
 そして再び距離を取って様子見……と見せかけ、涼鈴は即座に地を蹴った。
 さらに召喚されたインフィニティ・ブレイカーとアサルトケルベロスが、
 涼鈴の突撃に並走する形で突っ込む。アズマは神速の正拳突きで両機を破壊!
「もらった!!」
 そこに涼鈴の掌打が割り込む。アズマの胴体を撃ち、大きく吹き飛ばした。
 涼鈴の背後の空間からギガレックスが首だけ顔を出し、荷電粒子砲を叩き込む!
「……戦いに楽しみを見出すか。愚かな」
 アズマは一切の動揺を見せず、吹き飛ばしの勢いを殺し体勢を立て直す。
 荷電粒子砲が着弾――否! あろうことか、粒子砲を鋭い蹴りで切り裂いた!?
 どれほどの修練を積めば、ビームを徒手空拳で切り裂けるというのか!
「そうやって楽しむことすら忘れて、自分さえも失うよりはずっとマシだよ!
 私はそんなふうにはならない、お前のことだって、全身全霊で否定してやる!」
 涼鈴は恐れず突き進んだ。最後に頼れるのは己の五体のみ!
 アズマは蹴り足の勢いを殺さずさらに二連蹴りを放つ。神速のカウンターだ。
「――見切った!」
 涼鈴が競り勝った。踏み込みのタイミングをわずかにズラして蹴り足を回避!
 そしてがら空きのアズマめがけ……最後の跳躍からの飛び蹴りを叩き込む!
「でぇりゃあああああっ!!」
 これぞ劉家奥義、鷹爪嵐迅脚! 絶招炸裂す!
 鷹の爪もかくやの鋭い蹴りは、なるほど嵐さえも切り裂いてみせるだろう。
 アズマは全衝撃を喰らい、地面と平行に吹き飛ばされる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮前・紅
【SPD】
感情のない人形みたいだね?彼
彼を抑えるには心を縛るものよりも、圧倒的な力の方が有効手段かな?
回避しようとするよりも
攻撃すると見せかけながら避ける方が良さそうだね(フェイント+激痛耐性)
手数を多くして相手の動きに制約をかけてみようっと

殺すしか能のない君のような憐れな人間が俺は大嫌いなんだ
人らしい感情を持っていたのかもしれないなんて──そんな期待無駄だ
けれど俺は
彼がそうして或る理由を知りたいんだ
(UCを発動する)

他力本願になるけど、他の猟兵達も隙を見て攻撃してくれる筈
俺は足が切断されようと腕が切断されようとも
君が死ぬまで死力を尽くす
それがせめてもの救いだと思うから

アドリブ·連携大歓迎です


戎崎・蒼
【POW】
意志は無く、しかしながら器には殺意が残ったまま…か
けれど君の言う生殺の言は、否応なく向けられていいものじゃあない
兎に角、君は自身が愚者ならぬ行為をしている事を思い知る事になる
君のその意志が故に、ね

僕は近接戦には向かないのだけど、後方支援に重きをおいて隙を狙おうか
残念ながら彼の攻撃を躱す術を持ってはいない
だから銃弾をその拳に当てる事で相殺を試みるよ
そして銃弾が当たったのならUCを発動

君には殺意しか残っていない
……もしも君が、須く全てを殺さなければと思っている君が、だ
"殺意を持ってはいけない"のだとしたら───君はどうするのだろうね?
さあ、反撃開始だ

※アドリブ連携大歓迎



●けして交わらぬ紅と蒼
「……殺す」
 猟兵たちの攻撃を立て続けに受けてなお、アズマは健在であった。
 傷の度合いは明らかに深い。しかし、殺戮行使の意思に揺らぎはない。
 通常、深手を負った敵は意気軒昂となるか、さもなくば逃走を考えようとする。
 アズマにはどちらもない。そもそも負傷を気にしてさえいないのだ。
 それは、アズマが負傷を厭わず行動できるということを意味しない。
 ダメージは確実に入っている――その上で、「意識していない」のである。
 一切のノイズのない純化された殺意。まさしく、形を得たそれそのものだった。

「あっははは! 感情のない人形みたいだねぇ? 彼」
「……あまりあげつらうな。たとえ、隙にならないとしても」
 宮前・紅のからかうような言葉に、戎崎・蒼は嘆息混じりに言った。
 蒼にはわかる。あのアズマという名を背負う男が、かつて生者であった頃。
 はたしてどれほどの鍛錬と研鑽を経て、あれほどの武技を身につけたのか。
 蒼もまた戦闘者のはしくれであり、持って生まれた異能ではなく戦場で身につけた技術と知識、そして勘で戦う傭兵だからこそ。
 かつてあれが人間らしい存在だった頃、血の滲むような日々があったのだと。
 だから蒼は――もともとそんなタイプではないが――紅のように、無機質な人形めいたその姿をあげつらったり、揶揄する気にはなれなかった。
 転じてそれは、生前のアズマを貶めるような行為に思えてならなかったからだ。
「蒼くんは優しいねぇ? あんな空っぽの人形みたいな敵に感情移入してんの?」
 紅はそんな蒼のかんばせから、苦悩の色を読み取りくすくすと笑った。

 ……しかしアズマを睨むと、そんな"らしい"表情はすとんと消えて落ちる。
「俺は大嫌いだけどね。あんな、殺すしか能がない哀れな人間はさ」
「…………」
「人らしい感情を持っていたのかもしれないなんて、そんな期待は無駄なだけ。
 だから、いまさら過去がどうだったとか、悩んだって仕方ないと思うよ?」
 紅の言葉は事実ではある。オブリビオンは過去の残骸に過ぎない。
 かつてどこかの世界を生きた存在が、そのまま蘇ったものとはわけが違う。
 破滅と殺戮という、ただ未来を破壊する行為を目指すように歪められたモノ。
 だから、蘇生や黄泉還りではない。紅は、それを重々理解しているのだ。
「――でもそうだね。あんなふうになった理由は、俺も知りたいかな」
 紅の言葉はからかいと揶揄に満ちているが、けれども。
 そこには一種の怒りがあった。死者を貶める世界の構造そのものへの怒りが。
「目的は同じじゃない? 手を組む価値は十分あると思うけど?」
「……珍しいな、そっちから共闘を持ちかけるなんて」
「あはは、まるで俺が蒼くんをからかって遊んでるみたいな言い方は遺憾だなぁ♪」
 いつものペースを取り戻した紅に、もう蒼は取り合わなかった。
 愛銃を構える。それが、千の言葉よりも雄弁な、紅に対する答えだったから。
「……戦うことが怖くはないか。恐怖を抱いた上で、なお挑むか」
 アズマがゆらりと構えを取った。それだけで空気が張り詰めて凝固した。
「――ならば、殺す」
 アズマの姿がブレて、消える。交わらぬ紅と蒼は、同時に左右に跳躍した。

 親友とも相棒とも言いがたいふたりだが、しかし戦い方は知り尽くしていた。
 紅は三体の人形を伴い、ゆるりとした普段のペースと打って変わった苛烈さでアズマを攻め立てる。憎悪と憤怒の感情が墨のように滲み出るかのようだった。
「ねえ教えてよ! もしも君に、答えるつもりがあるならだけどさ!」
 細剣を振るい肩を裂く。アズマはダメージを意に介さずフックを繰り出す。
 小脇に抱えられそうなサイズに収縮されていた"Elsie"が拳打を受け止めた。
 衝撃に逆らわず紅は後退する。アズマは大地を砕きながら一度の踏み込みで接敵。
 続けざまの蹴り足、狙いは首だ。"Lacie"がクロスガードするが、受けきれぬ。
 ひび割れた人形の片腕が脱落する。追撃――後方から蒼の援護射撃が阻む。
 弾丸は直撃した。しかしアズマの肌は鋼鉄のように硬く、擦り傷すら負わない。
「銃弾は放たれた。君に規則(ルール)を課そう」
 蒼の目的は妨害と「弾丸を当てること」。それが術式発動の前提条件だからだ。

 ――"最悪の銃式について(Pallottola magica ed infinita)"。

 秩序の象徴を継承した蒼が得た力。敵対者に絶対の枷を強いる術式。
「もしも君が、何もかもをすべからく殺さねばならないと思っている君が、だ。
 "殺意を持ってはいけない"のだとしたら――さあ、君はどうするのだろうね?」
 答えは言葉ではなく現象で示された――アズマの全身の傷が開いたのだ。
 コレまでの戦いで蓄積したダメージが再発し、すさまじい量の血を噴き出す。
 それは銃式がもたらした規則違反の罰。アズマは殺意を捨てていない。
「殺す」
「――!」
 言葉は端的。アズマはやはりダメージも、規則すらも意に介していなかった。
 殺意が紅から蒼に向けられた瞬間、蒼は頭部が爆ぜた自分の姿を想起した。
 強烈な殺意が見せた錯視である。だが動かねば、幻影はじきに真実になる。
「紅ッ!」
「わかってるよ。通すもんか」
 蒼めがけて踏み込むとしたアズマの踏み足を、紅の細剣が切り裂いた。
 さらに三体の人形が身体にまとわりつく。アズマは足を止め、ぐっと力を込めた。
「邪魔だ」
 見えない力――東洋で言うところの"気"が、放射状に溢れた。
 取り付いた人形たちが反発力で吹き飛ばされる。紅の突き出した片腕も同様。
 腱を狙った細剣は狙いをそらされ、アズマの手刀が紅の肩口に突き刺さった!
「……心臓を狙えばいいのに。俺は死んでないよ?」
 紅はにたりと皮肉めいた笑みを浮かべる。手刀が奔り腕を脱落させた。
 蒼の射撃。アズマはそちらを見もせずに裏拳で弾く。出血は続いている。
「縛られても命ぜられても、止まらない――いや、止められないのかな?
 本当に憐れだ。君みたいな人間を見てると、俺は吐き気が止まらないんだよ」
「紅――!」
 蒼の声は届いていたが、紅は無視した。瞳はただ残骸だけを見ていた。
「だから君を殺すまで死力を尽くす。それが、俺なりの救済ってやつだからね」
 残る片腕が細剣を握りしめ、腹筋を裂いた。銃式が出血を加速させる。
 蒼は揺らぐ心を落ち着かせ、ただ純粋に銃弾を放ち続けた。
 殺意に殺意で応じるしかない、不条理なこの世界そのものを呪いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
凄まじい殺気……理由の有無は最早関係ありません。
この恐ろしさに負けない程の【気合い】を入れて戦うしかないでしょう。

恐らく武術の腕では敵いませんが、まずは攻めます。
出来る限りの【早業】で突きを仕掛け、防戦一方にならない様にしましょう。
敵の攻撃は【第六感】で察知して回避します。
毒を纏うダガーで【武器受け】するのもいいですね。
戦っている内に私も体勢を崩し、敵が必殺の拳を振るう時が来るでしょう。
その瞬間ユーベルコードで【カウンター】攻撃を仕掛けます。
演技ではきっと攻撃を誘えない。
本当のピンチと武器を巨大化するユーベルコードによる【だまし討ち】、そして【勇気】をもってして……この一撃、当てて見せます!



●肉を切らせて骨を断つ
 目の前の敵は、まるで暴力という概念が人の形をしているかのようだった。
 どれほどの研鑽と鍛錬、そして実戦を積めばこの域に到達できるのか。
 いまだ道半ばにして未熟と自認するハロ・シエラには、想像もつかなかった。
(武術の腕では敵わない……けれどそれは、戦わない理由にはならない!)
 だが、ハロはそんなことで戦いをやめるほど臆病ではなかった。
 たしかに彼女は、単純な武術の腕前ではアズマには比肩し得ない。
 ハロの強みは、未熟と力不足を自覚し、かつそれを踏まえて戦いを挑む勇気。
 けして高みに到達していないからこそ、そこには無限の可能性がある!

 全身を朱に染めたアズマは、負傷など存在しないかのように振る舞う。
 ハロが真正面から繰り出した神速の刺突を、掌で当然のようにいなしてみせた。
 ハロは冷静に次の手を思考する。"わきまえた"者なりの堅実な戦い方だった。
 いなされた刃を引き戻しながら小さくジャンプし、足元を掬う回し蹴りを回避。
 落ちながら真下のアズマを突く……尋常の戦闘者ならばそうしただろう。
 ハロはバク宙を打っていた。アズマの回し蹴りは二段蹴りに繋がっていた。
 着地するハロを追うアズマ……を、跳躍中に放たれたダガーが牽制する。
 ダガーを裏拳で弾き、ハロが体勢を取り直すと同時にアズマは至近距離へ。
 繰り出される拳打、ほぼ同時に三。ハロは2つ目のダガーを逆手に構える。
 細剣とダガーを使いかろうじて拳を躱す。アズマはさらに攻め込む!
「恐れを感じながらもなぜ挑む」
 嵐のような拳足を繰り出しながら、アズマは言った。
「……恐れるからこそです。私がここであなたに挑まなければ」
 ハロは全神経を防御に注ぎながら、苦しそうに言った。
「他の誰かが、あなたに殺されてしまう……私は、それだけが嫌なんです。
 たとえここで私が倒れたとしても、この世界の誰かを守れるならば……!!」
 ハロを突き動かすもの、それは愉悦でもなければ殺意でもない。
 世界を護る猟兵としての自負、そして覚悟。礎となる信念の違い!
「ならば、ここで死ね」
 アズマは狙いすました拳を頭蓋めがけて振り下ろした。
 これまでの攻撃はすべて布石。防御を剥ぎ取るための準備運動だったのだ。
 ハロは避けられない。……もとより避けるつもりもない!
「――ちぇすとぉおおおおっ!!」
「!」
 仮面の下、アズマの眉間がぴくりと動いた。
 ハロは防御も回避もしない。巨大化するレイピアをカウンターとして突き出す!
 リーチの差をユーベルコードが埋め、拳がハロの頭部を砕くより先に、
 レイピアの切っ先がアズマの胸部に突き刺さった! そして、身体を吹き飛ばす!
「これが、私なりの勇気の形ですっ!!」
 ハロはすべての魔力を注ぎ込み、伸び続けるレイピアをさらに押し込んだ。
 アズマは吐血する。星をも砕く一撃は、戦闘者の鎧を断ち割ったのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

穂村・理恵
……そりゃ、怖いですよ
でも、あなたを見過ごして、大切な人が傷つけられるのは、大切な人を失くすのは、もっと怖い
だから、私は……っ!

『炎霊の紅玉』の力を解放、始原の炎だって構わない、周囲の炎と熱を取り込んで《エネルギー充填》し、再度感情を、情動を焼く炎『紫焔』の【吸熱炎霊】!!

結局は炎の動物たちが“接触”するから、
例え炎であっても迎撃して見せるんだろうけど、それでも熱と火で無傷ではいさせません

それでも止めきれないなら、炎の魔法に見せたフェイントから、隠しておいた、本当は武装少女時の武器『CDBキャノン』へ取り込んだエネルギーを無理やり充填、暴走覚悟、全力での咄嗟の一撃です……!

※アドリブ他歓迎です


木常野・都月
理屈抜きで殺しにくるのか。
こっちも理屈抜きで殺しにかからないと、殺される。
出し惜しみなく、全力で挑まないと。

[野生の感、第六感]で、敵の動きに全神経を向けたい。
あと、敵から一定距離を保ちたい。
相手の射程内に入らなければ、少しは有利になれるかも?

[属性攻撃、全力魔法]を乗せた、UC【精霊の矢】を周囲の火の精霊様の助力で撃ちたい。

万が一、接敵したら敵の攻撃を[激痛体制]で我慢しつつ精霊の石で[属性攻撃、カウンター]で反撃したい。
敵の攻撃を防ぐ事なんて考えてたら殺せない。
痛がる余裕があるなら反撃したい。

魔力が無くなったらダガーとエレメンタルダガーで応戦したいけど、そうなる前に倒したいな。


フォルク・リア
(殺意は数えきれない位感じてきたが。
奴程純粋に殺すという意思をぶつけてきたものは
いなかっただろう。)
一瞬気圧されそうになるが踏み留まり。
「それでも、お前が何者でどれだけ力を持っていても
倒さなくてはならない。」

神々と連携し
呪装銃「カオスエンペラー」で【呪詛】を纏う死霊を
顕現させて攻撃し敵の動きを妨害し距離を取る。
(離れていれば安全とは言わないが
流石にあの拳を真面に受ける訳にはいかない)

相手の動きや殺意を【見切り】それを利用して
誘いの魔眼を発動。
先にカオスエンペラーで与えた【呪詛】と合わせ
ダメージとマヒ等の状態異常を与え、
その隙にカオスエンペラーに【全力魔法】の魔力を集中
神々と連携して攻撃を放つ。


クラリス・シドルヴァニス
距離は離れているのに、喉元に刃を突きつけられたような
プレッシャーを感じるわ。これがアズマ…純粋なる殺意の化身なのね。
怒りも驕りも感じないわ…既にそういう次元から逸脱しているのね。
貴方なら、不死の怪物すらも殺せるかもしれない。
だけど。
意志なくして我が剣に力は宿らない。貴方を倒すため、
私は意志の力をこの刃に込めさせてもらうわ。
【気炎万丈】を発動させ、《勇気》と《気合い》でもって
己を奮い立たせ、士気を向上させるわ。
技量で敵わないのは百も承知。それでも、この私に
撤退の二文字はないわ。
気持ちで勝たずして、何で勝とうというの!
剣の柄を強く握りしめ、声を張り上げて
己を《鼓舞》。一刀にすべてを賭けるわ。



●気炎万丈、魂の火を燃やし
「…………殺、す」
 胸部からだくだくと鮮血を噴き出しながら、アズマが立ち上がる。
 全身に数え切れぬほどの傷跡。並のオブリビオンなら三度は滅んでいるだろう。
 いかな猟書家とて、これほどの負傷で戦闘を継続するのは不可能だ。

 不可能で、あるはずなのだ。
 だが、アズマは立っている。そして、変わらずに殺意を放射していた。
「……っ」
 冷静沈着な魔術士であるフォルク・リアでさえも、一瞬気圧されかかった。
 長きに渡り生死に触れてきたネクロマンサーだからこそ、わかるのだ。
 "あれ"に挑めば、死ぬ。形を得た死そのもの……相手は"そういうモノ"だと。
「……それでも、お前が何者でどれだけの力を持っていたとしても」
 フォルクは頭を振り、踏みとどまり、そして左右をちらりと伺った。
 神々と猟兵たち……穂村・理恵、木常野・都月、クラリス・シドルヴァニスの三人……もまた、強烈なまでの殺意に呑まれかかっていた。
 だから、ここで退くわけにはいかない――彼らも退いていないゆえに。
 理恵も、都月も、クラリスも、冷や汗を垂らしながらアズマを睨んでいた。
 挑む者の目つきで。彼らは、気圧されても戦う意思を捨ててはいない。
「……お前は、倒さなければならない。我々はそのために此処に来たのだから」
「そうね……ええ、そうとも。簡単に勝利を得られるとは思っていないわ」
 クラリスが、フォルクの言葉に突き動かされるように声を絞り出した。
「不思議なものね。まるで喉元に刃を突きつけられたような気にさえなるのに、
 あなたの殺意からは、怒りも驕りも、憎悪も……なんの感情も覚えないなんて」
 あれほどの武勇を積み上げるまでに、どれだけの鍛錬と研鑽を経てきたのか。
 気が遠くなるほどの、そして筆舌に尽くしがたい「過去」があったのだろう。
 それに相応しい精神も、きっとかつての『アズマ』は備えていたはずだ。

 けれどももう、『アズマ』という個を構成しうる要素は何も感じられない。
 だからこそ敵は強い――そして、だからこそ、クラリスは不思議な哀愍を覚えた。
「あなたは強い。けれどもあなたには、意志の力がこれっぽっちも感じられない。
 ならば私はこの剣に、私の意志を、覚悟と信念を込めて、あなたを斃しましょう」
「…………」
 アズマは無言。放射され続ける殺意こそが、クラリスへの答えでもあった。
 ふたりは覚悟を決めた。だが最年少の理恵は、身体の震えを押さえられない。
 当然だ。彼女はバイオモンスターでありヒーローではある。
 だがまだ14歳の、メンタル的な意味ではごく普通の少女なのだから。
 己をしがない狐と自認する都月もまた、動物的本能の恐怖を抑えきれなかった。
 意地と根性が、都月をここに立たせていた。それだけが彼の拠り所だ。
「……私だって、怖いんです」
 理恵が口を開いた。
「あなたと戦えば死ぬかもしれない。そうでなくともとっても痛く苦しいでしょう。
 でも、ここであなたを見過ごして、大切な人が傷つけられると思ったら……」
 理恵は、強く強く拳を握りしめた。都月は、じっと少女の手を見つめていた。
「大切な人を失くすのは、もっと怖い。だから……だから、私はっ!!」
「……そうだよ。不死の怪物を殺したら、この世界が滅びるかもしれないんだろ」
 都月は絞り出すように言った。
 先頃猟兵たちが垣間見た"予兆"のなかで、オブリビオンたちは言っていた。
 神々ですら殺し得ない不死の怪物は、封印の要でありこの世界の礎でもある。
 万が一にアズマが不死の怪物を殺し得るのだとすれば、それはつまり……。
 この"世界の中心"に渦巻くエネルギーが失われ、世界そのものが消え去るのだと。
 だから、アズマを見過ごすことは出来ない。
 仮に世界が残っていたとしたら、次に奴は誰を殺す?
 神々を。
 その次は人々を。
 問うまでもない当然のことだった。あの少女はそれを否と叫んだのだ。
 ……都月は、そこまで高尚な英雄的精神を持ち合わせてはいない。
 だが、意地がある。起こり得る不幸と悲劇を見過ごすことなど出来ない。
 己であれ他の誰かであれ、殺されそうならば相手を殺すしかないのだ。
「俺は、誰かのためになんて立派なことは言えないよ……だから、俺は。
 理屈抜きで殺しに来るお前を、理屈抜きで殺す。……全力で、命を賭けて!」
 言葉にして言い放つと、不思議と全身の震えは収まった。
 恐怖はそこにある――こういうのを、腹が据わったというのだろう。
 結局のところ、やることはひとつなのだ。そう思えばある意味楽だった。
「ならば、殺す」
 アズマが言った。
「いいや、俺は殺されない。殺すのは、俺たちだ!」
 都月は吠えた。
 殺すか、殺されるか。
 結局のところ、すべてはそこに集約されるのだ。

「神々よ。あなたたちも覚悟を決めなさい。ここが正念場よ!」
 次いでクラリスが叫び、両手剣でアズマを指し示した。
「私たちもともに戦うわ。だからなんとしても、あの猟書家を斃すのよ!
 技量で敵わなくとも、力量で敵わずとも! 全員、気力を振り絞りなさい!」
 クラリスの言葉は激励であり、同時に自分に対する鞭でもあった。
 単体の戦闘力では、アズマに勝ち目がないのはわかりきっている。
 だからどうした。ならば気持ちで勝たずして何で勝とうというのか!
「まずは奴の動きを止める。俺の術式に合わせてくれ」
 フォルクは冷静に言い、自身の周囲に呪詛を纏う死霊たちを顕現させた。
 そして死霊の力を呪装銃「カオスエンペラー」に収束させ、魔弾を撃ち込む!
「神も、人間も、怪物も、なんであれ殺すまでだ」
 アズマは触れるだけでも致命的な魔弾を拳で叩き落とし、腰を落とした。
 直後その巨体がブレる。肉眼では追いつけない速度の踏み込み……!
(来る! 近づかれたら終わりだ……!)
 神々とフォルクの連携術式がアズマを捉えるよりも、都月の反応が疾かった。
 追い詰められた獣が持ち得る本能の速度が、言葉を超えて思考で世界に呼掛ける。
 はたして周囲の火柱が凝り固まり、いくつもの矢のような形になった。
 現実化した火の精霊たちの力の顕現。都月が唯一アズマに対抗しうる異能。
(精霊様、どうかお力を……!)
 矢の形となった精霊たちは、猛進するアズマめがけて殺到した。
 その数、実に450以上! いかなアズマとて迎撃せずに突き進むのは不可能だ!
 火の矢による波状攻撃が、無敵に思われたアズマの進軍をわずかに留める!
「みんな……みんなもおねがい! もう一度力を貸してっ!」
 理恵の言葉に再び始原の炎が火柱となって燃え上がった。
 炎は先の聖騎士戦のときのように、動物型の吸熱炎霊へと変形する。
 身体を灼く精霊の炎と、心を灼く炎霊の二段攻撃といったところか。
 アズマはあくまでも徒手空拳で迎え撃つ。魔力の炎も、吸熱炎霊たちですら。
 熱を奪われることなど意に介さず、非物質的な炎を「殴り砕く」のである!
「化け物め……だが、その殺意こそ、俺の魔術の呼び水となるぞ」
 フードの下、フォルクの瞳がぎらりと煌めいた。
「常世を彷徨う数多の怨霊よ。禍々しき力を宿すものよ。
 その呪詛を解き放ち。混沌の眼に写る魂を混沌の底へと誘い連れ去れ……!」
「「「あの術士に合わせるのだ、我らの力でやつを縛る!」」」
 神々とフォルクの魔力が重なり、ひとつの術式として結実した。
 アズマの周囲、空間に裂け目が生まれると、それは無数の赤い眼に変わる。
 殺意、恐怖、嫌悪、軽蔑……昏き感情を苗床に育つ瘴気の魔眼である。
 赤き魔眼の凝視は、獲物の肉体と精神を同時に苛み五感すら狂わせるのだ。
 平時のアズマであれば、呪詛が己を腐らせる前にフォルクを仕留めただろう。
 だが理恵の吸熱炎霊が精神を攻撃し、途切れぬ都月の炎弾が対応を強制する。
 つまり、呪詛に対する防御を構築する隙がない。アズマの動きが鈍った!
「今ならば奴は動けまい……!」
「……行くわ、続ける者は私に続いて!!」
 クラリスが雪崩を打った。致死的至近距離に踏み込み、両手剣を振るう!
 アズマの拳が剣を弾く……いや、振り上げられた拳の腱をダガーが裂いた!
「出し惜しみなんてしない、俺は殺されるのなんて御免だ……!」
 都月である。勇気を振り絞り、あえてクラリスとともに飛び込んだのだ。
 そしてダガーを振るい、迎撃の拳をその刃で阻んでみせた!
「無傷でなんていさせない、絶対に! あなたを止めてみせます!!」
 理恵の炎霊たちがアズマの四肢に噛み付く。呪詛と吸熱の二重束縛!
「……これは」
「これが、私たちの意志の力。あなたが捨てた、心の炎の輝きよ――!」
 クラリスの剣が、アズマに届いた。
 神々と猟兵4人の連携がなしえた必殺の一撃が、皮膚を、筋肉を断つ!
 噴き出した熱血は、降り注ぐ炎に呑まれて蒸発し消えていく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「抜き身の殺意大いに結構。その殺意、秘密結社スナークが受けて立ちましょうか。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
さて、相手は清々しいまでの近接タイプ。ですが素直にそれに付き合う義理もありません。殺意は受けて立ちますが、拳まで受けて立つとは申しておりませんのでね。
呪詛、高速詠唱の技能でUCを使用します。呪力高励起体への変身完了と同時に飛翔し空から遠距離攻撃に徹させていただきますよ。
全力魔法の技能を用いて呪力砲撃の雨をプレゼントして差し上げましょう。

「貴方の殺意は空の上まで届いていますが、その拳や脚はどうでしょうね?クックック」

【アドリブ歓迎】



●空より地へ、地より空へ
 徒手空拳だけを武器とした近接タイプ。
 ――という黒川・闇慈の分析は至極当然であり、見落としなどなかった。
 なにより闇慈は空中戦に慣れており、しかも呪力高励起体は物理干渉を妨げる。
 空中からの絶え間ない呪力砲撃の雨を降らせるというプランは、正しかった。

 しかし。
(なる、ほど――)
 闇慈はそれでもなお、自分の理解が浅はかだったことを理解した。
 全力で跳躍した……アズマがやったことは、言葉で言えばただそれだけ。
 呪力砲撃の雨の中を、単なる脚力だけで、高速飛翔する闇慈めがけて跳んだ。
 ……という前提がなければ、あまりにもシンプルですらある。

 そう、アズマはただ満身の力で地を蹴った。それだけだ。
 被弾を厭わずまっすぐに、しかも時速500km近い飛翔体に一撃を当てる。
 並の芸当ではない。闇慈の命を救ったのは呪力励起体に変異していたことだ。
 そして砲撃の雨が敵の勢いを削いでいなければ、おそらく……。
「……抜身の、殺意。大いに結構」
 吹き飛ばされた闇慈は即座に体勢を取り直し、砲撃を再開した。
 再開せざるを得ない。手を休めれば、アズマは再び攻撃を仕掛けてくる。
 重力に引かれて落下していくアズマを、攻撃せざるを得ない。
「その殺意、秘密結社スナークが……いえ、この私が受けて立ちましょうか。
 まったくどうして、格闘家というものは常識を覆すのやら……クックック」
 落下していくアズマに防御手段はない。砲撃を全身で喰らわざるを得ない。
 それが当然だ――だがもはや闇慈はそう思っていなかった。
 そして現実は予想通りだった。アズマは落ちながら砲撃を素手で迎撃している!
「我が内より湧き出るは漆黒の凶呪、漆黒を統べるは我が魂――」
 アズマが地面に着地した瞬間、運命が決する。
 ゆえに闇慈は、逆転の発想をした。
 着地の瞬間に、最大最強の収束した怨念火砲を叩きつけるというプランだ。
「あなたの殺意は拳足までも空に届かせました。ならば……」
 闇慈が片手を掲げると、とてつもなく巨大な闇色の球体が生まれた。
 それは掌サイズにまで一瞬で凝縮する。空間を歪ませるほどの魔力質量……!
「――私は魔術師としての意地を込めて、炎を地へと届かせましょう……!」
 アズマが地面に着地した瞬間、凝縮された滅殺呪砲が音速を超えて着弾!
 呪われた黒き炎は、ドーム状の爆炎となって炸裂!
 周囲の地形がガラスめいたクレーター化するほどの威力である!
「…………殺、す」
 アズマは健在……否、五体は保っているがそのダメージは歴然と言えよう。
 空より地へ、地より空へ。
 術師と拳士は互いを超一級の敵と認め、さらなる殺意をふくらませる!

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
ダチ公/f28022
心情)ひ、ひ。純粋な坊だねェ。ンでダチ公、どう行くよ。ひ、ひ。自信家のくせして慎重なこった。いいだろう作ってやる、しっかりブチかましな。
行動)あの《過去》に殺されてやろう。俺とダチ。簡単に殺せるのは俺のほうって、この頼りないナリ見りゃガキでもいっぱつさ。万が一ダチや神に行こうとしたら、眷属使って俺が盾になろう。ああ、そのこぶしに壊されてやろう。かんたんに。スキだらけに。つまり俺に触るンだから、その腕はもらっていくのさ。正味このやり方、どこぞのバカみてェでしゃくだが。勝たにゃならんじゃ仕様がねェさ。


オニキス・リーゼンガング
友/f16930
心情)包み隠さずに言ってしまえば正面から行きたく。
ご自身の武に絶対の自信がおありのご様子。わたくしもそれは同じですから。
とはいえ勝たなければいけない勝負。あなたがスキを作ってください。
思い上がりと自信は別物ですよ。不確定要素を潰すのは大事です。そうでしょう?
行動)友が殺されるのは想定済みですから、私は彼を殴るだけ。
しっかりタイミングを合わせます。彼がこぶしを振り抜いた直後。
友が彼の腕を奪ったその瞬間に、全身全霊・容赦なく。
空裂くように、星刳るように。
致命的な場所を打ち据えて、確実に彼を破壊(*ころ)します。



●破壊、破壊、破壊
 ……アズマは動かない。
 全身に帯びた傷のせいか――否、負傷は重いがあれは傷では止まらない。
 痛みや苦しみで止まるのは生き物だけだ。"これ"は生命ではないのだから。
 では何故、アズマは動かないのか。
 何故、身構えたままじっと機会を伺っているのか。

 理由はひとつきりである。
 朱酉・逢真とオニキス・リーゼンガングという、ただならぬふたり。
 ……いや、"二柱"。
 錚々たる神々の顔ぶれの中にあってなお異質な二柱を、警戒しているからだ。
「……なるほど。無益無策に突っ込む猪武者ではない、と」
 オニキスは楽しそうに微笑む。だが双眸に油断や驕慢の色は一切ない。
 己の強さを心から信じ切った上で、決して敵を見下さず油断もしない。
 そういう手合いの眼をしていた。たとえるなら、獲物を見定める獣の眼だ。
「ひ、ひ。どこまでも、なによりもただ"いのち"を奪うために、かい。
 いいねェ、純粋な坊だ。そォいうヤツは、好きだぜ――ああ、可愛らしい」
 逢真の声音には殺意と愛情が同居していた。神にとってそれは矛盾しない。
 残骸は前提として滅ぼさねばならないが、だからといって愛さないわけではない。
 かつて"いのち"であったものは、逢真にとって慈しむに足るものである。
 これほどまでの剥き出しの殺意は、かえって生命を引き立てる影なのだから。
「わたくしもまだまだ未熟ですね。あなたのような手合いを見ると、正面から全力を以て叩き潰したくて仕方ないのです。死してなおこのザマとは、恥ずかしい」
「よく言うぜダチ公。自信家のくせに慎重で、謙遜してるようで傲慢なこった」
「あなたが言うなら褒め言葉と受け取っておきますよ、我が友よ」
「ひひひ!」
 何がおかしいのか、逢真は腹を抱えて転げ回りそうな勢いで笑った。
 アズマは、不動。他愛ない会話の間も、神々に隙はない。
「……しょうがねえや。なら、俺が殺されてやるしかねェやな」
 逢真はなんの気なしにそう言うと、両手を広げてすたすたと歩き出した。
「さあ。見りゃわかるだろう? 俺とあいつなら、俺のほうがずっと"簡単"だぜ」
 逢真はアズマに語りかける。
「俺はお前さんのように、拳で大地を割ったり神を殺すなンざ出来やしねェ。
 せいぜい腐らせるのが精一杯だ。それだって神としちゃ凋落しきってるのさ」
 ざす、ざす……逢真は歩み寄る。アズマは動かない。進みも退きもしない。
「"いのち"を殺(こわ)したいんだろう? ああ、そのこぶしに殺されてやるさ。
 ……かんたんだぜ。スキだらけだぜ。それとも《過去》よ、この俺が――」
 逢真は何を言いかけたのか。
 怖いのか、と言おうとしたのか。
 あるいは、別の何かか。
 それはわからない。アズマの拳が、逢真の頭を、胸を、腰を、全身を。
 真上から槌のごとくに振り下ろされ、断ち割り、砕き、吹き飛ばしたからだ。

 勝負は一瞬のことだった。
 周囲で見定めようとする神々の中にすら、すべてを見て取れた者は居たかどうか。
 逢真が紛れもなく殺された瞬間、オニキスはアズマに拳を振るっていた。
 徒手空拳。何の異能も、魔術も、呪いも祝福も願望も憎悪もない、ただの拳。
 アズマの拳は神をも殺し滅ぼしてみせる。
 では、神の拳はどうだろうか。
 オニキスの拳は、つまり拳という形をした権能であり、威風であり、象徴だ。
 何の異能も呪詛も魔術も祝福もないからこそ、異能や魔術では防げない。
 厳然たる暴力。世界のかたちすらも変えてしまうもの――その成れの果て。
 邪神すらも滅ぼしたる"ちから"。"いのち"が耐えられるはずのないもの。
 破壊という結果だけをもたらす暴力装置。それが、アズマとオニキスの拳だ。
 不死殺しの拳は、まさしく隙だらけの神の宿を一撃で砕いてみせた。
 噴出した病と毒が、その代償――つまり拳そのものを腐らせて持っていく。
 アズマに困惑はなかった。そんな人間的なものを、奴はとっくに捨てていた。
 ただひとつ、オニキスにとって誤算があったとすれば、それは……。

 繰り出された拳に、アズマが「腐らされた拳を突き出した」ことだろう。
 あれは友を殺すばかりか、オニキスすらも殺すつもりで動いていたのだ。
 ……当然のことだが、万全のオニキスの拳とアズマのそれでは差は歴然である。
 破壊という結果だけをもたらす暴力装置は、完膚なきなまでに拳を砕いた。
 まさしく一撃必殺。空を裂くほどの力が、星を刳るほどの力が注ぎ込まれたのだ。
「……この姿になってからは、何かと初体験なことばかりですが」
 もうもうと土煙が立ち込める。オニキスは殴りぬいた拳を開き、握りしめた。
「後悔したことは一度とてありません。今日もそうです」
 オニキスの盲た眼は、たしかに土煙の向こうにそれを見た。
 アズマである。……存在している。破壊の拳を受けてなお。
 ダメージについては、言うまでもない。無傷でいられるわけがない。
 存在しているのが不思議なほどの有様。だが、たしかに、存在している。
「この姿であることが、楽しくて仕方ありません。私も人間じみたということでしょうか」
 声音はたしかに弾んでいた。オニキスは、みしみしと拳を握りしめる。
「……たとえ、神であろうとも、すべて殺す」
 アズマもまた、拳を握りしめた。拳であったものを。
 戦場に似合わぬからっ風が吹き抜ける。ぶつかりあう過去と悪霊を哂う風が。
 友の声が吹き抜けた瞬間、破壊という現象の化身は再びぶつかりあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウォリア・ノーヴァ
零時(f00283)と
アドリブ歓迎

(始原の炎は己には涼風が如く。心地好く、懐かしさすらある)
…恐れるな、レイジ。
……奮い立ち…恐怖を踏み越え…示して見せよ!

意思無き力に何が宿る。
誇り無き不敗に終焉を告げてやろう!
【智星の深遠】で瞑想、集中力を高め…天空へ共に【ジャンプ】

錐状に変化させた布槍マント【ダークレイド】で己を包み…【封印を解く】でドラゴンに戻ったヴォロスが周囲を旋回する…その姿、竜を伴う流星が如く!

【踏みつけ×威圧×恐怖を与える×捨て身の一撃×爆撃】
【戦神竜皇・飛翔剛断脚】で必殺ダブルキック!
(決まると同時に「Good Job!HERO!」と彼の声ではない、彼の魂に刻まれた音声が響く)


兎乃・零時
ウォリア(f14305)と!
アドリブ歓迎

怖いし恐ろしい
だが止まるつもりは毛頭ない!

死なねぇ!
ぜってぇ勝つ!

詠唱し
UC!
物体変質〖輝光〗で光の体
装甲消し
火力回す
これで光を一段階
質も威力も向上できる

ウォリア!俺様達で決めるぞ!!

共に空中にジャンプ

空中からアズマのいる方へ蹴りぶちかます!

蹴り進む進路の空気は魔力に変え
魔力は魔術に変換
進路の先に幾重もの魔法陣を道が如く並べ

オーバーエンチャントグリッター
過剰付与〖輝光〗
魔術の輪潜り
輝光〖オーラ防御×ドーピング』で俺様達強化!

輝光〖属性攻撃×全力魔法×限界突破×衝撃波×怪力×踏みつけ×気合〗

アズマァッ!
ぶっ飛べぇッ!!!

グリッタースタンプ
輝光踏脚!



●双脚がいまを貫き拓く
 ガ、ガ、ガガガガガガ……ッ!!
 空中にいくつもの星の光めいた火花が生まれ、そして散っていく。
 神々はそれを星だと思った。だが、それにしてはあまりに刹那的だ。
 星の光は、遠い遠い宇宙の彼方で燃えた星の生命の残響そのものである。
 瞬いては散っていくそれは、同じ意味で儚いがあまりに"儚すぎる"。
 だから、星のようではありながら、星よりもずっと刹那的だった。

 星の輝に思えたそれは、三人の戦闘者がぶつかり合う輝きである。
 アズマ。
 ウォリア・ノーヴァ。
 そして、兎乃・零時。
 変身したふたりと、重傷を負ってなお戦うアズマの空中戦で生まれる火花だ。
 ……空中戦。
 口にするは容易いが、そもそも『アズマに飛行能力などない』。
 ウォリアも、そして光の身体と化した零時も、空を舞うことは自由だ。
 だがやつには出来ぬ。出来ぬ"はず"なのだ。にもかかわらず……!

「くそっ、こいつなんなんだ! ユーベルコードで飛んでるわけでもない!
 ただ"打撃のたびに跳んでる"ってのか? それもうユーベルコードだろ!」
『……恐れるな。そして、揺れるな、レイジよ。戦士は恐怖した時、敗北する』
 神速を超えて光速に等しい攻防の中で、ウォリアが零時に囁いた。
『奮い立ち、恐怖を踏み越え……そして、示してみせるのだ』
「示す? 一体何をさ! こいつ以上の殺意をか!?」
 アズマは打撃を仕掛ける。
 拳を繰り出してはふたりの攻撃を弾き、あるいは攻撃前に対応を強制する。
 反撃を受ければその打撃の反発力で上昇ないし加速、最悪の場合は滑空すら行い、
 そしてまた間合いを近づけてふたりを襲う。常識外の徒手空拳である。
『――力の在り方をだ』
 コンマ秒単位で襲いかかる変幻自在の打撃を打撃で返しながら、戦士は言った。
『意志なき力に何が宿ろうか。純化された殺意とて、出来ることなど多くない。
 戦士と殺戮者の違い……それは、意志と誇りだ。誇りなき、不敗など……!』
 交錯のたびに互いに傷が増えていく。アズマの重傷はとてつもない。
 とうに戦闘など不可能なはずのレベルのダメージを受けて、なお敵は食らいつく。
 何故だ?
 意地か。
 信念か。
 憎悪か。
 妄執か。
 筆舌に尽くしがたき悪感情さえも、いまは逆に理解出来よう。

 アズマにはどれもない。
 ただ「戦えるから戦っている」、そういうレベルの自動さなのだ。
 ウォリアはそれを否定する。戦士として、そして生命として否定する!
『誇りなき不敗に、我らの意志と誇りを以て終焉を告げるべし……!』
「……ようは、意地と根性で食らいついて、そして上回れってことだな」
 零時の双眸に意志の炎が燃えた。それをガキの悪あがきと人の言う。
 それど侮るなかれ。子供とは、まさしく未来の可能性に満ちた戦士なり!
 ウォリアは炎を見て頷いた。アズマの攻撃が、ふたりに繰り出される!
「だったら!」
『ならば!』
 ふたりは心臓狙いの打撃をいなし、アズマの脇腹に拳を繰り出した。
 アズマは素早く打撃を引き戻し、拳を弾く……反発力が三人を三方へ散らせる!
「"過剰付与、〖輝光〗――"!!」
『ヴォロスよ、我が身を駆け巡れ……星のごとく!』
 零時の体が光り輝き、そしてウォリアの巨体を闇が包み込んだ。
 アズマは追撃できない。先の打撃の後遺症により、身動が取れない!
『不敗の名を持つ戦士の成れの果てよ――』
「……これで、ぶっとべェッ!!」

 そして黒と白の輝きは、けして交らわぬ、けれど同じぐらいに鋭き流星となった。
 同時加速によるバツ字ダブルキックが、アズマという交錯点で重なる。
 これぞ、いまを砕き未来(あす)へと貫くふたつの軌跡――戦士たちの双蹴!
 アズマは血を吐き落下していく。過去は、そうなるがさだめゆえに。
《――Good Job! Hero!》
 どこかから響いた声音は、ウォリアの魂に刻まれた調べだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
匡兄さんf01612と

変身状態維持

どうあっても格上
同じような戦い方する相手だから尚更よく分かる
でも
一つ違うのは
俺は一人じゃないって事

匡兄さんがいる
なら負ける訳ねぇな

残像纏いダッシュで距離詰めフェイントに足払いでなぎ払い
そう簡単に払われねぇか

攻撃喰らう前にUC
空から強襲
蹴り喰らう前に衝撃波で切っ先鈍らせ限界突破しさらに加速
背後から延髄狙って蹴り
折れろッ!
首の骨折る気で部位破壊
折れなくても隙は作れるはず

俺が多少切られても断たれなければ何とかなる
致命貰わなきゃ匡兄さんが何とかしてくれる
信じてんだ

この1年で大事なもんがすっげぇ増えた
こんなとこで負けらんねぇ

倒れなきゃ俺の
いや
俺たちの勝ちだ
拳の乱れ撃ち


鳴宮・匡
◆理玖(f22773)と


何もかもなくした、ただ殺意だけを持ったもの
他人事のような気がしない話だな

……まあ、でも
“そうはならなかった”んだよ

敵の動きを妨害し理玖のダメージを軽減
一連の動きは格闘だ
体捌きや筋肉の動きから狙うべき箇所もわかる
軸足を崩すか、蹴り足を弾くか
致命的な部位を狙って意識を逸らすか
理玖と敵の状況を見て瞬時に判断、対応

こっちの対応はぎりぎりだろう
なにせ速すぎる
それでも、対応できない局面は絶対に作らない

何もかも捨ててしまえば強く在れると思った
でもどうあったって捨てられないものがある

だから、理玖は傷つけさせないし
お前の好きにさせないとも決めてる

負けるわけにはいかないんだ
墜とさせてもらう



●極めてしまったものたちと、極めようとするもの
 殺戮術を究めたところで、見えてくるものなどありはしない。
 そこには虚無しか存在せず、見返せばただただ血の海だけが広がっている。
 鳴宮・匡はそう思う。彼自身が、"そういうもの"であるがゆえに。
 何もかもを失くし、殺意だけを持ったもの――なんとも他人事の気がしない。
 あの残骸……アズマという名だけに人間性を残した成れの果ては、
 ある意味で自分のカリカチュアライズされた未来と言っていいのだろう。
 この技術と、知識と、感覚。そして、人のいのちをいのちとも思わぬ壊れた心。
 それを省みることなく突き進めば、きっと自分もああなっていた――いや。
 ああなるのだろう。いずれ、そう遠くない過去に。

「けどな」
 匡は言った。
「"そうはならなかった"んだよ」
 それは、何度となく戦場をともに駆け抜けた、ある戦友のコトバだった。
 過去の残骸たるオブリビオンの行いを否定し、経験から未来を切り拓く少年の。
 匡の超感覚では、神速の攻防すらもコマ送りの映像めいて止まって見える。
 アズマの攻撃はたしかに超絶的な格闘術だが、畢竟"それまで"の話。
 人間の体がどこまで動き、そしてどう動くのか、動けばどうなるのか。
 匡はよく知っている。なにせその人間を、千も、万も、殺してきたのだから。
 そして把握し、判断できる。そうやって殺しに殺し続けてきたのだから。
 呪われた力を、いまはただ未来を護るためだけに使う。
 ヒーローなどと己をもてはやすつもりはない。殺人者は所詮、殺人者だ。
 全力に全力を重ね、あの化け物を請け負う陽向・理玖のような若者のほうが、
 ヒーローと呼ぶならばよほど近い――本人は否定するかもしれないが。
 だから、自分はどこまでいっても人でなし。領域で言えば"あれ"のほうが近い。

 だからなんだ。
 それがどうした。
 たとえ万の人々が――それこそ神々ですら彼の罪と行いを否定したとして。
 匡は折れない。
 "折れなかった"……ならばこれからもそうなる。そうすると決めたのである。
 だから、"そうはならなかった"のだ。そして、弾丸こそが彼の意志表示だった。

 匡をして"疾すぎる"と思わせるほどの攻防。
 前線に立ち敵の攻撃を受け止め弾きそして反撃する理玖本人からしてみれば、
 一秒ごとに苦痛と奮戦を強いる、生き地獄めいた刹那の修羅場だった。
 アズマの動きは疾い。それでいて、すべての打撃が布石のための布石だ。
 頭部ねらいの拳をうかつに防御すれば、がら空きの胴に膝が突き刺さるだろう。
 かといって脚を警戒していると、拳による打撃が加速し反撃の機会を奪う。
 ならば上下に注意を払おうとすれば、アズマは突然に背後に回り込み首を刈る。
 すべての打撃がなんらかの意図を持ち、それは殺害に繋がっていた。
 次の手を、その次の手を、さらに次の手を読みながら戦わねばならない。
 ……理玖に、それほどのことは出来ない。彼はアズマや、それこそ匡のような"行き着いたもの"ではない。
 いまだ道半ばであり、道を究めたなどとは言い難く、精神もまた同様。

 しかし、それでも、意地だけは負けていない。
 未熟ならばこそ、"これから"――未来を掴むための活力に満ちている。
 いま出来ないということは、明日には、次の一秒には出来るかもしれないということ。
 未知とは可能性そのものであり、その不確定を切り拓くからこそ人は明日を掴む生き物なのだ!
『うおおおおお……ッ!!』
 閃光の如き速度に到達した理玖は、アズマの打撃に同じ打撃で応酬する。
 敵の手を読むのではなく、己の積み重ねた経験と天性の勘を武器に反射する。
 一手でも損なえば死ぬ――彼ひとりならば。そこで、匡の弾丸が働く。
 致命的なアズマの攻撃を、その要所を、匡の弾丸は阻み、あるいはそらす。
 ひとりではない。背中を預ける仲間がいることの、なんと心地よいことか!
『俺はひとりじゃねえ。匡兄さんが居る……だから、敗けるわけがねぇ!!』
 意地だ。
 意地と根性が理玖を突き動かす。負傷を忘れさせ、戦いを続けさせる。
 どうか見てくれ、兄と慕う男よ。これが、1年を経て俺が学んだことだと。
 そして他愛ない月日の中で得た大事なものを、すべてから守り抜くために!
『あんたの殺意なんざ……俺が、いいや、俺たちが、否定し尽くしてやる!』
「――……!」
 アズマの殺意は、たしかに純化された恐るべきものだ。
 しかしそこに、理玖が宿す意志の力は、匡の決めた覚悟は存在しない。
 趨勢は人間たちに傾き、無敵に思えた打撃のガードが、こじ開けられた!
『匡兄さん!!』
「ああ」
 ――そんな会話は、きっと打撃と銃撃のあとに交わされたのだろう。
 閃光の如き拳の嵐と、狙いすました一条の弾丸は、音よりも疾かった。
「恐怖を、抱きながらも、なお戦うか――……」
 アズマの声音は消え入るようで、音を超えた衝撃の中に消えていった。
 弾丸が胸部を貫き、そして拳の雨が! 肉を、骨を、すべてを砕いていく。
 明日を掴みいまを護るための力が、殺意を凌駕した瞬間である!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイニィ・レッド
ドンパチやってくれって言いましたし
引き続き神サマ達を利用させてもらいましょ

雨に紛れよォく状況を確認
その瞬間が訪れるまでは息を潜めて潜伏
蹴りの体勢に入る奴を認めたら
『赤ずきんの裁ち鋏』を鳴らす

超高速の最短距離で接敵
すかさず足の腱目掛けて鋏を刺し込み
ブチ斬って差し上げましょ

負傷の痛み如きで止まるとは思えませんから
身体ごとイカレさせるしかねェ
蹴りの類はその瞬間が最も隙が出来る
その一点、超速の自分なら届く

一撃を喰らわせた後は
人形を盾にしつつ素早く跳び退く
まぁ一発貰うでしょうが
うまくいなせれば次いでもう片足も頂きましょう

人様の縄張りに踏み入るなら
少し下調べもしなくちゃいけねェ

雨の中で好き勝手はさせねェよ



●雨の中に立つならば
 ざあざあと雨が降る。
 レイニィ・レッドは雨の中に息を潜め、狩猟獣めいて敵を見定めた。
 アズマの重傷はひどいものだ。人の形を保っているのが不思議なくらいである。
 だが、敵は動く。まあ、それ自体はいままでも見てきたことだ。
 憎悪や憤怒、あるいは忠誠心、はたまた殺戮と破壊への純粋な快楽欲求。
 そうしたものを苗床に、あるいは礎に、存在を維持する化け物は少数ながら居る。

 アズマは、そのどれでもない。
 奴はまだ、自分の存在を「戦える」と定義してきた。
 猟兵たちの必滅の意志を否定し、存在を維持するという反発を続けている。
 それが、あのざまだ。そこには覚悟も信念も決意も欲求すらもない。
「――正しくねぇな」
 オブリビオンは"正しくないモノ"だ。
 その前提を置いてさえ、アズマの存在は赤ずきんにとって醜悪だった。
「殺す殺すと喚いて、"そのためだけに駆動する"モノなんざ、正しくねぇよ。
 そんなモンには、誰も殺させてやらねえ。何も出来ねえし、させねぇや」
 アズマは雨の中に溶け込んだ赤ずきんの気配をすら、そのセンスで読んだ。
 しかし、雨とはレイニィの住処であり、ねぐらであり、そして戦場である。
 頭部を砕くと見えた拳は雨粒を弾くに留まり、そして――じょきん。
「それすらも否定するってんなら」
 じょきん。
「自分は、てめぇを、何もかも"裁ち切って"やらぁ」
 正しくないその存在を。
 憎悪でも憤怒でもなく、殺意によって駆動する力を。
 ただ殺害するためだけに存在する、歪な体を。
 雨の中に裁断の音が響くたび、アズマの傷は深く、そして鋭く増えていく。

「人様の縄張りに踏み入るなら、すこし下調べもしなくちゃいけねェ」
 赤ずきんが首筋めがけハサミを振るう――アズマはそこにカウンターを仕込んだ。
 斬撃の瞬間はこちらに触れるということ。ならばそこで、殺す。
 レイニィのいまの知覚力ならば読めていた。回避は可能だった、しかし……。
「雨の中で」
 レイニィは片腕を犠牲に、それを受けていた。
 雨の中にきらめく双眸には、意志の光が輝いていた。
 形容しがたい意志の光。憎悪とも、憤怒とも、似ているようで違う、それは。
「てめぇみてえな野郎に、好き勝手はさせねェよ」
 アズマは識った。
 赤ずきんという怪物を。
 正しくないものを殺戮する化け物を。

 ――じょきん。
 裁断音がまたひとつ。
 滅びゆくその肉体に、不可逆の断絶を刻み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安喰・八束
○臥待(f15753)と

義のある武人だった頃もあるのかもな
求道の果てに道を外れるたぁ、余りに哀れだ

…神隠しの神頼みとは妙な気分だが、初撃は力を借りてえな
あとは、臥待を頼む

此方が撃てば射線そのまま、最短で蹴りが飛んで来るだろう(スナイパー)
致命は極力避け、それでも何処かを掠るのなら(激痛耐性)
「凶旋」
己の血飛沫を纏い人狼変化、これで神速にも追い付くか
何せ俺の一張羅だ
懐の間合いなら"悪童"の斬撃、距離を離して"古女房"の射撃
双方血塗れになるなら頃合い、臥待の張った罠に釣り出す

持っていけ臥待!!!

臥待とは真逆の方に飛び退き呪炎の範囲から逸れよう
仲間外れ、なあ
確かに、てめえにゃ居ねえだろうな


臥待・夏報
◯やっさん(f18885)と

女子供に手は出さない、とか言うタイプに見えるんだけどな
あるいは、昔はそうだったのかもね

ともあれ相手は問答無用の暴力装置
神速で距離を詰めて来るんなら、最善策は「そもそも見つからないこと」だ

夏報さんは火柱などの影に隠れて徹底的にステルスする
敵が動き回るのも考慮し、攻撃範囲に捉え続けるために七十メートル前後の距離を保つよ(目立たない、逃げ足)
この辺に詳しい神様に、道案内と……できれば人払いをお願いしたいな

やっさんが仕掛けたタイミングでその場に溢れた血を借りる
……返せないって言ってるんだけどなあ
身を切ってもらったからには全力、対象を選ばず三発燃やす
さて、仲間外れは誰なのか!



●"かつて"はもはや此処に亡く
 アズマ。
 その名の示すところを、安喰・八束と臥待・夏報は知らぬ。
 それは武を究めた到達者に対する敬意と賛辞を込めた名なのかもしれないし、
 あるいは逆に、極めて"しまった"モノに対する、畏怖と嫉妬の象徴なのかもしれない。
 あれほどの武を得るには、一朝一夕で事足りるはずがない。
 気が遠くなるほどの長い日々と、
 想像もつかないほどの天賦の才能、
 そして途方も無いくらいの鍛錬。
 それらがあってようやく、到達できる可能性が一分ほどに見えるのだろう。
 継続し、実践し、理解し、天運さえも味方につけたごくごく少数だけが、
 武という道、大海のごとき果てなき領域の一線を超えるに足るのだから。

 だが結局のところ、武とは暴力におためごかしを付与したものに過ぎない。
 人を壊し、生命を壊し、殺害するための力。奪い、踏みにじるための力である。
 八束と夏報は、それを"わきまえて"いる。
 己らの力の本質……戦いとはなんなのかを理解している。
 ふたりはともに誇り高き武人などではない。しかし、力のなんたるかを知る。
 アズマとふたりの違いがあるとすれば、そこだ。自認と自負である。
 人は己の愚かさを理解してこそ悩み、苦しみ、それゆえに道を選べるのだ。
 アズマにそれはない。ないからこそ強く――そして、ないからこそ、届かない。
 ふたりの思うように、アズマが"誇り高き武人"としてのかつてを持つなら。
 その"かつて"の存在であったなら、影に伏せた夏報の存在には気付けたはずだ。
 射手でありながら攻撃を誘う八束の狙いを看破し、そして警戒できただろう。
 ふたりの連携……ヒトとしての生存戦略を、同じ人間として理解できた。

 だが、アズマにそれはない。
 殺意を純化させた暴力装置は、疾く、鋭く、そして強力だ。
 それゆえに、狙いを読めなかった。夏報の潜伏はそれほどまでに見事だった。
 単なる感知能だけでは一瞬遅れてしまう。まさしく獣すらも出し抜く隠密。
 八束が命を預けるには、その技術だけで十分すぎるくらいだった。
 彼もまた、獣を欺き獣を狩る、けだもののはしくれであるがゆえに。

「さあ、獲物はこっちだぜ。かかってきなぁ!」
 八束はこれみよがしに挑発し、そして弾丸を浴びせた。
 アズマにとって、猟銃から放たれる弾丸などそよ風にも等しい。
 ほぼ自動的な動きで弾丸を弾き、次が来る前に射手を殺しに行ける。
 実際にそうしようとしたとき、アズマの体がぴくりと挙動を揺るがせた。
「――……?」
 疑問が生まれる。
 体に染み付いた戦闘者としての勘が、夏報の存在を警戒したのか。
 そうであったとして、暴力装置は惑わない。ゆえに、止まることはない。
「……殺す」
 殺せるのだ。アズマならば。
 だからアズマは動いた。一瞬で間合いを詰め、神速の蹴りを見舞う。
 八束はそれを読んでいた。殺すための最短経路をなぞるならば読める。
 紙一重の回避が間に合う……かざした片腕の、骨半ばまでを蹴りの風が裂いた。
「神速、ってか……はは、大したもんだ。けどなぁ、てめぇ」
 血飛沫の向こう――八束の表情は、哂っていた。
「狼を、呼んじまったな」
 獣の笑みである。
 瞬時にその体はけだものに変わり、そして暴風が吹き荒れた。
 神速に対するは獣速。斬撃と射撃が打撃を弾き、そして反撃を叩き込む!
「そうら、俺の一張羅を見せてやったんだ。駄賃をくれよ、武人さん!!」
 ガ、ガ、ガガガガガ――!!
 打撃のたびに火花が散る。神々ですら手を出せない領域の速度であった。
 アズマは爪と"悪童"による斬撃を防ぎ、あるいはいなし、冷静に反撃を行う。
 弾丸がその間に挟まれば、それを"一蹴"して毛並みを、そして皮膚と肉を裂く。
 双方の血が混じり合い、乱れ飛ぶ。趨勢はアズマの有利に思えた。

 しかし、それでいいのだ。
 血こそが狙いであり、この瞬間まで八束は"惑わせきった"。
 夏報である。アズマは攻撃の瞬間、その存在にようやく気付いた――!
「させるな!」
 と、誰かが叫んだ。それは神々の中の誰かだった。
 アズマが瞬時に攻撃を切り替えようとした時、神々の力がその身を縛り付けた。
 束縛は刹那しか保たない。だが、対応を遅らせることは出来る。
 この一瞬のために、ふたりの戦いを前にして彼らは備えていたのだ。
 必滅の一撃を……夏報の呪炎を到達させるために!
「さあ、血はくれてやる。持っていけ、臥待!!!」
「――返せないって、言ってるんだけどなぁ」
 夏報は苦笑した。戦場には似つかわしくない、日常的な表情だった。
 仮面の下、うつろな殺意の眼差しと、夏報の双眸が交錯する。
(からっぽだ)
 と、夏報は思った。哀愍は沸かない。あれは滅ぼすための残骸ゆえに。
 もしも憐れむとすれば、それは目の前の残骸、成れの果てに対してではなく。
 そうなってしまった、いつかどこかに存在していた『アズマ』に対してだ。
「さて、知ってもらおうか」
 血が、燃え上がる。
「仲間外れは誰なのか」
 八束は飛び退いた。神々の束縛が砕かれる……だがアズマは間に合わない。
「灼かれ、滅びるのが誰なのか。消え去る敗者は誰なのか!」
 呪われたる炎がその身を灼く。殺意と武技を薪として燃え上がる!
 アズマは単独にして最強ともいえるモノ。
 他者を必要としないモノ――それゆえに、逃れられない。
 逃れる道がない。それはもう、血と屍で埋まっていた。
 炎の中、猟書家は身動ぎした。
 それは、苦しみ悶える贄のように、無様で滑稽だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…殺意の化身め
何も言うまい…スナークの名のもとに貴様を斃す…それだけだ!
私は処刑人…!

仮面を被り真の姿の[封印を解こう]

[挑発し殺気と存在感]で敵を[おびき寄せ]
神々に向ける攻撃を自身に引き寄せ神々を[かばおう]

敵の攻撃を[戦闘知識で見切り]つ回避
鉄塊剣での[武器受けとジャストガード]で防御

[不意打ち]で拷問具を投げ[捕食し傷口をえぐり体勢を崩そう]

[火炎耐性とオーラ防御]を纏い
[怪力と力溜め]を籠めた鉄塊剣を振るい回し
【慈悲深き乙女の一撃】を敵目掛けて叩き込もう

[地形破壊]で同時に地面を破壊し火柱と炎の海を湧かせ
[地形を利用]し、始原の炎の海に叩き落としてやろう…!

地獄に帰れ!!


ナイアルテ・ブーゾヴァ
その純然たる殺意に私も応えましょう
「戦うことは恐ろしい。ですが、戦わぬことによって喪われる生命があるのならば、私は恐れを抱えたまま貴方の殺意に抗いましょう」

構える姿は互いに同じ。
神月円明……それこそが嘗ての貴方から造られた生命である私に繋ぐ宿命であるのならば、今その『不敗』を象る名を超えましょう。

全機能解放。
私の拳に掛けられたリミッターを全て外します。生命を懸ける。そのやり方を私はずっと見てきました。
送り出す猟兵の皆さん。
その背中が私に教えるのです。

「その名を恐怖の象徴となさぬためには――!」
私の全霊を込めた拳。
全てを懸けた拳で、貴方の神速を超える。

「――然らば、『アズマ』の名のいつかの貴方」


グウェンドリン・グレンジャー
……殺すだけのいきもの
私は、そうなりたくない、から……あなたを、倒す。アズマ

戦うことは、怖くはない
楽しさと、高揚感、時折覚える……でも、それに、飲み込まれたら、あの戦いの女神、みたいになる
そんなことに、なったら、きっと、師匠……に、斬られちゃうから
(数秒だけ目を閉じる。それもいいな、と湧き上がった考えを振り払って)

私は、鳥
(腰から生やした翼を羽ばたかせ、空中へ)
私は、捕食者
(限界突破、ありったけの怪力を脚に乗せる)
あなたの拳……当たる前か、当たると同時に、蹴り込めれば、いい
落下スピード、を、乗せて、アズマ……の、胴体目掛けて、Angel's Hammer
刺し違えても、あなた、倒す


ヴィクティム・ウィンターミュート
───殺すだけの機構か
なるほど…知り合いにも近い奴が居るぜ
でもまぁ…お前よりかはずっと好きになれる奴さ
お前みたいな達人の前に立つのは、今でも怖いがね
──勝利には代えられないさ

Void Link Start
フルブースト──過去への一時的なアクセス権を獲得
神速の蹴りはまともに避けられもしないし、防ぐことも出来ないだろう
だからこそ、食らってからどうにかするしかない
条件をセット、『俺が蹴りによって切断された時、自動的にその事象を破却する』
何度でも殺してみろ…そのたびにそれを消し去り、この虚ろの刃を脳に突き刺してやる

生命も擦り減るだろう
人間性も枯れていくだろう
それでも、全てに勝利するために
俺はここに来た



●そして不敗は"終了"する
 ナイアルテ・ブーゾヴァという猟兵が居る。
 彼女の姿はもっぱら、グリモアベースで予知者として見られるのがほとんどだ。
 悲劇の存在を伝え、そして解決を依頼する、送り出す者として。
 そういう立場として彼女の存在と姿を知る者は、少なくないだろう。
 しかし今日、ナイアルテは送り出す者としてではなく、戦う者として戦場に居た。
 猟兵の責務? 無論、それもある。
 神々を、ひいてはヒーローズアースを侵略する猟書家の企みは看過出来ない。
 ……しかし、それだけではない。
 言ってしまえばそれは、個人的因縁の類と言ってもよかった。
 ナイアルテは、『アズマ』の名のなんたるかを知っている。
 彼女もまた、あれと同じ武技を身につけ、刻み込んだ者なのだから。

 しかして機械兵となりてなお、ナイアルテひとりの拳では『アズマ』に届かぬ。
 ヒトの形を保っているのが不思議なほどの重傷を、敵は帯びているのに。
 ぶつかり合う原子のような速度の交錯は、必ずアズマが勝利した。
 打撃のたびにナイアルテの装甲は砕け、褐色の肌が裂かれて血が飛沫をあげる。
 アズマは無表情である。ヒトらしい顔を、あれはすっかり損なっていた。
「――殺す」
 何者も映さぬ闇色の仮面に、はたしてナイアルテは何を見ただろうか。
 苦悶か、後悔か、悲嘆か。
 その唇が言葉を告げようとした時――猟兵たちが、致命の打撃に割って入った。

「殺意の化身め。スナークの名のもとに、貴様を否定し、そして斃す!
 貴様には、誰も殺させはしない。我々猟兵も、人々も、神々ですらも!」
 処刑人、仇死原・アンナは怒りに燃え、振り下ろされかけた拳を刃で受け止めた。
 鉄塊剣と拳とがぶつかりあい、大気を銅鑼のようにけたたましく打ち鳴らす。
「まずは私を殺してみせるがいい、もっとも貴様に殺されなどしないが!!」
 仮面を被り真の姿をあらわとしたアンナは、アズマの猛攻にすら追従する。
 拷問具を投擲し、それらをアズマに撃墜され、鉄塊剣と打撃がぶつかり合う。
 始原の炎は、ふたりの闘争心と殺意に呼応するように火柱となって噴いた。
 地面に倒れたナイアルテを振り捨て、アズマはアンナへと狙いを変える。
「戦うことは、怖くはないか。恐怖を持たないというのか」
「恐怖を与えるのは私のほうだ。私が、貴様らという罪人を裁くためのもの!
 貴様は殺戮者ではあれど、処刑人ではない。貴様は裁かれる存在に過ぎない!」
「――ならば、殺す。その裁決もろとも」
「やってみせろ!!」
 鉄塊剣を弾くほどの連撃が、アンナの骨肉を砕き、血を迸らせた。
 そこへなだれ込む、ふたつの影。
「戦うことは、私は、怖くはない」
 グウェンドリン・グレンジャーは腰から生やした翼を羽ばたかせ空を舞う。
 速度は攻撃に乗算され、アズマが繰り出した反撃の拳をも躱してみせる。
「むしろ、楽しさと、高揚感を、時折覚えることも、ある。――けれど」
 打撃の合間を縫うように、鋭利な鎌じみた形状と化した翼がアズマを裂く。
 えぐられた傷跡から熱血が噴き出し、グウェンドリンの頬を汚した。
「それに、飲み込まれたら、あの戦いの女神みたいに、なる。
 そんなことに、なったら……きっと、師匠に、斬られちゃうから」
 グウェンドリンはその瞬間、"それもいいな"という考えを湧き上がらせた。
 いわば悪魔の誘惑。その身に秘めた狂気の邪神の血筋がもたらすものか。
 だが、グウェンドリンはそれを否定する。狂気を否定し、堕落を否定する。
「――私は、あなたとは違う。殺すだけのいきものには、なりたくない」
 それがグウェンドリンという人間を引き止める人間性であり、ただ一つの枷。
 アズマは強い。純化された殺意は、それゆえに一切の枷を持たないからだ。
 アンナも、グウェンドリンも、単純な技量と速度ではアズマに追いつけない。

 だが、人間性こそが、この紙一重の状況にあって趨勢を招きうる。
 奇妙な話だが、力を求めるためには人間性は邪魔なものだ。
 しかし不思議なことに、拮抗した状況では、人間性こそが一縷を引き寄せる。
 彼女らはそれを知っている――そして、ヴィクティム・ウィンターミュートも。
「殺すだけの機構。俺の知り合いにも、近いやつがひとりいるぜ」
 漆黒の虚無をかたちとして纏ったヴィクティムは、ノイズ混じりの声で言った。
「でもそいつはな、お前ほどの残骸みたいに成り果てちまったわけじゃあない。
 いまもその瀬戸際で苦しんで、あがいて、悩みながら戦い続けてるのさ」
 死神の名をほしいままにする射手の姿、あるいは圧倒的怪物、あるいは。
 ヴィクティムの脳裏に、戦友と相棒と、多くの姿がよぎり、そして去る。
 戦場においてはなんとも邪魔なノイズだ。虚無にくべる薪でしかない。
 自分のような人間にはもったいないとも思う――けれども、この人間性こそが。
「お前とは違う。俺とも違う。俺は、いつだって怖いんだからな」
 この人間性こそが、悪魔そのものとなったifの未来と現在を定義する。
 そして人間性があるからこそ、ヴィクティムはそれを虚無に焚べられる。
 勝利のために。――ただ、恐怖を振り払うために。
 アズマの蹴りが繰り出される。ヴィクティムをたやすく両断しうる蹴りが。
 だがその身を鎧う虚無は、切断という事象そのものを棄却してみせた。
「俺は勝利するためにここへ来た。恐怖を感じるこの心すらも枯らしてやるさ」
 妄執、憎悪、あるいは信念……ヴィクティムのそれはなんと定義すべきか。
 アズマにはないもの。それが、虚無という力を得て、打撃という過程を否定する。
 もたらされるのは権能を持ちし虚無の刃。肉が裂け、骨が砕かれた。
「てめぇの拳は、ここで終わる。たどり着くのは終焉(Terminate)なのさ」
 虚無の斬撃は、防御や回避という事象すらも否定するのだ。

 それでもなおアズマはあがく。
 ただ殺すために。ただ破壊するために。
「――刺し違えても、あなたを、斃す」
 グウェンドリンの決死の蹴りが、落下速度を得て打撃を躱し叩き込まれた。
 そしてくの字に吹き飛んだアズマを、アンナの斬撃が迎え撃つ。
「地獄へと還るときだ……!!」
 剣戟はアズマを切り裂きながらも炸裂し、そして大地を砕き、炎を吹き上げる。
 始原の炎がアズマの傷ついた体を灼く……滅びへと送るために。
「……恐怖を殺し、我がものとし、それすらも利用する……か」
 それでもなお、アズマは立つ。

 そしてまた、アズマの前に、ナイアルテも立つ。
 奇しくもそれは同じ構え。
 神月円明――それこそが、『アズマ』から造られたいのちの紡ぐ宿命。
 ナイアルテという、フラスコチャイルドに課せられた運命。
「……これまで送り出した猟兵の皆さんの背中が」
 ナイアルテは満身創痍だった。だが、彼女は見ていた。
 恐怖を与えるために戦うアンナの姿を。
 恐怖を知ってなお戦うグウェンドリンの姿を。
 恐怖すらも焚べてみせるヴィクティムの姿を。
 これまで何度となく危険に送り出した、仲間たちの姿を。
「あなたを……アズマを超えるために、私もまた、生命を賭けましょう」
 すべてのリミッターを外す。ふたりは、どちらともなく大地を蹴った。
 神速を超えた光の速度の交錯。趨勢を決めるは、互いのただの拳。
「その名を、恐怖の象徴となさぬために」
 数多の猟兵たちが繋ぎあげた因果を、ナイアルテの拳が貫く。
 そしてアズマという名は終わる。
 砕け、壊れ、滅び、終了する。
「……さらば。アズマの名の、いつかのあなた」
 男に別れの言葉はなかった。
 ただ始原の炎が、屍を飲み込み、そして焼き尽くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月03日
宿敵 『『アズマ』』 を撃破!


挿絵イラスト