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Missing sweets!

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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「そんな……こんなことって、無理、もう無理です……世界の終わりです……」
 グリモアベースの一角。
 甘利・梓(腹ペコ乙女・f12881)はこれ以上ないという絶望顔で、自身が開いたゲートを前に頽れていた。
 何事だと猟兵の一人が声をかけると、梓はぼろぼろと涙をこぼしながら告げた。

「……カクリヨファンタズムから、甘味が消えてしまいました……」


 つまり梓が予知したことを要約するとこうだ。
 現場はカクリヨファンタズム。どの世界よりも危うく、常に崩壊の危機と隣り合わせにある世界。
 そのカクリヨファンタズムにて、オブリビオンの策略によって世界中のありとあらゆる甘味が消えたらしい。お菓子屋さんやおやつは勿論、甘味の材料となるようなものも纏めて消え去った。つまり、世界から「甘味」という概念すらも消えたのだ。
 それによって世界は大混乱に陥った。
 子供は大泣きし、女子は嘆き悲しみ、男子は憤慨し、ある者は絶望し、ある者は暴れまわり、ある者は狂ったように甘味を求めて探して徘徊するようになった。そうしてなんやかんやあって今、カクリヨファンタズムは世界の終わりを迎えようとしている――ということらしかった。
「スイーツが世界から消えるなんて絶望です! そら世界も崩壊するってもんです! しかもこの時期にですよ!? ハロウィンパーティーの準備してるって聞いてたのに!! ハロウィンスイーツいっぱいあるって言ってたのに!!」
 食の権化みたいな人狼、梓は怒り心頭である。
 それもそのはず。
 このカクリヨファンタズムでも西洋妖怪のおかげか仮装行列やハロウィンの風習はあるらしい。近々ハロウィンスウィーツ百鬼夜行パーティーという催しがあると聞いた梓は、それはそれは張り切って手伝いに勤しんでいた矢先の出来事だった。
 パーティーにはパンプキンパイやパンプキンプリン、魔女の指のビスコッティや真っ赤なクランベリーソースで頂くスコーン。吸血鬼の棺桶型ブルーベリータルトに黒猫のガトーショコラ。薩摩芋で作ったジャック・オ・ランタンランタン練り切りや、求肥で包んだおばけ苺大福などなど。
「なとなどなどなど、古今東西色んなハロウィンスウィーツが揃っていたのに!! 鴨肉のサンドイッチとか南瓜のスープとかの軽食を残して、綺麗さっぱり消えてしまったのです!! これは一大事です! すみませんが解決に力を貸してくださいませんか!!」
 それはそれで美味しそうなメニューではあったが、やはり甘味が無くなり、世界がカタストロフを迎えることを容認するわけにはいかない。

 今ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティー会場では、未だスイーツを求める者たちへの粛清がなされている。オブリビオンに捕まった者たちは無理矢理骸魂によってオブリビオン化されている。獄卒へと生まれ変わった妖怪たちはオブリビオンの意のままに妖怪たちを捕らえ、また自分たちの仲間にする。このままでは埒が明かない。
「ですのでまずはこの獄卒たちを纏めて倒し、骸魂を抜いて元の妖怪たちへ戻してあげるのがいいと思います。その上で、今回の元凶であるオブリビオンを倒すという流れがよいかと!」
 力いっぱい力説した梓は、改めて猟兵たちの為にゲートを開く。

 いざや往かんスイーツの為!
 いざや戦わんハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーの為!

 こうして猟兵たちは、スイーツの消えたカクリヨファンタズムへと足を踏み入れるのだった。


花雪海
 ゆるゆるっとした雰囲気でハロウィンシナリオが書きたい!という欲求に忠実になりました。
 お世話になっております、花雪 海です。
 この度はスイーツが失われて崩壊の危機を迎えるカクリヨファンタズムへ、皆様をご案内致します。

 ●第一章・第二章について
 基本的に勢いで大体どうにかなります。
 さくっと終える予定の為、此方は成功度達成が出来る最小人数での運営(6名様前後)を予定しております。

 ●第三章「百鬼夜行のお祭り騒ぎ!」
 無事オブリビオンを撃退出来ますと、ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーが開催されます。
 要は仮装をしながらハロウィンスイーツを心ゆく迄楽しもうという催しです。
 此方は受付期間をしっかりと取って、参加される皆様全員を採用したいと考えております。
 この章のみの参加も大歓迎です。
 なおこの章のみお声がけがあれば、甘利・梓が同行致します。

 ●お連れ様について
 お連れ様がいらっしゃる場合は、【グループ名】もしくは【お相手様の名前とID】を冒頭にお書き添え下さい。
 またキャパシティの問題で、今回グループ参加は最大【5名様まで】とさせて頂けますと幸いです。

 ●プレイング受付
 第一章のプレイング受付は【10/9 8:31~成功度を達成するまで】を予定しております。
 受付終了が変則的となりますが、必ずMSページ最上部に受付状況を記載致しますので、ご参加の際は一度確認頂けますと幸いです。
 受付期間外に頂いたプレイングは、問題がなくとも流してしまいますのでお気をつけください。
 また参加人数によっては再送をお願いすることもあると思います。
 ご連絡はお知らせ用ツイッターとMSページにて告知致しますので、お手数ですがご確認頂けますと幸いです。
 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『『地獄の獄卒』ごめずちゃん』

POW   :    ごめずちゃんは嘘がキライだぞ
全身を【地獄の炎】で覆い、自身が敵から受けた【嘘の言葉】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    悪い子にはお仕置きだぞ
【ごめずちゃんとの鬼ごっこ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【武器「鬼の金棒」によるお尻ぺんぺん】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    悪い子みーつけた
自身が【対象から罪の意識】を感じると、レベル×1体の【ごめずちゃんのお友達】が召喚される。ごめずちゃんのお友達は対象から罪の意識を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「どっこだーどっこだーざーいにーんはー!」
「逮捕だ逮捕だかっくごっしろー!」

 スイーツが消え、ハロウィンスイーツを楽しみにやってきた妖怪たちが次々と捕らえられていく。阿鼻叫喚の地獄絵図と化したパーティー会場に、不釣り合いな程に無邪気で陽気な歌が響く。
 大きな金棒を抱えた幼いと思える少女たちが、隊列を組み歌を歌いながらやってくる。小さな背丈に大きな角。可愛らしいお洋服と満面の笑みに、不釣り合いな金棒。
 そのオブリビオンとは、『地獄の獄卒』ごめずちゃんだ。

 ごめずちゃんのお仕事は罪人を探して捕まえること。罪人とは即ち「スイーツや甘味、甘さを求める妖怪たち」だ。
 スイーツを求めて駆けまわる猫娘を引っ掴まえ、抵抗を試みようとした一つ目小僧を金棒でケツバットをする。鬼ごっこは大得意で、足の速さにはなかなか自信がある。
 容赦のなさは地獄の獄卒に相応しく、質問に対して嘘をついたらごめずちゃんはとっても怒る。

 たったかたったか、スキップしながらごめずちゃんたちは会場を歩く。
 らんらんららら、歌いながら罪人を探す。
 地獄の獄卒ごめずちゃんは、無敵の獄卒だ。

「甘いのほしい子どーこだ!」
「甘いのほしい子捕まえちゃうぞ!」
「……ごめずちゃんもちょっとは欲しいけどな」
「ごめずちゃんも……ケーキ美味しそうだったな……」
「ごめずちゃん!! そんなこと言うといくらごめずちゃんでもお仕置きだぞー!」
「ごめずちゃんは甘いの食べたくても主様のためなら我慢できるいい子のはずだぞー!」
「我慢できないと捕まえちゃうぞー!」
「主様とっても怒るぞー!」
「……でもあのプリン美味しそうだったな……」
「「「ごめずちゃん!!」」」

 ――無敵かと思いきや普通に付け入る隙がありそうなあたり、やっぱりお子様なのかもしれない。
 例えば、ゲートをくぐる時に美味しそうなチョコレートとか。いい匂いのするお菓子とかケーキとか持ってきちゃったりしたら、結構隙とか出来ちゃうのでは? 
 その隙に一発どかんとユーベルコードでもぶっぱなしたら、骸魂抜けちゃうのでは?
 何故だかそんな辺りまで読めちゃったぞ?

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 ●お知らせ
 ノリと勢いでどうにかなる第一章です。
 普通に戦っても苦戦することはありませんが、お菓子で釣ると簡単に食いつくので隙も難なく作れます。
 難しく考えず、やりたいことをやりたいままになさって下さればと思います。
 
 ●受付期間と採用人数について
 第一章はさっくり終える予定の為、受付人数は【6名様前後】です。
 それに伴い、第一章のプレイング受付は【10/9 8:31~成功度を達成するまで】を予定しております。
 受付終了が変則的となりますが、必ずMSページ最上部に受付状況を記載致しますので、ご参加の際は一度確認頂けますと幸いです。
 受付期間外に頂いたプレイングは、問題がなくとも流してしまいますのでお気をつけください。
 
 それでは、皆様の熱いプレイングを心よりお待ちしております。
 ハロウィンやスイーツに対する熱い想いでも大丈夫です。
逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

甘味がこの世界から消えてしまう……とは……
そのことそのものよりも、ザッフィーロが悲しむので、それはいただけませんね
ちら、と悲愴感あふれる伴侶の顔を盗み見つつ
甘味を前にしたザッフィーロの柔らかな笑顔もいっとう好きなので、張り切ってまいるといたしましょう

UDCアースから持ち込んできた有名菓子店のモンブランと苺のショートケーキを箱から出してお皿にのせ
さりげなくそのあたりのテーブルなどにフォークとともに置き
彼女たちがそれに気をとられて近づいてきたなら「高速詠唱」した【ハイ・グラビティ】を一撃ぼすんっと撃ってみましょう

……?
きみを置いて消えはしませんが……は、はい……???


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

甘味の概念を失わせようとする者だと…?
甘味のない世界等考えられぬだろう?
そう混乱しつつもハッと顔を上げれば宵へ視線を
宵は俺の導きの星であり無い事等考えられぬ存在…ならば甘味の如き者と言えるのではないか…?
宵が…宵が消えたらどうしてくれるのだ
斯様な企みは是が非でも阻止せねば…っ
…宵、消えるなよ…?

戦闘時は宵が用意した甘味につられてやってきた敵へ【全能の目】
お前達は本当に甘味がなくなれば良いと思っておるのか?
…攻撃が効けば満足げな笑みを
矢張り甘味は偉大だな…!
後、勿論戦闘中は常に宵が攻撃されぬ様、又消えぬ様傍を離れず『盾受け・かば』い行動しよう
…宵、消えては居らんな?!




「甘味がこの世界から消えてしまう……とは……」
「甘味の概念を失わせようとする者だと……? 甘味の無い世界等考えられぬだろう?」
 逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は眉間に皺を寄せた目元に手を当て、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は青褪めた顔で拳を握った。
 甘味とは癒しで幸福である。
 それが消えるなど間違いなく特大の悲劇だと、悲壮感溢れるザッフィーロを宵はちらりと盗み見た。
 宵にとっては甘味が消えることそのものよりも、それによってザッフィーロが悲しむことの方がいただけない。
「甘味を前にしたザッフィーロの柔らかな笑顔もいっとう好きなので、張り切ってまいるといたしましょう」
「宵……」
 ショックを受ける伴侶の肩に手を置いて、宵は柔らかな月のような笑みを浮かべた。まずはザッフィーロの混乱をほぐし元気づけようという宵の心遣いが垣間見える。それが嬉しくてザッフィーロも笑みを浮かべようとして――、ふと過った考えにハッとした。
 宵はザッフィーロの導きの星であり、彼が居ない事等考えられぬ存在。甘やかで愛しくて、宵の事を考えるのは癒しで幸福だ。
(「……ならば甘味の如き者と言えるのではないか……?」)
 ザッフィーロの背をぞくりと冷たい予感が駆け抜けた。
 甘味という概念を消そうとしているということは、存在が甘味のような宵だって概念から消えてしまうのではないのか――?
 
「宵が……宵が消えたらどうしてくれるのだ。斯様な企みは是が非でも阻止せねば…っ」

 ――なんて心配は勿論ザッフィーロの杞憂ではあるが、甘味の消失に加えて愛し伴侶の喪失まであるかもしれないなんて、そんな特大ショックの重ねがけみたいな想像をしてしまったものだから、もうザッフィーロは止まらない。
 そう。こんなこと、許してなるものか!!
「……宵、消えるなよ……?」
「……はい?」
 困惑する宵の隣で、ザッフィーロは静かに心を燃やしていた。
 
「どっこだーどっこだー、ざーいにーんはー!」
「甘いの好きな子たーいほーするー!」
 ごめずちゃんたちが陽気に歌を歌いながら列をなしてやってくる。仲良く手を繋ぎ、金棒に不穏な赤を滴らせてやってくる。
「甘いの欲しい子わる……あれー?」
 そんなごめずちゃんの一人が、甘い甘い香りに気付いた。今この世界にはあってはならないもの。その芳しい甘やかさは、とあるテーブルの上から発せられている。
 ごめずちゃんの見間違いでなければ、そこにはモンブランと苺のショートケーキがあった。
 如何にも有名洋菓子店の高級ケーキですと言わんばかりの、お洒落で可愛らしくて、何より滅茶苦茶美味しそうなケーキである。何とも用意のいいことにフォークも用意してある。ごめずちゃんたちはケーキに釘付けになった。

「ごめずちゃん……ケーキだな……」
「そうだな……美味しそうだな……」
「だめだぞごめずちゃん! 甘いものは悪いもの! 主様が言ってたぞ!」
「でも……ごめずちゃんたちしか今ここにいないぞ……」
「……ちょっとくらい食べたって、バレないかな……」
 ごめずちゃんたちはグラッグラに揺れている!
 予想通りにちょろいらしい。そこに、
「えいっ」
 宵の持つ天球技のような繊細な杖から放たれた重力波が、ケーキに近づいてきたごめずちゃんたちを軒並み地に押さえつけた。
「あれー!?」
「重いー!?!」
「立てないー!?!」
「敵だー!!?」
 ごめずちゃんたちは慌てふためいている!
 どれだけジタバタ足掻いても立ち上がることも出来ない。ケーキが、美味しそうなケーキがそこにあるのに!!
 
 藻掻くごめずちゃんたちの上に、黒い影が降ってきた。
 長身の男性だ。逆光によって表情は見えなくとも、銀に輝く瞳に今は炎を宿している。しかも男性の周囲には、虚空より無数の「罪穢」という名の目が現れて次々と開かれている。ごめずちゃんたちに戦慄が走った。
「お前達は本当に甘味がなくなれば良いと思っておるのか?」
「!?!?」
 ちょっと予想外の質問だった。絶対怒られると思ってた。
 だが、不思議と「そうだ!」とか「もちろん!」という言葉が出てこない。それは宵がUDCアースの有名菓子店で購入したケーキの力なのか、男性――ザッフィーロの力によるものなのか、はたまた骸魂に取り憑かれたごめずちゃんたちの本当の心なのか。
「どうなのだ?」
「……なくなっちゃうのは、やだなー……」
「ごめずちゃん!?」
「だってケーキ美味しそうだよー……」
「お菓子もケーキも、ごめずちゃんたち本当は好きだもんなー……
 一人のごめずちゃんがぺしょりと呟くと、他のごめずちゃんも次々とぺしょりとしだした。その途端、全能の目たちが閉じていく。それが何より、ごめずちゃんたちが真実を述べているという確証になる。
 戦闘意欲を失くしたごめずちゃんたちが宵の放った星の重力波に耐え切れずに、ぷしゅうと意識を手放していく。やがて地に伏せたごめずちゃんたちから、次々と悪しき気配が抜けていった。
 それを全て見届けたザッフィーロに、満足げな笑みが浮かんだ。
「矢張り甘味は偉大だな……!」
 甘味はオブリビオンの支配すらも跳ねのけるのだ。そも、こんな小さな子どもが本当に甘味が嫌いということはほぼないだろう。
 後で食べられるようケーキにカバーをかけながら、宵もうんうんと頷いている。まだ安心はできないが、一先ずザッフィーロに笑みが戻ったことは喜ばしい。
「……宵、消えては居らんな!?」
 などと思っていたら、物凄い勢いで宵を振り返ったザッフィーロが、存在を確認するように宵を強く抱き寄せた。
「……? きみを置いて消えはしませんが……は、はい……???」

 盛大に困惑する宵が、ザッフィーロの心中を知るのはもうちょっとあとの話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
食べたいもの我慢するのは健康に良くないと思うけどなー
美味しいものは美味しい
食べたいものは食べたい

ね、そう思わない?
ごめずちゃん

にっこり笑顔でバスケットを掲げる
中身は薔薇のアップルパイ
見た目もおしゃれな方が食欲を刺激されるでしょ
気軽に長く食べれる飴ちゃんも用意してるよ
【料理】には自信ある方だからね
さ、どうする?食べる?要らない?

★Candy popもアップルパイも、食べたいって言うならほんとにあげるよ
敵だとしても喜んでもらえるのは嬉しいからね
最後は忘れずに【破魔】の【指定UC】で倒させてもらうけど
【優しい祈り】で痛みは与えずに、温かい輝きで【浄化】

もし鬼ごっこしかけられたら空に逃げます(飛行)




「そこのお前-! 止まるのだ!」
「ん? 僕?」
 立ち止まった少年が、くるりと振り返る。
 ふわふわマシュマロみたいに軽やかな足取りで、キャラメルみたいな琥珀の髪を靡かせて。そうして香る、甘やかな匂い!
「 お前、すっごくすっごくいい匂いの何か持ってるだろう!」
「甘味とかスイーツとかおかしとかおやつとか、持ってるだろー!」
「もの凄く美味しそうな匂いだけど、甘いのダメなんだぞ! 逮捕するー!」
 数人のごめずちゃんに包囲された少年――栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、首を傾げた。唇に人差し指を当てて小首を傾げる様はアイドルか天使か。
「食べたいもの我慢するのは健康に良くないと思うけどなー」
「なんだとー!」
「…………わかるー」
 澪の一言で既に揺れているごめずちゃんが居る。早い。
「美味しいものは美味しい。食べたいものは食べたい。ね、そう思わない? ごめずちゃん」
「おも……はっ! それは!?」
 ごめずちゃんの反応に脈ありと判断した澪が、にっこりと笑顔で手にしたバスケットを掲げた。中身は――、
 
 薔薇のアップルパイ。

「「「「かわいいー!!!」」」」

 ごめずちゃん一同、思わずパイに釘付けになった。
 薄切りの林檎が薔薇のように花開く、美しいアップルパイ。見た目はまるで花束で、ふわと漂ってくる香りは焼けた林檎とほんの少しのシナモン。そして花の下に隠れたカスタードのもの。
 どう見ても美味しい。可愛い。手に取って食べてみたい欲求がそろそろ骸魂の支配を突破しそうである。
「こっ、これは……お前が、作ったのか……?」
「うん。料理には自信ある方だからね。見た目もおしゃれな方が食欲を刺激されるでしょ」
 ごくりと涎を飲み込む音が複数聞こえた。最早肯定と言っても過言ではない。
「気軽に長く食べれる飴ちゃんも用意してるよ」
 さらにバスケットから、可愛らしい飴玉が沢山入った小瓶が出てきた。追い打ちだ。もうごめずちゃんは限界である。
「さ、どうする? 食べる? 要らない?」
「あっあっ……ど、どうするごめずちゃん……」
「食べたら主様に怒られる……でも食べたい……」
「でもごめずちゃんたちは甘いの好きな子を逮捕する、地獄の獄卒……」
「キャンディもアップルパイも、食べたいって言うならほんとにあげるよ」
 天使の笑顔で澪が選択を迫る。
 ごめずちゃんたちの顔には明らかすぎる動揺と葛藤が溢れている。あと一押しあればよさそうだ。
「要らないなら持って帰っちゃうね」
 そっかー残念だなー、なんて。
 澪がバスケットに蓋をしながら、くるりと踵を返す素振りを見せた途端。
「「「だめー!!!!!!」」」
「「「「食べるー!!!!」」」
 半泣きで澪に縋ってきた。その顔に戦意などはない。ただただ、ものすごく綺麗で美味しそうなアップルパイと、可愛いキャンディが食べたい!!という純粋な子供の目だ。
「ふふ。じゃあ順番にあげるよ」
 スイーツパワーによってオブリビオンの支配を乗り越えたごめずちゃんたちに、澪は満面の笑みを咲かせる。それぞれに配られたアップルパイをごめずちゃんたちが一斉に頬張れば、幸せの溜息と興奮と、そしてなにより笑顔が溢れ出す。薔薇のアップルパイによく似た笑顔が並んでいた。
「うまいなー!」
「幸せだなー!」
 敵だとしても、喜んでもらえるのは嬉しいものだ。
 一生懸命にパイを頬張るごめずちゃんたちを眺めながら、澪はそっと祈る様に指を組む。この笑顔は、悲しみや痛みに歪めさせないまま。優しい祈りを破魔の力に変えて、澪から放たれた温かな光はごめずちゃんたちに憑りついた骸魂を浄化していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真幌・縫
スイーツがなくなるなんて一大事…!だよね!
もう直ぐハロウィンなのにトリックオアトリートが出来なくなっちゃう…。
ぬい…そんなの嫌だな。
お菓子だって大好きだしハロウィンだって大好きだし世界を滅ぼされるのも嫌だもん。
よくばりだけど全部を守るためにがんばろう♪

ごめずちゃん…あんな風にいってるけどお菓子食べたいんじゃないかなぁ。
そうだ縫いもってるクッキーを食べない?
美味しいよ?
あ、でも食べちゃったら悪い子になる?
…困らせちゃったみたいだね。
でも今のうちに…UC【ぬいぐるみさん行進曲】!


ミラ・パーチェ
アドリブ大歓迎!

甘味が消えるなんて……!
甘味が!消えるなんて!絶対にダメ!!!(力説
ハロウィンスイーツを取り戻す為に
立ち上がらない訳にはいかないわ!立ち向かうわ!

お菓子で釣られる……
私の持ってるソウルフードで釣られてくれるかしら?
【おびき寄せ】を狙ってみるわ
上手くいかなかったら、足で探すとしましょう!

見つけたら、ごめずちゃんにクッキーを一枚差し出して
美味しいものは一緒に食べると、美味しいわ
良かったら、少しだけ一緒にどうかしら?

それでも駄目なら、仕方がないわ
【神様の恵み】を使って強化
神の怒りを使って、ドッカーン!よ!




「甘味が消えるなんて……! 甘味が! 消えるなんて! 絶対にダメ!!!」
「スイーツがなくなるなんて一大事……! だよね!」
 大事なことなので二度力説したミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)が力強く拳を握れば、その隣で翼ねこさんぬいぐるみのサジ太を抱き締めた真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)もこくこくと頷いた。
 二人が共に立つこの広場だって、本当ならハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーが開催されていたはずだ。
 目を奪われるような鮮烈なデザインのハロウィンスイーツ。思わずため息が出るような美しいケーキ。ほっこりと心を癒してくれる和菓子の数々。甘やかな香りと妖怪たちの笑顔が今頃溢れていたはずなのだ。
 けれど何もない。甘味なんて跡形もなくて、妖怪たちは怯え隠れ、なんやかんやで世界は崩壊の危機だ。本物の妖怪たちとこの世界がこの様子では、ハロウィンなんて永遠に来やしない。
「もう直ぐハロウィンなのにトリックオアトリートが出来なくなっちゃう……。ぬい……そんなの嫌だな」
 縫はサジ太を胸にぎゅっと抱きしめながら、サジ太の頭に口元を埋めた。沈む瞳が悲しみを物語る。
「ハロウィンスイーツを取り戻す為に、立ち上がらない訳にはいかないわ! 立ち向かうわ!」
 そんな縫を励ますように、ミラは元気いっぱいに笑って拳を振り上げる。ね、とウィンクしてみせれば、縫もほわりと微笑んで。
「お菓子だって大好きだし、ハロウィンだって大好きだし、世界を滅ぼされるのも嫌だもん。よくばりだけど全部を守るためにがんばろう♪」
「えぇ!」
 二人はごめずちゃんたちの歌が響く方へと駆けていく。
 
「甘いの欲しい子いけないぞー!」
「甘いの欲しい子たーいほーするー!」
 ほどなくしてごめずちゃんたち数人の一行を見つけた二人は、そっとテーブルの陰に隠れた。まずは初手をどうするか。
「お菓子に釣られるって言ってたわよね……」
「ごめずちゃん……あんな風にいってるけどお菓子食べたいんじゃないかなぁ」
 というかもう釣られる時点でそれしか考えられないというのが、ミラと縫の見解。オブリビオンによって骸魂を埋め込まれてオブリビオン化しているものの、会話の端々から「あまーいお菓子食べたい!」という気持ちが滲み出ているのだ。甘味は強い。
「私の持ってるソウルフードで釣られてくれるかしら?」
「縫もクッキー持ってるよ」
 縫が可愛らしいアイシングクッキーを取り出せば、ミラは各世界のソウルフードを並べてみせた。何処にこの量を隠していたのか、大変気になるところではあるが今は突っ込むべきところではない。一先ずUDCアースのおやついっぱいグルメと、アリスラビリンスで入手した様々な種類のケーキが役に立ちそうだ。
 ミラがこっそりとおやつとケーキを並べると、風が香りをふぅわりと運んでくれる。それがごめずちゃんたちの鼻腔を擽ったなら、ごめずちゃんたちは一斉にそわそわしだした。「甘い匂いがするぞ、どこだー! 逮捕だぞー!」
「ケーキっぽい匂いがするぞ、そこだー! いくぞー覚悟しろー!」
 だだだだっ。
 言葉だけは勇ましいが、きらきらのケーキと可愛らしいアイシングクッキーを取り囲むごめずちゃんたちは涎とついついときめいてしまう瞳を隠しきれていない。食べたそうに固唾を飲むごめずちゃんたちの前に、すかさず縫とミラが姿を現した。
「はっ! これを用意したのはお前達かー! 美味しそうだな、逮捕するー!」
「……本当に美味しそうだな、このクッキーとケーキ……」
「「「ごめずちゃん!!」」」
 食べたさが隠しきれていない。
 そんなごめずちゃんたちに、ミラはにこりと天使の笑みを浮かべる。
「美味しいものは一緒に食べると、美味しいわ。良かったら、少しだけ一緒にどうかしら?」
 美味しいよ?と重ねて告げて、ミラはケーキを一口食べてみせる。途端に、頬を抑えて幸せそうに笑う。もう絶対美味しいんでしょそれ。ごめずちゃんたちが食べたそうにミラを見ている!
「で、でもっ、ケーキ食べたら、主様に怒られる……」
「そうだ。ケーキがダメなら縫持ってるクッキーを食べない? 美味しいよ?」
 縫が助け舟を出すように、チョコチップにマーブルクッキーなど可愛らしくて小さなクッキーを差し出して見せる。
「あ、でも食べちゃったら悪い子になる?」
「う、う、うぅぅぅ……!! ちっちゃいの一個なら、ダメだろうかごめずちゃん!」
「多分主様はダメっていうー……」
「でもケーキもクッキーも美味しそうだな、食べたいな、食べるって言ってくれてるなー……」
 ごめずちゃんたちは本当に困っていた。
 正直これでよく獄卒として闊歩していたなと思ったりもしたが、「甘味を求める妖怪を逮捕すること」と、「実際に甘味を前にすること」は別問題だったのかもしれないなどと、ミラは思ったりする。なにせ甘味は実物を目の前にした時の食べたさがすごい。
 オブリビオンとしての職務と甘味の間で揺れ動くごめずちゃんたちは、なかなか結論を出せない。
「……困らせちゃったみたいだね」
「そうね。仕方がないわね」
 縫とミラは互いに顔を見合わせて苦笑した。
 骸魂が憑いたままだから、きっと良くないのだ。正しい状態に戻してあげなければ。
 ミラが見た目も美しいスイーツへの感動で自身を強化し、縫がたくさんのぬいぐるみをぽんぽんと召喚する。
「でも、今のうちに」
「それじゃ、いくよっ」
「せーの! 攻撃開始ー!」
 ドッカーン!
 ミラの神の怒りが炸裂し、縫のぬいぐるみさん行進曲がごめずちゃんたちをもみくちゃにした。
 
 そうして、辺りが静かになった頃。
 骸魂が抜けたごめずちゃんたちは目を回して倒れている。
 そのすぐ傍には、丁寧にラッピングされたケーキとクッキーが置いてあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花綱・雀
甘味が消えたってことはスイーツピザも消えたってことだよね? 一大事じゃん!!
ハロウィン仕様のスイーツピザを食べる為にも俺はやるよ、人の作ったピザ食べたい!

うわ、めっちゃイイ笑顔でえげつない武器持ってるじゃん…これはあれだ、当たると絶対痛い奴なのでなるべく近寄らないようにするからね、こっちくんな! チョコレートとマシュマロをたっぷり使った俺のスイーツピザをくらえ!
美味しい? そう? 美味しいよねぇ!(嬉しそう)
スイーツピザの良さを力説してる場合じゃなかったわ、俺の可愛い金貨ちゃんたち、よろしく頼むよ!
UC使用し、範囲攻撃で金貨をぶち当てる! 攻撃はなんか野生の勘とか第六感とか、感覚だけで乗り切る




「甘味が消えたってことはスイーツピザも消えたってことだよね? 一大事じゃん!!」
 何もないテーブルだけが並ぶ、ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーの会場で、花彩雀鶯、花綱・雀(花彩雀鶯・f26205)は頭を抱えていた。
 本来ならここには今頃たくさんのハロウィンスイーツが並んでいたはずなのだ。その中には当然、ハロウィン用にデコレーションされたスイーツピザだってあったはずで。
「ハロウィン仕様のスイーツピザを食べる為にも俺はやるよ、人の作ったピザ食べたい!」
 強火ピザ担の雀は燃えていた。ピザを愛しピザに愛する男として、ピザの一大事を見逃すわけには行かないのだ!
 
 というわけで、まずは敵情視察である。
 テーブルに隠れて覗き見れば、ごめずちゃんたちが歌を歌いながら歩いていた。
「甘いの好きな子かっくごーしろー!」
「たーいほーだほーばくだーぼくさーつだー!」
 可愛らしい外見に似合わず、大層物騒な歌を歌っている。しかもその手には、血らしき赤のついた金棒がある。
「うわ、めっちゃイイ笑顔でえげつない武器持ってるじゃん……」
 遠足みたいな雰囲気で撲殺鈍器を振り回すごめずちゃんたちに、雀は早くもげんなりとした。
(「これはあれだ、当たると絶対痛い奴なので、なるべく近寄らないようにするからね……」)
「甘くて美味しそうな匂いがするぞー!!」
「怪しい綺麗な色が見えるぞー!! 取り囲めー!!」
 早くも見つかった。雀の気配……というよりは隠し持つ美味しそうな甘味の匂いを先に察知したっぽい感じで、ごめずちゃんたちが雀に迫る。
「こっちくんな! チョコレートとマシュマロをたっぷり使った俺のスイーツピザをくらえ!」
 ごめずちゃんたちと反対方向に逃げつつ、雀は切り分けたスイーツピザ、チョコレート&マシュマロを次々にごめずちゃんたちに投擲した。ピザは一直線にごめずちゃんたちの口に放り込まれていく。飛び込んできた甘いピザを勢いで咀嚼して、つい飲み込んでしまったごめずちゃんたちは、互いに顔を神妙に見合わせ……。
「「「おいしい!」」」
 声を揃えて叫んだ。
「美味しい? そう? 美味しいよねぇ!」
 その声に、逃げ出していた雀もぴたりと足を止める。それどころか踵を返し、晴れやかな笑みまで浮かべてそのまま――、
 
「ピザは至高の食べ物だけど、それをデザートにしちゃうって発想がまずいいよねぇ。定番のチョコレートとマシュマロも旨いし、焼いた生地に生のフルーツを並べてもお洒落。カスタードを敷いてりんごを乗せてもアップルパイとは違った良さがあって、しかもどれもガチ旨くて」

 嬉しくてつい、スイーツピザについて力説をはじめてしまった。
「――つまり、スイーツピザは最高だ!」
「「「さいこうだー!!」」」
 熱く語り終えた雀と共に、ごめずちゃんたちは高く拳を掲げた。
 スイーツピザを通して、今皆の心は通じ合ったのだ。
 スイーツピザも最高であり、それ故甘味が消えてしまうことはこの世の悲劇でしかないのだと――!!
 
「……ってスイーツピザの良さを力説してる場合じゃなかったわ、俺の可愛い金貨ちゃんたち、よろしく頼むよ!」
 
 語り終えて満足した雀が、はたと素に戻った。金貨を空にばら撒き、そのうち一枚を代償に運を自身に運を呼び込む。行動成功を確信した雀は、そのまま残りの金貨をごめずちゃんたちにぶち当てた!
「ふぎゅっ!」「いたっ!」
 見事額にびたん!!と金貨を喰らったごめずちゃんたちは、次々と目を回して倒れていく。倒れたごめずちゃんたちからは悪しき気配が消え、反撃を警戒する必要もないままに会場に静寂が訪れた。
 ごめずちゃんたちの歌はもう聞こえない。ハロウィン仕様のスイーツピザとスイーツ復活のため、残るはこの元凶たるオブリビオンただ一人。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『剣鬼『彼岸花のおゆう』』

POW   :    悪鬼剣『彼岸花』
【血を滴らせた大太刀『三途丸』】が命中した対象を切断する。
SPD   :    悪童の爪
【鬼としての力を解放した左手】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【血の臭いと味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    鬼神妖術『羅生門』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【血で作られた紅の斬馬刀】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はガイ・レックウです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 すっかり骸魂が抜けたごめずちゃんの姿がぽんと変化する。
 牛の角のついていたり、馬の耳がついていたりするところから見ると、牛頭ちゃんと馬頭ちゃんに馬頭ちゃんと牛頭ちゃんの骸魂が憑りついて『ごめずちゃん』になっていたのだろう。
 牛頭ちゃん馬頭ちゃんに怪我はないようで、皆一様に口元をスイーツで汚しながら目を回しているだけ。これならば時間が経てば自然と目を覚ますだろう。

「ごめずちゃんたちの声がしなくなったから来てみれば……!」

 突如、声は天から降ってきた。
 遅れるようにして大きな音を立て着地したのは、女性の姿。額から伸びる角が鬼だと語り、禍々しく変形した左手が只者でないことを物語る。刀から血を滴らせた女は、牛頭ちゃん馬頭ちゃんを見て溜息をついた。
「ああ、甘味に惹かれてしまったのね。やっぱりあの子たちには荷が重かったかしら。だって……」
 一歩。二歩。
 鬼の女が今しがた誘き寄せに使われたのであろうケーキを見て、目を細め――。
「美味しそうだものね。わかるわ……」
 心の底から溜息をついた。
 おや?と思う猟兵たちに、鬼の女は肩を竦める。
「だってそうじゃない。綺麗な高級ケーキ。可愛らしいクッキーにアップルパイ。スイーツピザ。わかるわ、アタシだってどれも食べたいもの。アタシも甘味は大好きよ。でもね」
 一つ。二つ。
 鬼の女の周囲に鬼火が燈る。女の恨みが焔に宿る。血の色の眸で語るのは決して変えられない――。

「甘味はね。太るのよ」

 悲しみの真実。
 首を傾げたり眉を顰めたりする猟兵もいたかもしれないが、女は無視して続ける。

「そう、甘味は美味しいわ。見た目も綺麗。だからアタシは甘味が大好きで大好きで、もう甘味と見れば色んなものを食べてきたわ。もうとにかく美味しいのよ、アタシの身体は多分甘味で出来てる。血潮は生クリームで心は餡子よ。多分アタシは大福だった」
「でもね、ただ食べて幸せになってるうちは良かったのよ。でも因果は収束し結果は必ず訪れる。そう、つまり太ったの。経験ない? 自分ではそんなに食べてないつもりだったのに、気づいたらめっちゃ太ってること。そう、あれよ。アタシは身も心も大福になってしまったの。いえ、多分ジャンボシュークリームだったわ」
「そうなったらもう、簡単に痩せれるかってもんでね。色々やったけどぜんっぜん痩せないのよ。走ったり運動したり、食事制限もしてみたわ。でもだめ。甘味が見えちゃうと食べたくなっちゃうわけよ。わかるでしょ?」
 途端に滅茶苦茶に語り続ける鬼の女。余程鬱憤が溜まっていたに違いない。しかも、一歩ずつ猟兵たちに歩み寄って距離を詰めるもんだから、地味に逃げにくい。
「彼氏もフェードアウトするわ、親にはズバズバ言われるわでそろそろ心が死ぬわとか思ってたら、ある日ね。声が聞こえたの。『愛しているからこそ、離れたことがいい時もある』って。アタシそれはもう天啓だと思ったわ。途端になんかやれそうな気がしたからね。甘味消しちゃった。てへぺろ」
 可愛く言ってみた。
 なんか違う気がするぞー!という声がどこからか聞こえたが、鬼の女は無視だ。
 猟兵たちの眼前に大股で辿り着いた鬼の女は、にぃと笑って大太刀を構える。
「そしたら見てよ、めっちゃ痩せたの。もうさいっこう。で思ったのよ。これ以上アタシみたいな悲劇を生んじゃいけないってね。だから、甘味は取り戻させないわよ!! ……いや正直に言えば食べたいけどさ!!」
 本音を駄々洩れさせながら瞳孔をかっぴらいて、女は思い切り太刀を凪いだ。咄嗟に避けた猟兵たちに、女は高く嗤って太刀を肩に担ぐ。

「アタシは彼岸花のおゆう!! 甘味なき世界を作る鬼! それを阻むならいざ尋常に、勝負!!」

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●お知らせ
 ●お知らせ
 ノリと勢いでどうにかなる第二章です。
 相変わらず甘味で釣れます。甘味に対する熱い想いや、おゆうに対して何か言いたいことなどがあれば、プレイングに交えて頂くとボーナスになります。
 あまり難しく考えず、やりたいことをやって下さって大丈夫です。
 
 ●受付期間と採用人数について
 第二章もさっくり終える予定の為、相変わらず受付人数は【6名様前後】です。
 それに伴い、第二章のプレイング受付は【10/16 21:00~成功度を達成するまで】を予定しております。
 受付終了が変則的となりますが、必ずMSページ最上部に受付状況を記載致しますので、ご参加の際は一度確認頂けますと幸いです。
 受付期間外に頂いたプレイングは、問題がなくとも流してしまいますのでお気をつけください。
 
 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
真幌・縫
甘いものを食べると太る…残酷だけど真実なんだよね…おゆうさんの気持ちもわかるよ…ぬいだって太るのは嫌だし。
でもでもぬいはやっぱり甘いものは食べたい!
おゆうさんに言われて気がついたよ…甘いものをたくさん食べるのには覚悟がいるんだね…。
だからぬいはその覚悟をもって甘いものを食べるよ!!
…けど子供達には自由に食べてもらいたいかな。
その分運動して歯磨きをして。
みんなでハッピーハロウィンがしたいの!!

おゆうさんが甘味が好きだったならわかるよね甘味は幸せな味なの…だから無くすわけにはいかない!
UC【虹色の魔法】発動。
おゆうさんも一緒にハロウィンのお菓子を食べよう!




「甘いものを食べると太る……残酷だけど真実なんだよね……」
「そうよ、それが真実。カロリーは美味しい。全ての甘味に言えてしまう残酷な真実よ」
「おゆうさんの気持ちもわかるよ……ぬいだって太るのは嫌だし」
「そうでしょうそうでしょう」
 大太刀を構えたおゆうは、にいと笑って真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)を見つめた。どこかしょんもりとしている縫は、かつてその真実に叩きのめされた自分を見ているようだとすら感じるのだろう。
 語った言葉に偽りはなく、これで目が覚めてくれるのならばおゆうにとってはかつての己のようなジャンボシュークリームという悲しみを引き起こさずに済む。それはおゆうにとっては現在の存在意義のようなものでもある。
 ――けれど。
「でもでもぬいはやっぱり甘いものは食べたい!」
 サジ太を抱えたまま、胸の前でむんと両手を握って縫は真っすぐにおゆうを見つめた。その眸には憂いも迷いもない。決意は変わらない。愛らしい花と肉球が飾る花咲く杖を構え、それをおゆうに向ける。
「おゆうさんに言われて気が付いたよ……甘いものをたくさん食べるのには覚悟がいるんだね……。だからぬいはその覚悟をもって甘いものを食べるよ!!」
「えっ、そっち?」
 どーん!
 なんて、そんな効果音が縫の後ろで響いた気がした。おゆうとしては途中まではうまく言いくるめられそうだったのに、縫がそのまま覚悟を抱いて甘味を食べるという結論に至るのはいささか予想外だ。
 だがいくら誘惑されようと、いくら惑わされようと縫の心は真っすぐだ。真っすぐに、甘味が好きだ。例えその先に待つのが大福のようなもちもちボディだとしても、好きだという気持ちがどうして止められようか!
「……けど子供達には自由に食べてもらいたいかな。その分運動して歯磨きして」
 まっすぐ向けられた花咲く杖が、ちょっとだけ下がった。
 まあ同じ覚悟を子供たちにも持てという方が酷だろう。そも、そういうことを一切気にしないからこその子供たちでもある。過剰な不安は年少の子にとって良いことではないと、縫だって知っている。
 だから、おゆうの言いたいことはとってもわかるが。
「みんなでハッピーハロウィンがしたいの!!」
 だからと言って、甘味のないハロウィンに笑顔はないのだから。
 縫が花咲く杖を振り上げれば、虹の軌跡が描かれていく。その虹が大きく大きく広がった。――否、延べ350本にも及ぶ虹の光の矢が縫の前に展開されたのだ。咄嗟におゆうが地を蹴った。振り上げた太刀に己の血を纏わせて振れば、妖術の力を以て無数の斬馬刀へと変化する。数には数でぶつけようという戦法だろう。
「おゆうさんが甘味好きだったならわかるよね。甘味は幸せな味なの……だから無くすわけにはいかない!」
「わかるけど!! 甘味は魔性なのよ!!」
「それもわかるけどっ。でもおゆうさんも一緒にハロウィンのお菓子を食べよう!」
「力強い勧誘!!」
 だがうっかりおゆうが突っ込みをいれてしまったが為に、縫の斉射が一秒先んじた。虹彩の矢は展開が間に合わなかった斬馬刀をも貫き、おゆうを思い切り吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ええと、確かに一般的には甘味を食せば太りますが
僕はヤドリガミなので太らn……いえ、なんでもありません

なにやら混乱したまま熱弁をふるうザッフィーロには微妙な眼差しを向けつつ
そうそう、僕とザッフィーロはずっと一緒に……って、何言ってるんですかきみ
と思わずツッコミを
だいたい僕はまず甘味ではありませんから!
あときみの言ってることがさっきからよくわかりません!
それにきみを太らせるつもりもなk……
きみ、僕の言ってること理解してます?
さてはきみ、まだ混乱続行中ですね??

戦闘時は「高速詠唱」「属性攻撃」「全力魔法」を使った
【天航アストロゲーション】にて敵を攻撃いたしましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

愛しているからこそ離れる…だと…?
それは相手の…甘味の事を想ってこそ赦される言葉だろう?
本当に愛して居るのならばどの様な姿になっても共に居るべきではないのか…!
そう混乱継続中の思考の中熱弁を振るおう
あぁ、宵は太りはせんだろう
だが宵、俺は俺がどんなに太ろうと!お前の傍に在ろう!と宣言しながら宵へ視線を向けてみる
ああ、ずっと共に…と
…俺の導きでなくてはならない存在が甘く無い訳がないだろう…?
に、肉の質量が変わるのは嫌なのか!?大丈夫だ、鍛錬は欠かさぬ様にする故に…!

戦闘時は前衛にて甘味…ではなく宵を『かば』い守り行動
【stella della sera】にて攻撃をして行こうと思う




「あいたたた……カラフルでめっちゃ綺麗な矢が雨あられと……」
 吹き飛ばされたおゆうは、ごろごろと地を転がった。何とか態勢を立て直して立ち上がり、体に刺さった虹色の矢を抜く。
「やっぱり甘味の力は強いわ……。あの体に染みわたる甘さとハッピーハロウィンには、乙女をパワーアップさせる何かがあるのかもしれないわね。でも、たくさん食べたら太るって言ったじゃない! 周知の事実でしょ、そこのイケメン二人!!」
 びしっ!!と指差した先、唐突におゆうに話を振られた逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は首を傾げる。
「ええと、確かに一般的には甘味を食せば太りますが……」
「当然よ! 貴方たちだって例外じゃないでしょ!?」
「僕はヤドリガミなので太らn」
「あぁん!??!?」
「……いえ、なんでもありません」
 丁寧に対応しようとした宵だったが、女子の触れてはいけない琴線にパワーワードで触れかけたようだ。垣間見えた本性に、それ以上続けることはしなかった。絶対に面倒くさいことになる。
 だが面倒を無事回避できた宵の隣で、ザッフィーロは眉間に皺をよせている。先程おゆうが口にしていた言葉が、ずっと引っ掛かっていた。
「愛しているからこそ離れる……だと……?」
「ん? そうよ、アタシたちは離れるべきなn」
「それは相手の……甘味の事を想ってこそ赦される言葉だろう?」
「……うん??」
「本当に愛して居るのならばどの様な姿になっても共に居るべきではないのか……!」
「待って納得しかけたけど、それなんか違う感情混じってるわよね?!?」
 おゆうは混乱したが、実のところザッフィーロもまだ混乱していた。
 ザッフィーロにとって甘味の如き者、愛しき宵。甘味が消えてしまう世界で宵までも消えてしまいやしないかと、彼は未だに戦々恐々としているのだ。甘味の定義は広い。
 ともかくそんな混乱継続中でありながら、ザッフィーロは熱弁を振るう。なぜだか正座しなくちゃいけないような気分になって、おゆうはその場に正座した。聖職者とイケメンの合わせ技は強いのだ。
 尚、隣に立つ宵からの絶妙に微妙な視線には、気づいていない。
「あぁ、宵は太りはせんだろう。だが宵、俺は俺がどんなに太ろうと! お前の傍に在ろう!」
 天に宣言する勢いで、ザッフィーロは高らかに宵に謳った。そう、これは誓いだ。真っすぐに宵に向けられた銀の瞳は、その誓いが簡単に折れぬ示唆だ。
「そうそう、僕とザッフィーロはずっと一緒に……」
「ああ、ずっと共に……」
「……って、何言ってるんですかきみ」
 その勢いに圧倒されて宵は思わずいつも通りに頷いたが、流石にちょっとストップをかけた。ザッフィーロが大暴走している。今この場でツッコミが出来る者など宵以外に在ろうか!
「だいたい僕はまず甘味ではありませんから! あときみの言ってることがさっきからよくわかりません!」
「……俺の導きでなくてはならない存在が甘く無い訳がないだろう……?」
 ザッフィーロは驚くほどにまっすぐ真面目に大混乱している。それもこれも、大切な大切な宵を想うが故であることは宵もわかっている。わかっているのだがさて、どう収めたものか。

「……だーから甘味は嫌だってのよ」
 そんな二人の大混乱の様も、部外者からすれば大変に仲の良いやりとりにしか見えない。イケメン二人の仲睦まじい様子は大変に目の保養だが、最近彼氏にフェードアウトされたばっかりのおゆうに、素直にそれを楽しむ余裕は本当に残念ながらなかった。いつの間にか正座も崩れ、胡坐をかいた膝の上に頬杖をついて座るおゆうの顔は、間違いなくやさぐれている。
「アタシもそんくらい彼氏に言われたかったってんだよこんちきしょーめ。アタシの心は砂糖の洪水に流されたってもんですよ、あーもー見せつけてんなこのーいいなーー愛されてて!!」
 うがー!!っとおゆうは両拳を天に振り上げた。その嫉妬と羨望の力が働いたのか否か、鬼の力を開放した左手を力強く構え、周囲に紅の斬馬刀を召喚する。 
「それにきみと太らせるつもりもなk……」
「に、肉の質量が変わるのは嫌なのか!? 大丈夫だ、鍛錬は欠かさぬ様にする故に……!」
「きみ、僕の言ってること理解してます? さてはきみ、まだ混乱続行中ですね??」
「いや、俺は居たって冷静に……!」
「きーーけーーよーー!!!」
 遂におゆうが爆発した。
 鬼の手を振り上げ斬馬刀を纏い、手近な宵に襲い掛かる。だが、その凶刃が宵に届く前に――。
「させん!」
 甘味……ではなく宵の守り手たるザッフィーロが、すかさず間に入った。鬼の手を下から掌底で払い、内蔵の鎖を引きだしたメイスを手繰りながら斬馬刀とおゆうを弾き飛ばす。ごろごろと地を転がったおゆうが跳ね起きると、そこに大きな影が降る。人ではない。もっともっと、巨大な。
「彗星からの使者は空より墜つる時、時には地平に災いをもたらす。それでもその美しさは、人々を魅了するので。星降る夜を、あなたに」
 美しく微笑んだ宵が、宵と星の杖を振り下ろした。
 それと同時に、天からの使者――隕石がおゆうに迫る。
「ひえっ……」
 咄嗟に飛ばした紅の斬馬刀も、隕石の前には大した意味をなさない。引き攣った笑みを浮かべたおゆうの瞳に、紅く滾る隕石が迫りくるのを見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
翼で空を飛び距離を取りつつ

おゆうさんだっけ
お菓子に八つ当たりする前に
ほんとにちゃんと調べた?

消化不良は大敵、食事で腸内環境も整えて
代謝が落ちてもダメだよ
体が冷えるなら温めて、女性なんだから

砂糖の代わりにオリゴ糖使ったお菓子なら
体に吸収されにくいし腸内環境の改善にもなるから効果的だよ

というわけでこんな時のために用意して来ました
砂糖の代わりにオリゴ糖を使い
隠し味の塩で素材の甘さを活かした薔薇のアップルパイ!
ね、是非食べてみて!
モデルの義姉の食事管理もしてる僕の言葉、信じられない?【指定UC】

一応【オーラ防御】しつつ
最後は【破魔】の光魔法【属性攻撃】で
気持ちはわかるから【優しく】だけど攻撃もしとくね


ミラ・パーチェ
アドリブ大歓迎!

私は猛烈に怒っているわ
てへぺろ☆で済む話じゃない事はわかっているかしら?
わかっているわよね?

UC:神様の恵み、を発動してから

甘味は太るわ
ええ、そうね、確かに太るわ
カロリーの暴力、でも止められない止まらない魅力

でもね!だからって!
消しちゃったら、悲しむ人だっているじゃない……!
大体、なんで太ったことを全部甘味のせいにしてしまうの!
甘味を美味しく食べて、笑ってる姿を魅力的に思う殿方だってきっといる筈なのに!なのに……!

なにより、友達と甘味を一緒に食べる時間
あの時間の大切さを忘れるなんて、本当に……(甘味もぐもぐ)
反省しなさーい!!!(神の怒りフルスイーング!




 虹の矢に貫かれ、メイスに殴られ隕石を落され、おゆうは既に満身創痍であった。隕石が落ちてきたのに生きているのが不思議なくらいともいえる。
 ぜーはーと肩で息をしながら地を這いずる。生きているならここで終わるわけにはいかない。おゆうには心に決めた果たすべき目的があるのだ。諦めるわけにはいかない。
 そうして上を見上げたおゆうは、空に浮かぶ天使と目があった。
「……」
 目が合ったことでニコリと微笑んでくれる天使は、本当に可愛かった。おゆうの語彙力ではそんな感想しか出てこない程に、可愛かった。
「おゆうさんだっけ」
「えっ。あっはい、おゆうです」
 見惚れていたら急に天使に話しかけられて、おゆうはびっくりして声を上擦らせて返事をした。遂に天からのお迎えが来たどうせ連れていかれるのならこういう可愛い天使とか大歓迎――とか一瞬前まで思っていたのだが、どうやらまだ現実らしい。ふわりと地に降り立った天使――栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は可愛らしく小首を傾げ、
「お菓子に八つ当たりする前に、ほんとにちゃんと調べた?」
「えっ」
 ほんのり唇を尖らせていた。
 おゆうは混乱した。
 
「消化不良は大敵、食事で腸内環境も整えて。代謝が落ちてもダメだよ。体が冷えるなら温めて、女性なんだから」
「えっ、あっはい」
 まるで栄養士を前にしているようだ。次々と告げられる指摘とアドバイスに、なぜかおゆうは敬語になる。了承の意を表したおゆうに満足げに頷いて、澪は続ける。
「砂糖の代わりにオリゴ糖使ったお菓子なら、体に吸収されにくいし腸内環境の改善にもなるから効果的だよ」
「オリゴ糖」
「なるほどオリゴ糖……!」
「えっ誰」
 澪のアドバイスを復唱するおゆう。いつの間にかおゆうの隣にもう一人、アメトリンの虹彩を持つ少女が熱心にメモを取っている。思わず問うてしまったおゆうだったが、少女は澪のアドバイスをメモするのに忙しそうで返事がない。
 そんなところにすかさず、澪がバスケットから取り出したものをすっとおゆうに差し出した。
「というわけでこんな時のために用意して来ました。砂糖の代わりにオリゴ糖を使い、隠し味の塩で素材の甘さを生かした薔薇のアップルパイ!」
「準備が良すぎるわね!?」
「わぁぁとってもとっても美味しそう! その上太りにくいだなんて完璧なスイーツじゃない!」
「でしょでしょ。ね、是非食べてみて!」
 美しく花咲いた薔薇模様のパイ。リンゴ特有の甘酸っぱい香りが香ばしく鼻腔を擽り、食欲を刺激する。口にしたならその甘さとほんの少しの酸味に舌鼓を打つだろう。そう確信できる。
 ――出来るからこそ。
「……いいえ、いらないわ。アタシは甘味を否定するの。世界には要らないのよ」
 低い声と共に、おゆうは澪の手を払った。アップルパイが宙を舞い――落ちる、その寸前で。
 
「なに、してるのかしら?」

 おゆうに負けない低い声で、丁寧、そして崩れないように優しくキャッチする手があった。服が汚れるのも構わずに落下地点に滑り込んだその少女は、先程までおゆうと共に澪の講義を受けていたアメトリンの髪の娘、ミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)。
 彼女の額には、珍しく青筋が浮かんでいた。
「私は猛烈に怒っているわ。てへぺろ☆で済む話じゃない事はわかっているかしら? わかっているわよね?」
 ミラは『食』を愛している。特に甘味などは素晴らしい。今手にある澪の手作り薔薇のアップルパイもまた、見た目も美しく香り良く、食べればきっと幸せになるだろうと思えば、このアップルパイにもこれを作った澪へも感動と感謝の気持ちが沸いてくる。
 だというのに、この鬼はなんだ。てへぺろ☆で甘味を世界から消そうとし、あまつさえ差し出されたアップルパイまでもを粗末にしようとした。
「甘味は太るわ。ええ、そうね、確かに太るわ。カロリーの暴力、でも止められない止まらない魅力。ええ、ええ。私にもよーーーくわかるわ」
 食への感謝と神への祈り、そして怒りをこれでもかとパワーに変えて、ミラはおゆうへと距離を詰める。けれど、おゆうとて鬼。覚悟が決まれば怯まない。
「だったらアタシのしようとしていることも理解してもらえると思うんだけど?」
「そんなわけないでしょ!!」
 ミラが鈍器を手に飛び掛かった。フルスイングで振られる鈍器を太刀で受け止められても、ミラはすぐさま第二打、第三打と繰り出していく。
「甘味は魔性よ、人をダメにする! アンタもそのうちぽよんぽよんのマシュマロ大福になっちゃうかもしれないじゃない!」
「でもね! だからって! 消しちゃったら、悲しむ人だっているじゃない……! 大体、なんで太ったことを全部甘味のせいにしてしまうの!」
「……!!」
 ドがつくレベルの正論であった。
 甘味は太る。確かに太る。けれど澪の言うように工夫をしてみたり、努力をしてみたり。
ほんの少しの工夫と努力でコントロールすればよいだけの話なのだ。それが難しいとしても、あとはやる気の問題でもある。そして、『太る』という一点だけで、甘味を消してしまうことをここに集った猟兵たちは許せないのだ。
「甘味を美味しく食べて、笑ってる姿を魅力的に思う殿方だってきっといる筈なのに! なのに……!」
 もう何度打ち合ったかわからない。棍棒が大太刀とぶつかりあって、鈍い音を響かせる。けれど明らかにミラが押している。少しずつ太刀が刃毀れしていき、遂に刀身に罅が入った。もう一度は持たない。咄嗟におゆうは太刀を放り投げて、鬼の手を振りかざした。けれどその大きな動作の故の隙――懐に、ミラが潜り込む。
「なにより、友達と甘味を一緒に食べる時間。あの時間の大切さを忘れるなんて、本当に……」
 ミラが自身のソウルフード。このカクリヨファンタズムにて手に入れた甘味、サクサクのカルメ焼きを食べて、
「反省しなさーい!!」
 神の怒りと名付けられた鈍器を、思い切りフルスイング!!
 おゆうは抵抗することも出来ずに空を舞った。
 
 僅かな浮遊感の後の激突。衝撃を体全体で受けて、そのままゴロゴロと地を転がる。太刀は砕かれ、鬼の左手は使い物にならない。神と食の怒りは凄まじく、もうおゆうには立ち上がる力も残っていなかった。
「……あーあ、負けちゃったかぁ……」
 諦めの笑顔がおゆうに浮かぶ。
 彼女の野望は潰えた。甘味はおゆう――正確には、おゆうに憑りついた骸魂の消滅と同時に、この世界に戻るだろう。
 おゆうもちゃんとわかっている。甘味によって泣いたことも苦しんだことも、甘味によって笑ったことも幸せだったことも。苦しかったからそこを骸魂に付かれてしまったけれど、ずっとずっと甘味が好きなことに変わりはないから。
「おゆうさん。ね、是非食べてみて」
「……言ったでしょ、食べたら太るって……」
「いいから。モデルの義姉の食事管理もしてる僕の言葉、信じられない?」
 ミラからアップルパイを受け取った澪は、もう一度おゆうにそれを差し出した。ちょっと形は崩れてしまったけれど、美味しそうだと感じさせる魅力は失っていない。
 何より、不思議とこの少年の問いに素直に応じたいと思った。なんておねだりが上手なのだろうか。
 おゆうはヒトの形を保った右腕でアップルパイを受け取って、まじまじとそれを見つめ――やがて、口にした。
 無言で咀嚼して、飲み込んで。もう一口食べたら、何故だか涙が溢れてきて。
「あー……やっぱ甘いものって美味しいわねぇ……」
 おゆうは泣きながら笑った。
 ミラと澪は顔を見合わせ、そしておゆうに向けて笑みを贈る。甘味がおゆうを幸せにしてくれたから、きっともう大丈夫。あとはその身体に残る骸魂を浄化してしまうだけ。
「ね、美味しいでしょう?」
 澪が放つ破魔の光が、おゆうの身体を温かく包み込む。騒ぎの元凶たる骸魂を浄化して、光が収まった頃。
 
 パーティー会場のテーブルに、世界中に、甘味が戻ってきたのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『百鬼夜行のお祭り騒ぎ!』

POW   :    縁日のごちそうに舌鼓!

SPD   :    幻想的な情景を堪能する!

WIZ   :    お祭りグッズを見て回る!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティー!
 カタストロフの危機は去り、世界に日常が戻ってきた。
 カクリヨファンタズムの全域に甘味が戻り、人々の顔にまた笑顔が咲いた。文句なしの大団円。申し分のない大勝利だ。
 そうしてスイーツが戻ったなら、パーティーを始めることが出来る!

 何もないテーブルと椅子が虚しく佇んでいただけのパーティー会場は、今や妖怪たちの急ぎの準備によって見違える程に楽し気になっていた。
 襤褸切れのようなテーブルクロスに、蝙蝠の黒い椅子。空には鬼火が灯り代わりに彷徨い、お化け南瓜と案山子が楽し気に謳っている。
 そして何より、会場いっぱいを満たす甘い匂い!
 誰でも気軽に参加できるガーデンパーティーは、好きなものを好きな分だけ食べられるビュッフェ形式。勿論座って食べたい人たちの為に、会場にはテーブルも椅子も沢山用意されている。
 ハロウィン百鬼夜行パーティーと銘打っている関係上、是非とも参加者たちには仮装してきて頂きたいとは主催者の談。和装洋装関係なく、好きな仮装をしてくればまさに今宵は百鬼夜行!

 会場の中心に置かれた巨大なテーブルには、古今東西ありとあらゆるハロウィンスイーツが並んでいる。
 定番ともいえるパンプキンパイやパンプキンプリンには、チョコレートの蝙蝠を添えて。
 真っ赤なクランベリーソースを添えたスコーンに吸血鬼の棺桶型ブルーベリータルトは、まさに吸血鬼になった気分。
 魔女の指のビスコッティや黒猫のガトーショコラ、チョコで作った蜘蛛の巣に骨のメレンゲクッキーが載ったスイーツピザは、魔女が魔法で作った自信作。
 おばけをイメージしたバタークリームケーキは、フォークを入れればストロベリーソースが中からとろりと溢れ出す。
 忘れちゃいけない、悪魔のケーキ。ダークチョコレートの球体に悪魔の顔が描かれたケーキは、上から熱いミルクを零して退治しよう。チョコレートの悪魔が溶ければ、囚われていたココアスポンジと真っ赤な苺が顔を出すのだ。
 和菓子もなかなか名作揃いで、薩摩芋で作ったジャック・オ・ランタンランタン練り切りや、求肥で包んだおばけ苺大福が、一口サイズで並ぶ様は愛らしい。

 甘いものに口がちょっと飽きたなら、軽食だって用意されている。
 ローストされた鴨肉のサンドイッチ。チーズとバジルたっぷりピザに、南瓜のスープ。スパイシーなポークパテには、クラッカーがよく合うだろう。
 
 沢山食べたら、飲み物だって必要だ。
 珈琲や紅茶、抹茶は希望すればラテアートを描いてくれる。オレンジやリンゴ、いくつかのハーブを漬け込んだサングリアは、さっぱりとした甘さの甘美な酒精。もちろん、未成年の為にワインを葡萄ジュースに変えたサングリアだって用意されている。
 各種ソーダには是非フロートを添えて。バニラアイスにチョコペンで描かれる顔はその時々で違うから、何が来るかはお楽しみ。

 食べること以外にも、幼い子供の妖怪たちと遊ぶのだって楽しいはず。
「トリックオアトリート!」の掛け声には、ロリポップや一口ドーナツ、紫芋クリームの蜘蛛の巣カップケーキなんかが配りやすい。勿論、無邪気な子供たちに悪戯をさせてあげたっていい。何をされるかドキドキワクワク、きっと最後には皆で笑ってしまうはず。

 今宵は甘味を取り戻しためでたい日。ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティー!
 どう過ごそうか。なにを食べようか。なにをしようか。
 どう過ごしたってなにを食べたってなにをしたって、今日は自由だ。楽しもう!

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●お知らせ
 お待たせしました。ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーの開幕です。
 上記スイーツの他、大概のものはあると思います。ご自由に食べて飲んで、楽しんで下さいませ。
 また、今回のパーティーでは是非仮装をしてきてくださいね。
 自由に楽しく、ハロウィンパーティーを楽しんで下さい。
 子供たちに悪戯される場合は、何をされるかはお楽しみ。衣装を汚したり、酷い目にあったりするようなことはありませんので、ご安心下さい。
 今回お声がけがあれば、弊グリモア猟兵の甘利・梓が同行致します。

●プレイング受付
 今回は受付期間中に頂いた全てのプレイングを採用させて頂く予定です。
 また大変申し訳ないのですが、今回は参加人数に関わらず【再送前提】でお願い致します。31日の夜にリプレイを一斉公開させて頂く予定です。
 花雪のキャパシティの問題から、今回は【1グループ様最大4名程度】でお願いさせて頂ければ。大変申し訳ありません。
 プレイングの受付、再送日程は以下の通りです。
 ただし、最初の受付期間にご参加されず、再送期間にプレイングを送信頂いた場合は採用のお約束が出来ません。ご了承下さい。

 プレイング受付期間【10/22 8:31~10/25 21:00まで】
 再送受付期間【10/28 8:31~10/30 23:59まで】

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
ミラ・ホワイト
クラウンさま(f03642)と

小さな翅揺らし、ぴょんと飛び跳ねる蜂の子
黄色と黒の縞スカートから飛び出す針で
甘い蜜をくれなきゃチクっとしちゃいます!
ふふ、クラウンさまは和風なおばけさんね
手を取りくるり踊って、いざパーティーへ!

悪魔さんも甘い物には勝てないと思うの
ほら、あったかミルクで蕩ける笑顔――あーんっ
苺の甘味が口いっぱいに広がって…んん、しあわせ
ココアスポンジをチョコレートとミルクの海にくぐらせたら
はいっ、クラウンさまもどうぞ!

次はどれにしようかしら、なんて見渡せば
あら、可愛い悪戯好きさん達がここにも
ロリポップの魔法には思わず目を奪われるけれど
お約束の一言で

――Trick or treat!


クラウン・メリー
ミラ(f27844)と

くるくると楽し気に踊るのは
ピエロではなくゾンビキョンシー

お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!なんてねっ

わわ!ミラもとっても素敵!
甘い、甘い蜜をあげたらチクっとしない?
ふふー、ぶんぶんレッツゴー!

気になるのはこわぁい悪魔さん!
甘いミルクを掛けたら悪魔さんも笑顔になれるかな?

救出された苺をフォークに刺して彼女の口元へ
ミラ!はい、あーんっ

えへへ、あーん!
幸せそうに蕩ける笑顔を彼女に向けて美味しいね!

もぐもぐ食べていれば
妖怪さんに裾を引かれ決まり文句を耳にする

わ、お菓子がほしいの?それじゃあ特別なお菓子をあげちゃう!
指を鳴らせばあら不思議!手元にロリポップが!

ミラもおひとついかが?




 真ん丸満月。骸骨がアコーディオンを奏で、お化け南瓜が不気味で楽し気な歌を歌う。蝙蝠が列をなして飛んだなら、ハロウィンパーティーのはじまりだ!
 曲に合わせてくるくると楽し気に踊るクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)は、今宵はピエロではなくてゾンビキョンシーだ。お化けと手を繋ぎ、楽しさと笑みを振りまく様子はとてもクラウンらしい。
 曲の終わり、キョンシーポーズを決めて見せるのは友の前。
「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!なんてねっ」
 クラウンの笑みにつられて、小さな翅揺らす蜂の子――ミラ・ホワイト(幸福の跫音・f27844)がぴょんと飛び跳ねた。今宵は祝祭を彩る花環ではなくて、蜜を集める蜂の子姿。
「わわ! ミラもとっても素敵!」
「ふふ、クラウンさまは和風なおばけさんね。甘い蜜をくれなきゃチクっとしちゃいます!」
 そういってミラがくるりと回れば黄色と黒の縞スカートから飛び出す針が、なんとも本格的で可愛らしい。
「甘い、甘い蜜をあげたらチクっとしない?」
「はい、あまーい蜜をくれたらチクっとしません」
 針を見て驚いたクラウンが目を丸くすれば、ミラが人差し指を唇に当てて笑う。なんだかおかしくって笑ってしまうのは、このパーティーの雰囲気のおかげだろうか。クラウンが差し出した手を取って、ミラはくるりと踊る。軽やかな足取りで向かうのは、会場の中心!
「それでは、いざパーティーへ!」
「ふふー、ぶんぶんレッツゴー!」
 甘き蜜を集めに、百鬼夜行の夜をいざ!
 
 ケーキにプティング。ゼリーに大福。パーティー会場の中心部には、食べても食べても食べ切れないくらいにたくさんのハロウィンスイーツがあった。どれにしようか目移りしてしまうけれど、ゾンビキョンシークラウンが手に取ったのは気になるあの子。
「こわぁい悪魔さん! 甘いミルクを掛けたら悪魔さんも笑顔になれるかな?」
「悪魔さんも甘い物には勝てないと思うの」
 怖い顔のダークチョコレートの悪魔だって、甘くて温かなミルクには敵わないはず。あつあつのミルクを上から掛けたなら、見る間に悪魔がへにゃりと蕩け笑う。そうして、囚われていた苺ケーキを救出したならば。
「ほら、あったかミルクで蕩ける笑顔――」
「ミラ! はい、あーんっ」
「あーんっ!」
 ミラが言い終わるが早いか、クラウンは迷わずその苺をフォークに刺して差し出した。一口でそれを頬張れば、苺の甘味がミラの口いっぱいに広がる。ほんのりとチョコレートとミルクも纏ったそれは、苺の甘酸っぱさを柔らかく甘味が包み込んだ幸せの味。
「……んん、しあわせ」
 思わず頬を抑えて笑った。甘味が幸せをもたらすならばと、ミラもフォークを持つ。残ったココアスポンジをチョコレートとミルクの海にくぐらせたならば、今度はミラが幸せを渡す番。
「はいっ、クラウンさまもどうぞ!」
「えへへ、あーん!」
 クラウンの口の中でふしゅりと溶けたスポンジから、温かなミルクとチョコレートが溢れ出す。微かに苺の香りが移ったココアスポンジは、甘味が四重奏を奏でているかのよう。
「美味しいね!」
「はいっ」
 クラウンもミラも、幸せそうに蕩ける笑顔で頷き合う。悪魔だってゾンビキョンシーだって蜂の子だって、甘いものを食べたら幸せな笑みが咲いてしまうのだ。
 
「次はどれにしようかしら」
 ミラが悩まし気にテーブルを見渡す。あれもこれも、色んなスイーツが気になってしまう。もぐもぐとジャック・オ・ランタンの練り切りを食べていたクラウンとも相談していると、ふと二人の服をくいくいと引っ張る感触。
 振り返れば、妖怪の子供たちがぱあっと笑った。
「おにいちゃん、おねえちゃん、トリックオアトリート!」
「わ、お菓子が欲しいの?」
「あら、可愛い悪戯好きさん達がここにも」
「うん、ハロウィンだもん! ねえ、トリックオアトリート! お菓子くれなきゃ悪戯するぞー!」
「ぞー!」
 可愛く着飾った子供たちが、ハロウィンの決まり文句を口にする。それを聞いたクラウンは、練り切りをごくんと飲み込んで子供たちと目線を合わせた。
「それじゃあ特別なお菓子をあげちゃう!」
「とくべつー?」
「そうだよ!」
 ぱちりとクラウンが指を鳴らせばあら不思議! いつの間にかクラウンの手の中にはいくつもロリポップがあるではないか!
「わぁ!」
「まほうだー!!」
「すげー!!」
 目を輝かせて子ども達が魔法のロリポップを受け取って駆けていく。そのうちの一つをミラに差し出して、クラウンは笑みを深めた。
「ミラもおひとついかが?」
 クラウンのロリポップの魔法に思わず目を奪われていたミラだったけれど、自分にも差し出されたそれを受け取るにはお約束の一言が居る。
 
「――Trick or treat!」

 だって今日は、ハッピーハロウィン!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミラ・パーチェ
【煌歌】
梓ちゃんと同行希望!
アドリブ大歓迎!

あーずーさーちゃーん!(恒例のはぐっ!
えっと、栗花落くん改めて紹介するわね
我ら、腹ぺこフレンズなのです!(えっへん!?

仮装は栗花落くんと合わせて、お姫様!
普段と違って歩き辛いけれど……
栗花落くんにエスコートをお願いするわね

そういう訳だから……
スイーツ全制覇するつもりで、色んなスイーツを食べましょ!
栗花落くん、梓ちゃん、どれがいい?
私は……宣言通り、全部食べたいかも……(じゅるり

フロートも忘れずに!
チョコペンで何が書かれているか
みんなで見せ合うのも楽しそうかしら?

アップルパイ……!
美味しく頂くわ、ありがとうー!
(王子様に餌付けされるお姫様の図?)


栗花落・澪
【煌歌】
※髪を結んで王子コスプレ

甘利さん、いつもお世話になってます(一礼
たまには、王子…似合う、かな…?
えへへ、良かった(はにかみ

腹ぺこ…?
ふふっ、じゃあいっぱい食べないとね
悩むなぁ…2人が甘味メインなら軽食主体に
自分用にタルト貰おうかな
1人じゃそんなに食べきれないし
ミラさんと甘利さんも摘んで
そしたら色んな味楽しめるでしょ?

普段なら紅茶だけど
顔描いてもらえるのは楽しそうだね
僕もソーダフロート頼もうかな

子供達には★Candy pop(補充可)を渡し
ハッピーハロウィン

あ、そうだ
甘利さんとミラさんにもこれ
切り分けておいたアップルパイ
一切れずつで良ければお土産にどうぞ(花柄のジップロックにイン




 スイーツあるところに我らあり。勿論今日だって!
「あーずーさーちゃーん!」
「ミーラーちゃーん!」
 互いの姿を見つければいつも恒例のハグからはじまるミラ・パーチェ(夢追い人・f09057)と甘利・梓。けれども今日は二人だけではなくて、素敵なお友達がもう一人。
「甘利さん、いつもお世話になってます」
「こちらこそ! 今回お手伝いしてくれてありがとうございますね、澪くん!」
 丁寧に一礼する栗花落・澪(泡沫の花・f03165)に、梓は心から感謝を込めて頭を下げた。こほんと咳ばらいをしてミラが注目を集めれば、梓はミラの手を取って。
「えっと、栗花落くん改めて紹介するわね。我ら、腹ぺこフレンズなのです!」
「なのです!」
 えっへん!
 ミラも梓も息もぴったりに胸を張って笑う。そんな様子に目を丸くした澪だったが、やがて柔らかに目を細めた。
「腹ぺこ……?ふふっ、じゃあいっぱい食べないとね」
「はいなのです! それにしてもお二方とも、今日はとっても素敵な仮装ですねっ」
 ケーキの国のアリス姿の梓が笑えば、澪はそっとはにかんだ。少し照れ臭そうにしながら、仮装の服の裾を直してみたりして。
「たまには、王子……似合う、かな……?」
「もちろんですよ! 絵本の中の王子様みたいですっ」
「えへへ、良かった」
 そう、今宵の澪は王子様だ。髪を首の後ろでひとつに結び、質の良さを感じさせる王族スタイルの仮装である。普段の可憐さに爽やかさが加わって、まさに絵本に出てくる王子様だ。
「私は栗花落くんと合わせて、お姫様! 普段と違って歩き辛いけれど……」
 ミラがちらりと澪を見れば、心得ているとばかりに差し出された澪の手。ミラは嬉しそうにアメトリンの瞳を細めて、その手を重ねた。
 二人の仲良さげな様子に梓もへにゃりと笑って。
「ミラちゃんもとってもお似合いですよ。お二人が並ぶと、本当に絵本からお姫様と王子様が飛び出してきたみたいです! それでは姫様、王子様、先程からあまーい香りが皆をお誘いしてますから、そろそろ!」
「うん! そういう訳だから……スイーツ全制覇するつもりで、色んなスイーツを食べましょ!」
 いざや往かん、ハロウィンスイーツの森へ!
 
 ハロウィンスイーツパーティー会場の中心、スイーツが並べられたテーブルは、彩も形も香りも様々なスイーツが勢ぞろい。妖しい紫の棺桶ケーキ。魔女の指のビスコッティ。可愛らしいお化けの大福。あれにもこれにも目移りしてしまう。
「栗花落くん、梓ちゃん、どれがいい? 私は……宣言通り、全部食べたいかも……」
 じゅるり。瞳を宝石のように煌かせてスイーツをひょいひょいとお皿に乗せていく。スイーツは別腹とは言うけれど、ミラのそれはどちらかと言えばブラックホール。勿論腹ペコフレンズの梓だって同じで、あれもこれもとお皿に載せていくのだ。
「私も全部制覇したいですね! 差し当って和菓子から行こうかなと思っていますがっ。澪くんはどうですか?」
 全部食べるということで全く迷わない女子二人を後目に、澪はどちらかというと悩み顔。甘味の前を通り過ぎ、軽食の前に歩み寄る。
「悩むなぁ……二人が甘味メインなら軽食主体にしようかな。それから、自分用にタルトを貰おうかな」
「え、それだけで足りる……?」
「もっと甘味も食べていいんですよ……?」
 ミラと梓が心底心配そうに尋ねてくる。二人の感覚では全然足りないのだろうなというところが簡単に察せられて、何だかおかしくて笑ってしまう。
「一人じゃそんなに食べ切れないし、ミラさんと甘利さんも摘んで。そしたら色んな味楽しめるでしょ」
 そういって軽食のサンドイッチやピザを乗せた皿を差し出した澪に、二人は歓声をあげた。
 
「あ、フロートも忘れずに!」
「普段なら紅茶だけど、顔描いてもらえるのは楽しそうだね。僕もソーダフロート頼もうかな」
 三人で一緒に頼んだソーダにはフロートを乗せて。アイスにチョコペンで描かれた顔は、澪が猫、ミラがパンダ、梓がうさぎ。三人で見せ合えば楽しいも美味しいも三倍だ。
「Trick or treat!」
 駆け寄ってくる子供の妖怪たちには、澪が可愛いらしい飴玉をプレゼントする。無くなりかけたって大丈夫。ぽんと蓋を叩けば中身が増える。
「ハッピーハロウィン」
「うん、ハッピーハロウィン!」
 王子様スマイルで澪が手を振れば、子供たちはきゃあきゃあと笑いながらまた駆けていく。その背を見送った澪は、ふと思い出して振り返った。
「あ、そうだ。甘利さんとミラさんにもこれ。切り分けておいたアップルパイ。一切れずつで良ければお土産にどうぞ」
 花柄のジップロックに入れられた、香ばしい香りの薔薇のアップルパイ。ごめずちゃんたちやおゆうをも虜にしたそれに、ミラと梓の瞳がぱあっと光る。
「アップルパイ……! 美味しく頂くわ、ありがとうー!」
「私もいいんですか? わあ、ありがとうございますねっ」
 そんな誘いに否という腹ペコフレンズではない。まるで王子様に餌付けされるお姫様とアリスの図ではあるが、そんなことはいいのだ。だって今日は楽しくて美味しい幸せな夜、ハロウィンなのだから!
 
「ハッピーハロウィーン!」

 三つの声が揃って月夜に響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

兎耳にタキシードの三日月兎を模した衣類を纏い参加
何故宵が兎ではないのだ…と
豊穣?ならば猶更宵の方が合うと思うのだが…?

その後は未だ宵が消える想像が消えぬ故宵と離れぬ様添いつつ行動
様々な甘味を楽しみながら黒猫のガトーショコラを見れば皿に取り眺めよう
食すのが勿体ないが宵の口に入るならば名残おしくはないか。…宵、一口居るだろう?
そう声を投げつつフォークで掬ったケーキを宵の口へ
勿論宵の手の甘味も口を開け強請ってみよう
餡の甘みが又絶品だな…と
ラテアートも良いがマッドハッターはこれではないか?と笑みと共に果実の入った紅茶を宵へ
ああ、今日は沢山楽しもう
まあ、宵と過ごす時は常に楽しい物だが、な


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

トランプ飾りのシルクハット、水玉模様の蝶ネクタイとタキシードでばっちり決めましょう
ふふ、こういうかっちりしたお洒落な衣装は気分が上がりますね

ザッフィーロ、まぁそう言わずに ウサギは豊穣の象徴でもありますし?
と笑って見せて
混乱した思考の名残が未だあるのか、離れないかれがいじらしく思え

ジャックオランタン練り切り皿にとって
ええ、いただきますと差し出されたケーキが載ったフォークを見れば口を開けて
美味しいですねともぐもぐ食べつつ、かれからも強請られたなら練り切りを切り分けてかれの口へ
ふふ、美味しいですか?
ラテアートのコーヒーもありますから、もっともっと楽しみましょうね




 ハロウィンナイトに、不思議の国に通じる兎の穴から抜け出したような二人。
 トランプ飾りのシルクハットに水玉模様の蝶ネクタイ。タキシードでばっちりと決めた逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は、機嫌よさげに歩を進める。
「ふふ、こういうかっちりしたお洒落な衣装は気分が上がりますね」
 傍らに――というよりもむしろぴたりと添うザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)を見上げれば、ザッフィーロも柔く笑みを佩く。深い藍の髪に揺れる兎耳。三月兎を模したタキシードを、宵と同じようにかっちりと着こなしたザッフィーロは揺れる兎耳を摘まみ見上げる。
「何故宵が兎ではないのだ……」
「ザッフィーロ、まぁそう言わずに。ウサギは豊穣の象徴でもありますし?」
「豊穣? ならば尚更宵の方が合うと思うのだが……?」
 笑う宵に首を傾げる。未だ混乱した名残があるのだろう。オブリビオンも骸魂の気配もなくなった今も、ザッフィーロの脳裏には宵が消えてしまうかもしれないという想像の欠片が残っている。それ故離れるのが怖いような気がして、ザッフィーロは宵から離れぬように添う。物静かな成人男性の見目に幼子のような僅かな不安が垣間見えて、宵にはそれがとてもいじらしく思えた。いじらしくて愛しい。
 甘さ湛える宵の笑みと熱に、ザッフィーロは眩しそうに目を細めた。 
 
 ハロウィンスイーツが数多と並ぶテーブルを、共に見て歩く。まるでおもちゃ箱か宝石箱。見た目も楽しいハロウィンスイーツたちは、二人の目を楽しませてたちまち楽しい気分にさせてしまうのだ。
 気になるものに手を伸ばし、様々な甘味に手を伸ばしては舌鼓を打つ。そんな幸せを味わいつつ、ザッフィーロは黒猫のガトーショコラを見つけて皿に取った。ガトーショコラに愛らしく描かれた猫の顔は、家で待つ愛猫のことも思い出されて口の端が綻んでしまう。
「食すのが勿体ないが、宵の口に入るのならば名残惜しくはないか。……宵、一口要るだろう?」
 見上げる猫の顔を崩してしまうのがもったいなくて、家に持って帰りたい気持ちだってあるけれど。どうせならば伴侶と共に分け合うのも楽しいもの。宵に声を投げつつ、フォークで掬った一口を、宵に差し出した。
「ええ、いただきます」
 ジャック・オ・ランタンの練り切りを皿に取っていた宵も、そんな誘いには二つ返事で頷いて。差し出されたケーキをぱくりと食べた。口いっぱいに広がるガトーショコラのビターな甘さと、柔らかでしっとりとしたチョコレートの触感。そして最後にブランデーがふんわりと香り、すうっと鼻に抜けていく。
「ああ、美味しいですね」
 大人の味だ。飲み込んだ余韻までも堪能してする宵に、ザッフィーロもまた満足げに頷いて己も同じように口にした。
 そうしてふと、宵の手にはまだジャック・オ・ランタンの練り切りがあるのを見て、今度はザッフィーロがあーんと口を開けた。次は自分にと強請ってみせる。不安であるが故の甘えたがりなのか、ただ愛しさ故か。どちらにせよ、そんなザッフィーロの仕草もいじらしくて、宵は請われるままに練り切りを切り分けてその口へと差し出した。
 ねっとりとした甘さは密芋特有のもの。とろりと舌に溶けて、後を引く。
「ふふ、美味しいですか?」
「餡の甘みがまた絶品だな……」
 じっくり味わって幸せそうに顔を緩ませて食べるザッフィーロの顔を眺め、宵もまたにっこりと笑う。甘味を味わうザッフィーロの幸せそうな顔が好きだ。
「喉は渇きませんか? ラテアートのコーヒーもありますからね」
「ラテアートも良いがマッドハッターはこれではないか?」
 宵がお化けのラテアートコーヒーを差し出せば、ザッフィーロもまたティーポットを宵に差し出す。硝子のティーポットに入っているのは果実の入った紅茶だ。マッドハッターと三月兎ならば、お茶会も楽しまなくては!
 
「ザッフィーロ、もっともっと楽しみましょうね」
「ああ、今日は沢山楽しもう。まあ、宵と過ごす時は常に楽しい物だが、な」
 甘やかな笑みを交わし合って、二人は甘味巡り。
 甘味とはいとし人。甘味とはいとし時間。甘味の定義は広いのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真幌・縫
ふふ、甘味も戻って楽しいハロウィンの時間だよ♪お菓子も料理もどれも美味しそう…それにみんなの仮装を見るのはとっても楽しいな♪
ぬいも仮装をして今日だけはおばけさん達の仲間入り♪(魔女の帽子とふわふわスカートの魔女っ子衣装)

(うんうんと悩みながら食べるものを決めて)
どれも可愛いし美味しそうで悩んだけどぬいはコレにしよう悪魔のケーキ!熱いチョコレートをかければココアスポンジと苺がでてくるの♪
あとあと飲み物はお化けさんの顔のバニラが乗ったソーダ!
…うん、やっぱり甘味は必要なものだよね!

子供達もいっぱい楽しんでね!ハッピーハロウィンだよ!




 妖しげで楽しい音楽。まるで百鬼夜行の様々な仮装の人々。会場を満たす笑顔と甘い匂い!
「ふふ、甘味も戻って楽しいハロウィンの時間だよ♪ ぬいも仮装して、今日だけはおばけさん達の仲間入り音符」
 魔女の帽子をぴんと立て、ふわふわスカートと軽やかに翻らせて真幌・縫(ぬいぐるみシンドローム・f10334)はハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーの会場を歩む。妖怪たちやお化けで溢れる会場に仲間入りだ。
 あちこちでトリックオアトリートの声が聞こえ、悪戯をされてびっくりする声や、幸せな溜息を零す声。幸せと楽しいで溢れたハロウィンの、何と楽しい事だろう。それに今は美味しいスイーツまであるのだ。
「お菓子もお料理もどれも美味しそう……。それにみんなの仮装を見るのはとっても楽しいな」
 だから自然と、縫の顔にもきらきらの笑みが浮かぶ。足取りだって軽くなる。そうして辿り着いたのは、はロリンスイーツの園。島みたいな大きなテーブルに、隙間がないくらいに沢山のスイーツや軽食が並んでいる。縫の銀の瞳はテーブルの上を往ったり来たり。それだけでは足りなくて、視界の先まで歩んでは戻り。
 ハロウィンスイーツはどれも可愛くて美味しそうで目移りしてしまう。
「ぬいはコレにしよう、悪魔のケーキ!」
 たくさん悩んだ末に縫が選び取ったのはイタズラ悪魔のケーキ。可愛い苺のお姫様を隠してしまった悪魔に、魔女から受け取った魔法の薬――熱いミルクチョコレートをかけて丁寧に溶かして退治していく。そうしたら、ほら。
「ふふ、ココアスポンジと苺がでてくるの♪」
 無事に苺ケーキを救出したらいただきます!
 苺を溶かしたチョコレートに絡めて食べれば、苺の甘酸っぱさとチョコレートの甘さが見事に溶け合って縫の口を満たしてくれる。チョコレートをたっぷり吸ったココアスポンジも甘やかで美味しい。
「あっ。あとあと飲み物はお化けさんの顔のバニラが乗ったソーダ!」
「いーよー。じゃあお化け描いてあげるねぇ」
 のんびり龍神が縫のリクエストに応えて、バニラアイスにお化けの顔を描いてくれる。おまけに蜘蛛の巣チョコレートと蝙蝠クッキーも添えてもらったら出来上がりだ。
 妖し気な紫色のソーダは葡萄味。スプーンにとったアイスを浸せば、しゅわしゅわがアイスと共に口で弾けて遊ぶ。
「……うん、やっぱり甘味は必要なものだよね!」
 縫は力強く頷いた。だってこんなに、幸せきらきらな気持ちになってしまうもの!
 
「おねえちゃん、ハッピーハロウィーン!」
「うん、子供達もいっぱい楽しんでね! ハッピーハロウィーンだよ!」
 シーツを被った子供たちが、縫に手を振りながら駆けていく。お菓子の入ったバケツを持って、きっとお菓子を頬張りながら悪戯をしにいくのだ。
 子供たちの笑顔。美味しい甘味。楽しい楽しいハロウィンに、祝福あれ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

花綱・雀
これ全部スイーツなの?すっごいね!
これだけスイーツがあるってことは、俺が楽しみにしてたスイーツもあるよね!(強気)
ハロウィン仕様のスイーツピザはあるとして、普通のピザもあるかな
俺はここにあるピザというピザを味見するからね!(ピザお任せ)
うう、どれも美味しい…!自分の作ったピザも最高だけど、やっぱり人の作ったピザって美味しい!
ピザは粗方食べたし…何かお勧めのスイーツがあったら食べてみようかな、何かある?
あ、でもこの悪魔のケーキ?も美味しいね、ピザが一番だって思ってるけど、他の料理も美味しいじゃん。こう…新しい扉が開く気がする(創作ピザの)
あっもうピザ作ろう!俺の美味しいピザ皆に食べてもらお!




 ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーは大盛況だ。目玉のハロウィンスイーツは卓――というよりはもはや島のように見える巨大な卓に並んでいる。隙間など見えないくらいに敷き詰められたトレーには、まるでおもちゃ箱のように楽しいスイーツが、どれも存在を主張している。
「これ全部スイーツなの? すっごいね!」
 予想以上のスイーツの量に、花綱・雀(花彩雀鶯・f26205)は目を丸くした。そして強きに口の端をあげる。
「これだけスイーツがあるってことは、俺が楽しみにしてたスイーツもあるよね!」
 言い切った。
 雀はピザを愛しピザに愛されし男。強火ピザ担が頑張る理由などただ一つ。
 それは愛するピザの為!
 
「ハロウィン仕様のスイーツピザはあるとして、普通のピザもあるのかな。オレはここにあるピザというピザを味見するからね!」
 意気揚々とスイーツアイランドと化した卓を物色していると――、
「ピザのおにいさん見っけー!」
「えっなに」
「ピザあるよー! こっちー!」
 妖怪の子供が明らかに雀に向けて手を振っている。見覚えのない子だが、ピザがあると聞けば向かわずにはいられない。妖怪の子が手招く場所まで行けば、果たしてそこはピザコーナー!
 ハロウィン仕様のスイーツピザは、魔女の自信作。ジャンドゥーヤチョコレートで作った蜘蛛の巣に、メレンゲクッキーの骨やお化けが引っ掛かった蜘蛛の巣ピザ。焼き上がりにはアイスや南瓜のクッキーを乗せて食べるとあつあつひやひやが楽しめる。
 軽食のピザだって忘れてはいけない。お化けの形に切り抜かれたチーズをトマトソースの海に敷くマルガリータ。イカ墨を混ぜた真っ黒生地に、南瓜やベーコン、パプリカをたっぷり乗せた魔女のピザ。焦熱地獄のピザは真っ赤で辛いがクセになる。
「うう、どれも美味しい……! 自分の作ったピザも最高だけど、やっぱり人の創ったピザって美味しい!」
「おにーさんのピザも美味しかったよー! チョコとマシュマロ!」
「……もしかしてさっき戦った子?」
 めいっぱいの笑顔で頷いた。どうやら雀が先ごろ相手をしたごめずちゃんのうちの一人であったらしい。雀のくれたピザが美味しかったので、お礼がしたかったのだという。何度も振り返っては手を振って去っていく妖怪の子を見送って、雀は手元のピザをぺろりと平らげた。
「ピザは粗方食べたし……何かお勧めのスイーツがあったら食べてみようかな、何かある?」
 給仕をしている妖怪に声をかければ、悪魔のケーキと返ってくる。その他にもあれやこれ、色んなスイーツをおすすめしてくれた。
「あ、でもこの悪魔のケーキ? も美味しいね。ピザが一番だって思ってるけど、他の料理も美味しいじゃん。こう……新しい扉が開く気がする」
 あれもこれも、色んなものを見て食べて。
 そうしたらむくむくと湧き上がってくるのは新しい創作ピザのアイディアだ。新しい着想を得て翼を広げたアイディアは、飛びだって形になりたがっている。
「あっもうピザ作ろう! 俺の美味しいピザ皆に食べてもらおう!」
 アイディアを早く形にしたくて、雀は立ち上がった。ピザは一人で食べたって美味しいけれど、皆と分け合って食べるのも美味しいもの。思い立ったら善は急げ!
 
 ――ピザを作る雀の顔にも、それを振る舞われた妖怪たちの顔にも笑顔が咲くのはそれからもうちょっと後のこと。
 やっぱりピザはハロウィンでだって最高だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と
仮装は、去年のフードで
とりあえず俺は、一週間分ぐらい食いだめる予定で
肉は狩りでも食べるから、普段不足する甘いものかな…(片っ端から甘味を持ってくる(どれ食べても「甘味が強い」くらいしか感じない舌であるが種類は多め)
…あ、お兄さん
肉?うん、いいけど。じゃあ、ここに乗せて(ケーキの上を示す
なんかよくわからないけど、くれるものは全部貰うよ。
…え、これお兄さんの分もあったの?
ごめん、もうない。取ってくるから待ってて
あったかいほうがいいだろうから、(炭化するまで)温めなおしておくよ(親切心

子供は食事の邪魔をしに来たら半殺しにして吊る…え、だめなの?
お兄さん、結構子供好きだよね


夏目・晴夜
リュカさんf02586と
仮装はキョンシー

おやおや、リュカさん
そんな甘い物ばかり食べて…って、マジでめっちゃ食いますね

まあ甘味は私も大好きですが、パーティで食うべきはやはり上等な肉
なのでハレルヤが、このハレルヤが!リュカさんの肉も取って参りましたよ!さあ褒め…
え、ケーキの上に?じゃあどの肉を…ちょっと、ハレルヤのまで全乗せは反則ですよ!
お、ではロースト鴨肉のサンドとレアステーキをお願いします
再加熱はダメですからね(フラグ

おっと
我々に悪戯しにくるとは随分と命知らずですねえ
…いや子供を吊るすのは絵面的にアウトです!完全に蛮族のそれ
子供好きとか関係ない
でもまあ、面白い悪戯ならばお菓子を差し上げますよ!




 大盛況のハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティ。仮装も妖怪も、こうも交じってしまえばどちらがどちらかわからなくなる。そんな会場の中心、スイーツアイランドテーブルの前でおばけフードに尻尾を揺らし、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はとびきり大きな皿を手に取った。
 とりあえずのリュカの目標は、一週間分くらい食いだめることだ。
「肉は狩りでも食べるから、普段不足する甘いものかな……」
 そう言いながら、リュカはアイランドテーブルにこれでもかと並ぶスイーツを、片っ端から大皿に乗せていく。どのスイーツが美味しそうだとか、そんなことはあんまり考えて居なさそうに見える。そも、リュカの舌は少々味に鈍感だ。どれを食べても「甘味が強い」くらいしか感じられなくて、例えば繊細な味の変化だとかはほとんどわからない。それでも、同じものをたくさんではなく、色んなスイーツを色とりどりに皿に載せていく。
「おやおや、リュカさん。そんな甘い物ばかり食べて……って、マジでめっちゃ食いますね」
「……あ、お兄さん」
 そんなリュカを見つけて、キョンシーの仮装をした夏目・晴夜(不夜狼・f00145)が声をかけ――、リュカの手元の皿に山と積まれるスイーツに瞠目した。
 そんなに甘味好きでしたっけ?と問いたげな晴夜の視線に一週間分の食いだめだと正直に伝えれば、晴夜は何かを思案しくるりと踵を返す。そして何処かに行ったかと思いきや、すぐさま戻ってきた。
「まあ甘味は私も大好きですが、パーティで食うべきはやはり上等な肉。なのでハレルヤが、このハレルヤが! リュカさんの肉も取って参りましたよ!」
 高らかに宣言する通り、晴夜の皿には、香ばしく脂が弾ける音のするステーキやローストビーフ。見るからに上質な、きめ細やかな赤身の肉である。
「肉? うん、いいけど。じゃあ、ここに乗せて」
「さあ褒め……え、ケーキの上に?」
 そんな素敵なお肉を見て瞬いたリュカは、「はい」と自らの皿を差し出した。
 晴夜がどこからどう見ても、皿にはケーキが大量に乗っている。隙間は無い。よって、必然的に「乗せて」というのは間違いなくケーキの上にである。リュカもばっちり、ケーキの上を指し示している。
 晴夜は多少混乱した。
 ケーキの上に? 肉を? 乗せちゃうの?
「なんかよくわからないけど、くれるものは全部貰うよ」
 リュカは平然とした顔をしている。冗談ではなさそうだし、そもこの少年はいつでも真面目だ。よってガチだ。ガチで乗せろって言ってる。
「じゃあどの肉を……」
 食べますかと問うが早いか、リュカはひょいと晴夜の皿を受け取ってケーキの上にずざっと乗せた。皿から滑り落ちた肉は、見事全部リュカのケーキの上に着地する。
「……ってちょっと、ハレルヤのまで全乗せは反則ですよ!」
「え、これお兄さんの分もあったの?」
 あまりの展開の速さに晴夜がついていけていない。止める間もなかった程に、鮮やかに素早く肉は全部ケーキの上に飾られている。
 確かに最初に自分の分もあるとは言っていなかったけれど!
 「リュカさんの分の肉も」とは言ったけれど!
 晴夜は思わず顔を覆った。
「ごめん、もうない。取ってくるから待ってて」
 頭を抱えた晴夜に申し訳なくなって、リュカは自分の皿を晴夜に渡して新しい皿を手に取った。その言葉に晴夜の復活は速い。
「お、ではロースト鴨肉のサンドと、レアステーキをお願いします。再加熱はダメですからね」
「いや、あったかいほうがいいだろうから、温めなおしておくよ」
 完全にフラグだった。
 リュカに火加減という調整は、まあその場で指摘されなければ多分ない。完全なる親切心であったが、晴夜に渡された皿には再加熱によって炭化した肉の残骸しか乗っていなかった。
 晴夜は心の中で泣いた。

 改めて晴夜が自分で取りに行った肉を、リュカと堪能していた時。
「おにーさんたち、トリックオアトリート!」「とりー!」
 二人の居るテーブルに、妖怪の子供たちが駆け寄ってきた。お化けシーツを被った子、一つ目小僧、魔女の娘。手には同じようにお菓子のバスケット。皆悪戯かお菓子か、期待に満ちた目でリュカと晴夜を見ている。
「おっと。我々に悪戯しにくるとは随分と命知らずですねえ」
 肉汁滴るレアステーキを噛みちぎりながら、キョンシーが笑う。子供たちが期待にドキドキした。
「子供は食事の邪魔をしに来たら半殺しにして吊る……」
「ひっ」
 肉汁滴るローストビーフ……が乗ったケーキを頬張りながら、大層据わった目でリュカが顔を上げた。思わず子供たちが悲鳴を上げた。
「いや、子供を吊るすのは絵面的にアウトです!」
「え、だめなの?」 
「完全に蛮族のそれじゃないですか」
 晴夜の後ろに隠れた子供たちは、ドキドキを通り越して慄いている。悪戯かと思いきや半殺しとか吊るすとか聞こえたのがビックリしたらしい。多分、あんまり冗談でもなかった。
「お兄さん、結構子供好きだよね」
「子供好きとか関係ない」
 肉ケーキを食べながら聞くリュカに、晴夜は頬杖をついて困り顔。リュカはとてもマイペースだ。
 とはいえ今日はハロウィン。楽しい楽しいお化けの日。
「でもまあ、面白い悪戯ならばお菓子を差し上げますよ!」
 晴夜が子供たちに笑ってみせれば、すぐに子供たちの顔がキラキラになる。
 ハッピーハロウィン。
 今宵の悪戯はトイレットペーパーでゆるくぐるぐる巻きにされて、ミイラ男にされること!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
【暁鳥】

れつぱてー!
お気に入りの子ペンギンしぃつおばけになって
ぱてぃを楽しむんだ

とりくおあとりとー!

ねえねぇ、どれから食べようか
けぇきに、くきー、ちょこ!たるともあ
どれも美味しそうで目移りしちゃうや
瞳をきらきらさせつつ尾鰭をぴるり

綾華、僕は南瓜ぷりんが美味しそうだと思うよ!
はいどうぞ!

ぴぃ?!
きよの声にびっくり
おばけいたの?裾を掴まれればふるふると震えつつ身を寄せる
こ、怖くない!おばけ怖くない――あ、ほんとだ
おばけ……子どもだ?
きよ、こどもだよ

ふふ、十雉は、巫女様なんだから!
おまじないして、怖いのが怖くないようにしてくれるんだと胸を張る
それ美味しそうだね
僕にはまだ飲めない?
じゆす、で乾杯する!


宵雛花・十雉
【暁鳥】

キツネシーツを被って仮装
へへ、シーツお化け4人組の登場だ

おーすげー!
あっちにもこっちにも美味そうなもんがあるぜ
いいの見つけたら情報交換な!
ブルーベリータルトも南瓜プリンもうまそー

おーおー、2人とも可愛らしい反応だこと
怖がる様子をけらけら笑いながら見てる
リルは怖いの苦手そうだけど、きよしもか
これで綾華も怖いの苦手だったらギャップ狙えたぜ?

巫女さんの力が必要かい?
そんじゃあ期待にお応えして、今日のおまじないはこれ
怖いもんの後には甘いもんどうぞ
さっき見つけたおばけ苺大福を3人にお裾分け
ついでにおばけの子供にもあげよ

なんだい黒猫さぁん
お、いいの?飲む飲む
乾杯してほろ酔いになりゃあもっと上機嫌さ


浮世・綾華
【暁鳥】

ICの黒猫シーツおばけ仮装

色んな食いもんがあんだな
リル、うまそうなのあった?
あら、ありがとう?
へえ、うまいな

悪戯心発動
――おいキリン(きよ)
後ろになんかいんぞ
引っ付かれたらそっと引き剥がす

(あれ、リルもおばけダメなんだっけ)
ほらペンギンさん、ヘーキだよ
良く見てみ、可愛い子供だろ
ほら、これやるからペンギンのおにーちゃんを怖がらせるのはやめてな
あ、そのキリンはいーよ

ぎゃっぷ?ああ…必要ないだろ
そーゆーお前こそ、苦手だったら
思いっきり驚かしてやったのに?ふふ

助けねぇ。自分で何とかしろ
お前なら出来る。頑張れ(適当)

お狐さぁん(十雉)
サングリアのんだ?
うまかったよ、ほら
手渡しコツンと乾杯しようと


砂羽風・きよ
【暁鳥】

キリンシーツで仮装

おーおー、皆似合ってんな
――いや、こ、怖くねーよ?

スゲー!これ全部、食べられるんだよな?
リルの可愛い言葉に思わず息を漏らす

ブルーベリータルトをひとくち
不気味だが、めっちゃうめー!
皆も食ってみろよ!

…え、後ろ?

おぎゃー!!!綾華!
引っ付こうと
少しくらいくっついても別にいいじゃねーか!

こ、こ怖くねーし!きよしじゃねーし!
なぁ、リル
さりげなくリルの裾を掴もうとしている

トリックオアトリート?!
そんな場合じゃねぇ!綾華ぁ!助けてくれ!

く、十雉!!悪い心を祓ってくれ!!!

――ほ、ほんとだ。怖くねぇ!
へへ、さんきゅ
子供妖怪にはドーナツを渡しつつ

リルと同じジュースを手に持ち
乾杯するぜ




 ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーは大盛況だ。
 楽し気な妖怪たちの声。駆けていく子供たち。そして心惹かれる美味しい匂い!
 そんな素敵な妖怪ハロウィンに、シーツお化け四人組が参加していた。
「おーおー、皆似合ってんな。――いや、こ、怖くねーよ?」
 キリンシーツの砂羽風・きよ(忠犬きよし・f21482)が、共に歩む三人のシーツおばけを見てにししと笑う。皆大変に愛らしく似合っている。流石に友人のシーツお化け姿で怖いなんてことはない(はずだ)が、真横を大入道が通っていったのには多少びっくりした。……多少だ、多少。
「れつぱてー! とりくおあとりとー!」
 お気に入りの子ペンギンシーツお化け姿のリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は大はしゃぎ。楽しいこともパーティも大好きだ。弾む心地で辿り着くのはパーティの中心、甘味の島。ハロウィンスイーツが所狭しと並べられる、スイーツアイランドテーブル!
「スゲー! これ全部、食べられるんだよな?」
 先程のドキドキはリルの可愛らしい言葉に漏らした息で吹き飛ばし、きよはテーブルに飛びついた。早速全員分の皿を渡し、視線をテーブルの上に彷徨わせる。
「おーすげー! あっちにもこっちにも美味そうなもんがあるぜ。いいの見つけたら情報交換な!」
 狐シーツお化けの宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)もまた、三人を見渡して笑う。この巨大なテーブルにあるスイーツは、全部食べ歩くのはちょっと大変だ。せっかく四人もいるのだから、色々食べて情報交換だ。
「ねえねぇ、どれから食べようか。けぇきに、くきー、ちょこ! たるともある!」
「色んな食いもんがあんだな」
 どれも美味しそうで目移りしてしまう。リルは期待に瞳をきらきらさせつつ、月光ヴェールの尾鰭をぴるりと揺らした。
 隣の黒猫シーツお化けの浮世・綾華(千日紅・f01194)は迷い顔。リルの言う通り、巨大なテーブルの端から端まで。見えるもの全て、可愛いかったり不気味だったり、美味しそうだったり、食欲を刺激してやまない食べ物ばかり。何をどれだけ食べたっていいのだけれど、最初の一個はどうしても迷ってしまうもの。
「ブルーベリータルトも南瓜プリンもうまそー」
「リル、うまそうなのあった?」
「綾華、僕は南瓜ぷりんが美味しそうだと思うよ! はいどうぞ!」
 十雉ときよが吸血鬼の棺桶型ブルーベリータルトを皿に盛っている横で、綾華はリルにアドバイスを求める。即答の返事には、リルの笑顔と南瓜プリンを添えて渡してくれる。
「あら、ありがとう? ――へえ、うまいな」
 滑らかな南瓜プリンの上にはチョコレートで描かれたジャック・オ・ランタンの顔。薄いヴェールを被せたようなカラメルソースは香ばしい香りがする。リルから受け取ったそれを早速口に運べば、口いっぱいに濃厚な南瓜の甘さが広がって、飲み込めば淡い余韻を残していく。ほう、と息を吐いた。
「不気味だが、めっちゃうめー! 皆も食ってみろよ!」
 その隣で棺桶型ブルーベリータルトを一口あんぐりと食べてみたきよが、感嘆の声を上げた。棺桶の形のブルーベリータルトは二重構造。十字架が描かれたチョコレートの蓋を開けると、ブルーベリームースが顔を出す。やたらと精巧な造りがなんだか不気味さを誘うものの、口にしてみれば甘さが優しく溶ける。気になっていたような十雉にそれを勧めながらも、なんだかきよは周囲に居る妖怪が気になる様子。
 それにふと気づいた綾華の悪戯心にそっと火が付いた。
 
「――おいキリン。後ろになんかいんぞ」
「……え、後ろ?」
 さりげなく。そして少し驚いたように。
 綾華の言葉に合わせて、きよのキリンシーツが引かれる感覚がある。特に何も疑わずに、きよは綾華の視線に合わせて後ろを向くと――。
 
「ばあ!!」

 大きな図体が三つ。真っ白シーツの、しかし本当に空に浮いている、おばけ。
 きよの背筋を悪寒と震えと恐怖が一気に駆け上がった。
 
「おぎゃー!!! 綾華!」
「ぴぃ?!」
 飛び上がって叫んだきよが綾華に引っ付こうとする。きよの声に吃驚したリルも一緒に飛び上がった。その声にすっとおばけが闇に消える。
「おばけいたの?」
(「……あれ、リルもおばけダメなんだっけ」)
 辺りを見回しつつもふるふると震えるリルも、いつのまにか背後からペンギンお化けシーツを引っ張られる感触を感じて青褪めた。
「おーおー、二人とも可愛らしい反応だこと」
 十雉はといえば、二人の怖がる様子にけらけらと笑っていた。一部始終をしっかりと見ていたものだから、楽しくて仕方がない。
「リルは怖いの苦手そうだけど、きよしもか」
「こ、こ怖くねーし! きよしじゃねーし! なぁリル」
「こ、怖くない! おばけ怖くない……」
 楽し気な笑みのまま問う十雉に、きよは必死の抗議。とはいえ、その手がさりげなくリルの裾を掴もうとしているのと、十雉は見逃さずにまた笑った。リルはといえば、くいくいとシーツを引っ張る感触にふるふると震えてそっと身を寄せている。
「これで綾華も怖いの苦手だったらギャップ狙えたぜ?」
「ぎゃっぷ? ああ……必要ないだろ。そーゆーお前こそ、苦手だったら思いっきり驚かしてやったのに? ふふ」
「トリックオアトリート!!」
「トリックオアトリート!? そんな場合じゃねぇ! 綾華ぁ! 助けてくれ!!!」
「助けねぇ。自分で何とかしろ。お前なら出来る。頑張れ」
 ニヤリと笑い合う十雉と綾華の横で、もう一度現れたおばけたちから元気なハロウィンの決まり文句が上がる。が、きよは全くそれどころではない。最早半泣きで綾華に引っ付いているし、リルはどんどん縮こまる。
 内心しまったという顔をした綾華は、引っ付いたきよを引き剥がしてリルの顔を覗き込んだ。尚、「少しくらいくっついても別にいいじゃねーか!」というキリンの抗議は無視した。
「ほらペンギンさん、ヘーキだよ。良く見てみ、可愛い子供だろ」
 綾華は極力安心させるような穏やかな声で、震えるリルに話しかける。リルが顔を上げれば大丈夫だからと頷き、リルのシーツを引っ張るお化けたちをゆっくりとリルの前に呼んだ。
 シーツのお化けだ。宙にふよふよと浮いて、その中身が本当にあるのかも疑わしい。シーツの中には淡く光る蒼い光がある。そして何より、そのお化けは小さかった。リルや綾華のことを不思議そうに首を傾げて見上げている。
「――あ、ほんとだ。おばけ……子どもだ? きよ、こどもだよ」
 ゆっくりと顔を上げたリルと目が合えば、お化けの子供たちは無邪気に笑った。お化けであることには変わりないが、無邪気な子供たちだ。そして今日はハロウィン。悪戯のつもりだったのだろう。
 子供たちの前に屈んだ綾華は、いつの間にか手にしていたロリポップを差し出す。
「ほら、これやるからペンギンのおにーちゃんを怖がらせるのはやめてな」
「いーの? わぁい、黒猫のおにいちゃんありがとう!」
「あ、そのキリンはいーよ」
「なんでだよ!?」
「やったー!!」
「やったーじゃねぇぇえ!!!」
 どろんとして大きくなったお化けたちが、きよの周りに集まって驚かす。子供だとは分かっていても、やっぱり怖いものは怖いのだ。綾華にはもう泣きついても無駄だと悟ったきよは、けらけらと笑う十雉に泣きついた。
「く、十雉!! 悪い心を祓ってくれ!!!」
 悪い心?
 と内心首を傾げつつも、まあこのままではよくない。十雉は笑いつつも頷いた。
「巫女さんの力が必要かい? そんじゃあ期待にお応えして、今日のおまじないはこれ」
 そう言って差し出したのは、先程見つけたおばけ苺大福。チョコペンで描かれた表情はそれぞれ違っていて、そしてどれも愛らしい。
「怖いもんの後には甘いもんどうぞ。ついでにお前たちにもな」
 巫女さんのおまじないを施したお化け大福を、きよとリル、そして綾華。それから妖怪の子供たちにもお裾分け。大福を貰ってきゃあきゃあと喜び舞うお化けたちは、何となく人間の子供のそれと変わらないようにも見えた。
「――ほ、ほんとだ。怖くねぇ! へへ、さんきゅ」
 おまじないと子供たちの無邪気な様子に、ようやっときよは平静を取り戻す。その横で、お化けの一人が不思議そうに首を傾げていた。
「どゆことー?」
「ふふ、十雉は、巫女様なんだから! おまじないして、怖いのが怖くないようにしてくれるんだ」
「そっかぁ、キツネさんすごいねぇ」
 お化けの疑問は、リルが胸を張って教えてくれる。
 きよも大福を食べれば、不安も怖さも皆溶けていってしまうかのようだ。もう怖くはない。胸を撫でおろしたきよも皆と同じようにお化けの子供たちにドーナツを渡せば、お化けたちは嬉しそうに笑って去っていった。

 お化けたちを見送った四人は、気を取り直してハロウィンスイーツを堪能していた。
 可愛くて美味しいスイーツはお裾分け。不気味で怪しいスイーツも、四人で食べれば怖くはない。
「お狐さぁん」
「なんだい黒猫さぁん」
 そうして楽しんでいると、不意に綾華が十雉を呼んだ。見ればグラスを掲げて誘っている。
「サングリアのんだ? うまかったよ、ほら」
「お、いいの? 飲む飲む」
 それは赤ワインにフルーツとハーブを漬け込んだサングリア。魔女が作る今回目玉の逸品だ。グラスを十雉に手渡したら、かつんとグラスを合わせて乾杯だ。二人でグラスを呷れば、甘美な酒精はほろろと酔いを連れてくる。
「それ美味しそうだね。僕にはまだ飲めない?」
 上機嫌に笑う二人を見て、リルときよも集まってきた。未成年はまだ飲めないけれど、ワインを葡萄ジュースに変えただけのノンアルコールサングリアがある。リルときよがそれを手にしたら、今度は四人でグラスを掲げ。
 「ハッピーハロウィン!」
 高らかに響いた硝子の音は、四人の楽しい時間に響いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

檪・朱希
【東雲】4人で
すねこすりの仮装
犬耳に、毛皮を纏って白い手袋をはめた格好。
オズは鳥?
理玖は烏天狗なんだね。ライラの猫又、素敵だよ。

わぁ……何から始めよう?

悪魔のケーキに向かうオズに、好奇心からついていく
言われるがまま、一口食べてみる
とても美味しい。幾らでも食べられそう
クリームソーダ……どんな飲み物だろう?飲んでみたいな。

ライラ、何かおいしそうなお菓子、見つかった?
和菓子もあるみたいだよ。
半分こ?うん、そうしよう。

理玖、一緒に妖怪の子供達に悪戯する?
私は、この手袋で皆のすねをこすろうかなって。

妖怪の子供達には白い綿菓子、気に入って貰えるかな?

ハロウィンは楽しい『音』が沢山。
トリックオアトリート。


陽向・理玖
【東雲】
烏天狗の格好
頭にお面

うわぁオズ兄さんすげぇ
シュネー姉さんとしっかり翼半分こだ
朱希はすねこすり?可愛いじゃん
ライラは着物で猫又かぁ
着物似合ってるな

腹減ったし俺は普通にサンドイッチ食うかな
鴨肉旨
あとクリームソーダ取りにいこ
みんなもいる?
おお了解
やっぱ顔違うな?
ほら何かコレ烏っぽい
ほんとだこっちは猫

悪魔のケーキすげぇ
スマホで撮り

ん?
鴨肉もスイーツピザも旨かったけど
そんなにライラの腹に入る?
和菓子も好きなのか
そんじゃこっち
苺大福載せて
求肥旨

すねこすりってそういう妖怪なのか
俺は団扇で思いっきり仰ぐかな
いたずら嫌なら菓子と交換するぜ
嘴付きのロリポップ片手に

トリックオアトリート?
…いいな
すっげ楽しい


ライラ・ユグドラシル
【東雲】
猫又の仮装
赤い着物に、猫耳としっぽ

オズとシュネーの翼、きれいだな
理玖は烏天狗なんだね
かっこいい
わあ、朱希かわいい
ふわふわ

俺もクリームソーダ飲みたいっ
みてみて、猫

すごいっ
悪魔のケーキをきらきら見つめ

南瓜のプリンと、黒猫のガトーショコラが気になるよ
和菓子もあると聞いてそわそわ
朱希、はんぶんこしよう?

理玖のお皿をそっと覗き込み
ね、おすすめがあったら教えてほしいな
苺大福、だいすき
ありがとう

子どもたちとも遊びたいな
悪戯するのも、されるのも、楽しそうだね
オズの言葉に笑顔で頷き
どんな悪戯も、歓迎だよ
ふふ、お菓子もあげる
なにが食べたい?

みんなと一緒のハロウィン
思いきり楽しまなきゃ
トリックオアトリート!


オズ・ケストナー
【東雲】
比翼の鳥の仮装
シュネーと羽をはんぶんこ
リクに褒められピース
リクかっこういい、羽仲間だ
ライラもアカネもにあってる、かわいいね

すごいっ
これだけあるとまよっちゃうね
リク、わたしもクリームソーダっ

悪魔のケーキに興味津々
みてて
そーっとミルクを零し
わあ、アクマをやっつけたよっ
ケーキでチョコを掬って
このアクマ、おいしい
アカネもたべてみてっ
おいしいの言葉に綻んで

しゃがんで目線合わせ
子供たちに羽のクッキーを
いたずらも気になるけど
ね、ライラ
うんうん、いたずらもだいかんげいっ
ハロウィンだもの

わたしたちもやろうっ
トリックオアトリートっ

ケーキの苺を苺大福と交換したり
飲んでたジュースにベリーを入れるおいしい悪戯を




 カクリヨファンタズムのハロウィンは、お化けと妖怪が入り混じった楽しい夜。空には鬼火。お化けが遊び骸骨が歌う素敵な夜。そんな夜に集った四人もまた、素敵な素敵なお化けの仮装!
「オズは鳥?」
「うわぁオズ兄さんすげぇ。シュネー姉さんとしっかり翼半分こだ」
 皆に褒められ、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)はピースサイン。比翼の翼の仮装をしたオズは、姉であり友であるシュネーと翼を半分こ。
「リクもかっこういい、羽仲間だ」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)は烏天狗の仮装だ。天狗のトレードマークである翼はオズと羽仲間。独特の顔のお面は頭につけられている。
「オズとシュネーの翼、きれいだな。理玖は烏天狗なんだね、かっこいい」
「ライラもアカネもにあってる、かわいいね」
「ライラは着物で猫又かぁ。着物似合ってるな」
「ライラの猫又、素敵だよ」
 オズと理玖をほんわり褒めるライラ・ユグドラシル(星詠・f01350)はといえば、猫又の仮装。赤い着物に猫耳、それから揺れる二本の尻尾がポイントだろう。
「わあ、朱希かわいい。ふわふわ」
「朱希はすねこすり? 可愛いじゃん」
 そして皆を褒めてはぽふぽふと手を叩く檪・朱希(旋律の歌い手・f23468)の仮装はすねこすり。ぴんと立った犬耳に毛皮を纏い、白い手袋を嵌めた姿は大変にもふもふしている。
 四人揃って互いの仮装を楽しみ合ったならば、甘い香りが鼻腔を擽って皆の食欲を刺激していく。さあ出かけよう、ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティのメインテーブルへ!

「わぁ……何から始めよう?」
「すごいっ。これだけあるとまよっちゃうね」
朱希とオズが目を丸くする。目の前にあるのは、確かに島というに相応しい程巨大なアイランドテーブル。首をぐるりと回してようやく見回せる程のテーブルに所狭しと並べられているのは、あれもこれもハロウィンで着飾ったスイーツと軽食だ。
 あれは不気味であれは可愛い。そっちは秘密がありそうで、こっちは不思議な色をしている。興味があちこちに惹かれてしまって、オズもライラも朱希も迷い顔。
 そんな中。
「腹減ったし俺は普通にサンドイッチ食うかな」
 特に迷いもせずに、理玖はロースト鴨肉のサンドイッチを手に取った。
「ん。鴨肉旨。あとクリームソーダも取りにいこ。みんなもいる?」
 マイペースにそれを口にした。トーストしたバゲットのスライスに、ルッコラとトマト、鴨のローストとクリームチーズを挟んだボリューミーなサンドイッチは、アクセントの黒胡椒がぴりりと効いている。鴨肉の芳醇な脂がついた指をぺろりと舐めては、理玖は満足顔。さて、軽食を食べれば飲み物だって欲しくなるわけで。まだ迷い顔の友人たちにも声をかければ、全員が手を挙げる。
「リク、わたしもクリームソーダっ」
「俺もクリームソーダ飲みたいっ」
「クリームソーダ……どんな飲み物だろう? 飲んでみたいな」
「おお了解」
 三者三様の反応に頷いて、四人でクリームソーダを貰いに行く。そうして貰ったソーダは、メロンに葡萄、桃にりんごの四種類。上に乗っているバニラアイスには、兎の妖怪が顔を描いてくれていた。どんな顔かは受け取ってからのお楽しみ、ということだが。
「やっぱ顔違うな? ほら、何かコレ鳥っぽい」
「みてみて、猫」
「ほんとだこっちは猫」
 それぞれに描かれていたのは鳥に猫にパンダ。ひとつとして同じもののない顔は、爽やかな風味のソーダと相まって皆に笑顔を呼んでくれるのだ。
 
 何を食べるか、最初のひとつは何故か迷ってしまうもの。それでもオズの目に留まったそれに、オズは興味津々だ。
 ニヤリと笑ってオズを見上げるそれは、悪魔のケーキ。苺ケーキの姫様を囚えて離さぬチョコレートの悪魔だ。同じく好奇心につられて朱希がオズの手元を覗き込めば、オズは朱希にも見えるようにミルクポットを手に取った。
「みてて」
 そっとそーっと、熱いミルクを悪魔に零せば、とろりと悪魔が蕩けだす。悪魔は見る間に形を失って、やがて中に囚われていた苺ケーキが顔を出した。
「すごいっ」
「わあ、アクマをやっつけたよっ」
「悪魔のケーキすげぇ」
 楽しそうな雰囲気につられてライラが、魔法みたいに溶けていった悪魔退治に瞳を煌かせた。無事に苺ケーキを救出したオズも、嬉しそうにへにゃりと笑う。理玖が感心してスマホで一部始終を撮影する中、オズはココアスポンジに溶けたミルクとチョコレートを掬って一口ぱくりっ。途端に広がる甘やかなミルクチョコレートと、ほんの少しだけ苦いココアスポンジの味に、オズの目がきらきらと輝きだす。
「このアクマ、おいしい。アカネもたべてみてっ」
 同じようにスポンジにチョコレートを絡ませて、オズは朱希に差し出した。ゆるり瞬きつつも言われるがまま、朱希がそれを頬張ればまるで頬が蕩けるよう。
「とても美味しい。幾らでも食べられそう」
 吃驚したような顔で自分の分の悪魔のケーキを皿に載せる朱希に、オズはほんわりと綻んだ。

 悪魔のケーキを堪能したら、四人は手分けして甘味巡り。
「ライラ、何か美味しそうなお菓子、見つかった?」
 ライラと合流した朱希が尋ねると、ライラは手にした皿を見せてくれる。気になるものを載せておいたらしいその上には、可愛らしい顔が二つ。
「うん。南瓜のプリンと、黒猫のガトーショコラが気になるよ。朱希、はんぶんこしよう?」
「半分こ? うん、そうしよう」
 まずは黒猫のガトーショコラを半分こ。スイーツは一人で食べても美味しいけれど、分け合って食べれば笑顔は二倍。へにゃりと笑うライラに朱希の穏やかな笑みが重なった。
 そうしてまたくるりと卓を巡れば、スイーツを物色する理玖やオズと合流する。ライラは料理が盛り付けられた理玖の皿をそっと覗き込んで、隣に並んだ。
「ね、おすすめがあったら教えて欲しいな」
「ん? 鴨肉もスイーツピザも旨かったけど、そんなにライラの腹に入る?」
 問いに答えつつも、理玖の目線はライラの皿。それなりにスイーツを盛ったり食べたりしていたと思うのだが、この小柄な少女の腹に果たしてまだ入るのだろうかと疑問がくるり。そこへ、朱希がライラの袖を引っ張ってひとつ向こうのテーブルを指差した。
「和菓子もあるみたいだよ」
「あ、ホントだ」
「和菓子も好きなのか。そんじゃこっち」
 和菓子という単語に興味を示したライラに、理玖は自らの皿から一つひょいとライラの皿にお裾分け。それは求肥のお化けがあかんべーをするお化け苺大福だった。一口サイズで丁度よい食べ応え。齧れば溢れ出す苺の甘酸っぱさが、ともすれば甘くなりすぎる餡子とクリームを調和してくれる。
「苺大福、だいすき。ありがとう」
「ん、求肥旨」
 ほんわりと笑うライラに、理玖もお化け苺大福を頬張りながら笑み返した。

 そうして満足するまでスイーツを堪能した四人。お腹もいっぱいで、他愛ない雑談に花を咲かせていると、ふとライラが一思案。
「子どもたちとも遊びたいな。悪戯するのも、されるのも、楽しそうだね」
「ね、ライラ。うんうん、いたずらもだいかんげいっ。ハロウィンだもの」
 今日はハロウィンだ。悪戯をしたりされたり、お菓子を貰ったりあげたりする日だ。せっかく妖怪の子供たちも仮装をして駆け回っているのだし、悪戯をされたりして遊ばぬ手もないだろう。ライラの言葉にオズもすぐさま同意してくれる。
「理玖、一緒に妖怪の子供達に悪戯する? 私は、この手袋で皆のすねをこすろうかなって」
「すねこすりってそういう妖怪なのか。俺は団扇で思いっきり仰ぐかな」
 勿論、悪戯はする側になったって楽しい。ふわふわの白手袋をわきわきする朱希に噴きだしつつ、理玖は背に回していた天狗の団扇を取り出した。
「トリックオアトリー!」
「お菓子くれなきゃ悪戯するぞー!」
 なんて話に花を咲かせていると、楽し気な気配でも感じ取ったか妖怪の子供たちが四人の間に遊びに来た。無邪気に問う子供たちに、ライラは屈んで目線を合わせる。
「でもどんな悪戯も、歓迎だよ」
「いたずら嫌なら菓子と交換するぜ」
「いいの!?」
「ふふ、お菓子もあげる。なにが食べたい?」
 子供たちはきゃいきゃいはしゃいで、どちらにするか迷っている。
 その隙に朱希が子供たちのすねをふわふわ擦り、理玖は天狗の団扇で子供たちをいっぱい仰いで笑った。オズがしゃがんで目線を合わせて羽のクッキーを、朱希は雲のように真っ白な綿菓子を、理玖は嘴付きのロリポップを手渡せば、子供たちは大喜びで飛び跳ねて。ライラは二本の猫又尻尾にリボンとお花をたくさんたくさん飾られている。

 皆笑顔だ。きゃあと叫ぶことも楽しいし、笑い声はカクリヨファンタズムの夜に高く響いている。今日はハロウィン。妖しく不思議な楽しい日。楽しい『音』が溢れる日。
 みんなと一緒のハロウィンだから、思いっきり楽しまなくちゃ損だ。
「わたしたちもやろうっ。トリックオアトリートっ」
「トリックオアトリート!」
「トリックオアトリート」
「トリックオアトリート? ……いいな、すっげ楽しい」
 比翼の翼、烏天狗に猫又、すねこすり。皆で声を合わせて、クリームソーダで乾杯だ。
 お菓子を頂戴。お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ。
 
 さて、ケーキの苺を苺大福と交換したり、飲んでいたジュースにベリーを入れたり。
 皆が笑顔になるような、おいしい悪戯を施していったのはだぁれ?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

境・花世
綾(f01786)と

蝙蝠羽のドレスに漆黒のヴェールを纏って
きみを夜の世界へ連れていこうか

尖った爪先で摘まむ甘味は、
ビターで香り高い悪魔のショコラ
チョコ好きには抗えない誘惑を差し出して

清らかなきみも、これで悪魔の仲間入り!

ひらりと上げるヴェールの下、
カシス色の唇で悪戯っぽく笑って
存分に飽食と悪徳を貪ってもらわなくちゃ

――チョコスイーツの全制覇、いくよ

にんまりと笑う互いの唇に
放り込むスイーツはこれまた美味で
お腹いっぱいになっても止められない
わたしもこんな風に甘いかなあ、なんて
蕩けそうに笑ってもうひとつ

夜が更けても、夜が明けるまで、
この甘さを二人して貪り尽くそう
今夜のわたしたちは、悪魔だもの


都槻・綾
f01786/花世

纏うのは
白の聖職服に
金糸の刺繍のストラ

月影のように清らな衣装なればこそ
夜に游ぶに相応しいでしょう?

艶やかに笑んで
悪魔との契約を交わそうか

差し出された夜色ショコラを頬張れば
芳醇な香りに
先の気取った遣り取りさえ瞬く間に蕩けて
ふにゃりと嬉し気に破願

やぁ
美味ですねぇ

悪魔の誘惑に
まんまと嵌りながらの
卓巡りに菓子巡り

愛らしき桃色の練り切りは
果物餡かと思えば
上品で華やかなルビーチョコ餡

美しき彩りのチョコとの
初めての出会いに
思わず瞳を瞬いて

ねぇ
まるで
花世みたいですよ

彼女の口にも
おんなじ和菓子を
ひょいと放り込む

途端
ルビーチョコみたいに
甘やかで鮮やかに咲く、華のかんばせ

ほら、
あなたみたいでしょう




 妖しアヤカシ百鬼夜行。
 玲瓏の月が笑う頃、甘美な悪魔が舞い降りる。
 
 都槻・綾(糸遊・f01786)が纏いしは、白の聖職服と金糸の刺繍のストラ。穏やかな容貌にこそ似合う聖職者の姿は、光すら纏うよう。そんな彼の許へと、悪魔が手を差し伸べる。
「きみを夜の世界へ連れて行こうか」
 妖艶に笑う女は境・花世(はなひとや・f11024)。蝙蝠羽のドレスに漆黒のヴェールを纏う悪魔の姿で『きみ』を呼ぶ。
 尖った爪先で妖艶に摘まむ甘味は、ビターで香り高い悪魔のショコラ。一口食べれば正しきものも魔へと堕ちる、心も蕩けるような背徳の味。
 チョコ好きには抗えないであろう甘い誘惑を、悪魔は聖なるきみへと差し出した。
 ここまで堕ちてこいと悪魔が誘う。
 夜の底へと来いと誘う。
 光のような男は艶やかに笑い、
「月影のように清らな衣装なればこそ、夜に游ぶに相応しいでしょう?」
 差し出された夜色ショコラを頬張って、悪魔との契約を交わす――。
 
 綾の口に広がる芳醇な香り。隠し味はチョコレートに深みを与えるブランデー。熱く深い吐息が零れる。濃厚な甘さに先の気取った遣り取りさえ瞬く間に蕩けてしまって、綾はふにゃりと嬉し気に頬を緩ませた。
「やぁ。美味ですねぇ」
「ふふ、清らかなきみも、これで悪魔の仲間入り!」
 ひらりと花世がヴェールを上げれば、カシス色の唇が悪戯っぽく笑っている。人懐こく笑う悪魔の誘惑に、優美な聖職者はまんまと嵌ってしまったよう。清らなきみも悪魔へと堕ちたならば、七つの罪科が手をこまねいて待っている。
 あとは麗しき悪魔の誘うまま。
「存分に飽食と悪徳を貪ってもらわなくちゃ。――チョコスイーツの全制覇、いくよ」
 ボンボンにガトーショコラ。ショコラパイにチョコの蜘蛛の巣が描かれたスイーツピザ。あれもこれも、皆暴食の腹に収めてしまおう。
 悪魔は二人、ハロウィンスイーツアイランドと呼ぶに相応しい、巨大な卓に乗ったハロウィンスイーツを卓巡り、そして菓子巡り。
 
 黒猫が金の目で見つめる艶やかなガトーショコラ。
 チョコレートの蜘蛛の巣に、メレンゲクッキーの骨が絡まるスイーツピザ。
 苺ケーキの姫君を囚えて離さぬ悪魔のケーキ。
 
 ハロウィンを彩るチョコレートの数々を、綾と花世はめいっぱい楽しみながら巡る。
 にんまりと笑う互いの唇に放り込む菓子は、これまた美味で幸せの味。腹がいっぱいになっても止められない不思議な魅力は、悪魔にも抗いがたいもの。
 ――古来よりチョコレートは悪魔と結び付けられることも少なくはなかった。それはあまりに甘美過ぎたからか、富と堕落の象徴であったからか。いずれにせよ、悪魔にはチョコレートが良く似合う。

 ふと綾が目に留めたのは、愛らしき桃色の練り切り。手に取り口にしてみれば、驚きが広がる。果物餡かと思ったそれの中身は、その実上品で華やかなルビーチョコ餡だったのだ。
 美しき彩りのチョコレートとの初めての出会いに、思わず綾は瞳を瞬かせた。
「ねぇ」
 お化け苺大福に手を伸ばしていた花世を呼び止めて、手にしたその練り切りを見せる。綾の手で咲く華やかな桃色の練り切りは、山茶花の花だ。
「まるで花世みたいですよ」
「わたし?」
 首を傾げる花世の口に、綾は山茶花の練り切りをひょいと放り込む。それを花世が食んだ途端、ルビーチョコみたいに甘やかで鮮やかに、華のかんばせが咲いた。
 山茶花の練り切りは芳しい花の香りを中に閉じ込めていて、花世はまるで花とチョコレートを一緒に食んだ気分。
「ほら、あなたみたいでしょう」
「わたしもこんな風に甘いかなあ」
 もう一度綾が問えば蕩けそうに笑うその顔が、いかにも美しき大輪の花のように夜に咲くのだ。綾はその笑みを眩しそうに目を細めて眺めていた。

 夜が更けても、夜が明けるまで。
 妖の世の宴は終わらない。一年に一度の祭りを心ゆく迄楽しむのだ。だから今宵はこの甘さを二人して貪り尽くそう。
 
 ――だって今夜のわたしたちは、悪魔だもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハーモニア・ミルクティー
聖(f02659)とパーティーを楽しむわ!
仮装はUCで変身して妖精女王のティタニアよ

……そうね、そうよね
付き合いが長くても、作家仲間程度の認識なのよね
これも全部、あなたが鈍すぎるせいよ……!

わたし、ちょっと変わったスイーツが食べてみたいわ
でも、カラスはダメよ?
お菓子でも見たくないわ!
襲われてから、苦手意識がちっとも抜けないんだから……!

飲み物も不思議ね
ソーダフロートを貰おうかしら?
聖?ねぇ、あなたそれ……

……嗜めませんの間違いじゃ無いのかしら?
アルコールにとても弱いんだから……
距離が近いし、絶対に酔ってるわよね?
撫でてって言ったら、撫でてくれそうな雰囲気だけど……素の時にして欲しいわね……


曙・聖
ニア(f12114)と取材に来ました

本業も仮装も文豪として、この日を何かの物語に形作ることが出来れば幸いですが
取材とはいえ、この一時を楽しみましょう
何か思いつくネタもあるかもしれませんし

悪魔に吸血鬼に、パンプキンにカラス……
ハロウィンだけあって、甘味も賑やかな形をしていますね
さて、どれから手をつけたものでしょうか
……心配しなくとも、カラスはまた追い払って差し上げますよ

息抜きも大切ですよね
普段ワインは嗜みませんが……少しばかりなら

直ぐには酔いませんよ
ですから、愛らしい顔で怒らなくても
ニアの困り顔は見る機会が少ないので、新鮮ですね
さて、甘味も飲み物もまだ沢山ありますが、何か欲しい物はありますか




 お化けが飛び交い、鬼火が照らし、骸骨と魔女が歌っている。
 ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティは、今まさに最高潮。甘やかな香りに誘われ、陽気なゾンビが近くに居た文豪――曙・聖(言ノ葉綴り・f02659)に声をかける。
『よお、兄ちゃんたちもハロウィンの菓子を楽しみに来たのかーい!?』
「ニアと取材に来ました」
 穏やかな笑顔で答えた聖に、隣のハーモニア・ミルクティー(太陽に向かって・f12114)は一瞬固まった。
「この日を何かの物語に形作ることが出来れば幸いですが。ですが取材とはいえ、この一時を楽しみましょう。何か思いつくネタがあるかもしれませんし」
 ハーモニアの様子には気づかぬままに、聖は「ね?」と笑いかける。翅の生えた人の姿でティターニアの仮装をするハーモニアは、その愛らしい顔を片手で覆った。
「……そうね、そうよね。付き合いが長くても、作家仲間程度の認識なのよね……」
 悲しいやら悔しいやら。複雑な感情がないまぜになってハーモニアを襲うけれど、隣の聖は不思議そうに首を傾げるばかり。
「ニア?」
「これも全部、あなたが鈍すぎるせいよ……!」
 どうしてくれようこの複雑な乙女心。

 とはいえ、今日はハロウィンスイーツパーティだ。
 心躍る日に心溶かす甘味の香りは二人を誘い、祭りの中心部へと自然と足を向ける。
 そこには巨大なスイーツの島があった。
 特大のテーブルの上には、隙間などないくらいにたくさんのハロウィンスイーツが並んでいる。時に不気味で時に愛らしく、様々な見た目でハロウィンを演出している。
「悪魔に吸血鬼に、パンプキンにカラス……ハロウィンだけあって、甘味も賑やかな形をしていますね。さて、どれから手を付けたものでしょうか」
 これだけあると、いざ何から食べようかと思うと迷うもの。洋菓子和菓子、軽食に飲み物。視線はあちらこちらを往ったり来たりで、聖はハーモニアに意見を求める。
「わたし、ちょっと変わったスイーツがたべてみたいわ。でも、カラスはダメよ? お菓子でも見たくないわ! 襲われてから、苦手意識がちっとも抜けないんだから……!」
 そんなハーモニアの意見は軽快だ。ハロウィンスイーツは、普段のスイーツとは違い変わった見た目の物が多い。食べるのならそういうものがいいのだが、トラウマになった鴉は別。げんなりした顔でハーモニアは身を震わせる。
「……心配しなくとも、カラスはまた追い払って差し上げますよ」
 いつぞやにあったあの時と同じように。
 ころころと表情が変わるハーモニアを見つめつつ、安心させるように聖は微笑んだ。

 悪魔のケーキで悪魔退治をし、お化け苺大福を楽しんで。そうして甘いものばかり食べていたら、そろそろ喉も渇いてくる頃だ。
 飲み物のコーナーに移動すれば、鮮やかな色合いのソーダ、そしてたっぷりのフルーツを漬け込んだサングリアがお出迎え。
「飲み物も不思議ね。ソーダフロートを貰おうかしら?」
 ハーモニアが魔女に頼むと、紫のティーソーダを手渡される。魔女がティーソーダにレモンの切り抜きを添えると、レモンが浸かった部分から徐々に朝焼けの色へと移り変わっていく。上に乗せたバニラアイスでは猫が笑っている。
 魔法みたいなソーダフロートを聖に見せれば、珍しそうにしながら何かをメモする。そうして己もと、くるり視線を巡らせて。
「息抜きも大切ですよね」
「……聖? ねぇ、あなたそれ……」
 そう言って聖が頼んだのは、赤ワインのサングリア。甘く爽やかな酒精である。上機嫌にそれを呷る聖だが、ハーモニアははらはらだ。
「此方はサングリアと言うそうです。普段ワインは嗜みませんが……少しばかりなら」
「……窘めませんの間違いじゃないのかしら?」
 だってこの青年、ハーモニアの記憶通りならアルコールにとても弱いはずだ。けれども聖は気に留めた様子もなく、果物の甘さが後引くサングリアをもう一口飲むものだから、ハーモニアは呆れるやら不安になるやら心がとても忙しい。
「直ぐには酔いませんよ。ですから、愛らしい顔で怒らなくても」
「え?」
「ニアの困り顔は見る機会が少ないので、新鮮ですね?」
 にこにこと微笑んで顔を近づける聖の頬は、ほんのりと染まっている。穏やかな雰囲気はふわふわになり、へにゃりと目元が緩んでいる気がする。
「……距離が近いし、絶対寄ってるわよね?」
 言わんこっちゃないと言いたげな顔でハーモニアは聖を眺めた。
 距離が近いのは何となく嬉しい。愛らしいと言われたことも聞き逃しはしなかった。
 とはいえ、である。
「さて、甘味も飲み物もまだ沢山ありますが、何か欲しい物はありますか?」、
(「撫でてって言ったら、撫でてくれそうな雰囲気だけど……素の時にして欲しいわね……」)
 上機嫌の聖は既に酔いの中。微睡みに揺蕩うような状態でのこういったことは、ハーモニアとしても本意ではない。
 ハーモニアは盛大に溜息をついて、聖の額をつんと突いた。
 この乙女心が伝わる日は、果たして遠いのやら近いのやら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
仮装:狼男(灰色の獣耳&尻尾)

見事な料理の数々におぉ…!と感嘆の声
今風の言葉で言うなら「映え」ってやつだろうか
アリスラビリンスでの戦争以来
菓子作りに手を出すようになった身としては
参考にしたい部分が沢山あるな
この悪魔のケーキもどうやって作ってるんだ…?
あとで職人に話を聞いてみたいものだ
綾、ケーキが溶けるところを動画に撮りたいから
もう一つ貰ってきてくれ
※焔と零も交えて皆で美味しく食べました

トリックオアトリート…ああ、お菓子よこせと
じゃあコレをやろう
常備しているクッキー(アイテム)を振る舞う
こいつはここの料理じゃなくて俺の手作りだ
いや似合わないとか言うな!
お前らにだけ特別だぞ
ニッと笑い


灰神楽・綾
【不死蝶】
仮装:狼男(黒の獣耳&尻尾)

わっ、見てみて梓
このケーキすごいよ
悪魔のケーキを持ってきて上からミルクをかけ
中から違うケーキが現れる様子を見せびらかす
華やかでユニークな見た目や仕掛けの料理が沢山あって
「勿体なくて食べられなーい」なんて
女の子みたいな台詞が浮かんでくる
まぁ遠慮なく食べちゃうけど(もぐ
梓ってば感想がすっかり料理人目線だなぁ
でも梓もこういうの作って
俺に食べさせてくれるなら大歓迎だけどね

気付けば子供の妖怪たちに囲まれ
梓って見た目は威圧感あるけど
子供と仲良くなるの上手だよねぇ
と微笑ましく眺めていたら
俺にもトリックオアトリートコールが…
いやぁお兄ちゃんは何も無くて…
あーー(悪戯される




 ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティ。
 その名の通り、ハロウィンにちなんだスイーツが山ほど集まるパーティだ。まさにスイーツアイランドというべき巨大なテーブルに、所狭しと並べられるハロウィンスイーツはまさに百鬼夜行!

「おぉ……!」
 驚きと趣向を凝らした見事な料理の数々に、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は思わず感嘆の声。吸血鬼の棺桶タルトは、棺桶型のタルト生地にチョコレートの蓋。中を開ければブルーベリームースの中に描かれる一匹の蝙蝠と、吸血鬼感満載で。魔女の指のビスコッティは、子供向けのマイルドな見た目のものから本物の指と見間違う程に作り込んだものまで何種類もある。今風の言葉で言えば「映え」というやつだ。
「勿体なくて食べられなーい……なんて、まぁ遠慮なく食べちゃうんだけども」
 梓の隣で女の子みたいな台詞でスイーツを皿に取るのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。華やかでユニークな見た目や仕掛けの料理は、どれも綾の目を楽しませてくれる。
 今宵二人は、灰と黒の狼男としてパーティーに参加していた。髪色に合った獣耳とふかふかの尻尾が機嫌よく揺れている。
 お化けのケーキに遠慮なしにフォークを入れて、流れ出たストロベリーソースを掬ってケーキと共に口に運ぶ。ソースのおかげで軽やかな口当たりに満足しつつ、綾はぺろりと指についたクリームを舐めた。
「アリスラビリンスでの戦争以来菓子作りに手を出すようになった身としては、参考にしたい部分が沢山あるな」
 スイーツを堪能する綾とは正反対に、梓は真剣にスイーツたちと睨めっこ。
「わっ、見てみて梓。このケーキすごいよ」
 そんな梓を、綾が向こうで見つけた悪魔のケーキを持って呼ぶ。。何が凄いんだと首を傾げる梓に、綾は見ていてと唇に指を当てる。
 ダークチョコレートの半球状の悪魔が、悪い顔で笑っている。その頭上から、綾は熱々のミルクを注いだ。すると悪魔が見る間に蕩けていき、中から苺が乗ったココアスポンジケーキが顔を出したではないか。
「ね、すごいでしょ。悪魔を退治して、苺ケーキ姫を救い出すんだってさ。味も……ん、美味しいよ」
 一部始終を見せびらかした綾は、ついでに苺ケーキに溶けて混ざり合うチョコレートとミルクを絡めてぱくり。
 ほんのり苦めのココアスポンジも、ミルクと混ざり合って華やかな甘さになったチョコレートを絡めれば程好い甘さになる。甘酸っぱい苺が全てを一つに纏めて味の中に君臨する様は、正しく苺姫。
 さて、梓の反応はと綾が見遣ると――。
「この悪魔のケーキもどうやって作ってるんだ……? あとで職人に話を聞いてみたいものだ。綾、ケーキが溶けるところを動画に撮りたいから、もう一つ貰って来てくれ」
「梓ってば感想がすっかり料理人目線だなぁ。でも梓もこういうの作って、俺に食べさせてくれるなら大歓迎だけどね」
 相も変わらず真剣な様子に、綾は肩を竦めて笑みを零す。とはいえ梓の菓子作りが上達するのは大歓迎だ。綾は言われた通りにもう一つ持ってきて、嬉々として撮影に協力する。
 尚、撮影に使われたケーキは、興味津々に眺める零と食べたそうにはしゃぐ焔も交えて皆で美味しく頂いたのだった。

 ひとつ食べればまたひとつ。視線の先には新しいスイーツや軽食があって、二人と二匹といっても全てを食べてみるのは難しそう。お腹の具合と相談しながら何を食べるか厳選していると――。
『狼さん狼さん、トリックオアトリート!!』
 梓の足元で元気な声がした。見れば本物の狼男の子供と雪女の子供が揃って梓を見上げている。
「トリックオアトリート……ああ、お菓子よこせと。じゃあコレをやろう」
 お菓子か悪戯かと問われれば、自分の作った菓子を人に食べてもらういい機会。梓はしゃがんで子供たちと目線と合わせると、袋に入った桜型のクッキーを差し出した。
「こいつはここの料理じゃなくて俺の手作りだ」
『わぁ、かわいい!』
『これお兄さんが作ったの? 似合わねー、見かけによらず可愛いの作るんだな』
「いや似合わないとか言うな! お前らにだけ特別だぞ」
 狼男の子の減らず口にびしと手刀を入れつつも、ニッと笑う。それにつられるように、狼男も雪女もへにゃりと笑い返した。
『えへへ、狼さんありがとう』
『大事に食うからなー!』
「梓って見た目は威圧感あるけど、子供と仲良くなるの上手だよねぇ」
 その様子を、綾は焔と零と共に微笑ましく眺めていた。
 長身と真っ黒なサングラスが少々威圧感があるかもしれないが、その実梓はとても面倒見がよく気さくだ。相手に気負わせない話し方は、誰しも好感を覚えるだろう。
 黒猫のガトーショコラを完食した綾が一息つくと、
『黒狼のおにーさんも、トリックオアトリート!』
「え、俺も? いやぁお兄ちゃんは何も無くて……」
 梓のように手持ちの菓子があるわけでもなければ、たった今ガトーショコラは完食したばかり。綾の手元に今菓子は無い。
 つまり。
『イタズラだ!!』
『やっちゃえー!!』
「あーー」
 子供たちに綾がもみくちゃにされる。暫く後、雪女の子の手によって衣装や尻尾に可愛いリボンをたくさんつけられた挙句、髪を結われた黒狼男はとっても可愛くなっていた。
 そんな姿の綾を、梓はしっかりバッチリスマホに収めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

仮装は海賊、というものにしてみたよ
どうかな似合うかな

はろうぃんは色んな衣装が着られて楽しいね

噫、サヨは今宵も可愛くて綺麗だよ
桜の天使かい?
私と並ぶと、海賊に攫われてきた姫のようだ
攫ってもいい、だなんて―神隠しされてしまうよ、サヨ

サヨの山盛りのお皿に瞬き笑う
聳えるように大きなそれは柘榴のパルフェ?
サヨは甘いものが本当に好きだね
幸せそうに頬張る姿も可愛らしい

どれも凝っていて食べるのが勿体ないくらいだけれど……私はパンケーキにするよ
南瓜に蝙蝠チョコレート、ベリーのソースがまるで血だ
サヨにもわけてあげる

可愛らしく唱えられたハロウィンの呪文に微笑んで
甘いトリートを親友へ

ふふ
そなたの笑顔が一番
甘いよ


誘名・櫻宵
🌸神櫻

きゃー!美味しそうなスイーツがたくさん!
ねぇどれから食べようかしら!
海賊に扮したカムイの腕を掴んで、るんるん気分がとまらない
私は桜の天使よ
どう?なかなか似合うでしょう?
海賊なカムイもカッコイイわ!うふふ…攫われてもいいくらい
親友に神隠しされるなら本望よ、なんてね

ケーキに和菓子に目移りしちゃうわ
気になるものをお皿にたくさん
悪魔のケーキにおばけ苺大福、パンプキンパイにモンブラン、蝙蝠チョコに…
そして巨大柘榴パルフェよ!

カムイはパンケーキね
好きだものね、パンケーキ

トリックオアトリート!カムイのも頂戴
甘くて美味しいわ!
なんて頬張れば

カムイが蕩けるみたいに笑うから
――反則よ
今宵、一番甘い笑顔だわ




 ハロウィンナイトは最高潮。
 骸骨と幽霊が踊り、悪魔の楽団が奏でて鬼火が謳う。
 会場の中心にあるハロウィンスイーツの島は、たくさん食べたってまだまだ無くならないのだ。
「きゃー! 美味しそうなスイーツがたくさん!」
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は巨大なアイランドテーブルに並べられたたくさんのハロウィンスイーツに、満開の笑み咲かす。首を右から左でぐるりと回し、そうしてようやく見渡せる程の大きなテーブル。所狭しと並べられた古今東西のスイーツは、どれもこれもハロウィン仕様。
「ねぇどれから食べようかしら!」
 傍らの朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)の腕を掴んだ櫻宵は、るんるん気分がとまらない。零れる笑みは満開の桜の如く艶やかで、楽し気で。そんな櫻宵に、カムイは淡い朱砂抱く櫻の瞳を柔く応える。
「噫、サヨは今宵も可愛くて綺麗だよ。桜の天使かい?」
「そうよ。どう? なかなか似合うでしょう?」
 服を掴んでくるりと回る。美しい容姿に嫋やかな仕草の桜宵は、まさに天使そのものだ。親友に確りと頷いたカムイは、自らの服にも視線を巡らせる。普段とは違う洋装は、カムイの心を弾ませてくれる。櫻宵もカムイも、普段とは違う色んな衣装が着られることは、とても楽しい。
「私は海賊、というものにしてみたよ。どうかな似合うかな」
「海賊なカムイもカッコイイわ!」
 友が褒めてくれるのも嬉しい。カクリヨファンタズムの妖し夜を共に歩めば、もう一つの友との約束も果たせているだろうか。
 ――ところで。
 カムイはふと思う。
「私と並ぶと、海賊に攫われてきた姫のようだが」
「うふふ……攫われてもいいくらい」
「攫ってもいい、だなんて――神隠しされてしまうよ、サヨ」
「親友に神隠しされるなら本望よ」
 なんてね。
 そう言って悪戯に笑う櫻宵には敵わぬと、カムイは目を細めた。

 さて、矢張りこのパーティーのメインはハロウィンスイーツと言えよう。
 吸血鬼の棺桶ブルーベリータルト。魔女の指のビスコッティ。ジャック・オ・ランタンの練り切り、他にもいくつもいくつのもスイーツが「私を食べて」と並んでいるのだ。
「ケーキに和菓子に目移りしちゃうわ」
 迷いつつも、その迷うことさえ櫻宵は楽しい。あれもこれも、気になるものを皿にたくさん乗せてご満悦。
「悪魔のケーキにおばけ苺大福。パンプキンパイにモンブラン、蝙蝠チョコに……そしてこれよ!」
 最後に櫻宵が手に取ったのは、今までのスイーツの中で一番大きくて存在感のあるものだ。ルビー色の実をふんだんに使い、無花果や苺を飾る赤い赤いそれは――。
「聳えるように大きなそれは柘榴のパルフェ? サヨは甘いものが本当に好きだね」
「ええ、そうよ!」
 カムイが驚いて目を丸くした。マスカルポーネチーズで層を作り、一番底には柘榴とカシスのジュレが煌いている。まるで赤の女王。それを櫻宵は、大変幸せそうに頬張った。
 
 櫻宵が頬を蕩けさせて甘味を堪能する間、カムイもまたスイーツのテーブルに視線を彷徨わせる。黒猫のガトーショコラが金の目で見つめて来たり、悪魔のケーキが悪戯に笑っていたり、ハロウィンならではの顔でいくつもの甘味がたべて欲しいと誘う。けれどカムイの指が選びとったのは、ひとつの皿。
「どれも凝っていて食べるのが勿体ないくらいだけれど……私はパンケーキにするよ」
「好きだものね、パンケーキ」
 くすりと櫻宵が微笑む。カムイの手の中にあるパンケーキも、今宵はハロウィン仕様。南瓜に蝙蝠チョコレート。煌くベリーソースはまるで血だ。ベリーソースを滴らせて一口食めば、まるで気分は吸血鬼。 
「トリックオアトリート! カムイのも頂戴」
 そんなところに、すっかり柘榴のパルフェを完食した櫻宵がにこにこと声をかけた。一つでなかなか腹を満たす量だったパルフェも、櫻宵には全く問題ない。
 おねだりをするように可愛らしく唱えられたハロウィンの呪文。カムイはふわと微笑んで、一口分のパンケーキにソースと蝙蝠のチョコを添えて差し出した。
「いいよ、サヨにもわけてあげる」
 差し出された甘いトリートを一口で食べれば、甘酸っぱいベリーソースがとろりと絡むパンケーキが、しっとりと口の中で溶けていく。ふわしゅわスフレパンケーキのような、不思議で美味しい魔法のパンケーキだ。
「甘くて美味しいわ!」
 櫻宵は思わず頬を抑えた。甘いものは幸せと喜びを連れてきてくれる。今まさに、それの証明をしているかのよう。
 嬉しそうに、幸せそうに笑う櫻宵があんまり可愛いものだから。
 
「ふふ」

 つい、カムイが笑った。
 蕩けるみたいに柔らかに、甘やかに笑ったものだから。
「――反則よ。今宵、一番甘い笑顔だわ」
 櫻宵の頬もほんのり染まってしまう。親友の零した淡い笑みは、パルフェよりもずっとずっと甘く、魅力的で。
 思わず零した口だけの抗議。
「そなたの笑顔が一番、甘いよ」
 けれどもカムイはまた、きみの笑みこそが至上の甘味と笑うのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

華折・黒羽
類さん/f13398

二尾揺らす和装の化け猫

足をぺたぺた走らせあなたについてゆく
甘味が無くなってしまったら
暫く気落ちしていたかもしれません…
守ってくれた猟兵の皆さんには、感謝ですね

並んだ甘味の数々に本物の尾を揺らせば
もう一尾もつられて揺れる
眸は一層輝いて待ちきれないとでも言うかの様に
類さんと卓状を行ったり来たり

あの、俺
いくつか取ってきます
類さんここで待っててください

言うが早いか食卓ぐるり
戻ってきた大皿には山となった甘味
勿論完食するつもりだ
仕掛けに驚いては美味しさに頬緩め

類さん、類さん
おばけ苺大福も美味しいですよ
とはんぶんこ

悪戯…
はい、あとで行ってみましょう
このひと時をあなたと目一杯に楽しむ為に


冴島・類
黒羽(f10471)と

季節の精霊をてーまに
秋の植物を飾りにした仮装

甘味が無くなるとこだったらしいよ…
ならなくてよかったね、黒羽
御馳走の数々を前に笑い、彼に

君の瞳の輝きは
雄弁で可愛らしいんだよなぁ
おや…ふふ
今夜は一本多い尾も、正直だ

準備も楽しいが
幕が開いた祭りの賑わいは格別で
どこから攻める?食べ盛りくん

ぐるり見てたら決められなくて困るな
えっ
一緒に取りに行くよ…って、早い
じゃあ、共に攻略させてもらおうかな?

悪魔のけえきの仕掛けには瞬き
見て、中から何か出てくるみたいだよ!
半分こもありがたく

味だけでない、茶目っ気たっぷり
こう言う吃驚なら
仕掛けられても良いなぁ

後で、悪戯されに行くかい?
驚きと楽しいを共に




 ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーの会場は、まさに百鬼夜行と呼ぶに相応しい。
 狼男と雪女が駆けてゆき、一反木綿が給仕をしている。鬼火とジャック・オ・ランタンに照らされた会場は青く赤く、世界と甘味と妖怪たちを照らしている。
 今宵その百鬼夜行の中に、秋の精霊と二尾揺らす化け猫の姿があった。
「甘味が無くなるところだったらしいよ……ならなくてよかったね、黒羽」
 半歩だけ先を行く冴島・類(公孫樹・f13398)は、秋の植物飾りを揺らして振り返る。ぺたぺたと足を鳴らしてついてくる化け猫――華折・黒羽(掬折・f10471)はそんな危機に真面目に、そして複雑な顔をしていた。
「甘味が無くなってしまったら、暫く気落ちしていたかもしれません……守ってくれた猟兵の皆さんには、感謝ですね」
 とはいえ、甘味が世界から消えるという危機は無事に退治されている。心配も気落ちも必要なく、今はただ甘やかなる妖し夜を存分に楽しもう!

 パーティーの中心は、なんといっても巨大なテーブルに所狭しと並ぶハロウィンスイーツの数々。
 見た目も不気味であったり可愛らしかったり、仕掛けがありそうだったり。そして何より食欲を刺激する甘い香りと美味しそうな見た目。並んだ甘味の数々に眸は一層輝いて、心はもう待ちきれないでいる。
(「君の瞳の輝きは雄弁で可愛らしいんだよなぁ」)
 ――なんて。
 黒羽の眸は言葉よりも雄弁で、彼が何も言わずとも全て眸の物語ってくれる。その純粋さと真っすぐさに思わず類が微笑んだ時。類の視界に揺れるものが、二本。
「おや……ふふ。今夜は一本多い尾も、正直だ」
 まるで甘味の海のように居並ぶ数々の品に黒羽の本物の尾が揺れて、追従するようにもう一本もゆぅらりゆらり。正直な尾の微笑ましさに、類はほろり笑みが零れた。
 
 類と黒羽は、スイーツの島を往ったり来たり。見た目もハロウィン仕様なそれらを眺め、何から食べるか一思案。その間も妖怪たちは謳い騒ぎ、甘味をひょいひょいと皿に取り分けては口にして笑っている。
 準備も楽しいものだが、矢張り幕が開いた祭りの賑わいは格別だと類は思う。どこの世界だって同じだ。はじまる前からわくわくが止まらなくて、幕が開けばそれが最高潮に達して満開の笑みが咲く。そうして終わった後も、既に来年の祭りに思いを馳せるのだ。
 けれどその前に、まずは今宵のメインデッシュ!
 ぐるりと巡って見ていると、あれもこれも気になってなかなか決められなくて困ってしまう。ここは今宵の相棒の意見も聞いてみよう。
「どこから攻める? 食べ盛りくん」
「あの、俺。いくつか取ってきます」
「えっ」
「類さんここで待っててください」
 予想外だった。類が隣を見れば黒羽は好奇心に溢れた真剣な顔で大皿を持ち、既に獲物に飛び掛かる猫の状態。
 言い切るが早いか、類は獲物――スイーツの島へトングを持って飛び込んだ。
 類が止める間もなく、黒羽は気になったスイーツをひょいひょいと皿に載せて行く。俊足の黒羽は人混みも難なくすり抜けて、目当てのスイーツへと次々向かっていって。
「待って待って。一緒に取りに行くよ……って早い。じゃあ、共に攻略させてもらおうかな?」
これぞ電光石火。完全に出遅れたものの、類の顔には笑みばかり。微笑ましき友に笑み深め、秋飾り揺らして類も駆け寄った。

 二人がテーブルについた頃には、二人の皿はいっぱいになっていた。特に黒羽の皿はまさにスイーツの山である。とはいえ心配ご無用。二人ともお残しなど持ってのほか、全部完食する気概は充分だ。
 類が悪魔のケーキを手にする。悪食の悪魔に熱々のミルクをかけたなら、悪魔がとろりと蕩けて囚われていた苺ケーキ姫がにこりと顔を出す。
「見て、中から何か出てくるみたいだよ!」
「わあ」
 苺ケーキ姫の救出を二人で見届けては、驚きに目を丸くする。しっとりしたココアスポンジに蕩けたチョコレートを絡めて食べれば、口の中でしゅわりとほどける感覚にまた驚いて。
「類さん、類さん。おばけ苺大福も美味しいですよ」
 苺と餡を包む求肥に描かれた、可愛らしいお化けの顔。半分こしましょうと類に差し出せば、ありがたく受け取って。せーので食べれば頬も緩む柔らかさ。
 ハロウィンスイーツは味だけではなくて、茶目っ気がたっぷりだ。甘味までハロウィンの仮装をしたかのように着飾って、しかも驚きまで秘めている。
「こう言う吃驚なら仕掛けられても良いなぁ」
 南瓜のイタリアンプリンを頬張りつつ、類は上機嫌。食べた皆が笑顔になるようなハロウィンスイーツの悪戯。こんな悪戯なら何度だって歓迎だと、黒羽は両手にスイーツを持って頷いた。

 スイーツの山をすっきり片付けて、飲み物で一休憩。だけどもハロウィンナイトはまだまだ終わりそうにない。甘味を楽しむのもいいけれど、ハロウィンの呪文を唱えながら駆け回る子供たちが楽しそうで。
「後で、悪戯されに行くかい?」
「悪戯……はい、あとで行ってみましょう」
 このひと時を目一杯に楽しむ為に、今日楽しめることを全部楽しもう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フルラ・フィル
🍯横丁

扮するのは赤ずきん
手に持つのは林檎の入った籠に猟銃さ
似合うかい?それはよかった
焔璃に彩灯の仮装もとてもよく似合っているよ

ハロウィン……人間共が騒いでいるのは知っていたが、私も初めてかな
どんなものなのか楽しんでみるのも悪くない
焔璃と共にハッピーハロウィンと唱えてみよう

私は勿論ケーキを頂こう
パティシエだからね
南瓜のケーキにモンブラン
血の滴るようなケーキも可愛いね
どれも凝った装飾で楽しい
目玉のゼリーを食べたなら
ふふり二人に笑み向ける
どんどん食べるといい
華麗な悲鳴がきこえるようだよ

彩灯には血のように赤いジュースを注ごう
焔璃はラテアートかい?
細かな細工が見事だね


こういう事を
楽しいというのだね


波紫・焔璃
【横丁】
わ、わ!赤ずきんのフルラ可愛い!
彩灯も帽子屋さんかっこいいよ!
二人の仮装に目を輝かせ、ぴょこぴょこ
あたしはねー…海賊だよー!

ハッピーハロウィーン!て、言うんでしょ?
あたしハロウィンパーティー初めてなんだ♪
いろーんなスイーツもあるんだって!楽しみ!!
会場の飾り付けもハロウィン仕様のスイーツにもウキウキ

は!このおばけ、いちご大福で…きらきらの目は琥珀糖だ!
え?悪魔のケーキ?ミルクかけるの?…わあ!?中から出てきたよ!
フルラと彩灯はどんなスイーツ持ってきたの?
いいの?食べるー!

らて、あーと?
わぁあ、泡で絵が描けるのすごい!!

いひひ、初めてのハロウィン
二人と一緒でとっても楽しいよ


壱織・彩灯
【横丁】

おや、愛らしい
真っ赤な頭巾を被るきみ
腹空かせた狼に喰われぬように
、って心配は無用か?銃を眺めからりと笑う
焔璃は女海賊か、颯爽と宝を見つけそうで格好良いな

俺も初めての祭り楽しみだ
帽子を目深に角隠し、童話の帽子屋なる仮装を
二人に倣い祝いの言葉を高らかに、はっぴーはろうぃん

色彩豊かに闇も孕む甘味達にうきうき鼻歌零し
目玉をフルラが食す姿は何とも言えん気持ち…ふふ、アレンジされて其方のけーき屋に並んでいそうだ
黒猫ちょこけーきをじっと見つめて、フルラのとこのシィに似ておるし、可愛いし、俺これにする
焔璃もひとくち喰うか?

貰った真っ赤なジュースを流し込んで舌舐めずりの茶目っ気を
猟奇的な帽子屋は如何だ?




ハロウィンの夜を満月が照らす。
お月様に見守られ、ハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーは大盛況だ。今宵はヒトも妖怪も、動物も精霊も生き物も死者も皆一緒に楽しむ日!

友達三人連れ立って、今宵はハロウィンの夜を楽しむ為の待ち合わせ。一足先に辿り着いていたフルラ・フィル(ミエルの柩・f28264)は、赤ずきんの仮装だ。
「おや、愛らしい」
「わ、わ! 赤ずきんのフルラ可愛い!」
 会場の前で友を待つフルラに声をかけたのは、待ち人たる壱織・彩灯(無燭メランコリィ・f28003)と波紫・焔璃(彩を羨む迷霧・f28226)。ばっちり仮装を決めてきた二人は、開口一番に愛らしい赤ずきん姿を讃する。
「似合うかい? それはよかった」
「真っ赤な頭巾を被るきみ。腹を空かせた狼に喰われぬように……、って心配は無用か?」
 彩灯がからりと笑えば、フルラも目を細めて笑った。腹を空かせた狼ならば、この赤ずきんは退治して見せるだろう。何故ならばフルラが手荷物のは林檎の入った籠と猟銃だ。
「焔璃は?」
「あたしはねー……海賊だよー!」
 彩灯やフルラの仮装に目を輝かせていた焔璃は、くるりと一回転。ワイルドな力強さを感じる海賊衣装は、元気な焔璃によく似合う。
「女海賊か、颯爽と宝を見つけそうで格好良いな」
「焔璃に彩灯の仮装もとてもよく似合っているよ」
 なんて、彩灯とフルラに褒められれば、嬉しさにぴょこぴょこ飛び跳ねる。そうして先程から妖しく美しい魅力を振りまく彩灯に二人は目を向けた。目深に被った帽子と、めかし込んだスーツにはふんだんに飾りが散りばめられている。童話に登場する帽子屋だ。
「彩灯も帽子屋さんかっこいいよ!」
「ありがとう」
 互いの仮装への賛美を送ったら、早速向かうのはハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティーのメイン会場!
 
「ハッピーハロウィーン!て、言うんでしょ? あたしハロウィンパーティー初めてなんだ♪」
「ハロウィン……人間共が騒いでいるのは知っていたが、私も初めてかな」
「俺も初めての祭り楽しみだ」
 カクリヨファンタズムにもハロウィンという行事があったとはいえ、皆々に馴染みがあるかと言われれば否という人も居るだろう。
 偶然か、焔璃もフルラも彩灯もハロウィンに参加するのは初めて同士。聞き及ぶことはあっても体験するのは初めてとあって、三人の心は弾んでいた。
 会場の飾りつけも、ハロウィン仕様のスイーツにもうドキドキが止まらないのだ。
「いろーんなスイーツもあるんだって! 楽しみ!!」
「うん、どんなものなのか楽しんでみるのも悪くない。それでは一先ず、唱えてみようか?」
「ああ、それじゃあ一緒に」
「「「ハッピーハロウィーン!」」」

 色彩豊かに闇も孕む甘味たち。皿を持ちながら何を食べようか迷う間もうきうきと弾み、彩灯からは鼻歌が零れている。
「は! このおばけ、いちご大福で……きらきらの目は琥珀糖だ!」
 その隣では、焔璃がお化け苺大福に大興奮。きらきら琥珀糖の眸は、焔璃の赤を映しとってきらりと揺れる。
 かと思えば、その向こうには悪魔が笑うチョコレート。いやいや、それはただのチョコレートではない。
「え? 悪魔のケーキ? ミルクかけるの?」
 不思議そうに焔璃が悪魔めがけて熱々のミルクを零せば、悪魔はどんどん退治されていく。
「……わあ!? 中から出てきたよ!」
そうして全て溶けてしまった頃、顔を出すのは囚われていた苺ケーキ。ここのスイーツは一味違う。だって今日はハロウィン! スイーツだってめかし込んで、仮装をして楽しませる日。だからこそ、二人がどんなスイーツを選んだのか気になって、焔璃は二人の皿を覗き込む。
「フルラと彩灯はどんなスイーツを持ってきたの?」
「私は勿論ケーキを頂こう。パティシエだからね」
 そう言って花森のパティシエールたるフルラは、自らの選んだケーキをにっこりと笑って二人に見せる。
 南瓜のケーキにモンブラン。血の滴るようなケーキも可愛いらしい。どれもハロウィンらしく凝った装飾で楽しいが、一際焔璃と彩灯の目線を奪うのは――目玉のゼリー。
 ハロウィンらしく大変不気味なそれを、フルラは二人の前で何の遠慮もなく掬って食べる。
 それがゼリーだとはわかっている。わかっているが、目玉をフルラが食す姿は何とも言えない気持ちになった。勿論それすら織り込み済みのフルラは、ふふりと含んだ笑みを二人に向ける。
「どんどん食べるといい。華麗な悲鳴が聞こえるようだよ」
「……ふふ、アレンジされて其方のけーき屋に並んでいそうだ」
 そんなフルラの様子に彩灯は軽く苦笑いを零す。見た目はともかくとして、これがどのようにアレンジされてフルラの店に並ぶのかと思えば、楽しみもまた一つ増えるというもの。
「彩灯は?」
 ひょい、と焔璃が彩灯の皿を覗き込む。彼の皿は未だ空だ。どうにも決めあぐねているよう。
 三人でスイーツのテーブルを行き交えば、やがてひとつのスイーツの前で彩灯が足を止めた。フルラと焔璃もまた彼の視線の先を追う。
 そこにあったのは、黒猫のガトーショコラ。猫型のガトーショコラに、金彩で描かれた目と顔が、どれもそれぞれちょっと違う顔で三人を見返しているではないか。
 その中の一つを指差し、彩灯は微笑む。
「あれはフルラのところのシィに似ておるし、可愛いし、俺これにする。焔璃もひとくち食うか?」
「いいの? 食べるー!」
 食べるのが少々勿体ない気もしたけれど、分け合って食べるのもまた今宵の楽しみの一つ。華やかなブランデーが香るガトーショコラは、甘やかであってもほんのり広がるビターな味わい。まるで一筋縄ではいかないお澄まし猫のよう。
 スイーツに感じられたモチーフやちょっとした仕掛けが、ハロウィンの夜を盛り上げていく。

 たくさんスイーツを食べた後は、そろそろ喉が渇く頃。
 フルラに貰った真っ赤なジュースを流し込んで、彩灯はぺろりと舌なめずり。帽子屋の仮装がそんな茶目っ気をマッドハッターに仕立て上げてくれていえて、如何にもハロウィンの怪物のようだ。
「猟奇的な帽子屋はどうだ?」
「悪くないね。まるで生き血を啜る吸血鬼だ。……焔璃はラテアートかい? 細かな細工が見事だね」
「らて、あーと?」
 行列が出来ているコーナーは何だろうと不思議に覗き込んでいた焔璃に、フルラが声をかける。けれどもラテアートに馴染みがなかった焔璃には、ラテアートがどんなものやら想像も出来ない。
「かいつまんでいえば、珈琲や紅茶などの表面に細かく泡立てたミルクを注いで、それに模様や絵を描く技術だね。平面のものもあれば立体のものもあるよ。……ほら、あんな風に」
 見て貰った方が早いと、丁度ラテアートを描いている職人妖怪を指差した。妖怪は慣れた手つきで泡を注ぎ、素早く正確にリーフを飲み物に描き出している。
「わぁあ、泡で絵が描けるのすごい!!」
 それを見てすっかり興奮した焔璃が、列に並びに駆けていく。やがて戻ってきた焔璃のカップには、可愛らしくデフォルメされた柴犬が描かれていた。

 着たことのない衣装を着て、食べたことのないハロウィンスイーツをめいっぱい楽しんで。三人の顔に咲くのは笑みばかり。
「いひひ、初めてのハロウィン。二人と一緒でとっても楽しいよ」
「こういう事を楽しいというのだね」
 焔璃が幸せそうにへにゃりと笑い、フルラもまたしっかりと頷く。
 今宵はハロウィンスイーツ百鬼夜行パーティー。
 まだまだ食べて、まだまだ騒ごう。朝が来るまでハロウィン百鬼夜行は終わらない。
 だから皆、声を揃えてもう一度高らかに、ハロウィンの呪文を唱えよう。
 
「それじゃあみんなで! せーのっ」

 ハッピーハロウィーン!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月01日


挿絵イラスト