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顕界への未練

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●此岸を恋うモノ
 かつて、数多の命が散った戦場跡。冷たい風が吹き荒ぶそこに、ゆらりと立ち上がる影がある。
 それらは一人、また一人と立ち上がって、いつしかずらりと群れを成して。
 何者かがしゃらりと鳴らした錫杖の音に従い、人の住む世界へと歩を進め始める。

●彼岸へ送る者
「オブリビオンの軍勢が現れる光景が見えたんだ」
 グリモア猟兵の影守・吾聞(f00374)は落ち着かぬ様子で尻尾を揺らしつつ、猟兵たちへ予知の内容を伝え始める。
 場所はサムライエンパイアのとある戦場跡。そこから落ち武者の姿をしたオブリビオンが次々と湧き出すのだという。
「戦場の跡から出現したってことは、戦で亡くなった人たち……なのかな。そいつらが徒党を組んで、人の行き来の多い街道の方へ向かおうとしてるんだ」
 街道は常に旅人や観光客で賑わっている。人的被害を出さぬためにも、早急に猟兵が討伐に向かう必要があるだろう。
「今からテレポートすれば、敵が侵攻を始める直前に戦場跡まで辿り着けるよ。外に出て行かれる前に、もう一度眠ってもらわないと、ね」

 予知の光景によると、軍勢は統率が取れた動きをしていたと吾聞は付け加える。
「自然発生の可能性もあるけど……強い力を持つ何者かが彼らを蘇らせたのかもしれない。もしボスがいるようなら、そいつもやっつけないとね」
 どうぞよろしくと挨拶をして後、少年は仲間たちへ一つの提案する。
「戦いの後にはさ、街道まで足を伸ばしてみよっか。そこは旅人向けの食事処がいっぱいあって、ご飯や甘味が楽しめるんだ。賑やかな場所だから、散歩していろいろ見て回ってみるのもいいかも」
 こうした楽しみも猟兵の特権だと微笑んで、吾聞はテレポートの準備を始めたのだった。


藤影有
 お世話になっております。藤影有です。
 街道の賑わいを守るべく、猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。

 第1章は【集団戦】、第2章は【ボス戦】です。
 オブリビオン事件を解決できれば、第3章で街道にてのんびりタイムを楽しめます。

●のんびりタイム
 旅人や観光客などで賑わう街道でのんびり過ごせます。
 お食事するもよし、散策するもよし。

 複数人参加の場合、【お相手の名前とIDorグループ名】の明記をお願いします。

 ※第3章のみの参加も可。

●グリモア猟兵について
 影守・吾聞(f00374)は、第3章でお誘いプレイングを頂いた場合のみ登場します。

●余談
 拙作『顕現せし地獄』での事件を思わせる表現をほんのり取り入れています(該当リプレイは読まずとも、全く問題ありません)

 それでは、皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『落武者』

POW   :    無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

遠呂智・景明
「死んだ奴が、今を生きてる奴らの邪魔をしちゃあいけねぇだろ」

数が多い敵に対し、精霊を召喚し【風林火陰山雷 雷霆の如く】を発動。触れた敵を切断する雷撃で敵へ攻撃する。

「動くこと雷霆の如しってな。とっとと休めよ。お前らが無念を晴らしたい相手は、とうの昔にくたばってんだ」

かつて刀として戦場を駆けた己も、まかり間違えば目の前のオブリビオンのようになっていた可能性もあったのかな、と自問する。

「だが、同情はしてやらねぇ。今を侵すってんならな」

【殺気】をぶつけ敵を威圧しつつ、【フェイント】【見切り】で敵の攻撃に対応。
距離が近づけば自分の装備した二本の刀で【2回攻撃】【傷口をえぐる】。


夜神・静流
「また亡者が迷い出ましたか……せめて、これ以上苦しまないように浄化いたしましょう」

投擲・破魔技能を使用し、浄化の霊符を投げて攻撃します。
複数の敵に囲まれた場合は怪力・範囲攻撃・薙ぎ払い・属性攻撃・破魔・早業技能を使用し、三ノ太刀・鳴神で纏めて薙ぎ払います。
敵の攻撃には見切り・残像による回避やオーラ防御・武器受け・呪詛耐性による防御で対処。

「お眠りなさい。せめて貴方達の魂に安らぎがあらんことを」


吹鳴管・五ツ音
戦場で果てることが出来たなら本望でしょうに…いえ
(戦場の外に望みがあったのか、と、逸れかかる思考を軍帽を引き下げ中断)

銃後を脅かす者は皆等しく我が敵軍
貴官らの敵軍は、今此処に
本懐を遂げる場所は、戦場は、今此処に
…我らの後方に貴官らの敵はいないのでありますよ

起床呼集、吹鳴

…五体を削ぎ落として身軽になった敵兵を優先的に、援護射撃にて足を止めさせることを心がけましょう

小銃の斉射は広範にばらまくように
敵兵の撃破時機を一度に纏められるように
損傷の蓄積を調整するよう心がけましょう

戦闘が長引く戦術でありますから…自分が目立ち敵の攻撃を集めることで、猟兵の皆さんの負傷を抑えることが出来るとよいのでありますが…



●夢のあと
 そこは、山の麓の開けた地。
 いつか築かれた陣も既に無く、兵どもの帰る場所は現世の何処にもありはしない。
 それでも彼らは、歩みを止めない。

「死んだ奴が、今を生きてる奴らの邪魔をしちゃあいけねぇだろ」
 殺気を放って落武者の軍勢を威圧しつつも、遠呂智・景明(f00220)は自問する。己もまかり間違っていたら、相対する彼らと似た運命を歩んでいたのだろうかと。
「また、亡者が迷い出ましたか……」
 ほんの束の間、夜神・静流(f05903)は目を伏せる。行き場なき魂が、せめてこれ以上は苦しむことのないように。そう祈った刹那、愛刀の刃が陽光を映してきらりと輝く。
「戦場で果てることが出来たなら本望でしょうに……いえ」
 軍帽を目深に引き下げて、吹鳴管・五ツ音(f06593)は逸れ掛かった思考を制す。たとえ亡者の望みが外にあろうとも、行かせてやるわけにはいかないのだから。
 うぞうぞと数多の亡者が迫り来ようとも。
 それでも猟兵は、一歩も退かない。

「ーー起きろよ起きろ、皆起きろ」
 五ツ音の吹き鳴らす行軍喇叭の音が開戦を告げる。歩兵と武者、二つの御霊の軍勢が正面から衝突する。わらわらと刀を振りかざして襲ってくる亡者の群れを。
「動くこと雷霆の如し。雷霆の斬れ味受けてみな」
 景明が呼び寄せた雷の術が断ち切り、その数を大きく減らす。
「とっとと休めよ。お前らが無念を晴らしたい相手は、とうの昔にくたばってんだ」
 今を侵し、未来を喰らう者に容赦はできぬ。それこそが、今この戦場を仲間と共に駆ける“大蛇切景明”の在り方。怪物殺したる刀のヤドリガミは、在ってはいけないモノどもと切り結ぶ。
 一度、ニ度と閃く斬撃。景明が腕を落とし攻撃を封じた幾体かに、五ツ音の指示を受けた小隊が銃弾を撃ち込みとどめを刺していく。
「貴官らの敵軍は、今此処に。本懐を遂げる場所は……戦場は、今此処に」
 戦場の先へは行かせぬとの五ツ音の心を感じたか、後方へいた彼女へと何処からか放たれた衝撃破が迫る。
「……っ!」
 もしも直撃していたら、深手は免れなかったであろう。怨嗟の斬撃から五ツ音を守ったのは、静流であった。破魔の力が宿る浄化の霊符を投げ込んで、敵の込めた怨念を浄化することで威力を大幅に和らげたのだ。
「……もう、お眠りなさい」
 凛とした声で、しかし僅かに哀しげに。静流は衝撃破の元凶へと告げる。怨嗟に塗れた兵のなれの果てに、その声が届くことはないのかもしれないが。
(せめて、貴方達の魂に安らぎがあらんことを)
 それでも今いちど祈りを込めて、刀をしっかりと構え直して。
「我が剣は雷。薙ぎ払え、三ノ太刀・鳴神!」
 雷を宿した破魔の一撃で、大きく薙ぐ。戦場に広がっていく閃光に呑まれゆく中、兵どもは何を思ったか。
 静流を中心にした半径の中にいた亡者は浄化され、陽炎のように姿を消していく。その向こうから、うぞうぞと行軍してくる次の一団が見えるーー残るはあと半分ほど、といったところか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。

ああ、あの人も志半ばで逝ったね・・・(夫の死の事件思い出して心痛める)あの人も彷徨い出る可能性があると思うとぞっとしない。無念の気持ちは良く分る。せめて、終わらせてやるよ。

【忍び足】と【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、【二回攻撃】と【範囲攻撃】を併用しながら、奥の手で敵の武器による攻撃を封じる。身体能力をフルに使っての武器攻撃なら、その身体を動けなくするまでだ!!


真宮・奏
【真宮家】で参加。

響母さんの話では、私が5歳の時に父が死んだのは戦地だと聞きました。志半ばで若くして死んだ父のように、彼らも無念の気持ちで彷徨っているのでしょうか?せめて、終わりを。

敵は複数で現れるのでトリニティエンハンスの強化は攻撃力を選択。先陣を切って【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で敵の攻撃の火力を軽減しながら、【属性攻撃】を【二回攻撃】と【範囲攻撃】を併用しながら敵集団を攻撃していきます。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

私は元々戦士の一族の生まれです。生みの両親が出会ったのも戦地でした。故郷もまた戦地になり、滅びました。戦士の一族の生まれだからこそ、戦地で果てる覚悟は出来てるからこそ・・彷徨える武者に全力で向き合います


敵は手練れの戦士、気を抜くとやられます。最初から【高速詠唱】【全力魔法】で容赦なく氷晶の矢を撃ちます。【二回攻撃】と【範囲攻撃】も併用して殲滅力を高めます。敵の攻撃は【見切り】と【オーラ防御】で対抗を。




 迫る亡者の軍勢に、間宮・響(f00434)の紫の瞳に哀しげな色が浮かぶ。想うは、既に亡き愛する伴侶のこと。彼もまた、志半ばで果てたのだ。
「あの人も彷徨い出る可能性があると思うと……無念の気持ちは、よくわかるよ」
 いつもの女傑の顔は影を潜め、今は一人の女性の表情。寂しげに呟く母親の袖を、真宮・奏(f03210)が軽く引く。
「彼らが無念の気持ちを抱えて彷徨っているのなら。せめて、終わりを」
 幼い頃に、若くして命を落とした父。もしも彼が無念を抱えているなら、目の前の彼らが父と同じなら。自分はーー響によく似た瞳を持つ娘は、毅然と母親に言葉を掛ける。
(僕も、戦地で果てる覚悟はできています)
 母と妹を一歩退いて見守りつつ、神城・瞬(f06558)は思考する。響と奏の家族になる前、自身も戦士の一族として生まれ育った。その在り方は、今なお変わることはない。
「彷徨える彼らに、全力で向きあいましょう」
 大切な息子と娘の声に頷いて、響も心を決める。
「ああ……終わらせてやろう」
 血よりも濃い絆で結ばれた間宮家の三人が、兵どもを迎え撃つ。

「……行きます!」
 先陣を切るは奏。三種の魔力で攻撃力を高めて、真っ直ぐに敵軍へと切り込んでいく。亡者どももまた怨念を纏い奏と相対する。
 敵の繰り出す高速の斬撃の威力を、熟達した防御の技能と展開したオーラにて軽減し。奏は属性を乗せた攻撃を次々と繰り出し反撃していく。
 娘に1体、また1体と倒されていく亡者。しかし黙ってやられているだけでなく。怨念を刀へ乗せ、衝撃破を放つ構えを取る。
「あまり使いたくはないけれど……今使わなくていつ使うのさ!!」
 衝撃破の一撃は、後衛まで届きうるもの。敵の射程範囲に在る、愛する娘を息子を守るため。気配を殺して迫っていた響は影より飛び出し、奥の手を繰り出した。
 手枷、猿轡、拘束ロープ。武人としての王道からは外れた各種の拘束の術で、亡者の動きを完全に封じ込めて。身体能力を存分に使った大振りな一撃で、周りの敵ごと葬り去ったーーその豪快な様は、まさに普段の彼女である。
(ああ、いつもの母さんだ)
 前へと飛び出して行った奏と響の背中を守りつつ魔術を詠唱をしていた瞬が、口元を僅かに緩めた。
「皆様、手練の戦士とお見受けしました。ですから……こちらも全力で参ります!」
 猪突猛進な母と、彼女からその心根を継いだ妹。大切な家族に寄り添うこともまた、今の瞬の在り方なのだから。
 青年の意志を乗せた氷晶の矢が、残る亡者を穿っていく。
 幾体かは四肢を吹き飛ばされてもなお動き、俊敏に刀を振り回し続ける。が、親子三人の連携の元に、次々とその身を断ち切られていきーー遂に、蠢く亡者はいなくなった。

『ああ、口惜しい』
 そう、いなくなったはずだった。静かになった戦場に。
『折角、彼らが無念を晴らす機会を……悪い方々ですねぇ』
 先程まではいなかったはずの男が立っている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『黒幕の助言者』

POW   :    死灰復然(しかいふくねん)
【Lv体の武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    含沙射影(がんしゃせきえい)
【無数の影の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    電光雷轟(でんこうらいごう)
【錫杖】を向けた対象に、【激しい雷光】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 手にした錫杖をしゃらりと鳴らし、黒衣の男は口を開く。
『ああ全く、口惜しい』
 猟兵たちを忌々しそうに見つめ、男は続ける。
『せっかく顕界へ呼び戻した彼らを、また幽界へ送ってしまうだなんて……彼らはただ、死してなお抱えた想いを叶えたかっただけなのに。あなた方は何故、彼らが帰る邪魔をするのです?』

 既に亡きモノを呼び戻し、現世へと解き放つ。黒幕はこの男で確定だ。
 彼の目的は定かではない。しかし、ここで見逃す理由などありはしない。
遠呂智・景明
「さっきアイツらにも言ったがよ。死者が生者を邪魔しちゃあならねぇんだよ」

そう言いつつ腰に下げた二刀を抜く。

「だからテメェのそれは余計なお世話だってんだ」

駆け出すと、まずは敵の攻撃を見に徹する。
【フェイント】【残像】で撹乱しつつ敵の攻撃を【見切る】

敵がユーベルコードを使用したら、それに合わせて【風林火陰山雷 林の如く】を発動。

「見せてもらったぜその動き!」
敵の攻撃を予測し、回避しながら敵に迫り胴体を狙い【2回攻撃】を用いて連撃を放つ。

トドメはほかの猟兵に任せその体力を削ることに徹する。


吹鳴管・五ツ音
またおあいしましたね
初めまして

何故と問うならば
彼らが生者に仇をなさんとした。
それだけで十分であります

ーー数多の屍を積み上げた果てにある”今”を生きる者を害するならば、等しく我らの敵軍に相違ありませんので

自分は、我らは、銃後を、今を、護ります

(起床呼集、吹鳴)

其れこそ自分と、我が同胞たちの想い
なぜ邪魔をするのかなどとは問いません
ただ、我らは歩むのみ

…さて、こうして言葉を投げかけることで、皆さんが敵将を討つ準備時間を作り出せているとよいのでありますが

小隊各員は新たに呼び出される敵軍を斉射にて撃破、小隊長殿は敵将の抑えを

我らは波状攻撃にて敵将の攻め手を封じ、攻撃を通す隙を作り出しましょう

突撃、始め



●現れてはいけないもの
「またお会いしましたね、初めまして」
 五ツ音の言葉に怪訝な表情を浮かべる黒衣の男。しかし、すぐに得心したように頷いて。
『なるほど。おそらくは別の何処かでも、貴女は私の邪魔をしてくれたのでしょうね』
 ひどく忌々しげに錫杖を握りしめるこの男には、どうやら己が骸の海より染み出した者という自覚があるらしい。
『何故……何故、邪魔をするのです? 未練を抱えた彼らを、哀れとは思わぬのですか?』
「彼らが生者に仇をなさんとした。それだけで、十分であります」
 喇叭を構えつつ答える五ツ音。その横で、景明もまた言葉を紡ぐ。
「さっき戦ったアイツらにも言ったがよ。死者が生者を邪魔しちゃあならねぇんだよ……だから」
 すらりと腰の二刀を抜いて。
「テメェのそれは余計なお世話だってんだ」
 怪物殺しは、地を蹴った。

『……口惜しい』
 吐き捨てるように呟いて、黒衣の男は乱暴に錫杖を足下へと突き刺す。刺したところから影が四方八方へと伸び、無数の黒い刃を生み出して戦場へと解き放つ。
 刃のひとつが景明を切り刻んだ刹那ーー景明が、消えた。
『残像……ならば、本体は』
「徐かなること、林の如く」
 男の背後で、ひどく静かな声が響く。反射的に振り返った男と、景明の視線が交錯しーーきぃんと金属音が響く。景明の胴を狙う一撃を、男は錫杖を構えて防ぎきった。しかし。
「見せてもらったぜ、その動き!」
 景明の刃は、二つ。続くもう一撃が、未来を食らう敵を薙ぐ。黒衣の男の胴に、真新しい一文字の深い傷が刻まれた。
 ぐらりとゆらぐ男の身体に、続けて亡霊の歩兵小隊による銃撃が浴びせられる。
(数多の屍を積み上げた果てにある”今”を生きる者を害するならば、等しく我らの敵軍に相違ありません)
 銃後を、今を護るため。五ツ音は喇叭を吹き鳴らす。応じて歩む同胞らは、彼女と想いを同じくするゆえ。
『ああ……何故、何故!』
 黒衣の男が吠え、錫杖を振り回す。あまりにも我武者羅な動きから放たれた雷撃は、敵の動きを注視していた景明、敵から距離を取っていた五ツ音。二人を傷つけるには至らず、亡霊の歩兵の幾体かを焦がすに留まった。
『何故、過去から……我らから目を逸らすのだ!!』
 過去の化身の慟哭が、戦場に虚しく響く。今を未来を守る猟兵と、彼らが相容れることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

あ、敵の深慮なんて知ったことないし、知りたくもない。死人を呼び戻して尚戦わせようとするその腐った性根ごと叩き潰すだけだ。人の命を冒涜した罪は贖って貰わないとね。

奏に護りを、瞬に支援を頼み、【忍び足】と【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、【槍投げ】を当てる隙を伺う。槍が上手く当たったら、ドラゴニックエンドで攻撃するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

本当に勝手な言い分ですね。死者を蘇らせて更に戦わせるなど、命を道具としか扱ってない輩に容赦する理由はこれっぽちも見つかりませんね。覚悟はいいですか?

敵の攻撃は強力なので、攻撃手の響母さんと瞬兄さんの攻撃が邪魔されないように、トリニティエンハンスで防御力を強化、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で攻撃から【かばう】いざという時は【拠点防御】も併用します。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

死んだ方は眠らせたままにして差し上げるのは筋道。敵の思いがどうであれ、自分の身勝手な理由で命を弄んだ罪は重い。容赦はしません。

何より、敵の攻撃を一手に引き受ける奏の負担軽減と、響母さんの攻撃支援の為、【高速詠唱】【全力魔法】で容赦なく、氷晶の矢を撃ちます。こちらに攻撃が飛んで来た場合は、【見切り】【オーラ防御】で対処します。




 過去の化身の慟哭に呼応するは、過去の存在のみ。辺りにうぞうぞと武者の霊体が湧き出し、群れを成して猟兵へと牙を剥く。
 ただ機械的に武器を振るい、襲い掛かることしかできぬ亡者。瞳は濁りきり、光は宿っておらずーーそこに果たして、彼らの意志があるのか否か。
「人の命を冒涜した罪、贖って貰わないとね……奏、瞬。頼んだよ!」
 死者を呼び戻して、なお戦わせようとする。そこにどんな思惑があるかなど、知ったことか。黒衣の男の腐った性根を叩きなおしてやらんと、響は音もなく戦場へ駆けていく。愛する娘と息子、二人に背中を任せて。
「ええ。人の命を道具としてしか扱わない輩に、容赦する理由はこれっぽちも見つかりませんものね」
 響の後を追わんとする亡者の群れの前に、奏が割り込みその動きを阻害する。
「母さんと兄さんのところには行かせません! 私が相手です!」
 トリニティ・エンハンスーー三属性の力で防御をさらに固め、己の持ちうる全ての護りの術を使って。奏は迫り来る亡者どもを押し返していく。
「死んだ方は眠らせたままにして差し上げるのが筋道でしょう……さて、これを見切れますか」
 一箇所へ固まった敵群へと、瞬は全力を込めた氷晶の矢を打ち込んでいく。
 反撃の矢が頬を掠めようと、青年は表情を変えることはない。護りを一手に引き受ける妹の負担を軽くするため。攻めの好機を伺う母の助けとなるため。そして。
「命を弄んだ罪は、重いですよ」
 身勝手な理由で死者を冒涜するオブリビオンに裁きを下すため。赤と金の瞳が黒衣の男を見据える。敵の姿を覆い隠していた亡者の群れは、氷魔法に貫かれて粗方その姿を消していた。
『ああ……生ある貴様らに、理解などできるはずもなかったか!!』
 鬼の形相で声を荒げ、男は錫杖を振るう。それが瞬へと向けられる前に、奏が当て身を食らわし矛先を逸らす。
「本当に勝手ですね……覚悟はいいですか?」
 身を焼く雷に構うことなく己を見下ろしてくる奏を、苦々しく睨みつける黒衣の男。その腕を、足を。瞬の放った魔の氷矢が穿っていく。
「あなたの思いがどうであれ、私たちは容赦はしません」
『ほざけぇ!!!』
 地に縫い止められて、身体の自由を奪われて。それでもなお食い下がる男ーーその腹へ、槍が深々と突き立てられた。
 気配を殺し身を隠して隙を伺い槍の一撃を見事に当てた響が、再び姿を現して黒衣の男へと問う。
「……何か言い残すことはあるかい?」
 それはせめてもの情けだったのかもしれないがーー男が何かを答えることはなく。
「そうかい。それじゃ……歯ァ、食いしばりな!!」
 槍が穿ったその傷目掛け、響の召喚した竜が大顎開いて飛んでいく。
『ああ……口惜しい』
 呟いた男を竜がぐしゃりと噛み砕いたかと思うとーーその身はぐずぐずと黒く染まり、風に乗ってふわりと消えていった。

 戦場跡に広がる静寂。迷える魂の姿は、もう何処にも無い。
 猟兵たちの活躍により、生者が脅かされる危機は去ったのだ。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『お茶屋で一服』

POW   :    屋台そばや握り寿司など、たっぷりとお食事を味わいます。

SPD   :    周辺の散策や、ちょっとしたパフォーマンスなどで楽しみます。

WIZ   :    お団子や抹茶など、甘味をゆっくり味わいます。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●流れ行く今
 わいわい、がやがや。
 街道は今日も賑わいを見せている。
 男も女も、老いも若きも。ここで皆、生きている。
 東へ西へと流れ行く人々の流れを楽しみつつ、一息入れるのも乙なものだろう。
真宮・響
【真宮家】で参加。

何か生あるものに恨みがあるとか言ってたけど死んだ奴が生き返って恨みを果たそうだなんて世の理が許すとも思えないけどね。まあ、美味しい物食べてすっきりしようか。子供達、一杯動いてお腹空いただろう?

奏を真ん中に親子三人で仲良く並んで座って蕎麦や握り寿司を頂こうか。これも守り抜いた風景だ。たっぷり満喫するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。


生に未練があるといっても生あるものに害を加える理由にはならないと思うのです。(う~ん、と考え込み)まあ、難しい事を考えるのは後にしましょう!!お腹がぐ~ぐ~と鳴っています。今は美味しいもの食べましょう。(目をキラキラ)

響母さんと瞬兄さんに囲まれて幸せそうにお蕎麦や握りずしを頂きます。それはがっつくように。すし飯が口に付いてしまって瞬兄さんに取って貰ったり。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

まあ、恨みを晴らしたいのは理解できれど、生あるものを害したとて、またそこに悲しみが増えるだけです。考えることは多々あれど、死人の居場所なありません。色々考えたいですが、傍に腹ぺこがいるので、食事と行きますか。

奏を真ん中にお蕎麦や握りずしを頂きます。これも奮闘して守り抜いた結果。奏の口のご飯を取ってあげながら、ゆっくりと時間を過ごさせて頂きますね。




(何か生ある者にやたら執着していたけれど……死んだ奴が生き返って恨みを晴らそうなんてねえ。世の理が許すとも思えないけれど)
(生ある者を害したとて、そこに哀しみが増えるだけです)
 戦いの後も、それぞれの想いを馳せる響と瞬。生ある者と死した者。浮かぶ考えはまだまだ付きない。
「生に未練があるといっても生あるものに害を加える理由にはならないと思うのです」
 奏もまたしばらくは、うんうんと悩み込んでいたが。
「でもまあ、難しい事を考えるのは後にして! 今は美味しいもの食べましょう!!」
 お腹の虫には勝てなかった。さてさて何を食べようか。早くも瞳を輝かせて屋台をちらちらと見やる娘の様子に、思わず吹き出す母と兄。
「ははは、そうだね。美味しいもの食べてすっきりしようか。二人とも、お腹空いただろう?」
「そうですね。既に待ちきれない子もいることですし」
 仲良く連れ立って屋台へ歩む。一家団欒の始まりだ。

「わあ、いろいろありますね! うーん……母さん、兄さん。どれにしましょう?」
 数々の屋台を前に、歳相応の顔ではしゃぐ奏。それは空腹からだけでなく、きっと家族と一緒に過ごすこのひと時が幸せだから。
「うーん、確かに悩ましいねえ……いっそ、食べたいものみんな頼んじゃおうか」
 響はここでも豪快な決断力を見せる。常ならばその猪突猛進さを制することもある瞬も、今回は静かに頷いた。
 仲良くいっぱい戦ったゆえ、三人ともお腹ぺこぺこなのだ。

 奏が真ん中の席に座り、響と瞬がその両側へ。
 幕府から猟兵たちに与えられている天下自在符を店員へと見せれば、その一角は間宮家の食卓へと早変わり。
 まもなくそこへ、注文した蕎麦や握り寿司が運ばれてきてずらりと並ぶ。
 蕎麦は挽きたて。味噌を濾して作ったつゆに、薬味の大根おろし、鰹節、あさつき、芥子、わさびを添えた一品。
 握り寿司はさっぱりとした酢飯に、色とりどりの魚介を乗せて。特徴的なのは一つの大きさ。現代日本に伝わるそれとは違い、口に頬張らねばならないほど巨大なのだ。握り寿司というよりは、おにぎりの方が近いかもしれない。
 なかなかボリュームたっぷりであるが、一家は次々と平らげていく。食は身体を作るもの。それへの貪欲さも、戦士の家系ゆえといったところだろうか。
 特に幸せそうに食事を楽しんでいるのは奏だ。具体的にどれくらいかというと。
「奏……もう少し落ち着いて食べなさい」
 瞬が取ってやるまで、頬に付いたごはん粒に全く気付かなかったくらいに。
「へ? あ、ありがとう。兄さん」
 頬を赤らめる奏。兄であり、慕う人に取ってもらったごはん粒。複雑な乙女心が不意に顔を覗かせる。
 目を離せない妹に微笑んで、瞬は彼女の頭を優しく撫でる。
 そんな子供たちの仲睦まじい様子を見守り、響は今生きている幸せを噛みしめる。

 このかけがえのない温かな時間は、周りを取り巻く喧騒は。
 愛する家族みんなで、守り抜いたものなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

遠呂智・景明
【アドリブ歓迎】
「ふぅ、やっぱこれが旅の醍醐味よな」

近場の屋台で蕎麦と寿司、お茶を購入し、街頭が見渡せる丘で食事にしよう。
買ってきたものはどれも美味しそうだ。

「そんじゃ、いただきます。」
パチンと手を合わせると、人々の流れを眺めながら食事にありつく。

「……………。」
黙々と料理を消費しつつ、己の守れたものを自覚する。そして、この光景を喜べるうちは、先程の敵のような、惨めな姿には消してならないはずだ、と自問する。

「ふぅ、ご馳走様でした。」
それは目の前の光景と、料理に。そして、共に戦った仲間に向けて。




「ふぅ、やっぱこれが旅の醍醐味よな」
 屋台にて蕎麦に寿司にお茶を調達、食事の準備を手早くしっかり整えて。景明は街道の様子が一望できる丘まで足を伸ばし、腰を下ろした。
「そんじゃ、いただきます」
 パチンと手を合わせて、男はひとり黙々と箸を進め始める。
「…………」
 景明が箸を動かす間にも、街道の喧騒が丘まで届いてくる。
 屋台に人を呼び込む男の声。茶屋で黄色い声を上げる娘たちの声。元気よく駆けていく小さな足音は、遊び盛りの子供だろうか。
 老若男女が此処に生きて、また何処かに流れて行く。この時代にありふれたひとつの光景が、景明の心に染みていく。
(この光景を喜べるうちは。先程の敵のような、惨めな姿には、決して)
 自覚と自問を胸に、景明が紡ぐのは。
「ふぅ、ご馳走様でした」
 目の前の光景と、料理に。そして、共に戦った仲間に向けての言葉。

 それは、彼が確かに彼である証。
 “遠呂智・景明”として生きている証。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吹鳴管・五ツ音
♪~…
(行進曲を鼻唄に口ずさみながら、音色にサウンド・オブ・パワーを乗せながら
ゆっくりと街道を歩く
道行く人たちが、今より少しだけもっと元気に、道の先を目指せるように)

…死んだ方は、眠らせたままに

(戦闘の最中に聞こえた言葉を反芻するように繰り返す)

なら、私は。
…いえ。いいえ。分かってたことじゃないですか。
それでも、私は。

(頭を振って、また歩き出す)

♪~♪
…へわぁ!?
あ、吾聞さん!?
あの、い、何時から…!
ち、ちょっと
ちょっとだけ待ってくださいね…!
(顔を両手で覆ってごしごしごし)

…その。吾聞殿
よければさっきのは聞かなかったことにして頂けると…
じ、自分にできることならなんでもするでありますので!




 街道を歩きながら、五ツ音は唄う。
 行進曲の音色に、生ある者の背を押す力を乗せて。
 行き交う人が、今より少しだけ。もっと元気に、道の先を目指せますように。
 込める想いと裏腹に。
(死んだ方は、眠らせたままに)
 ひとつの言葉が胸に渦巻く。

 なら、私は。
 いや、分かっていたことだ。
 それでも、“私”は。

 頭を振れど、答えは見えない。それでもまた歩きだすと。
「いい歌だね」
「へわぁ!?」
 見えたのは見知った顔。グリモア猟兵の影守・吾聞(f00374)が、団子を頬張りながら五ツ音を見つめている。
「あ、吾聞さん!? あの、い、何時から……!」
 ちょっと待ってと少年を制止、振り返り顔をごしごし。深呼吸よし。口調よし。
 再びくるりと向き直り。
「……その、吾聞殿。よければさっきのは聞かなかったことにして頂けると」
「さっきのって?」
 二本目の団子に手を付けつつ、五ツ音の言葉に首を傾げる吾聞。わかっているのか、いないのか。
「じ、自分にできることならなんでもするでありますので!」
「よくわかんないけど、それじゃ……はい」
 少年は微笑み、新しい団子の包みを開いて彼女へ差し出した。

 街道は今日も賑わいを見せている。
 ここで皆、生きている。
 これからも、皆で生きていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月24日


挿絵イラスト