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オアシスシティ復興録~物資集積大作戦~

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●飢え渇く未来
 奪還者を送り出したのは果たして何日前の事だったか。飢えと渇きを誤魔化すために頻繁に眠りを取っていたせいで、彼の時間感覚はとうに失われていた。
「……腹ァ、減ったなァ」
 その呟きも、果たして声となっていたかどうか。
 ここは、ホテル・オアシスの一室。オブリビオンの支配から解放され、しかし物資不足に喘ぐ生存者の一団が集うそこには飢え渇いた生存者が十数人。彼らが最後に水と食料を口にしたのは、もう2日は前のことだ。
「……水、飲みてぇなァ」
 その呟きを最後に、彼は意識を失う。
 そしてそのまま、彼が目を覚ますことは2度となかった。

●物資便:グリモアベース発オアシスシティ行、オブリビオン討伐経由
 グリモアベースで猟兵たちを呼び集めているのはアポカリプスヘル出身の鹿島・結であった。どうやら、故郷を救うべく猟兵に力を借りたいらしい。
「皆、集まってくれてありがとう。今回皆にお願いしたいのは、物資運搬なんだ」
 結の口から語られるのは、このままでは2週間もしないうちにとある生存者のグループが壊滅する未来。滅びの理由は物資不足であり、特に食料品の量が生存者の数に対して大幅に不足しているのだという。
 奪還者を派遣し物資を探そうにも2週間という期間はあまりにも短い。他の生存者グループと物資を融通するにも、食糧事情はどこのグループであれ火の車だ。
 とはいえ、猟兵が生存者に配給できるだけの物資を持ち込むとなればオブリビオン・ストームの発生は必須。ストームから出現するオブリビオンと戦闘可能な場所が必要だ。
 どこへ持ち込むのだ、という猟兵の問いに結は静かな口調で答えた。
「奪還者の目的地となっている無人プラントが近くにあるんだ」
 オアシスシティから南に数kmの地点。そこには文明崩壊以前の化学調味料合成プラントが存在し、そこなら戦闘に現地住民を巻き込むこともない。
「ひとまず、物資を持ち込んだ上で戦場となるプラントを探索。ストームから生み出されるオブリビオンの種類も判らないから、戦場の把握は密に」
 物資集積によりオブリビオン・ストームが引き起こされるという都合上、どのようなオブリビオンと戦うことになるかは直前まで判らない。物資損壊を避け、戦闘を迅速に終わらせるためにもプラントの探索はしっかりと行う必要があると結は告げた。
 オブリビオンを倒せば、あとは物資をオアシスシティへと運び込むだけだが――
「物資の運搬は気にしなくていい。予知通りなら、オアシスシティから奪還者の乗ったトラックが通りがかる筈だ。君たちはそれに同乗して物資配給を手伝ってもらう事になる。配給が無事に終われば、ミッションコンプリートだ」
 猟兵の持ち込む物資は歓声と共に受け入れられることだろう。
 特に、食料品の配給は炊き出しの形で行われる予定だ。猟兵たちが手作りの料理を振る舞えば現地住民も喜ぶ、と結は付け加える。
「説明は以上。物資は一通り用意したから、準備が出来次第転移ゲートに入ってね」
 結が手で示した先には、1辺1mの立方体コンテナがいくつも置かれていた。


Reyo
 はじめましての方ははじめまして。そうでない方はいつもありがとうございます。今回は猟兵の皆さんにフード・デリバリーに従事していただきます。

 早速ですが、本シナリオの補足です。

●各章について
・第1章:化学工場の探索(冒険)
 コンテナ物資を運び込んだ後に、戦場となる化学調味料合成プラントを探索します。戦場に適した場所を見つけ出すことが出来れば、第2章の戦闘を有利に運ぶことが出来るかもしれません。
・第2章:???(集団敵)
 ストームから生み出されるオブリビオンと対決します。集積した物資を損失しないよう注意してください。
・第3章:さあ何を作ろうか(日常)
 物資配給の一環として食事の炊き出しに参加します。コンテナの物資を利用して料理を披露してあげてください。コンテナの中身は第3章プレイングに記載していただければだいたい何でも入ってます。

 以上です。
 まだまだ猟兵の助けを必要とするオアシスシティを、どうか助けてあげてください。
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第1章 冒険 『化学工場の探索』

POW   :    厳重に封鎖された扉や隔壁を、力任せに破壊して探索を進める

SPD   :    注意深く周囲を観察して危険を発見したり、発見した危険物質を慎重に確保する

WIZ   :    工場を調査して予測される化学物質について予測し、その対策を準備する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ノウェム・ノインツィヒ
【POW】アドリブ・連携歓迎

出来るのは精々、力技ぐらいだ……細かい作業は他の猟兵に任せておけばいいだろう。代わりに、わたしは探索班に追従し、片端から障害物の撤去。封鎖区画の抉じ開け作業に従事しよう。まあ……破壊音で騒々しくなるが、その辺りは必要な事だと割り切ってくれ。

『念動力+鎧砕き+蹂躙』
探索班が行動しやすいように念動力を駆使しながら障害物の撤去作業。その傍ら「ハルムベルテ」の斧部分を振り下ろして、開かない扉を鎖や錠前ごと破壊する。もしくは、拳や足に「崩断」を纏って破砕。隔壁は、UCを当てて抉じ開ける。


ミスト・ペルメオス
【SPD】

こういう任務でも、少しは力になれれば良いのですが。

当初は屋内での活動ということで、白兵戦用装備で任務に臨む。
直接戦闘を想定した装備のため、そのままでは探索には不向きだが…
【サモン・オプションアームズ】、「サイキック・ドローン」群を転送・利用する。

念動力を最大限に発揮。複数のドローンを同時に制御し、施設内に侵入させて調査を行う。
単純な地形調査のみならず、活用できそうな空間や地形、或いは危険な場所・物品などが無いか注意深く。
得られた情報は保有する情報端末で随時記録。のちに他の猟兵と情報を共有する。
発見した危険に関しては、可能ならば念動力で物理的に排除する。

※他の方との共闘等、歓迎です



●いざ、プラント内へ
 転移ゲート付近でいくつかの台車を見つけられたのは猟兵にとって幸運であった。
「とりあえず、此処においておけば問題ないでしょうか?」
「だろうな」
 運搬したコンテナを台車の上に積み上げたミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)の問いに、積み上げを任せたノウェム・ノインツィヒ(外見詐欺・f24561)は静かな声で頷いた。
「コンテナはサイズ通り重い。ミスト、そなたのように機械鎧を扱うか、並外れた巨躯でない限り持ち込みは猟兵1人あたり1個が限界だろう」
 積み上げられた2個のコンテナの高さは、ノウェムからすれば真上を向かねば上が見えない程だ。ミストのように何らかの兵器に搭乗しているか、コンテナを楽々抱えられるような大型種族でもない限り複数個の持ち込みは骨が折れるだろう。
「それに、台車に積んでおけばいざというときに動かすにも苦労しない」
 とはいえ、台車に積んでさえしまえばノウェムのような小柄な者でも、押し引きして動かす分には問題なく。ノウェムの言葉通り、今後の探索如何で物資の場所を変えるのにも手間をかけずに済みそうだ。
「確かに、いちいち抱えていては大変ですからね」
 ノウェムが軽く台車を動かして確認するのを横目に、ミストはユーベルコードで次々とドローンを召喚していく。戦況に応じて呼び出すオプション兵装であるそれらは、ブラックバードを通じてコントロール可能な調査装備だ。
「なるほど、それがミストの目、ということか」
「はい、その通りです……見ての通り、小さいので非力ですけどね」
 サイキック・エナジーを受け取るためのアンテナと調査用の各種カメラがコンパクトにまとまったドローンのサイズはおおよそソフトボール大。狭い亀裂や配管にも入り込めることはメリットでもあるが、同時に力仕事には向かないデザインである。
「ならば、力仕事は任せて貰おう。障害物の撤去や封鎖された部屋をこじ開けたりといった破壊作業はお手の物だ」
「助かります。僕がドローンを通じて念動力を発揮するのにも限度がありますから」
 何体かのドローンを施設内に先行させつつ、ミストはノウェムの申し出に安堵のため息を漏らす。いざというときはブラックバードで障害排除も考えていたが、戦闘を前提とした装備では施設を「壊し過ぎる」可能性もないわけではない。
 ノウェムのように適切な力加減が可能な猟兵はまさにミストの望むところであった。
「なるほどな。ならば、ミストには細かい探索を任せよう」
 手始めに、と。ノウェムは近いところにある鉄扉に目をやる。
「侵入経路のなさそうなところはこじ開けていこうとしようか」
 ぱきぽきと、拳を鳴らすと共に纏うは雷電。
 念動加速を得たノウェムの拳は紫電をたなびかせ、プラント内へと続く鉄扉を派手に弾き飛ばした。
「……お見事」
 ブラックバードの白兵装備で綺麗に扉だけを弾き飛ばすのは苦労する。ミストの賛辞には、そういった大火力装備ならではの苦心も滲んでいた。
「うむ。あとは、ドローンでは開けられなさそうな場所があれば教えてくれ」
 扉を吹き飛ばした拳を軽く撫で、ノウェムが構えるのは戦斧槍ハルムベルテ。
「ひとまず、この扉を過ぎた先は通路が続くようです」
「なら、それを虱潰しに開けていくか」
 ミストのドローンから入った情報を元に、ノウェムが要所を切り開く。
 猟兵たちによるプラントの捜索は、そうやって始まるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月
オブリビオンストームは、まだ見た事がない。
本当に現れるんだろうか…

半信半疑だけど、今はプラントの探索だな。

本当にオブリビオンが出てくるならより良い場所で楽に戦いたい。

[野生の勘、第六感]、あとは風の精霊様の助力でプラントの[情報収集]を行いたい。

匂い、後は音、そのあたりを頼りに探して歩きたい。

俺は野生の狐だった頃、飢えた事があるから、ここの世界のヒト達はどこか他人事に思えないんだよな。

食べ物をちゃんと届けたい。


イデアール・モラクス
@
フフン、この私を運送屋代わりに使おうとは不遜な奴だ…だがその度胸は気に入った!
あのホテルオアシスは乗りかかった船だ、手を貸してやろう。

・探索と対策
魔導ビットを『範囲攻撃』もかくやという勢いで四方に放ち、その目を通して工場の構造を把握。
続けて工場内に残った残留物に魔力を通し『世界知識・属性攻撃』を用いて工場で扱っていた化学物質の性質を調べておく。
「準備はやり過ぎて損はないからな…」
更に周辺の鉄屑を『全力魔法』で鉄ゴーレムに変換、そこにUC【禁呪・生命創造】で知性を持たせた上で命を与え、物資の守り手として任に就かせる。
「カラダを張って物資を守りきれよ、どうやっても激しい戦いにはなるはずだ」


フローラ・ソイレント

WIZ判定

・心情
好きなだけ食料を選んで詰め込むというのは慣れないものですね……
選択肢があるということ自体が稀ですから
(悩みつつ)
医薬品は今回持ち込む対象では無いという事なら
まずは主食、ビタミン等も考えて雑穀米と調味料の塩を持って行きましょう

(工場内探索)
さて、合成プラントということは
資材輸送トラックの搬入口かなにかがあるはずです
広さと高さが稼げますし
持ち込んだ資材も工場口に隠しておけば
運び出すときにも便利でしょう
探してみましょうか(瓦礫等の鉄骨を片手でどかしながら)



●嵐の前の静けさ
 コンテナを試しに開く。フローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)の予想通り、中身は食料が主。素材の類はともかく、調理の簡単なインスタント食品や保存性の高い保存食の類はフローラのナース的観点から見るといささか栄養バランスに問題のある取り揃えであった。
「いくつか調味料の類も持ち込みましたが、正解でしょうね」
「コンテナ以外にも、何か持ち込んだのか?」
 台車の数は2つ。積まれたコンテナは3つ。猟兵3人分の物資をフローラと手分けして運んでいるのは木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)である。フローラの呟きに問いを投げたのも彼だ。
「ええ、雑穀米と塩を少々。それと、ビタミンタブレットの類ですね」
「飢えるのは辛いからな。それに、空腹のときに急に食べるとそれはそれで身体を壊す」
 都月の言葉には実感がこもっている――都月がただの狐であったころ、渇きはともかく飢えは常に傍にあった。そんな記憶を持つ都月からすれば、アポカリプスヘルの食糧事情は他人事ではない。
「あのグリモア猟兵、この私を運送屋代わりとは不遜にも良い度胸だからな。アレが救えると言ったのだ、きちんと食わせて生き延びさせるのが私たちの仕事だろう」
 都月の言葉に同意の言葉を投げるのは、2人を先導するイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)だ。最終的に物資を運び込む先となるホテルでオブリビオンと戦った経験があることも、イデアールのモチベーションの一端である。
 魔導ビットを放って魔術的観点からプラント内を調査し、イデアールが探すのは資材の搬入口だ。搬入口を探すことを提案したのはフローラで、運搬時の利便性や戦闘中の隠しやすさの観点から他の2人も同意したのだ。
「イデアール、風の流れ的には向こうの通路の方が良さそうだ」
「ふむ、風が通っているならば道もあるか」
 イデアールの魔導探査に加え、都月の行う精霊の力を借りた別視点からの調査もありルート探索は順調の2文字。都月の場合は野生的な感性もあり、危険性の高い経路は自然と選択肢から外れていく。
「ここって確か化学調味料のプラントなんでしょう? 何か使えそうなものはないでしょうか……」
「今のところ、私の魔導探査にそれらしいものは引っ掛かってないな」
 思い出したように投げかけられたフローラの疑問に、残念ながらとイデアールは首を横に振る。人体に有害なものも見当たらないが、逆に有益なものやそのままで調味料として使えそうなものも見つからないのだ。
「そうですか……まぁ使えるものは、もう奪還者が持っていってますよね」
 使いやすい物資から持ち出されていくのは仕方のないことか、とフローラは頷いた。
 そんなフローラをイデアールが手招きする。通路に引っかかっている鉄骨を指差し、申し入れるのは鉄骨の排除。複雑に絡み合った鉄骨に対しては魔術による力押しよりも、フローラの電磁力を介した解体が適切と判断してのことだ。
「あるとしても原材料だけ、ということか」
 フローラから台車を預かりつつ、都月は溜息を漏らす。何か拾える物資があればコンテナに積み足すことも想定していた都月だが、アポカリプスヘルでの物資集めの困難さを改めて突き付けられたからだ。
「それにしても、オブリビオン・ストームは本当に起こるのだろうか?」
 フローラが電磁力で鉄骨を軽々と除けていくのを待つ間、都月の口からふと零れるのは純粋な疑問。
 すべてが予知通りに進めば災厄の嵐が巻き起こることは確実なのだろうが、都月は未だにかの嵐を目撃した経験がない。猟兵以外に動くもののない現状からは、程なくオブリビオン・ストームが巻き起こるとは到底考えられなかった。
「物資の集積量が限界を越えれば、という話だ。戦場を定めて物資を積み上げれば、そこで嵐が起きるのだろうよ」
 都月の疑問をバッサリと切り捨てるイデアール。考えても仕方がない、と割り切っているのだろう。
「ン……少し待て」
「どうかしましたか、イデアールさん?」
 どさどさと積み上げられていく鉄骨を見て、イデアールが待ったをかける。
 フローラの声には、何か見つけたのかという期待が含まれていた。
「いや、そうじゃない。フローラ、その鉄骨をこっちへ」
「はい?」
 イデアールの指示に従い、フローラがぽいぽいと投げ渡す鉄骨は数本。
「準備は、やりすぎて損ということはない。物資の護衛を用意しても無駄にはならん」
 アルスマグナ、と圧縮詠唱で唱えるは生命創造のユーベルコード。フローラの投げた鉄骨に魔法陣が纏わりつき、即席のアイアン・ゴーレムとして仮初の命を与えた。
「何度か見ているが……相変わらず凄まじいものだな、イデアールの魔術は」
「ふふ、月日をかければ都月にもいつかできるようになるさ」
 年季が違うよ、と付け加えつつも年若い都月に向けるイデアールの言葉は柔らかく。
「よし、これで通路が開通です!」
 イデアールが鉄骨を数体のアイアン・ゴーレムに変換し終えるころには、フローラの作業もまた終わりを迎えた。
 イデアールと都月の探査に拠れば戦場に向いた広い場所も近い。
 物資の護衛役という収穫を携え、猟兵たちは再び歩み始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティーシャ・アノーヴン
風花(f13801)さんを肩に乗せて。

この世界・・・自然の力があまり感じられませんわね。
それでも生きている命があるのは素晴らしいことです。
食料は森で取れた果実などを持ってきました。
なるべく日持ちの良いものを選んでみましたが、どうでしょうか。

戦場になると言うのでしたら、物資とは離れた場所で戦いたいですわね。
折角の食糧が台無しになっては元も子もありません。
少し歩いて、開けた場所を探しましょうか。
風花さんはどうでしょう、高いところから見渡せそうですか?

自然が少なすぎてなんだか息苦しいです。
ここで生きていける人と言うのは、本当に逞しいですわね。
風花さん、飛び回ることにお疲れでしたら私の肩へどうぞ。


七霞・風花
ティーシャ(f02332)の肩で

森が……というか緑が少ないですね、ここ
私としては羽休めする場所が少なくって辛いところではありますけど
ティーシャさんの持ってきてくれた果実なども、保存食に加工した方がいいかもしれません
…………でもやっぱり瑞々しい新鮮なのがいい

うう、ん……そうですね
高いところから見た感じ、開けた場所は少なからずありそうです
ただ、私とティーシャさんの戦闘スタイルを考えると
あまり開けてるところだと、戦いづらいかもしれませんよ?

あぁ、ティーシャさんは、そうですよね
私よりも余程堪えていそうです
こちらは気にせず、ゆっくり歩いていきましょう
この世界にも、緑が根付けばいいのですけれど……



●灰色の世界で
 緑が少ない。つまり、世界に彩りがない。
 コンテナを運びつつ、2人の猟兵が覚えた感想はよく似ていた。
 コンテナの物資に加え、籐のかごに新鮮な果物をいくつか用意したのはティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)というエルフ猟兵。ティーシャの肩を止まり木代わりに周囲を飛び回って情報を集めているのは七霞・風花(小さきモノ・f13801)というフェアリー猟兵だ。
「やっぱり、プラントの近くには森どころか林もないですね。思っていた以上に羽休め出来る場所が少なくて、私としては辛い世界かもしれません」
「やはりそうですか……自然の力があまりにも感じられませんから、予測はしていましたけど。このような厳しい世界を生きる命もあるのですね」
 ぱたぱたと舞い降りた風花に手を差し伸べつつ、ティーシャはふむ、と考えこんだ。
 日々を懸命に生きる命、その存在は素晴らしく、逞しい。しかし同時に、命の存在を咎めるかのようにアポカリプスヘルの大地は厳しい。加えて、緑の尽きた世界はエルフのティーシャからすれば過酷の2文字では言い表せない息苦しい代物だ。
 辛く過酷な世界。それは猟兵で、なおかつ根無し草のティーシャにとって2度と訪れなければいい場所だ。しかし、ここで生きる人々にとっては逃れられない、目を背けてはいけない現実。異邦人たる猟兵として、どこまでの援助が出来るのか。一瞬のうちに深く巡らせた思考は、ティーシャの好奇心と同じく止まるところを知らない。
「あまり考え込み過ぎると、毒ですよ」
 コンテナを運ぶティーシャの歩みが鈍ったのを見て、風花はぷにぷにとティーシャの頬をつついた。
「そう、ですね……」
「フェアリーの私より、エルフのあなたのほうが自然の有無には敏感でしょうから。思考に囚われてしまうのもしょうがないと思います」
 俯いたティーシャの頬を今度は撫で、風花は相棒の心を気遣うように言葉を紡ぐ。
「まずは、この物資を確実に届けましょう。種を撒けば、いつか緑も根付くかもしれませんから」
「ええ。こんなに大変な世界で生きてる方々ですもの。きっと逞しく力強い花を咲かせるでしょう」
 風花に励まされ、ティーシャの顔に覇気が戻る。
 種とは希望。そこから花開くのは未来という可能性。猟兵として出来る、過去を撃退する以外の世界への貢献だ。
「ふふ、種と言えばこの果物も。日持ちを優先して選びましたけど、きちんと植えればこの世界でも増やせるかもしれませんね」
「そうですね。保存食に加工したら食べて終わりですけど、ティーシャさんの持ってきた新鮮な果実なら食べた後にもつながりそうです」
 会話の区切りを迎え、休憩はこれで終わり、と風花がティーシャの肩を離れる。
「もう一度、上空から見てきますね」
「ええ、お願いします風花さん。物資を守るには、やはり集積ポイントからは離れていて開けた場所がいいでしょうか?」
 風花の爪先を指先で押し上げつつ、ティーシャは首を傾げた。
「どうでしょう。私とティーシャさんの戦闘スタイルだと、開けすぎない場所のほうが戦いやすいかもしれませんね」
 紫銀の軌跡と共に言葉を残し、風花がふわりと舞い上がる。目指すのは崩落したプラントの天井。そこから外へ出て周囲を見渡せば、建物の間取りは一目瞭然だろう。
 風花が検討を付けた先へ、ティーシャがコンテナを押す。程なく、2人の猟兵は物資を集めるのにちょうど良さそうな資材搬入口へと辿り着くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クリスティーヌ・エスポワール
この地を、自分の目で見るのは初めてね
……この地でも人が生きている
なら、私は守るだけよ!

プラントに【エレクトロレギオン】で召喚した無人機を放ち、人海戦術で調査開始
全機とデータリンクして視覚情報を共有
マッピング及び気になったオブジェクトを記録しておくわ
戦闘用だから凝ったことはできないけどね

ある程度情報が集まったら、レギオンに瓦礫などの破壊や撤去をさせつつ、私自身は【ハッキング】や【情報収集】でプラントの機械を調査
化学調味料ということは、原材料も残ってるかもしれないし、化学反応を起こしたり、機械の操作で罠に使えるかもしれないわ
「使えるものは、何でも使わせてもらう。そうでもしないと生き残れないならね」


エコリアチ・ヤエ
ふぅむ。プラントなぁ。
とりあえず俺の死霊を暴れさせるには広さとかが欲しいとこだが、俺自身は隠れていたい。どっかにそこそこの広さがある場所を覗ける隠れ場所とかありゃ嬉しいんだが……俺の体がでかすぎてダメか……?
確実に戦闘になりそうなところには時限式爆弾もいくつか仕掛けとくか。
使わなきゃ後で回収すりゃいいしな。
動いてる機械とかあると危ねぇからあんま無茶はするつもりはない。
それと後々の事を考えて探索がてら残ってる物資(調味料など)があったら無理なく持てそうな分は確保しとくか。
他にも探索してる猟兵は居るだろう。倒れたら危険そうなものなどを見つけたら予め排除したりもしておく。必要があればUCも使用。




●自動台車と電脳探査
 転移ゲートから始まるコンテナの運搬は楽々と進んでいた。
「ゲート近くに使える台車があったのは助かったぜ」
 お陰でユーベルコードが楽に使えた、とはエコリアチ・ヤエ(悪魔の呼び声・f00287)の談。積んだコンテナの重さをまるで感じさせず動き回るその台車は、エコリアチのユーベルコードで強化改造されて押し手も不要だ。
「クリスティーヌ、そっちの探査だとどうだ?」
「そうね……先行した猟兵のドローンから貰ったデータと突き合わせても、戦場の選定が終わり切ってないわ」
 台車の操作に手が取られない分、プラントの通路を歩く2人の猟兵の足取りは軽い。エコリアチが道を同じくするクリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)に尋ねたのはエレクトロレギオンによる探査結果だ。
「戦場選びなぁ……死霊を暴れさせるだけの広さに、出来れば術者の俺が隠れる場所が欲しいところだが」
「……ちょっと難しいわ。時間があれば、障害物を運び込むのも手、ってくらいね」
 エコリアチの注文にクリスティーヌは難しい顔をする。空になった倉庫や物資集積ポイントになっている資材搬入口付近の駐車場など、広いだけの場所ならば候補にある。
 しかし2m近い巨躯のエコリアチが隠れられるような障害物となると……クリスティーヌは言葉を濁すが、さすがに無理があった。
「それにしても……」
 やや強引な話題転換。
 レギオンからの情報を一時的に電脳ゴーグル――モーヴェー・ズイユから取り除き、クリスティーヌは改めて周囲を見回す。
「自分の目で初めてアポカリプスヘルを見たけれど、人が生きるのは本当に難しい世界よね、ここは」
 荒廃したプラントは否が応でも滅びを思わせる。肌で感じる世界の終わりに、クリスティーヌは悔し気に言葉を漏らした。
「ま、これからでも間に合うことはあるさ」
 どこか悲観的なクリスティーヌの背を、しかしエコリアチは気楽に叩く。
「助けられる奴らが居るから、俺らはここに来たんだ。気負い過ぎると続かねぇぜ?」
 出来ることから着実に。気負い過ぎずに余裕を持て。それはクリスティーヌの倍近くを生きたエコリアチだからこそ出来る年長者ならではの激励。
「――そうね! まずはこの地で生きてる人を守らなきゃ」
 エコリアチの言葉に納得してか、クリスティーヌはモーヴェー・ズイユの位置をただして気合を入れなおす。
「広さと障害物を両立している場所、だったかしら」
「ん? ……ああ、そうだな。それがあれば理想だが」
 改めてクリスティーヌが尋ねるのはエコリアチの望むロケーション。モーヴェー・ズイユから映すのは、物資搬入口から程近いコンベアルームの見取り図だ。
「ここはどう?」
「ふむ……実際に行ってみなきゃ判らんが、その価値はありそうだな」
 AR投影された見取り図を見て、エコリアチは顎を撫でる。見取り図通りならベルトコンベアは障害物として十分。通路幅も、余程な大人数でない限り問題ないように思えた。
「ここ、出入口が瓦礫で塞がっていて人の出入りがないみたい。もしかしたら、パッケージされた調味料や荷解き前の原材料もあるかも」
 少しばかり興奮した口調でクリスティーヌがまくし立てるのは、罠に使えそうな原材料に心当たりがあるからだろう。
「ほう。なら罠の爆弾もそこらあたりが良さそうか」
「そうね、オブリビオン・ストームの発生位置次第では誘い込みにも追い込みにも使えると思うわ」
 意気揚々とした様子で頷き、クリスティーヌは先を急ぐ。
「パッケージされた調味料、か……」
 一方、エコリアチはコンテナを載せた台車を物資集積ポイントへと送り込みつつ新たな即席台車を召喚する。
「使えそうなのがあれば、無理のない範囲で確保するとするか」
 新たな即席台車に乗り込み、エコリアチは先行したクリスティーヌを追うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ヘリキャット』

POW   :    猫達の黙示録
予め【オペラのメロディを大音量で流す】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    キャットアタック
レベル×5本の【対戦車ミサイルを発射した後、火薬】属性の【多数の無誘導ロケット弾と、ガトリング砲】を放つ。
WIZ   :    ネコボーン大作戦
レベル×1体の、【頭にかぶっている戦闘用ヘルメット】に1と刻印された戦闘用【ライフルや手榴弾を持った仔猫兵】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。

イラスト:kamiya jun

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アポカリプス・にゃう
 猟兵たちが物資を満載したコンテナを、プラントの資材搬入口に積み上げてからしばらく。にわかに曇り始めた空は急激に闇を深くし、数分としないうちに巨大な竜巻……オブリビオン・ストームを産み落とした。
 嵐の只中から響くのは、壊れかけのスピーカーが吐き出す勇壮な戦場音楽。ブレードの回転音もやかましく、嵐を切り裂き次々と姿を現わすのは無数の猫、猫、猫。
「うにゃあ! イェーガーだにゃあ! 物資もあるにゃあ!」
 背にはヘリコプターじみたバックパック、腹に抱えるは六連銃身のガトリング。誰が呼んだか、その名はヘリキャット。
「イェーガーは殺すにゃあ!」
「物資は頂くにゃあ!」
 バタバタとホバリングの音を響かせ、ヘリキャットたちは真っ先に猟兵を狙った。

 ヘリキャットたちを生み出したオブリビオン・ストームはいつの間にか消え去り、後に残るのは荒涼としたいつも通りのアポカリプスヘル。ストームの消えた今、オブリビオンにこれ以上の援軍はあり得ない。
 さぁ、物資を守り、オブリビオンを打ち破るのだ!
※補足
 現在の戦場は「資材搬入口から程近いコンベアルーム」です。
 数本のコンベアにより何本かの通路に区切られたこの部屋は程よい広さがあり適度な障害物も配置されています。
 物資は資材搬入口側に集められており、苦戦しなければオブリビオンの攻撃に晒されることもないでしょう。
 地形利用は大成功率を底上げし、物資防衛は苦戦率を引き下げます。
エル・クーゴー




●WIZ
躯体番号L-95
当機は戦闘用機械兵器群の用兵に高い適性を発揮します

目には目を
歯には歯を
猫には、猫を

友軍を展開します
コール、ウイングキャット『マネギ』


・己はコンベアルーム最奥、障害物影に布陣し電脳世界を展開

・マネギ全機フル召喚、ヘリキャットに対する戦線を築く
・尚こっちの猫もアーミーっぽい武装とかを搭載したり懸架したりして送り出す(武器改造+メカニック)

・全マネギにビーコンを設定し布陣及び残機状況をレーダー投影、また視覚情報も随時集約(撮影+情報収集)、用兵術の精度を上げる

・コンテナ影には、周辺風景を取り込み生成した電子の【迷彩】を施したマネギを配置、物資簒奪狙いの敵をアンブッシュさせる


木常野・都月
ヘリキャット…
なんだろう、地味に負けた気がするのは…
猫が空を飛ぶとか…ズルくないか?
俺だって空飛びたい。

ってショックを受けてる場合じゃない。
物資を守らなきゃ。

[野生の勘、第六感]を使って物資周囲の情報収集をしたい。

物資に近づく猫からUC【狐火】で焼き落としていきたい。

敵の攻撃は[範囲攻撃、属性攻撃]で[カウンター]を狙って迎撃したい。

無理なら[オーラ防御]で物資を[かばう]ようにしたい。

俺も空飛べるような魔法かUC、研究しようかな…


エコリアチ・ヤエ
はーまじか!よりによって、なんでこんなカワイイのが敵なんだちくしょう、やりにきぃな。
とにかく本体に攻撃を入れるべく、襲い来る仔猫の動きを見切り、逃げ回りながら呪詛を使って攻撃する。仔猫も攻撃したくねぇが本体もまじで攻撃しにくい!凶暴な装備をしてるのにかわいい!!(キレる)
逃げ回るのには環境の障害物なんかを活用していく。多少の傷は覚悟の上だ。ある程度ならUCで力に変換。生命力吸収で活動エネルギーに変換。
それ以上に攻撃を喰らいヤバそうなら念動力で仔猫たちを引き剥がす。
もし猫たちが物資にたかるようなら仕方ない、心苦しいが攻撃をするか。
[アドリブ・連携可]



●猫嵐サーカスファイア
 オブリビオン・ストームから現れたヘリキャットたちへの反応は、おおよそ2種類。
 即ち、冷静に戦闘の構えを取るもの。
 もしくは――
「なんでこんなカワイイのが敵なんだちくしょう、やりにきぃ!」
 そこで絶叫しているエコリアチのようにヘリキャットのふてぶてしい可愛さに怒りや戸惑いを覚えながら、強引に戦闘へと意識を向けるもの。どこか呆然とした様子で宙を舞うヘリキャットを睨んでいる都月も、大別すればこの分類に収まるだろう。
「とにかく本体だ、ヘリキャットから降りてくる子猫どもは大元を叩いて終わらせる!」
 戦闘機動を取るヘリキャットに加え、その後方にはユーベルコード製の子猫(注:とてもかわいい)を投下している個体も居る。エコリアチの叫び通り、子猫を生み出し続ける本体を叩かねば物量差で負けかねない状況だ。
 故に、その声は救いであった。
「猟兵、ご安心を。当機は戦闘用機械兵器群の用兵に高い適性を発揮します。雑兵のお相手はお任せください」
「援軍か!」
「肯定。これより躯体番号L-95はエレクトロレギオン・オルタによる友軍展開を開始、戦闘状況を開始します」
 声は猟兵たちの背後、集積されたコンテナが発信源。物陰に身を潜めたまま通信回路に大胆な割込みをかけたのは、オブリビオン・ストーム発生と同時に戦地を訪れたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)であった。
「エレクトロレギオン・オルタ? ともかく、この状況を打開できるなら大歓迎――」
 ヘリキャットからの火線を受け止めつつ、援軍の到来に笑顔で後背を振り向いたエコリアチは……言葉を無くした。
「ウィングキャット『マネギ』全機召喚、データリンク良し」
「かっ――!?」
 かわいいの4文字すらエコリアチに発する余地はなく。何故ならば、オブリビオン・ストームが生み出したのがヘリコプター・キャットに対して、猟兵側が用意したのはファイター・キャットであったが故に。
 エコリアチが前を向けばヘリコプター装備の猫。後ろを振り返れば戦闘機めいた形に翼を広げた猫。戦場は何処を向いても猫尽くしだ。
「な、な、な――」
 そして、ヘリキャットという存在すら受け止めかねていた都月がついに噴火した。
「俺だって、空飛びたいのに! 猫が空を飛ぶとか……ズルいぞっ!」
 エコリアチの発した(致死量の可愛さを摂取したことによる)断末魔に負けず劣らずの大音声。絶叫と同時にぶわぶわと黒毛の尻尾が逆立ち、毛先という毛先から狐火が迸る。
「猟兵、バイタルに乱れがあります――猫はお嫌いですか?」
「ちげぇよ、好きだからこうなってんだよ!」
 どうやら、エコリアチがツッコミを入れるだけの余裕を取り戻したようだ。
「俺の場合は、単純に負けた気がするだけだ……でも、いつか必ず、俺も空を飛んでみせるからな!」
 エコリアチ渾身のツッコミを耳にして、都月が己を取り戻す。それと同時に、都月の尾から無軌道に放たれていた狐火たちが次々にフォーメーションを組み戦い始めた。
 あるものは燃え盛る火柱の柵として、あるものはヘリキャットをどこまでも追い回す追尾弾として。とはいえ、物資を守るために割かれた狐火の数は全体の半数以上。都月単体で見れば打撃力は不足気味であった、が。
「防衛網の構築を確認。マネギ各機に攻勢を指示」
 都月の熱く、厚い防御柵を見てエルが即座にマネギたちの動きを変えた。
 若干メタボリックな本体と、そのサイズに見合わぬ小さな羽。しかし、その動きはヘリキャットとは比べ物にならないほどに鋭く、素早い。機銃掃射で地上を走る子猫たちを掃討し、宙を駆けるヘリキャットに対しては空対空ミサイル(猫サイズ)による牽制を怠らないマネギたち。
「うにゃにゃにゃ!? でも、小回りならミャーたちのほうが――」
 ヘリキャットも無抵抗な訳はなく、巧みなホバリングやチャフグレネードを放っての回避に余念がない。
 そう、エルの指揮するマネギ軍団を相手にするだけならば。
「だとしても、お前たちはエルの猫に集中しすぎた」
「みゃぁ!?」
 マネギ軍団に気を取られたヘリキャットが相手ならば、都月の打撃力は十分だ。
 追尾弾として宙を舞っていた数個の狐火が、都月の指刀に合わせて急ターン。ヘリキャットを完全に圧し包み、巨大な狐火へと変じながらこんがりと焼きあげていく。
「俺の狐火がある以上、コンテナにはこれ以上近寄れると思うな!」
 灰となり骸の海へ還ったヘリキャットは一顧だにせず。都月は力強い言葉と共に狐火で構築された防御ラインを誇示するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イデアール・モラクス
@
何が出てくるかと思えば…物騒極まりない喋る猫とはなぁ。
まぁよい、油断なく容赦なく徹底的に殲滅してやる。

・方針
物資へ続く道を守り抜く、この地形ではいつもより気を使った戦いを余儀なくされる私は攻勢に出るより守りを担った方がよいとの判断だ。
「私がいる限りここ先は誰も通れぬし、何も通さぬ」
道を鉄ゴーレムと共に封鎖し、私は目につく全ての敵、弾丸、砲弾に対して【鏖殺魔剣陣】を『高速詠唱』で連射して敵を『蹂躙』し攻撃を『武器受け』する。
「いつもみたいにバカスカ撃つのでは物資に傷がつくからな…ズタズタにされないだけ感謝しろよ、猫ども」
魔剣が『串刺し』にした対象はすかさず『属性攻撃』で凍らせ即死させていく。


フローラ・ソイレント

WIZ判定

・行動
部屋の壁や天井などにUCでマーキング
そこに敵を磁力で引き付けたり
自身を刻印へ向けて電磁加速で打ち出したりして疑似的な空戦を行う

・戦闘
敵の動きを「見切り」、「限界突破」した身体能力で飛び上がって
空中機動は『電磁覇気』による誘導(「念動力」)でサポート
「部位破壊」でヘリのローター部を狙い敵を地面に叩き落し続ける

・UC演出
手の甲に文殊菩薩の種字(梵字)を輝かせ
飛び上がりながら辺りを殴りつける

攻撃がハズレ続けて敵が油断した所で
気が付くと部屋中に刻印が浮かび上がり

UC詠唱を高らかに唱え敵を倒す

・セリフ
ヘリが相手なら広くないほうが良かったですかね
まぁ天井があるなら何とかしましょうか


クリスティーヌ・エスポワール
来たわね……!
ストーム自体も気になるけど、今はこいつらを蹴散らす!

まず、レギオンは展開しつつ奥の物陰に伏せさせるわ
そして、私自身は小型拳銃……エギュイーユを手に遮蔽を取って射撃
「流石にこの数じゃ厳しいわね……」
と言いつつ撤退のフリをしつつ奥へ
ある程度付いてきてくれたら大成功ね

進路の途中には、前章でエコリアチが仕掛けてた爆弾が
「今よ、お願い!」
爆弾を炸裂させて、敵の数を減らしつつ障害物を壊して敵の分断を図るわ
敵が少しでも動きを止めたらチャンスと捉えて、伏せたレギオンを出現させ、一斉攻撃!
「伸びた隊列の分断と各個撃破は兵法の基本よ。さぁ、授業してあげるわ……一列横隊で前進、殲滅しなさい!」



●鉄と剣と爆薬
 コンベアルームには何か所か天井の低い場所が存在する。
 天井を形作るのは配管・配線用のパイプであったり、あるいは作業用の足場として設けられた橋であったり。ともかく、高さ2~3m程度の狭い場所があるのだ。
 空戦を行うヘリキャットからすれば大した事ない障害物だが、猟兵からすれば射線切りやいざというときの遮蔽としてこの上なく便利な代物。
「さすがに、あの数相手は厳しいわね――!」
 そう、今クリスティーヌがヘリキャットの機銃掃射を避けて逃げ込んだように。
「うにゃ! イェーガーが逃げ込んだところを追撃するにゃ!」
「っと、そう簡単には行かせないぜ?」
「みゃぁ!?」
 そしてクリスティーヌを追撃しようとしたヘリキャット目掛けて対空アッパーカットを放つのはフローラだ。まるで空中に吸い寄せられるような動きで放たれた拳がヘリキャットの鼻先を掠める。
「助かるわ、フローラ!」
「いえ、無事で何よりです、クリスティーヌさん!」
 まさにヘリボーン中だった子猫数匹を吹き飛ばしながらの一撃に、ヘリキャットは慌てた様子でホバリングを解除。すぐさまフローラの拳が届く圏内から逃げ去る。
「間一髪にゃ! 当たらなければどうということないにゃ!」
「ああそうだな、当たらなければ――しかし、フローラの拳を避けた上で私の魔剣までいなすことが出来るかな?」
「み゛っ!?」
 急激な上昇機動で勢いのついたヘリキャットを狙うのは霧氷を纏った1本の魔剣。イデアールの視線誘導で放たれた鏖殺魔剣が、地対空ミサイルよろしく物資集積ポイントから放たれたのだ。
 他猟兵も参加する物資防衛最終ラインの要をアイアン・ゴーレムと共に努めつつ、要所では先のような援護も忘れずに。視線誘導による高精度な魔術的狙撃は、戦場の最後衛からヘリキャットに対処するのにうってつけだ。
「よくもやったにゃあ!」
 ヘリボーンした武装子猫たちの一斉射に加え、ヘリキャット自体からのミサイル一斉射がイデアールを狙う。
 だが。
「ふん、ズタズタにされないだけ感謝するがいい、猫ども! 物資防衛が無ければ貴様らなぞプラントごと切り刻んでいるからな!」
 高精度狙撃から弾幕射撃へ。放たれる魔剣の密度はイデアールの思うがまま。オブリビオンが弾幕射撃で攻めてくるのならば、それらを迎撃してなお余るだけの魔剣射出で応えるのがイデアールのポリシーだ。
「にゃあ――!?」
 絶対零度を纏った魔剣がヘリキャットへと突き刺さり、一瞬のうちに氷像に変える。
「私が居る限り、これより先には子猫一匹通れぬ……いや、通さぬ!」
 故に安心しろ、とでもいうように張り上げた声は前衛への叱咤。
「そういうことならっ!」
「私も、負けてられないわ!」
 そんなイデアールの声を受け、フローラとクリスティーヌも攻勢に出る。
「ヘリボーンはさせないわよ……!」
 クリスティーヌが両手でしっかりと構えた小型拳銃――エギュイーユでヘリキャットを牽制し、その間にフローラが助走を経て加速。
「うにゃにゃにゃ!?」
「ナイスアシストです――そぉら、オレの拳を喰らいやがれっ!」
 2撃目はまるで地面から跳ね上げられるようなジャンプアタック。手の甲に浮かんだ文殊菩薩種字の輝きと共に放たれたフローラの拳がヘリキャットのローター基部を捉え、見事に1機を撃墜する。
「そしてここが、絶好のポジション!」
 振り抜いた拳を引き戻し、己の掌へと打ち付ける。乾いたその音と共に、戦闘中に刻み続けていたフローラの刻印が一斉に輝き出す。
「内なる小宇宙を外界に投影す、これ成るは我が世界なり――磁極流、法界曼荼羅!」
「い、一体何の光にゃぁ!?」
 ローター基部を破壊されたヘリキャットを中心とし、周辺の鉄を含んだ瓦礫や武装子猫たちが一気に寄せ集められる。無数の刻印を束ねることで強化された磁界がヘリキャットを中心に発生したのだ。
「――磁界、圧壊ッ!」
 強力な磁力は重力とほぼ同義。ヘリキャットを中核とした金属球が、フローラが拳を握り込む動作と共に小さく小さく圧し潰された。
「また仲間がやられたにゃ!?」
 一瞬のうちに撃墜数が2へ。仲間をやられたヘリキャットたちが、憤怒の表情で猟兵たちへと突っ込んでいく。
「フローラさん!」
「――了解、引きつけます!」
 クリスティーヌの声に、何かの策があるとフローラは僅かに前線を下げる。先導するクリスティーヌに従い、走り込むのは天井の低い隘路だ。
「待つにゃぁあああ!」
 ヘリローターの爆音も高らかに、ヘリキャットたちが狭い通路へと雪崩れ込んだ、その瞬間。
「……今よ、お願い!」
 クリスティーヌが押し込むのは起爆スイッチ。同僚の仕掛けた爆薬を借り受けて、最高のタイミングで発破したのだ。ヘリとしての機動力を生かせない狭い空間へと誘い込まれたヘリキャットたちがその爆発を避けられる訳もなく。一瞬のうちに数機のヘリキャットが瓦礫に飲み込まれた。
「伸びた隊列の分断と各個撃破は基本よ――エレクトロレギオン、一列横隊で前進!」
 そして、一度でもオブリビオンの攻めが崩れればそれが逆撃の端緒。クリスティーヌの号令に従い、コンベアルームの随所に伏せられていたレギオンたちの弾幕射撃が未だ残るヘリキャットたちを物資から遠ざけていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティーシャ・アノーヴン
風花(f13801)さんと共に。

先程のものがこの世界のオブリビオン・ストームですか。
思った以上に異質なものですわね。
さて、相手はどうやら猫のような生物。
可愛らしいとは思いますが、果物を一つ渡して帰ってくれそうにはありませんわね。

どうやら直線的な攻撃が多そうです。
囲まれないようにだけしましょうね。
地形を利用し、障害物を盾にして死角を作らないように。
幸い、相手は自分の位置を音で知らせてくれます。
ある程度の位置の把握は出来そうです。
天からの光で一匹ずつ丁寧に狙いましょう。

怖いのは爆発するものですわね。
私はともかく、風花さんは爆風には気を付けてくださいませね。
私の体を盾にしていただいて構いませんので。


七霞・風花
ティーシャ(f02332)と

これはこれは……やたらと好戦的な猫たちのようですね
姿かたちだけは可愛いようですが、中身がこれでは台無しかと思いますよ?
ここはひとつ「平和的に」お帰りいただくとしましょうか

ええ、そのようで……射線を切りながら動きましょう
囲まれて集中砲火だけは避けたいところですが、まあ、ふたり連携すれば何とかなるかな?
私はこのとおりの体躯ですので、そもそも的として小さいのですが、ティーシャさん当たらないようにしてくださいね
そして猫さんたちはもし当てたら――後悔させてさしあげますからね

爆発は、ええ、まずいですね
強い風は私を容易に吹き飛ばします……が、盾にはしませんよ、盾には



●嵐を越えて
 物陰を巧みに使い、ティーシャと風花はヘリキャットを1匹ずつ確実に仕留めていく戦法を取っていた。
「オブリビオン・ストームが想定以上に異質だったこともありますが……!」
「つくづく、好戦的で姿形の可愛さが台無しですねっ!」
「ええ、可愛らしいのは同意です――外見の可愛さ通りに、果物1つでお帰り願えれば何よりだったのですが」
 ティーシャがちらりと後衛を省みる。コンテナの隅にちょこんと置かれた籐のかごは目立った破損こそないものの、戦闘の余波で多少煤けていた。物資への手出しに遠慮がないヘリキャットに、ティーシャはオブリビオンが彼岸の存在であることを改めて思い知る。
「ええ、ですからこうやって『平和的に』お帰り頂いているわけで」
 ティーシャの肩から飛び上がり、一瞬だけ射線に身を晒す風花。事前の集中により発動寸前に溜め置かれていたユーベルコードが解き放たれ、フェアリー用ロングボウから放たれたとは思えない鋭い一撃となってヘリキャットを射抜いた。
「うみゃぁ!? よくもやったにゃあ!」
「援護します、風花さん!」
 物陰から突如として現れ矢を射掛けてきた風花にヘリキャットの意識が向けば、その瞬間にティーシャの援護が飛ぶ。空という巨大な弓を用いて打ち出された天光の矢が、ただでさえ崩れかけている天井に穴を開けながらヘリキャットの進路を塞いだ。
「くっ、やはり間に遮蔽物が多いとズレますね」
 想定よりも効力の低い一撃に、ティーシャは思わず唇を噛む。
 ティーシャとしては隙を生ぜぬ2段構えでとどめを狙った一撃。しかし、障害物やヘリキャットの移動速度変化など様々な要因が重なったことで、その一撃は風花の離脱時間を稼ぐための牽制へと変じてしまった。
 そして、仕留めきれなかったヘリキャットが己を傷つけた猟兵たちに牙を剥く。
「仕ィ返ェしにゃああ!!」
 編隊を組んだヘリキャット達が一斉に逆襲を開始。放たれるのは無数の誘導ミサイルと引き続いての機銃掃射に無誘導ロケット弾。同タイミングでヘリボーン済の武装子猫たちの火線も加われば、猟兵を吹き飛ばすには十分な火力が2人に集中する。
「いくら私が的として小さいといっても――」
 機銃掃射はともかく、ミサイルやロケット弾の爆風は風花の小さな体躯を巻き込んで吹き飛ばすのに十分。咄嗟に爆風圏内から逃れようと動くが……弾幕の密度が十分な回避を許さない。
「風花さん!」
「ティーシャさん!? そんな!?」
 風花を庇うように躍り出たティーシャに、風花は思わず絹を裂くような悲鳴を上げた。
「大丈夫です、迎撃はどうにか……」
「だからって、無茶が過ぎます!」
 風花を庇うティーシャの背後には、これまで以上に野太い天光の矢。レーザーのように照射された光はなんとかヘリキャットの攻撃を遮っているが、それもどこまで続くか。
「でも、あの爆風に風花さんが巻き込まれたら」
「それでティーシャさんが傷ついては本末転倒なんです!」
 互いを思い合うが故の言葉が交錯。
 しかし、そんなことにヘリキャットたちが構う訳もなく。
「そこにゃあッ!」
「っ!!」
 途切れる天光。ティーシャの背中を捉えたヘリキャットたちの猛攻が、遮るものを失って直撃コースに乗る。ティーシャは背後から迫る攻撃の圧に、思わず息を呑み――
「やらせませんっ!」
 己を守るティーシャの手をすり抜け、風花が飛び出した。
 集中時間は十分。ロングボウに番えたのは全魔力を注ぎ込んだ魔の一矢。フェアリーが扱うとは思えないサイズにまで巨大化した一本の矢は、放たれると同時に分裂して視界内の標的全てを穿った。
「み”っ!?」
 ミサイルやロケット弾がまとめて迎撃され、一部はヘリキャットたちを巻き込んで爆裂する。武装子猫たちをも巻き込んだその爆発は、オブリビオンの出鼻を挫くに十分。
「ティーシャさん!」
「はいッ!」
 ティーシャの指がビシリとヘリキャットたちを捉えると同時、防御にも用いた極太の天光が残るヘリキャットたちをまとめて呑み込むように降り注ぐ。
 派手な爆発音は存在しない。清らかな光は粛々とオブリビオンを骸の海へと送り返し、戦場に静謐をもたらすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『さあ何を作ろうか』

POW   :    得意料理を振舞う

SPD   :    想い出の料理を作る

WIZ   :    自分の好きな食べ物をご馳走する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦場を越えて
 戦闘音を聞きつけたのだろう。ブリーフィングで予想されていたより早い時刻に、オアシスシティからのトラックがプラントへと到着していた。
 最初は警戒していた奪還者たちもいくつか言葉を交わすうちに猟兵たちの厚意を素直に受け取り、コンテナを次々とトラックへと積み込んでいく。

 目指す先はオアシスシティ、ホテル・オアシス付近の広場。
 物資が運び込まれる予定のテントには猟兵たちが炊き出しの手伝いをするにも十分な広さがある。調理器具や施設については持ち込みや工夫が必要だろうが、それもまたアポカリプスヘルらしい光景だ。
 得意料理に思い出の料理、あるいは自分の好む料理。猟兵たちがそれらを振る舞うのであれば、現地の人々は喜んで食べてくれるだろう。
フローラ・ソイレント


POW判定

・得意料理をふるまう

私は食事がほとんど必要ないのですが
愛用している保存食を振る舞いましょう

(アイテム『ソイレントグリーン』を取り出す、
銀色のパッケージに包まれた緑色のクラッカー風な物質
所謂ディストピア飯)

封を切ってこのクラッカーのまま食べてもいいのですが
水を足してペースト状にすると食べやすいですよ

これ一つで必須栄養素をほとんど賄えます(心なしかドヤ顔)



●Soybeen,Lentil,Soylent
 フローラ・ソイレントはデッドマンである。
 デッドマンといっても個体差はあり、フローラは食事をほとんど必要としない。そんな『食べる機会が頻繁でない』からこそフローラの愛用する食料がある。
「さ、みなさん。これを」
 オアシスシティの炊き出しテント。調理スペースと食事スペースは大雑把に区切られており、フローラが居るのは食事スペースの方。生存者たちが食事を求めて集まったとある机の上にフローラが置いたのは、銀色のパッケージに包まれた保存食であった。
「ああ、ありがてぇ」
 痩せて筋の見える手でパッケージを取り、生存者はフローラを拝む。
「それなら、お腹を驚かさないためにも水を足すといいかもしれませんね」
 にこにこと満面の笑顔を浮かべるフローラ。ワンポイントアドバイスを受けて水筒を取りに行く生存者もちらほらと。
「それじゃあ、さっそく――」
 ぴり、と。パッケージを剥く音は簡素。
 しかし、その内側から覗いたのは原色の緑。いっそ人工着色料を使ったお菓子とでも言われた方が納得のいくクラッカー状の保存食。
「あの、こりゃ一体」
「これ1つで必須栄養素をほとんど賄える完全栄養保存食、その名もソイレントグリーンです! 私も愛用してるんですよ」
 鼻息を1つ漏らし、得意げな顔で胸を張るフローラ。保存食にしては異様な色のソイレントグリーンに怖気づいていた生存者たちも、フローラの様子を見ておずおずと口を付け始める。
「――うめェ」
 その呟きが漏れたのはソイレントグリーンを1枚食べ終えた生存者から。
 愛用する保存食が不満なく受け入れられたのを見て、フローラはさらに数個のパッケージを机の上に追加するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イデアール・モラクス
@
さぁ宴だ宴だ!
滅びの足音が遠のくくらいに食え、歌え!
勝利の味と生きる悦びこそが明日を越える活力になる、闇晴れぬ地でも無限の荒野でもそれは変わらん!

・宴
「メシが終わったらコイツらを摘んでも構わんぞ…なんてな」
UC【使用人召喚】で我がメイド達を大量に呼び出し、奴らの『運搬』と『礼儀作法』の技術で炊き出しの配膳を効率的に行い、その『料理』の腕で精がつく美味いメシをたくさん作らせるのだ。
「火や水が足りんなら私に言え、大盤振る舞いしてやる」
調理に必要な器具や火力、水は私が『全力魔法』の錬金術や『属性攻撃』魔術で用意してやる。
無論、食欲じゃないのを満たしたい奴がいるなら相手もしてやるよてアーハッハッハ!



●魔女の宴
 炊き出しテントの一角は白と黒のお仕着せを纏った少年少女によって占められていた。調理、配膳、下膳、後片付け――各段階にそれぞれ十数名ずつ割り当てるだけの規模の集団はイデアールがユーベルコードで呼び出したメイドたちである。
「さぁ、宴だ宴だ! 滅びの足音が遠のくくらいに食え、歌え!」
 そしてそれらの一切を取り仕切っているイデアールがこの調子であるから、集まってくる生存者たちも比較的体力のある連中、つまりは奪還者が中心。
 食欲が満たされれば次は性欲とでも言うように『食後の運動』をイデアールが仄めかしたこともあって、その中の幾人かはそわそわと落ち着きのない様子を隠せずにいた。
「火が足りん? 問題ない」
 メイドの1人が耳打ちした内容に、しかしイデアールは一瞬の躊躇もなく魔術を行使。調理スペースの机に直接魔法陣を書き込み、即席のIHクッキングヒーターへと様変わりさせる。
「料理用の水が無いだと? 私を誰だと思っている」
 別のメイドがそう耳打ちすれば、ユーベルコードの応用で作り出すのは1m立方ほどの氷塊がひとつ。適度なサイズに切り出して鍋に乗せれば、すぐに溶けて水となる。
「勝利の味と生きる悦びこそが明日を変える活力だ――死なない程度に、たらふく食え」
 そうやって魔術の大盤振る舞いで用意するのは、アポカリプスヘルの基準からすれば贅沢や豪奢を通り越したランチのフルコース。
 食の細いものでは到底食べきれない量だが……この場に集っているのは物資集めのために己を鍛えた奪還者たち。食えるときに食うのも仕事だとでもいうように、奪還者たちは腹いっぱいになるまでその食事を楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エコリアチ・ヤエ
プラントでは酷い目に合ったな…気を取り直して頑張るか
まだ復興仕立てならガッツリした料理とか喉を通らねぇだろう
とりあえずオートミール粥か、あるいはパン粥だな
人数がいるなら水分で膨れる分多く作れるうえに少量でも腹が膨れやすい粥は丁度いいだろう
こういう時はとにかく口に入れて栄養をとらねぇとな
持ち込んだ物資を見て必要なものは取り出しておくぞ
寸胴鍋ぐらいはあるだろ。なきゃ街の飲食店跡とかを探して見つけてくる
ガスコンロとかがなきゃ適当な瓦礫やブロックで組んだ即席の焚き火台を作る
こういう炊き出しは散々戦場でも経験してきてるからな
住民にこちらから声はかけない
喋るのも気力がいるしな
声かけられたら愛想よくするぜ



クリスティーヌ・エスポワール
さて、ようやくの炊き出しね
なにか安心できる食べ物を提供したいけど……そうね、以前やったアレで行きましょう

アイテムの「寸胴鍋」に合う、キャンプ用ハイカロリーバーナーを持ち込むわ
その中に、キャベツと豚肉を重ねて、一番上にトマトとチーズ、更にコンソメスープを入れて、スープが半分以下になるまで煮込んで……切り分けたら、キャベツ煮込みの出来上がりよ
コンソメベースながら、トマトの酸味とチーズの包み込むようなコク、キャベツと豚肉のダシも出た、なかなかの一品よ
最初に作った時のトマトの出どころはUDCだったけど……これは言わぬが花かしら
「さぁ、良かったらキャベツ煮込みを食べていって!」
いい香りのそれを差し出すわ


木常野・都月
大きい鍋とおたまが欲しいけど…なさそうなら所属旅団から借りてきた調理器具を使う。

コンテナから使えそうな食材を見繕って、スープを作りたい。

ヒトは野生のヒトじゃないからな、胃腸が弱い。
飢えて空腹なら尚更だ。

スープなら、飢えた腹に優しいし、何より栄養もスープに出るから栄養を余す所なく食べられる。

食材はダガーで一口大に切って、鍋に入れる。

水は貴重だから少なめに。
野菜から汁も出るだろうし様子を見て足す。

味付けは、これも旅団からこっそり持ち込んだコンソメと塩。
野菜自体に旨味があるから、コンソメと塩程度でいいだろう。

後はUC【狐火】で、コトコト煮るぞ。
底が焦げないように気をつけたい。



●空腹にやさしいパンスープセット
 調理スペースに並ぶ猟兵は2人。黙々と調理作業を行っているのはクリスティーヌと都月である。
 クリスティーヌの持ち込んだ寸胴鍋に加え、エコリアチがオアシスシティのレストランから漁ってきた鍋が数個。クリスティーヌと都月がトントンと刻んでそれらの鍋へと丁寧に入れていくのは刻みキャベツと豚肉をミルフィーユ状に重ねたものだ。
 仕上げに一口サイズに刻んだトマトとシート状のチーズを敷き詰めれば、クリスティーヌの持ち込んだキャベツ煮込みスープの仕込みが終わった。
「それにしても」
「ん、どうかしましたか、都月さん」
 それを機に都月がクリスティーヌに話しかける。
「俺と同じようなことを考えている人がいて、助かった」
「それはこちらこそ、ですよ都月さん。これだけの数を1人で仕込むのは大変だもの」
 あとは煮込むだけとなった鍋の数々を見るクリスティーヌ。現地で拝借した鍋を含めばそれらの数は10個近くに及び、コンテナ複数個分の物資を投じて作られるスープの量は数十人分を賄うに十分。肉や野菜も煮込めば柔らかくなり食べやすく、飢えで胃腸の弱った生存者に優しい。
 スープとなれば水が大量に必要という印象が先行するが、野菜から染み出す水を考えれば鍋1つにつき必要な水の量もたかが知れている。食材の栄養素も煮込む中でスープに染み出して無駄がない。総じて、物資不足のアポカリプスヘルではかなり使いまわせそうなレシピと言えるだろう。
「いや、俺はとりあえず野菜類をまとめて煮込むだけのつもりだったから。具体的なレシピがあって、物資の節約にもつながったと思うんだ」
「なら、お互い様ということね。あとは……エコリアチさんがかまどを作ってくれているのが仕上がればすぐよ」
 都月の礼に肩を竦め、クリスティーヌはすっと手を差し出す。
 延々と食材を切っては並べるという単純作業を終えた2人には充実した連帯感があり、自然と握られた2人の手は握手という形で互いを労うものであった。
「お、丁度よかったか。かまども仕上がってるぜ」
 2人が握手を終えたタイミングでエコリアチが調理スペースに顔を出す。火を直接扱うことから、かまど――もとい焚火台は風通しの良い場所で作っていたのだ。
「おお、いいタイミングだな」
 狐耳をぴこぴこと嬉しそうに動かしつつ、都月が鍋を持ち上げる。無意識か、クリスティーヌを思いやってか、彼が持ち上げた鍋は最も大きく重い寸胴鍋だった。
「たしか、着火は都月に任せてよかったか?」
「ああ、大丈夫だ。狐火も68個まで出せるからな、焚火台も68個までなら平気だぞ」
「さすがにそんなに作れてねぇよ……まぁ、そっちのスープ鍋は全部乗ると思うぜ」
 意気揚々と管理可能な焚火台の数を告げた都月に苦笑しつつ、エコリアチが入れ替わりに調理スペースに入る。
「猫の毛は全て落ちましたか?」
 クリスティーヌに問われ、エコリアチは肩を竦める。猫の毛……敵味方双方に猫が入り乱れた先の戦場でわやくちゃにされたエコリアチは全身にもさもさと猫毛が付着していたのだ。物資を持ち込んでいざ料理、という前にそれを落とす必要もあり、それならばとかまどを先に作ることにしたのだ。
「ああ、かまどを作るときにざっとな。しかし、思い返せばなんとも酷い目にあったもんだ……ま、気を取り直すには十分な時間を貰ったが」
 話ながらエコリアチがコンテナから取り出すのは幾本ものパン。そのままでは、長い間飢えに曝されていた生存者たちにとっては少々ハードルの高い食料だが、カフェを営業しているエコリアチにはとあるメニュー案があった。
「それじゃ、俺はこっちでパン粥の仕込みをしてる。かまどに何かあれば呼んでくれ」
「はい、それじゃあお先に使わせてもらうわね」
 鍋を抱えて調理スペースを出るクリスティーヌを見送り、エコリアチは淡々とパンを小さくちぎってボウルに入れていく。1斤分を一口大よりやや小さく千切り終えると、次に鍋を取り出して水を投入。コンテナに入っていた粉ミルクを少量溶かした後、下味を整えて千切ったパンを浸せばパン粥の用意は終わりだ。
「さて、あとは温めてパンをふやかせば仕上がりだな」
 次に、と取り出すのはオートミールが1袋。水やミルクでふやかせばパン粥以上にかさまし出来て、少量でも栄養素がたっぷり含まれたそれはパン粥ですら口にするのが難しいほどに弱った生存者向けのものだ。
「弱った時は、食うのも億劫になるからなァ……」
 てきぱきとパン粥とオートミール粥の準備を終え、しみじみと呟いたエコリアチの脳裏に浮かぶのはかつて経験した悲惨な戦場の光景。疲弊した体は時としてパンのひとかけらを口にすることすら嫌気の伴うことを、エコリアチは経験として知っている。
 しかし。
 エコリアチが粥鍋をかまどへと運ぶ途中に見た生存者の様子には、希望があった。
 うっすらと漂ういい香り。コンソメベースのそれは、クリスティーヌと都月の作っているスープの匂いだ。それらに触発されてか、食事スペースに列を作り始めている生存者たちの姿がちらほらと。
「(ああ、来た甲斐があったな)」
 少なくとも、今ここに居る生存者たちは生きることを諦めていない。それを確信して微笑みつつ、エコリアチは粥の仕上げに入るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月26日


挿絵イラスト