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迷宮災厄戦⑥〜チェスト関ヶ原!

#アリスラビリンス #戦争 #迷宮災厄戦 #迷宮災厄戦⑥

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●謎の亡霊に憑かれた巨人たち
 虚空に浮かぶ城、『原城』……ここは洋風めいたサムライエンパイアっぽいこの城がぽつんとある世界。
 複数の小さな『世界』が繋がり合う不思議な迷宮、アリスラビリンスに存在する『世界』の一つだ。

 そんな城の中でオウガの『トランプの巨人』がドタバタと走っている。
「敵か!? チェスト!」
 バシィ! と響く打撃音。
「む、こやつは猟兵ではないぞ! 誤チェストじゃ!」
「何……!?」
 そこには真っ二つになり倒れる別の『トランプの巨人』。
 少し様子がおかしい彼らは、よくよく見ると背中にぼんやりと『謎の亡霊』が憑いていた。
「死ぬやつは運が悪い! 捨て置くぞ」
「うむ、『ぱらいそ預言書』の導きのままに!」
 のっしのっしと『トランプの巨人』たちは城の中を練り歩く……。

●『トランプの巨人』を倒そう!
 グリモア猟兵の夕月・那由多(f21742)は生命を与えた創造物で人形劇をしながら先ほどの様なナレーションを入れた。
「誤チェストて……」
 呆れに似たツッコミを入れながら那由多は巨人の人形を整列させる。
「さて、どうやらこの城にいるオウガは、『ぱらいそ預言書』の狂信者になっておるようじゃな。このように命の価値が非常に低くなっておるようじゃ。故に、負傷や死を厭わず捨て身で襲いかかってくる」
 そんな状態で『トランプの巨人』が繰り出す攻撃は、その体格とパワーも相まって非常に強力そうだ。
「この狂信状態は、猟書家『クルセイダー』の扱う秘術の不完全バージョンのようじゃ。こやつらの背後に憑く『謎の亡霊』がこやつらを狂わせているっぽいのう」
 そう言うと那由多は人形を操り、予想される戦闘スタイルを再現してみせる。
 剣を大上段に構え全力で走り全力で振り下ろす、全てを攻撃に割く二の太刀を考えないその剣術はまともに正面から受けれれば守りが得意な者とてただでは済まないだろう。
「脚も遅くはない故、距離を離すのも困難。なんとも厄介じゃが……こやつらの仲間すら軽んじる捨て身を利用をしたなら苦戦はしないじゃろう」

●虚空に浮かぶ城の、その先へ
「簡単にじゃが、予知できた内容はこんなもんじゃ。猟書家とか気にはなることは多岐にわたるが……まずは道を作るために、皆の力を貸してはくれぬか」
 那由多は袖口から小さな鳥居を取り出した。それはみるみる大きくなり猟兵を転移させるための門となる。
「準備ができたら飛び込むのじゃ。わらわは転移のため同行できぬ故、ここでお主らの吉報を心待ちにしておるぞ」
 那由多はそう言って微笑むと、猟兵たちを送り出した。


ウノ アキラ
 はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。
 敵の剣術はいったい何の古流剣術なのか……。中にはこんな信者もいたのかしら? みたいな感じです。ウノ アキラです。
 このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。


==================
 プレイングボーナス……オウガの捨て身を逆に利用する。
==================

●お得情報
 この依頼については書けそうなタイミングで順にリプレイにしていくため、特に連携の指定が無ければ順番に入れ替わりながら一人ずつ戦う感じになると思います。
 他にもマスター紹介のページは一読頂けると文字数を少し節約できるかもしれません。
 よろしくお願いいたします。

●依頼について
 私のキャパシティの問題で、全員の執筆は難しい見込みです。平日は執筆ペースが大幅に落ちます。
 できるだけ六名さまの分まではがんばります。
 また、『プレイングを確認した時点で、書きやすそうな方から』採用するためプレイングは不採用になる場合があります。ご了承ください。
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第1章 集団戦 『トランプの巨人』

POW   :    巨人の剣
単純で重い【剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    トランプ兵団
レベル×1体の、【胴体になっているトランプのカード】に1と刻印された戦闘用【トランプ兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    バインドカード
【召喚した巨大なトランプのカード】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:はるまき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御狐・稲見之守
[&&&]
ああああ゛あ゛また首狩族のぼっけもんかぁああ!!!!
わたぬいて米詰めて炊くぞゴルァ!!
というか、だからお前ら誤チェストとか殴ってから気付くなよ!!!!!111

……はぁ、まさか2連続でぼっけもんの相手とは。

連中は殴ってから考えるぼっけもんである。
ゆえに[催眠術][化術]を以て幻覚で化かし彼奴らの誰かをワシに見えるように誘導し、連中同士での誤チェストを狙おう。
幻術は女々か。ワシは元より女じゃ。

残った奴は影業の刃にて首ちょんぱとす。まあ、一応奴等の流儀であるが。



●凶戦士×催眠×幻
 洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』。
 その城内に降り立った御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は早速廊下の向こうから走り寄る『トランプの巨人』を目撃する。
「キェェエエエエ!」
 ものすんごい雄叫びと共に剣を両手で大きく振りかぶって駆け寄る敵に対し身構えた稲見之守だったが……その刃はここまで届くことは無かった。
 なぜなら。
「チェストォーーーーー!!!」
 廊下の横から別の『トランプの巨人』が突っ込んできて稲見之守を狙う巨人を切り裂いたからである。
「猟兵ではない! 誤チェストか! ドタドタとやかましく走るから猟兵どもかと思ったぞ、死罪!」
 などと言いながひん死の巨人に止めを刺す巨人。
 理不尽である。
 サムライエンパイアで最もおっかない戦闘民族めいた連中に酷似した挙動に見覚えのある稲見之守は、叫んだ。
「ああああ゛あ゛また首狩族のぼっけもんかぁああ!!!!」
 どうも最近グリードオーシャンで似たような思考の者たちと遭遇したらしい。
「わたぬいて米詰めて炊くぞゴルァ!! というか、だからお前ら誤チェストとか殴ってから気付くなよ!!!!!111」
 いつもおふざけ気味な神さまもこの時ばかりはマジ突っ込み。しかも威嚇が含まれている。

 尻尾や耳の毛を逆立ててフシャー! と威嚇する稲見之守だったが、この物音を聞きつけて遠くからドスドスと足音が集まってくるのが聞こえた。
 さすがに何か対策をしなければ。
「……はぁ、まさか2連続でぼっけもんの相手とは」
 そうぼやく稲見之守はとりあえず目の前に迫る『トランプの巨人』へと催眠術をかけ自身はどろんと天井のランプに化ける。
(連中は殴ってから考えるぼっけもんである。ゆえに)
「キェェェェエアアアアアア!!!!」
 巨人は稲見之守が姿を変えたことに気づかないまま廊下を駆け、現れた仲間に斬りかかった。
「チェストォォォォーーッ!!!」
「ぐわーっ!!?」
 この一撃で絶命した新たな『トランプの巨人』はその出番わずか0.5秒で骸の海へと退場する。
「むぅ……彼奴めが増えた……幻術か! 女々な奴め」
 そう言いながら再び剣を大上段に構える『トランプの巨人』。その構えの先には、何事かとうろたえる味方たちがいるのだが、彼には稲見之守に見える様だ。
「キェェッェエエエエエエっ!!!!」
(ワシは元より女……というか幻術だと気づきながらそのまま斬るんかいっ!?)
 心で突っ込みつつ稲見之守はこの混乱を利用しランプへの化術を維持しながら近くを通る『トランプの巨人』へと催眠をかけていく。
 ついでに急所が外れて苦しむ巨人へと影を伸ばし、スパンと首を刎ねて介錯していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
&&&

◆心情
本流は一の太刀のみでは終わらない故に強敵なのですが…

◆行動
捨て身の万歳突撃自体は否定しませんが…
相手は選ぶべきですね

【空中浮遊】で上空に布陣
「叩きつける」事を強いられるユーベルコードの欠点です

上空から【罠使い】として持ち込んだ「白燐焼夷弾」を【衝撃波】に乗せて大量に散布
発煙による同士討ちと焼夷による攻撃で敵を攪乱

混乱に乗じ『獣ノ爪牙』で召喚した軍勢による【範囲攻撃】で蹂躙
自分達の視界は白燐を透過する赤外線センサで確保

突撃とは工夫に依って効果を発揮「させる」ものです

私も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



●混迷の回廊
 洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』。
 そこのどこかにある、吹き抜けの回廊に浮遊しながら霧島・絶奈(暗き獣・f20096)はため息に近い吐息を漏らした。
「本流は一の太刀のみでは終わらない故に強敵なのですが……」
 絶奈は古流剣術の流祖を想う。
 そして絶奈が天井付近から見下ろす眼下の光景は、猟兵の侵入を警戒しては走り回り、何かに遭遇するたびにとりあえず剣を全力で振るう『トランプの巨人』たちの姿だった。
「……そして突撃とは工夫に依って効果を発揮『させる』ものです」
 再び絶奈の口から吐息が漏れる。
 なんかこのまま見てるだけでも誤チェストで全滅しかねない雰囲気だった。

 しかし犠牲者が五人くらいに達するとさすがに「ここには猟兵は居ないのでは?」と冷静になり始めた様子で彼らの動きが止まる。
 先ほどからの騒ぎで眼下の『トランプの巨人』たちの数は十分。絶奈は次の行動へと移っていく。
 ばっと放り投げられたのは、罠として持ち込んだ白燐焼夷弾。
 吹き抜け回廊の天井付近から眼下へと放られたそれは次々とあたりを深い煙に包みながら、焼夷弾の名の通り木材の床に火をつける。
 この兵器は、木材が主となるサムライエンパイアの建築物には非常に効果が高い。
「なんだこれは! 何も見えん!?」
「火だ、火が放たれたぞ!!」
 混乱する眼下。
 そこへ絶奈はさらにダメ押しとユーベルコードを放った。
「顕れ出でよ、親愛なる我が軍勢。其は異体同心の輩にして一騎当千の古兵。屍山血河を齎す災厄――」
 現れたのは屍者の軍勢――その力は『獣ノ爪牙<<ロンナ>>』。
 絶奈は煙が充満する眼下を赤外線センサで確認した。
 火が広がる中、赤い表示に紛れ右往左往する巨体が見える。
 そして、聞こえる声。
「猟兵だ! 猟兵の攻撃だ! この中のどっかにいるに違いない!!」
「ぐお、何かいるぞ! やはりどこかに猟兵がいる!」
 彼らに『撤退』の文字は無いらしい……やがて攻撃の雄叫びが聞こた。
「チェストォォォォッ!!!」
 始めこそ小柄な影――屍者の軍勢を狙っていたが、敵も味方も解らぬ混迷の煙の中ではやがて何もかもが怪しくなる。
 故に。
「キェェェェェェエエエエ!」
「ぐわーっ、おのれ猟兵! 腕の一本何するものぞ! チェストォォォォッ!!!」
 同士討ちは広がっていった。

 炎が広がり焦げ臭い匂いが立ち込める中で激しくなる同士討ち。その光景はまさに地獄絵図。
 その様子を観察しながら絶奈は呟いた。
「捨て身の万歳突撃自体は否定しませんが……状況と相手は選ぶべきですね」
 物音を聞きつけ煙の中へと突っ込み同士討ちをしていく『トランプの巨人』たち。
 稀にすこし冷静になる者も居たが、それを絶奈は的確に屍者の軍勢による攻撃で刺激した。
 そして時に自身も空中からアリスランスの『【Innocence】』を振るって衝撃波を放ち、混乱を継続させていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェスター・アーリング
・ふぅん、いわゆる死兵ってやつか。しかも、彼らの剣術って映画やコミックでよく見たアレじゃないか! これは踊りがいがある……さぁさ、踊ろよ、踊ろう。僕と君たち、どちらかが死ぬまでね。

・彼らの目前で「ダンス」を披露。僕の「パフォーマンス」の「存在感」はどうかな? ああ、トランプ兵と共に真っすぐ来てくれるのか。「ダンス」の体捌き、足さばきは剣術にも通じるから、突っ込んで来た彼らと付かず離れずのダンスを披露。僕の「残像」と踊ってる内に片翼の蝙蝠で切り裂き、足元では「爆竹」を大爆発させて盛り上げよう。

・それに僕は【ザ・ボクサー】だ。蝶のように舞い、蜂のように刺し、死神のように彼らの命を刈り取って行こう。



●華麗なる蝶
 洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』。
 その板の間でしなりと舞う四肢の持ち主は、ジェスター・アーリング(バタフライピエロ・f25651)。
 ジェスターがトンっとステップを踏むと先ほどまでいた空間へぶんと剣が振り下ろされる。
「チェストォォォォオオオオッ!!」
 大上段から放たれたそれは大きく空振ると、『トランプの巨人』は姿勢を崩した。
 さらにジェスターがトンッとステップを踏めば、別の『トランプの巨人』が剣を空振りさせる。
 その突撃は時に数体同時に行われたなら互いを斬り合う壮絶な絵図となった。
 その空間を、ジェスターは卓越したダンスでくるりくるりと舞う。
(昔取った杵柄ってやつさ)
 ジェスターは過去に身に着けた技能――ユーベルコードによる強化――を最大限に高めて巧みに動いていた。
 その動きはまるで、蝶のように舞い蜂のように刺すボクサーの様に。

 味方の同士討ちがありながらも『トランプの巨人』たちは変わらず剣を構え気迫を見せている。
 その姿は、死を恐れぬ兵。
(ふぅん、いわゆる死兵ってやつか)
 ジェスターは変わらず踊りながらその存在感を見せつけていた。
 その表情はどこかワクワクしている様子でさえある。
 何故なら――。
(しかも、彼らの剣術って映画やコミックでよく見たアレじゃないか! これは踊りがいがある)
 大上段に構え、奇声のような掛け声を上げながら一直線に迫る渾身のそれはいわば情熱の塊。
 しかも創作で幾度と見たソレを生で拝めるときたならば魂が燃えないはずがない。
 ジェスターは妖艶に微笑んだ。
 だって、刺激的じゃないか。

 やがて『トランプの巨人』はジェスターの足を止めようと別の突撃方法を試し始める。
 それは、さらなる数だ。
「小賢しく動き回る奴。だがこれならば逃げ切れまい!」
 現れたのは両の手で数えきれないほどのトランプ兵。
 しかしその軌道はやはり。
「ああ、トランプ兵と共に『真っすぐ』来てくれるのか」
 ジェスターはトントンッとステップを踏みながら風になびく布のように舞わせた手から何かを転がし落とす。
 美しく連続する動作から違和感なくころりと落ちた『爆竹』がトランプ兵たちを巻き込んで炸裂した。
 ドンドン、パチパチパチ。
 その眩い閃光の中、なおも怯まず前進する『トランプの巨人』だったが。
「チェストォォォォオオオオ!!」
 その剣が割いたのは残像だった。
 そこへヒュンと音を鳴らして飛んでくる片翼状の刃『片翼の蝙蝠』が『トランプの巨人』を斬りつける。
「さぁさ、踊ろよ、踊ろう。僕と君たち、どちらかが死ぬまでね」
 ひらひらりと羽ばたくこの蝶は、舞うごとに命を削る死神だった――やがて『トランプの巨人』たちは全身に切り傷を作り、倒れいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レコード
戦場に到着後、指定UCが勝手に発動し
私に混ざってしまったオウガがかつて同化蒐集したアリス「ハートのお姫様」に意識と肉体が書き換わります

(以下姫様)
……お城というから私が無理して出てきたけど、なんか違う
まあいいわ、時間もそんなにないからさっさと攻め落とすわよ!

捨て身というか、攻撃しか頭にない感じよね?
意識を向けてない付近の無機物、つまりその「鎧」から殺戮刃物を生やして鎧無視の「部位破壊(首)」で意識外から首を刎ねていくわよ
数任せで来たりUCには床天上壁鎧至る所から刃物を生やして刻んであげる!
屋内で鎧着てるのがアンタ達の敗因よ!

さあ、使えないアンタ達は私がみんなクビにしてあげるわ!

※アドリブ他歓迎



●首狩りプリンセス
 洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』。
 その城へと降り立つとアイリス・レコード(記憶の国の継ぎ接ぎアリス・f26787)の姿と、意識が『書き換わった』。
 その力はユーベルコード『断章「ひび割れハートのお姫様」<<フラグメント・アリス・ザ・リッパー>>』。
 身を包むのはハートの意匠のドレス。開かれた目はちょっと気が強そうな勝気な眼差し。
 現れたのは、アイリスの中に宿る『ハートのお姫様』だ。
「……お城というから私が『無理して』出てきたけど、なんか違う」
 拗ね気味に口をとがらせるお姫様。
「お城ってもっと、天井が高くて磨かれた白い石の床で、きめ細かい布で飾られてて……」
 そんなお城を期待していたのに、ここは洋風『めいた』木造の城。
 木って、鶏小屋じゃないんだから!
 姫様は文化の違いにショックを受けつつも、けれど無理して出てきた手前このまま引っ込むわけにもいかないと気持ちを切り替えた。
「まあいいわ、時間もそんなにないからさっさと攻め落とすわよ! 私が、アイリス――ううん、私達のアリスの代わりにやるわ!」
 そう言うと、お姫様は木造のお城をずんずん進んでいった。

 粗暴な騒音の後に聞こえる「また誤チェストか!」の声。
 お嬢様はその顛末を半開きのふすまから見ていた。
「捨て身というか、攻撃しか頭にない感じよね?」
 小首をかしげ考える。どうもあの『トランプの巨人』たちは攻撃の後先を何も考えてなさそうだ。
「……だったら」
 お姫様はくすりとほほ笑むと、背筋を伸ばして静かに廊下へ身を晒す。
「む、猟兵か! キェェェェェェェッ!!!」
 お姫様を見た『トランプの巨人』は、即座に剣を両手で大きく構えて駆け寄った。
 だが。
「――お?」
 ごとり、と落ちる『トランプの巨人』の首。
 何が起きたのかとそこを見たならば、その廊下の壁の漆喰から鋭利な刃が伸びているのを目にするはずだ。
 それは『ハートのお姫様』の能力。彼女は任意の無機質から殺戮刃物を生やすことができるのだ。
「思った通り、アンタ使えないわねぇ」
 木造といえど漆喰の壁もあり、洋風めいているからこその所々には石の柱もある。
 そしてその『無機質』はもちろん、鎧も含む。
「がはっ!?」
 新たな『トランプの巨人』がお姫様の視界に入るや突如倒た。
 その鎧の首から血を滴らせる……『ハートのお姫様』が内部に生やした刃物で首を切断されたのだろう。
「さあ、使えないアンタ達は私がみんなクビにしてあげるわ! 屋内で、しかも鎧を着てるのがアンタ達の敗因よ!」
 そう言い放ったお姫様は城内を歩いていく。
 行く先々で『トランプの巨人』たちは、お姫様の一瞥で首から血を流し倒れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レン・ランフォード
&&
誤チェストって…大分頭がやられている様子ですね…
まぁここは利用させて頂きましょう
忍びの技で惑わせてあげます

【分身殺法・陽炎舞】を使用

室内なら煙幕弾で視界を塞ぎ、間を「フェイント」もいれて走り
同士討ちを狙いつつ死角から急所を突き「暗殺」します
ゴーグルで私は見えますが攻撃を喰らわないように
「第六感」も合わせて警戒を

室外・煙が晴れた時は「残像」で惑わせつつ手裏剣の「投擲」
命が軽いゆえ手裏剣の虚実には惑わされず突っ込んでくるかもしれません
けど、手裏剣には麻痺毒を塗ってあります「毒使い」「だまし討ち」
では、介錯してあげましょう



●忍びの者の襲撃
 洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』。
 城内に降り立ったレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)は即座に天井の梁へと登り様子を見ていた。
 廊下では見回る『トランプの巨人』が剣を構えたままドスドスと走り、時おり味方と遭遇しては確認もせずに斬っている……。
「誤チェストって……大分頭がやられている様子ですね……」
 『ぱらいそ預言書』の狂信者とはかくあるものか、それとも彼らに憑いた亡霊が特にそうなのか。
 仔細は分からないがこの性質は使えそうだとレンは考えた。
(忍びの技で惑わせてあげます)
 頃合いをみて天井から飛び降りるレン。続けて彼女は『分身殺法・陽炎舞』を発動させた。
 発生する残像は『トランプの巨人』たちにレンが複数人いるように見せかける。
「トランプ兵団は恐れぬ! チェストォーーーーー!!!」
 だが、分身を前にしてもためらわず多数のトランプ兵を召喚しながら突撃する。
(やはり、そのまま突っ込んできますか)
 レンは冷静に麻痺毒を縫った手裏剣と『苦無』を鎧の隙間を目掛けて放った。
「おおおおおお!」
 まわる毒を気合いではねのけようと雄叫びをあげる巨人だが、間を置かず足がもつれ転ぶ。
「では、介錯してあげましょう」
 レンは刀の形状をした武器『クレセントムーン』を抜いた。

 この一戦で音を聞きつけた『トランプの巨人』がワラワラと集まってきた。
「猟兵が居るぞ! 皆、こっちだ!!」
 対するレンはふすまを開け隣の部屋へ入と移動した。
「逃がすか!」
 そのまま真っ直ぐ追いかける巨人たちだが、すぐにもくもくと立ち込める煙に包まれる。
「猟兵め……これで隠れたつもりか。む!!!! チェストォォォォオオオオ!!」
「ぐわーっ!?」
 煙の中で動く影に手あたり次第に攻撃をし始める巨人たち。
 一方でレンは『UDC開発特殊発煙弾&専用ゴーグル』の専用ゴーグルを装備して敵の動向を確認していた。
(ほんとうに命が軽いですね……こうも躊躇わずに攻撃をするとは。……まぁここは利用させて頂きましょう)
 レンは煙の中を駆けて数多の影を映し出し、巨人たちの同士討ちを加速させていった。
 その合間に、隙を見せた者がいれば暗殺で止めを刺していく。

 一体の巨人の背にレンが音もなく乗った。そして鎧の首の隙間へ苦無がスッと差し込まれる。
「ぐっ……!?」
 喉を裂かれ、声も出せず呼吸を求めて倒れる巨人。
 別の巨人は、鎧の脇の隙間から差し込まれた『クレセントムーン』の刃で中のトランプの身体のハートを貫かれる。
 分身と共に煙に紛れる忍びの者を正確に捉えられるものはこの場には居ない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
&&&

ちぇすと?
良くわからないけど、きっと「アイラブユー」的な言葉ね!
現にほら、わき目も振らず私に向かってきてくれてるもの!嬉しい!

でも、みんな一度に相手にするのは大変だから、まずはUCで造り出した檻の中に閉じ込めてあげる♥️
それから私だけが通り抜けられる鉄格子を目の前で通って見せたり、
その大きな体にフックを引っ掻けて「地形(として敵)を利用」して飛び回って見せたりして、同士討ちを誘うわ
砂か何かを投げたり、武器を突き立てて「目潰し」してあげるのもいいわね!

ねえ知ってる?
神様を好きなひとは「串刺し」にされても平気なんですって!
せっかくだから本当かどうか、確かめてみましょ♥️
ちぇすとちぇすと♥️



●命の軽さと存在への関心
「猟兵か! チェストォーーーーー!!!」
 フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)の姿を見るや大声と共に一直線に駆け寄っていく『トランプの巨人』たち。
 その姿に、フィランサの胸は高鳴った。
「ちぇすと? 良くわからないけど、きっと『アイラブユー』的な言葉ね! 現にほら……」
 嬉しそうに微笑むフィランサの視線に映るのは、情熱的に駆け寄ってくる多くの巨体。
「わき目も振らず私に向かってきてくれてるもの!」
 こんなに真っ直ぐ見てくれるだなんて! こんなに熱心に向かってきてくれるだなんて!
 次の瞬間、周囲の地形が一気に書き換わった。それは鉄格子で出来た迷路。
「ぐはっ!?」
 突如現れた鉄格子に『トランプの巨人』たちは対処できずに激突していく。
 中にはこれで命を落とし消えていった者もいたけれど、それはフィランサには些細なこと。
 何故なら、彼女にとっては好意や愛情の表現は『壊すこと』だから。
「でも、みんな一度に相手にするのは大変だから、まずは檻の中に閉じ込めてあげる♥️ ひとりずつ、じっくり、ね♥️」
 オブリビオンであれば壊しても咎められない。オブリビオンであれば、そしてフィランサが猟兵であれば無条件で夢中になってくれる。
 オブリビオンであれば思う存分愛し合える!
 鉄格子の迷路にオウガたちを捕らえたフィランサは胸を高鳴らせた。
 嬉しい! 嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!

 ここは洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』……の中に生み出された鉄格子の迷路。
 巨人たちは迷路の中を走り回ったり、鉄格子を壊そうとしていたがフィランサが通りがかると彼女に熱いまなざしを向け「猟兵め! ここを出せ!」と熱意のこもった声をかけてくれた。
 フィランサにはそんな自分に向けられる熱意がたまらなく嬉しい。
 この巨人たちとどう愛し合おう? そう考えたフィランサはある方法を閃いた。
「ねえ知ってる? 神様を好きなひとは『串刺し』にされても平気なんですって!」
 フィランサは鉄格子をすり抜けながら『トランプの巨人』へと語りかける。この鉄格子はフィランサのみが自由に通り抜けることができるようだ。
 かつて小耳に挟んだ話をするフィランサの声色は明るく弾み、その口調は友達とお茶会を開いているかの様。けれど、その目は何かを見ているようで見ていない。
「それでね、せっかくだから――本当かどうか、確かめてみましょ♥️」
 フィランサは軍用シャベルの『グレイブディガー』を取り出すと、満面の笑顔で巨人に突き刺した。
「ちぇすとちぇすと♥️」
「ぐおおおっ!?」
 にこにこしながら『トランプの巨人』へ武器を突き刺すフィランサ。
 やがて巨人が力尽きて消えてしまっても。
「……じゃああなたはどうかしら? こんなに私を見てくれるんだもの♥️」
 と、次の『トランプの巨人』を突き刺していく。
 鉄格子の迷路に絶命の叫びと愛を求める声が幾重にも響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
&&&

誤チェストにごわすか。怖いでやんす。
だが奴らのチェストは未熟。私が本物のチェストをみせてやるざんす。
……なんか違う気がしますね。

突っ込んでくる一人の攻撃を【見切り】、【敵を盾にする】を使いつつ、効率的に同士討ちさせます。誤チェストでごわす。
間に合わなくてチェストされそうになったらUCを発動。
自爆は女々か。名案にごつ。
本物のチェストをお見せしましょう。

戦場に帰ってきたら周囲の地形も壊れてることだし、【足場習熟】しつつ【串刺し】でチェスト。【カウンター】で残りのチェストもチェストし返してやりましょう。誤チェストも継続させます。

ところでチェストってなんですか。



●青い空、チェストの夏
 ここは洋風めいたサムライエンパイアっぽい城、『原城』……だった場所。
 やがてなんやかんやの不思議な法則で再生するであろう城だが、今この時に限っては瓦礫が散らばる爆心地になっている。
「なんだか大変なことになっちゃいましたね」
 他人事のように呟くのはアハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)。
 アハトは爆心地の瓦礫の中でぼんやりと空を見上げながらカシュと缶ビールの蓋を開けた。
「空が青いですね、今日も暑くなりそうです」

 どうしてこんな事になったのか? その原因となる出来事の発端は数十分前のこと……アハトがこの『原城』へ降り立った時刻まで遡る。
「チェストォォォォーーッ!!!」
「ぐわーっ!!?」
 アハトの目の前で誤チェストが発生した。
 ちょうど廊下で『トランプの巨人』が前と横から迫ってきたので後ろへステップ回避をしたらこれである。
「誤チェストにごわすか。怖いでやんす」
 狙ったとはいえあまりに躊躇いがなく流れるような同士討ち。
「む、誤チェストか!」
「誤チェストでごわす」
 相槌を返すアハトと誤チェストをした『トランプの巨人』の目が一瞬合う敵同士の邂逅。
 一瞬の間をおいてアハトと『トランプの巨人』の追いかけっこが始まった。
「キェェェェエアアアアアア!!!!」
「おっと、逃げましょう」
(このまま効率的に同士討ちさせましょうか)
 アハトは得意なダッシュと逃げ足、そして小柄な身体で遭遇する新たな敵の巨体の周辺をちょこまか動いては盾にして誤チェストさせていく。
 たぶん絵的にはSD体型になっていると思います。

 しかしこの追いかけっこも、騒ぎを聞きつけた『トランプの巨人』たちが集まるにつれて限界が近づいていく。
 追い詰められたアハトはついに巨人が振るう刃の犠牲になった。
「――あ」
 ドンッ!
 剣がめり込んだ瞬間の爆発。あたりの壁と数体の巨人を吹き飛ばし、煙の中から現れたのは新たなアハト。
 それはユーベルコード『オウカ・コード』。
 量産型のフラスコチャイルドならではの荒業だろうか。すぐに記憶を引き継いだ新たなアハトが現れた。
「何してくれるんですか。死ぬほど痛かったですよ。死んだけど。……自爆は女々か。名案にごつ。本物のチェストをお見せしましょう」
 そう呟くとアハトはぴょんと『トランプの巨人』にくっつき魔法剣『ヴォーパルソード』を自分にぐさり。
 ちゅどーん!
 そして爆風から現れる新しいアハト。
「面妖な……! だが我らトランプ兵は死を恐れぬ! 皆の者いくぞぉぉおおお!」
 とにかく叩ききれと襲い掛かる『トランプの巨人』……その結末がどうなったかは言うまでも無い。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月07日


挿絵イラスト