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叛乱

#クロムキャバリア #ゾンネ王国

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#クロムキャバリア
#ゾンネ王国


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●太陽を掲げる王国
 小国家が乱立し、『プラント』と呼ばれる遺失技術で造られた施設を奪い合う世界、クロムキャバリア。
 数千もある小国家の一つに太陽を意匠化した国章を持つゾンネ王国が存在していた。
 建国百年ほどの国家であるが、今、危急存亡の秋を迎えている。
 ゾンネ王国の軍事力はキャバリアを主力とした三つの騎士団が支えているのだが、その一つ『第三騎士団』の一部が突如として離反。
 プラントをひとつ占拠して王国に叛旗を翻したのだ。

 首謀者は第三騎士団団長アデリナ・ホイベルガー。
 武門の名家の生まれで、まだ若いながら守勢の名将と讃えられる戦歴を持つ。
 彼女は「国を守ることこそ武人の本懐」と政治とは距離を置きながらも忠実に任務を遂行してきた為に国王の信任も厚かった。
 それが突如として「王国維新」を掲げて第三騎士団の一部と共に『プラント』を占拠して立て籠もったのだ。

「ホイベルガーは一体何を考えている?」
「王国維新を掲げ、宰相の更迭、行政府の解散を要求していますが」
「馬鹿なことを。そんなことをすれば王国の政治を維持できないことが分からぬ訳ではあるまいに」

 プラントは鋼材や食料まで様々な資源を生産する最重要施設。
 これが一つ占拠されているだけで王国の経済は傾く。
 また、叛乱軍が侵出する可能性もあり、一定の戦力を張り付かせて監視している。
 当然、国境の守りはその分、薄くなっており、この状況が長引けば確実に近隣諸国の侵攻を招くことになるだろう。

「討伐やむなしか」
「ホイベルガーは錯乱したとしか思えん」

 説得の使者を出し、失敗すれば討伐すると御前会議で決定された。

●グリモアベース
「……というのがクロムキャバリアにある小国家ゾンネ王国の現状です」

 青髪のグリモア猟兵、ステラ・リデルの説明する。
 猟兵達に話を持ってくるという事はこの叛乱がオブリビオン絡みの事件であるからだ。
 叛乱を起こした首謀者アデリナ・ホイベルガーは元々、国家とそこに暮らす国民を守ることこそを使命としている人物で今回の様な叛乱を起こす人物ではない。
 それがこの様な事態になったのはオブリビオンマシンに乗騎してしまったためだ。
 このまま放置すれば叛乱軍と王国軍はぶつかり、王国は弱体化して周辺国の草刈り場と化す可能性が高い。そうなれば一般市民にも犠牲者は数多く出ることになる。

「オブリビオンの仕業であり、回避できる手段があるならば為すべきだと考えます」

 オブリビオンマシンさえ壊せればホイベルガーを始めとした彼女麾下の叛乱軍は正気に戻る。無罪放免とはいかないかもしれないが、それも猟兵達の口添えによっては何とかなるかもしれない。

「王国はまだ討伐軍の編成を終えていません。今このタイミングで傭兵として解決を請け負うことを持ち掛ければ、王国は受け入れるでしょう」

 王国としては傭兵が解決すれば良し、失敗しても討伐軍編成までの時間を稼ぐことができる。王国に雇われた後に起こりうる流れをステラは説明する。

 まずは『プラント』まで侵攻しなければならないが、そこには反乱軍によって砲撃陣が敷かれているという。これを何らかの方法で突破しなければならない。
 砲撃陣と突破して『プラント』に到着すれば叛乱軍のキャバリアとの戦闘になる。
 今回、出現するのは『オブシディアンMk4』という量産機だが、何らかの方法で全てオブリビオンマシンと化している。
 この為、機体の破壊への遠慮は不要だが操縦席、操縦者への攻撃は可能な限り避けて欲しい。機体さえ破壊できれば操縦者の洗脳は解けるからだ。
 量産機の軍団を倒せば、いよいよホイベルガーが乗るオブリビオンマシン『セラフィム・リッパー』との決戦になる。
 彼女は指揮官としても優秀だが、それ以上にパイロットとして凄腕で王国では一二を争う。難敵だが、彼女の「本来の思想や人柄」を思い出させるような言葉をかけたり行動をすれば、一時的に良心を呼び覚まし、動きを鈍らせることができるだろう。
 彼女も機体のみを破壊することで正気に戻すことができる。

「発見されたばかりの世界で厳しい戦いとなりますが、皆さんなら最良の結果を勝ち取れると思います。ご武運を」

 武運を祈るステラに送られて猟兵達は群雄割拠、闘争の世界に足を踏み入れる。


淵賀
 18回目のシナリオをお送りします。
 舞台はクロムキャバリア。キャバリアと呼ばれるロボの世界です。
 この世界にある小国家ゾンネ王国でオブリビオンが起こした叛乱を収めていただければと思います。
 それでは、今回のシナリオに関して纏めます。

 第一章について。
 皆さんは叛乱鎮圧を請け負う傭兵として振舞っていただければと思います。
 報酬交渉などもご興味があれば。(あんまり無茶でなければ通るでしょう)
 なお、この時点でキャバリア系のジョブ、アイテムをお持ちの方はもちろん、乗機して使用できます。お持ちでない方も希望すれば騎士団の量産機を貸与されます。
 格好良く砲撃陣を突破してください!

 第二章について。
 プラントにたどり着いた皆さんは叛乱軍のキャバリアと戦闘になります。
 キャバリアvsキャバリアでも生身vsキャバリアでもどちらでもOKです。
 操縦者を殺さないように機体を破壊できれば洗脳を解くことができます。
 なお、彼等の命はシナリオの成功不成功には関係ありません。

 第三章について。
 叛乱の首謀者が駆るオブリビオンマシンとの決戦です。
 彼女は強力ですが「本来の思想や人柄」を思い出させる言葉や行動を行うことをすれば動揺させプレイングボーナスとなります。ロボものでよくあるやつですね。
 彼女も第二章と同様機体のみを破壊することで正気に戻ります。

 以上ですが、さらにクロムキャバリアでのお約束をお伝えします。
 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 空を飛ぶこと自体はできますが一定の速度を超えると、この世界の暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」による無差別砲撃の対象となります。

 それではよろしくお付き合いいただければ幸いです。
 なお、第二章、第三章に関しては幕間をいれますので、それが入ってからのプレイングをお願いいたします。第一章に関しては公開時から受け付けます。
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第1章 冒険 『対キャバリア砲撃陣を突破せよ』

POW   :    正面から力づくで突破する

SPD   :    砲撃を凌駕するスピードで突破する

WIZ   :    着弾すらも読む機知に富んだ頭脳を駆使して突破する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御剣・神夜
POW行動

誇り高い戦士のようですね
ならば、その誇りをこれ以上傷つけられる前に救出しましょうか
世界は違えど、私も武門の家に生まれた人間
誇りが踏みにじられる前に

砲撃に怯むことなく、正面から堂々と乗り込む
砲撃は衝撃波、薙ぎ払い、範囲攻撃で斬り落とし、吹き飛ばして正面から堂々と向かう
地獄のような鍛練に耐えた日々、極限まで叩き上げ、鍛え上げた自分の技術を信じ、臆することなく、怯むことなく、誰にも負けないと言えるほど極めた、一番初めに覚えた型で斬り込む
「天武古砕流、疾風の型、疾風迅雷!」



 クロムキャバリア、ゾンネ王国の土を踏んだ御剣・神夜(桜花繚乱・f02570)はポニーテールをなびかせて王城に向かう。
 彼女の脳裏に浮かんでいるのは今回の叛乱の首謀者、アデリナ・ホイベルガーのことだ。詳しくは分からないもののオブリビオンマシンに狂わされる前は国と民の為に戦う武人の生を送っていたという。
 それは自らも天武古砕流という剣術を免許皆伝まで修めた武人である神夜にとって親近感を覚えるものだ。

「話を聞く限りアデリナさんは誇り高い戦士のようですね。
 ならば、その誇りをこれ以上傷つけられる前に救出しましょうか」

 それは神夜の決意だ。世界は違えど同じ武門の家に生まれ、誇り高く生きてきた人間の尊厳がオブリビオンによって踏み躙られることは許されない。

 王城についた神夜は叛乱軍の鎮圧を請け負うことを申し出る。
 この世界の主戦力であるキャバリア乗りではない彼女である。その実力を始めは疑った王国だが、物は試しと行われたキャバリア相手の模擬戦に神夜は剣一本の生身で圧倒して見せ、正式に鎮圧依頼を出される。
 神夜はプラントの場所を教えられ、颯爽と王城を後にした。

 叛乱軍を監視する王国軍陣地にたどり着いた神夜は其処の代表に挨拶をしてプラントに至る道の情報を得る。
 道は何種類かあるがその全てに砲撃陣が敷かれているという事だ。
 砲撃は対キャバリアを想定しているということだが人相手にも問題なく機能するようだ。どの様にプラントに行くつもりかと問う代表に神夜は簡潔に答える。

「正々堂々、正面からです」

 代表は呆気にとられたが神夜の凛とした表情から本気だと判断。無理はしないようにと送り出す。

 プラントへの道。砲撃陣の只中を神夜はまっすぐに進む。叛乱軍から静止の声が掛けられても威嚇射撃が行われても彼女が歩みを止めることはない。
 そして遂に直撃すればキャバリアすら破損する威力の砲撃が神夜に狙いを定めて放たれ始める。
 常人であれば直撃はもちろん、その余波ですら致命傷になるであろう砲撃。
 それを前に神夜は些かも臆することも怯むことはない。
 それは自分を信じているからだ。
 地獄のような鍛錬に耐え、極限まで叩き上げ、鍛え上げられた天武古砕流の技術。それをである。
 ゆっくりと美しい所作で剣を構える。それは一番初めに覚えた型。
 誰にも負けないと胸を張って言える程極めた型だ。

「天武古砕流、疾風の型、疾風迅雷! 御剣神夜、参る!」

 砲撃の雨の中を直線で進む神夜。
 降りしきる砲弾を愛刀を振るって薙ぎ払い、斬り落とし、剣風で吹き飛ばす。
 無限にも思える時間が過ぎた後、砲撃の音が止む。砲撃陣を潜り抜けたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

セシリア・サヴェージ
護国の勇士すら逆心させるとは、この世界に闘争が絶えない理由にも頷けます。
ですが私が戦う事で護れる命があるのならば喜んで闘争に身を投じましょう。

敵の砲撃陣を突破するには機動力が必要となります。なのでキャバリアを一機お借りしましょう。
もちろん操縦は初めてですが単純な動きであれば私の【学習力】でも覚えられるでしょう。それに今後の為にも慣れておく必要がありそうです。

UC【暗黒の守護者】で機体の周囲に魔法障壁を展開しつつ目的地まで最短距離で突き進みます。生半可な砲撃では機体に傷をつけることすらできませんよ。


ルパート・ブラックスミス
キャバリアを一機要求。国のエンブレムか何かしらの装飾をつけてくれ。
…騒乱を治める者の中に王国騎士の姿が無いのは、ばつが悪かろう。

砲撃陣、特に砲火の集中地帯へ敢えて【ダッシュ】。
UC【現を彷徨う幽騎】で姿を消し、砲撃を【見切り】回避し突破する。
集中砲火に晒された【地形の利用】したルートなら物音も熱源の特定も困難。自分の凡庸以下の操縦能力でも多少の被弾はあっても突破は可能のはずだ。

オブリビオンマシン…いわば呪いの武具に狂わされた騎士。
…黒騎士の鎧であるこの心身が疼く。
堕ちた騎士の姿と国家崩壊の危機に、記憶を失い知識としてしか知らない亡んだ故国を重ねている。
往くぞキャバリア、貴様の同胞を止める。



 百年の闘争が続く世界。その中に存在する小国家ゾンネ王国の街並みを眺めながら歩く漆黒の鎧を身に纏った凛々しい女騎士が一人。
 セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)である。彼女は思う。

「アデリナ・ホイベルガー、護国の勇士すら逆心させるとは、この世界に闘争が絶えない理由にも頷けます」

 高潔と言っていい人物であっても、搭乗すればその思想を破滅的なものに変じてしまうオブリビオンマシン。
 その存在が百年の戦乱を生んでいるという情報を実感する。
 人死のでる闘争などない方が良い。
 当然のことだ。だが、セシリアは敢えてその闘争の渦に身を投じる。

「私が戦う事で護れる命があるのならば喜んで闘争に身を投じましょう」

 それが彼女の覚悟である。
 まずはこのゾンネの叛乱を収め、王国軍そして叛乱軍の命を助ける。
 その為に王城に赴き、叛乱鎮圧の請負を申し出ることにした。

 セシリアが王城に着いた時、既に先客が交渉をしているところであった。
 先客は頭の天辺から足の爪先まで黒い甲冑に身を包んだ騎士。
 彼女同様にこの国を救う為に訪れた猟兵、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)だ。

「……騒乱を治める者の中に王国騎士の姿が無いのは、ばつが悪かろう」

 話を聞けばルパートはゾンネ王国の徽章をつけたキャバリアを要求していた。
 彼の考えでは叛乱は当然、国民に知られておりその関心は高いはず。
 それを鎮圧する際に王国軍の姿がない、傭兵任せというイメージを与えるのは不味かろうといことだ。
 ルパートの要求は入れられる。
 彼、そしてセシリアに用意されたキャバリアは白銀の騎士然としたキャバリア。
 ゾンネ王国軍の正式採用機で第一騎士団の予備機であり、胸部にゾンネの国章が描かれている。

「これがキャバリアか。なかなかだな」

 勿論、貴重な戦力であるキャバリアだ。誰にでも貸されるものではない。
 二人は試験として搭乗して準備運動、それに続き模擬戦を行う。
 始めこそ慣れない操縦に手こずったものの二人とも僅かな時間で通常の動作は問題ないレベルまで仕上げてみせた。
 そこに加えて騎士団の者にはない力、ユーベルコードである。
 キャバリアとユーベルコードの組み合わせは強力で王国はセシリアとルパートの力を認め、正式にキャバリアを貸与して送り出すこととなった。

 白銀のキャバリアに乗りセシリアとルパートは砲撃陣の前に立つ。
 射程範囲外ギリギリの辺りで警戒していた叛乱軍から声がかかる。
 これ以上近づけば砲撃するとのことだ。

「とのことですがどうします?」
「ここで止まるなら最初から来ていない」
「当然ですね。連携は?」
「突破するだけだ。必要ないだろう」
「分かりました。それではプラントでまた会いましょう」

 その言葉と共にセシリアのキャバリアは暗黒の魔法障壁に包まれる。
 ユーベルコード『暗黒の守護者』の発動だ。

「では、お先に」

 セシリアのキャバリアがプラントまでの最短距離を駆け始める。 

 彼女の言葉に短く返答しながらもルパートが考えていたのは別の事だ。
 警告をしてきた叛乱軍の騎士もオブリビオンマシンの影響下にあるのだろうと。
 彼等はオブリビオンマシン……いわば呪いの武具にその人生を狂わされた騎士だ。
 それを考えると心身が疼く。
 実はルパートは亡国の騎士の魂を宿す黒騎士の鎧のヤドリガミである。
 もっとも生前の記憶はない。
 だが、堕ちた騎士達の姿と国家崩壊の危機に、このゾンネ王国と亡んだ故国が重なって見える。

「――滅ぼさせはしない。往くぞキャバリア、貴様の同胞を止める」 

 セシリアに一拍遅れてルパートも砲撃陣に足を踏み入れる。
 セシリアが最短距離をひた走るのに対してルパートが選択した進路は敢えて砲火の集中している箇所だ。
 愚かな、と叛乱軍が思ったのも束の間、ルパートの機体が消える。
 もちろん、爆散したわけではない。
 ユーベルコード『現を彷徨う幽騎』を発動させたのだ。
 これは自身が触れている対象を透明化する効果があり、見事にキャバリアを透明化させている。
 物音や体温を消せないという弱点はあるものの今この時に限っては関係ない。
 爆音鳴り響く戦場で物音や体温で位置を特定するなど不可能であるからだ。
 ルパートを見失った叛乱軍はそれでも砲火を放ち続けるが、精度はないに等しい。
 直撃する進路の砲弾もあるにはあるが、その程度ならば歴戦の彼にとって見切るのは容易い。
 慣れないキャバリアの操縦という事で掠ることはあっても有効打を貰うことなく砲火陣突破を実現する。

 一方のセシリアはどうなったか?
 途中ルパート機が透明化したことにより、見えているセシリア機への砲火は確実に増えた。
 だが、数十、数百に及ぶ砲弾もセシリアのキャバリアを傷つけることはできない。
 その全てが機体を覆う黒い障壁に阻まれたからだ。

「生半可な砲撃では機体に傷をつけることすらできませんよ」

 キャバリアを走らせながらセシリアが嘯く。
 そして、その言葉通り無傷で砲撃陣を突破して見せるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛
※アドリブ/連携などお任せ

内輪揉めってこたァ、今回の現場もおたく(ゾンネ王国)の国内なんだよな
殺しは避けろと聞いちゃァいるが、施設(プラント)や領土にゃどのくらい気をつかえばいいんだ?
(2~3章に向けて確認)


プラントについてからどうすっかはともかく、まずは道中だ

相手がただの人間ってんなら話はちょろい
(千里眼で砲撃陣を捕捉、UC使用)

ちょいとばかし幻覚を見てもらおう
元がすでに悪い夢に正気をうしなってるっつう話だし、遠慮は要らない
ドンパチよりは穏便なやり口だろ?

上等な兵器でも、使う人間がゆめうつつなら玩具以下さ
あんまり壊さずに済むならそのほうがイイだろ



 アデリナ・ホイベルガーの叛乱。
 その対処に追われる王国政府だが、討伐軍の編成と並行して傭兵の雇用も受け付けていた。幸いにして腕の立つ傭兵が複数名乗りを上げ、既に雇用されて叛乱軍の許に向かっている。
 今も担当官の元に新たに一人訪れていた。
 小柄な妖狐の少女、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)である。
 華奢な外見の彼女に始めはまともに取り合おうとしなかった担当官だが、不可思議な術を見せられ、態度を改めている。

「――内輪揉めってこたァ、今回の現場もおたくの国内なんだよな?」
「はい、そうです。ホイベルガー騎士団長が立て籠もっているプラントは国内にあります。とは言え、国境もそう遠くないので出来るだけ早期の解決が望まれています」
「ふーん、殺しは避けろと聞いちゃァいるが、施設や領土にゃどのくらい気をつかえばいいんだ?」
「そうですね、ご存じかと思いますがプラントはしばしば他国との奪い合いの舞台となります。この為、プラント周辺は防衛施設で囲まれていますが、これを完全に破壊されると他国に付け入られる隙となるので可能な限り傷つけないでいただきたいのが本音です。とは言え、プラント奪回が最優先ですので、仮に防衛施設を全壊させても、それに文句を言うことはありません」

 また、プラント及び周囲の防衛施設には騎士団関係者以外は現在ほぼいないということだ。これは出入りの業者や働いていた一般人の多くを占領時にホイベルガーが追いだした為だ。
 ほぼといったのは少数、志願して残っている者もいるようだが、ホイベルガーの性格的に一般人を危険地区に置いているとは考えにくく戦闘の際は特に考慮しなくても大丈夫だろう。

「と言ってもホイベルガー騎士団長が正気ならこの様な事態には陥っていないと思いますが」

 と担当官は疲労の滲んだ顔で苦笑する。
 その上で万が一、その様な人間に犠牲が出ても、故意でない限りは処罰はないと約束した。また、叛乱軍に関しては特に殺しを避ける必要はないという。
 流石にホイベルガーは動機の解明を行いために生け捕りを望まれるが、あくまでプラント奪回が最優先の為、現場での判断に任せるとのこと。
 これは猟兵と王国で温度差があるが、オブリビオンに洗脳されたいわば犠牲者として叛乱軍を見ている猟兵に対し、王国は突如叛旗を翻した謀反人として見ているので致し方ないことだろう。
 他にも気になることを確認した後、狐狛はプラントを目指して王城を後にする。

 砲撃陣を前にした狐狛には余裕がある。

「プラントについてからどうすっかはともかく、まずはこの砲撃陣だ。といっても相手がただの人間ってんなら話はちょろい」

 彼女の琥珀色の瞳が煌めき白銀色に変化する。
 彼女の瞳術の一つで視覚強化、いわゆる千里眼の状態になる。
 それにより砲撃陣の砲門、それを動かす人間を捕捉。

「ちょいとばかし幻覚を見てもらおう。
 元がすでに悪い夢に正気をうしなってるっつう話だし、遠慮は要らない。
 なに、ドンパチよりは穏便なやり口だろ?」

 発動させたユーベルコード『千夜一夜の夢騙り』は対象者に凶夢で出来た迷宮の幻術を見せる。
 あちらこちらで聞こえる悲鳴を後目に狐狛はゆうゆうと砲撃陣を進み、突破することに成功するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
何れの世界であろうとも、私のする事に変わりはありません

◆行動
折角ですし、量産型キャバリアを借用しましょう
そうですね
推進剤と盾を余分に積載しておきましょう

では…奇蹟の一端をお見せしましょう
『涅槃寂静』にて「死」属性の「磁気嵐」を行使
自機は【各種耐性】を高めた【オーラ防御】で覆う事で磁気嵐の影響を軽減
推進剤の全力噴射で一気に敵陣に迫ります

…精密機器は便利ですが、存外脆いものです
機器による補助は磁気嵐下では役に立たず、強風下で正確な射撃を行う事も困難です
精彩を欠いた砲撃等、数が揃おうとも脅威になりません

それでも尚此方に当りそうな攻撃は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し相殺



 猟兵達の襲来。
 ゾンネ王国の叛乱軍に占領されているプラント周辺は現在、絶え間ない砲撃の轟音が鳴り響いている。
 そんな砲弾の降りしきる戦場に近づく一機のキャバリアがいた。
 その銀色の王国騎士団量産型キャバリアに搭乗するのは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)である。

「もう始まっているようですね」

 フードを目深に被った彼女はこころなしか笑みを浮かべているようだ。
 平穏を愛する聖女にして、殺戮を嗜好する獣でもある彼女。今は後者が顔をのぞかせているようだ。
 キャバリアという人型兵器が戦場の主役を務める世界。

「折角ですし、量産型キャバリアを借用しましょう」

 そう言って王国からキャバリアを借り受けたのは物珍しさのためか。
 操縦はここまでの道中で慣れた。後は実戦でどこまで動けるかである。
 絶奈機の接近に叛乱軍の砲台が彼女に照準を合わせる。
 それを感じ取りながら絶奈は喜色を滲ませた声で宣言する。

「では……奇蹟の一端をお見せしましょう」

 絶奈の駆るキャバリアに幾重もの防御障壁が展開された次の瞬間、強烈な磁気嵐が吹き荒れ始める。
 それはユーベルコード『涅槃寂静』にて発生させらた死の磁気嵐だ。
 絶奈機を中心に戦場を覆わんばかりに広がる。
 磁気嵐は精密機械に悪影響を与える。それが死の属性を纏っていればなおさらだろう。

「……精密機器は便利ですが、存外脆いものです。
 機器による補助は磁気嵐下では役に立たず、強風下で正確な射撃を行う事も困難です。精彩を欠いた砲撃等、数が揃おうとも脅威になりません」

 その言葉は現実だった。何とか絶奈機を止めようとする叛乱軍だがほとんどの砲弾は見当違いの方向に飛んでいく。
 そうでない砲弾も彼女の放つ衝撃波に吹き飛ばされると叛乱軍は砲撃陣での絶奈の撃破を諦めざるをえない。
 なお、絶奈自身が乗るキャバリアへの磁気嵐の影響は防御障壁に阻まれ、最小限にとどめられる。その様な状態の中、推進力を全開にした絶奈はプラントに高速で迫って行くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・コーエン
「国を守ることこそ武人の本懐」という武人を傀儡に使うか。
そんな真似するガラクタは廃棄処分にして骸の海に捨てねばな!

叛乱鎮圧は国が傾くので、第三者を使った基地監査(戦闘も監査の一環で終わらせる)の態にするよう上層部に掛け合う。

生身で戦場に向かいUC発動。
左手をブラックホールに変換して砲撃の弾を吸込対象に設定。
真紅の【オーラ防御】を身に纏い、右手には灼星剣を握り、左手は変換したブラックホールを掲げ、降り注ぐ弾丸を全て吸い込み、悠々と戦場を歩いて踏破。

その上で「これより我らゾンネ王国傭兵部隊は、当基地内の外部監査を実行する。監査対象の諸君等(キャバリアパイロット)に資料提出を要請する」と大音声で通告



 ゾンネ王国で起こった叛乱を鎮圧――実際は原因となったオブリビオンマシンの排除――の為に訪れた猟兵達。
 その中に黒い軍装の青年の姿もあった。シン・コーエン(灼閃・f13886)である。
 思想を狂わされて叛乱を起こした叛乱軍に対する同情、それをなしたオブリビオンマシンに対する憤りを持つ者も多い。
 その中でも一際強い感情を抱いているのは彼ではないだろうか。
 彼自身、若いとはいえ歴戦の戦士でありひとかどの武人だ。
 それだけに同じ武人であるアデリナ・ホイベルガーに対する同情は強い。

「国を守ることこそ武人の本懐、という武人を傀儡に使うか。
 そんな真似するガラクタは廃棄処分にして骸の海に捨てねばな!」

 というのがシンの心情だ。
 また、鎮圧に関しても腹案があり、それを現在、王国側に提案している。

「基地監査ですか?」
「そうだ、叛乱となれば他国に付け入る隙となるし、国民の不安も無視できない」

 シンの主張では、叛乱軍の鎮圧を第三者を使った基地監査(戦闘も監査の一環で終わらせる)の態にすればどうかというものだ。
 叛乱軍はもちろん、自分達を叛乱軍などとは名乗っていない。
 だが、プラント占拠時にそこに従事していた民間人の多くが解放されており、彼等の口から占拠の事実自体は広まっている。
 周辺国にもその情報が伝わっていないとは考えられない。
 ここで正規軍による鎮圧を行えば、はっきりと叛乱と認識され鎮圧に成功したとしても弱体化しているとみられる可能性がある。
 それを防ぐ為の提案だ。

 王国側の答えはシンが試みる分には構わないということだ。
 というのも既に数人の一騎当千ともいえる傭兵が現地に向かっており、現場がどうなっているのか不明であるからとのことだ。王国側は他の傭兵の行動を掣肘する気はないらしい。

「それで構わない」

 とりあえずの結果だがシンは割り切る。後は自分が結果を出せばいい。
 叛乱を基地監査という形に収めることができれば先に言った成果の他にも叛乱軍の処遇も変わってくるはずだ。

 その様な思いで今、シンは砲撃陣の只中を歩いている。
 降り注ぐ砲弾の雨をものともせず真紅のオーラを身に纏い悠然と進む。
 それを可能としているのはユーベルコード『漆黒の門』の力だ。
 体の一部を吸引対象を自在に決められるブラックホールに変えるこの力で左手を暗黒の球体となし、砲弾をことごとく吸い込んでいるのだ。
 かすり傷一つ負わずに砲撃陣の踏破した後、シンの本当の戦いが始まる。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
オブリビオンマシンに乗ってしまったが故に
起こってしまった叛乱ですか
しかもそれが多発……こういう世界もあるのですね
ところで報酬交渉もいいのですね?
「報酬としてこの世界の本をいただけないでしょうか。
本だけではなく資料、文献などでもよいですが」

戦闘は折角なので量産機に乗りましょう
ただ動かしやすいように調整を行います(メカニック+ハッキング)

さて、まず砲撃陣を突破ですが…
学習力でパターンを覚えて進み、難しいところは念動力や衝撃波
もしくは手元の兵装で防いでいきましょう
難しそうな局面はUCで防げればと
…戦争よりも本を読む方が有意義ですよ

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
(グリモアベースで手に入れたパンフレット見つめ)
ロボットの国、ね……キカイってあまり得意ではないのよね。
オブリビオンマシンが幾らか扱いやすそうかしら。

交渉はアイビスに任せるわ。
欲しい物は……オブリビオンマシン(薄く笑う)

量産機に乗るの?え、ええ……わかったわ(生身で突っ込むつもりだった)
出来れば装備は刀にして貰いたいのだけれど。

やたら撃って来るわね。
量産機の扱いは……何とかなりそう。
目的地に辿り着く前に、準備運動を終わらせないといけないわね。
(武器の耐久テストも兼ねて、属性魔法や呪詛を刀に纏わせて砲撃を弾き返す)
自分の武器が恋しくなるわね。

アドリブ大歓迎!



 ゾンネの王都。王城に続く道を二人の少女が歩いている。
 白と黒、対照的な髪色の二人は猟兵、アイビス・ライブラリアン(新米司書人形・f06280)と蓮・紅雪(新雪・f04969)である。

「オブリビオンマシンに乗ってしまったが故に起こってしまった叛乱ですか。
 しかもそれが多発……こういう世界もあるのですね」
「オブリビオンマシンは猟兵以外には判別がつかないそうよ。怖いわね」

 第三騎士団長の叛乱。まだ戦火に巻き込まれていないとは言え、どこか騒然とした雰囲気の王都を見ながらアイビスが言えば、紅雪がグリモアベースで手に入れたパンフレットから仕入れたばかりの知識を披露する。

「さっきから読んでいるそれは何ですか、紅雪?」
「グリモアベースで貰ったのよ。この世界の情報が書いてあるわ」
「誰が作ったのです?」
「さあ……? でも、ロボットの国、ね……キカイってあまり得意ではないのよね。
 乗るとしたらオブリビオンマシンが幾らか扱いやすそうかしら」

 パラパラとパンフレットを捲りながら言う紅雪に司書でもあるアイビスは私も欲しいですね、と思いつつこれからの話をする。

「これから王国に傭兵として雇われるわけですが、報酬交渉はしてもいいということでしたね。紅雪は何か希望がありますか?」
「そうね、交渉はアイビスに任せるわ。
 欲しい物? 欲しい物は……オブリビオンマシン」

 薄く笑って物騒なことをいう紅雪。
 それを王国が持っていたら大変ですね、と流すアイビス。
 とは言え今この王国にはオブリビオンマシンが確実にある場所が判明している。
 これから向かう叛乱軍だ。

「鎮圧したら一機くらい貰えるかもしれません」
「えっ……本当に?」
「分かりませんが可能性はあるのではないでしょうか」

 そんな話をしながら王城についた彼女達は担当官と交渉する。
 立て続けに現れた常識外の猟兵との交渉に慣れてきていた担当官。
 二人の可憐な少女という外見に惑わされずに手早く彼女達の力をはかって傭兵として正式雇用する。
 ちなみに報酬はアイビスはこの世界の本、紅雪は鹵獲した叛乱軍のキャバリア一機である。いずれも成功報酬となる。価値がだいぶ違うが本人達が満足しているので問題ないであろう。

「戦闘は折角なので量産機に乗りましょう」
「量産機に乗るの? え、ええ……わかったわ」

 叛乱鎮圧の為に二機、騎士団の量産型キャバリアを借り受けたアイビス。
 生身で突っ込むつもりだった紅雪だが、それも良いかと考える。ただ。

「出来れば装備は刀にして貰いたいのだけれど」
「残念ですが刀はないようです。剣で我慢してください。動かしやすいように調整を行いますので」
「仕方ないわね。調整はお願いするわ」

 オブリビオンマシンを手に入れたらキャバリア用の刀も欲しいわね、などと言う紅雪を後目にアイビスは量産機の調整を終える。

「どうでしょうか?」
「……いいわ。これなら何とかなりそう」

 二人はキャバリアを駆り、叛乱軍の許に向かう。
 そして、砲撃陣である。
 叛乱鎮圧の為にはまずこの砲弾の嵐を突破しなければならない。
 二人はまずは射程範囲外で様子を窺う。他の猟兵が突破中、あるいは突破したのか轟音が鳴り響いている。

「さて、まず砲撃陣を突破ですが……」
「やたらと撃ってるわね。でも準備運動にはなりそうだわ」

 恐れることなく砲撃陣に足を踏み入れる二人だが、その歩み方は対照的だ。
 砲撃のパターンを見極め、最小限の動きで回避あるいは防ぎ進んでいくアイビス。
 それに対して紅雪はキャバリアの性能を確かめるように積極的に砲弾を斬ったり弾いたりしながら進む。
 だが、結果は同じだ。砲撃陣を二人とも難なく突破し、プラントに辿り着く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルティス・ワーライン
【パンドラ】
今回はパンドラの仲間と共に行動することにする。
あまり高くは飛べないが、航宙駆逐艦『鬼やらい』と、俺のUCで進軍を援護しよう。メカニカルガーディアン達は4人単位で分かれて行動しろ。数に物を言わせた攻撃で奴らの注目を浴びてやれ。

ふん、この艦に撃たれたとしても『自動修復エナジーアーマー』があれば軽減できる。それに自動修復効果もあるからな。ある程度丈夫なんだ。

俺かメカニカルガーディアン、もしくはパンドラを砲撃してきた陣地には『タングステン弾磁力加速砲』で砲撃する。900mmタングステン弾の感触はどうだ?

逃げる奴は撃たねえし、お前らも撃つなよ。敵の戦意さえ挫ければ。それでいい。


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
あの機械の巨人に取り憑いたオブリビオンも放っておけないし、それに囚われた騎士団長もこのままにしておけない。行こう、二人とも。
事前にフォルティスさんの空飛ぶ鉄船に結界術を施しておこう。
フォルティスさんが上から敵を撹乱してくれてる間に、俺は鉄馬に乗って一気に駆け抜けよう!(運転、推力移動、悪路走破)
鉄馬の前方にはオーラ防御と結界術を展開して、危険な攻撃は【竜盾の軍勢】を展開して避けよう。
道を遮られたり分断されたら、盾達を操って並べ、道にする。奴らの真上を越えて一気に飛び込むぞ!(ジャンプ)


黒柳・朔良
【パンドラ】
新世界クロムキャバリア、100年もの間戦乱が続く世界か
この世界ではロボットに乗って戦うのが定石らしいが、現状の装備では私の強みが活かせそうにない
キャバリア同士の戦闘は他の猟兵に任せて、私は生身で敵の間を抜けていこう

選択UCで自身の存在を消して進む
空からフォルティスが敵をかく乱してくれている
上空と敵からの砲撃に気をつけてさえいれば問題はない

かの騎士団長が叛乱を画策したのはきっとオブリビオンマシンのせいだろうな
あれは乗った人間の思考を歪めるそうだから
オブリビオンマシンさえどうにかすれば彼女は元に戻るだろうが
っと、そんなことを考えている場合ではないか
とにかく早くここを突破してしまおう



 叛乱軍の占拠したプラント。この世界で暮らすにあたって必要不可欠な施設の為、他国やテロの標的になりやすい。この為、防衛にも力を入れており、本来なら数倍の兵力差であっても落とすのは難しい。
 その防衛機構の一端、砲撃陣。プラント周囲にぐるりと張り巡らせた砲台は先ほどから火を噴き続けている。
 王国が叛乱鎮圧の為に雇った傭兵の襲撃に対応してのことである。

 その様子を浮遊する戦船、航宙駆逐艦『鬼やらい』の船上から赤髪赤瞳の男――外見は少年だ――が見つめる。
 フォルティス・ワーライン(宇宙を駆けるケントゥリオ・f18278)である。
 高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』。この存在の為、クロムキャバリアの空は自由ではない。
 だが、全く飛べないかと言われれば否だ。高度と速度、この二つに気をつければ飛行自体は不可能ではない。
 フォルティスはそれを慎重に見極め、低空と微速を使い分けて進むことで暴走衛星の目を潜り抜けている。

「砲撃陣の前に衛星に撃ち落されたら溜まらんからな。さて、ジークや朔良の準備は良いかな?」

 先程下船した二人の猟兵、ジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)と黒柳・朔良(「影の一族」の末裔・f27206)の姿を確認する。
 二人とも既に準備はできている様だ。

「それでは――さぁ、今日の仕事だ。今回も頼むぞお前たち!」

 ユーベルコード『メカニカルガーディアン』を発動させ300を超える幽霊の特殊部隊を召喚する。
 召喚した幽霊達を4人単位の小隊に分け地上を進軍するジークと朔良の援護を命じると、幽霊の軍団は敬礼して降下していく。

 幽霊の軍団降下の少し前。
 先んじて地上に降り立った二人の猟兵は目的地であるプラントを見つめていた。

「かの騎士団長が叛乱を画策したのはきっとオブリビオンマシンのせいだろうな。あれは乗った人間の思考を歪めるそうだから」
「そういう話だね。あの機械の巨人に取り憑いたオブリビオンも放っておけないし、それに囚われた騎士団長もこのままにしておけない」
「……オブリビオンマシンさえどうにかすれば彼女は元に戻るだろうが」
「グリモア猟兵はそう言っていたね。今はそれを信じよう」
「そうだな。……っと、フォルティスの軍団が降りてきた。まずはここを突破してしまおう」
「ああ、行こう」

 幽霊の軍団が降下してくるのを見て、鉄の馬に騎乗するジーク。
 全身に甲冑を纏っていることもあり、騎乗した姿はまさに鋼鉄の騎士といった威風だ。対して朔良はモノトーンで統一された服装で街中を歩いていても違和感のない軽装である。
 二人とも自らの戦闘スタイルを現状ではキャバリアでは活かせないということでこの選択だ。(もっともジークの乗る鉄馬はキャバリアを大改造してできたものだが)
 
 地上に降下した幽霊部隊が散開して配置につき、空中の『鬼やらい』がゆっくりと前に進む。
 射程範囲に入った『鬼やらい』に砲弾が飛んだのを合図にジークと朔良、そして幽霊軍団が突撃を開始する。

 鉄馬に乗ってジークが一気に駆ける。
 進行方向から無数の砲弾が飛んでくるが幽霊軍団が広く散開して進んでいる為に狙いが絞り切れていない。
 どうしても砲撃は分散的となり、それではジークを止めることはできない。
 もっとも、集中砲火が実現していたとしても今の彼を止めることが可能かどうかは不明だ。鉄馬の前にジークによって展開される障壁は強固。直撃以外では揺らぎもしない。
 また、直撃弾に対してもユーベルコード『竜盾の軍勢』で現出せしめた無数の盾。
 一枚一枚が竜のブレスをも退けるそれを自在に操り、一撃は複数重ねることで耐え、また他の一撃は弾道を逸らす。
 そうやって一直線にプラントめがけて進む。その最後は圧巻であった。
 操った盾を並べて空を駆ける道を作り、そこを踏破して防衛陣地の壁を飛び越えて侵入を成功したのだ。

 力強い正面突破を見せたジークとは対照的に朔良には砲弾が飛ぶことすら稀だ。
 稀に飛ぶ砲弾も彼女を狙ったものではない。たまたま彼女が進路上にいた、といういわば流れ弾だ。
 それは何故か?
 砲撃を行う叛乱軍が彼女を知覚できていないからだ。
 別段、朔良が透明になった訳ではない。だが、彼等は知覚できない。
 ユーベルコード『影に潜む暗殺者』の発現により自らの存在を消した朔良。
 今の彼女を知覚することは常人には不可能であろう。
 流れ弾にだけ注意をして朔良は砲撃陣を悠々と突破する。

 空中と地上、二面から進攻するフォルティス達だが脅威度が一番高いと判断されたのは空飛ぶ駆逐艦だ。鬼のマークをつけたこの船にいきおい砲撃も集中する。

「ふん、生半可な砲撃で落とせると思うなよ」

 航宙駆逐艦『鬼やらい』。
 その外装はエナジーシールドに守られ砲撃の衝撃を減少させる。
 また、少々の傷は負ったその瞬間からじわじわと修復が開始されている。

「この分なら大丈夫だな。なら、注目をもっと引いてやるか」

 フォルティスの操作に従い、主砲、タングステン弾磁力加速砲が火を噴く。
 超高速で放たれた質量弾は狙い違わず防壁を砕き、砲撃陣の一角を沈黙させる。
 それに対する叛乱軍の答えはより苛烈な砲撃だ。
 流石にダメージが蓄積していくが、当然、フォルティスに砲撃が集中する分、地上の圧は減じる。計算通りだ。

「戦意までは挫けないか。大したものだが、どっちみち同じだ」

 そう、集中砲火を以てしても撃沈することは叶わず、『鬼やらい』はプラント上空に到着する。こうなると砲撃陣は無意味だ。

「プラント到着。だが、ここからだな」

 プラントから出撃してくる叛乱軍のキャバリア軍団。叛乱鎮圧は第二局面に入る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『オブシディアンMk4』

POW   :    ホークナパーム
【油脂焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【高温の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ピアシングショット
【スコープ照準】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【RSキャバリアライフル】で攻撃する。
WIZ   :    マイクロミサイルポッド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【誘導ミサイル】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 プラント施設内。
 叛乱軍の首謀者であるアデリナ・ホイベルガーの執務室に伝令が入る。
「敵襲です。現在、敵は砲撃陣の突破を試みています」
「ああ、砲撃の音は聞こえているよ。要求は入れられずか。
 まあ、良い。それにしても早いな。敵は第一騎士団か?」
「いいえ。敵は傭兵。それもごく少数と思われます」
「討伐軍編成までの時間稼ぎか……しかし、少数というのは気になるな。
 私も司令部に行く」

 王国、いやこの世界でも最重要施設であるプラント。
 重要なだけに守りは堅く、その最初の守りである砲撃陣は何十機ものキャバリアの軍団を撃退してきた実績がある。この時点ではまだ叛乱軍に焦りはなかった。
 しかし、数機のキャバリア、そして驚くべきことに生身の人間も嵐の様な砲撃の雨の中を確実に進んでくる。そうしている内に空を飛ぶ船まで現れた。

「奴らは何者だ?」
「分かりませんが……異常です」

 クロムキャバリアが猟兵達に発見されてまだ日が浅い。この為、多様なユーベルコードを操り戦場を駆ける存在をまだ叛乱軍は知らない。
 一人で戦局を左右する凄腕のキャバリアというのは分かる。アデリナ自身もそうだ。だが、今、プラントに向かってきている者たちはそれとは違う感じを受ける。

「全機戦闘態勢へ。奴らが辿り着き次第、全軍を以て倒す」
「全機ですか?」
「そうだ。私も出る。万が一のこともある。奴等をプラントに入れるなよ」

 アデリナは砲撃陣で猟兵達を止められないと判断。全戦力で迎え撃つことを選択する。戦力の逐次投入は悪手となる、それが彼女の判断だった。

 砲撃陣を潜り抜けた猟兵達を待っていたのは叛乱軍のキャバリア軍団だった。
 第三騎士団正式採用の『オブシディアンMk4』。
 射撃能力に優れたキャバリアで連携も取れている強敵だ。
 奥には首謀者であるアデリナの乗る『セラフィム・リッパー』の姿も見える。

 叛乱軍からの射撃により叛乱鎮圧の第二幕が上がる。

 ==================================
 この章でアデリナ機を攻撃することは出来ません。
 敵軍の数が多く、彼女までの道を命がけで阻むからです。
 また、アデリナから攻撃してくることもありません。
 彼女は猟兵達の力を測っているようです。
セシリア・サヴェージ
あれが敵のキャバリア……そしてアデリナさんが乗る機体も。
私は彼女に用があって来ました。大人しく道を開けてください。

……と言って聞く訳もないですね。強行突破します。
パイロットを傷つけないよう配慮しつつ敵機を行動不能にします。具体的には【武器落とし】で武装解除。あるいは動力部や四肢を【部位破壊】します。
攻撃にはキャバリアに搭載されていた剣を使います。簡単な模擬戦とはいえ一度経験済みですから戦闘は問題ないはずです。

アラート?こちらにナパームという兵器が飛んできているようです。
ならばUC【闇の魔力】で飛翔体に干渉し明後日の方向へ逸らします。操縦技術で劣っている以上、暗黒でカバーするしかありませんね。


御剣・神夜
ふむ、射撃戦用の機械人形ですか
関係ありません。天武古砕流は火縄銃に対抗するために練られた流派
機械人形が相手だろうと変わりません。銃弾ごときで止められると思わないでください

ホークナパームを撃たれても焦ることなく、衝撃波で発射されてから着弾するまでの間に両断して距離を詰める
距離を詰めたら鎧砕きでキャバリアの装甲を砕きつつ、コックピットを避けて相手の武器と四肢を斬り捨てる
「あなた方が何故加わったのかは分かりませんが、戦士であるなら命を散らすのは戦場。仲間と戦うような場所で散らすものではありません。もっと別の場所で、戦士として散らしてください」


シン・コーエン
今回も生身で。

部下を総動員して迎撃し、後詰と観察が最強戦力の騎士団長か。
見事な対応だ。
ならば騎士団長救出から逆算して、目前の戦闘を乗り切ろう。

UC:灼星凄雨を使用。
十倍サイズの灼星剣87本を創造し、自在に操作して敵機群を攻撃。
主に両腕を斬り落とす事でパイロットを殺傷せず無効化狙い。

シンは【空中浮遊・自身への念動力・空中戦】により(衛星に狙われない程度の速度で)空を自在に駆けて敵機の狙いを逸らし、【第六感・見切り】により攻撃を躱す。
追尾ミサイルは【衝撃波】で破壊し、爆風等の範囲ダメージは【オーラ防御】で防ぐ。

接敵すれば灼星剣と村正の【2回攻撃・鎧無視攻撃】で、パイロットに当てぬよう斬って破壊!



 ゾンネ王国第三騎士団団長による同国のプラント占拠。
 その叛乱の原因がオブリビオンマシンと知る猟兵達は王国に傭兵として雇わた形をとり鎮圧に赴く。
 第一関門である砲撃陣の激しい砲火の中を潜り抜け、プラントに辿り着いた彼等を待っていたのは陣形を整えて待つ叛乱軍のキャバリアであった。
 前衛二機後衛一機の三機を基本とした編隊を組んだ叛乱軍のキャバリア部隊。
 猟兵達の数を把握した叛乱軍は素早く一人に対し二部隊ずつ迫る。

●セシリア・サヴェージ
「あれが敵のキャバリア……そしてアデリナさんが乗る機体も」

 急速にしかし整然と迫りくる叛乱軍のキャバリア。その奥に見えるアデリナ機をセシリアは見据える。

「私は彼女に用があって来ました。大人しく道を開けてください」

「そう言われて開ける訳がないだろう!」
「宰相に与する者め、団長閣下は我々が護る!」

「そうですね、聞く訳もないですね。それでは、強行突破します」

 そう言って王国から貸与されたキャバリアのギアを上げる。
 ライフルを撃ちながら迫りくる敵機に対し、恐れることなく前に出る。
 無傷とはいかないが自機にオーラを纏わせることで損傷を最低限に抑えたセシリアは剣の間合いまで接近することに成功。

「……こいつ!」
「命まではとりません。ご安心ください」

 そしてすれ違いざまに掬う様な斬撃で一機の右脚を斬り落とすとバランスを崩したその敵機を足場にして跳躍。
 隣の敵機の頭部を跳び越しざまに破壊して見せる。
 一瞬で二機の戦闘能力を大幅に奪ったセシリアに叛乱軍の間に緊張が走る。

「なんて奴だ」
「絶対に抜かせるな!」

 熟練の六機対つい先日に模擬戦を一度こなしただけの一機。普通ならば勝敗は分かり切っているはずだ。
 だが、結果は裏切る。
 六機は軽度の損傷こそ与えるもののセシリア機を捉えきることができず、逆にダメージを蓄積していく。仮にセシリアが騎士達を傷つけないと決めていなければ、もっと容易に決着はついていただろう。

「仕方ない、我々ごと撃て!」
「しかし……!」
「閣下の許に向かわせるわけにはいかない。こいつは危険だ」

 六対一という圧倒的な優位で始まった戦いだが、開幕早々距離を詰められた為に後衛の援護が効率的とは言えなかった。
 しかし、このままでは敗北は必至と後衛から乱戦となっている戦場に『ホークナパーム』が放たれる。
 これは油脂焼夷弾である。
 破壊を主目的とするものではなく、命中したものを高温の炎で焼き尽くすものだ。
 厄介な点は回避したところで戦場自体が火災となるので影響から免れるのが難しいところか。

「アラート?」

 後衛から放たれた焼夷弾はすぐさまセシリアの搭乗するキャバリアのセンサーに感知され警告音が鳴り響く。回避困難、否、回避しても影響を免れないと判断したセシリアはすぐさま『闇の魔力』を発動する。
 その結果。

「――何!?」
「バカな――」

 味方ごとセシリアのいる場所に炸裂するはずだった焼夷弾は見えない力の干渉により、明後日の方向に飛んでいく。

「操縦技術では貴方達に一日の長がありますが……私には暗黒の力があります」
「暗黒……!?」

 その後も叛乱軍は最後まで粘り強く戦うが、最終的には六機すべて戦闘能力を奪われることとなる。

●御剣・神夜
 鋼鉄の巨人の戦場に生身で立つ女剣士、神夜。
 彼女に対しても六機のキャバリアが迫る。

「ふむ、射撃戦用の機械人形ですか」

 射撃重視の敵機に対して神夜の得物は刀。圧倒的な射程距離の違いがある。だが。

「関係ありません。天武古砕流は火縄銃に対抗するために練られた流派。
 機械人形が相手だろうと変わりません。銃弾ごときで止められると思わないでください」

 恐れの色なく距離を詰めていく。
 当然、ライフル射撃が彼女を襲うが、当たらない。
 横跳びで回避、またあろうことか巨大なキャバリアの銃弾を斬って見せている。
 この動きは叛乱軍の騎士たちの心胆を寒からしむるには十分だ。

「近づけさせるとまずい。ナパームを撃て」

 この判断は正しいと言えるだろう。
 神夜が如何に迅速な動きをするといっても戦場自体を高温の火炎で覆ってしまえば回避も何もない。

「――無駄です!」

 飛来する『ホークナパーム』、その特性を理解していた訳ではない。
 だが、彼女の戦士の勘が最適解を引き寄せる。
 愛刀を高速で振るい衝撃波を放てば、それは焼夷弾を両断して爆発を許さない。

 そしてゼロ距離。敵機との距離を詰めきった神夜はその敵機そのものを足場に跳躍して剛剣を振るう。

 斬、斬、斬。

 神夜が刀を振るう度にキャバリアの腕が、脚が斬り落とされていく。
 装甲を砕き、コックピットが剥き出しになれば騎士も覚悟を決めざるを得ない。

「――負けだ。殺すがいい」
「あなた方が何故加わったのかは分かりませんが、戦士であるなら命を散らすのは戦場。仲間と戦うような場所で散らすものではありません。もっと別の場所で、戦士として散らしてください」
「何を――」
「すぐに分かります。オブリビオンマシンの呪縛から解き放たれれば」

 神夜は騎士の命を奪うことなく六機全てを破壊。機体を破壊された騎士は呪縛が解かれ混乱している様だ。

●シン・コーエン
 戦場を生身で戦っているのは神夜だけではない。
 シンもまた光の剣と日本刀を両腕に持ち、空を飛んで叛乱軍に迫っていた。

「部下を総動員して迎撃し、後詰と観察が最強戦力の騎士団長か。見事な対応だ」

 叛乱軍の動き、アデリナの指揮を褒める。
 敵とは言え優秀な武人との戦いに胸が躍るのはシンが生粋の戦人だからだろう。
 とはいえ目的を見失うことはない。

「騎士団長も、そして今目前にいる騎士達も救って見せる。その為にまずはお前たちを無力化する!」
「人が空を飛ぶなど――!」
「貴様たちは一体何なのだ」

 空を自在に駆けて銃弾を躱して接近したシンは間髪入れず『灼星凄雨』を発動する。

「我が剣よ、全てを滅ぼす凄雨と化し、天空を駆け、大地に降り注げ」

 その言葉と共に顕われるのは八十七本の光の剣。シンがその手に持つ光剣と同じ形をしているがそのサイズはおよそ十倍はあるだろう。
 これを念力で全てばらばらに操作するのがユーベルコード灼星凄雨の効果である。

「何だ、いきなり現れたぞ」
「遠隔操作か――!?」

 巨大な光の剣はその一本一本が意思を持っているかのように空中を自在に動き、キャバリアを襲う。
 圧倒的な数。
 ライフル弾で光剣を次々と撃ち落していくも、その間にキャバリアも武器や腕、脚が破壊されていく。
 また、巨大な光剣にかまけているとシン自身が二剣を振るって装甲を破壊してくる。恐れるべきは八十七本もの光の剣を同時に操りながら自身も戦えるというシンの戦場把握能力だろう。

 騎士を殺さずに機体のみを破壊する。
 この難しい課題を創り出した光の剣を殆ど撃ち落されたもののシン自身は傷を負うことなく達成する。


 叛乱軍のキャバリアと猟兵の直接対決は猟兵優位で推移していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
国家の生命線であるプラントを背にされては射撃などできん。
白兵戦を仕掛ける。

爆槍フェニックス会敵前に射出、【誘導弾】として敵UCの迎撃(【武器落とし】)。
接敵し乱戦に持ち込めば、ミサイルに対して【敵を盾にする】こともできるやもしれん。

此方のキャバリアも剣ぐらいはあるな?(無いなら敵の左手の物を奪う)
【映す心断ち割る呪剣】を発動し【2回攻撃】。
一撃目は【フェイント】も兼ねた空振りで目視した敵の意識を、二撃目で機体を斬りかかる。
先(第1章)のレクチャーでキャバリアの構造は把握した。(【戦闘知識】)
操縦席を避けつつ武装が集中した上半身を【部位破壊】だ。

護国の使命があるのだろう、生き恥を晒してもらうぞ!



 自機に対して向かってくる叛乱軍のキャバリアは六機。
 その内の後衛二機は既にミサイルポットを射出態勢に入っている。
 それに対してどうするべきか。
 自らが駆るキャバリアに搭載されたミサイルで相殺を試みる事も考えるが。

「国家の生命線であるプラントを背にされては射撃などできん――行け、ニクス!」

 ルパート機の肩に止まっていた青い鳥(ヨタカ)が彼の意を受けて眩い輝きと共に炎を纏った槍に姿を変える。
 輝く炎の槍は爆発的な速度で敵機に向かって飛翔し、丁度、射出された敵のミサイル群を次々と貫き、ルパート機に届く前に爆散させていく。
 全てとは言わないがそこから漏れた程度の数ではルパートの歩みを止めることは出来ない。爆風に煽られながらも敵機との間合いを詰める。
 乱戦となれば敵の後衛も迂闊にミサイル攻撃は出来ない。

「――チッ、近づかれたか」
「だが、たった一機でどうするつもりだ」

 叛乱軍は連携がとれているといえるだろう。接近してきたルパート機に対して素早く包囲の形をとり、破壊しようとする。
 だが、ルパートが一手速い。
 ルパート機が大上段に構えたキャバリアソードを大振りすると敵機の意識がそこに集中される。敵機なき空間への空振り。

「何もない場所で何を―――ガッ」

 意味のないと思われた空振り。
 だが、そこに意識を向けた叛乱軍の騎士達に衝撃が襲う。
 これこそルパートの秘剣『映す心断ち割る呪剣』。剣に意識を向けた存在に意識を断ち、気絶させる呪詛を与えるユーベルコードである。
 意識を失うのは短時間。だが、それでルパートには十分だ。
 キャバリアソードを存分に振るい、操縦席を避け、武装を破壊していく。

「何のつもりだ――!」

 前衛が一方的に攻められる様を見て後衛二機も迫る。
 彼等にすれば操縦席を狙わず、武装を破壊していくルパートの動きは不可解だ。

「護国の使命があるのだろう、生き恥を晒してもらうぞ!」
「何を――」

 殺すつもりはない。
 オブリビオンマシンの影響を取り除いた後はまた騎士の本分を果たしてもらう。
 その決意と共にさらにルパートは剣を振るう。この戦場で死者はでなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

玉ノ井・狐狛
※アドリブ、連携などお任せ

壮観、壮観
こりゃ大軍だ
でも、騎士団長サマは高みの見物かい
それじゃァせいぜい、派手にパフォーマンスしてやろうか

生身でちょろちょろしてるヤツを狙うにゃ、ナパームなんかが向いてるんじゃねぇか?
ミサイルは高くつきすぎるしな

焼夷弾での攻撃を誘って、その炎をUCで吸収・利用
お返しするぜ、騎士サマがた?

あんまり熱ぅくなると、ご自慢のキャバリアが爆発しちまうかもなァ……
そうなる前に脱出するくらいの頭は、まだ残ってるか?
きっちり訓練してた兵隊なら、たぶん体に染み付いてるだろ

兵隊がやられるのを見て、団長サマはどんなご気分かねぃ
ま、そのあたりはあとで本人に訊きゃイイか



「壮観、壮観、こりゃ大軍だ」

 プラントに辿り着いた猟兵達を待ち受けていた叛乱軍キャバリアの群れ。
 それを見ても狐狛はいささかも慌てないどころか、表情には余裕すら見える。
 彼女が素早く敵軍の布陣を把握すれば首謀者であるアデリナ・ホイベルガーの機体が陣奥に見える。

「ふむ、騎士団長サマは高みの見物かい。それじゃァせいぜい、派手にパフォーマンスしてやろうか」

 自らに向かってくる敵機を見て悪戯を思いついたような笑みを浮かべる狐狛。
 対する叛乱軍の騎士。キャバリアを操縦しながらも困惑がある。
 鉄の巨人同士が争う戦場で生身の琥珀は異質だ。とはいえ、油断しないように厳命もされている。

「女一人が……だが、砲撃陣を掻い潜ってきたのも事実」
「恨んでくれて構わん。我等は負ける訳にはいかんのだ」

 彼等が選択した攻撃は『ホークナパーム』。焼夷弾による攻撃だ。
 広範囲を焼き払えば砲弾の雨を潜ってきた回避能力も意味がないという判断。
 もっとも狐狛は幻術をもって砲撃陣を突破したので彼等の勘違いではある。
 だが、対人では有効な手段であることは間違いない。

 自らに向け飛来する焼夷弾を見て狐狛はニヤリと笑う。

「そうだよなぁ、生身でちょろちょろしてるヤツを狙うにゃ、ナパームが向いてるよなぁ。ミサイルは高くつきすぎるしな」

 叛乱軍がこれを選択することは予想通り。その為、当然に対処法を考えている。
 焼夷弾が着弾し、爆炎を巻き散らすその瞬間に発現した狐狛の掌の上の焔。
 その焔に周囲全ての炎、熱が吸収されていく。

「馬鹿な――」
「どういうことだ」

「火の用心、火の用心――さぁ、お返しするぜ、騎士サマがた?」

 驚愕する騎士達。
 それに笑いかけ琥珀の掌の焔が叛乱軍のキャバリアに向かっていく。
 焔はキャバリア達の中心に落ち――次の瞬間、灼熱地獄が具現する。
 焔は『狐燈』。周囲の炎熱を吸収し、それを再利用した焔だ。つまり、今は焼夷弾数発分の威力を持つ。
 キャバリアの耐熱性を超える高温に晒され、操縦席にアラートが鳴り響く。

「さあさあ、あんまり熱ぅくなると、ご自慢のキャバリアが爆発しちまうかもなァ……そうなる前に脱出するくらいの頭は、まだ残ってるか?」

 炎に焼かれ高温の為に動作不全も起こしているキャバリア。琥珀の言う通り、このままだと爆発の危険性もある。
 だが、脱出も難しい。キャバリアすら焼き尽くさんとする炎の中、生身で逃げることは不可能であろう。だが。

「ほれ、逃げ道なら作ってやるよ。きっちり訓練してた兵隊なら、たぶん体に染み付いてるだろ」

 突如、操縦席周辺の炎が動き、道を作る。
 一か八か、キャバリアから脱出する騎士達。
 燃え盛る炎の中に不自然に空いた道は温度すら制御下にあるようで騎士達は逃げることに成功する。その少し後に崩れ落ちるキャバリア。

「さて、兵隊がやられるのを見て、団長サマはどんなご気分かねぃ。
 ま、そのあたりはあとで本人に訊きゃイイか」

 敵陣の奥を見た狐狛の頭は既に次の戦いを見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
制約付きではありますが…
愉しみましょう

◆行動
中々の乗り心地でしたが、キャバリアをパージします
不殺を実行する上では慣れた戦術の方が良いでしょう

【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を各所に設置
鉄すら融解する高熱の狭範囲攻撃はこうした状況に最適です

『涅槃寂静』にて「死」属性の「磁気嵐」を行使
磁気でミサイルの誘導性を殺し、嵐で同士討ちを狙います
尤も、幾何学模様の軌跡で人間サイズに当てるのは至難でしょうね

兵士を殺さない様に注意しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減
【生命力吸収】でキャバリアの動力を喰らい、回復に充てます



 迫りくる叛乱軍のキャバリア。
 それを前に絶奈は砲撃陣を突破する際に搭乗していたキャバリアから降機する。

「中々の乗り心地でしたが」

 これから始まるキャバリアとの戦い、それに乗る騎士達の命を取らないという制約がある。不殺の戦いを実行する上では不慣れなキャバリアに乗って戦うよりも慣れた戦い方の方が良いという判断だ。
 もっとも叛乱軍にその意図を察しろというのは無理な話だ。

「投降するのか? ならば――」
「違います。これから戦う貴方達を殺さない為ですよ」
「何を――」

 その言葉にライフルを構えるキャバリア。
 絶奈はふわりと宙に浮くと射線を避けながらスルスルと後退する。

「逃がすか――うわっ」
「何だ――!?」

 後退する絶奈を追った一機の足が突然爆発する。
 その原因は絶奈の仕掛けた爆弾(サーメート)だ。
 彼女は後退しながらこれを巻き散らしている。
 敵機のみを魔法で識別して爆発するこれにより辺りは即席の地雷原となっていた。

「どうしました? 私は此処ですよ」
「クッ――」
「――仕方ない。一人相手にこれを使うとは」

 絶奈の挑発にも迂闊に動ける状態ではない。そこで叛乱軍が選択したのは『マイクロミサイルポッド』によるミサイルの飽和攻撃。
 絶奈もろとも辺りに巻き散らされているサーメートも吹き飛ばしてしまう心算だ。
 敵機から放たれ幾何学模様を描き絶奈に迫る無数の誘導ミサイル。

「其は始原にして終焉。永遠不変と千変万化。万物が内包する奇蹟にして、森羅万象が齎す福音と災禍也」

 絶奈の口から力のある言葉が紡がれると、彼女の周囲が歪み、磁気嵐が巻き起こる。ただの磁気嵐ではない。
 神である絶奈から『死』の概念が付与された磁気嵐。
 その嵐は誘導ミサイルの誘導性を『殺し』、嵐に包まれたミサイルは相撃ってそこら中に無数の爆発を生む。
 幾つかの爆風は絶奈の体を襲うが、直撃でないそれでは彼女のオーラで築かれた障壁を貫くことはできない。

「さて、そろそろこちらから行きますよ。――愉しませてくださいね」
「――化け物め」

 そこからは絶奈による蹂躙劇だった。
 少しの時の後にキャバリアは破壊され、騎士達は行動不能に追い込まれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジーク・エヴァン
【パンドラ】
あの奥のが首謀者の巨人だな
まずは周りの巨人達を倒して道を作ろう!
敵の爆弾や飛び道具が厄介だな
【竜盾の軍勢】を火炎耐性の結界術で強化して俺達の前に傘のように展開しよう

俺が狙うのは朔良さんが関節を壊したり、フォルティスさん達が墜とした巨人だ
鉄馬を鉄輪の推力移動で強化、鉄兜を前面に装備して速度を乗せた突撃で奴らの手足を貫き行動不能にしよう(串刺し、部位破壊、ランスチャージ)
ファイアヘッズさんが乗っ取った巨人に攻撃したり、逆に巻き込まれないように注意しよう
巨人の動きを止めたら、胸の扉を角砕きで斬り裂いて中の人を巨人から引きずり出そう(怪力、鎧砕き)


フォルティス・ワーライン
【パンドラ】ふん、焼夷弾か。厄介なことだ。
それと、ピアシングショット・・・。貫いてくる狙いがあるようだな。
だが、そうやすやすと落ちる艦ではない。

まずは当ててみろ。このエースパイロットたる俺の航宙駆逐艦に当てられるならな。

迂闊に近づいてくるなら『プラズマチャージカノン』を放ってやる。誘導するこの光の弾から逃げられるかな?さっさと墜落して、戦闘不能になりな!

EPイーグル、『タングステン弾磁力加速砲』の照準を敵キャバリアに狙え。
少しでも、ジークや黒柳に向かう敵意をこのどでかい航宙駆逐艦に反らす必要がある。コクピットにだけは当てるなよ。致命傷だからな。やるなら頭か腕か足、ブースターにしておけ。撃て!


クリスタル・ファイアヘッズ
【パンドラ】
鬼やらいで寝ていられたと思ったらすぐに任務ですか。
アーマースーツ、ジェットアーマー、マグネティックアーマー異常無し。

では、ジェットアーマーで地上に降りるとしますか。光学迷彩起動。
戦場燃えていますかね。多少の熱は私の髪の毛から逃げていくでしょう。さて・・・。相手のオブリビオンマシンを頂くとしましょう。コクピットハッチに近づき、UCを使用して強奪します。

マイクロミサイルポッドですか。威力は少なくとも広範囲に攻撃が可能ですね。近づいている黒柳さんやジークさんに気をつけつつ、敵オブリビオンマシンに無差別に撃って私に注意を引きましょう。UCの操縦で相手の攻撃を回避して、時間を稼ぐとしますか。


黒柳・朔良
【パンドラ】
あれがキャバリア、鋼鉄の騎士というやつか
なるほど、確かに生身で相手をするには少々骨が折れそうだ
しかし先と同様、フォルティスが空からの援護をしてくれるし、ファイアヘッズが敵を引き付けてくれるらしい
それならば、生身でも十分に戦えるだろう

選択UCで存在を消して、鴉丸とワイヤーを使い分けながら敵のキャバリアの関節部を狙って動きを止めていく
戦闘中に気をつけるべきことは敵の放つ焼夷弾か
動き回ることで炎に囲まれないようにしよう

存在を消している状態では兵士達の救出は難しい
敵の動きさえ止めてしまえばあとはジークや他の猟兵達が救出してくれるだろうから、救出については彼らに任せよう



●パンドラ
 損傷を告げるアラームが航宙駆逐艦『鬼やらい』の船内に鳴り響く。
 叛乱軍のキャバリア数機から集中して放たれた『ピアシングショット』による攻撃に被弾したのだ。

「ふん、流石にこうも制限が多ければな」

 艦長にして操縦者であるフォルティス・ワーラインの表情は苦い。
 ユーベルコード『エースパイロット』の効果が発現している今の彼の操縦技術はこの戦場の誰よりも高い。だが、フォルティス自身が分かっている様にこの戦場、否、この世界は制限が多いのだ。
 暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』の脅威に晒されているこの世界の空での高速飛翔は無差別砲撃の対象となる可能性が常に付きまとう。
 この為にフォルティスも自船の性能を十全に活かすことができず、結果として被弾を許している。

「――何て動きをしやがる」
「此方の動きを読んでいるのか?」

 もっとも、その被弾率は高くない。叛乱軍の騎士から見るとおかしいと断言できるレベルだ。高度も速度も本来のものを出せないにも関わらず、損害を最低限に抑えているのは流石であろう。

「まあ、当てられたところで俺の船を落とすには火力が足りんがな!
 クリスタル、タングステン弾を撃つ。そのタイミングで降りてくれ」
「了解しました。――やれやれ、起こされたと思ったらすぐ任務ですか」

 フォルティスが出撃を促したクリスタルとはクリスタル・ファイアヘッズ(憑依の守り手・f18277)。
 砲撃陣突破の際も乗艦していたのだが、その時は寝ていたようだ。今回の戦闘開始時に起こされたばかりだ。

「EPイーグル、『タングステン弾磁力加速砲』の照準を敵キャバリアに狙え。
 直撃は避けろよ!」

 フォルティスが航宙駆逐艦を管制するAI、EPイーグルに命じる。
 巨大なタングステン弾を射出する加速砲、コックピットに直撃すれば、キャバリアの装甲に守られてると言えど操縦者の即死は免れない。

「頭か腕か足、ブースターを狙え。――撃て!」

 地上からの狙撃を避けながら航宙駆逐艦の主砲が放たれる。
 それはキャバリアの右肩を掠るように着弾。右腕を吹き飛ばす。

「何て威力だ。――散開せよ。散開しつつ攻撃を継続だ!」
「「了解」」

 戦いにおいて上空を抑えられるというのは非常に拙い。
 叛乱軍の意識が航宙駆逐艦に集中される。
 これはフォルティスの計画通りの流れだった。
 そして、このタイミングでクリスタルも降下を開始する。

「アーマースーツ、ジェットアーマー、マグネティックアーマー異常無し。
 では、地上に降りるとしますか。――光学迷彩起動」

 起動させた光学迷彩の力により、非常に視認しにくくなっている。
 地上の散開したキャバリアの内、一機に狙いを定め接近すると。

「――何だ!?」
「すいませんが、この機体を頂きます」

 突然、コックピットのハッチが開き、驚愕する叛乱軍の騎士。
 そこにクリスタルが顔を見せる。
 ユーベルコード『強引略奪』の力により外からハッチを開けたのだ。
 彼女は中にいた騎士の意識を断つと操縦席に座る。
 オブリビオンマシンと化している叛乱軍のキャバリアは新たな搭乗者であるクリスタルの意識に干渉するが。

「――無駄です」

 クリスタルの精神を冒すことは出来ず、屈して彼女の乗機となる。

「さて、武装は――マイクロミサイルポッドですか、これが良いですね。威力は少なくとも広範囲に攻撃が可能です」

 クリスタルに操られたオブリビオンマシンは先程までの友軍に向けミサイル群を放ち、混乱を巻き起こす。

 ライフルの銃声、ミサイルの爆音、焼夷弾による炎があちらこちらで燃え盛る戦場を疾駆する影が一つ。
 黒柳・朔良だ。

「あれがキャバリア、鋼鉄の騎士というやつか。
 なるほど、確かに生身で相手をするには少々骨が折れそうだ」

 開戦当初の彼女の台詞だ。骨が折れると思ったのは事実だが、それは同時にその程度でどうにかなるということでもある。
 今は砲撃陣を突破した時と同様にユーベルコード『影に潜む暗殺者』の力により、完全に存在を消して敵機の動きを見極める。
 機会はすぐに来る。
 フォルティスの空からの砲撃。クリスタルの強奪したキャバリアからの攻撃などで混乱が生じたのだ。

「流石だな。――これならば、生身でも十分に戦える」

 敵の混乱を隙を逃さずに、音もなく接近。
 自前の身体能力による跳躍、フック付きワイヤーなどを巧みに使ってキャバリアに取り付き、その関節部を狙って破壊していく。
 破壊に用いる得物は『鴉丸』。
 漆黒の小太刀だが、ユーベルコードの効能で大きく威力を増している。
 腕を斬り落とすなど派手なことは難しいが、駆動系を破壊し、動作不良に陥れるのには全く問題のない働きを見せる。

「――動作不良? こんな時に」

 敵側から見ると訳が分からない。
 存在を消し、知覚できない朔良に忍び寄られて関節部を破壊される。
 彼等からすれば突然、故障したと思える現象だ。
 一方の朔良も存在を消している現状でこれ以上の干渉、搭乗する騎士の救助などは難しい。出来ないことはないが効率的ではないのだ。ここは一機でも多くの敵の身動きを取れなくすることを優先すべきと判断する。

「動きを止めた後の救出はジーク達に任せよう」

 次の獲物を求めて朔良は移動する。

 さて、朔良に期待されたジーク・エヴァンである。
 彼は砲撃陣を突破した時のまま銀色の甲冑に身を包み、『鉄馬』に乗って戦場を縦横無尽に動き回って叛乱軍を翻弄していた。
 ユーベルコード『竜盾の軍勢』で複製された無数の盾も健在である。
 ジークと鉄馬を囲むように展開するそれは火炎耐性の結界を生み出し、焼夷弾の影響で広がる炎からジークを守っている。
 また、キャバリアライフルによる狙撃も盾を複数重ねることで見事防ぐことに成功していた。
 そんな彼の視界に不自然に動きを止めたキャバリアが目に入る。

「――あれは朔良さんかな? なら、まずは転がす!」

 動かないキャバリアの突進する『鉄馬』。
 その前面に取り付けられた突撃槍で鉄の脚を貫き衝突すれば、衝撃でキャバリアがどうと倒れる。
 ジークはひらりと『鉄馬』から降りると、キャバリアのコックピットを覆う装甲に攀じ登り、分厚い鉄塊剣『角砕き』でハッチを斬り砕く。

「――クソッ」
「―――ッ!」

 ハッチを無理やり開かれた騎士はそれをなしたジークに躍りかかるがジークは難なくカウンターの拳で意識を刈り取って見せる。
 そのまま騎士をキャバリアから引きずり下ろすジーク。
 『鉄馬』の後ろに乗せ、安全地帯まで走ると未だ意識のない騎士を降ろす。
 そこには同じように連れてこられた騎士が数名横たわっていた。ジークの戦果だ。
 戦場の方を振り返れば、徐々に数を減らしつつもまだ叛乱軍の戦意は旺盛だ。奥で指揮をしている騎士団長の存在が大きいのであろう。

「首謀者の巨人、やはり、あれを倒さなければ戦いは終わらないか」

 だが、彼女を守るように布陣するキャバリアは戦える限り、彼女を守って戦うであろうことが感じ取れる。

「なら、まずは周りの巨人達を全て倒して道を作るだけだ!」

 再び『鉄馬』に乗り、戦場に戻るジーク。彼はこの後も何度も往復して騎士の命を救っていく。

 フォルティス、クリスタル、朔良、ジーク。
 彼等の活躍で敵味方共に命を失うことなく叛乱軍の機体は破壊されていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
さて砲撃は収まりましたね
ここから反乱軍と直接戦闘でしょうか
気を引き締めてまいりましょう

搭載されていた両手のアサルトライフルを主体に戦います
遠近両方いけるこの銃はいいですね
一部の攻撃は念動力や衝撃波で相殺します
……しかし紅雪、量産機にポチと名付けるのはどうなのでしょう?

敵UCに関してはこちらもUCで対応
全弾撃ち落とす方向でいきましょう

攻撃を凌ぎつつ学習力で行動パターンを解析したので
後は詰める手を打つだけですね
銃弾に雷属性を付与するようにして、関節部を攻撃
行動不能を狙っていきます

あとは紅雪が何とかしてくれるでしょう
頼みましたよ

アドリブ歓迎


蓮・紅雪
同行者:アイビス(f06280)
これは……確かオブシディアンMk4(パンフレットの知識)
どうせならセラフィム・リッパーがほしいわね……(ぶつぶつ)
まあいいわ。まずは倒してしまいましょう。

これしきの砲撃で、私のポチを倒せると思ったの?
刀でなくとも、アイビスが調整してくれたこの剣の性能、見せてあげるわ。
UC発動。鬼の力をキャバリアにも伝播させ、全身を呪詛の力で覆うわ。
これで砲撃から機体を守りつつ、怨念の剣で足などを狙うわ。
(セラフィム・リッパーが手に入らなければこの機体を頂くつもりで)
剣さえ当てられれば、呪詛の力で敵は動けなくなる。
あとは中の操縦者を引きずり降ろせば良いわね。

アドリブ大歓迎!



 叛乱軍の黒いキャバリア複数を相手に禍々しいオーラを纏った白銀のキャバリアが一機、その手に持った剣で大立ち回りを演じている。
 紅雪の操る量産機だが、呪詛の力に覆われて、限界以上の動きを見せていた。

「――何て動きだ」
「囲め!」

「ふふ、だいぶ、慣れてきたわ」

 紅雪にとって初めてのキャバリアによる実戦である。操縦技術そのものは歴戦のパイロットである叛乱軍の騎士達に一日の長があった。
 だが、その経験の差をユーベルコード『紅鬼招来』により災厄の紅鬼に変じて、その力を搭乗するキャバリアに伝播することで覆していた。
 そして今、短い戦闘の中でどんどんキャバリアでの戦闘を習熟させ、覆した差を広げていっている。

「――紅雪は好調の様ですね」

 そんな紅雪の動きを援護するのはアイビスが搭乗したキャバリアである。
 紅雪が乗るものと同型機だが、剣を装備して戦う紅雪に対してこちらは両手にアサルトライフルを装備して的確な射撃で牽制、足止めをこなしている。
 アイビスにとっても初のキャバリア戦闘であるが、尋常ではない学習速度で動きを良くしている。

「これは……確かオブシディアンMk4だったわよね」

 紅雪が敵機の構えたライフルを剣を振るって破壊しながら、値踏みするように観察する。彼女は王国との傭兵契約の際、報酬で叛乱軍の機体を一機貰うことになっている。

「悪くはないけど……どうせならセラフィム・リッパーがほしいわね……」
「何を言っている!」

 戦いの中、余裕を見せる紅雪に激高した敵機が実体剣を振るうが。

「まあいいわ。まずは倒してしまいましょう」

 紅雪の剣に簡単に剣筋を逸らされ、態勢を崩したところに一撃を貰う。
 
「クソッ、まだまだ――何故、動かない!?」

 脚に一撃を受けたとはいえ、まだまだ戦闘は可能なはずであったが、災厄の紅鬼に変じた紅雪の剣はただの剣に非ず、呪詛を纏った怨念の剣だ。
 オブリビオンマシンと化している叛乱軍のキャバリアの呪詛と紅鬼の呪詛。
 軍配が上がったのは紅雪の呪詛だった。
 損傷部から入り込んだ呪いは駆動系を冒しキャバリアを行動不能に陥れる。

「ふふ、本命とは違うけど、保険は必要よね」

 本命はアデリナの乗るセラフィム・リッパー。だが、入手できるとは限らない。
 その時はこの機体を頂こうとできるだけ損傷を抑えて行動不能にしたのだ。
 叛乱軍から見ると呪詛が原因とは分からないが紅雪が何かをしてこうなったのは間違いない。

「距離を取れ」
「ミサイルの飽和攻撃を行う――!」

 紅雪機と近接していた敵機がアサルトライフルを乱射しながら後退すると同時に敵後衛から『マイクロミサイルポッド』によるミサイルの雨が紅雪そしてアイビスの機体に降り注ぐ。

「相殺します――」

 アイビス機の両手のアサルトライフルが火を噴き、同時に『ミレナリオ・リフレクション』を発動する。
 ユーベルコードを相殺するユーベルコード。
 その神秘の力を受けて誘導ミサイル群がアイビス機のミサイルポッドから射出され、敵のそれを迎撃していく。
 僅かな撃ち漏らしはあったもののその殆どの迎撃に成功する。
 迎撃を免れた僅かな例外も二人の機体を傷つけるには至らない。
 アイビスは念動力で逸らし、紅雪は剣で叩き斬ったのだ。

「甘いわね! これしきの砲撃で、私のポチを倒せると思ったの?
 さあ、アイビスが調整してくれたこの剣の性能、見せてあげるわ!」

 得意気に剣を構えて後退した敵機に追撃をかける紅雪。ちなみにポチとは彼女が乗るキャバリアにつけられた名前である。

「……紅雪、量産機にポチと名付けるのはどうなのでしょう?」

 自分が調整した剣を誇らしげに掲げて突進する紅雪につっこむアイビス。自分の調整に絶大の信頼を示す紅雪への照れ隠しもあったかも知れない。
 怨念の力を纏った剣でキャバリアを一機、また一機と行動不能に追い込む紅雪。

「私も負けていられませんね」

 と、アイビスもキャバリアライフルの銃弾に雷属性を纏わせて撃つ。
 それは紅雪機と激しい立ち回りを見せている敵機の関節部を正確に撃ち抜き、部位を破壊していく。

「あの機体の行動パターンは解析できました。難しくはありません」

 もともと紅雪の動きは分かる。それに対する敵機の動きもこのわずかな間に学習したアイビス。紅雪だけにも押され気味のところにアイビスの正確無比な援護も加われば劣勢を覆すのは不可能に近い。
 二人に向かった叛乱軍キャバリアの全機が行動不能となるのにたいした時間はかからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『セラフィム・リッパー』

POW   :    断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD   :    エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アデリナ・ホイベルガー
 幾千もの小国家が離散集合を繰り返して争う世界。
 その中において百年の歴史を持つゾンネ王国。
 一つの王家が百年統治しているのは珍しい部類と言えるだろう。
 だが、盤石とはいえない。数年前、壮年の王が戦死。
 後を継いだ新王はまだ二十歳にも満たない。
 外戚である宰相が辣腕を揮うことで近隣諸国に付け入る隙を見せていないが、結果を出しているだけに宰相の権勢は増しており、それを憂慮する声も聞かれる。

「宰相を排除し、彼の影響下にある行政府を解体し、陛下に親政して頂くつもりだったが……」

 プラントを首尾よく占拠したまでは良かったが、僅かな傭兵相手に麾下の軍団は壊滅。何故か敵は命を取ることを厭っている様で、キャバリアは破壊されたものの部下達は生きている様に見える。そのことに安堵しつつも覚悟を決める。

「王国維新の夢は潰えた。王国再生の道を閉ざしたお前達を許すわけにはいかない」

 素晴らしい戦いぶり、部下の命を取らなかったこと、敵ながら天晴という気持ちが湧くが、すぐにそれは敵意と憎悪に変わる。
 それが何処から発生したものか、彼女は気づかない。気づけない。
 猟兵を天敵と認識するオブリビオンマシン、セラフィム・リッパー。
 その意識と半ば同化しているアデリナは敗北を悟りながらも戦いを開始する。

「一機、一人でも多く、地獄への道連れとしてくれる!」

 ゾンネ王国のプラント占拠に端を発した叛乱。鎮圧劇の最終幕が上がる。

 ==================================
 お待たせしました。
 第三章のプレイングボーナスは「本来の思想や人柄」を思い出させる言葉や行動を行うこととなります。機体破壊時に生きていれば正気に戻ります。
 なお、宰相と国王の仲はおじいちゃんと孫で良好です。アデリナもそれは知っているはずでしたが、何故か(まあ、オブリビオンマシンのせいですが)宰相が王権を脅かし、国家に害をもたらすと思い込んで今回の叛乱となってます。

 
 
御剣・神夜
真の姿、緑のオーラを身に纏い両頬に左右対称の戦化粧が現れる

貴方も武人であるならば、我々の間に言葉は不要
我らの剣が言葉の代わり。さぁ、存分に死合いましょう

断罪の剣は武器受けで受けていなし、近づいたら衝撃波、鎧砕き、範囲攻撃で装甲が厚かろうが相手の四肢を破壊する
死角から射撃攻撃されないよう、第六感を働かせて攻撃してきたら野太刀の刃の部分で反射する
「貴方も、元は誇り高い武人だったのでしょう。なら、言葉で語るより、此方で語りましょう。貴方の誇りに、私も全身全霊で応えます」


フォルティス・ワーライン
【パンドラ】
ふん。いかにもエース機か。俺と・・・パンドラの仲間が確実に落としてやる。

俺とファイアヘッズの役目は相手の動きを止めることだ。全武装を用いて、必ず止めてやるぞ。とはいえ、死なせてしまっては遺恨も残る。機体だけ破壊したいものだ。

俺を狙ってくるか?キャバリアが何体も乗るこの艦とはいえただでは当たらん、ただでは落ちんよ。俺が乗っている限りな(UCを使って)

EPイーグル!プラズマチャージカノンでエース機を狙え!地上に叩き落としてやる。俺は対空対地パルス機銃で奴の「クリスタルビット」とやらを全部破壊してやるぜ。
被弾したか?自動修復エナジーアーマーですぐ回復するさ。
さぁ、パンドラ!今だ、やれ!


クリスタル・ファイアヘッズ
【パンドラ】
UCを継続して、先に奪ったオブリビオンマシンを使用して戦います。 RSキャバリアライフルが搭載されているようですね。こちらを使用しましょう。ただし、オブリビオンマシンをハッキングして私の目と同期させます。
これで照準を私の目によってコントロールできます。弾の予測起動を演算しつつ、狙うとしましょうか。頭を・・・狙いましょうか。
相手を落ち着かせるつもりはありません。常に動き回り、相手の集中をかき乱します。クリスタルビットはフォルティスさんも対応はしているようですが・・・。まとめて爆破しましょうか。マイクロミサイルポッドです。
さぁ、動きは止めましたよ。お膳立てはここまでです。


黒柳・朔良
【パンドラ】
国を守りたいがという想いがオブリビオンマシンによっていびつに歪まされた結果がこれか
なにかを守りたいというその想いは私にも覚えがある
歪まされた思考の中ではきっと仲が良好だという宰相と国王の関係もまた歪んで見えるのだろう

引き続き生身で戦闘を続行する
選択UCで存在を消してジークの鉄馬に運んでもらおう
敵の気はフォルティスとクリスタルが引いてくれているから、容易に接近できるはずだ
攻撃には解放した鴉丸を使用、先と同様に関節部を狙い動きを阻害する

動きが止まったらオブリビオンマシンのハッチを開けて、彼女が無事かどうかを確かめよう
オブリビオンマシンが停止しているならば、思考も正常になっているはずだ


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
遂に道が出来た!行くぞ、青い巨人!
フォルティスさん達が注意を引いてくれてる。なら俺は彼らを信じよう!
朔良さんが隠れて鉄馬に乗ったら、このまま真っ直ぐに突っ込む!
あの光の翼は全合体の【巨竜退ける砦盾】で受け止め、更に竜眼の盾を掲げ大声で挑発し、目立つことで朔良さんが接近するのを手伝おう。
「俺の盾は、大切な仲間と多くの人々を守るための盾だ!そして俺自身もまた命を守るための生きた盾だ!騎士だというなら思い出せ!貴方の剣は、何のためにあるかを!」

朔良さんのお陰で隙が出来た!
俺も角砕きを振るい、同時攻撃で奴の足を奪うぞ、鉄馬!(串刺し、部位破壊、ランスチャージ、怪力、鎧砕き)


ルパート・ブラックスミス
アデリナ・ホイベルガー、騎士道不覚悟!
騎士の身と技は護るべき地・人・誉に捧げてこそ!
国も主を残して展望も無い自滅行為など軽挙妄動!恥を知れ!
(【言いくるめ】【精神攻撃】)

搭乗しているキャバリアをUC【信ずる者に殉ずる為の鋼姿】で【武器改造】
この鋼身と炎鉛を融合装備させ、己自身がキャバリアそのものとなる!
装備は剣一本、キャバリアの【限界突破】した性能とUCによる高速【空中戦】闘!
その斬撃を【見切り】【カウンター】、キャバリアの首と無敵斬艦刀を持った腕を斬り落とす!

この機体にも刻まれしゾンネの国章に、汝は何を誓った!
それを思い出せるならば生きて償え!
貴様は俺とは違う、まだ何もかも残っているのだ!



 優美さと禍々しさを併せ持つアデリナの乗るキャバリア、セラフィム・リッパーが宙に浮かぶ。
 それと同時に機動浮遊兵器『BS-Fクリスタルビット』が無数に現れ、アデリナ機を囲む様に展開すると、その一つ一つが意思を持つように動き出す。

「まずは――!!」

 無数のビット群を他の猟兵への牽制に回し、無敵斬艦刀を構えたアデリナ機が一直線に飛ぶ。
 その先にいるのは御剣・神夜。生身でキャバリアを狩る美しい女剣士である。
 キャバリアが戦場の主役であるこの世界において生身で渡り合う猟兵はまさに常識の埒外だ。その戦いぶりを話に聞いただけであれば、容易に信じることは出来なかっただろう。だが、アデリナは見ていた。神夜がその手に握る刀一本でキャバリアを破壊していくところを。故に油断はない。

 真っすぐに己に向かってくるアデリナ機を見て、神夜の身体が緑のオーラに包まれる。それと同時に左右対称の戦化粧が両頬に浮かび上がる。神夜の真の姿である。

「消えろ!」

 セラフィム・リッパーが大上段に振りかぶり、神速の振り下ろしを見せる。
 数多のキャバリアを両断してきたアデリナの得意技『断罪の剣』である。

「天武古砕流奥義、流走!!」

 それに対して神夜が放つ技は『剛刃・流走』。
 彼女が修めた天武古砕流の奥義でこちらも数多くの敵を両断してきた。

 最強の剣と最強の剣のぶつかり合い。
 とは言え、キャバリアと生身の人間という体格差を考えれば神夜の不利は否めないはずであった。
 しかし、結果は全くの互角。
 甲高い金属音を上げて、いなされた無敵斬艦刀は地面を抉る。
 態勢を崩したアデリナ機に、神夜はこちらも態勢を崩したもののすぐに立て直し、素早く野太刀を振るって衝撃波を飛ばす。
 アデリナはそれを緊急加速で躱して見せると再び斬艦刀を振るう。今度はそれを後ろ飛びで回避して見せる神夜。
 巨人と小人の一進一退の剣術勝負が続く。

「一体何者なのだ、お前は!? 何故それ程の力を持ちながら宰相の味方をする!」
「貴方も、元は誇り高い武人だったのでしょう。なら、言葉で語るより、此方で語りましょう。貴方の誇りに、私も全身全霊で応えます」
「……問答無用か。良いだろう!」

 更に白熱する戦いの中、両者が一端、距離をとったタイミングでアデリナ機に向けて誘導レーザーが放たれる。
 フォルティス・ワーラインの乗艦、航宙駆逐艦の兵装『プラズマチャージカノン』の一撃だ。
 彼はアデリナが牽制で放ったビットの結界を損傷しつつも突破して見せていた。
 だが、誘導式レーザーであるその一撃をアデリナは躱して見せる。目を細めるフォルティス。

「ふん。いかにもエース機か。
 だが、俺と……パンドラの仲間が確実に落としてやる」

 フォルティスを先駆けとして、彼がパンドラと言った仲間、クリスタル・ファイアヘッズ、黒柳・朔良、ジーク・エヴァンも動く。

 その内の一人、クリスタルは自身の役目を牽制、足止めと心得ていた。
 先程の戦闘で奪ったキャバリアに乗り、僅かな時間でそのシステムに介入。
 キャバリアの視界と自身の目を同期させている。サイボーグである彼女ならではの芸当だ。
 アデリナ機の動きを演算予測しつつ、その動きを止める為にキャバリアライフルで頭を狙い撃つ。その一撃は命中直前で回避されるが、クリスタルも一撃で決められるとは思っていない。自機を縦横無尽に動かしつつ射撃を止めない。
 アデリナもクリスタル機を破壊しようと動くが、絶妙のタイミングでフォルティスのレーザーが放たれる為に上手くいかない。

「――ッ、厄介な!!」

 アデリナの精神に呼応してフォルティスの航宙駆逐艦とクリスタル機に大量のクリスタルビットが迫る。

「俺が乗っている限り、ビットだけで落とせると思うなよ!」
「全て、まとめて爆破します」

 フォルティスは『対空対地パルス機銃』で分厚い弾幕を張り、ビットを船に近づけさせない。稀に弾幕を掻い潜るものもあるが、その程度の攻撃で与えた損傷は自動修復機構で回復していく。
 クリスタルは『マイクロミサイルポット』によるミサイル群とライフルの射撃によりビットを墜としていく。
 フォルティス、クリスタル両名によって次々と落とされるビット。しかし、その数はなかなか減らない。

「――フォルティスさん、気づいていますか?」
「ビットのことか」

 専用の回線でクリスタルからフォルティスに通信が入る。
 他の猟兵達に大半のビットを差し向けていたにも関わらずの数、これはおかしい。
 今もかなりの数を撃墜しているにも関わらず減ったように思えない。

「ユーベルコード。複製するタイプの様です。元となる物を墜とさない限りイタチごっこかと」
「――上空からでは見極めが難しいな。ファイアヘッズは可能か?」
「可能です。先ほどから巧みに隠されていますが既に目星はついています」
「ならば、次のチャンスで破壊するぞ。ファイアヘッズに向かう分は俺が落とす。本命を潰してくれ」
「了解です」

 再び大量のビットが二人を襲う。フォルティスは自分の乗艦の防御を捨て、クリスタルに迫るビットを撃墜する。
 クリスタルもフォルティスを信頼。自身の防御を捨てビット群の奥に隠れたオリジナルとなるビットを狙撃して墜としていく。

「気づかれたか――それにしても、こうも正確に落とすとは!」

 アデリナも二人の目論見に気づくが手遅れだ。
 オリジナルのクリスタルビットは殆ど落とされ、僅かに残った物で複製するも先程までに比べて微々たるものである。
 代償はある。
 フォルティスの航宙駆逐艦はその防御を捨ててクリスタルの援護に回った為に集中砲火を受け、かなりの損害を受けた。
 だが、分厚かったアデリナの大量のビットによる守りはかなり薄れている。

「さぁ、パンドラ!今だ、やれ!」

「遂に道が出来た!行くぞ、青い巨人!」

 この機を逃さずジークが鉄馬に乗りアデリナ機に向かって駆ける。
 その背中には『影に潜む暗殺者』により存在を消した朔良の姿もある。

 朔良は鉄馬に運ばれながらアデリナのことを考える。
 美しくも禍々しいセラフィム・リッパーとその背景となっている叛乱軍のキャバリアの残骸。

「国を守りたいという想いがオブリビオンマシンによっていびつに歪まされた結果がこれか……
 歪まされた思考の中ではきっと仲が良好だという宰相と国王の関係もまた歪んで見えるのだろう」

 何かを守りたいという想い。それは朔良にも覚えのある感情だ。それを歪ませるオブリビオンマシンには改めて怒りが募る。
 そんなことを考えている内に鉄馬はアデリナ機に接近する。
 途中、数の少なくなったビットから迎撃の攻撃が飛ぶも、ジークはその全てを『巨竜退ける砦盾』で召喚した何十もの巨大な盾で防いで見せていた。
 アデリナ機への接近と共に朔良が鉄馬からするりと降りる。
 その直後にアデリナ機の斬艦刀が鉄馬ごとジークを両断せんと迫る。
 その一撃を眩い輝きを放った盾が受け止める。無数にあった盾が一つに合体したモノで竜の進撃をも弾き返す力を持つ。

「――この一撃を防ぐとは!」
「俺の盾は、大切な仲間と多くの人々を守るための盾だ! そして俺自身もまた命を守るための生きた盾だ! 
 騎士だというなら思い出せ! 貴方の剣は、何のためにあるかを!」
「何のため……? ――っ、何を!!」

 ジークの言葉を受け、剣を受け止めている盾の圧力が減る。
 アデリナの迷い。
 それによって生じた一瞬の遅滞を機を窺っていた朔良は逃さない。
 素早く近づくと自らの存在を代償に強化した漆黒の小太刀『鴉丸』を膝の関節部分に叩きこむ。

「――っむ、何だ!? お前か。いつの間に!?」

 突如、エラー音が鳴り響き、膝部分の損傷を知る。その時、足元にいる朔良の存在に初めて気づく。
 オブリビオンマシン、セラフィム・リッパーの探知能力とアデリナ自身の感覚の相乗効果で辛うじて把握したのだが。

「気づくとは優秀だな。だが、私を注視するのは悪手だぞ」

 突然現れたかの様に見えた朔良に最大限の警戒を向けたその瞬間。ジークが鉄馬を操り、アデリナ機に突撃してくる。
 ジーク自身、朔良が何処にいるか存在を感知できていなかったが、彼女が仕掛け、必ずアデリナの隙を作ると確信していた。
 その為に朔良の攻撃とそれに意識をとられたアデリナの一瞬の隙を逃さず攻撃に移ることができたのだ。
 アデリナも咄嗟に回避行動をとるが朔良の一撃によって損傷した脚の挙動が遅れる。鉄馬の体当たりと、それに乗ったジークが大振りに振るった鉄塊剣『角砕き』。これによりセラフィム・リッパーの右脚が完全に破壊される。

「やってくれる!!」

 スラスターを噴かせ、姿勢制御しながら後退するセラフィム・リッパー。
 後退しざまに朔良とジークに向けて光の翼からプラズマビームを放つ。
 それ自体はジークの盾に防がれるものの距離を稼ぐことに成功。アデリナはこれで一息付けると思ったが。

「アデリナ・ホイベルガー、騎士道不覚悟!
 騎士の身と技は護るべき地・人・誉に捧げてこそ!
 国も主を残して展望も無い自滅行為など軽挙妄動!恥を知れ!」

「黙れ! お前に何が分かる! 王国維新の望みは絶たれた!
 この上、何の面目があって陛下に顔向けができる!」

 魂の籠った一喝と共にルパート・ブラックスミスが駆るキャバリアが急接近する。
 無尽蔵に湧き出るかの如く行く手を阻んでいたビット群の圧力がパンドラの活躍で薄れた事で道を切り拓いて来たのだ。
 ルパートの一喝に反射的に言い返しつつアデリナは違和感を覚える。
 先程までの戦闘と比べて、ルパート機の動きが滑らか過ぎるのだ。

「王国維新とはなんだ! 宰相を排して国が良くなるなど、本気で思っているのか!
 思い出せ、宰相がどんな害を国に与えたというのだ!」
「それは……それは……陛下を蔑ろに……した?」

 動揺を示して動きの鈍るアデリナに向け、ルパートは音速を優に超えた速度で迫る。貸与されたキャバリアの限界を超えた動き。
 その秘密は彼のユーベルコード『信ずる者に殉ずる為の鋼姿』にある。
 ルパートはその力で文字通りキャバリアと一体化しており、己の体として今、キャバリアを操っている。

「この機体にも刻まれしゾンネの国章に、汝は何を誓った!
 それを思い出せるならば生きて償え!
 貴様は俺とは違う、まだ何もかも残っているのだ!」
「………私はっ!」

 ルパートの願いを込めた叫び。
 その言葉に魂を軋ませながらもアデリナは斬艦刀を振るう。それに合わせるようにルパートも渾身の一撃を放つ。
 迷いのある一撃と信念を貫く一撃。結果は明らかだった。

「……!」

 刀身の真ん中あたりから綺麗に両断された無敵斬艦刀。それはアデリナの心が折れた証明のようにも思われた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシリア・サヴェージ
この叛乱が国や王を護る事に繋がると本気で思っているのですか?
戦うべき相手は宰相などではありません。あなたに憎悪を植え付け闘争へと駆り立てるオブリビオンマシンです!

操縦技術でも武装の破壊力でもこちらが劣ります。ですが臆せず前へ出なければ勝利は掴めません。
キャバリアを駆り【切り込み】で素早く距離を詰め、相討ち狙いの【捨て身の一撃】を放ちます。

……斬らせたのはキャバリアのみです。私自身は寸でのところで脱出し、生身での戦闘に切り替えます。
打ち取ったと油断しているところを【騙し討ち】する作戦です。
傷つけるつもりはありません。UC【魂喰らいの魔剣】で攻撃し、命を取らない程度に生命力を奪います。


霧島・絶奈
◆心情
潰えさせるには惜しい志です

◆行動
アデリナと話をします

護国の志…其れは尊敬すべき想いです
国の行末を憂いて革命を起こすのも愛国心ではあるのでしょう
ですが、其の根拠の出処は?
物事を正しく見れなければ、結局は誰かに利用され徒に戦乱を齎すだけ…
真に国を愛するのならば、何が本当の敵かよく考える事です

想いを貴いと思う故に、<私達>は全力で貴女を止めます

<真の姿を開放>し『666』を使用

<私達>全員で【空中浮遊】も活用し、射線を調整
アデリナを殺さない様に注意しつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減
【生命力吸収】でキャバリアの動力のみを喰らい回復


シン・コーエン
生身で

オブリビオンマシンに操られても国の為に尽くそうという心根は見事。
敬意を表し、全力でお相手しよう!とUC発動。

高速飛翔能力で地面スレスレを移動。
【残像】による分身で幻惑して敵機の懐に入り込む。
断罪の剣は【第六感・見切り】で読み、UCと【空中戦】能力で躱す。
ビーム等は回避や灼星剣【武器受け】や【オーラ防御】等で対処。

「貴殿がこの国を愛するなら、恥辱に耐えて、先王の分まで王を支えるべきだ。それが忠臣の道であろう。」と説得。
灼星剣と村正の二刀流で【2回攻撃・光の属性攻撃・衝撃波・鎧無視攻撃】を機体のみを斬る!

後で「将兵を洗脳して内乱を企てた存在有ったので処断済。」と監査報告して寛大な処置を願う。



「私は……一体、何故……」

 オブリビオンマシン、セラフィム・リッパーの操縦席でアデリナは苦悶の表情を浮かべる。ゾンネ王国の為に武を磨き、部隊を鍛え、敵を退けてきた。
 五年前に先王を喪った後の動乱で功績を重ねて第三騎士団長の座を拝命した。
 重責を負った新王陛下を他の騎士団長達と共に支えると誓い……そして、新王陛下の為に大権を握る宰相を排除……私は何故、宰相を排除しようと思った……?
 思考の霧が徐々に晴れようとしたその時、そうはさせじとセラフィム・リッパーの両眼が光る。

「くっ……そうだ。今は敵……目の前の敵を倒さねば……この命に代えても!」

 右脚を失い、無敵斬艦刀もその真ん中から折れた。エンジェルビットもその殆どを撃墜されている。それでもセラフィム・リッパーの戦意は衰えない。
 自身を強化する優秀な部品であるアデリナへの支配を強め仇敵たる猟兵達を滅ぼさんと動く。

 その前に立ち塞がるのはセシリア・サヴェージが搭乗するキャバリア。
 そして、生身で戦う霧島・絶奈とシン・コーエンだ。
 三人はアデリナ機の攻撃を連携して防ぎ、躱しつつ彼女に語り掛ける。

「この叛乱が国や王を護る事に繋がると本気で思っているのですか?
 戦うべき相手は宰相などではありません。あなたに憎悪を植え付け闘争へと駆り立てるオブリビオンマシンです!」
「オブリビオンマシン……? 何のことだ!」

 セシリアの言葉にアデリナは眉を顰める。
 心の何処かに彼女が正しい事を言っていると思う自分がいる反面、彼女は敵である、耳を傾けるべきではないと訴える声も聞こえる。

「護国の志……其れは尊敬すべき想いです。国の行末を憂いて革命を起こすのも愛国心ではあるのでしょう。ですが、其の根拠の出処は?
 物事を正しく見れなければ、結局は誰かに利用され徒に戦乱を齎すだけ……真に国を愛するのならば、何が本当の敵かよく考える事です」
「根拠……本当の敵……」

 絶奈が諭すように語り掛ける。
 絶奈はアデリナの志、それ自体は評価していた。今はオブリビオンマシンにより歪められているだけ。それを正道に戻したいという想いがある。
 アデリナにもその想いは伝わっている。
 いや、先程からの猟兵の言葉、すべてが彼女の奥深くの心を揺らしている。

「貴殿は今、俺達相手に戦い死ぬことを考えている。だが、それは間違っている。
 貴殿が真にこの国を愛するなら、恥辱に耐えて、先王の分まで王を支えるべきだ。それが忠臣の道であろう!」
「………ならば、ならば、お前達を倒してそうさせて貰う!」

 シンの言葉にさらに揺らぐアデリナの心を再び、セラフィム・リッパーがその呪縛を強め、迷いを振り切るように折れた斬艦刀を振るう。
 しかし、その支配は完全ではない。明らかに精彩を欠いた動きである。

「解放するにはやはりオブリビオンマシンを滅ぼす必要があるようですね。
 ――アデリナ、貴女の想いを貴いと思う故に、<私達>は全力で貴女を止めます」

 その言葉と共に絶奈の姿が揺らぎ――黒い影法師の様な存在が無数に顕現する。
 異端の神々。
 絶奈の真の姿が、ユーベルコード『666』の力と合わさり、強化された存在だ。

「その様だ。オブリビオンマシンに操られても国の為に尽くそうという心根は見事。 敬意を表し、全力でお相手しよう!」

 絶奈に頷きつつ、シンが眩いオーラにその身を包む。ユーベルコード『神速之剣』の発動である。超低空を高速で飛行してアデリナ機に近づくシン。
 僅かに残ったビットからの迎撃を残像で幻惑して躱しながら、その両手に持った双剣で装甲を切り裂いていく。
 異端の神々となった絶奈も自在に空を飛び、アデリナ機を囲む様に動きながら、その衝撃波でアデリナ機を削る。
 超越者。
 そんな言葉が似あう動きを見せる二人にアデリナは後手後手に回らざるを得ない。

「これで決めます!」

 そこにセシリアの駆るキャバリアが突進する。キャバリアの剣を大上段に振りかぶり、相打ち覚悟の動きである。
 動揺し、その動きに精彩を欠くといってもアデリナは王国屈指のエース。
 キャバリア同士の戦いの駆け引きでは不利と、防御を捨てた一撃だ。

「――舐めるな!!」

 セシリアの捨て身ともいえる一撃。
 絶奈とシンを相手取りつつ、それでもそれに対応して見せたのはアデリナの技量が尋常ではない証明だろう。振り下ろされた剣を紙一重で躱し、折れた斬艦刀をセシリア機の動力部に刺し入れる。
 まずは一人、そうアデリナが思った瞬間、セシリアの声が聞こえる。

「流石です。ですが、決める、と私は言いました!」

 アデリナが声の方を見ると、そこにはアデリナの一撃の入る刹那の前にキャバリアから脱出したセシリアが漆黒の剣を構えていた。
 セラフィム・リッパーに振り下ろされる暗黒剣。
 ユ-ベルコード『魂喰らいの魔剣』の力で装甲を傷つけることなくオブリビオンマシンの生命力を奪い取る。

「――これは!?」

 苦悶するセラフィム・リッパー。
 それによる支配力の減衰に戸惑った声を上げるアデリナ。
 そんな隙を絶奈とシンが逃すはずがない。
 オブリビオンマシンは自らスラスターを極限まで噴かせ、緊急離脱を試みるも間に合わず……絶奈が左腕を、シンが右腕を完全に破壊した。
 決着の時は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蓮・紅雪
同行者:アイビス
宰相の更迭や行政府の解散なんてしてしまったら、あっという間に隣国に飲み込まれてしまうわよ?
だって、王様は二十歳にも満たないのでしょう?
こんなことをして、一体何の意味があるのかしら。

守勢の名将?笑わせてくれるわね。
ここまで攻め込まれてしまった貴女に、その名は相応しくない。
だから、その機体頂くわね。
UC発動。
新しい土地で気が立っている雪華と紅雨をけしかけるわ。
二匹が猛攻している間に、私は死角から銀氷の鎖で足を狙いましょう。
倒れたらこっちのものよね。

私たちと他の猟兵の攻撃で沈黙させたら、アデリナを救出して……
機体は頂くわ。
多少壊れていても、修理のアテはあるもの。

アドリブ大歓迎!


アイビス・ライブラリアン
同行者: 紅雪(f04969)
宰相のせいにするのは結構ですが、
もしも本当にそうだとしたら窘めればよいだけなのでは?
勝手に兵を動かし、兵を減らしていて……
国を脅かしているのは、果たしてどちらなのでしょうか
そして貴女はそれを良しとする方でしたでしょうか?

まずは中距離を維持してアサルトライフルで牽制
時折急所も狙って動きを抑制しましょう
敵UCが発動したら、コックピットから脱出
量産機を盾とします
脱出の過程で敵の肩部へ着地
そこでUC+雷属性の魔法を発動
一時でも動作に影響が出れば、他の方が対処してくださるでしょう

しかし頂けたとしてどこに置くつもりですか、紅雪……?

アドリブ歓迎


玉ノ井・狐狛
※アドリブ・連携などお任せ

ずいぶんとオブリビオンの影響が強いらしい
聞いた限りじゃ、やけっぱちの討ち死に上等なんて、本来のアンタならやりそうもねぇ判断だ
そういうのァ、覚悟やプライドってんじゃなく、どっちかっつうと逃避ってやつじゃね?

▻挑発して戦闘思考や操縦を乱す
攻撃の予兆を▻見切り、一点集中系なら回避、バラ撒き系なら防御▻結界術▻オーラ防御

攻撃の切れ目にUC
「真っ当な騎士団長サマとしてのアデリナ・ホイベルガー」を投影して戦わせる
とち狂ったいまのアンタと、本来の優秀なアンタ――どっちが有利かは明らかだろ?
それに、本来の所作を手前自身で見てくらべりゃァ、現状がどれだけおかしいのかもわかろうってもんだ



 セラフィム・リッパー。両腕と右脚を失い、装甲も所々を削られ、抉られてる。
 満身創痍としか言いようがなく、これが通常の機体であれば既に行動不能となっているだろう。
 それでもなお動き戦いを止めようとしないのは世界を滅ぼさんとするオブリビオンとしての意思故か。とは言え弱体化は隠しようがなく、操縦席のアデリナの支配も解けかかった状態にあった。

 そんなセラフィム・リッパーとアデリナの前にこの戦いを終わらせるべく、最後の猟兵達が立つ。

「宰相の更迭や行政府の解散なんてしてしまったら、あっという間に隣国に飲み込まれてしまうわよ?
 だって、王様は二十歳にも満たないのでしょう? こんなことをして、一体何の意味があるのかしら」

「宰相のせいにするのは結構ですが、もしも本当にそうだとしたら窘めればよいだけなのでは?
 勝手に兵を動かし、兵を減らしていて……国を脅かしているのは、果たしてどちらなのでしょうか。
 そして貴女はそれを良しとする方でしたでしょうか?」

 蓮・紅雪とアイビス・ライブラリアンから投げかけられた辛辣ともいえる言葉。
 洗脳支配が解けかけているアデリナには反論する言葉が思い浮かばない。

「ふーん、オブリビオンの影響は弱まっとるみたいだねぇ。まあ、そこまでボコボコにされたら当然か」

 アデリナから反論がないのを見て、玉ノ井・狐狛が目を細める。

「どうだい? 今もアタシ等を道連れに死ぬ気かい?
 聞いた限りじゃ、やけっぱちの討ち死に上等なんて、本来のアンタならやりそうもねぇ判断だ。そういうのァ、覚悟やプライドってんじゃなく、どっちかっつうと逃避ってやつじゃね?」

 紅雪、アイビス、狐狛の言葉。
 何故、自分は宰相を排除しようとしたのか。
 何故、国民が困窮する危険を犯してプラントを占拠したのか。
 何故、目の前にいる彼女達が不倶戴天の敵だという気持ちが湧いたのか。
 幾つもの何故がアデリナの頭の中に浮かぶ。

「――私は。―――何!?」

 アデリナが何かを答えようとした時、セラフィム・リッパーが独りでに動く。
 残った最後の武装、『光の翼』を紅雪たちに向けてプラズマビームを乱射する。

「最後の足掻きというやつかしら?」
「その様ですね」
「しゃあないなぁ」

 迫るプラズマビームを前に三者の行動は様々だ。
 紅雪は途中まではキャバリアを操り回避して見せていたが途中でキャバリアを捨て、地上に降りる。これは次の行動を考えての事である。
 狐狛は得意とする結界術で強固な障壁を築いて防ぐ。
 集束された一撃ならともかく分散されたビームなら十分に防げると瞬時に判断してのことだ。
 そして、アイビス。
 彼女はビームにより機体が抉られるのも構わず接近すると、至近距離でコックピットのハッチを開け、セラフィム・リッパーに飛び移る。
 そして、間髪入れずに放つのはユーベルコード『サイキックブラスト』を魔法で強化した電撃。
 その一撃はセラフィム・リッパーの動きを一時的ではあるが完全に止める。

「行きなさい、雪華、紅雨! 的はデカいわよ!」

 こうなることを予見していた紅雪はユーベルコード『雨と雪の暴動』で召喚していた守護獣、雪華と紅雨をけしかける。
 紅雪の命に瞬時に反応した二体は動けないセラフィム・リッパーに猛攻。
 スラスターと残った左脚を破壊して遂にオブリビオンマシンは大地に倒れ伏す。

 その後、紅雪は動かなくなったセラフィム・リッパーからアデリナを救出する。
 彼女は力なく蹲っている。自らの行動は全て記憶している。
 何故、そうしたのか全く分からないが結果、第三騎士団の三割は壊滅。
 他国に付け入る隙を見せることになった。責任の取りようがない失態だ。

「顔を上げろ、アデリア・ホイベルガー」

 凛とした声が響く。
 聞き覚えがある、しかし、違和感を覚える声にアデリナが顔を上げるとそこには自分が立って見下ろしていた。

「犯してしまった罪は消えない。ならば、償いきれずとも行動しなければならない。
 国家と陛下、そして私の為に罪を犯してしまった部下達の為にな。絶望して蹲っている暇はないぞ」

 もう一人のアデリナ。
 それは狐狛がユーベルコード『ほどよく曲がった姿見』で召喚した、オブリビオンに支配される前の本来のアデリナだ。支配していたオブリビオンが倒されたとはいえ、その影響で混乱の極みにいたアデリナ。
 だが、狐狛の召喚したもう一人の自分と対話したことでほどなく自分を取り戻す。

「……ありがとう。そうだな。絶望している暇はなかった。君達には助けられた。お陰で最悪ではあるが、まだやれることがありそうだ」
「マシな顔になったねェ。これなら大丈夫そうだ」

 そんなアデリナを見て、狐狛はユーベルコードを解除してもう一人のアデリナを無に還す。
 反逆罪である。自分の死刑は免れないだろうが、何とか部下達を減刑しなければならない。そんな決意をするアデリナに紅雪が軽く声をかける。

「多分、大丈夫よ。それより、この機体、貰っていいかしら?
 ああ、王国からは今回の報酬に一機貰うって契約をしているの」

 大破したセラフィム・リッパーを指さして言う。

「――大丈夫? いや、王国政府が了承しているなら私に否はない。
 だが、それは危険だぞ」
「ふふ、それこそ大丈夫よ。ねぇ、アイビス?」
「頂くのは構いませんが、どこに置くつもりですか?
 それに随分と壊れていますが?」
「そうね、ちょっと壊れすぎかも……でも修理のアテはあるの。置く場所もね」

 軽い調子で会話をする紅雪とアイビスの様子にアデリナの心も少し軽くなる。
 その後、猟兵達がプラントを遠巻きに監視していた王国軍を呼び、叛乱軍は王都に送られることとなる。

 ほんの少し未来の話。
 アデリナの叛乱は公式には叛乱ではないという形に収まる。
 一連の戦闘は猟兵の一人が言った模擬戦闘つきの基地監査の態にされたのだ。
 無論、叛乱があったことを知る者は多い。
 第三騎士団のキャバリアもその三割が失われた。
 それでもその様な措置となったのは猟兵達が事の元凶、発端がオブリビオンマシンであることを王国上層部に知らせた為だ。
 常人たる王国上層部にオブリビオンマシンを判別することは出来ない。
 しかし、状況証拠は多くあった。
 クロムキャバリアの歴史を紐解けば今回の様に突発的な原因不明の叛乱、暴走は枚挙にいとまがない。
 それに加えて最近、今回の叛乱を収めた超人的な傭兵のような存在が近隣諸国にも現れ、同じく叛乱、暴走を収めた際にその参加者達が正気に戻ったという情報も入っていた。
 最終的には国王が無罪放免を言い渡すことで、監査の模擬戦に敗れたペナルティとしての減給という極軽微は罰でアデリナ達は解放された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月17日


挿絵イラスト