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狂える蝶の舞う先に

#ダークセイヴァー #同族殺し

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#ダークセイヴァー
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#同族殺し


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 それを拾ったのは、ただの気まぐれだった。
 それを育てたのは、ただの暇つぶしだった。
 それを手放し人の中に戻したのは、そうした方が良いと判断したから。
 その結末がこれだというのなら、僕はどうしたら良かったのだろう?

「きゃああっ」
 黒衣の男の振るう鎌に切り裂かれ絶命する一体のレッサーヴァンパイア。
「リリィを……よくも……」
 ぶつぶつと何かを呟きながら、黒い鎌を振りレッサーヴァンパイア達を殺し続ける男。
 その場にレッサーヴァンパイア達が居なくなったのを確認すると、屋敷の奥へと進んでいく。
「もうすぐだよ……リリィ。もうすぐ、キミの……」
 傷だらけになりながらも、ぶつぶつと呟きながら屋敷の中を進む男の前に現れる豪華な扉。男が勢い良く扉を開けば、部屋の中に居た黒いドレスを着た女は、笑いながら男と対面する。
「ふふ、本当に来たの。人間なんかの為に、わざわざ領地まで捨てて!」
「ああ、これで終わりに出来る……キミを殺すために僕はここまで来たんだから」
 理性を無くし狂気に駆られた男に、女は失笑を禁じえない。
「人間なんか飼って、情でも移ったの?人間なんて、ただの僕(しもべ)じゃない!」
 その言葉を皮切りに、男は女へと襲い掛かった。


「皆集まってくれ。ダークセイヴァーで動きがあった」
 グリモアベースで、橙色のグリモアを浮かべながら赤いローブを羽織ったコーダ・アルバート(無力な予知者・f02444)が猟兵達に声を掛けた。
「『黒衣の蝶』と呼ばれる吸血鬼が、同族である『マリー』と呼ばれる吸血鬼を倒す為、マリーの住む屋敷へと強襲した。皆は黒衣の蝶に便乗する形で、マリーとそれに仕えるレッサーヴァンパイアの群れを倒して欲しい」
 黒衣の蝶は何かの思惑があり、あくまでも狙いはマリーとそれに仕えるレッサーヴァンパイアで、猟兵達の事などは歯牙にも掛けていない。
「無論、黒衣の蝶の邪魔をするならばこちらにも攻撃を仕掛けてくるだろうし、それ以前に黒衣の蝶の力を利用しなければ、こちらもマリーの討伐は出来ない。まずは共闘という形で進んでくれ」
 レッサーヴァンパイアを倒して先に進めるなら、誰が倒したとかは気にしないだろう。どの道会話は通じないから意思疎通も出来ないとコーダは言葉を続ける。
「先に進めば吸血鬼マリーとの戦闘になる。ここでも黒衣の蝶の力を利用しなければ苦戦は必死。だから、その辺りも考えて上手くやってくれ」
 人間を僕(しもべ)と言い切る性格だから、誘惑されたりしないように気をつけてな?と続けると、コーダは表情を暗くする。
「そして……マリーを倒せたら、今度は狂気を纏った黒衣の蝶との戦いになる」
 そこまでは黒衣の蝶の目的はマリーの殲滅だった。けれど、その目的を達した後、既に狂気に染まっている黒衣の蝶が何をするかは分からない。
 狂気に駆られ、そのまま人々に危害を加えるのは必至。だからそうなる前に倒して欲しいとコーダは続ける。
「ただでさえ強大な力を持っているのに、狂気に駆られそれ以上に強くなっているオブリビオンだ。だからレッサーヴァンパイアやマリーと戦っている時に、黒衣の蝶を消耗させておけば、最後の戦闘も多少は楽になるだろう」
 マリーに倒されてしまうと、こちらもマリーの討滅が出来なくなる。だが、余力を持たれすぎるとその後の戦闘が辛くなる。
「その辺りのバランスは皆に任せる。戦闘続きになる上に共闘していた相手とも戦う事になるし、人によっては複雑な感情を抱く者も居るだろう」
 それでも、強大なオブリビオンを倒すチャンスだからと、コーダは転移魔法を発動する。
「連戦に次ぐ連戦だ。準備の出来た者から送っていく。……この事件、宜しく頼む」
 そう言って準備の出来た猟兵を転移させていくのだった。


早瀬諒

 オープニングを読んで頂き有難うございます。早瀬諒です。
 随分久し振りとなってしまいましたが、これからまた徐々に活動を再開していきますので、宜しくお願いします。
 今回のシナリオは、ダークセイヴァーでオブリビオン同士の戦いに乱入。戦闘三連発のシナリオとなっております。
 いかに黒衣の蝶を利用するかに掛かっておりますので、二章までの黒衣の蝶を攻撃するようなプレイングは流させて頂きます。
 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『レッサーヴァンパイア』

POW   :    血統暴走
【血に飢えて狂乱した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ブラッドサッカー
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【レッサーヴァンパイア】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    サモンブラッドバッド
レベル×5体の、小型の戦闘用【吸血蝙蝠】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:慧那

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 質素な町の中、一際目を引く豪華な屋敷の前で黒い蝶が舞う。
 門番をしていたレッサーヴァンパイア達は、何が起きたのか分からないままに倒れ伏して。
「ひ……」
 事態を察したレッサーヴァンパイアの悲鳴が途中で途切れる。
 花吹雪が巻き起こり、花嵐に触れたレッサーヴァンパイアも地に伏した。
 同じオブリビオンでも、同じヴァンパイアでも、純血種と下位種ではこんなにも違うんだと、圧倒的な力を見せ付けて。
 どさどさと崩れ落ちるレッサーヴァンパイア。
「さあ、始まりの時だ」
 その場に動くものがなくなり黒衣の蝶が屋敷へと歩を進めようとした時、突如現れた猟兵達を見て黒衣の蝶は眉を顰める。
「……何?僕の邪魔がまた増えた……?」
 眼前の猟兵達に対して身構える黒衣の蝶に、猟兵の誰かが「戦うつもりはない」と叫んだ。
「……ああ、そうだ。僕が殺すのはあの女だ。キミたちじゃないね……」
 その言葉を聞いて黒衣の蝶は目的を思い出したのか呟いて、猟兵を意に介す事も無く歩を進める。
 冷たい眼差しで猟兵を見て、それでも猟兵を無視して館の中へと進む黒衣の蝶。
 猟兵を歯牙にもかけずに進む黒衣の蝶。けれどその眼差しは「邪魔はするな」と強く警告を突きつけていて。
 猟兵達は目的達成のため、強大なオブリビオンを倒すため、黒衣の蝶を追って屋敷の中へと進んでいった。
九重・雫
【WIZ】
私は邪魔をしないから、貴方が思うままに進めばいい。
どうせ最後には黒衣の蝶もマリーも私が救世主となるための糧となるのだもの。
自分に近づいてきたやつだけ刀で斬り伏せるよ。
禍々しいオーラで【恐怖を与える】。これで怯んでくれたら楽なんだけど。
攻撃しながら【吸血】と【生命力吸収】で力を蓄えとくよ。
レッサーヴァンパイアの血は美味しくないんだけど。贅沢は言ってられない。
連戦だしここで消耗するのは良くないもの。
敵に囲まれたらUC使用。
自分と仲間の周りに花びらを散らして一気に敵を斬り刻むよ。
黒衣の蝶は消耗させたいから、彼の周囲の敵はちゃんと残しとく。
血は美味しくないけど、花びらは綺麗に染まるものだね。




 屋敷の扉を開けた途端、発狂したように襲い掛かるレッサーヴァンパイア達と、それを意に介さず振り払う黒衣の蝶。
 猟兵の中で誰より先に先行した九重・雫(救世主になりたかった忌み子・f16602)も刀を構え、敵の意識が自身に向けられる前にと戦闘準備を整える。
(私は邪魔をしないから、貴方が思うままに進めばいい)
 雫はちらりと黒衣の蝶へ視線を送る。
 黒衣の蝶の意識は雫に向けられる事は無く、自身の進む先に立ちはだかるレッサーヴァンパイアへと向けられていた。
 ならばと、雫も先に進む黒衣の蝶自身に構う事は無く、雫へと襲い来るレッサーヴァンパイアへと刀を向ける。
(どうせ最後には黒衣の蝶もマリーも私が救世主となるための糧となるのだもの)
 だから彼を助ける必要は無い。自身に迫るレッサーヴァンパイアが召喚する吸血蝙蝠を一体ずつ仕留め、そのまま間合いを詰めて一陣に斬り伏せる。
 床に倒れ伏すレッサーヴァンパイア。だがそれとは別のレッサーヴァンパイアが、背後から雫に迫り吸血蝙蝠を放った。
「っ!」
 至近距離からの攻撃に、雫は身体を投げ出すように横へと飛び込んで蝙蝠の直撃をかわす。
 それでも旋回して追いかけてくる蝙蝠を刀で仕留める雫に再び迫る、理性を失っている一体のレッサーヴァンパイア。
「レッサーヴァンパイアの血は美味しくないんだけど」
「アァァ!」
 レッサーヴァンパイアが勢い良く振り下ろした爪を、雫は刀で弾き飛ばす。
 体勢を崩し隙を見せたレッサーヴァンパイアに、贅沢は言っていられないと雫は一気に間合いを詰め、その喉元に牙を突き立てた。
「ひ、ぁ……」
 乾いた声を聞きながら、雫はごくりと喉を鳴らしてその血を飲み干し、生命力を回収する。
 血を飲み干せば、どさりと崩れ落ちるレッサーヴァンパイア。
「ここから連戦だし、ここで消耗するのは良くないから」
 周囲に他のレッサーヴァンパイアが集まりだしているのを見て、雫はユーベルコードを発動する。
「『終焉の時が来た。白きアネモネの花よ。愚かな贄の血を吸い赤く染まれ』」
 ユーベルコード発動の言葉につられ、手にした刀が、所持した全ての武器が白いアネモネの花びらへと姿を変える。
 狙うのは黒衣の蝶が対峙する先に進む道を塞ぐ敵ではなく、その背後から雫を狙うレッサーヴァンパイア達。
 戦場を舞うアネモネの花弁は、鋭利な刃となってレッサーヴァンパイア達を切り刻んだ。
「……血は美味しくないけど、花びらは綺麗に染まるものだね」
 敵の姿が消えた後、戦場にひらひら舞う紅色に染まったアネモネの花弁を見ながら、雫はぽつりと呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェル・ラルフ
狂気に囚われた吸血鬼か
ただ恣に人間に危害を加えていた彼らが、ああも何かに固執する姿は
なんだか、人間みたいで複雑だ

黒衣の蝶とは距離は詰めないように
邪魔する気はないけれど、力の消耗はしてもらおう
彼が進んだあとの、レッサーヴァンパイアの群れの混乱に乗じて早業で攻撃
先ずは如意棒「残紅」でなぎ払いつつ
1体でも多く倒すために【残照回転脚】で広範囲攻撃
焔の爆風に、衝撃波ものせて
そのドレス、よく火がまわりそうだ

同じ種族を狙う目的はなんなんだろう
考えても、栓無いことだけれど

★アドリブ・連携歓迎




 先を進む黒衣の蝶から距離を置きながら進むヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)。
 黒衣の蝶の攻撃でも仕留め損なったレッサーヴァンパイアに止めを刺す為、ヴェルは如意棒『残紅』を振りかぶってその脳天へと叩きつける。
「か、は……」
 振り抜いた勢いを殺さずに、そのまま残紅を周囲のレッサーヴァンパイア目掛けて薙ぎ払えば、近くにいたレッサーヴァンパイアが通路の壁へと吹き飛んだ。
 やられっぱなしでは気が済まないと倒れた仲間を操ってまでも集まる姿に、ヴェルの頭に一つの案が浮かんだ。
「そのドレス、よく火がまわりそうだな」
 ドレスごと燃やしてやろうと、ヴェルはレッサーヴァンパイアの群れの中へと飛び込む。
「『染まる緋、灰と化せ』」
 レッサーヴァンパイアが集まる群れの中心で巻き起こす、ユーベルコードの発動と同時に現れた地獄の炎。
 ヴェルが地獄の炎を纏った蹴りを放てば、周囲に巻き起こる全てを焼き尽くす勢いの炎の嵐。
「ヒァアァァッ!」
 ドレスに炎が燃え移ったレッサーヴァンパイア達は、熱さにのたうち回る。
 その中でもまだ炎の勢いが弱いレッサーヴァンパイアが、お返しと言わんばかりに燃え盛った炎を纏った一撃を振り下ろす。
 が、それをヴェルが難なく残紅で薙ぎ払うと、レッサーヴァンパイアはそのまま燃え尽き、灰となって消え去っていった。
(それにしても……)
 炎に包まれても尚反撃してくるレッサーヴァンパイアを残紅で薙ぎ払いながら、ヴェルはちらりと黒衣の蝶を見る。
 周囲を取り囲むレッサーヴァンパイアも、傍で戦う猟兵の事も視界に入れず、何かをぶつぶつと呟きながら眼前に立つレッサーヴァンパイアを払い除けながら進んでいく黒衣の蝶。
(狂気に囚われた吸血鬼か……。ただ恣に人間に危害を加えていた彼らが、ああも何かに固執する姿は、なんだか人間みたいで複雑だな……)
「…………の、仇……」
 思考に浸るヴェルの耳にふと聞こえた声に、ヴェルは瞬間的に意識を取られる。
(仇?)
「ヒァァァァ!!」
 それ以外の言葉は、黒衣の蝶の巻き起こした花嵐が巻き起こる風とレッサーヴァンパイアの悲鳴によって掻き消された。
 けれど黒衣の蝶が狂い暴走する理由も、そこにあるような気がした。
(……同じ種族を狙う目的はなんなんだろうな?)
 周囲のレッサーヴァンパイアを掃討して、黒衣の蝶はぶつぶつと呟きながら再び歩を進める。
 視線を向けたその先に居る、黒衣の蝶と同じ吸血鬼の「マリー」。
 色々考えても仕方ないとヴェルは一つ頭を振って、黒衣の蝶の後を追いかける。

 思考の先の答えは、この通路の先にあると信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンナ・フランツウェイ
(アンナの奥底に住まう呪詛天使が表面に出て)
この男…今までアンナが出会った同族殺しとは違う感じが、なんとなく彼から私と同族な感じがする。
ともあれ少しだけ【聞き耳】を立て彼の目的を探ってみようかしら。もし愛する人の復讐だとわかったら、黒衣の蝶に話しかける。

接触したら彼に同じ大切な人(私の場合妹分だけど)を少しだけ共闘させて欲しい事、もし鬱陶しいヴァンパイアがいたら倒すから教えて欲しいと伝えてみるわ。

その後は彼の指示した方向へ切り込み、【呪詛】を纏わせた大鎌で敵を【なぎ払い】【範囲攻撃】。彼の指示がない場合でも、彼を死角から攻撃しようとするヴァンパイアを同じ攻撃手段で可能な限り倒して行くわよ。


ナァト・イガル
【WIZ・アドリブ/連携歓迎】

黒衣の蝶をあれほどに駆り立てる原因が何なのか、気になりはするけれど……
彼にそれを問うことの、無意味さくらいはわかるわ。
(それでも、彼の言葉に【聞き耳】を立てつつ)私は私の成すべきことを、始めましょう。

静かに【歌唱・祈り・破魔】を込めてUC『小夜啼鳥の戯れ歌』を発動
明らかに猟兵を狙うもの、中でもレッサーヴァンパイアを優先して撃ち抜くわ。
……なんだか少し申し訳ないけれど、黒衣の蝶にはある程度消耗してもらわないとならない。
彼の周囲の敵には手を出さないよう、気を付けるわね。

……この【祈り】が、本当に誰かを救えるものであれば、良かったのだけれど。




 先を進む黒衣の蝶が薙ぎ払ったレッサーヴァンパイアが宙を舞う。
 その倒し損ないをナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)は小鳥を模した光の矢で撃ち落としていく。
 仕留めたレッサーヴァンパイアが地面に落ちる前に灰になって消えるさまを見届けながら、ナァトはちらりと黒衣の蝶の背に視線を送る。
(……黒衣の蝶をあれほどに駆り立てる原因が何なのか、気になりはするけれど……)
 狂気に包まれ眼前の敵を屠り続ける黒衣の蝶を見ながら、それでも黒衣の蝶にそれを問う事の無意味さは理解していた。
 ただ目的の為だけに進行する黒衣の蝶にその問いに答え、会話をするだけの理性は既に無いだろう。
「……許さ、ない……」
 ぶつぶつと黒衣の蝶が呟く声に聞き耳を立てながら、ナァトはそれでもと視線をレッサーヴァンパイアへと向ける。
「私は私の成すべきことを、始めましょう」
 ナァトはユーベルコードを発動する。生み出された光の矢は、羽ばたくようにナァトへ迫るレッサーヴァンパイアを貫いた。

「……」
 アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は、大鎌でレッサーヴァンパイアを薙ぎ払いながら黒衣の蝶を注視していた。
 だがアンナが纏う雰囲気はアンナ本来のものではなく、アンナがユーベルコードで呼び起こした漆黒の両翼を持つ『呪詛天使』のもので。
 呪詛天使は、レッサーヴァンパイアを大鎌で薙ぎ払いながら、視界の隅で花嵐を巻き起こす黒衣の蝶に意識を傾ける。
(この男……今までアンナが出会った同族殺しとは違う感じが、なんとなく彼から私と同族な感じがする)
 いずれは倒さなければならない敵だとしても、黒衣の蝶の目的は知っておきたい。
 呪詛天使はぶつぶつと呟く言葉に何かのヒントがあるかもしれないと、黒衣の蝶の呟きに聞き耳を立てる。

「……許さない……。リリィを……狂わせた……」
「あの子……殺した、マリー……仇を……許さない……」

 ぶつぶつ呟かれる黒衣の蝶の言葉に、聞き耳を立てていた呪詛天使は、ああ……と一人納得する。
 リリィという人間を大切にしていた事。
 そのリリィという人間がこの先に居るマリーの所為で狂い、どういう経緯かは分からないが、死に至った。
 これはその復讐のための凶行なのだと。
 ならば、と呪詛天使は先を行く黒衣の蝶へと近寄っていく。
「アンナさん!?」
 その行動に、距離を取りながら光の矢でレッサーヴァンパイアに攻撃を仕掛けていたナァトが慌てて声を掛ける。
 それでも呪詛天使はナァトの声に歩を止める事は無く、そのまま黒衣の蝶へ近寄ると声を掛けた。
「貴方の手助けをしたい。良かったら共闘させてくれない?」
 呪詛天使が告げた言葉に、黒衣の蝶は反応を示さない。そんな黒衣の蝶に、呪詛天使は再び声を掛ける。
「邪魔なヴァンパイアは倒すから。だから、どれを……」
 どの敵を倒したら良いか教えて欲しい。
 その言葉が紡がれる前に、呪詛天使の言葉が途切れる。
「邪魔する、敵……」
 呪詛天使に突き出された、黒い鎖から伸びた黒い鎌。黒衣の蝶の手の大きさに合っていない小さな鎌を見て、呪詛天使はそっと黒衣の蝶から距離を取った。
 そんな呪詛天使を敵と定めたのか、追撃体勢を見せる黒衣の蝶の殺気。
 それを止めようとナァトは光の矢の照準を黒衣の蝶へと向けるが、それが放たれる前に黒衣の蝶は再び襲い掛ってきたレッサーヴァンパイアに取り囲まれた。
「なんて無茶を!」
 戦場を花嵐が包む中、ナァトは慌ててアンナへと近寄って声を掛ける。
「ごめんなさい。でも、これでやるべき事は定まったから」
 心配して怒鳴るナァトに謝罪の言葉を掛けながら、呪詛天使の視界は真っ直ぐに黒衣の蝶へと向けられていた。
 大鎌を構え漆黒の両翼を羽ばたかせ、呪詛天使は再びレッサーヴァンパイアが群れる戦場を駆け抜ける。
「さぁ、この私に……世界を滅ぼす呪いに着いて来られるかしら?」
 狙うは黒衣の蝶を死角から狙うレッサーヴァンパイア。
 彼の想いを汲みたい……その思いから、呪詛天使はその周囲を取り巻くレッサーヴァンパイアを、呪詛を纏わせた大鎌で薙ぎ払った。

「……言いたい事も、したい事も分かります……けれど……」
 アンナのしようとしている事を汲み取って、ナァトは複雑な思いを零しながらユーベルコードを発動する。
 戦場を舞う呪詛天使に当てないよう気を付けながら、ナァトが生み出した小鳥の姿を模した光の矢は、呪詛天使を狙うレッサーヴァンパイアを貫く。
 何本もの矢に貫かれ、それでも仕留め切れなかったレッサーヴァンパイアは呪詛天使の大鎌によって狩られていった。
 黒衣の蝶の呟きは同じく聞き耳を立てていたナァトにも聞こえていた。

 黒衣の蝶の戦う理由は、愛した人間の復讐のため。

 それでも、この後に猟兵は彼をも倒さねばならない。
 申し訳ないと思いながらも、黒衣の蝶にはある程度消耗してもらわないと、困るのは猟兵自身。
「……『鳥よ、貫け』」
 何回目かのユーベルコードを発動する。歌声に、祈りと破魔の力を込めて。
 ナァトが生み出した鳥を模した光の矢が、呪詛天使を狙うレッサーヴァンパイアを貫く。決して、黒衣の蝶を狙う敵には助けを出さずに。
「……この【祈り】が、本当に誰かを救えるものであれば良かったのだけれど……」

 例え黒衣の蝶の復讐を果たしても、彼の愛した人は戻らない。
 復讐を果たした所で、黒衣の蝶が理性を取り戻せる訳でもない。

 救いが無いと分かっていても、それでも願わずにはいられない。

 ナァトはどこかにある救いを願い、祈りながら、再び生み出した光の矢をレッサーヴァンパイア目掛けて放ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳩麦・灰色(サポート)
「ウチ、やなくて私も手伝わせてもらうよ」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」

◆特徴
独り言は関西弁
話言葉はほぼ標準語
脱力した口調
『敵さん』の行動の意図を考える傾向があるが内容に関わらず容赦しない

◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で場所を問わず速く動く事が得意

戦闘は速さで回避重視
味方が居れば武器の音で【存在感】を出し率先して狙われにいく

攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプを使用、空砲銃は場合に合わせて使用

◆UC
索敵、回避特化ではUC『三番』
集団戦では『四番』
敵単体では『一番』か『二番』を使用する

◆日常
日常は何かしつつ寝落ちる事が多い


協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!


スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、19歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「ウチ……やなくて私も手伝わせてもらうよ!」
「はい、頑張りましょう!」
 戦場に降り立った鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)と、スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)。
 二人は今回の目的が、先行する黒衣の蝶の妨害をしない事、その周囲を取り囲むレッサーヴァンパイアを倒す事だと確認して、それぞれ行動に移った。
「スフィアさん、無理しないでね!」
「灰色さんもお気を付けて」
 スフィアと軽く言葉を交わし、灰色は愛用の鉄パイプを構えながらダッシュでレッサーヴァンパイア達の元へと駆け上がる。
「『私の声に応えて……霊達よ、私に力を与えてね!』」
 一方スフィアは、長距離攻撃のための距離をレッサーヴァンパイアから取り、ユーベルコードを発動させる。
 発動に呼応する様に現れたのは、霊的エネルギーを秘めたライフル。
 ダッシュで戦場を飛び跳ねる灰色に当てないように、命中力を重視した仕様へと調整をされたもの。
「ほな、行くで!」
 スフィアの放つ銃声が戦場を響かせる。
 それを合図と言わんばかりに、ダッシュでレッサーヴァンパイアの群れの中を走りぬける灰色。
 レッサーヴァンパイアの攻撃がスフィアへと向かないように、灰色は床を鉄パイプで引きずって音を出しながら、敵の注意を自分へと向けさせる。
「ウル、サイ」
 その音に感情を刺激された一体のレッサーヴァンパイアが狂乱した姿へと変貌し、灰色の撒き散らす音を止めさせようとその爪を振り上げる。
「灰色さん!」
 パアンと銃声が響く。スフィアの放った銃弾は、灰色を狙ったレッサーヴァンパイアの振り上げた腕を貫いた。
「ガ……」
 痛みで動きが鈍るレッサーヴァンパイア。その隙を突いて灰色はユーベルコードを発動する。
「『広がれ、"四番"!』」
 発動と同時に鉄パイプが振動を起こす。
 振動する鉄パイプを周囲のレッサーヴァンパイア目掛けて薙ぎ払えば、振り払われた時に生み出された音の衝撃波が周囲のレッサーヴァンパイアを切り裂き、その姿を灰へと変えていった。
「ウゥ……」
 何とか生き残ったレッサーヴァンパイアが死した同胞に力を与え、個体が増殖される。
 灰色が鉄パイプを持ち直し一体ずつ潰そうと身構えたとき、再び鳴り響くスフィアの銃声。
 生き残ったレッサーヴァンパイアはその頭部を撃ち抜かれて灰となって消えていった。
 灰色の周囲の敵が居なくなり、他の敵を探し視線を彷徨わせれば、離れていたスフィアへ向けて吸血蝙蝠の群れが襲い掛かるのが映る。
「きゃあっ」
「スフィアさん!」
 灰色が慌てて音の衝撃波を吸血蝙蝠目掛けて撃ち放つ。
 放たれた衝撃波は、スフィアの周囲を飛翔する耐久のない吸血蝙蝠を飲み込むと、衝撃波の振動で吸血蝙蝠達はその姿を消した。
 ダッシュで慌ててスフィアの元に駆け寄れば、その周囲に集まっていたレッサーヴァンパイア達が灰色の視界に入る。
「大丈夫!?スフィアさん!」
 レッサーヴァンパイアの行動に注意を払いながらスフィアの怪我の具合を確認すれば、多少の怪我は負いつつもどうやら無事らしい。
「私なら大丈夫です。あの敵で終わりみたいですね。早く片をつけてしまいましょう!」
 スフィアも敵の姿が視界に入ったのか、傷を負いながらも元気良く灰色に笑みを浮かべる。
 その姿に安堵して、灰色はダッシュで残るレッサーヴァンパイアの元へと駆け出していく。
 スフィアの撃つライフルがレッサーヴァンパイアを貫いていく。
 灰色の鉄パイプがレッサーヴァンパイアを薙ぎ払って。
 二人の周囲を取り囲んでいた敵は、灰となって消え去った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルク・リア
最終的に倒すことになるとしても今は利用価値がある。
普通の相手なら罪悪感の一つも抱くところだけど
黒衣の蝶とやらも此方の事は眼中にないだろう。
「邪魔はしないさ。暫くの間はね。」
と呟く。

戦う時の為に黒衣の蝶の行動は観察すると共に
位置を確認し攻撃に巻き込まない様に注意。

「一先ずの標的はあの蝙蝠か。」
とレッサーヴァンパイアと召喚された蝙蝠に狙いを定め
真羅天掌を発動。
発火属性のそよ風を発生させ、
【範囲攻撃】で広範囲の敵を巻き込み燃焼させる。
燃えた敵は【念動力】や
スカイロッドの空圧で吹き飛ばし
自分から遠ざけると共に他の敵と接触させ
その敵も燃やし殲滅していく。
「道を開けないならそのまま灰になって貰おうか。」


リーヴァルディ・カーライル
…ん。今まで幾度か同族殺しの依頼に参加した事があるけど、
彼らが狂気に堕ちた最たる理由は復讐だったわ

…愛する人を、領地を、民を、宝を、自分自身を…
お前も奪われ、踏みにじられたのね?大切な何かを…

第六感が危険を感じない限り同族殺しには手を出さず、
吸血鬼化した自身の右眼に魔力を溜めてUCを発動

同族殺しや敵の殺気や気合い、魂や感情の残像を暗視して、
自身の戦闘知識に加えつつ闇に紛れた敵の位置を見切り警告し、
自身に向かってきた敵は、呪詛を纏う大鎌をなぎ払うカウンターで迎撃する

…そこ、敵が隠れているから。気を付けて

…此方に来ても無駄よ。私に攻撃を当てたければ、
せめて素面になってから出直してきなさい




(今まで幾度か同族殺しの依頼に参加した事があるけど、彼らが狂気に堕ちた最たる理由は復讐だったわ)
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、過去に幾度か同族殺しの依頼に携わった時の事を思い出しながら、自身に迫るレッサーヴァンパイアへ向けて呪詛を纏う大鎌を振り抜いた。
「キャアァァ……」
 身体を断絶され、灰となって消えていくレッサーヴァンパイア。
 それを一瞥しながらも、リーヴァルディの視線は狂気に駆られながら進む黒衣の蝶へと向けられる。
(……愛する人を、領地を、民を、宝を、自分自身を……お前も奪われ、踏みにじられたのね?大切な何かを……)
 過去に相対した相手と同じ様に、大切なものを奪われ狂気に駆られるその姿に、リーヴァルディは目を伏せる。
 けれども、情に駆られて目的を見失うわけには行かないと右眼に魔力を溜め、リーヴァルディはユーベルコードを発動させる。
「『……限定解放。光を灯せ、血の赫眼』」
 瞬時に真紅に染まるリーヴァルディの右眼は、感情等の情報を視覚化させる。
 魔眼となった右眼で黒衣の蝶を見ると様々な負の感情を抱えてはいるものの、その殺意は猟兵には向けられていない。
 その殺意が猟兵達に向かないならばと、黒衣の蝶の殺意を第六感で感じ取りながら、リーヴァルディは己の大鎌を構える。
(今は敵の位置を探すのが先。そしてその場所を伝えなければ……)
 リーヴァルディは自身に迫るレッサーヴァンパイアを大鎌で払い除けながら、死角に隠れているレッサーヴァンパイアの位置を視野に収め始めた。

(最終的に倒すことになるとしても今は利用価値がある)
 手にしたスカイロッドでレッサーヴァンパイアを吹き飛ばしながら、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は視線を黒衣の蝶へと向ける。
 相手を利用する作戦なんて、普通の相手なら罪悪感の一つも抱く所だが、当の黒衣の蝶も猟兵の事など眼中にないだろう。
 互いに利用しあってるんだからお互い様、とフォルクは感情に決着を着ける。
 それ以上に気になる点を確認する為、フォルクは自身に迫るレッサーヴァンパイアをスカイロッドの空圧で吹き飛ばす。
 レッサーヴァンパイアとの間合いを確保しながら、その意識を黒衣の蝶へと向ける。
(直接戦う時の為に、行動は確認しておかないとな)
 迫るレッサーヴァンパイアを払い除けながら、思考を傾けて確認できた行動は全部で三つ。

 何か声を掛けただけで崩れ落ちるレッサーヴァンパイア。
 巻き起こる花嵐に包まれ、消滅していくレッサーヴァンパイア。
 黒い鎖から呼び出される紫色の蝶と。

(小さな、黒い鎌?)

 黒衣の蝶の手にある、子供サイズの小さな鎌。
 そこに違和感を覚えながら、フォルクは視界に入ったレッサーヴァンパイアを念動力で吹き飛ばすと、更に距離を取る為に後退した。
「……そこ、敵が隠れているから。気を付けて」
「ん?」
 リーヴァルディの声と同時に、フォルクの死角だった場所から襲い掛かるレッサーヴァンパイア達。
「くっ」
 フォルクに向けて振り下ろされるレッサーヴァンパイアの爪の一撃は、身体を床へ投げ出す事で何とか回避する。
 爪の一撃を空振り体勢を崩すレッサーヴァンパイアの背後で、別のレッサーヴァンパイアが吸血蝙蝠を召喚した。
「一先ずの標的はあの蝙蝠か」
 真っ直ぐにフォルクを狙って進む吸血蝙蝠。
 黒衣の蝶に意識を取られすぎた事を反省しつつ、黒衣の蝶の動線と吸血蝙蝠の移動箇所、そしてレッサーヴァンパイアの位置を確認してからフォルクはユーベルコードを発動する。
「『大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ』!」
 発動と同時に巻き起こる発火性の風は、フォルクの意思に従って飛翔する吸血蝙蝠を焼き払った。
 そのまま風は周囲に集まっていたレッサーヴァンパイアを包み込み、その身を炎が燃やし尽くす。
「道を開けないならそのまま灰になって貰おうか」
 炎に包まれるレッサーヴァンパイアを見ながら、ちらりとまだ燃えきっていないレッサーヴァンパイアを視界に納める。
 全ての敵を炎に呻くレッサーヴァンパイアで延焼させようと、フォルクはスカイロッドの空圧で燃え盛るレッサーヴァンパイアを他のレッサーヴァンパイアの方向へ吹き飛ばす。
「ギャアァァァ!!!」
 炎に包まれたレッサーヴァンパイアが他のレッサーヴァンパイアに触れるや否や、ゴォォと激しく燃え盛るレッサーヴァンパイアは、周囲の仲間をも巻き込み、更に勢いを増しながら燃え上がる。
「オ、ノ、レ……」
 炎に包まれてなお狂乱し、理性を失った一体のレッサーヴァンパイアが最期の力を振り絞るように近くに居たリーヴァルディに襲い掛かる。
「ガァァァァ!!!」
 せめて一人位は道連れにしようと思ったのか、炎に包まれたレッサーヴァンパイアはその爪を振り上げる。
 だが、その爪が振り下ろされる前に、リーヴァルディは呪詛を纏った大鎌を薙ぎ払った。
「……此方に来ても無駄よ。私に攻撃を当てたければ、せめて素面になってから出直してきなさい」
「ア、アア……」
 切り裂かれ、炎に包まれたレッサーヴァンパイアはざぁっと灰になって消えていく。
 周囲を覆っていた炎が消えたとき、その場に居たレッサーヴァンパイア達は跡形も無く灰となり消え去っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
…そう
察するものはあるけれど、なんだって、利用できるものは利用させてもらうよ

と、いうわけで、
黒衣の蝶は、視界が届く範囲でなるべく好きにしておいてもらう
できるだけ攻撃を引き受けてほしいから、基本先行してもらって、俺はそのあとをついていくよ
こっちに向かってくる敵や、蝶が倒しきれてないのは手早く灯り木で撃って倒していく
蝶は消耗していてほしいけれども、今倒されても困るからあんまり危なそうなら援護射撃で援護しておくよ
仕事はなるだけ、自分に危険がないほうがいいからね

(蝶を見ながら
人にだってオブビリオンにだって、自分の領分ってものがある
それを超えてなおかつ何かを掴み取れるのは一握りだ
…世の中はままならないね




「リリィ……今、仇を……」
 ぶつぶつと呟きながら先を進む黒衣の蝶を視界に入れながら、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はその後をついて進む。
(察するものはあるけれど、なんだって利用できるものは利用させてもらうよ)
 先行する黒衣の蝶を視界に納めながら、リュカはアサルトライフルの『灯り木』を構える。
「グ、ウゥ……」
 唸り声を上げながら黒衣の蝶に飛び掛るレッサーヴァンパイア。今までならば軽々と避けていたその一撃を黒衣の蝶はかわしきれず、その身に傷を生む。
「そろそろ、潮時か」
 黒衣の蝶の消耗を見て、リュカは黒衣の蝶へ追撃を試みるレッサーヴァンパイアへと照準を合わせ、灯り木の引き金を引く。
 黒衣の蝶に向け鋭く伸びた爪が振り下ろされる前に、戦場に響く銃声。脳天を撃ち抜かれて、灰となって消えていくレッサーヴァンパイア。
(蝶は消耗していてほしいけれども、今倒されても困るから)
 黒衣の蝶が集中攻撃を受けるのは、リュカとしても有難い。けれどもこの後の吸血鬼との戦いを思えば、あまり消耗して貰っても困る。
 黒衣の蝶の周囲を取り囲む敵を灯り木を撃ち抜いていく。
「仕事はなるだけ、自分に危険がないほうがいいからね」
 黒衣の蝶から距離を取り、離れた場所から効率よく、確実にリュカはレッサーヴァンパイアを倒していった。
 リュカの銃弾を疎ましく思ったレッサーヴァンパイアがリュカ目掛けて吸血蝙蝠を放つも、距離がある分吸血蝙蝠が自身に届く前に撃ち落とした。
 自分に狙いを向けたレッサーヴァンパイアを撃ち抜く。自身を狙う敵の存在を確認してリュカはちらりと黒衣の蝶に視線を送る。
(人にだってオブビリオンにだって、自分の領分ってものがある)
 人は人の領域で生きて、オブリビオンはオブリビオンとして世界に君臨する。時に人を苦しめ、時に快楽の為に人を弄ぶ。
 ダークセイヴァーにおいてそれは、特に顕著な自然の摂理だ。
(その上で、それを超えてなおかつ何かを掴み取れるのは一握りだけなんだろう)
 確かに人との間に子を成す吸血鬼は存在する。そうして生まれるのがダンピールだから。
 人と吸血鬼であっても結ばれる事も出来なくはないのだろう。それが出来ている吸血鬼は確かに存在しているのだから。
 けれど、それに彼は該当しなかった。
「……世の中はままならないね」
 リュカは一つ溜息を吐く。叶わぬ願いを抱え、狂気に包まれてなお、それを求める黒衣の蝶を視界に入れたままユーベルコードを発動する。
「『願いの重さに負けない強さを』」
 リュカが生み出したのは数多の敵を、悲劇を乗り越える為の弾丸。
 灯り木に弾丸を装填し、黒衣の蝶へと集まるレッサーヴァンパイア達に照準を合わせる。
 願いを掴めなかった彼の悲劇を終わらせようと、リュカは灯り木を撃ち放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユリウス・リウィウス
「夜明け前」

俺は後詰めをするか。起きろ、亡霊騎士団。
屍者の軍勢を通り過ぎた道なりに残していき、レッサーヴァンパイアが追いすがってくるのを妨げる。
黒衣の蝶に余計な手出しをされたくないんでな。

ふん、人間を愛したヴァンパイアか。たまに聞く話だな。俺の血縁上の両親とか。
思い出したくもねぇ。

まあ、やるこたぁきちんとやるさ。
残してきた先で屍者が潰されたら、その分だけ屍者を再召喚しよう。この世界は、どこにいても屍者に事欠かん。お前達のお陰で、戦いやすくて助かるぜ。

俺に斬りかかってきたら、バックラーの「盾受け」でいなして、「呪詛」を宿した双の黒剣で斬り捨てる。

そろそろ目的地か? このまま乗り込むとしよう。


香坂・翔
【夜明け前】で参加
基本呼び捨て
同行者ステラの呼び方は【おかーさん】

んーと、邪魔しない様に戦えばいいんだね
りょーかい!

ユリウスとは別の敵を狙おうかな
同じ敵狙っても効率悪いし
黒衣の蝶から距離を置きながら、UC咎人の怨念使用
真空波で黒衣の蝶に当てない様に群れてるレッサーヴァンパイアを切り裂く
高速移動で動き回って、真空波で倒せなかった奴を槍で確実に仕留めてくよー

この先にあいつの目的の吸血鬼が居るのかー
大好きな人が殺されたなら、そりゃ怒るよねー
それじゃあ、こいつら蹴散らしてさっさと進もうか!

※共闘、アドリブ可


ステラ・エヴァンズ
【夜明け前】で参加
何かを愛するが故の憎悪…気持ちはわからなくもありません
私も半分はヴァンパイアながら人に恋をした身ですし
…しかし利用しなければ、ですか…漁夫の利を狙うのも中々気分がいいものではありませんね

黒衣の蝶の邪魔にならない程度の後方に位置取り、流双星にて星剣を展開
彼の道を開くように周囲の敵を攻撃しましょう
後は、天津星に雷撃を纏わせ見切りながら衝撃波を放って翔君くんとリウィウスさんの援護と致します
あくまでも後ろから邪魔にならないように

彼にはまだお役目がありますから、なるべく万全の状態で彼女と死合わせたいものですが…
後に打ち取るにしろ、せめて彼の本懐くらいは遂げさせてあげたく

アドリブご自由に




「んーと、黒衣の蝶の邪魔をしない様に戦えばいいんだね。りょーかい!」
 先行しながらレッサーヴァンパイアを屠る黒衣の蝶の背中を見ながら、香坂・翔(紅の殺戮兵器・f03463)がどこか緊張感の無い声で呟けば、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)が義理の息子である翔へと苦笑気味に声を掛ける。
「翔君、気をつけてくださいね?」
「まっかせて、おかーさん!」
 ステラの言葉に明るく返事をして、翔は真っ直ぐにレッサーヴァンパイアの群れを見据えると、ユーベルコードを発動する。
「『お前らの恨み辛み、全部俺が晴らしてやる』」
 翔のユーベルコードによって巻き起こされる漆黒の風。
 先制攻撃だと言わんばかりに手にした槍を振り抜く様に薙ぎ払えば、風は闇に紛れながら真空波となり、黒衣の蝶を狙うレッサーヴァンパイアの群れを切り裂いた。
「キャアァァァ!」
 切り裂かれたレッサーヴァンパイア達が悲鳴をあげ、動きが鈍ったのを見た翔は、怨念を身に纏い高速移動で敵の群れへと駆け出した。
 翔が駆け出したのを見届けて、ステラは瑠璃色の鉄扇を舞う。
「『大地に花開く星よ、我が敵を穿つ刃となれ!』」
 鉄扇から放たれる色とりどりのアスターの花びら。無数に舞い散る花びらが狙うのは、翔と同じ黒衣の蝶の周辺を取り巻くレッサーヴァンパイア達。
(彼にはまだお役目がありますから)
 ここで苦戦されても困る、と黒衣の蝶の周囲に群れるレッサーヴァンパイアをステラが巻き起こしたアスターの花吹雪が包む。
「オ、オ……」
 呻きながらステラへ向け吸血蝙蝠を召喚しようと呪印を組むレッサーヴァンパイアの脳天を、空から駆け下りた翔のブラッディランスが貫いた。

「ふむ……」
 最後尾を進んでいたユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)は、死にかけのレッサーヴァンパイアに止めの黒剣を振るいながら戦場全体を見渡す。
 前衛に黒衣の蝶と翔、そしてそれを補佐するステラ。
 進むための戦力は揃っているとして、ユリウスはちらりと自身の後ろを振り返る。
 視界に入る瀕死の傷を負いながらも、まだ灰になっていない死にかけのレッサーヴァンパイア。
 先行する事を重点に置いている分、仕留め逃しがあるのは仕方が無い。が、それでもこのままでは挟撃される可能性が無いとは言えない。
 それならばとユリウスは歩を止め、背後で呻くレッサーヴァンパイアの前に立ちはだかる。
「俺は後詰めをするか。『死の顎に囚われ迷う怨念の塊どもよ、汝らの憎悪をもって偽りの生命に終焉を与えよ』」
 ユリウスのユーベルコード。詠唱につられ、ぼこぼこと地面から剣や盾で武装した、掌に数字の書かれたゾンビやスケルトンを召喚する。
「この世界は、どこにいても屍者に事欠かん。お前達のお陰で、戦いやすくて助かるぜ。起きろ、亡霊騎士団。お前達の相手はそこの死にかけのレッサーヴァンパイア達だ」
 オォォ、と呻き声を上げながら、ユリウスの亡霊騎士団は指示に従い瀕死のレッサーヴァンパイアへと向かっていく。
 それを見届けてから、それにしてもとユリウスは黒衣の蝶を見やる。
(人間を愛したヴァンパイア……か。たまに聞く話だな。俺の血縁上の両親とか)
「……ふん、思い出したくもねぇ」
 過去の記憶が蘇りそうになって、ユリウスはチッと舌打ちをする。
「まあ、やるこたぁきちんとやるさ」
 仲間が仕留め損なったらしき一体のレッサーヴァンパイアがユリウスへと爪を振り下ろす。
 それをバックラーでいなすと、双の黒剣を振り抜いて斬り捨てた。
「そろそろ目的地か?このまま乗り込むとしよう」
 黒衣の蝶の進む更なる奥に扉があるのに気付いたユリウスは、背後を呼び出した亡霊騎士団に任せて先行した仲間の下へと駆け出した。

(何かを愛するが故の憎悪…気持ちはわからなくもありません。私も半分はヴァンパイアながら人に恋をした身ですし)
 ユリウスと同じダンピールであるステラも、吸血鬼の血を持ちながら人を愛した黒衣の蝶の気持ちに同心する。
(なるべく万全の状態で彼女と死合わせたいものですが……漁夫の利を狙うのも中々気分がいいものではありませんね)
 黒衣の蝶がマリーとの死闘を心置きなく出来るように、全力で補佐をしてあげたいとステラは願う。
 けれど、強大なオブリビオン二体との戦いが控えている猟兵達には、万全の状態でマリーと死合わせた後の黒衣の蝶と戦える程の余力は無い事も分かっていて。
(後に討ち取るにしろ、せめて彼の本懐くらいは遂げさせてあげたく)
 その悲願だけは果たしてあげたいとステラは天津星に雷撃を纏わせる。
「!」
 黒衣の蝶の周囲のレッサーヴァンパイアへと撃ち放つつもりが、翔の周囲にレッサーヴァンパイアが集まりつつあるのを見て、ステラは天津星を薙いで雷の衝撃波を放った。
「翔君!」
 バチバチと音を立てながら流れる電流は、翔の近くのレッサーヴァンパイア達を感電させる。
「っと、びっくりしたー」
 驚きつつもびくびくと動きの鈍ったレッサーヴァンパイアに槍を突き刺しながら、翔は近くで戦う黒衣の蝶へと視線を向ける。
「許さない……許さない……」
(大好きな人が殺されたなら、そりゃ怒るよねー)
 薙ぎ払い、周囲のレッサーヴァンパイアを貫きながら黒衣の蝶へと意識を傾ける。
 ぶつぶつと呟きながらレッサーヴァンパイア達を屠る黒衣の蝶の想いに同調しながら、翔がちらりと視線を動かせばそこには雷撃を放って自分を守ってくれる義母の姿。
 殺人鬼として殺す事に躊躇いが無くても、大切にしたいと思う存在に出会えたからこそ、翔も黒衣の蝶の気持ちは理解できるのだろう。
 目的を果たす為に眼前の敵を槍で薙ぎ払い、群がるレッサーヴァンパイアを貫いて、あとどれだけ掛かるのかと翔が進む先へ視線を向ける。
 そこに見えるのは数が少なくなったレッサーヴァンパイアと、予知で聞いた豪華な扉が視界に入る。
(あの扉の先に、あいつの目的の吸血鬼が居るのか?)
 ちらりと黒衣の蝶へ視線を向ければ、黒衣の蝶も扉の存在に気が付いたようで、レッサーヴァンパイアを屠るスピードが上がっていく。
「それじゃあ、こいつら蹴散らしてさっさと進もうか!」
 目的地を見つけ、俄然張り切る翔は地面を蹴り上げてブラッディランスでレッサーヴァンパイアを貫く。
「お前の恨み、全部俺が晴らしてやるから」
 生み出される闇色に染まった真空波で周囲を切り刻みながら、詠唱の言葉を誰に聞かせるでもなく翔は呟く。

 翔の真空波に切り刻まれながらも生き残ったレッサーヴァンパイアを、黒衣の蝶が手にした黒鎌で斬り捨てた。


 その場にレッサーヴァンパイア達が居なくなったのを確認すると、黒衣の蝶は猟兵達を振り返る事も無く屋敷の奥へと進んでいく。
「もうすぐだよ……リリィ。もうすぐ、キミの……」
 傷だらけになりながらも、ぶつぶつと呟きながら進む黒衣の蝶の前に現れる豪華な扉。
 黒衣の蝶は、勢い良く扉を開いて部屋の中へと進んでいく。
「漸く着きましたね……」
 ぽつりとステラが呟く。けれど、これで終わりではない。これはまだ、始まりに過ぎない。
 猟兵達も黒衣の蝶を追って部屋の中へと進んでいく。
 黒い薔薇があちこちに飾られた部屋の中央で、胸元に黒い薔薇を飾った黒いドレスを着た女が、くすくすと笑いながら猟兵達を出迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヒトを篭絡し弄ぶ吸血鬼『マリー』』

POW   :    あたしの僕(しもべ)に変えてあげるわね♪
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【首筋から血を吸いレッサーヴァンパイア 】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
SPD   :    僕(しもべ)たち、あたしを守ってくれるわよね?
戦闘力のない、レベル×1体の【魅了された元人間の吸血鬼 】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう、拠点防御】」を使った支援をしてくれる。
WIZ   :    さあ、あたしとイイコトしましょ?
【対象を魅了し洗脳する妖艶な視線と甘い声 】を披露した指定の全対象に【術者への依存心と絶対服従の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:貴島レン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠館野・敬輔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 扉を開けたその部屋で相対する黒衣の蝶と吸血鬼マリー。
「ふふ、本当に来たの。人間なんかの為に、わざわざ領地まで捨てて!」
 胸元に黒い薔薇を飾り、黒いドレスに身を包んだ女吸血鬼……マリーはくすくすと楽しげに笑いながら、挑発するように黒衣の蝶を嘲笑う。
「ああ、これで終わりに出来る……キミを殺すために僕はここまで来たんだから」
「人間なんか飼って、情でも移ったの?人間なんて、ただの僕(しもべ)じゃない!」
「リリィは……そんなんじゃない」
 マリーの言葉を否定するように黒衣の蝶は一瞬で間を詰め、小さな黒鎌で斬り掛かるもマリーは呼び出した僕(しもべ)に自身を庇わせる。
「蝶……そんなに狂っているなら、あたしの僕(しもべ)に変えてあげるわ」
「僕がキミに与えるのは悪夢のみ……さあ、終わりにしようか」
 黒衣の蝶がマリーに再び飛び掛ったのを見て、猟兵達もマリーへの攻撃を開始した。
西院鬼・織久(サポート)
【行動】
オブリビオン狩が最優先で救出行為は二の次
通常「俺」、戦闘中「我等」、あなた、苗字+さん

五感と第六感、野生の勘で状況を把握し危険を察知
罠や逃走する敵の追跡などは戦闘知識の応用で考え対処する

多種多様な武器に変形する「闇器」で場面に応じて武器を変える
武器には「呪詛+武器改造」により「生命力吸収」の効果

機動力と攻撃力に任せての先制攻撃を仕掛け、狭い場所でも縦横無尽に動き回り死角から攻撃
殺気を抑え暗殺を行う事もできるが、大抵は特攻紛いの戦闘を行う
集団にはUCやなぎ払いを範囲攻撃に広げるか、単体を夜砥やUCで拘束して振り回して周囲をなぎ払うなどで牽制。対処が遅れた所を狙って追撃を仕掛ける


フォルク・リア
敵と距離をとり気付かれない様に
己の体に魅了されたら仮死状態になり、
敵の術が解けたら其れが解除される呪詛をかける。
(はた目には操られた時に呪いで
自殺したと見える様に装う)
「流石に一筋縄ではいかない相手の様だから、
騙し討ちと行かせて貰おう。」
呪詛の準備ができたら
カオスエンペラーで攻撃し。自分が呪詛、死霊使いであると印象付ける。

魅了されたら
(まずいな。抗う気持ちが起きない。)
術が解け回復したら敵の意識が自分から完全外れるのを待ち。
背後から拘束する闇の鎖を放って拘束し、黒衣の蝶の攻撃を誘う。
「全く、魅力的な囁きだったよ。心臓が止まる程ね。ただそれは
俺には勿体ない。冥府で亡者にでも
聞かせてやってくれ。」




 猟兵に構う事無く一騎打ちを始める黒衣の蝶とマリー。
 そんな中、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は血色の炎を纏った自身の闇器・闇焔を携えダッシュで走りこむと、先制を奪おうと真っ直ぐにマリー目掛けて闇焔を振り払う。
「ふふ、そんなもの当たらないわ」
 軽く後退して闇焔の衝撃から身を翻せば、追撃体勢を取っていた黒衣の蝶が間合いを詰めて鎌を振り抜く。
「逃がさないよ?」
「っ……」
 召喚した元人間に黒衣の蝶の鎌から自身を庇わせると、マリーも転じて攻撃に乗り出そうと前のめりになった所で織久のユーベルコードが発動される。 
「『我等が怨念尽きる事なし』」
 織久が巻き起こす殺意の炎。織久の意思に従って巻き起こった黒い炎はマリーだけを包み込んだ。
「きゃあぁぁっ!」
 炎を消そうと呼び出される元人間の肉壁すら焼き払う炎だが、黒衣の蝶には熱気すらも届かない。
 炎を力ずくで消したマリーが体勢を整える為に生まれた僅かな隙を付いて、黒衣の蝶がマリーを斬り裂いた。
 そんな戦場から距離を取り、マリーの意識に自身が含まれていない事を確認してから、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は自身に掛ける呪詛の準備を始める。
「流石に一筋縄ではいかない相手の様だから、騙し討ちと行かせて貰おう」
 己の体に仕掛ける呪詛は、マリーの術に魅了されたら仮死状態になり、敵の術が解けたら其れが解除されるもの。
 呪術を展開し、自身の身体に呪詛が刻まれていくのをフォルクは満足げに見やる。
「ん、これでいい」
 纏った呪詛を確認してフォルクも参戦するため、呪装銃「カオスエンペラー」を取り出す。
 織久が機動力を駆使してマリーに斬り掛かるタイミングを見計らい、フォルクも幾多の死霊を顕現させて放つ銃でマリーを撃ち抜く。
 意識していなかった場所からの攻撃でもマリーは気配でその攻撃を避けて視線を向ける。
 そこに先程まで意識の中に居なかったフォルクの姿を捉えると、マリーは楽しげにくすっと笑みを浮かべて。
「まだ居たのね。さあ、あたしとイイコトしましょ?」
 くすくすと妖艶に笑い、甘い声でフォルクに声を掛ける。
(まずいな。抗う気持ちが起きない)
 マリーの妖艶な甘い声にフォルクの心が揺れる。マリーに服従しようとする心が強まってきた所で、先程自身に掛けた呪詛が発動した。
「ガアァァァァ……」
 フォルクを包む多くの呪詛と苦悶。絶叫を上げながら意識を失いどさりと床に倒れるフォルク。
「あら。もうオシマイかしら?ふふ……それなら、あなたもあたしの僕(しもべ)に変えてあげるわね」
 牙を光らせ、気を失い倒れたフォルクをレッサーヴァンパイアへと変貌させようとするマリーの動きを察し、織久がダッシュで間合いを詰めて、闇焔で斬り掛かる。
「っ……しつこいわね。邪魔されるのは嫌いなのよ?」
「我等は貴様を討つ為に存在する。貴様の血で我等を充たさせて貰おう」
 織久が斬り掛かるのをかわし、フォルクとの距離が広がるマリーを黒衣の蝶の花嵐が包み込む。
(……そろそろ良いかな?)
 マリーの意識が織久達へと移ったのを確認して、フォルクは意識を取り戻す。
 起き上がり視線を向けた先には、フォルクに背を向け織久や黒衣の蝶と相対するマリーの背中。
 タイミングが良いな、とフォルクは静かにユーベルコードを発動させる。
「『影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ』」
 フォルクの指先から放たれる影の鎖は、黒衣の蝶や織久に意識を取られているマリーを背後から絡め取る。
「なっ」
「全く、魅力的な囁きだったよ。心臓が止まる程ね。ただそれは俺には勿体ない。冥府で亡者にでも聞かせてやってくれ」
 驚愕するマリーの声と共に絡め取った影の鎖の拘束に、マリーの動きが止まる。
「……あたし束縛するのは好きだけど、束縛されるのは嫌いなの」
 束縛を解除させようと、マリーは再び攻撃の対象をフォルクへと向ける。甘い魅惑的な声がフォルクを包むが、動きの止まったその一瞬を逃す猟兵達ではなく。
 声に魅了されたフォルクがその影からマリーを解放する前に、織久と黒衣の蝶はその隙を突いて、各々の黒鎌をマリーへと叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナァト・イガル
【WIZ・アドリブ/連携歓迎】

……あれが、黒衣の蝶の求める仇。
なるほど。ヴァンパイアらしいヴァンパイア、ね。傲慢で、残虐で──こちらは、救いようがないわね。
(誰と比べてなのか、己の言葉の矛盾に気づき、首を振る)……いいえ。救うことなんてきっと、誰にも。
たとえ己の手の中に救いが在ったとしても、今の彼では気づけないでしょう。哀しいこと、ね。

黒衣の蝶の敵意がこちらへは向いていないことを確認しながら
【祈り・破魔・多重詠唱】を込めてUC『聖者の審判』を発動
光の鳥の群れを召喚し、UCから身を守りながらのマリーへの攻撃とするわ。
黒衣の蝶へは決して手を出さないように。……今はまだ、その時ではないもの。




「っ……これで終わったと思わないでよね」
「キミを仕留めるまで、『終わった』なんて思わないよ」
 互いに傷を負いながら攻撃を繰り広げる二体のオブリビオン。
「あれが、黒衣の蝶の求める仇……」
 マリーの意識が自身へと向けられていないのを確認して、ナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)は改めてマリーを見やる。
 しもべを呼び出しながら、黒衣の蝶と相対するマリー。その表情はどこまでも狂える蝶を見下し、蔑んでいるようで。
(……なるほど。ヴァンパイアらしいヴァンパイア、ね。傲慢で、残虐で──)
 『こちらは』救いようがない……と思考を続けたところで、ナァトははっとする。
(誰と比べて……救いが無いの?)
「あら、まだ居たの?猟兵。ふふ、さあ、あたしとイイコトしましょ?」
 思考に浸るナァトに気付いたマリーは、その意識の矛先をナァトへと向ける。
 ナァトは意識をしっかりと持つ事でマリーの誘惑を振り払い、ユーベルコードを発動させる。
「『鳥よ、羽搏け』」
 ユーベルコードによって生み出された光の鳥は、ナァトに対し害意を向けてきたマリー目掛けて真っ直ぐに飛び交っていく。
「あら、残念ね?」
 飛び交う光の鳥をマリーはしもべたちを呼び出し、自身を庇わせる。再びマリーの声が響く前に、黒衣の蝶が動いた。
「そんな声、僕にも効かないね」
 マリーの意識がナァトに逸れた瞬間を狙って、マリーの懐へと入り込み腹部を鎌で切り裂く黒衣の蝶。
「っ……」
 斬られた痛みに耐えながらマリーは黒衣の蝶へと爪を振り下ろす。
 だが黒衣の蝶は、マリーが振り下ろした爪を避けることもせずに、そのままマリーを斬り捨てる。
(……いいえ。救うことなんてきっと、誰にも)
 自身の傷すら省みず、目的の為に手段も選ばずに、理性すらも手放した黒衣の蝶の手の中の鎌を見ながらナァトは思う。
(たとえ己の手の中に救いが在ったとしても、今の彼では気づけないでしょう。哀しいこと、ね)
 少女が使っていたのであろう黒鎌を手にしながら、黒衣の蝶は復讐に駆り立てられている。
 ユーベルコードを発動し、再び生まれる光の鳥。黒衣の蝶がナァトに関心を向けていないのを確認して、光の鳥を解き放てばマリー目掛けて飛び立っていく。
「黒衣の蝶へは決して手を出さないように。……今はまだ、『その時』ではないもの」
 光の鳥はマリーに纏わり付いて黒衣の蝶が斬り掛かる為の隙を生み出す。
 マリーを倒せたのなら……その後の事を思えば、苦しくなる。
 それでも今は、黒衣の蝶の本懐を果たさせる為に。
 ナァトは再び生み出した光の鳥を、マリー目掛けて解き放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
引き続き蝶を視界に収めながらの援護射撃
元人間の吸血鬼が現れたら、なるだけ即座に的確に撃ち込んで殺したい
顔を見てもきっと、いいことなんて何一つないからね
要は、召喚される数より殺せばいいんだろう
…頑張るよ
こっちに攻撃が向かってくるようならば、絶望の福音で回避するけれど
蝶の状態が悪くて、そっちに攻撃が向かうようならば迎撃して撃ち落とすか、ダガーを抜いて捌くしかないな…
…無理は、しないように頑張ろう
一歩一歩確実に
撃ち込めるときにありったけ銃弾をマリーのほうに撃ち込んで、削っていければいい

戦いが終わって、蝶が生きていたら、お疲れさま。とだけ声をかけておくよ
これより先はあなたの殲滅に移るから、その前に、ね


九重・雫
SPD
前回と同じように黒衣の蝶の邪魔はしないよ。
でも彼がやられたら困るな。前回の傷もあるみたいだし。
ちょっとだけ手伝ってあげる。
UC使用。マリーを庇う雑魚は蹴散らす。ほら、これで攻撃が通りやすくなったでしょう?
思う存分マリーと殺しあってボロボロになって。
吸血鬼らしく醜く無様にね。

吸血鬼なら私みたいに血を吸って回復とか、パワーアップとかするのかな。
マリーを殺した後にその血を吸って回復したりしないように
トドメを刺したと判断したらすぐに黒衣の蝶にも斬撃を飛ばして妨害するね。
せっかくボロボロになったんだから、大人しく私達に殺されなよ。
大義は果たした、領地は捨てた。もう思い残す事はないでしょう?




 爪と鎌がぶつかる音を聞きながら、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)のアサルトライフル・灯り木が銃声を響かせる。
「っ……しつこいわね。蝶だけでも煩わしいのに、猟兵の相手までしてられないわよ」
「煩わしいのはお互い様だよね。僕だってキミが煩わしくて仕方が無い」
 リュカの銃弾に苛立ちを露にしながら、間合いを詰め鎌を振り抜いた黒衣の蝶の攻撃を避けるマリー。
 猟兵達の波状攻撃を受けて疲労が溜まってきたのか、吐き捨てる様に言い放つ。
(一歩一歩確実に、撃ち込めるときにありったけ銃弾をマリーのほうに撃ち込んで、削っていければいい)
 リュカはマリーの動きを見ながら、灯り木の引き金を引く。
 疲弊した黒衣の蝶へと繰り出すマリーの腕を撃ち抜けば、九重・雫(救世主になりたかった忌み子・f16602)もマリーとの間合いを詰め、妖刀「修羅」を振り抜いた。
「邪魔はしないよ。でもやられたら困るの。前回の傷もあるみたいだし、ちょっとだけ手伝ってあげる」
 雫の振りぬく修羅の太刀を身体を反転して避けると、マリーは苛立った声で叫ぶ。
「ああもう!僕(しもべ)たち、あたしを守ってくれるわよね?」
 決定打にもなりうる一撃を邪魔され、次から次へと妨害してくる猟兵に苛立ちを露にするマリーの言葉に従って、部屋中にマリーに魅了された元人間だった吸血鬼の群れが現れる。
「ほら、これであたしには届かないでしょう?猟兵達は蝶を始末したら遊んであげるわ。今はこいつらと遊んでなさい!」
 マリーの周囲を固め、黒衣の蝶の動きを封じるように現れた吸血鬼達。
「……邪魔だよね……」
 黒衣の蝶の巻き起こす花嵐はマリーと黒衣の蝶の間に立ち塞がる吸血鬼達を包み込むが、それでも威力が落ちているのか、その場に立つ吸血鬼はやや数を減らすだけ。
 舌打ちする黒衣の蝶をサポートすべく、雫はユーベルコードを発動する。
「『刀に封じられし鬼神よ。我がその怨念を晴らす力を与えよう。全てを喰らい尽くせ』」
 手にした妖刀に封じられた鬼神の怨念を自身の身に纏わせ、雫は駆け出す。
 周囲に群れる吸血鬼達を切り裂くように刀を振れば、斬檄によって巻き起こる衝撃波が周囲の吸血鬼を斬り捨てた。
「ほら、これで攻撃が通りやすくなったでしょう?」
 黒衣の蝶の周囲の吸血鬼は薙ぎ払って、黒衣の蝶へ声を掛ける雫。
 雫の声が聞こえているのか、マリーまでの道が出来ると、黒衣の蝶はすぐさま駆け出してマリーへと斬り掛かる。
(思う存分マリーと殺しあってボロボロになって。吸血鬼らしく醜く無様にね?)
 そんな光景を見ながら雫は自身の周囲の吸血鬼を払い除ける。
「要は、召喚される数より殺せばいいんだろう……頑張るよ」
 リュカも周囲を取り囲む吸血鬼を灯り木で頭部を的確に撃ち抜いていく。
(顔を見てもきっと、いいことなんて何一つないからね)
 マリーに魅了され呼び出された、元人間の吸血鬼たち。
 ぱっと見ただけの外見なら、男も女も、それこそ子供も居る。
 撃ち抜いて倒しただけ補充される吸血鬼の盾に、感情移入なんてしていられない。現れ続ける吸血鬼を撃ち倒す為、リュカも灯り木の引き金を引いて。
 響いた銃声は黒衣の蝶からマリーを庇おうとする吸血鬼の頭を撃ち抜いた。
 マリーに迫る黒衣の蝶を見ながら、雫は笑みを浮かべる。
(大義は果たした、領地は捨てた。もう思い残す事はないでしょう?)
 傷を負い、それでも進む黒衣の蝶にマリーは新たな吸血鬼を呼び出して自身を庇わせる。庇わせた吸血鬼を斬り捨てながら黒衣の蝶は鎌を振り上げる。
(せっかくボロボロになったんだから、大人しく私達に殺されなよ?)
 この先の戦いを思い浮かべる雫の視界の中で、黒衣の蝶の鎌がマリーを切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・エヴァンズ
【夜明け前】で参加
黒衣の蝶さんにはそのまま本懐を遂げていただくとして…フォローくらいはさせていただきましょうか

故あって彼に加勢させていただきますが、退治されるご覚悟はよろしいですね?
とマリーさんに問いかけUCにて獅子座のレオを召喚
NOの返答を頂いても満足いく答えなはずはないので、構わず攻撃
その鋭い牙と爪で噛み付き、切り刻んでもらいましょう
立ち塞がるであろう僕さん達は炎属性を付与した広範囲攻撃の衝撃波を放って焼き払い道を開きます
そのまま私自身は翔君、リウィウスさん、それとレオの援護として攻撃したりしていましょうか

その思想は吸血鬼らしくありますが、愛を解さぬ故に貴女は敗けるのです

アドリブご自由に


ユリウス・リウィウス
【夜明け前】

ああ、これだから吸血鬼って奴は面倒なんだ。性格はねじ曲がってるくせに、無闇矢鱈と気位ばかり高い。
正直どちらの手伝いもごめんだが、物事には順番ってものがあるからな。

黒衣の蝶の行動を邪魔しないよう、同時に、マリーの攻撃がきた場合に黒衣の蝶を盾に使うように動く。

マリーは虚空斬で「なぎ払い」、「傷口をえぐる」。精神攻撃は耐性持ってそうだから、今回は封印しよう。

邪魔な下級吸血鬼は、「盾受け」したバックラーでの「カウンター」のシールドバッシュで「なぎ払い」、退場させる。

後は黒衣の蝶の仕事か。好きにしろ。その代わり、太刀筋はしっかり観察させてもらう。
その女を斬り捨てたら終わりじゃないんだからな。


香坂・翔
【夜明け前】で参加
基本名前で呼び捨て
同行者ステラの呼び方は【おかーさん】

黒衣の蝶は無視してマリーだけを見据える
さてと、次の相手はあいつかー
何の遠慮もなく倒せる相手は楽で良いねー

UC獣の習性で攻撃
下級吸血鬼はUC咎人の怨念で切り捨てる
高速移動で絶えず動き回って、黒衣の蝶と相対してるマリーの隙を突いて死角から槍で貫くよ

(無感情で)
お前も、黒衣の蝶も、俺にとっては倒すべき敵だから
容赦なんてしないよ?

※共闘、アドリブ可




「ああ、これだから吸血鬼って奴は面倒なんだ。性格はねじ曲がってるくせに、無闇矢鱈と気位ばかり高い」
 呼び出された吸血鬼の群れを双の黒剣で薙ぎ払いながら、心底面倒くさそうなユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)の隣で、香坂・翔(紅の殺戮兵器・f03463)は楽しそうな気配を隠さずに、愛用のブラッディランスで眼前の吸血鬼を一突き。
「次の相手はあいつかー。何の遠慮もなく倒せる相手は楽で良いねー!」
 周囲を取り囲んだマリーを庇おうとする吸血鬼達を、黒い風を巻き起こした真空波で切り裂きながら、どこか楽しそうな翔の言葉からは真剣さはあまり感じられない。
 けれど、明るい声とは裏腹にその表情から感情は読めず、眼差しは真剣にマリーを見据えていて。
「黒衣の蝶さんにはそのまま本懐を遂げていただくとして……フォローくらいはさせていただきましょうか」
 周囲を取り巻く吸血鬼の群れを、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)の炎が巻き起こる。
「正直どちらの手伝いもごめんだが、物事には順番ってものがあるからな」
「それじゃ、行こっかー」
 周囲の吸血鬼を薙ぎ払いブラッディランスを構えながら、翔がダッシュでマリーの元へと駆け込み、ユリウスもその後を続く。
「『煌めく闇夜の星々よ 我が命に従い 天の彼方より来たりて その身その力を貸し給え』」
 駆け出した二人の背を見ながら、ステラはユーベルコードで空に瞬く星座の中から獅子座のレオを呼び出す。
 唸る獅子のレオは、その爪を喰い込ませるのを今か今かと待ち、ステラはそんなレオを宥めながら真っ直ぐにマリーへと問いかける。
「故あって彼に加勢させていただきますが、退治されるご覚悟はよろしいですね?」
「はあ?あんたなんかに倒される程落ちぶれちゃいないわ!」
「そうですか」
 マリーの答えに満足な解答を得なかったと、ステラはレオを解き放つ。許可が下りたレオは素早い動きでマリーへと飛び掛ると、その爪を振り下ろす。
「くっ……」
「お前も、黒衣の蝶も、俺にとっては倒すべき敵だから。容赦なんてしないよ?」
 マリーが反転しレオの爪を避ければ、体勢を崩したその隙を見て翔の槍がマリーの肩を貫く。
「お前の行動、これで覚えたよ」
「ぐ……」
 翔が再び槍を繰り出すのを見て、マリーは自身を庇う盾となる吸血鬼達を召喚する。
「邪魔だねー」
 現れた吸血鬼達は、マリーに突き刺さる筈だった槍をその身に受けるとその場で倒れ伏す。
 槍を引き抜いた翔は、黒い真空波を巻き起こし、盾として呼び出された吸血鬼達は倒れていく。
「禍太刀の一閃だ。喰らっとけ」
 盾として呼び出された吸血鬼を利用して距離を詰めたユリウスは横薙ぎの一閃を放つ。
「うぅ……」
 マリーの死角から斬りかかったユリウスの太刀筋は、マリーの身体に傷を生む。
(後は黒衣の蝶の仕事だな。太刀筋はしっかり観察させてもらう。その女を斬り捨てたら終わりじゃないんだからな)
 この後の戦闘の事も考えてユリウスは黒衣の蝶に場所を譲る為に後退する。
「マリー……許さない……」
「蝶……!」
 マリー目掛けて飛び掛る黒衣の蝶。黒衣の蝶の動きを察して、マリーは再び盾となる吸血鬼を召喚する。
「貴女の思想は吸血鬼らしくありますが、愛を解さぬ故に貴女は敗けるのです」
 盾となる吸血鬼にも構わず突き進む黒衣の蝶が、呼び出した吸血鬼と接触する前に、ステラが炎を纏った衝撃波を放つ。
「オォォォォ……」
 焼き払われ灰となる吸血鬼達を余所に、黒衣の蝶はマリー目掛けて斬り掛かる。
 新たな盾を生み出す前に、振るわれた黒衣の蝶の鎌はそのままマリーを斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

森宮・陽太
【POW】
アドリブ連携大歓迎

ちょいと用があってダークセイヴァーに来たんだが
嫌な噂を聞きつけたもんで来てみた

…何ともまあ、悪びれもなく男を誑かしそうな吸血鬼だな
まっ、人間を駒としか見ねぇような奴はさっさと骸の海に還れ
何なら2度と出てこなくてもいいんだぜ?

【アリスナイト・イマジネイション】発動
白銀の無敵鎧を纏って二振りの槍で断続的に攻撃
濃紺のアリスランスで「ランスチャージ」しつつ
淡紅のアリスグレイヴで足元を刈り取るぞ
吸血?できるもんならしてみやがれ

黒衣の蝶には手を出さねえし
必要があればかばって無敵鎧で受ける
愛する者のために同族を狩る決意をしたんだろうが
その想いはしっかりと遂げさせてやるぜ


ヴェル・ラルフ
吸血鬼らしい吸血鬼、だね
人間の優しさを感じられない、悲しい生き物だ

まずは調度品や建物内の敵から死角になるような場所に、目立たぬように身を潜め様子を確認

召喚されるのは哀れな傀儡
戦闘力は無いと判断し向かう

傀儡となった敵の攻撃は、見切って相手の力を利用し、受け流してなぎ払い
そのまま気絶するよう一点に力を込めて攻撃していく

吸血鬼に接近したら直接攻撃を試みる
ヒトを盾にするなんて、狡くて哀れな生き物だね
挑発しながら冷静に観察
相手の攻撃に合わせて身を引き受け流して避け、カウンターで【燦爛連続擊】

★アドリブ・連携歓迎




「が、は……」
 血を吐きふらつくマリーへと再び斬り掛かる黒衣の蝶。
「いい加減に……っ。しもべたち、あたしを守りなさい!」
 ふらつきながらマリーはしもべの吸血鬼達を召喚する。呼び出された吸血鬼達は、黒衣の蝶の鎌を受け止める様にマリーと黒衣の蝶の間に立ちはだかった。
「邪魔だよ……」
 顕現と同時に黒衣の蝶の鎌に斬り捨てられる吸血鬼達。
 マリーの死角になる所から様子を伺っていたヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は、目の前で繰り広げられる残虐な光景を前に、冷たい眼差しでマリーを見やる。
「吸血鬼らしい吸血鬼、だね。人間の優しさを感じられない、悲しい生き物だ」
 マリーの為に召喚される哀れな傀儡達。吸血鬼達の行動パターンを観察していけば戦闘力は無いのだろう。黒衣の蝶に一撃も加える事無くただただ斬り捨てられていく。
「それじゃ、行くよ」
 黒衣の蝶の動きが鈍っているのを見て、ヴェルは物陰から飛び出して吸血鬼の群れの中へと飛び込んだ。
「狙うはマリーだけだ」
 あくまでもマリーを庇おうとする吸血鬼達の動きを見切りながら、吸血鬼の腕を取り僅かな抵抗を受け流して地に叩きつければ、そのまま倒れ伏す吸血鬼。
「ほら、あんたたちはあたしを守りなさい!」
 ヴェルに払われて、黒衣の蝶に斬り捨てられてなお呼び出される盾となる吸血鬼達に、遅れて現場に到着した森宮・陽太(人間のアリスナイト・f23693)もユーベルコードで創り出した白銀の無敵鎧を纏いながら、二振りの槍で周囲の吸血鬼を薙ぎ払う。
「……何ともまあ、悪びれもなく男を誑かしそうな吸血鬼だな」
 濃紺のアリスランスを水平に携え、周囲を取り囲む吸血鬼を薙ぐように突き進む陽太。
「まっ、人間を駒としか見ねぇような奴はさっさと骸の海に還れ。何なら2度と出てこなくてもいいんだぜ?」
 左手に持つランスを水平に維持しながら、周囲の吸血鬼の足元を淡紅のアリスグレイヴで刈り尽くす。
「ヒトを盾にするなんて、狡くて哀れな生き物だね」
 盾となる吸血鬼を薙ぎ払い、マリーの懐へと入り込むヴェル。間合いを開けようと飛び退くマリーを追撃して短剣をその腕に突き刺した。
「っ……本当に邪魔ね……それなら!」
 腕を鮮血で染めながら、マリーはヴェルが追って来れないようにと吸血鬼の盾を召喚する。
 ヴェルから距離を取って一気に駆け出すマリー。その進行方向に居るのは陽太。
「お前をあたしのしもべにしてやるわ!」
 牙を光らせ迫るマリーに、陽太は鎧を全身に纏って身構える。
「吸血?出来るもんならしてみやがれ」
 無敵鎧を纏った陽太に吸血は効かないと身構えるも、マリーはそんな陽太に嫌な笑みを浮かべる。
 身構えた陽太をそのまま素通りして、走りこんだ先に居たのは――――疲弊して動きの鈍る黒衣の蝶。
「なっ」
「まずはお前からよ、蝶!」
 陽太が慌てて振り返れば、マリーは反応の鈍った黒衣の蝶へ向けて真っ直ぐに走り去る。
 自身に迫るマリーを見て黒衣の蝶も鎌を振りかざすが、それが振り下ろされる前にマリーは黒衣の蝶の懐へと入り込む。
「っ……」
 ガキン、と金属の音が響く。マリーの牙が黒衣の蝶に突き刺さる前に、陽太が必死に伸ばした腕がマリーの牙を受け止めた。
「ガ……」
 鎧ごと噛み千切ろうとするマリーを抑えて、陽太は背中に庇った黒衣の蝶へと声を掛ける。
「……おい、蝶。愛する者のために同族を狩る決意をしたんだろう?その想いはしっかりと遂げさせてやるぜ」
「リリィ……」
 陽太の声に反応するように、黒衣の蝶は眼前のマリーへと鎌を振り下ろす。鎧に牙が通らない上に黒衣の蝶の黒鎌の射程に入っているのを察して、マリーは距離を取ろうと後退する。
「っ……また邪魔をして……!」
「『逼る黒緋、空に散れ』」
 吸血鬼の盾を呼び出しその爪で黒衣の蝶を切り裂こうとしたマリーの背後から、駆けつけたヴェルがユーベルコードを繰り出す。
 視認出来ないほどのヴェルの素早い蹴撃、殴打がマリーを何度も打ち抜いた。
「きゃああぁぁぁっ!!」
「リリィの……仇……」
 ヴェルが乱打を撃ち終えその場から離れた時、黒衣の蝶の鎌がマリーの胸を貫く。
「か……は……」
 黒衣の蝶が黒鎌を引き抜く。
 周囲に赤い鮮血が撒き散らされ、マリーはとうとう地面に膝を着いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。リリィというのね、あの同族殺しの奪われたものは…
大体の事情は見えてきたけど、私達の為すべき事に変わりはない
…皆、後は手筈通りに。まずはあの女吸血鬼から狩るわ

事前にUCを発動して吸血鬼狩人達を召喚
全員で殺気を絶ち存在感を消して闇に紛れ、
敵の精神属性攻撃を気合いで受け流しつつ吸血鬼達の戦闘を見守る

全員が【吸血鬼狩りの業】を用いて敵の行動を暗視して見切り、
下僕が召喚された瞬間に傷口を抉る呪詛を宿した矢弾の雨を乱れ撃つ

…あの女吸血鬼の強みは数の強さ
それを取り除いたら、あの同族殺しが負ける要因は無い

…敵であることに変わりはないけれど、
せめて、その手で復讐を果たすが良い…黒衣の蝶


アンナ・フランツウェイ
(第一章と同じく呪詛天使が表面に出た状態)
アンタの考えは少し肯定するけど、アンタはまだ大切な存在を奪われた者の執念を理解していないようね。ならそれを知り、躯の海に沈みなさい。ついでに二度とその面を私に見せるな。

常に空中を飛び回りマリーを撹乱(【空中戦】)。生まれた隙に腱や関節を狙い何度も攻撃(【傷口をえぐる】)、動きの鈍化を狙って行くわ。

動きが鈍ってきたら、両腕を狙い大鎌を【なぎ払い】、【部位破壊】でマリーの両腕を切断してあげるわ。ついでに【生命力吸収】し【呪詛】を死なない程度に流し込んでおく。

さて、無事に終わったら黒衣の蝶にマリーを引き渡すわ。こいつにトドメを刺すのはアンタじゃなきゃダメよ。




「ぐ……ふ……」
 全身から血を流し、膝をつくマリー。
「アンタの考えは少し肯定するけど、アンタはまだ大切な存在を奪われた者の執念を理解していないようね」
「は……?何であたしがそんなモノを理解しなきゃいけないわけ!?」
 呪詛天使となったアンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)の言葉に、マリーはふらふらと立ち上がりながら吐き捨てる様に言い放つ。
 そんなマリーの言葉に、呪詛天使はユーベルコードの力で自身を更に強化する。
 全てを憎み死んでいった者達の呪詛が呪詛天使を覆い、空中を飛び回る速度を上げていく。
「分からないならそれを知って、躯の海に沈みなさい。ついでに二度とその面を私に見せるな!」
 上空から隙を見つけて通りざまに大鎌で足の腱を斬りつける。
「ぎゃあぁぁぁっ!」
 足を切られたマリーの絶叫が辺りへ響き、その身は再び床へと倒れこむ。羽根を羽ばたかせ旋回するように呪詛天使は再び上空へと舞い上がる。
 再び上空から急降下した呪詛天使の振るった大鎌はマリーの肩を切り裂いて、派手な鮮血が撒き散らされた。

(……リリィというのね、あの同族殺しの奪われたものは……)
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の視線は、動きの鈍った黒衣の蝶へと向けられていて。
 部屋に入った時よりも疲弊し息を切らせ、反応が鈍りながらも殺意の籠もった瞳は真っ直ぐにマリーを見据えて。
 リーヴァルディはそんな瞳を見ながら、ユーベルコードを発動する。
「『……我ら、夜と闇を終わらせる者なり』」
 リーヴァルディの呼びかけに応じて現れる、15人もの吸血鬼狩人達。
「私達の為すべき事に変わりはない……皆、後は手筈通りに。まずはあの女吸血鬼から狩るわ」
 リーヴァルディの言葉に従い吸血鬼狩人達が散開する。殺気を断ち、薄暗い部屋の中へ紛れるカーライルの従者達。
「……敵であることに変わりはないけれど。せめて、その手で復讐を果たすが良い、黒衣の蝶」
 黒衣の蝶がマリーへ向けて駆け出していくのを見送るリーヴァルディ。今為すべき事は、黒衣の蝶がマリーを討てるようにお膳立てをする事。
 駆け出した黒衣の蝶に合わせ、宙を舞っていた呪詛天使もマリー目掛けて急降下を始める。
「っ……しもべたち、あたしを守りなさい!」
 駆け出した黒衣の蝶と急降下を始めた呪詛天使から自身を守らせようと、マリーは再び盾となる吸血鬼を召喚する。
 が、マリーの召喚した吸血鬼達は、顕現と同時にリーヴァルディが前以て呼び出していた吸血鬼狩人達の撃ち放つ矢弾の雨に貫かれ消滅していく。
「な……」
「……お前の強みは数の多さ。それを取り除いたら、あの同族殺しが負ける要因は無い」
 姿を見せるや否や消えていく吸血鬼の盾の合間を縫って、黒衣の蝶はマリー目掛けて駆け抜けて。
 空から降りてきた呪詛天使も、動きの鈍ったマリーの両腕を狙って大きな鎌を振り抜いた。
「ギャアァァァ!!!!!」
 振り抜かれた呪詛天使の鎌は、マリーの両足の腱を斬り、右腕、そして左腕を切断する。
 マリーの生命力をも奪い、動きを封じる呪詛を流し込んで、呪詛天使は走り寄る黒衣の蝶へと視線を向けた。
「さて、こいつにトドメを刺すのはアンタじゃなきゃダメよ」
 後は首を刎ねれば終わるだろう。そこまでのお膳立てをし、黒衣の蝶が駆けつけてきたのを見て、呪詛天使は黒衣の蝶へ道を譲る。
「リリィ……」
「やめ……蝶、やめ……!」
 涙を浮かべながら命乞いをするマリーの首を刎ねんと、黒衣の蝶が黒鎌を振り抜いた。

 鮮やかな鮮血が舞い散ると共にマリーの首が胴から離れて宙を舞って。
 残されたマリーの身体は灰となって消えていき、その場にはマリーの返り血を浴びた血濡れの黒衣の蝶が立っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鎖繋ぐ黒衣の蝶』

POW   :    僕が与えるのは悪夢のみ
【ミステリアスな甘い声】を披露した指定の全対象に【その者が望む幸福な夢を見せ、戦意喪失の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    理想は叶わないものだよ
【心安らぐ甘い香り】を籠めた【大切な者に裏切られ傷付けられる幻放つ花嵐】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【大切な者を想う記憶と心】のみを攻撃する。
WIZ   :    触れたら枯れてしまう花に、触れたくなったら?
対象への質問と共に、【現を忘却させる黒い鎖】から【その者の理想的な幻を見せる紫彩の蝶】を召喚する。満足な答えを得るまで、その者の理想的な幻を見せる紫彩の蝶は対象を【幻惑し、生命力を蝕む甘い鱗粉】で攻撃する。

イラスト:山神さやか

👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルーチェ・ムートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 僕の領域内で見知らぬヴァンパイアが暴れていた。
 暴れていたのはずっと傍に居た、人の中に戻したはずの少女。

 心の中を、冷たい何かが支配していった。
 それが何かを考える前に、身体が動いた。

 少女だったそれは、ごとりとその首を落とした。
 笑い声がして振り返れば、同じ吸血鬼のマリーが居た。 
 あれのせいだ、と心が訴えた。

 心を支配する感情のまま、少女が持っていた小さな鎌を手に取って歩を進めてきた。
 その感情がどこから湧き上がっているのかを理解出来ぬままに。

――――――

 さらさらと灰になって消えていくマリー。それを見ても、黒衣の蝶は乾いた笑いを浮かべるだけで。
「……マリーは討ったのに、どうして、報われないんだろう……?」
 マリーの返り血が、涙のように黒衣の蝶の頬を流れていく。
「はは……やっぱり、全部消さないとダメなんだね……」
 呆けていた黒衣の蝶の視線が、寂しげな笑みと共に猟兵達に向けられて。
「キミ達もリリィの元に送ってあげる……そうしたらきっと、リリィも寂しくないだろうからね……」
 ふらつきながら、黒衣の蝶は黒鎌を構える。これが最期だと言わんばかりに。

 全てを終わらせるために、猟兵達は各々武器を構えた。
フォルク・リア
「なぜ報われないかだと。そんなものは当然だ。
誰を倒したところでお前のその心に決着が着く事はないからな。」
「だから、止まれないなら終わらせてやるよ。
俺が此処で。」

敵の先手を打って【高速詠唱】でグラビティテンペストを発動。
敵の黒い鎖の動きを封じると同時に
自分の周囲に斥力を発生させ鱗粉攻撃を防ぐ。
「ここまで戦いを見てきたんだ。
対応策の一つくらいは考えてきたさ。
利用したのはお互い様だ。卑怯とは言わないだろうね。」

攻撃を防ぐ間に周囲の無機物を次々と重力を操る微粒子に変化させ
グラビティテンペストの威力を増強。
内部のものを引き裂く重力嵐を発生させる重力球を作り出し
黒衣の蝶にぶつける。
「さあ、そろそろ幕だ。」




「マリーは討ったのに、どうして報われないんだろう……?」
 部屋の中を先程までマリーであった灰が風に乗って舞い上がる。
 散りゆく灰を虚ろな瞳で見る黒衣の蝶の、黒鎌を大事そうに持ちながら吐かれる言葉にフォルク・リア(黄泉への導・f05375)が息を吐きながら言葉を投げ掛ける。
「なぜ報われないかだと。そんなものは当然だ。誰を倒したところでお前のその心に決着が着く事はないからな」
「はは……やっぱり、全部消さないとダメなんだね……」
 フォルクの投げかけた言葉が聞こえたのか、虚ろ気に舞い散る灰を見つめるだけだった黒衣の蝶の視線が、殺意を持って解を投げ与えたフォルクへと向けられる。
「キミ達も、殺さないとね……リリィ……」
 チャラリと手にした鎖を回転させる黒衣の蝶。鎖が空を切る音を響かせながら黒衣の蝶によって顕現させられる紫彩の蝶達。
 黒衣の蝶が召喚した蝶が、幻惑を見せる鱗粉を撒き散らしながらフォルクへと向かって舞っていく。
「『押し潰せ、引き千切れ、黒砂の陣風を以て。其の凄絶なる狂嵐の前には何者も逃れる事能わず。ただ屍を晒すのみ。吹き荒れよ、滅びの衝撃』!」
 蝶の鱗粉がフォルクの元へ届く前に早口で詠唱を済ませれば、発動させたユーベルコードがフォルクの周囲に重力場を形成する。
「ここまで戦いを見てきたんだ。対応策の一つくらいは考えてきたさ」
 不敵な笑みを浮かべながら自信満々に言うフォルク。
 その言葉通り、周囲を飛び交う蝶の鱗粉がフォルクを包み込んでも、フォルクの周囲を取り囲んだ重力波はその鱗粉を斥力で弾き返した。
「へぇ……僕のこと、ずっと見てたんだ?」
 蝶の鱗粉を弾き返した斥力に感嘆の声を上げる黒衣の蝶。
 部屋にある調度品や周囲を舞う蝶すらも、グラビティテンペストの威力を上げるための重力を操る微粒子へと変えていくフォルク。
「利用したのはお互い様だ。卑怯とは言わないだろうね」
「利用……?そんなのはどうだっていいよ」
 不満は聞かないとばかりに返したフォルクの事など意に介さずに、黒衣の蝶は黒鎌を携えて真っ直ぐに走り出す。
「僕はキミ達を殺す。今更それを止めたりなんかしないよ」
「そうか……止まれないと言うのなら終わらせてやるよ。俺が、此処でな!」
 フォルクに斬りかかろうと走り込んできた黒衣の蝶が、フォルクの周囲の斥力を無視して黒鎌を振り上げる。
 決着を着けんと、フォルクは手のひらに周囲の無機質を取り込んで威力の上がったグラビティテンペストの重力を収縮させ、小さな重力球を生み出した。
「さあ、そろそろ幕引きといこうか」
 フォルクを切り裂かんと黒衣の蝶が振り下ろした黒鎌を、斥力が反発して弾き飛ばそうとする力に乗せるようにして重力球を黒衣の蝶へ放てば、ゴォっと激しい風と乱気流を生み出す程の重力嵐が、一瞬にして黒衣の蝶を包み込んだ。
「ウオオォォォ……!!」
 真空に近い風が黒衣の蝶を切り裂き、反発するほどの強い重力が黒衣の蝶を押し潰す。
 重力球が消えた後、血塗れになりながらも黒衣の蝶は強い殺意を持って猟兵達を睨みつけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。晴久?どうして此処に…?
…ぇ、だ、だめよ。こんな所でそんな…えへへ

……主人格への精神干渉を確認。
敵性体検索…黒衣の蝶…排除開始

敵の精神属性攻撃を受け“吸血鬼狩りのペルソナ”が起動
蓄えた戦闘知識から敵の行動を暗視して見切り、
残像が生じる早業で敵の死角に切り込みUCを発動

怪力の掌打と同時に生命力を吸収する血杭を放って魔力を溜め、
限界突破した血杭を武器改造して無数の血棘で傷口を抉る2回攻撃を行う

……んむ?あの人は…ああ、幻術にはまっていたのね

…前に一度、痛い目にあってから対策を施していたの

…貴方の境遇に思う処が無い訳ではないけど、
私の心を操ろうとした以上、お前の命運は此処で終わりよ、吸血鬼




「はは、やってくれるね……」
 血塗れになりながら、強い殺意を持って猟兵達を睨みつける黒衣の蝶。
「僕が与える悪夢に浸っていればいいのにね。……キミだってそう思うだろう?」
 黒衣の蝶はちらりとリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)へと視線を向ける。
 脳内に響く甘い言葉にくらりと頭の中が揺れるのを感じて、リーヴァルディは意識を保とうと頭を振る。
「幻惑など、私には……」
「……リーヴァ、ここに居たのですか?探しましたよ」
 不意に聞こえた声に、リーヴァルディははっとなって声のした方へ振り返る。
 そこに立っていたのは金髪にサングラスを掛けた……リーヴァルディの最愛の男。
「……ん。晴久?どうして此処に……?」
 ここは戦場で、自分は一人でここに来たはずなのにと思いながらも、目の前に居る男の名を声に出して呼んでみれば、男は優しい笑みを浮かべたままリーヴァルディへと近寄る。
「愛していますよ、私のリーヴァ。私の側から離れないで?」
 近寄ってきた男の手がリーヴァルディの頬に触れる。幻惑なのだと思いながらも、頬に触れる手の温もりもサングラス越しの熱い眼差しも、見知ったそれと同じもので。
「……ぇ、だ、だめよ。こんな所でそんな……えへへ」
 顎を持ち上げられ、キスをしようと自分を見つめる男の熱い眼差しに、リーヴァルディは嬉しさを隠せない。
 迫ってくる男の気配を感じ目を閉じるリーヴァルディ。
 男からのキスを待つリーヴァルディの脳内に、冷たい無機質な声が響いた。

『……主人格への精神干渉を確認。敵性体検索、黒衣の蝶。排除開始』

 幸せな夢から覚めるように現れるリーヴァルディの別の人格、吸血鬼狩りのペルソナ。
 鎖から生み出した生命力を奪う蝶を舞わせ、幸せな夢に浸ったまま眠れるようにリーヴァルディを見ていた黒衣の蝶へとペルソナは飛びかかる。
「っ!」
 幸せな夢に浸っていたリーヴァルディの不意な覚醒に黒衣の蝶は咄嗟に黒鎌を構えるも、先に動き出していたペルソナはその動きを見切り、大鎌を振るって黒鎌を弾き飛ばす。
「『……限定解放。刺し貫け、血の聖槍!』」
 黒衣の蝶が体勢を崩したのを見て、繰り出すペルソナの掌打は的確に黒衣の蝶を捉え、圧縮された魔力の杭が黒衣の蝶を吹き飛ばす。
 吹き飛ばされた勢いのまま、部屋の壁に激突する黒衣の蝶。
「がはっ」
 壁に凭れうずくまる黒衣の蝶へと追撃を試みるペルソナだったが、走り出したと同時にその動きを止めた。
「……んむ?あの人は……?」
 ガクンと体勢を崩しながら我に返ったリーヴァルディが、きょろきょろと辺りを見回す。
 先程まで一緒に居たはずの最愛の男の姿を探すも、リーヴァルディの視界に映るのは、古びた洋館の一室の壁に凭れ座り込む黒衣の蝶の姿だけで、リーヴァルディはそれで全てを把握した。
「……ああ、幻術にはまっていたのね。前に一度、痛い目にあってから対策を施していたの」
 最愛の男との幸せな時間。それが幻だったのだと理解してリーヴァルディは一つ息を吐く。
「……貴方の境遇に思う処が無い訳ではないけど……私の心を操ろうとした以上、お前の命運は此処で終わりよ?吸血鬼」
 ふらふらと立ち上がる黒衣の蝶に言い放つと、リーヴァルディは再びユーベルコードを発動する。
 走り込んだ勢いと、全重心をそこに集めたリーヴァルディの掌打は黒衣の蝶を打ち抜き、放出される魔力の血杭はそのまま黒衣の蝶へと突き刺さって。
「現れなさい、血の魔槍」
 リーヴァルディの呼応に応じて、黒衣の蝶に突き刺さった血杭から現れた無数の棘が、黒衣の蝶を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

マリーを討って終わるわけがねえよな

復讐の狂気に呑まれちまったか、蝶
リリィが本当に求めているのは1度でも心を許したてめえだろうよ!?
勝手な理屈で俺らを送るとか言うんじゃねえ!

「高速詠唱、言いくるめ」から【悪魔召喚「アスモデウス」】
アスモデウスに炎の玉で蝶を牽制させつつ
自身は「ランスチャージ」で攻撃

紫彩の蝶が見せる幻は「理想の暗殺者たる過去の自分」
「理想たる過去の力を取り戻したいか」と問われるがきっぱり否定
過去が何であれ、俺は今を生きている
まやかしで得た力は所詮まやかしだ
否定したら蝶や鎖をまとめてアスモデウスの獄炎で燃やす!
アスモデウス! 俺に構わず全て燃やし尽くせ!!


ヴェル・ラルフ
仇討ちは、誰かのためでも、まして報われるためにやることじゃない
自分の為でしか、ないからだろう

残紅を構えて
敵の攻撃は見切りつつ避け、投擲用のナイフを投げ接近
敵の花嵐は、残紅に炎を纏わせてなぎ払い、衝撃波を起こして対抗

大切な人の幻影
きっと僕の親友たちの姿を騙るだろうけれど
甘く見るなよ
裏切り、傷つけるような人じゃないって、僕は知ってる
僕は信じてる
騙る相手が悪かったね
花嵐を退けカウンターで【燦爛連続擊】

大切なひとだったのなら
守れなかった、自分を責めなよ
その気概を、持てばよかったんだ

★アドリブ・連携歓迎




 無数の棘に貫かれ、肩で息をする黒衣の蝶。
 それでもその殺意が消えたわけでもなく、真っ直ぐに猟兵を見つめる黒衣の蝶を見て森宮・陽太(人間のアリスナイト・f23693)はふぅと息を吐く。
「そりゃ、マリーを討って終わり。なんて、そんな訳ねえよな」
「リリィ……今、送って……そしたら、寂しく、ない……」
「復讐の狂気に呑まれちまったか?蝶。けど、リリィが本当に求めているのは1度でも心を許したてめえだろうよ!?勝手な理屈で俺らを送るとか言うんじゃねえ!」
 狂気に染まった黒衣の蝶の言葉に陽太は言いくるめるように言い放ち、ダイモンデバイスから獄炎を操る悪魔・アスモデウスを召喚する。
「仇討ちは、誰かのためでも、まして報われるためにやることじゃない。自分の為でしかないだろう」
 如意棒の残紅を構えてヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は黒衣の蝶へと飛びかかる。
「燃やせ、アスモデウス!」
「キミにだって、理想はあったろう……?僕にだって、叶えたいことがあったんだよ……」
 ランスを突き出しながらアスモデウスへと指示を出せば、アスモデウスも火球を生み出して黒衣の蝶へと放つ。
 ヴェルの如意棒を鎖で絡め取り、そのまま振り回せば召喚される紫彩の蝶。
 紫彩の蝶ごと焼き払おうとアスモデウスの火球が黒衣の蝶へと放たれるも、次々に生み出され火球を避けるようにひらひらと舞う紫彩の蝶は陽太の周囲に鱗粉を撒き散らした。
「っ……」
 周囲を包む鱗粉を焼き払うも、陽太は鋭い殺気を感じてその場から飛び跳ねる。
 ガキン、と先程まで立っていた場所を何者かがランスで貫いた。
「お前……」
 体勢を整え陽太が視線を上げれば、そこに立っていたのは血に塗れ、暗殺者として活動してきた頃の自分。
「っ!」
 斬りかかってきた過去の自分のランスを、陽太はアリスランスで受け止める。
「どうした?その程度か?……他愛ないな」
 軽い嘲笑の後に、過去の陽太はランスで薙ぎ払う。いなされて体勢を崩しながらも陽太は過去の自身から距離を取った。

 動きの止まった陽太を横目に、ヴェルは投擲用のナイフを黒衣の蝶へと投げつける。
 投擲されたナイフを見ながら、黒衣の蝶はナイフを弾くように花嵐を巻き起こす。
「キミだって、大事なモノがあるんだろう?それに裏切られたら……どうなるのかな……?」
 甘い香りを漂わせ一面に広がる花びらにヴェルの視界は封じられる。
 花嵐が落ち着くのを待って周囲の気配を伺えば、唐突に突き出される見慣れた黒剣に思考が止まる。
 舞い散る花びらが落ち着いて、姿を見せたのは二人の少年。
 中性的な顔立ちをしてヴェルに黒剣を突きつける少年と、額から角を生やした赤髪の少年……ヴェルの親友たち。
 冷たい眼差しでヴェルを見やる二人の少年たちは、それぞれの剣を携えてヴェルの前に立ちはだかる。
「ああ……やっぱり君たちか……」
 突きつけられた黒剣に、ヴェルはぽつりと呟く。冷たい視線で自分を見下す二人の少年の眼差しにも、ヴェルは焦ることなく身構えて。
「甘く見るなよ。僕の親友たちは、僕を裏切り、傷つけるような人じゃないって、僕は知ってる」
 ヴェルと幻の親友たちの胸に輝く、色違いの三角形の銀のアミュレット。
 ヴェルの胸元にあるペンダントに付いた青い石をぎゅっと握り締める。親友がどんな思いでそれをくれたのかも、ヴェルはちゃんと覚えている。
 幻から生まれた親友たちを消し去ろうとヴェルは残紅に炎を纏わせて走り出す。
「僕は親友たちを信じてる。騙る相手が悪かったね」
 炎を纏わせた残紅で幻を薙ぎ払えば、親友たちの幻も花びらもろとも燃え尽きて消えていった。

「この力、取り戻したいか?」
「必要ない」
 アリスグレイブを繰り出しながら淡々と問われた言葉に、陽太はアリスランスで受け流しながらきっぱりと否定する。
「過去が何であれ、俺は今を生きている。まやかしで得た力は所詮まやかしだ!」
 陽太の言葉とともに、召喚したアスモデウスが全てを焼き尽くすほどの巨大な火球を生み出した。
「アスモデウス! 俺に構わず全て燃やし尽くせ!!」
 ゴォッと激しい炎が巻き起こる。炎に包まれる過去の陽太と、幻影を引き起こしていた蝶が燃え盛る。
「ぐぅっ」
「大切なひとだったのなら、守れなかった自分を責めなよ。お前は、その気概を持てばよかったんだ」
 燃え盛る炎を突き破ってヴェルが黒衣の蝶へと飛びかかる。
「『逼る黒緋、空に散れ』」
 黒衣の蝶の懐へ飛び込んで発動するヴェルのユーベルコード。視認できないほどの速い蹴撃、殴打が黒衣の蝶を打ちつけて。
 ヴェルの連打が止まった時、ふらふらになりながら黒衣の蝶はその場に膝をついた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユリウス・リウィウス
【夜明け前】

狂える吸血鬼がいつまでも同族を狙うとは限らん。その刃が無辜の民に向く前に、討滅する。

黒衣の蝶が精神攻撃を得意とするのは、ここまでの道中で把握した。
ならば、精神を持たない駒を使えばいい。
亡霊騎士団、喚起。その数を持って黒衣の蝶を押し潰せ。

黒衣の蝶のうわごとは「呪詛耐性」で耐えてみよう。
悪いが、怨霊どもの怨嗟の声に比べれば全然ぬるいぞ。

ふん、見放されるのは慣れているさ。今が得られるはずのなかった幸福な時間だと言うことも自覚している。裏切られるのもいつか来る未来だ。

黒衣の蝶が亡霊騎士団への対処で手一杯になったら、「生命力吸収」「精神攻撃」の双剣撃を叩き込む。
愛した女の許へ行ってやれ。


ステラ・エヴァンズ
【夜明け前】で参加
私に出来るのは貴方を眠らせてあげる事だけ
願わくば、愛しい人の元へ辿り着けるよう祈りましょう

触れたら枯れる…私でしたらば触れません
そう答えつつUCにて変身し攻撃の作用を軽減しつつ、呪詛耐性と狂気耐性で幻惑に耐えます
破魔と生命力吸収を込めた衝撃波を放ちつつ、リウィウスさんの亡者さん達に紛れればスキを窺いやすいでしょうか
機を見て踏み込んでなぎ払い、切り捨てると致しましょう
相手の攻撃は第六感と見切りの併用で回避です

それでも触れると言うのであれば、それで枯れると言う事を覚悟していなければいけません
花はいつか枯れるものなれど…私は触れられずとも長く咲いていて欲しいですから

アドリブご自由に


香坂・翔
【夜明け前】で参加
基本名前で呼び捨て
同行者ステラの呼び方は【おかーさん】

理想が叶わないなんて知ってるよ
あの日、俺を助けてくれたのが、俺を利用するためだったとしても、俺は気にしない
側に居てくれるのが、寂しさを紛らわす為だったとしたって構わない
裏切られたって、俺は裏切らない。それだけだ

UC咎人の怨念の真空波で花嵐をかき消して、ダッシュで黒衣の蝶との距離を詰めてUC獣の習性で攻撃する
精神攻撃なんて気にしない

きっとその子も、骸の海でお前を待ってるよ
いつまでも現世に居ないで、さっさと会いに行ってやれよ

※共闘、アドリブ可




 黒衣の蝶が精神攻撃を得意とするのをここまでの道中、そしてこれまでの他の猟兵との戦いで把握したユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)。
(ならば、精神を持たない駒を使えばいい)
「『死の顎に囚われ迷う怨念の塊どもよ、汝らの憎悪をもって偽りの生命に終焉を与えよ』」
 ふらつきながら、それでも立ちあがる黒衣の蝶に対応するため、ユリウスはユーベルコードで亡霊騎士団を召喚する。
「狂える吸血鬼がいつまでも同族を狙うとは限らんからな。その刃が無辜の民に向く前に、討滅する」
「私に出来るのは貴方を眠らせてあげる事だけ。願わくば、愛しい人の元へ辿り着けるよう祈りましょう」
 ユリウスが呼び出した亡霊騎士団に紛れながらステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)は薙刀から生み出す衝撃波で舞う蝶を切り捨てる。
「リリィ……だっけ?きっとその子も、骸の海でお前を待ってるよ。いつまでも現世に居ないで、さっさと会いに行ってやれよ」
 愛用のブラッディランスを手に飛び出しながら、香坂・翔(紅の殺戮兵器・f03463)はダッシュで黒衣の蝶へと駆け上がった。
「理想なんて叶わない……全てがいずれ消えてなくなるんだ」
 駆け寄る翔へ向けて巻き起こる花嵐。視界を遮るほどの花びらに飲まれながら翔は叫ぶ。
「理想が叶わないなんて知ってるよ!」
 花嵐が翔の眼前に幻を生み出す。死ぬはずだった自分を連れ出してくれた男が、翔へ冷たい眼差しを向ける。
 それでも、とぎゅっと愛用の槍を握り締める。
「あの日俺を助けてくれたのが、俺を利用するためだったとしても、俺は気にしない。側に居てくれるのが寂しさを紛らわす為だったとしたって、俺は構わない!」
 槍で薙ぎ払えば、幻が生み出した男は花びらとなって消えていく。
「それでも、触れたら枯れてしまうと知っていても、それでも眼前にあるなら触れたくなるのは道理だろう?」
「触れたら枯れる……私でしたらば触れません」
 黒衣の蝶の言葉に、神霊体へと姿を変え、薙刀で翔を包む花嵐を霧散させていたステラが静かに答える。
「花はいつか枯れるものなれど……私は触れられずとも長く咲いていて欲しいですから」
 黒衣の蝶の言葉に、ステラはかつての故郷を思い出す。
 王の所有物として閉じ込められ、自身を助けようとして殺されてしまった人々。自身が望まなければ、誰も傷付くことはないと全てを諦めていた日々。
 それでも、黒衣の蝶の言葉に同意できる部分もある事を、ステラは知っている。

 何も望まなかった日々を過ごす中で、愛する人に出会ったこと。
 ステラを「母」と慕う子供たちが出来たこと。
 王に知られたらどうなるか……それでもステラは、愛する家族の存在を今更なかったことには出来ない。

「それでも触れると言うのであれば、それで枯れると言う事を覚悟していなければいけません」
 きっぱりと言い切る言葉に愛する人の妻として、子供たちに何があろうと守り抜こうとする母としての強い覚悟を乗せる。
「そんなものは一時のものだろう……?いつまでも続くわけ……」
「ふん、見放されるのは慣れているさ。今が得られるはずのなかった幸福な時間だと言うことも自覚している。裏切られるのもいつか来る未来だ」
 かつて所属した騎士団で、父の助命の為に利用されるだけだったユリウスが自嘲気味に言い放つ。
 その中で知り合えた彼女にどれだけ救われたか分からず、けれどもその彼女との幸せがいつまでも続くとも思えず。
 けれどそれを承知の上で、ユリウスは彼女と共にいる。花嵐の中で冷たく自分を見る恋人の眼差しを、ユリウスはその双剣で切り捨てた。
「例え裏切られたって、俺は裏切らない。それだけだ」
 翔の巻き起こす黒き風が黒衣の蝶の花嵐をかき乱す。ユリウスの亡霊騎士団が黒衣の蝶へと斬りかかるのを見て、ユリウスも歩を進める。
「貴様も、愛した女の許へ行ってやれ」
 亡霊騎士団に紛れ黒衣の蝶へと迫ると、ユリウスは生命力吸収と、精神への攻撃を乗せた双剣を黒衣の蝶へと叩き込んだ。
「がはっ……」
 ユリウスの手のひらに流れ込む黒衣の蝶の生命力。
 その一撃を受けて、血を吐きながら黒衣の蝶は床へと倒れ伏した。
「ぐ……まだ、だ……僕は、まだ……」
 限界を迎えたはずの黒衣の蝶。それでもまだ立ち上がる姿に、猟兵たちはとどめを刺すべく再び武器を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナァト・イガル
【WIZ・アドリブ/連携歓迎】

……彼はとても、大切なものを奪われたのね。
大きすぎる喪失は、復讐で何を得られようとも埋められない穴よ。何をしたって穴が空く前には戻れないのだと、もうわかっているんでしょう?

【歌唱・楽器演奏・祈り・破魔・多重詠唱】を込めてUC『小夜啼鳥の哀歌』を発動
……そうね。例えば、手慰みに教えたかもしれないワルツの足どり
少女の鼻歌を思い起こさせる他愛もない恋歌
眠れない夜に、子守歌を唄ったりは?

賭けだと言われれば、そうなのでしょうね。でも、歌で奇跡を起こすのがシンフォニアの天分よ。
欠けてしまった存在を、せめて彼が思い出しながら眠れるように。


アンナ・フランツウェイ
まぁ同族殺しならばこういう展開になるわよね。でもこのままじゃ彼が報われない…。なら奇跡を起こすしかないわね。その為に…この呪詛天使が力を貸しましょうか。

とにかく彼の懐に潜り込む為に、一撃を避ける。甘い香りは【オーラ防御】、彼の放つ攻撃を【見切り】向上したスピードと反応速度を頼りに、攻撃を回避しつつ接近。

懐に入れたら【傷口をえぐる】攻撃で傷を付け、マリーに殺された人々の思念…【呪詛】を送り込む。もし私の想像が正しければ、リリィという人の思念も送り込めるはず…。

それで正気に戻りそうなら発破をかけるわ。アンタの大切な人が語りかけてんのよ!もし本当に大切だと思うなら、その意志に応えてやんなさいよ!




「まだ……僕は……」
「……彼はとても、大切なものを奪われたのね」
 ふらふらになり限界を超えてもなお立ち上がる黒衣の蝶に、ナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)がぽつりと呟く。
「まぁ同族殺しならばこういう展開になるわよね」
 最後に残ったオブリビオンも倒すこと……それが今回の任務だということはアンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)とて理解している。
「でもこのままじゃ彼が報われない……。なら奇跡を起こすしかないわね。その為に、この呪詛天使が力を貸しましょうか」
「賭けだと言われれば、そうなのでしょうね。でも、歌で奇跡を起こすのがシンフォニアの天分よ」
 それでも、深く傷付いた黒衣の蝶を力ずくで骸の海へ還すのは忍びない……黒衣の蝶に穏やかな気持ちで眠ってもらいたい。
 ……それが出来るかどうかは、奇跡にも似た可能性しかないのかもしれない。
 それでもせめて安らかに眠れるようにと、ナァトは歌を紡ぎだす。
 欠けてしまった存在を、せめて彼が思い出しながら眠れるように願いを込めて。
 黒衣の蝶へと言葉を届けようと、呪詛天使は空中を舞う。黒衣の蝶は飛行しながら迫る呪詛天使へ、最後の力を振り絞って花嵐を巻き上げた。
「まだ……まだ、僕は……」
「まだ?これ以上何がしたいの!アンタは!」
 まともに標的も捉えることが出来ない黒衣の蝶に、呪詛天使は上空から滑空すると、黒衣の蝶の懐へと飛び込んだ。
「ぐぅっ……」
 黒衣の蝶の懐へ飛び込んで、断罪者の大鎌を振るう。力を加減し、薙ぎ払うのではなく鎌の先端で突き刺すように。
 呪詛天使の名のもとに、マリーに殺された人々の思念を鎌を突き刺した傷口から呪詛として黒衣の蝶へと流し込んでいく。
(もし私の想像が正しければ、これでリリィという人の思念も送り込めるはず……)
 これでも駄目ならばその時は黒衣の蝶の首を刎ねようと、呪詛天使は呪詛を流し終えるとそのまま上空へと飛び上がり、黒衣の蝶から距離を取って様子を見守る。
「が……あ……!」
 最初は狂ったように流し込んだ呪詛に抗う黒衣の蝶だったが、次第に動きを止め、呆然とした表情を浮かべだす。
「っ……リリィ……?」
「!」
 鎌に視線を落とし呆然と呟く黒衣の蝶。黒鎌に何かを語りかけているような様子を見て、呪詛天使は目論見が叶ったことを認識する。
「っ……猟兵、殺……」
「ちょっと!アンタの大切な人が語りかけてんのよ!もし本当に大切だと思うなら、その意志に応えてやんなさいよ!」
 それでも狂気に駆られ猟兵を屠ろうとする黒衣の蝶に、呪詛天使が苛立った声を上げる。
「リリィ……」
 目を見開いて驚愕の表情を浮かべる黒衣の蝶。呆然となる黒衣の蝶の耳に響く歌声に反応して、聞こえた音に視線を向ければ、願いを、祈りを込めて歌うナァトの姿。
 戦意を無くしたらしい黒衣の蝶の視線に気付いたナァトは、歌を止めて黒衣の蝶へと声をかける。
「……大きすぎる喪失は、復讐で何を得られようとも埋められない穴よ。何をしたって穴が空く前には戻れないのだと、もうわかっているんでしょう?」
「……」
 ナァトの問いに黒衣の蝶は答えない。その代わりにナァトは再び歌を紡ぐ。

 例えば、手慰みに教えたかもしれないワルツの足どり。
 少女の鼻歌を思い起こさせる他愛もない恋歌。
 眠れない夜に、子守歌を唄ったりは?

 部屋の中に少女を思い出させるようなナァトの小夜啼鳥の哀歌が優しく響く。
「……もう、どうしようもないんだね……」
 ナァトの歌を聞きながら呟く黒衣の蝶。呪詛天使が声に反応して視線を向ければ、黒衣の蝶の頬を血の涙が伝って。
 さらさらと灰になって崩れていく黒衣の蝶の身体。
「リリィ……守って、あげ……くて……ごめ…………」
 言葉が最後まで呟かれることはなく、ザァっと灰になって砕け散る黒衣の蝶。
 黒衣の蝶が灰になったのを見届けて、ナァトの歌が終わる。
 猟兵だけが残された部屋の中で、積み重なった灰の上に少女の黒鎌が墓標のように残されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月05日
宿敵 『ヒトを篭絡し弄ぶ吸血鬼『マリー』』 『鎖繋ぐ黒衣の蝶』 を撃破!


挿絵イラスト