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時間銀行

#UDCアース #感染型UDC

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 末原良吾は深夜に歩いていた。
 ブラック会社で残業を終え、フラフラになりながら帰ってみたら住んでいたアパートが火事になり全焼。慌てて財布を探すがどこかに落としたのか見当たらない。親類も縁遠く、頼れる友人もいない。
 ともかくどうにか、どうしたら、と悩みうろうろと歩き回る。今日寝る場所にも困っているのだ、もうすぐ雨も降りそうで。
 せめて雨宿りを、と、朽ちた神社の鳥居をくぐったら。

 その境内には男が立っていた。

 不気味な不気味なその男はやあ、と手を差し出した。
「やあ、失った君。もう一度その手で取り戻してみないかい?」

 飼っていたペットが亡くなっても。
 家族が事故で亡くなっても。
 お金が無くなっても。
 家が無くなっても。
 命があと僅かでも。

 何も、失ってなんかいないんだ。
 このアプリを使えば戻ってくるんだから。


「人の「噂」で増殖する、UDC……ご存知でしょか」
 黒猫柄のカバーをつけたスマートフォンを手に、寧宮・澪がグリモアベースで猟兵に語りかける。
 「感染型UDC」と呼称されるそれ。それは、病が感染するように、見た人、噂話やSNSで広めた人、その広まった噂を知った人全ての「精神エネルギー」を餌として、大量の配下を生み出すのだ。UDCアースのような情報化社会では用意に爆発的に広がりかねない。
 澪は新たな感染型UDCを予知した、という。
「そのUDC……トレーダーは、第一発見者の末原良吾さんに、とあるアプリのはいったスマホを与えて見逃します」
 それは「時間銀行」と名のついたアプリ。持ち主の過去に失ったものを、持ち主の未来を対価に取り戻せるというアプリ。実際に良悟がなくした財布、と自身の時間をアプリに入れたら財布が見つかったそうだ。中身もそのままで。
「良悟さんはそのことをSNS乗せてしまいます……現実か、迷って、同意が欲しかったんでしょね……」
 それはリツイートされ、引用され、噂が爆発的に広まっていった。
「もうすぐ、噂を知った人々の精神エネルギーが良悟さんの周囲に集まって…… 大量発生します」
 そのエネルギーはUDCの姿を取ってまた散らばろうとするだろう。まずはそれを撃破してほしい。
 その次の大量発生は世界規模になるかもしれない。その前にトレーダーを倒さなくてはいけない。良悟からトレーダーと出会った場所を聞き出して、向かってほしい。
「そこに至る道が、すでに怪奇現象で変貌しています……気をつけてください」
 無事到達できたら、トレーダーを倒さなくてはいけない。強力なUDCと思われるが、どうか倒して──この感染を収束させてほしい。
「喪失は、ひどく辛いものです……それを癒せても……その方法が間違いでは、行けないんですよね」
 どうぞご無事で、よろしくお願いしますと澪は頭を下げて、猟兵を末原良吾の元へと送るのだった。


 とある川べりの原っぱ。薄暗くなってきた梅雨の夕方に良吾はスマホを持ちながら歩いている。
 開いているのは不思議なアプリ。
 左に失った物を、右に時間を入れれば戻ってくるという。
 なら何でも戻ってくるのか、渡す時間は、それでももう一度……会えるなら……。
 なんてぐるぐると悩むままに歩く彼の周囲に、何かが現れる。

 それは、人の形で、けれど人ではなく。
 ただ喪失を否定するアプリケーションだった。


霧野
 よろしくお願いします。霧野です。

●シナリオについて
 感染型UDCの発現を阻止してください。
 一章のプレイングは、オープニング公開後からすぐに受け付けます。

 一章:喪失否定アプリケーションの戦闘です。
 集団戦です。
 二章:神社に至る道は、怪奇現象で変異しています。門を見つけて探してください。
 冒険です。
 三章:トレーダーとの戦闘です。
 ボス戦です。

 いずれかの章のみ参加、というのも歓迎です。

●複数人で参加される方へ
 どなたかとご一緒に参加される場合、プレイングに「お相手の呼び名(ID)」を。
 グループ参加を希望の場合は【グループ名】を最初に参加した章にご記入いただけると、助かります。

●アドリブ・絡みの有無について
 以下の記号を文頭に入れていただければ、他の猟兵と絡んだり、アドリブ入れたりさせていただきます。
 良ければ文字数節約に使ってください。
 ◎:アドリブ歓迎。
 ○:絡み歓迎。
 〆:負傷OK。
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第1章 集団戦 『喪失否定アプリケーション』

POW   :    「やっとここまで取り戻せたんだ」
戦闘力のない【執着対象を模倣するモザイクの塊 】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【周りの人を代償に現状を都合よく変えること】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    「あんたも協力してくれるよな?」
攻撃が命中した対象に【因縁 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象の未来を奪い不幸を招くこと】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    「この手は二度と離さない」
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【未来 】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒木・摩那

過去に失ったものを取り戻せるアプリとか、絶対に流行るやつですね。
道に落としてしまったアイスとか、
食べ損なったプリンが戻って来るならば、
いくらでも時間をつぎ込む人はいるでしょう。

しかし、それだけに感染大爆発は必至です。
小さいうちに刈り取ってしまわないといけません。

まずは出現したオブリビオンから末原さんを守らねばいけません。

魔法剣『緋月絢爛』にUC【トリニティ・エンハンス】で【水の魔力】を付与【属性攻撃】。【念動力】で水流を操作して相手攻撃を防御します【破魔】。

戦いが終わったら、末原さんには彼らが時間銀行に引き寄せられたことと、どこから入手したかを聞き出します【情報収集】。




 喪失否定アプリケーション達は、不確かな物を抱えながら口々に言う。失っていない、取り戻せたんだ、ほらこんなに、と。まるで同情を誘うかのように。
 けれど黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)にその訴えは届かない。
「過去に失ったものを取り戻せるアプリとか、絶対に流行るやつですね」
 指を口元に当てながら、摩那は呟く。
「道に落としてしまったアイスとか、食べ損なったプリンが戻って来るならば、いくらでも時間をつぎ込む人はいるでしょう」
 そういった小さなものでも未練は大きいことがある。そして小さいものほど気軽に試してみてしまうものが人でもある。
「しかし、それだけに感染大爆発は必至です。小さいうちに刈り取ってしまわないといけません」
 急に意味不明な集団に囲まれ、おろおろと傘をさしたまま辺りを見渡す良悟をかばうように摩那は立つ。
 突如庇われた良悟は摩那の登場にも驚いたように声を上げた。
「あ、あんたはいったい。こいつらのこと知ってるのか? 何が起こってるんだ!?」
「説明は後で。こちらもお聞きしたいことがあるので。今は彼らを排除します」
 喪失否定アプリケーション達は不確かなモザイクの塊を呼び出した。
「なあ見てくれ、ようやくここまで取り戻せたんだ」
 彼らの執着する何かは呼び出されたまま不気味に佇んでいる。
「これを、きちんとしたものにするためにあんたらの協力が必要なんだ……なあ頼むよ、協力してくれよあんたの時間を、未来をくれよ!」
「ひぃっ」
 失った物をもう一度手に入れられる噂から実体化した喪失否定アプリケーションは、噂のエネルギーの中心である良悟へ手を伸ばす。
「そうはいきません」
 魔法剣『緋月絢爛』に水の魔力を纏わせる。梅雨の雨の中、刃じたいが煌めくようにルーン文字が輝き、剣の周囲に水が生まれる。
 水流を念動力で操作し、掴みかかってくる喪失否定アプリケーションの腕を押し流し、空中に流れる水に押されて体が泳いだところを切り捨てる。喪失否定アプリケーションは光の粒子となって消えていった。
「き、消えた」
「はい、消えますよ」
 また新しい喪失否定アプリケーションの一体を切り捨て、摩那は言う。
「これは人でも生き物でもないので」
「え、あ」
「時間銀行に引き寄せられてきた存在です」
 冷静に、アプリケーションをまた切り捨て、新たに押し寄せる一体を水流で押し流して距離をとる。
「そのアプリ、どこから入手したんです?」
「これ、これは……行き方がわからなくなった、古い神社にいた奴にもらったんだ」

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア
失ったものは戻って来ない。
手に入れることがあるかもしれなくとも、それはただ、そっくりなだけの偽物です。
……私は、それを痛いほど知っている。

いくら不本意でも、未来へ進むためには、過去を過去として置いて行かねばなりません。
縋りついているだけでは、進めませんよ……末原さん。

私は救い手ではない。失ったものを取り戻すことなどできない。
だからこそ……偽りの救済者は、ここで討つ。
闇夜に身を潜ませ、気配を殺し、攻撃される前に狩る。ただそれだけ、単純な事です。

そのまま思い出として、じっとしていなさい。
過去は糧にはなれど、未来を奪うものであってはいけないのだから。




(失ったものは戻って来ない)
 送り出されたシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は到着するやいなや、アサシンズ・ダガーを抜き放ち、手近な喪失否定アプリケーションの首を掻き切った。
(手に入れることがあるかもしれなくとも、それはただ、そっくりなだけの偽物です。………私は、それを痛いほど知っている)
 幾つもの予知で、事件で、彼女は見てきた。失ったものを再び寸分違わす手に入れたと思ってもそれは錯覚。過去へ置いてきたものはもう戻ってはこないということをシャルロットは痛いほどに理解している。
 音もなく、誰ぞ彼刻の河原に迫る闇に黒いコートにフードを被ることで潜みむ。シャルロットは姿勢を低くして良悟に手を伸ばす喪失否定アプリケーションに迫り、また急所を切り裂いた。
 そのまま顔も向けず、庇うように立って良悟へと声をかける。
「いくら不本意でも、未来へ進むためには、過去を過去として置いて行かねばなりません。縋りついているだけでは、進めませんよ……末原さん」
「ひ、は、はい」
 いきなり現れたように見えるシャルロットの静かな声に良悟は上ずった声で頷いた。
 そんなシャルロットに何を見たか、喪失否定アプリケーションはいきなり話し出す。
「なあ、なあ、あんたも失ったことがあるんだろう? ならわかるだろう? どんなに喪失が辛いか、ようやく取り戻せそうなんだ!」
 そう言って彼女に手を伸ばした。助けてくれ、救ってくれと。
「だからあんたも協力してくれ! そうしたらあんただって取り戻せるはずだ! 救えるんだよ!」
 その言葉を告げると同時にその個体の首が切り裂かれる。
(私は救い手ではない。失ったものを取り戻すことなどできない)
 シャルロットは剣にはなれても救済などできるはずがないのだ。故にその言葉が届くことはない。
(だからこそ……偽りの救済者は、ここで討つ)
 ただ迫りくる宵闇に身を沈め、息を、動作の音を、気配を殺し、攻撃される前に狩る。
(ただそれだけ、単純な事です)
 光らぬ刃が振るわれるたび、喪失否定アプリケーションが倒れていく。崩れて偽の希望は消えていく。
(そのまま思い出として、じっとしていなさい。過去は糧にはなれど、未来を奪うものであってはいけないのだから)

成功 🔵​🔵​🔴​

空見・彼方
◎失ったものを取り戻せるねぇ…
死人も蘇んのか。はっはっは。こっわ。

ステイクライフルで制圧射撃。
うわ当たんねぇ。じゃこいつならどうだ!
そーれ、ふっとべ!【重ね釘】
回避も防御も困難な呪殺弾の弾幕を張る。

ふー、空白。ちょっと警戒お願い。
えーと、良悟さん?大丈夫ですかね?
まま、まずは深呼吸、落ち着いてー(邪眼催眠術)
甘い話には裏がある、そいつは使うとよくないものを引寄せるんです。
俺達、これからその悪徳商人を捕まえますから、
逮捕への協力、お願いします。

社からの見えた風景とか、社の名前とか、
道中にあった物とか、なんでも良いです、何か思い出せませんか?




 空見・彼方(デッドエンドリバイバル・f13603)は依頼の話を聞いたとき、こう感じた。
(失ったものを取り戻せるねぇ……死人も蘇んのか。はっはっは。こっわ)
 どれほどの対価を必要とするのか想像もつかないが、死者すら蘇らせるなどとんでもないアプリだ。それを与えるUDCが爆発的に増えるなんてまさに狂気の沙汰である。
 阻止すべき事象に対し、送り出された河原で彼方はステイクライフルを構えた。自動で杭を打ち出し、辺りに集い、良悟へと迫る喪失否定アプリケーション達へと掃射して制圧射撃を行う。
「邪魔するなよ、この手を二度と離すことはないんだ!」
 けれど大きな杭を反動を抑えながらばら撒いても簡単には当たらない。喪失否定アプリケーション達は自分の未来を犠牲にして回避を成功させる。彼らの進むスピードが遅くなっても止まることはない。
「うわ当たんねぇ。じゃこいつならどうだ!」
 彼方はステイクライフルを下ろし、ネイルガンを構える。そこに込めるのは釘と呪い。近寄る人の形をしながら人でないものへと向ける。
「そーれ、ふっとべ!」
 込めた呪いは回避させず防がせず、当たって砕ける呪い。たっぷりと練り混んだ呪いを込めた呪殺の釘を345本生み出して、弾幕として射出する。
 呪いの釘の弾幕に襲われた喪失否定アプリケーション達が釘に刺さり動きを止めていった。
 今なら話をする時間もあるだろう。
「ふー、空白。ちょっと警戒お願い」
 媒介道具の空白人形に宿る人格に警戒を任せ、彼方は良悟へと近づいた。
「えーと、良悟さん? 大丈夫ですかね?」
「は、は……何なんだ、いったい、あんたらも、あいつらも」
 大分混乱してきたのか、がたがたと傘を持つ手が震えている良悟を落ち着かせるために彼方はサングラスを外す。
「まま、まずは深呼吸、落ち着いてー」
 良悟と視線を合わせるその目は普通の目ではない。かつて衝突した邪神の力が混ざった邪眼だ。その目で良悟を見つめ、鎮静させ、さらに意識を曖昧にさせていく。
 見つめられ、深呼吸するうちに恐慌状態を脱した良悟の手の震えが収まり、その目も眠たげになっていく。
「甘い話には裏がある、そいつは使うとよくないものを引寄せるんです」
「裏……引き寄せる……」
 つい、と彼方は良悟の手にしたスマホを指差す。そこに入っているのは破滅を呼び寄せるのだ、と。
「そいつを渡したやつは、もちろん裏の意図を持って渡したんですよ。俺達、これからその悪徳商人を捕まえますから、逮捕への協力、お願いします」
「悪徳商人……逮、捕……協力?」
「はい。そいつのいた社からの見えた風景とか、社の名前とか、道中にあった物とか、なんでも良いです、何か思い出せませんか?」
 じっと邪眼が良悟の記憶を浚うように問いかける。思い出せない記憶を辿り、良悟はおぼろなそれを語る。
「ここから、歩いていったんだ……山の方に……」
 この河原から近くの山の方へ。小道を辿り、狭い路地を抜けて、古い鳥居をくぐり抜けて。七回、何かをくぐり抜けた、そんな道行きを。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
◎〆

まったく。
都合よく、なくしたものが戻ってくる?
ふざけるな。
時間の流れってのはな、簡単に変えちゃならねぇんだよ。
それなのに無理を押すなら……
アタシのダチみたいに、何を求めていたかまで分からなくなっちまう。
だから、アタシはアンタらみたいなアプリを「否定する」。
元々因縁みたいなもんはあるようなもんさ、
けどなぁ。これ以上未来を奪われちゃたまらねぇ。

だから、アンタらの未来をもっと磨り潰せ。
奴らの攻撃を【災い拒む掌】で受け止め、そのまま返す。
今までにも「未来」を払ってたなら、更にその代償は必要になるだろうね。
末原さん、そのアプリはすぐ削除しな。
この惨状もSNSで拡散だ。
火消しは早い方が良いからね。




 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は苛立たしげに地を蹴った。手近な喪失否定アプリケーションの腹へと拳を叩き込む。
(まったく。都合よく、なくしたものが戻ってくる?)
 そんなアプリがあるという。そんな噂で生じるUDCがいるという。そうしてそれを配るのか。未来を代償に過去を呼び起こすのか。
「ふざけるな」
 そんなものがあってたまるか。多喜は河原に集う喪失否定アプリケーション達を睨めつけ、吐き捨てた。
「時間の流れってのはな、簡単に変えちゃならねぇんだよ。それなのに無理を押すなら……アタシのダチみたいに、何を求めていたかまで分からなくなっちまう」
 いなくなった後に過去から蘇ってきてしまった彼女。そうやって戻ってきた存在は、かつての友では無くなっていた。微かな記憶を頼りに帰ることを望み、失った言葉と心を求めながら歪んでしまった、悲しい存在。
 波の音のきれいな夕暮れに、過去に戻った彼女のような存在をまた生み出すというのか。
 それを許せるわけがない。
「アタシはアンタらみたいなアプリを「否定する」」
 喪失を否定する彼らを、多喜は否定する。過去を歪める彼らを否定する。
 否定された彼らはその声を聞いていない。ただ失ったことを認めない、失ったものを取り戻す、そのことに拘泥して未来を寄越せと腕を伸ばす。
「なあ、なあ、あんたの協力があれば、絶対に戻ってくるんだ! だから協力してくれるよな? なあ!」
 モザイクのかかった不確かな何かが多喜へと押し寄せる。お前の未来を寄越せと迫ってくる。
「元々因縁みたいなもんはあるようなもんさ、けどなぁ。これ以上未来を奪われちゃたまらねぇ。──だから、アンタらの未来をもっと磨り潰せ」
 多喜は手を伸ばす。その手の中にはごく小規模の特異点。押し寄せたモザイクが吸い込まれ、吐き出される。
 吐き出されたそれは、喪失否定アプリケーションを飲み込む。彼らの未来を奪って、彼らに不幸を招く。その存在を消していく。
「今までにも「未来」を払ってたなら、更にその代償は必要になるだろうね」
 消える喪失否定アプリケーションの向こうに、ぼんやりしている良悟が見えた。多喜はそんな彼に語りかける。
「末原さん、そのアプリはすぐ削除しな」
「……は、はい」
「この惨状もSNSで拡散だ。火消しは早い方が良いからね」
 噂には噂を。異形が迫るこの情報を拡散しよう。そうすれば、あんな荒唐無稽な噂の勢いを削げるだろうから。

成功 🔵​🔵​🔴​

神奈木・璃玖
◎○

時間を対価として払い、何かを得るというのは道理にはあっています
しかし、『未来』を消費して失った『過去』を取り戻すことはあってはいけません
何故ならば『過去』というものは、戻ることは許されないのですから
それにもし、未来を消費することで本当に失われた過去が戻ってくるのでしたら様々な秩序が崩壊してしまいます

ならばどうするか、という問いには、『止めるしかない』とお答えいたしましょう
選択UCの狐火を敵に放ち、炎の【属性攻撃】による【範囲攻撃】を行いましょう
私自身も「獄炎ノ剣」に炎を纏わせ、応戦します(【切り込み】【焼却】【属性攻撃】)
「御饌津の使い」も戦闘支援という名のお手伝い、よろしくお願いしますね




 神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)は与えられた時間銀行というアプリについて、良悟へ、喪失否定アプリケーションへと語りかける。
「時間を対価として払い、何かを得るというのは道理にはあっています」
 例えば雇われて働き、金銭を得る。例えば料理や物品を制作、提供、販売し、対価を得る。働きに見合う正当な報酬が支払われるべきであり、対価に見合った時間と労力を提供するべきである。
 すべてギブアンドテイク。等価交換である。
 しかし、と璃玖は続ける。
「しかし、『未来』を消費して失った『過去』を取り戻すことはあってはいけません。何故ならば『過去』というものは、戻ることは許されないのですから」
 そう、過去は戻らない。
 仮に落とした財布が未来で見つかったとしても、それは過去から戻ってきたのではない。財布を見つけるという未来の結果があったからだ。
 死者は蘇らず、壊れたものが過去のまま戻ることはなく、時間は逆行しない。
 故に時間銀行はあってはならないものなのだ。
「それにもし、未来を消費することで本当に失われた過去が戻ってくるのでしたら様々な秩序が崩壊してしまいます」
「でも、ここに戻ってくるんだ! 今たしかに! ならばこの手を話すことなんてできるものか!」
 喪失否定アプリケーションにはその声は届かない。良悟は力無く項垂れている。
「じゃあ、どうしたら」
 わかっているけれど、でも、と言うようなその呟きに、璃玖は告げる。
「止めるしかありません」
 人の未来すら求めて失ったものを取り戻そうとするUDC達へと璃玖は狐火を放つ。ぼう、ぼうと虚空に生まれた七十を超える炎は喪失否定アプリケーション達を取り囲み、燃やしていく。
「熱い、痛い……!!」
 彼らは自分の未来を捧げて、炎に耐えて璃玖へと手を伸ばす。その未来を寄越せと訴える。
 獄炎ノ剣を手にした璃玖は、燃えながら近づいた喪失否定アプリケーションへと切り込んだ。優美な動きで振るわれる熱を纏った両刃の剣が、未来を食いつぶすUDCを切っては焼却し、光の粒子へと返していく。彼の背後に迫るUDCは、御饌津の使いが体当たりで跳ね除ける。
 払えるはずもない対価を一方的に要求する喪失否定アプリケーション達へと、璃玖は剣を突きつけ言い放つ。
「私への対価は高いですよ? ……それに、「未来」をお支払する気はありません」
 この世界、世の中はあくまでも等価交換でなくてはいけない。矛盾した法則、歪な報酬と労力ではいけないのだから。それは、商人の鉄則でもある。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

古峰ヶ原・美琴
◎〇(WIZで挑戦)
不運続きでかわいそうだよ
涙と鼻水が止まらない、ずびぃ
おにいさんを見つけたら、死んじゃダメえぇー!!ってしがみついて引き留めるよ
死んで地獄に落ちたって、ヒトはなんとかして生きようとするんだよ
生きても死んでも苦しいなら、生きてるほうがずっといい
ヒトは失ったものを別のもので補う強さがあって
まだまだ、これから見た事ないモノを手に入れる事だってできる!(力説)
原因のスマホ、わたし、持ち主に返してくるよ。だから、ちょうだい
スマホを調べれば何かわかるかもしれないね
かわりに、白いおむすびあげるよ
わたしも一緒に考えるから、おにいさん、戦場で共に生き抜こう!
幸せは自分の手で掴み取らなくちゃ!


波狼・拓哉
◎○

別に好きに否定したらいいんじゃないですかね
…二度と前には進めなくなるとは思いますが、過去に縛られてりゃ何もなせませんよ

ミミック、化け喰らえ
死ぬほど避けるでしょうから、影顎を避けらない量出して喰らい付いてください

自分は衝撃波込めた弾で、戦闘知識、第六感、地形の利用、視力でミミックの影顎に合わせて更に早業、二回攻撃、制圧射撃で回避する余地を消すように撃ち込んでやりましょう
…動きが止まれば後は簡単でしょうし、心に響くこともないですから気にせず撃ち込んで終わりですね

…過去に縋る、未来に賭けるってのを全て否定するわけではないですけど、今現状どう足掻くべきかってのが一番重要だと俺は思いますよ




 古峰ヶ原・美琴(神出鬼没・f28138)は号泣していた。
「うぇええ、かわいそうだよぉ」
 良悟のあまりの不運続きに涙も鼻水も止まらない。けれど泣いてばっかりもいられない。ずびぃとティッシュで顔を拭き、美琴は周囲を見渡す。
 潤んだ視界に喪失否定アプリケーションに囲まれた良悟を見つけた。
「死んじゃダメえぇー!!」
「うわっ!?」
 美琴は祟り縄を振り回し、群がるUDCを吹き飛ばす。その縄が弾いた体には消えない傷がつき、急に転ぶ、互いにぶつかる、執着するモザイクの何かを取り落とす、など不幸が連鎖して彼らを襲う。
 跳ね飛ばされるもの、辛うじて避けるもの、転がるものと入り乱れながらも、喪失否定アプリケーションは叫ぶ。
「失ってない、俺は失ってなどないんだ!」
 頑なに否定する彼らに、河原に送り出された波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は、ミミックを召喚しながら静かに語りかける。
「別に好きに否定したらいいんじゃないですかね……二度と前には進めなくなるとは思いますが。 過去に縛られてりゃ何もなせませんよ」
 失った、喪ったことを認めることでまた歩き出せる。それを否定するのは、失ったことに囚われているのと一緒だ。未来を見て、今を進むこともできやしないのだ。
 その言葉は良悟にも届いた。過去へと囚われて進めないと聞けば、彼は力無く項垂れる。
 そんな良悟に、美琴は縄を振るい終わった勢いそのままに飛びつき、しがみついた。
「死んで地獄に落ちたって、ヒトはなんとかして生きようとするんだよ」
 焼かれても、飢えても、苛まれても。その罪を償いながら苦しみながらも生きようともがくのだ、と美琴は言う。
「生きても死んでも苦しいなら、生きてるほうがずっといい。ヒトは失ったものを別のもので補う強さがあって、まだまだ、これから見た事ないモノを手に入れる事だってできる!」
「いや、死にたいなんて欠片も思ってないから!」
「え、そうなの?」
 いきなり飛びつかれた良悟はとまどいながらも、力説する美琴を引き剥がそうとする。励ましてくれるのは分かるのだが、いきなり過ぎてついていけていない。
 そんな彼らに再び集おうとするUDCへと、拓哉は狼を放つ。
「ミミック、化け喰らえ」
 言葉と同時に、ミミックが開いた口から無数の影の顎を吐き出す。喪失否定アプリケーションが自分の未来を捧げ、避けたところに拓哉の銃撃が襲う。
(……動きが止まれば後は簡単でしょうし、心に響くこともないですから気にせず撃ち込んで終わりですね)
 拓哉はカラフルなMODELtypeβ・γ バレッフ&ノットを手に、影の顎を避けて回る喪失否定アプリケーションへと向ける。影顎の動きにあわせて逃げ惑う喪失否定アプリケーションの進路へと弾丸を素早く撃ち込んだ。発射された衝撃波の弾に吹き飛ばされ、回避する隙を奪われるほどに圧倒されるUDCへ顎が噛みつき、光の粒子へ変えていく。
 その間に美琴は良悟へ手を差し出した。
「原因のスマホ、わたし、持ち主に返してくるよ。だから、ちょうだい」
「え……これ、危ないやつだろ?」
 そんなものを小さな見た目の、泣いていた子供に渡すには、と良悟は躊躇する。
「大丈夫!」
 どんと胸を叩く美琴。ただ背筋を伸ばしただけなのに、奇妙なことに自身の何倍も年を重ねた何かを感じた良悟は、恐る恐るスマホを差し出した。それを美琴は受け取る。
 「ありがとう! かわりに、はいこれ」
 とん、と手に乗せられたのは真っ白な、温かいおむすびだった。手に伝わる温もりに良悟はなんとも言えない表情になる。
 そんな彼を励ますように美琴は明るく笑いかける。
「わたしも一緒に考えるから、おにいさん、戦場で共に生き抜こう! 幸せは自分の手で掴み取らなくちゃ!」
「自分の手で……」
 半ば呆然としている良悟へと、拓哉も言葉を添える。
「……過去に縋る、未来に賭けるってのを全て否定するわけではないですけど、今現状どう足掻くべきかってのが一番重要だと俺は思いますよ」
 すでに過ぎ去った取り替えのつかないもの、全く不明な未知を示すものに拘泥するよりは、今を。
 かつて何も知らぬままに正気を消費し、今を足掻いた経験のある拓哉の言葉は存外重く、良悟の胸に届いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

故無・屍
…ふざけんじゃねェぞ。
失くした物が、追われた場所が。 …死んだ奴が戻って来ることなんざ無ェ。
全部がそっくりそのままでそこにあったとしても、
そいつは何かを捏ね合わせた単なる木偶にすぎねェんだよ……!!

UC【暗黒剣・無尽】にて敵を一掃、怪力、捨て身の一撃、2回攻撃を用いて「苦戦している」と思う暇も与えない。
相手の攻撃に対してはカウンター、良悟に攻撃が向かうなら「かばう」。

…おいアンタ、怪我はねェだろうな。
そのアプリがどんなモンなのかは今のである程度は分かっただろ。
そいつはどこで、どんな奴から手に入れた?

例えそのアプリが本物だったとしても。
過去を変える対価が未来だなんざ割に合わねェ。
……安すぎてな。




 未だ途切れず集う喪失否定アプリケーション達。彼らはかつて失った何かをもとに戻そうと、この手に取り戻そうという意志のままに、大きなエネルギーの集う良悟へ集まっている。
 そのエネルギーが集まったのも、謎の人物から手に入れた、未来を払って過去に失ったものが戻るアプリのせいだった。
 故無・屍(ロスト・エクウェス・f29031)は低くなった声で言い放つ。
「……ふざけんじゃねェぞ。失くした物が、追われた場所が。……死んだ奴が戻って来ることなんざ無ェ」
 屍の大切なものは『バケモノ』に飲み込まれた。自分で振り払った。全て消えた。過去に沈んでもう戻らない。
 それが戻ってくるなんてことは、起こらないしありえない。
「違う違う、ほらもうここまで戻ってきた! 大切な 大切なこの子はもうここにいる!」
 喪失否定アプリケーションが胸に抱えた何かを示す。それはモザイクでよくわからない、不定形の何かだ。けれどそれを大切そうに抱えて、失った事実を否定する。
 その個体にはかつて失った大切なものに見えているのだろう。
 屍はそれを否定する。その手にアビス・チェルナムを握りしめ、痛みをこらえるような声で吐き捨てる。
「全部がそっくりそのままでそこにあったとしても、そいつは何かを捏ね合わせた単なる木偶にすぎねェんだよ……!!」
 形、中身が寸分違わず一緒に見えても、偽物でしかないのだ。決して失ったものが蘇ることなんてない。
 力を込める。歪曲した剣が闇を纏い、10mもの長さまで巨大化した。それを屍はその力で軽々と振るい、喪失否定アプリケーション達を切り捨てる。一周したら逆回りにもう一周。
 防御を捨てた斬撃は、喪失否定アプリケーションを薙ぎ払う。彼らが何を思う間もなく、巨大な闇の剣に切られたものが倒れて消えていく。
「……おいアンタ、怪我はねェだろうな」
「あ、ああ」
 呆然としている良悟へと屍は声をかける。
「アンタが持ってたアプリがどんなモンなのかは今のである程度は分かっただろ。そいつはどこで、どんな奴から手に入れた?」
「これは、行き方がわからなくなった、神社で……黒いスーツのやつからもらったんだ」
 良悟は夜だった上に、混乱していてどこを歩いたか定かでなく。ただ七回、門や鳥居などの何かをくぐったような気がする、と言う。
 そしてもらった相手も、もうボロボロで明かりのない神社だったから黒いスーツの、おそらく男性から、という曖昧さだった。
 屍はまた押し寄せる喪失否定アプリケーションを打ち払うため、そこで会話を切り上げる。おそらくこれ以上の情報は、ゆっくり話でもしない限り手に入れにくいだろうから。
 再びアビス・チェルナムに闇をまとわせながら、屍は呟いた。
「例えそのアプリが本物だったとしても。過去を変える対価が未来だなんざ割に合わねェ。……安すぎてな」
 屍と名乗る自身の未来と、大切な過去。それは、到底釣り合わないように思える、という自嘲を込めて。

成功 🔵​🔵​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎〆
ゲームの世界ではボタンひとつで
いくらでもやり直しが効くからね
そのくらいの感覚でそんな眉唾ものを
うっかり信じちゃう人が出るのもおかしくないかもね
この世界、この時代ならではの手口といえる
いやぁ上手いこと考えるねぇ
なんて感心している場合じゃないか

自身の手を斬りつけUC発動
やられる前にやれ、の精神で
高速でDuoを大きく振り回し
範囲攻撃で一気に薙ぎ払っていく
俺のこの力も、言ってしまえば
俺の未来を対価にして叶えているようなものだよね

情報収集は他猟兵がしてくれているだろうから
雑談がてら良吾に聞いてみる
何だか思いつめていたようだけど
それに頼ってまで取り戻したい大きな何かが君にはあるの?


乱獅子・梓
【不死蝶】◎〆
失ったものを取り戻せる、か
仮にそんなものが実在したとして
無くした財布を見つけるくらいなら可愛いもんだが
「どうせ戻せるから殺しても構わない」だとか
極端な発想に至る奴も出てくるだろう
物や命の価値なんてのが大暴落するな

さっさと黒幕を見つけて叩くためにも
ここはサクサクと切り抜けていくぞ
焔を成竜に変身させUC発動
広範囲・高威力の炎のブレス攻撃で
敵の群れをまとめて蹴散らしていく
焔!灰も残らないほどに全て燃やし尽くせ!
…まぁ人じゃないからもともと骨も灰も残らないだろうが…

財布探しくらいなら試しに使えたのに
使用をためらってしまうような大きな何か…
さしずめ、死んでしまった誰かというところか?




「失ったものを取り戻せる、か」
 現場の河原に到着してすぐに、焔を成竜に変身させながら、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は苦々しく呟いた。
 なんとも夢のようなアプリケーションだが、結局それは、堕落させるだけの代物だろうと。
「仮にそんなものが実在したとして、無くした財布を見つけるくらいなら可愛いもんだが……「どうせ戻せるから殺しても構わない」だとか、極端な発想に至る奴も出てくるだろう。物や命の価値なんてのが大暴落するな」
 取り返しのつかないものやことが、簡単に元に戻せるなら、そういうものをやってしまう者も必ず出てくるだろう。人の理性のたがねは簡単に飛びやすいものだ。
 だからこそ、過去が蘇ってはならないのだ。
 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は逆に感心したように言う。
「ゲームの世界ではボタンひとつでいくらでもやり直しが効くからね。そのくらいの感覚でそんな眉唾ものを、うっかり信じちゃう人が出るのもおかしくないかもね」
 コンピュータゲームの発達しているUDCアースならではの思考でもある。ゲームの世界ではいつだってやり直せてしまうから、それを現実に持ち込む幼い思考。綾はDuoの刃を自分の手のひらに滑らせながら、明るく笑う。
「この世界、この時代ならではの手口といえる。いやぁ上手いこと考えるねぇ……なんて感心している場合じゃないか」
 良悟の周囲に集まった大きなエネルギーから、新たな喪失否定アプリケーションが生まれてくる。そいつらは未来がほしい、失ったものを取り戻したいと猟兵や良悟へと手を伸ばして襲い掛かってくる。
「なあ、あんたも協力してくれるよな? もう少しで取り戻せるんだ」
 哀れな声で、不定形のモザイクを抱えながら、すがるように手を伸ばすUDCへと綾は大鎌を向け、梓は焔の背を撫でて対峙する。
「いくよ、梓」
「ああ、さっさと黒幕を見つけて叩くためにもここはサクサクと切り抜けていくぞ」
 先手必勝、とばかりに綾は喪失否定アプリケーションの集団に飛び込んだ。
 羽よりも軽く、自在に操れる大鎌を風切音をさせながら振り回し、軌道上の喪失否定アプリケーション達をなぎ払っていく──毎秒、綾自身の寿命を支払いながら。
(俺のこの力も、言ってしまえば俺の未来を対価にして叶えているようなものだよね)
 そこにあるだろう血腥い「殺し合い」を求めて未来を支払って今に費やす。残念ながらこの敵は血を流さず、粒子になって消えてしまう上、あまり歯ごたえもない。
 それでも笑いながら大鎌を振り回し、高速でなぎ払っていく綾に、梓はため息をつく。もう少し自分を大切にできないものかと。
 あとで話し合いという名の説教タイムを設けるとして、今は喪失否定アプリケーションへと意識を戻す。綾が散らしているが、その軌道上から逃れたものもいるのだ。
「焔! 灰も残らないほどに全て燃やし尽くせ!」
 主の意を受けて、焔がブレスを吐き出す。高温の炎が一面に広がり、周囲の喪失否定アプリケーションを焼いては粒子へと戻して消していく。
(……まぁ人じゃないからもともと骨も灰も残らないだろうが……)
 そこは言葉の綾である。高威力で焼き尽くすイメージを伝えるための選択だった。
 大鎌で切り裂かれ、炎で燃やし尽くされて、喪失否定アプリケーションが一時姿を消す。
 短い間だが、今なら良悟と話す時間もあるだろう。
 すでに情報収集は他の猟兵が行っているだろうから、綾は雑談がてら気になっていることを聞いてみることにした。
 予知で聞いたとき、良悟はちょうど悩んでいたという。
「ねえ、何だか思いつめていたようだけど。それに頼ってまで取り戻したい大きな何かが君にはあるの?」
「財布探しくらいなら試しに使えたのに、使用をためらってしまうような大きな何か……さしずめ、死んでしまった誰かというところか?」
 梓にも重ねて尋ねられ、良悟は口を開く。
「いや、まあ……昔、死んだ家族に会えるなら、と思っていたけど」
 でも、それはしてはいけないと思った、とぽつりと呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。
未来とは道だと思う。先の見えない道だと。
道は一つではなく幾つも存在しているとはいえ…。
そうしてまで何かを取り戻したいものだろうか。
失うものがない私にはいまいちわから…ふむ。
自然と露に視線がいったが…何故だ?

私は【氷凍蔦】を行使して露のサポートをしよう。
(早業、高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、限界突破、多重詠唱)
触れれば即座に凍り付く氷の蔦だ。これで地に縫い留める。
手を地面やアスファルトについて幾つもの蔦を発生させよう。
私の行動で感づいて回避行動にでる者もいるかもしれないな。
…だが。それも作戦のウチだ。大した問題はない。
回避行動でできた隙を露が見逃すはずはない。やってくれる。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
未来で失くしたものを取り戻せる…の?
将来をみこしたとーしってヤツかしら?
あたしも使っちゃうかもしれないわ…。
って。レーちゃんの視線が熱いわ。なんだろ?
「なに?」って聞いたら否定されたわ。
変なレーちゃん。なんだろ?顔に何かついてる?

うん。レーちゃんがサポートね。あたし頑張るわ♪
数が多いから【銀の舞】ですぱぱぱぱって斬るわ。
(早業、破魔、2回攻撃、範囲攻撃、継戦能力)
レーちゃんがしゃがんだ瞬間に【銀の舞】を使うわ。
最初はレーちゃんの魔法を避けた相手から攻撃するわね。
足を凍らされた相手は後でも十分攻撃できる…と思うから。
あ。地面を這う蔦には注意しないとね。凍っちゃうし。




 集まったエネルギーも残り少ない。おそらく喪失否定アプリケーションが出現するのもこれが最後だろう。
 最後の一波を待ち受ける神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は首を傾げた。未来を支払って過去を戻す、という現象がよく飲み込めないからだ。
「未来で失くしたものを取り戻せる……の? 将来をみこしたとーしってヤツかしら?」
「違うな。それは未来に備える投資であって、今回のアプリのように未来を消費するものではない」
 シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は露の考え違いを正す。
「そうなの? でももし、本当になくしたものが返ってくるならあたしも使っちゃうかもしれないわ……」
 露が思い浮かべるのは、かつての持ち主や、いつかなくしてしまったもの、そんなものが取り戻せるなら。大好きな親友がいなくなったら、その時このアプリがあったら。
 露は、そういう大切なものをもう一度取り戻すために、自身の未来を支払ってしまうかもしれなかった。
 そんな彼女を見つめながらシビラは思う。
(未来とは道だと思う。先の見えない道だと。道は一つではなく幾つも存在しているとはいえ……)
 同時に限られてもいる、と言えるだろう。道ということは決まった領域を持つものであるから。けれどそれを消費してまで何かを取り戻したいものだろうか、と。
 シビラにはそれがよくわからないのだ。
(失うものがない私にはいまいちわから……ふむ)
 失うもの、と考えたところで、何故か自然と露へと視線が行った。その視線に露が気づき、声をかける。
「なに? どうしたの?」
「いや、何でもない」
 何故見つめたかなんてシビラにもわからないのだ。そう答えるしかないシビラに、露はまた少し、首をかしげ、自分の顔をぺたりと触ってみる。
(変なレーちゃん。なんだろ? 顔に何かついてる?)
 そんな二人の周囲にも、喪失否定アプリケーションは現れだす。
 未来をよこせ、自分が失ったものを取り戻したい、と口々に好き勝手言いながら迫ってくるのだ。
 シビラは即座に詠唱を開始する。
「Târâtoare, viță de gheață... Opriți mișcarea a ceea ce atingeți!」
 紡ぐのは氷の蔦の魔術。とん、と小さな手で地面に触れて、そこを起点に触れれば即座に凍りつく蔦を、385m、一直線上に出現させる。
 現れた氷の蔦を避ける動作をする喪失否定アプリケーション達。何重にも詠唱を重ね、高速で紡ぎながら唱え続ければ、最初は足を覆うだけの氷が、脛やふくらはぎを伝い、上へと伸びていく。
 何体かは蔦に足を取られて動きを封じられるが、シビラの動きを見て、凍る仲間を見て、自分の未来を捧げて避ける個体もいる。
 それもシビラの狙いのうちだ。氷の蔦は露へのサポートなのだから。
 氷の蔦を避けたUDCがぐらりとよろめく。
 シビラがしゃがんだ瞬間、ストールマフラーを外してより身軽になった露がダガーで切り裂いたのだ。回避する行動でできた隙をついた斬撃が喪失否定アプリケーションへ吸い込まれていく。
 そんな露に攻撃しようとすれば、シビラの生み出した地面をはう氷の蔦に捕われていく。蔦を避ければ、露のダガーに切り裂かれる。
 自由に動ける喪失否定アプリケーションがいなくなれば、あとは氷の蔦で凍える残りを倒すだけだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『潜り場探し』

POW   :    行動あるのみ! 体力が続く限り手あたり次第に探し回る。

SPD   :    見える場所はないかな? 高い所や見晴らしのいい場所から探してみる。

WIZ   :    配置場所には法則性があるかも? 地図や地形などから場所を導き出す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 良悟のもとに集った噂のエネルギーは消え、喪失否定アプリケーションは現れなくなった。
 けれど噂の大本を絶たなければ、また同じようにエネルギーが集まって、最後には感染型UDCが生じるのだ。
 良悟は猟兵達に問われて、うろ覚えの記憶を話し出す。

 今いる河原から少し離れた山に向かって歩いていく途中。
 門や、電柱の間、橋の下、鳥居など、何かを七回潜ってたどり着いた、古びた神社でアプリの入ったスマホをもらった、と。
 この辺りの地図ならすぐ手に入るだろう。
 ひたすらに歩いたり走ったりして探すのもよし。
 近場にある高いビルから目測をつけるもよし。
 規則性を見出すのもいいだろう。
 猟兵達は各々行動を開始した。
黒木・摩那
まずは喪失否定アプリの危機は回避できました。
残るはそれをばら撒いた張本人の居場所です。
情報はありますから、あとはそれを辿っていくだけです。

ドローン『マリオネット』を飛ばします。
ドローンからの映像はスマートグラス『ガリレオ』とリンクさせます【情報収集】。
今いる場所を中心に渦巻を描くようにドローンを飛ばすことで、道を横切る品々を数えていきます。

これで街の風景は一望できますから、それを元に街を歩きながら七回くぐれる場所を探していきます。

こういう街歩きはもっとのんびりしたときにしたいですね。




 摩那は夕暮れ迫る河原から、索敵ドローン『マリオネット』を飛ばす。
(まずは喪失否定アプリの危機は回避できました。残るはそれをばら撒いた張本人の居場所です)
 過去を呼び戻すアプリがあれば使って見たいと考える人はきっと他にもいるはずだ。そういう人が辿り着く前に、配った本人を倒さなくては。
 摩那の操るドローンはぐるりと旋回し、渦を巻くような進路を取る。ドローンが捉えた映像はリアルタイムでスマートグラス『ガリレオ』とリンクして、周囲の建造物や地形の解析を進めておく。
(情報はありますから、あとはそれを辿っていくだけです)
 良悟の語った、何かを七回潜ったその先。
 河原から山にかけての道にある門や鳥居、電柱の隙間、橋の下、木の枝が重なるところ。そういった、道を横切る品々を数えて進路の候補を絞り込む。
 ドローンが街の風景を一望できるところまで高く飛び上がったところで、摩那は歩き出した。
 ガリレオが導き出した進路候補を元に街を歩く。
 橋の下、史跡の古い門、商店街の入り口のゲート、そういった潜り場を探して、辿って歩いていく。
「こういう街歩きはもっとのんびりしたときにしたいですね」
 事件のないときに散歩がてら、史跡や商店街を辿り、自然の中を歩くなどできたら楽しそうだったのだがしょうがない。今は事件解決に向けて寄り道せずに歩くのみだ。
 段々と山に近づき六回目、木々の交差した道をくぐり抜ける。すると遠目に古びた鳥居が見えた。
 摩那がそこをくぐり抜けると、朽ちてぼろぼろの神社が広がっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

故無・屍
…ひと昔前の都市伝説みてぇな会い方だな。
どうあれ、人がただ歩いて会えるようなモンじゃねェのは確かだ。

人じゃねェモンの居場所を探すなら、ヒト以外に頼るのが最良だ。


動物と話す、動物使いの技能を使用し、
動物の目線から妙な気配のする場所がないか等の情報を集める。
その他、餌を渡すことを条件に探索を手伝わせるなど。

自身はUCにて、汚れ仕事で培った技能を応用し
周囲の状況を迅速に収集、痕跡を辿るなどで
敵の居所を探る。

……過去に囚われた所で、それを拠り所にするってのはそいつ自身の選択だ。
否定はしねェ。
だが、何かを代償としてそれを今に戻そうと願うってのは…、

――それは、そいつの「死」すら否定するってことだろうが。




 良悟から話を聞いた屍は、歩き出す。まず目指したのは辺りにいる動物達。
 道を聞いたときにこう思ったのだ。
(……ひと昔前の都市伝説みてぇな会い方だな)
 数回、境目である何かを潜ると出会える場所や物、人物、何か。そういった都市伝説のようだと。
(どうあれ、人がただ歩いて会えるようなモンじゃねェのは確かだ──人じゃねェモンの居場所を探すなら、ヒト以外に頼るのが最良だ)
 道すがら見つけた彼らの目線から見て妙な気配の話と、河原から山に向かう道のり、餌を対価に探しに出た動物の声を元に屍は歩く。
 見つけ出した潜り場に、良悟と同じくらいの体格やの人物の移動した痕跡が残っていればそこを潜り抜ける。
 山に近づき、何かを潜るたび、動物達の足が鈍る。この先に行きたくない、と。
 そういったものを餌を与えて帰らせて、ついには一人になって潜ること六回目。
 遠目に古びた鳥居が見えた。その先に神社があるだろうと当たりをつけ、成年男性の歩いた跡があるのを追いながら歯科羽は向かう。
(……過去に囚われた所で、それを拠り所にするってのはそいつ自身の選択だ。否定はしねェ)
 鳥居を潜る。
(だが、何かを代償としてそれを今に戻そうと願うってのは……)
 その先には、朽ちた社があった。
 そこに佇む黒いスーツの男の影。
「――それは、そいつの「死」すら否定するってことだろうが」
 故無き屍はその理不尽に、苦い声で吐き捨てた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神奈木・璃玖
なるほど『7回』という回数が鍵になっているやもしれませんね
その神社の名前は覚えていないでしょうか
あるいは外見的な特徴や、足を踏み入れた時の印象などを良悟さんにはお聞きしたいですね

神社というものは神の領域に近いところがあります
そのため神社に足を踏み入れた時に嫌な感じがしたら無理に先へ進んではいけません
そこの神様を怒らせることになるかもしれませんから

さて、余談はともかくとして、選択UCで先程の問について良悟さんにお聞きしましょう
対価をいただかないことには割に合いませんので、出来る限りのことはさせていただきます
世の中は等価交換ですが、未来と過去はどのようなものでも等価ではないことだけは忘れないように




 璃玖は良悟の話を分析する。
「なるほど『7回』という回数が鍵になっているやもしれませんね」
 道行きをはっきりと覚えていない、社もどんなものか曖昧だ、と言うのに、何かを潜った回数をはっきり覚えているなら、それが鍵だろう。
「神社というものは神の領域に近いところがあります」
 そこは神のおわすところなのだから。
「そのため神社に足を踏み入れた時に嫌な感じがしたら無理に先へ進んではいけません。そこの神様を怒らせることになるかもしれませんから」
 そんな感じはしませんでしたか、と良悟へ問えば彼は首を振る。
「どちらかといえば、誘い込まれるような……」
「そうですか」
 余談はともかく、璃玖は良悟へと問いかける。
「その神社の名前は覚えていないでしょうか?」
「ああ、名前を示すものは何も見えなかった」
「ふむ。どんな神社でした?」
「ぼろぼろで、鳥居があったから神社と思ったくらいで……もう、何年も放って置かれてる感じだった。手水舎も水が枯れてるし、壁なんかも穴が空いていたり、扉が外れかかってたり」
 なるほど、と、失われる対価を感じながら聞いたことを几帳面にメモに取る。少し軽くなった懐や、自分の霊力や体力が僅かに費やされているようだ。
 ならばその分はきちんと回収しなくては。
(対価をいただかないことには割に合いませんので、出来る限りのことはさせていただきます)
 そのためにも璃玖は歩き出す。その前に、良悟に一言だけ忠告をしていった。
「世の中は等価交換ですが、未来と過去はどのようなものでも等価ではないことだけは忘れないように」
 それはどんなものを支払っても釣り合わない、値がつけられないような価値があるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
◎○

……常ならぬ場所、か。
性質だけ残った場所を住処にしたか、
それとも変質したか……?
ま、どちらにせよ次の「発信元」を仕立て上げようとするだろ。
その前に「噂」そのものを潰さねぇとな。

ポイントは潜る事、そして7回と言う回数かな?
町が見渡せる高台にまず移動して『情報収集』。
カブに乗りながら潜れるモノ7つに目星をつけて、
【超感覚探知】を働かせながら次々と潜っていく。

こうして道を進んでいくと、通りゃんせの歌を思い出すね。
行きはよいよい、帰りは恐い……ん?
「門」を潜る度に、思念を込めた手頃な石でも目印に置いとくよ。
万が一の、おまじないさ。




「……常ならぬ場所、か」
 何とも曖昧な良悟の情報に、その内容に、多喜は難しい顔になる。
(性質だけ残った場所を住処にしたか、それとも変質したか……?)
 神社、というならば元々そういう場所であった可能性も高いが、神が居なくなった故に変わり果てる可能性もある。
(ま、どちらにせよ次の「発信元」を仕立て上げようとするだろ。その前に「噂」そのものを潰さねぇとな)
 多喜は宇宙カブJD-1725に乗り、走り出す。
 目的のUDCへと繋がる道のりを考えながら、バイクで高台をまずは目指す。
(ポイントは潜る事、そして7回と言う回数かな?)
 曖昧な証言の中、はっきりとその部分は語られた、ということはそれが辿り着くための鍵になるのだろう。
 河原から山まで見渡せる高台に移動して、カブに乗りながら潜れそうなものを7つ探す。見渡して史跡の跡や橋の下などに目星をつけ、また走り出した。
 古びた門、電柱の隙間(カブは降りて押した)、木の枝の重なった道。
 多喜は超感覚を働かせて怪しい思念を感じた場所を辿り、通り過ぎる度に自分の思念を込めた石を置いていく。
 これは万が一の「おまじない」。異界に迷い込んでも帰ってこれるように、という道しるべ代わりだ。
(こうして道を進んでいくと、通りゃんせの歌を思い出すね。行きはよいよい、帰りは恐い……)
 けれどカブの走りが止まることはなく。七度目に鳥居をくぐったその先で、多喜は朽ちた神社を、そこにいる黒いスーツの男を目にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シビラ・レーヴェンス
●露(f19223)と。
潜る回数の他にもう一つ法則性があるように思う。
それは…。
建築物や物それ自体か潜る順番に意味があるのか。
それとも潜る行為そのものに意味があるのか。
『トマト』から得た地図に良悟の辿った道を合わせる。
合わせた後で実際にその道を巡る。その方が色々と早い。
その前に【小さい援軍】の『私達』を召喚し協力して貰う。
潜る場所の位置情報の収集を指示。
(全力魔法、範囲攻撃、限界突破、継戦能力)
『私達』に破魔とオーラ防御と狂気耐性を施しておこう。
…露が『私』を頭や肩に置いて機嫌がいいが…今は放置だ。

良悟と同じ場所を潜る方が確実に神社へ行けるのだろうな。
さて同じ物の下を潜ることができるだろうか。


神坂・露
●レーちゃん(f14377)と。
末原さんを無事に救えたし回避もできたし上々ね♪
それで今度は場所探…ってそれ…手乗りレーちゃん!
「わ♥ またそのレーちゃん達使うの? 使うの?」
あたしの好きな場所に乗っけながら聞いてみるわ。
でもでもレーちゃんってば無視して指示だしてるし…。
「…なんで本体さんは、あーも意地悪さんなのかしら?」
なんて手乗りレーちゃんに聞いてみたら腕を組まれたわ。
むぅ。これってどーゆー意味かしら。でも可愛いわ~♪

神社へ行くために末原さんと同じルートで!
あたしも【月影】で手乗りレーちゃんみたいに探すわ。
そうそう。探す前に呪詛耐性とオーラ防御しておくわね。
高いところからそれらしいのを探す。




(末原さんを無事に救えたし回避もできたし上々ね♪それで今度は場所探……)
 先の戦果に満足偈な露の目に飛び込んできたのは小さなシビラ。
「わ♥ またそのレーちゃん達使うの? 使うの?」
 シビラが黒いヴェールを被った、手乗りサイズの彼女を呼び出していたのだ。
 そのうち数人を早速捕まえて、頭や肩、手に乗せた露は機嫌良さげにうきうきしながらシビラに問う。そんな声を無視して、シビラは冷静に良悟の話した内容の分析を続ける。
(潜る回数の他にもう一つ法則性があるように思う)
 順番も場所も、何を潜ったかも曖昧なその証言。けれど七回潜ったという数ははっきりしていた。ならば七回、という回数が重要なのはわかりきっている。
 それに加えて重要な要素があるのではないか、とシビラは思ったのだ。
(建築物や物それ自体か潜る順番に意味があるのか。それとも潜る行為そのものに意味があるのか)
 シビラスマートフォンのトマトを起動する。はっきりしない良悟の証言を元に、この辺りの地図を入手して、それらしい『何か』に当たりをつけていく。そこに小さなシビラを派遣して、位置を確認させるのだ。無論、怪しげな何かに侵されぬよう、対策を施してから。
 小さなシビラと戯れながらも、本人にはすっかり無視された露は、自分に乗せた手乗りシビラにぼやく。
「……なんで本体さんは、あーも意地悪さんなのかしら?」
 もっと露にかまってくれてもいいではないか。親友ではないか。いっつも露への対応が意地悪さんではないか。そんな不満やツンとした態度への愚痴を手乗りシビラへと語りかけた。
 が、手乗りシビラは何も語らず、ただ腕を組むのみ。
(むぅ。これってどーゆー意味かしら。でも可愛いわ~♪)
 チイサナシビラの仕草ににへらと顔が緩む。どうあったって露はシビラが大好きなのだ。彼女への不満も不機嫌も長く続かない。それ以上にいっぱい素敵な何かをもらっているのだ。
 露も小さなシビラ達のように道を探そう、シビラの助けになろうと、髪をなびかせ踊れば、もう一人の露が現れる。
 手乗りシビラを取り合う一幕もあったけれど、呪詛などへの対策を整えてから、二人の露はそれぞれ別々の高い位置から、河原と山を結ぶ道を、そこにある潜れる場所を探していく。
 地図と小さなシビラ達、露達が集めた情報、良悟の話した内容を合わせ、おそらく良悟の辿ったであろう道を導き出した一行は潜り場を目指す。
 同じ道を辿れば、確実に辿り着けるだろうから。
 電柱の間、商店街のゲート、垣根の潜戸。そういったものを抜けて、山へと向かえば、古びた鳥居が見えてきた。
 二人と小さなシビラ達、もう一人の露が鳥居を潜る。
 いくつもの目に飛び込んできたのは古びた建物。ぼろぼろに朽ち果てた小さな社。
 その前に黒いスーツの男が、闇にまぎれて立っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

古峰ヶ原・美琴
古びた神社を探し出してスマホを返しに行くよ
河原から山に向かって捜索開始だね
おにいさんから聞いた潜ったモノを探して潜っていくの
地図を使うね
分かれ道で迷った時は紐で結んだスマホを地図上にぶら下げてダウジングで決めるよ
地元のヒトにも心当たりがないか聞いてみるね

七不思議とか不思議なお話知りませんか?

ウワサが集まる場所に溜まったエネルギーを利用して
ヒトを神社に誘い込んでるのかなぁって思ったの
どんな七不思議が聞けるのかな
わくわくして耳がピコピコしちゃうよ
ツチノコさんには周囲の警戒を
危険な場所ではりんりんと音で教えてとお願いするよ
必要ならどろんチェンジで空も飛べるけど
出来る限り徒歩で楽しみながら神社を探すよ




 美琴は街へと向かって歩き出す。古びた神社を探し出し、怪しいスマホを返すのだ。
 意気揚々と歩きながら、首元の鈴を指でつついて呟いた。
「危険な場所ではりんりんって、音で教えて」
 鈴へと化けたつちのこさんに警戒を頼み、捜索開始だ。
 まず探したのは街の地図。街角にあった小さな観光案内所、そこに辺り一帯の観光地図があったのでそれを一つもらうことにする。
 ついでに、観光案内所に座っている係の人に美琴は尋ねることにした。
「すみませーん、この辺りにある、七不思議とか不思議なお話知りませんか?」
 今回噂の発信元である良悟にエネルギーが集まったように、噂になった場所にエネルギーを溜めて、それを利用して神社に誘い込んだのか、と考えたからだ。どんな不思議が聞けるのか、頭の上の猫耳がワクワクでピコピコしてしまう。
 けれど帰ってきた答えは否。特にそういった妖怪や怪談などの、不思議な話はないという。
 残念に思いながらも礼をいい、美琴は地図を見ながら歩き出す。
 良悟は潜った物を全て覚えていなかったけれど、聞き出せたいくつかのものを探していく。
 古い史跡の門、電柱の間、垣根の門、そういったものを潜って進む。分かれ道で迷ったときは、スマホを紐にくくりつけ、地図の上でゆらしてダウジングだ。なかなか大きいスマホでは中心が狙いにくいけど、そこは勘で決めていく。
(必要なら空も飛べるけど、できるだけ歩こう)
 日が沈んで、夜の帳が下りる頃、美琴は古い鳥居をくぐり抜ける。
 その先には、ぼろぼろになった神社と、そこに佇む黒いスーツの男の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
◎○

ふむ、知らない古びた神社ねぇ…まあ、行って辿り着いた場所にあれば特に不自然にも感じないでしょうし…流石に辿り着いた方に非があるとは言えないね

取り敢えず…というかそういう不思議な神社ってこの辺りの噂とかに無いのですかね
いきなり生えたらお手上げで第六感任せで進むしかないですけど…
昔からあるのなら何かしらの情報があるはず、コミュ力使っての聞き込みか、歴史博物館とかないか調べてみましょうか

後は…地形の利用ってもの考えられるか
山に向かっての尾根上に潜る所があるとかそういう特異性があるのかもしれませんね…




(ふむ、知らない古びた神社ねぇ……)
 拓哉は首を傾げつつ、街へと向かってk歩く。
(まあ、行って辿り着いた場所にあれば特に不自然にも感じないでしょうし……流石に辿り着いた方に非があるとは言えないね)
 良悟はただの一般人だ。心の中では、そういう不思議な力にすがりたい、と思っていたかもしれないが、故意に呼び出したわけではないだろう。それならば彼には非はない。
(取り敢えず……というかそういう不思議な神社ってこの辺りの噂とかに無いのですかね)
 朽ちた神社があるのなら人の噂になるのではないか、と拓哉は考えた。いきなり地面から生えるようなものではないだろう、と。
(いきなり生えたらお手上げで第六感任せで進むしかないですけど……)
 そうでないなら何かしら情報があるだろう、と拓哉は聞き込みすることにした。
 夕闇の中、家路を行く人に聞いてみてもそういう古い神社は覚えがないという。
 歴史博物館はなかったけれど、観光案内所があったので行ってみれば、この一帯の観光地図を一枚くれた。
 この地図を元に考えることにする。
(……地形の利用ってもの考えられるか)
 何か呪術的な意図や形で潜る場所を決めているのかもしれない。
(山に向かっての尾根上に潜る所があるとかそういう特異性があるのかもしれませんね……)
 良悟の語った特徴的な場所を繋ぐ線を地図に引いて歩き出す。その進路上、潜れる場所を探しながら。
 その進路は、まるで蛇のように蛇行していた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『トレーダー』

POW   :    神格解放、領域侵食『時腐れの食人森』
攻撃が命中した対象に【十秒ごとに倍々ゲームで負傷数が増える呪い】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【一撃毎に十秒の思考時間を奪う無数の肉食樹】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    刻印トランク『8月32日と終わらない宿題』
いま戦っている対象に有効な【致命的な破滅をもたらす邪神異物 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    エージェント殺害ミーム(暴走済み)
【深刻な認識障害を引き起こす情報災害】を籠めた【EMP爆弾の広域爆破】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【武装機構と『恐怖に立ち向かう意思』】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナ・ヴァレンタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 鳥居を潜った途端、それらは急に浮かび上がったように見えた。
 各々の猟兵はばらばらに辿り着いたはずなのに、何故か同時にそこにいる。
 そして、黒いスーツの男──顔のない、目玉だけを透明な筒の中に浮かばせた異形が立っていた。
「おや、新たなお客人かな。さあどんな奇跡を望む? 対価は君の未来だ」
 トレーダーは過去を商う。時間を預かると嘯いて、時間を奪うために。
シビラ・レーヴェンス
露(f19223)と。

応じることで汚染する可能性もある。問いには無言。
…いや。返事の代わりに魔術を放つのも手か…。
黒服は回避するか向かってくるか…少し興味あるな。
素早くオーラ防御と狂気と呪詛耐性を自身に施す。
で。唐突に全力の【滅術呪】を行使してみる。
放つ術の封印を解いて限界突破をつけて火力の底上げを。
黒服の周辺に他の猟兵がいる場合は魔術行使は中断しよう。
(早業、破魔、高速詠唱、全力魔法、多重詠唱、範囲攻撃)

回避されても問題はない。露が間合いを詰めている。
私も移動しながら高速詠唱し今度は範囲を絞って行使。
無論。他猟兵の位置を確認してから術を行使。
ふむ。よく私の考えがわかったな。露は。…流石だ♪


神坂・露
レーちゃん(f14377)と。
境内にはすっごく似合わない黒服の姿ね。この人。
って。え?レーちゃんがいきなりまほ…!?え?
黒服さんごと神社とか巻き込んで破壊する気かしら。


巻き込むのは置いといて。
レーちゃんの考えが少しわかった気がする♪
黒服さんがレーちゃんの魔法を避けた場合追撃するわ。
なんだか精神を攻撃するタイプみたいだから耐性を付与よ。
でねでね。【銀の舞】で一気に懐に飛び込んで攻撃~♪
刃に破魔を宿して早業で一撃…余裕あれば二連撃するわ。
で。レーちゃんのところに帰ってくるわね。えへへ♪

レーちゃんの魔法の軌道に注意しながら一撃離脱する。
レーちゃんの作戦壊すの嫌だし巻き込まれたら大変だし。




 夜の暗い神社の境内に、浮かび上がるトレーダー。その問いかけにシビラは応じない。声に応じることで汚染される可能性もあるからだ。
 変わりに素早く呪いや狂気などへの耐性を乗せたオーラで身を守る。その最中、ふと思いついた。
(……いや。返事の代わりに魔術を放つのも手か……。黒服は回避するか向かってくるか……少し興味あるな)
 どちらにせよ撃退しなくてはいけないのだから。
 シビラは小声で呟き出す。紡ぐのは全てを消滅させる閃光の魔法。
 露も問いかけに応えない。むしろトレーダーの風体に気を回していた。
 黒いスーツに革靴、ネクタイにマフラー、キャスケット帽。
(境内にはすっごく似合わない黒服の姿ね。この人)
 あまりに不似合いなその姿に露がふとそんなことを考えたら、隣で何か呟いている気配がした。親友をうかがえば、彼女は最後の一節を唱え終えたようだった。
「Stai în fața mea Tuturor prostilor… Dă distrugere în mod egal!」
 夜の闇を切り裂いて、トレーダーに向けて消滅の閃光が迸る。威力を抑える封印を解除し、限界を超え、火力を上げる。彼の背後の神社の残骸すら全て消し飛ばす勢いで、閃光が辺りをまばゆく照らし消えていく。
(って。え? レーちゃんがいきなりまほ…!? え? 黒服さんごと神社とか巻き込んで破壊する気かしら)
 唐突な魔法行使に露は目をぱちくりさせて驚いている。けれど、何かぴんときた。
(! 巻き込むのは置いといて。レーちゃんの考えが少しわかった気がする♪)
 露はストールマフラーをほどく。
 辺り一帯を明るく照らした閃光が収まったあと、そこにトレーダーの姿はなかった。
「おやおや、お客人かと思いきや……強盗だったかな?」
 一直線に伸びた閃光の範囲から逃れ、別の暗がりから浮き出るように現れたのだ。
「ならばこちらも、対応させてもらおうか」
 トランクを開いて、この場にあった武器を取り出そうとしたトレーダーの姿に、シビラは焦りはない。
 そのときには、シビラと以心伝心、露のダガーがトレーダーに迫っていた。
 シビラの最初の一撃は、あくまでもトレーダーの対応を見るもの。避けても、向かってくるでもどちらでも良かったのだ。すぐに親友が距離を詰めて動いてくれるはずだから。
 マフラーを解いて身軽な姿になった露は、いつも以上の素早さでトレーダーへと飛び込んで、ダガーで二度切り裂いた。破魔の力を宿した銀の舞が、トレーダーの胸部に二筋の跡を残す。
 露は深追いせず、即座に離脱。すでに位置をずらして詠唱を行っていたシビラの側へと戻っていく。
(ふむ。よく私の考えがわかったな。露は。……流石だ♪)
「えへへ♪」
 視線だけで褒められた露が戻ったのは、親友の作戦を壊さないため。そして、巻き込まれれば大変なため。
 シビラが再度、滅術呪を放つ。範囲を絞った閃光が、トレーダーを包んで焼いていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神奈木・璃玖
残念ながらあなたにお支払いする『対価』は持ち合わせていません
何故ならば、『未来』という物は何ものにも変え難いものだからです
それは『過去』も同様に等しく変え難いもの
矛盾しているようですが、時間の流れは不可逆ですから
『未来』を対価に『過去』を取り戻すことなど出来はしないのですよ

それを知らしめるために、真の『商人』たる私が一肌脱いで差し上げます
(選択UCで九尾の狐へ)
さて、我を怒らせた報いを受ける覚悟は出来ておるか
我が眷属共も、我と同様に怒りを覚えているようでな
戦闘支援も積極的だろうよ

『過去』がなければ『未来』は生まれぬ
それは対価ではなく、絶対の理であることを決して忘れるなかれ




 埃を払うトレーダーに、璃玖は毅然と告げる。
「残念ながらあなたにお支払いする『対価』は持ち合わせていません」
「おや、そうですか?」
「ええ。何故ならば、『未来』という物は何ものにも変え難いものだからです。それは『過去』も同様に等しく変え難いもの」
 時は金なり、とは言うけれど、それはあくまでもものの例え。時間は対価に対するリソースではあるが、未来と過去はその対象にはならないのだ。
「矛盾しているようですが、時間の流れは不可逆ですから。『未来』を対価に『過去』を取り戻すことなど出来はしないのですよ」
 価値のつけられないものを対価とし、商うなどと言うのは商人ではすでにない。いっそ詐欺師と言ったほうが正しかろう。それは璃玖には許せない。
「それを知らしめるために、真の『商人』たる私が一肌脱いで差し上げます」
 閉じられた瞼が、再び開く。柔らかな琥珀色の瞳は黄金に変わった。同時に璃玖の背後に九つの金狐の尾が現れる。
 自分の周りに狐火をいくつも浮かべ、璃玖は言い放つ。
「さて、我を怒らせた報いを受ける覚悟は出来ておるか」
 すい、と指をトレーダーに向けた。
「さてさて、お客人でないのでしたら排除しなくては」
 トレーダーの足元からうぞりうぞりと肉を食う樹木が溢れだす。それは璃玖と迫るが狐火で燃やされ届かない。
 狐火の開いた隙間より御饌津の使いが飛び出した。喉の奥で怒りの唸りを上げて、トレーダーへとその爪と牙を振るう。黒いスーツを引き裂いて、不可思議な肉を引き裂いた。そこに狐火が叩き込まれる。
 金の瞳は冷たく詐欺師を見下ろしていた。
「『過去』がなければ『未来』は生まれぬ。それは対価ではなく、絶対の理であることを決して忘れるなかれ」

成功 🔵​🔵​🔴​

故無・屍
…フン、手前ェにとっちゃ俺らがいつ辿り着くかなんざ関係ねェってか。
生憎俺は客じゃねェ。

――仕事で、手前ェを殺しに来ただけだ。


UCを発動、血を吐きながら怪力、2回攻撃、限界突破、リミッター解除の技能も用いて
一気にダメージを与える。

ッチ、面倒な植物だ。刺さる度に思考が鈍りやがる。
…なら、思考が完全に止まる前に叩き潰すだけだ。

他の猟兵に対しては「かばう」


大した詐欺だな。
未来を担保に過去を取り戻すなんて事が本当だとしても、
その過去を享受する為の未来は手前ェの懐。
商売人としちゃ上々だ。

…過去は戻らねェ。
死んだ奴はもう居ねェ。
そんな事が実現しちまったら…

――それは「生きる」ことそのものの否定だろうがァ!!




 引き裂かれたスーツをトレーダーが手で払うと、何事もなかったかのように元に戻る。傷を癒やしたわけではなく、見た目だけ整え、猟兵達へと向き直る。
「……フン、手前ェにとっちゃ俺らがいつ辿り着くかなんざ関係ねェってか」
「無論、お客人はいつでも迎え入れるべきですから」
「生憎俺は客じゃねェ」
「ほう、では何の御用でしょうか」
 屍は
「――仕事で、手前ェを殺しに来ただけだ」
 絞り出すような声で屍は応える。
「おやおや、今日は商売上がったりですねぇ……」
 客でないなら排除すべし、とトレーダーの足元から棘を持つ樹木がうぞりと湧き上がる。
 他の猟兵に向かう肉食樹をその身で受け止め、切り捨てる屍。
(ッチ、面倒な植物だ。刺さる度に思考が鈍りやがる)
 時間が経つにつれて棘の傷が広がっていく。刺されば刺さるほど、ぼんやりとして思考がまとまらない。
(……なら、思考が完全に止まる前に叩き潰すだけだ)
 そう断じて、屍は木々の向こうのトレーダーを睨めつける。
「大した詐欺だな。未来を担保に過去を取り戻すなんて事が本当だとしても、その過去を享受する為の未来は手前ェの懐。商売人としちゃ上々だ」
「いえいえ、お褒めいただいてもサービスはできませんよ」
「褒めてねぇよ」
 屍の体が闇に覆われる。体中に激痛が走り、屍の存在を強めていく。
「……過去は戻らねェ。死んだ奴はもう居ねェ。そんな事が実現しちまったら……」
 血を吐き出しながら、身を抉るような痛みに耐えてレグルスとアビス・チェルナムを類まれなる膂力で振り回す。
「――それは「生きる」ことそのものの否定だろうがァ!!」
 絶叫と共に、凄まじい勢いで振るわれた二本の剣が棘を突き刺す樹木を切り捨て、トレーダーをも吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒木・摩那
あなたが時間銀行のアプリをばら撒く『トレーダー』ですね。

対価? 未来?

残念ですが、私は客ではなく『レイダー』です。
あなたの持っているアプリからスマホまで奪いにきました。
さぁ、すべて置いていきなさい。

魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
UC【偃月招雷】で剣に帯電して、威力UPします【属性攻撃】。

普段ならば、スマートグラス『ガリレオ』のサポートを受けながら戦うところですが、今回はEMP爆弾を持ってます。スマートグラスは早々に使えなくなりそうですし、認識障害でむしろ術中にはまりそうです。
であれば、【第六感】を使って、相手の動きを読んで対応します。

恐怖の克服は愛用の唐辛子をひと舐めして、【気合】入れます。




 トレーダーからは異様な気配を感じられる。恐怖をもたらすUDCは、変わらぬ顔でそこに立つ。
 襲い来る恐怖には、愛用の唐辛子をひと舐め。辛味が気分を高揚させる。ぐっと気合を入れてトレーダーの前に摩那は立つ。
「あなたが時間銀行のアプリをばら撒く『トレーダー』ですね」
「ええ。対価である未来を頂ければ、過去から何でも取り戻せましょう。」
 一礼するトレーダーを摩那は笑う。
「対価? 未来?」
 そんなものを払う気はない。
「残念ですが、私は客ではなく『レイダー』です。あなたの持っているアプリからスマホまで奪いにきました。さぁ、すべて置いていきなさい」
 そんな危ないものをばら撒かせてなるものか。トレーダーの顕現を世界中に許してなるものか。
 摩那は魔法剣『緋月絢爛』を抜き放ち、ばちりとサイキックエナジーを纏わせ帯電させる。威力の上がった緋月絢爛を手にそのまま地を蹴った。
(普段ならば、スマートグラス『ガリレオ』のサポートを受けながら戦うところですが……)
 得体のしれない相手だ、認識阻害くらいしてきそうだ。その場合、逆に相手の術中にはまってしまうだろう。
 ならば最初から使わない。自身の第六感を、培った技術を、自身の目を信じるだけだ。
 トレーダーはEMP爆弾を取り出して爆破させようとする。狙いは摩那の足元だ。
 これが爆発すれば、精神に、認識に、そして武器と意思に障害と損害を与えることができる。
 けれどその狙いは達成されない。
 それより速く、トレーダーの元へ距離を詰めた摩那の刃が、爆弾ごとトレーダーの手を切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
◎〆

ふぅん、アンタが黒幕か。
こんだけの猟兵を集めて一気に相手取るとは、
凄い自信と度胸だねぇ。
この妙な時空も、アンタかアンタが使うモノの力なんだろ?
油断せずに挑ませてもらう!

本当はやっちゃいけないだろうが、
まずは『コミュ力』で話しかけて謎解きさ。
アンタの狙いは何なのか。
この空間は何なのか。
そして皆が一同揃って居るのなら。
いったい今は「なんどきだい?」

謎解き問答は半分本気、半分フェイク。
掛け合いの言の葉の中に【時縛る糸】を紛れ込ませ、
トレーダーの「時」を縛る。
その間に『ダッシュ』で距離を詰め、
『グラップル』で羽交い絞めし。
電撃の『マヒ攻撃』を込めた『属性攻撃』で、
無力化を図るよ!
トドメは頼んだ!




「ふぅん、アンタが黒幕か」
 切られた手を振って傷を見た目だけ消してみせるトレーダーに、多喜は話しかける。
「こんだけの猟兵を集めて一気に相手取るとは、凄い自信と度胸だねぇ。この妙な時空も、アンタかアンタが使うモノの力なんだろ?」
 じり、と一歩、何気ないようにトレーダーへと近づいた。
 話しかけていても多喜は油断はしない。
(本当はやっちゃいけないだろうが……)
 それでもこのUDCの狙いを突き止めたい、という気持ちはある。だから多喜はあえて話しかける。
「なあ、アンタの狙いは何なんだい?」
「無論、商品を売ることですよ」
 トレーダーは手にしたトランクを広げ、中から商品を取り出す。スマホに錠剤、筆記具、文庫、様々な品々を。
「対価は全て時間。時間を預けていただく銀行のようなこともやっていますが、昨今は明確な商品の売れ行きが良いようで」
 そしてその時間を元手に自分を増やし、さらに時間という資本を増やすのだ、と。目玉だけの顔なのに笑っていると何故かわかる。
「この空間は何なんだい?」
「さて、明確にはわかりかねます。昔からあった場のようですが、それを利用させて頂いたまで。言うなればテナントを借りた状態ですね」
 じり、と多喜は一歩トレーダーに近づいていく。
「なあ。いったい今は「なんどきだい?」」
「h──」
 トレーダーが話し出す前に、多喜の言葉に含まれた思念波がトレーダーを覆う。
 もともと問答は半分がフェイクだったのだ。想定したより真摯に答えてくれたのは僥倖だった。故に多喜の仕掛けた罠にトレーダーが捉えられたのだから。
 多喜は一気に走って距離を詰め、トレーダーを羽交い締め、電撃を浴びせる。
 これでトレーダーの時間が動き出しても麻痺したままでいるはずだ。
「トドメは頼んだ!」
 同じ場に居合わせる、仲間に向かって多喜は声を上げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

古峰ヶ原・美琴
(SPDで挑戦)◎〇
妖怪としてはよくある商売
だけど、フェアじゃないよね。悪徳業者だよね
何も決まってない未来の時間の査定なんて誰にもできないもん
おじさんをやっつけて、過払いな時間も返してもらうよ!

預かった物を返しに来たんだよ、と言って
スマホを取り出し、確認してね、おじさんの目を引き付けるよ
化術で、めちゃくちゃまぶしい夏の太陽にカッと変身して目潰しだよ
どろんチェンジで一反木綿に変身して、一旦、真上に飛んで攻撃を回避
空中で大狸にどろんチェンジして、空中浮遊でおじさんの上に落下するよう微調整
地形を破壊するくらいの重量攻撃で踏みつけるよ

おじさん、アプリを使ってもいいんだよ
使った瞬間に死んじゃうかもだけど


波狼・拓哉
◎○

別に奇跡は自分で起こすんで、いらねぇです
というか欲しい奇跡が特にねぇです

つーわけで骸の海にお帰り?
化け狂えミミック、ルール無用の取引と参りましょう
そっちは帰る、こっちは狂う…50:50ですね!多分
あ、味方は気を付けてね、無差別だしミミックさん
…まあ、思考剥奪や負傷が増えたところで止まりませんし、いい感じに盾として使ってやってくださいな
ダメージ大きくなったら再召喚して全部無かったことにしますからね

自分は衝撃波込めた弾で敵の動きを阻害するように撃ち込んだり、ミミックの動きの誘導をしたりしておきましょう
…え?いや危なそうですし近づきませんよ
受け答えも適当に、そうだね!でも死ね!の精神で




(妖怪としてはよくある商売)
 人をだましていい目を見る、妖怪社会ではよくある話。騙される方が悪いのだ、と開き直ったていい話だ。
 だけど、と美琴は麻痺したトレーダーを指差し怒る。
「フェアじゃないよね。悪徳業者だよね。何も決まってない未来の時間の査定なんて誰にもできないもん。おじさんをやっつけて、過払いな時間も返してもらうよ!」
 何か言いたそうなトレーダーだが、先程の攻撃による麻痺が残っており、何を話すこともない。
 拓哉はトレーダーの差し出す商品に興味はない。
「別に奇跡は自分で起こすんで、いらねぇです。というか欲しい奇跡が特にねぇです」
 目につく品もなければ興味もない。ただ、トレーダーの存在は何ともしがたいものだ。放っておけばより厄介事を運んできそうだ。なら、ここで倒すべきだ。
 美琴は先程良悟から受け取ったスマホを取り出した。
「預かった物を返しに来たんだよ」
 そのスマホを、麻痺したままのトレーダーに放り投げた。
 しびれたままのトレーダーの目玉がスマホの方に向いたと同時に、美琴はカッと光り輝く真夏の太陽へと変身する。
 視覚を潰されたその隙に、拓哉も動いた。
「骸の海にお帰り? ──化け狂えミミック、ルール無用の取引と参りましょう」
 拓哉は、微かな正気に似た何かを更に手放して、ミミックを解き放つ。
 箱型生命体は顔のない化物へと変わり、トレーダーへと駆け出した。
 未だに麻痺の残る鈍い動きでトレーダーが辛うじて呼び出した肉食樹のなんのその、自身のダメージを無視してミミックは飛びかかる。増える傷も、鈍る思考も関係ない。もう止まることはないのだから。
 ミミックは最初から盾として扱う腹づもりだったのだ。傷が増えればまた再召喚すればいいだけだし、と。
「そっちは帰る、こっちは狂う……50:50ですね! 多分」
 さっぱりと笑い飛ばして、拓哉はミミックの暴れっぷりを観察している。等価交換の取引だろうと、狂気の中で笑ってみせた。
 その間に美琴は一反木綿に化けて上空へと飛び上がる。
 未だに残像の残る目でも、ひらりひらりと舞う布に気づいたか、トレーダーがトランクから銃のようなものを取り出した。上空に向かって撃とうとしたところを、拓哉の衝撃波を込めた銃弾が吹き飛ばす。
 飛ばされたその地点の真上を美琴は陣どって、またどろん。今度は大きな重量級の狸へと化けて、立ち上がろうとするトレーダーを押しつぶすように落下した。
「ミミックあっちだ。しがみつけ」
 危ないから近寄らず、声だけでトレーダーが美琴の落下する地点からずれないように固定させる。
 境内の石畳を破壊するほどの重量で、大狸はミミックごとトレーダーを押しつぶし、そのままげしっと踏みつけた。
「おじさん、アプリを使ってもいいんだよ。使った瞬間に死んじゃうかもだけど」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎〆
残念だけど俺達はお客様じゃないよ
悪徳業者を逮捕しに来たお役人ってところかなぁ?
まぁ、お前は即死刑執行だけどね
なんて笑いながら武器構え

召喚された邪神異物を眺め
そういえばここって神社みたいなものだものね
もしかして邪神様が奉られているのかなぁ
なんて考えつつUC発動

この邪神異物は敵の持っているトランクから召喚された
もしかしたらあれに何かしらの力が籠められているのかも
梓に邪神異物を抑え込んでもらっている間に
高速で一気にトレーダーに接近
Emperorを大きく振りかぶり攻撃…するように見せかけ
右足でトランクを思いっきり蹴り飛ばす
これで新たな召喚は出来ないだろう
さぁ梓、あとは一気にケリをつけるよ


乱獅子・梓
【不死蝶】◎〆
この期に及んで対面セールスとは
商売魂たくましいことだな?
敢えてその問いに答えるならば
「別に無い」とだけ一刀両断
お前はもう廃業確定なんだよ

チッ、本体を攻撃するにはまず
この邪神もどきをどうにかしなきゃいけないか
こいつは俺が時間を稼いでおくから
向こうは任せたぞ、綾

UC発動し、ドラゴンを最大数召喚
邪神異物に対しこちらは数で対抗していく
四方八方から次々と畳み掛けるように
体当たり、頭突き、突進、ブレス攻撃などを繰り出し
ダメージを与えると同時に
綾に攻撃が行かないように動きを妨害し続ける

よっしゃ、行くぞ!焔!零!
綾の合図と同時に仔竜達を成竜に変身させ
トレーダーへ二匹のブレス攻撃を浴びせる




 踏みつけられて土埃にまみれたスーツを叩くトレーダー。大分力を失ったようだが、未だに見た目を整えるのは商売人だからなのか。
「あー、あー……ふむ、中々に手厳しい」
 それでも引かず、未だに商品を売りつけようというのか、トランクの中を探すトレーダーに、梓は何とも言えない声で語りかけた。
「この期に及んで対面セールスとは、商売魂たくましいことだな?」
「おや、そちらもお客様ではないので?」
「ああ。……まあ、あえて言うなら、望む奇跡は別にない」
 と一刀両断だ。
 綾も朗らかに笑いながら、肩に乗せていたEmperorを構える
「残念だけど俺達はお客様じゃないよ。悪徳業者を逮捕しに来たお役人ってところかなぁ? まぁ、お前は即死刑執行だけどね」
「おやおや、物騒な」
 トレーダーはトランクの中から、奇妙な像を取り出した。それはまるで生きているかのような艶を持つ、何かわからないオブジェだった。トレーダーが像を地面に置くと、急に震え出し、触手持つ異形の化物が現れる。
 その異形は、まるでトレーダーを守るように、猟兵達の前に立ちふさがった。
 梓は舌打ちし、綾へと指示を出す。
「チッ、本体を攻撃するにはまず、この邪神もどきをどうにかしなきゃいけないか。こいつは俺が時間を稼いでおくから、向こうは任せたぞ、綾」
「了解」
 のたうつ触手の向こう側に見える神社の残骸。それに綾は目を留め、ふと考える。
(そういえばここって神社みたいなものだものね。もしかして邪神様が奉られているのかなぁ)
 まあ、どうだって関係ない。ただ切ればいいだけだ。
 Emperorの刃に指先を滑らせ赤を馴染ませ、綾は重いハルバードを軽々と振り回した。
 梓も小型のドラゴン達を85匹呼び出した。ドラゴン達はぐるりとのたうちまわる異形を四方八方から囲い込み、編隊を組んで足止めする。
 頭突きの波状攻撃をするドラゴン、伸びた触手を掻い潜り、体当たりで道を開くドラゴン、異形の本体へと炎のブレスを浴びせるドラゴン。
 多くのドラゴンに覆われて動けぬ異形の側を、黒い風が駆け抜ける。
(この邪神異物は敵の持っているトランクから召喚された。もしかしたらあれに何かしらの力が籠められているのかも)
 トレーダーへと素早く接近した綾が、トランクを狙うように、Emperorを大きく振りかぶる。
 トレーダーはそれに反応して、左手に持ったトランクを綾から離すように回避行動を取った。
 振り下ろされたEmperorはトレーダーの前の地面を抉る。そして、地面をついたハンマー部分を支点にして綾の体がぐるりと倒立して回転し、脚が勢い良く伸びる。
 そのままトランクを勢い良く蹴り飛ばした。トレーダーの左手から勢い良く離れて、トランクは転がっていく。
「これで新たな召喚は出来ないだろ。さぁ梓、あとは一気にケリをつけるよ」
「よっしゃ、行くぞ! 焔! 零!」
 その言葉と同時に梓は仔竜達を成竜に変身させ、身を翻したトレーダーへと炎と氷のブレスを浴びせた。
 相反する属性のブレスは互いを邪魔することなく、トレーダーを包み込み、その存在を消し尽くすのだった。


 トレーダーが跡形もなく消えると、そばにあったはずのトランクも、呼び出された邪神異物も、肉食樹も消え失せた。
 気がつけば朽ちた神社も鳥居もそこにはなく、戦いの形跡も残っていない。
 けれど異常な気配も存在しない。もう、今回の噂で現れる感染型UDCはいないのだと、猟兵達にはわかるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年08月19日


挿絵イラスト