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エスケープ・フロム・ザ・ヴォーテックス・シティ

#アポカリプスヘル #ヴォーテックス・シティ

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#ヴォーテックス・シティ


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●アポカリプスヘル:ヴォーテックス・シティ"10番目の10番街"
「アハッ、ハハハハハ!」
 "レイダーピエロ"ジミー・ザ・ジョーカー! 笑顔がだぁい好きなイカれ野郎!
 そいつは顔をべっとり血に染めて、カタナをくるくる回してタンゴを踊る。
 ああ、でも気をつけてジミー! 足元はヌルヌルの血でいっぱいだ!
「アハッ、ヒヒヒッ! アハァ――アァッ!?」
 言わんこっちゃない。ジミーったらすってんころりん。
 頭をごっつんぶつけて、赤んぼみたいにもがいてる。おかしいね!
 レイダーたちはお腹を抱えて大笑い。だってこんなに間抜けなんだもの!

 あれ? でも、どうして"観客"たちは、これっぽっちも笑ってないの?
 せっかくジミーが楽しくふざけてるのに、これじゃあピエロの面目丸潰れ!
 頭を抑えてジタバタしてたジミーは、ふわりと風船みたいに起き上がった。
「ホ? ホーホーホー! こりゃ残念、なんとも残念! 俺のギャグはお嫌いかい?」
 ジミーはニタニタ笑いながら、観客たちにツカツカ歩み寄る。
 せっかくピエロが来てくれたのに、子どもたちはブルブル震えるばかり。
 ジミーは悲しそうに顔を覆うと、シクシク泣き出しちゃった。かわいそう!
 レイダーどももシクシク泣いてるよ。子どもたちに寄り添ってあげてるんだね。
 それでも子どもたちは泣いている。ジミーはぴたりと動きを止めた。
「ピーカ、ブー!! アーハハハハー!」
 両手をガバっと広げておどけてみせる。それでも子どもたちは笑わない。
 ジミーはもうお手上げ状態。レイダーどもと顔を見合わせて肩をすくめちゃった。
「フーム、仕方ないねえ。じゃ、お前ら"も"死んじゃうか! アハーハハハァー!!」
 ジミーは近くの死体に刺さったカタナを引き抜くと、ニタニタ笑ってそう言った。
 レイダーどもは大はしゃぎ。あら? 子どもたちもようやく笑ってくれた!
 涙を流しながらひっひっと笑ってる。でも残念、もう手遅れ!
「イーニー、ミーニー、マイニー、モー! キャッチャタイガァー、バイザァトー!」
 ジミーったらとっても楽しそう。
 レイダーどももゲラゲラ楽しそう。
 こどもたちも笑顔で楽しそう!

 Eeny,meeny,miny,moe!(だーれーにーしーよーうーかーな!)
 Catch a tiger by the toe!(トラのつま先つかまえて!)
 If he hollers let him go,(もしも吠えたら離してあげよう!)
 Eeny,meeny,miny,moe!(だーれーにーしーよーうーかーな!)

 レイダーどもはジミーと一緒に大合唱。子どもたちはへらへら笑ってる。

 My mother told me(かあちゃんが俺に教えてくれたんだ)
 To pick the very best one(最高の何かを選ぶとしたら)

 ジミーったら、ようやく誰にするか決めたみたい!
「アンド・ユー・アー・イット(それはお前のことだって)」
 年端も行かぬ少女の首筋に、血でぎらつく刃が押し当てられた。
 少女は泣きながら笑っていた。殺された家族と友達を思って泣いていた。
 でも大丈夫。だってもうすぐ、同じところへ逝けるんだから!

●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「許してはならんことだ」
 賢者の声はわずかに震えていた。モノクルの奥の瞳は怒りに冷えている。

 ヴォーテックス・シティ。
 それはアポカリプスヘルで見つかった、邪悪なるレイダーの塒。
 強大無比なる"ヴォーテックス一族"が支配する、夜を忘れた快楽と退廃の街。
 面積は驚くべきことに、旧ニューヨークの二倍に匹敵するという。
「規模もさることながら、この街はレイダーが支配する無法と欲望の街と化しておる。
 違法薬物、人体実験、殺人ゲーム、人間闘技場……他にもあらゆる退廃が集う」
 口にするをはばかられる、邪悪で下劣極まりないあらゆる凶行の渦。
 残念ながら、この街をいますぐ壊滅させることは不可能だと賢者は語る。
「"ヴォーテックス一族"の全容は知れぬ。彼奴らはまさに"王の中の王"だ。
 いま出来ることは……この街で虐げられる、奴隷となった人々を救うことのみ」
 それも、予知というアドバンテージがあってはじめて可能だ。
 誰よりも無力感を覚えているのは、間違いなくこの少年めいた賢者であろう。
 なぜなら彼は、予知したその場で戦うことが出来ないのだから。
 けれどそのぶん、彼は呼び集めた猟兵たちを力強く見返し、言った。
「ワガハイが予知したのは、ヴォーテックス・シティの一角に関わるものだ。
 そこは"10番目の10番街(ナンバーテン・オブ・テン)"と呼ばれているらしい。
 ……"最悪(Number ten)の中の最悪"と言ったところか。実に悪趣味である」
 "現時点"でそこを支配するのは、予知に現れた狂気の道化師。
「彼奴は数多くのレイダーを支配下におき、奴隷にした人々を苦しめておる。
 その上彼奴は、年若い子供ばかりを狙っているようだ。まったく、忌々しい」

 ムルヘルベルは重たい息を吐き、眉間を揉んだ。そして頭を振る。
「……すまん、冷静にならんといかんな。もう少し詳しい状況を伝えよう。
 問題の区域は廃ビルが立ち並び、そこら中にけばけばしい灯りが点いておる。
 表通りを行き交うのはレイダーばかりだ。真正面から暴れるのは得策とは言えん」
 だが、と彼は続ける。
「あえてそうすることで、他の者が奴隷を救出する手助けになろう。
 子供たちはあちこちに囚われており、主に強制労働に就かされておる。
 もっとも子供たちが集められておるのは、中央にあるサーカステントのようだ」
 そこで繰り広げられるのは、ジミーによる何の意味もない殺戮ショー。
 放っておけば、彼らは予知のとおりに命を散らすことになる。
「無論、子供たちを連れ出す逃走経路の確保も重要となるであろう。
 敵は事が露見すれば、用意したマシーンでオヌシらを追撃してくるはずだ」
 つまり戦いは、市街地を舞台としたカーチェイスとなる。
「幸い現地には、あちこちに乗り捨てられた車やバイクがある。必要ならば使え。
 あの道化師めも出てくるであろうが……おそらく、一筋縄ではいかないであろうな」
「彼らの帰るべき家が残っているかどうか、迎えてくれる家族が居るのかどうか。
 ……それはワガハイにはわからぬ。だがここで見殺しにしていい理由はあるまい。
 オヌシらの力を貸してくれ。この戦いは、必ず大きな敵を斃す楔となるはずだ」
 そう言ってムルヘルベルは、持っていた本を強く握りしめた。
「"自由が支配者から与えられることはなく、虐げられる者が求めるほかにない"。
 ……屈従に抗い続けた、ある男の言葉だ。彼らはきっと、自由を求めておる。
 ならば神でも悪魔でもなく、我らが応えるべきだ。オヌシらの健闘を祈る」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 チリドッグです。来ましたよ、いかにも悪党の根城らしい場所が!
 罪なき奴隷を開放し、悪徳の街に大渦を巻き起こしてやりましょう!

●1章の備考
 この章は、「奴隷たちの開放」と「逃走経路を確保」のふたつが目的となります。
 奴隷たちはあちこちの強制労働所や、殺戮ショーの舞台であるテントにいます。
 忍び込んでよし、あえて囮になって敵を引きつけてよし、紛れ込んでよし。
 都市郊外に繋がるエリアで大立ち回りを繰り広げ、露払いするのもいいでしょう。
 この章でもレイダーは登場しますが、いずれも雑魚であり簡単に倒せます。

●2章以降について
 このシナリオでは、巨大な街を舞台としたカーチェイスが繰り広げられます!
 OPの通り必要であれば乗り物をピックアップすることも可能ですし、
 自慢のマシンやユーベルコードで召喚した怪物で爆走してもいいでしょう。
 ちなみに、大ボスのジミーもマシンに乗って出てきます。クソデカいやつです。

●プレイング受付期間
 9/3(木)23:59前後まで。

 なお参加数や当方のスケジュール次第で、多少不採用が出るかもしれません。
 再送はなるべくお願いしないつもりで頑張ります。よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『セーブ・ザ・スレイブ』

POW   :    レイダーを腕力で成敗する

SPD   :    逃走経路を探し、秘密裏に奴隷を逃がす

WIZ   :    自身もあえて奴隷となり、現地に潜入する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アポカリプスヘル:ヴォーテックス・シティ"10番目の10番街"
 あちこちの廃ビルに壊れかけたネオンがかかり、バチバチと点滅している。
 そこかしこの曲がり角にはドラム缶が置かれ、メラメラと火柱を立てていた。
 地面を見下ろせば、乱雑に捨てられた注射器や明らかに危険な薬物のパック。
 ……そして頭上には、ダウンタウンの洗濯物めいて吊り下げられた死体。
 ドラム缶の焚き火のなかにも、よく見れば焦げた頭蓋骨が転がっていた。

 ここはヴォーテックス・シティ。
 思いつく限りの悪徳と下劣と凶気を煮詰めた場所。
 夜を忘れ、人々を苦しめることで成り立つ悪魔どもの街。
 鎖で繋がれた子供たちは、薄汚れてうつむき、笑顔を忘れている。
 今はまだ、この街を打ち砕くことが出来ないとしても。
 彼らの命を救うことは、未来を救うに等しいはずだ。
東雲・深耶
連携歓迎
「そこまでだ」
響く声と同時に遠距離から斬撃を飛ばし――一秒で六万五千放たれる時空を駆ける斬撃が――子供たちを手にかけようとしたレイダー全員と残虐なショーを見学に来ていた観客を両断する。
多くのレイダーから注意を引き、敢えて一対多数の構図にして出来る限り救出される子供たちから引き離す。

「ほう、人質か。武器を捨てればいいのだな?」
刀を回転するように投げてそこから放たれる刃からの斬撃で人質を取っていたレイダーをなます切りに、放り投げた刀をキャッチして子供に駆け寄る。

「安心しろ、こんなのがもっとゴロゴロいる。そんな奴らが君たちを救うべくやってくるからな」
そう片手で子供を抱きしめながら外へ出る。



●白刃、悪を斬る
 この"10番目の10番街"において、子供は労働力であり道具であり玩具だ。
 そして、その権利は"市民"――つまり、レイダーすべてに与えられている。
 強制労働施設に叩き込んでもよし、
 自分専属の小間使いとして引きずり回してもよし、
 むしゃくしゃしたときに殴り殺すクッション代わりもよし。
「おいそこのガキィ!」
 ……道端で、痰でも吐き捨てるかのように気楽に殺してもよし。
「そこのテメェだァ! こっちへ来いッ」
 レイダー二人組に"見初められ"てしまった少女は、びくりと肩を震わせた。
 行けば死ぬ。目の前でそうなった仲間を見たから、骨身にしみている。
 だがいざ自分がそうなってみると、足が震えて声も出なかった。
「あーン? テメェ、俺様の命令に逆らうつもりかァ……?」
 そして叛逆はより残酷な処刑をもたらすことも、彼女は知っている。
 ニタニタと嗜虐的な笑みを浮かべたレイダー二人組が、じりじり近づいてきた。
 その手にはチェーンがじゃらじゃらと握られている。あれを鞭代わりに使うのだ。
「言うこと聞けねェ悪い子にゃあ、たぁっぷり躾をしねぇとなァー!!」
 レイダーはふたり同時に鎖鞭を振り上げた!

 ――しかし。
「そこまでだ」
「「あ?」」
 振り上げた鞭が下ろされることは、なかった。
 凛とした声が聞こえた瞬間、鎖とともにレイダーどもはバラバラになった。
 きょとんと呆けた顔のまま、二体の外道は混ざり合ってわからなくなる。
 それほどまでの連続斬撃。ごろごろと地面を転がる残骸に、少女は悲鳴をあげた。
「大丈夫だ。だが、見ないほうがいい」
 レイダーどもを斬殺した当事者――東雲・深耶は優しい声音で言うと、
 怯える少女を抱き寄せ顔を隠してやる。当然、他のレイダーどもが見咎める。
「なんだ、てめぇ!?」
「まさか……猟兵か!」
「ケッ! たったひとりで来るたぁいい度胸だ!」
「"ひとり"? なるほど、たしかに"ここに居るのは私ひとり"だな」
「どういう意味だ、てめ――」
「邪魔だ」
 深耶は一瞥すらせずにレイダーを真っ二つにし、少女を抱えて身を翻した。
 武器を振り回すレイダーどもが、のこのこと追いかけてくる。
 白昼堂々の犯行だ。このあたりのレイダーはみんな引きずり出されるだろう。
 そう、芋蔓式に。つまりそれが、味方の救出を支援する囮となるのだ!
「おいおいいいのかァー? ガキを助けに来たんじゃねえのかよ!
 逃げてばっかりじゃ助けられないぜェ? 助けたいなら武器を捨てな!!」
「ほう。武器を、捨てればいいのだな?」
 深耶はざざっと地面を滑りながら反転すると、言葉通りに刀を投げ捨てた。
 すると空中で回転する刃から、無数の斬撃波動が放たれレイダーを一網打尽に!
「「「げえええええっ!?」」」
 深耶は落ちてきた刀をキャッチすると、いまだ震える少女に言った。
「安心しろ。私のような者はもっといる。君たちを救うべく、やってくるからな」
「わ、わたしたちを、助けるために?」
「そうとも。だからもう、怯える必要はない」
 少女は深耶の顔を見上げた。その表情は、彼女が長らく忘れていたもの。
 ――すなわち、希望に満ち溢れた笑顔だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

囁石灯・銀刃郎
こう言うの、日常茶飯事っちゃあそうだけど、
聞いてて気分の良い話ではないのよねぇ…だからどうしたって話だけど。
レイダーを潰す機会だし、やってみるかぁ。

奴隷たちの開放の為、矯正労働施設に入り込む。
覇気を広げて第六感、レイダーの位置を情報収集。忍び足ダッシュ。
奴隷を解放したら遅かれ早かれバレるんだし、できるだけ暗殺した方が
逃げやすいかしら。
離れた位置にいるレイダーに、ガントレットに仕込んだ矢を撃ち、先制攻撃。倒れた仲間にレイダー連中が注意を向けている隙に『銀光一閃』
早業で斬り捨てる。

はい助けにきたわよ~
扉とかの錠に指を押し当て、ナノマシンを流し鍵開け。
とっとと出て、さっさと逃げる。はい、逃げるわよ。



●銀光一閃!
「おい、なんだか外が騒がしいぞ!」
「まさか、猟兵どもが来やがったのか……!?」
 ここは廃ビルを改造して作られた、強制労働施設のひとつ。
 ここに集められた子どもたちの仕事は、主にドラッグの製造である。
 無論、製造されたドラッグの被検体も兼ねた、極めて"合理的"な仕事だ。
 中世の奴隷監督官めいたレイダーどもは、なにやら浮足立っていた。
(あいつら、慌ててるよ)
(しっ。作業中に喋ったらダメだってば)
(でも、いぇーがー? がなんとか……)
 子どもたちはただならぬ雰囲気を察し、ひそひそと小さな声で囁きあう。
 何かが、この街に起きようとしている。それはおそらくとてつもないことだ。
 それが自分たちにとってどう影響するのかまでは、彼らにはわからない。
 ……いや、正しく言えば、そんな考えすらも湧かないのだ。
 もしかしたら助けてもらえるかも、だなんて淡い希望はとうに尽きた。
 それがこの街の、そしてヴォーテックス一族のやり方なのだ!!

(……こういうの、日常茶飯事っちゃあそうだけど)
 一方、すでに施設の中に潜伏していた囁石灯・銀刃郎は、眉根を寄せた。
 アポカリプスヘルは無法の荒野。力がすべてを支配する絶望の世界だ。
 だから、拠点を一歩出れば、どんな残忍な外道ですらも咎められることはない。
 それを縛る法が絶えているのだから。嫌ならば、武器を取るしかないのだ。
 ……ならば、仕方ないことなのか? こんな無法が、肯定されていいと?
 否。でなければ、銀刃郎はここに居らず、苦虫を噛み潰したような顔もすまい。
(いい気になったレイダーどもに、ひとつ目にもの見せてやりますか)
 銀刃郎はキャットウォークの影で身を屈め、見張り役のレイダーに狙いを定めた。
 そして片手を突き出す。キリキリと音を立てて、仕込み矢の弦が引かれた。
「おら、ガキども!! べらべら喋ってねえで仕事をしろォ!!」
(――あんたも仕事をするといいわよ。ただし、ゴミとしての仕事をだけどね)
 銀刃郎は仕込み矢を解き放った。音もなく、鏃が風を切り――そして!
「ぐえっ!?」
「「「なんだ、どうした!!」」」
 脳天に矢を受けた見張り役は、白目を剥いて仰向けに倒れた。
 他のレイダーどもは、当然そちらに注意が向く。そこが奴らの限界だ。
 銀刃郎はキャットウォークからひらりと飛び降りると、刀の柄に手をかけた!
「ひゅぅぅ――しゅッ!」
「「「あばっ!?」」」
 銀光、一閃。神速の抜刀術は超・超遠距離の敵すらも一撃両断する。
 弧を描いた剣は、屍体に群がったレイダーどもを上と下に真っ二つにした!
「き、きゃああああっ!?」
「わ、わ、なんだぁ!?」
「はーいはい、騒がない騒がない。大丈夫、助けに来たわよ~」
 突然のことに悲鳴をあげた子供たちを振り返り、銀刃郎はあっけらかんと言った。
 そして屍体を蹴り飛ばしながら出入り口に向かい、ナノマシンでハッキング。
 資材搬入用の大型扉を開き、肩越しに子どもたちを振り返る。
「とっとと出て、さっさと逃げる。生き残りたいならそうしなさい」
 子どもたちは顔を見合わせた。歓声をあげるほどの元気は、もうなかった。
 けれども彼らは、生きることまでは諦めていなかった!
 各々の道具を放り捨て、わっと駆け出した子供たちを見て、銀刃郎は頷いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
目立ちに行くとするか

テントに乗り込みレイダーを雑に殴り倒す
『刻真』で無限加速して一撃
生きるか死ぬか解らんが、まあ連中とて死ぬくらいは覚悟してやっていよう

一人終えたら次を
特に質問には相手をしないが、目的を問われれば回答
強いて言えばぶち壊しに来た

並行して魔眼・封絶
高速詠唱を幾重にも重ね、起動直前で魔力を溜めた瞳に待機
救助対象を害する又はピエロが動く瞬間に全敵性個体を目標に起動
魔眼行使の瞬間を『再帰』で無限循環し封殺

止めている間に救助対象を味方の元へ避難させる

自身への攻撃は、無数の薄膜状に分割したオーラに『刻真』を作用させ、触れた瞬間終わらせ回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる



●言葉の代わりに拳で語れ
「うげぇっ!!」
 潰れたカエルのような悲鳴をあげて、レイダーが吹っ飛んだ。
 サーカステントに繋がる大通りのど真ん中、レイダーに取り囲まれる男あり。
 右腕に蒼の燐光を纏わせたその男の名は、アルトリウス・セレスタイト!
「てめえ、白昼堂々ふてえ真似をしてくれるじゃねえか!」
「よそで奴隷を横取りしやがったってのもてめえかぁ!?」
「おい、黙ってねえでさっさと答ぶげぇっ!?」
 アルトリウスは一瞥もせず、一言たりとも答えることなく、拳を見舞う。
 けして格闘術に秀でた者とは思えぬ動き、だが"捉えられない"。
 超スピードとかそういうレベルではない、レイダーには動きが見えないのだ。
 それこそ、アルトリウスが操る慮外の原理の力であった。
 一定以上の力量を持つオブリビオンならばいざしらず、こいつらは所詮雑魚。
 あちらからすれば、アルトリウスはいきなり目の前に出現したも同然である。
 当然、避けることも出来ない。魔眼がそれを許さないのだ。
「い、一体なんのつもりで――ぐへぇっ!?」
「目的か」
 何体めかのレイダーをぶちのめし、アルトリウスはようやく口を開いた。
 目指すべきサーカステントは遠く、邪魔なレイダーどもはいまだ数が多い。
 アルトリウスの無感情な双眸には、少なからぬ苛立ちらしきものが見えた。
「強いて言えば、"ぶち壊しに来た"といったところだ」
「「「あぁ!?」」」
「お前たちのすべてをな。……それで十分だろう」
 アルトリウスはもはや口を開くことなく、次々にレイダーどもを叩きのめす。
 反撃などという生ぬるいことは出来ない。魔眼の封絶がそれを許さない。
 徒手空拳のはずの男に殴り飛ばされたレイダーどもは、面白いように吹き飛ぶ。
 まるで"魔法のように"。あるいは、拳ひとつで悪党を打ち砕くヒーローのように。
 そんな有様をただぽかんと見ているしかなかった子供たち。
 アルトリウスが一瞥をくれると、彼らの手足を戒める枷ががちゃりと外れた。
「行け」
 言葉はそれだけ。アルトリウスはもはや構うことなく前へと進む。
 彼の仕事は救うことではなく壊すこと。アルトリウスはそれを承知している。
 ……たとえそれだけが己の出来ることだとしても、守れるものはある。
 それもまた、アルトリウスは知っている。だから彼は、戦うのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビッグ・サン
ふむ、マディさんやローグスの知り合いが来ていると聞きましたが、どこで頑張ってるんでしょうね
殺戮ショーがやってたり、死体があちこちに転がってたり、どこもかしこも物騒で猟兵がどこに送られたか全くわかりませんね

まあ、死体には事欠きませんから、見つかるまで一人で頑張りますか
(死体を片っ端からゾンビに変えてレイダーを襲いますよ。)

いや~、この世界にゾンビはよくなじみますね。
動きもキレがありますよ
(走ってレイダーに襲い掛かるゾンビ。撃たれようが切られようが噛みつく、引っ搔く。ゾンビに傷つけられた場所は青黒くなっている。毒が回っているのだ。死ぬと彼らもゾンビとなる)

うん、良い感じでパニックが起きてますね~♪



●ヴォーテックス・シティ・オブ・ザ・デッド
 空を見上げれば、まるで洗濯物の代わりのように吊り下げられた死体。
 路地裏を覗けば、ヤクのやりすぎでくたばったレイダーの死体。
 そして道端には、燃料代わりに燃やされた大人の奴隷の屍体が転がっている。
「さすがは暴虐と凶気の街と言われるだけはあります。屍体に事欠きませんね」
 ビッグ・サンはそう言うと、路地裏で倒れた屍体に手をかざした。
 すると……見よ! 薬物中毒死したレイダーの屍体がびくびくと痙攣する!
「皆さんどこで頑張っているのやら。見つかるまでひとりでがんばりますか」
 ビッグはそう云うが、実際働くのは彼ではない……屍体だ。
 起き上がった死体は呻き声をあげるリビングデッドと化し、路地裏から現れた。
「おい見ろ、猟兵が居――な、なんだありゃあ!?」
「ゾンビだと!? まさか、あいつが生み出したのか!?」
 ビッグが何か云うより先に、死体はロケットスタートした!
 ……通常、人間が発揮できる筋力には大きな制限がかかっているという。
 強すぎる力は筋肉や骨を容易に破壊してしまうから、というのが俗説だ。
 事実がどうかはわからない――ただゾンビに、リミッターは存在しない。
 死者は自己の崩壊を恐れず、弾丸や炎すらも恐れずに爆発的速度で疾走!
「「「う、うおおおおおっ!?」」」
『AAAARGH!!』
 獣じみた唸り声をあげ、レイダーどもに噛み付いた!
 乱杭歯がぶちぶちと頸動脈を引き裂き、喰われたレイダーは絶命する。
 そして青黒い毒が全身に回ると、倒れたレイダーもまた立ち上がった。
 無事ではない……同じリビングデッド、すなわち、歩く死者として。
「「「うわあああああっ!!」」」
 BLAMBLAMBLAM!! BRATATATATATA!!
「いやあ、さすがはアポカリプスヘル。ゾンビもよく馴染みますね」
 ビッグは他人事みたいに言うと、ツカツカと通りを歩く。
 材料には事欠かない。そしてゾンビは新たなゾンビを生む。
 そこかしこで悲鳴と爆発が響き渡る。もはやここは、死霊のパーティ会場だ。
「うん、いい感じです。楽しくなってきました」
 無法には無法を。レイダーどもに、因果応報を支払うときがやってきたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

蜂須賀・美緒
よくもまぁこんな悪趣味なことを思いつくもんだわ...
({honeycomb}の運転席でイラつきながら前方のナンバーテン・オブ・テンの廃ビル群を睨みつける)
ちょっと暴れないと気が済まないわね...
({honeycomb}に同乗しているUC【S.M.F】で召喚した花に振り向きながら)
アタシらは『オーラ防御』で車体をカバーした後このまま真正面から突っ込んで囮になるわよ!
子供たちが人質に取られないよう街を襲うレイダーのふりをするわ!
アタシが{hornet}で『援護射撃』してあげるからアンタらはレイダー達から武器とか分捕って大暴れしてやんなさい!
作戦開始よ!ビー...ハイヴ!
(腕をクロスして決めポーズ)



●ランペイジ・S.M.F
 蜂の巣をつついたような騒ぎとは、まさにこのことだ。
 猟兵による突然の襲撃。
 それは、"10番目の10番街"を徐々に侵食しつつあった。
 ……ヴォーテックス・シティはバカみたいに広く、そして協調性に欠ける。
 さながらギャングの縄張りめいて不安定に分けられたブロックは混沌としており、
 他の地域がどうなろうと自分たちに迷惑がかからない限り気にしない。
 オブリビオン同士で殺し合うこともざらの魔境。それが、この街だ。
 "最悪の中の最悪"とまであだ名された10番街でもそれは埒外ではなく、
 騒ぎは未だ街の一角に留まっており、他の区域から助けが来ることはない。
 ……おそらくそれは、"10番目の10番街"全体が騒ぎになってもそうなのだろう。
「ああもう、本当にイラつくわね、この街はッ!!」
 グォオオオンッ!! という怪物の雄叫びじみたエンジン音をあげ、
 モンスターマシン・honeycombが疾走する。運転手は……蜂須賀・美緒。
 彼女は苛立っていた。
 この街の悪性に、
 この街が存在することに、
 この街に住むすべてのレイダーどもに。
「こりゃ盛大に暴れないと気が済まないわ――さあ、いくわよ!」
 猛スピードで飛び込んできたマシンを、敵は一瞬同族だと見間違えた。
 まさか猟兵が、たかがマシーンひとつで突っ込んでくるとは思うわけがない。
 だがhoneycombに備え付けられた機銃が狙うのは、奴隷ではなくレイダーども!
「て、敵――」
 BLATATATATATATATATATATATATA!!
「アンタたち! 大暴れしてやんなさい!!」
 マシンの後部ドアが開くと、マッシヴな男どもめいた花の精が飛び出す。
 マッシヴな男ども……ユーベルコード『S.M.F』で召喚されたきょうだいたちは、
 レイダーたちの武器を奪い取り、叩きつけ、その豪腕で悪党どもを薙ぎ払う!
 機銃掃射! マシンが大通りを駆け抜け、筋肉をばらまき、混乱を巻き起こす!
「さあ、楽しいパーティにしてやろうじゃないの!!」
 KRAAAAASH!!
 マシンはシャッターの下ろされた廃ビルに突っ込み、シャッターを破壊!
 そこは連れてきたばかりの奴隷たちを教育するための施設だった。
 見張り役のレイダーは吹き飛ばされ、子供たちはぽかんとした顔で呆然としている。
「……だ、だれ?」
「アタシ? アタシはね――あなたたちを助けに来たのよ」
 美緒はマシンから降りると、お決まりのポーズを取ってニヤリと笑った。
「さあ、エスケープの時間よ。みんな乗って! ビー……ハイヴ!」
 その姿はまるで、カートゥーンに描かれるヒーローのようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィナ・アンエノン
おっけー、これ割とにぃなちゃん向きの案件っぽくない?
最初っからバイクを【操縦】して登場だぞ☆
……と行きたい所だけど、まずは【情報収集】かな。
何処に奴隷の人がいるかいないかくらいは掴んでおかないとね。
準備出来たら派手に【ジャンプ】して敵陣に乗り込んで、その辺の人のいない建物をガジェッティアレーザーで跡形もなく【地形破壊】!
瓦礫も【吹き飛ばし】て逃走経路を作るぞ!
まぁレイダーは巻き込んでもいいかな☆
敵に見つかったらユーベルコード使って逃げながら【乱れ撃ち】して【時間稼ぎ】。
上手く【誘惑】出来たら、奴隷よりこっちを追いかけてくれるかな?
にぃなちゃんを捕まえたら好きにしていいよ☆……みたいな感じ?



●吼えろ、我がゆりかごよ
 ――KRAAAAAASH!!
「な、なんだ!? 新手……ぐえええっ!?」
 化け物じみたエグゾーストに気付いた時点で、レイダーは逃げねばならなかった。
 呑気をこいていた結果が、これだ。瓦礫とともに跡形もなく蒸発粉砕!
 剣呑なレーザーをばらまきながら着地した宇宙バイクが、すさまじい排気を噴く。
 まさしくモンスターマシンと呼ぶべきその宇宙バイクを駆るのは、
 意外なことに華奢な少女……つまり、ニィナ・アンエノンであった。
「はぁーい、にぃなちゃんが参上だよー☆ ……って、あれれ?」
 ギャキキッ! とドリフトしながらブレーキを踏んだニィナだが、
 周りを見渡し、きょとんとした。あたりに転がるのは瓦礫と土煙ばかり。
 そこに構えていたレイダーどもは、いましがたニィナが吹き飛ばしたのである。
「あー、いけないいけない☆! にぃなちゃん、テンション上がりすぎたかなー」
 などと言いながら、ニィナは再びマシンのスロットルを開き、ウィリーした。
 Z17テンプテーション・カスタム……蒸気エンジンとディファレンシャルエンジン、そしてスペースシップの技術を惜しげもなく注いだ鋼の怪物が咆哮する。
 ウォルルルルルッ!! と響き渡る雄叫びは、まるでウォークライのようだ。
「みんなが来る前に、少しでも交通整理しておかなきゃね☆」
 ニィナはギャルギャルとバーンナウト痕を刻みながら周囲の瓦礫を吹き飛ばし、
 そのまま猛スピードで疾走……邪魔な障害物をレーザーで吹き飛ばす。
 そんな大立ち回りをしていて、レイダーどもが聞きつけないわけがない。
「なんだてめえは!? てめえも猟兵か!!」
「そゆこと~☆にぃなちゃんの行く手を阻むのはよくないよー?」
「何を言 うおおっ!?」
 レイダーは、減速する気配がないニィナに危険を感じ、横っ飛びに回避しようとした。
 だが、やはり遅い。マシンはその前にレイダーを撥ね飛ばしてしまう!
「ほらー、にぃなちゃん停まる気ないし☆レイダーならノーカンだよね~」
 そうして少女ライダーは、我が物顔でヴォーテックス・シティを駆けずり回る。
 じきにここへ雪崩込んでくるであろう猟兵たちが、無事に逃げられるように。
 追ってくるレイダーどもを振り返り、ニィナは挑発的に笑ってみせた。
「にぃなちゃんを捕まえられたら好きにしていいよ☆ なぁんてねっ!」
 たとえ奴らに同じ性能のマシンがあったとして、捕まえられるわけがない。
 マシンとともに産声をあげ、マシンとともに育ってきたのがニィナなのだ。
 誰よりも愛機を操れるからこそ、彼女は自信満々でこの戦いに馳せ参じた。
 そしてその自信に足るドライブテクを、ニィナは持ち合わせている――!

成功 🔵​🔵​🔴​

フォーネリアス・スカーレット
「面白い冗談だ、今度は私が笑わせてやろう。ドーモ、オブリビオンスレイヤーです。これからこの場に居るオブリビオンを皆殺しにする。どうだ、嬉しくて笑えるだろう?」
 お辞儀から起き上がりに電磁居合斬りで雑魚の首を撥ね飛ばす。
「冗談で済ませる気は無いが。サップーケイ……」
 続けて印を組み、殺風景を展開し、一対多の状況を一対一の連続に切り替えて皆殺しにする。囮だと? 知らん。結果的にはそうなるだろうが。
 無辜の民の怒りを力に変えるUCだ。効果的な状況だろう。神喰い、地獄焼き、楔打ち、千撃ち、螺旋地獄に貫キ殺ス。使える手は何でも使う。
「オブリビオンは皆殺しだ」



●レイジ・アゲインスト・ザ・レイダー
「おい、なんかCブロックのほうが騒がしくねえかぁ?」
「ハッ、またぞろ生きの良い奴隷が暴れてんだろ? どうでもいいこった」
「ちょっと勿体ねえがな! 生意気な奴隷をぶち殺すのも楽しそうだぜ」
 猟兵たちによる襲撃は、徐々に"10番目の10番街"に広がりつつあった。
 しかしほとんどのレイダーは、その騒ぎに興味を抱くことなくたかを括っている。
 このヴォーテックス・シティは恐ろしいほど広く、そして支配は強固だ。
 強大なるヴォーテックス一族に楯突く奪還者など居るわけがない。
 その慢心は、簒奪者であるレイダーに油断という隙を与えていた。
 ゆえに、裏をかく方法はいくらでもある。だが……。
「生意気な奴隷をぶち殺す、か。――面白い冗談だ」
「「「あ?」」」
 酒を片手に呑気こいているレイダーどもの前に現れたのは、鎧纏いし女猟兵。
「礼と言ってはなんだが、今度は私が笑わせてやろう。レイダーども」
「あぁ? なんだてめえ、偉そうに……」
「"これからこの場にいるオブリビオンを皆殺しにする"」
「「「!!」」」
 レイダーどもが殺気立つ。鎧の猟兵は、奥ゆかしくオジギをした。
「どうだ、嬉しくて笑えるだろう? ……ドーモ、レイダーの皆さん。オブリビオンスレイヤーです」
「「「てめえ!!」」」
「イヤーッ!」
 ハヤイ! オジギ姿勢から起き上がると同時、敵が銃を構えるよりイアイ!
 電磁加速されたカタナは大気にプラズマ光を刻みながら音をも越えた!
「ア?」
「お、お前……」
「首が飛んでるじゃねえか~~~~!?」
「ア……アバッ!?」
 先頭に居たレイダーは首無し死体……己の胴体……を見下ろし、即死!
 鎧の猟兵……フォーネリアス・スカーレットあるいはオブリビオンスレイヤーは、
 すでに電撃的速度で間合いを詰めている。二体目のレイダーを縦に両断!
「イヤーッ!」
「アバーッ!?」
「テ、テメッ……」
「冗談だとでも思ったか? "生意気な奴隷の減らず口"だとでも?」
 強烈な殺気が生き残りのレイダーを打ちのめす。レイダーは震えた。
「な、なんだ。てめえはなんなんだ? 猟兵なのか!?」
「そうだ」
「なんで俺たちを殺そうとする!? 金か!? 資源目当てか!?」
「そんなものはどうでもいい」
「じゃあナンデ!?」
 レイダーは恐怖した。赤黒く煮え立つようなその眼光に。
 その眼光の奥に燃える、理解不能の憎悪に。一体こいつはなんなのだ!?
「オブリビオンは皆殺しだ。イヤーッ!」
「アバーッ!!」
 オブリビオンスレイヤーは容赦なくレイダーを斬殺。そこに、いくつもの足音。
「「「テメッコラー!!」」」
 新手だ! いかなフォーネリアスとて、この数の敵は……!
「サップーケイ!」
「「「ワッザ……!?」」」
 独特なシャウトが響いた瞬間、レイダーどもはざわめいた。
「い、いねえ! どこに!?」
 そう、オブリビオンスレイヤーは一瞬にして姿を消してしまったのだ。
 だが同時にもうひとりレイダーが姿を消していたことを、知る由はない。

 ……そう、消え去ったそのレイダー以外は。
「エッ!?」
「オブリビオンはすべて殺す」
 目の前には狂人。周りを見渡せば、そこはどこまでも続く荒涼とした野であった。
 なんだこれは? 何が起きている? 空は錆びた鉄めいて濁っている。
 漂う風は底冷えがするほどサツバツで恐ろしい。ここは、一体……!?
「言い遺すことがあれば今のうちに言っておけ」
「な、なんなんだテメエは!? テメッ……ウオオオオーッ!!」
「イヤーッ!」
「アバーッ!?」
 BRATATATATATATA!! マシンガン射撃を跳躍回避し、真上から螺旋貫通殺!
 サップーケイが解けていく。オブリビオンスレイヤーの眼光が燃えた!
「虐げられし者に敬意を払え。然る後に全員殺す!」
 殺戮者は野を征く。その怒りは、レイダーにけして理解不能の狂気だ。
 しかしその狂気こそが、彼女を突き動かす原動力なのだ……!!

成功 🔵​🔵​🔴​

ロニ・グィー
【wiz】
アドリブ・連携・絡みも歓迎!

優しさなんて見せないで
横暴な看守の気まぐれな優しさにすがるようなことをさせないで

何て作品のフレーズだったかなあ?
もっとも彼らはちっとも優しくなさそうだけど!
紛れ込んで、奴隷くんたちを励ましてようっと

●引き金を引け!
いいかい?
キミたちを本当に縛りつけているのは力じゃない、言葉だ
たかが言葉だ、大したものじゃない
言葉で打ち壊せないはずのあるもんか
引き金を引け!言葉は武器だ!叩きつけてやれ!
それだけでキミたちは何とだって戦える

そのついでに、ほんの些細な力を行使する役はボクがやろう
餓鬼球くんたち、頼んだよ
UCも振るって檻や枷を一時分解して奴隷くんたちを解き放とうっと



●意思という名の銃を握りしめ
 ズズン、ズズン……。
 ヴォーテックス・シティ地下施設に、地上階の振動がかすかに伝わってくる。
 ここは奴隷たちの『一時保管場所』、いわばガレオン船の船倉だ。
 暗く劣悪な環境に押し込められた子供たちは、すすり泣くことも忘れていた。
「……何……?」
 何かが、起きている。レイダーどもが慌てふためくような、何かが。
 しかし、だからなんだというのか。自分たちが自由になるとでも?
 ……そんなわけがない。助けに来てくれる奪還者だって居なかったわけではない。
 だが、皆死んだ。協力して脱走しようとする仲間たちも、皆死んだ。
 何が起きようとどうにもならない。そんな絶望と諦観が、心を支配していた。

 ……そこへ。
「あーあ、暗くてジメジメしててやんなっちゃうなあ。換気もされてないし~」
「だ、誰!?」
「あ、そんなこと気にする元気はあるんだね。ならよかった」
 誰何する子どもに対し、同じ子ども……ロニ・グィーはにぱっと笑った。
 猟兵は、外見によって異世界の人間に違和感を与えることはない。
 しかし隠しきれないオーラというものはある。ロニのような神ならばなおのこと。
 にこにこと愛想よく笑う少年からは、得体の知れない気配が漂っていた。
「ねえねえ。キミたちさあ、自由になりたくない?」
「「「…………」」」
「あれぇ。こういうときって、元気よく返事するものなんだけどなあ」
 ロニは困ったように前髪をいじりつつ、ぽつりと言った。
「――いいかい?」
 金色の瞳は、照明のないこの地下でもいやによく見える。輝くように。
「キミたちを本当に縛り付けているのは力じゃない、"言葉"だ」
「……こと、ば?」
「そう。言われた覚え、ない? こう……「お前たちは奴隷なんだぞ」とかさー。
 あとこう、「逃げようとしたって無駄だ」とか、「死にたいのか」とかー?」
 子どもたちは顔を見合わせた。そんなひどいセリフは、日常茶飯事だったからだ。
 痛みとともにもたらされる罵詈雑言が、彼らの心を疲弊させた。
 身体以上に、心を。
「けどさ、そんなのたかが言葉だ。大したものじゃない」
 ロニはなんでもないことのように言う。
「言葉を、同じことばで打ち壊せないはずがあるもんか」
 だから、と少年は笑う。そして息を大きく吸って、叫んだ。
「いいかい! 言葉は武器だ。キミたちだって、同じ武器を持っているんだ!
 だからその武器を構えろ。そして引き金を引け! 言葉を叩きつけてやれ!!」
 びりびりと空気を震わせる大音声。子どもたちは息を呑んだ。
 なぜだか、彼の"言葉"は嘘ではないと思わされる迫力があったからだ。
「おい、騒がしいぞ! 貴様ら……何っ!?」
 そこへ、騒ぎを聞きつけたレイダーどもがやってくる。
「てめえ、どこから入ってきた!」
「ありゃりゃ、見つかっちゃった」
「まさか奴隷どもを逃がそうとしてたのか? ハッ、出来るものかよ!」
「――だってさ」
 武器を構えるレイダーには構わず、ロニは子どもたちを見た。
「キミたちはどうする? あいつらの言葉に従うかい?」
「……やだ」
 誰かが言った。
「そんなの、いやだ!!」
「なんだ、このガキ……」
「そ、そうだ! いやだ! こんなとこでじっとしてたくない!!」
「ぼくらは、自由なんだ! 帰るところがあるんだっ!!」
 レイダーどもはたじろいだ。心を折ったはずの子どもたちの強い言葉に。
「なあんだ。やりゃあ出来るじゃん」
 ロニはにやりと笑った。そして彼を中心に、超次元の竜巻が吹き荒れる!
「「「うおおおおあああああっ!?」」」
 手枷や檻そのものを分解して生まれた竜巻は、レイダーどもを吹き飛ばしていく。
 もはや子どもたちは自由だ。ロニは餓鬼球を率いて、振り返った。
「ほんの些細な力はボクが行使してあげる。あとはキミたち次第だよ?」
 ……子どもたちは立ち上がった。疲れ果てた身体に不思議なくらい力が湧く。
 目に光を、意思の輝きを取り戻した若者たちを見て、ロニは頷いた。
 そして虐げられた子どもたちの、言葉による戦いがここからはじまるのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

陸郷・める
☆:める。多脚戦車操縦担当の幼女。戦闘中は忙しい
★:7号。多脚戦車搭載兵器の一部、生体部品にされた元モヒカンレイダーでヒャッハー。

☆「ひどい……」
★「……ケッ、気分のワリィ話だ。」

☆あの子達をたすけなきゃ、だね。でもめる達は……
★でけえ戦車だからな、露払い、もしくは囮として目一杯暴れさせてもらうぜ。


☆戦車でとつげきして、あしで蹴とばしたり踏んづけたり
★そこに指定UCも使ってレイダー共を消毒だァ!人質ぃ?悪ィな消毒は汚物と敵だけ対象のサービスだ
だから遠慮せず消毒されなァ!!

☆あと、じゃまなかべとかを、戦車のドリルアームで穴をあけてどけるよ
※ヒャッハー!アドリブ他歓迎だァー!よろしくお願いします!



●デッドマンズ・ランページ
 ガションッ、ガションッ、ガションッ、ガション……プシューッ!
「撃て撃て撃てぇ! たかが戦車一両、ふっとばしちまえーっ!!」
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATATA!!
『ヒャーッハハハハ! そんな豆鉄砲で、こいつが落とせるかよぉ!!』
「ちょ、ちょっと……あんまり、調子に乗らない、でね……っ!」
『わかってるよォ! だが囮になるなら派手にやんなきゃだろォー、がッ!!』
 陸郷・めるは操縦桿を握りしめ、衝撃に備えた――KRAAAAAASH!!
「きゃああああっ!!」
 車内が大きく揺れる。がなりたてるような男の声が反響した。
 文句を言う暇もない。彼女の仕事は武装の操縦と細かな機動補助だ。
 本来は担当が逆だ。だがいまは、"7号"が立場を入れ替わっている。
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATATA!!
 カン! カカン! と、機関銃の弾丸を弾く装甲。"7号"の言葉は驕慢ではない。
 彼が派手な動きで敵を引きつけ……めるが! 武装をぶっ放す!
「焼却薬剤、さんぷ……っ!」
『そうだそうだァ! 汚物は消毒しちまえ! ヒャッハァー!!』
 ボシュウ!! と散布された薬剤が空気中の酸素と結合し、即座に炎上。
 汚物と敵だけを"消毒"する炎が、阿鼻叫喚の地獄を巻き起こす!
「ぎ、ぎぎゃあああああっ!?」
「あ、あちい! あちいよぉーっ!!」
「炎が消えねえ! 助けてくれーっ!!」
「みんなをあんなひどい目に、遭わせておいてっ!!」
 ゴシュウッ!! めるは怒り、さらに薬剤を散布して被害を広げた。
 躊躇も容赦もない。操縦役を切り替わったのは、その怒りがあるからこそだ。
『っと、やべえな! そろそろスイッチだ。ロケット砲が来るぜ!!』
「……!」
 "7号"――多脚戦車に搭載された生体脳が、警告を発した。
 怒りに呑まれかけていためるは、三時方向からこちらを狙う砲口に気付く。
 頑丈なこの多脚戦車とて、真横からロケット砲を喰らえばダメージは大きい。
 ふたりは即座に制御系を入れ替え、めるはがこん! と操縦桿を操作した。
 多脚戦車はその場で足踏みし方向転換。……そして、ロケット砲発射!
『ヒャッハー! 盛大な花火が見てえならよぉ!!』
 ZAAAAAAAP!! 主砲部分から放たれる、強烈な破壊のエネルギー!
 "7号"が持つ強烈なエネルギー波が、ロケット弾ごと射撃者を滅殺!
 風穴の開いた廃ビルはゆっくりと倒壊し、崩れ落ちていく……!
「このまま、突っ込む、ね!」
『おうおう、行け行け! 今度は俺様が焼却する番だぜぇ!!』
 めるは前方に設置したドリルアームを起動し、倒壊する瓦礫を掘削突破する。
 "7号"は砲台を操作し、燃焼剤をばらまきながら側面の敵を攻撃!
 まさしく蹂躙だ。悲鳴をあげるのは子どもたちではなく、レイダーの番だ!
『ヒャハハハハ! 気分イイぜェ! ヒャッハァー!!』
 人の命をなんとも思わぬ外道に対し、慈悲や躊躇など不要。
 敵の目を集めるためにも、ふたりは徹底的に派手に暴れ続ける……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

んー、どうにも趣味の合わない連中の多そうな街だねえ。
まあいいや、無法には無法、一切の理屈が通じない暴力で相手しようか。

さて、今回は囮役でいいかねえ。
都市の中に入ったら、【三界巨怪】で巨大な怪獣に変身。
適当に廃ビルを破壊したり近寄ってきたレイダーを蹴散らしたり、
暴風のブレスを吐いたりして分かりやすく目立って暴れてようか。

あとは巨大化した視点で上から地上の道を観察して、
後で逃げる時に逃げやすい道を覚えたり、建物を破壊して道を作ったりしよう。

まあ、これから何回も来ることになりそうだし、
無理せずほどほどに暴れるとしようか。



●巨影、顕現
「お、おい……なんだ、ありゃ」
 このヴォーテックス・シティに、夜という概念は存在しない。
 昼夜を問わず街を照らす明かりが、夜という時間を殺してしまったからだ。
 だからレイダーは、ひさしく"それ"を忘れ去っていた。
 生物が恐れ、そして為すすべもなく震えるしかない時間。
 ――すなわち、"闇"という絶対的な支配者を。

(……おお、噂通りだねえ。こりゃあたしかに巨大な街だ)
 巨大な怪獣と化したペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードは、周りを見渡す。
 かつてのニューヨークの面積の二倍はあろうかというヴォーテックス・シティ。
 その全容は、いまのペトニアロトゥシカをして見通せないほどである。
 都市を護るように渦巻くオブリビオンストームは行くも出るも困難にしており、
 そのほんの氷山の一角に過ぎない"10番目の10番街"ですら、途方もなく広い。
 そこかしこで上がる爆炎と悲鳴。あれはおそらく別動の猟兵たちのものだろう。
(じゃ、あたしもそこそこに暴れるとしようか)
 ペトニアロトゥシカは、足元を見下ろす。そこに豆粒ほどの影がいくつも。
 それは突然現れた怪獣――つまりペトニアロトゥシカを倒そうと、
 マシンガンやショットガン、あるいは火炎放射器で武装したレイダーどもだ。
 実に、小さい。その表情は必死で情けなく、いっそ笑えてくる。
 嘲るような趣味はペトニアロトゥシカにはないが、無様だとは感じた。
 きっと奴らは、数の利と腕力で奴隷たちを甚振り、一族とやらの傘を着てきたのだろう。
 ならば、今こそ教えてやるべきだ。無法の荒野の唯一絶対の掟を。
(弱肉強食……いや、違うか。別にあたし、アンタら喰ったりしないし)
 無造作に地面をひっかく。べきべきとアスファルトがめくれあがった。
 豆粒ほどのレイダーどもが血のシミに変わる。新手。廃ビルをなぎ倒す。
「~~!! …………!!!」
 なにやら騒いでいる。おそらく、指揮官役かなにかか。
 すると新手のレイダーどもが、ロケット砲をいくつも構えた。
 ペトニアロトゥシカは大きく息を吸い込み、そして暴風のブレスを吐き出した。
 大渦(Voltex)が無法者どもをもてあそぶ。瓦礫とともにミキサーめいて蹂躙。
 ペトニアロトゥシカはもはや構うことなく、別のブロックへと歩き出した。
 ズシン、ズシン……一歩踏み出すごとに、大地が揺らぐ。
 暴力で君臨するものは、より巨大で強力な暴力によって引きずり降ろされる。
 それが無法の法。外道を働いてきたものには似合いの最後だろう。
 理屈の通じぬ暴力の化身。三界の王者が、いま、進軍を開始する。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼び普通の口調
他の人には敬語。混ざっても問題無し

悪党の街か。僕もアポヘルの商人だし潜入しても違和感ないな。
僕は奴隷商人役、ラビィは子役で。
奴隷を買って他の街に卸したい、みたいな設定でいくか。
ってラビィ、何人聞きの悪い設定を盛ってるの!?

戦車【ラビットモービル】と奴隷を運ぶ【武装トレーラー】は
停めておいて逃走時に使おう。
奴隷のところに着く前に戦車までの逃走経路を抑えておきたい

こっそり助け出すとか交渉で済ませたりしたいところだけど、
敵にバレた場合は【グレネード】の発煙弾を投げてから
ラビィに敵を引きつけてもらう。
僕と奴隷たちはこっそりとトレーラーへ向かおう


ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】
普段はクロゼをししょーと呼ぶけど今回だけはご主人と呼ぶ

らぶはフラスコチャイルドの奴隷
ししょ…ご主人に捕まってこの街に連れて来られたなん
ご主人はとっても酷い人なん
らぶの事沢山虐めるのん
ご飯は缶詰ばっか
おいしーデザートはたまにだけ
このマスクはらぶの生命維持装置
ししょ…ご主人がらぶに着けてくれたなん
このバットはご主人が遊びたくなった時の為の物
このチェーンソーはおとーさんの形見なん(嘘)
この火炎放射器は寒い時に便利なの
だから気にしないでほしーなん
この街でらぶは売られるの?
サーカスで使えるかな?

みんな!
らぶ達が助けに来たぞ!
もー奴隷なんてオワリ!
らぶが翼を広げて暴れるからその隙に逃げるんだ!



 ……猟兵たちによる本格的な陽動が始まるより、少し前のこと。

●ラビットクローのふたり
「おいそこのお前!」
「…………」
「お前だ、そこのガスマスクを着けてるお・ま・え! こっちを向け!!」
 レイダーに誰何された青年らしきガスマスクの男は、ゆっくり振り返った。
 その手には鎖が握られ、チェーンは犬のリードめいて女奴隷に繋がっている。
 女奴隷もガスマスクを着けているのが、やや奇妙ではあった。
「そこのお前……新入りか? ン? そいつはなんだ、奴隷か」
「……そうですが?」
「そ・う・で・す・が・じゃ・ね・え・ん・だ・よ・!」
 レイダーは奴隷商人の頭を叩く。男は、微動だにしない。
 女奴隷が身じろぎすると、じゃらりと鎖を鳴らして動きを制した。
「いいかァ? ここはあのヴォーテックス一族が治める街なんだぞ、え?
 奴隷商人だろうがなんだろうが、よそ者は格下なんだよ。敬意を払えコラ!」
「……失礼をしたつもりはありませんが」
「あァー?」
 レイダーはガスマスクを覗き込むように、大きく前傾姿勢を取る。
「女奴隷なんざ見せびらかすように連れておいて何言ってンだこのサンピンが!」
「……ご主人のこと、いじめないでほしいのん」
「あ?」
 女奴隷のくぐもった声に、レイダーはぎろりと睨み返した。
「ご主人はとってもひどい人なん……らぶのこと、たくさんいじめるのん。
 ご飯は缶詰ばっかだし、おいしーデザートはたまにしか出してくれないし」
「知らねえよそんなこたァ!! なんだ、俺様に文句あんのか? あ?」
「このマスクはらぶの生命維持装置なん」
「だ・か・ら! 知らねえよそんなのは!!」
「このバットは、ご主人が遊びたくなったときのためのものなん」
「……あ?」
 女奴隷はやおらバットを取り出すと、ぶおんぶおんとフルスイングした。
 よく見れば足元には、なぜか化け物じみたチェーンソーが転がっている。
「て、てめえなんだそりゃあ!? 奴隷の持ち物じゃねえだろ!?」
「このチェーンソーはおとーさんの形見なん」
「じゃあそっちの火炎放射器はなんだよ!?」
「これは寒い時に便利なの」
「嘘こけぇ!! てめえら怪しいぞ!!」
「ご主人のこと、いじめないでほしいのん。でないと」
 ぶおん、ぶおん。女奴隷は威圧的にバットを素振りした。
「らぶ、いけないことしちゃうかもしれないのん」
「な……」
「ご主人。らぶ遊びたいのん。いい?」
「…………」
 目線を向けられると、奴隷商人はふるふると首を振った。
「よせ。行くぞ」
「はぁい」
「な、な……」
 レイダーは完全に気圧されて、もはや何も言えなかった。
 そんなレイダーを放っておいて、奇妙な奴隷と奴隷商人は歩いていく。

「……あのさ」
「どうしたのん? ご主人。もしかしてらぶで遊びたくなったのん?」
「いやそれ。その設定……何?」
 奴隷商人……もとい、クロゼ・ラビットクローは、声をひそめて言った。
「遊ぶとかいじめるとか、勝手に設定盛らないでくれる!?」
「……ししょー、それで本気で演技するつもりあるのん?」
「えっ」
 はあーやれやれこれだから、とため息をつくラブリー・ラビットクロー。
 誰がどう見ても、そのさまは奴隷商人と捕まった奴隷には見えない。
 そして事実、彼らはそんな関係ではない……そう、これは潜入の為の演技なのだ。
「ちゃんと設定を遵守しないとバレちゃうのん。さっきも危なかったのん」
「いや、むしろラビィのほうが暴力振るいかけてたよね!?」
「気のせいなん。ちょっとバット振りたくなっただけのん」
「だからってあんな人聞きの悪いこと言わないでもいいでしょ……」
「ご主人を立派な奴隷商人にするための、らぶの必死のご奉仕なん」
「だからそれが人聞き悪いって! いらないから、そういう余計な盛りは」
 彼らは奴隷商人とその奴隷に扮して街に潜入した。
 これはうまくいった……いまのところは、やや不安はあるが。
 さっきも暴力で騙された気がするが、まあそこはそれである。
「さすがにテントまでは近づけなさそうだね……あそこに忍び込むか」
「ご主人、らぶをどうするつもりなん? もしかしてあんなことやこんなこと」
「しないから! ……ああもう、いいからついてこいっ」
 この漫才も、誰かに見咎められていたら極めて危険だ。
 クロゼは鎖を引っ張り(万が一に備え実際は繋がってない)ラブリーを先導。
 奴隷を放り込むための牢獄に近づき、見張り役の目をうまく盗んだ。
 ラブリーが黙ってさえいれば、クロゼの口八丁でどうとでもなるようだ。

 カン、カン、カン、カン……。
 地下階へ降りると、そこには何人もの奴隷たちが転がされている。
 看守役のレイダーがひとり。クロゼは、かちゃかちゃと手枷を外すふりをした。
「ほら、行け」
「はいのん」
 ラブリーはすごすごと牢屋に入る……と、見せかけて!
「おりゃー!!」
「ぶぐへっ!?」
 看守役の頭部に振り向きざまのバットをフルスイング!!
 突然のことに、牢屋に閉じ込められていた子どもたちはぽかんとしている。
 クロゼは肩をすくめ、持っていた鎖で看守役をガチガチに縛り付けた。
「みんな!!」
 そしてラブリーはバットを片手に振り返り、子どもたちに言う。
「らぶたちが助けに来たぞ! もー奴隷なんてオワリ!!」
「……たすけて、くれるの?」
「もちろんなんな! らぶが暴れてるうちにご主……ししょーと逃げるんだ!!」
 ふたりは目配せし、クロゼが看守の鍵を奪って子どもたちの拘束具を外す。
「ここから離れた場所にトレーラーを停めてある。まずはそこまで行きましょう」
「さー、こっからはらぶが盛大に暴れるなんなー!!」
 チェーンソーを担ぎ、肩をぐるぐる回すラブリーの背中に、翼が現れた。
 それはたちまち広がっていく。そして、ラブリーは勢いよく地上階に飛び出した!
「ご主人にいじめられたフラストレーションを晴らしてやるのんーっ!!」
「だから!! 僕そんなことしてないでしょ!? ……とにかく、早く!」
 クロゼは子どもたちを連れてトレーラーに急ぐ。後ろからは阿鼻叫喚!
 ラブリーの? 否、ラブリーが引き起こす暴虐に巻き込まれた、レイダーの悲鳴!
「ね、ねえ! あのお姉さん、大丈夫なのっ?」
「ん? 心配ないですよ。ラビィは、強いから」
 クロゼの表情は、ガスマスクで覆われていてわからない。
 それでもその声音には、たしかな信頼の響きが宿っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茜崎・トヲル
子供さんがしょんぼりしてら。かなしいなあ。
鎖はおれが壊してあげる。逃がしてあげる。どこに?
このオシゴトが終わったら、別のところに届けてあげよう。
さいきんはなんだっけ。のーさぎょー? してるところが増えてるし。
この場所だとたっくさんの人が苦しんでるね。おれはおれの見えるところしか助けられないからいいひとは助けたくって助けたいから助けよう。
子供さんを逃がす。おとりになろう。盾になろう。逃げ道は、わかんない。いまはどこかに隠れていて。
レイダーの人はみーんなころすんだ。ごめんね。おれは頭がよくなくって、わるいひとを助ける方法を知らないから。
神様。おれを呪った神様。あんたが偉大なら、助けてみせてよ。


朱酉・逢真
心情)俺は救いの神じゃアねえが。別に悪神ってワケでもねぇのよ。イビルとカオスは別モンだろう? ひひ。マ・俺ぁこォいうぐっちゃぐちゃなトコぁキライじゃねえ。だがなぁ、レイダーってなァわからんが、トップが《過去》だろう。そいつは(骸の海に)送ってやらにゃァな。そのための猟兵さ。
行動)都市にゃア都市をぶつけよう。おいで俺の《仔》、バビロンの大淫婦よ。好みの男がたっぷり居らァ。神を汚す名の獣にまたがり、欲持つやつらを争わせな。俺は空から市街を見下ろし、《眷属》どもに奴隷のやつらをレイダーが少ねえ場所に逃がさせよう。俺の神域にかくまってもいいが、ヘタこくとそのままあの世行きだからなァ。



●救済するは――
 書に曰く、このような一節がある。
 すなわち。
 "愛するもの、自ら復讐するな、ただ神の怒りに任せまつれ。
  録して主いい給う。復讐するは我にあり、我これに報いん"……と。
 ヒトはヒトを殺めてはならず、奪ってもならず、傷つけてもいけない。
 復讐は罪深き行為であり、ゆえにこそそれは大いなる主の怒りが代行する。
 ヒトを裁く権利を持つのは主のみ。ヒトよ、復讐することなかれ。

 ……ふざけた話だ。なら、どうして"かみさま"は子どもたちを救ってくれない?
 茜崎・トヲルは思う。いましがたよぎった知識は忘却の波にさらわれていく。
 神を信じる人々は言う。祈りはいずれ必ず届き、神様は見てくれているのだと。
 善行は巡り巡って自らを救う。だから、人に優しくし、施しなさいと。
 ならどうして、この子どもたちはこんなふうに悲しそうな顔をしているんだ?
 ならどうして、こんな街に悪いやつらがはびこっているんだ?
 おれはいい。おれはどれだけ呪われたって、もう痛みも忘れてしまった。
 だから、いい。苦しもうが、虐げられようが、罵られようが。
「……かなしいなあ」
 トヲルは眉をハの字にして、心の底から悲しそうにため息をついた。
 子どもたちは――子どもさんは、未来を生み出す素晴らしい「いのち」だ。
 おれのように終わっちゃいない。だから、もっと笑顔でいてほしい。
 できれば世界に住むみんながしあわせでいてほしい。おれは、いいから。
「おい、そこのてめえ! 止まれ!!」
 レイダーが銃を突きつける。トヲルは止まらない。
「ごめんね」
「てめえ……おい、蜂の巣にしてやれ!!」
 BRATATATATATA!! トヲルの全身を7.62mm完全徹甲弾が貫いた。
 豆腐のようにグズグズの肉塊と化し、倒れる。……そして、立ち上がる。
「え?」
 レイダーは目を点にした。その頭部が、ぶんっ、と消し飛ばされた。
「レイダーの人は、みーんなころすんだ。だからごめん」
 トヲルだ。足が壊れるほどの速度で間合いを詰め、片腕を振るった。
 人間の限界を越えた超腕力は、首を引きちぎるどころか消し飛ばしてしまう。
 首なし屍体を踏み台に、跳躍。怯えるレイダーの群れに飛びかかる。
「おれは頭がよくないから、わるいひとを助ける方法を知らないんだ」
 目をえぐって殺す。
「本当は、しあわせになってほしいんだよ。でもさ」
 顎を引き裂いて殺す。
「おれは、頭がわるいんだ。ごめん。ごめんよ」
 手足をもぎ取って、心臓を握り潰し、殺す。
「ば――化け物ぉおおおお!!」
「そうだよ」
 トヲルは怯えるレイダーの脳を握り潰し、ため息をついた。
 白い髪は血にまだらに汚れる。周りは、まさしく血の海になっていた。
「おれは呪われてるんだ。あんたたちを、しあわせにできない」
 子どもたちはもう泣いていない。だが、トヲルを見上げて震えていた。
 トヲルは血に塗れた手を伸ばそうとして……肩を落とし、頭を振った。
「おれ、おとりになるからさ。逃げてよ」
「ど、どこに?」
「……ごめん、わかんない。逃げる道も、逃げる先もわかんないや」
 例の共同体……なんと言ったか。そう、あの緑を増やそうとしてるあそこだ。
 あそことかいいかもしれない。でも、あの街はどこにあったっけ?
 レイダーどもの足音が近づいてくる。トヲルは子どもたちに言った。
「逃げるか、隠れていて。わるいひとは、みんなおれが殺すからさ」
 子どもたちは逃げ出した。レイダーではなく、トヲルから逃げ出した。
 ……トヲルは血まみれで振り返る。レイダーの群れが、近づいてきていた。

 だがレイダーどもの構えた銃が、トヲルに無益な傷を与えることはなかった。
 子どもが捕まることも、なかった。そもそもレイダーは敵対者ではなかった。
 奴らはトヲルに向けていた銃をお互いに向けて、互いの頭を吹き飛ばす。
 トヲルは目を点にした。そして、空を見上げる――巨大な美女が浮いていた。
 麗しき白骨のおとめ。七つの首持つ黙示録の獣にまたがりし大淫婦。
「――かみさま」
「よォ、白いの。シケたツラしてンなあ」
 朱酉・逢真は厭そうな、悲しそうな、嗤うような、変な顔をしていた。
 彼は地に降り立ち、盃持つ大淫婦は男たちに名状しがたきフェロモンを振りまく。
 黙示録の獣が啼く。おお、終末はここに来たり。罪人は互いに争い合う。
 敵を見失ったレイダーは、仲間であるはずの相手に銃を向け、殺し、殺される。
 阿鼻叫喚。その只中で、逢真とトヲルは対峙していた。
「さっきの、見てたぜ。お前さん、相変わらず抜けてンなぁ」
「……へへへ。おれ、頭わるいからさ。あれしかできねーんだ」
「いまさら言わねェでも知ってら」
 逢真は瞼を伏せる。赤い瞳に浮かぶのは嘲笑のようであり、愛玩めいてもいて。
 ただ、凶神がいのちを愛でる時の輝きと、いまのそれは違っていた。
「逃げる先もわからねェ、道筋もわからねェ、なのに逃げろときた。無茶苦茶だぜ。
 まァ、俺の《眷属》どもを放ってある。奴隷のやつらは心配ねえだろうがよ」
「そっか。かみさまはさすがだなー」
「……言っておくが、お前さんのためじゃあねえからな」
 うんざりした様子で、逢真は言った。トヲルはへらへら笑っていた。
「俺は救いの神じゃアねえんだ。まァ、悪神ってワケでもねぇがよ」
「え? かみさまはかみさまだろ?」
「……お前さん、時々わかったようなコト言うよなァ」
 逢真はため息をついた。
「Evil(悪)とChaos(混沌)の違いなンざ、いまさらお前さんに言ってもな」
「???」
「あァ、理解してもらえると思ってねえから、考えねぇでイイぜ」
 トヲルは素直に頷く。その素直さが、逢真の心に引っかき傷を作る。
 ……凶神は往時の力を喪い、この《宿(からだ)》に頼らざるを得ない。
 だがこの《宿》は、ヒトだ。ゆえに、使い回せばそれだけヒトに"なる"。
 感傷。憐憫。憧憬。人間性という名のノイズが《宿》を穢す。
 それはけして悪ではない。だが、神にとっては不要なノイズだ。
(この《宿》も、そろそろ廃棄しねエとな)
 ぼんやりと考えながら、逢真は言った。
「あとのこた"姉さん"がやってくれる。白いの、お前さんはシンプルに考えろ」
「しんぷる」
「奴隷のこた置いとけ。お前さんには力があるンだから、殺しゃいいのさ」
「……うん、そーだなー! それしか出来ないしな!」
 トヲルは溌剌にはにかんで、うきうきと拳を鳴らす。
「で、おれどうすりゃいいかな?」
「……しばらくじっとしてろ。それか、よそのレイダーでも片付けとけ」
「おー! かみさまはさすがだなー、もう悩む必要もなさそーだ!」
「……そォかい」
 逢真はうきうきした様子のトヲルを見送って、煙管を咥えた。
(呪われたものよ。お前さんはきっと、求めてたんだろ。"かみさま"に、救いを)
 己ではそれは叶えられぬ。己は、救済をもたらすような神ではない。
 このぐちゃぐちゃな街のように、生と死を混ぜ合わせてバランスを取るもの。
 生を肯定するために死を振りまき、死によって生を寿ぐもの。
 大淫婦は堕落を振りまく。それは救済とは程遠い。
「俺は別に、"すげえかみさま"じゃアねえのさ」
 逢真が口元に浮かべた笑みは、神とは思えぬほど寂寥感に満ちていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)

成る程。
ショーを御所望と判断する。
ならば本機が飛切りのショーを披露しよう。
刮目して見ていくが良い。

―"MOVIE SCENE"―

あくまで戦闘行動は行わない。
非戦闘行動としてサーカステントに囚われた子供たちの救出活動にのみ従事する。
高速機動で吶喊、必要ならば子供達を捕らえる鎖・檻の類は熱線で破壊。
敵が攻撃してくるならば
子供達を庇う為にこの身を盾にする(ダッシュ×スナイパー×庇う)。

何、どれだけ攻撃を受けようと傷一つ負う事もない。
ショー
救出劇ならそうあるべきだ。
そうだろう。

今迄希望を奪われて来た子供達だ。
こんな時くらい映画の様な
最高の救出劇を披露してやる。
ミッションを敢行する。(ザザッ)



●It's SHOW TIME!
 猟兵たちによる陽動作戦が起きたことで、徐々に混乱が広がっていた。
 "10番目の10番街"、最悪の中の最悪と名乗る街にとっての最悪が訪れたのだ。
 ……だがいまだ、街の中央に当たるサーカステントはほぼ手つかずであった。
 ……"ほぼ"。ただひとり、先んじてそこに潜り込んだ猟兵がいる。

 その名を、ジャガーノート・ジャックと云う。
「アハァーッハハハ! ハァーハハハハッハッハッハッ!!」
 BLAMBLAMBLAM!! BRATATATATATATATATA!!
 まるでアクションスターめいてテント内を飛び交うジャック!
 けたたましい笑い声――他ならぬレイダーピエロと部下たちの弾丸が彼を襲う。
 これだけの数のオブリビオンを相手に、たったひとりで大立ち回り。
 危険だ。一瞬でも足を止めてしまえば、ジャックとて多勢に無勢である!
「アハッアハァ! おかしいなァー、当たらないぞォー?」
 ソウドオフショットガンを投げ捨て、ピエロはおかしそうに肩をすくめた。
《――当たるはずがない。"悪党の弾丸はそういうものだ"》
「ホーホーホー! まるでムービーの中のスターにでもなったつもりかね!」
《――否定(Negative)。本機は、スクリーンの中のフィクションなどではない》
 赤いバイザーがぎらりと輝いた。
《――今此処に、子どもたちを救うために現れた、猟兵だ》
「…………アハハハハッ! つまらないジョークだなあ!!」
 BLAMNN!! 別のソウドオフショットガンを抜き撃ち! ジャックは跳躍!
 レーザーファンネルを攻撃のためではなく飛行軌道確保のために展開し、
 まるで銀幕を踊るダンススターめいて、三次元的に華麗に舞う。
 弾丸は一発たりとて彼を囚えられない。救出劇(ショー)とはそういうものだ。
 悪党どもが束になろうと、主役(スター)を止めることは出来ないのだ!

 ――ZAP!!
 レーザーファンネルの熱線が、子どもたちを囚えた檻を破壊する。
 子どもたちは当惑した。ここで飛び出せば、弾丸の標的は彼らに向かう。
「と、キミは思ってるだろ? ざァんねん!!」
 ピエロは嗤った。
「いま殺しちゃうよ~~~ん!! ヨーホーッ!!」
 BRATATATATATATATA!! ジャガーノートは猛スピードで滑降する……!

「……ワーオ!」
 マズルフラッシュが途切れ、土煙が晴れた。
 弾丸は子どもたちに届かなかった。そうなる前に、スターが遮った。
 自らの身体を盾として、子どもたちを襲う弾丸を防ぎきったのだ。
 おお、ジャックよ。そんなことをしては、キミが無事で済まない……!
「……ハァン?」
 勝ち誇るようにおどけていたピエロが、訝しげに前のめりになった。
 おお、見よ! ジャックの装甲には傷一つなし! なんたる奇跡か!
《――言ったはずだ》
 膝立ち姿勢から立ち上がり、ジャックは言った。
《――悪党(おまえたち)の弾丸が、本機を傷つけることはないと》
 そしてジャックは、目を輝かせる子どもたちに振り返る。
《――さあ、本番はここからだ。最高の救出劇を見せてあげよう》
 それは役割に則った言葉。だが少年の、心からの思いでもある。
 弱き者は、選択すら出来ない。強者にもてあそばれ、奪われるのみ。
 己が、この仮面を纏うことで、その弱きものを守れるのならば。
 ……ヒーローを名乗りはすまい。ただ高らかに、悪を討とう。
《――そのためにはキミたちの力が必要だ。協力してくれるな》
 子どもたちは頷いた。ジャックもまた、重々しく頷いた。
《――ジャガーノート・ジャック。脱走劇(ミッション)を敢行する》
 立ち向かう彼らを照らすように、再びマズルフラッシュが煌めいた――!!

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
怒りはあるが、言葉はない

自分が成すべき事を成せば、結果的に
この外道共に鉄槌を下す事になるのは
分かっているから

◆WIZ

なんにせよ、まずは人質の解放が最優先
街を探索して【情報収集】。建物の位置、道路の形等、
とにかく情報を集め、そこから逃走ルートを割り出そう
特に大型の車両が走れるルートが使えると、俺的に有難いが……
あと可能なら、他の猟兵とも入手した情報を共有しておきたいな

その後は例のサーカスに【目立たない】様に侵入
【迷彩】で姿を消し、【忍び足】で人質を捜索
レイダーは邪魔にならない場合は身を隠したまま無視
人質を解放するのに邪魔になる場合は指定UCで眠らせる

……流石に子供の前で暗殺はちょっとアレなので



●言葉なくして怒りを見せろ
 たとえ怒り狂ったところで、いま苦しんでいる子どもたちを救うことは出来ない。
 怒りを力に変えるバーバリアンならばいざ知らず、月凪・ハルマは忍びである。
 忍びとは沈着冷静に影を走り、そして事を為す。ゆえに彼は言葉なくして翔けた。
 凶事を目の当たりにしようと心揺らすことなく、あらゆる情報を頭に叩き込む。
 廃ビル群の配置、道路の形状、逃走経路に使えそうな位置取り……。
 レイダーどものマシンを見つければ静かに破壊工作を行い、
 見張りどもの交代時間や人員、配置状況を手を出さずに監視する。
(……俺は、俺が為すべきことを成せばいい。それですべては解決する)
 奴隷たちをいたぶるレイダーを見つけたとき、ハルマは苦悩に襲われた。
 いまここでレイダーを殺せば、苦しんでいる子どもたちは救われるだろう。
 しかし場所が悪い。殺すためにはどうあっても姿を見せねばならず、
 子どもたちを連れ出すためには手持ちのヴィークルが足りなかったのだ。
 それでも陽動が起きている現状ならば、不可能ではなかったろう。
 代わりに、子どもたちを危険に晒すことになってしまう……。
 ゆえにハルマは、その場は見過ごした。歯を食いしばって。
 サーカステントに近づくまでの道のりでは、そうした判断を何度も迫られた。
 鞭で叩かれる子ども、強制労働施設でふらつく子ども、あるいは他のケース。
 下卑た話題で盛り上がるレイダーどもに一瞥をくれ、手裏剣を握りしめる。
 ……まだだ、ここではない。いずれ鉄槌は下す、だが。
(子どもの前で、暗殺なんてのは見せたくないしな……)
 すぐに助けると何度も心のなかで唱えながら、影から影を渡す。
 辛いことだ。助けられる力を持っているのに手を差し伸べないことは。
 それがどれほど合理的で、結果的に状況を助けるとしても、辛く、苦しい。
 ともすれば無力なまま絶望を目の当たりにするよりも苦しいかもしれない。
 だが、そのかいはあった。ハルマは多くの情報を得たのである。
 別のブロックからは、暴れ始めた猟兵たちの戦闘音が遠雷めいて届く。
 いまだ無事なブロックのレイダーどもは、それを気にすることすらない。
 喧嘩や暴動など、この腐った街では日常茶飯事だからだろう。
(……いまに、目にもの見せてやるよ。此処に来たのは俺だけじゃないんだ)
 身を小さく屈めたハルマの目の前には、例のサーカステントがある。
 その内部から銃声が響いてきた。おそらく誰かが、行動を開始したのだ。
「――そろそろ、我慢の時間は終わりにするとしようか」
 ハルマはガジェットを手に立ち上がる。その身を蒸気が覆い隠した。
 苦しむものには安らぎとともに、敵対者には醒めぬ眠りをもたらす蒸気だ。
 そして影は走り出す。――為すべきことを成すために!

成功 🔵​🔵​🔴​

ジュリア・レネゲード
一際腹立たしい奴が出てきたわね……グリュプス
『イエス、コマンダー』
鬼ごっこはお仕舞いだ。今夜は鬼狩りよ

光学迷彩消音電子工作戦仕様の戦闘端末をばら撒き
この街の表と裏の地図を把握する
電子的に連携させて情報は全てユニバースへ
暗号化すれば読み取れないでしょ

目的は安全な逃走経路を策定し
一人でも多く奴隷を逃す事
ユニバースまで連れてこられれば
トレーラー一杯まで身を隠させてあげるわよ
逃走経路を確保したら端末にしっかり護衛させるわ
時折姿を消して鬼共の邪魔をしてやればいい
集団戦術で統制を取って私は離れて援護射撃――狙撃する

仕上げはそうね……勿論派手に行くわ
範囲攻撃用のブラックハットで
デカい花火を打ち上げてやるわよ


ウーナ・グノーメ
アドリブ・共闘◎

【心情】

「ムルヘルベルが怒りに震えるのも当然なのです。子供達が怯えて死ぬ有様を娯楽にするなど、あまりにも下劣で醜悪なのです」

「一人の命を救うことは、無限の未来を救うこと。今はそれを信じるのです」

【行動】

まずは潜入しなければ始まらないのです。奴隷として潜入するのが穏当なのですが、妖精であるわたしにはリスキーなのです。

よって念動力で光をねじ曲げ、迷彩を施して奴隷に紛れ込むのです。わたしも何も見えなくなるのですが、第六感で補うのです。どうしても接触が避けられない場面では、UCを用いてやり過ごすのです。

内部に侵入したら、敵を引き付けて撹乱させるのです。妖精の隠れんぼを見せてやるのです。


サフィリア・ラズワルド
WIZを選択

わざと捕まりましょう、この見た目なので興味を持ってもらえそうですし、逃げ出してきた何処かの実験体とでも思ってもらえれば(実際実験体だったし)。

私のやることは子供達の保護です。アイテムの宝石袋を【竜の箱庭】へ繋げて出来るだけ多くの子供達を中へ避難させます。箱庭に大勢の人を入れたらUCの効果が切れるのが早くなって少ししか運べないと思うけど、この場から出て他の猟兵と合流できればそれで十分!

『約束する、何があっても見捨てない、だから一緒に逃げよう』

アドリブ協力歓迎です。


ルネ・プロスト
さて、さて?
なんかルネ以外にも結構な人が来てるっぽい?
……ならルネは後方支援中心に立ち回る感じでいいかな

そういうわけで開幕UC
隠密行動を徹底させた森の友達に作戦区域中を駆け回らせて、奴隷及びレイダーの大まかな位置情報や逃走経路として適した道を探らせよう
その際森の友達には其々小型無線機持たせておくよ
無線機持たせておけば逃がせそうな子を誘導したりとか、他の猟兵の人達に集めた情報繋いだりとか、色々使えそうだからね

拘束具で繋がれてる子がいるようなら道化師団を向かわせて破壊工作、拘束具をぶっ壊してしまおう
その後は近場の森の友達を拘束具外した奴隷の子に付けて外まで誘導していく感じで



●子どもたちを救うために
「オラァ奴隷どもォ! キビキビ歩かねえかァ!!」
 ピシャアン! と鞭を振るいながら、奴隷監督官が檄を飛ばす。
 手足を拘束された子どもたちは、顔を俯かせてとぼとぼ歩いている。
 ……その列の中に、ひとりだけ特徴的な見た目をした少女が混ざっていた。
 こめかみから生えた二本の角、そしてきめ細やかな銀色の髪。
 アポカリプスヘルの人間とは思えない……事実、彼女は猟兵である。
 サフィリア・ラズワルド。彼女は奴隷に扮することでわざと捕まったらしい。
「おいおい、あそこのガキ、変わった見た目してんなあ?」
「どっかの実験施設で見つかったらしいぜ。ありゃ高く売れそうだ」
 奴隷の列を眺めるレイダーどもは、サフィリアを品定めしていた。
 その下卑た眼差しを俯くことで避けながら、サフィリアは心の中で思う。
(この見た目なら興味を持ってもらえると思ってたけれど、狙い通りね)
 ここまではいい。サフィリアが向かわされているのは、奴隷たちの"保管所"だ。
 このヴォーテックス・シティに連れてこられた奴隷はまず一箇所に集められる。
 もしも"見初めた"レイダーがいれば、奴隷はそのレイダーに買われる。
 そうでなければ一種の共有財産として、強制労働施設に連れて行かれるのだ。
 サーカステントに集められているのは、ジミーが個人的に買い付けた子どもたち。
 そうやって分散させられる前に子どもたちを救えれば、これ以上のことはない。
(私の"竜の箱庭"があれば、子どもたちは外に運び出せる……けど)
 これだけの人数の子どもたちを連れ出すことは、長時間は維持できないはずだ。
 サフィリアひとりでは、子どもたちを安全圏まで逃がせないのである。
 脱走のためには、他の猟兵の力添えがなければならない……。
『お困りみたいだね。協力が必要かな?』
「!」
 レイダーではない。物陰から聞こえた少女の声に、サフィリアは目を向けた。
 そこには小さな人形が一体。声は、人形が持つ小型無線機から聞こえている。
『大丈夫、わたしも……ルネも猟兵です。情報を少しでも共有しておきたくて』
「……そうね。ほかの猟兵に合流できる方法を、私も探していたの」
 サフィリアは周りに注意しながら、声を顰めて人形に答えた。
 人形の主……ルネ・プロストは、小型通信機越しにサフィリアに語る。
『ほかにも動いている猟兵が、ふたりいます。まずは動きを連携させましょう』
「…………」
 サフィリアは頷く。奴隷を閉じ込めるための廃ビルが、目の前に近づいていた。

 同じ頃、巨大廃ビルを眺める潜伏地点。
「……潜入した猟兵とコンタクト成功、と。計画は順調ね」
 ジュリア・レネゲードは、通信機を押さえながら呟いた。
『イエス。どうやら他のエリアでも、順次陽動作戦が始まっているようです』
 ソーシャルドローン・グリュプスがカメラアイから映像を投影する。
 近くの壁にプロジェクター状に映し出されたのは、"10番目の10番街"の全景だ。
 あちこちのエリアがブロックノイズめいて欠けている。
 しかし猟兵たちが集めた情報を合わせることで、地図は完成しつつあった。
 いずれこれは、ヴォーテックス・シティ全域を攻略する役に立つだろう。
「いまは出来る範囲で、出来る限りの子どもたちを救出するしかないわね……」
 ジュリアは大型トレーラー『ユニバース』のコクピットに乗り込むと、
 ユーベルコード『妖精乱舞(エレクトリカル・デスパレード)』を発動する!
「さあ、あなたの出番よグリュプス!」
『イエス、コマンダー。全機展開、マニューバ!』
 トレーラーの背部から、無数の戦闘端末部隊が出撃する。
 それらは光学迷彩を発動し都市に溶け込み、あちこちに展開する。
 そうして情報を集め、サフィリアおよびルネと共有することで彼女らを支援。
 救出成功した子どもたちをトレーラーに乗せ、脱出するというわけだ。
「それじゃあ始めるとしましょうか、パレードの開始よ!」
 沈着冷静なジュリアにしては珍しいことに、その声には怒気があった。
 彼女もまた、怒っているのだ。レイダーどもの無法とその凶気を。
 都市に溶け込んだ戦闘端末部隊が、ついに行動を開始する……!

「……私たち、どうなっちゃうのかな」
 そして、奴隷たちを収容する巨大廃ビル。
 奴隷監督官によって牢屋に押し込められた少女は、膝を抱えて呟いた。
 しかしそんな彼女の言葉に答えてくれる仲間は、もうここには居ない。
 住んでいた拠点は壊滅し、同じように囚われた友達はどこに居るか分からない。
 周りにいる子どもたちは、見たこともない相手ばかり。
 ……そしてみな、目が死んでいた。こんなところに来ては当然だろう。
「もう駄目なのかな、死にたくないよ……」
(……ムルヘルベルが怒りに震えるのも、当然なのです)
 嘆く子どもを見下ろし、ウーナ・グノーメは心の中で思った。
 彼女は念動力を利用することで、その小さな妖精の身体を覆い隠している。
(子どもたちが怯えて死ぬ有様を娯楽にするなど、あまりに下劣で醜悪……)
 本当であれば、すぐにでも姿を見せて子どもたちを安心させてあげたい。
 だがすぐそばには、奴隷監督官がいて鋭く監視の目を光らせている。
(情報がたしかなら、もうすぐ外で騒ぎが起きるはず。それまでの辛抱なのです)
 ルネを通じて得た情報を信じて、いまはチャンスを待つしかない。
 目の前に子どもがいるのに、慰めの言葉をかけてあげられない無力感。
 それがウーナの戦意をさらに強める。なんとしても奴らを斃さねばなるまい。
 ひとりの命を救うことは、未来の可能性を救うことのはずなのだから……!

 ――そして。
「おい! 外が騒がしいぞ、どうした!?」
「妙なドローンが暴れまわってるらしい。手が必要だ!」
 ジュリアが展開した戦闘端末部隊が、ビル周辺で攪乱作戦を開始した。
 レイダーどもは浮足立ち、奴隷監督官の目が子どもたちから逸らされる。
「くそっ、俺も外に向かわなきゃ駄目か……?」
「――今なのです!」
「!?」
 ウーナは透明化を解除し、砂塵を生み出して奴隷監督官を飲み込んだ!
「な、なんだこれは!? うおおおおっ!?」
 奴隷監督官は鞭を振り回す。だが、視界が晴れない。そしてウーナは妖精!
 透明化しながら飛翔し、再び姿を表すという撹乱飛行によって、攻撃が当たらない!
「な、何? 何が起きて……えっ?」
 うつむいていた少女は、突然の騒ぎに顔を上げ、そして気付いた。
 どれだけじたばたもがいても外れなかった手枷と足枷が……外れている?
 すし詰めにされた子どもたちの足元を駆け回る人形が、暗闇の中に見えた。
『さて、さて。あなたたちの進化を発揮するときですよ、"森の友達"!』
 ルネがユーベルコード『人形王国・諜報勅命』によって指揮する人形たちだ!
 "森の友達"たちは奴隷となった子どもたちの拘束具を破壊し、自由を取り戻す。
 さらに一部の人形は、ウーナに撹乱された奴隷監督官を攻撃した!
「グワーッ!?」
『これで子どもたちは自由になりました。誘導と避難はお任せしますよ』
「……ええ」
 自由を得たサフィリアは立ち上がり、困惑する子どもたちに語りかけた。
「聞いて! 私たちは、あなたたちを助けるためにここへ来たの」
 子どもたちの視線がサフィリアに集まる。だが、その眼差しは怯えていた。
 突然のことに驚き、自分がどうすべきかをまだ判断できない。そういう顔だ。
 痛みと恐怖によって反抗の意思を奪われたのだ、無理もない。
「た、助けにって」
「でもいまさら、どうすれば……」
「この街には、怖い奴らが一杯いるのに!」
「……大丈夫。いまは逃げるしかないけど、それでも」
 サフィリアは胸元に手を当てて、懸命に語りかけた。
「約束する。何があっても見捨てない、だから一緒に逃げよう!」
「「「……!!」」」
 サフィリアの心からの叫びは、潰えたはずの子どもたちを揺り動かした。
「……そうだ、逃げよう。こんなところから、逃げよう!」
 少女が立ち上がり、叫んだ。そして子どもたちも少しずつ立ち上がる。
「……ありがとう。さあ、この宝石袋に触れて。そうすれば――」
 サフィリアが差し出した宝石袋に、子どもたちはひとりひとり手をのばす。
 すると宝石が輝き、彼らを安全な異空間へと一時的に避難させる。
 ひとり、またひとり。そこならば、安全にトレーラーへ輸送できる……!
「さあ、急ぐのです! あいつらの目はわたしが撹乱するのです!」
「ありがとう!」
 ウーナに礼を言い、サフィリアは駆け出した。
 外では"森の友達"たちと、グリュプス率いる戦闘端末部隊が戦闘中だ。
「こっちよ! 急いで!!」
 ギャルルルル!! とレイダーどもを吹き飛ばし、大型トラックが到着!
 ジュリアは弾丸をばらまき、サフィリアの撤退を支援する!
「てめえ! 奴隷を盗みやがるのかァー!!」
「盗む? 勝手に人を拉致しておいて、盗人猛々しいのはそっちじゃない?」
 ジュリアは運転席から身を乗り出すと、レイダーに何かを投げつけた。
 ……手榴弾だ! 起爆スイッチを押し、ジュリアは言った。
「そんなに欲しいなら、この爆弾をくれてやるわ。まとめて吹っ飛びなさい!!」
 盛大な爆発が、浮足立つレイダーどもをまるごと吹っ飛ばした!!
 即席の連携による救出作戦は、こうして無事に子どもたちをトレーラーに届けることに成功したのだ――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

……ガキを糞共がひっ捕らえてるってか、あァ?
そォいう糞屑が一番反吐が出そォになンだよ俺ァよ。

……許される訳ァねェが落ち着け。救出ァオメェに任す、フェルト。俺ァ派手にやる。
ン、通信機代わりか わァった。――オメェも無茶すンなよ。

【アダム】発動
不可視の繰糸を俺の人形共に接続。

機動人形「GULLIVER」
装甲鬼兵「刑天」
戦艦鯨「CA-ONG」
傑作三機総出動の大盤振る舞いだこのヤロォ

ガリバーに搭乗して兵装ぶっ放しつつ
空中のカー・オンの各種砲撃と
刑天の斧のブチかましで糞共を吹っ飛ばす!
(操縦×制圧射撃×決闘)

――俺が暴れりゃァあいつにもガキどもにも目が向かねェよな。
オラ もっと来いや糞が!!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
こんな、こんなことが許されていいの!?……そうね、ケン様。今は冷静にならないと……
今は出来ることを、確実に。――絶対に、救ってみせる。

ええ、ケン様が陽動している今のうちに囚われた人々を救出するわ。
UCで創り出した電子の蝶で広範囲を索敵よ。わたし自身も蝶の幻を応用し不可視化して身を隠しつつ捜索するわ。
視覚、聴覚を共有し些細な音や声、不自然な場所を見つけ徹底的に探すのよ。
発見次第救出して街の外まで逃すわ。いざとなったら騎士人形の盾で【庇うわね。

あとは、念のためケン様にも蝶を1つ。何かあったらこの子に話しかけて連絡して。
ええ、わたしも無茶しないから、ケン様も無茶しないで。……お願いね?



●怒りの人形劇、開演
 ――KRAAAAASH!!
「な、なんだあのデカブツは!? どっから入ってきやがった!?」
 レイダーを見下ろす巨躯……機動人形、GULLIVER。
 そのコクピットに座るのはケンタッキー・マクドナルドは、ニヤリと笑った。
「いいねェ、テメェらにゃその情けねェツラと悲鳴がお似合いだぜッ!!」
 ケンタッキーはGULLIVERを操縦し、レイダーを地形ごと粉砕!
 BRATATATATATA……BRATATATATATATATATA!!
 レイダーは戦列を組みマシンガンで攻撃する。だが、所詮は豆鉄砲だ。
 5メートルを超える巨躯に、しかもケンタッキーが手ずから作り上げた機体に、
 尋常の銃弾をいくらぶつけたところで、かすり傷一つ与えられない。
 そして見よ。レイダーの横列をばっさりと吹き飛ばす、巨大なもう一つの姿!
「あ、新手だとォー!?」
 装甲鬼兵、「形天」! 無頭胴面のごとき奇怪な装甲人形は斧を振るい、
 立ち並ぶレイダーを粉砕滅殺。その攻撃を遮るものは、どこにも存在しない!
 さらに、空! クジラ型の宇宙戦艦、『CA-ONG』が悠々と空を舞う。
 一角めいた砲塔からエネルギー砲を吐き出し、廃ビル群を貫くのだ!
「傑作三機総出動の大盤振る舞いだこのヤロォ、光栄に思えよなァ!!」
 ケンタッキーはあらゆる兵装をぶちまけ、地形を吹き飛ばしレイダーを蹴散らす。
 敵はまるでゴキブリのように無数だ。それがこの街の堕落を示している。
 これだけの数のレイダーがのさばるのに、どれだけの奴隷が酷使されてきた?
「そうだ、かかってこい! この俺の傑作をブッ壊せると思うならよォ!!」
 レイダーはまるで紙くずのように吹き飛ばされ、爆炎に呑まれる。
 まさしく一気怒涛の大立ち回り。だが、これはあくまで陽動である。
(無茶はすンじゃねェぞフェルト……こっちはこっちで働くからよ)
 ケンタッキーはすぐ隣をひらひらと舞う蝶を見やり、心の中で思った。
 フェルト・フィルファーデンはいま、彼とは別の場所で戦っているのだ――。

 ……同じ頃、フェルトがどこに居たかというと。
「さあ、こっちよ! 急いでちょうだい!」
 彼女はケンタッキーが暴れている区画の、すぐ隣の区画に居た。
 フェルトの周囲には無数の電子蝶が舞い、幻影の結界を生み出している。
 そしてフェルトのあとに続くのは、混乱に乗じて救出された子どもたちだ!
「ほ、ほんとにあなたについていけば、逃げられるの?」
「ええ、大丈夫。あなたたちを助けに来たのはわたしだけではないのよ?」
 不安そうな子どもを振り返り、フェルトは努めて明るい笑みを見せた。
 子どもたちを元気づけるのも大変だったが、問題はここからなのだ。
 逃走を先導する自分が不安を見せたら、子どもたちも安心できないだろう。
 だから彼女は笑顔を浮かべる。なんの心配もないと、その言葉で安心させる。
(ケン様……あなたも、大丈夫よね?)
 それでもフェルトを不安にさせる材料はあった。他ならぬケンタッキーのことだ。
 彼の人形が、そこらの雑魚レイダーに負けるはずはないとわかっている。
 しかし、人の心は理屈ではない。離れただけで不安は鎌首をもたげるのだ。
 ……フェルトは思い出す。この街に来たとき、怒れる自分をなだめた彼の言葉を。

『許されるわけァねェが落ち着け』
 なんてことを、と憤るフェルトの肩に手を置き、ケンタッキーは言った。
 いつもならば彼のほうが怒り散らすというのに、冷静な目でフェルトを見つめて。
『ガキを糞どもがひっ捕らえてるなンざ、俺だって反吐が出そォにならァ。
 けどだからこそ、俺らに出来ることをやってガキどもを救ってやらねェと、だろ』
 ……ケンタッキーの言葉は、激しかけたフェルトの心を澄み渡らせた。
 怒りに益はない。救いたいという気持ちだけでは、何も出来ないのだ。
『そうね、ケン様。冷静に、出来ることをやらなきゃ』
『そォだ。俺が陽動で、お前がガキどもを連れて逃げろ。出来るだけ遠くへな』
 適材適所。ケンタッキーの提案に従い、フェルトは蝶を一匹だけ任せた。
 通信機代わりの、お守りのようなもの。それが今の彼女たちを繋ぐ唯一の糸。
『無茶すンなよ、フェルト』
 ……己を気遣うような彼の眼差しは、とても心強かった。

「……ええ、わたしも無茶はしないわ。ケン様」
 脳裏によぎった彼の声に応えるように、フェルトはひとりごちた。
 行く手を阻むレイダーを、幻影蝶によって撹乱し、足止めする。
「わたしの騎士人形たちよ! わたしたちを護る盾となって!」
 人形を従え、子どもたちをかばいながら外を目指し、前へ、前へ。
 遠くからケンタッキーの巻き起こす争乱と、轟音が聞こえてくる。
 いまは離れなければならない。けれどすぐに彼は来てくれるはずだ。
「……信じているからね、ケン様」
 フェルトの言葉は、蝶を通じてたしかに彼に届いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルナスル・アミューレンス
まま、よくある事ではあるよね。
無法となっちゃったこの世界じゃあさ。

でもそれを見逃さないのも、この世界なんだよねぇ。
僕ら「奪還者」、奪還するのは物資だけじゃないのさ。

さ、て。
義憤に駆られた人は、テントにお迎えに行ってくれるだろうし。
都市郊外に繋がる帰り道を確保しておきますかねぇ。

じゃ、暴れましょうか。

どーもレイダーさーん。
知ってるでしょーう?
奪還屋でございます。
おい、砲弾食わねぇか。

手近な強制労働所に機関砲を、
子供に当たらない位の高さで撃ち込んで、喧嘩を矢鱈滅多らに吹っ掛けるよ。
レイダーが続々と出てくれれば、仕方ないけど皆、次から次へお『怒涛(ワカレ)』だよ。

あ、子供は飲み込んでもそっと出すよ。



●"よくあること"
 アポカリプスヘルに、人が治め人を護るべき法律は存在しない。
 荒野は無法の大地であり、強きものが正義でありすべてを支配する。
 ……それは当たり前のこと。だから、これも"よくあること"だ。

 よくあること。
 だからといって、誰もがその無法を、凶行を見て見ぬ振りするのか?
 否。ここに、アルナスル・アミューレンスという奪還者がいる。
「奪還者がさあ、どうして"奪還者"って呼ばれるかわかるかい?」
「が……ご……」
「おっと。答えられないか。まあ聞いてよ」
 不定形の異形に変じた片腕で釣り上げたレイダーに、アルナスルは語りかける。
「奪還者が奪い返すのは、何も物資だけじゃない。人もそうだし、命もそう。
 けれど僕らが何よりも重視するのは……いわば、人の尊厳ってところかな」
 偽神細胞によって異形化したアルナスルが"人の尊厳"を口にするのは、
 非常にアイロニーではある。だが、逆に言えば"だからこそ"と言えようか。
 その身を人ならざるなにかに変えてでも、無力な人々には守れぬものを護る。
 それほどの覚悟と決意をもってして、ようやく奪還者の生業はこなせるのだ。
「だからそれを侵した君たちは、ここで怒涛(おわかれ)だよ」
 ぐしゃり。異形化した片腕が、呻くレイダーを飲み込み、握り潰した。
 ……それを見上げる子どもたちのか細い悲鳴が、アルナスルの耳に届く。
 もう片方の腕を異形化させ、機関砲を展開。子どもたちの頭上を薙ぎ払った。
 BRRRRRRTTTTTTT!!
「「「げえぇえええっ!?」」」
「どーもレイダーさーん、知ってるでしょーう?」
 BRATATATATATATATA!! アルナスルは、まるで魔王のように行進する。
 怯える子どもたちの背中を護るように、その異形化した肉体で。
「奪還屋でございます。おい、砲弾食わねえか!」
 BRRRRRRTTTTTT!!
「ち、ちくしょう! 化け物だ! 化け物が――」
「心外だなあ。君たちなんかに化け物呼ばわりされたくないよ?」
 瀕死のレイダーを異形の肉体で飲み込み、アルナスルは首を傾げた。
 子どもたちはその身体を恐れるだろう。だがそれでいい。
 恐怖にかられてすぐに逃げ出してくれるならば、避難誘導の手間が省ける。
「そうそう、さっさと逃げておいき。こういう仕事は、奪還屋(ぼくら)の領域だ」
 弾丸と異形と殺意をばらまき、レイダーどもを処刑する。
 それもまた、このアポカリプスヘルでは"よくあること"なのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
仕事の時間でござるな(弦を咥えて引っ張りながら)

救助とかそういうのは他に任せて陽動と趣味を兼ねた面白killに勤しむとするでござる
高所に陣取り獲物の通りすがるレイダーが見えたらすかさず時代劇じみた【BGM】をセット、これは処刑に欠かせない工程なので外せませんぞ!
レイダーの首目掛け、輪っかを作ったピアノ線を投げつけて首を吊り、弦を指で弾き止めですぞ!新鮮なインテリア一丁上がりでござる

然る後は騒ぎを大きくしながら敵を葬り去りながら闇から闇へ
時にはピアノ線を足首の高さで張って転ばせ、時には物陰から偶々持ってきたやたら尖った簪で首筋を一刺
必殺の仕置でレイダーを〆て廻るでござるよ



●必殺! 猟兵うら殺し
「……仕事の時間でござるな」
 エドゥアルト・ルーデル、なぜかキメ顔でキュッと弦を銜えて引っ張る。
 ……何か色々間違えている気がするが、どうやら彼もやる気はあるらしかった。
 これは陽動……と、あと実益を兼ねた面白KILLの時間なのである!
 なお、傍らには持参のラジカセ。CDではなく、あえてカセットなのが通だ。
 エドゥアルトはいま低い廃ビルの屋上に陣取り、眼下を見下ろしている。
 ちょうどそこの大通りを通りがかるレイダー……エドゥアルトの目が光った!
「BGM、スタート! でござる!!」
 カチッ。するとなんだか、仕事人って感じの時代劇BGMが流れ出す。
 もしかしたらバレるかもなどという懸念はナンセンスな話だ。
 面白KILL、もとい面白処刑をするときにはこのBGMが必須なのだ!(らしい)
「そぉい!!」
 エドゥアルトはやおら、カウボーイめいて投げ縄を投げた。
 正しくは、輪っかを作ったピアノ線だ。そして輪っかはレイダーの首に引っかかる!
「あ? なんだこりゃ――げぇ!?」
 ピアノ線はものすごい速度で絞まると、ぐいっとレイダーの身体を引き上げる!
 ピアノ線は滑車めいて別のポイントに引っ掛けられているのである。
 レイダーは首元をかきむしりながらもがく。そこでBGMは最高潮に達した!
「てめぇらのような外道は生きてちゃなんねえ――で、ござる」
 ピンと張った弦を指で弾くと、ぼきり、と鈍い音が響いた。
 首が圧し曲がったレイダーの手足はだらりと垂れ下がる。
「新鮮なインテリア一丁上がりでござる。さあ次と参るでござるよ……!」
 ラジカセを回収し、身を翻すエドゥアルト。かなりアレな光景であった。

 しかし、やることは珍妙でも仕事はきちんとこなすのがエドゥアルト。
 彼の面白処刑コーナーはあちこちで繰り広げられ、無残な犠牲者を生み出す。
「セイッ!」
「グワーッ!?」
 やたら尖った簪で首筋を一刺ししたり、
「プッ!」
「アバッ!?」
 毒を塗った吹き矢を打ち込み毒殺したり、
「成敗!」
「オゴーッ!?」
 ときには素手で喉を潰して仕留めたり。
 必殺の仕置がレイダーを〆てまわり、あとに残されるのは無残な死体だけ。
 それが徐々に騒ぎを生む。一応、陽動にはなっているのがまた妙な話だ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・ひかる
子供たちの命を救う事、それは即ちこの世界の未来を救うことに他なりません。
千里の道も一歩から。世界に平和を取り戻すためにも、頑張りましょうっ!

見た目を活かし、子供たちの中に潜入
服装もそれっぽく偽装し、手持ちの装備はなし
ですが、精霊さん達と連携するだけならこの身一つで十分です

現場では主に逃走経路の確保を担当
経路上にたむろしているレイダーへ【精霊さんのくつろぎ空間】を発動
精霊さん達に最大効果での発動をお願いし、極度のリラックス状態による昏倒……平たく言えば居眠りをさせて安全を確保します

子供たちへも弱めの効果で発動
これから激しい逃走劇になりますし、今のうちに多少なりとも心身を癒しておいてもらいましょう



●強制労働施設にて
 すでにかなりの人数の猟兵が陽動作戦を決行していた。
 それでも、このヴォーテックス・シティの機能が止まることはない。
 "どうせ侵入者なぞ誰かが蹴散らす"とたかを括り……否、好機とみなす輩もいる。
 レイダー同士とて、協調などしない。むしろ生き馬の目を抜く競争社会なのだ。
 より上に、支配者に成り上がって君臨するためには、レイダー同士で争い合う。
 これ幸いとばかりに他人の奴隷を横取りする輩まで出る始末だ。
(……醜い)
 口汚く罵り合うレイダーを横目に、囚われの荒谷・ひかるはため息をついた。
 彼女はその容姿を活かし、子どもたちに紛れて街に侵入していたのだ。
 服装はあえてボロボロのローブを纏い、いかにも連れてこられた風を装う。
 その小細工のおかげで、奴隷監督官も正体を見抜くことは出来なかった。
(子どもたちを虐げるどころか、同じレイダーでも協力すら出来ないなんて)
 それは、ひかるからすれば理解しがたいほどの愚かな姿だった。
 だが、それがオブリビオン。破滅だけを願う、マイナスの生命体。
 同じオブリビオンですら理解し合うことはなく、争い、殺し合いもする。
 それは人間も同じだ。だが人間は目的がぶつかりあった時に闘争が生まれる。
 いわば、求めるからこそ争い合う。オブリビオンはそれですらない。
 奴らの行いはすべて、この世界を破滅させるためだけに行われるのだから。
「おい、そこのガキィ! きびきび歩けっ」
「は、はい……」
 鞭を振り回す奴隷監督官に怯えたふりをして、廃ビルの中へ。
 だが、ひかるの頭は冷えていた。怒りと、呆れと、そして憐憫ゆえに。
 恐怖がないとは言わない。ここはいわば敵の腹の中なのだから。
 それでも成さねばならないことがあるという思いが、ひかるを突き動かす!
「精霊さんたち……お願いします。レイダーを眠らせてください」
 ひかるは木と風の精霊に"お願い"し、臭木の香りあふれる爽やかな風を生んだ。
 それは森林浴のようなリラックス効果をもたらす、どちらかといえば平和な術式。
 しかし最大限に効果を発揮すれば、昏倒させることも出来るのだ!
「う……? な、なんだ、急に、眠く……」
「……ゆっくり眠っていてくださいね。わたしたちが逃げるまで」
 どさりと倒れたレイダーの腰から鍵束を素早く奪い取るひかる。
 ぽかんとする子どもたちに駆け寄ると、ひとりずつ手枷を外してやる。
「あ、あなたは一体? どうしてこんなことを……」
「あなたたちを助けに来たんです。わたしだけではありませんよ」
 ひかるは安心させるためににこりと微笑み、精霊たちにもう一度お願いした。
 今度は弱めに……子どもたちを安堵させ、平静を取り戻させるための風を起こす。
「今のうちです。早くこんな街から逃げ出しちゃいましょうっ」
 そのかいもあって、子どもたちは混乱をほとんど起こさずに言葉を受け入れた。
 ここまではよし。問題はこれからだ。ひかるは気を引き締め、踵を返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

狭筵・桜人
サーカステントは人が足りていると信じて
私は強制労働所へ向かい子供たちの解放と保護を。
他猟兵の確保した逃走経路があれば利用させて貰います。

救出対象の元までは極力目立たないように動きましょう。
『怪異具現』で悪臭に似合いの『蝿の大群』を喚びます。
害がない?いやいやまさか。こいつで気道を塞いでやりますよ。
レイダーたちが落とした武器は出来る限り拾って行きます。

子供たちとの接触は慎重に。
信用を欠いて逃げ出されたらお終いですからね。
拾った武器は子供たちへ分け与えます。自前の拳銃もあげます。
信用出来なければそれで私を後ろから撃ってもいいですよ。
信じてくれたら最悪(ここ)よりマシな所へ連れて行ってあげましょう。



●蝿の王
「……なに、これ」
「ご覧になったことないです? 銃ですよ」
 胡乱げに睨みつける子どもに対し、狭筵・桜人はにこりと微笑んだ。
 人当たりのいい笑みも、こんな状況では相手に対する挑発も同然である。
 それでも、桜人は笑う。あいにく、それ以外のいい表情を知らなかった。
「私のことが信用できないのは当然です。いきなり出てきた他人ですもんね。
 だから、これをお渡しします。道中で拾った武器も自由にしてください」
「そうじゃなくて……どうして? なんでわたしたちに」
「もしも私が信用できないなら」
 子どもの言葉を遮り、桜人は言った。
「その銃で、私を撃ってもいいですよ。銃弾避けられるほど器用じゃないですし」
「…………」
 子どもは、差し出された拳銃を見、そして微笑む桜人をもう一度見上げた。
 得体の知れない少年。すぐ後ろでは、ぶんぶんと蝿の大群が唸っている。
 あれが見張りのレイダーの頭を覆い、窒息死させた。不思議な力だ。
 奪還者? よく似ているが何か違う。子どもたちの知るどんな人間よりも。
 奪還者ほどお人好しではないし、かといってレイダーのように無慈悲かと言えば否。
 その微笑みは仮面のように虚ろで、それが警戒心を掻き立てていた。
「……こんな"最悪の中の最悪"って街に残りたいというなら話は別ですが」
 表情を変えないまま、桜人は言う。
「私を信じてくれたら、せめて最悪(ここ)よりマシなところへ連れていきます。
 そこからどうするかはあなたたち次第です。家があるなら家に帰ればいい。
 もしも家がないなら……まあ、多分お世話してくれる人もいるんじゃないですか?」
「……何が、目的なの?」
「目的ですか」
 桜人は考え込む。はじめて、その笑顔が困ったような表情になった。
「……なんでしょうね。あいにく私、義憤とかそういうの感じないタチでして」
 そしてあっけらかんと言う。
「戦うことが好きなわけでもないですし、実際ホントなんでここにいるんでしょ。
 私が知りたいぐらいですよ。いい理由を思いついたら、教えてもらえませんか?」
「……変なひと」
「ええ。自分でもそう思います」
 それで? と桜人は首を傾げた。
「ここであんなふざけた連中にいいようにこき使われてくたばるのと。
 私みたいな信用できない変な人を利用して、生き延びる。どちらがいいです?」
「…………」
 しばらくその顔を見上げていた子どもは、拳銃のグリップを握った。
 桜人は拳銃から手を離す。そしてまた、にこりと微笑んだ。
「そうです。別に信じなくていいですし、私をいい人だとも思わないでください。
 利用できるものは利用すればいい。誰しもそうやって、生きてるものですからね」
 はたしてそれは、子どもに向けた言葉だったのか、あるいは。
 その真偽は定かならず。桜人は蝿の群れを引き連れ、踵を返して歩き出す。
 ……子どもたちはおずおずと、そのあとに続いた。ただ、静かに。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリー・ハロット
うぅーっ……なんかとっても嫌な感じ!
全然面白くない! つまんない!つまんない!!つまんなーい!!!
(少女は、『命を使い捨てる』様なその街に、レイダーに、オブリビオンに、無性にいら立ちを覚える)
(故に、その行動に計算などなく。偽神兵器“Vortex”をその手に、【ドーピング】で【限界突破】した【根動力】をその身にまとい、ただ思いの猛るままに、弾丸の様に空を駆け、真正面から街を強襲する)
(それが、もしかしたら、陽動になるかもしれないが、少女の頭の中にあるのは、抑えきれない憤りと、それをとにかく解消したいという短絡的な暴力性のみである)

アンタたちみたいのは! 一人残らず、アポヘルから消えちゃえ!!



●いのちを使い捨てる
 このヴォーテックス・シティに、"いのち"は存在しない。
 それは時間のように消費し、使い捨てられ、廃棄されるリソースに過ぎない。
 ……それが生きるためであるのならば、まだしも理解は出来る。
 ヒトは、いのちを食らって生きている。
 動物の、魚の、植物の、あるいはどれでもない微生物のいのちを喰らう。
 比喩の面で言えば、目的のために同じ人間同士で殺し合うことすらある。
 だが、レイダーは、そしてオブリビオンは違う。
 奴らがいのちを消費するのは、生きるためではなく"そうである"からだ。
 愉悦のために奴隷を殺し、ただ歓喜を浴びるために子どもを簒奪する。

「消えちゃえ」
 マリー・ハロットは、"大渦"の名を持つ偽神兵器を振るう。
 怒りではない。
 哀しみでもない。
 ただ思いが溢れてくる。
「消えちゃえ!!」
 消えてしまえ。
 消えてしまえ!
 こんな街も、
 こんな街にいるレイダーも、
 こんな街を支配するオブリビオンも、
 消えてしまえ!
 いますぐこの世界から!
 目の前から、消えてしまえ!!
「つまんない! 全然面白くない、つまんないつまんないつまんない!!!」
 刃は嵐となりて廃ビル群を切り裂き、スライスし、マリーが土煙を飛翔する。
 レイダーもアスファルトも何もかも、ミキサーめいて混ぜ合わせてしまう。
 作戦などない。
 目的もない。
 救出などどうでもいい。
 押さえきれない苛立ちと、それを解消したいという短絡的な暴力性。
 子どもの癇癪じみた――事実そのとおりだ――殺意が、街を駆け抜ける。
「アンタたちみたいのはッ!!」
 どうしてこんなに苛立つのだろう。
 どうしてこんなにすべてを壊したいのだろう。
 理由などどうでもいい。こいつらさえ、この街さえ滅ぼせるなら!
「ひとり残らず、この世界から!! 消えちゃえッッ!!!」
 マリーはただ苛立っていた。
 なのにその金色の双眸からは、次から次に涙が溢れて止まらなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】
アドリブ歓迎

「恋人になって初デートが…襲撃とは、な。全く救い難いカップルだ、私達は。戦術的に…フッ」
彼女と肩を並べ、ツーマンセルで共に戦う。
私はライフルにバヨネットを着剣、戦闘スタイルは銃剣術。

裏通りをテントに向かって前進、戦闘知識によるファイア&ムーブメントで敵を撃破。
「Montjoie, Saint Denis!」

敵の数が増えたらマシンピストルに持ち替えUCを発動、制圧射撃。
テントに着いたら地形の利用で拠点防御、敵の増援を食い止める。
奴隷の解放やルート確保は他の猟兵達に任せ、私達は時間を稼ぐ。

彼女が敵の攻撃に反応できない時は、身体を抱き寄せ盾受け、彼女を護る。
「真琴、貴女の楯だ!」


新海・真琴
【炎桜】
アドリブ歓迎

(世界に合わせてラフなTシャツ姿に、大鎧の胴だけ着けて)
「まあいいじゃないか。ボク達死んだら仲良く修羅道行きは確定――あ、ごめん。君は無神論者だったね」
ボク、毎朝般若心経唱える程度には敬虔な曹洞宗の信徒だからさ。

基本ははなきよらでの斬撃。薙刀術と槍術を混ぜた我流の動き。
あまりに近い敵は脇差で刺すか、拳鍔で殴打。

裏通りを走り、敵を殴り倒しながらテントを目指す。
到着したら、はなきよらと脇差で応戦。
ルート確保や奴隷解放に向かう皆のため、敵を食い止める。
「ここはボク達が止めるから!!皆、頼んだ!」

「だったらボクは、君の矛だッ!」
敵を引き付けたところで曼珠沙華を発動。一気に潰す!



●最強の矛、最強の盾
 "10番目の10番街"は、徐々に混迷に包まれつつあった。
 猟兵たちによる陽動作戦は、ついにこの区域全土を混乱させ始めていたのだ。
 当然レイダーはさらなる敵を警戒し、サーカステントを重点しようとする。
 ただでさえ強固な守りがさらに硬くなるのだ。正面突破は愚の骨頂。

 ……しかしその愚行を、あえて真正面から挑まんとする男女がいた。
 かたや、ラフなTシャツ姿に大鎧の胴だけ身につけた凛々しき桜の精。
 その隣には、バヨネットつきのライフルを肩に担ぎ、ニヒルに笑う男。
「恋人になって初デートが……こんな腐った街の襲撃とは、な」
 男……ベルンハルト・マッケンゼンは、傍らを歩く女を見やった。
「まったく度し難く救いがたいカップルだ、私たちは。そう思わないか?」
「まあ、いいじゃないか。ボクらが死んだら、仲良く修羅道行きは確定、だろ?」
 女……新海・真琴はそんなジョークを口にして、あっと何かに気付いた。
「ごめん。君は無神論者だったね。ボクは毎朝お経を唱える程度には信心深いから」
「気にしないさ。それに、"もしも死んだなら"なんて考える必要はない」
 ベルンハルトはライフルを担いだまま、真琴の前に一歩踏み出す。
 短い金髪を、ばさばさと吹き付ける粉っぽい風がなびかせた。
 ……ふたりの正面には、武装したレイダーがざっと50以上並んでいる!!
「たとえ戦術的に救いがたい私たちでも、こんなところで負ける道理はないのだから」
「言い得て妙だ。では、盛大に始めるとしようか!」
「「「真正面からのこのこきやがって! 死ねぇーっ!!」」」
 BRATATATATATATATATA!! しびれをきらせたレイダーどもの一斉射撃!
 ふたりは左右に跳んでこの弾幕を回避し、そして並走しながら駆け抜ける!
「Montjoie, Saint Denis!!」
 ベルンハルトは鬨の声をあげ、カバーリングしながらライフルを発射した。
 敵の弾丸はめくらめっぽうで、どれだけ密集してもろくに当たらない。
 それはベルンハルトと真琴が、瓦礫や廃ビルを使って的確に避けているからだ。
 そもそも真琴の武器は長柄の洋斧『はなきよら』であり、弾丸はほぼ無効。
 真琴ほどの使い手がポールウェポンを振り回せば、そこに強固な壁が生まれるも同然!
 ふたりは一切足を止めず、突撃する真琴をベルンハルトが支援射撃し、
 ベルンハルトの射線を真琴が切り開く形で、敵を蹂躙していくのである!

「た、大変だキング!!」
「あァん?」
 苛立たしげな表情の"ジミー・ザ・ジョーカー"が、レイダーを睨みつけた。
「なんだね忙しない、まさかここまで突破されただなんて」
「そのまさかだよ!! た、たったふたりの猟兵がすぐそこまで」
 BLAMN!! 役立たずのレイダーは、報告を終える前に頭を吹き飛ばされた。
 ソウドオフショットガンをコッキングしながら、ピエロは舌打ちする。
 そしてテントの外を見やる。銃声、罵声、それを切り裂き進むふたつの影!
「やァくたたずどもめェ!! ワタシが楽しめないじゃあないかァ!!」
 さっさと殺せ! レイダー・キングの命令は、水銀よりも早く広がった。
 さらなるレイダー増援がテントから飛び出し、ふたりを迎え撃つ!
 BRATATATATATATA!! ベルンハルトはマシンピストルに持ち替え敵を撃ち抜く!
 その手に握りしめた銃は、きらきらと輝くラインの黄金銃に変じていた!
「コート・エクスティンクション! このまま突破するぞ、真琴!」
「ああ! 中にいる奴隷たちは、他の猟兵が助け出してくれるはずだ!」
 ふたりは救助役の猟兵たちの逃走経路を切り開くため、徹底的に戦い続ける。
 降り注ぐ弾丸には、それ以上の鋭く致命的な弾丸と刃で応報するのだ。
 まさしく修羅の如き立ち回り! しかし見よ、ロケット砲が真琴を狙っている!
「ファイア!!」
「チ、上か――!?」
 真琴は、噴煙を撒き散らしながら飛来するロケット弾を見上げ舌打ちした。
 回避は出来ない。すぐ後ろを、猟兵に連れられた子どもたちが逃げているのだ。
 かといって切り払うには危険すぎる。真琴はせめて我が身を盾にしようと――。

「……えっ?」
 KRA-TOOOOM!!
 しようとした、そのとき。すぐ目の前で、ロケット弾が盛大に爆ぜた。
 そして真琴は、自分がベルンハルトに抱き寄せられていることを理解する。
 彼はすぐに真琴のもとに駆けつけ、彼女をかばいながら弾丸で撃ち落としたのだ。
「真琴。私は、あなたの楯だ。この身を犠牲にしてでも守り抜こう」
「……ベルンハルト……」
 束の間、真琴は、ここが戦場であることすらも忘れてしまった。
 降り注ぐ弾丸の銃声とマズルフラッシュが、彼女の意識を現実に引き戻す。
「……だったらボクは、君の矛だッ!!」
 真琴は駆け出した! そして、『はなきよら』を彼岸花の花びらに変える!
「咲き燃えろ、彼岸の緋よ! ボクらの敵を、灼き尽くせ!!」
「やはりあなたは戦う姿こそが美しい。私も負けていられないな!」
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATATATA!!
 混迷の戦場を、ふたりはワルツでも踊るかのように駆け抜ける。
 すべては大切な相手を守り、子どもという未来を救うために。
 悪党どもの弾丸では、ふたりの命を奪うことなど出来はしない――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

九頭竜・聖
……これほどの悪しきを見ることになろうとは
ただ、ただ享楽のために命を貪る
まさに畜生の如き所業でございます
この身が正しきを行う猟兵である以上、見逃す道理などございませぬ

見てくれの良いわたくしめならば、悪しき者たちの気を惹くには十分でございましょう
何よりあの御方々の御力では助けるべき人々も巻き込んでしまうかもしれませぬ

正面より向かいまして、彼奴等めがでてきましたら御方への【祈り】を捧げましょう

おいでませ、后土様
悪しき行いにて、享楽に耽る堕落の民共に貴方様の御力でどうか裁きを
逃げようとする者や囚われた方の下へ向かおうとすれば鉄の兵が阻み、立ち向かえば后土様が裁定を下すことになりましょう



●罪業の報い
 レイダーどもは、その女をひと目見て下卑た欲望を否応なく刺激させられた。
 憂いを帯びた黒い瞳、艶やかなまでに光を吸うぬばたまの黒髪。
 肉感的な肢体はそのフォルムを目でなぞるだけでも蠱惑的であり、
 きゅっと引き結ばれた口元はと言えば、みずみずしい唇が一文字を描いていた。
 美女だ。それも男の興味と欲望をこれでもかとそそる、珠玉の美女。
 突如として街中に現れた女を、レイダーどもが見過ごすはずがない。
「おいおい、どこから迷い込んだんだ? ヒヒヒ!」
「……これほどの悪しきを見ることになろうとは」
「あ?」
 舌なめずりをしながら近づこうとしたレイダーは、訝しげに眉根を寄せた。
 ……憂いを帯びた瞼が開かれる。その黒い瞳はぞっとするほど美しい。
 そして吸い込まれそうなほどに澄んでいた。憐憫と、呆れと、憤りに。
「生きるためでも、喰うためでもなく、ただ、ただ享楽のために命を貪る。
 好んで童を集め、意味もない苦役に就かせ、痛みと恐怖で服従させる……」
 美女……九頭竜・聖は、その魅力的な唇からほう、と吐息を漏らした。
 そして頭を振る。悩ましげに寄せられた眉間は、困惑ではなく……。
「まさに畜生の如き所業。見逃す道理など欠片もございませぬ」
「ああ? なんだてめえ。見た目がいいからってブツブツと!」
 レイダーはぐわっと手を伸ばしかけ……瞳に射竦められ、呻いた。
 なぜだ。背が高いとは言え華奢な女ひとり、腕力で屈服させられぬはずがない。
 だのにその黒い瞳は、まるで鋭い矢のように男を貫き、金縛りを起こさせた。
「この身は猟兵。正しきを為し、正しからざるものを討つ命にござりますれば」
「な……こい、つ……!?」
「――わたくしめのこの身に見惚れ、警戒すらも忘れるとは。迂闊にございます」
 ひゅん、となぎなたが翻った。レイダーの手首が、すとんと落ちる!
「げえええっ!?」
「こ、こいつ!」
「こいつも猟兵か!?」
 敵は各々銃を構えるが、いまさら遅い。いましがたの斬撃は攻撃にあらず。
 それは舞だ。ヒトならざるもの、呪うもの、言祝ぐものへ捧ぐ神楽の舞。

「――おいでませ、おいでませ。偉大なる白の御方様、煌めく金剛龍神様」
 おお、見よ……舞に呼応して、ばきばきと地割れが生まれた。
 そしてぬうっ、と身をもたげたるは、身の丈見上げるばかりの大巨体!
「り、龍、だとぉっ!?」
 偉大なる白き龍神は、凍てつく冬の吹雪を思わせる双眸で愚か者どもを睨んだ。
「偉大なる裁定者、后土様。どうか、どうか、かの者らに裁きを下さりませ。
 悪しき行いにて、享楽に耽る堕落の民どもに。御身の御力にて鉄槌を――!」
 弐之龍は、巫女のねがいを聞き届けた。
 ぐぐっ、と大きく息を吸うと、煌めくプラチナめいた吐息をばらまく。
 そして見よ。地割れからさらに這い出したる、鉄(くろがね)の兵ども……!
「う、撃て! 撃てーっ!! あの女を殺せーっ!!」
 BRATATATATATATATATA!!
 巫女に手を出そうとしたレイダーは、特に残酷に、残忍な最期を迎えた。
 黒鉄の兵どもは大地を埋め尽くすかのごとく溢れ、堕落の民に鉄槌を下す。
 おお、龍よ。白き龍よ。その怒りはこの街に裁きという大渦を生むだろう。
 巫女は舞い続ける。願いの代償は、その身の所有権を明け渡すこと。
 光射さぬ水底めいた黒い瞳には、希望も絶望も、どちらも映っていない。

成功 🔵​🔵​🔴​

鷲生・嵯泉
……成る程、能々腐り堕ちた街の様だ
さっさと片付けてしまうに限る

隠れ侵入するのは性に合わん
出来るだけ派手に引き付け他が動く隙を作るとするか
――破群猟域、遺さず叩き潰してくれよう
フェイント絡めた乱打で以って、悉くを撃ち斃す
距離なぞ不問、此の眼に映る限り逃れられる等と思うな
戦闘知識での先読みと第六感で以って
攻撃は見切り躱し、或いは武器受けにて叩き落す
「視」認とは肉眼のみに非ず……心眼をも含むという事だ
他者の命を奪い続けておきながら
己が其の対象に成らぬとでも思っていたのか?

――其れが己にも還ると知っている
だが「其の時」が訪れる迄は、折れぬ刃で在り続けよう
護る為に成すべきを為す――そう在る誓いを成す為に



●いずれ来る応報の時
 どのような理由があれど、他者の命を奪うことは罪であり、背負うべき咎だ。
 鷲生・嵯泉は、それを知っている。その身を以て味わっている。
 オブリビオン相手ならば、まだ世界の未来を護るという大義が成立する。
 そもそも彼奴らは正当な生命とは言い難く、だからこそ猟兵は立つのだ。
 しかし、嵯泉は猟兵である以前に剣士であり、そして戦いに生きてきた。
 友を、仲間を、そして故国を護るために、何度でも剣を振るってきた。
 敵対者の血にまみれた大地を、しかと踏みしめて歩んできたのだ。
 たとえそのすべてが灰燼に帰したとして、罪までもなくなるわけではない。
 他ならぬ嵯泉自身が、その罪と咎を記憶し背負っているのだから。

「ぎゃあああっ!!」
 片腕を斬り落とされたレイダーが、傷口を押さえながら無様に呻いた。
 嵯泉はその罵詈雑言混じりの断末魔に眉根を寄せ、鋒でとどめを刺す。
 げく、と潰されたカエルのような呻き声。死骸を踏み越え、嵯泉は歩みだす。
「あ、相手は独りなんだぞ!? なんでこっちが退いてんだ!!」
 銃を構えながらも、レイダーどもは嵯泉ひとり殺すことすら出来ない。
 その歩みは緩慢に見えて鋭く疾く、剣閃は乱雑なようで実際のところ的確だ。
 隻眼は刃のように冷たく敵を見定め、嵐の如き剣が獲物を猟(か)る。
「痴れ者が。雑魚が百や二百集まったとて、私を狩れるものか」
 蛇めいてうねる剣が、瓦礫の向こうにカバーリングしたレイダーを串刺しにする。
「狩り手は私で、獲物がお前たちだ。身の程をわきまえろ」
「ち、畜生おおおおおっ!!」
 BRATATATATATA!! 嵯泉は、鞭刃を渦状に集めて弾丸を弾いた。
 そしてコイルめいてたわんだ刃は、猛スピードで伸び上がり敵を斬殺する。
 バラバラに斬り裂かれた敵の身体を目眩ましに使い、嵯泉は真っ向から突っ込む。
 数の利も地の利も敵にあり。
 だが殺すのは嵯泉であり、そして言葉通り、ここは彼の猟域だった。

「な、なんでだぁ、どうして俺らが……」
「"どうして"だと?」
 傷口を抑えてうめく瀕死のレイダーを、嵯泉の隻眼が睨め下ろす。
「他者の命を奪い続けておきながら、己がその対象にならぬとでも思っていたか」
「な、なんだよ! お前だって、そこまで剣を鍛えたなら――」
「ああ。私も殺したとも。多くの命を、信念と理のもとに奪ってきた」
 嵯泉の瞳は刃のようだ。どこまでも冷たく澄んでいる。
「いずれ"その時"は訪れよう。だがそれは今ではなく、齎すのはお前たちではない」
 剣が奔る。レイダーの首を刎ね、嵯泉は頬についた返り血を拭った。
「……それまでは、折れぬ刃で在り続けよう。この誓いを果たすために」
 護るために、為すべきを成す。
 ただそのためだけに、男は血塗られた道をそぞろ歩く。
 いつか必ず、背負った罪の罰が不可避の破滅をもたらすとしても。
 この道は正しいと信じて、嵯泉はただ歩み続けるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレックス・エイト
なんと悪辣で凄惨な場所か
このような統治を敷く者が王の中の王など…いや、最早この有様、統治と呼ぶ事すら烏滸がましい
ヴォーテックス一族…必ずやその玉座から引き摺り下ろしてみせます

ですが今は子供達を救うのが先決
可及的速やかな対処が必要なのは、あのサーカステントでしょう
殺戮を目的に集められているのならば、一刻の猶予もありません

私はテント外で陽動を行います
魔力弾の乱れ撃ちによる範囲攻撃で敵集団を牽制し、
内部へ侵入するメンバーに対する追っ手をこちらへ多く引き付けましょう

撤退時も考慮し、ここで数を減らします
派手に戦い内部の防衛人員もこちらへ誘い出し、
数が多くなってきた所をダイヤモンドダストで一掃します



●女王よ、その腕に悪を抱け
「ホーホーホー!」
 サーカステントの貴賓席から身を乗り出し、"ジミー・ザ・ジョーカー"は笑った。
 奴が見下ろすのは、テントの真正面で陽動を行うアレックス・エイトの戦いだ。
 ついさっきまでは苛立っていたはずなのに、ピエロはもうニコニコしている。
「大したものだ、ふざけたものだ! ワタシの庭で大立ち回りとはねェ!
 ……ホ? いや違うな。こういうときは"俺"のほうが的確かなァ?」
 すべてが愉悦と歓喜のためだけに存在するこのレイダーピエロは、
 自我すらも気分でころころ変わる。極めて不安定な個体のようだ。
 あのウォーマシンをどう殺すか、ピエロはナイフを弄びながら考えていた。
 窓の向こうでは、レイダーどもが次々に気圧され、そして蹂躙されている……。

(――視られていますね)
 そして戦場!
 アレックスは下卑た不快な視線を感じつつも、注意を敵と味方に払う。
 彼はテントに突入する猟兵たちをカバーするために陽動を買って出たのだ。
 テント内に囚われていた子どもたちは、順次救出され逃げ出している。
 レイダーがその後追いをせぬよう、テント周辺で立ち回るのがアレックスの役目。
 こちらの様子を伺うような敵の視線は気になるところだ、しかし。
「このような悪辣で凄惨な場所で、こんなふざけた統治を敷く外道が!
 王の中の王であってたまるものですか……! さあ、かかってきなさい!」
 姿見えぬヴォーテックス一族への怒りを、魔力に変えて解き放つ。
 銃を構えるレイダーどもは、一瞬にして白い霜に覆われて氷像と化した!
「な、なんだこりゃあ!? ブリザードでも吹いたのか!?」
「そんな生易しいものではありませんよ」
 運良く――否、悪くというべきか――片腕だけで被害を免れたレイダーに、
 アレックスは言った。言葉通り、彼は冷気系の魔術を使ったわけではない。
「凍結とはすなわち分子振動の停止。絶対零度においては万物が静止します。
 私は魔力によって空間を掌握し、あなたがたの分子そのものを停めたのです」
 そして。アレックスは杖を掲げた。
「雪の女王の抱擁は、このような最期をもたらす――!!」
 KA-BOOOOOM!!
 支配されし空間は急激に膨れ上がった魔力により、周囲を巻き込み爆裂した。
 凍りついたレイダーはアスファルトごとミキサーめいて混ざりあい四散!
 きらきらと降り注ぐ風花めいた輝きは、その実抱擁を受けた犠牲者の欠片だ。
「……今は届かぬとしても。必ずやこの都市の暴虐、終わらせてみせます」
 アレックスは言った。それは敵への、そしてヴォーテックス一族への宣戦布告。
 これは始まりなのだ。たとえ、いまは逃げるしかないとしても……!

成功 🔵​🔵​🔴​

フィランサ・ロセウス
ああ、素敵……刺激的な夜を過ごせそうないい街ね!
でも今回はゆっくりお散歩というわけにもいかないわ、残念!

出来るだけ周囲を見渡せて、かつ身を隠せそうな高い場所に潜伏して騒ぎが起こるのを待つわ
奴隷と思しき子供を追い回している集団を見つけたら、「ニンジャ・フックシューター」を利用して現場へ急行!
奴隷を襲うレイダー達を引き受けて、出来る限り逃走の時間を稼ぐわ
さあ、さあ!ワイルドなお兄さん達、あんなお子様より私と遊びましょ?
何なら全員壊(あい)してあげたい所だけど、今日の仕事は時間稼ぎ
ある程度奴隷の安全が確保できた所で適当な乗り物を失敬して別のポイントに向かうわ



●デストラクション・イス・ライク・ラブ
「た、助けて、たすけ……あっ!」
 息を切らせて走っていた子どもたち。その一番後ろを行く少年がすっ転んだ。
 やや先んじていた子どもたちは、仲間が転んだのを見て足を止めてしまう。
「立って! 早くしなきゃ!」
「ご、ごめんよ……痛っ」
 仲間のひとりが駆け寄り少年を助け起こすが、ああ、足をくじいたようだ。
 見捨てて逃げるのはたやすい。けれども彼らはそれをしなかった。

 ……そのために、追跡者たちの到達を許してしまう。
「「「ガキどもぉおおおお!!」」」
「ひ……!」
 すさまじい形相で追ってくるレイダー集団! その手には棘付き棍棒!
 騒ぎに乗じて逃げ出した子どもたちを、なんとしてでも捕まえようというわけだ。
 捕まればどうなるかは一目瞭然。子どもたちは少年を助け起こす逃げようとする。
「ぼ、ぼくのことはいいから、もう……!」
「バカ! そんなこと出来るわけないだろ!!」
 言い争うその間にも、残虐なるレイダー集団は徐々に近づいている……!

 その時である。
「見ぃーつけ、たぁー!!」
「「「!?」」」
 レイダーでも子どもたちでもない、まったく別の第三者の蕩けた声がした。
 頭上! レイダー集団は空を見上げる。落下するひとりの少女……!
「う、うおおおっ!?」
 KRAAAASH!!
 ……その少女が、鉄骨をおもいきり振り下ろしたのだ!
 土煙が巻き上がり、驚く子どもたちをレイダーどもの目から隠してしまう。
「な、なんだ!? 襲撃か!?」
「ふふ、ふふふ……素敵! 刺激的な夜を過ごせそうないい街だわ!」
「ひぃ!?」
 煙のなかから現れた少女――フィランサ・ロセウスは巨大注射器を突き出す。
 恐怖したレイダーの首筋に太い針が突き刺さり、謎めいた薬液が流し込まれた。
 途端にレイダーの顔色は毒草めいた紫色に変わり、泡を吹きながら痙攣!
「さあ、さあ! ワイルドなお兄さんたち、あんなお子様より私と遊びましょ?」
「ア、アバッ……!!」
「全員愛(こわ)してあげる――って、言いたいところだけどぉ」
 ぶおん、と注射器を振り回し、突き刺さったままのレイダーを放り投げる少女。
 フィランサは口元に人差し指を押し当てて、悩ましげに眉をハの字にした。
「今日のお仕事は時間稼ぎだから。残念だわ」
「て、てめえ! 何者だ!! 何のつもりだ!?」
「まあ、熱烈なラブコールね! でもさっき言ったでしょう?」
 銃を構えるレイダーを、うっとりと見つめるフィランサ。
 レイダーは震えが止まらなかった。なんなんだ、こいつは!?
「――あなたたち、みぃんな壊(あい)してあげる。ふふ、うふふふ!」
 壊すことは愛に似る。
 少なくとも、彼女にとってはそうだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジン・エラー
【甘くない】

随分と聖者サマにお誂え向きじゃァ〜〜〜ねェの
こォ〜〜いうモンはシンプルでイイ
だろ、エリシャ

泣く子はだァ〜〜〜〜〜〜れだァ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
ウッヒャッヒヒャラハハハ!!!!!

あァ〜〜〜〜??なンだよガキ共、笑えよ
聖者サマが救いに来たンだぜ?
泣いて喚くならそンぐらいの勢いで歓喜しろよ

おいエリシャァ〜〜〜〜コイツらずっと泣いてンだけど
ア?オレのせい?なンでだよ

まァ〜〜〜〜だったらガキにも分かるように見せてやるか
なァ?エリシャ?

さァガキ共、今度こそ笑えよ
ガキにゃ眩しいだろうが瞬きも目ェ逸らすのも禁止だ
ま、出来ねェたァ思うがな


千桜・エリシャ
【甘くない】

あら、随分と愉しそうな催しが行われているようですが
弱い者いじめは私の趣味じゃありませんの
私は弱者の味方で強者の敵よ
だってそのほうが心が躍るのですもの

ちょっとジンさん?
なんですの、その悪役のような台詞は
ジンさんが悪人面だからじゃないかしら?
せめてその気味の悪いマスクを外したらどうかしら

…まあ、こんななりをしていますが
曲がりなりにもこの方は聖者様ですのよ
だから安心してくださいまし?

あら、珍しく意見が合うこと
そうですわね
見せてあげるのが一番かしら
敵の引きつけはジンさんに任せて
安全に逃げられる道を作りましょうか
ふわり桜花が舞ったならそこは桜の森
ふふ、存分に喰らうといいわ
それではごめん遊ばせ



●罪深き都の罪人たち
 悪辣な街の凶行に、多くの人々は眉根を寄せ怒りを抱いた。
 だがジン・エラーと千桜・エリシャは違う。彼らが抱いたのは義憤ではない。
「催しそのものは愉しそうですわ。少し妬いてしまいそう」
「ブヒャハハハハ!! 人助けしようって時に言うセリフじゃねえなエリシャア~~~~!!」
 エリシャの言葉をジンは一笑に付す。しかし、咎めることはない。
 エリシャがそういう女であることを、ジンは重々承知だからだ。
 なによりも、そう。彼女は妬み嫉みを抱いても、その側にはならないのだから。
「ならアイツらに混ざって"遊んで"くるかァ? ヒハハッ!」
「まあ、冗談はほどほどにしていただけますかしら?」
 からかうようなジンの言葉に対し、エリシャはにたりと笑った。
「弱いものいじめは私の趣味じゃありませんわ。いつだって弱者の味方ですわよ?」
「"そのほうが楽しいし心が躍る"ンだもんなァ~~~?」
 エリシャは笑みを深めるだけで何も言わない。それが肯定を示していた。
 いい女だ、と思う。自分に正直で奔放な女は、どうしようもないほどに輝く。
「腐った街に腐った外道! 聖者(オレ)サマにお誂え向きの街だよなァ~~~!
 こォ~~いうモンはシンプルでイイ! ――だろ? エリシャ」
「ふふっ。その点は、意見が合いますわね?」
 強者におもねるようなことを、ふたりはよしとしない。
 その傲慢さが、不遜さが、なによりもエゴイズムがそれをよしとしない。
 さりとて弱者に親身になってやれるほど、慈悲に溢れているわけでもないのだ。
 ただ、より心躍る方を打倒し、泥を食ませて見下し、嘲ってやる。
 ふたりして、それが何よりも楽しいからこそ、そうする。それだけだ。
「じゃア救済してやるとすっかァ、ヒハハハウヒャホホホ!!」
「その悪役みたいなマスクを着けて言うと別の意味に聞こえますわねぇ」
「ほっとけェ、お前も大概だぜェ? 嬉しそうな顔してよォ~~~!」
 罪深き都に降り立つふたりの罪人。背負う罪の名を、傲慢と云う。

 分厚い鋼鉄製のシャッターが、しゃこん、と真っ二つに両断された。
 勢いよく吹き飛ばされた瓦礫に呑まれ、レイダーどもが煙の中へ消える。
 轟音。怯えすくんだ子どもたちは、煙の中から現れた美男美女を呆然と見上げる。
「手応えのありませんこと。所詮は雑魚ですわね」
「ブヒャヒャヒャ! 物足りなさそうだなエリシャァ――で、こいつらが、ガキか」
 ぎょろり。マスクを着けた不気味な男の目が、子どもたちを睨んだ。
 本人的には睨んだつもりはないのだが、怯えた子どもたちは一斉に泣き出す。
 此処に集められていたのは、どうやら特に幼い奴隷たちばかりのようだ。
「泣く子はだァ~~~れだァ~~~~、ってもう泣いてるじゃねェ~~~か!!
 ッたくよォ~、聖者サマが救いに来たンだから、笑えよなァ~ガキどもォ~~~」
「いよいよセリフまで悪役じみてきましたわねあなた……」
「ア? 何、コイツら泣いてンのオレのせいとでも言いてェのかよ?」
「それ以外のなんだって言いますの!?」
「いやホラ、お前がコワいとかさァ~~~! フヒャハハハッ!」
「そんなわけないでしょうっ!! ……あーもう、とにかく」
 こほん、と咳払いし、エリシャは言った。
「たしかにこの方はナリは悪役そのものですし台詞も悪党ですけれども(ジン「聞き捨てならねェ!」)一応は立派な聖者様ですのよ?」
 ふわりと桜花を舞わせながら、つとめて穏やかな声で語りかける。
「だから安心してくださいまし。安全に逃げられる道も用意してあげますわ」
「ケッ! これでも泣き喚くンなら……ガキにもわかるように見せてやるか」
 騒ぎを聞きつけ、新手のレイダーがぞろぞろと雁首揃えて現れた。
 奴らを出迎えたのは、生者の活力を奪う桜並木。そしてまばゆいほどの輝きだ。
 ……泣き続けていた子どもたちは、その暖かくも不遜な輝きにぽかんとした。
 それは、傲慢という罪の証。
 己にはすべてを救えるのだという、鋼よりも強固で愚かなエゴの証。
 救済者の業。光とはすべてを塗り潰すがゆえに、白という残酷な色を持つ。
「さァガキども、今度こそ笑えよ」
 悪しき生命力を喰らう桜の森のなかを、光り輝く救世主が歩く。
「瞬きも目ェ逸らすのも禁止だ。オレがお前らを救ってやる」
 出来ない? そんな言葉は求めていない。事実だったとして知ったことか。
 救うと言ったら、救うのだ。涙を枯らせ、笑顔をもたらし、安らぎを与える。
 救われる側の事情など知ったことではない。それは慈悲と対極にある正義。
「征くぜエリシャ、せいぜいオレの征く道を綺麗に薙いでくれよ」
「私は太鼓持ちか何かかしら? 言われなくても、御首は頂戴しますわ」
 刃がふわりと舞った。散りゆく桜吹雪のなかに、レイダーの屍体が転がる。
「ごめんあそばせ、下品な方々。私、もうこの街には飽いてしまいましたの」
 斬られる側の道理など知ったことではない。それもやはり傲慢な剣である。
 ふたりの罪業(エゴ)は、こんな街では背負いきれぬほどに強大なのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クロト・ラトキエ
あーあー。
派手で露骨。美学も哲学もありはせず、ただ悪辣が横たわるのみ。
…支配出来ようと、どんなに住み良かろうと、お断りな場所ですねぇ。
欲望も、退廃も、これでは“美しくない”

UCにて鋼糸に水の魔力を纏わせ、攻撃力に転換。
複数人の解放、連れての移動と脱出…
となれば人目は避けたいですよね。
お約束ですが…派手にやらかしますか。

先もって高所より、避難に使いそうな場、選びそうなルート、屯するレイダー等を観察、把握。
特にルートより引き離すべく、二つ程離れたブロックより行動開始。
鋼糸にて火を斬り消し、
闇に乗じて絡め上げ、
大量ならば空中も足場に利用し、露払い。
必要なら脱出ルートより離れつつ
…臆。本当、美しくない



●美学なき悪
 派手で露骨。
 美学も哲学もそこにはなく、ただ悪辣が横たわるのみ。
(……支配できようと、どんなに住みよかろうと、お断りな場所ですねえ)
 クロト・ラトキエは廃ビルの屋上に身を潜めながら、心のなかで嘆息した。
 悪とは排斥されるべきもの。法に背を向け、正道を外れたモノだ。
 それが称賛されることはなく、突き進むことが罪であり罰がなければならない。
 しかし。世の中には、あえて悪に身を窶さねば達成できぬ目的もある。
 ならばそうしたとき、せめて悪には美学がなければならないと彼は考える。
 誰にも褒め称えられることもなく、するべきでない凶気に手を染めるならば。
 せめてその散り際と在り方は、触れ得ざるものとしての美しさがなくば。
 その矜持こそが悪をヒトたらしめる。だが、ここに人間は居ない。
 居るのは、獣だ。あるいは、畜生にすら劣る外道ども。
「……噫。本当に、美しくない」
 最後の一線すらも踏み越えてしまったものはかのごとくひたすらに醜い。
 ただ在るだけで嫌悪を催す。そんなものを、クロトは好まない。
 きりり、と鋼糸を張る。眼下に、銃器を手にたむろするレイダーが見えた。
「ならばせめて、綺麗に片付けてしまいましょうか」
 クロトはそう言って、一陣の風となって姿を消した。

「――あ?」
 最初に素っ頓狂な声をあげたのは、焚き火に当たるレイダーだった。
「なんだ、どうし……っ!?」
 何事かと振り返った別のレイダーは、そいつを見て息を呑んだ。
 首が、落ちている。ごとりと足元を転がり、呆然とした目がこちらとあった。
「お、お前、首が」
「――……!!」
 斬首された痛みすらも感じる間もなく、レイダーは絶命した。
 生き残りは脂汗をにじませながら銃を構える。しかし!
「どこだ敵は!? どこか、らッ?」
 二人目。
「おい、警戒しろ! 襲撃だッ」
 三人目。
「う、ウソだろ! なんだよこのあっけなさ! ありえ――」
 ……四人目。
 たむろしていたレイダーは、音も予兆もなく、バラバラになって死んだ。
 ふわりと絹のように軽やかに降り立ったクロトは、鋼糸をぴんと弾いた。
 糸にまとわりついた汚らしい血がぴぴっ、と壁に沫(しぶ)く。
「もう少し騒がしくしたほうがよさそうですね」
「ひいいいいっ!!」
 生き残りがひとり。逃げようとしていたレイダーを糸の結界で絡め取る。
 まるで熟練の狙撃手が、あえて敵兵の手足だけを撃ち抜くように。
 そうして敵の衛生兵を引きずり出すように、四肢をまずバラす。
 残酷なやり方だ。しかし、クロトの表情はどこまでも抜け落ちていた。
「あなたたちが与えた苦しみに比べれば、痛みはないでしょうに」
 足音が聞こえてくると、クロトはしめやかにとどめを刺した。
 獲物が、かかった。クロトは張り巡らせた糸を足場に空中へ。
 BRATATATATATATATA……一瞬遅れて横殴りの弾雨。死体とドラム缶は穴だらけに!
「上だ! 逃げていくぞ!!」
(誘い込んでる、の間違いなんですけどね)
 まんまとついてくるレイダーを適宜殺しながら、クロトは嘆息した。
 その戦法も、思考も、散りざまも、何もかもが醜い。
 欲望も退廃も、その存在のすべてが。どこまでも、下卑ている。
「吐き気がしますね、こんな街は」
 クロトは苦虫を噛み潰すような表情で言うと、また一段高く駆けた。
 糸が纏う水が跳ねる。それは血の赤に染まり、雨のように路地を染め上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

祇条・結月
……家に。居たい場所に居れない誰か、を増やすのは嫌い
行くよ。できることをするよ

皆が捕まってるところに【闇に紛れる】ように【忍び足】で侵入して、しーっと静かにしてもらえるようにナイショ、ってウインク

手錠とかあるけどちゃちだよね
逃げられることを想定してないからか(鍵開け)

周囲には索敵の影の梟を飛ばせてるから、あとは手早く【情報収集】、安全なルートを見つけて逃げてもらう
大丈夫、そっちは安全だから。静かに、だけど迅速に、ね

最後まで先導したほうがいいのかもしれないけど護衛について守り切れる腕前じゃない
もし他の猟兵に引き渡せるならそれがベスト
僕は派手に行動して敵に発見してもらう
ひきつけて戦力を削るよ



●ホーム・スウィート・ホーム
 ――我が家。
 祇条・結月の世界、彼が住んでいた国では、それは当たり前のものだ。
 けれどその世界のなかですら、国が違えば当然のことではなくなる。
 いわんや、この崩壊した世界でならば、我が家とはどれほど尊いものか。
 どれほど脆く、か弱く、そして大事なものか。いまさら、考えるまでもない。
 自分よりも年下の子が、この世界では今日を生きるために足掻かねばならない。
 猟兵となって、もはや見慣れたと言っていい光景ではあるけれど……いや。
(見慣れることなんて、ないんだろうな。……見慣れても、いけないんだ)
 結月は、レイダーに連れられる奴隷たちを見て、眉根を寄せた。
 すぐにでも助けたい気持ちを押し殺し、影から影を渡って尾行する。
 この焦燥感も、無力感も、そして憤りも。きっと永遠に慣れることはない。
 だが、それでいいのだ。だからこそ、結月は戦うことが出来るのだから。

 ……そして子どもたちは、粗悪な環境の牢獄に放り込まれた。
 奴隷監督官は怯える気力すらない子どもたちを見下ろし、にやにやと笑う。
 そしてどの子どもで鬱憤を晴らそうと考えていた――その顔が、驚愕に変じた。
「かはッ」
 そんな呼気を漏らし、どさりと倒れる。見上げていた子どもはぽかんとした。
 そして影から滲み出るように現れたのは、逆手に苦無を持つ少年だった。
「…………!」
「しー……」
 声をあげそうになった子どもに、結月は人差し指を立てて黙らせた。
 慣れた仕草で牢屋の鍵を解錠すると、驚く子どもたちの手枷を外す。
 それはあまりにも簡単で、それが逆に結月の心を痛ませた。
 自分なら2秒もかからず解錠できる鍵ですら、子どもたちには戒めなのだ。
 こんなものが、彼らの自由と希望を奪った。その事実がたまらなく苛立たしい。
「助けに来たんだ。僕についてきて。外に出たら、梟を目印に走るんだ」
 子どもたちは突然の助けに驚きつつも、困惑しながら結月の言葉を受け入れた。
 聞き分けのいい子たちだ。そうなるまで、どれだけ痛めつけられたのやら。
 眉根を寄せつつ、感傷を振り払う。ここで、子どもたちを不安にさせてはいけない。
「……お兄さんはどうするの?」
「僕は、みんなが危ない目に遭わないよう、あいつらの相手をするよ」
 本当であれば、安全圏に逃げ出せるまで彼らを先導するべきなのだろう。
 けれども結月は自分を省みていた。護衛の類は得意なタイプではないと。
 影の梟により、結月は周辺地域の様子を十分に把握している。
 誘導した先には猟兵が居る。子どもを見ればピックアップしてくれるはずだ。
「……こわく、ないの?」
「怖いよ」
 一回りは下であろう少女の言葉に、結月はほほえみながら言った。
「けどさ。家に、居たい場所に居れない誰かを増やすのは、嫌いなんだ」
「……?」
 少女には、結月の言葉の意味はすべては理解できなかったろう。
 だが、それでいい。結月自身が決意して、抱えていればいい過去だ。
「さあ行こう。みんなで力を合わせて、帰るべき場所に帰るんだ」
 たとえ我が家が、もうなかったとしても。
 帰るべき場所を作り出そうという気持ちさえあれば、きっと生み出せる。
 子どもたちは頷いて立ち上がった。奪われた自由を、取り戻すために。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒルデガルト・アオスライセン
この広さを探すのは骨ですね
幸い私も子供
捕まって意志統一と脱走の手引きを

沼と屍で体を汚し
ボロと外套と影だけ装備
敵地で行き倒れを装う

囚われたら子供達に治癒
うん助けに来たの
すぐに戦いが始まる。一緒に抜け出しましょう

生きたくない?どうせ捕まって奪われて力が無いから諦める?
慣れています惨状も口振りも

なら自分の為じゃない
君達を生かそうと死に物狂いで戦ったかけがえのない人達の為に
最後に一度だけ、やるだけやって死んでみない?
それにあの間抜け共
皆が消えたと知ったら間違いなく悔しがるわよ

猟兵様が暴れた段階で閃光
無気力や歩けない子を背負い
装備がないので素手トンネル掘りで退路作成、敵の大型車両で逃走
操縦経験?ないけど



●当て所ない逃避行
 ボロボロの外套を脱ぎ捨て、ヒルデガルト・アオスライセンは髪を解いた。
 煌めくような銀髪が、粉っぽい風になびく。帰ったら手入れが必要だ。
「きれい……」
「褒めてくれるんですか? ありがとう」
 思わず見惚れた子どもに微笑みかけて、ヒルデガルトは言った。
 その淡い輝きは、生きる気力を失った子どもたちに再び力を与える。
 ヒルデガルトは行き倒れを装いレイダーどもの目をうまく盗んだ。
 そして潜り込んだ牢獄で、邪魔者を一通り蹴散らし正体を現したのだ。
 外からは絶え間ない騒音。もう、猟兵たちは行動を始めている。
「本当はもう少し意思を尊重したいところだったけれど、今は緊急事態だわ。
 あなたたち、生きたくない? それとも、ここで諦めて朽ち果てたい?」
 子どもたちは困惑した。だが、皆が「朽ち果てたいか」に首を横に振った。
「結構。説得の手間が省けて何よりです」
 辛いとか苦しいとか、もう生きていたくないとか。
 力尽きた者の弱音は、ヒルデガルトにとって慣れたものだ。
 諦観は病毒に似る。ヒトは、心を病んでしまえばもう立ち上がれない。
 ……それでも、立ち上がらなければならないときがある。いまのように。
 結局のところ人生を決めるのはその当人で、子どもであろうと変わらない。
 ただ子どもたちはほとんど破れかぶれな様子で、追い詰められていた。
 だからヒルデガルトは足を止めると、目線を合わせてこう言った。
「もしも、辛くて苦しくて、もう諦めてしまいたくなったなら、こう思いなさい。
 自分のためじゃなくて、君たちを生かそうと戦った誰かのために戦おう、って」
「……誰かの、ため?」
「そう。こんな世界で、今日まで君たちを生かしてくれた人たちのため。
 死物狂いで住処を守って、命懸けで食べ物を手に入れてくれた人たちのため」
 この世界では、汚れていない水を手に入れるだけでも一苦労だ。
 子どもたちは、生まれ落ちた瞬間から立って武器を構えられるわけじゃない。
 親であれ、近しい誰かであれ、今日まで生かしてくれた誰かがいるのだ。
「"感謝しろ"だなんて説教はしないわ。でも、諦めるのは悔しくない?
 最後に一度だけ。どうせ諦めるなら、やるだけやって死んでからでも遅くない」
 それは捨て鉢だろうか。……否、あくまでも捨て身なくらいに前のめりな志。
 ヒルデガルトはくすりと笑った。彼女にしては珍しく、素直な表情。
「それにあの間抜けども、皆が消えたと知ったら間違いなく悔しがるわよ?」
「……そっか、そうだね。あんな奴らに、偉そうな顔させたくない!」
「その意気よ。さあ、行きましょう」
 子どもたちは力強く頷いた。ヒルデガルトは、聖女のように行進を開始した。

 ……と、そこまではよかった。
 では彼女がどうしたのかというと、まずビルを出てレイダーを薙ぎ払う。
 そして崩れた瓦礫を素手でぶち壊すと、近くの大型トレーラーをピックアップ。
 エンジンがかからない。キーを回す、やはりかからない。
 ……ヒルデガルトはやおら操縦席から降りると、いきなりエンジンを蹴り飛ばした。
 KRAAAASH!! 子どもたちがびくりと身をすくめるほどの轟音。
 ドルン、ドルルルン……エンジンがキックした。ヒルデガルトは再び操縦席へ。
 ぽかんとする子どもたちに身を乗り出すと、荷台に乗るよう急かす。
「早くしなさい。追手が来るわ」
「ま、待って! あの、運転した経験は!?」
「ないけど?」
「……!!」
 あっけらかんと云うヒルデガルトに、子どもたちは呆気にとられた。
 諦めないのは美徳だ。しかしこれはいくらなんでも蛮勇では……?
 なんて、常識的なことを考えて首を傾げている暇はない。
 後ろからレイダーどもの罵声が飛んでくる。子どもたちは荷台にしがみついた!
「さあ、飛ばすわよ!!」
 ギャルルルルルルッ!! タイヤが土煙をあげる!
「お姉ちゃん、それバック! バックだから!」
「まだるっこしいわね、車って!!」
 ギアを適当に切り替えたヒルデガルト、今度はアクセルをベタ踏み。
 直後、マシンはロケットスタート! 子どもたちは加速Gに悲鳴をあげた!
「……悪くないわね、車って!」
 吹きさらしの窓から心地よい風が吹いてきて、ヒルデガルトは笑った。
 子どもたちにとってはまったく笑い事ではないのだが、もはや選択肢はない。
 かくして、死物狂いのカーチェイスが始まったのだ!!

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

久しぶりに「わかりやすい」依頼ねぇ。大立ち回りでストレス発散といきましょうか。

あたしは陽動に回ろうかしらぁ?難しいこと考えずに立ち塞がるやつ一切合切吹っ飛ばしていいんだもの、ある意味すごぉく楽ねぇ。せいぜい大暴れしてやりましょ。ゴールドシーン、弾幕「お願い」ねぇ?ド派手にやっちゃってちょうだいな。
あたしは●粛殺で強化したオブシディアンの○乱れ射ちとグレネードの〇投擲による〇爆撃で範囲攻撃バラ撒きましょ。威力も範囲も三倍だもの、下手な兵器より強力よぉ?

ここから先はリング・アラウンド・ザ・ロージー。二度と立ち上がれないように、全員きっちり「すっ転ばして」やるわぁ。


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
荒廃の世界。話には聞いていましたが、来るのは初めてですね。
話よりもなんだか栄えている様な気はしますが……場所にもよるのでしょう。
ぐるりと見て回りたいですが、危ない気配もしますしそっとしておきましょう。

大事なのは捕まっている子供たちの救出。人が多いので紛れましょう。
レイダーさん達も1人1人の顔は覚えていないでしょうし、それらしく変装を。
こういう時に人形の身というのは利点になるところ。
怪しまれたら物陰で早着替え。魅医、適当に用意はしておいて。

テントに入り込めたら周りを他の方達の騒ぎに誘導させて、私はフリーになる様に。
あとはそっと逃がし始めましょう。目立たないように少しずつ


リュドミーラ・シェスタコフ
アリスラビリンスにあった恐ろしさとはまた違う…
世界にはこのような悪に満ちた場所があるのですね。

私には忍び込んだり大立ち回りはできませんし…
ここは暫し、奴隷の形をとって紛れ込むとしましょう。
他の方が動き出すまで近くの奴隷の方々を把握し励まします。
また、敵に見つからない程度に『浄化』の『医術』を施し、
傷を癒すことで逃げる時の気力体力を保ちます。

奴隷解放・逃走の動きに合わせて近くの方々を誘導、
逃走経路にいるレイダーらを≪微睡みの光≫で眠らせます。
これなら戦闘で騒ぎにもなりにくく、安全に避難できるはずです。
敵との戦闘を回避できない場合は『祈り』を込めた『全力魔法』で攻撃。

アドリブ絡み歓迎



●サーカステントにて
 "ジミー・ザ・ジョーカー"の支配の証にして、この区域の悪の象徴。
 それがこの血塗られたサーカステントであり、今の混迷の中心地でもあった。
 度重なる猟兵の襲撃を受けたテント内は怒号と嗚咽、悲鳴と断末魔で溢れ、
 すでに多数の子どもたちが救助されているにもかかわらず、まだ残りがいる。
 それだけ多くの子どもたちが攫われていたということでもあるのだ。
「ふえええん、うええええん!」
「よしよし……大丈夫ですよ、心配はありませんからね」
 年頃はまだ10にも満たないであろう少女が、恐怖で泣きじゃくっている。
 そんな少女をなだめ、あやしてあげるのは、奴隷らしからぬ金髪の乙女だ。
 事実、彼女はさらわれてきた子どもではない。名をリュドミーラ・シェスタコフ。
 奴隷のふりをしてサーカステントに紛れ込んだ、猟兵のひとりであった。
「もうすぐ助けが来ますからね。逃げ遅れたなんてことはありませんよ」
 ひっくひっくと嗚咽する少女をあやしながら、リュドミーラは考える。
 猟兵たちの襲撃は散発的に行われている。ではなぜまだ子どもが残っているか?
 それは"ジミー・ザ・ジョーカー"の監視が、どんどん厳しくなっているからだ。
 リュドミーラはすでに二度、脱出のタイミングを逃している。
 否、あえて見過ごしたというべきか……もしも焦っていれば危険だったろう。
 彼女が割り振られたエリアには、数十人の子どもがいたからだ。
(ですがあえて踏みとどまったおかげで、此処に居る子たちは把握しました)
 そしてじっくりと敵の目を盗んで浄化の光で力を与えたことで、
 傷つき疲労した子どもたちは、それと知らず活力を取り戻している。
 もう一度……あと一度チャンスが巡ってくれば、それが決行の時だろう。
「……すみません、あの」
「はい、どうしました? 傷が痛みますか?」
 声をかけられ振り返ると、そこには見目麗しい少女がひとりいた。
 リュドミーラは訝しむ。よく変装しているが、明らかに気品ある所作。
「……もしやあなたも、私と同じように潜り込んだ猟兵ですか?」
「ええ。協力者を見つけられてよかった。少し、安心しました」
 無表情ながら、ミレナリィドール……神元・眞白は胸をなでおろす。
 ふたりは声をひそめ、これまでに集めた情報と現状を可能な限り共有した。
「レイダーさんたちも、奴隷の顔をひとりひとり覚えているわけではないようです。
 まだ私たちがここにいることは、誰にも知られていません。私の仲間も」
 眞白は自身が人形であると同時に、同型の人形を仲間として連れている。
 彼女の話によれば、その三体の人形……戦術器も、どこかに潜んでいるらしい。
「なら、外の猟兵の皆様がうまく騒ぎを起こしてくれるのを祈るしかありませんね」
「即席の連携って、ちょっと不安ですけど。ワクワクしませんか?」
「え?」
 思ってもない眞白の言葉に、リュドミーラはきょとんとした。
 眞白は人形めいた無表情のまま、おどけたように首を傾げてみせる。
「だって……あんなに偉ぶったレイダーさんたちの鼻をあかせるんだし」
 どうやらこの淑女、思った以上にやんちゃなタイプらしかった。

 ……同時刻、サーカステント前!
 眞白とリュドミーラの待ち望んでいた陽動は、まさにその時やってきた。
 しかも、ひとりだ。その女の名を、ティオレンシア・シーディアと云う!
「おい、新手だ! 蜂の巣にしてやれ!」
 BRATATATATATATATATA!! 襲撃に備えていたレイダーどもは一気に全力射撃!
 人一人を殺すにはあまりにも過剰すぎるマズルフラッシュが路地を照らす!
「あらぁ? 女ひとりにずいぶんな歓迎ねぇ。それってつまりぃ」
 ――ギャギャギャギャギャッ!!
 ティオレンシアの前に躍り出たのは、猛スピードで走るバイク型UFO。
 彼女の乗騎、『ミッドナイトレース』が、そのボディで弾幕を弾く!
 そしてリロードのために弾幕が途切れたコンマ数秒の間隙! 銃声!
「なりふり構わないぐらい、そっちも追い詰められてるってことよねえ!」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
「「「ア、ガッ!?」」」
「ほら。こうやって、女ひとりにやられちゃうんだものぉ」
 たった一挺のリボルバーで十人近いレイダーを射殺したティオレンシア。
 ミッドナイトレースのボディを蹴って跳躍。同時にグレネードを投擲!
「敵襲ー! 敵襲(KBAM!!)アアアーッ!?」
 サーカステントからのこのこ飛び出してきたレイダーが爆風で吹っ飛ぶ!
「ゴールドシーン、弾幕"お願い"ねぇ?」
 側面をペン型鉱物生命体が無数の銃器に変形しカバー、正面にグレネード!
 ティオレンシアは愛銃オブシディアンの神速クイックドロウで弾丸をばら撒く!
 まさしく八面六臂の大立ち回り。レイダーは面白いように吹き飛ぶ!
「ここから先はリング・アラウンド・ザ・ロージー。
 二度と立ち上がれないように、全員きっちり"すっ転ばして"やるわぁ」
 笑顔を浮かべた女は、甘ったるい声で処刑宣告をもたらした。
 BLAMBLAM、BRATATATATATA、BRATATATATA……KA-BOOOOM!!
「な、なんでだ!? なんでただの女ひとりに……ぎゃあああっ!?」
 レイダーは理解できなかった。たったひとりの女。たかが女ひとりに!
 恐怖と暴力で子どもたちを支配してきた悪党どもが、敵いもしないのだ!

「始まりましたね」
「ええ!」
 騒ぎを聞きつけた眞白とリュドミーラは、即座に動いた。
「飛威、符雨、魅医。支援をお願い」
「さあ、眠ってください……二度と覚めることのないまどろみに」
 潜伏していた戦術器たちが、レイダーどもを無音のうちに抹殺する。
 幼い少女型人形である魅医は、あらかじめ用意していた逃走経路に奴隷を誘導。
 そしてリュドミーラの起こした暖かな光が、残りのレイダーを眠らせるのだ。
 呻き声ひとつたてることなく、事態は鎮圧される。外とは正反対だ。
「すぐに気づかれると思いますから、私たちも移動しましょう」
「はい。まずは外へ、そして逃走経路へ……ですね」
 困惑する子どもたちをなだめ、眞白とリュドミーラは二方向にばらける。
 万が一に襲われたさい、どちらかだけでも助かるように、という眞白の提案だ。
 リュドミーラはこころが痛んだ。しかし、ここは敵の腹の中も同然。
 自分も、子どもたちも生かすためには、なりふり構ってはいられない!
「皆さん、力の限りに走りましょう。大丈夫、必ず助かります」
 あとに続く子どもたちを振り返り、リュドミーラは微笑んだ。
「あなたたちが諦めなければ、必ず……!」
 それは祈りにも似た言葉。
 けれども彼女は信じている――こんな世界にも、救いはあるはずだと。
 信じ心を固めて突き進めば、必ず安寧へと手が届くはずなのだと!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・心
【ローグス】で参加

なるほど、陽動というわけですね……ひと暴れといきましょうか

「空中散歩」で街を飛び交いながら、敵を引きつけます
攻撃は最低限
麻痺毒を塗った「生殺与奪」をあえて使うことで、命は奪わず
与しやすいと思わせることで敵に追わせます

その後、了さんとゆかなさんと集合場所で集合
纏めて処理致しましょう
お二人とも、お願いしますよ!

私は集中攻撃を逃げ延びた相手に「飛翔永刃」で追撃
致死毒を塗ったメスを使用します
私は医者ですが……貴方たちに付ける薬はありませんよ

苦しむ様子を見下ろし一息休憩
気怠さは抜けませんが、仲間の活躍を見ていれば大丈夫そうですね

適当なモヒカンからピックアップトラックでも奪って離脱します


マディソン・マクナマス
レイダー風装飾を施した暴走アメリカントラックで都市に潜入
適当なレイダーを背後から銃床殴打による【先制攻撃】で気絶させ荷台内に拉致。嘘を吐くたび指を5本ずつ落とすと【恫喝】し、物資集積所の場所を吐かせる

「よう兄弟、見張りお疲れ。じゃ、寝てていいぜ」

何食わぬ態度で物資集積所に乗り付け、車に乗ったまま10mmサブマシンガンで守衛を射殺
他の猟兵が暴れてるお陰で暫くはバレねぇだろ。周囲にUC【自爆特攻中古ドローン】を展開、その間に物資を積み込めるだけ10tトラックに積み込む
いやほら、捕まってるガキ共が外で生きてく為には先立つモンが必要だしさ……ま、手間賃として三割くらいは懐に入れても許されるよな?


九十九・ゆかな
【ローグス】で参加っす。
凶行の類には少し興味あるけど、それで子供が犠牲になるのはダメっすよ。

街の地理を調べた上で陽動作戦を仲間に提案するっす。
自分は囮役として駒鳥さんのバイクの後ろに乗って敵を銃で撃ったり手榴弾で爆破したりして煽り、敵の攻撃は大盾で防御。集合地点の廃墟まで連れてきたら反撃開始っす。

反撃開始の合図として仕込んどいたリモコン爆弾を発破。それを皮切に「技巧:銃撃領域」を発動。散弾銃と短機関銃を敵に向けて乱射する、一人も生きて返すつもりはない。流れ弾注意。

襲撃地点から撤退する際は鳴宮さんが持ってきたトラックの荷台にでも乗ってくっすよ。…ふぅ、やっぱりこういう作戦は楽しいっすね。


駒鳥・了
【ローグス】!
容赦なくボコってイイ相手と聞いて!
子供たちも気になるケド奴隷のフリとかムリゲーだら暴れとく!

郊外へのエリアチェーック
ゴーグルの熱感知でレイダーの位置も確認!
って連中体温ない?まあ動いてれば摩擦熱くらいあるっしょ
ツクさんの作戦を聞いて手頃な廃墟@集合場所を決めたら準備オッケー

で、ツクさんをリアに乗せてオフ車で突っ込む!

防御やカウンターはツクさんに任せた!
オレちゃんはあえて敵をおちょくるように&ついて来られる程度に
第六感と操縦を駆使して縦横無尽に走るよ!
イイカンジに敵を集めつつ集合場所に着いたら殲滅作戦はお任せ
結果は見るまでもないっしょ
バイクごとトラックに飛び乗ってオサラバしよ!



●無法者どもの馬鹿騒ぎ/ローグス・ブラスト!
 ゴオオウン……ズズズズズ……。
 巨大アメリカントラックが、地響きを巻き起こしながら都市になだれ込む。
 その装飾は誰がどう見ても、腕利きのレイダーが乗り回していると思うだろう。
 粉っぽい風を浴びる巨体は、さながら荒削りした黒曜石の城を思わせた。
「ストップ、止まれ! 此処から先は許可制だ」
 見張り役のレイダーがトラックを停め、運転席に駆け寄った。
「しかしアンタ災難だなあ? いまここはかなり大騒ぎだぜ?」
「……そうかい。パーティには間に合ったみたいでなによりだ」
「あ? なんだお前、ずいぶんちみっこ――ぐげッ!?」
 運転手……マディソン・マクナマスは訝しむレイダーの後頭部を銃床で殴打。
 うなだれるレイダーの首根っこを掴むと、周りを確かめながらドアを開けた。
 そして気絶したレイダーを引きずり、ずるずると荷台の中に飛び込む。
「おい、おい兄弟。目ェ覚ましてくれよ」
「う、うう……あっ!? て、てめ……ぎッ!?」
 ぺちぺちと頬を叩かれたレイダーは目を覚まし、そして絶叫しかけた。
 小指をナイフで切断されたのだ。マディソンはレイダーの口元を抑える。
「いいか? 今のは"挨拶"だ。知らない人同士、礼儀は大事だもんな?」
 ケットシーの男は、牙を剥き出しにする凶暴な笑みを浮かべてみせた。
「あと9本……足を入れれば19本か? つまりこれが、お前の残りライフだ。
 ゲームやるときゃよぉ、最初にコイン入れるよな? 小指(これ)はコインだ」
 切断した血塗れの小指を目の前で振り、そして放り捨てる。
「……おっと、一本ずつじゃないぞ。最初は四本、次は五本ずつ切り落とす。
 ウソを吐いたり、騒いだり、俺が許可してねぇことを言ったら"ワンミス"だ。
 ワン、トゥー、スリー……残りライフは4だな。それが尽きたら――」
 とん、と、肉球のついた指がレイダーの左胸を叩いた。
「"ゲームオーバー"だ。……今から質問をする、正直に答えろよ?」
「…………!!」
 暴力で鳴らしてきたレイダーは、この拷問で完全に心を折られた。
 マディソンはにこりと人当たりのいい笑みを浮かべる。それがなおさら恐ろしい。
「仕事の合間のリラックスタイムといこうや、兄弟。ただ答えるだけでいいんだ。
 きちんと相手してくれんならよ、悪いようにはしねえ。WIN-WINでいこうぜ」
 その双眸はサングラスに覆われ、伺うことが出来ない。
 けれどもしもレンズなしにマディソンの目を見たなら、レイダーは悟ったろう。
 ……たとえ正直に答えても、こいつは生かして帰してくれるわけがないと。

 同時刻、"10番目の10番街"中心区!
「いやー、あっちこっちで大騒ぎになってるっすねえ」
 軍用双眼鏡で街の様子を眺めながら、九十九・ゆかなは言った。
 もう片方の手には、大型短機関銃「シュペヒットV45」を担いでいる。
「見た感じ、救出もあと一息って感じっすね。まあ仕事は山ほどあるかと」
「それはなにより。と、言っていいのかどうか微妙なところですが」
 投擲用メスの手入れをしていた鳴宮・心は、肩をすくめた。
 彼らはいま廃ビルの屋上に陣取り、街中の偵察をしているところだ。
 周りには、一瞬にして制圧された犠牲者ども――つまりレイダーの屍体の山。
 制圧には一分もかからなかった。彼らにかかればこんなものである。
「襲撃すんなら、やっぱあそこのサーカステントかなー? 燃えるよね!
 容赦なくボコッてイイ相手ってサイコー! 暴れたくてウズウズしてきたぁ」
 駒鳥・了はタップダンスでも踊りそうな調子で言う。言葉は真実だ。
 今の彼女は"スミ"でも"サト"でもない、どんな状況でもへらへら笑う"アキ"だ。
 彼女が考えていることはひとつ――どれだけ派手に、楽しく暴れられるか。
 子どものことなどどうでもいい……というほど冷血なわけではないが、
 そもそも奴隷のフリをするだとか、護衛するなんて彼女には土台無理な話。
 この街に漂う血と暴力の匂いは、否応なく彼女を高揚させていたのだから。
「おおよそ方針は定まっている気もしますが、ゆかなさん? アイデアは?」
「ま、やっぱ陽動っすかねえ。他の猟兵の救出支援したほうが確実っす。
 自分らで子ども回収するにしても、派手にヤったほうが一石二鳥っすよ」
「うんうん、オレちゃんも同意見~! 気ぃ合うじゃんツクさん!」
「あんま同類扱いされても困るんすけどねぇ」
 などと言いつつ、ゆかなはとんとん、と足でリズムを刻んでいた。
 気だるいふうを装っていても、彼女にはどうしようもない無法者の性根がある。
 暴れずにはいられない、殺さずにはいられない、そういうクズの因子だ。
 しかしこんな状況であれば、常人が顔を顰めそうな凶暴さも利点になりうる。
 なにせ相手は、子どもすらも犠牲にする正真正銘の外道どもなのだから。
「反対意見はなし、では満場一致で決まりですね。陽動作戦といきましょう」
 心はぱん、と手を叩いて話をまとめると、メスを懐にしまい立ち上がった。
「僕は上から仕掛けます。おふたりはどうしますか?」
「自分はアシないっすからねえ。駒鳥さん、頼めるっすか?」
「オッケー! オレちゃんのドライビングテク、味わわせてあげるよ!」
 やることが決まれば、あとはもうジグソーパズルのようにパチパチ噛み合う。
 彼らはいずれも生粋の殺人者であり、無法者であり、ろくでなしであるゆえに。
 今日はいくらでも殺していい日だ。その語らいはピクニックめいていた。
「反撃開始の合図は自分が出すっすよ。それまでは自由行動ってことで」
「ええ。せいぜいひと暴れといきましょうか」
「イエーイ! おっまっつりだーお祭りだー♪」
 無法者どもは即座に散った。それが、馬鹿騒ぎのはじまりの合図。
 ――レイダーどもにとっては、あまりにも忘れがたい悪夢のはじまりを意味する。

 一方、物資集積所にて。
「あ? おい、許可証ぱッ」
 タタタタン。控えめな銃声とともに、守衛レイダーは脳漿をぶちまけて死んだ。
 まるでカードキーをかざすような気楽さで守衛を射殺したマディソンは、
 そこにもう一体屍体を放り込む。指が一本だけ欠けた哀れなレイダーの屍体だ。
「さて、ここまではよし。あとは……こいつで遊ぶとするか」
 ARウィンドウを投影し操作すると、周囲にワイヤフレーム映像が展開。
 それらは無数のドローンとして現実化し、集積所の外へ飛び出していく。
 一見するとただの無人機。その実態は、極めて危険な自爆特攻ドローンだ。
「ガキどもが外で生きてくには、先立つモンが必要だもんなぁ?」
 などと言いながら、マディソンは肉球をこすり合わせつつ集積所を家探しした。
 思ったとおり、ここにはレイダーどもが略奪した食料や物資が揃っている。
 物資回収用のドロイドを起動し、荷台に投げ込む。火事場泥棒である。
 ガキどものため、と言いながら多少"おこぼれ"も頂いているが、そこはそれ。
 わざわざ見ず知らずのガキのために働いてやるのだ、手間賃は当然だろう。
「しっかし、他の猟兵どもが暴れてるおかげとはいえ警備がザルすぎねえかぁ?
 そんだけ襲撃されても返り討ちにできる自信があるってことかねえ」
 運転席にどすんと腰掛けたマディソンは、スキットルをぐいっと呷った。
「実際そこらのレイダーじゃ返り討ちなんだろうが。そうやって油断してっから」
 ――KRA-TOOOOM……。
「あン?」
 遠くから冬の雷めいて響いてきた爆発音に、マディソンは身を乗り出した。
 自爆特攻ドローンが早くも敵と交戦したか? 発信源をチェックする。
 ドローンは全機アクティブ。だとするとあの爆発は他の猟兵? いや……。
「……ハッハァ! そらみたことか、余裕こいてるから寝首をかかれんだよ!」
 マディソンはその爆薬が誰のものかを即座に理解し、膝を叩いた。
「悪いことしてっとこわぁい猟兵が来るんだぜぇ? 教訓になったなぁ!」
 呵々大笑しながらハンドルを握り、ガゴガコッとギアハンドルを操作。
 物資の積み込みもそこそこに、暴走アメリカントラックが走り始めた。
 そして爆発音に呼応するかのように、そこらじゅうでドローンが炸裂!
「派手に行こうぜぇ! 今日はこの街の最初で最後の馬鹿騒ぎなんだからよぉ!!」
 その炸裂音は、無法者どもの馬鹿騒ぎを意味している!

「イェーイ! ハスタ・ラ・ビスタ、ベイベェーッ!」
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATATA!!
 了の操縦するオフロードバイクは怪物の唸り声じみたエグゾースト音をあげ、
 急ごしらえのバリケードをジャンプ突破、そしてゆかなが弾丸をばらまく。
「ぎゃあああああ!!」
「く、くそ! 第9ポイント突ぐえっ」
「撃て撃て撃てェ! 止めろォー!!」
 BRATATATATATA! 諦めの悪いレイダーどもが弾丸のお返しを投げてきた。
 了はご機嫌な蛇行運転でこれを回避し、ゆかなのほうを振り返る。
「ツクさぁん、爆弾の量もっと多くてもよかったんじゃないのォ!?」
「あの時間じゃこれが精一杯っすよ。代わりと言ってはなんっすけど」
 ゆかなは手榴弾を取り出し、口で安全ピンを引き抜くと敵めがけ投擲。
 KA-BOOOOM!! 爆炎がレイダーを吹き飛ばし、壁のシミに変えた!
「"予備"はたんまりあるんで。退屈はさせないと思うっすよ」
「アッハハハハ! いいねェオレちゃんそーゆーのだーいすきッ!」
 ガオオオオオンッ!! オフロードバイクはウィリーしながら高速走行!
 立ちはだかるレイダーを轢殺粉砕し、後続はゆかなが銃殺する。
 あえて引きつけた上での執拗な射殺。完全なカウンター戦法であった。
「あとは鳴宮さんのほうっすけど……」
「そろそろ集合場所だねえ――っと! 見えたァ!」
 了は快哉を上げた。空中をワイヤー飛翔する心の背後、大量の敵!
 心は対面から猛スピードで迫るふたりを見て、にこりと上品に笑った。
「たっぷりと引きつけてきましたよ。お膳立てもばっちりです」
 よくよく見れば、心を追跡するレイダーどもの動きは他に比べてすっとろい。
 それは彼が逃げながら投擲した、麻痺毒つきのメスによるものだ。
 まるでゴキブリをあえて弱らせて巣に一度返してやるかのような、
 つまりは一網打尽にするための"お膳立て"。そして両者が上下に交錯する!
「おふたりとも、お願いしますよ!」
「まあオレちゃん走るダケだけどォ! ツクさん、よーろしくぅ!」
「あんまり期待されても困るんすけどねぇ」
 などと言いつつゆかなは気怠げに閉じていた目をぐっと見開いた。
 極度集中が主観時間をスローに鈍化させる。了のバイクが大きくジャンプ。
 前後から来るレイダーの毛穴までよく見える。右手に散弾銃、左手に短機関銃。
「射線に入ったっすね――全員ぶち抜いてやる」
 ……BRATATATATATATATA! BRATATATATATATA!! BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMN!!
「「「ギャアアアアアアッ!!」」」
 ガツンッ!! 落下の衝撃とタイヤが衝撃吸収する音が主観時間を取り戻させる。
 無秩序に見えて超精密なガンファイアにより、レイダーは一網打尽に殲滅された!
「お見事、お見事です! ――では、僕はおこぼれを」
 そして心には見えていた。遠くでロケット砲を構えるレイダーが。
 その距離はスナイパーライフルの領域だ。だが心にとっては間合いである。
「あなたたちにつける薬はありませんよ? ご愁傷さまです」
 くるりと空中で身を捻りながらなげうたれたメスが、尖塔のレイダーを貫く。
 ギャルルルルッ!! とオフロードバイクがバーンアウト痕を刻みながら停車。
 エグゾースト音だけが響く。それ以外には、息遣いは存在しなかった。
「ヒュー、お片付け完了! お掃除って気持ちイイねぇー!」
「……あとは脱出方法だけなんすけど」
 ゆかなは、歩み寄ってくる心のほうをちらりと見た。
 心のほうは肩をすくめ、意味深な笑みを浮かべてみせる。
「ああ、それなら心配ありません。トラップをピックアップするつもりでしたが」
 ――KRAAAAAAASH!!
 その言葉を遮るように、廃ビルをぶち抜きながら雪崩込んできた大型車両。
「あのとおり、ちょうどいい方がいらっしゃいましたので」
「よう兄弟! 派手に暴れたなァ、さっさとずらかるとしようや!」
 荷台に物資を満載したマディソンが、運転席から身を乗り出した。
 ゆかなと了は顔を見合わせる。そして、了が吹き出し、盛大に笑った。
「ド派手でイイねぇ! マクさんナーイス!」
 ドルン、ドルルルン……グォオオオンッ!!
 了はロケットスタートを決め、開かれた荷台にバイクごと雪崩込んだ。
「ふぅ、やっぱこういう作戦は楽しいっすね」
「楽しい? 度し難いことを言いますねゆかなさん」
 同じく荷台に乗り込んだ心は、ゆかなのほうを見て皮肉げに笑った。
「鳴宮さんは違うっすか?」
「いいえ? ――"だから度し難いと言っている"んですよ。ははは」
 そして暴走トラックが走り出す。ズズン、と地響きが土煙を巻き上げた。
 この荒野は無法の大地。力こそがすべてでありすべてを支配する。
 無法者はただ、その掟に従っただけ。アウトローとしての流儀である。
 文句があるなら殴り返してくるがいい。ろくでなしどもはサーカステントを見て、
 そして中指を立ててみせた。挑むように。そして、楽しむように!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
──懐かしい匂いだ
暴力と快楽、欺瞞と堕落…世界の醜さを寄せ集めたみてーな街
違法風俗もBTLも、そこら中に広がってた
ある意味で、平等だった
平等に、クソだった

いいぜムルヘルベル
俺はとても"気分が良い"
最高の結果を提供してやろうじゃねえか
俺はランナー、居るはずの無い影走り
意識の外から侵入し、静かに終わらせる

【忍び足、迷彩、闇に紛れる】で隠密行動
電子的障害は【ハッキング】で突破するか、奪い取って逆に利用する
邪魔なレイダーは【暗殺】で処理しておこう
首尾よく救出出来てからが重要だ

まず、全員俺に触れてもらう
誰でもいい、ちょうどいい誰かの座標を確認して──ジャンプだ
全員を素早く安全に逃がす、最高の手札だろう?



●最悪のノスタルジィ
 暴力と快楽、欺瞞と堕落。
 この世の醜さと汚濁を、底の底までさらって集めたような、そんな街がある。
 いや、"あった"と云うべきか――灰色の天蓋に覆われたような空の街。
 地獄の窯のさらに底、百年煮詰めたヘドロのような街だった。
 ヴィクティム・ウィンターミュートにとっては、忘れようもない街だった。
「懐かしい匂いだ」
 ヴィクティムの目は、光灯さぬ淀んだ蒼に染まった。
 あの街では何もかもが平等だった。差別なんてありはしなかった。
 なにせ"すべてが平等にクソ"なのだ。誰一人、何一つとして価値がない。
 ……なら、そこから逃げ出した自分は、もはやゼロですらないか。
「いい気分だ。ああ、最高にいい気分だよ」
 言葉とは裏腹に、ヴィクティムの口元には乾いた笑みが浮かんでいた。
 今ならどんな呵責も痛みもなく、どれほどの凶行だってやってのけるだろう。
 今日ばかりは端役を休業して、昔の稼業に戻るとしよう。
 我こそはランナー。居るはずのない影走り、掃いて捨てるほどいる企業の道具。
 お得意様(ジョンソン)の命令で二束三文の命を使い、最後にはくたばる塵芥。
 影は姿を消した。音もなく消えるさまは、冬の静寂のようだった。

「ぐえッ」
「げはッ」
「おご……ッ」
 ちらりとステルス迷彩のノイズが電光めいて煌めくたび、屍体が増える。
 路辻でぼけっと突っ立つレイダーも、
 廃ビルを気怠げに警備する悪党も、
 ガキどもに鞭をくれて偉ぶるクソ野郎も。
 別け隔てなく、平等に、殺す。慈悲も容赦もなく、淡々と、奇怪的に殺す。
「――ひ」
 鉄格子の向こう、震える子どもとヴィクティムの目が合った。
 希望なんて忘れた薄汚れたガキの、ハイライトの消えた瞳に映る己を見る。
「……ハ。"らしい"ツラしてやがる」
 子どもに向けたものではない、自嘲のつぶやきだ。
 ガラスめいた瞳に映る己は、とても"らしい"顔をしていたのだから。
 ヴィクティムは労りの言葉もかけず、淡々と牢獄の電子ロックを解除した。
「二度は言わねえ、助かりたいならついてこい。スロット・アンド・ランだ」
 十数名の子どもたちに、質問するような自由は許されなかった。
 そんな逡巡を抱くような奴は、助けてやったところでさっさとくたばるだけだ。
 ……子どもたちはびくびく怯えながら、牢獄から恐る恐る抜け出した。
「それでいい」
 ヴィクティムはニコリとも笑わず頷いて、右腕を差し出した。
「俺に触れろ。あとは安全圏まで逃してやる。そこからどうするかはお前ら次第だ」
 ……子どもたちは無言。ヴィクティムは急かさない。ただ手を差し出すだけ。
 手を取ってやりはしない。慰めの言葉もかけてやらない。
 ……子どもたちは恐る恐る手に手を重ねた。そしてぞくりと身を震わせた。
「つめたい」
 まるで鋼のよう――いや、もはや凍りついた水のようだ。
 ヴィクティムははじめて笑みを浮かべた。それも、冷たい笑みだった。
「その冷たさを覚えとけよ。足を踏み外せば、お前らもそうなるかもしれないんだ」
 はたしてそれは皮肉か、あるいは"先駆者"からのアドバイスか?
 子どもたちが誰何するよりも先に、彼らはディジタルノイズに覆われた。
 今日ばかりは"守護天使"とは行くまい。だが、それでいい。

 純白の天使が、こんな血塗られたクズであるはずがないのだから。
 ヴィクティムは、己を恐れる子どもたちの冷たい眼差しをむしろ歓んだ。
 それはきっと、彼らが己のようにならないという証左なのだろう。
 彼は、心のなかでそう思っていたからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

矢来・夕立
傭兵さん/f01612
この手の街は金の巡りが悪いんでキライです。

●方針:逃走経路の確保
→脇道や細い道路を重視

目的:逃走時の不意打ちを阻止
鳴宮:高所から狙撃・索敵
矢来:屋内を探索・高台へ向かう敵の排除

この…影…?知りませんが、ジャマをしたら殺します。よく働くように。
では、細かいところの掃除をしましょう。
後から邪魔が入っては興醒めです。
大通りも大事ですが、人が見ないところを見て回るのも重要ですよ。
【冬幸守】を使います。
ところで、見晴らしの悪い道には大抵こう書いてあるそうです。
『飛び出し注意』。
「飛び出しそうな輩を注意しながら排除しておくこと」という意味です。ひとつ賢くなりましたね。
ウソですけど。


鳴宮・匡
◆夕立(f14904)と


徹退路の確保が旨
掃除しておけば後のことがやりやすい
夕立は地上、こっちは高台から敵を殲滅していく

【無貌の輩】は連絡用に夕立に一体つける
邪魔はしないよ、お前の折り紙と似たようなもんだ

残りの88体は各所へ散らして敵の配置や動向を探る
加えて高所からの観察と合わせ、敵の状況を逐次把握し
夕立と共有しながら戦闘を運ぶよ

建物の上層階や、張り巡らされた各種構造物の上を取り
狙撃で敵数を減らしていく
一定時間ごとに狙撃ポイントを変え、捕捉されないよう留意

こういうやり口が気に入らないってのは
正義感とか、使命感とか
そんな真っ当なものじゃないだろうけど
そう思う自分を、誤魔化したりしないとは決めてる



●大いなる眠り
「……追え」
 サーカステントの私室。"ジミー・ザ・ジョーカー"は言った。
「奴隷どもを、猟兵どもを、追え。追って、全員、皆殺しにしろ」
 集められたレイダーどもは、直立不動の姿勢で震えていた。
「お、お言葉ですがキング! あいつらは強ばッ」
 BLAMN!!
「…………他に文句があるやつは?」
 ソウドオフショットガンを放り投げ、ピエロはレイダーどもを睨みつけた。
「マシンを使え。連中をこの街から生かして帰すなァ!!」
「「「イ、イエッサー!!」」」
 暴力と恐怖で奴隷を震えさせるレイダーどもが、ガタガタと震えている。
 鼻水まで垂らしているものすらいた。だがそれも当然だろう。
 "ジミー・ザ・ジョーカー"。陽気で愉快なきちがいピエロ。
 ――こいつこそが、この"最悪の街"でもっとも恐ろしいレイダーなのだ。
「ンフッ」
 しかし怒り狂っていたはずのピエロは、急に肩を揺らして笑い始めた。
「ンフッ、フヒ、ヒヒヒッ! アハーハハハ! アーハハハハハッ!!」
 そしてけたたましく笑う。まさしく、異常者の笑みである。
「いいなァ! イイなァ!! 楽しいなァ!! アハ、アハハハハッ!!」
 笑いながら調度品を破壊し、ショットガンを拾い上げて撃ちまくる。撃ちまくる!
 頭部が爆ぜ飛んだ屍体を蹴りつけ、穴だらけにし、また蹴り飛ばす。
 気狂いピエロは怒り狂いながら喜んでいた。笑いながら苛立っていた。
「楽しい楽しい楽しいなァ!! アハーッハハハハハ!!」
 そしてレイダーどもによる、反撃の時間が始まった。

 ――とはいえ。
 それを予期する猟兵が、居ないわけはなかった。
 びゅううう、と粉っぽい風が吹き抜ける、高層廃ビルの屋上。
 鳴宮・匡は潜伏用マントのフードをぐいと外し、"影"を通じて語りかけた。
「連中も動き出したみたいだ。レイダーがあちこちに散らばってる」
『予知通りですね。数は? 対処できそうですか』
「無理だな。まあ、頭数を地道に減らしていくしかないだろ」
『ないんですか。こう、一発で獲物の頭全部吹き飛ばす魔弾とか』
「そっちこそ怪獣とか召喚出来ないのか? やめようぜ、この話。無駄だから」
 ……"影"を伴とした矢来・夕立は、ため息すらしない。
「仕事中の軽口は好まないタイプですか」
 路地裏の闇のなか。夕立の声は"影"にだけ届くくらいに小さく密やかだ。
『むしろそっちこそ嫌うだろ、こういうの。皮肉なら後で聞くぜ』
「いま好きになったんですよ、こういうの。まあウソですが」
 言いながら、夕立は路地裏の出入り口を通りがかったレイダーを引きずりこんだ。
 口を抑え流れるように首筋に苦無を突き立てる。死体は瓦礫の影に投げ捨てた。
「このまま屋内を探索します。見た感じ乗り物は地下とかにあるんでしょう」
『んじゃ、そっちは任せたよ。表の敵はこっちで片付ける』
 通信は終わる。夕立は、顔のすぐ近くを浮遊する"影"をじろりと睨んだ。
「ジャマをしたら殺します。よく働くように」
『邪魔はしないよ、お前の折り紙と似たようなもんだ』
「いまのはあなたに向けた言葉ではないですよ。あと、オレのとは違います」
 夕立は滑るように路地裏から路地裏を駆け、廃ビルに潜り込んだ。
 予想通り、連中が用意していたヴィークルは地下駐車場に保管されている。
 いそいそとヴィークルのエンジンをスタートするレイダーどもがレンズに映る。
(ひとつ)
 銃声が聞こえた。夕立は懐からコウモリの形をした式紙を取り出す。
(ふたつ)
 一つに思えたコウモリ型式紙は、ざっと30以上。扇状にざらっと広がる。
(――みっつ)
 手裏剣めいて投擲。飛翔する式紙はコウモリそのものへと変じた。
 キチキチキチキチ……! 耳障りな甲高い鳴き声、そして羽撃き音!
「うおっ、なんだ!? コウモリ!?」
「こ、こいつら噛み付いてきやがる!」
「くそっ、どこの誰が――ぐえッ」
 風が通り抜けた瞬間、レイダーの頸は270度回転して倒れた。
 コウモリどもは、飢えた鬼のようにレイダーに噛みつき、血をすすり、殺す。
「ここ、"飛び出し注意"の看板があったほうがいいんじゃないですか?」
 苦無を投擲。またひとりレイダーが死ぬ。
「"飛び出しそうな輩を注意しながら排除しておくこと"ってのが看板の意味ですよ。
 ……またひとつ賢くなりましたね? まあ、ウソなんですが」
 コウモリから逃れようと伏せたレイダーを踏みつけ、首筋を一閃。
 別のブロックからエンジン音。走り込んできたマシンのライトが夕立を照らす。
 光は影を生む。夕立は身を這うほどに伏せ暗闇の中に溶け込んだ。
「いま猟兵が居たぞ! 探せ!!」
「こんなとこに来るなんざ袋のねず、ミッ」
 またひとり死んだ。夕立は乗り手の居ないバイクのエンジン部を苦無で刺す。
 コウモリどもを目眩ましに地下から離脱。2秒後、爆音が地下世界を揺らした。
「盗品だからってメンテナンスを怠るからそうなるんですよ、バカですね」
 この街に貨幣は存在しない。取引をする必要がないからだ。
 それが夕立を一番苛立たせた。欲望だけで駆動する街など何の意味もない。
 さっさとすべて消してしまうに限る。影は、滑るように闇を這う。

 ――高層ビル屋上。
 匡は草でも刈るように、淡々と、着実に、敵を殺していた。
 全域に張り巡らせた"影"から、膨大な量の情報が脳内に流れ込む。
 その9割9分を受け流し、必要な情報だけをピックアップして定着させる。
 同時に視界を研ぎ澄ませ、豆粒めいた敵の頭に照準をマウント。トリガを引く。
 言葉にすれば簡単だが、精密さとスピードの両立は悪魔でもなければ不可能だ。
 匡はそれを可能とする。可能とするだけの能力を宿しているのだから。
(大通りを封鎖、しかるのちに裏道から不意打ち。教科書どおりの戦術だな)
 屋内や見えない裏道の敵は、現在進行形で夕立が殺している。
 匡がやることは、大通りを封鎖しようとする敵の抹殺、そして現状把握だ。
 無秩序に発展した街の全景は、子どもが落書きした地図のようにランダムで、
 そして混沌としている。それも、破壊と戦闘によって書き換わる。
 見知った顔が戦っているのが見えた。興味を脳内からシャットアウト。
 見知らぬ子どもが息を切らせて道路を走る。追いすがるレイダーを射殺。
 そして意識から切り捨てる。コンマゼロ秒が惜しい。気にする暇はない。
 義憤はない。侮蔑もない。慈善事業に興味はないのだ。
 正義感も使命感もない。そんなまっとうなものは、人でなしの領域ではない。

 ――で、なんでまた不得手を承知で行こうと言うんですか。

 脳内にブリーフィング映像が蘇る。シャットアウト。……また蘇る。

 ――単純に、刺さったままの弾丸を引っこ抜かないならこういう話を避けて通れないってだけ。
   簡単に言えば、ムカついたから、ってことになるんじゃない?

 シャットアウト。また蘇る。……シャットアウトを諦める。
 殺すための最適手段は魂にすら馴染んでいる。いや、"こびりついている"。
 息をするように殺せる。彼も、自分も。"ひとごろし"なのだから。
 そんな自分に、義憤だの使命感だの、そんなものは似合わない。存在しない。

 ……ただ。
(そうである自分を、俺はもう誤魔化さない)
 冷血で無慈悲で冷酷で、残忍で人でなしの自分を否定しない。
 トリガを引く。コッキング。トリガを引く。コッキング……身を翻す。
 次の狙撃ポイントに向かう。ごうごうと耳元で風が吹いていた。
 膨大な情報網が脳裏を流れていく。些末な感情を押し流すように。
 必要ない九割九分は切り捨てる。だが残りの一分だけは心の中に留め置いた。
 自分はどうしようもないクズで、あの無法者どもと結局何も変わらない。
 欲望のために殺すか、生きるために殺すか。違いがあるならそこだけだ。
「なあ夕立」
『なんですか。無駄話、嫌いだったのでは?』
「好きではないよ。ただ、お前だって"そういう話"はしてただろ」
『…………』

 ――イイじゃないですか。夢を持つのはよいことですよ。
   持ち直したらどうですか。

「無駄話をしたつもりはありませんでしたよ」
『そう』
 声はそっけない。そもそも彼らは誰かに寄り添うことが出来ない。
 寄り添うことは、出来ない。人並みの夢を持つことも、幸福も。
 味わったそれのぬくもりを、ガキのように噛み締め続けることしか。
「やっぱり嫌いですね、こういう無駄話」
 夕立は、脳裏によぎったひとの笑顔をシャットアウトした。それは、無駄だ。
 少なくとも今は。人殺しの人でなしにとっては、不要だ。
 ガキどもへの同情などない。なにせこれはよくある話。
 影は黙って近くに浮いていた。夕立はそれを睨み、舌打ちをひとつした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『キルドーザーズ』

POW   :    キルドーザーズ鉄の掟『遅ェ奴はクソ!』
【敵に向けてチキンレースのような集団突進】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    キルドーザーズ鉄の掟『雑魚は死ね!』
自身の【モヒカン】が輝く間、【同士討ちを全く厭わぬ突進】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    キルドーザーズ鉄の掟『敵は轢き殺せ!』
【ドーザーブレードを振り回しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【雄叫びを上げながら無秩序に走り回る仲間】の協力があれば威力が倍増する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヴォーテックス・シティ:"10番目の10番街"
「「「タリー・ホー!!」」」
 KRAAAAAAASH!!
 廃ビルの壁を、ひび割れたアスファルトを、瓦礫を砕いて現れたもの!
 それは、地下に潜んでいた殺戮者ども。改造レイダーの大軍団!
「そうらそらそら、殺せ殺せ殺せ! 追いかけて追いかけて追いかけて!!」
 サーカステントの居室、"ジミー・ザ・ジョーカー"は手を振り上げて歌った。
 キルドーザー! ジミーがだぁいすきな、とっておきの玩具ども!
 そいつらに慈悲はない。
 そいつらに分別はない。
 そいつらに容赦はない!
 知恵も知識も良心も呵責も道徳も渇望も何もなし! あるのはただひとつ!
「「「タリー・ホー!!」」」
 かわいい獲物(キツネ)を追いかけて、バラバラに轢き潰す喜びだけ!
 さあごらん、逃げていくよ! かわいい奴隷(キツネ)たちが逃げていく!
「「「タリー・ホー!!」」」
 さあ逃げろ、猟兵(キツネ)どもよ逃げろ。逃げて逃げて逃げて――そして死ね。
 キルドーザーズと並走する形で、そこら中から生き残りレイダーが飛び出す。
 バギー! バイク! あるいは超改造された大型トレーラー!
 空を見ろ! 待ち伏せ連中もそこら中にいる! ワイヤー、ロケット弾、手榴弾!
 さあ急げ、さあさあ急げ、何もかも吹っ飛ばしてケツまくって逃げろ!
 網の目みたいな狂った街の地面を這いずって、エンジン焼きながら逃げ回れ!

 ……なぁに? だったら空を飛べばいいじゃないかって?
 ああ残念。ジミー、見せてあげて! キミのご自慢の切り札を!
「タァリィー、ホォー!!」
 ガシャン!! 中央に君臨するサーカステントから突き出す無数の砲塔!
 子どもがケーキに突き刺したキャンドルみたいなブサイクな砲塔は、
 犬っころの吐いたゲロのような勢いで対空砲をばらまく。まったくクソのようだ!

 そう、ジミーご自慢の殺戮テント、それ自体が奴の切り札、乗騎なのだ。
 まずは追撃してくるレイダーを、キルドーザーズを引き離せ。
 弾丸でドタマをぶち抜き、爆弾でバリケードと待ち伏せ連中を吹っ飛ばせ。
 カタナを振るって並走するゴミどもを真っ二つにし、スロットルを開き続けろ!
 ハンドルを手放すな。アクセルから足をどかすな! スピード落とせば死ぬだけだ!

 狩人気取りのクズどもに、どちらが狩られるのかを教えてやれ。
 子どもたちの悲鳴にエグゾースト音と砲声が混じり合い、地獄の交響曲となる。
 ここは"10番目の10番街"、クソ溜まりのシミに変わるか命を得るか!
 それは、スピードの神様だけが知っている。地獄の鬼ごっこの始まりだ。

●この章で出来ること
 敵の戦力はおおよそこんな感じです。
 キルドーザーズ(集団敵。後ろから追っかけたり横から飛び出してくる)
 マシン騎乗レイダー(データ的には無意味な敵。動きはだいたい同上)
 待ち伏せレイダー(ビル屋上でロケット砲構えてたりバリケード作ってたり)
 逃走者用のトラップ各種(地雷、ワイヤー、その他諸々)
 サーカステントの対空砲(飛行による逃走はかなり困難です)

 このへんの障害物を吹っ飛ばしたり追手をぶっ殺したりする章です。
 マシンをピックアップして奴隷たちとともにカーチェイスしてもよし、
 カーチェイスしてる他の猟兵を支援するためにビル屋上を駆けてよし、
 路地を縫うように駆けながら、トラップを解除したりしてもよし。
 都市を舞台にしたカーチェイスと聞いて思いつくことは大体出来ます。
 章が変わると、サーカステントは変形してのっしのっしと動き出します。
 それがボス戦です。いまのところは対空砲火ぶっ放してるだけです。

 まあようは派手に追いかけっこしようって話ですね。
 皆さんのド派手なアクション、お待ちしております!
 
●プレイング受付期間
 09/10(木)08:30前後まで。
月凪・ハルマ
はい、自力で逃げられないって皆はこっちおいで
コイツ(=大型機動装甲車・玄武)で運んであげるから

◆SPD

とはいえコイツ(=玄武)のデカさだと、走行ルートは限られる

なので予めUCでゴーレム達を召喚しておいて、玄武でも走行可能な
道にある障害物、及びレイダーを排除させておこう
ゴーレムからの情報は超多目的スマートフォンで受け取り、
突破可能なルートが出来たら、あとは一気にそこを駆け抜ける
(【メカニック】【ハッキング】【操縦】)

玄武自体に武装は無いけど、その分装甲は固いから
多少の攻撃なら喰らっても問題ない
まぁ、手裏剣とかゴーレムで迎撃はするけども


だいぶ荒っぽい運転になると思うから、
しっかり掴まっててくれよ!


仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

助太刀に来たぞ…!
悪漢共よ…死から逃れる術はないと知れ!
逃がすまいぞ…私は処刑人だ!!!

【シュバルツァ・リッター】で
亡霊馬に[騎乗し追跡]で駆けつけよう

敵群を[存在感で挑発しおびき寄せ]よう

妖刀を振るい[切り込み]雑魚共の首を刎ねて[部位破壊]
亡霊馬による突進で[吹き飛ばし]、足で踏みつぶす[重量攻撃]で
雑魚共を[蹂躙]しよう

キルドーザーズには鉄塊剣を構え
[ダッシュとランスチャージ]で突進し
[鎧砕きによる串刺し]攻撃で突き刺し貫き屠ってやろう…!

鉄塊剣を[なぎ払い]、キルドーザーの残骸を見せつけ有象無象共に
[威厳と殺気]を撒き散らし[恐怖を与えおどろかして]やろう…!


アルトリウス・セレスタイト
面倒は早く片付けるか

自身への攻撃は『刻真』で終わらせ対処
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

絢爛を起動
静止と因果の原理を以て戦域の空間を支配
乗機やテント含むレイダー全てを「止める」

突然速度がゼロになれば、人も機械も直前の速度を止め得るだけの力を一度に受けることになる
酷い目に遭うのだろうが、潰れて死んでも俺は困らんので気にせず実行

一度で全て終えたいが、死に損なった者は『討滅』の破壊の原理を乗せ打撃で始末

全機同時に止めたいが、止まった結果味方を巻き込みそうな個体へは幾分加減
結果逃しても数が減れば誰かが仕留めるだろう
終わるまで足を奪い潰していく

※アドリブ歓迎



●チェイサー・アンド・チェイサー
 ゴゴ、ゴ……ゴリゴリゴリ、ゴリゴリゴリゴリ……。
 ヴィークルというよりは地均しする大型ローラーめいた轟音を響かせ走る巨躯。
 それは、月凪・ハルマは持つ特製の大型機動装甲バス『玄武』の駆動音だ。
 ゴリゴリゴリ……と、ひび割れたアスファルトをものともせず進むさまは、
 まさしくその名の通り、伝説の四聖獣の一角を担う玄武を想起させる。

 だがその堅牢さゆえに、玄武はスピードと、何より走行可能経路が限定される。
 もちろん並のマシンでは追いつけない程度の馬力があるし、この巨体だ。
 近づかれたところで、そのまま轢殺してやればいいだけの話である。
 そしてハルマは抜かりなく、召喚済みの魔導ゴーレムたちに”道路整備”をメイジていた。
「頼むぞ、こっちの足止めをしようとする奴らは先んじて片付けてくれ!」
 ゴリゴリゴリ……この石臼を挽くような軋み音は、ゴーレムの駆動音でもある。
 玄武の周囲に、あるいはそのボディに乗り込み待機していたゴーレムたちは、
 ロケット砲やトラップ、あるいはバリケードといった足止め要員を物理突破し、
 複雑極まりないこのヴォーテックス・シティに『風穴』を開けてやることで、
 玄武がスピードダウンせずに走り抜けられるルートを『開拓』するのだ。
「「「わああああああっ!」」」
「っと、悪いな……! 居住性は確保してるんだけど、こうも道が悪いな!
 しっかり掴まっててくれよ! まだまだ荒っぽい運転になっちまうからさ!」
 お互いに抱き合って悲鳴を上げる子どもたちに、ハルマは呼びかけた。
『玄武』の機内は、その無骨さからすると相当のラグジュアリーを誇っている。
 とはいえ、あくまでそれは『堅牢な機動装甲バスの居住性』での話。
 これほどのトップスピードで、攻撃を喰らいながら走り続けるとなれば、
 衝撃を全て殺すことは難しく、子どもたちは指示通り衝撃に備えざるを得ない。
 KRAAAAAASH……随伴ゴーレムの一体が、ロケット砲を受けて膝を突いた。
(さすがに待ってやることは出来ないな。足止め頼むぞ)
 ゴウウン……半壊したゴーレムは自らの身を厭わずに廃ビルに突撃!
「うおおおおっ!? こ、こっちに来るんじゃ……ぎゃあああ!!」
 KRAAASH!!
 ロケット砲レイダーは、敵撃破の代償にビルごと土煙に消えた。
 そのときハルマは、スマートフォンに伝達された敵情報を見て舌打ちした。
 後方! 猛烈な土煙を上げて迫るは、危険速度を厭わぬキルドーザーの群れ!
「まずいな、けっこうショートカットしたけど追いつかれるか……!?」
『『『ハハハハハハ!! 殺せ殺せ殺せェー!!』』』
 改造のせいで――いや、もともとか――頭のショートしたモヒカンどもは、
 同士討ちをかけらも厭わず、そして自壊を恐れずアクセルを踏み続ける。
 エンジンが焼け付こうが、バッテリーが限界を迎えようが、構わない。
 遅ェやつがクソ! 獲物を轢き殺してミンチに出来ればそれでよし!
 キルドーザー連隊と玄武の相対距離がぐんぐん縮まる。残存ゴーレム部隊は半分。
 ハルマは最悪の可能性を想定し、爆破手裏剣を投げようと窓から身を乗り出した。

 ……その時である!
『『『ハハハハハハ……あァ!?』』』
「……足止め部隊? いや、あれは!」
 ハルマは、そしてキルドーザー連隊は、同時に曲がり角の向こうに集中した。
 見よ。土煙と陽炎どよもすアスファルトを蹴立てて、力強く走る漆黒の馬!
 それは目・口・耳、その他全身の傷跡から青白い焔を噴出する亡霊馬なのだ!
 ハルマと子どもたちを迎えに、一足早く気の短い死神がやってきたか? 否!
「助太刀に来たぞ……!!」
 馬上を見よ。凄烈な形相で亡霊馬を乗りこなすは、処刑人……仇死原・アンナ!
 その片腕には騎士の馬上槍よろしく禍々しき妖刀を構え、ぎらりと敵を見据える!
「このまま進め! 後ろの連中はワタシが斬り捨てるッ!!」
「……サンキュー! ならお言葉に甘えさせてもらうよ!」
 ハルマは牽制の爆破手裏剣を投げると、ゴーレム部隊を前に集中させた。
 そして猛スピードを出し、後方の防御を省みることなく一気に直線疾走する。
 対面から駆けつけたアンアの亡霊馬と、その巨体が一瞬交錯した。
「――」
 積載部分にあつらえられた窓越しに、子どもたちとアンナの視線が交わる。
 子どもたちは、青白い焔を纏う、ぬばたまの髪の女処刑人のかんばせを見た。
 束の間その黒玉じみた瞳は、若き子らへの憐憫と慈悲に細まる。
 ……交錯は一瞬。アンアは亡霊馬の腹をかかとで叩き、さらに加速させた!
「悪漢どもよ! 死(ワタシ)から逃れる術はないと知れ!!」
『『『ハハハハハッ!! 女ひとりに何が出来るってんだァ!?』』』
「女ひとり? ――否、ワタシは女である前に処刑人であり、そして!」
 ブルルルルルッ! 硫黄の蒸気めいて焔を撒き散らし、亡霊馬が吠えた!
「ここに我が死の運び手あり! さあ、征くぞコシュタバァ!!」
 鏃型戦列を整えたキルドーザー編隊に、アンナは真正面から激突!
 ――いや、激突していない! 彼女は衝突の瞬間人馬一体となり高く飛翔!
『『『何ィ!?』』』
「受け取るがいい、これが冥府への片道切符だッ!!」
 ザンッ!! と、妖刀が滑り、キルドーザー編隊の生首をまとめて両断!
 KRAAAAASH……首なしマシンは勢いそのまま玉突き事故を起こし爆散した!
「見よ、悪漢ども。お前たちもじきにこうなるのだぞ!!」
 青白い地獄の焔に燃え上がるキルドーザーズの残骸と、アンナの大音声。
 廃ビルに身を潜めていたレイダーどもは、その恐怖に震え上がった。

「ヒュウ、やるなあ。けど、俺も安心はしてられない、か!」
 ハルマはミラー越しにその勇猛果敢な戦いぶりをみやり、口笛を吹いた。
 しかしすぐに意識を運転に引き戻し、片手間に爆破手裏剣を連続投擲する。
 キルドーザーの別編隊! 大通りに面した横路地から次々に飛び出してくるのだ!
 そのたびにゴーレムが犠牲となって敵を押し止める。まったく邪魔くさい!
「せめて動きが止まってくれれば――っと?」
 はたして、天におわす神はハルマの願いを聞き届けてくださったか。
 進行ルートを妨害しようとしていたキルドーザー編隊が、ぴたりと『静止』した。
 まるでビデオ映像の一時停止ボタンを押したかのように、前触れもなく。
 ハルマは直感的に、それが何者かのユーベルコードであることを察知した。
 ……それは正しい。ビル屋上、血に塗れたそこで巨躯を見下ろす男がひとり。
「面倒は早く片付けるに限る。あの大きさならば、俺が手を下すまでもあるまい」
 アルトリウス・セレスタイトは、誰に言うともなく静かにつぶやいた。
 かれは制圧した屋上の惨状を改めて見渡し、向かいの廃ビルに手を課さず。
 根本原理術式、『絢爛』。あらゆる物体を、存在をも固定・静止せしめる力。
 それは廃ビルを隠れ蓑に飛び出そうとしていたレイダーどもを、完全に静止。
 掌から青い魔力が炸裂し……KRA-TOOOOM……廃ビルごと敵を生き埋めにした!
「みんな、舌を噛まないようにしろよ! 一気にぶち抜くからなあ!」
 ハルマは子どもたちに言うと、ベタ踏みのアクセルにさらに力を込める。
 静止したままのキルドーザーズは、声をあげた――歓喜ではなく、悲鳴に。
 轢殺される側、蹂躙される側となったことで、恐怖を知ったのである。
 しかし、手加減は無用。ハルマは……玄武は、勢いそのまま敵編隊を轢殺突破!
 爆炎と鉄屑と血とオイルとをぶちぬき、聖獣は力強く腐った街を駆け抜ける!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フォーネリアス・スカーレット
「逃げろだと? 聞けん話だ」
 戦闘の相手に向って貫キ殺スを投擲。
「逃げるのは貴様等だ。いくぞ、アズール!」
 アズールの背に跨り、二本目の貫キ殺スを構えて騎兵突撃。別に何本でも出せるので出し惜しみはしない。千撃ちで牽制を入れてから神喰いで両断する。一体仕留めたらフックロープでアズールの背に戻り次を殺す。
「オブリビオンは皆殺しだ。ただの一匹も逃しはしない」
 皆殺しの宣言は済んでいるのでな。虐げられし者達の力は先払いで戴いている。追う奴隷が増えれば増える程私の力になる訳だ。
「黙れナラク!」
 ……妙な幻聴が聞こえるのが難点だが。ナラクって誰だ。



●コールド・ヒート
『『『ハハハハハァ!! 逃げろ逃げろ逃げろ逃げろォ!!』』』
 自慢のボディをガンガンと鍋のように叩きながら、キルドーザーズは合唱した。
 そら逃げろ。
 さあ逃げろ。
 オレらを楽しませるためだけに!
 逃げれば助かるかもしれないぞ。
 死物狂いで逃げれば助かるかも!
 ……もちろん逃がすつもりなどない。これは、楽しい狩りなのだから。
 だからキルドーザーズは、愉しげに、がなりたてるように騒いでいた。

 しかし。
『『『ア?』』』
 あろうことかこちらに"突っ込んでくる"巨影を見た時、連中は素面になった。
「――逃げろだと?」
 青白い焔を纏う狼……らしき、シルエット。
 それにまたがる……否、蹲るように背に乗った赤黒のシルエットがひとつ。
「それは、聞けん話だ。なぜならば」
 ガーゴイルじみた影は、高速走行する狼の背の上でゆらりと立ち上がった。
 オニ? 否。
 アクマ? 否。
 そんな生易しいものではない。あれは、死神だ。
「――逃げるのは貴様らだ。ドーモ、オブリビオンスレイヤーです!」
 フォーネリアス・スカーレットは誇り高くオジギし、馬鹿げた場上槍を構えた。
 それはもはや、ランスなどというレベルのサイズではない。
 オベリスクの如き巨躯。それで、キルドーザーを串刺しにしようというのか!?
『『『ハハハハハハ! バカめ!!』』』
「知ったことか」
 フォーネリアスの声は冷えていた。燃え尽きた灰の奥の熾火めいていた。
 されど双眸は燃えるように輝く。裡なる憎悪の火によって。
「オブリビオンは皆殺しだ。ただの一匹も逃しはしない――!!」
 そして……KRAAAAAASH!!
『『『アバーッ!?』』』
 オベリスクめいた巨大槍は、道路にクレーターを生み、敵を血のシミに変えた!
 砕けたアスファルトの裂け目に、血とオイルと残骸とがどろどろと流れ込む!
「次だ。アズール!」
 ドルン、ドルン、ドルルルルン……!
 衝撃により破砕したオベリスク槍を投げ捨て、フォーネリアスは叫んだ。
 代わりに彼女の手にあるのは、化け物じみた唸り声をあげるチェーンソー!
 青白き狼はギャリリリリ!! と爪を立てて強引に90度方向転換し、加速。
 新たな敵編隊! フォーネリアスはフックロープを射出し自らを砲弾に変えた!
「虐げられし者たちの怒りを知れ……! イヤーッ!」
『アバーッ!?』
「イヤーッ!」
『アバーッ!!』
「イヤーッ!」
『アバーッ!!』
 三連続チェーンソー殺! ポイント倍点!
 爆発を追い風にふわりと浮かび上がったフォーネリアスはフックロープを射出し、アズールの背に戻った。次なる獲物を探して、双眸が赤黒く燃える。

(((ググググ……愚かなりフォーネリアス……実際非効率的なり……)))

 その精神の奥底で、煮え立つような嗄れ声が彼女を嘲った。

(((餓鬼どもを路端に並べ、敵を誘うべし。さすればアブハチトラズなり!)))
「黙れ……!」
(((何を躊躇う? 何を迷う! オブリビオンは皆殺しにするのであろうが!)))
「黙れ、貴様の意思には屈さぬ!」
(((ググググ……ジゴクを生み出せい。オブリビオン殺すべし!)))
「黙れ、黙れ……!!」
 フォーネリアスは、裡なる邪悪の声の誘惑に頭を抑え、抗った。
 なお、特に彼女が邪悪存在や別人格などを宿しているということはない。
 じゃあこの声はなんなのか。それは、オブリビオンスレイヤーにもわからないのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ニィナ・アンエノン
ひゅー、出てきた出てきた!
でも乗り物【操縦】しながらの戦いには、にぃなちゃんちょっと自信アリ☆
ここは徹甲弾が良いかな?
ライフルの【貫通攻撃】で【スナイパー】らしく冷静にドーザーごと撃ち抜くぞ!
でも射撃ばっかに気を取られてちゃいけないね。
しっかり【視力】を生かして【情報収集】して、地雷とか踏まない様にしなきゃ。
敵が仲間を巻き込んででも攻撃してくるなら、ブースター吹かして【空中浮遊】でタイミングをずらした【ジャンプ】や【早業】の【スライディング】、緩急を付けた【ダッシュ】で同士討ちさせたいな。
そんで最後はやっぱりミサイルでシメ!
無数の【誘導弾】を【乱れ撃ち】して、まとめて【吹き飛ばし】てあげる☆



●爆炎の謝肉祭
 ギャギャギャギャ――ガガガガガガガッ!!
 けたたましい音とともに、アスファルトが火花と瓦礫の飛沫を散らす。
 猛スピードで駆動するニィナ・アンエノンのマシンのタイヤがこすれる音だ。
 カーチェイスにはそぐわぬデコボコだらけの悪路は、まるでラリーコース。
 こんな悪路をバイクで走行するなど、運転できないバカの考えることだろう。
 ……そう、"まともなドライバー"であるならば。
 "ごく普通のマシン"であるならば、こんなトップスピードで疾走出来ない。
 だがニィナは並外れたライダーであり、彼女のマシンは化け物であった。
 アスファルトの亀裂をウィリーで飛び越え、隆起した段差を事も無げに走破する。
 さらには網の目じみた街を右に左に爆走しながら、ライフルを撃ちもする!
『ヒャッハァー!! 轢き潰してや……オァアアアーッ!?』
 KBAM!! 駆動部を撃ち抜かれたキルドーザーが分解しながらコースアウト、爆発!
 ニィナはスチームドライフルをリロードしながら、にやりと笑った。
「にひひー、悪いけどにぃなちゃん、乗り物操縦しながら撃つのは得意なんだぁ☆」
 得意、というレベルではない。ここまでくると神業というよりも悪魔的だ。
 まるで人機一体の如くにマシンを操り、しかも追ってくる敵をスナイプする。
 一方でニィナは、路上に埋没した地雷の存在にも気を配っている。
 むしろ後続のキルドーザーのほうが、速度にかまけて地雷に……KBAM!!
「あーあ、かわいそ☆」
 ……地雷に巻き込まれている有様。レイダー同士が足を引っ張り合っているのだ。

 しかし敵も諦め悪く、さらなる別部隊がニィナを左右から挟み込む。
 自己破壊を厭わぬ超加速は、ニィナのマシンをして並走を許すほどであった。
『ヒハハハハ! 捻り潰してやるぜェ!!』
『オラオラオラ! 泣いて震えろォ!!』
 まるでガソリンスタンドのウォッシャーめいて、左右からモンスターが近づく。
 無理に加速するのは危険だ。斜め後ろからすくいあげられかねない。
 かといって急ブレーキを踏めば、このスピードである。つんのめってスピン確定!
「しょーがないなー! けどにぃなちゃん、秘策ありっ!!」
『『何ッ!?』』
 見よ! ニィナは宇宙船用のブースターを点火し、斜め上にジャンプしたのだ!
 キルドーザーは着地際を狙おうとする――しかし、滞空時間が予想以上に長い!
『『ウ、ウオオオオオーッ!?』』
 KRAAAAAASH!! 哀れ、二体の化け物は交差する形で激突・爆発・炎上だ!
「まだまだ、カーニバルはこれからだよ、れっつだーんす!!!」
 ドウドウドウドウ……そしてマシンのあちこちから飛び出す無数のミサイル!
 立ちはだかる敵を、追ってくるマシンを、廃ビル上で手ぐすね引いて待つレイダーを!
 高機動マイクロミサイルは、まったく同時にロックオンして炎に飲み込んだ!
「やっぱり最後はミサイルでシメ、じゃないとね!」
 KRA-TOOOM……ミサイルの爆発で頭上すれすれを飛ぶトレーラー。
 ニィナはその真下を神業的スライディングでくぐり抜け、ウィンクひとつ。
 爆炎のカーニバルのあとに遺されるのは、哀れな犠牲者の残骸と瓦礫のあとだけ。
 まるで風のように、ただ一筋の蒸気だけを残して、少女は駆け抜けていく――。

成功 🔵​🔵​🔴​

九頭竜・聖
……品性のない音でございます
くるま、という物を見るのは初めてではございませぬが、乗る者が変わればああも下劣な物になり果てるとは

わたくしめは引き続き、あの悪しき者たちの気を惹くと致しましょう
幼子の足では逃げ切るにはまだ幾許か時が要りましょう

下劣な悪しきは水底で罪を贖うのが似合いかと存じ上げます
おいでませ、娑伽羅様

【祈り】と共に御呼び致しますのは水を司りになる青の龍神様
その身を変えた大津波にて周囲の悪しき者どもをどうか呑み込み、押し流してくださいませ
悪しき者だけでなく、彼奴等の絡繰りや仕掛けなども流してしまえば他の猟兵の方々の助けにもなるでございましょう



●それは、恵みでもあり滅びでもあり
 罵声。嬌声。爆音。轟音。
 姿形もあげる音も、何もかも品性のない下卑た残骸ども。
「"くるま"というものを見るのははじめてのことではございませぬが――」
 九頭竜・聖は、その端正な顔立ちを嫌悪と苛立ちに顰めた。
「乗るものが変われば、ああも下劣なものに成り果てますか。度し難い」
 彼女は敵に背を向けることなく、大通りのど真ん中にまっすぐと陣取った。
 来るもの――すなわち、キルドーザーズは、そんな女を嘲り、そして目で舐った。
『ギャハハハハハ!! なんだぁ、足止めのつもりかぁ?』
『キレーな顔して勇ましいねぇ! はやく轢き潰してぇ!!』
『ぐちゃぐちゃのミンチになるところが見てえなぁ!!』
「…………」
 聖は言葉を返さない。投げつけられた汚濁の如き言葉はすぐに忘却する。
 記憶することすら穢らわしい。その怜悧な相貌が、なおさら情欲をかき立てる。
 すなわち、殺戮という名の情動を、欲望を。それらはみな壊れていた。

 ……とはいえ、敵は多数、しかも自己改造した機械の群れである。
 乗り物らしい乗り物もない聖では、速度の面でこれを凌駕することは出来ぬ。
 そして聖自身、わざわざ相手の土俵に降るつもりもなかった。
「――おいでませ、おいでませ」
 かつん、と薙刀の石突で地面を叩く。聖が意識するのは地面のさらに下だ。
 アポカリプスヘルは一面乾いた荒野ばかりの死の世界。恵みなき大地である。
 しかし聖は感じる。その土の下、いまだ尽きぬ命脈――つまり、水の存在を。
 汲み上げるには半万年はかかるであろう底の底、たしかに残る水の残滓。
 分厚い地殻を通じて呼びかける。キルドーザーズどもはエンジンをキックした。
『『『ブッ潰れろ、女ァアアアア!!』』』
「偉大なる青の龍神様。参之御方様、恵みをもたらし滅びを起こすおおいなる龍よ」
 聖は双眸を開いた――光なき黒い瞳に、波紋のように青が混ざり合う。
「彼の大地を、彼の下劣を、御身の権能にて浄化したまえ」
 キルドーザーズがロケットスタートし――そして、空中に吹き飛ばされた。
『『『なあああああっ!?』』』
 何が、起きた?
 答えは単純、地が割れ、そして間欠泉が吹き出したのだ。……地下水脈!!

 はたして下劣な罪人を空に巻き上げた水の柱は、うねる竜の頸となった。
 水の流れは双眸を形作り、圧縮された水脈は獲物貫く牙へと変じる。
『我らの贄を侮辱したる罪、贖いがたし。呑まれ、砕けよ!!』
 冷酷なる大音声が世界を揺らし、そしてその身は大津波に変じた。
 空に巻き上げられたキルドーザーズは、周囲に展開していたレイダーの群れは、
 役目を終えた瓦礫ごと津波に呑まれ、そしてバラバラにちぎれていく。
「……嗚呼」
 薙刀を支えに屹立した聖は、空を見上げた。
「御身に感謝いたします、娑伽羅様。この地は浄化され水は恵みとなりましょう」
 飛沫は雨となり、瓦礫の街に降り注いだ。
 かくて罪は汚濁とともに灌がれたり。遺るは、いのちなき水面ばかりなり。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼び普通の口調
他の人には敬語。混ざっても問題無し

バイクのような小型戦車【ラビットモービル】で
【武装トレーラー】を牽引するのは割と無茶だけど、
自走機能でアシストされるのでそこそこの速度は出る

が、救出した奴隷を乗せるため重火器は積んでいない。
今回は安全のため重装甲仕様だ。
車軸からカッターが出たり、撒菱をバラ撒いたりとか
変な武器は付いているが、使うかどうかは
【首刈り兎】の判断に任せよう。
戦車にも武器は無いので必要ならグレネードを使う

ラビィが追いついてきたか。
ラビットギアは立ち乗り二輪車にキャタピラを付けたような
ふざけた戦車だがスピードは結構速い。
すぐに合流できるだろう


ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】

ししょーちゃんと逃げれたかな?
らぶも早くししょーの手助けに行かなくちゃなん
こんな所で喧嘩してる場合じゃねーのん!

ラビットギアの上に立つとアクセル全開
急いでししょーを追いかけるぞ
【GearMAPsを起動します。クロゼの端末の電波信号を確認。ルート計算中。ゴーグルに表示します。運転に注意しましょう。最新の地図データを取得出来ません】

ししょーの車を見つけたら追手の妨害に専念するなん
敵の車のフロントガラスに張り付いてアウトローサインのスプレー缶でアートしちゃうぞ
描くのはアリスのセカイのもんすたー達
きっとそんなの描かれたら吃驚するし視えなくなっちゃう筈なんな
どんどん他の車に飛び移って妨害しちゃえ



●ウサギのように臆病に、兎のように大胆に
 ド、ド、ド、ド……ドルン、ドルルルルン!!
《GearMAPsを起動します。クロゼの端末の電波信号を確認。ルート計算中》
「いいから早く動くのん! こんなところで喧嘩してる場合じゃねーのん!!」
《……計算完了、ルートをゴーグルに表示します。運転に注意しましょう》
「わかったから、はーやーく!」
《最新の地図データを取得出来ません。地図データを再取得しますか?》
「マザーうるさいなんな!! はいはい発進発進!!」
《発進します》
 ラブリー・ラビットクローはもどかしさに身悶えし、そして呻いた。
 マシン――一人用戦車『ラビットギア』はいきなりロケットスタートしたのだ。 まったく、"マザー"は融通がきかない。発進するならすると言え。
 ……と、ラブリーがめちゃくちゃな理屈を言葉にしたところで、あれはこう云う。
 そう、"よくわかりません"だ。あれが、マザーの口癖なのだ。

 ともあれラブリーは、ごうごうと唸るスピードの風の中態勢を取り直す。
 ラビットギアはひどく変わったマシンだが、その速度は目覚ましいものだ。
 あっという間に路辻を駆け抜け、ノロノロと(対比的な話だ)走るマシンを見つけた。
「ししょー!!」
 ラブリーは叫んだ。武装トレーラーの周囲には並走するキルドーザーズ!
「お前ら、邪魔なんな!!」
 SMAAASH!! ラブリーは勢いを乗せ、キルドーザーの頭をバットでフルスイング!
 断末魔とともに頸はねじ切れ、ホームランボールめいて空高く飛んだ。
 ラブリーは首なし屍体に飛び移る。ラビットギアはそのまま自動操縦で吶喊。
 並走する別機体におもいきり体当たりを仕掛け、そのまま廃ビルに突き飛ばした。
 KRAAAASH!! 爆炎と轟音がラブリーの風をなびかせる。ラブリーはさらに跳躍。
「ししょー、無事だったのん? 子どもたちは?」
「追いついたか。大丈夫、トレーラーの中でおとなしくしてもらってるよ」
 トレーラーを小型戦車『ラビットモービル』で牽引していたクロゼ・ラビットクローは、グレネードのピンを抜きながら答えた。そして後方に投げつける。
『ヒャハハハハ……アバーッ!?』
 KBAM!! 爆炎が敵を飲み込み、派手にクラッシュして再び爆発した。
「さっきからしつこい連中ばっかりだ。引き離すのも難しくてね」
「なららぶがぼーがいしてやるのん! ししょーは運転よろしく!」
「そう言ってくれるのを期待してたよ。無茶はしないように」
 ふたりはこつんとフィストバンプすると、ラブリーがトレーラーの装甲を蹴った。
 着地地点にラビットギアが戻り、彼女を出迎える。速度的に追い越しは容易だ。
 しかし前方の妨害戦力は、クロゼに任せておくべきだろう。
 ……ラブリーの直感を示すように、後続の新たな敵編隊が多数出現!
『『『ヒャハハハハ!! ガキもろとも轢き潰してやるぜぇー!!』』』
「しつこい連中なんな……マザー、幅寄せして!」
《了解しました》
 ラビットギアはキルドーザー編隊に危険なほど近づく。ラブリーは跳躍!
 スプレー缶を取り出すと、敵マシンのフロントガラスあるいは顔面やボディに、
 次々とロウブロウアートを描き出す。子どものいたずら? 否、見るがいい!
『なんだぁ? 落書き程度で止められると思――何ぃ!?』
 描かれたアートはぼこんっと立体化し、そしてフロントガラスを覆う!
 禍々しきオウガの群れ。アリスラビリンスでラブリーが見た怪物なのだ!
 視界を覆われたマシンはコースアウトし、廃ビルに激突! KRAAAAASH!!
「次!」
『女ァアアア!!』
「おめー嫌いなのん!!」
 ギャルギャルギャルギャルギャル!! チェーンソーが頭から敵を両断!
 血とオイルを撒き散らして分断されたマシン残骸が、後続マシンを巻き込み爆散する!!
「……相変わらずはちゃめちゃだな、ラビィは」
 などとうそぶくクロゼだが、彼のモービルも大概な武装である。
 並走するキルドーザーを両翼から飛び出したカッターで串刺しにしたり、
 鉄菱を撒き散らして粉砕したり、めちゃくちゃだ。AIの自動判断である。
「ここは通さな……アバーッ!?」
 バリケードをグレネードで爆砕! マシンはさらに加速する!
「ラビィ! まだまだ来るぞ、いけるか!?」
「もちろんなん!」 
 その声は頼もしげなくらいにハツラツとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリー・ハロット
(尽きない怒りと不快感を胸に【空中浮遊】と【空中戦】を駆使して、地を這う様に飛翔しつつUCを起動)
じゃまーっ!!
(横から飛び出てきたドーザーズを【念動力】の『手』で投げ飛ばし、勢いそのままに別の敵にぶつけ)

そんなの当たんない!!
(降り注ぐロケット砲も空中でつかんでは投げ返し)

っ!
(はじける対人クレイモアに、とっさにビルを【念動力】の手でつかんで、自分を引き寄せ)

アンタたちもキライ!!
(ビル側面を数多の【念動力】の手で掴み、駆けながら待ち伏せレイダーを空中に投げ放ち、無慈悲にVortexでの追い打ちをかけ)

全部、全部、消えちゃえ!!
(数多の【念動力】の手で出来た嵐が戦場を駆け抜けていく)



●猛り狂うは怒りのままに
 胸のむかつきとはこういうものなのかと、マリー・ハロットは学んだ。
 きっとそれは、世に言う「おとなになる」ということなのだろう。
 おとなとは、嫌なもの、苦しいものも我慢して耐え忍ぶものらしい。
 けれど、"こんなもの"を我慢しなければならないのが大人なのだとしたら。
 自分は大人にならなくていい。――それほどまでに、我慢が出来なかった。

「じゃまーっ!!」
『うおおおおっ!?』
 横合いから飛び出してきたキルドーザーが空中に投げ飛ばされた。
 見えざる念動力の"手"によって、その巨体をすくいあげられたのである。
 当然、キルドーザーの重量は半端ではない。大量の『手』だからこそ出来ること。
 投げ飛ばされたキルドーザーは放物線を描いて落下し……別機体に激突、炎上。
 マリーは一瞥すらせず、地面すれすれを浮遊しながら猛スピードで進む。
「餓鬼が来たぞ! 止めろぉ!!」
 パシュパシュパシュ……両翼に聳え立つビルから五発のロケット砲。
 回避余地を殺した時間差の発射だ。このスピードでは避けることが出来ない。
「そんなの、当たんない!!」
 だからマリーは、『手』を使って高速飛翔体をつかみ、そして投げ返した。
 熱によって灼けた手が脱落する。どうでもいい。両翼ビルの一フロアが爆砕。
 ズズズ……と地鳴りをあげながら崩れ落ちるビルの残骸が、後続編隊を巻き込む。
「くそっ、あのガキはえぇぞ!」
「キルドーザーはどうした! あ? ビルに飲み込まれたぁ!?」
『『『ハァハハハハハーッ!!』』』
 KRAAAAASH!
 別働隊がめの前に飛び出す。マリーは、『手』を翼のように大きく拡げた。
「キライ、キライキライキライ……アンタたち、みーんなキライっ!!」
「「「ぎゃあああああっ!!」」」
 ビル内に潜伏していたレイダーが、不幸にも空中に投げ飛ばされる。
 マリーは『手』がレイダーを投げた反動でブレーキをかけ、偽神兵器を起動。
 加速力と反発力をうけてその場でぐるりと回転し、刃を解き放った。
 つまりは、そこに嵐が生まれた。空中に放り投げられたレイダーも、
 真正面から突っ込んでくるキルドーザーズも、すべてが呑まれた。
 悲鳴。
 断末魔。
 絶叫。
「全部消えちゃえ」
 血とオイルと残骸と瓦礫が舞い散るなか、マリーは言った。
「全部、全部、消えちゃえ。消えろ、消えろーーーーーーっ!!」
 癇癪を起こした子どもの叫び。そのなかに悪漢どもの悲鳴と爆音が交じる。
 地獄がそこにあった。誰よりも苦しむのは、その目で渦巻く少女自身だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・深耶
では、真の姿たる多刀流(時空に魔法陣の如く刀が幾数も鞘の如く収納されている)の状態で時空間切断剣術による時空間崩壊現象を数重もキルドーザーズの機体に叩き込んで時空間毎爆散させていく。

他にも【残像】を残すほどの高速移動で待ち伏せレイダーを翻弄してFPSで言う芋掘りのように気が付けば傍にいるようにして首をはね、
【神罰】で純化神剣・アーベラントに内包されている神罰の光を空中に放ち、雷鳴の如くレイダーに降り注がせて、
地面に突き刺していた妖刀・紫雨(注意:人間が使える物じゃありません。精神力で逆に妖刀をねじ伏せた深耶が特別なだけです)をレイダーに掴まさせ、その呪力に蝕まられているところを切り刻む。



●斬撃の虚空
『『『ヒャハハハハハハァー!!』』』
 耳障りな雄叫びと笑い声。そして、地鳴りめいたエグゾースト。
 キルドーザーズ! ただ轢き殺すためだけに己を改造したバカどもの成れの果て。
 そいつらは哄笑しながら、逃げ回る奴隷や猟兵たちを追いかけていた。
 自分たちが狩り手であると、奴らは心から信じていた。

 しかし。
『ヒャハハハ……ハ?』
 一体のキルドーザーが、数え切れないほどの無数の残骸に、分割された。
 それを自身が理解した直後、体内を循環するオイルが化合し爆発!
『『『アァ!?』』』
「下卑た笑い声だ。耳に障るな」
 はたして、いつからそこにいたのか。
 東雲・深耶は底冷えするような瞳で敵を睨みつけ、再び神速の剣技を振るう。
 ただ走ることしか頭にないキルドーザーズでは、その剣閃を目視すら出来ない。
 神速の斬撃は時間や空間をも断ち切るかと思わせるほどに凄烈であり、
 そして敵編隊はまったく同時に、無数の残骸に分割され、バラバラとなった。
 断末魔すらもない。爆炎……そのなかから、剣士が飛び出す。
「おい、猟兵が来たぞ! 攻撃――」
 ヒュカッ、と光の線が奔った瞬間、レイダーの乗る廃ビル自体がバラバラになった。
 ガラガラと崩落が起こり、砂煙と粉塵が巻き上がる。剣士は止まらない。
「どちらが狩り手なのか、それをその身に教えてやろう」
 深耶は静かに言った。これは勧告や忠告ではない――宣言だ。
 これからお前たちを皆殺しにするという、無慈悲な狩人の、宣言なのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱酉・逢真
白いのと/f18631
心情)考えるフリくらいしろや。つゥかレースねェ。あんまし競争とか得意じゃねえのよ。戦車はあるが、今回のァ敵が多すぎる。怪物ども喚ぶか? けど走りながら陣地の確保はな。いっそレース捨てるか…あン?(作戦を聞き) …マジで言ってンのか? わァった。
行動)白いのが背中に作ったリングに《殃禍の工房》の結界棘を生やす。これで輪っかが《門》になって、通れるサイズの怪物たちが無尽蔵に出てこられる。足が速そうなやつに白いのごとまたがり、怪物どもを撒きながら移動だ。眷属どもといっしょにレイダーを殺し・ビルやらを壊し・奴隷を守らせる。…短い間たァ言え、《門(*あれ)》を維持出来るたァ驚きだ。


茜崎・トヲル
かみさま見つけた!(f16930)

じゃーかみさま、どーしよっか? へへ、おれはほら、死なないだけがとりえだから。
ふーん? あ! そんならさ、そんならさ。おれ、いいこと思いついたぜ! ごにょごにょ。
マジだぜ! 死なないおれなら出来るだろ?
よーし、肉体改造! 肩甲骨から骨を伸ばして、背中にでっけー骨のわっかを生やすよ。
ふふは、後光みたいじゃね? え、グロい? しょんぼり。
これが《門》?になるんだって。わーすげー、ゲームで見るみたいなモンスターめっちゃいる。
こいつ乗るの? オッケーしがみつく!
つかやべー、がんばんねーと溶けるってかぐちゃってなるなる!
うおー限界突破ーっ! この間だけもってくれー!



●此方と彼方を分かつもの
 ……めりめりと肉を割り、白い幹のようなものが鎌首をもたげた。
 それは茜崎・トヲルが異常伸長させた、自らの肩甲骨である。
 めり、めりめりめきめき……人間の生理的恐怖を刺激するおぞましい音。
 肉が裂け血がこぼれる。骨格の異常変化に耐えきれず全身の筋肉が悲鳴をあげた。
 トヲルの両目から血があふれる。なのに、彼は笑っていた。痛みはない。
「んで、こいつをこーしてっ、と……!」
 めきめきめき……ぼきん。
 やがて背中に生まれたのは、肩甲骨を軸とした巨大な骨の『輪』である。
 肩口から伸びているそれは、リング状の白い翼……と、言えなくもないだろう。
「ふふは、後光みたいじゃね? かみさまっぽくねー?」
「いや普通にグロいだろォが。俺が言うのもなんだけどよ」
 死と病と毒をもたらす凶星――朱酉・逢真に言われてはいよいよおしまいだろう。
 トヲルは大して気にした様子もなく、えー、とか、そんなーとか言っていた。
 ……逢真はもう一度、トヲルが背中に生やした『後光』を見やる。
 人間業ではない。どちらかというとこれは、己がやるようなことである。
 痛みがなくそして可能だからといって、あっけらかんとやるようなことではない。
(が、だからこそいい《門》にならァな)
「言い出したのはお前さんだからな。あとで苦しいからってやめねェぞ」
「だーじょぶだって! そーゆーの忘れちまったし!」
「……そォかい」
 逢真はそれだけ言って、血でまだらになった白い骨の翼に触れた。
 すると骨の表面に、ビシビシと無数の棘が生える。まるで怪物の牙じみた棘だ。
「もーちょいでっかくするか? かみさまー」
「出来ンならやってくれ」
「おー」
 気の抜けた返事とともに、『後光』はさらにめきめきと異常拡大した。
 棘も増える。するとリングの内側が、水面のようにゆらめき、色を変えた。
 汚れた油脂のような極彩色。あきらかにこの世ならざる異界に通じた色合いに。
「さあ、来ておくれ怪物ども。俺の手となり足となり、少し働いてくれや」
 神の声は輪の内側の極彩色を揺らめかせる……そして、表面がめりめり突き出す。
 "何か"が、ヴェールを引き裂いて出てこようとしているような変化である。
「お? おお!? あ、やべえ! 身体ぐちゃぐちゃんなる!!」
 トヲルは両手を地面に突き立てた。四つん這いの姿勢で全身の筋肉を緊張させる。
 裂けた血管から膿のごときグロテスクな液体が溢れる。目から溢れる血も変色。
 "何か"が現実に飛び出そうとする。骨の翼……いや門が、耐えきれずにひび割れた。
「うおおおおお……ッ!!」
 呻き声。いや、踏ん張る気合か? トヲルは地面が罅割れるほどに力を込める。
 はたして……ぶちり、と界を分かつ羊膜を破り、"それ"らは現世に現れた。

 それは、現世にあってはならぬもの、あるはずがない空想そのものだった。
 架空であるがゆえに、それらは"魔"という名を与えられて寓話に登場した。
 たとえば、数多の頸を持ち無限に再生する毒の怪物。
 たとえば、百の頭と千の腕を持つ、青ざめた肌の巨人。
 たとえば、全身が目で覆われぶるぶると蠕動する肉塊。
 それらはうぞりと《門》から溢れ出て、そして現世を侵食する。
「おう白いの、立てるか。あれに乗るぜ」
 逢真が指差したのは、口の端が胴体まで裂けた五つ目の狼であった。
「うお、すげーゲームとかに出てきそー! これにまたがんのな! おっけー!」
「……お前さんよ。それ、まだ維持出来るかね」
「出来るぜ! このまま色々ばらまいていこーよ!」
「おう」
 ふたりは五つ目の狼の背にまたがり、逢真は結界棘に力を込めた。
 トヲルの背に開かれた《門》から、さらに多数の怪物どもが溢れう。
 殺戮。破壊。それらが起こすのは、ただ純粋な有象無象の冒涜と蹂躙であった。
 しかし、奴隷たちは守らせる。もちろん、彼らに随伴する猟兵たちも。
 怪物どもは神の従僕であり仔である。親にしてあるじの命令には忠実だった。
「……こンぐらいいりゃあ十分だろ。もう崩していいぜ」
 逢真の言葉を聞いた瞬間、トヲルは骨の《門》を維持することをやめた。
 結界棘とともに骨はぼろぼろとスポンジめいて腐食し酸化し、塵となっていく。
 傷口はぶすぶすと膿んでいた。そこが泡立ち、急速に回復させていく。
「いやー、しんどかったなーあれ! けどこれで作戦成功、だろ?」
「……しんどい、で済ませられるようなモンじゃねえんだがな、あれは」
 《門》のつながる先は神域であり、すべてが万物にとって有害な環境だ。
 その結節点を維持するということは、つまりあらゆる呪詛と病毒を被るに等しい。
 トヲルがその程度で死ぬようなタマでないことは逢真も知っているが、
 神域と現世、此方と彼方を繋ぐということは、筆舌に尽くしがたいことなのだ。
「へへ、おれはほら、死なないことだけがとりえだから」
 少年のように屈託なく笑うトヲルの顔を、逢真はうっそりと一瞥した。
「そうだな。お前さんはそれしか取り柄がねえや」
「そうだろ? ってかみさまひどくねー? フォローとかもう少ししてよ!」
「だったら最初からてめぇで言うなィ」
「それもそーだ! へへ」
 五つ目の狼が吠える。殺戮機械を咥え込み、ばきりと圧潰させた。
「だが助かったぜ、白いの。よくやった」
 トヲルはきょとんと逢真の背中を見た。その表情は、彼からは見えなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】
車はPAシステム付きのハマーH2 SUTを選択。
「真琴、準備は良いか……Shall we dance!」

アクセルを踏み込み、オーディオのスイッチをON。
車外スピーカーからワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量で流す。

片手でハンドルを切りながら、もう片手で歯でピンを抜いたグレネードを窓の外へ投下。追っ手の牽制攻撃へ。
「ホント、戦争は地獄だぜ!」

BGM2曲目はAC/DCの「Thunderstruck」
同時にUC発動、荷台の彼女の隣へセントリーガンを配備。
「愛してるぜ、タレットー!
……あ、いや、違うぞ真琴。そういう意味じゃない、本当だって!」

後で、埋め合わせしなくては。戦術的に…あぁ。


新海・真琴
【炎桜】
(ベルンハルトの運転するハマーH2 SUTの荷台に飛び乗る)
初めてのドライブがこれかぁ!楽しくなってきたよ!!
「準備万端。運転任せたよ!」

救出した奴隷達を乗せた車の後ろ、殿を守るように走る。
荷台で構えるのは和弓・巴板額――昔風に言えば、5人張りの弓ってとこかな。
ローテクなロングボウ?
ボクが受け継ぐ弓の法はね、大陸の王者すら泣いて逃げ帰った鎌倉武士の流れを汲んでるのさ!

キルドーザーズ全体への牽制として、最も目立つ車両を桜弧玉矢で攻撃。
油断した連中の隙を突くように、二本一組一手の矢で距離の近いヤツから運転手を狙撃。
即座に次の矢を番え、一組一手を撃つ。
「ふーん、あ、違うの?ならいい」



●終わらない闘争のなかで
 爆発音と歓声、悲鳴と断末魔、そして笑声とエンジン音。
 気が狂いそうな戦争交響曲のなか、響き渡るのは壮大なオーケストラだ。
 そしてその音楽は、ベルンハルト・マッケンゼンが運転するSUTから流れていた。
「真琴、準備はいいか?」
「もちろん、準備は万端だよ。ただ……」
「ただ?」
 荷台に飛び乗った新海・真琴は、くすりと乙女の笑みを浮かべた。
「はじめてのドライブが"これ"だなんて、楽しくなってきてしまってね!」
 ……その言葉に、運転席のベルンハルトもくつくつと肩を揺らす。
 ああ、実に"いい"。この状況で、この地獄のような惨状で、そんな言葉が出る。
 強がりや皮肉ではなく、真琴の声は心の底から弾んでいた。だからこそ、いい。
 ――本当にいい女だ。そんなセンチメントを抱いた自分が一番面白かった。
「そうだな。なら盛大に、楽しいドライブとしようか!」
「運転任せたよ、ベルンハルト」
「ああ――それじゃあ始めよう。Shall we dance!!」
 ギャルルルル……ギュガガガガガガッ!!
 アクセルを踏み込むとともにけたたましいスリップ音、タイヤが火花を散らす。
 ごうごうとスピードの風が真琴の髪を揺らす。心地よく、爽やかな加速。
 奴隷たちの思いは推し量るまでもない。きっと不安で恐怖に震えているのだろう。
 義憤がある。しかしそれ以上に、どうしようもなく心はずませる自分がいた。
 きりきりと五人張りの強弓を引き絞り、刃のように鋭く背後を睨む。
 口元には不敵な笑み。それは、狩猟者の微笑みだった――。

 ……そして!
『『『ヒャアッハハハハァー!!』』』
 ガルルルルル! と餓狼の唸り声めいたエンジン音をあげ、異形到来!
 鏃型の戦列を組んだキルドーザー編隊が、SUTの背後に現れたのだ。
 キルドーザーズはガンガンと自らのボディを叩きながら、加速を続ける。
 それに並走し、レイダーどもの違法改造車が続く……まるでバッファローの群れ。
 たかがローテクなロングボウひとつで、こんな暴威を相手にできるとも?
 ……出来る。出来るのだ! なぜならば真琴は猟兵なのだから!
「桜の精が弓引く、玉の矢だ。魔は疾く祓われたまえッ!!」
 バシュッ!! と弩のような破裂音とともに、強く引かれた矢が放たれる。
 矢は空気を切り裂いて飛翔し、キルドーザーズの先頭車両を串刺しにした。
『アバーッ!?』
「当然、これだけじゃ君たちは足止めできない――だろ?」
 見よ。キルドーザーの土手っ腹を貫通した鏃が、めきめきと"芽吹いた"!
 それはタイプラプス映像めいて急速成長し、無数の棘持つ黒曜石の華を咲かす。
 キルドーザーの背に花開いたオブシディアンの花びらは、後続車両を貫通!
『『『ウオオオオオッ!?』』』
「な、なんだありゃああ!?」
「ハ! ホント、戦争は地獄だぜ!」
 同時にベルンハルトは窓から身を乗り出し、片手に持つ手榴弾のピンを抜いた。
 そして歯で銜えたピンを吐き捨てながら、グレネードを投擲……KA-BOOOM!!
「「「ギャアアアーッ!!」」」
「いいね、派手じゃないか! 爆発物っていうのは心がワクワクする!」
 真琴ははしゃぐ乙女のように声をあげ、二の矢を敵めがけて放った。
 敵の車両を運転席ごと串刺しにしたその矢は、花開くことで二次災害を起こす。
 これぞ"桜弧玉矢"。一の矢で二度の破壊を起こす桜の精の祓魔撃……!
『『『挟み撃ちだ! 追い越して殺しちまえーっ!!』』』
 キルドーザーズはもはやクラッシュを厭わず、猛スピードを加速させた。
 そして並走して両翼同時に体当たりを仕掛け、SUTを叩き潰すつもりなのだ。
 真琴の矢は強力だが、それゆえにマシンガンほどの連射力はない。
 といっても射撃速度はすさまじい……けれども間隙は生まれてしまうものだ。
「もうひとり、いや、"もうひとつ"射手が必要そうだな、真琴!」
 ベルンハルトはそう言うと、ハンドルを握りながらステレオを操作した。
 壮大なオーケストラから、がなりたてるようなボーカルのロックサウンドへ。
 すると真琴の真横にワイヤフレーム状の電脳体が立体投影され、現実化した。
 ずしん! とSUTが揺れる。生み出されたのは、巨大なセントリーガン……!
「愛してるぜ、タレットーッ!」
「……今なんて?」
「え、あっ」
 思わず決り文句を口にしていたベルンハルト、サーッと血の気が引く。
 真琴のじっとりとした眼差しは、振り返らずとも彼の心臓を貫いていた。
「い、いや、違うぞ真琴。そういう意味じゃない、本当だって!!」
「……ふーん。違うの? ならいいけど」
 真琴はあきらかに"ならいい"って感じじゃない声で言った。
 ベルンハルトは、ごつんと額をハンドルに叩きつける。……やってしまった。
「あとで埋め合わせをしないといかんな、あぁ……」
 と、運転手がうなだれている一方、荷台の真琴はくすくす笑っていた。
 きっと後悔していることだろう。いまのは、彼女なりのいたずらが半分だ。
 もう半分? それは言うまでもなし。真琴はちらりとタレットを見やった。
「しっかり働いてくれたまえよ? タレット君……いや、ちゃんかな?」
 応えるように、セントリーガンは馬鹿げた量の弾丸を吐き出す。
 真琴はその砲音に気を取り直し、再び強弓による射殺攻撃を再開した。
 砲声、爆音、断末魔!
「――まったく! 戦争っていうのは地獄だね!」
 真琴の声は、やはり乙女のように弾んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陸郷・める
☆める
★7号

★ったく、消毒しても消毒しても沸きやがる!
(……潮時か。目的のガキどもは他の連中が抑えたっぽいからな。)
……退くぞめる!アレいけるか!?
☆(こく)ヴォルテックエンジン、接続……《リミッター解除》して【タンクアサルト】、後は操縦にせんねんするよ
★悪路だァ!?こちとら多脚戦車でなァ!多少の障害程度どうってことねぇ!
可能な限りドリルアームの《地形破壊》で障害物を粉砕しつつ、クソドーザー共は跳躍からの重量込めた《踏み付け》や上半身へのドリル・蹴り飛ばしで応戦するぜ。

ああ、後ろにもう味方がいねぇならドリルで足元崩すのもアリだな
で、遠くからちょっかい掛けてくる奴は《砲撃》で黙らせてやらァ!


ウーナ・グノーメ
アドリブ・共闘◎

【心情】
「案の定、追いかけてきたのです。迎撃、応戦しつつ逃走するのです」
「注意一秒、怪我一生なのです」

頭が悪そうに見えて、この規模の兵装と人員は大したものなのです。
しかも、これもこの街の戦力のほんの一部でしかないのです。
ヴォーテックス・シティとまともにやり合うのは分が悪いと言うのも肯けるのです。

【行動】
【念動力】による【吹き飛ばし】を自身に適応し、超低空を飛翔して追いかけっこに参加するのです。街の地形や障害物、罠の類は【第六感】で察知し、【吹き飛ばし】で対処するのです。更にUCによってレイダーの居眠り運転による事故を誘うのです。全速力なら、ほんの少しの眠気で大惨事になるのです。


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

鉄の掟ねえ。
こんな世界のこんな街で、まだ掟が必要なのかい?
随分とまあ不自由な事だよ。

さて、大きすぎると対空砲に当たりそうだし、ここからは普通の大きさでいこうか。
運転なんかは得意じゃないし、【巨獣生成】で乗る生き物を作ろう。
向こうはキツネがご所望みたいだし、大量の巨大なキツネを生み出して、
子供を乗せて走らせたり追いかけてくる相手を襲わせたりしようか。

自分は子供を乗せたキツネたちの先頭に乗って前方の敵の掃除かなー。
出糸突起から糸を伸ばして瓦礫を拾えば投げつける物には困らないし、
近付いてきたレイダーもついでに捕まえて投げつけてやろうか。

まったく、やかましいったらない街だよ。


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎

タリー・ホー!!

●キミに決めた!
じゃじゃーん!武装装甲バスとかなんかそんなの!
運転は新人奪還者(ヒーロー)!
こどもたちを助けたい、運転は任せてくれって?エライッ!!
大丈夫だよ!誰だって人に言えない過去の一つや二つはあるものさ!
[餓鬼球]くんが彼の頭を甘噛みしてるのもご愛嬌!

●ギュィーーーン…ドッカーン!
ハンドルを回すように手を振って、追手くんたちには[超重浮遊鉄球]くんたちに体当たりしてもらうよ
キキィーーー!ボカーーン!
バリケード等は[ドリルボール]くんの全速順回転で粉砕して破砕して爆砕だー!!

アハハハ!みんな見なよ!花火があがってる!
楽しいね!まるでカーニバルだよ!



●目には目を、歯には歯を、暴力には暴力を
 ガションッ、ガションガションガションガション……。
 陸郷・めると生体脳『7号』を乗せた多脚戦車が、悪路を高速走行する。
『ったく、消毒しても消毒しても湧きやがる! 退くしかねえか……!
 める、アレいけるか!? こうなったら障害物は全部ぶっ壊すぜぇ!!』
「……うん。ヴォルテックエンジン、接続……!」
 めるがリミッターを解除すると、多脚戦車はすさまじいエグゾーストを上げた。
 まるで巨人の咆哮。直後、その走行速度は1.5倍近い速度に跳ね上がる!
「あとは、操縦に"せんねん"するよ。アーム、よろしく……!」
『応よ! 戦車だからって砲撃だけじゃねえとこ見せてやらァ!!』
 ギャルルルル……ガリガリガリガリ!!
 多脚戦車はドリルアームを突き出して廃ビル崩落跡を平らげ、強引に突破する。
 巻き上げられた瓦礫は石の雨となり、後続のレイダー集団を襲った!
『さあて、いくらっでも追いかけて来いや――あ?』
「……どうしたの?」
『いや、見間違いか? "レイダーが奴隷どもを運んでるように見えンだ"が……!?』
「……!」
 めるはカメラを操作した。7号が視認したのは、一台の武装装甲バスである。
 その運転手は……7号の言うとおり、たしかにレイダー!
 そして後部座席には、たくさんの怯える子どもたちが乗せられている。
 まさか、猟兵が追いつかれ、せっかく救出した子どもたちを奪われたのか?
『いや待て、ありゃあ……!』
 そして7号は気づいた。武装装甲バスの上に乗る不思議な少年の姿に……!

 ……一方、当の武装装甲バス内では!
「ヒィイイイーッ!! 死にたくねェー!!」
 運転席に居るレイダーは、半泣きで必死にアクセルを踏んでいた。
 よく見ればそのモヒカン頭には、丸い球体ががっつりと噛み付いている。
 そして車上に座る少年……ロニ・グィーが、にゅっと逆さに窓から覗き込んだ。
「いいね新人奪還者(ヒーロー)くん! その見上げた精神にボクは感銘したよ!」
「た、助けてく……」
「え? この仕事はぜひとも俺に任せろって? いやーすごいなー! エライッ!!」
「ひいいいい!!」
 レイダー……いや、"正義に目覚めて改心した新たな奪還者"は、悲鳴を上げた。
 自分以外を皆殺しにしたこの少年猟兵は、あの時いきなりこう言ったのだ。
『ボク、車とか運転出来ないからさー。運転手を探してるんだよねー。
 もしもキミが、子どもたちを助けたいって言うならスカウトしたいんだけど!』
 ……仲間の頭蓋をクルミみたいに噛み割った"餓鬼球"を浮かべて言われては、
 レイダー……もとい、新人奪還者は首を縦に振り続けるしか選択肢がなかった。
 脅迫? いやいや、自由意志に基づくまったく妥当な取引と言える。
 元レイダーの後頭部には餓鬼球ががっちり甘噛みしているように見えるが、
 それも万が一のセーフティ……もとい、ロニの信頼の証なのだ。間違いなく。
 しかし一方で、元レイダーは心のどこかで安堵してもいた。
 見よ。バスの周囲を浮かぶ、無数の浮遊鉄球の群れ。
「ギュイーン、ドッカーン!! キキィー、ボカーーーン!!」
 ロニが車上でおもちゃのハンドルを回すように手をふると、鉄球がそれに準じる。
 つまりバスの周囲に浮かんだ鉄球が、左に右に後ろに前に突撃するのだ。
 これらはロニの自在になる武器であり盾であり、それ自体が超質量の塊。
 凝縮された超質量が、猛スピードで激突するとどうなるか?
 答えは簡単……崩落していくあの廃ビルが、その威力を物語っているだろう。
 いわんや、レイダーの車両ごとき、スクラップに変わるのが関の山。
 自分も調子に乗って追う側になったら、ああなっていたに違いない。
(ち、畜生! 奪還者でもなんでもなってやる!! 死にたくねぇ!!)
 ロニに"見初められた"この元レイダーは、ある意味で運がいいと言えるだろう。

 そして。
『『『ヒャッハハハハァー!!』』』
 キルドーザーズが逃避行に乱入する! 味方を巻き込むことも厭わぬスピードで!
 奴らが追いかけるのは多脚戦車であり、ロニが乗る武装装甲バスであり、
「こんな世界のこんな街で、狂った"鉄の掟"なんて敷いてさ。不自由だこと」
 ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードが率いる、巨大なキツネの群れであった。
 それはペトニアロトゥシカが肉体の一部から生成した巨大な獣、怪物であり、
 しがみつく子どもたちはふんわりとした毛並みに受け止められ、むしろ快適だ。
 恐怖の糸が切れたせいか、毛皮に包まれてすやすや眠る子どもまでいる。
「ん。そうそう、泣き叫ぶより寝ていてくれたほうがずっと楽だし、"らしい"よ」
 ペトニアロトゥシカは子どもたちの様子を見やり、頷いた。
 彼女自身はキツネ部隊の先頭を征く、ひときわ大きなアルファ個体に騎乗している。
 その気になれば廃ビルを見下ろすほどの巨体に変身することも出来よう。
 ……ただし、頭上を絶え間なく飛び続けるあの対空砲がなければ、だが。
(攻撃を受けてもやられるつもりはない。けど二次被害が怖いものね)
 もしも万が一、巨体に激突した砲撃の破片が飛沫となって散ったりしたら。
 それは眼下に被害をもたらすということであり、許容しかねる副作用だ。
「キツネ狩りがご所望なんだろ? つかまえてごらんよ」
 ペトニアロトゥシカは感情を覚えさせぬ声音で言い、片手を突き出した。
 すると手首から糸が噴き出し、巨大な瓦礫片にくるくると絡みつく。
 ロニの鉄球攻撃で崩落した、ビルの残骸だ。ペトニアロトゥシカは、それを、
「まあ、こっちはただのキツネと違って道具も使ったりするけどさ」
、……やおら手首を振り、後方めがけて思いきり投げつけたのである!
『『『ウオオオオオーッ!?』』』
 KRAAAAASH!!
 瓦礫投擲攻撃を受けたキルドーザー編隊は、直撃を喰らい爆発四散!
 さらにペトニアロトゥシカは、もう片方の手を別の廃ビルフロアめがけ突き出す。
 射出された糸は、ロケット砲を構えるレイダーをしゅるしゅる絡め取った!
「ひ、ひいいいいいっ!?」
「どいつもこいつもやかましいな……仲間として責任取ってきて」
「う、うわ、うわああああっ!!」
 ひゅんっ、と放り投げられたロケット砲レイダーは……哀れ、キルドーザーと激突。
 ロケット砲が引火し、爆発炎上。血の一滴も残らぬ火柱に変わった。
「まだだ、数が足りねえ! もっともっと仲間を呼んでこぉい!」
『『『轢き潰してやるぜェー!!』』』
 ペトニアロトゥシカは、爆炎の向こうから飛び出す敵増援に辟易した。
 頭上すれすれを跳ぶ鉄球が、あるいは向こうの通りを走る多脚戦車の砲撃が、
 敵を吹き飛ばし、叩き潰し、爆殺する。しかしそれでもまだ足りぬ。

 ……その時である。
 三人の乗騎がひとつの巨大なハイウェイで合流したとき、新たな飛翔体。
 それは、地面すれすれを超高速で飛翔するフェアリー、ウーナ・グノーメだった。
「案の定、まだまだ追いかけてくるのです。この数は実際脅威なのですね」
『感心してる場合かァ!? いくらなんでも息切れしちまうぜェ!!』
「……少なくとも、子どもたちの情操面にはよくないかな」
「ボクは楽しいけどなあ! バンバン爆発してカーニバルみたいじゃーん!」
 四者四様の反応を示しつつ、ウーナは言った。
「たしかなのは、これがヴォーテックス・シティのごく一部だということなのです。
 いまこの街とまともにやり合うのは分が悪い、というのは間違いないのですよ」
「それは同意するよ。……それで? あいつらを一網打尽にするような方法は?」
 ペトニアロトゥシカの一瞥を受け、ウーナは言った。
「わたしのユーベルコードで、追っかけてくる連中を一瞬だけ眠らせるのです。
 ほとんどの連中は、そのスピードで自爆するとは思うのです。しかし……」
『キルドーザーどもは寝こけながら突っ込んでくるだろうなァ!!』
「じゃーそこをぶっ飛ばせばいいじゃーん! まっすぐ突っ込んでくるだろうし!」
「……というわけで、そこはあなたたちにお任せなのです」
『いいねェ、気に入ったぜ! 汚物はまとめて消毒に限らァ! ヒャッハァー!!』
 多脚戦車から聞こえてくる野卑な男の声は、レイダーめいて笑った。
 実際かつての生体脳7号はレイダーだったのだが、それは別の話である。
「作戦決定なのです。では、"注意一秒怪我一生"の言葉を体感してもらいましょう」
 ウーナはぐっとスピードを落とし、同時に振り向いて両手を突き出した。
 すると砂塵が一斉に舞い上がり、まるで局所的砂嵐めいて後続車両群を飲み込む!
「うおおおお!? なんだ、こんな目くらましごとき、じゃ……」
 暴走トレーラーを運転していたレイダーは、そのまま眠りに陥った。
 猛スピードで走行中に居眠り運転をすればどうなるか、答えは……KRAAAAASH!!
「「「ぎゃあああ!!」」」
「悲鳴までうるさい、なッ!」
 答えは後続を巻き込みながらの大事故! そこへペトニアロトゥシカの瓦礫投擲!
『オラオラオラオラァ!! 全員仲良くおねんねんしちまいなァー!!』
 さらに多脚戦車のドリルアームが、不安定なアスファルトの亀裂を貫通!
 バゴンッ!! という崩壊音をあげ、道路そのものが陥没し敵のみを飲み込んだ!
 キルドーザーズはふざけた超馬力で無理やり這い出そうとする……が!
「はーい、盛大な花火いっくよー! ドッカーン!!」
 ……神の拳めいて振り下ろされたロニの鉄球群が、すべてを叩き潰した。
 直後、地の底から噴き出すマグマのように、爆炎の火柱が盛大に立ち上がる!
「……これで一網打尽、なのです。車を運転する時は気をつけないとですね」
『汚物どもにゃ似合いの最期だなァ!!』
「これで、少しは街も静かになればいいんだけどね」
 四人は冷たい一瞥をくれ、猛スピードでその場を去っていった。
 ペトニアロトゥシカの願いは叶うことなく、喧騒は続き続けるのだが……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

蜂須賀・美緒
うじゃうじゃと鬱陶しい連中ね!
あななたち!悪いんだけど手伝って!
(『運転』しながら『オーラ防御』壁を{honeycomb}に纏わせた後、同乗する奴隷たちに{ソーシャル・レーザー}と{hornet}で向かってくるレイダー達を攻撃するよう指示する)
バリケードだろうが何だろうがぶち抜くわよ!
舌噛まないようにしっかりと捕まってなさい!
全速前進!ビー...ハイヴ!
(腕をクロスして決めポーズをした後、UC【B.H.H】を発動し巨大な蜂を召喚し{honeycomb}と並走させながら毒針ミサイルランチャーと翅の衝撃波で進行方向のバリケードを破壊させる)



●クレイジー・ハニー・ヒロイン
「うじゃうじゃと鬱陶しい連中ね……!」
 ハンドルにかじりつくようにして運転する蜂須賀・美緒は、思わず吐き捨てた。
 後部座席を見やる。奴隷たちもまた、後続のレイダー車両群に恐怖していた。
 一瞬脳裏によぎった作戦に迷う。この子たちに、本当に任せるべきか?
(いいえ、これはこの子たちの戦いでもある。遠慮はしてられないわね)
 美緒は迷いを捨てると、怯え震える子どもたちにこう言ったのだ。
「あなたたち! 悪いんだけど、あいつらを引き離すのを手伝って!」
「「「えっ!?」」」
 子どもたちは驚いて顔を上げた。当然だろう。
 敵を引き離す……それはつまり、"自分の代わりに攻撃してくれ"ということだ。
「……このままじゃ早晩追いつかれるわ。あなたたちもそれは厭でしょう?」
 片手でハンドルを制御しながら、美緒はじっと子どもたちを見つめた。
「あなたたちの力を、アタシに貸してほしいの。お願い」
「……わ、わかった!」
 勇敢な子どもが、ひとり声を上げた。
 それが堰を切ったようなものとなり、他の子どもたちも戸惑いつつ頷く。
「うんうん、それでこそよ!」
 美緒は頼もしげに笑って頷くと、レーザー砲と機銃の制御権を彼らに委ねた。
「そのぶんアタシは全力で運転するわ! バリケードだろうがぶち抜くわよ!
 舌を噛まないようにしっかりと掴まって、衝撃に備えなさい! いい!?」
「「「う、うん!」」」
「よぉし……全速前進! 行くわよ――ビー……ハイヴッ!」
 美緒が決めポーズをした瞬間、車の真横に召喚された巨大なハチ!
 それは翅から衝撃波を起こし、ミサイルめいた毒針を射出し前方障害物を破壊!
 同時に子どもたちは、備え付けの武装で後続のキルドーザーズを迎撃!
『『『ギエエエエッ!!』』』
「ざまあ見なさい! 子どもだと思って舐めてるからこーなんのよ!」
 美緒は吹き飛ばされる後続敵群を見返して笑うと、アクセルを踏み抜いた。
 車両は一気に加速し敵を引き離す……自由を目指して!

成功 🔵​🔵​🔴​

囁石灯・銀刃郎
子供達へ
何かにつかまって、口閉じてジッとしてなさい…片付けてくるから。

装甲トラックを人工知能に運転させ、自分は『風花の飛跡』で創造した、
空中浮遊サーフボードに乗って低空飛行。トラックを護衛

左折。最初の交差点を右折して直ぐに左折!
第六感、UCで地雷等を察知し車に適時指示
後方に向かって銀色の粘体を放ち、目潰し範囲攻撃
視界や動きを鈍らせて同士撃ち、地雷原に突っ込ませる

味方もお構いなし、相変わらずレイダーは趣味悪いわね。
先道から出てくるキルドーザーズに向かって、加速(ダッシュ)、すり抜け様に光速抜刀。覇気を込めたカタナでなぎ払い、ギルドーザーズを運転手も車も纏めて斬り捨てる。付き合ってる暇は無い


狭筵・桜人
乗り物苦手なんですよ。爆走するバイクとかね。
自殺志願者の乗り物でしょう、アレ。
支援行動に回るためには見晴らしの良い場所に陣取りたいですね。
ビルの屋上を占拠します。掃除も高い所からって言うでしょう?
レーサーを狙っているところをうしろからえいってして埃を地上に落としましょう。

『電子改竄』。この程度の雷撃で乗り手がくたばるとは思いませんけど
敵のマシンに引火させるなり、光で目眩ましにはなるでしょう。
そちらはついで。本命は敵が仕掛けたブービートラップの誘発です。

電脳ゴーグルを装着して地雷や爆発物の位置を調べて潰して敵にぶつけてーっと……
これ便利なんですけど画面酔いするんですよねえ……ウッオエ。


エドゥアルト・ルーデル
空からマウントとってやりたかったのに潰しやがって!
くそっしょうがねぇな!

適当に屋根などの高所から突っ込んでくるドーザーの一体に飛び乗り【ハッピーになるお薬】を投与!お前に生命を吹き込んでやる!!
これでドーザーの潜在能力は6倍にアップしましたぞ!
正しくレイダーもぶっとぶ代物だがジミーには内緒にしといてくだされ

ドーザーで爆走しながらレイダーを蹴散らし進み、効果が切れる時間になったらすかさず次のドーザーへ飛び乗り同じように投与してまた走り出すでござるよ!
乗り捨てたマシンには適当に手榴弾を置いといて爆破でござる!
いい夢みれたでござろう?グッドトリップ!

レースガデキテタノシイナ
し あ わ せ



●クレイジー・カーチェイス
「「「うわああああっ!!」」」
 装甲トラックの車内、外から響く轟音と衝撃に子どもたちは悲鳴をあげた。
 運転席に座る囁石灯・銀刃郎は、そんな子どもたちを気遣わしげに見やる。
 敵の数は異常だ。このままスピードで振り切るのは不可能と言っていい。
 かといってこのマシンでは、走行しながら敵を迎撃するのは不可能だろう。
「……何かに掴まって、口閉じてジッとしてなさい。私が片付けてくるわ」
 銀刃郎はそう言うと……なんたることか、ドアを開けて運転席から飛び出す!
 すわ、身代わりになろうとでも言うのか? いいや自殺行為などではない。
 銀刃郎の身体を受け止めたのは、ユーベルコードによって生成された銀の飛翔体!
「"風花の飛跡"――魅せてあげるわ!」
 装甲トラックは、銀刃郎が仕掛けた人工知能により自動運転状態で走り続ける。
 飛翔体……サーフボードに乗った銀刃郎は、低空飛行でトラックと並走、
 トラックを護衛しながら、追いすがるレイダー群を迎撃するつもりなのだ。
『『『ヒャハハハハ!! ぶっ殺してやるぜェー!!』』』
「付き合ってる暇はないのよ。来るなら来なさい……!」
 銀刃郎は冷たい瞳で敵をにらみつける。しかし、懸念が一つだけあった。
 それは人工知能に任せる関係上、障害物の回避が困難だということだ。
 だが、背に腹は代えられない。銀刃郎は追いすがる敵影を見据える……!

 ……一方、そんな銀刃郎たちが向かうルート上にある廃ビル。
「ケケケケ! 来やがったなあ、新しい獲物がよォー!」
 屋上に陣取ったレイダーどもは、凶悪なロケット砲を肩に担いだ。
 これで銀刃郎と装甲トラックを狙撃し、爆殺してやろうというわけだ。
 連中は身を乗り出し、獲物がまんまと引っかかるその時を待ちわびている。
「……えい」
「うおっ、え、あ、おわあああああ!?」
 ……そんなざまだから、後ろから近づく猟兵の気配にも気づかない。
 背中を圧されたレイダーは、そのままロケット砲ごと真っ逆さまに落ちていく。
 ぐしゃっ、という鈍い音。狭筵・桜人は身を乗り出し、血のシミを眺めた。
「うわー、トマトみたいですねえあれ。いやーお掃除って大変だなあ」
「拙者も同意するでござるよ、断捨離は大事でござるよねぇ(ニチャア」
「ひいいいっ!?」
 桜人はねっとりした気持ち悪い声に震え上がり、飛び上がり、そして振り返った。
 で、落ちかかり、慌てて縁にしがみつく。無様この上ないことである。
「あっあっあっ、ダメでござるよ! 落ちたら元の木阿弥でござるよぉ?」
 と、ひげの迷彩服男……エドゥアルト・ルーデルは、ねっとりした声で言った。
 桜人の手を取って引き戻そうとするが、桜人は反射的に手を払ってしまう。
 いやだって、顔も声も何もかも気持ち悪いから。
「いきなりなんですかあなた!? ビビったんですけど!!」
「いやぁ、拙者が来るのに備えてお掃除してくれてるのが嬉しくて(ニチャア」
「そんなつもりじゃないですよまったく。私はただ……って、えぇ!?」
 桜人は思わず二度見した。エドゥアルトが縁に足をかけていたからだ!
「いや、ちょ、まさか飛び降りつもりですか!?」
「そのつもりでござるが?」
「あなたも私みたいにここに陣取るつもりなんじゃ!?」
「ほんとは空からマウント取りたかったんでござるよ! そのプランはなし!!」
 エドゥアルトはなぜか逆ギレしていた。対空砲火がお気に召さなかったらしい。
 ともあれ彼は自殺志願者めいた軽やかさで、屋上から勢いよく飛び降りた!
「うっそぉ……!?」
 だが見よ。そこに飛び出してきたのは、一体のキルドーザーである。
『ヒャハハハハ!! 全員轢き潰して』
「お前に命を吹き込んでやる!!!」
『アバーッ!?』
 そこに上から不審者が失礼! 飛びつきながら首筋に妙なアンプルを投与!
 するとキルドーザーは泡を吹きながら痙攣し、白目を剥きながらパンプアップ!
『アバババババ! アバババババーッ!?』
「これでお前の潜在能力は六倍にアップでござる! さあ行くでござるよ!」
『アバババババーッ!!』
「……いやなんですかあれ」
 暴走状態のキルドーザーを乗りこなして走り去ったエドゥアルトにドン引き。
 桜人は気を取り直すと、あらためて自分本来の目的を果たすことにした。
 電脳ゴーグルを装着し、戦場を俯瞰する。目的は敵の妨害とトラップの誘発。
 無数の機械兵器群が背後に現れ、それらは光のボディに変わると散開した。

「……ん? なにあれ」
 一方その頃銀刃郎は、進路上の異変に気づいた。
 警戒していたレイダーがなぜかロケット砲で自爆したり、
 設置されていたバリケードが、キルドーザーによって吹き飛ばされているのだ。
「ぐふふふ、この調子でエクストリームレーシングですぞー!!」
 ……とかなんとか、キルドーザーにしがみついたのから気持ち悪い声がしたが、
 銀刃郎は一旦意識の外に置いておくことにした。援護があるのは実際ありがたい!
「この勢いで突破するしかないわね……行けッ!」
 銀色のサーフボードが銀色の粘体を放ち、敵レイダー車両の視界を奪う。
 改造バギーは大きくスピンし、後続敵車両を巻き込みながら自爆した!
『『『ヒャハハハハハーッ!!』』』
 さらに横道からキルドーザーズ! だが銀刃郎は想定済みだ!
「――邪魔をしないで。消えなさいッ!」
 超加速からの光速抜刀! 刃がキルドーザーを一刀両断し爆散せしめる!
「お見事ですぞ! まさしく神業ですな!」
「……いや、え?」
 並走するキルドーザー(泡を吹いてゲラゲラ笑っている)の背中にしがみついた妖怪……もとい、エドゥアルトに面食らう銀刃郎。
 気を取り直す。ふたりは地雷原に近づくが……その時、ぐおんと道路がせり上がった!
「「!!」」
 ふたりはそのまま、ジャンプ台めいた突起を利用し急速上昇!
 これは地形にハッキングした、桜人の機械兵器群によるアシストだ。
 ふたりのマシンがジャンプした直後、隆起した地形はガコンともとに戻り……。
「置いてあるものは親でも使えと言いますしねぇ」
 カチッ――KRA-TOOOOOM!!
「ウホホーッ! 派手な花火でござるなあ!」
「……助かったわね。一体誰かしら」
 銀刃郎は姿なきアシスト者……つまり、桜人に感謝を述べた。
 一方その桜人はというと、ゴーグルを外して青い顔で空を見上げる。
「これ便利なんだけど画面酔いするんだよなあ……ウッオエ」
 そのいまいちしまりのつかない姿を銀刃郎に見られずに済んだのは、僥倖と云うべきか否か。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

ケッ、大暴れとガキ共救出の次ァ逃走劇かよ
兎に角先ずァ通信頼りにフェルト回収だ――オイこっちだフェルトォ!乗れ!!

ンな雑魚滓共にへばる俺じゃァねェよ
オメェも何ともなさそォだな!
余計なオマケが付いて来ちゃァいるだがそれはまァ良い
任せとけ 俺様を誰だと思ってやがる――ケンタッキー・マクドナルド様だ!!

だっせェチンピラ紛いが俺様掴まえられると思うなよ
敵が追って来よォが
おまけに正面から別働隊が来て挟撃ちしよォが関係ねェ
フェルトのナビゲートに合せつつ『GULLIVER』を操縦して最短距離をブチ抜く!!
後ァ勝手にテメェらで正面衝突でもしてろ!

舌ァ噛むなよフェルトォ!しっかり捕まっとけ!!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
(子供達を安全圏まで逃しその後の誘導を蝶に任せ、自分は子供達を確実に逃すためレイダー達の気を引きつつケン様と合流)

ケン様……!よかった、元気そうね……
ええ、わたしも大丈夫。言われた通り無茶もしてないしね?

あと、ごめんなさい、ちょっとあのレイダー達しつこくって、思ったよりいっぱい付いてきちゃって……後は任せていいかしら、ケン様?
ふふっ、そうよね。それでこそケン様よ!

もちろんわたしも全力でサポートするわよ。
UCによる高速演算で敵の行動を予測、攻撃を躱しつつ最短距離で逃げ切れるルートを導きだすわ!

掴まるって……もう!このコクピット狭いんだから後で文句言わないでよね!(ぎゅっと腕に抱きつく)



●ストレイト・ラン
「撃て撃て撃てぇ!! あのデカブツを止めろォ!!」
 BRATATATA! BRATATATATATATA!!
「ケッ、バカどもが雁首揃えて豆鉄砲撃ちやがってよ。邪魔だァ!!」
「「「ギャアアア!!」」」
 KRAAAASH!! "GULLIVER"の豪腕が、マシンガン部隊をビルごと破壊した!
 崩落によって発生した粉塵に身を紛れさせ、巨大ロボは低空飛行でエリアを脱する。
「……オイフェルト、オメェちょっとばかし連れてきすぎじゃねェのか?」
 ケンタッキー・マクドナルドは、フェルト・フィルファーデンに言った。
 なんとか合流を果たしたフェルトは、その言葉にむっとした表情になる。
「し、仕方ないじゃない! そのことはさっき謝ったでしょう!?」
「オマケが予想以上だッて話をしてンだよ。まァチンピラ紛いがどンだけ居ようが、
 俺様とこの"GULLIVER"にゃ屁でもねェ、が……チッ、嫌な予感がしやがるな」
「……どういうこと?」
 ナビゲートのため準備を進めていたフェルトは、ケンタッキーの顔を見つめた。
「お前が逃したっつゥガキども、いくら電子蝶が居ても危ねェかもしれん。
 この街の勢力は予想以上だぜ……ゴキブリのほうがマシなぐれェのしつこさだ」
「…………」
 フェルトは考えた。たしかにこのヴォーテックス・シティの規模は異常だ。
 レイダーの数は無尽蔵とも言え、どれだけ引きつけてもキリがない。
 電子蝶を随行させただけでは、子どもたちを逃がすには足りなかったか……?
「ンな不安そうな顔してンじゃねェよ! 俺にいいアイデアがある」
「べ、別に……それで、そのいいアイデアって?」
「つまりよォ――敵を引きつけながら、ガキどもも守ればいいわけだろォが!!」
 ゴシュウ!! と、GULLIVER背部のバーニアが一斉に点火した。
「きゃっ!?」
 猛烈な加速Gがふたりの身体をコクピットシートに押し付ける。フェルトは呻いた。
「全力で陽動しつつ、出てきた敵は全員ブッ飛ばす! サポート出来るなァ!?」
「も……もちろんよ! わたしの電脳魔術でシステムとシンクロすれば……!」
 フェルトはコンソールに両手を触れさせると、そっと目を閉じた。
 彼女の意識はGULLIVERのシステムとシンクロし、そしてセンサー類が目となる。
 同時に、フェルト自身が生み出した電子の蝶たちもそのシステムと同化する。
 ケンタッキーの予想通りだ。子どもたちを追うキルドーザーの群れ!
「操作系と迎撃はお願いするわ、ケン様!」
「当たり前だァ、俺様は"神の手"だぜェッ!!」
 GULLIVERが高速でビル群を突き抜け、逃げる子どもたちの頭上に飛び出した。
 BRRRRRTTTTT!! 搭載ガトリング砲とマイクロミサイルポットが火を吹く!
「オラオラオラァ!! ガキをイジメていい気になってるのはどいつだァ!?
 全員派手にぶっ飛びやがれェ! 俺様とGULLIVERがとどめをくれてやらァ!!」
『『『アバーッ!?』』』
 KRA-TOOOM!! キルドーザーズ無残! 爆炎に呑まれて血とオイルが沫いた!
 ケンタッキーは子どもたちと逆方向に加速し、後続の敵車両を弾丸で薙ぎ払う。
 そしてわざと攻撃を周囲の地形に撒き散らし……廃ビル群破壊、そして倒壊!
「次! 4時方向からキルドーザー5体、2時方向にはレイダーの改造車両群よ!
 それぞれ距離は300と600、接敵時間はあと10秒! 迎撃出来るかしら!?」
「ここは一旦惹きつける! ルート算出頼むぜ!」
「わかったわ――策定完了。まずは北北東へ向かって大通りを突っ切って!」
「さすがだぜフェルト、その調子で頼まァ!」
 ゴオウッ!! と、廃墟のど真ん中をGULLIVERが高速飛翔する。
 亜音速低空飛行が突き抜けたあと、割れ残ったガラス片が盛大に舞い散った。
 ケンタッキーは背後を注視する……キルドーザー編隊と改造車両部隊、確認。
 連中はこちらの読み通り、合流した上でGULLIVERを追っているようだ。
「前方800メートル、地雷原とロケット砲部隊! 数20!」
「まとめて吹き飛ばす! 行くぜェGULLIVER!!」
 じゃきん! と、GULLIVERの両手に分厚い実体剣が装備された!
 GULLIVERは多段ブースターを展開、さらに加速してついにマッハの壁を突破。
 ソニックブームを発しながら、ロケット砲部隊が隠れる廃ビルを――両断した!
「「「な、何ぃいいい!?」」」
「派手な花火見たくて準備してたンだろ? だったらテメェらが花火になりなァ!」
 KRAAAAAASH……廃ビル群が崩落し、キルドーザー&改造車両群を飲み込む。
 それだけではない。降り注ぐ瓦礫が、地面に埋没した機雷に反応し……KBAM!!
 アスファルトをえぐりクレーターを生じさせるほどの大爆発が起きた!
「ハッハァ! 雑魚カスどもにはもったいねェ花火だぜ!!」
「ケン様、油断しないで! 次、合計30機のキルドーザーズが接近中よ!」
「チェ、仕方ねェ。このまま最短距離でブチ抜く。舌ァ噛むなよフェルトォ!」
「もうっ! このコクピット狭いんだから……! あとで文句言わないでよねっ」
 フェルトはケンタッキーの腕に、まんざらでもなさそうな顔で掴まった。
 直後GULLIVERは、背部バーニアをすべて噴射し一気に加速する。
 背後で二度目の爆発。火柱が、混迷の戦場をあかあかと照らした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジン・エラー
【甘くない】

こっからどォ~脱出するかって?そりゃァお前……アレでだろ
悪趣味ィ~~~?イ~ィ趣味してるだろォ~~~がァ~~~~イッヒヒヒャハ!!
じゃァドライブ──いィ~や、ランデヴーと行くかエリシャ
オマケにガキも沢山いるがなァ~~~!!ウヒヒャラハハバ!!!

オッヒャウヒャラヒャヒャヒャ!!!
そっちはどォだァ~~~!!??エリシャァ~~~!!!
ア!?もっと激しく!!???欲しがりだねェ~~~~!!!!

よォ~~エリシャ!首尾はどォよ?
お前とヤる方が愉しそォ~なもンで、ガキに任せて来た
真っ直ぐ走るぐらいは出来ンだろ!フフャブヒャラハハハ!!


千桜・エリシャ
【甘くない】

子ども達を乗せられる車を見つけて出発と
いきたいところですが…
ほ、本当にその悪趣味な車で行きますの…?
らんでぶーというなら
もっとろまんちっくな車が…まあいいですわ!
運転は任せましたわよ?

私は助手席から追手の対処を…やり辛いですわ!
車の屋根に飛び乗って
ふふ、ここなら刀も振り回しやすくていいですわね
さあ、どこからでも掛かってきなさいな
攻撃は最大の防御とばかりに
向かってくる敵を斬り刻んでは退けて
確かにもっと激しいほうが振り払いやすいかしら、なんて

あら、ジンさんもこちらに来ましたのね
…って、あなた運転は!?
もう!本当に考えることが破天荒ですこと!
さっさと片付けて運転に戻っていただきますわよ!



●ロックンロール・ランデヴー
 ドォン、ドォン……と、腹に響く重低音があちこちから聞こえてくる。
 十中八九、逃げ出した猟兵と奴隷たちを追うレイダーどもの爆発音だろう。
「私たちもそろそろここを離れないとなりませんわね……ジンさんはまだかしら」
 救出した子どもたちを先導する千桜・エリシャは、周りの様子を伺う。
 彼女の足元には、子どもを奪取しようとしたレイダーどもの無残な死体。
 ジン・エラーが車をピックアップしてくるまでの間、子どもを守っているのだ。
 と、そこへ、ブロロロ……と、重たいエンジン音。そして軽い地鳴り。
 どうやらジンが、子どもたちを乗せるためのマシンを無事見つけたらしい。
「ジンさん! こっちですわ、こっ、ち……」
 意気揚々と手を振り出迎えるエリシャ……だが、その表情は引きつった。
 なにせジンが転がしてきたのは、あまりにもゴテゴテした悪趣味なトレーラー。
 子どもたちを乗せるには十分なサイズがあるようだが、見た目があまりにも……。
「おーおーどうしたエリシャァ、せっかくピックアップしてきたのによォ~!」
「どうしたも何も、いくらなんでも悪趣味すぎませんこと!? 何このペイント!」
「悪趣味ィ~~~? イ~ィ趣味してるだろォ~~~がァ~~~!!」
「なんでそこで食い下がりますの!? レイダーのものなのでしょう……?」
「いや、このペイントはオレがしたんだよォ。イッヒヒハハヒャハハ!!」
「だ、だからこんな遅かったんですの!? 状況を考えなさい状況を!」
 ゲラゲラ笑っているジンのテンションと悪趣味さに、子どもたちもドン引きだ。
「まァまァいいだろ、時間差で出発すりゃ雑魚も片付けといてもらえるしなァ。
 じゃァドライブ……いィ~や、ランデヴーと行くかエリシャ、なァ~~~?」
「こ、こんな悪趣味な車で、らんでぶー……」
 がくり。エリシャはロマンのかけらもない雰囲気に肩を落とした。
「どうせならもっとろまんちっくな車がよかったですわ……」
「ガキどももたくさんいるのに何言ってンだァ~~~???」
「あ、ああああなたが先にらんでぶーがどうとか言い出したんでしょう!?」
「おーおー顔赤くしてらァ! ウヒヒャラハハバ!!」
「「「…………(この人たちいつまでイチャついてるんだろう)」」」
 もはや醒めた顔の子どもたちであった。

 そんな漫才はさておき、結局悪趣味なトレーラーで出発することに。
 運転はジンが担当し、子どもたちは荷台へ。エリシャは助手席で迎撃役だ。
「オッヒャウヒャラヒャヒャヒャ!! さっそく来たぜ来たぜ来たぜェ~~~!!」
 ガルルルルッ!! と、怪物の雄叫びじみたエンジン音が追従する!
 エリシャは窓から身を乗り出し、後続のキルドーザー部隊を睨みつけた。
「来ましたわね……! って、このままだとさすがに刀が振りづらいですわ!」
「だったら上で盛大に踊ってこいよエリシャァ!」
「今回はジンさんの言うとおりにしたほうがよさそうですわね……」
 エリシャはドアを蹴り開けると、ふわりと軽やかな身のこなしで車上へ。
 トレーラーの屋根に飛び乗り、スピードの風にばさばさと黒髪をなびかせた。
「ここなら刀も振り回しやすくていいですわね。さあ、行きますわよ!」
 エリシャ、トレーラーの荷台を花道めいてまっすぐに駆け抜ける!
『『『轢殺してやらァ!!』』』
「あら、下品だこと。下品な殿方はもう間に合ってますわ!!」
 そして、斬撃。エリシャほどの剣士が放つ斬撃は、遠間の敵すらも斬る。
 しかもその斬撃の数は、十や五十で足りるようなレベルではない。
 その数、およそ400! 呪詛を孕んだ斬撃の嵐が、キルドーザーズを切断殺!
「散り際に、手向けの花をあげましょう。では、さようなら?」
『『『アッ、ガ……!?!?』』』
 バラバラになったキルドーザーズはゴロゴロと地面を転がり、そして爆発!
 火柱が廃ビルの屋上ほどまで高く上がり、赤い花が血飛沫めいて舞い散った。
「お前も消し飛ばしてやるよォ、ヒャハハハハッ!!」
 そこへ廃ビルに潜んだレイダーによる攻撃! ロケット砲だ!
「本当に、下賤な殿方ばかりですこと」
 エリシャはロケット砲を斬る――と見せかけて、弾殻のすれすれを刀で撫でた。
 剣風により砲弾はふわりと舞い上がり、エリシャはそれを刀の峰で殴りつける。
 180度反転した砲弾の飛んでいく先は……他ならぬ発射元! つまりレイダーだ!
「な、なんだとォ!? ギャアアアア!!」
 KA-BOOOOM!! 廃ビルのフロアひとつが爆発で吹き飛び、ビル崩落!
「ふふっ、あなたなんて私が斬ってあげるまでもありませんわ」
「愉しそうだなァエリシャァ、首尾は聞くまでもねェかァ?」
「ええ、まあそこそこ――って、ジンさん!?」
 思わず自然にスルーしかけたエリシャは、真横に立つジンを二度見した。
「ちょ、あなた……う、運転はどうしましたの!?」
「お前とヤるほうが愉しそォ~なモンで、ガキに任せてきた」
「そんな……きゃあああっ!?」
 トレーラーが大きく蛇行する! 子どもが運転に慣れているわけがないのだ!
「ヒャハハハハバハハ! まっすぐ走るぐらいなら出来るかと思ったがムズいか!」
 トレーラーはスピードを落としてしまい、そこにレイダーが乗り込んでくる。
 ジンはゲラゲラと笑いながら、不埒な悪党どもを足蹴にして叩き落とした!
「うぐえっ!?」
「邪魔してンじゃねェよ! いまエリシャと話してンだろォが!!」
「そ、そもそもあなたのせいですわ!? ああもうっ!」
 トレーラーの運転はランダムかつ不安定で、レイダーも追跡が難しいようだ。
 当然エリシャやジンにとっても足元がおぼつかないのだが、そこは力量差がある。
 エリシャとジンはこの不安定な足場に、ある程度適応しつつあった。
「オッヒャウヒャラヒャヒャ!! オラオラ、踊ろうぜエリシャァ!!」
「まったくもう、仕方ありませんわね……激しく行きますわよ!」
「ア!? 激しくゥ? 欲しがりだねェ~~~~!!」
「そっ、そういう意味ではありませんわ! このお馬鹿っ!!」
 ふたりはゲラゲラぎゃあぎゃあと言い争いながら、レイダーを斬って蹴って振り払う。
 まさしくそれは、身勝手なリズムで踊る気ままなダンサーのようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アレックス・エイト
一度は希望の光を見出しても、この暴虐渦巻く怒号に呑まれては、子供達も平静でいられるか…
スラスターを起動、撤退する猟兵達に並走し、連れられた子供達を勇気付けます
貴方達を必ず守り抜き、此処から連れ出す、と
騎士は約束を違えません

待ち伏せはセンサーで予期し、誘導弾と貫通弾を織り交ぜた乱れ撃ちをお見舞いして機先を削ぎ、
放たれる銃弾や榴弾の熱波は魔力障壁で防御し子供達を庇います

問題は後方から追い縋る者達ですが…
…なるほど。遅い者は悪、と
ならばやはり悪は貴方達だ
弱きを助け悪しきを挫く事こそ騎士の本懐
この場において我が槍に一切の曇り無し
最大速度、衝撃波を伴う魔力ランスの突撃で真っ向から纏めて敵を貫きます


レムリア・ザラタン
猟兵と子供達をピックアップすべく、本体に乗り後詰めに回っていたが…この対空砲火では迎えに行く事もままならんな
…かと言って子供達も見ている手前、電脳空間へ退避して悲観させるわけにもいくまい
ここは意地の張りどころだな

この位置ならなんとか、援護射撃とレーザーでの対空砲迎撃を両立出来るか
バリアを展開し艦のセンサーで周辺を広域走査
…あの廃ビル群に仕掛けるか
ミサイルで追手や待ち伏せを牽制しつつ猟兵達に電脳魔術で通信
廃ビル群を突っ切って貰い、タイミングを計り、ビルへ撃ち込んでいたナノマシンを起動
敵の対空砲弾をビルに引き寄せ破壊させ、突進してくる敵を崩落で圧し潰す

猟兵へ通信…全員生きてるな?
引き続き援護を行う


ジュリア・レネゲード
ユニバースで事前に策定した脱出ルートを爆走する
中には保護した子供達がいるけど、のんびりしてられないわ
揺れるからしっかり掴まってね!
さぁて、一気にまくるわよ。グリュプス!

『本当に……機械使いの荒い……』
何か言った!? 全機展開!
複製したグリュプス総勢315機の内
15機を車上に自動迎撃装置代わりに
100機を進行ルートの安全を確保する先導に
100機を鬱陶しいキルドーザーを引き離す陽動に
100機は自分を含め友軍を支援する遊撃要員に
兎に角ここを抜けるのが先
後でオイル奢るから我慢なさい!

敵は無限軌道だから履帯に細工したり
動輪をピンポイントで破壊すれば足止め出来る筈
アナログならアナログなりにやってやるわよ!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

…うっわあ、何あの頭とシュミの悪いハリネズミ…
機能美も何もあったもんじゃないわねぇ…

ミッドナイトレースに○騎乗してエオロー(結界)のルーンで○オーラ防御の傾斜装甲を展開、即座にフルスロットル。これでもUFOだもの、壁だろうがオフロードだろうが関係なく全速出せるのよぉ?
乗り手潰して事故らせるなり○目潰しで壁に突っこませるなり、手はいくらでもあるわねぇ。
あら挟み撃ち?それこそ好都合。ギリギリまで引き付けてフロントフリップで頭飛び越えてやりましょ。お互い正面衝突なんてしたら、さすがに無事じゃ済まないでしょぉ?

…スピード勝負なら、あたしそうそう負ける気はないわよぉ?


荒谷・ひかる
……なんなんですかあれーーー!?
(変形するテントを初めとするビックリドッキリマシーンズに思わずツッコミの叫び)
え、えーっと……ま、まずは逃げてからどうするか考えましょうっ!

(可能なら他の猟兵或いは奴隷たちの操縦するマシンに同乗)
唖然としつつも、二丁の精霊銃を構えて追ってくる敵を牽制
とはいえ火力はあまり無いので、地面に水流弾と冷凍弾を放ってアイスバーンを作りスリップによる妨害を狙う
ある程度引き離せたら【本気の大地の精霊さん】発動
後方で大地震を起こしてもらい、地割れや建物の倒壊による攻撃及び道の寸断を狙います

これであの変なテントも潰れてくれるといいんですけど……そうはいきませんよね。


神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
転送のゲートをくぐると、そこはアポカリプスヘル。
大きなテントに普段慣れない雰囲気。でもそこは私にとって新鮮な雰囲気。
これから一体何が待っているのでしょう。今週もわくわくです……!
(※ここまでカンペ)

符雨?そんなに急いでどこに?……?テント?
……凄い。あれはロボット的なもの?やっぱり新しい世界は来るべき。
良く見える場所に移動して観察しないと。…うん、あのバイクが良さそうね。

運転はお任せするから運転をお願いね。運転しながらでも銃撃はきっとできるはず。
障害物はそれとなくなんとかしましょう。皆に応援してもらえれば動きやすくもなる……はず?


セツナ・フィアネーヴ
予知の子供たちは助けられた後、か?
『ええ、今は皆さん街からの脱出を図っているみたいですよ』
なら撤退する味方の支援だな
……と言っても、支援というよりは敵の妨害か

己の影から出した「災禍の武器」をビルや地面へと投擲し、そのままUC【限定解放:災禍の巨神】を使用
投擲した武器を核に周囲の無機物を取り込ませて災竜の眷属、災禍の巨神(ティタノウェルス)を召喚する
……今回だと、地震、或いは嵐の巨神だろうか?

後は私自身はビル周囲の伏兵の排除をし
巨神は味方を巻き込まないよう制御しつつ《天候操作》と《地形の破壊》で追撃者への妨害を
或いは、都市の“整地”ついでに連中の後ろから追い立ててやろう

※アドリブ他歓迎です。


アルナスル・アミューレンス
うわぁトンチキな見た目。
いやオブリビオンに見た目どうこう関係ないし、
どうあれ、全部喰らうんだけどさ。

さあ、ぞろぞろついてこられるのも邪魔だし、此の世から『撤去(ドイテ)』もらおうかな。
大丈夫、痛みを理解する前に逝けるから。

乗り物ないし、ビルの屋上跳んだり跳ねたりしながら処理していくよ。
あれくらいの装甲なら、この砲弾で十二分に食い破れるし。
カバーしきれない位置だったら、ジェットアンカーをビルとかに撃ち込んで、何かで見た蜘蛛っぽいヒトみたいな動きで飛び回って、空から砲撃の雨を降らせましょうか。

あ、屋上にもいたんだね、獲物。
勢いのままに、踏み潰したり捕食したりビルごと撃ち崩して殺してあげるよ。


サフィリア・ラズワルド
WIZを選択

可能なら他の猟兵に乗せていただいて、出来るだけ子供達と一緒にいます。約束しましたらね。

『大丈夫、側にいます。ここからでも戦えますから』

【幽冥竜の騎士団】を召喚、敵が四方八方から来るというなら此方も同じことをするまでです。ただし此方は霊体なので建物の壁から地面からですけど!

『皆!これは勝つための戦いじゃない!守るための戦いよ!』

おばば様には子供達の側にいてもらいます。子供達を守るのもそうですけど、おばば様さえ無事なら幾らでも騎士団を呼び直せますからね!

アドリブ協力歓迎です。



●大渦の都市を突き進め
 頭上を飛び交う対空砲火は、まるでこの世の終わりのようだった。
 悪徳の街を焼いたというメギドの火も、こんな風景だったのかもしれない。
「万が一に備えて後詰めに回っていたが……これでは迎えに行くこともままならん」
 武装サルベージ艦"レムリア"……すなわち自らの本体に騎乗したレムリア・ザラタンは、可能な限りの低空飛行をしながら空を睨みつけた。
 猟兵たちを追撃するレイダーの執拗ぶりは苛烈なもので、手助けが必要だ。
 レムリアは艦をヴォーテックス・シティの内部へとt突入させた。
 そしてレーザー砲を展開し、対空砲火を迎撃しながら活路を拓こうとする。
「各猟兵へ、こちらレムリア。現在君たちをピックアップするために待機中だ。
 付近に展開した猟兵は、可能な限り連携し協力してくれ。脱出ルートを確保したい」
 レムリアは電脳魔術による広域通信を飛ばした。まだ見ぬ友軍に向けて。
 レイダーに探知される危険もあるが、この状況では四の五の言ってられまい。
 確実に逃げ切るためには、各々の力を合わせなければならないのだ……!
《こちら"ユニバース"、ジュリア・レネゲード! 現在子どもたちを保護し逃走中よ!》
 そして最初に通信に応えたのは、武装トラック『ユニバース』に騎乗するジュリア。
 彼女は事前策定した脱出ルートを使い、レイダーの追撃を躱している最中だった!
《連中がものすごい数で追ってきてるわ、私怨をお願い!》
「了解した。座標データを受信……よし、こちらで各猟兵に伝達する」
 レムリアは受信したジュリアの座標データを、すぐさま広域通信で飛ばした。
 彼女の目の前に立体地図がAR投影され、いくつもの光点が浮かび上がる。
 ひときわ巨大なものがジュリア……"ユニバース"のもの。
 そしてその光点に向かって、別の小さな光点がいくつか近づいていた。
「こちらも出来るだけ敵は牽制する……頼むぞ、猟兵たち……!」
 レムリアは立体地図からメインカメラ映像を睨みつけ、つぶやいた。
 レイダー、キルドーザーズ、そして大量に設置されたトラップの山。
 映像上に無数のアラートが浮かび上がり……そして、弾丸が映像を埋め尽くした!

 ……一方、ユニバース側では!
「これで少しは、楽になるといいんだけどね……」
「ま、まずは逃げられないとどうしようもないですもんね……」
 ジュリアの呟きに応えたのは、二丁の精霊銃を手にした荒谷・ひかるだ。
 彼女はジュリアの許可を得た上で、彼女とユニバースを護衛するため同乗した。
 すでにかなりの数をその弾丸で引き離しているが、きりがない!
 ユニバースの周囲を護衛する無数のソーシャルドローン……ジュリアの相棒・グリュプスを複製した機械兵器部隊も、すでに1/3が撃墜ないし陽動で自爆している。
「それにしてもなんなんですか、あのビックリドッキリなサーカステント!」
「あれが例のレイダーピエロの切り札、ってことでしょうね」
「な、なるほど……? えっ、ていうことは次はあれが追っかけてくると!?」
「十中八九そうでしょう。だから今のうちに子どもたちを安全圏へ逃したいのよ」
 ひかるは周囲を警戒しつつ、対空砲火をばらまき続けるテントを見た。
 比較的常識人なひかるは、そのトンデモ兵器っぷりに唖然としっぱなしだ。
 とはいえ彼女はあくまで精霊の力を『借りる』ことが得意な術士であり、
 ジュリアのように大量の兵器を操ることも、レムリアのように大火力も持たない。
 出来ることと言えばせいぜい、精霊銃を使って地面を凍らせることぐらいだろう。
 ……本音を言えばもうひとつ切り札はあるのだが……。
(大地の精霊さんの力は、ここで使うには危険すぎるかも……)
 精霊の力は強大であるぶん、敵味方を判別することが非常に難しい。
 ゆえにひかるは、出来るだけ精霊の"本気の力"は借りずに済むよう祈っていた。
 しかしそれも、敵のこの執拗さを鑑みると難しいかもしれない……。
『『『ヒャハハハハーッ!!』』』
「とか言ってたら早速新手が来たわね。グリュプス、先導要員の半分を迎撃に回して!」
『本当に、機械使いの荒い……』
「何か言った!? とにかく動く! 応援が来る前に落ちるわけにはいかないわ!」
『仕方ありませんね。全機、陣形変更。私の指示に従ってください』
 車両周囲に展開したソーシャルドローン部隊が陣形を組み替えた!
 後続のキルドーザーズ部隊をマシンガンで迎撃。だが敵の装甲は分厚い!
 動輪をピンポイントに狙おうにも、敵は蛇行しながら弾丸を弾いてしまうのだ!

「「「うわあああああっ!!」」」
「……大丈夫、側に居います。すぐに逃げ切れるはずだからね」
 ユニバースの荷台内、大きく揺れる衝撃と轟音に子どもたちは怯える。
 そんな彼らをなだめるのは、同じ荷台に乗り込んだサフィリア・ラズワルドだ。
 彼女もまたジュリアに許可を得た上で、ユニバースに同乗している。
「ほ、本当に? また捕まったりしない……?」
「ええ、もちろん。約束したでしょう? 絶対に見捨てないって」
 不安げな子どもの上目遣いに、サフィリアは薄く微笑んで応えた。
 そう、自分は約束したのだ。何があっても見捨てず、必ず逃してみせると。
 今はまだ、この悪徳の街のすべてを叩き潰すことは出来ない。
 しかし、敵がどれだけ大量で強大でも、諦めてやるものか。
 それはサフィリアも、ユニバースを運転するジュリアやひかるも同じはず。
 同じ猟兵が抗おうとしているならば、己も意地を張らないでどうするか、と。
「幽冥竜の騎士団(ドラゴニアン・ナイツ)よ――私たちを守って」
 サフィリアはなぜ、車上や車外ではなく荷台の中にいるのか?
 その答えは、これだ。ユニバースを護るように両翼に出現した半透明の龍体!
 その巨大なる幽冥竜の背には、武装した騎士と彼らを乗せる竜たちが待機していた!
「みんな! これは勝つための戦いじゃない――護るための戦いよ!」
 幽冥竜……それはサフィリアの"おばば様"でもある……の背を離れた竜騎士たちは、ジュリアが展開したソーシャルドローン部隊と連携し、大きく散開。
 竜騎士の槍がキルドーザーズの装甲を貫き、竜の牙が生身の部分を食いちぎる!
『アバーッ!!』
『ヒャハハハ! トカゲだろうがなんだろうが轢殺してやるぜェ!!』
『オラオラオラオラ! いくらでも数を出してみろよォ!?』
 BRATATATATA! ドローン部隊の援護射撃、そして竜騎士たちの突撃!
 キルドーザーズは味方を盾にするという蛮行で攻撃を躱し、騎士を竜ごと轢殺。
 ドローン部隊をその巨大ショベルで叩き潰すなど、荒々しい方法で抵抗する。
 そうしている間にも、さらなる敵増援が後ろから、横道からうじゃうじゃと出現!
「か、数が多すぎます! この街にはどれだけのレイダーが!?」
「たかが一区画でこれだけの数だなんて、油断ならないわね……」
 ひかるも冷凍弾でアイスバーンを作り出し敵車両をスリップさせるが、
 敵はスピンした友軍のボディを轢き潰しながら強引に突破してくるのだ。
 無論妨害はそれだけではない。大通りに面した廃ビルからの容赦ない砲撃!
「進路上を塞げ! バリケードを構築しろーッ!!」
 そしてルート上に瓦礫を積み上げ、強引に進路を遮ろうとする!

 だが、増援がやってくるのはレイダーのほうだけではない。
『遅れましたか? いえ、どうやらベストタイミングだったようですね』
 さっそうたる電子音声、そして歪曲した魔力レーザーがバリケードを粉砕!
 ごおう! とスピードの風を纏いながら現れたのは、魔術師めいた姿の戦機。
 すなわち、ウォーマシンでありながら魔術を操る騎士、アレックス・エイトだ!
『さきほどの通信を聴いて、応援に参りました。進路の突破はお任せください』
「助かるわ! 迎撃に手一杯でナビゲートの暇もないくらいだから!」
 ジュリアとアレックスはアイコンタクトを取った。アレックスは低空飛行で並走。
『そして子どもたちへ――私は騎士として、あなたたちに誓いましょう。
 あなたたちを必ず守り抜き、ここから連れ出す、と。約束は決して違えません』
 荷台に設えられた窓越しに、子どもたちは鋼の騎士の勇敢な姿を見た。
 アレックスはスラスターを噴射しながら機動を変え、キルドーザーズと切り結ぶ!
『よもや勇猛なる竜騎士たちの霊と轡を並べられるとは。光栄ですね』
「ええ、みんな勇敢な騎士たちよ。私が保証する!」
 子どもたちを励ますサフィリアは、アレックスの言葉に微笑んで頷いた。
 幽冥竜の騎士たちとアレックスは、DNA螺旋めいた機動を描き激しく交錯する。
 そして即席の連携とは思えぬコンビネーションで、次々に敵を串刺し撃墜!
「あのマシンを止めろ! あれさえぶっ壊しちまえば一網打尽だぁー!!」
 バシュウ……廃ビル屋上から放たれるロケット弾、しかし!
『愚かな。その程度の弾丸を、私が通すとでも思いましたか?』
 アレックスは強固な魔力障壁を展開し、砲弾を防御。爆炎が花開く!
「チッ! おい次弾もってこい、次は一斉射撃、で……!?」
 ――BRATATATATATA! KRA-TOOOOOOOOM!!
 二回目の砲撃を試みようとしたレイダーは、廃ビルごと爆炎に呑まれた。
 一体何が起きたのか? その正体は、ビルの合間を飛び交う黒き影にあり!
「いやぁ、ほんとやることも云うことも全部ゲスだねえ。いっそ爽やかなくらいだ。
 ま、だからって見逃しはしないし、オブリビオンはみーんな平らげるんだけどね」
 ジェットアンカーを器用に活用する、黒衣と黒いガスマスクを身につけた男。
 振り子運動でユニバースに匹敵するほどのスピードを発揮し、ビルを撃ち抜く。
 その右腕は、偽神細胞の融合反応により大型機関砲と融合していた。
 彼……アルナスル・アミューレンスの弾丸が、廃ビルごとレイダーを抹殺したのだ!
「というわけで増援到着、てね。それにしてもどこからでも湧いてくるねあいつら。
 あの程度の装甲ならこの砲弾で喰い破れるけど、相手するのはちょっと面倒だなあ」
 優れた奪還者であるアルナスルは、レイダー相手の戦いに慣れている。
 猟兵としての仕事以外でも、レイダーの拠点を叩き潰したことは何度もあるのだ。
 そんな彼だからこそ、わかる。この街の戦力はあまりにも異常だ。
 この"10番目の10番街"に展開された戦力だけでも、並の拠点を4、5個たやすく制圧出来るだろう。
 このヴォーテックス・シティ全域を相手にするとしたら、それはもはや"戦争"だ。
「いまは少しでも撤去(ドイテ)もらうとしましょうか、っと!」
 BRRRRRTTTTT!! 右腕の大型機関砲が火を吹き、空からキルドーザーズを襲う!
『『『アババーッ!!』』』
 スイスチーズめいて穴だらけになったキルドーザーズは爆発炎上!
 そしてその炎の中から、さらなる新手が飛び出してくる……きりがない!
「しかもあの、仲間の命も省みない前のめりっぷり。あれが一番厄介だなあ」
『――なんと悪辣で醜悪なことか。この世に存在を許してはなりません』
「まあそこは同意するよ。ぜーんぶまるごと殺して片付けてあげようか」
 アルナスルは弾丸をばらまき、その合間にアレックスと竜騎士たちが攻める。
 ランスチャージによってキルドーザーズを串刺しにし、投げ捨て、破壊。
 立て続けの爆風と振動が大地を揺らす。もはやそれは地鳴りめいていた。

 だが敵はキルドーザーズだけではない。あちこちの廃ビルに潜伏したレイダー!
「ヒヒヒヒ、待ち遠しいぜぇ。早くここまで来ねえかなぁ!」
 ロケット砲、マシンガン、あるいは機関砲を装備したレイダーたちは、
 必死の逃走を続ける猟兵たちの到来を待ち続け、舌なめずりをしていた。
 ジュリアの策定した脱出ルートは、すでに敵に割れてしまっている。
 奴らは先んじて待ち伏せすることで、子どもたちを一網打尽にするつもりなのだ!
「――……ずいぶん楽しそうだな? 私も混ぜてもらえないか」
「「「何っ!? 誰だ!!」」」
 その時、暗がりから声。レイダーどもは銃を向けて振り返る……しかし!
「遅いぞ、一山いくらの雑兵がその程度の武装で私を止められると思うな……!」
 闇の中から飛び出した竜騎士――セツナ・フィアネーヴは槍を振るい、
 敵がトリガーを引くよりその身を、武装を貫き、一瞬で排除せしめた!
「が、がは……ッ、ど、どうしてここが……!?」
「私は味方を迎えに来た側でな。それに、こちらにも優れた"目"はあるのだ」
 瀕死のレイダーの息の根を止めつつ、セツナは言った。
 彼女もまた、レムリアが飛ばした広域通信を受け取った猟兵のひとり。
 彼女自身は電子機器に強いわけではないが、電脳魔術は様々な形で作用する。
 テレパシーという形で情報提供を受けたセツナは、伏兵を排除して回っているのだ。
『皆さん街からの脱出を図っているようですが、芳しくないですね……』
「……仕方あるまい。こうなれば、"あれ"を解き放つか」
『"災禍の巨神(ティタノウェルス)"を? ですが、セツナ……』
 友であり相棒でもある精霊、アリシアは、セツナを気遣った。
 一方のセツナは、そんなアリシアの声にかぶりを振って笑う。
「大丈夫、短時間なら制御しきってみせる。味方は巻き込まないとも。
 ……それに私も、あのレイダーどものやり方には苛ついていてな……!」
 そう言うとセツナは、自らの背後に伸びた影に手をかざした。
 すると影の中から、とぷりと禍々しい"災禍の武器"が出現する。
 セツナはその柄を握りしめ……やおら、災禍の武器を向かいのビルに投擲!
 廃ビルの壁面に突き刺さった武器から茨めいた棘がバチバチと蔓延ると、
 それはあっという間にビル一つを飲み込み、そして変化していく……!
「来い、災いの巨神――嵐起こす災禍のあるじよ! その力を貸せ!!」
 めきめきと変形したコンクリートは、やがて禍々しい血肉を得た。
 これこそが災禍の巨神。セツナが限定的に解放・制御可能な荒ぶる力!
 オオオオオン……!! と、恐竜めいた姿の巨神は高く吠えた。
 圧倒的な力はセツナの身体にもフィードバックし、指先が裂けて血が吹く。
『セツナ!』
「大丈夫だ、この程度……ッ!」
 巨神は、ずしん、ずしんと地を砕きながら歩く……そして、天を見上げた。
 おお、見よ。巨神の力を受けて、頭上に渦巻くは巨大な雷雲!
 それはサーカステントの対空砲火も物ともせず君臨し、稲妻を降らせる!
『アバーッ!?』
『オゴ、オゴゴーッ!!』
『ガバババババッ!!』
 ZZZZZTTTTT!! 雷撃の直撃を受けたキルドーザーズは関電即死! 黒焦げ死体に!
 さらにその巨体そのものが、敵を足止めする障害物として機能する!
「おっかないわね、けど助かるわ! 揺れるわよ、何かに掴まって!」
「は、はいぃ!」
「みんな、壁に手を付けて……お互いに手を離したらダメよ!」
 ジュリアの警告に従い、ひかるとサフィリアはそれぞれ窓枠や手すりを掴んだ。
 ユニバースが大きくカーブを描きながら、巨神の足元を通り抜ける。
 そのあとをスラスター機動するアレックスと、物質を透過する竜騎士団が追走。
 アルナスルは一度ビル屋上に飛び出し、アンカー立体機動で上から機体を追う!
「これで全部振り切れた――なあんて、そんなことはないか」
 アルナスルは通りの向こうを睨み、嘆息した。前方からさらなる新手!
『『『ヒャハハハハ!! 死ね死ね死ねェ!!』』』
「残念だけどぉ、死ぬのはアンタたちのほうよぉ?」
『『『!?』』』
 その時である! キルドーザーズの頭部を、精密なリボルバー射撃が貫いた!
 血とオイルを撒き散らして頭部が爆ぜ、制御を失った機体は相互に激突し爆発!
 見事なタイミングのインタラプトを仕掛けたのは、ティオレンシア・シーディア!
「どんだけ速くて物騒なマシンでも、運転手が死んだらおしまいよねぇ?
 固まって騒いでるような連中なんてぇ、頭を貫くくらいわけないわよぉ?」
 UFO型宇宙バイク『ミッドナイトレース』に騎乗したティオレンシアは、
 ユニバースの直上を飛行しながら、進路上のキルドーザーズを狙撃排除する。
 ドッグファイトめいた高速飛行中の射撃、しかもリボルバーによるもの。
 そんな状態で見事なヘッドショットを決められるのは、彼女の力量あらばこそか!
「挟み撃ちだ! 挟み撃ちにしろーッ!!」
「あら好都合ねぇ。――お互いに正面衝突しちゃいなさぁい」
『『『アバババーッ!?』』』
 KBAM!! ティオレンシアの投げつけたグレネードが敵眼前で爆発!
 強烈な閃光と轟音で目と耳を潰されたキルドーザーズは……KRAAAASH!!
「子どもの行く手を阻もうとするからそうなるのよぉ。因果応報ってやつねぇ」
 見事にクラッシュし爆発四散した残骸を、ティオレンシアは一瞥した。
「このまままっすぐ進めばピックアップポイントよぉ。気にせず突っ込んでねぇ」
「恩に着るわ、みんな! グリュプス、全機陽動と遊撃要員に!」
『了解』
 ジュリアは敵迎撃をドローン部隊と友軍に任せ、アクセルを踏み抜いた。
《こちらレムリア、そちらの機体が見えた。そのまままっすぐ突っ切ってくれ!》
 向こうに巨大艦が見える。ジュリアは頷き、トップスピードを維持した。
 巨大廃ビル群を矢のように突き抜けるユニバース。それを追う敵大群!
「これだけ引き離せたら……! 大地の精霊さん、全力でいっちゃって!」
 ここが好機と見たひかるは、隠し持っていた切り札を切ることにした。
 そして彼女の嘆願を受けた大地の精霊が、その力を最大限に振るう!
 見よ! キルドーザーズと改造車両群の足元、巨大な地割れが怪物の顎めいて開く!
『『『うおおおおおおっ!?』』』
「おっと、逃げようったってそうはいかないよねえ。ここは死んでおいてよ」
『悪であるあなたたちを、騎士として見逃すわけにはいかない……!!』
 猛加速で地割れを突破しようとするキルドーザーズ、そこへ弾丸とランス突撃!
 アルナスルの飽和射撃と、被弾を恐れぬアレックスによるチャージだ!
 さらにそのあとに幽冥竜の騎士団が続き、その身を壁として敵を足止めする!
 オオオオオン……!! そこへダメ押しの雷撃。セツナによる巨神を通じた援護!
 敵は地割れに呑まれていく……そして地割れに蓋するのは倒壊したビル群だ!
「ナノマシンを仕掛けておいたかいがあったな。そのまま永遠に眠れ」
 廃ビル群を崩落させたレムリアは、地の底から吹き上げる爆炎を冷徹に見つめた。
「猟兵へ通信――全員生きてるな? 引き続き援護を行う」
 巨大艦の真下を、辛くも敵追撃を退けたユニバースが通過する。
 レムリアはその無事を見送ると、さらなるレーザー砲を放ち周囲を制圧していく……!

「キィイイーッ!! 逃がすな逃がすな逃がすなーッ!!」
 一方、殺人サーカステントのなか、レイダーピエロは怒り狂った。
 もはやこの機体で直接仕掛けるか。ピエロはさらに武装を展開しようとする。
 しかしその瞬間、せり出した砲台が破壊された。これは一体!?
「ワッツ!? まさか――」
 "潜んでいた"のか、逃げるのではなく"こちらに潜り込んでいた猟兵"が!
 レイダーピエロは見た! テントの周囲を走るバイクを!
 そしてバイクに乗る淑女――神元・眞白と、彼女を護るように展開した人形たちを!
「うん、ここからならよく見える。あなたが何をしようとしているのかも」
 眞白もまた、レムリアから通信を受け取り、そして行動していたのだ。
 ただしジュリアを支援するのではなく、その騒ぎに乗じて敵陣に突っ込むことで!
 展開された人形――戦術器たちは、そのままバイクからテントに飛び移る。
「くそっ、やめろ! 離れろ! 俺様のテントから離れろォ!!」
「まだあなたの出番は速い。せっかくだし、私たちと遊んでくれる?」
 BRATATATA、BRATATATATATATA……人形たちの銃撃、突撃、そして妨害。
 サーカステントの大火力が、キルドーザーズを叩く猟兵たちに向くことはなかった。
 眞白と彼女に従う人形たちの妨害が、意外な形で発揮されたのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

ビッグ・サン
どうやらこのあたりにいたようですね
ドローンの残骸、メスが刺さった死体、銃でハチの巣になった死体、轢死体・・・
ローグスの友人たちはこのあたりで暴れていたようだ
【降霊】を使い彼らがどこに行ったか死体に聞いてみる

ふむ、あっちですか

奴隷を逃がす猟兵、それを追うレイダー達をゾンビを率いて追いかける

猟兵に殺されたレイダーがいたら、アンデットにしてしまいましょう
首が切られたのとかいたら、バイク乗りのデュラハンにするのも面白いかもしれませんね

レイダーたちが猟兵にやられるたびにアンデットライダーに変えていきますよ

後、ビッグはぬいぐるみの中に本体が隠れていますので、人形の男と少女はは攻撃を受けても大丈夫ですよ


鳴宮・心
【ローグス】で参加

承知しました……そういうことなら、後ろは任せて下さい

マディソンさんのトラックの天井に仁王立ちしながら、「ハイカラさんは止まらない」を使用
周りの戦闘音をBGMに、ゆっくりと「ハッピーパウダー」を摂取
これが無ければ始まりませんからねぇ……よっしゃぁ、キタキタキタァ!

「空中散歩」を使用し、低空飛行を心がけながら足場のトラック、後ろの敵、周囲の壁を足場に行ったり来たり飛び交い、右手の「殺戮刃物」を手にレイダーの首を狩る
オラァ! 糞みたいな騒音撒き散らしてんゃねぇ!

待ち伏せによるミサイルは「生殺与奪」を投げて対応しますが、さすがに対応しきれませんね
仲間の援護が有難いです

ヒャハハァ!


駒鳥・了
【ローグス】
マクさんとトラックはツクさん居るし
なるみーさんイイカンジにキテるから任せた!

オレちゃん遊撃!
愛車で突っ込み、適当な敵を踏み台にしてジャンプ!
かーらーのー空中で捻って後輪で吹っ飛ばす!
アクセルターンでなぎ払ったりナイフを乱れ撃ったり!
敵からの攻撃は残像を撒いたり
操縦で逃げたり躱したり
カウンターで相殺したりだね
ヤなカンジの所は敵をバイクで踏み付けて飛ぶ!
やっぱ罠かー
オレちゃんの第六感は今日も冴えてんね!

なんか飛んで来てるのは無視できないか
対象に投擲したナイフを見計らってUCで巨大化!
たーまやーってか爆風には注意だね!

ところではるか後方
あの群れ明らかに生きてなよね
ビッグさん来てんのかな


マディソン・マクナマス
【ローグス】

言っとくが、荷台に物資満載しちまってっから速度は出ねぇ。敵にゃ追っ付かれるだろうが、鳴宮先生は近接屋だし丁度いいだろ

こちとら中古トラックで政府軍の対地攻撃から逃げ回んのも慣れっこさ、遊びで走ってる若造共にナメられてたまっかよ
とは言え撃ち返す余裕はねぇな、反撃は他の奴に任せて【運転】に集中すっか

「こちらマクナマス伍長、ヨセミテ通信基地応答されたし。空軍の偵察情報から待ち伏せてる部隊とトラップの位置を割り出しを頼む」

UC【ヨセミテ通信基地応答セヨ】を使用
トラックの装甲に任せた体当たりで敵車両を押し退け、回避に専念しつつ敵車両を敵の砲撃の射線上に【おびき寄せ】たり、敵車両同士の衝突を狙う


九十九・ゆかな
【ローグス】っす。

マディソンさんのトラックを護るべく、トラックの荷台の上から後方に迫る敵を追い払うっすよ。と言っても、爆弾をばら撒く戦い方は変わらないか。

先ずは『術式:一人分隊』で戦闘員を3人を増やして、自分を含めた2人でトラック防衛、残る二人で近くにいるレイダーからバイクを奪って好き勝手暴れてもらう。
…っと、散弾を撃ちきったら使用する弾を炸薬スラッグ弾に変えて戦おう。見たことも撃たれたこともないような弾丸にさぞ驚くだろうな。

余裕があれば敵が仕掛けた罠を撃ち抜いて活用もしたいし、仲間のフォローもしたい。
あとはー……『のろまな犬共は狐と猫一匹も捕まえられないのかい』とでも煽っておくか、うん。



●無法者どもの大暴走/ローグス・ランナウェイ!
「……どうやらこのあたりに居たようですね」
 "ローグス"たちが戦いを繰り広げた十字路にやってきたビッグ・サン。
 そこにはなるほどたしかに、スイスチーズめいて穴だらけの銃殺死体や、
 バイクで轢殺されたと思しきミンチ、あるいは首なしの無残な死体。
 はたまたリモコン爆弾の爆発に巻き込まれた、肉体の残骸などが散らばっていた。
 ビッグは顔色ひとつその死体に近づくと、死体にしゃがみこむ。
「さあ、蘇ってください。そして私に、彼らの行き先を聞かせていただけますか?」
 手をかざし力を注ぎ込まれた死体は、びくびくと痙攣し立ち上がった。
 同じように周囲の死体……死体とも言えない残骸も含めて……も立ち上がる。
 そしてリビングデッドの群れは、ひとつの方角を指差し、そちらへ歩き出した。
「なるほど、あちらですか。……では屍体を回収しつつ、私も急ぐとしましょう」
 かくして呪わしき幽鬼の軍勢が、レイダーを後ろから追う形で動き始めた!

 ……一方、マディソン・マクナマスの大型トレーラー荷台上!
「言っとくが、荷台に物資満載しちまってっから速度は出ねぇ!
 敵にゃ追っつかれちまうだろうから、みんな迎撃頼んだぜ!」
 運転席のマディソンは、窓から身を乗り出して荷台上のふたりに言った。
 そしてバイク並走する駒鳥・了を見て、こくりと頷く。
「はいはい、りょーかい! なるみーさんとツクさん居ればオッケーしょ!」
「任されたなら頑張るっすよ。といってもやることは変わんないっすけど」
 九十九・ゆかなは、この緊迫した状況にそぐわぬ気怠げな調子で応えた。
 そしてゆかながちらりと一瞥したのは、隣に立つ鳴宮・心のほうである。
「ええ、後ろはおまかせを……さて、それではひとつキメるとしましょう」
 スッ……無駄に後光を背負いつつ心が取り出したのは、一本の瓶である。
 その中には、なにやらあきらかにヤバいタイプの白い粉が入っていた。
 ……いやいや。合法だから大丈夫ですよ。合法合法、どこの国の法律か知らんけど。
 心はそのハッピーなパウダーをこぼさないように慎重に手の甲に落とすと、
 片方の鼻の穴を抑え、顔を近づけ……風から身体でかばいながら、スンッッ!!
「…………あぁ~~~~~~、やはりこれがなければ始まりませんねぇ。
 みなさんもどうです? あまり量はあげられませんが、かなりキますよ?」
「いや自分はいいっす」
「まあまあそう言わず、ひとつどうぞ」
「いやホントいいっす、マジで」
 こめかみに血管浮かべてピクピクさせてる心の笑顔に、ゆかなはちょっとヒいていた。
 心はちょっぴりしょんびり、実際はウキウキ(分けないで済んだから)した様子で、さらなるハッピーなパウダーを手の甲に落とし……スンッッッッ!!
「……よっしゃぁ、キタキタキタァ!! キタアアアアアア!!」
「うわ」
「ツクさんドン引きしてんじゃん! ウケる~」
 そりゃ隣りにいる男がいきなり奇声を上げて目ぇカッ開いたらビビるのが当然だ。
 心は両手をわきわきと楽しそうに動かし、ギラギラした目で敵を睨んだ!
 今の彼には、すべてが輝いて見えた。太陽も、この街も、敵の群れも!
 そこかしこから聞こえる爆発音、悲鳴、罵声、断末魔、すべてがBGMだ!
「ヒャハハハハァ!! さあパーティを始めるとしましょうかァ!!」
「……あー、とりあえず自分は分身と一緒にトラックの防衛するっす」
「オレちゃん遊撃ぃ! んじゃま、楽しくいこうかぁ!!」
 トラップの荷台を跳び出す心、それがローグスとレイダーの戦いの合図となった!

『『『ヒャハハハハ!! 轢き潰してやるぜェー!!』』』
 ガルルルルルル!! と怪物の雄叫びじみたエグゾーストを噴き出し、
 キルドーザーズ部隊が大型トラックの後を追う。さらにレイダーの改造車両部隊!
 後続の敵はもちろん、大通りに面した横道から別の敵も飛び出してくるのだ!
「イキのいい雑魚どもですねぇ、全員ブッ殺してあげますよぉ!!」
『アバーッ!?』
 そこへ、跳躍した心が落下! メスをキルドーザーの首筋に突き刺し抹殺!
 ダメ押しに血塗れの首を270度回転させて殺し、飛び石めいて次の敵機体へ!
「ヒャハハハ、ここは行き止まり……グエッ!?」
「ざーんねーん、オレちゃんたちにそんなの通用しないんだよなぁ!」
 行く手を塞ごうとしたバイク部隊は、頭上を飛び越えた了のナイフが殺す!
 了はジャックナイフしぐるんと一回転することで、首なし屍体を吹き飛ばす。
 騎馬の後ろ足よろしくタイヤに蹴り飛ばされ、バイクが自由になった!
「ツクさん、これ使っていーよ!」
「「感謝するっす」」
 バイクがスピンする寸前に、わかなの召喚した分身が荷台から飛び移った。
 そして器用にスピン寸前のバイクのコントロールを取り戻し、高速疾走!
 了と二体の分身、合計三台のバイク遊撃部隊が、前方を塞ぐ敵を薙ぎ払う!
「私は右を。そっちは左をよろしく」
「了解っすよ」
 そしてゆかな本体ともう一体の分身は、荷台上で散弾銃を構えトリガを引く。
 トラックに飛び移ろうと近づいてきたレイダーを、次々に撃ち抜くのだ。
 時折手榴弾をばらまいたり、リモコン爆弾を起爆するのも忘れない。
 KBAM!! 通りに面した廃ビルのグレネードを投げ込むと、フロアから爆炎が噴き出す!
 火だるまになったレイダーが耐えきれず飛び出し、地面に激突して即死した!
「そこら中に敵が潜んでるっすね。まるでゴキブリみたいっす」
「アハハ、それいいたとえだねツクさん! けど虫よりはマシかも! だって――」
 KRAAAASH!! 了はブービートラップを前輪で轢殺破壊しながら笑った。
 同時にナイフを廃ビルに投げつけ、巨大化したそれがフロアごと敵を串刺しに!
「ゴキブリなんかよりは、こうやってブッ殺して楽しめるしさぁ!」
「ま、虫はキモいし銃で撃つまでもないっすからね」
 BLAMN!! 近づいたレイダーの運転席をスラッグ弾が貫き、ガラスが血塗れに。
 無法者どもは笑っていた。空を跳び舞う心も、ゆかなも、了も。
 追われることを、そして強がった敵を返り討ちにすることを楽しんでいた。
「あーあ、さすがに撃ち返す余裕がねえしな……まあ仕方ないか」
 そんな仲間たちの楽しそうな声を聴いて、マディソンは消化不良だった。
 彼は無線機を手に取ると、どこかに向けてこう呼びかける。
「こちらマクナマス伍長、ヨセミテ通信基地応答されたし。
 空軍の偵察情報から待ち伏せてる部隊とトラップの位置を割り出しを頼む」
 すると遠くに設置された友軍基地より、トラップの配置情報が転送される。
 マディソンはサングラスに投影されたその情報を見ながら、トラックを蛇行!
「そこの車両叩き潰すぜ、離れときな!」
「アイアイサー!」
 了は曲芸的走行で瓦礫をジャンプ台にし、トラックをぐおんと飛び越える!
 その間隙を薙ぎ払うようにして、大型トラックが敵改造バギーに激突!
 KRAAAAAASH!! 了のバイクを踏み潰すつもりでいたレイダーは面食らった!
「なああああっ!?」
「お呼びじゃねえんだよ、ぶっ潰れとけ!」
 改造バギーの馬力も相当なものだ、しかし……トラックには、勝てない!
 そのままバギーはスピンしビルエントランスに突っ込む。爆発! ビル崩落!
「ヒャハハハハァ!! クソみたいな騒音撒き散らしてんじゃねぇ雑魚ども!!
 オラオラ、ビルごと飲み込まれちまえ! てめぇら全員死になァア!!」
 退避しようとするレイダー群に、容赦ない心の対地攻撃が突き刺さる。
 キルドーザーズは味方を巻き込みながら、崩落に巻き込まれ全滅……!
「イヒヒヒ! あんな派手な真似はオレちゃんには無理だなあ――って」
 後続を振り仰いだ了は、きょとんとした顔をした。
「どうしたっすか?」
「いやあ、あれ……あの群れさあ。明らかに生きてないよね?」
 弾丸をリロードしていたゆかなも、視線を伝い……"それ"を見た。
 土煙をあげて近づいてくるバイク、バギー、そしてキルドーザーズ。
 だがそれらの顔はいずれも虚ろで、そもそも首がない連中もいる。
「あー、うん。アンデッド、ってやつっすね……」
「ビッグさん来てんのかな? まあいっか!」
 了はあっけらかんといい再び正面を見据える。行く手を塞ぐキルドーザー!
「全員ブッ殺して突っ走ればいいんだし! 邪魔じゃーまぁ!!」
 KRAAAASH!! ウィリーからの前輪轢殺攻撃! さらにゆかなの手榴弾投擲!
「「「アバーッ!!」」」
「のろまな犬どもは、キツネと猫一匹捕まえられないのかい……っと」
 ゆかなは挑発の言葉を投げかけながら、ダメ押しの爆弾を投げつけた。
 KA-BOOOM……そしてまた爆炎が花咲く。無法者どもの旅路を照らすように。
 あとに残るのは瓦礫と死体だけ。それが、向こう見ずなランナウェイの生み出すものだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

鷲生・嵯泉
逃げろ、だと…?
馬鹿を抜かしてくれる
随分と目出度い頭の出来の様だな

お前達如き振り切るのは訳ないが、其れでは意味が無い
……怒りに触れるとはどういう事なのか教えてやろう
往くぞ――極實衝天、応えよ騰蛇
纏う炎を限界まで強化、飛来物は焼き落とし
抜ける物はカウンターで衝撃波を当て斬り落とす

構わん、騰蛇。此方から突貫してやれ
地面ギリギリの高さで以って、集団へと突っ込み崩せ
戦闘知識に拠る先読みと、視線や向きから攻撃起点を見極め
なぎ払いで出際を潰し、返す刀に怪力乗せて叩き斬って呉れよう

追わせはしない――逃がしはしない
此処がお前達の終点だ、此の先に向かえる道なぞ無いと知れ
スクラップの末路なぞ廃棄処分と決まっている



●怒りに触れしものの末路
『『『オラオラオラァ!! 逃げろ逃げろ逃げろォー!!』』』
 キルドーザーズはエグゾーストを吹き鳴らし、けたたましく哄笑した。
 立ちふさがるものはすべて吹き飛ばし、轢殺する。そしてバラバラにする!
 遅ェ奴はクソ! 速い奴が正義で、つまり俺たちこそがサイキョーなのさ!
 連中は狂っていた。そんな狂人どもの前に、生身の男がひとり。
「逃げろ、だと?」
 鷲生・嵯泉は――その隻眼に、静かな怒りを煮えたぎらせていた。
 それは高熱に晒されて赤く染まったような、鉄の如き静かで苛烈な怒り。
「バカをぬかしてくれる。ずいぶんとめでたい頭の出来のようだ」
 嵯泉の術を使えば、乗り物などなくとも奴らを振り切ることはたやすい。
 実際すでに相当数の猟兵が、レイダーの追撃をなんとか振り切っている。
 しかし。護るために斬るという己の信念は、剣の道はそれでは果たせない。
「……そのめでたい脳みそに、怒りに触れることの愚かさを教えてやろう」
 ごおうっ!! と。
 嵯泉の真横に、恐るべき式神――騰蛇が顕現した。
「往くぞ、騰蛇。その焔ですべてを焼き尽くし、奴らを吹き飛ばしてやれ」
 嵯泉は大いなる力の背に乗り、なんと真っ向キルドーザーズに突っ込んだ――!

 速ェやつこそが正義。
 遅ェやつはクソ。
 クソは轢き潰していい。
 だってオレらはサイキョーで、最速で、誰よりも強いのだから。

 それは、慢心と呼ぶも烏滸がましい……いわば、井の中の蛙の大言壮語。
 キルドーザーズは勝利を疑っていなかった。だから真正面から突っ込んだ。
 衝撃波すら起こすほどの突撃。嵯泉たちはそれを真っ向受けと目、そして。
『『『――ア?』』』
 一瞬の交錯。キルドーザーズは、自分たちの視界がおかしいことに気づいた。
 なぜか正面ではなく空を見ている。そして、ぐるぐると世界が回転する。
 空から廃ビルへ。そして地面を転がり……見た。首なしの屍体を。

 あれは、俺たちじゃあないのか?

 そう自覚した瞬間、キルドーザーズどもの胴体はバラバラに裂け、爆発。
 何が起きたのかを完全に理解しきった瞬間、脳みそは生命活動を停止した。
 すれ違いざまの一瞬。嵯泉は、そのすべてを一刀のもとに斬り伏せたのだ。
 首を刎ね、巨体を微塵に斬り裂いた。まさしく、悪魔的な斬撃。
「追わせはせん。そして、逃しもしない」
 オイルの混ざった血を振り捨て、嵯泉は言った。
「此処がお前たちの終点だ。この先に迎える道など無いと知れ」
 そして新たに現れた敵影を、隻眼がにらみつける。
「スクラップの末路なぞ、廃棄処分と決まっている。私が後片付けをしてやろう」
 そこで奴らは知った。――恐怖。狩られる者、追われる者の抱く恐怖と絶望を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
奴隷は他の味方に任せて先に行かせ、私は後ろをバイクで走るわね
…あはっ、みんな必死で追いかけてくるわ!
それならこっちも、全身全霊で壊(あい)してあげないとね♥
いきなりバイクを乗り捨てて、真後ろのマシンごとクラッシュ!
そのまま地面に叩きつけられる前にワイヤーガンを近くのマシンに引っ掛けて、
巻取りの勢いでダイナミック乗車!
手持ちのナイフやマシンが積んでる手頃な資材を武器にして、
ドライバー、もしくはエンジンや車輪を壊してあげるね♥
そうしたらクラッシュする前に近くのマシンに飛び移って、
次も同じように壊していくの!
ふふっ、私たちがキツネさんなら、あなた達はかわいいウサギさんね!
さあ、あと何羽狩れるかなー?



●ラブ・ミー・テンダー
 ギャギャギャギャギャッ!!
「「「追え追え! ぶっ殺せー!!」」」
 火花を撒き散らして走る一台のバイクを、レイダーとキルドーザーズが追う。
 たったひとり。保護すべき奴隷――子どもたちも誰もいない。
 しかも乗っているのは少女だ。それが、レイダーどもの嗜虐欲を煽った。
「オラオラ逃げろ逃げろ! バラバラにして殺しちまうぜェー!!」
 よだれを撒き散らして叫ぶ。なんと下卑た欲望か。
 ……だが、そのバイクを駆る少女、フィランサ・ロセウスも笑っていた。
 恍惚として、嬉しそうに、ぶるぶると身を震わせながら。
 恐怖? 否、高揚だ。フィランサは、心の底から歓んでいたのだ。
「あはっ、みんな必死で追いかけてくるわ! よだれまで撒き散らして犬みたい!
 可愛いわ、可哀想だわ! だからこっちも、全身全霊で"アイ"してあげる!」
「「「なっ!?」」」
 見よ。フィランサは突然バイクを乗り捨て、空中でムーンサルトを撃った!
 轢殺するつもりで加速していた真後ろのマシンはそのままバイクに激突!
「うお、うおおおおおっ!?」
 KRAAAAASH!! バイクとマシンは爆発炎上、だがフィランサはこのままでは!
「お邪魔しまーす❤」
「なああっ!?」
 その時フィランサはワイヤーガンを打ち出し、近くのバギーに乗り込んだ!
 そして運転席で驚愕するレイダーにおもいっきり顔を近づけ、にこりと微笑む。
 何が起きている? なんだこいつは? レイダーは原初的恐怖を抱いた。
「がッ」
「はああ……その驚いた顔、素敵❤」
 レイダーの土手っ腹に、フィランサのナイフが突き立っていた。
 血を吐くレイダーを笑顔で蹴り捨てると、フィランサはハンドルを掴む。
 そして勢いよくぐんとハンドルを回転させる。バギーは突然高速スピン!
「あはははっ!!」
 フィランサはまたしてもバギーを乗り捨てる。KRAAAASH……背後で爆発。
 次はキルドーザーに取り付くと、その首筋に足を絡ませ、ぐるりと腰をひねった。
『アバッ!!』
 ごきん。頚椎が外れ首がおもいきり半回転。フィランサはごつごつの肩を蹴る。
 即死したキルドーザーは別個体を巻き込んで爆発炎上!
「ふふ、ふふふふ! 私がキツネさんなら、あなたたちはかわいいウサギさんね!
 だから愛(コロ)してあげる! 壊(アイ)してあげる! 盛大に、全力で!」
 爆炎のダンスステージを踊るように舞いながら、フィランサは次々に殺す。
 そしてレイダーは理解した。どちらが狩られる側なのかを。
「さあ、あと何羽狩れるかなー?」
 血飛沫と火の粉とオイルのなかで、フィランサはどこまでも蕩けた笑みを浮かべていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リア・ファル
アドリブ共闘歓迎

『アンヴァル』や『ディープアイズ』の情報を演算解析
(情報収集、偵察)
『イルダーナ』で地を疾り、対空じゃ困難な射角の超低空を駆け抜け、
逆に相手の罠を利用し、キルドーザーズやレイダー共を引っかき回す
(操縦、逃げ足、罠使い、地形の利用)

悪魔の街にも、子供がいて、明日がある
ならボクは、理不尽に抗い、戦おう

UC【空間掌握・電影牢】!
この空間はボクが掌握した
あらゆる罠がボクに有利に働き、オブビリオン達に仇なすだろう

コースを誘導し、衝突させ、速度を緩めれば罠に掛ける

誘い込まれたのはキミ達さ
骸の海まで案内しよう

今を生きる誰かの明日の為に!


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハンデだ
俺は自前の脚だけで走る
クソガキ一人、捕まえてみろ

ニューロンブースト、サイバネオーバーロード
コンバット・ドラッグを摂取して【ドーピング】
『Balor Eye』を散開、広範囲の視界を得る

【ダッシュ、早業、見切り】を併用したシャドウランを開始
近づくドーザーは【ハッキング】で制御を奪い、互いに衝突させる
あるいは事故らせて壁を作るか
地雷も【ハッキング】で無力化
車止めがありゃそれを起動して、進路を妨害

俺が俺の為だけに走ってると思うか?
この間にも、俺は味方が動きやすいようにしてるのさ
だから『眼』を広げた。ハッキングの中継としても役に立つ
走り、欺き、利用し、破壊し、支援する
俺のマルチタスクに限界は無い


ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
――ショーの次はデスレース。
加えて馬鹿げたテントとの御対面か。成る程。実に頭のネジが外れた奴が考えそうな筋書きだ。

空には対空砲。
飛行での逃走は易くない。
  ・・・・・・・
――だからこそ良い。

空を行けば子供らもよく見えるだろう。
そして此こそが『成し難きを知りつつも心昂らせ挑む戦い』だ。

《規定条件を達成》
《Lv.4α――MODE:ACE》

"ACE OF SPEED".
本機と同等の体感速度を得られるのは『困難な戦いに心を昂らせ楽しめる者』のみ。
弱きを挫き虐げるのみだったお前達にその心が有るか――本機が試してやろう。

全てを上回る速度で超速飛行し
犇く敵も対空砲も
悉く熱線で穿ち抜く。(ザザッ)



●ファスト・アズ・サンダー、スウィフト・アズ・シルバー
 グリモアの輝きが廃墟を照らし、新たな猟兵がその場に現出した。
 やや遅れて転移してきたのは、リア・ファルである。
 彼女はイルダーナに乗ったまま全速力で飛行し、状況の把握に努めた。
「戦闘は継続中、今は子どもたちを救出して逃走中みたいだね……!
 あっちこっちで乱戦模様だ! しかも……なんだ、あの空の対空砲火は!?」
 空を飛び交う馬鹿げた量の対空砲火。それを吐き出す殺人サーカステント。
 リアの周囲にいくつものARウィンドウが浮かび、各地の状況を知らせた。
 猟兵とレイダーのカーチェイス。
 あるいは、足を止めてキルドーザーズを抹殺する猟兵たち。
 廃ビルの屋上を、あるいはその中を、時には地下を駆け抜ける者もいる。
 敵を出来るだけ振り切るため、逃走経路は東西南北全方位に広がっていた。
 どれを支援する。そこに駆けつける? リアは思考速度で考える。
「――え?」
 そのとき彼女は、空を一機の影が高速飛行し通り過ぎるのを見上げた。
 弾丸ではない、対空砲火ではない。"その中を、機影が翔んでいく"のだ。
「あれ、は……まさか!」
 リアの顔の横に浮かんだARウィンドウが、その機影をズームし映し出す。
 対空砲火の雨の中、まるで玩弄するように飛翔するその影は、見覚えがある。
 UDCアース、あの都市を舞台とした大規模召喚妨害作戦でのこと。
 強大なる邪神の前に現れた、あの残酷なまでの黒き影――。
「ジャガーノート・イーグル? いや違う、あれは……」
 リアは理解した。あれは、あのどこまでも幼稚な怪物ではない。
 それを打破し、力を受け継いだもの。すなわち――!

《――ショーの次はデスレースか。どこまでも映画めいたシチュエーションだ》
 ドウドウドウドウ……KRA-TOOOOM!!
《――この対空砲火は、死んでも獲物を逃したくない執着心の現れだろう》
 ゴウウウウウ……KBAM!! ドウ――ッ!
《――"だからこそいい"。これほどまでに『成し難くも心昂る戦い』があろうか》
 爆発音。寸前をよぎる弾丸の空気を裂く音。炸裂音。ソニックブーム。
 コンマゼロ秒が命を分ける超音速の世界のなかを、一体の黒きイーグルが翔ぶ。
 ジャガーノート・ジャック。かの怪物を討ち果たした"圧倒的怪物"。
 ジャックもまた、あのイーグルと同じ怪物。ゆえにこの"進化"を可能とする。
『成し難きを知りつつも心昂らせ挑む戦い』こそが、その身を超音速にいざなう。
 追いつけるのは、同じスピードに魅入られた狂人のみ。あの子どものような。
 キルドーザーズでは追いつけない。レイダーも、いわんや対空砲火など。
 サーカステントの中で、あのピエロはさぞかし腸煮えくり返っていることだろう。
 ジャックは挑発的な高速軌道を描き、その速度を、圧倒的技量をひけらかす。
 地上を這う敵とあのピエロに対しては、敵対と挑発の意思を込めて。
 そして逃げ惑うすべての子どもたちに対しては、希望と勝利を約束するように。
 まさしくエースのように。黒き翼を拡げ、青空を我がものとしていた。
《――見ているか、子どもたちよ。本機は此処に居る。そして無事だ》
 きっと地上を必死に逃げ惑う子どもたちは、黒き影を見上げていただろう。
 唖然と。
 呆然と。
 そして目をきらきらと輝かせて、きっと誰もがこう言ったはずだ。
「――すごい」
 感嘆。
 歓喜。
 勇壮!
 それこそが子どもたちの失った、そしてレイダーがもっとも恐れたもの。
 人の心が生み出す希望の力。ジャックは、それをよく知っている。
 彼らは弱者。強者に弄ばれ、選択することすら出来ずに奪われるだけのもの。
 ならば僕がそれを嘲笑おう。強者どもを見下ろし、熱で貫き、滅ぼしてやる。
《――お前たちは強者などではない。なぜならば、本機と彼らが此処に居る》
 熱線が空から大地を灼く。まるで、罪深き都を滅ぼす神の裁きのように。
 レイダーも、キルドーザーも、それを逃れることは叶わなかった。
 ならばジャックを撃ち落とすか。そんなこと、誰にも出来るわけがない。
《――狩人は我らであり、狩られる獲物がお前たちだと。それを知れ》
 孤独。空はどこまでも広く、今のジャックはただ独りだった。
 けれども彼は知っていた。子どもたちを逃がすため死力を尽くす猟兵たちを。
 それだけではない。データが流れ込んでくる。敵の配置、トラップの配置。
 逃げ続ける猟兵たちの座標、ルート、それらが圧倒的速度で流れ込む。
 誰が? 考えるまでもない。データ発信源は――リアだ。
《――感謝する。ジャガーノート・ジャック、空対地支援を開始する》
 超音速の黒き豹は、空をゆうゆうと舞い飛びすべてを吹き飛ばす。
 熱線がビルを貫き、地雷を破壊せしめ、キルドーザーズを爆発炎上させた。
 そして彼は知っている。もうひとり、悪党どもを嘲笑う力強き戦友の存在を!

「……ハ! ずいぶん味な真似するじゃねえか。あいつらしいな」
 キイン――とソニックブームを起こしながら頭上を翔んでいく黒き影。
 それを見上げながら、ヴィクティム・ウィンターミュートは皮肉げに笑う。
 空はくれてやろう。だから、地上(こちら)は端役(おれ)のステージだ。
 コンバット・ドラッグを嚥下する。神経系がブーストされ主観時間が鈍化する。
 ブーストされたニューロンに流れ込むのは、リアが齎す情報ストリーム。
 敵が見える。どこから来るのか、どこに潜んでいるのか、何を狙っているのか。
 ヴィクティムは水銀めいた速度で駆け――然り、乗り物ですらない――抜ける。
 影から影を跳び、這い、滑り、待ち伏せしたレイダーを後ろから殺す。
 あるいは挑発的に姿を表し、キルドーザーを誘導し……KRAAAAASH。
 同士討ちさせる。正面衝突した巨体はひしゃげ、爆発炎上した。
 炎が影を生む。影こそがランナーの住む世界であり、そしていずれ死ぬ場所だ。
 ゆりかごであり墓場。ヴィクティムはその静謐を心地よく思った。
 爆炎も悲鳴も罵声も断末魔も、音の衝撃波も、影にはこれっぽっちも届かない。
 猟兵たちを阻むトラップをハッキングで停止させ、あるいはわざと起動させ、
 敵の攻撃を阻む。前の敵にうつつを抜かした連中のニューロンを灼く。
 影から姿を見せる。たかが二足で歩くガキひとり、連中が見逃すわけがない。
 我らこそ支配者なりと傲慢に振る舞って、キルドーザーがあとを追う。
 ヴィクティムは強化されたサイバネ脚力で立体的に機動する。だが限界はある。
 同士討ちも恐れないキルドーザーズの速度は、たちまち追いつくだろう。
 ――だが。この男は超一流の端役。マルチタスクなど呼吸と同じようなもの。
 挟み撃ちを決め込んだキルドーザーズどもに、ヴィクティムはにやりと笑った。
「オレが、オレのためだけに走ってるとでも思ったか?」
『『『……!?』』』
 おお、見よ。ヴィクティムを轢殺粉砕すると見えたキルドーザーズは、
 突如として"静止"した。エンジンを全速で動かしているのに、動けない!
 アンカーでも埋め込まれたか? 否。
 ならばスパイクでも設置されているか? 否。
 マシンの故障? 否。
 どれもヴィクティムには可能だが、彼はあえて足を止めて手を挙げてみせた。
「テメェらには見えもしないし感じられもしないだろう? 俺の"目"は」
 電脳魔術師。それは見えざるもうひとつの世界を支配するもの。
 たとえウェブが発達していない世界ですら、電脳魔術は現実を変異させる。
 いわんや、このテクノロジーだけが発達した世界ならば。
「走り、欺き、利用し、破壊し、支援する――それが、この俺のスタイルなのさ」
 キルドーザーズは見た。頭上! 誇り高く飛翔するイルダーナの影を!
「この空間はボクの――いや、ボクとヴィクティムさんの制御下さ!」
 "空間掌握・電影牢(イミュア・サイバースペース)"。
 ヴィクティムが密かに展開したステルス偵察ドローン部隊のネットワークを通じ、
 リアが密かに走らせていた電脳魔術術式。空間を支配する見えざる牢獄。
「誘い込まれたのはキミたちさ。骸の海まで案内しよう!」
 めき、ばきばき……ばきばきばき、ぐしゃんっ!!
 空間そのものが圧潰し、キルドーザーズは空間ごと押しつぶされ爆発した。
 ヴィクティムは炎上するスクラップを振り返りもせず、リアに手を挙げる。
「ナイスだぜリア。それでこそ俺のビジネスパートナーだ」
「ヴィクティムさんの展開したドローンのおかげだよ。それと――」
 ふたりは空を見上げた。黒き影が、勇ましくそこを過ぎ去った。
「まったく。相変わらずの"怪物"ぶりだ。誇らしいね」
 ヴィクティムは笑った。その声には、言葉通りの誇らしさと、達成感。
 ……そして空を自由に飛翔する豹への、少しばかりの憧憬が宿っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

矢来・夕立
傭兵さん/f01612
免許を取りましたので四輪もいけます(ピース)。
荷物をたくさん乗せられますよ。…ああ、影から作れるんでしたっけ。
ともあれ大きな銃火器も扱いやすいはずです。少なくともバイクよりは。

●方針:役割分担
乗物:窓のない車をパクる
矢来:運転・回避に集中
鳴宮:射撃攻撃

テキトーに前へ割り込むだけで煽れそうですね。
では例の如く、ノーブレーキ・フルアクセルで行きます。傭兵さんは敵の排除に当たってください。
運転は特別得意ではないですけど、1回だろうが9回だろうが全部避けりゃイイでしょう。
忍術と反射神経はオレの領分です。【嗤躱身】。
コレ、クルマでやったことないんですけど…まあなんとかなるか。


鳴宮・匡
◆夕立(f14904)と


あ、免許取れる歳なんだ……?
とりあえずガレージ内に使えそうな武装があれば回収
質があまりよくないなら“影”頼りにすることにしよう
対戦車グレネードの使いどころなんてあるか?
……運よく悲鳴が聞こえるといいな

進路上の索敵とその排除に専念
拝借した銃器・重火器と【無形の影】で模った武装で対応
相手も待ち伏せやらトラップやら装甲車両やら多彩だ
こっちも都度手を変えていこう

ドーザーやただの車両なら、あまり統率取れてないみたいだし
銃で足回りを破壊すれば味方ごと派手に横転してくれそうかな
装甲車や建物内での待ち伏せには威力の高い重火器を使う
いずれも討ち漏らし・生き残りがいないようしっかり視て対応



●レッドラムズ・スタンピード
「というわけで、運転は俺がします」
 四輪駆動車をキャッチアップした矢来・夕立が、なぜか誇らしげに言った。
「いやまあ、自分で言うなら任せるけど。なんでちょっと自慢げなの?」
「オレ、免許持ってますんで。もちろん四駆もいけますよ」
「免許取れる歳なんだ……あとそのピース、何?」
 鳴宮・匡はどこまでもセメントである。夕立は無表情のまま指をチョキチョキした。
「そういうときはもっとオーバーなリアクションもらえませんかね。残念です」
「俺に期待したって仕方ないの、わかってて言ってるだろ」
「ツッコミの仕方が雑なんですよ。他のボケ役に甘えすぎじゃないですか?」
「だからなんでツッコミの仕方を説教されてるんだよ俺は」
 この緊迫した状況にそぐわない漫才じみた会話を(無表情で)こなしつつ、
 夕立は運転席に乗り……鍵がかかっている。夕立は舌打ちした。
「会話の間に開けとくぐらいしてくださいよ」
「悪い。武器選ぶので忙しかった」
「こう窓を肘で割ってキーかけるんですよ。映画の定番でしょう」
「窓ないクルマを選ぼうっつったのお前だろ……」
 ガレージに隠されていた武器を検めた匡は、軽くため息をついた。
 使いようのある武器だが、どれも質が悪い。メンテナンスも雑だ。
 しかし弾薬があるのはありがたい。匡は目についた銃器をピックアップした。
「まあ、バイクよりはずっと武器も扱いやすいと思いますよ」
「お前がきちんと運転してくれたらな。そこんとこ、頼むぜ」
「大丈夫です。教習所の教官も泣いて褒めてくれましたからね」
「……それ、不安しか感じないんだけど、大丈夫?」
「もちろんです。目から鼻から液体ドバドバでしたから。あと汗も」
「どう考えても大惨事の予感しかしねえよ……」
 匡はため息をつきつつ、荷台に乗り込んだ。
 夕立は鍵をこじ開け、改めて運転席へ。そしてエンジンをキックする。
 ドルン、ドルルルルン……車体が揺れ、エグゾーストが噴き出した。
「行きます」
「安全運転しろとは言わないけど、当てやすいように頼む   ぜ」
 匡が言葉を言い終わらないうちにロケットスタート! 猛烈な加速G!
 思わずがくんと体勢を崩した匡は、咳払いしつつ体勢を立て直した。
「……まあいいけどさ」
 シャッターをぶち破り、暴走マシンが混迷の大通りへ飛び出す!

 ギャギャギャ――ギャルルルルルルッ!!
 曲がり角にバーンナウト痕を刻みながら、四駆は鋭角的ドリフトを決めた。
 横殴りの風が匡の黒髪をなびかせる。どう考えても銃を撃つには向いていない。
 しかし匡はもはや文句一つ言わず、荷台に設置した機銃で後続車両を迎撃!
 BRRRRRTTTTTT!! 分速550発の弾丸が改造バギーを貫通、エンジンに引火!
「ギャアアア!?」
 KA-BOOOM!! 改造バギーは運転手ごと後続車両を巻き込み炎上!
 盛大な火柱があがり、その火柱をぶち抜いてさらにキルドーザーが突っ込む!
 匡は銃身が焼け付いた機銃を投げ捨てると、懐の手榴弾を投げつけた。
 KBAM!! キルドーザーズ無傷! しかしこれは直撃を狙ったものではない。
「そこだな」
 BLAMN!! 匡の狙いは、爆風によって敵のドライブを乱れさせることだった。
 わずかに蛇行した隙を狙い、拳銃射撃。弾丸は吸い込まれるように関節部へ!
『アバーッ!?』
 KA-BOOOM!! キルドーザー爆発! だがさらなる敵影が四駆を追う!
「次、右折します。そのあと左折です」
 匡は式紙を通じて聞こえてきた声に、ぐっと荷台の縁を掴んだ。
 ギャギャギャギャギャ……!! S字の走行痕を刻み車体が揺れる!
 匡は短く舌打ちし、新たな武装――対戦車グレネードランチャーを手に取った。
「別にサービスってわけじゃないんだけどな……」
 匡はグレネードランチャーを腰だめに構え、背中を車体に押し付けた。
 そして、射撃! ボシュウ、と噴煙を撒き散らして砲弾が飛翔する!
「あ……RPGーッ!!」
 レイダーの悲鳴、そして廃ビルフロア爆発炎上! 安普請か、崩落が始まる!
「……聞こえるもんなんだな、マジで」
『夢が叶いました。もう死んでもいいです』
「死ぬなら運転終わらせてからにしてくれよな」
 彼らなりの軽口を叩き合う。車は左に右に蛇行してはドリフトを繰り返す。
 カーブで減速したところを狙い突っ込んでくる敵は、匡が射撃で迎撃。
 さらに夕立のはなった式紙が、待ち伏せのレイダーを密かに排除する。
 BRATATATATATATA! 匡はサブマシンガンでキルドーザーのタイヤを破壊!
『アバババーッ!!』
 KRAAASH!! 後続を巻き込みながら爆砕! 爆風が匡の髪をなびかせる。
「あのさ、夢叶えてやったんだからひとつリクエストしていいか?」
『聞くだけは聞きます』
「次までに、今度こそちゃんと教習所通ってくれない?」
『それはオレの力を大きく越えていますね』
「やっぱり教習所通ってねーのかよ」
 匡はため息をつきつつ、次の武装を構えた。
 己は己の仕事を為すだけ。ただ、それだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
さ、やるわよ
未熟たる私と子供達とで
人間を侮った屑共を奈落の底へ叩き落とす

昔、UFOや機兵を扱ったの
大した事ないわ

学習力でコツを掴み
車体に不可視の防壁
子供達に防具改造で光の結界膜

質量+防御力とは即ち破壊力
敵UCに結界で被害軽減し急回転
トレーラー後部で竜尾のように薙ぎ

車内の瓶と箱に閃光・煙幕を籠め、子供達に投げて貰い
武装があるなら人ではなく罠、障害物に向けてぶっ放して貰います
出来ない?それはよかった、奴隷を脱した君は今日からスペシャリストよ

原初の勇気は弱者が宿すモノ
自ら決意し立った
この子達より強い心を持つ者などこの大地に存在しないわ

…主よ
真に眩く尊き彼らを御救い下さい

瓶にUCと祈りを込めて託します


クロト・ラトキエ
はい、今晩は。
では、左様なら。

高所駆け回り。
元々、裏方向きですので?
UCで炎の魔力帯び攻撃力増した得物をちょちょいと…

ロケット砲の薬室に炎をぶち込み、その場でドカン!とか。
派手にビカビカ遣ってる中じゃ、見付けてくれと言わんばかりのワイヤーなんて、鋼糸でサクッと断ち斬ったり。
レイダーが明らかに避けてく道とか、見るからに地雷ですよね…。
ナイフ投擲、在り処を探りつつ。
序でにトラップ諸々燃やしちゃいましょう。
建物に鋼糸掛け、地に宙に、足場は幾らでも。
テントの砲口も、届けばジャンクでも投げて暴発狙い。

来る筈のモノが来ない、
在る筈のモノが無い…
不安でしょう?

奪われる側、篤とご賞味あれ

(アドリブ・共闘歓迎で


ルネ・プロスト
開幕ナイトに騎乗、UC発動
ナイトの機動性に物を言わせた一撃離脱の繰り返しで追手の攪乱&妨害中心に

邪魔な雑兵はナイトの纏う紫電と暴風の放射で迎撃
二輪乗り相手なら横殴りの暴風で横転させてやればいいし、
銃器(避雷針)構える迂闊者は紫電飛ばして感電させてやる
で、キルドーザーズ達だけど
君達の掟に『遅い奴はクソ』っていうのがあるんだってね。自己紹介かな?
単純な突進力ばかり達者で機動力に長けたナイトの動きについてこれてないじゃないか
そんな鈍間にそのモヒカンは不要だね?

振り抜いた『悪意』の勢いにより放たれる衝撃波で彼らのモヒカンを刈り取ってやろう
悔しかったら此方へどうぞ?
無為な鬼ごっこに時間を費やしたいならね



●Prayer
 ……子どもたちにはああ言ったが。
 ヒルデガルト・アオスライセンのなかには、不安と恐怖が渦巻いていた。
 いつだってそうだ。彼女はふてぶてしく強くしぶとく振る舞うが、
 それはいわば虚勢。強がり。演技……年端も行かぬ少女のエゴイズム。
 こんな奴らに弱みを見せてたまるかという、ただの背伸びに過ぎない。
 わかっている。こんなことは幼児があることで、自分はガキそのものだ。
 家を離れて世界を渡って、敵うかどうか怪しい敵に戦いを挑んで。
 ボロボロになって無様に地面を転がりながら、それでも不敵に立ってきた。
 ……このヴォーテックス・シティを目の当たりにした時、彼女が覚えたもの。
 それは義憤や苛立ちよりも、困惑と恐怖だった。
 勝てるわけがない。どうやってこんな街を叩き潰すというのだ?
 子どもたちを全員無事に逃がすなど、出来るわけがないじゃないか。

「――さ、やるわよ」
 いつだって心のなかに弱い自分がいた。そして、弱音を吐いていた。
 喉元まで湧き上がったそれを飲み込んで、ねじ伏せて、彼女はいつも言うのだ。
「心配ないわ、こんな程度なんてことないもの。だから安心して」
 子どもたちに言い、キーをひねる。エンジンが高らかに吠えた。
 やってやる。
 未熟な私と、子どもたちとで。
 人間を侮ったクズどもを出し抜いて、奈落の底へと叩き落とす。
 いつか必ず、この街も叩き潰して灰燼に変えてみせよう。
 出来るわけがないとうそぶく自分に中指を突き立てて、そして笑うのだ。
「しっかり掴まってなさい。揺れるから」
 マシンが発進する。猛烈なスピードと、揺れと、緊張がヒルデガルトを包む。
 自分で走り、飛翔するのとはわけが違う。
 なにせこの双肩には、自分以外のいのちがかかっているのだ。
 震える手を握りしめて、ヒルデガルトはおもいきりアクセルを踏みつけた。

 彼女にとっては幸いな――といっても彼女は否定するだろうが――ことに、
 その場に居たのはヒルデガルトだけではなく、味方が、仲間が居た。
 走り出したマシンを、たちまち敵の編隊が見つけ、蛇めいて食らいつく。
 真後ろに改造バギーやキルドーザーがつきまとい、横道から敵が飛び出す。
 目に見えぬトラップの気配。360度全方位が敵に回ったような緊張感。
 しかし廃ビルに潜んだレイダーが、ロケット弾を放つことはなかった。
 代わりにフロアから噴き出す爆炎。そして、レイダーの悲鳴。
 何が起きている? ヒルデガルトは、いぶかしむ暇もない。
「はい、こんばんは」
 死にかけのレイダーの視界に、優男のにこりと穏やかな笑みが現れた。
「――では、さようなら」
 そして視界はブラックアウトする。首を一瞬で裂かれたのだ。
 息絶えたレイダーを見捨てると、クロト・ラトキエは次のビルへ飛びついた。
 距離が足りなければ鋼糸を足場とし、体重を感じさせない軽やかさで跳ぶ。
 そして潜んだ敵を、殺す。ロケット砲を構えているなら薬室に焔を投げ込む。
 誘爆を起こさせてフロアごと抹殺する。
 ナイフを投擲し、ヒルデガルトの進路上の地雷を起爆する。
 狙いすました地雷起爆はヒルデガルトたちのトレーラーを無事に進め、
 その爆風で起きたビルの倒壊が、後続の車両をまるごと飲み込んでいく。
 クロトは徒歩である。だがこの都市的立体地形は、彼の独壇場だ。
 屋上に、フロアに、あるいは柱に瓦礫に鋼糸を張り巡らせ、跳び、走る。
 眼下の改造バギーからガトリング砲がせり出した。目ざとく炎を投げ落とす。
 KRAAAASH……ボンネットの砲身が爆発し、その炎はラジエーターに引火。
 改造バギー、爆発炎上。残骸をキルドーザーが踏みつけ特攻する。
「味方の死も厭わず、ですか。しかし――」
 クロトはちらりと横道を見た。路地から飛び出す銀色の迅風。
 否、それは騎馬兵である。正しくは、ケンタウロスめいた人馬一体の人形。
 その背にまたがり彼らを操るのは、銀髪の幼女――ルネ・プロスト。
「君たちの掟に、"遅い奴はクソ"っていうのがあるんだってね」
 ダカタッ、ダカダッ、と、騎馬兵人形はその蹄で運転手を叩き潰す。
「自己紹介かな? ――だってほら、君たちは"ナイト"についてこれていない」
 騎馬兵の動きは機動力に長け、瞬間的なチャージの速度はドーザーを上回る。
 稲妻じみたジグザグ軌道で敵のチャージを誘い、突っ込んできたところで刺突。
 槍はキルドーザーの頭部を突き刺し、エンジン部ごと串刺しにして破壊する。
 爆炎。炎の奥から飛び出す新たな敵。馬上のルネが大きく鎌を振るった。
「残念。ルネのナイトを相手にした時点で、君たちはもうおしまいだよ」
 バチバチとナイトの鎧表面を紫電が走り、鎌を伝って飛沫を散らした。
 放射状に放たれた風と雷は、マシンの駆動部を破壊しスピンさせる。
「追手はルネが撹乱するから安心して。追いつかれるつもりもないし」
「……ありがとう。感謝します」
 身を硬くしていたヒルデガルトは、窓越しの少女の言葉に感謝した。
 ヒルデガルトは同時に、頭上を飛翔する疾風の如き影――クロトを知覚している。
 頼れる随伴兵力だ。そうだ、自分はひとりで戦いに来たわけではない……。
「ねえ、あなたたち。少し働いてくれるかしら?」
 その事実が、ヒルデガルトに少しふてぶてしさを取り戻させた。

 ――KBAM!!
『アバーッ!?』
 トレーラーの荷台部分から投げつけられた聖水瓶の閃光炸裂を受け、敵が脱落。
 スピンしながら減速したマシンは、他のマシンを巻き込み盛大に爆発した。
「やれば出来るじゃない。君は今日からスペシャリストに成長よ」
 ヒルデガルトは、自身が持つ聖水瓶を子どもたちに手渡したのだ。
 当然、子どもたちもはじめは拒絶した。そんなこと出来るわけがないと。
 だから彼女はこう言った。
「原初(はじめ)の勇気は、弱者が宿すモノ。大事なのは決意し立ち上がることよ」
 己がそうであったように。
「――大丈夫。主は、強き心を持つものを見捨てたりはしないわ」
 私たちもね、と言って。その言葉が、子どもたちを勇気づけた。
(……主、だなんてね)
 ヒルデガルトは神を尊ばぬ。いと高き天の主に祈ることなどもうやめた。
 だが。目に光を取り戻し、出来ることをやろうとする子どもたちの未来。
 見通せぬそれに、どうか主の加護あれかしと。ヒルデガルトは祈ったのだ。
(どうか彼らに救いを。そして悪辣なるものどもに、死の安息を――》
 爆発で撒き散らされた聖水は、霧となってトレーラーを護る結界に変わる。
 目に見えぬ水蒸気は、ルネのナイトが放つ紫電をよく通した。
「どうです? 狩れるはずの獲物が狩れず、来るはずのモノが来ない」
 怯えるレイダーの首を刎ねながら、クロトはうっそりと言った。
「不安でしょう? 絶望的でしょう。"それ"が、君たちの強制してきたものです。
 因果応報、という言葉がありまして。君たちも少しは味わうべきではないかと」
 にこりと。紳士は穏やかにほほえみながら、血の殺戮を引き起こす。
 子どもたちには見えぬように。けれども敵対者は誰一人逃すことなく。
「――奪われる側、とくとご賞味あれ」
 影から影を跳ぶ男の刃は、まさしく死神のようにレイダーを震え上がらせた。
 ――ギャギャギャギャ!!
 トレーラーはかなり乱暴な運転でドリフトし、荷台部分で並走敵を轢殺する。
 さながら竜の尾めいて左右に暴れる荷台を、ルネはナイトとともに飛び越えた。
 そして、紫電を放つ。着地と同時、間近にいたキルドーザーを斬首。
「無様なものね。追っているはずだったのに、追われる気分はどうかしら」
 電光が放たれる。レイダーどもの顔……恐怖の相貌を、稲光が照らした。
 悪しきものどもの爪は、子らへは届かない。一寸たりとも。
 そうさせじとする猟兵たちが、それを拒む子どもたちの意志がある限り。
 これこそが、この世界に希望をもたらす戦士たちの底力なのだ――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『レイダーピエロ』ジミー・ザ・ジョーカー』

POW   :    血みどろのスペクタクルショー
【手品や曲芸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    大虐殺道化モード
【箍が外れ、笑いながら攻撃し続ける状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    キリングマイム
対象のユーベルコードを防御すると、それを【パントマイムで表現し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は熊猫丸・アカハナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Escape from Voltex City
「もうヤメだぁああああああッッ!!」
 街中の拡声器から、ヒステリックな叫び声が響き渡った。
「もう、ヤメだ!! 奴隷の生け捕りも!1 追いかけっこもォ、ヤメッ!!」
 レイダーピエロ、"ジミー・ザ・ジョーカー"。その声は怒り狂っていた。
「お前ら、全員殺す。よくも俺様の街を、よくもよくもよくもォオオオオ!!」
 頭をかきむしりながら叫ぶ。猟兵への殺意を!

「――なァんて」
 しかしそれは、けろっとした声に変わった。
「怒り狂ったほうが楽しいかァい? それともヘラヘラ狂ったほうがいいかなァ?
 アッハ! アハハハハハッ、イーヒッヒヒヒ! ワタシは何もかも面白いよォ!」
 己の呼称すらも不安定、口調も態度も殺意も怒気も何もかも。
 予測不能。
 制御不能。
 完全にイカれたきちがいピエロ――それが、ジミー・ザ・ジョーカー!
「なァ、なァなァなァなァ!! お前たちさァ、キミタチさァ!!
 こォんなちっぽけな追いかけっこしてェ、なーにが出来ると思ってンのさ!!
 この街にはまだまだ奴隷がたぁーくさん! 今も泣き叫びながら死んでるよォ?
 痛いよォ、助けてェ、誰かァーってさ! アハハハハ! あっちこっちで!」
 ズズン、ズシン……ベキベキベキ、ガッション!!
 サーカステントに『足』が生えた。その『足』には、馬鹿げた大きさのタイヤ。
 ギャル、ギャルギャルギャル、ギャガガガガガガ……!!
 さらに『腕』が生え、邪魔なビルを吹き飛ばしながら行進を始める。
「ちっぽけなガキども助けて、それであとはケツまくって逃げンのかぁい?
 ――そりゃそうだよなァ! だってキミタチ、勝てやしねェもの!!
 ヴォーテックス一族! この街の支配者!! 勝てないから逃げるんだろォ!?」
 まんまと奴隷を奪われて、手勢をこれでもかと蹴散らされて。
 もはやあとがないくせに、レイダー・キングは耳障りな声であげつらう。
 お前らなど所詮は雑魚だ。お前たちのその仕事に意味などない。
 この街はこの街としてあり続けて、悪徳は悪徳として続いていく。
 あそこで、どこかで、虐げられた人々は涙を流し、そして死んでいくと。

 ……たしかに、それは正しい。猟兵たちはこの街を叩き潰すことはできない。
 "今は"。どこかで苦しむ誰かを、"まだ"救うことは出来ない。
 だが。それを、この狂ったピエロがあげつらう資格などありはしないのだ!
 心乱されるな。奴の言葉こそが、猟兵たちの、その行いの意味を知らしめている。
「お前たちぜぇーんぶ無駄! ざァんねんでしたァ! アッハハハァ!!」
 この戦いが、いずれすべての悪徳を叩き潰す亀裂を生み出すのだと。
 勝ち誇るような声と裏腹に、モンスターマシンはすべてを薙ぎ払い襲いかかる。
 砲塔! マシンアーム! 巨大タイヤによる轢殺!
 己の支配する領土を叩き潰し地均しし火で飲み込みながらやってくる!

 それこそが、奴らの怒りを、そして追い詰められた苦しみを現している。
 言葉をぶつける意味など不要。ならば、奴らの流儀に則り教えてやれ。
 その暴力と怒りで。このきちがいピエロを、完膚なきなまでに叩きのめすのだ!
 きちがいピエロはマシンの天頂で大きく手を広げ、快哉を挙げている。
 奴の息の根を止めてやれ。この腐った街に、盛大な最初の一撃(ファーストブラッド)を刻み込むときが来た!

●第三章について
 この章では、ジミー・ザ・ジョーカーが操るモンスターマシンとの戦いになります。
 敵はビルやらなんやらを全部薙ぎ払いながら猟兵と子どもたちを追ってくるので、
 全力でヴォーテックス・シティを離脱しながらマシンを迎撃したり、
 あるいは逆にマシンに突っ込んで足止めしたり、機能不全に陥らせたり、
 はたまた対空砲火を掻い潜って、ふんぞり返るジミーに挑んでみたり。
 どうあれ、おおよそのプレイングはボーナスを与えられるかと思います。
(なおこの"10番目の10番街"の奴隷たちはすべて救助されていますので、戦いの余波で巻き込まれる不安はありません)

 ここがクライマックス! ド派手にかっこよく逆襲をしてやりましょう!

●プレイング受付期間
 2020/09/16 08:30前後まで。
東雲・深耶
「冗談は貴様の存在だけにしてもらおうか」
悠然と刀を腰に構えて推進する。
「さあ、とうとうお前への裁きが下せるな」
そうシャランと音を立てて刀を鞘から抜き放ち、切っ先を突きつける。
「ありふれたコトバダガ言ってやろう。『躯の海』が貴様の帰る場所だ!」

戦闘開始。
手品や曲芸による攻撃を時空間座標を飛ばした斬撃で弾き、モンスターマシンに接敵する。
「よろこべ、第三魔剣で屠ってやる」
刀の軌跡はモンスターマシンと交差する形で紡がれる。
瞬間、時空間崩壊現象が発生。
『崩れた世界』に巻き込まれた道化もモンスターマシンもろとも粉砕されていく。



●骸の海へ
「……冗談は、貴様の存在だけにしてもらおうか」
 自らの街を蹂躙するモンスターマシン、そしてジミーを、東雲・深耶は睨みつけた。
 そして刀を鞘から抜き放ち、宣戦布告めいてその切っ先を突きつけたのだ。
「ありふれたコトバだが言ってやろう――"骸の海"が、貴様の還る場所だ!」
『アッハハハハ! イヒヒヒヒッ!! お前ごときに何が出来るのさぁ!?』
 ドウドウドウドウ……モンスターマシンの砲台が火を吹いた!
「貴様を倒すことが、出来るさ」
 深耶は刀を手に駆け出し、地面を抉るほどの破壊力の砲撃を軽やかに回避する。
 アスファルトを走り、飛散した道路の瓦礫を飛び渡り、マシンへ肉薄!
『何ィ!? ええい、邪魔なんだよお前はァ!!』
 モンスターマシンの腹部から無数のマイクロミサイルが放たれた!
 曲芸的な軌道を描き襲いかかるミサイルは、人間の手に余る殲滅兵器だ。
「時空間切断剣術を、甘く見るなよッ!」
 だが深耶は空中で身をひねり、竜巻めいた斬撃で自らを鎧う。
 時間と空間をも切断せしめる剣技は、マイクロミサイルを着弾前に爆散させた!
『な、なぁにぃいいい!?』
「さあ、とうとうお前に裁きを下すときが来たぞ……!」
 深耶はモンスターマシンの足に着地し。ほぼ垂直の脚部を猛スピードで駆ける。
 コクピットのジミー・ザ・ジョーカーと、深耶の視線が交錯した!
『こ、こいつ、なんて速度――』
 そして、神速の斬撃。モンスターマシンは駆動部を切断され、爆発を起こした!
 斬撃は鋼を通じてジミー・ザ・ジョーカーにすらも到達し、傷を残す!
『ギャアアアアアッ!?』
 悪党の悲鳴が廃墟の街にこだまする。そしてピエロは理解したのだ。
 これから始まるのは、己の悪行の報い、裁きの時なのだと。

成功 🔵​🔵​🔴​

蜂須賀・美緒
ここまでくれば後はこれで良し...っと
({honeycomb}を自動『運転』に切り替える)
お手伝いありがとうね!アタシはゴミ掃除が残ってるから、また後で!
(奴隷たちに笑顔で話しかけた後、車外へと身を投げ出す)
ついに出たわね!イカれピエロ!なんかごちゃごちゃ言ってるけどとりあえずアンタは叩き潰す!
(空中でUC【P.H.A】を発動し『オーラ防御』の要領で{蜂蜜}にオーラを練りこみ身に纏うと全速力でサーカステントを駆け上がりつつ関節部に攻撃を加える)
サーカスは終了!こっからはこの蜂須賀・美緒のヒーローショーよ!
ビー...ハイヴ!
(腕をクロスして決めポーズをするとジミーに向けて蜂蜜で弾幕を張る)



●ヒーロー・タイム!
「ここまで来れば、もう大丈夫そうね……」
 蜂須賀・美緒は追っ手が途切れたことを確認すると、コンソールを操作した。
 "honeycomb"を自動運転に切り替え、荷台に乗る子どもたちに振り返る。
「お手伝いありがとうね! あとはこいつが安全な場所まで運んでくれるわ」
「えっ! お姉さんはどうするの?」
「アタシは"ゴミ掃除"が残ってるから。またあとでね!」
 子どもたちが問い返すより先に、美緒はマシンを降りて飛び出してしまう。
 向かう先は戦場。モンスターマシンと君臨するジミー・ザ・ジョーカーの足元だ!
「ついに出たわね、イカれピエロ! ごちゃごちゃやかましいのよさっきから!
 とりあえずアンタは叩き潰す――さあ、覚悟しなさい! 年貢の納め時よ!!」
 美緒は全身をオーラ入りの蜂蜜鎧で覆い、鉢のように高速で飛翔する。
 モンスターマシンにサーカステントの面影はなく、長い手足は蜘蛛めいた異形。
 ハチと蜘蛛。さながら異形の昆虫大合戦といった様相を呈していた!
『ちっぽけな虫けらがやかましいなァ! 潰れちゃえ~!!』
「そう簡単にっ、叩き潰せると思わないことねっ!」
 美緒は目にも留まらぬ高速移動で、ドリルアーム攻撃を回避!
 そして長い脚部を駆け上ると、関節部めがけて隕石じみた一撃を叩き込んだ!
 KBAM!! と関節が爆煙を噴き出す。巨大なモンスターマシンが、大きく傾ぐ!
「サーカスは終了! こっからはこのアタシのヒーローショーよ!」
『こ、コイツッ!!』
「ビー……ハイヴ!」
 お決まりのポーズをキメた美緒は、大量の蜂蜜を弾丸のように放射する。
 鋼鉄よりも硬い蜂蜜は、モンスターマシンの装甲を削りその暴虐を押し止めるのだ!
 巨大なマシンにすら抗う姿は、まさしくヒーローのように勇敢だった!

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
心配無用だ
この街全て、順次始末していく

オーラを無数の薄膜状に分割し周囲に展開
全てに『絶理』『刻真』を作用させ、自身への攻撃を触れた瞬間終わらせて影響を回避
全行程必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

絢爛を起動
起点は目の前の空気
因果と破壊の原理で戦域の空間を支配
オブリビオンとそのユーベルコードを対象に、破壊の原理を斬撃と為し空間を斬撃で埋め尽くす
因果の原理で対象外へは無害に

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬く間も与えず起動、ユーベルコード諸共「常に斬り続けて」封殺を図る

防いでも良いが演じる間は無い
仮に演じても模倣は出来んぞ。「それ」は既に斬られている

※アドリブ歓迎



●無謀を現実にする力
 モンスターマシンが、見えざる斬撃に晒されて火を吹く。
 全身くまなく洗い流すかのように、爆炎が球状に膨れ上がり鋼を焦がした。
『アッハハハハハ! たいした手品だねェ、よくもやるものだ!』
 だが、この程度でモンスターマシンは壊れない。ジミー・ザ・ジョーカーは余裕だ。
 アルトリウス・セレスタイトもまた、ジミーの戯言には耳を貸さない。
 原理の力を田辺、因果と破壊の原理によって空間を支配し詠唱を重ねる。
 空間そのもの、原理そのものが斬撃という現象となって襲いかかるのだ。
 常人には介入はおろか理解も出来ぬ破壊が、ここにある。
 理解できぬものを、ピエロ風情がどうコピーしてみせようか?
 モンスターマシンが揺らぐ。ジミー・ザ・ジョーカーは嗤っている。けたたましく。
『大した力、大した破壊! だがそれでもこの街は真っ平らになんて出来やしない!
 だってお前たちは弱いんだから! アッハハハハ! 惨めで無様なこったァ!』
「なんとでも言え。だがお前が心配する必要はないぞ」
『――あ?』
 ジミーの笑いが、消えた。コクピットの目の前に、アルトリウスが浮いている。
「この街すべて、順次始末していく。お前を倒したそのあとでな」
『……!!』
 アルトリウスの力は世界の外より原理を編み上げ組み上げる力。
 奇跡を起こすのがユーベルコードであり、破滅の宿命を変える力なのだ。
 こいつらは、本気だ。本気でヴォーテックス一族を滅ぼそうとしている。
 きちがいピエロは恐怖という感情を知った。そして、不屈という言葉の意味も。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォーネリアス・スカーレット
「そうだな、お前はただの雑魚だがオブリビオン故に殺す。ドーモ、オブリビオンスレイヤーです」
 アズールの上で決断的アイサツ。
「突っ込むぞ、アズール。この街がどうあろうと知った事ではない。たかがオブリビオン一匹だ……黙れネラク」
 謎の声はとりあえずネラクとでも名付けよう。アズール、ネラク、殺戮衝動。三重の強化による強行突破。敵の親玉を叩く。
「ピエロらしく私を笑わせてもらいたい物だ。首の一つも刎ねればそれなりに面白いぞ」
 貫キ殺ス、神喰いを叩き付け重量武器使いと見せかけ、懐に飛び込んで電磁居合斬り、を本命と見せかけた楔打ち。
「私はお前などとっとと殺してこの街のオブリビオンを皆殺しにせねばならん」



●イェーガー・ヴァーサス・オブリヴィオン
 ズズン、ズズン……KRA-TOOOM……。
 爆発があちこちで怒り、粉塵と噴煙が廃墟の街を染め上げる。
 フォーネリアス・スカーレットは、狼アズールの上でうずくまっていた。
 鎧の下に燃え上がるのは、怒りだ。オブリビオンに対する、圧制に対する怒り。
(((ググググ……フォーネリアスよ、このまま破壊を見過ごすべし)))
 フォーネリアスの脳内、危険なニューロンの同居人、ネラクが囁いた。
(((この破壊はいずれ他の区画にも到達しよう。この街のレイダーとて一枚岩ではあるまい、いずれ必ず同士討ちが起きる……そこを横からカラテせよ。さすればより多くのオブリビオンを効率的に殺せる……オブリビオン殺すべし!)))
『……黙れ、ネラク。この戦いを他のエリアまで波及させるつもりはない』
(((なんたる惰弱! よもや奴隷の命が惜しいと申すか? 一山いくらのモータルなぞ無視すべし! この世にジゴクを生み出せい!)))
『黙れ、ネラク! 手綱を握るのは私自身だ!』
(((バカ! オヌシのセンセイはこのワシぞ!)))
『黙れ、メラク。お前の力だけを私によこせ』
(((なんたるワガ、ママ……)))
 ニューロンの同居人の声は、闇に融けるようにして消えていく。
 現実時間では一秒に満たぬ対話を終え、フォーネリアスは改めて敵を見据えた。
 馬鹿げた大きさのモンスターマシンが、あっという間に目の前に近づく。
『このまま突っ込むぞ、アズール。この街がどうなろうと知ったことではない。
 たかがオブリビオン一匹。これ以上、奴隷たちを恐れさせるつもりもない……!』
 赤黒い眼光がぎらりと輝く。そして、ついに必殺距離へと到達した!
 KRAAAASH……巨大タイヤの轢殺攻撃を躱し、アズールが脚部を駆け上がる!
『ドーモ、ジミー・ザ・ジョーカー=サン。オブリビオンスレイヤーです!』
「ドーモ、オブリビオンスレイヤー=サン。ジミー・ザ・ジョーカーです。
 身の程知らずな名前を名乗りやがってェ! お前なんぞバラバラだァ!!」
 ジミー・ザ・ジョーカーはコクピットを飛び出し、ポケットから手榴弾投擲!
 さらに袖口から殺人チェーンソーを取り出すと、哄笑しながら振り回す!
 見かけ上の武装はまったくあてにならない。これが殺人曲芸か!
『イヤーッ!』
 オブリビオンスレイヤーは裏拳で手榴弾を弾き、加速。背後で手榴弾がKBAM!!
 さらに殺人チェーンソーによる斬首攻撃をくぐり抜け、チョップ突きを放った!
「イヤーッ!」
 ジミー・ザ・ジョーカーは不安定なモンスターマシン上でブリッジ回避!
 アズールの顎下を蹴りながらバック宙を撃つと、ソウドオブショットガンを撃つ!
 BLAMN!! オブリビオンスレイヤーはアズールから飛び降り散弾を避けた!
『イヤーッ!』
「イヤーッ!」
 ギャギャギャギャギャ!! チェーンブレードとチェーンソーが激突する!
 火花を散らしながら両者は鍔迫り合いをする。刃が顔面寸前でわななく!
『ピエロらしく私を笑わせてみろ。首のひとつも刎ねればそれなりに面白いぞ』
「ほざくねェオブリビオンスレイヤー=サン! お前こそがお笑い草さァ!
 オブリビオンを? 殺す? ハッ! なんたる狂人の戯言かねェ!」
『はたして戯言かな……!!』
 両者は飛び離れ、チェーンソーを投げ捨てた。ジミーは両手にショットガン!
 BLAM!! BLAMN!! オブリビオンスレイヤーはオベリスク槍を掲げ防御突進する!
『イイイイイヤアアアアアーッ!!』
(ヒヒヒ! 見えているよォオブリビオンスレイヤー=サン! お前の狙いはランスチャージと見せかけたイアイだろォ!)
 ジミー・ザ・ジョーカーは、オベリスク槍に隠れたカタナを見抜いていた。
『……イヤーッ!』
「イヤーッ!」
 そして交錯! 読み通り、オブリビオンスレイヤーは電磁イアイを放つ!
 ジミー・ザ・ジョーカーはイアイをブリッジ回避した。
 そして立ち上がり、ショットガンを後頭部に叩き込もうとする……が!?
『イヤーッ!』
「グワーッ!?』
 ゴウランガ! オブリビオンスレイヤーのイアイ斬撃は一瞬で変化していた!
 さながら楔を撃つがごとく、直角カーブした斬撃がジミーの体を裂く!
『私はお前などとっとと殺して、この街のオブリビオンを皆殺しにせねばならん』
 のたうち回るジミー・ザ・ジョーカーを、オブリビオンスレイヤーが睨みつける。
『オブリビオン殺すべし。慈悲はない』
 ジゴクめいた眼光に射すくめられ、ジミーは震え上がった……!

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
っと、玄武を安全圏に隠してたら出遅れちゃったな
しかし改めて見ると、趣味悪いマシンだよなぁアレ

ま、ともかく始めるか。あの笑い声を聞き続けるのも
結構鬱陶しいものがあるし

◆SPD

まずは真の姿を解放。さらに【瞬身】を発動
そして【武器改造】で手裏剣に爆破機能を付与

同時に敵のマシンを観察(【情報収集】)
【メカニック】としての見識も駆使して効率的に
ダメージを与えられる個所を【見切り】、そこに向けて
上記の改造手裏剣を集中的に【投擲】

こちらに攻撃が向いた場合は【残像】【第六感】で回避
あるいは【迷彩】で姿を消して攪乱する

余裕があれば【早業】で敵マシンを駆けのぼって
あのピエロに魔導蒸気旋棍の一撃を叩き込んでやろう



●稲妻よりも速く
 DOOOM……と、大気を銅鑼めいて叩く爆発音。月凪・ハルマは振り返った。
 蜃気楼が霞むほどの遠く、モンスターマシンが爆炎に包まれていく。
 崩れていく廃ビルの群れは、まるで巨人に打ち倒された兵士のようだ。
 ならばモンスターマシンの『足元』をドライアイスめいて覆い隠す噴煙は、
 さながら巨人に踏み潰された兵士たちの血煙か、あるいは。
「……ま、ともかく始めるか」
 "玄武"を降りたハルマは、真の姿を解放しながら風の如き速度で走り出した。
 残像すら生じさせるスピード。まさしく瞬身の術である。
 高速移動によって発生した衝撃波が、廃ビルの割れかけたガラスを微塵に砕く。
 ごうごうと唸る風の音ももはや遠い。聳え立つ巨人――マシンが近づいてくる。
『アハハハハハー! アーハハハハハーッ!!』
(うっとうしい笑い声だな)
 サイレンめいて鳴り響くジミー・ザ・ジョーカーの笑い声は癪に障る。
 ハルマは噴煙の中を稲妻めいて駆けた。巻き上がる瓦礫を足場に三次元的移動。
 ジグザグの軌道は噴煙のなかを手術用メスのように切り裂き、進む。
 ぐおん――と巨大タイヤ付きレッグが振り上げられた。ハルマは手裏剣を投擲。
 KRA-TOOM……命中したがダメージは薄い。そもそもの質量が違うのだ。
 だが、不安定な姿勢になったモンスターマシンの重心は別である。
 ハルマはさらに手裏剣を投擲する。KBAM。KBAM。
『アアアアーッ!?』
 ZZZZZTTTT……バランスを崩したモンスターマシンが、横倒れになりかかる。
 ジミー・ザ・ジョーカーは、とっさにアームをつっかえ棒にしてマシンを支える。
 巨体がきしむ。体勢復帰には時間がかかるだろう、それでよい。
(あそこだな)
 ハルマの目当ては転がすことではない。それによって弱点を露出させることだ。
 カカカカ――KA-BOOOM!! 突き立った手裏剣が一斉爆発を起こした!
(集中しろ。もっと、深く。笑い声も、憎悪も怒りも、全部置き去りにしろ)
 スピードが雑念を洗い流す。すべての音が別世界めいて置き去りになっていく。
 己がなすべきことは、破壊と暗殺。ただ壊し殺すのみ。
 これが何を生むのか、何につながるのか、何が出来るのか。
 そんなことはあとで考えればいい。今はただ、この悪を討ち滅ぼせ。
 一念岩をも通すと言う。ハルマはただ冷徹に、冷静に、己の為すべきを為した。
 いつかその意思は、この悪徳の都に風穴を穿つと信じて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK


人だろうが街だろうが、図体がでかい程度で死なないと思ってるなんて、
随分緩い考えしてるねえ。
まあ、それを正してやる義理も無いし、ぶん殴って片付けようか。

巻き込まれる相手が居ないなら遠慮はいらないね。
【三界巨怪】で改めて巨大な怪獣に変身。
うるさい笑い声をかき消すように吼えながら、正面からぶん殴って足止めしようか。
発電器官を使って電撃を浴びせて中の機械を破壊したり、
装甲を打撃で叩き壊したりしてどんどんぶっ壊していこう。

道化だけが楽しいショーなんて、つまらないものには付き合う気はないんだよ。


九頭竜・聖
……聞くに堪えない絡繰りを操る輩は同じように聞くに堪えない声で喚き散らすのでございますね

己が勝者だと歌いながら、無駄だと笑うわたくしめたちを必死にで追いかけ回す……道化とは斯様な愚かな行いをする者のことを言うのでございますね

童も他の囚われた方々も皆、他の皆様によって逃げることができた様子
ならば、もう加減して頂く必要もございませんでしょう

おいでませ、相柳様
……御身の御力でこの地に痛みによる浄化を
御呼び致しますは毒を司りし龍神様
相柳様の毒は命も命なき物も腐らせ、蝕む劇毒
あの見るに堪えない絡繰りも、あれが撒き散らす鉄も、すべてを蝕み、地へと還すことになりましょう


荒谷・ひかる
……そうですか。
お付き合いし切れませんので、怒ろうが笑おうがどうぞご自由に。
わたしもわたしで好きにやらせて頂きますので。

十分に離れた位置から【草木の精霊さん】発動
"10番目の10番街"の端から端まで、余すことなく様々な植物を文字通り「生え散らかす」
砕けた道を、倒壊した建物を、ひっくり返った車両を、死体の山を
一気に芽吹いた植物の群れで呑み込み、朽ちさせる
……勿論それは、あの巨大テントも例外ではありません
街に集中していると見せかけ、少しずつ駆動部にカビや苔類を送り込み
潤滑油や布幕の劣化等を引き起こして味方を支援します

邪悪も下劣も、何もかも全て……朽ち果て自然へと還りなさい!



●地に満ちよ、街を包め
 ヴォーテックス・シティは広い。その一区画に過ぎないこの"10番目の10番街"ですら。
 その全域を覆うとなると、もはや並のユーベルコードでは不可能と言っていい。
 超巨大なペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードの獣化形態ですら、
 モンスターマシンと比べれば同じ背丈、あるいは少し見劣りするほどだ。
 それがぶつかり合うとなれば、一撃ごとに大地は割れて廃ビルが崩れ落ちた。
『アッハハハハァー!! 次から次へと色んな出し物が出てくるなァ!!』
「……アンタはピエロだろう? なのにこのショーは、ちっとも楽しくない。
 だから、あたしたちが面白く楽しくしてやってるんだよ……こうやってね」
 KRAAAAASH……巨大怪獣化したペトニアロトゥシカの爪がマシンに突き刺さる。
 ジミー・ザ・ジョーカーはケタケタと笑いながら、ドリルアームを突き刺した。
 さながら鋼と鱗の怪獣の大決戦。そこらの特撮ドラマが裸足で逃げ出す光景だ。
「……聞くに堪えないからくりに、聞くに堪えない笑い声。そして繰り言。
 己が勝者だと嘯きながらわたくしめや皆さまを追いかけ回すその愚かさ……。
 道化とは、斯様に無様で愚かなものなのでございますね。勉強になりました」
 九頭竜・聖は、そのすさまじいぶつかり合いを冷えた目で見上げていた。
 もはや加減は必要ない。あの巨大な怪獣の彼女ならば毒にも耐えきれるはずだ。
 聖は薙刀を振るって神楽を舞い、何度も石突を地面に落としながら龍を喚ぶ。
「おいでませ、おいでませ。偉大なる紫の龍神様、痛みと毒を統べる御方様。
 御身の威光をこの地に示し、その痛みによる浄化をこの地へとくださりませ」
 めき、めりめりめり、めりめりめりめり……!
 聖の周囲の地面にヒビ……いや地割れが走り、裂け目が開いていく。
 いや、"こじ開けられている"。何か、底知れぬものが地の底から開いているのだ。
 聖はユーベルコードの代償として己の身を捧げる。一種のトランス状態に入る。
 恍惚とした歓喜と、筆舌に尽くしがたい痛み。それが、同時に訪れる。
 伍之龍・相柳。腐食性の猛毒を司り、あらゆるものを腐らせ殺す大百足。
 聖という巫女を好みし龍の中で、もっとも純一無雑なる龍である。
 めりめりと地の傷口は開いていく。裂け目が、毒を浴びて腐り始めていた。
「おいでませ、おいでませ……相柳様、御身の御力をここへ……」
『ハァ!? なんだねェあれは、見過ごせないなァ!!』
 当然、ジミー・ザ・ジョーカーはその危険な変異に即座に気がつく。
 ペトニアロトゥシカは耳障りな笑い声を遮るように咆哮し、マシンを押し留めた。
 AAAARGH……!! 質量と質量がぶつかり合う。一撃ごとに大気が揺れる!
『邪魔ァしないでもらいたいねェ! たかがデカブツごときがァ!!』
 ギャ、ギャギャギャ……ガリガリガリガリッ!!
 冷えたマグマの如きゴツゴツとした怪獣の鱗を、ドリルが削り取る。
 さらに砲台がペトニアロトゥシカを狙い、肩越しに聖を消し飛ばそうとする。
 DOOM、DOOOOOM……それでもペトニアロトゥシカは退かない。崩れ落ちたりもしない。
 巨躯のぶつかり合いで、あちこちが地割れを起こし噴煙が立ち込める。
 余波を受けた廃ビルが崩れて瓦礫を撒き散らす。瓦礫の山が積み重なった。
 トランス状態で舞い続ける聖の頭上、崩れ落ちた廃ビルの残骸が落ちてくる!

 ……しかし。
 崩れ落ちると見えた廃ビルは、ぎしり、と音を立てて"止まった"。
 一体何が起きた? その答えは、廃ビルを内側から見ればわかるだろう。
 ……蔦だ。廃ビルの内外を覆うように蔓延る蔦が、骨格の役割を果たしている。
 その強靭な蔦の張力によって、廃ビルの残骸は崩落を免れたのである。
 いや、見ろ。廃ビルだけではない。植物の蔦はあちこちを覆いつつある。
 砕けた道を。地割れの裂け目を。ひっくり返った車両や、死体の山を。
 タイプラプス映像めいて急成長する蔦が、不気味な速度で死の街を覆う。
 まるで、毒沼にのたうつヒュドラのように。生命の神秘はひたすらに奇怪だ。
『なッ、なんだねェ、これは……!?』
「……あなたは、何もかもを見下し、無価値だと断じましたね」
 爆発的植物の生長と飽和現象の中心に立つのは、ひとりの少女だ。
 荒谷・ひかる。彼女は精霊に己の魔力を分け与えながら、ピエロを睨みつけた。
「人々のいのちも。尊厳も。この世界も何もかも、あなたは無意味だと言った。
 それが否だと、わたしは言い続けます。この行為には絶対に意味があるのだと」
 精霊は半ば暴走しながら伸長を続ける。当然だ、これは神の御業である。
 いくら巫女であるひかるが「お願い」したとしても、規模に限度があるのだ。
 際限なき植物の生長は、精霊をもってしても単独では成り立たない。
 ひかるは、この"10番目の10番街"すべてを覆おうとしているのだから。
 必要なものは代償。それは彼女の魔力であり、ともすれば命にも届くか。
 それでもいいとひかるは思った。この悪性と下劣を否定し、消しされるなら。
 植物の繁茂はなおも続く。それは迷路となってこの街を徐々に覆っていく。
 街そのものにこびりついた下劣な悪意がそれに抗う。植物を腐らせていく。
 腐蝕。それは聖が地の底から喚び出しつつある竜の権能でもあった。
 一見すると猛毒と生長は相性が悪いように思える。だが、実際は違う。
 それはどちらも生命活動によって引き起こされるもの。いわば自然の御力だ。
 竜の毒で腐敗した植物は、新たな生命を芽吹かせるための苗床となる。
 つまり、繁茂速度が加速するのだ。その代償は、けして易くはないが。
「……ッ!」
 精霊が悲鳴を上げている。ひかるはその心の痛みと肉体の減退に呻いた。
 だが、やめない。この街に、この邪悪に、いのちの重みを知らしめるためには!
「邪悪も下劣も、何もかもすべて……朽ち果て、自然へと還りなさいッ!!」
『ウオオオオオオッ!?』
 びゅるびゅると脅威的速度で成長する植物の網が、ついにマシンを絡め取った。
 鋼が緑に覆われていく。ジミー・ザ・ジョーカーはこれを嫌った。
 さらに腐敗。覆い尽くした植物を伝い、相柳の猛毒がマシンに襲いかかる。
 カビ。苔。毒。この三つが、駆動部に染み込み、滲み入り、自由を奪った。
 ボウ、ゴオオオウ……モンスターマシンのあちこちから火炎が噴射される、が!

 AAAAARGH……!!
『ぐッ!?』
「図体がでかい程度で死なないだなんて、そんな風に思ってたのかい」
 巨大怪獣の双眸――意思の光が、ぎらりとジミー・ザ・ジョーカーを睨みつけた。
「ずいぶんゆるい考え方をしてるねえ。まあ、糺してやる義理はないけどねえ。
 でも、覚えておきな。――アンタみたいなつまらないやつは、もうお役御免なんだ」
 KRAAAAASH……ペトニアロトゥシカは植物の繁茂に巻き込まれながら拳を叩き込む。
 モンスターマシンは火を吹いた。まるでスペイン式決闘じみた状況だ。
「命も、命なきものも、すべて腐らせ、蝕んでしまいましょう」
 めき、めりめりめり……緑にまみれた裂け目から、ついに大百足が来る。
 毒々しい眼光が瞬き、植物を腐らせながらの腐蝕攻撃が襲いかかった!
「道化よ。その愚かな行いの代償、その身にて支払っていただきます」
 喉元に死神の鉤爪をかけられるような恐怖を、ピエロは味わった。
 死にかけた世界でもいのちは生きる。生きようとあがき続けている。
 いのちを踏みにじり、あざ笑い、そして蹂躙した愚か者への報い。
 ――それは、死を以て裁かられるほかにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・明日真
【アドリブ歓迎】
てめえの街自分で潰してりゃ世話ねえよな。
どのみち一切合切叩き潰すんだ、手間省けていいけどよ。

小細工なんぞいらねえ、真正面からぶち抜く!

刻印は意思の具現化、想像こそ基礎にして真髄!
目には目を歯に歯を、デカブツにはデカブツをってなァ!
《烈火の刻印》発動、【怪力】【捨身の一撃】でぶった斬れるまでぶった斬る!

覚悟しとけピエロ野郎、その鼻っ柱へし折ってやるぜ!


ジュリア・レネゲード
先の戦闘で安全圏に退避させたユニバースより降りて
重武装でジミーの前に

調子に乗らないでよ、エセ道化師風情が
お前なんて知った事か――グリュプス!
『大分お怒りの様ですが、ええ。問題ありません』
最終安全装置解除……ダイブ!
立体パズルめいた動きで反転・変形・巨大化したグリュプスを操縦
神経接続完了! スキルブースト100!
『どうか、死なない程度に……』
泣いたり笑ったり出来なくしてやるわ!

懸架した銃火器で弾幕を張って突入
範囲攻撃で敵の狙いを攪乱し一気に突っ込む!
接近してグラップルで敵マシンの関節を破壊工作
ダメージがヤバそうになったら距離を取って
狙撃で援護射撃の目潰しよ
集団戦術の時間稼ぎ……後は、任せるわッ


ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎!

アハハハハハッ!すごいすごい!
おっもしろぉい!

ほらほら、アクセルもっと踏んで!
ペチャンコにされちゃうよ!
右右ッ避けて避けて!
今度は左ーッ!
アハハハハハ!たーのしぃっ!

●昇〇拳
球体くんたち!あの高い頭を下げさせてよろしくぅ!
クソデカ球体くんでマシンの足をへし折り、上からズシンとのしかかってマシンの"頭"を下げさせて
そこを狙って飛び上がって空中昇●拳!ぽい感じにUCでドーンッ!

そう!
キミがキミたちがこのちっぽけな街の支配者だっていうならとんでもない!
ボクは神様だよっ!
そしてこちらが今回のMVPでニューヒーロー!
新人奪還者くんだよ!また来るからこの顔、覚えておいてね!


ウーナ・グノーメ
アドリブ・共闘◎

【心情】
「愚かで哀れな道化。命の輝きは無限の可能性にある。一人の命を救うことは、無限の未来を救うこと。それすらも、あなたには理解できない」
「同じく、一人の命が潰えることは、無限の未来が閉ざされることに等しい。あなたの蛮行はここで止める」

真の姿が顕となり、口調も淡々と厳かなものに変化。
表情は変わらないが、道化師の嘲りに静かな怒りを胸に秘める。

【行動】
UCにより、火属性と地滑りの現象を組み合わせ、『マグマの奔流』を引き起こし、サーカステントに熱の被害と、液状化した地面による移動の阻害を狙う。暴走しやすいこのUCを、全霊の【念動力】で制御し、敵がコピーをして暴走、自滅することも狙う。



●その悪を討て!
『ええい、邪魔っくさいねェ、これは……!!』
 ユーベルコードによって繁茂した植物は、街全体を覆いつつあった。
 強烈な腐食性の猛毒、さらに巨大怪獣による連続打撃。
 それはジミー・ザ・ジョーカーのモンスターマシンを半壊に追い込んでいる。
 火炎放射器で身にまとわりつく植物を燃やしながら、それでもまだ立ち上がろうとする。
 だがその足元が、ぐしゃんッ!! と音を立てて崩落した。
 植物の繁茂によってスカスカになった地面が、自重に耐えきれなくなったのか?
 否、見よ。モンスターマシンの真下、割れた地面の下から吹き出るものを!
『ま……マグマぁああああッ!?』
 ジミー・ザ・ジョーカーは悲鳴を上げた。
 当然だ、この街は活火山を埋め立てて立てたような場所ではない。
 溶岩流など、それこそ地の底まで掘らなければ吹き出さないはずである。
 だがマグマの奔流は裂け目から吹き出し、植物ごとマシンを焦がしつつあった!
「愚かで哀れな道化」
 不思議とよく通る声が、困惑するジミー・ザ・ジョーカーの耳朶を叩いた。
 遠く、空に浮かぶ金色の髪と瞳を持つ乙女。ウーナ・グノーメの冷ややかな目。
「いのちの輝きは、無限の可能性にこそある。ひとりの命を救うことは、
 その無限の可能性を守ること。それすらも、あなたには理解できない」
 普段のウーナを知るものならば、その底冷えするような雰囲気に慄いただろう。
 今の彼女は真の姿をあらわとし、その荘厳な魔力を威圧感に変えていた。
 表情に変化はない。だが冷たい声音には、静かな怒りが籠もっている。
「だから、ひとりのいのちが潰えることは、無限の可能性が潰えるに等しい。
 あなたの蛮行は、ここで止める。そのまま、原初の火の中に呑まれてしまえ」
『こ、こんな最期だなんて、道化師には似合わないねェ……!!』
 ジミー・ザ・ジョーカーは頬をひくつかせながら、それでも露悪的に笑った。
 ユーベルコードをコピーする暇などない。すぐに脱出せねばならない!
 ゆえにジミー・ザ・ジョーカーは、植物を引きちぎりながらマシンを動かす――。

 だが。
 ふんばろうとしたモンスターマシンの足元に、食らいつくものがある。
 それは牙を持つ球体――ロニ・グィーが召喚・使役する浮遊球体だ。
 めきめきめきめき! と大木が倒壊するような轟音を立てて、脚部がきしむ!
「アハハハハハッ! すごいすごい! 植物に、毒に、怪獣に、マグマだってぇ!
 おっもしろぉい! ほらほら、新人奪還者くん! アクセルもっと踏んでぇ!」
「な、なんでこの状況で、近づかなきゃならねえんだよぉおおお!?」
「だって近づかないと特等席で見れないじゃん! 頑張って頑張って!
 ハンドル握ってきちんと運転しないと、キミもぺちゃんこにされちゃうよぉ!」
「ひいいいいい!! が、ガキはもう運んだだろ! だから許してくれぇ!」
「あーほらほら右右っ、避けて避けて! 今度は左ぃー!!」
「助けてくれぇええええ!!」
 ロニに囃し立てられて武装装甲バスを運転するのは、元レイダーの男だ。
 鼻水を垂らし小便まで漏らしながら、それでもハンドルは離さない。
 というか、離すと死ぬ。裂け目は彼らの足元にまで至っているからだ。
 滴る猛毒の残滓やマグマの奔流、あるいは生き足掻くマシンの起こす倒壊。
 そう言ったランダムなトラブルを蛇行運転で回避して、武装装甲バスは走る。
 もちろん元レイダーの男に、奪還者になるつもりなどさらさらなかった。
 彼の後頭部には、いつでも頭蓋骨を噛み砕けるようロニの餓球が噛み付いている。
 ようは脅迫である。だからおとなしく言うとおりに子どもたちを運んだ。
 すると安全地帯に逃げられたと思ったら、ロニは今度はこう言ったのだ。
『あれ面白そうだから行ってみようよ! ていうか行け』
 ……暴君である。そんなわけで、元レイダー現奪還者に拒否権はなかった。
「ジミーくん、聞こえるかなーッ!? キミが支配者ならボクは神様だよっ!
 そして! こちらが今回のMVPにしてニューヒーロー、新人奪還者くんさ!」
「ひいいいいっ!? や、やめてくれ! 街に戻れなく――」
「え? 戻るつもりなの? キミ、奪還者として禊して正しく生きるんだよね?
 ていうかいずれこの街にもまた来てもらうよ! もちろんヒーローとしてね!」
「なんでだよぉ、なんでこんなことになってんだよぉ!」
「あっはははは! おもしろぉーい!!」
 ……などと漫才ともホラーともつかぬやりとりを繰り広げるふたり。
 その間にも巨大化した球体がマシンの脚部を、そのボディをひしゃげさせていた。

 そして、ジミー・ザ・ジョーカーの逃亡を阻止しようとする猟兵は他にも居る。
「調子に乗らないでよ、エセ道化師風情が。ここがお前の墓場なのよ!!」
 BRATATATATATA!! 大量の重火器から馬鹿げた弾幕を放つ武装トラック!
 それを運転するのはジュリア・レネゲード。子どもたちは安全地帯に保護済みだ。
 だが彼女の『ユニバース』をもってしても、モンスターマシンは破壊できない。
「なんとしてでも沈めてやるんだから……グリュプス!!」
『だいぶお怒りのようですが……』
「いいから、アレを使うわ! 最終安全装置解除!」
『……まあいいでしょう。ええ、問題はありません』
 ソーシャルドローン・グリュプスは立体パズルめいた動きで反転、変形!
 さらに電脳魔術によって異空間に収納されていた外部パーツと合体。
 あっという間に巨大化し、ユニバースを組み込むほどのパワーローダーとなった!
 同化変形合体したユニバースの運転席は、グリュプスのコクピットとなる。
 これこそ機醒界報(アウェイキング・アバター)。グリュプスの真の姿なのだ!
「神経接続(ナーヴコネクト)開始……技能拡張(スキルエンハンス)、増幅……!」
 ジュリアの背部ユニットから、彼女の体に無数のコネクタがつながる。
 意識がハードウェアレベルでグリュプスと同化。パワーローダーが加速!
『接続、同期完了。スキルブーストシステム確立。どうか、死なない程度に』
「泣いたり笑ったり出来なくしてやるわ! エセ道化師ィッ!!」
 BRATATATATATA! BRRRRRRTTTTTTT!!
 パワーローダーは大量の重火器をばらまきながらモンスターマシンに高速接近!
 球体攻撃で壊れかけた脚部に爆薬をセット、あるいはマニピュレータで破壊!
 KBAM! KRA-TOOOOM!! 爆炎がマシンを包み込むたび、その図体が崩れ落ちる!
『ぐ、おおおお……!? こ、こんな、こんなことで俺様のマシンが……!!』
「まだ足りねえか? だったら味わわせてやるよこの野郎ッ!!」
 そこでさっそうと飛び出したのは、身の丈をはるかに超える大剣を持つ男!
 柊・明日真はマグマよりもなお熱き怒りに双眸を燃やし、大剣を振り下ろす!
「目には目を、歯には歯を! デカブツにはデカブツを、ってなぁ!!」
 刻印魔術の基礎は意思の具現化。すなわち想像こそ基礎にして真髄である。
 無敵の想像から創造された"烈火の刻印"を宿した超特大剣による白兵攻撃!
 KRAAAAASH!! 大地を砕くほどの斬撃が、くの字にひしゃげた脚部を破壊!
『や、やめろ! 俺様のマシンが! 壊れていくゥ!?』
 ジミー・ザ・ジョーカーは身を乗り出し、ショットガンやグレネードで攻撃!
 だがジュリアと明日真はこの苦し紛れの攻撃を躱し、あるは防ぎ、止まらない!
「どうしたの? 私たちのやることを無駄と言っていた割にあわててるじゃない!」
「てめえの街自分で潰してりゃ世話ねえんだよ。どのみち一切合切叩き潰す!
 てめえはその最初の一撃ってとこだ。このまま、マグマに呑まれて消えなァ!!」
 SMAAAASH!! KRAAAAASH!! BRATATATATA……KA-BOOOOM!!
 無数の脚部は次々に破壊され、もはやマシンはぎりぎりで踏みとどまっていた。
 ジミー・ザ・ジョーカーは震えた。なんだこいつらは、なんだこの力は!?
 ユーベルコードは奇跡の力。それはオブリビオンにとっても同じこと。
 だが! こいつらのこの熱意! 気迫! 一体どこからやってくる!?
「……まだわからない。あなたはそうでしょう」
 ウーナは冷たく言い放った。
「あなたはいのちなきもの。オブリビオンなのだから」
「そういうことォ――さあ、神様の裁きをくれてあげるよッ!!」
 そして、武装装甲バスを飛び出したロニが、特大のゲンコツを垂直から叩き込む!
「ぶっ潰れて、燃えろォ!!」
「ここから、消えなさい……ッ!!」
 タイミングを合わせた明日真とジュリアの攻撃! マシンの脚部が砕ける!
 砲撃で反撃しようにも、ジュリアの飽和射撃が弾幕を押しつぶしているのだ!
 そしてロニの拳……真上からの殴打が、ついにマシンを砕いた!
『あ、あああああああッ!!』
 マグマの海へとモンスターマシンは落ちていく、墜ちていく……!
 そしてひときわ巨大な火柱が、マシンを飲み込み天を貫くほどにほとばしった……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【SPD/自由に】◎真の姿使用。第4の戦術器、妖として相対。
符雨、お疲れ様。あとは子供たちを安全なところにお願いね。
必要なことは終わって、あとはあのピエロさんのお相手だけだから。

お相手をするならあのテントを登らないと。
でもあれだけ大きいなら近くの建物から乗り移れそう。

目立たない様に周りの陰を辿って先制攻撃。だまし討ちは1回まで。
その後はどこか壊れた者同士、こんな場ですがダンスのお誘いを。
時間は限られていますけれど、少しばかりくるくるり。

魅医。あなたを呼んだのは保険。必要な時は……お願いね。
きっと、多分、手段は選ばない方針になりそうだから。



●破滅のダンスパーティ
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!!」
 マグマ流への崩落を辛くも逃れたジミー・ザ・ジョーカー。
 猟兵に悟られぬよう、沈没大破していくモンスターマシンの影で静かに這い上がる。
 だが。這い上がったジミー・ザ・ジョーカーに、安息は許されなかった。
 どこかからの痛烈な殺意。ピエロは顔を上げ、カタナを振り抜く!

 ――ガギンッ!!

「残念。やっぱり、暗殺者みたいにはいかないか」
 ふわり、と勢いを殺し、神元・眞白が地面に降り立った。
 その体を薄いヴェールめいたオーラの障壁……いや、力場が覆っている。
 ジミー・ザ・ジョーカーは、それに触れることが極めて危険だと看破した。
「イヒ、ヒヒヒヒッ! 油断も隙もないねェ、猟兵ってのは」
「テントが壊れてくれたおかげで、狙いやすくなったから」
「アッハハハ! だから俺を殺しに来たって? ずいぶん剣呑じゃないか……」
 ピエロのじっとりとした視線が眞白の体を舐る。彼女は眉根を寄せた。
 ……相手は、自分のことを同類だとみなしていたからだ。
「感じるよォ、そのおしとやかな顔の裏に隠れたどろどろしたものをなァ。
 ヒ、ヒヒヒッ! 正義だとか人助けだとか、そんなことどうでもいいんだろ?」
「……どこか壊れたもの同士。踊りましょう」
 眞白は肯定も否定もしなかった。狂人と馴れ合うつもりはない。
 だが、壊れたモノ、欠落者であることは事実。だからこう言ったのだ。
「ヒ、ヒヒハハハッ! アーハハハハハッ!」
 眞白は感じていた。目の前の敵のエネルギーを、生命力を奪いたいという欲求を。
 狂えるピエロと、存在理由を見失ったガラクタとがぶつかり合う。
 刃と拳。指先と弾丸。笑い声と無言。何もかもが対称的。
 高速回転するコマめいたぶつかりあいは、危険なまでにヒートアップしていく。
 その戦いを、幼い少女型の戦術器――魅医は、ハラハラしながら見守る。
 眞白の言葉が脳裏をよぎった。そして不安は、現実のものとなる。
「眞白お姉ちゃんっ!!」
 悲鳴とともに、眞白の片腕が砕けた。片腕を犠牲に間合いを詰めたのだ。
「――あなたと私は、似ているけれどやっぱり違うみたい」
 生命力をすする呪われた掌が、ジミー・ザ・ジョーカーに触れる。
「オゴッ!?」
「だって私は、あなたと違って笑えないもの」
 与えられた機能が生命力を奪い取る。眞白は淡々と掌を押し付けた。
 彼女の表情は変わらない。ただ、その心にはたしかに怒りが燃えていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
猟兵に逃げられた挙げ句吠えるだけ
ジミーは所詮…誰も笑わせられない敗北者じゃけぇ…!

【架空兵器】を創造!モンスターマシンにはモンスターマシンをぶつけんだよ!
想像する物は巨大陸上戦艦!これと明言すると危険が危ない代物だがタイヤが付いてる奴だ
こちらも都市を地均ししてクリーンにできますぞ!アポヘルクリーン作戦でござる!

やることは単純!砲撃しながら全力で突っ込む!ジミーも突っ込む!
突っ込んでくる!
突っ込んでくる!
突っ込んでくる!
そう突っ込んでくる!
そしてガツンだ!

衝突でお互い動きが止まったら甲板を伝って相手のマシンへ突入!おちょくりながら殺しに行こうぜ!
ジーミーチャーン!あっそびーましょ!



●ヴォーテックス・シティクリーン作戦
「ま、マシンだ! マシンがないと……ッ!」
 ジミー・ザ・ジョーカーは、ほうぼうのていで町中を駆ける。
 モンスターマシンはマグマの中に消えた。ならば、代わりのマシンが必要だ。
 だから探す。探す、探す……ふと、ジミー・ザ・ジョーカーは足を止めた。
「なんだ? この地響き……ィイイイッ!?」
 そして見上げた。ゴリゴリと大地を地均しする、巨大なタイヤ付き戦艦を!
「ウェーハッハ! 目には目を、モンスターマシンにはモンスターマシンですぞ!
 ってそのモンスターマシンはどこにいったのでござるかなあ、んん~~?」
 巨大陸上バイク型戦艦の艦橋に立つのは、エドゥアルト・ルーデル。
 エドゥアルトはわざとらしく手でひさしを作り……ジミーを、見つけた。
「見つけたでござるぞジミー! 猟兵に逃げられたあげく地べたを這いずり吠えるだけ!
 誰も笑わせられないピエロ……所詮はアポヘルの敗北者じゃけえ……!!」
「やめろめろォ!! だぁれが敗北者だァ!!」
 ジミー、キレた!! 廃ビルを蹴り渡り、巨大バイク戦艦上に着地!

 そしてふたりは、廃墟の街を地均しする戦艦の上で相対する。
「ほほう、自ら突っ込んでくるとは見上げた精神でござるなあジミーよ!」
「呼び捨てにするんじゃあない……!!」
「おや? 怒ったでござるか? ン? 突っ込んでくるでござるか?」
「死ィイイねぇええ!!」
「突っ込んでくる!」
 がきぃん! 手品じみたカタナの一撃を弾く!
「突っ込んでくる!!」
 ばきゃんっ! 抜き打ちのショットガンを躱す!
「突っ込んでくる!!!」
 がぎっ! ぎゃりぎゃりぎゃり……!! ナイフとチェーンソーが激突!
「そう、突っ込んでくる!!!!」
「うおおおおっ!!」
「そこを――」
 大振りな斬撃を回避し、エドゥアルトはアッパーカットを叩き込んだ!
「グワーッ!?」
「ガツン、でござるなぁ!」
 まさしく猛攻(クラッシュ)の連打(ラッシュ)だ!
 ジミーは血反吐を吐きながら、バイク戦艦から落下していく……!

成功 🔵​🔵​🔴​

マリー・ハロット
マリー、アンタの事、キライ。
言うことも、やる事も、キライ、それに
……チョーネクタイとかチョーダサいし!

(今はまだ勝てないとか知らない)

(すでにオーバードース状態にあるサイキック増幅剤をさらに【ドーピング】。【限界突破】のその先で、『第二の鼓動』が胸の内で響き、漆黒のサイキックエナジーが全身を包み)

(この街も、あのチョーダサいピエロも、何もかもが不愉快で……全部消し飛ばしてしまいたい)

(【空中浮遊】、【空中戦】、【オーラ防御】、【第六感】、さらには【激痛耐性】とUCがもたらす生命吸収の力を駆使して、弾幕を掻い潜り)

マリーはアンタをぶっ潰す!!

(全力の【念動力】を乗せた偽神兵器の一撃を叩きつける)



●衝動のおもむくまま
 壊したい。
 嫌いだ。
 キライだ。
 だから壊したい。
 この街も。
 あのピエロも。
 全部全部、壊したい。
 理由なんてない。キライなんていうのも所詮後付だ。
 "そうしなければいけない"と、体の奥底でナニかが叫んでいる。
 "そうしなければならない"と、心の奥底でナニかが騒いでいる。
 壊さなければならない。
 殺さなければならない。
 でなければ、マリーは、わたしは、ボクは、おれは――!!

「あああああああッッ!!」
 マリー・ハロットは逆流する様々な"マリー"の記憶に悶え苦しんだ。
 フラッシュバックする過去の風景。想起されるトラウマ。冷たい感覚。
 その幻影を切り裂くように蛇腹剣を振るう。その身が漆黒のゲルで包み込まれる。
 正しくはゲル化したサイキックエナジー。ドラッグはすでにマックシング状態だ。
 巨大戦艦から落ちていくピエロが見えた。――あいつを、殺す!!
「マリーは! アンタを!! ぶっ潰す!!!」
「ハ! ハハハハハァーッ!!」
 ジミー・ザ・ジョーカーは落下しながら、ミサイルじみた突撃を受け流した。
 ぐるぐると乱気流できりもみ回転しつつ、その体が漆黒のゲルに包まれる。
 ユーベルコードをコピーしたか。だからなんだ、殺すだけだ!!
「アンタのことキライ! 全部全部ぜーーーーんぶ、キライっ!!」
「いいねェ、その殺意! 俺を殺したくてたまらないっていう幼稚な感情!
 そういうのを踏み躙るのがだぁいすきなのさ、俺は! だから殺してやる!!」
「うるさあああああーーーーーいッッ!!」
 ガ、ガ、ガガガガガガガッ!!
 ふたりは落下しながら切り結ぶ。傷はさらなる力の呼び水だ。
 だが『第二の波動』の最大の燃料、それはストレス……苦痛と不快感。
 ただ笑い続けるジミー・ザ・ジョーカーでは、マリーのそれに届かない。
 目の前の相手を消したいという怒り! 生命そのものへの嫌悪!
「壊れちゃえーーーーーーッ!!」
「!!」
 マリーの全力を込めた一撃が、漆黒のゲルを斬り裂いた。
 ピエロの胸部がばっくりと斬り裂かれ、すさまじい量の血が噴き出す。
 マリーはその一撃で意識を失い、廃ビルの中へ自由落下していく。

 キライだ。
 この街も、
 苦しむ子どもたちも、
 苦しめるあいつらも、
 ……何も出来ない自分も。
 全部、全部、壊れてしまえばいい。

 マリーの意識は、そこで途切れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジン・エラー
【甘くない】

やッかましィ〜〜〜〜ヤツだなァ〜〜〜〜〜……ア?なンだよその目は
奇遇だなァ〜〜!エリシャァ!
オレもまだ、アイツを救ってねェ

クッヒャヒラヒャブヒャヒャヒャ!!!!
こりゃァ〜〜〜〜イ〜ィ!!いつもこうして運ンでくれよエリシャァ〜〜〜!!!

よォ〜〜!逃げずに来てやったぜ愉快なピエロ野郎!
ほォ〜〜〜〜!!何もかも面白ェなら案外気が合うかもなァ〜〜〜〜!!なァ、エリシャ?
ア?やめて欲しい?そォ〜かい

勝ちだの無駄だのしつけェ〜〜〜の ヤケクソにしか聞こえねェ〜〜〜〜ぞダサピエロ
ン〜〜なだから負けンだよ

オレがこの街全てを救ってやる
だからまず、手始めにお前が救われろ


千桜・エリシャ
【甘くない】

まあ悪くない道のりでしたけれども
一つだけやり残したことがありますの
まだ黒幕の御首をいただいておりませんわ
ふふ、話が早いようで助かりますわね

では参りましょう!
ジンさんを掴んだら
高速移動で煩いピエロの元へ真っ直ぐ向かいますわ
何を寝惚けたことを仰ってるのかしら
ピエロに向かって投げつけて

ごきげんよう、高慢なピエロさん
勘違いしないでいただきたいのですが
私は愉しい方へ味方しているだけよ?
そこの聖者様はどうか知りませんけれども
…冗談はその顔だけにしてほしいですわね?

早く動くもの――桜吹雪を囮にして
斬り刻んで差し上げますわ
私の刃は魂を捕食する
根比べといきましょうか
私が勝ったら
御首をいただきますわね



●望まれぬ救済のエゴ
 猟兵のユーベルコードをコピーしたジミー・ザ・ジョーカーは、ビルの間を跳ぶ。
 モンスターマシンはマグマの奔流に呑まれて破壊された。もうどうしようもない。
 だが、まだ手はある。ヴォーテックス一族がこの蛮行を見逃すものか。
 ヴォーテックス一族は酷薄だ。だが、猟兵の好き勝手は鼻持ちならないだろう。
 必ず、介入がある。自分はそれまで生きていればいい……!
「――……ヒャ……ハハ……」
「?」
 そのとき。
 ジミー・ザ・ジョーカーは、風に乗って誰かの笑い声を聞いた。
 こんな状況で笑っている? 猟兵にしてやられて狂ったレイダーか?
 ジミー・ザ・ジョーカーは声の方を振り返り、そして……仰天した。
「な、なァアアにィイイイ~~~!?」
「ヒャ! ハハハッ!! ウヒャラハハハハハァ~~~!!」
 人が! まるで砲弾のように、おもいっきりこちらへ翔んできている!
 翔んでいるのだ。ただし羽も、イオノクラフトめいた飛行機能も感じられない。
 まるで砲台から撃ち出された巨大な鉄塊めいて、等速直線運動でこちらへ飛翔!
「見ィ~~~つけたぜェ~~~~!!? 何処行こうってンだよピエロ野郎~!」
「な、な……ッ」
「グッヒャヒラヒャブヒャヒャヒャ!! そォら、受け止めてみなァ~~~!!」
 飛翔物体……ジン・エラーは、おもいきり握りしめた右腕に聖なる力を込めた。
 すなわち、「このクソふざけたピエロ野郎をぶっ飛ばす」というエゴを。
 右腕がまばゆいほどに輝く。現実を捻じ曲げ、道理を無理で叩き潰す力!
 それを「暴力」と呼ぶ。もっとも原始的な、もっともシンプルで効率的な道具。
「そのツラでェ、おもいっきり受け止めろよォ~~~!! ヒヒャホハハハハッ!!」
 SMAAAAAASH!!
「ブォワアアーッ!?」
 剛拳炸裂! ビリヤードボールめいて弾かれたジミー・ザ・ジョーカーは……KRAAAASH!! 廃ビルに斜めに突き刺さる! ジンは反動で地面にブレーキ着地。
 ざざざざざざ! とスライディングめいて減速したジンのそばに、
 千桜・エリシャがふわりと降り立った。そして、呆れたように肩をすくめる。
「いきなり「オレを投げろ」だなんて言うから、何かと思いましたわ」
「ヒヒヒヒャハハハ! それでマジに投げるオメェが好きだぜ、エリシャァ」
「あら嬉しい。次は自分でロケットパックでも用意してくださるかしら?」
「ブヘラハハハホヒヒヒッ!」
「あとその下品な笑い声も勘弁してくださいましね。もう」
「ヒヒヒッ! オレにだけ言う台詞じゃねえだろそれはよォ~~~~!」
 この状況にあっても、甘くないふたりはいつも通りだった。

「ヒ、ヒヒヒ……ッ」
「ほら見ろ。アイツのほうがきッたねェ笑い方してンだろォ?」
「どんぐりの背比べ。五十歩百歩。同じ穴のムジナですわ」
 がらがらと瓦礫を押しのけて、ジミー・ザ・ジョーカーが姿を現した。
「ヒヒヒッ! ホントにブッ飛んでやがる輩ばっかりだなァ猟兵ってのはァ!
 これじゃあピエロの面子丸潰れだよ! サーカステントも燃えチャッタ!」
「そのままあなたも燃えてしまえば、こんな苦労はしなかったでしょうに」
 エリシャはにこやかに微笑みながら、しゃらん、と剣の切っ先を向けた。
「それと、私ひとつだけあなたの誤解を解いておきたくてここまで来ましたの」
「誤解ィ?」
「私に限って言えば、ただ愉しいほうの味方をしているだけ、ということですわ」
 羅刹女は微笑む。
「人助けとか、義憤とか、正義とか……ちゃんちゃらおかしいんですもの。
 あなたみたいに高慢で勝ち誇った悪党を叩き潰したほうが愉しいんですのよ」
「ヒ、ヒヒ……ッ、人助けを謳う輩よりよっぽど狂ってるじゃねえか」
「あなたみたいなレイダーに言われると、ちょっぴり傷つきますわね」
 エリシャはこれっぽっちも傷ついていない顔だ。そしてジンをちらりと見やる。
「……ま、こちらの聖者様はどうか知りませんけれども」
「オレはただ、救済するだけだよ。勝ちだの無駄だのしつけェ~~~のさ」
 ジンはぴたりと笑いを止めて、醒めた眼差しでジミー・ザ・ジョーカーを睨んだ。
「オレはこの街全てを救ってやる。だからまず、手始めにお前が救われろ」
「救済、ねェ……救われる側の気持ちは知ったこっちゃなしかい」
「当然だろ? オレが救うのに、"救われる側なンざ関係ねェ"よ」
「ヒ、ヒヒッ! ヒヒヒハハハハ! アーハハハハッ!!」
 ジミー・ザ・ジョーカーは手を叩いて笑った。
「"こんなの"が猟兵かね! 何が俺たちと違うんだ? 一体何が!
 いつかお前らは知るだろうなァ、エゴイズムの限界ってやつをねェ。
 ――ヒヒヒヒヒ。楽しみだよ、お前らが"どうにもならないもの"にぶつかった時のことが」
「……それが仮に事実だとして」
 ふわり、と桜吹雪が吹きすさぶ。そして冷たい殺意がジミーを睨んだ。
「あなたがそれを見ることは、ありませんわ――!」
 神速の太刀! ジミー・ザ・ジョーカーはカタナで受ける。五の斬撃がぶつかった!
 火花が桜吹雪を燃やし、燃える残骸を払って聖者の光が飛びかかる。
「オレに! 限界なんざねェ~~~~んだよッ!!」
 SMASH!! 左拳! ジミー・ザ・ジョーカーは殴られながら散弾銃をファイア!
 散弾がジンの脇腹を吹き飛ばす。光が傷口を覆う。聖者は笑っていた。
「根比べといこうや。破滅なンてつまんねェもんにすがったテメェと」
「ただ己を貫く私たち。どちらが勝つか。どちらの首を落とすのか」
 狂人どもは嗤った。痴れ狂ったような笑みを。
「「「――勝負!!」」」
 そこにシンパシーはない。だが理解はある。同類への理解が。
 "そうやって生きるしか無い"モノへの、呆れと親近感がないまぜになった感情。
 そうだ。自分は"こうするしかない"。"これが自分"だ。それ以外の何者でもない。
 いずれ足を踏み外すとしても、止まれない。矯正も出来ないのだ。

 ――だがそれの、何が悪いだろう?
 だってこんなに愉しい。
 痛みも、
 苦しみも、
 殺意も憎悪も怒りも苛立ちも何もかも。
「アハッ! アーハハハハッ!!」
「イヒヒヒャハハ! ヒヒホハホホヒハッ!!」
「ふ、ふふ、ふふふふふ――!」
 笑い転げてしまいそうなぐらい、楽しくて楽しくて仕方ないのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィランサ・ロセウス
まだこんなアトラクションがあったのね!すごーい♥

まずタイヤで抉られた地面や、薙ぎ払われたビルの残骸といった【地形を利用】して身を隠しながら、【目立たない】ように近づくわ
ギリギリまで接近したら、ワイヤーガンを引っ掛けながら登頂開始!
対空砲火は巨体そのものを遮蔽物にして(敵を盾にする)射線を外し、
手足は可動範囲を見極めてなるべく届かないところを移動してピエロさんの元まで行きましょう

何かヒーローっぽい事言った方がいいかしら、ピエロさん?
でもね、勝ち負けとかこの戦いの意味とかどうでもいいの
私、ピエロさんの事も“大好き”だから!
【激痛耐性】で相討ち上等、UCで捕まえてからじっくり壊(あい)してあげるね!



●アイの定義
「ふふ、うふふふふ!」
 モンスターマシンによって破壊された街の中、フィランサ・ロセウスは笑う。
 モンスターマシンはマグマの中に沈んでいった。それはそれで構わない。
 だってフィランサの目的は、最初からジミー・ザ・ジョーカーなのだから。
 ああ。彼のことを壊(あい)したい。愛(こわ)してあげたい。
 殺戮衝動(いとおしさ)が溢れて溢れて、胸が張り裂けてしまいそう。
 だからピエロを目指す――見つけた。赤い糸で繋がれた運命のふたりめいて。
 ジミー・ザ・ジョーカーも、気付いた。異形の殺意はピエロにも感知出来た。
 なんだ? あれは。ただの少女? 否、それにしてはあまりにも……。
「イヒッ、アハハハハッ! お前みたいな猟兵もいるとはねェ!」
「さあ、壊(あい)してあげるね! ピエロさんっ!」
 カタナとハンティングナイフが打ち合い、がきぃん! と火花を散らした。
 両者は大きく後退。ジミー・ザ・ジョーカーは地面を滑りブレーキする。
 対するフィランサは勢いを殺さず壁を足場にし、三角跳び。逆に勢いを利用!
 さながら猿(ましら)めいて、頭上を取りにたりと狂気の笑みを浮かべた!
「何かヒーローっぽいことを言ったほうがいいかしら、ピエロさん!」
「ハッ、それこそお笑いだねェ! お前みたいなモノがヒーローだって!?
 俺たちと何が違う!? 猟兵とオブリビオンと云うだけじゃあないかネ!」
「うふふふ、ピエロさんはむつかしいことを考えてるのね、いとおしいわ!
 でもね、わたしはそんなのどうでもいいの。勝ち負けもむつかしいことも!」
 がん、ガ、ガ、ガガガガガッ!!
 ナイフとカタナが撃ち合う。互いに圧力に耐えきれず刃が折れた。
 ジミー・ザ・ジョーカーはショットガンを撃つ。BLAMN!!
 フィランサはとっさに瓦礫の中から鉄パイプを引き抜き、盾代わりにした。
 ぐるりとバトンめいて一回転させ、散弾を弾く。ボロボロになった鉄パイプを放棄。
「私、ピエロさんのことが"大好き"なの! 大好きで大好きで仕方ないのっ!
 壊(あい)してあげたくて、愛(こわ)してあげたくて仕方ないのよっ!!」
 がん、がん、がんっ!!
 インスタントウェポンをそこらじゅうから引き抜いて叩きつける。
 手数の差、膂力の差。狂気の差――フィランサが競り勝った! 命中!
「ぐあッ!?」
「当たったァ!」
 脳天を叩きつけられたジミー・ザ・ジョーカーに、にたりと死神が笑う。
 そして手枷と猿轡とロープを放ち、フィランサはロープを振り回した!
「ンンンンンーッ!?」
 身動きの取れないジミー・ザ・ジョーカーは、勢いよく……KRAAAAASH!!
 廃ビルに叩きつけられ、のたうち回る。フィランサはくすくす笑っていた。
「まだ足りない。もっと愛(こわ)しあいましょう! さあさあさあ!」
 その狂気は、レイダーよりもなおおぞましく、そして純粋だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
……何が、可笑しいっていうのよ……何の罪もない人々を殺して、何が可笑しいのよ!!
助けなきゃ、救わなきゃ……今すぐあの街を滅ぼさないと、もっと、もっとたくさんの民が……!

ふぇ?ケン様……?ねえ、ケン様?ケン様ってば!?
もう!何するのよバカ!ケン様のバカ!!もうちょっと、優しく触りなさいよ……
ふふっ……でもありがとう、ちょっと落ち着けたわ?ええ、今はあの外道を打ち倒す!!

UC発動。ケン様に全魔力を譲渡するわ。
真似されても、ケン様に敵うはずがない。
それに、信じて任せる相手なんていないアナタに真似なんて出来ない!

後はお願いね、ケン様。あなたを信じてるわ。完膚なきまでに、叩き潰してくれるって!


ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

えェい落ち着け。
(片手で髪をこねくり回す)

ンな糞ピエロの口車に態々乗せられてンじゃねェよ
(問答無用でわしゃる)
救いてェって思うのァ最早オメェの性分だ 大いに結構
(容赦なく髪をかき混ぜる)
けどなァ 熱くなり過ぎて目ェ曇らすのァ碌な事にならねェ。

熱ァ抜けたか?
落ち着いたな OK。

ンじゃァ一撃ぶちかましに行くか。
ブン殴りてェしなあの糞野郎 テントごとよォ
――行くぞフェルトォ!!

ガリバー:ハーケン射出・接続!
御覧じろ、テメェがオイタしてぶち倒したビルと瓦礫と鉄屑で出来た弩級人形
更にフェルトの全力支援付きだ

ンな不細工テントで防御できンならしてみろやァ!!

ブン殴れェ『ブロブディンナグ』!!!



●スクラップ・アンド・ビルド
「ハハ! ハハハハッ! アハハーハハハハッ!!」
 猟兵の攻撃を受けボロボロの有様で、それでもなおピエロは笑う。
 ジミー・ザ・ジョーカー。心の底から、根底から狂いきったレイダー・キング。
 どれだけ痛めつけられても、苦しめられても、それでもなお狂気を謳う。
 その笑い声は猟兵たちの無力を嘲笑うものだ。
 お前たちには何も出来ない、何をしても無駄だと見下すもの。
 たとえ自分を倒したとしても、お前たちは悪の根を断つことは出来ないのだ。
「……何が、おかしいっていうのよ……」
 フェルト・フィルファーデンは怒りと悔しさに、握りしめた拳を震わせる。
「何の罪もない人々を殺して、何がおかしいのよっ!!」
「アハハハハッ! イヒッ、イーヒヒヒーッ!!」
「アナタなんかに、子どもたちを、苦しめられる人々を笑う資格なんてないっ!
 ……そうよ、助けなきゃ。救わなきゃ……苦しんでる人々を今すぐに……!」
 フェルトは焦燥感にかられた。今も苦しむ人々の悲鳴が聞こえてくるかのようだ。
 助けてくれ。
 死にたくない。
 痛いのはいやだ。
 どうしてこんな目に遭わないといけないんだ。
 誰か。
 助けてくれ!
 助けてくれ!!
「この街を……滅ぼさないと、そしてみんなを、救わなきゃ……!」
「フェルト」
「苦しんでる人たちを、いますぐに……!!」
「フェルト!!」
「――……」
 フェルトは、ケンタッキー・マクドナルドの声に我に返った。
 そしてじっとこちらを見つめる彼の顔を、ぽかんと見上げている。
「落ち着け。……てめぇひとりが焦って慌てたって、何も出来ねェんだよ」
 ケンタッキーの言葉はつっけんどんで無愛想で、けれども。
 ……フェルトの頭をぐしゃぐしゃと撫でる掌は、不思議と暖かかった。
「ンな糞ピエロの口車にわざわざ乗せられてンじゃねェよ」
「わ、わっ」
 フェルトはぐしゃぐしゃと髪を乱されて、思わず困惑した。
「救いてェって思うのァ、もはやオメェの性分だ。おおいにけっこうだぜ。
 ――……けどなァ、熱くなりすぎて目ェ曇らすのァろくなことにならねェ」
「ケン、様……」
「だからいまは落ち着け。熱ァ抜けたか?」
「…………」
「どうだ。まだ何か言いた――いってェ!?」
 ぽかぽか。フェルトは手を振り上げると、ぽかぽかケンタッキーを叩いた。
「もうっ! 何するのよバカ! ケン様のバカ!!」
「な、何がだよッ!?」
「……もうちょっと、優しく触りなさいよ……」
「……おう。次は善処するぜ」
 今度はケンタッキーが目をそらす番だ。フェルトはくすりと笑う。
「でも、ありがとう。ちょっと落ち着けたわ。……ええ、やるべきことは討伐よ。
 あの外道を、あのピエロを……すぐにでも、打倒し、滅ぼすこと……ッ!!」
「そォだ。それでいい! さァ、行くぜフェルトォ!!」
「ええ、ケン様っ!!」
 ふたりは狂気のピエロを睨みつける。ピエロはにやりと笑い――迎え撃った!

 もはやモンスターマシンはない。
 だがジミー・ザ・ジョーカーは不敵な笑みを崩さない。
 それは、目の前のケンタッキーが持つ術式を理解し、再現してみせたからだ。
 ケンタッキーのGULLIVERを中心に、周囲の無機物が組み合わさっていく。
 ビル、瓦礫、鉄屑。破壊されたすべての残骸が、ケンタッキーの味方となる。
 それは敵も同様。ジミー・ザ・ジョーカーを中心に集まるマシンの残骸!
 だがケンタッキーは笑っていた。なぜならば彼にはもうひとりの味方がいる。
 勝利の女神。幸運の女神。フェルトという、最高の人形遣いが。
「マネされたって、ケン様に敵うはずがない。
 信じて任せる相手なんていないアナタに、真似なんて出来ないッ!!」
「――ああそうさ。俺様の"神の手"を、そう簡単に模倣できてたまるかよ」
 然り。組み上がっていくマシンの規模も精巧さも何もかも、段違いだ。
 ジミー・ザ・ジョーカーのそれは、悪意で凝り固めたかのように巨大である。
 しかし見上げるのはあちらだ。威風に慄くのもまた同様!
「ヒ、ヒヒ……ッ! こ、れ、は……!!」
「ンな粗悪品で防御できンならしてみろやァ!!!」
 ゴウウン――天貫く巨神兵が、その腕(かいな)を振り上げる。
「ブン殴れェ、『プロプディンナグ』!!!!」
「ウオオオオ――ッ!?」
 まさしくそれは現出した神。デウス・エクス・マキナ!
 破滅と裁きをもたらす超弩級の一撃が、仮初の粗悪品を叩き潰す――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
……弱い狗程よく吠えるとは能く云ったものだ
くだらん長広舌に何時迄も付き合う心算は無い
其のでかいばかりのガラクタも片付けてくれよう

形状から予測される可動域、砲の向き、飛来音の強弱
其れ等を使い戦闘知識で攻撃方向を読んで見切り
カウンターでの衝撃波で以って砲火を叩き落しつつ
脚力へと怪力回して一気呵成に接敵を図る
――遮斥隕征。無駄を知れ
機器や装甲の継ぎ目を裂き通し、
全力を乗せた斬撃を機関部へと叩き込んでくれる

未だ届かぬ事など承知している
だが其の程度の事が此の刃を止める理由になぞなるものか
水の1滴とて落ち続ければ岩をも穿つ
同様に、お前達を討ち果たす迄斬り続ければ良いだけの事
其の内の一刀を今お前にくれてやる



●たとえ、いまは届かないとしても
「まだだよォ!! まだだ、まだだまだだまだだァアッ!!」
 打ち砕かれた粗悪品――マシンの残骸をユーベルコードの力で組み上げ、
 かりそめの骨組みを生み出したマシンに乗り込み、ジミー・ザ・ジョーカーは叫ぶ。
 まだ終わっていない。
 まだ負けていない。
 まだ我々の狂気(パーティ)は、続くのだ!

 その狂気が、執念が、悪への欲望がなせるわざか。
 砕かれた不気味なマシンは半ば暴走しながら、無秩序に瓦礫を飲み込む。
 ケーブルが神経束めいて骨格に巻き付き、異常伸長した蔦のように蔓延る。
 ジミー・ザ・ジョーカーはけたたましく笑う。奴自身も現象を制御出来ていない。
「……愚かな。弱い狗ほどよく吠えるとは能く言ったものだ」
 鷲生・嵯泉は、そのがらんどうで不格好な巨躯を冷たく見上げた。
 まさに虎の威を借る狐めいて、その姿は異様だが実のところ空っぽだ。
 何を恐れることがあろうか。嵯泉はただ刀を抜いて、走る。
 BRATATATATATA――降り注ぐ砲弾。それは、嵯泉に届くことなどありえない。
 たとえ命中しそうになったとしても、神速の斬撃によって切り落とす。
 砲撃も、爆炎も、もちろん巨躯が繰り出す攻撃も阻むことは出来ない。
 残像すら生み出す速度で、割れた地面を踏み砕きながら嵯泉は、跳んだ!
「何をしようが、無駄だ――!」
 嵯泉は対空砲火を目にも留まらぬ剣技で切り払い、無効化し、一条の矢となった。
 狙うは中枢、ジミー・ザ・ジョーカーそのもの、あるいは機関部!
「ハァハハッハハ――ハッ!?」
 そして刃は、ピエロの胴体を杭のように貫いた。
 ジミー・ザ・ジョーカーは喀血する。嵯泉は煩わしげに返り血を拭った。
「水の一滴とて、落ち続ければ岩をも穿つ。今は届かぬとしても。
 その程度のことが、この刃を止める理由になぞならぬと知るがいい」
「……猟、兵……ッ!!」
「もっともお前は幸福だ。その滅びを、お前が目の当たりにすることはない」
 嵯泉は冷たく言った。そして突き刺した刃を、おもいきり横に払う。
 ピエロと同期して異形の機械は痙攣する。その痛みこそが猟兵の意地。
 いつかこの悪徳の街を叩き潰すという、確信に近い覚悟の賜物だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マディソン・マクナマス
【ローグス】

トラックの運転席で酒と薬物を大量摂取しUC【バレットタイム】発動

おっ、ビッグさァん! 悪ぃがジミー君にサイン貰いに行くから手ェ貸してや!

幻覚を視ているのかビッグではなく隣のゾンビに挨拶し、大量のビール缶とドラッグの空瓶で埋まったアクセルを踏み込み急発進

ビッグさんのゾンビを囮にマシンに接近
マシンの足元でトラックを乗り捨て、UCの肉体強化で強引に機体を駆け登りジミーに接敵
ジミーと同種の狂気の笑みを浮かべ、鳴宮さんと連携しダイヤモンドチタン製付け爪で斬り掛かる

同じイカレ野郎のよしみだ、精々最後は派手な血塗れショーと行こうぜ! どうせ明日にゃ新しい道化があんたの代わりに王座についてんだ!


ビッグ・サン
【ローグス】
「やっほー皆さん」

悪人顔のマディさん、ジャンキーな心さん、いつも笑顔のアキちゃん、期待のルーキー九十九ちゃん
悪党仲間と合流してビッグがニコニコと声をかける

でっかい相手が出てきましたね
みんな不意打ち騙し討ちが得意であるが、ああいう大物を相手するのは苦手である
ただ、真に倒すべきはテントの上のピエロだ

あれなら殺せる

「では、私はみんなのサポートといきましょう。シャークトルネードという技を聞いたことがありますが、私はゾンビでやりましょう。ゾンビネードですよ」

これまでに集めた死体に水晶を埋め込み、水晶屍人にしてテントの周りを舞わせましょう

ピエロの目をゾンビネードに向けさせ、囮として頑張りますよ


鳴宮・心
【ローグス】で参加

こいつはクライマックスにお似合いのヤツだぜ!

ハッピードロップで手早く追いお粉をしながら、マディソンさんのトラックごとモンスターマシンへ突撃
ヒャハハァ! マディソンさんもご機嫌ですねぇ!

ビッグさんのゾンビを目隠しにし、了さんやゆかなさんに気を引いて頂いている間に、モンスターマシンを駆け上がりジミーを狙いに行きたいところ

接敵が出来たならば「殺戮衝動」を使用して殺意を高めます
狂えば狂うほど、この刃で斬り裂けないものは無くなりますから

テメェのビビッドカラーを切り刻んでやんぜぇ!

駄目でもモンスターマシンの配線を切り裂いて腕や足の一本でも行動不能にしておきたいですね


九十九・ゆかな
【ローグス】。最初っからマジモードで頭回していくよ。

上に行く人にはリモコン爆弾を配る。私の機動力じゃ上には到底たどり着けないからね。

次にモンスターマシンが突っ込んでくる前に攻撃の準備。工兵の本気っての見せないとね。
「術式:一人分隊」の分身達でレイダーたちの使ってた爆破物一式を回収、それをジミーのマシンが通り過ぎそうな道に建ってるビルに仕込んで倒壊させてぶつけるなり走行の邪魔にするなりしよう。あのピエロ、愚直に突っ込んできそうだし。

……っとと、マディソンさんが乗ってたトラックと積んでる資材はキッチリ回収しておくっすよ。せっかくここまで守ってきたんっすからね。


駒鳥・了
【ローグス】
マクさんもなるみーさんもデキ上がってるしぃー
ビッグさんもなんか仕込み始めたしぃー
ここまで来てアレを倒さないのも本末転倒だしぃー
てゆかマクさん、サインってなんなん
握手してそのまま宙へポイするとか?
しょーがないからもう一働きしよっ

ってコトで引き続きオフ車で出動!
ザコはもーあんまり構わないでおこっと
目指すはサーカス足元!
なるたけ目立たないよーに建物の影とかを上手く使いつつ
見つかったら残像で攪乱してこー
ツクさんの援護もめっちゃ助かる!

タイヤにナイフが届く距離にまで近づいたら
タイヤに向かって乱れ撃ち&UC発動!
コレで止まるといいんだけどねえ

ま、無理せず離脱して回収後のトラック援護しとこっと



●無法者どもの快進撃!/ローグス・マーチ!
 ザッ、ザッ、ザッ。
 腐った屍人どもが、レトロ映画めいて両手を突き出しゆらゆらと歩く。
 まさにデッドマン・ウォーキング。生者と死者の世界がひっくり返った。
 屍人に差別はない。身分も、人種も、性別も、立場も、何も関係がない。
 レイダーだろうが、
 奴隷であろうが、
 はたまた奪還者であろうが。
 あるいはビッグ・サンは手ずから持参したとっておきのゾンビであれ。
 もう諍うことも、痛めつけ合うことも、怯えることも、そもそも何も考えず。
 屍人の群れは行進する。砲火が落ちて爆炎に呑まれようと躊躇せずに。
「「アッハハハハハ!!」」
 そんなデッドマン・ウォーキングの只中を走る、一台の大型トラック。
 運転手のマディソン・マクナマスと、トラックに乗る鳴宮・心は、
 もう完全にキマっていた。マディソンに至っては酒とドラッグを併用している。
 完全なバッドトリップ。ふたりして、ドープな気分に耽溺している。
「おっ、ビッグさァん! 悪いがジミーくんにサインもらいにいくからさァ!
 手ェ貸してくれや! ……え、オッケー? さっすが話がわかるゥー!」
「ア゛ー」
「えっ、マジ!? いいねェ、帰りに寄ってくかそのハーブ店!」
「ア゛ー」
「ブヒャヒャヒャヒャ!! ビッグさん冗談うめェなァー!!」
 と、酒瓶片手にマディソンが話しかけているのは、ビッグではない。ゾンビだ。
 アー、とかウー、とかしか言わないのだが、マディソンは大爆笑だ。
 どうやら見えてはいけない世界が見えているらしい。それは心も同じである。
「アーイイ、アーキク……ヒャハハハァ! マディソンさんご機嫌ですねぇ!」
「ア゛ー」
「おや、ビッグさんもいましたか! これは奇遇! ご無沙汰してます!」
「ア゛ー」
「そうでしょうそうでしょう、世界は平和が一番ですとも!」
 こっちもこっちで、何処の誰か知らないゾンビとケタケタ談笑していた。
 まあ談笑といっても、ゾンビのほうは完全に目玉が腐り落ちているのだが。
「やあマディさん、心さん……と、完全に話が通じていませんね」
 本物のビッグが朗らかに声をかけるが、当然気付かれるわけがなかった。
 しかし、ビッグはあまり気にしていない。彼も彼でハイになっているからだ。
 ドラッグのせい? いいや違う。
 ならば酒か? それも違う。
 ……デッドマン・ウォーキング。屍人が生者の世界を脅かすこの風景。
 それ自体が、ネクロマンサー兼ゾンビメーカーにとっては最高にキくのだ。
 そしてビッグは彼方を見やる。瓦礫を無理やりこねくり回した異形のマシン。
 最初に君臨していたサーカスマント型モンスターマシンは壊れたらしい。
 ジミー・ザ・ジョーカーに、あんなものを作り出す力はないはずだ。
 となればあれは、誰ぞか猟兵のユーベルコードをコピーしたものだろう。
 そして制御しきれず暴走している……いや、それだけでは説明がつくまい。
 どこかから魔力か活力が流れ込んでいる……だとすれば誰が?
 ビッグの推測はそこまでだ。だが実際、いいところに辿り着いていた。
 ……猟兵たちは知る由もないことだが、たしかに外部からの介入が起きていた。
 謎めいたヴォーテックス一族。その見えざる力がピエロに流れ込んでいたのだ。
 無論、手助けのためではない。爆発物めいて自滅させるための強制装置。
 それがあの異形のモンスターマシンを生み出していたのである。
 仮にそれを理解したとしても、猟兵たちがやることは変わらないのだ。
 ジミー・ザ・ジョーカーを殺し、この馬鹿騒ぎを終わらせることなのだから……。

「……よし、爆破物はこんなところか、っと」
 一方その屍人の軍勢から離れ、廃ビルの崩れかけたオフィス内。
 九十九・ゆかな……の、分身体のひとりは、額の汗を拭った。
 その手には、レイダーが使いそこねた爆発物が握りしめられている。
 ゆかなは"一人分隊"を密かに散開させることで、"残り物"を回収していたのだ。
 連中は馬鹿げたレベルの火力で武装していた。大半は使われずじまいだ。
 そのまま放っておくというのは、ゆかなのリサイクル精神が許さなかった。
 爆薬は使ってやってこそ輝く。利用されずに消えていく道具は哀しいものだ。
 ……などと記すとエコ精神溢れる見上げた心意気である。だが爆発物!
 やることは破壊、そして殺戮。相手が悪党だろうとえげつない手なのは変わらない。
 そしてそんな「爆発」というシンプルで心地よい解決方法をこよなく愛する。
 それがゆかなという戦場傭兵であり、事実彼女の口元には笑みがあった。
『ツクさん、準備終わったァー?』
「おっとと。ええ、こっちはもうスタンバイOKっすよ」
『ツクさんは真面目だな~。マクさんやなるみーさんとは大違いだよ』
 通信機の向こう、駒鳥・了はオフ車を運転しながらぶーたれていた。
 あのヤク中どもに呆れ果てているのが半分、仕事を押し付けられた苛立ちが半分。
 マディソンも心も派手にキメている。あんな楽しそうに笑っているではないか。
 呑気なものだ。こっちはモンスターマシンの足元で大立ち回りの最中なのに!
 ギャギャギャギャ!! ドリフトするタイヤが派手に土煙をあげる。
 走り抜けたすぐ後ろを、巨人の足よりもなお巨大な脚部がストンプした。
 KRAAAAASH……地面が大きく鳴動し揺れる。了は心地よいスリルに哄笑した。
「あーまァいっか! こっちはこっちでおちょくってるみたいで愉しいしィ!
 ほらほら当ててごらんよ、まァ無理だろーけどね! 当たるつもりないし!」
 ジミー・ザ・ジョーカーが運転……あるいは半ば融合……したモンスターマシンは、タカアシガニめいた異形となった。そして、無数の足で"地団太"を踏む。
 ズズン、ズシンッ!! 地鳴りでオフ車が揺れて、小人めいて垂直に跳ねた。
 丈夫なサスペンションが衝撃を受け止める。了は上に下に左右に揺れながら、
 まるで大人の視界をちょろちょろ動く子どもめいて鬱陶しく駆けずり回った。
 たかが女ひとり。それを、ここまでの巨躯ですら殺すことが出来ない。
 モンスターマシンは足を止め、砲火で了を吹き飛ばそうとした。
 すると、KA-BOOOM!! 両隣にあった廃ビルが派手に爆炎を噴き、崩落する!
『アアアアアーッ!? トラップだなァんて、こしゃくなんだよォー!!』
「それ、工兵にとっては褒め言葉っすよ? 搦め手使ってナンボなんで」
 安全圏に避難したゆかな本体は、サイレンめいて響く減らず口に言い返した。
 KRA-TOOOM……爆薬が連鎖爆発を起こし、地盤を崩してマシンを揺るがす。
「さぁっすがツクさん! 援護めっちゃ助かるゥー!!」
 了は崩れ落ちる脚部の間を逃げ惑うアリのようにちょこまかと駆け抜け、
 脚部の根本、あるいは駆動部めがけナイフを投擲! 投擲!! 投擲!!!
「これで動きは止められた……かな?」
 その時! 爆炎を突き抜けて、屍人の軍勢とトラックが飛び出した!
「イヤッハァー!! さあいきますよマディソンさんッ!!」
「では、私はみんなのサポートといきましょう。名付けて――ゾンビネード!」
 まず飛び出したのはゾンビ……の、竜巻!? あるいは、矢!?
 なんとも形容しがたい屍人の群れが、ミサイルめいて射出されマシンに激突!
 巨体が大きく傾ぐ。そこに、命を捨てた狂気のトラックチャージ!!
 KRAAAAAASH!! トラックは巨体に突き刺さり、マディソンと心が飛び出した!
「「ヒャッハー!!」」
 ほぼ垂直のボディをものすごいスピードで駆け上がるジャンキーふたり!
 機体と半ば融合したジミー・ザ・ジョーカーは、刃物を手に迎え撃った!
「アッハハハハ! よくやるものだねェ! イッヒヒヒヒヒ!!」
「同じイカレ野郎のよしみだ、せいぜい最後は派手な血塗れショーといこうぜェ!」
「テメェのビビットカラーを切り刻んでやんぜェ!!」
 狂人三人が殺し合う。刃が嵐のように渦を巻いて血と肉が撒き散らされた。
 揺れるマシンの真上で繰り広げられる殺し合いを、ゆかなたちはぽかんと見上げた。
「……あとでちゃんとトラックと資材、回収しておかないとっすねえ」
 それはまるで、やんちゃをする子どもに呆れる母親めいた声音である。
 だが彼らはみんな無法者(ローグ)。快進撃に酔いしれ喜ぶ外道ども。
 ゆかなも、ビッグも、了も――心の底から愉しげに、笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レムリア・ザラタン
1発ジャブを貰っただけで癇癪とは
随分と可愛らしい狂人気取りだ
それとも眼中に入れて貰えずに拗ねているのか?
こちらも暇ではない。ECMのノイズを子守唄代わりに聞かせてやるから、大人しく寝ていたまえ

サーカステントの中枢系をダウンさせ動きを止め、その隙にありったけの弾幕を叩き込む
中枢を再起動されるかもしれんが…むしろその方が好都合だ
何しろ寝起きの瞬間こそバックドアを仕掛け易い
ハッキングで機関部を暴走させ爆破、弾薬に誘爆させ内部から破壊する
お前には過ぎた玩具だ

無駄だと笑われた研究や行為が有益だった事など古今幾らでも例がある
今回の猟兵達の行いも、いずれ実を結ぶに違いないと私は信じるよ
その方が面白いだろう?


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

…ふふ、うふふふ。いやあ、負け犬の遠吠えって気分いいわねぇ。
あら、だってそうでしょぉ?今の状況、クソガキが因果応報で酷い目にあった後「パパに言いつけてやる」ってほざいてるのと変わらないじゃない?
…と、割と本音ではあるけど○挑発してはみたものの。あのイカれっぷりでどこまで効果あるかしらねぇ。多少目を引くくらいはできたと思うけど。

あれだけのデカブツ相手にするなら、まあ定石通り懐に飛び込んで、よねぇ。装甲と強化を維持したまま突撃、●重殺ブチ込んでやるわぁ。
シゲルの二乗・カノ・ベオーク・ウルにハガル…あたしの現状最大収束火力、喰らって吹っ飛びなさいな?


アレックス・エイト
この感覚…先程の視線の正体、やはり奴でしたか
猟兵としての初陣の時といい、道化師にはよくよく縁がある

…確かに、この瞬間にも我々の手の届かぬ所で無辜の民が虐げられている
だからこそ私は希望を示さねばならない
彼らを支配する者は絶対的な存在ではないと、抗う事が出来るのだと示さねばならない
その証明の為にも奴を正面から打ち破ります

魔力弾での迎撃と障壁での最低限の防御
対空砲の死角までスラスターで突っ切り、道化師にプラズマパイクを叩き込みます
猿真似の雷をぶつけてきた所で、奴には決定的に足りない物がある
誇り、矜恃、そして実力だ
リミッター解除、拮抗する雷に残存魔力を注ぎ込み撃ち貫きます
貴方も雷帝の怒りに触れるといい


サフィリア・ラズワルド
POWを選択

飛んでマシンに接近して攻撃を避けつつ敵に話しかけてみます。

貴方何言ってるの?勝てない?逃げる?
そうだよ、だって今全部を全部なんとかできるわけないもの、当たり前でしょ?だからこうして聞こえた叫びに応えてるのよ。

【白銀竜の解放】で四つ足の飛竜になり青い炎を吐きます。防がれても炎が敵に届かなくても構いません。

質問なんだけど、そのご自慢のマシーン耐熱材は使ってる?炎を防げても熱はどうかな?

『勝てない逃げると言いましたけど、貴方から逃げるとは言ってないし勝てないとも言ってません』

アドリブ協力歓迎です。


ニィナ・アンエノン
わ、強そうなでっかいのが出てきた!
でもにぃなちゃん的には勝ち負けは度外視!
どーもこーゆー危ないレースの方が燃えるタチみたいだから☆

とゆー事で子供たちは皆に任せてとつげーき!
流石に真正面からぶつかると死んじゃうから【オーラ防御】と【操縦】テクを駆使して相手のタイヤや瓦礫から身を守ろう。
その間に敵マシンを【視力】全開でよーく見て【情報収集】、弱点っぽい部分を探して、上手く見つかればこっちのもん!
レーザーやライフルの【乱れ撃ち】を【目潰し】に使っいつつ、ブラスターを【リミッター解除】!
【念動力】でビームを【誘導弾】にしてユーベルコードで弱点を狙い撃ちだ!
【スナイパー】としては、的は外せないよね☆


セツナ・フィアネーヴ
勘違いしているようだが、これが私達の、猟兵の全てだと思っていたのか?
なら、教えてやる。
この街の災いは、ここから始まるのだと

幸いというべきか、巨神は存在を知られているが、私達自身の姿は晒していないし、こっちは子供たちも連れていない、なら……

後ろ、或いは横からテントへ接近し
UC【穿ち抉れ、衰退の短剣】を

さすがにあの道化自身のUCを封じるのは難しいが、
本命は短剣が帯びた「衰退の災い」そのもの

数の都合から全砲塔は無理としても、
車輪部・機械腕のような重要そうな部位へと投げつけ、
剣の持つ衰退の力で機能不全を起こし味方の支援を行うぞ

大きく目立つ天災だけが「災い」だと思ったら、大間違いだ

※アドリブ連携歓迎です


リュドミーラ・シェスタコフ
全ての人を助けることはできなくても…今、救えた人がいることに意味はあるのです。

少なくとも、この街から救い出した人々を無事に逃がすため、ジミーの追撃を止めなければいけませんね。
マシン上でふんぞり返るジミーへ指先を向けて≪ジャッジメント・クルセイド≫を発動。
「祈り」を込めた「全力魔法」で天から放つそれは、地上の敵よりむしろ命中しやすいのではないでしょうか。
何度もジミーに通じるとは思えないので、不意を突ければ後はマシンの関節部等を散発的に、
ダメージの入りやすそうな場所を狙った攻撃に切換え時折ジミーも狙います。
とは言え主行動は慣れない運転での逃走。可能であればどなたか同乗したいですね。

アドリブ絡み歓迎


陸郷・める
☆……7号、あれ、いくよ。
★ハァ!?全力全開ってめるお前
☆足止めなら、める達の方が適任……だよ
★(変な唸り声)
ああもうわかった!無茶だけはすんじゃねぇぞ!
☆Vエンジン、戦車に連動、《リミッター解除》、《限界突破》……そして【タンクキャバリア】!
★機動力は落ちたが、その分火力と装甲は増強だァ!
敵の武装に偽神兵器砲塔で《砲撃》を繰り返しつつ、対空砲火が収まったら跳躍して奴に接近だ

……ようクソピエロ
知ってるか?レイダーなんてな、どんなに調子乗ろうがいずれあっけなくバカみたいな死に方するんだぜ?

そして今日はテメーの番ってわけだ!
重量載せた戦車の回し蹴り、顔面に食らいやがれェ!!

※アドリブ連携歓迎です



●破滅へのカウントダウン

 オオオオオオン――!!

 まるでサイレン……あるいは天を支える巨人の苦しみのような雄叫び。
 巨大エンジンのエグゾーストとも、意思ある機械の雄叫びともつかぬ大音叉。
 キィン、と共鳴した音波がすさまじいノイズを生み、退廃の街を駆け抜けた。
 かろうじて割れ残っていた廃墟のガラスは微塵に砕け、瓦礫はバラバラになる。
「……っ! なんという、狂気にまみれた悲鳴、いえ、これは……!」
 リュドミーラ・シェスタコフは足を止め、頭を抑えてうずくまった。
 感受性の高いリュドミーラにとって、そのいななきはあまりにも"巨大"だった。
 ……あのマシン。一度猟兵の猛攻に破壊され再び立ち上がった機械の巨躯。
 だがもはやサーカステントの面影も、モンスターマシンの面影もどこにもない。
 無秩序に伸び続ける植物の塊じみた、グロテスクな異形であった。
 迂闊なユーベルコード複製の結果である。その中心にレイダーピエロがいる。
 いななきは、その機械からほとばしっていた。声のようでありノイズでもある。
 ジミー・ザ・ジョーカーの狂気を核とした、獲物を求める機械の咆哮。
 まさしく"モンスター"マシン……鋼の魔物が、生まれつつあるのだ。
 リュドミーラは考えた。安全圏に逃れた人々は無事だろうか。
 もしもまだ逃げ遅れている人がいるならば、なんとしてでも守らねば――と。
「……案ずることはない。たったいま、戦闘領域からの完全離脱が確認された」
 そんなリュドミーラの思索を表情から悟ったか、少女の声がする。
 周囲に無数の電脳映像を投影したレムリア・ザラタンは、厳かに言った。
「誰ひとりとして逃げ遅れることも犠牲になることもなく、街から逃げ出せた。
 ……もはや私たちがかかずらうものはない。あるとすれば、"あれ"だけだ」
「そう、ですか……それは、なによりです」
 猟兵たちの行動を電脳魔術によってリンク・ナビゲートしていたレムリア。
 彼女の言葉はまったき真実であり、もはや非戦闘員はこの区域に一人もいない。
 彼らがこれから挑むことになる苦難の日々は、戦いのあとに考えるべきこと。
 ……ここからは闘争ではなく、反撃が始まる。リュドミーラは立ち上がる。
「であれば、救えた人々を、そのいのちを無駄にしないためにも」
「ああ。あの狂った機械仕掛けの神を、私たちの手で打ち砕こう」
 オオオオオオオン――!!
 二度目の咆哮。もはやリュドミーラは、うずくまることはなかった。
 強い祈りと克己の心で狂気をはねのけ、そしてレムリアとともに駆け出す。
 目指すべきは外ではなく、内。滅ぼすべき悪は、そこに君臨している。

《オオオオオオン――!!》
「まったく、これでは災禍がどちらかわからないな……!!」
 KRAAAAASH!!
 巨大脚部によるストンプ轢殺攻撃を回避し、セツナ・フィアネーヴは言った。
 避けるべき攻撃は、巨体から繰り出される脅威的な質量攻撃だけではない。
 瓦礫を砕き、飲み込み、そして同化していくモンスターマシンの"蔦"も同様。
『こちらを直接個体として認識したわけでは、ないようですね』
「ならば僥倖だ。このまま巨体の影に隠れ、うまく背後を突いてやる」
 相棒である精霊アリシアの言葉に応え、セツナは危険なマシンの真下を駆ける。
 彼女の狙いは、その短剣に帯びた"衰退の災い"を敵に叩き込むこと。
 マシンに半ば飲み込まれたジミー・ザ・ジョーカーに直接突き立てられずとも、
 駆動部、あるいはエンジン部……重要そうな部位に刃を突き立てれば話は終わる。
 影から生み出された災禍の力は生きる鋼を伝い、すべてを脅かすだろう。
 さながら、強壮な巨獣すらも猛毒を盛られればあっけなく痙攣し死ぬように。
 そのためには、余計な防御や備えをされずに確実に一撃を叩き込む必要がある。
 ……加えて言えば、攻撃した「あと」の話。つまり、敵の反撃も懸念だった。
 正確に言うと、セツナ自身は敵のカウンターなど気にしていない。
 それを警告したのはアリシアだ。彼女は、セツナの身を案じているのである。
「安心しろ、アリシア。あんなふざけた狂人と相打ちになるつもりはない」
『……そうですよ、セツナ。あなたは、ここで死ぬべきではありませんから』
「わかっているさ。この程度の災害で、私が死んでたまるか……!」
 一瞬でも怯えまどい足を止めれば、巨躯の質量はたちまちセツナを押しつぶす。
 しかしそれゆえに、嵐じみた垂直下はマシンにとっても死角のようだ。
 そもそもこんなところを、好んで通り過ぎようとする輩はいないのだから。
 セツナは息を潜め気配を殺し、破滅的な質量攻撃の雨を回避し続ける。
 傘の下には傘の下の地獄がある。ならば、その外はどうか。

 内側には内側の地獄があり、そして外には外の地獄が存在していた。
 砲火である。異形の巨体、全身のあちこちから生えたランダムな砲塔。
 瓦礫や銃器、あるいは大砲の残骸を無理やり粘土めいて捏ね上げたそれらは、
 自壊しながら砲弾をばらまく。その自壊による誘爆も、接近を困難にさせる一因。
 先の追走劇における対空砲火など、子どもの遊びだと思わされる超・弾幕。
 このヴォーテックス・シティの超・超規模に相応しい、馬鹿げた量の爆薬が翔ぶ。
 上にも。下にも。さらに神話の怪物リヴァイアサンじみたマシンアームの攻撃。
 ただアームが右から左へ薙ぎ払うだけで、終末じみた災禍が地上を襲った。
 それは"薙ぎ払う"というよりも、むしろ"押し流す"あるいは"洗い落とす"域だ。
 何ひとつ存在を許さない。そういう、無機質で絶対的な暴威の竜巻であった。
「わ、わ、わ! どんどんおっきくなってるよ、あのマシン!?」
 神業的なドライビングテクニックで、地上の災禍を掻い潜る少女。
 ニィナ・アンエノンをして、この状況は前例がないほどの修羅場と言えた。
 観察する暇もない。一秒でも――いや、コンマ秒でも意識を逸らせば、死ぬ。
 マシンアームによる薙ぎ払いと、降り注ぐ無限じみた砲火も極めて危険だ。
 だがそれに輪をかけて厄介なのは、巻き上げられた瓦礫片の落下である。
 空中で爆ぜた榴弾の破片も含め、破壊のあとには一種の"雨"が降り注ぐ。
 狙いも、見当もつけていない、それゆえに計算予測不可能の死のスコール。
 ここまで来ると、観察し予測するという常識的手段では立ち行かなくなる。
 ギリギリの瞬間まで状況を見極め、第六感と経験を束ねて判断するほかない。
 いわば、一秒ごとの綱渡り。足を止めれば沈む蓮の葉を渡るような。
 左か? 右か? 最高速で駆け抜けるか、あるいはブレーキを踏むか?
 思考速度ですらおっつかない状況判断は、体に染み付いた経験が可能にする。
 いや、経験"だけが"というべきか。才能があれど素人では即座に死ぬ。
 いくつもの修羅場をくぐり抜け、己と愛機を知り尽くした者だけが生き残る。
「これじゃ目潰しどころじゃないよぉ! でもだからって、諦めないからねっ!
 にぃなちゃんを倒したいなら、もっともーっと降らせてごらーん!」
 そんな阿鼻叫喚のなかを、ニィナは挑発すら交えて躱し続けていたのだ。
 もちろん、生き残っているのは彼女だけではない……頭上を見てみるがいい。
「猟兵としての初陣といい、道化師にはよくよく縁がある……ッ!」
 機械魔道士アレックス・エイトはスラスターと魔力制御で高機動を実現し、
 点や線どころか面で襲いかかる弾幕の、針の穴じみた隙間を高速飛翔する。
 よく実現困難な物事を「ラクダを針の穴に通すが如き~」と表現するが、
 この場合はさながらウォーマシンを針の穴に通すが如き、というところか。
 そして驚くべきことに、比喩ではなくその偉業は現在進行系で実現している。
 回避と迎撃。機械生命だからこそ可能なタイムラグなしの同時行動。
「……たしかに、この程度の試練で屈していては滅殺は為らないのでしょう。
 この瞬間にも我々の手が届かぬところで苦しむ、無辜の民が居るのですから」
 けれども極限の集中が、そして義憤がアレックスの電子頭脳を冷やしていた。
 機械生命にこのような語彙を用いるのは、いささかふさわしくないかもしれない。
 だがあえて言おう。もはや彼は、怒髪天を衝いて呆れ果てていたのだ。
「だからこそ、私は――いいえ、私たちはここで希望を示さねばならない。
 救われるべき人々に、そして彼らを支配しふんぞり返る強者どもに」
 スラスターの軌跡が、いっそ芸術的な飛行煙を空に描いた。
 それも瓦礫片と砲火によってかき消される、意味はないのだとばかりに。
 サイズ差はもはや羽虫のようだ。だが、アレックスは諦めない。
 ……諦めてはならないのだ。己が、己であるためにも!
「あなたたちを支配する者は、絶対的な存在などではないのだと!
 抗うことが、打ち倒すことが出来るのだと、騎士として示さねばならない!」
 ZZZZTTTTT……機械杖レーヴァテインの先端から迸る、蜘蛛の巣めいた稲妻。
 それは天を貫く神の怒りが如く、無限じみた弾幕をも焼き払った!
「ゆえに! 正面から打ち破ります――!」
 間隙が生まれた。アレックスは迷うことなく、一気に肉薄する。
 だが、おお……敵もそれを読んでいた。ジミー・ザ・ジョーカーがにやりと笑う!
『いいねェその派手なユーベルコードォ! ワタシにも真似させてくれよォ!』
「……!!」
 モンスターマシンに、避雷針めいた奇怪な棘状物体が複数対生えた。
 それは致命的プラズマ光を放ちながらエネルギーを収束させ――爆発!!

 だが。
 アレックスは、先の先を読んでいた。
 その模倣こそが、アレックスにとって真の間隙を生む一手だったのだ。
 たしかに術式はコピーしただろう。
 その威力は己のレーヴァテインのそれと、規模的には比べ物になるまい。
 だが足りぬものがある。それは、誇りと、矜持――何よりも、実力。
 そしてもうひとつ。アレックスすらも計算外だったものは!
「ようやくシステムを曝け出してくれたな。ECM、最大出力!」
「そんなことはさせません――!」
 レムリア、そしてリュドミーラの同時攻撃!
 レムリアの兵装から放たれた超容量のノイズデータが、ボディに突き刺さる。
 パルスウェーブに対する抵抗力を、攻撃準備中のマシンは持ち合わせていない。
 見えざる電子の毒は光の速度でマシンを飲み込み、そして中枢を襲った!
『アアアアアアアアアッ!?』
 さらにリュドミーラのジャッジメント・クルセイドが炸裂!
 巨躯をも貫くかと思われるほどの、超・極太の光の柱が突き立った。
 破裂寸前のプラズマ光をも飲み込み、神なる光が棘状物体を融解破壊!
「あなたも、雷帝の怒りに触れるといい――!!」
 アレックスが予期していなかったもの。それは、仲間という予定外の力。
 絶望という計算式をも覆す、同じ生命の祝福者たる猟兵の底力なのだ!
「ようやく邪魔っけな弾幕が途切れたわねぇ、待ってたわよぉ?」
 そしてこの好機を逃さず掴み取ったのは、アレックスだけではない。
 やや離れた空域で決死の回避機動を続けていたティオレンシア・シーディア。
 彼女はあくまで、常人のアーチャーだ。あんな馬鹿げた大破壊など不可能。
 ……普通であれば。しかし、その無理を可能にする手がひとつだけある。
 ユーベルコードは奇跡を起こす力。あらゆる過程と論理を覆し超克する術式。
 ティオレンシアは、愛機ミッドナイトレースの機上でリボルバー銃を構えた。
 おお、異形の巨体に生えた無数の砲塔に加えて、なんとちっぽけなことか。
 それでは人間は殺せても、あの怪物じみた機械じかけの神は破壊できまい。
 "それが当然"だ。"それが常識"だ。"それが必然"だ。
 ――ユーベルコードは、その当然を、常識を、必然を覆してみせる。
 ドウドウドウドウドウ――五発の弾丸、ちっぽけな楔が巨体に当たった。
 豆鉄砲以下の小さな小さな楔。ティオレンシアはにたりと笑う。
「あたしの現状最大収束火力――喰らって吹っ飛びなさいな?」
 シゲル^2。
 カノ。
 ベオーク。
 ウル。
 五つのルーンを刻まれた弾丸が共鳴し、音叉のように響きあった。
 そして、六発目――豆粒以下の、小さな小さな弾丸。
 ……ハガル。このルーンの炸裂をもって、"重殺"の術式は完成する。
 おお、見よ。五つの弾丸の結節点に突き刺さった弾丸が――KRA-TOOOOM!!
『な、なぁあああにぃいいいい!?』
 大爆発! たった六発の拳銃弾ではありえぬほどの破滅的爆炎が火を吹いた!
 それはモンスターマシンを大きく傾がせるほどに強烈。まさに局所的崩壊!
 これこそが、ただの女に出来る、神をも殺す一手……!

『――それで? どんな気分?』
 爆炎を上げて大きく傾いたモンスターマシン、その中枢。
 神経束じみたコードとケーブルに呑まれたジミー・ザ・ジョーカー。
 亀裂めいた隙間から、レイダーピエロはたしかにその声を聞いた。
 一体の飛竜。紫の眼をした白竜が、冷たい双眸で男を見下ろしている。
『勝てない。逃げる。あなたの言ってることは非論理的で、それこそ無駄よ。
 だって私たちは、いますぐ全部を全部なんとかしに来たわけじゃない。
 ただ聞こえた叫びに応えて、ここへ来た。あなたは最初から履き違えているの』
 サフィリア・ラズワルドは……白き竜は、愚か者を諭した。
 竜とは生態系の頂点。幻想に生きる怪物であり、すべての生命を超えるもの。
 ただ存在するだけで神の如く世界を書き換え、畏怖と崇敬をもたらすもの。
 つまりは暴威の具現化。その言葉は、思い上がった愚者への説教だ。
『"あなたは私たちの敵で、私たちはあなたの敵なのよ"』
 竜は云う。
『あなたが、いまここで、私たちを倒さねばならない。それだけを考えなきゃ。
 ……なのにあなたは、助けに来もしない虎の威を借りて吠えまわった。
 だからあなたは、間違えているのです。何をすべきか、何を見るべきか』
 ……然り。ジミー・ザ・ジョーカーはそこから履き違えていたのだ。
 奴は『猟兵と戦うレイダー・キング』であり、この超・超巨大都市の王ではない。
 あくまで配下であり、捨て駒であり、居ても居なくてもいいただの雑魚だ。
 ピエロは最初から敵を、敵だけを見るべきだった。
 死に物狂いでこの戦いを生き延びようとするべきだったのだ。
 ……しかしそれは出来ぬ。
 なぜならば奴は……否、奴らは、レイダーとはすなわちオブリビオン。
 存在そのものが破滅と終焉をもたらす、過去から現れたノイズデータ。
 いのちを懸けて何かを掴もうとするのは、未来へ進む生者だけが出来ること。
 極論を言えば、その時点で勝敗は決まっていたのやも知れぬ。
『そしてもうひとつ――』
 白竜の言葉は続く。だが、災禍は待っていてはくれない。
 セツナは巨体を駆け上がり、その短剣をマシンの背部に突き刺してみせた。
 衰退の災い、来たれり。放たれるはずの砲火は、ただ砲塔だけを爆裂させた。
「大きく目立つ天災だけが"災い"だと思ったら、大間違いだ」
 セツナはボディを蹴り、落ちていきながら不敵に言った。
「この街の災いは、ここから始まる――そして、お前という存在の終焉も」
 おお、見よ。セツナを超える形で、大きく跳躍したその巨体。
 多脚戦車はボディにへばりつき、そして主砲を……短剣が穿った裂け目に突き刺す。
『よう、クソピエロ! 知ってるか!?』
 陸郷・めるの相棒、生体脳7号。かつてレイダーであったもの。
 死して新たな生を得て、今は略奪者から略奪する者となった存在。
『レイダーなんてな、どんな調子乗ろうがいずれあっけなく馬鹿みたいな死に方するんだぜ?』
 たとえばこんなふうに、勝ち誇ったプライドを粉々に砕かれて。
 無価値なのはお前自身であり、無力なのはお前自身だと打ちのめされて。
 絶望すらも砕かれて、すべての活路を絶たれた上で滅ぼされるような。
 DOOOM……ゼロ距離砲撃。ボディが爆ぜる。反発力で多脚戦車は吹き飛んだ。
「……っ!! Vエンジン、戦車に連動、リミッター解除、限界突破……!!」
 さらに、もう一撃。主砲を逆方向へ――多脚戦車が加速した!
『そして今日が、テメーの番ってわけだ! いいざまだぜぇ!!』
『……ッ!!』
『そうら、先駆者として味わわせてやらぁ! 踏みにじられる気分をなァ!!!』
 ――SMAAAAAAAASH!!
 主砲の反発力を加速とした多脚戦車の"回し蹴り"が、マシン中枢を炸裂!
 オオオオオオン――!! 再びモンスターマシンが吠えた。
 威嚇? 否。
 苦痛だ。そして屈辱! 機械の神を驕った化け物は、苦しみ悶えたのだ!
『私たちは、この街そのものに勝つことは出来ない。いまは』
 サフィリアが言葉を紡ぐ。そして、炎がすべてを包んだ。
『けれどあなたから逃げるとは言ってないし、勝てないとも言っていません』
 竜の炎がすべてを飲み込む。怒りと、呆れと、侮蔑を込めた炎が。
 巨大モンスターマシンがトーチめいて燃え上がる。それこそが最大の災い。

 おごり高ぶった狂人への裁き。
 それは逃れ得ぬ破滅という、死よりも恐るべき終焉だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

新海・真琴
【炎桜】
真の姿:左の方が長い非対称な黒曜石の角の根元に桜がより多く咲き、小さい白い羽根も花と共に
彼岸花の羅刹紋は全身に拡大
(桜の精、羅刹(父)、西洋妖怪(数代前の先祖)、全ての特徴が出た)

やあイカれ野郎。ここが年貢の納め時だ
耳揃えて土下座するなら今がチャンスだけど、どうする?
(首にかけた月季星彩を外し、紐をしっかりと手に巻き)

なら……
(勾玉を目の前に掲げ、召喚するのは精神の顕現体)
煌めけ、ブリュンヒルデッ!

マシンアーム目掛けて放つのは守りを貫く雷と、浄化と破魔の吹雪
ベルンハルトの攻撃に乗算する形で、面で押し通す!
ホント、ボクら救いがたいよね!
「ボクらイェーガーと出会ったのが、運の尽きだったね」


ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】
真の姿を解放。永劫の戦士マッケンゼン一族の末裔として、古今東西の多元世界、全戦闘の知識と記憶を脳内に再現。ラインの黄金銃にバヨネットを着剣し、ジミーに向ける。

「確かに、この世界は不条理だ。それが……どうかしたか? さぁ、貴様の終焉がやって来たぞ!」

UCを発動。ラグナロク、最終戦争を告げるギャッラルホルンの銃声を轟かせ、マシンアームに連射。
近付けば剣で突き、遠ざかれば銃で撃つ。マッケンゼン流撃剣術。
真琴、愛する貴女と一緒なら……未来の犠牲も、乗り越えられる!

彼女の攻撃に合わせ、私は点で穿ち続けよう。
全く……救いがたい最強の恋人たちだな、私達は。
「我等名前をイェーガー、悪を砕く狩人なり!」



●炎は桜の如く火花を散らし
 燃えている。
 山のように巨大なモンスターマシンが、燃えながら崩れ落ちていく。
 恐るべきことに、燃えて崩れ落ちながら"それ"はさらなる拡大を続けていた。
 ユーベルコードの暴走による無秩序な同化と融合。
 ただ欲望の赴くままに広がり続けたこのヴォーテックス・シティに似合いの、
 まるで貪食の罪を犯した愚か者のような、カオスで未来のない巨大化だった。
「まだまだ年貢を納めるつもりはなし、か」
「悪党としての執念は見上げたもの、というのは無粋かな?」
 新海・真琴は、ベルンハルト・マッケンゼンにちらりと彼を見やった。
 敵を褒めてどうする、とでも言いたげのようであり、同意らしきものも感じる。
 たしかに、根性だけは見上げたものだ。この数の猟兵によくも抗っている。
 ――だからといって褒めそやすつもりも、見逃すつもりもふたりにはないが。

『ヒ、ヒヒ、イヒヒヒ……アァッハハハハハ!!』
 けたたましい哄笑を上げて、機械のコードと半ば同化したピエロが現れた。
 炎を鋼が飲み込み、うちに捕らえながらさらに拡大を続けようとする。
 滅びながら、成長する。なんら先の展望も、未来も存在しない虚無的な生態。
 あれがオブリビオンだ。あれこそが、過去の残骸の本質なのだ。
「耳を揃えて土下座するなら今がチャンスだぞ、イカれ野郎! さあどうする!」
 真琴は首にかけた『月季星彩』を外し、紐をしっかりと手に巻きつけた。
 すると彼女の姿は徐々に変わる……特に目覚ましいのは頭部の角か。
 黒曜石の角の根本に桜がぽつぽつと咲き誇り、小さな白い羽根が萌え出る。
 彼岸花の羅刹紋は行きているかのようにはびこっていく。
 まさしく真の姿。その変異は、隣に立つベルンハルトのほうも同様だ。
 サングラスを外し、ニヒルに笑う。青い瞳には、底知れぬ叡智が輝いていた。
『謝る? 年貢の納め時? ヒッ、ヒヒヒヒ……アァッハハハハハ!!』
「……それでこそ悪党(ヴィラン)だ。ああ、諦めの悪さは美徳だよ」
 ベルンハルトは意味深に頷いて、口元の笑みを深めた。だが。
「それを打ち砕くのが我々だ。模範的な態度、と言ったところかな」
 その青い双眸は、これっぽっちも笑っていない。
「――そうだね。諦めもしない、反省もしない。謝罪も、改めもしない。ならば」
 真琴は勾玉を目の前に掲げた。宝玉がきらりと輝く。
 そして現れたのは――おお、桜色の紋章を戴きし、女教皇のしるし刻みし天女!
「煌めけ、ブリュンヒルデッ! ここにありし悪を、いま滅ぼすために!」
「さあ、貴様の終焉がやってきたぞ。貴様を滅ぼす者たちがな!」
 BRATATATA……天を衝くように放たれた弾丸の、その銃声は音叉となる。
 さながら黄昏を告げる喇叭の如く――否、そのものだ。この雄々しき音は!
「たしかに世界は不条理だ。現実はいつだって重く苦く、そして苦しい。
 ままならないことはたくさんある。だが、それがどうかしたか?
 我らはその理不尽を、同じ理不尽を以て打ち砕き、未来を守るもの!!」
 ギャッラルホルンよ、終幕を告げよ。黄昏の到来を告げるがいい!
 ジミー・ザ・ジョーカーはけたたましく笑い、マシンがその身を包んだ。
 燃えながら巨躯が立ち上がる。挑むはたったふたりの、ふたりだけの反逆者!
 この支配とその暴虐に否と突きつけるため、戦士たちは前へと進む!

 BRATATATATATA――BRATATATATATA! KA-BOOOOM!!
『なぁにいぃいいい!?』
 そして戦いの趨勢は、戦士たちにとっては当然に、悪党には予想外に進んだ。
 ラインの黄金銃。呪われたるその名を継ぎし剣銃の弾丸はさながらトールの雷霆。
 質量や速度の問題ではない。貫き、滅ぼすという概念兵装と喚ぶべきもの。
 未来の可能性を犠牲にして得た力は、悪逆なる異形機械のアームを貫いた!
 さらに見よ! 極光の天女より放たれる、地から天を貫くほどの雷を!
 それは歪んだ鋼の守りを砕き、駆動部を焼き、そして吹雪が包み込む。
 稲妻と、冷気。冬の嵐めいた自然の暴威が、真琴の怒りが異形を退けるのだ!
『な、なァぜだァ!? サイズも、威力も、硬さも、何もかもこっちが上だ!!
 ただの生身の人間! しかもふたり! それにどォしてマシンが押される!?』
「――簡単な話だ」
 ベルンハルトは銃を構え、儀仗兵めいて悠々と、勇ましく雄々しく駆けた。
「我らはたったふたり! しかし私のそばに立つのは誰より勇ましく愛しき女だ!
 貴様にないものが我らにはある。それは希望であり、生命であり――」
「……多分、愛と呼ぶものなのさ。きっと、だけどね」
 真琴はリラックスした乙女の表情で言うと、ベルンハルトにウィンクした。
 伊達男は頷く。点でも線でもなく、面の稲妻と弾幕がマシンを押し返す!
「けれどその証明が、こぉんな雷鳴と弾丸でしか果たせないなんてさ!
 ああ、ボクらはまったく救いがたい! そして度し難いふたりだこと!」
「いいじゃないか――だからこそ、どんな相手にも負ける気がしない!」
 見るがいい。それはたったふたり、されど最強の絆で結ばれたふたり。
 吠えるがいい、その名を。その役目を宣誓するがいい!
「我らその名を猟兵(イェーガー)――悪を砕く狩人なり!」
「ボクらとであったのが、運の尽きだったね。ジミー・ザ・ジョーカー!!」
 そしてついに、KRAAAAAAAASH!!
『ギ、ァアアアアアッ!?』
 もはや笑い声はなく、苦悶と屈辱の叫びがこだました。
 爆発したマシンを突き抜けて、弾丸が、その稲妻が道化師崩れを焼き貫く!
「――立ち止まってはいられんのだよ、貴様ごときには」
「だってボクらには、まだまだ目指すべき未来があるんだから」
 ふたりは視線をかわし、頷き……そして、微笑みあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
◆夕立(f14904)と


了解、確実に仕留める
安心しな、外さないし――お前の仕事を疑いやしないさ

好き勝手壊してくれたから、高所は厳しいか
とはいえ、地形が滅茶苦茶ってことは
あっちも何処から狙われるか読みにくいってことだ

完膚なきまでに破壊された場所
恐らく見向きもされないような瓦礫の山の間
その辺りが最適か

位置についたら観察に徹するよ
視えなくてもあいつは仕事をしてくれる
必ず「ここだ」という隙が出来るだろう
――後は、過たずに撃ち抜くだけ
宣言通り頭をぶち抜くよ

……そうだな
こんな行為は、無駄かもしれない
でもそれは、今「何もしない」理由にはならないし

誰かにとっては、意味のあることで
……俺にとっても、きっとそうだ


矢来・夕立
傭兵さん/f01612

あなたの狙撃に全部が懸かっています。
場所は自分で選んでください。そうしたら、そこへは近づけさせない。
《闇に紛れて》視えずとも、シゴトはきっちりやっています。

『朽縄』を使ってマシンの上へ登って
【夜雲】で裏を取りながら、奴の傍まで駆け上がる。
式紙で目晦ましをするか、刀で一発入れるかは状況次第ということで。
傭兵さんの弾丸が撃ち抜くのはこいつだけです。オレには当たりませんよ。

…そうですね。これは敗走です。街がなくなるのも侵攻の成果じゃない。あなたの気紛れだ。
今後の問題も山積みです。

今日みたく、全員殺すだけですよ。
ここが“なんの十番目だったか”なんて、誰も思い出さなくなるまで。



●Number ten of ten
 このヴォーテックス・シティにおいて、"成り上がる"なんて言葉はない。
 奪われるものは永遠に奪われるものであり、与えられることなどないのだ。
 レイダーの中でもそれは同じだ。ジミー・ザ・ジョーカーすらも例外ではない。
 一度決められた格付けは変わることなく、上には上が存在する。

 だからといって、レイダーどもがそれを納得ずくで呑むかと言えば「ノー」だ。
 では、怒りは、苛立ちは、ストレスはどこへ向くか。
 ……野生動物の群れと同じだ。怒りはすべて、己の下に。
 このヴォーテックス・シティにおいて、"成り上がる"なんて言葉はない。
 奪われるものは永遠に奪われるものであり、与えられることなどないのだ。
 この"10番目の10番街"が最悪と言われる所以は、まさにそこにある。

 子どもばかり集められる理由はただひとつ。
 レイダーどもが、気持ちよく奴隷を使い潰して殺せるというだけだ。

 ……そうだ、この街は"最悪の中の最悪"。レイダーですら恐れる地獄の釜の底。
 己はそこに君臨するものであり、奪う側であったはず。
 機械の巨体を……ほとんど暴走だが……再生させながら、ピエロは考える。
 なぜだ。
 どうして。
 こんなに叩きのめされ、
 燃やされ、
 爆ぜて、
 砕け、
 斬られ、
 ほうぼうのていで、息を切らせながらいのちを握りしめている。
 どうして自分が、奪われる側のようなざまでいる。

 呆然とするジミー・ザ・ジョーカーは、駆け上がってくるひとつの影を見た。
 矢来・夕立。
 その眼差しはぞっとするほどに虚無的で、しかして決断的だ。
 己を狙って。まっすぐに、躊躇なく駆け上がってくる。
 砲火を起こす。砲台を瓦礫の中から生成して爆ぜさせながらぶちまける。
 夕立は水銀めいてなめらかに、そして滑るようにそれを回避してしまう。
 あるいは裂いてもかきむしっても消えることない影法師のように。
 空を焦がす弾幕。その中を、夕立は稲妻じみた軌道で跳躍し、上を目指す。
 相対距離がぐんぐんと近づく。ジミー・ザ・ジョーカーは、恐怖を覚えた。
 何故だ? どうして、あんな命を省みぬ顔をして俺を狙うのだ。
 怒りがあるならばわかる。
 義務。
 義憤。
 使命。
 そういうものこそ己が嘲るもので、踏みにじってきたもののはずだ。

 だが。
 あのちっぽけなガキ――枯れ木のような細い体をしたガキの顔には。
 怒りも、
 悲しみも、
 困惑も、
 侮蔑も、
 なにもない。
 何もだ。ただ、研ぎ澄まされて冷えた刀の如き殺意があった。
 なぜだ? どうしてそんなふうに、一直線に俺を殺そうとすることができる。
 "殺す理由が欠片も感じられない顔で、殺しに来ることが出来る"のだ。
 狂気すらもない虚。それは、狂人道化師を怯えさせるには十分すぎた。

 ……昇り龍めいて駆け上がる夕立の姿を、鳴宮・匡は瓦礫の山から見ている。
 気配を極限まで殺し、呼吸はおろか脈拍すらも最低限にまで留めて。
 もはや影どころか、空気そのもの。誰も匡がいるとは、予測すらも出来まい。

 ――その足でちょっかいかけに行くんで、ここで一旦お別れです。
   何か言い残すことは?

 作戦会議を終えた去り際、あの小僧はそんなふうに言っていたか。
 自然と口を突いて出かけた言葉がある。色々だ。だが口にはしなかった。
("言えるときに言っとかないと喋れなくなったとき後悔しますよ"、か)
 後悔。こころの欠片を探すようになった己にとって常につきまとう言葉。
 積み上げた時間と過去を振り返るとき、そこには悔悟が最初にある。
 消えることのない懊悩。何もしないことは、それを積み重ねるのと同じだ。
 無駄だとわかりきったことを斬り捨てるのも、結局は同じことだ。

 こんな行為に意味はない、とあの道化師は言った。
 そうだろう。結局これは対処療法でしか無い。
 きっと明日には、この"10番目の10番街"はまた新しくなるのだろう。
 どこかのレイダーが王としてふんぞり返り、悪辣を続けるのだ。
 さしずめ"11番目の10番街"か。少なくとも"最悪の中の最悪"ではない。
 誰のためになるのかはわからない。
 だがこの行いは、誰かのためになるはずなのだ。
 意味のない行いなどない。すべての行為には因果があり報いがある。
 誰かにとっても。
 あいつにとっても。
 ――俺にとっても。
 匡はスコープを覗き込む。影が、道化師に到達した。

「これは敗走です」
 夕立は冷たさすらもない表情のまま、静かに道化師を見つめた。
 睨みもしない。凝視もしない。ただ、眺めた。
「街がなくなるのも侵攻の成果ではなく、あなたのただの気まぐれだ。
 今後の問題は山積みで、その全部を解決できるほどオレたちは万能じゃない」
「――なら、どうしてだ」
 道化師は問い返した。殺すはずだが、殺せる気がしなかった。
 なにせこの小僧には、死への恐怖すらもないのだ。
「どうして、そんな無駄なことをする」
「無駄ではないからですよ」
 刀が胸部を裂く。当然のように血が飛沫をあげた。
 ジミーがもがこうとする。夕立は首を掴んでおもいきり鋼に押し付けた。
「誰が現れようが、どうなろうが、今日みたく全員殺すだけですよ」
 最悪の中の最悪。この街はそのはずだった。
 君臨する己こそが最悪の存在で、誰もが畏怖するはずだった。
 だが、猟兵。こいつらは、そしてこの小僧は。
「ここが"なんの十番目"だったかなんて、誰も思い出さなくなるまで」
 ――こいつこそが、"最悪の中の最悪"じゃあないか。

 花が咲き枯れて、
 鳥は羽撃き、
 魚が泳ぐように。
 当然のように、飛来した弾丸がジミーの頭部を貫いた。
 夕立のレンズに血と脳漿が降りかかる。夕立はどこまでも無表情だった。
「あなたは、"最悪の中の最悪"なんかじゃなかったってことです」
 悪党とは、狂人ばかりを指す言葉ではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラブリー・ラビットクロー
【兎爪】

らぶ達はこれからあいつをぶん殴ってくる
ここで一旦お別れ
だいじょぶ
みんなも諦めちゃダメなん
いつか一緒にセカイを救うんだ

ししょーおまたせ
うんうん
解ってるのん
あいつをぶっ飛ばしてくるなん!
マザーいくぞ
【何処へですか】

【警告。二時方向から熱源】
【警告。九時方向】
【警告】
翼を広げて聞き耳とマザーのアシストで攻撃を躱しながら急上昇
見つけた
王様モヒカン
ステキな服なんな
でもピンクが足りないかも?らぶが手直ししてあげる
アウトローサインの油性ペンキを敵にぶちまけるぞ
視えなくなっちゃった?
量が多すぎたなん
ペンキってよく燃えるんだって
このバットはねー
あの子達の痛み
このラビットブレスはねー
あの子達の想いなんな!


クロゼ・ラビットクロー
【兎爪】
ラブリーのことはラビィと呼び普通の口調
他の人には敬語。混ざっても問題無し

救出した奴隷たちを乗せたトレーラーは切り離して、
後は自動運転で先に逃げてもらおう。
僕と戦車【ラビットモービル】は敵の足止めに。
とはいえ武器はグレネードしかないし、
あの巨体に通用するものは限られている。
火攻めかな…テント燃えそうだし。

敵のUCだけど、焼夷弾を返されてもさほど問題は無い。
擲弾を躱すのは難しくない上に、
炎から発生する煙もガスマスクで防げるからだ。
この街が燃えるのは知ったこっちゃないし、
炎が更なる足止めにもなるだろう。

ラビィは上空に行くのか。
煙を上手く活用して死角から攻撃すれば比較的安全なはずだ。



●いつか、セカイを救うまで
『…………ヒッ』
 頭部を撃ち抜かれ脳漿を垂れ流すジミー・ザ・ジョーカーが、痙攣した。
 白目を剥きながらびくびくと震える。そして、機械が鳴動した。
『ヒヒヒヒ! イヒヒヒヒハハハハハ!』
 もはやコピーされたユーベルコードの力は、完全に軛を断ち切った。
 暴走機械……モンスターマシンは、術者であるレイダーピエロをも取り込む。
 傷口にびゅるびゅるとゼンマイとオイルと神経束と火薬とが注ぎ込まれていく。
 ジミー・ザ・ジョーカーの体の痙攣が速まる。蘇生……しているのか!?
「ほんっっっとーに!! しぶとくてしつこくてイヤになるのん!!!」
 ラブリー・ラビットクローはクロゼ・ラビットクローのモービルに乗り、叫んだ。
 マシンが震える……それはまるで、羽化した蛾のような不気味な痙攣だ。
 そして――新たな砲塔がギョグンと生え、再びの砲火を撒き散らした!
「ししょー! もっとスピード出せないのん!?」
『いまで精一杯だ、それに僕は途中で離脱するぞ!』
「えー!? ……まあそこはいいのん。ぶちのめすのはらぶの仕事なんな」
『そういうことだ。出来る限りは近づく。あとはそっちで頼むよ』
 ラビットモービルはジグザグ軌道を刻みながら、砲火の雨をかろうじて避ける。
 ラブリーはじっと睨みつけていた。
 マシンを? 否。
 ジミー・ザ・ジョーカーを。打ち倒すべきこの街の支配者を。
《警告。二時方向から熱源。すみやかにエリアから退避してください》
「ししょー! もっとスピード上げてほしいのん!!」
『だから、無理だって!!』
《警告。九時方向から別の熱源反応。すみやかにエリアから退避してください》
「マザーうるさい! らぶはいまからあそこに行くのん!!」
《何処へですか》
「ぶっ飛ばしたいやつの! いるところだ!!」
 ラブリーは、ラビットモービルの天井をおもいっきり蹴った!
 そして翼を拡げ、砲火がかすめるのも厭わず斜めにマシンを目指す!
《警告。全方向に熱源反応。速やかにエリアを》
「マザーーーーーーー避ける方法だけ教えろーーーーーーー!!」
《ガイド基準を。危険物回避軌道予測に変更します。ルーチン計算中……》
「ししょーーー!! そっちも頑張ってねーーーーー!!」
 ラブリーは翔んでいく、翔んでいく……。
「……めちゃくちゃだな、ラビィは。本当に」
 クロゼの脳裏によぎったのは、子どもたちを分かれる前のやりとりだった。

「らぶたちは、これからあいつをぶん殴ってくる」
 不安げな子どもたちに視線を合わせ、ラブリーは優しい声音で言った。
「ここで一旦お別れ。でも、だいじょぶ。もう怖いやつは追って来ないのん」
 マスクの下で微笑み、ラブリーは言ったのだ。
「みんな"も"、あきらめちゃダメなん」
 ――諦めないものだけが口に出来る、魔法の言葉を。
「いつか一緒にセカイを救おう。だから、絶対に戻ってくるのん」
 ……子どもたちはラブリーを見上げ、素直に頷いていた。

 諦めてはいけない。
 猟兵は強い。だが無敵ではない。
 この悪辣に心砕けかけた者もいるだろう。
 そしてあの、正気だった道化師が喚き散らしていた戯言。
 ……戯言ではあるが、あれは事実だ。なにせこの街はいまだ君臨している。
 きっと馬鹿げた数の奴隷たちが囚われて、今この瞬間も殺されている。
 "10番目の10番街"の外、レイダーどもは我関せずを決めて放っているのだ。
 無力感がある。
 屈辱も感じる。
 ……ならば、諦めるか?
(諦めるわけがないさ)
 砲火を回避しながらラビットモービルを運転し、クロゼはこころの中で思う。
(ラビィが諦めないなら、僕だって諦めるわけにはいかない。諦めたくない)
 いまは敵わないとしても。
 いまはどうしようもないとしても。
 そうだ――いつか、このセカイを救うために。
 人が当たり前に明日を迎えられるように。
 笑顔で、安心して未来を思い描けるように。
「こんな街――全部、燃えてしまえばいいさ」
 クロゼはウィンドウから身を乗り出し、グレネードを投げ捨てた。
 それはちっぽけな……だが、青年なりのたしかな、セカイへの反抗。

『アハハハイヒヒヒ! アハハハァ!?』
 痙攣しながら哄笑するジミー・ザ・ジョーカーは、笑いながら困惑した。
 前が見えない! なんだこれは? 水? いや……ペンキか?
「量が多すぎたなん。ところでさ、ペンキってよく燃えるんだって」
 声だけがする。両手で視界をかきむしり、ペンキを拭う。
 目の前にガスマスクの少女がいた。なんとも奇妙な風体だ。
 だが驚くべきは、その眼差し。――少女は、心の底から怒っていた。
「このバット、なんだかわかるなん?」
『…………??』
「これはね」
 ラブリーは空中で身を翻し、バットを振りかぶった。
 正気を失ったはずのジミー・ザ・ジョーカーは、はっと我に返る。
『まさか――やめろ! てめえ何を考えて!?』
「これは! お前を!! ぶっ飛ばすためのものなん!!」
 SMAAAAAAAASH!!
『アバーッ!?』
「これがあの子たちの! 痛み!!」
 おもいっきりスイングして、そして……BOOOOOMM!!
『アアアアアーッ!? 火、火火火ィー!? も、燃え……!!』
「これが、あの子たちの想いなんな! たっぷり! 燃えるのんっ!!」
 少女は怒っていた。
 レイダーに。
 この街に。
 ――その悪辣が許される、このセカイに。
「お前たちなんて、ぜーーーーんぶ! やっつけてやるなん!!!!」
 少女の勇ましき声もまた、このセカイへの反逆の狼煙だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
真の姿(強襲・機動兵器形態)

嗤ったね
全ては無駄なあがきだと

理不尽に苦しむのは、もう充分だと胸の裡の声が告げる

それでも明日はやってくる、なら
希望を紡ぎ、繋ぎ運ぶ! ボクを誰だと思ってるのさ!

機動戦艦ティル・ナ・ノーグ、現実空間へマテリアライズ!

「続いて、トランスフォーメーション!
強襲(アサルト)フォーム!」
具現化した戦艦(機動兵器形態)で、敵機を蹴散らす!

「リミッター解除! 武装選択……ヌァザ、アクセプト!」
右腕の砲塔から銀光の剣を形成!

教えてあげる、希望は潰えぬと! 明けぬ夜はないと!
UC【暁光の魔剣】!
この光差す限り、汝ら外道に為せる業なし!

マシンは任せて! ヤツへの引導は……頼んだよ!


ジャガーノート・ジャック
※飛行継続

(ザザッ)
圧制を敷く者。
容易く奪われる命と希望。
この街の構図は
本機が本機となった場に似ている。

(故にこそ
子供達に希望を見せてやる。
敢えてハッキングで敵と交信する。)

(ザザッ)
景気の良い御捻りに感謝しよう。
生憎と本機には届かなかったが。

ショーのクライマックスに付き合って貰おうか。

見ているか子供達。
(街中の拡声器伝いに声を飛ばす。)

希望は――
我々猟兵は君達の味方だ。
そして希望とは
逆境にも決して心折らず屈さない。(ザザッ)

(自分を英雄などと自惚れはしない。
が、今回くらい特別に
ショー
映画の主役らしい『役割』を演じるのもいいだろう。
加速し対空砲・砲撃・犇く猛攻の中へ敢えて突き進み、敵を穿つ。)


狭筵・桜人
占領したビル屋上で伏せてます。
いやぁ、ちゃんと仕事はしますけど、ねえ?
相手の出方を観察して戦略を練らないと……こっちに撃ってこなければいいなあとかね!

敵が速く動くものを狙うのだとすれば囮が要りますね。
――『怪異具現』。あー速く動くもの……
『ハヤブサ』の形でいいか。速そうな名前してるし。飛べて目に付く大きさならなんでもいいです。
具現したUDCは私の“身体の一部”ですから多少はコントロール出来ますが
ドローンみたいに動かすことは出来ません。切り離してますしね。
モンスターマシンの上空をぐるぐる旋回させましょう。時間稼ぎにはなる筈です。

しっかし彼も可哀相に。スベってますよって誰か教えてあげたらいいのに。


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハーァ…ダメだな、全然ダメだ
お前は道化としては三流以下だ
底知れない悪意なんて微塵もありゃしねぇ
真の悪党とは、最後の最後まで『底を見せちゃいけねぇ』
それが出来ないなら、静かにしとけよ

さぁ──勝負といこうか
頃合いを見て足を止める。乱痴気騒ぎも悪くないが、やっぱり静かなのが一番良い
──目の前の死の旋風、巻き込まれれば死ぬだけ
破滅が鼻先に迫ってる感覚がする
立ち止まるなんざイカれてる、そう思わないか?

だがなぁ、俺はこうも思うんだ
『何でこいつから逃げなくちゃいけねえんだ』って
だから銃を構える、祈りを込める
ただ静寂を欲しているから

──このデカさじゃ外さんよ
全ては鎮まり、停滞した
これ以上は通行止めだよ、間抜け


アルナスル・アミューレンス
あー、追ってくるんだ。
いやぁ、単純だねぇ。
実に「らしい」動きで最高だぁねぇ。

君は恐怖の支配者のつもりかな?
それとも暴力の体現か、はたまたブレーキの壊れたマシンかな?
でも、君が向かう先にあるのはそんな人為的なモノじゃないよ。
抗いようのない「天災」だ。


拘束制御術式、開放――

――君の一切合切、『枯渇(ウバウ)』としよう。


解放と共に、洪水の如く広がり待ち受けるのは半径5km、「死」の海だ。
踏み込んだが最後、逃れられない「無」への穴だ。
進撃は許さない。
撤退も許さない。
これは蹂躙であり虐殺だ。
君のあらゆる抵抗は全て無駄。
支配してきたこの街も全て無駄。
残念だねぇ。

さようなら、哀れな道化師。
適当に忘れるよ。


クロト・ラトキエ
若人達の見事な手際、ご活躍…
いやはや。中年、見惚れる限り♪
…では僕も。裏方仕事、キッチリ勤めませんとね。

何も空から砲弾と真っ向勝負といかずとも。
騒乱、陰に土埃…乗じて、テントにワイヤーを掛け、
登山よろしく目指すは上空。御山の大将。
下方より妨害あらば、鋼糸を他方へ飛ばし軌道修正しつつ、矢など飛び道具で反撃。

…さて、時に。
それは本当に“ジョーカー”でしょうか?
道化は哀を秘め愛を蒔く者
――なぁんて、賢者殿ではありませんが。
感情に流され、戯けて余裕ぶって、
感情を逆撫で、終には一族の威を借る…
道化を称するには、計算も役者も不足かと?

UCの檻にて退路を断つ。
此処が、お前の“終わり”

(アドリブ・共闘歓迎です


ヒルデガルト・アオスライセン
降車
砂の盾で誘き寄せて時間稼ぎ

運転変わって
無茶振りもこれで最後よ
今から振り返らず、限界まで飛ばすの
君なら出来るわ

子供たちの手前は笑みを崩さず
毛嫌いしていた大人達が私にそうしていたように

篭手も剣も飛行装備もない
間違いなく吹き飛ばされるでしょう
構いません、子供達に追いつくまでに登り詰め。奴を叩く

車輪側面からトンネル掘りでシャフトを折ってバランスを崩し
大エンジンに残党を放り込んで速度を落とし
子供へ砲口を向ける敵あらば砲身を捻じ曲げ
奴の機構を利用して這い上がり、肩を叩きます

この逃避行が終わるまでに
私は身を以て示さなければならない
人は自分の足で生きられると

仰々しくUCで足止め
彼らが逃げられれば私の勝ちよ



●宴もたけなわ
「……無茶振りもこれで最後よ」
 遠く砲声と爆音が響く蜃気楼。ヴォーテックス・シティの町並み。
 レイダーの支配下をギリギリ抜けたヒルデガルト・アオスライセンは、
 トレーラーを降りると、荷台で震えている子どもたちに言った。
「いまから振り返らず、全力で飛ばすの。まっすぐに、限界まで」
「で、出来るわけ……」
「出来る」
 子どもの言葉を遮るように、ヒルデガルトは言った。
「……大丈夫。あとで迎えに来るわ。いまはただ、少しでも遠くへ逃げて」
 そして教え諭すように、少女はぎこちなく笑った。
 いつかの社交界、毛嫌いしていた大人たちがそうしていたように。
 それを嫌って家を出たというのに、まさかこんなところで真似するとは。
 ああ、世の中とはわからぬものだ。けれども……悪い気分はしない。
 いや、納得というべきか? 大人たちもこうだったのか、という理解があった。
「だから、これで最後。あなたたちのちからと意思で、出来るだけ逃げるのよ」
 ……そしてトレーラーは、おぼつかない足取りで遠のいていく。
 ヒルデガルトは振り返った。砲声。爆音。悲鳴と叫び。そして、笑い声。
 もはや笑みはない。ただしそれは、"子どもを安堵させる微笑み"の話。
「いいわ。やってあげる」
 無茶振りをしたのなら、自分も同じだけの無茶をするとしよう。
「あの子たちが逃げれば、私の勝ちだもの」
 そして少女は赴く。
 ――地獄じみた戦場のど真ん中へ。

「……いやあ、ほんとどうしてオブリビオンってしぶといですよねえ」
 一方、ヴォーテックス・シティ"10番目の10番街"。
 ほとんど更地と化したなかでほぼ唯一無事なビル屋上に狭筵・桜人はいた。
 実際、ヒヤヒヤするタイミングは何度もあった。死ぬかとも思った。
 しかし運がいいと云うべきか、あるいは悪運がついているというべきか。
 立て続けの飽和攻撃をこのビルは免れ、奇跡的にも屹立した。
 そして桜人は見つからないように身を伏せて、異形のマシンを眺めている。
 破壊され、再生し、破壊され、創造し、また破壊され……。
 何度も創造と破壊を繰り返したマシンは、もはや造物主すらも飲み込んだ。
 無茶な複製によって発動したユーベルコードは、ピエロの手を越えていた。
 暴走するマシンは機械の怪物となって、ジミー・ザ・ジョーカーをも呑んだ。
 あれは機械じかけの神だ。正しく言えば、それを目指す愚鈍な獣。
 砲塔を生やしては自壊しながら弾丸をばらまき、爆炎を飲み込みなお成長する。
「しっかし彼も可哀想に……結局スベってるって気付けなかったんですねえ」
 桜人は、臆病で卑劣だ。だがこの男、ある一点を超えると肝が据わる。
 破滅がすぐそばまで来ているというのに、他人事みたいに言った。
「誰にも助けてもらえず暴れ散らして、まさにレイダーそのものですね。
 ……こんなのがまだまだあちこちうじゃうじゃとか、ゴキブリじゃないですか」
 桜人は、倒れ伏すレイダーの屍体を見やった。
 この街に居る人間は、囚われた奴隷ぐらいのものだ。
 レイダーとはすなわちオブリビオンであり、ゆえに慈悲はない。
 人間であれば話は別。その頂点、最悪の街の王の現状が、あれか。
「まあ、たしかに最悪の中の最悪ですよ。あのざまが、ですが」
 桜人は、頭上をくるくると回遊するハヤブサ型UDCの制御に意識を割く。
 効果がどれほどあるかわからない。だが、敵の注意は惹けているはずだ。
 自分にあんな化け物を破壊する力はない。だがここにはそういう連中がいる。
 だから、任せる。それが桜人なりの処世術であり、戦い方でもあった。
「死にたくないなあ」
 少年は言った。他人事のようで、その声は他人事には聞こえない。

 ――そして、桜人の召喚したUDCとともに対空砲火の海を飛翔するもの。
 イーグルの因子を発現させた怪物。すなわち、ジャガーノート・ジャック。
 ジャックは超音速の世界のなか、冷静に悪徳の街のざまを見つめた。
 そして遠く、いまだ触れられることなく屹立する貪婪の都の遠景を。
《――似ているな》
 その言葉は誰に届けるつもりでもない、あくまで独り言だ。
 似ている。この街は、この街の構造は、そして強者たちの在り方は、似ている。
 怪物ではなく、怪物として鎧を着る少年が、かつて凡人であった頃。
 虐げられ、奪われ、あざ笑われ、痛めつけられるだけだった頃。
 学校という特異な閉鎖空間。その中でさらに歪んでいく自意識と小さな社会。
 弱者に選択権などなく、強者の気まぐれが時にはいのちすら脅かす。
 ……似ている。この街に成り上がりという言葉はないのだ。
 奪われるものは奪われるもののままで、奪う側に回ることなど出来ない。
 あまりにも一方的なワンサイドゲーム。いや、ゲームとすら呼べないか。

 だからこそ、ジャックは見せつけねばならなかった。
 この戦いを、あの貪婪の都の摩天楼から見下ろしているであろう連中に。
 そしてこの戦いを、指をくわえて眺めているしかない囚われた人々に。
 強者と、弱者に。
 この街を――社会を、構造を、道理を討ち滅ぼすものがここに居るのだと。
 希望(おのれ)を。絶望(じぶん)を。
《――ジミー・ザ・ジョーカー。景気のいいおひねりに感謝しよう》
 ジャックは無謀にも、モンスターマシンの中枢へと通信を繋げた。
 かえってくるのはけたたましい笑い声。本体の正気などもはや存在しているか。
 だが、ジャックにはわかる。あれは、弱者の、奪われるものの防衛反応だ。
 ジミー・ザ・ジョーカーという個は生きている。笑って強がっているだけだと。
《――しかしあいにく、本機"ら"には届かない。決して、届きはしない》
 ジャックは見やる。眼下、マシンの砲火を押しのけ掻い潜る猟兵たちを。
「キミは――いいや! お前は!!」
 異空間より現実化(マテリアライズ)する、巨大機動戦艦の艦首。
 それは圧倒的砲火とバリア、そして装甲によって砲火を物理的に押しのける。
 真の姿を解放しそれを指揮するは、怒りの電脳少女、リア・ファルだった。
「すべては無駄なあがきだと。何の意味もない、すべて無に帰するのだと!
 ボクはそれを許さない。他の悪辣よりもなによりも! その嘲弄を!!」
 人々の明日を守る。明日を紡ぐための助けとなる。
 それをアイデンティティとして戦うリアにとって、あの言葉は宣戦布告だ。
 だから全力で叩き潰す。そう、空を舞うあの雄々しき怪物(ヒーロー)のように。
「理不尽に苦しむのはもう十分だ。誰だって、明日を迎える権利はあるんだから!
 たとえ苦しくても辛くても、それでも明日はやってくる――だから!!」
 機動戦艦ティル・ナ・ノーグ。強襲(アサルト)フォームに変形。
 マテリアライズした鋭角的フォルムの機動戦艦は、モンスターマシンに激突!
「希望を紡ぎ、繋ぎ運ぶ! ボクを、ボクらを! 誰だと思っているのさ!!」
 リアの電影が消える――ティル・ナ・ノーグとの完全なるシンクロ。
 KRA-TOOOM……魔剣ヌァザの感染解放により、銀光の剣がマシンを削ぎ落とす。
『教えてあげるさ。希望は潰えぬと。明けない夜はないのだと!!』
 笑い声すらもかき消すほどに、怒りのアサルトがその猛威を押しのける。
 吹き飛ばす。切り崩す! いかなる困難をも乗り越えるヒトの歴史のように!
『この光差す限り、汝ら外道に為せる業なし――!!!』
『アハ、アハハハッ……ハハ、ハハァーッ!?』
 笑い声は困惑と驚愕に途切れた。ティル・ナ・ノーグがマシンと組み合う!
 砲火をねじ伏せ叩き潰し、その巨大なる魔剣デバイスを楔めいて打ち込む!
 これこそ"暁光の魔剣(デイブレイカー)"。明日を切り開く銀光の輝き!

 おお、見よ。
 だがそれでもなお、モンスターマシンは蠢き瓦礫を取り込んでいく。
 無秩序な生長によって、道理をねじ伏せ無理を押し通そうとする。
 何も産まぬ虚無。未来の破滅。過去によって世界を埋め尽くそうとする。
 ドウドウドウドウ……無限じみた弾幕。いかなるものも近づけない。
 ……はずだ。それが可能なのだ。だからこそユーベルコードは奇跡なのだ。
 しかし、畏れよオブリビオン。その御業は汝のみのものにあらず。
 突如として、空が闇に染まった――そう、"夜"が訪れたのだ。
 ティル・ナ・ノーグを押しのけて抗おうとするモンスターマシンは、
 否……それと融合しつつあるジミー・ザ・ジョーカーは、素っ頓狂な声をあげた。
『ハァ?』
 BRRRRTTTTT……弾丸は夜空に吸い込まれていく。いや、夜空ではない。
 そこに星はない。吸い込まれそうな、無限じみた宇宙のきらめきもない。
 ただ、虚無だけがある。黒で塗りつぶしたカンバスのような。
「ばらまきたいなら、好きなだけばらまくといいよ。全部無駄だけどね」
 ジミー・ザ・ジョーカーはぎょろりと"それ"を見た。黒の中央に立つもの。
 アルナスル・アミューレンス。ガスマスクの男は黒に融けつつある。
 否、違う。この黒が、虚無が、死という無の海がアルナスルそのものなのだ。
「君はもう何も殺せない。何も壊せないし、何も出来ないし、何もさせない。
 進撃は許さない。撤退も許さない。反撃も、応報も、抵抗も、何もね」
 地を、空を覆うもの。アルナスルそのもの。開放されし偽神兵器の真骨頂。
 現象を、物質を、精神を、存在を、すべてを死という終点に引きずり込むもの。
 黒一色。何もかもを許さぬ厳然たる法則――すなわち、死(Death)。
「君の一切合切を枯渇(ウバウ)としよう」
 黒き海がわなないた。
「希望も絶望も、笑いも喜びも悲しみも恐れも、何もかもね。
 ……君が向かうのは"天災"だ。死でも、ありふれた滅びでもない」
『ア、アアア……アアアアアッ!?』
「君のあらゆる抵抗はすべて無駄。支配してきたこの街も、すべて無駄だ」
 黒は空などではない。大地を、更地となった街すらも飲み込み"殺す"。
 これは蹂躙であり虐殺。マシンが飲み込むべき瓦礫すらも飲み込んでいく。
 ジミー・ザ・ジョーカーは、恐れた。その力を、その使い手を!
 しかして、おお……真なる愚か者とは、このような莫迦のことを云うのか。
 ジミー・ザ・ジョーカーはその術式をすらも模倣複製しようとする。
 死には死を。飲み込まれてしまうまえに、飲み込んでしまえばいいと。
 もはや無駄なあがきの砲弾をばらまいて、定められた海に抗おうとする。

「――賢者殿の真似をするわけではないですが」
 そのときジミー・ザ・ジョーカーは、"すぐそばで声を聞いた"。
 いつのまにそこに居たのか。あるいは、最初からいたとでも?
 モンスターマシンの肩とでもいうべき場所、飄々と佇む男がひとり。
 口元には笑み。嘲りとも、侮蔑とも、呆れともつかぬ、憐憫とも別のもの。
 クロト・ラトキエ。レンズ越しの瞳は、乾いた砂のようによどみない。
「"道化は哀を秘め、愛を蒔く者"。あなたのそれは、ジョーカーとは言い難い。
 感情に流され、たわけて余裕ぶって、感情を逆撫で、しまいには威を借りる」
 クロトは脂汗をにじませるジミー・ザ・ジョーカーに、顔を近づけた。
 ジミー・ザ・ジョーカーはクロトを殺そうとした――出来ぬ。
 そこに男が居たのと同じように、まるで最初からそこにあったかのような。
 あまねく張り巡らされた鋼糸は、海に飲まれつつあるマシンを縛っていた。
 がんじがらめの包囲。拘束――否、もはやこれは檻だ。脱出不能の、檻。
 "拾式(ツェーン)"。囚われた獲物に、選択権があるとすればふたつ。
 足掻いて死ぬか、おとなしく死ぬか。
「道化を称するには、計算も役者も不足ですよ? あなた」
 にこり。クロトは今度こそ破顔し、優しい優しい笑みを浮かべた。
 ロートルからの老婆心とでもいうべきか、口にすればそう語ったことだろう。
「――つまりですね。あなた、最初からずっとスベってたんですよ」
『イ、ヒヒ、ハハハハ……フ、ザ、ケルナァアアアアッ!!』
「ふざけているのはあなたのほうですよ?」
 ぴしり、と。締め付けられた糸が、ジミーを、マシンを切り裂く。
「ここがお前の"終わり"です。もはや選択肢も、行く先も、退路もない。
 ……いましがた、彼が丁寧に教えてくれたのに。まだわからないんですね」
 それでもなお、道化は喚く。あがく。暴れる。醜くもあさましく。
 決着を見届けるつもりでいたハッカーは、その無様さに心の底から嘆息した。
「ハーァ……ダメだな、全然ダメだ。振る舞いも、最期も、何から何までダメだ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、心底呆れたように平手を晒した。
「お前は道化として三流以下なんだよ、スクィッシー(間抜け野郎)。
 そもそもハナから、お前には底知れない悪意なんて微塵もありゃしねえ。
 それっぽく取り繕った、狂うことすら出来てねえただのレイダー、人間のクズ。
 悪党としても三流、道化としては四流。それが、てめえの正体なのさ」
 まるで果実の皮を一枚一枚丁寧に剥くように、ヴィクティムは言った。
「真の悪党ってのはな――最後の最後まで、"底を見せちゃいけねえ"のさ。
 だからこそ悪党ってのは輝く。そしていつかは……ヒーローに倒されるのさ」
 ヴィクティムは空を見上げた。黒く染まった海……空を飛翔する怪物の姿。
 そうだ。たとえばあんなふうに、仮面を被って己を傷つけながら戦って。
 涙も、弱音も、無視するのではなく飲み込んで、乗り越える。
 そして、己には出来ない役どころ――"希望"として、輝いてみせるのだ。
 それに比べて目の前のクズはどうだ。ああ、なんて浅ましい。
「もうテメェの叫びも、悲鳴も、何もかも聞き飽きちまったのさ。
 ――だいたい、そんな四流以下から、逃げる必要なんざあるかね?」
 だから銃を構える。魔弾の射手から受け継いだ絆の銃を。
 祈りを捧げる。ただ静寂だけを求める。悪辣の終わりはそうであるべきだ。
 満足して大悟して、呵々大笑しながら派手にくたばってみせる。
 そんな大見栄切った晴れ舞台なんざ、このクズには生ぬるくてもったいない。
「――これ以上は通行止めだよ。テメェはもう、どこにも行けやしねえ」
 弾丸が放たれる。静寂を、停滞と鎮静を齎す魔弾が。
 この巨体。縛られ、海に呑まれかけ、滅びつつあるマシン。
 外すわけがない。弾丸は当然のように巨体を貫いて、静寂をもたらした。
「――そうよ」
《――そうだとも》
 地上。
 猟兵たちの処刑を見上げるヒルデガルトは言った。
 空中。
 猟兵たちの戦いを見下ろすジャックは言った。
 言葉は異なれど、少女と怪物が口にしたのは同じ言葉だった。
「私は身を以て示さなければならない」
《――我々猟兵は弱者(きみたち)の味方であると》

 そして希望(おのれ)は、どんな逆境にも決して心折れず屈さないと。

 少女も怪物も……いや、その場にいる誰もが、猟兵たちはみな、"そう"だった。
 英雄などと驕るまい。褒めそやすことはあれど自ら称しはすまい。
 その有様はあまりにもエゴに満ちて、時にはおろかで、みじめで、穢れている。
 理想的な英雄など程遠い。信念も、主義も、力も何もかも違う。
「……けれど、悪党は絶対に、完膚なきなまでに叩き潰す、ですか」
 桜人は手でひさしを作り、圧倒的にすぎるその処刑を見届けた。
 声が届く。電脳魔術によって、ジャックの発する声が、この都市に。
 ヴォーテックス・シティ。超・超巨大な貪婪の都の、隅々まで。
「とんだ予定調和のショーもあったもんですよ。脚本としてはどうなんでしょうかね?」
 この場にいるであろうハッカーに語りかけるように、桜人は言った。
 ……だが、それも悪くはないのかもしれない。
 特にこんな、現実のクソさを煮詰めたような街に見せつけるなら。
「そうさ! 希望は、いつだって輝くんだ――ほら、あんなふうに!」
 拡声器から伝わるリアの声。そして、輝きがマシンを貫いた。
 地上。己の覚悟と決意を光と変えた少女が、空を貫く矢となって。
 空中。己の信念と意思を翼に載せた怪物が、地を穿つ矛となって。
 逃れ得ぬさだめに抗おうとする巨躯を。ふたつの光が――まっすぐに、貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
かみさまと!(f16930)

うるせー! ばーかばーか!
そんなのずーーっと前から知ってるんだおれは。だってこの街にかぎったはなしじゃない、いまだけじゃない他の世界とか見つかってない世界でだって死にまくってるでもおれはそれを知らない知らないから助けられない。今更なんだ。ねえかみさま……にっこにこだ!? ナンデ?!
(作戦ふんふん)(二の腕さすさす)こわいなあ。そんなの作る人間も、それまで愛しちゃうかみさまも。
こっちもずっと前から知ってたけど!
はは、いーよ、やったろーじゃん。『不屈』にぎって全力全開だ!
爆弾の音したら、テントの下! おれは死なねーけど『不屈』壊れたらやだ!
終わったら回収してねー!!


朱酉・逢真
白いのと/f18631
心情)ひ、ひ! いいねェ、笑顔になっちまう。“こころ"にブン回されて、怒って笑って叫んで暴れて。ああ、かわいい。いとおしい。いいぜ兄さん、お前さんステキなピエロだ。だが《過去》は殺さんとだ。耳貸しな白いの。
行動)壱。この街はバカでかい。弐。もう逃がす相手はいない。参。レイダーは《過去》。OK、とっておきだ。白いのに眷属貸してやつ引きつけてもらう。俺は真の姿でロボの上空。兄さん映画は好きかい。俺は好きだ。馬鹿騒ぎのオチは爆発がお約束さ。ダメージエリア隔離多重結界よし。毒素拡散防止の速攻回収準備よし。
『核』の花だ。受け取ってくれや、ピエロ兄さん。
終わったら白いの拾いにいくぜ。



●そしてすべては火に消える
「…………」
「どうした、白いの。さっきからずーっと黙りこくってよ」
「それ言ったら、にっこにこだったかみさまだっておかしかったじゃん」
「俺が笑ったらいけねぇのかィ。お前さんいよいよ遠慮がなくなってンな」
 戦いを終えて。
 茜崎・トヲルと朱酉・逢真は、更地となった荒野を歩きながら云う。
 あたりには草木はおろか瓦礫すらもない。……何も、存在しない。
 地面はガラスめいて融けている。磨き上げられた鏡を思わせるようだ。
「ひ、ひ。笑いもするだろォよ――だってあいつは、"こころ"にブン回されていた。
 怒って笑って叫んで暴れて、泣いて怯えて苦しんでよ。ああ、かわいらしいぜ」
「……かみさま、やーなシュミしてんなー」
「お前さんに言われたかねえや」
 逢真は肩をすくめた。そして、トヲルに云う。
「お前さんだって、答えのねえことにうだうだ頭を巡らせてただろうが。
 ……いや、"巡らせてる"、かね。さっさと忘れちまえばいいもんをよ」
「うるさいやい」
 トヲルは口を尖らせた。彼にしては、らしくない反応だった。
 逢真は問わない。だが知らぬ仲ではない、その意味は理解できる。
 あのいとおしい仔――ジミー・ザ・ジョーカーが最初にわめいていたこと。
 無意味。
 無駄。
 何ももたらさない。
 救えるはずのものすら救えない。
 無力だ。
 ……あんな"かわいらしい"言葉は、ずっと楔となって刺さっているのだろう。
「知ってるんだよ、おれは」
 トヲルはとぼとぼと歩きながら言った。
「だって、このまちに限ったはなしじゃない。いまだって、この世界で、
 他の世界で、見つかってない世界で……いろんな人が死んで、苦しんでさ」
「…………」
「みんなしあわせになるべきひとなんだ。なのに、だめなんだ」
「…………」
「おれはそれを知らない。知らないから助けられない。でも、でもさ」
 トヲルは開いた掌を見下ろす。泣きそうな表情で、
「"知らないってことは知ってる"んだ。"届かないことはわかる"んだ。
 ……ずっとだよ。ずっと。いままでだって、これからだってそうなんだよ」
「そォさな」
 逢真の言葉は気のないものだ。だってそれは、当然のことなのだから。
 神ですら万能ではないならば、呪われたヒト一匹何が出来ようか?
 神は身の程をわきまえる。だがヒトはわきまえぬ。その愚かさがいとおしい。
 だから、何も言えない。言うべきではない。言えることではない。
「…………おれって、ばかだよなあ」
 トヲルはにへらと笑った。
「こんなことでずーーーっと、ずっとずっとぐるぐるぐるぐる悩んでるんだ。
 へへへ、死ねないくせにさ。……でも、かみさまはおれは笑わないんだな」
「笑えねェからな」
「えー!? ナンデ!? あいつにはあんなにっこにこだったのに!」
「……さァてね。なンでだろうなァ」
 そんな話をしながらふたりは歩く。極限の熱で焼かれた大地を。

 ――核。
 それは、ヒトが生み出した災い。この世でもっとも恐ろしく、熱く、無慈悲なるもの。
 人類史の汚点であり到達点。拭い去れぬマイルストーン――神をも殺す矛。
 "10番目の10番街"は滅び去った。ヒトの悪性が産んだ街はヒトの悪性で消えた。
「バカ騒ぎのオチは、爆発がお約束なのさ。知ってるか?」
「知らなかったな―! かみさまって物知りなんだなー!」
「お前さんが物を知らないだけだろ……つゥかよ、拾うのも大変だったんだぜ」
「でもかみさまはちゃんと回収してくれたよな! そういうとこすきだ!」
「……そォかい」
「あ、かみさまもしかして照れた? ねえ照れた?」
「腐らすぞこの野郎」
 あとには何も残らない。半減すべき毒素すらも神は引き受けていく。
 悪辣も、道化師も、生み出された鋼も何もかも、きれいに消えた。
 だからふたりはその荒野を歩く。馬鹿騒ぎは終わりを迎えたのだから。
(ああ、しかし――)
 核の花を見た時、終わりを悟ったあの《過去》の顔。
 喜びと、哀しみと、諦めと、絶望と、怒りと、何もかもがないまぜになった。
 ヒトの表情。ヒトでない残骸のくせに、そのさまはなんとも"らしく"て。
(いとおしいな、愚者(にんげん)はよ。いくら愛でても飽きやしねえ)
 そしてその目で隣の男を見やる。神を恐れず朗らかに笑う呪われたモノを。
 その有様はまったくヒトのようで、けれどもヒトからかけ離れている。
 ……こいつを見るときだけは、逢真は決して笑えなかった。
 かわいらしいと愛でることも、愛でようと思う気持ちすらも湧いてこない。
「かみさま今度は辛気くせーつらしてるー。あ、いつもか?」
「マジで腐らすぞこの野郎」
 ……笑いながら苦しむのもまたヒトの業。だけれど、この男は。
 体も、心の傷すらも治ってしまうその呪いは、なんとも残酷ではないか。
 だから神は笑えなかった。ただ憐憫と、己の無力感が湧いてくる。
「でもさ、ちょっとだけこわかったんだ、おれ」
「あン?」
「こんなふうにぜーんぶ消しちゃうものを生み出すちゃう人間も」
 逢真を見つめる。
「それまで愛しちゃうかみさまも、さ」
「……だったらもう少し信心深くしてくれねェかな」
「へへへ、それは無理! だってずっと前から知ってたもんね!」
 ……その笑みは、その肌と髪色と同じようにどこまでもまっさらで。
 生まれては死にゆくいのち。赤子を思わせた。
 逢真は何も言わず、煙管を吹かす。死の荒野に風が吹いた。
「それでもお前さんは、死なないンだろうなあ」
 最悪があるとすれば、それはどちらなのだろうか。
 この街と、終わらぬ男の旅路と――神には、答えを出せない。
 だから逢真はもう、それ以上考えることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月19日


挿絵イラスト