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蒼天を覆う竜の群れ

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #皆殺しの荒野

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 群竜大陸に広がる太陽の光を遮るように鬱蒼とした深い森。生き物の心を喰らい傀儡にする『魂喰らいの森』を抜けると、景色は一変して広々とした荒野が視界に現れる。
 遮るもののない赤い大地を強い風が吹き抜ける。その風の中にはむっとする血の臭いが混じっていた。
 広大な大地をよく見渡せば、そこにはいくつもの死骸が積まれているのに気付く。大地の赤さはその流れ出る血で染まった色なのだ。
 その時、晴れ渡った青空が覆われ、地上に大きな影を落とす。雲かと見上げれば、そこには無数の飛翔体が群れて空を覆っていた。
 空には無数のドラゴン――否。ドラゴンの翼を生やしたオブリビオンの群れが飛び交い、互いに殺し合っている。
 さまざまな種族が目を血走らせ、数が減ろうとも戦い続ける。それは互いを滅ぼそうと最後の一体まで殺し尽くす殲滅戦だった。
 落ちて来た死骸を踏み潰し、ドラゴンの鱗と角を持ったオブリビオンの群れが闊歩している。空だけでなく地上にもドラゴンのような姿をしたオブリビオン達がひしめき、互いに出会えば相手が全滅するまで戦い合う。理性を持たぬ殺戮の光景が荒野で繰り広げられる。
 また強い風が吹く。その風上には、ドラゴンの鱗と角に翼まで生やした、異形のドラゴンのようなものまでが空を飛び、周囲の群れに襲い掛かっていた。

 群竜大陸の荒野は竜の如きオブリビオンの群れが殺し合う、殺戮の大地だった。


「諸君の尽力によって群竜大陸の魂喰らいの森に橋頭堡を築き上げることができた。そのお蔭で先へと進む道が開かれた。森の先は荒野となっていて、竜に似たオブリビオンの群れが殺し合う大地のようだ」
 赤く染まった荒野を映すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵達に群竜大陸の次の攻略地域の説明を始めた。
「この『皆殺しの荒野』と呼ばれる大地に次の橋頭堡を築きたい。その為には周辺のオブリビオンの群れを排除しなくてはならない」
 バルモアは群竜大陸の空白だらけの地図を指さす。森の次の荒野。ここの地図を埋め、次なる場所への足掛かりとしたい。
「荒野には呪われた風が吹いている。諸君には影響はないが、オブリビオンに無差別な殺戮衝動と戦闘能力を与える『ドラゴン化能力』を与えているようだ。その為にこの荒野のオブリビオンは身体の一部がドラゴン化し、戦闘力を増している」
 翼や鱗と、ドラゴン特有の特徴を持ち、空を飛んだり硬い鱗を持ったりと戦闘力を高めている。
「ドラゴンの翼を持つものは自由に飛行し、空から襲撃してくる。飛ぶものに対する備えが必要だろう」
 敵は素早く飛んで攻撃してくる。自分が戦い易い状況に引き込むのが有効だ。
「ドラゴンの鱗と角を持つものは装甲と攻撃力が高くなっている。だがあくまでもドラゴン化しているだけで完全ではない。どこか一箇所に『急所』が存在している。そこを突けば倒すのは難しくないだろう」
 鱗の生えていない場所や、形の違う場所など、装甲に守られていない場所を探すのが重要となる。
「そして翼と鱗と角を持った存在も確認されている。飛んでいる相手の対処と急所を狙うことで対処可能なはずだ」
 空を飛び装甲も攻撃力もある強敵だが、両方に対処する方法を組み合わせれば倒せる相手だ。

「オブリビオンをドラゴン化させ殺し合わせるとは恐るべき場所だが、ここに橋頭堡を築かねば先に進むのは難しい。ドラゴン化したオブリビオン『殺戮のドラゴン』の群れを倒し、安全な場所を確保してもらいたい」
 困難な任務だが、だからこそ挑戦する価値があると冒険心に火が点く猟兵達の顔を見渡す。
「それと、ドラゴン化したオブリビオンは、体内に強さに比例した美しさの、『竜胆石(りんどうせき)』と呼ばれる美しい宝石を精製するようだ。翼の生えた殺戮のドラゴン一匹分の竜胆石でも、金貨40枚(40万円)程度の値段がつくそうだ」
 冒険に付き物のお宝まで存在すると聞くと俄然やる気が増し、猟兵達の手にも力が入る。
「売ってもいいし、持ち帰って冒険の記念にするのもいいだろう。宝石を手に入れる為にも、皆殺しの荒野を攻略せよ!」
 バルモアが群竜大陸の血生臭い荒野に繋がるゲートを開き、猟兵達はドラゴン退治へと力強く踏み出した。


天木一
 こんにちは天木一です。群竜大陸攻略第二弾。お次はドラゴン化したオブリビオンの群れに埋め尽くされた荒野での冒険です!

 第一章ではドラゴンの翼の生えたオブリビオンの群れとの戦闘です。飛ぶ敵に対する対策があればプレイングボーナスを得られます。

 第二章ではドラゴンの鱗と角を持つオブリビオンの群れと戦います。鱗の無い急所を突くことが出来ればプレイングボーナスを得られます。

 第三章はドラゴンの翼に鱗と角を持ったオブリビオンの群れが襲ってきます。飛ぶ敵に対処し急所を突ければプレイングボーナスを得られます。

 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 群竜大陸で殺戮のドラゴンの群れを退治しましょう!
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第1章 集団戦 『サヴェージ・ギャルズ』

POW   :    アマゾネス・スマッシュ
単純で重い【武器または素手、素足】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    バーサーカー・ドライブ
【トランス状態になる】事で【狂戦士モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    フィアー・ビースト
【口】から【野獣のような咆哮】を放ち、【恐怖を与えて萎縮させること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:Nekoma

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ドラゴンの翼持つアマゾネス
 荒野の広い空を見上げれば、ドラゴンの翼を持つ獣型と人型のオブリビオンの群れが争っている。獣型はその鋭い爪と牙で襲い掛かり、人型はハンマーを振るってその頭をかち割る。
「ガアアアアアッ!!」
 人型の群れがまるで獣のように一斉に咆哮すると、びくりと震えて獣たちの動きが止まった。
「ラッアアアアィッ!」
 そこへ突進し、それぞれが槍や斧を振るって獣を血祭りに上げ、ハンマーをフルスイングすると獣の身体はバラバラになって吹き飛び、全ての獣が地面へと叩き落とされた。
「アララララッィアアアッ」
 雄叫びを上げながら返り血で染まった人型の群れが勝利を祝い、返り血を化粧のように塗りたくって、武器を振り上げて空で跳ねるように踊り出す。

 その群れは全員人の女性の戦士で、防具は装備せずに軽装だった。だがその力は女性と思えぬほど強く、ドラゴンの翼で飛翔する機動力から振るう一撃は同じオブリビオンでも簡単に粉砕してしまう。
 アマゾネスの名は『サヴェージ・ギャルズ』。滅びた蛮族の戦士達のオブリビオンだった。
 祝い踊っていたアマゾネス達の視線が地上に向けられる。そこには皆殺しの荒野へと足を踏み入れた猟兵達の姿があった。
「アアアラッ! ラアアアアィ!!」
「ラアアアアアアィッ」
 アマゾネスの一人が雄々しく叫ぶと、仲間達も唱和するように叫びを上げ旋回する。理性を塗り潰す殺戮衝動に染まった心のままに、各々が槍や斧やハンマーといった武器を手にドラゴンの翼を羽ばたかせて急降下を始めた。
 暴力の化身と化したように、血に飢えたアマゾネス達が猟兵に向かって降り注いだ。
ラティナ・ドラッケンリット
ここが次の領域か
皆殺しにすればいいというのはシンプルだな
空中から散発的に襲って来る分には動きを見切って避けよう
攻撃を避けて断山戦斧『しゅとれん』で叩き斬る
距離か数で対処できない時は手袋を投げてUC
ルールは白兵戦距離から離れないことだ
近付いた者を斬り殺すことで牽制するが
一斉に襲い掛かって来たら
豆の木の種を撒いて
空中軌道を制限することで
多対一の状況を避ける
あとは攻撃の為に接近して来た敵や
UCで弱って高度の落ちて来た敵を
各個撃破して確実に数を減らす
不意を討って穿竜槍『たると』や守護者『しょこら』を投擲もしよう
『たると』は小型竜に戻って手許まで帰って来させ繰り返し投擲する


アルナスル・アミューレンス
体内に生成される石、ねぇ……。
ちょっとゾッとするね。
なんか、こう、あんまり考えたくないよね。

とりあえず、向こうから突っ込んできてくれるんだよねぇ。
なら、片っ端から「処刑(終わり)」にしていこうか。

第六感を発揮させて、奴さん達の動きを見切りながら交戦するよ。
クイックドロウから弾幕を以て制圧射撃を行って時間稼ぎしようか。
対オブリビオン用の特大口径弾の弾幕だ、掠っただけでもただじゃすまないよ。

それを掻い潜ってきたら、相手の得物は回避するか格闘で粉砕し、そのまま相手も殴打して破壊するよ。
若しくは、他の個体を掴んで敵を盾にするとかしてねぇ。

向こうは遠慮ないんだし、遠慮も躊躇もせずに蹂躙させてもらうよー。


ユリウス・リウィウス
竜の翼で空を舞う蛮族か。あまりお目にかかりたくない手合いだが。
機動力があり、上を取られている。厄介な状況だな。
まあいい。全部ぶち殺せば済むんだろう。なあ、おい。

相手にまともな知能は残っていないとみた。ならば感情に影響する術でいこう。
「呪詛」を帯びた「恐怖を与える」悪意の怨霊ファントムを解き放ち、向かってくるオブリビオンに襲いかからせる。
機動力では負けるだろうが、どうせ向こうから突っ込んでくれるんだ。かわされることはあるまい。
狂乱してくれたらしめたもの。「生命力吸収」「精神攻撃」の双剣撃で、墜落した奴から討滅していこう。

どんな姿をしていようと、所詮はオブリビオン。さっさと骸の海に還るんだな。



●迎撃作戦
 群竜大陸の呪われた風が吹き続ける荒野に猟兵達が足を踏み入れた。
「ここが次の領域か」
 軽装のラティナ・ドラッケンリット(ビキニアーマー道の冒険者・f04425)が赤黒く染まった死骸の転がる荒野を見渡す。大地を染める血の跡に風が吹き抜け、むっとするような血臭に息が詰まる。
「酷いものだな、今もオブリビオン同士で殺し合いの真っ最中か」
 顔をしかめて遠くを見れば、あちこちでオブリビオンの群れが殺し合っているのが見える。
「体内に生成される石、ねぇ……。ちょっとゾッとするね」
 ガスマスクで異臭を遮るアルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)がゴーグル越しに転がっているドラゴンモドキの死骸を見る。もし自分の体内でそんなものが生まれたらと眉を寄せ肩を竦めた。
「なんか、こう、あんまり考えたくないよね」
 人型の敵から回収する姿を想像するだけで背筋が寒くなると、アルナスルは頭を振って雑念を払う。
「ここに橋頭堡を築くのは大変そうだが、皆殺しにすればいいというのはシンプルだな」
 やることは簡単だと、ラティナが空を飛ぶオブリビオンに目を向ける。ちょうどドラゴンの翼を生やすアマゾネスの部隊が空飛ぶ獣の群れを倒したところだった。
「竜の翼で空を舞う蛮族か。あまりお目にかかりたくない手合いだが。機動力があり、上を取られている。厄介な状況だな」
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)も空を見上げ、踊るように飛行するアマゾネス達の戦闘力を見て、不利な状況での戦い方を考える。
「とりあえず、向こうから突っ込んできてくれるんだよねぇ。なら、片っ端から『処刑(終わり)』にしていこうか」
 相手が突っ込んでくるならこっちもやって来る順番に仕留めればいいと、アルナスルは単純明快に作戦を決めた。
「それはいいな――来るぞ!」
 分かりやすいと頷き賛同したラティナがアマゾネスと眼が合い、仲間に声を掛けながら巨大で超重量級バトルアックス『断山戦斧』を構えた。

「ラアアアアアアィッ!」
 雄々しく叫びながら血化粧を施したアマゾネス達が、ドラゴンの翼を広げ急降下を始めた。
「まあいい。全部ぶち殺せば済むんだろう。なあ、おい」
 ユリウスは迫る敵を挑発するように喋りかけ、黒い双剣を抜き放った。
「ィイイイッアアア!」
 速度を乗せたアマゾネスが頭上から槍や斧を振り抜く。
「速いが、動きが直線過ぎるな」
 それを避けながらラティナが戦斧を振るい、敵の勢いを利用して身体を両断した。二つになった身体が勢いよく飛んでいく。
「まともに当たればこっちが真っ二つになりそうだな」
 ユリウスは右手の剣で槍を払い、もう左手の剣で敵の胴を斬り抜いた。バランスを崩した敵が地面に墜落し、衝撃で身体がぼろぼろになって飛び散る。
「ラッアアアアアィッ!」
 だがアマゾネス達は仲間がやられようとも恐れず、ただ目の前の敵を皆殺しにする為に攻め続ける。
「制空権を握られてるってのは厄介だねぇ」
 アルナスルは素早く大口径機関銃の銃口を上に向け、連続する爆発音と共に対オブリビオン用の特大口径弾の弾幕を張った。
「ィィイイアッ!」
 その弾の直撃を受けたアマゾネスが片翼を吹き飛ばされ、きりもみしながら墜落し地面に埋まるように潰れた。
「対オブリビオン用の特大口径弾の弾幕だ、掠っただけでもただじゃすまないよ」
 言う通り弾丸が掠めるだけでアマゾネスの身体が吹き飛んでいく。
「アッアアアアィッ」
 弾幕を嫌がるようにアマゾネスは散開して左右から襲って来る。
「こちらは任せろ!」
 ラティナが右側の群れに向かい、掬い上げるようなハンマーの一撃を戦斧で受け止めた。そして押し戻して敵の姿勢を崩して地面を転がし、次の敵の突き出す槍を屈んで避けながら戦斧で斬り上げる。
「ならこっちの相手は俺がしよう。蛮族にまともな知能は残っていないとみた。ならば感情に影響する術でいこう」
 ユリウスは敵愾心を感じ取り、呪詛で構成された怨霊ファントムを60体近く召喚した。
「行け、あの怖れ知らずどもに恐怖を与えろ」
 その指示に従い怨霊が迎撃に飛び、飛んでくる敵を迎え撃つ。アマゾネスは斧や大剣を振り抜いて怨霊を散らしていく。だが数で勝る怨霊は強引に憑りつき、敵の精神に侵食した。
「アッアアアウアアアアッ」
 雄叫びではなく悶絶するような悲鳴を上げ、アマゾネスが勢いを失くしてよろよろと地面に墜落していく。そして何もない場所に向けて狂ったように武器を振るった。
「狂乱してくれたか、予想通り知能を失って精神面が無防備になっているようだな」
 そこへユリウスが近づき、暴れるアマゾネスの攻撃を捌き、双剣で腕を落とし、無防備な首を刎ねた。
「もう空には帰さないよー」
 アルナスルが襲撃してまた空に戻ろうとする敵の背に向け銃弾を放つ。上昇しようと速度が落ちて無防備なところに当たり、翼がもげて落下していく。そこへアルナスルは止めの弾丸を撃ち込んだ。

「アッララララーィ!」
「アララララィ!」
 仲間がやられたのを見たアマゾネスの一群が、今度は先ほどよりも大人数で一斉に降下を始める。
「さっきよりも数が多いねぇ、大変そうだよ」
 銃口を敵に合わせながらアルナスルは、こちらを包囲するように空を旋回する敵がいつ急降下するのか様子を窺う。
「ではこれで敵の動きを制限するとしよう」
 ラティナが豆の木の種を撒く。するとみるみるうちに種が芽吹き、あっという間に大きな豆の成る巨大な木へと成長していく。それを背にすれば敵の空中機動をかなり制限する事が出来た。
「アッラララッラーーィ!」
 巨木を見ても構わずに、一斉にアマゾネスが急降下し襲い掛かってくる。
「木を避けて通るなら飛行ルートは限られる」
 ユリウスが敵の動きを読んで怨霊を配置し、触れて動きを狂わせた敵を双剣で仕留めていく。
「確かにこれなら狙うのも簡単だねぇ」
 アルナスルも木を背にして撃ちまくって撃墜していくが、武器を盾に弾幕を抜けたアマゾネスの大振りの大剣が迫る。
「危ないねぇ」
 それを上半身を反らして避け、大剣が木に突き刺さったところを殴りつけて吹き飛ばし、間合いを開けると頭を狙って撃ち殺した。

「アラララッララーィ!」
 群れから逸れたハンマーを持ったアマゾネスが突撃し、猟兵達の頭上で木にハンマーを叩き込んだ。強烈な一撃に木が大きく揺れ動き、メキメキとひび割れが広がっていく。アマゾネスは離れるともう一度加速してハンマーを叩きつけようとする。それが当たれば木が倒れるだろう。
「豆の木を倒すつもりか、そうはさせん!」
 ハンマーを担いで飛ぶアマゾネスに向け、戦斧を手放したラティナが手袋を外して投げつける。その手袋が命中すると敵の意識がこちらに向けられた。
「ルールは『私と白兵戦距離から離れないことだ』」
 そうラティナが宣言すると、決闘の誓約が成され、木に向かって飛んでいたアマゾネスにルール違反の激痛を与え墜落させた。
「理性を失っていても本能的に要所を狙うか、蛮族と言えども戦士ということだな」
 地上に堕ちたアマゾネスに、ラティナは止めと槍を突き刺した。
「だが狙いが分かればこちらもそこを狙うだけだ」
 ラティナが木を狙う続けてアマゾネスに向けて槍を投擲する。しなるように飛んだ槍が敵に突き刺さって撃墜する。槍はすぐに小竜となって手許に戻り、それをまた新たな敵に投げつける。
「ラアアアアィッ」
 邪魔をするラティナを先に倒そうと、槍を手放した隙を突くようにアマゾネスが突進してきた。
「まだ武器はある」
 ラティナが盾を投げつけ、円盤投げのように飛んだ盾が敵の顔に直撃してカウンターで吹き飛ばした。
「ラアッアアアアアィ!」
「こっちからも来るねぇ、奴さん達が全滅するまで止まらないなら、全部撃ち落とすとしようか」
 迫るアマゾネスにアルナスルが弾丸を撃ち続け、近づく敵を順番に迎撃する。大口径の弾は掠っただけでも肉を抉り取る。それでも傷を無視して突っ込む敵を集中砲火で消し飛ばす。
「向こうは遠慮ないんだし、遠慮も躊躇もせずに蹂躙させてもらうよー」
 これ以上近づかせないと、アルナスルは機関銃の弾幕を厚くして敵群を薙ぎ払った。
「そろそろ数も減ってきたか」
 怨霊で動きを鈍らせた敵をユリウスが次々と斬り捨て、双剣は真っ赤に染まっていた。そんなユリウスの真上から死角を突くようにアマゾネスが落下してくる。だが光が陰るのに気付いたユリウスは、剣を頭上へと伸ばした。
「ラアアアッ!」
 串刺しになったアマゾネスを剣を振るって放り捨て、返り血で頭から血塗れとなったユリウスは双剣を構えて次の敵と対峙する。
「どんな姿をしていようと、所詮はオブリビオン。さっさと骸の海に還るんだな」
 ユリウスは蛮族に負けぬ血化粧を施したような姿で、新たな敵を十字に両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝霞・蓮
●キャラ
人間の竜騎士 × 探索者 17歳 男
口調:(僕、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)

●戦い方
至近:アイテム『百膳』を使用して切り結んだり、竜言語で身体強化して格闘したり
近中:槍投げしたり銃で射撃。その時に機動力を求められるなら竜に騎乗
遠:攻撃手段がないので接近

●その他できること
錬金術でいろいろ

●長所
探索者として狂気に免疫があるので逆境に強く、恐怖と威圧に動じない

●短所
詰めが甘く、天然

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
素人
付け焼き刃
俄か翼を得てはしゃぐ子供そのまま
空の戦いの何たるか、この晴嵐騎士が見せてくれよう!

先制UC発動

残像空中浮遊ダッシュで即座に接敵
自ら空中戦を仕掛ける

剣を回転させ念動衝撃波を乗せ範囲ごと一気に串刺しチャージ
二回攻撃はビヰムキヤノンを以て念動衝撃波誘導弾にて範囲を薙ぎ払い目潰し

敵の攻撃は三種の盾とオーラ防御を駆使して受け
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと薙ぎ払い吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばう

まるで怪奇話に出て来る蠱毒の壺ね
最強の竜でも選りすぐるつもりかしら?

なれば!我等猟兵がその力を貰い受けるとしよう!!
空を空けよヒヨッコ共!!


霧島・絶奈
◆心情
制空権と言うのは莫迦に出来ないものです
…とは言うものの、所詮は急造の借り物の力
一撃離脱戦法とは言う物の辛うじて折り合いを付けたと言った所ですか

◆行動
【罠使い】の技能を活用
【目立たない】様自分の周囲に「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置
折角の飛翔能力ですが、接近の必要がある時点で片手落ちです
其れに…抑々機械には恐怖も委縮もありませんので

設置後は『涅槃寂静』にて【範囲攻撃】する「死」属性の「マイクロバースト」を行使し【二回攻撃】
私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃

地対空攻撃で逆に【恐怖を与える】としましょう

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
彼の者達は、完全に狂ってしまっているようだ。
オブリビオンだけを狂わせる何かがあるのか?
おっと、また余計な事を考えてしまった。
■決
相手は空を飛んでいる……なれば此方も【空中戦】で飛ぶぞ。
敵の動きを注視しつつ、囲まれないよう距離を取りながら移動。

■闘
撃ち落とす作戦で行こう。
相手が接近してきたら【野生の勘】を巡らせながらその動きを
【見切り】、敵のいない方向へ【ダッシュ】しつつ逃れる。

敵が密集している所を発見したら居合の構えを取り、
【早業】の居合から放たれる【空薙】を大ぶりに放ち、
【範囲攻撃】で羽と身体の双方を斬り伏せて落とす!

上手く落とせたら、周囲の仲間に好機を伝えるぞ。

※アドリブ連携歓迎・不採用可



●空中戦
「制空権と言うのは莫迦に出来ないものです……とは言うものの、所詮は急造の借り物の力」
 空を見上げた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は敵の動きを見て、それが急ごしらえな生兵法であると見抜いた。
「一撃離脱戦法とは言う物の辛うじて折り合いを付けたと言った所ですか」
 飛行速度を活かして一撃を加えて離脱することで、高度な空中戦が出来ないのを誤魔化しているようだった。
「ならば罠に嵌めるには格好の獲物です」
 単純な軌道しか出来ないのなら動きは読みやすいと、絶奈は気配を消して罠を仕掛け始めた。

「確かにあれはドラゴンの翼だね。完全にドラゴン化してしまう前に堕としてしまわないと厄介なことになりそうだよ」
 朝霞・蓮(運命に敗れた竜・f18369)が飛び回るアマゾネス達を見上げ、ドラゴンの翼だけならまだ対処可能だと白銀の魔動機銃を手にする。
「ノワ、ブラン。あのドラゴンモドキを退治にいくよ!」
 蓮が呼びかけると4mほどの黒竜と白竜が現れ、白竜の背に蓮は跨って銃を構えた。竜が翼を羽ばたかせて上昇し、飛行する敵との距離を詰める。
「それじゃあ戦闘開始だ」
 引き金を引き、放たれる弾丸が炸裂し、腹に穴を開けたアマゾネスが落下していった。
「アッアララララィッ」
「アララララィィ!」
 蓮に気付いたアマゾネス達が散開し、攻撃しようと突撃を始める。それに対して蓮の乗る白竜が距離を離すように飛び、黒竜が敵の横から飛び掛かって牙で胴を噛み砕いた。
「ララララィアッ」
 二頭のドラゴンを相手に、アマゾネス達は果敢に空中戦を挑むが、旋回速度で負けて捉えきれずにいた。

「素人、付け焼き刃、俄か翼を得てはしゃぐ子供そのまま」
 アマゾネスの戦闘を見て、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)が思ったまま駄目出しを口にする。
「ドラゴンの翼を持ったからといって自在に空で戦えると思ったら大間違い。空の戦いの何たるか、この晴嵐騎士が見せてくれよう!」
 威風堂々とリィフは人造の白い鳥翼を広げて飛び立つ。そして青い全身鎧を高速飛行形態へと変形させ、加速して敵へと襲撃を仕掛けた。
「アッララララッ!」
 アマゾネスが警戒する声を発して身構える。
「遅い!」
 だがそれよりも速く接近したリィフは、機械魔剣の剣先を回転させて突き入れて敵を串刺しにし、念動衝撃波を放ってその身体を吹き飛ばし、切っ先の向く射線の敵も纏めて鋭い衝撃波が貫いた。
「アララララッィアッ!」
 反撃に囲むようにアマゾネス達が集まり、一斉に武器を振り上げ襲い掛かってくる。
「まとめて薙ぎ払う!」
 リィフはビヰムキヤノンを向けて念動衝撃波誘導弾を撃ち出し、敵に当たって破裂した弾が目の眩む光と共に衝撃波を起こして敵の群れを薙ぎ払った。

「ラアアアアッ!」
 強い光で眼を潰されたアマゾネスが叫ぶ事で仲間の位置を認識し、ふらふらと飛びながら猟兵を探して無闇に武器を振るう。
「彼の者達は、完全に狂ってしまっているようだ。オブリビオンだけを狂わせる何かがあるのか?」
 理性を失くし、ただ見つけたものを殺そうとするアマゾネスを見て、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)はその理由を思案する。
「おっと、また余計な事を考えてしまった」
 ついつい物事を深く考えてしまうのは悪癖だと頭を振り、清綱は自らも翼を広げた。
「相手は空を飛んでいる……なれば此方も飛ぶとしよう。空中戦で勝負だ」
 舞い上がった清綱は、まだ眼が見えぬアマゾネスとすれ違いながら居合で合金刀『空薙』を抜き打ち、敵の胴を両断した。
「アッラアアアィッ」
 仲間がやられたのを見て、すぐに報復しようと2体のアマゾネスが挟撃しようと左右に別れた。
「速度は向こうが上か、ならば囲まれぬよう動くが肝要」
 すぐに清綱も移動を開始し、片方の敵に向かって飛んだ。そして距離を縮めると、敵が放つ槍の一撃を高度を下げて躱し、刀を上段に構えて敵の身体を断ち切った。
「アラララッラアィ!」
 そこへようやく追いついたもう1体のアマゾネスを、清綱は振り向きながら斬り捨てる。
「一対一なら恐るるに足らず――だが此方の思惑通りにはいかんか」
 残心しながら清綱が視線を向けると、残ったアマゾネス達が集結して襲い掛かろうと上空を旋回していた。

「ラッラララィィィア!」
「ラララィッアアアア!」
 アマゾネス達が雄叫びを上げると、空気が震え聞く者の心を威圧する。その隙を突くように翼を羽ばたかせて突撃を始める。
「折角の飛翔能力ですが、接近の必要がある時点で片手落ちです。其れに……抑々機械には恐怖も委縮もありませんので」
 絶奈の仕掛けた罠が雄叫びを無視して無慈悲に敵をセンサーに収めて発動し、指向性散弾が地上から空へと撒き散らされる。身を捻ってアマゾネスは躱そうとするが、翼に穴を開けて浮力を保てず落下していく。
「翼を失えばもはや竜の面影もありません。ただの蛮族として仕留めましょう」
 絶奈は剣と槍を手に、落下した蛮族を斬り裂き串刺しにして止めを刺していく。
「ララララッ!」
 すると本能的に罠を察知したのか、アマゾネス達が針路を変えて上昇し罠の範囲を避け始めた。
「戦の本能と言ったものでしょうか、ならば無理矢理にでも追い込むとしましょう」
 絶奈は森羅万象へと影響を及ぼし、マイクロバーストを起こす。上から降り注ぐ突風にアマゾネス達はバランスを崩し、何とか体勢を立て直そうとするが、死の属性を宿す風が生命力を奪い、力を削いで抗えずに降下する。そこで罠の範囲に入り、散弾を浴びてきりもみで墜落していった。

「アラララィィイイイッ!!」
 髪を振り乱し、狂戦士と化したアマゾネスが恐るべき反射速度その散弾の中を掻い潜り、絶奈へと大剣を叩き込もうとする。
「こんな狂戦士がドラゴンになったらどれだけの被害が出るか……ここで倒すよ」
 そんな未来を想像し、蓮はここで仕留めると銃口を向けて竜星弾を発射した。弾丸は真っ直ぐ敵の胸を狙って飛ぶ。しかし当たる直前にアマゾネスが大剣を盾にして弾丸を弾いた。衝撃で敵の速度が鈍るがその目が蓮を捉え、旋回して標的を蓮に変えて突っ込んできた。
「白兵戦か、受けて立つよ!」
「アララララィアアアッ!!」
 アマゾネスが横薙ぎに振るう大剣を何も言わずとも白竜が上昇して躱した。アマゾネスはそのまま最大加速で通り過ぎ、旋回してもう一当てしようとする。だがその背中に刃が叩き込まれた。
「ィイイアッ」
 アマゾネスが振り向けば、目の前に蓮の姿があった。その下では黒竜が飛んでいる。すれ違ったところで蓮は敵を追って飛んでいた黒竜に飛び移って乗り換えたのだ。
「悪いけど、これは一対一の戦いじゃないんだ」
 蓮が返した刀をもう一閃し、敵の背中を翼ごと深々と斬り、輝く宝石を傷口から覗かせながらアマゾネスが落下していった。

「アラララッラララィッ!」
「ララララアィイイ!!」
 叫びながら数を減らしたアマゾネス達が、包囲するように散って特攻してくる。
「普通ならば此れだけの兵を失えば引き時だが、狂っていてはそのような判断もできぬか」
 清綱は刀を鞘に納め、居合の構えて出来を待ち構える。
「翼を手に入れ空を自由に飛べるようになろうと、其方から接近してくれるのならば問題ない」
 煌めく刃が抜き放たれ一閃する。ぐるりと一周するように振り抜かれた刃が空間を断ち斬った。

 空薙――。

 呟き清綱が刀を納めると、特攻してきたアマゾネス達の身体や翼が切断され、地上へと落下していった。
「体勢を立て直す前に叩くよ」
 そこへ蓮が黒竜と白竜で降下しながら襲い掛かり、地上に落下する前にアマゾネス達を噛み砕き、斬り裂いて死体を撒き散らした。

「ラッアアアアアアィッ!」
「アララララッィアアッ!!」
 血臭の混じる風が吹き抜けると、アマゾネス達は腹の底から叫び、全身に力を漲らせて突進してくる。どれだけ倒れようとも、どちらかが全滅するまで戦いを止めない。その様子はまさに血に飢えた狂戦士そのものだった。
「まるで怪奇話に出て来る蠱毒の壺ね。最強の竜でも選りすぐるつもりかしら?」
 オブリビオンすら狂わす荒野に、リィフは何かしらの意図があるのだろうかと想像する。
「なれば! 我等猟兵がその力を貰い受けるとしよう!! 空を空けよヒヨッコ共!!」
 向かって来るアマゾネス達をリィフは正面から迎え撃つ。アマゾネスよりも速度を上げ、敵が叩き込もうとする斧よりも速く懐に入り、体当たりするように五角凧形の盾を叩きつけた。衝撃で血を吐きながらアマゾネスがぶっ飛んでいく。そのままアマゾネスの集団と交差し、互いに旋回してもう一度ぶつかり合う。
「アラララララィィッ」
 今度は当てるとアマゾネス達はリィフの高機動に合わせ、武器を振るタイミングを計る。
「正面ばかり見ていては不意を突かれることになります。このように……」
 絶奈が上空から突風を吹き降させ、アマゾネス達がバランスを崩し、耐えられなかったものが高度を落とす。だが地上に落ちる前に翼を広げて制御していた。
「ここまで生き残っただけあって、空中制御にも慣れてきているようですね。ならばこそ脅威となる前に排除する必要があります」
 そこへ絶奈は槍を投げつけ、胴を貫いて敵を撃墜した。
「好機だね、一気に敵陣を崩してしまおう」
 黒竜に乗った蓮が下から襲い掛かり、銃を撃ちながら敵の群れを突破する。それを追おうとしたところで、今度は白竜が上から襲い掛かり、立て直そうとするアマゾネス達を混乱させた。
「残りはこれだけか、ならば纏めて斬り伏せる!」
 その敵の中心に清綱が飛び込み、鯉口を切り居合によって鞘に納まった刀を一瞬にして抜き放った。同時に周囲の空間が切断され、アマゾネス達の身体もずれるように斬り離された。
「アッララララァィイイイッ!」
 片足を切断されながらも、目に狂気を宿したアマゾネスが飛翔してくる。
「真っ直ぐ飛ぶしかできぬヒヨッコ共! その目に焼き付けよ、晴嵐騎士の姿を!」
 リィフが受けて立つと空に軌跡を残すように加速し、アマゾネスが振るうハンマーが届く前に敵の胸を剣で貫いた。

 最後のアマゾネスがゆっくりと地上に落ち、見下ろせば女蛮族の死体があちこちに転がっていた。
「体内に竜胆石と呼ばれる宝石が精製されているのでしたか。ですが今は調べている暇はなさそうです」
 絶奈がまだ周辺で争いの音が絶えぬのに気付き、警戒してそちらに視線を向けた。
「む、血の臭いが流れてきたな。まだ新しい血のようだ」
「この場所を確保する戦いは終わってないってことだね」
 清綱が風に混じる錆びた鉄のような血の臭いに気付き、蓮も油断なく周辺に意識を向ける。
「何が来ようとも返り討ちにしてくれる!」
 どのような敵が来ようとも勝利してみせると、リィフが胸を張って待ち構える。
 勝利しても猟兵達は油断せず、このエリアに居る他の敵との連戦に備えて準備を始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『激浪せし水棲馬』

POW   :    血染めの魔角
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD   :    貪り喰らうもの
戦闘中に食べた【人肉】の量と質に応じて【魔力を増幅させ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    欲深き者共へ
【欲深き人間達に対する怨嗟の呪い】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:〆さば

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜の鱗と角を持つ水棲馬
「グルォオオオオオッ」
 荒野をドラゴンの翼で飛ぶ狼のようなオブリビオンの群れ。それが一斉に地上を駆ける馬のようなオブリビオンの群れに襲い掛かる。身体に噛みつき、肉を喰い千切らんと牙を突き立てた。
「ギャィッ?」
 だがその牙が折れ、狼の口から血が流れる。
 見れば馬の身体は竜の如き鱗で覆われ、装甲のように硬く守られていた。そして馬は反撃に頭を振るう。その額から伸びる角は槍のように鋭い角。だがその左右にも、太く捻じれた角が横に伸びている。それは槍というよりは斧。そう感じさせる重圧のある竜に生えていそうな角だった。その斧のような角が当たり、狼の身体がバラバラになり宝石を落としながら吹き飛んでいった。
「ブルルルルゥッ」
「ヒヒーーーーン!」
 嘶く馬が津波を起こして流れに乗り、液体のような下半身で波と同化するように突進すると、狼達を水に呑み込んであっという間に蹴散らした。
 その鎧のような鱗に、簡単に生き物を粉砕する角。まるで馬型のドラゴンのように波に乗る馬の群れは地上の敵を駆逐していく。
「ブルブル……!」
「ヒヒーーーンッ」
 そんな竜の如き馬が何かに気付く。それは人の血の臭い。アマゾネスの死体を餌と認識し、猟兵達の居る方向へと波を起こして駆け出した。

 津波と共に竜馬が猟兵に迫る。強固な鱗の備わっていない急所があるという話を思い出しながら、猟兵達はドラゴンの如き馬の群れを迎え撃つ。
ユリウス・リウィウス
早速次の敵のお出ましか。休む暇もねえぜ。なぁ、おい。

相手が地上にいるなら、いつもの手が使えるな。亡霊騎士団、喚起。
重装騎兵の突撃に対する最善の防御法は、長槍を連ねた槍衾だ。
各自、陣を張り、敵集団に槍を向けよ! 速度の乗った敵の突撃自体が、奴らを殺す。
槍衾で馬の足が止まったら、白兵戦仕様の亡者を率いて、敵の群の中に飛び込み、「鎧無視攻撃」「鎧砕き」を双剣で叩き込む。

弱点があるのはどうせ狙いづらい場所だろう? それを探すより、鱗ごと叩き割った方が早い。
反撃を受けたら双剣撃で「生命力吸収」「精神攻撃」を行い、敵を怯ませると同時に奪った生命力で体力を取り戻す。

ああ、血が滾るな。これこそ戦場ってもんだ。


朝霞・蓮
●キャラ
人間の竜騎士 × 探索者 17歳 男
口調:(僕、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)

●戦い方
至近:アイテム『百膳』を使用して切り結んだり、竜言語で身体強化して格闘したり
近中:槍投げしたり銃で射撃。その時に機動力を求められるなら竜に騎乗
遠:攻撃手段がないので接近

●その他できること
錬金術でいろいろ

●長所
探索者として狂気に免疫があるので逆境に強く、恐怖と威圧に動じない

●短所
詰めが甘く、天然

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●激突
 赤い荒野を水が覆う。だが乾いた赤い大地は、飢えているようにすぐに水を吸い上げてしまう。その水の流れに乗って大地を駆けるのは、竜の鱗と角を持つ馬。
「ブルルッヒヒィーン!」
 竜馬の群れが血肉を求め、水流に押されて加速し頭を前に傾け角で打ち砕かんと突撃してきた。
「早速次の敵のお出ましか。休む暇もねえぜ。なぁ、おい」
 その正面に立ち塞がるユリウスは、巻き込まれたら撥ね飛ばされそうな突進を前にしても動じずに双剣を構えた。
「相手が地上にいるなら、いつもの手が使えるな。亡霊騎士団、喚起」
 ユリウスの周囲にゾンビやスケルトンの軍勢が現れ、怖れ知らずの亡者たちは突っ込んでくる竜馬を前にしても長槍を手に微動だにしない。
「各自、陣を張り、敵集団に槍を向けよ!」
 指示を発するとすぐさま亡霊騎士団が槍衾を作り、敵の突進を待ち構える。
「重装騎兵の突撃に対する最善の防御法は、長槍を連ねた槍衾だ。速度の乗った敵の突撃自体が、奴らを殺す」
 そのユリウスの言葉の通り、両者がぶつかり合い。突撃してきた竜馬が自らの勢いで貫かれる。硬い竜の鱗が砕け、穂先が肉を抉った。
「ヒヒィッ」
 痛みに悲鳴のような声を上げて竜馬の勢いが弱まる。だがそれを押し退けるように後ろから馬が突進し、強引に前へと押し出してきた。だがその馬も槍に自ら串刺しになるように飛び込み、待ち構えていた槍に身体を貫かれる。そうして前で足を止められると、後方の竜馬達も速度を落とし止まらざるを得なくなった。
「足が止まったな。ではここからはこちらの攻勢だ。行くぞ!」
 ユリウスは白兵戦仕様の剣を持った亡者を率い、反撃だと敵の群れの中へと斬り込んだ。

「空飛ぶ蛮族の次は竜のような馬か。どんなオブリビオンもドラゴンになってしまうんだな。何にしてもこの場所を確保するには倒さないとね」
 蓮が黒竜から飛び降り、刀を振り下ろす。刃がざっくりと落下の勢いを乗せて馬の鱗ごと斬り裂いた。
「硬いな、やっぱり急所を突いた方が楽かな。鱗の無い部分があるらしいけど、上から見た時は見当たらなかったんだよね」
 手の痺れるような硬い物を斬った感覚に、蓮は僅かに顔をしかめ、数を相手にするのは大変そうだと馬の群れを見渡す。
「ヒィーーン!」
 竜馬が角で粉砕しようと頭を向けて突進してくる。
「あの角もドラゴンのものか、硬そうだけど、試してみるかな」
 横にステップして闘牛をいなすように躱しながら、蓮は刀を振るう。金属に当たった時のような反発が伝わるが、両腕に力を込め押し切って刃が角を断ち切った。
「ヒーン!」
 苛立った馬は踏み潰そうと前足を上げて踏み潰そうとする。
「この瞬間を待っていたよ」
 敵が腹を見せた隙に蓮はじっと目を凝らして鱗を観察する。すると腹に鱗のない部分があった。
「見つけた――」
 すぐさま懐に入り、刀をその場所に突き入れる。先ほどまでの手応えが嘘のように、あっさりと切っ先が馬の内部にまで届き、引き抜くと大量の体液が流れ出した。
「ヒヒッ」
 馬はそのまま萎むように倒れ、ぼろぼろと鱗が剥げて中から体液と一緒にころりと、アマゾネスを倒した時よりも大きな宝石が転がり落ちて来た。
「これが竜胆石か……って今はじっくり見てる暇はないね」
 それを拾い上げた蓮は横から新たな馬が突撃してくるのに気付き、飛び退いて躱しながら刀とは反対の手に持った銃を向けて弾丸を放つ。
「ヒューン」
 顔に直撃を受けた馬が怯み、目標を見失って仲間の馬とぶつかり合った。

「弱点があるのは腹か、他もどうせ狙いづらい場所だろう?」
 そこへ踏み込んだユリウスが双剣で鱗の上から斬りつけ、鱗を砕いて装甲の隙間を作り、そこに二太刀目を叩き込んで首を半ばまで断ち切った。
「それを探すより、こうして鱗ごと叩き割った方が早い」
 もう一体ぶつかられて体勢を崩した馬にも、同じようにユリウスは双剣を連続して同じ場所に叩き込み、首を叩き斬った。
「ヒヒィイイイン!!」
「ヒーーーーン!!」
 馬たちが一斉に嘶き、足元から水が湧き起こる。それが津波となって猟兵達を呑み込もうとした。
「津波の弱点は地上で維持が難しいことだね。こうして散らせば荒野の乾いた地面に吸われて消えてしまう」
 蓮が敵のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に水に銃弾を叩き込んで散らしてみせた。すると守護明神が現れ津波が動きを止めた。
「今だよ!」
 声を掛けながら蓮も動き出し、困惑する馬の下に潜り込むように滑り込んで、刀を突き上げ鱗の無い腹に突き刺した。
「隙だらけだな、今のうちに仕掛けるぞ!」
 好機とユリウスも亡者と共に斬り掛かり、馬を斬り倒していく。
「グルルッ」
 傷ついた馬が地面に転がっているアマゾネスの死体に噛みつく。そして肉を引き千切りくっちゃくっちゃと咀嚼して飲み込むと、その身に宿す魔力が増大した。それを真似て他の馬たちも肉を貪り食う。
「ヒィィィーーン!」
 力を増した馬たちが一斉に前脚で地面を蹴り、飛び掛かってきた。竜の角を受けて亡者達が粉砕され、剣や槍で受け止めようとも、それごとへし折られて蹂躙されていく。その勢いでユリウスにも馬が迫った。
「俺を亡者どもと同じだと思うなよ?」
 ユリウスは体勢を低くして角を躱し、馬の前脚を斬り落とす。そして前に倒れ込んだところで、首に二刀を叩き込んで仕留めた。だが次々と馬が迫り、双剣を盾にするユリウスを吹き飛ばした。馬はその落下地点へと駆け出す。
「援護するよ」
 蓮が銃弾を敵の顔に撃ち込んで突進の速度を緩めさせる。
「ああ、血が滾るな。これこそ戦場ってもんだ」 
 その間に立ち上がったユリウスは口の端から血を流しながらも笑みを浮かべ、向かって来る敵をすれ違いながら斬り捨てた。
「時間だ!」
 そこで守護明神が消えて止まっていた津波が動き出し、蓮は飛ぶ黒竜の脚に掴まって空に飛び上がり、ユリウスは亡者の群れを盾にして津波に押し流されるのを防いだ。
「ヒヒーーーン」
 突然動き出した津波に押し流され、竜馬達は猟兵との距離を開けた。
 すぐに水が地面に吸われると、辺りにはアマゾネスに混じって干からびた馬の死体が転がっている。その皮のような死骸から輝く宝石が透けて見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
己の強みを活かせると言う意味では、先程の戦士達よりも余程手強い相手ですね
それにしても…
急所が残ると聞くとかのジークフリートを彷彿とさせますね

◆行動
さて…神たる我が身に呪いがどれ程迫れるのか興味はありますね
取り合えず【呪詛耐性】を高めた【オーラ防御】で守りを固めておきましょう

【罠使い】の技能を活用
【目立たない】様「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

設置後は『涅槃寂静』にて【範囲攻撃】する「死」属性の「濃霧」を行使し【二回攻撃】
私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

的確でなくとも各【範囲攻撃】を駆使すれば弱点を突ける確率も高まるでしょう

負傷は【生命力吸収】で回復


アルナスル・アミューレンス
こんな水の無い所でこれほどの水流を……
とか言ってる場合じゃないよねぇ。

さっきのアマゾネスの死体も残ってるし、面倒だなぁ。
向こうは移動に支障もなさそうだし……。
仕方ないけど、纏めてお『怒涛(ワカレ)』しましょうか。

拘束制御、開放――

我が身から、影の様に水の様に炎の様に、
 黒い不定形の異形を解き放ち、
津波の様に嵐の様に襲い掛からせ、
 アマゾネスの死体も馬たちも、悉く蹂躙し捕食し尽くすよ。

ガワが固いなら、丸ごと飲み込むまでさ。
何処までも追跡し、捉え、生命力とさせてもらうさ。

あぁ、心配しなくても大丈夫。
僕が喰らうのは、オブリビオンだけさ。
他の猟兵さん達は、触れてもちょっとゾワッとするだけだよ。


愛久山・清綱
お次は鱗を持った竜馬が現れたか。
ふーむ……本来違う存在でも此処では竜になるのだな。
さて、あの鱗の守りは……どう砕くべきだろうか?
■闘
相手が獣に近しい存在なら、【野生の勘】で動きを予測しつつ
【見切り】、【カウンター】の太刀で追い払つつ距離を取ろう。
問題はやはり急所の把握であるが……

こうなれば是非もない。身体全体を攻撃してみよう。
居合の構えを取り、敵の集団目がけて【早業】の抜刀から
放たれる【薙鎌】でカマイタチを起こし、【範囲攻撃】で
身体全体を切り裂いてやろう。

其れらしい場所を発見したら近くにいる仲間に叫び、
もう一度急所を狙った【薙鎌】で粉砕してやるのだ。

※アドリブ連携歓迎・不採用可



●急所
「ブルルッルゥッ!」
 手傷を負い気の立った馬が反転し、興奮した目で猟兵を睨みつける。
「お次は鱗を持った竜馬が現れたか。ふーむ……本来違う存在でも此処では竜になるのだな」
 硬い鱗に覆われた馬型の竜とでも呼ぶべき存在を前に、清綱は鞘に納まった刀の柄に手を触れる。
「さて、あの鱗の守りは……どう砕くべきだろうか?」
 そして鎧の如き全身を守る鱗の攻略法を考える。
「己の強みを活かせると言う意味では、先程の戦士達よりも余程手強い相手ですね」
 先ほどの蛮族よりも竜の能力を活かした戦い方に、厄介な相手だと絶奈は油断なく戦いの準備を行う。
「それにしても……急所が残ると聞くとかのジークフリートを彷彿とさせますね」
 絶奈は神話の勇士を連想し、その勇猛な戦士もまた急所を突かれ倒れたのだと結末を思い出した。
「ブルゥッヒヒーーーーーン!」
「ヒィィーーーン!!」
 竜馬が嘶くと津波が起こり、その流れに乗ると加速して突進を開始した。
「こんな水の無い所でこれほどの水流を……とか言ってる場合じゃないよねぇ」
 感心してる場合ではないと、アルナスルは辺りを見渡す。そこにはずぶ濡れになったアマゾネスの死体があちこちに転がっていた。」
「さっきのアマゾネスの死体も残ってるし、面倒だなぁ。向こうは移動に支障もなさそうだし……」
 食べられると相手がパワーアップしてしまう。それを阻止する方法も考えるが、相手の機動力が高く正攻法では難しい。
「仕方ないけど、纏めてお『怒涛(ワカレ)』しましょうか」

 拘束制御、開放――。

 アルナスルがユーベルコードを発動する。ぞわっと背筋の凍るような寒気が辺りに居るものを襲い。その身体から影とも水とも炎とも思えるような、黒い不定形の異形が解き放たれる。
「ガワが固いなら、丸ごと飲み込むまでさ」
 その黒い異形が津波のようにアマゾネスの死体を呑み込み、バキボキと粉々に砕いて捕食するように消えてしまう。
「ヒヒィーーーーーン!」
 そんな恐ろしい波に、正面から竜馬の乗った津波がぶつかる。暴走し怖れ知らずの馬が黒い異形に踏み込むと、前脚が喰い千切られたように失われる。
「ヒィンッ!」
 次々倒れ込む仲間の身体を足場に、跳躍して竜馬が黒い波の上に津波を走らせ飛び越えてくる。
「なかなかやるねぇ、だけど何処までも追跡し、捉え、生命力とさせてもらうさ」
 アルナスルが敵の闘争本能を褒めて駆ける竜馬に意識を向ける。すると黒い津波は流れを変え、追いかけるように馬達へと流れ出した。

「ブルゥッヒヒーーーーン!」
 竜馬達は自前の真っ直ぐな角と、竜角を備えた頭を向けて突進してくる。
「動きは獣そのものか、それならば避けるのは難しくない」
 清綱は敵の動きを見切り、予測して突撃を避けながら刀を抜き打つ。胴を刃が斬り裂くが、硬い鱗に阻まれ致命傷とはならない。
「これでは武者鎧の上から斬るようなものか、問題はやはり急所の把握であるが……」
 一見して分かる位置には無さそうだと、清綱は敵の鱗に覆われた姿を観察する。
「こうなれば是非もない。身体全体を攻撃してみよう」
 刀を鞘に納め、清綱は居合の構えを取った。そして離れた位置から一閃。抜刀と共に放たれるカマイタチが無数の刃の嵐となって放たれ、竜馬の群れを襲う。全身を切り裂かれるが、鱗が身を守り浅い裂傷が走るに留まる。だが腹の部分からドバッと体液が溢れ出した。
「そこか――急所は腹にあるようだ!」
 その損傷から清綱が腹の部分にあると、仲間達に伝える。そして自らは低く構え、下から掬い上げるように刀を斬り上げ、カマイタチで敵の腹を斬り裂いた。深手を負った竜馬は体液の全てが流れ出るように萎み、倒れ伏せて体液の中から光る宝石が姿を見せた。
「竜胆石か、高価なものらしいが、今はそれどころではない」
 横から竜馬が突進してくるのを清綱は飛び退いて避け、すれ違いながら腹を斬り裂いてまた一頭仕留めた。
 だが暴れ馬の集団の腹を一気に狙うのは難しく、多くがそのまま通り過ぎていく。

「さて……神たる我が身に呪いがどれ程迫れるのか興味はありますね」
 絶奈は迫る竜馬の群れを前に、青白きオーラを纏って備える。そして竜馬が絶奈に向けて突っ込むと、仕掛けておいた罠が作動し、指向性散弾が馬に浴びせられた。しかし装甲の如き鱗が弾を弾く。
「ヒィン!」
 そして竜馬が怨嗟の呪いを放ち、どす黒い視認できる波動が絶奈の身体を襲う。オーラとぶつかり合い、火花を散らすようにオーラが削られる。だが絶奈はオーラを強く補強し耐え凌いだ。
「やはり散弾では竜の鱗を貫けませんか」
 オーラで身を守りながら冷静に敵の防御力の高さを確かめ、絶奈は次の手を打つ。
「では装甲に関係なく、その身を蝕む攻撃はどうでしょうか」
 絶奈が天に向かって手を伸ばし、森羅万象へと干渉して辺りに黒い濃霧を生み出した。
「ブルルルゥ……ヒュックィー……」
 それが竜馬を包み込むと、興奮して大きく息を吸った馬の体内にまで濃霧が入り込む。すると馬が苦しみだし、口から泡を噴き出した。
「死を宿す濃霧です。竜の鱗を纏おうとも、内からの攻撃は防げないでしょう」
 絶奈は霧をさらに濃くし、馬達を覆っていく。

「ヒヒィーーーー!」
 その霧を突破せんと、竜馬が津波と共に駆け出す。だがその津波に多い被さるように黒い波が押し寄せた。
「追いついたよ。あぁ、心配しなくても大丈夫。僕が喰らうのは、オブリビオンだけさ」
 黒い波と化したアルナスルは猟兵も竜馬も纏めて呑み込む。
「他の猟兵さん達は、触れてもちょっとゾワッとするだけだよ」
 安心するように仲間に説明し、アルナスルは馬へと意識を向けた。黒い蠢く波に呑み込まれた馬は、鱗など関係なく隙間や顔の穴から侵食するように身体を貪り喰われていく。
「ヒーーーン!」
 竜馬はまだ喰われていない近くのアマゾネスに駆け寄って喰らいつこうとする。
「足を止めたな、餌に釣られるとはやはり頭はただの獣か」
 そこへ横から踏み込んだ清綱が下段に構えた刀を突き入れ、腹の鱗のない急所を貫いた。ずぶりと切っ先が深く入り、引き抜くと体液がまるで津波のように噴き出し、竜馬は萎むように倒れ伏せた。
「急所を突けば脆いものだ。まだ竜の成りそこないといったところか」
 清綱が振り向きながら刀を振るう、すると甲高い音と共に、迫っていた竜馬の角とぶつかって火花を散らした。
「とはいえ油断は禁物。残りも確実に仕留めさせてもらう」
 襲い掛かる竜馬の攻撃を受け流し、清綱は腹を斬り上げて急所を裂く。そしてすぐに次の敵へと刃を向け、刀を振るった。
「ブルルルッヒヒ―!」
「ヒヒーーーーン!」
 残り僅かとなった竜馬が追い詰められようとも引かず、殺戮衝動のままに一斉に突進を開始する。
「全速で駆ける騎馬の腹を狙うのは至難の業でしょう。まともに戦うならば、と前置きが付きますが」
 堂々とその前に姿を晒す絶奈に、竜馬が粉砕せんと地を飛ぶように駆ける。だがその足元から罠が作動し、散弾が真下から腹を撃ち抜いた。
「弱点が分かってしまえば、どれほどの装甲であろうとも無意味です」
 絶奈が仕掛け直した罠が次々と馬の急所に弾を叩き込む。しかしその罠を勢いで抜ける馬が角を向けて突進する。
「残念だけど、そこまでだよ」
 その前を塞ぐようにアルナスルの黒い嵐が巻き起こり、馬を呑み込んだ。
「惜しかったねぇ」
 するとガリゴリと骨を削るような音が聞こえ、ヒィィンと馬の悲鳴が轟いた。


 戦いが終わり、辺りには干からびたような大量の馬と、戦いの余波でボロボロになって僅かに残っているアマゾネスの死体が転がっている。
「アマゾネスの死体は結構食べちゃったけど、馬の死体が大漁だねぇ」
 馬から零れ落ちている大きな宝石をアルナスルは拾い上げ、食べ残しのアマゾネスの宝石と並べて眺めてみる。すると一回り馬から手に入れた物の方が大きかった。
「うむ、竜化が進んでいるほど大きな宝石を持っているようだな」
 清綱も落ちていた宝石を確認する。確かに高価な値が付くというだけあって、美しい輝きを宿していた。
「では次の敵はもっと大きな竜胆石を宿している事になりますね」
 こちらに近づく凶暴な殺気に気付き、絶奈は空を見上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『戦闘種族『護理羅』』

POW   :    魔闘武術『瞬力』
【自身の属性+武術を合体させた技】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    魔闘武術『歩闘』
【自身の属性+武術を合体させた技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    魔闘武術『連魔』
【属性攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自身の属性+武術を合体させた技】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。

イラスト:FMI

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ドラゴンと化した護理羅
 蒼天を埋め尽くすようなドラゴンの翼を持った人型や獣のオブリビオンの群れ。それらが争う空の戦場に、高速で飛翔する他の群れが突入した。
「ホホホホホッ」
「ンホッボォ!」
 咆える群れはあっという間にオブリビオンの群れを薙ぎ払う。硬い拳は容易くドラゴンの翼をへし折り、手にした剣は一刀両断に斬り裂き、額から伸びる竜の角は敵を貫き風穴を空ける。その動きには武を研鑽した敵を倒す為の効率的な技があった。
 一気に仲間が倒されようとも攻撃を受けたオブリビオンが反撃する。だが纏う強固な鱗が弾き、生半可な攻撃を受け付けない。そして相手に体勢を整える暇を与えず、竜の翼を広げて加速し、空を自由に飛んで殲滅する。

 それは人型だが、人よりも猿に近い体型をしたオブリビオンの群れ。だがその筋肉質な身体は鎧のように竜の鱗に覆われ、額からは鉄でも穴を穿ちそうな硬い竜角を生やし、背には自由に空を飛翔する竜翼を生やしている。
 猿が人ではなく竜へと進化したような姿をしたオブリビオンが制空権を掌握した。その視線が次は地上だと下に向けられる。そこには地上を確保している猟兵達の姿が目に映った。
「ホホホホーッ」
「ンホホッ!」
「ウーーホォ!!」
 竜猿とでも呼ぶべき群れが雄叫びを上げ、戦いを前に鼓舞するように空を舞い始めた。

 ドラゴンの翼に鱗と角まで持った恐るべき敵が空から迫る。だが今までの戦いを経験した猟兵達はその対処法を知っている。
 もう周辺に他の敵は居ない。この竜猿の群れを倒せばこの地を制圧できると、残った力を出し切るつもりで猟兵達は戦いに挑む。
ユリウス・リウィウス
ああ、上を取られるのは面倒だな。どうしても機動を把握しづらい。
だが、ドラゴンブレスでの一撃離脱という戦法を採ってこないなら、まだ対処は出来る。
攻撃のために地上へ降りてこなければならないのは、致命的だな。

前提として、孤立して複数体の敵を同時に相手取る状況は避ける。敵味方の居場所はしっかり把握して、位置取りに常時気を配ろう。
出来る限り、一対一かこちらの数が上回る状態を作り出したい。

さて、迎撃だな。狙いづらいところが弱点なら、延髄辺りか?
まあいい。弱点狙いよりもっと単純に、敵が突っ込んできた時に「カウンター」の虚空斬で叩っ斬る。
「精神攻撃」と「呪詛」のおまけ付きだ。物理的に防御出来るものじゃないぜ?


ラティナ・ドラッケンリット
竜殺しの為に竜の鱗を砕く術は備えているが
脆い部分があるなら狙わない手もない
まず豆の木を梯子のように伸ばし
視界を確保しつつ少しでも敵に近付く
竜鱗のない急所を観察によって見切りつつ
脚に限界まで力を溜めUCを使用
空中だろうが視えているなら
間合い深くまで踏み込んでやる
至近距離から屠竜刀『まかろん』で
竜鱗に覆われていない急所を断つ
更に穿竜槍『たると』を突き立て
強引に敵の体を地面の方に向け即席の足場にする
敵は群れだ
空中で動けなくなる訳にはいかない
足場にした敵を蹴って跳躍し次の敵に向かって襲い掛かる
それを繰り返して敵に攻撃するが不安定な空中での戦いだ
必要に応じて守護者『しょこら』を投擲して敵を牽制する


朝霞・蓮
●キャラ
人間の竜騎士 × 探索者 17歳 男
口調:(僕、呼び捨て、だ、だね、だろう、だよね?)

●戦い方
至近:アイテム『百膳』を使用して切り結んだり、竜言語で身体強化して格闘したり
近中:槍投げしたり銃で射撃。その時に機動力を求められるなら竜に騎乗
遠:攻撃手段がないので接近

●その他できること
錬金術でいろいろ

●長所
探索者として狂気に免疫があるので逆境に強く、恐怖と威圧に動じない

●短所
詰めが甘く、天然

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


霧島・絶奈
◆心情
まさに適者生存ですね
強みを活かした強敵です

しかしながら、この場にて最適進化を果たした存在が竜種ではない事を証明してみせましょう

◆行動
【罠使い】のを活かし作成した「魔力強化した巨大蜘蛛の糸で編んだ網」を【衝撃波】に乗せて投射
鱗は穿てなくとも引き摺り下ろす事は叶います
また周囲にも【目立たない】様に設置

鉛筆程の太さがあれば旅客機ですら受け止めると嘯かれる蜘蛛糸…
其の特性と強度を底上げした一品、破れますか?

設置後は『涅槃寂静』にて【範囲攻撃】する「死」属性の「濃霧」を行使
私自身も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃

負傷は各種耐性と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


愛久山・清綱
此奴等が最後か……あの鱗と、自在に飛べる羽を
どう攻めるかがカギとなりそうだな。

■決
翼で羽ばたき、【空中戦】を挑む。
縦横無尽に飛ぶことで敵を惑わすのだ。

■闘
して、俺は援護に徹しよう。

先ず敵には可能な限り接近せず、距離を取る。
万一近づかれそうになったら【野生の勘】で襲撃の瞬間を
予測しつつ動きを【見切り】、その場から離れる。

敵が密集している所を発見したら居合の構えを取り、
【山蛛・縛】を放つ準備を行う。
初撃に中距離から【マヒ攻撃】を絡めた【範囲攻撃】を
放って動きを止め、二撃目に斬撃の嵐を呼び起こし敵の
全身を切り刻み、弱点を探るのだ。

弱点を見つけたら周囲の仲間にすぐさま伝達しよう。

※アドリブ・連携歓迎



●空を覆う竜猿
「ああ、上を取られるのは面倒だな。どうしても機動を把握しづらい」
 ユリウスは空を見上げ、自由に飛び回る竜猿の群れを警戒する。
「だが、ドラゴンブレスでの一撃離脱という戦法を採ってこないなら、まだ対処は出来る」
 本物のドラゴンならブレスによる攻撃で、今より困難な戦いとなっていたかもしれないと想像する。
「攻撃のために地上へ降りてこなければならないのは、致命的だな」
 それならば幾らでも戦いようはあると、ユリウスは孤立して各個撃破されぬよう仲間との距離に気を配りながら双剣を構える。

「まさに適者生存ですね。強みを活かした強敵です」
 絶奈は竜の強靭さを手に入れ強化された、肉体戦特化のオブリビオンがこうして生き残っているのに納得する。
「しかしながら、この場にて最適進化を果たした存在が竜種ではない事を証明してみせましょう」
 竜と化したからといって、必ずしも生き残れるとは限らない事を証明しようと絶奈は罠の準備を始めた。

「猿型のドラゴンか、今までの中では一番ドラゴンに近い姿だね」
 蓮が敵を見上げ、その姿に小型のドラゴンを思い浮かべる。
「それだけ能力も高いということか、油断せずに行くよ」
 黒竜に乗った蓮は魔動機銃を構え、竜猿を相手に空中戦を挑む。
「向こうに飛び道具がないなら、こっちが有利なはずだよ」
 そしてこちらに気付いて向かってくる敵に銃口を合わせ引き金を引く。
「ホォゥッ」
 放たれた弾丸は竜猿の腕によって防がれた。竜鱗が割れるが衝撃が逃され体内に入る前に弾かれた。
「普通の弾ではダメか……」
「ホッホゥホッ!」
 一気に加速した竜猿が距離を詰めて拳で殴り掛かる。蓮が黒竜の背をポンと叩くと、すぐさま黒竜が下降して攻撃を躱した。
「この弾ならどうだ」
 強力な竜言語と魔火薬を込めた竜星弾を素早く装填し、敵の腹に向かって発砲した。放たれた弾丸は敵の腹にを撃ち抜き、背中から飛び出した。
「ボァッ」
 血反吐を撒き散らしながら竜猿が地上へと落下し、墜落の衝撃で傷口から内臓を飛び出させて砕け散った。
「これなら通るみたいだね。一匹ずつ仕留めていくよ」
 次の敵に向けて黒竜が旋回し、蓮は銃口を向けた。
「ホッホッホゥ!」
「ホーゥホォーゥ!」
 すると竜猿達が散開し、包囲するように蓮を狙い始めた。
「囲まれないように引き付けるよ!」
 蓮は狙いを定める暇なく、銃撃で牽制しながら敵を近接戦の間合いに入らせない。

「竜殺しの為に竜の鱗を砕く術は備えているが、脆い部分があるなら狙わない手もない」
 急所があるならそれを狙うのが正攻法だと、ラティナは種を地面に放り豆の木を梯子のように伸ばして足場を築き上げた。
「これで飛んでる相手でも近づける」
 梯子を上り、空を行き来する竜猿との距離を詰める。そして視界の開けた上空で敵をよく観察し急所を探す。すると旋回する背中に鱗の生えていない箇所を見つけた。
「見つけた、背中か」
 蓮をつけ狙う敵の軌道をしっかりと目で追いながらラティナは屈んで脚に限界まで力を溜める。
「空中だろうが視えているなら、間合い深くまで踏み込んでやる」
 ラティナはユーベルコードを発動し、豆の木を蹴って跳躍し、まるで空中を駆けるように一瞬にして間合いを詰め、空飛ぶ竜猿の背後を取った。
「ンホゥッ!」
 そこで敵が気配に気付き振り返ろうとする。
「遅い」
 だがそれより先にラティナが重量と鋭さを併せ持つ片刃の屠竜刀『まかろん』を振り抜き、竜鱗の無い背中を斬りつけた。深く刃が入り、心臓にまで達する。
「ギャッ」
 短い悲鳴を上げ、口から血を吐いた竜猿は痙攣して動かなくなる。
「ホッホッホゥ!」
 竜猿が仲間をやられたのを見て、興奮したように咆えて落下するラティナに向かって飛翔してくる。
「次の敵が来たな」
 ラティナは落下する死骸に穿竜槍『たると』を突き立て、強引に足元に引き寄せて足場にする。
「空中で動けくなったと思ったか? 翼はなくとも知恵を使い工夫すれば空でも戦える」
 地面に叩き落とす勢いで死体を蹴ったラティナは、敵に向かって跳躍し屠竜刀を振り抜いて、その硬い竜鱗の身体を袈裟に斬り裂いた。そして怯んだ敵を蹴ってまた違う敵へと襲い掛かり空中を自在に動き回る。

「此奴等が最後か……あの鱗と、自在に飛べる羽をどう攻めるかがカギとなりそうだな」
 清綱は強固な竜鱗と、空を飛び回る翼に注視して戦い方を思案する。
「地上からでは不利か、ならばこちらも空を舞おう」
 己も翼を羽ばたかせて空へと飛び上がる。
「縦横無尽に飛んで惑わせてみせよう。そうすれば仲間の援護となるだろう」
 敵の機動力を少しでも落とせば、仲間が戦い易くなるはずだと清綱は敵と距離を取った。
「ホーッホゥホゥ!」
「ホーゥ!」
 咆える竜猿達が一斉に清綱に向けて突っ込んで来る。刀を持った敵が首を刎ねんと刃を振り抜く。
「鋭い一撃だが、それだけ勢いをつければ太刀筋を見抜くのも容易い」
 それを見切って清綱は上昇して躱し、続く敵の拳をもそのまま飛んで避け、距離を大きく取った。
「ホゥッホッ!」
 竜猿はそれを追いかけ、翻弄されるように包囲が崩れていく。

●竜退治
「さて、迎撃だな。狙いづらいところが弱点なら、延髄辺りか?」
 先の竜馬と同じように狙われ難い場所にあると予想したユリウスは、敵の背面が怪しいと睨む。だが動き回る敵の背中など確認のしようがなかった。
「接近しなくては確認できないか……まあいい。弱点狙いよりもっと単純に、こうやって叩っ斬ればいいだけだ」
 手に力を込めてユリウスは敵が上空から突っ込んで来るのを待ち構える。
「ホゥッ!」
 すると目が合った竜猿が急降下して襲い掛かってきた。両の鉄塊の如き拳を握り固め、叩き潰さんと頭上から振り下ろす。
「禍太刀の一閃は、竜をも断つ」
 両者が交差する瞬間にユリウスは双剣を振るい、左の刃で拳を手首から斬り飛ばす。そして反対の腕で胴を薙ぎ、それを防ごうとしたもう片方の腕ごと腹を裂いた。
「咄嗟に身を守ったか、だが『精神攻撃』と『呪詛』のおまけ付きだ。物理的に防御出来るものじゃないぜ?」
 ユリウスが振り向けば、そこには意識を一瞬飛ばして空中制御を失った敵が地面に墜落して転がっている姿があった。鋼のような竜の鱗が裂け、腹の傷口から内臓がはみ出している。
「ホッホゥ!!」
 だが重傷を負おうとも、戦意を失わずに手で内臓を強引に押し込み、片腕で押さえながら地を蹴り、翼を羽ばたかせて体当たりをしてくる。
「普通ならそのまま死ぬような傷なんだがな、ならその首を刎ねて息の根を止めてやる」
 そのままぶつかれば骨が砕けそうな突進をユリウスは横に躱し、剣を振るってその首を刎ね飛ばした。高々と首が飛んで落下し、身体はそのまま前に倒れ込んで動かなくなった。
「首が無くなったら流石に動けねえだろ? なあ、おい」
 死んだのを確認し、ユリウスは新たに襲い掛かって来る上空の敵に向けて双剣を構える。

「武を誇る相手に正面から挑むのは困難。ならば搦め手でいきましょう」
 空を見上げタイミングを見計らった絶奈は、魔力強化した巨大蜘蛛の糸で編んだ網を衝撃波に乗せて投射した。蜘蛛の巣のように網が広がり、飛ぶ竜猿をその内に捕えた。
「ホゥッホッホォ!」
 竜猿は暴れて網から逃れようとするが、もがくほど絡まって地上へと落下していく。
「こうすれば鱗は穿てなくとも引き摺り下ろす事は叶います」
 罠に掛かった敵が地上に落ちたのを確認した絶奈は、すぐに空を見合げて次の敵を狙って網を投射した。
「網か、そんな姿になっちまったら竜とは呼べんな」
 そこへユリウスが双剣を振り下ろし、止めを刺して次の敵はどこだと空を見上げた。

「そろそろ集まってきたか」
 空中で何度も襲撃してくる敵を捌いていた清綱が周りを見渡す。そこには敵ばかりが集まって、逃げ回る清綱に一斉に攻撃せんとしていた。
「俺を追い詰めたつもりなのだろうが、捕らわれるのは其方の方だ」
 清綱が居合の構えから刀を抜き打つ。斬撃が周囲の空間を斬り裂き、敵を空間に縫い付けたように動きを止めさせた。
「……秘儀・山蛛」
 刀をゆっくり納刀すると、無数の斬撃の嵐が巻き起こり、敵の群れの全身を切り刻んだ。一つ一つは鱗を断ち切る力はないが、幾重にも重なり鱗が割れ血が流れていく。その中でも背中は特に酷く真っ赤に染まっていた。その背後に回り、背中を確認して清綱が刀で斬り捨てる。何体か確認すると、多少位置の違いはあれど、皆背面に鱗の無い場所があるようだった。
「背に弱点があるようだ!」
 清綱は竜鱗のない場所が背にあると仲間達に伝える。
「ホォーー!」
 強引に空間に縫い止められた身体を引き千切り、竜猿が飛び出して突進してくる。頭の竜角を前に清綱を貫こうとする。

「ここは任せろ」
 敵を蹴って空を跳ぶラティナが丸い盾、守護者『しょこら』で割り込んで攻撃を受け止める。だが空中では堪え切れずその衝撃で後方へと飛ばされる。
「まだだ」
 吹き飛ばされながらラティナは盾を投げつけ、敵にぶつけた。衝撃で体勢を崩した竜猿の動きが止まった。
「動きが止まった。狙い撃ちだよ」
 そこへ蓮が銃口を向け、弾丸を敵の背中に叩き込んだ。ぐらりと竜猿の身体が揺れ、背中に空いた大穴から大きな輝く宝石を覗かせながら地上に落ちた。
「この調子で仲間と戦っているのを撃ち落としていこう」
 隙を見せる敵を探し、蓮は騎乗する黒竜を飛翔させて射線を確保する。
「一体ずつ確実に倒していくよ」
 狙い定める蓮の側面から高速飛翔する竜猿が迫る。
「ホッゥ!」
「混戦だ、四方に意識を向けないと危険だな」
 その竜猿の下から、地を蹴って舞い戻ったラティナが懐に入り、屠竜刀を振るって敵の腹を抉って吹き飛ばす。
「助かったよ、ありがとう」
 その間に蓮は狙っていた敵を狙撃し、ラティナを黒竜の背に着地させた。
「協力して倒すとしよう」
 ラティナは黒竜の背を足場にして跳び、吹き飛ばした敵に追いついて穿竜槍を背中に突き立てた。
「了解だよ」
 蓮はそのラティナを狙おうとする敵に弾丸を撃ち込んだ。

「ホゥッホッホッ!」
「ホォッ!」
 残り少なくなった竜猿達が高々と舞い上がり、反転して急降下し加速して流星のように降り注ぐ。直撃すればクレーターが出来そうな勢いで蹴りを放つ。
「一気に勝負を決めにきましたか、まともにぶつかれば被害は甚大でしょう。ですが、大技というのは動きを読み易いものです」
 冷静に絶奈は敵の動きを予測し、そこへ衝撃波と共に網を放った。
「鉛筆程の太さがあれば旅客機ですら受け止めると嘯かれる蜘蛛糸……其の特性と強度を底上げした一品、破れますか?」
 網に掛かった竜猿がその勢いで強引に突破しようとするが、軌道が逸れて誰もいない場所に蹴りを撃ち込み、地面に大きな穴を穿った。
「敵の動きを制限しましょう」
 森羅万象へと影響を及ぼした絶奈は黒い濃霧を発生させ、空を覆うように広げた。その空間に敵が入ると、ひゅーひゅーと息が漏れ、苦しみだして降下してくる。
「死を含む霧です。竜であろうと呼吸をするなら其の身を内から蝕みます」
 落下してきたところに待ち構えた絶奈が剣と槍を振るい、剣で竜鱗を傷つけ、そこに槍を突き入れて仕留めた。
「地上に降りたね」
「ここで決めてしまおう」
 蓮とラティナも地上に降下し、ラティナが急降下しながら敵の身体を穿竜槍で串刺しにした。そして蓮は意識がラティナに向いた敵の背中に弾丸を撃ち込み、急所を突いて心臓を破壊する。
「ホッホゥッホゥァー!」
 咆える竜猿がまた空に飛び上がろうとする。
「背中ががら空きだ。そしてやはり背後に鱗に護られない弱点があったな」
 ユリウスは敵の後頭部に鱗の無い部分に刃を突き入れた。脳に切っ先が届き、一撃で意識を途絶え絶命させる。
「弱点を突けば脆いもんだな」
 倒し方が分かれば恐れる相手ではないと、ユリウスは仲間と連携して背後を攻め立てる。
「後少し、このまま押し切る!」
 低空を飛行した清綱がユリウスに意識を向ける敵の背を斬りつけ、返す刀で近くの敵も斬り倒した。
「終わりだ」
 最後の一体にユリウスが双剣を背中に突き刺し、簡単に刃が敵の心臓にまで届き、血を吐き出しながら竜猿が倒れた。その背中には太陽に照らされた宝石の輝きが覗いていた。

●宝石
 周辺のオブリビオンを掃討すると、空を覆っていた敵影が無くなり、青空が拝めるようになる。
「これが竜胆石か、強い方がいい物になるのは、体内で成長してるってことか」
 ユリウスが死体の背中の傷から覗く美しい宝石を取り上げ、光を当てて初めて見る石を不思議そうに眺めた。
「体内でこのようなものが精製されるとは、身体が竜と化していく影響か」
 オブリビオンが竜と化す過程で、何かしらの影響を受けて宝石が作られるのだろうかと清綱は考える。
「竜の財宝というほどではないが、報酬としては十分過ぎるものだな」
 ラティナも宝石を拾い上げ、売れば最高級の宝石レベルの値が付くだろうとその輝きを鑑定するように透かして見る。
「とりあえず拾えるだけ拾おうか、放っておくのも勿体ないし」
 蓮が消えていく死骸から宝石の回収を始めた。
「宝石も良いですが、これで橋頭堡が築けます。群竜大陸のさらに奥がどうなっているのか、興味深いですね」
 絶奈が荒野の奥へと視線を向けると、仲間達も同じように遠くを見る。

 まだ先は長そうだが、着実に攻略は進んでいる。ここを拠点の一つとして、新たに大陸の奥地へと侵攻できる。宝石の報酬よりも冒険心の強い猟兵達は、まだ見ぬ新たな冒険へと思いを馳せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年03月20日


挿絵イラスト