紫陽花メランコリア(作者 霧雨りあ
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#カクリヨファンタズム 


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#カクリヨファンタズム


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 水面に浮かぶ、青い花びら。
 ゆらり、ゆらりと揺蕩うそれは、誰かの想い。

「嗚呼、あのひとに逢いたい……」

 彼女は昏い水中から花びらに手を伸ばす。
 触れた瞬間、それは色を失い水面に黒い染みを作った。

「嗚呼、どうして……」

 青い花びらは、あのひと。
 黒い染みは、わたし。

 彼女は願った。
 それは、あのひとが願った世界。
 それは、雨の月に咲く花に溢れた美しい世界。

 ――あのひとにもう一度逢うために、セカイヲツクリカエテシマエ。

 もう覚えてはいない。
 声も顔も、何もかも。
 ただ『逢いたい』という想いに支配され、たったひとつだけ覚えている『雨の月に咲く花』を頼りに。
 例えこの世を創り変えることになったとしても――その『だれか』を探すのだ。


「再びカクリヨが大変なのです。カクリヨが『骸紫陽花』に覆われてしまったのです」
 椿のグリモアを抱きしめて、集った猟兵に沙羅は語る。
 骸紫陽花とは、骸魂に汚染された危険な紫陽花。その美しい花からは甘い香りが漂い、誰も彼もを眠りへといざなう。
「予知では、この骸紫陽花で妖怪たちが眠りについた後、骸魂が溢れ出してすべての妖怪を食べてしまうのだと……」
 沙羅は悲しそうに告げ、そして不吉な未来を払うかのように首をふるふると振った。
 深呼吸ひとつ。予知の内容を整理して、言葉にする。
「骸紫陽花で世界を覆ったのは、美しい女性の上半身と、大きな蜘蛛の下半身を持つオブリビオンなのです。彼女に記憶はありませんが、生前に恋した『だれか』に逢いたいという想いだけで、世界を滅亡に導こうとしているのです」
 彼女は生前『川姫』という妖怪だったと予知ではわかっている。彼女と紫陽花の関係は、その『だれか』が関係しているようだが……。
「彼女の想い人は、どこにいるのか分かっているのです。カクリヨに住んでいる妖狐のお兄さんなのです」
 妖狐の青年、名は『水風(みなかぜ)』。
 彼は骸魂とならず無事に幽世に辿り着き、今は風鈴を売って暮らしている。
「水風さんが彼女へ繋がる道の鍵だと予知にありました。なので、まず皆さんには彼に会いに行って頂きます」
 既に骸紫陽花で覆われ初めている幽世。
 彼が無事であるうちに、手がかりを掴まなければならない。
「水風さんは彼女を知っているのです。でも……何故か彼女のことを覚えていないのです」
 長い時を生きる妖怪であれば、数多の出会いと別れを繰り返している。しかし、たとえ恋しく想っているのが彼女だけだったとしても、一度出会った縁は消えることがない。
「縁を手繰り寄せて、彼女への道を築いてください。お願いします」
 ふわりとお辞儀をした沙羅のグリモアが輝いた。
 猟兵たちは、幽世へ――。


 青、赤、白。鮮やかな紫陽花の彩りが、世界を埋め尽くしている。
 背筋を凍らせるような美しい世界。

 骸紫陽花の香りをひとたび吸い込めば、物憂げに。
 みたび吸い込めば、憂鬱に。
 そして気付けば、もう眠ってしまいたいと願うのだ。

 古書に記される――それが『紫陽花メランコリア』なのだと。


霧雨りあ
 幽世からこんばんは、霧雨です。
 ふわりとした切ない恋のお話、お届けいたします。

 今回はふんわり心情系、綺麗目なリプレイになるかと思います。
 頂いたプレイングは極力採用しますが、悩んだ場合はお返しする場合もあるかと思います。

●第一章は冒険です。
 妖狐の青年『水風(みなかぜ)』の元を訪ね、今回の主役『川姫』(名前は不明)に繋がる情報を引き出しましょう。彼は彼女のことを忘れてしまっているので、思い出させるような工夫があると良いかと思います。

●第二章~第三章
 こちらは第一章完結後に、断章にて情報を公開いたします。

 以下、その他補足です。

●骸紫陽花
 幽世の妖怪たちは、その八割が『紫陽花メランコリア』を発症し眠っています。
 猟兵への影響は『物憂げになる』程度です。

●水風(みなかぜ)
 妖狐の美しい青年です。まだ『紫陽花メランコリア』を発症していません。
 彼の住む町には骸紫陽花が咲き始めましたが、彼は町はずれで風鈴屋台を出しているので、まだ気付いていません。

●風鈴
 非常に美しい細工を施した、ガラスの風鈴です。
 紫陽花モチーフが多め。お土産に買うこともできます。

 それでは、みなさまの冒険が良きものとなりますように。
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第1章 冒険 『失くしもの』

POWとにかく話を聞いてみる
SPD手掛かりを沢山集める
WIZ独自に推理してみる
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 りーん、と風に乗る涼し気な音。
 浴衣姿の青年が売る風鈴の、それはそれは涼やかな音色は、まだ駆け出したばかりの初夏を遠ざけるようで。
 雲ひとつない空と、青い草の香りを運ぶ風に溶けあって、少しだけ郷愁を感じさせた。

「やあ、こんにちは。風鈴はどうかな?」
 訪れたあなたに気付いた青年は、優しく微笑む。
 彼が水風。『彼女』の想い人。
 彼女と紫陽花の縁を知る、唯一の妖狐。
 しかしそれも、今では記憶の奥底に沈み忘れていると言う。

 さて、何と声をかけようか。
 どう記憶を手繰り寄せようか。
月守・咲凛
ふーりん、きれいなお花なのです、このお花がいっぱい書かれてますけど、このお花には何かこだわりがあるのですか?
綺麗な物は好きは好きなのですけど、子供なので、最初はとりあえず息を吹きかけてみたりして風鈴をチリンチリン鳴らす方に興味を持ちますが、アジサイモチーフの物が多い事に気付いて尋ねてみます。
これがあじさいなのですね。いっぱいあったら綺麗でしょうねー。自分も同じ名を持つ兵器を使っているので、花の名前に興味を示します。
基本的には質問して話を聞いていき、話が終わったら風鈴をひとつ買って、武装ユニットに付けてみるのです。


 ふわりと降り立った少女の水色の髪が、陽光を反射して宝石のようにきらきらと煌めく。
 月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)の赤い瞳は、風に揺れる風鈴に描かれた紅紫陽花のようで。
「ふーりん、きれいなお花なのです」
 小さく息を吹きかけて。
 チリンチリンと響く音色。なんとも愛らしいその音に、咲凛が花のような笑顔を向ける。
「このお花がいっぱい書かれてますけど、このお花には何かこだわりがあるのですか?」
 ふと気付いて絵柄を指差せば、妖狐の青年は涼やかに微笑んだ。
「それは、紫陽花という花だよ。いろいろな色の花を咲かせるんだ」
 目線を合わせてそう告げると、少し待ってねと屋台の裏へ消えた。
 再び現れた彼の手には白い鉢植え。そこに咲く薄青紫の大輪、儚い気配の紫陽花。
「これがあじさいなのですね」
 自身が持つ円盤状のユニットの名前と同じ響きに興味を惹かれ、じっと見つめれば。
「いっぱいあったら綺麗でしょうねー」
 その光景は、きっと。砂糖菓子を並べたような、きらきらとしたものになるだろうと。
「今が見頃だから、きっと町に行けば咲いているよ」
 水風の言葉に咲凛は思い出す。
 骸紫陽花が、ここにも迫っているのだ。
 一瞬、鉢植えの紫陽花もそれかと不安になったけれど。水風の瞳は大きく開かれ、空のように蒼い瞳がしっかり咲凛を見つめている。
 ――きっと、だいじょうぶ。
 咲凛は思いつくかぎりの質問を投げかけて、水風の記憶を揺さぶる。
「紫陽花は昔から好きなんだ。ただ、この花を好きだと言ってくれた人がいた気がするんだけど……思い出せなくて」
 紫陽花から連想するのは、美しい女性の影。
 水風の記憶に、さざ波が立つ。

「それでは、このふーりんをひとつください」
 咲凛が選んだ風鈴は、武装ユニットの先で風に揺れる。
 チリンチリンと涼やかに。
大成功 🔵🔵🔵

神代・凶津
事件と聞いてこの世界に来たが、見渡す限りの見事な紫陽花の咲き乱れる風景だな。
これがヤバい代物じゃなけりゃじっくり眺めていたい所だがな。
「・・・早く止めないと。」
おうよ、相棒。
先ずは風鈴売りの兄ちゃんの所へ行かねえとな。

風鈴売りの兄ちゃんはオブリビオンの事を覚えていないらしいが、どちらも紫陽花に思い入れがあるようだから其処から切り込んでみるか。

よう、兄ちゃん。こいつは見事な風鈴だな。一つ買うぜ。
にしても、紫陽花のモチーフが多いな。
何か思い入れでもあるのかい?
例えば女との想い出とか?
こんないい風鈴を作れるんだ。
興味が湧くぜ。

こんな感じの雑談で情報収集するぜ。


【技能・情報収集】
【アドリブ歓迎】


 幽世の町が、赤に青に紫に――咲き乱れる骸紫陽花に飲まれていく。
 優しい香りは、住人たちを眠りにいざなう危険な香り。
 それは、ふわりゆらりと彼らの元にも。
「事件と聞いてこの世界に来たが、見渡す限りの見事な紫陽花の咲き乱れる風景だな」
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は、黒髪の少女の手の中から骸紫陽花を眺める。
 その鬼の仮面に空いた暗い穴にも彩りは映り、香りは鼻孔をくすぐった。
「これがヤバい代物じゃなけりゃ、じっくり眺めていたい所だがな」
 なあ、と相棒の桜に声をかければ、彼女は視線そのままに静かに告げる。
「……早く止めないと」
「おうよ、相棒。先ずは風鈴売りの兄ちゃんの所へ行かねえとな」
 骸を冠した紫陽花が、彼の元へ辿り着く前に。

 ――チリンチリン。
 風に揺れる風鈴の音は心地よく。
「いらっしゃい」
 迎える妖狐の蒼い瞳は、黒髪の少女を映す。
「よう、兄ちゃん。こいつは見事な風鈴だな。一つ買うぜ」
「……? ああ、驚いた」
 桜へ向けられた視線が一瞬彷徨って。彼女の手の中の仮面に移り、ふわりと微笑む。
「ええ、柄はすべて違うから、ゆっくり選んでもらえれば」
 屋台に並ぶ紫陽花柄の風鈴は、先に町で見た骸紫陽花のように艶やかで。
 ――オブリビオンの事を覚えていないらしいが、どちらも紫陽花に思い入れがあるようだから……其処から切り込んでみるか。
 凶津の目を細める気配に、桜もこくりと頷く。
「にしても、紫陽花のモチーフが多いな。何か思い入れでもあるのかい?」
 そう尋ねれば、水風は嬉しそうで。
「そうなんだ、昔から紫陽花が好きで。良い想い出がたくさんあるからね」
「例えば――女との想い出とか?」
 ぴたりと。
 水風の顔は微笑を貼り付けたまま、時を止めた。
「こんないい風鈴を作れるんだ。興味が湧くぜ」
 続く凶津に言葉に、水風は目を三度瞬かせ。
 ゆっくりと、首を左右に揺らした。

 動き出した時。
 動き出した記憶。

「そう、なんだ……。彼女が、好きだと……彼女って誰だ……?」
 朧げに浮かぶ美しい娘。

 水風の頬を、一筋の雫がこぼれ落ちた。
大成功 🔵🔵🔵

古峰ヶ原・美琴
すごい、すごいね、風鈴すごいよ
風の流れが音で見えるみたいだよ
水の流れとは違って似ている涼しい音だね
最初はチリンに耳がピクリ、それがチリンチリンになって、今は風鈴の大合唱
なんだか川の流れに似ているね
風鈴の音をたどってね、わたし、ここまで来たんだよ
狐のおにいさんは、どうして寂しい場所で風鈴を売ってるの?
だって、物を売るなら賑わっている場所の方がいっぱい売れるよ
まるで、誰かに見つけて貰いたいみたい
まるで、誰かを呼んでいるみたい
川が海に流れるなら、風鈴の音はどこにいくのかな?
風鈴と紫陽花と大切な人と一緒にいられる未来かもしれないね
おにいさん大切の人のお名前は、ずばり、美琴さん
わたしの名前だよ♪


「すごい、すごいね、風鈴すごいよ」
 柔らかな金の髪を風に遊ばせながら、古峰ヶ原・美琴(神出鬼没・f28138)は笑顔を零す。
「風の流れが音で見えるみたいだよ。水の流れとは違って似ている涼しい音だね」
 まるで風にゆれるガラスの花のようで。
 最初はチリン。それがチリンチリンになって、今では音の波が大合唱のよう。
 川の流れに似てるねと。
 金の髪から覗く可愛らしい耳をぴくぴく動かしながら、美琴は言った。
「風鈴がお気に召したかな?」
 水風が美琴に微笑みかける。
「風鈴の音をたどってね、わたし、ここまで来たんだよ」
「そうか。この子たちは風に乗るからね」
 風の抜ける町外れ。
 人もいない、淋しい場所。
「狐のおにいさんは、どうして寂しい場所で風鈴を売ってるの? だって、物を売るなら賑わっている場所の方がいっぱい売れるよ」
 ――まるで、誰かに見つけて貰いたいようで。
 ――まるで、誰かを呼んでいるみたいで。
 水風が微笑む。それは、雨を呼ぶような笑顔。
 切ないような、淋しいような。
「川が海に流れるなら、風鈴の音はどこにいくのかな?」
「そうだね――届いてほしいと、僕は願っていたんだ。誰かに……誰にだろう?」
 曖昧な言葉は、思い出せない記憶を孕む。
「風鈴と紫陽花と大切な人と、一緒にいられる未来かもしれないね」
 美琴の言葉に頷いて、水風は空の向こうを見つめる。
 大切な人。思い出せない大切な人。
「おにいさん大切の人のお名前は――」
 美琴がぴょこんと跳ねて、水風の前に出る。
 じっと見つめる透き通った水色の瞳は、風鈴に描かれた紫陽花のようで。
「……名前は?」
 思わず引き寄せられるように尋ねる水風に。
 美琴はにこりと太陽のような笑みを向けた。
「ずばり、美琴さん! わたしの名前だよ♪」
「あはは、これはやられた」

 二人の笑い声が風に乗る。
 チリンチリンと泣く風鈴の声は、誰の元へ届くのでしょう。
大成功 🔵🔵🔵

神代・凶津
どうやら風鈴売りの兄ちゃん、何かを思い出しそうだぜ。
もっと聞き出したい所だが、無理に聞いても出てくるもんでもないだろうしな・・・。

ここはひとまず、持ち物の『湯呑セット』でお茶でも淹れて落ち着かせるか。
おい、兄ちゃん。
何だか分からんがこれでも飲んで落ち着きな。
お茶請けに『おはぎ』も出すか。
「・・・私のお手製ですが。」
相棒のおはぎは中々の物だぜ。

風鈴売りの兄ちゃんが落ち着いたら改めて話を聞いてみるか。
何か忘れちまった大切な想い出でもあるのかい?
俺達で良ければ力になるぜ?
例え形になってなくても胸の内にあるもの吐き出すだけで違ってくるぜ?


【技能・情報収集、慰め】
【アドリブ歓迎】


「大丈夫かい?」
 凶津の言葉に、水風は俯いたまま。
 動き出した時は、留まることを知らない。
「彼女は……」
 想いが溢れても、それは誰なのかわからない。
 ぐるぐる渦巻く感情に、涙を止められなくて。
「おい、兄ちゃん。何だか分からんが、これでも飲んで落ち着きな」
 凶津がそう告げて、桜がそっと湯呑を差し出す。
 湯呑から立ち上る緑茶の柔らかな香りに、水風の表情はふわっと和らいだ。
「ありがとう……突然、悪いね」
 涙を手の甲で拭い、きらきらと溢れる雫。
 受け取った湯呑に口を付け、ほうっと息を吐き出せば。
 ぐるぐるの感情も溶けて消えていくようだった。
「美味しいお茶だね」
 微笑む水風に、桜が再び差し出す。
「……私のお手製ですが」
「これは……おはぎ?」
「ああ、相棒のおはぎは中々の物だぜ」
 凶津の言葉に頷いて。
 粒餡のおはぎを口に運べば、広がる餡の上品な味わい。得も知れぬ幸福感に、水風は満面の笑みを浮かべた。
「美味しい! 僕の知ってるおはぎの中でも最高の味だよ!」
 世辞ではない気配に、桜の表情が僅かに動く。
 食べ終わってお茶を飲む水風の落ち着いた様子に、凶津はあらためてそっと声を掛けた。
「――何か忘れちまった大切な想い出でもあるのかい? 俺達で良ければ力になるぜ?」
 水風は穏やかな表情のまま、視線は町の方へ。
「そう、だね……落ち着いてみたら、微かに思い出したよ」
「例え形になってなくても、胸の内にあるもの吐き出すだけで違うからな」
 こくんと頷く水風に。
 凶津は安堵の息を漏らした。

 大きな黒い川で、彼女に出会った。
 ゆらゆらと揺れる水面を見つめる彼女は、涙が溢れるほど美しくて。
 ――私はここを離れられないから、毎日会いに来て。
 ――紫陽花が好きなのね。見たことがないわ、今度見せてね。
 幾度となく言葉を交わし、互いを知った。
 そう、知ったはずなのに。
「僕は忘れてしまったんだ……。でも、彼女がいた場所は思い出したよ」

 それは、町の反対側の。
 森に差し掛かる手前に広がる、大きな黒い川。
 生き物の気配が消えた、哀しみの川。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『骸魂火』

POW ●光の御返し
【発光している身体の一部】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、発光している身体の一部から何度でも発動できる。
SPD ●光の御裾分け
【発光している身体の一部】を向けた対象に、【高熱を伴う光線】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ ●この子は傷つけさせない
全身を【発光させ、防御力が極めて高い身体】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 骸紫陽花がざわめく。

 ――だれかくるよ、わたしたちをじゃまするだれかが。
 ――だいじょうぶ、あのこたちがまもってくれるよ。

 骸になってしまった哀しみを。
 誰かに託せば、私も貴女も永遠に生きられると。
 骸紫陽花の想いが誰彼に取り憑いて、ゆらゆらと命の光――ランプを揺らす。
 スズラン、ユリ、アジサイ。様々な花に光を灯した少女たちが、黒い川を守るように立ち塞がる。

『ここは通しません』
『再び生きたい。主様には指一本触れさせない』

 咲き誇る骸紫陽花。
 花の少女たちと対峙した猟兵に届くその香りは、酷く物憂げで。
 眠ってしまいたいと。そう思わせるのだった。
神代・凶津
風鈴売りの兄ちゃんに聞いて来てみたがどうやらビンゴのようだぜ、相棒。
オブリビオンが群がって来やがった。
「・・・押して通ります。」

「雷神霊装で決めるぜ、相棒ッ!」
「・・・転身ッ!」

高速で移動しながら敵を翻弄しつつ雷撃を纏った斬撃の放射を叩き込んでやる。
破魔の雷撃で焼き祓ってやるぜッ!
防御で無敵になった奴はその間動けねえ筈だから無視して他の敵を叩くぜ。
敵の攻撃は見切って高速移動で避ける。

コイツらの向こう側に『主様』とやらが居るようだぜ。
「・・・水風さんの言う『彼女』を止めないと。」
おうよ、相棒。
その為にはここを早々に突破しねえとなッ!


【技能・破魔、見切り】
【アドリブ歓迎】


 狂い咲く骸紫陽花。
 その色鮮やかな世界に映える黒髪がふわりと。
「風鈴売りの兄ちゃんに聞いて来てみたが……どうやらビンゴのようだぜ、相棒」
 凶津の言葉にこくりと頷いて。
 桜の視線の先には、無数の花の少女たち。彼女らの灯す明かりの先には、黒い川。
 それは――ひそやかに。
「コイツらの向こう側に『主様』とやらが居るようだぜ」
 主様、と。少女たちは口々に言う。
 それは、きっと。それがきっと――『彼女』なのだろうと。
 二人を取り巻く花の少女を見やって、凶津は不敵に笑う。
「オブリビオンが群がって来やがった。どうする?」
「……水風さんの言う『彼女』を止めないと」
 桜が静かに告げれば、凶津の頷く気配。
「おうよ、相棒。その為にはここを早々に突破しねえとなッ!」
 二人のやり取りに、花の少女たちが殺気立つ。
『主様を止める?』
『させない、ここで貴方たちは死ぬの』
 ランプを青に紫に輝かせ。
 骸紫陽花と同じ彩り、死を思わせる色に。
「……押して通ります」
 抜き放たれた妖しい光を放つ刀、無銘の妖刀。
 桜の抜刀を合図に、戦闘は開始する。
「雷神霊装で決めるぜ、相棒ッ!」
 凶津の声に、桜が叫ぶ――転身、と。
 途端、紅白の巫女服が、雷を帯びた霊装へと姿を変えた。
 霊装から迸る聖なる稲妻は、妖刀を這い進んで力を授ける。
 それを携え、桜は地を蹴った。
 ふわりと舞う髪。まるで踊るように。
 しなやかな動きで花の少女の空間を蹂躙し、切り伏せる。
 斬撃から解き放たれた破魔の雷撃が、少女たちを焼き祓う。
 光のオーラで身を守る少女たちの間を抜け、ランプから放たれる光線を掻い潜り――桜は舞い続ける。
「良い調子だ、相棒! このまま向こう側まで疾走れ!」
 凶津と共に。
 黒い川を目指すのだ。

 彼女、は。
 今何を想って川に身を沈めているのだろう。
大成功 🔵🔵🔵

アイン・バリエット(サポート)
●概要●
いかにも悪者といった仮面を付けた呪術師、怪人。
人間嫌いでシニカルな男だが、
異形の仮面の下にある人間的な優しさと甘さを捨てきれていない。

●口調●
一人称は僕、喋り方は(紳士ぶっているので)とても穏やか。
キザな言い回しが好きなカッコつけ野郎でもある。

●行動●
NG内容以外では自由に動かして構いません、必要な事ならば汚れ仕事も引き受けます。
所持している猟銃から「呪殺弾」を撃って「援護射撃」を行う、
UC【影の追跡者の召喚】を使っての調査等が主な役割になるかと思います。

救助が必要な対象が居れば、「救助活動」の技能を使って意外性のある活躍が出来るかもしれません。

●NG行為●
※R18要素を含む行動・展開


 それはまるで、影。
 宵闇色のローブをはためかせ、骸の花の傍らに立つ仮面の怪人。
 名はアイン・バリエット(悪なる者・f08657)。
「骸の花に埋め尽くされた世界……救済対象が世界とは」
 静かにそう告げて。
 音のない一歩を踏み出せば、花の少女たちが警戒するようにランプを揺らす。
 ゆらり、ゆらり。
 風に揺れるランプと、アインの足取り。
『主様の元へ行くの?』
『通さない、通さないわ』
 少女たちの儚い声が、アインの耳に届こうとも。

 ――救うだけさ。

 主様、とやらが世界を壊すなら。
 僕は君たちを壊してあげよう。

 アインの紅い瞳が邪悪な輝きを帯び、手にしたロッドが戴く同色のオーブから炎が噴き上がる。
『来るよ、炎が来る!』
 ランプを掲げて身を守るためのオーラを纏った少女たちへと、放たれる黒と紅の矢は。はらはらと火の粉を堕としながら、彼女等のオーラを侵食し、その身を燃え上がらせる。
 後に残るは、ランプから滲み出た青い魂――骸魂。
「……他愛ない」
 感情の揺れる気配。
 しかし、アインは同じように。
 昏い炎で花の少女たちを骸の海へと還していく。

 この先の黒い川にいる『主様』とやらを倒せば――世界が救われるのだから。
成功 🔵🔵🔴

ダスク・ドーン(サポート)

煮るなり焼くなり。
人数穴埋めから不採用まで幅広くお使いください。
キャラの扱いはアドリブでも何でもお好きにお願いします。
口調は適当なので細かいとこは気にしない。

ただし、
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしません。


『また日が沈むな』
人間のフォースナイト × スカイダンサー
年齢 27歳 男
特徴 面倒見がいい くーる 女性が好き とんでもない甘党
口調 やわらか(自分、相手の名前+ちゃん、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )


戦闘ならいずれかのフォースブレイドを使用。
シンプルな正面勝負を好む。

冒険や日常は……、
うむ、メンドウだな。
(テンション低くても仕事はきちんとやります)


「これはすげぇな」
 視界を埋める骸紫陽花に。
 思わずそんな言葉を零して、口の端を上げた。
 ダスク・ドーン(人間のフォースナイト・f13904)の長い黒髪が風に乗り、その間を花弁が通り過ぎる。
 ここにいるよ、と。
 忘れ去られた者の声を運ぶのだ。
「美しいが、誰も彼も眠らせるような花はお断りだ」
 気を抜けば鬱々とした感情が湧き上がるその香りに、ゆるりと首を振って。
 骸紫陽花の影から生まれた花の少女たちを見やった。
「で、嬢ちゃんたちは自分に何か用かな?」
 優しげに問い掛けると、少女たちは口々に言う。
『主樣をいじめる悪いやつは、私たちが許さない』
『ここで死んじゃえー』
「おいおい、穏やかじゃねぇな」
 殺気立つ少女たちが掲げたランプから、怪しげな光が放たれた。
 まるでヒトダマのような其れは、明らかに敵対心むき出しでダスクへと襲いかかる。
「数が多いな。悪いがこの先に用事があるんだ。通らせて貰うぜ」
 そう告げて。
 彼の手に出現する光の剣、フォースセイバー。
 赤、青、白と色を変える刃は、持ち得るすべての刃が重なった証。
「色は選ばせてやる」
 ダスクは腰を落として、その刃を振るう。
 彩を煌めかせて流線に伸びた斬撃は――花の少女たちの中心を穿ち、虹色の光の柱を立ち上らせた。
 クレーターがぽっかり空いて。
 静かになったその地で、ダスクはふうと吐息を漏らした。
「……いい夢見ろよ」
 そっと呟いた言葉は、風に運ばれ空へと上る。
 花の少女の手向けに――。
成功 🔵🔵🔴

七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブや他の猟兵との連携と絡みは歓迎だ。

多少の怪我は厭わず積極的に行動する。
よほどの事情でやらなければいけない時以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしないぞ。

戦闘は応援団としてバーバリアンの力強さと、
スカイダンサーの身のこなしを駆使して応援するのだ。
我輩の「ダンス」と「パフォーマンス」で皆を「鼓舞」するのだッ!

応援する相手がいなければ仕方ない、自分で戦闘する。
後はおまかせだ。よろしくおねがいしよう!


 ゆらゆらと。
 花の少女のランプが揺れる。
 その光は『主様』を守る光。
『何か来ます……』
『主様を守らなきゃ!』
 骸紫陽花の想いに動かされた憐れな少女たち。
 彼女たちの元へ向かうは――ひとりの青年。
「吾輩が来た! ……っと、他の猟兵はいないか」
 骸紫陽花の香りが立ち込める草原に。
 熱い漢――七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)が降り立った。
 アルダワ魔法学園の『轟嵐会』団長。
 所謂『応援団長』である彼は、応援する相手がいなくとも。
「ならば吾輩自身を鼓舞するまで!」
 団長服の裾をはためかせて。
 兵衛が仁王立ちでそう告げれば、花の少女たちがざわめいた。
『なに、あれ?』
『倒してしまいましょう、ああいう輩を主様に会わせてはならないわ』
 少女たちがランプを掲げれば、怪しき人魂が光線となって兵衛へと襲いかかる。
「さあ行くぞ兵衛! オブリビオンという悪を倒し、この世に平和をもたらすのだ!」
 戦場によく通る声は、声援拡声器『大声疾呼』の賜物で。
 燃え上がる闘志を背負い、向かい来る光線をひらりと躱しながら。
「レキよ、切り裂け!」
 地を蹴った兵衛が握る団旗、名は『霹靂一声』。
 鋭く突き出されたレキの咆哮は衝撃波となって、花の少女たちの体を巻き上げる。
 くるくると。
 宙を舞う少女と、ランプ。
 骸紫陽花の野に一層華をプラスして。
「――これで最後だ」
 舞い上がった少女たちを見上げ、兵衛が告げる。
 展開されるユーベルコード。
「これぞ応援殺法……『三々七秒死』ッ!」
 自由落下する少女たちを捉える、見事な三・三・七の攻撃。

 ――貴様はもう終わっている。

 兵衛の声が風に消えれば。
 花のオブリビオンの姿は消え、静かな骸紫陽花が残るのみ。
成功 🔵🔵🔴

シーザー・ゴールドマン
『骸紫陽花』か散ってしまう前に見物に行くとしようかな。

骸魂火達に対して
今回の元凶を主と慕い、命を懸けるか。
その在り様は嫌いではないよ……苦しまずに逝きたまえ。

『ソドムの終焉』(×先制攻撃)で滅ぼします。

敵POWUC対策
ソドムの終焉の無数の閃光は『発光している身体の一部』を見切り、そこを避けて貫きます。(見切り×誘導弾)

死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女、か。
骸紫陽花は楽しんだが、せっかくだ。ご対面といこう。


「骸紫陽花、か。散ってしまう前に見物に来たが――」
 こつりと鳴るはずの踵は、少し湿った土を踏みしめて。
 広がる骸の華に、金の瞳を細める。
「なかなかの美しさだね」
 出向いた甲斐があると。
 そう思えるだけの華はある。
 映える紅の衣装も、骸紫陽花の彩りに霞んで。
 ――それでも。赤公爵と呼ばれるその人、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)から迸る存在感は、何者よりも強く。
『こわい、こわい人が来たわ』
『主様の元へは行かせません』
 花の少女たちが、骸紫陽花の影より姿を現しても。
 シーザーは微笑んだままで。
「今回の元凶を主と慕い、命を懸けるか。その在り様は嫌いではないよ……苦しまずに逝きたまえ」
 優しく告げる声に、花の少女たちが後退る。
『あの人はとても恐ろしいわ』
『でも、主様を守らなければ……!』
 少女たちがランプを掲げるよりも、早く。
 シーザーが展開したユーベルコードは、場を制圧する。
 彼の魔力が作り出す光。
 それが無数の閃光となって、軌跡を描く。
『来た……!』
 少女たちが花のランプを輝かせる。
 それは触れたものを真似するからくりランプ。
『光を撃ち返しましょう!』
 少女たちが一斉にランプを掲げ、その姿にシーザーの金の瞳が煌めく。
 彼の放った閃光は、ふわりと軌道を変えた。
『そんな!?』
 目を見開いたまま。
 カーブを描いた閃光に貫かれた少女たちは、痛みを感じることなく光の粒子に変わる。
 後に残るは、はらはらと舞う光と、その光を戴いた骸紫陽花。

 ――死んだ女より、哀れなのは忘れられた女、か。

 幻想的な光の野に佇む赤公爵は、光の向こうに広がる黒い川をみつめて思う。
 そこでは今も彼女が――『彼』を忘れ『彼』に忘れられた『彼女』が、僅かに残る記憶の花で世界を埋め尽くし、誰かもわからない『彼』を待っているのだと。
大成功 🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『水蜘蛛川姫』

POW ●巻き捕る
レベル×1tまでの対象の【体に妖力を込めた蜘蛛糸を巻き付け、その端】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●吸い取る
【鋭い牙での噛み付き】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生命力を奪い自身の戦闘力を強化。敵は苦痛】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ ●絡め獲る
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【耐刃性の優れた糸で出来た、頑丈な蜘蛛の巣】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十三星・ミナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黒い川に、川姫は沈む。
 伸ばした手を水面から出して。骸紫陽花をひとつ摘み取る。
「逢いたい……あのひとに逢いたい」
 手の中で花は黒く染まって。
 それは彼女の記憶のように。
「雨の花……彼の好きな花。どうして、この花しか、覚えていないの……?」
 涙が川の水に溶けても。
 彼女の想いが流れても。
 決して思い出すことはない、その人を。
「どうして……私は逢いたいと想うのでしょう」

 大きな蜘蛛の体。これは、誰の体なのだろう。
 私の体はどこだろう。
 私は誰だろう。
 彼はどこにいるのだろう。
 どうして、こんなに愛おしい――。

 疑問が浮かんでは消え、消えては彼の想いで心が痛む。

 ――誰?

 何かが近付く気配。
「もしかして、彼が……?」

 私に気付いてくれた!
 私に逢いに来てくれた!
 この花たちが、彼を連れて来てくれた!

 川姫の心が満たされていく。
 骸紫陽花が咲き誇り、その香りは更に強く。
 眠りを誘い、死を呼ぶ香りが――。

 もう彼ヲ離サナい!
 私ノ愛デ、カレヲズットワタシノモノニ!

「サア、エイエンニ、ソイトゲマショウ」

 彼女には、もう。
 何もかもが『彼』にしか見えない。
 例え、猟兵が武器を向けようとも――それは『彼』なのだと。
 忘却による哀しみが、彼女を狂わせて『怪物』へと変えてしまった。

 ――紫陽花メランコリア。
 それは『忘却』が届ける狂気の病。
木霊・ウタ(サポート)
『命を弄ぶ者に、俺が負ける訳がない!』
 人間のサウンドソルジャー×ブレイズキャリバー、16歳の男です。
 口調は常に「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
浸食する過去への怒りと共に、捨てられた過去の復讐者らを哀れにも思っていて、それを滅して安らかをもたらしたやるのも猟兵の使命と考えています。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 黒い川の水面が揺れる。
 ゆるゆると現れた黒髪の美しい女性。
 骸紫陽花のように鮮やかな色の瞳が、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)を捉えた。
「アア……ワタシニ、アイニキテクレタノネ……」
 そのひび割れた声に。
 ウタは哀しげな顔を向けて。
「俺を水風と間違えてるんだな……」
 例え彼女がオブリビオンであったとしても。
 ウタは悪だと切り捨てない。
 幽世へ辿り着けず、骸魂となった憐れな妖怪。
 だが彼女はそれだけではない。愛した男を忘れ、愛した男に忘れ去られて。
 一体どれ程の哀しみを、その身に宿しているのだろうと……。
「あんた、本当に覚えていないのか? そんなに逢いたいと言いながら、水風のことは、何も……?」
「ミナ……カゼ……? アナタガアイニキテクレタ。ソレデ、ワタシハミタサレタ」
 ふるふると、長い睫毛を震わせて。
 紅い瞳から涙が零れる。
 川姫は、ただ貴方に会えて嬉しいと。
 そう言いながら泣くのだ。
「無念だよな……そんな哀しみを背負ってさ。オブリビオンになっても忘れられないくらい、水風を想ってるのに……」
 そう告げながら。
 ウタは焔摩天を構える。
 炎を纏い、梵字を浮かび上がらせた巨大な剣の切っ先が、川姫の額に向けられる。
「今哀しみがないのなら、その温かい気持ちのまま、骸の海に還るんだ」
「アア……! イッショニ、ソイトゲテクレルノネ!」
 川姫が水から姿を現し、水蜘蛛の巨躯を器用に動かして糸を繰り出しても。
 ウタはその場を動かない。
 ただ、焔摩天を一閃させれば、紅蓮の火線が宙を奔る。
 其れは蜘蛛の糸を辿って、川姫へと炎の手を伸ばした。
「キャアアア!!!」
 炎に包まれた川姫は、再び黒い川へと身を沈めたのだ。

 ――ひらひらと。
 落ちる火の粉は花びらのように。
成功 🔵🔵🔴

氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、13歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


 黒い川の両岸を、骸紫陽花が鮮やかに彩って。
 初夏とは思えない涼やかな風が、冬を思わせる水色の髪をふわりと揺らした。
 氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)は顔にかかる毛先をさらりと払うと、その蒼い瞳を水面に向けた。
「ここに、彼女がいるのですね」
 想い人の記憶をすべて失っても尚、その人を想う。
 それは一体どんな気持ちなのだろうと。

 ――そして、水面が揺れる。
 彼女の心を映すかのように、ゆらゆらと。
「……キテクレタノネ、イトシイヒト」
 ガラスが割れたような声で。
 黒髪の美しい女性、川姫。その紅い瞳が雪菜を見つめる。
「愛しい人……? いいえ、私は違います」
「チガウ? ナニガチガウノ? ワタシハアナタヲズット、ズットマッテイタ!」
 想い人の姿を雪菜に重ね、川姫は腕を伸ばした。
 指先に骸紫陽花の花びらが触れれば、黒く変色してぼろぼろと崩れ落ちる。
 彼女は想い焦がれるあまりに狂ってしまった、憐れなオブリビオン。
「大丈夫、私が助けます……!」
 雪菜は強くそう告げる。
 ゆらりと腕を持ち上げて。
 大きな満月が、彼女の腕にはめられたブリザード・キャノンをきらりと煌めかせた。
「イトシイヒト……イッショニソイトゲマショウ」
 水面から跳ねた川姫は、きらきらと雫をこぼしながら。
 巨躯から伸びた足を滑るように薙いだ。
 先端の爪が閃くも、そこへ撃ち込まれた冷たい弾丸が軌道を変える。
「イタイ……アア、アナタノオモイガ、ツタワッテクルヨウダワ」
 狂おしい程の情を帯びた視線に、雪菜の背筋が粟だったけれども。
「そんなにまで想うのなら、どうして名前を、顔を、思い出せないのですか!?」
 雪菜の叫びは、獣を呼ぶ。
 それは情念の獣。
 蜘蛛と獣は絡み合い――獣の牙を受けた川姫は、悲鳴を上げて黒い川へと沈んだ。

 ――どうして、こんな悲劇が……。

 静かに呟いた雪菜の言葉は。
 骸紫陽花の花びらと風に乗って、はらはらと舞った。
成功 🔵🔵🔴

マヤ・ウェストウッド(サポート)
「近くで"眼玉"が落っこちてたら教えておくれよ。それ、アタシのだから」
◆口調
・一人称はアタシ、二人称はアンタ。いかなる場合でも軽口と冗談を欠かさない
◆癖・習性
・獣人特有の嗅覚で危機を察知できるが、犬耳に感情がそのまま現れる
・紅茶中毒
◆行動傾向
・普段はズボラでとぼけた言動や態度をとる三枚目ながら、ここ一番では秩序や慣習には関わらず自身の義侠心の赴くままに利他主義的な行動をとる(中立/善)
・戦場では常に最前線でラフな戦い方をとるが、戦いそのものは好まない。弱者を守る事に自分の存在意義を見出している
・解放軍仕込みの生存技術を活かし、役に立つならステージのギミックやNPCを味方につけて戦う


 ゆらゆらと揺れる黒髪。
 水面から顔を出した美しい女、川姫は告げる。
「アア、イトシイヒト。ヤットアエタ……」
 忘れてしまった『彼』は。
 きっと目の前に立っている人なのだと――焦げ茶の髪にピンと立った耳。魅力的な黒い瞳と、ニッと笑った口元。
「おやまあ、アタシがアンタの恋人だって?」
 そう、彼ではない『彼女』。
 マヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)は、豪快に笑う。
 確か水風、と。川姫の恋人だった男の名前。
 彼は幽世へ渡る時に彼女を忘れて。
 彼女はオブリビオンとなって彼を忘れ、しかし想いだけは消えずに。
 ――それは、なんという悲劇なのだろう。
「残念だが、それはアンタの想いが見せる幻さ。ま、聞こえちゃいないだろうがね」
 川姫の零す言葉は、どれも儚いもので。
 マヤの言葉は彼女に届かない。
「想いが本物だってんなら、これでも飲んで落ち着きな? そりゃあ目も覚めるってもんさ」
 そう言って取り出したのは。
 何の冗談か――ティーセット。
 はらはらと涙を零し、マヤを見つめていた川姫の鼻孔にも、その芳しい香りがふわりと。
 しかし、狂いの花にはその香りすら、届かない――。
「イトシイ、ヒト……!」
 叫んで水面から宙へ。顕になる蜘蛛の巨躯。
 しかし、紅茶の香が彼女の動きを絡め取る。
 ゆっくりと。場面を切り取ったように動く川姫に、口の端を上げたマヤの点滴スタンドが向けられる。
「いい加減、覚醒なよ」
 紅茶が飲めない淑女には――時にはこんな方法もあるのだと。
 横薙ぎにした点滴スタンドが、風をきって川姫に直撃する。
「痛みは感じるかい?」
 生きてる証をも失っては。
 それはもう、唯の怪物(オブリビオン)なのだと。

 ――これでもまだ、アタシが恋人に見えるのかい?

 水面の泡へと問い掛けても。
 その答えは――。
成功 🔵🔵🔴

シーザー・ゴールドマン
おやおや、私が『彼』に見えるのかね?
哀れな事だ。

適当に戦いながら会話を楽しみます。

彼は紫陽花の事を何と言っていたかな?
そして、それに君は何と答えたか。
彼に逢いたいのは何故なのか――

さて、まだ、私が彼に見えるかね?

敵POWUC
身に纏うオド(オーラ防御)に『破壊の魔力』を籠めて触れた瞬間、蜘蛛糸を消滅させます。

記憶を取り戻せれば重畳、そうでなくともそれは彼女の運命と割り切っており、程々の頃合いで「そろそろ君に取り込まれた妖怪を解放してあげるべきかな?」と攻勢に出ます。

基本的には破壊の魔力を籠めた衝撃波で。

アドリブ歓迎です。


「おやおや、私が『彼』に見えるのかね?」
 黒い川に辿り着いてみれば。
 その黒髪の美しい女は、シーザーを『彼』だと。
「骸の紫陽花が『彼』をここへ運んだと……哀れなことだ」
 薄く微笑んで告げる。
 その言葉を聞いても、川姫は繰り返すだけで。
「アア……ワタシニ、アイニキテクレタノネ……!」
 喜びに満ちた顔で、振りまかれる狂気。
 黒い川から骸紫陽花の咲く河原へと上がる姿は――巨大な蜘蛛。
「イトオシイ……アナタヲ、トジコメル!」
 シュッと鋭い音、そして放たれた蜘蛛糸が。
 風を切ってシーザーへと迫る。
 しかし其れはシーザーの身に触れた瞬間、音もなく消えた。
 ――破壊の魔力。
 彼の纏う魔力に籠められた力。
「――彼は、紫陽花の事を何と言っていたかな?」
 シーザーは楽しげに問い掛けながら。
 尚も放たれる糸を躱し、消滅させて、彼女の周りを回るように移動する。
「アジ……サイ……?」
「そう。紫陽花のことを、彼は何と言って、君は何と答えたのかな?」
 シーザーが指差す先には、青い紫陽花。
 川姫の動きは止まり、暫し考える素振りをすれば。
「雨の月に咲く花……そう、紫陽花が……好キダト……」
 絞り出すように言葉を口にして。
 瞳の色が、紅に黒に変化する。
「……私は紫陽花を知らなくて……見せてほしいと……ううっ」
 白い手で顔を覆う。
 靄のかかる記憶が、僅かに晴れたような、気がして――。
「では、何故君は彼に逢いたいのかな?」
 その声はすぐ側で。
 川姫が顔を上げれば、そこにある顔は――。
「……アナタハ……誰……? 私は……」

 ――パリン。

 何かが壊れる音。
 心が、割れた……?

 川姫の瞳が紅く輝く。
 狂気の笑みを浮かべ、シーザーに手を伸ばす。
「タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ!!」
 シーザーは短く息を吐き出すと、軽いステップでその手を躱した。
「なる程、これが君の運命か」
 これ以上の言葉遊びは不要。
 そろそろ取り込まれた妖怪を解放してあげる頃合いだろうと。

 シーザーの手が淡く輝き、そっと彼女の巨躯に振れる。
 瞬間、激しい破裂音と共に。
 川姫は悲鳴を上げることも出来ずに。
 体のあちこちに裂傷を受け、再び黒い川へと逃げ込んだ。

 水面に浮かぶ朱。
 それは紫陽花の花びらのように――。
大成功 🔵🔵🔵

神代・凶津
「・・・見つけた。」
おう、相棒。
どうやらあれが『主様』とやららしいな。
やべえな。完全に正気を失ってるようだぜ。
「止めます。『彼女』を・・・ッ!」

雷神霊装を二ノ型に変えて戦闘開始だッ!
引き上げた反応速度とスピードで飛んでくる蜘蛛の糸を見切って最低限の動作で避けながら一気に距離を詰めて破魔の雷撃を纏った妖刀の斬撃をお見舞いしてやるぜ。
そのまま周りを縦横無尽に移動しながら斬りまくってやるぜ。

「何故、水風さんは『彼女』を忘れてしまったのでしょう?」
さあな、相棒。
長い年月ゆえか他の要因があったのかは分からねえが、それを考えるのはあの蜘蛛の姉ちゃんを鎮めてからだッ!


【技能・破魔、見切り】
【アドリブ歓迎】


古峰ヶ原・美琴
繰り返し悪夢をみているようだよ
悪夢からは起こしてあげなくちゃ
化術で妖狐のおにいさんに変化して黒い川に近づくよ
手の届く場所に川姫さんが近づいたところで
ぎゅうって抱きしめて川姫さんを捕まえるよ
お兄さんが見せたように、涙を流して微笑みかけるの
「待たせてごめんね。助けに来たよ」
ずっとずっと傷ついてきた人を、攻撃するなんてわたしには出来ないよ
川姫さんを攻撃に巻き込まないように黒い川に戻さないように捕まえて
骸合体ヤマタノオロチのブレス攻撃で骸紫陽花を
地形破壊で黒い川を滅茶苦茶に破壊して蹂躙するよ
邪魔するものを全部取り払って
おにいさんの風鈴の音を川姫さんに届けるの
買い忘れた風鈴は、全身全霊の化術で再現だよ


「……見つけた」
 黒い髪をなびかせて走る桜の瞳が、黒い川に漂うひとりの女性を捉えた。
 彼女はぼうっと視線を宙に彷徨わせ、戦いに傷ついた体を癒やしているかのようで。
「おう、相棒。どうやらあれが『主様』とやららしいな」
 凶津の声に、川の中の女性がつとこちらを見やった。
「ア……」
 目を見開いて。
 口から漏れる言葉は、形を成さずに。
「アアアアアア!!!」
「やべえな。完全に正気を失ってるようだぜ」
 美しい顔が歪み、瞳から大粒の涙を零しながら。『主様』は二人に向かって手を伸ばした。
「アアア……アイニキテクレタ!? タ……スケテ……タスケテ!!」
 口元が笑みの形になって。
 彼女は狂ったように繰り返す。
 助けて、と。
「――止めます。『彼女』を……ッ!」
 見ていられないと。
 桜が戦意を見せば、彼女の纏った霊装の紫電が一層輝きを増して。
「いくぜ、相棒! 雷神霊装を二ノ型に変えて戦闘開始だッ!」
「転身ッ!!」

 彼女の名は、川姫。
 そう、元は川に住む妖怪。
 UDCから幽世に渡れなかった、憐れな妖怪。
 でも水風は?
 彼は無事にこの世界に辿り着いた妖怪。
 では何故、川姫のことを忘れてしまったの?

「……何故、水風さんは『彼女』を忘れてしまったのでしょう?」
 川姫の放つ蜘蛛糸を、纏った霊装の力で巧みに躱しながら。
 桜はふと疑問を口にした。
「さあな、相棒。長い年月ゆえか他の要因があったのかは分からねえが、それを考えるのはあの蜘蛛の姉ちゃんを鎮めてからだッ!」
 凶津の言葉に頷いて。
 桜が妖刀を握り直す。
 ゆっくりと川から上がった川姫は、その巨躯をゆらして不思議そうに首を傾げた。
「タスケテ? タスケテ、クレナイノ?」
 壊れたように繰り返す彼女に、桜は斬撃で応える。
 一息に距離を詰め、聖なる雷撃を纏った妖刀が舞う。
 放たれる高速の斬撃。
「イタイ! イタイイタイ!」
 蜘蛛の体に幾筋もの斬撃をもらい、川姫が悲鳴を上げても。
 桜は止まらない。

「――待ってくれ!」

 それは突然に。
 声と共に現れたのは『彼』――妖狐の青年、水風。
「兄ちゃん!?」
「水風さんッ!」
 凶津と桜は叫び、一時後退する。
 水風は川辺にうずくまる川姫へ近付くと、優しく抱きしめた。
「待たせてごめんね。助けに来たよ」
 涙と共にそっと紡がれる言葉。
 川姫の瞳が、赤から黒へと変わる。
「……アナタ、は……?」
 それが『彼』なのだと。
 記憶にはなくとも、彼女の魂が覚えているから。
「……やっと……逢えた……の……?」
 零れ落ちる水晶のような涙は、袖を濡らした。

 ――繰り返し、悪夢をみているようだよ。
 ――悪夢からは起こしてあげなくちゃ。

 そう。
 水風は幻、現は美琴。
 傷だらけの川姫を抱きしめたまま、少女は思う。
 ずっとずっと傷ついてきた人を、攻撃するなんて出来ないと。
 美琴は姿そのままに、ユーベルコードを展開した。
 彼女の背後に現れた巨大な龍は、八つの首と尾で川を破壊し、猛るブレスで骸紫陽花を焼き払う。
 この地を大きな月が優しく照らす、荒野へと変えて。

「ああ、貴方の愛した青い花が……」
「それは違う。僕が愛した花は、これだよ」
 ちりん、と。
 水風の手にした紫陽花柄の風鈴が鳴く。
「……とても、綺麗ね……」
 川姫は花のような笑顔を向けて。
 ゆっくりと、下りる瞼。
「ああ、何だか……とても眠いわ……」
 蜘蛛の体からするりと滑り落ちた川姫は、水風の腕の中で。
「大丈夫、今は眠って。次に目覚めた時は、きっと一緒にいるから……」

 ――今、とても幸せな気持ちよ……。

 川姫は穏やかに微笑んで。
 その体を淡い光が包み込む。
 そのまま、きらきらと……光の残滓は空へと昇る。

 ――チリン。

 風鈴の音が、彼女に安息を。


 骸紫陽花の香りをひとたび吸い込めば、物憂げに。
 みたび吸い込めば、憂鬱に。
 そして気付けば、もう眠ってしまいたいと願うのだ。

 もし、眠ってしまったのなら。
 そしてもし、目覚めることができたのなら。
 最も大切な記憶を失っていることに、あなたは気付くことはない。
 既に失ったものを、取り戻すことは出来ないのだから。

 古書に記される――それが『紫陽花メランコリア』なのだと。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年07月14日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴