荒野の風が吹き荒れる大地にぽつんと一軒、刑務所がある。正確には、元刑務所だ。今はベースとして使われている。
ヘルクルス。この町の住人は外の人に対してここを「死ぬ程いい町だ」と言う。
「無論、言わされてるだけなんだが。概要を説明する。今回攻略してもらうのはレイダーベースの一つ、ヘルクルスだ。ここは大きな刑務所の跡地を利用して作られたベースなんだが、いつからかレイダーに占領され、周辺で狩り集めた囚人達に強制労働させる施設となっている」
3Dホログラム表示されるヘルクルスの街並み。そこそこ大きな刑務所の外観はそのままに、囚人を逃がさないようにアポカリプスヘルらしい工夫がされている。
「乗り込んでぶっ潰す。結論はそれだが、囚人達は周囲の拠点から狩り集められたただの人だ。しかも、遠隔操作で致死量の電流を流せる首輪を付けられている。単純に正面から乗り込めばいいってものではない。一先ずはこの首輪を先に何とかする必要がある」
そう言って差し出したのは囚人たちに付けられている首輪。ホログラム映像ではない、実物だ。人数分ある。
「私が用意した模造品だ。大丈夫、致死量の電流が流れるようにはなってない。ちょっとピリっとする程度だ。信号を全く受け取れないのも怪しまれるからな……通常は気絶する程度の電流が懲罰に使われている。気絶する振り位はしといた方がいいだろう」
刑務所の映像を一旦脇に寄せて、次にホログラム表示したのは看守たるオブリビオンの姿。
「見れば分かるな……アリだー! サンだー! ……ヒトがアリに隷属させられる話はたまにあるのは何なんだろうか。まあ、ともかく看守はアリだ。喋る巨大アリだ。酸も使ってくる。アリじゃ無い者は囚人だな。意外と、服装に関しては自由だ。あまり派手な服を着て目立つのは推奨しないが、奴隷のボロを着ていなければいけない訳でも無い。奴隷のボロを着たければ着てもいいが」
そして、次の表示されたのはそう……あの、なつかしのドラム缶だ!
「囚人達がさせられている労働は……そう、ドラム缶押しだ。地面に掘られた溝に沿って、ドラム缶を右端まで押し、押しきったら左端に戻す。終わったらまた右端へ……それを延々と続けさせる。他の労働もあるぞ。穴を掘って埋める労働。非常に重い棒をぐるぐる回す労働。折り紙で鶴を追って焼き捨てる労働。石を切り出して、埋め直す労働……どれもこれも何の意味も無い。何の生産性も無い。囚人の心を砕いて遊ぶ為の物だからな」
ライブ映像表示された労役させられている囚人達は皆一様に眼が死んでいる。心をすり潰されて、奴隷にされている。
「この囚人を奴隷として売り飛ばすとか、そう言うのですらない。ただ監禁して心をすり潰し続ける。それだけの為の施設だ」
虚無感。誰もが皆虚無の渦に呑まれている。囚人も、看守も、ここを作った奴も。
「とりあえず、バレずに施設内に入れる位置にゲートを開く。潜入して電流首輪の制御装置を見つけて破壊しろ。この施設内のどこかにはある筈だ。場合によっては看守を実力で排除してしまってもいいが、絶対に見つかるなよ。アラートが鳴ったら危険に晒されるのは囚人だ」
すっと、横に手を振り全ての映像を消すと椅子に座って偉そうに腕を組むレイリス。
「私は見えた事件を解説するだけ。実際の決断は猟兵諸君に委ねる。どこかに看守長も居る筈だが……どんな奴なのかは見えなかった。看守長を排除すればこの狂気に満ちた施設も崩壊するだろう」
そして、眼前に転送用のゲートを開く。
「では、往くがよい」
Chirs
ドーモ、Chirs(クリス)です。
押してもいいんだぜ、あの懐かしのドラム缶をよ! と、言う訳で人と犬と戦車と荒野のRPGよりあの刑務所です。女子高生収容所とか、地下労働施設とかも混ざってます。
まず、第1章では『ドラム缶を押す』などの労働をしながら情報を集め、首輪の制御装置の場所を特定してもらいます。プレイングに『生産性の無い無意味な労働』を入れるとボーナスが入ります。無意味な労働奉仕していると、囚人から情報を得られたりするかもしれません。少なくとも看守に見つかっても労働していればセーフです。やたら小さい缶ビールに喜んでてもいいです。
潜入しても誰にも全く見つからずに制御装置に辿り着けるステルスの達人が居てもいいですが、その場合難易度は高いです。
第2章では制御装置をなんやかんやで破壊して看守達との戦いになります。なる予定です。施設内の看守アリを全て排除しましょう。
第3章では謎の看守長とのバトルです。この虚無の地獄を作ったオブリビオンとは?
今回もいつも通りアドリブも連携もマシマシになります。ある程度の人数が集まってから書き始めます。皆さんのやりたい監獄生活のお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
第1章 冒険
『エンカウント・レイダースベース』
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POW : 力を売り込もう!/強行突破だ!
SPD : 技術を見せつける!/静かにステルスだ!
WIZ : 頭脳で差をつけろ!/計略で一網打尽だ!
👑11
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スヴァルカ・バーベリ
こ、これは…この任務は果てしなく僕向きじゃないですか…!
い、行くしかない…なるしかない…奴隷に!
●無駄労働大好きなドM
ふ、ふへぇ…今日から配属されたゴミ奴隷スヴァルカですぅ…よろしくお願いしますぅ…。
故郷ですら奴隷同然な僕はいつものボロボロベビードールスタイルで違和感無く奴隷になれますね。
そしてそのままドラム缶押し、シャベルで穴を掘り埋めてまた掘る等の全く無意味な労働を嬉々としてやりながら情報収集です。
看守に隠れて囚人さんに身体を売って情報収集はダメですかね?
あ、ダメなら普通にやります…。
更に囚人達の中でも最底辺に自らなっていき、ストレス解消とかしてもらっても構わないポジションを確立します。
タケミ・トードー
不採用含めて全て歓迎だ。
SPD対応、と言ってもここは囚人のフリをするって所だな。
アポカリプスヘル・ディフェンス・フォース、ADFと洒落こむぜ。
いただいた首輪で変装、囚人の演技を行い情報収集だ。
可能なら戦闘に備えて破壊工作で通信機器や施設の命令系にダメージを与えるように爆発物も配置したいな。
ただ、拡声装置は囚人脱出に使えそうだし、逃走の邪魔にならないよう閉じ込めるような破壊は無しだ。
潜入中、不自然な行動を咎められた場合に首輪を使われたらレイリスの助言通りに演技で気絶のフリで戦闘は行わない。
目立たない武器となると拳銃ぐらいか。シンドいがやってやれないことはないぜ。
仇死原・アンナ
…死ぬ程いいか
死んだほうがましとも聞こえる呼び名だね…
さながら生き地獄…囚人達を救う為にも往こうか…
地面に散らばる無数の小石を手で拾い集めては
集めた小石をまた地面に捨てて…
それを繰り返す無意味な労働をしよう
労働しつつ囚人達から[情報収集]して制御装置の場所を探ろう
場所を特定出来たら
【とても怖いな仲間達】を召喚、彼らにも無意味な労働をしてもらい
[存在感]で看守達の目を惹かせ[おびき寄せ]ている隙に
[目立たぬよう闇に紛れつつ忍び足]で目的の場所に向かおう
いざとなったら邪魔な看守を妖刀による[早業と2回攻撃の暗殺]で
ばれぬよう始末して建物の奥へと進んでゆこう…
マガラ・オーエン
メルメル(f25499)連れてきたぞ。
たしかに無意味だがな。
大人はな、疲れるとなんも考えなくてもできることをしたくなる時があるんだよ。
アタシは折り紙しよ。
結構得意なんだぜ。生きてる時はねだられて折ったもんだ。
菊の花、紫陽花、薔薇。上手いもんだろ。
完成したそばから燃やす。繰り返していこう。
折りながら[目立たない]よう移動。囚人たちと雑談しながら装置を探そう。
無意味なことしてると考えるのもダルくなるな。
気絶するフリなんてしなくても気絶できそうだ。
ふらふら移動しつつ、メルメルを気にかけるつもりだ。
…ドラム缶転がすの、随分と様になってるな?
テリブル・カトラリー
【POW】ドラム缶を押す。
不審に思われない為、マシンヘルムとマスクは外しておく。
重いドラム缶を怪力で端まで押して、また端まで押す。
単純、ただただ単純で無意味な定常作業の繰り返し。
一般人には、苦痛だろうな…
私自身は、看守、囚人、誰に話かけられようが何をされようがドラム缶を押す作業を続ける。延々と機械の様に、な。
周囲に聞き耳をたてつつ、ドラム缶を押す作業の合間に
『爆破工作』爆弾ロボで囚人を逃がす破壊工作に向いた場所や、人の位置等を情報収集。
囚人を従わせる制御装置は重要な筈、警備が厳戒な処や入口等を探る。
気を見て爆破で撹乱し、その間に破壊するか、どうするか。
今は可能な限り情報を集めよう。
メルヒ・ヴァイス
マガラ(f25093)ときた。
仕事をすることができる健康な身体があるのに…何で生産性のないことをするんだ?大人は変だな。
マガラはマガラで楽しそうにしてるから、メルヒはドラム缶押してやろ。
つまんないが意外と面白い気がする。 一緒に押してる囚人、みんな動きが一律で面白いな。
なあ、いつから押してるんだ?
切り替えるのにコツとかあるか?
この首輪怖いよな。看守が操作してるのか?
せっかくだからコツとか教えて貰って、ちょっとずつ話すぞ。
マガラ見てくれ!メルヒ、上手くなったろ。
…顔が死んでるぞ?囚人らしくする作戦か?
さすがだな。メルヒも表情筋死なせて頑張るぞ。
●ドM用特別仕様
(こ、これは…この任務は果てしなく僕向きじゃないですか…! い、行くしかない…なるしかない…奴隷に!)
「ふ、ふへぇ……今日から配属されたゴミ奴隷スヴァルカですぅ……よろしくお願いしますぅ……」
妙な事に妙な気合を入れた猟兵、スヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)は同じ房の囚人に挨拶をした。
故郷ですら奴隷同然らしい彼はいつものボロボロベビードールスタイルで違和感無く奴隷になれる……と、思っていたようだが。
「ゴミクソ! 誰が発言を許可した!」
近くに居た看守が手にしたスイッチを押す! スヴァルカに付けられた首輪から気絶寸前の危険な電流が流れる!
「ひぎぃぃぃー!」
お分かりいただけだろうか。
スヴァルカの付けている首輪はレイリスから渡された偽者だ。看守がスイッチを押せば反応するようになってはいるが、本来ここまで強力な電流が流れるようにはなっていない。
「ひぎっ……」
スヴァルカはその場にへたり込み、床を汚す粗相までしてしまう。
「ゴミクソ! お前はゴミクソだ! 本来ゴミほどの価値も無いお前をゴミと同列に扱ってやる。感謝しろ!」
「はひっ、はいぃー、ありがとうございまひゅ……」
「……首輪の出力を上げて欲しい?」
「は、はい。お願いします…!」
これは転送前の出来事。
「別に構わないが……何故だ?」
「そ、そう言う演技とか……自信無くて……だからリアルな方がいいかなって……」
「まあ、そう言う事なら構わないが。ふむ?」
ここでレイリスの状況判断が光った。こいつ、電流ビリビリを愉しむつもりだな……? ならば、致死量ギリギリ、気絶ギリギリの特別拷問用仕様に変更してやろう。
その後もスヴァルカ改めゴミクソは、ドラム缶を押すのが遅いと電流を流され、掘る穴が浅いと電流を流され、折り紙の鶴の折り目が雑だと電流を流され……更に、目の前に居ただけで電流を流されたり、不意打ちで電流を流されたりと、だんだん理由すらなくビリビリされるようになっていくが、ゴミクソ本人はとても満足げだった。
なお、こんな事に会っているの彼だけなのでごあんしんだ。
●ドラムかんをおす
等間隔に並べられたドラム缶。その底は何度も何度も地面の上を押されて削られている。中身は空では無く、立った状態で安定する上に、底が削れ過ぎても使える様に少量のコンクリートが入れられている。流石に満タンに入れると誰も押せなくなるので満タンでは無いが、空のドラム缶に比べると重い。そもそも手作業でドラム缶を動かすのなら本来押すのではなく傾けて転がすべきなのだ。
「ふぅぅーん……!」
ゴミクソは必至で押しているようだが全く動いてなくてこの後ビリビリされる。
無言で、ドラム缶を押すタケミ・トードー(鉄拳粉砕レッドハンド・f18484)
その鍛え上げられた筋肉が躍動し、ドラム缶が押されて動いていく。地面に刻まれた跡の端、ゴールまでそのままドラム缶を押し切る。
「遅いぞムシケラ! 俺はグズが大っ嫌いだ、元に戻せ」
看守は即座にタケミに罵声を飛ばし、タケミは文句も言わずに逆から押して元の位置に戻し始める。
その鍛え上げられた筋肉が躍動し、ドラム缶が押されて動いていく。地面に刻まれた跡の端、元の場所までそのままドラム缶を押し切る。
「さあもう一度右端まで動かせ! グズグズするな!」
看守は即座にタケミに罵声を飛ばし、タケミは文句も言わずにドラム缶を押してゴールまで運ぶ。
その鍛え上げられた筋肉が躍動し、ドラム缶が押されて動いていく。地面に刻まれた跡の端、ゴールまでそのままドラム缶を押し切る。
「遅いぞムシケラ! 俺はグズが大っ嫌いだ、元に戻せ」
看守は即座にタケミに罵声を飛ばし、タケミは文句も言わずに逆から押して元の位置に戻し始める。
その鍛え上げられた筋肉が躍動し、ドラム缶が押されて動いていく。地面に刻まれた跡の端、元の場所までそのままドラム缶を押し切る。
このやり取りは今日既に何度目かも分からない。だが、タケミがドラム缶を押すのが遅いかと言うと全くそんな事はない。かなり早い方で、しかもコンクリ量が多く重いタイプのドラム缶だ。
それでも看守は定型句の様な事しか言わず、タケミもただただ無言でドラム缶を押す。
(ちょっとした筋トレのつもりだったけど)
最初の内はまだそう思えた。それに、ドラム缶を押す囚人は他にも沢山居る。多くの者は一言も喋らない。
(こりゃトレーニングっていうか何かの儀式めいてるね)
テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)はドラム缶を押す。マシンヘルムとマスクを外してはいるが、妙に慣れた感じでドラム缶を押している。かなり重いタイプのドラム缶をその怪力で端まで押していく。
「遅いぞボケナス! 俺はグズが大っ嫌いだ、元に戻せ」
それでもやはり、同じ事を言われる。ドラム缶を押して、元の位置に戻していく。
「さあもう一度右端まで動かせ! グズグズするな!」
単純、ただただ単純で無意味な定常作業の繰り返し。
「アイエエエ! もう嫌だー!」
突如、一人の囚人が逃亡を図る。ここに来てまだ日が浅い囚人のようだ。看守はボタンを押す。逃げ出した囚人が倒れた。死んではいないようだ。
「クソったれが弱音を吐いた! 全員ノルマを2倍だ! どうだ、嬉しいか!」
何人かは恨みがましく逃げようとした囚人を見ていたが、大半はそれすらもしなかった。摩耗させられた心はただドラム缶を押す事しか考えなくなる。テリブルも囚人を見る事無くドラム缶を押し続けた。
「仕事をすることができる健康な身体があるのに…何で生産性のないことをするんだ?」
「たしかに無意味だがな。大人はな、疲れるとなんも考えなくてもできることをしたくなる時があるんだよ」
「そうなのか。大人は変だな」
一言も発しない囚人が多いが、別に喋る事を禁じられている訳ではない。
「アタシは折り紙当番だ、後でなメルメル」
「おー、後でなマガラ」
メルヒ・ヴァイス(病の沼・f25499)もドラム缶を押す。転がすのではない、押すのだ。見るからに線が細いので一番軽いタイプを選ばれたようだ。
「なあ、いつから押してるんだ?」
メルヒは隣の囚人に声をかけた。囚人は返事を返さず、振り向きもせず、目線すら動かさなかった。
「切り替えるのにコツとかあるか?」
メルヒは気にせず問い続けた。囚人はやはり無反応。看守の命令は聞いているので耳が聞こえない訳ではない。
「この首輪怖いよな。看守が操作してるのか?」
首輪と言う単語にびくり、と。少しだけ反応した。
「つまんないが意外と面白い気がする。 一緒に押してる囚人、みんな動きが一律で面白いな」
同じ重さのドラム缶を押し続けていると能力が均一化されてくる。入ったばかりの頃は早く終わらせようと早めに押したり、怠けようと遅めに押したりする。だが、そのどちらも何の意味も無いと気付き、思考も体力も平坦に均一化されていく。
労働の時間が終わり、ノルマを達成した者は食堂でクサいメシを食べ、達成できなかった者は電流で気絶させられて独房に投げ込まれる。必然的に、丁度良いペースで押し続ける事が最適解となるのだ。脱走者などが出てノルマを増やされるのは最初から織り込む。どうせ、何の理由も無くノルマは増やされるのだ。
メルヒの様子を見に来たマガラは楽し気にドラム缶を押しているメルヒを見つけた。
「マガラ見てくれ! メルヒ、上手くなったろ」
「ああ……ドラム缶を押すの、随分と様になってるな?」
「……顔が死んでるぞ? 囚人らしくする作戦か? さすがだな。メルヒも表情筋死なせて頑張るぞ」
「ああ、そうだな……」
ふらふら歩くマガラを真似して、メルヒもふらふら歩いてみた。何となく楽しかった。
●多種多様な地獄絵図
どんな状況であっても人は慣れる。慣れてしまう。慣れは余裕を産む。看守達はその余裕すら奪うべくドラム缶押し以外にも多種多様な無意味な作業を用意している。
マガラ・オーエン(狭間者・f25093)に割り振られたのは折り紙折りだ。複雑な物では無い。折り紙の代表である鶴を、只管に折ってトレイの上に一定数並べればいい。
折る物は鶴でなくてもいい。弦は最低ラインだ。紙飛行機では折ったと見做されず、そのようなナメた態度は電流で制裁を受ける。
菊の花、紫陽花、薔薇。マガラはその最低ラインを越える物を折り続けた。
「上手いもんだろ」
「ああ、アンタ来たばかりか……」
応じた囚人も比較的日が浅かったようだ。
「たまに居るんだよ、処罰されない事で自分を保とうとする奴は。でもな」
一定数の折り紙を乗せたトレイががたんと斜めに傾く。コンベアに乗せられた折り紙は焼却炉に運ばれていく。ノルマを達成できなかった奴が一人、電流で気絶した。
「そういう奴ほど早く潰れる」
「繰り返していこう」
マガラは努めて気にしないように折り紙を折り続けた。
(無意味なことしてると考えるのもダルくなるな。気絶するフリなんてしなくても気絶できそうだ)
「……死ぬ程いいか。死んだほうがましとも聞こえる呼び名だね……さながら生き地獄。囚人達を救う為にも往こうか……」
ベースでそう決意を表していた仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)だったが。
ただただ広い、何かの競技でも出来そうな荒野に放たれた囚人達は小石を手で拾い集めている。何かしらの競技を行う為の整地か? もちろん違う。10個の小石を拾ったら、それを両手で投げ放たなければならない。そして、またそれを拾う。賽の河原だって鬼が崩してくれると言うのに、ここでは崩すのも自分の手でやらなければならない。
アンナはそんな地獄に居た。肉体的に苦しい訳ではない。ただただ無意味なだけの行為をアンナはやり続けた。
●すり潰されぬ者
囚人達はただ無意味で、無価値な事をさせられ続け、その心をすり潰され続けていた。たとえ猟兵であってもここに長く留まれば心をすり潰されてしまうだろう。
だが、そもそも猟兵は捕らわれてここに来たのではない。自らこの地獄に飛び込んだのだ。この地獄を破壊する為に。
水しか出ないシャワールーム。個人用の仕切りはあるが、男女の区別すらない。
だからこそ、ここで行為があっても誰も咎めない。看守ですら無関心だ。
「ゴミクソ君、意外と大胆じゃないの」
「はい……慣れていますので」
「……中央監視塔はブラフ。制御装置は四つ角の塔のどこか」
「ありがとうございます……!」
「なあ、折り紙一枚くすねて来たんだ。何か折ってくれよ」
「ああ、いいぞ。青龍、朱雀、白虎、玄武、麒麟。どれにする?」
「そうだなぁ……麒麟はブラフだって話だ、朱雀がいいな」
「なるほどな、分った」
「南塔、確かに囚人さんの多くはそう考えているみたい」
「看守が多いのは確かに南塔みたいだ。だが、東棟のあからさまな薄さも気になるな」
「中央看守等は実際確かめた人が居たみたいだね。間違いなく除外していいよ」
「C-4ってのはこういう時に便利だ。どこにでも仕掛けられるし、量も自在。手持ち検査がザルなのは楽だったな」
「起爆は私のロボ爆弾に任せて下さい」
囚人達を巻き込まず、脱出ルートを作れる位置に爆薬を仕掛けるタケミとテリブル。
「ついでに制御装置が壊れる、ってのは期待しない方がいいでしょう。でも、基地局は潰せます」
「よし、誰かがタッチダウンしたと同時に花火を上げよう」
「案外、昼間の方が警備は薄いですね」
南塔を偵察するアンナ。持ち場の小石拾いは黒い仮面を被った黒装束の刑吏達が引き受けている……囚人の方が驚いている。看守も異変には気付くが、誰が仕掛けているかは分からないし大量の人質を抱えたまま強引な手段に出る事はないと考えているようだ。無意味な玩具であっても、気軽に手放すのは惜しい。また狩り集めるのは面倒ですらあった。
「南塔……確かに警備は他より厚い。でも中に入るにはもう少し、確証が欲しいですね。ここもブラフである可能性は捨てきれません」
静かに、一本のスプーンで床に穴を開けて脱獄するかのように。しかし、猟兵はそんな流暢な事はしない。そもそも脱獄が目的ではない……看守アリの目を掻い潜り、静かに、秘かに、確実に。その時は迫っている。
大成功
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黒木・摩那
ひたすら糸に針の穴を通すお仕事。
目の前の針の山が無くなったら、また糸を切ってばらして、の繰り返し。
目にクルー、肩にクルー。腰にクルー。
そんなお仕事している間に上空のドローン『マリオネット』は首輪の電波を逆探知して、制御装置の正確な場所を探し出します【情報収集】。
見つけ出したたら、サイキックグローブを通して、【ハッキング】。
こういう施設ですから、監視カメラや警報装置などの監視網は充実してるでしょう。
その監視網を掌握したうえで、制御装置の電源を切断します。
ボゴ・ソート
※口調等は書きやすく変えてください
俺はマシンでゲーマーだ! 非生産的な反復作業なんて苦じゃないぜ!
そんな俺は現場で使用される機械を【メカニック】としてバラバラに分解してまた組み立て直すのだ。
目の前にある機械を改良するわけでもなく、ただバラして元に戻す。
こんなに楽しいことはない! 知的好奇心が満たされてしまう!
おっと情報を集めるんだったな。
【超音波】で現場の様子を探っておこう。
しかしこの単純な繰り返し作業が俺の心を捕らえて離さない! 俺はマシンなのか!(そうです)
玉ノ井・狐狛
※アドリブ/連携などお任せ
ひねくれたシュミのオブリビオンもいたもんだなァ。
適当に囚人っぽい、というかこの世界っぽい服装を用意しておこう。
何度か来たこたァあるからな、ノリはだいたいわかる。
――というワケで、囚人っぽい雰囲気で、ふたつの水瓶のそばにいる。一方の瓶から他方の瓶に水を移して、それが終わったら今度は逆……という徒労だな。
準備の都合なのか水場が近い(というイメージだ)から、行き交うヤツらから情報を拾うにも都合がイイ。
バレない程度にサボりつつ、盗み見・盗み聞きをさせてもらおう。
▻視力▻聞き耳
(情報がそろってきたら)さて、ストライキといこうか。
●誰の為に
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は目の前の針山から針を抜き、糸を通して、針山に戻した。
針山には大量の縫い針。その一本を手に取って、じっと穴を見つめながら糸を通す。通したら針山に戻す。それを10本。針山に同じ糸を通した縫い針が10本挿さっている。摩那は糸を掴み、引いた。するすると縫い針から折角通した糸が抜けてしまう。
また一本針を手に取り、糸を通す。これを、延々と繰り返す。
「目にクルー、肩にクルー、腰にクルー」
極めて地味な作業だがそれ故に辛い。あまりに無意味で、あまりに無益だ。
ボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)の目の前にあるのは電卓。シンプルで初歩的な作りのただの電卓。一本ずつネジを外し、手際よく解体していく。全ての部品を外してバラバラにしたら電卓を組み立てる。全てのねじを締めて、動作確認。動くのを確認したらまたネジの一本まで残さずバラしていく……
目の前にある機械を改良するわけでもなく、ただバラして元に戻す。
(こんなに楽しいことはない! 知的好奇心が満たされてしまう!)
何か、すり潰された後の様な事を考えているが彼は純粋に楽しんでいるようだ。その動きはTASめいて最適化されていく。
(しかし、この単純な繰り返し作業が俺の心を捕らえて離さない! 俺はマシンなのか!)
そうです。
玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は大中小三つの水瓶の傍にいる。この水瓶の水を零さずに指定された量の水が入った水瓶を作る……何かの謎解きでありそうな作業だ。最初はそこそこ楽しい。仕組みは簡単でも、出来そうで出来ない、パズルを解く楽しさはあった。
しかし、一度解けたパズルを何度も繰り返すのはやはり苦痛でしかない。出来上がった500mlの水瓶の水を大たるに戻し、また同じ手順で二つの水瓶を使って500mlを作る。繰り返す。
「ひねくれたシュミのオブリビオンもいたもんだなァ」
●整理しよう
「で、超音波で南塔を調べてみた。ビンゴだよ」
「確かに南塔には制御装置らしき通信があります。ですが、妙なんですよね」
「何がだ?」
「南塔を通ってない通信があるんです。つまり、制御装置は一つじゃない」
「あー、確かにな。そんな話をしてる奴も居たなァ」
「と、なると四か所同時攻略か。戦力的には出来なくもないと思うが」
「何かったるい事言ってるんだァ? 監視塔の中には囚人は居ない。なら、もっと手っ取り早くヤっちまえばいいじゃねェか」
●反逆の狼煙
夜が明け、日の光が差し始める。囚人達は牢獄で目を覚まし、今日の労働に向わなければならない。何の為に? 理由など何もなかった。何も考えない。ただ、ドラム缶を押す……
朝の静寂を、轟音が吹き飛ばした。空襲を知らせるかのようなサイレンが鳴り響く。
「何だ!」
「何が起きた!?」
「制御塔が爆破されたぞ! 守衛は何をしていた!」
東西南北に配置された制御塔の根元が爆破され、制御塔はその自重により倒壊していく。
「襲撃だ!」
「囚人を全員始末しろ!」
看守達は処刑用のボタンを押す! しかし、何も起きない!
「クソっ、制御装置がイカれたんだ」
「なら全員この顎で食い殺せばいいだけだぁ!」
「ヤっちまえ!」
「皆殺しだ!」
看守の頭が、吹き飛んだ。
「ひーろい世界を守る為ー」
「「「ADFの出動だー」」」
「煌く勝利の稲光ー」
「「「オブリビオン共全滅だ!」」」
無論、吹き飛ばしたのは猟兵! 害虫駆除タイムだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『グラトニーアント』
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POW : 異常発達した大アゴ
【鉄筋コンクリートをも噛み砕く大アゴ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 超濃縮蟻酸
【頭】を向けた対象に、【体内で作り出された蟻酸を吐きつける事】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 巨大アリの大軍
【フェロモンを周囲に撒き散らす事で仲間たち】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
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●状況説明
『作戦第二段階への移行を確認した。各自に私が預かっていた装備を転送する。好きに暴れろ。全てを破壊し尽くせ』
猟兵達の手元に、潜入時に奪われないように預かっていた装備が転送されてくる。もはや隠れる必要はどこにも無し。
だが、迅速にアリを駆除しなければ囚人がその顎で砕かれてしまうかもしれない。囚人達は度重なる無駄な労働で心をすり潰されて水から逃げる気すら無い……しかし、危険が身近に迫れば反応するかもしれない。この囚人達も元は荒野で生き延びてきた者達なのだ。
テリブル・カトラリー
マスクがあると安心するな…
顔を見られるのはどうにも苦手だ
中央監視塔の屋上に立ち、破壊工作
【爆破工作】で事前に各所へ配置したロボ爆弾を通して敵位置や囚人達の情報収集。また、脆い外壁を爆破し囚人達の逃げ道を作る。
道は作った。後は彼ら次第だ。
屋上からスナイパーライフルを用いて遠距離鎧無視攻撃。
囚人を襲う蟻を優先し、早業で頭部を狙い部位破壊。
サイレント仕様とはいえ、気付く蟻もいるか…
ロボ爆弾で爆破暗殺。
監視塔を破壊されたらブーストでジャンプ、
超重金属の体で蟻を踏みつけ、武装を機械刀と自動拳銃に替え戦闘を続行。
人間で遊んでいるよりかは、外敵相手に戦っているほうが蟻らしいな。
…続けようか。
アイン・スノウホワイト
アドリブ歓迎。
【】内は技能です
蟻ですか…よく言われますが虫が大きくなると人間なんてどうしようもない位の能力を発揮するとか。今回はその一例になるんでしょうかね…(眼前の蟻の群れを眺めつつ)
さて、潜入に関しては皆様のお力になれなかった分こういった所でちゃんと働かないといけませんね(強化外骨格を起動させ身に纏う指定UCを起動して装甲と武装の攻撃力をUP)
さて、では烏合の衆を片づけますか…対象をロック、ファイア!
(強化されたSWT-06G二門、03SR、20RG、15ML、08MLを全弾発射)【乱れ撃ち、範囲攻撃、制圧射撃、一斉発射、砲撃、爆撃、焼却】
スヴァルカ・バーベリ
さて、第二フェーズへと移行しましたね…敵も遊び甲斐の無い虫野郎なんで本気出しますか(いきなり真顔でライフルを構える)
●真剣モード
卓越した視力で敵を捕捉、豊富な戦闘知識から導き出される最適な間合いと遮蔽物を効果的に使った位置から、重戦車にすら穴を空ける特殊弾を装填したアサルトライフルのフルオート射撃で虫野郎達に風穴を開けていきましょう。
「ふん、汚い的ですね…」
酸の反撃が来たらライフルを構え防御、受け止めたUCを弾丸となす僕のUC叛逆の狼煙を用いて蟻酸を乱れ撃ちし射程内の虫野郎どもを殲滅します。
「第二フェーズは順調に進行中、引き継ぎ掃討を行います」
●アドリブ大歓迎です
●銃奏多重組曲
事ここに至って看守は致命的なミスを犯していた。
猟兵とオブリビオンはお互いを認識できる。つまり、囚人の中に猟兵が居ればオブリビオンは気付く事が出来るのだ。しかし、多くの場合猟兵をオブリビオンが襲う事はない。
ヘルクススでもそうだった。何故ならここはオブリビオンが作り上げた監獄だ。それを外から攻撃して破壊するならともかく、自分の作った環境を台無しにしたくなかったし、内側から囚人に交じった所で何かが出来るとは思っていなかった。労役しているのならば他の囚人達と同じように魂をすり潰す事が出来るとさえ思っていた。
自ら進んで来た者と、誰かに連れて来られて来た者ではその根本が全く違うと言うのに。
「マスクがあると安心するな……顔を見られるのはどうにも苦手だ」
テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は中央看守塔の屋根の上から全体を俯瞰していた。ウォーマシン用の静音無煙狙撃銃を構えて。四方監獄塔の爆破はテリブルの小型ロボ爆弾とタケミのC4によって行われた物だが、それで全て使い切ってはいない。むしろ、半分も使っていなかった。
テリブルは事前に配備した小型ロボ爆弾の一部に起爆命令を出す。忠実なる彼女の爆弾達はヘルクルスのあちこちで爆発を起こし、看守達を更なる混乱へと叩き落す。
「外壁が破られたぞ!」
「また爆発か! 外壁の近くに敵が居る筈だ、探せ!」
遠隔起爆の可能性も抜けているようだ。
「間抜けな蟻だ」
スコープを覗いたテリブルは銃爪を引く。異界の技術すら用いて銃声も砲火も抑え込まれたサイレントスナイパーライフルは間抜けの頭を吹き飛ばした。
「どこからの攻撃だ!?」
「ここからですよ」
アイン・スノウホワイト(世界を壊す者。世界を救う者。世界を売る者・f26034)の手にした"NIX-03SR"対物ライフルが派手に吼えて、蟻を粉々にブチ砕いた。
「アイツの仕業だ!」
「派手な四脚メカだ!」
「アーマーを溶かしてやる!」
散開した蟻の群れは壁を這い、その大顎から酸を吐き出してアインの強化外骨格を溶かそうとした。本来、それをやるつもりなら遮蔽を取って山なりに飛ばせる酸の攻撃と言う性質を利用するべきだった。
「蟻ですか……よく言われますが、虫が大きくなると人間なんてどうしようもない位の能力を発揮するとか」
アインの電脳に多数のロックオンカーソルが表示される。
「ですが、少なくとも知能は喋るというだけで小さな蟻と大差はないようですね。では、烏合の衆を片づけますか……対象をロック」
左手に"NIX-02AR"5.56mmアサルトライフル、右手に"NIX-03SR"対物ライフル。外骨格の腕にマウントされた"NIX-06G"6門大型ガトリング砲が二門、強化外骨格の脚部に内蔵されている"NIX-08ML"小型ミサイル。更に空中に浮かぶ"NIX-20RG"非固定型大型超電磁砲と"NIX-15ML(F)"非固定型大型ミサイルランチャー。
これだけの火力を目にして正面から攻撃しよう等とは愚直の極み。
「ファイア!」
歩く銃器の見本市と化したアインは眼前の蟻を悉く粉砕していった。
「なんだよアレは!」
「火力が頭おかしいぞ!」
「駄目だ! 距離を置いて山なりに酸を浴びせ」
「気付くのが遅過ぎでは?」
一度遮蔽を取って回避した蟻に、曲線を描いたミサイルが突き刺さる。
「熱反応を消してから出直して来て下さい」
周囲の熱源反応を探知し、囚人以外の反応がない事を確認すると、次の獲物を求めて四脚が高々と跳ねる。
「さて、潜入に関しては皆様のお力になれなかった分こういった所でちゃんと働かないといけませんね」
「さて、第二フェーズへと移行しましたね……敵も遊び甲斐の無い虫野郎なんで本気出しますか」
スヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)は真顔でアサルトライフルを構えた。囚人達の多くは自分の房でただ嵐が過ぎ去るのを待とうとしている。心をすり潰された者にはここから出ようという発想が無い。だが、全員がそうであれば猟兵達でも手が出せなかった。
そうでない者を選んで接触し、情報を引き出す。数日間共に囚人として生活して得られた結果だ。
「行くんだね」
「ええ」
「その、ここから出られたら……今度はちゃんとした所で私を抱い」
銃声が、その言葉を遮った。
「ここにも敵が居るぞ!」
「殺せ殺せ! 逃げない囚人は後で殺せ! 逃げる囚人を先に殺せ!」
「誰かと思ったらゴミクソじゃねぇか! お前なんかが」
スヴァルカはそいつを5発で黙らせた。更にその背後にいた奴に同じく5発ブチ込んで殺した。
「ふん、汚い的ですね……」
その背後から酸が浴びせられる! スヴァルカのベビードールが溶けて、白い肌も僅かに焼いた。
だが、酸を防いだ銃身にはUC製の超濃縮蟻酸弾が装填された。銃爪を引くとウォーターカッターのような勢いで発射された酸が蟻を切り裂き、焼き潰した。
「クリア。第二フェーズは順調に進行中、引き継ぎ掃討を行います。所で、さっきは何と?」
「決めた。とっととここを出てアンタに抱かれたい」
「上だ、上に敵が居るぞ!」
「中央看守塔の上だー!」
「流石に、これだけ片付ければ気付かれるか」
テリブルは味方の援護を優先して狙撃支援を行っていたが、騒ぎが大きくなってくると気付かれるのも時間の問題と割り切って片っ端から狙撃で黙らせる方向に切り替えた。それでも結構な数の頭を撃ち抜いても中々気付かれなかったが、ようやく気付いたようである。
中央看守塔の壁を這い上り、蟻がテリブルに迫る。無論、この展開を想定していたテリブルは中央看守塔に張り付かせていた小型ロボ爆弾を起爆。
「なんて事を!」
「駄目だ、中央だけは守れ!」
「……へぇ」
蟻は中央看守塔だけは守るつもりでいる。本来要であっただろう四隅の看守塔より、制御装置が無い中央を。
とは言え、もう破壊できる程度に小型ロボ爆弾を仕掛け済みなので色々手遅れではあるのだが。次々と迫る蟻を丸ごと撃退する為に、中央看守塔を爆破解体した。
「ひえー!」
何かが、塔から飛び降りて逃げた。生憎、今はそれに構っている暇はない。看守塔からブーストジャンプで飛び、空中で3発、頭を撃ち抜く。この距離ならスコープは要らない。
超重金属の体でアリを踏み貫いて着地すると、ライフルを畳んで背負い、機械刀と自動拳銃を抜く。
「人間で遊んでいるよりかは、外敵相手に戦っているほうが蟻らしいな」
「馬鹿な奴だ!」
「ど真ん中だぞそこは!」
蟻が殺到し、その大顎でテリブルを砕かんと迫る。
「ど真ん中だからここに降りた」
テリブルは冷静にマグナム弾で一匹をヘッドショット殺。続けて別な一体の脳天に機械刀を突き刺し、引き抜いて跳躍。直後、ガチンとテリブルのいた場所を挟み込む蟻! テリブルは冷静にヘッドショット殺! 蟻の上に着地して機械刀で延髄を切断、そのまま首を撥ねる!
「……続けようか」
大成功
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仇死原・アンナ
やれやれ…
やっと意味のある行動に移せるね…
蟻の巣駆除と行こうか…!
敵群を[挑発しおびき寄せ]、敵の攻撃から囚人達を[かばおう]
敵の攻撃を[見切りつつダッシュ]で回避
鉄塊剣を振るい回し[怪力による鎧無視攻撃]で自慢の大アゴを[部位破壊]、
[串刺しでの貫通攻撃]で敵を次々に討ち斃してゆこう
【火車八つ裂きの刑】の地獄の炎纏う斬撃を振り放ち
[範囲攻撃と衝撃波]で敵群を[焼却し蹂躙]してやろう…
燃え盛る地獄の炎を見れば囚人達も[恐怖のあまりおどろき]逃げ出すだろう…
黒木・摩那
やっと糸通しから解放される!!
あの無意味な強制労働のおかげでもう体バキバキです。
この鬱憤を晴らさせていただきます。
アリの相手はアリで。
周囲の器材や床をUC【墨花破蕾】で変換して、黒蟻を出現させて、
巨大アリを襲わせます。
大きさでは全く太刀打ちできませんが、数はこちらが圧倒的です。
小さい分だけいろいろな隙間に入れるのも強みです。
同じような噛みつきや蟻酸もあります。
もっともこれだけですと、時間も掛かるでしょうから、
巨大アリの防御が手数になったところを魔法剣『緋月絢爛』でトドメを刺していきます【鎧無視攻撃】【先制攻撃】【なぎ払い】
ボゴ・ソート
※口調や言動は書きやすいように変えてください
うおー! ADFの出動だー!
●作戦
敵の数は多い。普段の俺の装備と能力では手に余る相手だ。
だがしかし、今は強力な味方がいるぞ!
というわけで俺は敵の妨害と誘導に務めて、撃破は仲間に任せたい。
●やること
救出対象に死なれると目覚めが悪いなんてもんじゃないよな?
なら早いところ敵を倒してしまおう。
俺は敵の前へと躍り出て問いかける。
昆虫の表情については詳しくないが、その顔は、帝国式レスリングを知らない顔だな。よし!
帝国式レスリングを知らないアリは俺にとっていいカモだ。
タックルしては投げ、タックルしては投げ、高い破壊力を持つ猟兵の攻撃範囲へアリを放り込むぞ。
●私達が地獄です
「やれやれ……やっと意味のある行動に移せるね……蟻の巣駆除と行こうか……!」
荒野の小石拾いをさせられていた仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)
「やっと糸通しから解放される!! あの無意味な強制労働のおかげでもう体バキバキです。この鬱憤を晴らさせていただきます」
針の糸を通しては抜く作業をさせられた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)
「うおー! ADFの出動だー!」
延々と一つの電卓をバラしては組み立て続けたボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)
ドラム缶以外でも人間性を摩耗させる為だけの作業に耐えた者達。一人楽しんでたけど。
「ボケナスぅ、テメー何をしてるか分かってんのか」
「キサマよりはな」
アンナは鎖の鞭を手繰り、棘鉄球を放つ。その狙いは過たずに足二本に絡み付き拘束させ転倒。怨みと殺意をまとわせた妖刀を抜き、漆黒の風と化して急速接近、滅多刺しのち滅多斬りにて処刑!
「生意気な奴だ!」
即座に別の蟻が反応してアンナを噛み砕こうと顎を開く。そこに叩き込まれたのは鉄塊剣。頭部粉砕処刑!
「キサマ程ではない」
「馬鹿め、一人や二人倒した所で」
アンナはそいつの顎から鉄塊剣で串刺しにして殺した。
「そうだな、面倒だ。纏めて死ね」
鉄塊剣を振り抜いて、振り回す。灼熱の地獄の炎がその刀身から放たれる。
「地獄の炎は焼くだけでなく、お前の身体を切り刻む……!」
螺旋を描く炎の斬撃が蟻の群れに斬りかかり、焼け焦がす。火車八つ裂きの刑!
「滅茶苦茶だ!」
「囲めー! 数で押し潰せー!」
「数であればこちらに分がありますが」
アンナが囮になっている内に墨花破蕾を展開し終えた摩那が応じた。
「アリの相手はアリで。地に潜みし精霊よ。物に宿りて我に従え。姿さずけよ」
地面や壁のレンガが、牢獄の鉄作が、無数の蟻の群れと化して看守に襲い掛かる!
「アリだー!」
お前らもアリだろうというツッコミはさておき。アリというのはかくも侮れない生き物である。無論、一匹であれば踏み潰して終わりだ。だが、黒い絨毯めいて大量出現した蟻の群れならばどうか。
「ヤメロー! ヤメロー!」
「酸だー!」
毒腺から酸を吹き、弱らせた所を顎で噛み千切る。出来る事は大差がない。だが、身体全体を覆う程の蟻の群れに同じ事をされればどうか。おお、なんと恐ろしい光景か!
「ならこの一太刀で苦しみを絶ってやる……!」
アンナは慈悲深き乙女の介錯の一撃を叩きつけ粉砕。
「ウロボロス起動……励起。昇圧、集束を確認……帯電完了」
摩那の板金鎧をも穿つ神速の三段突きがもう一体を介錯。
「まだ終わらんぞ」
鉄塊剣を横薙ぎに蟻に叩き付ける。そこから吹き上がる地獄の業火! ちなみに、攻撃の直前に摩那の作り出した蟻は飛び降りて退避している。かしこい。
「害虫駆除の時間だオラァ!」
あまりにも抑圧された環境からの解放でちょっとハイになった摩那は手近な一体を何度も撫で斬りにして解体。
●大脱走
「アイエエエー!」
この二人のあまりの暴れっぷりに震え上がったのは囚人達。すり潰された生存本能が僅かに蘇り、ここから逃げたいという気持ちが沸き上がる。だが、どっちに逃げればいいのか分からない。
「こっちだ、早く!」
そこに事前に監獄内のマップを調べ倒したボゴが適切な避難経路を指し示せば囚人達はそれに縋る。
「ま、まて、逃がすか!」
しかし、数だけは多い蟻。この動きを見逃さず立ちはだかる。ボゴはすかさず敵の目の前に躍り出る!
「帝国式レスリングを知っているか」
分かる者には分かるであろう仕草で、試合開始を告げる。もちろん、アリは分からなかった。だから、まともにタックルを受け、投げ飛ばされた。地獄に。
「一匹追加!」
「任せろ」
地獄の斬撃がアリを切り裂いた。
「だ、駄目だ、今は囚人に構ってる場合じゃない! アレを止めろ!」
「どうやってだよお前が行けよ!」
もたついている蟻をタックルして投げる、タックルして投げる、タックルして投げる! なんと精巧に最適化されたTASめいた動きか!
「アイエエエエ!」
「コワイ!」
●猟兵地獄
「よぅ、燃えてるかい? 派手にやろうぜぃ」
ひらりひらりと舞うように跳ねる妖狐の狐火が蟻を燃やし尽す。
「硫黄の匂い―火あぶり台―焼き網なんか要るものか」
死人の火傷跡から放たれた怨念の炎が更に焼け焦がす。
「1,2,3―Drink.」
少女が作り出した高温気化水銀が炙り殺す。
「こいつは火傷じゃすまねえぞ?」
傭兵の技装鉄拳が吼え、超高熱線が溶解させる。
炎を扱う猟兵は多いが、奇しくもここにはかなりの数揃っていた。炎を避けても銃弾が飛び、刀と剣が煌き粉砕し解体する。ヘルクルスがその名の通り、地獄の業火に包まれていく。
この状況を想定して作られた脱出経路は正しく機能し、囚人達は我先にと地獄から脱出していく。
事が終われば残ったのは猟兵達と……
大成功
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第3章 ボス戦
『殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』』
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POW : ポリエスティア・スプラッシュ
【30メートル四方に広がる特殊繊維の生地】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を高濃度の薬物で汚染し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : ナイロニック・ショウタイム
【特殊繊維で編まれた、着た者を洗脳し操る服】を披露した指定の全対象に【「今見た服を着たい」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ : 人造絹糸の妖しき光
自身に【膂力を最大限強化する特殊繊維の白衣】をまとい、高速移動と【相手の服飾品を汚染し有害物質に変える薬品】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:麻風
👑11
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●牢名主
「やってくれたねぇ」
最後に残ったオブリビオン。殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』だ。
「服装を自由にしてたのは全員の服がボロボロになってから着替えさせて、この繊維の素晴らしさを理解させる為だったんだけど……ああ、ボクが一生懸命囚人全員分の衣服を用意したのが無駄になってしまったじゃぁないか!」
中央監視塔に貯め込んでいたらしい。
「人類総神繊維化計画の邪魔をするとはねぇ! ああ、勿論ボクの開発した特殊繊維は燃えないよ? ほら」
特殊繊維で作られた無数の衣服が、意思を持っているかのように飛び回る。
「ほら、色もデザインもこんなに自由自在。それでいて激しい戦闘にも耐えられる耐久性! まさに、全ての人類が着るべき新しき神繊維! 君達にも着せてあげるさぁ! ほら、採寸だって済ませてるんだ」
猟兵達に、気味が悪い程サイズピッタリでデザインも好みと思わせる、生きた衣服が襲い掛かる!
「君達の為に作った君達の為だけのプレゼントさ!」
スヴァルカ・バーベリ
お、思っていた感じとだいぶ違うのが出てきましたね…ちょっと可愛いし…コスプレしたいし…。
よし…暫くは僕が彼女のコスプレ攻撃を受けて【時間稼ぎ】しつつ皆さんを援護しましょう。
僕の【早着替え】術で洗脳される前に繰り出される服を着替え、着せられては着替えの繰り返しを続けます。
ああ…この服であんな事やこんな事をしたい…!
それなり時間を稼いだらUC【変幻自在】で僕の戦闘服である【ミニスカ歩兵】にチェンジ、付属の重火器であるバズーカやガドリングガンの【乱れ撃ち】で攻撃しダメージを与えましょう。
…先ほど僕に抱かれたいと言ってた方と、後でゆっくり愉しむ為にも今は勝ちますよ!
●NG無し
玉ノ井・狐狛
※アドリブ等お任せ
ほう、オーダーメイドってヤツかい。
気が利いてる、と言いたいが……ちょいと押し売りが過ぎらァな。
その神繊維とやら、材質は何なんだい?
(おっと、ご高説をぶってくれようがくれまいが、まァどっちでも支障はないぜ)
有機物だろうが無機物だろうが、どっちでも利用できるんでな。
相手の能力にUCで対処。
……そうだなァ、ご自慢の衣類だ、本人に着てもらうのがイイかもしれねぇな?(敵の繊維等を利用して相手に攻撃)
――よし、堪能させてもらったぜ。
じゃあ返品だ。あいにくと、間に合ってるんでね。
タケミ・トードー
不採用含めて全て歓迎だ。
打撃もまともに効かなそうな奴等だな。
ま、服ってのは黙って着られてる方がらしいもんだぜ。有史以来人を守り続けた衣服がどういう存在なのか、思い出させてやる。
仲間と共闘する場合は拳銃での援護射撃を中心に、技装鉄拳での近接防御役にも回る。
隙を見て服をグラップルで地面に叩きつけたら熱線焼却砲で確実に始末して、燃えないじゃねえか!
こうなったら気合と根性だ。猟兵を巻き込まないようにUCを発動、どっちが先に焼けつくのか勝負といこうぜ?
敵wizUCには毒態勢で対抗。衣服どもが減ったらグラップルからの零距離射撃で焼却砲、もしくは溶切断機でダメージ狙い。
やる事は変わらねえ、ぶっ壊すだけだ。
黒木・摩那
殺戮繊維科学者?
繊維に対する執着の行きついた先が今回の騒動の原因とか、
マッドサイエンティストの考えることはわかりません。
しかし、その特殊繊維はなかなかに厄介です。
生きた衣服とはよくいったものです。
燃えないし丈夫とか。
でも、薬品にはさすがに対策はないみたいですね。
自らが作り出した、有害物質で攻めます。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
UC【紅月疾走】で薬品汚染された大地を削り取って、問題の薬品をヨーヨーに取り込みます。あとはヨーヨーを【なぎ払い】して、薬品で特殊繊維の無効化を図ります。
テリブル・カトラリー
爆破の時に聞こえたのはこいつか…
まともな繊維なら流用も考えるが、さて、この薬物反応は…
迫る衣服を機関銃の制圧射撃で押し返し、
【オーバーコート・アウトレイジ】人型機械兵器を召喚。
巨大版機関銃の範囲攻撃で衣服をなぎ払い、
巨大版アームドフォートの砲身で敵が広げた生地を掬い、砲撃。
上空へ吹き飛ばし地形から引き剥がす。
その繊維への熱意は評価する。
が、やり方は大きく間違えたな。
クイックドロウ、巨大版自動拳銃を相手に向け鎧無視攻撃。
フェイント、引き金を引いた瞬間にトレースを解除し、
自身の自動拳銃で発砲。二回攻撃。
元からそうなのか、オブリビオンとなって歪んだのか、
どちらにせよ、強引なやり方は反発を招くモノだ。
ボゴ・ソート
※言動などなどは書きやすいように変えてください
えっ、人類全てにその謎繊維製の服を?
なんと恐ろしい計画! まさにお仕着せだ!
とは言ったものの、敵は予めこちらの採寸まで済ませる程の用意周到な相手だ。ビビッとくるデザインを提示される可能性もある。
万が一の場合に備えて【レプリカクラフト】で視線を遮る障害物を設置しておこう。
銃を持っている人がいるようだし、障害物越しに射撃できるように薄い板切れでいいだろう。
ついでに相手の移動を制限したりしなかったり、できたらいいな。
仇死原・アンナ
申し訳ないけど…その衣装は頂けないよ…
処刑人としての…貴様を葬る為の装束はすでにある!!!
仮面を被り【処刑執行】を発動
真の姿の[封印を解き]、敵を斃す[覚悟]を決めて戦闘開始
鉄塊剣の[なぎ払い]、妖刀の[切り込み]で生地を斬り裂く[武器落とし]
[ダッシュとジャンプ]で四方に広がる攻撃を避けて敵に近づこう
[毒耐性]を我が身に宿し地形の汚染を耐えよう
鎖の鞭を振るい足に巻き付けて[体勢を崩し]
[怪力と力溜め]を用いた鉄塊剣を振るい敵目掛けて叩き付ける
薬物汚染された地形ごと鉄塊剣の[重量攻撃で地形破壊]してやろう…!
●着るか着られるか
「お、思っていた感じとだいぶ違うのが出てきましたね……ちょっと可愛いし……コスプレしたいし……」
虚無の地獄を作り上げた主としてはスヴァルカ・バーベリ(ローン・レンジャー・f24891)の予想とは違ったようだ。
「爆破の時に聞こえたのはこいつか……まともな繊維なら流用も考えるが、さて、この薬物反応は……」
テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は中央看守塔を爆破してコイツを文字通りに炙り出した張本人。
「えっ、人類全てにその謎繊維製の服を? なんと恐ろしい計画! まさにお仕着せだ!」
とか言いつつ、ちょっとどんな服が出てくるのかは気になってるボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)。
「殺戮繊維科学者? 繊維に対する執着の行きついた先が今回の騒動の原因とか、マッドサイエンティストの考えることはわかりません」
常軌を逸しているからマッドサイエンティスト、狂った科学者な訳だが。どこか人毎の様に呟く黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。
「ほう、オーダーメイドってヤツかい。気が利いてる、と言いたいが……ちょいと押し売りが過ぎらァな」
狐火を纏いながらふわりと降り立つ妖狐、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)。
「打撃もまともに効かなそうな奴等だな。ま、服ってのは黙って着られてる方がらしいもんだぜ。有史以来人を守り続けた衣服がどういう存在なのか、思い出させてやる」
同じく、爆薬の薫りを漂わせながら現れる傭兵、タケミ・トードー(鉄拳粉砕レッドハンド・f18484)。
「申し訳ないけど……その衣装は頂けないよ……処刑人としての……貴様を葬る為の装束はすでにある!!!」
地獄の炎を纏い、仮面を被った処刑人としての正装、即ち真の姿にて応えるは仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)。
ここに集いし7人の猟兵が牢獄の主と対峙する。
「ボクは人類にあるべき姿を取り戻したいだけなんだ。ボクの神繊維は色も形もデザインも、着る人の遺志で姿形を変える。素晴らしいだろう?」
殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』はまるで透明人間でも侍らせているかのように様々な服を、服その物を従えて佇む。その周囲は既に危険な緑色に輝く有毒汚染薬物で塗り固められている。万全の態勢だ。
「計画の邪魔はさせないよ。むしろ、協力してもらう」
「その神繊維とやら、材質は何なんだい?」
「一言で言えば人知を超える物。カーボンナノファイバーですら軽々と凌駕する耐久性、それでいてシルクよりも肌触りのいい」
問い掛けておきながら狐狛には最後まで聞く気は無い。
「へぇー……まァ、仕事は働きモノに任せるに限らァ」
高給取りの懶惰な指揮者。それは有機物か無機物かを問わずに変換し操作するユーベルコード。その性質上、狐狛にはこの繊維の正体が僅かながらに見えた。
「コイツ、人の魂を編み込んでやがる」
「おおっとぉー! 隠し味がバレてしまったなぁー?」
無機物は無機物。しかし、魂を素材として使って編み込むという外道の所業故に完全な無機物とも言い難い。それ故に、
(完全に支配下には出来ねェ、だが……それならそれでやりようはあるぜ!)
狐狛はバラバラに裁断された無数の魂に霊的に蹴りを入れて呼び起こした!
「ぅろぉろぉぉん……」
「何と! 死者の魂を掘り起こす様な無茶を」
「魂を裁断してる奴に言われる筋合いはねェよ!」
あわよくばそのまま攻撃へと繋げたかったが、錯乱した魂に指向性を持たせるまでは行けなかった。
なら、指向性を与えればいいだけの話だ。
「着る人に……その遺志に姿形を合わせると言いましたね……!」
まずはスヴァルカ用と思われるベビードールを……おお、自ら着込もうと言うのか!
「あぁぁ、本当に肌触りが滑らかで……この服であんなことやこんな事をしたい!」
ちょっとやめないか。このリプレイは青少年のなんかをまもります。だが男だ。
しかし、スヴァルカはそのベビードールを脱ぎ捨てて軍服を身に纏う!
「アツアツの穴あきチーズにしてやんよ」
服から生成されたガトリングガンが火を噴く! ドミレイオンを庇う着物! しかし、それにも袖を通すスヴァルカ!
「熱いぜ熱いぜ熱くて死ぬぜェー!」
狐火を立て続けに連射! ドミレイオンを庇うレザージャケット! しかし、それにも袖を通すスヴァルカ!
「てめえは、許さん!」
生成ヨーヨー投擲! ドミレイオンを庇う機動外骨格! しかし、それにも袖を通すスヴァルカ!
「不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています」
自身の三倍はあろうかと言う全てを焼き尽くすオーバードガトリングガン! ドミレイオンを庇う作業服! しかし、庇い切れない! 黒衣の礼服が加わり辛うじて止める! ドミレイオンは無傷。だが、しかし。
「時間は、稼げましたよね?」
機動外骨格を脱ぎ捨てて変幻自在で自らの衣装であるミニスカ歩兵に着替えるスヴァルカ! 駄目押しの両手に二挺バズーカ!
「なんてことしてくれたんですか! 一瞬で全部傷物に」
「ああ、十分だ!」
着た者を洗脳し、それを見せるだけでも「今見た服を着たい」という感情を与えてしまう厄介なユーベルコード。ならその対策は簡単。見なければいいだけだ。
ボゴがレプリカクラフトで作り出した、視線を遮れるだけの障害物ごと拳銃で撃ち抜き、ドミレイオンを狙うタケミ。次々とカバーを切り替えながらドミレイオンに迫る!
1マガジン撃ち切った拳銃を捨てて、技装鉄拳ガン・ガーンを振りかぶる!
「ぶっ飛ばして!」
タケミの右ストレートがドミレイオンを捉える! 障壁めいて展開した白衣がそれをガード! 赤熱して燻る白衣。
「なんだ、大した事ない」
「ぶっ飛ばすッ!」
ドミレイオンの豊満な胸部に赤熱した義手によるアッパーが突き刺さる! これは確かな有効打!
「なに、が!?」
幻めいて消えるかつてのタケミ。過去の自分との共闘を可能にした不可思議なユーベルコード、挟撃!!(レッドハンド・アンド・ヴォルカニックアッパー)だ!
「ほんのちょびっと驚かされたが、ボクの特殊繊維はこのように直撃しても軽微なダメージで」
「その特殊繊維はなかなかに厄介です。生きた衣服とはよくいったものです。燃えないし丈夫とか。励起。昇圧、集束を確認……浸食開始」
摩那の超可変ヨーヨー『エクリプス』が地を舐める大車輪の如く巨大化し、地面を削り取り有害物質を希薄化させ、近接組の道を作る。もちろん、それだけでは終わらない。汚染薬物を地表ごと取り込んだエクリプスがドミレイオンを捉え、巻き込みに行く!
「でも、薬品にはさすがに対策はないですね」
「どうして無いと思ったんだぁ? この薬品は選ばれし者を振り分ける聖域。ボクの神繊維を着こなしている者には実際無害」
「そうか。知らん」
オーバーコート・アウトレイジ。テリブルの呼び出した全長5Mに迫る人型機械兵器の巨大機関銃が火を噴いた。
「大きければ強いという訳では無いよ!」
空を舞う衣服がその銃弾を食い止める。構わず巨大アームドフォートの大口径時限信管榴弾を発射。
「柔よく剛を制すってね、こうして衝撃を下に逃がせば」
「間抜けめ、最初から下を狙ったんだ」
時限信管が地面に深く刺さった所で起爆!
「その繊維への熱意は評価する。が、やり方は大きく間違えたな」
目にも止まらぬ素早さで抜き放たれた巨大版自動拳銃がドミレイオンに銃口を向けた。
「間違いなど! 俗人には理解が及ばない」
「他人に証明できない技術など独り善がりだ」
人型機械兵器が銃爪を引いた。繊維が、やはりその銃弾を止めた。
だがドミレイオンの頭に銃弾が刺さった。
「大きければ強い訳ではない、その通りだ」
トレースを解除したテリブル自身の自動拳銃による銃撃。脳天を貫通とは行かなかったのがオブリビオン耐久力。知った事かとそのまま立て続けに1マガジン空になるまで銃弾を喰らわせる。
「わ、私の至高の頭脳が!」
「イカレ脳味噌の間違いじゃない?」
榴弾の爆風に乗って、ドミレイオンより高く跳躍したボゴの操るフック付きワイヤーがドミレイオンを拘束した。
「人の魂を弄ぶ極重罪人。判決は……処刑! 処刑だ!! 今すぐに執り行う!!!」
アンナの妖刀が幾多の攻撃を耐えた衣服を切り裂き、その魂を開放する。ボゴがフック付きワイヤーを引いて態勢を崩させた所に跳躍し、鉄塊剣を叩き付ける。
「執行!」
「グアー! なんたるバカ力!」
攻撃を受ける度に自動的に反撃でもするかのように周囲に汚染薬物をバラ撒くドミレイオン。だが、そんな物は関係ないとばかりに鉄塊剣を振り上げ、振り下ろす!
「執行!」
「グアー!」
これでも致命傷ではない、やはり本体は大したダメージを受けていなさそうにすら見えるドミレイオンは方々の体で次の攻撃から逃げようと身を転がそうとする。逃がさぬ、とばかりに鎖の鞭がその首を締め上げ、鉄塊剣を振り上げ、振り下ろす!
「執行!」
「グアー! も、もうやめ」
「執行!」
「グアー!」
「おっと、まだおねんねには早いぜ」
タケミがドミレイオンの頭を鷲掴みにした。
「いつもの奴がまだ残ってるんだ。最後はハデに締めてやるよ」
●熱線焼却獅子剛穿孔螺旋狐火帝国式変幻乙女の一撃
「灼熱地獄で我慢比べと行きたかったが、その必要はなさそうだな。火傷じゃ済ません、炭化しやがれ!」
タケミの熱線焼却砲、最大出力!(ブレイズロア・マキシマムレベル)
ドミレイオンの頭を鷲掴みにした最大稼働する技装鉄拳ガン・ガーンが甲高い駆動音を響かせ掌から超高熱線を放つ!
「じゃあ、衝撃耐性をテストしてげましょう。接地、反転。アンカー作動……力場解放!」
摩那の獅子剛力(ラ・フォルス)
超可変ヨーヨー『エクリプス』が超高熱線で吹き飛ばされたドミレイオンを空中キャッチし、何度も地面に叩きつける!
「……」
テリブルの戦争腕・穿孔螺旋拳(ドリルアーム)
単純で重い大型ドリルブーストナックル突貫攻撃が今度は突き耐性でも試すかのように凄まじい音を立てて抉る!
「炎と熱耐性はゲームによっては別物だからなァ、試しておいてやるぜ」
狐狛の狐火(フォックスファイア)
83個も狐火が83分の1秒の速さで矢継ぎ早に撃ち込まれ、大炎上!
「お前にも帝国式レスリングを教えてやるぜ」
ボゴの帝国式レスリング(テイコクシキレスリング)
まだ炎上を続けているドミレイオンにタックルをカマし、ぶん投げる。
「僕は……ど、どんなプレイにも対応しますから……どんなプレイでも」
スヴァルカの変幻自在(コスプレチェンジ)
メイド服のスカート中からガトリングガン、アンチマテリアルライフル、ロケットランチャーを出し連射に次ぐ連射!
「苦しいか? 安心しろ、この一太刀で苦しみを絶ってやる……!」
アンナの慈悲深き乙女の一撃(ジヒブカキオトメノイチゲキ)
鉄塊剣『錆色の乙女』を大上段に振り上げて、振り下ろす。生の苦痛を取り除き死の救済を齎す慈悲。
「サ・ヨ・ナ・ラ!」
殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』は爆発四散! 猟兵達の完全勝利だ!
ヘルクルスは炎の中に沈んだ。猟兵とオブリビオンとの激しい戦いの余波ですっかり廃墟の装いとなったこの刑務所で虚無の地獄に落とされる囚人はもう居ない。ただ、ドラム缶だけが静かに佇んでいた。
誰かが、ドラム缶を押す。
誰に強制された訳でも無いのに、押しに来る。あるいはどこか遠くでドラム缶を押している。
ドラム缶を押すという風習自体、実はヘルクルスが出来る前から存在していた。ドクター・ドミレイオンがそれを知って利用したのか、今はもう誰にも分からない。
何故、ドラム缶を押すのか。
それを問う意味など何処にもないのだろう。
だから、今日もどこかで誰かがドラム缶を押す。
ドラム缶を、押す。
「押してもいいんだぜ、あの懐かしのドラム缶をよ!」
大成功
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