●色のない世界
――その日、世界から突然「色」が消えた。
あらゆる色彩が失われた和風の村を支配するのは、「白」と「黒」、そして突如現れた骸魂の群れ。
「色」という概念が突然奪われた世界に、戸惑い逃げまどう妖怪たちを、次々と骸魂が喰らい、呑み込んでゆく。
――喰らった後に残りしは、世界に破滅を齎さんとする、災いもたらす霊獣の群れ。
「さあて、世界の終わりの始まりかしら」
無数の骸魂とそれに追われる妖怪たち、そして霊獣の群れをくすくすと笑いながら眺めるのは、背に炎鳥を宿すひとりの巫女装束の少女。
「我は死なない、ということを改めて証明してあげるわ」
色彩のない世界で、彼女の纏う赤橙はひときわ強い輝きを発している。
――それは、まるで白黒の世界を焼き尽くさんとする炎のようだった。
●新世界「カクリヨファンタズム」に色を取り戻せ!
「早速だが、新世界でひとつ解決してほしい事件がある。頼めるか?」
集まった猟兵達を前に語り出すのは、グリモア猟兵森宮・陽太。
「カクリヨファンタズムにある和風の村全体が、突然白黒――モノクロームの世界へと変化した」
すべての「色」が失われ、白黒の世界に変化したかと思うと、無数の骸魂が現れて妖怪たちを襲い始め。
色なき世界に驚き戸惑う妖怪たちはなす術もなく骸魂に呑まれ、オブリビオン化している。そう陽太は語る。
「皆には現地に急行してもらい、骸魂に呑まれた妖怪たちを助けて、この事態を鎮めてくれ。頼むぜ」
軽口ながらも真剣な雰囲気を漂わせる陽太の頼みに、猟兵達は揃って頷いた。
「まずは骸魂に呑み込まれ、伝説の霊獣の名を冠したオブリビオンと化した妖怪たちを助けてほしい」
幸い、呑み込まれた妖怪は弱い力しか持たなかったようで、オブリビオンもさほど強くない。片っ端から撃破して妖怪たちを救出してほしい。
「ある程度片づけたら、色を奪った張本人が前に出て来るからよ、そいつも撃破……おっと救出してくれ」
色を奪った張本人は、赤と橙の炎に憑りつかれている巫女装束の少女。
その正体は、不死鳥フェニックスの骸魂に呑み込まれた竜神の少女だと、陽太は語る。
「彼女は死を否定し、不死を証明しようとしているが……彼女自身も骸魂に呑み込まれているだけだぜ」
だから助けてやってくれ、と陽太は真剣な声音で猟兵達に告げた。
「無事色を取り戻したら、救出された妖怪たちが美味しいものを食べさせてくれるようだぜ」
どうやら妖怪たちは大食いバトルを開こうとしていたようで、既に料理の準備は整っている。
「美味いものをたらふく食うもよし、妖怪たちの大食いバトルに乗るもよし、どうするかは任せるぜ」
それじゃ頼むな、と陽太は得物の二槍で転送ゲートを描き出し、猟兵達を送り出した。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
早速ですが、新世界「カクリヨファンタズム」での冒険を、ひとつ。
突然「色」が失われたことで訪れた世界の危機(カタストロフ)に立ち向かっていただきます。
●本シナリオの構造
集団戦→ボス戦→日常です。
第1章は集団戦、第2章はボス戦です。
骸魂に呑み込まれてオブリビオン化した妖怪や少女は、撃破すれば救出することができます。
第3章は日常です。
救出された妖怪たちが開く大食いバトルに参加して、目いっぱい美味しいものを食べちゃいましょう!
この章に限り、グリモア猟兵森宮・陽太はお声がけがあれば同行させていただきます。
●プレイング受付開始日時について
第1章はオープニング公開直後から受付開始。
第2章・第3章は冒頭へ導入文を追加した後、受付開始と致します。
全章通しての参加も、気になる章のみの参加も大歓迎です。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『麒麟』
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POW : カラミティリベンジ
全身を【災厄のオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【攻撃】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : 因果麒麟光
【身体を包むオーラ】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、身体を包むオーラから何度でも発動できる。
WIZ : キリンサンダー
【角を天にかざして招来した落雷】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を災いの雷で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●カクリヨファンタズム・色彩失われし和風の村
転送ゲートを潜った猟兵達の目に入った世界は――色のない和風の農村風景。
藁ぶき屋根の家屋も。
苗が静かに揺れる水田も。
そして、村に多彩ないろどりを添える妖怪たちも。
――すべてが白と黒に侵され、色彩を失っていた。
色を失った妖怪はなす術なく骸魂に呑み込まれ、禍々しい色彩の猛々しい霊獣「麒麟」へと変じ、他の妖怪たちを襲い始める。
それをくすくすと笑いながら見守る少女の視線が一瞬猟兵たちに向いた気がしたが、すぐに興味を失ったかのように妖怪たちへと戻された。
色が失われたこの世界で色を保っているのは、3者のみ。
骸魂に呑まれ、荒々しい霊獣の姿に変じた妖怪たち。
遠くで微笑を浮かべながら状況を見守る、不死鳥の骸魂に呑まれし少女。
そして――猟兵たち。
少女を解放し色を取り戻すためには、まずは荒々しい霊獣を撃破し、妖怪たちを助け出して道を開く必要がある。
骸魂に呑まれた妖怪たちを助け、この世界に色を取り戻すために、猟兵達は得物を手に霊獣の群れへと走り出した。
真宮・響
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可)
ここがカクリヨファンタズムね。色々怪現象で滅びに向かっていると。まずはどんな危険があるか偵察といくか。
(向かってくる麒麟をみて)麒麟は伝承では瑞獣だと聞いた事があるが、この世界の理だと禍になってしまうか。まずは、元となった妖怪を助けようかね。
攻撃が当たると敵の攻撃が強力になるのなら、【見切り】【残像】を駆使して出来るだけ攻撃に当らないようにする。攻撃を回避しながら赤竜飛翔で飛び回りながら【二回攻撃】【串刺し】【槍投げ】で容赦なく攻撃する。敵が近づいてきたら【衝撃波】で吹き飛ばそうかね。
真宮・奏
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可)
良き妖怪を取り込んでしまう存在が跋扈する世界・・・思ったより闇は深そうですね。はい、まずは偵察ですね。
麒麟って、聖なる獣のはず・・・この世界では悪の存在になってしまいますか。まずは、妖怪さんの解放を。
攻撃が当たって強くなるなら、それ以上の火力の攻撃を叩き込むまでです。【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】でダメージを抑えながら、彗星の一撃で攻撃。領域で強化しても構わず、【衝撃波】【二回攻撃】で追撃して畳みかけますよ!!
神城・瞬
【真宮家】で参加(他猟兵との連携可)
ここがカクリヨファンタズム・・・・モノクロームの風景は、明らかに異常ですね。はい、まずは威力偵察ですね。
この世界では瑞獣たる麒麟も悪の存在になりますか・・・まずは元となった妖怪の救出を。
出来るだけ【第六感】で攻撃を回避、【オーラ防御】でダメージを軽減。【高速詠唱】【全力魔法】【多重詠唱】で月光一閃を使います。領域に立って強化するなら、【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を込めた【吹き飛ばし】で領域からの追い出しを狙います。こっちに敵が接近したら、【衝撃波】で吹き飛ばしますか。
●モノクロームに灯りし三色の光
突然色を奪われ、白と黒のみに支配された、カクリヨファンタズムの和風の村。
生きとし生ける者も自然も全て白黒に塗り替えられたこの地に、【真宮家】の3人が転送されてきた。
「ここがカクリヨファンタズムね。色々怪現象で滅びに向かっていると」
軽く周囲を偵察し、この世の果てとも終わりとも表現できる現況を確認した真宮・響(赫灼の炎・f00434)が軽く息をつく。
「……見渡す限りモノクロームの風景が広がっているのは、明らかに異常ですね」
家屋や地面だけでなく、水も土も、空に浮かぶ太陽や地平線までもが白と黒のみに染まる異様な光景に、神城・瞬(清光の月・f06558)は若干眉をひそめている。
もし色が残っていれば、おそらく周囲には日本古来の伝統的な田園風景が広がっていると思われるが、今は白い地面と黒い藁ぶき屋根の家屋が点在するのみ。
――見慣れた光景から色が抜け落ちるだけで、平穏な村も異様なそれに変化するものか。
「良き妖怪を取り込んでしまう存在が跋扈する世界……思ったより闇は深そうですね」
真宮・奏(絢爛の星・f03210)が口にした想いに、瞬も響もそろって頷く。
UDCアースにおける文明の発達と共に人々に忘れ去られ、存在の危機に瀕した妖怪たちが逃れてきたのが、UDCアースと骸の海狭間に浮かぶこの世界、カクリヨファンタズム。
「幽世(かくりよ)」とも呼称されるこの世界に辿り着いた妖怪は、世界中に浮かぶ昔の思い出と追憶を糧に生きていけるが、辿り着けず死んだ妖怪は、骸魂と化して縁ある妖怪を襲い呑み込み、オブリビオンと化すという。
――その世界が、今まさに滅びの危機に瀕しているとすれば。
その原因を探るのもまた、猟兵の役目だろう。
「ああ。だからまずは、どんな危険があるか威力偵察だ」
響の指示に奏と瞬が揃って頷き、3人はモノクロームに塗り替えた危険の正体を調べるべく、和風の村の広場へと歩みを進める。
――広場に蠢く気配に、大量の骸魂のそれが含まれていることに気づきつつ。
「ぎゃあああああ!」
「な、何だべこれは……うわああああ!」
「た、たすけ……あああああ!!」
広場に足を踏み入れた奏たちが目にしたのは、今まさに妖怪たちが悲鳴をあげながら骸魂に呑まれる姿。
妖怪たちを呑み込んだ骸魂は、次々と禍々しい色彩の霊獣「麒麟」へと変じ、田畑を踏み荒らし始める。
「麒麟って、聖なる獣のはず……」
「ああ。麒麟は伝承では瑞獣だと聞いた事があるが、この世界の理だと禍になってしまうか」
「この世界では瑞獣たる麒麟も悪の存在になりますか……」
各々が持つ知識とは真逆の印象を持つ霊獣を見て、奏と響、瞬はそろって言葉を失う。
「麒麟」といえば、UDCアースにおいて、良い事の前兆――瑞兆として現れる特異な霊獣として知られている。
だが、白黒に変化した田畑を踏み荒らし、妖怪たちを襲うその姿は、瑞兆ではなく凶兆として……否、凶兆そのものを齎すために降臨したとしか思えない。
――ならばなぜ、凶兆を齎す存在になってしまったのか?
響たちは首を傾げつつその理由を考えようとするが。
「グルゥゥゥゥゥゥ!!」
それは瞬たちの気配に気づき一斉に咆哮を上げる麒麟たちによって、阻まれた。
「来ます!」
「まずは、元となった妖怪を助けようかね!」
「はい、まずは、妖怪さんの解放を!」
瞬と響、そして奏は、得物を手に麒麟たちを撃破すべく駆け出した。
●モノクロームに煌めきし希望の光
「グルゥゥゥアァァァァァァ!!」
咆哮と共に災厄のオーラを纏い突撃する麒麟の群れを見て、響は赤い竜の羽根を生やした騎士に変身する。
「さあ、竜騎士の意地を見せようかね!! 容赦はしないよ!!」
そのまま空中へと舞い上がった響は、麒麟の群れを撹乱するように飛翔しながら、次々と威力の弱い赤い光線を撃ち続ける。
――それはさながら、黒き大地に豪雨の如く降り注ぐ赤き雨のように。
――あるいは、空中から一斉に地表に照射される無数のレーザーのように。
「グゥァァァァァァァ!!」
次々と白黒を切り裂く赤き光線に撃ち抜かれ足を止める麒麟たちに、瞬は六花の杖を手に素早く力ある呪句を唱える。
「月の力よ、貫け!!」
シャン、と翳された六花の杖の先端から、光の破壊光線が直線状に放たれ、黒い地面を照らす光となりつつ麒麟たちを貫く。
全力を注ぎこんだとはいえ、呪句を圧縮し高速詠唱したのが仇となったか、破壊光線の威力はさほど上がらなかったものの、400mに渡る破壊光線が赤き光線で足を止めた麒麟たちの胴を次々と貫き、痛みに悶えさせた。
「ゴアアアアアア!!」
それでも麒麟たちは角を天に翳して招来した雷で、空中の響と破壊光線を撃ち出した直後の瞬を狙い撃ちしようとするが。
「当たらないよ!!」
響は残像を駆使して落雷の狙いをずらしつつ、空中でバレルロールの如く側転を繰り返して次々と避けてゆく。
残った雷は、地上で杖を振りかざす瞬を貫き、その身を地に打ち据えようとするが。
「瞬兄さん!」
すかさず奏が割込み、瞬に落ちる雷を全てエレメンタル・シールドで受け止め、散らした。
狙いを外れた雷は地表に落ち、災いの雷となって仲間を強化する領域に。
破壊光線の的にならなかった麒麟たちが、力を得るべく領域に群がろうとするが。
「させません! 領域からご退場願いましょう!」
奏に庇われたことで時間を稼いだ瞬が立て続けに誘導弾を撃ち出し、麒麟の胴に当て領域から吹き飛ばした。
何体かはそれで倒れるも、吹き飛ばしを免れた災厄のオーラを纏う残りの麒麟たちは、空中を縦横無尽に飛び回る響ではなく、地上で瞬への落雷を防いでいた奏に殺到。
仲間たちの痛みも併せ、時間差で次々と突撃して奏を帯電した角で貫こうとするも。
「一歩も通しません!!」
エレメンタル・シールドをしっかり構えた奏に的確に角の向きと勢いを逸らされ、全身を纏う蒼のオーラで衝撃を緩和されては、貫くことすら叶わない。
角を逸らされ、たたらを踏んで立ち止まった麒麟たちを待ち受けていたのは、奏の攻撃。
「ちょっとぶっ飛ばしますよ~!! いっけ~!!」
奏が召喚した星の光を纏った810本もの剣が、幾何学模様を描きながら複雑に飛び交い、麒麟たちを包囲して一斉に降り注ぐ。
その光景は七色の星の瞬きを持つ剣が白黒に灯る希望の光となり、凶兆を打ち砕くかのようだった。
「グルルァァァァ!!」
次々と星の剣の雨に斬り刻まれ、麒麟たちは地に伏し、その姿を霧散させてゆく。
「あれ?」
「奏、ちょっとやり過ぎた?」
瞬殺とも言える勢いで麒麟たちを撃滅し唖然とする奏に、思わず響が苦笑いを零していた。
その後、残った麒麟たちは、空中で雷を避けつつ赤い光線を連射し続ける響と、瞬の誘導弾と破壊光線で足を止められ、奏が操る複雑な軌道を描く星の剣で次々と斬り刻まれ動きを止めてゆく。
かくして、然程時間をかけずに、麒麟の群れは全て殲滅された。
●モノクロームに宿りし瑞兆の証
騎士化を解除し地上に降りた響も含め、3人に目立つ怪我はない。
「う、うぅ……」
骸魂が霧散し、元の姿を取り戻した妖怪たちが、身じろぎしながら目を覚ます。
「お、おらたち助かったべか……」
「一体誰が骸魂を……」
元の姿に戻った妖怪たちの風貌は、ざんぎり頭に絣の着物を纏った小童。
きょろきょろと周囲を見回す妖怪たちの目に入るのは、瞬たち3人。
その顔を見て満面の笑顔を浮かべたのは、奏だった。
「あ、可愛いです~!!」
「驚いたね、座敷童か」
風貌で見当がついたか、頭をかきながら妖怪の名を出したのは、響。
座敷童が宿る家には福が舞い込むと言われていたが、現代社会においてはその信仰すら廃れたか、居場所を失くした座敷童達はやむなく幽世へ逃れたのだろう。
(「成程……麒麟たちもUDCアースで忘れ去られてこの世界に逃れたことで、瑞兆ではなく凶兆を齎す存在になってしまったのですね」)
何か得心が行ったように頷く瞬をよそに、起き上がった座敷童たちはぺこり、と響たちに頭を下げる。
「助けてくれてありがとう。どうなるかと思ったべ……」
「だが、まだ村の者が何人か骸魂に呑まれて村の外で暴れているんだ。助けてくんろ!」
座敷童たちの懇願に、奏たちはそろって頷き、グリモア猟兵へと連絡を入れた。
――この案件を解決するための更なる人手を要請するために。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオン・リエーブル
モノクロもやりようによっちゃカラーよりも色鮮やかだけど
強制的に白黒にするのはいただけないよね
地味なのは趣味じゃないんだ
だから早く色を返してよ
敵の攻撃は見切りで回避
無理ならオーラ防御で耐えるね
試験管の攻撃で一箇所に誘導したらそこを狙って
精霊王に超重力属性の落石で動きを封じてもらおう
UC封じとダメージを兼ねてるんだ
角を天に向けさせなきゃいいからね
おにーさんの足元に叩頭すればいいよ
動きを止めたら高速詠唱の全力魔法で攻撃
座敷童子さんはちょっと痛いけど我慢してね!
骸魂から解放してあげる
麒麟といえば瑞兆なのに反転してるね
てことは邪神は正神になるのかな?
物理的拠り所が無いから脆いとか
なかなか興味が尽きないよ
●モノクロームに色を与えし試験管と精霊王
グリモア猟兵の援軍要請に応えてカクリヨファンタズムを訪れたリオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)は、目の前に広がる白黒の和風の村を見て呆れの表情を浮かべる。
「モノクロもやりようによっちゃカラーよりも色鮮やかだけど、強制的に白黒にするのはいただけないよね」
あえて白黒で撮影された写真や映像は、色情報の少なさ故に本来の色を想像したくなるような意欲をかきたてられるもの。
しかし、リオンの目の前に広がる和風の村は、オブリビオンの手で強制的に色を取り上げられたからか、白黒の写真や映像よりもリアリティが薄く、粗が目立つような気がしてならない。
――それはあまりにも地味で、あまりにも異質な光景。
「地味なのは趣味じゃないんだ」
だから早く色を返してよ、と殺到する麒麟たちにからかい口調で投げかけるリオンの口端には、興味という名の笑みが浮かんでいた。
リオンは実験用具一式から取り出した試験管に調合した爆薬を注ぎ込み、麒麟の群れの真っ只中に投擲。
「あっそ~れ!!」
試験管が地面に落ちると同時に起こる爆発音と四方八方に広がった七色の火花に惹かれ、次々と集まる麒麟たち。
「よーし! それじゃ派手にいっちゃおう! ――契約の下、我が意に従いその力を示せ!」
麒麟たちを1か所に集めたリオンは、いたずらっ子のような笑みを浮かべながら精霊王を召喚。
リオンの言葉に応えて現れた精霊王が徐に手を上げ振り下ろすと、超重力を纏った石が次々と麒麟の頭上に降り注ぐ。
「グゥゥゥゥ?!」
「おにーさんの足元に頭を叩きつけるがいいよ!」
超重力を纏った石は麒麟たちの頭を強かに打ち据え、頭の角ごと地に這わせる。
運よく石の直撃を逃れた麒麟も、石に纏われた超重力の影響を受けては、頭を上げることすらかなわない。
――角を天に翳させなければ、雷を招来されることはない。
リオンの思惑は見事に的中し、麒麟たちは雷を招来することもできずに超重力に抗いながら必死にもがき続けていた。
順当に石そのものと重力に押しつぶされていく麒麟たちを見て、リオンの脳裏に過るのは、知識欲と好奇心からの疑問。
(「麒麟と言えば瑞兆なのに反転してるね?」)
――果たして、この世界では邪神は正神になるのかな?
(「物理的拠り所が無いから脆いとか、なかなか興味が尽きないよ」)
「昔の思い出と追憶」を求めて界渡りを行い、この世界に辿り着けた妖怪と辿り着けずに生を終えた骸魂には、錬金術師の端くれとしてちょっと興味を惹かれるけど。
今は骸魂を滅して妖怪たちを助けるのが先だと思い直し、リオンは再度調合した薬品を注ぎ込んだ試験管を複数手にする。
「座敷童さん、ちょっと痛いけど我慢してね!」
骸魂から解放してあげるよ! との願いを込めて一斉に投擲された試験管は、空中で爆発すると無数の煌めく七色の光へと変化。
それは流星群のように超重力にもがき苦しむ麒麟の群れに降り注ぐと、麒麟たちは次々と力尽きたように動きを止めた。
しばしの後、地に伏した麒麟の姿は霧散し、呑まれていた座敷童たちが姿を現す。
一方、遠くから聞こえるのは、未だ暴れる麒麟の咆哮。
――村の座敷童を全員救出するためには、もう少しだけ救いの手が必要そうだ。
大成功
🔵🔵🔵
言葉・彩色
色がないのはダメだね
十人十色と言うだろう?
人も怪異も妖怪も
世界でさえも唯一の『色』であるべきだ
『色』とは『存在』なのだから
「だからこそ…この現実は染め直そう」
[オーラ防御]で身を護りつつ
[破魔]の[鎧無視攻撃][範囲攻撃]に載せて【妖しき言の葉】使用
正面から対抗してみようか
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。語るも見せるも不可思議な色。現実染めるは妖しき言の葉。命慈しむ瑞獣の御話」
瑞獣『麒麟』について語るよ
元来、麒麟は生命を傷つけない存在
それを上から被せてやろう
『モノクロ』に『禍々しい色』で立つ麒麟を『正しい存在(いろ)』で染め直そう
「矛盾する『麒麟』の対消滅。残るは大元の妖怪くんかな」
●モノクロームを鮮やかに塗り替えし御話
「色がないのはダメだね」
白黒以外の色がない世界に降り立った言葉・彩色(妖シキ言ノ葉・f06309)の口から紡がれたのは、明確な現状の否定。
「十人十色と言うだろう? 人も怪異も妖怪も、世界でさえも唯一の『色』であるべきだ」
この世界から奪われたのは『色』。
それは世界のあらゆる事象を彩る「個性」のひとつとも言える。
だから、『存在』たる『色』を奪われた世界は、ただ死に絶えゆくだけ。
――『色』とはすなわち、『存在』そのものなのだから。
しかし一方で、捻じれて与えられた『色』もまた、世界を歪ませ滅びを齎すものなのだろう。
現に今、この世界は滅びの危機に瀕しているのだから。
「だからこそ……この現実は染め直そう」
黒狐面からのぞく赤い瞳でオブリビオンたる「麒麟」の群れを見据えながら、彩色は呼吸を整え、その時を待つ。
「グゥアァァァァァ!!」
ふたつの角を天に振りかざし、轟音と共に降り注ぐ雷を持って彩色を地に打ち据えようとする麒麟たちに、彩色はあえて正面から対抗。
空から降り注ぐ雷は頭上に集中させたオーラで散らし、災いの雷が荒れ狂う地面を踏まぬようにしながら、彩色は確りと麒麟を見据え、騙り部としての声を張り上げる。
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。語るも見せるも不可思議な色。現実染めるは妖しき言の葉。命慈しむ瑞獣の御話」
前置きで麒麟たちの耳目を惹きつけた彩色の口から諳んじられるは、瑞獣『麒麟』の御話。
「元来、『麒麟』は非常に穏やかで優しい性格でね。
足元の虫や植物を踏むことすら恐れるくらい、殺生を嫌うんだ。
――そう、『麒麟』は生命を傷つけないんだよ」
朗々たる騙り部の声で『麒麟』の御話を語る彩色の言の葉が指し示すのは、『正しい存在(いろ)』。
それは色を持つ言霊として麒麟たちの心に染み入り、たちまち体表の色を塗り替えてゆく。
――体毛は禍々しき紫から高貴な黄色に。
――背毛は燃え盛る赤橙から美しき五色に。
――そして、角すら二本ではなく一本に。
歪んだ禍獣と化した骸魂にとっては、塗り替えられた存在(いろ)は己が存在意義すら苦しめる毒となり、存在を蝕む。
「グゥゥアァァァ……」
『モノクロ』の世界に『禍々しい色』で立つ歪んだ禍獣である麒麟たちは、本来あるべき霊獣『麒麟』としての色に染め直されたことでその存在に矛盾を起こし。
やがて、存在を上書きされた麒麟たちは、苦しみながら次々と地に身体を横たえ、消滅した。
「矛盾する『麒麟』の対消滅か」
語り終えて一息つく彩色の目の前に残されたのは、骸魂に呑まれた座敷童たちだった。
「さて、残るは大元の妖怪くんかな」
彩色が警戒と期待を込めた言の葉を虚空に投げかけると、色を失いし白き空に差し込まれるのは敵意の赤。
「この世界に流れ着いた『麒麟』の骸魂を滅したのは、貴方がたかしら?」
彩色たち猟兵に投げかけられる問いに含まれる声音の色も、憤怒の赤。
――いつの間にか、赤橙の炎鳥を宿した巫女装束の少女が、広場に姿を見せていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『フェニックスドラゴン』
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POW : 不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ : 不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●瑞獣と凶獣、不死と死
「この世界に流れ着いた『麒麟』の骸魂を滅したのは、貴方がたかしら?」
敵意の赤を白き空に滲ませ、憎悪の赤を声音に乗せながら猟兵らに問いかけるのは、赤橙の炎鳥を背に宿した巫女装束の竜神の少女。
その金の瞳で座敷童たちを安全な場に避難させた猟兵らを一瞥し、彼らが妖怪でないことに驚きつつも、憤怒の紅を声音に乗せて猟兵らの心を刺す。
「貴方がたが滅した麒麟も、不死鳥たる我も、ニンゲンたちはあれだけ敬い崇めていたのに、いつしかすっかり敬う事すら忘れてしまって」
――瑞獣と崇められた霊獣は、信仰されなくなり力を失くし。
――不死の象徴と崇められた霊鳥は、科学の力で不死が否定され力を失い。
――そして、いずれもこの世界に辿り着く前に力尽き、骸魂と化した。
「この娘の竜神としての神力があれば、我は今一度不死であることを証明してやれる」
――ただし、この世界の滅びという代償を持って、だが。
「さあ、瑞獣や福を齎す存在だけでなく不死や竜神の信仰をも忘れ去り、我々の存在を否定し忘れさったニンゲンどもに、もう一度我々の力を証明してあげるわね?」
地球と骸の海の狭間に浮かぶこの世界に、存在を保ったまま辿り着けなかった恨みをも込めて。
不死鳥の骸魂に呑まれた竜神の少女『フェニックスドラゴン』は、猟兵らにその灼熱の炎を向けた。
さあ、猟兵たちよ。
白き空と黒き大地に、世界の全てを焼き尽くさんとする赤橙の炎が広がる前に、不死を証明せんとする骸魂を払い、囚われし竜神の少女を解放せよ。
――健闘を、祈る。
真宮・響
【真宮家】で参加
元いた場所がUDCアースでなければ、忘れ去られる事はなかったと思うが、まあ、今いるのは罪無き竜神の娘さんを巻き込んだ悪党だね。他人を犠牲にして証明した不死性など説得力が無いと思うが。さあ、娘さんを解放しな!!
あっちが高速のビーム攻撃してくるならお返ししてやるか。まずは敵の攻撃を【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ぎ、全力で【串刺し】【怪力】を込めた真紅のゲイボルグをぶん投げる。更に【二回攻撃】【槍投げ】で追撃。世界を破壊する力はお断りだ!!消えな!!
真宮・奏
【真宮家】で参加
UDCアースではそんな扱いかと思いますが、世界によっては不死鳥は崇められる存在ですよ?もっとも今目の前にいるのは罪も無い娘さんを巻き込み、世界に終焉を齎す存在ですが・・・そんな所業で敬えっていう事自体無理ですね。
高速で撃ってくる攻撃を【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】で耐え、【衝撃波】で牽制。上手く接近出来たら【二回攻撃】【怪力】【グラップル】で拳で一撃入れて体勢を崩し、彗星の一閃で攻撃。滅びを齎す存在が不死鳥と名乗るのは許せません!!さあ、覚悟してください!!
神城・瞬
【真宮家】で参加
まあ、元々居た世界が悪かったとしか。世界によっては不死鳥は瑞獣ですし。今いる存在は罪無き人と世界を滅ぼすとしているモノですが・・・犠牲を侵して不死性を証明するとは片腹痛い。竜神の娘さんは、必ず助けます。
敵の光線攻撃は強力ですが、【オーラ防御】【第六感】で光線に耐えきれれば反撃の時間です。【高速詠唱】【全力魔法】で月光の狩人を発動。狩猟鷲の攻撃と共に【多重詠唱】【魔力溜め】した【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】で攻撃。罪無き娘さんを巻き込んだ罪は重い。滅びの力はこの世界には必要ありませんので・・再び消えて貰いましょうか!!
●知識の証明は存在の証明足りえるのか
「元いた場所がUDCアースでなければ、忘れ去られる事はなかったと思うが」
フェニックスドラゴン――否、骸魂『不死鳥フェニックス』の露わになった憤怒を受けた真宮・響は、しかし涼しい顔。
「まあ、元々居た世界が悪かったとしか。世界によっては不死鳥は瑞獣ですし」
響の義理の息子である神城・瞬も同感とばかりに便乗し。
「UDCアースではそんな扱いかと思いますが、世界によっては不死鳥は崇められる存在ですよ?」
娘の真宮・奏も母や義兄と考えを同じくしていたか、過去に得た知識を記憶から引き出し、事実を突きつけんとする。
――多様な世界や文化、価値観に触れられるのは、様々な世界を見聞して回れる猟兵の強みでもある。
響も奏も、そして瞬も、猟兵として様々な世界を見て回り、フェニックスが神聖な霊獣として崇めている人々を目にし、不死の伝承を見聞きしてきたからこそ、他の世界では忘れ去られていないことを訴えたかったのだろうけど。
「我らは元居た世界で忘れ去られ、不死をカガクとやらで否定されたから、この世界に来るしかなかったのよ?」
フェニックスドラゴンの辛辣な一言に、3人は一瞬言葉に詰まる。
――見ている世界が異なることを、この一言で思い知ってしまったから。
骸魂たるフェニックスは、元居た世界(UDCアース)と今いる世界(カクリヨファンタズム)以外の世界を知らない。他世界の存在を認識し、知っているのは、グリモアの恩恵を受ける猟兵たちと、ごく一部の界渡りが可能なオブリビオンのみ。ゆえに、前情報なしに他世界で信仰されていると訴えても、心には決して響かないだろう。
他の世界を知っているという確証がない相手に対し、他世界の情報を出すには早計だったと、瞬たちは改めて思い知らされることになった。
「まあ、今いるのは罪無き竜神の娘さんを巻き込んだ悪党だね」
気を取り直して、もうひとつの事実を突きつける、響。
フェニックス同様、竜神もUDCアースではその信仰を忘れ去られ、この世界に流れ流れて生き永らえた存在。
しかし不死鳥フェニックスのように骸魂ではなく妖怪として辿り着き、かろうじて残したその力を、フェニックスは一方的に利用しているようにも見えたから。
「悪党」と断ずる響に、同調するかのように口を挟む、奏と瞬。
「今、目の前にいるのは罪も無い娘さんを巻き込み、世界に終焉を齎す存在ですが……そんな所業で敬えっていう事自体無理ですね」
「確かに。今いる存在は罪無き人と世界を滅ぼすとしているモノですが……犠牲を侵して不死性を証明するとは片腹痛い」
響たちが知るフェニックスは、人を苦しめる存在ではない。
しかし、今目にしている骸魂は……竜神の少女を一方的に使役し、苦しめているようにも見えるから。
しかし、フェニックスドラゴンはそれを否定せず、ただくすくすと笑うのみ。
「あらあら、我はもう1度不死であることを証明したいだけなのにね? そのためにこの娘の力が都合がよかっただけよ?」
これだから否定する人間は困るわ、とフェニックスドラゴンは肩を竦め、しかし敵意を籠めた視線で瞬たちを射抜く。
「まあ、邪魔をするなら我が不死を証明するための糧となってもらいましょう」
右の掌に灼熱の炎を集中させながら、フェニックスドラゴンは奏たちに妖艶な笑みを見せた。
「それにしても面白い存在ね、あなたたち」
フェニックスドラゴンはくすくすと笑いながら、奏たちが瞬きすることすら許さぬ間に灼熱の光線を撃ち出し、目の前のニンゲンを焼き尽くそうとする。
灼熱の光線に真っ先に狙われたのは、瞬。
「瞬兄さん!」
咄嗟に奏が割り込みエレメンタル・シールドで受けるが、光線の着弾点がほんの僅かに重心からズレたか、エレメンタル・シールドが激しい衝撃と共に揺さぶられ、手からもぎ取られそうになる。
必死に両の掌に力を籠め、手放すのだけは避けたけど。
光線の威力より、光線が撃ち出されるタイミングを見切れなかったことに、奏は驚きを隠せない。
(「あまりにも速すぎて、撃ち出すタイミングが見えなかったです……!!」)
義兄が狙われたと感じた時には、既に光線が撃たれていた。割り込めたのは運がよかったとしか言いようがない。
――鋭い感も挙動を見切る目を持たぬ奏では、それが精一杯の対応だったのだ。
「ニンゲンは私たち妖怪の姿を見ることはできない。カガクとやらに否定され、いつしか見ることもできなくなっていた」
視線を奏から離さず、こっそり接近していた響に左手を向けながら、滔々と語り続けるフェニックスドラゴン。
「それなのに、あなたたちはなぜかこの世界の妖怪を見ることができる。そこの座敷童たちも、そして我らも」
響に向けた左手から灼熱の光線を見切られぬ様撃ち出すも、それは響の残像にかき消され。
「妖怪でもないのに見えるあなたたち、ただのニンゲンではないわね? 一体何者?」
「へえ、猟兵の存在を知らない、と」
残像を囮に光線を躱し、ブレイズランスにさらなる熱を込めて威力を3倍に増幅した響が、それを投げながらフェニックスドラゴンを挑発。
(「確かに、座敷童たちも、自分たちが見えるニンゲンがいることを喜んでいましたが……やはり驚くことなのですね」)
フェニックスドラゴンの純粋な疑問に、何か得心行った表情を見せる瞬。
カクリヨファンタズムは妖怪と竜神、そして伝承やおとぎ話で語られる存在が住まう地。純然たる「ニンゲン」は誰一人として住んでいない。
骸魂と化したかつての伝説の霊獣や妖怪となり生き永らえた昔話上の存在にとって、UDCアースでよく見たような「ニンゲン」を目にするのはずいぶん久しぶりのことであり、幽世に辿り着いてからはおそらく初めてなのだろう。
妖怪たちが「ニンゲン」を久しぶりに見た理由は、この世界がつい最近グリモアベースと繋がったからに他ならない。
一方、猟兵は妖怪たちを見ることができる理由は判然とせぬが、やはり生命の埒外の存在だからだろうか?
いずれにせよ、妖怪も骸魂も視認できる猟兵――響の投げたブレイズランスがフェニックスドラゴンの右肩を抉るように突き刺さり、わずかに呻き声をあげて見せた隙を、瞬は逃さない。
「さあ、獲物はそこですよ!! 容赦は不要です!!」
81体の胸に「1」の数字が刻印された狩猟鷲を召喚し、フェニックスドラゴンの視界を遮るように殺到させれば。
「罪無き娘さんを巻き込んだ罪は重い。滅びの力はこの世界には必要ありませんので……再び消えて貰いましょうか!!」
フェニックスドラゴンが狩猟鷲たちを灼熱の炎で焼き尽くそうと躍起になる合間に、行動の束縛と赤橙の炎を散らす目的で瞬が手にする六花の杖から放たれた銀の誘導弾が白黒のキャンバスに銀の筋を描きながら迫り、撃ち抜く。
「滅びを齎す存在が不死鳥と名乗るのは許せません!! さあ、覚悟してください!!」
誘導弾に赤熱の炎ごと撃ち抜かれよろめくフェニックスドラゴンに、奏は右手でシルフィード・セイバーを抜剣しながら牽制として薄緑の衝撃波を放ち、動きを制約しつつ左拳を握りしめ接近。
さらなる体勢崩しを狙った信念こもる左拳は、吸い込まれるようにフェニックスドラゴンの腹を抉り。
「がは……っ!」
「気合いの一撃です!! 当たれ~!!」
大きくよろめいたフェニックスドラゴンに、追撃とばかりに素早く振り下ろされた奏の右手のシルフィード・セイバーがフェニックスドラゴンの左肩に吸い込まれ、そのまま右わき腹まで袈裟に斬り裂く。
「ああ……っ!!」
「世界を破壊する力はお断りだ!! 消えな!!」
さらに響が肩口から引き抜いたブレイズランスを素早く二閃、赤熱した槍先で傷口を焼くように切り裂けば、フェニックスドラゴンは避けるように大きく背後に飛び距離を取った。
「さあて、世界を破壊するのはどちらかしら? 我かしら、それともあなたがたかしら?」
肩で大きく息をつき、全身に深手をいくつも負いながらも、さらに両の掌から瞬時に灼熱の光線を撃ち出し、瞬たちを寄せ付けないフェニックスドラゴンの表情には、幾分か余裕があるように見える。
――それが意識的に見せているものか、あるいは本当に余裕なのかはわからないが。
「ちっ、まだ口に余裕があるようだね……いったん退くよ!」
これ以上の深入りは一方的に灼熱の光線に焼かれるだけであり、潮時と判断した響の合図と共に、瞬が再度狩猟鷲と誘導弾を、奏が薄緑の衝撃波を放ってフェニックスドラゴンを撹乱する。
その隙に、奏たち3人は戦場から一時撤退していた。
――決着を、他の猟兵に委ねて。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
リオン・リエーブル
不死であることの証明、ね
オブリビオンなんだから何度でも再生するはずだけどね
それじゃ飽き足らない?贅沢だね!
不死なんてさ、いいことないと思うよ?
不死鳥の権能失ったのって、その虚しさに気付いたからだったりしてね!
なんて挑発しながら倒そうか
今回はゴーレムさんいらっしゃい!
作るのは氷の一反木綿。カクリヨらしくていいでしょ
これを68本作って敵を拘束
できなくても狙いの場所に追い込んで、そこめがけて氷属性攻撃+全力魔法+高速詠唱+鎧無視攻撃で畳み掛けるよ
敵の攻撃は見切り+戦闘知識で回避
世界が滅びたら誰が不死を証明するのさ
観測者もいない不死なんて無と同じだよ
分かったら早く世界の色と龍神さんを解放してあげてよね
●不死の証明は悪魔の証明なのか
「不死で在ることの証明、ね」
他の猟兵に付けられた複数の傷に呻くフェニックスドラゴンを前に、おどけた調子を崩さず話しかけるのは、リオン・リエーブル。
「オブリビオンなんだから何度でも再生するはずだけどね……よっと」
フェニックスドラゴンから有無を言わさず発射される灼熱の光線を、かろうじて発射直前の腕の動きを見切って避けつつ、挑発を続けるリオン。
「それじゃ飽き足らない? 贅沢だね!! さあゴーレムさんいらっしゃい!!」
数十本もの試験管を一斉に空中に投擲しながら、ゴーレム召喚の呪句を唱えるリオン。
「さあ、出ておいで! 仮初の命をあげるよ!!」
ユカイナナカマタチへの呼びかけに力を与えられた試験管は、空中で次々と破裂し、ひらひらと宙を舞う薄い氷の布へと変化。その数、68体。
「氷の一反木綿。カクリヨファンタズムらしくていいでしょ」
「ふざけて居るの?!」
「いいや? よーしゴーレムさん、拘束しちゃって!」
言いくるめるように言葉で翻弄するリオンの命に従う68体の氷の一反木綿は、ひらひらと踊りきらきらと氷の粒を降らせながらフェニックスドラゴンに接近しつつ、その動きを拘束しようとする。
「これは妖怪? ええい、面妖な!」
フェニックスドラゴンは氷の一反木綿を灼熱の光線で撃ち落とし、あるいは手で払おうとするも、全てを払い切ることはできず、一反木綿が次々とフェニックスドラゴンに巻き付き、その動きを拘束した。
氷の布でぐるぐる巻きにされたフェニックスドラゴンに、リオンは語り掛ける。
「不死なんてさ、いいことないと思うよ?」
「何を……?」
「不死の権能失ったのって、その虚しさに気づいたからだったりしてね!」
「……っ!?」
挑発とも詭弁とも論理展開とも取れる言葉を機関銃のように浴びせかけるリオンに、舌戦では分が悪いと黙り込んでしまうフェニックスドラゴン。
「そもそも、世界が滅びたら誰が不死を証明するのさ。観測者もいない不死なんて無と同じだよ?」
「何を言うかと思ったら……」
詭弁には付き合いきれぬとリオンを睨みつけようとして、ふとフェニックスドラゴンの脳裏にある事実が天啓のようにひらめく。
もし世界を滅ぼして、妖怪も骸魂もその存在を無としたら。
――誰が、己の身が不死であることを証明できるのか?
己の不死は己でしか証明できず。
しかし同時に、己の不死を客観的に証明することなどできず。
観測者なしに己の不死が「あり得ない」ことを証明するのは、悪魔の証明。
――つまり、客観的な証明は永遠に成立しない。
「わかったら、早く世界の色と竜神さんを解放してあげてよね」
リオンは黙り込んだフェニックスドラゴンに呼びかけるが、しかし彼女は妖艶な笑みを浮かべつつ首を振って否定。
「簡単にはできないわよ。あなた達はわかっているのでしょう?」
――骸魂を撃滅しない限り、呑まれた妖怪は助けられない、と。
「手札が尽きたあなたに、それができるかしら?」
傷だらけになり、一反木綿に拘束されながらも妖艶に笑うフェニックスドラゴンに、リオンはこれ以上打つ手を持たない。
――拘束していない一反木綿は、いつの間にか全て撃ち落とされていたから。
「あ~、悔しいけど確かにここまでだね。後の猟兵さん、任せたよー!」
じゃあねー! と掌をひらひらと振りかざしながら、リオンはその場を脱する。
――決着を、言の葉の語り部に委ねて。
大成功
🔵🔵🔵
言葉・彩色
「やぁ、キミが色を奪った下手人かい?」
【黒狐面之怪異也】使用
『不死鳥』を語って、騙るよ
「不死鳥…フェニックス。原点は聖鳥ベンヌだったかな? 72柱の悪魔に数えられたりもするね」
他から『存在(いろ)』を奪うなんて、流石は悪魔の所業だね、とくすくす笑いながら
「そもそもキミ、ホントに忘れられているのかい?」
別世界出身のボクが瑞獣『麒麟』を知っている
不死鳥(キミ)の事も知っている
覚えている
「UDCアースで見聞きした御話さ」
今でも語り継がれている
ニンゲンにも未練がある
そうは思えないかい?
それでも、思い出して欲しいなら
「あらゆる世界で、ボクが語ろう」
キミたちの『色』を
この言葉で
ボクはそういう『存在』だから
●語り継がれる伝承の証明は存在の証明
「やぁ、キミが色を奪った下手人かい?」
氷の一反木綿を全て引き裂き破り捨て、ようやく自由を取り戻した傷だらけのフェニックスドラゴンの前に現れたのは、黒狐面の語り部、言葉・彩色。
その黒狐面を目にしたフェニックスドラゴンの目の色が、殺意を帯びた紅に変わる。
「あなたが麒麟たちの存在を消し去ったの?」
「ボクはあるべき存在に戻してあげただけだよ」
――そして、あなたもあるべき存在を知ってほしいから。
「それでは皆様、御耳と御目々を同時に拝借。これよりこの場を彩るは――UDCアースに伝わる『不死鳥』の御話」
フェニックスドラゴンの耳目を惹きつけつつ、己も赤橙の霊鳥――不死鳥に変じながら。
彩色は『不死鳥フェニックス』の本来の伝承を朗々と語り、騙る。
「不死鳥……フェニックス。原点は聖鳥ベンヌだったかな?」
古代エジプト神話に伝わる不死の霊鳥である、ベンヌ。
それは太陽と同じように毎朝生まれて夕暮れに死に、また翌朝になると生まれるという、生と死の輪廻を繰り返す霊鳥でもあった。
「ああ、72柱の悪魔に数えられたりもするね」
中世以降、さる魔術王が使役した七十二の悪魔の一柱とし、詩作に優れた悪魔として語り継がれることもある。これもまた、UDCアースに伝わる伝承のひとつ。
「そう、悪魔。他から『存在(いろ)』を奪うなんて、流石は悪魔の所業だね」
くすくすと不死鳥の姿で笑う彩色に、フェニックスドラゴンも毒気を抜かれたように唖然とするも。
「我を悪魔とでも罵るのかしら?」
「その前にさ」
――そもそもキミ、ホントに忘れ去られているのかい?
嘯くように、謡うように。
彩色が発した鋭い言の葉は真実を伝えるナイフとなりて、息をのんだフェニックスドラゴンの喉元に突き付けられ、反論を封じていた。
……否、フェニックスドラゴンは「反論できなかった」。
――不死鳥の伝承を知らなければ、『御話』としては語れないことに気が付いたから。
「そもそも、僕はUDCアースの出身じゃない。けど、瑞獣『麒麟』のことを知っている」
ヒーローズアース出身の彩色は、自ら好んで話を蒐集する語り部故、知っている。
「そして、キミ……不死鳥のことも知っている、覚えている」
呆然とするフェニックスドラゴンに語り掛ける口調は、何処までも優しく。
「だって、ボクが語った御話は――」
――UDCアースで見聞きした御話だからさ。
「見聞き、した!?」
不死鳥姿の彩色の口から紡がれた真実に、言葉を失うフェニックスドラゴン。
「ああ、今でも語り継がれているよ」
「そう……」
「ニンゲンにも未練がある。そうは思えないかい?」
「未練……」
人間に不死への未練がなければ。
あるいは、人間が未だ不死への憧れや興味を持たなければ。
あるいは、人間が英雄譚や御伽噺、伝説に憧れを持たなければ。
瑞獣『麒麟』の話も、不死鳥『フェニックス』の話も。
――現代地球(UDCアース)からはとっくに廃れ、残りすらしない御話のはず。
それなのに、今でも語られているということは。
……人々の心の奥底に、いまだその興味や憧れが残っていることの証左。
「キミはそれでも、思い出してほしい?」
こくり、とうなずくフェニックスドラゴンの瞳からは、既に敵意は消えている。
「それならば、あらゆる世界で、ボクが語ろう」
――キミたちの『色』を、この言葉で。
「ボクはそういう『存在』だから。約束する」
語り部たる彩色の口から紡がれる約定は、確かな言霊となりてフェニックスドラゴンの心を強く打ち、ある願いを紡がせる。
「なら……我をこの世界から解放して?」
――これからも確かに語り継がれるのであれば、我は骸の海へ向かうから。
敵意をなくしたフェニックスドラゴンは、その消滅を受け入れるように彩色に手を差し出す。
不死鳥姿の彩色の赤橙の翼がその手をひと撫ですると、その全身はたちまち炎に包まれた。
炎は一瞬だけ高らかに燃え上がるも、すぐその勢いは収まる。
それはまるで、不死鳥フェニックスの骸魂が、御話の通り生まれ変わるために天に昇るかのようだった。
炎が消えたあとに残されたのは、赤橙の炎を払われ、気を失い倒れた竜神の巫女。
そして、少しずつ取り戻されていく、世界の『存在(いろ)』。
かくして、世界は無事に色を取り戻す。
――モノクロームの破滅の色から、あるべき世界の色に。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『大食いバトル』
|
POW : 豪快にガンガン食べまくる
SPD : 味変を駆使して最後まで飽きずに食べ切る
WIZ : ペース配分を考え、無理なく食べ進める
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●座敷童の住まう村で巻き起こる大食いバトル
骸魂から解放された竜神の少女を連れて、元の風合いを取り戻した和風の村の家屋に戻った猟兵たちを出迎えたのは、炊き立てご飯の甘い香りと、座敷童たち。
「ありがとうごぜえますだ、ありがとうごぜえますだ……!」
「骸魂に呑まれた時には本当にどうなることかと思ったさぁ……!」
次々に感謝の言葉を述べる座敷童たちの笑顔を見ると、色を取り戻すために払った苦労も報われる。つられて猟兵たちも笑顔を浮かべていた。
いまだ気を失ったままの竜神の少女を家屋の一室に寝かせ、居間に戻ってきた猟兵たちに、座敷童たちが声をかけてくる。
「そういえば、おらたちこれから大食い勝負をするつもりなんだが、よけりゃあんたたちも参加しねぇか?」
突然脈絡ない提案をされ、猟兵たちは皆、きょとんとしてしまう。
しかし、座敷童たちに詳しく事情を聞いてみると、座敷童たちが大食い勝負の準備をしていたところ、突然世界から色が失われ、恐慌状態に陥ったところを次々と骸魂に呑まれたようだ。
――つまり、大食い勝負の準備は既に整っている、ということになる。
「助けてくれたお礼もしたいしよ、せっかくだからここで少し休んでいかねえか?」
「ニンゲンなんて久しぶりに見るからなぁ~」
一方、久しぶりに人間の姿を目にするのか、懐かしそうに目を細める座敷童もいる。大食いバトルに参加するのも一興だが、早食いと胃袋に自信が無ければ料理に舌鼓を打ちながら交流を深めるのも悪くはなさそうだ。
卓袱台の上に並んでいるのは、炊き立てご飯をそのまま握った塩おむすびと、旬の野菜がふんだんに盛り込まれたけんちん汁。
他に並んでいるおかずは、山菜のおひたしや里芋の煮っころがしなどの惣菜、キュウリの一本漬けや梅干しなどの漬物。揚げ物や焼き物は見当たらないが、竈で煮炊きして作る料理は一通りありそうだ。
そう。ここに再現されているのは、昔懐かし日本の食卓そのもの。
鼻をくすぐる素朴かつ美味しそうな香りに、思わず猟兵たちも箸を伸ばしたくなる。
さて、大食い勝負に参加し、座敷童たちと共に楽しむか。
それとも、食卓を囲みながら歓談に興じるか。
全ては皆の、み心のままに……。
※マスターより補足
この章のメインは「座敷童たちとの大食いバトル」になりますが、座敷童たちと歓談しながら料理を楽しんでいただいても構いません。
以下の2つから行動を選び、プレイングの1行目にアルファベットの記載をお願い致します。
【A】大食いバトルに参加する
3分以内に多く塩おむすびを食べた方の勝利です。
途中、けんちん汁や漬物などで水分補給やお口直しをしても構いません。
勝負は「座敷童の代表者」対「参加する猟兵」の1対1で行われます。
勝敗はダイスで判定致しますので、プレイングの1行目に判定に使用する能力値を1種類記してください。この際、判定能力値とフラグメントの内容が異なっても構いませんし、フラグメントに記載のない独自の作戦を持ち込んでも構いません。
(例:ペース配分を工夫しながら食べるが、判定能力値はPOW→OK)
ただし、勝敗はきちんとリプレイに明記致しますので、負けたらその通りに描写致します。予めご了承願います。
ちなみにこの選択肢を選びつつ「自分は大食いバトルに参加しないが、大食いバトルに参加している仲間を応援する」のはOKとします。
【B】座敷童たちと仲良く食事に舌鼓を打つ
文字通り、座敷童たちと食卓を囲みながら歓談します。
フラグメントの内容には拘らず、ご自由にプレイングをおかけくださいませ。
基本は座敷童との歓談になりますが、プレイングでご指名があった場合に限り、回復して起き上がってきた竜神の少女も歓談の輪に加わります。
ちなみに食卓の上に並ぶ料理は、煮物やおひたしなら大体あります。焼き物・揚げ物は今回ご用意できません。(煮炊きできる竈くらいしかなく、焼き物や揚げ物をするには十分な火力が確保できないため)
グリモア猟兵森宮・陽太は、お声がけがあれば喜んで同行させて致します。
同行や会話をご希望される方は、その旨プレイングに明記いただくよう、お願い申し上げます。誰も記載無い場合は登場致しません。
また、2章で救出した竜神の少女との会話も可能です。
こちらも会話を希望される場合は、【B】を選んだ上でプレイングにその旨記載願います。
ただし、会話内容によってはマスタリングの対象となります。予めご了承くださいませ。
それでは、ささやかな妖怪たちとの交流をお楽しみくださいませ。
真宮・奏
【真宮家】で参加
【A】で参加。
この世界のお勉強の為にも座敷童の方と交流です!!(ぐぐっ)胃袋ブラックホールの私にとって大食い大会なんて乗るしかないじゃないですか!!
勝ち負けには拘りませんが、やるからには全力で!!(目の前の塩むすびに目をキラキラ)いざ尋常に!!行きますよ~(口直しせずにとにかく食べまくる)
勝っても負けても相手の座敷童さんと握手して健闘を称えます。こういう日常を護るのが私達猟兵の役目です。いつでも呼んでくださいね。
リオン・リエーブル
【A】
MC参加
童子同士も可
BGMを蓄音機型ゴーレムから流して会場を盛り上げるよ!
始まりました大食い大会!
司会は私リオン・リエーブルと…
(笑顔で陽太さんにマイクを手渡そうと)
…でお送りします!
などと勝手に大会を開催して盛り上げよう
食べっぷりを事細かに大げさにアナウンス
猟兵に追いつこうと座敷童子が一気に掻き込む!
だがむせた!このタイムロスは痛い!
森宮アナウンサーどう思いますか?
さあ残り時間もあとわずか
おおっと!ここで味噌汁に手を伸ばした!水分で流し込む作戦だ!
熱い味噌汁は吉と出るか凶と出るか!
盛大な拍手で健闘を讃えよう
いやー盛り上がったね陽太さん!
おにぎりと味噌汁を食べながら大会話に花を咲かせよう
●座敷童との交流兼ねて、大食いバトルに参加しよう!
「この世界のお勉強のためにも、座敷童の方と交流です!」
骸魂『フェニックスドラゴン』との邂逅を経て、改めてカクリヨファンタズムのことをもっと深く知ろうと意気込む真宮・奏は、右の拳をぐっと握り込みながら力説。
「それに、胃袋ブラックホールの私にとって、大食い大会なんて乗るしかないじゃないですか!!」
「お、おねえちゃんがさんかしてくれるの?」
力説する奏の足元に、座敷童の子供がトコトコと歩いて近づき、屈託ない笑顔を奏に向ければ。
「もちろん、参加しますよ!」
奏も迷わず頷いて、いざ大食いバトルの会場へ!!
●こんなセッティングがされるなんて予想していないよ!
座敷童たちに大食いバトルの会場となる大きな家屋の大広間に通された奏は、一瞬我が目を疑った。
大広間の中央に据え付けられているのは、大きなテーブル。
テーブルの上に並ぶのは、小皿に1個ずつ乗せられた炊き立て握りたてのたくさんの塩おむすび。
そして口直し用のお茶に漬物、けんちん汁や味噌汁。
――ここまでは、あるのがむしろ自然とも言える。
しかし、大広間の片隅に鎮座なさっている複数の奇妙な蓄音機型の物体が、この大広間に違和感という名の微妙な空気を追加している気がしてならない。
奏がじっと目を凝らしてみると、それは蓄音機の形をしたゴーレム。
――ますます、違和感満載。
(「カクリヨファンタズムにゴーレムっているのでしょうか?」)
いるはずのないモノがいることに首を傾げていると、突然ゴーレムに内蔵されたスピーカーから景気のいいファンファーレが鳴り響く。
――パンパカパーン♪
ふと奏が周囲を見回すと、いつの間にか実況席らしきものが登場していて。
着席しているのは、緑髪のエルフと、金髪のグリモア猟兵の2人だった。
『さあ、これから始まります大食い大会! 司会はおにーさんことリオン・リエーブルと……』
満面の笑みで自己紹介の口上を述べた後、マイクを隣にいるグリモア猟兵に渡したのは、ゴーレムを登場させた張本人の緑髪のエルフ――リオン。
『……どういうわけか巻き込まれちまった俺、森宮・陽太』
一方、憮然とした表情のまま、そっけなく言い捨てるのは、グリモア猟兵、陽太。
実際、リオンに有無を言わさず引っ張ってこられて司会役を押し付けられちゃ、憮然としたくなるもので。
『以上2名でお送り致します!』
「わー、司会と実況つきなんて……勝ち負けには拘りませんが、やるからには全力でやりますよ!!」
まさかの実況つきに、奏のやる気は急上昇!
しっかりと腕まくりをしながら準備万端です!
一方、座敷童側の代表として登場したのは、まだ年行かぬ子供の座敷童、でんすけ。今回は1対1の勝負ですからね。
「負けないづらよー」
奏もでんすけも席についたところで、リオンの手に握られているのは合図用の電子ピストル。
『それでは準備はいいですねー?』
リオンの確認の声に奏もでんすけも頷けば、いよいよバトルの始まり。
『大食いバトル、よーい……スタート!!』
――パーン!!
●大食いバトルは熾烈なデッドヒートでした
スタートと同時に、いきなり奏を遮るように塩おむすびの小皿に手を伸ばしたのは、でんすけ。
『おおっと、最初に手を伸ばしたのは、座敷童のでんすけ君!』
「負けないづら~!」
そのままでんすけは一定のリズムを保つように、しかし口内に含み過ぎないように、とにかく塩おむすびを口に入れ、食べ続ける。
『良い食べっぷりです、日ごろ食べなれているからでしょうか?』
『リオン……舌が絶好調だな』
横で呆れて肩をすくめる陽太に構わず、ノリノリで実況を続けるリオン。
「負けていられないです~!」
妨害も何のその、奏もすぐに別の塩おむすびに手を伸ばし、口に入れる。
こちらもマイペースを保ちながらも、しかし出来るだけ早く咀嚼し呑み込み、量を稼ぐ作戦。
その奏の余裕ぶりに、でんすけが焦ったか一気に口に塩おむすびを詰め込み……咳き込んだ。
「がほっ、ごほっ」
「おおっと、でんすけ君がむせた! このタイムロスは痛い!!」
苦しそうに咳き込むでんすけをよそに、奏は決してペースを崩さず食べ続ける。
『このタイムロス、森宮アナウンサー、どう思いますか?』
『いや、一気にかき込みすぎだろ……って俺はアナウンサーじゃねえよ!?』
慣れないツッコミを入れる陽太に、リオンは飄々とした表情のまま。
(「この場に鋼鉄製ハリセンがあったら1発どつくところだぜ……!!」)
実況席の下で拳を震わせる陽太に気づいているのかどうかはわからないが、嬉しそうにはしゃぎつつ実況を続けるリオンでした。
奏とでんすけが1~2個差という僅差での争いを繰り広げる中、あっという間に残り時間は1分。
ここででんすけが口直しも兼ねて味噌汁に口をつけようと、椀に手を伸ばす。
『おおっと、ここで味噌汁に手を伸ばした! 水分で流し込む作戦だ!!』
しかし椀によそわれたばかりの味噌汁だったようで、椀そのものが熱すぎる!
「あっちゃっちゃ!」
でんすけが椀の熱さに怯み手を放し、大きなタイムロス!
一方、奏は味噌汁やけんちん汁どころか水すら口にせず、ひたすら塩おむすびのみ食べ続けているぞ?!
『奏さんの口の中は大丈夫なのでしょうか!! 塩辛さに水が欲しくならないのでしょうか!?』
「おいしひからだいじょうぶでふ(美味しいから大丈夫です)~!」
具材が入っていないのによく食べ続けられるな!? とのツッコミがどこからか聞こえるようだけど、奏にとっては炊き立てご飯だけで十分美味しいのです!
でんすけが再度おむすびを口にし始めるも、2度も手が止まった状況では逆転は難しく。
3分経過後、塩おむすびの数をカウントするための小皿は、奏さんのほうが高く積みあがっておりました。
この勝負、奏さんの勝利!!
●勝負の後はお互い健闘を称え合って
『良い勝負を繰り広げたお二方に、盛大な拍手を!』
司会たるリオンの称賛の声と共に、奏にもでんすけにも平等に拍手が送られる。
「こういう日常を護るのが私達猟兵の役目です。いつでも呼んでくださいね」
奏が対戦相手のでんすけに手を差し出せば、でんすけも固く握り返してお互いの健闘を称え合って。
「うん、また困ったことがあったら頼むづら~」
負けはしたが晴れ晴れとしたでんすけの顔を見ていると、奏も大満足なのです。
「いやー、盛り上がったね、陽太さん!」
蓄音機型ゴーレムを戻しつつ満足げな笑みを浮かべるリオンに対し、陽太はあきれ顔を崩さない。
「俺はむしろ驚いたが!? 2人合わせて3分間で何個食ったんだよ!?」
子供用茶碗程度のサイズの塩おむすびを、2人合計で40個くらいでしょうか?
ちなみに、大食いバトル中ほとんど口をつけられなかった汁物とおかずは、座敷童たちとリオンたちで大食いバトルの話に花を咲かせつつ美味しくいただきました。
そして、改めて料理を全制覇した奏さんに、再度陽太が驚きあきれていたのは……内緒でお願いしますね。
大成功
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真宮・響
【真宮家】で参加
【B】で参加。
色んな意味でこの世界に全く慣れてないのを感じた。まだまだ勉強が必要だねえ。座敷童の子達とご飯食べながらお話ししようかね。
出る食事はアタシも普段良く作る料理だ。味付けの研究も兼ねて頂こうか。
座敷童の子達にこういう骸魂はしょっちゅう出るのか聞いてみる。ある意味タフだよねえ、この子達。出来る事ならこの世界が良きようになるよう尽力してやりたい。座敷童の子達の頭を撫でながら、護ることを誓うよ。
●新たな世界での新たな学びと誓い
大食いバトルが予想外の司会登場で盛り上がっているその頃。
真宮・響は娘が大食いバトルで奮闘しているのを眺めつつ、座敷童の子供たちと小さな食卓を囲んでいた。
(「色々な意味でこの世界に全く慣れていないのを感じたね」)
まだ発見されたばかりの世界とは言え、知識も常識も何もかも知らないことばかり。
それが骸魂の不興を買ったのは確かだけど、一方で「無知の知」を自覚できたことは大きな収穫だった
そこで響は、食卓を囲みながらこの世界の主な住人である妖怪と交流し、知見を深めることにした。
座敷童たちが用意した心づくしの料理は、素朴ながらも味わい深く。
――それは、響にとっても普段よく作っている馴染みの料理でもある。
ゆえに、見た目や匂い、味を五感で確認し、味付けの研究をしながらいただくが。
「お姉さん、美味しいづら?」
「美味しいよ」
日々料理をする響も、舌を巻くほどの美味しさ!
ちなみに、後で座敷童の大人たちに味付けのコツを教えてもらって、大満足の響さんでした。
一通り料理を堪能した後は、知見を深めるための質問を。
「あのような骸魂は、この世界ではしょっちゅう出るのかい?」
「んだんだ」
響の質問に間を置かず頷く座敷童に賛同するように、他の子たちも次々に口を挟む。
「もともとおらたち妖怪は、存在すら忘れ去られてこの世界に逃れてきただ」
「おらたちは生き残ったが、死んだ妖怪は骸魂となったづら……」
「骸魂は縁の深い妖怪を呑み込んで怪物化して、暴れまわるだ」
「へえ、怖くないのかい?」
響は感じたままを言葉にして、座敷童たちに問いかける。
日常茶飯事とはいえ、呑み込まれてオブリビオン化したら戻れない可能性もあるかもしれないと考えたのだけど。
「確かに怖いけど、これが日常だべ」
「一応、骸魂を払えば、呑み込まれた妖怪も助けられるからな~」
相反する感情を素直に口にする子供たちの顔は、純真そのもの。
(「ある意味タフだよねえ、この子達」)
相反する想いに触れた響は、思わず目を細めていた。
「おらたちからもお姉さんに聞きたいづら」
「何だい?」
今度は座敷童から響に質問。
「お姉さんたち、どうしておらたちが見えるんだい?」
「んだんだ、お姉さんたちはどうみてもニンゲンだ、妖怪じゃないだ」
「何だ、と言われてもねぇ……」
座敷童の子たちの素朴な問いに、どのように答えるべきか考え込む響。
しばし考え、出した結論は……至極シンプル。
「アタシたちが猟兵だから、としか答えようがないねえ」
猟兵は生命の埒外の存在となったからこそ、異能の存在となったからこそ、妖怪を視認できる。
――それは、ある意味では目の前の座敷童の子たちと同じ存在、とも言える。
ぼやかした答えになってしまったと後悔気味の響だったが、それだけで答えとしては十分だったか、座敷童の子たちの目がキラキラと輝き始め。
「いいなあ、おらたちも猟兵になりたいづら」
「あたしもだー」
「ワイもー」
子供たちが次々と口にするは、猟兵への憧れ。
「猟兵にはどうやったらなれるづら?」
「困ったねえ……どうやったら、なんて答えられないね」
思いもよらぬ質問に、人差し指で頬をかきつつ困り顔をする響。
実際、猟兵に覚醒するきっかけは千差万別なのだから、答えようがない。
「ただ、この世界の妖怪たちの中にも、将来猟兵に目覚める者が現れるかもしれないね?」
「おおお~」
希望を示唆した響に、子供たちは一様に感心していた。
目の前の子供たちの笑顔は、妖怪であっても眩しくて純真で。
――だから、ここで誓いを立てよう。
「出来ることなら、この世界が良きようになるよう尽力してやりたいね」
「猟兵さんがいれば心強いだー」
「アンタたち妖怪のことも、護るからね」
手近な子供の頭を撫でながら、響は子供たちに言い聞かせるように、己に誓いを立てるように告げていた。
大成功
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神城・瞬
【真宮家】で参加
【B】で参加。
宜しければ、グリモア猟兵の森宮陽太さんとお話してみたいですね。猟兵のお仕事では何回が一緒になりましたが、ちゃんとお話ししたことないので。
料理を持って、「隣、いいですか」と陽太さんの隣に座らせて貰います。こういう料理は好きですか、の話から、少し話しかけてみますね。「陽太さんに何か重要な事ありましたら、お手伝いしますので」まあ、放って置けないんですよね。お節介ですが。この一言だけいって微笑み、「料理、美味しいですね。こういう料理は母さんが良く作ってくれます」と言います。
●食卓を囲みつつ猟兵同士で
大食いバトルも終わり、方々で懇談が始まっている頃。
神城・瞬はあえて、グリモア猟兵の森宮・陽太に声をかけていた。
(「猟兵のお仕事では何回が一緒になりましたが、ちゃんとお話ししたことないので」)
サクラミラージュである青年と桜の精に協力して何度か影朧を相手にした時、陽太にはその都度世話になっている。
あの時は陽太と話すチャンスはなかったのだけど、今回の一件、予知した上で後方支援に入っているのは、陽太だ。
――ならば、1度交流を持っておきたい。
「隣、いいですか?」
座敷童の輪の中に既に溶け込んでいる陽太に声をかけると、軽薄な声音とぶっきらぼうな口調とともに返されるのは、了承の意。
「ああ、構わねえが」
「それでは、失礼します」
瞬は一礼して陽太の横に座った。
座敷童たちから渡された箸を器用に扱いながら、瞬は気になる料理を皿に取る。
「陽太さんは、こういう料理は好きですか?」
里芋の煮っころがしを器用に箸で掴んで口に運びつつ、まずは他愛ない話から。
「嫌いじゃねえぜ。食べ慣れている味、と言えば味だ」
大根の煮つけに箸を入れ、口に運んで満足げに頷く、陽太。
サクラミラージュ在住の陽太にとっても、慣れ親しんだ味だから。
「瞬こそ、こういう料理は平気なのか?」
「こういう料理は母さんが良く作ってくれますから、平気ですよ」
料理に舌鼓を打ちつつ、料理の話や他愛ない話に花を咲かせ。
場が温まったと見た瞬が陽太に切り出したのは、以前から伝えたかった事。
「陽太さん」
「ん?」
「もし、陽太さんに何か重要なことがありましたら、僕もお手伝いしますので」
――それは、かつて別のグリモア猟兵に対しても、告げた言葉。
お節介なのは瞬自身もわかっているが、1度でも繋がりを持った以上、どうしても放っておけないから。
一方、お節介だとわかっているからこそ、それだけ口にして料理の話に戻すつもりだったのだが。
「なあ、瞬」
「何でしょう?」
さりげなく瞬を呼ぶ陽太の声に、思わず反応してしまう瞬。
そして、さりげなく口にした陽太の疑問は――。
「あんたは言わないのか? 『手伝ってくれ』と」
「それは……」
――瞬によっては思いもよらぬ指摘だったのか、咄嗟に反応できなかった。
普段から家族3人で行動することが多く、お互いがお互いを阿吽の呼吸で補い合うのが、瞬たち家族の戦い方。
一方、3人が阿吽の呼吸で連携するゆえに、他の猟兵に手伝ってほしいと自分たちから「要望」する機会は多いとは言えないのではないのではないか。
陽太にとって、瞬は数度依頼で一緒になった程度の付き合いしかないが、グリモア猟兵として責任もって現場に送り込む立場としては気になるのだろう。
「誰かの困りごとを手伝うのであれば、自分も困っている時、手伝ってほしい時は声を上げたほうがいいんじゃねーのか。いつでも家族だけで全て解決できるわけじゃねーだろ?」
――例えば、この世界の知識や常識を、家族だけでは補いきれなかったように。
「だから、そういう時は素直に頼っちまえ、な?」
「そうですね……考えておきます。ありがとうございます」
年上の陽太に諭されるように告げられた瞬は、素直に頭を下げて礼を述べていた。
「さ、しめっぽい話はここまでにしようぜ。飯だ飯」
座敷童からけんちん汁を受け取り、その良い匂いに顔をほころばせる陽太。
「ええ、せっかくのお料理が冷めてしまいますからね」
瞬はそんな陽太に笑顔を向けながら、大根と菜っ葉の味噌汁を受け取り、口をつけていた。
大成功
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言葉・彩色
【B】
いやはや、物語の中ではない本物の妖怪と、卓を囲む日が来るとはね
「経験談として語れるのは、嬉しい限りだよ」
程々に食事をしつつ
妖怪たちとの歓談を楽しんで
何か、面白い御話が聴ければ聞こうかな
宴会の最後かどこかで
腹ごなしに一つ御話をしようか
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。これよりこの場を……そして皆様のこの先を彩るは――幸福の兆したる霊獣と死さえも覆す聖鳥の御話。どうか、最後の時までお楽しみ頂けますよう」
骸魂のイメージのままじゃ、あんまりだからね
約束の最初はこの場所で
『色(そんざい)』を取り戻した世界で、妖怪と猟兵(ニンゲン)を聞き手にして
彼ら彼女ら本来の『存在(いろ)』を語るよ
●語られるのは心優しき癒しの御話
「いやはや、物語の中ではない本物の妖怪と、卓を囲む日が来るとはね」
黒狐面の下の赤き瞳を細めながら、言葉・彩色は口端に柔らかな笑みを乗せて座敷童たちの輪に加わっていた。
「経験談として語れるのは、嬉しい限りだよ」
程々に食事をしつつ、座敷童たちと竜神の少女を交えて歓談し。
彼らから座敷童そのものの御話や、彼らが知る限りの御話を教えてもらった彩色の顔は、満足そのものだった。
他の猟兵達が歓談に加わっている食卓も、座敷童の大人達だけでどんちゃん騒ぎを繰り広げていた食卓も、いつまでもそれが続くものではなく。
食卓の上の料理がほぼなくなり、お開きが近づいた頃を見計らって、彩色は立ち上がる。
「さて、腹ごなしに一つ御話をしようか」
彩色はパンパンと両の掌を打ちつけて皆の耳目を惹きつけ。
骸魂相手に騙った騙り手は、今は語り手となり、妖怪と猟兵(ニンゲン)を聞き手に据えて口上ひとつ。
「ではでは、御耳と御目々を同時に拝借。これよりこの場を……そして皆様のこの先を彩るは――」
――幸福の兆したる霊獣と、死さえも覆す聖鳥の御話。
「どうか、最後の時までお楽しみ頂けますよう」
拍手と共に優雅に一礼した語り手は、約束を果たすために語り始める。
骸魂『フェニックスドラゴン』とかわした約束の最初は、この場所で果たそう。
――なぜなら、語るは妖怪たちを呑み込んだ骸魂本来の『存在(いろ)』だから。
「まずは幸福の兆したる霊獣、麒麟の御話を」
荒々しく踏みしだく禍獣ではなく、殺生を忌み嫌う瑞獣たる麒麟の話は、座敷童たちの興味を引き。
「続いては死さえも覆す聖鳥、フェニックスの御話」
不死の証明に拘る不死鳥ではなく、生死の輪廻の象徴たる霊鳥の話は、竜神の少女だけでなく猟兵らの耳をも惹きつける。
いずれも、骸魂相手に1度語った御話。
しかし今はあの時の朗々たる声ではなく、聞き手の耳に心地よく、柔らかく響く声で語られていた。
その声は、骸魂に呑まれたことで傷ついた座敷童や竜神の少女の心を少しずつ癒し。
その声は、骸魂から救出するために力を尽くした猟兵の心身をも癒す。
――骸魂のイメージのままじゃ、あんまりだからね。
彩色のその思いは、決して言葉としては語られないけど、声音に乗せて伝えて。
悪しき印象のままで終わらせず、良き印象を抱いてくれるように。
『色(そんざい)』を取り戻した世界で、本来の『存在(いろ)』を伝えるために。
精一杯心を砕きながら、彩色はあくまでも優しい口調は崩さず、語り尽くした。
彩色が語り終える頃には、座敷童たちや竜神の少女の表情の片隅に何気なく残っていた強張りはすっかり取れ、猟兵達の傷も癒えていて。
「わぁ、狐面のお姉ちゃん、ありがとだ~」
語り終わった彩色の周辺には、感謝を述べる座敷童たちが集まっていた。
――その光景を、竜神の少女は感謝を瞳と口端に乗せ、静かに見守っていた。
彩色が語り終えると同時に宴がお開きになったところで、猟兵達がグリモアベースに帰還する時間となる。
グリモア猟兵が開いたゲートを潜って帰還する彩色たちを、座敷童たちはいつまでも手を振り、竜神の少女は小さく会釈しながら見送っていた。
『色(そんざい)』を失くした世界に『存在(いろ)』を取り戻す御話。
――これにて、終幕。
大成功
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