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魔穿鐵剣 〜一刀散磊刀狩〜(作者
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●一刀散磊刀狩
「はン、八束の野郎がくたばったって? ざまアない。ヒトの身分で粋がって、妖刀なんぞに手を出すからさ。妖刀ってのはより強い化生でなけりゃア、扱いきれない呪いの刃。おとなしく、ヒトの枠に収まっておきゃアいいものを」
 ――どっこい頭、妖刀は妖刀でも、人が振るために打たれた刀があるって話でさ。晩年八束何某が振り回したは、知る人ぞ知る刀匠『永海』の作。化生を鋳込めて支配して、その力を都合よく使おうってなシロモンだそうで。
「なんだ随分日和った話じゃアねえか。野郎、この刃熊童子様にこてんぱんに伸されて、そんで求めたのが『安全な妖刀』だア? 眠気が過ぎて欠伸がでらァ」
 ――けんどもその妖刀永海、戦の趨勢を分けるほどの冴えを見せると評判で。
 ――結局野郎も死ぬまでに、永海の筆頭八本刀、全部を集めやできなんだ。
 ――しかし七本揃えた八束のわざは、空を焦がして山を割り、海を割いては鬼を断つと、音に聞こえたもんでやす。
「大袈裟言いやがってよ、八本刀も俺様の猿真似のヒト風情に、鬼が殺せるもんか! ……いや、しかし、野郎がね。そんな熱心に刀狩するほどいい刀だってかい。へえ。ふうん」
 ――興味が出てきやしたかい?
「バカ言うない、腑抜け野郎の欲しがった刀なんざア、頼まれたって要らねえや。けど、まあ、そうさな。野郎が死ぬほど欲しがった残り一本を、遊び交じりに奪ってやるのは、そこそこ気分がよさそうだ」
 ばんっ、
 畳より跳ねて起き上がったのは身の丈五尺弱、まだ童と言って差し支えない男児。しかし背中に負った八本の刀から発される禍々しい剣気、ずっしりと纏った威圧感、そして黒光りする角が、彼が凡百の男児でないことを告げている。
 その名も、『八刃の』刃熊童子。
 剣乱の世を駆け抜け生きた、名のある鬼の影法師。
「こんな話を持ってくるってこたア、大方おめえらも久々に奪いたくってウズウズしてんだろ。刃熊刀賊団のお通りといこうじゃねえか」
 ――へへ、ばれてらあ。
 ――しかし悪い話じゃねえでしょう。
 ――頭だって、暴れ足りてねえはずですぜ。
「あーあー、うるせぇ、乗せられてやらア。――立て、野郎共」
 鬼の号令に応え、むくつけき男たちが立ち上がる。死しても戦に舞い戻る、落武者どもが成れの果て。
 頭領を囲み刀を取る、鎺が揺れて凜と鳴る!
「そうと決まりゃァ永海とやらを拝みに行くぜ。一刀散磊、刀狩だア!!」
 応ッ!!!
 号令が鳴る。鯨波の声が応えた。
 駆け出す男どもの速度は尋常のものではなく――数日のうちに、彼らは刀匠の里を探り当て、里人を無惨に殺し、刀を奪い取るであろうと思われた。

●魔穿鐵剣
「――させるものか」
 午前四時。
 壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は、自室の暗がりで、うっそりと目を開いた。

●斯くて猟兵は刃鍛つ
「集まってもらったのは他でもない。サムライエンパイアにある、とある刀匠の里を救って欲しい」
 灰色はグリモアベースの一角に集った猟兵達に、現状を噛み砕いて伝えた。
 永海――『ナガミ』という、妖刀匠の一派の隠れ里が、オブリビオンに襲撃される未来を予知したのだという。敵は山一つに棲む、オブリビオンの山賊団――敵総数は恐らく千近い。
「永海という名前に聞き覚えのある人もいるかもしれない。以前に、八刀流のオブリビオンに襲われかけて、皆の手で救われた刀匠の里だ。彼らの打つ刀は非常に強力で、属性を帯びたものや、単純に恐ろしいほど頑丈でよく斬れるもの――重量を操作する事が可能な刀なんかも打てるとか」
 眉唾物の話だが、神妙な顔で聞いている、経験者と思しき数名の猟兵を見れば、それが真実なのだと知れることだろう。
「今回は幸い、予知が早かった。準備をする時間がある。現地に着いたら、まず里長――永海・鍛座を訪ねて欲しい。彼は猟兵に非常に友好的だ。里に危機が迫っていることを教えれば、惜しみなく協力してくれるだろう」
 ぶん、と音を立ててホロ映像が浮く。豊かな白髪に曲がった背、好々爺めいた笑みを浮かべ、穏やかな顔立ちをした老夫が映し出された。永海・鍛座その人の姿である。
「敵の襲撃までには五日の猶予がある。それだけの期間があれば、里の防備を固めるだけじゃなく、きみ達の現有装備の強化や修復、新造を図れるかも知れない」
 いわく、永海の里には『妖刀地金』というものが伝わるそうだ。金属に、あやかしの血肉を鋳込んで生み出される化生合金。火の化生を鋳込めばその鉄は熱く燃え、氷の化生を鋳込めば凍てつくほどに冷える、という具合に。
 その性質を利用し、現有の装備を強化したり、設え直したりする時間があるのだという。
「詳しくは現地で刀匠達に聞くといい。きっと、惜しまず協力してくれるはずだ」
 灰色は人差し指で、揃った光の六面パズルを押し上げた。
 立体パズルが、光を発して宙を切り抜き、“門”を開く。
「襲ってくる敵は落武者風の野盗共と……『八刃の』刃熊童子。八本の刀を同時に使う鬼種だ。戦闘能力の詳細は相対したきみ達に測って貰うしかないけど――きっと、永海の助力を得たきみ達なら、打ち破ることが出来るはず。――どうか、あの里を守ってやってくれ」
 深く頭を下げた灰色の横に、“門”が定着した。

 どこか郷愁を誘う、懐かしい匂いがする。――この“門”を踏み越えれば、そこは永海の隠れ里。
 覚悟を決めたものから順に、猟兵達は、光の門へ飛び込んでいく。

 ――さあ、猟兵らよ。
 魔を穿つ鐵の剣を成せ!

 いざやいざいざ迎え撃て、一刀散磊刀狩!





第2章 集団戦 『落武者』

POW ●無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD ●欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ ●妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●刀襲斬戮、刃熊万鬼夜行
 鯨波の声が、山一つ向こうから聞こえた。
 バサバサと音を立てて、鳥が梢を羽撃いた。おそろしいものが来る、と察したかのように。
 飛鉄衆の若者が、自分の飛鉄をぎゅっと握り締めた。神楯衆の長が、どか、と片手剣を地に突き立て、腕にした鉄楯の握りを検める。

 鬼が来る。鬼達が来る。
 黄泉比良坂降り損ね、浅ましくもこの世にしがみついた、刃熊の鬼共が襲い来る!

 戸口の内で泣く童がいた。腕に童を抱き、震える女がいた。
 
 広い部屋の真ん中で、手に終刃『薙神』を握り、瞑目して不乱に祈る里長、永海・鍛座の姿があった。

 最早腕も上がらぬ様となって、鍛冶場の壁にもたれ、虚空を見仰ぐ永海・鋭春の姿があった。

 その総代を労い、鍛冶場から、ろくに振るったこともない刀を、己の作を持ち出して、筆頭鍛冶ら率いる鍛冶師達が、鍛冶場の周りを固めた。

 気付かぬ間に終わった以前の夜襲とは違う。今度は、知った上で、或いは自分たちも闘わねば、この里を守れぬかも知れぬ。
 里人達は間近に迫った戦いを恐れ、震え、しかして迎え撃たんと奮い立つ。

 その気配、微かばかりの勇気。恐怖、縋るような念。
 それら全てを背に浴びて、猟兵達は彼方の敵を睨む。
 油断はならぬ。敵は何れ劣らぬ、戦国を生きた狂気の剣士共。
 腕が取れど脚が取れど、首が落ちても襲い来る万鬼夜行。


 ――――剣鬼上等。我らの手には永海あり!!

 
 研ぎ直し、妖化粧――
   ――鈍刀『千代砌』
   ――神刀『結ノ太刀』

 七代永海・筆頭八本刀――
  ――修羅鋭刃『斬丸・絶』
  ――瞬刃『風刎』
  ――剛刃『嶽掻』
  ――霊刃『妖斬』
  ――魔刃『穿鬼』
  ――閃輝焔刃『煉獄・赫』

 当代永海、技の粋――
  ――一切貪飲『悪喰』
  ――一切貫光『燦釘』
  ――不確重刃『魂揺』
  ――五行相生『伍輝』
  ――迅雷華絶『雷花・旋』
  ――修羅閃刀『鸙野・絶』
  ――光舞重刃『燦星・隕』
  ――刹舞霊殺『斬風』
  ――双星宵闇『青星』
  ――双星暁光『赤星』
  ――呪詛総呑『蟒蛇』
  ――天花一条『裂空』
  ――封留堅刃『機尋』
  ――幻想籠絡『纏女』
  ――悪禍裂焦『閃煌・烙』
  ――斬禍炎焼『紅華焔・燼』
  ――斬鉄双牙『荒咬』
  ――春風緋花『桜燐』
  ――月下戦吼『月喰・狼』
  ――殺神魔剣『空亡・紅』
  ――氷殺顎門『冥竜』
  ――永久凍剣『氷結地獄・極』
  ――炎氷削水『青凪』
  ――炎熱地獄『絶焦』
  ――相克双刀『疾空』『岩裂』
  ――発破竜槍『爆龍爪』
  ――禍焔竜槍『閃龍牙』
  ――窈窕病斬『艶華』
  ――蒼魔鍛成『隠神』
  ――血鬼繋魂『黄昏』
  ――衝天凍牙『晶龍』
  ――迅輝瞬刀『開闢・煌』
  ――追憶昇華『剣狼・轟』
  ――重圧焼断『砕炎』
  ――閃盾自在『蒼天』
  ――霊断光刃『煌駆』
  ――飛鉄短刀『穿牙』
  ――決戦鎧装追加ユニット『ブリッツハンド』

 何れ劣らぬ刃犇めく。一刀散磊刀狩、何するものぞ。
 名乗り音に聞き目にも見よ。永海の技と猟兵の力、夜闇に尚眩く――

 いざ、一手ご披露奉る!!!



≫≫≫≫≫MISSION UPDATED.≪≪≪≪≪
【Summary】
◆作戦達成目標
 刃熊刀賊団構成員『落武者』の撃破


◆敵対象
『落武者』×無数


◆敵詳細
 いくさばにて果てた無念の骸共が、いくさと刃打ちあうひりつく感覚を忘れられず、死して尚動き出したもの。過日の剣鬼の残影。
 一人一人が精鋭の武者であり、かつ恐ろしいほどの物量で襲い来る。五体が欠落しようと止まらぬ為、多少の攻撃ではひるみもしない。
 動きを止めるならば、物理的に四肢を断つか……その怨念の塊、霊核を穿つか。
 いずれにせよ、並々ならぬ攻撃で討たねばならぬ。


◆戦場詳細
 永海の里、周辺。
 永海の里は山間に隠された隠れ里で、一般の人間には見つからぬよう結界が張られているが、敵はそれをものともせず、刀の匂いにつられ一直線に襲い来る。
 所々に戦い易い、小広く開けた平地があるが、そのほかは鬱蒼とした森と獣道がほとんど。
 戦場を選ぶのであれば、プレイングに記載すること。
 記載無き場合、プレイングから逆算し都合のいい戦場が決定される。


◆プレイング受付開始日時
 2020/09/15 08:30:00


◆プレイング受付終了日時
 2020/09/19 23:59:59
鈍・しとり
うれしや
お前の躰を鞘にしたあの日
もはや交じらぬと思っていた
血迷ひし甲斐のあったこと

人里の恐怖も不安も不味いばかりで啜るに耐えぬ
もっと口に合うもので満たしましょう
再びわたし達の結ばれた
この良き日に

あれご覧
千代、
今に血雨を降らそうぞ


無念の骸が己だけと思うのか知ら
この身を斬らせてやる気はないが
死に損ないはお互い様
だからよくわかるの

瞼に指に
腱に筋
その躰の結び目が、何処か
だから私がひらいてあげる
打ち合い、斬り合い、馴染む手のままに

彼方も此方も鬼だらけ
何時の世も人に鬼ありね
怖いこと

あら、里の子か知ら
逸れたの?
君は外へ
鬼さんは此方よ
千代の雨降るに相応しい
良い子だけ生きて帰れるのだから


●鈍刀死虜
 ――あな嬉しや。
 お前の躰を鞘にしたあの日、もはや交じらぬと思っていたが。
 血迷ひし甲斐のあったこと。ふふ。

 鈍・しとり(とをり鬼・f28273)は、妖化粧を施された己が刀――鈍刀『千代砌』を抜き、永海の里の程近く、広く開けた平野でゆるり、月光浴びて佇んでいた。歌うよう、かそけく紫陽花の唇が動く。
 嗚呼、穢れた付喪の声とおとめの声が、とろり混ざって溶け合って、しとりの声を作っている。

      ――鬼門に曰く、
        かつて刀のうちに命あり。
        神成す前に人の身を斬り、付喪の道を外れたり。

 ――人里の恐怖も不安も不味いばかりで啜るに耐えぬ。
 もっと口に合うもので満たしましょう。再びわたし達の結ばれた、この良き日に。

      ――かくして妖めた果ては鈍ら、雨乞い刀の、
        その名を死虜と云いにけり。

 艶然と笑い、しとりは闇の奥に視線を遣った。
 視線の先、遠目に剣鬼。約十体。駆け寄せてくる。接触まで目測で、あと十秒と少し。
 ああ、如何に鬼と言え、しとりの姿を見るがいい。その美しい珠肌と、細い手脚に幽玄の美貌。引き裂くような爪はなく、砕くような牙もない、か弱いか弱い手弱女よ。
 だというのにも関わらず、鈴鳴る声が嗤ったものさ。
「あれご覧。千代、今に血雨を降らそうぞ」
 鈍刀燦めく。
 しとりは、逃げるでもなく敵を睨めつける。
 鬨の声上げ迫る落武者共は、月下に姿を晒した妖女に、舌なめずりで殺到した。
「女だッ、」
「壊すなら脚だけにしておけよ!!」
 下卑で野卑な声。殺して仕舞っては『使えない』、とでも言いたげだ。
 女が聞けば恥辱と怒りと恐怖に震えて然るべきその遣り取りを、雨女は醒めた声で嗤う。
「無念の骸が己だけと思うのか知ら。この身を斬らせてやる気はないが――死に損ないはお互い様。だからよくわかるの」
 しとりの淨眼が天の冴えた月めいて、青く妖しく煌めいた。
「あァ?」
「何をほざいて――」
 怪訝げな返しを縫う雨粒のように。
 しとりが、とん、と踏み込み地を縮めた。
「はっ?」
「瞼に指に腱に筋。その躰の結び目が、何処か。だから私がひらいてあげる」
 鈍刀千代砌、月光血錆に照り返し踊る。
 落武者らからすれば、殺して犯すだけの対象が、全く唐突に踏み込んできて牙を剥いたと見えるのだ。
 翻った千代砌が、腕を眼を脚を腱を筋を耳を首を脇を腸を切り抉り刺し削り削ぎ、
「い、っぎゃあああアァァあぁっっ?!」
「な、なんだこの女、ごえッ?!」
「っでええ、えっ、この、クソあっ」ざくり、ぶしゅう。
 瞬く間に八人が、脚を腕を首をざっくり断たれてぶらぶらさせて、もんどり打って倒れ込む。
 噴き出る血は、さながらしとしと注ぐとをりあめ――
「て、手前ェッ!!」
 吼えながら、残った一人の武者が大上段に振った刀をしとり目掛けて振り下ろす。
 しかし雨粒を、ひとが刃で捉えることなど出来ようか?
 しとりは千代砌の刃跳ね上げ、上段一閃を軽やかに受け流し、眼から入って後頭部までを刺し貫いて、
「彼方も此方も鬼だらけ――何時の世も人に鬼ありね、怖いこと」
 くわばらくわばらと鈴転がるような声で言うなり、そのまま真っ直ぐ切り下げた。
 斬れるところが見えてでもいるのか。眼窩から顔をそのまま下に割り、顎を抜けて首を開いて、心の臓の近くに見えた霊核を、ついでとばかりに断ち割って、飛び散る血から身を翻して飛び退く。どしゃり。声もなく武者が倒れて、ほんとうに『死んだ』。
 瞬く間に九人を屠って、頬に跳んだ紅を指先で拭うしとりの後ろで、ど、と重い音。
 振り向いてみれば、茂みの影で、まだ十にもならぬような少年が尻餅。唇わななかせ震えている。
「あら、里の子か知ら。逸れたの?」
「あ、ああ、あの、りょ、猟兵様の御姿を、ち、ちか、近くで見たくって……、」
 好奇心高じて、いくさばに紛れたか。
 ふう、としとりは溜息一つ、
「――悪い子。ここも、もう危ないわ。お家にお帰りなさい。君は外へ――鬼さんは此方よ」
 歩み寄り、嫋やかな手で少年を引き起こすと、しとりは目を細めてささやいた。
「誘われるよに、鬼が来るわ。未だ、未だ、沢山。――天晴れこそすれ、ここは千代の雨降るに相応しい。良い子だけ生きて帰れるのだから――ほら、真っ直ぐに、お行きなさいな」
 言い含めるような声に、壊れた人形のように頷く少年。細い指で背を突いてやれば、こけつまろびつ里の門の方へと駆けていく。
「可愛らしいこと」
 しとりは笑い、ぴしゃりと血に染まった草いきれを越え踏み出した。遠くに聞こえる鬨の声。
 ――まだまだ、雨は降り止まぬ。
大成功 🔵🔵🔵

シャオロン・リー

呵呵ッ、まぁようさん集まってくるもんやなぁ!おもろい、おもろいやんけ!わかるで、ナガミの刀にはそれだけの引力があるもんなぁ!
せやけど残念やったなぁ、お前ら如きに一舐めもさせたらん
ここまでええもん拵えてもろたんや、きっちり暴れ倒さな折角直してもろたこの槍が泣いてまうわ

敵の攻撃は見切り、激痛耐性と継戦能力で凌ぎ切る
俺も新しなった槍で暴れ倒したいからな、好きなだけ二槍流で蹴散らしてから
金磚、翼を生やして空中戦や
空から見える分の敵全員に、多重分身させた槍を一撃一撃食らわしたろやんか
「よぉ喰らえや、こいつがお前らが欲しがっとるナガミの刃の攻撃や!!」
「俺が暴れ足りるまで、くたばりきってくれるなやァ!」


●龍牙龍爪
 最前線に、一人の男が立っている。小広く開けた広場にて、駆け来る敵を待ち仁王立ち。
 ここに敵が来るのは解っている。わざわざ上から敵の進路を確認し、格別敵が通りそうな所に当たりを付けていたのだから。
 広場に到る獣道の坂下から、地鳴りに似た足音、鬨の声。戦の匂いだ。男、シャオロン・リー(Reckless Ride Riot・f16759)はにいいと歯を剥き出しにして笑う。
「呵呵ッ、まぁようさん集まってくるもんやなぁ! おもろい、おもろいやんけ!」
 前情報によるならば、敵総数は千近い。その数を聞いて怖じけるどころか、暴れ倒すにはもってこいと、シャオロンは鮫のように笑ったものだ。
 人魂どろどろ伴って、獣道を抜けた落武者が広場に顔を出した瞬間、シャオロンは獣を思わせる低姿勢で、弾けるように駆け出した。
「ぬうッ?! 貴様、永海の手の者、」
「っしゃァッ!!!」
 裂帛一閃!! 皆まで言わせずシャオロンの閃光めいた刺突が唸り先頭の落武者の胸を一衝きッ!!
「ごばあっ?!」
「な、なんだ貴様はッ!!」
「名乗るほどのモンやあらへん――だがわかるで、お前らが惹かれてきた理由が。ナガミの刀にはそれだけの引力があるもんなぁ! せやけどなァ、」
 落武者の背中から突き出た穂先が赤熱し肉の焼ける音!
「ぎ、いいい、いぎゃあああっ?!」
 ――遂には発火!! 火達磨となった敵を、シャオロンはブンと脇に放り棄て、槍を構え直す。――どころか、左手に新たなもう一本の槍を抜く。徐々に藻掻く動きも緩慢となり死んでいく落武者を尻目に、シャオロンは吼えるが如く言い放つ。
「残念やったな。お前ら如きにナガミの刃、一舐めたりとてさせたらん。ここまでええもん拵えてもろたんや、きっちり暴れ倒さな折角直してもろたこの槍が泣いてまうわ」 双槍を鋭く回旋させれば、熱を帯びた槍の刃が陽炎めいて揺らめく。二つの火輪がその手にあるかのような見事な回旋演舞だ! 取り回すこれらは共に永海・頑鉄の作。右に禍焔竜槍『閃龍牙』、左に発破竜槍『爆龍爪』!
「かかって来ィや。まァ、来んなら来んで暴れ倒したるがなァ!!」
「突如現れたかと思えば何を世迷い言をッ!!」
「面倒くせえェ! ブチ殺しちまえッ!!」
 落武者達とて戦狂いの武人共。挑発されて下がるほど、大人しい育ちのものはない。瞬く間に一群がシャオロン目掛けて殺到した。
 四方八方より敵迫り、刀が槍が次々襲う! シャオロンは低姿勢を取り、閃龍牙を短めに持って攻撃を流しては左手の爆龍爪に意念を流し込む。
 ――ブチ抜け!!
 ば、ごあぁぅうっ!! 猛虎の咆吼めいた音を立て爆龍爪の石突きより火焔が噴出! 柄を手の内で滑らせば、ノーモーションからのロケットめいた突きとなる!
 ず、どッ!!
「ごえぅっ?!」
 重い音を立てて眼前の敵を一衝き! しかし、
「捉えたぞ! 今だ、一斉にかかれ!!」
 一人の落武者をを囮に、上、左右からと次なる敵手が殺到する! 刺突で刃が止まれば、後は多勢で圧し潰せばいいという判断だ!
 冷酷ながら、極めて合理的だ。……だが!
「ハッ! そう来ると思とったわ!」
 ぼ、がァッ! 最初の落武者に突き刺さった爆龍爪の穂先で火焔爆ぜる! そのインパクトで落武者の肉が抉れ、反動に穂先が引き戻される。
 爆龍爪は、石突きと穂先より爆炎を放ち、突きの打ち始めと終端で反動を活かす事で、まるで自動小銃めいた高速連続突きを可能とするシャオロン第二の槍である。――乱戦だとて、暴れ龍の爪を、人の身一つで止めること罷り成らぬ!!
「しゃらアッ!!」
 ばばばばばば、ばンッ!! 超高速、発破連続突き!! 襲いかかった五人の落武者が胸に顔に大穴空け、爆炎に包まれて吹っ飛ぶ!!
「何、だとォッ……?!」
 驚愕に目を見開いて思わず戦慄する敵群。機と見るなりシャオロンは背に翼を広げて跳躍!
「よぉ喰らえや、こいつがお前らが欲しがっとるナガミの刃の攻撃や!!」
 竜血励起。高らかに笑いながら、シャオロンは一瞬で地上二十メートルまで上昇、両手の槍にあらん限りの意念を流し込む。閃龍牙がシャオロンの力を増幅し、放つべきユーベルコードの威力を増す!

 ――その名も、『金磚』!!

 爆龍爪の発破加速によりシャオロンの躰は弾丸めいて下方に飛んだ。力の限り槍を振るえば、閃龍牙と爆龍爪の穂先がぶれ、何十に――百に届かんと言うほどの、無数の炎の槍撃として、まさに空より、霹靂雲霞の如く伸び落ちる!!!
 まさに爆撃。災害めいた暴力に、落武者達が抗する術なし。二十数人の落武者が炎槍の雨に巻き込まれ、抉り抜かれ燃え尽き吹き飛ぶ。余りの威力にクレーターだらけの焦土と化した広場に揚々と降り立ち、シャオロンは生き残った落武者共に閃龍牙を差し向けた。
「よォし、まだおるな。まだまだ暴れ足らんねん。――足りるまで、くたばりきってくれるなやァ!!」
 戦鬼は哄笑し、浮き足立つ敵の群の中へ再三突撃する……!
大成功 🔵🔵🔵