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恐怖の人間工場(作者 雷紋寺音弥
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●豚女の工房
 暗雲立ちこめる夜の街。荒廃した世界において、なおも賑わうその場所は、しかし暴虐と狂気に支配された悪徳の都。
 ヴォーテックス・シティ。人々は、いつしかその都を、畏怖の念を込めてそう呼んだ。数多の都市群、工場、瓦礫、そして重機などが集まって出来たその都市は、レイダー達にとっての理想郷。
 そんな都市の一角に、その工場は存在した。昼夜を問わず、各地から運び込まれて来る数多の奴隷。彼らは工場を動かす労働力として……そして何よりも、工場の生産を支える『家畜』として、もはや人間扱いなどされていなかった。
「ブッフッフ……35番から42番は、そろそろ頃合いだねぇ。こいつらを、商品として加工しなさい!」
 二足歩行する巨大な雌豚が、鎖に繋がれた人間達に舐め回すような視線を向けて言った。彼女が指示すれば、彼女の子どもと思しき子豚達が現れて、嫌がる人間達を何かの機械に放り込んで行く。機械の中から凄まじい悲鳴と、何かを潰すような音がしたかと思うと、その数分後にはベルトコンベアーに乗せられて、たくさんの缶詰が流れて来た。
「ねぇ、ママ。あっちの人間の雌も、そろそろ限界みたいだよ」
 そんな中、子豚の内の一匹が、壁に繋がれている人間の女を指差して言った。その途端、今まで死んだ魚のような目をして機械に色々と搾取され続けていた女が、途端に目を見開いて叫び始めた。
「ま、待って下さい! 私、まだ頑張れます! 子どもだって、もう10人くらいは……」
「ブフゥ……往生際が悪いねぇ。65番、あんたはもう生産限界だよ。諦めて、最後の『お勤め』を果たすんだね」
 泣き叫ぶ女の叫びをまるで意に介さず、雌豚は大きな溜息を吐きながら、その女を奇妙な機械の中に放り込んだ。女の懇願も虚しく、機械は無情に動き続け、やがて中から女の泣き叫ぶ声が聞こえて来た。
「ひぃっ! い、いや……来ないで! 誰か助け……ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
 およそ、人間のものとは思えないような絶叫が周囲に響き、何かの潰れるような音がする。そして……女の悲鳴が止んでから数分後、ベルトコンベアーの上には、新たな缶詰が並んでいた。

●禁断の缶詰
「ねぇ……この缶詰を見て、あなた達は何を考える?」
 グリモアベースにて、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)が猟兵達の前で1個の缶詰を取り出した。ラベルは貼られていないが、缶を開けると美味しそうな匂いが辺りに溢れ、思わず食欲を刺激される。
「アポカリプスヘルで、ヴォーテックス・シティっていう場所が見つかったのは知ってる? 『ヴォーテックス一族』っていう連中が支配する、悪と狂気に覆われた超巨大都市よ」
 当然、そんな場所だからして、住んでいる連中にもまともなやつはいない。この都市では人の命など米粒よりも軽く、それらは全てレイダー達による残虐な享楽のために消費されているのだとか。
「で、そのヴォーテックス・シティには、人間を家畜にして、缶詰に加工している工場があるって話よ。その工場を、パ~ッと潰しちゃって欲しいってわけ」
 平然とした顔で告げるパトリシアだったが、その場にいた何人かの顔色が明らかに悪くなった。
 おい、もしかして、さっきの缶詰は……。そう、誰かが言おうとしたのを先読みし、パトリシアは笑いながら缶詰の中身を食べてみせた。
「あ、ちなみにこれは、わたしがキマフューの壁を叩いたら出て来たサバ缶だから。人間の肉なんて、いくら悪食でも食べるわけないっしょ!」
 なんというか、壮絶に紛らわしいドッキリである。サバ缶の中身を食べ終わったところで、パトリシアは軽く咳払いし、改めて今回の依頼についての詳細を述べた。
「この工場を支配しているのは、巨大な雌豚のオブリビオンよ。なんか、養豚場から逃げ出した豚がオブリビオンになって、今じゃ4トンの巨体まで成長したやつみたいね」
 ちなみにこの豚、子持ちである。子豚達も全てオブリビオンであり、彼女の配下として工場の運営を手伝っている。
「工場の中には、世界中の色々なところから連れて来られた人達が、奴隷……この場合は、家畜って言った方がいいのかしら? とにかく、酷い目に遭わされているわ。身体を改造されて闘技場に売られたり、乳牛扱いされたりしている人もいるみたい」
 しかし、そんな彼らも用済みとなれば、全て機械によって缶詰に加工されてしまう。中には工場で産まれた子どもまでいるようだが、そんな彼らも大人になった先に待っている未来は同様の絶望だけだ。
「と、いうわけで、あなた達にはこの工場に忍び込んで、捕まっている人達を解放してもらいたいってわけ。その後は、工場の外に停まってる車を奪って、皆で逃げれば完璧って感じ? 車は自動操縦もOKなやつだから、運転スキルの低い人や……それこそ、動物だって動かすくらいならできるわよ」
 ただし、当然のことながら敵もこちらを追い掛けて来る。どうやら、工場を支配する雌豚は『かしこくないどうぶつたち』を番兵代わりに飼育しており、それらを載せた車が追い掛けて来ることは想像に難くない。
 その動物達をも全て退ければ、痺れを切らした雌豚自身が勝負を挑んで来るだろう。彼女は専用のモンスターマシンに搭乗して現れるので、マシンの攻撃を掻い潜りつつ、雌豚を成敗すれば任務は終了だ。
「自分が家畜だった頃にされた仕打ちへの復讐っていうのが、この雌豚の建前らしいけど……実際、虐待に近いことしかしてないんだし、捕まった人達の扱いは家畜以下よね」
 こんな悪趣味な工場、この世に存在してはならない。なんとしても、捕まっている人達を助け出して欲しいと言って、パトリシアは猟兵達を悪逆の都市へと転送した。





第2章 集団戦 『かしこくないどうぶつたち』

POW ●わーいたーのしー
【かしこくなくなるおーら】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD ●むずかしいことはよくわからないよ
【すごくかしこくないどうぶつ】に覚醒して【かしこそうなこうげきがきかないどうぶつ】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●みんなでいっしょにあそぼうよ
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【かしこくないどうぶつたち】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴走カーチェイス
 奴隷達を解放し、工場から脱出した猟兵達。幸い、工場の外には車が多数停められており、それを奪って逃げるのは容易だった。
 だが、当然のことながら、敵も簡単には逃がしてくれないようだ。奴隷に逃げられたことに激怒した工場長、養豚場の4トン嬢は、追手を放って来たのである。
「ブッキィィィッ!! お前達、逃げた奴隷をさっさと捕まえておいで! 抵抗するやつは、痛い目に遭わせても構わないよ!」
「は~いわかりました~」
 彼女が放ったのは、人語を解するだけで碌な知性を持っていない動物達。だが、餌として工場で作った缶詰の中身を与えるだけで従ってくれるため、使い捨ての手駒としては便利な連中だった。
「よ~しいくぞ~」
「しゅっぱつしんこー」
 動物達は、やはり外に停められていたトラックの荷台に乗り込むと、奴隷や猟兵達を捕まえるべく追跡を開始する。もっとも、運転するのも頭の悪い動物なので、いくら自動操縦が可能なトラックとはいえ、制御に不安が残るのだが。
 果たして、そんな予感は正しく、動物達を乗せた改造トラックは道の障害物などなんのその。殆ど何も考えていない暴走運転で、周囲の物を弾き飛ばしながら迫り来る!
 折角、ここまで逃げ延びたのに、こんな場所で捕まってなるものか! 周囲の迷惑を顧みないカーチェイスを乗り切り、こちらの車に飛び乗って来ようとする『かしこくないどうぶつたち』を振り切るのだ!