首狩り族の島を救え
「なあ、首ドロップしろ! 首ドロップしろ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
「なぁ、コンキスタドール首だろう!? お前コンキスタドール首だ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
男たちの声は島中に轟き、やがて海をも超えていく。
「来てくれてありがとう。またオブリビオンが現れるわ」
猟兵達の拠点「グリモアベース」
そこに集った猟兵たちに、ボーリャ・コータス(極光の17番・f02027)は口を開いた。
「場所はグリードオーシャン。海賊と海、そして様々な島が浮かぶ世界よ」
猟兵たちが苦難の末にたどり着いた新世界。そこはメガリスの試練に打ち勝った海賊たちが統治する島々が浮かび、ほかの世界のように、この世界ではコンキスタドールと呼ばれるオブリビオンたちが滅びをもたらそうとしている。
「この世界は独特で、予知できる範囲がすごく限られてるの。予知できる範囲の島々を救って、既知世界を広げていくことでさらなる予知が可能になるわ」
そして今回ボーリャが予知した内容は次のようになる。
シマドゥ島と呼ばれる首狩り族たちの島に、コンキスタドールが人知れず忍び込んで島民を皆殺しにしようと計画を練っている。島を治める海賊をはじめ、まだこの陰謀に気づいている者はいない。
まだ計画が初期段階の今のうちに、猟兵たちの手で陰謀を叩き潰してほしい。
「ただ、いきなり見知らぬ人間が島を調査し始めたら現地の人と摩擦が起きるわ。まず、あちこちで行われている島の遊びに参加して、一生に楽しんで害意がないことを示してほしいの。もし交流の中でオブリビオンの陰謀のヒントが見つかればもうけものね」
遊びであると同時に鍛錬なのだが、島の子供や若者は立てた丸太を木刀で叩いて体を鍛え、やがて一撃を丸太を砕くようになると一人前と認められるという。そこに混じってみるのがいいだろうとボーリャは告げた。他にも様々な風習があるが、刺激が強くて難易度が高いものばかりであるらしい。
「ここの島の人なら放置しても大丈夫、なんて思うかもしれないけれど、オブリビオンは必ず世界を破滅に導く存在よ。こんな中途半端な予知でみんなを危険にさらすのは心苦しいけど、お願い。世界を救って」
そう言ってボーリャは深々と頭を下げた。
「そうだ、参考になるか分からないけど、この島はアックス&ウィザーズから切り落とされた島みたいよ」
斑鴉
お世話になっております。斑鴉です。
グリードオーシャン初依頼になります。お楽しみいただけますよう微力を尽くします。
あとシマドゥ島および島民は現実の諸々とは一切関係ないオリジナルの場所です。オリジナルの場所です。二回言いました。
皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 日常
『島の遊びを楽しもう』
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POW : 腕っぷしに任せて勝ちを狙う
SPD : 華麗なフットワークで魅せる
WIZ : 頭脳プレイでスマートにこなす
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
御狐・稲見之守
うわーなんじゃこのサムライエンパイアで最もおっかない戦闘民族めいた連中は。ふむ、それではワシも少し遊びとやらに混じってみるかナ。
あいや一騎当千の皆々様、ワシはしがない陰陽師じゃ。丸太をぶっ叩くのも味気ないじゃろし、ここは一つ動く獲物を相手にしてみては如何じゃろか。と、云うわけで霊符に呪をかけて動物に変じさせ、それの相手をしてもらおう。
まず最初は猪……跡形もなく消し飛んだナ。
次に牛……ミンチよりひどいんじゃ。
お次は虎……オイ噛み付きに行ったら牙が折れたゾ。
では龍……ソッコーで頸を打ち落とされてもうた。
なにこいつら。
「うわー、なんじゃこの……」
浜辺に立ち並ぶ何本もの丸太。晴れ渡った空、温暖な潮風にときおり降り注ぐ火山灰。そして諸肌脱いだ子供や青年が猿叫を上げながら斜めに振り下ろすように木剣で丸太をぶっ叩いている。
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は、その光景に気圧されたような声を漏らした。
「なんじゃこの、サムライエンパイアで最もおっかない戦闘民族めいた連中は」
その戦闘民族が住まう地は、サムライエンパイアの最も南にあると言われる。ここはアックス&ウィザーズからこぼれ落ちた蛮族たちがたどり着いた島。それでもあえて言うならば、サツマん兵子はどの世界にも存在するのだ。
しかし稲見之守も古くから歴史を重ねてきた妖狐。独特の空気に気圧されこそすれ、物怖じて尻尾を巻くような真似はしない。
輪の中に入り込むための策はある。しかしまずは警戒されずに近づかなくてはならない。稲見之守は住人たちのように転がっていた丸太を立てて、見様見真似でぶっ叩いてみる。
がん、と、異様に重い音がした。丸太は微動だにせず木剣を弾き、反動でものすごい痺れが両手を襲う。真っ赤になっていた。思わず涙目になりそうなところに、周囲からの失笑が届く。
だが、これも策のため。我慢してまた丸太を叩く。
やがて稲見之守の存在に違和感が感じられなくなる頃合いを見計らい、策を実行に移す。
「あいや一騎当千の皆々様、ワシはしがない陰陽師じゃ。丸太ばかりではなく、ここは一つ動く獲物を相手にしてみては如何じゃろか」
その言葉で住民たちにざわめきが広がる。丸太も一撃で砕けぬうちに他のものを殴るなど、先祖代々受け継がれてきた鍛錬をないがしろにすることではないかと。
それでも、やはり人間は目新しいものに弱いのだろう。
稲見之守が霊符を猪に変じて放つと、子供たちが目の色を変えて追いかけ始めた。心がないはずの式神がめっちゃ死にものぐるいで逃げていく。
決着は一瞬。先頭の子供の振るった木刀が猪の胴を捉え、思い切りふっとばす。後に残るのは霊符の残骸だけだ。
居合わせた全員の期待の視線が一斉に稲見之守に向けられる。
ならば、と、次に出した牛は子供も青年も全員に囲まれて形も残らないほどボコボコに殴打される。
(……ミンチよりひどいんじゃ)
次に出したのは虎。さすがに子供は下がらせて、青年たちが取り囲む。その隙を見逃さず虎が一人の青年に襲いかかって牙を突き立てる。本物の虎と変わらない鋭さを持っているはずの牙はなぜか青年の肌を貫けず、逆に砕け散る。そして牛と同じ末路をたどった。
ならば、と稲見之守が最後に呼び出したのは龍。蛇身をくねらせながら海に住まい水や雨を司り、ときに戯れに人間の願いを叶える神獣だ。
しかし龍が牙を剥くより早く。
「チェェェェェェストォォォォォォォォォ!」
青年の一人が人間にあるまじき高さまで跳躍し、木剣の一撃で龍の顎を叩き割る。
さらに奇声を轟かせながら他の青年たちも飛び上がって龍を叩き落とし、最終的に牛や虎と同じ結末を迎える。
恐ろしいのは、この青年たちはまだ修行中の身であり、修業を終えた大人たちもこの島にはごろごろと存在していることだ。
「なにこいつら」
龍を囲んで袋叩きにする青年たちの姿に、寒気も感じなくなるほど麻痺した心で稲見之守はそう呟いていた。
成功
🔵🔵🔴
才堂・紅葉
なんと言うか、控えめに言って頭おかしいですね
呆れた様子で見ていたが、皆が丸太を叩く様子を見てると体が疼く
「ちょっと借りますね」
快く貸りられた木刀を斜めに構える
昔、義父である師に習った柔術の要諦を思い出しつつ、しばし無心で【怪力と気合】で叩く
癖になる楽しさがあり、気がつくと丸太が砕けていた
大地に固定されてるので、コツを掴んで衝撃を徹せば折れやすいのだろう
周囲の視線に瀟洒な【礼儀作法】で微笑する
「では、少しだけ」
木刀を一振り支え無しで地面に立て
一見して緩やかな動きで足を振り、コッと乾いた音で切断する
この意味の分る者は、この島では多いだろう
「大事なのは脱力と緩急。そして研ぎ澄ました【殺気】です」
鞍馬・景正
丸太叩き──我が鞍影心流の『燕飛』の稽古に似ていますね。
単純な打ち込みの連続のようで、道の初めには膂力と剣速を養い、熟練者には剣体一致の感覚や足捌き、手の内の冴えを磨く合理的な鍛錬で……。
どれ、私も混ぜて頂きましょう。
◆
丸太を砕くと一人前と言うなら、私もそれを披露しましょう。
羅刹の【怪力】を発揮し、踏み込んで【鎧砕き】の打ちを。
打撃の瞬間に柄を絞り、威力を最大化。
この島の丸太が特別堅牢で無ければ、これで破断できるでしょう。
シマドゥの方々も血気盛んのようですが、私も坂東武者の末裔。遅れは取りません。
後はより溶け込む為、上手く砕けぬ若人に、差し支えなければ打ち込みのコツを伝授させて頂きましょう。
琴音・創
新しい世界という事で取材に来たが――場所を間違えたかも知れない。
いや、私は非力な作家だよ? こんな蛮族の島なんて開始20ページと待たずに死ぬ役目じゃないか。
木刀で丸太砕くなんてサツマナイズド溢れる真似は無理!
もっと平和的な交流は無いのかね?……酒宴? いいじゃないか、それに参加しよう。
と思っていたら天井でぐるぐる銃のようなものが回転してるんだが。
皆さんなんで気にせずに飲み食いしてるの?
ちょっ、待っ、やっぱ帰――びゃ゛っ゛(脳天直撃)
もうやだ! 私が猟兵でも文豪でも無ければ死んでたぞ!
けど何で生きてるんだって勝手に恐れられ始めたし、これはこれで結果オーライ……?
私がオーライじゃないけどね!
「なんと言うか、控えめに言って頭おかしいですね」
浜辺で子供や青年たちが猿叫を上げて丸太を木剣で殴打している様子に、転移されてきた
才堂・紅葉(お嬢・f08859)が呆れたような声を漏らした。
確かに異様な光景かもしれない。しかし鍛錬の熱気は紛れもなく本物だ。むしろ本当の熱意もなしにこの厳しい鍛錬についていくことはできない。
そして紅葉も、剣術ではないが柔術を母体にする近接戦闘の使い手。稽古の熱さについ体が疼いてくる。
「ちょっと借りますね」
汗だくで砂浜に膝をついていた子供から木刀を借り受ける。木刀と言っても人間が握れる程度の後さの木の棒のようなもの。重さもおおよそ真剣と同じだ。
一流の技は全てに通じる。義父である師に習った柔術の要諦を思い出しながら、助走をつけて丸太に木剣を振り下ろす。その一回で要領はつかめた。
あとは無心で二度、三度と打ち下ろし、まだ新しかった丸太をへし折る。
男尊女卑の強い土地柄なのかもしれない。驚きと奇異なものを見る視線で修行中の男たちが紅葉を凝視する。
紅葉は不躾な蛮族の視線に瀟洒な礼儀作法で微笑みを返すと、自ら新しい丸太を浜辺に深々と立てて固定する。
「では、少しだけ」
ユーベルコード:獣の眼光(サツイノカタマリ)
大切なのは緩急の差。ゆるく握った木剣を正しいフォームで振り下ろし、インパクトの直前に最大の殺気を込める。
少しだけ乾いた音がして。そして一瞬の後、まるで達人が真剣を振るったように、木剣は丸太を両断していた。
「大事なのは脱力と緩急。そして……」
しかし男たちはおなごに負けてなるものかと、反骨心のまま言葉も聞かずに再び鍛錬に熱く精を出していく。
だが、紅葉は気づいていた。勘のいい者たちは今の紅葉の一振りだけでなにかを掴んだのだろう。彼らの流儀を崩さぬまま鋭くなった振りが増え、木と木がぶつかる音が先程までと明らかに変わった。勘のいい者は存外に多かったらしい。
そしてもう一人、砂浜に足を踏み入れる者がいた。
鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)だ。
「我が鞍影心流の『燕飛』の稽古に似ていますね」
若人たちが無心に丸太を叩く様を見てそう評す。
単純な打ち込みの連続のようで、まだ体ができていない道の初めには膂力と剣速を養う。そして熟練者には剣体一致の感覚や足捌き、手の内の冴えを磨く合理的な鍛錬だ。ただ彼の流派と違うのは、ここの鍛錬者たちは習い始めからこの鍛錬だけを毎日無心に繰り返す。一日に何千回、熟練者となれば一日に壱万も木剣を振る。
「どれ、私も混ぜて頂きましょう」
自ら新しい丸太を立て、木剣を借り、シマドゥ島流の蜻蛉ではなく正眼に構える。中段の構え、あるいは人の構え、水の構えとも呼ばれる構えだ。
今までの修行者が積み重ねてきた汗と血が染み付いてつるつるの柄を柔らかく握る。
丸太を砕くと一人前と言うなら、私もそれを披露しましょう。サムライエンパイアで代々名を馳せた坂東武者の嫡男として、無様を晒すわけにはいかない。それがたとえ誰もしらない秘境の首狩族の前であっても。
イメージするのは鎧。それを着た敵を砕く一撃。木剣と丸太が触れる瞬間に羅刹の怪力で最大限に柄を握る手を絞り、鍛えてきた技で持てる力を一点に叩き込む。
そして、花火が成な音を立てて丸太が爆ぜた。
信じられないものをみたような静寂が落ちる。そしてわっと子供たちが景正を取り囲み、今のはなんだと質問を浴びせかけ、景正が指南しようとした時。
「ならぬ! ならんでごつ!」
大音声が響き渡って子供たちが一斉に散る。
見ると、監督者と思しき老人がこちらを厳しい目で睨んでいる。
「わいらシマドゥの民が鍛えるは御始祖の正剣にごつ! どこの馬の骨とも分からぬ邪剣身につけること罷りならんでごつ!」
老人の言葉にはっとした顔を浮かべ、若者たちが再び鍛錬に戻る。もう誰も景正に視線を向ける者はいなかった。
「しばし待たれい」
その場を去ろうとした景正を、誰かが呼び止める。先程の老人だ。
「おはん、月は好きか?」
「……? ええ、まぁ」
よく分からない顔で答えると、老人はさらに続ける。
「月は良かでごつ。まるで剣閃のような冴え渡る光にごつ。おはんらは、天のどのあたりの月を好むとか?」
ああ、と景正は納得の声を飲み込んだ。どの角度からの振り下ろしが最上と思うか。この老人は若人たちに悟られぬよう剣の問答をしようというのだ。
つまりそれはシマドゥ流の剣を修めた者が景正の剣を認め、あるいは恐れ、その知識に触れようとしているということだ。そしてそれはこの島の蛮族がただ祖先を盲信するのではなく、現実を見る知性を備えている証でもある。
しばし禅問答のような会話が続く。まるで真剣での立ち会いのように切り込み、受け流し、はぐらかしたり知識を交換していく。
たとえ外の流派の知識を得たとしても、シマドゥ島の修行者は自らの剣を変えないだろう。亜流が生まれることすら認めないだろう。それはすでに信念であり信仰であり生活である。
だが、この問答は決して無駄ではないだろう。そう感じながら、景正は日が暮れるまで言葉の切り合いを続けていった。
「新しい世界という事で取材に来たが」
琴音・創(寝言屋・f22581)は周囲を見回して首を振る。
「場所を間違えたかも知れない」
沈んでいく太陽にそっと息を吐く。昼間の浜辺からずっとこの島の様子を見てきたが。
「いや、私は非力な作家だよ? こんな蛮族の島なんて開始20ページと待たずに死ぬ役目じゃないか」
幸いにして、来たら必ず殺人事件が起きるような死神に魅入られたような名探偵がシマドゥ島に足を踏み入れた形跡はない。でも普通にこの島ヤバい。
「木刀で丸太砕くなんてサツマナイズド溢れる真似は無理! もっと平和的な交流は無いのかね?」
嘆息を吐く創の背中に、誰かがどんとぶつかってくる。すでに周囲は薄暗く顔や体格は分からなかったが……
「宴があるの! お願い、あなた私の代わりに宴に出て! ああ、あいつらが、あいつらが!」
そして逃げるように駆けていく背中を見送っていく。
「……宴か。悪くない」
そういった創の前に、数人の男が走ってくる。
「キモヌェリじゃあ! キモヌェリじゃあ! きゃつどこに逃げたと!?」
叫ぶ男たちに事情を説明し、創は替わりに宴に出ることを申し出る。
……申し出てしまった。
宴は広間のようなところで行われていた。参加者たちは胡座で座り、隙間もないほどの輪になって談笑しながら酒を呑んだり膳をつついている。
創も空いている席に押し込められたのだが。
「ぐるぐる銃のようなものが回転してるんだが」
輪の中心で、天井から吊るされた火縄銃が参加者に銃口を向けながらくるくると回転している。もちろん火縄に火はついているし、たぶん弾込めも済んでいる。つまりいつ誰が撃たれるか分からない。
「皆さんなんで気にせずに飲み食いしてるの?」
たぶんなにかの冗談なんだろうな……という淡い期待を打ち消すように、最初の銃声がなる。若い男が肩を撃たれて血を流しながら激痛に顔をしかめる。
「宴の席でそがい苦しげな顔をするっちゃ、礼がなっとらんど!」
「ほら、隙間を開けるは宴の作法にあらんど! もっと詰めなもし!」
怒声が飛び交い、再び火縄銃に弾が込められ、宴が再開する。撃たれた男も脂汗をだらだら流しながら笑顔で酒を飲む。これがキモヌェリだ。
「皆さんなんで気にせずに飲み食いしてるの?」
クセが強いがいい香りのする酒を持ったままフリーズする創。思考が止まった世界で注がれるまま酒を飲み、なんの味も感じない魚を食べ、なにが面白いか分からない下らない冗談で笑い……
「ちょっ、待っ、やっぱ帰――びゃ゛っ゛」
正気に返った瞬間に額を鉛玉にぶち抜かれた。
暗くなっていく意識の中、まだ書き上げていない物語たちが次々と湧き上がり、なんとか現世に立ち戻る。
「もうやだ! 私が猟兵でも文豪でも無ければ死んでたぞ!」
「ないごて死なん! 宴の作法も知らんがか!」
再び飛び交う怒声の中、また火縄銃に弾が込められる。
これも、依頼の目的と次回作のネタになれば結果オーライ……
「私がオーライじゃないけどね!」
やがてキモヌェリがお開きとなる。最終的に創が何発撃たれたかは語らない。
出された酒はクセも度数も強いが慣れると病みつきになる。つい飲みすぎて、夜風で醒ましているうちにふと記憶がつながる。
創にキモヌェリを押し付けて逃げたあの女性と思しきもの、あれは……
「あれ、オブリビオンじゃなかったか!?」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『呪われた船首像』
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POW : まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:Kirsche
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オブリビオンが逃げたと思しき方角を調査すると、小さな入り江があった。
複雑に入り組んだ海流に流された船が何隻も難破し、朽ち果てた跡。
そこにコンキスタドールと化した船首像だったものたちがいた
御狐・稲見之守
……木刀じゃよな? あいつらが持ってたのただの木刀じゃよな? いや、うんまあそれは良い。コンキスタドールである。
シマドゥ人数人を連れて呪われた船首像のいる入り江に向かうぞ。船首像は集団戦の雑魚ゆえ首級……コンキスタドール首を挙げるには役者が足りんじゃろうが、この島を陥れようとしている悪い連中ゆえにその首はなるたけシマドゥ人に……あ、船首像をソッコーでぶん殴りに行きおった。
UC精気転与の術、シマドゥ人に死なれても困るゆえ怪我した者を回復する体勢を整えながら傍観、もう全部あいつらだけでいいんじゃないかナ。
「……木刀じゃよな? あいつらが持ってたのただの木刀じゃよな?」
昼間のショックが脳から抜けきらない様子で
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)がつぶやく。
ただの人間がただの木刀で虎や龍を滅多打ちに叩きのめす光景は正直この世のものとは思えなかった。
「いや、うんまあそれは良い。コンキスタドールである」
北の入り江でコンキスタドールたちの集団が見つかった。そう伝えると。
「首だ! 首にごつ! コンキスタドール首にごつ!」
「首ドロップしろ! 首ドロップしろ! 首ドロップしろ!」
「チェスト! チェスト! チェェェェェスト!」
とまたたく間に一人前と認められた戦士たち、ぼっけもんたちが集まる。集まりすぎてちょっと困ると告げると殴り合いで選抜を始め、すぐに討伐隊が組織される。
共有された情報から目的の入り江まで案内すること1時間。
いかにシマドゥ島の民たちには自らの島を守る大義があるとはいえ、猟兵でもない者たちをコンキスタドールとの戦いに駆り出すのに、まったくなんの躊躇もなかったといえば嘘になるかもしれない。
ただ昼間の様子を見ている限り、無茶でも不可能でもなんでもないような気はする。むしろ呪われた船首像のほうがコンキスタドール首として役者が足りないのではという気すらしていた。
「チェストォォォォォォォ!」
「チェストォォォォォォォ!」
「チェストォォォ……許せ、誤チェストにごわす!」
実際に、野太刀を蜻蛉に構えて突撃していくぼっけもん団は驚異の一言に尽きた。
もちろん呪われた船首像もオブリビオンだ。黙って退治されるはずもない。
ユーベルコード:呪われた舟唄
恨みの気持ちを旋律に乗せて、共感する者を癒やす歌。不幸な過去で沈んだ船の船首像たちがお互いに共感しながら次々と歌声を奏でて回復しあえば、どんな攻撃も無意味にされるほど手のつけられない効果を上げる。普通ならば。
ぼっけもん達はそんなもの関係ないとばかりに呪われた船首像を囲んでめった切りにする。昼間の式神と違うのは、彼らがすでに多くの修行を積んだ身であることと、持っているのが本物の刀剣であるということだ。呪われた船首像の歌声も、なんとなく過去の恨みではなくぼっけもんに対する恐怖の声にも聞こえる気がする。
そしてもちろん稲見之守も島民をけしかけて放置するような真似はしない。
ユーベルコード:精気転与の術(セイキテンヨノジュツ)
手傷を追ったぼっけもんに式神を飛ばして精気を与え、傷を癒やしていく。あまりひどい怪我をしたものは多くないが、なぜか妙に大量に精気を必要とされている気がする。
もちろん自らも戦闘に参加するべきと思うが。
「チェストォォォォォォォ!」
「首ドロップしろ! レア首ドロップしろ! コンキスタドール首ドロップしろ!」
「チェストォォォ……許せ、誤チェストにごわす!」
「またにごわすか!」
出番がないというかチェストに巻き込まれて死ぬ未来が見える気がして足が前に出ない。
「……もう全部あいつらだけでいいんじゃないかナ」
大成功
🔵🔵🔵
琴音・創
酷い目に遭った……。
いや、あんなの宴じゃなくて拷問だろ。予め説明しておけよ!
さっきの奴はどこ行った! 影朧……いやコンキスタドール? 兎に角、オブリビオンなら容赦しないからな!
捕捉したら怒りに任せて【スクワッド・パレヱド】で突っ込むぞ。
普段はこんな無茶はしないけど、私とてやる時はやるんだ。
とは言え、一体だけ吹き飛ばしても、他の敵に囲まれては百秒後に死ぬ私が開催されてしまう。死なないけど。
袋叩きにされる前に【逃げ足】を駆使して離脱して、また隙見て奇襲していこう。
しがない売文屋に正面からの荒事なんて向いてないし、冷静になったら他の猟兵の援護とか、死角に回り込んで攪乱とかそういう立ち回りを狙うよ。
「酷い目に遭った……」
鉛玉に貫かれた額をさすりながら、猟兵たちに情報を飛ばした
琴音・創(寝言屋・f22581)が恨みのこもった声でつぶやく。
「いや、あんなの宴じゃなくて拷問だろ。予め説明しておけよ!」
もちろん分かっている。事前に説明したら代わってくれる人間などいないだろう。
「さっきの奴はどこ行った!」
サクラミラージュを主な生活場所とする彼女にとって、オブリビオンとは影朧の印象が強い。傷ついた、いつか転生できるかもしれない歪んだ魂。
だが世界には邪悪さを隠さない悪辣なオブリビオンのほうがよほど多いのだ。創にキモヌェリを押し付けたコンキスタドールのように。
「兎に角、オブリビオンなら容赦しないからな!」
ユーベルコード:スクワッド・パレヱド
宵闇に紛れて静かに接近し、呪われた船首像の一体を強力な突進によって吹き飛ばす。さらに仲間の協力があれば威力が倍増する。創の突進を宴を共にしたシマドゥ島の仲間たちとの絆が後押しする。具体的には鉛玉8発分だ。
「普段はこんな無茶はしないけど、私とてやる時はやるんだ!」
だって文豪は死なないと言うだけで、鉄砲で撃たれれば普通にすごく痛いのだから。
吹き飛ばされた船首像が後方を巻き込み、まだ船体と融合している仲間を何隻か転覆させながら入り江に沈んでいく。
しかし残った船首像たちが狙いを創に定める。
ユーベルコード:まとわりつく触腕
船首像たちの下半身から生えた触腕がざわめき、創を捉えようとする。
次々と迫りくる触腕から、海水を蹴立てながら必死に逃げる。なまじ反撃や回避などを考えない捨て身の逃走だったからだろう。創は触手を振り切って、近場の岩陰に身を隠すことができた。
しがない売文屋と韜晦することもあるが、基本的に荒事は好まない性格という自己分析に誤りはない。一発かまして冷静になった。真正面からぶつかるのはもう辞めにして、あとは他の猟兵の援護や敵の撹乱に徹しよう。創は岩陰から撫子色の瞳をそっと戦場に向けた。
大成功
🔵🔵🔵
鞍馬・景正
まずは上首尾。
後は根切りにするのみ。
ふふ、しかし邪剣などと謗られてしまいましたが、確かに余所者の流儀など彼らには不要でしょう。
されど我が父が京の天寧寺にて善吉僧より指南された剣、一片の曇り無き事を証明して御覧に入れる。
◆戦闘
【羅刹の太刀】を【怪力】で操作し敵を薙ぎ払って参ります。
敵の触腕を斬撃の【衝撃波】で切り払い、近寄っては【早業】で袈裟一閃。
そのまま【2回攻撃】で逆袈裟に繋げ、その繰り返しでより多くの首を刎ねてみせましょう。
左右顧みず真一文字に懸り、一太刀にて斬り、葉武者の首など取らず一心に他敵を討つべし。
これが鎌倉の代より続く鞍馬家の軍法、轍の代わりに残した首こそ武功の証としましょう。
「まずは上首尾。後は根切りにするのみ」
仲間と共有した情報から、コンキスタドールたちの巣食う入り江を見下ろせる場所で
鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)が静かに口を開いた。
シマドゥ島の島民との交流によって、オブリビオンたちの居場所は判明した。
だが、どうにも喉につかえる苦いものがある。
「ふふ、しかし邪剣などと謗られてしまいました」
あの老人にも生涯を捧げてきた信念があるのだろうし、若者たちの教育に悪影響が及ばぬようあえて強い言葉を使った面もあるのだろう。だが、それでも。
「我が父が京の天寧寺にて善吉僧より指南された剣、一片の曇り無き事を証明して御覧に入れる」
景正は鍛え上げられた静かな足取りで高所から駆け下りると、一瞬で最短で呪われた船首像の一体に肉薄する。
気づいた船首像が驚愕の顔で景正の黒い影を見る。しかしあまりに遅すぎた。防ぐ間も与えずに濤景一文字の一閃がオブリビオンの首を斬り跳ねる。
周囲の船首像たちが一斉に景正を取り囲む。
挨拶は終わった。
この死線、我が正剣によって見事切り崩して見せようではないか。
ユーベルコード:羅刹の太刀(ラセツノタチ)
身長の倍にも伸びた刀を羅刹の怪力と積み重ねてきた修行で体に刻み込んだ技で薙ぎ払う。太さも角度も違う何本もの触腕を一薙ぎで切り飛ばし、さらに生じた衝撃波が同じだけの触腕を切り落とす。
水を蹴る足音すらさせない早業で近くの一体に近寄ると、月光が二閃の弧を反射する。一瞬の後に袈裟と逆袈裟に斬り分けられた船首像が四つの音を立てて海面に落ちる。
船首像たちが触腕を振るう間もなく銀光が走り、一体、また一体と像の首が落ちていく。
「左右顧みず真一文字に懸り、一太刀にて斬り、葉武者の首など取らず一心に他敵を討つべし」
周囲に敵の姿が見えなくなった頃、景正はようやく構えを解いて、激しい疲労をおくびにも出さずシマドゥ島に視線を向けた。正確には、チュマンと呼ばれていたあの老人と話した浜辺の方角に視線を向けた。
「これが鎌倉の代より続く鞍馬家の軍法、轍の代わりに残した首こそ武功の証としましょう」
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
やっぱり、ここの文化や風土は文明人でシティガールの自分には合いませんね
さっさと奴等を根切って退散しましょう
・方針
「六尺棒」を【怪力】と【グラップル】の体捌きの応用で扱い、棒術で頭部を捥いで回る
緩急の妙で殴れば、心地よい手応えで船主の首を【吹き飛ば】せる
気をつけるのは常の【情報収集】と【戦闘知識】で味方の位置に注意し、周囲に迷惑をかけない事。これが淑女の【礼儀作法】だ
戦場が開けるタイミングが来れば大技
近くの崖に「ガジェットブーツ」で大跳躍し三角飛び
空中で棒を旋回させ、勢いを殺さず三節にして一帯を薙ぎ払う【範囲攻撃】の【落下技】だ
「チェストォォォォォォォッ!!」
つい【気合】が漏れたのはご愛嬌である
戦場からやや離れた場所で、目頭を指で押さえて首を振る女性の姿があった。
才堂・紅葉(お嬢・f08859)だ。
「やっぱり、ここの文化や風土は文明人でシティガールの自分には合いませんね」
アックス&ウィザーズからこぼれ落ちた蛮族の島という点に目をつぶっても、シマドゥ島の特異さは際立つ。浜辺で感じたすさまじい男尊女卑の風潮の片鱗を思い出す。
「さっさと奴等を根切って退散しましょう」
六尺棒を手にゆっくりと戦場に近づいていく。棒と言っても木製ではなく、アルダワの冶金術の粋を極めた特殊鋼の特注品だ。
気を配るのはまず戦線の状態、敵と味方の位置関係である。どこに仲間と敵がいて、戦法からおそらくこう動くだろうと戦場を分析する。そして自分は味方の邪魔にならないように。それが高貴な血筋を受け継いだ淑女としての礼儀作法だ。
怪力と格闘術を組み合わせて六尺棒を操り、点在する邪魔な船首像の首をもぐように破壊していく。敵に合わせて三節棍と六尺棒の状態を使い分け、静と動の間を流れるように像の頭部を吹き飛ばす。
そして一瞬、紅葉の周辺に戦場が開けるタイミングができた。
ユーベルコード:ハイペリア重殺術・落星(ラクセイ)
周囲のオブジェクトを蹴り登りながら高く空中に上がり、棒を旋回させながら親和性の高い重力のエネルギーを破壊力に変換し。
「チェストォォォォォォォッ!!」
着地の瞬間、三節棍にすべての力を乗せて薙ぎ払う。インパクトの瞬間にすべての力を叩き込む。浜辺で子供たちに見せた技と同じ理屈だ。
周辺の敵を吹き飛ばしたの確認したあと、つい自然に叫んでいた気合の声を思い出して手で口元を隠し、周囲を伺う。幸い気に留めていたものはいなかったようだ。
どうも、この島の独特の空気に少し当てられているのかもしれない。そんなことを考えながら残敵の排除に向かう。
ほどなく船首像たちは壊滅し、廃船から一人のコンキスタドールが姿を表した。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『女賞金稼ぎ』
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POW : ハンタータイム
全身を【右目の義眼(メガリス)から放たれた青い光】で覆い、自身の【これまで殺した賞金首の賞金合計額】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 殺戮斧旋風
自身の【右目の義眼(メガリス)】が輝く間、【呪われた戦斧】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : カースバウンティ
【自分が過去に殺した賞金首】の霊を召喚する。これは【手にした武器】や【怨嗟の呻き声】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:藤乃原あきひら
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
コンキスタドール、女賞金稼ぎは右目のメガリスで猟兵たちを睥睨する。
「あたしが女だからって戦おうともしなかったシマドゥ島の海賊と手下どもを皆殺しにする予定が、ずいぶんと狂っちまったね」
もの言いたげな猟兵たちの視線が彼女に集まる。言いたいことは分かっているさとコンキスタドールは笑う。
「あたしがこいつらに勝てるわけないと思ってるんだろう? 確かに真正面から戦う気はないさ。こいつらは現在は見るが未来は見ない。自分が死ねば今メリットがあると思えば死ぬが、それで将来失われるものを考えない。
だから一人が死ねば残りが助かる罠を山ほど用意しておけば、自然と絶滅する。簡単だろう?」
具体的なアイディアはまだないけどね、という言葉は小さすぎて風にかき消されて聞こえなかったが。
「シマドゥ島の連中と正面から戦うのは怖いし暑苦しいし願い下げだが、あんたら猟兵を捻り潰すくらいなら問題ないさ」
御狐・稲見之守
これでは幾ら精気があっても足らんわバカ!バカ!ぼっけもん! お前らまた誤チェストしたらはらわた抜いて米突っ込んで炊くゾ!? ”それは名案ごつ”じゃない!!
――……はあ。
でー……ボスのお出ましなんじゃが、脅威度的にこのチェスト脳連中よりワシらの方が下ってどういうことじゃ……。
あーわかったわかった五月蝿い、お前らもう幾らでも回復しちゃるから好きにするがいい。えーなんつったっけ、こいつらに似た連中が云うところのあれじゃ。
チェスト関ヶ原
(訳:ぶち殺せ)
才堂・紅葉
「とんだすくたれ者ですね。まぁ、その戦術が有効なことは認めましょう」
あのぼっけもん共を嵌める方法として悪くない
だがまぁ中々に不愉快なので、淑女の笑みで何とかしようと思う
「紋章板」を手に取ってグルグル回す
相手の攻撃は【野生の勘と戦闘知識】で【見切り】、【グラップル】の体捌きでいなす
方針は、奴の攻撃を上手く捌きつつ、近くの大岩に【ロープワーク】で鎖で縛り付ける
「ぼっけもんツアー……一名様ご案内です!!」
紋章の【封印を解き】、重力制御と【怪力】で大岩を【吹き飛ばす】ように、シマドゥ衆の集落まで投げ飛ばそう
大岩には『チェスト歓迎』とだけ貼っておく
まぁ、彼女ならこれでも死なないだろう
頑張れ。頑張れ
「とんだすくたれ者ですね」
不愉快さのにじむ淑女の笑みでつぶやくのは
才堂・紅葉(お嬢・f08859)だ。
「まぁ、その戦術が有効なことは認めましょう」
あのぼっけもん共を嵌める方法として悪くない。それだけこのコンキスタドールはシマドゥ島の民を観察してきたのだろう。女だからと相手にもされなかった悔しさを胸に。ちなみに"すくたれ者"とは臆病者や気の悪い者などを指す。
「これでは幾ら精気があっても足らんわバカ! バカ! ぼっけもん!」
一方で船首像たちを完膚ないほどめった切りにして笑顔で額を拭うぼっけもんたちに声を荒げるのは
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)。
「お前らまた誤チェストしたらはらわた抜いて米突っ込んで炊くゾ!?」
その言葉にぼっけもんたちが手を打つ。
「おお、それならば野犬をばひっ捕まえる手間もかからんとばい!」
「”それは名案ごつ”じゃない!!」
……はぁ、とため息をついて稲見之守はコンキスタドールに目を向ける。
「脅威度的にこのチェスト脳連中よりワシらの方が下ってどういうことじゃ……」
「いや、だって、強い弱いじゃなくて、怖いでしょ?」
女海賊が真顔で答える。
「こいつらが集団で地響き立てながらでっかい刀掲げて突っ込んでくるのよ? 怖くない?」
「首ドロップしろ! 首ドロップしろ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
「コンキスタドール首だ! なぁ、コンキスタドール首だろう? コンキスタドール首だ!」
「然り! 然り! 然り!」
その大音声に姿を隠すように、紅葉が動く。
極めて薄い特殊鋼を108枚重ねた紋章板を鎖を軸にぐるぐると振り回す。
コンキスタドールも紅葉の行動に気づき、義眼として右目に収まるメガリスを光らせる。
ユーベルコード:ハンタータイム
これまで殺した賞金首の懸賞金合計額に比例して戦闘力を高め、高速で宙を飛ぶ技だ。
しかしぼっけもんたちの声に気を取られ、一瞬だけ技の起こりが遅れた。それで十分だった。
ユーベルコード:ハイペリア重殺術・浮嶽(フガク)
紋章の浮かび上がった手でさらに巨大な岩を掴み上げて投げつけ、紋章版を錘に宙に浮き始めた女海賊を鎖でその岩に縛り付け、動きを封じる。
本当ならそのままシマドゥ島の集落まで投げるつもりだった。しかし万一浜辺で会った子供たちのぶつかるようなことがあれば……別に大丈夫な気もするが、とりあえず近くのぼっけもんたちのところに落とす。
「ぼっけもんツアー……一名様ご案内です!!」
「首ドロップしろ! 首ドロップしろ! 首ドロップしろ!」
「然り! 然り! 然り!」
「コンキスタドール首だ! なぁ、コンキスタドール首だろう? コンキスタドール首だ!」
「然り! 然り! 然り!」
「あーわかったわかった五月蝿い、お前らもう幾らでも回復しちゃるから好きにするがいい」
稲見之守が口を開いた。
「えーなんつったっけ、こいつらに似た連中が云うところのあれじゃ」
彼女が言葉を探しているうちに、ぼっけもんたちは一斉に刀を蜻蛉に構える。
「そうじゃ。チェスト関ヶは――」
皆まで言わずとも、ぶち殺せという稲見之守の意は伝わった。
ぼっけもんたちは猿叫を上げながら、岩ごと女賞金稼ぎを囲んでぶったぎっていく。
「まぁ、彼女ならこれでも死なないでしょう」
叫び声にかき消されそうな紅葉の声がした。
「頑張れ。頑張れ」
大成功
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鞍馬・景正
自信があるのか無いのかよく分からぬ方ですが――。
ひとつ指摘させて頂くと、貴殿がその罠を用意できることは無い。
◆戦闘
敵が空を舞うにしても、攻撃の瞬間に此方に近寄る事もあるでしょう。
その時を狙い、気魄を溜めつつ刀を八双に担いでおきます。
遠間から狙われた場合は、刀による【武器受け】で防ぎ、軌道を読んでの【見切り】で回避。
そしてあちらが焦れるか、手が出せぬと見誤って飛び込んで来た時こそ最大の好機。
断臂――腕ではなく肘で揮う心地で最短の太刀筋を導き、手の内を締めての瞬間加速、腰と足裁きの転化で剣勢を増強。
あとは全身の【怪力】を切っ先に伝えての【太阿の剣】を馳走しましょう。
さて――私もより修行を積まねば。
琴音・創
寧ろなんで戦おうとしたんだよ……この島で丸太打ちしてるだけの連中、放っておけば良いじゃないか。
兎も角、私を捻り潰すのは簡単というのは否定しないけど――作家には作家なりの抵抗の仕方があると知って貰おうか。
そう、【其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ】でね。
確かに罠に嵌めればいずれ壊滅させられるかもだけど――この島の人口はどれくらいか知ってる? 規模は?
全滅するまで君もどこに潜んでいる心算さ。
彼ら、多分復讐の為に連日連夜、島を虱潰しするぜ?
あと余りやり過ぎても、もう仲間の被害なんて知った事じゃないとカーマックラみたいな上位蛮族に化けたらどう責任取るんだ。
さ、早く帰りたいんで全部回答よろしく。
「寧ろなんで戦おうとしたんだよ……」
レコンキスタドールと真正面から対峙しながら
琴音・創(寝言屋・f22581)はそう問うた。
「この島で丸太打ちしてるだけの連中、放っておけば良いじゃないか」
「コンキスタドールとして戦って、敗れて骸の海に還るのが嫌なんじゃない」
ぼっけもん達を振り払った女賞金稼ぎがその言葉に答える。
「女だからと本気も出さず、倒しても殺しもしない。そんな侮辱は許せない。だから滅ぼすんだよ」
コンキスタドールの瞳に改めて強い恨みが籠もる。キモヌェリから逃げ出して創に押し付けた存在とはとても思えなかった。
「兎も角、私を捻り潰すのは簡単というのは否定しないけど」
撫子色の瞳が女賞金稼ぎに負けない信念をもって相手を見据える。
「作家には作家なりの抵抗の仕方があると知って貰おうか」
ユーベルコード:其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ
かつて彼女が認めた物語の情念の獣、恋に心を無くしたかつて人間だったものが空間から姿を表す。
「確かに罠に嵌めればいずれ壊滅させられるかもだけど――この島の人口はどれくらいか知ってる? 規模は?」
創の問いかけとともに情念の獣がコンキスタドールに牙を剥く。質問者が納得できる答えを出すまで、この獣は敵に食らいつく。
だが、女賞金稼ぎはその質問を鼻で笑った。
「修行を終えた男が棟梁の海賊を含めておよそ120人。総人口で600人を少し超えたところだ。仲間同士でぽっくり殺したりするから、正確な数は知らないね」
「全滅するまで君もどこに潜んでいる心算さ。彼ら、多分復讐の為に連日連夜、島を虱潰しするぜ?」
「この入り江に流れ着いた船。少し直せばまた沖に出られる。そうすればここの連中の手は届かないさ」
情念の獣の牙は涼しい顔で答えるコンキスタドールに届かない。
だが創の顔に焦りの色はない。
「あと余りにやり過ぎて、もう仲間の被害なんて知った事じゃないと上位蛮族に化けたらどう責任取るんだ」
「それは……」
初めて女賞金稼ぎが言葉に詰まる。
シマドゥの民がさらに進化する可能性。それはまったく考えていなかった。自分が放った"こいつらは現在は見るが未来は見ない"という言葉がそのまま自らの胸に深く突き刺さる。
そして、情念の獣が女賞金稼ぎの喉元に牙を突き立てた。
「さ、早く帰りたいんで回答よろしく」
もちろん答えられるはずはない。
やがて、興味は失せたとばかりに創は踵を返した。火縄銃で撃たれた場所がまだうずく気がする。傷跡も残さず直すユーベルコードを持った者はいくらでもいる。
またこの島に来たいかと言われると困る。だが、間違いなく貴重な体験だった。
そして情念の獣も振り払い、一人でも多く道連れにしようと決意したコンキスタドールが動きを止める。
視線の先にいるのは鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)。
「自信があるのか無いのかよく分からぬ方ですが――」
真っ直ぐに見返して、口を開く。
「ひとつ指摘させて頂くと、貴殿がその罠を用意できることは無い」
つまり、ここで倒されるから。ここで倒すから。
ユーベルコード:ハンタータイム
女賞金稼ぎの義眼が輝き、今まで多くの賞金首を屠った実績が燃え上がる。愛用の銃を取り出して空中に飛び上がってからの七面鳥撃ち。射程が短く狙撃に不向きな拳銃の銃弾が、遠間から正確に景正の心臓を狙う。
シマドゥ流の蜻蛉にも似た八相の構えで、景正は迫る弾丸を見切ってかわし、あるいは剣で弾き飛ばす。
女賞金稼ぎの銃は弾切れも起こさず銃弾を吐き出し続ける。なぜか大きく弧を描いたり、数発の弾丸が同時に放たれる。景正は呼吸も乱さずにそれらをさばき続ける。
しかし、同じ軌道で放たれた二発、一発目を弾いた直後にその陰から迫る一発を避けた時、わずかだか姿勢を崩した。
無論見逃す女賞金稼ぎではない。銃を呪われた斧に持ち替えて、頭を叩き割ろうと景正に迫る。
それが景正の狙いだった。
断臂。肘を起点に放つ最小軌道の斬撃。手の内を締め、厳しい修行を積み重ねた体捌きで加速して。
ユーベルコード:太阿の剣(アルイハウンヨウノタチ)
空間すら破壊するほどの斬撃が、コンキスタドールを骸の海に還した。
周囲の地形を破壊しながら荒れ狂う空間断裂が、やがて落ち着きを見せる。
思えば女賞金稼ぎが敗れたのは、他者を倒すほど強くなる特質を生かさずに侮辱された今の自分のまま島を滅ぼそうとしたためかもしれない。
「さて――私もより修行を積まねば」
そして、景正も踵を返し、振り返ることもなくその場を後にした。
大成功
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