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樹海に響く咆哮

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●樹海の奥の咆哮
「ここ、どこだ……?」
 アックス&ウィザーズ世界のとある樹海。光もろくに届かないその奥で、三人の青年たちが彷徨っていた。辺りを見回す彼らの中の一人がポツリ、と弱音を口にする。
「やっぱり、こんなところに来るべきじゃなかったんだよ……」
「う、うるせえよ! あの話をした時、お前も賛成してただろう!」
 もう一人がそう叫ぶように反論する。その口調がキレ気味なのは、いつ抜け出せるかわからない不安ゆえだろうか。
「そ、それはそうだけど……」
 弱々しく答えた彼が、ふと足を止める。その視線の先に指を向けた。
「なあ、あれって噂のやつじゃないか……?」
 そこにいたのは、凛とした姿で立つ一匹の幻獣。漆黒に濡れる艶やかな毛並みと、勇猛に伸びた四本の長い角が、木漏れ日に輝くその光景は、正に幻想的と言えよう。
「た、確かにあれだ……行こうぜ!」
 それぞれを鼓舞するように声を上げ、三人は早足に駆け寄る。
 その足元でパキッ、と小枝が何本か折れた、その時。
「ひっ!」
 突然自分達の方に顔を向けた幻獣。睨みつけているような力強さを見せる蒼い双眸に、三人は思わず立ち竦む。
 じっと三人の足元を見つめる幻獣の行動に困惑していると。
 前触れなく、幻獣が彼らに向かって突進してきた。
「うわっ! な、何だ!?」
 訳もわからず踵を返す三人。彼らを追って闊歩するその幻獣は、大きな嘶きを響き渡らせたーー。

●その知らせは突然に
「やあ、よく集まってくれたね」
 グリモアベースに集まる猟兵達に向け、クラム・ドグマ(ブラムクタールの探索者・f03711)は声をかける。
「実は最近、アックス&ウィザーズ世界でとある噂が広まっていたみたいでね。曰く、『とある樹海の奥深くに、大層綺麗な幻獣が住んでいる』と。その幻獣については後々説明するとして」
 先日とある若者達が遊び半分でその樹海に入ったらしい。クラムは呆れた様子でそう口にする。
「若気の至りと言ったらそこまでなんだけど、まあ感心は出来ないよね。案の定、その幻獣を怒らせてしまった訳だし」
 はぁ、と溜息をついた彼は、一枚の写真を取り出した。そこに写っていたのは、四本の角が生えた黒い鹿のような幻獣だった。成る程確かに、これほど幻想的な姿ならば、噂が広まるのも不思議ではない。
「そんなわけで、君たちにはこの幻獣を討伐してほしいんだ」
 名はヒューレイオン。本来は自然を愛する心優しい幻獣なのだという。
「ところが、自然を愛し過ぎるが故なのかな。彼の樹海に入った者が小枝を一本折っただけでも怒り狂ってしまうらしい」
 樹海に入った彼らは逃げる最中に何本も枝を折ったという話だから、ヒューレイオンの怒りも相当のものだろう。
「僕の予知によれば、ヒューレイオンはそう遠くない内に近くの村を襲うことになる。その被害は甚大なものだから、君たちには何としてでも討伐してほしい」
 その前に、ヒューレイオンが従える山神を倒す必要があるのだが、と付け加える。奴らは五体の集団で行動しており、常に主人たるヒューレイオンを守っているらしい。
「それぞれが強い分、戦いも難しくなるだろう。まあでも、君たちを無償で戦線に出すほど鬼じゃないさ」
 冗談混じりに笑うクラム。彼はとある計画を猟兵達に伝えた。
「実は今、ダンスパーティーを計画していてね。戦いが終わったら、是非参加してほしい」
 全ての説明を終えたクラムは、すっと表情を引き締める。
「僕も素敵なダンスパーティーを準備しておく。だからみんな、絶対ヒューレイオンを討伐するんだよ!」


くらげ屋
 こんにちは。今回初めてシナリオを書きます、くらげ屋と申します。至らぬ点もあるかとは思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

 さて、今回はアックス&ウィザーズ世界のお話です。奥に構えるヒューレイオンに挑むべく、まずは五体の山神を倒しましょう。

 皆様のご活躍を期待しております。
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第1章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

龍統・光明
・先ずは数を減らす方向で行くとしよう。数の暴力は怖いからね。

・『迷彩』等を使い他の皆と挟み込む様に展開
攻撃は『迷彩』『見切り』『残像』等を駆使して回避

・攻撃は『2回攻撃』『生命力吸収』『一斉発射』等を駆使しタイミングを合わせて放つ

・どんな理由があろうと「邪魔するヤツは喰い散らかすよ」

・ご自由に動かして頂いて構いません


ビビ・クロンプトン
SPD
今回、私は後衛…
ブラスターによるクイックドロウで、【援護射撃】中心で攻撃…
まずは数を減らすことを優先するよ…
だから、倒せそうなのを優先的に攻撃していこう…
相手は典型的な接近戦タイプ…
とにかく気を付けるべきことは、近づかせないこと…
相手全体の動きを【第六感】で察知しながら逃げ回るよ…
相手が隙を見せたら【2回攻撃】もしていきたい…

私はサポートに回る…
倒されそうな人がいたら、その人を狙っている敵をブラスターで撃ちぬくよ…
戦力が減るのは、困るもの…



「あれが、山神……」
 遠くで何かを守るように立ち塞がる五体の大木のようなオブリビオン。それを木陰から覗くビビ・クランプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)は小さく呟く。その無表情の中にも、確かな迫力を感じているようだった。
 静かにブラスターを構えるビビ。狙いを定め、しっかりと逃げ道を確認してから、その引き金を引いた。

 およそ一瞬という定義すら遅すぎるくらいの速度で放たれたその一撃は、真っ直ぐに一体の腕を貫く。その熱は巨木を焼き焦がし、辺りに焼炭の香りが広がった。
 それを目にした残りの山神達は、一斉にビビの方を向く。一歩一歩で大地を振動させながら歩く彼らに、ビビは逃げ回りながら素早い射撃で牽制していた。彼らの行動を予測したその射撃はビビに近付ける事を許さず、彼女は上手く木々の間に身を隠した。

 さて、ここまでほんの一瞬。先程攻撃を受けていた山神は、思わず後ろによろめいていた。倒れこむのを堪え、強力な踏み潰しが為されようかというその時。
「前ばかりに気を取られてると、後ろからやられるぜ?」
 いつの間に後ろに周ったのか。不敵に笑みを浮かべる龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)が、背後で告げる。

「総餓の神髄を垣間見ろ、奥義・涅槃寂静……」
 静かに告げたその言葉は、或いは死の宣告か。力強く振り上げられた刀から放たれる神速の斬撃は、山神に避ける隙を与えずにその体を真っ二つに。尚威力を落とす事なく止まらぬそれは、続け様にもう一体の足を切り落とした。
「どんな理由があろうと、邪魔するヤツは喰い散らかすよ。そら、もう一発だ!」
 続けて斬撃を振るう光明。だがそれは、その巨木を掠めるに留まる。
 くるりと体を向け、対象を光明に変えた様子の山神達。その巨大な拳が、猛烈な勢いで彼に向かう。
(俺への攻撃はデカいだけの拳が一つ。あの状態じゃ、足が欠けたヤツは攻撃してこないだろう)
 軽く思考した光明は、足を切り落とした山神の方へ高く跳躍した。……が。
「なぁっ!?」
 器用にも片足で体を反転させたそいつは、先程の者と同様風を切る強い拳を光明に放つ。
 空中ではどうする事も出来ない光明。最早終わりかと思われたが。
「させない……」
 木々の隙間を縫うような熱射撃が一直線に向かう。胴体の中心部に直撃したビビの一撃によって、山神は細かな木片となって崩れていった。

 軽やかに地面に降り立った光明は、頬を伝う冷や汗を拭いながら礼を述べる。
「悪いな、助かった」
「戦力が減るのは、困るもの……」
「そうかよ……」
 素早い動きで銃をしまう無表情のビビに苦笑いを浮かべる光明だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リィン・エンペリウス
ヒューレイオンかぁ・・・ビーストマスターとしてはそんな珍しい子とお友達になりたいところだけど、共生出来ない状況なら・・・う~ん、退治するしかないのかな?

まずは山神達を倒さないとね。
ボクはライオンライドで、ライオンくんを呼び出して【騎乗】して戦うよ。
ライオンくん自慢のSPDによる【残像】と【見切り】を使い、周辺の【地形の利用】も合わせて敵を翻弄しつつ敵の隙を伺おうかな。
敵に隙が出来たらボクの自慢の包丁とライオンくんとの【2回攻撃】で敵を攻撃するよ!
もし敵の攻撃が当たりそうになったら【野生の勘】で敵の攻撃を回避しよう。

もし一緒に攻撃する人がいたらわたしは囮に徹して、攻撃する人のサポートにまわるよ。


水心子・静柄
よく自然破壊する(グラウンドクラッシャー+地形の利用+破壊工作)私としては申し訳ない相手ね。まぁオブリビオン相手に気を遣ったりしないけど。

とりあえず一体ずつ確実に倒して行きましょう。私は前に出て殴る事しか出来ないけど、握り潰すは流石に真正面から食らうわけにはいかないわよね。握り潰すのに左右差があるなら、不利な方向に回り込んで避けていきたいわ。囲まれたりして避けようがないなら、一か八か守りを捨てた捨て身の一撃を掌にブチかまして、その反動で避けてみせるわ。



「ヒューレイオンかぁ……」
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)は、風を切って闊歩する黄金のライオンの背に乗りながら、未だ姿を見せないオブリビオンがいるのであろう樹海の奥に目をやる。
 幻獣といえば滅多に出会う事ができない種族。ビーストマスターの彼女としては是非とも友達になりたいと思っていたが。
「共生出来ない状況なら……うーん、退治するしかないのかな?」
 悲しげに狐耳を折り、しかし覚悟を決めたように表情を固めたリィン。まずは目の前の敵を倒そうと、ライオンを華麗に操る。
 木々の隙間を器用に潜り、残像すら見えようかという程素早く駆け抜けるリィンとライオン。足元でちょこちょこと動き回る彼女らを踏み潰そうとする山神だが、その速さに翻弄され視認する事もままならないこの状況では、さながら子供の地団駄のようにしか見えない。
 ある程度は姿が確認でき、しかしそれを目で追う事は出来ないような、絶妙な動きをこなしてみせる彼女らの動きには、少しの無駄も無かった。

 大地の震撼に耐えながら山神の周りを走り続けること数回。今までに比べ遅れた山神の動きに一瞬の隙を確信したリィンは、すぐさま方向を転換させた。
 一層強く地面を蹴ったライオン。黄金の毛並みを煌めかせ、空を駆けるがごとく高く跳ね上がる。
 山神の胴に向かうと、リィンは自慢の包丁を突き立てる。続けてライオンの突撃が当たれば、山神は幾らかの木屑を零して怯んだ。
「よし、こんなところかな?」
 ふわりと地面に足をつけたライオンの上でゆらりと尻尾を揺らすリィンだった。

 入れ代わるように前に出たのは、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。鞘に納められたままの脇差を両の手で握り、山神を見上げる。
「よく自然破壊する私としては申し訳ない相手ね。まぁオブリビオン相手に気を遣ったりしないけど」
 冷たく言い放ち、緑色の瞳で立ち塞がる巨木を観察する。よく見ると先程リィンが攻撃したことによって、左半身に長い亀裂が走っているようだった。
 そちらの方向に向かって走る静柄。案の定先程より明らかに動きが遅い山神の腕は、彼女にとって避けるに容易い。
 小さく体を横にずらして避け、山神のすぐ傍に寄る。全身の力を込めた一振を山神の左半身に叩き込んだ。
 次の瞬間、その体は音を立てて崩れていく。その轟音を背に聞きながら、静柄は鞘に付いた屑を振って払った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
……これはまた、大きいな。
【地形の利用】と【騎乗】を利用してバイクで接近。【見切り】等を利用しながら【2回攻撃】を織り交ぜつつ銃で撃つ。
乗り入れるのが難しいと判断すればバイクからは降りてなるべく身を隠しながら遠距離からの狙撃に変更する。
……あんなの痛そうだから。なるべく当たらないようにしたいよね。
やむなく接近されたら銃で応戦するか、フック付きワイヤーを使って素早く離脱する。絶望の福音を利用しながら、なるべく致命傷にはならないように立ち回る。

……何事にも、触れてはならないもの、踏み込んではいけない神域なんかは存在する。
この場合は踏み込んだほうが悪いけれど…。俺も人間なんだ。
だから、悪いけど倒すよ


真宮・響
【真宮家】で参加。

何か知り合いが苦戦中なので加勢に来たよ。・・・光明、怪我は無いかい?アンタが不覚を取った分はアタシたちが取り返してやるよ。

敵は接近戦を得意とする上、攻撃範囲も広い・・・奏に護りを任せて【忍び足】と【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、敵の射程外から【槍投げ】を【先制攻撃】で当てることを狙う。槍が当たったら、ドラゴニックエンドで攻撃するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

むむ、光明さんが危ないです!!加勢しますよ。追撃はお任せです!!

敵の大きさから攻撃力は物凄く高いことが予想されます。ここは信念の盾を利用してがっちりと敵の攻撃を受け止めます。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】も使います。気配を消す響母さんに比べ、術を詠唱中の瞬兄さんが攻撃を受けると危険なので、【拠点防御】と【かばう】で瞬兄さんが詠唱を終えるまで護りますね。


神城・瞬
【真宮家】で参加。


光明さん、怪我はありませんか?駆けつけるのが遅くなって申し訳ありません。後詰めは僕達家族にお任せを。

敵は近接戦主体、僕の得意とするのは遠距離での魔法攻撃です。なら、敢えて遠距離からの攻撃で対抗しましょう。奏に詠唱までの時間を稼いで貰っている隙に【高速詠唱】して氷晶の矢を【全力魔法】で撃ちます。余裕があれば、【二回攻撃】で攻撃回数を増やしますね。



「……これはまた、大きいな」
 古びたバイクで残る二体に接近するリュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)。ゴーグル越しに見えたその姿に、少しばかり驚いていた。
 これ以上バイクで近づくのは危険だと判断したリュカは一旦降り、木陰に身を潜める。
「……何事にも、触れてはならないもの、踏み込んではいけない神域なんかは存在する。この場合は踏み込んだほうが悪いけれど…。俺も人間なんだ」
 だから、悪いけど倒すよ。そう静かに告げた。
 銃口の狙いを定め、すっと息を吐く。それから静かに、そのトリガーを引いた。
 乾いた音を響かせて空気を切った銃弾は、山神の右足の付け根にその跡を残す。天寿を刈るには足りない一撃は、しかしその熱と速度で確かなダメージを与えることに成功した。
 低く唸り苦痛を訴える山神。反撃が自分の元へ届くものと予想したリュカは、素早くもう一発放つ。命中したそれにより、彼への接近は阻止された。

「……光明、怪我は無いかい?」
 光明の危機を感じ取り、戦場に降り立った真宮家。その大黒柱たる真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、凛々しい様で光明に尋ねた。
「ああ、何とかな……」
 怪我は無くとも疲弊した様子の光明が小さく応じれば、赤の瞳で先に構える二体を見据える神城・瞬(清光の月・f06558)は優しげな声音で。
「駆けつけるのが遅くなって申し訳ありません。後詰めは僕達家族にお任せを」
「加勢しますよ。追撃はお任せです!!」
 続く真宮・奏(絢爛の星・f03210)も元気に拳を握り締める。その表情には、敵を仕留めんとする確固たる決意が示されていた。

 母親の威厳を示すように先陣を切る響。片手に自分の腕程もあるドラゴンランスを持ち、足音を立てず、二体の死角を潜るように近づいていく。
 それを横目で見ながら、瞬は奏に声をかけた。
「それじゃあ、頼みましたよ」
「任せてください。瞬兄さんは、絶対に護ってみせますよ!!」
 頼もしい義妹の声を聞いて小さく頷いた瞬は、高速で詠唱を始める。それと同時に奏は瞬の前で手を広げ、前方に迫る山神に立ち塞がった。
 次の瞬間、幾重にもなった信念の盾が二人を覆う。二人の絆故か、それは平時より更に厚くなっている気さえする。
 石像のように動かない奏を目掛けて山神の大きな拳が向かってくる。が、彼女に当たる寸前になって、拳はピクリとも前進しない。
 首を傾げた(ように見えた)山神は続けてもう一度、二度と拳をぶつけるが、被害を受けるのはその拳ばかり。彼女には一切のダメージが届いていないのだ。
 盾を叩く鈍い音が響いて何回目か。
「よし、終わりました」
 詠唱を終えた義兄の声。右手をかざすその先には、およそ百ともなるであろう鋭利な氷晶の矢が準備されていた。
「さて、これを見切れますか!?」
 叫び声を合図に装甲が霧散し、ほぼ同時に百の矢が一気に発射された。
 山神に突き刺さり、あるいは貫通する氷晶が、その巨木に無数の傷をつける。
 たまらずもがく二体。半ば乱暴に振り回す両の腕が、勢いをつけて地面に叩きつけられた。
「くっ……」
「きゃあ!」
 上下に激しく揺れる地面で支え合い、必死に耐える兄妹。思わず座り込む奏が再び信念の盾を展開するが、地面からの攻撃には分厚い盾も意味をなさない。
 一方響は、それほど近くにいなかった為に伝わる揺れが小さく、声を上げることはなかった。
 二人を助けようと自身の槍を思い切り投げる。まるで意思を持っているかのように敵に向かっていった槍は、そのまま傷だらけの山神の腕を抉った。
 支えを無くしよろめく山神に、赤いドラゴンと化した槍の追撃が襲う。より強い威力を孕んだドラゴンの激突で、山神は粉々に粉砕された。

 奏を庇ったまま残る一体に再び手を向ける瞬。先より更に速い詠唱の後に全力を込めた氷晶の矢を射れば、そのほとんどが貫通する。
 力を失った山神は、重力に引かれて倒れ込んだ。
「二人とも、大丈夫か!?」
 槍を回収する間もなく二人に駆け寄る響に、瞬は立ち上がりながら応じる。
「ええ、僕は何とか。奏はどうですか?」
「私も大丈夫です。びっくりしましたけどね。それより……」
 瞬の手を借りながら立ち上がった奏は、視線を先に向ける。そこには動かぬ山神と、大小様々に散らばる無数の木片が。
「終わりましたね……」
「……いや、まだこれからだよ」
 重く語る響の視線はもっと先。件の幻獣に向いていた。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 立ち塞がる山神が全ていなくなった樹海。その奥に現れたのは、一匹の幻獣だ。
 漆黒の肢体。長く伸びた四本の角。淡く光る若枝が揺れ動くその姿は、実際に見るからこその美しさがあった。
 だが、しかし。ゆっくりと森を見渡すその蒼き双眸は、怒りに燃えていた。

 憤怒と悲哀が織り交ざった嘶きが、響き渡る。
リィン・エンペリウス
ヒューレイオン…写真で見るよりも綺麗な子だね。
【動物と話す】で、共存はできないのか聞いてみようか。
もしも、共存出来る返事がもらえたら一緒にダンスパーティーに行きたいね。

共存出来ないと返事、もしくは会話にすらならず戦闘になったら残念だけど退治に切り替えるよ
今回もライオンくんに【騎乗】して戦うよ
長く伸びた角が移動の邪魔になりそうだね。自慢のSPDで樹海の【地形の利用】をし、敵の攻撃を【見切り】
何かに追跡されていそうに感じたら【野生の勘】を発揮して、何かを倒して戦闘を有利に進めよう
敵がボク達を見失い、隙が出来たらボクとライオンくんの【2回攻撃】で攻撃するよ
攻撃が見破られてたら【フェイント】も加えよう



「ヒューレイオン……写真で見るよりも綺麗な子だね」
 リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)は黄金のライオンの傍に立ち、その幻獣をまじまじと見る。
 彼女のライオンだって綺麗な事に変わりはないのだが、ヒューレイオンはまた別種。言うなれば、ライオンは美術品の美しさであり、ヒューレイオンは大自然の美しさだ。
「ねえ、ヒューレイオン。ボク達、共存は出来ないのかな?」
 優しい口調で語りかけるリィン。金の瞳に映るのは、慈愛と希望。その声に乗るのは、強く望む共生の未来。
「近々ダンスパーティーがあってね。もし良かったら君も……」
『ーー戯け!』
 返答は燃えるような怒りだった。ぐるりと首を回し、彼女に訴える。
『この森の惨状を見て尚そのような事が言えるか。呆れたものだな』
 先の対山神によって散々森が破壊された。木が折れ、地面が削られ、多くの植物が傷付いた。
 リィンだって、その事に心を痛めない訳では無い。だが彼女も猟兵の一人だ。故に。
「……残念だな」
 悲しげに告げると、ひらりとライオンの背に飛び乗った。
 加速し、疾風のごとくヒューレイオンに近づくリィンとライオン。勢いを緩めぬまま突進し、その腹部に頭突きを入れた。
「やった!」
 長く伸びた角から避ける事も出来ずに攻撃を食らったその状況に喜びを露わにするリィン。次の攻撃に備え走る足を止めずに遠ざかった彼女の耳に鈴の音を思わせる不思議な声が聞こえたのは、その時だった。
『ヤッタ!』『ヤッタ!』『ヤッタ!』
(……何かがいる?)
 野生の勘を澄まし、リィンは姿の見えない敵を探す。そしてそれが後ろで自分をつけていると気付いた次の瞬間。
「ライオンくん、避けて!」
 リィンの声で横に跳んだライオン。先程までいた場所に轟音が響くと共にクレーターが出来た。
 その衝撃波が彼女らに届き、リィンの狐の尾を激しく揺らす。姿勢を低くしてライオンにしがみ付くリィンが前を向けば、ヒューレイオンはこちらを向いていない。
(とはいえ、今ので気付かれてるかな……?)
 そう考えた彼女は、再び前に進む。一度フェイントをかけての攻撃。彼女の狙い通り最初の攻撃に角を伸ばしたヒューレイオンの胴体に、もう一度突撃する事に成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビビ・クロンプトン
ヒューレイオン…綺麗だね
でも、敵なら、ただの障害だよね
敵は、撃ち抜くのみ…!

SPD
引き続き、私は後衛…
共闘者がいるなら、メインの攻撃はその人たちに任せたいな…
私は【地形の利用】をして隠れて、ブラスターによるクイックドロウで、【援護射撃】中心で攻撃…

【木霊を返す半透明の妖精】は厄介だね…
見つけるのは難しいみたいだけれど【第六感】を駆使して【見切り】ができないかな…?
妖精は見つけ次第、ブラスターで撃ち抜きたいな…

…もし私を狙ってくるなら、接近戦に切り替えるよ
私は、スピードには、結構自信がある…
隙を見つけたら【ダッシュ】で近づいて【零距離射撃】で撃ち抜くよ…!

(アドリブ歓迎です)



 木の幹に背をつけ、その陰からヒューレイオンの姿を覗くビビ・クロンプトン(感情希薄なサイボーグ・f06666)。
 自身のブラスターをいつでも抜けるよう手を添えながら様子を伺っていると、ヒューレイオンは不意に身震いをし、周囲に半透明の何かを散らした。
(あれが、さっきの妖精……?)
 木霊を返し、しつこく追尾していた様を見ていた彼女は、すぐにその正体を見破る。しかし、半透明であるそれらはすぐに見失ってしまった。
 周りに気を張れば妖精の追跡を避けられるだろうか。そう考え、再びヒューレイオンに視線を戻した時だった。
(気付かれてる……!?)
 こちらに視線を向けるヒューレイオンに目を見張ったビビ。その感覚を研ぎ澄ましてみれば、どうやら後方に一匹妖精がついているようだった。
 素早く銃を向け、神速の一撃で撃ち抜く。その動きを止める事なく走り始めたビビは、今度こそヒューレイオンに気付かれる事なく接近する事に成功した。
 ピタリとしなやかな体躯に銃口をつけ、静かに語りかける。
「ヒューレイオン……綺麗だね。でも、敵なら、ただの障害だよね。敵は、撃ち抜くのみ……!」
 その声と同時に零距離で撃たれたその一発がヒューレイオンの体を貫いた瞬間。
 苦痛の嘶きと共に、鮮血の華辺りに咲き乱れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。

自然の驚異を甘くみていたようだね・・・子供達を痛めつけたお返しはさせて貰おうか。(真の姿解放。黒髪金眼になり赤いオーラを纏う)

植物人間の対応は瞬に一任。半透明の妖精が厄介だね。まず真紅の竜に騎乗、こちらも【忍び足】と【目立たない】で敵の視線から逃れつつ、【ダッシュ】で妖精に追いついて【二回攻撃】と【範囲攻撃】で攻撃。言葉を発すると攻撃方法を返される危険性があるので、子供達も併せてお口チャック。アイコンタクトとボディランゲージで合図するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

いたた、身体痛いです・・・むむ、また強そうなもの来ました。本気でいかないと今度こそやられそうです!!(真の姿解放。黒髪金眼になり青いオーラを纏う)

今度は自由に動けるように、トリニティエンハンスで攻撃力を強化することを選択、響母さんの言う通りお口チャックを徹底しながら、【衝撃波】と【二回攻撃】【範囲攻撃】で母さんと兄さんの攻撃をサポート。もし2人に蹄の攻撃が行くようなら、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で代わりに受けます。


神城・瞬
【真宮家】で参加。


ふう、酷い目に遭いました。自然に生きる者達の強さを侮り過ぎていたようで。今度は本気でいきますよ。(真の姿解放。両目が赤くなり、銀髪に。白いオーラを纏う。

僕は合体されると不利になるので、植物人間の対処をしましょう。【高速詠唱】【全力魔法】で氷晶の矢を【範囲攻撃】で撃ちます。木霊による攻撃を警戒し、家族とはアイコンタクトとボディランゲージで合図を。必要ならば、【鼓舞】で2人の攻撃を支援し、余裕があれば、【祈り】で傷の治療に周ります。



「ふう、酷い目に遭いました」
「いたた、身体痛いです……」
 怪我こそ無かったものの、先程の大きな揺れに耐えた筋肉には相当疲労が溜まっているようで。真宮・奏(絢爛の星・f03210)と神城・瞬(清光の月・f06558)は痛めた腕や足をさする。
 そんな子供達の姿を見た真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、鋭い眼光をヒューレイオンに向ける。
「自然の驚異を甘くみていたようだね……子供達を痛めつけたお返しはさせて貰おうか」
 静かに、しかし怒りを込めた一言を投げる響。次の瞬間、彼女の全身を赤いオーラが包み込んだ。真の姿だ。
 茶色の髪は黒く、紫の瞳は金に染まる。そして周囲には、彼女を中心とする緊張と圧迫感が広がった。
 母の後を追うように、奏と瞬も真の姿を解放する。奏は響と同じ黒髪と金眼になり、青いオーラがふわりと揺れる。瞬も両の目を赤く染め、髪は銀に輝き、白のオーラを纏った。
 変化はそれだけではない。奏と瞬に残っていた体の疲労はもう微塵も無い。それどころか、ここに来た時よりも体が軽くなっている程だった。

「それで、母さん……」
 奏がそう尋ねかけるが、言い終わる前に響は口に指を当て静寂を暗示する。お口にチャックとばかりに慌てて両手で口をふさぐ奏ににこりと笑みを浮かべ、続けて瞬に視線を移した。
 いつの間にかヒューレイオンの周囲を漂っていた二十程の小さな植物人間。それらに指をさし、対処を彼に任せることを暗に伝えれば、小さく頷き肯定を示す。
 首肯を返し、続けて上空に向けて片手を上げる。すぐに響の頭上に現れたのは、燃えるような真紅の竜だ。
 ひらりと飛び乗り、静かに、しかし目にも留まらぬ速さで飛翔する響。それに続いて奏はヒューレイオンに向かって大地を駆け、瞬は極小さな声で高速の詠唱を始める。
 詠唱はすぐに終えられ、瞬の前には浮遊する百の氷晶の矢が。腕を前に向ければ植物人間へ一直線に飛んでいく。合体する間も無くその鋭利に貫かれた植物人間達は、次々にその姿を消していった。
 一方木霊を返す妖精の集団を見つけた響は、空中で旋回。一気に距離を詰める。
 突如現れた巨大な竜に驚いた様子の妖精たちに向け、口から放たれた灼熱の炎を浴びせる。逃げ惑う妖精たちだが、広範囲にわたる炎から逃げる術は無い。大凡倒し、わずかに残った妖精も、強く羽ばたいた両翼からの突風に飛ばされてしまった。
 攻撃を終え、竜から飛び降りた響。ふうと一息ついた彼女の眼前に迫るのは、高く上がったヒューレイオンの蹄だった。
「しまった……!」
 思わず声をあげ、せめてダメージを減らそうと受け身を取る。
 だがその蹄は、いつまでも彼女に当たる事は無かった。
「大丈夫ですか、母さん」
 振り下ろされた蹄を左腕で受け止めていたのは奏。空いた右手から衝撃波を繰り出せば、吹き飛ばされたヒューレイオンは後方の木に強く体をぶつける。
 振り返り声をかけた奏は、母の言葉を思い出したのか慌てて口を噤むが、響は可笑しげに目を細めた。
「もう大丈夫だよ、奏」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。それより……」
 首を傾げる奏にそう返し、前に視線を向ける。
 木の下にぐったりとするヒューレイオン。口からは血を零し、苦しそうに息をして。
「……もう良いだろう。そろそろ楽にしてやりな」
「……はい」
 金の瞳に慈愛を浮かべた二人。ゆっくりと近づいた奏は、浅く呼吸をする腹に優しく触れる。その手に力を込め、放たれた二発目の衝撃波は。
 放射状に地面を割り、ヒューレイオンの体を沈めた。

 息を引き取ったヒューレイオン。その体が淡く輝き、徐々に光の粒となって飛んでいく。
 折れた樹木に光が触れれば、たちまち枝が生える。引きちぎれた草花に触れたそれは、美しく花を咲かせ、芽を吹かせる。割れた地面に吸い込まれれば、その痕を残すことなく元の姿に返った。
 戦いの傷を癒し、また動物たちが住める森へ。樹海の幻獣が願った光景が、そこには広がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ダンスパーティー!』

POW   :    ダンスを踊って楽しむ。

SPD   :    歌や演奏で盛り上げる。

WIZ   :    魔法による演出をする。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 森を抜け、街に出ると、そこには多くの市民が集まっていた。
 菅、弦、様々な音が重なり合い、七色の歌声と共に見事なハーモニーが広がる。
 そしてその中心部では、華麗に舞う多くの人々の姿。
 三者三様に踊りながらも皆楽し気なその様は、国中を明るく賑わせていた。
真宮・響
【真宮家】で参加。

元々この騒動も人間たちが勝手に森の主達の領域に立ち入ったことから起こったことだ。自分の住む場所を護ろうとする本能は理解出来なくもない。・・・アタシも母親だからね。

奏、瞬。アタシ達は数々の命の上で生かされてることを忘れるんじゃないよ。さあ、奏を真ん中にして三人で手を繋いで踊ろうか。命は限りあるものだから、こうして三人で楽しく過ごせる日常を大切にしようね。


真宮・奏
【真宮家】で参加

(最後の一撃を加えた手を見つめながら)ままならないもの、ですね。せめてあの森の主が安らかに眠れるように祈るばかりでしょうか。(響母さんの言葉に)はい、今回の事で良く分りました。私達の生は数々の命の上になりたっているということを。

響母さんと瞬兄さんの手を取って、一緒に踊ります。一つ一つの思い出と共に、前に進んでいきますね。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

(自分の手をじっと見つめる奏を見て)その重荷、僕が背負ってやれればよかったのですが。今回で思い知りました。僕達が何によって生かされてるのかということを。

(奏の手を取って)さあ、これからも僕達家族は一緒です。重荷は共に背負います。今は3人で共に踊れる時間を、楽しみましょう。これからの糧とする為に。



 街のワルツを遠目で眺めながら、真宮・奏(絢爛の星・f03210)はヒューレイオンに最後の一撃を加えた手を見て、先の戦いを思い出す。
「ままならないもの、ですね。せめてあの森の主が安らかに眠れるように祈るばかりでしょうか」
「その重荷、僕が背負ってやれればよかったのですが」
 痛ましげな奏の姿に、神城・瞬(清光の月・f06558)の視線も自然と下に向く。血は繋がっていなくとも本当の妹のように大切にしている彼女に辛い思いをさせてしまった事に、少なからず罪悪感を覚えているようだった。
 祭りの様子に合わない暗い雰囲気の二人に、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は母親らしい慈愛の言葉を投げかける。
「元々この騒動も人間たちが勝手に森の主達の領域に立ち入ったことから起こったことだ。自分の住む場所を護ろうとする本能は理解出来なくもない……アタシも母親だからね」
 彼女が浮かべた柔和な笑みは、自然を愛したヒューレイオンの気持ちに寄り添うようで。響の言葉をじんわりと受け入れる奏と瞬。
 響は自分の思いを子供たちに向けるように、そっとに二人を抱きしめた。
「奏、瞬。アタシ達は数々の命の上で生かされてることを忘れるんじゃないよ」
「はい、今回の事で良く分りました」
 母の言葉に奏はそう返す。この戦いを、そしてヒューレイオンの怒りと願いを、きっと忘れる事はないだろう。
 瞬も強く頷き、穏やかな笑みを奏に向けた。
「これからも僕達家族は一緒です。重荷は共に背負います」
 彼女を元気付けるような言葉と共に、ヒューレイオンの息の根を止めた奏の手を取る。一瞬体を強張らせ、顔を赤らめた奏。瞬はたくさんの市民が踊る街の中心に視線を移し、今ある幸せを噛みしめるように目を細める。
「今は3人で共に踊れる時間を、楽しみましょう」
「ああ、そうだね。じゃあ、奏を真ん中にして三人で手を繋いで踊ろうか」
 続けて前に出た響も、瞬の握る手とは逆の手を握る。手を引かれた奏の耳に入ってきたのは、パーティーを楽しむ人たちの賑やかな声と、街を彩る壮大な音楽。
 戦いを終えた彼女には、それがまるで命の芽吹きのようにも思えて。この風景を守る事が、きっとヒューレイオンの意志を継ぐ事になるだろう。
 そう考えた時、奏の足は自然と前に出ていた。微笑みを浮かべる響と瞬に続くようにダンスパーティーの中央に立った。
 奏を中心にダンスを踊る真宮家の三人。ステップを踏み、優雅に舞い、華麗にポーズを決める。
 家族全員が心から楽しんで踊る。そこにはもう先ほどの曇りは一片も残っていなかった。
 だがそれは、過去の人間による非道を忘れた訳ではない。
 命を限りあるものとして捉え、三人で楽しく過ごせる日常を大切にしようと心に誓う。
 一つ一つの思い出と共に、前に進んでいこうと胸に刻む。
 これからの糧とする為、三人で共に踊れる時間を楽しもうとする。
 そこには確かに、家族の固い絆があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト