【Q】竜信仰の名残りと悪天の少女
カクリヨファンタズムで確認された種族『竜神』。もともとはUDCアースに君臨していた神々であったが、人間たちからの信仰を失ったことで弱体化し、数々の邪神を滅ぼして世界各地に封印したという神力も、今となっては遠い記憶の中にしか存在しない。
「覚えてるヒトがいただけで驚きだけどね」
田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は伊達メガネのレンズを磨きながら言った。
「まあそんなわけで、昔のことを知ってる竜神から聞いた話をもとに、UDCアースで調査してたのよ。ところが、『ここに邪神を封じた』っていう場所に行ってみても、まったく何も見つからない。すでに封印が解けてしまったのか、それとも得体の知れない『ナニカ』が移動させたのか……」
一瞬、遠くを探るようにユウナは目を細めたが、振り払うように首を振って、グリモアベースに集まった猟兵たちへと向き直った。
「見つからないのはさておくとして、ついに無事だった封印が予知されたの。それが『竜脈封印』、竜脈とかレイラインって呼ばれる『大地に流れるエネルギー』を利用したものだそうよ」
おそらく、封印されているのは邪神の中でも特に強大な個体である。まだ眠りについている間に見つけ出して討伐できれば、どれほどの犠牲を未然に防ぐことができるだろうか。星辰揃いしときに始まるという「大いなる戦い」においても、有利に働くに違いない。
「封印については、申し訳ないんだけど事前調査ができてなくてね。皆にはまず、情報収集から始めてもらうことになるわ。
場所は、某県の達野(たつの)村。日本ののどかな山村って感じね。竜神への信仰も邪神の封印も、とっくに忘れ去られてしまっているけれど、何らかの形でヒントが残ってるんじゃないかと思うのよ」
曖昧な情報しか出せなくて申し訳ないけど、がんばって。
そう一言添えて、ユウナは猟兵たちを送り出すための転移門へと意識を集中させた。
●日本国、達野村
からりと晴れた空の下、車のタイヤが掘った二本の溝がまっすぐ伸びるあぜ道を、二人の少年が釣り竿片手に歩いていた。
「そんでさ、達川まで釣りに行くなら、傘を持ってけってうるさいんだよ。『いつ天気が変わるか分からんだろ!』って」
「お前ん家の爺ちゃんはメーシン深いもんなー。天気予報を見てりゃ大丈夫なのにさ」
「本当だよ。竜が雨を降らせるとか、今どき子どもだって信じないっての。そういや、竜っていえば達川の昔話も……」
和気あいあいと言葉を交わしながら、少年たちは歩いていく。
探せば何処かにあるような、自然豊かな田舎の情景。この地の何処に、邪神の封印が隠されているというのだろうか。
黒姫小旅
どうも、黒姫小旅でございます。
此度の舞台となるのは、緑にあふれ川が流れる山村。
失われた竜神信仰の痕跡を探ることで、封印されている邪神を見つけ出すことができるようです。村の中でも外でも、いろいろ調べてみてください。
第1章 冒険
『竜脈封印の伝承』
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POW : 巨石を動かしたり、沼の底に潜るなどして、竜神信仰の痕跡を探索する
SPD : 探索範囲内全域をくまなく歩いてまわるなど、足を使って竜神信仰の痕跡を探し出す
WIZ : 村に伝わる昔話や童歌の調査、村の古老との会話などから、竜神信仰の痕跡を探ります
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジェシカ・ドゥ
コミュ力、情報収集、世界知識が役に立つのかしら。
先ずは遊んでる子供達に話を聞いてみようかな。
バウンティボディでターザンごっことか色々遊んで仲良くなってね。
ここの川とか雰囲気あるけど、何か言い伝えとかある?
皆んなの間で七不思議ってある?
粗方聞いたら、ご年配の方々を訪ねてみようかな。
昔話や言い伝えを集めて研究してるんですけど、この地方ではどんなお話がありますか?さっき子供たちからこんな話を聞いたりしたのですけれど。
地図と照らし合わせていったら何か痕跡が見つけられないかしらね
神楽火・天花
「たつのがわ」かぁ。いかにもって感じだよね。
というわけで、釣りしに行ってる男の子に質問してみようかな。……っていうか、走って追いつくかな?
<WIZ コミュ力、料理>
「あのさあのさ、このへんに変わった昔話ってない? あったら教えて!」
「なんで、って自由研究だよ。せっかく遊びにきたのに宿題は休むなってひどいよね!」
こんな感じで話しかけたら教えてくれないかな? あ、賄賂――じゃなくてお礼代わりにクッキーでも作っていこうかな。
「教えてくれてありがと! これあげる!」
「でも、早く帰らなきゃダメかもよ?」
「……だって本当かもしれないでしょ? その昔話」
●
一級河川、達川。
達野村を東西に分断する形で流れるこの川は、農業を営む村民の生命線であり、釣りや水遊びを楽しめる憩いの場であり、時には氾濫して被害を生む恐怖の対象であるという。
そんな達川の中流。流れの緩やかな辺りの川岸で、二人の少年が腰かけて釣り糸を垂らしていると、ふと彼らの頭上に影が下りた。
「やあ、きみたち」「ちょっといいかしら?」
神楽火・天花(マジカルガールクインテット・f03853)が明るく微笑んで、ジェシカ・ドゥ(ブラックタールの陰陽師・f04038)が液状の肉体をうねんとくねらせた。
●
「そうれターザン!」
「あーああー!!」「ヒャッホー!!」
まずは打ち解けることからと遊びに誘ったところ、これが大好評であった。
【バウンドボディ】によって伸縮自在と化したジェシカの体に掴まってスイングし、最後は大ジャンプで川の中にダイブする。これまで体験したことのないようなアトラクションに、少年たちは大はしゃぎだ。
くたくたになるまで遊んだあとは、天花が用意していた手作りクッキーを食べながら一休み。
「ところで、皆の間で七不思議とか言い伝えってある?」
何気ない風を装って、ジェシカが本題に入った。
「実は私、昔話や言い伝えを集めて研究しているのよ。この辺りだと、どんなお話があるのかしら」
「あたしはその手伝い、かな。自由研究にちょうどいいんだけどさ。せっかく遊びにきたのに、宿題のこと考えなきゃいけないってどうかと思う!」
天花が話を合わせて唇を尖らせると、少年たちは同情するような笑みを浮かべて、それから二人顔を見合わせた。
「昔話っていうなら、やっぱアレだよな」
「だよな」
と、目の前を流れる達川を示す。
「じいちゃんに聞いたことあるんだけど、この川って竜が作ったんだって」
そして少年たちが語ったところによると、昔々この山に住んでいた竜が、雨を降らせる力を持つという魔法の宝物を山中に埋めたのだという。するとそこから水が湧き出るようになり、ここまで流れてきたのが達川の始まりなのだと。
「雨を降らせる宝物……?」「埋めた場所から水が湧き出た、ね」
二人の猟兵は、険しい顔で俯いた。
もしこの昔話が、竜神信仰や邪神封印に関する伝承の成れの果てであったとするのなら、はたしてどのように読み解いたものか。
「……ねー」
「姉ちゃんたち、どうかした?」
「え、ああごめんなさい。ちょっとね」
考え込んでしまっていた猟兵たちが声を掛けられて我に返ると、少年たちは面白がるように笑った。
「帽子の姉ちゃん、文句言ってるわりに夢中になってやんの」
「そ、それはそれ、だよ! 遊びを邪魔されたくないってだけで、嫌いとは言ってないし!」
からかわれた天花は顔を赤らめ、ぷいとそっぽを向くと立ち上がった。
「それじゃ、あたしたちはもう行くね。教えてくれてありがと」
「うん!」「クッキーありがとう!」
手を振って別れたあと、天花とジェシカは達川の上流へと目を向けた。鬱蒼と生い茂る木々に隠れて見通せないが、何処まで行けば川の源流にたどり着けるだろうか。
「“タツ”川なんていかにもって名前だと思ったけど、やっぱり竜と関わりのある川だったんだね。危ない感じの昔話じゃなかったのは少し意外だけど、これはアタリかな?」
「そうね、かなり有力な手掛かりだと思う。……もっと詳しい話が聞けるも知れないから、私はこれからご年配の方々を訪ねてみようかな」
「あたしは……どうしようかなぁ」
あと一歩のところまで辿り着いた、という手ごたえを胸に、彼女らは詰めの一手を思案する。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
波狼・拓哉
見つからない封印とかどう考えても面倒な事になってるよね
…まあ、どうにもならないのでどうにでもなる方からしっかりとね
さてまあ…足を使って探すしかないかなぁ、情報収集と参りましょう
地形がとか石碑がとかあれば分かるんだけど…やっぱ聞き込みメインかな
人が見つかるまでは地形の利用、視力、第六感で痕跡を探しておきますか
人がいたならコミュ力、礼儀作法で印象良くして聞き込み
竜について調べてるんですよーみたいな感じで色々喋ってもらいましょう
竜神信仰があってね…みたいに調べるに足る背景は適当に…嘘ではないですけどね
後は話に聞いたり、痕跡から推測される方向に
さて当たりだといいんですけど
(アドリブ絡み歓迎)
●
「はい、お茶をどうぞ」
「これはこれは、ありがとうございます」
とある民家の縁側。波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は麦茶の注がれたコップを受け取ると、礼を言ってから口を付けた。
「それで、竜について調べてるんだったかい?」
「ええ、そうなんですよ。日本には古くから竜神信仰というものがあるんですが、この村にも言い伝えがあると聞きましてね。こうして村の人から話を聞いて回ってるってわけで」
「勉強熱心なんだねぇ」
人当たりの良い物腰で話して聞かせれば、素朴な雰囲気のご婦人はいたく感心した風に何度も頷いていた。
「たしかに、うちの山には竜が住んでるっていうね。昔はよく悪さをしたそうだよ」
「悪さ、ですか?」
少しばかり意外な気がして、拓哉は聞き返した。
ご婦人が語るに曰く、いきなり天気が変わるのは竜の仕業だとか、竜が怒ると雷を落とすとか、大雨を降らせて土砂崩れや洪水を引き起こすとか。どちらかといえば迷惑な存在として伝わっているらしい。
「山の天気ってのは変わりやすくて荒れやすいからね。ひどい目にあったら、竜でも何でもいいから悪者を作りたいんだろうねぇ」
「ははは、鋭いですね。……ああ、そうだ」
あっけらかんと現実主義的な物言いをするご婦人に相槌を打っているうち、ひとつ思いついたことがあって、拓哉は重ねて訊ねた。
「竜の他には何か、神様とか妖怪なんかはいるんでしょうか?」
「いや、これといって思いつかないねぇ。そういえば、竜の話と混ざってごちゃごちゃになったんじゃないか、みたいなこと言ってる人がいたよ」
「そうですか。十分にあり得ることですね。……ありがとうございます。色々と参考になりました」
聞くべきことはあらかた聞きだせただろうと判断して、拓哉は席を立った。
ご婦人に別れを告げて、歩きだしながら思考する。
「竜の話ばかりで邪神のことを聞かないと思ったら……なるほど、竜伝説の方に吸収されて紛れてしまっていたわけか。そのせいで邪竜みたいな扱いを受けてるんだとしたら、当の竜神は気の毒ですねぇ」
信仰を失った神が零落するというのはこういうことなのだろうか、と哀愁を覚える拓哉であった。
成功
🔵🔵🔴
伊能・龍己
雨を、降らせる……。なんだか、うちの蔵にあった呪物(今の刻印)と似てるっすね
知り合いだったんでしょうか、なんて。分からないっすけど。
図書館で、達川の昔話について調べてみたいっす。
宿題ってことで。……はい、身長でちょっとビックリされがちなんすけど、自分こう見えて、学生っす。はい。
川の地図とかも見られるっすかね
どこの山かは略されてるかもっすけど、雨を降らせる宝物の場所なんか、照らし合わせながら見てみたいっす
他に図書館で調べ物中の先輩がいれば、お手伝いもしたいっすね
●
達野村から小一時間も山を下ると、中規模の都市が広がっている。そちらに向かった伊能・龍己(鳳雛・f21577)は、市立図書館で書物の山に埋もれていた。
地元の昔話集、民俗学の研究書、詳細な地図……etc。
『達川』というキーワードに引っかかった資料を片っ端から机に積み上げて、順に目を通していく。
やはり気になるのは達川の起源説話だ。竜が天気を操るための宝物を山奥に埋めた場所から水が湧き出たという。
源流の場所については、地図のおかげで大まかな辺りを付けることができた。ほとんど人が立ち入らない山奥らしく、ちゃんとしたルートも目印もなさそうだが、座標が分かっているだけでも大きな助けになるだろう。
しかし、その後の収穫はというと、
「うーん……そもそも、『宝物』って何なんすかね……」
どれだけ調べても、宝物に関しては具体的な記述がないのだ。
かつて村を訪れた民俗学者は、意図的なものではないかと推測している。あえて曖昧にすることで、後世に伝わらないようにしたのではないか、と。今となっては不明だが、たとえば人身御供のような忌避すべき風習であったり……
「あるいは、形容することすらためらわれる邪神のたぐいっすか」
パタン、と本を閉じて、龍己はうんと伸びをした。
「雨を降らせるとか、うちの蔵にあった呪物と似てる気はしてたっすけど……あちらさんも厄介な代物みたいっすね」
きな臭くなってきた、と無意識に腕を撫でながら、龍己は読み終えた本を片付けるために立ち上がった。
成功
🔵🔵🔴
鈴桜・雪風
竜神の封印が残る地、ですか
調べごとは探偵の得意とする所
この雪風が手がかりを掴んで見せましょう
封印に竜脈を利用したなら、ある程度は地形に沿っているはず
大地に流れるチカラは地形に影響を受けますから
具体的には山や川ですね
その上で、信仰が否定されたのではなくただ忘れ去られたのなら…
「祀られていた社などは、まだ痕跡を残しているはず。朽ちてはいるでしょうが」
川に沿って山を登る方向に移動しながら捜索を行いましょう
龍は済んだ水を好むもの
水源地などは有力な封印場所の候補ですね
「川と川で囲んだ平地に封印を置く可能性もありますが…まぁ、十中八九は山でしょうね。古来より日本の神は山に居るものと相場が決まっております」
●
さて、これまで入手した情報を整理してみよう。
まず着目すべきは、竜が雨を降らせる宝物を埋めた場所が、達川の源になったという昔話だ。
「宝物」とやらの詳細は失伝していたが、それが自然に忘れ去られたのではなく意図して否定された結果だとすれば。そんな抽象的な痕跡しか残らないほど徹底的に抹消されたもの、邪神に関係する伝承であると考えられはしないだろうか。
「――すなわち、『宝を埋めた』という言い伝えは、『邪神を封じ込めた』という話が長い年月を経て変容したものです」
猟奇探偵、鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)は頭を掻きむしりながら思考して、そう結論付けた。
そして今は、己の推理が正しいのか確かめるため、達川の源流を目指しているところである。
山の中、特に川沿いはほとんど人の手が入っておらず、かなり険しい道のりであったが、雪風は他の猟兵が調べていた地図情報を頼りに、道なき道を進んでいく。
「もとより、水源地が封印場所である可能性は高いと踏んでいました。竜とは澄んだ水を好むものですし、古来より山奥には神が居るとされていますからね。昔話によれば、むしろ封印がきっかけで水源となったようにも聞こえますが、卵が先か鶏が先かの問題で…………ッ!?」
どれだけ登っただろうか。気晴らしも兼ねて独り言で考えを纏めながら歩いていた雪風が、突然足を止めた。とっさに近くの樹影に隠れて、前方に鋭い視線を送る。
「あれは……」
十数メートルばかり先に、開けた空間があった。
小規模な土砂崩れでもあったのか、木々がなぎ倒されたところに大勢の人影が集まっているのが見える。……いや、正確には人ではなく、
「オブリビオン! あんなにたくさん……まさか、封印を嗅ぎつけて!?」
背中が粟立つのを感じながら、雪風は急いで戦闘態勢を取った。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『都市伝説『てるてる・ヨーコさん』』
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POW : 災害警報
自身が操縦する【雨雲 】の【降水確率】と【災害警戒レベル】を増強する。
SPD : 今日のラッキーアイテム
いま戦っている対象に有効な【ラッキーアイテム 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 今日の天気は晴れのち・・・
【いま自分にとって都合のいい天気 】を降らせる事で、戦場全体が【その天気に応じた環境】と同じ環境に変化する。[その天気に応じた環境]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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達川の源流。
そこは小規模な土砂崩れでもあったのか、木々がなぎ倒されて開けた空間になっていた。
『わあ、お天気パワーがみなぎってますー!』
『よっぽど偉大な邪神さまが眠ってらっしゃるんですね!』
『早く封印が解けないかなー』
『生け贄でも捕まえてきましょうか』
たどり着いた猟兵たちは、驚きを禁じ得なかった。
キツネの耳と尻尾を持つ女子高生たちが、雨傘を片手にはしゃぎまわっており、彼女らの足元からはいつ弾けてもおかしくないような膨大な魔力が立ち上っているではないか。
……これほど危うい状態にあって、今の今まで感知できなかったというのか!?
猟兵たちは戦慄しながらも発見した封印に対処すべく、まずはUDC都市伝説『てるてる・ヨーコさん』の排除に取り掛かる。
ジェシカ・ドゥ
「あらあら、お婆ちゃん達のお話聞いてたら出遅れちゃったかな」
数が多そうなので2回攻撃や気絶攻撃、カウンターで数を減らして、環境耐性や生命力吸収、オーラ防御で戦闘が長引いても耐えられるよう頑張るわね。
あんまり長引かせるのも危険な気がするのよねえ。
眠ってるモノが起きてきそうでイヤだわー
とにかく頑張るしかないか
細かい所はお任せします。
使える手数は全て使って戦います
やる事はやっていてものんびりおっとりして見えるタイプで。
アドリブ、絡み大歓迎です
●
『今日の天気は、晴れのち――――雨!』
女子高生たちがパッと傘をさすと、たちまち黒雲が立ち込めて大粒の雨が降り出した。叩きつけられる雨粒が視界を塞ぎ、ぬかるみだした土が足元の自由を奪う。
「くっ、ちょっとこれは厄介ね」
ジェシカ・ドゥ(ブラックタールの陰陽師・f04038)は舌打ちして、オーラ防御を展開した。守りを固めながら雨天への適応を試みるが、わずかなタイムラグが生じるのはいかんともしがたい。
『隙あり――ッ!』
動きを鈍らせたジェシカに、オブリビオンが殺到した。雨傘と防水ブーツで対策ばっちりなヨーコさんは、狐のごとき俊敏さでジェシカを取り囲んで袋叩きにしようと――
……ギョロリ
フラックタールの視覚器が、全方位を睨めまわした。オーラ防御をゴーグル代わりに纏って視界を確保、しっかり敵を視認する。
「母なる闇よ、全ての命を今あなたの元に。――【avarus tenebris】!」
ジェシカの呼び声に応えるように、地中から湧きあがった影がオブリビオンを迎撃した。命を喰らう力を帯びた影は狙い過たず、敵の顎をかち上げ、首筋を打ち据え、鳩尾に突き刺さり、確実に急所を捉えて意識を刈り取っていく。
『きゃん!?』『ぶべ!?』『ごほ!?』
次々に倒れ伏す女子高生を一瞥し、ジェシカはぶるっと体を震わせて雨水を振り払った。
「ふう、この程度ならどうとでもなりそうだけど……あんまり長引かせるのも危険な気がするのよねえ。眠ってるモノが起きてきそうでイヤだわー」
のんびりとした物腰に不安を滲ませつつ、「とにかく頑張るしかないか」とジェシカは気を引き締めた。
成功
🔵🔵🔴
神楽火・天花
『魔女』の人格に交代して戦闘開始。
「見つけた……オブリビオン。アナタ達もここに眠る邪神も、残らず滅ぼしてあげるわ」
<属性攻撃、多重詠唱、乱れ撃ち、先制攻撃、2回攻撃>
『静心神武』と同時に雷撃呪文を詠唱、稲妻の乱れ撃ちで先手を取った後、狂花景光と陽炎凰で接近戦を挑む。
「好きなだけ雨を降らせるといいわ。全部止めてみせるから」
陽炎凰に炎の属性を宿すことで、敵がユーベルコードで「雨を降らせようとする」のを誘う。
「雷が鳴ってるのに傘を差すと、危ないわよ」
二回目の雷撃呪文を至近距離で叩きこむわ。
●
人格交代――『魔女』。
神楽火・天花(マジカルガールクインテット・f03853)の瞳から明朗快活な光が消えて、代わりに鋭利な冷気が宿った。
「残らず滅ぼしてあげるわ!」
村の子供らと戯れていた少女とはまったくの別人と化した天花は、雨が降りしきるなか、単身オブリビオンの集団へと飛び込んでいった。
多重詠唱で稲妻を乱射し、光と音で混乱したところを、刀と剣の二刀流でもって一気に斬り崩しにかかる。
「燃えろ、陽炎凰!」
柄に紅玉を嵌め込んだマジカルレイピアが炎熱を宿し、ゴウとうなりを上げる――が、手応えはなし。
『へっへーんだ!』『ヨーコさんの天気予報、聞いてなかったんですかー?』『雨が降ってる火を使うなんて、お馬鹿さんもいいたものです!』
薙ぎ払われたかに見えたオブリビオンたちは無傷なままで、せせら笑いながら反撃を開始。
雨天適応バッチリでユーベルコードの恩恵を受けた正確無比な連携攻撃を前に、天花は防戦一方。雨の中では火炎魔法も思うようには扱えず、じりじりと後退を余儀なくされる。
……ここまでは、思惑通りだ。
『チュピ!』
いつの間にか肩に留まっていた、上下に嘴が交差した小鳥がさえずったかと思うと、天花の体から清涼な神気がほとばしった。
ユーベルコード【秘技『静心神武』】。窮地にあってなお、凪いだ湖面のごとく静かな心には神が宿り、禍を払う力を授けるのだ。
「――稲妻よ」
バリバリバリバリ!!!
落雷一閃。霊験あらたかな言霊に呼び起こされた破壊の光が、邪神を奉ずる者どもを撃ち抜いた。
「雷が鳴ってるのに傘を差すと、危ないわよ」
黒煙を上らせながら崩れ落ちるオブリビオンたちに冷笑をくれて、天花は次なる敵へと向かっていく。
成功
🔵🔵🔴
鈴桜・雪風
悪天候は樹木の天敵
大嵐に巻き込まれれば桜の花びらなど容易く散ってしまいましょう
……ですが
数秒単位の急激な変化は起こせないのが天候攻撃の弱点です
「わたくしがあなた方の首を刎ねるのには、瞬き程度の時間があれば十分ですので」
敵の一団に突っ込んでいき、【剣刃一閃】で斬り伏せていきましょう
「武術は探偵の嗜みですもの。その傘でわたくしの傘(仕込み傘)と打ち合ってみますか?」
傘があるとは言え、風が強くなれば持ちこたえられないもの
その前に、天候操作をしようとしている個体から優先して倒していくのがこの場での最上でしょう
「雨を降らすのが得意なのでしょう?その身を持って、血の雨を降らせてみては如何?」
空亡・劔
アドリブ共闘歓迎よ
…此処がUDCアース…あたし達妖怪の故郷ね
あたしもここにいたのかしら
…人間はいないわね…よし
…あんたら…妖怪っぽいけどなんか違うわね
でも…何か仲間な気がしないでもないわ
世界は不思議に満ち溢れてるのね
まぁ…あたしが最強の大妖怪である事実は変わらないわね!(ふんす
残念だけど…あんたらが「人類に対する脅威」を呼ぼうとしてるなら…切り裂くのみよ!!!
対天気
【天候操作】で彼女らの反対の天気を発動させて効果の減衰を図る
晴天とか時に雪降らしたりとか
【属性攻撃】
氷属性を武器に付与
二刀による【二回攻撃】による剣刃一閃で一人一人に切りかかる!
攻撃は【残像】を残しながら可能な限り避けて
●
「……此処がUDCアース……あたし達妖怪の故郷ね」
山頂付近で特に背の高い杉木のてっぺんに、一人の少女が立っている。
少女――空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は感慨深そうに下界を見下ろして、それから視線を横に移した。山の一ヶ所だけ、不自然に雨雲が密集している場所があり、激しい戦闘音がここまで聞こえてくる。
「あそこか。……近くに人間の気配はなし……よし、いっちょやるか!」
パシッ、と小さな音とわずかな葉揺れを残して、劔は木から飛び降りた。
高所から確認した方角へと走り、視界が開けるとそこでは、猟兵たちが狐の耳と尻尾を持つ女子高生たちと戦いを繰り広げている真っ最中だった。
「……妖怪っぽいけどなんか違う。……でも、やっぱり仲間みたいな気もするし……」
馴染みないはずのUDCに、劔は親近感に似た何かを覚えたが、それでも動きは止めない。相手が何者であれ「人類に対する脅威」を呼ぶというなら、なすべきことは一つ。
「晴れろ!」
裂帛の一声が、大気を割った。
天の黒雲が絹のように引き裂かれ、切れ間から太陽が顔を出す。
『うえっ!?』『今は災害警報中ですよ!?』『晴れたらダメ―!』
突然の日差しにどよめくヨーコさんたち。その隙を見逃すことなく、劔は二振りの魔剣を手に斬り込んだ。
左の刃で足を払いながら、右手はまっすぐに刺突。両腕が別々の生き物のようにうねり、防御も回避も許さずに斬り刻んで――氷結。
劔の佩剣が一振り、魔剣「二世氷結地獄」から漏れ出る冷気が、斬った端から相手の体を凍り付けにしていく。
「なんだ、大したことないわね。っていうか、あたしが強すぎるのか!」
『く、くそう……』『調子に乗らないで!』
得意満面で暴れ回る劔に、ヨーコさんたちは怒りで顔を紅潮させた。まだ数では勝っていると、一点集中で打ち負かそうとするが……
「――遅いですよ」
第三の剣閃。
光が見えたと思ったときには、彼女らの息の根はすでに断ち切られていて、凍結された血液が砕けて宙を舞った。
「まあ。血の雨どころか、雪まで降らせるなんて。風靡なことですこと」
ユーベルコードの雨雲が消え去った青空の下、粉々に斬り砕かれた紅の氷片が飛び散るのを、桜柄の和傘で防いで優美に微笑むのは鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)。
「悪天候は桜花の天敵。まともに受ければ容易く散ってしまいましょうが……数秒単位の急激な変化を起こすのは苦手なようですね。瞬き程度の時間を生きるわたしの剣には、到底追いつけませんよ」
たおやかなる桜の精は、和傘を畳んで氷片を振り落としてオブリビオンを睥睨した。
刃傷沙汰など無縁に見える上品なたたずまいには不釣り合いな、厳しい眼差しを受けてヨーコさんたちは思わず後ずさる。
『ぐぐ……』『ま、まだまだー!』『豪雨警戒です!』
「……まったく」
やぶれかぶれになって雨雲をけしかけようとするの見て、雪風は呆れたように嘆息し、傘を握る手に力を込める。
「遅いと、言ってるでしょう!」
和傘の柄から仕込み刃を抜き打ちに一刀両断、迅雷のごとく放たれた居合斬りが敵群を斬り伏せた。
風前の灯火のようにあっけなく、融けるように骸の海へと還っていくオブリビオンたちに背を向けて、静かな呼吸で納刀する雪風に、劔は感心したように口笛を吹いた。
「やるね、あんた」
「ふふ、武術は探偵の嗜みですから」
笑みを交わして、少女たちは戦場を駆けていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
伊能・龍己
※連携、アドリブ歓迎っす
いつ何の拍子に魔力が爆発するかわかんないし、集まっているオブリビオンをどうにかしないと
威力重視の[黒雨]で【天候操作】して【先制攻撃】。【なぎ払って】いくっすよ
他に先輩方が近くにいるなら、敵への撹乱目的で【目潰し】(めくらまし)を兼ねて雲を操ります
奇遇っすね、お姉さんたち
俺も雨使えるんすよ
降水確率の上がった雲は、呼んだ暴風で減速を狙うっす
ついでにヨーコさん達の雨傘も、逆さまにやっちゃえたらなとか
波狼・拓哉
お天気パワーって何だ
…いやまあ、話聞く限りでは天候操作系統の邪神ぽいしそういう力の総称みたいなもんなんでしょうけど…まあ、その辺詳しく聞いてる暇はないですね
取り敢えずミミックを敵に向けて投擲
さあ、化け侵しな…!
…天候操作する相手に正面から戦うとかやってられませんので…仲間内で不和を起こして貰いましょう
…雨を降らす降らさないって言い合いしてるのだけみるとこっちのユベコ効いてるか分かりませんね
自分は衝撃波込めた弾で、混乱に乗じて制圧射撃で一掃してやりましょう
地形・環境耐性、地形の利用、足場熟知、第六感、視力でどのような天候が来ても対処出来るように立ち回っておきますか
(アドリブ絡み歓迎)
●
「奇遇っすね、お姉さんたち。俺も雨使えるんすよ」
不敵な台詞とともに、伊能・龍己(鳳雛・f21577)の体に刻まれた藍鉄色の竜鱗紋「逆さ龍」から大いなる魔力が立ち上った。
雨乞い龍の刻印を介して呼び寄せた黒雲が、激しい風雨でもってオブリビオンを薙ぎ払う。
『うっ、キャア!?』『す、すごいお天気パワーです!』『でも、ヨーコさんたちだって負けません!』
しかし敵もさるもの。足元から吹き上げる風に巻かれて傘が壊れたり全身ずぶ濡れになったりしても、くじけることなく自分たちの雨雲を召喚して天候のコントロールを奪いにかかった。
数の利にあかせて押し返してくるヨーコさんたちと、技能を駆使して優位を守らんとする龍己。両者のせめぎ合いが続くなか、均衡は意外な形で崩されることになる。
「――化け侵しな、ミミック!」
横合いから投げ込まれた箱型生命体がガバッと口を開き、様々な形状をした武器を辺りにバラまくと、ヨーコさんたちの目の色が変わる。
『あ、れれ?』『ち、ちょっと何してるんですかー!?』
敵陣にどよめきが走った。
よく見れば、バラまかれた武器に触れたヨーコさんが雨雲の操作を放棄して、仲間たちに掴みかかっている。
『雨……止めないと、晴れないと』『やめてくださいって、正気に戻ってー!』
「これは……?」
突然のことに龍己は目を白黒させながらも、内乱に乗じて敵の雲を吹き払っていると、先ほどのミミックを傍らに従えた波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)が近づいてきた。
「【偽正・平界空音】。最厄の時が訪れる……ってね。この手の相手に、正面から戦うとかやってられませんので」
「すいません先輩、助かったっす」
「いえいえ。そんなことより、このまま一掃してやりましょう」
ニィ、と拓哉が口の端を歪めてポップなデザインの二丁拳銃を構えると、龍己はすぐに汲み取った。
「俺が攪乱するっす」
と、敵の領域を塗りつぶすように広げていた黒雲を地表へと呼び寄せて、オブリビオンの集団を包み込む。
五里霧中に囚われたヨーコさんが『わあ!?』『何も見えません!?』と騒いでいる間に、拓哉は拳銃に魔弾を装填する。
目を凝らして敵の立ち位置を把握。風向きや足場の状態などすべてに気を配り、そして一斉発射。
激しい銃声とマズルフラッシュが瞬き、混乱の只中にある標的を撃ち抜いて――――パァン!! 魔弾に封入した衝撃波を解き放ち、敵を体内から爆散させた。
「よし、いっちょう上がりですね」
「これで全部っすか?」
銃口から上る硝煙を吹き消すと、龍己も警戒しながら風雨を鎮める。
どうやら他の猟兵たちも戦いを終えたらしい。まだ大仕事が残っているが、とりあえず一息つくことはできそうだ。
「…………」
「先輩、浮かない顔してますけど?」
拳銃をホルダーに収める拓哉の表情に意味深なものを見て取って、龍己が首を傾げた。もしや、今の戦いで何か重要な発見があったのか。
訊ねてみると、拓哉は真剣な様子で頷き、口を開く。
「お天気パワーって、なんだろう」
「……。……そこ、ツッコんじゃうんすか」
たぶん、深い意味はないんじゃないかなー?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『十里雨』
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POW : 大雨洪水土砂注意報
自身からレベルm半径内の無機物を【土石流 】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD : 世界の隙間
自身と自身の装備、【自身を所持している 】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
WIZ : 局所的集中災害
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノエル・クリスタリア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
集まっていたオブリビオンを排した猟兵たちは、改めて足元を調べていた。
魔力を頼りに土を除けていくと、太古より眠り続けていた封印がついにその姿を……
「――傘?」
呆気に取られたような声は、誰のものだったか。
土の中から現れたのは、ビニル雨傘を模したオブジェであった。
たちの悪い冗談でも見せられた気持ちになるが、漏れ出てくる魔力は間違いなく邪神のものであり、この異様に近代的な造形をしたオブジェが竜脈封印の本体であることは疑いようがない。
困惑を覚えながら、猟兵たちは封印に手を伸ばす。
不完全な状態で目覚めさせ、真の力を出せないでいるうちに討伐するために。
●
――キン
澄んだ音を立てて傘のオブジェが真っ二つに割れた。
『ふぁ……ここは、どこ?』
封印の中から現れたのは、線の細い少女であった。
虚ろな印象を受ける少女は、寝ぼけ眼で猟兵たちを見回して、それからはるか遠くを見やった。足元から滾々と湧き出る水が、川となって流れていく先。下流には達野村があり、山の麓にはそれなりの都市が広がっている。
『……お腹、すいた』
少女が呟いた瞬間。
ゴオォォォ!!
先の戦いとは比べ物にならない、滝のような大雨が降り注いだ。
呼吸するのもままならない大豪雨だ。本調子でないはずなのにこの雨量とは。放置していればすぐに、川へと流れ込む水量はほどなく危険値を超えて、大規模な水害を引き起こしてしまうだろう。
幸いにして、まだ時間的猶予は残されている。一刻も早く決着をつけるのが、猟兵たちの最終目標となった。
『ああ、力が足りないわ。生命を喰わなければ、畏怖を集めなければ……』
ユージィーン・ダイオード(サポート)
『目標確認。これより殲滅(ターミネイト)を開始する。』
『状況終了(ゲームオーバー)通常モードに移行する。』
〇性格
自称:くそ真面目の男
鉄面皮の無表情キャラ。
本人は笑ったつもりでも周りからムスッと怒っているように畏れられる系。
子供や動物好きだけど好かれない。
推理のできない鉄面皮脳筋。
〇行動
戦闘:武装を展開し、武器の使い捨てながら【一斉発射】と【制圧射撃】の【爆撃】で殲滅する火力バカ。
●
「目標確認」
封印地から東に63メートル。険しい山中を走りながら、ユージィーン・ダイオード(1000万Gの鉄面皮・f28841)は呟いた。
先に飛ばした偵察ドローンから送られてくる映像を、サイバーアイに映しだす。
討伐目標である邪神は、幼い少女の姿をしていた。強面に似合わず子供好きなユージィーンにとっては撃ちにくい相手である。――――それがヒトならば、の話だが。
……なんとおぞましい。
彼が抱いた感想は、その一言。可憐な容姿の内側に潜む形容しがたき邪悪の気配に、吐き気を催すばかりであった。
「目標までの距離、20……殲滅(ターミネイト)を開始する」
宣言と同時、ユージィーンはアサルトライフルを手に木立の陰から飛び出した。
Bratatatatatatat!!
走りながらの連射。本来は敵の行動を制限するのが主目的となる弾幕は、完全に不意を打ったことでユーベルコード【ヘッドショット】が発動し、全弾が邪神の体に命中した。
『ッ!? ……痛い、痛いわ』
透明化のユーベルコードで姿をくらまそうとしていた邪神の少女はひっくり返り、ハチの巣になった体から穢れた魔力を垂れ流しながら立ち上がる。
さすがに上位の邪神。この程度のダメージで殺せるほどヤワではないか。
「ならば、死ぬまで撃ち続けるまで」
ユージィーンは顔色一つ変えず、弾を撃ち尽くしたアサルトライフルを投げ捨て、新しい銃火器を取り出して構える。
最終決戦は、始まったばかりだ。
成功
🔵🔵🔴
徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
伊能・龍己
※連携アドリブ歓迎です
ええ、足りないって言っててコレなんすか……!?
川の下流がすごく心配っす
呑まれる前に倒さなくちゃ
ほとんどあの子……邪神さんが使っているっすけれど、【天候操作】で僅かに降る雨を奪取
硬質化させた[神立]……ほぼデカくて細い槍の雨っすね。雨と刻印を起点にそれを呼び出します
出来るだけ早く(【早業】)広くした【属性攻撃(氷)】【範囲攻撃】で邪神さんを巻き込むっす
攻撃だけに使うんじゃなく、雨に足が取られないように【地形の利用】として硬質な雨を足場や取っ掛りにも使ってみるっすよ
●
古来より『治水』は支配者に求められる能力の一つであった。
洪水や土砂崩れなどの天変地異、衛生環境悪化による疫病、水がもたらす様々な災いから民草を守るために、古今東西の権力者たちは腐心してきた。
先人たちの苦労を思いおこし、そして彼は奮起する。
「無辜の民に降りかかる災禍を斬り払う、それが将軍の務めだよね。――第三代、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)推し通る!」
銘刀『大天狗正宗』を抜剣して雨降る戦場へと下り立った家光に、少女の姿をした邪神は澱んだ瞳を向けた。
『あめ……雨。お前たちに、狙い撃つ属性を』
傘を軽く振った瞬間、降りしきる雨粒が意思を持ったように軌道を変えた。大河すら氾濫させるのではないかと危ぶまれる雨量を一点集中すれば、それは万物を穿つ大槍となる。破壊の大質量が落ちてくるのを見上げて、しかし家光にはみじんの焦りもなく、
「雨水の一滴に至るまで、酔いしれ眠れ――【胡蝶酔月】」
――――ィン!
『大天狗正宗』の刀身を指でなぞると、鏡面仕上げに磨き上げられた刃が鳴動した。耳に刺さるような刃鳴りが、億兆とも知れない数の雨粒を震わせて――――霧散。
豪雨を操っていた殺意が、まどろむように解けて消え去った。破壊の意思を失った雨に家光を傷つけるだけの力はなく、ただ彼の着物や燃えるような赤髪を濡らすにとどまる。
そして開かれた活路に飛び込んでいくのは、伊能・龍己(鳳雛・f21577)。
「渡りに船とは、まさにこのことっす。――逆さ龍!」
千載一遇のチャンスを龍鱗の刻印が這う片手に掴み、ユーベルコード【神立】発動! 家光の、月をも酔わす刃のさえずりによって眠らされた雨粒たちを、雨乞い龍の呪力で絡めとり、束ねて、硬質化。
「さあ、今度はこっちが降らせる番っすよ!」
雨に氷の属性を練り込み、呪的障壁でコーティングして作り上げた細槍を一斉に射出した。
先ほど邪神が見せた一点集中とは真逆の広範囲攻撃。戦場まるごと巻き込むように、凍てつく細槍が雨あられと降り注いだ。ぬかるんだ足場が氷結し、跳ねた泥が空中で凍り付く。
『ぁ!? ……うぅ』
掃射が終わったあと、一面真っ白な霜に覆われた戦場の中心で、少女は磔刑のように何本もの細槍に貫かれた姿で立ち尽くしていた。苦しげに呻く様子は一見すると哀れであるが、その傷口から流れ落ちるのは温かな血ではなく、忌まわしき混沌の魔力である。
『力が、零れていく。…………ひどい、ひどいわ……目覚めたばかりで何もできないのに、みんなでよってたかって……』
「いや、コレだけできて何を言ってんすか」
とんでもない大豪雨を降らせ、全身を貫かれてなお死相を浮かべることもなく、それで非力を気取るとはどんな了見だ。
呆れを通り越して戦慄すら覚える龍己の横で、家光も顎を撫でる。
「それほどまでに本来の魔力は強大だった、ということでしょうね」
「……下手すりゃ、フォーミュラ級っすね」
不完全な状態で戦うことができて幸いだった、と思わずにはいられないが、かといって安堵していられる状況でもない。
「ひとまずは雨を散らしましたが、大元をどうにかしない限りは解決しません。時間を掛ければ掛けるほど、川は荒れ、山肌は崩れやすくなっていきます」
「そうっすね。呑まれる前に倒さなくちゃ」
万に一つでも間違いがあれば、数えきれない命が犠牲になるかもしれないのだ。会心の一撃を与えた程度で喜んではいられないと、猟兵たちは気を引き締め直した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レイシャン・ラディスティ(サポート)
深海人の海賊×聖者、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、家族には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
鈴桜・雪風
これが邪神の力ですか
その名に恥じぬ、凄まじい雨量ですね……
「堕ちたりとはいえ、カミはカミ。人の身には荷が重いかもしれませんが、抗ってみせましょう」
地に降った雨は木の根に蓄えられるもの
あの災害に抗する概念としては、これが最善でしょうね
【ソノ花咲カスベカラズ】で桜の根を召喚
十里雨に襲いかからせます
「五行相生より水生木。吸い殺させて頂きますよ、雨の化身。」
しかし、太古に施されたはずの邪神の封印が妙に近代的な傘の形というのは……
雨具という概念の封印で、その時代の雨具の認識によって形が変わる?
もはや事実は確かめようが有りませんが、何があったのでしょうね……
波狼・拓哉
さっきのはお天気パワー…とか茶化せたけどこっちは洒落にもならないですね
…ま、これで本調子じゃないんですからね
さっくり倒してやりましょう
ミミック!化け潰しな!
この雨、土石を下部まで流すわけにはいきません
悪いけど土地事押しきりましょう!土石流事ぶっ叩け!
古来から荒れ狂う水を止めるのは植物だって相場決まってるんですよ
自分は衝撃波込めた弾で戦闘知識、第六感、演技、視力で見切り、撃ち込んで挑発
…一瞬でもこちらに意識を取られた状態でミミックや他の猟兵の攻撃を避けれますかね
後は足場が悪くなる事は想定されるから地形・環境耐性、地形の利用、足場熟知で確実に
…最悪ミミックに飛び乗っときますかね
(アドリブ絡み歓迎)
●
「これが邪神の力ですか。その名に恥じず、凄まじい……」
「さっきのはお天気パワー……とか茶化せたけど、こっちは洒落にもならないですね」
カミとは高みに通じる。不完全体とはいえ、人知を遥かに上回る存在を前にして、鈴桜・雪風(回遊幻灯・f25900)と波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は畏怖の念を禁じ得なかった。
『そう、そうよ……そうやって畏れて、怖がって』
ウゾリ、と満身創痍の体を引きずるようにして、邪神が近付いてくる。遺伝子レベルに組み込まれた嫌悪、拒否感が沸き起こるが……誤解されては困る。彼らの体を震わせるのは恐怖ではなく、あくまでも武者震いだ。
「人の身には荷が重いかもしれませんが、抗ってみせましょう」
「ま、さっくり倒してやりましょうか」
意気軒昂に、あるいは飄々と、猟兵たちは神殺しに挑む。
『……逃げないのね』
邪神は期待が外れたような顔をして、おもむろに傘を畳むとその先端で足元の土を打った。
『土よ、岩よ……崩れ流れて呑みこみなさい』
濃密なる魔力が地中へと流れ込み、グラリと大地が揺れる。
「これは……」「危ない!」
猟兵たちが飛び退いた直後、地面が持ち上がった。何万トンもの土砂が天高く伸び上がり、津波のごとく崩れ落ちてくる。圧倒的な大質量攻撃だ。逃げ場などどこにも見当たらず、下手をすれば余波で下流の人里にまで被害が出かねない。
「だったら、正面から受け止めるまで。――ミミック!」
拓哉は牽制射撃を行っていた二丁拳銃をホルスターに叩き込み、再召喚した箱型生命体の頭を引っ掴むと、
「化け潰しな!!」
土石流目掛けてぶん投げた。
ミミックはくるくる回りながら土砂の津波に呑みこまれて、そして変化が完了する。
――【偽正・水植聖杯】。
頭足類を思わせる植物体の怪物へと化けたミミックは、樹木の幹とも根ともつかない触手をダムのように広げて、雪崩れ落ちてくる土石流を受け止めた。
破滅のラッパのような衝撃が轟き、植物的な体が砕けんばかりに軋むが、ミミックは驚異的な耐久力でもって踏みとどまる。
「古来から、荒れ狂う水を止めるのは植物だって相場が決まってるんですよ!」
「そして、止められた水は新たな樹木を育む糧となるのです」
続いて雪風が、土石流が止まったと見るや即座に動いた。
ミミックの許に駆け寄ると、白魚のような指を触手の隙間に差し入れる。
「……【ソノ花咲カスベカラズ】」
桜の根を召喚し、胎動が始まる。
外側からミミックに抑え込まれている土砂の内部に生じた根は、瞬く間に全体へと広がった。地中に張り巡らされた根は水を貯え、地盤を固定し、災害を封じる天然の縛鎖と化す。
そして、十分に育った根はさらなる養分を求めて地上に顔を出し、格好の獲物――邪神へと襲いかかった。首を掴んで宙に吊り上げ、手足を縛って動きを封じ、全身を締めつけて魔力を絞りとらんとする。
「五行相生より水生木。吸い殺させて頂きますよ、雨の化身」
『ぐ……こんな、もの!』
優に100を越える桜根で雁字搦めにされた邪神は、華奢な体躯からは想像もつかない怪力で抗い、魔力を天に放った。
『あめ、雨! 毒し侵しなさい!』
神の呼び声に応えて、再び雨が降りだした。毒々しい魔力に猟兵たちは不吉なものを感じて、雨粒が当たった肌にチリと痛みが生じたことで予感は確信に変わる。
「酸性雨!」
「こちらが樹木を操るとみて、まとめて枯らしにきましたか」
有毒な雨に打たれてミミックや桜根が萎れていくのを見て、拓哉と雪風は顔を強張らせた。
あと一息だというのに……。無理にでも押しきるか、大事を取って一旦退くか、二人は選択を強いられる。
「――でしたら、私がサポートしますよ」
逡巡する二人に助力を申し出たのは、レイシャン・ラディスティ(揺蕩う氷海・f27574)だ。
冷水色の人魚姫はのほほんと微笑んで、【生まれながらの光】を放った。この世に癒しを振りまく聖なる傷痕「スティグマ」からあふれでる清らかな光に照らされると、仲間たちの傷ついた体が修復していき、酸性雨によって弱っていた植物たちも元気を取り戻していく。
……この数を一度に、というのは流石にキツいですねぇ。
零れそうになる弱音を、レイシャンは噛み殺した。
癒しの力は無償ではない。他者が抱える痛みを消すのと引き換えに、同等の苦痛を我が身に引き受ける、それがレイシャンたち「聖者」に授けられた祝福であり宿命なのだ。癒しの手を広げれば、それだけ代償も大きくなる。
「……でも、大丈夫。ゆるゆるふわふわ、流されるままに」
極度の疲労感に苛まれながらも、ケ・セラ・セラの心意気で笑みを絶やさず、レイシャンはただひたすらに仲間を回復することに専念する。
「今なら行けそうですね。押し切ってやりましょう!」「一気に吸い尽くします!」
彼女の献身と、あくまでマイペースな雰囲気に励まされて、仲間たちは腹をくくった。
拓哉のミミックが土石流を抑え込み、酸性雨のダメージはレイシャンによる高速回復で相殺、その間に雪風が操る根が邪神の命を搾り取る。
『う…………ァァ――――ッッ!?』
三人の全力を合わせた攻勢を受けた邪神はもだえ苦しみ、とうとう力尽きたようにガクリと項垂れた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。
逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。
戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。
……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)
ジェシカ・ドゥ
この邪神が水源になってたのかな。
もしかしてこの子が倒されたらここの水は枯れるのかしら。
だとしてもやる事は一つだけど。
争い事は本来苦手でおっとりしてますが、戦いで手を抜く事はありません。
【七星七縛符】でユーベルコード封じを。
マヒ攻撃で動きを鈍らせ、体の柔軟性を利用して死角になるような所から霊符で狙います。
2回攻撃や継続ダメージで削れるだけ削ります。
●
勝負あった、と誰もが思ったその時であった。
「……ッ!? 危ない!」
城田・紗希(人間の探索者・f01927)の【絶望の福音】が、危険を察知した。
『あ……――――ァ!!』
警告の直後、天候を操っていたユーベルコードが術士の手綱を振り払った。雨粒が暴れまわり、風が吹き荒れ、雷が鳴り響く。秩序も目的もなく、属性と現象がてんでバラバラに暴威を振るう。
「暴走した!? まったく、往生際が悪いですね!」
舌打ちして、鞘の内より抜き放ちたるは銘刀「紅時雨」。振れば玉散る鋼の刃を引っ提げて、紗希は荒れ狂う天候の渦へと飛び込んだ。
リンゴほどもある雹が降り注ぐのを斬り刻み、暴風に飛ばされてきた大木の枝を振り向き様に真っ二つにしたら、素早くウィザードロッドに持ち換えて障壁魔法を展開して落雷を受け止める。
次に何が起こるのか全てわかっているかのように、紗希は天性の直感に従って迅速かつ的確に暴走するユーベルコードを凌ぎきり……
「……あれ、オブリビオンは?」
それに気付いて、紗希は目を剥いた。
生命力を吸いとられて虫の息だったはずの邪神が、いつの間にか姿を消していたのだ。
「透明化のユーベルコード……っとお!? ええい、しつこいですね!」
時間差で落ちてきた稲妻を、投げたフック付きワイヤーロープを避雷針代わりに回避して、紗希はうんざりしたように呻いた。
この調子では、逃げた邪神を追いかける余裕がない。
「……仕方ない、ここは私が引き受けますから、後は任せましたよ」
他の猟兵たちに後詰めを託し、紗希は目の前の天変地異を始末しにかかる。
●
戦闘音を背に聞きながら、少女の姿をした邪神は【世界の狭間】に身を置いて透明になり、必死で戦場から遠ざかろうと険しい山林を走っていた。
どうにか逃げ伸びて体勢を立て直さねば。時間をかけ、人間を殺し、畏怖を集めれば、竜神に封印される以前の神格を取り戻すことができると……――――バチン!
『あう!?』
木の根を飛び越えようとした瞬間、右の足に衝撃を受けて邪神が転倒した。何事かと目を向けてみれば、足首のあたりに短冊形の和紙が張り付けられている。
「残念ですが、ここまでです」
女性の声がして、傍らの樹影――ではなく、影に溶け込んでいたジェシカ・ドゥ(ブラックタールのクレリック×フォースナイト・f04038)が、黒い液状の体を起こした。
ジェシカは邪神の足を捕えたものと同じ、真言を記した和紙の束を取り出して、呪力を込めて投げ放つ。和紙は鳥のように飛翔して、一枚また一枚と邪神の体に張り付いていき、そのたびに透明化していた邪神の姿が露わになっていく。
「――【七星七縛符】。これでもう、抵抗できないでしょう」
『くっ……ああッ!?』
ユーベルコード封印に加えて、麻痺の呪いも組み込んだ霊符が邪神を縛り付けた。
体は痺れて動かせず、神力を振るうこともできない。邪神は悲鳴を上げて、たおやかな少女の体を痙攣させるばかりだ。
「……そういえば」
己の命すら削る強力な呪術を行使しながら、ふとジェシカの脳裏に不安がよぎる。
「達川の水源は、この邪神だったのかな。もしかしてこの子が倒されたら川の水は枯れるのかしら」
川で水遊びしたときには魔力の類を感じなかったので、どこまで邪神の力によるものかは疑問があるが、万が一にも……否、仮に水源が失われる恐れがあろうとも、世界の敵を見過ごす理由にはならない。
隙を生まぬよう心を強く持って、ジェシカは徹底的に邪神を封じ込めにかかる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神楽火・天花
<先制攻撃、乱れ撃ち、属性攻撃、鎧無視攻撃、神罰>
不完全かどうかなんて関係ない。アタシの全力で、アナタを殺す。
「人の世に仇なす邪神は、必ず滅ぼす。今ここで」
敵がユーベルコードを発動させる前に先手を取って、トニトレイターとフルガレイターの連射で妨害する。
撃ちながら呪文を詠唱。『雷霆銀鎗舞伎殲陣』。
「五百と五十五の雷鎗、全部アナタにあげるわ」
さっき戦いで使った秘技で得た神気も乗せて一斉攻撃。
「この世界は、アナタ達には返さない。――消えて」
●
『う、うう……』
悪天を司る邪神は、死に瀕していた。持ちうる手札のすべてを潰されて、もはや動くこともままならない。
ボロボロになって倒れ伏す少女の姿をした邪神を、神楽火・天花(マジカルガールクインテット・f03853)は憐れむことも油断することもなく冷徹な眼差しで見下ろした。
「人の世に仇なす邪神は、必ず滅ぼす。今ここで」
出し惜しみない明確な殺意を持って、天花は精霊銃の撃鉄を起こした。
『雷光を輝かせるもの』フルガレイター、『雷鳴を轟かせるもの』トニトレイター、双銃から放たれる紫電霹靂の弾丸に合わせて、高速詠唱。
「五百と五十五の雷鎗、全部アナタにあげるわ。――鏖滅せよ、殲滅せよ。【雷霆銀鎗舞伎殲陣】!」
天の頂より、白銀が落ちた。
灼熱に輝く稲妻は裁きの槍となり、光を曳きながら飛翔する。幾百もの雷槍が描きだす複雑な幾何学模様は、さながら破邪覆滅の魔方陣のようで、その中心に囲い込まれた邪神は恐怖の表情を浮かべた。
『待って、そんな。お願いやめて。せっかく目覚めることができたというのに……』
「この世界は、アナタ達には返さない。――消えて」
情け容赦のない雷霆の集中砲火が、邪神を呑み込んだ。まばゆい電光と雷鳴が広がって、すべてがおさまったあとには、ただ持ち主を失った傘が風に舞っているだけであった。
「……ふう」
終わったことを確認して、天花は肩の力を抜いて背を向ける。
去り行く天花の後方で、地に落ちた傘がパキンと音を立てて砕け散った。
【END】
成功
🔵🔵🔴