メガリス確保作戦:クマともふもふせよ
「はじめまして、このたびはグリモア猟兵として依頼のために集まっていただきました。僕は楚良・珠輝、よろしくお願いします」
猟兵達に向き直って挨拶し頭を下げる間も、身体の各所に宝石の輝きを纏う少年――楚良・珠輝は空中に光るバーチャルキーボードを叩き続けている。
「実はグリードオーシャンの地図を見ながらダウジングを試していたら予知が浮かんだんです」
「ダウジングで?」
「いえ、ダウジングとはおそらく関係なかったかと」
関係ないのか。
「ともあれ、メガリスの隠された無人島の探索と、メガリスの確保をお願いしたく。場所はこちらになります」
空中に仮想ディスプレイを展開し、映し出される地図。一面に広がる海の中に点在する島のうち1つがぽん、と軽い電子音を立てて光る。
「この島までは鉄甲船で向かってもらうことになります。こちらの船長は少し変わった冒険商人の方で、格安で鉄甲船に乗せてくれる代わりに、自分で開発したり委託販売を予定しているボードゲームやカードゲーム、ウォーゲームなどの『テストプレイ』をしてほしいとのことで……船の中にゲームテーブルや備品のある遊戯室を備えているらしいので、船旅の間の余暇も兼ねてお願いします」
なおゲームは冒険商人の用意したものの中から遊んでもらうことになるが、サイコロやチップなどの一般的な備品については自前のものを持ち込むことも可能だ。好きなもので遊んで、遊んだ感想や改善点などを軽くまとめておいてくれればいいとのことである。
「島に到着したら……メガリスのある場所、正確には『所有者』はわかっています」
え、と猟兵の中から上がる声。
「既に誰かに確保されているということではありません。……実は、住み着いていた野生のクマがメガリスを呑み込んだ影響で巨大化してしまい」
「くま」
「元々はクマの中では小型な種で凶暴性も少ないのですが、5mほどの体長へと巨大化し、また毛並みの柔らかさと量が非常に増しています」
「もこもこのおおきなくま……」
「危険を感じると暴れますが、危険だと思わない限りは人懐こくじゃれついたりしてきます。無論、大きさが大きさなので普通の人間には危険ですが、猟兵ならばかすり傷以上の怪我を負うことはないでしょう」
「呑み込まれたメガリスはどうすれば」
「メカニズムは不明ですがクマの額に宝玉として埋め込まれているので、適度に遊びつつ隙を見て引っこ抜いてください」
「引っこ抜くんですか」
「どうやら問題なく普通のクマに戻るようなので安心して引っこ抜いてください」
問題はそこなのだろうか。
「ああそれと、メガリスを手に入れた直後にコンキスタドールの襲撃が予知されています。自分の消耗を避けるために、こちらがメガリスを確保した後に横取りしに来るということですね」
撃退しといてください、と珠輝はあっさりとそこは説明を流した。
「というわけで、既にグリモアによる転移が可能となっている島へと出た後、鉄甲船に乗り込んでもらうことになります。グリードオーシャンは未知の領域も多い世界、この依頼はその開拓の一歩ともなるでしょう。どうか、よろしくお願いします」
この時ばかりはバーチャルキーボードから手を離し、珠輝は丁寧に猟兵達へと頭を下げた。
炉端侠庵
こんにちは。炉端侠庵です。
ようやくグリードオーシャンの依頼が!
出せました!
ので早速よろしくお願いします。
第一章は船の遊戯室でボードゲームやカードゲームで遊んでもらいます。
基本的には鉄甲船の乗員や乗客向けの備品として売り出すことを考えているらしく、割と単純でわかりやすいゲームが多いですが、中には本格派海戦系ウォーゲームなどもあります。
プレイングで「どんなゲームをやる」と言えば基本採用されます。思いつかなければ自分の戦術など、どのように遊ぶか考えてもらえればそれっぽいゲームをやっている感じで描写します。
遊ぶゲームについては使用能力値よりもプレイングを優先して判断するので、パワフルにボードゲームしたい場合や頭脳派プレイに興じたい場合などもプレイスタイルに合わせた能力値を選んでくれれば大丈夫です。
第二章は巨大化してしまったクマさんともふもふし、第三章ではメガリスを横取りにきたオブリビオンのコンキスタドールとの戦闘となります。
それでは海の世界での冒険をお楽しみ下さい。
よろしくお願いします!
第1章 日常
『鉄甲船の中で』
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POW : カードゲームをする
SPD : ボードゲームをする
WIZ : 皆がゲームをしているのを眺めたり、助っ人として加わったりする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シャーリー・クラーク
アドリブ絡み歓迎
楽しそうなゲームがいっぱい!目移りしちゃうな~
座ってするゲームが多いみたいだけど、
じっとしてるのは少し苦手…
―あ、私はこれにしよう!
大きな大きなトランプを床に並べて神経衰弱
これなら体も動かせるし私にも出来そう!
めくられたトランプの絵柄も少し特殊で綺麗な絵柄
あんまりはしゃいで転ばないようにしないとね♪
船長さんには、飾り物としても綺麗だと思うし
遊びとしてもすごく楽しかったと伝えておこう♪
「楽しそうなゲームがいっぱい! 目移りしちゃうな~」
鉄甲船の安全な内部、簡素ながらも趣味のいい、そしてしっかりした光量に照らされた遊戯場でいっぱいに広げられたボードゲームやカードゲームを見渡して、シャーリー・クラークは深海色の瞳をきらきらと輝かせた。
彼女はオブリビオンの恐怖に怯える世界に笑顔をもたらし人々を癒す大道芸人、愛と平和のシャークパフォーマー。
人々が共に遊び楽しむゲームと、その在り方は親しいものでもある。
……とはいえ。
「うーん、座ってするゲームが多いみたいだけど……」
そう、やはり卓について遊ぶゲームが大半、じっとしているのが苦手なシャーリーにはちょっと悩ましいところ……けれど、そんな彼女にもぴったりのゲームが見つかったようだ。
「あ、私はこれにしよう!」
胸くらいの高さもある大きな箱を、ぱっと目を輝かせたシャーリーが駆け寄って持ち上げた。
いわゆる『神経衰弱』というゲーム。トランプを使って行うものだが、子供の背丈ほどもあるカードはトランプより枚数がやや少なめで、その代わりこのゲーム専用で遊べるように2枚ずつ綺麗な絵が描いてある。
海の世界たるグリードオーシャンらしく海や浜辺、さまざまな魚や深海の景色、それにいろんな島々の多種多様な光景は、軽い素材で出来た縁取りのおかげでまるで額縁に入った絵画のよう。大きめのスペースにそのカードを裏返しに広げて、歩き回りながら同じ絵柄を探すのだ。
「っと、あまりはしゃいで転ばないようにしないとね♪」
ぱたん、と全身を使ってカードをひっくり返したり、歩いた軌跡を思い出して同じ絵柄のカードを見つけ出したり――テーブルゲームとはまた違う醍醐味に、シャーリーの笑顔が弾け、加わった船員達もその笑顔に誘われるように楽しげにカードをめくる。
「飾り物としても綺麗だし、遊びとしても楽しいね、このゲーム!」
動き回って少し汗ばんだ額を拭いながら、シャーリーは特大カードに太鼓判を押すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
ボードゲームにカードゲーム……純粋に楽しむ為にやるのは久しぶりだ、研究所以来か?
【POW】
そうだな、強いて言えば心理戦や駆け引きを必要とするカードゲームの方が相性がいいかもしれない。
ポーカーフェイスが上手い訳じゃない、……顔に出ないんだよ、元々。
彼らと雑談等で交流しつつゲームをしよう、改善点や率直な感想についても意識しながら。海の男は直情型で表情に出る奴が多い、そこそこな順位にはなれそうだ。
楽し気な雰囲気を感じ取った鞄の中の[ヘキサドラゴン]が鳴いて騒いだら、許可を貰い鞄から出す。小さいままで好きに遊ばせておこう。
熱くなる船員が出だしたらさっさと切り上げ船長にゲームの感想や改善点などを伝える。
「ボードゲームにカードゲーム……純粋に楽しむ為にやるのは久しぶりだ」
研究所以来か、と鬼桐・相馬は表情は変えぬまま、けれどどこか懐かしげに呟いた。軽く遊戯室を一周し、人が必要ならどのゲームでもするつもりだが、最初についたのはカードゲームの卓だ。心理戦や駆け引きの必要なゲームの方が相性が良さそうだと思ってのことだ。
「おお兄ちゃん、いい面構えじゃねぇか」
「はは、こりゃ手強そうだ」
既に卓に集まっているのも、幾分年かさだったり知恵者らしい様子だったり、駆け引きに自信のありそうな船乗り達が多い。椅子を引き座りながら、相馬は軽く肩を竦めた。
「ポーカーフェイスが上手い訳じゃない、……顔に出ないんだよ、元々」
相馬が参加したゲームは絵柄と数の書かれたカードとチップを使い、手札で特定の『役』を作る部分はポーカーに似たゲームだ。けれど役を作る過程をさらに幾つかのゲームに分けたのが特徴だった。
順に一周カードを引いたら、次に1枚のカードをチップを使ったオークションにかける。それが終わったら、順に「〇〇のカードをチップ何枚で買う」と宣言し、そのカードを持っている者が了承すれば取引が成立する。
これをまた最初のカードを引くフェイズから繰り返し、手札の中に役が出来上がったことを公表して上がったら、役の高さ次第で決まった数のチップがもらえる。それを規定の回数繰り返し、最終的には持っているチップの量が一番多かった者の勝利だ。
「どっちかというと麻雀に似てるんじゃないか」
「あ? なんだいそのまぁじゃんってのは」
船員の言葉に相馬が答えるより先に、ああ知ってる、と別の1人が声を上げた。
「何ヶ月か前に通った港で、ドミノ牌みたいなのを使ったボードゲームがそんな名前だった。俺は好きだよ」
「そっかあ? アタシはああいうの苦手だな、頭使うじゃん」
「頭使うのがいいんだよ」
そうわいわいと話す船員達に混じって何周目かのゲームを繰り広げているうちに、きゅっきゅと小さな鳴き声と共にがさがさと相馬の鞄が蠢いた。部屋中に響く楽しそうな声に、とにかく何だか面白そうなことが起きていると感じ取ったのだろう――鞄の中の住民が。
「ん、なんだい。動物でも連れてるのかい?」
身を乗り出した女船乗りに「おいついでにカード覗くんじゃねぇ」と隣の男が慌てて手札を隠す。わっとそこでまた笑い声。
「そんなところだ。暴れるような奴じゃないから、出してやってもいいだろうか?」
「躾ができてるなら大丈夫だろ……うわっと! へぇ、竜かい? 可愛いじゃないか!」
相馬が鞄を開いたその瞬間に飛び出した黒色のヘキサドラゴンは嬉しそうに翼を羽ばたかせると、船乗りの手に頭を撫でられそれにすり寄ってからぴょんと飛び出した。
「ゲームの邪魔はしないようにな」
「きゅい!」
相馬の言葉通り、邪魔にはならない高さで飛び回ったり、今は使っていないボードゲームの駒を眺めてみたり、船員達に遊んでもらったりと楽しそうにヘキサドラゴンが駆け回る。
「さて……と。それじゃ、俺はこれで上がり、だ」
「あっ俺が欲しかったやつじゃねーか!」
「悪いな、俺も必要だったから全部抱えてた」
「ちきしょー!」
わいわいと盛り上がりつつも頭に熱が上る者が出る前には切り上げて、『もう少し単純化してもいいのでは』とか『オークション用の札は他の札と別にしても』と出てきた意見をまとめて。
「じゃ、次はサイコロ振るだけのやつでもやる?」
「ん、じゃあ俺はもう少し他の卓も見て回らせてもらう」
感想までしっかり書いたメモを残して立ちあがると、相馬は次のゲームは何にしようかと見回しながら再び卓の間を歩く。ヘキサドラゴンの楽しげな声が、遊戯場の賑わいに混じって響いた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『めがりすをたべた、くまさん』
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POW : もっこもこにしてやんよ!
SPD : もっこもこにしてやんよ!
WIZ : もっこもこにしてやんよ!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
さて、鉄甲船ですっかり仲良くなった船員達に見送られ、無人島をしばらく行くと。
そこは、もふもふだった。
正確に言うともっふもふの大きなくまさんが人の姿にきらきら目を輝かせていた。
狂暴な様子は見えないが、額には確かにきらきら輝く金色の宝珠が埋まっているのがわかる。
明らかに本来の種よりももこもこになった毛に埋もれかけているが。
「ぬいぐるみ……」
誰かが呟いた。確かにそう、いわゆるテディベアのぬいぐるみにそっくりだった。
ぬいぐるみは!
じゃれてこないしタックルもしてこないけど!
そう!
このくまさんは壮絶に人懐っこかったのである!!
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。お好きなように。
普段はアレなアリスも女の子、可愛らしいふわもこのぬいぐるみは一般的な意味で大好きなのである。
「わぁい♪ おっきなくまさんだぁ☆」
知らない人が見れば完全に無垢な少女に認識される感じでくまさんと戯れます。知ってる人からは良く似てるけど別人だなと思われるレベルでキレイなアリスさんである。
ま、見た目ぬいぐるみでも中身は愉快な仲間でもない本物の熊なので、じゃれられたりタックル喰らったりはシャレにならないけど、念動力由来の怪力や、グラップルの応用で衝撃を操縦して逃がしたりすることで問題なくもっこもっこに出来るわよ☆
動くテディベアと戯れる少女の動画配信で懐もぬっくぬっく♪
「わぁい♪ おっきなくまさんだぁ☆」
まるでぬいぐるみのようなもっこもこのくまさんを前に、アリス・セカンドカラーは紅色の瞳をきらきらと輝かせた。
普段はアレなアリスも女の子なのである。
アレとは。
まぁ、うん、アレである。
「ふふっ、こっちにおいでー♪」
手を差し伸べれば嬉しそうにすっ飛んでくるくまさん。
「あははっ☆ かーわいい……♡」
無論、もっこもこもっふもふで人懐こかろうがクマである。
身長5メートルのクマである。
すなわち現在の体重は余裕でトンを超えている。
だがしかし!
「よしよーしいい子いい子♪」
突撃してきたクマさんと共にくるりと後転することで衝撃を逃がし、ベアハッグを念動で補助した腕力でがっしり受け止めてもっふもふの毛並みをなでなで。
さらにころんと転がしてやって喉元をくすぐってやれば、心地よさそうに目を細めるクマさん。
まさに猟兵としての力と技をクマさんとの楽しい遊びに一点集中全力投資、ここぞとばかりにもふってもふってもふりまくって遊びまくって――心ゆくまでもこもこ大満足のアリスであった。
「さて、動くテディベアと戯れる少女の動画配信で……」
にんまりと満足げな笑みをさらに深くして、セッティングしておいたビデオカメラの録画を停止するアリス。
「懐もぬっくぬっく、ね♪」
ご視聴どうもありがとう☆
チャンネル登録もよろしくね♡
大成功
🔵🔵🔵
ベイメリア・ミハイロフ(サポート)
メイン参加者さまのお邪魔にならぬようにしつつ
状況を見て行動を行おうと思います
日常では、まったりのんびり楽しみたいと思います
探索が必要であれば、情報収集・聞き耳を活用し
さりげなく目立ちすぎない程度に行動を
戦闘での行動は、絶望の福音又は第六感・見切りにて相手の攻撃を予見し回避又はオーラ防御・武器受けからのカウンターを狙いつつ
広範囲に敵がいます場合にはRed typhoonを
1体に対してはジャッジメント・クルセイドにて攻撃をいたします
チャンスがあれば早業・高速詠唱からの2回攻撃を
回復が必要なら、この身を削ることになろうとも、生まれながらの光を使用いたします
呼び方ファーストネーム+さま
一人称:わたくし
山咲楽・優枝
アドリブ・連携OK
【POW】
まぁー、人懐っこい熊さんデスネェ。
故郷の山を思い出しマス。
見たところ、遊びたがってるように見えるのデスガ、
実際はどうなんデショウカ?
『動物と話す』ことができるので熊さんに聞いてみマス。
遊びたい、というなら取っ組み合いをしマショウ。
僕も少しばかり『怪力』なので、突進されても
潰れるようなことにはならないと思いマス。
折角デスシ、クマゴローさんも呼んじゃいマショウ。
クマゴローさん、相撲デスヨ、相撲。
最近山に戻ってなかったから久しぶりデス。(ウキウキ)
可愛らしいデスガ、この体格だと遊び相手が
見つかりにくいデショウネ。
折を見てメガリスをもいで、
元の姿に戻してあげたいデス。
「ま……まあっ……」
ベイメリア・ミハイロフは思わず碧玉の瞳を輝かせた。薔薇を象った装飾の十字架を思わず握り締める。
「感謝いたします、神よ……!」
情熱を宿すような真紅のシスター服を纏い、聖者として神の力を数多の世界に呼び下ろすシスター・ベイメリアは、無類のもふもふふわもこ愛をその心に宿すレディでもある。
ゆえに、このテディベアのようなふわっっふわのくまさんを前に神に感謝せずにいられるだろうか。
無論、感謝せずにいられない。
思わず反語表現なんか使っちゃうくらいそりゃもうきらっきらに目を輝かせるベイメリアである。
「まぁー、人懐っこい熊さんデスネェ。故郷の山を思い出しマス」
ごろーんと腹を見せてベイメリアに両手でなでなでもっふもっふされているクマさんを眺めながら、山咲楽・優枝は優しい笑顔でうんうんと頷いた。桜の精であり獣の精霊達と心を通わせる優枝は、動物とも語らうことが可能だ。
「見たところ、遊びたがってるように見えるのデスガ、実際はどうなんデショウカ?」
そっとクマさんのつぶらな瞳を見つめて、『一緒に、遊びたいデスカ?』と問いかけてみる。伝わってくる全力の肯定と、ごろんと巨体に見合わぬ俊敏さで跳ね起きる様子に思わず頬を緩めつつ、勢いで吹っ飛ばされたベイメリアをひょい、と受け止めた。
「きゃっ……ああ、優枝さま、申し訳ございません」
「いえいえ、困ったときは持ちつ持たれつデスヨ」
何せこれからやろうとしているのは――5メートルのクマさんとの取っ組み合いである。
ベイメリアを軽やかに受け止め、そっと再び地面に立つのを手伝うくらいはお手の物だ。
「ほーらこちらにおいでナサイ」
ぽんぽん、と優枝が手を打って呼んでやれば、大変嬉しそうにすっ飛んでくるクマさん。それをがっしりと正面から受け止めた。とんでもない運動エネルギーの塊ではあるが、敵意がないのはよくわかる。
「そーれよしよし、いい子デスネェ」
ベアハッグされたまま柔らかで心地よい毛並みを撫で回す。背中側からはベイメリアがふわふわの毛並みを両手で撫でて、夢心地の顔になっている。
「折角デスシ、クマゴローさんも呼んじゃいマショウ。クマゴローさん、相撲デスヨ、相撲」
呼び声に答えて『知己朋熊』――熊の精霊たるクマゴローさんは優枝の隣に現れると、よしきたとばかりに後ろ足で立ち上がってぱぁん、と手を打ち鳴らした。
熊は結構この動きが得意なのだ。
相撲で言うなら組むのも得意だし張り手も得意といったところだ。突っ張りはちょっと身体構造上難しいけど。
ともあれ。
「はっけよい……ノコッタ!」
クマゴローさんと巨大化クマさんはいい感じにがっぷり四つに組み合った。勝負をつけるというよりは、じゃれ合いを楽しむような愉快そうな相撲である。
「ふわもこと、ふわもこが……お相撲……ああ、まさに楽園とはこのことですわね! クマゴローさま大きなクマさま、どちらも頑張ってくださいませ!」
まさに大相撲で言うならば正面の溜席、最高のポジションで観戦するベイメリア。
「最近山に戻っていなかったからこういうのは久しぶりデス……可愛らしいデスガ、この体格だと遊び相手が見つかりにくいデショウネ」
もうしばらくしたら、メガリスを取って元通り仲間達と遊べるクマさんに戻してあげよう――けれど今はもっふもふの巨大クマさんとして満足するまで遊んであげよう。
琥珀色の瞳をふわりと細めて、のどけき春の山で戯れるクマさん達を優枝は飽かず眺めるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と
でかいな、さて――どうやって遊ぶか。
【POW】
もふもふの毛並みを撫でながら思案。こちらに触れようと伸ばしてきた熊の手を何事もなく受け止める。
ハルア、お前の翼よりもふもふだぞ。触ってみないのか。
そういえば熊と相撲を取る昔話がある、変身すれば体格差も問題ないな。
UC発動し獄卒の門番姿に。以前共に戦った女力士猟兵の動きを、多少混濁する意識の中思い出しながら熊と相撲をとって遊ぶ。
……ただの取っ組み合いに見えなくもない、かもしれない。
組み合い動きが止まった時にハルアを見る、この姿だと喋れないので察して貰おう。
お前飛べるだろ、額のメガリスを引っこ抜け。
※他の猟兵と連携・アドリブ歓迎
ハルア・ガーラント
相馬(f23529)と
わたし、勝負事に弱いので厨房でお手伝いしていました。
【WIZ】
あ、あの。本当に遊ぶんですか?くまさん凄く大きいですよ。
わたしの故郷は田舎で山にも面していたので熊の怖さはよく分かります。くまさんを平然と撫でる相馬の陰に隠れ恐々様子見。
わたしの翼だってもふもふです!
相馬の言葉にむっとして羽毛を膨らませ抗議。
[覚悟]を決め伸ばした手の横で巨大化する相馬。特撮映画みたいな状態にただオロオロ。相馬の方が悪役に見えるのは気のせい?
取って喰いそうなその怖い金目の訴える意味、分かってます!
UC発動、信頼を上乗せ後に飛翔、目を瞑り額の宝玉を握り込み引っこ抜こうとします。
くまさん、ごめんね。
朱酉・逢真
坊ちゃんと/f22865
いきなし呼んで悪かったなぁ坊ちゃん。道ばたの桜の木に話しかけられて驚いたろう。
おオ、なつかれてンじゃねえか。いいねえ、頼んで正解だったぜ。本当に…(顔をそむけて笑い)
悪ぃ悪ィ、っひひ。あァ、なんか見たことあンなあ、アースのテレビでやってた…夢だけど夢じゃねぇってやつだ。
あアすまんね、俺ァ生き物にゃ触れんのよ。ほれ、此の通り唸られる。病気くせぇかンなぁ。俺の分まで楽しんでくれや。
でけぇ《虫》を出して、その足でメガリスをもぎ取らせる。熊には触ンなよぅ、空気感染経皮感染どっちでもねぇのにしてあるが媒介はしてンだ。
残念そうだなァ坊ちゃん。そら、お別れしなィ。
雨野・雲珠
俺の神様ではないかみさまと/f16930
とんでもないです、
またお会いできて嬉し……うわーーー!?
お返事の矢先、熊にタックルされてもこもこに埋まります。
あの、好いてくださるのは嬉しいんですが
単純に大きすぎて身の危険を感じ、
うわわわ角が折れ
あっ笑ってないで何とかしてくださ……【花吹雪】!
……ぷは。つ、潰れるかと思った…
落ち着いたところで、
ぐーすか上下しているお腹によじ登ってみます。
わあ…これはなんと柔らかなもこもこ。ここで寝たい。
あっかみさま、ここ空いてますよ。
すてきな毛並みですよ。
あっ(眷属がメガリスを引っこ抜く)
ああー
…仕方ないです、もとは野生の熊ですもの。
君のふかふかは忘れません。お元気で…
ふわり、遅めの山桜が舞うのどかな昼下がり。
「いきなし呼んで悪かったなぁ坊ちゃん。道ばたの桜の木に話しかけられて驚いたろう」
諧謔か親愛か、透けるほどに色白の青年は薄い唇で、両のこめかみに桜の枝持つ少年へとニコリと笑う。
「とんでもないです、またお会いできて嬉し……うわーーー!?」
その育ちの良さそうな少年――桜の精たる雨野・雲珠の言葉は終いまで行かぬうちに、悲鳴めいた言葉へと転じてもこもこクマさんへと呑みこまれていった。
「おオ、なつかれてンじゃねえか。いいねえ、頼んで正解だったぜ。本当に……」
無論、雲珠自身もすっかりもこもこクマさんのタックルで毛並みに埋まっている。
顔をそむけつつもその様子を横目で眺め、思わず青年、朱酉・逢真はくくと喉の奥から笑みを零した。
「でかいな、さて――どうやって遊ぶか」
「あ、あの、本当に遊ぶんですか? くまさん凄く大きいですよ」
小柄な雲珠を埋め尽くさん勢いのクマさんに、鬼桐・相馬が普段通りの鉄面皮で近づき、それに青い顔のハルア・ガーラントがふるふると首を振る。ちなみに船では勝負事に弱いハルアは厨房の手伝いに回って歓迎されていた。そりゃもう料理長に「当番制の荒くれどもとは手際が違う、嬢ちゃんウチの助手に来てくれねぇか」と頼み込まれる勢いで。
もちろんそういうわけにはいかないが、帰りも手伝うと約束済みだ。
「あの、好いてくれるのは嬉しいんですがうわわわ角が折れ……!」
「おっと」
雲珠にベアハッグの追撃が来そうなところでひょいとその片腕を受け止めた。もこーん、と相馬の腕が肘くらいまでは埋まりそうな毛並みが受け止めてくれる。それを見ているハルアは小さく悲鳴を上げそうになって慌てて呑み込んだ。
ハルアの故郷は山に面した田舎だったので熊の怖さはよくわかっている。本来小型で気性の荒くない種ではあるとのことだが、なんせ今は5メートルだ。
ちなみに元から大型の熊だとちょっとした剣やら銃弾くらいは毛皮と皮下脂肪で弾くし、巨体の割に動きは俊敏。なので山の食物連鎖の頂点に君臨してるのはだいたい奴らである。ハルアの恐怖心も決して笑い事ではないのだ。熊怖い。
「ハルア、お前の翼よりもふもふだぞ。触ってみないのか」
「わ、わたしの翼だってもふもふです!」
しかし平気でクマさんの腕やお腹をもふっている相馬の言葉には対抗心を煽られずには言われない。ぽふっと思いっきり羽毛を膨らませ、ついでに頬も膨らませて抗議するハルア。
――寒い冬の日に羽を膨らませて真ん丸になってる野鳥みたいだと、さらに怒られそうなことを相馬はふと思ってしまったのだった。
一応口には出さないでおいた。
「あっ笑ってないで何とかしてくださ……は、【花吹雪】!」
ちょうど相馬も受け止めきれない逆の手からのベアハッグで進退窮まった雲珠が雪のように白い桜の花弁を降り注がせてクマさんを眠らせたのは、その辺りのタイミングであった。
「……ぷは。つ、潰れるかと思った……」
もっふもふではあるが体格に見合った質量とパワーの、しかしあまりにも心を許しきったハグからなんとか抜け出して、ほうと息をつく雲珠。
クマさんは大の字になって、すよすよと心地よさそうにお腹を上下させている。
「悪ぃ悪ィ、っひひ」
折れてはいないだろうが念のため、とばかりに角の具合を確かめる雲珠に、思わず今度は逢真は声に出して笑ってしまう。とはいえそれを不快に思う雲珠ではないし、逢真もおそらくはそんなところを気に入っているのであろう。
ようやく落ち着いた雲珠は、今度はよく寝ているクマさんのお腹によじ登って――お腹の毛に埋もれながら、感嘆の声を上げた。
「わあ……これはなんと柔らかなもこもこ」
そう、手足も大変素晴らしいもふもふだが、お腹の毛並みはさらなる極上だ。
「ここで寝たい……」
むしろこのゆったりと呼吸に上下する心地よさが相まって、うっかり寝てしまいかねない。
「あァ、なんか見たことあンなあ、アースのテレビでやってた……夢だけど夢じゃねぇてやつだ」
確かにサイズ感といい。
もふもふ感といい。
わかるわー。
「あっかみさま、ここ空いてますよ。すてきな毛並みですよ」
ぽんぽん、と自分の隣のもっふもふなところを示して振り向く雲珠に、軽く眉を下げて逢真は首を振る。
「あアすまんね、俺ァ生き物には触れんのよ。俺の分まで楽しんでくれや」
「そうなんですか?」
「ほれ、此の通り……」
たった数歩。
数歩だけ近づいたところで、ぐるると聞こえる唸り声。
「唸られる。病気くせぇかンなぁ」
肩を竦めた逢真――細身の青年の姿を取ったその本質は凶星、すなわち病を司る神だ。無論その病はあくまで世界のバランサーとして振るわれる力ではあるが、その性質上ほとんどの獣には本能的に警戒されてしまうのだ。
「がおう!」
「ひゃあっ!」
あ、起きた。
逢真はとっくに元の位置――より数歩離れたところまで距離を取っているのだが、クマさんが跳ね起きたことでまた悲鳴と共に転がり落ちる雲珠であった。
「あっクマさん、落ち着いてっ……」
ぐるぐるとまだ唸っているクマさんに、覚悟を決めたハルアがおずおずと手を伸ばしたところで。
「そういえば熊と相撲を取る昔話がある、変身すれば体格差も問題ないな」
「え?」
あっさりと相馬は言って、さらに次の瞬間にはあっさりとユーベルコードを解き放ち筋骨隆々の肉体に輝く文様を纏う黒鬼へと変身を遂げていた。
――いちおう、冥府の槍に吸わせていた悪意とか嗜虐の欲求をフル活用して冥府と天獄を隔てる門を守護する獄卒の門番に変身するとかいうわりかしガチの戦闘仕様ユーベルコードなのだが、本来の『悪意』によって混濁する意識の中でも青黒の炎は控えめ、爪の鋭さも抑えめにしている辺り、相撲という『遊び』の領分を越えないように頑張ってる感が凄い。
「おや、それじゃ行司の真似事でも。ソレ、はっけよい……のこった!」
離れた場所から逢真ががっぷり四つに組み合うと同時に声をかける。以前共に戦った女力士の相撲を思い出しながら、クマさん相手に一歩も引かぬ相撲――もしくは取っ組み合いが繰り広げられる。
もはや目の前で怪獣映画。
ハルアだってオロオロするだけで精一杯になろうってもんである。
(相馬の方が悪役に見えるのは気のせい?)
……まぁ、うん。
相馬がいかにクマさんを傷つけないよう立ち回っているとはいえ、見た目は爛々と輝く目の黒鬼。相手はぬいぐるみのようなクマさん。
特撮映画なら確実に悪役側が相馬である。プロレスでもおそらくそうじゃないだろうか。たぶん。
しばらくえっちらおっちらと取っ組み合いが続いていたが、ちょうど動きが止まったところですっと相馬が視線を動かす。
ちなみにこの姿だと会話ができない。
(お前飛べるだろ、額のメガリスを引っこ抜け)
「わ、わかってます!」
無論、ハルアの方は声に出して返事ができる。取って喰いそうな眼光(ハルア談)が訴えてくるので思わず口に出してしまった、ともいうかもしれない。
(お願いします、私たちに力を貸してください)
天使言語が奏でるのはディアネスソング、親愛の歌。柔らかに心に染みるような歌声は、敵意を取り去り協力の意思を聞く者の心に宿す。もちろんそれは、聞く者がクマさんであっても例外ではない。
ひらり、ハルアが翼を広げ飛び上がる。狙うのは額の宝玉――『メガリス』。
「くまさん、ごめんね……!」
目をつぶって、ぎゅっと握り込もうとする。
――すかっ。
「え」
ハルアが慌てて目を開くと、閉じる前とは微妙にクマさんの立ち位置が変わっていた。逃げたとかではなく、単純にちょっとバランス悪かったので足をずらした、レベルの動き。
それは体格から相対的に見ると微妙な動きでしかないが。
5メートルの身長で微妙に立ち位置がずれると、ハルアの伸ばした腕の範囲からメガリスが外れる程度には離れてしまう。
「おっと嬢ちゃん失礼すンぜ」
「ひゃいっ!?」
後ろから声と共に聞こえた、自分とは違う質の羽音に慌てて横に飛び退くハルア。その隙間にひょいと入り込んできたのは巨大な『虫』だ。
白い翼が起こす風にも飛ばされることなくすっ、と節くれた脚を伸ばした虫は、メガリスへと触れ掴むと羽音をまた一段高くして宝玉を引き抜きにかかる。
「熊には触ンなよぅ、空気感染経皮感染どっちでもねぇのにしてあるが、媒介はしてンだ」
病気を媒介する虫や獣は、逢真の眷属たる存在である。
逆に言うと操る存在を、媒介する病気を持たないものとするのは不可能なのだ。――おそらく。
ともあれ丁寧に、クマさんそのものには触れないように宝玉だけを掴んだ虫は、見事にそれを引っこ抜いてみせたのだった。
そして次の瞬間にはもっこもこの『クマさん』は、人の胸ほどの身長を持つ普通のクマさんへと戻っていたのであった。
「残念そうだなァ坊ちゃん」
「……仕方ないです、元は野生の熊ですもの」
相変わらずクマさんはのほほんとした様子ではあるが、たっぷり遊んで疲れたのか、そろそろ山奥へと戻っていく様子である。
「そら、お別れしなィ」
「はい、君のふかふかは忘れません。お元気で……」
逢真に促された雲珠、そして相馬とハルアも、ひょいひょいと山の中へ消えていくクマさんに手を振ったり、優しい視線で見送ったのであった。
大成功
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第3章 ボス戦
『里見水軍『焦土の』義弘』
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POW : 身から出る怨嗟の炎
【自身の身にまとわりつく「怨嗟の炎」】が命中した対象を燃やす。放たれた【怨嗟の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 里見家伝来の家宝『三種のメガリス』
【強力なビーム光を放つ刀】【ビームや銃弾を絡めとり跳ね返す妖力】【強靭で従順な呪われし不死身の白馬】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 里見家の水軍
【刀や槍】で武装した【里見家の水軍】の幽霊をレベル×5体乗せた【巨大な安宅船型の幽霊船】を召喚する。
イラスト:ゆりちかお
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ヨウ・ツイナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――ぱからっ、ぱからっ、ぱからっ……。
クマさんを見送った猟兵達の耳に届くのは、高らかな馬の足音。
とはいっても、あくまでメガリスによってふわもっこになっていただけのクマさんとは違う。
背に乗せた主と一心同体の、オブリビオンでしかない。
「我こそは里見水軍が将、『焦土の』義弘。そのめがりす、我が名において貰い受ける!」
見た目こそ、ちょっとクマさんと相撲してた童話の主の成人した姿にちょっと似ているが!
凶悪なるコンキスタドールが、メガリスを強奪せんとその姿を現したのである!
かつてUDCアースの日本の遥か昔、もしくはサムライエンパイアならばまだ一昔前のこと、その他の世界でもあったかもしれない剣豪と剣豪の――あれは『巌流島の』戦いと言ったはず。
ならばそれになぞらえてこの戦いこそは……あれ、そうだ。
ここ無人島だから島の名前まだないんだった。
戦いの緊迫感に包まれているところ恐縮なのですが、この島の名前も募集中です!
思いついたらぜひお送りください!
発表は、この物語の最後に!!
ベイメリア・ミハイロフ
島のお名前…もふもふ島としか思い浮かびません…!
もっとも、もう今はもふもふではないのでございますけれど
それより、水軍ながら炎使いとは
とても気になります
召喚したお船が燃えてしまうのでは、と…
そ、それはともかく
めがりすはお渡しする訳には参りませんよ…!
火炎耐性を活用しつつ
お相手の攻撃は第六感・野生の勘にて見切り回避
不可であればオーラ防御又は武器受けしつつカウンターを狙います
攻撃には属性攻撃を活用し
お相手本体へは氷属性を、幽霊船には炎属性を付与して
更に幽霊に対しては範囲攻撃にて多くを巻き込むように
早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙いつつ攻撃を放ちます
※お仲間さまと共闘できます際には連携を意識いたします
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。お好きなように。
里見家の水軍に対してこちらも大いなる闇の軍勢を召喚するわ。
ミニスカゴスロリで眼帯な廚二病まっさかりな少女の戦士達は、漆黒の剣はほぼ飾りで属性攻撃による魔法攻撃と、グラップル&奉仕での寝技やハニートラップ(誘惑/おびき寄せ/罠使い)を得意としているわ☆
集団戦術で漆黒の雷霆を多重詠唱で一斉発射しての範囲攻撃で感電(マヒ攻撃/気絶攻撃)を狙いましょ。で、相手側の負傷兵を回収して看病(医術)という名のハニトラで篭絡するわ♪敵軍とのラブロマンスとか廚二少女的にぶっささるようです。
あ、私自身は大将同士で決闘してますがアレな内容かと思いますので、描写は闇の軍勢メインで。
「島のお名前……」
ベイメリア・ミハイロフはそっとその碧眼を切なげに細めた。
己の限界と向き合うように、それでいて過去へと刻まれた記憶と対峙するかのように。
「もふもふ島としか思い浮かびません……!」
もっとも、もう今はもふもふではないのでございますけれど――。
(あまりのもふもふっぷりに持っていかれた語彙力の)限界。
(クマさんが元に戻った数分前までの)記憶。
そしてベイメリアの切なげな視線。
うん、嘘は言ってない。
「それより、水軍ながら炎使いとはとても気になります。召喚したお船が燃えてしまうのでは、と……」
と、もふもふから戻ってきた思考で今度は里見水軍の船を心配してしまう辺り、ベイメリアは神に仕えるシスターらしいお人好しでもあった。
「ま、あくまで『木でできているように見える』だけかもしれないものね」
その横で小悪魔スマイルを浮かべているアリス・セカンドカラー。シスターの横でこの顔してて大丈夫だろうか。悪魔祓いされないだろうか。
いやうん、オブリビオンとの戦いにおいてはシスターでも小悪魔でも神でも鬼でも共闘できる。
それが!
猟兵だもの!
「そ、それはともかくめがりすはお渡しする訳には参りませんよ!」
「ふん、ならば我が水軍が何としても奪うとしよう」
騎馬でゆるりと進む『焦土の』義弘から、ゆらり立ち上る怨嗟の炎。その背後にぬっと浮き出るように現れる安宅船。刀や槍を持った足軽達が、次々に飛び降り陣形を作り上げ――
「かかれ!」
さっと白光に包まれた刃を真っ直ぐ前へと向ける主に、鬨の声を上げ襲いかかってくる!
――天からの光が、轟音を立て炸裂。
『5人』の足軽幽霊を、影すら残さず灼き尽くした。
「な、なんだ!?」
「何だあの光は……!」
「裁きの光です」
右手に切っ先のない剣を模したメイスを構え、ベイメリアは真っ直ぐに左手を伸ばしていた。広げた五指の先は、それぞれがちょうど光の落ちた場所へと向けられている。
『ジャッジメント・クルセイド』――その指先の向かう地に、神雷とも言わんばかりの天からの光を落とすユーベルコード。
「あら、随分とあの光に動揺しちゃって……ここに大いなる闇の軍勢を呼び出したら、どうなっちゃうかしら☆」
光が来たら今度は闇の番、光あるところに影あり。
いやちょっと違うかもしれないが、ともあれ楽しそうに言ったアリスはびしっと里見水軍に指を突きつけ『命じる』。
「我が呼び声に応えよ、常闇の亡霊!」
主の指の先には、主の敵。
そう、漆黒の剣を腰に。
ゴシックにしてロリィタな短裾の衣装を身に纏い、眼帯にて片目を隠した少女達は、すらりと揃いの剣を抜き放つ。
「アリス様に!」
「勝利を!」
そしてその剣を振り下ろした切っ先から爆ぜる漆黒の雷霆、闇と雷を合わせた魔力の矢が一気に飛び出し、敵陣に爆ぜる!
彼女達は魔法による攻撃は得意だが!
ぶっちゃけ剣は「漆黒の剣とか超格好いい」ので持っているほぼ飾りである!
一応斬れることは斬れる!
しかしその剣より放たれる雷霆は強い。彼女達、闇の軍勢(厨二病まっさかり)が本来得意とするのは属性魔法による攻撃なのである。
闇雷の一斉射撃、その次射までの数瞬のタイムラグの間。再びジャッジメント・クルセイドを今度は続けざまに放ってさらに道を開くとベイメリアは、その道へと躊躇なく飛び込んだ。
次の漆黒の雷霆が飛び交う時にはとっくに足軽達を盾にする位置へと入り込み、臆さず襲いかかる槍や刀はす、と駆けつつの足さばきと身のこなしでかわしていく。
大将たるオブリビオンの元へとベイメリアが迫る間にも、アリスの闇の軍勢達は闇の雷を幾度となく解き放ち――そして相手側の負傷兵を自陣の後方へと回収している。
そして手当している。
なぜ、と思うかもしれない。敵の手当をするなど、利敵行為ではないか、と。
「なぜこんなことをする、我らは貴様らの敵だぞ……!」
そもそも足軽幽霊がそう思っていたし、思い切りツッコミを入れていた。
「威勢がいいのね、こんな大怪我をしているというのに」
「貴様らがやったんだろうが!」
正論である。
「けれど、傷に障るわ。確かに我が闇のつけた傷、それでも……」
包帯を巻き終え、少女は眼帯に覆われていない側の片目でじっと足軽の目を覗き込んだ。
「その闇にすら呑まれず勇敢に向かってくる貴方を、撃ち倒した時に胸が痛くなった……おかしいのはわかってる、私は、戦士なのだから……」
その瞳が潤むのに、思わず足軽は息を呑む。戦いの時は悪鬼とでも見えたその姿は、よく見れば年相応の少女に過ぎない。
「でも、この気持ちが……貴方を助けたいと言っている。こんな気持ち、初めて……」
という光景が、後方の至るところで起きていた。
ハニートラップって怖いよね。
ベイメリアが指先を向けた『焦土の』義弘の背後に佇む幽霊船に、光が落ちる。その光はこれまでと違って、着弾した瞬間に炎の爆発となって燃え上がった。
次の瞬間真っ向から落とされた敵将の刃を、氷を纏ったメイスで受け止め滑り落とし、勢いのままに頭上を通して遠心力で叩きつける。
大盾のように持ったエネルギーの盾が、ベイメリアの氷の一撃を蒸発するようなオトを立て弾いた。
「なるほど、よくやる女ではないか」
「お褒めに預かり光栄至極にございます……っ!」
――強い。
その刃は重く、その盾は硬い。『焦土の』という二つ名は、それができるだけの力をこのオブリビオンが持っていると現している。
無論その幽霊船を召喚する能力だけでも『焦土作戦』は可能だろう。けれど、この男、義弘単独ですらも十分に戦力であり、『殲滅力』でもある。
再び構えたメイスを今度は義弘は刀で受けた。一合、二合打ち合い、――その目に映った光景に、ベイメリアのメイスが一瞬遅れた。
その遅れを逃さず刀が深手を負わせんと袈裟懸けに振るわれようとした、瞬間。
つ か ま え た ♪
「な、なんだ小娘、貴様はどこから……うわああああ!!」
一瞬で繰り広げられたちょっとあまり公共の場ではお見せできない感じの『戦闘』に、とっさにベイメリアは背を向けた。
後ろからはアリスの楽しそうな声と、なんかオブリビオンが翻弄されているっぽい感じのアレな雰囲気。
「……幽霊船、燃やしておきましょうか」
すーっと視線を斜め上に飛ばしていろいろと視界から外し、この場はアリスに任せることにして、ベイメリアは幽霊船の方へと近づくと全力で炎を宿した光の柱を落としまくっておいた。
ついでに追加で出てきた足軽幽霊もきっちり相手しておいた。
アリスの『遊び』から義弘が解放される頃には、幽霊船はきっちり炭になっていた。足軽幽霊達もすっかり撃破されたり成仏(?)させられ、既にもう一度召喚でもしなければどうにもならない状態だ。
「ええ、いい仕事をしました」
ツヤツヤになったアリスがスキップしていくのを見届けつつ、やり遂げた顔で汗を拭うベイメリアであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱酉・逢真
坊ちゃんと/f22865
おいでなすったぜ、坊ちゃん。コンキスタドールだ。準備は出来てんな? おォし、さすが。
俺ァ切った張ったが苦手でね。こぉんな病弱色白19才小僧(見た目)が真っ向から戦えるかってんだ。
なもんでちょっくら天災起こすぜ。
《獣》の群れは坊ちゃんの《盾》に。でけえ《鳥》は坊ちゃんを乗せろ。俺はでけえ《虫》に乗って、海を見渡せるとこまで上がる。
さあさ渦巻け、幽霊船を海の底まで逆落とせ。オラおとなしく彼岸に戻ンな。
そォいやなんか電波来たんだが、この島の名前ってなんか思いつくかい?
俺ェ? 「熊島」…「相撲島」…悪ぃがこじゃれたセンスはねえンだわ。坊ちゃん付けてくれよ。…おう、適材適所だな。
雨野・雲珠
かみさまと/f16930
切った張ったが苦手だからって天災を起こす色白病弱十九歳(見た目)
…そんなことあるでしょうか…
かみさまのなさることはスケールが大きすぎて
ちょっと俺にはわかりません。
…よろしいんですか?わあ…失礼します。
(こわごわ鳥の背中にしがみつく)
(巻き込まれない程度に自らも船の近くへ)
(高い)
転生とは無縁のコンキスタドールとはいえ、
怨念怨嗟の塊ならば、鎮撫鎮魂のお手伝いを。
微力ながらお力添え致します。
花を。手向けを。
いざ、冥府へのお供をば。
熊島に相撲島…うーん…
…あ、熊がいるとわかれば、事故回避になるかもしれませんね。
くまで、相撲ですから…金太郎島?
……。
他の方にお任せしましょう。
鬼桐・相馬
ハルア(f23517)と
怨嗟の炎か。この[冥府の槍]が喰えるのか試したいな。
【POW】
ハルアの発言に溜息が漏れそうになるが無言で視線を送るに留めておく。冬毛ふわもこ野鳥に上手い切り返しは期待していない。
敵の攻撃は回避せず太刀筋を[戦闘知識と視力]で[見切り、武器受け]する。炎を吸収できそうなら槍に喰わせ威力向上を狙う。
攻撃後の[カウンター]で削っていこう。
怨嗟の炎が噴き上がったら敵へ[ダッシュ]。致命傷のみ注意、他は冥府の炎が補うに任せる。幽霊を[なぎ払い]つつ戦闘継続し、ハルアが馬に鎖を巻き付けたらUC発動。
卑怯?何とでも。横取りを狙う奴に言われる筋合いはない。
※他の猟兵と連携・アドリブ歓迎
ハルア・ガーラント
相馬(f23529)と
あっ、横取りはいけないんですよー!
【WIZ】
子供じみた発言に軽く自己嫌悪。相馬の金目が怖いです。
味方の攻撃を[誘導弾の銀曜銃]で追撃します。
敵の攻撃は飛翔し回避か[念動力]で操る[咎人の鎖]に[オーラ防御]をのせ防ぎます。
召喚された幽霊船と沢山の幽霊。数の多さに恐怖で震えそう。
――こ、これは合戦。無双して勝たないといけませんね。
UC発動し飛翔、[魔力溜めした銀曜銃]で敵集団を狙います。
幽霊の対処が粗方終わったらボス敵と交戦中の相馬を確認。翼から外した鎖を使い、馬の足付近をぐるぐると[捕縛]。
やっちゃってください!
島の名前、ですか。クマさんがいたから巌熊島(がんゆうじま)?
「あっ、横取りはいけないんですよー!」
メガリスを奪いに来た『焦土の』義弘に思わず脊髄反射でツッコミを入れてしまったハルア・ガーラントは、直後に自分の子供じみた発言に凹んだ。
鬼桐・相馬が物言いたげな無言で視線をよこしてくるのでさらに凹んだ。切れ長鋭めの金の瞳がちょっと怖い。
「ま、冬毛ふわもこ野鳥に上手い切り返しは期待していない」
「えっ」
それってわたしですか、とハルアが口を開く前に、相馬はとっくに頷いていた。
無論ハルアはさらに凹んだ。ここが戦場じゃなかったらちょっとうずくまってのの字を書こうかな、ってくらいには。
なお戦場じゃないので思い留まったところまで、長い付き合いの相馬の掌の上、かもしれない。
いやもしかしたら相馬も割と適当かもしれない。
ともあれ。
「やるではないか。流石はメガリスを手に入れし奴らよ……」
その余裕めいた言葉とは裏腹に、炎上の挙句炭と化して消えゆく幽霊船にちらりと目をやる里見『焦土の』義弘の額には大粒の冷や汗が滲んでいた。
――それが己の誇る水軍を壊滅させられたことによるものか、それとも先程まで相手取っていた猟兵の苛烈なる攻め(意味深)によるものなのかは謎である。
両方かもしれない。
「しかし我が里見水軍は不死なる軍勢! 出でよ、二番船!」
そしてそれでも折れずに刀を突き上げ呼び起こせば、新たなる安宅船がぬっと虚空から姿を現す。
このオブリビオン――『焦土の』義弘とて、その魔力なり、骸の海から自らを存在させている力なりを代償に己が水軍を呼んでいるのだろう。とはいえ倒してもさらに無傷の水軍が召喚される様子は、まるでこの戦いが永遠に続くように思える――ごくり、とハルアは息を呑む。
次々に降り立つ足軽幽霊、その無数とも思える人数を、前にして。
「こ、……これは合戦。無双して勝たないといけませんね」
ばさりと地を蹴ってハルアは飛び上がった。槍を投げれば届くかもしれないが、幸い敵に弓使いはいない。
「い、……一緒に戦いましょう! どうか、負けないで!」
身体は震えても、その歌声が震えることはなかった。天使言語の祝福の歌は、高らかに響き、猟兵達の心へと届き――ハルア自身の心にも染み渡る。
コンキスタドールにメガリスを、この島を――そしてこの世界を好きにはさせない。新緑色の瞳と澄んだ歌声に力を込めて、ハルアは銀曜銃の引き金を引いた。
「おいでなすったぜ、坊ちゃん。準備は出来てんな?」
「ええ、転生とは無縁のコンキスタドールとはいえ、怨念怨嗟の塊ならば、鎮撫鎮魂のお手伝いを。微力ながらお力添え致します」
「おォし、さすが」
病毒を操る神『凶星』たる朱酉・逢真、そして出身のサクラミラージュでは彼の地のオブリビオン――影朧の転生を司る桜の精、雨野・雲珠の2人にとっては臆するようなものではなかった。無論、猟兵という存在にとってもオブリビオンは強敵ではあるが。
無限湧きという面では、病による人口コントロールが主な権能の逢真にとっては自らと近しく扱い方も馴染んだ能力であり。
影朧と違って転生という救いの道は持たずとも、骸の海から来たる存在の浄化と慰撫という点では、守りの幻朧桜より生まれた雲珠の使命ともいえる。
つまりは端的に好相性。
「俺ァ切った張ったが苦手でね。こぉんな病弱色白19歳小僧が真っ向から戦えるかってんだ」
いやまぁ確かに見た目はそうだが。
病気を操る凶星が病弱とはなかなか皮肉な冗句である。
「なもんでちょっくら天災起こすぜ」
「切った張ったが苦手だからって天災起こす色白病弱十九歳(見た目)……そんなことあるでしょうか……」
いやー特殊事例だと思うなぁ。
「かみさまのなさることはスケールが大きすぎてちょっと俺にはわかりません」
雲珠のツッコミの間にも、次々に『天災』の準備を整えていく逢真。
《獣》の群れは雲珠の《盾》に。
巨大なる《虫》は己の騎獣に。
「ほれ、《鳥》は坊ちゃんを乗せてやれ」
「……よろしいんですか? わあ……失礼します」
翼を伸ばせば雲珠の身の丈の三倍ほどはあろうかという鳥の背に、そっと乗り上げこわごわとその手でしがみつく。雲珠の言うことを聞くようにと逢真が命じているのだろう、その翼がばさりと空を切り、周囲を囲む獣の群れと共に飛ぶ。
先に幽霊船の上へと巨大な《虫》の背に乗って上がった逢真を追うようにして。
「怨嗟の炎か。この『冥府の槍』が喰えるのか試したいな」
幽霊船、そして足軽幽霊達へと逢真や雲珠、ハルアが向かう間に、進路の足軽達を最低限に斬り捨て真っ直ぐに相馬は騎馬のオブリビオン、『焦土』の義弘へと向かっていた。
「ふん、たった1人か」
嘲るように笑い、馬の高さを生かして真上、真っ向から斬り下ろした刃を相馬は斜めにした冥府の槍の穂先で受けた。足軽達が持つ穂先の小さな槍と違い、冥府の槍は柄に比して長く大きな穂先を持つ、いわゆる馬上槍に近い形状だ。敵の武器を受けなめらかに滑らせ、引いてすぐさま突き上げる。エネルギーの盾に威力の半ばを殺されつつも、穂先に触れた怨嗟の炎がじゅっと音を立てて蒸発――否。
冥府の槍に『喰われた』。
吸い取った赤き炎の代わりに、蒼黒い炎が勢いを増す。小癪な、と呟いて振るわれた刃は半歩ずれ身体を斜めにしてかわしつつ、とっさに逆手にした冥府の槍を相手の右脇へと叩き込んだ。肉を裂いた手応えを感じ、さらに傷口を広げるように横に捻りながら槍を抜く。
相手への深手と引き換えに一瞬反応が遅れた相馬の肩へと、白光を放つ刃が食い込む。けれど無理やり引き抜いた槍ごと距離を取り、白刃に引かれた傷が『広がる』代わりに『深まる』のを避けた。
冥府の槍が纏うのと同じ蒼炎が、その傷口を覆うように燃える。傷口は大きいが浅い。冥府の炎で補えば、動くのに支障はない。
燃え上がる怨嗟の炎はすぐさままた距離を詰めて受け止める。まるで悦ぶかのように、蒼黒き炎が音を立て燃えた。
(高い……!)
幽霊船の直上へと位置取った逢真の、やや離れた場所できゅっと鳥の背の羽毛を掴み、くらりとするほどの高さと風の速さに雲珠は目を細めた。飛翔に使う羽を掴まれているわけでもない鳥は、ゆるりと逢真の乗る虫から一定の距離を保ったままで、風を捕まえゆったりと滑空している。この方が羽ばたかないから上下に揺れず、乗り心地がいい。
ちなみに逢真の乗る虫の方は、ホバリングでその場に留まり続けることができる。その状態で逢真は、すっと伸ばした掌を幽霊船の上にかざした。
――ゆるり、潮が渦を巻く。虚空から現れ山と砂浜の間に着地していた船の真下が海水へと変化し、徐々にその範囲を広げていた。
「さあさ渦巻け、幽霊船を海の底まで逆落とせ――」
薄い唇が吊り上がり、ゆっくりと広がる海、渦潮へと幽霊船が、周囲の足軽ごと呑み込まれていく。『エレメンタル・ファンタジア』、属性と自然現象を合成し現界させるユーベルコードは制御が難しく暴走もしやすいが、この規模であればちょっとした制御の揺らぎや思った以上の威力など誤差だ。
広がりゆく渦潮から逃れようとする足軽幽霊の足を、次々にハルアが誘導弾で止めていく。たたらを踏んだが災いとなり、海流に呑み込まれていく同胞の横で別の幽霊が槍を投げた。一瞬振り向いて槍の軌道上に逢真がいるのを確認すると、身体の前でクロスさせた『咎人の鎖』に魔力を乗せて槍を弾く。味方の存在を考慮して、反射で避けずに防御に転じる、それができるようになるだけの戦線をハルアはもうくぐってきていた。
もちろん数で来られると今だって怖いけど。
「花を。手向けを。いざ、冥府へのお供をば」
「オラ大人しく彼岸に戻ンな」
骸の海へと引きずり返される無念を鎮めるかのように桜の花弁が舞う。雲珠の祈りと『花吹雪』が、怨嗟の声の巻き起こる戦場を、静かに、緩やかに眠りの中へ落としていく。
――やがて、幽霊船も足軽幽霊も、すっかり渦潮の底に呑まれ、その地形が元の山麓と砂浜の境目へと戻るまで。
祝福の歌と鎮魂の桜は響き、舞い続けた。
「なぜ斃れぬ」
水軍の主たるオブリビオンの顔には、焦りが浮かんでいた。既に満身創痍でありながら、揺らぐ仕草の一つも見せぬ相馬に。
己が幽霊船の終焉すらも、気付かないほどに。
もはや全身にくまなく傷を負い、それを炎で補う相馬に信じがたきものを見る目を向ける。死んでもおかしくないだけの傷を、とっくに幾度となく浴びせたはずなのに。
もっとも、それは『焦土』の義弘の判断でしかない。致命傷はきっちりと食い止め、傷で動きの鈍る部位は炎で補える程度の浅手で済ませている。捨て身に見えるのは、単に無視できる範囲の傷ならば回避を捨てているからでしかない。
まぁ冥府の炎が補わなければ重傷レベルの傷も普通に多いが。
――ともあれ、かのコンキスタドールの意識は相馬1人に吸い寄せられていた。
将であり、略奪者でありながら、1人の戦士に気を取られていた――その時だ。
「えいっ!」
高らかな気勢と共に投げつけられた『咎人の鎖』が、義弘の馬の足を奪う。遠心力と念動を纏い的確にまとわりついた鎖に、がくりと馬の、そして騎乗する『焦土の』義弘の身体がよろめいた。
「やっちゃってください!」
ハルアの言葉と同時に、相馬の冥府の槍は思い切り鎧をぶち破り、オブリビオンの心臓を貫いていた。
「卑怯、な……」
「何とでも。横取りを狙う奴に言われる筋合いはない」
破壊衝動を全て力へと昇華した『虚火祓い』が、オブリビオンの存在をこの世界に映す、最後の一欠片を刈り取る。
己が怨嗟の炎に焼き尽くされるかのように、燃え落ちた水軍の将は――この島から、消え去った。
鉄甲船が、遅咲きの山桜を咲かせる島から離れていく。
その様子を、猟兵達は甲板で眺めていた。
「そォいや、この島の名前ってなんか思いつくかい?」
逢真がふっと口を開く。この島は無人島だが、発見したからには地図に乗るのだ。名前つきで。
「ええと、かみさまは?」
「俺ェ? 熊島……相撲島……悪ぃがこじゃれたセンスはねえンだわ。坊ちゃん付けてくれよ」
「うーん……あ、熊がいるとわかれば、事故回避になるかもしれませんね」
雲珠がぽんと掌に拳を乗せる。小型とはいえ熊は猛獣だ、確かに注意喚起にはなるかもしれない。
「くまで、相撲ですから……金太郎島?」
――神様と、桜の精の間に流れる、微妙に長い沈黙。
「……他の方にお任せしましょう」
「おう……適材適所だな」
頷き合った2人の視線がすぅっと横に動いた。
「もふもふ島……」
さらに横まで動いた。
「クマさんがいたから巌熊島(がんゆうじま)?」
ハルアの呟きにさらに横へ動く視線。相馬はすっと目を逸らした。
みんなネーミングセンスのレベルはほぼ横並び。そう実感した瞬間だった。
「……話し合いが、必要なようですね」
結局探偵事務所の助手らしいところを雲珠が見せて、彼を司会進行にお話し合いと相成ったのである。
なお決まった名前は『もふもふ巌熊島(がんゆうじま)』。
もふもふの思い出と、熊が出るという注意喚起のためにちょっと厳つさを意識した上で、三人寄れば文殊の知恵、ならばたくさん集まればネーミングセンスとばかりに頑張った結果である。
ちなみに『確かに山の木々が結構もふもふした感じなのでわかりやすい』『熊に気をつければいいんだな』と、グリードオーシャンの海賊達には結構好評だったりするのであった。
大成功
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