猟書家の侵略~腥風血雨之秋
「迷宮災厄戦に現れた猟書家らが、オウガ・オリジンから奪った力を利用して、君達が平和にした世界の侵略を始めた」
サムライエンパイアもそのひとつだ、と告ぐは枢囹院・帷(麗し白薔薇・f00445)。
徳川幕府の転覆を画策する『クルセイダー』に付き従う幹部達が、各地で人々の平和を脅かそうとしているとは、南瓜行列の傍らで予兆を視た猟兵ならば既に警戒していよう。
集まった猟兵らの鋭い眼差しを見た帷は、説明を続けて、
「その幹部の一人である『真田神十郎』は、主君クルセイダーの天下布武の為に、強力なオブリビオンを配下にせんと、武士道を極めた剣豪の抹殺を目論んでいる」
剛の者を強兵の礎とする。
優秀な剣豪を殺し、骸の海を潜らせる事でオブリビオンとして復活させれば、屈強な大軍団が作れるというのが、真田神十郎の狙い――。
「この男は、クルセイダーの秘術『超・魔軍転生』により、魔軍将『上杉謙信』を憑装した忠実な忍者軍団を率い、優れた剣豪を探して進軍しているんだ」
「軍神・上杉謙信……」
エンパイアウォーでは「車懸かりの陣」を以て猟兵を相手した智将だ。
真田神十郎も彼を憑装できる事を「何たる幸運」と喜んでいたが、死んだ魔軍将の魂を大量に複製して召喚し、配下全員に装備として憑依出来るなら、慥かに恐いもの無しといった処だろう。
「此度、真田神十郎は大菩薩峠の山小屋にて修行に励む剣豪を狙って進軍して来るので、君達はこの剣豪を守り、真田軍の強化を阻んで欲しい」
先ず、連中は山小屋の周辺を城郭で囲む。
一帯に迷路を敷いて剣豪の逃げ道を塞ぐと同時、空の器に上杉謙信を憑装させた「絡繰り忍者軍団」を使って剣豪を追い込み、命を取ろうとしてくるので、猟兵は忍者軍団を倒しながら剣豪を守って欲しい。
「軍神を憑装させた大軍団は軍略に優れ、巧みに剣豪を不利な地形に……彼が得意とする大薙刀が振り回せない狭隘に追い込んでくるので、何か対抗手段があると良いだろう」
そうして剣豪を守りながら忍者軍団を駆逐すれば、愈々真田神十郎と戦う事になる。
帷は声色を落として、
「猟書家の力が制限される為か、真田神十郎は憑装を用いない。然し、彼奴もまた剣豪の抹殺を優先して動くので、君達はここでも剣豪を守りながら戦う事になる」
真田神十郎との激闘を制せば、忍者軍団は見事な撤退戦を繰り広げ、その多くが逃げおおせ、次にまた蘇った幹部の軍と合流する。
今はまだ掃討の余裕は無し、剣豪を守り切って戦力の増強を阻もうと着地点を確認した帷は、ぱちんと弾指してグリモアを召喚し、
「サムライエンパイアにテレポートする。なに、猟兵が知も武も優れている事を知らしめてやれば佳い」
と、己が信を置く精鋭らを光に包んだ。
夕狩こあら
オープニングをご覧下さりありがとうございます。
はじめまして、または、こんにちは。
夕狩(ユーカリ)こあらと申します。
こちらは、猟書家のひとり『真田神十郎』の野望を食い止める「真田血風録」シナリオです。
●戦場の情報
サムライエンパイア、深秋の大菩薩峠。
所々に大きな石厳を覗かせる山岳地ですが、真田神十郎のユーベルコードによって第一章から「真田家の城郭」に変貌しています。
●シナリオ情報(二章構成です)
第一章『からくり忍者軍団』(集団戦)
体が絡繰りでできた、自立人形の忍者たちです。
秘術「超・魔軍転生」により魔軍将「上杉謙信」を憑装し、大きくパワーアップされています。
剣豪の抹殺を命じられており、常に剣豪を標的にしています。
口の機構が無い為、言葉を発することはありません。
第二章『真田神十郎』(ボス戦)
クルセイダーに篤い友情を感じ、忠誠を誓った幹部猟書家の一人。
巧みに槍術と剣術を操る他、己の侵略蔵書から忠実な家臣を呼び出します。
※憑装していません。ボスも常に剣豪を狙い続けます。
●プレイングボーナス『剣豪を守る』
このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
第一章・第二章に共通して剣豪が狙われるので、彼を守って戦うようなプレイングがあれば、戦闘が有利になります。(本人もそれなりに戦うことはできます)
●リプレイ描写について
フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。お二人の関係や呼び方があれば、より踏み込んだ描写をさせて頂きます。
以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
第1章 集団戦
『からくり忍者軍団』
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POW : からくり・自己犠牲術
【死角から超高速で接近し、忍刀】による素早い一撃を放つ。また、【壊れたパーツを破棄する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : からくり・自己複製術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【からくり忍者】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : からくり・麻痺拘束術
【麻痺毒の煙幕爆弾】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖】で繋ぐ。
イラスト:なかみね
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大菩薩峠に小さな山小屋が、ひとつ――。
荒々しい石嚴の上で座禅を組んでいた剣豪、日下部太郎左衛門延乃進(くさかべたろうざえもんのびのしん)は、秋風が運ぶ邪の気配に気付いてはいた。
「ふむ……何やら妖しい気配がするで御座んス……」
我が得物、大薙刀を右脇に戒心を鋭利(するど)くする延乃進。
これまで幾度と真劔勝負を持ち掛けられた事のある彼は、またも我が命を狙う武芸者が訪ねて来たかと耳を澄ませていたが、此度の敵は一瞬で侵襲してきた。
「むむっ!! これは……何で御座んスか!!」
見慣れた山小屋が霞に掻き消え、四方に城壁が巡らされる。
眼路に広がる大自然は石組みの壁に遮られ、或いは狭間の並ぶ塀に隔てられ、不規則に構築された城壁に方向感覚を奪われた延乃進は、ここに「奇術使いか」と息を呑む。
直ぐにも大薙刀を構えた彼は冱刃を一閃、斬撃に夢幻を断たんとするが叶わない。
「!! 無傷で御座んス!!」
我が刀は骨肉を断つのみならず、甲冑や玉鋼をも斬れると自負していたが……。
むぐぐ、と奥歯を噛み締めた延乃進は、刻下、シュバッと塀を飛び越えて現れた黒影に喫驚を露わにしたろう。
「ッッ!? 絡繰り……!!」
其は人では無い、からくり忍者。
音を殺して襲い掛かる彼等は中々の手合いで、斯くも大勢の頭数で攻めて来られては、無双を誇る大薙刀を以てしても危うい。
「万事休すで御座んスか――!!」
幾重にも襲い掛かる刃撃に延乃進が瞠目した時、グリモアの光が両者を別った。
カイム・クローバー
喋れねぇとは気の毒だな。自由に動ける身体を得た、憑装で力を得た、有能な上司も得たんだろ?――なのに、口が無いから喋るのだけは自由にならないってのは悲しいね(肩竦め頭を振って)
よぉ、アンタが剣豪か?万事休す、と思ったんだろ?…いや、アンタ、ツイてるぜ。
【第六感】で会話中に死角から横やり入れて来る無粋な絡繰りに銃弾叩き込んで。
おいおい、折角、此処にこんなイケメンが居るんだぜ?無視とはツレないね。
感情は知らねぇがとりあえず【挑発】。
長物を扱うには確かに狭いが、生憎とアンタら相手に魔剣は必要ねぇな。
狭い地形を逆に利用して剣豪への行く手を阻み、【クイックドロウ】と【属性攻撃】で絡繰りをゴミ箱行きにするぜ
眩しい、と片目を瞑った剣豪は、燦然と燿う光の波濤に揺れる影を視る。
突如として眼路を遮った黒影は――白銀の髪に艶を彈いて顕現(あらわ)れた麗人は、肩越しに流眄を注ぐや余裕の微咲(えみ)に劔呑を払った。
「よぉ、アンタが剣豪か?」
「い、如何にも……」
「万事休す、と思ったんだろ? ……いや、アンタ、ツイてるぜ」
運が良い、と玲瓏の紫瞳はウインクひとつ置いて。
喫驚に目を瞬く剣豪の前に立ち、怒涛と迫る忍者軍に向き合ったカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は、トレンチコートを飜すやダブルホルスターに手を滑らせた。
「助太刀に来た。――刀じゃねぇけど」
霹靂閃電、【紫雷の銃弾】(エクレール・バレット)――ッ!!
宛ら稲妻の疾走る速さで引き抜かれた二丁の双魔銃が、銃彈の嵐に先兵を挫く。
「お、おお……!」
破壊力と速射力を併せ持つ双頭の魔犬、其の銃口から繰り出た銀の冱彈は、朦々たる霞を裂いて邪の群れに飛び込み、忍刀を握る手を次々に撃ち落した。
刻下、絡繰りの手が宙に躍るが、忍者の軍団は毀損した部位を惜しみもせず踵を蹴り、躯を軽くして迅く速く、逆手に忍刀を握って接近を試みる。
狙いは變わらず、剣豪――。
顔貌を覆う布を揺らし、尚も襲い掛かる邪の群れを烱眼に射たカイムは、呆れたように溜息して銃爪を引いた。
「おいおい、折角、此処にこんなイケメンが居るんだぜ? 無視とはツレないね」
丹花の脣を滑る科白も小気味良いが、繰り出る銀彈も洒落ていよう。
紫電を迸発(ほとばし)りながら飛び込んだ冱彈は、精確精緻に右肩を貫き、その衝撃に彈かれた絡繰りがカイムに顔を向けて沈む。
悲鳴も挙げずに仆れた絡繰り人形を瞳に敷いた佳人は、ついと片眉を持ち上げ、
「喋れねぇとは気の毒だな」
自由に動ける身体を得た。
憑装によって力を得た。
而して数も得た。
「それに、有能な上司も得たんだろ? ――なのに、口が無いから喋るのだけは自由にならないってのは悲しいね」
云って、二丁の銃を持ったまま肩を竦める。頭首(かぶり)を振って前髪を揺らす。
其の狙いは挑発――口は無くとも心を無くした訳で無し、聲は聢と耳に届くだろうと、軍神の矜持を煽ったカイムは、自身に攻撃を集めるよう双頭の魔犬を咆哮させた。
「長物を扱うには確かに狭いが、生憎とアンタら相手に魔劔は必要ねぇな」
敵が用意した地形を己も利用してやる。
忍者軍団が狭隘へと追い込むなら、攻め込む範囲も狭められると裏をかいたカイムは、その一帯を銃彈の嵐、紫電の渦にして迎撃する。
佳聲は變わらず飄然として、
「中身が空になったら、ゴミ箱行きだ」
軍神の霊魂を撃ち抜いたなら、絡繰りも唯のガラクタ。
なれば始末だけはしてやると、閃々と煌めく紫電に芙蓉の顔(かんばせ)を白ませた男は、靜かに竊笑を溢した。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
大丈夫っ!助太刀するよっ!!
ええと、お名前なんて呼べばいいの?長いからどこで区切っていいんだろ…
あ、わたしはシルです。よろしくねっ♪
さて、それじゃからくり退治と行きますか
…謙信を憑依か
でも、あの人ほど強いわけじゃない。憑依したからってあの人みたいなれるなんて思わないことだよっ!
剣豪さんを【オーラ防御】で包んで被弾しても大丈夫なようにしてから
【空中戦】で低空飛行してすれ違いざまに
光刃剣と精霊剣の二刀流で切り裂いて行くよ
回避は【空中戦】の【フェイント】でクイックターンしつつ
【残像】も生み出して撹乱だね
相手がある程度まとまったら
【高速詠唱】で隙を減らしての
エレメンタル・ファランクス!
纏めて撃ち抜くっ
万事休す――!
一度は死を覚悟した日下部太郎左衛門延乃進(くさかべたろうざえもんのびのしん)は、突如として横溢(あふ)れた光に片目を瞑ると同時、狭められた眼路の先に立つ姿影――空色の髪をふわり揺らす少女の、凛然たる聲に結ばれた。
「大丈夫っ! 助太刀するよっ!!」
劔呑を払拭する淸澄のソプラノ・リリコ。
雪白の繊指に嵌めた『精霊石の指輪』を胸元から突き出し、六属性の加護にオーラの壁を展開したシル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は、肩越しに青き瞳を注いで剣豪の無事を確めた。
「良かった、――……ええと、お名前なんて呼べばいいの?」
名前は事前に聞いているが、長くて何処で区切って良いのか分からない――。
それでも気爽(きさく)に名前を呼ぼうと、心の壁なき少女を好ましく思った剣豪は、恩人に答えるように口を開いた。
「延乃進で御座んス。それでも呼びにくければ、延(のび)で結構」
「ノビさん」
「うむ。而して其方(そなた)は」
「あ、わたしはシルです。よろしくねっ♪」
莞爾と頬笑む花顔の爽やかさが眩しい。
可憐な少女だと瞳を細めた延乃進は、然し次の瞬間、彼女の底力におったまげた。
「――さて、それじゃからくり退治と行きますか」
延乃進を護るべく展開したオーラの防壁はその儘、自身は一歩踏み出る。
瓦屋根を連ねる城の塀からザッと現れた絡繰り忍者軍団を透徹の双瞳に映したシルは、『精霊布のマント』に風を集めるや宙を舞い、邪と目線を同じくして吃ッと睨めた。
「……謙信を憑依した絡繰り軍団、か」
空の器に詰めたるは、魔軍将・上杉謙信――。
嘗て関ヶ原で幾度か刃を交えた記憶が甦るが、かの軍神が絡繰り人形のひとつひとつに憑依しているなら、余程の強さに違いない。
蓋し少女の青瞳は玲瓏の彩を失わず、
「――でも、あの人ほど強いわけじゃない。憑依したからってあの人みたいなれるなんて思わないことだよっ!」
次々と煙幕爆彈を投げ込む忍者の隊列を、宛ら風の吹き抜ける如く翔る。
片手に光刃剣『エレメンティア』を、逆の手に『精霊剣・六源和導』を握ったシルは、擦れ違い様に忍者の手首を斬り落としていくと、麻痺毒の煙彈が敵の足許で爆ぜる。
「おお、疾流(シル)殿は二刀流とな……!」
延乃進は少女の英姿を欣喜と追ったろう。
シルは手投げ彈に追われるも白翼衣『オデット』を翻してクイックターン! ヒラリと軌道を見切って躱すと、身を低く敵軍を翔け抜けて隊列を撹乱した。
「浮足立って来たら……纏めて撃ち抜くっ」
絡繰り人形が手足をモタつかせるのを聢と捉えたシルは、ここに魔法陣を展開して精霊を集め、凛乎と詠唱する。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
顕現発露、【エレメンタル・ファランクス】――ッ!
シルの佳聲に結ばれた四属性は煌々と耀ける“魔砲”となり、合計450条の魔力砲撃が烈々と敵群に降り注ぐ!
次々と崩れて沈む絡繰り人形を見た延乃進は、口をあんぐりと開けて、
「おおお……疾流(シル)殿こそ“つわもの”に御座んス……!」
と、幼な少女の無双に奮い立った。
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃
一応エンパイア出身の武人としては故郷の事件を放っておくわけにもいかないのだ。
敵さんはからくりか。じゃあ仕方ないまじめに戦うしかない。ネタも挟めないおもしろくない。まー初戦だしいいか。
敵さんは死角から突っ込んでくるらしい。二刀流構え、見切って最小限の動きでカウンター気味に敵の忍刀を斬り、もう一刀で敵本体を斬る構えで。
んで日下部殿を守りながら戦うと。
とはいえ剣豪が守られてばかりではプライドもあろう。なら援護射撃的に敵さんをちょっと切り込み入れる程度に傷つけて、日下部殿の大薙刀で敵を斬り捨てたって演出(実際は瀕死の敵にとどめ刺したってのが正しいわけだが)できたらいいな。まあ余裕あったらかねこれは。
時は須臾。
両者の間に光を解いて顕現(あらわ)れた長躯の男は、射干玉の黒瞳に敵影を映すや、凛乎と引き結んだ佳脣に小さく溜息を滑らせた。
「あー、敵さんはからくりか」
木製の器に軍神の魂を憑依させただけの。
顔貌を布に覆い、默然(だんまり)を決め込むだけの。
「からくりではギャグが決まらないのだ」
己が變顔をしようと、駄洒落を言おうと、何ら反應を示さぬ「ボケ殺し」の手合いだと見極めた大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は、刻下、瞳に迫る邪氣に凛然を萌した。
「――じゃあ仕方ない。まじめに戰うしかない」
愉快(おもしろ)くない、と言いつつ拇指球を踏み込める。
スッと柄に滑らせた硬質の指は刹那に刃を暴き、神氣滴る一刀が敵の忍刀を打払えば、更なる一刀が敵の胴に残像を疾走らせて躯を別つ。
この神速の連撃には、日下部太郎左衛門延乃進が感嘆を溢したろう。
「おお、二刀流の使い手に御座ンス……!!」
其は絡繰りの可動範囲や軌道を見切り、最小限の動きで刃を返す至妙の技。
大豪傑家の当主で歴代最強クラスの「変態」を誇る麗刃は、ネタを挟まなければ唯だの「屈指の武人」で、彼は徒然(つまら)ないとでも言う風に【剣刃一閃】――冱え冱えと劔光を閃かせては、絡繰り人形を木偶にさせていく。
泣き別れた躯が鋭利な切り口を見せるのだけが慰みか、
「まー初戰だしいいか」
と囁(つつや)くハイ・バリトンは沈着として冷艶。
一応はサムライエンパイア出身の武人にて、故郷の危機を放っておく訳にも往くまいと嘆聲を溢した麗刃は、常に死角を攻めてくる邪忍を目尻の際に捉えるや、冱刃を一閃ッ、ガラクタと變えた。
而して己も侍の国の武人ならば、彼等のプライドの高さも重々心得ている。
「日下部殿、助太刀を頼めますか」
「おおおっ、望む處に御座んス!」
麗刃は城塀の瓦屋根を伝い来る邪影に烱眼を結ぶと、背越しに延乃進に助力を請い、
「わたしが切り込みますので、敵が崩れた隙を――」
「承知に御座んス!」
引き受けた、と延乃進が大薙刀を振り回すが、實の處、其は巧妙な「演出」だ。
麗刃の刀は甲冑や玉鋼は疎か、霊魂さえ断つ超常神域の劔技にて、幽光を湛えた日本刀が虎落笛の如くひやうと疾り抜けると、軍神の憑依を解く。
畢竟、延乃進は「空の器」がグラと傾き、地に倒れるまでにバラすだけなのだが、
「うむ、討ち取ったで御座んス!!」
「――お見事」
これで侍のプライドを守れるならと、麗刃は余裕の微笑(えみ)を見せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
露木・鬼燈
戦うことは大好きだけど…
故郷は平和であってほしいよね。
なので今日の僕はちょっと遊びがない。
効率重視のつまらない動きだけど仕方ないね!
<献身之盾>で剣豪をカバーリング。
浮遊盾が剣豪を囲むように展開して鉄壁の護りへ。
剣豪を討ち取られるわけにはいかないからね。
しっかりと守っていればへーきへーき。
いずれ他の猟兵が敵を討ち取ってくれるはず。
なので僕自身も守りを重視した後の先をとるスタイルで。
敵の攻撃を魔剣で弾き、態勢を崩しす。
そこに浮遊盾によるシールドバッシュを加えて転倒させる。
後は踏みつけで仕留める。
こかして踏みつけるのがなんだかんだで強いよね。
まとめて仕留めることはできないけど、一体一体確実にね。
好きに飲んで、遊んで、戰って。
命尽きる瞬間まで生を楽しまんとする露木・鬼燈(竜喰・f01316)は伊達に鯔背に世界の戰場を渡っていたが、徳川の世の危機を視てからは、自ずと脚が故郷に向かった。
「――今日の僕は些少(ちょっと)遊びがない」
両者の間に光を解いて顕現れた侠(おとこ)の麗顔は凛冽にして精悍。
普段はユルくてのほほんとした鬼燈も此度は悪鬼羅刹の如く、剣豪の前に立ち塞かるや鏖殺の波動を迸発(ほとばし)らせ、共にテレポートした浮遊盾を壁の如く展開した。
「効率重視のつまらない動きだけど仕方ないね!」
「むむっ、これは……っ!?」
喫驚する剣豪を囲繞するは、【献身之盾】(ガーディアン)。
自律防禦するナノメタル製の浮遊盾を並べて鉄壁を成した鬼燈は、盾に隠された得物を屠らんと迫る忍者軍団を、紫玉と燿う麗瞳いっぱいに投影(うつ)した。
「しっかりと守っていればへーきへーき」
佳聲は變わらず暢然(のんびり)としているが、彼も生粋の武芸者。
華奢の躯より漲る殺氣を隠しもせず、雪白の繊指に『魔剣オルトリンデ』を握り込めた鬼燈は、變形機構により両刃の節を伸ばして鞭の如く撓らせると、一斉に投げ入れられる手裏劔を虚空に払った。
「戰うことは大好きだけど、故郷は平和であってほしいよね」
靉靆と霞が棚引く濛然の中、からんと手裏劔が足元に轉がる。
鬼燈は手首を返して魔鞭を躍らせると、返す刃に絡繰り忍者の胴を薙ぎ、態勢を崩した隙に浮遊盾を突貫させれば、刹那、邪忍らは躯を彈かれるや堅牢の盾に組み敷かれた。
而して鬼燈はその瞬間を見逃さない。
「こかして踏みつけるのがなんだかんだで強いよね」
先兵を崩し、初動を挫く――。
他の猟兵の動きも聢と眼路に入れる彼は、圧倒的多数を眼前にしても焦燥の色は無し、颯爽と爪先を蹴った脚で盾ごと踏み付け、絡繰り人形を唯のガラクタにする。
「まとめて仕留めることはできないけど、一体一体確実にね」
仲間も敵を討ち取ってくれる今は、己という駒を失ってはならぬ。
此度は剣豪を討ち取らせなければ「勝ち」なのだと、守りを重視しつつ、後の先を取る彼は随分と戰術的だろう、
「これだけの軍神と戰えるって、前の戰争っぽい!」
其は極上の享楽か。
侍の国の侠客は敵を組み敷くほど雄渾と、己に流るる戰闘狂の血を沸々滾らせながら、殺伐の戰場を颯然と、軽々妙々と立ち回った。
大成功
🔵🔵🔵
穂照・朱海
●心情
我が妖刀は戦国の世に人を斬るために生まれたもの
今なお血と闘争を求めて止まない
相手が上杉謙信ならば
妖刀が斬ることを欲するだろう
それを満たすのにやぶさかではない
(以下演技口調)
ほほほ……人に非ざる相手ならば、こちらも人の姿を捨ててお相手つかまつりませうぞ……
――此度あけみが化けまするは
『鉄鼠』
絡繰り仕掛けならば生き物に比べ内側に入り込み易いもの
伝承において8万4千匹もの鼠を率いたとされるこの鉄鼠ならば
体内に入り込み、肝心要の機関を食い破るなど容易き事!
剣豪殿に近い者から順に狙います
もし完全な脱力状態となったならば動けぬ筈…
妖刀を用いて四肢を斬り落としてくれませう
燦然と溢れる光に片目を瞑った剣豪は、狭められた眼路に揺蕩う影に瞠目する。
「芸妓か……? 将亦(はたまた)役者か……?」
目下、差し迫る邪を遮るは、妖艶優美の振袖を揺らす射干玉の黒髪の女――。
否、彼こそ女形を演じる穂照・朱海(極彩色の妖魅・f21686)で、白磁の指に袖を摘み口元に寄せた麗人は、朱々と紅を引く佳脣に竊笑を隠した。
「ほほほ……此度の手合いは人に非ざる」
擦り抜ける聲はまこと美し妖し。
婀娜なる流瞥(ながしめ)に絡繰り忍者軍団を見た朱海は、塊麗の微笑をひとつ、
「ならば、こちらも人の姿を捨ててお相手つかまつりませうぞ……」
云うや飜然(ヒラリ)と袖を振って白皙を隠し、着物の柄を看々(みるみる)解いて、我が姿影を靉靆と棚引く霞に溶かした。
而して聲はいずこから聽こえよう。
「――此度あけみが化けまするは、僧の怨念が生じせし『鉄鼠』に御座いまする」
其は【艶姿百鬼変化】――妖怪『鉄鼠』に化けた朱海の「人としての」影は既に無く、音なき跫は地を疾り壁を伝い、研ぎ澄まされた齒に齧る獲物を探している。
蓋し、カリ、と剔抉るような音を聴いた時分には遅し。
「絡繰り仕掛けならば、生き物に比べ内側に入り込み易いもの」
優艶の聲が隅々に染み渡る様に、妖(あやかし)の鼠は如何な狭隘を厭わぬ。
「伝承に於いて八万四千匹もの鼠を率いたとされるこの鉄鼠ならば、木の器に入り込み、肝心要の機関を食い破るなど容易き事!」
血肉を詰めた訳で無し、軍神の霊魂を憑依させた人形の虚(うろ)の衝かんと侵入した無数の鼠は、齒車を噛み、駆動軸を喰い荒らして、絡繰りを唯のガラクタと變えた。
「おおお、絡繰り忍者がぴたりと止まって……!」
剣豪が喫驚の聲を漏らすが、此れこそ朱海が望んだ景。
突如と入り込んだ鼠を排出するに、完全に脱力した木偶を見た彼は、再び影を顕現すや繊手に『妖刀・朱天狗』を握り込め、つと素足(あし)を滑らせた。
「――いざ参りませう」
この妖刀を握ったのは、織田信長の軍勢が跋扈した時分だ。
戰国の世に人を斬るために生まれた刀は、今なお血と闘争を求めて止まず――特に相手が軍神『上杉謙信』ならば、妖氣は宛ら垂涎する如く滴ろう。
そして己は、其を満たすにやぶさかではなく――。
「斬り落としてくれませう」
丹花の脣に冷徹(つめた)く怜悧(つめた)く言ちた彼は秋風の戰ぐ如く。
剣豪から近い者から順に、平等に残酷に薙倒していった。
大成功
🔵🔵🔵
舞塚・バサラ
【SPD】
大群に御座るな
奴輩めの本気が見えるようで御座るが…
劣勢は覆してこその猟兵
いざ、助太刀仕る(UC発動)
まずUCにて城壁を破壊。敵の優位になる陣を崩し、盤面を広げる次第(破壊工作、地形の利用)
延乃進殿の逃走経路や防御をUCの大剣40本で実行。此方は破壊よりも弾き飛ばしや防御を重点、此方側に来るよう誘導するで御座る(時間稼ぎ、武器受け)
此方に誘導した絡繰は残りの大剣と某にて
相手は絡繰
機構には隙間があり関節がある故そこを突けば破壊そのものは簡易
そして脱力して受ければ増えるのならば…脱力の間断を与えぬ、百か千か万かそれ以上の連撃で以って仕留める哉(部位破壊、鎧砕き、怪力、ダッシュ、先制攻撃)
抑も大菩薩峠は霞が生じやすい場所である。
元々の自然を活かして自軍に有利な地形を敷いたかと、靉靆の霞に過る大軍勢を捉えた舞塚・バサラ(殺界羅忍・f00034)は、真田神十郎も愈々本気だと囁(つつや)いた。
「……奴輩めも本腰を入れたようで御座るが、劣勢は覆してこその猟兵」
敵の優位を崩し、我が盤面を広げる可し。
用意された土俵に上がる義理も無かろうと、素早く印を結んだ彼は、【陰術:以津真天ト哭キ叫ブ凶鳥】(シャドウアーツ・スクリームストリゲス)――黒影を編むや地獄の炎を移植して大劔を成し、その約半数の鋩を城壁に射掛けて破壊した!
「いざ、助太刀仕る」
バサラが操る太刀は正に剣豪を助けよう。
生命を得たように動く大劔は、狭隘を拒むように壁や塀を破壊しつつ、半数は延乃進の逃走経路を切り開くと同時、彼を囲繞(かこ)んで護衛する。
「おおお、忝い……!」
真田軍の主目的たる剣豪を殺されては元も子もない。
バサラは次々と襲い掛かる絡繰り忍者軍団を薙ぎ払い、彈き飛ばし、延乃進を護る傍ら己に注意を寄せるよう誘導した。
「相手は絡繰、軍神の霊魂を憑依させようと虚(うろ)が御座ろう」
薄く引き結ばれた佳脣を滑る言は沈着にして怜悧。
顔貌を布に隠した人形が怒涛と押し寄せるが、洞察の眼を鋭利くしたバサラは忍装束に隠された内部を見極めんと、彼等の挙措や可動範囲から構造を読んだ。
「機構には隙間があり関節がある故、そこを突けば破壊そのものは容易に御座る」
己が編みし影と炎の大劔は、実体があれども無し。
僅かな隙間から侵入した其は齒車を灼き、駆動軸を両断し、カラクリを唯のガラクタと變えた。
「なんと!! あれだけ動いていた忍者がピタリと止まったで御座んス!!」
延乃進は喫驚の聲を彈くが、バサラは邪の沈默を凝乎(ジッ)と睨め据える。
我が身を食い破る大劔を排出せんと、絡繰り人形が完全に脱力して自己複製を図れば、今度はバサラ自身が『陰術:無形刃』を疾走らせ、外側から破壊に掛かった。
「絡繰りが増えようものなら、百か千か万かそれ以上の連撃で以って仕留める哉」
手数を厭う身では無し。
斯く告げた忍は、内には大劔を滑り込ませ、外からは闇黒の苦無に断ち切る。
而して幾重に疾走る斬撃も、関節や機関を的確に狙う精緻精密なれば、絡繰り忍者は糸が切れたように崩れ、バサラが擦れ違った矢先、次々と地に沈む。
朦然と棚引く霞を往く黒影は、宛ら悪逆を灼く炎焔(ほむら)の様でもあった。
大成功
🔵🔵🔵
矢来・夕立
…。…護衛は忍び衆の得意とするところですが、彼からはやや苦手な気配がするので《闇に紛れて》います。そうこれが影から守るということ。忍者はこれで正解です。
コイツらがくっつけてるのは謙信公でしたね。奴はオレとオレの友柄とでしっかり殺しました。
どんなかたちであれまだ存在しているのなら、滅ぶまで殺すだけのこと。
片端から壊していきましょう。
オレは隠れ続けてるんで、周りを見る余裕が少しはあるはずです。
守りやすくなるよう、敵の数を減らします。
見えにくい、ないし予備動作に入ったからくりを先制して【暗殺】。脱力状態を作る間を与えない。
それにしても戦国の輩は人を着るのが好きですね。
そんなの江戸では流行りませんよ。
暗殺、謀術、諜報、扇動――。
凡そ「忍者」と呼ばれる者の任は多岐に渡るが、其の殆どが身を忍び窶しているとは、彼等と同様の遣り口で仕事を請け負う矢来・夕立(影・f14904)こそ熟知していよう。
「……。…………。…………」
而して今、複雑に巡らされた壁や塀を幸いと影を隠した彼は、なんとかかんとかと言う剣豪を影から守っていた。
「…………御座んス。ござんす」
そこはかとなく苦手な気配がするし、護衛なら葉隠より見守るのが正解。
蔭の奉公こそ大義なりと、眼鏡を隔てた緋瞳は常に剣豪を視界に入れつつ、闇に紛れて烱々煌々、瓦屋根を疾走る邪の動きを探っていた。
「コイツらがくっつけてるのは謙信公でしたね」
超・魔軍転生と云ったか。絡繰り人形は魔軍将・上杉謙信の霊魂を憑依している。
思い出されるのは関ヶ原の景色だろう、
「奴はオレとオレの友柄とでしっかり殺しましたが、どんなかたちであれまだ存在しているのなら、敗滅(ほろ)ぶまで殺すだけのこと」
百が甦れば百を殺すし、千万が甦れば千万を屠る。
片端から壊していくだけだと、月の意匠の黒羽織を翻した夕立は、剣豪へと眞ッ直ぐに結ばれる絡繰りを側面から強襲した。
「狙い続けるなら、それで結構」
畢竟、狩りは獲物が獲物を狙う瞬間を狩るのが手容(たやす)い。
蔭に隠れ霞を纏った夕立は、周囲を見るに幾許も余裕があり、今こそ仕掛けんと爪先を彈く絡繰りが忍刀を振り被った刹那、『式紙・水練』を射掛ける。
「予備動作に入った瞬間、完全な脱力状態で受ける事は出来なくなります」
数を減らす為に、数を増やさせない。
硬質の指を離れた式紙は、鐵製の手裏劔と同等の強度と鋭利さを以て絡繰りの関節部に喰い込み、それ以上の挙措を許さず地に轉ばせる。
「生き物と違って、絡繰りが動くには隙間が必要ですから」
撞ッと顛倒した人形には追撃に『式紙・牙道』を投擲し、軍神の憑依を解く。
然して空の器――唯のガラクタと化した人形を緋瞳に組み敷いた夕立は、言ちて、
「それにしても戰國の輩は人を着るのが好きですね」
靴底に踏むだけで壊れてしまう木偶を、「脆弱(もろ)い」と爪先で轉がす。
端整の脣を滑るテノールは虎落笛の如く冷ややかに、
「そんなの江戸では流行りませんよ」
と、虚(うろ)の人形に訣別を置いた――。
大成功
🔵🔵🔵
亜沙木・しづる
遅れながら助力に来ました!
延乃進さんへの刃撃を鋼糸で防ぎつつ
共闘の挨拶を告げる
延乃進さんに手が余る要素を
私が担う事を念頭に行動
◎行動優先順
煙幕爆弾から剣豪を守る>弱った敵にトドメ攻撃≧鋼糸で複数敵を拘束&攻撃
敵進行方向に鋼糸を張り巡らせて動きを鈍化、
剣豪に攻撃を任せる一方、私も別敵を蹴りで攻撃
剣豪に夢中な敵には後ろから奇襲したい
UCも発動
絡繰鳥に切り裂く翼を宿して、剣豪に迫った敵を攻撃させる
煙幕爆弾は、鋼糸でなぎ払って不発狙い
無理なら絡繰鳥にわざと着弾、
それも間に合わないならオーラ防御を使ったうえ私が受ける
剣豪に被弾時は、拘束している敵を迅速排除
剣豪の技に感嘆しつつ、私は私の役目に専念するよ!
漸ッと塀を飛び越えた絡繰り忍者が、宙空より焙烙玉を投げかけんとする。
絡繰りの四肢が大きく撓った刹那、ひやうと疾走する鋼糸が忍の手首に巻き付いた。
「遅れながら助力に来ました!」
「むむっ! 誰そ!!」
「味方です!」
邪忍の挙措を拘束しながら、共闘の挨拶を告ぐ。
淸澄なる聲の主は、亜沙木・しづる(fragment・f30506)――透徹る繊指に極細の鋼糸『白鋼の弦』を操って敵の奇襲を阻んだ彼女は、眞赭の麗瞳に延乃進の大薙刀を促すと、彼は心得たと言わんばかり大きく振り被り、敵を薙ぎ払った。
「延乃進さんが手が餘る敵を担います。今こそ剣豪の妙技を!」
「がってん承知に御座んス!!」
猟兵とまではいかぬまでも、彼は侍の国の強者(つわもの)。
しづるは延乃進の武技を大いに頼りながら、自身は焙烙玉の投擲を禦ぎ、弱った敵にはトドメを刺して、圧倒的多数を誇る忍者軍団の撹乱を図った。
「進行方向を常に標的に結んでいるなら、逆に読み易いよね」
射線は必ず剣豪に結ばれている。
ならば己は其を断つだけだと、月白と耀ける鋼糸を五指に操ったしづるは、サイキックエナジーを流して生き物の如く――蜘蛛の巣の如く張り巡らせて敵を絡め取る。
「これで煙幕爆彈は不発です。延乃進さんは絡繰り忍者を!」
「應ッ!!」
明朗で心の壁を感じさせぬ彼女は、サポートが得手。
佳人は延乃進の呼吸に合わせて颯然と立ち回り、続々襲い来る敵には【宙征く絡繰鳥】――合計66体の絡繰鳥に『緑石英の翅』を付して、その力強い羽搏きに切り裂かせた。
「絶対に延乃進さんを殺せたりしない……!」
焙烙玉が驟雨と降り注ぐなら、絡繰鳥を向かわせて相殺しても佳い。
それでも間に合わなければ、オーラの防壁を展開した上で負傷を代わっても佳い。
この男が骸の海を潜り、故郷に仇為す駒になるなどあってはならぬ、と櫻脣を引き結んだ可憐は、緋瞳に宿る玲瓏の彩を烱々煌々、剣豪に近付く者から順に蹴散らしていく。
時に邪忍が剣豪へと向かえば、しずるの瑞々しい脚が軽妙迅速に回し蹴りを炸裂させ、勢い良く顛倒した處に弓張月の刃が閃く。
「延乃進さん、お見事です!」
「うむ! 其方のお転婆な脚も稲妻の如くに御座んス!」
しづるが大薙刀の妙技に感嘆を添えれば、剣豪もニカッと哂って賛辞を返し。
互いに役儀を決めた二人は、阿吽の呼吸で忍者軍団の統制を切り崩していった。
大成功
🔵🔵🔵
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
剣豪には貴方呼び
大薙刀使いを狭い場所に追い込んで攻撃とはな
今は俺の背後に来てください、舞台を用意します:剣豪に
これだけで全滅出来るとは思っていない、壁を壊すのが目的だ
SPDで判定
まずは剣豪を背に【かばい】【先制攻撃】する
義眼の藍の災い:圧壊【重量攻撃】を【全力魔法】【範囲攻撃】で敵を攻撃しながら迷路の壁を【地形破壊】して取り除き【地形を利用】出来るようにする
剣豪が戦えるような空間に出来たら邪魔にならないように【情報収集】、全力で戦って貰えるように動く
俺は銀腕を【武器改造】で剣にし【怪力】【鎧無視攻撃】【早業】を使って敵を【切断】する
いざとなれば【覚悟】して剣豪を【かばう】
我が得物たる大薙刀を殺す壁と塀。
加えて怒涛と襲い来る邪忍の群れは、圧倒的多数を力に我が身を狭隘へ押し込める――一時は死を覚悟した剣豪は、刻下、燦然と零れる光に片目を瞑ると同時、狭められた眼路に揺れる影に喫驚を結んだ。
誰そ、と溢れる言を噤み、剣豪は青年の聲を聽く。
「――大薙刀使いを狭い場所に追い込んで攻撃とはな」
此れが軍神の韜略か、と聲色を落とすはルイス・グリッド(生者の盾・f26203)。
両者の間に割って入った精悍は、映した者に“色”に應じた災いを齎すメガリスの義眼『イリダセント・ウィッシュ』に絡繰忍者軍団を映すと、“藍”の災い――凄まじい重量を以て圧壊した。
「なんと、貴殿も奇術使いに御座んスか!?」
「メガリス……いえ、話は後です。今は俺の背後に来てください」
云って、背に剣豪を隠す。
敵は常に剣豪を狙い続ける戰闘兵器にて、殺意の射線に立てば守れようかと、肩越しに流瞥(ながしめ)を注いだルイスは、次いで剣豪の大薙刀を眺めた。
「俺が舞台を用意するので、貴方は剣豪の妙技を」
「!! がってん承知に御座んス!!」
應ッと胸を張る剣豪が立ち回るには「広さ」が必要だろう。
敵の土俵で戰う義理も無し、連々と続く瓦屋根の城塀を白銀の烱眼に捺擦(なぞ)ったルイスは、真田神十郎が敷いた城郭迷宮を破壊せんと、義眼に秘める力を解放した。
「敵が優位に立つなら、引き摺り降ろすまで」
宛らドミノを崩すように、我が足下から放射状に塀を圧壊する。
然れば忍者の隠れ場所も潰せたろう、一気に広い視野を得た剣豪が翼を得た獅子の如く大薙刀を振り被れば、ルイスは彼の間合いを塞がぬよう距離を取って構えた。
「返り討ちにします」
「うむ、反撃で御座んス!!」
剣豪の体躯、得物の長さから攻撃範囲は読めよう。
己は其の範囲や時間の隙を埋めるべきかと思案したルイスは、右手を覆う手袋を外し、【メガリス・アクティブ】――銀の義手を暴いて劔と變形させた。
大振りな大薙刀に対し、劔は近接する敵をより速疾(はや)く斬れる。
万一の時には負傷を預る覚悟も決めたルイスなれば、彼は不断に押し寄せる絡繰り軍団を鋭利い劔鋩に貫き、斬り捨て、無双の活躍で剣豪を奮い立たせた。
「卑劣な智略を、純粋な武で蹂躙してやる」
薄く引き結んだ佳脣より、玲瓏のハイ・バリトンが冷ややかに擦り抜けた。
大成功
🔵🔵🔵
麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
多対一とは卑怯!僭越ながら助太刀を!!
クイックドロウ先制UC発動
雲霞は常に剣豪を庇い
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと吹き飛ばす
地形を利用し敵を城壁などにぶつけ陣を乱す
「姉君」の薙刀捌きに似てるな…
剣豪の動きに雲霞を合わせる
空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで迅速に接敵
剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで突撃し一気に吹き飛ばす
敵の攻撃は基本三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御等で防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで吹き飛ばし二回攻撃念動衝撃波串刺しチャージで一気に突撃
窮地の仲間は積極的にかばう
天下を曇らす胡乱共!
青天の嵐が相手だ!
近くば寄って目にも見よ!
大薙刀の間合いを殺し、数を以て圧殺する――。
其は慥かに戰術として合理的だったろうが、目下、正義感の強い少女の透徹と澄み渡る瞳に映る戰闘(いくさ)は、卑劣以外の何者でもなかった。
「多対一とは卑怯! 僭越ながら助太刀を!!」
「おお、貴殿は……」
「猟兵が一人、麻海・リィフ!!」
義気凛然と発せられる淸澄のソプラノ。
佳聲の主は麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)。
可憐は両者に割り入るや、【浮陣・青雲光霞】――合計78基の機動浮遊攻防盾『雲霞』を即時展開し、剣豪の前で組み合わせて巨大な丸盾とする。
「むむっ、瑠偉芙(りぃふ)殿も奇術使いに御座んスか……!?」
剣豪・延乃進が喫驚の色を差すのも無理はない。
自律機動する丸盾は次々と飛び掛かる絡繰り忍者の邪氣に反應するや、轟然と迫り出て敵群に衝突(ぶつ)かり、身軽な躯を塀の向こうまで吹き飛ばした。
「雲霞は常に防禦の陣を」
敵が常に剣豪を狙うなら、常に射線を護れば佳い。
主に従った防盾は集合と離散を自動判別し、忍が攻め掛かれば剣豪を囲繞(かこ)み、突貫を彈き返しては城壁に叩き付け、剣豪に一縷の創痍も許さない。
丸盾に護衛を任せた事で幾許の余裕を得たリィフは、『雲霞』の衝撃に零れる絡繰りを大薙刀に斬り払う剣豪の太刀筋を見て、
(「この動き……『姉君』の薙刀捌きに似てるな……」)
呼吸、間合い、踏み込みから払い抜き――。
淸冽の刃を近しく感じた少女は、剣豪の動きに『雲霞』を合わせて支援した。
「幾百の軍神が相手でも、この場で一滴の血も流させん!」
卑怯な智略を、純然たる力で捩じ伏せるッ!
顔貌を布に覆った邪忍を吃ッと睨めたリィフは、眞白の人造鳥翼を広げるや飛び立ち、一陣の風となって翔け抜ける。
丹花の脣は高らかに、
「天下を曇らす胡乱共! 青天の嵐が相手だ! 近くば寄って目にも見よ!」
繊手に握る『回転剣ストヲムルゥラァ』が風を摑み嵐を纏い、猛烈な螺旋を繰り出すや絡繰りの躯をギチギチと軋ませ、遂に――捩じ切る!
絡繰り忍者は完全脱力して複製を生むが、果して少女の進撃に間に合おうか。
「何度でも良い! 何度でも打ち倒してやる!!」
大菩薩峠を烟らせる霞が、晴嵐に払われようとしていた。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
何故かこのお侍さん、知らない方の筈なのに何処かでお会いしたような……?
ともあれ、急ぎ加勢すべきですね。
【闇の精霊さん】発動
飛んでくる爆弾に対し幾つものブラックホールを生成、盾代わりにして爆弾を吸い込んでもらいます
爆発を防ぎきれなかった分の爆風も吸い込みます
基本的にお侍さんの傍で彼とわたしへの遠距離攻撃を防ぐことに集中
余裕があればこの時点でも精霊銃で攻撃
ある程度吸い込んだらわたし達に影響の出ない程度に離れた敵へ爆弾を吐き出してもらい、同士討ちを誘発
巻き添えで鎖に絡まった敵を狙い、精霊銃(火炎弾)で攻撃して焼却します
刻下、連々と続く瓦屋根の向こうから投げ込まれるは焙烙玉か。
無数の黒塊が火花をチラつかせて飛び掛かる――劔呑の蒼穹を仰いだ剣豪は、この時、慥かに死を覚悟した。
だが、然し。
一度爆ぜれば麻痺毒を噴く煙幕爆彈が炸裂する事は竟ぞ無かった。
「加勢します! ――闇の精霊さんっ、全部吸い込んじゃおう!」
闇黒沈靜、【闇の精霊さん】(ダーク・エレメンタル)――ッ!
淸澄のソプラノに呼ばれた闇の精霊は少女の「お願い」を聞き容れたか、須臾に宙空へ向かった彼は寡黙の裡に漆黒の帳を広げると、向かい来る火彈をふわりと包み込む。
「むむ、消えた……?」
剣豪が喫驚して軌道を追うが、嚴密に言えば消えた訳では無い。
「――指向性ブラックホールに触れたんです。時空の狭間に送られました」
「!? 貴殿も奇術使いに御座んスか??」
ちょっと何言ってるか分からない、と遠方に構える少女に振り向く剣豪。
さや、と搖れる銀の前髪に羅刹の角を覗かせた可憐は、何なら爆風や衝撃をも吸い込む気でいたが、周囲に毒の気配が無い事を確認すると、トトトッと剣豪に歩み寄る。
「何処かにお怪我は、身体に痛みはありませんか? えっと……――」
「拙者は日下部太郎左衛門延乃進。長くて呼び難いなら、延(のび)で結構で御座んス。……して貴殿は?」
「……あの、荒谷・ひかると言います」
然う、少女は荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)。
精霊の力に頼る以外は、戰闘能力も身体能力も一般人未満の華奢な女の子だ。
「ふむ。荒谷、あらや……と……」
「のび……」
何故だろう、聽き憶えのありそうな名前に、何処かで会ったかのような感覚。
見れば彼も「懐かしい」とでも言う様に丸眼鏡の奥で翠瞳を細めており、少女と同じ方向に首を傾げていた。
いやいや、今は絡繰り忍者軍団だ。
又も迫る邪忍を精霊銃『Nine Number』に牽制したひかるは、自身の頭上で闇の精霊が吸い込んだモノを吐き出す瞬間を眼路に捉えた。
「爆弾が排出されて……、それなら“同士討ち”をして貰います!」
須臾に火炎彈を撃ち出して着火、蒼穹いっぱいに爆音轟砲を広げる――!!
ドォンッと天蓋を突き上げた衝撃は、絡繰り忍者軍団を木端微塵に爆ぜさせると同時、靉靆と棚引いていた霞を払って城郭迷路を瞭然とさせるに奏功した。
大成功
🔵🔵🔵
六条寺・瑠璃緒
延乃進殿……だっけ
少し下がっていてくれ給え
敵から剣豪を守る位置に陣取り、Serenadeのオーラ防御を展開
あまり派手に立ち回る訳にもいかないし、視線だけで発動出来るUCを使用
催眠術も重ねて、存分に自壊や仲間割れを促す
彼等の動きが乱れたら其れに乗じてRequiemで攻撃を
吸血…は無理でも生命力吸収くらいは出来るのだろうか、此の絡繰
敵のUCはオーラ防御くらいしか打つ手がないかな、とりあえず剣豪はかばうよ
まともに受けて身動きが取れない演技でもしながら騙し討ちでカウンターでも叩き込みたいね
…嗚呼、こんな絡繰が相手じゃなければ拍手喝采を受けて良い演技だと思うんだけどなぁ、今の
六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)は、若しか怒涛と押し寄せる邪の軍団が自身の熱狂者(ファン)だったなら、幾許か其の類稀なる麗貌に淡い色を溢したろう。
蓋し今は。
物言わぬ顔貌を布に隠した絡繰りを投影す銀灰の佳瞳は、一縷と玲瓏の彩を揺らさず、丹花の脣は凍えるほど冷ややかなテノール・バリトンを滑らせるのみだった。
「延乃進殿……だっけ。少し下がっていてくれ給え」
気品漂う丁寧な聲遣いに距離を置く。
此度の敵の「獲物」たる剣豪を、スラリと伸びる長躯に隠した瑠璃緒は、朧な白い翼に風を叩くや、ふうわと眞白の羽根を舞わせ、何者をも寄せぬオーラの防壁を展開した。
「――扨て、あまり派手に立ち回る訳にもいかない」
これだけの軍勢を迷宮に投入するという事は、まだ剣豪の位置は知られていない筈。
徒に大きな音を出して、戰力が十分な裡に真田神十郎を招いてしまえば、明らかに劣勢になるだろうと読んだ佳人は、視線だけで撹乱すれば――と佳脣を引き結ぶ。
其は靜默の裡に。
蓋し狂おしい熱情を煽って。
「僕が自壊が美しいと云えば、果して君達は“そう”するだろう」
暗香蓊勃、【君に拠る葬送】(トーデストリープ)――。
何も相手が「視る」必要は無く、瑠璃緒が「瞶めた」相手は内なる理性を狂わせられ、漸う蝕む破滅願望が自傷を止まらなくさせる。
目下、絡繰り人形に宿った魔軍将『上杉謙信』の霊魂も等しく狂熱からは逃れられず、彼等は瑠璃緒のファン達がいつも“そう”であったように、我こそはと競うように忍刀を突き立て、煙幕爆彈を投げ合って仲間割れを起した。
「そうやって寵を争うように傷付け合えば佳い」
催眠を掛けた本人は涼し気なもの。
瑠璃緒は混乱に乗じて『Requiem』を駆り、木質の人形に穢れの刃を突き立てては内に宿る霊魂の生命力を吸収し、精密な絡繰りを唯のガラクタと變えていく。
「――煙幕が此方に来ないようにしなくては」
唯一の懸念は麻痺毒の煙幕だろうか。
忍者軍団の混迷を目尻の脇に送って疾走した冷艶は、再び白き翼を羽搏かせて風に羽を舞わせると、剣豪に毒気が届かぬようオーラを流動させた。
而して邪忍らは、彼が時折見せる「演技」にも翻弄されたろう。
瑠璃緒は煙幕を吸ったと足を留めて躯を屈めるが、其処に侵襲した忍者はカウンターを叩き込まれて地に轉がる。
完全に沈默した木偶を組み敷いた役者は、ここに長い睫を落して、
「――嗚呼、こんな絡繰が相手じゃなければ、拍手喝采を受けて良い演技だと思うんだけどなぁ、今の」
と、みどり髪の毛先を揺らした。
大成功
🔵🔵🔵
緋翠・華乃音
地の利を奪い、数の力で轢殺する。
確かに強者を狩る為の優秀な戦術だ。
だが猟兵という存在への見積もりが甘い。
上杉謙信その人ならば、もう少し練った策を用意していただろうな。
発した音の反響定位によって城郭の構造を立体的に把握。
気配を消して奇襲をベースに、剣豪を狙う敵個体から順に処理。
脱力状態にさせる暇や隙など与えない。
近距離ではダガーナイフを用いて敵の間合いの内側で翻弄し、間合いを離れれば拳銃で狙撃する。
憑装させた上杉謙信の合理性すら読み、敵の行動を計算しつつ戦闘。
挙動や攻撃の兆候を見切り、鋭く研ぎ澄ませた合理性が導く最適解に従って。
それは宛ら蝶の羽搏きのように。
地の利を奪い、数の力で轢殺する――。
剣豪を殺めるに自軍に有利な地形を敷き、多数の戰力を投入して圧倒する敵の動きを、星空と瑠璃唐草の麗瞳に映した緋翠・華乃音(終奏の蝶・f03169)は、其は確かに強者を狩る為の優秀な戰術だと評した。
蓋し認める訳では無い。
「――唯、猟兵という存在への見積もりが甘い」
薄く引き結んだ佳脣より冷艶のハイ・バリトンを滑らせた彼は、猟兵の介入を見越しての一手に欠いたと瑕疵を突き付け、
「かの軍神……上杉謙信その人ならば、もう少し練った策を用意していただろうな」
畢竟、邪忍らは謙信に非ず。
深く韜略に通じ、兵を用うるに卓絶した智将なら、機を見るに敏と動いたろう、と――目瞬ひとつして訣別を置いた華乃音は、敵が敷いた地形を幸いと身を隠し、気配を殺して葉蔭に潜んだ。
(「……城郭の構造は、発した音の反響定位によって立体的に把握出来る」)
研ぎ澄まされた聽覚は、知覚した音を可視化出来るほど。
靉靆と棚引く霞の中でも、城郭迷宮の地形を瞭然(ハッキリ)と捉えた超常の異能は、常に剣豪を狙い続ける忍者集団の射線を見出して狩りに掛かった。
「近い順に処理する。それだけだ」
絡繰り人形はダメージを追った刹那、自己複製した別の個体を排出する様だが、攻撃を受けきる完全な脱力状態を取る暇や隙を與えなければ佳い。
爪先を蹴るなり一陣の風と疾った華乃音は、一気に射線に侵襲するや雪白の繊指に『to be vengeance.』を翻して絡繰りの関節部を切り落し、目尻の脇に過ぎる影あらば逆の手に『to be silence.』の銃爪を引いて脳天を貫く。
其は鋭利い感應を反應に變える、驚異の反射能力が成せる技だろう。
人の理を外れた精神と知覚を有する彼は、絡繰りが憑装した上杉謙信の合理性を読み、敵の行動を高速で予測計算しては「解」を置いていく。
「甘さを指摘するように攻める。其も戰術だろう」
挙動や攻撃の兆候を見切り、鋭く研ぎ澄ませた合理性が導く最適解に従って。
無論、絡繰り忍者軍団も我が利である数を以て不断に攻め込むが、最終到達地点を剣豪に結ぶ彼等は、全てを可視化した華乃音にとっては狩り易く、佳人は座標が近い個体順に適切な武器で「処理」するだけだった。
「――単調だな」
其は宛ら蝶の羽搏きのように。
男は時の靜寂に身を躍らせつつ、精密なカラクリを唯のガラクタと轉がした。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
参上と同時に[先制攻撃]で敵一体を真っ二つにしよう
助太刀に来たぞ…
木偶人形共め…粉々にしてやる…!
細剣と妖刀を振るい[切り込み]ながら剣豪を護ろう
細剣の[早業と貫通攻撃]で敵を貫き[串刺し]
妖刀での[切断となぎ払い]で敵を切り捨ててゆこう
或るいは蹴りによる[咄嗟の一撃]を食らわして[吹き飛ば]そう
【絶望の福音】で敵群の攻撃を[見切り]つつ
[武器受け]からの[カウンター]を食らわせて
剣豪への攻撃を防御し敵を反撃しよう
敵群を切り捨て潰してゆき[蹂躙]しよう…!
…猟書家共め!
嘗ての戰で魔軍将は全て「処刑」した。
骸の海に沈んだ霊魂を掬い上げる禁術「魔軍転生」を使った愚者も悉く断罪した筈だが……否。今更、手間を惜しむ身でも無し。
またもこの国に眠る霊魂を浚って憑装し、災禍を振り撒かんとする咎人が現れたなら、何度でも殺して遣ると鏖殺の氣を滾らせた仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)は、グリモアの光を解くと同時、眼路に迫る邪を一息で両断した。
「助太刀に来たぞ……」
「おおっ、忝い!! して貴殿は――」
「……唯の劔の一振りだ」
ごとりと足許に倒れる絡繰りに一瞥も呉れず、背に隠した剣豪に聲を置く。
肩越しに玲瓏の星眸(まなざし)を注いだ麗人は、剣豪の無事を視るや直ぐに邪の群れに向き直り、続々と投擲される手裏劔を妖刀『アサエモン・サーベル』に払い落とす。
左手に握る冱刀が防禦を成せば、右手に握る細劔『エスパーダ・アサエモン』はその鋩に絡繰りの関節部を刺突して返報する――攻防一体の構え。
軍神・上杉謙信を憑依させた絡繰りを映す佳瞳は烱々と漆黒の彩を放ち、
「木偶人形共め……粉々にしてやる……!」
死に眠る霊魂を詰めた虚(うろ)の器など、赦せる筈が無い。
百を甦らせるなら百を斬り、千万を甦らせるなら千万を処断しようと睨めたアンナは、伝説にある首斬り処刑人の名を冠した二刀を以て敵群に切り込み、悉く斬り捨てた。
「……猟書家共め!」
オブリビオンが自然発生しないなら、殺めて骸の海を潜らせるだと!?
侍の国に生まれた命を駒に、故郷に仇を為させる愚行を赦してはならぬ、と櫻脣を引き結んだ佳人は、妖刀で敵の先陣を薙ぎ払うや、体勢を崩した個体から次々に細劔で串刺しにし、目尻の脇を過ぎる邪影には咄嗟に回し蹴りを放って地に轉がした。
これには“甲州の大薙刀”たる剣豪も喫驚を露わにしたろう。
「むむむ……貴殿には千里眼の力が備わって御座んス……!!」
「……千里眼か。似た様なものだ……」
アンナが視るは【絶望の福音】――十秒程の未来。
邪忍軍団の攻撃を見切った彼女なら、絡繰りが完全に脱力してダメージを“排出”する寸隙も殺して、斬る、突く、貫く――!!
而して倒れた木偶を靴底に踏み敷いた彼女は、更に爪先を彈いて疾駆し、
「攻めたからには、攻め返される事を覚悟しているだろう……」
蹂躙――ッ!!
その進撃の跡には、精密なカラクリも唯のガラクタと轉がるのみだった。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
剣豪の死角から襲い掛かる一撃に割り込み、聖槍で【受け流す】
反動で【体勢を崩し】たところへ、猛烈な蹴りを叩き込む
助太刀いたします
尋常の太刀合いであれば無礼なのは承知の上、しかし相手がオブリビオンとあれば話は別です
決してあなたの腕前を侮っているわけではないのをご理解いただければ
【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を身体と得物に纏う
死角であろうと風――空気の動きを鋭敏に感じ取り、奇襲を凌ぐ
刺突と共に極限まで圧縮した風を解放、指向性の超小型竜巻と化して忍者軍団を部品を破棄する暇も与えず圧壊
上杉謙信……過去の戦争で交戦経験がありますが、やはり強敵ですね
しかし何度立ちはだかろうと、その悉くを打ち砕く!
邪忍は死角より襲い來る。
ならば剣豪の体格や得物の間合から死角を割り出せば、侵襲進路も知れようと――。
剣豪と同じく長物の使い手であるオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)なれば、自ずと其が判然ったか。死角から迫る一撃に颯爽と割り込んだ聖女は、『破邪の聖槍』の鋭鋩に忍刀を受け流した。
「助太刀いたします」
「むむっ、貴殿は……!!」
剣豪が振り返る間に更に一撃、反動で体勢を崩した絡繰りに熾烈な蹴りを叩き込む。
ごとり、糸が切れた様に沈む木偶には一瞥も呉れず、喫驚の色を差す剣豪に向き合ったオリヴィアは、侍の矜持を尊びつつ丁寧に口開いた。
「尋常の太刀合いであれば、無礼は承知の上……然し相手がオブリビオンとあれば、話は別です」
「おびぶりおん?」
「オブリビオンです。この世のものではありません」
まさかあの絡繰りに軍神「上杉謙信」が憑依しているとは、俄には信じられまい。
オリヴィアは努めて穩やかに説明しながら、然し繰り出る攻撃は苛烈に敵を排撃し、
「決してあなたの腕前を侮っているわけではないのをご理解いただければ」
「うっうむ……!」
忍刀を白銀の柄で払い落し、石突で胴を衝いて、崩れた隙に斬り捨てる!!
艶かしい姿形は獅子の如く躍り掛かり、瑞々しい脚が旋風を連れて蹴散らす!!
「うむ! 御仁こそ拙者に気兼ねなく……!!」
剣豪はゴクリと生唾を飲みながら、凄艶の聖女の猛撃を見守るしかない。
蓋し“甲州の大薙刀”が圧倒されるのも無理はなかろう。
目下、彼の眼路で戰うオリヴィアは、【トリニティ・エンハンス】で増幅した風の魔力を身体と得物に纏い、風――空気の動きを鋭敏に読み取って、奇襲を凌いでいる。
美し金瞳は烱々と玲瓏の彩を燿わせ、
「虚(うろ)の器に籠められた霊魂は、謙信公……過去の戦争で交戰経験がありますが、やはり強敵ですね。常に變わる死角を執拗に攻めてきます」
なれば、と極限まで圧縮した風を解放する。
而して指向性の超小型竜巻と化した槍鋩は、一気呵成に邪の躯体を刺突するや、絡繰りが部品を破棄する暇も与えず圧壊した。
「何度立ちはだかろうと、その悉くを打ち砕く!」
百を甦らせるなら百を衝き、千万を甦らせるなら千万を斬り捨てよう。
鋭利く凛然を萌した聖女は、戰場の一帯に精密の絡繰りを唯のガラクタと轉がした。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
貴方が、延乃進殿ですね
私達は猟兵、貴方の助太刀に参りました
あの絡繰りはただの絡繰りに非ず、武人の力を得た妖の類い
集団には集団を、今は説明をするよりも目の前の絡繰りを
倫太郎、往きます
倫太郎の拘束術を合図に駆け出す
拘束されている敵を優先し、抜刀術『風斬』
攻撃力を重視、2回攻撃の鎧無視・鎧砕きにて絡繰りを叩き斬る
鎧無視・鎧砕きで十分であれば風斬を攻撃回数重視のものへ変更
死角には聞き耳、第六感にて敵の物音や気配を察知
反応が間に合えば残像、困難であれば武器受けにて防御
その後なぎ払いによる衝撃波にてカウンター
延乃進殿には前に出過ぎないよう時折様子を見る
狙われているのならば、その敵を優先して狙います
篝・倫太郎
【華禱】
むやみに大きく移動しねぇのが攻略法だよな、この場合……
ん、往こう
で、さっさと片そうぜ、夜彦
拘束術・弐式使用
射程内の敵全てを神霊での先制攻撃と同時に拘束
日下部何某(名前長いって!)と夜彦の死角も
同時に神霊にフォローするよう指示
必要なら身代わり的に拘束ヨロシク!
拘束と同時に衝撃波と鎧無視攻撃で四肢へとなぎ払い
刃先返して破壊できてない四肢の部位を部位破壊
出来るだけ移動手段を潰す事を優先して行動
常時、日下部何某の立ち位置や注意し
死角が発生しないよう、何某の戦闘行動を阻害しないよう留意しとく
敵の攻撃は見切りと残像で回避を基本とし
回避する事で何某に被害が出る場合は
その場でオーラ防御で防いで凌ぐ
敵は地の利を活かして神出鬼没に、多数を以て襲い掛かる。
狭隘に押し込まれた剣豪が愈々死を覚悟した、その時――光の波濤が射線を別った。
「――貴方が、延乃進殿ですね」
「むむっ!? 如何にも。して其方らは何者に御座んスか?」
「私達は猟兵、貴方の助太刀に参りました」
丹花の脣を滑る優艶のカヴァリエ・バリトン。
佳聲の主は、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)――精悍の躯を邪に向き合わせた男が、肩越しに玲瓏の星眸(まなざし)を注ぐ。
侍の国の侠(おとこ)の矜持を識る彼は、戰に差し入る無礼を断り、
「あれは武人の力を得た妖の類い……多勢に無勢にて、加勢に馳せ参じた次第です」
「妖とな!」
唯の絡繰りには非ず、軍神・上杉謙信の英霊を憑依した、云わば戰兵器。
蓋し言を並べて説明するより動いて示した方が佳かろうか、彼は傍らに佇む信頼の盾、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の秀でた鼻梁を見せる横顔に視線を結んで、
「倫太郎、往きます」
「――ん、往こう。で、さっさと片そうぜ、夜彦」
長引くほど分が悪くなる、と一歩を踏み出した青年は義気凛然、硬質の手掌を胸元より突き出すや、【拘束術・弐式】――破魔の力をもつ始祖の神霊を召し喚んだ。
「先手必勝、邪氣を摑んで拘束してやる」
女人の姿をした神霊は柱を分けて四方へ、死角を埋める様に配されると同時、襲い来る忍者軍団の挙措を霊衝波に縛り付ける。
これには剣豪も喫驚の色を隠せまい。
「おおお、絡繰りがピタリと止まったで御座んス!!」
貴殿らも奇術使いかと男が合点すれば、それ位の理解で構わないと倫太郎は頷いて、
「神霊を護衛に身代わりに、日下部何某も夜彦も傷付けさせない」
「あっ、拙者は“甲州の大薙刀”、日下部太郎左衛門延乃進に御座んス」
「名前長いって!」
「うむ、では延(のび)と呼んで下されば幸いに御座んス」
「クセがつよい!」
独特な剣豪だと片眉を上げつつ、琥珀色の麗瞳は颯然と疾走る斬撃を視る。
風の如き自在の刃は、抜刀術【風斬】――夜彦は愛刀『夜禱』の曇り無き刃を暴くや、先ずは拘束されている邪忍を凄まじい劔圧で叩き切ると、その手應えに合わせて二の太刀は一刀多斬、一帯の絡繰りを薙ぎ払って虚(うろ)の器と斬り捨てた。
肌膚をヒヤリと撫でる神氣が快いと、倫太郎は放射状に疾った威に口角を持ち上げ、
「軍神を詰めた絡繰りも、これじゃ唯のガラクタだ」
云って、己も爪先を蹴る。
双眸を烱々と、華焔刀[凪]を手に邪の群れに向かった彼は、美し刃紋を滑らせるように絡繰り忍者の四肢を断ち、刃先を返しては残れる部位を斬り落とした。
「むやみに大きく移動しねぇのが攻略法だよな、この場合……」
地形は真田神十郎の秘術によって、塀と壁の入り乱れる城郭迷宮と化している。
ここは出来るだけ忍軍の移動手段を潰す事を優先して行動すれば佳かろうかと、不圖、夜彦を瞥見すれば、丁度敵を倒した彼も此方を向いて首肯を返す――以心伝心。
「真田軍の狙いは延乃進殿にて、自ずと向こうから攻め來るかと」
「だよな。こいつ等を全滅させる必要も無いし」
二人は戒心を鋭利く、研ぎ澄ませた五感に物音や気配を探りながら、優れた感應を反應に變えて小気味佳く刃撃を走らせる。
而して戰場を翔け抜ける二筋の爽風は、常に剣豪の位置を把握していて、延乃進がヘロヘロになった絡繰りの掃討に勇めば、聢とフォローも忘れない。
「延乃進殿は大事な命にて、前に出過ぎないよう」
「うっうむ! うっかり勇み足で御座んス!」
「骸の海を潜らされて駒に頤使(つか)われるとか、絶対にさせねぇ」
「なんと! 拙者、故郷に仇為す為に狙われているんで御座ンスか!!」
然う。
サムライエンパイアでは既にオブリビオンは自然発生しない為、真田は屈強な「駒」を生者に求めている。國盗りに必要な「強兵」を図っているのだ。
一度は関ヶ原で下した魔軍将・上杉謙信の霊魂を骸の海より掬い上げ、幾百と複製する冒瀆も赦せよう筈は無く――剣豪を守る二人の鋭眼は、月の如く冱えながら烈々と闘志を燃やしていた。
「百を甦らせるなら百を」
「千万を甦らせるなら千万を斬る。それだけだ」
今更、手間を惜しむ身でも無し。
常に剣豪へと殺意を結ぶ絡繰り忍者の大軍団を、近い順に斬り捨ててガラクタと變えた夜彦と倫太郎は、空を翔けては比翼の鳥、地に降り立てば連理の枝と呼吸を合わせ、その足許に虚(うろ)を轉がしていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
【彼岸花】
ネグルさぁ…
その遮二無二突っ込んで防御するのどうにかなりません?
失礼な。わたくしはちゃんと炎熱の防御膜張りますもん。
回復の手筈も整えますし。
何はともあれ、ご無事ですか? 剣豪…ええと、日下部様。
邪なる敵を倒すのにどうか力をお貸しください。
それともネグルと肩を並べるのがお好みでしょうか?
僭越ながらわたくしが後方を支援させていただきます。
おいで、【焦羽挵蝶】。
焔蝶を配置するのはわたくし達の死角。
だってそこに突っ込んできてくれるんでしょう?
だからこうやって誘われるんですよ。
後ろがつかえていますから、迅速に片を付けましょう。
…まったく、余裕ですね。
わたくしはずっと苛立っているというのに。
ネグル・ギュネス
【彼岸花】
人の事言えたタマかよ
人の振り見て我が身をな顕現体に言われたくはないよ
──とは言え、言い合っている場合でも無いか、無事か剣豪さんよ
此方が木偶ども引きつけっから、後は頼む
刀を引き抜き、剣豪の前に立って敵を阻害し、敵の注意をまず引く
死角から襲いかかるか
ならば、死角を意図的に用意すれば、突くのは容易い
受け流すも回避するも、位置がわかれば、見る必要すら無い
なんだ理解出来ないか、絡繰よ
其れが貴様の限界だ
その木偶な図体を、破壊させて貰う
焼かれた木偶に向かい、抜刀
【破魔の断・雷光一閃】を放ち、電撃により内部からもぶっ壊してやる
さて、次が本番だ
遠くからびりびり来てやがる
久方ぶりに、血潮が滾りそうだ、な
連々と続く壁と塀、その瓦屋根から漸ッと飛び出た忍が宙空より襲い掛かる。
ギラリと煌く忍刀に剣豪が死を覚悟した時――鏗鏘の音と眩き閃光が邪氣を彈いた。
「!!」
咄嗟に片目を瞑った剣豪は、狭めた眼路に二つの影を――邪と切り結んだ長躯の男と、己の前に凛然と立つ羽織の少女に息を飲む。
劈頭に刃撃を禦いだ彼等は、グリモアが遅れて光を解く間に聲を交して、
「ネグルさぁ……その遮二無二突っ込んで防御するの、どうにかなりません?」
呆れたように溢すは穂結・神楽耶(あやつなぎ・f15297)。
赫緋の麗瞳は今しがた閃光を彈いた機工刀、天花一条『裂空』の一縷と欠けぬ刃を見ており、
「人の事言えたタマかよ」
肩越しに飜然(ヒラリ)と手掌を翻したのが、少女に苦言を呈されたネグル・ギュネス(Phantom exist・f00099)その人だろう。
グリモアが光を解くより速く刃を咬み合わせ、須臾に切り返して敵の胴を別った彼は、足許に絡繰り人形を轉がしながら言を足した。
「“人の振り見て我が振り直せ”な顕現体に言われたくはないよ」
「失礼な。わたくしはちゃんと炎熱の防御膜張りますもん」
「もんって。いい子か」
「それに回復の手筈も整えますし」
「いい子か」
常は丁寧を心掛けるも、心を許した仲なれば繕う事も無し。
互いに素面で応酬して幾許、神楽耶とネグルは、スッと整った鼻梁を剣豪に向けると、爪先から頭まで佳瞳に捺擦(なぞ)って、創痍の有無と程度を確認した。
「──とは言え、言い合っている場合でも無し、無事か剣豪さんよ」
「何はともあれ、ご無事ですか? 剣豪……ええと、日下部様」
延乃進の瞳に映る二人は至って紳士と淑女。
瞳の動きから佳脣を滑る科白まで、凄まじく息が合っていると言えば、何処となく互いを突き放しそうだと空気を読んだ延乃進が継ぎ穂を迷えば、二人はまた聲を揃えて、
「此方が木偶ども引きつけっから、後は頼む」
「邪なる敵を倒すのにどうか力をお貸しください」
助力を願うにも同じ優美の表情とは、「仲良し」以外の何者でも無かろう。
侍の国の侠(おとこ)の矜持を尊ばれた延乃進も、奮起して「應」を頷かんとするが、
「それともネグルと肩を並べるのがお好みでしょうか?」
「うっうむ……出来れば美人のお側に居たいなぁなんて……御座んス!!」
「見た目は」
「では! 僭越ながら、わたくしが後方を支援させていただきます」
ぽつり言を挟むネグルをピシャリと断つ神楽耶には苦笑を添える事にして。
いざ、と足半を踏み込み得物を構えた“甲州の大薙刀”は、次の瞬間、二人の驚くべき連携の妙を目の当たりにした。
「――扨て、敵は死角から襲い掛かる忍者」
「標的は常に日下部様に、射線を結んでいるのでしたね」
「ああ、故に死角を意図的に用意すれば、衝くのは容易い」
「では、わたくしが鬼門を用意しましょう。――おいで、【焦羽挵蝶】」
無数に投げ入れられる棒手裏劔を躱しながら、涼し気に言を交す沈着と飄然。
視線は常に邪に結んだ儘、ネグルと意を通じ合わせた神楽耶は、雪白の繊指に炎の蝶を編むと、合計425対の炎の翅を己らの死角に配し、翩々(ひらひら)、瀲灔(ちらちら)と羽搏いて邪氣を誘う。
其の絡繰りが韜略に通じ、機を見ること敏なる軍神・上杉謙信その人ならば、恐らくは踏み止まったろうが、間もなく炎の蝶を斬らんと踏み込む邪にネグルが溜息を置く。
「なんだ理解出来ないか、絡繰よ。其れが貴様の限界だ」
紫苑と煌めく鋭瞳に映るは、儚く虚しく燃える木偶。
炎の蝶の焦熱に抱かれた邪忍を玲瓏の彩に射たネグルは、『裂空』の刀鋩に霞を払うや【破魔の断・雷光一閃】――黒刀に宿された破魔雷光を解放し、紫電を喊ぶ斬閃に絡繰りを内部から破壊したッ!
「――受け流すも回避するも、位置が判明れば、見る必要すら無い」
踏み込めた拇指球は地に着いた儘――周囲にごろりと虚(うろ)の器を轉がす。
音訪れた靜默(しじま)には延乃進の感歎だけが響いて、
「おおお……っ、阿吽の呼吸が成せる妙技に御座んス……!!」
而して、二人は。
精密なる絡繰り忍者を唯のガラクタと變えたネグルと神楽耶は、霞の靉靆(たなび)く城郭迷宮の向こうより、妖々と流れ込む邪氣に凛乎と烱眼を結んだ儘。
「扨て、次が本番だ。――遠くからびりびり来てやがる」
端整の脣は劔呑を告げつつ、美しく妖しく嗤笑っていようか。
「久方ぶりに、血潮が滾りそうだ、な」
「……まったく、余裕ですね」
奥齒に竊笑を噛み殺すネグルの隣、神楽耶はチリと痛痒を疼かせる指先をぎゅっと手に握り込め、
「――わたくしはずっと苛立っているというのに」
と、朦然と漂流う霞の向こうに搖れる邪影を、凝乎(ジッ)と睨め据えていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
玉ノ井・狐狛
※アドリブ/連携などお任せ
ちょこまかと、せわしないヤツらだなァ
そんだけ速けりゃ、死角から狙うってのは、たしかに正攻法だよな
手品でもよくあるやり口だ
けどよ、あいにくと死角をつくる「遮蔽」がいくらあろうと、アタシにゃ関係ない
(►白の千里眼で▻見切り。必要に応じて護衛対象の侍サンを含む他者に共有)
どこから来るか分かってんなら、そりゃもう奇襲じゃなくてただの攻撃だ
目押しはそこそこ得意だぜ?
▻オーラ防御▻結界術▻武器受け
さて、ここで忍者どもに残念なおしらせをもうひとつ
(UC使用、地形を均して剣豪の大薙刀を使いやすいように+遮蔽を排除
つっても、リアクションはないのか
ノリの悪い前座だなァ
自分に有利な地形を敷き、数の力で相手を追い込む。
「――善いか悪いかは別として、連中の遣り方は正しい」
畢竟、勝負は謀(トリック)を仕掛けた者が強いのだと、魔軍将『上杉謙信』の霊魂を憑依した絡繰り忍軍も、其を率いる真田神十郎も知っているのだ。
故に、狙われた剣豪に味方するのは分が悪いとは、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)こそ辨えていたろうが、生憎、リスクやスリルは愉しむ方にて、彼女はギラリ燿う忍刀を肌膚一枚に遣り過しながら、彼等の動きを鋭利(するど)く観察していた。
「それにしても、ちょこまかと……せわしないヤツらだなァ」
其は標的と狙う剣豪の、大薙刀の間合いを封じる為か。
数の多さも、大薙刀を振り抜いた隙を衝く為の「手数」かと、目尻の際を過ぎる鋭鋩を烱眼に追った狐狛は、先ずは真田軍の戰術を褒めてやる。
「そんだけ速けりゃ、死角から狙うってのは、たしかに正攻法だよな」
手品でもよくあるやり口だ、と丹花の脣はそと微咲(えみ)を湛えて。
詰まりは「見た事がある」と言う事だろう、生き抜く為に多くの賭場を踏んだ狐狛は、美し花顔に喫驚も狼狽も差さずに言を継いだ。
「けどよ、あいにくと死角をつくる『遮蔽』がいくらあろうと、アタシにゃ関係ない」
剣豪は追い込めようが、巫狐の博打打は無理。
連々と伸びる塀や壁の徒爾を労うように捺擦(なぞ)る瞳は漸う白銀に――狗瞳“白”は遮蔽された向こう側まで見通すと、敵の位置と連中の獲物たる剣豪を結び、出処と進路を割り出した。
「どこから来るか分かってんなら、そりゃもう奇襲じゃなくてただの攻撃だ」
トリックもイカサマも、手の内が判然れば愉快至極。
あとは射線に割り入るだけだと告ぐ櫻脣は、口角を持ち上げて美しく妖しく――玲瓏の金髪に光を彈いて駆けた狐狛は、剣豪の眞面に立つや颯と『紗』を翻し、迫り来る忍刀を霊力の障壁に彈いた。
「目押しはそこそこ得意だぜ?」
撞ッと撥ね飛ばされる絡繰りがカラカラと音を立てれば、佳聲は軽妙に滑り込んで、
「さて、ここで忍者どもに残念なおしらせをもうひとつ」
云うや足許に鳴動す、【静かなる武装集団】(ワイルド・ライオット)――!
刻下、地形は大きく形を變え、壁も塀も等しく均し、剣豪が大薙刀を取り回し易いよう平坦となった!!
其は戰略を無にする妙技であったが、口なき忍者集団は寡默につき。
「――つっても、リアクションはないのか。ノリの悪い前座だなァ」
狐狛は然もつまらなさそうに、隆起に巻き込まれた虚(うろ)の器を足に轉がすのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アナスタシア・ムスハルト
倒した相手を配下に出来る
オブリビオンってこの世界のゲーム……将棋みたいな性質よねぇ
大薙刀を掻い潜って迫る敵をズバっと「早業」で「切断」
大丈夫? くさかべ……ざえ、も……えっと、のびちゃんでもいいかしらぁ?
それにしても剣豪殺し、ねぇ……
私の元に敵が来なかったのは、ナメられてるってことかしらぁ?
だったら思い知らせてあげないといけないわぁ
斬りかかって真っ二つに切断……しようとしても無効化されちゃう
だから斬って斬って斬って斬って斬って……(継戦能力)
手数で圧すにしても安売りしすぎたわねぇ、流石に「見切った」わ
「致死断絶剣」、もはや躱す術はないと思いなさいな
此度の敵は、絡繰り人形に軍神「上杉謙信」の霊魂を憑依した忍者軍団だと言う。
魔軍将の一角を成した智将も、骸の海を潜れば真田が率いる「駒」となるのか、と――物言わぬ傀儡を金の麗瞳に映したアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)は、丹花の脣に小さく嘆聲を溢した。
「一度倒した相手を自分の配下に出来るなんて、オブリビオンってこの世界のゲーム……将棋みたいな性質よねぇ」
倒した敵を駒に使える将棋も随分と稀有しいがと囁(つつや)く彼女は、殺伐の戰場にあっても佳聲は明るく、月白の艶髪に光を彈いて颯爽と射線に割り込む。
大薙刀を掻い潜って迫る忍者を、忍刀ごとズバっと。
小柄なドワーフにあって尚お矮躯の少女が、身丈にも及ぶサムライブレイドで一刀両断する驚異の景は、“甲州の大薙刀”と呼ばれる剣豪も喫驚を隠せまい。
小さな背中に守られた彼は、くるり振り向く可憐に更に目を皿の様にした。
「大丈夫? くさかべ……ざえ、も……」
「うっうむ、忝い! 拙者は日下部太郎左衛門延乃進、“のびのしん”で御座ンス」
云えば、アナスタシアはことりと首を傾げて。
「――えっと、のびちゃんでもいいかしらぁ?」
「のびちゃん!! 佳う御座ンス、至極、佳う御座ンス!!」
今しがたの斬撃とは対照的に、暢然とした花顔が愛らしかろう。
何と良い響きかと力強く首肯を置いた延乃進は、アナスタシアを「杏奈(あな)殿」と呼んで共に戰う事に決めた。
而して二人は互いに背を預け、其々の躯と間合いを活かして切り抜ける事にする。
「それにしても剣豪殺し、ねぇ……私の元に敵が来なかったのは、ナメられてるってことかしらぁ? 失礼しちゃうわ」
「……斯くも小さき御仁も、剣豪に御座んスか?」
肩越しに流瞥(ながしめ)を結び、勿論だとこっくり首肯くアナスタシア。
あえかに咲く花の様だが、彼女は燻らせるには惜しいと言われただけの腕があり、
「思い知らせてあげないといけないわぁ」
先ずは超然たる刃撃に斬ッと薙ぎ払う。
異能の領域にまで高められた劔技は、優れた観察眼によって更に練磨され、一瞬の脱力を以てダメージを排出しているのだと見切った少女が時を加速させる。
「手数で圧すにしても安売りしすぎたわねぇ……いくわよ」
斬って斬って斬って斬って斬って、斬り刻む【致死断絶剣】(デッドリーエッジ)!
脱力する間隙は與えずと、卓抜の腕で疾走った刀は邪の群れを次々に斬り捨て、精緻な絡繰り人形を唯のガラクタと轉がした。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
『猟書家』の影響で、何処も彼処も荒れ出した。
泰平の世が、徐々に崩れていくのを感じる。
其れを但し、護るのが我等の役目……
■闘
巫の装束を纏い、刀に【破魔】の力を宿して戦闘へ。
延乃進殿、助太刀致そう。
先ず基本的には、延乃進殿から離れないように戦おう。
彼が狙われそうになったら【残像】を残す速さの動きで
かばい、【武器受け】するように弾き返す。
敵が密集している部分を発見したら、【空薙・飃】の構え。
初手に周囲の空間を凍てつかせる【マヒ攻撃】を放ち、
動けなくなったところを【早業】の居合斬りから生じる
無数の刃で【範囲攻撃】し、殲滅する。
いくら素早くとも、此の太刀から逃れる事はできぬよ……
※アドリブ歓迎・不採用可
先の戰で、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は慥かに魔軍将「上杉謙信」を下したが、彼の霊魂が再び骸の海より掬われ、駒として頤使(つか)われるとは遣る瀬無い。
「……『猟書家』の影響で、何処も彼処も荒れ出した」
泰平の世が徐々に崩れていくのを感じる、と城郭迷宮を飛び回る絡繰り忍者隊に嘆声を溢した清綱は、然し諦観して足を止める男でも無かった。
巫の装束を纏った精悍は、鼻緒を踏み締めて進み、
「其れを但し、護るのが我等の役目……」
百を甦らせるなら百を、千万を甦らせるなら千万を斬る。
今更手間を惜しむ身でも無し、幾らでも刃を交えようと踵を蹴った清綱は、一陣の風と疾って両者に割り入ると、迫る忍刀を抜身の刀に彈き飛ばした。
「延乃進殿、助太刀致そう」
「おおっ、御仁は……何処かの社の巫覡殿に御座ンスか!?」
「唯の一刀で構いませぬ」
射干玉の黒瞳を烱々と、肩越しに聲を置いて剣豪の無事を確める。
狭隘に追い込まれて大薙刀は殺されているが、怪我は無しと安堵した清綱は、神氣滴る破魔の刀を構えると、間もなく襲い掛かる絡繰りを鋭眼に射抜いた。
「或いは盾と思って下され」
「おおお……っ!!」
一縷の創痍も許さぬと振り抜かれる『空薙』が、ひやうと鳴いて木偶を斬る。
連中の獲物たる剣豪を背に隠し、多くの敵を惹き付けたまま斬撃を疾走らせた清綱は、ばたばたと崩れる敵の先陣の向こうに密集した邪氣を見つけると、端整の脣を薄く結んで呼吸を整えた。
「いくら素早くとも、此の太刀から逃れる事はできぬよ……」
決して逃さぬ、と滑った氣息が白く漂ったのは、周囲が凍え始めた故に。
邪忍の動きを止めるは、【空薙・飃】――自身の劔技「空薙」と「山蛛」を織り交ぜた大技なる其は、初手で絡繰りを凍てつかせると、時を止めた處に冱刃を疾らせた!
「むむっ、なんという劔圧に御座ンスか……!!」
之には寡默の絡繰りに代わって“甲州の大薙刀”が呻ろう。
木偶に憑依した霊魂を冷やし、更に絡繰り機構を凍らせる凍氣の凄まじきは勿論の事、放たれた斬撃は幾重にも衝撃波を疾走らせ、無数の刃となって敵の胴を別った。
残心に髪の毛先を揺らした清綱は、周囲一帯に横臥わる人形に睫を落して、
「……精密な絡繰りも、これでは唯のガラクタに御座るな」
軍神の智略も其処にはあるまい、と。
虚(うろ)の器の儚きに佳脣を結んだ。
大成功
🔵🔵🔵
鷲生・嵯泉
漸く平和を手にしようとしていた此の世界へ
再び戦火を灯す事なぞ見逃せよう筈も無い
其の目論見、終ぞ叶わんと知るが良い
残念ながら、あれは「ひと」の手に於いては滅する事叶わん
此方はあれ等を討つ専門故――僭越ながら助勢しよう
理由は単純。其方に死なれては些かならぬ面倒が起きると云った処だ
――壱伐覇壊、逃れる事なぞさせん
五感に第六感加えて得た情報から、戦闘知識に拠る先読みを合わせ
なぎ払いでの先制を咬ませて攻撃を潰してくれよう
此の身より後ろへは、何であろうが決して通さん
悉くを叩き斬り、二度動く事の出来ぬ様に木端微塵に砕く
……同じ絡繰りが幾度も通用する訳が無かろう
何度事を起こそうとも無駄だ……必ず阻んでくれる
鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は嘗て関ヶ原に於いて軍神・上杉謙信を慥かに破った。
幾許の時を経ようと記憶や手應えは鮮明だと言うのに、かの魔軍将の霊魂が骸の海より掬い上げられたとならば、動かぬ道理は無い。
「漸く平和を手に入れようとしていた此の世界へ、再び戦火を灯すか。――其の目論見、真田が預ろうと今川が預ろうと終ぞ叶わんと知るが良い」
鏗鏘の音と閃光を以て割り込む。
釿ッと刃を噛み合せて邪忍の奇襲を禦いだ男は、精悍の躯に隠した“甲州の大薙刀”の喫驚に應えるべく、肩越しに冱ゆるハイ・バリトンを置いた。
「残念ながら、あれは『ひと』の手に於いては滅する事叶わぬ妖の類。而して此方はあれ等を討つ専門故――僭越ながら助勢しよう」
「むむっ、拙者を助けて下さるんで御座んスか!? 何故……」
「理由は単純。其方に死なれては些かならぬ面倒が起きると云った処だ」
この絡繰り人形に智将の霊魂が籠められたように、今を生きる剣豪が故郷に仇為す駒と頤使(つか)われるなど――見逃せよう筈も無く。
柘榴にも似た赫い隻眼に邪氣漲る敵軍を睨めた嵯泉は、次々と投げつけられる手裏劔を瞑色の外套『砕禍』を翻して払いつつ、霊氣滴る『秋水』を振り被った。
「――壱伐覇壊、逃れる事なぞさせん」
瞬刻、靉靆と棚引く霞が劔圧に払拭される。
音を置き去りに疾駆した威は、地を疾る邪を薙ぎ払い、或いは宙を躍る邪を彈き飛ばし――距離を問わぬ斬撃の前に、諸有る回避も防御も敵わない。
寡默な絡繰りが靜寂の裡に倒れれば、嵯泉の息遣いのみが歴々として、
「此の身より後ろへは、何であろうが決して通さん」
而して男は言を違えぬ。
同じ剣豪たる嵯泉は、鋭敏なる五感に更に第六感を研ぎ澄ませて細密な情報を得ると、歴戰を経て培った知識と経験則から先見を鋭利くして、敵の攻撃を読み、見切る。
予見が利けば守るも攻めるも自在にて、『秋水』の刀鋩は悉く機先を制した。
「……軍神を憑依させたとて同じ絡繰り。同一の攻撃が幾度も通用する訳が無かろう」
畢竟、完全に脱力する猶予を與なければ攻撃は通る。
時を埋めるように間隙無く冱刀を叩き込む嵯泉の足許には、軈てギシリとも言わなくなった虚(うろ)の器が轉がり、唯のガラクタが朦然たる霞に紛れて横臥わる。
目下、大菩薩峠は愈々霞を濃く、真田が敷いた城郭迷宮を隠していたが、赫緋の麗瞳は尚も烱々と、靄に隠れる邪影を探っていたろう。
「何度事を起こそうとも無駄だ……必ず阻んでくれる」
嵯泉は木偶を組み敷く程に、冷艶の聲を鋭利(するど)くしていった。
大成功
🔵🔵🔵
ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
「剣豪」殺しときて黙っているわけにも行かんのでな
少しばかり手を貸そう
私か?私はただの通りすがり
世界の味方で、今の御仁の味方というものさ
こういう手合いを捌くのは特段得意じゃあないが
補助と防衛は私の十八番でな
呪詛幕を展開し前衛と剣豪への攻撃を低減
第六巻で察知出来る攻撃には氷の属性攻撃を合わせタイミングをずらしてやろう
勿論守るだけではないとも
起動術式、【悪意の牙】
多少の傷は引き換えで構わん
敵に一撃でも当てられれば、後は拡散した呪殺弾が戦場中を掻き回す
決定打とするには足りんやも分からんが
この場にいる猟兵らの追い風には充分であろう
今ここで戦うのは幾分個人的な理由だが
世界を守る一端になるなら構うまいよ
聽けば真田は「剣豪」を骸の海に沈めて「駒」にしようとしているとか。
其の強兵策の一つが、絡繰り人形に謙信公の霊魂を詰めた今の忍者集団という訳だが、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(竜吼・f01811)には目下の惡を見過ごせぬ理由があった。
「少しばかり手を貸そう」
「むむっ、貴殿は何者に御座んスか!?」
「私か? 私はただの通りすがり。世界の味方で、今の御仁の味方というものさ」
通りすがり、剣豪に結ばれた殺意の射線を遮る。
瞠目する彼を背に隠し、胸元から突き出した掌から呪詛を放って防壁を成す。
「――『剣豪』殺しときて黙っているわけにも行かんのでな」
端整の脣に優艶のバリトンを紡いだ竜人は、挙って攻めるも悉く彈き飛ばされる木偶に「輕いな」と呟くと、次いで凍えるほどの冷氣を紡いで氷の槍を生成した。
鋭利な鋩は尚も向かい来る邪の群れに注がれて、
「こういう手合いを捌くのは特段得意じゃあないが、補助と防衛は私の十八番でな」
「おおお……っ!!」
斉射――ッ!
塀を飛び越えて宙を躍った絡繰りは、無数の氷槍を関節に突き刺されて挙措を阻まれ、そのままニルズヘッグの足許にごろりと轉がった。
「扨て、來る者を禦いでいるだけでは間に合わない」
なんという数だと喫驚して見せるが、彼は焦燥も狼狽もせず。
淡く口角を持ち上げた佳脣は、新たなる呪詛を唱えて、
「起動術式、【悪意の牙】(フローズヴィトニル)――よく味わうと佳い」
霊魂を詰めた器なら其が叶おう、と。
冷艶の微笑を湛えたニルズヘッグの影から召し喚ばれた黒槍は、襲い掛かる敵は疎か、辻に潜む邪忍を捉えて躯を貫くと、槍身より心身を蝕む呪詛を拡散して戰場を撹乱した。
「なんという威力……ッ、焙烙火矢に御座るか!?」
「人間の真似だよ」
敵対する対象を全て射抜く呪殺彈は、銃彈を見て改良したもの。
矢張り便利だと、俄に混乱を来した絡繰り忍軍を見たニルズヘッグは、霞と戰塵に紛れて飛び込んだ忍刀を肌膚に掠める。
美し白皙に血滴が疾走るが、麗貌は色を變えず。
「多少の傷は引き換えで構わんよ」
他人の戰に関わるからには、無傷で我を通す心算(つもり)も無い。
「今ここで戰うのは、幾分個人的な理由だが……世界を守る一端になるなら構うまい」
猟兵の追い風を感じた男は、今に霞も晴れようと艶笑った。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
ようやっとツラを拝めるぜ…猟書家ども
テメェらを始末したくて堪らなかったんだ
前座のご用意ご苦労さん…全員消してやる
ハァイ、サムライ!今から俺がどうにかしてやる
向こうは組織で効率的に動いてる…ならこっちもそうするしかない
閉所に追い込まれないように俺が調整してやる
大丈夫だ、猟兵レベルとは言えないが…無双が無敵になるくらいの恩恵はくれてやるよ
敵を知り、味方を知り、効率的な戦術を常にアップデートし続け、実践する
いいかい?あの煙幕は斬るな…弾き返すように防御しろ
起爆さえさせなければ、後に続く攻撃はどうとでもなるぜ
後ろは任せな、俺が不意打ちなんぞさせねえ
絡繰りの関節にクロスボウ撃ち込んで、機能不全にしてやる
此度、真田が率いる絡繰り忍軍は、魔軍将・上杉謙信の霊魂を憑依しているとか。
嘗て関ヶ原で彼を破ったヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)なれば、血闘の前哨としては十分かと口角を持ち上げる。
「前座のご用意ご苦労さん……全員消してやる」
百を甦らせたなら百を、千万を甦らせたなら千万を。
昂ぶる殺意を打擲(ぶつ)けられるなら全部預ってやる、と嗤笑を湛えた端整の脣は、ハッと息を吐くや一気に射線に割り入り、背に隠した男に佳聲を投げていた。
「ハァイ、サムライ! 今から俺がどうにかしてやる」
「むむっ貴殿は……味方に御座ンスか!?」
「Yes!」
云って、然うだと示すように外套を飜す。
軽やかに宙を躍ったヴィクティムは、塀の向こうから投擲される煙幕爆彈に軌道を合わせると、パチパチと火花を爆ぜる導火線を神速の回し蹴りに掻き消した。
而してゴトリと轉がった其を靴底に敷いた彼は、肩越しに流眄を注いで、
「閉所に追い込まれないように俺が調整してやる」
向こうは組織で効率的に動いている。
ならば此方も然うするしかない。
「大丈夫だ、猟兵レベルとは言えないが……無双が無敵になる位の恩恵はくれてやるよ」
約束しよう、と小気味佳い微咲(えみ)を置く。
己なら其が叶うと言う彼は自信家のようだが、それだけの力量は持ち合わせているとは次の瞬間で判然ろう。
「いいかい? あの煙幕は斬るな……彈き返すように防御しろ」
こんな風に、と爪先に先程の不発彈を轉がすヴィクティム。
含みのある口跡で仕掛けがあると合点した剣豪が頷けば、彼は足許に落としていた睫を上に、透徹の青瞳を敵軍に向けて言を継いだ。
「起爆さえさせなければ、後に続く攻撃はどうとでもなるぜ」
敵を知り、味方を知り、効率的な戰術を常にアップデートし続け、実践する――。
五感より取り込む情報から最適解を導いたヴィクティムは、其を覆す不意打ちは許さぬとばかり右腕を突き出すと、攻撃用サイバーデッキよりクロスボウを撃ち出して絡繰りの関節を殺した。
精密な絡繰り次々と機能不全に、唯のガラクタと轉がした彼はクッと咲んで、
「ようやっとツラを拝めるぜ、猟書家ども。テメェらを始末したくて堪らなかったんだ」
靉靆と棚引く霞の向こうに、己が求めた者が居る――。
噫、之が武者震いかと、ヴィクティムは吃々と竊笑した。
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩神櫻
此処がサヨの生まれた世界
美しく、そしてどこか懐かしい
私の大切な親友…サヨの故郷は私の護るべき地だよ
守ってみせよう
噫、共にいこう
カグラ、守護の結界を張って
危ないところだったね
割り込むように庇い、早業で駆け
受けとめた刃を返すように薙ぎ切断するよ
私も剣術を嗜んでいるんだ
……刀の腕はずっと、サヨのほうが上だけれど
私もそなたの力になりたい
第六感で敵の動きを察し、サヨへと伝う
見切り躱し切り込んで
サヨの太刀筋がより活きるよう斬り裂いていく
……おいたをするなら、お仕置だよ
傷口から枯れていく枯死の神罰を斬撃に這わせ斬り倒していく
危機だと云うのにいけないかな
サヨと一緒に戦える喜びを噛み締める
噫、まだいけるよ
誘名・櫻宵
🌸神櫻
上杉謙信……あのとき討ったはずなのに
私の故郷へまたも危機を持ち込むだなんて
うふふ、頼もしい神様だわ!
カムイ
守りましょう、共に
さぁ、助太刀するわよ
剣豪のあなた!諦めてはいけないわ
同じく刀の路を志すもの同士、共に戦いましょう!
…私も心は剣豪なのよ
褒め上手ね、カムイ
あなたの刀の腕も頼もしいわ
浄化を纏わせた刀を構えて
彼を守るように立ち振る舞う
カグラ達の結界が心強いわ!
カムイの太刀筋をなどり抉るように、斬撃這わせて近寄るカラクリを薙ぎ払い斬り裂くわ
ひとつだって
逃がしはしない
纏う神罰で桜化とへんじさせて、人形達を美しい桜としてあげる
私もとても楽しいわ
私達、わるいこなのかしら
ええ一緒に、戦いましょう
元々、秋の大菩薩峠は霞掛かる事が多いが、此度は其が靉靆と棚引いている。
其は寂か雅か、幽玄の世界に降り立った朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)は、櫻色の麗瞳を細めて佳景を愛でた。
「此処がサヨの生まれた侍の國……美しく、そしてどこか懐かしい……」
端整の脣が淡い郷愁を溢す隣、誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)はそと柳眉を顰めて、
「上杉謙信……あのとき討ったはずなのに。またも故郷に危機を持ち込むだなんて」
先の戰で慥かに己は軍神を下した。
関ヶ原の記憶が未だ色褪せぬのに、彼の霊魂は甦ったのかと櫻脣を引き結べば、傍らのカムイは佳人の不安を和らげるよう、あえかに咲んだ。
「私の大切な親友……サヨの故郷は私の護るべき地だよ。聢と守ってみせよう」
優艶の星眸(まなざし)を緩める、塊麗の微笑。
優しさの零れるテノール・バリトンに心の靄を取り払われた櫻宵は、莞爾と綻んで、
「うふふ、頼もしい神様だわ!」
大丈夫。隣にはカムイが居る。
今は倖と成った神に見守られたなら、必定(きっと)希求む平穏へと結べよう、と――漸う凛然を萌した佳人は、袖を揺らして手を差し伸べ、
「守りましょう、共に」
「噫、共にいこう」
而して添えられる雪白の繊指を、きゅ、と握った。
†
二人、影を並べて城郭迷宮を疾走る。
常に獲物を狙い続けるという敵の殺意を追ったカムイと櫻宵は、狭隘へと押し込まれた剣豪を見つけると同時、宙より飛び掛かる邪忍の射線を素早く遮った。
「剣豪のあなた! 諦めてはいけないわ」
淸澄の聲が邪氣を祓うと同時、鏗鏘の音が響く。
須臾の閃光に顎を持ち上げた剣豪は、己の眼路に立った絡繰人形が守護の結界を張り、麗人が二人、神氣漲る刀を構えて立つのを見た。
忍刀を彈かれた忍者軍団が挫ッと後退すれば、カムイは肩越しに玲瓏の聲を置いて、
「危ないところだったね」
「むむっ! 御仁らは……劣勢の拙者に加勢を?」
應えるは櫻宵。
「ええ、助太刀するわよ。同じく刀の路を志すもの同士、共に戰いましょう!」
苟も心は剣豪なる故に。
否応なく骸の海を潜らされ、故郷に仇為す「駒」になどさせない――。
櫻色の麗眸を揃えた二人は、片や朱砂の太刀『喰桜』に鏖殺の氣を、片や血桜の太刀『屠桜』に浄化の氣を纏いながら、剣豪に結ばれた殺意を断つように刃を閃かせた。
これには寡默な木偶忍者に代わって剣豪が唸り、
「おおお、なんと美しき劔技に御座ンス……!!」
閃々(ひらひら)、瀲灔(ちらちら)と刀光を躍らせるは宛如(まるで)劔舞。
二人は常に剣豪の位置に配慮しながら、折に瞥見を繋いで呼吸を合わせ、
「刀の腕はずっと、サヨのほうが上だけれど……私も劔術を嗜む身として、そなたの力になりたい」
カムイがそう云えば、櫻宵はふうわと咲む。
「褒め上手ね、カムイ。あなたの刀の腕も頼もしいわ」
あなたとなら剣豪を守れる。故郷を護れる。
カグラの結界も頗る心強く、櫻宵はカムイが敵の挙動を細かく伝うのを丁寧に拾って、彼の太刀筋をなどるように斬撃を添わせ、襲い来るカラクリをひやうと薙ぎ払った。
「ひとつだって逃がしはしない。すべて美しい櫻としてあげる」
誘七の七つ神楽、参――【朱華】(ハネズカグラ)。
瞬きひとつして桜獄大蛇に覚醒した櫻宵は、迸発(ほとばし)る劔圧に触れたもの全てを櫻の葩弁へと變じる。
その残心の美しさと儚さに溜息したカムイは、尚も壁や塀の向こうから跳び掛かる邪に烱眼を結ぶと、あわい頬笑みの裡に刃撃を疾走らせた。
「……おいたをするなら、お仕置だよ」
百花斉放、【春暁ノ朱華】(シュンギョウ)――!
其は諸有る理、存在、事象を断ち斬る赫の一閃にて、ひとたび冱刃の威に触れたなら、傷口から朽ちゆく枯死の神罰が、精密な絡繰りを唯のガラクタとさせる。
ごとり、足元に轉がる虚(うろ)の器に睫を落したカグラは、小さく言ちて、
「未だ多勢に無勢、危機だと云うのにいけないかな。――胸が躍る」
サヨと一緒に戰える。
巡り廻る縁と、身に満ちる喜びを噛み締める。
佳脣を滑るハイ・バリトンを聽いた櫻宵は吃々と竊笑し、
「ええ、私もとても楽しいわ。私達、わるいこなのかしら」
と、小気味佳い流瞥(ながしめ)を注ぐ。
それから二人は、互いの存在を感じながら刀を閃かせ、
「ここに靜寂(しじま)が音訪れるまで。一緒に、戰いましょう」
「――噫、まだいけるよ」
と、共闘の刻を愉しんだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と共闘。
廊下を走りながら『兼元』の鯉口を切ります。
剣豪さんの元まで一息に一直線に駆け抜け斬ります。
相手の四肢を不能にする気で斬り飛ばしていきますね。
武器を持つ腕か行動を不能にさせる為に脚を狙います。
…あ。首は狙いません。絡繰りなので無駄だと…。
人ではなく絡繰りなので躊躇なくいかせて貰います。
使用する技は【地擦り一閃『伏雷』】。
余裕がありませんが極力威力と速度を上昇させます。
只の絡繰りではないでしょうから鎧砕きと無視攻撃を。
「…す、助…刀し…す…」
絡繰りの動きは見切りで対応しようと考えています。
危機回避は野生の勘でなんとか回避を。
ロベルタさんと一体ずつ倒していきます。
ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と連携。
「おー。黒尽くめでかなり素早いね…」
墨ねーが縦横無尽に動けるようにしないとね。
僕はなるべく動かない攻撃方法で忍者を仕留めるよ。
愛剣を薔薇にさせて剣豪さんと墨ねーの周囲に舞わせる♪
封印を解いて限界突破の【紅妃舞】でガンガンいくじぇ。
狙うのは手足の関節…かな。難しいなら手足そのものを。
それから露ねーのサポートも余裕があったらするじぇ♪
できることなら剣豪さんの傍に居ようと思うよ。
で。周囲を警戒しながら薔薇の花を絡繰りに。
第六感を利用した見切りで攻撃と動きを把握。
…できたらいいな。目はいい方だけど少し不安♪
不安だけどもこのおっちゃんを護らないとね~。
霞掛かった大菩薩峠に、壁や塀が嶺と連なる。
複雑に入り組んだ城郭迷宮を一陣の風と疾走した二つの影は、常に標的に結ばれる邪の殺意を辿って、遂に狭隘に押し込まれる剣豪を発見した。
「……いきます……」
涼風に蚊の鳴くような聲を乗せ、『真柄斬兼元』の鯉口を切る。
時は須臾、殺意に結ばれた射線に一足で踏み込んだ浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は、互の目乱の刃文を暴くや煙幕爆彈を投擲せんとする絡繰りの腕を斬り飛ばし、塀の向こうに爆轟を追い遣った。
「むむっ!? 御仁らは……ッ!?」
剣豪が喫驚に声を彈くが、敵軍は攻勢を緩めず。
新たな絡繰りが素早く第二の煙幕爆彈を投げ込めば、今度はロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)が高く宙へと跳躍し、
「おー。黒尽くめでかなり素早いね……」
佳脣に感嘆を溢しつつ、繊手に握る愛劔『プリンチペッサ・ロッソ』に導火線を断ち、不発彈として地に落とした。
音もなく着地した少女が合流すれば、剣豪は影を揃えた二人にぱちくりと瞬いて、
「少女たちよ、劔技は素晴らしいが如何してこんな物騒な處に……!?」
「あ……あの……、……す、助……刀し……す……」
「墨ねーに付いて来たじょ♪」
細々と途切れ途切れに囁く可憐と、朗々と金絲雀の聲を囀る無垢。
墨の櫻脣で此度の事情を説明するには半日は掛かろうし、ロベルタは抑も説明する気は無いだろう。
――いや、然し。
軍神・上杉謙信の霊魂が絡繰り人形に憑依している脅威も、真田が其を「駒」に剣豪を殺そうとしている悪逆も、全て無くしてしまえば、彼を無暗に怖がらせる事も無い。
言うより行動に示さんと、絡繰り忍者軍団に狙われる剣豪を小さな背に隠した二人は、須臾の瞥見に意を通じ合わせると、影を別って戰場を躍った。
「……人、ではなく……か、絡繰り、なので……躊躇なく……」
「おおお……っ!! 速い……!!」
動いたのは墨。
麻痺毒を齎す煙幕爆彈は、着火して手を離れるより先に断つべし、と――切揃えの黒髪に隠れた蘇芳色の麗眸は絡繰りの四肢を映し、視線を結ぶや大刀を振り抜く。
「墨ねーの斬撃はすごいじょ! 人形の首なんてチョンと斬っちゃうんだから♪」
「……あ。……く、首は狙いません……絡繰りなので、無駄だと……」
後方で「ウェーイ! やっちゃえ、やっちゃえ♪」と元気いっぱい応援するロベルタに小さく断りを入れつつ、神速で閃いた斬撃が木偶の四肢を鋭利く削ぎ落す。
ふつりと胴を離れた手足が、宙に円を描いて躍る景が生々しかろう。
卓抜の劔技には、寡默な人形に代わって剣豪が唸り、
「ッ……なん、という妙技……ッ!!」
斬るものが人に非ざれば、少女の刀はこれ程までに妙を得るとは。
その進撃は肢を斬るに止まらず、丹花の脣は八雷の名を紡いで【地擦り一閃『伏雷』】――花車は紫電を帯びて迅く速く、宛ら稲妻の疾る如く敵陣を超速で駆け抜け、刀光燦然を燿わせるや地に斬り捨てた!
墨の姿は捉えられずとも、彼女が駆け抜けた後には無数の木偶が轉がり、軍神の霊魂を手放した虚(うろ)の器が横臥わる。
「う……格好良いじょ! 僕は墨ねーが縦横無尽に動けるようにしないとね」
墨が「動」ならロベルタは「靜」を預ろう。
心優しい墨は必定(きっと)剣豪を心配するだろうから、彼女が如意自在に動くには、己が剣豪の傍に居て護衛しようと決める。
必ずや守り切って見せると凛然を萌したロベルタは、【紅妃舞】(ファヴィッラ)――我が愛劔の封印を解くや真紅の薔薇の瓣と變じ、剣豪と墨の周囲に華々しく舞わせた。
「狙うのは手足の関節……かな。ガンガンいくじぇ!」
透徹の青瞳は細部には絡繰りの四肢を、広くは戰場全体を警戒して。
五感を敏感に、更に第六感を研ぎ澄まして敵の動向を見極めながら薔薇の乱舞を叩き付けたロベルタは、美しくも残酷な花馨に絡繰りを切り刻み、足から手、更には胴を断って唯のガラクタと變じた。
聡い耳は、ゴト、ゴト、と木偶の轉がる音を聽いて、
「ちゃちゃっと切り離していけたらいいな。目はいい方だけど少し不安♪」
繰り出す攻撃は凄まじいが、莞爾と頬笑む屈託の無さが少女らしかろうか。
剣豪が愛らしい横顔に目尻を緩めれば、ロベルタは更に言を足して、
「不安だけどもこのおっちゃんを護らないとね~」
「むおっ! 拙者はまだ十九にて、おっちゃんでは……!」
「じゅーく? やっぱりおっちゃん♪」
「ふなっ!!」
だってロベルタは、この秋に10歳になったばかりの花の少女。
己が躯の倍ほどもある益荒男に天衣無縫の微咲(えみ)を注いだ可憐は、戰場に目眩い閃光を疾走らせる墨に手を振り振り、声援も忘れないのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
【義煉】アドリブ◎
ハ、誰に言ってやがンだ
剣もこの通り修復した(剣見せ
寧ろ更に強くなった俺を見せてヤんよ
お前こそ体鈍ってたりしねェよなァ?
(上杉謙信に及ばずとも同等の脅威
知能も高そうだが何より数が多いのが厄介だわ)
親指を噛んで剣に紅一線
【沸血の業火】使用
剣に紅炎纏わせ迷路を崩す
侮るな、源次!
奴等、逃げ道を塞いできてる
でも俺達なら、やっぱ正面突破だよなァ!
狭き道は源次に壊して貰う
抜ける様に超速で前へ出て薙ぐ
詰め将棋の如く駒取る
敵より疾く
もっと疾く
剣交え胴体を一閃
敵の攻撃は剣で武器受け・かばう
剣豪ならば護られてばかりじゃァ武士の名折れだろ
加勢出来るならしろ
剣豪に致命傷行かない様に割り込み炎で灼き払う
叢雲・源次
【義煉】アドリブ◎
インターセプター、アナライザー。アクティブ。
スキャン開始…動体検知多数…対多戦闘準備…
(自身が持ち得る性能をフルに発揮し敵の数や動向把握を試みつつ…視線は真っすぐ前に向けたまま相棒に問う)
バディを組むのは久しぶりだが…錆びついてはいまいな?
(返答に、やはり視線はそのままに返す)
…上等だ。
(戦場へ、真っすぐと歩みを進める。先のスキャンで相手の動向は分かっている。こちらを斬らんと肉薄してきた所に、攻性防壁を展開。一瞬動きを止めた所を蒼炎結界発動。決して消えぬ蒼き煉獄の炎で蹂躙せんとする)
こちらも絡繰り仕掛けだが、性能差が如実に表れたな。悪く思え。
深秋の大菩薩峠は朦然と霞掛かっているが、然して問題では無い。
「インターセプター、アナライザー。アクティブ。スキャン開始……」
――動体検知多数。
――指向性把捉。
――対多戰闘準備。
胸元から突き出した腕を曲げ、袖口から存在を顕わにする腕時計は、左眼に搭載された高度演算端末と同等の戰闘補助デバイスにて、走査・集積した情報を電気信号と變換し、叢雲・源次(DEAD SET・f14403)たる躯へと流し込んでいく。
厖大な情報を高速処理すれば、間もなく最適解が導かれよう。
「――分析完了」
緋の麗瞳を眞直ぐ進路に向けた儘、薄く結んだ佳脣は傍らの男に囁(つつや)いて、
「バディを組むのは久しぶりだが……錆びついてはいまいな?」
問えば、我が相棒は相變わらずの口吻で突っ撥ねてくる。
「――ハ、誰に言ってやがンだ。玄夜叉もこの通り修復した」
漆黒の身を艶めかせる大魔劔の並ならぬ威は、眼路の脇に置いても明々白々。
其を携えた杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)の豪儀も隆々たるとは言う迄も無し、
「寧ろ更に強くなった俺を見せてヤんよ。お前こそ体鈍ってたりしねェよなァ?」
「……上等だ」
噫、矢張りこの男は己が望む返答を寄越すと、視線はそのまま冷艶のバリトンを返した源次は、歩武を軍の庭へ――常に標的へと結ばれる敵の殺意を辿るよう踏み出した。
然れば相棒もまた影を揃えよう、
「真田が率いる忍者軍団は、魔軍将・上杉謙信の霊魂を憑依した絡繰り人形……」
「ああ、関ヶ原で下した軍神には及ばずとも脅威は同等……何より数が厄介だわ」
知性ある駒だと言う源次に、クロウも軍勢の多さを口にして、此度の猟書家との戰いは先の戰に勝るとも劣らぬ死闘となるだろうと一瞥を交す。
故に出し惜しみはせず。
二人は殺意に結ばれた射線を割るや、直ぐに爪牙を剥いた。
「攻性防壁を即時展開。【蒼炎結界】(ブレイズ・ブルー)発動」
剣豪めがけて刀光放つ忍刀が、その身に蒼き炎を映したのは間もなくの事。
端整の脣を滑る聲は淡然たる儘、我が右眼に蒼き煉獄の炎を烈々と迸発らせた源次は、忽ち周囲に焦熱の嵐を巻き起こすと、木質の躯を轟然と灼き払ったッ!
後方に隠された剣豪は、ぶわり肌膚を撫でる熱量に喫驚して、
「むむっ、貴殿らは……!?」
「よう、剣豪。護られてばかりじゃァ武士の名折れだろ、加勢出来るならしろ」
而して肩越しに艶麗の流瞥(ながしめ)を置くはクロウ。
蒼き炎が喊ぶ中、親指を噛んで剣に紅一線ッ、己が血汐を代償に眠れる威を喚び醒した彼は、新たなる燦きを得た『玄夜叉』に赫々たる炎を纏わせる――其は獄脈解放(ヘレシュエト・オムニス)、【沸血の業火】(メギドフレイム・ブラッド)!
続々と迫り来る邪に一閃、終焉の灼に蹴散らしたクロウは、戒心鋭く聲を張り、
「侮るな、源次! 奴等、巧妙に逃げ道を塞いできてる」
「正にそのようだが、律儀に敵の土俵で戰う義理も無い」
これに靜かに首肯を置いた源次が、複雑に入り組んだ城郭迷宮を見据える。
轟然と渦動する蒼き煉獄の炎は、術者の意志に従って悪魔の舌の如く炎を蹴立てると、狭隘を成していた塀と壁を悉く灼熱に呑み込んだ!
「征け。道は拓く」
「ああ! 俺達なら、やっぱ正面突破だよなァ!」
麗貌は變わらず冷靜沈着、短く言を置く相棒に、美し微笑を注いで先行したクロウは、猛炎を帯びて轉がる木偶を抜けて前に、前に――霞の中を駆け抜けた。
これには寡默な絡繰りに代わって剣豪が唸り、
「おおお……なんという妙技! 華麗なる無双に御座ンス……!!」
怒涛と進撃する、蒼き煉獄の炎と、赫き灼滅の炎。
須臾の瞥見で意を通じ合わせる連携も妙々、彼等は卑劣な智略を純粋なる武で圧倒し、精密なる絡繰りを唯のガラクタに變えて城郭迷宮を蹂躙した。
「数が多いがへばるなよ、源次!」
「豈夫(まさか)」
百が攻め来れば百を。千万が来れば千万を屠るのみ――。
忍者軍団は尚も執拗に攻め來るが、手間を惜しむ二人では無かろう。
「真田も骸の海から駒を浚ってきたんだ。こっちも詰め将棋の如く駒取ってやるよ」
敵より疾く。
もっと疾く。
智将の英霊を入れた絡繰り忍者が次々と襲い掛かるも、クロウは業火を迸発る大魔劔に切り結ぶや、返す刀に胴を一閃ッ! 神速の斬撃に木偶を瞬断する。
怒涛の進撃の後には、源次が塵も残さぬ勢いで虚(うろ)の躯に炎を焚べて、
「こちらも絡繰り仕掛けだが、性能差が如実に表れたな」
と、火達磨になった木偶を爪先に轉がし、長い睫を落とす。
其の聲は、紡ぐ蒼炎の猛々しさとは真逆に冷淡(つめた)く、
「――悪く思え」
ごとり。
寂寥を靴底に踏み砕いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
司・千尋
連携、アドリブ可
こういう時は
助太刀致す…で良いんだっけ?
さぁて、俺のからくり人形とどっちが強いかな?
攻撃は最大の防御とは言うが
剣豪を守る事を自分の攻防対応可能な範囲で優先
無理なら敵の数を減らす事に注力
攻防は基本的に『子虚烏有』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
範囲外なら位置調整
近接や投擲等の武器も使い
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
範囲攻撃や2回攻撃など手数で補う
片っ端から消失させてやるぜ
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や『子虚烏有』で迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
剣豪への攻撃は最優先で防ぐ
嘗て孫子の兵法に通じた甲斐の虎こと武田信玄は、「攻撃は最大の防御」と言ったが、軍神・上杉謙信の霊魂を憑装した絡繰り忍軍に対抗するには其が丁度佳かろうか。
「むむっ、御仁は……!!」
「ええと。こういう時は、助太刀致す……で良いんだっけ?」
とまれ加勢に来たのだと、殺意に結ばれた射線に『鳥威』を挟んだ男は、後背に隠した剣豪に肩越しに玲瓏の流瞥(ながしめ)を注ぐと、先ずは彼の無事に安堵の息を吐いた。
「あの絡繰りがどうにも悪さをしてくる様だから、仕置かないといけない」
云って、糸に操る絡繰り人形『宵』と『暁』を動かして見せる。
片や手に握る刀の鋩に、片や閉じた扇の先に、塀や壁に潜んでいるであろう邪の傀儡を暴く仕草が細かかろう。
対を成す呪術道具は、ただならぬ妖氣を前に揃って身構え、主人の聲を待った。
「――さぁて、俺のからくり人形とどっちが強いかな?」
端整の脣を滑る飄然たるテノール・バリトン。
聲の主は、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)――彼は口角に小気味良い微笑を湛えた儘、初撃を禦いだ『鳥威』を更に細かく分割すると、複数を並べて死角を埋め、宛ら防盾の如く剣豪を守護した。
涼しげな翠瞳は凛然を萌して烱々煌々、
「多勢に無勢の今は長引くほど不利になる。さっさと片付けよう」
云うや乱舞するは、820本の光劔――【子虚烏有】は複雑な幾何学模様を描きながら、狭隘の城郭迷宮を如意自在に飛び回る。
これには寡默な絡繰りに代わって剣豪が喫驚を示そう、
「おおおっ……神出鬼没の妙技に御座ンス! 生ずも消すも自在とな!!」
「ああ、こいつは触れたモノを周りの空間ごと抉り取り消失させる」
「ええーっ!? 刃を交える事も無く消えるんで御座んスか!?」
「然う、後には何も残らない」
聽けば“甲州の大薙刀”と呼ばれる剣豪もゾッと蒼褪める。
射程距離は半径82m――ひとたび邪悪な絡繰り忍者が踏み込んだなら、妖氣に反應した光劔が鋩を向けて飛び込み、斬るより速く存在を拒否し、ふつりと姿を消してしまう。
まがい物は要らぬと微咲(えみ)を溢した千尋は、更に攻勢に出て、
「片っ端から消失させてやるぜ」
からくり人形の隅にも置けぬ木偶は消してしまえ。
麻痺毒を齎すという煙幕爆彈も、爆ぜる前に消してしまえ。
「お前等の好きにはさせない」
と、城郭迷宮の奥の奥――靉靆と棚引く霞の先に烱眼を注いだ。
大成功
🔵🔵🔵
神酒坂・恭二郎
大薙刀の利点を上手く殺している
巧みな軍略は謙信公の由来だねぇ
「日下部殿。無粋だが助太刀申し上げる」
丁寧な【礼儀作法】で告げ、スーツ姿で戦場に分け入る
獲物は拳
立ち位置は日下部殿の左後方。大薙刀の死角を埋めつつ、御仁の技を邪魔しない位置取りだ
正面から当るのであれば、御仁の技量なら多勢相手でも早々に遅れは取るまい
・方針
両手をズボンのポケットに入れ、涼やかに立つ
やる事はシンプルだ
出て来た忍者が刃を振るうの待ち、それより速く拳を叩き込むだけだ【見切り、早業、カウンター、グラップル】
必要なのは、後手に動じぬ【覚悟】一つである
「それじゃ脱力には程遠いねぇ」
攻撃と脱力の両立は達人の領域だ
紛い物には荷が重かろう
剣豪に不利な地形を敷き、数を以て追い込める――。
此度、真田神十郎が率いる忍者軍団は、かの軍神・上杉謙信の霊魂を憑装させていると聽いた神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は、その戰術に成程と首肯を置いた。
端整の脣を滑るカヴァリエ・バリトンは飄々と、
「大薙刀の利点を上手く殺している……巧みな軍略は謙信公の由来だねぇ」
先の戰では、己も軍神と対峙したものだが、関ヶ原での記憶も手應えも色褪せぬ裡に、再び戰う日が來ようとは――と、嘆息が零れるのも事実。
而して手間を惜しむ身でも無し。
彼は常に標的へと結ばれる殺意を辿って剣豪を見つけると、射線に割り入って告げた。
「日下部殿。無粋だが助太刀申し上げる」
「むむっ、御仁は……」
「スペース剣豪の神酒坂と申す」
皺も埃もないスーツ姿で、礼儀正しく身を明かす。
彼は侍の國の侠(おとこ)の矜持を粗雑(ぞんざい)にはせず、其の立ち位置は剣豪の左後方――大薙刀の死角を埋めつつ、御仁の技を邪魔しない、配慮の行き届いた場所だ。
己が得物はコレだと拳を握って見せた恭二郎は、更に言を足して、
「正面から当るのであれば、御仁の技量なら多勢相手でも早々に遅れは取るまい」
「うっうむ! あのような絡繰り、斬って木偶にするで御座んス!!」
剣豪が守護されるだけでは体裁が悪かろうと、さり気無く面目も立ててやれば、“甲州の大薙刀”を自負する彼も義気凛然と構えた。
「――扨て、多人数を相手する訳だが。やる事はシンプルだ」
而して拳は掌を見せて翩然(ひらり)と飜るや、ズボンのポケットへ。
殺伐の戰場に涼やかに立った恭二郎は、城塀の向こうからザッと忍者が飛び掛かるのを烱眼に捉えると、忍刀が振り被るより先に踏み込んで【蝦蛄拳】(シャコパンチ)ッ!! 一撃必中の秘拳を叩き込んだ!!
「必要なのは後手に動じぬ覚悟一つである、ってね」
「おおおっ……これは痛烈な拳撃に御座んス……!」
これには物言わぬ絡繰りに代わって剣豪が眉を顰めよう。
圧倒的破壊力を持つ拳打が忍刀ごと絡繰りの躯に炸裂すれば、邪はダメージを排出する筈がズル……とそのまま地に沈み、唯のガラクタと轉がる。
虚(うろ)の器となった木偶には、恭二郎の飄々たる科白が降り落ちて、
「それじゃ脱力には程遠いねぇ」
攻撃と脱力の両立は達人の領域にて、紛い物には荷が重かろう、と――。
剣豪の弱点を攻めながら、己もまた弱きを攻められる傀儡の寂寥を組み敷いた。
大成功
🔵🔵🔵
御剣・刀也
上杉謙信か
あいつとの斬り合いは楽しかった
お前らが上杉謙信と同等?笑わせるな。形だけ真似ても中身がまるでない。その程度で越後の竜を語るな!
侍の意地で、こちらの攻撃を受けた後、反撃の一撃が来るのがわかってるので、勇気で反撃を恐れず捨て身の一撃で、反撃を打たせないで斬り捨てる
浪人が集まってきたら、走って逃げながら近づいた奴を斬り捨てつつ、狭い路地に入って壁を背にしつつ、一対一になる環境をつくって斬り捨てる
「雑魚ばっかりだな。この程度の野郎がよく上杉謙信の名を語れたもんだ。お前らじゃまるで及ばねぇよ」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は先の戰で軍神・上杉謙信を破った。
「……あいつとの斬り合いは楽しかった」
彼奴は魔軍将で、己は猟兵として。夏の関ヶ原で幾度と刃を交した記憶は色褪せぬが、この手に未だ手應えの残る裡に彼の霊魂が甦ろうとは、しかも「超・魔軍転生」とやらによって駒と使われているとは冒瀆が過ぎよう。
常に標的へと殺意を結ぶ絡繰り忍軍を吃ッと睨めた刀也は、ギラリと刀光を暴く忍刀が降り抜かれるより先に射線に割り入ると、剣刃一閃ッ、忍刀ごと邪を斬り捨てた!
「おおおっ、御仁は……!!」
その凄まじい太刀筋を見た剣豪が、物言わぬ絡繰りに代わって喫驚する。
刹那の斬撃に人形を切断した刀也は、足元に轉がる虚(うろ)の器を靴底に組み敷き、
「お前らが上杉謙信と同等? 笑わせるな。形だけ真似ても中身がまるでない。その程度で越後の竜を語るな!」
この木偶が上杉謙信であろうか、否。
韜略に通じ、用兵に卓絶し、機を見ること敏なる彼なら、この一太刀を届けるにも苦労した筈だが、木製の絡繰りに入れられただけの霊魂は、百や千、万を揃えても己を脅かす事は出来まい。
「、ッ」
須臾に死角から超高速で接近した忍刀が肩を掠めるが、これも彼の刃に非ず。
透徹の青瞳は、我が血滴が朱々と霞の中を躍るのを見るが、其を視界の脇に追い遣って駆けた刀也は、全き侍の意地で絡繰り忍者に肉薄すると、二の撃を許さぬ刃をくれた。
ゴトリと崩れる音を聴いた彼は、さらに壁や塀の向こうから次々と飛び掛かる忍者軍団を烱眼に射て、冱刀『獅子吼』を構えて見せる。
「俺も剣豪だ。狙うなら俺にしろ」
敵が数を以て狭隘に押し込んで来るなら、その戰術を逆に利用してやろう。
刀也は顔貌を布に覆った絡繰り人形が続々と集まるのを沈着と待つと、頃合いにその場を離れ、複雑に入り組んだ城郭迷宮を疾る、走る。
そうして我が背に近付いた者から『獅子吼』を閃かせて斬り捨てつつ、更に狭い路地に敢えて入った後は、城の壁を背に一対一の勝負に持ち込んで各個撃破を図った。
「これが真の上杉謙信なら、俺も楽しめたろうが――」
捨て身の覚悟で大軍団と相対した刀也の勇気――或いは怒りのような感情が勝ったか、彼は足元に糸の切れたように動かなくなった絡繰りを積み上げると、
「雑魚ばっかりだな。この程度の野郎がよく上杉謙信の名を語れたもんだ。お前らじゃまるで及ばねぇよ」
と、鏗鏘の音に怜悧なテノール・バリトンを置いた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『真田神十郎』
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POW : 不落城塞
戦場全体に、【真田家の城郭】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD : 神速十字斬
【両手の十字槍と妖刀による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 侵略蔵書「真田十傑記」
自身が戦闘で瀕死になると【侵略蔵書「真田十傑記」から10人の忠臣】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:瓶底
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠蛇塚・レモン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
壁や塀の向こうから次々と飛び掛かって来た忍者軍団が、須臾、ピタリと止まる。
靉靆と棚引く霞の向こうより影を暴いた男が、徒爾の進撃を止めたのだ。
「――我が同胞、謙信殿。随分と手を焼かれているようだな」
雄渾と澄み渡るバリトンボイス。
絡繰り忍軍に代わって前に出た男は、己が敷いた城郭迷宮を見渡して聲を落とす。
「邪魔が入ったようだが、本懐は遂げて見せる」
この男こそ、『真田神十郎』――猟書家の一人であり、幕府の打倒を狙うクルセイダーを主君と認めた男が、精悍の躯に鏖殺の氣を迸発(ほとばし)らせる。
妖氣漲る刀を腰に差した男は、剣豪を見るや緋瞳を赫々とさせて言った。
「そこの剣豪……“甲州の大薙刀”と見受ける」
「ぬっ……如何にもに御座んス……!!」
「矢張り」
左手に持つ侵略蔵書「真田十傑記」は今は腰の後ろに隠し、両手で槍を構え――。
而して拇指球を踏み込めた男は、気合の聲を発して爪先を蹴った。
「日下部太郎左衛門延乃進の御命、貰い受けるッ!」
「ッ、ッッ――!!」
剣豪の魂を強兵の礎に。
徳川を打ち倒す兵(つはもの)のひとつに。
英氣漲る十字槍の鋩が霞を切り裂き、今こそ延乃進の胴に沈まんとした。
ルイス・グリッド
アドリブなど歓迎
剣豪は貴方呼び
本懐を遂げられると思うなよ
貴方の動きに合わせて動きます、邪魔ならすぐに教えてください
さあ、一緒に踊るとしようか
SPDで判定
銀腕を【武器改造】で盾にし【早業】で剣豪の前に移動して【盾受け】【受け流し】で攻撃を逸らし【かばう】
【視力】【戦闘知識】で剣豪や敵の動きを【情報収集】し剣豪が動きやすいように立ち回る
敵の高速攻撃が来たら怪我を【覚悟】で受け、義眼の黄の災い:感電【マヒ攻撃】を【スナイパー】【全力魔法】で発動し動きを止める
そうすれば少しでも隙が出来るはず、銀腕を剣にし【怪力】【早業】【鎧無視攻撃】【貫通攻撃】を使いながらUCを発動し攻撃
刻下、霞を裂いて迫る十字槍の叉に刃が噛み合う。
斤ッという鏗鏘の音に結ばれた猟書家『真田神十郎』は、槍鋩の先で右腕を迫り出し、銀の劔に受け止めたルイス・グリッド(生者の盾・f26203)を鋭く睨めた。
『合戰(いくさ)に割り入るとは無粋な』
「これが戰であるものか」
唯の殺戮だと、フードより覗く銀瞳は烱々煌々。
ギチギチと刃を押し合い、幾許か抗衡したルイスは、肘から手首に掛けて強く内捻して十字槍を彈くと、その反動に己が身も後退して剣豪を隠した。
端整の脣は低く小さく佳聲を滑らせ、
「貴方の動きに合わせて動きます。邪魔ならすぐに教えてください」
「おおお、我々であの手練れを退けるんで御座んスね?」
「俺の事は“動く盾”と思って貰えれば」
内々に言を交して間もなく。
剣豪と話すがてら、ルイスは長劔と變じていた『銀腕』を再び流動して「盾」と化し、より多くの面を以て真田の槍を禦がんとする。
曇りなき銀の盾に我が身を映した狂邪は、「成る程」と感嘆を溢して、
『……片や守備に、片や攻撃に専念し、二人で戈と盾を成すとは巧みな戰術だ。ならば、其に対抗するに此方も新たな一刀を抜かねばなるまい』
云って、腰の妖刀を抜く。
槍を脇にたばさみ、片手で刀を持つとは武道でなく武術――戰場特有の構えであろう、赫緋の烱眼に殺氣を揺らした真田神十郎は、爪先を彈くや超連続攻撃を放ったッ!
『受けて見よ、これぞ真田の秘劔【神速十字斬】――ッ!!』
「――っ」
實は初撃を禦いだ時分から、右腕は圧倒的衝撃に痺れていたが、間隙許さぬ連続攻撃に盾を彈かれた瞬間、脇に妖刀の刺突を許したルイスは、ある程度の流血は代償と飲む。
幾許の痛痒に柳眉を顰めた彼は、この時、己が義眼に黄の災いを映しており、
「俺を傷付けても構わないが、それで本懐を遂げられるとは思うなよ」
『な、に――ッッ!!』
感電――ッッ!!
目下、莫大な電流が狂邪の躯に流れ込み、逃れられぬ激痛が時を止める。
而してルイスは僅かにも生じた隙を見逃さず、須臾に劔と變じた腕を以て【銀武の舞】――己が技能技術を収斂した武の結晶を、無数に無尽に斬りつけた。
「さあ、一緒に踊るとしよう」
「がってん、承知に御座んス!!」
剣豪の大薙刀との呼吸も抜群、銀の刃は霞の中を瀲灔と閃いた。
大成功
🔵🔵🔵
御剣・刀也
おっと、真田さんよ
そいつより俺の方が美味しいと思うぜ?
もっとも、喰われるのはあんたかもだがな
不落城塞で迷路を作られたら、狙われた剣豪を後ろに下げ、覇気を全開にして真田の気を引く
此方の方が兵として申し分ないと思われたら、第六感、見切り、残像を駆使して斬り合いながら仲間の到着を待つ
槍は勇気で被弾を恐れずダッシュで一気に間合いを詰めて距離の有利を潰し、妖刀を抜いたらその妖刀ごと斬り捨てるつもりで、捨て身の一撃を打ち込む
「徳川を追い詰めた兵、その覇気、腕、どちらも見事。俺の中の鬼も楽しいと叫んでる。上杉謙信とやりあってる気分だった。楽しかったぜ」
生粋の武人気質である御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、強者との戰いを望み、死戰血闘に歓喜する修羅にて、剣豪へと向かう凄絶の槍撃を快く代わった。
「おっと、真田さんよ。そいつより俺の方が美味しいと思うぜ?」
『何ッ』
「――もっとも、喰われるのはあんたかもだがな」
斤ッと鏗鏘の音が響き、十字槍に抗衡の衝撃が伝う。
剣豪の胴を狙った筈の猟書家『真田神十郎』は、我が十字刃を神速の太刀に受け止めた男の不敵な微咲(えみ)に烱眼を結ぶや、吃ッと睨めた。
『力量は十分。而して「駒」になる男ではあるまい』
標的は飽くまで延乃進にて、それ以上の手練れと相見える必要は無い。
沈着たる巨邪は『手出し無用』と刃の角逐を払うと、城郭迷宮に【不落城塞】を重ね、打ち合うには厄介な刀也を迷路に追い遣った。
ぐらりと視界が揺れて神十郎が遠隔(とおざか)るが、刀也は喫驚も焦燥も為ない。
「一合で腕を見込まれたなら、もう一合で惹き付けてやる」
武人は武人の匂いを憶えるもの。
不撓の獅子は闘争の炎を露わに迷宮を駆け抜けると、敵の殺氣と我が覇氣を結ぶように出口へ――即ち神十郎の間合いまで一気に詰め寄ッた!
『豈夫(まさか)ッ、真田の城郭を攻略するとは――!』
「嘗て二度も徳川を撃退した不落の城、見切ったぜ」
『此奴ッ、またも我が槍を遮るならば生かしてはおけぬ!』
「ああ、何度だって受けてやるよ」
角逐――ッ!!
目下、十字槍が霞を裂いて眼路に飛び込むが、刃鋩を目尻の際にやり過ごした刀也は、殺意漲る太刀筋に笑みすら浮かべつつ、愛刀『獅子吼』を衝き入れる。
全き勇気で槍撃の嵐を掻い潜り、距離の有利を潰した鋭氣は敵懐へ侵襲し、
「この鋩に一擲を成して乾坤を賭せん!!」
刀光煌々、【雲耀の太刀】――!!
膂力の限り、胆力を籠めて放たれた上段からの刃撃は、あまりの闘氣に咄嗟に差し出た妖刀ごと押し込み、神十郎の優れた魁偉を思い切り後退させた。
莫迦なッと喫驚する緋眼に向かって、透徹の青瞳がその後退を組み敷き、
「徳川を追い詰めた兵、その覇気、腕、どちらも見事。俺の中の鬼も楽しいと叫んでる。宛如(まるで)嘗ての――関ヶ原で上杉謙信とやりあった時のような気分だ」
あの時の昂揚が此処にある、と玲瓏を燿わせる刀に麗顔が白む。
「まだ楽しませて呉れるだろ?」
丹花の脣を滑るハイ・バリトンは、美しく冷ややかに語尾を持ち上げた。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
真田が延乃進殿へ槍を向けた際
早業の抜刀術『神風』、武器落としも活用し
敵の得物を落とす、または軌道をずらして直撃を避けましょう
倫太郎の援護もあるはず、その後は駆け出して真田へと接近
2回攻撃となぎ払いにて広範囲に攻撃
真田を延乃進殿から離せるように割り込みます
先程の戦いから彼の腕は確か
私達は、今は目の前の敵を
敵の攻撃は見切りにて動きを読み、残像による回避か
武器受けによる防御か判断して対処
その後、鎧砕きのカウンターにて斬り返す
負傷時は激痛耐性、刃に生命力吸収を付与して立て直す
接近戦を維持
相手が距離を取る、または隙を見てなぎ払いと衝撃波を併せ敵を離した時
早業の抜刀術『神風』の2回攻撃にて追撃
篝・倫太郎
【華禱】
させるか!
割って入って延を庇う
間に合わない場合は夜彦に声を掛けて
左手から発動させた拘束術・真式で先制攻撃
鎖で繋ぐのは十字槍とそれを掴む腕
庇いが間に合った場合は庇った直後に同様に真式使用
好き勝手なんざ、させねぇよ
延の無事を確認したら
再度、部位破壊を乗せた真式で同じく十字槍と腕を狙う
以降は鎧無視攻撃と生命力吸収を乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返してフェイント混ぜつつ攻撃
俺自身と不可視の鎖で夜彦への連続攻撃の阻止も兼ねた攻撃
敵の攻撃は見切りで最小限の行動で回避
回避不能時はオーラ防御で凌ぐ
延の腕は信用してる
ただ、突出し易い気質みてーだから
位置や状況は常時把握して
絶対的危機の場合は確実に庇う事で対処
時は須臾。
朦然と漂う霞を裂いて迫った十字槍が、鏗鏘の音に止められる。
『、ッ!』
「させるか!」
凛乎たるテノール・バリトンに槍撃を拒むは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
逸早く華焔刀[凪]の柄を十字刃の叉に差し入れ、剣豪へと向かう鋭鋩を代わった彼は、敵将『真田神十郎』がギチギチと抗衡する十字槍を脇にたばさみ、逆手の妖刀に二の撃を衝き入れるより速迅く“我が刃”を呼んだ。
「夜彦ッ!」
「――承知」
而して「應」の聲は淸冽の風と共に翔けよう。
耳馴染む佳聲に呼ばれた月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、神速の抜刀術【神風】に愛刀『夜禱』を暴くと、颯と疾走る不可視の斬撃に妖刀を彈き、其の太刀筋を摺した。
『……ほう、飽くまで楯突くか』
虚空を斬った巨邪が忌々しげに片眉を蹴立てる。
而して延乃進を背に隠した倫太郎は、この間に【拘束術・真式】――目に視えぬ縛鎖を放つと、十字槍と其を摑む腕を繋いで吃ッと睨めた。
「好き勝手なんざ、させねぇよ」
『押し通ると云えば』
「差し違えても、止める!」
琥珀色の佳瞳は闘志を燃やして烱々と、玲瓏の彩を揺らして。
災禍狩りたる彼が、一族に伝わる術式を昇華した妙技を以て掣肘する傍ら、一陣の風と疾走った夜彦は一足で間合いに侵入すると、疾風の如き斬撃を一閃、返す刀にもう一閃と衝き入れ、延乃進を狙い続ける首魁を遠退(とおざ)けた。
阿吽の呼吸に結ばれた二人の連携は、幕府討伐に突き進む神十郎に屈辱の後退を強き、頗る彼を苛立たせたろう。
『ッ、猟兵め……我が合戰(いくさ)に横槍を入れるとは無粋な』
「此度は唯の謀略にて、戰に非ざれば致し方無し」
『其のさがな口、今に塞いで呉れる』
冷罵を連れて閃く妖刀と何合と切り結びつつ、夜彦は決して踏み込ませぬと義気凛然、湖水の如き透徹の翠瞳に轟然と攻め込む邪を投影(うつ)し続ける。
霞掛かる戰場に幾度と刀光が閃き、戈戟の音が響くが、二人は激烈な打ち合いの中にも背に護る剣豪の損耗の程をよく捉えていた。
夜彦と倫太郎は、延乃進が衝撃の余波を大薙刀に打払う音を聡い耳に拾っており、
「先程の戰いから彼の腕は確か。なれば私達は、今は目の前の敵を」
「俺も延の腕は信用してる。唯、突出し易い気質みてーだから目配ってやらねーとな!」
二人がそう云えば、延乃進は瞳をうるうると聲を大にして言う。
「おおおっ、夜彦殿! 倫殿……! 袖摺り合うも多生の縁に御座んスなぁ!!」
「俺の名前は長くねーだろ」
俺だけ略すなと言を足す倫太郎には、隣する夜彦が淡く艶笑(わら)って。
然し彼ほど頼もしい男は居まいと雄渾を得た彼は、優れた視力に妖刀の軌跡を見切り、己に代わって残像を斬らせるや、身躱した先で返報の刃を飜した。
薄く引き結んだ紅脣は淸冽なる鋭気を発して、
「是は空さえも斬り裂く刃也」
『ッ、速疾(はや)い――!!』
緋瞳に迫る鋭撃を辛うじて目尻の際に遣り過した神十郎は、舌打ちして夜彦を睨むも、その姿影は次の瞬間には倫太郎に代わって連撃を放たれた。
「絶対に逃がすかよ……!」
『――貴様、ッ!』
左手に不可視の鎖を繋げた儘、薙刀は美しい刃紋を揺らして躍る、踊る。
己に流るる羅刹の血を漲らせた倫太郎は、闘争の鬼と化して猛然と、紅の甲冑の上から叩き付けるように斬撃を浴びせた。
『ッ、ッッ……!!』
一心同体の連撃に神十郎が押し込まれているとは、背に隠された延乃進も判然ろう。
「むむっ! 寸毫と止まぬ劔閃が真田を後退させているで御座んス!!」
其が戰術とは神十郎が最も痛感していようか。
不可視の鎖に常に距離を保ちつつ、雄渾と覚悟を以て近距離で打ち合えば、真田の妙技【神速十字斬】は槍の間合いを殺されて妖刀しか使えまい。
「これは貴殿が延乃進殿に仕掛けた罠と同じ」
「ああ、延がやられた事をやり返しただけだぜ」
屈辱を感じるか――否。
其を咄嗟にやり遂げる技術と胆力、そして連携の妙は直ぐに成せるものでは無い。
不断に突き付けられる痛撃を奥歯に噛み締めた巨邪は、刹那、月光の如く耀く『夜禱』が凄まじい威を放つと同時、華焔刀が炎の躍る如く赫々と閃くのを眼路いっぱいに映し、精悍の躯を浮かして城壁に打ち付けた。
甲冑を衝き抜ける圧倒的衝撃を受け取った神十郎は、強く結び合わせた佳脣からツ――と赫い血を溢すと、
『――見事なり』
云って、ごぶりと血を喀いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
ノビさんをやらせはしないよっ!
敵の横から光刃剣を突き出して牽制
そのまま精霊剣で横薙ぎにして、後退させるよ
さぁ、ここからはわたしも混ぜてもらうからね
…猟兵、シル・ウィンディア、行きますっ!
【空中浮遊】からの【空中戦】で飛び回って
加減速を入れての【フェイント】で【残像】を生み出して機動
攻撃は二本の光刃剣と精霊剣で連撃だね
対敵UC:
相手が10人とはまたすごい…
でも、わたしには心強い味方がいる
ノビさん、手伝ってほしいの
…10秒だけ、時間を作って?
後はお楽しみだよ
【多重詠唱】で初めの攻撃時から
ずっと詠唱を重ねてきたこの魔法…
【魔力溜め】を【限界突破】で行った
【全力魔法】の指定UC
さぁ、全部もってけっ!
猟書家『真田神十郎』が繰り出した槍撃は、慥かに神速の妙技であったが、其の鋭刃は須臾に差し入った光刃に槍鋩を逸らされ、間隙無く閃いた二の撃に軌跡を薙がれる。
『な、に――ッ』
斤ッという鏗鏘の音と共に響いた金絲雀の聲が、肉薄する劔呑を彈く。
「ノビさんをやらせはしないよっ!」
佳聲の主は、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)――光刃劔『エレメンティア』と精霊劔『六源和導』の二刃を以て初撃を禦いだ可憐は、その小さな背に延乃進を隠して構えた。
「疾流(シル)殿ッ! 敵は手練れ、か細い少女の腕では……!」
「ノビさんを守るって決めて来たから。わたしも混ぜてもらうよ」
湖水の如く透徹る青瞳は邪を射た儘、心配する延乃進にゆるく頭首(かぶり)を振る。
倒すべき相手を聢と見据えたシルは、殺伐の風にマントを飜すや宙空を翔けた。
「……猟兵、シル・ウィンディア、行きますっ!」
繊麗の躯に霞を切り、颯爽と飛び回る少女は宛如(まるで)双翼の鳥。
美し残像を連れながら、如意自在に加減速する彼女を捉えるのは長槍でも難しかろう、幾度と角度を變えて閃く両刃に翻弄された狂邪は、焦れた様に「侵略蔵書」を披いた。
『手数なら負けぬ。真田十傑よ、推参(まい)れ――!!』
云えば直ぐに真田の精鋭が十人――脇に十字槍をたばさみ、片手に妖刀を持った手練れがシルと延乃進めがけて刃を振り立てる。
「ややっ、疾流(シル)殿はお気をつけ下され!! 槍兵と刀兵に御座んス!!」
「相手が十人とはまたすごい……」
戒心鋭く大薙刀を構える延乃進と喫驚の聲を揃えたシルは、颯爽と滑空して彼の左脇を擦り抜けると、全幅の信頼を置いて言った。
「ノビさん、手伝ってほしいの。……十秒だけ、時間を作って? 後はお楽しみだよ!」
青き麗瞳に烱光を湛える少女には、必定(きっと)攻略の術があるのだろう。
延乃進は強く頷くと、一人一合を禦いで十秒、必ず凌いで見せると刃を振り回した。
而して少女はきっちり十秒で仕上げてくる。
「全身全霊で練り上げた全力全開の魔力砲――さぁ、全部もってけっ!」
究極融合、【ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト】――!!
劈頭の攻撃時から詠唱を重ねて来たシルは、火・水・風・土・光・闇の六属性を六芒に無限増幅し、強力巨大な魔力砲撃を真田十傑が揃う直線上に斉射したッ!
「一人で戰っている訳じゃない。わたしには心強い味方がいるから――!」
「往けッ、疾流(シル)殿!! やっつけるで御座んス!!」
延乃進が拳を突き出す方向に、一直線に光熱が疾走する。
二人は精鋭が塵と消えるのを見届けると、どちらからともなくハイタッチを決めていた。
大成功
🔵🔵🔵
神酒坂・恭二郎
「ありゃあ強敵だ。急がないと不味いねぇ」
展開された不落の城塞に笑みを浮かべ
片膝を突いて刀を立て、片目を閉じて発気する
青い風桜子を帯びた衝撃波を四方八方へと散らす【失せ物探し、誘導弾、衝撃波、乱れ撃ち】
「神酒坂風桜子一刀流・陰矢……ってなもんかね」
感のあった陰矢を追って出口を目指すそう
間に合うかは運だが
真田殿に会ったら、足を止めずに風桜子を纏って加速【残像、推力移動】
言葉は不要にして無粋
一刀に託す【覚悟】一つを示せば良い
渾身の一閃を放ってすれ違う【覇気、礼儀作法、早業、切断、捨て身の一撃】
「スペース剣豪……神酒坂恭二郎だ」
名乗りと共に納刀したい
標的は飽くまで剣豪にて、それ以上の手練れと相見える必要は無い。
『我が合戰(いくさ)に割り入る無粋は許さぬ』
猟書家・真田神十郎は己が足許に刃を疾らせるや、『手出し無用』と不落城塞を敷き、打ち合うには厄介な猟兵を迷路に追い遣った。
一気に距離を歪められた猟兵らは、突如として首魁の姿影を見失うが、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)に焦燥の色は無い。
佳脣を滑る聲は變わらず飄然として、
「敵を前に昂ぶらず、当初の目的を貫徹するか……ありゃあ強敵に違いない」
戰術を崩さぬ冷靜に加え、嘗て二度も徳川を退けたという城郭も優秀だと、巡らされた迷路に微咲(えみ)を浮かべるほど。
「これは急がないと不味いねぇ」
科白とは裏腹に泰然と構えた男は、片膝を突いて刀を立て、片目を瞑り発氣する。
而して開いた片目は、蒼白く耀く風桜子(ふぉーす)が放射状に波動を発するのを見、研ぎ澄まされた聽覚は、衝撃波を叩き付けられて揺れる反響を聢と把捉したろう。
「神酒坂風桜子一刀流・陰矢……ってなもんかね」
訪れた靜默に玲瓏のバリトンを置いた恭二郎は、すっくと立ち上がるや“感”のあった陰矢を追って迅く速く、迷路に結ばれた出口へ――即ち真田の眼前に颯然と姿を現した。
『豈夫(まさか)、真田の城郭を踏破する者が居ようとは――!』
「間に合うとは運が良い。しかも“天守”とは眺めが佳いねぇ」
赫緋の烱眼が喫驚に時を止めた隙、男は足を止めず更に加速する。
精悍に纏う風桜子を烈々と迸発(ほとばし)らせながら推力を増した恭二郎は、抜身の『銀河一文字』の刀鋩を巨邪に向けると、渾身の一閃を放って擦れ違ッた!!
須臾に閃くは【銀河一文字】(スペースケンゴウ)――凄まじい覇氣の波濤には真田も全身全霊、十字槍を脇にたばさみ、妖刀を振り被って乾坤一擲の勝負に出るッ!
『ッ、ッッ――!!』
言葉は不要にして無粋。
唯だ一刀に託す覚悟一つを示せば良い――。
其は恭二郎が『真田神十郎』を侠客(おとこ)と認めた故の礼儀であり、敬意であり、真摯であり、介錯であったろう。
而して距離を隔てた両者は、背中を挟んで短く言を交し、
『――名乗れ』
「スペース剣豪……神酒坂恭二郎だ」
『ッッ……その名、太刀と共に聢と受け取った』
恭二郎が靜かに納刀する背の向こうで、神十郎がガクリと膝を折った。
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃
って!迷路とか張られたらどーすりゃいいの?太郎左衛門殿を守るのも敵攻撃するのもどっちも超絶困難ではないか!?
仕方ない。声を届かすことぐらいはできるだろう。ギャグによる精神攻撃で挑発してやるのだ。いかにもボケ殺し標準装備な感じだけど、苦戦だったら次から別の手を考えるってことで。
えっとたしかきみは災難だ珍獣郎くん。
違った?ごめんごめん悲惨だな鈍重郎くん。
そう怒るなナンマイダー死んじゃうぞーくん。
真田くんの死に場所とかけて、南蛮の玉蹴り遊び場と解く。
その心は?
おお!サッカー場!!
と敵の目をこちらに引き付け、冷静さ失いこっちに来てくれれば二刀流で対抗。平常心を失った相手など問題なく斬れれば良いなあ。
侍の國の生粋の剣豪たる大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は、虎視眈々と隙を狙い、或いは機を窺っていた。
敵将・真田神十郎が油断する時か――否。ギャグやネタを放り込むタイミングをだ。
「――って! 迷路とか張られたらどーすりゃいいの?」
而して彼の野望は、ぐにゃりと景色を歪める迷宮に潰える。
十字槍が地に鋩を疾らせた刹那、漆黒の麗瞳に映していた首魁は不落城塞に影を隠し、嘗て徳川を二度も退けた城郭が迷宮となって両者を隔てたのだ。
「んあーっ! 大豪傑殿ーッ!! 何処に御座んスかー!?」
「不味い、太郎左衛門殿までも逸れて……合流も攻略も超絶困難ではないか!?」
ハプニングの連続に目を白黒させるが、これもネタキャラの試練。
仕方なし、と端整の脣より溜息をひとつ滑らせた麗刃は、複雑に入り組んだ城郭迷宮の中でも、聲を届ける事は出来ようと肺腑に息を満たすと、次いで大音量で喊んだッ!
「えっと、たしかきみは……災難だ珍獣郎くん!? 何処にいるのだろう?」
其は大胆にも名を言い間違えるギャグ。
物凄く遠くから『真田神十郎なり!』と聽こえる気がするが、まだまだ。
聲の発せられる方向に躯を向けた麗刃は、更に高らかに挑発し、
「違った? ごめんごめん、悲惨だな鈍重郎くん!!」
ブフッと噴き出す聲が届く。
「んっくっく……其は流石に言い過ぎで御座んスよ……!!」
おっと失敗、ツボったのは延乃進だ。いやこれで良かったのか、彼は腹を抱えて現れる剣豪と無事合流を果たすと、今度は精神を攻める感じで咽喉を嗄らした。
「そう怒るなナンマイダー死んじゃうぞーくん」
『真田!! 真田神十郎なり!!』
「あっうん」
突如として赫緋の烱眼に射抜かれたと思ったら、頭にきた本人が術を解いたのだ。
こんな事もアルンダナーと艶笑って神十郎の嚇怒を迎えた麗刃は、彼がユーベルコード云々でなくグーで殴ろうとした矢先、キリリと凛然の視線を結んだ。
「扨て、真田くんの死に場所とかけて、南蛮の玉蹴り遊び場と解く。――その心は?」
『死に場所……? 南蛮の、玉蹴り……蹴鞠の事か……ッ!?』
言葉遊びは好かぬ。然し敗北はもっと好かぬ。
神十郎が瞋恚に震える紅脣をムズムズとさせる中、麗刃は【ネタキャラとしての矜持】を全開に、指に示した先に見事な青芝を広げたッ!!
「おお! サッカー場!!」
『な、ン……貴様……!! 我が合戰(いくさ)に茶々を入れるとは不届き千万ッ!』
覇道を往くシリアスをギャグにブチ殺された神十郎は怒り心頭。
このまま麗刃の頭を摑んでゴールポストに――鉄柱直撃脳天砕きを喰らわせて遣ろうかと踏み込んだ狂邪は、然し其れより速迅(はや)く懐を潜る二刀に時を止めたろう。
「平常心を欠いた相手など問題なく斬れれば良いなあと」
『ッ、ッッ……!!』
云って、閃く。
猛然と肉薄した敵に合わせるように疾走した二振りの冱刃は、奇しくも神十郎が本懐を遂げるより速く、ネタキャラの強キャラ殺しをやってのけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カイム・クローバー
おいおい、勝手に『貰い受ける』んじゃねぇよ。仕事に忠実なのは結構だが、それじゃ、ストレスも溜まるだろ。
どーだい?少し俺と遊んでいかないか?(魔剣を顕現させ、肩を叩きながら【挑発】)
連続攻撃が得手らしい。奇遇だな、俺も自信はある。剣豪のおっさんを殺すつもりなら俺を殺すのも近道だと思うぜ。ああ、それと――上杉謙信とも遊んだ事があってね。結果は俺が此処に立ってる。後は言わなくても分かるだろ?もう一度聞くぜ。俺と遊ばないか?
魔剣を【怪力】で振るい、UC同士で激突させるぜ。
余所見はさせねぇよ、そんな手緩い腕だと思われるのは心外だぜ。【二回攻撃】と黒銀の炎の【属性攻撃】を組み合わせて【串刺し】を見舞うぜ。
瞬刻、霞を裂いて疾る十字槍に鏗鏘の音が噛み合う。
次いで掌に衝撃を受け取った猟書家・真田神十郎は、十字刃の叉に差し入った黒き魔劔に烱眼を結ぶと、そこに玲瓏のハイ・バリトンを添える男を睨視した。
「――おいおい、勝手に『貰い受ける』んじゃねぇよ」
飄然と告ぐはカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。
麗人は抗衡を成す『神殺しの魔剣』を、大胆にも神十郎の視界を大きく横切って担ぎ、トン、と肩を叩いて見せる。
端整の脣に湛える艶笑は挑発だろう、
「仕事に忠実なのは結構だが、それだけ真面目じゃ、ストレスも溜まるだろ。どーだい? 少し俺と遊んでいかないか?」
『……生憎、道草出来るほど余裕(ゆとり)のある道ではない』
標的は飽くまで剣豪にて、猟兵と闘り合う必要は無い。
小気味佳い刃の噛み合いと掌に残る痺れが死闘を誘うが、神十郎は沈着たる儘『手出し無用』と視線を逸らすと、槍を脇にたばさんで妖刀を抜き、剣豪へと爪先を彈いた。
真田の秘技【神速十字斬】が血花を咲かせるか――否。
超高速で繰り出る十字槍と妖刀は、【死の舞踏】(ダンス・マカブル)――黒銀の炎を纏う魔劔に迎えられ、角逐する刀光が閃々と、朦然たる霞の中に煌く。
『ッ、貴様――』
「奇遇だな、俺もスピード勝負には自信はある。剣豪のおっさんを殺すつもりなら、先に俺を殺すのが近道と思うぜ」
「おっ、おっさん……」
「まぁまぁ」
神速の領域に呼吸を合わせて踏み込み、二刃を掣肘する彼は相当の手練れだろう。
而してカイムは丁々発止に凄艶の聲を添え、
「それと――往昔(むかし)上杉謙信とも遊んだ事があってね」
『……関ヶ原を渡った者か』
「ああ、結果は俺が此処に立ってる。後は言わなくても分かるだろ? もう一度聞くぜ。――俺と遊ばないか?」
余所見はさせない。
我が腕を以て鮮烈に惹き付けてやる、と言にも戟にも挑発を乗せた彼は、黒銀の炎焔を烈々と滾らせると、遂に神十郎の二刃を掻い潜って頬の皮一枚を灼いた!
『ッ、ッ――』
次は首だとは神十郎こそ覚悟しよう。
遂に赫緋の烱眼を己に繋ぎ止めたカイムは、炎焔を喊ぶ鋭鋩を眉間に突き付け、
「さぁ踊ろうぜ。ついて行けないならエスコートして遣るよ、加速した時の向こうに」
其処に希求(のぞ)む血闘がある――と、塊麗の微笑を返した。
大成功
🔵🔵🔵
六条寺・瑠璃緒
…物騒なことを云うね、君
僕の目の届くところでは、彼の命も他の誰の命も君にはあげないよ
延乃進殿は引き続き下がって良い子にしておいで
出来るだけオーラ防御で庇ってあげるけど、嗚呼、そうだ
拍手喝采で応援して呉れるのが良い
「君はそうして何人殺めて来たのかな…犠牲者が不憫だね」
UCを発動し、真正面から無防備に敵に飛び込む様に見せかけ、カウンターを
だって今の僕には当たらないもの、其の槍も刀も
「独り相撲なんて惨めたらしくて…憐れだ、ね」
無益な二撃目以降を流し目で追いながら、足下からNocturneの影を這わせて搦め取り、背後から吸血、生命力吸収を
ねぇ、まだ動く?
君のことも憐れで憐れで…まだまだ速く翔べそうだ
畢竟、命を貰い受けるとは「殺害(ころ)す」という事だ。
「……物騒なことを云うね、君」
侍の國の侠(おとこ)は随分と命を輕く扱って呉れる、と六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)が嘆息するのは、時の儚さを知る神ゆえに。
「僕の目の届くところでは、彼の命も他の誰の命も君にはあげないよ」
交睫(まばたき)ひとつ置いて暴かれた銀灰の麗眸は、吃ッと真田神十郎を睨めるが、我が影に隠した剣豪に置かれるテノール・バリトンは優婉嫺雅に囀ろう。
「延乃進殿はその儘、良い子にしておいで」
幽玄の白翼『Serenade』に變わらぬ庇護をと人の仔を一瞥した瑠璃緒は、肩越しにスッと通った鼻梁を見せる、弓張月の如く映えたる横顔に艶美を湛えた。
「嗚呼、そうだ――拍手喝采で応援して呉れるのが良い」
「拍手喝采……? がってん、承知に御座んス!!」
然う、己が受け取るものは其れくらいなもの。
他は一切与り知らぬと冷艶の彩を萌した麗人は、【古き銀幕の活劇譚】(プラウディテ)――我が身をより本質に寄せて神霊化し、昏い晦い神氣を漾わせた。
爪先は宛ら舞台に上がるように堂々と、邪の眞正面に跫を置いて、
「君はそうして何人殺めて来たのかな……十字の槍に斃れた犠牲者たちが不憫だね」
『亡き者を憐れむか。なれば其の身も同じくして遣ろう、直ぐに――ッ!』
無防備か――否。
瑠璃緒は凝縮された時の中で十字槍の鋭鋩が描く軌道を聢と見ており、敵前に飛び込む様に見せかけ、真田神十郎の耳の間際を擦り抜けている。
而して端整の脣を滑る囁きはヒヤリと鼓膜を震わせて、
「――今の僕には命中(あた)らないもの、其の槍も刀も」
一突きで仆れそうな躯は、諸有る攻撃を透過して、一縷の創痍も流血も許さない。
翼も持たぬ花車ながら、瑠璃緒は慈悲や憐憫に心を傾けるほど己が時を加速し、最大で7,500km/h、マッハ6を優に超える神速を自在に操る事が出来るのだ。
其は音が届く6倍の速迅(はや)さにて、彼は科白を置き去りに死角へ回り込む。
「独り相撲なんて惨めたらしくて……憐れだ、ね」
『ッ、ッッ――!!』
尚も繰り出る無益な槍を美し流瞥(ながしめ)に捺擦(なぞ)りつつ、輕妙なる踵より『Nocturne』の紫闇の帳を這わせて絡め取り、背後から生の根源を搾取する。
項に肉薄するウィスパーボイスは、美しく、残酷で――。
「ねぇ、まだ動く? 君のことも憐れで憐れで……まだまだ速く翔べそうだ」
余程色を差さぬ芙蓉の顔(かんばせ)があえかに咲ったとは、神十郎は竟ぞ知るまい。
大成功
🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
【彼岸花】
させないと、言っているでしょうが──ッ!
どんな高潔な大義も、どんな立派な理由も。
それを望まぬ者に押し付ける行為のどこに正義がありますか!
故に邪魔をさせて頂きます、真田神十郎。
過去が未来を滅ぼす戦乱など、もう二度と起こさせない。
故に、ここで倒れなさい。
準備が整うまでは防御に専念。
敵が日下部様を狙ってくるならそれを庇う位置取りで。
炎熱の防御幕を貫通されることくらいは織り込み済みです。
速度に目が慣れる。
それが受け止められる。
隙は一秒あれば十分です。
ええ。
あとはお任せください、ネグル。
防御に使っていた焔をすべて爆風へ転化し加速。
あなたの速度を追い越して。
叩き斬ります、【影追白雨】──!
ネグル・ギュネス
【彼岸花】
皆が皆熱くなっちまって、まあ
ならばせめて俺は、冷静に参ろうか
我流、ネグル…ギュネス
真田殿、御命頂戴仕る
真っ向から飛び出し、斬り込み剣戟と参ろう
見切りと武器受け等でギリギリを見極めながら、今この瞬間この時の、相手の動きを見極め──理解、完了
【電霊領域:《不壊の鋼》】を発動
超高速で飛び回りながら、敵の足捌きや動くだろう場所に、デバフ満載領域装置を散布
貴様ほどの戦士であれば、或いは僅かな足止めしかならないのかもしれない、が
その隙を見逃す姉では、無い
これも戦の理、卑怯とは言うまい?
あんたの大義は否定はしない
だが、俺には必要ないからぶった斬る
……昔の戦の理由なんて、そんなもんだろ?なぁ、真田殿
猟書家・真田神十郎の本懐は、倒幕の為の強兵――剣豪殺しだ。
更なる駒を得んと、神速の十字槍が延乃進に迫るが、殺意に結ばれた射線に割り込んだ穂結・神楽耶(あやつなぎ・f15297)が鋭利く発氣した。
「させないと、言っているでしょうが──ッ!」
飄と飜る羽織の袖に“甲州の大薙刀”の影を遮る。
あえかに咲く花の如く繊細な躯に真田の獲物は隠しきれぬが、淸冽と澄める辰砂の瞳は十字刃を止めるだけの神氣に溢れよう。
佳聲は力強く櫻脣より流れ出て、
「どんな高潔な大義も、どんな立派な理由も。それを望まぬ者に押し付ける行為のどこに正義がありますか!」
而して繊手に握る『結ノ太刀』の白銀の輝きを暴く。
大菩薩峠に降り立った時分より燻っていた炎を闘志と蹴立て、緋の邪眼を睨視する。
昂ぶるほど深く呼吸した神楽耶は、次いで滑り出る言に訣別を置いた。
「過去が未来を滅ぼす戰乱など、もう二度と起こさせない。尚も覇道を往くと云うなら、身命を賭して邪魔をさせて頂きます。真田神十郎、あなたは、ここで倒れなさい」
炎熱の防禦幕に延乃進を守護した儘、更に前に立つ躯に覚悟が窺えよう。
全力で楯突くという佳人の凛然を受け取った邪は、十字槍を脇にたばさみ、逆の手には妖刀を抜いて腰を落とした。
『――合戰(いくさ)に割り入る覚悟が出来ているらしい。ならば潔く死ね』
須臾に繰り出るは真田の秘技、【神速十字斬】――ッ!!
十字槍と妖刀が猛然と旋風を巻いて神楽耶に迫るが、瞬刻、雷光の閃く如く駆け抜けた機工刀・天花一条『裂空』が、其の刀鋩に両者を別つ。
十字の叉に刃を噛ませて彈き、返す刀に妖刀と切り結んだ男は、低く小さく囁いて、
「皆が皆熱くなっちまって、まあ。――ならばせめて俺は、冷靜に参ろうか」
怜悧に犀利に、沈着と、冷徹に。
研ぎ澄まされて集中の懸崖に至ったか、槍と刀の二撃を禦いだ刃に喫驚した神十郎は、身を低く上目遣いに己を射抜く烱眼に問う。
『如何なる劔技の使い手か。名乗れ』
「我流、ネグル……ギュネス。真田殿、御命頂戴仕る」
男はネグル・ギュネス(Phantom exist・f00099)。
神楽耶が烈々と炎焔を抱くほど彼は淸かに、紫苑の佳瞳に玲瓏の彩を湛えて烱々煌々、不断に迫る刺突斬撃を見極めながら、ギリギリ往なして目尻の際に送る。
肌膚一枚の裂傷を許し、紅の鎧を斬る覚悟も小気味佳かろう。
神十郎は槍の間合いを掻い潜るネグルに驚嘆して、
『眞ッ向勝負とは、随分と生き急ぐ』
蓋し悪くないと、握り込めた十字槍と妖刀は閃々と光を彈き、ネグルの眼路いっぱいに刃の驟雨を叩き付けた。
「真田殿も好まれよう。のべつ幕無し、斬り込み剣戟と参ろうか」
端整の脣は好戰的に言を結びながら、ネグルの瞳は『カリキュレイト・アイ』によって今この瞬間この時の挙動を把捉・分析し、最適の解を嚮導(みちび)かんとしている。
而して「──理解、完了」と演算にピリオドを置いた彼は、【電霊領域:《不壊の鋼》】(アンブレイカブル・フロントライン)を出力――ッ!!
爪先を彈くや絶影の機動で飛び回ったネグルは、神十郎の足捌きや動くだろう場所に、攻撃精度を大きく下げる領域装置を散布していく。
『な、ん……これは――ッ』
「極めて優れた戰士であれば、或いは僅かな足止めしかならないのかもしれない、が」
最大速度8,800km/h、マッハ7を優に越す神速を如意自在に操る彼を捕える術は無し、其を追う邪眼も泳ぐ程になれば、ネグルは超速の最中で慥かに嗤笑ったろう。
「――その隙を見逃す姉では、無い」
「ええ。あとはお任せください、ネグル」
間隙無く「應」を告ぐ大瑠璃の佳聲。
準備が整うまでは剣豪の命を守る事に専念していた神楽耶は、「敵の妙技に目が慣れ」「それが受け止められる」時の領域に身を置き、防禦に注いでいた灼熱猛焔を全て爆風へ転化し、超加速していく。
隙は一秒あれば十分――慾しがる身でも無い。
美し『白練華織』を翻したのも一瞬、我が太刀の鏡の如く澄み切った鋩を前に、前に、縮地にて敵懐へと侵襲した神楽耶は、花脣に鋭利く言い放った。
「叩き斬ります、【影追白雨】──!」
其は軌跡の一。影に紛れる致命の一差し。
神十郎の神速を凌駕し、防禦に繰り出る二刃を潜った斬撃は、紅の鎧を貫穿し、しとど血の雨を降らせた。
『ぜアァ……ッッ!!』
「これも戰の理、卑怯とは言うまい?」
激痛に身を傾ける邪に冷徹の聲を置くはネグル。
神楽耶が紡ぐ爽涼の風を受け取った彼は、搖れる月白の前髪から烱眼を注いで、
「あんたの大義は否定はしない。だが、俺には必要ないからぶった斬る。……往昔(むかし)の戰の理由なんて、そんなもんだろ?」
なぁ、真田殿――と。
云えば痛撃を噛み締めた邪が、「噫、全き然り」と零して膝を折った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂照・朱海
(敵UC発動後を想定)
これが…真田十勇士…
忍術使いもいると聞く
城郭内のどこから仕掛けて来るかも判らぬ
注意せねば
「のび様!!!此度は動いた方が危険です」
寛永通宝をのび様の周りに滞空させ防御体制を
さらに輪入道を待機させ寛永通宝が敵の攻撃に反応したら攻撃するよう指示
対応は以上
自身は名乗りをあげ本丸に
「我こそは穂照朱海。武士の身に非ねど、真田殿がお命頂戴致す――我が刀の求むるが故に」
十勇士には構わず狙いは真田唯一人
一太刀でも浴びせられれば良し
何故ならば
「其方が十勇士ならば、此方は百鬼夜行
此れを異世界の言葉では『わいるどはんと』と申します」
此の一撃を以て『百鬼夜行・黄泉路渡』の幕開けとせん――
猟兵の間隙なき猛撃に遂に膝折った猟書家・真田神十郎が血濡れた手を腰に滑らす。
朱の斑を染ませながら披くは、侵略蔵書『真田十傑記』――講談にて親しまれた十人の豪傑を召喚した神十郎は、彼等を配すると同時、我が影を霞掛かる迷宮に隠した。
「むうっ、首魁が靄に消えてしまったで御座んス!!」
「のび様!!! 此度は動いた方が危険です」
慌てて爪先を動かす剣豪を、雪白の繊手が遮る。
靉靆と棚引く妖氣に振袖を揺らした穂照・朱海(極彩色の妖魅・f21686)は、長い睫に縁取られた麗瞳を炯々と巡らせ、複雑に入り組んだ城郭に戒心を注ぐ。
徳川を二度も退けた真田の城郭にて、術者が手負いだろうと侮れぬ。
「真田十勇士には忍術使いもいるとか。慎矣慎矣(ゆめゆめ)注意を怠りませぬよう」
「うっうむ……!! どこから仕掛けて来るかも判らぬ故に、で御座んスね!!」
勇み足を引っ込め、朱海の言を繰り返して気を引き締める延乃進。
その命を鹵掠(うば)われてはならぬと袖を潜った手は、意志ある銅銭『寛永通宝』を周囲に滞空させると同時、更に妖怪『輪入道』を傍らに待機させ、警急に備えさせる。
“――敵ガ攻撃シテ来ナイカ見張ッテオクヨ! イザトナレバ礫ト為ッテ……”
“――礫デ禦セル手合イデハアルマイ。拙僧ガ衝突カリ、轢キ殺シテ呉レル!”
「ギャッ! 喋ったで御座んス……!!」
延乃進が蒼褪めるが、侍の國の民は霊験を信じ怪異を畏れる気質故に無理もない。
斯くして剣豪の命を守りながら本丸を目指した朱海は、真田の首に近付くほど小刻みに震える、抜身の『妖刀・朱天狗』と共に名乗りを上げた。
「我こそは穂照朱海。武士の身に非ねど、我が刀の求むるが故に真田殿がお命頂戴致す」
『妖剣士か……なれば己が血で飢餓(うえ)も渇望(かわき)も満たすが佳い――!』
主より速疾く肉薄するは、十勇士が一人、猿飛佐助。
彼もまた指折りの忍者なれば、妖刀はぬらりと耀いてその身に温い血を浴びたろうが、忍刀を掻い潜った朱海の狙いは、真田神十郎ただ一人。
一太刀でも浴びせられれば良し、と妖刀に蝕まれる筈の彼が慎んだのは故があって、
「其方が十勇士ならば、此方は百鬼夜行――此れを異世界の言葉では『わいるどはんと』と申します」
疾ッと走って滴った血滴が【百鬼夜行・黄泉路渡】(ワイルドハント・ヨミジノワタシ)の幕開け――目下、神十郎の眼路には百鬼妖怪が蛇の如く連なり、彼の恐怖を糧にせんと歪に嗤笑っては舌を舐め擦る。
『ッ、ッッこれは……我が覇道に異を唱う神仏の化身か……ッ!?』
真田神十郎も侍の國の者なれば、験は担ぐし、神霊を畏れよう。
緋の邪眼は這い寄る怪異に成す術も無く、生気を喰らわれるしかなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
司・千尋
連携、アドリブ可
やっと本命の御登場、か
悪いけどさっさと退場してくれる?
攻防は基本的に『子虚烏有』を使う
範囲内に敵が入ったら即発動
範囲外なら位置調整
近接や投擲等の武器も使い
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
召喚された忠臣は優先的に攻撃
数の暴力は面倒だから早めに倒してしまいたい
真田の方が倒しやすそうなら真田を狙う
周囲の地形を破壊しても不利にならないなら剣豪が大薙刀を振り回せるようにする
敵の攻撃は細かく分割した鳥威を複数展開し防ぐ
割れてもすぐ次を展開
オーラ防御も鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
回避や迎撃する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用
無理なら防御
剣豪への攻撃は最優先で防ぐ
實の處、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は首魁の首には興味が無い。
一番槍を競う性格でも無し、橄欖色を燿わせる麗瞳に敵将・真田神十郎を映した彼は、噫、と盛大に溜息を吐いた。
「やっと本命の御登場、か。……悪いけどさっさと退場してくれる?」
真田の首領が現れたとて、摑み所の無さは變わらず。
神十郎が放つ威を飄然たる科白に躱した千尋は、骸の海を潜る背中を押して遣らんと、閃々(ひらひら)、瀲灔(ちらちら)と光を彈く【子虚烏有】に幾何学模様を描いた。
「真田十勇士か……忍者に僧体の豪傑も居るんだっけ?」
侵略蔵書『真田十傑記』に召び喚された十体の豪傑が、多方に別れて攻めるのに対し、その影を素早く追った千尋が其々の特性を言つ。
戰う事になるなら、もっと講談を真面目に聴いておくんだったと皮肉を滑らせる佳脣は然し幾許か微咲(えみ)を湛えていて、戒心鋭く索敵する烱瞳は玲瓏の彩を湛えて煌々、そして射程距離に捉えた殺氣に逸早く結ぶ視線は張り詰めた糸のよう。
而して繊麗の五指が操る呪術人形『宵』と『暁』は表情豊かに動いて、
「“数の暴力は面倒だから早めに倒して仕舞おう”」
「“状況によって真田の方が狙いやすそうなら真田を倒して仕舞おう”」
袴姿の白狐が日本刀の鋩に十勇士を示す中、振袖姿の黒狐は美し口元を扇に隠しながら意見を言う――フリフリと動く尻尾に饒舌を吹き込む千尋は随分と愉しそう。
操り主は泰然と、二人が意見を揃えた時には其を叶えてやって、
「“甲州の大薙刀の活躍も見てみたい”……慥かに然うだ」
細かく分割した『鳥威』に堅牢なる守護を敷いた儘、剣豪が大薙刀を振り回せるようにと光劔の鋩を放射状に射掛け、複雑に入り組んだ壁や塀を次々に剔抉して掻き消した。
「徳川の侵攻を二度も退けた不落の城郭らしいけど、扨て、俺達はどうだろう」
「おおおっ……忝い!! これなら拙者も連中に一矢報えるで御座んス!!」
触れたモノを周りの空間ごと消失させる――その靜かな脅威に變わらず息を飲みつつ、延乃進は水を得た魚の如く大薙刀を振り回し、素早く動き回る猿飛佐助らと角逐する。
その英姿を眼路の脇に置いた千尋は、淡く目尻を緩めて、
「身勝手に狙われて、身勝手に殺される理不尽を叩き付けてやるといい」
功を急く身では無いが、不条理には共に抗って見せようと――霞掛かる迷宮を躍る光劔は美しく妖しく玲瓏を増しながら、豪傑の槍と刀を、ひいては豪傑を消していった。
狐面の『宵』と『暁』が動きを止めた時が終幕か。
二人が恭しく礼を揃えるのを見た千尋は、長い睫を持ち上げて首魁を睨視し、
「手前で退けないなら、見送(おく)るしかないか」
と、光の波濤に漆黒の短刃『烏喙』を投げ入れ、神十郎の『侵略蔵書』を貫いた。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
マスラオ…否…猟書家め…
あの木偶人形のように貴様の野望も粉々に討ち砕く…!
[殺気]を放ち敵を[挑発しおびき寄せ]て自身に惹き付け
剣豪への攻撃を逸らして[かばおう]
敵の連続攻撃は妖刀と細剣を振るい[早業による武器受け]で
[受け流して見切りつ]攻撃を防ぐとしよう
攻撃を受けても[激痛耐性]で耐えて
[吸血]で流れ出る血を啜り[継戦能力]を整え武器を振るおう
【剣樹地獄の刑】を発動
[残像]を発生させて敵を[おどろかせ]
妖刀の[鎧無視攻撃]と細剣の[串刺し]攻撃で真正面から一気に[切り込み]
滅多刺しと滅多切りにして討ち倒してやろう…!
…常闇なる骸の海に帰れ!!!
時は須臾。
標的たる剣豪に目掛けて疾る鋭槍に鏗鏘の音が噛み合う。
『ッ、!!』
十字刃の叉に差し入った妖刀に、両の掌が痺れる程の衝撃を受け取った真田神十郎は、その凄まじい妖氣に緋瞳を結ぶと同時、鋭いコントラルトを添える麗人を睨視した。
而して彼女もまた殺意漲る烱眼を返そう。
「マスラオ……否……猟書家め……」
射線に割り入ったのは、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)。
数多の「軍神」の霊魂を薙ぎ払った彼女は、其を率いる真田の大将を見るや炎焔の如く烈々と、“甲州の大薙刀”を背に隠すや、渾身の力で刃を阻む。
『――女将よ、合戰(いくさ)に割り入る覚悟が出来ているか』
ギチギチと喰い合う槍を脇にたばさみ、抗衡はそのまま逆手で妖刀を抜いた神十郎は、二の撃を差し入れんと刀光を閃かせるが、アンナも同時に抜劔して其の軌跡を逸らす。
鈞ッと掠める音を聽いた神十郎は幾許か喫驚いて、
『二刀流か。日下部も佳い刀を得たようだ』
「噤め……あの木偶人形のように貴様の野望も粉々に討ち砕く……!」
鏖殺の氣を放ち、邪の闘争心を惹き付ける。
我が劔技が彼奴を煽るなら、それでも良い。
とまれ剣豪を守護するに邪刃を代わろうと決意したアンナは、常に延乃進へと的を結ぶ神十郎に正対しながら、雨霰とたばしる刃を一手に引き受けた。
『随分と腕が立つが、真田が秘技【神速十字斬】を受けきれるか――ッ!』
「ッッ耐えて……後に、凌ぐ……!」
無傷で踏み越えようという慾は無い。
射干玉の彩を放つ黒瞳は洞察を鋭利く、超高速で襲い掛かる斬撃の軌跡を聢と見切め、一刃は彈いて、一刃は受け流し、逃れられぬ一刃は一筋の裂傷を許して継戰を保つ。
其の驚異的な順應力は、次第に神速の刀槍に目を馴染ませ、常人には決して捉えられぬ寸毫の刻限(とき)に反撃の機を見出した。
「今ここに……滅多刺しと滅多切りにして討ち倒してやろう……!」
戈戟斉放、【剣樹地獄の刑】――ッ!!
刹那に繰り出た槍が衝いたのはアンナの残像で、虚しき手應えに時を止めた神十郎は、次の瞬間、鎧をも貫き穿つ妖刀と、肉まで刺す細劔の瞬速苛烈な斬り込みに襲われる。
彼女が「剣樹地獄」という言葉を此の國で知ったのが皮肉か、
「……常闇なる骸の海に帰れ!!!」
『ッ、ズッッ嗚呼――!!』
真田神十郎は無数の刃に突き刺され、斬り刻まれ、我が侵略蔵書をしとど血に染めた。
大成功
🔵🔵🔵
亜沙木・しづる
こちらの本懐は延乃進さんを守る事!
私は剣豪の背中を守る立ち位置を念頭に
眼中に無い私が虚を突く形で敵を妨害&攻撃
敵攻撃は鋼糸で敵身体や武器をきつく絡め取り捕縛、動きを鈍らせたい
そうすれば剣豪自身の防御も間に合うかなって
敵技発動の前触れで私もUC発動
行動の数手先を視てどの方向から攻撃が来るかを把握
剣豪には「どの方向に避けて!」と敵攻撃毎に伝達すると同時に、
敵動線上には武器受けと切断の力を満たした鋼糸を
剣豪を守るように密に張り巡らせ敵突っ込み待ち
敵の早さに対抗して鋼糸は早業で繰り出す!
上記行動成功時、敵動きが曇ったらすかさず痛打狙いの蹴り入れ
生粋の強さを汚させやしない
あなたの目論み通りにはさせないよ
猟書家・真田神十郎の本懐が剣豪を殺す事なら。
己の本懐は、その剣豪を最後まで守り抜く事だ。
刹那、繊翅に力強く風を叩いて割り入った亜沙木・しづる(fragment・f30506)は、花車の躯には隠し切れぬ男を背に、凛然と十字槍の前に立ち塞がった。
『女人(おんな)、其処を退け。剣豪の命は貰い受ける』
「退かない。花一匁じゃないんだから、延乃進さんは渡さないよ」
邪の緋眼が睨視すれば、可憐な緋瞳は吃ッと玲瓏の彩を返して。
畢竟、互いが交わる事は無いと、交睫(まばたき)ひとつして邪と訣別したしずるは、神十郎が二の撃を打ち込むより速疾(はや)く『白鋼の弦』を紡いだ。
「私が眼中に無いっていうなら、虚を衝けるって事だよね」
『、ッ』
朦然と霞掛かる戰場に瀲灔(ちらちら)と光が揺れる。
警戒した十字槍が光を払わんと鋩を動かすが、極細の鋼糸は如意自在に踊って神十郎の柄を握る掌手に絡み、きつく縛って動きを鈍らせた。
「こうすれば可動域は狭められるし、延乃進さんの防御も間に合うかなって」
「流石はしづる殿ッ! お見事に御座んス!!」
喝采(やんや)と拳を突き上げる延乃進に、ギリッと齒噛みする神十郎。
邪は鋼糸の拘束をその儘、十字槍を脇にたばさみ、逆手で妖刀を抜くと、強く拇指球に土を踏み締めて構えた。
『……合戰(いくさ)に割り入る覚悟は出来ていような』
腹を操(くく)れと、真田の秘技【神速十字斬】が瞬刻に迫るが、雨霰とたばしる刀槍を眼路いっぱいに映す少女は、疾うに覚悟を決めている。――或いは神十郎よりも。
「勿論、もう“視た”から平気!!」
煌々と耀ける赤水晶の瞳は、【緋き眼の閃き】(レッド・ビジョン)によって迫り来る刃撃を未来視しており、その方向や速度を把捉・網羅していたのだ。
故に彼女は猛撃が肌膚を掠めるより先、丹花の脣に警戒を発して剣豪を遠ざけ、
「延乃進さんは左後方に飛び退いて!!」
「ッ!! 左後方、承知に御座んス!!」
先に共闘したならでは、阿吽の呼吸で反應を示す延乃進。
特に優れているのは距離感だろう。しずるは大薙刀の間合いも勘案しつつ、常に剣豪と神十郎を結ぶ線上に位置取り、超高速の刃撃を鋼糸に絡め取っていく。
美し繊指が操る白弦が漸う邪の挙動を曇らせた時、大瑠璃の佳聲は発氣して、
「生粋の強さを汚させやしない。あなたの目論み通りにはさせないよ!」
『ズあッ、不覚……ッ!!』
延乃進お墨付きの蹴撃が炸裂ッ! 神十郎の脛を強かに打って跪かせた。
大成功
🔵🔵🔵
鷲生・嵯泉
……其の巫山戯た望みが通るとでも思ったか
骸の海へ墜ち、道理を見る眼も腐り果てたと見える
ならば如何な手段を用いようが無駄と教えてやろう
王将が取られれば此方の負けになる
剣豪と至った身ならば「負けぬ為」の手段が如何様かも判ろう
あれは些か厄介な相手故、最善手を頼むぞ
得られる情報の全てで以って攻撃の機を見極め見切り
なぎ払いを咬ませた武器受けにて、悉く弾き落としてくれる
些少の傷は覚悟で捻じ伏せ耐性で無視
動きを阻害し致命に至らねば構いはせん
助勢を呼ぶならば――蹂刀鏖末、逃げる事なぞ能わず
あらゆる方向からの斬撃で以って、悉くを的として滅してくれよう
既に決した勝敗を覆そうなぞ盤面を覆す様なもの
全く、愚かに過ぎる
須臾、霞を裂いて迫る槍撃に冱刀が差し入る。
鈞ッと刀光を彈いて十字の叉と喰い合った『秋水』より、痺れる程の衝撃を受け取った猟書家・真田神十郎は、ギチギチと抗衡する鋭鋩から漸う視線を持ち上げて云った。
『……貴様も刀を手にした者なら、合戰(いくさ)に割り入る覚悟は出来ていよう』
血色の邪眼が睥睨すれば、睨視を返すも赫い隻眼。
鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は互いを結ぶ刀槍の角逐に、鋭いバリトンを滑らせる。
「國盗りの合戰で将棋のように獲った駒を使えるとでも思ったか。斯くも巫山戯た強兵を唱うとは、骸の海へ堕ち、道理を見る眼も腐り果てたと見える」
『巫山戯てはいない。「超・魔軍転生」なら其が叶うのだ』
「笑止。如何な手段を用いようが無駄と教えてやろう」
噛み合う槍を脇にたばさみ、二の撃に振り抜かれる妖刀に『春暁』を合わせる。
今の鏗鏘を以て双方が離れれば、嵯泉は延乃進の前に立って二刀を構え直した。
侍の國の侠(おとこ)の矜持を知るのも彼ならでは、
「王将が取られれば此方の負けになる」
「むむっ、拙者が此度の『王将』に御座ンスか! いや~面映ゆいで御座んスな~!」
「而して剣豪と至った身ならば、『負けぬ為』の手段が如何様かも判ろう」
「うっうむ!! 拙者の大薙刀は戰亂を渡る武術にて、ばっちり御座ンスよ!!」
「あれは些か厄介な相手故、最善手を頼むぞ」
嵯泉の科白に(特に「王将」という響きに)勇気を得た延乃進は、大薙刀をブンブン、凄絶な血闘の余波を悉く薙いでやらんと奮起する。
背越しに剣豪の発氣に触れた嵯泉も愈々雄渾と、神十郎の手が腰の後ろへ――侵略蔵書『真田十傑記』を披き、十人の豪傑を召び喚す瞬間を聢と烱眼に射た。
「助勢を呼ぶならば――蹂刀鏖末、逃げる事なぞ能わず」
十勇士も主君と同じく、煮え滾る殺意を常に延乃進へと向けている。
瞳の動きと態勢で射線を見極めた嵯泉は、半径93m圏内を不可視・不可避の刃で囲み、襲い来る者から平等に順番に斬り伏せていった。
『豈夫(まさか)、真田が誇る豪傑が成す術も無く倒れるなど……ッ!』
神十郎は今の景に驚愕を示すが、精鋭を悉く的として滅した嵯泉は冷艶と口を開き、
「既に決した勝敗を覆そうなぞ、盤面を覆す様なもの」
此の國の「過去」の滲出は既に阻まれた。先人が挑んだ天下布武の野望も潰えた。
其を理解できぬ裡は、幾度と刃を突き立てられようとへし折るのみ、と『秋水』の鋩を突き付けた精悍は、がくりと膝を折る『玉将』を烱眼に組み敷き、
「――全く、愚かに過ぎる」
ひやうと刃を振り抜いた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
──お出ましか
空き巣しか出来ねぇカスども……絶対に滅ぼしてやる
二度とこの世界で、理不尽が起きないようにしなきゃいけねぇんだ
“甲州の大薙刀”だったな
時が来るまで、俺がアンタをサポートする
狙われるなら仕込みクロスボウで牽制し、脚を止める
手先を足を重点的に狙い、攻めにくい環境を作る
そしてそれをしながら──仕込みだ
『Robbery』をゆっくり、慎重に展開
気付かれないように、幾つも空中に展開させておく
奴が奥の手の「真田十傑記」を使った瞬間が勝負
滞空してたガラス片を雨のように降らせる
だがそれは本命じゃない──上を防いでる間に、下からもだ
古典的なミスディクレション…『強奪』は発動した
10人の忠臣は俺のものだ
目下、霧を裂いて飛び込む神速の槍に延乃進はゾッと蒼褪めたが、颯爽と射線を遮ったヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は、猟書家・真田神十郎を前に紫電と駆け抜ける昂揚を隠しもせず口にしていた。
「──漸ッとお出ましか。空き巣しか出来ねぇカスが一匹」
端整の脣を滑る科白は随分と粗率(ぞんざい)だが、敵意と戰意を煽り立てるテノール・バリトンには、一縷と揺るがぬ意志が秘められている。
『さがな口を噤め。貴様こそ合戰(いくさ)に割り入ったなら、覚悟は出来ていよう』
「云って泥棒だろ。裏稼業しか出来ねぇなら、其こそ全力で、懐刀でも出して来い」
――どんな手を使われようと、絶対に滅ぼしてやる。
二度とこの世界で、理不尽が起きないようにしなきゃいけねぇんだ、と――彼の佳脣は聲を囁(つつや)いたか判然らぬが、次いで滑る言は肩越しに飄然を置く。
「……“甲州の大薙刀”だったな。時が来るまで、俺がアンタをサポートする」
『其処を退け。我が大義は貴様の背にある』
「こんな風になッ!」
『ッ、ッッ』
再び踏み込まんとする神十郎の爪先にクロスボウを撃ち、接近を拒む。
鏃が払われるのも想定内に、飛矢で牽制を敷き刀槍の間合いを殺したヴィクティムは、敵が攻めにくい環境を作る傍ら、ゆっくり、慎重に――或る“仕込み”を始めていた。
『貴様が前に立ち続けるなら、真田が十勇士が脇から狙わせて貰うぞ』
果して神十郎が侵略蔵書を手にした時、彼は稟性を露わにしたろう。
究極の一を無限の小細工で捻じ伏せるのが得意なヴィクティムは、Forbidden Code『Robbery』(ゴウダツノキバ)――半径94m圏内に存在する無機物を既にガラス片に變換しており、靉靆と棚引く霞を煌めく玻璃に、宛ら雨の如く降らせたッ!
煌々と降り注ぐ其の一片一片に映る青年は、小気味佳い微笑を浮かべていたろう。
「古典的なミスディクレション……『強奪』は発動した」
『な、に――ッ!!』
「猿飛佐助、霧隠才蔵、筧十蔵……十人の忠臣は俺のものだ」
蓋し驟雨と降り注ぐ硝子の刃は本命では無い。
其は下からも――然う、先に神十郎が敷いた【不落城塞】をもガラス片と變えており、豪傑の全身に刃を突き立て、夥多しい血潮を噴かせた。
「――徳川を二度も退けた不落の城郭が仇となったな」
ストリートで生まれた少年が呼び覚ました強烈な感情は、真田の城と臣の命を強奪し、更には神十郎が手にした侵略蔵書『真田十傑記』にもガラスの鋩を突き立て、その能力を鹵掠(うば)ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
露木・鬼燈
お人形遊びは終了。
本命が来たようだね。
十字槍と妖刀…異種二刀流はめんどうだな。
攻撃に合わせてしっかりと対応していかないとね。
妖刀での攻撃は弾きで態勢を崩していくのがいいかな。
十字槍も基本は弾きで対応して、薙ぎ払い系は回避がいい。
妖刀も十字槍も突きは見切り、武器を踏みつけて崩しを狙うべし!
態勢を崩すまで焦らず対応していけばいい。
剣豪を守るにはヘイト管理も大切。
攻防の合間に棒手裏剣の投擲を挟んでいこう。
弾くなり踏みつけるなりして崩した所で<忍殺>なのです。
ぐるりと背後に回り、生体装甲を変形させた刃でグサリと、ね。
神経毒と呪詛が乗った刃でかき混ぜるっぽい!
えげつない?忍だからこれくらいふつーふつー。
猟書家・真田神十郎は繰り出した槍に霞を裂き、剣豪に血花を咲かせる心算(つもり)だったが、果して十字刃は鋭利い鏗鏘の音に止められる。
柄を伝う衝撃に瞠目した邪が睫を持ち上げれば、其処には女と見紛う麗人が、刀光の閃きに花顔を白ませていた。
「漸ッと本命が来たようだね」
お人形遊びは終了だ、と飄々たるテノールを添えるは露木・鬼燈(竜喰・f01316)。
十字の叉に大劔形態の『魔剣オルトリンデ』を嚙合せた彼は、ギリギリと抗衡する刃を挟んで視線を結ぶと、須臾に差し込む二の撃を聢と『異形心眼』に捉えた。
『……合戰(いくさ)に割り入る覚悟は出来ているか』
「死ぬ気はないけど」
『ならば否應無く斬り捨てるのみ』
今も刃を喰い合う十字槍をそのまま脇にたばさみ、逆手で妖刀を抜く。
神十郎が発氣して水平に薙げば、胴を攻められた鬼燈は輕やかに躯を躍らせて宙返り、妖氣滴る刀を蹴撃に彈いた。
「落せなかったか……異種二刀流はめんどうだな」
云って音も無く着地し、我が影に剣豪を隠す鬼燈。
初撃から強靭と敏捷を備えた彼の挙動には神十郎も喫驚の色を隠せず、而して延乃進に刃は向かせぬと眼路いっぱいに飛び込む彼は、時の猶予も與えぬ程の神速であった。
「積極的に視界を揺るがす。暗殺の逆っぽい!」
『ッッ、莫迦な……骸の海を潜らずしてこのような……!!』
鍛錬の成果か実戰の経験か、彼は刀の対応も槍の捌きも心得ている。
十字槍は大劔に彈いて目尻の際に送り、薙ぎ払いは軌跡を反らすか回避。刀槍の刺突は神十郎の構えから見切り、武器を踏みつけて崩しを狙う――目下の状況を鋭く捉える「勘」と「感」は、間もなく反射として繊麗の躯を動かした。
「態勢を崩すまで焦らず対応していけばへーきへーき」
輕妙な科白とは裏腹に殺気を帯びた棒手裏劔が、間隙と眼界を埋める様に飛び込む。
劔呑を十字槍に薙ぎ払った神十郎は、柄を踏みつけて我が身を屈ませた刹那、ぐるりと背後に回る影にゾクリと肌膚を粟立てた。
『ッ、ッッ――!!』
其は血闘に訣別を置く【忍殺】(フィニッシュ・ムーブ)――特殊な暗器術により生体装甲から短刃を生成した鬼燈は、温かく脈打つ頸動脈に鋭鋩を深く鋭利く沈める。
夥多しい血が繁噴く代わり、刃に塗り込められた神経毒と呪詛が創痍をかき混ぜる――あまりの激痛に神十郎が叫喚(さけ)べば、鬼燈は耳を劈く絶叫に佳聲を滑らせ、
「えげつない? 忍だからこれくらいふつーふつー」
と、莞爾と頬笑む白皙にしとど鮮血を浴びた。
大成功
🔵🔵🔵
舞塚・バサラ
【SPD】
やらせぬで御座る(武器受け、見切り)
此処は某が抑える故、延乃進殿は逃げ………だからやらせぬと言ってるで御座ろう(時間稼ぎ、存在感出して割り込む)
生者を負け犬の同胞にはさせぬで御座るよ。文字通り身命を賭して、な(真の姿解放。同時にUC使用)
(以下、風のような声に)
『サテ、ドウアレ、ワレラヲ〆ネバススメヌゾ』(まずは見切り、学習力、戦闘知識、情報収集等で敵の間合いを計る)
『ヤラセヌ、トイッタ』(敵のUCの予兆を見極め、UCの加速や残像を利用しギリギリの間合を維持。空振りさせる)
『タアイナシ。フウマコタロウニオヨバズ』(透かした隙を部位破壊や武器破壊技能をUCでの変幻自在の連撃で叩き込む)
刹那、神速の槍が霞を裂いて疾る。
十字の刃は剣豪の胴に沈んで臓腑を喰らう筈だったが、その叉は刀光の閃きと鏗鏘の音に挟まれて止まった。
手が痺れる程の衝撃を受け取った猟書家・真田神十郎は、我が槍鋩と喰い合う刃の陽炎の如き揺らめきを睨視すると、次いで刀身を捺擦(なぞ)るように視線を持ち上げた。
「やらせぬで御座る」
為手は舞塚・バサラ(殺界羅忍・f00034)。
殺意に結ばれる射線に割り入った無形の貌の男は、十字槍に『陽術刀:不知火火車』を噛ませて抗衡しつつ、背に隠した剣豪には肩越しに靜謐のテノール・バリトンを置く。
「此処は某が抑える故、延乃進殿は逃げ……」
『其処を退け。我が本懐は貴様の背に在る』
ギチギチと角逐する槍を脇にたばさみ、逆手で妖刀を抜いた邪がバサラの腰を薙がんとするが、水平に迫る刃撃は今度は須臾に差し出た『陰術:無形刃』に阻まれた。
「……だからやらせぬと言ってるで御座ろう」
間合いも軌跡も異なる刀槍の二刀流を、陰陽の二刃を以て禦ぐ妙技。
この男を倒さぬ限りは剣豪に死は届けられぬかと、赫緋の邪眼が漆黒の仮面を睨めた、その時――仮面の奥に隠れる烱眼が、射干玉と耀ける彩を放った、気がした。
「生者を負け犬の同胞にはさせぬで御座るよ。――文字通り身命を賭して、な」
云って、影が消失(きえ)る。
須臾に影を追う神十郎の肌膚に、ヒヤリと空気が張り付く。
――サテ、ドウアレ、ワレラヲ〆ネバススメヌゾ。
『……何処だ』
風のような聲が鼓膜を震わせるが、果して影は視えず。
無理も無かろう、【陽術:変性流転】にて周辺を気流を操り、空気抵抗と慣性を殺したバサラは、最大で8,500km/h、音速の6.8倍の超速を如意自在に操る為、聲を追う限り彼の影を捉える事は出来ない。
なれば目に視えるものを、今こそ延乃進を殺すべきと神十郎は拇指球を踏み込めるが、真田の秘技【神速十字斬】は十字槍を構えた左脇を強襲され、不覚えず蹈鞴を踏んだ。
――ヤラセヌ、トイッタ。
『ッ、ッッ……ッ!!』
飛ぶように疾走る景色を目尻へと流しながら、バサラは、いやバサラのような何者かは洞察を鋭利く、神十郎の技を極めて冷靜に見ている。
炎の應用で熱量を支配した彼は、殺意の予兆を見極めるや一足で敵懐に侵襲し、我が残像を斬らせる代わりに實のある陰陽の二刃を沈めた。
――タアイナシ。フウマコタロウニオヨバズ。
『風魔、だと……貴様、今なんと……――ッ』
辰砂の邪眼が漸ッと「風」を捉えられた時分には、視界は紅く赫く。
紅の鎧ごと貫き穿つ刺突は間隙を許さず急所に飛び込み、眞ッ赤に染まる眼路いっぱいに修羅の面を投影(うつ)した神十郎は、而して後、ズル……と視界を地に轉がした。
大成功
🔵🔵🔵
アナスタシア・ムスハルト
のびちゃん狙って踏み込んできたのを迎え撃つ
首を掻っ切る横薙ぎ
防がれても躱されても構わない
まずはこちらを倒さないことには、と思わせる
あなたがこの作戦の首魁ね?
私もそれなりの腕前だと思うのだけど、お眼鏡には適わなかったかしらぁ?
使うのは槍だけ?
そっちの刀は虚仮威しかしら?
本気を出さないと、その首、貰っちゃうわよぉ?
矜持を刺激されて、私を倒すために攻撃にすべてを傾ければ――剣豪を二人同時に相手に回す意味、甘く見積もったわね?
刀と大薙刀、奇しくもあなたの連撃と同じ射程
それぞれの達人を片手で相手にできるかしら?
時間をかければかけるほど「見切り」、「致死断絶剣」の精度は向上していくわぁ
畢竟、真田神十郎も先程の絡繰人形と同様、常に殺意を剣豪に結んでいる。
ならば己は其の射線に割り入るだけと輕妙に爪先を彈いたアナスタシア・ムスハルト(小さな大剣豪・f24499)は、槍を差し入る邪の側面を強襲したッ!
「のびちゃんは、だめー!」
「杏奈(あな)殿!!」
『なッ、ン――!』
首を掻っ切る勢いで、冱刃を横に薙ぐ。
矮躯ながら膂力いっぱいに振り絞られた刃撃は凄まじく、澎湃たる闘氣に触れた邪は、咄嗟に柄を旋回して禦ぐと、鏗鏘の音と刀光の閃きを霞に広げた。
月白の艶髪がふうわと躍る中、玲瓏の金瞳は赫緋の邪眼と視線を繋いで、
「あなたがこの作戰の首魁ね? 剣豪殺しだなんて、私もそれなりの腕前だと思うのだけど、お眼鏡には適わなかったかしらぁ?」
我が劔技は如何に、と小気味佳く語尾を持ち上げる。
成程アナスタシアの刃撃は、神十郎の時を止め、土不踏を地に踏み込ませる程の脅威であったが、果して神十郎は彼女を抜けて剣豪を殺める事が出来ようか。
蓋し彼が答えを出すより速疾く、アナスタシアは解を嚮導(みちび)くだろう。
「使うのは槍だけ? そっちの刀は虚仮威しかしら?」
攻められるだけでなく、不断に攻め込む事で己の存在を際立たせた少女は、漸う劔呑を帯びゆく神十郎の視線を惹き付けるに成功した。
「本気を出さないと、その首、貰っちゃうわよぉ?」
而して楽しげに問う可憐が怒涛を叩き付けるが如き劔閃を見せた時、彼は、出る。
『ならば女将よ、真田の秘技【神速十字斬】を喰らって剣豪諸共死ぬが佳い……ッ!』
其は十字槍を脇にたばさみ、妖刀を構える異種二刀流。
超高速の連続刃撃が黄金色の麗瞳に肉薄した、その時――アナスタシアは眼界の脇より颯々と吹き付ける大風に塊麗の微笑を湛えた。
その風こそ、“甲州の大薙刀”たる日下部太郎左衛門延乃進(のびちゃん)ッ!!
『ッッ……ッ!!』
「――剣豪を二人同時に相手に回す意味、甘く見積もったわね?」
刀と大薙刀は、奇しくも神十郎の連撃と同じ射程。
少女は時を経るほど精度と強靭を増す【致死断絶剣】(デッドリーエッジ)を、そして先の戰いで彼女の絶技を見ていた延乃進は其の亜種を以て神十郎を脅かす!
二人は呼吸を合わせて両劔一閃ッ、
「さぁ、それぞれの達人を相手にできるかしら?」
「真田神十郎ッ、逆にその御命、貰い受けるッ!」
その名に違わぬ致死の太刀によって、猟書家・真田神十郎を断絶した。
大成功
🔵🔵🔵
ロベルタ・ヴェルディアナ
墨ねー(f19200)と連携。
槍が邪魔だね。なら僕が槍をどうにかするよ。
柄の部分でも折るのは流石に無理だろーから。
【錠前】の蹴りで軌道変えたり弾いたりする。
…真田のおっちゃんの攻撃は多分重いよね…。
限界突破と封印解いて蹴りの威力をあげてみる。
ついでに鎧砕きと鎧無視攻撃も追加しておくじぇ。
それで軌道が変えられるかわからないけど…。
墨ねーが攻撃するための隙を作るよ。
「うぇ~い♪」
槍を脚で受け止められたりするのは初めてじぇ?
墨ねーの前に出て槍の攻撃の防波堤に僕はなる!
こーすれば剣豪のおっちゃんも護れるはず…?
近接距離の蹴だから零距離射撃とクイックドローを。
槍の柄の部分を重点的に狙うからスナイパーで。
浅間・墨
ロベルタさん(f22361)と共闘。
槍の対処はロベルタさんがしてくださるそうで。
ならば私は懐に潜り込み一撃を加えるのみ…です。
『兼元』の一刀で傷…いえ。見事に斬ってみせます。
真田といえば兵の一人…私の腕が通じるか勝負です!
ロベルタさんの背後から身を限りなく低くして出ます。
低くして接近することで斬撃や突きはできないはず。
ロベルタさんへの補佐もできるので。
しかし相手が相手なので挙動は注視しておきます。
もし刃が私の身に迫ったら身を軽く捻り回避します。
回避が難しい場合は鞘から刀を半分抜いて受けます。
身体に…その鎧に頭がぶつかる程に近寄りUCの一撃を。
鎧砕きと鎧無視攻撃の限界突破に破魔の力を宿した刃で。
痛撃に蹈鞴を踏み、奥歯に焦燥を噛み殺した邪が腰の後ろに手を回す。
『云ッた筈だ……本懐は遂げて見せると……ッ!』
血濡れた掌が本を披き、鐵の味を嘗める紅脣が唱う。
猟書家・真田神十郎は遂に侵略蔵書「真田十傑記」より十人の豪傑を召喚すると、前衛と配して防禦を固めた。
「……あ……あれ、が……猟書家、の……力……」
「奥の手まで出させるなんて、追い詰めたじょ!」
血闘も佳境かと浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)が小さな聲で囁けば、ロベルタ・ヴェルディアナ(ちまっ娘アリス・f22361)がこっくりと頷いて。
目下、戰場には徳川の侵攻を二度も退けた「不落城塞」が敷かれ、靉靆たる霞の中には真田十勇士が影を疾らせる――状況は過酷だが、猟兵は慥かに彼を追い詰めていた。
不穏な殺気が肌膚に張り付くが、二人の星眸(まなざし)は明かに淸かに、
「……狙い……は……あく、まで……首魁、ひとり……です」
「ねー♪ 真田のおっちゃんをやっつけてしまえば、全部消えてしまうんだじょ!」
我等が本懐は、真田神十郎ただ一人。
邪が剣豪を狙い続けるように、此方も邪の一点を狙うべきと意を通じ合わせた二人は、朦然の中より飛び掛かる十勇士の刀槍を颯爽と躱しつつ、一陣の風と翔けた。
「……あ……あ、相手は……射程、を……違えた……異種、二刀流……」
「槍が邪魔だねー。僕がどうにかするよ」
「……では、私は……懐に、……潜り込み……刀を……」
常に剣豪へと殺意を結ぶ敵の射線上を疾走る。
赫緋の邪眼を烱々と光らせる神十郎の眼路を眞正面から攻めた二人は、先ずロベルタが十字槍の間合いに入る手前で高く高く跳躍した。
『ッ、上か』
間もなく鋭槍の鋩が霞に搖れる影を追うが、少女は至って冷靜沈着。
湖水の如く透徹(すきとお)る青瞳は、妖しく光れる刃の軌跡を聢と捉えており、
「柄の部分でも折るのは流石に無理だろーから、蹴りで逸らすか彈くかだね!」
Schiaccia e apri! 【錠前】(セッラトゥーラ)!!
ふうわり揺れたスカートの裾より覗く瑞々しい脚は、爽然たる颯の如く風を集めると、刃の如く鋭い爪先で十字槍の鋩を彈く。
「いっくじょー!」
真田のおっちゃんの刺突は鋭く重いが、其を超えていけ――!
花車の躯に秘める力を解放し、我が脚力を際限なく振り絞ったロベルタは、威を増した蹴撃を以て神十郎の槍を揺るがし、彼の手をビリビリと痺れさせる。
大きく逸れた十字の鋩と、喫驚の表情に成功を見よう、
『ッッこんな少女の何処にッ、これだけの力が……!!』
「うぇ~い♪」
隙を作れた、墨ねーが攻撃する為の好機を作れた、と綻ぶ佳顔は愛らしく、花脣は莞爾と婉然を湛える。
音も無く輕やかに着地したロベルタは小気味佳く語尾を持ち上げ、
「槍を脚で受け止められたりするのは初めてじぇ?」
『……その前に、槍を前に無手で飛び込む者など見もしなかった』
宙空から降り注ぐ近接距離の蹴撃。迅速と精度を兼ね揃えた部位狙い。
そして一縷と躊躇わぬ勇気と覚悟は認めるしかなく、神十郎は潔く少女の腕を、いや、蹴りを認めたなら、ロベルタはぐぐっと小さな拳を握り込めて云った。
「墨ねーの前に出て、剣豪のおっちゃんも護って、槍撃の防波堤に……僕はなる!!」
「おおお、勇ましき姿に御座んスな!!」
彼女の小さな背に護られた延乃進も、喝采(やんや)と聲を上げて。
而して二人がキャッキャと華やぐ中、「風」は涼やかに爽やかに霞を翔けていたろう。
「槍の……対処は、……ロベルタさん……が、……して……くれ、まし、た……」
其は首魁に近付くほど金絲雀の佳聲を鋭利(するど)くさせていく――墨。
ロベルタが高く飛躍して邪の視線を上に持ち上げさせる最中、彼女の背後から限りなく身を低く地を滑った墨は、槍鋩が空へ向かった矢先、『真柄斬兼元』に繊手を添える。
切り揃えた前髪の下、蘇芳色の麗瞳は聢と神十郎の挙動を注視した儘。
「……『兼元』の、一刀で……き、傷……いえ。見事に……斬って、みせます……!」
『ッッ、下――!!』
蚊の鳴くような小さな聲は、こんな時、研ぎ澄まされた刃の震えにも聽こえよう。
靜かに懐へ侵入した墨に息を飲んだ神十郎は、須臾に妖刀を抜くが、これほど低姿勢で接近した彼女を薙ぎ払う刀は弱められる。
墨は刀を抜きがてら鞘で邪の一刃を受け留めると、咄嗟の一撃にも重い衝撃を感じつつ鞘を手放し一閃、黄泉送り【彼岸花】――ッ!!
「私の……腕、が……通じる……か……勝負、です……!」
『ッ、ッッ……!!』
敵の身体に、紅の鎧に頭がぶつからんほど近寄って放たれる渾身の一刃。
森羅万象を断つ散華の太刀は、紅の鎧を砕いて逆袈裟に疾走り、その凄まじい劔圧たるや神十郎の長躯を彈いて地に轉がしたッ!
これにはロベルタも延乃進も歓喜を禁じ得ず、
「やったぁ、墨ねー! かっこいい♪」
「お見事に御座んス!!」
と、ピョンピョンジャンプして墨を讃えていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
槍と本……主従は似るものか
剣豪と共に苛烈に攻め立てる
十字槍(クルセイダー)と交戦経験があるが故に(学習力)、剣豪を狙う刺突を【見切って】逸らす
渾身の一撃を凌がれたのが不思議か?
我ら生者は常に未来へ進んでいる、過去で永遠に足踏みをしている貴様たちとは違うのだ
私は斬り、打ち、穿ってきたぞ
貴様の主君クルセイダーを、同胞の謙信を、奇怪なる晴明を、そして信長を
過去の骸を踏み越えて、未来を護るために!
敵討ちとばかりに繰り出される連撃に斬られ貫かれ、しかし怯まず
――まだだ!(因果超越・永劫の勇士)
限界を超えて聖槍で応酬する
遥かな武の頂を目指す彼らを、貴様たちの傀儡に堕とさせはしない!
時は須臾。
殺意に結ばれる射線に割り入ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、霞を裂いて迫る十字槍の叉に『破邪の聖槍』を嚙合せて止めた。
『むっ、我が神速の槍を止めるとは……!』
「渾身の一撃を凌がれたのが不思議か?」
鏗鏘の音と刀光の閃き、そして痺れる程の衝撃を受け取った真田神十郎が睨視すれば、聖女は黄金色に燿う麗瞳を烱々と、聖槍の穂先に十字の刃を抑えながら睨め返す。
薄く開いた丹花の脣は言を滑らせ、
「クルセイダーも十字槍を使っていた」
『!! 尼将よ、我が主君と戰ったのか』
「貴様の本にも十字を装ってあるのだろう」
主従は似るものかと囁く佳聲は、怜悧(つめた)く、冷淡(つめた)く――。
その口跡から、何より掌に伝わる技量から、クルセイダーと相見えた彼女が打ち勝ったと推し量った神十郎は、ギチギチと角逐する槍を鈞ッと彈いて云った。
『剣豪を庇い続けるなら其で構わん。貴様ごと串刺しにして遣ろう』
槍を脇にたばさみ、妖刀を抜く。
腰を落とし、拇指球を踏み込めた神十郎は、緋の邪眼を烈々として爪先を蹴ッた!
『尼将よ、真田が秘技【神速十字斬】を満身に浴びて死ぬが佳い――!!』
「受けて立つ!」
相剋――!!
雨霰とたばしる刃を、積み重ねた戰闘経験を以て見切り、逸らし、往なして、躱す。
射程の異なる異種二刀流を、白銀の柄から黄金の穂先全てを使い彈いたオリヴィアは、幾筋の創痍に鮮血を溢しつつも勇敢に刃を突き立てた。
而して朱に濡れる佳脣は凛然と告げよう、
「我ら生者は常に未来へ進んでいる、過去で永遠に足踏みする貴様たちとは違うのだ」
『噤め! 主君の大義を踏み躙ることは許さぬ!!』
「默るものか。私は斬り、打ち、穿ってきたぞ。貴様の主君クルセイダーを、同胞の謙信を、奇怪なる晴明を、そして信長を……過去の骸を踏み越えて、未来を護るために!」
槍と槍が閃光を散らし、互いの頬に血斑を疾走らせるが、佳人は怯まず。
「――まだだ!」
我が限界を超える、【因果超越・永劫の勇士】(アセンション・エインフェリア)!!
怒濤の氣合いと澎湃たる根性を以て、血に滑る柄を握り込めた聖女は更に一閃ッ、
「遥かな武の頂を目指す彼らを、貴様たちの傀儡に堕とさせはしない!」
『お、のれ……ッッ!!』
十字の刃を潜り抜けるや、神十郎の臂に深く鋭く穂先を沈めた――!!
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩神櫻
そなたがこの地に降りた災いだね
厄災を斬り祓う―其れが櫻の神たる私の役目
私の信なる友の大切な故郷、蹂躙などさせない
桜龍が戦の歓喜に乱れ咲くのを感じ、早業で駆け抜け切り込み障害物ごと敵を切断していくよ
サヨ、落ち着いて
衝動に呑まれてはいけないよ
見知った呪の気配―大蛇…蝕ませなどしない
攻撃を第六感で察したならば見切り躱してなぎ払うよう切り込むよ
さぁ、神罰だ
下す黒雷雨の神罰は、我が巫女への幸となる様に
そなたの行動の全てが『失敗する』不幸の神罰を
噫――君と共にまた、刀振るい敵を穿つこと
懐かしさが込み上げて私まで嬉しくなる
どんな強敵も困難も二人で切り払っていこう
頼もしいのは同じだよ、サヨ
穢させはしない
誘名・櫻宵
🌸神櫻
真田神十郎―やっとお出ましね
其の剣豪を斬らせはしない
我が故郷を荒させもしない
仇なすものは祓い斬り葬るのみ
確かな猛者の気配に気が昂る
斬り結ぶ度に歓喜がゆれる
躍るように斬って躱して駆けて―斬撃ひとつひとつに生命喰らう神罰を重ねて薙ぎ払う
『朱華』
噫、もっと!楽しみましょう!
然れど斬る悦びに飲まれはしないわ
敵を薙ぐカムイの赫い一閃が私の中で鎌首を擡げる八岐大蛇の呪ごと斬り裂くよう
その傷口を抉るように刀を這われせ
破魔の斬撃咲かせて浄化する
カムイの太刀筋に息を合わせ、攻撃は桜花のオーラで防ぎながら斬り裂く
隣駆ける私の神、その存在の頼もしいこと
往くわよ、カムイ!
共に、守りましょう
何一つ、奪わせない!
剣豪へと結ばれる眞直ぐな殺意、その射線を断ち切る――ッ!
刹那、霧を裂いて疾る槍撃に側面から割り込んだ誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は、神刀『屠桜』の鋭鋩を十字刃の叉に嚙合せて邪の突貫を留めた。
鈞ッと響く鏗鏘の音に、金絲雀の聲は澄み渡ろう。
「真田神十郎――漸っとお出ましね」
『ッ、貴様……主君に忠誠を誓いし我が十字槍に割り入る覚悟は出来ていような』
赫緋の邪眼が睨視すれば、櫻色の麗瞳は玲瓏の彩に睨め返して。
「其の剣豪を斬らせはしない。我が故郷を荒させもしない。護るべき平穏に仇なすものは祓い、斬り、葬るのみ――」
『成程、この國の者か。ならば剣豪諸共骸の海を潜り、我等の國を見に来るが佳い!』
把槍抜刀――ッ!!
刀槍の喰い合いはその儘、槍の柄を脇にたばさみ、逆手で妖刀を抜いた神十郎が櫻宵を薙がんとすれば、刻下、一陣の風と駆け抜けた朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)が、神刀『喰桜』を差し入れて刃を阻んだ!
而して衝撃の瞬間に逆巻いた風が艶髪を梳いて麗顔を暴く。
「そなたがこの地に降りた災いだね」
『ッ、ッッ!!』
「遍く厄災を斬り祓う――其れが櫻の神たる私の役儀にて。私の信なる友の大切な故郷、蹂躙などさせない」
佳脣に紡ぐテノール・バリトンは凪の如く穩やかだが、ギチギチと角逐する刃は強靭く――櫻樹(さくら)の如き嫋やかな躯の何処にこれ程の力があるのか、喫驚に脣を嚙んだ神十郎は両刃の抗衡を彈いて退くと、剣豪の前に立つ二人を鋭く睥睨した。
『我等の覇道を阻む不届き者、真田が秘技【神速十字斬】の前に朽ち果てよ――!!』
時は須臾。
騨ッと爪先を蹴った神十郎が、刀槍の刃を雨霰とたばしる。
射程を違える異種二刀流、その間隙無き連続攻撃を眼路いっぱいに映した櫻宵は、桜龍の牙を迫り出すと同時、確かな猛者の気配に純粋な昂揚を得た。
「噫、大風の颯々たる、怒濤の澎湃たる……!」
躍るように、斬って、躱して、駆けて。
互いの血潮が白皙に斑を疾走らせるたび歓喜にゆれる、と艶然を湛えた麗人が、更なる昂揚を渇望して【朱華】(ハネズカグラ)を閃かせる。
『ッ――見事なッッ!!』
つわものを前に桜獄大蛇へと覚醒を始めた櫻宵は、血を流しては斬り結び、斬撃ひとつひとつに生命を喰らいながら、美しく艶やかに発氣した。
「噫、もっと! 楽しみましょう!」
桜龍が血戰に歓喜して乱れ咲く――。
妖しく危うい刃の應酬に隣したカムイは、神十郎の凄撃を代わりながら言って、
「サヨ、落ち着いて。衝動に呑まれてはいけないよ」
見知った呪の気配がする。
龍眼瞬き、桜獄開きて、八岐大蛇の呪印の這うような――……。
「――大蛇……蝕ませなどしない」
より五感を研ぎ澄まし、且つ第六感を鋭利く犀利に、眼路の際より侵襲する神速の鋩を見切ったカムイは、漸う纏う朱を黒く、【春暁ノ朱華】(シュンギョウ)の凄烈なる太刀に神十郎の肩を斬ッた!
「――さぁ、神罰だ」
『くっ、っっ――!』
下す黒雷雨が、我が巫女への幸となる様に。
而して汝(そなた)の行動の全てが不幸となる様に。
迸発(ほとばし)る鮮血を挟んで烱光を注ぐ櫻色の瞳は“黒桜ノ厄神”の表情を映したろうか――時の概念すら断つ赫の一閃は、神十郎の神速に踏み入ると同時、櫻宵の中で漸う鎌首を擡げる八岐大蛇の呪ごと斬り裂くよう。
「――ええ。斬る悦びに飲まれはしないわ」
淡く結んだ櫻脣から吐息を零した櫻宵は、彼の太刀が伝った軌跡を――即ち創痍を抉るように刀を這わせ、破魔の霊氣を帯びる鋩に邪を浄化していく。
『ズッ、嗚呼ァァアアッ!!』
鋭く絶叫した神十郎は、身に染む激痛を返すように刀槍の連続攻撃を繰り返すが、薄紅に染まる『櫻守』のオーラに斬撃を禦いだ櫻宵を切り刻む事は叶わず。
カムイの太刀筋に息を合わせた麗人は、閃々、煌々と刀光を彈き、
「隣駆ける私の神、その存在の頼もしいこと」
「頼もしいのは同じだよ、サヨ」
――噫、噫乎。
君と共にまた刀を振るい敵を穿つこと、懐かしさが込み上げて嬉しくなる、と――。
同じく呼吸を合わせたカムイも塊麗の微笑を添え、血の雨を駆け往く。
「往くわよ、カムイ! 共に、守りましょう」
「どんな強敵も困難も二人で切り払っていこう」
「何一つ、奪わせない!」
「穢させはしない」
凛然の星眸(まなざし)を邪に結んだ儘、繊手に握る神刀で語らうように刃撃を閃かせた櫻宵とカムイは、邪氣を祓い、妖氣を屠り、宛ら咲き誇るようだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
矢来・夕立
▼方針
潜伏+UCによる攻撃の妨害
【紙技・禍喰鳥】、攻撃を《かばう》よう命令。
姿を見せるのは三羽くらい。残りは散り散りに隠れて、一羽落ちたら一羽追加する形で行きましょう。
固まってると纏めて落とされるんで。
「敵を騙すにはまず味方から」とも言います。
お侍さんにお逢いするのは、やはり避けましょう。《闇に紛れ》たままでいます。
…オレは手すきですから、本体を殺しに行っても構わないんですが。
一発で殺せる算段がつきそうなら、というところです。
侵略蔵書でしたっけ。基本的にはアレの発動に備えておきましょうか。
真田十勇士のひとりに忍びがいたはずです。たとえ相手がアレであっても対処できる自信はありますから。
目下、深秋の大菩薩峠に敷かれた「不落城塞」は、徳川の侵攻を二度も退けた墻にて、その堅守と複雑に入り組んだ地形は、影を隠すのに利用させて貰う。
闇に紛れて色味を落した佳瞳にも剣豪は常に映して――。
「お侍さんにお逢いするのは……やはり避けましょう」
あのハイテンションは隠密行動とは相性が悪い。
而して己が傍で護衛に当れぬならと、黒手袋に包まれた繊細の指は折り紙を取り出し、命じるや黒翼を叩いた蝙蝠の式紙は、聡い耳に涼然たるテノール・バリトンを聽いた。
「姿を見せるのは三羽くらい。固まって飛ぶと纏めて落とされるんで、残りは散り散りに隠れて、一羽が落ちたら一羽が向かう形で行きましょう」
音無き羽搏きに是を示すは、【紙技・禍喰鳥】――剣豪の周囲に数羽を配置し、刀槍を庇うよう命じた彼は、果して其の通りに任へ向かう黒影を見送りつつ、小さく言ちた。
「――敵を騙すにはまず味方から、とも言いますから」
猟書家・真田神十郎は本懐を敵にすら告げたが、己はその逆だ。
護衛対象を眼界に入れつつ、塀や壁に影を馴染ませて首魁の死角へと回り込んだ彼は、主君クルセイダーと同じ十字の装丁を施した「侵略蔵書」を烱眼に捉えた。
「……真田十傑記でしたっけ。発動に備えましょう」
手空きの身にて、何ならこの儘「本体」を殺しに行っても構わない。
己なら其が叶うとは決して自惚で無く、殺意を眞直ぐ剣豪に結ぶ愚直な男を殺めるに、異種二刀流にもある死角を攻めるだけだと、肯綮に中った策があるからだろう。
然し僅かにも過った好奇心か、或いは対抗心の様な感情が“その時”を待たせた。
「真田十勇士のひとりに忍びがいたはずです」
たとえ相手がアレであっても対処できる自信は、ある――。
實の處、講談を真摯に聽いた憶えは無いが、その活躍は同業者として佳く知っていると姿影を思い浮かべた彼は、果してその通りに顕現れる鋭氣に烱眼を結んだ。
主人の本懐を知る忍は、主と同じく剣豪を狙い続けるが、其処には翩々(ヒラヒラ)と黒翼を飜す式神が常に“三匹”、刀槍を代わっている。
「どの様な射線を通っても必ず或る一点に向かうなら、其処で仕掛けます」
宛ら待ち合わせるように、其処が合流点であったように、死の一撃を置く。
縮地の歩武にて揺れた影は残像も連れず疾ると、散り散りに隠れた“身代わり”を目尻の際に追い遣って、剣豪まで肉薄した男に言葉通りの『災厄』を突き立てる。
一撃で急所に沈む刃は、其が首魁をも屠れる戰術と示したろう。
熱くたばしる血飛沫を白皙に受け取った彼は、濡れた紅脣に冷艶と囁(つつや)き、
「――これで九勇士。語感としては變わりませんが、随分と精彩を欠きます」
聲の主は矢来・夕立(影・f14904)。
数には括れぬ男が、十勇士の筆頭たる猿飛佐助を陥落(おと)していた。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
この方が、猟書家『真田神十郎』……
とても強そうな方ですけれど、何とかしないとですね。
当初は精霊銃で牽制射撃
雷撃弾と冷凍弾で、麻痺と凍結によるスタンを狙う
切り払ったとしても炸裂するので効果はてきめん、回避されたとしても出鼻は挫けるはずです
立て続けに拡散水流弾を発射、かすりでも良いので確実に命中させ、そのまま【本気の水の精霊さん】発動
当てた水を触媒に大量の水を召喚・付与しまとわりつかせる
主な目的は侵略蔵書への浸水による攻撃、ついでに敵本体も溺れさせてしまいましょう
本である以上、水はきっと弱点のはずです!
妖刀を彈かれた男の手が腰に伸びる。
血濡れた指に装丁を穢しながらも披かれた侵略蔵書は、主に忠誠を誓った十人の豪傑を喚び召し、その全員が主と同じく剣豪に殺意を結んだ。
而して刻下、二十本の刀槍に鋭鋩を向けられた延乃進は、其等が我が命を貫くより先、耀ける凍氣を帯と引く氷彈に刃を包まれる“奇術”にまたも助けられた。
「ひかり殿、いや、ひかる殿ッ!」
「のびさんは後ろに。彼等に本懐を遂げさせてはいけません」
焦りに言い間違えた延乃進を、小さな背に隠す荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)。
あえかに咲く花の如き少女の影に彼は到底隠しきれぬが、雪白の繊指に握れる精霊銃『Nine Number』は冷凍彈を精確に撃ち込み、邪刃の鋩や手元を凍結させては、剣豪への攻撃を拒んだ。
『飛び道具かッ! 切り払っ……ぜァァア嗚呼ッ!!』
「切り払ったその場で炸裂するので、逃れられない筈です」
氷塊に包まれて刃鋩を重く、且つ可動域を狭められた處に追撃の雷撃彈を放ち、今度は全身を感電させれば余程動けまい。
斯くして豪傑の初撃を楔打ったひかるは、次々と膝を折る豪傑の向こうで、忌々しげに焔立(ほむらだ)つ赫緋の邪眼を佳瞳に射止めた。
「この方が、猟書家『真田神十郎』……追い詰められて尚、闘志を消していないようですけれど、何とか骸の海にお送りしないとですね」
『小娘よ、その鐵筒で我が覇道を撃ち抜く心算(つもり)か』
「――いきます」
呼吸を整え、銃爪を引く。
其は即時発動は出来ぬ己の精霊術の弱点を補う銃にて、宛ら時を埋めるよう立て続けに拡散水流彈を発射したひかるは、掠るだけでも佳いと複数の彈を命中させるや、金絲雀の聲に鋭く発氣した。
「お願い、水の精霊さん! あの水を触媒に沢山の水をまとわりつかせて――!」
絆を結んだ少女が希求えば、果して【本気の水の精霊さん】(アクア・エレメンタル・オーバードライブ)は彼女が思い描いた光景を叶えて見せよう。
神十郎の周囲に漂流った水は水を召喚し、澎湃と溢れるや怒涛を成して「不落城塞」に流れ込むと、彼の猟書家としての矜持たる「侵略蔵書」を水浸しに、ひいては十人の豪傑と神十郎自身も水という水に呑み込んでしまう。
「本である以上、水はきっと弱点のはずです!」
その能力が溶解されれば十勇士の影は消え、神十郎も息を奪われ窮する。
「真田神十郎……その御命、逆に貰い受けます!」
『ッ、ッッ……!!』
肺腑に水を注がれた男は、反駁の聲も鹵掠(うば)われていた。
大成功
🔵🔵🔵
玉ノ井・狐狛
※アドリブ、連携等お任せ
抜刀して割って入ろう――としても、こういう腕利き相手だと、まァ、抜けられそうだな
相手もそう判断してそう動くだろうし、そしてそれは――そこまでは、実際正しい
一合あるかないか、その間で賭ける先は時間稼ぎじゃない
仕込みだ
抜かれるのは前提
代わりにUCをねじ込むのを優先
いわく憑きの刀槍なら、一発で完全に、とはいかないにしても、嫌がらせにはなるぜ
攻撃の狙いとタイミングを狂わせるとか、な?
剣豪サンの補助としつつ、隙ができたらUCによる干渉を進行させていく
立ち会いの最中に武器が暴れかねないとなれば、攻めもいくぶん鈍るだろう
真田のお兄サンよ、アタシを先に黙らせたほうがいいかもしれないぜ?
――畢竟。
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が札遊びに長けるのは、突發的に発揮される「勘」は元より、鋭い洞察に裏打ちされる「感」が卓抜(すぐ)れているからだ。
研ぎ澄まされた嗅覚と観察眼を巡らせ、真田神十郎の技量と稟性を嗅ぎ取った彼女は、常に剣豪へと結ばれる眞直ぐな殺意と、必ずや本懐を遂げんという愚直さが、刀槍二刃の神速を磨いているのだろう、と――凝縮された時の中で勘考(かんがえ)ていた。
時に繊手は幻想籠絡『纏女』の柄へ、明鏡と澄める刀身を暴く。
玲瓏の鋩が十字刃の叉を噛まんと冱えるが、其を許す相手で無いとは承知の上。
(「即座に割り入ろうとしても、こういう腕利き相手だと、まァ、抜けられそうだな」)
果して読みは的中。
鈞ッと鏗鏘の音が刃を喰い合ったのも一瞬、神十郎は膂力を振り絞って抗衡を彈くと、邪眼は變わらず剣豪を睨視した儘、狐狛の眼路を抜けんとした。
神速の影が目尻の際を過ぎるが、其を追う琥珀色の麗瞳は精彩を失わず。
(「相手もそう判断してそう動くだろうし、そして其は――其処までは、実際正しい」)
神十郎は正しい。
だが最後まで読み切った方が、勝つ――。
一合あるかないか、僅かな時の狭間に賭すは「時」には非ず、と佳瞳を烱々と輝かせた狐狛は、巨邪が携える刀槍に【逆刃の剣の反抗期】(デ・レ・メタリカ)を捩じ込むと、其を突如として暴れさせた!
「――仕込みだ」
『ッッ、一体……何をした……ッ!!』
「曰く付きの刀槍なら、一発で完全に、とはいかないにしても。嫌がらせにはなるぜ」
佳脣を飄々と擦り抜ける大瑠璃の聲の何と小気味佳かろう。
瞬刻、狐狛を抜けて延乃進へと向かった刀槍は、神十郎の掌で右往左往し、ここに隙を見た延乃進が得意の大薙刀で乱れた刃鋩を彈く。
虚空を游ぐ邪鋩を追った狐狛は吃々と竊笑し、
「照準とタイミングを狂わせたか、な? 更に干渉すれば躍り出すかもしれないぜ」
「はは、これは奇にて妙な! 刀槍の反逆(むほん)に御座んス!!」
而して服(まつろ)わぬ刀槍に踊らされた神十郎は、標的を前に愈々焦れよう。
『豈夫(まさか)ッ……そのような事が……ッ!!』
「立ち会いの最中に武器が暴れて禦しかねるとなれば、攻めもいくぶん鈍るだろう」
彼の焦燥を見た狐狛は、柳腰に手を当てて今の景を眺め、
「真田のお兄サンよ、アタシを先に黙らせたほうがいいかもしれないぜ?」
さぁ、如何する――と。
佳脣を滑る科白が婀娜に語尾を持ち上げた。
大成功
🔵🔵🔵
愛久山・清綱
(鋭い凝視を向ける)信繁公……ではないのか。
なればよい、無心で挑ませて頂こう。
■護
引き続き、延乃進殿を護るぞ。
攻撃が飛んできたら割って入るように【武器受け】
しつつ止め、【怪力】を込めて押し返す。
流したら「俺を殺せ!」と言わんばかりに凝視し、
狙いを此方へ向けさせる。
■闘
部下を呼ばれたら、此方も一気に行く。
居合の構えを取り【早業】の抜刀斬りから【剣域・無】発動!
自分以外の時間を強引に止め、60秒以内に神十郎の懐へ
【ダッシュ】で接近。
辿り着いたら神十郎めがけて刀を横一線に振るいつつ、
『刀が触れる限界ギリギリの位置』で剣域を解除。
身構える隙も与えずに、其の首を【切断】するのだ。
※アドリブ歓迎・不採用可
目下、霞ひきたる大菩薩峠に敷かれるは、徳川の侵攻を二度も退けた【不落城塞】で、血濡れた指に捲られる侵略蔵書が喚び召したるは、忍者や僧形をした十人の豪傑。
其の堅牢と強靭の中央に坐した猟書家・真田神十郎は、切札を出すほど追い詰められていたが、緋眼は未だ烱々と光を失わず――。
宛ら手負いの獅子の如き氣迫を鋭く凝視した愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、薄く開いた佳脣より冷嚴のバリトンを滑らせた。
「信繁公……ではないのか」
講談に語られる彼と十勇士に攻撃の型を類推しようか――いや。
寧ろ固着観念に囚われる方が危ういと無心になった清綱は、常に剣豪へと殺意を結ぶ邪が迫る順に、平等に冷徹にその射線を断った。
「己が躯の殺意に反應を示す儘に挑ませて頂く」
研ぎ澄ませた「勘」と「感」が、判断するより速疾く反射を返す。
雨霰のたばしるが如く叩き付けられる刀槍を『空薙』に薙ぎ払い、目尻の際より更なる邪刃が迫れば、咄嗟に抜刀した『心切』で受け止め、膂力いっぱいに押し返す。
鏗鏘の音が刀光を彈けば、精悍の躯に隠された延乃進が驚嘆の聲を発して、
『おおっ、これは見事な破邪の二刀流に御座んス!!』
「――延乃進殿には一縷の創痍も許さぬ」
真田の本懐は遂げさせぬ。その為に身命を賭して護り抜く。
背越しに揺るがぬ決意を置いた清綱は、堂々正対するや「俺を殺せ!」と言わんばかり邪を睨視し、赫燿と迸発(ほとばし)る鏖殺の氣に敵意を集めた。
『験を担ぐ身なれば、巫覡を殺めるのは憚られるが……立ち塞がるなら致し方無し』
主君の聲を合圖に、一斉に刀槍を迫り出す十の豪傑。
轟然と迫る殺氣に「なれば」と囁(つつや)いた清綱は深呼吸をひとつ、肺腑に淸冽の空氣を満たすや明鏡止水――居合の構えから高速で抜刀し、膨大な劔氣を放ッた!!
「――我が“剣域”、遁ぐ事能わず」
其は清綱が幾多の血戰を潜り抜けて編み出した、時を断つ劔。
其は一歩使い道を誤れば、己を断ち斬る事となる――【剣域・無】。
『ッッ……な、ッン……!!』
真田が十傑がその澎湃と溢れる威に喫驚するが、聲を發したのはこれまで。
彼等だけではない、その主君も不落城塞も、戰場全ての時空を“凍結”させた清綱は、60秒以内に神十郎の懐へと疾駆すると、胴部に横一線の刃を振り抜く。
而して『刀が触れる限界ギリギリの位置』で劔域を解除した彼は、神十郎が身構える隙を與える事なく、其の首に斬撃を届ける――ッ!
「猟書家・真田神十郎、御命頂戴する」
この瞬間。
未来は變わり、邪の覇道は潰えた――。
大成功
🔵🔵🔵
叢雲・源次
【義煉】
正直な所、俺には杜鬼・クロウのような情熱を持ち合わせもいないしこれといった高尚な思想や理想を抱いている訳でもない…だが、此処サムライエンパイアにはそれなりの愛着はある。親友の故郷でもある。
…戦う理由などそれで十分だ。
真田神十郎…俺は俺の本懐を遂げる為、貴様を討つ
(無手、帯刀した二本の刀は抜かず、得手とする居合の構えを取るわけでもなく対峙する。アナライザー、インターセプターによる見切りで相手が仕掛けに対し後の先で七閃絶刀。左手で抜いた打刀で妖刀を弾き、十字槍の死角である懐に飛び込み右手で太刀による居合。更に圧をかけるように踏み込みすれ違いざまに超高速の連続斬撃を見舞う)
杜鬼・クロウ
【義煉】アドリブ◎
…ハ、いつもお前は言ってるじゃねェか
誰が相手だろうと
世界が何処であろうと
ヤるコトは変わらねェ
只管に斬り、屠る
だろ?(横目で笑う
嬉しいぜ、お前が共に来てくれて
心強ェよ(誰よりも親友の強さを認めているからこそ
さて、お相手願うわ
真田神十郎サンよ!
【天の血脈】使用
源次の五月雨攻撃に付随して敵の背後から挟み撃ち
気迫と純粋な力圧しで敵の動き止める
炎属性を出力し重い一撃
敵の戦力削る
最後まで悪足掻きしてくれるじゃねェの
だが
だからこそ
ある種、敬意を以て─
忠臣達はUC効果で生命力低下狙う
勝利への貪欲、護るという意志の強さを剣に込め
力振り絞り薙ぎ倒す
テメェの命、貰い受ける…ッ!
最後に源次と拳合わせ
「――本懐はあるか」
凡そ感情を表さぬ佳脣に、色無き聲を滑らせる。
叢雲・源次(DEAD SET・f14403)が投げる問いに、宵と暁の彩を湛える烱瞳を結んだ杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、紅脣を開くや澱みなく言った。
「ハッ、いつもお前は言ってるじゃねェか。誰が相手だろうと、世界が何処であろうと、ヤるコトは變わらねェ。只管に斬り、屠る――だろ?」
向こうの本懐が剣豪の命なら、此方の本懐は大将の首だ。
スッと通った鼻梁は其の儘、クロウが流盻(よこめ)に艶笑えば、彼が肩に担ぐ大魔劔『玄夜叉・伍輝』の澎湃と溢るる闘氣に触れた源次は、淡然と口を開いた。
「正直な所在、俺には杜鬼・クロウのような情熱を持ち合わせもいないし、これといった高尚な思想や理想を抱いている訳でもない」
腕部の『インターセプター』に不落城塞の地形を走査(スキャン)しつつ。
左眼の『アナライザー』に十人の豪傑の配置や間合いを把握しつつ。
彼は最後の戰いに向けて情報収集し、高度な分析によって鋼鐵の躰を最適化しながら、一音一語を置く様にバリトンを滑らせた。
「……だが、此処サムライエンパイアにはそれなりの愛着はある。親友の故郷でもある。……戰う理由などそれで十分だ」
己が四肢を動かす理由は、己が刀を振るう理由は、其で佳い。
紡がれる言は相變わらず冷嚴としていたが、彼の弧月と冱ゆる横顔に闘志の灼輝を見たクロウは、心地好い昂揚を得つつ科白を添えた。
「嬉しいぜ、お前が共に来てくれて。――心強ェよ」
誰よりも親友の強さを認めているからこそ、雄渾を感じる。
何処までも駈けていけそうだと逸る足を、然し強く地に踏み込めたクロウは、大胆にも大魔劔の鋩に首魁の眉間を差して発氣した。
「さて、お相手願うわ。真田神十郎サンよ!」
彼が動を与るなら、源次は靜を負おう。
全ての分析と演算を完了させた男は、二本の刀を帯刀した儘、無手の靜寂を以て鋭利に犀利に告げた。
「真田神十郎……俺は俺の本懐を遂げる為、貴様を討つ」
而して陰陽を揃えた二人を前に、猟書家・真田神十郎も焔立(ほむら)つ。
『……双方本懐は譲れぬとなれば、これも合戰(いくさ)か』
十字槍を脇にたばさみ、妖刀を抜いて異種二刀流を構えた邪は、ダンッと爪先を蹴るや無手の源次へと突貫し、雨霰とたばしる刃鋩を叩き付けたッ!
『なれば真田が秘技【神速十字斬】に血花を咲かせて死ぬが佳いッ!!』
「――……参る」
源次が抜刀したのは、鋭鋩を眼路いっぱいに映した――正にこの時。
得手とする居合の構えを取るわけでもなく対峙した彼は、神十郎が仕掛けて来た瞬時に左手で打刀『灰ノ災厄』を抜いて一閃ッ、鋭い鏗鏘の音に妖刀を彈く。
『!! だが槍は禦げまい!!』
否。断じて否。
源次は左手に角逐の衝撃を受け取りつつ、十字槍の死角たる懐に一呼吸で踏み入ると、最短距離を捺擦(なぞ)った右手で太刀『黒ノ混沌』を暴くや更に一閃ッ! 圧を掛けるように踏み込み、擦れ違い様に超高速の連続斬撃を見舞ッた!!
『ッッ、ッ……骸の海を潜らずして、このような……!!』
「神速に専売特許など無かろう」
超速駆動故に、しとど繁噴く返り血は肌膚を叩く如く。
後の先に閃いた【七閃絶刀】(ストラト・セイバー)に紅の鎧を砕いて蹈鞴を踏ませた源次は、赫緋の邪眼を白黒させる神十郎に付き合うほど饒舌では無かったが、相棒クロウの冱刃を届ける為なら、一言二言は添えて遣る。
「その十字槍、主君を倣ったか。その矜持も今に折れる」
『笑止……ッ、十字を掲げし我が槍は、徳川の敗滅(ほろび)を見るまで折れぬ!』
猟兵が提げる天下自在符の葵紋に痛罵を叫んだ時だった。
神十郎は激痛に身を屈めた矢先、その背にゾクリとした殺意の波動を察知し、凄まじき劔呑に振り返るが――間に合わない。
『――ッッ』
肩越しに視るは、天(そら)より玲瓏と降り注ぐ淸冽のオーラに抱かれたクロウで、【天の血脈】(スベテハソラデツナガリタリ)に結ばれた彼は、全身に光を湛えながら、その燦然を叩き付ける様に大魔劔の鋩を振り下ろしたッ!
『挟撃、だと……ッ! 我が背後を取るなど真田が忠臣が許す筈が無い……!!』
「許したんじゃねぇ、押し通ったんだ」
背後を取れたのは、正面を引き付けた源次が事前に「不落城塞」の複雑な地形を読み込んでいたからだろう。彼等は徳川の侵攻を二度も退けた名城を“逆に”利用した。
而して眼路に迫る豪傑より、クロウの勝利への渇仰が勝っただけの事。
彼は殺意や敵愾心を集める程に強靭を増し、剣豪も侍の國も護るという固い意志を劔に込め、己が手で死角を切り開いたのだった。
「搦手はこれで仕舞いだ。あとは純粋な武を呉れて遣る」
全身を血に染めたクロウは、漆黒の魔劔に炎の煌めきを流転させると、烈々たる灼熱を滾らせながら一閃――!! 鬼氣迫る重い一撃を背中に沈めた!!
『――ズァァア嗚呼唖唖ッッ!!』
膂力いっぱいに振り絞られた斬撃は、裂傷から迸る鮮血をも灼く死の一撃であったが、これを受け切り、返報の槍を返した神十郎も慥かに「侍」であったろう。
邪はごぶりと血を噴きながらも槍鋩にクロウの肩を衝き、吃ッと睨め返してくる。
『ッ、……ッッ……!!』
「……最後まで悪足掻きしてくれるじゃねェの」
だが。
だからこそ。
ある種の敬意を以て─―介錯する。
「テメェの命、貰い受ける……ッ!」
一語の言も結ばず呼應したのは、流石は相棒と云った處。
クロウが背後から首に目掛けて大魔劔を振り落せば、源次は須臾に二刀を疾走らせて胴を断ち、彼を侍としての終焉に嚮導(みちび)く。
而して後に音訪れた靜寂を鼓膜に満たした二人は、どちらからともなく腕を差し出し、血濡れた拳を合わせていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年11月16日
宿敵
『真田神十郎』
を撃破!
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