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お茶会 オン クリスマスデイ

#アリスラビリンス #お祭り2019 #クリスマス

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●狂った世界の温かいクリスマス
 ちょこまかと動く小柄な影が、クリスマスツリーの根元にプレゼントボックスを次々と積んでいく。クリスマス帽を被ったノーム人形のような姿の彼らは大きなクリスマスツリーを立て、飾りつけ、その根元に溢れんばかりのプレゼントを用意していた。
 これは彼らにとってはもう仕上げの段階。料理もお茶もスイーツも、それを楽しむためのテーブルや装飾に至るまで、その小さな体で準備し終えたところなのだ。
 ノーム人形こと……ゆかいな仲間たちは、その小さな体で大きなクリスマスパーティを企画していた。会場の中央には巨大なクリスマスツリーとプレゼントが置かれ。大きなテーブルに並べられるのはノームたちお手製の豪華なクリスマスディナー。転々と置かれた立食用テーブルには真っ白なテーブルクロスが敷かれ、ティーセットとケーキが並べられている。
 問題は、もてなされるべき客が一人もいないことである。
 その問題に彼らが気が付くのはその数分後。楽しんでくれる客がいなければパーティは成立しない。あわてんぼうのサンタクロースよろしく、小さなノームたちがパーティ会場で、どうしようどうしようと右往左往をし始めた。

●クリスマスパーティにご招待
「というわけで。急募! クリスマスパーティに参加したい人!」
 グリモアベースにて声を張り上げるグリモア猟兵が一人。パーティの様子を説明しながら数人の猟兵へ声をかけている。
「通りがかるアリスなんか数が知れているからねぇ。準備することだけ考えて、なぜだれを招待するとか一切考えていないのか……」
 豪華な七面鳥の丸焼きをはじめとしたディナーは食べ放題だし、紅茶に合うケーキの用意も多い。残念ながらお酒はないけれど、クリスマスディナーやお菓子、ジュースなどの飲み物は大体そろっている。足りなくなったらノーム人形のような姿のゆかいな仲間に声をかければいい。
 オウガの襲撃の心配もない世界だからいつも戦いっぱなしの猟兵も安心して楽しめるし、もてなすことを愉しみにしているゆかいな仲間たちが給仕もしてくれるだろう。
 食べることに飽きたらクリスマスツリーの根元に向かうといい。そこには大小さまざま、いろんなプレゼントボックスが積み上げられている。どうやらそれはゆかいな仲間たちの用意した手土産のようで、ひとりひとつ好きなものを持っていって良いそうだ。中身はガラクタかもしれないし、欲しかったものかもしれない。ともあれ、悪いものは決して入っていないことだろう。
「せっかく用意したのに無駄になるのもなんだしねぇ。まあたまには羽を伸ばしてお茶会を楽しむのもいいんじゃないかな。家族恋人友人、好きに誘って楽しんでくれれば、準備した彼らもきっと喜んでくれると思うよ」
 もし参加するならば、アメーラのテレポートによってすぐにお茶会会場へと飛ばされることだろう。会場へ付けばすぐに、小柄なノームたちに手を引かれて立食用テーブルへと割り振られるはずだ。そこから自由に、料理を取りにいくなりケーキを味わうなり、一足先にプレゼントを選ぶなりするといいことだろう。


夜団子
 メリークリスマス! というわけでちょっと出遅れたクリスマスシナリオです。

●今回の概要
 一言でまとめると「アリスラビリンスでクリスマスパーティ風お茶会を楽しもう!」です。美味しい料理にスイーツ、もちろん紅茶含む飲み物にも舌鼓を打っていただけたらと思います。食べたいものを明確にプレイングに書いていただければその描写をいたしますし、おまかせいただいても大丈夫です!
 プレゼントの内容はプレイングに記載していただけると幸いです。
 給仕をしているゆかいな仲間たちですが、見た目はオープニングの通り「サンタ帽をかぶったノーム人形」という姿をしていますので、「ノーム」と記載していただければ伝わります。

 また、グリモア猟兵であるアメーラ・ソロモンは、ノームたちに手伝わされつつパーティを楽しむようです。もし彼女をリプレイに登場させたい・○○して欲しい、という方がいらっしゃいましたら、自由にお声がけ&プレイングに描写などしていただければ登場いたします。自由に利用していただければと思います。

●注意事項
 今回手に入れたプレゼントはシナリオクリアの報酬で渡されたりはしません。その辺りはご了承願います。もちろんこのシナリオをもとにしてアイテムを作成する、というのであれば全く問題ありません!

●備考
 複数人での参加も大歓迎です。人数上限はありません。(もちろんおひとりさまも!)
 その場合は、『相手の名前(呼称可)とfから始まるID』か、『グループ名』をしっかりと記載願います。送信タイミングが大きくずれますと対応しかねることがありますので、できるだけ合わせて送っていただけると幸いです。

 できれば今日~明日でリプレイ化……などと企んでいたり。では、皆さまのプレイングをお待ちしております! メリークリスマス!
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第1章 日常 『アリスラビリンスでクリスマス』

POW   :    愉快な仲間達と一緒にどんちゃん騒ぎでパーティーを楽しむ

SPD   :    彷徨っているアリスを探して、パーティー会場に誘ってみる

WIZ   :    恋人や友人たちと一緒に、愉快な仲間達のパーティーを楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・桜花
「まあ素敵。貴方達のお仲間がクリスマスパーティを企画したんですって。いつもお世話になっているんだもの、是非参加しなくてはいけませんね」
「メリークリスマス。お招きありがとうございます」

「ノームの召喚」
普段の召喚報酬の他に半貴石のビーズを1摘みずつ渡し、各人に交換用のプレゼントを準備するように伝える
「そう言えば男女どちらに当たるのか分からないのでしたね…」
ビーズで花のブローチを作ってからはたと困惑
悩んだ末、ビーズで蜥蜴のブローチも作る
固く焼いたジンジャーブレッドクッキーと一緒に2つのピンブローチを袋に入れ、プレゼントボックスに入れる
そして自分も1つプレゼントを貰い、ケーキを食べながら開けてみる


エグゼ・シナバーローズ
どうもてなすかで頭いっぱいで招待客のこと忘れちまったんだろうなー
よし、任せとけ!たっぷり楽しむ!

まずは料理を見回る、この世界らしい料理とかあんのかね?
料理は抑え目にして紅茶と菓子をたくさん食べてーなぁ(食事の内容はお任せ。紅茶の種類が複数あると嬉しいです)

ところで…なあ、なんでアンタ手伝わされてんの?
アンタももてなされようぜ!人手足りないなら俺も配膳くらいなら手伝うぞー?
肉は好きか?食えるなら食っとこうぜ!(アメーラに七面鳥を押し付けようとする)

プレゼントはパーティの終わりに貰いに行く
中身はノームとお揃いのクリスマス帽
これがありゃ、このパーティをいつでも思い出せるな…楽しかったぜ、サンキュな!



「メリークリスマス。お招きありがとうございます。楽しませていただきますね」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)のその言葉にノームはぴょんぴょんと跳ねて喜びを表現する。全身で手を振るその愛らしい姿を見送れば、桜花の顔に思わず笑みがこぼれた。
「おう、アンタもこのテーブル? よろしくなー!」
「ええ、よろしくお願いします。素敵なパーティですね」
 テーブルには、同時にエグゼ・シナバーローズ(4色使いの「転校生」・f10628)が案内されていた。同じ猟兵同士、軽く互いに名乗りあう。
「いいパーティなだけに、誰を呼ぶか考えてなかったってのが面白いよな。どうもてなすかで頭いっぱいで招待客のこと忘れちまったんだろうなー」
「ふふ、でもそのおかげで参加することができたのですから、感謝しなくちゃいけませんね」
「だな!」
 そう答えながら、エグゼは改めて辺りを見渡した。視界に飛び込んでくるのは色とりどりなたくさんの豪華な料理たちだ。
 次々と目移りしてしまいそうなそれらに、思わずエグゼは喉を鳴らした。もうすでに料理を取りに行っている猟兵も多い。どことなくそわそわとエグゼは足を揺らす。
「そしたら俺、ちょっといろいろ美味そうなもん見てくるわ! お前も行く?」
「いえ、私は先にプレゼントについてやりたいことがありまして……」
「りょーかい! なんか取って来て欲しいもんとかある?」
「ええと……では、ケーキをお願いします」
 任せとけ! と意気込んでエグゼは料理の並ぶ長テーブルへと駆けだした。
「料理は抑え目にして紅茶と菓子をたくさん食べてーなぁ。となると、先に菓子のコーナーか」
 といいつつ、気になった料理は回収してスイーツのテーブルへと向かう。だが、エグゼが真っ先に目を引かれたのは、スイーツの横にある紅茶のコーナーだった。
 メジャーなアージリン、アッサムやアールグレイはもちろん、セイロンティーや様々なフレーバーティーが用意されている。流石はアリスラビリンス、ティーパーティーの主役たる紅茶の用意は並々ならぬものだった。
「紅茶に悩んでいるのならクリスマスティーがお勧めだよ。セイロンにシナモンやドライピールなどを入れてみたりね」
 どの紅茶にするか悩んでいるとそう声がかかった。追加のスイーツを持ったアメーラが「楽しんでいるかい」とエグゼへと笑いかけている。
「あ、アンタグリモア猟兵の……ん? なんでアンタ手伝わされてんの? アンタももてなされようぜ!人手足りないなら俺も配膳くらいなら手伝うぞー?」
「なんでだろうねぇ。まあほどほどのところで私もそっちに混ざるから大丈夫だよ」
「ふーん、あ、なら肉は好きか? 食えるなら食っとこうぜ!」
 さっき回収した七面鳥のローストチキンを差し出せばアメーラは嬉しそうに受け取る。そしてそのお礼と言わんばかりに、魔法を駆使しクリスマスティーをエグゼに差し出すのだった。

 エグゼに手を振り送り出してから、桜花は改めて、小さい協力者を召喚していた。正真正銘本物のノーム。彼らは石ビーズを渡すことで桜花をいつも手伝ってくれる。
「貴方達のお仲間がクリスマスパーティを企画したんですって。いつもお世話になっているんだもの、是非参加しなくてはいけませんよね?」
 そういいつつ彼らに半貴石のビーズを一摘みずつ渡す。これは召喚報酬のビーズとはまた別だ。首を傾げる彼らに、桜花は笑って言葉を続ける。
「これで、交換用のプレゼントを作ってください。本当は交換しなくても貰えるらしいのだけど、これを誰かが受け取ったらと思うと素敵でしょう?」
 桜花のその言葉にノームたちはうんうんと大きくうなずき、その小さい手で器用にブローチを作り始めた。花の形をかたどり始めたそれを、桜花は笑顔で見守っていたが、ふと大事なことに気が付く。
「そう言えば男女どちらに当たるのか分からないのでしたね……」
 お花のブローチは女の子に届けばいいが、男の子に届いたら使い道に困ってしまうだろう。桜花が何度かあれこれ困惑しているうちに、ノームたちは可愛らしいお花のブローチを作り上げていた。色々考えた末、桜花は蜥蜴のブローチも彼らに作ってもらうことにした。
 そして数分後、出来上がったふたつのブローチとジンジャーブレッドクッキーを袋に入れる。するといつの間にかノームたちに混ざっていた、サンタ帽をかぶったノーム人形が箱を差し出した。
「あら、ありがとうございます。これも一緒に並べておいてくださる?」
 こくこくとうなずいて箱を持ち出したノームと入れ替わりに、エグゼがたくさんのスイーツと紅茶、そしてふたつのプレゼントボックスを抱えて帰ってきた。どうやらアメーラに手助けされたらしく、持ち切れなかったものは盆に乗ってふよふよと浮いている。その大量の手持ちを慌てて受け取りつつ、桜花は礼を述べた。
「どれもおいしそうだったからさ~。あ、一応お前の分もプレゼント貰ってきたけど、もう貰っちゃってた?」
「いえ、まだですのでありがたくいただきますね!」
「んじゃ、いっしょに開けてみようぜ!」
 たくさんのケーキの中からひとつを選びつつ、桜花は頷いた。同じ大きさのプレゼントボックス。二人揃ってワクワクしながら、そのリボンを解いていく。
「お、これは……ノームたちとお揃いのクリスマス帽か!」
「私のも同じです! いい思い出のものになりそうですね」
「これがありゃ、このパーティをいつでも思い出せるもんな! おーいノームたち~! 楽しかったぜ、サンキュな!」
 クリスマス帽を揃ってかぶりつつ、エグゼはノームたちにぶんぶんと手を振った。ノームたちはその場でぴょんぴょん跳ねたり、手を振り返して喜びを表現しているようだ。桜花の協力者であるノームたちに、クリスマス帽をかぶせ始めるノームまで現れた。こうしてみると見分けがつきませんね、と桜花は微笑む。
「いやーいいクリスマス過ごしたな~。また来年もやってくれないかな」
「期待しておきましょうか。私もぜひ、また来たいですし」
 顔を見合わせ、二人は笑う。たまには戦場から離れて、こんなふうに楽しむことも大切だ。世界を救う猟兵たちだからこそ、そう思う。
 そうして、桜花とエグゼのクリスマスは楽しい思い出となって記憶に刻まれていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディアナ・ロドクルーン
【蒼銀】
(ぱちくりと目を瞬かせ) まあ、何て素敵なパーティなのかしら
これだけの数を用意するのはとても大変だったでしょうね
ノームさん達凄いわ

たくさん色んなものがあると目移りしちゃいますね
皆さんはどれを食べますか?
私は、この雪だるまの飾りが乗っているケーキを紅茶と一緒に頂きます
スポンジがふわふわして美味しい…(尻尾をパタパタ
ふふ、そうですね。仲間と一緒に食べる料理は格別です

クリスマスツリーの根元にノームさんたちからの贈り物もあるみたいです

どの箱にしようかしら?
可愛らしいサンタさんからの贈り物、皆さん何を頂きました?
私はスノードームを。 今日の事は良い思い出になります


鬼灯原・孤檻
【蒼銀】

クリスマスパーティか。何とも可愛らしいな。
だが料理はしっかりしているし、飾りつけも豪華だ。ノーム人形達は働き者なんだな。

「じゃあ、俺は菓子とジュースをいただこうか。おすすめのものはあるか?」

傍にノーム人形がいるなら尋ねてみよう。
ん。美味い。どうもありがとう。
旅団の皆も、美味しそうなものを食べているようだな。
贈り物もあるなら、小さな箱をいただこうか。…これは、サンキャッチャーか? 雪の結晶にも、水晶の花にも見える。
綺麗だな。大切にしよう。

<改変〇 色々おまかせ>


橘・尊
【蒼銀】

風の噂で聞いたクリスマスパーティー、楽しみに皆で来てみたらなかなか凄い

クリスマスツリー、美味しそうな食べ物、それを用意したノーム達に感謝だ

ん、俺は肉ー♪

仲間達と話ながら食べる料理はいつになく美味しいな

おお、プレゼント…いいのか?ならこれにしよう。
青いリボンのついた箱をもらう
綺麗な銀色の腕輪、か?
よく見ると小さな勾玉が付いていて素敵だな
有り難う、大切にするよ

来て良かった、とても楽しくて想い出に残る日だったな



「まあ、何て素敵なパーティなのかしら」
 パーティ会場に転送されたディアナ・ロドクルーン(天満月の訃言師・f01023)は、そう歓喜の声をあげた。彼女の瞳に映るのはノームたちが一生懸命準備した、豪勢なパーティ。一足先に目で堪能するように、ディアナはそれらをぐるりと見渡す。
「何とも可愛らしいな。だが料理はしっかりしているし、飾りつけも豪華だ。ノーム人形達は働き者なんだな」
「風の噂で聞いて、楽しみに皆で来てみたけど。なかなか凄いパーティだ」
 続いて共に訪れた鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)と橘・尊(浮雲・f13751)が、そう言葉をこぼす。彼らの反応に、ノームたちも満足げだ。
「クリスマスツリーに美味しそうな食べ物……用意したノーム達に感謝だな」
「これだけの数を用意するのはとても大変だったでしょうね……。ノームさん達凄いわ」
 手放しの称賛と感謝をもらって嬉しいのはどの種族だって共通だ。案内人のノームたちも胸を張り、配膳係のノームは誇らしげに歩いている。そんな彼らを見ながら、三人は小さな手にひかれてテーブルへと案内された。
 三人のテーブルは料理の置かれた長テーブルと近い位置にあった。そこから多くの料理の数々を眺め、ディアナは小さく息をつく。
「たくさん色んなものがあると目移りしちゃいますね……皆さんはどれを食べますか?」
 どれもこれも、豪勢で魅力的な料理ばかりだ。
 七面鳥の丸焼きに、甘いローストポーク。趣向をこらしたクリスマスパエリアの横へ、ノームたちが運んでくるのは豪華なラザニア。ケーキとは別物として用意されている定番のお菓子、シュトーレンはいくつもの種類に分かれて用意されている。
 もちろん目玉のスイーツたちも負けてはいない。定番のブッシュノエルを始め、装飾を凝らしたカップケーキに様々な果物を挟んだフルーツサンド。小さく可愛らしい焼きりんごに一口サイズで作られた様々なタルトなどなど。共に楽しむ紅茶の種類も目を引くものがある。
「ん、俺は肉ー♪」
「俺は、そうだな……」
 迷いのない尊に対し、少し悩む様子の孤檻。何度も視線を長テーブルに泳がせ、今しがた配膳を終えたノームで止めた。目が合ったノームはなにか頼み事ですかと言わんばかりにそばへと駆け寄ってくる。
「……じゃあ、俺は菓子とジュースをいただこうか。おすすめのものはあるか?」
 任せとけ! と、ノームが親指を立ててぱたぱたと離れていく。どうやら見繕ってもってきてくれるらしい。小さな体では運ぶのも大変だろうと彼について行く孤檻。それを見て「じゃあ俺たちも好きなものを取りに行くか」と尊もディアナも一度テーブルから離れていった。
 彼らが合流するのは少しあと。各々が各々の食べたいものや勧められたものを持って、帰ってくる頃合いだ。一足先に帰ってきたディアナは少しそわそわしながら、二人の帰りを待っていた。彼女の前にあるのは温かな紅茶と、愛らしいケーキ。雪だるまの飾りが乗っているそれは、ふわふわのスポンジにきめ細やかな白い粉砂糖が振られていて、小さな雪景色を再現しているようだった。
「ただいまー」
「戻った」
 そして宣言通りいろいろな肉料理を取った尊と、スイーツを皿に乗せた孤檻が帰ってきた。孤檻に関してはあれもこれもと勧められたのか、その皿には一人分とは思えない量のケーキが並んでいる。それでも、三人で食べれば足りないくらいだろう。誰かが言うでもなく、当たり前のように三人は揃って共に食事を始めた。
「スポンジがふわふわして美味しい……」
「ん。美味い。どうもありがとう」
 ケーキに舌鼓を打ち、その尻尾をぱたぱたと揺らすディアナに、勧めてくれたノームへ礼を尽くす孤檻。そんな二人を見ていると、肉を頬張っていた尊の表情もどことなく緩む。
「仲間達と話ながら食べる料理は、いつになく美味しいな」
「ふふ、そうですね。仲間と一緒に食べる料理は格別です」
 皆で集い、時折その時間を共有する猟兵たち。その料理がいつも以上に舌を喜ばせるのはきっと、ノームたちの料理が見事だから、だけではない。話に花が咲けば時間はあっという間に過ぎていく。

「……あら、もうこんな時間……」
「そろそろお開きの時間のようだな」
 楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまう。気が付けばパーティ会場にはお開きのムードが漂い、三人の腹も完全に満たされつつあった。
 だが、パーティの楽しみはまだ残っている。それに導こうと、ひとりのノームがディアナの袖を引いた。くいくいと腕を引っ張り、クリスマスツリーを指さしている。お前たちも早くプレゼントを選べ、とでも言いたげな様子だ。
「クリスマスツリーの根元にノームさんたちからの贈り物もあるみたいですよ。行ってみませんか?」
 ディアナに促されるまま、三人は大きなクリスマスツリーの方へと向かっていった。大小さまざまなプレゼントボックスが並べられたツリーの根元は、同じ目的の猟兵たちが多く集っていた。しかしそのほとんどがすでにプレゼントを選んだあとのようで、各々のプレゼントを開封し、中身に喜んだり、身に着けてみたり、はたまた困惑しているものまでいる。
 ノームたちが作った中身のわからないプレゼント。まだまだたくさんある箱たちを前にして、三人はそれらをぐるりと見渡した。困ったことに三人は、確固とした「これが欲しい」という気持ちを持っていなかったのだ。
「どの箱にしようかしら……?」
「……どれを選んでもいいのか? なら……これにしよう」
 悩むディアナの横で、尊はそっと屈み小さな箱を拾い上げた。大きなプレゼントボックスの上にちょこんと置かれていた青いリボンの箱。それを見てか、孤檻も同じように小さな箱を選んだ。ディアナは二人に見守られながら、可愛らしいスノーマンが微笑む装飾のプレゼントを手に取った。
 三人はそれぞれの手で、ほとんど同時にプレゼントの蓋を開けた。そしてまた一様に、その中身に瞳を瞬かせる。
「これは……」
「……可愛らしいサンタさんからの贈り物、皆さん何を頂きました?」
 ディアナの問いに応えるように、孤檻が箱の中身を取り出す。そしてそのまま、光にかざすようにそれを上へ上へと持ち上げて覗き込んだ。
「……これは、サンキャッチャーか? 雪の結晶にも、水晶の花にも見える」
 姿を現したのは光を得てキラキラと輝きを振りまくサンキャッチャーであった。その独特の形が光を捉え、虹色の輝きへと変えて辺りを照らす。本物の太陽の光を当てれば、もっと美しく幻想的な輝きを見せてくれるのだろう。
「……綺麗だな。大切にしよう」
「俺のは……綺麗な銀色の腕輪、か? よく見ると小さな勾玉が付いていて素敵だな」
 尊への贈り物は美しい銀の腕輪。可愛らしすぎないデザインは銀の上品さをさらに引き立て、光を得てつるりと輝いている。飾る勾玉は美しく透き通り、そこには不思議な力が満ちるような、吸い込まれそうな魅力が宿っていた。
「ノーム、素敵な贈り物を有り難う。大切にするよ」
「俺からも、礼を言おう。……ところで、ディアナの贈り物は……」
 改めて向き直った孤檻は、その言葉を途中で引き留めた。答えは、ディアナの手の中に納まっていたからである。
 ガラスの中に収まった、小さな世界。白い粉雪が舞い、中の雪小屋に積もってゆく。小さなノームと雪だるまが、雪の積もるその世界にちょこんと立ってこちらを見つめていた。そこには虹色の光も、銀の輝きもない。だが、舞い散り続ける粉雪が、手のひらに収まる小さな世界が、他の二つにはない美しさを湛えていた。
「私はこのスノードームを。 今日の事はきっと、良い思い出になります」
「ああ」
「来て良かった、とても楽しくて想い出に残る日だったな」
 そう、三人の猟兵は微笑み合って。今日という平穏で幸せな一日に、幕を下ろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「少しだけ…昔を思い出しますね。」

折角ですし、紅茶とケーキでもてなされようと思います

給仕、と言うと少し印象が変わってしまいますけれど…
こうして誰かにクリスマスを祝って貰うと言うのは…懐かしい感じがしますね
まだ幼かった頃、両親に祝って貰ったクリスマスがこんな感じだったような気がします
何時しか友達と祝うのが主になって居ましたけれど、それでも二人は毎年変わらずにクリスマスを一緒に過ごしてくれました…

アメーラ・ソロモンさん
落ち着いて話すのははじめてでしたね
こんな懐かしい気持ちに成れる一時をありがとうございます
…とても素敵なクリスマスプレゼントです
折角頂いた機会ですから一緒にパーティーを楽しみませんか?



「少しだけ……昔を思い出しますね」
 食べかけのショートケーキを見つめ、西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)はぽつりとつぶやいた。同じテーブルに案内されていた猟兵はどうやら知人を見つけたようで、少し離れたテーブルで立ち話に興じている。それでも時折現れるノームたちが、言葉が通じないながらに霧華へ話しかけてくれるので、退屈はしない。
 猟兵になってから誰かにクリスマスを祝って貰うという経験は霧華にとって、遠く懐かしいものになってしまった。かつてはいつもの日常の延長線にあったクリスマスの一日。その思い出を大切に胸にしまうようになるとは、あの時の霧華は思っても居なかった。
 まだ幼かった頃、両親に祝って貰ったクリスマスはちょうどこんな感じだったような気がする。時は流れ何時しか友達と祝うのが主になって。それでも二人は毎年変わらずにクリスマスを一緒に過ごしてくれた。
『霧華、メリークリスマス!』
 ぐ、と手に力が入りそうになって、いけないと首を振った。今日はめでたく楽しいクリスマスなのだ。しんみりするのは良くない。自分を誤魔化すように、カップの紅茶を一気に煽った。
「…………あ」
 紅茶のお替りを注ごうとして、その中身が空っぽになってしまっていることに気が付いた。ケーキに夢中で、知らず知らずのうちに紅茶もたくさん飲んでしまっていたらしい。おかわりを貰ってこなくては、と霧華がテーブルを離れようとしたそのとき。
「おや、カップが空っぽじゃないか。おかわりはいかがかな?」
「アメーラ・ソロモン、さん」
 話しかけてきた大きな給仕の名前が、口から滑り出た。名前を憶えてもらっていたとは、とアメーラはニコニコ笑っている。勧められるまま、アメーラの給仕する紅茶を受け取り、改めて霧華は彼女に向き直った。彼女とは顔見知りだが、多くの言葉を交わしたことはまだなかった。
「落ち着いて話すのははじめてでしたね。こんな懐かしい気持ちに成れる一時をありがとうございます」
「いやいや、私はノームたちに頼まれて君たちを誘っただけさ。まあでも、良い息抜きにはなったんじゃないかな」
 アメーラの予知の多くに霧華は関わり、元凶となるオブリビオンを斬ってきた。そしてアメーラもまた、任務へ向かう霧華の背中を何度も見送ってきた。互いが互いを気に留めていたが、腰を落ち着けて語り合う機会もなく。だからこそアメーラも、霧華へと声をかけてきたのだろう。
「ええ、とても素敵なクリスマスプレゼントです。折角頂いた機会ですから、一緒にパーティーを楽しみませんか?」
「ふふ、確かに。私も君と話してみたいと思っていたのだよねぇ」
 アメーラがぱちんと指を鳴らせばテーブルにいくつかのケーキと、アメーラ用のカップが現れた。女子会と行こうじゃないか、と笑うアメーラの瞳は輝いている。
「楽しい日はね、食べて飲んでたっぷり語らうに限る! というわけで、君のことをたっぷりと聞かせてもらおうかな」
 いそいそとティーカップを持ち上げこちらへ向けるアメーラに、霧華はくすりと笑って同じように応じた。本当ならば、ティーカップ同士を当て合って乾杯するのはマナー違反だ。だけど今日という日ならば少しぐらいいいか、という気持ちが胸に沸き立つ。
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
 キン、と小さな音を立ててカップが触れ合った。パーティはまだまだ始まったばかり。心踊る楽しい時間は、きっとこれからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月03日


挿絵イラスト