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帰ってきたゆかりちゃん

#UDCアース

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#UDCアース


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●消えたゆかりちゃん
 ――ゆかり、ゆかり、どこへ行ってしまったの。
 満面に笑顔を浮かべる少女の写真の載った人探しのビラを貼り歩きながら。
 ゆかりちゃんの母親は今日も娘を探して街を彷徨い歩いていた。
 もうすぐ、娘のゆかりが行方不明になってから1年が経つ。
 夫は、あの子のことはもう忘れようという。薄情な男だ。きっと最初からあの人は、ゆかりを愛してなどいなかったのだ。
 警察は、いつまで経ってもゆかりを見つけてくれない。きっと、他のもっと派手な事件にばかり気を取られて、ゆかりを真面目に探してくれていないのだ。
 ――待っていてゆかり。お母さんが、必ず見つけ出してあげるから。
 あの子を見つけ出してあげることができるのは、私だけだから。
 ゆかりが行方不明になって、もう少しで1年が経つ。
 ゆかりが帰ってくる日まで、あと少しだ。

●連続失踪事件
「UDCアースのとある地方都市で、連続失踪事件が発生しています」
 グリモアベースに集う猟兵達に、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)は冷静な声でそう告げた。
「そして、失踪者には明確な共通点があります。それは、小学一年生の女の子ばかりだということです」
 しかもどうやら、この事件の背後にはUDCあるいはその信奉者が暗躍しているようなのだ。
「最初に失踪したのは喜村ゆかりちゃんという女の子です。以来、1か月に一人ずつ、合わせて11人の女の子が行方不明になっています」
 それと、とエルシーはちょっとためらうようにしてから、続けた。
「グリモアの予知によれば、ゆかりちゃんは近いうちに帰ってきます」
 集まった猟兵達に、戸惑いが広がる。
「予知は断片的で、どのような形で帰ってくるかまでは分かりません。……帰ってくるのが、本物のゆかりちゃんなのかどうかも」
 その予知がどういう意味を持つのかはともかく、まず猟兵達がやるべきことは、連続失踪事件の真相を解き明かすことだ。
「これ以上の失踪者が出る前に、背後で暗躍するUDC或いはその信奉者の陰謀を阻止してください。どうぞよろしくお願いします」
 そう言ってエルシーは、猟兵達を送り出したのだった。


J九郎
 こんにちは、J九郎です。
 ゆかりちゃん、どこに行ってしまったのでしょうか。

 第1章では、連続失踪事件を追ってもらいます。
 ある程度真相に近づかないと2章には進みませんのでご注意下さい。
 どこを、或いは誰を調査するかを指定してもらうといいかも知れません。

 第2章及び第3章は戦闘になります。誰と戦うことになるかは不明です。

 それでは、みなさんのプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『大都会の闇』

POW   :    情報は足で稼ぐ。根気よく現地で聞き込みを行う。

SPD   :    情報は指で稼ぐ。ネットや出版物を読み漁る。

WIZ   :    囮捜査を試みる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

波狼・拓哉
…一年立って帰って来るとか普通に怖くない?いやな予感しかしないんだけど。…助けられるのかなぁ。
さてと…現地で情報集めるか。おかーさん組とか公園で遊んでる子供…いるかなぁ…とかにお話を聞いてみよう。探偵だということを明かしてね。
オブリビオンって神隠しみたいな事あんまりしないしなぁ…この辺りで使われていない工場とか建物がないか、余り近づかない方がいい場所が無いかとか聞いてみよう。
後、失踪した子に小1の女の子以外の共通点がないかも聞いてみるか…。どこどこに行くとか誰かに話しかけられたとかあれば少し楽になるんだけどなぁ…
(アドリブ絡み歓迎です)


フェルト・ユメノアール
子供たちをさらって何をするつもりなのかは知らないけど
みんなの笑顔を奪うヤツはボクが絶対許さないんだから!

とりあえずネットを中心に情報を収集してみよう!
調べるポイントは
①小学一年生の女の子という以外で失踪者の共通点
例えば失踪地点に法則性があるとか、曜日や時間はどうなのか、とかね
地図と睨めっこしながら調べていく
②UDCや信者が潜伏、行動しやすそうな心霊スポットや施設が無いか、怪しい人物・怪物の目撃情報がないか
これだけ計画的な事件ならある程度、規模のある拠点がありそうだし
噂サイトとか心霊系の掲示板を確認してそれらしい場所が無いか、調査するよ!



●情報収集
「……1年経って帰って来るとか普通に怖くない? いやな予感しかしないんだけど。……助けられるのかなぁ」
 連続失踪事件が起きた街の公園で。波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は1人、そんなことを呟いていた。
 だが探偵である拓哉は、そんな不安な予感を振り切って、地道に聞き込みをしていく。
 公園にいるお母さんグループや、行方不明になった女の子達と同年代の子供達。幸い、話を聞く対象には事欠かない。
 拓哉は自らが探偵であることを明かし、相手の警戒を解いてから聞込みを始めたが、
(「とはいえ、オブリビオンって神隠しみたいな事あんまりしないしなぁ……」)
 何を聞くべきかしばし迷った末、
「そうだ。この辺りで使われていない工場とか建物とかないかな? あと、余り近づかない方がいい場所とか」
 そう、尋ねてみる。そして、それらしい場所を聞き出しては、実際にその場に足を運ぶという作業を繰り返す。
 地味で時間のかかる方法だが、それが探偵である拓哉のやり方だ。
「それにしても……」
 探索を続ける中で、拓哉は気付く。行く先々に、ビラが貼られているのだ。それは、最初に失踪した喜村ゆかりちゃんの、尋ね人のビラだった。
「ゆかりちゃんのご両親も、かなり必死になって探しているみたいだね」
 これは負けてはいられないなと、拓哉は気を引き締めたのだった。

 一方、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、ネットを使って情報収集を行っていた。
「子供たちをさらって何をするつもりなのかは知らないけど、みんなの笑顔を奪うヤツはボクが絶対許さないんだから!」
 道化師であるフェルトにとって、人々の笑顔を奪う者は、何よりも許せない存在だ。
 フェルトが真っ先に調べたのは、失踪者の共通点だった。小学一年生の女の子という以外の接点が見つかれば、事件の解決にそれだけ近づけるはず。
 フェルトはモニターに地図を表示させ、失踪者の住所や失踪場所の情報を表示させていく。その他にも失踪した日時や曜日も比較し、共通点を探していった。
「曜日や時間にはこれといった法則性はないけど、日にちはほぼきっちり30日置きなんだね」
 そして、事件が起きているのはひとつの街の中でのみだ。
「やっぱり、何か作為的なものを感じるね」
 次にフェルトは、街の中にUDCや信者が潜伏、行動しやすそうな心霊スポットや施設が無いかを検索していく。二度手間を避けるため、同じように怪しい場所を足で見て回っている拓哉とは、当然連絡は取り合っていた。
『この廃工場も駄目だったんだー。なら、次はこの閉鎖された映画館はどうかな? たまーに夜中に女の子の悲鳴が聞こえるんだって。なんだかそれっぽいでしょ?』
 スマホでフェルトからそう連絡を受けた拓哉は、さっそく噂になっている映画館跡地に向かう。
 閉鎖されてから10年以上経つらしい映画館の中は荒れ放題だったが、いざシアタールームに入ってみると、スクリーンは今でも現役で使えるくらい綺麗なものだった。
 だが、拓哉はそのことよりも、部屋の中の異様な雰囲気に思わず息を呑んでた。
「なんなんだ、これ……」
 部屋の中には、スクリーンを除いて一面に、無数のビラが貼り付けられていたのだ。それは全て、喜村ゆかりちゃんの、尋ね人のビラだった。
 拓哉が立ちすくんでいると、唐突にスマホの着信音が流れ出した。思わずビクッとするが、それがフェルトからの着信と気付き安堵する。
『ねえ、こっちは怪しい人物や怪物の目撃情報がないか調べてたんだけど、行方不明になった女の子たちが失踪する前に、声を掛けてた女の人がいるみたい』
 電話越しに、フェルトの緊張した声が響く。
『その人、どうやらゆかりちゃんのお母さんみたいなの』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウイシア・ジンジャーエール
●情報は足で稼ぐ。根気よく現地で聞き込みを行う。


現地で情報を聞き出す前に、UDC職員から、行方不明の少女達の情報を貰います。
名前、失踪場所、時間、目撃情報。
共通点が無いか、現地に向かいながら[情報収集]と[第六感]で探してみましょう。


「協力して、聞き込みを行うわ」
ユーベルコード【協力者の召喚】で男性警察官を召喚します。

自身は羽と花を隠し、パンツスーツで補佐役のように[変装]。
[目立たない]よう注意しつつ[言いくるめ][コミュ力]で情報を聞き出します。

目撃者がいえば、目撃者に。
失踪場所が判れば、その近辺で。
ゆかりちゃんの母親に話を聞いてもいいかも。
失踪地域が、一定区画に固まってるとかないかな。


榛・琴莉
子供絡みの事件は気が滅入りますね。
帰ってくると言うのも、素直に喜べる状況ではないのでは…

POWで判定。
ゆかりちゃんのお宅付近でお父様を待ち伏せ、
丁度お仕事帰りのタイミングに訪ねた体で。
「すみません、ゆかりちゃんのお父様ですか…?私、ゆかりちゃんのクラスメイトの姉です」
事前に、クラスメイトのお名前を【情報収集】。

先程、お母様にお会いしまして。
ゆかりちゃんが帰ってくるとおっしゃっていたんです。
詳しくは教えて頂けなかったんですが…本当なら、妹に教えて安心させてあげたいんです。
あの子、とても心配しているので…

少々強引ですが【コミュ力】でどうにか…
何か怪しい様子だったら、帰ったふりして張り込みます。



●ゆかりちゃんの両親
「どうやら、ゆかりちゃんの母親が何か知っているようね」
 ウイシア・ジンジャーエール(探索者・f09322)は他の猟兵達の調査結果を受けて、そう結論を下す。
「協力して、聞き込みを行うわ」
 【協力者の召喚】で男性警察官を召喚したウイシアは、自分自身は羽と花を隠し、パンツスーツで補佐役のように変装すると、共に聞込みを開始した。探すのは当然、ゆかりちゃんの母親だ。
 ほどなく、目撃情報からゆかりちゃんの母親が駅前広場でビラ配りをしていることを突き止めると、彼女に会うべく駅前に向かう。
 ゆかりちゃんの母親は一目で分かった。ぼさぼさの髪と隈の浮いた目、やつれた頬。いかにも憔悴した様子でビラを片手に、道行く人に娘の行方を尋ねている。
「すみません、ちょっとお話を伺いたいんですけど」
 男性警察官と共に、ゆかりちゃんの母親に声を掛けるウイシア。母親は相手が警察官であることに気付くと、
「あの子が、ゆかりが見つかったんですか!?」
 噛みつかんばかりの勢いで、逆に問いかけてきた。
「い、いえ……。むしろこちらとしては、お母様が何か手掛かりを掴んでいるのではないかと思いまして」
 怪しまれないようにそう話を振ると、
「そう、そうです。あの子が、もうじき帰ってくるんですよ」
 母親は勢い込んで早口にそう捲し立てた。
「え? 帰ってくるって、どういうことですか?」
「そうよ……全てはあの人の言うとおりにしていれば、間違いないんだわ……」
 ウイシアが尋ねても、もはや母親は心ここにあらずといった様子で、フラフラと立ち去っていってしまう。
「あの様子……確かに普通じゃないわね。彼女に何か良からぬことを吹き込んでいる人物がいるのかも」
 そう考えたウイシアは、警察官と共に母親を尾行することにした。
 だが、尾行に気付いていないはずの母親はしかし、ある一角で忽然と姿を消してしまう。
「え!? 一体どこに消えて……って、ここは?」
 母親の消えた場所。
 そこは、今は閉鎖された映画館だった。

「子供絡みの事件は気が滅入りますね。帰ってくるというのも、素直に喜べる状況ではないのでは……」
 榛・琴莉(ブライニクル・f01205)はそんなことを呟きながら、張り込みを続けていた。場所は、喜村ゆかりちゃんの家の前。ここで待ち伏せていれば、いずれ帰ってくる父親に話を聞けるはずだ。
 果たして、夜8時を過ぎた頃、一人の男性が家に帰ってきた。
「すみません、ゆかりちゃんのお父様ですか……? 私、ゆかりちゃんのクラスメイトの姉です」
 琴莉はクラスメイトの姉になりきって、父親に話しかける。こんなこともあろうかと、クラスメイト達の名前はリサーチ済みだ。
「先程、お母様にお会いしまして。ゆかりちゃんが帰ってくるとおっしゃっていたんです。詳しくは教えて頂けなかったんですが……本当なら、妹に教えて安心させてあげたいんです。あの子、とても心配しているので……」
 ウイシアからの情報も踏まえてそう話を続けると、父親は困惑したように首を横に振った。
「妻がそんなことを……? 妹さんには申し訳ないが、きっとそれは、妻の妄想です。あいつは昔から、思い込みの激しいところがあったから。それにあいつは、娘がいなくなってからちょっとおかしいんです。」
 どこか怯えるように、父親はそう言って申し訳なさそうに頭を下げた。
「おかしい? おかしいって、具体的にどんな風にですか?」
 少々強引であると自覚しながらも、持ち前のコミュ力を発揮して琴莉がなおも食い下がると、
「それは……なんだか変な占いだか宗教だかに嵌まっているようで、最近は家に帰ってこない日もあるし……。私ももう、どうすればいいのか分からないんです」
 まるで腫れ物に触れるかのように。自分の妻のことだというのに他人事のように。ゆかりちゃんの父親はそう語ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヨハン・デクストルム
幼子が犠牲になるのは胸が痛みますね。
微力ながら解決のために手を尽くしましょう。
【WIZ】
囮捜査といきましょう。
同地方都市にて連続失踪、ならば多くてもターゲットとなる小学校は三つでしょう。UCを使い、召喚した雀鷂の目で上空から小学校を見つけます。それから一人で登校、または下校をしている小学一年生を上空から見守りましょう。動きがあればギリギリ視界範囲内の木や電線などに止まって観察です。
使える技能はすべて使いましょう。うまく見つかればいいのですが……。

*パッシブUCの黒猫を連れていますが、居るだけで何もしません。


ミモザ・クルセイル
【他猟兵との協力・アドリブ行動等歓迎】

女の子限定も変態ですが
1月に1度、の間隔は怪しいですね

◆行動
【WIZ】囮捜査を試みる

小学一年生
丁度行動範囲も広がり、誘拐されやすい年頃ですね
年も近いので囮になってみます

技能「おびき寄せ・誘惑」を活用
夕方の街、帰宅中を装い
人気の少ない通り等を歩いてみましょう
ワンピース風の服を着て
ランドセルを背負って
よいしょっ!

まずは子供らしく見える様に一工夫
電信柱の文字を読もうとする
足元の花を気にする
口調、特に語尾を幼くする等

今日のごはんは何かなあ?

道中「第六感」で怪しげな所を探り
女の子が興味を持ちそうな物や場所が有ったら接近を試みる

引っかかったら
大人しく場に流されてみます


月守・咲凛
こういう時は囮捜査、ですねー。
……ちょっとだけ怖いですけど、子供達の命は守らなければです。
武装ユニットを外せばただの子供に見える筈なので、近くの小学校の制服を準備してもらって、人気の無い公園や通学路など、小学生が通りそうな場所を1人でウロウロしてみます。いざとなったら飛行制御ユニットがあれば飛ぶ事は出来ますし、何か誘われるような事があったら腕時計型端末でこっそり他の猟兵さんに連絡してから、GPSをオンにして付いて行ってみます。



●囮捜査
「幼子が犠牲になるのは胸が痛みますね。微力ながら解決のために手を尽くしましょう」
 ヨハン・デクストルム(神亡き狂信者・f13749)は【亡神看視】(バードウォッチング)を使って亡神の御使いである雀鷂(つみ)を召喚すると、上空から小学校を探し始めた。
一人で登校、または下校をしている小学一年生を上空から見守る作戦だったのだが……、
「ん? あれはもしかして……」
 ヨハンが見つけたのは、一見すればワンピース風の服を着てランドセルを背負った、ごく普通の小学1年生だ。だがよく見れば、それはヨハンらと共にこの街にテレポートしてきたミモザ・クルセイル(倒花・f00333)だった。
「小学1年生……丁度行動範囲も広がり、誘拐されやすい年頃ですね」
 7歳のミモザは、年齢が近いのを利用して、自ら囮になることにしたのだった。
「女の子限定っていうのも変態ですが、1月に1度、の間隔は怪しいですね」
 そして直前に行方不明になった女の子がいなくなってから、今日は丁度1か月目だ。
 ミモザは夕方の街を、帰宅中を装いながら、わざと人気の少ない通りへと進んでいった。
「ということは、もしかして……」
 ヨハンは雀鷂を、別の私立小学校へ向けて飛ばし、観察してみる。果たしてヨハンが見つけたのは、その小学校の制服に着替えた、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)だった。
(「こういう時は囮捜査、ですねー。……ちょっとだけ怖いですけど、子供達の命は守らなければです」)
 咲凛は、今まさに6歳。UDCアースでは、丁度小学1年生に当たる年齢だ。武装ユニットを外せば、ごく普通の小学生に見える。
 咲凛もミモザ同様、人気の無い公園や通学路など、小学生が通りそうな場所を1人でウロウロすることで、拉致事件の犯人をおびき寄せようとしていた。

「今日のごはんは何かなあ?」
 ミモザは、子供らしく見える様にわざと幼い口調で大きな声を上げてみた。
 他にも、電信柱の文字を一生懸命読もうとしたり、突然しゃがみこんで足元の花を眺めたり、いかにも小学1年生らしい行動を取り続ける。
「お嬢ちゃん。こんな時間にこんなところを一人で歩いていたら危ないわよ?」
 突然背後からそう声を掛けられ、ミモザはドキッと振り返る。そこには、目だけが煌々と輝く、やつれた女性がいた。
(「あれは、ゆかりちゃんのお母さん?」)
 雀鷂を通して上空から様子を見守っていたヨハンは、ミモザに声を掛けたのがゆかりちゃんの母親であることに気付く。
「おうちはどこなの? 連れて行ってあげる」
 ゆかりちゃんの母親は優しい声で、そうミモザに話しかけた。
(「うまくおびき寄せられたわけですし、ここは流されてみるべきですよね」)
 ミモザは内心警戒しながらも表情には一切出さず、ゆかりちゃんの母親に手を引かれるままに歩き出した。

「咲凛さん、ミモザさんが何処かに連れていかれようとしています。至急合流してください」
 ヨハンからの連絡を受けた咲凛は、ターゲットが自分ではなかったことに少しがっかりしながらも、素早く背部ウイングスラスターユニット【フユヲトカスメグミ】を装着し、空へと舞い上がった。
 合流したヨハンと咲凛は、腕時計型端末で他の猟兵達に連絡を取りつつ、ミモザを連れたゆかりちゃんの母親の後を追っていく。
 そして辿り着いたのは、あの閉鎖された映画館だった。
「ねえおばさん。ここ、あたしのおうちじゃないよ?」
 映画館の中に連れ込まれながらも、ミモザはあくまで普通の小学1年生としての演技を続ける。彼女の第六感は、ここで何かが起きるということを告げていた。
「大丈夫。安心してあたしについてきて」
 ゆかりちゃんの母親は、もはやミモザに視線すら向けず、腕を引いてシアタールームへと入っていく。
 その部屋に満ちる邪悪な気配に、思わずミモザが身震いした時。
「ごめんなさいね」
 ゆかりちゃんの母親は、いつの間にか手に持っていたナイフで、ミモザの腹部を一突きにした。
 ――いや、一突きにしようとしていた、だ。
 刺す直前に上空から飛来した、ヨハンの召喚した雀鷂がナイフを持つ手をついばみ、ナイフを取り落とさせていたのだから。
 だが、浅くではあったが刺されたミモザの腹部からは、血が滴り落ちる。
「ミモザさん、大丈夫ですか?」
 スラスターユニットを全開にしてシアタールームに飛び込んできた咲凛が、ゆかりちゃんの母親を押さえつけた。
「はい。傷は浅いですので、私は大丈夫です」
 ミモザが、そう答えた時。
『あら、最後の最後で失敗してしまったのですね』
 若い少女の声が、部屋の中に響き渡った。
「誰です!?」
 咲凛に続いてシアタールームに飛び込んできたヨハンが問いかけた直後。
 スクリーンに15,6歳くらいの少女の姿がアップで映し出された。
『私は言ったはずですよ? 毎月1人、合計11人の少女を捧げれば、ゆかりさんは帰ってくると。でも残念ながら、その少女は生きています。つまり』
 少女の視線が、取り押さえられた母親に向けられる。
『ゆかりさんは完全な形では帰ってこられません』
「そんな! それじゃあ、私は何のために!!」
 狂乱したように絶叫する母親をなだめるように、スクリーンに映る少女は落ち着いた声で話を続ける。
『大丈夫です。私は何も、ゆかりちゃんが帰ってこないとは言っていません。彼女は帰ってきますよ。……不完全な形で、ですが』
 少女の声がそう告げた直後。不意にスクリーンにノイズが走り、少女の姿をかき消した。次いで、スクリーン全体がブラックアウトしたかと思うと、今度は一人の女の子の後ろ姿が映し出された。黄色い通学帽に赤いランドセル。肩のあたりで髪を切りそろえた、小学1年生くらいの愛らしい女の子。
「ゆかり!!」
 ゆかりちゃんの母親の叫びに応じるように、少女がゆっくりと振り向く。
 その少女には、目も、鼻も、口もなかったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●帰ってきた少女
 まるでスクリーンから飛び出したかのように。
 無貌の少女が、シアタールームに実体化した。
 スクリーンは一旦ブラックアウトすると、再び走ったノイズと共に、またあの15,6歳くらいの少女の姿を映し出す。
『生け贄が足りなかったので、顔がなくなってしまったようですね。このままではかわいそうですから、顔の代わりに、これを付けてあげましょう』
 少女の声に合わせて、シアタールーム中に貼られていたビラの一枚が、ゆかりちゃんの顔に貼り付く。ゆかりちゃんの満面の笑顔の写真の載ったビラが。
『さあゆかりちゃん。本物の顔が欲しいのでしたら、ここにいる人達を生け贄に捧げるのです。やり方は、分かりますね?』
 少女の言葉に、ゆかりちゃんはコクリと頷いたのだった。
榛・琴莉
思う事は多々ありますが、まずはあの偽物をどうにかしなくては。
「申し訳ありませんが、仕事ですので」
偽物とはいえ…この先をお母様に見せるのは酷でしょうね。
怪我をさせない程度の【気絶攻撃】、それから出来るだけ敵から離れた位置へ移動させます。
此処は危険ですが、外に連れ出す余裕はなさそうですし。
万が一には庇えるように。
敵の攻撃には【オーラ防御】で対処。

数が増えるのは厄介ですが、頭を叩いてしまえば良いだけの事。
ゆかりちゃんを狙い【全力魔法】【属性攻撃】【スナイパー】で【CODE:ブライニクル】
こちらが攻撃されるより早く。
間髪入れず【2回攻撃】
「それ、あなたの顔ではないでしょう」
それはゆかりちゃんの顔です。


波狼・拓哉
…これだけは言える。間違いなく本人じゃねぇ!いやもしかしたら多分記憶はあるかもしれんけど認められねーわ!
さて悪いが蹴散らそうかミミック。背後にいるやつ打ん殴らないとダメだし。化け咆えなミミック。狂気は期待出来んから、爆撃を喰らわしてやれ。映画館崩さないようにだけは気を付けてくれ。
俺自身はモデルガン片手に座席等の地形やロープを利用して動き回り、衝撃波込めた弾を目に付く奴に適当に打ち込む。あくまで牽制程度、動きが止まれば咆哮や他の猟兵が仕留めてくれる…はずだ!
(アドリブ絡み歓迎です)



●それは本当にゆかりちゃんですか?
「……これだけは言える。間違いなく本人じゃねぇ! いやもしかしたら多分記憶はあるかもしれんけど認められねーわ!」
 波狼・拓哉は現れたゆかりちゃんの顔を見て、思わずそう叫んでいた。
「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
 ゆかりちゃんは不思議そうに小首を傾げる。するとその顔に貼り付いていたビラが見る見る燃え始め、そこから飛び火した火の粉が拓哉に襲い掛かった。
「うわっ、危なっ!!」
 服に引火した無慈悲な炎を、慌てて箱型生命体ミミックに鎮火させた拓哉は、座席の後ろに飛び込み遮蔽としつつ、フック付きロープを使った三次元的な動きでゆかりちゃんを翻弄。カラフルなモデルガンから放った弾丸で牽制射撃を開始した。
「思う事は多々ありますが、まずはあの偽物をどうにかしなくては」
 榛・琴莉はそう呟くと、呆然と成り行きを見守っているゆかりちゃんの母親に目を向ける。
「偽物とはいえ……この先をお母様に見せるのは酷でしょうね」
 琴莉は素早くゆかりちゃんの母親に近づくと、
「失礼いたします」
 一言詫びると同時にその腹部に、怪我をしない程度の当身を食らわせる。そしてぐったりとした彼女を、戦いに巻き込まれないよう、シアタールームの隅の座席へと移動させていった。
(「此処も安全とは言い難いですが、外に連れ出す余裕はなさそうですし」)
 いざとなれば自らの身を盾にしてでも母親を庇える位置取りで、琴莉はアサルトライフル『Mikhail』を構え、ゆかりちゃんの姿をしたものの隙を伺う。
「ただいま」
 その時、ゆかりちゃんのあどけない声が、シアタールームに響いた。
「おかあさん、おとうさん」
 ゆかりちゃんの視線は、琴莉の背後で座席にもたれかかる母親の方を見てはいない。
 ビラの貼られた顔が見つめるのは、今はブラックアウトしたスクリーン。するとそのスクリーンにノイズが走り、そこに子供がクレヨンで描いたものであろう男女の姿が大写しになる。
 おそらくそれはゆかりちゃんが描いた『おかあさん』と『おとうさん』の絵で。
 『おかあさん』と『おとうさん』はゆかりちゃんが実体化した時のように唐突に、シアタールームに出現した。
「いや、それもお父さんお母さんじゃねーからな!?」
 拓哉の言葉に、ゆかりちゃんはまたも不思議そうに首をひねる。
「おかあさんとおとうさんだよ?」
 召喚された 『おかあさん』と『おとうさん』は、子供の絵そのものの歪な姿のまま、意外と素早い動きで拓哉に迫っていった。
「悪いが蹴散らそうかミミック。この後背後にいるやつぶん殴らないとダメだし」
 拓哉の指示を受け、『おかあさん』と『おとうさん』に向かっていくのは箱型生命体ミミックだ。
「さあ、化け咆えなミミック。狂気は期待出来んから、爆撃を喰らわしてやれ。映画館崩さないようにだけは気を付けてくれ」
 拓哉の言葉に頷く仕草を見せると、ミミックは見る見るとその姿を龍へと変じていく。そして、龍の放った咆哮が、『おかあさん』と『おとうさん』に直撃し、その歪な体を爆破していった。
「って、意外と頑丈だな。一撃では仕留めきれないか」
 体中を爆破されたはずの『おかあさん』と『おとうさん』だが、まだ動きは止まらない。その姿ゆえに、どの程度ダメージを与えたかもいまいちよく分からない。
「数が増えるのは厄介ですが、頭を叩いてしまえば良いだけの事」
 傭兵である琴莉は、冷静に戦場全体を見渡し、『おかあさん』と『おとうさん』が現れてからゆかりちゃんの動きが止まったことに気付いていた。であれば、やるべきことはひとつだ。
「申し訳ありませんが、仕事ですので。『装填、ブライニクル』」
 琴莉は『Mikhail』に魔力を込めた弾丸を装填すると、ゆかりちゃん目掛けて撃ち放った。
 放たれた弾丸は飛翔しながら絶対零度の氷槍へと変じ、動きを止めていたゆかりちゃんを刺し貫く。氷槍を中心に霜がゆかりちゃん全体を覆っていくが、琴莉は手を休めない。今度は通常弾を装填すると、駄目押しとばかりに再度順弾でゆかりちゃんの顔に貼られたビラを射抜いた。
「それ、あなたの顔ではないでしょう」
――それはゆかりちゃんの顔です。と琴莉が告げる間にも、顔のビラが再び炎上を始める。
「いたい、いたいよ、おかあさん、おとうさん」
 ビラから発した炎が氷槍と霜を溶かしていき、思わずゆかりちゃんはしゃがみ込んだ。その動きに合わせて、『おかあさん』と『おとうさん』は、消しゴムで消すように消滅していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フェルト・ユメノアール
これがゆかりちゃんだって?
三流コメディアンだってもう少しマシな冗談を言うよ!

手札からカードを選び、高らかに詠唱
変幻自在の魔術師よ!その歓声に答え、鮮やかに舞台を彩れ!
カモン!【SPクラウンジェスター】!
こんな悪趣味な脚本を書く奴はボクが絶対許さない!
敵に同時に狙われないためにクラウンジェスターと二手に分かれて攻撃を分散
基本は『トリックスターを投擲』して牽制を行いつつ
敵の放った炎を障害物の『地形の利用』で回避する
そして、敵に狙われていない方は攻撃の隙に接近して『カウンター』
って感じに攻撃役と防御・牽制役を素早く切り替えて敵を翻弄しながら戦闘をしていくよ



●道化師のやり方
「これがゆかりちゃんだって? 三流コメディアンだってもう少しマシな冗談を言うよ!」
 腹部に氷槍に貫かれた穴を開けながらも、立ち上がって動き出したゆかりちゃんの姿を見て、フェルト・ユメノアールは眉をしかめた。
「こんな悪趣味な脚本を書く奴はボクが絶対許さない!」
 手の中にカードを広げたフェルトは、その内の一枚を無造作に引き抜く。
「偽者退治にふさわしいのはこれだ! 『変幻自在の魔術師よ! その歓声に答え、鮮やかに舞台を彩れ! カモン! SPクラウンジェスター!』」
 高らかな詠唱と共に、王冠を被った道化師が、フェルトの傍らにその姿を現した。
「すごーい。てじなみたい」
 ゆかりちゃんが無邪気な様子で、パチパチパチと手を叩く。
「それじゃあ、特別にキミだけのための特別公演だよ!」
 フェルトは大仰にお辞儀をすると、そのまま後方に飛び退いた。全く同じ動きで、クラウンジェスターもフェルトとは逆の方向へと飛び退く。そして、ゆかりちゃんを挟み込んだ二人は、投擲用のダガー『トリックスター』を、まるで二人で行うジャグリングのように、お互いに投げ合い始めた。
「やめてよ、こわいよ」
ジャグリングの中央に位置することになったゆかりちゃんは、トリックスターを必死になってかわし続ける。
「ひどいよ、どうしてわたしをいじめるの?」
 ゆかりちゃんの顔に貼られたビラがまた炎上を始め、散った火の粉がクラウンジェスターに襲い掛かった。クラウンジェスターはおどけたような動きで観客席の影に隠れて炎を回避する。そしてその隙に、フェルトはゆかりちゃんに急接近するとトリックスターでゆかりちゃんに斬りつけた。
「いたい、いたい、いたい!」
 振り向いたゆかりちゃんが、今度は炎をフェルトに向けて放つ。だがその間に、クラウンジェスターが背後から、ゆかりちゃんをランドセル越しに見事なサマーソルトキックで蹴り飛ばしていた。
 フェルトとクラウンジェスターの、攻撃役と防御・牽制役を素早く切り替えながらの戦い方に翻弄され、ゆかりちゃんは徐々に消耗していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榛・琴莉
※真の姿
翼が巨大化、腕のように扱う事も可能な構造に
飛行能力は保持

ああ、貴女は。
本物のゆかりちゃんではありませんが、それでも。
「ゆかりちゃんなんですね、なんの疑いもなく」
そうであれと望まれたから。望まれて生まれたから。
「…随分と、悪趣味な黒幕が潜んでいるようで」
悪意の無い相手はやり辛いんですけど…黒幕を殴りに行かなくてはならないので。

父親、母親の動きを【見切り】、【地形の利用】で最短、座席の背もたれを渡ってゆかりちゃんに接近します。
避けられない攻撃は翼で捌き【オーラ防御】。
逃がさないよう捕らえ、ゼロ距離で【全力魔法】【属性攻撃】の【CODE:グランディニーリ】
「良い子は、もう眠らなくては」



●せめて静かなる眠りを
 ――ああ、貴女は。
 榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は、他の猟兵達と必死で戦うゆかりちゃんの姿を見て、嘆息した。
 ――本物のゆかりちゃんではありませんが、それでも。
 例え顔が無くても。異能の力を持っていたとしても。
「ゆかりちゃんなんですね、なんの疑いもなく」
 そうであれと望まれたから。望まれて生まれたから。
 例え偽者であったとして、それは確かに“ゆかりちゃん”なのだ。
 怯える傷ついたゆかりちゃんを護るように。再びスクリーンに投影された『おかあさん』と『おとうさん』の絵が、シアタールームに実体化する。
「……随分と、悪趣味な黒幕が潜んでいるようで」
 それが本当の『おかあさん』と『おとうさん』であると信じ込んで。その背後に隠れるゆかりちゃんの様子に心を痛めながらも、琴莉は真の姿へと変じていった。
 その背に生える翼がより大きく膨れ上がり、どこか腕を思わせる形状へと変化していく。
「悪意の無い相手はやり辛いんですけど……黒幕を殴りに行かなくてはならないので」
 手に持った箒のようなものとゴルフクラブのようなもので殴りかかってくる『おかあさん』と『おとうさん』の動きを見切って紙一重で回避した琴莉は、そのまま座席の背もたれの上を駆け、ゆかりちゃんに接近する。
「いやっ、こないで!」
 ゆかりちゃんの顔に貼られたビラから炎が飛び散り琴莉に迫るが、琴莉は敢えて回避せずにオーラを纏った翼で火の粉を払いのけた。そのままゆかりちゃんに肉薄した琴莉は、逃がさないようにゆかりちゃんの手をしっかりと掴むと、アサルトライフル『Mikhail』をゆかりちゃんに突きつける。
『装填、グランディニーリ』
 そして、そのまま零距離で氷の魔力を込めた銃弾を撃ち放った。放たれた超高速かつ大威力の一撃は、ゆかりちゃんの腹部に大穴を開け、さらにゆかりちゃんを凍り付かせていく。
「良い子は、もう眠らなくては」
 琴莉はゆかりちゃんを掴んでいた手を離し、ゆっくりとゆかりちゃんから離れていった。
 そのまま凍り付くかと思われたゆかりちゃんだったが、
「……ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
 そう嗚咽を零した後、一転劈く様な叫び声を上げた。その叫び声は超音波による衝撃波となって、シアタールームに吹き荒れていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

虚偽・うつろぎ
おー、うつろぎ的にデザインの発想は好きなんだけどね
しかし邪神狩りとして邪神関係は殲滅 なんだ
すまないけど消えてもらうね
せめて一部でも残っていたら僕の中に融合してあげるよ

近づいて戦うのは難しそう
となると離れていても攻撃できる方法か
よし自爆しよう
という訳でゆかりちゃんに向かって全力ダッシュ
UCの効果範囲内に入ると同時に
技能:捨て身の一撃を駆使したジバクモードを放つ

捨て身の一撃を最大限活用し
自身を使い捨てにすることで放たれる最高の一撃さ

捨て身ゆえに自爆後はボロボロになって動けなくなってます
相討ち狙いだね

ゆかりちゃんの一部(顔の紙でも何でも)が何かしら残っていたら
腕を伸ばして回収し刻印に融合しておくね


榛・琴莉
嗚呼もう、まだ足りないとは…
「冷気に耐性でもあるんですか…!」
これだから炎使いは。

真の姿は維持。
翼で付近の物を掴むなどして、衝撃波で吹き飛ばされないよう。
あまり距離を離されたくないので…最悪、床板を破るやら剥がすやらしてでも。
防御は【オーラ防御】で最低限に、攻撃に集中します。
ゆかりちゃんの足元を狙い、【全力魔法】【属性攻撃】を乗せた【CODE:ジャック・フロスト】で【捨て身の一撃】。
氷槍で【串刺し】に、動きを封じたいですね。
それで終われば良いんですが…まだ足掻くようなら、【2回攻撃】で駄目押し。



●身を捨ててこそ
「嗚呼もう、まだ足りないとは……」
 榛・琴莉はゆかりちゃんの発した衝撃波を、翼で座席を掴んで耐えながら歯噛みした。
「冷気に耐性でもあるんですか……!」
そう愚痴る琴莉の隣には、いつの間にかシアタールームに入り込んでいた虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)の姿があった。
「おー、うつろぎ的にデザインの発想は好きなんだけどね。しかし邪神狩りとして邪神関係は殲滅なんだ。すまないけど消えてもらうね」
 不定形の体は衝撃波を受けてもわずかにゆがみが生じるだけで、『うつろぎ』という文字そのものの体を維持している。
(「せめて一部でも残っていたら僕の中に融合してあげるよ」)
 他の猟兵もいる中なので、その言葉はさすがに心の中に留めおくうつろぎ。
「嗚呼、これだから炎使いは」
 琴莉はゆかりちゃんの泣き声をオーラを展開して耐えながら、
『装填、ジャック・フロスト』
 ゆかりちゃんの足元に向けて魔力を込めた弾丸を放つ。守りよりも攻めに転じたその捨て身の一撃が、ゆかりちゃんの胸に着弾。するとたちまち弾丸が氷槍に転じ、ゆかりちゃんを串刺しにした。
「いたいよ、いたいよ、いたいよ」
 ゆかりちゃんの鳴き声がさらに大きくなり、衝撃波がシアタールームの中を駆け巡る。
「うーん。これでは近づいて戦うのは難しそう。となると離れていても攻撃できる方法か……」
 うつろぎはしばし考え込むと、
「よし自爆しよう」
 そう、結論を下した。何をどう考えてそんな結論に至ったのか、その思考回路は常人の理解をはるかに超えている。
 ともかく、うつろぎはゆかりちゃんにロードローラーの如き全力ダッシュで接近すると、
『ゴッドうつろぎアタック……神風となり……HPは1になる……!』
 宣言通り、捨て身の自爆を放った。激しい爆発と共に、うつろぎの黒いタールのような肉体が四散する。自爆故に、自身もボロボロとなって動けなくなる相打ち狙いの一撃だ。
「おかあさん……おとうさん……」
 爆発に巻き込まれたゆかりちゃんの顔から、ビラがポトリと落ち、うつろぎだった黒い水溜りに飲み込まれていく。
「さようなら、ゆかりちゃん。もう、お休みの時間です」
 もはや動くことすらできないのか、ただ立ち尽くすゆかりちゃんに、琴莉は別れの言葉と共に、駄目押しの氷槍を打ち込んだ。
 まるで糸の切れた人形のように。ぐにゃっとゆかりちゃんの体がその場に崩れ落ちる。
 それが、ゆかりちゃんの最期だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『敬虔なる邪神官』

POW   :    不信神者に救いの一撃を
【手に持つ大鎌の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    出でよ私の信じる愛しき神よ
いま戦っている対象に有効な【信奉する邪神の肉片】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    神よ彼方の信徒に微笑みを
戦闘力のない【邪神の儀式像】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【邪神の加護】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天通・ジンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●邪教の神官
 ゆかりちゃんの姿が、溶けるように消えていく。
『ああ。ゆかりちゃんを消してしまったのですね。母親の絶望と後悔を母体に、10人の少女を贄に捧げることで誕生した、極上の邪神の器でしたのに』
 いつの間にかスクリーンに大写しになっていた少女が、嘆息を漏らす。
『ですが、ここにいるみなさんは常人ならぬ力の持ち主。あなた方なら、女の子達に勝るとも劣らない、立派な贄になってくれることでしょう』
 少女がそう囁いた時。スクリーンに激しいノイズが走った。次いで、スクリーンの中から染み出すように、スクリーンに映っていた少女が、じわじわとシアタールームに顕現していく。
 見た目は普通の少女だ。だが、その手には似つかわしくない禍々しい大鎌が握られていた。
「私は邪神に仕えし神官・ヒメロ。あなた方、贄の命を刈り取りに参りました」
榛・琴莉
胸くそ悪いったらない。
貴女には人の心が…なさそうですね。失礼しました。
「貴女の信仰の為に、これ以上犠牲を出すわけにはいきませんので」
邪神信仰はどうぞ、お一人で。

敵の進路、それから大鎌での防御も計算にいれて動きを予測。
防御し辛い位置と角度を狙い、【CODE:ジャック・フロスト】で【串刺し】にして機動力を削ぎます。

…邪神の儀式象、厄介ですね。
儀式象が召喚されたらその足元を狙いUCを撃ちます。
やたら強化されても面倒ですし…なにより、不快ですし。
氷槍で貫き、続けて銃撃で脆そうな部分を狙い、【鎧砕き】の要領で破壊。
「申し訳ありません、邪魔だったもので」



●神を呼ぶ声
「胸くそ悪いったらない。貴女には人の心が……」
 シアタールームに姿を現した邪神官ヒメロに、榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は嫌悪感も露にそう吐き捨てようとして、一旦言葉を止めた。
「……なさそうですね。失礼しました」
 向けられた最大限の侮蔑にも、ヒメロは湛えた微笑を崩さない。
「あなたは誤解しております。私は誰よりも人の心を理解しているつもりですよ?」
 そんな空虚な言葉を口にしつつ、ヒメロは琴莉に駆け寄ると、無造作に手にした大鎌を振るった。
 だが、そのような直線的な攻撃は琴莉には当然予測済みだ。横方向に飛び退いて鎌の一撃をかわすと、
『装填、ジャック・フロスト』
 ヒメロの動きを予測し、鎌で防御することも、避けることも困難な一点でアサルトライフル『Mikhail』から魔力を込めた弾丸を発射。振るわれた鎌の軌跡をすり抜けるように飛んだ弾丸はヒメロの太ももを射抜き、そのまま氷槍と化して彼女の足を串刺しにした。
「ああ、これはいけませんね」
 まるで他人事のようにそう呟くと、ヒメロは静かに目をつぶる。
『神よ、彼方の信徒に微笑みを』
 彼女が祈りの言葉を囁くと同時に、スクリーンにおぞましく名状しがたい邪悪な存在が映し出された。
「我が神の力、お借り致します」
 以前にゆかりちゃんが実体化した時のように。スクリーンにノイズが走ったかと思うと、邪神の形を模した像が、シアタールームの最前列とスクリーンの間に出現する。
 その邪神の儀式像から発する禍々しいオーラがヒメロ目掛けて放たれると、彼女の足を貫いていた氷槍が見る見るうちに溶けていった。
「……邪神の像、厄介ですね」
 ヒメロにとってはパワーソースとなる邪神の像がある限り、彼女は無尽蔵にその加護を受けることができるのだろう。
 琴莉は狙いを邪神像に切り替えると、ヒメロが反応するよりも速く、魔力を込めた弾丸を放った。空中で氷槍へと形を変えた弾丸は、邪神像の足元に着弾し、そのバランスを崩す。
「やたら強化されても面倒ですし……なにより、不快ですし」
 そのまま邪神像に接近して破壊しようとした琴莉だったが、流石にヒメロも黙ってその動きを見逃がしはしなかった。
「いけませんね。神の偶像への不敬な行いは」
 鎌を大きく振り上げると、琴莉目掛けて振り下ろす。
「そんな大ぶりな攻撃、簡単に見切れます」
 咄嗟に後方に飛び退いて鎌の直撃を避ける琴莉。だがその時、突如鎌が一回り大きくなり、琴莉の肩を切り裂いていた。
「!? これも邪神像の力だというんですか!」
 痛みに眉をしかめつつも、『Mikhail』の弾丸を邪神像の、一番もろそうな箇所に叩き込む。既に氷槍の直撃を足元に受けていた邪神像はその一撃に耐えきれず、溶けるように崩れ去った。
「申し訳ありません、邪魔だったもので」
 流石に表情を消したヒメロに対し、琴莉は悠然とそう言い放ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
最初に消したんそっちですよね???というかやっぱり普通に返す気ねーじゃねーか。取り敢えず一発打ん殴らせて???
というわけでミミックを箱型に戻して投擲。龍だと思うだろ?違うんだなぁこれが。さあ、化け焦がせ!あ、味方は近づかないようにね、無差別だし。
俺も地形を利用しつつ巻き込まれないようにして、衝撃波込めて属性付与した弾で牽制ぎみに撃ちこんでいこく。何か召喚されたら行動起こす前に打ち込んで先に潰そう。後は燃えたミミックの後処理(鎮火)。燃え広がったらやべーし。
(アドリブ絡み歓迎です)



●呪われた真実
「『ゆかりちゃんを消してしまった』って、最初に消したんそっちですよね??? というかやっぱり普通に返す気ねーじゃねーか。取り敢えず一発打ん殴らせて???」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は、言うなり龍の姿から箱型に戻したミミックを、邪神官ヒメロ目掛けて投げつけた。
「ゆかりちゃんを私が消した? あなたは少し、誤解をしているようですね」
 投げつけられたミミックを迎撃すべく大鎌を振り上げながら、ヒメロは小首を傾げる。
 先程のゆかりちゃんとの戦いで、拓哉のミミックが龍に変じたのを見ていたヒメロは、当然龍化に警戒していたが、
「龍だと思うだろ? 違うんだなぁこれが。さあ、化け焦がせ!」
 しかしミミックは今回は龍に変ずることなく、突如炎の塊そのものと化した。そのままシアタールームの中を所狭しと跳ね回りながら炎を振り撒いていくミミックに翻弄されるヒメロ。
「あ、味方は近づかないようにね、無差別だし」
 拓哉はシアタールーム内の他の猟兵達にそう警告を発しつつ、自身も座席の列の影に隠れる。
「で? 聞かせてもらおうか。俺が何を誤解してるって?」
 『MODELtypeβ バレッフ』から衝撃属性を付与した弾丸を牽制気味にヒメロ目掛けて撃ちながら、そう尋ねる拓哉。
「ゆかりちゃんは不幸な事故で死んだのですよ。この映画館で」
 炎の塊となって跳びかかってくるミミックを、ある時は大鎌で弾き、ある時は紙一重でかわしながら、ヒメロが歌うように答える。
「既に廃業となり立ち入り禁止となっていたこの映画館は、子供にとっては秘密基地のようなものだったのでしょう。ですが、不幸にもゆかりちゃんは、館内で遊んでいる時に階段で足を踏み外し、転がり落ちて死んでしまいました」
 ヒメロはミミックに対抗すべく、自らの信奉する邪神の肉片を召喚し、炎の塊と化したミミックにけしかけた。
「どこまで本当か怪しいね。この映画館が邪教徒の拠点だったんなら、お前らに殺されたって考えた方が自然だし」
 拓哉は、触手のような邪神の肉片がミミックに襲い掛かる前に、出鼻を挫くように銃弾を撃ち込んでいく。
「その辺りはご想像にお任せしましょう。とにかく、ゆかりちゃんの死体を最初に発見したのは、ゆかりちゃんのお母さんでした。彼女は知っていたんですよ、ここをゆかりちゃんが遊び場にしていたことを。だからこそ彼女は激しく後悔し絶望した。自分がここで遊ぶことを禁止していれば、ゆかりちゃんは死ななくても済んだのではないかと」
 「その後、彼女はどうしたと思います?」とヒメロは大鎌を振り回してミミックを追い払いながら、心底楽しそうに語り続けた。
「彼女はゆかりちゃんの死体を映画館の倉庫の奥深くに隠してしまったんですよ。その上、自らの記憶まで心の奥底に仕舞い込んでしまった。ゆかりちゃんはまだ生きていると自分自身に信じ込ませて、ゆかりちゃんを探し歩き始めたのです」
 その深い心の闇に、ヒメロは目を付けたのだ。そしてこう囁いた。
『毎月1人、ゆかりちゃんと同じ年の女の子を生け贄に捧げれば、ゆかりちゃんは帰ってくる』
と。
「って、やっぱり諸悪の根源はあんたじゃねえか!! 許せねえっ!!」
 拓哉は、ミミックを大鎌で吹き飛ばした直後で体勢を崩していたヒメロに、ありったけの弾丸を撃ち込んでいったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

榛・琴莉
「なんか、騙される方が悪いとか言いそうですよね。貴女」
なんにしても、生け贄儀式はこれで打ち止めです。
「ゆかりちゃんと同い年ではなさそうですけど、最後の贄は貴女で良いでしょう」

真の姿は維持。
真っ向から接近して距離を詰めます。
鎌の一撃を翼で受け止め【オーラ防御】【激痛耐性】で耐えて、手元が狂わないように。
「中身がどうだかは分かりませんが…人の形はしていますしね」
心臓を狙い【零距離射撃】で【全力魔法】の【CODE:グランディニーリ】
【捨て身の一撃】です。【二回攻撃】も含め、絶対に外さぬよう。
「神への不敬、とか言ってましたっけ?ならば貴女の行いは、人への、命への不敬です」
万死に値するのは間違いないかと


蔵座・国臣
取り零した。間に合わなかった。

数えるのも馬鹿馬鹿しいか。猟兵諸君、回復は任せたまえ。そして、思うまま存分に暴れるといい。

回復優先で立ち回ろう。
直接の戦闘参加は控える。ヒーラーが先に落ちるわけにもいかんからな。
余力があれば、召喚された肉片や儀式像程度は轢いて潰すが、他、猟兵達のフォローが優先だな


虚偽・うつろぎ
うねうね、うん、ゆかりちゃんをあのデザインで作り出したセンスは良いと思うよ
邪神となっていたらどうなっていたかは興味深いね
で、君も腕の一本でも良いから補食させてくれない?

何事もなかったかのようにしれっと復活

敵の動きを観察し
可能なら仲間と連携して
敵の攻撃後などの隙をついて突貫
技能:捨て身の一撃を駆使したトッカンモード(命中率を重視)による自爆で攻撃

もし上記のような隙をつく前に
敵が攻撃で接近してきた場合は
攻撃をあえて喰らうと同時に
カウンターで捨て身の一撃満載のトッカンモード(攻撃回数重視)をお見舞いする

近距離での攻撃は相討ちで自爆
遠距離の攻撃は良く見て回避に努める感じです

アドリブ連携などご自由にどぞ


フェルト・ユメノアール
たしかにやり方は間違っていたかもしれない
でも、あの人がゆかりちゃんを想う気持ちは本物だった!
その想いを弄んだキミをボクは絶対許さない!

このカードは真の姿を解放した時にのみ、召喚する事ができる!
最上無二の魔術師よ!今こそその力を振るい、世界を歓声で包み込め!
カモン!【SPエンペラージェスター】!
敵が鎌と召喚術を使うなら、距離を取るのは不利
接近戦で勝負を付けるよ!
エンペラージェスターと二人で『トリックスターを投擲』して敵の動きを牽制しつつ一気に接近
エンペラージェスターには防御をお願い、鎌の攻撃を一撃でいいから防いで貰って
ボクは体勢を低くして敵の間合いの内側に潜り込み『カウンター』を決めるよ



●祈りを捧げて
 ――取り零した。間に合わなかった。
 蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)は、ゆかりちゃんや生贄にされた女の子達を救えなかったという事実に、歯噛みする。例えどう足掻いても救い得なかったとしても。医者として猟兵として、命を救えなかったという事実は重くのしかかる。
「たしかにゆかりちゃんのお母さんのやり方は間違っていたかもしれない。でも、あの人がゆかりちゃんを想う気持ちは本物だった! その想いを弄んだキミをボクは絶対許さない!」
 いつもは元気いっぱいに笑顔を振りまいているフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)が、今はストレートに怒りの表情を浮かべて。真の姿に変じると、1枚のカードを高々と掲げた。
『最上無二の魔術師よ! 今こそその力を振るい、世界を歓声で包み込め! カモン! 【SPエンペラージェスター】!!』
 高らかにフェルトが謳い上げれば、現れたのは煌びやかな王冠とマントを身に着けた、高貴なる道化師。
 一方で、榛・琴莉は必死に感情を抑えつけながら邪神官ヒメロを睨み据える。
「なんか、騙される方が悪いとか言いそうですよね。貴女」
 だが、猟兵達から怒りをぶつけられても、邪神官ヒメロは不思議そうにただ首を傾げただけだった。
「私は一度たりとも、騙した覚えはありません。ゆかりちゃんの母親が予定通り11人の生贄を捧げていれば、ゆかりちゃんは間違いなく帰ってきたのですから」
 先程猟兵の放つ銃弾を全身に受けたというのに、何事もなかったかのように平然と応じるヒメロ。
「……あれは普通じゃないな。人の姿をしていても、邪神の加護を受けたその体は既に、人ならざるモノと化しているのかもしれない。いや、体だけではなく、その心もか」
 国臣の言葉に、琴莉も頷く。
「……話の通じる相手では、最初からなかったようですね。なんにしても、生け贄儀式はこれで打ち止めです」
 琴莉はアサルトライフル『Mikhail』を構えると、真っ向からヒメロ目掛けて駆け出した。
「ボクたちも、接近戦で勝負を付けるよ!」
 ほぼ同時に、フェルトとスマイルパペット・エンペラージェスターも、舞うようにヒメロに迫っていく。
「私の信じる愛しき神よ。かの者達に祝福を」
 ヒメロは、触手のような邪神の肉片に、迎撃を命じた。飛び跳ねる触手は、フェルトとエンペラージェスターを薙ぎ払おうとするが、フェルトは投擲用ダガー『トリックスター』を投げつけて触手を牽制しつつ、アクロバティックな動きで逆に触手を翻弄する。
「我が神よ。不信神者に救いの一撃を」
 続いてヒメロは、手にしていた大鎌を軽々と振りかぶると、迫りくる琴莉目掛けて鋭く振り下ろした。
 その一撃を、琴莉は巨大化した翼で受け止める。翼に薄膜のように展開されたオーラの輝きが、火花のように散る。ヒメロは翼を切断せんと大鎌に力を加えるが、琴莉は痛みに耐えながら『Mikhail』をヒメロの左胸に突きつけた。
「中身がどうだかは分かりませんが……人の形はしていますしね。『装填、グランディニーリ』」
 そのまま琴莉は零距離で『Mikhail』を撃ち放つ。全力の氷の魔力で強化された魔法の弾丸がヒメロの胸部を射抜くのと同時に、琴莉の翼が半分まで切り裂かれる。相打ち上等の、覚悟を決めた一撃。
「だが今は一騎打ちをしているわけではないからな。猟兵諸君、回復は任せたまえ。そして、思うまま存分に暴れるといい」
 後方で戦いを見守っていた国臣が、医療用ナノマシンの詰まったカプセルを放ち、切り裂かれた琴莉の翼を【戦線緊急治療】で癒していく。
「お医者さん。できれば僕も治療してくれないかな」
 その時、突如下から聞こえてきた声に国臣が驚いて足元に目を向ければ。
 そこには、先程ゆかりちゃん相手に自爆した虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)がペチャっと床にへばりついていた。慌てて国臣が医療用ナノマシンを投じると、『うつろぎ』という字のような形をしたその体が、すっくと起き上がる。
「ありがとう。それじゃあ僕も、もうひと働きしてこようかな」
 そう言ってうつろぎが目を向けた先では。
「……先程、神への不敬、とか言ってましたっけ? ならば貴女の行いは、人への、命への不敬です」
 治療を受けて力を取り戻した琴莉が、さらにトドメとばかりに弾丸をもう一発ヒメロに撃ち込んでいた。
『神よ……彼方の信徒に、微笑みを……』
 口から大量の血と同時にそんな祈りの言葉を絞り出しながら、ヒメロがゆっくりと仰向けに倒れていく。
「ゆかりちゃんと同い年ではなさそうですけど、最後の贄は貴女で良いでしょう」
 ようやくヒメロと距離を取って琴莉が言い捨てたその時。
「待て。まだ終わってはいない!」
 国臣の警告の声に、琴莉はハッとしてスクリーンに目を向ける。そこには、先程の断末魔の如きヒメロの祈りによって呼び出された邪神の儀式像が映し出されていた。咄嗟に国臣は宇宙バイク『鉄彦』に乗り込んでスクリーンに突っ込み、スクリーンごと邪神の儀式像に大穴を開けたが、それよりも速く邪神像から放たれた禍々しいオーラが、ヒメロの体を包み込んでいた。
 まるでフィルムを逆再生したかのような、不自然な動きでヒメロが立ち上がる。
「ああ、我が神よ。感謝します。これで私は、またあなたのために働くことができます」
 胸に大穴が穿たれ、口からは大量の血が流れ出ている壮絶な姿で。しかしヒメロは怪しく笑みを浮かべると、大きく大鎌を振りかぶった。
「うねうね、うん、ゆかりちゃんをあのデザインで作り出したセンスは良いと思うよ? 邪神となっていたらどうなっていたかは興味深いね」
 だが、いつの間にかその足元には、うつろぎが絡みついていて。
「で、君も腕の一本でも良いから補食させてくれない?」
 次の瞬間、うつろぎは本日二度目の【トッカンモード】を発動。
『ゴッドうつろぎフォーミュラ……暴風となり……HPは1になる……!』
 ヒメロに絡みつくことで確実に命中させることを重視したその自爆は、邪神の加護を受けて立ち上がったばかりのヒメロの右足を、根元から吹き飛ばしていた。
「……まさか、こんな!!」
 片足を失いバランスを崩しながらもなお、ヒメロが大鎌を振り抜いたのは、眼前にフェルトが迫ってきていたからだ。だが、軸の定まらない一撃はあっさりとエンペラージェスターに受け止められてしまい、そして、
「人の命と想いを弄び、笑顔を奪ったその罪、これで償えぇっ!!」
 フェルトが至近距離からカウンター気味に投じた『トリックスター』が、ヒメロの眉間を貫いていた。
「……ああ、我が神よ。私に……加護を……」
 そう言って手を天に伸ばしたまま、今度こそ邪神官ヒメロは息絶えたのだった。

「これで事件は解決ですね。払われた犠牲は、余りに大きすぎましたけど」
 シアタールームの隅で気を失っているゆかりちゃんの母親を抱きかかえながら、琴莉が呟く。
「だが、私達猟兵にできることはここまでだ。彼女には、この世界の法に則り罪を償ってもらうしかない」
 娘を失った哀しみと絶望から逃れるために、女の子達を手にかけてきた哀れな母親を一瞥し、国臣が嘆息する。
「せめて、ゆかりちゃんや女の子たちが笑顔で天国に行けるよう、祈ろうか」
 フェルトの呼びかけに応じ、猟兵達はしばし、黙祷を捧げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月04日


挿絵イラスト