迷宮災厄戦㉕~凍れる時を打ち砕け!
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「来たか、六番目の猟兵達よ」
書架の王『ブックドミネーター』が絶対零度の凍結世界、そこに繋がる道を見据える。
「これがお前達の選択か。……いいだろう。私の道を塞ぐと言うのなら、取り除くまで」
この国を足を踏み入れた猟兵たちを排除せんと、ブックドミネーターはこの国の入り口へと歩き出す。
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「迷宮災厄戦も佳境ですね。皆さん、体調を崩したりしてませんか?」
涼月・カティア(仮初のハーフムーン・f05628)が猟兵の皆に確認する。
「オウガ・オリジンの脅威が増す中ではありますが、皆さんに攻めてもらいたいのは猟書家のボス、書架の王『ブックドミネーター』です」
現在、猟書家の攻略は順調に進んでいる。充分な戦力が投入されているようだが、念には念を。
「ブックドミネーターは、自身が治める絶対零度の凍結世界、ここから動くつもりはない、みたいですね」
すなわち、ここに攻め入る必要がある。
「猟書家ということですが侵略蔵書は手にしておらず、氷からオブリビオンを作る能力と時間凍結能力で戦うようです」
そして、重要な点として『必ず先制攻撃をしてくる』。
「この先制攻撃を、どう防御、回避、あるいは相殺して、自分の得意分野に持ち込むかが大切です」
先制攻撃さえ凌げば、勝てない敵ではない。しっかり対策をして挑んでほしい。
「氷の中に秘められた時間。それ以上の何かを持っていそうな相手ではありますが……今は倒すことだけを考えてください」
そう言ってカティアは猟兵たちを絶対凍結の国へ送り出すのであった。
るちる
こんにちはとかこんばんはとか、るちるです。お世話になってます。
出遅れ感すごいですが、以前から宣言してたブックドミネーターいきます。
状況が状況なのであまり人も来ないかと思っていますが、一応。6人超えてきますと採用人数を絞らせていただく可能性があります。ご留意ください。
また真面目よりと想定していますが、ネタぶち込んでもらってもOKです。ただし、るちるは銀雨からなのでむげふぁんわかんないゾ。
シナリオの補足です。
このシナリオフレームには、下記の特別な『プレイングボーナス』があります。
(=============================)
プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
(=============================)
ボス戦では毎度以下略。
相手からの先制攻撃をどう防御、回避するかがポイントになります。その後は得意な戦法に持ち込んでやってください。
オープニングに書かれていない事項は勝手に設定頂いて構いません。
一応戦闘場所の想定は、何もかもが凍った広い公園のような場所。武器を振り回したら何かに引っかかるということはありません。凍結した何かが偶然そこにあって戦闘で利用する、といったことは自由に設定してください。
それではご参加お待ちしています。
第1章 ボス戦
『猟書家『ブックドミネーター』』
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POW : 「……あれは使わない。素手でお相手しよう」
全身を【時間凍結氷結晶】で覆い、自身の【所有する知識】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 蒼氷復活
いま戦っている対象に有効な【オブリビオン】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 時間凍結
【自分以外には聞き取れない「零時間詠唱」】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:108
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
卜二一・クロノ
六番目の猟兵。それでは五番目の猟兵の成れの果てが汝らオブリビオンか
語らぬか。まあよい。こちらで見定める
【騙し討ち】、軽機関銃を持っているので勘違いするかも知れぬが、主武器は糸と髪だ【罠使い】。
奴は我を害するために、奴は必ず我に近づくことになる
その一撃は【激痛耐性】【オーラ防御】【武器受け】で耐え凌ぐしかあるまい。
我が糸あるいは髪より繰り出される【カウンター】および【捨て身の一撃】にユーベルコード【神罰・時間操作の代償】を載せる
ただの一撃、それだけで【神罰】は執行される
これまで当然のように使えていた、頼りとする時間操作が容易に使えなくなる中、どれほどの事ができるのか、見定めさせてもらおうぞ
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「来たか、六番目の猟兵」
書架の王『ブックドミネーター』の声の先に現われたのは、卜二一・クロノ(時の守り手・f27842)であった。長い髪を揺らしながらブックドミネーターを見据えるトニー。
「それでは五番目の猟兵の成れの果てが汝らオブリビオンか」
「……」
トニーの言葉にブックドミネーターは答えない。
「語らぬか。まあよい」
沈黙を答えとみなしたトニーはそう告げて。元より答えなど期待していない、『こちらで見定める』、そのつもりでいたのだから。
「時は過去から未来に流れ、書はそれを留めるのみ。開くのはいつでも求める者の手だ」
ブックドミネーターから返ってきた言葉。それは決別の言葉として。
そしてトニーとブックドミネーターとの戦いが始まった。
●
ブックドミネーターがトニーに向けて突撃してくる。
それに合わせるように軽機関銃を構えたトニーは躊躇わずに制圧射撃。
ばらまかれる弾幕を、しかしブックドミネーターはそのまま突き抜けてくる。銃弾がその体を貫いていくが。
「‥‥」
ブックドミネーターの時間凍結の秘技が即座にその傷を回復する。
「ちっ!」
足の止まらないブックドミネーター。それに舌打ちするも、トニーにブックドミネーターを遮る術は無く。
トニーの懐に踏み込むと同時にブックドミネーターがトニーへ拳を叩き付ける。
「くっ……!」
その一撃をとっさに掲げた軽機関銃にオーラを纏わせながら受け止めるトニー。しかし、拳の威力を受け止めきれず、軽機関銃が破壊される。
「ハッ!」
間髪入れずにブックドミネーターが蹴りを放ち、トニーを捉える。
「ぐ……っ!」
強烈な蹴りがもたらす激痛に耐性で凌ぎ、なんとか態勢を立て直すトニー。
「どうした、猟兵。勢いは口だけか!」
反撃してこないトニーへブックドミネーターが再度拳を振りかぶる。
しかし。
「……フッ」
「……?!」
拳を叩き付けられる瞬間。その一撃を耐えながら、渾身の速度で体を反転させるトニー。その勢いで長い髪がブックドミネーターへ叩き付けられる。
「ぐぁっ?!」
その一撃に吹き飛ばされるブックドミネーター。
そう、トニーの長い髪はただの髪では無く。神の毛であり、さらにはそこに時の糸を織り込んである。これらこそがトニーのメインウェポン。
「フェイクか……!」
叫ぶブックドミネーター。
破壊した軽機関銃を囮にしただまし討ち。そして捨て身の一撃によるカウンター。その一撃に籠められたユーベルコードこそ。
【神罰・時間操作の代償】の一撃である。
「ぐっ……あぁっ!!」
直後、ブックドミネーターが胸を押さえて膝をつく。
「ただの一撃、それだけで【神罰】は執行される」
攻守反転した状態で。トニーがブックドミネーターに告げる。神罰の一撃はブックドミネーターがこれまで使ってきた時間操作に応じて追加攻撃を与え続ける。
「ちぃぃぃ!!」
咄嗟にダメージを回復しようとするブックドミネーター。そしてその能力が封じられていることに気付く。
「な、るほど……起死回生の一撃を、狙ったか」
体中を走る激痛に耐えながら、ブックドミネーターがトニーを睨め上げる。
ブックドミネーターとしてはこれまで当然のように使えていた、あるいは頼りとする時間操作が使えなくなったわけだ。
「その中でどれほどの事ができるのか、見定めさせてもらおうぞ」
トニーが神の毛を複数の剣状に変化させる。
その一撃で以て見定める。その意思をもって振り下ろすトニー。
「ぐっ、舐められたものだ」
しかし、その一撃は激痛に耐えながらのブックドミネーターに受け止められる。受け止めたものは氷。その中から呼び出したオブリビオンは……ブックドミネーター自身。
氷が割れ、ブックドミネーターがブックドミネーターに触れる。直後、呼び出された側のブックドミネーターが絶叫しながら骸の海へと還った。
「ちっ。呪いを移すことはできても、ダメージと能力の回復までは至らないか」
どうにか動けるようになったブックドミネーターがすぐさま下がろうとするが。
「逃がすと思うか?」
トニーの神の毛がブックドミネーターに追撃する。
しかし。
「ここは私が命を賭ける時では無い。態勢を立て直すため退かせてもらおう」
撤退に徹したブックドミネーターは目くらましに氷の嵐を呼び出す。
「見事だ、猟兵」
そう言い残して書架の王はその場を撤退する。
トニーの起死回生の一撃が書架の王に回復不能なダメージを叩き込んだのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ジーク・エヴァン
お前が、書架の王か
…お前にどんな目的があろうと、俺は俺の生まれた世界の人々を守るために戦う
俺の物語は、これからだ
奴の先制は確実
だから竜眼の盾を起点に多重詠唱結界術を張るのと同時に、踏むと錆びた鉄片が弾け飛ぶ爆弾を盾で隠しながら雪の中に設置(地形の利用、罠使い)
どんな高速移動だろうと俺を弾けば僅かに動きが鈍る
全方位にばら蒔かれる鉄片を奴が対処する間に【滅竜戦装】になれる筈
グラムの真価
それは強大な生命力を持つ竜の生き血を根こそぎ吸い続ける生命力吸収能力
どんなに高速回復しようとグラムはその分まで喰らう
そしてあの高速攻撃をあえて激痛耐性で耐えながら受けて、ロープワークで腕を拘束すればグラムの餌の完成だ
ケルスティン・フレデリクション
あなたが、おうさまね
…おうさまが、あのせかいのひとたちをきずつけるなら、たおさなきゃいけないの。
みんな、いたいのはいやだよ。おうさまは、おうさまなのに、わからないの?
【範囲攻撃】【全力魔法】【属性攻撃】
炎の魔法を最大出力で。敵の治癒の力を上回る火力で攻撃
あついのは、きらい?
同時に【多重詠唱】【高速詠唱】で【ひかりのしらべ】をつかうよ
こおりのきらきらよりも、きらきらするの。
炎と、光を混ぜ合わせて、おっきなきらきらを作るよ。
熱くて、まぶしい、とっておきのきらきら!
攻撃には【オーラ防御】と【激痛耐性】
いたいのは、がまん…。がんばってたたかうもの…。
【アドリブ連携OK】
卜二一・クロノ
撤退したブックドミネーターを【追跡】し、【第六感】で攻撃を読む。
その攻撃はやはり【激痛耐性】【オーラ防御】【武器受け】で耐え凌ぐしかあるまい。
神の祟りから逃れうると思うたか、ブックドミネーター。
汝は神の領域たる時間の秘術に手を出したのだ。
時を操りし咎で追われているのに、まだ懲りぬと見える。
例え汝が天上界へたどり着いたとしても、我が汝を必ず追い詰める。
ユーベルコード【神罰・時空や因果を超越する猟犬】
それは時間停止中でも構わず襲い掛かるし、時間を遡行してさえも主人と共に時を越えて追跡する。
また氷の嵐で目をくらませても、さらに追撃する。
第六の猟兵に同じ技は2度通用しない。
天星・零
【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡】をし、戦況、地形、弱点死角を把握し、敵の行動を予測し柔軟に対応
防御は【オーラ防御】で霊力の壁を作って防御
先制は上記技能を駆使しいつ使われてもいい様に把握しておき、十の死の感電死、毒死、凍死の骸などで状態異常を狙う
万が一の為【第六感】も働かせる
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウで戦況により対応
近接はØ
『一つ、噂話をしましょうか。癒しが呪いに変わった霧に包まれた街のお話です』
指定UCを発動し強化、回復効果のプラス効果を反転する霧を戦場全体に
零時間を使ってもダメージ、POWの効果が残っていれば弱体効果にもなる
虚鏡霊術で銃を創造し銃で弱点部位(急所)を狙う
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氷の嵐を纏って、国の中を渡り歩く書架の王『ブックドミネーター』。見渡しのいい広場に辿り着き、手の内から書を生み出す。しばし、目を通していたブックドミネーターに。
「神の祟りから逃れうると思うたか、ブックドミネーター」
追跡してきた卜二一・クロノ(時の守り手・f27842)が追いついた。書を仕舞い込み、トニーに向き合うブックドミネーター。
「汝は神の領域たる時間の秘術に手を出したのだ。時を操りし咎で追われているのに、まだ懲りぬと見える」
トニーが悠然とブックドミネーターの前に立ち、その罪を断罪せんと構える。
しかし。
「……仮にお前の言うとおりだったとしても。私が何故罪を嘆かねばならない?」
「何?」
返ってきたのは問いかけ。トニーが思わず声をあげる。
「この程度で。断罪したというのなら、随分と舐められたものだ」
そう言い放ち、ブックドミネーターが使用するのは時間凍結の秘術。ブックドミネーターの傷が幾ばくか回復する。
「何だと!?」
目の前の事態に驚愕するトニー。確かにその力は自分のユーベルコードが封じたはず。
トニーのその様子を見て、ブックドミネーターは嘆息をつく。
「体勢を立て直す。私は確かにそう言ったはずだ」
その言葉が意味するところは完全回復。封じられた能力も与えられた咎も受けた傷も、だ。
「私は書架の王。全ての侵略蔵書は我が手の内にある。この程度ならば蔵書の力を引き出せば」
造作もない、と。必要だったのは書の力を引き出す時間のみ。それは先の時間で問題なく解決した。
「だが見事だ。お前が刻んだ傷は私の回復で以てしてもすぐに消えるものではないらしい」
ゆえに書架の王は傷を負った状態で、トニーに向かって拳を構える。
「お前を倒し、ゆっくりとこの傷を癒す術を探すとしよう」
「例え汝が天上界へたどり着いたとしても、我が汝を必ず追い詰める」
「やってみるがいい」
そうして、トニーvsブックドミネーターの第二戦が始まった。
ブックドミネーターの拳を第六感で読み取るトニー。拳にあわせてオーラ防御を纏わせた神の毛でその攻撃を逸らす。
「くっ……」
一度ならず、二度までも。目の前で時間を操るという大罪を犯したブックドミネーターに対し、トニーの憤りが形を成す。
ユーベルコード【神罰・時空や因果を超越する猟犬】。時空や因果を超越する大量の猟犬が召喚される。
「これは時間停止中でも構わず襲い掛かるし、時間を遡行してさえも主人と共に時を越えて追跡する」
その言葉に違わぬ速度と能力で、ブックドミネーターに襲い掛かる猟犬たち。
「‥‥」
食らいつかれたその瞬間。ブックドミネーターの時間凍結が行われる。猟犬たちが与えた傷は新しいがゆえに、その場で即座に回復される。
それはその状態で何度も繰り返される。攻撃を受けようとその直前まで時間が戻るかのように。
「ちっ」
埒が明かない。舌打ちしながら再度能力を封じるべく、【神罰・時間操作の代償】を放つトニー。
しかし。
「二度目は通じない。それはお互い様だろう?」
ブックドミネーターはそれをトニーの猟犬を盾にして防ぐ。
猟犬を倒しても一時的な対処にしかならない。それに気付いたブックドミネーターはトニー目掛けて氷柱を呼び出す。その攻撃がトニーへ炸裂する直前。
「なるほど……増援か」
攻撃の手を止めるブックドミネーター。氷の広場に3人の猟兵が辿り着いたのである。
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トニーの後から駆けつけた、天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)、ジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)。
「見つけました」
とトニーに並んだのは、トニーと同じくブックドミネーターを追跡していた零である。
(戦況、地形、弱点死角……)
少し、遅れた分だけは。情報収集を行い、これまでに得た知識と組み合わせ。後はトニーの猟犬たちと攻防を繰り広げているブックドミネーターの行動から予測したものを当てはめ、柔軟に対応するのみ。
「‥‥フッ」
新たに現れた猟兵たちを見て、ブックドミネーターが時間凍結で回復する。徐々にトニーの猟犬たちの動きに慣れてきたのか、猟犬たちの攻撃をかわし始めるブックドミネーター。
(動きを、止めないと)
意識と同時に手が動く。零の『十の死』、零が捧げた骸がブックドミネーターを捉え、感電・毒・凍結の死をもたらそうとする。
「私に死の概念は通じない」
骸を振り払うブックドミネーター。しかし、その顔が苦痛にゆがむ。
「なるほど。狙いは別か……悪くはない」
凍結以外の状態異常で一気に動きが鈍くなるブックドミネーター。そこへ再び猟犬たちが集るようにして集中攻撃するが、やはり時間凍結で回復される。
「無意味ではない。しかし思った通りにいくと思ったか?」
そう告げるブックドミネーター。しかし猟兵たちの攻撃はまだこれだけではない!
今度はケルスティンが炎の魔法を放つ。それは最大出力の、全力範囲攻撃!
(ちゆを、うわまわるくらい!)
燃え盛る猛火を。ケルスティンの意思を乗せて放たれた炎の魔法はトニーの猟犬ごとブックドミネーターを包み込む。
「あついのは、きらい?」
そうブックドミネーターに問いかけながら、返事を待たずしてケルスティンは次の行動へ移っている。多重詠唱と高速詠唱による【ひかりのしらべ】成就。ケルスティンの指先がブックドミネーターを指し、天からの光が直撃する。
何度も何度も直撃したのを確認して……。
「好きか嫌いかでいえば、嫌いだ。しかし、苦手ではない」
光炎の中からブックドミネーターが姿を現わす。ほぼ無傷で。
「なんで……」
その姿に思わずケルスティンが一歩下がる。。
「お前たちは……口から声を出している『時間』があるのだろう? 噛みつく『時間』が存在するのだろう?」
例えそれが人の目に捉えられない高速であっても、時空や因果を超越しようとも。
そう告げながらもその間に時間凍結で回復を行うブックドミネーター。自分にしか聞こえない『零時間』での詠唱。いかなダメージとて時間を凍結した中で零を積み重ねれば。
「お前たちに刹那でも時間がある限り、私の零時間を超えることはあり得ない」
そう告げて。ブックドミネーターが一気に肉薄する。目標はケルスティン。時間凍結結晶で覆った拳を叩き付ける、直前。
間に割り込んだのはジークであった。
(十分に時間は稼いでもらった!)
仕込みは万全。多重詠唱結界術を張った『竜眼の盾』でブックドミネーターの拳を受け止めて。同時にその盾の中に隠していたモノを雪原に落として設置。
「これならどうだ?!」
盾を構え直して、そのモノ――爆弾を踏むジーク。直後、錆びた鉄片が弾け飛ぶ!
「ちっ!」
ダメージよりもジークに戦いの主導権を握られるのを嫌って。ブックドミネーターが大きく跳び退る。
盾を構えるジークを先頭に。距離を置いて相対する猟兵とブックドミネーター。
「お前が、書架の王か」
ジークのひと言は、事実を確認するかのように発せられ。
「みんな、いたいのはいやだよ。おうさまは、おうさまなのに、わからないの?」
ジークの言葉を受けて、ケルスティンが問いかける。
「王であるからこそ。己が国のために他を侵略することもある」
ケルスティンの言葉に、ブックドミネーターはそう答える。王が優しいのは自国の民に対してのみなのだ、と。
返ってきた言葉に決して相容れない主張を感じて、ジークが言葉を紡ぐ。
「……お前にどんな目的があろうと、俺は俺の生まれた世界の人々を守るために戦う」
「……おうさまが、このせかいのひとたちをきずつけるなら、たおさなきゃいけないの」
ジークが盾を構えたまま、『魔剣グラム』を抜き放つ。
ケルスティンが再び魔法を放つ構えを取る。
その後ろで、零もトニーもまた臨戦態勢に。
「そうだ。我らは相容れず、ゆえに戦うしかない」
その様子にブックドミネーターは満足そうに構えを取る。
「覚悟はいいか。六番目の猟兵達よ」
ブックドミネーターの全身が時間凍結結晶に包まれる。それはブックドミネーターの所有する知識の力の発現。
「俺の物語は、これからだ」
ジークの言葉を切欠として、猟兵vsブックドミネーター第三戦が開始されたのである。
再び突撃してくるブックドミネーターに。
「これなら……どうですか!」
零が『グレイヴ・ロウ』を解き放つ。それはブックドミネーターの眼前に地面から突き出して進路を阻み。
「ちっ!」
回避しながら再度突撃しようとしたブックドミネーター。しかし、零はブックドミネーターの周辺に連続してブレイヴ・ロウを出現させる。
「その隙、逃がさぬ!」
そこへトニーが再び【神罰・時空や因果を超越する猟犬】で猟犬たちを召喚する。グレイヴ・ロウで動きを封じられたブックドミネーターに四方八方から襲い掛かる猟犬たち。
「何度やっても同じことだ!」
時間凍結で回復を行いつつ、ブックドミネーターは時間凍結結晶で覆った拳や蹴りで猟犬たちを殴り、振り払う。
「一つ、噂話をしましょうか。癒しが呪いに変わった霧に包まれた街のお話です」
「……!!」
そこに響いたのは、零の声。ユーベルコード【噂綴・壱「永眠街」】で生み出された濃霧が辺り一面を支配する。その濃霧を攻撃とみなしたブックドミネーターが時間凍結を行うが、その時。
「ぐ、ぁぁっ!!!」
ブックドミネーターが苦悶の声をあげる。確かに回復したはずだ、しかし結果としてその身は確実なダメージを受けている。
「上手くいきましたね」
そう言いながら、零は虚鏡霊術で銃を創造り出し、ブックドミネーターを狙う。
【噂綴・壱「永眠街」】が作り出した濃霧が持つ力。それは回復及び強化効果を負傷弱体に反転するというもの。すなわち、時間凍結による回復能力が、強化のための時間凍結結晶がそのままダメージと弱体化へと変換される。
「ちぃぃっ!」
氷に蝕まれて脆くなった拳を零の銃撃が貫く。
「一度ならず二度までも……やってくれる……!」
濃霧から逃れようと飛び退るブックドミネーターに。
「今度こそ逃さぬ!」
トニーの命令を受けた猟犬たちが退路を塞ぐように布陣して、そこに飛び退いてきたブックドミネーターの四肢に喰らいつく。
「こおりのきらきらよりも、きらきらするの」
動きの止まったブックドミネーターへ、ケルスティンが炎の魔法を放つ。そして再び重ね合わせるように【ひかりのしらべ】を発動する。多重詠唱と高速詠唱によって、天からの光は何度も何度も瞬間的にブックドミネーターに降り注ぎ。
それはまるで炎と光が混ぜ合わされた……。
「熱くて、まぶしい、とっておきのきらきら!」
ケルスティン渾身の『おっきなきらきら』がブックドミネーターに直撃する!
天より降る光と地を這う炎がブックドミネーターを燃やし尽くす。
「がっ、ぐ、ぉぉ……」
光炎の中でブックドミネーターが崩れ落ちる。しかし、その身はまだ滅んでいない。
「グラムの真価をここに!」
ジークの本領発揮。皆が時間を作ってくれた間に【人剣一体・滅竜戦装】を発動して、滅竜戦装モードへ変身したジーク。その手にした魔剣グラム、その真価で以て敵を喰らうのは、今しかない!
身動きの取れないブックドミネーターへ、ジークのグラムが突き刺さる。
その魔剣は、強大な生命力を持つ竜の生き血ですら根こそぎ吸い続ける。
「ぐぁぁぁっ!」
仮に時間凍結の秘技が使えたとしてもその回復量を上回る生命吸収能力であったろう。回復を封じられた今、その身はただただ吸い尽くされるのみである。
「はな、せ!!」
命尽きる前に。時間凍結結晶を解除しつつも高速でジークを殴りつけるブックドミネーター。しかし、その攻撃の痛みに耐えながら、ジークは『トラップツール』からロープを取り出す。素早くロープワークでグラムを持つ自分とブックドミネーターを拘束するジーク。これで簡単には離れない。それはまさしく。
「グラムの餌の完成だ!」
「お、のれ……」
ジークの言葉通りに、ブックドミネーターを成すエネルギーが根こそぎ吸われていく。
「ここまで、か……」
突如、そう呟いたブックドミネーター。
その身が氷のようになって、徐々にひび割れていく。
「仕方ない、ここは譲ろう……さらばだ、六番目の猟兵達よ」
そう言って書架の王『ブックドミネーター』はアリスラビリンスからその存在が消滅。
猟兵たちが勝利した瞬間であった。
大成功
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