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迷宮災厄戦⑪〜最強は誰?

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦

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「鏡よ鏡、この世界で一番強いのは誰?」
『はい、それはマウラ様でございます』
「そりゃもう当然! いつだってあたしが最強だもんね?」
『正確に申しますと、現時点本端末が感知できる範囲内にいる中限定かつ単独での戦闘能力を数値化した場合マウラ様が最高値ということになります』
「またよくわかんないことを言う……ていうか単騎で強けりゃ最強で無敵じゃないの?」
『いいえ。作戦や精神状態、運などの変動要素によって勝敗は覆りますし、半分の力しかないものでも三人集まれば単純な数値上は上回られます』
「えー……やっぱよくわかんないけど、来たやつ全部倒せばあたしが最強ってことでしょ。丁度退屈してたとこだし、一暴れしたいな! いい相手いない?」
『はい、それなら……』


「皆さん、今日も戦いお疲れ様っす!」
 ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装備したボディのアカリ・ゴールドが猟兵たちに向かって頭を下げる。
「皆さんのおかげで新しい戦場に行くことができるようになりました。今回行くのは『真実を告げる鏡の間』ってところで、ここはオウガ・オリジンに戯れに殺された、かつての忠臣「鏡の女王」の怨念が籠もった国っす」
 忠臣すらさしたる理由なく殺す、オウガ・オリジンの本質の一旦が垣間見える国だ。
「ここにいるオウガの『廃亡の剣姫マウラ』というのが今回の敵っす。こいつは生きるために戦いを繰り返すうちに戦いそのものが目的になってオウガに変じた元アリスらしいっす。まあ今はオウガ生楽しみまくってるみたいなんで本人全然気にしてないみたいっすけど」
 己の剣に絶対の自信を持つ剣鬼と成り果て、もはや倒す以外に道はないらしい。
「こいつは大きな聖剣と四つの属性剣を使い分け、攻撃反射や剣技、属性攻撃で攻撃してきます。属性剣はスートに対応していて、猛毒の液体を滴らせるスペード、闇の炎を纏うハート、吹雪を散らし辺りを凍土に変えるクラブ、聖なる雷光を落とすダイヤ、という感じらしいっす」
 これらの属性と剣技を相手に合わせ的確に使い分ける、自信を持つだけのことはある実力者ということだろう。
「それと、ここからが大事なんすけど、この世界には鏡の女王の怨念によって、この世界のことに関しては何でも答える『真実の鏡』というのがそこら中に生えています。敵はこの鏡を使って皆さんの居場所や使用技やその特徴、能力や精神面での弱点なんかも把握して襲ってきます。属性もそれで有効なものを選んで使い分けてくる感じっすね」
 一見すると正面突破を好む相手のように見えるが、相手の弱点を調べ上げそれを突くことを躊躇しない強かさも持ち合わせているということか。
「ただしこの鏡はこちらも利用することができるので、何かしら相手の裏をかくような質問をしてみるのもいいかもしれないっす。鏡は中立なので嘘をつくことはないし、聞かれたことはちゃんと答えます。でもあんま変なこと聞いちゃダメっすよ! あといざ戦闘が始まったらあんまり長い質問をしてる時間はないと思うんで、手短にできる質問を考えといたほうがいいかもしれないっす」
 敵も利用してくるのだ、こっちも使っても文句を言われる筋合いはない。存分に利用しつくしてしまうのがいいだろう。
「マウラは砦みたいなところに潜んでて、まず入って来たものに鏡を使って奇襲しようとしてきます。もちろん鏡に聞けばマウラの潜んでいるところも答えてくれますが、向こうもこっちが鏡を使うことは分かってると思うんで、さらにもう一つくらい裏をかく必要があるかもしれないっすね。ま、色々難しいことあるかもしんないっすけど、最後にぶちのめしちゃえばそれで勝ちなんで、どーんとやってきちゃってくださいっす!」
 明るくそう言って、ミルケンは猟兵たちを送り出すのであった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。今回は鏡の乱立する世界でのバトルとなります。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……鏡に有効な質問をする』

 この世界にはそこら中に『真実の鏡』が置いてあり、その鏡に質問することでこの世界の中にあることに限り何でも真実を答えてくれます。
 鏡は敵の位置や死角、ユーベルコードの弱点など、この国の内部にあるものの情報ならなんでも答えてくれます。中立で聞かれたことには正直に答えますし質問を曲解するようなこともありませんが、聞かれた以上のことは答えませんし、女王の怨念の産物で生き物でもないので脅しや懐柔も無効です。戦闘中にあまり長い問答をしていると隙につながるので、長めの質問は敵襲前の一回以外はやや難しいかもしれません。
 鏡はたくさんあるので戦闘による破壊を気にする必要はありません。

 メタ的な注意としまして、猟兵個人に関するセンシティブな質問はご遠慮ください。他PC様の秘密にしている過去や感情、バストサイズなどは(プレイングで双方の同意が確認できる場合を除き)質問されてもリプレイには反映しません。

 色々注意点の多い戦場ですが、プレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『廃亡の剣姫マウラ』

POW   :    我流:インガオーホーザン
対象のユーベルコードに対し【自身のレベル倍の威力にして斬り返す斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    フォースート・ストライザー
【紋章剣の四つのスート属性を一つに束ねる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【空間断層を引き起こす聖剣による光の斬撃波】で攻撃する。
WIZ   :    剣霊姫招来
自身の【装備する紋章剣の使用封印(最大四本まで)】を代償に、【使用を封印した紋章剣に宿る少女聖霊】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【敵の弱点を突くスートの属性攻撃と属性防御】で戦う。

イラスト:おきな

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は七那原・エクルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御狐・稲見之守
ふむ、なるほどなるほどこれは面白い。

それでは鏡よ、「廃亡の剣姫マウラ」のパンツの色を教えてもらおうか。ふふふまだじゃ、彼奴の下の毛はもう生えているのかーー既に経験済みなのか触られると弱いとこ恥ずかしい過去結婚したらどんな家庭を築きたいかなどなど根掘り葉掘り聞いてやろう!

おっと剣姫よ[催眠術][呪詛][捕縛]ーー『動くな』 そこでお前の秘密が暴かれていくのをただただ見ているが良いハハハハハ!!

あ、彼奴の体に不埒なことして鏡に「剣姫は気持ち良いのか」とワザと尋ねる遊びも良いナ!!



「ふむ、なるほどなるほどこれは面白い」
 最初に砦へと入って来たのは御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)だ。稲見之守は言葉通りに笑いながら視線を巡らせ、周囲に置かれているたくさんの鏡……真実の鏡を見回す。
「くくく、さて、始めようか……」
 稲見之守は妖しい笑いを浮かべると、鏡の一つへと歩み寄った。

 一方砦の奥では、侵入者を感知したマウラが鏡を前に質問をしていた。
「鏡よ鏡、侵入者はどのルートで進んでくるつもりかな?」
『お答えします。侵入者は玄関から先に来るつもりはないようです』
「……は? 何それ、何考えてんの?」
『はい、それは……』
「……ちょっと待てぇぇぇぇ!?」

「それでは鏡よ、「廃亡の剣姫マウラ」のパンツの色を教えてもらおうか。ふふふまだじゃ、彼奴の下の毛はもう生えているのかーー既に経験済みなのか触られると弱いとこ恥ずかしい過去結婚したらどんな家庭を築きたいかなどなど……」
 稲見之守は鏡を捕まえ、マウラの恥ずかしい秘密をあれこれ聞きだしていた。確かに猟兵同士で過去を探り合うのは色々問題があるが、オウガ相手なら一応問題はない。
『はい、お答えします。まず本日のパンツは……』
「何やってんだコラぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 絶叫と共にマウラが殴り込みをかける。そのまま勢いよく振り下ろされる聖剣を稲見之守はひょいと避けたが、その後ろにあった今まさにマウラの恥ずかしい秘密を暴露しようとしていた鏡が剣によって叩き割られてしまった。
「全く何をするのじゃいきなり」
「これはこっちのセリフだー! お前、何考えてんだ、もうちょっと他に聞くことあるだろがー!」
 至極真っ当なことを言いながら剣を振り上げるマウラ。だがその剣が振り下ろされる前に、稲見之守の目がぎらりと光った。
「おっと剣姫よ――『動くな』」
 金銀の目から放たれる呪詛の光。それは乱れた精神を突き、高い実力を持つマウラすらその場に釘づけにしてしまった。
「さて、鏡はいくらでもあるようでな。ふふふ……鏡よ、『剣姫は気持ち良いのか?』」
 マウラの唇から首筋、さらに胸元まで指を這わせながら、聞かせるようにその質問をする稲見之守。彼女ほどの実力があればこの硬直時間に致命の一撃を入れることも能うただろうに、それを辱めに費やすのは彼女が化かし狐故か。
『お答えします、それは……』
「気持ちいいわけないだろ!」
 羞恥と怒りで強引に戒めを解き、属性剣を目の前の稲見之守に叩きつけるマウラ。用いるのは五穀豊穣と火防雷除の神威の届かぬ、凍土の力を持つクラブの剣だ。守り能わぬ力を至近距離から叩きつけられ、さしもの稲見之守も体をぐらつかせる。
「クカカ、やってくれおる。もっといろいろ聞きたかったのだがのぉ……まあ、剣姫も乙女のような顔をすると分かっただけでも良しとするか」
 そう言って稲見之守は、吹雪に吹き散らされるよう掻き消えた。後に残ったマウラは、体は無傷ではあるが心に無数の引っかき傷を負い砦の奥へ戻るのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

水心子・静柄
私の召喚した本差(UC)が最強だけど、私の勘じゃ今回は召喚して相手が反応するまでの間しか使えない気がするわ…理由はわからないけど。それに脇差(本体)も使い辛いから本差(アイテム)一本で戦うわ。もしかしたら召喚したものと間違ってくれるかもしれないしね。

それで敵が現れるまでは鏡を背にし奇襲の警戒、現れたら鏡に一つだけ聞くわ…「マウラ自身が恥ずかしいと思っている体験談、失敗談を過去の物から全て教えなさい」

どれくらいのエピソードがあるかわからないけど、自分の恥ずかしい話を聞きながら戦うのは精神的に辛いわよね?それに長ければ長いほど鏡を利用されなくて一石二鳥よ。他にも近くに鏡があったら同じ事を聞くわ。



 この世界で一番強いのは? マウラが鏡に聞いていたという問いについて、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は考えていた。
(私の召喚した本差が最強だけど、私の勘じゃ今回は召喚して相手が反応するまでの間しか使えない気がするわ……理由はわからないけど)
 静柄の召喚する本差は文字通りに無敵。それは静柄が信じ続ける限りは決して揺らがないこと。だが、それは今回に限れば長続きしそうにはないと静柄の勘が告げていた。
 勘とはいえ、全く無根拠なものではない。その根拠となるもの……『真実の鏡』から大きく離れないようにし、いつでもそこに背をつけられる場所を取りながら、静柄は砦を進んでいった。
「いらっしゃい、お客さん!」
 一つの部屋を通り過ぎた時、その部屋の扉をぶち破りながらマウラが飛び出してきた。もちろんそう言った奇襲にも警戒し部屋の中を確認はしたのだが、恐らくその確認する動き自体を鏡を使って知り、それから逃れられる場所に隠れやり過ごしたのだろう。
 突然の攻撃に静柄はとっさに刀を構え、その一撃を受け止める。多少身幅が広いとはいえ日本刀であるそれと幅広の聖剣では重さに違いがあり、押されるように静柄の足が大きく後ろに下がった。
 丁度静柄が鏡に背中つける形となりながら、ぎりぎりと鍔迫り合いを続ける二人。
 力を込めて剣をぐっと押し込みながら、マウラは静柄に顔を近づける。
「いいお姉ちゃんだね。真峰ちゃんだっけ? 大好きなお姉ちゃんが無敵で嬉しいよね?」
 馬鹿にしたように言うマウラ。それを受けて静柄は顔を赤らめる。確かに姉を思ってはいるが、クレバーな論理系を自称する身にとってそのような感情を表に出すのは恥ずかしいことこの上ない。だからつい、心にもない言葉が口をついてでてしまう。
「べ、別に……そんなこと思ってないし!」
 その答えに、マウラはにやりと笑う。ユーベルコードで生み出された静柄の姉、真峰は静柄が信じる限り無敵。故に本心ではなかろうと、否定の言葉一つで簡単にその力は消え失せると、鏡に敵のユーベルコードの弱点を聞いたマウラは知っていた。
 だが、マウラの聖剣を支える本差は一切揺らぐことなく折れず、曲がらずを保ち続けている。予想外のことに押し込みが緩んだ瞬間、静柄はぐっとマウラを押し返した。
「人に恥ずかしい思いさせて……お返しよ、マウラ自身が恥ずかしいと思っている体験談、失敗談を過去の物から全て教えなさい」
 そして冷静に告げられる、鏡についての質問。
『お答えします。マウラ様は幼少期に……』
「だー! またかー! 猟兵てのは変態ばっかなのか!」
 恥ずかしい体験を語り続ける鏡を止めたいが、鏡は静柄の真後ろだ。いかにリーチの長い聖剣でもこの状態で届くものではない。
「それじゃお前ごとぶった切ってやる! 喰らえ、インガオーホーザン!」
 敵ユーベルコードを倍加した威力を乗せて叩き切る我流剣技を、マウラは静柄に向けて放つ。だが大上段から振り下ろされたそれは、剣姫の名を持つ者が降ったとは思えぬほどに軽く、貧弱な振り下ろしとなった。
「な……!?」
「まだ分からないかしら。これは私が創造したものではない、『水心子真峰』よ」
 静柄は敵の相殺技を封じるため、弱点を鏡によって看破されるであろうユーベルコードをあえて撒き餌として持ち込んだのだ。そして鏡への質問で乱れた精神でユーベルコードを使うことを焦らせ、こちらの使っていないユーベルコードを倍加……つまり0倍の威力での技を放たせた。
 その貧弱な攻撃を軽く受け流し、静柄は真峰を抜き胴に一閃する。ユーベルコードではない故威力は一段落ちるが、確かな剣技はマウラの体を切り裂いた。
「ぐっ……!」
 静柄とすれ違うように前に倒れ込むマウラ。その頭上では、真実の鏡がマウラの恥ずかしい過去をいまだ語り続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
稲荷符を貼り付けアークウィンドを武器改造
結界を宿しておくぜ

バテない程度に走る
足を止めれば鏡で視認されて狙われかねん
鏡にマウラへの直通コースを質問

待ち伏せを警戒して、最後の角を曲がる前に時限爆弾・カウントダウンを投擲
壁でバウンドさせて爆撃するぜ

名乗りをあげ神鳴も抜いて二刀流
楽しく斬り合おうぜ

アタシの弱点は腕力の低さ
鍔迫り合わないよう見切って身を引く
斬撃派は結界を宿したアークウィンドで武器受ける

二刀我流剣術がマウラの剣に劣る点を鏡に質問
陥れるより己の剣を磨く
鏡に感謝を述べて、アドバイスを生かして反撃
殺戮剣舞・封印第一段階解除を見舞ってやる

戦狂いの笑みを浮かべ最後の質問
アタシとマウラ、どっちが強い?



 四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、砦の中をひた走っていた。進むのは既に鏡に聞いた、マウラの潜む場所への最短ルート。さらには足を止める危険性を考え、短剣『アークウインド』へ符を張って結界を纏わせる武器改造も走りながら行っておく。
 敵が鏡を使って奇襲してくることも考えての踏破だが、予想に反して鏡に教えられたルートの最後まで、敵は襲ってくることがなかった。
 そして砦の奥、この角を曲がればマウラがいるはずというところで、燦は初めて足を止め、時限爆弾『カウントダウン』を用意。壁にバウンドする形で放り投げ、角の向こうへと投擲した。
 数秒後、爆音と共に角の向こうで大きな爆発が起こる。
「人の部屋になにしてくれてんのさ!」
 その爆発に紛れるように少女の声が聞こえ、爆発が起きたのと逆側……燦の後方から剣を構えたマウラが切りかかってきた。燦はとっさに後ろを向き、横にずれてその攻撃を躱す。恐らく鏡で燦の進軍ルートを知り背後を取れるよう迂回していたのだろう。
「来たね。我が名は四王天・燦、廃亡の剣姫マウラよお相手仕る! ……楽しく斬り合おうぜ」
 帯電する刀『神鳴』も抜き二刀流となった燦は、二つの刀を抜いてマウラへと切りかかる。マウラはその素早い二連撃を聖剣で受け流してさらに押し返そうとするが、力で劣ることを自覚している燦はパワー勝負を避け、無理な攻撃はせず身を引くことで躱していく。
「ちょろちょろ逃げて……だったらこいつだ! 重なれスート、合わされ属性! フォースート・ストライザー!」
 マウラは四つの属性剣を重ねあわせて聖剣に宿らせ、大きくそれを振るい光の斬撃波を撃ちだした。幅広のそれは動きだけで避けられるようなものではとうていなく、燦は結界を施したアークウインドを目の前に構え、自らを守る盾とした。
「ぐぅぅっ……!!」
 結界に瞬く間にひびが入り、そこから漏れた斬撃波が燦を切り裂く。体に無数の傷が入り血が噴き出るが、刻まれた空間が元に戻った時、燦の両足は揺らぐことなく地についたままであった。
 燦はその威力に感嘆しながら凄絶な笑みを浮かべ、傍らに合った鏡に質問を発した。
「大した技だ……鏡よ、アタシの剣術はどこがマウラの剣に劣っている?」
「なっ……!?」
 燦の発した質問に、マウラは驚いて一瞬手が止まる。自身が劣ることを前提に質問するなど、最強を自負するマウラにとっては想像もできない質問であった。だが質問の意図など組むことなく、鏡は忠実に答え始める。
『はい。まずご自身でも自覚なさっている通り腕力において大きく劣ります。また八属性を使うマウラ様に対し、燦様が使うのは雷と風の二属性のみ。属性攻撃の多様性において劣ります。マウラ様の属性剣を一刀と数えた場合最大の武器数においても二対五と数的不利があります』
「そうかい……ありがとよ!」
 鏡に礼を言い、二刀を構え切り込む燦。
「まだまだ行ける……動けアタシの体ァ!」
 その体に第一段階を解除した【殺戮剣舞】を宿し、猛然と切りかかる。考えるのは今鏡に言われた己の欠点。力のなさは殺戮剣舞で肉体を限界以上に酷使することで、一時的にでも引き上げることができる。剣の数は今マウラは自身の技の影響で一本に合体させており、強力な一刀を携えた状態である。そして属性の数は。
「風と雷しかない? だったらその二つを極めりゃいいだろ! 唸れ風神、吠えろ雷神!」
 アークウインドの巻き起こす旋風が巨大な聖剣をあおり、吹き飛ばそうとする。重いその剣を保持しようとバランスを崩しつつ踏ん張ったその胴に、使い手すら焼き尽くさんばかりの紅い雷撃が刃と共に叩き込まれた。
「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」
 なまじ力があるばかりに思わず剣を掴み続けてしまった隙をつかれ、マウラはその体を強烈な雷で焼かれ、今度こそ本当に体勢を崩す。
 その姿を見ながら燦は戦狂いの笑みを浮かべ鏡に聞いた。
「なあ、鏡よ……アタシとマウラ、どっちが強い?」
『単純な数値上はマウラ様の方が上です。しかし、それ以外の部分を加味すれば総合的に燦様が優勢でございます』
 鏡の残酷なまでに正直な答えが、膝をつくマウラを鞭打っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
生き残る為
鬼に変じたとは可哀そうに


俺についての剣姫の質問とその答え

その裏をかくよう立ち回る
…それもまた質問されちまってるかも知んないけど

更に時間あれば
敵が仕掛けてくるタイミング・方向もQ

戦闘
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う
因みにUCで焔を纏ってるけど剣撃はUCじゃないぜ?

猛毒は炎で炙り
闇の炎は獄炎が喰らう
吹雪は溶かし
雷光を切り払う

剣姫の姿を見失ったら鏡へQ
次の攻撃はどっちだ!?

質問と答えを剣姫は聞いている筈だから
仕掛けを変えるよな

けど敢えて受ける
致命傷だけは避けて

で傷口から獄炎を噴出
火達磨に
こいつは相殺できないよな?

傷は炎の物質化ですぐに塞ぎ
修羅の軛から解放する一撃を叩き込む

事後
鎮魂曲
安らかに



「生き残る為鬼に変じたとは可哀そうに」
 元アリスであったマウラの境遇に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はそう言葉を漏らす。今はその状況に不満は持っていないとは言え、元々願ってそうなったわけではないはず。結果として今人を切り、自分を追い込んだものと同じ存在になってしまった運命を思うと哀れまずにはいられない。
 だがだからと言って戦いをやめればより多くのアリスが、そしてアリスラビリンスそのものが犠牲になる。ウタはその感情を押し殺し、砦の中へと入った。
「鏡よ、質問だ。剣姫は俺についてどんな質問をした?」
 ウタは入り口近くにあった手近な鏡にそう質問した。
『はい、マウラ様は『侵入者はどんなルートで自分のもとへ来るか』と質問し、その問いに鏡は『何もなければ最短ルートを探して進んできます』と答えました』
 恐らくはほとんどの場合、敵がどう来るかを聞いて態勢を整えているのだろう。さらに鏡は続ける。
『さらに『相手はどのような技を使い、何が弱点か』も聞き、それに対しては『剣技と炎を複合した技を使い、自身の傷口から炎を出すため外傷を伴わぬ攻撃を受けると自傷の必要に迫られます』と答えました』
 ウタの最も得意とする技である【ブレイズフレイム】、その発動条件に留意するようアドバイスしたということか。そう考えながら先に進もうとするウタに、続けて鏡の声がかかった。
『さらに『そういえば何もなければとは?』と問われ』
「道変えるくらいならこっちから行ってやるよ!」
 鏡の声にかぶせるように、突如ウタの後方から女の声が聞こえ、続けて紫の属性剣が叩きつけられた。ウタはとっさに愛剣『焔摩天』でそれを防ぐが、その刀身の上で異臭を放つ液体が広がり、揮発した毒がウタの鼻や口から入ってその体を蝕む。
 後出しでマウラの質問を確かめたのは良かったが、その分質問が長くなってしまいその間にマウラは自分から向かってきたのだろう。
 とはいえ仕掛けてくる方向まで聞くつもりだったのだから、敵の方から来てくれたのは好都合とも言える。ウタは毒でふらつく足に力を込め、焔摩天に炎を纏わせた。
「こっからが本番だぜ!」
「舐めるな、消してやるよ!」
 マウラはさらに猛毒の水流を叩きつけるが、今度は炎を纏っている焔摩天はその水を蒸発させ、さらには立ち上る毒気すら焼き清めていく。マウラは他の属性も試しにと叩きつけてみるが、闇の炎や聖なる雷光は炎の焚き付けにされ、吹雪は足元を凍らせ凍土に封じるが炎がそちらに向けば氷は溶かされる。
 ウタはそのまま強引に踏み込み、炎を纏った焔摩天で一薙ぎマウラの懐を焼いた。
「さあ、次の攻撃はどっちだ?」
 ウタは笑いながらマウラ……ではなく傍らの鑑に問う。
『はい、マウラ様はスペードの毒水をさらに強め炎を鎮火させるおつもりにございます』
「バラしてんじゃないよ!」
 手の内を鏡に見透かされたマウラは属性剣を投げるのをやめ、聖剣を構える。
「属性躱してくるなら……喰らえ、インガオーホーザン!」
 大きく振り下ろされた剣がウタを袈裟懸けにする。その一撃をウタは回避も防御もせず、ただ黙ってその身に受けた。ウタの体が深く切り裂かれ、大量の鮮血が迸り、マウラの体に返り血となって降り注ぐ。
「あぐっ……!」
「バカな、あんだけの技を倍加したんだぞ! なぜ死なない!?」
「俺のユーベルコードは炎だけさ、剣技は自前だよ……あの程度の炎でもここまで膨らませられるんだ、あんた相当な使い手だな」
 相手のユーベルコードの倍加特性を考え、炎は纏わせるだけにとどめておいたのが功を奏し、敵の斬撃を受けても一撃で倒れることだけは避けられた。そして倒れさえしないのならば、大きなダメージはそのまま攻撃に転化できる。
「海に帰ったら安らかにな」
 噴きあがった血が全て炎に代わり、ウタの傷を塞ぎながらマウラを火だるまにする。
 血を失いふらつく意識の中、ふと口を突いて出るのが鎮魂歌。この一撃が彼女を戦いの運命から解き放つ解放の一撃とならんことを祈って。

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・零
 
常に【戦闘知識+情報収集+追跡+第六感】で戦況、弱点死角を把握し周囲警戒、臨機応変に対応し敵行動を予測し戦闘

・質問
敵の死角、弱点
相手のトラウマ、関わりの深い人物


戦闘

防御は避けたり、虚鏡霊術で霊力の壁の【オーラ防御】
と、グレイヴ・ロウ(以下A)で

遠距離は十の死とAを戦況に合わせ使用
近接はØ

Aや十の死の撲殺や斬死は【貫通攻撃】(Aは【一斉射撃】で地面から一気に生やすことも可能)

指定UCを使い、敵を鏡の世界へ
相手の関わり深い人物・物を召喚しつつ、それに怪奇現象とトラウマで攻撃してもらう(召喚したものは異形化することで恐怖を与えることも可能)


可能であれば自身のUC内では敵と2人だけになるので真の姿



 天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)は周囲を警戒しながら油断なく砦を進んでいた。
 既にマウラは砦内で何度か猟兵と戦い、その都度撤退を繰り返している。その痕跡から情報を集め、敵の撤退経路や得意戦術などを割り出しつつ、例外的な行動があることも考えながら進軍ルートを選んでいった。
 論理と直感を合わせた進軍の最中、零は鏡に問う。
「マウラの死角と弱点は? 弱点は精神的なものやトラウマも教えて欲しい」
『マウラ様は特別な感知手段は鏡による質問意外持っておらず、五感と経験による勘を上回ることはできません。精神的にはとても強気で攻めているうちは強いですが、劣勢に陥ると冷静さを失う傾向がややあります。はるか過去のトラウマは……』
「悪趣味だねあんた!」
 鏡の答えを聞いている最中、剣を大きく振りかぶったマウラが零に襲い掛かった。やはり質問しながら歩いてくることを察し、終わる前に自分から攻めてきたのだろう。だが通路にも戦った後が多く残っていたことを見ていた零は、移動中の奇襲に備えオーラを固めており、それに剣をぶつけることで切っ先をずらした。
「あんたは相手を嵌め殺すのが得意みたいだからね、動かせないよ!」
 そのまま怒涛の連撃で零を攻めたてるマウラ。零の持つ多数の武器を使わせないよう、一気に攻め切る算段なのだろう。その攻撃を、鏡から変じさせた『虚鏡霊術』で次々と防いでいく。さらに『Ø』を片手剣として振るい突き出すが、それは背後の属性剣で受け止められ、さらにその剣の司る属性を撃ち返されそうになっては即座にそちらに虚鏡霊術を差し向けさせられる。
「なるほど、凄い攻めだ。目の前にあるものを全部切り伏せる勢いだね……目の前以外はそうでもなさそうだけど」
 冷静に零が言った瞬間、マウラの足元から無数の十字架が突き出した。マウラはとっさに飛び跳ねてそれを躱すが、それを追うように今度は四角く切り出された墓石がマウラを押し潰さんとする。『グレイヴ・ロウ』と『十の死』が手の届かぬ場所からマウラに攻撃を仕掛け、彼女を死に至らしめんと属性を貫き襲い掛かった。
 マウラは聖剣を後ろに回しそれを何とかはじくが、刃のようにとがった十字の先端がその体を切り裂き、浅くない傷を負わせていく。
「厄介だね……その得物、まとめてふっ飛ばさせて貰うよ。フォースート・ストライザー!」
 マウラは一歩引き、属性剣を聖剣に合わせ大きく振るった。それは零のみならず、彼の突き出したグレイヴ・ロウや十の死までもを巻き込み、空間諸共切り裂いていく。無数の墓石が次々切り刻まれ、やがて斬撃の光は零をも包み込んだ。
 そしてややあった光が止んだ時、そこには綺麗な切断面を残して切り捨てられた多くの墓石と、体の末端にこそ傷を負うものの、急所部分は無傷の零の姿があった。
「本当に大したものだ。だが僕から離れたのが失敗だ。此処は天国でも地獄でもない世界。生きる意味を見失った者、死んだ或いは死ぬ間際の者が辿りつく場所。あんたの望みは何なのかな?」
 零のその言葉と共に、周囲の真実の鏡たちがぐらりと揺らぎ、そこからどろどろした異形の塊が這いずりだしてくる。この鏡にそんな能力などないはずなのに……そう思ったマウラがそれを見ると、それは立ち上がって人の形を取り始めた。それはぐずぐずに崩れてはいるが、先に自身に何度も辛酸を舐めさせた猟兵たちの姿をしていた。
「ひっ……!?」
 その異形は不器用に手を振るうと、それだけでマウラの体が切れ、焼ける。二色の目はそのままに銀髪に変じた零の放つ【虚鏡ノ夢】にて作られたトラウマの幻影が、マウラの心身を抉っていた。
「ああそうか、あんたは元アリス……昔の記憶は曖昧なのか」
 アリスはアリスラビリンスに来た時点で以前の世界の記憶が曖昧になる。元アリスであるマウラもそれは例外ではない。故に彼女の思い当たる最大のトラウマは、今しがた自分を追い込んだ猟兵ということなのだろう。
 だが、その鏡の中からもう一つ、別の異形が這い出して来る。それはどの猟兵とも違う幼子の姿になり、マウラに掴みかかった。
「どう、して……」
「違う、違うっ! あたしはぁぁぁぁ!!」
 それを見た瞬間、マウラは顔を引きつらせ悲鳴を上げる。その異形はマウラがオウガに変じた後……あるいはそのきっかけとなるような何かなのか。
 僅かに残った過去に苛まれるマウラを、銀髪の零は冷たく見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・静柄
よくもやってくれたわね…あなたは私を怒らせたのよ(🔴1つ分)

さて、次は真面目に行くわよ。相変わらず鏡を背に背負ってだけどね。フォースート・ストライザーを一撃凌げば勝ち目はあるわ!私が鏡を背負った状態で、フォースート・ストライザーを撃つように挑発するわ。挑発する内容はさっき聞いた恥ずかしい話ね。冷静さを失った状態なら第六感と野生の勘をフル動員すれば一撃くらいは何とかできるはず。そして、相手の攻撃は光だから鏡に反射して目くらましになるはずよ。その一瞬の隙を狙って、マウラにガン飛ばしながら後ろの鏡に問うわ…「マウラが恥ずかしがって答えられない質問を教えなさい」と。



「ねぇ鏡……次はどんな奴が来るの?」
 度重なる戦いで心身を攻められ、さすがのマウラも疲弊した様子で鏡に尋ねる。
『はい、次は……』
「え、マジ……?」
 鏡が告げた意外な人物の名。マウラはその相手を迎え撃つべく、砦の入り口側へと向かった。

「よくもやってくれたわね……あなたは私を怒らせたのよ」
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は再び砦に入り、鏡を背にしてマウラを迎え撃った。先の戦いでは優勢を取ったとはいえ、精神的に痛い所を突かれ動揺を誘われてしまったのも事実だ。その恥を雪ぐべく、静柄は再びマウラと向き合った。
 だがそれはマウラも同じ。最早自分ですら忘れかけている、アリスであり、人であった頃の恥ずかしい経験まで鏡にばらされたのだ。それを知る静柄は必ず切り捨て、口を塞がなければならない。
「あんたも芸がないね、また鏡を使って人をコケにするつもり?」
 正面から構えながら、マウラは静柄に言う。だが静柄はそれに涼しい顔で返した。
「別にもう鏡を使う必要などないわ。あなたの秘密なら散々聞いたもの。そうねぇ、例えばアリスとしてここに来た直後……」
 鏡から聞いたマウラの過去を、今度は自分の口で語り始める静柄。その姿勢は剣を構えてこそいるものの打ち込んでいく気配はなく、とりあえず構えているだけ、というような攻め気のない姿勢であった、
 恥ずかしい過去を語られるのみならず、まるで攻撃してくる気の見えないその構えはマウラを焦らせ、苛立たせる。
「鏡に散々恥ずかしいこと聞いて焦らせようって魂胆なのは知ってるんだよ。その前にくたばりな! フォースート・ストライザー!」
 マウラはそれ以上何かを言わせぬと、属性剣を聖剣に合わせ、静柄に向けて大きく振り抜いた。それは怒りから荒々しい大ぶりの斬撃であったが、それ故広範囲にわたって空間をずらし、光と共に巨大な斬撃波と化して静柄に襲い掛かった。
「……来た!」
 挑発に乗って猛攻をかけてくること、それは先に戦ったマウラの性格から予想はできていた。だが彼女の実力も一度交戦したが故に分かっている。だから静柄は長く切り結ぶのではなく、早々に大技を撃たせてその瞬間に勝負をかけたのだ。
 長きにわたる経験と、一度切り合ったが故に分かる相手の癖。それらを剣士としての勘に全て載せ、静柄はマウラの必殺技であるフォースート・ストライザーに立ち向かった。
「……っ!」
 光の塊を鏡に叩きつけたためその強い光が反射し、マウラは一瞬目をしかめる。だがフォースート・ストライザーの威力によってすぐに鏡自体は砕け、その光も止んだ。そしてその後にあったのは……
「鏡よ、マウラが恥ずかしがって答えられない質問を教えなさい」
 マウラを睨みつけながら、別の鏡へと質問する静柄の姿だった。その体はいくつか傷を負ってこそいるが、致命傷は受けていない。攻めを捨てたのは挑発以上に、この一撃の回避に全力を注ぐため。それを理解した時には、マウラは既に静柄の術中に落ちていた。
『はい。マウラ様は今思い出しつつある、オウガに変じたきっかけとなる事件について答えることをとても嫌がっています』
「そう……じゃあマウラ、あなたはなんでオウガになったの?」
「や、やめろ……それを、聞くな……ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」
 真実を答えぬものにダメージを与えるユーベルコード【恫喝というなの恐喝】が、マウラの体を責め苛む。質問型のユーベルコードで何を聞けば効果的か、これほど鏡に応えさせて有効な質問もないだろう。背にした鏡は壊れたが、鏡自体はこの世界にいくらでもある。
 自身の記憶への羞恥と肉体へのダメージの板挟みは、マウラの体と心に深いダメージを何度となく与えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
殺戮剣舞の反動に耐え砦に入る
決死のマウラと戦いたい

鏡よ、彼女の居場所と砦の構造を教えてくれ

聖霊を含め通路幅の狭い所で一体ずつ相手する
呪詛・猛毒・凍結・電撃耐性で猛攻を捌き、神鳴で斬り伏せる
マウラの属性を減らすよ

剣を交え、堪らず逃走…屋上へおびき寄せ

屋上に出たら真威解放
広所を飛べる利を活かす
カウントダウン投擲で砦に戻る道を爆破

納刀し力溜め開始
周囲を旋回することで、アタシの攻撃方向を鏡に問うよう―カウンター戦術へ誘導する

空中戦技能でギリギリ切り返し残像を生成
囮にして剣を振り抜かせるぜ
地を蹴り間合いを詰めて抜刀一閃―神威・電刃居合い斬り!

鏡ではなくマウラに質問…満足できた?
いつかまた躯の海で戦おうぜ



 入口で、通路で、何度となく激戦の繰り広げられた砦。四王天・燦(月夜の翼・f04448)は痛む体を鞭打ち、そこへと再び入っていった。
 第一段階とはいえ強烈な反動のある技を使ったのだ。戦う前から既に全身が悲鳴を上げている。だがそれでも、燦は再び戦場に立った。決死のマウラと戦いたい、その一念だけを胸に。
 ここも幾度か戦場となった砦の玄関。そこにある鏡に、燦は質問した。
「鏡よ、彼女の居場所と砦の構造を教えてくれ」
『はい、マウラ様は砦の一部屋で体力回復を図っておられます。その場所を含めた全体の構造は……』
 存外広い砦であり、何本かの通路と階段があって一つの場所に行くのに複数の道筋がある。燦はその中で自分の戦いに必要な特徴を揃えている場所を特に抜き出して記憶し、その場所へと向かうのであった。
 そして砦の中を進むことしばし。マウラが休んでいると鏡が言った部屋の少し手前の細い通路。そこにマウラは、燦を待ち受けるように立っていた。
「また物好きなバカが来やがったよ。後は他の連中に任せときゃいいのにさ」
 だがそう言うマウラの表情は存外に明るい。戦いを繰り返すうちにオウガとなった彼女なのだ、彼女自身もまた自分で言う『物好きなバカ』の一人だと自覚があるのだろう。
「マウラ、お前の本気が見たい。もう一つ隠してる技があるんだろ?」
 インガオーホーザン、フォースート・ストライザーと並ぶマウラの奥義。それはまだこの戦いではどの猟兵の前にも披露されてはいなかった。
「良く知ってるね。あんたがそれとやり合うためにここを選んだってのは分かってるよ。さあおいで、剣霊姫招来!」
 マウラの声と共に、4本の属性剣が消え失せる。そしてその代わりに現れたのは、それぞれの剣に対応したスートと色をモチーフにした衣装を纏った、四人の少女達だ。
「さあ、相手してやりな!」
 マウラの声に応えるよう、まずはハートの少女が進み出た。少女は怒りの形相で、黒い炎を両手に宿し燦へと殴り掛かる。
「闇の炎か……何を焚き付けにすればこんな燃える呪詛ができるのか……」
 『神鳴』を抜き、剣を振るう勢いで炎をかき消しながらハートの少女を切り捨てる。切られた少女からあふれ出る闇は、己の持つ呪詛への耐性で抑え込んだ。
 さらには間髪入れず意地悪く笑ったスペードの少女が毒を滴らせる爪で燦を引っかきにかかるが、剣と爪ではリーチが違う、スペードの爪は燦に届くことなく彼女は切り伏せられた。だがその真っ二つになった体から返り血のように毒水が飛び散り、最後の一撃を燦に見舞う。
 仲間二人が消えたことに動じる様子もなく、クラブの少女は無表情に手に冷気を溜め、床を殴りつけた。凍土と化す床が燦の足を止め、その場に釘付けにしようとするが、燦は強引に足を凍土から抜き、上段の一撃でクラブを叩き切った。
 最後に残った悲しげな表情のダイヤの少女は、祈るような仕草をした後全身を稲妻に変え燦へと突っ込んでいく。
「……そこだ!」
 燦は全身にダイヤの電撃を浴びながらも己の耐性でダメージを抑え込み、狙いすました突きを雷光の中へ放った。それは雷光の中心……少女の心臓を貫き、彼女を四散させた。
「……やるね」
 瞬く間に剣霊姫たちが全滅させられたのを見て、マウラは聖剣を構える。その聖剣に素早く踏み込んで神鳴を一度当てた燦は、なぜか早々に剣を引いた。
「いや、これが限界かな……逃げさせてもらうよ」
 そしてそれ以上戦うことなく、燦は踵を返して逃げだした。逃げ込むのは傍らに合った屋上へと続く階段だ。
「は! ルート選んできた奴が逃げ場のない屋上に逃げるかい! 付き合ってやるよ!」
 マウラはその逃走の真意までは分からねど、あえて燦の策に乗るため彼女を追う。
 そして階段を上がり切りマウラが屋上へ出たところで、彼女の後方で大爆発が起き、階段が崩落した。
「御狐・燦が願い奉る。今ここに雷神の力を顕さん。神鳴――真威解放!」
 凛々しく煌びやかな戦巫女の装束を纏い、神鳴の近さを最大限発揮する【真威解放・神鳴】。燦はその状態で神鳴を鞘に納め、そこに力を溜め始めた。そのままゆっくりマウラの周囲を旋回し、攻め込む間合いを図る。
「ここで最後のケリつけようってかい。ああ、最後にこいつを使うのもいいな……鏡よ、あいつはどこからくる?」
『はい。ただいまの位置より30度ほど左、そこに達した瞬間踏み込んで参ります』
 鏡がその答えを言うのと、燦がその位置から踏み込むのはほとんど同時だった。マウラのやや上方、刀の間合いに入った燦の体を、マウラの聖剣が切り裂いた。否……それは体ではなく、燦がその場所で瞬間的に切り返して作った残像だ。
「抜刀一閃―神威・電刃居合い斬り!」
 地を蹴り、一瞬にして間合いを詰めた燦の電刃居合い斬りが、間違いなくマウラを捕らえた。鏡は嘘はつかなかった。攻める方向は一つ。ただ、その道で一度切り返しただけであった。
 倒れるマウラに燦は近づき、片膝をついて顔を覗き込む。
「鏡じゃなくてマウラに質問だ……満足できた?」
 その問いに、マウラは言葉ではなく凄絶な笑みで答えた。その答えに、燦も強敵に向ける笑顔で返す。
「いつかまた躯の海で戦おうぜ」
「海に来るかい? やめときな……バカの相手ばっかさせられるよ!」
 その声と共にマウラは消滅し、聖剣も一度床に落ちた後主の後を追うように掻き消える。
 後には今の戦いの余波でひび割れた鏡が、何も言わずに佇むだけであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月11日


挿絵イラスト