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恐怖の人間工場

#アポカリプスヘル #ヴォーテックス・シティ

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#ヴォーテックス・シティ


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●豚女の工房
 暗雲立ちこめる夜の街。荒廃した世界において、なおも賑わうその場所は、しかし暴虐と狂気に支配された悪徳の都。
 ヴォーテックス・シティ。人々は、いつしかその都を、畏怖の念を込めてそう呼んだ。数多の都市群、工場、瓦礫、そして重機などが集まって出来たその都市は、レイダー達にとっての理想郷。
 そんな都市の一角に、その工場は存在した。昼夜を問わず、各地から運び込まれて来る数多の奴隷。彼らは工場を動かす労働力として……そして何よりも、工場の生産を支える『家畜』として、もはや人間扱いなどされていなかった。
「ブッフッフ……35番から42番は、そろそろ頃合いだねぇ。こいつらを、商品として加工しなさい!」
 二足歩行する巨大な雌豚が、鎖に繋がれた人間達に舐め回すような視線を向けて言った。彼女が指示すれば、彼女の子どもと思しき子豚達が現れて、嫌がる人間達を何かの機械に放り込んで行く。機械の中から凄まじい悲鳴と、何かを潰すような音がしたかと思うと、その数分後にはベルトコンベアーに乗せられて、たくさんの缶詰が流れて来た。
「ねぇ、ママ。あっちの人間の雌も、そろそろ限界みたいだよ」
 そんな中、子豚の内の一匹が、壁に繋がれている人間の女を指差して言った。その途端、今まで死んだ魚のような目をして機械に色々と搾取され続けていた女が、途端に目を見開いて叫び始めた。
「ま、待って下さい! 私、まだ頑張れます! 子どもだって、もう10人くらいは……」
「ブフゥ……往生際が悪いねぇ。65番、あんたはもう生産限界だよ。諦めて、最後の『お勤め』を果たすんだね」
 泣き叫ぶ女の叫びをまるで意に介さず、雌豚は大きな溜息を吐きながら、その女を奇妙な機械の中に放り込んだ。女の懇願も虚しく、機械は無情に動き続け、やがて中から女の泣き叫ぶ声が聞こえて来た。
「ひぃっ! い、いや……来ないで! 誰か助け……ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
 およそ、人間のものとは思えないような絶叫が周囲に響き、何かの潰れるような音がする。そして……女の悲鳴が止んでから数分後、ベルトコンベアーの上には、新たな缶詰が並んでいた。

●禁断の缶詰
「ねぇ……この缶詰を見て、あなた達は何を考える?」
 グリモアベースにて、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)が猟兵達の前で1個の缶詰を取り出した。ラベルは貼られていないが、缶を開けると美味しそうな匂いが辺りに溢れ、思わず食欲を刺激される。
「アポカリプスヘルで、ヴォーテックス・シティっていう場所が見つかったのは知ってる? 『ヴォーテックス一族』っていう連中が支配する、悪と狂気に覆われた超巨大都市よ」
 当然、そんな場所だからして、住んでいる連中にもまともなやつはいない。この都市では人の命など米粒よりも軽く、それらは全てレイダー達による残虐な享楽のために消費されているのだとか。
「で、そのヴォーテックス・シティには、人間を家畜にして、缶詰に加工している工場があるって話よ。その工場を、パ~ッと潰しちゃって欲しいってわけ」
 平然とした顔で告げるパトリシアだったが、その場にいた何人かの顔色が明らかに悪くなった。
 おい、もしかして、さっきの缶詰は……。そう、誰かが言おうとしたのを先読みし、パトリシアは笑いながら缶詰の中身を食べてみせた。
「あ、ちなみにこれは、わたしがキマフューの壁を叩いたら出て来たサバ缶だから。人間の肉なんて、いくら悪食でも食べるわけないっしょ!」
 なんというか、壮絶に紛らわしいドッキリである。サバ缶の中身を食べ終わったところで、パトリシアは軽く咳払いし、改めて今回の依頼についての詳細を述べた。
「この工場を支配しているのは、巨大な雌豚のオブリビオンよ。なんか、養豚場から逃げ出した豚がオブリビオンになって、今じゃ4トンの巨体まで成長したやつみたいね」
 ちなみにこの豚、子持ちである。子豚達も全てオブリビオンであり、彼女の配下として工場の運営を手伝っている。
「工場の中には、世界中の色々なところから連れて来られた人達が、奴隷……この場合は、家畜って言った方がいいのかしら? とにかく、酷い目に遭わされているわ。身体を改造されて闘技場に売られたり、乳牛扱いされたりしている人もいるみたい」
 しかし、そんな彼らも用済みとなれば、全て機械によって缶詰に加工されてしまう。中には工場で産まれた子どもまでいるようだが、そんな彼らも大人になった先に待っている未来は同様の絶望だけだ。
「と、いうわけで、あなた達にはこの工場に忍び込んで、捕まっている人達を解放してもらいたいってわけ。その後は、工場の外に停まってる車を奪って、皆で逃げれば完璧って感じ? 車は自動操縦もOKなやつだから、運転スキルの低い人や……それこそ、動物だって動かすくらいならできるわよ」
 ただし、当然のことながら敵もこちらを追い掛けて来る。どうやら、工場を支配する雌豚は『かしこくないどうぶつたち』を番兵代わりに飼育しており、それらを載せた車が追い掛けて来ることは想像に難くない。
 その動物達をも全て退ければ、痺れを切らした雌豚自身が勝負を挑んで来るだろう。彼女は専用のモンスターマシンに搭乗して現れるので、マシンの攻撃を掻い潜りつつ、雌豚を成敗すれば任務は終了だ。
「自分が家畜だった頃にされた仕打ちへの復讐っていうのが、この雌豚の建前らしいけど……実際、虐待に近いことしかしてないんだし、捕まった人達の扱いは家畜以下よね」
 こんな悪趣味な工場、この世に存在してはならない。なんとしても、捕まっている人達を助け出して欲しいと言って、パトリシアは猟兵達を悪逆の都市へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 なんだかB級ホラーアクション映画にありそうな工場にて、雌豚の化け物が人々を苦しめているようです。
 悪趣味な工場に捕われた人々を解放し、彼らを絶望から救いましょう。

●第一章
 工場に潜入し、捕まっている人々を解放してください。
 人々は家畜として、何らかの改造手術や薬物処理が行われている場合も多いですが、拘束さえ解ければ逃げ出す力は残っています。
 見張りの子豚もオブリビオンですが、母豚に比べれば圧倒的に弱いので、数で蹂躙されない限りは簡単に制圧できます。
 暴力に訴えないで人々を逃がしたり、敢えて奴隷に扮して潜入する事も可能です。

●第二章
 『かしこくないどうぶつたち』との集団戦になります。
 解放した奴隷達と共に、外に泊めてある車を奪って逃げだします。
 大量の『かしこくないどうぶつたち』を詰んだトラックが追い掛けて来ますので、カーチェイスを繰り広げながら戦いつつ、都市の出口を目指しましょう。
 車は自動操縦でも動かすことが可能ですが、敵の機動力に対抗するプレイングがあれば、プレイングボーナスを得られます。

●第三章
 『養豚場の4トン嬢』とのボス戦です。
 全ての手駒を失った雌豚が、巨大なモンスターマシンに乗って襲い掛かって来ます。
 モンスターマシンに上手く対抗したり、建物の崩壊から人々を守ったりすると、プレイングボーナスが得られます。
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第1章 冒険 『セーブ・ザ・スレイブ』

POW   :    レイダーを腕力で成敗する

SPD   :    逃走経路を探し、秘密裏に奴隷を逃がす

WIZ   :    自身もあえて奴隷となり、現地に潜入する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

楠・結夜
囚われてる人がいる……わたしと同じような目にあっているの?
そうなら助けないと。
わたしにできること、すこしでもできることしないと。
奴隷みたいなことならされてきたし、そんなに違和感なく潜り込めるよね。

え……わたしみたいなのでも、穴にはなるだろうって……そんな……。

で、でもここは耐えないと。みんなを助けないと、だよね。
子豚たちの欲望の『処理道具』として、
物のように扱われてぐっちゃぐちゃになるまで犯されるけど、そんなのは慣れてる。
人間と形の違うモノにはちょっととまどうけど、そこもすぐに慣れるかな。

隙をついて【リアライズ・バロック】を発動して子豚たちを倒したら、
まわりにいるみんなといっしょに脱出しよう。


フィリス・クライア
他に潜入できる手段もなし……か。
仕方ない、私は奴隷に扮して現地に潜入してみるわ。

家畜に家畜扱いされてるのって、ぞっとしないわね。
だからといって騒ぎを起こして、警戒されては厄介ね……。

今は大人しく豚の言いなりになるわ。
どんなに悔しくても恥ずかしくても、勝負時はここじゃない!と堪えないと。

あと必要な事といえば……うん、他の人達を励ます事ね。
自暴自棄になったり、下手に逃げたり反抗するのはダメ。もっと酷い目に遭わされるもの。
もしどうしてもやりたくない事があるなら、私が身代わりになるから。

そうして時間を稼いでいる内に、必ず助けが来るわ。
だから一緒に頑張ろう?


メアリー・ベスレム
ふぅん、そう
食べられそうになった復讐なのね
えぇ、その気持ちはよくわかるわ
だって、アリスもそうだったもの

敢えて奴隷を装って潜入を
【激痛耐性】【恥ずかしさ耐性】で
手ひどく扱われるのにも慣れたもの
とはいえあまり平然としているのも変でしょうから
程よく怯えた【演技】をしてみせる

新しい奴隷として他の奴隷のところへと案内させて
適当に子豚達を蹴散らし、奴隷たちを開放してあげる
メアリはそのまま囮になって、逃げる時間を稼ぐから
子供を産むのに最適な、若くて安産型のお尻で【誘惑】し
また敢えて捕まってみせて、連れていかれるのを繰り返す

手ひどい扱いを受ければ受ける程
成功率は上がっていくんだから
さぁ、何人助けられるかしら?


リュドミーラ・シェスタコフ
この街はどこも、このような悪辣に満ちた場所なのでしょうか…。

一人でも多く、捕まっている人を助け出さなければいけませんね。
多勢との戦闘は苦手ですし大立ち回りは出来ないので、
見張りとの戦闘を避けるため、奴隷に扮して紛れ込むとしましょう。
他の方が動き出すまで奴隷として耐え忍び、奴隷の方々を把握し、
逃走の時まで敵に見つからないよう『浄化』の『医術』を施します。

他の猟兵の動きに合わせて近くの方々を誘導、
逃走経路にいるオブリビオンを≪微睡みの光≫で眠らせます。
これなら戦闘で騒ぎにもなりにくく、安全に避難できるはずです。
敵と遭遇し戦闘を回避できない場合は『祈り』を込めた『全力魔法』で攻撃。

アドリブ絡み歓迎



●人間牧場
 冷たい金属で覆われた工場の中、無常に鳴り響く機械音。各地から攫った人間を家畜として管理するその場所は、しかし人ではなく動物によって支配されていた。
「おつかれさま~! あたらしいにんげんをつれてきたよ~!」
 焦点の定まらない瞳をした犬が、鎖を咥えて繋がれた人々を引っ張って来た。それを受け取るのは、二足歩行をする豚だ。こちらは少しばかり知性があるのか、鎖に繋がれている人間達を、じろじろと凝視して品定めしていた。
「ふぅむ……人間の雌が、一匹、二匹……予定していたより多いな。まあ、いいか」
 数が少ないのは問題だが、大いに越したことはない。ならば、後はいつも通りに処理するだけだと、豚は男と女を仕分けして、女達の方を連れて行く。その中に、決して紛れ込んではならぬ異物が混ざっていることに、全く気が付かないままに。
(「この街はどこも、このような悪辣に満ちた場所なのでしょうか……」)
(「家畜に家畜扱いされてるのって、ぞっとしないわね。だからといって、騒ぎを起こして警戒されては厄介ね……」)
 鎖に繋がれたまま、リュドミーラ・シェスタコフ(機械仕掛けの女神官・f28286)とフィリス・クライア(ラヴィドール・f29619)は、互いに顔を見合わせた。とりあえず、奴隷に混ざって潜入することはできたが、ここで行動を起こすのは拙い。自分達が逃げるだけなら良いが、周りの人間達まで逃がすとなれば、少しばかり考えて動く必要がある。
(「今は、耐えるしかないよね。……必ずチャンスはある。いや、作ってみせる……」)
 逸る気持ちを抑えつつ、楠・結夜(damned proband・f29615)もまた奴隷に混ざって歩き出す。これから先、家畜として何をさせられるのか。この時は、まだ彼女達は、奴隷にされた者達に降りかかる過酷な運命について、全く知る由もなかったが。

●嗜虐の動力炉
 人間を家畜として管理する恐るべき工場。そこに捕らわれた者は、直ぐに食肉として加工されるとは限らない。
「ほらほら、サボるんじゃないよ!」
「サボってるやつは、後でママにお仕置きしてもらっちゃうぞ~」
 ベルトコンベアの設置された部屋の更に下。工場の動力部と思しき場所では、主に男を中心とした奴隷達が、必死に走らされていた。工場の電力の一部は、この強制ランニングによる自家発電にて賄われており、この場所に連れて来られた奴隷達は、昼夜を問わず走らされているというわけだ。
「はぁ……はぁ……」
「うぅ……み、水、を……」
 中には既に限界を迎え、満足に走れていない者もいる。もっとも、少しでもサボとうものなら豚が鞭を振るって彼らを強引に立ち上がらせ、それでもいよいよ走れなくなると、そのまま何処かへ連れて行かれてしまった。
「76番、お前はもう限界みたいだね。缶詰にしてやるから、ありがたく思いなよ」
「や、やめてくれ! 俺はまだ働ける! 働け……ぎゃぁぁぁっ!!」
 缶詰にされると聞いて逃げ出そうとした男の身体に、豚がスタンガンを押し当てて気絶させた。そんな彼らの姿を横目に、メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)は自らも奴隷のふりをして紛れ込みつつ、反撃の機会を窺っていた。
(「ふぅん、そう……食べられそうになった復讐なのね。えぇ、その気持ちはよくわかるわ。だって、アリスもそうだったもの」)
 アリスラビリンスに召喚されてからのことを思い出し、メアリーはどこか複雑な気持ちだった。自分を食べようとするオウガから逃げ、時に戦い、そして生き抜いて来た日々。それを考えると、この豚達にも少しばかり同情の念を抱きそうになったが……しかし、奴隷達に対する手酷い扱いを見て、直ぐに考えを改めた。
 人間は、食べるために動物を育て、そして殺す。だが、その過程で動物を虐待したり、過剰な労働を強いて苦しませたりすることはない。最終的に、殺され肉にされる運命だと分かっていても、自分の飼育している動物達には、最後まで愛情を以て接するのが畜産農家だ。
 それに比べ、この豚達はどうだろうか。彼らは恨みを晴らす絶好の機会とばかりに、捕らえた人間達に虐待同然の行いをしている。その行いは人間というよりも、どちらかといえばオウガ達に近いもの。だからこそ、メアリーは豚達を許さないと決めていた。
「……この復讐はきっと、甘くて素敵なものになるわ」
 頃合いとばかりに、ニヤリと笑い、飛び出すメアリー。豚は大人しく肉になれと言わんばかりに、隠し持っていた肉切り包丁で、鞭を振るう豚の頭をカチ割った。
「なっ……! お前、なんてことするんだ!」
「うわぁぁぁっ! 僕達の兄弟がぁぁぁっ!!」
 反抗されると思っていなかった豚達は、一瞬だけだがパニックに陥った。その隙に、メアリーは奴隷達を拘束している鎖を破壊し、彼らを部屋の外へ誘導した。
「さあ、早く逃げて! ここは引き受けるわ!」
「済まない! だが、無理はしないで、君も早く逃げるんだぞ!!」
 殿を務めるメアリーのことを心配しつつも、奴隷達は部屋の外へと逃げ出して行く。慌てて追いかけようとする豚達は、メアリーが包丁で制裁だ。
「ブヒッ! この女……もう、容赦はしないぞ!」
「反逆者は、どうせ缶詰にしちゃうんだ。ここで少しくらいバラしても、問題ないよね!」
 もっとも、いくら豚達が弱いといっても、多勢に無勢。徐々に追い込まれたメアリーは、瞬く間に周りを囲まれてしまい、抵抗空しく捕えられてしまった。
「ブフゥ……まったく、手間をかけさせてくれたな」
「家畜の分際で生意気な! 僕達に逆らったことを、後悔させてやる」
 怒りのままに、豚達がメアリーの衣服を破き、その肌を露わにさせた。それだけでなく、彼らは堅い蹄の付いた足を使って、何度もメアリーの腹を蹴り上げた。
「おいおい、まだ気絶したら駄目だぞ。この程度で許されるとは、思ってないよね?」
「うっ……くぅ……」
 豚の鞭がメアリーの頬を叩き、更には頭から冷水が浴びせられる。それでも足りないと思ったのか、あられもない恰好のメアリーを四つん這いにさせると、豚達は彼女の尻を何度も棒で引っ叩いた。
「ブヒヒヒ! この女、なかなかイイ尻をしてるな」
「まったく、なんでこんな場所に紛れ込んでたんだ? 労働奴隷よりも、もう少し育てて出産奴隷にした方が、まだ使い道があったのにな」
 今からでも遅くないので、彼女の配置を変えるのはどうか。好き勝手なことを言いながらメアリーを甚振る豚達だったが……その一方で、メアリーは不敵に笑っていた。
(「ふふ……調子に乗っていられるのも、今の内ね。手ひどい扱いを受ければ受ける程、私の行動の成功率は上がっていくんだから」)
 果たして、この行動で何人の奴隷を助けられるだろうか。身体に新たな痛みが刻まれる度に、メアリーによる脱走計画は、着々と進行していたのである。

●非道なる搾取
 メアリーによる陽動作戦が、地下で着々と進んでいる頃。同じく、奴隷に扮して潜入した結夜とフィリス、そしてリュドミーラの3人は、他の奴隷達と一緒に狭い通路の続く場所へと連れて来られていた。
「……ぶふぅ……ぅぅ……」
「ん……ぐぅぅ……」
 辺りを見回すと、そこに捕まっているのは全て女性ばかり。彼女達は両手と首を鉄の棒に固定され、尻を後ろに突き出したような恰好で、姿勢を完全に固定されている。口には食事を強制的に与えるためのチューブを装着させられ、まともな衣服さえ与えられていない。中には、明らかに妊娠していると思しき者もおり、それらの女性は乳牛の如く、搾乳機まで装着させられていた。
「ほら、さっさと入りな。お前達は、これから僕達のために人間を清算する奴隷になるんだよ」
 他の奴隷達と同様に結夜達を豚が追い立て、彼女達もまた手足を首を鉄の棒に拘束されてしまった。そして、今度は真っ赤に焼けた鏝のようなものを持ってくると、彼女達の衣服を破って太腿を露わにし、そこへ情け容赦なく押し付けた。
「……ひぎゃぁぁぁぁっ!」
「あ、熱い! 熱ぃぃぃぃっ!!」
 焼き鏝を押し付けられた奴隷達が、口々に叫ぶ。あまりの熱さに、フィリスやリュドミーラも思わず声を上げそうになったが、それでも歯を食いしばってなんとか堪えた。
(「うぅ……熱い……。でも、今は我慢しないと……」)
(「心配要りません。この程度の傷なら、私の力で直ぐに治せます」)
 とにかく、今は脱出の機会を探るため、大人しくしている他にない。調子に乗った豚達に油断が生まれたところで、一気に反撃の狼煙を上げるためにも。
「ブフゥ……ようやく、番号付けの作業が終わったか」
「それじゃ、早速種付けさせてもらおうかな。ブッフッフ……こっちの奴隷はまだ小さいけど、その分だけ開発のし甲斐がありそうだしね」
 だが、脱出の隙を狙うよりも早く、豚達はとんでもないことを言い出し、まずは結夜に狙いを定めた。このままでは、豚達によって結夜が慰み者にされてしまうが……しかし、他の奴隷達のことを考えると、結夜はどうしても動けなかった。
(「こ、ここは耐えないと……みんなを助けな……っ!?」)」
 迸る激痛。人と人の、愛情ある交わりとは程遠い感覚。思わず叫び声を上げそうになるも、それよりも先に口の中へチューブを突っ込まれ、流動食が流し込まれて行く。生臭く、そして何の味もしない最悪の食事だったが、吐き戻すことは許されない。
「ブハハハ! この栄養を食べていれば、ちょっとやそっとじゃ死なないさ! よかったな!!」
 調子の乗った豚達は、代わる代わる結夜を犯した。もはや、その肉体が限界を迎え、何度も気を失っているにも関わらず、彼らの蹂躙は留まるところを知らず。
「ブフゥ……今日は、この辺にしておくか……」
「おいおい、最初の一匹目でハッスルし過ぎだろ。奴隷は、まだまだ他にもたくさんいるんだからさ」
 ボロ雑巾の如く蹂躙され、両足を痙攣させている結夜を横目に、豚達は新たな獲物を物色し始める。そんな彼らの標的は、今度はいかにも気弱そうな、小柄な少女へと向けられた。
「さて、今度はこいつの番かな?」
「ひっ……! い、いや……止めて!!」
 懸命に抵抗しようとする少女だったが、両手が動かないのではどうにもならない。さすがに見兼ねたフィリスが、自分を先にしろと身代わりを申し出たが……次の瞬間、突如として部屋の中に恐ろしい怪物が溢れ返り、次々と豚達を襲い始めたではないか。
「ブヒィィィッ! な、なんだよ、これ!?」
「うわぁぁぁん! 怖いよぉ、ママぁ!!」
 状況が一変し、逃げ惑う豚達。いったい、何が起きているのか。奴隷達も呆然とする中、フィリスとリュドミーラは、怪物の正体が分かっていた。
「これって……」
「結夜さんのバロックレギオンですね。そして……」
 ふと、リュドミーラが顔を見上げれば、そこにはいつの間に忍び込んで来たのか、ボロボロな姿のメアリーが。彼女は手にした包丁でリュドミーラ達の拘束を破壊すると、他の奴隷達の拘束も次々に破壊して解放し。
「大丈夫? 随分と無茶をしたみたいね」
「それは、お互い様ですね。さあ、一緒に逃げましょう」
 傷だらけのメアリーを見て、苦笑するリュドミーラ。彼女が静かに祈りを捧げれば、その力によってメアリーの傷は癒え、そして豚どもに刻まれた焼き鏝の跡も綺麗サッパリと消えて行く。
「頃合いね。あなた、立てる? 走れないなら、肩を貸すわよ」
「す、すみません……。傷は大丈夫でも、体力が……」
 フィリスの言葉に甘え、崩れ落ちる結夜。リュドミーラによって浄化されたので、豚の子を孕むことはなさそうだが、消耗した体力まではどうにもならない。
 最後の最後で、仲間を失ってなるものか。絶対に全員で脱出すると心に決め、4人の猟兵は奴隷達と共に、おぞましき奴隷部屋を後にした。

●大脱走
 奴隷部屋を抜けると、出口までは比較的容易に進むことができた。
「穏やかな眠りの中で、ひと時の癒しをお与えください」
 理由は、リュドミーラのユーベルコードだ。彼女が放つ光を受けた豚達は、そのまま静かに眠ってしまい、容易く道を開けてしまう。もっとも、その効果半径は100mにも満たないため、早々に目を覚まして追い掛けて来るのが厄介だったが。
「まだ追って来る……しつこいわね」
 後ろから迫り来る豚の鳴き声に、フィリスが顔を顰めた。走れない結夜を背負いながら逃げているため、両手が使えず戦えないのが悔やまれる。
「では、ここは私達が引き受けましょう」
「どうせ、いずれは戦うんだし……ここで数を減らしておいても、問題ないわよね?」
 リュドミーラの魔法が追い縋る豚を吹き飛ばし、そこへ飛び込んだメアリーの包丁が炸裂する。追手を叩けば、長居は無用。脱出用の車がある場所を目指し、4人は狂気の人間工場の中を駆け抜けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ジフテリア・クレステッド
【がれきの町】※アドリブ歓迎
動物好き&人間に搾取されてきた側の私としてはこの状況、思うところがないではないけど…結局、私が本質的に嫌いなのは支配者なんだろうね。という訳で、不愉快だ。ぶっ潰すよ。

ムカついた時は発散すべきだよね!創造した無敵の毒で見張りをぶっ殺す!増援が集団で来たら【念動力】で人間たちに当てないように操作しながら【範囲攻撃】でぶっ殺す!※【毒使い】
はっはー!自分こそが上位種だと勘違いしてる奴らを蹂躙するの超楽しー!
フラスコチャイルドこそが至高の種族だーっ!

さて、ここまで目立つように暴れてれば他のとこが少しは楽になるかな。
だから暴れてる時の台詞は本音じゃないよ、ホントだよ、うん。


土谷・メイ
【がれきの町】
うおぉー!!許せませんよこれは!!是が非でも奴隷の方々を助け出さないと!

【目立たない】ようにひっそり動きつつ、UC《ピジョンコール》で呼び出した鳩を工場の壁に適した色に【迷彩】してから、奴隷の方々を探しに放ちます!内部を【偵察】して通路を把握したのち突撃です!
一応、「犬用通信機」を使って皆さんと通信して連絡できるようにしておきます。(周波数は1.10です!)

中に入ったら奴隷の皆さんを拘束してる鎖などを噛みついて引きちぎるか、皆と一緒に壊します。
子豚たちが来たら犬らしく噛みつきます!
──お前達の母ちゃんは絶対に許さないからなー!


尖晶・十紀
【がれきの町】
アドリブ歓迎

うわ、なにこいつ……今すぐにでも丸焼きにしてやりたいところだけど……今は奴隷の解放が優先だね。

他の猟兵が起こした混乱に乗じ潜入。見張りにこっそり近づき毒で暗殺。怪力で鎖を引きちぎり檻をぶっ壊していくよ。ああ、そうだ。監視装置があるならそいつも壊しておこう。

全員の解放を確認できたら……一転、殿として逃げ切るまでの時間稼ぎに暴れようか。(挑発、カウンター、捨て身の一撃)

複数の場所で暴れる侵入者、逃げ出した奴隷……個々の人員は大分割かれるんじゃないか?


エドゥアルト・ルーデル
何事も暴力で解決するのが一番でござるよ

正面からダイナミックエントリーでござる
豚が相手なんだろ?【火炎放射器】の出番でござるね!炎で壁を作るので取り囲まれないので安心ですぞ!という訳で汚物は消毒だぁ~!
ヒャッハーしつつ都市に火を着けて廻りながら暴れまわるでござるよ!

救助も必要らしいが豚を焼くのが楽しくて手が回らねぇ!誰か行ってくれねぇかな
ウワーッ!【知らない人】が出てきた!誰だお前は!
まあいいや拙者はここで暴れて陽動してるんで知らない人(極めて発見され難い)!代わりに救助に行ってきてくだち!拘束解くだけでいいから!
そういえば貴様ミスティックパワーは持ってないでござるよね?
食べないよね?



●正面突破
 人間を家畜として管理し、生産するおぞましき工場。そんな場所に捕らえられている者達がいると聞いて、一部の猟兵達は正面突破を試みていた。
「動物好き&人間に搾取されてきた側の私としては、この状況、思うところがないではないけど……」
 それでも、やはり虐待は許されないと、ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)は顔を顰めた。
 自分が食べられる側だったから、復讐したい。その気持ちは、分からないでもない。だが、それを建前に支配者を気取り、人々を苦しめることに重きを置いている時点で、この工場を経営する雌豚は動物として越えてはならない一線を越えてしまっている。
「結局、私が本質的に嫌いなのは支配者なんだろうね。という訳で、不愉快だ。ぶっ潰すよ」
「うむ、賛成でござるな。何事も暴力で解決するのが一番でござるよ」
 ジフテリアの言葉に、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)も頷いた。奴隷を解放するにしても、なにしろ敵は数が多い。ならば、陽動も兼ねて誰かが敵を引き付けなければ、潜入することさえままならない。
「ブヒッ! な、何者だ、お前達!」
「こいつら、奴隷じゃないみたいだよ! 早く、ママに連ら……ぶぎゃぁぁぁっ!!」
 ジフテリアとエドゥアルトの姿を発見した豚が仲間を呼ぼうとするも、その前にエドゥアルトの火炎放射器で、あっけなく丸焼きにされてしまった。
「て、敵襲だぁっ!!」
「早く応援を呼ばないと! 奴隷に逃げられたら、ママに怒られるよぉ!!」
 突然の襲撃に狼狽える豚達。しかし、ジフテリアもエドゥアルトも全く容赦せず、次々に豚達を片付けて行く。
「私の毒が生み出す地獄……ここが真のアポカリプスヘルだ!」
「ブヒッ! く、苦し……ブゲェ……」
 ジフテリアの散布した猛毒が、周囲の空気を侵食して豚達の身体を蝕み始めた。彼女の生成する毒は、あらゆる存在を腐らせる。普通の人間より強いとはいえ、それでも戦闘力では猟兵に劣る豚達では、抗う術など最初からなく。
「ブググ……は、早く……非常ボタン……を……」
 それでも、力尽き果てる前に一匹の豚が非常ボタンを押したが、それはむしろジフテリア達にとって好都合。
「……また増援が来たね。まあ、こっちに来てくれる分には問題ないけど」
「どれだけ集まっても関係ねぇ! 汚物は消毒だぁ~!」
 ドアが開いて雪崩れ込んで来た豚の大群に、エドゥアルトが再び火炎放射攻撃! 途端に、怒号や悲鳴が周囲に広がり、工場内は大パニック!
「はっはー! 自分こそが上位種だと勘違いしてる奴らを蹂躙するの超楽しー! フラスコチャイルドこそが至高の種族だーっ!」
 ジフテリアも、引き続き毒を撒き散らし、エドゥアルトが討ち漏らした敵を毒殺して行く。これだけ盛大に暴れれば、他の猟兵が工場に侵入するのも簡単になるだろう。
「さて、ここまで目立つように暴れてれば、他のとこが少しは楽になるかな?」
 敵の数が明らかに減って来たところで、ジフテリアは、ふとエドゥアルトの方へ視線を向けた。だが、当のエドゥアルトは敵を焼き殺すのに夢中になっており、他のことなど頭から完全に抜けていた。
「フハハハ! 豚を焼くのが楽しくて手が回らねぇ! 誰か代わりに、救助に行ってくれねぇかな?」
 もはや、戦いを楽しむだけ楽しんで、救助は完全に丸投げである。そんな彼の言葉に、何かが応えたのだろうか。唐突に、エドゥアルトも知らない誰かが出現すると、なにやらじっと彼のことを凝視し始め。
「ウワーッ! 誰だお前は!?」
 突然の来訪者に驚くエドゥアルト。いや、お前が呼んだのだろうと、突っ込まないのはお約束。
「まあいいや。拙者はここで暴れて陽動してるんで、代わりに救助に行ってきてくだち! 拘束解くだけでいいから!
 知らない誰かに救助を押し付け、エドゥアルトは再び豚を焼く仕事に戻ってしまった。途中、知らない人が妙なパワーを持っていたり、人間を食べたりしないか不安になったが……逃げ惑う豚を焼き殺すのに夢中な彼にとっては、それも些細なことでしかなかった。
「ヒャッハー! 全員、丸焼きにしてやるぜぇ!」
「ブヒィィィッ! 助けてぇぇぇっ!!」

●奴隷解放
 ジフテリアとエドゥアルトが大暴れしている頃。
 騒ぎに乗じて工場の奥に潜入した尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)と土谷・メイ(イヌの砲撃術【大】・f27738)は、そこで行われている非道な所業に、思わず吐き気を催して顔を顰めた。
 人間を一人閉じ込めるのが精一杯なサイズの檻に、子どもが押し込められている。彼らの両手は天井から伸びる鎖に繋がれており、常に起立した状態のまま、座って休むことも許されていない。
 食事に関しては、身体を前に乗り出すことで、辛うじて口が届く程度のところに台が設置されていた。そこに盛られた残飯を、少年少女達は一心不乱に食べ続けている。彼らは人間らしい言葉さえ発することもできず、殆ど獣同然であった。
 恐らくは、この施設で奴隷達が産み落とした子どもなのだろう。彼らがいかにして誕生したか……その経緯は、できれば考えたくはない。だが、満足に教育も施されず、粗末な食事と劣悪な環境の中、牛や馬よりも酷い扱いを受けていることだけは明白だった。
(「うおぉー!! 許せませんよこれは!! 是が非でも奴隷の方々を助け出さないと!」)
 人としての尊厳を、徹底的に破壊しつくす悪魔の所業。その惨さと残酷さに、メイは思わず怒りを露わにして叫びそうになった。
 彼は人ではなく犬だが、それでも、こんな扱いを強いるが間違っていることくらいは分かる。人間と動物の関わり方は様々とはいえ、この施設における人の扱いは、もはや人間を生き物と見做していない。
「お前達、いい子にして見張っていたかい? そろそろ、出荷できそうなやつがいるんじゃないか?」
 そんな中、部屋の扉が開け放たれると、地響きを立てて一際巨大な豚が現れた。
「あっ、ママ! 大丈夫! しっかり見張っていたよ」
「こっちの奥にいるやつは、そろそろ改造して闘技場に売ってもいいんじゃないかな? その隣の檻にいる雌は、他の奴隷と違って栄養の高い餌を与えておいたから、後3日もすれば生産奴隷に回せるよ」
 奴隷を管理する豚達の話から、目の前の巨大な雌豚が、この工場の管理者であることは察しがついた。雌豚は満足そうに笑みを浮かべると、他の奴隷達の様子も一通り見回り、それから自らの子ども達に指示を出した。
「今回も、なかなか良い感じに仕上がっているねぇ。それじゃ、後は闘技奴隷、生産奴隷に振り分けて、移動させておきなさい。残りのやつらは、全部纏めて缶詰用に処理して構わないわ」
 鼻息も荒く、母豚は告げた。そんな彼女の姿に嫌悪感を隠し切れず、十紀は込み上げる怒りを辛うじて理性で押し留めた。
「うわ、なにこいつ……。今すぐにでも丸焼きにしてやりたいところだけど……今は奴隷の解放が優先だね」
 やがて、母豚がいなくなったところで、メイと十紀は互いに頷いて行動を開始する。まずは十紀がこっそりと見張りの豚の背後に忍び寄り、自身の血液を豚の首筋に注射した。
「……ブゲッ!? な、なにを……す……ぐぇぇぇ……」
 途端に、豚は心臓を掻きむしりながら苦しみ始め、そのまま泡を噴いて死んでしまった。
 実は、十紀の血液はただの血液ではない。燃焼や固形化といった様々な異能を秘めており、迂闊に輸血でもしようものなら、対象の血液を凝固させたり、あるいは肉体を発火させたりしてしまうのだ。
 そんな血液を注射されれば、全身の血液が凝固して、心臓が停止するのも当然だ。その間に、メイが奴隷達の檻を解放し、鎖に噛み付き破壊して行く。
「助けに来ました! さあ、逃げてください!」
 正直、ここに囚われている子ども達に、言葉が通じるかどうかは分からなかった。だが、それでも本能的に何かを察したのか、彼らは一斉に唸り声を上げると、部屋の外を目指して駆け出した。
「あっ! こら、お前達! そこで何をしているんだ!!」
 そんな中、騒ぎを聞きつけた豚がやって来たが、そこはメイがさせはしない。奴隷の子ども達を逃がすためにも、今は少しでも時間を稼がねば。
「させるかぁっ! お前達の母ちゃんは絶対に許さないからなー!」
「ブギャァァッ!! し、尻がぁぁぁぁっ!!」
 メイに噛みつかれ、飛び上がる豚。その一方で、十紀は部屋に仕掛けられた監視カメラや警報装置を破壊して、少しでも時間を稼いでいた。
「さて、これで多少はマシになるはず。後は……」
 残りの奴隷を解放するだけだと、改めて檻に目をやると、いつの間に現れたのだろうか。そこにはエドゥアルトの呼び出した謎の人物がおり、既に檻の鍵を全て外した後だった。
「これで、全員解放できましたかね?」
「うん……この部屋にいる人達はね」
 後は、彼らが逃げるための時間を稼ぐのみ。メイと、彼の放った鳩を先頭に子ども達は逃げて行き、それを見送りつつ十紀は更に暴れて騒ぎを拡大することに尽力した。
「ほら……こっち。お前達の相手は、十紀がするよ……」
 敵に囲まれるのも構わず、捨て身で豚を殴り跳ばす十紀。逃走する奴隷に複数個所での襲撃事件。これだけ騒ぎが大きくなれば、工場内が大混乱し、敵が事態の収拾に対応できなくなるのは明白だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
(アドリブ・協力等okです)
【POW】
目的:見張りの子豚の排除

理由:人間牧場ってやつか?ふざけやがって!
家畜だって殺されそうになれば抵抗する、それを奴らに思い出させてやるぜ

手段:紙巻きタバコを咥えて行くぜ、胸糞悪いが冷静にならねぇとな。

武装は小銃、迷彩ベストには予備の弾薬も携行し継戦能力も高めておくぜ。

見張りの排除方法は、兎に角見付からないようにしねぇとな。

監視カメラの死角、看守の単独巡回のタイミング、機械駆動音等の騒音に紛れての銃撃、それらを踏まえて潜入し始末するしかねぇな。

UCは確実に始末しなきゃならねぇ時に発動するぜ、勿論発砲音を誤魔化せるタイミングでな。

解放出来たら、見付かる前に脱出だ


クロエ・アスティン
POWで判定

工場に潜入したら、まずは捕まっている女の人達を助け出しに行くであります!

女の人達が子豚達の相手をさせられているのを見て一瞬過去の記憶がフラッシュバックしてしまいます……
「今度のは小さいね。でも、若いから長持ちしそう」とか「でも、ミルクは出そうにないね」とか言われてはっと正気に戻ります
も、もう昔の自分とは違うであります!女神様と祈りを捧げて【戦乙女の戦槍】で目に移った子豚達を全て消し飛ばしてしまいます!

女の人達を拘束している鎖や怪しげな機械を破壊したら、消耗している人にはヒーリングポーションを振舞ったりしながら脱出であります!

※アドリブや連携も大歓迎


フレミア・レイブラッド
知恵をつけたところで所詮家畜…悪趣味を通り越して下衆なコトしかできないみたいね。

【創造支配の紅い霧】を発動。
工場敷地内に霧を展開し、霧に紛れて潜入すると共に工場内の監視装置や機械を『支配』。
更に、工場に霧の魔力で実体を持った自身の分身体を多数『創造』し、一斉に見張りの子豚達を攻撃。
【念動力】や【怪力】で叩きのめしたり(頭を握り潰したり首を圧し折ったり)、魔槍により串刺しにする等、一切の容赦なく潰して人々を解放するわ。
加工機械の近くにいる豚は…そうね、自分達の行いの報いを受けると良い(分身達に機械に放り込ませる)

わたし自身(本体)も手近な豚を潰しつつ、分身達が解放した人達を誘導し、脱出させるわ



●混乱に乗じて
 猟兵達の大暴れによって、工場内は大パニックに陥っていた。
 奴隷達の監督をしている豚達が、忙しなくあちこちを駆け回っている。そんな混乱の中、物陰に身を潜めつつ、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は静かに様子を窺っていた。
(「人間牧場ってやつか? ふざけやがって!」)
 ここに来るまでに見て来た、奴隷達への様々な仕打ちを思い出して顔を顰めるヴィリー。ある者は闘技奴隷として肉体を好き放題に改造され、また別の者は役に立たないという理由だけで、機械に放り込まれて缶詰にされた。
 ここは地獄だ。だが、家畜とて追い詰められれば抵抗の意を示すもの。あの豚どもに、それを教えてやろうと銃に弾を込め、そっと物陰から狙いを定め。
「ただの弾じゃねぇ、当たると痛いじゃ済まないぜ!」
 激しく動く機械の音に合わせて発砲したことで、音は殆ど聞こえない。しかし、放たれた銃弾は見張りの豚の眉間に命中し、その頭部を木っ端微塵に粉砕した。

●女神の鉄槌
 工場の中でも、特に女性だけが集められた生産プラント。効率よく新たな奴隷候補の人間を産ませ、果ては母乳まで搾り取らんとする、狂気と絶望が溢れる悪意の巣窟。
「ブッヒッヒ……この女も、そろそろ用済みか?」
「人間ってやつは不便だね。一度に一回しか子を産めないなんてさ」
 おまけに、肉体の限界も早々に来てしまうため、何度か新しい人間を生産させただけで交換しなければならない。。そんな、人を人とも思わぬ台詞を吐きながら、子豚達が奴隷として連れて来られた少女達を辱めている。
(「これは……。こんなの、あんまりであります!」)
 人間の尊厳を踏み躙る外道の所業に、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は内なる怒りを胸に飛び出した。が、少女を犯している豚と目が合った瞬間、かつて自分が捕らわれていた際のことを思い出し、そのまま身体が固まってしまった。
「ん? なんだ、この女? これも新しい奴隷かな?」
「今度のは小さいね。若いから長持ちしそうだけど……ミルクは出そうにないから、生産効率は悪いかな?」
 クロエの姿を見た子豚達が、ニヤニヤと笑いながら彼女に迫って来た。が、次の瞬間、なんとか意識を戻したクロエは、巨大な槌を構えて子豚達を睨みつけ。
「も、もう昔の自分とは違うであります!」
 親豚でないのは幸いだ。お前達など、問答無用で消し飛ばしてやる。女神へ祈りを捧げ、その力を光の槍に変えて、クロエは子豚達へと目掛けて撃ち出した。
「光よ! 女神に仇名す者を貫く槍となれ!――ヴァルキリーズジャベリン!」
「ブヒッ? ブギャァァァッ!!」
 哀れ、光の槍に貫かれ、次々と昇天して行く子豚達。彼らを片付けたクロエは少女達の拘束を破壊し解放して行くが、それにしても数が多い。
「ふぅ……も、もうちょっとでありますね……」
 残る奴隷は、三人程。気を取り直して拘束を外そうとしたところで、唐突に銃声が響き渡った。
「……っ! だ、誰でありますか!?」
「いや、すまんな。驚かせちまったか?」
 そこにいたのは、ヴィリーだった。見れば、クロエの足元に、眉間を撃たれた豚が倒れている。奴隷を解放するのに夢中になり過ぎて、敵が後ろから不意打ちを仕掛けようとしているのに気づかなかったのだ。
「か、忝いであります」
「いや、気にすんなよ。それより、さっさとこんな場所からはオサラバしようぜ。長居したって、何の得にもならねえ」
 ぐずぐずしていると、また別の場所から増援が現れるかもしれない。騒ぎに乗じて一刻も早く逃げ出すべきだとヴィリーが告げれば、なにやら奇妙な赤い霧が部屋の中へと流れ込んで来た。
「これは……霧、でありますか?」
「なんだか知らないが、こいつはチャンスだ。この霧に紛れて脱出するぞ」
 幸い、ここまでやって来た際のルートは覚えている。遅れず、自分についてこいとだけ言って、ヴィリーは一足先に部屋を飛び出した。

●紅い魔霧
 オブリビオンとなったことで、高い知性を得た養豚場の雌豚。今や、彼女は強力なオブリビオンとして、この工場を支配する存在になっていたものの、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)からすれば滑稽以外の何者でもなかった。
「知恵をつけたところで所詮家畜……。悪趣味を通り越して、下衆なコトしかできないみたいね」
 復讐を建前に、捕らえた人間を好き放題に虐待して殺す。そこにあるのは、もはや復讐心ではなく、己の歪んだ欲望を満たすための嗜虐心だ。
 まったく、話を聞くだけでも胸糞悪い。だが、それ以上に現実を目の前にしてしまうと、憤りを沈められそうになく。
「全てを満たせ、紅い霧……。夢も現実も、全てはわたしの思うまま。ようこそ、わたしの世界へ」
 まずは、紅い霧を工場内に拡散させ、敵の視界を完全に奪う。これだけでも他の猟兵や奴隷達が逃げ出す手助けにはなるが、これで終わりにさせるつもりはない。
「ブヒッ!? な、なんだ、この霧?」
「そ、そこに誰かいる!? な、何者……ブギャァッ!!」
 見張りの豚が異常に気付いたところで、もう遅い。彼らの周囲は既に多数のフレミアの分身によって囲まれており、おまけに機械の制御も完全に奪われてしまっていたのだ。
「うふふ……さあ、無様に泣き叫んで頂戴ね」
 意味深な笑みを浮かべてフレミアが告げれば、その言葉に合わせて分身達が一斉に襲い掛かる。哀れ、警備の豚達は成す術もなく、数の暴力によって蹂躙されて行く。
「ぐ、ぐる……じ……ブハッ!!」
 ある者は、力任せに首を圧し折られ。
「あ、頭が痛ぃぃぃっ! た、助け……ブゲッ!?」
 また別の者は、頭を掴まれ握り潰された。
「こ、これはヤバいよ! 大ピンチだよ!」
「早くママに知らせないと! 僕達だけじゃ、どうにもならない!!」
 残る豚達は一斉に逃げ出そうとするが、それを見逃すフレミアではない。最後は、生き残った豚を全て捕まえると、次々に機械の中へと放り込み始めた。
「ちょっ……や、止めて! 助けて!!」
「嫌だぁぁぁっ! 僕はまだ死にたくないよぉ!!」
 泣き叫びながら機械の口に吸い込まれて行く豚達だったが、そんな彼らの様子を、フレミアは冷めた様子で見送るだけだ。今まで、そう言って命乞いをして来た人間達を、無残にも生きたまま解体して来た報いであると言わんばかりに。
「「「ブヒィィィィッ!!」」」
 最後は、醜い悲鳴と共に、豚達は全て缶詰に加工されてしまった。が、それを回収して食べるようなことはせず、フレミアは脱出までの時間を稼ぎながら、残る奴隷を可能な限り解放するべく屠殺場を去った。
「ふん……自分達の行いの報いを受けると良いわ」
 それだけ言って、後は振り返ることさえしない。紅い霧の中、誰もいなくなった工場の床には、豚肉の缶詰が転がっているだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『かしこくないどうぶつたち』

POW   :    わーいたーのしー
【かしこくなくなるおーら】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    むずかしいことはよくわからないよ
【すごくかしこくないどうぶつ】に覚醒して【かしこそうなこうげきがきかないどうぶつ】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    みんなでいっしょにあそぼうよ
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【かしこくないどうぶつたち】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴走カーチェイス
 奴隷達を解放し、工場から脱出した猟兵達。幸い、工場の外には車が多数停められており、それを奪って逃げるのは容易だった。
 だが、当然のことながら、敵も簡単には逃がしてくれないようだ。奴隷に逃げられたことに激怒した工場長、養豚場の4トン嬢は、追手を放って来たのである。
「ブッキィィィッ!! お前達、逃げた奴隷をさっさと捕まえておいで! 抵抗するやつは、痛い目に遭わせても構わないよ!」
「は~いわかりました~」
 彼女が放ったのは、人語を解するだけで碌な知性を持っていない動物達。だが、餌として工場で作った缶詰の中身を与えるだけで従ってくれるため、使い捨ての手駒としては便利な連中だった。
「よ~しいくぞ~」
「しゅっぱつしんこー」
 動物達は、やはり外に停められていたトラックの荷台に乗り込むと、奴隷や猟兵達を捕まえるべく追跡を開始する。もっとも、運転するのも頭の悪い動物なので、いくら自動操縦が可能なトラックとはいえ、制御に不安が残るのだが。
 果たして、そんな予感は正しく、動物達を乗せた改造トラックは道の障害物などなんのその。殆ど何も考えていない暴走運転で、周囲の物を弾き飛ばしながら迫り来る!
 折角、ここまで逃げ延びたのに、こんな場所で捕まってなるものか! 周囲の迷惑を顧みないカーチェイスを乗り切り、こちらの車に飛び乗って来ようとする『かしこくないどうぶつたち』を振り切るのだ!
楠・結夜
いろいろあったけど、なんとか脱出まではできたね。
次は追っ手を振り切らないと。

まだちょっと体力的に不安は残るけど、
トラックなら自分で走らなくていいから、少しは楽かな。

でも車の運転はできないから、そこは誰かにお任せするか、自動操縦に頼むしかないね。
でもそのかわり、追っ手の邪魔はがんばってみよう。

近寄ってきた追っ手に【あなたはなあに?】と問いかけて、想念の獣を召喚。
霧で視界を塞ぎつつ、締め付けで動きを止めながら毒で弱らせて、
相手の行動を妨害しよう。

どうやら相手は暴走運転みたいだし、
障害物にぶつけたり横転させたりして、足を止められちゃったらいいんだけどな。

……酷いことされたし、手加減とかいらないよね。


メアリー・ベスレム
難しい事はよくわからないけれど
勝手にみんなを運んでくれるのね?
それじゃあ、お願いね
そう車に声を掛けたら
【ヴォーパルの獣】に変身
【ジャンプ】で跳び出して
獣のスピードで駆けまわり
【足場習熟】軽やかに
追手を車を【踏みつけ】ながら
どうぶつたちを殺しに掛かる

あまり賢くはないようだから
こうして暴れまわればメアリに向かってきてくれるでしょう?
それに、こちらも難しい事は考えない方が良いみたいだし
美味しそうなお肉として、あるいはおんなじ獣として
どうぶつたちを【誘惑】してみせながら
【野生の勘】が赴くままに戦いましょう

あなた達はただの動物ね
飼い慣らされ、餌を与えられるだけ
つまらない相手だけれど
殺す事に変わりはないわ


フィリス・クライア
【SPD】
アレンジ歓迎・NGなし

私は車両の様子を見てから行こうかな
点検と整備をしながら、物凄い勢いで飛び出していく動物たちを見送るわ
いってらっしゃい。

準備が終わったら、先を行くトラックを追いかける
まさか、後ろから来る車両が『逃げている筈』の相手だとは思わないはず
味方のフリをしてやりたい放題やるわ。
幅寄せ、急ブレーキ、蛇行運転を駆使して敵を攪乱して、事故らせて一台づつ脱落させていく。

いけない、ちょっと目立ち過ぎたかしら
並走したら運転手の動物と目が逢っちゃった
こっちを見て大騒ぎしてるわね
ちょっと可愛いかも、でも前を見ないと危ないよ?

ある程度楽し……こほん、攪乱できたら
一気に抜き去って逃走するわ。


リュドミーラ・シェスタコフ
めちゃくちゃな追跡ですね…
誰一人あのような街に連れ戻される訳にはいきません。
迎撃して、欠けることなく逃げ切りましょう…。

車の運転はあまり経験がないので、どなたか同乗できるといいのですが…
幸い操作は簡単なようですし、この機会にチャレンジするのも一つですね。
接近する車に向けて≪微睡みの光≫を使用し、睡眠による脱落を狙います。
残った敵の運転は滅茶苦茶でこちらも車上であれば正確な狙いは難しい…
大雑把になりますが敵の車へ「祈り」を込めた「全力魔法」を撃ち込みます。
乗り込もうとする敵や攻撃には「結界術」による「オーラ防御」を使用。
攻撃による負傷には「医術」を用います。

アドリブ絡み歓迎



●工場からの脱出
 監視の子豚達の目を盗み、なんとか工場の外へと逃げ出した猟兵達。外に出ると、そこには改造されたバイクや車、それに大型のトラックなどが無造作に停められいた。
「いろいろあったけど、なんとか脱出まではできたね。次は追っ手を振り切らないと……」
「ええ、そうですね。誰一人、あのような場所に連れ戻される訳にはいきません」
 楠・結夜(damned proband・f29615)の言葉に、リュドミーラ・シェスタコフ(機械仕掛けの女神官・f28286)が頷いた。とりあえず、助け出した人々は大型トレーラーの貨物室に入れておき、後は追ってを迎撃しながら進むことに決めたのだが。
「……で、この車……誰が運転するの?」
 最後の最後で、結夜が辺りを見回して言った。見たところ、車の運転が得意そうな者はいない。グリモア猟兵の話では、ある程度は全自動で操縦してくれるので、子どもでも運転できるという話だったが。
「車の運転はあまり経験がないので、どなたか同乗できるといいのですが……」
 リュドミーラも運転できそうな者がいないか探してみるが、そうこうしている間にも、追手が迫っているかもしれない。残された時間も少ないので、ここは仕方なくリュドミーラが運転席に乗り込み、後は自動操縦に任せることにした。
「えぇと……とりあえず、このペダルを踏めば良いのでしょうか?」
 スイッチを入れてハンドルを握れば、コンピュータが自動で起動し、操縦の補佐をしてくれるようだ。なるほど、これなら確かに子どもでも運転できるし、最悪の場合、ハンドルを離してもある程度は自分で走ってくれそうだ。
「難しい事はよくわからないけれど、勝手にみんなを運んでくれるのね? それじゃあ、お願いね」
 助手席に乗ったメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)がコンピュータに尋ねると、『リョウカイ、シマシタ』と抑揚のない機械音声が発せられ、エンジンが掛かった。とりあえず、これでなんとか脱出の手筈は整いそうだ。
「それじゃ、私は他の車両の様子を見てから行くわ。私達以外にも猟兵が来ているでしょうし、点検や整備をしておけば、その人達の助けにもなるはずだから」
 最後に、フィリス・クライア(ラヴィドール・f29619)はそう言って、外の3人を見送った。やがて、脱走者に気付いて動物達が駐車場へ現れたところで、フィリスはこっそりと身を潜め。
「だっそうしゃだー! つかまえろー!」
「くるまでおいかけるんだー! しゅっぱつしんこー!」
 頭の悪い動物達が車に乗り込み、完全に運転をコンピュータに任せて飛び出して行ったところで、フィリスもまた行動を再開する。
「ふふふ……まさか、後ろから来る車両が『逃げている筈』の相手だとは思わないはずよね?」
 遅れること数分。動物達の気配がしなくなったところで、フィリスは整備しておいた車に乗り込むと、彼らの跡を追って車を発進させた。

●ハチャメチャ、カーチェイス!
 悪意に支配された悪徳の街。そこを抜け出すために車を走らせる猟兵達だったが、追撃する動物達も必死である。
 だが、如何せん動物達は、とにかく頭が悪い。故に、追跡の方法もメチャクチャであり。車を走らせているだけなのに、街がどんどん破壊されて行く。
「まてー! にげるなー!」
「おいかけろー! もっとはやくはしるんだー!」
 運転を完全にコンピュータに任せ、動物達は好き放題に叫んでいた。しかも、コンピュータに出す指示も曖昧かつ適当なものばかりなので、機械制御をしているにも関わらず、殆ど暴走運転に等しい走り方。
 路上に置いてあるゴミ箱を蹴散らし、フェンスに激突しても構わず走り……追い掛けているだけで、車がボコボコになって行く。
「わんわん! どけどけー!」
「な、なんだ!? うぎゃぁっ!!」
 あ! 頭の悪そうな犬が乗っている車が、なんかその辺を歩いていたモヒカンを轢いたぞ! これ、あのモヒカンがギャングの幹部なんかだったりした場合、とんでもない大問題になるのではなかろうか。
「めちゃくちゃな追跡ですね……」
「うん。でも、酷いことされたわけだし、遠慮はいらないよね?」
 サイドミラー越しに映る光景に溜息を吐くリュドミーラの横で、結夜が言った。このまま全力で走り去れば逃げ切れるかもしれないが、なにしろ相手は頭が悪過ぎるので、障害物を無視して突っ込んで来るのがやってられない。
「それじゃあ、運転はお願いね。メアリは、ちょっとあいつらを蹴散らしてくるわ」
 そう言って、メアリーはトラックのコンテナの上によじ登ると、追手の動物達が運転する車を見据えた。
 なるほど、確かにハチャメチャな操縦だ。頭も良くないようだし、ここは適当に暴れるだけでも、相手の目を引き付けることができるだろう。
「さぁ、素敵な夜を始めましょう?」
 不敵な笑みを浮かべ、メアリーは跳んだ。コンテナを足場に、追手の車の屋根へと飛び移ると、すかさず別の車両の屋根へと、また飛び移る。その上で、向かって来る動物達には一切の情けも容赦もせず、肉切り包丁で首を両断だ!
「あなた達はただの動物ね。飼い慣らされ、餌を与えられるだけ」
「わふ? それのどこがいけないんだわん?」
 血飛沫を浴びた犬に、メアリーが告げた。だが、なにしろ賢くない犬なので、メアリーの言葉が皮肉であると理解することさえできず。
「はぁ……つまらない相手だけれど、殺す事に変わりはないわ」
 もう、何も話すことはないと、メアリーは肉切り包丁を犬の脳天に叩き込んだ。敵は賢さを捨てることでパワーアップするようだが、それならば小細工などせずに、真っ向勝負で叩き潰すだけだ。
 やがて、そんなカーチェイスバトルを続けていると、少しばかり狭い路地に入った。ここから先は、せいぜい2台程度の車が通る道幅しかない。おまけに、道も曲がりくねっているので、どうしてもスピードが落ちてしまう。
「さすがに、このままでは追い付かれてしまいそうですね……」
 敵の車両が並走して来たことで、リュドミーラの顔に少しばかり焦りの色が浮かんだ。しかし、敵はとにかくアホなので、適当に攻撃しても食らってくれるのは幸いだった。
「穏やかな眠りの中で、ひと時の癒しをお与えください」
 リュドミーラが祈りを捧げれば、車に乗っている動物達は、途端に力を失い眠り始めた。それでも、執拗にコンテナに飛び移ろうとする動物には、結界を張って近づけさせない。
「ねえ……ところで、あなたはなあに?」
 そんな中、結夜がダメ押しで動物達に尋ねるが、睡魔に襲われていた動物達は、それどころではなかった。
「ふぁ……ね、ねむいよぉ……」
「ぼく? ぼくは……ぼくは……なんだっけ?」
 当然、まともに答えられる者などおらず、そのまま深い眠りへと落ちて行く動物達。しかし、いくらアホな動物とはいえ、これはさすがに無防備過ぎた。
 結夜の問いに正しく答えられなかった場合、霧状の想念の獣が出現し、対象を毒矢締め付けで何度も攻撃する。しかし、パワーと引き換えに知性を捨て去ってしまった動物達は、もはや自分が犬なのか猫なのかさえも、全く分からなくなっていた。
「う~ん、ねむい、ねむ……! ぐ、ぐぇぇぇ! く、くる、し……い……」
「なんだこれ? まえがぜんぜんみえな……うわぁっ!!」
 ある犬は、そのまま窒息してブッ倒れ、別の猫や鶏を乗せた車は、豪快に壁へ突っ込んで大破した。

●後から追う者
 動物達の乗った車と、周囲の被害を顧みないカーチェイス。激しいデッドヒートが繰り広げられる中、後方から爆音を鳴らして追い掛ける車が一台程。
 実は、それこそがフィリスの乗った車であった。彼女は味方のふりをして、こっそりと動物達を乗せた車に迫ると、そのまま幅寄せやら急ブレーキやら、好き放題にし放題。
「うわぁっ! あ。あぶない!」
「なにするんだ……って、あのくるま、にんげんがのってる!?」
 あまりに派手にやり過ぎて、少しばかり目立ち過ぎてしまった模様。もっとも、ここまで追い詰めた今となっては、もう正体なんぞバレても構わない。
「悪いわね。それじゃ!」
 アクセルを一気に全開にして、フィリスは動物達の車を抜き去ると、仲間の車と合流した。そのまま、盛大にハンドルを右に切るが、動物達はアホなので、その動きにさえ反応できず。
「あ、あれ? くるまがきえた?」
「あっ! め、めのまえになにかたてものが!!」
 気付いた時には、もう遅い。運悪く……と、いうよりも、フィリスたちの狙い通りに『Danger』と記された倉庫へ突っ込んで行く動物達の車。倉庫には爆発物が収容されていたらしく、フィリスは後方から動物達の悲鳴と、なにやら凄まじい爆発音を耳にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
目的:追撃してくる賢くない動物トラックの迎撃

理由:(舌打ち)マヌケな豚の次はバカな畜生ってか?
俺達にもバカが感染する前にずらかるぜ!

手段:予め停めておいた高機動バイク(運転/騎乗/操縦)に乗って、助けた連中が乗った車両の護衛するぜ。

武器は反動の少ないレーザーガンだ、これなら片手で銃を持ち、ハンドルも握れるな。

配置は車列の最後尾、敵の体当たりを避けつつ、車体側面の燃料タンクを狙うぜ!

UC【スーサイダードローン】は最大330機、トラックなら2.3機突っ込ませれば破壊出来そうだな。

途中に歩道橋や高架橋のような構造物があれば、そいつに全機突っ込ませて、崩落させ障害物を生成、後続を足止めするぜ!



●護衛は任せろ!
「マヌケな豚の次はバカな畜生ってか? 俺達にもバカが感染する前にずらかるぜ!」
 高軌道バイクに乗ったまま、悪態を吐くヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)。彼は助けた人々を乗せた車を運転することなく、敢えて単身、バイクに乗って逃走していた。
 理由は、人々を乗せた車を護衛するためだ。できることなら、車を運転する者には、車の運転だけに専念して欲しい。自動操縦とはいえ、いざという時には人間の手が必要になるはず。それを邪魔されるのは、彼としても本意ではなく。
「クソッタレが! これでも食らいな!」
 後方から一気に距離を詰め、敵の車両を抜き去る瞬間、側方から燃料タンクをレーザーガンで狙い撃つ。いかに強固な改造を施された車両とはいえ、燃料に引火させられては、一溜りもない。
「「「うわァァァァッ!!!」」」
 盛大な爆発音と共に、吹っ飛んで行く動物達の車。だが、仲間が次々に死んでいるにも関わらず、残る動物達は平然とした表情で追撃を続けているではないか。
 もしや、仲間に死に憤るだけの感情もない程にアホなのか。ふと、そんなことを考えるヴィリーだったが、それはある意味では正解だったかもしれない。
「わふ? なんだかなかまがへってるよ?」
「うにゃ~ん! だったら、もっとなかまをよんであそぶにゃん♪」
 マヌケそうな面をした猫が、大きな欠伸をしながら言った。すると、動物達から発せられた謎のオーラが周囲に広がって行き、それらは近くで死んでいる者、気を失っている者を、次々にアホな動物へと変え始めた。
「おわっ! な、なんだ、こりゃ!?」
 これには、ヴィリーも驚くしかなかった。少し、考えてみて欲しい。その辺で死んでいる者や、気を失っている者……それこそ、動物達が無茶な運転で轢き殺したモヒカンや、道の端で死んでいるネズミやゴキブリ、果てはヴィリーが先程倒した敵の死体までもが、全てアホな動物になって、一斉に襲い掛かって来る様を。
「わんわんわんわん!!」
「ぶひっ! ぶひょひょ! ぶぉあうぇぇぇぇ!!」
「ぷっぱるびるびるべっぽっぱぁぁぁぁっ!!」
 もはや、鳴き声なのだか奇声なのだか分からない何かを叫びながら、頭の悪い生物(ナマモノ)の集団がヴィリーの後方から迫る! さすがに、そう簡単に車やバイクへ追い付く程のスピードはないが、あれを放置しておいたら色々と面倒なことになりそうだ。
「……仕方ねぇ。ドローン展開、行ってこい!」
 自爆型のドローンを展開し、ヴィリーはそれらを全て後方から迫る生物(ナマモノへ)と向かわせた。その数、300機は下らない。これだけの数のドローンが一斉に自爆すれば、いくら大群とはいえ無事では済まず。
「「「ひでびゅっ!! へっぷばぁぁぁぁん!!」」」
 爆発が周囲の歩道橋まで巻き込んで、生物(ナマモノ)どもの頭上に瓦礫が降り注ぐ。これで潰しておけば、仮に再復活させられたところで、瓦礫の下敷きになって出てくることはできまい。
「ったく……手間掛けさせんじゃねぇぜ、ケダモノが!」
 バイクに乗ったままタバコを咥え、ヴィリーは最後に瓦礫へ向かって中指を立てた。もっとも、そんな彼の行動に対して怒りの声を上げられるだけの余裕は、瓦礫の下敷きになった生物(ナマモノ)どもには、欠片も残っていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
あら、可愛…い?…見様によっては可愛いかもしれないけど微妙ね…。
あんなのでも、一応オブリビオンなのよね…缶詰(人間)食べてるし…。

大勢が乗れるトラック・バス等で逃走。
追手を確認したら、自動運転に切り替え、運転に自身がある人に念の為、制御をお願い。
自身は屋根の上や荷台に上がり、【ブラッディ・フォール】を発動。
「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(テイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。
車が通る周辺の無機物(瓦礫等から信号機、建築物まで)全てに【文明侵略】を発動。
障害物を除去しつつ、黒竜の群れを際限なく生み出し、動物達を襲撃・蹂躙させるわ

その爪と牙を以て蹂躙しなさい、ダイウルゴス!



●かわいくないどうぶつたち?
 大型トラックに助けた人々を乗せての逃走中。
 サイドミラーに映った追手の動物達の姿を見て、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は少しばかり首を傾げて考えた。
「あら、可愛……い?」
 しまりのない表情に、なんとも言えぬ間抜け面。確かに、ああいう雰囲気の動物を、可愛いという者もいるだろう。
 だが、次の瞬間、動物達が叫んでいる言葉を聞いて、フレミアは思わず大きな溜息を吐いた。
「おぺぺぺぺぇぇぇっ!!」
「もろろっ! もろへいやぱぱぱぁぁぁっ!!」
 前言撤回。興奮した動物達の発する奇声は、もはやまともな言葉にさえなっていない。一瞬でも、あんな連中を可愛いと思いかけてしまった、自分が情けなくて仕方がない。
「……見様によっては可愛いかもしれないけど微妙ね……。それに、あんなのでも、一応オブリビオンなのよね」
 そういえば、あの連中は人間を加工して作った人肉缶詰を食べていた。まあ、実際は人肉を好んで食べていたわけではなく、なんか美味しそうな缶詰をもらったから、餌として食べていただけなのだろうけれど。
 とりあえず、これ以上は鳴き声を聞いているだけでも不快だったので、フレミアはさっさと片付けてしまうことにした。車を自動操縦に切り替え、自分はトラックの屋根の上に登る。そのまま追って来る敵の車を見下ろして、自慢の切り札を発動だ!
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 瞬間、フレミアの身体が黒い服に覆われ、その手に紅き刃が装着された。漆黒の翼を背中から生やしたその姿は、彼女がかつてキマイラフューチャーで戦った、ドラゴンテイマーの姿に他ならなかった。
「あなた達、死んだ生き物を自分達の同族にできるみたいね。でも……そういうの、こっちだって使えるのよ」
 しかも、自分の場合は無機物全てを材料に、自由に獰猛な竜を創造できる。ノリと勢いだけで突っ込んで来るアホな動物とは、端から格が違うのだ。
「その爪と牙を以て蹂躙しなさい、ダイウルゴス!」
 フレミアが告げると同時に、周囲に停まっていた車や無造作に置かれていた箱の山、果ては信号機や建物の壁までもが、全て黒竜に姿を変えて襲い掛かって来た。
「おろ? なんだあれ?」
「わー、おっきいなー! ねえねえ、ぼくたちとあそぼ……ぎゃぁぁぁっ!!」
 哀れ、何も知らずに突っ込んで行った動物達は、黒竜の群れに飲み込まれて餌食となった。見た目はアホでも、彼らは既に人の肉を食らった存在。その罪が許されるはずもなく、動物達は今までの業に対するツケを支払うかの如く、黒竜の胃袋に収まってしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロエ・アスティン
POWで判定

さぁ、みなさま脱出であります!
乗り込んだトラックの操縦は自動運転と捕まっていた少女の一人に任せて
自分は荷台で追いすがってくるどうぶつたちに対応するであります!

自分達が乗るトラックが通り過ぎた道路上に【アースジャイアント】を呼び出して
追いかけてくるトラックにぶつけます!
ただの土くれのアースジャイアントにかしこくなくなるおーらを放ってきますが……ゴーレムに関係ないであります。
迫ってくるトラックにタイミングを合わせて戦槌を叩き込んでやります!

※アドリブや連携も大歓迎



●悪い動物はお仕置きだ!
 悪徳の街で繰り広げられるカーチェイス。幸い、敵は軒並みアホなので、猟兵達が遅れを取ることは在り得ない。
 だが、それにしても数だけは多く、倒しても倒しても、どこからともなく湧いて来るのが面倒だった。おまけに、迂闊に仕掛けるとこちらもアホにさせられてしまうので、できればあまり関わらず、一撃で仕留めなければならないのが面倒臭い。
「さぁ、みなさま脱出であります!」
 そんな中、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は主に繁殖奴隷として連れて来られた少女達を集めて脱出を試みていた。問題は車の運転だが、幸いにして自動操縦ができるようなので、助け出した少女達に任せてしまっても大丈夫だろう……と、思ったのだが。
「えぇと……これ、どうやったら速く走れるの?」
「きゃぁっ! なんか、変なのが追い掛けて来た!!」
 おっかなびっくりに安全運転を命じてしまう少女達と、見境なくスピードを出して突っ込んで来る動物達とでは、ある意味で覚悟が違い過ぎる。このままでは、いずれ追い付かれ、再び捕まってしまうかもしれない。
「みなさまは、運転に集中を。ここは、自分がなんとかするであります」
 見兼ねたクロエが、ついに車の外へ出る。とはいえ、荷台に乗っているだけであり、さすがに飛び降りて戦おうとは思わない。
「わははははー! もうすこしでおいつくぞー!」
「わーい! おっかけっこ、たのしーなー!」
 本気でやっているのかいないのか、よく分からない台詞を発しながら、動物達が突っ込んで来た。だが、クロエは慌てず騒がず、それに合わせて呪文を唱えると、身の丈の二倍程もある大地の巨人を呼び出した。
「Guoooo!!」
 車の前に立ちはだかる大地の巨人。とはいえ、そもそもクロエの背丈が低いので、そのサイズはせいぜい2m程度だが……それでも、手にしたハンマーまで巨大化しているため、攻撃力が格段にアップしているのは間違いなく。
「Hunnuuuu!!」
 クロエがハンマーを振るうのに合わせ、大地の巨人もハンマーを振るう。それは見事に車の正面に直撃し、そのまま宙にカチ上げて吹っ飛ばした。
「まだまだ! 残りも全部、吹き飛ばしてやるであります!!」
 迫り来る追手を、次々と粉砕して行く大地の巨人。それでも、中には巨人の横をすり抜けて、クロエ達が乗っているトラックに迫って来る車両もあったのだが。
「きゃぁっ! 捕まっちゃう!」
「心配要らないでありますよ。……てぇりゃぁぁぁっ!!」
 豪快に振るわれたハンマーが、横殴りに敵の乗った車両へ襲い掛かる。渾身の一撃を受けた車両は、そのまま横に吹っ飛んで行き、建物の壁に激突して動かなくなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
良い暴れっぷりでござるな!こいつぁ負けられねぇでござる!

せっかくだから拙者はトラックを選ぶぜ!自動操縦のままアクセルをベタ踏みで固定して荷台の上へ!これで暴走トラック一丁上がり
ぶっちゃけ暴れに来ただけなので奴隷を助けた記憶は無いが荷台に隠れてた等の場合はご愁傷さまでござるね

つまりよぉ遊んでるフリをして蹴散らせばいいでござろう?かしこくないんだから騙すのはチョロいでござるよ
飛び乗ってきた動物は遊んでると思わせつつ纏めて爆破でござる!追っかけてくるトラックめがけ地雷を水平に投擲!
よーしよしよし…拙者と遊ぼう!フリスビーでござるよー取っておいで!
ついでに爆弾もばら撒いて街を爆破して遊びますぞ



●とりあえず暴れます
 猟兵達の活躍で、派手に粉砕されてゆく動物達。そんな様子を目の当たりにして、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は、心の中で何かが疼くのを止められなかった。
「良い暴れっぷりでござるな! こいつぁ負けられねぇでござる!」
 潜入の時もそうだったが……この男、ぶっちゃけ、ただ暴れたいだけではなかろうか? まあ、それでも敵の目を引き付け、始末してくれるのであれば、作戦の助けにはなるのだが。
「せっかくだから、拙者はトラックを選ぶぜ!」
 早速、手近なトラックを強奪すると、エドゥアルトは自動操縦に切り替えて、自らは荷台の上に登って行った。
 ちなみに、自動操縦の設定は、何の小細工もしないフル加速である。奴隷? そんなもの、最初から連れていない。これからすることを考えると、むしろ自分が敵の目を引き付けている間に、他の車両で逃げてもらった方が良かったので。
「ハッハッハ! こっちでござるよ! さあ、一緒に遊ぶでござる!」
 追手の動物達を、エドゥアルトは自ら誘って引き付けた。幸い、敵はアホばかりだったので、エドゥアルトの行動に裏があるなどとは考えもせず、ホイホイと進路を変えて突っ込んで来た。
「よーしよしよし……拙者と遊ぼう! フリスビーでござるよー取っておいで!」
「え? わーい、ふりすびーだ!!」
 エドゥアルトが円盤状の何かを投げれば、敵の車からいかにも頭の悪そうな犬が飛び出してきて、それをしっかりと咥えてキャッチ! だが、次の瞬間、犬の加えた円盤は、唐突に激しい光を放って爆発した。
「わー、すっごーい!」
「なにあれおもしろそー! ねえおじさん、もっとないのー?」
 もっとも、動物達は知能が低すぎたため、これも新手の遊び程度にしか考えていなかった。仲間が爆殺されたとは、欠片も考えていないのが残念過ぎる。
「そんなに気に入ったでござるか? では、これはスペシャルサービスでござる」
 調子の乗ったエドゥアルトは、今度は車両の前に地雷を設置して一斉爆破! ついでに、街の中にも無差別に爆弾を放り投げ、徹底的に破壊して行く。
「ヒャッハァァァッ! 爆殺だぁぁぁっ!!」
 悪徳の街に響くエドゥアルトの叫び。殆ど、どちらが悪者か分からない程に暴走しまくり、その後もエドゥアルトは街の建物を破壊しては、敵の目を存分に引き付けて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

土谷・メイ
【がれきの町】SPD・アドリブ歓迎
俺は戦車乗りですから運転もお手の物です!ですが威嚇射撃してやりたいので、【メカニック】で装備品の戦車機銃を車に即席で取り付けます。運転は十紀さんに任せます!

車からの銃撃は犬の身体だと難易度高いかもしれないので、念の為UC【ミラクルメタモルフォーゼ】で大男に変身。安定した身体で【制圧射撃】を【一斉発射】します!

そしてなるべくタイヤの【部位破壊】を重点的に狙います。パンクしろお前らぁぁ!


ジフテリア・クレステッド
【がれきの町】SPD・アドリブ歓迎
私も同乗させてもらうよ、っと。

さて、車周りのことは十紀とメイに任せておいて私は追いかけてくる連中の迎撃に専念しようかな。

殺人スピーカー!カモン!車に追走してついてきて!
【毒使い】の毒音波は【目潰し】【マヒ攻撃】効果のある強烈な【衝撃波】の【範囲攻撃】。この車には絶対に近づかせないよ。

まあ、相手は賢くなさそうだし小難しいことはいいか…。

私たちの反逆の歌を聞けーっ!!イッツ!ア!ロックンロール!!※【歌唱】【パフォーマンス】

死ぬぞーっ!今日の私の歌を聞いたオブリビオンは皆死ぬよーっ!
ヒャッハー!!これが本当の【蹂躙】だぜーっ!ママにもよろしくぅっ!!
ゲハハハハハ!


尖晶・十紀
【がれきの町】アドリブ歓迎
SPD

メイの車に同乗させて貰おう。
後ろは任せたよ。

【野生の勘】で安全かつ確実に逃げられるルートを通っていこう。まあ、ないなら【衝撃波】起こしてがれき吹き飛ばして道を作るなりするだけだけど。

……不安かな?それじゃ、エンジンと機銃の音をBGMに、愉快に楽しくいこう。皆を勇気づけられるよう【パフォーマンス】するよ。スリリングな逃避行の始まりだ。

ひゃっはー。十紀の【運転】テクが火を吹くぜいぇー。
【蹂躙】されるのはお前らの方だー(棒読み)

……なんてね?



●爆走、デス・ロード!
 悪徳の街を駆け抜けるトラック集団。助け出した人々を乗せたそれを追うのは、数だけは無駄に多い頭の悪い動物達。
 そろそろ、この街の出口に差し掛かる頃だ。ここで捕まっては全てが水の泡。ならば、ただ逃げるだけではなく、やはり迎撃しなければならないだろう。
「さて、車周りのことは十紀とメイに任せておいて、私は追いかけてくる連中の迎撃に専念しようかな」
 ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)が静かに立ち上がり、コンテナの上に登って行った。その一方で、運転を任された土谷・メイ(イヌの砲撃術【大】・f27738)だったが、彼もまた敵を迎撃すべく、全てを尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)に任せて外に出た。
「俺は戦車乗りですから、運転もお手の物ですが……威嚇射撃してやりたいので、ここは十紀さんに任せました!」
 それだけ言って、メイはトラックの屋根に即席の機銃と銃座を取り付けた。ジフテリアはジフテリアで、こちらもなにやら巨大なスピーカーのようなものを呼び出すと、それをズラリとコンテナの上に並べ。
「殺人スピーカー! カモン!」
 シャウトと共に、スピーカーが浮遊し始め、トラックの横を並走して行く。しかも、ただのスピーカーではない。大音量で指向性の毒音波をバラ撒くという、最狂最悪の音波兵器だ。
「私たちの反逆の歌を聞けーっ!! イッツ! ア! ロックンロール!!」
「うぎゃぁぁぁぁっ! みみがぁぁぁぁっ!!」
 コンテナの上でジフテリアが叫べば、それに合わせて放たれる凄まじい衝撃波。おまけに、致死性の毒音波でもあるため、それらを聞いた動物達は、次々と鼓膜が破れて死んで行く。
「よし、俺も切り札を見せますよ。人間になりたいという奇跡、叶えたいです!!」
 続けて、狼狽える動物達へ、大男の姿に変身したメイが機銃を発射!
 狙いは、敵の運転する車のタイヤだ。いかに強固な装甲へ改造されている車であっても、タイヤさえパンクさせてしまえば。
「……っ!? うわわわわ!」
「きゅ、きゅうにまわりだして……とまらないー!」
 盛大なスピンを始め、追手の車は互いに衝突して自爆した。まともに関わればアホにされ兼ねないので、こういう手合いは触れることなく、さっさと戦闘不能にするに限る。
「あぁ……ぅぅぅ……」
「う……ぐるるぅ……」
 もっとも、連れ出された奴隷の大半は、工場で育てられた言葉さえ分からない子ども達。外で凄まじい音がしているのを察してか、訳も分からず震えている者も多かった。
「……不安かな? それじゃ、エンジンと機銃の音をBGMに、愉快に楽しくいこう」
 そんな彼らの様子を察してか、十紀は車を運転しつつ、彼らを元気づけることにした。
「ひゃっはー。十紀の運転テクが火を吹くぜいぇー。蹂躙されるのはお前らの方だー!」
 殆ど棒読みに近い口調だったが、それでも一生懸命にジフテリアの奏でる音楽に合わせたつもりだ。まあ、外で繰り広げられている音楽は、殺人仕様のデスメタルだったので、好き勝手に叫べばとりあえず様になりそうなのは幸いだったが。
「死ぬぞーっ! 今日の私の歌を聞いたオブリビオンは皆死ぬよーっ」
 もはや、どちらが悪役かも分からないまでに吹っ切れて、外ではジフテリアが毒音波を撒き散らし続けている。なお、十紀が己を勅勘を信じて街の中を走り抜けたことで、比較的安全なルート……すなわち、幅の広いメインストリートを通ることとなり、そこに立ち並んでいた建物に住む多くの悪漢達が、軒並み巻き添えを食らって毒音波の餌食になったという。
「ヒャッハー!! これが本当の蹂躙だぜーっ! ママにもよろしくぅっ!! ゲハハハハハ!」
「うげぇぇぇっ! な、なんじゃ、こりゃぁぁぁっ!!」
 彼らの走り去った後には、何の関係もないモヒカンが耳から血を流し、盛大にぶっ倒れていたが……どうせ悪者には違いないのだし、特に問題はないだろう……たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『養豚場の4トン嬢』

POW   :    豚突猛進
【4トンの重みを乗せた】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【子供たち】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    ぶたぶたラッシュ
【重さのある拳の連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ママからのHELBOO ME
自身が【物理的・精神的ダメージ】を感じると、レベル×1体の【子供豚】が召喚される。子供豚は物理的・精神的ダメージを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠土谷・メイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●4トンママンとモンスター
 迫り来る動物達を車両諸共に蹴散らして、悪徳の街の出口まで後僅か。だが、そんな猟兵達の前に、突如として巨大な何かが降って来た。
「ようやくおいついたよ! お前達、よくも私の工場をメチャクチャにしてくれたねぇ!!」
 空から降って来たのは、巨大な豚の姿をしたマシーンだった。しかも、ただのマシーンではない。
 二足歩行ができる上に、頭には巨大なプロペラが生えている。尻尾もプロペラになっており、これで飛行して来たのだろう。背中からは多数のアームが生え、その先には肉切り包丁や解体ナイフ、他にも回転鋸やら大鋏やら、とにかく物騒な得物がたくさん装備されている。迂闊に近づけば、アームの先にある様々な凶器で、バラバラに解体されてしまうかもしれない。
「ブッフッフ……随分と手間取らせてくれたじゃないか。でも、もう逃がしゃしないよ! この『解体君1号』で、お前達を全員バラバラにして、缶詰の材料にしてくれる!」
 豚マシンの鼻から響いて来る怒り狂った叫び声。どうやら、鼻の部分がスピーカーになっているらしく、操縦しているのは工場の主でもある雌豚だろう。
「さあ、覚悟はできてるんだろうねぇ? まあ、できていようといまいと、ここまであたしをコケにしてくれたんだ。その落とし前は、しっかりつけさせてもらうからね!」
 怒り狂った巨大な雌豚、養豚場の4トン嬢が、モンスターマシンと共に猟兵達へと迫る。この街を脱出するには、なんとかしてマシンの猛攻を掻い潜り、中で操縦している本人を叩く他にない。
 多数のアームにより死角の少ないモンスターマシン。そして、操縦する4トン嬢もまた、見た目によらず強力なオブリビオン。
 だが、救出した人々のためにも、ここで負けるわけには行かない。モンスターマシンを駆る4トン嬢を撃破して、突破口を開くのだ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 今月末より、一時的にリプレイが執筆不可能な状態になります。
 9月26日を過ぎますと、次に執筆を再開できるのは10月7日からになります。
 その間の期間にプレイングを送られましても、対応することができませんので、ご了承ください。
ヴィリー・フランツ
〔連携・アドリブOK〕
[戦闘知識/継戦能力/弾幕/制圧射撃]

目的:4t豚の撃破

理由:クソッ!
ここまで来て追い付かれたか……
だがコイツさえ突破出来れば、安全圏まで逃げ切れる、やるしかねぇな!

手段:これはこれは、お見送り感謝だな。
何も無いがせめてもの返礼だ、腹一杯喰らいやがれ豚ババぁ!

先ずは奴の化け物マシンにUC【EMP弾頭】を食らわせてやる、どんなに素早く動いて、武器を積もうとも、それを制御するCPUがイカレればウドの大木と変わらんな。

後はブルパップ式小銃による全力射撃だ、
予備の弾倉は迷彩ベストに吊るしてある。

弾切れしたら直ぐに交換して射撃再開だ!
奴の武装を何個か壊して他の連中を楽にしてやる。


楠・結夜
これが最後の敵……? それなら絶対に負けられないですね。
意志のある人たちをもののように扱ったことは許せません。

あなたは、この問いかけに、答えられますか?
4トン嬢に【あなたはなあに?】と問いかけて、答えられるか試してみましょう。
……答えられるはずがないと思いますけどね。
人と物の区別がつかないような方に、この問いは難しすぎたでしょうか?

霧の獣には、締め付けで動きを止めさせ、毒の効果もプラスして、
いっしょにいるみなさまのフォローをさせていただけたら、と思います。

ほんとうならわたしがあなたを倒したいところではあるのですが、
まだそこまでの力がありません。

それでも、わずかながら力にはなれるはず、です。


クロエ・アスティン
SPDで判定

ここは自分に任せて皆様は隠れていてくださいであります!
トラックを飛び降りると同時に女神様に祈りを捧げて【戦乙女の鎧】を纏った姿に変身!

強化されたスピードと反応速度で多数のアームの連続攻撃をかいくぐって一気にモンスターマシンに取り付きます!
操縦席はやはり頭にあるのでありましょうか?
まずは装甲の薄そうな鼻のスピーカー部分に「ランスチャージ」をお見舞してやるであります!

それにしても、戦女神様の正装とは言え……この格好は恥ずかしすぎるであります……は、早く退治してしまいます!

※アドリブや連携も大歓迎



●驚異のモンスターマシン
 工場をメチャクチャにされた怒りをぶつけるべく、モンスターマシンと共に現れた4トン嬢。彼女の駆るマシンは多数のアームを背中から生やした巨大な豚。一見すると子どもの玩具にしか見えないが、しかし巨体を生かして凶器をメチャクチャに振り回されれば、それだけですさまじい脅威となる。
「ブタァァァァッ! お前達、全員纏めて斬り刻んでやるよぉぉぉっ!!」
 巨大な肉切り包丁が、解体ナイフが、他にも様々な屠殺道具が、猟兵達に襲い掛かる。一撃でも食らったら大ダメージは確実。おまけに、周囲の被害などお構いなしに、街を破壊しながら襲って来るので性質が悪い。
「くそっ! メチャクチャやりやがって!」
「これが最後の敵……? 絶対に負けられない……とはいえ、これでは迂闊に動けませんね」
 振り下ろされる様々な刃物だけでなく、落下する瓦礫も避けながら、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)や楠・結夜(damned proband・f29615)は、なんとか攻撃に移る隙を伺っていた。
 闇雲に暴れる相手は、考えが読めない分だけ面倒な敵だ。攻撃の軌道を瞬間で見切るのは容易くとも、次に何をしてくるか分からないため、迂闊に仕掛ければラッキーパンチによるカウンターを食らい兼ねない。
「ちょこまか逃げるんじゃないよ! 死ねぇぇぇぇっ!!」
 攻撃を避けられ続けて頭にきた4トン嬢が、ついに奴隷達を乗せたトラックに狙いを定めて攻撃して来た。慌てて逃げ出す奴隷達だったが、あまりに一斉に飛び出したことで、何人かは足を取られて転んでしまった。
「ひぃっ! もうダメだぁっ!!」
 迫り来る巨大包丁を前に、腰の引けた奴隷達は腕で顔を覆って顔を背けた。が、そんな彼らを凶器が叩き潰すよりも早く、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)が大楯を持って飛び出した
「ここは自分に任せて、皆様は隠れていてくださいであります!」
 振り下ろされた凶器を盾で受け止め、自ら身を挺して人々を守る。もっとも、さすがにサイズ差があり過ぎるのか、そう何度も受け止められそうにはない。
 ここはやはり、自分が囮になって時間を稼ぐべきだろう。そう判断し、クロエは敵をスピードで攪乱することにした。
「戦女神様、自分に力をお貸しください! ――ヴァルキリーズアーマー!」
 戦女神に祈りを捧げて鎧を纏い、クロエは戦乙女の姿となる。急所だけを保護するビキニアーマーは、軽量故にスピードを殺すことがない。
「な、なんだい、こいつは!? 急に速く……」
 クロエを叩き潰そうと必死になる4トン嬢だったが、瓦礫や路地といった地形を巧みに生かして逃げ回る彼女のことを、全く捕まえることができなかった。そうして、クロエが4トン嬢を引き付けている間に、ヴィリーは特製の弾丸を銃に込め。
「特別仕様の弾だ、外れんじゃねぇぞ!」
 物陰から飛び出して放ったのは、電子機器を混乱させるEMP弾頭。どれだけ巨大なマシンでも、電子系を破壊してしまえば、機能に支障が出ることに違いはない。
「ブヒィッ! こ、今度は何事だい!?」
 突然、コンソールパネルがショートして火を噴き、4トン嬢は悲鳴を上げた。これでは、自動操縦の類やコンピュータ制御の類は全て役に立たない。途端に動きが鈍くなるモンスターマシンだったが……しかし、4トン嬢も諦めてはおらず。
「まだだよ! こうなったら、手動に切り替えさね! その間の時間稼ぎは任せたよ、お前達!」
 なんと、大量の子豚を呼び出して、ヴィリーに殺到させ始めた。
「マシンがダメなら、今度は子どもに戦わせるってか? 悪いが、お呼びじゃねぇんだよ!」
 大量に現れた子豚の群れを、ヴィリーは小銃で迎え撃った。弾が切れても、直ぐにマガジンを交換して補給する。幸い、子豚達は遠距離攻撃手段を持っていないのか、次々とハチの巣になり倒れて行く。
「ぐぬぬ……。おのれ、よくも私の可愛い子ども達を!」
 そうこうしている間に、4トン嬢がマシンを手動に切り替えて、再びヴィリーに襲い掛かろうとした。が、次の瞬間、今度は結夜が4トン嬢に、唐突に質問を投げかけた。
「あなたは、この問いかけに、答えられますか? ……あなたはなあに?」
「はぁ? 今、それどころじゃないんだよ! 小便臭い小娘は引っ込んで……ぐ、ぐぇっ! なんだい、こりゃ!?」
 横槍を入れられ、憤る4トン嬢だったが、そんな彼女に霧の獣が纏わり付く。これこそが、結夜のユーベルコード。彼女の質問に対し、彼女が望む形で答えを言わなければ、想念の獣に延々と苦しめられることになるのだ。
「やはり、答えられませんでしたか。人と物の区別がつかないような方に、この問いは難しすぎたでしょうか?」
「うぐぐ……こ、小癪な……」
 手動に切り替えたにも関わらず、今度は身体そのものの動きを封じられ、4トン嬢はモンスターマシンを動かす術を失ってしまった。それでも、気合と根性で想念の獣を振り払おうとするが、そこはクロエがさせなかった。
「操縦席は、やはり頭にあるのでありましょうか? ならば……!」
 いつの間にか建物の上に登っていた彼女は、そのまま床を蹴って飛翔すると、モンスターマシンの鼻に槍を突き刺したのだ。
「ブギャァッ!! し、しまった! 音声システムが!!」
 スピーカーを破壊され、衝撃でモンスターマシンが盛大に倒れる。自分の体重が変な方に掛かったせいか、背中のアームも何本か折れて使い物にならなくなってしまった。
「おぉ、凄いぞお嬢ちゃん!」
「そんな豚野郎、さっさと鉄屑に変えちまえ!」
 モンスターマシンを圧倒するクロエ達に、周りで観ていた人々が歓声を上げた。もっとも、当のクロエは自分の恰好が恥ずかしかったのか、早く戦いを終わらせたい気持ちでいっぱいだったが。
「おのれぇ……よくもやってくれたね! こうなったら、もう容赦しないよ!」
 気合で拘束を振り解き、ゆっくりとモンスターマシンを起こす4トン嬢。悪徳の街より人々を逃がすための最後の決戦は、まだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フレミア・レイブラッド
先程も言ったけど…知恵をつけたところで所詮家畜ね…。

2章から引き続き【ブラッディ・フォール】で「ドラゴンテイマー」継続中。

2章で【文明侵略】により際限なく生み出した黒竜の群れ全てを豚に向かわせ、敵マシンを攻撃・足止め。

その間に本命の【ギガンティックダイウルゴス】を発動し、全てを合体させ、一体の超巨大竜にして召喚し、【騎乗】。
バスは自動操縦で逃がし、自身は超大型ダイウルゴスで攻撃。
悪趣味なマシンを破壊してあげるわ!

敵が子豚を召喚したら【念動力】の不可視の網で捕縛し、魔槍で始末や、竜に潰させるなりして対処

ドラゴンに乗った吸血姫対メカ豚に乗ったメス豚…悪役が酷すぎるけどB級映画くらいにはなるかしら?



●対決! モンスターマシンVS巨大黒竜!?
 巨大なモンスターマシンを駆り、周囲を顧みず大暴れする4トン嬢。しかし、圧倒的な体格差を前にしても、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は慌てなかった。
「先程も言ったけど……知恵をつけたところで所詮家畜ね……」
 そんな化け物を使ったところで、闇雲に暴れるだけなら恐れるに足らず。それに、巨大な存在を操れるのは、なにもそちらの専売特許ではないのだと。
「さあ、行きなさい、ダイウルゴス。全てを喰らい尽くすのよ!」
 先程の戦いに続き、フレミアはドラゴンテイマーの能力を行使し、周囲の無機物より生み出した黒竜の群れをモンスターマシンへと殺到させた。対する4トン嬢も子豚を呼び出して応戦するが、竜と豚では、その戦力の違いは明らかだ。
「うわぁっ! 助けて、ママァ!」
「こんなのがいるなんて聞いてない! 食べられちゃうよぉ!」
 残念ながら、黒竜の前では4トン嬢自慢の息子達も、単なる餌に過ぎなかった。その間に、フレミアは本命のユーベルコード……呼び出したダイウルゴスを融合させ、巨大な竜へと変化させる技を発動した。
「さあ、あなた達は逃げなさい。この悪趣味なマシンは、わたしが破壊してあげるわ!」
 巨大化した黒竜の頭に乗ってモンスターマシンの前に立ちはだかり、フレミアは奴隷達を乗せた車を自動操縦で街の外へ向かわせた。追い掛けようとする4トン嬢だったが、そこは簡単に通さない。
「あら、どこへ行くつもり? もしかして、あなたもこの竜が恐ろしくて逃げるのかしら?」
「ふざけるんじゃないよ! そこを退きな、このアバズレが!」
 先程よりも更に大量の子豚を召喚し、4トン嬢は手動でモンスターマシンを動かして襲い掛かって来た。が、いくら呼び出したところで、豚は豚。フレミアの張った念の網で動きを止められたところを、巨大な竜の足で簡単に踏みつぶされてしまい。
「ドラゴンに乗った吸血姫対メカ豚に乗ったメス豚……。悪役が酷すぎるけど、B級映画くらいにはなるかしら?」
 改めて、多数のアームを持った巨大豚型マシンへと立ち向かう。機械の化け物と黒竜が至近距離で激突する様は、殆ど怪獣映画の如き様相だ。
「ブゥゥ……な、なんだい、こいつは! 刃物が全然通りゃしないじゃないか!」
 アームによる攻撃が黒竜に次々と襲い掛かるも、それらが致命傷になることはなく、4トン嬢は焦っていた。体格は互角でも、戦闘力ではフレミアの操る黒竜の方が、少しだけ上を行っているのだ。
「効果が切れる前に、少しでも破壊してあげるわ。その、悪趣味な武器も一緒にね!」
 黒竜の爪が敵のアームを握り締め、怪力に任せて引き千切る。武器を奪われたモンスターマシンは火花を上げながらバランスを崩し、周囲の建物を巻き込む形で倒れて煙を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
まぁ、大変
そんな缶詰みたいな殻に籠られて
牙も刃も立ちゃしない
なら、こういうのはどうかしら?

【墓守の獣】に変身
肌も毛並みも黒く染まり
蒼白い雷光で攻撃を

【逃げ足】活かして立ち回り
多少の傷は【激痛耐性】で耐えながら
【野生の勘】で連続攻撃の隙を紙一重
挽き肉になるのはごめんだもの

メアリ、あなたの気持ちはわかるのよ?
こちらを食い物としか思っていない相手を屠殺し返してやる
それはとっても甘くて素敵な事だもの!

えぇ、だけれど
今のあなたは苦痛も恥辱も忘れ果て
ただ悪趣味な飽食を繰り返すばかり
あぁ、なんて堕落かしら!

それは復讐じゃなくてただの殺戮
あなたはもはや復讐「される」側
だから、メアリがあなたを屠殺し返してあげる



●復讐の果てに
 巨大なマシンを武器に、怒りに任せて暴れ狂う4トン嬢。マシンは半壊状態ではあるものの、それでもメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)は、敢えて驚いたような素振りを見せた。
「まぁ、大変。そんな缶詰みたいな殻に籠られて、牙も刃も立ちゃしない。……なら、こういうのはどうかしら?」
 それだけ言って、メアリーは黒妖犬の骸魂と融合した。瞬間、少女としてのメアリーの姿は溶けて消え、代わりに現れたのは漆黒の犬だ。
「今だけはメアリもあなたと同じ、犬になってあげる」
 振り下ろされた凶器を紙一重で裂け、メアリーはモンスターマシンに肉薄した。この姿になったところで、あのマシンに決定打を入れる術はない。しかし、その中で操縦する4トン嬢そのものが相手であれば、話は別だ。
「メアリ、あなたの気持ちはわかるのよ? こちらを食い物としか思っていない相手を屠殺し返してやる……それはとっても甘くて素敵な事だもの!」
「ふん! だったら、邪魔するんじゃないよ! 帰って骨でもしゃぶってな!!」
 横薙ぎに払われた解体ナイフが、メアリーの身体を両断しようと迫った。が、メアリーはそれさえも軽々と避け、ナイフを持っているアームの上へと飛び乗って。
「えぇ、だけれど、今のあなたは苦痛も恥辱も忘れ果て、ただ悪趣味な飽食を繰り返すばかり。あぁ、なんて堕落かしら!」
 そのままアームを一気に駆け上り、モンスターマシンの頭部へと迫る。狙いは、先の戦いで破壊された豚の鼻。そこに開けられた大穴に飛び込めば……その中は、モンスターマシンの操縦席に繋がっていた。
「な、なんてやつだい! まさか、この部屋の中にまで入って来るとは!?」
 驚愕する4トン嬢だったが、メアリーは構わず急所に噛みつかんと飛び掛かる。しかし、4トン嬢も負けてはいない。その巨体にも関わらず、目にも止まらぬ拘束ラッシュで、メアリーのことを迎え撃つ。
「あなたのやっているのは、復讐じゃなくてただの殺戮。あなたはもはや復讐『される』側。だから……」
 蹄のラッシュを避けながら、メアリーは反撃を食らわせる瞬間を待った。相手の攻撃は確かに速いが、一度でも放てば、もはや自分にも止められないのだ。
「だから、メアリがあなたを屠殺し返してあげる!」
 復讐も、度が過ぎれば新たな復讐を生むだけでしかない。そのことを、身を以て思い知れ。
 最後の蹄を避けたところで、メアリーは4トン嬢の首筋に噛み付いた。迸る鮮血がモンスターマシンの操縦席を赤く染め、豚の悲鳴が響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

土谷・メイ
【がれきの町】 アドリブ歓迎
ついに出ましたね4トン嬢!!さぁ、お前の悪事を数えろ!!いっぱいあるでしょう!!
とか言いながらあらかじめ路駐しておいた俺の愛用の戦車へ急いで乗り換えます。俺と一緒に来たお二人が相手をしている間に、榴弾をセット。
UC【エクスプローシブジャスティス】で悪事に応じた榴弾の炸裂攻撃!その後も通常弾【砲撃】を弾込めしまくって【一斉発射】!思いっきり【吹き飛ばし】ますよ!
今夜はチャーシューだぁぁ!!(食べないけど!)


ジフテリア・クレステッド
【がれきの町】アドリブ歓迎

【目立たない】ように【スナイパー】ライフルで【先制攻撃】。
汚染毒弾の力でマシンだろうが侵食する毒による【鎧無視攻撃】の【部位破壊】してあげる。※【毒使い】

覚悟だの落とし前だの言ってる時点でズレてるよね…お前が真っ先にすべきは命乞いだよ。ま、もう遅いけど。

てな感じで【挑発】しながら【ダッシュ】と【継戦能力】で敵の攻撃を躱しつつ、ちまちま嫌がらせ程度に攻撃して2人の援護に回る。

十紀の狙いが嵌って敵がマシンから出てくるか毒弾の効果でコクピットが露出するかしたら4トン嬢にも毒弾を撃ち込んで毒効果で【目潰し・マヒ攻撃】。

下処理は済んだかな…仕上げはお願いするよ、メイ。


尖晶・十紀
【がれきの町】アドリブ歓迎

メイと彼女にどんな因縁があるかは知らないけど……望まれるなら、力は貸すよ。……それに、個人的に十紀が奴をブッ飛ばしたくなったのもある。

……あの場で生まれた彼らを、見てしまったからね。

敵を挑発し引き付けつつ
UCで牽制。
榴弾の射線範囲内に誘導する。密閉空間…マシンの中にいるなら、相当熱いはずなんだよね。
耐えられず出てくるのと、マシンが過熱で壊れるのとどっちが先かな……?攻撃も重いけど、地面に上手く誘導すれば逆に地盤を崩して即席の落とし穴に出来そうだし。蒸して嵌めたら最後の仕上げだ。

皆の衆喜べ……今夜は焼豚だ……大分吹き飛んで散り散りだけど。



●花火と焼き豚
 猟兵達との激しい戦いによって、4トン嬢の駆るモンスターマシンは、見るも無残な姿に変わっていた。
 だが、そこはやはり怪物機械。タフさだけは別格であり、あれだけの猛攻に晒されながらも、未だ完全に機能を停止することはなかった。
「ついに出ましたね4トン嬢!! さぁ、お前の悪事を数えろ!! いっぱいあるでしょう!!」
 そんな化け物マシンの中にいる雌豚に対し、土谷・メイ(イヌの砲撃術【大】・f27738)は大声で叫んだ。遠間から見れば、犬が巨大なマシンに向かって吠えているようにしか見えないが……それも、彼の作戦の内だ。
「この犬っころが! 生身の身体で、このマシンに勝てるとでも思っているのかい!?」
 今までの戦いで好き放題にやられてブチ切れた4トン嬢が、早々にメイを踏み潰さんとマシンを動かし始めた。が、マシンが足を上げたところで、今度はどこからともなく現れた無数の蛍火が、マシンに取り付き始めたではないか。
「ゆらゆらと、燃やせ、舞い踊れ、ゆらゆらと……」
 それは、尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)の放ったものだった。一発、一発にモンスターマシンを破壊するだけの威力はないが、牽制としては十分だ。
「えぇい、鬱陶しいね! 調子に乗るんじゃないよ、このガキ……って、痛っ!?」
 炎を振り払おうと、モンスターマシンを暴れさせる4トン嬢。しかし、続けて放たれたライフル弾がマシンの後頭部に炸裂し、衝撃で操縦席のパネルに顔面を叩きつけられた。
「覚悟だの落とし前だの言ってる時点でズレてるよね……。お前が真っ先にすべきは命乞いだよ。ま、もう遅いけど」
 建物の上から、ライフルを構えたジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)が呟いた。彼女の放ったのは、ただのライフル弾ではない。金属さえも腐食させる、特製の汚染毒弾だ。
「お前達、もう許さないよ! 全員、この場で挽肉にしてくれる!!」
 散々に翻弄されて頭にきたのか、周囲の建物を破壊して、4トン嬢はモンスターマシンをメチャクチャに暴れさせ始めた。が、メイ達はそれぞれに散開すると、牽制を繰り返しながら逃げ回った。
「はぁ……はぁ……。まったく、頭に来る連中だねぇ。しかし、なんでこんなに暑いんだい?」
 いつの間にか、操縦席の中が蒸し風呂になっていることに4トン嬢は気が付いた。実は、これこそが十紀の狙い。蛍火をマシンの装甲に付着させることで、その熱を内部に浸透させて、温度を急上昇させたのである。
「ちっ……冷房も壊れて動きゃしない。どうなってるんだい、まったく!」
 ついには、レバーで動かしてもマシン自体まで動かなくなり、4トン嬢は立ち往生してしまった。ジフテリアの放った腐食弾。それが時間をかけてマシンの内部に浸透し……ついには、駆動系さえも腐食させてしまったのである。
「えぇい、こいつはもうダメだ! でも、まだ諦めちゃいないよ!」
 単なる鉄屑になったマシンを捨てて、ついに4トン嬢が外に飛び出して来た。地鳴りを立てて着地する巨大な豚。コミカルな外見をしているが、その実力はマシン抜きでも極めて高い。
「お前達は、このあたしが直々に始末してやるよ! 覚悟しな!!」
 その巨体からは想像もできないスピードで、4トン嬢が十紀とジフテリアに迫る! パワーとスピードの双方が極限まで高められた蹄の連打。一発でも食らってしまったが最後、致命傷に成り兼ねない。
「ブタブタブタブタブタブタブタブタブタブタ……ブタァァァァッ!!」
 奇声を発しながら、4トン嬢の情け容赦ないラッシュが二人に炸裂した。可能な限り避けようとするも、さすがに全てを捌くことはできず。
「「……っ!?」」
 最後の最後で直撃をもらい、十紀とジフテリアの身体が吹っ飛んだ。煉瓦塀に叩きつけられ、崩れ落ちる二人。そこに迫る4トン嬢の蹄が、止めを刺さんと襲い掛かる。
「ブウヒィィィィッ!! こいつで終わりにしてや……ブヒョッ!?」
 だが、最後の最後で、4トン嬢は道に開いていた穴に足を取られて躓いた。その隙を逃さず、ジフテリアが顔面目掛けて毒弾を発射。盛大な目潰しを食らい、方向感覚を失った4トン嬢は、もはや狙いを定めることさえ不可能だ。
「下処理は済んだかな……仕上げはお願いするよ、メイ」
 錯乱する4トン嬢の姿を確認し、ジフテリアがメイに告げた。そして……いつの間にか戦車に乗り込んでいたメイが、その砲塔をゆっくりと4トン嬢に向けて行き。
「もう許せません! 榴弾の炸裂攻撃喰らえーッ!!」
 必殺の榴弾砲を情け容赦なく発射! 辛うじて微かな視界を取り戻した4トン嬢が、足を穴から抜いて突撃して来るが、もう遅い!
「今夜はチャーシューだぁぁ!!」
「ブッヒョォォォォッ!!」
 榴弾を食らい、盛大に吹っ飛んで行く4トン嬢。その身体は悪徳の街の夜空に映える花火となって、空中で木っ端微塵に弾け飛んだ。
「皆の衆喜べ……今夜は焼豚だ……。大分吹き飛んで散り散りだけど」
 黒焦げの肉塊となって散った4トン嬢の姿を見て、十紀が最後に呟いた。
 あの豚とメイに、何の因縁があったのかは分からない。だが、工場の中で見た人々の姿……あの場所で産まれ、人間の尊厳も知性も奪われて、単なる獣として搾取されるだけの子ども達を見てしまった以上、十紀にとっても4トン嬢を許すつもりなど微塵もなかった。
「ふぅ……これで、ひとまずは安心ですかね?」
「そうだね。さあ、長居は無用だよ。早くこの街から脱出しよう」
 戦車のハッチを開けて顔を出したメイに、ジフテリアが告げた。あれだけ粉々にされたのであれば、いかに不滅のオブリビオンといえど、もはや骸の海から帰還することもあるまい。
 かくして、悪徳の街に聳え立つ人間工場は、その管理者である雌豚共々に駆逐され、捕らわれていた人々も解放されたのであった。それは小さな一歩に過ぎないものかもしれないが、しかし悪徳の街から人々を解放できたという事実は、この世界に生きる者達に、確かな希望を与えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年09月27日
宿敵 『養豚場の4トン嬢』 を撃破!


挿絵イラスト