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腹が減っては

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●戦はできる
「酒がねぇぞぉ!」
「食いもんも残りすくねぇ! 足りねぇ!」
 じゃあどうする?
 足りないなら、欲しいなら、どうやって手に入れる?
「――奪うしかねぇよなぁ?」
 薄汚れた集団の中、一際目立つ巨体が大斧を掲げると。
「略奪だぁぁぁぁぁあああ!!」
「お頭! お頭! 腹はち切れるくらい肉を食って、溺れ死ぬほど酒を飲みてぇ!」
「食いもんと酒なら、たしかあっちの村が溜め込んでるって噂ですぜ!」
 沸き止まぬ野蛮な歓声。鳴り止まぬ文字通りの勇み足。
 豪勢な今日の晩餐を思い描き、皆一様に下卑た笑みを浮かべた。

●グリモアベースにて
「今回は山賊狩りだ! んじゃあ行ってこい!」
 待て待て待て待て。
 まずは説明してくれという声に、グレゴリオ・カルディヤ(バトゥンブロット・f03150)は「仕方ねぇなぁ」と面倒くさげに言葉を続ける。
「つってもよぉ、必要な説明なんてほぼねぇぞ? アックス&ウィザーズで山賊の被害が出てるから蹴散らしてくれって、それだけだ」
 それでもなんかこう、敵の情報とか、注意点とか、ないのだろうか。
「そうさなぁ……敵はそのまんま山賊だな、手下も親玉も。今から向かえば、ちょうど近場の村を襲おうと移動してるところに追い付けると思うぜ」
 接触場所は草原。戦闘の妨げになるようなものもなく、山賊たちも逃げずにひたすら襲いかかってくるため、留意すべき事項は特にないらしい。
「この世界の山賊ってのはな、人間じゃあなくモンスターの一種だ。元が人間だろうと、山賊になった時点で『そういうもん』に成り果てるんだとよ」
 体力などの向上と引き換えに、知性は低下。善悪も混濁し、人としての倫理は失われてしまう。
 よって。
「ただの生きた経験値だと思って、遠慮なくぶっ飛ばしてやれ!」
 そういうわけである。
 また、山賊たちの数はそこそこ多いものの、知性の低下ゆえかそれを活かして戦うでもないので……そう苦戦することもないし、ユーベルコードの試し撃ちなどにもちょうど良いかもしれない。さすがに親玉はそれなりの強敵なのだが、手下が全滅するまではただただふんぞり返っている。あとで囲んで差し上げよう。
「お、そうだそうだ。仕事が終わって手透きなら、件の村に寄ってみな。山賊狩りするのは伝えておくからよ、歓迎されるはずだぜ」
 具体的には、宴会を準備してくれるだろう。略奪の標的になるだけあって結構豊かな村のようで、食べるも飲むも遠慮はいらない。歌って騒ぐも無問題。公序良俗に反さなければ、だいたいOK。
「よし、もう他に聞くことはねぇな? んじゃあ改めて、行ってこい! 胸のすくような土産話を期待しつつ、俺は一足先に酒とつまみでもいただいておくか!」
 グワッハハハハ!!
 山賊のような笑い声が響き渡ると同時、猟兵たちを転移の兆候が包み込んだ。


黒蜜
 黒蜜と申します。
 此度は山賊退治となります、よろしくお願いいたします。
 難易度は高くないので、盛大に暴れていただければと思います。
 第3章も、宴会っぽい内容であれば行動は自由です。
 公序良俗を守りつつ、盛大に暴れていただければと思います。
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第1章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

劉・涼鈴
POW
罠とか人質とかもないからただぶっ飛ばせばいいんだね?
そーゆーのなら得意だよ!

かかって来なよザコ山賊ッ!
お前たちなんかぼっこぼこにしてやるー!
映画とかで見たカンフーなポーズを取って思いっきり目立って、
こっちに向かってくるように挑発するよ!(【パフォーマンス】【存在感】【誘惑】)

【怪力】全開!
突っ込んで片っ端から殴り飛ばして蹴っ飛ばす!(【グラップル】)
掴まえて別のヤツにぶん投げるのもいいかも!
どりゃー!
届くヤツには【灰燼拳】だ!
ぶっ飛べー!

【野生の勘】で危ない斬撃を避ける!
見えるッ! 気がする!



●カンフーはできる
(罠とか人質とかもないからただぶっ飛ばせばいいんだね? そーゆーのなら得意だよ!)
 大暴れできそうな予感にぐっと拳を握りつつ、劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)は見通しの良い草原を走る、走る!
 すると幾許もせず、明らかにそれっぽい集団が目に付いた。多いし、人相も悪いのばかり。
 あれかな? あれだよね? 涼鈴は試しに挑発から投げかけてみることにした。
「あん? お頭ぁ、なんか後ろからガキが――」
「かかって来なよザコ山賊ッ! お前たちなんかぼっこぼこにしてやるー!」
「んだとコラァ!! てめぇだれがザコだってコラァ!!」
 確定である。
 となれば、あとは有言実行あるのみ!
「ふぅぅ……」
 息を整え、見様見真似のカンフーポーズ! 片足立ちでビシッと決めてみた。たしかこんな感じだったはず、映画とかでは。
「なんだぁそのわけわかんねぇ構えは!!」
「お頭ぁ! すぐ片付けてくるんで待っててくだせぇ!!」
 錆びた剣を片手に鼻息荒く、涼鈴の思惑通りに集まってくる山賊たち。
 釣れた数はひぃふぅみぃ……いっぱい!
「よーっし! それじゃあ手当たり次第にいくぞー!」
 涼鈴の作戦は大変にシンプル。
 即ち――突っ込んで片っ端から殴り飛ばして蹴っ飛ばす!
「よくもいきなりバカにしてぶべらぁッッ!?」
「ガキが調子乗ってんじゃぐげほぉッッ!?」
 上手いこと集まったおかげで、打っても蹴っても面白いように当たる当たる。宙へ叩き上げられる仲間を見て、山賊たちも慌て出したが。
「アイツ、小さいくせにすばしっこいだけじゃなく力もやべぇぞ!!」
「さっきからガキとか小さいとか……」
「げっ」
 目線を下に向ければ、己の服を掴む涼鈴の姿。
 時すでに、だ。
「いちいちうるさーい! どりゃー!!」
「ひいいいぃぃぃ!!」
 ぶん投げられて、見事他の山賊を巻き込みストライク!
「うんうん、いい感じで――!?」
 その時!
 なにかが! 見えるッ! 気がする!
 さっとその場を飛び退いてみれば、背後からこっそり斬りかかっていた卑怯な山賊と目が合った。
「………………」
「えっ」
 左手でがしっと剣を持つ腕を掴んで固定。
「いや、ちょっと」
 腰を深く落とし、右手を構える。
 これより放たれるは豪速にして豪快たる一撃、【灰燼拳】。
「おい、放せって、おい」
 力強く大地を踏みしめれば、足腰にて発生した力が。背を、肩を、腕を経て、今。
「ちょ、ちょ、待っ――」
「ぶっ飛べーーー!!」
 不逞の輩のど真ん中へと炸裂した――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドロシー・ドロイストラ
POW

はち切れるほど肉を食って溺れるほど酒を飲みたい、だと?
わかる
なければ奪うしかない、だと?
わかる

わかるからこそドロシーはやらねばならん
次は山賊が合法な世界に生まれろよ……

というわけで問答無用で襲いかかるぞ
ドロシーの攻撃は槍で【串刺し】にするか
【捨て身の一撃】で斧を叩きつけるのが基本だ
というかそれしかない

あとは竜言語を試してみよう
ドロシーの竜言語がちゃんと効くか試さないとな
「フェル・グローン!」と叫んで【ドラゴニアン・チェイン】を発動させる
鎖で繋いだらどうしようかな…投げるか、他の山賊に向けて
一応、逃げるやつは追わないぞ
「次来たらコプラーン……死体を鳥に食わすからなー」くらいは言っておくけど



●お試しはできる
「はち切れるほど肉を食って溺れるほど酒を飲みたい、だと?」
 彼方へとぶっ飛ぶ仲間を呆然と見送っていた山賊が、後ろからの声にびくりとしつつ振り返ってみれば。そこには槍と斧を手に悠然と立つ少女の姿があった。
「ま、またガキか……食うし飲むんだよ! クソ、なんか文句が――」
「わかる」
「あぁん?」
 わかるのか。
「なければ奪うしかない、だと?」
 続けられた少女の言葉に、山賊は再度顔を歪めた。なるほどそちらが本題か。
「山賊が奪って何が悪いと――」
「わかる」
「おぉん?」
 これもわかるのか。
 武器を持っているから敵かと思えば違うのか?
「わかるからこそドロシーはやらねばならん」
「あぁ? 何をやるってぐぼぁッッ!?」
 困惑の感情、その一瞬の隙に捻じ込まれたのは、少女――実際は結構お年を召されているが、理由あって外見や経験は少女――ドロシー・ドロイストラ(寝惚けた氷嵐卿・f13158)の、斧。ただでさえ重く力強い一撃を、気が抜けたところへ受けて。ただの山賊に耐えられるわけもなし。
「次は山賊が合法な世界に生まれろよ……」
 それはずいぶんと世紀末だが、世界というものは存外多い。もしかしたら、山賊が山賊として幸せに暮らせる世界がどこかに――怖いなそこ。

「おい、コイツもつえぇぞ!」
「なんなんだよガキのくせによぉ!!」
 斧を打ち当て押し込んで、槍で薙いでは突き立てる。
 山賊たちの剣では片方を受け止めるのが精々だ。結果もう片方を受けて負傷、ないしは戦闘不能へ。先ほどから幾人も倒れている。
「うむ、悪くないな」
 己の戦果を見回しつつ、ドロシーは頷きをひとつ。
 武器戦闘はなんとかなりそうだ。それなら強敵がいない今のうちに、やれることを試してみなければ。記憶を――いや、知識を――辿り、この場で有効な『言葉』を紡ぐ。
「――フェル・グローン!」
 発されたそれがオーラと化して、悪足掻きのように剣を振り回す一人へ直撃すると。ぐべッ、と鈍い声が漏れたその直後、爆破した。次いで漏れた悲鳴は爆音に消えた。
 残ったものは、もはやぼろ雑巾である。
「こちらも悪くない。ないが……」
 竜言語による力の行使、【ドラゴニアン・チェイン】。攻撃対象をオーラの鎖に繋ぐことで束縛や追撃もかなう技、なのだが。当の対象がこの有様では。
「……よし」
 軽く鎖を手繰り、先のぼろ雑巾ごと振り回し――。
「投げるか」
「うおおおおてめぇコラそんな雑にうごっほッッ!?」
 見事、少し離れたところで喚いていた山賊にクリーンヒット!
 これで周囲は概ね片付いたようだ。
「次来たらコプラーン……死体を鳥に食わすからなー」
 奪う側の意識が強過ぎたのか、実力差を見ても逃げ出さなかった山賊たちへ。再度生まれても、もう向かってくるなよと。それは警告か、優しさか。
 何れにしても放った言葉は、そよ風に乗って草原へと流れていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジョン・グッドマン
 オブリビオンでもなく人間でもない。私のような存在だな……、いや。アレと同類にされたくないが。うん。

 手加減するつもりは毛頭ない。見せてやろう、本物の化け物の力を!トライバルッ!

全力で叩きのめす
【トライ・バル】【怪力】で戦闘力を上げ【空中戦】で空から【先制攻撃】【捨て身の一撃】【二回攻撃】で敵陣中央に強襲する。
【なぎ払い】で周囲の敵を排除しながら【グラップル】で敵を投げ飛ばしたりしながら脱出を行う。まぁ、ダメなら【空中戦】で空から離脱するとしよう。
敵の攻撃は【第六感】【見切り】【武器受け】で対処し【恐怖を与える】【マヒ攻撃】で敵の動きを鈍化させる。



●強襲はできる
 そこらで倒れている、あるいは吹き飛んでいる山賊たちを眺め、ジョン・グッドマン(人間のグールドライバー・f00131)は静かに己と照らし合わせる。
 モンスターへと成り果て、人間から外れた存在。そう、それはまるで、UDCを宿して戦う己と同じ――。
「うおおおおお! 怯むなぁ! 略奪が俺らを待っているぞおおおおお!!」
「酒ぇぇぇええ! 肉ぅぅぅうう!」
(………………)
 いや。アレと同類にされたくないが。うん。
 気持ちをサクッと切り替えて、全力を以て叩こうと、ケースから薬剤を取り出した。UDCの力を扱うための特殊な品。奇跡的に己を保つ、心身の均衡を崩すもの。
「行くか」
 全てが消失しかけた過去を持って。それでも、駆けだすジョンの顔には、一片の恐怖も宿ってはいなかった。

「手加減するつもりは毛頭ない。見せてやろう、本物の化け物の力を! トライバルッ!」
「なっ、なんだぁ!! 空から!!?」
 手にした薬剤、超濃縮特殊キレート剤の使用によって、UDCとの融合を果たす【トライ・バル】。増大した戦闘力は脚部に集中。人間離れした跳躍力で、上空より強襲を仕掛けることに成功。
 その着地は山賊たちの動きを震動と驚愕によって止めてみせ、同時に放った軍用ナイフの斬撃で周囲をまとめて薙ぎ払えば。僅かな間に、山賊渦巻く敵陣中央は死屍累々へと変貌を遂げた。
 されど、そこで終わるジョンではない。
「……化けもんだろうがッ! 殺せば死ぬだろうがよッ!!」
「その通りだ。お前たちに私が殺せるなら、な!」
 驚愕から抜け出し、斬りかかってきた山賊の剣の軌道を、感覚と目で予測する。――ここだ。
「ごッ!?」
 擦り抜けるように山賊の懐へ潜り込み、勢いを乗せた掌底打ちを腹へ。浮き上がったところで片腕も掴み、力にてやや強引に持ち上げると。
「この際だ。お前も、空を飛んでみるといい」
 軽く回転、遠心力も利用し、こちらへと突っ込みつつあった一団へ投げ飛ばす。
 奴等と今のジョンでは膂力が違う。素手で投げたとは思えないほどの投擲速度に、為す術もなく巻き込まれた一団は、あまりの衝撃に丸ごと意識を刈り取られた。
「――次は、どいつだ」
「ひッ……!?」
 すでに化け物と認めただろうに。今更恐怖に慄くとは、なんとも呑気なことである。
 投擲によるまとめての撃破で退路は確保できた。が、この様子を見るに、まだここで暴れていても問題は無さそうだ。
 ――ごきり、手を解すように関節を鳴らして。それが次戦の合図となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

純・ハイト
山賊狩りですか、まぁモンスター狩りがしっくりくるかな。
敵は一匹残らず殲滅しないといけないと考えながら【迷彩】【目立たない】【忍び足】で隠れて、フェアリー用スナイパーライフルを山賊の一人に向けながら他の猟兵が巻き込まれないように注意して、奇跡の支援砲撃を発動する。
支援砲撃で山賊が混乱したらいいなと考えながら支援砲撃後に隠れながら【暗殺】【2回攻撃】【鎧無視攻撃】【スナイパー】で狙撃して、【クイックドロー】でリロードしながら気づかれないように場所を変えながら狙撃して【援護射撃】する。



●支援砲撃はできる
 草原に響き渡る悲鳴と怒号。当然それらは山賊たちによるものなのだが、どれもこれも下卑た本性がちらつき過ぎていて、事前に聞いたようにおおよそ人とは思えない。なのでこれは、純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)にとって、山賊狩りというよりも。
(モンスター狩りがしっくりくるかな)
 そう見れば、遠慮なくぶっ飛ばしてほしいという先の言葉にも頷けた。確かに奴等は、一人……いや。一匹残らず、殲滅すべきだ。
 ハイトは草葉を掻き分けながらも、物音ひとつすら立てず歩き進む。フェアリーである己の大きさならば、例え素のままでも見つかり難いであろうが。上乗せするように迷彩までをも施せば、もはやこれは隠密の技だ。
 さて、初撃はどこが良いだろう。狙いを定め始めたハイトの目線の先で、獲物たちはまだまだ蠢いている。
 撃鉄起こすは、もう直だ。

「ちいッ……おい、まだ一人も始末できねぇのか! お頭先に行っちまったぞ!」
「うるせぇ!! だったらてめぇも前に出やがれ!!」
 言われなくても行くところだ。悪態をつきつつ走り出そうとして――背後からなにか、聞こえた気がした。
「こ……ハイ……」
「……んだよ? 誰だ?」
 きょろきょろと見回すも、人の姿は全く見えない。
 気のせいだったかと踵を返し――。
「こちらハイト」
「っ!? やっぱり誰か居やがるな!! どこだ!!」
 耳を澄ませば拾えた微かな声。出所は遠いが、なんとか目を凝らせば。そこには。
「――誰でもいいから聞こえていたら支援砲撃を頼む」
 銃らしきものをこちらへ向けて、どこぞへと語りかける、なにか小さな――。
「は?」
 呆けてしまったのは、良く分からないものを見たからか、それとも。
 こちら目がけ降り注いでくる、砲撃の雨を見たからか。

「戦況は良好。感謝する」
 通信を終わらせ、ハイトは山賊へと向けていたフェアリー用スナイパーライフルの銃口を一度下ろした。
 この世界に滞在している、どこかの猟兵旅団へ。不思議と届く支援を要請する、【奇跡の支援砲撃(キセキノシエンホウゲキ)】。撃ち込まれた一帯は見事な焼け野原となっている。山賊と共に多少自然も散ったが、この草原の草はなかなか生命力が強そうだ。気にせずとも、そのうち元に戻るだろう。
 それよりも。
「予想通り、混乱の渦中ですね。やり易くて助かります」
 素早くライフルのリロードを済ませると。慌てふためく山賊の、服の隙間。肉体へと正確に銃弾を撃ち込んでゆく。
「がッ……!? ど、どこからだッ……」
「ちくしょう、足の指が、指が吹き飛ばされたッ……!!」
 殺せるならば遠慮なく。難いならば手傷を与え。
 誰の目にも止まらぬまま――あるいは止まれど目を潰し――ハイトは草原を駆け巡り続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。


こういう分かりやすい典型的な悪党共はぶちのめすのに躊躇いがいらないからある意味気が楽だねぇ。猟兵では雑魚でも一般人には脅威そのものだから排除しておくに越したことはない。行くよ!1

真紅の竜を呼び出して騎乗。【ダッシュ】で敵の群れに飛び込んで、【二回攻撃】【範囲攻撃】で蹴散らして行こうか。敵の攻撃は【カウンター】【武器受け】で対処。場合によっては【残像】も併用しようか。竜で敵を轢くのも躊躇わずやるよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。


こういう集団で行動する悪い人達は調子に乗らせるとどう暴発するか分かりませんので、悪事を完了させる前に倒してしまうのが一番です(ぐぐっ)行きますよ~。


まずトリニティエンハンスで攻撃力を強化してから【おびき寄せ】で敵の集団を引き寄せてから【属性攻撃】【二回攻撃】【範囲攻撃】で纏めて攻撃します。攻撃が集中しやすい身になりますが、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で被害を減らしますね。遠距離攻撃が必要なら【衝撃波】を使います。


神城・瞬
【真宮家】で参加。


本当に分かりやすい悪党ですね・・・たとえ小悪党の集団であろうと、一般の方達の大きな脅威になるのは事実。私達猟兵が対処できる時点で確実に仕留めましょう。


響母さんと奏が前に出て敵集団を攻撃している間に後方で【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢を詠唱し、【範囲攻撃】も併用して一気に敵集団を攻撃。敵が響母さんと奏に寄ってたかって攻撃しようとしている状況なら「その手を離せ、下衆。凍らせるぞ!!」の言葉も添えましょう。



●殲滅はできる
「おめぇら見ろよ、いい女もいるじゃあねぇか」
「へぇ、二人もか。へへ、こりゃお頭への土産になるな。手足の二、三本へし折ってから持って行くかぁ」
 ぐへへへへ、とニタニタ笑いを隠しもせず、にじり寄って来る山賊たち。不快を通り越して呆れの感情が芽生えてきそうだ。
「こういう分かりやすい典型的な悪党共は、ぶちのめすのに躊躇いがいらないからある意味気が楽だねぇ」
「本当に分かりやすい悪党ですね……」
 母親である真宮・響(赫灼の炎・f00434)の言葉に、神城・瞬(清光の月・f06558)も心からの同意を示した。
 だってもう、笑い方からして悪党だもの。言動全般そうだけれど。
「こういう集団で行動する悪い人達は調子に乗らせるとどう暴発するか分かりませんので、悪事を完了させる前に倒してしまうのが一番です」
 ぐぐっとやる気を拳に込めて。【真宮家】最年少の真宮・奏(絢爛の星・f03210)もまた、気負いのみでなく確かな力で懲らしめんと、山賊たちを見据える。
「ああ。猟兵には雑魚でも一般人には脅威そのものだから排除しておくに越したことはない。――行くよ!!」
「はい! 行きますよ~!」
 気合十分! 母娘共に能力強化を図りつつ、山賊たちへと怯みなく向かいゆく。
 それを見送りながら、瞬も術式の詠唱を始めた。特攻は母と妹の得意分野。ならば自分は後方から戦況を見て、適時フォローに回るが最善。
「響母さんの言う通り。たとえ小悪党の集団であろうと、一般の方達の大きな脅威になるのは事実」
 であれば。
 自分たち猟兵が対処できる現時点にて。確実な撃破を、だ。

「さて、一緒に行くよ!! 気張りな!!」
 響の声にて、遥かな大空より呼ばれ来たるは【真紅の竜(シンクノリュウ)】。その猛々しくも理知を感じる瞳へ、己が瞳からも信頼を送れば。威風堂々たる竜は地へと降り立ち、背へ乗り手を迎え入れた。
「目標は……ちまちまやるのもまだるっこしい。正面から飛び込むよ!」
「んなっ!? ふざっけんな、てめぇ!! なんてもん呼び出しやがるんだ!!」
 山賊の喚きなど一顧だにせず、竜は了承を伝える咆哮と共に爪牙を剥き出し、敵陣の直中へと真っ向攻め入る!
 ――爪がぎらりと凶刃として走り抜ければ、ああ。山賊などは、脆いもの。
「ぬわああああああああ!!?」
「撃ち落とせ! 空から落とせばこっちのもんだぁ!!」
 誰かが放ったその一声に、命からがら竜を避けた銘々が石を拾って手にするものの。それを易々許すほど、竜は――そして響は、甘くない。
 突如響が抜き放った、爛と輝く赤光。目を焼かんばかりに眩い光は、何なのか。見て取れたものが、果たして何人いただろうか。
「れ、れ?」
「ぎ、ひ。俺ら、なんで、倒れて」
 燃え盛るは響の心。応じて光を放つは光剣『ブレイズフレイム』。例え運良く襲い来る竜の爪牙に刈り取られずとも、追って煌めく光剣の一閃までは避けられまい。
 流れる赤光を手元に留めれば。ここはすでに終わったと、次を倒しに竜を駆る。
「――人から奪おうってんだ。自分も奪われる覚悟くらいはしておくべきだったね」
 ずるり、深々抉られ崩れ落ちる背後の山賊たちへ。もう届くことはない苦言は、冥土への土産代わりだ。

 ぐぐぐぐぐ、と。やる気に加えて更に魔力を全身に込める、奏。【トリニティ・エンハンス】にて溢るる魔力は多様だが、変わらぬのは何れも攻撃へのイメージであること。
「いい調子ですっ。これなら、悪事を砕くに不足なし、ですね!」
 動きを確かめながら近場を見やれば。まさに今、母が敵陣の一部を完膚なきまでに蹂躙して退ける瞬間が目に入った。さすがの勢いだ、さっそく自分も続かなければ。
「あなた方は私がまとめて相手をしましょう。さぁ、どこからでも掛かってきてください!」
 ちょうど奏の眼前に居た、母の猛攻に思わず一歩引いていた集団へと声を投げる。
 気合十二分! さぁさぁいざいざ!
「チッ、あっちの竜使いはダメでもコイツなら……」
「おうよ、小娘ならどうにでもなる。ついでに人質にすりゃあいい!」
 下劣な思考は相も変わらず。舌舐めずりしながら躍りかかってくる山賊に、しかし奏は焦りを見せない。――必要がない。
「腕もらったぁぁぁああ!! ……ああ?」
 ギィ、ン! いつの間に構えていたのか、『エレメンタル・シールド』。精霊力の込められた盾に、守りのオーラまで纏わせて。錆びついた一撃など通るはずもない。そして。
「お返し、しますっ!」
「熱ッ!! 熱が、火が、あ、あああああああ!!!」
 母と同じ、赤の一閃。込めらるるは討つために討つのでなく、護るために討つ力。『ブレイズセイバー』。奏に宿る熱き信念の証は、その心に応えんと猛威を振るう!!
 敵断ち飛ばす斬撃に、練り上げた魔力は転じて業火へ。一帯を斬り払い、焼き尽くし。割断された悪は皆、火に焼べられる薪と化した。

「こんなもの、でしょうか」
 母と妹の獅子奮迅の攻めに頼もしさを感じつつも。瞬は油断なく、加減もなく。氷の結晶の如き『六花の杖』もその手に持って、全霊を注ぎ詠唱を紡ぎ上げていた。
 宙に浮かぶは【氷晶の矢(ヒョウショウノヤ)】。直に触れずとも凍てつき裂ける、極寒逆巻く冷気の刃。数は百を超え、その何れもが山賊にとって致命となり得るだろう。
 放たず浮かべるに留めているのは、偏にまだ機が訪れていないゆえだ。前へ出た二人の活躍で、今はある程度敵も散らばっている。ばらばら放つも可能ではあるが、まとめて仕留められるのならば、やはりその方が手っ取り早い。
 どこかに良い狙い目はないかと、瞬が前だけでなく周囲も見回してみると。
「よおし、ここからなら気付かれることもねぇ……」
「上玉だが、さすがにもう黙っていられねぇからなぁ。くく、く」
 たまたま散った先が同じだったのか。右手側、草葉に伏せて隠れている集団がおり――その手には、割って鋭くした石が握られていた。
 これを投げられたところで、あの二人ならばどうとでもするだろう。そこは信頼している。しかし。しかし、だ。
「くく、もう我慢できねぇ!! 頭かち割って――」
 一人がぐおっ、と振り被ったその時。
 耳を劈くような音、肌を刺すような寒さ。集団の目の前を、染める白。
 だが、何より。
「その手で何をしようとした、下衆」
 降り落ちたその声に。背筋がもはや、氷のようで。
「――凍らせるぞ!!」
 先の一撃はただ数本の矢にて、もたらされたもの。では、数十倍にまで規模を拡大すると、どうなるだろうか?
 ――僅かな間の後。この草原に、一時的なツンドラが生じていた。

「やれやれ、やっと片付いたか。手応えはないけど、数だけはなかなか厄介だったねぇ」
「でも、無事に終われて何よりですっ! それでええと、残りは……」
 一人残らず草葉の陰へ叩き落とし、ようやく一息つく響と奏。結構な時間暴れ続けたことで、多少の疲労感はあるが。あとに引くようなものでもなさそうだ。
「残りは親玉を倒すのみ、ですね」
「あ、瞬兄さんもお疲れさまですっ」
 家族全員怪我もなく、戦果も上々。
 全て完遂して和やかに談笑するまでは、もうあと僅かだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『山賊親分』

POW   :    強欲の叫び
【酒!】【金!!】【女!!!欲望に任せた叫び声をあげる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    剛斧一閃
【大斧】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    手下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【山賊子分】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●油断はできる
 手下を殲滅し終えた猟兵たちが、ひとり先へと向かった親玉に追い付くまで。それは、思いの外早かった。
 あくびをしながらのっそのそと、背から見ていても明らかに油断している。もはや油断の塊が歩いている。
「――あぁ? ようやっと終わったのかよてめぇ、ら……」
 とはいえ人の気配くらいは感じ取れるのか、こちらに気付いた親玉は振り返り。
 固まった。
「……あーあー、そうかい。あいつらはくたばったと、そういうことだな?」
 ややあって、そうかいそうかいと頷く親玉。その目に悲痛の色はない。
「まぁ手下なんざまた集めりゃあいいとして。てめぇらはあれか。あいつらを殺れたからこの俺も殺れるだろうと思って、わざわざ追って来たわけか」
 悲痛はない。
 が、代わりに灯るは憤怒の光。
「身の程ってもんをよぉ。知らねぇとなぁ。人生苦労するぜぇぇぇ?」
 ずるり持ち上げた大斧の刃が、猟兵たちを鈍く照らし出す――。
真宮・響
【真宮家】で参加。

まあ、この頭あってあの子分あり、って感じだね。力はあるようだけど、統率力はなってないようで。ただ、こいつがまた子分を集められたら厄介だ。ここで仕留めさせて貰うよ!1

【忍び足】と【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、【ダッシュ】で敵に急接近。懐に飛び込んだら【先制攻撃】【二回攻撃】で奥の手を叩き込むよ。接近戦なら【フェイント】した上で【武器受け】し、【カウンター】を。子分が邪魔なら【範囲攻撃】を使おうか。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

あ、典型的な悪い人がいます!!そして強そうです。そして怖い事言ってます。こんな人がまた子分集められたら大変被害が大きいのでやっつけます!!

トリニティエンハンスで防御力を強化して、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で盾役になります。大斧の一撃と子分の攻撃は家族の代わりに引き受けたいですね。必要であれば【拠点防御】も併用します。攻撃が必要なら【属性攻撃】【二回攻撃】を使用して攻撃しますね。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

自分の置かれた状況も理解できないとは・・・あの子分達が弱かったのも理解出来ますね。ただ、あの大量の手下を集められるだけの力量は決して油断できませんね。気を引き締めて、戦いに臨みましょう。

盾役の奏の負担が大きいので、叫びと服を脱いで更に手強くなる前に動きを鈍らせましょう。【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の槍で直接親分を狙います。斧での攻撃や子分の攻撃がこちらに及ぶ場合は、【見切り】【オーラ防御】で対処しましょう。



●痛打はできる
「あ、典型的な悪い人がいます!! そして強そうです。そして怖い事言ってます」
 表情からも、言葉からも、かてて加えて見た目からも。手下と同じく親玉もあからさまな悪人であろうことは、間違いない。ならばと、真宮・奏(絢爛の星・f03210)はビシッと指を突きつける。
「こんな人にまた子分を集められたら大変被害が大きいのでやっつけます!!」
「ほぉ、ずいぶんと元気に囀るお嬢ちゃんだなぁ? 気に入った」
 ニィ、と浮かべられた親玉の笑みは。しかし、当然ながら親愛の印であるはずもなく。大斧片手に力任せに踏み込んで、大地を抉るほどの一撃を幾度も繰り出してきた。
 体躯も得物も巨大でありながら、その動きは俊敏で。何より。
「首を落として、頭蓋で杯でも作ってやるよ。くはは、旨い酒が飲めそうだぜぇ!」
 わざわざ発されるまでもなく、その身の内から感じ取れる、害意、殺意、悪意――悪事成すことへの躊躇いなど欠片も存在していない、ケダモノの如き攻めの重圧。まともに受ければ、どうなることか。
「ぐ、ぅ……!」
 迫る攻撃の真正面でなく、やや斜めへと『エレメンタル・シールド』を構えて弾くも、微かに手に残る痺れ。勢いを殺し切れていない。
 即座に『ブレイズセイバー』を叩き付けての軌道逸らしも型に取り入れたことで、奏はどうにかその場に留まり続ける。
 ――防戦一方に見えるだろうか? いいや、いいや。
「……てめぇどんだけ頑丈だよ」
 滲む冷や汗は奏でなく、親玉のもの。そもそもこれだけ体格の差があって押し切れぬなど、尋常ではない。
 技術的な面、それはあるだろう。しかしそれだけでは説明が付かない。膂力以外の力が働いているような――。
(なんとか、引き付けられましたね)
 ぎり、と盾から響く鈍い音を聞きながら。奏は密かに全身を覆っていた守りのオーラと魔力の装いを、一層強く練り直した。能力強化術式【トリニティ・エンハンス】の利便さは、攻め一辺倒でなく守りにも使える柔軟性にある。
(……これなら、いけるはずですっ)
 一対一の状況であれば、守りだけ厚くしてもどうにもならない、が。この場には、信頼を寄せる母と兄がいるのだ。
 好機を逃す二人ではない。そう思えばこそ、奏はその機を作り出すべく、盾に強く力を込めた――。

「ちぃ……切りがねぇ」
 打ち込んだ攻撃は数知れず。されど未だに有効打はなし。
 延々と続きそうな応酬、先に手を止めたは親玉の方であった。
「はん、首を残すのは止めだ。脳天から真っ二つといくかぁ!!」
 数歩下がると元よりの悪人面をさらに歪めて、自らを鼓舞し始めた。隆起し始める筋肉、見て分かる程に滾り出す血。気合いを込めた叫び声で、それを全身へ行き渡らせようとしたところに。
 ――飛来する、氷槍。
「あぁ!? クソッ!!」
 咄嗟に飛び退いたことで直撃は避けたものの、強化しかけた力は霧散してしまった。苦々しさと腹立たしさを表情へ乗せに乗せて、槍が来た方向へ視線を向ける。
「邪魔してくれてんじゃねぇぞ優男がよぉ!!」
「自分の置かれた状況も理解できないとは……あの子分達が弱かったのも理解出来ますね」
 常人であれば震え上がるであろう怒りの奔流を身に受けて、それでも神城・瞬(清光の月・f06558)の姿勢は揺るがない。妹が時間を稼いでくれたおかげで、必要な詠唱はすでに終えている。先のものは牽制程度の代物だ。本命は、今、これより。
(ただ、あの大量の手下を集められるだけの力量は決して油断できませんね。気を引き締めて、戦いに臨みましょう)
 妹から受け取ったバトンを、確実に次へと受け渡してゆくのが兄としての役目だ。血の繋がりなどあまりにも些細な話。これまでに紡いだ家族の絆がどれだけ強く優しいものか、瞬は知っている。心から。
「んな子供騙しがよぉ!! 俺に通用するとでも思ったかぁ!!」
「逃がしませんよ!! 貫いて見せます!!」
 ゆえに、外さない。――外してなるものか。
「――【氷晶の槍(ヒョウショウノヤリ)!!】」
 放たれた槍は穿つべきを穿たんと、空を裂き、風を裂き――血肉を、裂いた。
 牽制とは比べ物にならぬ速度と、威力。避けるも受けるも叶わず貫かれた親玉は、今度は苦痛で顔を歪め、どうと地へと倒れ込む。
「この俺、が……てめぇら、ごとき……に……」
 ひゅう。抜け出るような息を最後に、訪れたのは沈黙。
 ……なんとも、お粗末なことである。
「引っかかるわけがないでしょう、死んだふりなどに」
 瞬はつい呆れを漏らした。まだ致命傷には至っていない、そんなこと手応えで分かっているのだ。見れば大斧もまだしっかりと握り締めているし。
 …………………………。
「――――隙あり、だあああああ!!」
「いえ、ですから引っかかるわけがないと……」
 がばり起き上がり走り来る親玉を前に、瞬は焦りなど覚えない。
 もう、バトンは次へと受け渡したのだから。

(まあ、この頭あってあの子分あり、って感じだね)
 自らの気配を断ち、動くべき瞬間を窺っていた真宮・響(赫灼の炎・f00434)もまた、内心で呆れを漏らした。
(力はあるようだけど、統率力はおろか判断力までなってないようで)
 息子へ向かって特攻をかけている親玉。そんなもの、自分が許すわけがない。
「打ち割って、斬り刻んで、家畜のエサに――あ?」
 何かが近付いて来る気配に、顔をそちらへ向けようとして。
「どおおおおおお!?」
 走る勢いもそのまま、大変盛大に地面を転がった。
 別に石に躓いたとかそういうことではないが。ただ、原因は単純ではある。要するに。
「足払い、さ」
 技を繰り出しても良かったが、万一狙いが逸れると面倒になる。それゆえ一度、先制して足を止めてもらったのだ。響的にお手軽な方法で。
「ぐぐ……誰がやりやがったぁ……ッ!!」
 片腕で地を殴り付け、反動を利用し跳ね起きる。こうして見ていると身体能力はかなり優秀そうなのだが。だからこそ。
「真面な方向にそれを活かしていたなら、山賊なんてものには堕ちなかっただろうに……まったく、勿体ない話だよ」
 流れるように後ろへ回り込んでいた響から、嘆息と共に放たれるは。
「余り使いたくないんだけどね。いざという時は必要なのさ!!」
 力を塞き止め気を封じ、抵抗を奪い去る――【奥の手(オクノテ)】、拘束具の投擲。
 手枷で繋ぎ、ロープで縛り、猿轡……は。
「ペッ!! ……不味いつまみだなぁ? おい」
「へぇ、噛み千切るとは」
 立てた青筋がぴくぴくと、もはや怒りは限界を通り越したか。徐々に徐々にと手枷に広がる罅、ロープのほつれ。
 抑えられた上からこの力とは、驚異的だ。しかし残念ながら。それだけでは。
「――覇っ!!!」
「ぐぶッ!!」
 親玉の顔面へ叩き込まれた、真紅のオーラを纏う籠手。一瞬の間も惜しむように打ち付けられる、連打。途切れない。休まない。
「また子分を集められたら厄介だ。ここで仕留めさせて貰うよ!!」
「ぶッ! ぐおッ!! ……ぬがぁッ!!」
 どうにか逃れようと仕掛けられた、親玉からの回し蹴り。
 ――退くは、不要。
「これは痛いよ、歯を食いしばりなっ!!」
 ゴガンッッ!!!
 己の蹴りの威力まで重ねられたカウンターを、それも脛へ叩き付けられて。哀れ親玉は吹き飛びのたうつ。激痛抱えてじたばたと。
「がぁぁぁあああああ!!!??」
 衝撃もあって拘束は解けつつある。されど、ここまでで刻み込んだダメージは大きい。
 勝利に向けて、猟兵たちは確かな一歩を踏み出していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

純・ハイト
WIZで楽曲を選び、頑丈な金属で造られた楽器(フルート)でフルートを吹く、楽曲は【誘惑】【催眠術】と相性がいい曲にして【パフォーマンス】【楽器演奏】で山賊親分を誘惑して催眠状態にして意識を奪おうとする、また【おびき寄せ】ながら、フルートで戦うことができないと思わせて、山賊親分の意識が薄くなったら【先制攻撃】【暗殺】【だまし討ち】【鎧無視攻撃】で攻撃する。
できたら他の猟兵との連携して戦い、手下を呼んだらユーべルコードで攻撃をしながら、フルートで山賊親分を誘惑・催眠術で意識を奪おうと狙う。
おびき寄せは【存在感】を出しながら一定距離を保つようにする。


ジョン・グッドマン
今度奪われるのはお前の番だ、その過剰な自信毎打ち砕く
祈る時間すら与えん、その身一つで地獄へ落ちろ!

【トライ・バル】【怪力】で戦闘力を上げた後【フェイント】を織り交ぜ【二回攻撃】【捨て身の一撃】【クイックドロウ】【零距離射撃】でダメージを与える。
敵の攻撃は【フェイント】【見切り】【第六感】で回避する、あの大斧は脅威だからな。もし当たるのなら【オーラ防御】で威力を削ぎ【武器受け】で受け止める、【激痛耐性】でダメージを抑制しつつ【生命力吸収】でダメージの回復をする。



●猛撃はできる
「あああああああ!! ぶっ殺す!! 皮も血も肉も骨も命も残さねぇ死に晒せやあああああ!!!」
 大気を震わせるほどの狂暴な音の波。まるで人型の叫びではなく、獣の吠え声のようだ。
 尤も、負け犬の、だが。
「今度奪われるのはお前の番だ、その過剰な自信毎打ち砕く」
 先と変わらず、ジョン・グッドマン(人間のグールドライバー・f00131)の顔に恐れはない。怖れもない。ましてや、畏れなど。
 相手が手下であろうと親玉であろうと、ジョンにとっては同じこと。討つべきを前に、己が示すは全力ただひとつ。それ以外に、何が必要だというのか。
「……トライバルッ!」
 超濃縮特殊キレート剤にて、【トライ・バル】。UDCの力を解放し、その在り方を、形を、変化させる。心身の均衡が崩れる? 上等だ。
 それで力を得られるのならば。それで戦うことができるのならば。
「祈る時間すら与えん、その身一つで地獄へ落ちろ!」
 使い終えた薬剤の代わりに、携えた銃を手に。ジョンは吠え続ける悪へと突貫する――!

 戦場を空より見下ろす、純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)。過去に翅を失った彼であったが、なぜか飛ぶに不自由はない。理由は不明だが、便利なものは便利なのでそれで良いと、今も気にせず戦況を追う。
「連携、支援……良いタイミングは、ここでしょうか」
 攻勢に出る味方。迎え撃たんとする敵。ああ、まさにここがベストだろう。
 かちゃり、ハイトが取り出したのはフルート。とにかく頑丈な金属で造られているのもそうだが、この楽器の大きな特徴は。
「どうも今度はあの親玉が奪われる番とか。――なら、俺も奪うとしましょう」
 緩やかにフルートを口へ運べば、高らかに空から鳴り響くような――あるいは地の底より滲み出すような――音色が、戦場へと溶けてゆく。
 耳朶を打て。耳朶を撃て。脳へ染み入り意を揺らせ。
 夢心地のまま霊界へ誘う死の響きが。ハイトによって、解き放たれた。

「なん、だぁ……! このッ……」
 ふらり、ふらり。大斧を振り上げていた親玉が、どういうわけか踏鞴を踏んでいる。
 おそらく、何処からか響き始めたこの音色が原因だろう。つまりは。
「これはこちらへの支援ということか、有難い」
 ジョンも反撃を見据えて対策はしていた。とはいえ、憂いなく攻められるのならば、それに越したことはないのだ。全力の、その更にすべてを。攻撃に集中できるのだから。
 見れば、前後不覚に陥った相手。ゆえに選ぶは、容易く触れ合えるであろう距離。
 そうして押し付けた銃口は、祈りの名を冠する銃――『プリエール』。
「今日これまでに、貴様の犠牲となった命の痛みだ。――思い知れ」
 零距離から、撃つ。
「がふ……ッ」
 撃つ。撃つ。
「うぐッ……てめ、好き勝手……ぎ、ぃッ」
 力を込めて撃つ。意志を込めて撃つ。
 過去を撃つ。今に撃つ。未来のため、撃つ。そして――。
「――それでもまだ、か。良く足掻くものだ」
 相当に追い込んだ感触はある。だが、彼奴はどうも銃撃の抜ける方向へ自ら跳んだらしい。その程度で軽減される攻撃でもなかったが、代わりに衝撃によって彼奴の肉体も奥へ奥へと運ばれて、詰めていた距離を広げられた。
「はぁーっ……はぁーーっ…………」
 荒れる息。流れ滴り続ける血。だが。その目はまだ、死んではいない。
 加えて、銃声を間近で浴び続けたからか、意識奪う音色も今は届いていないようだ。
「動くぜぇ……はぁっ……てめぇが見える、頭が動く……!!」
 ごぷ、喉奥より溢れ出した血を吐き捨てて。治まらぬ呼吸を、肺に空気を詰めに詰め込んで無理矢理止める。そして、それに。声としての、形を。
「…………来いやぁあああああ!!!」
 滴る赤混じりの轟音。残る生命を絞り切って、削り切って。
 そうまでしたのだ。――応えやがれ、有象無象。
「一匹見たら数匹数十匹いると思え……でしたか」
 上空にいたハイトには、変化した状況が良く見て取れた。
 どこに隠れていたのか。あるいは、常なる者とは違うなにかなのか。草葉より、ずるり立ち上がる者たちの影、影、影。
「ぶっ殺せぇ!!」
 単純にして端的な指示に従い戦場を駆け回り始めるは、先に殲滅した手下共――のような、やや小さな存在たち。
 力はさほどでもなさそうだが、一匹一匹潰すのも手間な話。
「目には目を、という言葉もありましたね」
 真似するでもないが、こちらも助けを呼ぶというのも一興か。
 あれが本物でも、擬きでも。一人残らず始末してこそ、なにも失われない明日が始まるのだから。
「生かして帰すな……げほッ、全員潰せ、ぇッッ……!!?」
 ついでとばかりに、騒ぐ親玉へ弾丸をひとつ叩き込みながら。ハイトは思い描く存在へ、降臨を願い語りかける。
「戦火で敗れ失われた都で眠る戦神フェアリーよ、我らを助け敵を滅ぼしてくれ」
 来たれ、来たれ。【禁断の戦神フェアリーの召喚(キンダンノセンシンフェアリーノショウカン)】。徐々に姿を現す軽装のフェアリー――名をミリア・レイナ――に侮り抱いた愚か者は、次の瞬間上下に分かたれた。親玉の持つ大斧すらをも超える大剣。どういう原理でかミリアが振るう、それによって。
「では、滅しましょうか」
「こちらも、忘れてくれるな」
 ミリアによって振るわれる大剣。ハイトとジョンの、二重に轟く銃声の合唱。求む結果は誰しも同じこと。
 ――――殲滅だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

劉・涼鈴
POW
ふーんだ!
冒険者にもなれずに山賊なんてやってるヤツが凄んだって怖くないよーだ!
戦えない村人襲ったりでしょ?
ザコ狩り専門なんだからナメられてとーぜんだよ!
まぁ、さっきのヤツらよりは強いみたいだしおっきな武器持ってるし……私も武器使っちゃうぞー!

私の身長よりおっきい戟、【覇王方天戟】だ!
【怪力】でぶん回す!
おりゃおりゃおりゃー!
【グラウンドクラッシャー】で地面ごとぶっ飛ばす!
意外に素早い攻撃が得意みたいだけど、走るための地面をぐっしゃぐしゃにされたら効果半減でしょ!
ぶっ潰れろー!
ザコをいくら召喚しても無駄無駄無駄ー!
まとめてぶっ飛ばしてやる!


ドロシー・ドロイストラ
POW

逃げずにこっちに来るか、偉い
雑魚は逃げて構わないが頭目は逃がすわけにはいかないからな
お前のおかげでドロシーの苦労は一つ減ったぞ

攻撃はドロシーの武器トゥズによる【怪力】を乗せた【捨て身の一撃】だ
身体全体使って武器を振り下ろす
人生の苦労を終わらせてやる

手下を呼ぶで召喚された山賊どもはユーベルコード【氷の狂暴な嵐】でまとめて吹き飛ばす
ドロシーの竜言語は吹雪を起こすぞ、服など脱いでる場合ではないだろう



●決着はできる
「はぁっ、はぁっ……てめぇらにゃあ見覚えがあるぜ。初めに喧嘩売ってきたガキ共か」
「うむ。喧嘩を売った覚えはないが、それはたぶんドロシーたちのことだな」
 喧嘩じゃなくて戦いだけどな。あとは技のお試しもやったぞ。
 そう続けるドロシー・ドロイストラ(寝惚けた氷嵐卿・f13158)であったが、そのあたり親玉は聞き流したようだ。
「てめぇらがナメくさった真似しなけりゃ、俺がこんな目に遭うこともなかった……皆殺しにゃあ変わりねぇが、その首だけは、俺が獲ってやる……」
「ふーんだ! 冒険者にもなれずに山賊なんてやってるヤツが凄んだって怖くないよーだ!」
 殺意を超えて執念にまで至った感情を、真正面から受け止めて。それでもなお、劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)も震えひとつ起こさず戦意で返す。
「戦えない村人襲ったりしたでしょ? ザコ狩り専門なんだからナメられてとーぜんだよ!」
「うるせぇその口今すぐ閉じやがれぇぇ……!!!」
「逃げずにこっちに来るか、偉い」
 どずん。ドロシーの取り出したそれは、剣のような、斧のような。とにもかくにも、叩き切るに相応しい金属の塊であった。
 刃物の意を宿す――『トゥズ』。
「まぁ、さっきのヤツらよりは強いみたいだしおっきな武器持ってるし……私も武器使っちゃうぞー!」
 ぐおん。続いて涼鈴の取り出したそれは、斬撃武器か、刺突武器か。いいや、それらを丸ごと内包する万能武器だ。
 涼鈴の身長をも超える――『覇王方天戟』。
「重量級武器の揃い踏みだな」
「おっきいだけの斧なんて返り討ちだー!」
「上等だ……そのゴミごとこま切ってやらぁあああ!!」
 ――打ち合い鳴り響く三者の得物に。草原の草葉が、微塵と散った。

 それなりの強敵。そう評されていただけあって、手下はともかく親玉の力量は決して低くはない。これまでに猟兵の攻撃を一度と言わず食らいながらも、まだ生きていることが何よりの証明だろう。
 それでも、限界というものはある。
「おりゃおりゃおりゃー!」
「クソが、でたらめな動きしやがって……ッ!」
 力での押し合いかと思いきや、涼鈴の得物は変幻自在。斬るは当然、突く、薙ぐ、叩くに払う。その形状のどこに注視して対応すればよいのか、親玉には皆目見当が付かない。
 斬撃を防いできた? ではそのまま突きに移行しよう!
 得物を打ち払ってきた? ではその勢いをもらってぶん回そう!
「ふざっけんじゃねぇ!!」
「文句があるならかかってこーい! それでー……ぶっ潰れろー!」
 積み重ねた遠心力も加えて、加えて……爆発寸前まで溜め込んだ力を、思いっきりに叩き付ける。どこまでも真っ直ぐな超重撃、『覇王方天戟』による【グラウンドクラッシャー】!!
 受け切れない、止められない、身を捻るが精一杯。掠れど直撃だけは避けて、しかし直後に発された凄まじい破壊音の中で、親玉は肋骨が数本粉々になったことを悟った。
「ふざっ……けん、じゃあ……!!」
 草原に出現した大陥没。これでは足場もガタガタで、踏ん張りも利かないだろう。
 いつもなら、すでに多少強引にでも前へと突破できていたかもしれない。しかし、今は無理だ。ここまでの傷が、消耗が、流れ出した血が、それを許さない。
 だが。
「退かねぇ……俺は退かねぇぞぉ……てめぇらなんぞに……!」
「ありがたい。雑魚は逃げて構わないが頭目は逃がすわけにはいかないからな。お前のおかげでドロシーの苦労は一つ減ったぞ」
「ほざけぇぇぇええ!!」
 立ち位置を調整し、涼鈴の得物が届かぬところから。ドロシー目がけ渾身の一撃――に見せかけたフェイントを振り下ろす。
 得物からして、ドロシーは間違いなくパワー重視。守りに動いたその「隙」に、首を跳ね飛ばして――。
「…………む、思ったよりは軽いな。手加減は良くないぞ」
「――どうして、守らねぇ。避けねぇ」
 フェイントとはいっても、踏ん張りが利かないとはいっても、大斧は大斧。軽くはないのだ。その一撃は、軽くはない。
 なのに、なぜ。
「ドロシーは力の使い方は覚えているが、使った経験がない。だからこの場は」
 元より、捨て身となるを覚悟している。
 裂傷から溢れた赤が地に溜まれど。ドロシーの身に籠る力が曇ることなし。
「人生の苦労を終わらせてやる」
 呆気に取られたその「隙」に。振り下ろされるは、『トゥズ』の方。
 顔面を圧し折りながら突き進む金属塊は、叩き砕けた歯も諸共に親玉を地へ弾き落とし、バウンドさせて彼方へと跳ね飛ばしてみせた。
「……ぅごッ……あが、が……」
 ここまでしても、息があるのは。もはや、生命力というよりは――。
「ぉれがぁ……まけること、なんざぁ……ねぇ……」
 歩く力さえ残っていないというのに。いくらか残る手下らしき存在を呼び寄せて、足の代わりに自らを運ばせ始める。――こちらへ向かって。
 執念すら超えて。妄執で動く、存在。
「次で本当に終わらせてやろう。もう、あれは亡霊だ」
「……うん! かわいそうには思えないけど、決着はつけなきゃって私も感じる!」
 足腰のばねを最大限に使い、涼鈴は高く跳び上がる。合わせて、走るドロシーは親玉の前へ。
「まけること、なんざぁ……」
「――イーズ・ナーケスト!」
 ああ、吹雪よ吹き荒べ。この言葉が、声が、望まぬ者は。どこへなりとも吹き飛び消えろ。
 幕引きの邪魔は許さないと咆哮を上げる、【氷の狂暴な嵐(コオリ・ボウフウ・タイラン)】。手下の悉くは呑み込まれ、その姿は白へと消えた。
「――まとめてぶっ飛ばしてやる!」
 そして下されるは流星の如き一条の終焉。
 降り落ちたそれは言葉に違わず、周囲全てを打ち上げて。
 迷い出た亡霊を、遠い何処かへ送り届けた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『全部終わったら後は宴会だ!』

POW   :    食え! 飲め! 倒れるまで!

SPD   :    食べよう、飲もう。誰かに押し付けつつも目分量で。

WIZ   :    食べよう、飲もう。但し己の腹のお肉と要相談で。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●宴会はできる!!
「おお、おおお! 皆さんはどう見ても山賊ではない! つまり山賊を倒してくださった方々なのですな!」
 件の村が見えたと同時。走り寄って来たこのお爺さんは、どうも村長さんらしい。
「ありがたい! 実にありがたいのですな!」
 戦場からは少し離れているが、それでもこの村まで戦闘音は思いきり響いていたとのこと。この音が止んだ時が村の終わりかもしれない……と、本当に気が気でなかったようだ。
「大したものはありませんが、食べ物と飲み物だけは蓄えがあるのですな! 皆さん好きなだけ召し上がっていってほしいのですな!」
 さあさ、どうぞどうぞなのですな!
 そう言いながら、ぐいぐい村へと押し込んでくれる村長さん。少し進めば彼の言う通り、明らかに食べ切れないであろう量の料理が見えてくるだろう。
 疲れた体へご褒美の時間だ。食べて飲んで歌って踊って話して騒ごう!

 なお、料理でもそれ以外でも、宴会の範囲であれば要求は大体なんでも通ります。
 自由に楽しもう!!
ドロシー・ドロイストラ
戦士に休息などない
全てが終わればただ静かに去るのみ
そしてまた次の戦いへ
そう、オブリビオンとの戦いはまだ果てが見えないのだから…


なんてそんなわけないよな
ドロシーは食いまくるよ
だってお腹が空いたから

そういうわけだから肉はハーブ焼きのヤツ
酒は甘くて飲みやすいヤツ
果物は酸味の強いヤツ
パンは硬くてバリっとしてるヤツ
そしてお姉ちゃんは露出度の高いヤツ
たっぷり持ってこーい

飲み食いしながら武勇伝も盛りまくって語るよ
「山賊の親玉はそりゃあもう手強かったな、普段は熊を素手で倒して食べてるとか言ってたから
でもドロシーの竜言語にかかればヤツとてクラー……凍りつくしかなかったんだなあ」



●飲み食いはできる!!
 猟兵たちの奮闘によって巨悪は去り、村には平和が訪れた。
 喜びに沸く村人たちの笑顔を遠目に眺めて、しかし立役者の一人であるドロシー・ドロイストラ(寝惚けた氷嵐卿・f13158)は、ただ瞑目する。
 平和は成った。ならば、自分の役割はここまでだ。
 戦士に休息などなく。全てが終わればただ静かに去り、そしてまた次の戦いへ。
 そう、オブリビオンとの戦いはまだ果てが見えないのだから……。

「なんてそんなわけないよな」
 そんなこんなで、いつの間にかドロシーの姿は宴会場の中にあった。
「ドロシーは食いまくるよ。だってお腹が空いたから」
 がんばって働いたあとに、ごちそういっぱい食べていいよって言われたら、そりゃあそうなる。どうぞどうぞ、腹いっぱい平らげるがよろしい。
「そういうわけだから、たっぷり持ってこーい」
 肉はこれで酒はこれで……と、さっそく次々希望を告げたドロシー。お酒は飲んで大丈夫かと心配されたが、外見はともかく実年齢的には何の問題もないのだ。ちょっとぼかして「成人はしている」とだけ言っておいた。実年齢言ったら間違いなく嘘だと思われるし。
 どさりどさり、運ばれてくる希望通りの料理たち。もし残ったら持ち帰り用に包むも可とのこと。気兼ねなく好きなものを食べよう!
「むむ、このハーブ焼きはなかなか……」
 養鶏ではなく野鳥の肉らしいが、臭みが全くない。皮はパリッと焼き上げられて、肉汁も程良く染み出してくる。おかわり。
 蜂蜜酒の水割りもなかなかだ。ふんわり香る甘さが鼻でも舌でも楽しめる。いい飲み仲間だ、蜂蜜酒を飲もう。おかわり。
 合間に齧るパンはしっかり硬めで、噛む度に麦の風味が広がってゆく。野苺は強めの酸味とほのかな甘み、それとぷちぷちした歯応えが心地良い。まとめておかわり。
 ――一通り食べて人心地。まだまだおかわりは求めつつも、並行して話もそろそろ弾む頃合い。
「山賊の親玉はそりゃあもう手強かったな、普段は熊を素手で倒して食べてるとか言ってたから」
「まぁ、熊を素手で……!」
「なんて恐ろしい輩なのでしょう……」
 そしてこれも希望通りに、村の綺麗どころがお酌をしながら相槌を打ってくれている。服は、露出度高めながらも寒さ対策か、もこもこの毛皮で作ったもの。なんでこんな服が都合良くあったのか。そのあたりは、こう、いい感じに脳内補完を、どうか。
「でもドロシーの竜言語にかかればヤツとてクラー……凍りつくしかなかったんだなあ」
「竜の言葉! すごいわ、ドロシー様は言葉で戦うことができるのね!」
「まるで、話に聞く高名な魔法使い……いえ、それ以上のお力です」
 はっはっは、いやいや、それほどでもある。
 盛ったは盛ったが、基に事実もあっての武勇伝だ。気持ち良く語って、気持ち良く褒められて。そうこうしている内に、またお腹も空いてきた。
 食事も話もまだまだこれから。はち切れて溺れるまで堪能しよう!

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
わーい! ごはんだごはんだー!

キマイラフューチャーだとコンコンすれば完成品が出てくるから、
こーいう目の前で作ったりするのってあんまり見たことないんだよね!

世界ごとに色々違いがあってどれもおいしーよね!
そっちのお肉もほしいし、あっちのフルーツもおいしそー!
おさけってのは私はまだだめー? ざんねーん

村のみんなにさっきの闘いの自慢しちゃう!
身振り手振りも交えて熱演だ!
私こう、バーン!ってポーズ決めたら、わー!って来たから
殴って! 蹴って! ぶっ飛ばしてー!
そしたら親分が出てきたからこの戟をぐぉー!ってぶん回して!
地面ごとドーン!ってしてね!



●熱演はできる!!
「わーい! ごはんだごはんだー!」
 飛びつくように駆け寄る劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)。もちろんお腹は空いているが、彼女の目が輝く理由はそれだけでもないようだ。
「キマイラフューチャーだとコンコンすれば完成品が出てくるから、こーいう目の前で作ったりするのってあんまり見たことないんだよね!」
 網の上でジュウジュウと良い音を立てて焼ける肉。大鍋でじっくりと煮込まれているシチュー。果実のドレッシングで鮮やかに彩られてゆくサラダ。完成品だけでなく、作る過程にも興味津々!
 すると、涼鈴の視線を空腹のせいだと勘違い(まるきり違うでもないが)したか、村の人が料理の皿を運んできてくれた。量もそうだが、なにより種類の多さにわくわくしてしまう。
 色々な世界、色々な料理。それぞれ違いはあるけれど、どれもおいしいものだ。今日はここの料理を目いっぱい楽しもう!
「そっちのお肉もほしいし、あっちのフルーツもおいしそー!」
 目移り目移りしている様が微笑ましくて、自然と周りには笑顔が咲く。ふふふ、今も涼鈴は「これは何かなー?」と蜂蜜酒を手に取り――。
「――ちょっと待ったぁ! それはお酒! お酒!」
 慌てて近くの人に止められた。この世界基準でも、さすがに飲酒は早過ぎたのかもしれない。
「むぅ、おさけってのは私はまだだめー? ざんねーん」
「甘い香りがするものなぁ。飲みたい気持ちは分かるが、こっちで我慢しておくれ」
 代わりにと振る舞われた蜂蜜クッキーの、しっとりとろけるような甘さに包まれて。だめならだめで他を味わおうと、サクッと切り替える涼鈴であった。

「……でね? 私がこう、バーン! ってポーズ決めたら、わー! って来たから」
 お腹が満たされてからしばし。涼鈴は村の人たちに請われたこともあって、身振り手振りを交えて先の闘いを実演していた。
「殴って! 蹴って! ぶっ飛ばしてー!」
「ふしぎなポーズだけどなんかつよそー!」
「パンチやキックかっこいー!」
 実際に山賊を倒したということで、憧れがたくさん集まっているのだろう。特に子供たちの反応が良く、ついつい演じる涼鈴にも熱がこもる。
「そしたら親分が出てきたからこの戟をぐぉー! ってぶん回して!」
「なにそれ、おっきーい!!」
「うぉ、ほんとにでけぇな! どんな力してんだ!?」
 さらに『覇王方天戟』まで取り出せば、大人までも涼鈴に釘付けだ。
 ぶぉんぶぉんと回転を速める万能武器が最高速度に達した次の瞬間、大地を叩き砕かんと振り下ろされ――寸前で、ピタリと止まった。
「こんな風に、地面ごとドーン! ってしてね!」
「すげーいきおい!! さんぞくなんてイチコロだね!!」
「おお……む、村に草原みたいな大陥没ができるかと思った……。いやしかし、まだ若いのに凄まじい腕だなぁ……!」
 わいわいと賑わいを増す子供たち。ちょっとだけ肝を冷やしつつも感嘆する大人たち。気が付けば、涼鈴の熱演にみんな次々と引き込まれて。
 以降この村近辺には、「かんふー」なる異郷の格技の話が広まったとかなんとか!

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

村が無事で本当に良かったよ。村人の笑顔が何よりのご褒美だ。これは、盛大なご馳走だね。準備大変だったろうに。

ご馳走頂くのもいいけど、折角の宴だ。アタシ達家族で余興でもやろうか。音楽一家でもあるからね。アタシたちは。瞬に楽器演奏を任せ、アタシは歌を歌おうか。(アルトのハスキーボイスで良く通る声)奏の踊りも加えれば、賑わうだろうね。最高のひと時を約束するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。


村が無事で良かったです。頑張ったかいがあるものです。わあ、凄いご馳走ですね。

ご馳走頂くのもいいですが、盛大な宴ですので、私達家族で芸を。私達は音楽一家でもありますので、披露しましょう!!これでも私、ダンサーですから!!瞬兄さんの楽器演奏と響母さんの歌でバックは完璧です!!張り切って踊っちゃいますよ~!!(風の妖精のようなしなやかで軽やかな踊り)


神城・瞬
【真宮家】で参加。

ええ、村が無事で良かったです。これからは心安らかに過ごせますね。盛大なご馳走の準備、感謝します。

折角の村を挙げての盛大な宴、僕達家族で更に賑わいを提供しましょう。僕達は音楽一家でもありますので。僕は楽器演奏を担当します。響母さんの歌と奏の踊りも加われば、最高の舞台をお約束します。この平和の時間を、大切に。



●音楽はできる!!
 ありがとう! 皆さんありがとう!!
 歓声が、感謝が、猟兵たちへと降り注ぐ。恐怖と不安で押し固められたような状態から、一気に解放されたからだろうか。言葉の雨が質量を持つが如くビシバシと体に当たっている気がするが、それだけ喜びの想いが強いのだと思うと、こちらとしても感慨深いというもの。
「村が無事で本当に良かったよ。村人の笑顔が何よりのご褒美だ」
 送られてきた数多の言葉、想い。受け取れば、真宮・響(赫灼の炎・f00434)の顔にもまた、笑みが浮かんできた。喜びの連鎖とは、かくも温かいのだなと。今はただただしみじみ感じ入る。
「ええ、本当に無事で良かったです。これからは心安らかに過ごせますね」
 手を取り合ってぴょんぴょんと楽しそうに跳ねている、兄妹らしき子供たちの姿を目にして。神城・瞬(清光の月・f06558)も穏やかな気持ちの中で、村を歩き進む。
 誰かの家族が失われるような悲劇が訪れなくて、良かった。そのような事態には陥らせないと、戦う前より決意はしていたが。とはいえ、じわり染み出す安堵も悪いものではない。
「村の方々、すごく生き生きとしていて嬉しさにも溢れていますね。頑張ったかいがあるものです」
 ぶんぶんと手を振る村人へ、こちらからも手を振り返していると。風に乗って、真宮・奏(絢爛の星・f03210)の元へ香ばしい匂いが届いた。すぐに肉やら魚やらがいい具合に焼ける音が次いで、ついには並ぶ料理の数々が視界に入る。
 確かに好きなだけ召し上がれとは言われたが、予想より遥かに量が多い。奏の目が丸くなるのも致し方ないこと。しかしこれもまた、強い喜びの表れなのだろう。大々的に祝わなければ、発散できないほどの。
「わあ、凄いご馳走ですね」
「ご準備いただけたこと、感謝しなければなりませんね」
 瞬が軽く周囲を見れば。今なお慌ただしく料理をこしらえて、盛り付けて、配膳する村人たちの姿があった。
「おーい、うちの秘蔵の干物も持ってきたぞー!」
「こっちの腸詰めも皆さんに出してくれ! 酒にぴったりだ!」
「魚が焼けたけど皿がないよー! 誰かー! 皿を頼むー!」
 もはやちょっと修羅場ってるような勢いだが、辛そうな顔はひとつもない。食べて飲んで振る舞って、弾けるものは笑顔だけ。
「――おお、皆さんどうぞこちらへ!」
 三人へと参加を促す声をかけたのは、先ほどの村長さんだった。自ら用意をしていたのか、手には盛り付け中のお皿が一枚。
「さぁさ、お座りになって! すぐに他の料理も持ってくるのですな!」
「ああ、ありがとう。しかしこれは、盛大なご馳走だね。準備大変だったろうに」
「なんのなんの! 皆さんがやり遂げてくださったことへのお礼と考えたら、むしろこれだけしかできないのが心苦しいくらいなのですな!」
 どうぞどうぞと差し出された、盛り付け終えたお皿を受け取りながら。響と村長さんは互いに礼と労いを送り合う。ちょうど前菜を用意していたとこらしく、「タイミングばっちりなのですな!」とご機嫌だ。
 ミンチ肉と野菜を混ぜて、形を整えて焼いた……テリーヌのようなものだろうか。聞けば、元々は肉や野菜の余ったくずから作られる料理なのだが、今回は良い部分だけを使って贅沢に仕上げたとの事。どれどれと口に含めば、滑らかな舌触りの後ろを追いかけるように、豊かな素材の風味と旨味が広がってゆく。やや控え目な塩味も、本来の味を引き出すための工夫か。
「お口に合ったなら何よりなのですな!」
 ニコニコ頷く村長さん。
 このままご馳走をいただくというのも、もちろん悪くないのだが。家族三人で披露したいと思っていたこともある。良い機会なので、スムーズに取りかかれるよう彼から許可を得ておこう。
「折角の宴だ。アタシ達家族で余興でもやろうか」
「ふむ、余興……なのですな?」
「はい! 私達は音楽一家でもありますので、それを披露しましょう!!」
 これ以上猟兵たちに何かしてもらって良いのだろうか。そんな村長さんの葛藤は、奏の言葉で消し飛んだようだ。何でも村に娯楽は少ないようで、その分新しい音楽であるとか、そういったものには目がないのだと。
「村を挙げての盛大な宴ですから、僕達家族で更に賑わいを提供しましょう」
「いやぁ皆さんに余興をご提供いただくとは。持て成す側としては本当に心苦しい限りなのですが、それ以上に楽しみで仕方がないのですな……!!」
 村長さんや、話を聞いて集まってきた村人たちの、見るからにわくわくとした様子に。思わず楽器を調律していた瞬の頬も緩む。この期待は裏切れませんね、と母や妹に視線をやれば、二人もしっかと返してくれた。
 場も、楽器も、整った。――では。
「それじゃ、そろそろ始めようか。アタシは歌を」
「これでも私、ダンサーですから!! 張り切って踊っちゃいますよ~!!」
「僕は楽器演奏を担当します」
 いざや、最高の一時をここに――。

 響たちのために空けられた、広場のようなスペースの中央から。周囲へゆったりと流れる音、声、そして動きに。村人たちは魅了されていた。
「おお……こりゃあ目も耳も離せないや……!」
「初めて聞くけど、いい曲だな!」
「なんとも素晴らしいのですな!!」
 瞬の奏でる音色はどこまでも澄んで響き渡り、耳を通る際も一切の違和を残さず、聞き手の内側へ一体化するように溶け込む。異物感などなく、まるで自分が初めからその音と共に在ったかのようだ。
 そこに加わるのが響の歌声。瞬の音色が共に在るような一体感なら、こちらは力強くも優しい誰かに抱擁されているような安心感、だろうか。女性としては低めなハスキーボイスは、気持ち良いくらいに抵抗なく空気を伝い、村人たちを抱きしめた。
 ゆるやかで、それでいてしなやかな奏の踊りは、観客をさらなる夢現へと誘った。軽やかなステップを目に映し込めば、テンポを合わせるように自然と体が揺れてゆく。和やかさと美麗さが同居して、見事に気持ちが盛り上げられる。
 ――長いような、やはり短いような、時間が過ぎて。
 朗々と続いた一曲を終えれば、一拍置いて村を訪れた際の歓声をさらに超える大歓声が轟いた。
「最高なのですな!! 年甲斐もなく踊り出しそうなのですな!!」
「楽器も歌もすっごく良かったぞー!!」
「ダンスも綺麗でびっくりしたー!!」
 もう一度、もう一度、と。せがまれるアンコールの声。それを受けて、今日はもう終わり、なんて。三人からそんな返事が放たれるわけもなく。
「よし、それじゃ今度はもう少しアップテンポでいってみようか!」
「そうですね。先ほどより場も温まりましたし、より盛り上がれる曲にしてみましょう」
「それでは私も曲に合わせて、さらに張り切って踊りますよ~!!」
 声の調子を確かめる響。どの曲にしようかと思い巡らす瞬。ぐぐっと気合を入れる奏。今か今かと曲の開始を待ちわびている村人たちも。
 やはりここには満ちるのは笑顔ばかりで。そして心の中もきっと、ひとつになっていた。

 ――これからも、ずっと。この平和の時間を、大切に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト