マントを止めている花飾りに合わせた髪飾りもひよこさんが入っている巾着も、この商店街で見つけたのだと、最初は照れ照れやがてえへんと胸をはったり。そんな長閑な態度でいいのかとの疑問が出る前にレテの説明は再開する。
一縷野望
オープニングをご覧いただきありがとうございます、一縷野です
このシナリオは、下記の構成でお送りします
・1章目:大正レトロ商店街でお買い物を愉しもう!
・2章目:1章で得た情報に従い調査
・3章目:ハートフル系のお話
1章目だけのスポット参加も大歓迎です
以下は、1章目の補足です
>1章目の受付期間
1/28の午前8:31 ~ 1/29の23:00頃までにいただいた【全ての方を採用します】
(ただし、公序良俗に反する方や、同行記載があるのに相方さんがいらっしゃらない等の描写が困難な方は流させていただきます)
・締め切りの時点で25名様を越えたら、全員に再送をお願いするかもしれません
・文字数控えめプレイングは相応に描写が少なくなります
以上2点、ご了承ください
>同行
迷子防止に【グループ名】か【相手様の呼び方とID】をプレイングの冒頭にお願いします
>1章目でできること
以下よりひとつ選んで下さい
1~3の人は聞き込みプレイングは不要です。遊びに全振りでどうぞ!
1.お肉屋さんの揚げたてコロッケや唐揚げを食べ歩き
2.和小物屋さんで、小物や練り香水をお買い物(香水は金木犀、沈丁花、桜…他にも好きな香りをご指定ください、大抵はあります)
3.お茶屋さんで緑茶に乾燥果物などを調合してオリジナルのお茶を作る。併設カフェでそのままお茶会もできます
(合わせられる果物:柘榴、蜜柑、檸檬、柚、林檎/花:サクラ、金木犀/香ばし系:玄米、黒豆、爆ぜ玄米/その他ご指定いただければ大抵あります)
4.聞き込み(1~3のお店で楽しみつつや、聞きたい相手を捕まえてなどお任せします)
>聞き込みについて
4を選ぶ人がいなくても、1~3の人がそれぞれ話を聞けたということで2章目へ進みます
4を選んだ方がいらっしゃったら、その人の章が情報を出すリプレイになります
>アイテムについて
マスターからのアイテム発行はありませんが、このシナリオで買い求めた設定でお作り頂けるのは歓迎です!
以上です。
愉しいお出かけにいってらっしゃい♪
第1章 日常
『あなたのことを教えて』
|
|
POW | 積極的に話しかける。 |
SPD | 関心を持たれそうな話題を提供する。 |
WIZ | 場を和ませるように、笑顔で接する。 |
👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
司・千尋
【2】の和小物屋で買い物
アドリブ他者との絡み可
偶にはこういうのんびりする日があるのも良いな
店員と談笑したり、ついでに聞き込みっぽい事をしてみたり
フラフラしながら色んなお店を見て歩く
からくり人形の宵と暁に似合いそうな装飾品とか探しつつ
飾り紐とか見かけたら自分の本体と比べて
こっちの方が良い材料使ってる…とか
色合いは俺の方が…!とか
一喜一憂して過ごす
ヒトにとっては何気ない日常でも
モノである自分には何もかもが新鮮で面白い
折角の機会だからゆっくり楽しもうかな
フォンミィ・ナカムラ
2
初めて歩くサクミラの雰囲気に興味津々
わー、なんかアニメや漫画の中みたい!
桜舞い散る街を楽しげに歩くよ
レトロで可愛らしい街並みの中で、ふと目に止まったのは和小物のお店
「これ何だろ? リップクリーム?」
練り香水を見るのも初めて
普段はまだ香水どころかお化粧も早いくらいのお子様だからね
色々な香りを試してみて、最後に選んだのは梅の花の香りの練り香水
ちょこっと付けるとさりげなく香るのが、なんか普通の香水よりオトナな気分でわくわく
みんなに自慢しちゃいたいけど……猟兵のことは学校の友達や周りのオトナには内緒だから、この練り香水はあたしだけの秘密の宝物
特別な日だけ使おーっと!
寺内・美月
アドリブ・連携歓迎
②の小物屋で色々購入。
自身が使う髪留めやお守り入れ、家族や同僚へのお土産などを買ったりして過ごす。
ただし、練り香水は購入しようとするも、どの香りにするかで悩む(可能性大)。
「うーん、柑橘系かハーブか…。甘い香りも捨てがたいですが…むぅ」
(男子と言えど肌や服についたニオイは気になる模様)
※購入する練り香水はSM様のお任せ。
●
例えば石畳、例えば右から読むレトロフォントの看板、例えば……なんて。日常生活を過ごす場よりも薄もやに包まれたこの世界は、フォンミィ・ナカムラ(スーパー小学生・f04428)にとってはアニメや漫画の中みたい! 胸がわくわくすることこの上なし!
あどけない少女の目を特に惹いたのは、晴れやかに咲く和傘が目印の和小物の店。
「……ええ、濡れ手ぬぐいで拭えば綺麗に落とせますから、絡繰り人形さんのお面につけるのがお勧め……あ、いらっしゃいませー!」
会話につきあってくれた店員を見送ったならお次は朱や紺の和色の飾り紐と、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は歩を進める。
「ふーむ、これは良い材料を使っているな。長く永く保ちそうだ」
インバネスコートを閉じる組紐飾りは、丁寧な仕事で編み込まれている。飾り紐のヤドリガミであるからして、そこの審美眼は誰よりも間違いがない。
「しかし、使い込まれた色合いは新しい物にはまだまだ出せぬな」
宵と暁に、紅色と紺色のグラデーションが逆さまになっている揃いを見立ててやろうと手に取っている隣では、寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)が、脳裏に家族の顔を浮かべてのお守り用の巾着選び。
息災なく過ごして欲しいとのお守りをくるむ、金糸の刺繍で縁起物の龍が縫われた小さな巾着をひとつふたつ……。
常に戦闘に携わる者としての教育を受ける美月の容は遊びのないものではある、が、彼は先程はしゃいでいたフォンミィとさほど年齢の変わらぬ少年でもあるのだ。
「これならば制服にも馴染むだろうか」
華美さ控えめで良いと手に取ったのは、偶然にも千尋が暁と宵へ誂えた物を髪飾りに仕立てたものである。
フォンミィは女学生や恋人達がはしゃぐ店内で、明らかに雰囲気の違う二人に気が向いた。
「あの……」
もしかしてと伺うまぁるい紫の瞳を、まず気がついた千尋が柔和な微笑みで頷き迎える。続けて、鴉羽色の上着に馴染む飾りをあれこれと押し当てていた美月も振り返った。
「お二人とも猟兵ですか?」
「ええ。偶にはこういうのんびりする日があるのも良いな、と」
犬を連れた失踪者の話をあれやこれやと聞き出し買い物の楽しみに興じていたと、千尋。
「わー、そうなんだ」
フォンミィはキラキラの瞳で二人を見比べた後でにこっとする。
「嬉しいな。こんなお洒落なお店や、レトロでアニメの中みたいな町並みを、みんなに自慢したいけど……」
お口に人差し指でばってん、猟兵なのはオトナも友達へも内緒のこと。だからこの“楽しい”を共有できる人達に会えたのがとってもラッキーだ。
幸せそうにフォンミィが笑うものだから、千尋と美月も顔を見合わせて晴れやか破顔、三人の猟兵は一瞬で打ち解けた。
ほぼ同時に淡い和紙紙を纏った練り香水の展示へ、翡翠と紫苑、抑えた鴉羽色の瞳が向いた。
てってってっと、早歩きのフォンミィの後を二人の少年と青年が追う。
「これ何だろ? リップクリーム?」
「練り香水ですよ」
ちっちゃな練り香水の見本をつまむフォンミィへ美月が教えた。
「ふーん……」
くんっと鼻を鳴らしたら、確かに爽やかな檸檬と柚子の香りがした。
「ほんとだ。いい香り!」
「紹介しておいてなんですが、私もどれにするか迷っているところです。柑橘系かハーブか……甘い香りも捨てがたいですが……むぅ」
「確かに。これほどに沢山の中から選び取って纏うとは、ヒトとは楽しむのが上手なものだな。宵と暁にも飾りだけでなく纏わせてやりたくなる」
袋の中で丁寧に仕舞われた二人を覗かせる千尋は、興味深げに桜の香りをつまみあげた。
「ヤドリガミさん?」
「如何にも。ヒトにとっては何気ない日常でも、モノである自分には何もかもが新鮮で面白い」
「うん、その気持ちおそろい! この世界が初めてなあたしも、何もかもびっくりだしすごいって思うし」
両手を広げてはしゃぐ少女の姿に、千尋はまた1つ深くヒトを知れたと謝辞で唇を震わせる。
「確かにお揃いだな!」
「目新しいものを見ると心が弾むものですね」
様々な香りを嗅ぎ比べる美月は、そう言った時に巡りあったスッとした香りに強く惹かれる。
蓋をみたならば“薄荷橙”と記されている。
「橙?」
「……恐らくは、柑橘系。蜜柑とか柚子とか、八朔とか色々と使っているみたいです」
これにしようと決めた美月の脇で、千尋は背伸びするフォンミィへ見本をとってやった。
「ありがと! お花の香りを試したくて……梅? ……あ、なんだか酸っぱくないんだね」
「梅干しを想像したのか」
「うん。でもいいな、これ」
ちょこんと耳の後ろにつけたなら、動く度にふわりふわりと香りが届く。人よりまず自分が楽しむ為の仄かさがまたお気に召したようで、
「これにしよっと」
ちょっとオトナの練り香水も、全部内緒。ここで共有した猟兵のお兄さん達しか知らない――だから、この練り香水は特別な日にだけつける宝物なのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨシュカ・グナイゼナウ
穂結先輩と(f15297)
ご同行ありがとうございますね、とほわっと笑い
レトロ調の商店街は見て歩くだけでも楽しいもので
歩いているとふわりと漂う花の香に
や、なんだかあちらから良い香りがいたします。行ってみませんか?
和小物のお店…ここからです!
練り香水?色々な花の香がありますね
花の事はあまり詳しくないのですが。ビャクダン?木も香水に!
あ、これ海辺のような香りがします。不思議!月桃?桃…ではない?
なら、こちらを購入してみましょう
先輩がお持ちの方は何の香ですか?鈴蘭に金木犀…それならわかります!
そうですね、と少し考えて。数少ない知っていた花言葉を思い出す、確か『再び──』
では、鈴蘭はいかがでしょうか?
穂結・神楽耶
グナイゼナウ様/f10678と
こちらこそ、お誘いありがとうございます!
サクラミラージュはどこも花の香りがしますけど…
この一帯は確かに特に香りが強いですね。
行ってみましょうか。
へぇ…
小物はともかく、練り香水をメインで扱っているお店は珍しいですね。
薔薇、桜、白檀に橙…
包みからお花をモチーフにしていてとってもかわいい!
使わなくても持っているだけで幸せな気持ちになれそうです。
グナイゼナウ様、そちらは何を?
へぇ…月桃とはまた。
爽やかでグナイゼナウ様でもつけやすそうですね。
わたくしですか?
鈴蘭と金木犀で迷ってしまって…
どちらも素敵だと嬉しい悩みになっちゃいますよね。
どっちがいいと思います?
●
様々な世界へ路がつく。そうして知らない日常へ出掛けられて、全く違った人生を歩んできた人と縁がつながる。
この桜の花びら舞い踊る世界も、ヨシュカ・グナイゼナウ(明星・f10678)の知らなかった世界。目一杯に西洋のお洒落をする様は、背伸びをしているようでまた微笑ましい。
「ご同行ありがとうございますね」
「こちらこそ、お誘いありがとうございます!」
この町にはひとの幸いが満ちあふれていて、穂結・神楽耶(舞貴刃・f15297)としても歩む度に心地よさが胸に降り積もるもの。
琥珀と紅石が結びあい、どちらからともなくふふっと口元が綻んだ。
「や、なんだかあちらから良い香りがいたします」
ヨシュカがくんと鳴らす鼻は、白粉めいた香りをつまんで増したものをかぎ取った。
「確かに……この一帯は確かに特に香りが強いですね」
二人の視線の先には和小物の店が佇んでいる。
さて、店内は桜の花の意匠が多めでサクラミラージュという世界を濃くして店に封じ込めたよう。
「へぇ……小物はともかく、練り香水をメインで扱っているお店は珍しいですね」
「練り香水?」
怪訝そうなヨシュカを手招き香り見本の一つを見せた。
「包みからお花をモチーフにしていてとってもかわいい!」
絞り花の桜、華やかな薔薇――神楽耶が手に取ったのは、より香りを沢山閉じこめた高級な方だ。
「本当、これは可愛い……それにこんなに色々な花の香があるんですね」
「そうですね……薔薇、桜」
くるりと開けて嗅ぐ神楽耶から漂う香りに、ヨシュカはぱちりと瞳を瞬かせる。
「薔薇園にいるみたいに華やかです。これはすごいです」
「白檀に橙……」
「え。ビャクダン? 木も香水に!」
「白檀はスッとして心が落ち着く感じです。これは、使わなくても持っているだけで幸せな気持ちになれそうです」
勿体ないとついついなんて見本を戻す神楽耶は、ヨシュカが幾つか手に取り真剣に香りを比べはじめたのに口を閉ざす。
「…………あ、これ海辺のような香りがします。不思議!」
月桃と記された器はぷくりとした花を模っている。濃密な甘さを思わせる桃とは明らかに違う。
「まぁ、月桃とはまた。海辺ですか、言い得て妙ですね」
表現に成程と感心を示せば、当のヨシュカはことりと小さく首を傾けた。
「月桃? 桃……ではない?」
「ええ、確か海の近くを好む花だったと思います。爽やかでグナイゼナウ様でもつけやすそうですね」
「お花なんですね……」
手の甲をちょんとつつく素振りの神楽耶を真似てヨシュカも習う。
ふわん。
広げられた蝋は器の中より身近に香り、艶やかな気持ちをヨシュカにくれた。
出逢ったばかりの知らない香りは、もはやお気に入り。中身がなくなるまで好きにつけられる、なんて幸せ。
「なら、こちらを購入してみましょう」
「ふふ。よい出逢いをなさると、わたくしも欲しくなってしまいますね」
神楽耶は白と金の花器へ指を伸ばす。この二つのうちどちらかと、そこまでは悩みはない。
「先輩がお持ちの方は何の香ですか?」
「こちらが鈴蘭で、こちらが金木犀です。迷ってしまって……」
白と金の順に見つめる。
纏う心地よさはどちらも同じぐらい好ましいので、嬉しくも贅沢な悩みだ。
「鈴蘭に金木犀……それならわかります!」
「どっちがいいと思います?」
穏やかにしてくれる香りも甘く優しい香りも、どちらも神楽耶に似合いで、悩みがヨシュカにも移ってしまった。
「……では、鈴蘭はいかがでしょうか?」
再び幸せが訪れる――花が語る言葉のままに、あなたに幸い訪れますように。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桜・結都
リリアさん/f01253 と
【2】
……楽しそう、ですね
いえ、心配をしている訳ではないのですけど
……そうなりますよね。ええ、お買い物を楽しみましょう
楽しそうな彼女の姿はいつもながら微笑ましいので
あまり年は変わりませんけれど、保護者のような気持ちになってしまうのですよね
香水ですか。好みの物が見付かるといいですね
彼女に続くように店内へと入り
柑橘系でしょうか。爽やかな香りですね。こちらはなかなか甘やかで……
私は何もつけていないと思うのですが、香りがするでしょうか?
ふふ。あまり多いと迷ってしまいますよね
それでは……こちらの白檀の香りはいかがでしょうか
とても落ち着くので、私はこれが好きなんですよ
リリア・オルトラン
結都殿(f01056)と共に
2
ふんふふん、ふ~ん!…いや、そう心配そうな顔をするな、結都殿。
しっかり聞き込みも行うぞ!それはそれとして買い物を楽しもうではないか!
食べ物やお茶も気になるが一番はここだ!香水が欲しいのだ!
香水は自分で選ぶ事が無くてな。いつも用意された物ばかりになってしまうのだ。
どうせなら好き物を選びたい。それも滅多に手に入らない物がいい!
結都殿、この香りはどう思う?こっちは桜だろうか。おお、これは結都殿と似た香りがするな。落ち着く香りだ。
ううむ。色々嗅いでいたらよくわからなくなってきたぞ!
ほう、白檀とな。それではこれにしよう!
ははは!互いに互いの香りが落ち着くものになりそうだな!
●
人差し指と親指でわっかを作ったぐらいの缶に和紙でお化粧、そんな色とりどりな練り香水が並ぶ。
「ふんふふん、ふ~ん! これは壮観だな!」
淡金の髪を靡かせ入店したリリア・オルトラン(金月・f01253)は、艶やかな瞳をくりっと輝かせた。
「……楽しそう、ですね」
桜・結都(桜舞・f01056)は愛想良く出迎えてくれた店員娘へ首を竦め会釈する。彼の声に滲む思い煩いに、リリアはくるんと振り返った。
「いや、そう心配そうな顔をするな、結都殿」
「いえ、心配をしている訳ではないのですけど」
無邪気なリリアへ注ぐ藤色は一歳差を超えた保護者めいた色合いを孕んでいる。
いつでも自分の気持ちに真っ直ぐで全力で楽しむリリアを、結都は微笑ましさを感じずにいられない。
「しっかり聞き込みも行うぞ! それはそれとして買い物を楽しもうではないか!」
「……そうなりますよね」
本当に、微笑ましい。
だからつられて一緒になって笑顔になれる。ふわんとあたたか、胸の奥が心地よい。
「ええ、お買い物を楽しみましょう。香りものがお好きだったんですね」
まず目に入ったのは、自分の名にある“桜”。この帝都では特別の意味を持つ花だからか、種類も豊富だ。
「揚げたてコロッケもお茶も気になったのだがな……」
淡い黄金色の和紙のものをつまみリリアは続けた。
「香水は自分で選ぶ事が無くてな。いつも用意された物ばかりになってしまうのだ」
“栄華”とある缶からは、自分がよく家より与えられるものと似た香りがした。高貴で厳かで、仄かならば上品だが少しでも量を過ぎるととたんに相手に圧力を感じさせてしまう、そんな香り。
「なるほど、では折角ですしお気に入りを見つけましょうか」
「ああ。好きなもの、更には滅多に手に入らない物がいい!」
リリアの大きな瞳も、結都が先程見ていた“桜”のブースで止まる。
「八重桜、しだれ桜、染井吉野?」
「桜の種類ですね。雪桜、世忘れ桜……は、この世界らしいですね」
「影朧を送りだす花だものな」
染井吉野の缶をあけくんっと鼻を鳴らしたリリアは、結都のそばで同じ仕草を繰り返す。そうして口元をふにゃりとゆるめた。
「結都殿と似た香りがするな」
「私は何もつけていないと思うのですが、香りがするでしょうか?」
自分の袖を嗅ぎ、リリアが掲げる缶にも顔を寄せる。
「落ち着く香りだ」
「……ありがとうございます」
真っ直ぐに思う事を口にするリリアと、控えめな結都と。性格はこうも違うがお互いに会話を交わす度に心地よい気配が増す。
「結都殿が持っているのはなんだ?」
「柑橘系でしょうか」
橙の細かな皮で色づくそれは、スッとする薄荷と合わせてあるのか、背筋が伸びる涼やかさである。隣の“柚子”は比べると甘さが強い。そんな品評に一々感心するリリアに結都は口元を崩した。
しばしあれやこれやと比べあい、頃合いを見て結都は問うた。
「お気に入りの香りは見つかりましたか?」
「……それがな、色々嗅いでいたらよくわからなくなってきたぞ!」
「ふふ。あまり多いと迷ってしまいますよね」
それではと、結都は“白檀”と書かれた缶をあけて、リリアの鼻元へ近づけた。
「……こちらの白檀の香りはいかがでしょうか」
厳かなる場所に添えられることも多いが、日常に纏っても心がすっと在処に落ち着く、結都が好む香りだ。
「ほう、白檀とな。それではこれにしよう! 結都はどうする?」
「そうですね……」
まとい互いの心を安寧へと誘う香りを求め探す、過程もまた楽し。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と
和小物店へ行ってみよう
例の娘の話も、何かしらあるやもしれんし
まるも、家族へ色々と選ぶようだ
まるが探すのを見ながら、練り香水の所へ来て
桜の香りに、ちょっと懐かしさを感じてみたりする
よくも、悪くも、カガリの都の香りだ
…ひとつ、貰おうかなぁ
せっかくだから、まるにも何か
まるは、いつもいい香り(【白檀手套】)がするから…香以外がいいかな
「きせる」…というのか
まるは、こういうのを吸うのだろうか…ちょっと聞いてみよう
大丈夫そうなら、それを
持ち歩けるものの方がいいのかなぁ(根付煙管のような)
煙を吸う道具、とは……うまいのだろうか、煙とは?
紫の、桜?
ふふ、ありがとう。まるの色だ。
マレーク・グランシャール
【壁槍】
無二の友であるカガリ(f04556)と和小物店へ
グリモア猟兵がはしゃぐのを見ていると、妻と娘達の顔が浮かぶ
女は買い物や食べ歩きするのが好きだからな
一つ土産でも見繕ってみるか
妻へは桜吹雪を描いた和傘
俺と一緒に相合い傘だと、桜模様を見上げるのだろう
長女へは桜染の風呂敷
綺麗好きで働き者な娘なら、毎日使って楽しくなるものを
次女へはカガリと同じ桜の練り香
いつでもー同じ香りに包まれ、淋しくないように
桜はカガリが城門だった頃の都市に咲いていたという
俺にとっては死して願う安寧、過去への憧憬
彼がくれる物は喜んで受け取るが、共に過ごすこの時が冥土への土産物
そう言って摘んでおいた紫桜を一輪差しだそう
●
ここに妻と二人の娘を連れくることができたなら、さぞや瞳を輝かせてあれやこれや手に取るのだろうなと、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は切れ長の瞳を伏せた。
「家族のことを浮かべたか、まる」
さして動かぬ表情故に無感情に採られがちだが、無二の友の寿ぎを出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は見逃さない。
「ああ、女は買い物や食べ歩きをするのが好きだからな」
土産でもと呟くマレークは、真よき良き夫であり父だ。
「では例の娘も行きつけだった和小物店へ行ってみようか」
女性方が喜びそうなものが沢山ありそうだし、カガリ自身も興味をそそられているのだ。
通りの中でもかなり広い部類に入る店の前、パッと大輪の花咲くように広げられた和傘の群れの前「ほう」と、マレークが足を止めた。カガリは一足先に店内へ。
「いらっしゃいませ」
愛想良く出迎えた店員へ小さく会釈し、鼻を擽る桜の香りを辿って練り香水の売り場へ向う。
季節を問わず世界を彩る桜の咲く世界だ、やはり求める者も多いのだろう――八重桜、しだれ桜、染井吉野、といった種類の香りもあれば、雪桜や世忘れ桜と云った創作も盛んな模様。薄紅の透かし和紙にくるまれた器が並ぶ様は、桜の枝と見まごうばかり。
「……桜、桜」
胸の懐旧を紐解く彩と香りにカガリは口元をほろり緩める。よくも悪くも、カガリの都をくるんでいた香りだ。
閉じ隔て守る白き門、黄金に染まる真っ直ぐな髪を持ち顕現したのは果たして、黄金都市と謳われたその地の名残か。
幸せだけではない切なさものせて香る中、カガリは“八重桜”を1つつまみ上げて店員に声をかける。
「これひとつ、貰おうかなぁ」
「はい、ありがとうございます」
桜吹雪の傘をひとつひととつ開いては空に透かしているマレークへもなにか買おうと、香水を店員預けとし売り場へと踵を返す。
まるは家族へのお土産ばかりで、きっと自分の物は買うまい。マレークというと白檀だから、手袋と喧嘩しそうな練り香水の贈り物は控える。
「ふむ、この桜の枝振りが一番良い」
そのマレークは相合い傘の際に妻から見える花模様が最も晴れやかに見える和傘を漸く選び取った。
丁寧に畳み抱え持つと続けて向ったのは色とりどりの風呂敷が飾られた売り場だ。
綺麗好きで働き者な長女が使いに下げる似合いの彩はと頭に描き手に取る。
「やはり桜が良いか」
柔らかな白に桜の散らされた意匠の物を畳んで下げた所で、煙管を物珍しげに眺めるカガリと視線が絡んだ。
「カガリが選んだ桜はどれだ?」
「桜を選んだとお見通しだねぇ」
「……カガリの傍で咲いていた花だと聞いたからな」
次女へは同じ香りに包まれて淋しくないように。意図を悟ったカガリは「“八重桜”をもう一つ」と告げた。
「マレークにとって桜は?」
「俺にとっては死して願う安寧、過去への憧憬……だな」
「そうか」
守り切れずに亡くした悔悟をそっと鎮めて、黒地に一筋桜彩があしらわれた根付煙管を見せた。
「じゃあ……まるは、こういうのを吸うか?」
「くれるのならありがたく」
「ところでうまいのだろうか、煙とは?」
「知らずに贈るとは全く……」
気兼ねないやりとりを前に店員娘はにこやかに会計を済ませる。
店を出てすぐ、カガリはマレークへ根付煙管の包みを手渡した。
実用性を発揮し見目はお守りなこれが効力も持ちますように、と。礼と共に返るのは一輪の葉桜。
「俺にとっては、共に過ごすこの時が冥土への土産物だ」
「ふふ、ありがとう。まるの色だ」
夜を抱いた桜の色だ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
嵯峨野・白秋
【2】
ゆすらf13614くんと邂逅
愛らしい少女がひとりで歩いているなど運命に違いない!
ナンパ?否、アタシは本気でこの出逢いを運命だと思っている
勿論声を掛けるさ
ご友人に送る香水を探しているのかい?
君は帝都には疎いのだね
どれ、アタシが良い店に案内しよう
贈り物は決まりそうかい?よかった
アタシからも愛らしい君に贈り物を
彼女の首筋につぅっと練り香水を付ける
茉莉花の練り香水、花のような君によく似合う
帝都中の男は君に夢中になるはずさ
なんのことかって?
茉莉花には人を興奮させる効果があるんだ。はっきり言うとね、欲情させる
はは、桜桃のように恥じらう紅の頬…なんとも愛らしいこと
うん、君のことは桜桃の君とお呼びしよう
桜橋・ゆすら
【2】
白秋さん(f23033)と邂逅
わあ、とても綺麗…艶やかなモダンガールさん
思わずその大胆な美貌に見惚れてしまいます
ええと…ゆすら、誕生日が近い親友への贈り物を探していて
春の訪れを思わす練り香水を…
帝都に詳しいという彼女にエスコートされ、和小物店へ
…嗚呼、優しい桃の香り
親友の誕生日もひな祭りと同じだから、この練り香水にしましょう
白秋さんにお礼を伝えようとした瞬間…
ひゃっ…あの、首筋に何を…
茉莉花の香りに思わず夢見心地
とろんと目を緩ませる
なんて不思議な人なのかしら
初対面なのに距離を感じず、こんなに打ち解けられて…
よ、欲情…!
冗談は、よしてくださいっ
赤らんだ頬を両手でおさえ、そっぽを向きます
●
憧れ歩き。
軽妙に姦しいお喋り散らしてすれ違う女学生へ、えび茶に砂糖を挿した瞳が揺れる。自身もおさげに羽織袴の女学生の見目だというに――。
そんな桜橋・ゆすら(きみがため・f13614)に惹かれた訳を語れと云われれば、夜が明けると嵯峨野・白秋(享楽作家・f23033)は笑うだろう。
「こんにちはお嬢さん、お一人かい?」
「え、は、はい」
和洋織り交ぜ支配下におく着こなし振りにゆすらはため息を漏らした。先の女学生達が振り返る、まさにモガの中のモガな女性だ。
「青町には何をお求めだい?」
「ええと……ゆすら、誕生日が近い親友への贈り物を探していて。春の訪れを思わす練り香水を……」
「ご友人に送る香水を探しているのかい?」
いい子だねと切れ長の瞳が眇められれば、ただ美しいだけでなく愛嬌と親しみまで滲みだした。
「どれ、アタシが良い店に案内しよう」
「ありがとう、ございます……」
ごく自然に手をとれば傍らでますます色づく乙女の頬。まろびでる可憐さに白秋はこの子に相応しい花を脳裏に描き出している。
蓋をあいては戻しあいては戻しと真剣に繰り返す横顔。束ね髪の隙間より覗く無防備な柔肌へと向いた紫苑は、蠱惑を堪えた。
「……嗚呼、優しい桃の香り」
春の花をひとしきり試した後で、最初に嗅いだ桃の甘さをもう一度。やはりこれが一番しっくりとくる。春の節句に生まれた親友にもとても似合いだ。
充実にゆすらの儚く控えめな笑みが確りとしたものに変じた。とたんに、あどけなくも鮮やかさが増した。
「贈り物は決まりそうかい?」
「はい、おかげさまで」
店員に声かけ品を預けるか、いや、お礼が先だろう。脳裏を掠める選択肢は優柔不断の証し。疎ましさを振り払うようにゆすらは白秋の方へ振り返る。
「ありが……ひゃっ……」
ぴとり、と触れた指の面積は、狭い。しかし首筋という秘せられた部位をなぞり下げる刺激には、綿にくるまれたように四肢から感覚が遠ざかり、吐息の音が妙に大きい。
ふわふわ。
僅かにあいた唇を前に白秋はふふ、と、こちらは閉ざして三日月の形につりあげる。
とろり飴がけり瞳と震える頬、力の抜けた身体へは役得とばかりに腕を伸ばして背中から抱き支え。
「茉莉花の練り香水、花のような君によく似合う」
「嗚呼、これは茉莉花なの、ですね……」
桃の瑞々しく弾け出る甘さとは違う、嗅げば嗅ぐほどに内に籠もる不思議な香り。
首筋は刻印を施されたみたいに未だに熱い、上気はますます香りを沸き立てて二人を包むのだ。
「帝都中の男は君に夢中になるはずさ」
「そんな……ゆすらなんて……」
口癖めいた言葉の中には、誰彼わからぬ者への忌避をも孕む。ならば、知っていればいいのか?
物問いたげな上目使いに、白秋はふふと瞳を弓に変えた。
「なんのことかって? 茉莉花には人を興奮させる効果があるんだ」
刻印の場所を撫でて髪をかき上げて、現れた華奢な耳たぶへ秘めやかに響かせた。
「……はっきり言うとね、欲情させる」
センシティブな単語は夢を揺り起こすに充分である。
「よ、欲情……!」
慌てて離れようとするも、
「おっと、危ない」
なんて蹌踉けた娘を余裕をもって支えて離さない。
(「……なんて不思議な人なのかしら。初対面なのに距離を感じず、こんなに打ち解けられて……」)
しかしこの距離を心地よく感じる自分を見いだして、ゆすらは昏迷と照れにますます熟れる頬をきゅうと支え持った。
「はは、桜桃のように恥じらう紅の頬……なんとも愛らしいこと」
「冗談は、よしてくださいっ」
ぷいっとそっぽを向く娘の頬は良い眺め。
「うん、君のことは桜桃の君とお呼びしよう」
白秋がこれ名案と嘯くものだから、ゆすらはますます林檎の頬を膨らませるしかないのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アストリーゼ・レギンレイヴ
【2/妹のセレナ(f16525)と】
なんだか素敵なものばかりで目移りしてしまうわね
さ、セレナ、行きましょう
貴女に似合う香りを探しに
この世界だと、やっぱり桜が定番なのかしらね
桜と言えば、花飾りも綺麗だわ
瑠璃色の花簪も、瞳の色と合っていて似合いそうだし
そういえば、普段アクセサリをしていないものね
余り大きいと戦うのに邪魔かも知れないけれど
イヤリングくらいならどうかしら
ほら、この蒼い石のとか――
――ごめんなさい、少し燥ぎすぎたわね
貴女と一緒だと、つい楽しくて
……色々と比べながら香りを試して
選んだのは、香雪蘭の練り香水
甘くて、優しい香りだからきっと貴女に合うと思うの
今度、つけてみて一緒に出掛けましょうか
セレナリーゼ・レギンレイヴ
【2/アスト姉さん(f00658)と】
こういうお店が並んでいると、どこにしようか悩んでしまいますね
はい、せっかくの機会です
お買い物を楽しみましょうか
もちろん、姉さんのもですよ?
そうですね、桜が有名な世界ですから
モチーフにしたアクセサリーはけっこうありまして
髪飾りは綺麗ですし、ブレスレットも素敵ですね
言われてみればあまり飾ったことはなく
姉さんの方が似合いますよ……?
金古美のイヤリングに、柘榴石の入ったこちらは姉さんにどうですか?
そうですね、楽しくてつい
せっかくなのでと香りを試して
選んだのは白木蓮の香り
華やかで明るいので、姉さんを引き立ててくれそうで
はい、他のところも見に行きましょう
一緒に、ですよ
●
淡い黄金色の瞳はよく似ているが片側の赤と蒼は対照的で、これはアストリーゼ・レギンレイヴ(闇よりなお黒き夜・f00658)とセレナリーゼ・レギンレイヴ(Ⅵ度目の星月夜・f16525)の在り方にも類する。
「なんだか素敵なものばかりで目移りしてしまうわね」
「そうですね……」
一見すると、姉のアストリーゼへ着いていくばかりの妹セレナリーゼと見受けるが、
「セレナ、行きましょう。貴女に似合う香りを探しに」
「もちろん、姉さんのもですよ?」
この姉妹、そこまで見たままの関係ではない。
二人が目を止めたのは“桜”のブースだ。八重桜、しだれ桜、染井吉野……という桜の種類を冠したものは元より、
「世忘れ桜、ですか」
「影朧を想わせるな」
互いが互いを失わぬよう強くあれと願う二人は、しばしお見合い状態で黙り込む。停滞した空気を入れ替えるよう口火を切ったのはアストリーゼであった。
瑠璃色の櫛に桜を模した飾りが咲くそれを手にとり、セレナリーゼの右の瞳の傍に添えてみる。するとどうだろう、妹の瞳がより晴れやかに引き立てられるではないか。
「似合うわね。瞳の色とお揃いよ」
「姉さんの方が似合いますよ……?」
重ねづけで花が咲き誇る金と銀のブレスレットを一旦手放し、セレナリーゼは金古美の落ち着いた色合いのイヤリングをつまみあげる。
「ほら」
柘榴石の艶めきは姉の紅の良き友だ。
しかしアストリーゼは鏡に映る自身よりその横ではにかみ微笑んでいる妹に視線が向く。そうすれば真っ直ぐに結んだ口元がゆるみ、セレナリーゼは「気に入りましたか?」とまた笑みを深くする。
「確かに、余り大きいと戦うのに邪魔かも知れないけど、イヤリングはいいわね、ほら、この蒼い石のとか――」
「もう、姉さんは私のものばっかりです!」
「それはセレナだって……」
むぅと口元を下げた二人は燥ぎすぎたと頬を染め目を逸らす。
「貴女と一緒だと、つい楽しくて」
「そうですね、楽しくてつい」
柘榴石のイヤリングを手にする姉と、水宝玉のイヤリングを手にする妹と――それぞれが選んでくれたのだと想ったら、とたんに手元で輝くそれらが唯一無二の宝物に見えてくる。
「ねぇ、それならいっそ、香りも選びあわない?」
「いいですね」
くりくりと蓋をあけて香った柑橘に、セレナリーゼはもっと華やかさが欲しいと考えた。銀の糸垂らし真摯な眼差しの姉へは明るさも添えたい。
くんと嗅いだ若葉は若々しいが幼すぎるかと感じてアストリーゼは蓋を閉める。妹はしっかり者でいつも支えてくれる。甘い安堵と優しさが欲しい。
柑橘も若葉も素敵な香りなのは確かだが、もっと似合いのものがあるはずだ。
そうして探し続けた姉妹は、ほぼ同時に発見の手を打った。
「姉さん、どうですか?」
「気持ちが上向きになる良い香りね。これはなに?」
白い和紙を纏う缶を透かし見て姉は問いかける。
「白木蓮です。華やかで明るいので、姉さんを引き立ててくれそうで」
「ありがとう、気に入ったわ。貴女へはこれを、香雪蘭よ」
紫の上品な装丁から香るのは甘くて穏やかな気持ちを誘う。
「これは……とても落ち着きますね。すぐにつけてみたいです」
「ふふ、だったら会計を済ませて、つけて一緒に出掛けましょうか」
「はい、他のところも見に行きましょう。一緒に、ですよ」
「ええ」
常に相手のことを考えてしまうのだ。そうやって考えてくれるから、より「返したい」とまた相手への想いは重なっていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霧島・ニュイ
【華座敷】
2
お買い物わっくわく
皆でお買い物初めてだよね!
まず彼女の練り香水、椿
彼女の匂いには気を遣ってるよ(死臭避け
僕は、一等好きな勿忘草の練り香水
“僕を忘れないで”とよく思うからこそ愛する花
僕を忘れないでいてくれる二人が大好きで
声を掛けられると振り返り
香水をねー。僕のは香り控えめな奴だけどさ、気になるよね
僕のチョイスは、もうそのまんまだよー。勿忘草好きなの
クロトさんは香水身に着けないよね?シンプルめなの似合いそうだよー
選ぶの付き合う
香りが変わるのって新鮮だし、上等そうだよね
兄さんは贈り物?
相変わらず太陽のような人だね。眩しいや…
…って貯金大丈夫?お金貸すよ?もー、いつもカツカツなんだから…!
クロト・ラトキエ
【華座敷】
2
お嬢さん…それから、動物、
見掛けぬか気には留めつつも。
折角のニュイのお誘い。
外ばかり気にせず、店内をぶらり。
普段使いするかを基準に見てしまう辺り、
場違い感には少々苦笑してしまえて。
これはもう…
何かお気に召すもの、ありました?
とか、ニュイや千之助に探りを入――ではなく!
お尋ねしたり、何を思い選ばれたかご意見頂戴しようかな、と。
仕事柄、塗香の類には手を出し辛いのですが…
蛤の香合に、梔子の香。
使い手が人様なら、浮かぶ姿も無い事は…
あ。結構お高い。
結局。
手ぶらで終わるのも何ですし、自分用に一品。
中はご想像にお任せとして…
で、後はどれを買えば宜しいです?
若人二人にばかり無理させられません故♪
佐那・千之助
2【華座敷】
どれどれ
クロトは綺麗なものを持って絵になる兄さん
ニュイも香水?
無臭でも忘れぬて。…と、これは営業妨害になるかの?店の外で言おう
二人の知らぬ面を知れるは楽しく
私はセンスに自信など無い
件の大正小町の気に入りの品でも教えて頂こう
なんて、聞き込みというよりむしろ参考にする体で
この灯りは光を届けたいダークセイヴァーに
この香りは馨るものの少ないアポカリプスヘルに
孤児院、貧しい集落、困ったひと、届けたい宛などいくらでも
自分では持たぬが、とても心弾むひととき
店員さんがにっこりするくらい、陳列棚が寂しくならぬくらいを買ってゆこう
あ、手持ちが尽きた
今回の報酬を前借りしておけば…っ!
(貸す申し出は遠慮
●
「おっかいものーおっかいものー♪ 皆でお買い物初めてだよね!」
眼鏡越しの翡翠きらきら☆な霧島・ニュイ(霧雲・f12029)に、仕事に気が向きミエを探すクロト・ラトキエ(TTX・f00472)も、ほろりと気持ちを緩めた。
「ここはお嬢さんが懇意にしていた店とか」
「そうか。ならば大正小町のお気に入りの品でも聞くとするかの」
佐那・千之助(火輪・f00454)が手をあげ呼び止めた店員へ会話を仕掛ける二人を背に、ニュイは練り香水のブースへ弾む足取りで進む。
彼は香りを重宝している。何しろ椿の君は麗し乙女、相応しくない臭いを纏わせぬよう神経を使う日々なのだ。
「練り香水の椿は柔らかいんだね」
些か淡いから香水と併用がよさそうだ。
「ええ。だから犬を飼っていたお嬢さんも愛用されていたとか」
ひょこり。
店員から仕入れた情報と共にクロエが現れる。濃い香りは動物には厳禁、だからほんのり控えめな練り香水で季節の花を纏うのがミエの常であったとか。
「クロトは買わぬのか?」
華やぎ身につけ伊達男、そんな口ぶりで千之助の水向けに、
「仕事柄、塗香の類には手を出し辛いのですが……」
と、微苦笑。
ニュイと千之助の好みを知りたいと踏み込めば、同じだけ内側をさらいにくる。そうされるのは心地良いが、何しろ“お気に召すまま”が身上の傭兵稼業。自身に彩をつけるのには、とんと馴染みがない。
「お勧めなぞあれば、ご意見頂戴しようかな、と」
「私はセンスに自信など無い」
きっぱりと言い切る千之助の買い物籠には、台詞の割に桜系の練り香水がみっちりと詰まっているわけだが。
「兄さん、桜好きなの?」
「いいや、これは大正小町が例年この時期に求めると聞いてな」
それにしても量が多い。自分用ではないのは明らかだ。
「使い手が人様なら、浮かぶ姿も無い事は……」
内側に桜の花びらが描かれた蛤の香合を掌に、冷涼なる感触を楽しみつつもお値段如何ほどと、値札を見たならそっと戻し。
「結構お高い」
「そうな。綺麗ではあるが、数を求めるには向かぬな」
「もう、二人とも誰かの為にばかりなんだからさー」
なんて頬を膨らませるニュイは、二人が大好きだ。言葉にすると理由が溢れて結局は単語ひとつになってしまうぐらいには。
だから自分は好きな物を選ぶと勿忘草の香を迷わずつまみ上げた。それを目ざとく見いだす千之助。
「無臭でも忘れぬて」
営業妨害になるかの? と耳元でボソボソ、ニュイはもうっと笑って常に抱く懇願の香を籠に入れた。
「だからね、僕は二人が大好きなんだよ。忘れないでいてくれる」
「それはもう、天地が揺らごうが変わらぬ当たり前のことですから」
何しろ彼らはもう既に、クロトの“現在”に組み込まれている。
「クロトさんは香水身に着けないよね? シンプルめなの似合いそうなのになー」
「例えば? 手ぶらで帰るのもなんですしね」
「うーん……ああ、これなんかどうだろ?」
藍色の和紙に“行路”と墨書き、読みづらいのはわざとなのだろう。
「ふむ」
クロトの髪色と同じく黒く色づいた蝋は練り香水としてまず異色だ。人に勧められた物は確かに良く見える。だがこれを選び取るのは己次第。
クロトがこれを選んだかはたまた別を選んだかは、ご想像にお任せ致します――。
「おお、あのランタン……これはまた見事であるな」
練り香水のつまった籠を会計へ預け、手ぶらとなった千之助は壁際に上品に飾られたランタンを前に瞠目喝采。
「色違いも含めて、買い占めてしまわぬ程度にこのランタンと同じものが欲しいのだが、幾つあるだろうか?」
千之助の剛気な申し出に店員は黒い眼をまんまるにした後で「少々お待ち下さいね!」と慌てて下がっていった。
待つ間も、千之助は春の晴れやかなる彩に飾り付けられた店内をぐーるりと見回し、思わず嘆息をもらすのだ。
――嗚呼、なんとここは華やかで満ち足りているのだろうか、と。
桜花を模したランタンは蝋燭を抱かせればこの世の栄華と咲き誇り、花や果物に香木から鼻腔擽る香りを丹念に調合した練り香水は高揚や安らぎを生み出す。
灯りなきダークセイヴァーと荒廃したアポカリプスヘルと、日々生きることにだけ必死な面々を浮かべたならば、千之助がこれらを求めぬ理由なぞない。
「用意できるのは八つです」
「それでは全ていただこうか」
「兄さんは贈り物だよね……って貯金大丈夫? お金貸すよ?」
籠にみちりと詰まった練り香水に併せて値が張るランタンを八もとくれば、財布の末路は明らかだ。
日の光のように輝く髪色、それに恥じぬ他者へとぬくもりを惜しみなく差し出す千之助。それ自体は好ましいのだがしかし。
「いいや、今回の報酬を前借りしておけば賄える、筈!」
払いきったらぺそりとぺたんこになる財布を浮かべても、無い袖振るのが漢というもの。
すると、
「はい! 練り香水が合計21個ですね、ありがとうございまぁす!」
なんてやけに機嫌の良い店員娘の声がして、ニュイと千之助はハタリと会話を止めた。
「……で、後はどれを買えば宜しいです? 若人二人にばかり無理させられません故♪」
満面の笑みのクロトから「してやったり」な気配を感じ取り、千之助はむうと唇の端を下げ、ランタンへ双眸を向けた。
「大事ない。これだけなら持ち合わせで充分間に合う」
「そうですか。聞いて下さいよ、僕の分の練り香水はおまけしていただけました」
拗ねたような千之助と自慢気に紙袋を掲げるクロトを前にしたならば、ニュイはもはや吹き出すしかないわけで。
「一本取られたねー♪」
三人で過ごす愉楽、綴られしページがまた一枚。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
香神乃・饗
誉人f02030と2
誉人の好きな鳥、シマエナガ雑貨に埋もれる
可愛い雑貨がめっちゃんこ一杯っす
こんな洒落た店配達の仕事以外じゃ来ないっす
わ、鳥特集っす
エナガチャンっす
誉人、足もふもふの足袋はどうっすか
えーじゃあ見えるお洒落の帽子はどうっすか
ハンチング帽被せ
ちょっと派手っすか
俺?俺は帽子被ると頭が痒いんっす
被り
似合うっすか
いいっすね!
休んでる時もエナガチャンと一緒っす
空みたいな藍色はどうっすか
あとは皆にお土産を買ってくっすか
良い色っす!
俺も何か…
わ!まんまるっす!(きら
スマホにつけるっす
最近出来た野良の動物のたまり場はないっすか
色んな動物の面倒を見てたのなら気になる動物を追いかけて行ったとかっすか
鳴北・誉人
饗f00169と2
賑やかな饗の背を追い入店
かァいいけどなんか落ちつ…鳥?(きら
シマエナガモチーフの物を選ぶ
足袋ィ?
お、見えないオシャレな!いらねえ
やっぱエナガチャンかァいい…
巾着、簪…色々ある!
ハンチング被されても気にせん
好きにさせる
饗が被れば良くね?
俺より似合うかも
あはっいいじゃねえか!
痒くなるならナシだけどなァ
見て饗!眼鏡ケース!
コレ買ってく
何色にしよォっかな…迷う
饗イチオシを買う
一つ買ってってやるかァ
エナガ印の藤色の箸袋を土産に
ノラチャンの餌付け用
他にも色々品定め
饗には…じゃあ、コレ!
まるっこいシマエナガのキーホルダーを掌にのせる
スマホにつけるか?
話は饗に任せる
口ださねえで聞くことに専念
●
「可愛い雑貨がめっちゃんこ一杯っす」
配達業以外でくることなんぞないカワイイ空間に香神乃・饗(東風・f00169)は、ぶんぶんと腕を回して興奮気味である。勿論、周囲に当たらないように気遣いは万全。
「……かァいいけどなんか落ちつ……」
続けてつきあいで来ました感が満載の鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)が、胡乱げに細めた目尻を引き攣らせた。
「鳥?」
うん、鳥。
和小物店の一角が白くてモフい。
雪のように白くまるい体に黒い目ちょんちょんな鳥がそこかしこ。例えば、朱の簪をつけたぬいぐるみだったり、簪にこっそり飾りでいたり……そう、ここはシマエナガさんの楽園なのだ!
この物語は楽園に囚われた男二人の記録である。
「わ、鳥特集っす。エナガチャンっす」
ぬいぐるみ軍団に物理的に埋もれたい願望を辛うじて堪える饗は、誉人の瞳が煌めいているのを知っている。
なにしろ、ストラップもエナガチャンで、壁紙もエナガチャンなのだからな!
「やっぱエナガチャンかァいい……」
ぽつりと零れたフラットな声音が、いつもより上ずっているのに気づかぬ饗ではないのだよ。
「誉人、足もふもふの足袋はどうっすか」
つま先が一々エナガチャンの逸品を持ち上げ見せる。
「足袋ィ? お、見えないオシャレな! いらねえ」
いつでも見つめていたいから。
「えーじゃあ見えるお洒落の帽子はどうっすか」
もちろんツバがくちばしでまんまるおめめ、手触りもふもふの真っ白エナガチャン。
もこっと被されるがままの誉人と、それを見てうーんと首を傾ける饗。
「ちょっと派手っすか」
「いや、エナガチャンは雪に保護色でかァいいだろ」
つまりそれは欲しいってことか?
「饗が被れば良くね?」
もふっと頭にエナガチャン。精悍な中に幼さも同居する饗が一気に子供側に寄ったのに、誉人はぷくくっと吹きだす。
「あはっいいじゃねえか!」
「似合うっすか」
とはいえ、長く被っていると頭がかゆくなってしまう為、お買い上げは断念。
あれもこれもシマエナガ。ただしどれもこれも在庫はせいぜい三個までの、ここでしか逢えない代物だ。
「巾着に簪かァ、ツンツン髪にゃァ簪は不要だな」
「巾着は腰から下げてっいいっすね」
巾着の縁にエナガが顔出ししているのと、巾着自体がエナガなのと、エナガの刺繍ワンポイントのと、やっぱりあるのはひとつずつだ。
「見て饗! 眼鏡ケース!」
本体の蓋部分にシマエナガが止まっている木製の箱を、誉人は速攻手に取った。
「いいっすね! 休んでる時もエナガチャンと一緒っす」
かくんと首を傾け覗き込んでくる様が愛らしいすぎてとてもヤバいぞ、これは。
「コレ買ってく。何色にしよォっかな……迷う」
「空みたいな藍色はどうっすか」
守る瞳色の入れ物を饗は誉人の目元近くに翳してみせる。ほらぴったりっす、なんて。
「ありがとよ。これにするわ」
選んでくれた、ただそれだけで他の色より特別になるから不思議だ。
「あとは皆にお土産を買ってくっすか」
「一つ買ってってやるかァ」
誉人がつまみ上げたのは涼やかな藤色の箸袋。エナガチャンの刺繍が細かくあしらわれている。
「ノラチャンの餌付け用」
「良い色っす! 俺も何か……」
誉人へ選んでばかりで自分用を忘れていた饗の肩がちょいっとつつかれる。
「饗には……じゃあ、コレ!」
掌にまんまるシマエナガ。組紐の根付けが和風。
「ちょっとお揃いな」
誉人が掲げたスマホにもシマエナガがゆらりん。
「同じまんまるっす! スマホにつけるっす」
まんまるシマエナガを選び尽した男たちは、最後の誘惑攻撃を受けることとなる。
それは、他の売り場との間にどてんと飾られている巨大なエナガチャンぬいぐるみからだ!
『やさしくなでてください』
無言でじぃーーーっと眺める二人へ店員がこっそり「抱きついてもいいですよ」と耳打ち。
さて、男たち二人が誘惑に抗ったのか埋もれたのかは、店員と彼ら二人だけが知ればいいことだ。
男たちの記録、完。
あ、饗が店員に問うた「野良動物のたまり場」だが、特にそういった噂はなかったとのことですよ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三上・チモシー
3.お茶屋さんへ
アドリブ絡み歓迎
【POW】
オリジナルのお茶が作れるお茶屋さんかぁ。楽しみー♪
ちょっと多めに買って家族へのお土産にしようっと
いろいろあって迷っちゃうなぁ
どれにしようかなー
あっ、林檎がある! 林檎入れたい林檎!
自分の地元ねぇ、林檎が名産なんだー
んー、せっかくだから、あともうひとつなんか入れたいなぁ
店員さんにおまかせとかってできるかな?
林檎に合いそうなのを何かひとつ、お願いしまーす
お茶を選びおわったら、そのまま併設のカフェでお茶を飲みながらのんびり
甘いもの食べたいなぁ!
終夜・嵐吾
3
お茶かいにきたんよ
調合で自分好みにできる…楽しみなんじゃ~
緑茶ベースじゃもんね
何合わせても良さそじゃけど、わしはさっぱりすっきりな味にしよかな
なので柚にしよ、しかし香りも楽しみたい…緑茶と柚の香の邪魔せん程度に金木犀もちょびっと
……これは、ひとつだけとは決まっておらんよね?
もうひとつ、普通に、緑茶に爆ぜ玄米を4:6で玄米茶が欲しい…!
玄米に抹茶まぶして抹茶入り玄米もええけど、ほっとできそな味に
併設カフェにての試飲は玄米茶にしよ
飲んでみて、もうちょい玄米強めでもよさそなら玄米だけ頂いていこ
それから、店員さんに、汝のおすすめをひとつ、お願いできんかのと注文を
そういう出会いもええもんじゃろうから
氷室・雪
私も仔猫の保護をしたことがあるので放ってはおけない事態ではあるかな
行く場所だが和小物にも興味はあるが使う機会がなさそうでな
3.お茶屋
に行ってみるか
桃の香りが好きなので白桃のお茶をブレンドしよう
水出しの方が好みではあるがそれは時間があるときに楽しむとするか
紅茶があまり得意ではないのだが、これならば香りを楽しみつつお茶をするということが私にも出来そうだ
様々なブレンドを試してみたくなる魅力があるな
聞き込みは同年代の子達になけなしの【コミュ力】であたろう
能代ミエの友人等の近い人物に当たれればいいが
動物好きということなので動物のことを中心に聞き込むか
最近彼女が触れ合った動物や場所とかだな
アドリブ絡み可
草守・珂奈芽
絡みアドリブ大歓迎!
3.
(はしゃぎまくりです)
緑茶にお花さ入れるなんてびっくり!でも素敵!
この世界らしく桜と、柚は…レモンティーみたいに合うのかな?飲んだことないしやってみよーっと!
淹れてもらったらお礼しつつ、そっと一口。
「あれ、美味しい!甘味がお茶の渋味と合ってる!
桜の香りもちょっぴりしてなまら和風!すごーい!」
言ってから、独り言に気付いて照れちゃう。でも美味しいんだもん。
お小遣いで買って帰りたいなー。
ふーっと一息つくと、美味しいお茶と綺麗な眺め、いいなあって再実感。
「素敵な世界の平和の為に、情報収集も頑張らなきゃ!」って気合いを入れるよ。
あっでも、和物の花飾りも買いにいかなきゃ…!
●
『あなた好みにどうぞ』
花と果物の傍で湯気たてる湯飲みの看板が目印の新しめな茶屋は、老舗とはす向かい。五組程度がくつろげる喫茶室もあり、ハイカラさんスタイルの女学生達で賑わっている。
「オリジナルのお茶作れるのかぁ、楽しみー♪」
「緑茶にお花さ入れるなんてびっくり! でも素敵!」
頬を紅潮させて興奮露わな二人は、三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)と草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)
お互いに顔を見合わせた後で速攻で意気投合、良き旅道連れと調合台へ。
(「あんな感じで友人が多い子だったのだろうか……」)
前を歩く二人が猟兵だと気づいた氷室・雪(静寂の氷刃・f05740)は、失踪中のミエの人物像を頭に描いた。
自分も仔猫の保護をした親近感、でも町中に知人が沢山いる社交性は雪が持ち得ぬものだ。
「嬢ちゃんもお茶かいにきたんかい?」
終夜・嵐吾(灰青・f05366)の声は、張り詰め立ち尽くす雪の背を肩掛けでくるむかのように、柔らか。
「あ……はい」
「わしもじゃよ。調合で自分好みにできる……楽しみなんじゃ~」
ほわりとした話しぶりに、先行く二人も振り返った。そうして口々に一緒にと誘う。
「他の人がどんなん作るかも楽しみのうちじゃな」
はーい、四名様ご案内♪
さて。
ベースになる緑茶は癖の少ないもの。あわせられるものは大まかに“花”“果物”“その他”に分けて置かれている。
三つぐらいまでが味も落ち着きお勧めです、との説明を聞いたらいよいよお茶作り!
「嵐吾とチモシーは二種類か」
「どうせなら色々作ろかとね。飲み比べじゃ」
「家族へのお土産にもしたいからねー」
「どっちも素敵!」
珂奈芽も惹かれるもお財布と相談して一つにしておく。
「紅茶はあまり得意ではないのだが、これならば香りを楽しみつつお茶をするということが私にも出来そうだ」
「渋みが苦手なの?」
「そうだな。水出しが好きだから」
夏の日に半日かけて出た緑は、蕩けるような甘みがあり美味しいと、雪のぽつりぽつりとした説明に皆興味津々だ。
「じゃあここで作ったお茶も水出ししてみようかなー」
「一つ目のは水出しにもあいそうじゃな」
既にイメージを固めている嵐吾の口ぶりにチモシーは瞳ぱちくり。
「嵐吾さんはもう決めてるの? こっちはまだ迷ってるよー」
戯けて肩を竦める様は目移りも楽しみだと鷹揚に物語る。
「じゃあ、みんなで果物スペースに行かない? 桜にあうのを探してるの!」
迷うことなく選んだ桜の花びらで籠を満たし、珂奈芽はみんなを手招きして誘う。
どんな味になるのかわからないけれども、緑に桜の花は見るだけでも心が和むに違いない。これに何をあわせようか。
「ええよ。わしのお目当ては果実じゃからの」
四人で足を踏み入れたなら、混ざり合う仄かな果香がお出迎え。呼吸するだけで高級ケヱキを頬張るお得な気持ちになれる。
「初志貫徹」
まず先陣を切ったのは雪だ。一際甘い香りを放つ白桃の前で止まると、スプーンでそっと掬い取る。名を顕わす桃色の皮をつけたままの桃からはさぞや甘さがでることだろう。
「桃かー、おいしいよねー。うーん、どれにしようかなー……」
迷うチモシーだが、ころりと置かれた赤い林檎に気がついたとたん迷いはぴゅんっと吹き飛んだ。
「あっ、林檎がある! 林檎入れたい林檎!」
地元の名産で馴染みも深い果物だから、踊る心で二つ分の林檎を掬い取る。
「うーん、桃も林檎も美味しそう!」
でも、珂奈芽が活かしたいのは桜の花だ。お茶に使うのは初めてだけど、きっと繊細であろうそれを消してしまわない果物は何処?
「嵐吾くんは……柚、かー……レモンティーみたいに合うのかな?」
「さっぱりすっきりな味にしよかなと思っての。しかし香りも楽しみたいのじゃ」
嵐吾は珂奈芽の手元の桜花を覗き込むとほにゃりと破顔。
「わしも花をとってこよ。金木犀をちょびっとじゃ」
ぽちりぽちりと咲く小花はさぞや愛らしいに違いない。
「うん、じゃあ柚にしちゃおう!」
飲んだことがないから味がわからぬのは当たり前。黄色は元気をくれるし、チャレンジ大事。
「ふんふん……二つ目はこれじゃ。ほっとできそな味も欲しいもの」
嵐吾の手元では爆ぜ玄米がざらりと道を為す。
「玄米茶かー、いいよねー」
「ああ、オーソドックスさが良い」
「香ばしめの多めに出来るのが、手作りの嬉しいとこじゃ」
緑茶が4割控えめに仕上げ嵐吾はホクホク。
チモシーは二つのお茶へ林檎を散らしてから店員さんを呼び止めた。
「せっかくだから、あともうひとつなんか入れたいんだけど、おまかせとかってできるかな?」
「林檎ですか……二種類をお持ち帰りでしたら、こんな感じはいかがでしょう?」
一つには桂皮――シナモンと言う奴だ。そしてもう一つには金平糖をしゃらりと添える。
「あ、アップルパイっぽい」
「飲むのが楽しみ!」
できた、と緑にしだれ桜の如く花びらを散らした茶葉を前に珂奈芽も手を打った。
「柚? 若葉みたいでいいねー」
なんてチモシーの言葉が嬉しい!
喫茶室から出てきた女学生へ、雪はおずおずとミエのことを問いかけてみる。そうして得られたのは「あの怖い顔の犬を連れてる子がいたよね」なんて話だ。
こじんまりとした喫茶室に腰を落ち着けた面々の前にの急須と手触り滑らかな湯飲みが置かれた。
「蒸らし終わっているのでどうぞ」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
あれほどお喋りだった三人も元々寡黙な雪も、みな唇を切り結び急須を持ち上げる。そうして注がれる緑水がたてる香りに感覚を研ぎ澄ました。
果実の濃密さは、ない。
だが確かになにも入れぬ緑茶とは全く違った甘さが鼻腔を刺激する。
「あれ、美味しい! 甘味がお茶の渋味と合ってる!」
期待一杯で口に含む珂奈芽から、まずは感動の声がまろびでた。
「桜の香りもちょっぴりしてなまら和風! すごーい!」
嵐吾の手元でこぽりと跳ねた玄米の香りは濃密で、煎餅をかじるような香ばしさである。
「もうちょい玄米強めもよさそじゃな」
店員さんが聞きつけて、小鉢に玄米を入れて持ってきてくれた。
「シナモンはお預けで、金平糖のだけなんだけど……甘さほんのりで、未体験だよー」
湯飲みを手に暖を取るチモシーも大満足の面持ちだ。
「うん。おいしい。緑茶の持つ甘さに桃の香りがとても似合う。これは様々なブレンドを試してみたくなる魅力があるな」
「やっぱりもう一つ作っていこうかな」
無垢木の窓枠の向こう、平和に買い物に興じる人々を目にして珂奈芽はぐっと拳を握る。
「素敵な世界の平和の為に、情報収集も頑張らなきゃ。あっでも、和物の花飾りも買いにいかなきゃ……」
正直すぎる珂奈芽へ、チモシーはぷはっと吹きだし雪もクスクスと葉がこすれるような笑みを見せた。
「嬢ちゃん、その意気じゃよ。心の余裕がなけりゃあ誰かを助けてりできんもん」
三人を代表して嵐吾がまったりと言ったなら、気合いで膨れたほっぺもしゅっとしぼむ。
「まずはほら……甘いもの! おねーさん、お勧めの甘味お願いしまーす」
なぁんてチモシーの注文が喫茶室に響き渡る。
「そうじゃ、皆の二杯目は汝のおすすめをひとつ、お願いできんかの」
茶菓子もお任せならば、お茶もそうとの提案は誠に素敵なことだ。
やってきたのはふかし芋におはぎ。あとは皆が選んだ果物の砂糖漬け。
お茶は目の前でさらさと透明硝子のポットに入ったのは、柘榴と檸檬の酸っぱい目ブレンド。
「これは、酸っぱそうだ」
うむと唸る雪だが、自分では作らない組み合わせはこれまた興味深い。
「ええ、ですのでお好みで金平糖をどうぞ」
――さあさ、召し上がれ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
陽葵◆f01888
アドリブ◎
3
オイ、俺にあらぬ容疑かけンの止めろ洒落にならねェ
今更だがその呼び方どうにかならねェのか
…くろすけで(舌打ち
ハ?何軒回ったと思ってるンだ
まだ食う気かよ
…食ってるし
今度は俺に付き合えや
コロッケ自棄食い
商店街の雰囲気楽しむ間も無く陽葵引摺る
茶作りへ
二種類作る
A
緑茶の工芸茶
白ジャスミン
千日紅
姫百合
B
玄米
檸檬
ブルーベリー
コーラ好きなのか?
そればっか飲むと虫歯出来ンぞ(ニヤ
ッアー!てめ、ふざけんなッ
責任もってお前も飲めよ!
Bの茶に金平糖が
意外と美味
湯呑みに淹れて陽葵に渡す
花茶も陽葵にヤるよ
甘くねェし
見た目綺麗だろ(花咲く様子見て微笑
小さい頃、作ってもらったンだ(俺の初恋の人に
彼岸・陽葵
くろすけ(f04599)と3
JCと買い物とか下心まっくろくろすけ?
えー、呼びやすいんだからいーじゃん
じゃあ、クロたろうかクロさぶろう、クロえもん選ばせてあげるよ
お茶?
てか、コーラはないの?
コロッケの脂っこさがコーラを求めてるんだよ
あたしはコーラの方が好きなの
ジャンキーis最高
虫歯は余計なお世話
猟兵なんだしUCでなんか凄いこと起こってなんとかなるでしょ多分
適当に作りますかー
なんとなく手に取ったのは桃
そういや妹が好きだったな…桃風味のお茶とか驚くかな?
シンプルにお茶と桃だけだから直ぐに完成
つまんないしちょっと悪戯しますか
どう見ても地雷っぽい金平糖を投入してやらー!
…なんか意外においしいんだけど
不服
●
「JCと買い物とか下心まっくろくろすけ?」
事実その1:彼岸・陽葵(仄日ジラソーレ・f01888)は十四歳である。
事実その2:二人は連れだって青町商店街を食べ歩いてきた所だ、コロッケおいしい。
「オイ、俺にあらぬ容疑かけンの止めろ洒落にならねェ」
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)はチッと下唇を突き出し不満げだ。
「今更だがその呼び方どうにかならねェのか」
「えー、呼びやすいんだからいーじゃん。じゃあ、クロたろうかクロさぶろう、クロえもん選ばせてあげるよ」
たろうは兄貴だから候補に遺そう。だからさぶろうは不可。えもんはお侍につけば渋いがクロをつけたら間抜け、クロたろうは弱そうだからやっぱなし。
「……くろすけで」
「OK、クロすけで」
確定しました。
でもって幾つ目かわからぬコロッケの紙袋を開いてかぷり。今度は豚肉コロッケ、ジューシーで美味。
「よく食うな、お前」
「ジャンキーis最高。軽くて幾らでもいけるよ」
「いや、重いだろ」
脂が流離う胸元抑えるクロウは見えてきた目的の店を指さした。
「今度は俺に付き合えや」
それは女子なら喜びそうな洒落た店だが陽葵の眉は不満げに下がる一方である。
「お茶? てか、コーラはないの?」
「ねェよ」
「コロッケの脂っこさがコーラを求めてるんだよ」
駄々をこねる陽葵を引きずり茶の香り立ちこめる店内へ。
「手ぇ拭いたか?」
「拭いたよ」
「それでも、ほら」
なんて手渡された手ぬぐいをわしゃわしゃ。陽葵はクロウの横顔が随分と真剣なのに気づく。
白ジャスミンを茶に散らし、極力丸のままの千日紅と姫百合を一つ目の籠へ、そこには自前の藁もある。
「うまくできっといいなァ」
なんて真剣だが愉楽目一杯なクロウへ肩をそびやかし背を向ける。
「適当に作りますかー」
ふと目についた桃の欠片へ茶さじを差し込んだ。
「お、桃好きなのか?」
ブルーベリーと檸檬を確保したクロウは、多めの桃に興味津々。
「まぁねー」
妹が、とつけたすのは心だけ。
自分とそっくりだけど全然違うおっとり顔が喫驚で咲く様を想像したら、口元が少しだけ綻んだ。
その綻びに陽葵本人は気づいてなくて、目にしたクロウの胸はあたたまる。
試飲を兼ねた喫茶室でのお茶会――。
「やっぱコーラ飲みたいー」
「そればっか飲むと虫歯出来ンぞ。果実の自然な甘みをだな……ッアー!」
クロウのお説教が長くなりかけた所で、急須の蓋をあけた陽葵が指から振らせるは色とりどりのお星様。
「地雷もこれだけ可愛いときっといい仕事するでしょ。猟兵のUCみたいにどかーんって」
にぃと歯を見せ悪戯笑いを横目に、湯の中ぷかぷかたゆたう金平糖にクロウは絶望の顔つき。
「てめ、ふざけんなッ、責任もってお前も飲めよ!」
蒸らせば蒸らすほど金平糖は融ける、でもブルーベリーと檸檬を確り味わいたい……そんな葛藤の末、きちりと定刻待って注がれたお茶は果たして?
「……なんか意外においしいんだけど」
「ああ、果物の酸味が和らいで想像とは違うけど美味ェわ」
ぷぅと頬を膨らませてジト目の陽葵の前に、クロウは透明硝子の筒を置いて緑茶ところりとした藁の毬を落した。
「なにこれ」
「まァ見てろって」
沸かしたての湯に充たされたなら、ぽ、ぽ、と橙と白の花が縦に連なり花開く。
「わ、へー……」
「見た目綺麗だろ」
文句ばかりの生意気口も今回ばかりは静かだ。
「小さい頃、作ってもらったンだ」
浮かぶ初恋の君の指がころりと毬を落す、幼い目には魔術めいた華の饗宴が懐かしい。
「俺も、今の陽葵みてェな顔してたのかもな」
「……ッ! そんなわけないでしょ」
そんな恥ずかしいことを言う口には、直接金平糖をお見舞いだ!
でもこうやって巫山戯合える素直な時は、心がほろり解けて楽にもなる、かもしれない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
南雲・海莉
【3】
桜に玄米、黒豆を緑茶に合わせ
友人達へのお土産に
昔、小学校の友達が遊びに来た時に、
義兄さんが桜の紅茶を淹れてくれたことがあるの
『おもてなしというのは、相手の事をどれだけ想えるかだよ
お茶はそれを表すことができるんだ』
義兄の言葉と共に、友人たちを想って配合
桜の薫りが勝ち過ぎぬよう
明るい春の息吹を感じられるように
……今、胸の奥がとても温かい
義兄もあの時、とても生き生きと楽しそうだった
『だから俺はお茶が好きなんだ』
誰かにこの気持ちをお裾分けすることが
……一人でも大切に想う気持ちを形にすることが
ひょっとしたら義兄さんの幸いだったのかもしれない
友人達への想いと、義兄の記憶を一緒に封して
大切に持ち帰るわ
●
淡い緑に薄紅と黄金を散らす。隠れ名役者は黒豆、桜と玄米の相反する性質の手を取る役回り。
まだ寒い冬だけれども、必ず春はくる。その息吹を一足先に感じて欲しい。
だから茶葉の見目だけではなく、お湯で引き出される味わいと香りにまで想像を馳せる。飲んでくれる人たちが幸せになってくれるように。
南雲・海莉(コーリングユウ・f00345)はお茶を編むということの深さを知り、義兄の面影を重ね合わせる。
――おもてなしというのは、相手の事をどれだけ想えるかだよ。
――お茶はそれを表すことができるんだ。
そう、あれは小学校の頃。遊びに来てくれた学校の友達へ、義兄は桜の紅茶を振る舞ってくれた。
こんなの初めてだとワクワクと瞳を輝かせた子もいたし、お洒落で素敵とおすましした子もいたっけ。
自分はどうだったろうと辿る海莉は、鏡に映る姿をあどけなくした少女が目一杯の笑顔だったのを思い出した。同じように義兄も微笑んでいた。だからお茶が好きなんだと。
うん、それで充分。
胸の奥があたたかいのは、あの時のみんなの笑い声が聞こえてくるから。
(「義兄さんもそうだったのね、きっと」)
私が友達を連れてくると言った時から、もてなし笑顔を招き寄せるお茶を考えて振る舞ってくれた。
海莉は今、掛け替えのない友達の顔を浮かべてお茶を編む。義兄はあの時、自分と大切な友達へ心を傾けてくれたのだ、こんな風に。
嬉しい。
「……ふぅ」
三度目のテイスティング。おちょこのような小さな湯飲みで嗅いだ臭いと舌に染みる味わいを確かめて、海莉は満足気に頷いた。
とびきり美味しくて香りもよくて、何より優しい味わいのお茶ができた。
――この嬉しさを、持ち帰って共有したい。
透明な袋に封じて、まろみある赤のリボンで蝶結び。この中には、海莉と義兄が詰まっている。友達への想いと掛け替えのない記憶として。
この宝物を封を解くのは思い寄せる友と共にだ。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【恋華荘】
商店街では食べ歩きが、醍醐味だよね。
あげもの、あげもの……このカロリー無視なジャンク感……
と、コロッケを購入。
マイ七味をどばーっとふりかけて、ほこほこ感に感動し、
「いちごさん、このコロッケ絶品です!」
と、差し出しながら、セナさんの串カツもぱっくん。
一緒に感動できると思っていたところ、
むせだしたいちごさんをみて、自分の辛党を思い出し、
あわてて飲んでいたお茶を差し出します。
落ち着いたいちごさんをみて、
ほっとはしたのですが……あれ。これって……
いや、あの、うん。ソウイウイトコデス。
きょとん、としているいちごさんから、
耳を真っ赤にして、目をそらしちゃいます。
でも、あれ?わたしも串カツ……。
彩波・いちご
【恋華荘】1
4人で食べ歩きと行きましょう
それぞれコロッケ等を買って、食べながらお散歩です
「セナさんは何を食べてるんです?」
美味しそうですね、一口いいですか?と、お互いの食べかけを差し出してパクっ
「あ、アシュリンさん、頬にクリームが」
クリームコロッケから跳ねたのか、頬のクリームを指で拭ってぺろっ
「ではいただきますねー……んぐっ?!」
理緒さんから差し出されたものを口にしてみると、ものすごく辛いんですがっ?!
マイ七味の味付けにむせて、理緒さんから差し出された飲み物で喉潤します
「これかけすぎですよ理緒さん……って、どうしました?」
これでなんとか人心地…って
あの、3人ともどうしました?(きょとん
セナ・レッドスピア
【恋華荘】
1
いろんなお店があって、とっても賑やかですっ!
そしてみんなで立ち寄ったお肉屋さんで
串カツを買って、いただきます!
あつあつほくほくを楽しみつつ
みんなにも分けてあげようと声を変え
最初にいちごさんがやってきて
差し出した串カツをおいしくいただいてる所を見て
心もぽかぽかになっちゃいます
引き続き理緒さんやアシュリンさんにも分けてあげて
残った分も最後までごちそうさまして…
そこでようやく
これっていちごさんが私が口を付けた所に…!?
と気づいてしまい、急に顔が赤くなってしまい
ポカポカを通り越してドキドキに!?
しかもよくよく考えたら、他のお二人とも…!?
と考えるとさらにドキドキ度と顔の赤さが大変な事に!?
織笠・アシュリン
【恋華荘】
1
あたしの故郷の商店街は半分以上シャッター街になっちゃってたから、賑わってるのはすごい新鮮!
お肉屋さんから、クリームコロッケ買っちゃうよ!
「あふ、あふっ、おいひ……あちゅっ!?」
ほかほかコロッケにかぶりついてたら、熱々のクリームが頬にっ!?
いちごに拭ってもらってお礼を言いつつ、セナの串カツや、理緒のコロッケも……
はぐはぐ、美味しい……(コロッケ辛いけど)
……あっ!?
あたしの頬のクリームをいちごが拭って舐めた、よね……
間接的に舐められたとか、そんなの……!?
はぅぅっ、考えたら顔が熱くなってきたよ……
は、恥ずかしい……って、一緒の二人もそんな感じ!?
い、いちごってば……(真っ赤)
●
青町商店街のアーチの向こう側、四人が並んで歩いても迷惑にならぬ程に広々とした道が真っ直ぐに伸びている。
終点からは役所や町工場が軒を連ねる工業地と住宅街へつながっており、この通りは大層繁盛している模様。
「あたしの故郷の商店街は半分以上シャッター街になっちゃってたから、賑わってるのはすごい新鮮!」
サイドテールを弾ませる織笠・アシュリン(魔女系ネットラジオパーソナリティ・f14609)は、空色の瞳をくるりと輝かせる。
「確かに、いろんなお店があって、とっても賑やかですっ!」
すれ違い「あ、ごめんなさい」とアシュリンの後ろにまわったセナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)は、再び並ぶと左右をきょろきょろ。
「ハイハイ、いらっしゃいいらっしゃーい! 揚げたての特製コロッケが食べられんのは、この“トン屋”だけだよー!」
ころりと太ったおばちゃんがディスプレイの向こうから顔をだし、ここぞとばかりに(傍目には)乙女4人衆に声をかける。
「商店街では食べ歩きが、醍醐味だよね」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はそれが目的だと言いたげに、ぴたりんと足を止めて振り返る。
髪から見える左目はエプロンをしたコミカルな豚の看板をちらーり。
「もちろん、それが目的で来ましたしね♪ 4人で食べ歩きと行きましょう」
彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)の合図にあわせて4人で店先へ突撃。
「「「「すいませーん!」」」」
――反対端の肉は温め直して出してるんだよ、なんて明け透けないおばちゃんの自慢話、しかし口も手もよく動くから味への自負は本物であろう。
じゃわぁああああああ! と油が弾ける音を待つことしばし、それぞれ好みのあれやこれやを買い求めて、再び通りへ戻る。
「あげもの、あげもの……このカロリー無視なジャンク感……」
きつね色のパン粉はお日様色、甘くミルキィな香りのジャガイモに、理緒はゴクリと唾を飲み下す。恐らくは生地に練乳入り。
すちゃ!
なれば引き締める為の七味はたっぷりと浴びせねばなるまい! 油紙越しに握る指へも降り注ぐ七味を構わずに、理緒さん鬼トッピングなう。
かぷり。
「んー、んん! これは! 絶品ですね!」
「あふ、あふっ、おいひ……クリームコロッケも最高!」
とろんと濃厚なホワイトソースの中には、カニかまぼこのピンクが踊る。アシュリンの手元では、クリームコロッケの常識を破壊するような巨大な物体が湯気をたてている。これならわけっこしても満足できる。
「うん、おいひいですよねぇ」
シャクシャクと串カツを噛みしめるセナは、ソースのついた口元を拭ってもう一口。
豚を掲げる店だけあって、ジューシーな脂身の甘さといったらたまらない!
「はぁー……あむ」
しゃくり。
いちごが選んだのはちょい変わり種のトリゴボウコロッケだ。なんでも限定品、普通のは理緒が頼んでいたからこっちにした。
「んー、おいしいです」
ほんのり醤油味、ぶっちゃけて言ってしまえば「昨日のお夕飯できんぴらゴボウが残ったから混ぜてあげてみた!」丸出しなわけだが、これが美味い。
「セナさんは何を食べてるんです?」
「串カツです! 脂身の甘さとお肉の柔らかさが絶妙で……」
「それは美味しそうですね、一口いいですか?」
「あ、もちろんです」
いちごからのコロッケのしょうゆの香りに鼻がひくり。お礼にと流れで口にしていた串カツを差し出す。
ぱくり!
パクッ!
「んー……お肉屋さんの自信作……さしゅがです……」
瞳をとろんと下げてシャクシャク味わういちごの至福に、セナの心もぽっかぽか。
「理緒さん、アシュリンさんもどうぞー」
「あ、ありがとうございます」
「わーい、もらうもらう!」
ぱく。
もぐもぐ。
「うん、熱々ジューシーですね。これはおいしい」
「お肉だよっ、お肉ー! おーいしーー!」
更に2人も手放し破顔、返ってきた残りを頬張ったならますますセナの心も温かくなる……なる、けど……。
(「あ、あれ? これっていちごさんが私が口を付けた所に……!? しかもよく考えたら、他のお二人とも……!?」)
セナ→いちご→理緒→アシュリン→セナ。
(「わわ、わぁあああ……」)
ぽかぽかからドキドキに変わって赤面、セナはきゅううっと目を閉じて下を向く。
「どうしましたか?」
セナを気遣ういちごはしかし、アシュリンの悲鳴で即座に意識をそちらへうつす。
「……あちゅっ!?」
食べ進め勢い余り、しかも自重で下がっていたホワイトソースの量的攻撃を喰らってしまったぁ! ……どういうことかというと、噛みしめて跳ねた白いクリームがアシュリンのほっぺたにぺったり。
「あ、アシュリンさん、頬にクリームが」
スッと伸びた人差し指でちょいっとぬぐい取り、いちごは躊躇いなくぱくりと指を頬張った。
「うん! これは濃厚ですねー。帰りにはクリームコロッケもありですねー」
しかしアシュリンはそれどころではない。顔から火がぽっぽーって出て、薬缶でも沸かしそうな勢いなのだ。
「……あっ!? あたしの頬のクリームをいちごが拭って舐めた、よね……」
間接的だけど、確かにぺろっと(クリームコロッケを)美味しそうに舐めとった。
「は、恥ずかしい……」
セナに続いてアシュリンも下をきゅううっと目を閉じて下を向く。
「? 2人ともどうかしましたか?」
罪なき無邪気ないちごと、2人の照れにはまだ思い到らぬ理緒は顔を見合わせた後に、互いのコロッケをさし出し合った。
「いちごさん、このコロッケ絶品です!」
「普通のも食べてみたかったんですよ。ではいただきますねー……んぐっ?!」
けほんっ。
咽せたいちごから赤色粉末が飛びだした。めちゃくちゃ辛くて生地に練乳が入っていてミルキィとかそういうのが全くわからないわけだが。
立ち止まって口元に手を宛がい噎せるいちごを前に、理緒は漸く自分の激烈辛党な味覚を思い出す。
ちなみにトリゴボウコロッケはもっと辛いと美味しいのにな←
「わ、わー、いちごさんごめんなさい! これ飲んでください」
「これかけすぎですよ理緒さん……」
なんてぼやきつつも差し出されたお茶を一気にあおった。ひりつく食道がぬるい緑茶でもって鎮められていく。
「……あれ。これって……」
間接キス。
「……って、どうしました?」
「いや、あの、うん。ソウイウイトコデス」
耳まで赤くして、理緒も2人と同じように俯いておめめを><
「い、いちごってば……もう」
ちらと顔をあげたアシュリンが肩を竦めるのと目が合ったので、理緒は更に思いだしてしまう。
「でも、あれ? わたしも串カツ……」
「はい……その、私、アシュリンさんとも、あと理緒さんのところもこう……ぱくりって……」
みんながみんなで間接キッス。
わかっちゃったらまともに顔が見れないぐらいに、恥ずかしい!!
「みんな、どうしたの??」
気づいてないのはいちごさんだけなのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
饗庭・響
1.お肉屋さんの揚げたてコロッケや唐揚げを食べ歩き
可能であればオルタナティブ・ダブルで『景』を呼びます
「あまりこういうところに来たことないから少し心細いかも…」
という響に対して
「私がいるから大丈夫でしょ?はやく行こうよーあ、あれ食べたい!」等
ガンガン行こうぜタイプの景に引っ張られるように食べ歩きます
「このコロッケ揚げたてで美味しい…」
「こっちの唐揚げ超デカーい!美味しい!」
半分こしよ?等のやりとりをしていると、楽しいことは2人分になるから多重人格でよかったなぁと思います
アドリブ等歓迎します
「あまりこういうところに来たことないから少し心細いかも……」
胸元に手を宛がい亀のように竦めた首で、響はオドオドとした視線を配した。金髪で抜けるように白い肌が、異国から迷い込んだようにすら見せる。
「はやく行こうよーあ、あれ食べたい!」
だがお節介が揃うこの商店街で、誰もが響へ手を差し伸べなかったのは、如何にもハッキリと物を言いそうな景がいるからだ。
さらさらと細い毛質の金髪も繊細な西洋人形めいた顔立ちもそっくりな二人は、傍目には仲の良い双子の姉妹。
「私がいるから大丈夫でしょ?」
ほら、と景から差し出された手を響はしっかりと握りしめる。
――饗庭・響(多重人格者の聖者・f01624)という存在はひとりの筈なのに、決してひとりぼっちにはならない。
だって、響には景がいるから。
人混みを物ともせずに進む景を見る響の瞳が眩しげに眇められた。
「あ、ねえねえ、これが揚げたてコロッケのお店よね」
「多分」
「そうだよー! 揚げたてコロッケはうちだけだよー! あれまぁそっくりねぇ、アンタ達」
「でしょ。えーっと唐揚げとコロッケ」
……で、いいでしょ? なんて確認も不要なぐらい心はつながっている。だから響はおばさんに向けて「お願いします」と頷いた。
油にの香りが二人のお腹をぐぅっと鳴らした頃、それぞれへコロッケと唐揚げが差し出される。
「このコロッケ揚げたてで美味しい……」
「こっちの唐揚げ超デカーい! 美味しい!」
ちまりと口に含む響と、がぶりと豪快に歯を立てる景。同じ顔立ちなのが不思議なぐらい違う二人は、ぴたりと同じタイミングで顔をあわせた。
「半分こしよ?」
「はい、響。あーんして」
食べかけのコロッケと、爪楊枝ささった唐揚げを交換。
「ふふ……」
「? 響、どうしたのよ?」
あーんと二つ目の唐揚げをごくんと飲み下した後で、響は景へ答えを告げた。
「多重人格でよかったなぁって」
「……そうね」
響はひとり、でもひとりぼっちじゃない。楽しいことは景と一緒の二人分。それはなんて幸せなことだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
【1】
失踪事件とは物騒だねー。
まあどこから手を付けていいか悩んでる時間も無駄だし、お買い物楽しもっか。
調査の基本は足って言うしね。…歩くの苦手だけど。
とりあえず歩いてみてなんとなーく探ってみるけど成果は今一つ。
ちょっとお腹も減ったし…このお肉屋さんコロッケ美味しいんだっけ?
揚げたての誘惑には逆らうのもねーとれっつごー。
コロッケ幾つか買って一口に。
熱々でちょっと驚くけども凄くぐっどていすと。
お肉屋さんのはなーぜか一味違うよね。
油とか肉とかの違いなのかな?と肉屋の人に疑問振りつつ世間話。
そいえば最近の売れ筋は何かと聞いてみる。
コロッケ以外ならそっちもチャレンジしたいなってね。
※アドリブ絡み等お任せ
『青町商店街』のアーチを境に住宅街と商店街とパッキリ別れ、賑やかさも段違い。そんな風に長閑に日常を享受する面々の中、姿を消してしまった少女がいるという。
「失踪事件とは物騒だねー」
だがヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)から漏れる台詞はのんびりまったり。
大柄な身体を揺らしのっそりのっそり、苦手な徒歩で商店街の端から端を歩いて、肉屋の前まで引き返してきた所である。
得られた成果は今ひとつふたつ、だが失踪者の命の危機はなさそうだというし。
「ちょっとお腹も減ったし……このお肉屋さんコロッケ美味しいんだっけ?」
考え事には糖分大事!
なんて言い訳不要。揚げたての香りに抗うなんて無駄なことはせずに、ヴィクトルは硝子戸を器用にあける。
「コロッケちょうだい」
「あいよ、幾つ?」
「ねー、この“おたのしみ”ってなに?」
「今日は“きんぴらゴボウ”だよ。これはねぇ、年に1回しかでないのっ!」
口から出任せなのは抜けッ歯の笑いを見りゃわかる。だがヴィクトルにとってはそんな軽妙なやりとりすら楽しい。
「じゃーあ、おたのしみと普通のと、あとお勧めも」
こういうざっぱな注文が通るのも、気さくな商店街のお店のいいところ!
じゅわぁあああ~。
熱々の袋には、見た目は同じようなコロッケが三つ。結構な量だが、ぼりゅーみーさならヴィクトルも負けちゃあいない。
「あっち……! んー……これは、カレーかな?」
シャクシャクのぴりぴり、ニンジンが四角で歯ごたえがあるのがポイント高い。素晴らしきぐっとていすと!
「ねーねー、やっぱりいいお肉を使ってるの?」
「企業秘密だよ」
なーんて言うのは最初だけ。
やれ練乳が隠し味だの豚肉ミンチはよく焦がしてだの、いい聞き役がいたらおばちゃんのお喋りが止まるわけがないのだ。
じゅーしーなさっぱりな大葉メンチカツを囓りつつ、ヴィクトルはいつまでもお喋りにつきあうのである。
大成功
🔵🔵🔵
楜沢・玉藻
【楜沢家】
1.お肉屋さん
エンパイアだと揚げ物もお肉もあまり食べられないし
お肉屋さんのコロッケって美味しいわよね
油やパン粉を買って帰れば家でも作れなくはないけど
この味は出せないわ
餅は餅屋ってやつかしら
紺はコロッケ食べたことある?
気に入ったら家でも作ってあげようか?
お姉ちゃん、たくさん練習してお肉屋さんくらい美味しいコロッケ作れるように頑張るわ
さて、一頻りコロッケやメンチカツを楽しんだら
「そういえば女の子が行方不明になったそうですね。物騒だし女の子が心配ですね」
店員さんに世間話を振る感じで聞き込みもしてみるわ
楜沢・紺
【楜沢家】
1.お肉屋さん
「姉ちゃん。今日は行方不明の女の子を探すんだから
ご飯を食べてる場合じゃないよ!
コロッケ? そんなの知らないよ!」
そんな事を言いつつも尻尾は揚げたてコロッケの匂いにパタパタとはためき
「じゃあ、ちょっとだけ」
と言いながらあちあち火傷しそうになりながらも一つ食べてしまいます。
お姉ちゃんが家でも作れると言うと真剣にうんうん頷いて。
コロッケの事を考えてしまいます
そして女の子の事を忘れそうになりながらも姉の言葉に思いだし
「そうだよ。その子もきっとお腹が空いてる。
だから速く見つけて美味しいコロッケを食べさせてあげなくちゃ」
そう強く決心するのです。
●
エンパイアよりも新しい、けれども他の世界よりは幾分か馴染みある古さ纏う風景に、双子の妖狐はしっくりと馴染んでいる。
とはいえ、
「エンパイアだと揚げ物もお肉もあまり食べられないし」
なんて嘯く姉の楜沢・玉藻(金色の天井送り・f04582)に到っては、麻雀とTCGを嗜む(控えめな表現)程に様々な文化に遊ぶわけだが。
「姉ちゃん。今日は行方不明の女の子を探すんだから、ご飯を食べてる場合じゃないよ!」
一方、弟の楜沢・紺(一ツ尾・f01279)方は、姉のように俗世に染まらず、里で剣や陰陽術の修行に邁進する真面目な性格。
「お肉屋さんのコロッケって美味しいわよね」
「コロッケ? そんなの知らないよ!」
もふっとしっぽがゆれたり、ぴぴんと立ったり。話し声に耳がひょこりと外を向いたり、全て同じ動きの双子に足を止め興味津々な外野すら現れる始末。
「油やパン粉を買って帰れば家でも作れなくはないけど、この味は出せないわ」
「この味ってどんな味だよ」
人差し指をぴぴんとたててお姉ちゃんぶるのに、ついつい質問しちゃうのだ。そうなると自慢気モードに移行します。
「馬鈴薯をふかして潰した中にお肉を入れるの。おいもが油を吸ってあまーくなるのよ。でも油だけとは思えないわ」
ふかした馬鈴薯に塩を振るだけでも美味しいのに、そこにお肉が入る。更には油で揚げる?
紺は必死に頭の中でコロッケとやらを浮かべて想像する。
「餅は餅屋ってやつかしら。紺はコロッケ食べたことある? ないわよね?」
こくりと頷く弟の脳裏は“?”が飛び交いながらも、なにやらホカホカで美味しそうなものができあがっていく。
口の中の涎一杯。なにしろ姉がもう得意げに「美味しいのよ」と連呼するものだから。
じゅわぁああああああああああ~。
トドメ。
お肉屋さんから溢れる油の弾ける音と、箸でつまみ出された揚げたてコロッケの香りに、パタパタとはためき出すしっぽ。勿論、ほぼ同じ動き。
「はいよ、熱いから気をつけんだよ」
おばちゃんから受け取ったコロッケとメンチカツの袋を、紺は興味津々に覗き込む。
もふわぁ~と立ち上る湯気だけで香ばしくて美味しい。
「じゃあ、ちょっとだけ」
「熱いから慌てて食べないのよ?」
「……あちっ」
ほらもうっと店のベンチに腰掛けて世話を焼く玉藻お姉ちゃん。
「あち、あちちち……んー……」
しゃくり、と口で弾ける味は、姉が語った以上に美味である。とろっとした馬鈴薯に熱い甘みと故障のぴりりのハーモニー。
大人びたペースで上手にコロッケを頬張りつつ、紺が火傷しないようにと見守る玉藻の眼差しは、やはりお姉ちゃんである。
「気に入った?」
「うん、これ美味しいね。うん、うん、すごい、美味しい」
感動の余り語彙力を佚した紺へ、玉藻はにぃっと歯を見せ笑う。すると紺も同じように「えへへ」と笑った。
「家でも作ってあげようか?」
「うん!」
ほふほふっと天井を向いてから、はぁ~と熱気を逃がし。紺は何度も何度も頷く。そこまで期待されたなら、玉藻も俄然力がこもるわけで。
「お姉ちゃん、たくさん練習してお肉屋さんくらい美味しいコロッケ作れるように頑張るわ」
「練乳だよ」
隠し味、とカウンターからの声に、双子は同時にお礼を述べる。そうして事のついでと切り出してみた。
「そういえば女の子が行方不明になったそうですね。物騒だし女の子が心配ですね」
「そうだよ。その子もきっとお腹が空いてる。だから速く見つけて美味しいコロッケを食べさせてあげなくちゃ」
双子の前にどさっと追加のコロッケ登場。こちらはきんぴら風醤油味。
「アンタ達いい子だねぇ。ミエちゃんが見つかったらおばちゃんコロッケご馳走してやるからねぇ!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
伊能・龍己
彦星さん(f00884)と一緒にお肉屋さんに行くっす
商店街で買い食い、楽しみっすね。ちょっと憧れてました
少し前まで学校からすぐ帰ってたんすよ……えっ奢り、マジすか。ありがとうございます(うれしい)
コロッケもですけど、メンチカツも美味しそう。何買おうかなって思うと迷ってしまいそうっす
見てるだけでお腹すきますね、ほんとに
紙袋に色々入れてもらって店を出たら、食べ歩きしたいっす
……あれ、どっちがコロッケでどっちがメンチカツでしたっけ
あっ、ほんとだ桜の目印。ありがとうございます。
ほっとした様子でコロッケをみつけて。
いただきますっ。
笹塚・彦星
龍己(f21577)と一緒に。
まじか、商店街で買い食いしたことないの。じゃあお兄さんが奢ってやろうかね。
揚げたてのコロッケもメンチカツも美味いんだよな…。迷うくらいなら、と両方買うか。これ2個ずつね。
これ桜の目印ついてる方がメンチカツだったかな。コロッケは、こっち。
いい顔して食うね。俺も一つ、頂こうかね。
なんか弟出来たらこんなかんじかなぁ、てほんわりするね。
●
悪童どもが連なってわぁっと走り抜ける様を、伊能・龍己(鳳雛・f21577)は鋭く見えがちな眼差しを緩めて見送った。
「懐かしいな。あれぐらいの頃の買い食いって、普通に食卓ででてくるのよりすっげー美味しいのな」
経験あるだろ? と傍らを振り返った笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)は、ふるりと頭を振る龍己を前に驚きを隠せない。
「まじか、商店街で買い食いしたことないの」
「少し前まで学校からすぐ帰ってたんすよ……商店街で買い食い、ちょっと憧れてました」
今でこそ両親より見聞を広めなさいと暖かく送り出されてはいるが、元は厳しい家の育ちだ。寄り道だの買い食いだのなんてもっての他である。
「じゃあお兄さんが奢ってやろうかね」
「えっ奢り、マジすか。ありがとうございます」
抑えた中に期待が籠もるのを感じ取り、彦星は美味しそうな臭いを振りまいている肉屋を指さした。
ブリキの皿の上、白いパン粉を纏った小判型のあれこれが並ぶ斜め前では、琥珀色のねっとりとした油が鉄鍋の中で熱を冷ましている。
おばちゃんほ挟んだ奥には、肉を切る包丁と像が踏んでも割れなそうなまな板がある。
それを一々物珍しげに眺める龍己と、坊ちゃん育ちなんだなぁとしみじみする彦星。
「コロッケもですけど、メンチカツも美味しそう」
「そうだな。揚げたてのコロッケもメンチカツも美味いんだよな……」
前者はホクホクのジャガイモが油を吸って絶品だし、後者は粗く刻んだ肉の汁がタマネギと相まって甘みがたまらない。
そんな風に論じるもんだから、龍己はますますどちらにしようか決められなくなる。
「じゃあ、それぞれでひとつずつ頼んで分け合いましょうか」
「遠慮すんなよ。どっちも美味いんだから、ひとつずつ買おうぜ。おばちゃーん、メンチとコロッケひとつずつね」
食べ盛りならこんなのは二つ食べたっておやつだ。
手際よくあげる様がまた魔法のようだと、龍己は釘付け。瞬く間に紙袋に分け入れられたのを二つずつ受け取って通りに戻る。
いざかぶりつく段になり、龍己は首をかくりと傾ける。
「……あれ、どっちがコロッケでどっちがメンチカツでしたっけ」
いや、どちらから食べたって美味しいのは違いないのだろうけれど。一口目の気持ちはコロッケに偏りきっているのだ。
彦星は右手を掲げて掌をずらした。龍己の視界の中にパッと咲いたのは、袋の角に判で押された桜の印。
「これ桜の目印ついてる方がメンチカツだったかな。コロッケは、こっち」
「あっ、ほんとだ桜の目印。ありがとうございます。やっぱりわかんなくなっちゃうものなんですかね?」
「まーそっくりだしな」
「いただきますっ」
相づちに更なる返事はなかった。代わりにしゃくりとコロッケにかぶりつく音が心地よく鼓膜を揺らす。
「……んんっ、うん……あっ、熱々。うん、うん……ッ」
すぐにかぶりつく二口目、三口目はもう言葉がなくなった。だが夢中な食べ方に、龍己のご満悦は丸わかり。ささやかな値のものだがご馳走した甲斐もあろうもの。
「いい顔して食うね。俺も一つ、頂こうかね」
しゃくり。
よく似た音でコロッケを囓ったら、漸く「おいしいす」と湯気混じりの白い吐息と共に返ってくる。
その所作が幼くも人好きするもので、
(「なんか弟出来たらこんなかんじかなぁ」)
なぁんて、彦星の心をほんわりあたためた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
榎・うさみっち
【ニコ(f00324)】と1!
この季節でも桜が咲いてるんだなー!綺麗ー!
テンション高めにくるくる飛び回る
確かに俺にとっては桜の花弁も結構なサイズだけど
所詮は花弁…ぴゃー!!(お約束
気を取り直してお肉屋さん到着!
へい大将!揚げたてコロッケ2つ頼むぜ!
サイズ?もちろんどっちも人間用のビッグで!
あ、支払いは任せたぜニコ!
さすが揚げたて、まだ湯気が立ってるぜ!
湯気をくんくんしながらまずは香りを楽しむ
ニコの忠告もスルーして思いっきりガブッ!
案の定熱々の衣が口の中に!
\ぴゃああああ あちゅいー!!/
クッ、衣は強敵だったぜ…
ニコ、責任持ってふーふーするのだ!
この後ラムネもコロッケも美味しくいただきました☆
ニコ・ベルクシュタイン
【うさみ(f01902)】と
1
サクラミラージュは何処へ行っても何をしても素敵だな
そんな世界へうさみと一緒に来られて嬉しいぞ
…大丈夫か、桜の花弁が顔にべちっと当たったりはしないか?
などと常にうさみへの気遣いを忘れない心意気ながら
お目当ては精肉店ご自慢の揚げたてコロッケだ
俺はともかくうさみをご覧あれ、フェアリーの身でありながら
人間サイズの食べ物も容易く食してしまうのだ
だがうさみよ、努々油断するなよ
揚げたてのコロッケは…熱い!
そして衣が…上顎に刺さる!
(アチュイーという声を聞いて)
大丈夫か、言わんこっちゃ無い…!
嗚呼、口の周りが油でベタベタだぞ…(ハンカチで拭く)
冷えたラムネでも飲んで落ち着こうか
●
幻朧桜の咲き誇る帝都、榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)のふわふわ靡く桜の耳は非常に馴染む。
「この季節でも桜が咲いてるんだなー! 綺麗ー!」
くるりん、くるくる、花びらとダンスダンス!
はしゃいで飛び回る様をニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)は、柔和に眇めた瞳でとらえ口元を綻ばせる。
此処は誰かの笑顔に溢れていて、人と人が近しくて、古くからの物を大切に扱う者も多い――とても、素敵な世界だと思う。
「……大丈夫か、桜の花弁が顔にべちっと当たったりはしないか?」
「確かに俺にとっては桜の花弁も結構なサイズだけど……」
ひらりんと身体を横にして躱し、随分先で散り落ちる花びらを見守る余裕まで見せちゃううさみっち。腰に手をあてふふんと得意げに胸を反らしたりもして。
「所詮は花弁恐れるに足らず……」
「危ないぞ」
遅かった。
後ろから儚く風に弄ばれた薄紅が三枚、錐もみの動きでうさみっちを、巻き込んだ!
「ぴゃー!!」
ニコは急いでハンカチを手にうさみっちを包み込む、救出成功なにより。
「へい大将! 揚げたてコロッケ2つ頼むぜ!」
気っぷのいいおばちゃんは「あいよー」と人間用のコロッケをボトボトと油鍋へ投下した。
「……あんた、チビだねぇ! コロッケと大して大きさ変わんないじゃないか」
揚げてから言う商魂たくましさだが、切り返すニコは気づいていないからか非常ににこやかで紳士的である。
「ご安心を。うさみは人間サイズの食べ物も容易く食してしまうのだ」
「このうさみっち、揚げたてコロッケを残すなんて勿体ないことはしないぜ! どどんと人間用のビッグを平らげちゃうぜ!」
胃どころか身体から溢れちゃうよねって言っちゃだめだ。
あともしかしたら湯たんぽの化身であることが仕事をするのかもしれないし。湯たんぽは思ったより沢山お湯が入ってぬくぬくだからね!
とまぁ、そんな風に喋っていたらからりとコロッケさんがあがるわけで。
「あいよ」
「ぴゃ~~~♪ テンションあげあげだぜ! ……あ、支払いは任せたぜニコ!」
ひらりとコロッケに飛び込み抱きしめる。身体全身コロッケの香りに充たされて涎と幸せMAXでぱたぱたぱたぱ……た?↓
重い。
「ニコ、肩貸してくれ」
「ああ構わんぞ」
ぱりと紙袋を剥がしあければ、ほっくほくに湯気が立ち上る。肩口でも同じく香りが二倍でご馳走度も二倍。
くんかくんかと香りをめいっぱいに吸い込んだあと、はーっと空を仰ぐ。同期する動きを三度繰り返したなら、先に大きく口をひらいたのは当然うさみっちの方だ。
「ぴゃ~いただきまーふ」
「だがうさみよ、努々油断するなよ。揚げたてのコロッケは……熱い! そして衣が……」
上顎に刺さる!
「\ぴゃああああ あちゅいー!!/」
刺さった。
しかもうさみっちにとってはパン粉は熱い砂利石を口に突っ込まれたようなもの。控えめに言って拷問なのではなかろうか。
だが、美味しいのだ。
とても、とても、美味しいのだ!
「大丈夫か、言わんこっちゃ無い……! 嗚呼、口の周りが油でベタベタだぞ……」
ハンカチを翳されたなら、んーっとお顔をつきだして大人しくふきふきされるぞ。
「クッ、衣は強敵だったぜ……」
でも勝ったぞ! しかもうさみっちは戦いより学ぶのだ。
「ニコ、責任持ってふーふーするのだ!」
ちゃっかりしてると相好崩し、ニコはちいちゃな囓り痕のついたコロッケに息を吹きかける。
ちりりんと、脇を過ぎる自転車のラムネ売りが去った後には、ベンチに腰掛けるニコの脇に二本のラムネ瓶が増えた。
「ぴゃ? これはどうやって飲むのだ?!」
「これはだな……」
身も心も充たされる時間は始まったばかり。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
【1】
「迷いましたが、やはりコロッケでしょう」
揚げたてコロッケをパクリと食べる
ホクホクのジャガイモとタマネギのアクセント、とても美味しいです
「誰か誘えば良かったですね」
手の中の紙袋には実に10個(1個食べた)のコロッケ
一人で食べる量ではないし、同行者がいれば話も弾んだだろう
とはいえ、2個目を口に運びつつ思案する
行方不明になった能代ミエ
彼女の愛情の深さが影朧を惹きつけたのか
私がコロッケに惹かれたように
犬を飼っているという話ですし、案外その辺りに繋がりがあるかもしれません
そういえば犬にはタマネギが良くないと言います
このコロッケは食べれません
「こんなに美味しいのに」
4個目を食べて私は『祈り』を捧げた
●
「迷いましたが、やはりコロッケでしょう」
常に誰かを慮り誰かの為に祈る聖なる人とて、お腹が減る。
絣模様の着物は瞳と揃えた穹の蒼。左右に結わえた黄金を靡かせ歩くマリス・ステラ(星の織り手・f03202)の手にはコロッケが詰まった袋がある。
白魚の指がつまみあげ、口もとで湯気を零す。噛みしめたなら、ざく切りのタマネギがまた良い仕事をするのだ。
「タマネギを生で入れて揚げることで火を通すのも中々にフレッシュでいいですね」
お肉屋さん故に主役は肉といわれがちだが、マリスはタマネギを是非押したい。
――なんてことを眉目秀麗なる女学生が考えていると、すれ違う男性諸氏は思ってもみないだろう。
いや、思うかもしれない。
なにしろ上品な所作ながら、コロッケは確実にマリスの中に消えていくのだ。
「誰か誘えば良かったですね」
二つ目をつまみ上げてひとりごちる。二倍や三倍の速度で減るならば、他の種類も試せた。
それもあるが、行方不明になった能代ミエへの推察も捗ったと思うのだ。
しかし無い物ねだりをしても仕方がない。コロッケは大きな肉の塊というサプライズで心を擽ってくれるのだし、つまらぬことで心を憂うのは止そう。
「彼女の愛情の深さが影朧を惹きつけた、ありえる話です」
私がコロッケに惹かれ、食べるのが止まらぬように。
大層、動物への愛情が深い娘だったという。犬を飼っていたというのも繋がりがある、そんな気がする。
そういえば犬にはタマネギが良くないと言う。
「……」
犬はこのコロッケが食べられない。
油を含んだジャガイモを纏ったタマネギがとろとろと良い仕事をする、このコロッケをミエは好んだと言うが、犬は食べられないのだ。
「……こんなに美味しいのに」
袋の中を六個まで減らしたところで、通りを歩ききったマリスは祈りを捧げる。
ミエの無事と、美味しい揚げたてコロッケをほおばれますように。
……ところで犬は駄目でも、元犬の影朧はどうなのだろうか?
大成功
🔵🔵🔵
辻・莉桜
【4】
素敵な商店街にかわいい女の子ときたら
捜索、頑張らないといけないわ
寒い季節だし、凍えてなければいいのだけど
ミエさんは動物好きなのね
それなら探しに行くのはお肉屋さんだわ
だってコロッケ美味しい…いえいえ
動物さんのご飯になりそうなものを
買いに立ち寄るかもしれないもの
でも、まずはコロッケくださいな!
はふはふ…美味しい…ほっくほく
幸せに浸りながらお肉屋さんのご主人に
最近ミエさんを見ていないか聞いてみましょう
お買い物に来たりはしてないのかしら
道を歩いてるのを見たりは?
他に食べ物を売っているお店も紹介いただいて
そちらにもご質問に行ければ
ああ、でも唐揚げもひとつくださいな
絡み、アドリブ歓迎です
涼風・穹
4
現時点では命が脅かされている感じはしない、か…
……身体は無事でも精神的にはどうなのか、と考えてしまうのは穿ち過ぎ…だと思いたい
ミエの姿が消えて母親が探し回るまでに数日の間があったなら、即座に誘拐やらの物騒な事件が疑われるような状況ではなかったんだろう
そうなると、ミエは自分の足でどこかへ向かって、その先で不測の事態に陥ったと考えられるな…
まずはミエはどこかに行こうとしていなかったかから確かめるか…
お肉屋さんで買ったコロッケを食べながら、商店街で日持ちのする食べ物を扱っている店をまわって、ミエが食べ物を買い込んだりしていなかったかを確認する
ついでに食べ歩けて美味しそうなものがあれば買い食いします
影見・輪
4・WIZ
商店街を散策して買い食いや買い物しつつで
店主さん達にミエさんについて話を聞いてみるよ
聞く内容は主に下記3点
1:記憶している限りで、ミエさんを最後に見たのはいつ頃か
2:1の時、ミエさんに同行者あるいは動物を連れていたりしたか
3:会話内容など、現時点で思い返して気になることはあるか
必要なら猟兵の身分も明かすけど
あんまり警戒させたくないから
最初は一般人装って雑談を交えながらで情報集めたいな
いつも動物に愛情注いでる娘さんなら
今回の失踪にも動物が絡んでいたりするのかな
心根優しい娘さんとだいうし
きっと商店街の人達も心配してるだろうね
ミエさんのまた元気な姿を見れるよう
できることは協力したいと思うよ
●
めいっぱいの揚げたてコロッケを抱え祈る人から天啓を得たのか、
「「コロッケくださいなー!」」
と、聞き込み隊の元気のいい声が二つ被った。
きょとりと顔を見合わせたのは、辻・莉桜(花ぐはし・f23327)と影見・輪(玻璃鏡・f13299)の二人だ。
じゅわわわ~と油の弾ける音に負けじと響く笑い声、二人は備え付けの椅子に腰掛け話し出す。
「寒い季節だし、凍えてなければいいのだけど」
手を擦り暖を取る莉桜へ輪はふむりと同意を示す。
「動物が一緒にいる可能性が高いのかな」
二人のお腹がぐぅと鳴った。
「動物好きだからお肉屋さんに来たのよ」
「うん、そうだよね」
はいよと差し出されたコロッケ入りの紙袋を前にしたらそんなキリリも形無しだ。
「はふはふ……美味しい……」
ほっくほくのコロッケを頬張る莉桜は下がり掛けるオバチャンへ質問を投げかけた。
「おばさん、ミエさんって最近お見えになりました?」
「ああ、あそこのお母ちゃんに頼まれたのかい? 心配だよねえもう三日だっけ? いなくなる前の日にはお肉を買いに来たよ、確かに」
腕組むおかみへ、上品にコロッケを囓っていた輪が声を添える。
「その時、ミエさんは飼い犬を連れてましたか? あぁ、他の動物でもいいんですけど」
動物好きなようですし、と添えたのにはおばさんは哀しげに眉根を下げた。
「ミエちゃんねぇ、ずーっと飼ってたでしょ、わんちゃん」
手をパタパタと上下に動かすオバチャンスタイルで、饒舌なお喋りは続く。全部を記録すると煩雑なので掻い摘まむと、だ。
飼い犬はミエが行方不明になる1週間ほど前に亡くなったらしい。
「やたらと怖い顔の犬だったけども、すっごく可愛がってたっけねぇ」
他の猟兵が得た噂話とも合致する。目配せ後、問いを重ねるのは輪。
「凶暴だっのかな?」
「いやこれが人懐っこいわんちゃんでねぇ。吠え立てたのなんて見たことないよ!」
そんな風に話が弾む中、腹が減ってひょこりと顔を出したのは涼風・穹(人間の探索者・f02404)だ。
「あぁ、俺もコロッケを頼む」
大方情報が出て全然関係ない話になりかけた所で、サックリとオーダーを入れた。
「唐揚げ追加していいかな?」
「あ、あ……」
輪の追加につられるも、乙女のお腹にこれ以上の油物はキツいかと自重。
「わけっこしよう、三人で」
「本当!?」
ああ、神様がいる、と莉桜は思った。
通りを並んで歩く猟兵三人、輪が頼んだ唐揚げにも関わらず持っているのは穹である。左右からつままれつつも、話しやすい位置取りとなるとこうなったのだ。ちなみにおばちゃんサービスでてんこ盛り。
「で、俺の方の話なんだが」
と、穹が語るには――
****
ミエの母親にこそ会えなかったが、彼女が子細に悩み事を漏らした者と逢えたのは穹にとっても、事件解決に当たる猟兵達にとっても幸運以外の何者でもなかった。
「そうなのよぉ、だから警察にって言ったんだけどもねぇ」
あんみつ屋の女将は、泣きついてきたミエの母親と買い物に来ていた奥様方の話をしっかり聞いていて最後には混ざってあれやこれやと言い合ったらしい。
「ミエさんが消えてから母親が探すまで間が開いたのはなにか理由があったんですか?」
あんみつの〆の緑茶を啜る穹へ、すっかり開店休業で座り込む女将。
「そんなの、親戚の家に使いに出して泊まってくるんだものぉ、一日帰らなくたって心配なんてしないわよ」
成程、常識の違いか。
穹が日常を過ごすUDCアースはスマートフォンなどの端末が行き渡っている。だから先方についたら即メールを、となるが、この世界だとそれは常識ではないのだろう。
ミエが帰ってくるはずの日に戻らず、慌てた母親が親戚に連絡をとったら「来ていない。今回はなしになったと思ってた」となり、大慌てで探し出した流れだ。
「あの子さ、でっかくて怖い顔した犬飼ってたのよぉ。変質者なんてアレを見たら這々の体で逃げ出すわよ。影朧だって噛み殺すんじゃないの!」
なんて身振り手振りで説明する女将。もしかしたらそれもあって母親は油断したのかも知れない……と、犬の死を知る前なので穹はそう考えた。
(「果たして、ミエは自分の足でどこかへ向ったのか、それとも攫われたのか。身体が無事ということは前者に思えるのだが……」)
それでも影朧の傍にいて精神的に脅かされてはいないかが気がかりだ。
身のある話はもう聞けぬと悟った穹は、礼とあんみつ代の金を置いて店を後にする。
****
「そっかー、お母さんもまさかいなくなるなんてって感じなんだね」
唐揚げで頬を膨らました莉桜がふむりふむりと頷いた。
「ああ、女将や他で当たった限りでは、ミエと家族は円満だったようだ」
「やはり動物がらみのなにかに巻き込まれた、と見る方がいいようだね」
輪も、もごもごと唐揚げを噛みしめる。
一方で二人の話を聞いた瞳をまるくする穹である。
「なんだって? 怖い顔の犬は死んでるのかよ……」
犬が護衛で安心は、母親が抜けすぎだったということか。
「裏を返せば、飼い犬が死んでしまって意気消沈はしていたけれども、それで問題を起こすような雰囲気でもなかった……とも言えるかな」
輪に頷く莉桜の脳裏に描かれるミエの像は、しっかり者で優しい娘だ。
「……いなくなって今日で三日目か」
そうなると気になるのは一点――皆の視線がからあげの最後の一個に集中する。
「ご飯」
「食べないと」
「腹が減るな」
そう、食べ物だ。
飲み水は井戸から拝借ができるだろうが、食べ物ばかりは協力者がいるか、ミエが出歩くか、はたまた某かの方法で調達なされなければ得られない。
――さて、彼らが聞き込んだ結論から言うと。
顔の怖い犬がと現れてはおにぎりや総菜を咥えて逃げたという証言が、幾つか。中には保存性の高いかまぼこや干物も含まれているらしい。
さて、ミエはこの近くで匿われているのか、それとも馴染みだからここまで来たのか。
また顔の怖い犬とミエが飼っていた老犬(既に死亡)の関連性は如何に?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
【竜鬼】
3
リューさんと二人でお茶デートです!
お茶屋さんに入ると、色々な乾燥果物やお花の入った瓶に目を輝かせながらきょろきょろ
「リューさんリューさん、いっぱい種類があってどうしましょうっ」
リューさんと繋いだ手を引っ張って、年齢相応にはしゃぎます
一頻り見て回ったら、次は調合タイム。
わたしは乾燥柚子と、ほんの少しだけ桜の花弁を選びます。
「爽やかな柚子の香りに、僅かに香る桜が良いアクセントになると思うんです」
リューさんのお茶も、美味しくなりそうっ。
最後はゆっくりティータイム。
といっても、上手な淹れ方を知らないので……店員さん、教えてもらってもいいですか?
「覚えたら、次はわたしが淹れてあげますねっ」
リューイン・ランサード
【竜鬼】
3
行方不明のミエさんの身柄は心配ではありますが、
商店街で愉しんでも大丈夫との事なので、ひかるさんと
のデートを愉しみます♪
まずは二人仲良く手を繋いで商店街を見て回り、
ひかるさんお勧めのお茶屋さんに入ります。
普通にお茶を飲んだ事しかないリューインは
「お茶ってこんな楽しみ方があるんだ!」と驚きつつ
も調合する果物を選びます。
ひかるさんが調合したお茶の、爽やかで微かな花が
感じられる香りを楽しんだ上で、リューインが選んだ
のは蜜柑と黒豆。
「甘くて香ばしい感じが良いと思って。」とほっこり。
普段とは違うお茶を楽しみつつ、ひかるさんの言葉に
「楽しみにしています♪」と嬉しそうな笑顔を向ける
リューインでした。
●
右から読みの看板はペンキでお化粧、行き交う女学生の着物も目に鮮やか、だけども荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)の心も負けないぐらいに晴れやかだ。何しろ今日は大好きな人とのデートなのだから!
重ねられた手は華奢で柔らかい。ほんわり包めば傍で笑顔が花開く。
(「ひかるさん、嬉しそうだな。僕も嬉しい……」)
行方不明のミエさんが心配ではあるが、既に方々からの噂話で情報も集まりつつあるとも言うし、リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)も肩肘張らずに愉しむ方向で気持ちを固めている。
「あ、リューさん、ここですよ」
一歩入れば、茶葉が煌びやかな果実を連れて硝子ケースの中からお出迎え。乾燥果実の量り売りにも心がそそられてしまう。
「リューさんリューさん、いっぱい種類があってどうしましょうっ」
先へ先へと引かれる手、心地良さと共に彼女が転ばないようにと気遣いつつも、リューインもまた果実や花を纏った茶葉への驚きが容を染めている。
「こちらへどうぞ」
と、通された先は、またまた二人を驚かせるのだ。
鮮やかな緑の海と、こぎ出せば巡り会えるのは色とりどりの果と花と。
「わぁ、すごいっ。どうしよう、迷ってしまいますねっ」
「うん……こんなに、緑茶と合わせられるんだ。金平糖まであるよ」
「かわいいですねっ」
混ぜるとしても精々が玄米、甘さ孕むものとあわせるのは新鮮だ。
簡単な説明を聞いてから、いざ挑戦!
二人、ずっと手をつないだまま。だから何を入れるのかの内緒は無し。ごく自然にまずはひかるから。
「柚子?」
「爽やかな柚子が好きなんです。リューさんは果物を入れますか?」
「お茶と蜜柑が好きだから、こんな風に組み合わせるのは初めてだけど」
「素敵だと思います!」
籠を黄色と橙の果実で埋めた二人、ひかるの紅石が花を奥一角を見ているのに気づき、リューインはテーブルを回り込むように誘導する。
「花は、当ててみていい?」
「……! はい、当ててみて下さい」
リューインが指さすのは薄紅の小花たち、桜。
「わ、どうしてわかったんですか?」
「だって、ひかるさんの色だから」
紅石が光を刻む時、淡い桜色に染まる。
「僅かに香る桜が良いアクセントになると思うんです」
花びら透かして柚子の黄色はまだ鮮やかなまま。
「僕は、これ」
黒い豆をざらりと掬い取るのに、ひかるの瞳が丸くなる。
「甘くて香ばしい感じが良いと思って」
「確かに、美味しそうですね!」
それぞれ調合台に立つ時はさすがに名残惜しげに手を解き、緑に想いを籠めて籠の中身を降らせる。
喫茶室、二人の目の前で急須にさらりさらりと編み上げた茶葉が吸い込まれていく。
一挙一動を食い入り見ているひかると、そんな彼女を微笑ましく見守るリューイン。
「急須はあたためて……」
「はい。緑茶は少し冷ましたお湯で淹れると甘みが出るのですが、果実を愉しむ為に今回は沸かしたてを使っています」
「なるほど」
砂時計の中身がおちたらお楽しみの時間だ。
急須から注がれる一筋よりの爽やかな香りには、リューインもついつい身を乗り出してしまう。
「どうぞ、ごゆっくりと愉しんでくださいね」
香りを燻らせる湯飲みを前にお見合いは一寸、まずはひかるの柚子桜に口をつける。
「すごい。柚子と蜜柑でこんなにも香りが違うんだね」
「蜜柑の方が、おみかん! って感じですねっ」
「うん」
新たな楽しみ方へと誘ってくれたひかるへ、改めてリューインはお礼を口にした。
「美味しい淹れ方を覚えたら、次はわたしが淹れてあげますねっ」
「楽しみにしています♪」
照れた頬でちょんと急須をつつくひかるへ、リューインはますます笑みを深めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
【空】
3
オリジナルの緑茶だって!と興味津々覗きこみ
ねね、お互いのイメージで調合してみるの面白そうじゃナイ?
ソレでそのお茶で男子会してこ!
オレはたぬちゃん(f03797)のイメージで考えるねぇ、と
こと飲食の話となれば子供のようにはしゃいで
いざイタダキマス、となれば
何入れたの?後で貰ってもイイ?あー柚子イイ香り!と顔寄せる
オレはねぇ、風味に黒豆、香りにサクラ選んだヨ
たぬちゃんってぇと和の印象なんよねぇ。あとやっぱ毛色デショ、毛色
ねぇ、ナンて同意求めつ自分のお茶に口つける
ん~おいし!甘酸っぱいケドちゃんと緑茶だぁ
ふふ、涼しげ?
いつもならドヤ顔するトコだけど、こうして飲むとなるとナンかくすぐったいねぇ
火狸・さつま
【空】
3
イメージ、の、お茶?
わくわくそわそわ尻尾振り
俺、常盤(f04783)の、ね!
わかった、と、こくこく頷けば
じっとお顔見つめ
(いつも優しくって爽やかで…)
おみみとしっぽがぴんっ!
決めたっ
ふにゃっと笑顔向ければ
後は真剣に。
綺麗な色合い柚子の香り
蜂蜜で甘さを足してあったかほっこり
暑い日には炭酸割も!
いつでも安定の安心感あって、落ち着く。
柚子にもリラックス効果ある、よ
それに、俺、柚子好きだからっ
好きには好きな物選ばなきゃ
わわ、いい匂い!
和…!
嬉し、と尻尾振り振り
毛色!?
おみみぴこぴこ
えへへ、いただきます
香ばし…、美味し、よ!
ありがと!
金木犀の良い香りする!
綺麗!ぴったり、だ、ね!
甘酸っぱい、の?
神埜・常盤
【空】
3
へェ、緑茶ってこんな感じなのか
斯うして、ちゃんと見るのは初めてだなァ
互いのイメェジでの調合か――乗った
愉しそうじゃないか
僕はコノ君(f03130)のを作ろう
僕が選んだのは柘榴と林檎
香り付けには爽やかな金木犀を
個人的にコノ君のイメェジは赤なので
林檎が似合いそうな気がした
あと、何となく柘榴は外せない気がしてねェ
見目の涼やかさは金木犀で表現したよ
気に入って貰えると良いが、お味の方はどうかね?
コノ君が調合した黒茶の雅な香りに
さつま君らしいと頬緩ませつつ
ふふ、僕をイメェジしてくれた配合
優しく甘く、とても良い味だ
柚子の馨、落ち着くよねェ
僕もこの香りは好きだから嬉しいとも
有難う、大事に戴くとしよう!
●
透明なケースに詰まる緑と色とりどり、しゃらりしゃらり揺らして喜ぶ女学生とすれ違い、火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)の瞳がくるっと興味で膨らんだ。
「どうした?」
立ち止まったさつまのしっぽがふわさっと揺れたのを眼下に、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)も、つられて歩みを止める。
「オリジナルの緑茶だって!」
コノハ・ライゼ(空々・f03130)の藤の頭がひょこりと覗き込んだ店内には、瑞々しい緑茶と色とりどりの果実と花が見える。
二人を振り返ったなら、ぴぴんといいこと考えた!
「ねね、お互いのイメージで調合してみるの面白そうじゃナイ?」
「イメージ、の、お茶? あの、さっきみたいなのきらきら、俺もできる?」
はたりはたりはたりと振れはじめたしっぽは伺いの気持ち。
「思ったより簡単にできそうなんだな」
看板にある簡単な説明書きから目を移し、
「互いのイメェジでの調合か――乗った」
落ち着いた雰囲気の常磐だが、にぃと笑えば何処か悪戯子のような彩が滲むのだ。
「うんうん、オレはたぬちゃんのイメージで考えるねぇ。ソレでそのお茶で男子会してこ!」
「じゃあ、俺、常盤の、ね!」
簡単そうにしっぽはたはた、嬉しいやりたい、はやくはやく。
「僕はコノ君のか、どんなのにしようか。すぐに飲めるのもいいな」
なんて愉しみは膨らむばかり。
「斯うして、ちゃんと見るのは初めてだなァ」
ベースの葉の茶は目に鮮やかで、一口に緑と言っても複雑な色合いを持つ。
「これに、まぜるの。常磐、常磐……」
しっぽの揺れが止まり、緑茶を観察する横顔をじぃっと見つめるさつま。
(「いつも優しくて爽やかで……)」
ほわっと浮かんだイメージと、目に入ったお日様色のあるものにしっぽと耳がぴぴんっ!
それを和みの眼差しで見守っていたコノハ。
三者三様真剣に相手を思い描きながら緑の海を飾っていく――。
喫茶室の席は窓際。柔らかな陽射しを受けたテーブルに、透明硝子のティポットが三つ、湯にたゆたう宝を抱いて現れた。
わぁとあがる歓声。砂時計が落ちきったら、三人でポットを手にして唯一無二の緑を此の世に解き放つ。
まずは自分が果実や花を編み実らせた香気を胸一杯に吸い込んで、ほっと一息。そしてそれぞれ右隣に座る友の元へ湯飲みをまわした。
コノハ→さつま→常磐→コノハ、というぐりるんの“和”
「いざイタダキマス。あー柚子イイ香り!」
柚子の香りは常磐の前より漂ってくる、さつまが編んだお茶。
へへーと嬉しそうに耳をぴょこりとさせて、さつまは常磐とコノハを順番に見てから、透明ケースの茶葉を急須の隣においた。
「綺麗、でしょ。柚子に蜂蜜で、甘さを足してほっこりあったか」
「優しく甘く……」
一口含み転がして、常磐はうむと頷いた。
「とても良い味だ。柚子の馨、落ち着くよねェ」
「常磐、いつでも安定の安心感あって、落ち着く。リラックス効果ある、よ」
柚子と常磐、お揃い。
「ふふ、僕をイメェジしてくれた配合。僕も柚子の香りは好きだから嬉しいとも」
光栄と笑む常磐と、微笑ましさにもふもふの頭を撫でたくなるコノハ。
「好きには好きな物選ばなきゃ」
柚子も常磐も、大好き。
椅子の間からぱたぱたとご機嫌に揺れるしっぽは、抱きしめたくなるぐらいに愛らしい。
「常磐が選んでくれたのは、赤いねぇ……」
透明硝子の中も、二人に比べれば紅色を帯びて特に艶やかだ。手元の湯飲みを近づけてくんっと嗅ぐコノハ。まずは酸味がきて、それを包み込むのが甘い甘い香り。
「金木犀の良い香りする!」
「さつま君正解。香り付けに爽やかな金木犀を散らして、果実は柘榴と林檎を選んだよ」
「綺麗! ぴったり、だ、ね! 甘酸っぱい、の?」
こくり、と喉を鳴らし一口。コノハは、鮮烈な味わいに瞬きまた一口と飲み進む。
「ん~おいし! 甘酸っぱいケドちゃんと緑茶だぁ。たぬちゃんも飲む?」
「うん」
飲み比べ用と小さな湯飲みにちょこんと紅がさす。
「個人的にコノ君のイメェジは赤なので、まず林檎が似合いそうな気がした。あと、何となく柘榴は外せない気がしてねェ。見目の涼やかさは金木犀で表現したよ」
宝石箱めいた硝子ポットをつとなぞり解説する常磐へ、コノハは口元を緩め、
「ふふ、涼しげ?」
いつもの得意げな表情よりは、照れで染まる頬。
「あ、これ? これが林檎、かな?」
「成程、そうだね。確かに赤い」
そんな風にしたり顔で頷かれたらますますくすぐったい。
「金木犀と林檎、柘榴色で、全部全部コノハらしいよ」
「お味も気に入ってくれたようで何より」
美味しいやら照れくさいやら。
きゅと瞳を細めて笑う様はなんだかお狐様。さて、では狐で愛嬌たっぷりなたぬちゃんへのお茶はというと――。
「じゃーん、オレはねぇ、風味に黒豆、香りにサクラ選んだヨ」
「わわ、いい匂い!」
「たぬちゃんってぇと和の印象なんよねぇ」
「和……! 嬉し……」
はたはたと揺れるしっぽにコノハと常磐の視線が釘付けになる。そうしてどちらからともなく、
「あとやっぱ毛色デショ、毛色」
硝子ポットの中でころりと膨らむ黒豆はさつまの毛色にホントに似てる。
「此は確かに、さつま君らしい」
「毛色!? 俺の、こんなつやつや?」
嬉しい嬉しいど横にぴこぴこ、おみみとしっぽの豊かな感情表現ひとしきり、さつまはいよいよいただきます。
「えへへ……香ばし……美味し、よ! ありがと!」
常磐も一杯ご所望と湯飲みを傾ければ、注がれた黒豆の香ばしさを優美な桜が包み込む、そんな深みある香りを惜しみなく披露する。
「たぬちゃん、オレももらうよー」
「うん。柚子、飲んで……」
さつま謹製の柚子茶の甘さにコノハは舌鼓。
柘榴と林檎に金木犀、
黒豆に桜、
柚子と蜂蜜
色も香りも、みな全く違う。違うのに、まろやかに混ざり合って心地良い香りになっている。まるで三人のつながりを現わすように――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
硲・葎
リヴェちゃん(f00299)と! 2、のお買い物を楽しむよ!練り香水のおすすめを聞かれたら…… 「うーん、そうだなあ、私は金木犀の香りが好きかな?咲く季節のオレンジ色の絨毯みたいな道路だったり、甘い香りがとても好きなの。漬けて作るお酒も大好きだけど。あと、木蓮も大好き。どっちにしようかなあ」 リヴェちゃんと相談しながらどの香りにするか決めようかな? せっかくだし、バイクさんにも聞いてみようかな? 「バイクさん、金木犀と木蓮、どっちの香りが好き?」 店員さんにもコミュ力を使って良さげな小物がないか聞いてみようかな。
リヴェンティア・モーヴェマーレ
葎さん(f01013)と一緒【2】
「あの、ですね?桜の練り香水が欲しかったりするのですガ他にも良さそうなのが有ればそれもなどと…思ったのでガ、葎さんは何かオススメのありますか?」
「金木犀と木蓮…」
お勧めの香りをかいでみる
(金木犀はオレンジを甘く煮詰めたような香りですネ、木蓮は…んー…すごくマイルドで温かみがあってフローラルな香り?でしょうカ…?)
「何方も良い香りで正直どちらも捨てがたいのでス…」
その時ピコンと閃く💡
「葎さん…決まらなければ『全部』と言う選択肢がありますネ?」
それはもう凄く良いことを思いついた!と言う顔で桜、金木犀、木蓮の練り香水を手に持って
まだまだ楽しいお買い物は続くのデス!
●
待ち合わせは『青町商店街』アーチの下で。
「お待たせしましタ」
ぶんぶんと手を振り駈けてくるリヴェンティア・モーヴェマーレを前に、硲・葎(流星の旋律・f01013)は、もふりとヘッドフォンを外して首にかける。
「やっほ。全然待ってないよ」
「良かったデス……あ」
リヴェンティアの瞳が丸くなった。今日は人工的なあまーい苺の香り葎からしない。
ちょん。
自分の唇をつつくリヴェンティアに葎も真似してつつき、意図を悟った。
「香りものを買いに行くからね」
ロリポップキャンディはしばしお預け。
練り香水の棚に並ぶ種類にまずヴェンティアが圧倒されて、ぽかんと口をあいた。
「リヴェちゃん、どしたの?」
和布の赤に白抜き墨で漢字一文字な風呂敷を広げてふむふむと頷いていた葎は、そんな友人を振り返る。
「あの、ですね? 桜の練り香水が欲しかったりするのですガ……」
八重桜、しだれ桜、染井吉野、雪桜に世忘れ桜なんてのまで、桜だけでまず沢山の種類がある。
「さすがサクラミラージュ」
「あ、確かに、そうデス」
こくこくと腑に落ちたように頷くリヴェンティアは、とりあえず桜をどれにするかの問題は先送りしてみた。
「桜の他にも良さそうなのが有ればそれもなどと……思ったのですガ、葎さんは何かオススメのありますか?」
先送りをして、問題を増やす。
でも折角のお買い物だし未知のものにふれてみたい。
「うーん、そうだなあ……」
葎は腰に手を当てて練り香水の棚と真っ向から向き合ってみる。
薔薇に百合に勿忘草に鈴蘭、チューリップに、月桃なんて渋い所まで取りそろえている。これは確かに迷い放題だ。
花の色と包み紙が揃えてあるのに気づき、葎は迷わず橙の中から一つを選び取った。
「私は金木犀の香りが好きかな?」
くりっとあけて嗅いでみれば、秋の路で何処かから必ず香る甘く濃密さが漂った。
「オレンジ色の絨毯みたいな道路だったり、甘い香りがとても好きなの」
「金木犀……」
「漬けて作るお酒も大好きだけど。白ワインに香りが移って甘くなるのよ」
お酒はまだはやいけど、幸せそうに話す葎を見たら俄然興味がわいてくる。好奇心でくるりとした瞳の前に、葎は手にしていた練り香水を近づける。
くん……。
(「金木犀はオレンジを甘く煮詰めたような香りですネ」)
いいなぁと想っていたら、
「あと、木蓮も大好き」
なんて、新たな選択肢を見せちゃう葎さんである。
「どっちにしようかなあ」
金木犀はリヴェンティアに手渡して、紅と白のまだら紙に包まれた木蓮の見本の蓋をあける。
「どっちも好きだから悩ましいなぁ」
はい、と木蓮も手渡されて、代わりに金木犀を葎の手に戻す。
くん……。
「(木蓮は……んー……すごくマイルドで温かみがあってフローラルな香り? でしょうカ……?)」
「何方も良い香りで正直どちらも捨てがたいのでス……」
これは甲乙つけがたい!
葎とリヴェンティアは、金木犀と木蓮の見本を取り替えっこしては「うーん」と頭を悩ませる。
「バイクさん、金木犀と木蓮、どっちの香りが好き?」
困った時のバイクさん。葎は影に日向にと着いてきてくれている擬人化バイクへ二つの器を近づける。
「………………」
「バイクさんも悩んじゃうよね」
あははと気の抜けた笑い。最終手段は店員さんへの相談かななぁんて思っていたら、
ピコン💡
リヴェンティアの脳内と表情が名案でパァッと輝いた。
「葎さん……決まらなければ『全部』と言う選択肢がありますネ? 桜だって全種類買っちゃえばいいんデス」
「うんうん、それいこ。そうだ、ふたつ買っちゃえばいいんだ。リヴェちゃんと来て良かったー」
「本当ですカ?」
きゃいきゃいとはしゃぎながら、籠の中身は小さなまるい器でいっぱい――お買い上げありがとうごさいます!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
【迎櫻館】
アドリブ歓迎
1
随分と賑やかな街ね
華やかなのは大好きよ
それに今日は清史郎に黒羽に千織…皆と一緒だもの
角の桜は満開で華やぐ色彩に心も踊る
一緒に送られてくれて嬉しいわ、なんて清史郎に微笑み
落ち着かなそうな黒羽は大丈夫かしらと案じ―あら
鼻腔を擽る、良い香り!
サクッとしてジュワァっとした…揚げたてコロッケですって
お肉屋さんのなら間違いないわ
お肉大好きなの
甘く蕩けて美味しいわ!
揚げたて唐揚げもいいわね
どちらがいい?
それとも両方、なんて
答えは初めから決まってた
ご馳走してあげる!たんと召し上がれ
揺れる千織と黒羽の尾は可愛いし清史郎の笑顔
華やぐ笑顔の美味なこと
本当?流石、清史郎ね
次は何を食べようかしら
橙樹・千織
【迎櫻館】
アドリブ歓迎
1
ふふふ、賑やかで良いですねぇ
あちこち見回し、耳もぴこぴこ
清史郎さんと視線が合えばふわりと微笑み
櫻宵さんの角を見れば嬉しそうだと小さく笑う
後ろを歩く黒羽さんと離れすぎないようのんびり歩きましょう
あら、とても良い香り
ふふ、どちらも美味しそうですものねぇ
両方を求める黒羽さんの視線が微笑ましくてほわり
揚げたては猫舌で食べれませんので…
ほどよい暖かさまで待ってからかぷり
ふふふ、皆さんと食べるとより美味しく感じますねぇ
美味しさと穏やかな時間にゆるりゆるりと尻尾が揺れる
あらあら、では次はどのお店に行きましょうかねぇ?
ふわほわ笑い、甘味が良いかしら?なんて呟いて
華折・黒羽
【迎櫻館】
1
言葉通りの華やかさ
前行く三人も成程如何して街に負けぬ程に
飛び交う声につられ冠した耳は忙しなく
少しばかりの落ち着かなさ
随分改善したとはいえ元々人混みは苦手だ
加えて人見知り
同道は初めてに程近い面々とくれば
気は漫ろに視線も泳ぐ
けれどやはり
甘やかな野菜のにおいが鼻擽れば
容易く心捉える食べ物の誘惑
さく、じゅわ
櫻宵さんの紡ぐ音が評する言葉が
耳に届けば眸は釘付け
どちらも、食べたい
迷う視線は問うよに清史郎さんの顔伺う
猫舌故に直ぐ齧り付けぬもどかしさ耐え
程良い頃合いで食めば染み入る様な優しい甘さ
眸見開きゆるり揺れる尾
傍ら視線移せば揃い揺れたのは、千織さんの
次はどんな美味しいものが待っているのだろう
筧・清史郎
【迎櫻館】1
ほう、随分と賑やかで沢山の店があるのだな
俺も活気ある雰囲気は好きだ
櫻宵に頷き、千織と共に微笑み咲かせつつ
興味深く巡らせていた視線と笑みを、ふと黒羽へ
皆を送る事は多々あったが
こうやって共に並んで歩めるのはやはり楽しいな、と
くれーぷなど甘味の食べ歩きは原宿とやらで経験済だが
揚げたてコロッケや唐揚げの食べ歩きか、それも良いな
ふむ、どちらも選び難い
櫻宵に返しつつも、悩む事無く疾うに決めているその心
ああ、勿論両方いただこう
黒羽の視線に頷き返す
揚げたて故に、舌を火傷せぬ様になと笑んで
千織と黒羽の揺れる尾に瞳細め
櫻宵と共に桜の笑み咲かせながら
では、次の店では俺が奢ろう
甘味か、とても良いな(超甘党
●
華に花。
幻朧桜晴れやかに紙吹雪の如く、それ故か行き交う人々も嬉々に溢れている。
「随分と賑やかな街ね、華やかなのは大好きよ」
馴染みある薄紅に指を伸ばし、くるり、花びらの流れを弄ぶ誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)は、両隣を順繰りに見やる。
「それに今日は清史郎に千織に黒羽……」
不意に振り返るものだから、華やぎに気後れしていた華折・黒羽(掬折・f10471)は、喫驚で瞳を瞬かせ固まった。
「皆と一緒だもの」
しゃんと角の桜花をなぞれば花びらひらり、幻朧桜の仲間入り。
「ふふふ、櫻宵さんの角を見れば嬉しそうだとわかります」
ヤマネコの耳は音につられてあちらこちら。どうせならじっくり楽しみたいなんて橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)の足取りは黒羽とはぐれぬよう、ゆったり。
「黒羽さん。右も左も色々なものが一々楽しそうで、目移りしてしまいますよねぇ」
「むしろ二人の場合は耳移りではないか?」
黒羽の耳も忙しなく声に惹かれて揺れているのに、筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の容は柔和に笑みを湛える。
黒羽から見ると、先を歩く三人はこの街に埋もれぬ程に華やかで、並んで歩けぬ己の不器用さをなんと言葉にしようか。
「皆を送る事は多々あったが、こうやって共に並んで歩めるのはやはり楽しいな」
半歩下がり届けられる清史郎の声音に、緩やかにあがる瞼。
「一緒に出掛けるのは、楽しい……」
四人に全員にとってかけがえのない時間だと気づけば、人混みが与えてくる息苦しさが雪解けのように消えていった。
「ええ、今日はたっぷりと遊びましょうね」
振り返る千織が脇をあけたなら、清史郎そして黒羽が並ぶ。四人横一列になったなら、ふわりふわりと降り注ぐ薄紅が数を増やす。
「一緒に送られてくれて嬉しいわ、清史郎」
四人一緒の浄福は、言葉よりも饒舌に櫻宵の角より咲きこぼれた花が物語る。
――あれもこれもの中で、さてさて、いの一番は?
誰かが口火を切る前に、誘う香り、こちらはお腹が空く方だ。
「あら、とても良い香り」
「ねぇ、どこかしら?」
首傾げあいの千織と櫻宵は、きょろきょろと周囲を見回す。
「これはまた食欲をそそる香り。甘味ではなく、お腹を満たすような」
さてと清史郎は二人の反対へ視線を送る。
「ああ、あれではないでしょうか」
「……」
野菜の熱せられた臭いを嗅ぎ取り、黒羽と千織の左耳がぴこりと斜めに傾く。
“トン屋”との看板を掲げた精肉店から白い紙袋を抱えて出てきた一同よりの香りが正体である。
「サクッとしてジュワァっとした……揚げたてコロッケですって」
サクサクと歯を立てて隣を過ぎられたならもうたまらない! しかも絶対美味しいお肉屋さん謹製ときた。
「さく、じゅわ」
黒羽からすると、誰かが食べる実物よりも麗し美味しと語る櫻宵の言のが蠱惑的だ。ぱちりとした瞠目を前にしたならば、語りは調子を上げる。
「お肉大好きなの。甘く蕩けて美味しいわ!」
くるりと裾を翻し、子供のようにはしゃぐ櫻の龍。
「揚げたてコロッケや唐揚げの食べ歩きか、それも良いな」
清史郎の脳裏に浮かぶのは、横文字のこことはまた違ったポップな原宿という街のことである。
「くれーぷなど甘味の食べ歩きは経験済みだが、更に新たなものを皆で楽しみたいな」
「甘味もいいわね、ここでも何か食べられないかしら」
ここで、彼らを誘うように『いつだって揚げたてだよー!』との宣伝文句が道路に溢れてくるのだからたまらない。人波を避ける四人の足は自然お肉やさんへと吸い寄せられるわけで。
「でも今は、お肉屋さんのコロッケ! 揚げたて唐揚げもいいわね」
「どちらも、食べたい」
どうしようと、答えを求めて清史郎へ向く蒼の双眸。
「ふふ、どちらも美味しそうですものねぇ。ああ、迷ってしまいますね」
安寧なる声音にて贅沢で嬉しい迷いへ誘う千織には、黒いしっぽがゆらりで答える。
「ふむ、どちらも選び難い」
なんて応じる清史郎も櫻宵も疾うに心は決まっているのだ。
「それとも両方、なんて」
――勿論それが大正解!
じゅわぁああああああああ~!
コロッケに鶏の唐揚げ、メンチカツは大葉入り。
「ご馳走してあげる! たんと召し上がれ」
財布を取り出す三名を制止して袖の下から取り出しました代金は全員分。気軽な庶民価格でご馳走と振る舞っても更なる食べ歩きには響きません。
お店から十歩の所には大ぶり幻朧桜が目印のベンチすらある準備の良さである。
しゃくり! しゃくり! ふぅーっ、ふぅーっ。
綺麗に別れるオノマトペ。勿論後者は三角おみみを頭に生やしたお二人である。
「揚げたては猫舌で食べれませんので……」
ぱたりと扇いで余裕のある待ちぶりの千織に対して、食い入るようにコロッケを見つめる黒羽。
「はやく、食べたい」
「こればかりはですよねぇ」
ベンチから二人のしっぽがしゅっと斜めに下がってお揃いで待ちの姿勢。
「舌を火傷してしまうとこの後が楽しめぬ、気持ちはわかるがな」
「ええ。でも先にいただいてしまうわね」
熱さものともせぬ二人は油を含んで甘み溢れるジャガイモを前歯で切り崩す。
「むぅ、これは……」
なんだろう、味わいの中に清史郎の甘味感覚に触れるものがある。
「あら? どうかしたの?」
「隠し味か……」
しゃくり、しゃくり、と櫻宵が半分食べ進んだところで、漸く猫舌組がはぐりとコロッケに歯を立てた。
程よい熱につつまれたタマネギの甘みと溢れる肉汁に、二人のしっぽがゆるりゆるりと揺れ出す。
「甘い、優しい味……」
ぱちりと開いた眼で更に一口。黒羽の口中をコロッケの香味がますます染め上げる。
「ふふふ、皆さんと食べるとより美味しく感じますねぇ」
ぽかぽかと長閑な陽射しと変わらぬ温度のコロッケを、千織はしゃくりとまた一口。
「……これはもしや、甘味によく使われる加糖練乳か」
不意にぽふりと膝を打ち、清史郎は最後の一口を確り何度も噛みしめ確かめる。間違いない、隠し味は練乳だ。
「牛乳が入っているんですか。道理で、複雑なお味だと思いました」
ほわわんとした感心を籠めて囓れば、千織もそう思えてくるから不思議だ。
「隠し味を当てるだなんて、さすが清史郎ね。さあさ、コロッケだけじゃないわ、こちらも召し上がれ」
テーブルの上に開いた紙袋の上には、頃合い良く冷まされた鶏の唐揚げがころりん。勿論、櫻宵と清史郎は先にいただいておりますとも。
「ニンニクとショウガがぴりりと効いて、とっても美味しいわ」
コロッケを食べ終えた猫さん二人、爪楊枝をちょこりとさしていただきます。
「これは、ご飯が欲しくなりますね」
「……確かに、おいしいおかず」
再びご機嫌のゆれをみせる猫のしっぽに、櫻宵と清史郎は桜咲くよなパッと破顔。
「さぁ、それがきっとあのお店の罠なのよ。お夕飯にぴったりです、だなんて」
「その罠に掛かるわけにはいくまいな。では、次の店では俺が奢ろう」
――甘味?
重なる三人の切り返しには、清史郎の口元は夜桜フフリとした笑みへと変ず。
「しょっぱいものの後は、甘味だ」
さてさて、食べ歩きはまだはじまったばかり。次の美味しいを目指して行こう。
そう、みんなで食べたら美味しいは四倍、いや百倍の満開花である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨咲・ケイ
【文月探偵倶楽部】で参加。
4)聞き込み
(街並みを眺めながら)
趣のある商店街ですね……。
UDCアースでは見られない街並みですし、
こういった景色を楽しめるのは
猟兵の役得といった所でしょうか。
折角ですから記念写真を撮りましょう。
和小物屋では義妹へのお土産にする
髪飾りや簪の類を探しましょう。
義妹は黒髪なのですが、どういったデザインが
似合うでしょうか?
普段は薔薇の髪飾りを付けていますが……。
店員さんのおススメを購入しましょう。
(統哉部長の聞き込みに合わせ)
能代さんの飼い犬の散歩ルートや
最近動物絡みで何か変わった事はなかったか
聞いてみましょうか。
アドリブ歓迎です。
文月・統哉
【文月探偵倶楽部】
4)聞き込み
失踪事件とな?
命に危険が無さそうなのは有難いけど
もしかして、野良影朧拾っちゃった、とか?
皆で和小物屋へ買物に
黒猫柄の小物を探しつつ店員さんとお喋りを
この犬柄風呂敷カッコいい!
でも買うならやっぱり猫柄かな
もしかして店員さんも動物好きですか?
俺も数年前に怪我した野良猫を拾ったんだけど
これがまた可愛くて可愛くて♪
青い目をした短毛の黒猫で、ネコ吉っていいます
(どこかのケットシーがクシャミしてそう?キノセイキノセイ)
この辺も野良猫多いんですか?
猫スポットあったら教えてください!
猫談義を通して情報収集
動物好きお嬢さんの行動範囲を推察
また地元猫への聞き込みの準備を
※アドリブ歓迎
クリュウ・リヴィエ
【文月探偵倶楽部】
4)聞き込み
ミエさんがどういう状態か判らないけど、早く見つけるのに越したことはないよね。
早く聞き込みに行こう。
…いや、早く買い物に行きたいとか、そんなことはナイヨ?
皆で小物屋さんに行こう。
これ練り香水っていうんだね、知らなかったよ。
サクラミラージュと言えば幻朧桜だけど、あれの練り香水とかもあるのかな?
なくても、折角だし普通の桜の練り香水とか買ってみようかな。
香水選びながら店員さんに聞いてみよう。
居なくなったミエさんってこちらには最近来たのかな?
その時はどんなものを買っていったんだろう?
何か本人が使わなそうなものとか、ピンとくる物買ってたりしないかな?
鈴木・レミ
【文月探偵倶楽部】
4)聞き込み
うーん、失踪事件とは穏やかじゃないっすねぇ
統哉さん、野良影朧って…野良じゃない影朧がどこにいると…あ、いるか
そういう事件、これ?
ま、それはさておき、おっかいものおっかいもの♪
お給金出たし、ちょっと奮発しちゃおっかなー♪
やっぱり蝶モチーフは最高っすよ!
オール・ワークスで既製服(和メイド風味)に着替えて
コミュ力使ってお店に来ているお客さんに聞き込み
ミエさんが最後に目撃された場所と時間ってどこなんすかね?
どなたか知りません?
あ、そういえばミエさんが飼ってた犬はいまどこに?
その子なら何か知ってそうな気もするんすけど…
ミエさんと一緒にいるならそっちから追跡してもいけるかも?
パティ・チャン
【文月探偵倶楽部】で参加
行動は【2】で
私だと、小物が小物じゃなくなるような気もしますが、まぁそれは。
それなら小物、として風呂敷と千代紙を探しましょう
ベッドや本のカバーとかにも使えそうですし。
「あ、その赤系統のを数枚お願いしますね」
「青海波(せいがいは)という文様でしたか。なるほど、そういう謂われが……」
(【学習力、誘惑、世界知識、情報収集】フル稼働しつつ)
やはり主人のいない犬や猫の溜まり場が、気になるところなので、その場所を伺います。
買い込みしすぎて、商品をサイコキネシスの手で運ぶ羽目に
※連携、アドリブ共に歓迎
●
「はい、とるっすよ!」
カシャリ★
文月探偵倶楽部、今回の出動は五名。
文月・統哉(着ぐるみ探偵・f08510)と雨咲・ケイ(人間の學徒兵・f00882)とクリュウ・リヴィエ(よろず呑み・f03518)
彼らの肩口をふわふわーっと飛び回るパティ・チャン(月下の妖精騎士・f12424)は元気いっぱいのピース!
「次はレミさんも入って下さいよ」
「そっすね」
撮影を提案したケイに促されて、鈴木・レミ(ハイカラインフォメーション・f22429)が入れ替わり映った。
「今回は和メイドさんですか?」
「そっす。これならどこのお店にいても馴染むっすよ」
確かにと、ケイは店先の掃除をする店員さんとレミを見比べて頷いた。
「今回は……もしかして、野良影朧拾っちゃった、とか?」
「統哉さん、野良影朧って……野良じゃない影朧がどこにいると……あ、いるか」
人々に匿われる影朧は飼い主がいる、とするならそうなるか?
「ミエさんがどういう状態か判らないけど、早く見つけるのに越したことはないよね。早く聞き込みに行こう」
勇み足のクリュウには統哉とレミがふふーんと胸を反らす。
「クリュウの今の気持ちを推理してみよう」
「簡単っすね」
「「和小物屋の買い物が愉しみー」」
げっとオーバーに仰け反って「いやいやいや」なんて手を振るクリュウの頬をかすかな風がひやっと撫でた。
「小物小物♪ お店に行くのが愉しみなんです」
ぱたぱたぱた。
正直パティさん。しかしこのちっささ、全部小物で済まなくなりそうだが。いや、だからこそ実用品としていいのか?
……なぁんて疑問の答えは後者だとわかる。
「赤系統で揃えたら部屋がお洒落になりそうですね。ベッドカバーに風呂敷に、カーテンにもなりそうです」
小物も積み重なればサイコキネシスが必要となる――のには、ケイが「あとで分けましょう」と、パティの分の荷物持ちも引き受ける。
「ふむ……黒髪にはどれが似合うでしょうかね」
そのケイは簪の前で立ち止まり思案中。
「これは、いいものを見つけてしまったっす!」
レミは繊細な銀細工の蝶を灯に翳してお財布と相談中。この砕いたアメジストが散らされた蝶の幻想的なことと言ったら! しかも「髪飾り、胸飾り、帯留め、その他お好きに加工致します」ときた!
「お給金出たし、ちょっと奮発しちゃおっかなー♪」
「蝶飾りも神秘的でいいですね」
「そっすね……と、妹さんは普段どんな飾りを使ってらっしゃるっすか?」
アメジストの蝶はお買い上げ、何処を飾るかは店を出るまで考えよう、と、自分の買い物が定まったレミはケイの悩みに寄り添った。
「普段は薔薇の髪飾りを付けていますが……」
「好きだと確実にわかるのをあげるか、折角のプレゼントだから冒険してみるか……悩みどころだな」
統哉も隣でむむと唸る。
一方、こちらは練り香水の売り場――。
「“幻朧桜”は“世忘れ桜”か、成程ねー」
クリュウの鼻を懐かしさを喚起するような、古めかしい木の香りの中にほんのりひと匙の桜。他の桜に比べても仄かで男性でもつけやすいのも気に入った。
「やあ、妹さんに練り香水もあわせてあげるのはどうかな?」
ケイの悩み更に倍!
四人でむむむと頭をつきあわせる愉しき悩みの背では、パティが軽快にお買い物を進めていた。
「ああ、でもあの青い鱗みたいなのもいいですね」
「あ、それはですね……」
「青海波という文様でしたか。なるほど、そういう謂われが……」
パティへ説明をする店員さんは話し好きに見える。
「店員さん、この犬柄風呂敷カッコいい! でも買うならやっぱり猫柄なんですよ。この種類で猫はないですか?」
くるりと統哉へと振り返った店員は、はい! とにゃんこが舞う風呂敷を手品のように取り出した!
「猫ちゃんお好きですか?」
「ええ、俺も数年前に怪我した野良猫を拾ったんだけどこれがまた可愛くて可愛くて♪」
きらりーん★
▼店員さん の 猫バカモード 発動!
「まぁまぁ! どんな子なんですか?!」
「青い目をした短毛の黒猫で、ネコ吉っていいます」
「! 黒毛に青目だなんて、美形猫ちゃん確定じゃないですかあああ!」
ネコ吉さん、こんな場所でべた褒めされてるとは夢にも思わぬだろう。
いや、もしかしたらくしゃみが知らせてるかもー??
「店員さんは、どんな猫を飼ってるんでしょう?」
パティが差し向けたなら、そりゃあもう瞳キラッキラッですよ。
「聞いてくれますか?!」
――猫飼いとは、自分ちの猫を語らずにはいられぬ生き物なのである。
一旦戻り、休憩中の札をかけて戻ってきてな腰の落ち着け振り。レミが「代わりに店番まわすっすよ」なんて言ったのも効いた。
「去年にですねお店常連の女の子から譲ってもらったんですよー。茶トラとシロキジの兄弟猫です。捨て猫で乳離れしてすぐでこーんなにちっちゃかったんですよぉ」
おにぎり大の仔猫、常連の女の子――これはミエが捨て猫を世話したということだろうか?
「この辺は野良猫多いんですか?」
「周囲と比べてという程ではないですね~」
「その猫ちゃんたちはどこで拾ったとか聞いたっすか?」
「学校の帰り道に見かけたそうですよ。うちの子たちのお母さんかなーってよく似た顔つきの野良ちゃんがいましたし」
レミの質問には身振り手振り、場所の地図まで書いてくれた。ただ店員の話だと、ミエは行く先で捨て犬捨て猫の類いを見かけたら放っておけないそうで、他にも幾つかそういう場所はあるようだ。
「……その能代さんが行方不明だという話、ご存じですか?」
心配顔のケイと同じく眉根を下げて頷く店員曰く、
ミエの話は商店街には広がっていて、ここには犬猫の里親捜しなどでつながった友人も多く、みな心配をしている、とのことだ。
「ミエちゃん、私は明日お休みだから色々探してみるつもりです」
「行きそうな所に心当たりがあるんですか?」
統哉が向けた水には店員はうーんと首を捻った。
「私も同じ学校に通っていたから、通り道を探してみようかと」
「手分けしませんか? 俺達も動物好きのお嬢さんを探しているんです」
「この寒空ですし、はやく見つけてあげたいですね」
統哉とパティの申し出に、店員はミエが普段行き来している行動範囲をざっとした地図にしてくれた。
「居なくなったミエさんってこちらには最近来たのかな?」
「はい。えっと……1週間ぐらい前かな」
クリュウへ答える店員は哀しげに俯いた。おやと気遣う面々には慌てて手を振り、
「練り香水を買って行かれたんです」
「これ、かな」
“世忘れ桜”を見せたなら、店員はきゅうと前掛けを握りしめて頭をふる。
「…………それは、寂しいから他のがいいって。いつもはつけない“勿忘草”のを選んでいかれました」
あぁと、一同は察した。
幻朧桜を越えての転生。全てを忘れ逝くことを、亡くしたばかりの飼い主が受け入れられなかったとしても、誰が責めよう。
「やっぱり、ミエさんが飼ってた犬は亡くなってたっすね……」
亡くなったのは仲間からの情報と、レミ自身が店員として客から聞いたので把握している。だが死因は不明のままだ。ミエと懇意なこの店員なら何か知っているかもしれぬ。
「うん。チロちゃんね。すっごくお顔が怖いわんちゃん」
みなが言うから余程怖いのだろう。
だが凶暴性を唱えた者は今まで一人もおらず、店員の話でもそれは裏付けが取れた。
ミエが六歳の頃から八年、毎日のように夕方の散歩で青町商店街を行き来し、お使いなどでもよく一緒な所を目撃されていた。大柄の雑種だが決して余所の人に吠えないのだとか。
「悪ガキがミエちゃんに絡んでも、あの恨みがましい目で睨めばぴゅっといなくなっちゃうわ」
そこまで聞いた所で、レミは店員を探す素振りの女学生に肩をちょんと叩かれる。
「あ、はいはい、お会計っすね」
自分と同じ年頃は頷いてから、ふるふると首を横に揺らした。
「えと、お金は払うんだけど……ミエちゃんのこと、だよね……?」
聞けば少女は能代ミエのニ軒隣のご近所さんだとか。これは飼い犬とのことを聞けそうだ。
店員にお金を払うと、少女はミエを心配している旨から切り出した。ぽつりぽつりとした口ぶりで教えてくれたことと言えば――。
「チロは、ミエちゃんのお家に来た時には、既に大人のわんちゃんだったの。大きさは亡くなった時も変わらなかったのよ」
手で示す大きさはいっぱしの大型犬。幼い頃は引っ張られるように散歩をしていたのだとか。
「では、亡くなったのは寿命でですか」
「うん。ミエちゃんはそう言ってた……十日ぐらい前に死んじゃったんだ」
更に深掘りする質問に返る限り寿命とみて間違いない。
ミエは、チロを亡くした後も学校には出てきていたし気丈に振る舞っていたそうだ。
「チロちゃん、来てすぐは中々懐かなくて、ミエちゃんが『すごく怖い思いをしたわんちゃんだから』って言ってたな」
怖い事の詳細までは知らないと首を振った。思い出してもらおうとしたが「聞いた事がない」が返事だった。
追記:店員さんお勧めの黒猫連なる飾り紐を買い求めたケイが、更に練り香水を買ったかどうかは、彼だけが知るお話です。
大成功
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空目・キサラ
4
※アドリブ可
茶屋で不眠に良さそうなお茶でも調合してもらいながら、店主に聞き込みでもしようか
瓶の中身だけでなく天然の力に頼るのも大事だろう?
モノカキには都合の良い体質だがね。まぁ眠れないと、脳と身体の不一致が間間起こるのさ
そうそう。ここ最近、ミエ君といったかな、彼女の姿が見えなくなったそうじゃあないか
最後に見かけた時、何か手に抱えていたりしなかったかね?
動物好きのお嬢さんの様だから、それら関連で何かあったのかもしれぬ
最後に向かった方向でもいいし、何か独り言ちていたのを聞いたならばそれでも良い
ああ、先にモノカキと言ったが。本業は探偵さ
情報が無ければ推理が出来ぬ故、あれこれ聞いてしまっているのだよ
●
夢と現の狭間をたゆたうのはモノカキとしては得である。
夢は現実体験を勝手にバラして組み替えて、其処に様々な味付けを施してさぁ召し上がれと差し出してくれるものだから。
調合台に出てきた若い女主人の前で、だらりと突っ伏す空目・キサラ(時雨夜想・f22432)の瞼は、今にも上下が張り付きそうだ。だが、これで覚醒しているのがまたタチが悪い。
「まぁ、本来お茶は頭をスッキリさせるものですからねぇ……」
シャラリと混ぜ込まれた翡翠色の欠片は茶葉と見分けるのが一苦労だ。
「これは?」
「キウイという果物です。洋行帰りのお得意様からのお土産、眠りを誘うそうです」
小さな巾着に封じた数欠片の氷砂糖つき。
「飲む時におひとつぼちゃんと。ゆっくり融かしながら飲んで下さいな。一杯淹れましょうか?」
「ああいや、今寝てしまうのは困る。実は聞きたい事があってだな……」
「あら、作家先生が何か? うちの店を使ってくださるのかしら?」
女将の瞳がギラリと輝いた。商魂たくましいったらない。
「いや、本業は探偵さ。情報が無ければ推理が出来ぬ故、これよりあれこれ伺っていいだろうか?」
「……もしかしてミエちゃんのこと?」
察しもはやければ話もはやい店主は、焦がすギリギリまで炒った茶に黒豆を忍ばせた番茶を「どうぞ」と勧めてくれた。
「ありがとう。そのミエくんが最後に来たのはいつか憶えているかい?」
「お母様にも話しましたが、いなくなった日の朝ですわ。店を開けたばかりでお客さんはあの子だけでした」
ほうと、キサラの瞼がもちあがった。光ささぬ眼窩に興味が宿り話の先を促す。
「お使いで、いつも親戚さんにうちのお茶を買っていってくださるの。手土産のぼた餅に合う渋めのものをね」
キサラを凝視する双眸は、逡巡の気配を如実に現わしている。
「……何か独り言ちていたのを聞いたならばそれでも良い。今は少しでもあのお嬢さんにつながる情報が欲しいのだよ」
わざと見せている時点でつまりは“聞いて欲しい”ということだ。案の定女主人は口火を切った。
――能代ミエが愛犬を亡くしていたことは聞き及んでいた。
――だが普段通りの振る舞いで使いに来たのが、却って女主人は気に掛かった。
「ミエちゃんは、五人姉弟の一番上でしっかりした子。だからふさぎ込んで心配は掛けたくなかったのでしょうね」
茶で喉を潤し、
「あのご家族のお父様は出稼ぎで、下のお子さんは虚弱と……とにかくお母様には余裕がないのです」
母にとってはミエは頼れる一番上の子。そして長く飼った犬が亡くなったのも、忙殺される身には然程のことではなかった。
ミエを冷遇しているわけではない、もしそうなら狂ったように探し回るものか。
「気持ちを吐き出してらっしゃいという意図で、お茶の調合を勧めました」
小一時間、あの子は調合台の前で泣き伏せていたのだと言う。
「チロ、チロって……犬の名を呼んでただただ泣いていましたわ。寂しい、逢いたいって……無理もありませんわ。あんなに仲良しだったんですもの」
成程、傷心のミエが、それこそチロを見かけたならば、進んでそちらへ囚われてしまうことは想像に難くない。
そして――影朧の正体が想像通りなら、ミエの心身を害する悪意は持たぬ筈だ。
大成功
🔵🔵🔵
「チロが引き取られてきた八年前、なにか切っ掛けとなることがあったのだろうか?」という点を調査する組。もしかしたらミエや影朧の説得に役立つ情報が得られるかもしれない。
抱え上げるのも一苦労のずっしりとした灰色猫は、ヨシュカが意識を得たその時からずっと一緒だった。彼とおばあさまと自分、三人で過ごした日々はヨシュカの心を丹念に編み上げてくれた宝物。
ふとしんみり、その空気は子供達のワッとした歓声で破られる。驚いて振り返れば、バイクさんを囲み鼻を垂らした坊主が三人。なんだなんだと物珍しげに覗き込んだり触ったり。
「やはりひかるさんの考えは一理ありますね。そうですね……僕は『大事な存在を思うなら通り抜けられる人避けの結界』を張っているのも、ミエさんの気持ちを理解できる人だけが来れるよう選別しているように、と考えてます」
「やはりひかるさんの考えは一理ありますね。そうですね……僕は『大事な存在を思うなら通り抜けられる人避けの結界』を張っているのも、ミエさんの気持ちを理解できる人だけが来れるよう選別しているように、と考えてます」
鎮めるように置いた胸で膨らむのは、いちごと理緒への熱情。アシュリンは大切な“お友達”……ごめんなさい! と添えたらますます前者2人への気持ちが大きくなった。