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朧の花嫁

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 古い教会の中、ユリはちらりと隣を見る。
 これから夫となるハルキは目が合うとニコリと笑ってくれた。
 その笑みにつられてユリも笑顔になる。
 今日、彼と将来を誓い、夫婦になるのだ。
 互いに身寄りはないので参列してくれる身内はいない。お金もそこまでないのでドレスもタキシードも中古のもの。それでも幸せだった。
「ユリ……これから家族として、よろしくな」
「うん……よろしくね、ハルキ」
 誰もいない教会の、ステンドグラスの前。
 二人は誓いのキスをし……その瞬間。ハルキの体が炎に包まれる。
「あぁぁぁあ、うあああああ!?」
「きゃあぁあああ!?」
 火達磨になってしまったハルキを前に、ユリは悲鳴を上げる事しかできず、その炎は彼女のドレスにも引火して。
「…………憎い……何故、何故……貴方は、私を……!」
 いつ現れたのか。誰もいないはずだった教会で、白無垢姿の花嫁は咽び泣く。
 炎が消えれば、出来上がるのは人間だったモノ。
 その男だったらしき影に向かい、白無垢の花嫁はひたすらに呪詛を吐いたのだった。


 年中桜が咲き乱れている、サクラミラージュ。
 その桜を背景に、芙蓉・藍は猟兵たちに問う。
「結婚式を挙げないかい?」
 結婚式?と疑問符を浮かべる猟兵に、藍は一つ頷いた。
「建物の痛みから長らく閉鎖されていた結婚式場があるんだ。ようやく取り壊しの目処が立ったんだが……折角だから最後に結婚式を挙げて終わりにしたいという話が出ていてね。花婿だけ、花嫁だけでの写真撮影も可能だそうだよ」
 入れる場所は教会のみ。披露宴会場はボロボロすぎて利用ができないらしい。
 教会自体も年代物なので、新しい建物がいいという人には向かないだろう。
「利用料金はなし、衣装だけ自前で用意ということで……すでに一組のカップルが式を挙げることになっている。参列する人がいないそうだから、よかったらそのカップルの式に参列し……できれば、命を守ってやって欲しい」
 どういうことかと問えば、影朧が二人の命を狙っているのだという。
 影朧はユリとハルキが永遠の愛を誓った瞬間、会場の入り口に現れる。
「邪魔が入るとわかれば手下を差し向けてくるので、まずはそちらを掃討して欲しい」
 手下は一見すれば巨大な花。だがその正体は、生き物に寄生して命を吸い上げて死に至らしめるもの。
 それが五体。そこまで体力はないが、宿主からの攻撃、飛翔体での遠距離攻撃の他に生命力を直接攻撃してくる能力があるらしい。
 それらを倒し終えれば、肝心の影朧。
「影朧だが、白無垢姿の花嫁だ。攻撃方法は炎での遠距離攻撃。これは複数の炎を生み出せ、さらに一つに束ねたりできるらしい。……そしてこれは性別が男の場合は回避がほぼ不可能のようだ。九尾の狐に変化しての自己強化の他には、こちらのユーベルコードをコピーして打ち返してくる能力がある」
 理由はわからないが、何かしら深い恨みがあり、白無垢姿で教会に現れ……男性を殺すのだろう。
「……もし、できるようなら……癒しを与えてやってくれないだろうか」
 そうすれば彼女も転生できるだろうからと言う藍に、猟兵たちは小さく頷いたのだった。


元橋りん
 はじめまして、元橋りんと申します。
 桜が綺麗な季節になりましたね。
 私は西の人間なので私の知っている桜餅はお米つぶがピンクになってるやつです。
 関東では道明寺と呼ばれていて大変解せません。
 でもどっちも美味しい。今年まだ食べてない。食べたい。
 では以下詳細。

●カップルについて
『ユリ』
 茶色の髪に茶色の瞳の人間です。年齢は22歳。
 古めのデザインのウエディングドレスにマリアヴェールという格好です。

『ハルキ』
 黒髪黒目の人間です。25歳。
 タキシードは少しダボついています。
 へそくりでこっそりとユリへの指輪を用意しています。

●教会について
 古い教会です。
 天井までは9メートルくらいあります。
 長椅子は前の方はギリギリ座れますが、入り口に近くなるにつれて痛みが激しくなっています。
 バージンロードの赤い絨毯も日焼けをして随分と薄くなっています。
 正面のステンドグラスが綺麗です。

●戦場について
 戦場は教会内になります。
 元々取り壊す予定なので、多少壊れてしまっても問題はありません。
 長椅子が移動に邪魔になるかもしれません。

 以上です。
 それでは皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 日常 『輝きをもう一度』

POW   :    華やかに

SPD   :    厳かに

WIZ   :    絢爛に

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 取り壊される日を待っている、古い教会があった。
 扉は蝶番が錆びているのかギィギィと音が鳴り開けにくく、開けるのにも力が必要だった。
 開いた扉の向こうには、色褪せたバージンロード。一歩足を乗せれば絨毯の下からギシ、と軋む音がした。何組の夫婦がここを歩いたのかはもう知れない。
 参列者が座る木製の長椅子は、元は真っ白だったのだろう。変色をしたり、塗装が剥がれたりして素材の色に近付いていた。
 真っ直ぐに歩いて行けば、正面に見えるのはステンドクグラス。
 差し込む陽の光が教会の床に色とりどりの影を映し出していた。
フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡み歓迎です。
【WIZ】

結婚式…ウェディングドレス、憧れますね…。
白無垢も神秘的な感じがしていいですけど、
わたしはやっぱり純白のドレスがいいです♪
「ユリさん、とてもお綺麗ですよ」

教会は古くても、厳かな感じがして良いと思います。
「ふふ、演奏と賛美歌はお任せください♪」
二人の結婚に対して、心からの祝福を込めて、わたしからのプレゼントです。
国民的スタアのプライドにかけて、超一流の演奏と歌唱で式を盛り上げてさしあげます♪

入場の時は華やかな結婚行進曲を。
古い教会の雰囲気にあわせて、圧倒的な演奏と言うよりは、ささやかでもしっかり心に響くような感じで。
あくまで主役は新郎新婦のお二人ですからね♪



 教会の中に足を踏み入れたフィーナ・シェフィールドは、中を見回し小さく息を吐く。
 教会は、古くても新しくても、どこか厳かな空気を感じる。
 それは信仰の場所であるからか、それとも普段踏み入れない場所であるからか。
 今日は国民的スタァとして、この教会での最後の結婚式を最高に盛り上げるつもりでいる。
 ただし、主役は新郎新婦。彼らよりも目立たぬよう、しかし心に響く歌声で。
 誰もいないことを確認し、フィーナはリハーサルがてら愛用のインストルメントを軽く鳴らして音量を調整し、それから喉の調子もチェックしていく。
 教会の中、天井が高いこともあって響きは上々。喉も程ほどに温まっている。
 これならば、彼ら二人の門出を素晴らしいものにできるだろう。
 教会の外に出れば、丁度ユリとハルキが着替えを済ませて出てくる所であった。
 こちらに歩いてくる二人におめでとうございますと声をかければ、誰にも祝われないと思っていたからか、照れ臭そうに笑う。
「ユリさん、とてもお綺麗ですよ」
「ありがとうございます」
「ふふ、演奏と賛美歌はお任せください♪」
 そう告げれば、二人は驚いたように目を見開く。
「私が弾く結婚行進曲に合わせて入場してきてくださいね」
 フィーナがそう告げれば、二人は嬉しそうに頷いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

白無垢の花嫁の影朧ね。結婚に関して強い恨みがあるようだが・・・まずはささやかな2人の門出を祝ってやろうじゃないか。身寄りの無いもの同士、ここまで来るのに多大な苦労があったはずだ。・・・私は駆け落ちで夫と結ばれた身でね。こういう連れ合いはどうも放って置けない。

茶色のパンツスーツに身を固め、直ぐ助けに入れるように入り口の長椅子に待機。奏は瞬と一緒に新郎と新婦の傍に控えさせとくかね。2人にとってこういう大切な式を間近でみるのはいい機会になるはずだ。将来の為でもあるが(にやにや)まあ、乱入者が現れるまでは式を見守ろうかね。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

たとえささやかでも、2人で永遠の誓いをする・・素敵です!!いつか私も・・・(隣にいる瞬を見て真っ赤。微笑まれてドギマギ)と、とにかくハルキさんとユリさんの式を見守りましょう。

蒼のワンピースに髪を後ろでシニヨンに纏めて花の髪飾りを付けます。誓いの式を緊張して見守ります。ああ、これが永遠の誓いをすることなんですね。お二人の未来の為に。絶対守り抜いてみせますとも。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

たとえ祝う人が少なくても、2人でささやかな永遠の誓いをする・・・(ぼくもいずれかは・・・)奏の真っ赤になって視線を投げかけてくるのをみて必死に取り繕って微笑みます。姿勢を正して、ハルキさんとユリさんの門出を見守りましょう。

グレーの三つ揃えのスーツを着て、お二人が永遠の誓いをするのを見届けます。この場に居合わせることが出来て、光栄です。絶対お二人を守り抜いてみせますとも。ハルキさんとユリさんの未来の為に。


カーニンヒェン・ボーゲン
縁薄い私ではありますが、
宜しければ祝福させてください。
(そして、どうか守らせてくださいという思いを言葉の外に添えて)

「本日は誠におめでとうございます。
どうか仲睦まじく。手を取り合って歩まれる未来に、幸多からん事を」

お手伝いできることも少ないですが、
ポラロイドカメラを持ち込んで、カメラマンなど、させていただきましょうか。
邪魔にならぬようには十分気をつけて、
教会の佇まいやお二人の幸せな様子がより映えるように、
フィルムに収めることができたらよいのですが。

一方で、猟兵が介入した場合に現れるという、
手下というのがどこに現れるのかが気がかりですね…。
カメラを向けながら、お二人の退路を考えておきたいです。



 ハルキがユリと手を取り合い、バージンロードを歩む。
 その姿を、カーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)はポライドカメラに収めていた。
 先ほど挨拶をしたとき写真を撮らせて欲しいというと、二人は予想以上に喜んでくれた。記念に残るものというのは、身内がいない二人にとってとても嬉しいものだったらしい。
(「守ってあげたいですね」)
 古い教会。賛美歌が響く中を、ゆっくりと二人が歩む。
 ここに来るまでにどれだけの苦労があっただろうか。必死に生きて、歩んできた彼ら。その背中をパシャリと一枚。
 それを撮り終えるとカーニンヒェンはぐるりと中を見回す。写真を撮ることも大事だが、二人の退路の確認も大切だ。
 出入り口は先ほど入ってきた扉のみのようで、戦闘中、扉から外に連れ出すのは難しいだろう。影朧から遠い聖壇の近くで誰かが守るか、どうにか外に連れ出す方法を探るかしかないだろう。
 そう判断したカーニンヒェンは、左端の通路を歩き前に向かう。
 幸せいっぱいの二人が、ステンドグラスの下にたどり着いた。
 こちらに視線をと振り返るよう誘導し、ステンドグラスの下でまた一枚。
「本日は誠におめでとうございます。どうか仲睦まじく。手を取り合って歩まれる未来に、幸多からん事を」
 まるで牧師のようなカーニンヒェンの言葉に、二人は手をしっかりと握り合った。

 茶色のパンツスーツに身を包んだ真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、入場してきた新郎新婦を拍手で迎える。
 入り口から一番近い長椅子は、痛んでいるが座れないほどではない。
 響も、自分自身が駆け落ちをして夫と結ばれた身。少しだけだが、苦労はわかるつもりだ。
 結婚に関して強い恨みを持っている影朧のことは気にかかるが、まずは二人の門出を祝ってやりたい。
 そう思ってバージンロードを歩む二人を視線で追えば、共に参列している神城・瞬(清光の月・f06558)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)の姿が目に入った。
 瞬は新郎側の親族席、奏は新婦側の親族席でバージンロードを歩む二人を祝福していた。なるべく新郎新婦に近い位置でボディガードを、という話であの位置に決定したが、結婚式を間近で見て将来役に立ててもらえればと思ったこともある。
 瞬と奏の将来を楽しみに思いながら、響はニヤニヤと二人の様子を見守った。

 結婚行進曲が流れ始め、奏は一番前の親族席から立ち上がり、入場してきた二人を拍手で出迎えた。
 本来なら二人きりでと思っていた彼らは、知らない人とは言え周りから祝福の言葉をかけられ微笑みながら歩いてくる。
 嬉しそうに、幸せそうにバージンロードを歩んでいる姿は、「いつか私も」と思えるほどには素敵な光景だった。
(「花嫁衣装を着て……そして、隣には……」)
 そう思って視線を送るのは、通路を挟んですぐ隣にいる瞬。
 彼はグレーのスリーピーススーツを着て、新郎新婦に拍手を送っていた。
 グレーのスリーピースピーススーツというかっちりした服をさらりと着こなしている瞬の姿に胸が高鳴る。義兄として長く過ごしてきたはずの彼。見慣れているはずなのに見慣れない姿に頬を赤ていると、パチリと視線が合って……ニコリと微笑まれた。
 いつか、で想像した時の彼と、今隣にいる彼の姿が被りふるふると首を振る。
(「と、とにかく! ハルキさんとユリさんの式を見守りましょう!」)

 顔を赤らめた奏と目が合った瞬は、ドキリとした。
 自分もいずれかは、と考えていたことが彼女に伝わったのではと思えるほどのタイミングだった。
 取り繕うように微笑みを向ければ、彼女は慌てて視線を逸らす。
 そのことに少しだけ安堵した。もしあのまま見つめられていたらどうなっていたか。ほっと息を吐き出しつつ新郎新婦に意識を向ける。
 そうしなければ、奏をずっと見つめていそうだった。
 彼女の今日の格好は、蒼のワンピース。髪はシニヨンに纏めて花の髪飾りで華やかさを出している。兄妹のように過ごしてきて、彼女の姿は見慣れているはずなのに。どうしてか胸の辺りが落ち着かない。
 いつもと違う雰囲気に、彼女もだが自分自身も高揚しているのかもしれない。そう分析し、どうにか心を落ち着かせる。
 いずれかは、幸せにしたい。
(「……そのためにも、今は、絶対にお二人を守り抜いて見せますとも。ハルキさんとユリさんの未来のために」)

 奏と瞬の様子を見てニヤニヤと笑っていた響は、聖壇の前にハルキとユリが到着したことで気を引き締める。
 音楽が止み、写真撮影が終われば、誓いの言葉と、誓いのキスだ。
 ここに居るのは全員が猟兵。必ず彼らを守ると決めた者たちだ。
 来るだろうその時に備え、響は扉の方へ意識を向けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『死に添う華』

POW   :    こんくらべ
【死を連想する呪い】を籠めた【根】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【生命力】のみを攻撃する。
SPD   :    はなうた
自身の【寄生対象から奪った生命力】を代償に、【自身の宿主】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【肉体本来の得意とする手段】で戦う。
WIZ   :    くさむすび
召喚したレベル×1体の【急速に成長する苗】に【花弁】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:麻宮アイラ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ユリ……これから家族として、よろしくな」
「うん……よろしくね、ハルキ」
 ハルキがユリの肩に手を置くと、ユリが静かに目を閉じた。
 多勢の前でキスをするのは少し恥ずかしいなと思いながら、ハルキはゆっくりと顔を近付けて、触れるだけのキスをした。
 その瞬間。
 教会の扉が錆びた音を立てて開かれ……そこに立っていたのは一人の花嫁。
 バージンロードを真っ直ぐ飛んで新郎を燃やそうとした炎は待機していた猟兵たちに消し止められ、口惜しげに顔を歪める。
「……邪魔をしないで……!」
 その言葉とともに彼女の後ろから巨大な花が歩いてきて出入り口を塞ぐ。
 絶対に逃がさないとでも言うような行動に、猟兵たちはそれぞれ武器を構えたのだった。
フィーナ・シェフィールド
アドリブ絡み歓迎です。
【WIZ】

現れましたね、影朧。
その姿、結婚に対してどんな未練があるのか分かりませんが、
「お二人には、傷一つつけさせません!」

シュッツエンゲルを新郎新婦を守るように展開しつつ、ツウィリングス・モーントを左右に配置、イーリスを右手に持って敵を迎え撃ちます。

「…花には花を。咲き乱れよ、彼岸の桜!」
身にまとったオーラ・モーントシャインを無数の彼岸桜の花びらに変え、新郎新婦と敵との間に、花吹雪の竜巻を発生させます。

「消え去りなさい、悪しき魂よ!」
破魔の歌声と共に、飛んでくる苗や本体の華を包むこむように花びらを放ち、その存在そのものを浄化するように切り裂いていきます。


カーニンヒェン・ボーゲン
新郎新婦の身の安全を真っ先に。
他の猟兵どのと協力して先導と護衛をし、離脱を促しますが…。
(一瞬迷うが、謝罪を込め短く目を閉じ)
教会の壁に、【UC:剣刃一閃】にて亀裂を入れます
倒壊せぬよう、損傷は最低限に
申し訳ありません。

共に行きたいですが、足止めも必要…
建物から出さぬ方が懸命でしょうか
影朧花嫁どのの動向も視野にいれつつ、
剣で以て死の華どのらを散らしましょう
入れた亀裂から出ようとする個体があれば優先して狙い、
野放しの個体へ対峙します

死は恐ろしいです。が、
未来ある若者にその手が伸びる方が恐ろしい
このジジイの歳となりますとね、常日頃から死を感じる事もあるものです
怯んでいては足を掬われてしまいますから



 突然の影朧の登場に、ハルキとユリは顔を青くしていた。
 ジリジリと距離を詰めてくる無気味な華を前に抵抗の全てを持たない彼らは、ただ震えて寄り添っている。
 そんな二人を庇うように、フィーナは絨毯の上に降り立った。
「お二人には、傷一つつけさせません!」
 二人を敵の攻撃から守るようにシュッツエンゲルを配置し、ツウィリングス・モーントは自身の左右に。右手には愛用のマイク、イーリス。
 そのフィーナの背中に、ずっと二人の側に付き添っていたカーニンヒェンが小さく声を掛ける。
「少し、時間を稼いでいただけませんか? お二人を逃します」
 どうやって逃すのかは告げなかったが、フィーナは方法を問うこともなく頷くと、三人の姿を隠すように翼を広げた。
「……花には花を。咲き乱れよ、彼岸の桜! わたしの想い、舞い散る花となって、貴方に届け!」
 言葉とともに、彼女が纏っていたオーラ……モーントシャインが彼岸花となり近付いてきていた華たちに降り注ぐ。
 敵が美しい花に気を取られている隙にと、カーニンヒェンは震えているハルキとユリを教会の壁際に誘導していた。
 ステンドグラスがなく多少壊れても倒壊する恐れが少ないそこは、先ほどぐるりと見回した時に目をつけていた場所。
 できれば最後まで綺麗な形を保たせてやりたかったが、今の状況では仕方がない。
「……すみません」
 小さく教会に謝罪をすると、カーニンヒェンは愛刀の老兎を抜き放ち、ユーベルコードの剣刃一閃を使用して大人でも屈めば通れる程度の穴を開ける。
 ただの出入りする穴ならもう少し大きくてもよかっただろうが、今後の戦闘で倒壊しないようにと考えると、これが限界だろう。
「さ、ここから外へ」
「皆さんは……!?」
 猟兵たちの身を案じる二人に、カーニンヒェンは「大丈夫ですよ」とにこりと笑う。
「でも……!」
「では、これを預かっていてもらえませんか? 壊してしまってはいけませんので……」
 後で必ず受け取りに行きますからと告げて、ポラロイドカメラと先程撮った写真を二人に手渡し、カーニンヒェンは返事も聞かずに教会の中に舞い戻った。
 きっと二人はあれを大事に持っておいてくれるだろう。
 教会の中では、激しい戦闘が繰り広げられていた。もしかしたら追っていってしまうのではと危惧していた影朧は、猟兵たちの殲滅にご執心らしく、配下である華もまた、二人を追う気配はない。そのことに安堵しつつ、カーニンヒェンはフィーナに近づいていた華に刀を一閃させてその花弁を散らしていく。
「お待たせしました。とても助かりました」
「こちらこそ、ありがとうございます!」
 逃してくれたおかげで、ハルキとユリの安全度はぐっと上がった。
 彼らに幸せになって欲しいというのは、猟兵たち全員の願い。
「では……参ります」
「消え去りなさい、悪しき魂よ!」
 カーニンヒェンの刀が華を断てば、反撃とばかりにばら撒かれた華の苗を、フィーナの歌声に呼応した花弁が浄化するよう包み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

おっと、危ないね。乱入者が来たか。これは物騒な花を従えてることで。2人の幸せをぶち壊すのは阻止させて貰うよ。

出来ればハルキとユリに近付く前に足止めしたいね。【オーラ防御】【見切り】だけ使って入り口付近から動かないように踏ん張る。攻撃に耐えたら奥の手で拘束、【グラップル】【怪力】で部屋から追い出すように殴り飛ばす。足止めできなかったら・・・奏と瞬に託すか。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

来ましたね、影朧・・・ハルキさんとユリさんは必ずお守りします。

私はハルキさんとユリさんを護衛するのに専念します。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】で防御を固め、ハルキさんとユリさんを【かばう】母さんがもし突破されるような事があったら【衝撃波】【シールドバッシュ】で吹き飛ばし、更に信念の拳を【怪力】で使って徹底的に敵をハルキさんとユリさんから引き離すことに専念します。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

なんで恨みを持ってるか分かりませんが、ハルキさんとユリさんの絆を壊すのは阻止させて貰います。まずはこの物騒な花を退治しないとですね。

まず【オーラ防御】を展開、月読の騎士に加勢を頼み、入り口で奮闘している母さんを【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】で援護します。もし母さんが突破されるような事があったら【多重詠唱】した【衝撃波】【吹き飛ばし】で徹底的にハルキさんとユリさんから引き離すことに専念。



「随分と物騒な花だねぇ」
 真宮・響はそう言いながら入り口から入ってすぐの場所に陣取っていた。
 ハルキとユリは今現在、仲間の猟兵が避難をさせようとしているらしい。
 だったら自分がやることは少しでも敵の気を逸らせること。
 入口付近から動かず全ての華を足止めするつもりだったが、通路と華の大きさからいっても流石に荷が勝ち過ぎた。
 寄生主を覆い隠すほどの華は巨大で、全力で止めたとしても1体が限界。さらにはその奥に居る影朧。彼女のことも気がかりだ。
 それでも何とか食い止めようと、バージンロードを歩こうとしていた華1体の花弁をしっかりと掴んだ。
 華にもだが、何よりも影朧の動きに注視しなければ。きっと彼女はハルキとユリを狙うだろう。
(「奏、瞬、頼んだよ……!」)
 後ろは振り向かない。何せ自慢の娘と息子だ。二人ならきっと大丈夫。
 そう判断した響は、影朧に向けて、華を思い切り殴り飛ばしたのだった。
 母親のその気持ちを、二人はしっかりと受け取っていた。
 何よりも大事なのはハルキとユリの身の安全。
 その二人が避難を開始したのを確認し、真宮・奏は神城・瞬と目配せをして頷き合う。
(「ハルキさんとユリさんは、必ずお守りします……!」)
 彼岸花の花びらが舞い散る中、奏と瞬は近付いてくる華へ向かって、それぞれ駆けだしていた。
「はっ!」
 客席を乗り越えている華に、愛用のブレイズセイバーから衝撃波を放った奏は、通路を歩いてきている華の方へと向かう。
 仲間が範囲攻撃をして足止めをしてくれているとは言え、客席のように障害物のない通路の華は、確実にこちらに近付いてきている。
 ならばこちらを先に足止めするべきだろう。
 奏は走る速度を緩めず、体当たりをするようにシールドバッシュで華を吹き飛ばす。
 その様子を逆側の通路に向かっていた瞬は横目で確認し、武器を構える。
「我が身は大切な者を護る為にある!!」
 月読の紋が入った銀の鎧を着た騎士に変身した瞬は六花の杖を構えると、向かってくる華と響が抑えている華に向かい誘導弾を打ち放った。
 命中したかを確認する前に、瞬は通路から近付いてきた華に衝撃波を飛ばし、その歩みを止める。
 それとほぼ同時に、二人を無事逃がせたのだろう猟兵が教会の中に戻ってきたのが見えた。
 それさえ確認すれば、あとは反撃あるのみ。
 瞬は全力で目の前の華の花弁を一つ残らず散らせ、そして逆側の通路を見れば、奏がちょうど拳を振り抜いたところであった。
「これは私の意志です!! 喰らえ~!!」
 ミシリという音が瞬の耳にまで届き、殴られた華は通ってきた通路を空中を通って教会の壁にぶつかってその動きを止めた。
 母親の方に視線を送れば、先ほどの場所から一歩も動かずに立っていた。
 その腕の中には、暴れまわる華。先に進みたいと駄々をこねる子どものような行動に、響が仕方ないねぇという風に口を開く。
「……余り使いたくないんだけどね。いざという時は必要なのさ!!」
 響がユーベルコードを解き放った瞬間、華の体と花弁を拘束ロープがグルグルと拘束し、口らしき場所に猿轡、そして規制主の手に手枷が嵌る。
「今だよ、二人とも!」
 その声を合図に、奏と瞬の攻撃が左右から炸裂したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『狐憑ノ花嫁』

POW   :    男魂焼却ノ炎
レベル×1個の【【性別:男】の対象では回避・防御不可能】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    胡媚影朧伝
【九つの狐尾】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、九つの狐尾から何度でも発動できる。
WIZ   :    復讐の女狐
【九つの狐尾を持つ、巨大な狐】に変形し、自身の【九つの狐尾の一つ】を代償に、自身の【【性別:男】の対象に対する攻撃力・防御力】を強化する。

イラスト:久蒼穹

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

真宮・響
【真宮家】で参加。

駆け落ちしてまで結婚した身だから、花嫁姿の影朧の恨みは何となく理解出来る。結婚直前に事故かなんかで相手と死に別れたか、相手に捨てられたか、だ。男の恨みの強さからいうと後者かね。



瞬に多大な負担をかける事になるが、まずは攻撃を【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ぎながら、接近する事を試みる。接近したら「分かる。この気持ちは。今まで良く頑張ったね。でも今のままではアンタは倒されるだけで永遠に1人だ。転生して、新しい出会い、見つけてみないかい?」頭を撫でて優しく語り掛ける。それでも襲ってくるようなら、【炎の拳】で一度ガツンといくしかないか。少しは人の話を聞きな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加。

結婚式直前に相手の方とお別れしたんですね。(瞬をちらりと見て)何故お嫁さんにしてくれなかったのか、と相手の方を恨む気持ちは良く分ります。お嫁さんは女の子の憧れ。でも今のままじゃただ男の方を殺すだけで何も変わらないと思います。転生して、新しい出会い、探してみませんか?

【オーラ防御】だけ使って瞬兄さんが倒れないように急いで花嫁さんに近付いて跪いて【手をつなぐ】で手を握ります。優しく語り掛けるように「お辛いですよね。でも今の貴女では命を奪うだけで何も残りません。新しい生に踏み出してみませんか?きっと貴方は新しい出会いに恵まれるかと」それでも襲ってくるなら、眩耀の一撃で攻撃します。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

・・・そうですか。花嫁になれなかった無念、相手の男の方への恨み。お気持ちは良く分ります。僕に出来るのは貴女の恨みを全力で受け止めるだけですが、せめてここで恨みを全部吐き出して、せめてここで恨みを全部吐き出して、次の生に踏み出せるよう、切に祈ります。

真の姿解放(両目が赤くなり銀髪になる)【オーラ防御】【第六感】で攻撃を一身に受けます。サウンド・オブ・パワーで身体能力を強化して母さんと奏が花嫁に接近して語り掛けられる状況になるまで耐えきって見せます!!攻撃はしません。こういう男もいるという事を身を挺して示します!!



 影朧の花嫁が、教会の中へと足を踏み入れる。
 バージンロードを歩む花嫁は白無垢姿。
 彼女の隣には手を引く父親も、夫となる男性もいない。
 その理由を、真宮・響は考えていた。
 影朧の恨みは何となくだが思いつく。
(「結婚の直前に死に別れたか、相手に捨てられたか……」)
 男への恨みが強いところを見ると後者か。
 白無垢の花嫁は笑みもなく、薄暗い瞳で教会内を見回し、花婿の姿が見なくなっていることに気付いたらしい。
「……また、私を置いて行ったのね……!」
 顔を歪め、悔しい、憎いと繰り返し、ギリリと奥歯を噛み締める。
 そしてその恨みは会場に残っている男……神城・瞬へ。青い炎が花嫁の周りに集まり、瞬へと向かう。
 回避不可のその攻撃を、真の姿を解放した瞬は全身で受け止めていた。
「……ぐ……っ!」
 息をするたび、炎の熱が肺を焼く。それでも瞬は反撃しようとはしなかった。夫となるはずだった男に裏切られたのだろうことは察せられた。
 どのような裏切られ方をしたのかはわからないし、その相手のことも知らないが、それでも彼女が影朧となるくらいに酷い男だったのだろう。
 だからこそ、自分は攻撃をしない。
 このような……相手を大切にする男もいるのだと理解してもらうために。
(「せめて……ここで恨みを全部吐き出して……次の生に踏み出せるよう……」)
 悲しい時間を終わらせてやりたいと、瞬は祈りながら攻撃に耐える。
 瞬が稼いでくれているこの時間を絶対に無駄にしないよう、奏は走った。
 女の子の憧れである花嫁。影朧となった彼女も、幸せな瞬間を迎えるはずだったのだ。それなのに。
 人生で一番幸せになるはずの瞬間に裏切られたのだと思うと、ぎゅうと胸が締め付けられる。
(「それでも……このままではいけません……!」)
 花嫁の側に辿り着いた奏は彼女の前に跪き、握りしめられている拳を両の手で包み込む。
「お辛いですよね。でも今の貴女では命を奪うだけで何も残りません」
 いくら恨みを晴らそうとも、恨むべき新郎は別人で、一向に気は晴れない。それどころか別の恨みを増やすだけだ。
「新しい生に踏み出してみませんか? きっと貴方は新しい出会いに恵まれるかと」
 転生さえすれば、今の恨みは消えてなくなる。きっと別の出会いがある。
 そう告げてはみたものの、奏を見下ろした影朧の顔は酷く冷え切っていて、まだ言葉が足りないのだと悟る。
 そんな影朧の頭を、綿帽子越しに響が撫でた。
「分かる。この気持ちは。……今まで良く頑張ったね」
 幾度も撫でられ、褒められ、影朧の動きが止まった。
 響は幾度も頭を撫でて、自分の子に語りかけるように言葉を続ける。
「でも今のままではアンタは倒されるだけで永遠に1人だ」
 彼女の親がどんな親なのかは知らないが、親は子の幸せを願うもの。
 自分の子ではなく人の子とは言え、恨みでこの世に縛りつけられているのは見ていて辛い。
「……転生して、新しい出会い、見つけてみないかい?」
 響の言葉に、影朧の顔がくしゃりと歪んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
「なぜこんなことを…?」
影朧に問いかけながら、ツウィリングス・モーントを左右に配置、シュッツエンゲルにイーリスをセット、インストルメントを構えて演奏準備完了です。

「その炎、わたしの炎で浄化します!デア・フォイアリーゲ・エンゲル!」
翼を広げて宙に浮かびながら、【歌劇『炎の天使』】を演奏、破魔の力を込めた歌声と共に、影朧に向けて放ちます。

花嫁姿で現れたと言うことは、きっと結婚に対して強い思い入れがあったと言うことだと思いますが、こんなことを続けていても報われることは、幸せになれることはありません。

幻朧桜の元で転生して、新たな人生で幸せな花嫁になって欲しい…
そんな想いを込めて、歌を届けますね。



 影朧は説得をしていた猟兵たちの言葉に嫌々と首を振る。
 その様はまるで駄々を捏ねる子どものようだった。
 なぜこんなことをという問いを、フィーナ・シェフィールは飲み込んだ。
 恐らく、影朧も薄々わかっているのだ。今やっていることは報われることがないのだと。それでもそれを認めたくなくて、幸せな結婚式を見つけてはそれを襲撃している。
 教会の中にいくつもの青い炎が飛び、影朧の泣き声が響く。
 よく聞き取れないが、泣きながら口走っているのは誰かに向けての呪いの言葉だろう。
 恨むなと、口で言うのは簡単だが、実際にそうするとなると難しい。
 ならば、フィーナにできることはただ一つ。
「その炎、わたしの炎で浄化します! デア・フォイアリーゲ・エンゲル!」
 フィーナは翼をはばたかせ、飛んでくる青い炎を避けつつ、歌劇『炎の天使』を演奏し、歌う。
「悪しき魂を浄化する、聖なる炎よ!」
 教会に歌声が朗々と響く。
 フィーナの操る炎は影朧だけでなく、彼女が放つ青い炎までも包み込み浄化していく。
 影朧は自身を焼く炎に身をよじりながら、ポロポロと涙を零す。それは恨みを晴らせなかったことによる悔し涙か、それとも猟兵たちの説得によるものか。判断は付きかねた。
 ただ、幻朧桜の元で転生し、新たな人生を歩んで欲しい。そして、次こそ幸せな花嫁になって欲しい。
 その想いを込めたフィーナの歌劇はフィナーレを迎え……炎が消える頃には、影朧の姿も掻き消えていた。
 ステンドグラスの影が、静かになった教会に落ちる。
 古い教会は今日、最後の使命を終えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月11日


挿絵イラスト