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White Rose Flambrella(作者 七夜鳥籠
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●月夜に不穏な影ひとつ
 ――タタッ、タタタン。
 ――タン、タタタン。

 石畳の灰色道に、赤茶や白の煉瓦造り。屋根には煙突ぴょこんと飛び出て、小窓は小花で彩られ。
 絵本や童話に登場しそうな素朴な可愛さ溢れる光景。浪漫めいた彩りの、昔ながらの西洋の街並み。
 善良な人々のみが暮らす、平和な国そのものの。平穏無事な、街並みにて。
 夜の帳に紛れて降り立つ、不穏な影が、ひとつばかり。

 ――トントン、タタタン。
 ――トントテ、タタタン。

 不穏な空気は雨降りそうな、空模様だけで良かったというのに!

 ――タタッ、タタタン。
 ――タタタタタン。

「……たすっ……けて……っ、」

 血の滲む脚を引き摺るように、それでも躍りを止めぬ少女は。
 膝丈白のワンピース、それから視線を伸ばした先の軽快なステップを刻む足元――赤い靴をちらりと見ては、涙滲む眼(まなこ)をそのまま、縋るように空へと向けた。
 残虐たる赤のそれから逃れまいとするかのように、地とは逆の方向へと。神に助けを求めまいと、天に向かって指先伸ばす。
「かみ……さまっ、どうか……っ」
 月は静かに見つめるのみ。
 助けに来たとばかりなのは、黒い黒い雨雲だけ。
「……ごめ、っ、ごめんなさっ、ごめんなさいっ……!」
 それとももしや、雨雲が。厚く厚く重苦しいのは。
 少女の罪を、罰するためか。激しく責め立て、泣かせるためか。

 ひゅうひゅうごうごう、風が吹く。
 ぽつぽつぽたり、雨が降る。

 ざあざあ雨に、なるまえに。

「だれか、たすけて……っ!!」

 少女に救いは、やってくるのか。

●白の少女は赤に染められ
 御伽の国のトランプたちの薔薇塗りにも負けぬ懸命さで、己の任務をこなすためにとグリモアベースへやってくる猟兵。とあるその日の彼らの一部は控えめに響く鼻歌につられ、或いは苦情を言うためにか、黒衣の男の元に集った。
 ――――、――、――――、――――、la――、
「――The――、……おっと」
 今にも歌い出しそうだった男――ジェラルディーノ・マゼラーティ(穿つ黒・f21988)は、おほんとひとつ咳払いをしてからチェシャ猫めいてにんまり笑った。
「調子はどうだい? ――ウンウン、元気そうで何よりだ」
「梅雨はイヤ? うんうん、その気持ちもまァ分かるよ」
 肩に担いだ蝙蝠傘をもう一方の指で示して。
「だけどね。素敵な傘がありさえすれば、じめじめした気分も途端に吹き飛ぶ……と思わないかい?」
 そんなことない? と首を傾いで。
「まあ、物は試しだ。丁度アリスラビリンスにて、ぴったりな事件があってねぇ、」
 ――哀れな少女のお話だ。
「『赤い靴』という童話を皆は読んだことがあるかい? 正にそこから飛び出たみたいな、呪いの赤い靴――それが今回のオブリビオンだ」
 罪を犯したアリスのみを標的として近付いて、靴型である見目を利用し己へ足を通すよう仕向け。うっかり履いてしまったならば、死ぬまで踊らせ続けるのだと。
「彼女の罪を喧伝したり糾弾したりするオマケ付き」
 可哀想だろう? と口をへの字にする男。
「だから彼女を救っておくれ。可愛らしい白の衣装が赤く染まりきるまえに」
 グリモアが光り輝いて、転送の準備がいよいよ始まる。
 けれど手持ち無沙汰でか、男は突然蝙蝠傘をぴしっと天へと向けてみせ。
「あやつの首をちょんぎってしまえ! なんてね。今回ばかりは足首だけども」
 ――ん? いやいや、冗談だよ。
 御伽の国の誰かさんの、真似事を少ししてみただけさ。
「……ああそうそう、それとだね、」

「フラミンゴって、傘に似てると思わないかい?」

 不思議で素敵な傘屋の地図を手近な者に押し付けながら。
「ネック・ラック・フラミンゴ――語呂が良いね――兎も角オウガである彼らはクロッケーが大好きだ。本来の役割は槌なのに、自らの意思で遊ぼうとする。つまり彼らこそがプレイヤーで、しかも群れで行動するから被害は甚大、傍迷惑な敵というわけ。更にはボールはハリネズミでもなく何とアリスの首だという。残酷だね」
「此方は強さはそうでもないけど数だけはめっちゃ多いタイプ。とてつもない大軍勢で平和な国をめちゃくちゃにするから――うん勿論、本当にそうなってしまう前に何とか倒してくれたまえ。嗚呼それと、向こうの住民とも協力すると上手くいきそうな感じだよ。無事にボスまで辿り着くのを君たちは優先した方が良い」
 非常に残念なことながら、かの女王の真似事めいて彼らの首は刎ねられないしね。だって今回のフラミンゴ、フラミンゴの癖にチェシャ猫みたいなんだ。
 ……などとまるで謎かけめいた、意味深な呟き最後に残して。
「それでは――Good luck!!」
 爛々と輝く二つの月に猟兵たちは見送られ、ゲートをくぐるハリネズミが如く境界線の“向こう側”へ。


七夜鳥籠
 アリス要素盛り盛りでお送りしました。六作目はアリスラビリンス――御伽の国が舞台です。
 七夜鳥籠と申します。どうぞ宜しくお願いいたします。

●第一章
 集団戦。
 愉快な仲間達と協力してボスへの活路を切り開いてください。
 いそうな住人のご指定、お任せ、どちらでも構いません。

●第二章
 ボス戦。
 少女の罪とは何でしょう。

●第三章
 日常。
 梅雨の憂いも吹き飛ぶような、素敵な傘を探しに行きましょう。
 UDCアースで普段使いできそうなものから、アリスラビリンスらしいメルヘン・ファンタジックなデザインまで。傘を開くと花が舞う、柄が動く、雨が降る……等々、特殊な効果があるものもお求めいただけます。
 また、傘職人に注文すればオーダーメイドも可能ですので、イメージモチーフ風のものもご希望でしたらお作りいただけます。
 用途としては雨傘メインのイメージでお送りしておりますが、日傘や晴雨兼用のものも歓迎です。
 どうぞ自由な発想で、プレイングにてご指定ください。
 詳細や一部お任せ、全てお任せなどもご自由に。
 また、三章のみ。お声掛けいただけましたら、ジェラルディーノもご一緒させていただきます。

 一、二章は少数名の受付となりますが先着順では御座いません。
 三章は可能な範囲で執筆させていただければと存じます。
 また、受付期間などはマスターページにてお知らせいたします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ネックラック・フラミンゴ』

POW ●滅多刺しクロッケー
【全身が針で覆われたハリネズミ型のオウガ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD ●気まぐれギロチン
【刃物状に変化させた羽根を飛ばし、その羽根】が命中した対象を切断する。
WIZ ●女王様のローズガーデン
戦場全体に、【赤く塗られた花と鋭いトゲを持つ薔薇の木】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●グッドラック・フラミンゴ
 ハリネズミを打ち損じ、女王に首を刎ねられた?
 ああ嗚呼なんて、お可哀想。バッドラックもいいところ。
 けれどもある意味運が良いのか、オウガとしてならまだ活躍。
 バッドラックなネックラックはグッドラックなテンションで、
 ボールをアリスの頭にすげ替え、楽しく遊んでいるようです。
 そしてある日のある時遂に。バッドもバッド、ラックなことに。
 群れは平和なこの国にまで。住民迷惑、大迷惑。
 いるかいないかなアリスなんて、迷惑どころか命の危機です。

 ドコドコドコドコやってくる。
 フラミンゴの群れやってくる。
 ピンクの大群、やってくる。
 ネックラック・フラミンゴ。

 迎え撃つは愉快な仲間と、
 個性豊かな猟兵たち。
 けれども気狂い鳥さんたちは、
 物ともせずに突進します。

 ドコドコドコドコやってくる。
 フラミンゴの群れやってくる。

 ところで脳無し鳥さんたちは、
 一言たりとも喋れない。
 けれどもきっと、フラミンゴ。
 クロッケー狂いのフラミンゴ。
 きっとお口があったのならば、
 こんなやり取りあったのでしょう。

 ――クロッケー会場はこちらですか?
 ――いいえどうぞ、お帰りください!!!!