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交わされる剣の末に

#ダークセイヴァー #同族殺し #宿敵撃破

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#ダークセイヴァー
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#同族殺し
#宿敵撃破


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●狂った刃
 ――殺さなければならない。
 金属の軋む音を響かせ、黒に覆われた鎧の騎士が一つ刃を閃かせた。
 土くれによってできた巨躯は、その刃の閃きに崩れ去り、土くれから漏れ出した魔力めいたものを取り込み、騎士は更にその身を動かす。
 巨人の拳を狂ったように振るう刃で斬り伏せ、次々に手に持つ魔剣を突き立てて。
 黒騎士は、領主館の門へとその歩を進めていく。
 ――戦を望むというのならば、望みの通りにくれてやろう。我が剣の行く末を。
 領主館にて待ち受けているであろう吸血鬼の……聞こえてくるはずもない愉悦を耳にしながら、黒騎士は刃を振るっていく。

●打ち合う剣
「漁夫の利、というのは、狙える時には狙った方が良いものだがね」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、グリモアを輝かせ貝と鳥の争う様と、消耗した両者をかっさらっていく漁師の映像を映し出していた。
「貝は如何にして鳥を狙ったか……いや、どうでも良いか。ともあれ好機だよ諸君」
 場の猟兵の視線に気が付くと、銀灰色の瞳を向け、静かに彼女は語り出した。

「さぁ語ろうか。舞台はダークセイヴァー、夜闇と享楽が支配する弱肉強食の世界だ。君達には“同族殺し”と共に領主館に殴り込んで欲しい」

 同族殺し――ダークセイヴァーに於いて猟兵よりもオブリビオンに忌み嫌われるオブリビオン。
 理由は多々あれど、同族たるオブリビオンを狙い攻撃を仕掛ける者がいるという。
「ともあれ好機は好機だ。彼と共に領主館に殴り込んで欲しい」
 そう言ってスフィーエはグリモアを輝かせ示すのは、鎧を纏った黒騎士の姿。
 神殺しの騎士とも呼ばれた黒騎士で、魔剣の力を以て数々の吸血鬼を粛清してきたらしく。
 特に今回赴く領主館には、並々ならぬ執念を燃やし、身を滅ぼすことも厭わぬ覚悟で向かっているのだという。

「道中、領主館の防衛が来るだろう。普段なら君達が突破するには、余りにも数が多い……が、上手く同族殺しの力を利用してやってくれ」
 そう言って次に示すのは、土くれで出来た巨人達の姿だった。
 只管に領主館を守るだけあって数が厄介だが、単身であっても突破するような同族殺しがいるので、上手く利用しながら行って欲しいと語る。
「ただし、同族殺しとの彼はまともな対話は不可能だ。協力を取り付けようとしても無駄だから、飽く迄利用に限る」
 理由は分からないが、同族殺しは狂気に思考を犯され、真っ当な会話はできないだろう。
 もしかすれば、彼の様子や独り言の断片で、彼が狂気に陥った理由を察することは出来るのかもしれないが……。
 どちらにせよ、今回の作戦では同族殺しの邪魔はしない方が良いと語り。
「その後は、同様に領主格を彼の邪魔をしないようにしつつ討って欲しい」
 領主格を倒せれば、その時は多少は同族殺しは理性を取り戻しているだろうから、上手く説得するか、消耗に乗じてそのまま倒すかは任せるとも語り。

「あとは、領主格を討つまでは、なるべく同族殺しには手を出さない方がいい。敵の敵は味方とは足り得ないし、それこそ漁夫の利になりかねない」
 同族殺し自体から手痛い反撃が来るか、敵から横槍を入れられてしまうか。
 どちらにしろ、事が済むまで同族殺しを討つのは止めた方が良いと釘を刺しておき。
「……私からは以上だ。彼が何を以て同族などを狩るかは分からないが……領主格を討てば、支配された民が助かるのもまた事実だ。だから……」
 領主格を討ち、何よりも支配された地の民を解放して欲しい――その上で、同族殺しへの多少の救いも齎せるならば、と静かに語り。
 グリモアの輝きは、狂った騎士の下へ猟兵を送り出すのであった。


裏山薬草
 どうも、裏山毒草です。違います薬草です。

 今回はですね、同族殺しと共にダークセイヴァーの領主館を叩き潰すシナリオとなります。
 同族殺しとは真っ当な会話は不可能ですが、呟きを聞いて狂気に陥った理由を考察する程度は可能です。

 第一章では集団戦。
 領主館で待ち受ける門番を倒して貰います。
 同族殺しをこの章で攻撃しようとすると、無条件で苦戦・失敗になります。
 上手く同族殺しをしながら、大量の門番を突破してください。

 第二章はボス戦。
 領主・同族殺し・猟兵で三つ巴の決戦になります。
 ここでも同族殺しを攻撃しようとすれば、苦戦や失敗になります。

 第三章もボス戦。
 同族殺しとの決戦となります。
 激戦で弱っているので大した苦労もなく倒せると思います。
 普通に倒しても構いませんし、対話なり何なりを試みても構いません。

 最後に今回の同族殺しについて少し載せておきます。

『神殺しの黒騎士ブラックスミス』
 神をも殺すという魔剣を持った黒騎士。
 冷徹な騎士で、現在は同族を殺すことに執着している模様。
 今回訪れた領主館では、どこか戦いに高揚している様子だが……?

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『グレイブヤードゴーレム』

POW   :    なぐる
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ふみくだく
【踏みつけ】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【の土塊を取り込み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    さけぶ
【すべてをこわしたい】という願いを【背中の棺群】の【怨霊】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

同族殺し…フン、いわば共食いか
まぁこちらが動くには都合は良いだろう、戦力は多いに越したことはない

シルコン・シジョンとオーヴァルレイの一斉発射で敵集団をなぎ倒す
同族殺しに対しては攻撃を邪魔しないようにしつつ、まずは動向を観察する
踏み付けなどの敵の攻撃はダッシュや敵の巨体を踏み台にしたジャンプで見切りながら躱す

確かにあの黒騎士は凄まじいな…
では、こちらの水先案内人になってもらおう

敵が土塊を取り込んで強化しだしたらUCを発動
頭部をロケット砲に変えたり、腕部を大型ガトリングへ変えたりと
身体を代わる代わる大型銃器へと変異させて銃撃し、同族殺しが仕留め損なった敵を潰しながら領主の元を目指す



●キリ開ク騎士ト銃士
「……フン、いわば共食いか」
 キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は傍らに青い卵のような形の浮遊砲台を浮かべながら、その瞳に土くれの山を切り開いていく黒騎士の姿を映した。
「まぁこちらが動くには都合は良いだろう、戦力は多いに越したことはない」
 キリカの呟きが聞こえたか聞こえないかは不明だが、黒騎士は只管に無言で土くれで出来た巨人を魔剣で斬り裂き元の土に還していく。
「確かに凄まじい……では、こちらの水先案内人になってもらおう」
 ほぼ一方的な蹂躙といえる戦いぶりに関心をしながら、キリカが傍らに浮かべた青い卵が煌めけば。
 黒騎士が斬り伏せて尚、大量と言う他無い領主館を守る土人形達が、浮遊砲台より放たれた光に穿たれ身体を崩し。
 刹那の瞬きも許されぬ勢いで抜き放たれた、自動小銃が土葬へ向かう死者を送る歌のように銃撃音を奏で上げ。
 黒騎士の斬撃に勝るとも劣らぬ勢いで、土人形達の身体を突き崩し、領主館への道を切り開いていく。
 さりとて土人形達も無抵抗というわけでなく、その巨体を以て跳躍すると、勢いよくキリカを圧し潰さんとするが。
 着地地点を巧みに擦り抜けるように駆け抜けて直接の踏みつけを、爆ぜ散る礫を別の土人形の身体を足掛かりに高く飛び躱しつつ。
「何が出てくるかわかるまで、迂闊に近づかないほうがいいぞ?」
 唇が動いたかと思えば、その言葉を発した頭部はロケット砲に転じており。
 放たれた大火力が土を食みていた巨人を跡形もなく砕き散らしつつ、キリカは右腕を大型のガトリングと変えて。
「……まぁ、もう手遅れだけどな」
 放たれる弾丸の嵐は、崩れかけた土人形の身体を情けの欠片もなく吹き飛ばし。
 同族殺しが斬り伏せて尚、斬られた身体を動かす土人形に足を変化させたグレネードを向けて。
「せいぜい利用させて貰うさ」
 呟きを聞くこともなく去った黒騎士の背を、放たれた榴弾の爆風が静かに後押しした。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
…ふむ、
利用とは聞こえが悪いな
これは共闘だよ
領主を討つのが我々共通の目的なのだから

同族殺しに思うことがない訳ではない、が
必要以上に入れ込むのはこれからの戦いに支障が出そうだからね
ここは冷静にいこう

普段とは異なり
平常心であることを自分に言い聞かせるようにしながら戦闘に赴く

声かけにより敵の攻撃の威力を落とし浄化を試みてみようか

「すべてをこわしたい」?
それを行なったとして、きみたちは何を得る?
文字通り虚無しか残らない
本当は求めているのではないのかな?
そう…救いを
私ならそれができる
私を受け入れてくれ

攻撃を受け止めきれたら
願いを変えてUCを発動しよう
「あなた方に永遠の安らぎを与えよう」
賛同してくれるかな



●望み、通りに
 利用しろと言われた言葉を、男は道すがら考えていた。
「……ふむ、利用とは聞こえが悪いな」
 黒衣の聖者セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は、無双と表現するが相応しい黒騎士の奮戦を見ながら呟いた。
「これは共闘だよ。領主を討つのが我々共通の目的なのだから」
 思う所が無い訳ではないが、必要以上に入れ込むのは今後の戦いに支障が出てしまう。
 務めて冷静に……ともすれば蛮勇にもとられかねなくも、冷静であるからこそセツナは物量の前に一歩を出す。
 すれば領主館に通ずる道を守る定めか、土人形達は背負った棺よりの怨霊に呼びかけ、重く願いの呪詛を響かせた。
 響き渡るその声は明確に分かってしまう……全てを壊せ、という言葉と願いは、セツナの心を重く揺らす。
「――そう望むか。しかし……」
 荒唐無稽と言えば荒唐無稽な願いが故に、その身を壊すには至らず。
 されど黒騎士の奮戦なしに突破するには難しい、とされた物量からなる同意は、やがては彼の身を壊してしまうかもしれない。
「行なったとして、きみたちは何を得る? 文字通り虚無しか残らない」
 ――それでも救い主、と称する者は語る。
 この全てを怨み壊す為の、哀しき声を浄化せしめんと。
「本当は求めているのではないのかな?」
 響き渡るその声から感じられるもの……そう、人はそれを救いというものを。
 それを求められるのならば、与えずにはいられない。それが生まれ持った光の定めであるから。
「私ならそれができる。私を受け入れてくれ」
 その言葉が引き金となれば、それを実行するための存在は悍ましく響く怨霊に非ず。
 相応しきは導きの笛を携えた白き翼の御使い――それを脳裏に浮かべながら、セツナは新しき願いを口に出す。
「あなた方に永遠の安らぎを与えよう」
 ――賛同してくれるかな。
 ……その答えは、望まぬ命令によって突き動かされる土の塊でなく、ただサラサラと消え去った砂塵となった姿が物語る。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
なかなかの巨躯だね。
『カーリーの鏖殺』で『破壊の魔力』を込めたローキックで足を破壊。
体勢が崩れたところへ致命の一撃を。(2回攻撃)
敵の攻撃に対しては直感(第六感×見切り)で回避からのカウンター攻撃。
流水のような動きで一体を倒せば次の一体へと縦横無尽に。

神殺しの黒騎士ブラックスミスか。
それぞれに事情があり、狂っているようだが……
同族殺しが頻発するようになったのは何かの兆しかな?
まあ、それはさておき、ブラックスミス君自身の話に関しては後のお楽しみとしよう。



●続きは幕間の後に
 ――ついぞ先日山の如き幻想種を相手にしてきたばかりだが。
 あれよりは劣るが、この土くれの巨人も相当な巨体、力は相当なものがあると見た。
「なかなかの巨躯だね」
 土くれの巨人が殺到するように、その巨体を活かした単純な――単純にして強力という言葉が何よりも正しい拳の一撃を。
 次々と大男シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)に向けていく。
「狙ってくれと言ってるようなものだ」
 軽やかに地を蹴り、颯爽と躱していく彼に、その先すら叩き潰しに行く一撃をも躱しながら、シーザーはその長い脚を鞭のようにしならせ。
 すれば土くれの巨体が轟音を立てて転倒し、巨体は地に突っ伏す――見れば、シーザーの脚に引っ掛けられた巨人の脚は跡形もなく消え去っていた。
 生来の剛力と、シーザー自身が纏っていた破滅の魔力が、土くれを形作っていた魔力そのものすらも打ち壊し、虚無と成していたのだ。
「覚悟は良いかね? まぁ、返答は最初から期待していないが」
 そのまま体勢を崩した巨人の、その額に吸い込ませるようにシーザーは光の剣を針のように突き刺せば。
 光刃を介し流し込まれた破滅の奔流が、巨人の体を音を立てて崩れさせて往き――そのまま振り返ると同時。
 背後に迫っていた土くれを斬り伏せながら、また別の巨人の脚をその長い脚で引っ掛け、崩壊させながら転倒させる。
「……それにしても、神殺しの黒騎士ブラックスミスか」
 飛来してきた巨人の拳を、流れ水のように緩やかに音もなく、動きだけはただ鮮明に映らせながら躱し。
 その勢いで光る刃の一太刀が巨人の体を成し、突き動かす魔力を滅びに導き、巨人を元の土塊に戻しながら。
 シーザーに勝るとも劣らぬ勢いで魔剣を振るい、巨人を土に帰していく黒騎士を見ながら一つ呟いた。
「後の御楽しみにしておこう」
 何かの兆しかもしれないが――全ては後に。
 シーザーの剣は、また新たな巨人をただの土とするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。この地の領主がどんな存在かは知らないけど、
こんな怨霊を護衛にしている時点で真面では無さそうね。

第六感が同族殺しの殺気を感じるまでは警戒するに止め、
“血の翼”を広げ残像が生じる高速の空中戦を行い、
術師の戦闘知識から敵の呪詛の基点を暗視して見切り、
魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払い先制攻撃のUCを発動

…土塊の護りは強固だけど無駄よ。私には通用しない。

存在感の無い魔力のオーラで防御を透過する血刃を放ち、
不可視の手を繋ぐように闇に紛れた血刃を旋回させ、
傷口を抉る早業の2回攻撃を行い、心の中で祈りを捧げる

…貴方達を現世に縛り付けるその怨念を断つ。
もう苦しみ嘆く必要は無い。眠りなさい、安らかに…。



●在るべき命の聖句
 墓場の名を冠するこのゴーレム――領主館に続く道を守る、この巨人達を前に、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は微かに声を漏らした。
「……ん」
 これより向かう領主が如何な存在かは分かりかねるが、ただ一つ分かるのは。
 このような怨霊に動かされる土人形を護衛とさせている時点で、真っ当とは言い難い……尤も、その方が多数を占めるがこの世界だが。
 黒騎士についても、一応猟兵の存在は認識自体はしているようだが、積極的な敵意のようなものは見られない。
 一応の警戒はしているが、こちらから攻撃の前に躍り出るなどが無ければ、手に掛かることもないだろう……とすれば目下。
 その身に流れる魔の血を一時目覚めさせ、血色に輝ける翼を広げながら、残した影に土人形達の攻撃を空ぶらせ。
 リーヴァルディの眼は鋭く、土人形より響く全てを呪う濁った重い声の、それを紡がせる場所を見切る。
「……見えた、呪詛の起点が」
 取り出した大鎌に、翼を顕現させた時と同じように魔の血脈の力を一時的に宿し。
 微かに発光する刃を、大気揺るがすほどに力強く振るう。
「……限定解放。我が敵を切り裂け、血の飛刃……!」
 大鎌が一つ薙ぎ払われれば、三日月形の血の刃が解き放たれた。
 そのまま崩すには硬く重たい土くれであろうと、刃は旋りながら土人形の間を駆け抜けて通り過ぎていく。
「……土塊の護りは強固だけど無駄よ。私には通用しない」
 見えざる手を繋ぐかのように、走らせる血の刃が的確に、土人形を突き動かす呪詛を草を刈るように容易く刈り取って往けば。
 土人形を縛り付ける恨みつらみの軛が解き放たれるように、次々と土人形は膝をつき、その身体を元の土くれへと回帰させて行く。
 ガラガラと音を立て崩れる音を、どこか今わの際の声に似た響きに感じながら、リーヴァルディはただ静かに祈った。
(もう苦しみ嘆く必要は無い。眠りなさい、安らかに……)

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルク・リア
「同族殺しと言うものの。
奴に相手が同族だとの認識があるのかも
あの様子だと分からないな。」

同族殺しとは戦況を確認できる位置を確保しながら
その行動をよく観察。
お互いの攻撃が当たらない程度の適度な距離を取り。
同族殺しの打ち漏らした敵や進路上にいる敵を優先し
ゴーレムを殲滅していく。
自分の周囲や敵の密集している所に向けて
真羅天掌で炎属性の竜巻を発生させ
更に【破魔】の力を込めて
ゴーレムの持つ棺の中の怨霊も同時に浄化させる。
炎の竜巻で仕留められなかった敵は
隙を見せない様に【早業】の【2回攻撃】で
デモニックロッドを使った闇の魔弾で追い打ち。
複数残っていたら魔弾を広範囲にばらまいて
【範囲攻撃】を行って処理する。



●浄焔の嵐
 目深に被ったフード越しの眼は、同族殺しの戦いを只管に冷静に眺めていた。
「同族殺しと言うものの」
 観察を続ける魔術師、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は無数の土人形達を斬り伏せていく黒騎士を見ながら顎に手を添え唸った。
「奴に相手が同族だとの認識があるのかも、あの様子だと分からないな」
 邪魔をしてくるから殺す、と言わんばかりの戦いぶりであり、斬り伏せた者の生死を厳密に確かめるでもなく鎧を軋ませ歩を進めていく姿。
「……」
「……」
 彼の呟きに黒騎士が振り返ったが、特に敵意は見られない……音がしたから振り返った、という程度のものだろう。
 特に言葉を交わすでもなく、向き直りながら剣を振るう黒騎士の姿を見送りながら、フォルクは己にも敵意を向けてきた土人形達に動ずることもなく魔力を高め。
「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯」
 黒騎士につかず離れず、適度に攻撃の当たらぬ距離を保ちながら紡がれる韻律は、彼の周囲を発生した熱で光景を歪ませ。
 発生した熱は、そのまま大気の中に混在する塵を燃料とし、一気に燃え盛る業火となりつつ渦を巻く。
「人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
 炎を竜巻という形に十指が紡ぎ、彼の周囲を取り囲む土人形達や、黒騎士が斬り伏せて尚、仮初の命までも奪われなかった土人形を薙ぎ倒すように飲み込み。
 凄まじい高熱は、土をそのまま溶岩と化し蒸散さすかのように、土人形を焼き払う。
 土人形達が背負う棺の怨霊は、炎に宿された破魔の力の前に消え去っていく。
「……」
「……」
 黒騎士がフォルクに向き直れば、また特に言葉を交わすでもなく、灰すら残さず消えた土人形の骸を踏みしめながら行き。
 炎の中で僅かながらに生き永らえた土人形に、呪われし黒杖を掲げフォルクは電光石火の早業を以て黒き魔弾を注がせて。
 魔術師は館への道をまた一つ、切り拓いていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷戦術行動
獣と成り果てた騎士か…私は軍人である以上、戦に私情は持ち込まぬ。
黒騎士を利用するのが最善手ならば、ただそうするのみ。
「第十七大隊、敵との交戦を開始。ただしあの黒騎士には決して手を出すな、あれを我が軍の遊撃戦力として利用せよ」
第十七大隊を率いて【団体行動】を行い隊伍を組み進軍。
長年の軍務により培われた【戦闘知識】と剣の極意【見切り】で黒騎士を射線に入れぬように巧みに指揮を執り【大隊指揮戦術『壱』】を発令、敵集団へ向けて大隊総員による斉射を敢行。
「第十七大隊、攻撃を開始せよ!」



●民守り
 目の前の土くれで出来た無数の人形達が、悪しき亡霊の主を守る防壁ならば、規則正しき軍靴の音を率いる男はそれを破る槌か。
 インバネスを薄暗い夜闇の世界に靡かせ、腰に二刀を下げた軍帽に表情を隠し。
「獣と成り果てた騎士か……」
 腕章に記された大隊を率いる階級にある男、東雲・一朗(帝都の老兵・f22513)は土壁の如き巨人に奮戦を続ける黒騎士を見、微かに呟いた。
 かの黒騎士が嘗て如何な存在であったかは知り得ない――故国と違い、この暗き世界に於いては叶わぬか。
 されど軍人、任務に私情は挟む余地もなく、ただ目の前の軍勢を切り抜けるにかの黒騎士の助力不可欠ならば。
「第十七大隊、敵との交戦を開始。ただしあの黒騎士には決して手を出すな、あれを我が軍の遊撃戦力として利用せよ」
 下す命令はただ一つ――厳粛な命に従い、率いる兵が交戦の構えを取り始める。
 長年の軍務に依りて培った得難き経験、圧倒的な軍勢を相手にし軍勢を率い立ち向かう老兵の財産は、瞬時にその脳裏に描かせる。
 我が隊に目もくれず、一騎当千の如き騎士を利用しながら、より的確に土くれの巨人を倒し得る射線を。
「――構え」
 黒騎士を避け、巨人達を一気に撃滅す射線は、卓越した剣技を思わせるように鋭く。
「第十七大隊、攻撃を開始せよ! 撃てぇッ!!」
 腕章を付けた男女様々なる軍服の隊員達が、構えた軽機関銃の引鉄を引けば。
 けたたましき機関の轟音が静寂なこの世界の理を破り、注ぐ弾は微塵の容赦もなく巨人達を豪雨の如く穿つ。
「――ご苦労」
 放たれた千を超える軽機関銃の銃弾がやがて晴れれば、巨人達を元の土塊に戻し終えた姿を確かに目に納め一郎は頷き。
 今だ油断なく陣列を為し交戦の緊張を解かぬ隊に、彼は次なる指令を下す。
「引き続き黒騎士を遊撃戦力とし、友軍の妨害をせぬよう交戦を続行せよ」
 剣を振るう黒騎士と、他の猟兵を邪魔しないように――突き進む軍靴の足音は何処までも整っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鬼桐・相馬
利用できるものは最大限に利用する、という訳か。なら、そのつもりで行動しよう。

【POW行動】
原則、同族殺しに追随・援護する形で動くよ。
[冥府の槍]を使い、彼が攻撃した部位付近に[怪力]による[部位破壊]の追加攻撃。又は[ヘヴィクロスボウ]で突っ込む援護をする。同族殺しとはこちらを常には認識できないように、且つ言葉は拾えるような位置を維持。敵の攻撃は後方へ回避。無理なものは[武器受け]の後[カウンター]で反撃する。

乱戦になり始めたら、敵の密集位置を狙い[ダッシュ][ジャンプ]で飛び込みUC発動。
まとめて墓場の土に還してやろう。

同族殺しは、領主館の何に執着があるのだろうか。

連携・アドリブ歓迎です!



●影に在りて
「……斬らねばならん。より強きを望む者を。斬らねば」
 同族殺しの黒騎士が斬り飛ばした腕のその断面に、力強く突撃槍が突き立てられた。
 黒騎士の剣の衝撃冷めやらぬ箇所に、立て続けに打ち込まれた槍の一撃に、土の巨人は音を立てて崩れていく。
 崩れる身体を隠れ蓑とするように、槍を突き立てた鬼桐・相馬(一角鬼の黒騎士・f23529)は黒騎士の視線より外れた。
 それでもつかず離れずに、再度黒騎士が上下を綺麗に飛ばした土人形の脳天を、ヘヴィクロスボウの矢で射抜き。
(……より強きを望む者、か)
 相馬は黒騎士の誰に当てられるかも分からない呟きを、頭の中で反芻させていた。
 その強きを望む者に、かの黒騎士がどうするか……聞こえてくる呟きは、再び黒騎士が斬り裂いた脚へ追い打つように突き立てた、槍の一撃からなる轟音が掻き消した。
(だが利用できるものは利用する、そのつもりで行くだけだ)
 後々幾らでも知ることはできよう――黒騎士の進軍に合わせ、適度な距離を保ち、時に矢で巨人の拳を制しつつ。
 黒騎士が斬り飛ばした首を、槍の一撃で叩き潰しながら相馬は歩を進めていき。
 着実に数を減らす彼らに苛立ったか、土人形達の陣列が乱れ混戦の様相を呈してくれば、相馬は槍を高跳び棒の如く立て天に身を踊らせ。
「その命脈の火、落としてやろう」
 突き出した青黒い槍に、冥府への炎――紅き焔よりなお熱き青の焔を切っ先に灯し。
 恵まれたその体躯からの重量と、天高く跳躍し得る肉体の力を併せ持った急降下の槍が土人形の集まる地点へ突き立てられ。
 彼を中心とし広がる蒼焔が土人形達を、そのまま巻き込んで崩落させていく。
「その望みが、我が望みでもあるならば……」
 未だ目もくれぬ黒騎士の望みは分からないが。
 今はまだ使わせて貰おう――ゆっくりと抜いた槍を、そのまま黒騎士の剣で横転させられた巨人に突き立てて。
 相馬は黒騎士に付きながら道を進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
同族殺しをするオブリビオンは強い目的がある事が多いのよね…お父様もそうだったし…。
ともあれ、現状では戦いながら彼の様子から情報を集めるしかないわね…。

黒騎士を前面に押し出し、少し遠間から援護する形で前進。
【ブラッディ・フォール】で「アトランティス攻略戦」の「量産型鋼神ウルカヌス」の力を使用(ウルカヌスの鎧を纏った姿へ変化)。
自身を【念動力】の膜で包み、さけぶの影響を防ぎつつ、敵の他の攻撃を自身の【怪力】と【ウルカヌスクロー】で受け止め、振り回したり周囲の敵や館の壁に叩きつける等で攻撃。
更に敵集団には【鋼神の裁き】で串刺しにした上で爆裂系の魔力弾で一掃するわ【属性攻撃、誘導弾、高速詠唱】



●レイブラッド
 進んだ距離にして僅か――数多の激戦を繰り広げられて尚、中々に歩が進まぬのは、それだけ門番の量が多いことか。
 領主館に攻め込むことの、元来の難しさを思い知りつつ、それを為すに不可欠な黒騎士の剣捌きを見つつ。
(……お父様も……いえ)
 胸の前で拳を握りながら、半魔フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は“魔”に由来した者を想う。
 同族殺しをするには、嘗て討った彼女の父であった亡霊と同様に、相応の理由がある筈――その理由の良し悪しはさておき。
 尤も今は土人形達の背負う棺より漏れ出した、破滅の誘いを魔剣で取り込む黒騎士を前に出しつつ動向を見守る他ないが。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 土人形達に斬り込むその僅かな後方で、フレミアは胸の前に握っていた拳より過去の記憶を黒き靄とし身に纏う。
 纏うその力は、嘗て英傑の世界で相手にした鋼の神。
 両肩にどこか獅子の如き意匠誂えられた、黒き重厚な鋼の鎧を纏ったフレミアは、その周囲に念力の膜を張り、荒唐無稽極まりない土人形の響きを防ぎつつ。
「……ハァッ!!」
 フレミア自身に襲い掛かってきた土人形達の、その質量を活かした身体の圧し掛かりを、纏う異形の剛力を以て受け止める。
 小柄な方であるフレミアを優に上回る巨躯を、片手一本で軽々と持ち上げ、それ自体を棍棒とするように他の人形に叩き付け。
 ある種の“同族殺し”なる様相を呈しながら、トマホークの如く投げ放たれたそれを叩きつけ崩壊させながら。
「所詮は土……この力に敵う道理も無いわ」
 巻き込まれドミノ倒しのように転倒していく土人形達を目に納めながら、フレミアは鋼の甲に覆われた掌を向けると。
 ダークセイヴァーの硬い地面よりも尚硬く、鋭い鉱槍が花開くように土人形達を足元から穿ち。
 そのまま突き立てられた槍が爆ぜ、巨人達を跡形もなく砕き散らしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
緋瑪「こういう硬くて大きな敵こそ、わたし達の得意分野だよね、瑠璃」
瑠璃「今回数が多いみたいだけどね、上手くあの騎士を利用していこうか、緋瑪」
緋瑪「神殺しだっけ。殺しで負けたくないけど、まぁ、最後に殺せればいっか」

「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」

【破壊の姫君】で分身

敵の攻撃を【見切り】、飛行ですり抜ける様に回避しつつ、カウンターでボムを叩きつけたり、敵集団に【範囲攻撃、蹂躙、鎧砕き、鎧無視、早業】接触式ボムを一気に爆破して一層する等、強化したボムの威力を存分に発揮して敵集団を殲滅。
黒騎士の邪魔はせず、適度に敵集団を押し付ける様に、でも殺人鬼として対抗する様に張り切って蹂躙していくよ



●殺しの矜持
 熱と衝撃の風が吹き付け、土塊の巨躯を後方へ盛大に転がしてしまえば。
 爆発の響きが未だに残る躯へ、種を捲くかのようにばら撒かれた爆弾が、残された響きを更に揺さぶり。
「こういう硬くて大きな敵こそ、わたし達の得意分野だよね、瑠璃」
「今回数が多いみたいだけどね、上手くあの騎士を利用していこうか、緋瑪」
 相応なる硬度と耐久性を備えた土塊の巨躯が、ガラガラという音を立てて崩れる様を見ながら、その背に魔導の翼を背負った少女達が語らった。
 四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と、その内に眠るもう一つの魂、緋瑪に身体を持たせ同じ翼を背負わせながら、彼女達は巨人より放たれる拳の隙間を蝶の如く擦り抜ける。
「神殺しだっけ。殺しで負けたくないけど、まぁ、最後に殺せればいっか」
 擦り抜けた巨人のその腕に、密やかに、さりげなく――土の身体を砕き散らす“種”を瑠璃が仕込みながら。
 横から怒涛のように出でる土人形達へ、緋瑪がまた威勢よくそれをばら撒けば。
「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」
 彼女達の声がスイッチとなるように、植え込まれた種がまた勢いよく花開き。
 衝撃と閃光を持った旋風が踊り狂い、土塊の崩れる音と、旋風に舞い上げられた礫が他の土人形を巻き込み砕く轟音が響く。
「流石に全部は厳しいかな?」
「程々に押し付けよう」
 ――爆発と破壊<殺し>に長けた身の上、大きく、硬く、数の多い相手は絶好の獲物に等しきもの。
 瑠璃と緋瑪の開かせた爆発の花あって尚、この防壁を全て崩すには至らぬものの。
 だがこの場には、突き進むごとに、剣の閃きが次々と土人形達を斬り伏せていく黒騎士がいる。
 無論、それに負ける気は更々ないしその後の獲物も譲るつもりは毛頭ないが――今は。
 軽く張り合うように、どこか土人形を崩す数を競うように、彼女達はまた一つ滅びの光を投げ込んで。
 背負う怨霊諸共に、殲滅の輝きは二度目の死を与えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

多々羅・赤銅
同族殺しねえ
つまんねえなあ

こそこそすんのは性には合わねえし、「こいつ」を知りたいと思ったからには隠れたいとは思わない。
巻き込まれそうなら前には出ねえが、少なくとも横か後ろには居させてもらおっか
同族殺しの邪魔はせず、石塊を鎧無視の斬撃で屠る。
耳を傾ける。神経を寄せる
恨みや怒りなんてのはさあ、なにがしかつまらない事でも無いとそうそう発生しねえんだ。
それに寄りそう、なんて寝ぼけた事言う気は無えが
知ろうとすんのはこっちの勝手よ

なあこれは
痛覚を切るまじないだ
持っていきな、同族殺し

同族殺しがこっち見てくれんなら笑お!
よ!疲れてきたなら言えよ、前衛交代すっからさ!
なーにこいつも何かの縁だ
互いに利用しあおうぜ



●剣と刀
 ――走った刀の斬撃は、硬土の身体へ水が染み込むが如く通り、土人形の中枢を斬り、その身体を文字通りの土に還した。
(同族殺しねえ……つまんねえなぁ)
 その一方で、ただ振るわれる刃が身体を真っ二つにする黒騎士の傍らで、その様相を見ながら多々羅・赤銅(春荒れに・f01007)は耳を傾ける。
「この力、この刃……それが贖い、それが償い」
「……償い、ねえ」
 ――かの同族殺しが如何な狂気に陥るか、理由はあるかもしれない。
 寄り添う、などと言えはしないが、知ろうとするのは勝手というもの……どうやら、何かしらの償いを望むようにも取れるが。
 これ以上を知ることは敵わない――迫る巨人の腕を、斬り上げるようにして受け流しつつ、赤銅は黒騎士を見て。
「足りねえのも風情があるさ」
 遅れて腕が落ち、地面に転げる土人形を目で流しつつ、振り向きながら赤銅は黒騎士に刃を滑らせた。
 金属が擦れ合う響き在りても、刀に宿された龍の神格は黒騎士の甲を一切傷つけることなく、ただあるものを消し去る。
 無関心に見えた黒騎士も、流石に赤銅に振り向き。
「よ! これは痛覚を切るまじないだ。持っていきな、同族殺し」
 笑顔で手をあげた赤銅の御業に害意を感じることはなかったか。
 黒騎士の顔と心境を伺い知ることも叶わねど、会釈をするように頭を軽く下げ、黒騎士は再び前を向く。
「疲れてきたなら言えよ、前衛交代すっからさ! なーにこいつも何かの縁だ。互いに利用しあおうぜ」
 言葉を続けながら、黒騎士の背後を殴りつけんとした土人形の、その身体に大業物の刃一つ走らせて。
 土塊の硬き<難き>を貫く、通しの衝撃を叩き込みながら快活に語り。
 ただ黒騎士は目の前の土人形を、携えた魔剣で一つ貫けば。
 彼らを挟んでいた土人形たちが同時刻に崩れ、欠片が幾度となく地に落ちて響く――何も応えずに進む黒騎士の返答の意は定かでなくも。
 黒鉄と赤銅は土壁を崩しながら、先へ先へと進むのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
クラウン殿(f19033)と連携。

護りは任せる。頼らせてもらうぞ、道化師。

敵の攻撃を【見切り】【カウンター】戦法。
燃える鉛で大型【武器改造】した大剣に【怪力】とUC【命を虚ろにせし亡撃】を込め【なぎ払い】。
破壊しきれずとも自由を封じれば後は『同族殺し』が始末する。

『同族殺し』には敵対と判断されない最低限の間合いを保ち、【学習力】のもと、奴の技や言動からその心を深く観察する。こちらの姿も晒し反応を伺おう。

記憶が無い己だが、だからこそ今、彼の騎士の総てを刻まなければならない。
黒騎士ブラックスミス。
「人間」の頃のルパートの先祖にして…「ヤドリガミ」になる前のこの騎士鎧の、魔剣を失う前の過去の姿を。


クラウン・アンダーウッド
ルパートさん(f10937)と連携。

昔の姿の自分と対面するなんて感慨深いねぇ。何はともあれ、まずは雑兵を片付けないと始まらないか。

さぁ、人形達!この舞台を盛り上げておくれ♪
複数の応援特化型人形による人形楽団の【楽器演奏】で味方を【鼓舞】する。

サポートはボクの得意分野さ。
UC【錬成カミヤドリ】で自身のオーラを纏わせた懐中時計を複製・展開。

敵の殴る、蹴るの予備動作を察知して攻撃のために拳を引ききった、足を上げきった直後に複数の懐中時計のオーラで練り上げた障壁を割り込ませて攻撃を妨害。がら空きとなった部位に一点集中。複数の懐中時計や投げナイフによる攻撃を行いバランスを崩させる事で敵を転倒させる。



●過ぎ去りし時の刻み
 陰惨なダークセイヴァーに於いて、殊更に陰鬱な気配立ち込める領主館への道に。
 その気配を打破するかのように、緊張の迸る戦場に一斉に出たのは、その手にラッパを携えた道化師の人形達だった。
「さぁ、人形達! この舞台を盛り上げておくれ♪」
 数多の人形を引き連れたクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)が、数度己の手を叩けば。
 ともすれば重苦しくもなっていた戦場の空気を、ラッパの演奏が盛り立て、戦場に向かう猟兵達の士気を昂らせる。
 そのクラウンの隣にいた黒き鎧――戦場にて土人形達を斬り伏せている黒騎士の姿によく似た鎧が、黒騎士の剣を振るう姿を見ながら一つ声を漏らした。
「……あれが」
「昔の姿の自分と対面するなんて感慨深いねぇ」
 ――同族殺しの姿は、かつて黒き鎧がヤドリガミとして動き出す前の前身。
 記憶なき身故に、過去の姿を映し刻まなければならない。
 隣に立つ道化の声にああ、と頷きながら黒鎧は……ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は仮面の隙間より、黒騎士の一挙手一投足をしっかりと捉えながら。
「護りは任せる。頼らせてもらうぞ、道化師」
 歩むごとに響く鎧の軋みも、同族殺しの黒騎士が放つそれに変わらず。
 ただ携えた剣に、青白く燃えて盛る鉛を纏わせながら隣の道化と、率いられた楽隊の響きに心奮い立たせ前へと出でて。
 ルパートの言葉にクラウンは頷きながら、聳えるが如き土人形達を目に移す。
「何はともあれ、まずは雑兵を片付けないと始まらないか。任せて――」
 クラウンが周囲に浮かべるは古びた懐中時計――最早時を刻むことも無き、己の前身。
 淡い輝きを帯びた懐中時計が突き進むルパートを守るように飛べば、彼の進軍を留めんとする土人形の拳の機先を制し。
 そこから続け様に投げ放たれる投げナイフが、土人形の脚を正確に貫き、次々と転倒させていく。
 その背をクラウンに任せ、ルパートは前線で斬り払いを続ける黒騎士の呟きに耳を傾けた。
「私は雪がねばならぬ、何もかも、何もかも……!」
「……」
「……」
 ――敵対と見られぬ距離に立ちながら、ルパートは黒騎士の呪われたように放たれる呟きを鎧の中に響かせた。
 黒騎士もまた、己とよく似た鎧の姿に、一瞬……ほんの僅かながらに動きを止めたものの、黒騎士は変わらずに剣を振るう。
「我望むは命満ちる未来。されど我示すは命尽きる末路……」
 青白い軌跡残す一太刀が、土塊で出来た身体を縫い付けるようにその動きを封じたかと思えば。
 続け様に残される軌跡が、土塊を動かす魔力や死霊の怨念めいた呪詛を押さえつけて往き。
 最後の一太刀は、この土人形達にあるかどうかも分からぬ精神と思考を断つように……ここまでの三連。
 一太刀一太刀がどこまでも力強く、青白い光を齎しながら、黒鎧の剛力に耐えられぬ土人形は崩れ去って行き。
「我望むは戦臨む者、されど我示すは滅びの末路……」
 崩壊を運よく免れた土人形達が、果たして幸運か不幸か。
 一切の動きを封じられて尚、道を塞ぐかのように倒れ込む土人形達を、紅いマントを靡かせた黒騎士がバターのように硬土で出来ている筈の巨人達を美しい断面を見せて斬り破っていく。
 同じ敵を討つという目的を介し、過去と現在の交錯する様相を眺めながら、先ほど転ばした土人形達が立ち上がり、その拳を二つの鎧に振り上げようとすれば。
 それはさせまいと、クラウンは――懐中時計は、流星の如く飛び迫っていった。
「おっと。おさわりは無しさ」
 この舞台、メインキャストの二つの鎧に無粋な横槍は不要――
 今と過去を見守るように、時の象徴<古びた懐中時計>が弾丸のように土人形達を一つ制しながら。
 今である鎧が青く盛った剣で動きを本格的に止めながら、過去である鎧が止められた土塊を冥府に帰していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ボクたちの仕事は領主を倒して支配された人たちを解放すること
でも、出来ればあの黒騎士も救いたい
どこまで出来るかわからないけど、それでも

これだけの数の敵を全部相手取るのは難しいから、ここを突破することを考える
【エクストリームミッション】を発動させ、ウィーリィくんと協力して空中から黒騎士の進路上の敵を【援護射撃】+【クイックドロウ】で攻撃して黒騎士を手助けし、それに続く形でボクたちも突破する

この先に黒騎士を救うための答えがある事を信じて


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
同族殺し。
オブリビオンを斃す為にオブリビオンと化した者。
そこに至る事情や理由はどうあれ、いずれにせよ今のブラックスミスに言葉は通じないだろうな。
だから、今は先に進む事を考えよう。
彼の心を救う鍵は、おそらくこの戦いの中にあるから。

彼の攻撃に巻き込まれない様に離れた位置から彼を援護し、敵群を突破する。
ブラックスミスの周囲の敵は彼自身に任せ、俺はシャーリーと一緒に【飢龍炎牙】で彼の進路上の敵を攻撃する。
ただし彼への攻撃と誤解される事の無い様に炎の射線が彼の近くを通る事の無い様に迂回させる。

余裕が出来れば、彼の過去や戦う理由について読み取れないか戦う姿を観察してみる。



●確証は無くも、諦める道も無しに
 一度空にその身を舞い上がらせて、戦場を見やれば、どれほどに待ち受ける番人という物の数が膨大か分かる。
 さりとて、あと少しで領主館へ――しかし、そのあと一押しが難しい。
 その身体に鮫の如き様相の外装を纏い、気流を噴き上げながら飛ぶ少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は思う。
(ボクたちの仕事は領主を倒して支配された人たちを解放すること。でも……)
 出来れば、文字通り壁の如く立ちはだかる巨人を容赦なく斬り伏せていく、狂える黒騎士も救ってあげたい。
 彼に何が出来るのか、また、どこまでのことが出来るかは分からないが。
「……ううん。やるしか、ないよね」
 絶対に為さなければならない目的は果たすだけ――決意は、纏う外装より更なる力を引き出して。
 弾かれるように乱れ飛ぶ熱線の一撃は、土人形の硬い土の身体を呆気なく貫き、その中枢を射抜くことで土人形を元の土に戻していく。
「同族殺し、か……」
 シャーリーが空中より黒騎士の道を切り開いていくならば、この少年は地から……幾度となく繰り返された連携。
 ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は大包丁を握り締めつつ、奮戦する黒騎士の背を目に映す。
「喰らい尽くせ、炎の顎!」
 そのまま、大包丁を振り抜いたウィーリィが嗾けるのは、竜を象った烈しき紅蓮の炎。
 吠えるように炎が盛り大気中の塵を燃やし、爆ぜる音響かせて、薄暗いダークセイヴァーの世を照らすように竜がうねり。
 黒騎士を巻き込まぬよう、迂回しながら熱く盛る爪牙を以て土人形達を通り過ぎれば、盛る火炎は土人形を突き動かす死霊の怨念すらも焼き払い。
 灼熱によって土が溶岩と化していくように溶け往く身体を、完全にトドメを刺すように更にシャーリーが引鉄を弾き。
 マスケット銃の口より放たれる無数のプラズマが、土人形の身を完全に蒸発せしめていく。
「……」
 自らの横を通り過ぎた炎の熱気と降り注ぐ熱線の光――その出所が気になったか、黒騎士はゆっくりとウィーリィとシャーリーに交互に目を向ける。
 だがそれも一時のこと、黒騎士は彼らに敵意を向けることなく――彼らの攻撃が敢て逸れていったことに、敵意の無きことを感じたか。
 領主館を目指しての歩を進め、狂ったように剣を振るい続ける――その姿を凝視しながら、ウィーリィはふと黒騎士の呟きに耳を研ぎ澄ませた。
「……出来ることは、それのみ。例え罪の禊にならずとも」
 傾けた耳の中に響くのは、黒騎士の呪うような――その矛先は、黒騎士自身。
 何処までも果てなく、己を呪うかの如き声がウィーリィの耳へと届く。
「振るわずにいられぬ刃ならば。せめて、せめて……」
 兜の中の顔は如何なものか分からねど、黒騎士の狂っていながらも正確無比な剣の閃きがまた土人形を消し去って。
 時々漏れ出す土人形よりの怨霊を、その剣の内に取り込みながら、また狂って剣を振るう姿にウィーリィは顎に手を宛て考えた。
(……行き場のない何とやら、か?)
 同族殺しが同族を殺す為に狂うその理由、探せば探すだけ、恐らくは事情もあるのだろうが。
 今の黒騎士に如何な言葉を投げかけたとしても、良くて無視されるだけだろう。
 だがこの先の戦いに救う鍵はあるのだと信じて、ウィーリィは改めて決意をすれば。
「本当にこの人が救われる道はあるのかな?」
「だとしても、今は先に進むだけだ」
 今も尚、熱線の正確無比なる射的を以て土人形の中枢を穿ち、伏せていくシャーリーの、空からのふとした問いかけに答えつつ。
 握り締めた大包丁を再び強く振るえば――その先の、あるかどうかも分からない答えを求めるように。
 黒騎士を迂回しながら盛った竜の開拓手が、領主館への道をより広げていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
「同族殺し」依頼は経験が何度かありますが…
どの程度の意志疎通が可能か
前に出た者全て敵と見なすか
有利と見ればこちらを戦術的に利用するのか
見極めれれば次の戦いが有利となるでしょう

拳は体躯と行動速度をセンサーの●情報収集で計測し●見切って回避
脚部にUCを●ロープワークで絡ませ引き摺り倒し●怪力で鉄球宜しく他のゴーレムに叩きつけ
武装の消耗防止と同族殺しへの戦術隠蔽の為とはいえ優雅ではありませんが…

私も領主を討つためこの場所に赴きました
しばしの共闘をお許し頂けますか?

つかず離れず、時に前に出て援護

挙動をセンサーで計測し不意の攻撃にも備えましょう

しかしあの鎧の意匠、データベースに類似した方がいましたね…



●白と黒の騎士
 ――戦術的に意味があるとはいえ、騎士として優雅とはいえない行為なのかもしれないが。
 巨人の挙動の全てを見切ったと同時、ワイヤー制御の隠し腕を巨人の脚に打ち込む。
 それを為した白き騎士――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、恵まれたその剛力を以て、宛ら鎖付き鉄球の如く土人形の身体を振るい、他の土人形達を砕き散らし。
 立てられた轟音に振り向いた黒騎士に、白騎士は紳士的に話しかけた。
「私も領主を討つためこの場所に赴きました。しばしの共闘をお許し頂けますか?」
「……立ちはだかるならば斬る」
 ――その呟きが、トリテレイアに向けられたものか、ただの独り言なのかの判断はつきかねるが。
 その様子から見ての結論は一つ。
(……ふむ、明確な敵意が無ければ攻撃してこない、と言ったところでしょうか)
 前に出た所で無条件に攻撃されることも無い、戦術的に積極的にこちらを利用してくることもない――精々、猟兵の攻撃で怯んだ者が目の前に居れば斬り払う程度か。
 要は敵対しない限りは勝手にしろ、というスタンスか。
 つかず離れずを保ちつつ、黒騎士に不意打ちの殴打を繰り出さんと巨人の一人が迫れば、トリテレイアは咄嗟にワイヤーで制御された腕を打ち込み。
 雷を流し土人形を動かす術的な流れを阻害しながら動きを止めれば、黒騎士が魔剣の一突きで絶命させ、土に還していく。
 振り向くことなく進む黒騎士の後ろ姿を見ながら、彼はメモリーに刻まれた記憶を探った。
(しかしあの鎧の意匠、データベースに類似した方が……ああ)
 ――この戦場で見かけた黒鎧の姿に思い当たるものを感じ、白騎士は頷くと。
 漸くに辿り着いた領主館への門……張り巡らせたセンサーの中には、敵の反応は見られない。
 これで全てを倒したのだろう――そして分かった同族殺しの性質をこれから如何に役立てるか。
 それを胸に、待ち受けるより強き領主格へと、黒騎士と猟兵達は歩を進めていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『黒鋼公シュヴァルツ』

POW   :    存分に愉しませてくれ
自身の【戦闘を楽しみたい欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    貴様の力を見せてみよ
【猟兵の攻撃を受け止め続けた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    この程度、児戯に等しい
【自身の細剣】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の細剣から何度でも発動できる。

イラスト:紺屋サキチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はセシリア・サヴェージです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※断章は明日用意いたします。プレイングはその後に受け付けます。
●黒き鋼の騎士、相対す
 領主館の扉を開け、入口で剣を杖としながら立ち待ち構えていたのは、黒き鎧を纏った流麗な金髪の男だった。
 彼こそが、この地を治める領主だろう――噂によると、相当な戦狂いらしく、時に気紛れに領民からの勇士を館に招き、戦いの中で殺戮を行い愉しんでいるのだという。
 領主は猟兵達を目に納めると、左手を広げながら仰々しく歓迎の言葉を口に出す、が。
「ようこそ……我が館へっ……!」
 その言葉が終わるその前に――
「やっと、見つけた……!!」
 同族殺しの黒騎士が、その手に携えた魔剣を以て斬りかかり、領主はそれを細剣で受け流す。
「フフフ、いきなり斬りかかってくるとはな。こうした威勢の良い者が消えて久しい……」
「望むのならばくれてやろう、戦に狂った“同族”よ。せめて我が引導を渡そう……それこそが我が禊、我が贖い」
 しかし黒騎士も負けていない。
 細剣で受け流された勢いそのままに、身体を駒の様に回転せしめ、勢いよく領主を横薙ぎに斬り掃わんとするも。
「ふむ……流石は“同族殺し”と名高き騎士殿。御見事……」
 領主はその剣を紙一重ではあるが、僅かに後方へ跳躍しながら躱す――走る刃の緊張感に、領主の表情は高揚し紅が差す。
 黒騎士もまた、魔剣に纏う闘気をどこまでも昂らせる――互いに望む相手に出会えたというのだろうか。
「……ところで、先ほどからそこで見ている猟兵達よ」
 黒騎士と領主の戦いの前に、横槍を入れ難かった猟兵達の視線にも気が付くと、領主は髪を宙に流して。
「貴様らも我輩の首が欲しかろう。其処なる同族殺しも含め、存分に掛かって来られるが良い」
 ――同族殺し、そして猟兵達全員を相手にし、尚切り結べるといわんばかりの威圧感。
 領主から伺える愉悦と、
「申し遅れた。我が名はシュバルツ。人は我輩を黒鋼公と呼ぶ――さぁ、存分に愉しませてくれたまえ。貴様らの熟成された強さというものを……何故ならば」
 最後に勝つのは、この我輩なのだから――聳える黒鋼を纏った領主の、愉悦を叩き潰す為に。
 そして同族殺しの望みを叶える為に――領主との決戦が始まった!
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

いや、随分と仲が良さそうだし、私達には構わずにそちらでよろしくやっていても構わんぞ?

と言いつつ2丁の銃でシュヴァルツの頭や心臓を狙撃
わかりやすい弾道だ、弾かれるだろう…が、その隙を作れば黒騎士が奴を襲うのに都合がいいはずだ
その後も黒騎士には攻撃を当てず正確に黒鋼公のみを狙撃する

黒鋼公がUCを発動しようと防御したらこちらもUCを発動
攻撃が命中するたびに威力が増大する刃で黒鋼公だけを削っていく
相手がたまらずにこちらへ攻撃が向けばその隙に黒騎士が攻撃を加えるだろう
敵が黒騎士を意識したら今度はこちらが銃撃を行い奴の攻撃を叩き落として躱す

フッ、まるでロンドだな
上手く踊れていればいいんだが



●応報の雨
 愉悦に満ちた領主の笑いを制するように、怜悧な風貌の女は徐に二挺の銃を取り出しながら言い放った。
「いや」
 その言葉と共に惹かれるトリガーが一つ、静寂と緊張の張り詰めていた中を破裂さすように、弾丸が領主の脳天と心臓を目掛けて飛ぶ。
「随分と仲が良さそうだし、私達には構わずにそちらでよろしくやっていても構わんぞ?」
 キリカの言葉とは裏腹に、放たれる弾丸の向かう先は殺意に満ちる――それを領主は、黒塗りの細剣で優雅に貫いて見せ。
 愉悦に満ち溢れた彼へ、同族殺しの黒騎士が魔剣で斬りかかれば。
「フッ……ではお言葉に甘えるとしようか、なっ!」
 黒騎士の魔剣を細剣に刺していた弾丸を礫として放ち、黒騎士の剣を弾きつつ。
 黒騎士が僅かに下がれば、その隙を補うように、巧みに黒騎士の身を逸れたキリカよりの弾丸が領主の――脳天と心の臓を狙ったそれが放たれて。
 それを躱しつつも、度々に黒騎士からの刺突を正確に細剣の切っ先で受け止め流しつつ領主は恍惚と嗤う。
「実に心地よき戦の律動よ。だが、かような小雨ではなく……」
「なればデゼス・ポア、泣き叫べ。死者の落涙を強く注がせよ」
 力を見せよと尊大になるというならば。
 キリカは名に絶望を冠した人形を――頬に走る黒い条一つが涙の如く見えるそれが笑う。
「其の錆びた刃を咎人に突き立て……消えぬ罪の報いを与えろ」
 絶望の呪詛を孕んだ錆付いた刃は、愉悦に満ち溢れた黒き領主へと注ぐ。
 愉悦と共に受け止める領主だが、刃の錆が移り鋼を犯すが如く、積み重なる呪詛は愉悦を徐々に苦しみに変え――憤怒を以てキリカに細剣の敵意を向けたその時。
 機を狙ってた黒騎士がその刃を領主の脇腹に突き立る――!
 堪らずに黒騎士に反撃の刃を見舞おうと、キリカは尚も冷静に銃弾で黒騎士に向かう刃を落し。
 再度黒騎士が強く魔剣を振り抜き領主を横薙ぎに斬り付ける様を――キリカは一つ称した。
「……フッ、まるでロンドだな」

成功 🔵​🔵​🔴​

東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷戦術行動
どちらも埒外たる我ら猟兵すら凌駕する戦闘力を有している…もはや神か悪鬼の類だ、まともではない。
「総員、抜刀せよ…攻勢は一度だ、一撃にて黒鋼公を討つ」
しかしそれならばそれで作法はある、二体の動きを熟練の【戦闘知識】と達人の勘で【見切り】、下手に間に入らぬ機を見極めて統制された【団体行動】により一度きりの攻勢【大隊指揮戦術『弍』】を発令、我が奥義【破魔】の三段突きを皮切りに総員で車がかりに斬り抜けて同族殺しの呼吸の合間を縫った一撃を与え離脱。
「戦とは手段に過ぎない、目的にしてはならん」



●君違エルコト勿レ
 領主と黒騎士の激戦は続く――黒騎士の魔剣が突き出されれば、領主は真っ向から細剣で受け止め、逆に押し込むように突き出し。
 黒騎士はそれを踏ん張って受け切り、逆に魔剣を強く振るい領主の剣諸共その身体を弾き飛ばす。
 凄まじい攻防を前に、少佐の腕章を微かに振るわせつつ一朗は瞳に力を入れた。
(……まともではないな。いや、最初から分かっていたつもりだが……)
 まるで神か悪鬼ではないか――生命の埒外である猟兵を凌ぐ戦闘力。
 互角に斬り結んでいる領主と黒騎士を前に、刀の柄に手を掛けながら、一朗は率いる大隊に厳粛に指令を下す。
「総員、抜刀せよ……攻勢は一度だ、一撃にて黒鋼公を討つ」
 深追いも出来ぬ、さりとて安易に手を出せば待ち受けるのはどちらかよりの苛烈な反撃、即ち自滅の道。
 そのたった一度の好機を以て決める――熟達した老獪な軍人の眼が、領主と黒騎士の戦の一つ一つを、目に焼き付けるように見据えつつ。
「そこで先ほどから見ている者よ。見物だけではつまらぬだろう……せめて我輩を存分に愉しませてくれ」
 ――ここで漸く視線を強く向けていた一朗とその軍勢に気付いたか。
 黒騎士より大きく下がりながら、腕を広げ愉悦を見せた領主――誘いは分かっていても、斬り伏せる好機は今のみ。
「――抜刀隊、かかれ!」
 神か悪鬼と称しても、この踏み込みも又、神の速度。
 強烈極まりない刀の刺突で、受け止めた細剣を介し領主の腕に鈍麻を与え。
 その鈍麻解かれぬままに、領主の双肩を鋭く深く抉るように貫く。
 雷電が如き一朗の三連の刺突を皮切りに、強き号令と統制の敷かれた怒涛の斬り込みが殺到す――
「クッ……」
「……戦とは手段に過ぎない、目的にしてはならん」
 ――夜闇と絶望の世の亡霊に、桜花幻朧の理は通じぬと分かっていても。
 黒騎士が再度斬りかかる一時の間隙に刃を斬り込んだ大隊指揮官は、金言たれど領主には響かぬそれを残しつつ下がっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
※セツナはド天然にて聖者
心からの願いであれば本気で叶える(≒救う)つもり
それが敵であろうとも

…ふむ?
つまり、双方合意の上で戦っているという解釈でいいのかな
だとするなら、横やりは無粋
ここは見届けるのが礼儀ではないのかな

黒騎士殿、領主殿
確認をしたい
援護は必要かな
私は黒騎士殿の宿願を果たす邪魔はしたくないと思っているよ

見届けると決めたなら此方にはそれ相応の覚悟もある
私に攻撃の意思はない
ふふ、疑っているかな
なら、試しに私を攻撃してごらん?
赦しの心で全てを平らげてみせよう
雑念を振り払えたなら、全力で切り結べばいい
私はそれを邪魔しない
あなた方が命を懸けて臨むなら、
私も命を懸けてあなた方の決着を見届けよう



●みつめるもの
 相対する二人の亡霊が纏うは黒、交わされる剣の軌跡もまた黒。
 それを見つめる男のローブもまた黒――セツナは顎に手を宛てて考えた。
「……ふむ?」
 この二人の騎士は同意の上で戦っているようにも見える。領主は猟兵の手出しは良きと言っているし、黒騎士も邪魔さえしなければ勝手にしろといっている風にも見えるのだが。
「ところで黒騎士殿、領主殿。援護は必要かな?」
 唐突と言えば唐突な言葉に、黒騎士も領主も、何を言っているのか分からないと言わんばかりに動きを止める。
 セツナからすればふざけている訳でも何でもない、ただ本心から、彼らがそう願うなら、そう救いを齎さんとしている。
「フフッ、好きにしたまえ。何ならこの同族殺しに手を貸してやっても……おっと」
 だが領主はどこかツボに入ったのか、面白いものを見た、とでも言うように笑いだす――その僅かな隙を黒騎士は魔剣を突き出すことで、領主を制する。
 それは何処か、嗤う領主を咎めるようにも見えた……かもしれない。
「いや、私は見届けるつもりだし、邪魔をする気はないよ」
「隠さなくても良い。騙し討ちも戦の華よ」
 喉元に突き付けられる領主の細剣にも、セツナは動じることもなく。
 ただ、底知れぬ深き黒の瞳と浮かべられた微笑みは、領主に只ならぬ気配を伺わせていた。
「……信じてくれないようだね。では私を攻撃してごらん?」
 ――暴食の罪を冠したこの力を以て、全てを平らげてみせよう。
 広がった腕を見続けることで、投げかけられた言葉という攻撃を受け続けた領主は、真っ直ぐに細剣を突き出す――その刺突を。
 風に揺らぐ木の葉のように流れるが如く受けて、セツナの身には一切の傷一つ残さず。
 ただ、領主の耳にこの言葉が響く――存分に斬り結べばいい、命を懸けて臨むのならば、私も命を懸けて見届けようと。
 ……届いた言葉の結果は、再び嬉々として黒騎士と斬り結び始める領主の姿が、その証明か。

成功 🔵​🔵​🔴​

フレミア・レイブラッド
傲慢な人ね…それより、気になる事を言ってたわね。
自身の手で引導を渡す事が禊、贖いと言ってたわね?黒騎士と関係があるのかしら

【ブラッディ・フォール】で「誇り高き狂気」の「ヴラド・レイブラッド」の力を使用(マントに魔剣を携えた姿)。
【平伏す大地の重圧】で敵が動く前に超重力で押し潰して動きを止め、黒騎士を補助。
黒騎士の攻撃の合間に自身の【怪力、早業】も加えた【鮮血魔剣・ブラッドオーガ】で叩き潰すわ。
敵からの反撃が来たら【カース・オブ・ブラッドナイト】を発動。
戦闘力を更に増強させ、全力の【鮮血魔剣・ブラッドオーガ】で塵にしてあげる!

我が父の力…実体の無い超重力を剣で受け止める事なんてできないでしょう?



●かつて見た身故に
 戦に狂い強きを望む――それでいて、勇士を望みそれを殺す喜びを覚え。
 それでいながら自らの敗北と滅びも考えていない――それは。
(傲慢な人ね……)
 眉を顰めながらフレミアは、黒鋼公と呼ばれる領主の愉悦に否定的な感情を抱いていた。
 その領主と派手な金属音奏で合い、黒と黒をぶつけ合う黒騎士にも目を一つ遣りながら、彼女は黒騎士のこれまでの言を振り返った。
(そういえば、禊とか贖いとか言ってたわね……)
 この領主を倒すことが黒騎士の償いに当たるのだろうか――経緯は伺い知らねども。
 まずはこの領主を倒すのみ――フレミアは胸に手を宛て、一呼吸を置くと。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
 ――引き出す記憶が、過去の戦であるのか、彼女自身の過去の記憶からか。
 血の様に脈打つ条の見られる、真紅の刃持ちし大剣、その身体を覆う黒に赤い裏地のマント――この身に流れる魔の部分の、その大本。
 吸血大公と呼ばれし者の力を纏うと、その大剣を力強く振るえば――貴き者の威厳を体現するかのように。
 空を圧す重力の軛が、細剣を掲げた領主の動きを地に縫い付けた。
「……ほう! だがその程度……児戯に等し……!?」
「我が父の力……実体の無い超重力を、剣で受け止める事なんてできないでしょう?」
 ある意味では受け止めてるとも言えれば、受け止め切れてないとも取れる――が、どの道、重力の中で動けぬ身に一切の意味を為さず。
 重力に縛られ動けぬ領主の身を、ここぞと言わんばかりに黒騎士が次々と斬り付けて往けば。
 フレミアの操る大公の刃も、黒騎士の振るう刃に一切劣らぬか或いは上回るかの如き重たく、そして痛烈な刃が領主を刻む。
 そして一切の反撃を許さずに――仮に反撃が来ようと、大公の力はそれすらも取り込む次第であったが。
 黒騎士と二人がかりの魔剣が幾度となく交錯する前に、領主は反撃を許されず刻まれて往くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。随分と自分の強さに自信があるようね。
それならばそれで良い。精々慢心していなさい。
…その油断が解けない内に、腕の一本でも奪ってあげるわ。

今までの戦闘知識から敵や同族殺しの殺気を暗視して見切り、
存在感を消して闇に紛れて敵の背後に回り込み、
大振りで大鎌をなぎ払う先制攻撃で敵のカウンターを誘い、
わざと武器を弾かれた後、残像が生じる早業でUCを発動

…お前に名乗る名前は無い。死になさい、黒鋼公…!

…っ、しまっ…!

怪力の掌打と同時に生命力を吸収する呪詛を纏う血杭で貫き、
力を溜めて傷口を抉る闇属性の2回攻撃を放つ

…生憎だけど、戦いを愉しむつもりは無い。
このまま力を出せないまま骸の海へ還るが良い。


四季乃・瑠璃
緋瑪「貴方を愉しませるつもりは無いけどねー」
瑠璃「愉しみたいならお好きにどうぞ。私達は貴方の命を奪うのみだし」

【チェイン】で分身

黒騎士の攻撃に合わせて緋瑪が機巧を利用した大鎌【早業、ダッシュ、限界突破】による奇襲。瑠璃がK100による銃撃【ドロウ、早業】でそれぞれ別方向から攻撃。
黒騎士が間合いを開けると同時に【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、蹂躙、早業】接触式ボムで攻撃と同時に爆風で動きを止め、黒騎士を援護。
更にそのまま爆風に紛れて二人で大鎌で一気に接近し、敵の動きを【見切り】ながら【力溜め、早業、限界突破】連続高速斬撃を仕掛けて圧倒。
【チェイン】の身体強化と二人の連携をフルに使って敵を切り刻むよ



●血の鎖にて
 己を縛る軛から解き放たれ、身体を襲う数多の刃を振り払いながら、領主は嗤う――その身体に流れる血に酔うかのように。
 夥しき血の量に関わらず、己の敗北を認めず殺し斬り伏せることのみを信じるように。
「クックク……ああ、愉しい、愉しいぞ。久しく味わったことのない快感よ。さぁ、もっと我輩を愉しませよ……!」
 黒騎士がその言葉に苛立つように魔剣を振るえば、領主は細剣で以て真っ向から黒騎士の魔剣を受け止める。
 だがその一瞬の硬直を目掛けて、弧を描く刃が領主の身体を薙いでいった。
「貴方を愉しませるつもりは無いけどねー」
「愉しみたいならお好きにどうぞ。私達は貴方の命を奪うのみだし」
 身体を二つに分けた二つの魂、瑠璃と緋瑪の殺人姫達――緋瑪から仕込まれた炸薬によって人の限界を超えた速度で迫った、大鎌による斬撃が領主を一つ後退させ。
 人ならざるモノを討つ大型拳銃の弾丸――瑠璃からの幾度となく放たれるそれが、領主からの反撃の機先を制していく。
 しかし領主も一方的に受けるでなく、黒騎士の魔剣を捌きつつ細剣を旋回させ銃弾を弾きながら、追撃の大鎌を受け止め弾き。
 黒騎士と領主に一つ距離が出来れば、瑠璃と緋瑪は一斉に爆弾を投げつける――
「……ん」
 爆発の衝撃と熱風が領主のみを的確に狙い、その身を苛め続けている中に。
 知られることなく、爆音の中に浴びせられた攻撃への愉悦の嗤い響かす領主を耳に流しつつ、ヴァンパイア殺しは駆ける。
(精々慢心していなさい……その油断が解けない内に、腕の一本でも奪ってあげるわ)
 それだけの攻撃を受けて尚、勝てるという自信があるならば良い。
 殺し姫達の嗾けた爆発を闇とし、その存在を視認以外に許さぬほどに気配と音を隠しながらリーヴァルディは迫る。
 嗤う領主の、その背後へ、振り上げられた大鎌でその首を――!
「……お前に名乗る名前は無い。死になさい、黒鋼公……!」
「ふん……この程度の奇襲、児戯というにも烏滸がましい……」
 ――されど嗤う実力は本物か。
 鼻を鳴らした領主の細剣の、その切っ先が大鎌の刃を突き上げリーヴァルディの得物を宙へ舞い上げる。
「……っ、しまっ……!」
 分かり易きリーヴァルディの焦り、されどそれは真に非ず。
 勝利を疑わぬ領主の、恍惚とした笑みと共にリーヴァルディの喉元へ細剣が迫るも。
 彼女の準備は整っているし、何より――
「じゃあこの程度の返しはそれ以下ってことだね!」
「いいね、すぐに調子に乗るから殺りやすくて」
 ――より確実に、隙を作り出してくれる者が其処に居た。
 何、と驚く領主の身に、もう“二つ”の死神の刃が一瞬で走った。
 己が発生させた爆風に紛れ、仕込まれた炸裂によって一瞬で迫った瑠璃と緋瑪の二人が、その刃を領主に走らせていたのだ。
 さしもの領主も、それこそは予想外だったか、身を刻まれながら細剣で致命傷を躱すがやっとであり。
「……限定解放」
 愉悦による一瞬の隙、そして仲間の連撃が作り出した絶好の中の絶好の好機。
 リーヴァルディは身体を振り絞るように力を込めて、その身に流れる“魔”の血を目覚めさせる。
「……刺し貫け、血の聖槍……!」
 解き放たれるは、圧倒的な吸血鬼の膂力を以て放たれる掌打――黒鋼の鎧をも貫き、分厚い甲を軋ませつつも領主の脊椎に容赦ない衝撃を与え。
 そのまま覚醒を収める力の余波で生じた血の杭が、罅入った領主の鎧を貫き、其処に含まれた呪詛が容赦なく生命力を奪い去っていく。
「がっ……フ、フフフ……実に」
「……生憎だけど、戦いを愉しむつもりは無い。このまま、力を出せないまま、骸の海へ還るが良い」
 それで尚、血の匂いに狂い勝利を妄信する領主へ突き立てられるは。
 この世界よりも尚深き闇の力を纏いし黒き杭が、戯言を黙らすが如く抉るように突き立てられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
同族殺しの騎士の名を聞いて、いてもたっていられんでな。
遅参ながら我が鬼の剣、ご披露仕る。

黒鋼公とはご立派なあだ名もあるものだな。
花盛伝家の極悪刀黒椿、この刀身の黒でもって貴様の黒鋼を叩き切ろう。

貴様もまた戦狂い、戦好きのいかれ者だ。
この羅刹女もまた同じ。強敵との剣戟ほど心踊るものはない。
だが慢心するそのあえて自らを不利にする行為は腹立たしい。
腹の底で敗北する言い訳を作っているのと変わらんぞ、黒鋼公?
清々する立ち会いを、貴様は望まないのか?
という挑発を混ぜ、敵のUCの発動に釘を刺す。
隙を見せれば、雨燕にて足の腱を潰すぞ。

此度の同族殺しとやら、大恩ある御仁の仇敵。
その道開きの役に立てれば幸いだ。



●黒き刀、黒き細剣
 ――大恩ある御仁の宿敵たらば、遅れ参ずる身たれどご披露仕る。
「ご立派なあだ名もあるものだな。では花盛伝家の極悪刀黒椿、この刀身の黒でもって貴様の黒鋼を叩き切ろう」
「ほう……面白い。存分に掛かってくるが良い」
 突き出されし黒塗りの刃、重く脆く醜きに見えるも、振るう者の業伴えば無双の名刀足り得る――傷だらけの黒鋼公はその刃を突き出した羅刹の女に笑った。
 花盛・乙女(羅刹女・f00399)が振るった刃の一撃を、領主は細剣で横殴りにするように流し、捌きつつ。
 突き出された細剣の刺突を、刀の腹で受け止め後退しながら乙女は身を翻し――領主へそのまま薙ぎの刃を放つ。
「フフフフフ……やるな。だがそんなものではないだろう」
 しかしそれを、領主は寸での所で細剣で受け止めると、乙女を弾き返すように軽く剣で圧して見せ。
 後退りする乙女を愉悦の顔で見下し切りつつ、両腕を広げながら領主は宣言する。
「さぁ、我をもっと愉しませ……」
「それで、良いのか?」
 自らを追い込まんとした領主は、乙女の挑発に邪法の集中を解く羽目と相成った。
「清々する立ち会いを、貴様は望まないのか?」
 この羅刹女も同じ戦を好む変わり者――同様の強者と剣を交わす喜び無上のものなれど。
 自ら不利に追い込むその慢心、それは余裕に非ず、ただ敗北の愚かなる言い訳に過ぎぬ――そう言わんばかりの乙女に、何処までも領主は分かりやすく。
 歯噛みする顔と、僅かに細剣の構え揺らぐその瞬間……それは刹那にして立ち進脚を断つには十二分。
 呼吸を止め、力の全てを足と感覚に集中させ、全ての筋肉をバネのように震わせて。
 微かな構えの揺らぎが正されるその刹那に――火を喰らい盛る猛き鳥のように、疾く、そして苛烈なる刃が。
「動かなければ、痛みもないさ」
 領主の腱を痛みもなく、ただ静かに断ち斬っていた――道開く役に立てるであろうことを信じて。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
『ウルクの黎明』を発動。
オド(オーラ防御)を活性化。オーラセイバーを具現化して戦闘態勢へ。

ハハハ、大した自信だし、それに相応しい実力もある。
惜しむらくは退くことを知らない性格か。
まさか、戦力分析が出来なかった訳ではないだろう?

剛柔自在に剣を振るって戦闘。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)等
敵の攻撃は直感(第六感×見切り)で回避してカウンターを合わせる。

敵POWUC対策
発動のタイミングを見切り、敢えて不利な行動を取った瞬間。
神速の飛翔で間合いを詰めてすれ違い様に横薙ぎに斬り裂きます。
(見切り×先制攻撃×空中戦)



●黒公と赤公
 二人の貴族然とした大男二人が、体躯に似合わぬ繊細な剣戟を交わし合っていた。
 片や光を飲み込む黒鋼を纏い、片や血の色に染めんとするが如き紅き奔流を纏う者――奔流を纏う者の剣の突き出しを、黒鋼が細剣で下から弾く。
「ハハハ、大した自信だ。それに相応しい実力もあるのが何とも」
「フフフ、貴様も中々やるではないか」
 紅を纏う男シーザーは、領主の剣捌きと愉悦を隠さぬ様相を言葉だけ称えながらも、弾かれた剣をそのまま力強く振り下ろし。
 それすらも予測していたと言わんばかりの領主は、振り下ろされた剣を真っ向から細剣で受け止める――それを更にシーザーは横へ逸らすように力を入れて。
 領主は逸らされながらも、長い金髪を翻しながらシーザーに向き直り、鋭く細剣を突き出す――シーザーはそれを剣の腹に当たる部分で受け止めんとし。
「ッ……臆病者で卑怯者か」
「やはり私と君は似ているようで違うね。必要ならば退けるが」
 受け止めると見せかけて、シーザーはすかさず後方へ跳躍し領主の細剣による刺突を空振りさせていた。
 そこですかさず、シーザーが光剣を中段に構え領主へ斬り込まんとした刹那――領主はほくそ笑み、敢て斬られんと両腕を広げんとしたが。
 ――自らを追い込み力を高めんとした領主の顔は、その瞬間、驚愕の顔に変わっていた。
 何故ならば、両腕を広げんとしたその瞬間、シーザーは神懸かりし速度を以て領主の脇に迫り、脇腹を強かに薙いでいたからだった。
 傷口を抑える領主に、シーザーは微笑みながら語り掛ける。
「ここまでやられるとは思わなかった、という顔だね。まさか、戦力分析が出来なかった訳では……」
「した上で勝てると確信しているが?」
 愉悦を失わぬ領主に逆に清々しいとシーザーは肩を竦めつつ。
 返す刀は、領主自身の血も混じり宙に光と液体の紅き軌跡を迸らせて――呻く領主の声を聞き流しながら、シーザーは一つ呟いた。
「重症のようだ」

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
「残念だけどボクたちはキミの首なんか興味はないんだ
望みは、キミに奪われたみんなの自由を取り戻すことだよ」
…それと、この人(黒騎士)に救いを齎すこと
それが本当に救いになるのかどうかはわかんないけど

【バトル・インテリジェンス】で戦闘力を向上させ、【クイックドロウ】+【スナイパー】でボスを集中攻撃
ウィーリィくんと連携してお互いの行動を絡み合わせることでボスに攻撃を見切らせづらくする
弱ってきたら攻撃の主役を黒騎士に譲り、ボクは【援護射撃】で黒騎士をサポート

黒騎士とボスとの関係が気になるところだけど、その因縁の決着は二人に任せるよ


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
戦いながら、ブラックスミスは何度か「罪」という単語を口にしていた。
彼がどんな「罪」を犯したのかはわからないけど、領主を倒す事が何らかの償いになるのなら俺達も手を貸そう。

彼の邪魔にならない様、俺達は俺達で領主に攻撃を加える。
【フェイント】を駆使してこっちの攻撃を見切られない様にしながら大包丁の【二回攻撃】を繰り出して敵をシャーリーの射線上に誘導する事でダメージを与え続ける。
それに乗じ俺も【料理の鉄刃】を繰り出し奴に深手を負わせ、そして頃合いを見て【武器落とし】で奴の細剣を叩き落し、ブラックスミスの攻撃のチャンスを作る。

「これで終わらせてやりな。あんたとあいつの苦しみをさ」



●職人芸
「……ふぅ、やれやれ。人気者というのは困る。ここまで押し寄せてくるとは、私も予想外だったよ」
 ――強大な黒騎士というオブリビオン、そして集まった数多の猟兵。
 彼らからの攻撃を……決して軽くない攻撃を受け続けているのにも関わらず、領主はまだまだ戦えるようだった。
「だが楽しい。さぁ、次なる相手はそこな子達か? 私の首、取れるものならば取っ手みたまえ」
「残念だけどボクたちはキミの首なんか興味はないんだ」
 その周囲にドローンを浮かべ羽の旋回する音響かせながら、科学の眼の下にある翡翠色の瞳を引き締めて。
 海賊シャーリーは今までもそうして立ち向かってきた勇士を殺してきたであろう、この領主を強く見据えながら言い放つ。
「望みは、キミに奪われたみんなの自由を取り戻すことだよ」
 ――それと、今も領主に斬りかかる狂える黒騎士に救いを齎すこと。
 それが出来るかどうかは、それはこれからの戦いが語るのかもしれないが……ガシャリガシャリと鎧軋ませ剛剣振りかぶり、領主へ魔剣の刃向ける黒騎士の隣へ。
 黒騎士の魔剣を、細剣で叩き落すように寸での所でそれを流す領主へ、ウィーリィの武骨な大包丁の刃は重く、それでいて鋭く……領主の首を狙う。
 それを領主は上体を背が床に着く寸前まで逸らし躱すと、追い撃つように黒騎士からの魔剣が領主目掛けて突き出され。
「――手を貸すぜ、ブラックスミス」
「……邪魔を、するな……我が償い、贖いの為……」
 されど黒騎士がウィーリィに害なすことはなく、ただ純粋に領主に斬りかかり。
 細剣で受け止める領主の僅かな硬直を目掛け、ドローンに自らを操らせ、反射神経を高めたシャーリーがすかさずに引鉄を弾く。
 マスケット銃の口より放たれる、熱線(プラズマ)が領主の黒甲を溶かし身を貫き、その身を容赦なく苛める。
 領主はシャーリーの銃口を見据え、その先より自らを逸らすように身体を動かせば、その先を目掛けてウィーリィよりの分厚い刃が走り。
 その刃を跳躍し空振らせても、シャーリーの狙いはどこまでも正確に、飛び上がった領主の脚を貫き熱の鋭い閃きは、開けた穴に血を流させず。
 黒鋼の音が落ちる鈍い音奏でつつも、立ち上がり領主は嗤う。
「クッククク……ああ、愉しい。愉しいぞ黒騎士、少年!」
「我もまた同じ“だった”……故に贖わねば」
「……」
 黒騎士の罪が如何なものであるのか、何となくではあるが伺えたような気がした。
 この領主のように、この黒騎士もかつては振るう剣を喜び虐殺していたのかもしれない――何故償いに走ったかは未だ分からなくも。
 せめて、その狂気が僅かでも救われる為に――研ぎ澄ました、人の喜びを紡ぐ技を以て。
 眼を鋭く細めたウィーリィが、領主の懐へ潜り込むや否や、黒騎士の裂いた傷を更に深く進めるように大包丁を斬り込ませ。
 領主の細剣がそのまま、ウィーリィの額を貫かんと切っ先が迫る――が、領主の身体を蹴りつけてウィーリィはそれを躱し。
 同時に抜き出した大包丁の峰を、そのまま強かに、領主の下より打ち上げて彼の細剣を宙に舞い上げる――!
「今だよ――!」
 声を掛けたは、黒騎士を目掛けて……シャーリーの声がトリガーとなり、彼女を一時操るドローンは人の領分を越えた速度で彼女の身に指令を下す。
 ――このまま、この領主の身体を撃ち続け、その挙動をこのまま時を停めたように留めよと。
 金属音軋ませ魔剣を振るい構えた黒騎士の道を応援するように、シャーリーの熱線は領主の身を穿ち続けていく。
「これで終わらせてやりな。あんたとあいつの苦しみをさ」
 ウィーリィの声を聞き入れてかどうかは、黒騎士は何も語らぬ以上、明確な答えは存在しえないと言えど。
 得物を弾かれ、注ぐ幾つもの熱線に身を穿たれ続ける領主は、正に仕掛けるに足る好機――黒騎士は携える魔剣に悍ましき力迸らせて。
 愉悦撒き散らす笑いの根源、その腹部へ盛大なる風穴を空けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
手を抜くことは許されず、貴方のような武を手段で無く目的とした方には此方も遠慮仮借なく戦えるというもの
徒に領民の命を散らした応報を受けて頂きます

黒騎士の隙を埋め●かばうように防御重視で共闘
●武器受けや●盾受けで細剣の猛攻を凌ぎ、黒騎士の攻めに繋げます
センサーによる●情報収集で両者の挙動から黒騎士へ注意が傾いた瞬間を●見切り近距離から格納銃器での●だまし討ち

…「点」の攻撃は躱されても、二の手として回避位置にUC鉄拳射出
弾かれるかワイヤを切断されても●ロープワークでワイヤを操作し拘束を試行

…三の手が通じようと通じまいとその隙を見逃す黒騎士では無いでしょう
本命の魔剣の態勢が整うように仕掛けたのですから


鬼桐・相馬
俺には償いも禊も関係ない。あの男に引導を渡すのは、お前がやればいい。

【POW行動】
同族殺しの攻撃とはタイミングをずらして攻撃するよう立ち回る。
あの男の余裕を崩していく、楽しそうだ。

敵の踏み込んだ刺突等の間合いを[戦闘知識]で注意を払いつつ戦うよ。同族殺しが狙う部位とは別の部位を狙い[怪力]による[部位破壊]と同時に[焼却]を行う。防御は動きを[見切り]、致命傷にならないよう敢えて食らい火力を上げる。

敵が不利な行動をわざと行ったところへ突っ込みUC発動。そこへ同族殺しへ目線で合図を送り、渾身の一撃を叩き込んで貰いたい。

……なあ、ブラックスミス。お前の罪を教えてくれないか。

連携・アドリブ歓迎です!



●藍と白と二つの黒
 黒騎士に腹部を穿たれながら、領主は嗤う――この尽き果てぬ生命力にモノを言わせ、痛烈極まりない攻撃を耐え、反撃を見舞うこの快感こそが堪らんと。
 筋肉を緩め黒騎士を蹴り付けることで、魔剣から逃れんとしたその瞬間。
 領主の身は確かに黒騎士の魔剣から逃れた――穂先に青黒い炎を灯した相馬の突撃槍の刺突の衝撃によって。
 くの字に身体を折り、館の壁に叩きつけられ、顔を歪めながら領主が細剣による全力の刺突を見舞おうとすれば。
 浴びせられんとした細剣の猛攻を、白き大盾が一切の揺るぎ見せず、その全てを受け切って見せていた。
 頑強極まりない白盾――トリテレイアの突き出したそれを貫けぬ苛立ちと反動が、領主の手に痺れという形で残され、僅かに動きを止めたその瞬間。
 黒騎士の斬撃が領主に襲い掛かる――ここで領主もなりふりを構うことを止めたか、転がるように魔剣を躱すも。
「どうした黒鋼公。余裕が崩れているぞ?」
 心なしか楽しそうにも見える相馬の突き出した槍が、領主の顔面に襲い来るも頬に火傷という形で痛みを味わい直撃を躱し。
 相馬にクロスカウンターじみた刺突を見舞えば、相馬の頬が裂かれ鮮血が流れ出す。
「初めてだよ……同族殺しの手を借りてとはいえ、私をここまで追い詰めたのは」
 痛み分けというにも甘い、圧倒的な不利ですら領主は嗤う。
 組み伏せ叩き潰す愉悦のみしか見えぬ、これもこれでの一種の狂気を伺わせながら。
「……だが全くもって腹立たしい。だからこそ、愉しい」
「……そんな貴方だから手を抜くことは許されず、此方も遠慮仮借なく戦えるというもの。徒に領民の命を散らした応報を受けて頂きます」
 バイザーの内に輝く眼は何を見るか――冷徹に戦の動きを見据えるトリテレイアの声に、それ以外をも見、貫くような冷たさすら伺わせ。
 領主より突き出された無数の細剣の猛攻を、再度動じず盾で受け止めながら、その巨体を以て押し込み領主をよろめかせて。
「……我が禊、かつての我……」
(……俺には償いも禊も関係ない)
 領主に独り言を呟きつつも斬りかかる様子を見せた黒騎士に、ふと自分に言い聞かせるように相馬は想いつつ。
「なあ、ブラックスミス。お前の罪を教えてくれないか?」
「……」
 それでも一つ問うても彼は明確には答えない――ただ聞こえたのは。
 ――剣に狂い殺した己の禊と。
 そして今、戦と刃に狂い笑う声を響かせる別の黒を目に納めながら、羅刹は槍の穂先に灯る火炎を盛らせた。
「我輩を愉しませよ。より深く、より激しく!」
「そうか。なら望み通り」
 この状況で自らを不利に追いやる自信は、何処からか――敢ての隙をさらけ出す領主を目掛けて相馬は駆けた。
 過去の亡霊を冥府に返す“ひつぎ”のように、冥府の火炎が穂先よりうねる――先に領主に刻まれた傷跡の、その頬からも漏れる灼熱と共に。
 赤をも超えて熱く苛烈な炎が、領主の身体を苛め身の深い場所に耐え難き熱傷を叩き込んで往く。
 今こそ好機――そう語る相馬の目に反応したかは定かでないにしろ、同族殺しが魔剣を掲げ領主に斬りかかれば。
 其処に目を向けた領主こそ、トリテレイアが狙っていた好機か、彼は格納されていた銃器より不意打ちの弾丸を飛ばす。
「甘いわ」
 弾かれた銃弾を躱す領主であったが、身を翻した先に、冷徹にトリテレイアはその先に打ち込んでいた。
 ワイヤーに繋がれた隠し腕を以て、領主を掴まんと――今にも、その手が今度こそ領主を掴み縛らんとするが。
「――この程度、児戯に、っ……!?」
「騎士の戦法ではありませんが、徒に武を手段ではなく目的とするような方には相応しい」
 領主はワイヤーを斬り飛ばし嗤う――されど其れすらも読んでいたトリテレイアは、斬り飛ばされたワイヤーを操り今度こそ領主の身を捕縛せしめ。
 そして縛られた身を見逃す黒騎士ではなくて――今度こそ本当に、黒騎士は領主の身体をまた深く斬り付けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
望むものを得られずに諦めて狂剣を振るっていると言ったところか。
「お前はそれで良いと言うのか黒騎士。
それでも諦めきれないからその剣を振っているんじゃないのか。」

「シュバルツと言ったか。
その首に価値等ないが。命だけは貰っておく。」
【早業】と【高速詠唱】を併用した蒼霊焔視で攻撃。
発動条件が視線を向けるだけで元々高速で放てる蒼霊焔視を
極限まで速度を追求し放つ。

コピーされたら
術を受けそのまま接近。
「貴様にとっては戯れの模倣でも。
俺には命を削って得た術だ、」
細剣攻撃は敢えて受けて細剣を抑え
【呪詛】を込めた【カウンター】で敵を呪い
受けた炎は【炎耐性】で耐え【破魔】で払い
【全力魔法】を込めた蒼霊焔視を放つ。



●譲れぬ矜持
「お前はそれで良いと言うのか黒騎士」
 領主からの反撃や、己自身が魔剣に侵され剣を振るう黒騎士も消耗は避けられず。
 狂ったように止められぬ剣の行く先を見、フォルクは黒騎士に語り掛けた。
「それでも諦めきれないから、その剣を振っているんじゃないのか」
 黒騎士はただフォルクを一瞥すると、魔剣を携えて領主に斬りかかる――魔剣が風を切る音はまるでこう語るようだった。
 それしか道は無い――と、どこか悲しき剣を嘲笑うかのように領主は、満身創痍の身でそれを弄ぶように流し。
 その様子にフードに隠された眼に、只ならぬ気配を纏わせながらフォルクは領主に向けて口を開いた。
「シュバルツと言ったか。その首に価値等ないが、命だけは貰っておく」
「手酷いことを……」
 ――どちらに向けてかは、どちらにも取れるというべきだろうか。
 音をも置き去りにするほどに唇は速く、紡がれた詠唱は視線を媒介に蒼き炎を盛らせ領主を襲っていた。
 しかし領主は、フォルクの言葉を嘲笑うかのように、突き出した細剣でフォルクからの炎を受け止め玩具を遊ぶように弄び始めた。
「中々の業だ……だがこの程度、児戯に等しい……何っ!?」
 弄んだその炎を真っ直ぐにフォルクに文字通り突き返せば、魂すらも焼くそれはフォルクを焼き尽くすかと思われたが。
 体中に迸らせた熱への耐性と、魔を祓う光を以て魂をも焼き尽くす炎を防ぎつつ――正に怨霊の如く領主に追い縋り。
 破れかぶれに突き出された細剣を、その腕で受け止め、貫かれつつも切っ先を逸らして静かに告げる。
「貴様にとっては戯れの模倣でも。俺には命を削って得た術だ」
 この貫かれる痛みも、それこそ正に児戯に等しい――引き締めた腕の筋肉は、必死に抗う領主の動きを封じ込めて。
 フードに隠された眼には、その視線の圧で魂を焼き滅するが如き闘志に満ちて。
 ――それから瞳に満ちた闘志が、領主の身に蒼き炎として纏わりつくのは、一瞬のことであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラウン・アンダーウッド
ルパートさん(f10937)と連携。

随分と血の気が多い領主だねぇ。元より倒すつもりだったけど俄然ヤル気になったってもんさ♪

10体のからくり人形をカバンから呼び出し、炎を纏った投げナイフを持たせ近接攻撃させる。フェイントを交えた攻撃で相手を翻弄する。この際人形の1体に器物を預ける。

そろそろ頃合いかな?またね、ルパートさん♪
クラウンが接近して宝石花剣で攻撃。隙を作って相手の大技を誘い、わざと受けて殺られたように見せる。
人形に預けた器物から復活。クラウンが領主を抱き締めるように【怪力】で拘束し、【ブレイズフレイム】を用いて盛大に炙る。
驚いてくれたかい?さぁ、これがボクの最大火力さ。存分に味わってよ♪


ルパート・ブラックスミス
クラウン殿(f19033)と連携。

絶えず戦場に身を投じ、戦臨む者に執心する。
…そうして、そうではない無力な民草から自分たちを遠ざけてきたのか?

青く燃える鉛の翼を展開。【空中戦】を駆使し、同族殺しの攻撃に巻き込まれぬように間合いを測りつつ攻撃。

クラウン殿の殺られたふりが始まったら怒りに駆られたように見せて猛攻、意識をこちらに向かせよう。
敵の性格上、必ず見せるであろう隙を【見切り】UC【黒騎士呑み込む青き業火】起動。
【生命力吸収】を兼ねた燃える鉛への変換能力で敵の剣と身体を溶解させ拘束(【グラップル】【武器落とし】)、クラウン殿が仕掛ける間隙を作る!

同族殺しが追撃するならそこに向けて【投擲】だ。



●今と過去と休息と
 同族殺しの黒騎士と再び激しい剣戟を躱し合う領主を見て、クラウンは肩を竦めた。
「随分と血の気が多い領主だねぇ。元より倒すつもりだったけど俄然ヤル気になったってもんさ♪」
「フフフ……では来るがいい。我輩を愉しませて見せよ」
「良いとも良いとも」
 踊るは絡繰り仕掛けの人形、その数にして十。
 クラウンの鞄より踊り出でた十の人形のそれぞれに、宙を舞うナイフは導かれたように人形達の手に収まり。
 その刃全てに何処からともなき炎が宿っていた――豪放磊落に嗤い領主が柏手を打つも、それは文字通り道化の見世物へのそれか。
 クラウンの指示と共に絡繰り人形が踊り、炎を纏うナイフは異常ともいえる切味で領主を追い詰めていく。
 思いの外に強く、苛烈な人形達の演武に舌なめずりをする領主へ、黒騎士が迫れば彼は魔剣よりの兜割を見舞い。
 それを横へ躱す領主へ、人形が飛び掛かり熱きナイフを以て傷を抉り、出血を強引に止める。
 蒼き鉛の火炎で出来た翼を広げ、戦いの様相を上空より見つつ。
 大剣を領主を殴りつけるように振るい、領主の細い身体を壁へと吹き飛ばしたルパートは静かに思った。
 絶えずこうして、身の滅びも厭わずに戦へと身を投じて、かの領主のように戦を望む者へ執心し刃を振るう。
 魔剣に導かれ、亡霊の狂気に心を犯されながら、鎧に刻まれた微かな記憶の――
「……そうして、そうではない無力な民草から自分たちを遠ざけてきたのか?」
「……」
 現在(ルパート)の声に過去(ブラックスミス)は答えず。
 壁に叩きつけられた領主は、襲い来る絡繰り人形のナイフを掬い上げる様に流し――その僅かな隙目掛け、過去は魔剣を突き出す。
 自由となっている手の指先で魔剣を挟むようにして受けた領主の脚へ、更なる人形がナイフで斬りかかる。
 それを細剣で一つ流しつつ、領主は失望したかのように鼻を鳴らした。
「そこなる道化よ。この程度か?」
「まさか♪」
 密かに時を刻むことを休む時計を人形の一体に忍ばせながら、クラウンは宝石で出来た刀身の短剣を取り出す。
 そろそろ頃合か――上空で待機するルパートに目配せ一つし、分かりやすく振りかぶられた短剣で領主に斬りかかるも。
「成程、だが未熟だ」
「がっ……!」
 領主は吸い込ませるように細剣を、正確に――クラウンの心臓に突き立て軽くひねり。
 身体をガクンと落すクラウンの姿に、兜の隙間より青白き火を灯らせるルパート。
「ッ……よくも……!」
「ほう憤怒か! 太刀筋も良く似ている」
 急降下で斬りかかる姿は、領主に仇討を想起させたか――同族殺しによく似た姿と太刀筋に愉悦に顔を歪め。
「ウォォォォオ!」
「フハハハ、良い、良いぞもう一つよ! さぁ、もっと我輩を愉しませてくれ!」
 両腕を広げ、全霊を招き入れんとする領主を目掛け、ルパートは更に纏う青白き火炎を盛らせた。
「我が血はもはや栄光なく……」
 熱く溶けた鉛の激しい熱が纏わりつき、領主の甲も、その細剣も全て溶かすほどに絡みつき、溶け落ちる物体は鉛と一つとなりて。
 ルパートの身を更に強くするかのように、領主の強きを為す力を奪い、灼熱は苦痛の声を挙げさせ盛る剛力は領主を縛り付けていた。
「……されど未だ“我等”が業と炎は消えず!!」
 ――その声と同時、領主の顔が苦痛と驚愕に変わり。
「……何っ!?」
「驚いてくれたかい? さぁ、これがボクの最大火力さ。存分に味わってよ♪」
 死亡はフェイク――人形に預けた本体より復活を遂げた道化から送る、最高の逆転劇。
 青白い溶け落ちる鉛に更に絡みつくように、身より出でた地獄の業焔が領主へ声なき叫びを挙げさせる――!
 蒼と紅、二つの炎に包まれ命を奪われ続ける領主の前に、更に一人の黒騎士が迫る音が響けば。
「――頼んだ」
「……、ああ」
 ――初めて、ここで漸くに過去は現在の言葉に明確に返事をし。
 現在から投げ飛ばした的を、過去は擦れ違い様に盛大に斬り飛ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

多々羅・赤銅
んー、なーんか。手ぇ出すのも野暮天な感じ。
いーよいーよ、お前らが適度に弱ってから援助すっから。どっちもいい男だからどっちに味方するかも悩むなあ!刀振り振り笑って端へ。呑気に腰など落として笑う。

太刀筋を見る。敵の動きを見る。覚え、見定め、癖を知り。完璧に見える黒鋼公をーー識る。

押される黒騎士を見て
静か、抜刀の構え
抜くと同時
天目一途、黒騎士の懐
庇い立て
お前の理解よりも早く、鎧無視の一撃を黒鋼公へ叩き込む

こいつ私に会釈してくれたんだ
だから、私は、こいつの赤銅。
……今だけな。

うひゃひゃ、聞いたぁ黒騎士!?「お前の赤銅」だってよ、ッハー一度は言ってみたい事言っちゃったー!
冗談よ
ちったあ笑いな、石頭
きひひ



●毒気
 命の終焉も近き故の、最後の一輝きというのだろうか。
 鎧破れ刃も折れて尚、領主はなりふりを構わずに魔力で新たに作った細剣で、黒騎士と斬り結び続けていた。
「貴様も……混ざらんか、なぁっ……!」
「んー、野暮天? いーよいーよ、お前らが適度に弱ってから援助すっから!」
 忙しない金属音の中、豪快に笑い赤銅は隅に腰かけ刀を傍らに置き。
 どちらもいい男、どちらに加勢するか悩むなどと笑って言ってのけつつ、完璧に見える黒鋼公のその一挙手一投足、全てを目に納める。
 重厚なる剣を真っ向から受ける膂力も、反撃に突き出される鋭さと剛力を備えた剣の刺を、命を振り絞り、黒騎士の重厚な身体を倒した瞬間――!
 ――斬り拓かれた晴れ間より出でたるは、黒騎士の懐より。
 振り抜かれた刀は、土の巨人を崩した時よりも鋭く、確かに――染み込むように。
 斬の衝撃は内側にて弾け、黒鋼公の心の臓を破裂させる――膝を落すと同時、黒騎士の理解をも置き去りにしながら刃を納め。
「もう聞こえないだろーけど」
 瞳孔を見開きながら、命を落とした領主に向けて彼女は語る。
「こいつ私に会釈してくれたんだ。だから、私は、こいつの赤銅……今だけな」
 親指で、彼女の後ろでゆっくりと立つ黒騎士を指しながら……そしてまた。
「……ぷっ……うひゃひゃ、聞いたぁ黒騎士!?」
 突如として弾かれたように笑いだす姿に、場の猟兵も、黒騎士さえもどこか……呆気に取られたように彼女を見る。
 その視線もお構いなし、と言わんばかりに、燃え盛るように彼女は笑う。
「【お前の赤銅】だってよ、ッハー一度は言ってみたい事言っちゃったー!」
 その笑い声に、誰一人も特に口を出すでもなく。
 無情に豪快な、されど不快与えることなき笑いが暫し響き――程なくして、彼女は黒騎士の方に手を掛けて。
「冗談よ。ちったあ笑いな、石頭。きひひ」
「……」
 ――黒騎士が笑う声は赤銅の耳に届くことは、終には無きにしろ。
 その代わりに聞こえたのは、そして見えたものは……再び黒騎士が、静かに頭を下げた姿であった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『神殺しの黒騎士ブラックスミス』

POW   :    粛清宣告。汝、喩え神であれど。
【自身を認識した対象の抵抗意識を封じる呪い】【対象に己の急所を晒させる呪いの宣告】【神殺しの魔剣による呪いの斬撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    不諦の剣技
【神殺しの魔剣から繰り出す斬撃と衝撃波】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【気配・生命力の気質】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    侵・黒風鎧装
全身を【、浴びた者の生命力を吸収する漆黒の旋風】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃を軽減し、敵対する猟兵が得ている🔵】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:にこなす

👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルパート・ブラックスミスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔剣の狂気
 ――かつて神殺しと言われた魔剣を振るう黒騎士がいた。
 数多の神や吸血鬼を粛清し、人々を守ってきた高潔な黒騎士だった。
 だが魔剣の持つ呪いと、亡霊として蘇ったが故の狂気は、黒騎士を狂った殺戮の道へと引き込んでいた。
 魔剣の狂気に誘われ、力無き民を粛清し刃と身体を血に染めて。
 それでも黒騎士の身を作る過去は……高潔であった頃の記憶は、殺戮を繰り返す身を呪う。
 相反する呪いは更なる狂気を呼び、彼が殺した民の、その血の海の中で彼は声なき声で叫びながら魔剣を掲げた。

 ――消せぬ狂気と衝動ならば、より強き者を、より殺戮に近き者を手に掛けようと。

 それから己に何処か似た、剣を振るう狂“喜”に力無き民を殺す者を聞きつけて。
 抗えぬ殺戮の狂気に満たされた剣は、殺戮の狂喜に振るわれる剣の先へ向かっていった――
 
●静かな黒騎士
「……よもや我が命、我が存在、この世に留まること許されぬ」
 黒騎士の身体は、次第に霞となって消えていく――放っておいても、このまま骸の海へと還るが定めだろう。
 しかし……黒騎士は、亡霊としての狂気を納める術は持たぬのだろうか。
 どこか悲しき狂気を伺わせながら、彼は魔剣を猟兵達に突き付けながら、戦意を向けていた。
「――消せぬ狂気と衝動ならば、より強き者に! より殺戮に近き者に! それこそが我が贖罪!」
 振り被られた魔剣と、彼の抗うこと敵わぬ狂気をどう受けるか――過去の亡霊を前に、猟兵は決意を固めた。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

領主は死んだが…まだ仕事は残っているな
奴が完全に狂い堕ちてしまう前に、一人の騎士として引導を渡してやることがせめてもの情けか…

ナガクニとデゼス・ポアで攻撃
敵の攻撃を見切り、短刀と人形の刃でそれを受け流し、カウンターを叩き込みながら戦う
呪われた狂気と衝動に突き動かされた剣筋を見極めるように動き、一撃を叩き込む

お前は為すべき事をした、そして歩む道を踏み外しもした
愚かな、とは言わんし、哀れな、とも言わん

敵がUCを発動したら武器を取り落とすほど脱力して斬撃を受け、即座にUCを排出して反撃
足元の武器を蹴り上げて拾い、追撃を行う

お前の贖罪はもう終わる
そして、その気高い意志も必ず引き継がれる



●罰と祝福
 何処か悲しみに満ちた狂気の叫びと、振るう魔剣の重圧は、振るわれる刃の圧に留まらぬ威圧感を齎していた。
「……まだ仕事が残ってる、か」
 悪辣な領主は倒したが、この黒騎士を倒すという猟兵としての仕事は残っている。
 真っ先に目についたキリカに魔剣を振り下ろせば、キリカは鋸めいた刃の短刀でそれを受け止める。
 それだけで受け止め切れぬ黒騎士の膂力は、錆付いた刃を構える人形が幾つもそれを打ち合わせ受け止め、拮抗の様子を呈し。
 鋸刃に剣を挟ませるように横へ流せば、錆付いた刃が黒騎士の鎧を抉り。
 呪われた刃を純黒の眼はその色のように、その振るわれる軌跡の一つ一つを目に納めながら、黒騎士と刃を重ね合う。
 数瞬の拮抗の後、互いの身は弾かれるように下がり、キリカは力を抜いて刃を落しながら語る。
「お前の贖罪はもう終わる」
「終わらん……! まだ、終わらぬ……!」
「ああ。お前は歩むべき道を踏み外した。だから、ここで滅ぶべきだ」
 かつて異端の神や吸血鬼を粛清し、民を守った黒騎士の道を。
 その末に血を求め、今を生きる民の……罪無き血を剣に吸わせ続けた罪の贖いを、諦めること出来ずに振るわれた魔剣の衝撃波がキリカに襲う。
 告げた言葉と共に力を抜いていたキリカは、ただその見苦しくも必死なる衝撃を、ただ真っ向から受け止めた。
「だがお前は為すべき事も為した。だから」
 黒騎士としての気高き志を、狂った刃で民の血を吸う者を粛清する事を。
 キリカに刻まれるはずの呪いの刃は、全て錆付いた刃を鳴らし嗤う人形が全て取り込んでいた。
 そして響くは老婆とも少女ともつかぬ不気味な金切り声――嘲りは何処へ向かうのか。
 ただ絶望の人型より排出された刃は、黒騎士を盛大に吹き飛ばし近くの壁へと叩き付け。
 落した刃をすかさず拾い上げ、キリカは真っ直ぐに――蹲った黒騎士に報いを与えるように、言葉<刃>を胸に突き立てた。
「お前のその気高い意志は、必ず引き継がれる」

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
…そうか
あなたは、求めているのだね
『赦し』ではない、『罰』を

…分かった
それがあなたの願いなら
目を伏せ、少しばかり躊躇うも
再び目線を上げれば普段通りの笑顔を貼り付け

遠慮はいらない
さあ、存分に切り結ぼう
先程自らが領主に言った言葉を今度は黒騎士にぶつけ
鎌で一閃

彼の狂気の中に隠された痛みを識り
心が折れそうになるが、
攻撃の手は緩めない
中途半端に攻撃を止めてしまうと私が動けなくなってしまいそうだから
私は『救い主』だもの
求めるものがいるなら与えるのが務め
ここで立ち止まる訳にはいかないのだよ

斬り合いが続くにつれて過酷になる攻撃は
目立たない+破魔にて自分の気配を誤魔化し、直撃を受けないようにしよう



●かりとるもの
 消える間際の最後の揺らめきとは、誰が言うたか――黒騎士の攻撃性は、消え往こうとしている身で尚衰えず。
 自らの身を省みること無き叫びと共に、黒騎士の魔剣を歪曲した刃が受けた。
「……そうか」
 兜の隙間より見えた悲痛と、声なき声を打ち合わせた刃の音に聞き入れながら、黒き聖者は静かに目を伏せた。
「あなたは求めているのだね。『赦し』ではない、『罰』を」
 打ち合いから刃を離し、再び刃を叩き付けんとした黒騎士の一撃を、大鎌の柄で受け止めながら聖者は、セツナは変わらぬ笑みを顔に張り付けた。
 静かに、重い金属の低音に文字通り揺さぶられるような心地に居、黒騎士が返してきた刃を大鎌の刃で流し。
「……罰が下る身ならば、それまで許された命、より強きへ、より殺戮に近きへ……!」
 ――さあ、存分に切り結ぼう。
 黒騎士の分厚い甲を削る様な大鎌の刃走る音が、確かにそう語った。
 セツナの走らせた刃がセツナ自身の言葉を語ったように、彼の耳にもまた甲を削る音は黒騎士の声をセツナの心に響かせる。
「――諦めきれない、か」
 黒騎士が吠え、真っ向から振り下ろす事で放たれた魔剣の衝撃波を、大鎌の柄を横にし受け止めて。
 響く黒騎士の、全てを呪い憎み、狂っていく心の痛みを深く感じる――このトリレンマの中に居たのなら。
 それでも、身体を構成する過去に残された魂が叫んでいた――志、諦めること出来ぬと。
 世界の色の如き黒に覆われた身を紛れさせ、心を蝕む呪詛を振り払いつつ、セツナはまた黒騎士に現世と過去を拓く刃を走らせる。
「わたしも諦めないよ。あなたに『救い』を齎すまで」
 ここに救いを求める者がいるのなら、いくらこの身、心、蝕まれようと諦められない。
 何故ならば救いを求める者に与えるのが、セツナる使命なのだから――突き出してきた魔剣を鎌を旋回させて弾き。
 逃れ得ぬ罪ならば全て刈取り道開くように――走る刃は、確かに黒騎士の心を満たしつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。お前がどんな存在でどんな事情があろうとも…。
お前が罪無き者達を殺戮した事に変わりはない。

…その罪を償いたいと望むならば是非も無し。
お前に殺された人々の想いをその身に刻むが良い。

第六感が捉えた闇に紛れた霊魂の存在感を暗視して、
左眼の聖痕に自身の生命力を吸収してUCを発動
全身を霊達の呪詛のオーラで防御して空中戦を行う

…私は声なき声、音なき嘆きを聞き届ける者。
無念のうちに死した霊魂よ。復讐を望むならば我が声に応えよ!

戦闘知識から敵の殺気を見切りカウンターを試み、
呪力を溜め限界突破した大鎌を怪力任せになぎ払い、
早業で双剣に変化して傷口を抉る闇属性の2回攻撃を放つ

…裁きを受けなさい、神殺し。



●Elpis
「お前が罪無き者達を殺戮した事に変わりはない」
 黒騎士が如何な存在であれ、其処に如何な事情があろうと。
 心を削り力を得る刻印の蠢く、左眼に微かに力を入れながら語るリーヴァルディに、どこか黒騎士は安堵したように眼を向けた。
「……その罪を償いたいと望むならば是非も無し。お前に殺された人々の想いをその身に刻むが良い」
 ――耳を凝らせば、今もこの黒騎士に纏う何かが聞こえる。
 例え悲しみの中に振るわれたといえど、奪われた命の嘆きは変わらない――行き場のない怒りに、呪われた怨霊の気配をその眼に映し。
 心を削る刻印に命すらも吸わせ、身を削り魂を捧げながらリーヴァルディは希望を全て棄てる。
「……私は声なき声、音なき嘆きを聞き届ける者。無念のうちに死した霊魂よ。復讐を望むならば我が声に応えよ!」
「――粛清宣告。汝ら、その恨み正しくも」
 奪われた命は、黒騎士を許さぬやり場のなき憎しみ――弾かれるように空へ身を踊り出し、その身に怨霊の加護を纏いつつ。
 抑えきれぬ狂気に任せ、突き出された黒騎士の掌よりの呪いを、怨霊の加護にて弾き飛ばす。
 続き放たれた神殺しの魔剣の――全てを蝕み続けた呪いを乗せた悍ましき刃の一撃、空を舞うリーヴァルディに燦然と外套翻し放ってきたそれが、彼女に叩き込まれる前に。
 過去を刻む刃を、風切り音――鋭くもおどろおどろしく、理に尽きぬ憎しみの声にも似た音響かせ、呪力を乗せた刃が黒騎士の剣を弾く。
 返す刃で大鎌を黒騎士の甲にヒビ入れる勢いで叩き付け、跳躍した黒騎士を叩き落すと、大鎌を一瞬で黒き双剣に変え。
 地面に叩き付けられながら、魔剣を拾い突き付ける黒騎士へ音を超えた速度でリーヴァルディは距離を詰めると。
「……裁きを受けなさい、神殺し」
 ――この刃が黒騎士に捧げられる、本当に請わねばならぬ者からの刻印であるように。
 狂気の殺戮という未来を閉ざす、黒き双刃が消せぬ十字架を刻み付けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
それが貴方の意思であり贖罪なら…わたしはその全てを受け止めるわ
我は真祖の吸血姫…汝が剣を向けるべき者として

【吸血姫の覚醒】を発動。
敵の呪いを覚醒による魔力を防御魔術【高速詠唱、全力魔法、オーラ防御】と【念動力】を身に纏い無効化し、斬撃等の物理攻撃は攻撃を【見切り】、覚醒の超高速で回避。
超高速による【残像】を残しつつ四方八方から敵を魔槍【怪力、早業】で切り結び、穿ち、斬り裂き、叩きつけて黒騎士と近接戦を繰り広げていき、最後はその身に宿す呪いごと全てを消し去る様に【神槍グングニル】を放ち、消し飛ばして葬ってあげるわ

永き戦いの日々はこれで終わりよ。狂気に侵されて尚、高潔なその魂、安らかに眠りなさい



●正しき敵に
 黒騎士が向けた刃を、真紅の槍を以て真っ向から受け止めていた。
 尽き果てぬ全てへの怒りと憎しみを乗せた、黒騎士の剛力を手を震わせ受け止め、真紅の眼は真っ直ぐに兜の奥底の涙を見据えた。
「それが貴方の意思であり贖罪なら……わたしはその全てを受け止めるわ」
 弾けるように魔力を解き放ち、向けられた呪いを掻き消しながら。
 吸血姫は――フレミアは、徐々にその身体を成長させていく。
 幼き風貌は年相応に近き時を経た風体に、その背には血を象徴する鮮やかな八枚翼が広がり、眼は夜闇に存在感を強く主張するように輝く。
「……吸血鬼……!」
「そう、我は真祖の吸血姫……汝が剣を向けるべき者として」
 突き出した槍は真っ直ぐに、黒騎士の狂気と非難を孕んだ声を、動じることの無き瞳で見据えながら、敢て掌で心の臓を示す。
「――来たれ黒騎士。汝が禊、その剣にて示してみせよ」
 厳粛に告げられた急所に、黒騎士は声なき声で叫び、その身と魂を呪う魔剣を突き出す。
 吸血鬼を滅ぼす手段の杭が如き刺突が貫いたは、その時既に、残した影となっていたフレミアの身体。
 瞬間移動もかくや、フレミア自身は黒騎士の真横に現れると突き出す軌跡ですら、大気を歪ます勢いの魔槍が黒騎士を吹き飛ばし。
 悪魔の翼を広げ、一瞬で空間を騙す勢いで黒騎士の前に現れ追い打ちを仕掛け――それを黒騎士は掬い上げる様に剣で弾き。
 それでも竜すらも凌ぐ剛力は、かち上げられても即座に強く打り下ろされ黒騎士の剣を叩き落す。
 続き、黒騎士の脇を槍の柄で引っ掛けると、軽々と黒騎士の身を天高く放り投げ――フレミアは、真紅の槍を激しく輝かせた。
「永き戦いの日々はこれで終わりよ。狂気に侵されて尚、高潔なその魂、安らかに眠りなさい」
 ――放たれた神の槍は、神殺しを謳った呪い諸共貫き滅す勢いで。
 空を翔るその軌跡が、鮮やかに夜闇の世を照らしながら、黒騎士の身体を貫き通り過ぎていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「殺戮に近い者って言われたら、わたし達はうってつけかもね」
瑠璃「殺されてあげる事はできないけど、貴方の狂気は止めてあげるよ」

「「さぁ、私達の殺戮を始めよう」」

UCの効果で分身&能力・武装強化

瑠璃が「デュアル・アイゼン」をパワードアーマー形態で使用。
重装甲を活かして敵の攻撃を受け止めつつ、魔導砲と連装機銃による砲撃・弾幕で敵を圧倒しつつ緋瑪を援護。
緋瑪が大鎌の機巧による機動力を活かして瑠璃の射線に入らない様に飛び回りつつ【範囲攻撃、蹂躙、鎧砕き、鎧無視、早業】接触式ボムで敵を爆破していき、隙を見て大鎌で斬り込み、斬り裂いてダメージを与えていき、【力溜め、限界突破】ジェノサイドノヴァを放つよ



●殺戮に近きを
 数多の攻撃を喰らいながらも狂った刃は留まることを知らず――繰り出された刃を、真っ向から瑠璃は受け止めた。
 その身に戦車を転じさせた重装甲を纏った腕で刃を受け止めながら、仕込まれた砲弾の爆破が黒騎士を吹き飛ばし。
 進軍を機銃の豪雨を以て留めながら、隙間なくも見える弾丸の中を擦り抜けて迫る瑠璃の半身、緋瑪の大鎌が黒騎士を掬い上げる様に斬り裂いた。
「殺戮に近い者って言われたら、わたし達はうってつけかもね」
「殺されてあげる事はできないけど、貴方の狂気は止めてあげるよ」
 何故ならば瑠璃と緋瑪は殺しを生業とする者達、二人で一人の殺人鬼。
 黒騎士の求めるより殺戮に近き者達――答えるには、ある意味何より相応しきか。
「「さぁ、私達の殺戮を始めよう」」
 彼女達自身から、そして携える得物の全てに迸る膨大な闘気は、黒騎士の求めるより強きにも合致し。
 瑠璃の機銃が黒騎士を押し留める中、大鎌に仕込まれた炸薬を活かした高速移動で潜り抜けた緋瑪が黒騎士に接触式の爆弾を与え。
 爆発に体勢を崩す彼を落すように、緋瑪は大鎌の炸薬を更に爆ぜさせ、脳天にその刃を叩きつけて。
 瑠璃より追い打ちで放たれた魔導の砲撃が、本格的に黒騎士へ尻餅を着かせていく。
「ごめんね、まだ殺されてあげる訳にはいかないから」
「せめて私たちの全力で送ってあげるよ」
 殺し姫達が掌に一瞬の閃光を伴って生み出したのは、全てを滅する光と称された、彼女達の必殺の爆弾。
 殺人姫達が爆弾を掲げたのは、黒騎士が剣を杖とし立ち上がったのと、全くの同時。
「「さぁ、貴方の狂気を終わらせよう」」
 黒騎士が杖代わりに突き立てた剣が、再び地面から抜き放たれると同時に、爆弾は瑠璃と緋瑪の手を離れ黒騎士の目の前に飛び。
 黒騎士が構えを取り直せば投げ放たれた爆弾が宙にてカチリと打ち合って――そして。
 黒騎士の身体も、彼を突き動かす衝動も全てを滅し祓う閃光が、この残酷な世界を照らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷行動
哀しき男よ…しかし此奴は本懐を遂げた、ならば私は1人の軍人として、剣に生きる者として、この男の狂気を祓う。
それが影朧救済機関出身、帝都軍少佐の為すべき道。
「黒騎士、貴殿は立派な男だ…それは間違いない」
剣戟を【見切り】二刀で【武器受け】に徹し、狂気と斬撃をいなしながら【威厳】ある声で語る。
「だが人には役目がある、貴殿はもう役目を果たした、貴殿はもう、休んでよい」
そして【破魔】の霊力を込めた【強制改心刀】にて送る、黒騎士の魂が安らかに眠れるよう狂気だけを斬り捨てて。
「安らかにゆけ、黒騎士」



●改める心
 ウォォォォォオ……!
 兜の隙間より狂気に満ちた瞳を輝かせ、やり場のない怒りを以て剣を振るう。
(哀しき男よ……)
 その姿を目に納めながら、一朗は微かに瞼を下げる――完全には下げず、決して黒騎士の姿からも目を逸らさずに。
 やがては黒騎士がその視線に気づき、言葉の意味を為さぬ叫びを以て斬りかかってくれば、一朗は黒騎士の魔剣を二刀を交差させて受け止めた。
 剣を交わし受け止め、兜の奥に見える悲痛の狂気を、祓ってやらねばならない。
 この黒騎士は為すべきことを為した、ならばここで語る言葉は。
「黒騎士、貴殿は立派な男だ……それは間違いない」
「違う……我は、違う……!」
「違わぬ」
 狂気に侵され矢鱈滅多に振るわれる剣を、一介の剣に生きる者の熟達した目は正確に見切り、二振りの刀は柳のように流しつつ。
 続ける言葉は纏う桜花色の揺らめきを伴い、低く響く声は何処までも威厳に満ち溢れる――影朧救済機関出身の帝都軍少佐として。
「だが人には役目がある、貴殿はもう役目を果たした。貴殿はもう、休んでよい」
 だから今こそ自分が為すべき本懐を為してやろう――黒騎士から横殴りに振るわれた刃を真っ向から業物で受け止めて。
 もう一刀の、衰えぬ魔を祓う力をより鮮明に輝かせながら、瞬き一つも許されぬ程の刹那の斬撃が走る。
 一郎自身の纏う桜色の霊気も伴い、残影は黒騎士への餞たる桜吹雪の如く……放心し立ち尽くす黒騎士に、軍帽を目深に語る。
「安らかにゆけ、黒騎士。この世にも来世があるならば、貴殿の安寧を祈ろう」
 ――例えこの夜闇と絶望の世に、桜花幻朧の世の理が存在せぬとも。
 全てを投げ出してしまえば、救いはどこにも在りはしない――故に振るわれた刃は、黒騎士を通り過ぎてもその身を傷つけることは一切なく。
 ただ、黒騎士を突き動かす歪んだ狂気を……魔剣の呪いと亡霊が故の性を一つ断ち斬って。
 黒騎士の御霊に、確かな安寧を一つ与えて往くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
黒騎士ブラックスミス、俺の考えを聞いて欲しい。

【POW行動】
聞く耳を持たない場合は、俺を「手を止める価値がある」と認めさせてから再度話しかける。

短期で決着をつけたいので防御はしない。
抵抗する意思は最初からない。急所も答えていい(炎がどの程度までの欠損を補うかは分からないが)だが呪いの斬撃、その予備動作時に全神経を集中。[見切り][カウンター]を駆使しUC発動。同族殺しの手甲を捕らえ、鎧部分のみ切断し剣をその手から吹き飛ばす。

これで俺の話を聞いてくれるか?

同族を屠った今、やるべきことがあるだろ。
過去たるお前は、現在のお前と一度向き合うべきだ。それが罪に対する贖い、そして禊にもなると俺は思うよ。



●狂鬼断
 幾許かの狂気が消え失せているといえど、魔剣と亡霊が故の衝動が尽きるわけではないのか、黒騎士は震える手で刃を向ける相手を探す。
「黒騎士ブラックスミス、俺の考えを聞いて欲しい」
「粛清、宣告……! 汝、例え……!!」
 眼前にやってきた相馬の声と姿に、震える掌を黒騎士は向け、尽き果てぬ呪いを相馬の身へと齎す。
 抵抗の意志を奪う呪いは、最初から抵抗の意志無き相馬には意味を為さず。
 急所を求める声にも、ただ胸を親指で指しながら相馬は静かに告げた。
「――やるならここだ。しっかり狙え」
「あ、がっ……ゆる、せ……!」
 許せの声は何処までも苦しみに満ち、消えぬ呪いに突き動かされ剣を振るう姿を相馬は確かに目へと納める。
 相馬の心臓を目掛け突き出さんと、まずは魔剣を一つ、弓を引き絞るように引いたその瞬間。
 携えていた槍に纏わせるは悪意の業火――抵抗の意志無きを示したことを裏切る悪意。
 それを糧に盛り鋭く形成された刃を以て、黒騎士の手甲ごとその魔剣を宙に舞い上げて。
 遠く離れ突き刺さった魔剣と、彼の身を離れたが故に多少の呪いより解き放たれた黒騎士が、兜の奥の瞳に理性を取り戻したかのように相馬を見つめた。
「これで俺の話を聞いてくれるか?」
「……長くは、聞けぬ」
 非常に遅々としているが、一歩、また一歩……進む足は、確実に魔剣の元へ。
 それまでに――狂気を幾許か収められた黒騎士からの、最大限の譲歩なのだろう。
 なればとこの好機、槍を納め、代わりに突き出すは言葉を以て。
「同族を屠った今、やるべきことがあるだろ。過去たるお前は、現在のお前と一度向き合うべきだ」
 ――それが真に罪の贖いとなる筈だから。
 取り落とした魔剣へ引き寄せられるようにそれを拾い上げ、果て無く暗い空に雄叫びを挙げる黒騎士に何を見たか。
 ただ相馬に向けられることなき剣と、求めるべき現在を求め歩む姿は、相馬の言葉が確かに黒騎士を射抜いたことは確かだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「悪いが俺はお前の求めている程強くもないし
俺より血生臭い生き方をしてきた人なんて幾らでもいるさ。」
だが、
「消え逝く者の望みなら。力を尽くすとしよう。」
黄泉路に迷わぬ様に送る事も死霊使いの役目だから。

真の姿を開放してナイトクロウを使用し、戦闘力を増強。
召喚した大烏と黒狼を敵に仕掛けて攻撃。
真の姿は見た目に大きな変化はないが
血煙の様なオーラを纏い身体能力や反応速度が上昇する。

黒い霊気を【呪詛】を込めた【呪殺弾】として撃ち出して攻撃し
召喚した大烏と黒狼にも攻撃をさせる。
侵・黒風鎧装に対しては纏うオーラでの【オーラ防御】と
漆黒の旋風を【衝撃波】で払う事で耐える。
「その狂気と共に此処で消えて貰う。」



●オクリビト
「……より強きを、より殺戮に近きを」
「悪いが俺はお前の求めている程強くもないし、俺より血生臭い生き方をしてきた人なんて幾らでもいるさ」
 地面に突き刺さった剣を抜いた黒騎士は、何処か全てを諦めたような狂気に兜の下の唇を動かした。
 彼の言葉にフォルクは眼を見せぬままに、その体の周囲にどこか血煙にも似た奔流を纏いながら静かに語った。
「だが消え逝く者の望みなら。力を尽くすとしよう」
 それが死霊術士としての役目だから。
 役目を終えた黒騎士の旅路に、迷うことが無きように――狂気に再度満たされ、跳躍し放たれた黒騎士よりの兜割を、人を超越した反応速度を以て躱し。
「冥空を覆う黒翼、煉獄を駆る呪われし爪。斬り裂き咬み砕け。常世の闇を纏い、振う我に従い望むままに蹂躙せよ。その飢えた牙を満たす迄……」
 フォルクは冥府への扉を開き纏う――真の姿にて纏う血煙と複雑に混じり合う黒き気迫を。
 黒騎士もまた声無き叫びと共に、相対する者の生命を喰らう瘴気を身に纏い、瘴気を旋風に乗せて渦巻かせフォルクへ嗾けて。
 それを纏うオーラを以て障壁を作り出し、腕を一振りさせて放つ不可視の衝撃を以て逸らし。
 入れ替わるように嗾けられた黒き狼と、死を告げる大烏が冷たく悍ましくも、よく響き渡る啼き声を響かせながら黒騎士に飛び掛かる。
 狼の牙が黒騎士の腕を噛み捕えながら、黒騎士の脳天を死告の大烏が幾度も爪で抉りつつ。
 黒騎士が魔剣を振るおうと、冥府の狼はそれを上から押さえつけ、大烏は幾度となく嘴で甲を啄みて。
 追いやられていく黒騎士を目掛け、静かにフォルクは掌を突き出して告げる。
「その狂気と共に此処で消えて貰う」
 纏う黒い霊気を静かに突き出した掌に球状と為しながら。
 放たれたる球は、弾けながら黒騎士の鎧の隙間より潜り込み――黒騎士を突き動かす無限の狂気と衝動すらも呪い殺すかの如く、その身と心を刻んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

多々羅・赤銅
あ、は、は、は!!
あーーーー真面目真面目クソ真面目!最高につまんねぇ良い男!
いーよ、
果てまで付き合ったげる。

重ねた争いで羅刹紋が咲く
戦場に血と梅香満たそうか

呪詛耐性にて、己に降る呪いを笑い飛ばす
神だろうが殺すとて
只の女は殺せねえだろ。
消せぬ狂気なんていうならさ
一寸だけ私に狂ってって。

呵々と剣戟、時に見切り、時に殺気で剣筋を錯覚させての打ち合い
受け流すように、魔剣に刻みつけていく。
清涼なる刀傷
破魔、その呪いを切り刻むように。

剣刃一閃、「今」此処にあるお前を苦しめる呪いごと、その命斬り捨ててみせようぞ
そんな魔剣、穏やかに寝るにゃあ邪魔だしさ!
どーせなら派手に殺された方が
私の事覚えててくれるでしょ。



●唯女
 黒騎士に刻まれた数多の言葉と刃――既に世の理逸脱す仮初の命も尽きようとしているのに。
「あ、は、は、は!! あーーーー真面目真面目クソ真面目! 最高につまんねぇ良い男!」 
 狂ったように贖罪を口にしながら魔剣を掲げた黒騎士を、赤銅は爆ぜたように笑い飛ばす。
 その身体に刻まれた鬼の紋様――黒き枝のような紋様が、重ねられた血の匂いを水と肥料と成して、僅かな膨らみを文字通り花開かす。
「いーよ、果てまで付き合ったげる。只の女一人、殺せるものならば」
 漂うは梅の香、血と戦の痕を掻き消すが如き、蠱惑の香の中で女は刀一つ、切っ先を突き出して笑う。
 尽き果てぬこの狂気、なればこの夢幻の一時よ、己に狂えと肌に浮かぶ紋様より漂う香は語る。
「粛清宣告。……汝只の女、だがそれ故の一時の感謝を」
「あっは! 律儀だねぇ……そーゆーとこだよ」
 呼応するかのように、幾許かの狂気薄れし黒騎士が掌を赤銅へ向けて、黒鉄の花開かせれば。
 女が誘う梅香ならば、男の放つは抵抗と急所を晒け出さす黄泉への誘いの如し。
 されど羅刹の女、黒騎士の呪いもただ下手なる男の誘いを流すかのように、笑って流せば、どこか黒騎士もしがみ付くかのやうに魔剣を振り下ろす。
 その刃の重くも鋭く、何処か哀楽混じる軌跡を粛々と見切り、返す刃は魂鎮めの如く重くも静かに響き渡る。
 唯一に開かれた眼が敬意<殺意>を黒騎士に向ければ、黒騎士はその意志を剣筋と見做し――どこか滑稽に刃を空振らす。
 其処を更に、更に――より魔剣を横に流すかのように滑る刃の音色は、魔剣の孕む呪いをも流し清める手水のようで。
「そんな魔剣、穏やかに寝るにゃあ邪魔だろう! 派手に殺してやるから、私の事、しっかり覚えててよ!」
 開かれた腕は燕が返る如く、刃を滑りやがては黒騎士の甲を鋭く貫く、線の衝撃と化して。
 分厚い黒鉄の下の蝕まれた肉体と、その呪いを断ち斬る勢いで――甲の間より流れる紅き血は、感涙にも似ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
ふむ、オブリビオンとしての性質を持ちながらも生前の記憶に苦しむか。
哀れな事だね。
まあ、領主は既に滅びた。
静かに死ぬのを良しとせず、剣に死にたいというのであれば、余興としてつきあおうじゃないか。

『破壊の魔力』に満ちたオーラセイバーを具現化。
剛柔自在の剣術で戦います。

敵POWUC対策
前2つの呪いは活性化したオド(オーラ防御×呪詛耐性)で撥ね退け、斬撃は直感(第六感×見切り)により見切ってカウンターを合わせ大きく魔剣を跳ね上げ、態勢を崩させて渾身の一撃を放ちます。



●騎士の既視感
 鎧の隙間より流す血を、涙の様に地面に吸わせ、黒騎士は尚も刃を振るう。
 絶え間なく自らを襲う狂気と亡霊が故の衝動――世界を憎み、それでも存在していた者としての記憶で抗う姿。
「……ふむ、哀れな事だね」
 悠然と紅き奔流を纏いながら腕を組むシーザーに、黒騎士は真っ向から魔剣を突き出し、杭を打つかのような一刺しを見舞う。
 それを一瞬の、居合にも似た光の刃……一瞬で掌に具現させていた光の剣による閃きで上へ弾きながら、彼は肩を竦めた。
「おっと、気に障ったかね。だが……」
 かち上げられた体勢から、常軌を逸した筋力を以て体勢を強引に変え、再度突き出された刃を今度は上から叩き落すようにして流し。
 そのまま突き出す光剣による刺突を、黒騎士は魔剣の腹で受け止め――余りにも痛烈極まりない衝撃で地面を削りながら後退す。
「静かに死ぬのを良しとせず、剣に死にたいというのであれば、余興としてつきあおうじゃないか」
「……粛清宣告。汝、戦愉しむ者……!」
 鼻を鳴らし微笑むシーザーに、黒騎士は強張らせた掌を向け、抵抗の意志を奪い急所をさらけ出さす呪力を放つも。
 放たれた靄のような呪いの気配を、シーザーは薄らと纏った紅き光を伴った掌で、鳥の羽ばたきの如く強く弾き飛ばし。
 重低音で叫びながら、地を縮める勢いで迫り刺突を繰り出してくる黒騎士の、その魔剣を又、下から強くかち上げて弾き。
 今度は体勢を立て直すまでもなく――触れるだけで、分厚い黒鉄を砂のように崩す奔流を纏った刃が、黒騎士の胴を薙ぐ。
「全否定まではしないがね。……まぁもう滅びたが」
「……その、ようだな……汝、似て非なる刃」
 ――喜びに狂った者の刃に非ず、ある種、狂気とはかけ離れた正気の喜びと快楽が皇帝(シーザー)を突き動かすのだから。
 刃を己が身に走らせ、優雅に過ぎ去っていく紅き皇帝の背を、狂気と苦痛に犯され続けた黒騎士は羨望の眼で見送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花盛・乙女
骸の海とは全く度し難い。
貴様の心胆の炎は私が知る騎士と同じ色に見える。
だというのに、こうまで捩れてしまうものか。

【黒椿】と【乙女】を構え、先制をとりにいく。
篭手を狙い剣持つ手に痺れを与え、胴を狙い勢いを殺す。
手負いの獣ほどの強者はそういない。ぬかることはない。
しかし敵のUCへの対策はない。万が一術中に落ちたとて、私の意志は折れない。
気合をこめ、慢心の怪力で立ち一太刀浴びせてくれる。
両の腕に力が入らなければ、この角も有効に使えることを見せてやろう。

貴様は狼だな。誇り高く、強者…いやさ、戦いへの渇望が止まぬ。
ならば満たしてやろう。この羅刹女がな。
それが散り行く貴様への…我が恩人へのせめてもの礼だ。



●折れず曲がらず
 鎧の隙間より流れる血は赤く、されどその下の身の、その心には確かに見える。
 恩人と同じ青く熱い炎の色が――それなのに。
「……骸の海とは度し難いものだな」
 こうまで拗らせるものか……魔剣を手に兜越しの眼差しを向けた黒騎士に、右手に悪刀を、左手に小太刀を構え乙女はその戦意を称した。
「貴様は狼だな。誇り高く、強者……いやさ、戦いへの渇望が止まぬ」
「止められぬ狂気と衝動ならば、より強きに……より強きにぃっ!!」
「ならば満たしてやろう。この羅刹女がな」
 抜かること無きように――手負いなれど、侮れば待つは返り討ち。
 黒騎士の咆哮より疾き刃は強かに、鬼の剛力を伴いながらの小手打ちがまず一つ、魔剣を握る手へ痺れを与え。
 瞬きの僅かな時も超えた、電光石火の早業による小太刀の一閃は――剣士自身の名を冠す刃は、甲をも貫く衝撃を黒騎士の胴に与え。
 それでも黒騎士は胴を抑え、痺れる腕を強引に突き動かし叫ぶ。
「粛清宣告! 汝、例え鬼神であれど……その動きを止めよ!」
 鎧が軋む音は果て無き戦への咆哮なのだろうか――突き出された掌より放たれる呪いに、乙女は抗う術を持たぬ。
 されどこの剣士、一切の意志揺らぐことなく無双の如き刀と小太刀の交錯す、鎧に鋭き斬撃の痕残す。
 黒騎士が呻き僅かに下がるも、諦めぬ意志の下で黒騎士は呪いを重ねていく――鬼の剛力も遂には抜けて、二つの刀、鉛よりも尚重く在ったとしても。
 ――垂れ下がった腕が、心の臓を示し、其処へ鬼神をも平伏さす呪いの魔剣を叩き込まんとしても。
「止まぬさ。これが散り行く貴様への……我が恩人へのせめてもの礼だ」
 一撃どころか、既に何撃も刻み付けた身の上、吸い寄せられるようにこの一撃が待つ。
 それは即ち――額に一つだけ大きく突き出た、鬼を象徴するモノ……角による渾身の頭突きは拳骨より尚、強かに。
 恩ある現在へ報いる一撃は黒騎士の身体を打ち据え、彼に膝を着かすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
亡霊になっても、それでもあんたは自分の狂気と戦い続けた。
みんなを守るため、自分の衝動に抗い続けてきた。
その高潔な魂は死んでなんかいない。
だから。
「あんたの誇りを守るため、その呪いを真っ向から撃ち砕いてやる!」

狙いは、彼が手にした神殺しの魔剣。
さっきの言葉は彼に俺の狙いを伝えるため。
真っ向から大包丁を魔剣と打ち合わせ続ける事で僅かでも刃を止め、シャーリーが狙撃する機を作る。
そしてそれに乗じて【武器落とし】で魔剣を弾き飛ばし、そのまま【料理の鉄刃】の【鎧砕き】で魔剣を叩き折り、彼を呪いから解放する。
「……お疲れさん。あんたは最後までみんなのために戦い続けたんだ」


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
「…そんなのってないよ」
ボクが無力な女の子だったら、そうやってただ泣き続けるだけだったかも
でも、ボクは猟兵なんだ
だから今度はあなたの自由を取り戻してあげる
その哀しい宿命から

黒騎士を狂わせたのは魔剣の呪い
だったらその魔剣を破壊すれば彼の魂も救われるはず
ウィーリィくんが黒騎士と刃を交えている隙を狙って【スナイパー】+【クイックドロウ】でその刀身をピンポイントで狙い続けて魔剣そのものにダメージを与える
少しでも支配が緩んだら
「ボクたちも手を貸すよ!一緒に呪いを打ち破ろう!」
黒騎士を【鼓舞】し、その手から魔剣を放させる

これが、ボクにできるせめてのも救いだよ



●この決意に断てぬものは無し
 膝を着いていた黒騎士が不意に立ち上がると、魔剣を手に天高く雄叫びを挙げた。
 一切の太陽が輝くことなき濁った空に響く、黒騎士の叫びと魔剣を手に鎧軋ませ歩む姿を見、シャーリーは下唇に淡く歯先を沈ませた。
「……こんなのって」
 あまりにも悲しい姿と、同族殺しに至った経緯、そしてこの姿――無力な少女であるならば、何もできずに嘆くばかりだったかもしれない
 だが今のシャーリーは猟兵……命の埒外にあり、時の歩みを閉ざす者を狩り、未来を守る者。
 ……例え未来を紡ぐこと無き亡霊自身を相手にしようと、過去の尊厳は守るために彼女は決意を固め。
 その傍らにいた少年もまた、応えるように一歩を前に出でさせて――少年は、ウィーリィは黒騎士に力強く言い放つ。
「あんたの誇りを守るため、その呪いを真っ向から撃ち砕いてやる!」
 突き出した大包丁は、他の命を人の喜び、新たな命に紡ぐ料理人の誇り。
 その包丁は調理に使わずとも、込めた誇りは変わることなく、真っ直ぐに突き出された切っ先と微かに籠った熱気は黒騎士の心を揺さぶったか。
 亡霊となっても衝動に抗い続け、剣を振るおうとした誇り高き魂へ報いる為に――その高潔な魂を解き放たんとする為に。
「――粛清宣告! 汝、至難に挑む気高き戦士であろうと!」
 その思いが黒騎士に伝わったか――黒騎士は呪いを放つことなく、敢て真っ向から魔剣を振りかぶりウィーリィに斬りかかる。
 手負い、否、だからこそ生み出される強力無比な魔剣の斬撃は、真っ向から大包丁で受け止めたウィーリィにも何よりも重い圧として伝わる。
 渾身の力で受け止めて尚、ウィーリィの周辺が陥没す一撃に対し踏ん張りを利かせながら、彼は黒騎士と刃と刃の膠着を続ける。
 それも全ては――後方で狙いを定めるシャーリーの為に、この背を預ける少女の為に。
 弾かれるように褐色の指が引鉄に踊り、突き出されたマスケット銃の口より光熱迸り漆黒の刀身を強かに打ち据える。
 狙いは魔剣――黒騎士を狂わせた諸悪の根源。
 領主館への強襲、領主自身との決戦、そしてこれまでの猟兵との戦いを経た今ならば砕ける筈――幾度も打ち付けられる光は、闇の中に文字通りの光明を見出さすかのように。
 研ぎ澄まされた狙いはどこまでも正しく、ウィーリィを逸れて黒騎士の魔剣へ光を叩きつけていく。
 やがては黒騎士の身と心を今なお犯し続ける魔剣の刃に、その時……何かが軋む音が一つ響き渡れば。
 ウィーリィとの拮抗を続けていた黒騎士が、不意にウィーリィから弾き飛ばされるように後方へ跳び。
「ボクたちも手を貸すよ! 一緒に呪いを打ち破ろう!」
「――ヌガアアアア! 我は、我は諦めぬぅ!!」
 その言葉は支配への抵抗か、或いは猟兵との勝負の行く末か――振るわれる魔剣の衝撃すらも、少女の熱き呼びかけと光は魔剣の刀身に一つのヒビを割り入れて。
「そうだ! 諦めるな!」
「これが! ボクたちに出来るせめてもの救いだから――ウィーリィくん!」
「応ッ!!」
 ヒビ入った魔剣に黒騎士の不諦の念がやや薄れたか、黒騎士の手は緩み。
 重く鋭い大包丁の刃が魔剣の鍔と黒騎士の手の間に滑り込み――斬り上げは魔剣を黒騎士から離れさせ。
 研ぎ澄まされ切った、人の喜びを紡ぎ命を昇華す料理人の業は、宙を回転す魔剣の、そのヒビへ大鉈の如き包丁を持っていき。
 剛き刃の一振りが、魔剣の刀身を真っ二つに叩き割る――!
「我が、剣が……!」
「……お疲れさん。あんたは最後までみんなのために戦い続けたんだ」
 折れた剣を前に手に立ち尽くし、膝を着いた黒騎士に告げられる労いの言葉は、乾いたスポンジへ水が降りるように染み渡り。
 文字通りの憑き物が落ちたように黒騎士の佇む姿には、荒々しいまでの狂気は其処に無く、ただ凪のように黒い鋼が静かに天を見上げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
その意志、承りました
紛い物の騎士の身ではありますがお手伝い致しましょう

抵抗意思を持てぬエラー…自身を●ハッキング
「ある目的」の為の戦術プログラムを走らせ対処
人ならば「攻撃や状況に対し意志に反し体が勝手に動く」状態

急所の宣告
私のそれは胴部電子頭脳
胴部装甲を強制パージ
●だまし討ちによる●目潰しで「晒しましょう」

その隙に接近
魔剣の軌道をセンサーの●情報収集で探知し●見切り
プログラム通りに●盾受け
同時にアンカーでの●ロープワークで剣を拘束

その隙にUCを関節部に突き立て

狂気とはある意味脳内物質の均衡を欠いた状態
それを是正することで生前の状態に少しは近づけたかと

さあ、今代の黒騎士が貴方をお待ちしております



●白騎士は時<解き>を繋ぐ
 暫し呆然としていた黒騎士は、ゆっくりと折れた剣を拾い立ち上がった。
 狂気はなりを潜めたものの、今更に生き方を変えられぬ、どこか不器用な意地のようなものが伺えた。
「……まだ、消える訳には行かぬ。まだ……!」
「その意志、承りました。紛い物の騎士の身ではありますがお手伝い致しましょう」
「……粛清宣告。汝、真の騎士であるが故に」
 ――亡霊としての衝動は消せぬか、それでも抗う声には黒騎士なりのトリテレイアを称える言葉を見せながら。
 解き放たれた呪いをトリテレイアは受けるも、その瞬間、自らの心(プログラム)を改変する――抵抗の意志を奪われようと。
 行動に対し状況に応じ勝手に機械の頭脳は、意志無き指令を与え突き動かすというプログラムに従い、次なる一手を受ける。
 呪詛の指令に対し、胸部の装甲を開くその勢いで黒騎士の目を、一瞬だけ晦ますと、その隙に彼は黒騎士の懐へと肉薄し。
 迫りくるトリテレイアの巨体目掛け、黒騎士が折れた魔剣を振るおうと機械の感知器が其れを察し、指定通りに大盾を以て受け止めて。
 仕込まれたアンカーで折れた剣を念には念を以て封じると――有無を言わさず、慈悲の意志を以て短剣を黒騎士の鎧を縫って突き立てた。
「――もうこれで大丈夫」
「……あ、あ……」
 黒騎士に僅かながらに残っていた、魔剣の狂気――刃は折れ、数多の猟兵からの想いは確かに黒騎士を支え。
 今ここに慈悲を以て注がれた、ナノマシンからの物理的な脳内の矯正は、より確かに黒騎士を狂った心より解き放つ。
 それでも行く先を求め彷徨わんとする黒騎士の背を、トリテレイアは軽く叩きながら、彼の手はある一点を指し示す。
「さぁ、今代の黒騎士が貴方をお待ちしております」
 ――物語のラストステージは、いよいよ以て幕の上がる時。
 この消えゆく命の最後の行き先、完全に解き放たれた狂気の行く先へと、白騎士は待ち受ける場所へ黒騎士を招くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
クラウン殿(f19033)と連携

真の姿解放、出力を上げた燃える鉛の翼からの【衝撃波】で黒風鎧装を【吹き飛ばし】。
クラウン殿の炎が奴を焼く間に【指定UC】生成。
かつてこの鎧(み)が振るい、ここまで幾度も目にした今ならばこそ出来る。


傷と狂気。一切は道化師が火にくべた。
だが我が祖よ、貴方はその気高さ故に犯した罪を離せぬだろう。

ならばその罪、この一太刀にて汝から斬り離し、『俺』が背負う。
それが黒騎士ブラックスミス、もう一人のお前としての【覚悟】!


反撃あろうと【狂気耐性】【呪詛耐性】頼みに【捨て身の一撃】で斬り伏せる!


…粛清宣告。
汝の総ては雪がれた。
狂いて尚誇り高き黒騎士よ、在るべき過去へ還るがいい。


クラウン・アンダーウッド
ルパートさん(f10937)と連携。

やぁやぁ、どうも黒騎士さん♪ボクはクラウン、見ての通りの道化師さ。
癒しの業火を一つに束ねて身に纏い、仰々しい挨拶を一つする。

暫くボクとの前座に付き合って貰うよ!
武器はガントレットのみを用い、空中を駆ける様に移動する。

油断なく黒騎士の動きを捉えて攻撃をガントレットで【武器受け】するか【オーラ防御】で反らし、業火を直接当てて狂気を浄化し連戦の傷を癒す。
あぁ、伝えてなかったけどボクは貴方を倒すつもりは毛頭ないよ♪ボクはあくまで前座だからね!

さぁて、舞台は十分温まった♪ではでは!真打登場と参りましょう!
応援特化型人形達による人形楽団の【楽器演奏】で舞台の演出を行う。



●繋がれ往く志
 ――折れた剣を手に、纏う黒き旋風は相対する者の生命を奪い去る。
 それに真っ向から向かう、鏡映しの如き鎧は、蒼く燃え盛る火炎をより迸らせ、黒騎士の纏う哀しき風を焼き払う。
「……来たぞ、現在」
「……ああ、過去」
 鎧も幾度となく傷つき、剣も折れ――纏う狂気の悍ましい攻撃性は消えども、迸る戦への覇気、衰えるどころか黒騎士の全盛を遥かに上回る。
 魂に刻まれた宿命の清算を求め相対する、過去と現在の「ブラックスミス」――その緊張を解くように、温かな炎を噴き上げた道化が過去に相対した。
「やぁやぁ、どうも黒騎士さん♪ ボクはクラウン、見ての通りの道化師さ」
 仰々しき挨拶と共に躍り出たクラウンに、黒騎士が彼とルパートに交互に目を向ければ、ルパートの頷きに応じ。
 今暫く前座に付き合って貰おうか――道化の誘いに誘われ、空を翔た道化目掛けて、黒騎士は跳躍する。
 折れて呪いは喪失すれど、刃としての切味一切衰えること無き剣がクラウンを襲う――それを白磁の如き籠手で何処か遊ぶようにも受け流し。
 マントを翻しながら宙で回り、折れた魔剣での脳天を目掛けた斬撃を、クラウンは両手で挟み受け止めつつ。
 其処から軽やかに横へ流してウインク一つ――クラウンは身に纏う業火を黒騎士に容赦なく浴びせた。
「――!? 正気、か?」
「正気も正気さ♪ 伝えてなかったけど、ボクは貴方を倒すつもりは毛頭ないよ♪ ボクはあくまで前座だからね!」
 声もなく業火に悶えた黒騎士であったが、業火は彼の命を終わらすでなく。
 ただ綺麗さっぱりと、これまでの傷を癒す――折れた筈の魔剣ですらも。
 狂気は既に払われた黒騎士も、その所業に理解が行かず着地しながら再生した身体と魔剣を見やりつつ。
「さぁて、舞台は十分温まった♪ ではでは! 真打登場と参りましょう!」
 ――そしてクラウンが応援に特化した道化人形達を呼びつければ。
 今こそクライマックスだと、それを彩るように鮮やかな音色が響く――その音をバックに現れたのは黒き鎧。
 彼がその手に持つは想像を創造へ――この身の前身が使っていた魔剣、幾度となく直接に目にした今だからこそ、この剣は完全な姿へ。
 鎧姿もまた鏡合わせの如く、そして携える剣もまた同じ神をも殺す魔剣――その力も同質にして同格の両者が向かい合う。
「我が祖よ、貴方はその気高さ故に犯した罪を離せぬだろう」
 傷は道化が焼き払い、数々の狂気は道化と彼を含めた猟兵が確かに払っていた。
 だが、だからこそ、この黒騎士と雌雄を決さねば本当の意味で彼が救われること叶わず。
「ならばその罪、この一太刀にて汝から斬り離し、『俺』が背負う。それが黒騎士ブラックスミス、もう一人のお前としての【覚悟】!」
「――その【覚悟】に敬意を表し、我が力の全てを以て」
 言葉は最早不要――身を縛る呪いは無粋、全てはこの魔剣の、不屈の魂に籠めて。
 打ち合わせた剣より迸る、この黒騎士が味わってきたであろう呪詛と狂気を受け止めながら、ルパートは蒼き翼を盛らせる。
 ――この狂気も、この苦しみも。
 全て背負って抗ってきた祖への敬意、そしてこの決着の為に闘ってきた戦友の心を込めて。
 黒騎士を鉛の翼盛らせ吹き飛ばすと、捨て身の勢いで肉薄し、そして――!!
 力強く打ち降ろされた刃は、黒騎士の魔剣を一気に打ち砕き、そのまま彼の鎧を容易く破り深く、深く身を抉り――黒騎士に膝を着かす。
 勝負あり――ひび割れ往く鎧が徐々に霧散する中で、黒騎士は静かにルパートを近くに招くと。
「……持っていけ。汝ならば、違えぬ筈だ」
「確かに」
 黒騎士がルパートに捧げたのは、最早柄だけとなり果てた魔剣。
 全ての役目を終えたかのように、もう何者をも傷つけることはない――全ての過去はここに雪がれた証の剣を。
 過去より与えられるバトンのように、現在(ルパート)は受け取ると――刃無きその場所に己が身体の鉛を以て疑似的な刀身を作り。
「……粛清宣告。汝の総ては雪がれた。狂いて尚誇り高き黒騎士よ、在るべき過去へ還るがいい」
 跪く過去の両肩を軽く刀身で叩いてゆけば――黒騎士は、静かに微笑みながら、その身を霧散させていく。
 やがて焼けた鉛の刀身を静かに消し、柄のみとなった魔剣を手に、ルパートは黒騎士が存在していたその場所に静かに祈りを捧げ。
 確かに繋がれた過去から現在を、そして現在から繋がれるであろう未来を祝うように――道化と人形達は、祝福のラッパを鳴らすのであった。

●交わされた剣の末は
 ――全ての戦いは終わった。
 魔剣の呪いに狂いながら、それでも贖罪の為に剣を振るった同族殺しと。
 戦いの喜びに狂いながら、それでも弱者を甚振り続けた領主との戦いは終わったのだ。
 領主に苦しめられていた領民も、喪われた命は戻らぬにしろ、安寧を取り戻していくだろう。
 だが民は知らない――解放の裏で、猟兵と共に戦った黒騎士の何枚もの板挟みの狂気を。

 ――それでも黒騎士の狂気は確かに救われた。
 彼の気高き意志はこれからも引き継がれていくだろう。
 交わされた剣の行く先は、かつて黒騎士が為そうとした、力無き民を護る為で在る為に――
 この地を解き放った猟兵達は、また各々の為すべき道へと回帰していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月31日
宿敵 『神殺しの黒騎士ブラックスミス』 を撃破!


挿絵イラスト