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レジャー!

#グリードオーシャン #お祭り2020 #夏休み

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 青い空。
 白い雲。
 輝く太陽。
 そして……、

「つまりは、レジャー。……らしいよ」
 なんだかものっそ棒読みで、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はそう言った。よく見ればその手には何やらチラシが握られている。それをただ読み上げただけなのだろう。
「そういうわけなので、グリードオーシャンで発見された島のひとつに、遊びに行こうと思います」
 確認するようにリュカはそう読み上げる。グリードオーシャンで発見された島のいくつもが、素晴らしいビーチを持っているのだ。リュカが案内するのもその一つで、
「えーっと……。コテージがあってそこからゆっくり海を見られる区画もあれば、遊泳可能でがっつり遊べる場所も……あります。コテージはかなり一軒一軒が離れてる上に、基本其のコテージを借りてる人しか周辺に立ち入れないようになってるから、そこは相当静かそうだね。でも、普通に海水浴を楽しめるような砂浜もある……と」
 チラシを見ながら、リュカが確認する。要するに遊び方によって区画を各自変えましょう、ということになりそうだ。
「勿論海の家もあるし、釣りができるところもあるみたい。海で遊ぶ、っていえばぱっと思いつくことは、おおよそできるようになっている、と思ってくれたらいいよ」
 例えばダイレクトに海で泳いだり。
 日がな一日釣り三昧をしたり。
 砂浜でスイカ割をしたり、砂のお城を作ったり、
 コテージでのんびりしたり、
 花火は上がらないけれども自分たちで花火をしたり、
 白いワンピースに白い帽子をかぶってセレブっぽく犬の散歩をしてみたり、
 なんでもいろいろ、できるらしい。
 なんでもいろいろ、というと、逆に迷ってしまうかもしれない。なんてリュカは少し考えこんで、
「別段特別なことはないけれども、好きなことをすればいいと思う。折角の夏だからね」
 と、そういって。話を締めくくった。


ふじもりみきや
※お知らせ※
このシナリオは既に猟兵達によってオブリビオンから解放された島となります
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります


と、いうわけでいつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
割と好き勝手出来るのでお好きにどうぞ。以上。みたいな感じです。
あ、次回作は、
「大人げない大人と大人げない子供によるUC使用可ビーチバレー大会! inグリードオーシャン」
になる予定です。
だからって別に今回ビーチバレーしちゃダメ、というわけではありませんが、一応お知らせです。
勿論!ビーチバレーだろうが勝手に洞窟を見つけて探検しようが夕陽に向かって殴り合いしようがいつものようになんでもなんだろうとお好きにどうぞ。

また、声をかけていただいたときのみ、リュカも同行します。
声をかけていただければ喜びますが、無理に構っていただかなくとも大丈夫です。
因みに何がしたいかと聞かれると、「空腹を感じるまで砂浜で走り込みしてお昼ご飯食べた後軽く運動して遠泳」とか地獄のスケジュールを提示しますが、
これ遊ぼう、とか言っていただけると、だいたいなんでもついていきます。

それでは、良い一日を。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りを楽しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※マスターより
好きに遊んでください。
あ、このシナリオは、一章のみのお遊びシナリオです。

プレイング募集期間は、
7月23日(木)8:30~27日20:00まで。
また、無理ない範囲で書かせていただきますので、再送になる可能性があります。
その際は、プレイングが返ってきたその日の23時までにプレイングを再送いただければ幸いです
(それ以降でも、あいていたら投げてくださってかまいませんが、すべてを書き終わっている場合は、その時間をめどに返却を始めますので間に合わない可能性があります。ご了承ください)
2回の再送はせずに済むよう、頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
メリル・チェコット
🌼揺羊

海だね、アンリエットちゃん!
今日はいっぱい遊ぼー!

彼女の隣に腰かけて
メニューが色々あって悩んじゃう
何にしよっか、アンリエッ……トちゃん!?
だ、大丈夫? メリルそんなには食べられないよ?
その細いお腹のどこに入っていくんだろう……

そろそろいい時間、かな?
約束通り、たーっくさん買ってきたよ! 花火!
これはねぇ、ぴろぴろしてる紙の方に点けるの
メリルがやってあげるね

最後はこれにしよ、線香花火!
ぱちぱちしてて落ち着くの
ね、何を囁いてるのかな
わたしの花火はね、アンリエットちゃんに、メリルちゃんと一緒に遊んでくれてありがとーって言ってるのかも
なんてね、ふふ
また一緒に遊んでくれる?
約束だよっ


アンリエット・トレーズ
🌼揺羊

おお…
海ですよメリル、夏の海です
無表情でわくわくと

海の家で二人座り
メニューの端から端まで、持ってきてください
メリルは食べたい物の食べたいところだけ摘まんで良いですよ
あとはアンリエットが全部食べますからね
任せてください

夜を待った後は浜辺へ
たくさんの花火に拍手
メリル、メリル
これはどっちに火を点けるのですか…?
じっと見つめ
飛び出した光の束に、わ、と小さな歓声

これが噂の線香花火ですね
弾ける光、正しく花のようなそれに目を見張り
ぱちぱちと音がします
まるで何か囁いているようではありませんか
夜の中で、わたしたちに話し掛けているような
ねえ、メリル

律儀な花火さんですね
お友だちとは、いつでも遊びますよ



「海だね、アンリエットちゃん!」
「海ですよメリル、夏の海です」
 ひゃー!!! と、拳を握りしめるメリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)に、
 おお……。と静かに海を見つめた後、こくりと頷いたアンリエット・トレーズ(ガラスの靴・f11616)。無表情ながらにわくわくとしたその心が、声からにじみ出ていた。水着姿で元気いっぱい、二人は海に向かって……、
「今日はいっぱい遊ぼー!」
「ん」
「まずは海の家だよねー!」
「うん」
 向かわなかった。
 まず、海に来て最初に行くのが海の家であることに二人とも疑問を感じていない。どころか、むしろアンリエットのほうは嬉しそうである。こくり、こくり、と頷くアンリエットの手を引いて、メリルは海の家を目指す。
 日よけのある海の家はそれなりに大きくて、簡単なテーブルとベンチがいくつも並んでいた。奥には靴を脱いで上がる畳のようなところもあるが、二人なら断然ベンチのほうである。そのうちの適当なものに二人並んで腰を下ろして、メニューを広げると。それなりに大きいところにふさわしく、結構な数の料理名が並んでいた。
「ふふふ、メニューが色々あって悩んじゃう。焼きそばも定番だけれども、かき氷も……」
 メニューを捲りながら、楽しそうに考えこむメリル。それからきらきらした目で、
「何にしよっか、アンリエッ……」
「このメニューの端から端まで、全部持ってきてください」
「アンリエットちゃん!?」
 思わずメニューを取り落としそうになるメリル。
「だ、大丈夫? メリルそんなには食べられないよ? お腹壊しちゃうよ? ええと、それからそれから……」
「メリルは食べたい物の食べたいところだけ摘まんで良いですよ。あとはアンリエットが全部食べますからね、任せてください」
 わたわた。何か一生懸命言葉を探すメリルに、任せろ、とアンリエットは無表情のままどん、と、己の胸を叩く。
 店員さんにも、大丈夫? 本当に大丈夫? と心配されていたアンリエットであるが、大丈夫。と、大いに頷いて力説し、心配されながらも注文通り、大漁の料理が運ばれてくれば……、
「この匂い、好き。です。もちろん味も……」
 あれよ、あれよ、あれよ、という間に……、
「箸休めに、甘いもの……。クレープ、いい、ですね」
「そ、その細いお腹のどこに入っていくんだろう……」
 減っていく料理を、メリルは茫然と見つめるのであった。
「メリル……大丈夫ですか? 食べたいものがあるならば、早めに行ってくださいね」
「わっ」
 でないとなくなりますよ、なんて。
 そんなことを言われて、メリルは衝撃で我に返ったのであった。

 そんな、こんなで。
「……そろそろいい時間、かな?」
 ひとしきり。好きなように、もう好きなだけ色んなものを食べつくした二人であったが、
 メインイベントはまだ残っていた!
「そうですね。そろそろころ合いかと。……それでですね」
 ちらり、とメリルを見るアンリエット。メリルはふふ、そその視線に嬉しげに、いそいそと荷物から例の物を取り出した。
「じゃじゃーん!! 約束通り、たーっくさん買ってきたよ! 花火!」
「おお……」
 ほらほらほら、と、大量の花火セットを取り出すメリルに、うん、うん、と、アンリエットも頷く。
「すごいですね……。行きましょう。すぐに行きましょう」
「うんっ!」
 思わず拍手を送るアンリエット。……そして、
「さあ、夜の海へ出発だね!」
「はい」
 二人して、浜辺のほうへと走り出した。

 ……それから。
「メリル、メリル。これはどっちに火を点けるのですか……?」
「これはねぇ、ぴろぴろしてる紙の方に点けるの。メリルがやってあげるね!」
 二人して砂浜にしゃがみこんで、花火に火を点けるメリル。
「……」
「アンリエットちゃん、そんなに顔近付けたら危ないよ」
「そ、そうですか……。わ」
 少しアンリエットが顔を引いた瞬間、飛び出す光の姿に思わずアンリエットは歓声を上げる。
「輝いていますね」
「ふふー。驚くのはまだ早いんだよ! 打ち上げ系も、ねずみ花火だって! いっぱい準備してるんだから!!」
「それは……楽しみです」
 ほらほらほら、と花火を示すメリルに、アンリエットも真顔で頷いた。夜はまだ、これからだ。
 そうやってあれをやって、これをやって。
 ひとしきり騒いで。それから笑って。
 たくさんあった花火がどんどん減っていって。
 ついには最後の一種類になったとき、
「最後はこれにしよ、線香花火!」
 楽しみなような、ほんの少し寂しいような。
 そんな顔で、メリルは線香花火を示した。
「これが噂の線香花火ですね」
「そ。ぱちぱちしてて落ち着くの」
 そうして二人、慎重に火を点けると、
 静かな花火の音が周囲に響いて、音を立てて線香花火がはじけていった。
「ぱちぱちと音がします。……まるで何か囁いているようではありませんか」
 今までとは違う、その音。その光に、わずかに目を見張りながらアンリエットが言うので、メリルは面白げに目を輝かせる。
「夜の中で、わたしたちに話し掛けているような……。ねえ、メリル」
「ね、何を囁いてるのかな」
 何を。いわれて、アンリエットは思わず黙り込む。
 囁いているようだ、とは思ったが、その内容まで想像が及ばなかった。その沈黙に、メリルは少し微笑んで、
「わたしの花火はね、アンリエットちゃんに、メリルちゃんと一緒に遊んでくれてありがとーって言ってるのかも」
「……」
「なんてね、ふふ」
 笑顔を向けられて、思わずアンリエットは黙り込む。なので、メリルはいたずらが成功した子供のように笑って、
「また一緒に遊んでくれる?」
 と、いうので。
「……、律儀な花火さんですね。……お友だちとは、いつでも遊びますよ」
 ほんの少し照れたように、アンリエットは小さく頷くのであった。
「約束だよっ」
「はい、約束です」
 線香花火が落ちるまでの間。
 二人は顔を見合わせて、楽しそうにうなずいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
リュカさまとご一緒したく存じます

まあ、リュカさまも水着を新調なされたのでございますね
よくお似合いでございますよ
お帽子もお持ちでいらっしゃいますか、お揃いでございますね!

ビーチバレーの前に、その練習として
砂浜を自由に走り回る訓練をしておきたいと思います
リュカさま、どうかお付き合いくださいませ…!

やはり裸足なのでございましょうか?(サンダルを脱いで)
あつっ!お熱うございます!
はっ、リ、リュカさま
わたくしうまく走れておりますでしょうか(ぴょこぴょこ)

ちょっと足が熱くなりましたので
波打ち際でクールダウンを
リュカさまは、このような熱い浜辺を
走り込みなさるのでございましょうか?
中々に勇気が必要なものかと…


鵜飼・章
風を感じる…あの子の気配を…
ああリュカさんこんにちは
何してるのって…見ての通りダイオウグソクムシの散歩だよ
僕ちょっとやってくるから走り込みのついでに深海魚達を見ていてくれないかな

やるって素潜りに決まっているじゃない
地元の人に許可は得たから大丈夫さ
そういう訳で普通に海に入る

プロのオーシャンハンターはナイフ一本で獲物を仕留める事ができる…
僕はビーストマスターだけど似たようなものさ
えいっ

見てリュカさん
UDCアースですごく美味しいと噂のアジアコショウダイだよ
そろそろお腹すいた?
早速捌いて調理するよ
他にも色々獲ってきたから纏めてお鍋にしよう
食べてくれそうな人がいたら誘ってみる
皆で食べた方がおいしいものね



「風を感じる……あの子の気配を……」
 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)が何やら怪しげなポーズをとっている間を、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)とリュカは二人で走りながら通り過ぎていく。
「あ、あの、リュカさま」
「しっ。目を合わせちゃいけない」
 思わずおろ、とするベイメリアを、変態から守るような口ぶりでリュカは制する。しかしその隙を章も逃しはしなかった。
「ああ、ベイメリアさん。リュカさん。こんにちは」
「はい。章さまもご機嫌宜しゅうございますか?」
 にこやかに会話をする二人。付き合ってられん、と走り出そうとするリュカの背中に、すかさず章が声をかける。
「リュカさん」
「……何」
「何してるのって聞いてくれないの」
「……なにしてるの」
「何してるのって……見ての通りダイオウグソクムシの散歩だよ」
 物凄く面倒くさい人を見る目で、リュカが訪ねると、得意げに章は返答する。
「僕ちょっとやってくるから走り込みのついでに深海魚達を見ていてくれないかな」
「あ……うん」
「……」
「……」
「……やるって、何するの」
 根負けして、いわれる前にリュカが効くと、章が大いに頷いた。
「やるって素潜りに決まっているじゃない。地元の人に許可は得たから大丈夫さ。それじゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい……まし?」
 まさに立石に水とはこのことで、喋り続ける章にベイメリアが手を振ると、嬉しそうに章も手を振り返して海の中へと潜っていった。
「……ほら、行こう。こんなところにいたら、うつるよ」
 何が、とは言わずに、ベイメリアの手を引くリュカ。
「まあ……。けれどもこの子たちの面倒を頼まれましたわ」
 何か怪しげな虫類に視線を落とすベイメリアに、リュカは、
「見ててっていわれただけだから。往復ついでに時々見てるだけでいいよ」
「まあ……!」
 なんということでしょう。
 ……しかし確かに、そういう約束でした。
 それは突っ込めばいいのか、そういうものだと頷けばいいのか。悩みながらもリュカはさっさと走り出したので、ベイメリアは追いかける。
「そういえば、リュカさまも水着を新調なされたのでございますね。よくお似合いでございますよ」
 砂は足をとられるから、思いのほか体力が持っていかれる。
「うん、お姉さんも相変わらずきれいだよね。……でも大丈夫? 走りにくくない?」
「だ、大丈夫でございます!」
 バカンスっぽい水着だから、ちょっと心配そうにリュカが問う、ぐッ。とベイメリアは両手を握りしめる。
「大丈夫でございます。ビーチバレーの前に、その練習として、砂浜を自由に走り回る訓練をしておきたいと思いますから……、リュカさま、どうか全力で、お付き合いくださいませ……!」
 わたくし、やれます! とばかりに声を上げるベイメリアに、リュカはちょっと目元を和らげる。
「そう? よかった」
「はい。……ですがあの、しかし」
「ん?」
 ちなみに走りながらの会話である。同じ場所を何度か往復しているので、通るたびに章の置いていった怪しげなグソクムシやらを視界に収め、無事の姿を認めてほっとしているベイメリアであった。
「うう……。あつっ! お熱うございます!」
 そしてほっとした瞬間、悲鳴を上げた。少々この砂浜、走り込みには足の裏が……熱い。少々、というか、結構熱い。
「はっ、リ、リュカさま。わたくしうまく走れておりますでしょうか」
 なので、ちょん、ちょん、と、怪しげな走り振りになっていくベイメリアは、若干の涙目でリュカを見る。
「その、どうしても。この足が、熱うございまして。リュカさまも、やはり裸足なのでございますでしょう? やはり、心掛けが……」
「ストップ。……ストップ、お姉さん」
 気合を入れなおそうとするベイメリアに、リュカは思わず足を止める。
「……お姉さん」
「はい?」
「俺の隣じゃなくて、俺の後ろ走って」
「はあ……。はっ! 熱くない……!」
「波、時々ここまで来るからね」
 波打ち際のリュカが行くコースは、時々海水を被って通路が冷やされていた。
 であるが、ベイメリアのところまでは波が届かない。となると、暑いのは致し方のないことである。
「……好きでやってるのかな、と思っていたんだけど……」
「うう……。リュカさまは、『このような熱い浜辺を走り込みなさるのでございましょうか? 中々に勇気が必要なものかと……』などと思っておりました……」
「なんだか、ごめんね」
「いえ、謝られることではございませんので……」
 しおしお、としょんぼりするベイメリアに、リュカが何か慰めるような声をかけようとする。ようとする……前に、
「ですが、これもまた修行でございますよね! ビーチバレーへの偉大なる一歩でございますので無駄ではございません! 確かに、今はちょっと足が熱くなりましたので波打ち際でクールダウンをしておりますが……、それはそれで必要なことでございました!」
「……」
 何とも自分で立ち直るベイメリアに、
「……お姉さんのそういうところ、ほんと好きだよ」
「……ふふっ」
 思わずリュカが笑って、ベイメリアもつられるように笑った。
「そういえば、リュカさまはお帽子もお持ちでいらっしゃいますか、お揃いでございますね!」
 笑うと帽子が揺れて。ベイメリアはそんなことを言う。
「うん、交換する?」
「まあ、よろしいのですか?」
「お姉さんがよければね」
「……そろそろ声をかけてもいいころ合いかな。多分これぐらいで空気読めてる気がするんだけど……」
 そして、仲良く帽子を好感し終わったころ合いを見計らって海から上がってくる章である。
「見てリュカさん。UDCアースですごく美味しいと噂のアジアコショウダイだよ。そろそろお腹すいたんじゃない?」
「は……っ!」
 海に上がり、深海魚を回収し、ドット柄の魚を手に声をかける章。それに思わずベイメリアが反応する。
 そういえばお腹がすきました。とばかりに覗き込むベイメリアに、リュカは首を傾げて、
「……お兄さん、魚獲りなんてできたんだ」
「うん。えいっ、ってね。プロのオーシャンハンターはナイフ一本で獲物を仕留める事ができる……。僕はビーストマスターだけど似たようなものさ」
 問うと、また章がかっこいいポーズをとるので、なるほど。とリュカはとりあえずそれ以上聞くにはやめにすることにした。
「まったくリュカさんは相変わらずテンション低いんだから。さて、早速捌いて調理するよ。他にも色々獲ってきたから纏めてお鍋にしよう」
 ちなみにこの魚、とっても美味しいらしいよ。なんて言う章に、ベイメリアが恐る恐る、
「あの……それは、わたくしもいただいて宜しいでしょうか?」
「勿論。皆で食べた方がおいしいものね」
 章の言葉に、ベイメリアは嬉しそうに微笑む。
「それはそうかも。じゃあ、料理ができるまでにあと一周、行こうか」
「はいっ」
「はい、いってらっしゃい」
 二人の走りだす姿を見て、章も楽し気に料理に取り掛かるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草野・千秋
彼氏のライアンさんと/f02049

今年の水着を着て海辺を探索
僕らサイボーグなで僕も腕と脚が鋼なので
生体パーツを換装しないと海には潜れませんが
潮だまりや浜辺で遊ぶくらいなら出来ますね
ひんやり洞窟を見つけたら子どもの様にはしゃぎ
浜辺でカニさんみつけたり
潮だまりでイソギンチャクを触ったり
これぞ日本の海水浴って感じです
僕が家族居た頃そうしていたような
(昔を思い出してしんみり)

お腹空いたらBBQをしましょう
お肉に野菜
お魚や貝類なんかも採れたてが味わえそうです
僕焼肉奉行だったりしたので焼き加減はお任せ下さい
なんでしたらビールも飲みましょうか
(缶をぷしっ)
これぞ大人ふたりの海辺の楽しみ方


ライアン・ウィルソン
千秋ちゃん(f01504)とおデートよ!
洞窟を見つけたらはしゃぎ
浜辺でカニさんを見つけたら追い掛け回し
潮だまりでイソギンチャクを捕まえて千秋ちゃんにおしつけたり
これぞジャパニーズチルドレン海遊びよ
家族は顔も知らないからわかんないわ!だってストリートチルドレンだったもの!(どやあ)
お腹空いたらBBQよ!千秋ちゃんに全部任せて食べる専門よ!
酒池肉林!飯テロ!ほーら画面の前のお前も深夜に見たらおなかへるやつー!
そんなこんなで楽しくやりましょうね



「千秋ちゃんとおデートよ!」
 ライアン・ウィルソン(美少女美少年傭兵・f02049)が海に向かって叫ぶので、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)は思わず笑った。
「けど、海には入れないのよねー!」
「ふふ、僕らサイボーグなで僕も腕と脚が鋼なので、生体パーツを換装しないと海には潜れませんが……。潮だまりや浜辺で遊ぶくらいなら出来ますね」
「そういうこと! さ、行こうー! ほら、洞窟洞窟!」
 みつけた! と、指をさしてはしゃぐライアンに、千秋は嬉しそうにその後へと続く。
「結構深いのねー!」
「そうですね。気を付けて進んでいきましょう。思いのほか涼しいですね!」
 水着姿で洞窟の中を潜り抜ける。すると、
「あっ、こっちに抜けるんですね」
「カニさん……! ほら千秋ちゃん、次はカニさんよー!」
 カニを見つけて早速追いかけるライアン。
「え、カニ? どちらですか?」
 千秋も興味津々についていく。つかまえようとライアンが足を速めた……ところで、
「と、見せかけてイソギンチャク!」
「わっ」
 塩だまりに見つけたイソギンチャクを、すかさず拾ってライアンは千秋に押し付けた。
「わ、わ、びっくりしました」
「でしょでしょー?」
 突っついて遊びながらも、楽しそうな声を上げる二人である。
 そうしてひとしきり遊んでみれば、
「これぞ日本の海水浴って感じです……」
 ふー。と、ちょっと疲れたように海を見てみたり。
「そうねー。これぞジャパニーズチルドレン海遊びよ」
 ライアンはというとご機嫌で、うん、うん。と、腕を組んで頷いている。その様子に、
「僕が家族居た頃そうしていたような……」
 思わずしんみりしてしまう千秋に、ライアンは笑った。
「アタシなんか、家族は顔も知らないからわかんないわ! だってストリートチルドレンだったもの!」
 どやっ。と胸を張り彼なりに千秋を慰めようとしてみたりするので、千秋も少し笑って頷いた。
「ほらほら、お腹空いたのよね。気分が落ちるときはお腹が空いてる証拠! お腹空いたらBBQよ!」
 そのどやっ。とした顔のまま、提案するライアン。
「なるほど……? たしかにお腹がすきましたね。BBQをしましょう」
「ええ! ただアタシは千秋ちゃんに全部任せて食べる専門よ!」
「はい、承知しております」
 ご機嫌に断言するライアンに、千秋は思わず笑う。
「それでは準備に……。ライアンさん、主に何食べたいです?」
 なんでもありそうだけれども……と、千秋はバーベキューコーナーへと向かう。さすがに観光地だけのことはあって、一通りなんでもそろえているラインナップに、逆に迷いますね。なんて言いながら千秋は考え込んだ。
「お肉に野菜。お魚や貝類なんかも採れたてが味わえそうですね……。海に来たからにはお魚ですが、お肉も捨てがたいし……」
「ふふー! 酒池肉林! 飯テロ! ほーら画面の前のお前も深夜に見たらおなかへるやつー! っての希望ー!」
 です! と両手を広げるライアン。わかるようなわからないようなその解説に笑いながらも、なるほどたぶん肉のほうがいいんだな、などとあたりを突けて千秋は材料を取り込んでいく。
「僕焼肉奉行だったりしたので焼き加減はお任せ下さい」
「うむうむ、苦しゅうないのよー」
 千秋の言葉に、完全任せた、とばかりになぜか胸を張るライアン。その様子がおかしくて、
「なんでしたらビールも飲みましょうか」
 少し上機嫌に千秋はビールの缶を揺らせると、
「お。飲むよ飲むよー!」
 ライアンも嬉しそうに手を上げた。
 ぷしっ。と二人、缶をあければ、
「乾杯」
「かんぱーい! そんなこんなで楽しくやりましょうねー!」
 乾杯を。嬉し気にそんなことをいうライアンに、
「これぞ大人ふたりの海辺の楽しみ方ですね」
 千秋もそういって、頷いて缶を合わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
リュカさんと海釣り

西瓜も浮かべた桶は大漁への期待
如何にも慣れた手つきで釣り竿に疑似餌をつけ
いざ――リュカさんに渡す

澄まし顔で
傍らに腰を下ろし
本を開いて読書

穏やかな波音と
ぱらりぱらり頁を捲る音が
ふかり心地良い欠伸を誘う

…以前にもこんなことがありましたねぇ
覚えていらっしゃる?

ふくふく笑んで問うのは
私とリュカさんの、出会いの川辺

あの日から幾つもの冒険譚を共に紡いで来たけれど
此れからも沢山綴って行きたい

未来は未だこんなに、白紙なのだもの

手にした本を開いて見せる
否、其れは
文字も絵も無く真っ新な帳面

此れは私が記す物語
いつか読んでくださいますか
先ずは、――魚拓かしら

悪戯に笑んで
指差す釣り竿

糸、引いていますよ



 波の音が聞こえてきている。
「リュカさん」
 声をかけられて、リュカが振り返ると、都槻・綾(糸遊・f01786)がいつもの優し気な笑顔で、
「釣りをしませんか?」
 というのであった。
 それで……まあそういうのもたまにはいいと思う、と思ってリュカが頷くと、綾はまずは手慣れた様子で釣り竿に疑似餌を付けた。その際、なぜスイカを浮かべた桶を隣に置くのだろうかとリュカは甚だ疑問に思ったのだが、まあ、綾お兄さんのすることは自分の想像の範囲を大きく超えていることが稀によくあるので、きっと何か深いわけがあるのだろう……多分。なんて思って、突っ込まずにいたのである。
 が、さて。一本しかない釣り竿に疑似餌をつけて、
「いざ――」
 と何やら気合を入れたようないれてないような声で綾は釣竿を構え、
「はい、どうぞ」
 と、さっと流れるような動作でリュカに手渡したので、リュカはあれ、と、瞬きを軽く一度、する羽目になったのであった。
「……え?」
「おや、釣りは初めてでしたか?」
「いや、初めてじゃないけど」
「では、お願いしますね」
 素知らぬ顔をする綾。それでリュカは餌の付いた釣り糸を海面へと投げつける。
「……?」
 あれ、なんでこんなことしてるんだっけ。何か忘れている気がする……。なんてしきりに首を傾げているリュカに気にせず、綾はすました顔でその傍らに腰を下ろした。
 そのままのんびりと、日差しの下はらりとページを捲る。
「……」
 なんだか釈然としない顔をしているリュカであるが、特に文句を言うでもなく、竿をもって真剣に水面を見つめていた。
「……」
「……」
 互いに、無言だ。
 穏やかな波の音とともに、ページを捲る静かな音だけが周囲に響いていく。
「ふ……ふふ」
「ん?」
 思わず心地の良い欠伸がこぼれそうになって、綾はほんの少し笑った。その声に、不思議そうにリュカが首を傾げる。
「……以前にもこんなことがありましたねぇ。覚えていらっしゃる?」
 ふふふ。と。何処か得意げに笑って尋ねるので、うーん? とリュカは考え込む。
「ほら、私とリュカさんの、出会いの川辺」
「ああ」
 答えにたどり着く、少しの間を何となく待てなくて。綾がすぐに回答を言うと、リュカも思い至ったようにうなずいた。
「あの頃は、お兄さんのこと、不思議な人だなって思ってた」
「でも、きちんと持っていてくださいましたよね」
「言われたことはちゃんとするんだ。ちなみに今でも、不思議な人だなって思ってるよ」
「おや」
 それは心外だ、とばかりに声を上げる綾。リュカのほうは、その心外が心外だ、みたいな顔をしていた。
「では、あの後リュカさんが何をなさったかは、覚えていらっしゃいます?」
「うん、星の本を見せてくれたよね。……俺には本自体が珍しくて、それの上星の本だったから、すごく気になったんだ」
 それが縁でここまで、なんて。なんだか不思議な気がするね、とリュカが言うと、ふふ、と綾はやっぱり嬉しそうに、
「あの日から幾つもの冒険譚を共に紡いで来たけれど、此れからも沢山綴って行きたい……。私はそう思います」
 そういって、本をリュカのほうへと開いて、良く見えるように見せた。
「だって、未来は未だこんなに、白紙なのだもの」
 手にしていたそれには、何も書かれてはいなかった。
 文字も絵も、勿論星の物語もない。むしろ本でもない、真っ白な帳面だったのだ。覗き込んだリュカが思わず笑う。その笑う顔に、綾は、
「此れは私が記す物語。……いつか読んでくださいますか」
「勿論。お兄さんが書きたいものを書き上げたときも、どう書いていいのかわからなくて迷った時も、あんまりにもひどい話で破りそうになった時も、いつでも、お兄さんがそれを俺に貸してくれるなら、読ませていただきますよ」
 で、何を書くの。と冗談めかしてリュカは聞いた。
 何を書きましょうねえ。と、綾は首を傾げてしばし、考え込んで。
「先ずは、――魚拓かしら」
「魚拓?」
「はい」
 そうして綾は、いたずらをする子供のように微笑んで、釣竿を指さした。
「糸、引いていますよ」
「あっ」
「魚拓をとったら、食べてみましょう。私は調理が出来ないので、いっそ生にしましょうか」
 いつぞやのように嘯く綾に、リュカは肩をすくめる。
「捌けるの?」
 捌けないだろう。と暗にいうようなリュカの言葉に、
「やってみましょう」
 リュカの返答に綾は笑顔の無駄遣いをしながら答えた。なお、できるとはいってない。
 ともあれ、今度の魚釣りだけは、無事に成功と相成りそうだ。
 その後の料理となると、さて。どうなったかは、わからない……。
「ところで魚拓って何。何のためにするの」
「それはですね……」
 まだまだ釣りは終わりそうにないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
【花雪】
アドリブ歓迎

景雪から誘われて遊びに来たよ。
海、大丈夫になったんだね…!
ここの海はどんな色だろう?

ここは遊べる場所だから、海の家がきっとあるね。
海の家は知ってる?
食べ物とか、海で遊べるものとかが売っている休憩所みたいなところなんだよ。
せっかくだからよってみようか!
景雪はかき氷なんだね、ボクはじゃあ焼きトウモロコシ!
がぶがぶ食べるのがとっても美味しいの~!
わ、頭がキーンとしてきちゃった?大丈夫…?
痛いの痛いの飛んでいけ…!
は、ボクの【生まれながらの光】効くかな!?
頑張って全部食べるんだよ~!

身体、冷えちゃった?
お外が温かいから砂浜でちょっと休もう!
落ち着いたら何か遊ぼうね!何がいいかな…?


叶・景雪
【花雪】
アドリブ歓迎
難しい漢字は平仮名使用
名前以外カタカナはNG

水はこわくないよっておねえさんがおしえてくれたから、
もっとすきになれるかなって、おねえさんをさそって
あそびにきたよ(ふんす!

海の家にはじめて来たけど…あ、あれ!とってもおいしそうだよ!
(苺のかき氷指差し
「これが、かき氷…?ひえひえあまあまで、おいしいね!」
(お口の中が冷え冷えになりどんどん食べたら頭がきーんとし涙目に
「うぅ、おねえさん…」

かき氷でひえひえになったらお外がこいしくなったから
手をさし出し
「あのね、ぼくもおねえさんにおしえられることがあったの
思い出したよ」
元の主さまがつりが得意だったから、これなら教えられるよ(釣り竿掲げ



「海だよ!」
「海だねー」
 叶・景雪(氷刃の・f03754)が楽しそうに声を上げて、そのはしゃぎように瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)はうんうん、と頷いた。何やら感慨深い様子で、カデルは景雪のほうに視線を向ける。
「海、大丈夫になったんだね……!」
「ふふ」
 今日は景雪がカデルを誘ったのだ。海に、水に、少し苦手がある景雪であったが、先日の特訓の成果が出たのかと思うとカデルも嬉しい。そんな思いに、景雪も得意げに胸を張る。
「水はこわくないよっておねえさんがおしえてくれたから、もっとすきになれるかなっ……て。おねえさんがいたら、もっともっとすきになるかな……、って!」
「そう言って貰えると、なんだか嬉しいなあ」
 ストレートにそう言って笑顔を向けられると、何とも嬉しいものがある。カデルが頷くと、ふんすと景雪も胸を張って、
「海よー! あそびにきたよ」
「なになに? それ」
「海にきたら、こういうふうに言うんだってさっきすれちがったおにいさんが言ってた」
「なるほど……!」
 得意げな景雪の言葉に、カデルも感心したようにうなずく。そうしてカデルも、笑って海に向かって声をかけた。
「景雪から誘われて遊びに来たよ。……ここの海はどんな色だろう?」
 特に海からの返答はない。
 ただ、美しい波の音が返ってきて、それだけで二人楽しくて。顔を見合わせて、笑った。

「ここは遊べる場所だから、海の家がきっとあるね。……海の家は知ってる?」
「海の家? 海にもおうちがあるの?」
「うーん。そういうわけじゃないんだよ……。でも、そういわれてみれば不思議な名前だね」
 きょとん、と首を傾げる景雪に、カデルもうーん? と首を傾げる。それから、
「食べ物とか、海で遊べるものとかが売っている休憩所みたいなところなんだよ。せっかくだからよってみようか!」
「食べもの……。うん! 行く!」
 行こう、と、その言葉を聞くだけで景雪は嬉しそうになって、思わず走り出した。
「あっ。景雪、海の家は海のほうにあるんじゃないんだよ……!」
 場所も知らずに走り出す景雪に、笑ってカデルはそのあとを追いかけた。

「おぉぉぉぉ……!」
 海の家は、景雪が今迄入った料亭や喫茶店とは少し違う。
 砂の上にある建物は、日よけがしてあって、いかにも安物のようなベンチやテーブルが並んでいる。奥の方には畳もどきが並んだ座敷もあるが、せっかくだから砂の感触を楽しみたいので今日はベンチでいいだろう。
「海の家にはじめて来たけど……あ、あれ! あれ、なんだろう?? とってもおいしそうだよ!」
 そんなことより。景雪はすでに、すれ違った誰かが持っていた不思議な食べ物に夢中である。
「んー。どれどれ?」
「ええと、ええとね……あれ!」
「ああ」
 景雪の言葉に気付いて、カデルは頷く。カウンターを目指すと、
「景雪はかき氷なんだね、ボクはじゃあ焼きトウモロコシ!」
 お金を払って、苺のかき氷と焼きトウモロコシを貰い、席へと戻ってきた。
「わぁわぁ。ありがとうだよ! ……いただきます!」
「いただきまーす」
 感動する景雪が、がっ! と、かき氷を豪快に掬って口に入れる。
「これが、かき氷…?ひえひえあまあまで、おいしいね!」
「そうそう。がぶがぶ食べるのがとっても美味しいの~!」
 カデルがトウモロコシを齧りながら、うんうん、と頷いた。
「がぶがぶだね、わかった~!」
「うん、涼しくなるでしょう?」
 笑顔のカデルは、別に悪気があったわけではない。わけではないのだが……、
 景雪のがぶがぶぶりを、見誤っていたともいえるかもしれない。
「うぅ、おねえさん…」
「え!?」
 丁度カデルがトウモロコシを食べ終わるころ、なんだかぐったりとした景雪の声に、カデルは慌てて顔を上げるのであった。
「わ、頭がキーンとしてきちゃった? 大丈夫……?」
「なんだか頭が変だよぅ……」
 両手で頭を押さえて抱え込む景雪。カデルがわたわたと両手を振る。
「わあ、たいへん! 痛いの痛いの飛んでいけ……!」
 撫でてみる。どう!? と聞くと、ちょっとよくなったかも……? という返答が景雪よりあったが、どちらかというと無理している雰囲気が強く感じられるその言葉に、カデルはうーん、と、思わず難しい顔をして考えこんで、
「は、ボクの光でなおせないかな!? ほらほら、景雪! 優しい光~」
「わあ……っ」
 ふわふわと包み込むようにして振ってくる光に、景雪の頭痛も癒されて行く。
「おねえさん。なんだかとってもらくになったよ」
「本当? だったらよかった……!」
 目を輝かせて微笑むカデル。よかったよかった、と、笑いながらも、
「頑張って全部食べるんだよ~!」
「……!」
 当然である。お残しはいけない。しかし言われたカデルの言葉に、思わず景雪はぐぐぐ、と、視線をかき氷に落とすのであった……。
「が、頑張るよ……!」

 そして。
「うーん。なんだかお外が恋しくなったよ……」
 へにょり。と、完食、のち。体がひえひえになった景雪である。
 その様子に、うんうん、と、カデルは頷く。
「身体、冷えちゃった? お外が温かいから砂浜でちょっと休もう!」
「なるほど……! お外があったかいのは、そのためだったんだね……!」
 カデルの言葉に、途端にがばちょっ。と、顔を上げる景雪。
「うんっ。落ち着いたら何か遊ぼうね! 何がいいかな……?」
 うーん。と首を傾げて言うカデルに、さっきまでのへんにょり具合はどこへやら。景雪はポーンと立ち上がって、カデルのほうへ手を差し出した。
「あのね、ぼくもおねえさんにおしえられることがあったの。思い出したよっ」
「教えられること?」
「うんっ!」
 景雪はカデルの手を取ると、今にも駆けだしそうなわくわくした表情で、得意げに笑った。
「元の主さまがつりが得意だったから、これなら教えられるよ!」
「わあ……!」
 釣り! と、嬉しそうに声を上げるカデルに、つり! と嬉しそうに景雪も答えて。
 そうして二人、海へ向かって走り出した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
海ダー。賢い君、賢い君、どうする?どうしよう?
うんうん。そうだそうだ、コレは釣りをするする。

アァ……。
リュカ、リュカ、ハロゥハロゥ。
コレは釣りをしている。
賢い君がしようって言ったンだ。
ほらほら、賢い君がとってくれるヨ。

そう言えば、あれから沢山釣りをしたンだ。
不思議な世界で光る玉も釣り上げただろ。
それからトモダチと魚を釣った釣った。
上手くなったンだ。餌も忘れてない。賢い?賢い?

アァ、引っかかったなァ……。
少し泳がせて、それから釣り上げるンだ。
見て見て、小さいケド釣れた。
このまま食べれないのは残念だなァ。
リュカにも魚を食べてもらいたかった。

もっと大きな魚を釣ったらまーた教えるヨ



 ざざん。
 ざざざざざん。
 波の音が聞こえる。波の音を聞きながら、エンジ・カラカ(六月・f06959)は何やら難しげな顔をして考えこんでいた。そして、
「海ダー。海海。……賢い君、賢い君、どうする? どうしよう?」
 今回のお題はそれである。うーん? と相棒の賢い君を見つめる。赤い糸が潮風に乗って揺れる。揺れる賢い君は何処か何かをうっ滞かけている……ようで、
「うんうん。そうだそうだ、そういうことダ」
 なるほどなるほど。って、エンジは腕を組んで、感心したようにうなずいたのであった。
「コレは釣りをするする。魚もいっぱい釣ってみヨウ」
 そうと決まれば善は急げ。ふんふんふん。とご機嫌に鼻歌でも歌いながら、釣り人連なる波止場のほうへと向かっていく。さあやろう。なんて、海の中を覗き込んで、
「……そういえば、釣りには餌がいるはずダ」
 忘れてた。とばかりに一度引き返したのはご愛敬であった。
 釣りの餌を買ってきて、波止のふちから賢い君を投げ込む。
「……」
 そうして、待つこと数分。
「……お兄さん、何してるの?」
 徐に顔を上げて何やら作業をするエンジに、リュカが声をかけた。
「アァ……。リュカ、リュカ、ハロゥハロゥ」
 声に、エンジは顔を上げると、問いに応えるようにちらりと海面に目をやる。
「コレは釣りをしている。賢い君がしようって言ったンだ」
「へえ……? それ、大丈夫なの?」
 諸々。……色々。それでいいの、みたいな、非常にあいまいな問い方をするリュカに、エンジは大いに頷いた。
「イイノイイノ。ほらほら、賢い君がとってくれるヨ」
 大物獲ってくるヨ。なんて、ふるふる釣り糸を揺らしながら主張するエンジに、リュカはしばし瞬きをして糸の先を見やる。
「……大丈夫かな」
「リュカは心配性だなァ」
「こればっかりは性分だね」
 変わらない。と、リュカが言った。変わらない。とエンジは反芻して、瞬きをする。
「そう言えば」
「うん?」
「あれから沢山釣りをしたンだ」
 あれから。いわれて、リュカは少し考えこむ。思い出したのは……、
「ああ、あれから」
 なんだか懐かしい。
「お兄さんが餌もつけずに糸を垂らしてごろごろしてた時」
「思い出した?」
「うん。……それで、いろいろ釣れた?」
「あァ。不思議な世界で光る玉も釣り上げただろ。それからトモダチと魚を釣った釣った」
 指折り数えるエンジに、ふんふん、と、頷くリュカ。
「上手くなったンだ。今だって餌も忘れてない。賢い? 賢い?」
 そういいながらリュカの顔を見るエンジは、何処か得意げな顔をしていた。ふ、と、リュカは思わず笑いながら、
「うん、お兄さん、えらい」
「やった。偉イ偉イ」
 拍手、と、ご機嫌にエンジは自分で自分に拍手をする。釣られるようにリュカも拍手をしたとき、
「アァ、引っかかったなァ……」
「え、本当?」
 釣り竿が揺れていた。声を上げたエンジに、思わずリュカもその手元を覗き込む。
「じゃあ、釣りあげなきゃ」
「まだまだ。少し泳がせて、それから釣り上げるンだ。コレは上手くなったンだ。ちゃーんと、わかってる」
「それじゃあ、いつ頃?」
「うーん………………………………今ゴロ!」
 ばっ。と。
 一瞬のすきを見るように、エンジは賢い君を引く。そうして一気に魚を地上へと引き上げた。
「わ……! 本当だ。釣れた!」
 釣れてる。釣れてる。と。驚いたようにその魚を見上げるリュカ。その魔にもエンジは空中で魚をキャッチする。
「見て見て、小さいケド釣れた」
「うん、連れてる。……本当に釣れるんだなあ」
 あのころ。餌もつけずになぜ釣れないのかもわからなかった頃を思い出せば、何とも感慨深いことであった。見せて、とリュカも肴を覗き込む。
「このまま食べれないのは残念だなァ。……リュカにも魚を食べてもらいたかった」
「でも、釣れたじゃないか。……来年あたりは、大きいのを釣って、一緒に食べられるかもしれないよ」
「来年? 気の長い話だなァ」
 それもまた楽しそう。なんてエンジが笑うと、
「じゃあじゃあ、もっと大きな魚を釣ったらまーた教えるヨ」
「うん、楽しみに待ってる」
 ひらりとエンジは手を振って、リュカも小さく頷いた。
 きっとたぶん、そんな約束をするだけでも互いに楽しくて、楽しみで。
 ご機嫌にまたねと言って、次の約束とするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルジール・エグマリヌ
シュデラ/f13408と

海でのバカンス
密かに憧れていたんだ
そうだね、めいっぱい楽しもう

バーベキュー
ああ、レジャーの定番だね
魚捌くところ、見てみたいな

私は――君達を待ってる間
飲み物とかジェラートを冷やしておくね

わあ……大漁だ
お疲れ様、ハーキマー
君はとてもいい子だね、よしよし

解体前の魚ってこんな形してるんだ
そんな風に捌いて行くのか
ずっと見てても飽きない程に面白くて
――とても美味しそう

いただきますと口へ運べば
新鮮な魚介の味が口に広がって
……うん、美味しい

そうだ、冷やしていたワインを開けよう
シーフードとのマリアージュも完璧な筈
勿論、君が造ったグラスで乾杯を
ジェラートもどうぞ、遠慮なく召し上がれ


シュデラ・テノーフォン
ヴィル君【f13490】同行

海の綺麗な島でバカンスなんて最高じゃないか
思いっきり楽しもう

ヴィル君魚捌いた所見た事無いんだっけ
じゃあ思いっきりバーベキューしようそうしよう
多分一式どっかから借りれるよ
食材はハーキマーが獲ってくるよその間に準備するね
…って早いね有難う
次は俺が泳いで狩って来るよ

料理の趣味を活かして彼の前で魚や貝を解体し部位分け
新鮮なのは生食も込みで、焼く時は豪快に
味付けはBARの店主を信じて任せて、なんて

さぁどれでも良いよ、召し上がれ
俺も合間に、勿論君もどうぞハーキマー

おやいいワインじゃないか
ちゃんと自作のグラス持ってきたよ、乾杯しようか
ジェラートも結構楽しみなんだ。もう食べていい?



 波の音が聞こえている。
 故郷では、本物を聞くことはまずないだろうと思っていた。その音色にヴィルジール・エグマリヌ(アルデバランの死神・f13490)が耳を傾けていると、
「海の綺麗な島でバカンスなんて最高じゃないか。思いっきり楽しもう」
 シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)が穏やかに微笑んだ。
「……ああ」
 その言葉に、ヴィルジールは顔を上げる。まばゆいばかりの太陽も、果てのない美しい海も逃げやしない。
「海でのバカンス、密かに憧れていたんだ。……そうだね、めいっぱい楽しもう」
 ヴィルジールの思いが滲み出るような声音に、シュデラはふふ、と笑ったままで、
「ヴィル君魚捌いた所見た事無いんだっけ。じゃあ思いっきりバーベキューしようそうしよう」
「バーベキュー?」
 言われてヴィルジールはしばし考えこむ。そして出てきた答えに、頷いた。
「ああ、レジャーの定番だね。勿論、魚捌くところ、見てみたいな」
「じゃあ、善は急げだね。……おいで、ハーキマー」
 シュデラが自分と許可した者のみ見える透明な有翼狼を召喚する。
「聞いていただろう? 魚を……って、もういない」
「ハーキマー、よろしく頼むね」
 ばびゅん! と、皆まで言うなとばかりにかけていく狼を見送って、シュデラが若干呆れたように言うので、ヴィルジールは笑って軽く、見送るように手を振った。
「さて。それじゃあ私は――君達を待ってる間、飲み物とかジェラートを冷やしておくね」
 見送ってから、さて何が自分にできるだろう、とヴィルジールは考える。料理のことは、たぶん任せておいたほうがいい。そう結論付けたヴィルジールに、シュデラも頷く。
「じゃあ、こっちはバーベキューの準備だね。大丈夫、多分一式どっかから借りれるよ。ハーキマーが食材を獲ってくるその間に……」
 ばびゅんっ。と。
 翼が風を切る気配がして、二人の間を風が通り抜けた。
 そうしてどさどさどさ。と。二人の間に積み上げられる魚たち。
「……って早いね有難う」
 どやっ。と得意げな顔をするハーキマーに、シュデラが思わず笑いを盛らせる。
「わあ……大漁だ。お疲れ様、ハーキマー。君はとてもいい子だね、よしよし」
 ヴィルジールが感心したようにハーキマーの頭を撫でるので、食べるものにはいつも全力投球な狼はパタパタと尻尾を振ってとてもうれしそうだ。シュデラはその様子に肩をすくめて、
「次は俺が泳いで狩って来るよ」
 なんて、言いながらも準備を急ぐのであった。

 バーベキューセットに、簡単なまな板や包丁などの調理道具。
「解体前の魚ってこんな形してるんだ」
 覗き込むヴィルジールに、シュデラは笑う。
「そうそう。ここを叩いて、内臓を取り出して……」
「そんな風に捌いて行くのか……」
「ヴィル君、ちょっと近いよ」
 物凄く近づいて見に来るヴィルジールに、シュデラが声を上げて笑う。これだと手元が見えない。なんて言う彼に、
「ごめん。ずっと見てても飽きない程に面白くて。――とても美味しそう」
「それはよかった。獲れたてだ、生にするのもよし、豪快に焼くもよし……」
 味付けはBARの店主を信じて任せて、なんて、笑いかけるシュデラに、もとよりそのつもりとヴィルジールと、ついでにハーキマーが真剣な顔をして頷く。こういうことは本職に任せておけばいいのだ。
「せっかくだから、バーベキューって言ってもちょっと味をつけて……」
 そうこうしている間に、どんどんおいしそうなにおいが立ち込めてくる。ヴィルジールはハーキマーとともにそわそわしながらも、手伝いなどをしていると……、
「さぁどれでも良いよ、召し上がれ」
 ついにシュデラがそう言って、ヴィルジールはおお、と魚たちに目を落とす。ハーキマーが何か言いたげにじっとシュデラの顔を見れば、
「俺も合間に貰うし、勿論君もどうぞハーキマー」
 ひらひらとシュデラが手を振るので、嬉しそうにハーキマーも頷いた。
「それでは……いただきます」
 ハーキマーと共にヴィルジールも、とれたて焼きたての魚に一口、かぶりつく。
 何の魚だろうか。残念ながらヴィルジールにはわからない。獲れたての魚の味を比べるなんてことはしたことがない。
 だが、食べた途端に口の中いっぱいに広がる魚介の味に……、
「……うん、美味しい」
 一つ、力強く頷くヴィルジールを。シュデラは優しい目で見ていた。
「そ、それはよかったね」
 一見そっけないとも取れるその言葉は暖かい。一度、二度、ヴィルジールは頷いて、手を止めることなく魚たちを口に入れる。それをシュデラは見ながら、少しお裾分けを頂くように箸を向けるので、
「……そうだ、冷やしていたワインを開けよう」
 その顔を見た、ヴィルジールが思い出したように声を上げた。
「シーフードとのマリアージュも完璧な筈……」
 そういいながらも、出してきたワインをシュデラは覗き込む。今度はシュデラが、嬉しそうな声を上げる番だった。
「おやいいワインじゃないか」
 ふふ、と、何だか得意げな顔をして。それからシュデラはグラスを準備する。
「ちゃんと自作のグラス持ってきたよ、乾杯しようか」
「勿論、君が造ったグラスで乾杯をしよう。もうずいぶん、食事が進んでしまっているけれど」
「問題ないね。いつだって乾杯したいときに乾杯すればいいんだから」
 ヴィルジールの言葉も気にせずシュデラはグラスの準備をする。そうして乾杯、と二人楽しげにグラスを合わせれば、
「ジェラートも結構楽しみなんだ。もう食べていい?」
「ジェラートもどうぞ、遠慮なく召し上がれ」
 シュデラとヴィルジールの声が合わさって。二人は顔を見合わせて、笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿と釣りをします
春暁を呼び出して、彼女には魚影を探して貰いましょうか
烈殿には魚が釣れたらお裾分けしましょうね

活餌を付けて糸を垂らしてのんびりと
えぇ、去年の川釣りを思い出しますね
あれから季節が一周しているとは早いものです
なかなかに警戒心の強い魚ばかりで全く釣れなかったのが残念でしたが

……一年、です
あれから世界では色々な事がありました
それから……私達にも

私の友人として、何気ない話をして過ごした時もかけがえのないものですが
今こうして過ごす時は去年以上に愛おしい

時が流れる事を嬉しく思うのは、いつ振りのことだろうか

倫太郎殿、引いて……私のも来たようです
釣果も去年と同じにはいきませんね


篝・倫太郎
【華禱】
釣り糸垂らしてのんびり過ごす
今回は烈も一緒
つっても俺の影で寝てるけど
釣れたら食わせてやろ

活餌を付けて糸を垂らせば
自然とエンパイアで一緒に釣りをした時の事を思い出す
あん時は川で釣果は散々だったんだよなぁ……
引きは良いのに釣れねぇっていう

もう一年になんのかー
そっかー

一年前
まだ、エンパイアが戦争の舞台になるなんて思ってなかった頃
まだ、夜彦が辿り着く先を知らなかった頃
まだ、自分の気持ちも判ってなかった頃

一年で色々あった
そんな事を思いながら
夜彦と二人こうして過ごすのはやっぱり落ち着く

重ねて行ける喜びがあることを
この人が思い出せてるならいい――

うぉっと!引いてる!
今日はお互いに釣果、期待してぇな!



 波止場で二人、釣竿を持って。
 腰を落ち着けて、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は日差しにのんびりと目を細めた。傍らにはバディペットの烈がいて、何をしているのかというと、倫太郎の影に入ってのんびりとぐっすりと眠りこんでいるところであった。
「春暁、様子はいかがですか」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)がその傍らで、これまたのんびりと声を上げた。夜彦に指笛によって呼ばれたイヌワシが、空をくるりと旋回して一声、鳴いている。
「……なんて?」
「あのあたりに魚の影があるそうですよ」
「つってもあそこだと行けないからなー……」
 少し離れたところを旋回している春暁に、倫太郎が軽く頭を掻く。ふふ、と夜彦も笑った。波止……堤防が伸びていないところには、さすがに行くことができない。
「烈殿に追い込んでもらいましょうか」
「それ……本気で言ってないだろー?」
「ええ、勿論」
 こんなにぐっすり寝ているわんこを起こすなんてもったいない。
 思わず笑う夜彦に、倫太郎も苦笑した。
「でも、あそこだと、少しでもあっちの方行ったら釣れそうなんじゃねぇの?」
「わかりました。少し移動しましょう」
 そんなことを話しながら、河岸を変える二人に、影がなくなった烈がうぬーっ。と顔を上げていた。
「ふふ。烈殿には魚が釣れたらお裾分けいたしますね」
「だな。釣れたら食わせてやろ」
 楽しげに語る主人たちの顔を、烈は「釣れたらいいけどねえ……」みたいな若干不審そうな目で、見つめるのであった。

 そうしてほんの少し場所を変えて。
 けれどもすることは変わらない。
 活餌を付けて糸を垂らしてのんびりと。
「そーいや」
 輝く太陽のもと、そんな感じで約体もない会話をしていれば、自然と倫太郎も夜彦も、話は一年前の話になる。
「あん時は川で釣果は散々だったんだよなぁ……」
 口の端に登るのは、エンパイアで一緒に釣りをしたときのことだ。
「引きは良いのに釣れねぇっていう、なんだそれーっ、って、やつ」
「ああ……確かに、ええ。えぇ、去年の川釣りを思い出しますね」
 同じ経験を想像したのか、夜彦もほんの少し笑って、
「なかなかに警戒心の強い魚ばかりで、全く釣れなかったのが残念でしたが」
「だよなー」
 倫太郎も思い出して何となく照れたようにそうそう、と頷いた。よく釣れたならいいけれども、釣れなかったというのは……まあ、でもやっぱり、いい思い出だろう。
「もう一年になんのかー。そっかー」
「一年で色々あった。あれから季節が一周しているとは早いものです」
「そーだな」
 うなずいて。倫太郎も一年前に思いをはせる。
 まだ、エンパイアが戦争の舞台になるなんて思ってなかった頃。
 まだ、夜彦が辿り着く先を知らなかった頃。
 ……まだ、自分の気持ちも判ってなかった頃。
「……」
「……一年、です」
 遠い昔に、思いをはせて。夜彦のしみじみとした呟きに、そうだな、と、倫太郎は少しだけ神妙に同意する。
「あれから世界では色々な事がありました。それから……私達にも」
「……ああ」
 本当に、いろんなことがあった。
 そんな事を思いながら、夜彦と二人こうして過ごすのはやっぱり落ち着く、なんて。
 口には出さないけれども、内心しみじみと頷いたりしている倫太郎であったが……、
「私の友人として、何気ない話をして過ごした時もかけがえのないものですが……今こうして過ごす時は去年以上に愛おしい」
「……」
 さくっと流れるように言われた言葉に、おぅ、と、倫太郎は思わず言葉に詰まった。夜彦は時々、こういうことを素で不意打ちする。
 何ともストレートな言葉に、倫太郎は頷いて。ほんの少し言葉を探している、その間に。
「時が流れる事を嬉しく思うのは、いつ振りのことだろうか」
 何ともしみじみと、夜彦が言うので、倫太郎はその言葉を飲み込んだ。
(夜彦……。重ねて行ける喜びがあることを、この人が思い出せてるならいい――)
 どんな言葉よりも、その言葉が嬉しくて。
 けれども、なんだかそれを口に出すのもはばかられて。
 この想いは胸の内に……なんて、倫太郎が考えていた。……ところで、
「倫太郎殿、引いて……私のも来たようです」
 そんな雰囲気を全く気にしないかのように、おもむろに夜彦がそういった。
「!? うぉっと! 引いてる」
 はっ。と気付くと、倫太郎の釣り竿も引いていた。
「今日はお互いに釣果、期待してぇな!」
「ふふ、勿論。釣果も去年と同じにはいきませんね」
 一瞬にして明るい空気になるが、それもまた楽しい。顔を見合わせて、二人ふふん、と笑いあうと、応援するように春暁が頭上を旋回し、起きてきた烈も海面を覗き込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
リュカの予定は空いているかな
貴方と少し遊びたいのだけれど

泳ぐ予定があるのなら、少しオレに付き合ってくれないかい?
コーラルリーフがあるんだ、シュノーケリングなんてどうだろう

フィンだけつけて、風の精霊の力を借りてリュカの頭を空気の膜で包み
ほら、これで一時、海でも貴方は自由だ
呼吸の心配はいらない
オレは元々酸素補給目的で呼吸はしていないから空気はいらないしね

色とりどりの魚たち
餌を撒いたら貴方の周りに寄ってくるかな
通り過ぎる海亀の甲羅に手を置けば、どこに連れていってくれるだろう

一頻り探検したら海面に顔を出して
空を見上げ
海も空も広いね、リュカ
青に吸い込まれそうだ

リュカ
貴方と遊ぶと、オレは結構「楽しい」よ



「リュカ」
 ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)は砂浜で、ふっと周囲を見回してその姿を見つけると声をかけた。
「あ、お兄さん」
「うん。リュカの予定は空いているかな。貴方と少し遊びたいのだけれど」
 抑揚少なくそう言って、わずかに首を傾げるディフ。
「勿論。なにして遊ぶ? 走る? 泳ぐ?」
 割と遊ぶには程遠い遊びを並べるリュカの顔はいたって真面目である。対するディフもいたって真面目な顔で一つ頷く。
「泳ぐ予定があるのなら、少しオレに付き合ってくれないかい? ……コーラルリーフがあるんだ、シュノーケリングなんてどうだろう」
 コーラルリーフ。その言葉に、リュカは瞬きをしてしばし考えこむ。
「コーラルリーフって、何?」
「ええと……サンゴ礁だよ」
 そこまで言って、ふ、とディフは思いいたる。そうしてほんの少しだけ、つけ足した。
「動かないし、安全だから襲ってこないし、その点は心配しなくていい。その分食べ物になったり、弾丸になったりはしないけれどもね。持って帰るのは、良くないよ。でも、とても綺麗なんだ」
「そうなんだ……。うん、勿論行くよ。行ってみよう」
 気になっていたことを先回りして回答してもらったので、それなら何にも問題はない、と、頷くリュカ。そうして、
「ところで……なんで俺の言いたいこと、わかったの?」
「うーん……なんでだろうね?」
 尋ねられた言葉に、ディフ自身も首を傾げるのであった。何となくそんな気がしたのだった。

「それじゃあ……フィン」
 そうして海の中に潜ることになった二人だが。その前に、と、ディフは精霊を召喚する。
「ほら、これで一時、海でも貴方は自由だ」
 呼吸の心配はいらない。と、リュカの頭を空気の膜で包む。へえ……と、リュカは何気なく自分の頬を触ってみる。もちろん今は海上だから、その効果はよくわからないので。一度軽く海の中に潜ってみると、
「……ほんとだ。これは便利だね」
 いい感じに呼吸ができる。若干驚いたような顔をするリュカに、うん、とディフも頷いた。
「気に言って貰えたなら、良かった。さあ、行ってみよう」
「……待って、お兄さんは?」
 あれ、と首を傾げるリュカに、ディフは小さく頷いた。
「オレは元々酸素補給目的で呼吸はしていないから空気はいらないからね」
 平気だ。と。水の中へと潜っていくディフ。
「なるほど。便利だね」
「人の身体は、不便だよね。けれどもその不便なところだって、とても魅力的なのだけれど」
 そんなことを言いながら、リュカもそのあとを追いかけた。

 海には様々な魚がいる。
 特にこの辺りは暖かいからか、熱帯魚のような色とりどりの美しい魚たちが海の中に散らばっていて、見ているだけで目が和むようであった。
(餌を撒いたら貴方の周りに寄ってくるかな……)
(やってみようよ。俺は餌を撒くから、お兄さんは捕まえる係ね)
(どうして捕まえること前提なのだろうね……)
 もちろん餌を撒いたら魚は喜んで寄ってくるので、捕まえないよ。なんてディフはジェスチャーをしてみたり。
(あ。海亀……)
 すいーっ。と泳ぐウミガメに、何を思ったのかふっと、優しく手を添えるディフ。そして、
(お兄さん……お兄さん、どこに行くの!?)
(うーん……どこに連れていってくれるだろう……?)
(それちょっと洒落になってないから、ほら、手……っ)
 まるで竜宮城を目指すかのように、奥へ、奥へ……と泳ぎ出す海亀に、慌ててリュカが手を伸ばディフを捕まえたり。
 海の中は普段との生活からかけ離れた、不思議なことでいっぱいで。
(ところで、ほら。コーラルリーフがあっちにも)
(なんで、こんな色をしてるんだろうね……)
 泳いだり、観察したり。
 やれることもやりたいこともたくさんで。
 一頻り探検したら、二人海面に顔を出してふー。と一息つくのであった。
「ああ。おかげさまですごい潜った……。ありがとう」
「いや、どういたしまして、と、こちらこそありがとう、だよ」
 酸素の問題は解決されたが、なんとなく深呼吸したくなる。そんなリュカに、ディフも頷いて、ふと空を見上げた。
「……海も空も広いね、リュカ」
 そうすると、天に広がる真っ青な空が目に入る。
「青に吸い込まれそうだ……」
「うん。どちらも青いんだけれどもね……」
 なのに同じじゃないなんて不思議だね、とリュカも小さく頷く。……そんな風に、空を見ていたら、
「リュカ」
「んー?」
「貴方と遊ぶと、オレは結構「楽しい」よ」
「……どうしたの、急に」
「急じゃないけど、なんとなくだよ」
「そう……。俺も楽しいよ」
 互いに、楽しい。そうであるなら、何よりのことである。
 そんなやり取りに、顔を見合わせて、二人。……ほんの少し、笑って頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドガー・ブライトマン
さあ、行こうナルエリ君(f27474)!
必要な道具は近くで借りてゆく
フフ、そうだろう。私は光に恵まれる性質なのさ

朝の光が差し込む海を潜ってゆくんだ
鮮やかな珊瑚に魚、どれも見慣れなくてワクワクする
ブルーやオレンジ色のからだ
魚ってなかなかオシャレなんだねえ

海の中では声が聞こえないだろうから
面白い生き物を見つけたら手振りで伝えるよ

あ!クラゲ!ほらほら、クラゲだよ(身振り手振り)
ふわふわと浮かんでいてかわいらしい
……
あ、そうだった。クラゲに刺されたら危ないんだったね…

潜るにつれて周りはうっすら暗く
ナルエリ君、迷子になってないかな
珍しい深海の生き物が散歩していないか探す
見てみたいな、リュウグウノツカイ!


ナルエリ・プローペ
太陽は眩しく、海は青く澄んでいて
雨や曇りだったら、どうしようかと思いましたけど
さすがエドガーさん(f21503)、晴れ男を自認した通りです
早速、海の中へといきましょう

海の中は、何だか不思議です
音の聞こえ方も、景色の見え方も、陸とは何違って
あれが珊瑚で……何でしょう、見たことのない魚もいて
クラゲは実物を見るのは初めてです
あ、エドガーさん、あまり近づいては危ないですよ
でも、本当にふわふわと綺麗で。何だか透き通ったドレスみたいです

海の深くに近づくにつれて何だか真っ暗闇のようで
でも、先に行くエドガーさんを頼りに進みます
リュウグウノツカイに出会えたら
一生の夏の思い出になりそうですけど
何処かに、いないかな



 ぴかーん。と。
 青い海が輝いている。
「さあ、行こうナルエリ君! あの、大海原へ向かって!」
 びし!!!!! と。海を指さして、あくまで一見王子様然と、優雅に。しかしなぜだか胸を張ったエドガー・ブライトマン(“運命”・f21503)に、ナルエリ・プローペ(Waker・f27474)は瞬きを、一つ。
「雨や曇りだったら、どうしようかと思いましたけど……。太陽は眩しく、海は青く澄んでいて、蓋を開けてみればこれ以上にない海日和でしたね」
 エドガーのテンションも、いつものように受け止めて。ナルエリは一つ頷いて、空を仰いだ。
「さすがエドガーさん、晴れ男を自認した通りです」
「フフ、そうだろう。私は光に恵まれる性質なのさ」
「では、早速、海の中へといきましょう」
 得意げなエドガーに、なるほど、とナルエリも頷く。そう、行きましょう、というからには今日、二人にはいきたい場所がある。それはというと……、
「あ、準備などはですね……」
「問題ないよ。必要な道具は借りてきたからね」
 その辺は抜かりなかった。そう……、今日二人は、
「では行こうか、いざ、海の中へ!」
 そう……。海へと潜っていくのである!!

 ごぼごぼごぼ……。
 突入と同時に大量の空気が海面へと上がっていく。それで、空気のない海の中に来たことが、二人にもはっきりと知らせられる。
 時刻は朝。まばゆい朝の光が差し込む中を、二人、できるだけ。できるだけ。深いところまで、潜っていく。
(海の中は、何だか不思議です。音の聞こえ方も、景色の見え方も、陸とは何違って……)
 もちろん、おしゃべりなんてできないから。ナルエリは思うだけにとどめて目をいっぱいに見開いて、ゴーグル越しの世界をつぶさに観察する。
「……」
 ちょいちょい、と手を引かれた。
 ナルエリが目を向けると、エドガーの顔がそこにある。
 言葉はないけれども、その顔がわくわくしていることくらい、ナルエリにはすぐに分かった。
 エドガーは何やら楽しげに、しきりに指をさしている。ナルエリもついとそちらに視線を向けた。……珊瑚だ。
 すごいだろう! と、言いたげなエドガーの表情に、ナルエリもじぃ、と、珊瑚のほうに目を落とす。
(あれが珊瑚で……何でしょう、見たことのない魚もいて……)
 珊瑚に隠れるように、沢山の生き物が存在している。
(ブルーやオレンジ色のからだだね。魚ってなかなかオシャレなんだねえ)
 そんなナルエリと同じことを考えていたのか。エドガーはそんなことを内心で思いながら、うんうん、と、大いに頷くのであった。
 そうやって泳ぎながら、魚を追いかけたり、観察したりしていると、
「!」
 不意に、エドガーが大きく両手を振った。
(あ! クラゲ! ほらほら、クラゲだよ! ほら、見てみて!)
 踊りながらクラゲの存在をアピールするエドガー。
(エドガーさん……お腹痛いのかな?)
(ほらほら、あそこだよ、あそこ!!)
 若干通じなかったが、エドガーの必死の踊りが功を奏したのか。ほどなくしてナルエリもそのクラゲの存在に気付く。
 丁度手のひらサイズぐらいの、透明な、形状としては、どこにでもいるような、一般的なクラゲだった。
(……)
 だからこそ、ナルエリも強く惹かれた。クラゲは実物を見るのは初めてであった。本当にこんな姿をして、こんな風に泳いでいるのかと、感動さえした。
(なんだかふわふわと浮かんでいてかわいらしいね。まるでご婦人のハンカチのようで……)
 見た目から、何とも柔らかい手触りを想像させる。思わず触ってみたくなるなと、エドガーが身を乗り出したところで、
(あ、エドガーさん、あまり近づいては危ないですよ)
 ちょい、と、ちょっと強めにナルエリがエドガーの腕を引いた。
 エドガーが振り返ると、ふるふる、とナルエリは首を横に振っている。
 それから身振り手振りで、何かを伝える仕草をした。エドガーはしばらくそれを見つめていて、
(……、……! あ、そうだった。クラゲに刺されたら危ないんだったね……)
 は、と、我に返ったように、居住まいを正してこくこくと頷いたので、ナルエリは通じたのかとほっとして、ほんの少し、笑った。
(でも、本当にふわふわと綺麗で。何だか透き通ったドレスみたいです……)
 無事に離れていくクラゲたちを二人で見送る。
 ふわふわとクラゲは、やっぱりどこかで見たものと同じようにゆったりとした仕草で、海のどこかへと消えていくのであった……。
(彼らにも、返る家があって、お決まりの生活があるのでしょうか……)
 なんとなく、そんなことを思っていたナルエリであったが、エドガーに腕を引かれて、ふと視線を彼へと向ける。
 ほら、とエドガーが指をさしたのは、そんな海よりもさらに深く、深いところへ潜るための亀裂であった。
(私たちは、どこまで行けるのだろうね?)
 なんて、いたずらっ子のような眼で問いかけてくるエドガーに、ナルエリも頷く。
(行けるところまで、行ってみましょう……)
 きっと猟兵だもの。
 深海にだって、行けるはず。

 二人してどんどん、どんどん、海の底へと潜っていく。
 そのたびに、世界から光が消えて、暗くなっていく。
(エドガーさんを、見失わないように……)
(ナルエリ君、迷子になってないかな?)
 そんなことを考えながらも、二人はどんどん沈んでいった。時に見たこともない生き物とすれ違いながら。
(リュウグウノツカイに出会えたら、一生の夏の思い出になりそうですけど……。何処かに、いないかな)
(見てみたいな、リュウグウノツカイ!)
 やっぱり、おしゃべりしてもいないのに、思うことは一緒だったりして。
 深い深い海の中、ひらりと翻る何かの尾を見つけた時……、
((あっ!!))
 二人、顔を見合わせて。
 それから急いで、その尾を追いかけた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

無銘・サカガミ
【日下部・舞(f25907)と行動】

「ばかんす…嫌、と言うわけではないが…」

如何せん、水着ゆえに肌をさらしていること自体が落ち着かない原因かな。
だからこそ、人の少ないこのコテージにいるわけだが。

……こうしてぼーっとしていると、普段の喧騒がまるで幻想であったかのように感じるな。

ふと、横にいる彼女と目が合う。
こちらの身体に興味を持っているようだが…こそばゆいな。

「俺は俺だ。今も昔も、変わらずな。」
「だからその…あまり見てもらわない方が…恥ずかしい。」

「浜辺…まあ、いいけどな。」

彼女がとりだす花火セットを見て気になる。

「…やり方、教えてもらおうかな。」


日下部・舞
サカガミ君(f02636)と参加

「海でバカンス、嫌じゃなかった?」

コテージで揺蕩うような時間を過ごす
黒のドレスに身を包み、潮騒を背景に私は読書を楽しんでいた

断られるかもと思っていたけど、彼なりに夏の海を楽しんでいるみたい

ページをめくる手を止めて彼を見つめる
一見するとまだあどけなさが残る少年
ともすれば消えてしまいそうな空気を纏い、一方で達観した大人のような仕草を見せる

恥ずかしがる彼に私は頷く

もちろん彼はただの少年じゃない
額から赤い角が伸びて、体には呪術を思わせる紋様が刻まれている
羅刹の戦士で猟兵だ

「夕暮れになったら浜辺に行きたいな」

花火のセットを取り出して見せる

小さな友人の申し出に私は微笑んだ



 海水浴場の喧騒も、ここまでは届いてこない。
「海でバカンス、嫌じゃなかった?」
 のんびりとコテージのバルコニーで、デッキチェアーに腰を掛けて本を広げていた日下部・舞(BansheeII・f25907)が、ふと隣へと声をかけた。黒のドレスに身を包み、読書を楽しんでいた彼女には、まばゆいばかりの日差しもパラソルで遮られて直接は届かない。
 けれどもふと少し視線を変えれば、あたりはまばゆいばかりの光と、穏やかな海の音。真っ白い砂浜に囲まれていて。その声に若干難しい顔を……もしかしたら普段からしてこんな感じかもしれないが……していた無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)は、無表情に少し、言葉を探しているようであった。
「ばかんす……嫌、と言うわけではないが……」
 穏やかなのも、落ち着いているのもいいことだ。世界は眩しいが、二人の間はパラソルのおかげで眩しすぎるほどではないし、波の音は心地いい。平和そのものといえなくもないその世界で、
「……如何せん、水着ゆえに肌をさらしていること自体が落ち着かない原因かな」
 だからこそ、人の少ないこのコテージにいるわけだが。と。自分で自分に向かって呟くササガミに、ふふ、と舞は微笑んで。読みかけの本にしおりを挟んで、しっかりと彼のほうに向きなおった。
「……」
 優しい瞳で、舞はササガミを見つめる。ササガミはというと、その温かい視線に気づいているのかいないのか。なるほどこういう場所は確かに心地いいものだ。なんてぼんやりと自分で自分の気持ちを整理しているようであった。
 その姿を、舞はともすれば消えてしまいそうな空気を纏い、一方で達観した大人のような仕草を見せる、と、表現している。一見するとまだあどけなさが残る少年は、もちろんただの少年じゃない。……額から赤い角が伸びて、体には呪術を思わせる紋様が刻まれている、羅刹の戦士で猟兵だ。
「……なんだろう。顔に砂でもついていたのか?」
 その視線に気づいて、ふとササガミは顔を上げて舞を見た。舞と視線が合うと、舞はにっこり微笑んだ。
「ううん。なにを考えているのかな、って、思ってたのよ」
「……こうしてぼーっとしていると、普段の喧騒がまるで幻想であったかのように感じるな。と」
 優しい口調に、ササガミは口を閉ざした。改めて言葉にすると、なんだか少し照れるのである。
「あら……よかった。断られるかもと思っていたけど、ササガミ君なりに夏の海を楽しんでいてくれるみたいで」
「ああ……」
 嬉しそうな舞の言葉に、ササガミも小さく頷く。その視線に、なんとなく舞の考えを察したのだろう。
「俺は俺だ。今も昔も、変わらずな。……だからその……あまり見てもらわない方が……恥ずかしい」
「……」
 思わず。舞は黙り込んで。
 それから、そっと視線をそらした。笑ってしまっては悪いとわかっていたから、堪えたけれども。なんだかそんな言葉も、ついと横を向く仕草も、何とも趣がある。
「それは……ごめんなさいね」
「いや、謝ることでは……ない」
 と。気まずそうに添える言葉も。
 けれども、それを口に出すことはしない。
 口に出すことはしないから。自然とその場には沈黙が落ちていく。
 別段気詰まりではないけれど、なんとなく、本を開くのもはばかられて。舞はその沈黙に身を浸しながら、しばし、言葉を探すように考えた。
「……夕暮れになったら浜辺に行きたいな。実は、私」
 それで、ふと思い出したことがあって、舞は声を上げた。じゃーん、と、傍らに置いたまま、忘れかけていた花火セットを持ち上げて、ササガミのほうへと向ける。
「花火、持ってきてたのよね。さすがにここではできないから」
「浜辺……まあ、いいけどな」
 ネ。という舞の言葉に、ササガミもあいまいにうなずく。曖昧にうなずきながらも、どうにも花火が気になっているらしい、というのは、舞にはもうお見通しであった。視線でわかる。
「……やり方、教えてもらおうかな」
 それで、少しの沈黙の末、とうとうそういったササガミに、舞は嬉しそうに微笑んで、頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メルト・プティング
大好きなお友達のベアータ(f05212)さんと!

わぁい、海!海でデートですね!
スペースシップワールドの人工海とはやっぱり全然違いますっ

ってことで天然の海を堪能すべく、二人でダイビングっ
ベアータさんに体に捕まって遊覧なのです
水中では会話できないので、ボクの『念動走査』による念話コミュニケーションでいきましょう

わぁわぁ、流れるように海の景色が過ぎていってとってもキレイ
髪と尾鰭を靡かせて泳ぐベアータさんも、幻想的でステキなのですよ

って、おろ?なんか早くないです?
いや早いですねっ!?も、もうちょっとゆっくりめでキャー!!
こ、これはこれで楽しいですけど、なんかジェットコースターっぽくなってますよぅ!


ベアータ・ベルトット
親友のメルト(f00394)と
海賊に扮して元気いっぱいのメルトが眩しい

そっか。アンタには馴染薄よね、自然の海って
私に任せておきなさい、キャプテン・メルト

Orcinus Chalybsを展開し水中活動形態(水着イラスト)に
海中は不慣れだし、UCで野生感覚を底上げして…スク水メルトを背に乗せダイブ

見て、メルト!すっごく綺麗ね!
綺麗な魚達と触れ合ったり、大きな魚と併泳したり
メルトのきゃーきゃー楽しむ声にも思わず頬が緩む…って。素敵って…わ、私が!?
な、何考えてんのよっ。景色に集中しなさいっての!……嬉しいけど、むー。照れ臭い!
動揺を悟られないように…!さぁ、スピードアップよ!しっかり掴まってなさい!



「わぁい、海! 海でデートですね! しかも、ベアータさんと! 大好きなお友達のベアータさんと!」
 メルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)はピョンピョンと、砂の上をジャンプした。それと同時に、羽織った海賊衣装がものすごく豪華に揺れる。テンション高く裾をフリフリさせるメルトに、ベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)はふっと思わず微笑んだ。
「メルト、はしゃぎすぎよ」
 陽の光も眩しいが、明るすぎる親友がなんだかまぶしい。思わず目を細めたベアータに、くるりとメルトは振り返り、ガッツポーズをする。
「それはそうですよ! スペースシップワールドの人工海とはやっぱり全然違いますっ。テンションも、上がるというものです!!」
「……そっか。アンタには馴染薄よね、自然の海って」
 そりゃあもうもう。なんてせわしなくみ振り手ぶりで喜びを表現するメルトに、わかった。わかった。と、ベアータは頷いた。
「だったら、私に任せておきなさい、キャプテン・メルト。あなたが海の中で迷わないように、サポートするわ」
「きゃー! 待ってましたー!」
 やんややんや。拍手をするメルトに苦笑しながらも、ベアータはOrcinus Chalybsを展開し水中活動形態……つまりは人魚のような姿に変形する。
「それから……」
 そうしながら、ベアータは野生獣の諸感覚を精密に再現したプログラムも立ち上げる。気楽なレジャーとはいえ、気楽なレジャーだからこそ。メルトにもしものことがあってはいけないと、ベアータはいつも以上に慎重に、その能力を上げた。
「ほら、掴まって」
「はーい。それではいざ、海の世界へ突入ですー!」
 しっかり。メルトが捕まるのを確認して、ベアータは海の中へと飛び込んだ。

「はー。これが海! 天然の海! 大自然というものなのですね!」
 ごぼごぼごぼごぼごぼ。
 叫ぼうとした瞬間に大量の泡が出た。そう……ここは本物の海中! 言葉は通用せず、大自然の中にはその声は届くわけがない! ……なので、
「わー、うっかりしてました。ほんとに空気の泡がいっぱい出るのですねっ」
 さっくりメルトは念動走査を使っての念話に切り替える。それで普通に会話ができる。一連の動作を見ていたベアータは思わず笑った。大自然の海の中でも、メルトはメルトらしく楽しそうだ。
「見て、メルト! すっごく綺麗ね!」
 そんな、水遊びをするような浅い区画から、海の中に沈んでいけば、徐々に砂の底からごつごつした岩場が出現し、魚が増えてくる。
 深いところまで来たときに、メルトが指し示した。あちこちに輝くサンゴ礁や、色とりどりの魚たちが泳いでいる。海の底はどこまでも続いているようで、望めばもっと深くまで下りていくこともできるだろう。……けれど、
「わぁわぁ。魚さんたちが流れて行くのです」
 陽の指す明るい中を、その魚たちの中を泳いでいるだけでも、なんだか楽しい気分になってくる。暖かいからか色とりどりの熱帯魚のような魚たちが、二人とともに並走し、あるいは近づいたり、離れたりして、ごくごく自然に海の中を泳ぎまわる。
 まるで自然と一緒になったようなその感覚。
 スペースシップワールドでは考えられないような、果てのない。ずっと遠くまで。限りなく続く世界を、好きなように泳ぎ回るその充足感。
「流れるように海の景色が過ぎていってとってもキレイ……!」
 何を見てもきれいと、素敵と。はしゃぐメルトに、そっとベアータは視線を向けて頬を緩ませた。……こんなに、楽しんでくれると這うもわなかったから。だから嬉しい……なんて、思ってたら、
「髪と尾鰭を靡かせて泳ぐベアータさんも、幻想的でステキなのですよ」
「!?」
 唐突に言われた言葉に、ベアータは思わず急停止しそうになるのをすんでのところで堪えた。
「素敵って……わ、私が!?」
「そうですよー。お伽噺に出てくる人魚のお姫様みたいです」
「!!」
 お姫さま。そんなこと初めていわれた。思わず言葉に詰まった……あとで、
「な、ななななな何考えてんのよっ。景色に集中しなさいっての!」
「へ? おろ?」
 え、何を急に、みたいな顔でメルトはベアータを見る。その、当たり前のことを言った、みたいな顔に、ベアータは思わず言葉に詰まった。
(……嬉しいけど、むー。照れ臭い!)
 なんといえばいいのだ、こういう時。海上だと、頬が熱くなるのを自分でも感じたかもしれないが、幸か不幸か今は水の中。向こうにも恐らくは気取られないはずだろうから……、
「(とにかく、動揺を悟られないように……!) さぁ、スピードアップよ! しっかり掴まってなさい!」
「え? へ?なんか早くないです? いや早いですねっ!? も、もうちょっとゆっくりめでキャー!!」
 ばびゅん!! と、ものすごい速さで泳ぎ出すベアータに、メルトは悲鳴を上げた。
「こ、これはこれで楽しいですけど、なんかジェットコースターっぽくなってますよぅ!」
「聞こえない。聞こえないわよっ!」
「聞こえてるじゃないですかー!!」
 メルトの悲鳴が、海の中へ流れて行くのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
【星綴り】
海ですー!気持ちいいですねー♪
今日はめいっぱい遊んじゃいましょうね!

海の中はヨハンくんが来てくれなさそうですし
砂浜で遊びましょ!
サリカさん!どちらがより強い砂のお城を作れるか勝負です!
ヨハンくんは審査員です
公平にジャッジするんですよっ

という訳で作ります!
やはり強いと言えば大きい、大きいと言えば強い
特大バケツでビッグなお城を作ります
じゃーん!3Mくらいのお城が出来ました!

むむ、サリカさんもやりますね
どちらのお城が長く保つか勝負です!
サリカさんのお城目掛けて木端微塵パーンチ!

……引き分けですかねぇ
わぁ、ヨハンくんが買ってくれるんですか?
それじゃあ今度3人でお出掛けする時は私が出しますね!


六波・サリカ
【星綴り】
海です。
浜風が吹いていますね。
フム、余り海で遊んだことがありませんが何をしましょう。

出不精のヨハンはここまで来ただけでも奇跡ですから、
海の中まで引きずり込むのは可哀想ですね。
となると…。
なるほど勝負ですか。受けて立ちますよ。
こう見えても負けず嫌いなのです。

負けた方はカキ氷奢りということで。

照覧式、凝望式ウェイクアップ。
普段は弾道演算に使う機能を城作りに最大限活用しましょう。

侵攻式、ウェイクアップ
機械の右腕をシャベルに変形させて巨大な砂の城を築いてみせます。

織愛、いくら巨大な城とは言え砂ですから殴れば崩れてしまうでしょうね。
…ああ、やはり。

引き分けですからヨハンの奢りでお願いします。


ヨハン・グレイン
【星綴り】

別に、海の中に行ってきていいんですよ
その間に俺は帰るので
普段は人の都合お構いなしのくせに、
なんでこういう時だけ変に気を遣ってくるんだ……
くそ……帰れないじゃないか

はいはい、どうぞ勝手にやっててください
砂で遊ぶ幼児二人の保護者ってところだな
適当に木陰で涼みます
冷たい飲み物くらいは用意しておくか
倒れられても困る

…………まぁあの二人なら普通の砂の城にはならないか……
破壊するところまで勝負なんですか
まぁ、引き分けでしょうね
砂浜を元通りにはしてくださいよ

……引き分けだから俺の奢りはおかしくないか???
下手にごねても面倒なので出すが
いいか、これは奢りじゃなくて貸しだからな



「海です」
「海ですー!気持ちいいですねー♪」
「浜風が吹いていますね」
「はいっ。手始めにジャンプしちゃいましょう!!」
 なぜか、それやっほー! と叫ぶ三咲・織愛(綾綴・f01585)に、なぜか六波・サリカ(六波羅蜜・f01259)もやっほー、と声を挙げながらジャンプする。それを聞いてヨハン・グレイン(闇揺・f05367)は軽く頭を抱えていた。なんだろう。頭痛が痛い、みたいな顔をしていた。
「……突っ込みどころが満載だが……駄目だ。突っ込んだら絡まれる……。仲間だと思われる……」
 それだけはごめんだ、みたいな口ぶりでヨハンがうめくように言うので、織愛は腰に手を当てて主張した。
「なに、いってるんですか。ヨハンくんも、ちゃーんと、私たちの仲間ですよ! 今日はめいっぱい遊んじゃいましょうね!」
「ええ。もちろん私たちは、ヨハンのことを仲間だと思っています」
 微妙にずれた回答をする織愛に、わかっていてそんなことを言うサリカ。ますます嫌そうな顔をするヨハンに、ふっ。とサリカは横を向いて、
「フム、余り海で遊んだことがありませんが何をしましょう」
 と、まるで何事もなかったかのように尋ねるのであった。それからすかさず、
「出不精のヨハンはここまで来ただけでも奇跡ですから、海の中まで引きずり込むのは可哀想ですね」
 なんて言うので、織愛もちょっと残念そうにうなずいて、
「あ、そうですね……。海の中はヨハンくんが来てくれなさそうですし」
「いや、別に、海の中に行ってきていいんですよ。遠慮はしないでください」
 その間に俺は帰るので。
 と、いいかけたのをかろうじてヨハンは飲み込む。
 なぜって、言ったら帰れない気がしたのだ。だが……、
「そういうのは、良くありません。せっかく三人で来ているんですから。となると……」
「そうだ! 砂浜で遊びましょ! サリカさん! どちらがより強い砂のお城を作れるか勝負です!」
 目を輝かせて、主張する織愛に、ほう、とサリカもうなずく。
「なるほど勝負ですか。受けて立ちますよ。こう見えても負けず嫌いなのです」
 きらり、と、表情には出さないが、彼女の瞳もまた光った気がして、
 ヨハンはさらに、頭を抱えることになるのであった……。
 あ、これ、遅くまでかかるやつだ。残業コースだ。
「……普段は人の都合お構いなしのくせに、なんでこういう時だけ変に気を遣ってくるんだ……。くそ……帰れないじゃないか」
「ヨハンくんは審査員です。公平にジャッジするんですよっ」
「……」
 頭を抱えている間に、あれや、これやと。とんとん拍子に物事が進んでいく。いったいどういうことだろう。
「では、負けた方はカキ氷奢りということで」
「く……っ。この勝負、本気で負けるわけにはいきません……!」
「いや、かき氷ごときで何でここまで……」
「かき氷の良さがわからないなんて、ヨハンもまだまだですね」
「!? 良さがわかるとか、わからないとか、そういう話ではないのだが……?」
 表情は乏しくとも、ビシッ。と当たり前のことのようにサリカに断言されて、ヨハンは声を上げる。声を上げて、ヨハンはふ、と口を閉ざした。正しく言うと、もういろいろあきらめた、といっていい。そしてそのあきらめたような表情のまま、ずりずりと歩き出す。
「はいはい、どうぞ勝手にやっててください。出来たら教えてくださいね」
 気分は砂で遊ぶ幼児二人の保護者である。つまり、幼児に何を言っても無駄なのである。気の済むまで遊ばせなければ騒ぐに決まっている。
 適当に木陰で涼もうか、と思ったが、よくよく考えれば砂浜に木陰となると、大幅にその勝負会場から離れてしまうことになるかもしれない。
「となると……」
 ビーチパラソルを借りてビーチチェアを借りてついでに冷たい飲み物を用意しておこう。子供たちに倒れられても困る。
 もちろん自分も飲む。ビーチチェアに腰を下ろし、ジュースを飲みながら波の音でも聞いていれば……、
「……なんだかヨハンさんが、ものすごくレジャーっぽいことしてる」
「サングラスもオプションで付けたいですね」
 二人の言葉も、聞かないふりをヨハンは決め込むことにした。

 で。だ。
 そんな保護者の態度もなんのその。ふんす、と織愛は視線を今度は砂へと戻す。
「いいですよ。すごいの作って、びっくりさせてあげますから! という訳で作ります! 覚悟はよろしいですね、サリカさん!」
「勿論。覚悟もなしに戦場には立ちません。……照覧式、凝望式ウェイクアップ」
 ぶんぶんと素振りをする織愛とは裏腹に、サリカは非常に静かに、眼球に刻まれた機能を開放する。
「あ。サリカさん、やる気ですね」
「勿論。普段は弾道演算に使う機能を城作りに最大限活用しましょう。……侵攻式、ウェイクアップ」
 それから、サリカの機械の右腕がシャベルに変形する。
「それでは……行きます。巨大な砂の城を築いてみせましょう」
 そうして巨大な建築機械のようになったサリカは、どすどすどす!!! と、砂浜の砂の中にシャベルをねじ込み、書きあげ、砂の山を築き上げていくのである。
「おおお。このオーバーテクノロジー……!」
「いや、オーバーテクノロジーの意味わかってないだろ」
 見ていた織愛が、目を輝かせて大きな声を上げた。すかさずヨハンからツッコミが入るが、聞いちゃいねえ。
「これは負けてはいられませんね!! では私は……、やはり強いと言えば大きい、大きいと言えば強い……。そう、これです!!」
 どんっ!!
 取り出したるは、巨大な特大バケツである。
「これで!! ビッグなお城を作ります! パワーなら負けません!」
「……! 相手に取って……不足ありません!」
 ガシガシとバケツで砂を掘っては集めし始める織愛に、サリカもなかなかやるな、こいつ……。みたいな目で、見つめるのであった。
 ヨハンのため息は、多分聞こえなかった。

 そして……。
「じゃーん! 3Mくらいのお城が出来ました!」
 ぱんぱかぱーん!
 やけにダイナミックなお城を前に、織愛が両手をあげていた。
「ふ……。私だって、負けてはいませんよ」
 織愛の言葉に、サリカが腕を組んでいる。こちらも負けず劣らずの超巨大城である。得意げに、
「外見では、私のほうがきれいです」
「く……っ。そこは、認めます……! むむ、サリカさんもやりますね……!」
 悔し気に己の城を見つめる織愛。己の器用さ加減には若干自覚はある……のかもしれない。
「…………まぁあの二人なら普通の砂の城にはならないか……」
 そんな二人を離れたところから見ていて、ヨハンはそうコメントをさしはさんでいた。そもそも砂の城といって想像するあれとは、どうにもスケールが、違う。
「ですが城とは、王を守るためのもの! 戦いに耐えるためのもの! どちらのお城が長く保つか勝負です!」
 ばん!! と。なぜか謎の主張をする織愛に、ヨハンは持っていたジュースを吹きそうになった。
「破壊するところまで勝負なんですか」
「当然です!! 木端微塵パーンチ!」
 ずぼしゅ!!
 織愛の拳が砂の城にねじ込まれる!!
 ぼすぼすぼすん!!
 織愛の震える拳がもう一つの城をも叩き伏せる!!
「ああ……っ」
「織愛、いくら巨大な城とは言え砂ですから殴れば崩れてしまうでしょうね……」
 二つともあっけなく崩れてしまった。なんだか悲しそうな声を上げる織愛に、サリカが冷静に一つ、頷く。
「……ああ、やはり。そうなると」
「……引き分けですかねぇ」
 どっちも、強度に難がありであった。サリカと織愛、顔を見合わせて、ふう、と二人で同時に息を吐く。それで、見守り隊のヨハンが横から公平な審判の判定を下した。
「まぁ、引き分けでしょうね。……砂浜を元通りにはしてくださいよ」
「はーい」
「引き分けですからヨハンの奢りでお願いします」
 二人して、元の平面に砂を戻すまでがお遊びである。きっちり沿う要求する保護者に、織愛もサリカも頷いて砂を平らにしていたのだが。ついでのようにサリカがそう言って、
「……引き分けだから俺の奢りはおかしくないか???」
「おかしくはありません。ヨハンは審判ですから」
 素知らぬ顔でいうサリカに、ヨハンは疲れ切ったように目を細めた。
「……下手にごねても面倒なので。出しますか」
 その言葉に、ぱあっ。と、織愛の目が輝く。
「わぁ、ヨハンくんが買ってくれるんですか? それじゃあ今度3人でお出掛けする時は私が出しますね!」
「いや、いいか、これは奢りじゃなくて貸しだからな。忘れないでくださいよ」
「大丈夫、忘れはしませんよ」
 忘れないだけだけど、とでも言いたげなサリカに、ヨハンは肩をすくめて、
「……なんで俺は、何にもしてないのにこんなに疲れてるんでしょうね……?」
 なんて、ものっそしみじみ呟いたので、
 織愛とサリカは顔を見合わせて、ほんの少し。笑ってしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セロ・アルコイリス
リューカくん(f02586)、あーそーぼっ!
っていきなり水鉄砲ぶっぱなす(当たり判定お任せ)
どうです? おれもちょいとは銃の扱い慣れてきたと思いません?

去年は海に潜ったから、
今年は普通に泳ぎで勝負します?
ていうか去年も思ったけどリュカが泳げんのちょいと意外なんですよねおれ。
だってあんたバイクで旅してたでしょ?
泳ぐ機会とか無さそう

負けたほうが奢りね、いつもどおり
あ、かき氷! かき氷とかどうですか?
夏に海で喰うモンっつったらかき氷か焼きそばかフランクフルトでしょ?
ちゃんと調べてきました!(胸張り)
ええ、まあおれは別になにも喰う必要はねーんですけど
雰囲気です、雰囲気

よっし負けねーぞ、ってね!



「リューカくん、あーそーぼっ!」
 でりゃー! と、声をかけると同時にセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は水鉄砲をぶっ放した。
 ばしゃ!
 思いっきり背中に当てられて、くるりとリュカは振り返る。まさか自分でやっておいて、当たるとは思ってなかった。そんな顔をセロは一瞬、した後、
「どうです? おれもちょいとは銃の扱い慣れてきたと思いません?」
「え。う……うん、そうかも?」
 確かに、そうかもしれない……。なんて、まじめな顔をして何やら考えているリュカに、セロは真似をするように首を傾げる。
「どうしたんですかリュカ。石だと思って持ち上げたら亀だった、みたいな顔して」
「いや、お兄さんがいつになく元気だったから、ちょっと驚いただけ」
「それ、どういう意味ですか」
「そのまんまの、意味だけれど」
 解せぬ。というような顔をするリュカに、同じく解せぬ、と言いたげな顔をするセロ。一体リュカはひとのことを何だと思っているんだろう。と聞いてみたいところだったが、どうせ碌な返事などかえってくるまい。と自分でさっくり結論を出す。
「一体リュカはひとのことを、なんだと思ってるんですか?」
 そして結論を出したにもかかわらず好奇心から聞いてしまった。リュカはじっとセロを見て、
「……変」
 想像以上に碌でもなかった。しかし割と知ってた、という回答であった。
 これ以上聞いてもグダるだけだ。セロはわざとらしく軽く咳払いをしてみる。
「変だったら、多少更に変でもいいってことですよね? じゃあ、それでいいってことで……。……去年は海に潜ったから、今年は普通に泳ぎで勝負します?」
「そうだね。じゃあ、どっちが先に島一周できるかどうか」
「へ……。そこは半周ぐらいにしてーんですが」
 曲がりなりにも島なので広そうである。訂正希望を出すセロに、じゃあそれで、とリュカも頷いてコースが決定する。
「ていうか去年も思ったけどリュカが泳げんのちょいと意外なんですよねおれ」
「そうかな?」
「だってあんたバイクで旅してたでしょ? 泳ぐ機会とか無さそう」
 まずはきっちりしっかり準備運動をしながら、その合間にセロは問う。
「海はあんまりだけど、山はよく行くから。そして、だからこそ川もよくいくから。川沿いでテントで一晩とかしてたら、知らない間に雨が降って増水してた、ってことになる可能性もあるし。それに……」
「それに?」
「泳げなきゃ死ぬこともあるけど、泳げて死ぬことはないから」
「……やっぱり基準は、それなんですね」
「お兄さんこそ、どうして泳げるの?」
「おれですか? そりゃー……どうして、って聞かれると、ちょいと難しいですね。きっといろいろあるんです」
 人はなぜ泳げるのか。
 ミレナリィドールはなぜ泳げるのか。
 なぜ、というのは、いつも常に、この世の複雑さを孕んでいる……の、かもしれない。
 そんな感じで深刻なのかそうでないのかわからない口ぶりのセロに、なるほど、とリュカも小さく頷いた。
「……まあ、それは置いておこうか」
「そうそう。そうしますか。……それと、負けたほうが奢りね、いつもどおり」
「うん、望むところ。なんにする?」
 ようやく準備運動を終えた二人が、最後の取り決めを行う。はっ。とセロが顔を上げて、
「あ、かき氷! かき氷とかどうですか?」
「かき氷?」
 あれです! と、海の家を指さすセロに、リュカは首を傾げる。
「かき氷なんて、水の塊じゃないの?」
「そんな寂しいこと言わねーように。夏に海で喰うモンっつったらかき氷か焼きそばかフランクフルトでしょ?」
「んー、そうなんだ」
「そうなんです! ちゃんと調べてきました!」
「わかったよ。偉い偉い、じゃあそれで」
 胸を張るセロに、釈然としないような顔をしながらも頷くリュカ。水の塊の良さがわからない。なんて情緒のないことを言っているその隣で、
「ええ、まあおれは別になにも喰う必要はねーんですけど」
「……そういうこと言うと、情緒がないって言われるよ」
「リュカにだけは言われたかねーです。雰囲気です、雰囲気」
 二人真顔で、そんな応酬をするのであった。そうして準備運動も終わり、いざ二人は海の前に立つ。この辺スタートラインです。なんてセロが線を引いて、
「了解。ここからだね。じゃあ……」
「よっし負けねーぞ、って……」
「お兄さん、お先」
「ねぇ!? って、まだ始めって言ってねーですよ……!」
 始めの声を聞く前に、さっさと海の中に入っていく非常に大人げないリュカに、負けたりはしない……! とばかりに、急いでセロも追いかけた。
 さあ、今、かき氷をかけた熱い……かもしれない戦いが、始まる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

城島・冬青
【橙翠】

以前旅団のみんなと釣りをした時に私だけボウズだったんですよね
決して手順が間違っていたわけじゃなかったんです
でも私だけ釣れなかったんです
一匹も…
なので今日はリベンジ企画
釣りをします!

アヤネさんはいくら私がダメダメだったとしても海中から触手で捕まえた魚をコッソリ針につける〜とかそういう過保護なプレイはやめて下さいね
情けは…無用です!!

場所よし
餌よし
釣竿よし
いざ参る!
ちゃんと動画とか見て研究したんです
今回の城島冬青は前回とは違いますよ
あ、そっちの場所が良いっぽいんですか?じゃあ移動しまーす

糸を垂らしのんびりした時が過ぎる
魚が釣れたら料理しますね
任せて下さい!
塩焼きがいいかな
素揚げもいいですね


アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
みんなと釣り?
ああ氷に穴開けて魚を採った話か
思い出してみると
僕は触手を使って魚の掴み取りをしていた
釣りをした記憶がない訳だ

真面目に釣り糸を垂らしていたのはソヨゴだけだった気がするネ?
慰めてみるけど
やる気満々みたいだし付き合うよ
もしも釣れなければ奥の手を…
えっ?さすがにそこまではしないってば!
釘を刺されてしまっては釣れるように祈るしかないネ

電子ゴーグルを魚群探知用に設定
撒き餌に魚が反応する場所にさり気なくソヨゴを呼ぼう

今回は僕もちゃんと釣り道具を揃える
撒き餌を撒いて
何が釣れるかな?
釣れたらコテージに戻ろう
ソヨゴの包丁捌きに注目
二人で釣ってソヨゴが料理してくれる魚は美味しいに決まってるネ!



「以前旅団のみんなと釣りをした時に私だけボウズだったんですよねー」
 城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)がなんだかのんびりとした声音で言って、どこか遠い目をしているので、アヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)は怪訝そうに瞬きをした。
「みんなと釣り?」
 そんなことがあったんだろうかと、アヤネは不思議そうである。冬青と過ごしたことを、アヤネが忘れているはずがないし、そんな楽しげなことを、冬青がアヤネに内緒でしているはずがない……と、思うのだが……、
「決して手順が間違っていたわけじゃなかったんです。おかしなことをしていたわけじゃないんです。ちゃんとまじめにやってたんです……」
 語るたびに、だんだん目からハイライトが消えていく冬青に、アヤネは難しい顔をして……そして、思い至った。
「ああ氷に穴開けて魚を採った話か」
 多分その時のことを言っているのだろう。暗い顔をしている冬青を見ながらアヤネは思い出す。思い出してみると、アヤネは触手を使って魚の掴み取りをしていた。そりゃ、釣りをした記憶がない訳だ。
「……でも私だけ釣れなかったんです」
 アヤネにとっては楽しい思い出であったが、一方冬青の表情は暗い。なるほど。と、アヤネはほんの少し苦笑しながら、
「真面目に釣り糸を垂らしていたのはソヨゴだけだった気がするネ?」
 だから……。と。なんとなく慰めてみるも、
「一匹も……」
 沈んだ冬青の表情はさえない。さすがに可哀想になって、アヤネが冬青の肩に手を置こうとした。そのまま静かにしっとり海岸でも歩こうかと思った……その時、
「なので今日はリベンジ企画……釣りをします!」
 がばちょ!!
 ばばっ。と顔を上げて、強い瞳で海の上の太陽向かって吠える冬青。
「待っててください! さいっこうの魚を手に入れて、さいっこうの料理を作って見せますから!!」
「あ……ああ。うん」
 一瞬でやる気を燃え上がらせた冬青に、アヤネはおう、と、何とも言えない表情で一つ頷く。これは今日は、しっとりデートというわけにはいかなさそうだ。アヤネは一瞬で色んな計算を完了させる。
「……やる気満々みたいだし付き合うよ」
 そして冬青の飛び切りの笑顔を見るのだ。なに、もしも釣れなければ奥の手を……、
「あ!! アヤネさんはいくら私がダメダメだったとしても海中から触手で捕まえた魚をコッソリ針につける〜とかそういう過保護なプレイはやめて下さいね」
「!? えっ? さすがにそこまではしないってば!」
 何にも言ってなかったのに、先を越された。思わぬ台詞にアヤネは素知らぬ顔で首を横に振る。
「本当ですか? すっごく悪い顔してましたよ!」
「してないしてないしてないって」
「情けは……無用です!!」
 ぶんぶん、首を横に振って冬青は心の炎を燃やす。
「……(釘を刺されてしまっては釣れるように祈るしかないネ……)」
 そっと、アヤネは遠い目で、太陽のほうを見つめてわずかに祈りをささげるのであった。

「場所よし。餌よし。釣竿よし! ……いざ参る!」
「ソヨゴ。僕はこの辺がいいな。いい感じに涼しそうだし」
「あ、そっちの場所が良いっぽいんですか? じゃあ移動しまーす」
 カンカン照りの日陰ひとつない波止場に涼しいも何もないような気がするが、アヤネはそう主張した。気を使ったつもりだが、しっかり冬青にはバレていた。
 涼しいなんて建前だ。アヤネの電子ゴーグルはすでに魚群探知用に設定されている。恐らくこの場所ならば撒き餌に魚が反応するだろう、という計算結果が出ているのである。さりげなく誘導するつもりだったが、ばれてしまっては……、
「この辺はどうですか? 釣れる気がするんですが!」
「そこはダメ。こっちがいい」
 容赦ない。因みに冬青がのぞき込んでるところは全然だめだという計算結果が出ていた。ので、あっさりとアヤネはそういう。そうなんですか……。と、苦笑した。
「場所探しはあれでしたが、今度こそ……!」
 だがすぐに立ち直る。
「うんうん。何が釣れるかな?」
 そんなにやる気満々で逃げられやしないか。心配はするがアヤネはそれ以上考えるのはやめにして、ぶんっ!! と、全力でぶん投げられる釣り針を見送った。今回はアヤネもきちんと釣り道具を用意し、撒き餌を撒いて、まじめに釣りをする気ではあった。
「ちゃんと動画とか見て研究したんです。今回の城島冬青は前回とは違いますよ」
「そうだネ。ソヨゴのことだもの。きっと立派な魚が釣れるさ」
 真剣な顔をして水面をにらんでいたのもつかの間。
 しばらくしても魚が来る気配はなくて。何となくのんびりとした会話になる。
「魚が釣れたら料理しますね」
「うん。コテージでいいよネ。コテージに戻ろう」
 冬青の明るい提案に、アヤネも嬉しそうに笑う。
「任せて下さい! 塩焼きがいいかな。素揚げもいいですね~」
「何だっていいさ、ソヨゴの料理だもの」
 明るいおしゃべりをしている間に、糸を垂らしのんびりした時が過ぎる。
「……」
「……」
「来ません、ね……」
「あっ!」
「ああ!?」
 釣れた。
 アヤネが。
「待ってソヨゴ。これは誤解だ。そういうつもりじゃなかったんだ」
「……今日は、釣れるまで帰りません!!」
 そうして二人が遅い昼食にありつけたのは、
 もう日が傾きかけた夕方のことであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
うーんいい海だね。
こんな日はのんびりするのも一興だ。
格好もこんな感じだし頑張っちゃうぞー。

今年の水着に合わせ海の家で色々焼いたり作ったり。
さあさいらっしゃいませ、かき氷でも焼きそばでも何でもあるよー、とのんびり口調で客寄せ。
精霊術師として風とか水の魔法で快適空間作れば熱中症も大丈夫…陽射しで黒い模様熱くなったら海にダイブで冷まして解決。
へーいリュカ君(f02586)楽しんでる?と彼を見かけたら声をかけ。
折角だし何か奢るよ、と聞いて走り込み後の彼に差し出して。
遠泳に行くんだー…なら俺と勝負しない?
そろそろ休み時間だしたまには泳ぎで全力出したいし。
いけるとこまでいってみよー!

※アドリブ絡み等お任せ



 波の音がとおくにきこえてきていて、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はうんー。とのびをする。
 びかびかしている日差しも、海の生き物である彼にとってはちょうどいい肌触りだ。
「うーんいい海だねー。こんな日はのんびりするのも一興だ」
 ふふん。とヴィクトルは言いながらも、ことしの水着の裾をふんわりと翻す……翻すような裾はなかったけれども、なんとなく翻すつもりでくるりと一回転し、
「格好もこんな感じだし頑張っちゃうぞー」
 なんとなく気合を入れて、いざ、夏の海へと突入したのであった。

 そして……。
「さあさいらっしゃいませ、かき氷でも焼きそばでも何でもあるよー」
 じわじわじわじわじんわり。
 海といえば海の家!
 夏の定番、レジャーの音も。そんな海の家の中のひとつに……、
「暑い? じゃあ涼しい風送りますね~。風とか水の魔法で快適空間作ればあら安心。熱中症も大丈夫!」
「わー。お魚さん、かき氷ください!」
「はいはい。シロップは何がいいかな~?」
 なんだか超快適な海の家が今、誕生していた……!
「……なにやってるの、お兄さん」
 ランニングの途中だったのか、ものすごい胡散臭いものを見る目で、リュカが尋ねた。
「へーいリュカ君楽しんでる?」
 その言葉を聞いて、よくぞ聞いてくれました。とばかりにヴィクトルはシャチの歯をきらりと輝かせる。
「せっかくだからね。今年の水着に合わせ海の家で色々焼いたり作ったりしてるのさ」
「……レジャー施設に来てまで働くんだ」
「んー。結構楽しいよ? こういうの、好きなんだよねー」
 呑気にかき氷を削りながら言うヴィクトル。はい、どうぞ。と子供に渡せば、嬉しそうな歓声とともにかき氷を持って走っていく子供を、なんだか優しい目でヴィクトルは見つめる。
「暑いけど、ここなら陽射しで黒い模様熱くなったら、海にダイブで冷まして解決出来るし……。もしかして、天職かもしれないね!」
 どうだろう。と、胸を張るヴィクトルに、なるほど、とリュカは苦笑する。確かに、やけに貫禄あるその姿は、海の家にはぴったりマッチしていた。
「そういうわけで、折角だし何か奢るよ。なにがいい?」
「んー。じゃあ、何か腹にたまるもの」
「その、何でもいい感じやめようよ……。じゃあ俺のおすすめね」
 身もふたもないやり取りの後、ヴィクトルはお好み焼きと焼きそばとたこ焼きを提供することを心に決める。育ち盛りだし、それくらいは食べるだろう。
「これからどうするのー?」
「んー。昼からは泳ぐかな」
 そんなヴィクトルの内心を知ってか知らずか、呑気に待っているリュカにヴィクトルは尋ねた。その言葉に、なるほど、とヴィクトルも頷く。
「遠泳に行くんだー……なら俺と勝負しない?」
「海の家はいいの?」
「そろそろ休み時間だし」
「なんと」
 こんなに貫禄があるのに、アルバイトだったようだ。そうと決まれば任せて、と、ヴィクトルはうっきうきで頷く。
「たまには泳ぎで全力出したいし。いけるとこまでいってみよー!」
「ちょっと。トレーニングだから、無茶はしないでねー」
 なんだかやけにやる気なヴィクトルに、リュカもほんの少し冗談めかしてそういった。まあ、お兄さんのことだから大丈夫だろうけど、という言葉に、ヴィクトルは当然、と、得意げに軽くシャチウィンクをするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラスティベル・グラスラン
【旅人の軌跡】
アドリブ歓迎

皆さんと一緒に海に来ました!
トゥールさん、バンリさん、由奈さん
ふふ、今年の夏も新しい水着で…気合い、入ってますね!

わあっ、なんて瑞々しいスイカでしょう!
えっ、スイカ割り?わ、わたしの番ですか?
困りました、わたしが叩いたら粉々に…そっと、そーっと
あ!今、当たりましたよね!
けれど加減し過ぎて割れてません…勇者の、敗北です…(がくり)

右です由奈さん!あ、も少し左?ふらふらで今にも倒れてしまいそうっ
トゥールさんは相棒さんにご搭乗ですか!ふふ、バンリさんも、豪快にパカーンとお願いしますっ
誰かが挑めば声援に必死になり、割れれば歓声と共に雄姿を讃え
お見事でした!貴方こそが勇者です!


トゥール・ビヨン
【旅人の軌跡】
アドリブ歓迎

神楽木さんとバンリさんとソラさんとグリードオーシャンの島へレジャーに着たよ
さあ、今日は思い切り遊ぶぞ!(水着に着替える)

みんなでスイカ割りにチャレンジだ

そうそのまま真っ直ぐ
今だ!

割れたスイカは美味しく食べよう
うん、みずみずしくて甘くて美味しい

次はボクの番か
行こうパンデュール!

パンデュールに搭乗して木刀を持ってと
ボクとパンデュールにも目隠ししておかないと
わっ、これ本当に見えないぞ

落ち着いて、集中して……
みんなの声が聞こえる

よしっ、ここだ!

力はセーブしながら木刀を振り下ろそう
上手く当たったかな、パンデュールから降りて確認しよう

んー楽しかった!
また、みんなで遊びに行きたいね


神楽木・由奈
【旅人の軌跡】の4人で参加!
トゥールさん、バンリさん、ソラを誘って、島に遊びに来たよー!
この4人で海で遊ぶのは初めて! 楽しみ!
服装は、今年の水着コンテストで着ていた水着を着ていくね!

スイカ割りをすることになったー!
スイカ割りなんて、初めて! 上手く割れるかな!
あたしは目隠しされたら、よろよろ歩くだけで精一杯だよ!
ほら、見当違いのところ、叩いちゃった!

あの勇敢なソラが慎重になってる!? スイカさん、侮れないね!
トゥールさんはパンデュールさんに乗ってスイカ割りだね! 格好いい!
バンリさんは豪快だね! まっすぐまっすぐ、そこだよ! すごいすごい!

スイカ割り、楽しかった~! またみんなで来たいね!


バンリ・ガリャンテ
【旅人の軌跡】

皆さんと共に浜辺へ出陣!
今年仕立てて頂いた魔女っ子水着で出張るぜ。
スイカ割りか…。目隠しであの大玉スイカさんに挑めってぇの?
ほほう!やってやろうじゃない。

おっと由奈さんがふらふらと発進だ。大丈夫かしら。もちっと右、いやも少し左…ああ惜しい! 
あのパワフルなソラさんがおっかなびっくり苦戦されてる…うぬう。なかなか手強い大玉さんだ。
トゥールさんも張り切ってらっしゃるぜ。相手は大物だ。気をつけなさってね!
俺はと言えば何が何処やらで猪突猛進。ここぞと木刀振り下ろせば結果は…(お任せします)
楽しかったぁ。これぞ浜辺のレジャー!だな。
一頻り遊んだらご一緒に割れた大玉さんにかぶりつきてぇね。



 青い空。
 白い雲。
 輝く太陽。
 そして……、

「わあっ、なんて瑞々しいスイカでしょう!」
 ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)が目を輝かせて両手を組んだ。
「トゥールさん、バンリさん、由奈さん……。これぞ、皆さんと一緒に海に来た甲斐もある、というものです!」
 ふふんふん。何だか楽しそうに砂浜に鎮座するただ一つのスイカを見つめるソラスティベルである。その隣ではすでにバンリ・ガリャンテ(Remember Me・f10655)が、魔女っ娘水着にはふさわしくないバットをぐるりと構えて、まるで戦場に行くふとみたいな顔をしていた。
「スイカ割りか……。目隠しであの大玉スイカさんに挑めってぇの? ほほう! やってやろうじゃない」
 ホームラン! とばかりにバットを太陽に向けるバンリ。ちなみにホームランしたらスイカは粉砕しているので、たぶん心意気を述べただけだろう。……多分。
「ふふふ、さあさあ、スイカはいっぱいあるんだから、全員でスイカ割りにチャレンジだ!」
 トゥール・ビヨン(時計職人見習い・f05703)も準備万端でフェアリーらしくその場でくるんと一回転をした。
「さあ、トップバッターは誰かな!? やっぱりバンリさん?」
「いや、ここはやっぱり、由奈さんでしょ」
 あれだけ構えておきながら、さっ。と、身を引くバンリに、ええ!? と神楽木・由奈(小さな願い・f24894)が瞬きをする。
「え、が……頑張るよ!」
 しかしここでやらぬというわけがない。はい、と、何やら決意に満ちた顔でバットを受け取る由奈である。目隠しを受け取り、そのまま数、と深呼吸をして、
「……あのね!」
 そのまま、大きな声で由奈は叫んだ。
「この4人で海で遊ぶのは初めて! 楽しみ! そしてもう今から……、すっごく楽しい!」
 叫ぶ。その叫び声に合わせるように、トゥールが声を上げた。
「俺もだよ。今日は思い切り遊ぶぞ!」
「ふふ。皆さん気合い……、入ってますね!」
「勿論だ。今日はみんな……倒れるまで遊ぶぜ!!」
 気合を入れた四人はおー! と声を上げる。
 水着の夏姿がなんだかとても眩しくて、みんなで顔を見合わせて笑うのであった。

「では、改めて……。一番! 神楽木由奈……行くんだよ!」
 目隠しをしてもらい、由奈は今度こそバットを構える。
「はーい。その場で回って回ってー」
「スイカ割りなんて、初めて! 上手く割れるかな!」
 ドキドキしながら由奈はトゥールに言われてくるくる回る。ドキドキドキドキしていたけれども、
「あ、……あれ。ふぁ、あれ……?」
 よろり、よろり。
 目隠しして、くるくる回っただけでなんだか世界も回ってしまうような気がして、由奈はわたわたと体を傾ける。
「おっと由奈さんがふらふらと発進だ」
「ふらふらで今にも倒れてしまいそうっ」
 バンリが若干実況じみた声を発して、ソラスティベルも思わず声を上げる。二人して、思わず頑張って声を上げた。
「右です由奈さん! あ、も少し左?」
「大丈夫かしら。もちっと右、いやも少し左……」
「う、うぅ~? まっすぐあるけないんだよー」
 もうすでにフラフラである。右へ行き、左へ行き……。
 ソラスティベルとバンリの言葉に合わせて、一応歩いているようなのだけれども、
 どうにもうまいこと行きそうにない。
「わ~、よろよろ歩くだけで精一杯だよ! ここかな? ここだよね! ……それ!」
 ぶんっ!
「ああ惜しい!」
「も~。ほら、見当違いのところ、叩いちゃった!」
 バンリの思わず、というような言葉に、由奈が目隠しを外して思わず笑いながら声をかけた。トゥールがぴょんと由奈の周りをまわる。
「お疲れさま! 怪我がなくて何よりだよ。じゃあ、次は……」
 ふ、と。トゥールの視線を受けて、
「えっ、スイカ割り? わ、わたしの番ですか?」
 ソラスティベルが思わず己の顔を指さした。
「そうだよ。次はソラさんの番!」
「は、はいっ。二番、ソラスティベル・グラスラン、頑張ります!」
 とりあえずガッツポーズなどをとってみて。
 ソラは由奈からバットを受け取った。
「はい。ソラのことだから大丈夫だと思うけど、気を付けるんだよ!」
「うんっ!」
 元気よく答えて、ソラスティベルは目隠しをしてぐるぐると回る。
「これは……早くも二番目にして数以下が割れてしまうのかな?」
 トゥールが若干わくわくとしながら言って、
「そうかも。楽しみだね……!」
「大丈夫、スイカはたくさんあるからひとつ割れても次があるんだぜ」
 と、由奈とバンリもハードルをガンガンに上げてくる。
「え。ええと……」
 そんなプレッシャーを受けて、ソラスティベルは思わず硬直した。
(困りました、わたしが叩いたら粉々に……。そっと、そーっとしなくては……)
 みんなの想像通り、ある場所は何となくわかるのだ。方向感覚は間違ってない。けれども……。
「そこ右だよ。右!」
「そうだ。そこで少し捻る!」
「そうそのまま真っ直ぐ……今だ!」
「え、え~い!」
 みんなの期待を一身に受けて、ソラスティベルは……、
「あ! 今、当たりましたよね!」
 こつんっ。
 撫でるような衝撃を、スイカ玉に当てた。
「あの勇敢なソラが慎重になってる!? スイカさん、侮れないね!」
「あのパワフルなソラさんがおっかなびっくり苦戦されてる……うぬう。なかなか手強い大玉さんだ」
 勿論撫でるような衝撃で倒せるわけもない。とてもいい音を響かせたスイカ玉に、感心したような声を上げる由奈とバンリ。
「加減し過ぎて割れてません……勇者の、敗北です……」
 目隠しを外され、厳しい現実を突きつけられたソラスティベルは、がっくりとその場にうなだれるのであった……。
「次はボクの番か……。行こうパンデュール!」
 打ちひしがれるソラスティベルの傍らで、トゥールは全長220cmの搭乗型機械鎧を用意する。そこに搭乗し、木刀を持つと、
「トゥールさんは……パンデュールさんに乗ってスイカ割りだね! 格好いい!」
 思わず由奈が歓声を上げた。
「なるほどトゥールさんは相棒さんにご搭乗ですか! それなら上手くたたけそうですね!」
 打ちひしがれているのは一瞬だ。もう復活したソラスティベルも、トゥールの様子にうんうん、と楽しみそうにうなずいている。
「おっと、そいつを出してくるとはな……。トゥールさんも張り切ってらっしゃるぜ。相手は大物だ。気をつけなさってね!」
 なぜかバンリがそこでカッコをつけて、トゥールは声援を受けて大きく頷いた。
「ボクとパンデュールにも目隠ししておかないと……。わっ、これ本当に見えないぞ」
 そうしてトゥールは目隠しをして、いざ、発進!
「そのままだよー♪」
「はいっ。そのあと少し左です!」
「落ち着いて、集中して……」
 由奈とソラスティベルの声援を受けながら、トゥールは慎重に進んでいく。
「今だぜ!」
「……よしっ、ここだ!」
 バンリの言葉を受けて、トゥールは力はセーブしながら木刀を振り下ろした。
「……上手く当たったかな?」
 手ごたえは、あった。トゥールがのぞき込むと……、
「あ、割れてる、割れてるよ!!」
「はい、真っ二つです!」
 由奈とソラスティベルの歓声に、ぐッ。とトゥールは親指を立てる。
「く……っ。おめでとうと言わせてもらうぜ。外したとトゥールさんの横から、颯爽と本命は最後にやってくるもんだって決めようと思ってたんだが……。先を越されちまったな。……だが!」
 くぁっ。と、バンリが新しいスイカを置いて、木刀を構えた。
「俺はと言えば何が何処やらで猪突猛進。そうでなけりゃ名が廃る! さあ、行くぜー!!」
「ふふ、バンリさんも、豪快にパカーンとお願いしますっ」
「バンリさんは豪快だね! まっすぐまっすぐ、そこだよ!」
 どばーん! と。
 ソラスティベルや由奈の言葉を聞いているのかいないのか。バンリは真っすぐに突入した。
 ぶんっ!
 ごろごろごろごろごろごろごろ。
「はっはー。いい砂だぜ!」
「わ、うん。すごいすごい!」
 盛大に空ぶって砂浜を転がるバンリ。
 それでもバンリ自身が得意げに笑い声をあげたので、由奈もそう声をかけて笑いかけた。

「スイカ割り、楽しかった~! またみんなで来たいね!」
 そうして第一回スイカ割大会は終わった。
「はい。栄えある第一回勇者はトゥールさんです! お見事でした! 貴方こそが勇者です!」
 すごいすごい。と素直に感動するソラスティベルは両手を叩いて拍手をする。
「ふふふ。そんなに持ち上げられるとなんだか照れるよね。……うん、みずみずしくて甘くて美味しい」
 トゥールがそんなことを言って、スイカにかぶりついた。
 そう。割ったスイカも、割れなかったスイカも。最後に美味しくいただくまでが大会である。
「それにしても、んー、楽しかった! また、みんなで遊びに行きたいね」
「ああ! ……今日は楽しかったぁ。これぞ浜辺のレジャー! だな」
 トゥールの言葉にうなずいて、バンリもスイカにかぶりつく。
 そうしてみんなで賑やかに。スイカ会はもうしばらく、続くのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アンテロ・ヴィルスカ
【兎】アレンジ等、ご自由に

日差しが眩しいねぇ…偶には陽の元に出なければ
しかしサラサラとした砂浜の感触は悪くない

本体がロザリオの俺は泳ぐのは遠慮しよう
連れは同じく金属を本体に持つ友人
フィッダ君とカルディア君は好んで海に来る事はある?

浅瀬の岩場に腰を下ろして水の冷たさを楽しむ
足元には見た事のない小さな生物が沢山だ

視界の端で砂が舞えば愛馬も召喚、お嬢さんも一緒に砂浴びをしてくるといい
…しかしこの砂、水を含むとしっかりした形になるんだねぇ
バス停を支柱にして城でも作るかな、可愛い砂の兎達にもお家が必要だ

なんて、冗談さ。足元に掛ける程度ですぐ払って……この蟹は宣戦布告か

気が変わった、全力で埋めよう


カルディア・アミュレット
【兎】アレンジ歓迎

海の砂をこうして踏むのは…初めて…
柔らかい…
少し面白くて何度か、ふみふみ

本体のランタンは海水に触れぬようカバーをしてる

海は、あまり…
わたしは金属と…炎だから
誰かと来ないと遊びにこなかった
でも…来てよかった
とても綺麗(ほわりと微笑)

いっぱい掘って…いいの、よ?掘りましょうか…
あら?
海の生き物とさっそく戯れてる(楽しそうに見守る)

バス停型のお城…?
ユニークになりそう…だけどダメ、みたい?じゃあ、飾りだけでも…
砂で作った兎2つ
バス停に添えてみた

…アンテロのお嬢さん…初めて見た
綺麗なお嬢さん、ね…
…フィッダとお嬢さん、どちらが沢山掘れるのかしら?
楽しく過ごしてる無邪気な子達に心が和む


フィッダ・ヨクセム
【兎】

見渡す限り大量のォ…砂ァ!!
砂場以上の砂に思わず気分がハイにならずにいられるかッ
ん?二人と一緒で俺様も金属が本体だし
一人なら海には来ない、絶対ヤダ!

ちョッと…すごい掘ッていい?
なあ!砂掛からねェようにするから!(上半身を獣化した半獣状態で)
(許可を期待するように)此処ざくざく掘ッて穴だらけにしたい!
なァ!(チラッ)
掘る途中で鼻か手をハサミ持ちの生物にやられたら
突然の痛さにキレて生物をアンテロに全力で投げつける(投擲)

あれ、俺様の本体が何故そこに在る?
濡れた砂の中心というと、半ば泥なのでは?おい、やめろ
城の造形ぶち壊しじャねえか…

…砂足りないか?
よしお嬢さん、俺様と砂堀競争だァ!負けねェぞ



 太陽が輝いている。
 それはもう、燦燦と。
「……日差しが眩しいねぇ……。でも、偶には陽の元に出なければ」
 アンテロ・ヴィルスカ(黒錆・f03396)がそう言いながらも、手のひらを目元にかざした。なかなかに暖かい太陽の光に、ほう、と一つ息をつく。
「しかしサラサラとした砂浜の感触は悪くない。だろう、カルディア君? この海の砂はとても白いね」
「ん……。海の砂をこうして踏むのは……初めて……。柔らかい……」
 少し面白くて何度か、砂をふみふみしながら。カルディア・アミュレット(命の灯神・f09196)は小さく頷いた。二人して静かに、穏やかに、その心地を堪能していた……その時、
「見渡す限り大量のォ……砂ァ! 砂ァ!! 砂ァ!!!」
 フィッダ・ヨクセム(停ノ幼獣・f18408)がガスガスガス、と足踏みをしながらその砂浜を振り荒らす。
「砂場以上の砂に思わず気分がハイにならずにいられるかッ」
 ゴロゴロと暴れながらはしゃぐフィッダに、アンテロとカルディアは顔を見合わせて、
「それで……どうしよう。泳ぐの……?」
 ひとしきり砂の雰囲気を堪能すれば、おもむろにカルディアが口を開いた。一応、念のためとでも言いたげな口ぶりである。
「ああ。本体がロザリオの俺は泳ぐのは遠慮しよう」
「ん? 二人と一緒で俺様も金属が本体だし、パス!」
 カルディアの想像通り、二人はそろって首を横に振った。そういえば、とアンテロは口を開き、
「フィッダ君とカルディア君は好んで海に来る事はある?」
「ないない。一人なら海には来ない、絶対ヤダ!」
 ぶんぶん首を横に振るフィッダに、こくりとカルディアも頷く。 
「海は、あまり……。わたしは金属と……炎だから。誰かと来ないと遊びにこなかった」
 因みに今日も本体のランタンは海水に触れぬようカバーをしてる。けれど、と、カルディアはそのあとで微笑んだ。
「でも……来てよかった。とても綺麗」
 ほら、と、海のほうに視線をやって微笑むカルディア。こんなにも、綺麗な景色があるなんて。……そんな、嬉しそうな声音に、
「……そうだね」
「だなっ」
 アンテロとフィッダも自然と、頷いた。

 砂浜を通り過ぎ、浅瀬の岩場を探す。
 丁度が怪我日陰になって、熱さも和らぐ区画で腰を降ろせば、
「冷たいね……」
 足先だけ海水に浸して、水の冷たさを楽しむアンテロ。涼やかで心地いい。そして、岩場を這うカニや足元を泳ぐ小魚など見たこともない生き物がたくさんあって、それがせわしなく動いている姿が楽しかった。
「あー。ダメだダメだ! ちョッと……すごい掘ッていい? なあ! 砂掛からねェようにするから!」
 視界の端には砂浜がある。そこではフィッダが何やら興奮冷めやらぬ様子で砂浜をうろうろしていた。上半身を獣化した半獣状態で、(許可を期待するようにカルディアを見ている。
「此処ざくざく掘ッて穴だらけにしたい!」
「はいはい」
 苦笑して、アンテロは愛馬のムスタ・タンマを召喚する。遊んでおいで、と語りかけた後で、
「お嬢さんも一緒に砂浴びをしてくるといい」
 と声をかけた。
「……アンテロのお嬢さん……初めて見た。綺麗なお嬢さん、ね……」
「うん、自慢の子だよ」
「ふふ……。……フィッダとお嬢さん、どちらが沢山掘れるのかしら?」
 思わず微笑ましく笑うカルディアに、
「なァ! ほら、ほら!!」
 フィッダが全力で主張している。あらまあ……。と、カルディアは頷いて、
「いっぱい掘って……いいの、よ? 掘りましょうか……」
「っしゃあ!」
 がりがりがり、とその瞬間から全力で掘りにかかるフィッダ。それをアンテロとカルディアはめいめいに見つめながら、
「……しかしこの砂、水を含むとしっかりした形になるんだねぇ。バス停を支柱にして城でも作るかな」
 なんて、思い至ったようにアンテロは言った。バス停とはフィッダの本体のことを指しているのであろう。
「バス停型のお城……? ユニークになりそう……だけど……」
 なんとなく楽しそうだ。ちらりとカルディアはフィッダのほうを見つめる。そうしたら、
「ダメ、みたい? じゃあ、飾りだけでも……」
 さすがに、まあ……まあ。と。砂で作った兎を二つ、バス停の前にお供えした。その兎にアンテロも目元を和らげる。
「ああ……。いいな。可愛い砂の兎達にもお家が必要だ」
 冗談のつもり。さらりとバス停に足元にかける程度に砂をかけていたアンテロ。であったが……、
「ぎゃん!!」
 ひたすら砂を掘っていたフィッダが声を上げた。
 どうやら鼻先にカニが食いついたらしい。……と、本人が自覚したかどうか。それすらも分からぬ前に、
「なんだこりゃ!!」
 叫んで、フィッダは全力でその喰いついたものをアンテロのほうに投げつけた。
「なっ!!」
 見事頭部にヒットしたカニを、すかさずアンテロはキャッチ。
「……この蟹は宣戦布告か」
「あら? フィッダ、海の生き物とさっそく戯れてる」
「……気が変わった、全力で埋めよう」
 おっとり微笑むカルディアに、カニを逃がして徐に立ち上がるアンテロ。
 その後しばらくして、顔を上げたフィッダが見たものとは……、
「あれ、俺様の本体が何故そこに在る?」
 砂に埋められた、フィッダの本体であった。
「濡れた砂の中心というと、半ば泥なのでは? おい、やめろ。城の造形ぶち壊しじャねえか……」
 慌てて声をかけるフィッダであるが、黙々と作業するアンテロの手は泊まらない。隣でカルディアが、
「ううん。けれども……、砂が少し、足りないの……」
「あ? ……砂足りないか?」
 そういうと、いった瞬間からなるほど、なんて頷くフィッダ。
「よしお嬢さん、俺様と砂堀競争だァ! 負けねェぞ」
 もはや埋められるのが自分の本体だと忘れているのかもしれない。またせっせと掘り出すフィッダに、
「ん……。やってみる、ね……」
 何だかうれしそうにカルディアも頷いて、あとに続いた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

片稲禾・りゅうこ
【よさり】
海だ〜〜〜〜!!!!
ほうらイシャ!海だぞ海!来ちゃったな〜〜!!
……あれ?おおい、あんか。早く来い来い。なあにしてんのさ。
えぇ〜〜〜?じゃあイシャ、りゅうこさんと遊ぶかあ

これが『びいちばれえ』?
……これを、こうか?
あっ、違う。割ったのわざとじゃないんだよイシャ
ごめんって!

じゃあじゃあ、西瓜割りしようぜ!
よ〜〜し、任せろ!りゅうこさんなら手助けいら………え?駄目?なんで??

いいよ〜〜イシャ!そのまま前前!
右にちょ〜〜っとズレて〜〜……そう!そこ!
せ、え、のっ!!

惜しい、もう少しであんかの頭だった
西瓜、うまっ


イシャ・ハイ
【よさり】

「La、La!」
海、海だわ
本物を見ているわ
広いのね、大きいのね
りゅうこ様と一緒に嬉しくなってしまう
この水着?で、水に入れるのよね(くるりら
…あんか様、走るのが苦手なのね

りゅうこ様がビニールのボールを投げるから
私はそれをうちかえして…まぁ!
「La?」
これがびぃちばれぇ?
きっとボールを割った方が勝ちなのね

「La、La」
タオルで目を覆って
棒を持って恐る恐る
りゅうこ様と小鳥達の声にしたがって…「La!」

ふふ、割れた、割れたわ
あんか様のすぐ隣!
…あんか様泣いてるの?大丈夫かしら

スイカ、甘くて美味しい
私、あとで海にも入りたいの
「La、La」

※表情豊かな無口、意思表示はジェスチャーとただ歌うだけ


飴屋坂・あんか
【よさり】

あっつ…おっも…
なんで二人とも荷物持たんげんて
わし全部持っとるのおかしいやろ
虚弱なんやぞ…(どっさり
コテージで寝とってもいいけ?だめかぁ!

パラソル立ててビーチチェアで寝ながら審判を
そうそう、そんな感じ
あとは打つだけ…ってあー(すぱんと割れたボールを見る
やっぱそれ不向きやろ二人には

スイカね、ほいほい
りゅうこさん神様の力で割っちゃうからゲームにならんぞ

ちょい待っとって、用意しとるから(麦わら被ってスイカを設置
って待て待てイシャちゃん速い速い
何そのスピードびっくりする!
幽霊でも死を感じたので逃げ…あっ(転ぶ

惜しくねえわ!頭割れたらどうすれんて!
怖すぎて涙出てきた
スイカは美味いげんてなぁ…



「海だ〜〜〜〜!!!!」
 やはりここは、叫ばねばなるまい。
 声を上げる片稲禾・りゅうこ(りゅうこさん・f28178)は、そのままくるりと振り返る。そうしておいでおいで、と手招きをした。
「ほうらイシャ! 海だぞ海! 来ちゃったな〜〜!!」
「La、La!」
 海、海だわ、とばかりに歌声を上げて駆けてきたのは、イシャ・ハイ(星追鳥・f19735)である。
「La、La!(本物を見ているわ! 広いのね、大きいのね)」
「だろう~? あー。やっぱり海はいいもんだなー!!」
 歌うだけであるが、その言いたいことはわかっていて。イシャの言葉にりゅうこは両手を広げて豪快に笑う。
「La、La!」
「そうかそうか、嬉しいかー」
 くるりと水着を示すように回転するイシャに、りゅうこもうん、うん、と、頷いた。ところで、
「……あれ? おおい、あんか。早く来い来い。なあにしてんのさ」
「あっつ……おっも……」
 大荷物を抱えた飴屋坂・あんか(夜参曇・f28159)に声をかけるのであった。
「なんで二人とも荷物持たんげんて。わし全部持っとるのおかしいやろ。虚弱なんやぞ……」
 よろよろと、砂浜をやってくるあんか。
「La、La……(……あんか様、走るのが苦手なのね……)」
 イシャの歌声に気付いているのかいないのか。あんかは非常に情けない顔で、
「コテージで寝とってもいいけ? ……だめかぁ!」
 大荷物を音を立てておろすのであった。

 そうはいっても、それからパラソルを立ててビーチチェアを準備してと。かいがいしく働いていたあんか。しかしビーチチェアーを置いた、その瞬間。
「じゃ、わしは寝るで」
 と、それ以上の労働を拒んだので、
「えぇ〜〜〜? じゃあイシャ、りゅうこさんと遊ぶかあ」
「La、La」
 何して遊ぶ、と言いたげなイシャに、あんかが寝ころびながら顔を上げた。
「ビーチバレーとか、どない。わし審判な」
 これ以上は働かないという主張をするあんかに、りゅうことイシャは顔を見合わせる。二人とも聞いたことがなかったので、さっくり安価がそれを解説した。
「これが……『びいちばれえ』?」
 受け取ったボールを手に、りゅうこが首を傾げる。
「La、La!」
 早く早く、とイシャが手を伸ばす。
「(りゅうこ様がビニールのボールを投げるから、私はそれをうちかえして……)」
「わかったようなわからないような感じだけど、……これを、こうか?」
「そうそう、そんな感じ。あとは打つだけ……」
「……でりゃあ!」
「ってあー……」
「La!(まぁ!)」
 全力でビーチボールを殴りつけるりゅうこ。すると思った、みたいな顔をしているあんか。
 そして、一瞬で粉砕されるボール。
「La……?(これがびぃちばれぇ?)………………La!(きっとボールを割った方が勝ちなのね)」
「あっ、違う。割ったのわざとじゃないんだよイシャ。ごめんって!」
「やっぱそれ不向きやな。二人には」
 何やら納得しているイシャに、両手を合わせるりゅうこ。あんかがのんびりと言って、ごろりと寝返りを打つのであった。

「じゃあじゃあ、西瓜割りしようぜ!」
「La、La!」
 何やら微妙な空気が流れた後で、気を取り直すかのようにりゅうこが声を上げた。
「スイカね、ほいほい」
 あんかが分かったわかった、と言って、やっぱり身を起こして働くことになる。りゅうこが胸を張って、
「よ〜〜し、任せろ! りゅうこさんなら手助けいら……」
「りゅうこさん神様の力で割っちゃうからゲームにならんぞ」
「……え? 駄目? なんで??」
 なんでって、それがゲームだから。
 と、突っ込むべきか否かを若干悩みながらも、あんかは起き上がって麦わら帽子を被る。
「ちょい待っとって、用意しとるから」
 スイカを設置して、それから砂場をちょっと整えて……と、思っていたところに、
「ほーら。タオルで来たぜー」
「La、La」
 りゅうこがイシャの目をタオルで覆った。イシャは恐る恐る一歩、もう一歩、と、踏み出す。
 小鳥たちの、声が聞こえる。そして、
「いいよ〜〜イシャ!そのまま前前!」
「La!」
 その声だけを頼りに、イシャは全力で走り出した。
「って待て待てイシャちゃん速い速い! わしまだ下がってないんやで! 何そのスピードびっくりする!」
 場を整えていたあんかがイシャの急接近に気付いて思わず声を上げた。幽霊でも死を感じる速度であった。逃げよう。そう思った瞬間、
「あっ!!」
 こけた。砂に向かって突っ伏すあんか」
「右にちょ〜〜っとズレて〜〜……そう! そこ! せ、え、のっ!!」
「La!!!」
 どかんっ!!
「惜しい、もう少しであんかの頭だった!」
「惜しくねえわ! 頭割れたらどうすれんて! あああ、怖すぎて涙出てきた……」
 見事割れたスイカに、りゅうこが惜しみない拍手を送る。
 そのまま突っ伏したまま、あんかはもう、泣きそうになっていた。
「La、La(ふふ、割れた、割れたわ。あんか様のすぐ隣!)」
 そして小躍りするイシャ。しかしながらもあんかの様子に気が付いて、
「La、La……(……あんか様泣いてるの? 大丈夫かしら)」
「大丈夫大丈夫だって。さ、折角割ったんだ。西瓜食べようぜ」
 りゅうこが促し、そうかしら、と、イシャも頷く。割れたてのスイカはやはり、
「スイカは美味いげんてなぁ……」
「西瓜、うまっ」
「La、La(スイカ、甘くて美味しい)」
 おいしかった。
 とてもとても、美味しかった。
「La、La」
 私、あとで海にも入りたいの。と。そう歌うイシャに、
「ああ。もっちろん、いっぱいいっぱい泳ごうな!」
 なんて笑うりゅうこ。そんな二人を横目に、あんかはスイカをもう一口、齧るのであった。
 おいしかったが、ちょっと涙の味がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
【男子会】でBBQ。

肉は奮発したの用意するぜ。牛肉を多めに買い込んで大量の荷物を抱えて到着。
馬鹿デカイ牛もも肉に塩、コショウを振りかけて、アルミホイルで包み込んで、香草と一緒に焼く。
OK、肉奉行は任せな。最高の焼き加減を見せてやるぜ?
最初は火の中心に置いて、途中から炙るように火の中心を避けて。
焼き上がりには少し掛かるがその間はアクアパッツァをつつき、乾杯。
美味いな!海の香りと食い応え最高だわ。

出来上がったもも肉は厚めカット。牛もも肉のローストビーフの完成だ。
赤ワインで食おうぜ!苦手ならビールもある。
何度目か分からない乾杯しながら盛り上がりてぇな!
こっちこそ感謝だぜ。贅沢な時間、ありがとうな。


杜鬼・クロウ
【男子会】
アドリブ◎
格好は水着の全身絵参照

酒の準備も万端だなァ
皆とバーベキュー出来るたァ嬉しいぜ
悟郎、こっちの方が涼しいぞ

パラソルで日除け
冷えた西瓜を持参
皆が作る料理に茶々入れて待機
飲み食い専門

おぉ、凄ェ肉!
こんなに用意してくれたのか、カイム
気合い充分だな
肉奉行は今日は休んでお前に任せるぜ
最高の肉食わせてくれや!
シンはちゃんと貝焼けるようになったンだなァ
オニーサンはお前の成長を嬉しく思うわ(ニヤ

まず乾杯
初めて見る料理や豪華な飯を堪能
酒も飲む

洋酒は俺も詳しくねェが折角だからワイン飲むぜ!
うお、美味い
料理と酒がよく合う
この火入れと絶妙な味加減(以下略

海を背景にどんちゃん騒ぎ
最後に西瓜切り分けて出す


シン・バントライン
【男子会】4人でBBQ

海の家で器具を借りて、好きな材料持って浜辺に集合。

メインであろう肉は他の面子に任せて自分は海鮮系を用意。
さっき釣れた魚を超適当な切り身にしてオリーブ油と香草をぶっかけて焼く。
貝も並べてワクワクしながらジーっと見る。
「なんか貝って見てしまわへん?いつ開くんやろうって」
後は余った切り身と貝をフライパンに入れて白ワインでアクアパッツァ!
「これ最後にパセリ散らせば何とかなるから好きやわ」

料理を作りながらも乾杯を繰り返し飲みまくる。
「何の酒が好き?料理で余ったワインも飲もうや。俺ワイン好きやわ」

塩が足りなかったり多かったり、そんな事も友達と一緒なら楽しい。
「西瓜!夏やなー!」


薬師神・悟郎
【男子会】

新鮮な海の幸でBBQ
エンパイアでも有名な食材や酒も用意して、苦手な太陽は麦わら帽子と環境耐性で対策済みだ

ありがとう
パラソルも西瓜もクロウが用意したのか?
気が利くな。助かるよ

アクアパッツァとはお洒落だ
シンは料理が上手なんだな
白ワインの香りが食欲をそそる

肉の方は豪快だな!
塩、胡椒に香草…それ絶対旨いやつ
流石、カイムは分かってるな!

暑い日に飲むビールは旨い
乾杯した後、一気飲み
「普段は日本酒を飲むことが多いが、ワインも良いな。料理によく合う」

気の合う友人達と何度も乾杯
酔うと笑い上戸になりそうだが
あまり多くは食えないが、腹一杯飯も食いたい

こんなに充実した休日は久しぶりだ
明日からまた頑張れる



「ふ……っ」
 なにやらカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は満足げだった。ノリで始まる前から満足気であったのだ。何か、というと……、
「今日の肉は奮発したぜ……。ちょっとばっかし厳しかったが、なに、頑張った甲斐があったもんだ」
 情報収集での店探し、コミュ力、言いくるめ、誘惑等を使用したありとあらゆる口のうまさで集めてきた肉たちは、そう、今日のためにあったのだ!
「おぉ、凄ェ肉! こんなに用意してくれたのか、カイム。気合い充分だな!」
 ご満悦な表情でいそいそと肉を取り出すカイムに、パラソルで日よけを作り、スイカを置けの中に沈め。そういう細々とした雑用を買って出ていた杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が声を上げる。
「肉奉行は今日は休んでお前に任せるぜ。最高の肉食わせてくれや!」
「OK、肉奉行は任せな。最高の焼き加減を見せてやるぜ?」
 ぐっ。と親指を立てながら、調理開始。馬鹿デカイ牛もも肉に塩、コショウを振りかけて、アルミホイルで包み込んで、香草と一緒に焼いていくのが手順である。まずは肉の下準備を始めたところで、
「ただいま~。わ、もう肉はじまっとるやん」
 シン・バントライン(逆光の愛・f04752)が顔を出した。両手にいっぱい、魚を抱え。ついでに引きづってきたのは、
「何だこれ、イカか? 大きいのがとれたんだな」
 薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)がそれを覗き込んで声を上げた。引きずるぐらいの大きさはある巨大イカに、そうそう、とシンは頷く。
「今日の分の魚獲ってたら、なんや喧嘩売ってきたから、ついな。大丈夫や、ちゃんと食える。メインの肉はカイムさんに任せるから、俺はこっち料理するでー」
「おう。お互い、健闘を祈るぜ!」
 何やら戦いにでも行くような言葉だが、どちらかというと軽い口調でカイムが返す。それを聞いてシンはイカも含めて数多の魚介類をまずは切り身にしていくのであった。
「ふは。どっちも楽しみだ。皆とバーベキュー出来るたァ嬉しいぜ。……っと、酒の準備も万端だなァ。悟郎、こっちの方が涼しいぞ」
 楽しげに笑うクロウであるが、悟郎が荷物をたくさん持っていることに気付いて声をかけた。エンパイアでも有名な酒や、ついでに追加の食材なども用意している。
「ありがとう。パラソルも西瓜もクロウが用意したのか? 気が利くな。助かるよ」
 苦手な太陽は麦わら帽子と環境耐性で対策しているが、それでも暑い。クロウが作ったばかりの日陰に逃げ込んで、ほっと息をつくと、クロウもにやりと笑った。
「まっ、俺ァ飲み食い専門だし、これくらいはさせて貰わァ」
 自分もそのままパラソルの下のチェアーに逃げ込んで、あっさり腰を下ろす。宣言通り、手伝うつもりは全くないらしい。
「……あいつら見ながら飲みたいなァ、とか、ちょっとしか思ってないぜェ」
 悟郎にだけ聞こえるように言った言葉に、悟郎は軽く声も上げずに笑った。確かに……、
「よ……っ。と。あとは炙るように、位置を変えて……」
 カイムの肉焼きはもはや佳境に入っていた。最初は火の中心に置いて、途中から炙るように火の中心を避けていく。こだわる様子がここからでも見て取れる。
「豪快だな! 塩、胡椒に香草……それ絶対旨いやつ。流石、カイムは分かってるな!」
 すん、と鼻を鳴らしたら、嗅ぐはずのない香りをかげる気がする。悟郎の言葉に、カイムがにやりと笑う。
「ふ……。わかってるじゃん。だけど、これは出来上がるまであと少しかかる。だから……シン、そっちはどうだー?」
 若干得意げにポーズを決めながら肉を焼くカイムに、言われてシンはじーっと見つめていたフライパンの上の貝から顔を上げる。
「なんか貝って見てしまわへん? いつ開くんやろうって」
 めっちゃわくわくした顔をしていた。釣ったばかりの魚を、適当な切り身にしてオリーブ油と香草をぶっかけて焼く。そこに貝を並べる。彼がしているのは……そう、
「後は余った切り身と貝をフライパンに入れて……、白ワインで必 殺! アクアパッツァ! や!!!」
 どーん!!
 と。割となんか味があるぐらい豪快にフライパンをぶん回して、料理を完成させるシン。
「これ最後にパセリ散らせば何とかなるから好きやわ」
 パセリはちょっと、添えるだけ、みたいな。
 こだわりの逸品っぽく調理をするシンに、
「アクアパッツァとはお洒落だ。……シンは料理が上手なんだな。白ワインの香りが食欲をそそる」
「シンはちゃんと貝焼けるようになったンだなァ。オニーサンはお前の成長を嬉しく思うわ」
 純粋に感心したような悟郎と何故かにやりと笑うクロウ。何だか二人が全く別の意味で感慨深げにシンを見つめていた。
「お、できたなら、こっちちょっと時間かかるから、先にアクアパッツァつつこうぜ。俺も飲みたくなってきた」
「だよな。こんなの見てたらまず飲みたくなってくるぜ。だからほら、乾杯乾杯」
 せかすクロウに、悟郎が真面目な顔で頷いた。
「ああ。暑い日に飲むビールは旨い」
「ほな、俺も追加作りながら飲むー! せっかくだからがっつり飲むー!」
 四人の同意も得られたことであるし。カイムが一つ頷いて、
「じゃ、男子会に乾杯!」
「乾杯ー!」
 四人ともそう言ってまずは乾杯をする。もうすでに飲む前から酔っぱらっているようなんテンションであったが、気にしてはいけなかった。

 そうして食事は進み……。もちろん酒も進み……。
「何の酒が好き? 料理で余ったワインも飲もうや。俺ワイン好きやわ」
 ふふんふん。と、徐々に怪しくなっていく手つきで料理をしていたシンが声をかける。
「ほらほら、イカもこんなにおいしくなるんやで~」
「おー。美味いな! 海の香りと食い応え最高だわ」
 アクアパッツァが避けに兎に角よく合う。モリモリ食べながらもりもり飲んで、カイムがご機嫌で一つ頷く。
「おうっ。そりゃどっちも旨そうだなァ。洋酒は俺も詳しくねェが……、折角だからワイン飲むぜ!」
 はーい。シンとシンからクロウが片手をあげてワインを受け取る。
「うお、美味い。料理と酒がよく合う。この火入れと絶妙な味加減が……」
 何やら長々とうんちくを語りだそうとするクロウに、はっ。とカイムが顔を上げた。
「そろそろこっちもいいな……。おい、野郎ども、肉ができたぞ!」
「肉か。もちろん、頂く」
「ほんまや、お肉のええ匂いやな」
 すかさず悟郎が顔を上げて、シンが目を輝かせた。
 その間にもカイムは出来上がったもも肉は厚めカット。牛もも肉のローストビーフの完成だ。
「ほら、まだまだ食うぞー!」
「あァ。こりゃ豪勢な話だな」
 クロウがのぞき込んで楽しげに笑う。ああ。とカイムは頷いて、
「赤ワインで食おうぜ! 苦手ならビールもある」
「じゃあ、この世の肉に乾杯だな」
「かんぱーい!!」
 クロウの言葉に一同がまた酒を掲げて、何度目かわからない乾杯をした。
「普段は日本酒を飲むことが多いが、ワインも良いな。料理によく合う」
 言われた通り赤ワインは肉によくあった。うんうん、とシンが頷いて、
「美味しいわ。ほんま美味しいわー。さっきからそんなことしか言ってないけど美味しいわー」
「おうおう。美味しいは正義だぜ」
 ご機嫌そうなシンに、クロウも大いに頷いた。
「ふふふ。……ああ、旨い。酒も料理も、上手いのはいいことだな」
 何とも笑い上戸になりながら、悟郎は酒を煽って肉を口に入れる。酔うと笑い上戸になって、何ともご機嫌だ。そして……、
「あまり多くは食えないが……、腹一杯飯も食えた。こんなに充実した休日は久しぶりだ……」
 ほう、と悟郎は息を吐いて、
「明日からまた頑張れる……」
 なんだかしみじみ言うので、カイムは思わず噴き出した。
「こっちこそ感謝だぜ。贅沢な時間、ありがとうな」
「おいおい。お開きにはまだ早いぜ。こんなこともあろうかと……!」
 なんだか〆の雰囲気を感じ取ったクロウが、最後に取っておいたとばかりに、
「夏といえば……!」
「西瓜! 夏やなー!」
 そう、スイカである。用意していたスイカを切り分けるクロウ。
「スイカ……。それなら、スイカに」
「そうだな、乾杯!」
 悟郎の言葉にカイムもにやりと笑って、
 最後は四人して、スイカを掲げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月29日


挿絵イラスト