帝竜戦役①~不死への願いの果てに
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「帝竜たちよ! 総員、急ぎ軍備を整えよ! 余はこれより『カタストロフ』にて全てを破壊し、汝らを連れ、界渡るものとなろう!」
帝竜『ヴァルギリオス』が下した号令。それを受けて群竜大陸に巣食う帝竜たちが策動を始める。アックス&ウィザーズの崩壊に向けて、きたるべき猟兵たちを迎え撃つために。
そして群竜大陸の片隅、魂喰らいの森でもまた。鬱蒼とした木々の影、骸の如き魔術師が侵入者の魂を求めて、誘うような声を上げるのであった。
「さあ来い、猟兵ヨ――私とヒトツになれ、トモに死の恐怖から解放されるノダ」
●
「アックス&ウィザーズで状況が大きく動いた。オブリビオンフォーミュラ『ヴァルギリオス』が、カタストロフを起こそうとしている。群竜大陸の奥深く、不可侵防壁の中でだ。
卿らには群竜大陸の攻略と同時に、不可侵防壁を生み出している配下の帝竜たちの始末を頼むことになる。――無論、まだ先の話だ。我等はまだ帝竜へとつながる道すら見つけていないのだから」
と、ディスターブ・オフィディアンは肩をすくめて見せる。
「今回は、帝竜たちへ攻撃を仕掛けるための下準備だ。群竜大陸の入り口、魂喰らいの森にいる番人の一体を倒してもらいたい。奴らに足止めをされている場合ではないのでな」
番人たちを倒し探索範囲を広げることで、帝竜撃破への道筋も見つかるだろう、とディスターブ。
「今回の依頼で狙う森の番人は、『死の冒涜者』。不死を願い生にしがみ付いた魔術師の成れの果てだ。骸の如き外見だが生きている。ユーベルコードでの攻撃と同時に、自分と一体化し永遠の命を手に入れるよう持ち掛けてくるが……、何のことはない、こちらの魂を啜られ餌にされるだけだ。対策は、同化の拒絶――楽しい思い出を強く念じることで抵抗できるだろう」
言ってディスターブは禁断の果実の如きグリモアを輝かせる。
「さあ、今こそ世界を救うのだ。手始めに、哀れな魔術師の命を終わらせてやれ」
雲鶴
●主人公求む! 雲鶴です。
今回は『帝竜戦役』魂喰らいの森での戦闘シナリオとなります。
地形は鬱蒼と木々が茂った中。森の番人である死の冒涜者の目の前に転送されるため、すぐに戦闘に入ることが可能です。
『楽しい思い出を強く念じること』で魂啜りに対抗しつつ、不死を願った魔術師の残骸に、引導を渡してあげてください。
皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『『死』の冒涜者』
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POW : 生命を貪る蒼炎の衣
全身を【生への妄執たる青き炎】で覆い、自身が敵から受けた【死に体する恐怖】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 不死たる十三の蛇
自身の身体部位ひとつを【十三の首を持つ蒼炎のヒュドラ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 永遠の楽園
戦闘用の、自身と同じ強さの【何度でも蘇る蒼炎の落し子】と【落し子を生み続ける不死たる母体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠御手洗・花子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アイン・セラフィナイト
……不死者になるために、色々なものを犠牲にしたように聞こえるね。
死ぬのは誰だって怖いよ。だけどいずれ訪れる死の前に、ボクは色々な人との出会いで何かを見出すことが出来るって信じてる。
他の猟兵さんと一緒に天体観測をした。一緒に依頼に行って助け合ったりした。ボクと一緒に戦ってくれるあの人と一緒に、バレンタインの日も一緒に料理とかもしたかな。その全てがボクのかけがえのない「楽しい」ことなんだ。
ウンディーネ、不死者の全てを融かせ。UC発動、【ウンディーネ・ミスト】に呑まれろ!不定形の存在さえも、その霧は全てを浄化する!もう十分だよ、キミの生はここで終わるんだ……!(全力魔法・属性攻撃)
(アドリブ歓迎)
●鎮魂の霧
『魂喰らいの森』、鬱蒼と生い茂る木々の合間に、青い鬼火が一つ、また一つと飛んでいく。その中央、ひと際大きい鬼火の中で、カタカタと骸骨が音を立てる。完全に白骨化しながらもその魔術師は生きていた。鬼火を身に纏い浮遊しながら、周囲の森の中を警戒している。じめじめと湿った空気の中、微かに腐った匂いがした。
「あれで生きているのか。……不死者になるために、ずいぶんと色々なものを犠牲にしたようだね」
茂みの陰に身を潜めアイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)は微かに声に嫌悪をにじませる。手にした杖を掲げると四大精霊の一つ、ウンディーネの力を開放するための呪文を唱え――同時に骸の魔術師がアインへと振り向いた。しゃれこうべの虚ろな眼窩の奥に、確かな意志の光が見えた、気がした。同時に、魔術師の頭上に蒼炎の魔方陣が浮かぶ。
「気付かれたっ!」
アインは咄嗟に無数の水の矢を生成、魔術師へ向けて解き放つ。一つ二つと魔術師に命中、体勢を崩した所へ三発目、一撃が命中するよりも早く魔方陣から生み出された人型の蒼炎――蒼炎の落し子がアインが放った水の矢を叩き落して、疾走。アインを捉えようと腕を揮う。しゃがんで躱すアイン、その頭上を蒼炎の腕が掠めた瞬間、アインの背筋に冷たいものが走る。魔力、生命の根源を奪い取られそうになる感触、森の番人の特殊能力、魂啜りだ。
アインは過去の記憶を手繰り寄せて魂啜りに対抗しながら、向かい来る落とし子に水の矢で応戦する。
仲間との天体観測の記憶と共に放った一矢が一体の落し子を貫き、揮われる蒼炎の爪を見切りでかわす。その炎を通じて魔術師の思考がアインの頭へと流れ込んだ。
『オマエとて死は怖かろウ。……抵抗をヤめ私と共に不死とナルのだ』
「そうだね、死ぬのは誰だって怖いよ。……だけどいずれ訪れる死の前に、ボクは色々な人との出会いで何かを見出すことが出来るって信じてる」
思い出すのは仲間達との記憶。一緒にオブリビオンと戦い、あるいは日常を過ごす。ヴァレンタインにはあの人と大騒ぎしながら料理をした。かけがえのない楽しい日々と、仲間との出会い。それら全てをなげうたなければ手に入らない、不死。
「いらないんだよ、そんなもの」
アインの言葉にたじろいだように魂啜りの感触が消える。即座にアインは術式を発動。
「ウンディーネ、不死者の全てを融かせ!」
アインが放ったのは白い霧、それは瞬く間に落とし子たちを呑み込み浄化していき、落とし子を生み出す魔法陣と魔術師本人へ近づいていく。
「もう十分だよ、この森をさまようだけのキミの生はここで終わるんだ……!」
アインの言葉と同時、魔術師が白い霧に飲み込まれる。悲鳴が森に響いた。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆SPD
死から逃れたいと望む思考には覚えがある、それ自体を否定しようとは思わない
人狼の寿命は短い、今でこそ覚悟はできているが、昔はひどく恐ろしく感じたものだった
もしかしたら、今でも…
…しかし、誘いに乗るかは別だ
俺は今の暮らしをそこそこ気に入っている
様々な世界を訪れる事も、昔は考えられなかった新しいものに出会う事も、
初めは驚くばかりだったが、今ではそれを楽しいとすら思える程
だから、迷い無く誘いを拒む
たとえ短い命でも、俺は俺のまま生きていく
ヒュドラの頭部は噛みつきを誘って回避、数が多く避け切れなければ射撃で相殺
エンチャントアタッチメントを装着
炎の『属性攻撃』弾をユーベルコードに乗せ、本体を狙い撃つ
●逃れる者と立ち向かう者
「グウゥウ、おのれ猟兵……っ!」
蒼炎を身に纏った魔術師の骸が森の中を逃げ延びていく。不意に飛行を止め何かを躱すように身をのけぞらせ――銃声、魔術師の眼前を鉛弾が貫いた。
「……気付いたか。勘のいいことだ」
茂みの奥から姿を現したのは銃声の主、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)、魔術師へとハンドガンの照準を合わせる。
「逃れられると思うな」
「ノガ……レル? カッ、カカッ! 逃れ得ぬのは貴様ダッ! 我がヒュドラの術、見るがヨい!」
哄笑と同時、魔術師が身に纏う蒼炎が爆ぜた。森の天蓋を貫くほどに大きく伸び、十三の首を持つ蛇の如く、鎌首をもたげシキを見下ろす。シキは迷わず発砲、それが戦いの合図となった。
或いは頭上から降りかかり、脇から喰らいつこうとする蒼炎のヒュドラをシキは三つ四つとかわして、五本目にバーストショット。炎の首を相殺し、リロードの瞬間、六本目がきた。大きく開いた顎が右腕に食らいつき、シキの体を持ち上げる。魂を食われる感覚。シキの頭に魔術師の声が響く。
――人狼なれば、その命は短かろう。だがワタシと共にくれば、死の運命は逃れられるゾ。
「ああ、そうだな。人狼の……俺の寿命は長くはない。覚悟はしたつもりだが昔はひどく恐ろしく感じたものだ。今だって恐れていないわけじゃない、しかし」
魂啜りに対抗するようにシキは自らの記憶を思い起こす。悪くない、そう今の暮らしは決して悪くない。様々な世界を訪れる事、想像もつかない新しいものに出会う事、初めは驚き戸惑う事ばかりだったが、今ではそうした違いを、新しい物との出会いを楽しめる程。
「だから俺は逃げない」
蒼炎に焼かれる痛みをこらえながら、シキは次弾を装填。
「たとえ短い命でも、俺は俺のまま生きて、俺の死を死ぬ!」
発砲、ゼロ距離射撃。放たれた銃弾が蒼炎の首を砕き、シキは空中に投げ出される。彼の目に、暴れまわるヒュドラの首の向こう、魔術師の骸を包む蒼炎が弱まるのが見えた。空中でシキはエンチャントアタッチメントをハンドガン・シロガネにセット、射撃体勢へ。一瞬の集中の後に発砲。炎の魔力と共に放たれた銃弾はヒュドラの首の隙間を針の穴を通すようにぬけて、魔術師の本体に着弾。その白骨化した体を貫き、真紅の炎で包みこんだ。
大成功
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キャサリン・エンスレイヴ
・方針
楽しい思い出(※)を強く念じて同化を拒絶しつつ戦闘。POWで攻める。
【高速詠唱】で詠唱速度を速め、【全力魔法】で威力を増幅したUCに、【多重詠唱】で複数の属性を召喚した【属性攻撃】を付与した攻撃を行う。
戦略的に有利であれば、【空中浮遊】と【空中戦】など使用し柔軟に対応。
敵を【情報収集】で入念に観察し、不得手なステータスを看破した後は方針を変え、狙いをPOWから別のステータスへ移行する。当然UCは意味をなさなくなるため、他のステータス狙いの同行者へ声掛けなどして連係を密にして攻撃タイミングを合わせ、これを援護。
※楽しい思い出
「アイドルに化けたオウガにUCで腹パン決めたのは楽しかったな!」
●聖なるかな、聖なるかな
「ナゼ、ダ。なぜ拒む。不死の体、永遠の命ヲ……」
ダメージを受けた体をいたわるように、骸の魔術師が起き上る。そこへはらりと、一枚の紙が舞い落ちてきた。うるさげに手をふるい、その紙を払いのけた瞬間、白骨化した手を貫く様に銃剣が生えた。悲鳴を上げる魔術師の背後の茂みから、一人の猟兵が姿を現す。
「我は神の代理人。神罰の地上代行者。塵にすぎないお前は、塵へと帰れ!」
キャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)は言葉と同時、再び一枚の紙――聖書の一ページを魔術師へ向けて投げ放つ。迎え撃つように魔術師が鬼火を放つ。蒼い炎が紙片を包んだ、直後紙片が銃剣へと代わり蒼炎を貫いて加速、魔術師の肩を貫く。
「ヒッ、ヒッヒッヒヒッ!」
魔術師の口から洩れるのは、悲鳴か、笑い声か。その身を包む蒼炎が勢いを増す。同時にキャサリンヘと放たれる無数の火炎弾。
対してキャサリンはあるいは銃剣によって相殺し、あるいは空中飛行によって直撃を躱す。鬼火に銃剣で撃ち合いながら、キャサリンは聖句を唱え続ける。
「汝、王国、峻厳と荘厳と永遠にかくあれかし――」
彼女の聖句に反応するように、時に銃剣に稲妻が走り、時に凍てつくような冷気を纏う。
――電気、冷気共にダメージの通りは低い。暗黒は言わずもがな。むしろさっきの炎や破魔、単純な物理の方が攻撃としては通りやすい。
幾つもの属性攻撃を撃ち込み、被弾時の魔術師の反応を読み解いて、キャサリンはそう結論付ける。
くるりとキャサリンがトンボを切って着地した所へ、魔術師が拳を振りかざして突進。その身の蒼炎がちろりとキャサリンに触れる。瞬間、キャサリンの口元に笑みが浮かんだ。彼女の脳裏を掠めるのは、オウガとの戦いの記憶。アイドルに化けてアリスを精神的に追い詰めるオウガを殴り倒す――楽しく、痛快な記憶であった。
「弱者をいたぶる連中を殴り飛ばしてやった。腹パンを決めたんだ、こんなふうに!」
キャサリンは魔術師へと逆に踏み込み懐へ飛び込む、腹部へのゼロインチパンチ、拳に張り付けた聖書のページが命中と同時に銃剣となって、魔術師の体に突き刺さる。
「情報収集ももう十分だ――死人は死人らしく骸の海へ帰るがいい!」
よろける魔術師の頭上へと跳躍しキャサリンは聖書のページをまき散らす、一瞬の後それらは無数の銃剣となって魔術師へと飛来し、その全身を存分に貫いた。
大成功
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ウィノラ・シュレミール
アドリブ連携歓迎
永遠の命を求めた果てが森の番人ですか
なんと悲しい物語
ならば終わらせてあげましょう
思い出すのは……私の原体験にしましょうか
幼い頃、偶然見かけた人形劇
王子が悪い竜を倒して姫を救う、というシンプルな冒険譚でした
でも私はそれがとても楽しくて
様々な動きで踊る人形達に
工夫を凝らした楽しい演出
表情の動かない人形達がまるで生きているかのように見えて
私もやってみたいと憧れたものです
だから私もやり遂げます
人形達と共に冒険譚を作り上げるためここへ来ました
さあ、踊りの時間です
【早業】で親友達を手繰り、鋏を持たせて踊らせます
十三の首を掻い潜り、切り刻んであげましょう
【傷口をえぐる】ようにチョキン、です!
●人形たちとの冒険譚
「まだダッ、まだワタシは死なヌ! 生き延びて見せル」
「そうして永遠の命を求めた果てが、魂を啜る森の番人ですか」
ウィノラ・シュレミール(天蓋花の人形劇・f26014)は、吠える魔術師へいっそ憐みの視線を向けた。
「番人とは名ばかりに、この森に捕らわれて。なんと、悲しい物語。なればこそ終わらせてあげましょう」
行ってウィノラが糸を手繰れば彼女が手にしていた人形達が生きているかのように動き出す。
「さあ踊りの時間です、行きますよ、レヒト、リンク!」
鋏をもって魔術師へと襲い掛かる二つの人形。その一振りを杖で弾き、魔術師は全身の蒼炎を膨張させ、十三首のヒュドラへと変貌させる。
ウィノラに向け前後左右から立て続けに襲い掛かるヒュドラの首。それらをあるいはフェイントで躱し、あるいはオーラで防ぎながら、ウィノラは糸を手繰り、二つの人形で魔術師へ攻撃を仕掛けていく。
そうして糸を手繰りながら、ウィノラは思い出す。彼女自身の原風景、かつて見た人形劇。王子が邪龍を倒して御姫様を救う、他愛もないおとぎ話。けれど、そこには無数の工夫が凝らされていた。邪竜の恐ろしい鳴き声を模した楽器の音に、王子の持つ剣が輝く演出、人形たちのが踊る舞踏会。そうして操られる人形たちがまるで生きているように見えて――。
「私もやってみたいと憧れたものです。観客を、みんなを笑顔にする人形劇を!」
「人形ゴッコならば、骸の海でやってイロッ!」
魔術師の怒号、同時に襲い掛かるヒュドラの顎。その一撃をウィノラがオーラで弾いた先には、もう一本のヒュドラの首。
自分で自分の首に食らいつくヒュドラの姿に、ウィノラがクスリと笑う。
「あなたの体の構造、動きの癖。全て覚えました。操り糸こそなくても、あなたは私のマリオネット」
ウィノラの言葉を否定するかのように、ヒュドラは躍起になって彼女へ喰らいつこうとする。そうするたびに、ウィノラの背後の木に頭をぶつけ、また別の首に噛みつかされる。その隙にウィノラの操る人形たちが一本また一本とヒュドラの首を落としていき、最後の一本、首が絡まって身動きが取れなくなったところに、双子の人形が大きな鋏を当てて。
「チョキン、です!」
最後のヒュドラの首が落とされる。魔術師の悲鳴が森に響いた。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
生き彷徨う死者に安らかなる眠りを…
楽しい思い出…
英雄達のいる世界では映画の撮影をした
桜舞う世界で電車に乗った
派手な未来世界では魔法少女になった
常闇の世界では人々の希望が育みつつある
生の[情熱]は未だ尽きない…まだ死ぬ訳にはいかない…
だが…貴様の不死に巻き込まれるのはごめんだ!
[狂気・呪詛耐性]を施し
鉄塊剣を抜き[覚悟]を決め相手しよう
鉄塊剣を振るい[怪力、重量攻撃]で叩きつけて攻撃
[力溜め、衝撃波、属性攻撃]を用いた【火車八つ裂きの刑】を放ち
妄執の蒼炎ごと敵を地獄の炎で[吹き飛ばし]て、その不死を
絶ち切ってやろう!
…貴様はここで安らかに眠るがいい
私は…まだ眠るつもりはない…
●地獄からの使者
魂喰らいの森の中を、浮遊し逃げまどう骸の魔術師。その逃げ道を遮るように立ちはだかったのは、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)。
「生き彷徨う死者に安らかなる眠りを……。私の炎に焼かれるがいい」
言って、アンナは愛用の鉄塊剣の切っ先をヒタリと魔術師へ突き付ける。彼女の体から噴き出す地獄の炎がその刀身にまとわりつく。
「ヒッ、地獄ノ炎……!」
カチカチ、カチと魔術師が白骨化した歯を鳴らす。
「イヤだ、その炎に、地獄にくべられるのは嫌だ!」
悲鳴と同時、魔術師が纏う蒼炎が膨れ上がり、アンナへ向けて撃ち放たれる。飛来する鬼火へ向けてアンナは疾走。一つ二つと鉄塊剣で切り払い、三発目をギリギリでかわし同時に発動する魂啜り。持っていかれそうになる生命力を留めたのは、かつて旅した世界での思い出。
――ヒーローたちの世界では映画を撮影した、桜舞う世界では電車に乗った。
「ハァッ!」
気合と共に叩きつけた鉄塊剣を魔術師は蒼炎の魔方陣で受け止め逸らす。直後ふるわれる蒼炎の爪、その一撃をアンナはスウェーでかわす。
――キマイラ達の未来世界では魔法少女にもなった。
手首を返して、逆袈裟に切り上げる。切っ先が魔方陣を断ち切り、魔術師の鼻先を掠める。追い打ちの唐竹割を、魔術師は跳躍して回避。さらにアンナが踏み込んだ所へ、魔術師が巨大な魔方陣を展開する。
「選ぶガいい! 消し炭になるか! 私と共に不死となるか!」
放たれる巨大な火球。それを眼前にアンナの脳裏に浮かんだのは故郷の光景。
――ダークセイヴァー、あの常闇の世界にも人々の希望が育みつつある。
「……私は死ぬ訳にはいかない……。私はまだ、生きていたい」
迫りくる火球を睨みつけ、アンナは鉄塊剣に纏わせた地獄の炎を強める。
「だが……貴様の不死に巻き込まれるのはごめんだ! その妄執、その不死、断ち切ってやる!」
一閃、振り抜いた鉄塊剣から地獄の炎が放たれる。地獄の炎は刃となって蒼炎の火球を切り裂き、両断。真っ二つとなった火球がアンナの背後で二つの爆音を上げた。そして魔術師もまた。
「馬鹿ナ、こんな。馬鹿なァ――――ッ!」
放たれた地獄の炎に体を焼かれ悲鳴を上げる魔術師。その頭上へアンナは処刑具を模した鉄塊剣を振り上げる。
「……せめて安らかに。貴様はここで眠るがいい」
振り下ろした一撃が、魔術師の白骨化した体を砕く。
「私は……まだ眠るつもりはない」
呟くアンナの全身を、地獄の炎が彩った。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
不死とてそう良いものでもないと思うがナ。ふふ、村衆の一生を眼に収めその死を送る……ワシはいつだって送る側じゃ。楽しいことも悲しいことも、死すれば良い奴だったと思い出になるもんじゃ。
さあ、お前も骸の海へと送ってやろう。
[UC眩惑の術][呪詛][催眠術][精神攻撃]――不死たる存在とて我に抗うこと能わず――"動くな" 落とし子と母体の動きを封じたらば、死の冒涜者に[破魔]の霊符を投げ放ち攻撃と共に召喚の解除を狙おう。
彼奴の炎の攻撃は[火炎耐性]の霊符で防陣を敷き防ぐ。狐火の繰り手がそう簡単に炎に負けてはお話にならん。
真に不死なるものなど存在しないさ、お前も……そしてワシもナ。
●時の守り人
「グッ、我が身が亡ぶ、否、否! 私は不死……滅ぶはずがない」
「不死とてそう良いものでもないと思うがナ。まあ、言ったところで聞き入れはせぬか」
声をかけたのは御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)。童女の如き外見ではあったがその言葉のうちには百年を生きる者の深い落ち着きと、かすかな哀れみがあった。
「その偽りの不死、ここで終わらせてやろう」
「否! 私の不死に終わりなど、ありえん!」
言って霊符を構える稲見之守に対し、魔術師は蒼炎の落とし子達を召喚。稲見之守へ向けて差し向ける。横なぎに振るわれる蒼炎の爪を、稲見之守はしゃがんで回避。背後からの一撃に一瞬早く跳躍、蒼炎が空を切った。宙に舞った稲見之守へ向けて、一斉に放たれる無数の鬼火。
「甘い! 狐火の繰り手に炎とはな!」
言葉と同時、稲見之守は耐火符を発動、魔力の防陣を発生させ、鬼火を防ぐ。悪あがきの様に、魂を啜ろうとする感触。それに対抗するように、稲見之守はかつての記憶を呼び起こす。おのれが生きた百年の記憶を。
――今まで、幾人もの村衆の一生を眼に収め、その死を送ってきた。生まれてきた赤子が気が付けば若者になり、父となって子をなし、老いて死ぬ。……ワシはいつだって送る側じゃ。楽しいばかりではない、悲しいこともあった、それでもいずれは不思議と良い思い出と、良い奴だったと思えるようになるもんじゃ。
彼女の思考に反応したように骸の魔術師が声を張り上げる。
「これは、この記憶はっ! 素晴らしィ! お前こそ真の不死者! その魂があれば私もまた……!」
着地した稲見之守にむけて殺到する落とし子たち。彼らを見る稲見之守の瞳が妖しく光、一言。
「動くな」
その言葉に、彼女の瞳に縛られて、すべての落とし子と母体が動きを止めた。
「不死たる存在とて我に抗うこと能わず――百年の年月は伊達ではないぞ」
無造作に骸の魔術師へと歩み寄る稲見之守。落とし子たちは立ち竦み彼女を妨害することもできない。稲見之守の卓越した呪詛と催眠術があって初めてなせる業であった。
そして稲見之守が投げ放った破魔ノ霊符が、魔術師の体を焼く。
「ガアァッ、私にも、その魂が、……真の不死があれ、ば!」
「真に不死なるものなど存在しないさ、お前も……そしてワシもナ」
稲見之守の周囲で、術を解除された落とし子たちが風に溶けるように骸の海へと帰っていった。
大成功
🔵🔵🔵
フェルト・ユメノアール
道化として『パフォーマンス』をしていた時のお客さんたちの笑顔、煌びやかな舞台
それを脳裏に思い浮かべ魂啜りに対抗する
キミと一緒になったってボクの夢は叶わない……
ボクが本当に欲しいものはみんなの笑顔なんだから!
召喚された敵は不死身、効果が負傷で解除されるなら冒涜者は一番後ろに陣取るはず……なら
『トリックスターを投擲』して相手を牽制、さらにこちらに敵を引き付ける
そう来ると思ったよ
ボクは手札から【SPカップスワッパー】を召喚!
さらにカップスワッパーの効果発動!
ライフを消費する事で自分と相手ユニットの位置を入れ替える!<天地鳴動>!
冒涜者に一番近い敵と自分を入れ替え、そのまま無防備な冒涜者を攻撃する
●トリックスター
魂喰らいの森の中、蒼炎が揺れて腐臭が漂う。白骨化した骸の如き魔術師が、地べたに陣を描きその中に身を安めていた。
「傷ヲ負いすぎた。少しでも回復しなくてハ……」
「おっと、そうはさせないよっ!」
言葉と共に飛来する一振りのダガー。それが地面に描かれた魔方陣に突き立ち、魔術師の回復を遮る。
「猟兵。追っ手かっ!」
魔術師の言葉にフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は笑みを浮かべ、大仰にお辞儀をして見せる。
「いかにもその通り。予言しよう。君は、ボクの三本目のダガーで倒れると!」
「舐めるなっ」
言うや否や、魔術師は新たな魔方陣を起動――呼び出された落とし子達が、フェルトへと襲い掛かる。
正面から薙ぎ払われる爪をフェルトはしゃがんで躱し、直後に高く跳躍、一瞬後、彼女がいた場所を一体の落とし子がタックルを仕掛け、避けられたことに気付いて足を止める。落とし子が狼狽えたように周囲を見回す。その顔に手をついてフェルトは片手逆立ち――空いた片手で二本目のダガーを向けて投げ放つ。飛来するダガーを魔術師は手にした杖で打ち払う。そして次の一振りを警戒するように、一体の落とし子を傍に控えさせ、残りをフェルトへと差し向ける。
その光景にフェルトはすぐさま着地、魔術師に背を向けて走り出す。
「全く張り合いがないよ、芸を披露して見せたんだから、もっと違う反応が欲しいね」
言って彼女が思いをはせるのは、スポットライトに彩られ歓声と拍手に沸く、華やかな舞台。その記憶が、彼女を魔術師の魂啜りから守っていた。
とうとう落とし子に脇から回り込まれ、フェルトは足を止める。彼女の周りを落とし子たちが包囲している。魔術師は包囲網の外で、一体の落とし子を護衛につかせたまま、口を開いた。
「抵抗をやめヨ、我が不死を受け入れるのダ。――ともに永遠を歩もうではないカ」
「嫌だね、キミと一緒になったってボクの夢は叶わない……。ボクが本当に欲しいものはみんなの笑顔なんだから! 一人の観客もいない森に永遠に閉じこもるなんて御免さ! それに、ボクにはまだ奥の手がある!」
言葉と同時、フェルトは一枚のカードを天に掲げる。
「召喚、スマイルパペット・カップスワッパー!」
フェルトの背後に奇術師の如き悪魔の姿が浮かび上がる。そしてフェルトと護衛の落とし子に巨大なカップをかぶせたかと思うと、瞬く間に二人の位置が入れ替わる。魔術師は慌てて落とし子たちを呼び戻そうとするが、間に合わない。
「君が一番後ろに陣取る事、ダガーを警戒して護衛を置くこと、すべて読み通りさ」
フェルトは魔術師まで一直線に駆け抜けて、すれ違いざまにダガーを振り抜く。
「予言通り、――三本目だ」
彼女の背後で魔術師が倒れた。
大成功
🔵🔵🔵
ヘルガ・リープフラウ
・ヴォルフ(f05120)と
楽しい思い出…ヴォルフと過ごした幸せな日々
家族を、故郷を、全てを失い打ちひしがれたわたくしを救ってくれた
強敵の攻撃から庇ってくれた背中の広さ
繋いだ手の、抱きしめられた腕の温もり
どんなに不安な時も、寂しい時も、彼の存在がわたくしを暖めてくれた
人を欺き、啜り、食い物にする事で得られる「永遠の孤独」に
どれほどの価値がありましょう?
わたくしは、これからも彼と手を取り、共に歩んでゆきます
どんな苦難も、彼と共に乗り越えると誓ったのだから
【主よ、哀れみ給え】
生命の理を知らぬ哀れな罪人に、今一度懺悔の時を
取り込まれた人々の魂に慰めと追悼を
ヴォルフ、あなたの剣で悲しみを終わらせて…!
ヴォルフガング・エアレーザー
・ヘルガ(f03378)と
ヘルガ…戦うことしか知らぬ、孤独な一匹狼だった俺に
人の心を教えてくれた
お前と共に旅をする中で、花や星や歌の美しさを知った
お前の笑顔が、優しさが、凍てついた心を暖め
守ることの尊さを教えてくれた
救われたのは俺の方だ
俺たち人狼が、決して長くは生きられないのは知っている
ならば俺は命の限り、彼女を守るため戦おう
彼女の愛するこの世界から笑顔を奪わせぬために…!
敵の攻撃は野生の勘で見切り回避
貴様如きがこの俺を、【疾風の青狼】を捕らえられるものか
【守護騎士の誓い】は決して折れることはない
ヘルガの祈りが、俺に勇気を与えてくれる
敵の隙を突き鎧砕きの一撃
己のあるべき場所に、骸の海に還れ…!
●誓いの守護騎士と、哀れみの聖者
「アアァ……、この体が維持できぬヌ。ハヤク、ハヤク、新たな魂ヲ……」
無数の傷を負い尋常のオブリビオンならば滅びるほどのダメージを負いながらも、魔術師はなおも生きて、新たな犠牲者をもとめて森をさまよう。
「それだけ多くの犠牲者を、毒牙にかけて来たのですね」
「だがそれも、今日で終わりだ」
魔術師の背後から声をかけたのはヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)とヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)の二人。祈るように手を合わせるヘルガの前でヴォルフガングが魔術師へと剣を構える。
「終ワリ……? クカッカカカカッ! 終わりナド無い! 私もお前たちも、永遠を生き続ける!」
魔術師の纏う蒼炎が膨れ上がり多頭蛇――蒼炎のヒュドラの如き姿へ変じる。連続で喰らいかかる十三の首、一つ二つとヴォルフガングは野生の感で巧みに避け、三つ目。喰らいつこうとする顎に剣を突き入れた瞬間、ヘルガへ背後から迫る顎が見えた。
とっさに彼女の手を引き体を入れ替えるヴォルフガング、その左手にヒュドラの顎が食らいついた。ヴォルフガングの全身に凍えるような魂を啜られる感触が走る。頭に響く魔術師の声、不死へのいざない。
『その耳、その異形、知っているゾ、人狼病。長く生きることはできまい。その体を捨てヨ。不死の魂となって永遠を生きるのダ』
その問いに対する答えは、ヴォルフガングの手の中にあった。オラトリオの少女の手のぬくもり。彼の人生の中で楽しいと思える記憶の象徴でもあった。
――ヘルガ、戦うことしか知らぬ、孤独な一匹狼だった俺に、彼女が人の心を教えてくれた。彼女との旅の中で花や星や歌の美しさを知った。彼女の笑顔が、優しさが戦いで凍てついていた俺の心を暖めて、誰かを守ることの尊さを教えてくれた。彼女がいなければ俺は剣を振るい血を流し戦うだけの獣ののままだったろう。
ヴォルフガングは右手の剣を逆手に持ち替えて、左手に食らいついたヒュドラの首を落とす。
「俺たち人狼が、決して長くは生きられないのは知っている。ならば俺は命の限り、彼女を守るため戦おう。それが、この命の使い道だ!」
ヒュドラの首を一つ二つと落としながらヴォルフガングがヒュドラの胴体、魔術師の骸へと駆ける。突進を食い止めようと魔術師がヒュドラの首を差し向けるが、止まらない。迫りくる顎をあるいは躱し、あるいは切り裂き。ときに背後から喰らいつこうとする首があるが。
「させません!」
ヘルガの放つ聖なる光に動きを止められる。そうするうちにヴォルフガングは魔術師の懐に飛び込む。
「彼女の愛するこの世界から、笑顔を奪わせぬために……! 喰らえ!」
ヴォルフガングの一撃が、最後のヒュドラの首を落とし、魔術師の骸を砕く。白骨化したその体が吹き飛ばされる。
「マダ、だ! まだッ……死ねヌ!」
魔術師の纏う蒼炎が奇妙に膨らみ魔法陣へと変わる。そしてそこから這い出る、蒼炎の人型――落とし子たち。
呪いとも、苦悶ともつかぬ呻き声を挙げながら落とし子達はヘルガとヴォルフガングを包囲するように展開していく。
「クカカ……! サァ私と共に不死となるのダ。その美しさ老いさらばえさせるには惜しかろう」
「いいえ、人を欺き、命を啜り、食い物にする事で得られる『永遠の孤独』にどれほどの価値がありましょう? どんなにしわくちゃになろうとも、それよりも醜い年の取り方などありはしません。わたくしは、これからも彼と手を取り、共に歩んでゆきます。どんな苦難も、彼と共に乗り越えると誓ったのだから」
言ってヘルガは背中の翼に光を纏わせ、近くの落とし子へと歩み、その手を取った。
魂の凍てつくような感触の中、チラリと傍らのヴォルフガングの姿に視線を向け、彼との記憶を手繰り寄せる。
――ヴォルフと過ごす日々は幸せなもの。家族を、故郷を、全てを失い打ちひしがれたわたくしを、彼が救ってくれた。強敵から庇ってくれる背中の広さと逞しさ、繋いだ手の、抱きしめられた腕の温もり。どんなに不安な時も、寂しいときも彼の存在がわたくしを暖めてくれた。だから今もきっと大丈夫、彼がいてくれるのだから、わたくしはわたくしの魂を守ることができる。
手の内の蒼炎から、彼女の物とは別の思考が伝わってくる。悔恨、苦痛、そして孤独。不意に、ヘルガの目に涙があふれた。そして彼女が手を握る蒼炎の落とし子の目からも一筋の涙が。
「やはり、そうなのですね。あなたはかつての犠牲者の魂――何とむごいことを」
落とし子の手を握ったままとめどなく涙を流すヘルガ。
「ナニをしてイる! 早く、その二人の魂を食らウのだ!」
魔術師が落とし子達へ指示を飛ばす。しかし動こうとする者はいない。慈愛と哀しみの光を放ちながら、己の魂のために涙を流す聖者の姿に、落とし子達から攻撃の意志を奪っていた。
「生命の理を知らぬ哀れな罪人に、今一度懺悔の時を。取り込まれたその魂に慰めと追悼を。ヴォルフ、あなたの剣で悲しみを終わらせて……!」
ヘルガの言葉にヴォルフガングが頷く、無造作に身動きの取れない魔術師へと歩み寄る。
「やめろ、ヤメロッ! こっちへ来るなァッ!」
「今度こそ、己のあるべき場所に、骸の海に還れ……っ!」
ヴォルフガングの振るった一撃が魔術師の体を断ち切り、その体を覆っていた蒼炎が消える。それと同時に。二人の周りにいた蒼炎の落とし子たち――かつての犠牲者たちの魂が、暖かく淡い光となって、ゆっくりと天へと昇っていく。
「その魂に安らぎがあらんことを」
2人はしばらくの間、不死の牢獄から解放された魂たちの行く末を見守っていた。しの冒涜者は打ち倒されたのだ。
大成功
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