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その一発は輝かしい煌めきと共に(作者 屋守保英
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●アルダワ魔法学園でも花火の時期です
「魔法花火コンテストの時期だぞ、先輩たち」
 イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)はそう言いつつ、いつもの彼には似つかわしくないにこやかな笑みを浮かべていた。
 いつもの彼の予知スタイルとは異なるやり方。首を傾げる猟兵たちに、イミはひらりと片手を動かした。
「アルダワ魔法学園で毎年、魔法で作り出した花火の出来栄えと美しさを競う、コンテストが開かれているのは知っているか? 今回はそれに関連して、在校生指導のお仕事だ」
 平和になったアルダワ魔法学園、しかし猟兵という勇者の知識や経験から学びたい、という生徒は数多い。その為、猟兵たちの元に「在校生指導をしてほしい」という依頼が度々舞い込むのだ。
「今回は、ちょうど魔法花火コンテストの時期ということもあってな。エーミール先輩がずいぶん張り切って企画のプランニングをしたらしい。コンテストを楽しみつつ、在校生にいいところを見せつける。どうだ、簡単だろう?」
 右手に嵌めたミズラブの爪先から、ぽんと一発小さな花火を上げてみせるイミ。今でこそ小さな一発だが、コンテストともあれば絢爛豪華な、趣向を凝らしたたくさんの花火が見られることだろう。
 特に今年は大魔王が撃破されてから、初めての開催。エントリー数も既に相当なものになっているという。
「転校生には特別に審査員席も用意されているが、そこに座りたくなければ一般観客席に座ってもいいし、なんならコンテストに飛び入り参加してもいい。どう楽しむかは転校生の皆に任せる、ということだ」
 そう話して、イミは右手の指先をくるくる回した。
 猟兵ならば、どんな評論をしても満足されるだろうし、飛び込みで花火を上げても喜ばれること間違いなし。転校生と直に話をしたい、という生徒だって多いはずだ。
 とはいえ、コンテストを満喫したら在校生指導のお仕事が待っている。しっかり迷宮に潜って、在校生にいいところを見せなくてはならないのだ。
「今回の講習の場となる第15迷宮の地下二階は、迷宮が大量の壁ででたらめな構造になっていてな。普通に通路を進んでも、すぐに行き止まりにぶつかってしまう。そこで、これだ」
 そう言いながら、イミは再び右手の指を立てた。その指からぽんと飛び出した花火が、ぱちんと炸裂する。
「花火でも、爆弾でも、マジックミサイルでも、なんなら音波でも構わん。壁を壊して前へと進むんだ。壊せる壁を正確に見極められれば、在校生の学習の助けにもなるだろう」
 イミ曰く、壊せる壁と壊せない壁があるようで。素材か、老朽化か、何がキーになるかは分からないが、壊せる壁をどんどん壊して先に進むのが正解、というわけだ。
 その先の部屋には災魔が巣くっている事が分かっている。この災魔を相手にどうにかするのが、今回の講習の最終目的だ。
 そこまで話して、イミはようやくグリモア入りのガジェットを取り出した。それをくるりと手元で回せば、空が藍色に染まり始めたアルダワ魔法学園が見えてくる。
「準備はいいか、先輩たち? しっかりきっちり楽しんで、ちゃんと講習も終えて帰って来るんだぞ」





第3章 集団戦 『ヴィクトリア』

POW ●ただいま清掃中です
単純で重い【強酸性の水を吸ったモップ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●急にお客様が来ましたよ
【使用者のレベル×7体の調理係】の霊を召喚する。これは【よく研がれだ牛刀】や【高温の油】で攻撃する能力を持つ。
WIZ ●本職
【午後3時のお茶】を給仕している間、戦場にいる午後3時のお茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お茶くみ人形は花火を乞う
 壁を壊して、壊して、壊して。
 そうして猟兵たちと在校生たちは、第15迷宮地下二階の中央部に位置する、広い部屋までやってきた。
「うふふ」
「うふふ」
 部屋の中で楽しそうに笑う、同じ姿をした、同じドレスに身を包んだ少女たち。その区別のつかなさは、迷宮に数多蔓延る災魔と同様のものだ。
 彼女たちの姿を認めたエーミールが、猟兵たちに向き直る。
「あそこにいるミレナリィドールみたいな人形が、今回の講習で相手取る予定の災魔、ヴィクトリアだ。なんでも昔に作られたお茶くみ人形らしい」
 そう話しながら、彼はゆっくり大部屋の中に足を踏み入れた。少しずつ接近すると、途端にヴィクトリアたちが猟兵たちの方を向く。
「まあ、急にお客様が来ましたよ」
「まあ大変、まだお掃除も済んでいないのに」
 口々にそう言いながら、彼女たちは手に手にモップやら牛刀やら、各々の武器を握った。その手つきは剣呑で、平和的解決など望めない、ように見える。
「現状は見ての通りってやつ。しっかり災魔になっちゃってるから、何とかしなくちゃならない……んだけど」
「だけど? なに、兄さん」
 油断のない目つきで人形たちを見ながらも、どこか歯切れの悪い言葉で話すエーミールに、ゲアハルトが首をひねる。
 と、ヴィクトリアたちは唐突に、天井の方へと視線を向けた。
「地上ではドンドンパチパチ、楽しそうだわ」
「そうね、今の時期は花火で皆が忙しい、羨ましいわ」
 羨ましい、楽しそう、そう口々に言いながら、ヴィクトリアたちは大部屋の中をくるくる回る。
 それを見てから、エーミールは改めて猟兵たちに目を向けた。
「あの災魔たち、地上で魔法花火コンテストが行われていることを知っている様子なんだ……案外、災魔になっても楽しみにしてるんじゃないかな。あのコンテストは伝統があるし」
 曰く、ヴィクトリアはかつて開発されながらも実用に足らぬと廃棄されたお茶くみ人形。元々は魔法花火コンテストなど、イベントの時に使用される想定だったらしい。
 学園のイベントを楽しみたかったが、楽しめずに廃棄された、そんな悲しみもあるのかもしれない。
 猟兵たちの後ろに回りながら、エーミールは小さく笑った。
「まあ、退路は僕たちが確保するからさ。どうするかは皆に任せるよ。いいかな?」

●特記事項
 ・ヴィクトリアは普通に戦闘して撃破することを推奨していますが、何とか言い含めたりやりこめたりして撃破せずにお帰りいただくのもオッケーです。
 ・ヴィクトリアたちは地上の学園で魔法花火コンテストが行われていることを知っているようです。今の時期が昔から、コンテストの時期だったからかもしれません。