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モフリス島のキラキラ海岸(作者 ののん
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●砂の城と噂話
 キマイラフューチャーを祖とする小さな島、モフリス島。
 そこは平和な観光地として船乗りの中では知る人ぞ知る島である。
 穏やかな雰囲気に包まれたこの島では争いが比較的少なく、船乗り達は休憩所としてしばしば利用する時があるそうだ。
 そしてこの島が観光地として名が広まった理由は、もふもふしたキマイラの住民達……ではなく、この美しい海岸にある。
 港町に接している『キラキラ海岸』と呼ばれているこの海岸は、その名の通り砂浜がキラキラと輝いていた。砂そのものが輝いているという訳ではなく、砂の中に輝く砂石が混ざっているのだ。
 柔らかく細かい砂と、透明にも近いエメラルドグリーンの海が荒んだ心を洗うと言われ、船乗りだけでなく町の人々からも愛されている場所なのである。
 今日も住民である子供達が昼間から元気に海岸を走り回っていた。ひたすら穴を掘っては波の水が溜まっていく様子を楽しんだりする子供もいれば、ただただ貝殻を探す子供もいるのだが。
「できたー!」
「うおー! でっけー!」
 最近子供達の中で流行している遊び、それは『砂の城作り』であった。バケツで海水を汲み、キラキラ輝く砂を一生懸命固めては形を作り、立派な砂の城を作り上げていくのだ。
 貝殻や木の枝、海藻などで装飾し、立派なものを作れば作るほど、翌日の学び舎ではヒーローになれるのである。

 しかし、そんな平和な町の中、子供達の間だけで密かに広まっている噂話があった。
「夜、海岸に行くと子供の声がするって本当?」
「本当らしいよ、だって誰かが遊んだ跡が残ってたりするんだって」
「溺れ死んだ子供の幽霊が遊びに来てるって聞いたぞ!」
「嘘くさいなぁ……誰かがひっそり遊んでるだけでしょ?」
「うぐっ、まぁそうだよな……」

●もちの情報
 グリモアベースのとある一角に集まった猟兵達。彼らは一つの大きな毛玉を囲んでそれを見下ろしていた。
「来てくれてありがとう! それじゃあ説明するね!」
 彼らが囲んでいた喋るグリモア毛玉、希那古・もち(もふもち犬・f24531)は嬉しそうに尻尾を振っていた。どうやら予知で見た出来事をこれから説明するようだ。
「えっとね、ぼくが見たのはグリードオーシャンのとある島、もふりすと……そう、『モフリス島』だよ!」
 なんだか名前だけで雰囲気が想像できる気がする。
「そこはキマイラフューチャーが元になった島でね、キラキラした海岸が有名なんだよ! 島の子供達はみんなそこで遊ぶんだって! いいなぁ!」
 そんな平和なモフリス島だが、最近とある噂が広まっているという。
「子供達の間で、『夜の砂浜には誰かがいるらしい』って噂が広まっているんだけど……実はそれ、コンキスタドールだって事が分かって……」
 もちはしゅんと耳を下げる。噂話の正体がコンキスタドールである事を予知で知ったものの、どのようなコンキスタドールであるのか、目的は何なのかという事までは分からなかったようだ。
「悪い奴が島にいるって事だけは分かったんだけど、まだ事件や被害とかは何も起こってないし、誰もコンキスタドールって気付いてないんだ。だから、今のうちにこっそりやっつけて欲しいの!」
 穏やかで平和な島を脅かす訳にはいかない。悪の存在を誰にも知られる事がないまま、敵を撃退する。それが今回の目標である。
 とはいえ、『夜の砂浜』だけでは具体的な時間や場所、状況などは分からない。
「まずお昼頃、島に着いたら砂浜に行ってみて! 子供達が遊んでるから、噂話をこっそり聞いてみるといいかも!」
 しかし突然知らない人から声を掛けられたら、流石に子供達も驚くかもしれない。
「声を掛けるきっかけ作りに、海岸ですっごいものを作れば良いと思うんだ! 今、『砂の城作り』が流行中なんだって! だからすっごい砂の城を作ったら、子供達も集まって来るかもね!」
 その『すっごい砂の城』で子供達のハートを掴む事ができれば、警戒心が解け簡単に接する事ができるだろう。

「ぼくからの説明はここまでかな? 聞いてくれてありがとう! それじゃあ、頑張って来てね!」
 もちは笑顔のままごろんとうつ伏せ、猟兵達にお辞儀をした。





第2章 集団戦 『マンティコアキッズ』

POW ●こいつをたおしたらご飯にしような!
【食欲】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD ●もうちょっとだけがんばる!
【お昼寝の時間までがんばる気持ち】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
WIZ ●今がチャンスだけどおやつが食べたい…
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【おやつ】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 子供達と遊びながら収集した情報を頼りに、猟兵達は深夜に備えて準備を進めた。
 誰もが寝静まった深夜、再び訪れた海岸には誰一人として島民の姿は見当たらない。
 ……そう、島民の姿だけは見当たらない。

「わぁ、今日はキラキラした城が多いぞ!」
「これ、大きい……すごい……」
「お持ち帰りできそうなお城とか貝殻、あるかなぁ」
 確かにそれは複数人の子供の声だった。良い子なら眠っている時間帯にこれは不自然だ。
 猟兵達は声の聞こえる方へと急いで向かう。そこで彼らが出会ったのは――。

「う、うわぁ!!?」
「ひゃー!!?」
 子供だった。確かに子供だった。しかしその下半身は獣の四肢となっている。可愛らしいもふもふであっても昼間にはそのような子供はいなかったはずだ。
 そう、これが噂の正体であるコンキスタドール、マンティコアキッズである。
「み、見られてしまったー! キラキラを集めてる所を見られてしまったー!」
「ボスに……怒られる……」
「見られたからにはやっつけなきゃー!」
 猟兵に発見された事に驚き慌てるキッズ達。どうやらキラキラした砂を集めているらしい。ついでにボスもいるらしい。……黙っていればただ遊んでいるようにしか見えなかったのだが、悪い事をしているという自覚はあるようだ。
「お、オレ達はボスの命令でキラキラを集めてるだけだ! 別に砂の城なんて気にならないんだぞ! こんなもの壊してやってもいいんだぞ!」
 震えた声で強がったキッズが指さしたものは、今回一番目立っていた砂の城。そう、猟兵達が頑張って作り上げた砂の城である。
「どーだ動けないだろー! このままオレ達はお前らをやっつけて、ここのキラキラをぜーんぶ奪ってやるんだ!」
 この海岸のキラキラが全てなくなってしまえば、ただの砂浜になってしまう。 いや、砂がなくなってただの浜になってしまうかもしれない。なんという恐ろしい計画だ!
「よーしやっちまえー!」
「おー!!」 
 キッズ達は猟兵達をやっつけようと、(道中そびえ立つ砂の城を壊さないように)元気よく襲い掛かるのだった。
ロロ・ゼロロ
ふむ、幽霊騒ぎの正体は、随分と可愛らしい者達であったな。
だが、あなどれぬ。
もふもふとした耳や足にて、余らのもふ欲を掻き立てる狡猾なる策をとるとは……恐るべきコンキスタドールもいたものよ……

だが、己が欲望を飼い慣らす事、余にとっては容易き事。
抜剣し、いざ討伐に赴かん

ぬぬ、巨大化だと?
育ち盛り、食べ盛りの子には勝てぬ……
ならば余も、魔力にて立ち向かおう。
猛れ炎、渦巻け水、そして破滅の音色を奏でよ風ー(【トリニティ・エンハンス】)

断罪の準備は整った。
搦め手は、割と好まぬ。余も攻撃力を高めて正面突破。
剣に三属性の魔力を注ぎ、相手の戦闘力を凌駕しようぞ
さあ獣の子らよ、力比べとゆこうではない、かー


 威嚇するキッズ達を目の当たりにしたロロ・ゼロロ(ゆるチュウニ王子・f23416)。困ったものだと顎に手を当てた。
「ふむ、このようなコンキスタドールが存在するのも、もふもふであるこの島故か……」
 あの姿を見ていると、なんだか頭をわしゃわしゃしたくなる。ふつふつと湧くもふ欲を我慢しなければならないのが悔しくも感じてしまう。
「昼間と似て元気な子らよ。敵対しなければならないのが惜しいものだ、なー」
「おおっ、来るんだな! 来るんだな! こいつがどうなってもいいんだな!」
 キッズが大きな砂の城に向けて指をさす。ロロが子供達と作った巨大な王国だ。しかしキッズは城を壊す雰囲気は感じられない。むしろ城の下に広がる城下町に足が入らないよう自ら距離をとっているようにも見える。
「余の城を狙うとは、魔王の手下め。この剣で相手をしてやろうぞ」
 握った剣の剣先をキッズ達に向ける。うぐぅ、とキッズ達は思わずたじろいだが、あそこまで意地を張ってしまったからには逃げる事などできない。
「お、オレ達は今お腹すいてるんだ! 早くやっつけてボスのところ行って、ご飯にするぞー!」
「するぞー!」
「するぞー!」
 幼く元気な咆哮を上げると、キッズ達は不思議なオーラを発した。お腹の音が何処からか聞こえた気がしなくもない。が、そんな気の抜けるような音とは裏腹に、キッズ達の体は倍の大きさへと巨大化していく。
「ぬぬ、巨大化だと? 流石に育ち盛り、食べ盛りの子には勝てぬ……」
 そうロロは口から零す。が、決して尻込みをした訳ではない。
「……ならば余も、魔力にて立ち向かおう」
 剣を構え、目を閉じる。己の刃にそっと語り掛けると、三色の輝きが集結し、刃へと吸い込まれていく。
「猛れ炎、渦巻け水、そして破滅の音色を奏でよ風ー」
 断罪の準備は整った。三色の輝きが力を増幅させ、剣は刀身と鋭さを増す。がおー、と迫り来る巨大なキッズ達にも動じず、ロロはその場で剣を振りかぶる。
「……さあ獣の子らよ、力比べとゆこうではない、かー」
 キッズ達が何人襲い掛かろうが、こちらが選ぶ行動は一つ。正面突破だけだ。
 一体のキッズが大きな前足で掴み掛かった瞬間と同時に、ロロは溢れんばかりの輝きを横一線へと振るった。
「おわっ!!?」
 前足から生えた鋭い爪が弾かれた。バランスを崩したキッズが後から来るキッズ達とぶつかり陣形が崩れてゆく。しかしそれだけでは終わらない。炎と水を風の刃が包み込み、三色の螺旋となったものがキッズ達へ容赦なく襲い掛かった。
「うぎゃあー!! 熱い冷たい痛い!!」
「痛いって痛いって!! 押さないで!! 踏まないで!!」
 巨大化しても中身は変わらず。キッズ達は大パニックを起こし、どたどたと大騒ぎをしながらその数を減らしていくのだった。
成功 🔵🔵🔴

リリ・リーボウィッツ
いかにモフモフで可愛くとも、見逃すわけにはいきません。悪い子にはおしおきでーす。

食欲を原動力とする技? だったら、お腹いっぱいになってしまえば、封じることができるかもしれませんね。
というわけで、美味しいドーナツをばらまきましょう。そーれ!
技を封じるだけでなく、人質ならぬ城質を取って脅してる子の注意も引けるので一石二鳥。もぐもぐ(さりげなく自分も食べてる)。
そして、皆がドーナツにかぶりついてる隙を衝き、ナイフでホーミング攻撃。しゅばばーん! もぐもぐ。
もちろん、ナイフは周りの城に当たらないように飛ばしますよー。もぐもぐ。

余裕があれば、とどめを刺さずに『ボス』とやらのことを聞き出します。もぐもぐ。


 耳の生えた砂の城、ケモミミ城が城質に取られてしまった。リリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)は腰に手を当てむすっとする。
「……いかにモフモフで可愛くとも、見逃すわけにはいきません」
 見た目が可愛くとも中身が可愛くなければ、それはただの悪い子である。
「詳しい事情は知りませんが、ちょっとでも城に手を出したら痛い目に遭いますよ、手を出さなくても遭いますよ」
「うぐっ」
 キッズ達は慌てて後退る。壊す度胸なんてないのだが、だからこそ余計に砂の城に触れないよう気を付けた。
「こ、壊しても壊さなくても痛いのなら、オレ達はお前をやっつけるまでだぞ!」
「城なんて壊さなくても、キラキラは持って帰れるもんね!」
「そーだそーだ、帰っておやつだー!」
 お腹を空かせたキッズ達は吠える。お腹も鳴り響く。どこからか現れた不思議なオーラがキッズ達に力を与えようとする光景にリリも身構える。……と思いきや。
「……空腹でしたか。確かに今は午前三時を丁度過ぎた辺りでしょうか」
 ごそごそ。何かを取り出す。
「おやつの時間ですね。こんな時間ですが良いでしょう。そーれ!」
 リリが手に持ったのは四角い箱。その中に入っているものをキッズ達に向けて投げ付けた。フリスビーのように投げられたそれに気付いた一体のキッズは思わず口でキャッチする。
「もぐ……? こ、これはっ!!」
 さくさくのチョコドーナツだ!!
「うまーい!!」
「あーっ!? ずるーい!!」
「はーい、まだありますよー」
 リリは箱に入ったドーナツを次々に投げてばら撒いてやった。色とりどりのフリスビードーナツをキッズ達が我先にと取り合い、そして勝者は満面の笑みを浮かべながらドーナツを貪る。
「こうして見ると普通の子供なんですよね、何故彼らはコンキスタドールなんでしょうか。もぐもぐ」
 自分用のドーナツもしっかり用意していたリリ。不思議なオーラが消え去ったキッズ達を眺め、無害そうなのに残念だなぁと零し。
「しかしボスとやらが存在し、キラキラを持って帰るようでしたので……やはり悪い子なのでしょう。悪い子にはおしおきでーす、しゅばばーん!」
 ドーナツを口に咥えながら、リリは十二本の投げナイフを空中に浮遊させた。念動力によって操られた輝く投げナイフは、魚のように縦横無尽に素早く泳いだ。佇む砂の城を掻い潜り、キッズ達の死角からちくりと刺す。
「ぎゃーーいっっってぇーー!!!」
 至福の空間から現実に戻されたキッズ達。ドーナツを守りながら大騒ぎで魚から逃げ回る。
「ひゃあぁー!! いたっ!」
 一匹のキッズが派手に転んだ。キラキラ輝く砂だらけになってしまったキッズが顔を上げると、目の前で屈んでいたドーナツを頬張るお姉さん、リリと目が合ってしまった。
「あのー、ボスとやらがいると思うのですが、あなた達は何が目的なのですか? もぐもぐ」
「ぼ、ボスが、キラキラくれたらおやつあげるって言うから……!」
「キラキラを何に使うのですか? もぐもぐ」
「知らないよー! とにかくキラキラしたものが好きなんだよー!」
「うーん、謎が多いですねぇ。もぐもぐ」
「……正直に答えたからドーナツまたちょーだい?」
「うーん……ダメです」
「うわぁん!!」
 ぽしゅん。キッズは刺される前に恐れおののき自ら消失してしまった。
成功 🔵🔵🔴

ミント・キャラメル
こんな真夜中に子どもが夜遊びしてたら叱られるんですよぉ。
わたしも眠たいけどショーは頑張りますぅ。

「ユーベルコード・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー! ライオンさぁーん☆」

マンティコアキッズの「もうちょっとだけがんばる!」に対し、ユーベルコード「ライオンライド」ですぅ。

ライオンの胴・サソリの尻尾のマンティコアの、
「親戚のおじさん」にあたるオスのライオンさんにたーっぷり叱ってもらいますぅ。
あの子達の能力6倍と、わたしの身長の2倍のライオンさんなら、まだこっちが色々と大きいはずですぅ☆


 猟兵とはいえ良い子にとって深夜は眠い時間。ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)は目をこすりながらも輝く海岸へ赴く。
「あんなに子ども達が……悪い子ですねぇ。こんな真夜中に夜遊びしてたら叱られるんですよぉ」
 砂の城を背にキッズ達が群がっている現場を発見すると、腕を大きく上げ、大きな伸びをする。
「うぅん……わたしも眠たいけどショーは頑張りますぅ」
 お客がいるのなら手を抜く事はできない。ぱちん、と自分の頬を叩いて目を覚ますと、ミントの顔はイリュージョニストの顔つきに切り替わる。
「こんばんはぁ! ショータイムのお時間ですよぉ☆」
 突如響いた明るい声にキッズ達は一斉に振り向く。そこには一人のイリュージョニストが腕を広げ笑顔を振りまいていた。
「ショータイム? なになに? お祭り?」
「楽しいコトかな?」
 キッズ達はざわざわと話し始める。猟兵としてではなく、純粋にミントに興味を持ったようだ。……しかし。
「こんな真夜中ですけどぉ、悪い子達の為に今夜は特別ですからねぇ!」
「わ、悪い子……! ちちち違うもん!」
 悪い子と言われすぐさま動揺するキッズ達。やはり彼らは嘘が下手だった。
「夜更かしも嘘つきも悪い子ですよぉ、そんな子には……ユーベルコード・イリュージョン☆」
 ミントはスクイーカーを鳴らす。きらきらと輝き出す彼女の背後にキッズ達は思わず食い付いた。子供心ながら何が現れるのかと少しわくわくしてしまったのだが、その期待は一瞬にして崩れ去る事となる。
「ワぁン・ツぅー・スリぃー! ライオンさぁーん☆」
 輝く空間から現れたのは巨大なライオン。黄金に輝く威厳ある獅子の姿に、キッズ達の顔は真っ青になった。
 そう、何故なら自分達もライオンだからである。完全にライオンである訳ではないが、その要素はしっかりと身体に残っている。つまり簡単に言うと、ライオンとは『親戚』のような関係なのである。
 その『親戚』が突然目の前に現れ、めちゃくちゃ怒った顔でこちらを見ているのだ。そりゃ怖い、怖すぎる。悪い事をしているという自覚があるキッズ達は心の底から凍り付き、ガタガタと震え出す。
「さぁ、この『親戚のおじさん』はとーっても怒ってますよぉ。ライオンさん、お仕置きしちゃってくださいな☆」
 ひょい、とミントがライオンの背に乗ると、ライオンは大きな咆哮を一つ響かせてみせた。大きな口に鋭い牙を見せつけられたキッズ達も、相手に負けないくらいの悲鳴を上げてみせた。
「ひゃああぁぁ!!! ごめんなさいいぃぃっっ!!!」
「食べられちゃうよおぉぉ!!! 怒らないでえぇぇっ!!!」
 キッズ達はユーベルコードを使う事すら忘れて逃げ惑った。ライオンが高く飛び上がり逃げ回るキッズ達の中へと着地すると、キッズ達は攻撃すらされていないにも関わらず恐怖に屈し失神する。
「あらまぁ……一喝しただけで凄い効果ですねぇ。拳骨もまだですのにぃ」
 失神したまま、ぽひゅん、と煙になって消えていくキッズ達を眺めるミント。実は良い子なのですかねぇ、とぽつりと呟くのだった。
大成功 🔵🔵🔵