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もふもふ幽世道中記

#カクリヨファンタズム #もふもふ

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#カクリヨファンタズム
#もふもふ


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●その日、世界はもふもふに覆われた
「猫はいいわね、何にも縛られず自由で平和そうで……」
 べべん。三味線が響く。
「私も好きな事だけしてだらりと過ごしたい。演奏の感想も、お世辞も、そんなのいらない」
 べべべん。
「私は好きなだけ三味線を奏でて……そう、猫をもふもふしたい」
 べべべん、べん。
「人の声より、猫の合唱の方が良い。私の隣や膝の上でごろごろして欲しい。ずっとずっと……永遠に!」
 べべべべん。
「世界なんて……みーんな猫になっちゃえー!!」
 べべん! にゃーん!

 そういう訳で、世界の住民は全員もふもふしたにゃんこになってしまったのである。

●ソルルの情報
「またカクリヨファンタズムが大変な事になっちゃいました!」
 アザラシの深海人、ソルル・レヴァニッド(白銀の牙を求めて・f26234)は猟兵達に向けて早速説明を始める。
「幽世の世界がもふもふだらけになっちゃいました! 世界中、猫さんだらけです!」
 心配そうな様子でソルルはそう伝えた。言葉通り、どうやら幽世の住民達が全員猫と化してしまったようだ。
「猫さんになってしまった住民さん達は、元の自分の事を覚えていなくて猫そのものになっちゃってるんです。だから毎日、ずーっとごろごろにゃーにゃーして過ごしているんです」
 とても平和じゃないか、と一瞬思ってしまうが。
「勿論、こんな事をしたのは妖怪を飲み込んだオブリビオンなのです。このままだと世界がオブリビオンに支配されちゃいます! 何とかやっつけてみんなを助けてあげてください!」
 どのような世界であれ支配だけは許されない。ソルルは一度頭を下げると、続けて説明を行う。
「えっとですね、皆さんが世界に辿り着くと、たくさんの猫さん達に囲まれると思うんです。猫さん達は皆さんに撫でて貰おうと寄って来るかもしれませんが、彼らは元住民さんです。一緒にオブリビオンの元へ行って怪我をさせる訳にもいきませんから、何とか振り切ってください!」
 近付く猫達は足が速い。しかし、その動きを止める方法が一つあるという。
「皆さん、『だるまさんがころんだ』って知ってます? 少し進んでからクルッと後ろを向くと、目が合った猫達が動きを止めるんです。えへへ、面白いですよね、これ使えそうだと思うんです!」
 つまり、猫達に捕まらないよう距離を広げながら遊んであげよう、という事らしい。
「猫達を振り切った先に、古いお寺が見えてくると思います。そのお庭にオブリビオンはいます! なのですが……そこにもいっぱい猫さんがいるんです」
 ソルルが言うに、それは普通の猫ではないらしい。
「普通の住民ではありません。『ねこまたすねこすり』っていう、ふかふかした毛玉の猫さんがいっぱいいるんです。ふわふわーって、いっぱい浮いてます!」
 ふかふかした毛玉が、ふわふわと浮いている。それもいっぱい。天国か。
「その猫さん、実はオブリビオンなんですけど……攻撃はあんまりしてこないみたいです。寧ろ『満足すると消えていく』みたいですよ!」
 一部の猟兵はそれを聞いて心が躍っただろう。
「ですので……お寺のお庭に着いたら、毛玉の猫さんといっぱい遊んであげてください!」
 毛玉の猫、ねこまたすねこすりは名前の通りすねをこすって来る。何もしなくても自然と足元がふわふわもふもふする事となるだろう。撫でても良し、おやつをあげても良し。過ごし方は自由だ。
「恐らくお寺にボスのオブリビオンがいると思うのですが、そこへ毛玉の猫さんが加勢するのはちょっと気が引けちゃいますと思うので……予め遊んであげて何処かへ行って貰うのが良いと思うんです!」
 いろんな意味で戦闘の邪魔をされてしまうだろう。猫だし。

「……それでは、ソルルからのお話は以上なのです! 猟兵さん達、あとはよろしくお願いしますね! ぜひ楽しんで……あっ、気を付けてくださいね!」
 ふるふる、と首を振ってからソルルは猟兵達に再び頭を下げ、見送るのだった。
 いざ、もふもふにゃんこわーるどへ出発だ。


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 カクリヨファンタズムが舞台となります。
 世界がもふもふにゃんこだらけになってしまいました。
 (猟兵は猫化の影響を受けません)

 ●1章について
 にゃんこ達に「だるまさんがころんだ」をするとピタッと止まります。何度か繰り返して振り切り、遠ざかってください。
 おもちゃやおやつを置くなりして気を逸らすのもOKです。
 フラグメントの選択肢は一例ですので無視して頂いて構いません。

 ●2章について
 にゃんこを満足させれば消えていきます。
 「一生このままでいいや……」と考える事をやめたら負けですので気をしっかり保ちつつ触れ合って下さい。

 ●敵について
 カクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。
 飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『だるまさんがころんだ』

POW   :    捕まることを恐れず前進

SPD   :    慎重かつスピーディーに前進

WIZ   :    鬼が振り返ったら変なポーズで止まる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「にゃーん」
「みゃあー」
「にゃあ?」

 世界は猫しかいなかった。
 何処を見渡しても自由に過ごす猫、猫、にゃんこ。
 毛繕いをする猫、日向ぼっこをする猫、落ちてる猫。
 そんな彼らも猟兵達を発見すると、構ってくれと言わんばかりに近付こうとした。
 しかし不思議な事に、顔を隠してはすぐさま目を合わせると、猫達はぴたりと動きを止める。
 ある者は首を傾げながら、ある者は耳をぴんと立てながら、ある者は地面にごろりと転がりながら。
 彼らに背を向けるとまた、じりじりと近寄ってくるのだ。
「にゃーん?」
 のんびりと遊んであげたい所だが今は世界の危機だ。残念だが振り切らなければならない……!

 猟兵vsにゃんこの壮絶な『だるまさんがころんだ』が、今始まろうとしていた。
スウィーピィ・スウィークス
にゃにゃーん。あちこち猫がいっぱいだね。
つい最近猫になったばかりだけど、
今回はならなくていいんだにゃ?
指を鳴らせば変化した猫耳猫しっぽがいつものねず耳ねずしっぽに戻り。

ねずみというのは猫から逃げるものだにゃん。
にゃんではない、ちゅうだよね。
ともかくスーは空飛ぶポットに乗って【空中浮遊】で逃げるんにゃよ。
「だーるーまーさーんが、ころんにゃっ!」

ふわふわしゅばっと宙を飛ぶ【うそうそれぎおん】は
光でできたお魚だから、猫たちの気を引けるかな?
「遊ぶだけだから、いじめちゃだめだよ?」
とお魚たちに言い含め【時間稼ぎ】をしてもらっちゃうぞ。
あっちへこっちへねこねこじゃらして楽しいねぇ。ふふ。



「にゃにゃーん」
「にゃあ?」
 ふわりと浮かぶティーポットに乗ったスウィーピィ・スウィークス(シロッピィ・ホイップテイル・f29236)は猫達と会話をしていた。しているだけで実際に会話が成り立っているのかは分からない。だけど猫は返事を返してくれた。
「にゃんにゃん、今回は猫じゃなくて、ねずみになるにゃん。ねずみというのは猫から逃げるものだにゃん」
 指を鳴らせば、耳と尻尾がぽふんと猫からねずみに。いつもの自分の姿へ変化を戻し、猫に微笑みかける。
「少しだけ遊ぼう? ねずみは逃げる、それを猫が追い掛ける。捕まったら、ねずみの負けにゃん」
 そう話し掛けた後、おや、と首を傾げ。
「……にゃんではない、ちゅう、だよね。ちゅうちゅう」
 そうそう、と自問自答に満足すると、スウィーピィはティーポットの向きをくるりと変える。
「それじゃあ、始めるよ?」
 ふわふわ、ティーポットは猫達から逃げる。しかしそれは早すぎず遅すぎず、あくまで猫達が追い付けそうな速さで空中を泳ぐ。
 スウィーピィの細長い尻尾が揺れる様子に猫達の視線は釘付け。そわそわ、と自身の尻尾も揺らしながら後を追って行く。
 そこへ、歌うようなスウィーピィの声が響き渡り、
「だーるーまーさーんが、ころんにゃっ!」
 くるっと向きが変わるティーポット。スウィーピィと対面した猫達は思わずぴたりと動きを止める。片手を上げたまま止まる猫、身を屈めたまま止まる猫、尻尾が微かに揺れている猫。少しだけ時が止まった猫達の姿は、なんだか心がほんわかとした。
「ふふ、みんな賢いんだね。このままだとねずみが捕まっちゃうにゃ」
 でも、何度もくるくると回ると目も回ってしまいそう。これは回るティーカップではない、穏やかなティーポットなのだ。
「それなら、これはどうかな?」
 くるくると何かを混ぜるように回す指先。ティーポットの口から注がれたのは、しゅわしゅわソーダの海。
「みゃー」
 猫達は驚き、まん丸瞳を大きく開く。動いてはいけないのに、思わず顔が動いてしまう(そもそも猫は遊びのルールを知らないのかもしれない)。
 それもそのはず、ソーダの海に魚が泳いでいるのだから。
「遊ぶだけだから、いじめちゃだめだよ?」
 それは魚達にも猫達にも伝えた言葉だったのかもしれない。ゆらりきらりと泳ぐ熱帯魚の群れは猫達の頭上や間をするりと泳ぐ。優雅な風景にスウィーピィの尻尾はもう目立たない。
「じゃあ、次に行くよ。だーるーまーさーんーが……」
 スウィーピィが背を向けた直後、猫達は魚達を追い掛け始める。じゃれるように猫パンチを繰り出しても魚達はひらりゆらりと避ける。
「……ころんにゃっ」
 今度はそっと振り向いてみるスウィーピィ。確かに追って来ていた猫もいたが、一回目よりも数はとても減っていた。動きを止める猫達のもっと後ろでは、賑やかに魚達と遊ぶ猫達の光景が目に入る。
「可愛いね、楽しいね。でも、ちょっとだけ寂しいかも」
 ふわふわ、動きを止めた猫達の目の前に、美しい尾びれを揺らす魚が通る。あっという間に猫達の視線は魚に奪われた。
 またあとで遊んでね。そう呟き、スウィーピィはふわふわと猫達から離れていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュドミーラ・シェスタコフ
猫さんが沢山です……みんな元は住人さん達なんですよね?

オブリビオンと戦うためにもまずは猫さんを振り切らないとですね。
走って振り向いて、また走ってを繰り返していきます。
けれど、得意とは言えない走りの速さで猫さんを振り切れるかというと…。
あ、あれ…? 猫さん達との距離が離れていません…。

このままではずっと猫さんがついて来てしまいますね。
なので≪微睡みの光≫を使用して猫さんには眠っていただきましょう。
目が覚める頃にはきっと元の世界に戻っているはずなので、
今はどうかゆっくりと眠っていてください。



 白黒に三毛に靴下、様々な模様があちらへこちらへ、何処を見ても猫だらけ。にゃあにゃあと和やかな鳴き声が世界に響き渡る。
「猫さんが沢山です……」
 改めて目の当たりにすると不思議な光景だ。リュドミーラ・シェスタコフ(機械仕掛けの女神官・f28286)は思わず言葉を漏らす。
 一見可愛らしい世界ではあるのだが、住人(妖怪)が一人も存在しない事を考えると、少しだけ怖いかもしれない。
「記憶はないみたいですけど……みんな元は住人さん達なんですよね?」
「にゃー?」
 その鳴き声は問い掛けの返事なのか、それとも偶然鳴いただけなのか。やはり会話は無理そうだ。
「みゃあ、みゃあ」
「なぅー……」
「うぅん、可愛いのですがオブリビオンと戦って元の姿へ戻さないと……ごめんなさい」
 構ってくれと近付く猫達へ申し訳なさそうに謝ると、リュドミーラは背を向け走り出した。
 しかし彼女は神官である為、運動は得意ではない。転ばないよう白いローブの裾を少し持ち上げながら一生懸命走るのだが。
「にゃあー」
 後ろから聞こえる猫の声は離れていかない。寧ろ近付いて来ている気がする。
「(あぁ、確か、思い切り振り向くと動きが止まると聞いたような)」
 ふと思い出し、リュドミーラは足を止めくるりと後ろを向く。すると聞いた話の通り、猫達の動きがぴたりと止まったのである。
 再び正面を向き少し走っては振り向き、また走っては振り向き。何度行っても猫達は顔が合う度に動きを止める。……見ていて少し面白くなってきた。
「(……面白くてつい何度も振り向いちゃいますが、猫さん達との距離が一向に離れていませんね……)」
 どうも自分の走る速さよりも猫の方が早いらしい。このままでは目的地まで大勢の猫達がついてきてしまうかも。
 となれば、とリュドミーラは両手に握っていた神官の杖を、とん、と地面へ立たせれば、目を閉じ静かに祈りを籠め始める。
「猫さん達、そろそろお疲れでしょう。お昼寝の時間にしましょうか」
 杖の先端から温かな光がふわりと輝き始める。
「――穏やかな眠りの中で、ひと時の癒しをお与えください」
 それは身も心も全て優しく包み込んでくれるような太陽の如き輝き。それと共に何処となく懐かしくなり落ち着く香りも降り注ぐ。先程まで元気に動いていた猫達は突如穏やかな気持ちになり、うとうとと睡魔に襲われその場でごろりと横たわるのだった。
 リュドミーラは近くで眠りについた白い猫へそっと近寄ってみた。ぽかぽかと温まった体が静かに呼吸を行い、喉をゴロゴロと鳴らしながら眠る姿に思わず微笑む。
「ふふ、目が覚める頃にはきっと元の世界に戻っているはずなので……今はどうかゆっくりと眠っていてください」
 優しくそう伝えると、彼女は猫達を起こさないよう、速足でその場から離れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・奏
瞬兄さん(f06558)と参加。

猫だらけの世界・・・いいかも・・・・はい、分かってます。世界が崩壊させる訳にはいきませんので。まずは猫さんを振り切るんですね。実に心苦しいですが、やらなければ。

ただでさえもふもふ猫さん大好きなので、一度すり寄ってくっつかれると離れる事が出来なくなりそうなので、奥の手の動くネズミのおもちゃと手作りの栗饅頭を置いて気を逸らしてから一気に逃走!!猫さん!!遊んであげたい気持ちは山々ですが先に行かねばなりませんので!!兄さん、後はお願いします!!(脱兎)


神城・瞬
義妹の奏(f03210)と参加

まあ、奏に取っては猫で埋め尽くされる世界は楽園でしょうが、それでは世界が崩壊する事は分かっていますよね?

まあ、猫の群れを振り切るだけでも奏には試練なのは分かっていますので、フォローはちゃんとしますよ。

まず、【マヒ攻撃】を仕込んだ【結界術】で奏の逃走を補助。奏の逃走を確認したら矢車菊の癒しで猫達を纏めて眠らせて自分も移動。強引な手段ですみません。かならず皆さんの世界の崩壊は止めますので。待っていてくださいね。



 何処を見ても平和に過ごす猫達。そんな猫だらけの世界もいいかも……と感じてしまう真宮・奏(絢爛の星・f03210)。そんな彼女を宥めるのは兄代わりでもある神城・瞬(清光の月・f06558)。
「まあ、奏に取っては猫で埋め尽くされる世界は楽園でしょうが……」
 そう伝えながら首を横に振る瞬。
「人間が誰一人いないんですよ。そうなると猫達を見守る者がいない訳です。それでは世界が崩壊する事に繋がってしまいます。分かっていますよね?」
「はい、分かってます。記憶がないとはいえ、この猫さん達は元々は住民さんですからね……」
 心では分かっていても、可愛いものは可愛い。奏はしょんぼりしながら自ら猫達に近付く事を何とか我慢する。
「頑張って近付かないようにはしますが、追い付かれてしまったら離れられる自信は……ないですね」
「えぇ、奏にとっては試練でしょう。フォローはこちらでちゃんとします」
「お、お願いします」
 そんな会話をしている間にも猫達は撫でて貰おうと近寄って来る。奏は撫でたい欲を必死に抑える為に慌てて背を向け走り出す。その後を追うように瞬が走り、そのまた後ろを猫達が鳴きながら追い掛ける。
「うぅ、鳴き声が可愛い……! ち、ちょっとだけ!」
 迫り来る猫達の気配を感じ取り、奏は一度だけくるりと振り向く。すると、目が合った猫達も同時にぴたりと動きを止める。なんだなんだ、どうしたどうした。そんな風に訴えているかのような驚きの表情を浮かべた猫達が奏をじっと見つめる。
「ね、猫さん達が私の方へ一斉に向いてる……!」
 混み上がる撫で欲。しかし、
「駄目です」
「はい」
 義兄に止められる。
「も、勿論こうなると思って、いざという時の準備はしてますから……! それっ!」
 奏は何かを取り出すと、それらを猫達の方へと飛ばす。色とりどりの可愛らしいネズミのおもちゃが地面をあちらこちらへと走り回る。
「!!」
 勿論、猫達が無視する訳がない。猫達の顔がネズミを追い掛ける。奏を見る者はもういない。今だ、と奏は走り出す。
「兄さん、後はお願いします!! 恐らく私はもう振り向いてはいけない気がするのです!」
「えぇ、僕もそう思います」
 走り去りながら瞬が横目でちらりと後ろを見る。猫達はネズミを追い掛けじゃれる事に夢中だ。きっと振り返っても止まる者はいないだろう。だが瞬は思う。振り返って止まってしまうのは義妹の方だろう、と。
「……強引な手段ではありますが」
 瞬はそっと猫達に向かって矢車菊の花吹雪を放つ。ふわりと猫達の間をすり抜ける花びらから心地良い香りが漂い、猫達は次第に睡魔に襲われる。やがて猫達は大きなあくびと伸びを見せると、ごろんと横に転がりすやすやと眠りにつくのだった。
「すみなせん、かならず皆さんの世界の崩壊は止めますので。待っていてくださいね」
 そう呟くと、瞬は随分と先へと走り去ってしまった奏を急いで追い掛けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

名雪・瑠珠
おお、猫がいっぱいである!
どれどれよしよし…ではない!撫でに来たのではないのである!

例の遊びは少し進むたびに振り向き、その時猫よりわたしが多く進んでいればいいのであるな
身体づくり、特に脚には自信がある
任せておくのである!

大股歩きは意外と時間がかかり距離が広がりにくいかもしれんな
あまり早足で進みすぎると猫も対抗して走り出すかもしれん
くるっと振り向くのも遊びの一環だそうだが、進み方の効果を確かめられるのだから一石二鳥である

素早く振り向いたり、振り向くと見せかけて振り向かないときの猫の反応が楽しくなってきたであるぞ
いや、これは彼らを危険な目にあわせないための行動
しっかり引き離して古寺に向かうのである



「おお、これは! 猫がいっぱいである!」
 猫だらけの世界の光景に名雪・瑠珠(羅刹のバーバリアン・f25092)は目を輝かせる。人の気配に気付いた瞬間、猫達は甘えるような声を響かせながら瑠珠へと早速近付いていく。
「どれどれよしよし……ではない!」
 思わず腕を伸ばしたがぴたりと踏み止まる。そう、今はまだその時ではない。今はオブリビオンのいる場所へと向かわねばならないのだ。
「うぐぐ、しかし触れられなくとも遊んでやる事はできる。確か例の遊びは……少し進むたびに振り向き、その時猫よりわたしが多く進んでいればいいのであるな」
 まぁまずは試してみるべきか、と瑠珠は猫達に背を向け早歩きを試みる。
 たったった、とリズム良く駆けた後、くるりと後ろを振り向いてみる。すると、後を追って来ていた猫達が目を大きく見開いたままぴたりと動きを止めたではないか。動きこそ止まってはいるものの、視線は逸らす事なくじっと見続けている。まだかまだかと尻尾を揺らしている猫も中にはいた。
「ほう、なるほど! 猫も楽しそうであるが、こちらも見ていて面白いな。悪い気分はしないぞ」
 これだけ大勢の猫に注目される経験など、そうそう起きない事だろう。少し楽しさが分かったような気がした瑠珠。
「振り向く回数に制限などないのだろう? どれ、進み方の効果を確かめながら色々試してみようかの」
 大股歩き、ダッシュ、スキップ。あらゆる進み方を試しながら後ろ振り向き猫達を眺めて気持ちを和ませる。脚には自信がある為苦に感じる事などないのだが、猫達の動きを止める行為が回数を重ねていくごとに楽しみになっていった。
「だるまさんがころん……だと見せかけての振り向かない! いや、振り向く!」
 そんなフェイントも挟みつつ猫達を見ると、しまった、と言わんばかりに猫達は二、三歩進んでから慌てて止まる。ちゃんと動きを止める辺り、律儀な猫達である(彼らが遊びのルールを知っているのかはともかく)。
「ほい、っと。ほう、まだ黒が先頭であるな。……っと。おぉ、今度は三毛が並んだぞ、早いな」
 徐々に自身の歩くスピードを確かめる為ではなく猫のレースを見る為に振り向くようになってきた気がする。しかし、その猫のレースも徐々に数が減っているのは確かだ。
「そう、これは彼らを危険な目にあわせないための行動である。……忘れてなどいないぞ」
 その呟きは自分自身に言い聞かせる為か。瑠珠は猫達との距離を大きく広げながら目的地を目指す。その様子は、少し名残惜しそうにも見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ねこまたすねこすり』

POW   :    すねこすりあたっく
【もふもふの毛並みをすり寄せる】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【ねこまたすねこすり仲間】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    いつまでもすねこすり
攻撃が命中した対象に【気持ちいいふかふかな毛皮でこすられる感触】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する心地よい感触】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    きもちいいすねこすり
【すねこすり】を披露した指定の全対象に【もっとふかふかやすりすりを味わいたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猫達の姿が見えなくなった頃、新たに猟兵達の視界に入ってきたものは古めかしい寺。恐らくここが目的地だろう。
 広々とした寺の庭へ足を踏み入れると、ほわんほわん、と大量の何かが転がってきた。
 それはもふもふふわふわなまん丸毛玉に、もこっとした二つの何かが生えたもの。
「にゃあ~」
 毛玉は鳴いた。心がきゅんとしそうなその甘い鳴き声は、確かに猫のもの。
「にゃ~ん?」
「みゃー、みゃー」
 様々な模様を持つ毛玉達の正体は猫又のようだ。……と思ったが猟兵の足元を狙っている。もしかするとすねこすりかもしれない。
 いや、この際どっちでもいい。触ったら絶対に気持ち良さそうな毛玉に変わりはないのだから! こればかりは触らない訳にはいかない!
 世界を救う為にも……ここは全力で彼らと触れ合うしかないようだ!

「にゃあ、にゃあ」
 なんと、ねこまたすねこすりたちは、かまってほしそうにこちらをみている!
 かれらはまんぞくすると、かってにきえるらしい。
 かまってあげますか?
名雪・瑠珠
【POW】(一応)

かまうに決まっているのである!

なんだなんだ、脚に群がって…ははは、そんなにわたしの自慢の脚が気になるか
よぅし、ちょっと待っているのである、離れているのだぞ!
(手に持っている金棒を毛玉から離れたところにドスンと置く)
これがあると撫でにくいからな
巻き込まれたやつはいないな?大丈夫であるな?

しかし可愛いやつらだ
そんなに体を押し付けて…
おお、なんだ、今度は群れてくるのか

もこもこを撫でる
撫でて喜ぶ部分はあるのであろうか
頭か?背中か?それとも意外にも腹か?
そういえば猫は喉の下を喜ぶと聞いたことがあるであるな…どれどれ
お前たちが満足するまでいつまでもかまってやる
存分に甘えるといいであるぞ!



 猟兵達を発見するなり、にゃあにゃあにゃあ! と、ねこまたすねこすり達は足元を狙って群がり始める。あっという間に名雪・瑠珠(羅刹のバーバリアン・f25092)も足元を封じられてしまったようだ。
「なんだなんだ、脚に群がって……ははは、そんなにわたしの自慢の脚が気になるか」
 ふわふわとした柔らかい感触が肌をくすぐる。彼らの攻撃は既に始まっている! ……のだが、そんなものは瑠珠を含めた猟兵達にとっては至福を感じるご褒美でもあり。
「なんと温かく柔らかい……ふむ、こうなると金棒が危ないな。よぅし、ちょっと待っているのである、離れているのだぞ!」
「にゃあ~……」
「そんな声をするな、一瞬だけである!」
 少し足を上げれば毛玉達の束縛からいとも簡単に脱出する事ができるのだが、その代わりどこか悲しそうな声が響く。周囲に注意しながら、どすん、と離れた場所へ金棒を置くと、元居た場所へ戻り毛玉達を改めて迎える。
「さて、何処から攻めるべきか……って、うおおなんだこれは!?」
 腰を下ろし地面に座った途端、瑠珠は毛玉の大群に包まれた。主に脚に集中する毛玉だったが渋滞している為、腕や上半身にも群がる。全身もこもこにゃあにゃあだらけだ。
「む、群れ過ぎではないか!? だが不思議と、悪い気はしないのである……」
 毛玉もとい猫にモテる事がこんなにも楽しいものとは知らなかった。だがこちらもやられてばかりとはいかない。
「どれ、お前たちが撫でられて喜ぶ部分は何処であろうか? わたしに教えるのだ!」
「ふにゃ~」
 まずは手元にいた三毛毛玉を両手で捕まえて持ち上げた。指先で頭や背中を優しく撫でてみると、毛玉は安心しきったような声で鳴く。
「それとも以外にも腹か?」
 右側でひっくり返っていた白毛玉の腹部をわしゃわしゃしてみる。撫でる側も撫でられる側もとても気持ち良かった。
「あぁ、そういえば。猫は喉の下を喜ぶと聞いたことがあるであるな……」
 どれどれ、と伸ばした膝の上にいたしましま毛玉の喉を撫でてみる。すると二つのふさふさ尻尾がぴんと立った。
「ごろごろごろ……」
 どうやら当たりだったようだ。嬉しそうな表情を浮かべながら喉を鳴らしている。
「おお、ここか? いつまでも撫でてやるぞ」
「ふ、ふにゃにゃ、ふにゃ……」
 撫でれば撫でる程、顔が上を向き反り返っていく。しましま毛玉は全身をふるふると震わせると、どろんっ、と煙を残して消えてしまった。気持ち良さに満足して(気持ちが)昇天してしまったようだ。
「なるほど、分かったぞ。さぁ存分に甘えるといいであるぞ! わたしが全力で撫でてやろう!」
 彼らの弱点(?)が分かればこっちのもの。瑠珠は自分と目と目があった毛玉を次々と持ち上げ引き寄せては喉を撫でた。勿論の事、全身も全力でもふもふ撫でてやった。至福の時間と気持ち良さに満足した毛玉達は嬉しそうな表情を浮かべながら鳴き、一匹また一匹と消えてゆくのだった。
「はは、可愛いやつらであるな。数の減らし方は分かったのであるが……やはり寂しく感じるのは何故であろうか?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

(猫が居なくなった所に到着)家の事片づけてたら遅くなった。依頼の内容から奏を正気に戻す手段が必要かと思ってね。瞬では手に余るだろう。もう猫の群れに飛び込んでる人がいるが。(奏を見て溜息)

まず赫灼のアパッショナートで猫達を周りに猫を集める。肩と頭に猫を乗せ、【歌唱】で鼻歌を歌いながらゆっくり過ごす。しばらくすれば満足して消えて行くだろう。名残惜しいねえ。

まあ、アタシと瞬はちゃんとお別れ出来るだろうが、奏はそうも行かないだろう。いつまでも猫に埋まって正気に戻らないなら奥の手の拳骨を奏の頭に一発。強引に現実に引き戻す。いつまでも幻影に浸ってるんじゃない!!戻って来な!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

ああ、可愛らしい猫さんが一杯!!今すぐ飛び込んでもふもふしたい!!(超高速のダッシュで猫の群れに飛び込む)

まず猫さんを抱っこして絢爛のクレドでくるくる回転。足に寄って来る猫さんに満足したら寝っ転がって猫さんを身体中に乗せてもふもふ。幸せです~・・・このままもふもふの時間が永遠に続いてもいいか・・・(母さんの拳骨を喰らう)い、痛い!!酷いです~。頭がくらくらします。

でもおかげで現実に戻れました。ちゃんとお別れ出来ます。猫さん、楽しい時間をありがとうです。安らかに旅立てるように祈ります。(涙を目に浮かべながら手を振って見送る)


神城・瞬
【真宮家】で参加

奏、これは猫じゃなくて猫又・・・遅かった。(既に奏はすねこすりの群れに高速で走って行った)・・・はあ。先程の事もあってモフモフ欲を溜め込んでいましたか。あ、母さん。家事ご苦労様です。このような状況で。戻ってこれるんでしょうか。

僕は精霊のフルートで清光のベネディクトゥスを奏で、精霊達を呼び出し、僕も膝に猫を乗せてゆっくり過ごします。精霊達と遊べば、猫達も満足して消えて行くでしょう。

まあ、母さんと僕がお別れを済ませてももふもふに埋まったままの奏がいるでしょうから、母さんの拳骨を受ける奏を気の毒そうに見ます。僕も何発か受けた事あるんですが、一瞬で現実に引き戻す程痛いでしょうね・・・



「あぁ……」
 その溜め息には二つの意味が含まれていた。一つは「微笑ましい光景だ」というもの。二つ目は「やはり予想通りだった」というものだ。
 現場に到着した真宮・響(赫灼の炎・f00434)は娘の様子が視界に入るなり、そんな溜め息を吐いたのだった。大量の毛玉に包まれた娘、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は幸せそうに戯れており、その隣で神城・瞬(清光の月・f06558)が少々困っているその様子は、正直容易に想像できていた。
「あ、母さん」
 ご苦労様です、と瞬が声を掛ける。手を振って返す響に早速と言わんばかり毛玉達は足元に集まり出す。
「何だい、これが噂のねこまたすねこすりかい?」
「はい。ですが撫でてあげれば自ら消えていくそうですので、奏の事は、今回は大目に見てあげて下さい……この通り無害のようですし」
「無害、まあ、そうだねぇ、ある意味ではねぇ」
 歯切れの悪い返事を返しながら苦笑いを見せる響。しかし彼女も毛玉達が可愛くないと思っている訳ではない。もこもこした存在が体をこすりつけながら輝く眼差しを向けてくるのだから、たまったものではない。
「仕方ないねえ」
 その場に座り込めば、あっという間に毛玉達に取り囲まれるのだった。

「うわぁ、もふもふだらけです~!」
「にゃあ~」
 奏は毛玉達を抱えながらくるくると回った。毛玉達も楽しそうに合唱を奏でる。ぎゅうぎゅうと抱き締め顔を埋めれば温かく、何よりもふかふかの感触がたまらない。日向ぼっこをしたのであろう太陽の匂いもする気がする。
 更にその場に寝転がれば、頭から足まで全身が毛玉達に覆われる。自分が動かなく(動けなく)とも毛玉達の方からすりすりもふもふ体をこすりつけてくるその行為は、言葉に言い表せないほど至福の時間だ。
 フルートの音色を響かせ周囲や膝の上に乗る毛玉達を落ち着かせる瞬。毛玉達はのびのびごろごろ、心地良さそうに転がる。横たわる姿はまるで毛玉が溶けているようにも見える。
 響も鼻歌を歌いながら、慣れた手つきで毛玉達を撫でる。ごろごろと喉を鳴らしながら毛玉達は尻尾を立て、すりすりと体をこすりつける。悪い気はしないものだと響も思わず笑う。

 平和な時間が流れる。しかし、その和やかで長く続いて欲しいその時も、終わりはやってくる。
「ふにゃ~ん」
 気持ち良さそうな声を響かせる毛玉が一匹、また一匹とその姿を消してゆく。どろん、と煙と太陽の匂いを残しながら満足そうに消える姿は、ほっとした気持ちと寂しい気持ちの両方を感じさせる。
「名残惜しいねえ」
 その結末を覚悟していたとはいえそう思うのも仕方がない。響の呟きに、そうですね、と瞬も心から同意をする。
 ただ……二人が毛玉を見送った所で、奏も同じようになるとは限らない。
「うう、猫さんが、猫さんが……もっともふもふしたいです~……」
 手元から消え去った毛玉を悲しむ奏。残された毛玉達を大事そうに撫でながらも消えて欲しくなさそうに抱き締める。
 やれやれ、と響は娘に近付くと、硬い拳骨を作り彼女の頭へと思い切り振り下ろす。
 ごす、という重く鈍い音が聞こえた。その痛さを身に染みて知る瞬は無意識に目を閉じていた。
「うっ!! い、痛い!!」
「いつまでも幻影に浸ってるんじゃない!! 戻って来な!!」
 突然の大きな音と声に驚く毛玉達。じんじんと痛む場所を手で押さえる奏を心配そうに見ながら、恐る恐る体をこすりつける。
「は、はい~……」
 ある意味では現実に戻る事ができた奏。痛みと悲しみに涙を浮かべながら、毛玉達と別れる為に優しく彼らを撫でるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュドミーラ・シェスタコフ
今回の猫さんたちからは、逃げなくてもいいんですよね…?

先ほどの猫さんたちからは逃げてしまって申し訳なかったですが、
この猫さんたちは構ってあげるといいとの事で遊んであげましょう。
とってももふもふすりすりで心地が良いですね。

集まってくるねこまたすねこすりをふかふかなでなで、
満足して消えていくまで構ってあげます。
先ほど逃げた分まで可愛い猫さんたちと遊びたいと、
私自身そんな気持ちがあるのは否定できませんが……。

遊んで満足して、消えていくのはお互いに良いことですが、
消えていく度に少しだけ寂しい気がしてしまいます。
消えていった先の骸の海で安らかに眠っていられるよう祈りましょう。



 最初こそふわふわもこもこした毛玉達に取り囲まれた事に驚いたリュドミーラ・シェスタコフ(機械仕掛けの女神官・f28286)だったが、可愛らしい毛玉達が一生懸命にすりすりと体をこすりつけてくる姿に心が和み、すぐににっこりと優しく微笑んだ。
「今回の猫さんたちからは、逃げなくてもいいんですよね……? 先程の猫さんたちの分まで遊んであげましょう」
 少し膝を曲げれば、ひょいと背中や頭の上を陣取る毛玉達。見た目ほど重くはない。恐らく外見の大半が毛なのだろう。
「わぁ、とってももふもふ……なんだかぽかぽかしてて温かいです」
「にゃ~」
「それにこれは……太陽の匂いでしょうか。屋根の上でお昼寝でもしていたのですか?」
「にゃーん?」
 肩に乗っていた毛玉をほわほわと撫でながらその場に座る。毛玉達は我先にとリュドミーラの腕や脚を占領し、甘い鳴き声を出しながらすりすりごろごろと甘える。頭や頬、お腹をこしょこしょとくすぐるように撫でれば撫でる程、毛玉達は目を閉じ嬉しそうな表情と変わっていく。
「にゃ、ごろごろごろ……」
「ふふ、これが良いのですか? よしよし」
「うにゃうにゃ……」
 任務の為とはいえ、なんて平和な時間なのだろう。お互いに戦意もなく、ただただ心地良い気分だけが生まれる。たまにはそんな時があっても良いのかも、とリュドミーラは思った。しかし、心の隅に引っ掛かる事が一つ。
「……先程の猫さんたちとも、やっぱり遊んであげたかったですね」
 元住民が変えられてしまった姿とはいえ、やはり猫は可愛いかった。ただ、確かに彼らをそのような姿に変えたオブリビオンの元へ連れていく訳にもいかないという理由も分かる。
 とは言え少しだけでも……いやいや、やはり危ないかもしれないからこれで良かったのだ。などと心の中で色々な思いがぶつかり合っていると、
「ごろごろごろ、ふにゃにゃ……」
 どろんっ。
「ひゃっ」
 撫でていた白色毛玉が煙を残して突然消えたのだった。もふもふ感触が突如消えた事に驚くのも束の間、すぐに別のしましま毛玉が場所を陣取りリュドミーラの手にすりすりと頭をこすりつけるのだった。
「……そっか、満足したから消えたのですね」
 満足度が最高潮に達すると、毛玉は姿を消していく。それは元住民である猫にはできない事でもあり、それはお互いに良い事でもあるのだが。
「……少しだけ寂しい気がしてしまいますね」
 もふもふした可愛い存在が消えていくのはやはり寂しい。しかしそれは、毛玉が幸福だと感じてくれた結果でもあるのだ。
 せめて骸の海で安らかに眠っていられるように、と。リュドミーラはそう祈りながら、にゃあにゃあと鳴く毛玉達をもふもふ優しく撫でてあげた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鬼火の三味長老』

POW   :    べべべん!
【空気を震わす大音量の三味線の演奏 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    鬼火大放出
レベル×1個の【鬼火 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    終演
【三味線の演奏 】を披露した指定の全対象に【生きる気力を失う】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はピオネルスカヤ・リャザノフです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ただただ平和な時間が流れ、色とりどりの毛玉達が嬉しそうに消えていく。その毛玉達の数が減っていったその時、古い寺の中からその音は突然聴こえた。

 べべん。
「まあ、ねこまたすねこすりが減ったと思ったら、貴方達のせいね」
 べべべん。その音を響かせるのは三味線を握った妖怪少女。
「猫は平和の象徴でしょう? 人に似た姿よりもずーっと可愛いじゃない」
 演奏をしながら猟兵達にそう問い掛ける少女。
「だから世界を元に戻す必要なんてない。私は演奏をしながら猫をいっぱい愛でて……のんびり過ごしたいだけなの。だから……邪魔しないで頂戴!」
 べべべん!

 少女の周りに浮かぶは青い火の玉。どうやらその鬼火が少女を豹変させてしまった元凶らしい。
 どことなく猫の形を模した鬼火は少女の憤怒を増強させる。三味線の音色を操る少女は、猟兵達に冷たい視線を向けるのだった。
「そう……私が世界一、三味線と猫を愛している者よ!」
名雪・瑠珠
ふむ…知らぬわ!!!

確かに猫は可愛かったのである
遊ぶ時間は楽しく、危険に巻き込まぬために振り切るのは名残惜しかったである
たっくさん遊んでやり喜ぶ姿もたまらんものであった
消えるのは満足した証とわかっていても寂しいと思ったであるぞ
そう、猫の可愛さに気付いたのはお前のおかげである
だが、だから世界が滅びていいとはならぬ! よってお前は殴る!

愚直に突撃し【怪力】を活かして金棒を振り上げ【重量攻撃】!
音攻撃? それでわたしを止められると思うな!
音の発生源は三味線…なるほど、叩き折ってほしいのか!
三味線を狙う
壊せなくても演奏の邪魔はできそうであるな

疲れさせたところでUC足棍・二式をガツンとしてやるであるぞ!



「お前が猫の世界に造り変えた者であるな」
 腕組みをしながら三味線の少女を迎える名雪・瑠珠(羅刹のバーバリアン・f25092)。
「世界を猫に変えたものの、自分だけは猫に変わらず演奏三昧か。良いご身分である」
「猫になったら三味線が演奏できない。そして猫が相手ならば可愛いものでしょう」
「ふむ……確かに猫は可愛かったのである」
 それは素直に同意しよう、と瑠珠は頷く。
「先の遊ぶ時間は楽しく、危険に巻き込まぬ為に振り切るのは名残惜しかったのである。たっくさん遊んでやり、喜ぶ姿もたまらんものであったな」
 あれだけもふもふ飛び交っていた毛玉の大群も、今は既にいない。それは毛玉達がとても満足した証でもあるのだが、消え行く姿を見届ける側は、それはそれは寂しく感じるものだ。
「そう、猫の可愛さに気付いたのはお前のおかげである。それは事実である」
「分かってるじゃない。猫って最高よね。見た目も声も可愛いの。貴方もそんなに我慢していたのならば、人の姿のままこの世界に居座ってもいいのよ。今の幽世の支配者は私。それだけ猫に理解がある者ならば、主である私が特別許してあげる」
 少女は誘いの言葉を述べた。その返答は、
「知らぬわ!!!」
 一喝の如き拒否の言葉だった。
「猫に罪はない。しかし他人には手を出したのである。それだけは見過ごせぬ。猫が良いからと言って世界が滅びていいとはならぬ!」
 がしり。猫を守る為に置いた金棒を今一度握り締める瑠珠。
「お前が主? 所詮わたしは別世界から来た者だ、知らぬわそんなもの!! よってお前は殴る!」
 瑠珠は力強く地面を踏む。重い金棒の頭を地面にこすり付けながら少女へ猛進した。怒鳴り声にびくりと驚いた少女はすぐさま三味線をかき鳴らす。しかし慌ててしまったのか、その演奏は乱れていた。
「それでわたしを止められると思うな!」
 力任せに金棒を持ち上げ、大きく振り下ろす。少女は後ろへ飛び何とか避けたものの、やはり物騒なものを目の前で振り回されては演奏に集中ができない。
「どうした、それが練習の結果であるか? さぞかし猫に気を取られすぎて怠けたのであろうな!」
「う、うるさいっ!」
 図星だったのかもしれない。
「そんな演奏ならば……わたしが三味線を叩き折ってやるであるぞ!」
 三味線の清く高らかな音は、金棒が地面に叩き付けられる重く低い音によって打ち消される。少女の奏でる音は、もはや演奏とは言い難いものとなってしまっていた。
「ほれ、演奏だけに集中していていいのであるか? 今は戦闘であるぞ!」
 戦いというものに慣れているバーバリアンの瑠珠が少女の懐へ潜り込むにはそれほど時間は掛からなかった。少女に近付いた瑠珠は体を低く縮め、地面に突き立てた金棒を軸にし思い切り足を上方へ蹴り上げる。
「遅いぞ!」
 カァン、と真っ直ぐに突き上げた足蹴りが三味線と少女の顔にヒットする。空中で一回転する瑠珠と少女。静かに着地を決める瑠珠が顔を前へ向けた時には少女は倒れており、三味線の弦は一つ切れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

(敵の言葉に苦笑)アンタの三味線の演奏は確かに見事だが、お客さんが猫ばかりだと味気ないじゃないか。アタシたちも音楽一家としていろんな所で演奏して来たが、ギャラリーの拍手と喝采があってこそだ。何かトラウマがあるかもしれないが、このままでは世界が壊れるんでね。

さて、お仕置きしてやるか。【忍び足】【目立たない】で敵の背後を取り、【オーラ防御】【見切り】【残像】で敵の攻撃を回避、【怪力】【グラップル】で蹴りを入れてから奥の手で動きを拘束。人を害する演奏は許せないからね。少し大人しくなって貰おうか。


真宮・奏
【真宮家】で参加

いや、猫だらけの楽園は私も素敵かと思いますが、二度と母さんの拳骨は喰らいたくないので・・・・

私達音楽一家は色んな所で演奏を披露してきてから分かりますが、猫をお客さんに演奏を披露するの寂しくないですか?何か事情がありそうですが、放っては置けませんので。

まずトリニティエンハンスで防御力を高め、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で攻撃を凌ぎながら接近。母さんが敵の動きを止めたのに併せて、【怪力】【グラップル】で全力で攻撃します!!音楽を愛する者として、その性根、叩き直します!!


神城・瞬
【真宮家】で参加。

僕達は音楽一家で色んな所で演奏を披露してきました。猫さんをお客さんにして演奏しても拍手と喝采が無いのはつまらないと思いますが、まあ、骸魂に飲まれて演奏の真の楽しさを忘れてるならば。何とかしませんと。

まず【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】を仕込んだ結界術で敵の動きを拘束。【高速詠唱】【全力魔法】【魔力溜め】【多重詠唱】を併せた全力の疾風閃で攻撃。敵の攻撃は【オーラ防御】【第六感】で凌ぎます。奏と同じ猫好きにして楽器演奏を愛する同士が世界を破壊する事態は看過できません。必ず止めて見せますとも!!



 拍手喝采の中に紛れる心のない罵詈雑言。何気ない嫉妬から意味なく指摘をしてくる同業者達。
 頂点に立つというのは楽しくもあり、そして、孤独でもある。
 だから、何も言わない自由奔放な猫が羨ましいと感じるのだ。

「うーん、猫だらけの楽園は、私は素敵かとは思いますが……」
 母である真宮・響(赫灼の炎・f00434)の表情を窺いながらも、少女に向かって真宮・奏(絢爛の星・f03210)は問い掛ける。
「猫をお客さんとして演奏を披露するのは、寂しくないですか?」
「寂しくないわ。猫は文句を言わない。邪魔されたって人と比べれば可愛いものよ」
 少女は即答した。あくまで人よりも猫を愛しているようだ。
「しかし」
 神城・瞬(清光の月・f06558)はねこまたすねこすりがいなくなった庭を見渡す。
「猫さんをお客さんにして演奏しても拍手と喝采が無いのはつまらないと思いますが……」
「そうさね、アンタの三味線の演奏は確かに見事だが、お客さんが猫ばかりだと味気ないじゃないか。アタシたちも音楽一家としていろんな所で演奏して来たが、ギャラリーの拍手と喝采があってこそだ」
 その喜びは忘れたのかい? と響も苦笑いを浮かべながら少女に語る。少女は少し俯いたが、いや、と首を横に振る。
「それは確かに嬉しいものよね。でも、その中には悪意に満ちたものもあるのよ。勝手な指示も文句も、もういらない。大好きな猫だけで十分よ」
 あくまでそう強く言い張る少女。やはり彼女は猫だけを求めているようだ。
「私一人、自由に演奏する方がいいわ!」
 少女は三味線を強く叩く。大音量の激しい演奏が三人に襲い掛かる。
「それは間違ってますよ!」
 奏はすぐさま複数の層で覆われたオーラを展開し、爆音を緩和させる。
「良い事も悪い事もあります。でも逃げちゃ駄目ですよ!」
 同じものを愛する者同士、拳を交えねばと強く感じた。オーラを盾に奏は走り出す。
「仕方ない、お仕置きしてやるか。その三味線、今は邪魔だねえ」
 響が少女の手元に向かって手枷や拘束ロープを投げ付ける。後方へ避ける少女だったが片腕に手枷が装着されてしまった。演奏の邪魔だと少女は顔を歪ませる。
「奏と同じ猫好きにして楽器演奏を愛する同士が世界を破壊する事態は看過できません。必ず止めて見せますとも!!」
 少女の動きを封じたその一瞬を狙い、瞬は衝撃波を放つ。衝撃波と共に奏も真っ直ぐと突き進む。
「きゃっ!」
 衝撃波が少女の三味線を弾き飛ばす。自身の命にも等しい楽器を手放してしまった事に驚きと戸惑いを隠せない少女。大きな隙を見せた所へ、次に襲い掛かるのは奏の拳。
「音楽を愛する者として、その性根、叩き直します!! 骸魂、その子から離れて下さい!!」
 母親直伝の硬い拳が少女の体を思い切り吹き飛ばす。少女は地面へと叩き付けられながら、記憶の中から何かを呼び起こす。
 ――おかしい。私は一体、何を忘れてしまったのかしら?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クレア・フォースフェンサー
なるほど、おぬしは他人を自分の好きな動物に変えても良いと主張するわけじゃな
ならば、わしはダンゴムシが好きなのじゃが、おぬしをそれに変えても文句は言うまいな?

いや、冗談じゃ
しかし、人の心をかようにも歪ませ、それを見て愉しむとはなんとも悪質な奴らじゃのう

鬼火らよ、おぬし達に言っておるのじゃぞ?
幸いにも、おぬし達は身体そのものには憑りついておらぬようじゃな
真っすぐいってぶっとばしてやるから、覚悟せよ

敵の衝撃波を剣術で斬り裂きつつ接近
UCの力を光剣に込め、全ての鬼火を斬り伏せようぞ

ところで、三味線とは猫の皮を使うものであろう
それで猫好きとは、この娘子もなかなか難儀な性格をしておるのやもしれぬのう



「今のこの世界を見てきた訳だが、本当に猫ばかりであった」
 クレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)はにやりと微笑みながら少女に言う。
「おぬしは自身の幸せの為ならば、他人を自分の好きな動物に変えても良いと主張するわけじゃな」
「私に文句も何も言わせない存在にする為よ。変えるなら可愛い存在の方がいいもの」
 つんと澄ました表情で返す少女。ならば、とクレアはへらりと笑い。
「わしはダンゴムシが好きなのじゃが……おぬしをそれに変えても文句は言うまいな? ほれ、ダンゴムシもころころ丸まって可愛いじゃろう」
「ひっ!!?」
 ダンゴムシが世界にいっぱい……流石にそれは勘弁願いたい。少女はドン引きして後ずさりをする。
「いや、冗談じゃ」
 しれっと言われたその言葉に、少しだけほっとした。
「まぁその反応を見るからに、元の面影は一応残っておるようじゃの。しかし、そんな少女の心を歪ませ、ここまで世界に影響を与える程の力を……その鬼火が持っておるとはのう」
 笑っていたクレアの声が突然低くなる。その視線の先は三味線を持つ少女。――否、浮かぶ鬼火だ。
「おぬし達に言っておるのじゃ、鬼火らよ。宿主の身体から出ているのは幸か不幸か、何、今に分かる」
「っ!」
 光り輝く剣を構えたクレアへ、少女は三味線を奏でる。べべん、と弦を打ち鳴らせば周囲へ衝撃波が広がり襲い掛かる。
 しかしクレアは輝く剣を一振り。すると、衝撃波がクレアだけを避けるように二つへ割れたのだ。
「そんな!?」
 思わず驚く少女。その一瞬の間にも、既にクレアは少女の目の前へと近付いていた。
「さらばじゃ」
 微笑むクレアは更にもう一振り。思わず少女は三味線を抱きかかえ目を瞑る。ぶぅん、と何かが頭上を横切る音がした。直後、次に耳に入ったものは、恨めしそうな断末魔。響き渡る声が消え失せ、辺りが静寂に満ちた時、少女は意識を失い倒れ込んでいたという。

「――剣とて、これは普通の刃ではないからのう。例え火の玉であろうと斬ってみせるものよ」
 異世界の武具じゃからの、とクレアは笑う。
 ここは寺の屋根の上。クレアと少女は並んで座っていた。気付けば世界は夕暮時を迎えていた。
「しかし骸魂とは厄介なものじゃの。人の心をかようにも歪ませ、それを見て愉しむとは……」
「恥ずかしい限りだわ」
 正気に戻った少女は膝を抱え少し落ち込んでいた。自分の落ち度とはいえ、世界を滅ぼそうとしてしまったとは、と。
「猫は好きだけど……滅んだら元も子もないわよね。今で十分よ」
「はは、所でおぬし、三味線とは猫の皮を使うものであろう。その上で猫好きとな?」
 クレアの少し意地悪な質問に対し、少女はこう答える。
「あら、どっちも好きじゃ駄目かしら? それに私は……三味線に長けた妖怪として生まれたの。それだけは逃れられない運命なのよ」
 おかしいかしら、と少女ははにかむ。
「そうかそうか、三味線に長けた猫好き妖怪……か」
 おかしいのう、とクレアはへらりと笑った。
「ではその腕、ここで一曲聴かせて貰えないかの」

 べべん。濁りのない澄んだ三味線の音が世界に響く。
 幽世の世界から猫は減った。――いやいや、元の姿に戻り、平和な日々が戻ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月16日


挿絵イラスト