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紅茶の友~女王陛下の忠実な紳士(作者 みなさわ
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●帝都、カフェーの片隅
「色々と面倒なことになって来たな」
 三つ揃いの男がトーストを片付けて口を開く。
 視線の先にはタートルネックにジャケットの男がスプーンに掬ったジャムを口に含んでいた。
「やはりレモンティーではないんだな」
「それは貴殿の愛する女王陛下だけの特別な茶葉だ。我々労働者たる市民は貴重な砂糖の代わりにジャムを含み、濃いめの紅茶を嗜むのだ」
 薄く入れた紅茶を片手に、同じ色の髪を持った三つ揃いが溜息をつく。正面に座るジャケットを羽織った銀髪の男はその様子に対して赤くなった舌を見せて答えとした。
「まあ、これも最後だと思うと残念だよ」
「ああ、残念だ。本国へ召還されると聞いた、おかげで私は証拠を消すのに苦労した」
「『皇女殿下』は用心であらせられる、私のような口の回る男は放ってはおけないのだろう」
「『女王陛下』は最後まで仕事を全うすることを望まれた。私はもう少しここにいるよ」
 互いに席を立つ。時間が来た。
「残念だ」
「ああ、残念だ」
 あとには空になった二つのティーカップ。

 紅茶を嗜む、二人の時間は終わり。ブーツとオックスフォード、それぞれの足元を泥に汚す時間が始まった。

●グリモアベース
「まあ、そんなわけで。二人ともクロだ……今回はそのうちの一人を捕まえることにしよう。いいね?」
 グリモア猟兵、氏家・禄郎(探偵屋・f22632)がタイプライターのキーをリズミカルに奏でながら、猟兵へと同意を求めた。
「いやあ、まさか幻朧戦線に加担するスパヰが居るだなんてね。こんなワクワクする仕事はないと思うよ……おっと、冗談はこれくらいにして本題だ、君達には今話した幻朧戦線への支援を行っていたスパイを捕まえてもらう。標的は二人いるけれど、私達が捕まえるのは『女王陛下』の忠実な部下だ。どれくらい忠実であるというと……」
 投げる紙は白いまま、何一つ書かれてはいない。
「物証になる物はほとんど消された。あとは彼の手持ちの書類と彼自身……勿論、捕まえれば幻朧戦線に迫る証拠となるだろう。ちなみにもう一人の方は別のグリモア猟兵に予知されている。取りこぼしは無い」
 探偵屋が立ち上がり、タイプライターのレバーを押す。
「彼はとある桜のある公園で後始末をしようとしている。まずはこれを止めてくれ。勿論、素性が分かれば逃走するし、それを邪魔するものもいる――だけど君達なら何とかしてくれると信じている」
 開かれた道筋は桜の舞う公園。
「では、よろしく頼むよ」
 男は事後を託し、そして見送った。





第2章 冒険 『暗躍する幻朧戦線』

POW正面から敵を圧倒し、打ち倒す。
SPD集団戦や周りの物を利用して戦い、確実に倒す。
WIZ策略や魔術で奇襲を仕掛け、一気に倒す。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幻朧、その影

「同志ブルーリボン」
「私を同志扱いしないでくれ、無関係な諸君」
 軍服に外套を羽織り、鉄の首輪に熱情を捧げた青年将校の呼びかけに赤毛の男は憮然として答えた。
「上からの命令と伝言です、貴方を守れと。そして……」
 軍刀一振り片手に猟兵に立ちはだかる将校は敵から視線を離さずに
「『烈士足らんとする意気、感動した。しかし後始末は日を改めるべし』とのこと」
「そうだな、私は死ねなくなった。そして君達は恩を売り、支援の継続を狙うか」
「――側車を一台、用意しました。運転は?」
 皮肉の混ざったスパヰの言葉。直後、エンジン音が響き渡り男達の背後に停まるのはサイドカーが一台。
「乗馬は嗜みだよ、彼には横に乗ってもらおう」
 将校の問いに笑みを伴って応えれば、側車に飛び乗ってスロットルを開放する。
 排気ガスを伴って、赤毛の男は公園を逃げ出した。

「さて猟兵諸君、我々と付き合ってもらおう」
 青年将校が軍刀を振り下ろすと猟兵の足元に打ち込まれるのは弾痕――つまりは狙撃兵が居る証。
「超弩級戦力には不足だろうが、それなりの布陣はさせてもらった。勿論、君達が狙っている男にも護衛はつけてある」
 戦力を見せているのは明らかに足止めの意図。
 一般人とは言え、簡単には排除は出来ないだろう。」
 悲鳴が上がり、人々が逃げ惑う中、大八車に隠されていた箱から男達が銃を持ち出し次々に構え始めた。
「彼も君も私も、簡単に戦争からは足抜けは出来ないという事さ――幻朧戦線に栄光あれ!」
 将校の叫びと共に四方より弾丸が降り注いだ。

 状況は極めてよろしくない。
 スパヰは公園から逃げ出そうとし、猟兵達を足止めするために幻朧戦線は平和な帝都に戦争を持ち込んだ。
 君達はこの状況を如何様に乗り越えるか?
 全てを一人で成し遂げるか、誰かに託し、己の役目を果たすか。
 答えは――すぐに明らかになるであろう。
ミカエル・アレクセイ
ちっあーくそ面倒くせぇ

過去における長年の指揮経験を元に【戦闘知識】で戦況を素早く把握
敵戦力と猟兵戦力のバランスが取れているなら自分は足止めに動く
接敵の方ならばユーベルコードでの撹乱と合気道での無力化を図る
殺しても問題ないならば首の骨を折るなどの最低限の苦しみで済むようには配慮する

事前に把握しておいた地理から逃走経路を【野生の勘】も用いて推測
逃走先にユーベルコードを召喚し足止めさせる

…まぁ、精霊銃でエンジンやタイヤ撃ち抜くのが一番手っ取り早いんだが、スパヰが死んだり他を巻き込んだら後味悪いしなぁ
取り敢えず運転できない身体にすればいいか?紅茶が飲めなくなるのは可愛そうだが
まぁ、どれも最後の手段だな


ティオレンシア・シーディア
…うっ、わあ…まためんどくさいことを…
足止めもそうだけど、あたしたちが無理矢理突破したらここで戦争バラ撒く気でしょぉ?
人数が少ないってこっちの短所がモロに刺さってるわねぇ…

はぁ…しょうがない、か。追っかけるのは他の人に任せて、あたしはこいつらの殲滅優先しましょ。ゴールドシーン、よろしくねぇ?
エオロー(結界)で○オーラ防御を展開、ミッドナイトレースに○騎乗して●黙殺を発動させつつ走り回って機動戦仕掛けるわぁ。これなら一般人には当たらないし、範囲も十分でしょ。
遅延のルーン3種で○捕縛属性とか帝釈天印で○マヒ属性とかつけたほうがやりやすいかしらぁ?

後でブッ飛ばすから、首洗って待ってなさいな?


●分析、その視点

「……うっ、わあ…まためんどくさいことを……」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)の美しい眉が歪んだ。
「ちっあーくそ面倒くせぇ」
 そしてミカエル・アレクセイも同じ言葉を重ねる……こちらは性格故の言葉だが。
「足止めもそうだけど、あたしたちが無理矢理突破したらここで戦争バラ撒く気でしょぉ?」
「若いのに詳しいな」
「そぉ? うれしいわねぇ」
 戦況を分析したティオレンシアをミカエルが評価すれば、糸目の女は笑みを浮かべる。
 ――神にとっては、みんな人が若いのは置いておくとしてだ。

「でも、人数が少ないってこっちの短所がモロに刺さってるわねぇ……」
「だな、質は上回っても量が上回ってる」
 二人が溜息をついた。
「はぁ……しょうがない、か。追っかけるのは他の人に任せて、あたしはこいつらの殲滅優先しましょ」
 ティオレンシアは自らのやるべきことを選び。
「ああ、面倒くせぇな」
 ミカエルは自らの性に従った。

「ゴールドシーン、よろしくねぇ?」
 宇宙バイク型UFO、ミッドナイトレースのスロットルを右手で開放しつつシトリンのついたペンが刻むのは『ᛉ』――守護のルーン。
 バレルロールを描き、防御フィールドに包まれたバイクが弾丸の雨の中を疾走し、空を駆るティオレンシアが空間にルーンを刻む。
『ᚦᚾᛁ』――まず、刻まれるのは遅延を示す三つのルーン。
 未知の技に横列陣にて前進し射撃を試みようとした一隊の脚が鈍る。
 ――『ई』
 そこへ刻んだ梵字は帝釈の真言。
 足止めの術を重ねられた幻朧戦線の脚が止まり、そして新たに刻んだ魔術文字が門を開く。

 Desire
 黙 殺

 九百に届くであろうほどの膨大な矢と刃。
 幾何学模様を描き複雑に飛翔するそれは、火力集中のために組んだ隊列を訓練場の標的が如く、貫き、切り裂いていく。
 銃声に耳を塞ぎ、その場に伏せていた人々が顔を上げたとき、負傷し横たわる幻朧戦線の男達を尻目に次の戦場へと走る宇宙バイクの排気音だけが残っていた……。

 戦場の混乱。
 その始まりをミカエルは見逃さない。
「ホント、意味解らねぇ」
 熱狂に酔い、勝てない相手に挑みかかる只人の集団。
 様々な道。長く歩んだその過程、今は歩みを止めたはずの神はその熱情を知ってはいるが共感はしたくなかった。
 だから――打ち倒す。
 疾走するのは誰かの悪巫山戯。だが刀と機関魔銃は皮肉が効きすぎる。

 カコニウモレタイモノ
 過去の異者

 百を超える、紅目の黒猫。
 その霊達がバイクを駆って、混乱を拡大すれば、ミカエルが敵へと接近する。
 白く細い腕が伸び、兵士の手首を掴み、捻り、そして力学によって方角を決め、力を込めれば――人が一人倒れる。
 研鑽を要求する武の技法――名は合気道。
「やはり面倒臭ぇ」
 襲いかかる若者の銃剣突撃を片手で逸らし、地面へと転がす。
 敗者が土を舐める中、視線は側車の方へ。
 意に応じてバイクを駆る幽霊を呼ぶが距離の壁は大きい――次々とくる増援に視界を塞がれ、神は妨害を断念せざるを得なかった

「後でブッ飛ばすから、首洗って待ってなさいな?」
 周辺一帯を制圧し、人々の安全を確保したティオレンシアが呟く。
「……物騒だな。紅茶を飲めない程度にしておけよ」
 ミカエルも嗜めようとしなかった。

 どちらにしても……まだ、敵は多い。
 再び対面するには時間が必要だった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

荒谷・ひかる
わたしたちをこの場に足止めして、彼を逃がすという魂胆ですか。
構いませんよ。わたしはこの場を一歩も動く必要ありませんから。

【草木の精霊さん】発動
幻朧桜で溢れるこの公園全てを、幻朧桜の迷宮へと変化させてもらいます
まずは狙撃手の射線を枝や幹の壁を生成し遮り防御しつつ、付近の蔓草等で絡みついて捕縛
スパヰさんが車輛で逃げるのでしたら、曲がりくねる狭い道や根っこがぼこぼこ飛び出す地面でまともに走れなくします
更に花粉を撒いてもらって花粉症を誘発、くしゃみと涙と鼻水で戦いや逃走どころではなくしてあげましょう

(溜息一つ)
……あんまり強くないわたしが言うのも何ですが。
『超弩級戦力』の能力、甘く見すぎでは?


銀星・偵
公園に着いてみれば、この騒ぎ
既にスパヰの正体は割れたのだな
ならば、この鉄火場に探偵として解く謎は存在しない
我輩は狙撃手として道を拓くとするか

しかし幻朧戦線、随分と無粋な連中であるな
一度紐解かれた謎は、どう取り繕っても隠し切れるものではないと言うのに

先ずは逃げ惑う群衆の上空へ眠砂弾をぶっ放す
魔法の眠り粉を降らせることで
混乱を沈めつつ人質としての価値を無くす

逃げる群衆を我等の足枷とするつもりだろうが
眠ってしまった群衆を、逃げる事すら出来ぬ者を、連中は撃てはしまい
どんなお題目も恐怖も眠った者には届かぬ
それでも撃てば、それは戦争ではない
ただの虐殺だ

とでも言いくるめて、隙を作って幻朧戦線共に眠砂弾を乱射


●超弩級、その戦術

「公園に着いてみれば、この騒ぎ」
 銃声の中、二重回しを纏った老齢の男が歩く。
「既にスパヰの正体は割れたのだな」
 名は銀星・偵。最後の証拠を抑えに来たプライベート・アイにして。
「ならば、この鉄火場に探偵として解く謎は存在しない。我輩は狙撃手として道を拓くとするか」
 ――スナイパー。
 永き時を生きる男が回転式拳銃を抜くのは今、この時。

「わたしたちをこの場に足止めして、彼を逃がすという魂胆ですか」
 荒谷・ひかるは幻朧戦線の目的を看破する。
「構いませんよ。わたしはこの場を一歩も動く必要ありませんから」
 だが、彼女がそれを阻むために走ることは無い。
 いや、必要がないのだ。
 姉のような力はないが、代わりに――精霊が居るのだから。
「覆いつくして、精霊さんっ!」
 願いに呼応して幻朧の桜が枝を伸ばし、根を張り、そして迷宮を作り上げた。

 プラント・エレメンタル
 草木の精霊さん
 
 幻朧桜のラビリンスが熱狂と使命に囚われた者達を分断し、幹の壁が狙撃手の射線を遮る。
 今、ひかるの視界にある戦場は精霊とその友が掌握した。

「しかし幻朧戦線、随分と無粋な連中であるな」
 迷い、戸惑う人々をかき分け、偵が輪胴弾倉へ二発、弾を押し込む。
「一度紐解かれた謎は、どう取り繕っても隠し切れるものではないと言うのに」
 装填した銃の重みを確かめると、探偵は天空に向けて銃口を掲げ、撃鉄に指をかける。
 87%の銀と13%の水銀、銀の星が握るその銃の名はARQUERITE。
 そして放つ弾丸の名前は――

 Sandmann's party
 眠  砂   弾

 幻朧桜が頭を垂れ、眠るように揺れる中、空より舞い落ちる魔法の砂が武器を持たない人々を惑わせ、夢の世界へと誘う。
「逃げる群衆を我等の足枷とするつもりだろうが」
 一般市民を人質としようと駆け寄った幻朧戦線の男達の前で偵が口を開いた。
「眠ってしまった群衆を、逃げる事すら出来ぬ者を、お前さんは撃てまい」
 その言葉に理想に燃える男達の一人、軍服を着た若者が拳銃を抜き、今は眠る人々へと向ける。
「どんなお題目も恐怖も眠った者には届かぬ」
 けれど、射止められるのは青年。それは銃口ではなく銀の星の眼光。
「それでも撃てば、それは戦争ではない」
 そして――
「ただの虐殺だ」
 理想という名のハリボテへの証明。矛盾した行為への回答。
 男の手が震え、握った銃は小刻みに揺れる。
 そして――銀色に輝く拳銃が火を吹いた。
 二発目の眠砂弾。
 向けられたのは幻朧戦線の男達。
 理想の時間は終わり、夢の時間が始まる。目覚めたころには。
「――鉄格子の向こう側であるな」
 偵の目は迷宮の遥か向こうを見ていた。

「……あんまり強くないわたしが言うのも何ですが」
 根に囚われ、枝に武器を奪われ、無力化された兵士達を横目にひかるが呟く。
「『超弩級戦力』の能力、甘く見すぎでは?」
 そして、視線を遠く――スパヰへと向ける。
 既に罠は仕掛けてある。
 曲がりくねる狭い道と根でサイドカーの足を殺し、そして花粉を撒くことで花粉症を誘発させ、逃走を防ぐ狙いであったが……。
「どうやら、あのスパヰ、乗り慣れているようであるな」
 自らの仕事を終えた偵が横に立ち、声をかけた。
「思った以上に……強敵みたいですね」
 ひかるの視界には巧みに根を乗り越え、身を伏せて花粉の中を突き抜けた側車の姿。
 呟く言葉に悔しさがないと言ったら嘘になった。

 スパヰは走る、公園の中を――さらなる戦場の向こうへ。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴