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乙女悲恋物語

#サクラミラージュ


 ―—嗚呼、この恋が実るのならば、何を捨てても構わない。

 そう願ったのは今から数十年前。愛する人と駆け落ちをした女はとある町で幸せに暮らしていた。数年後に愛する人は事故でなくなってしまったけれど、彼に似て強くたくましく生まれた子はそれはそれはとても美しい娘で、学校に行くことはなかったけれど、母の教養をしっかりと受けた賢い女に育った。

 けれど、どれほどの知性があっても、いつだって女を狂わせるのは花なのだ。
 ……すなわち、色恋沙汰なのである。

「あなたまでこんな苦労することはないわ」
「でも母さん、私はあの人が好きなの」

 娘はそう言って、母同様に駆け落ちした。けれど――数年後に、彼女は戻ってきた。駆け落ちした相手は二股をしていて、彼女を捨てて、別の女を選んだのである。失意の底に落ちた娘は絶望に手を引かれるまま、川に身投げしたのだ。そして、彼女の母もまた、娘の死に誘われるかのように衰弱し、1人孤独に死んでいった。

「すべての男を許さない」
「娘を傷つけるすべてを許さない」

 その怨念が、サクラミラージュの世界にある1つの町に渦巻いていた。



「悲しい話だね。彼女たちを救うにはどうしたらよかったのかな」

 声をかければよかった? それとも、別の出会い方をしたのなら……。
 際限なく続く思考は、けれど、意味はない。過去は変えられないのだ。

「せめて彼女たちが穏やかに眠れるように、お墓を作ってあげてほしい。
 作っている途中に彼女たちは襲い掛かってくるだろうけど、なんとか除霊してあげて」


蛇の目
 お久しぶりです。恋に狂った悲しい母娘の物語です。
 お墓の大きさや規模、豪華さは皆さまの裁量にお任せします。
 がんばれば神社を作れるかもしれません。
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第1章 日常 『近未来デベロップメント』

POW   :    情熱によって何かを作る

SPD   :    技術によって何かを作る

WIZ   :    魔法などで何かを作る

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モニカ・ブレット
「情熱によって何かを作る(POW)」に挑戦します。
 サクラミラージュに地震があるか分らないけど、
 洋式の横型の墓石を作りたいです!
 最大の目的は、この行動を成功させることです。
 その為なら、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。



 モニカ・ブレット(オラトリオの聖者・f17149)は白い髪をなびかせ、翼を広げ、その地に降り立つと、紙を広げた。
 そこには彼女なりに考えた墓の設計図が描かれていた。地震が起きたとしても倒壊しないようなしっかりとした墓を作ろうという言葉に、周りの猟兵も頷いた。
 まずは大きくて白い美しい石を川の上流から手に入れる。身体の小さな彼女は持ち運ぶのに随分と苦労したが、なんとかそれを、立地の良い場所に置くと、地道に手作業で石を少しずつ削っていく。
 慣れない作業が続き、墓跡が完成する頃には、モニカの手はすっかり傷だらけになってしまっていたものの、彼女はその出来に満足そうに微笑んだ。

「そうだ。せっかくだから……」

 2人分つくろう。お揃いの石ならきっと、母娘共々喜んでくれるだろう。彼女は絆創膏をぺたりと手に貼って、もう一つの墓石を削る作業に入る。
 あたりには、かつーん、かつーんという、石を削る音が響いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宇冠・龍
由(f01211)と参加

確かに恋と愛は魔性のもの。しかしそれはいつだって女性の味方でもあるんです
(そう言えるのも、私も同じくあの人と駆け落ちしたからなんでしょうね……)

私も同じく故郷から夫と二人で離れた身です。この母娘の悲痛や身を焦がす恋慕は大変に分かります。
死霊を担う者としても、彼女たちを供養してあげたいですね

お墓はサクラミラージュの形式に則りたいですが、石造りのものが主流なんでしょうか
数は二つ隣りあわせ、親子一緒がいいでしょうし
【祈りの聖火】で火を灯し、僭越ながら祈りましょう

お墓に備える花としては少し違うかもしれませんが
菫の花をそれぞれ一輪。奥ゆかしさの象徴でもあるこの花の言葉は「愛」


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

(愛し合っていたお母様とお父様。そしてお父様は宿敵に亡き者へされました。この母親の方と、どこか似ているような気がします……)
まだ恋や愛は分からない身ですけど、やはり私も恋したらお母様は喜ぶよりも心配するのでしょうか……

いいえ、今は目前の親子を手向けることに集中しましょう
ボディガードも含めて頑張りますの

私は空飛ぶヒーローマスク
悪路や地形は関係ありませんの
お墓の素材を一生懸命両手で運んでお手伝いします
※完成した姿は他の方にお任せします

私からはお菓子をお供えします
恋も甘いものの、女の子なら全員大好きですわ



 確かに恋と愛は魔性のもの。しかしそれはいつだって女性の味方でもあるはずだ。そう考えるのは宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)だ。かつて、ドラゴニアンの里を離れて冒険者として旅をしていた日々は酷く甘やかで幸せな時間だった。

(そう言えるのも、私も同じくあの人と駆け落ちしたからなんでしょうね……)

 どこか遠い目を向ける母の姿に、宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)もまた、想いを馳せた。

(愛し合っていたお母様とお父様。そしてお父様は宿敵に亡き者へされました。この母親の方と、どこか似ているような気がします……)

 初恋もまだである彼女が、その花の色と蜜の味を知るのはあくまで物語や口伝えだ。ある時は赤く、ある時は白く、そしてまたある時は黒い色をする恋模様。はたまたどこまでも甘く、苦いという恋の味。いつか自分も、それを知る日が来るのだろうか。

 2人も先に活躍を見せていた猟兵の手伝いをする。装飾用の石を選び、運んでは加工して、少しでも心が安らぐようにと花と菓子を添えた。お墓に備える花としては少し違うかもしれないがと彼女たちが選んだのは『菫』の花だった。
 それぞれ一輪。奥ゆかしさの象徴でもあるこの花の言葉は――「愛』。そして添えた菓子は女性ならばきっと誰もが大好きで、彼女たちの愛はきっと甘かったはずだから。

「死霊を担う者としても、彼女たちを供養してあげたいですね」
「お母さまが祈るのですもの。きっと、彼女たちにもその想いは届くはずですわ」

 かつて龍に拾われた由は母の祈る言葉に微笑みかける。ヒーローマスクで見えないが、そんな雰囲気を感じた龍は『そうね、貴方がいうならば……きっと、届きますね』とそう言って微笑み返した。

 ふわりと温かな光が灯っていく。それは、祈りの焔。それは、願いの焔。

 ――そして、それは、かつて愛に身を捧げた女達の、一種の似た運命を辿ったものにしかわからない、涙の焔でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

アタシも件の母親のように故郷の実家を捨てて愛する人と駆け落ちをし、奏が生まれた。愛しいあの人は・・・夫は奏が5歳の時、アタシと奏を庇って、オブリビオンに殺された。実家とは縁を切ったから、奏は冒険の中で育った。学校なんかはいけるはずもない。

だから、件の母親については他人事ではないんだ。奏の恋については・・(寄り添いながら作業している奏と瞬を見て)心配はなさそうだけど。どうなるかは見て行きたい気持ちもある。2人が墓の形を整えるから、墓を囲む囲いを作るよ。献花台も作る。

だから、山茶花を備えて他の猟兵達が整えたお墓に備えて供養するよ。愛の喜びと辛さをしるものとして。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

お母さんは駆け落ちでお父さんと結婚して、恋は(瞬を見て真っ赤)今してますし。だから、故郷を離れて旦那さんと添い遂げて死に別れたお母さまの気持ちも、娘さんが苦労して育って、恋に落ちる気持ちも凄く良く分ります。女性というのは恋に落ちると人生が凄く変わるといいますが、このお二人は気の毒に不幸な方向に人生がねじ曲がってしまったのですね。

だから、心を込めてお墓の仕上げを。もうちょっとお墓の形を整えた方がいいでしょうか?自分が不器用なのは自覚があるので、瞬兄さんに手伝って貰って良い形に削りますね。

そしてお花を供えて丁寧に手を合わせます。せめて2人で寄り添って、安らかに眠って欲しいと。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

僕は母さんと奏が父さんと死別した後拾われた身ですが、母さんが名家の出身で家出して父さんと駆け落ちして結婚して奏が生まれたと聞いてます。恋をするとどんな大胆な事もしてしまうのですね。

だから駆け落ちする程の恋の深さも、件の母娘の心痛は良く分ります。

せめて2人仲良く安らかに眠って欲しいから、奏と墓の形を綺麗に整える削り作業をしますね。奏が危なくなったら、フォローします。

お墓が仕上がったら、手厚く供養します。男の僕には思いを馳せるしか出来ないですが、恋に関する心痛はきっと深くて、胸の奥に刻まれるものだと思うから



 『駆け落ちしよう。何もかもを捨てて、君だけの手を取って、どこか遠くで幸せに暮らそう』
 ……そう最初に言ったのは、一体どちらだったか。真宮・響(赫灼の炎・f00434)はことの経緯を聞いて、その内容があまりにも自分に境遇が似ていた物だから、つい、立場を重ね合わせた。
 響の場合、自分の夫が亡くなったのは真宮・奏(絢爛の星・f03210)がまだ幼い頃――たった5歳の時の出来事だった。あれから何年もの時が経過したけれど、オブリビオンから自分達を守って死んだ彼の事を忘れた事は一度もない。
 ……きっと、彼女もそうだったはずだ。自身にも似て、けれど愛する人にも似ている子を見ては、思い出して子が眠った後にその寝顔を見つめながら泣いただろう。愛する人に生きていて欲しかったと思っただろう。
――けれど、出会った事を後悔した事なんて、ないはずだ。

 墓の囲いを作りながら、山茶花を飾る。花言葉は『困難に打ち克つ』。これからも自分は、子供達を見守り続ける。そして、その時がもしも来た時に愛するあの人に天国で自慢するのだ。自分は貴方に託されたものを守りきった、と。

 奏は、そんな母の背中を見て、彼女もまた想いを馳せる。現在進行形で恋をしている奏には話に出てきた娘の狂おしいほどの恋心がよくわかった。ちらり、と大好きな兄の姿を見つめてから、再び墓石に目を向ける。

(女性というのは恋に落ちると人生が凄く変わるといいますが、このお二人は気の毒に不幸な方向に人生がねじ曲がってしまったのですね)

 神城・瞬(清光の月・f06558)は妹のように愛し慕っている奏がしたい事が、手にとるようにわかっていた。まだまだ形こそ整っているが、磨き上げられていない墓石を磨き上げようと擦り続ける。
 時折、奏が無茶な体制で磨こうとするのを穏やかに止めては、自身が仕上げる。その手先に器用さに感心しながら、瞬の真剣な眼差しが墓石に吸い込まれていくのを奏は見つめていた。
 ――澄み渡る空のような青い彼の瞳がふと、こちらにむいて、彼女の菫色の瞳と視線がパチリと合えば、どちらともなく小さく笑い合って。

「なぁに?」
「なんでもない」

 『今は』ただの兄妹だ。けれどいつか、その関係に新しい名前が付くかもしれない。その時は、こうして話したことがまた一つの思い出として残り、彼等の子にその『なんでもない』幸せな時間が受け継がれていくのだろう。
 移ろいゆく青と紫の関係はまるで、紫陽花が如く。母から与えられる慈愛の雫が彼等の幸せな花をゆっくりと咲かせていく。
 そんなひとときがたまらなく幸せで、尊くて。……だからこそ、それを奪われた彼女たちが哀れで。せめて、あの世で穏やかにあってほしいと願わずにはいられない。
 奏と瞬は並んで墓石の前で手を合わせた。

(男の僕には思いを馳せるしか出来ないですが、恋に関する心痛はきっと深くて、胸の奥に刻まれるものだと思うから)

 2人は祈る。どうか、彼等の魂が安らかに眠れるように、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

……やれやれ。
アタシはどうも、墓標に縁があるらしいねぇ。
世界を跨いでもこれ、たぁね。
いいよ、その無念。
受け止めながらも雪いでいこうじゃないのさ。

駆け落ちってのは、やろうとする奴にゃ相当な覚悟だろうさ。
だからこそ、その後が……っていけねぇ。
少し感傷に浸っちまった。
段々とお墓も整いつつあるようだね、後は……
ああ。その鎮魂の炎を消させないようにしっかりと風除けを作るかね。
【縁手繰る掌】で石材を引き寄せ、
『念動力』で積み上げる。
サクラミラージュの『世界知識』から『情報収集』して、
形が無作法にならない様に気を付けるよ。

これだけで恨みは晴れないだろうけど。
まずは形から、ってね。



 自分は一体、どうして、これほどまでに『これ』と『縁』があるのだろうか。話を聞いた時に数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は思わず苦笑を漏らさずには居られなかった。
 去年、因果の末にようやく出会えた親友との決着、そして、親友を通して出会った1人の少年との決着。その先にあったものもまた、墓標だった。

 けれど、数宮は不思議と『嫌だな』と嫌悪的に感じる事はなかった。死という終幕の全てが全て、悲しいものではないと気づかされたのが、大きいのだろうか。

「世界を跨いでもこれ、たぁね。いいよ、その無念。受け止めながらも雪いでいこうじゃないのさ」

 墓石は、もう大丈夫だろう。ならば自分は何をしようかと考えていると、他の猟兵によって灯された暖かな光が目に映る。

(そうだ、風除けを作ろう)

 【縁手繰る掌】で石材を引き寄せ、『念動力』で積み上げる。サクラミラージュの『世界知識』から『情報収集』して、形が無作法にならない様に気を付けながら、作り上げられたのは、立派な風除け……だけではなく、雨除けも出来上がった。

「やりすぎてダメって事はないだろうさ」

 彼女の思いもまた、1つの供養の形こそであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『怪異『泡沫の人魚』』

POW   :    泡沫の夢(地形変更)
自身からレベルm半径内の無機物を【地形を水辺にした後に大渦】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    泡沫の夢(拘束)
質問と共に【自身の身体から相手を拘束する泡】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    泡沫の夢(無限爆破)
対象への質問と共に、【自身の身体から】から【戦場を覆うほどの爆発する泡】を召喚する。満足な答えを得るまで、戦場を覆うほどの爆発する泡は対象を【増殖と爆発の繰り返し】で攻撃する。
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 空からふわり、と泳いできたそれは、猟兵を見つめては、目を細める。
 ―—嗚呼、なんて幸せそうなんだろう。私もあの人とああなりたかった。
 なぜ、私はなれなかったんだろう。幸せになれるのはいつも自分ではない誰かで。幸せを奪っているのは、誰? 椅子取りゲームの勝者だけが幸せになれるのなら、今度は、今度こそ――自分がそこに座る。

「どうして、私は幸せになれなかったの?」
「どうして、あの人はあの女を選んだの?」
「何故、男は生きているの?」
「何故、女は生きているの?」


 ―—嗚呼、何故、恋を人間はするの?
娘の問いかけは、止まらない。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

ん?
空から……人魚?
母親、娘、どっちだろう……いや。
まずは、それよりもこの鎮魂の礎を崩させるわけにはいかないね。
墓から少し離れて人魚たちにサイキックの電撃を放ち、
注意と攻撃をアタシの方に『おびき寄せ』る。
そうして泡が飛んでくるのなら、気持ち程度『衝撃波』で
吹き散らしながらも少しは身をもって拘束されるよ。

さてさて、質問はどんなのが来るかねぇ。
「男を許すのか」かね?それとも「駆け落ちは是か非か」?
少なくとも、何が真実かは分からねぇ。
でも「許す許さないは自分の勝手」、
「駆け落ちしてもいいじゃないか」。
どれが真実かなんてわからない、
むしろこの問いに真実はあるのかねぇ……?



 全てが泡沫に消えれば。この世界は夢に代わる。そうすればきっと、もっと素敵な『現実』が待っている。嗚呼、早く目覚めたい。起きたら隣にあの人がいて、おはようねぼすけさんなんて言って笑いながら、私の髪をなでてくれる。あの低い声が私の名前を呼んでくれる。嗚呼、朝食も作らなくては。おいしいお味噌汁を作って、つやつやのごはんを炊いて。あの人と一緒に――。

 泡の奔流に巻き込まれる数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は超感覚探知(テレパシーリンク)で聞こえてきた彼女の心の声を聞いた。はじめは、彼女が母親なのか娘なのかわからなかったが、その言葉に、ああこの人は娘の方だと何となく理解した。

 嗚呼、この人もか、と数宮は胸が締め付けられる思いがした。平穏な生活が欲しかっただけなんだ。なにか特別素敵なことが欲しかったわけじゃ無い。好きな人と、あたりまえに、一緒にいたかっただけなんだ。

 脳裏にウサギの少年がちらついた。

「どうして、私は幸せになれなかったの?」
「許せないとは思う、憎いと思う。でもそいつのことが嫌いか? ……違うのか。なら、まだ好きなんだな。誰かを好きでいられるのって、幸せな事なんだよ。誰かを追いかけたくてたまらなくなるのって、幸せなんだよ。それがどんな結末でも、あの時追いかけなければよかった、なんて後悔、しなくて済むからな。それは、駆け落ちしたアンタが一番、わかってるんじゃねえのか?」

 親友をずっとずっと追い求めた数宮だからこそ、出た言葉に、入水自殺をして人魚となった娘は、答えを得られた。少なくとも、『自分は不幸の日々だけではなかった』のを思い出したのだ。

 そして、同時に、この世界が夢ではなく、どうしようもない現実であることも。
 彼女は泣きながら世界を憎んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

宇冠・由
【百火繚乱】の炎熱にて、相手の放つ泡沫の夢を、文字通り水泡に帰して差し上げます
お母様やお墓を百の剣で庇いながら戦います
皆様と一緒に作った努力は無駄にはさせませんわ
質問には答えますけど、愛や恋はまだ分からないので真実か不安ですの……

いえ、恋が分からないからこそ、分かることも言えるもありますわ
悪いのは二股かけて振ったお相手です。恋の駆け引きは知りませんけど、貴女は悪くありません。そして、他の男性も悪くなければ、全員が二股かける訳でもありません

(この言葉自体に怒るのなら、それはまだ彼を愛している。男全員が悪いと処断するのなら、きっとまだ恋に恋をしているのかもしれません)


宇冠・龍
(この怪異が、もしかして川に身投げした娘さん……?)
転生できるのかは分かりません。しかし繋がる命があるのだとすれば、それに賭けてみるのも手です
皆さんと作ったお墓を壊させる訳にはいきません
相手の発する泡を【一竜一猪】の衝撃波で、取り囲まれ拘束される前に迎撃

泡に触れたのなら偽りなく答えます
(質問は何をしに来たのか、辺りでしょうか。なら「貴女の凶行を止めにきました」と)

それでは私からも質問を
「恋を、しなければ良かったと後悔はありますか?」
彼を愛さなければ、実らない恋ならばと。けれどきっと貴女はいつかまた恋できる
女性と恋愛は切り離せません
その後悔を聞いて受け止めてあげたいです



「何故! 何故なの。どうして、私がこんな目に合わなければいけなかったの。私のどこがいけなかったの。どうして男は二股を是とするの。浮気は男の性と許すの!?」

 悲痛に叫ぶ女を見つめながら、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)はその言葉から女の正体を察した。

(この怪異が、もしかして川に身投げした娘さん……?)

 果たして輪廻転生とは真実なのだろうか。そもそもこのような存在になってしまった者が転生できるのか。分からない。けれど、もしも繋がる命があるのだとすれば、それに賭けてみるのも――悪くはないはずだ。

「どうして、私の何が悪かったの……?」
「恋が分からないからこそ、分かることも言えるもありますわ。悪いのは二股かけて振ったお相手です。恋の駆け引きは知りませんけど、貴女は悪くありません。そして、他の男性も悪くなければ、全員が二股かける訳でもありません」

 絶望に満ちた泡の爆弾を親子で薙ぎ払いながら、質問への答えを口にする。彼女の言葉から察するに、彼女は取り巻く環境が悪すぎたのだ。きっと彼女は『男に見放されるような奴が悪い』『浮気のひとつ許容できない心の狭い女だ』と言われ続けた故に、——信じられなくなったのだ。男という存在を。

 顔を上げた女が、問いかける。

「何をしに来たの、こんな、寂しいところへ」
「貴女の凶行を止めにきました。……ねえ、名も知らぬあなた。恋を、しなければ良かったと後悔はありますか?」

 その言葉に、女は黙ったのちに首を振った。あの蜂蜜のように甘く尊い日々は、あの選択をしなければ、恋をしなければ体験できなかっただろう。だから、後悔はしていない。けれど――その甘さを知ったからこそ、その体温の暖かさを知ったからこそ。

「水の中は冷たくて……1人は寂しくて……苦しい。憎い。大嫌い!」

 彼女の拒否する言葉を体現するように、あたりは水へと変貌する。墓を守るために距離をとっていたのが幸いして、それらは壊れる事がなかったが、その場にいた猟兵たちは、どぷんと彼女の絶望を体現するかのような水の底へと沈んでいく。
 どぷん、と

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。(アドリブ歓迎)

水の中に沈んだ途端、反射的に真紅の竜を呼び出し、【騎乗】竜を駆って水から飛び出す。

【二回攻撃】【範囲攻撃】で泡を薙ぎ払い、薙ぎ払えない分は【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ぐ。

事情は分かった。アタシも実家を飛び出した身だ。実家は良くは思ってないだろう。だから周りの無理解と悪意は良く分る。

だから、せめて1人で苦しんでいる影朧に寄り添ってあげたいんだ。娘の近くに辿り着いたら、竜から降りて、娘を抱きしめてやる。周りがなんといおうとアタシたちはアンタの味方だ。もうアンタは1人じゃない。寂しくなくなるまでこのままでいようかね。


真宮・奏
【真宮家】で参加。(アドリブ歓迎)

水の中で蒼の戦乙女を発動、水の中から飛び出します。空中を飛びながら【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で泡を吹き飛ばして行きます。

周囲の方の無理解と心無い言葉はお辛かったでしょう。でも、少なくとも私達家族は知っています。悲しんで影朧になるほど貴方の愛は純粋で、一途だった。ここまで愛を貫ける方を羨ましく思います。

貴女が1人で寂しくて、冷たい所で悲しんでるなら、私達が寄り添って、温もりを分けて上げましょう。・・・私も恋する乙女ですから。【手をつなぐ】で気持ちを伝えます。私達は、貴女の味方です。


神城・瞬
【真宮家】で参加。(アドリブ歓迎)

水の中に沈んだ途端、月読の騎士を発動。水の中から飛び出します。【誘導弾】【二回攻撃】【範囲攻撃】で泡を吹き飛ばし、吹き飛ばせなかった分は【オーラ防御】で凌ぐ。

とりまく人達が悉く無理解の人達だった。愛する人達に裏切られた上、悪意を向けられてさぞや辛かったと思います。でも、貴女は人を一途に愛したのですから、罪はありません。

僕ら家族に出来るのは、1人で苦しんでいる影朧の貴女に寄り添ってあげることぐらいです。周りがなんといおうと、僕らは貴方の味方です。貴女が次の生で良き縁に巡り合えますよう、【優しさ】を持っててを握ります。



 沈んでいく。涙の海に。浮かんでいくのは言の葉になることが叶わなかった泡沫。——まるで、御伽噺の人魚姫。もっとも、姫と呼ばれるほどの財も身分もなかったけれど。それでもたった1人の『王子様』が居れば、娘はそれでよかったのに。そんな夢さえ儚く散った。

 ……だから、全て鎮める為に、沈めるのだ。水底へ。冷たく寂しいあの場所へ。
 其処こそがきっと私にふさわしい。その為にも、全てを拒否し続けよう。それだけが私が救われる、たった1つの確実な方法だ。

「そんなことない」

 ぶわりと水を切り裂いたのは月読の紋が入った銀の鎧を着た騎士だ。そこから飛び出したのは、豪華絢爛な青いドレスを纏う水色の翼を持った戦乙女と巨大なルビーを彷彿とさせるほどに赤い真紅の竜。

 だって猟兵は――自分達は、彼女の悲しみを断ち切る為に、ここに来た。

「事情は分かった。アタシも実家を飛び出した身だ。実家は良くは思ってないだろう。だから周りの無理解と悪意は良く分る」

 駆け落ちした先に起きた、自分ではどうしようもできない不幸のなにもかもを『選んだのは自分なのに』とそう思いながらも、それでも辛くて悲しくて、必死になって、手を伸ばそうと勇気の必要さはもちろん、『選択したのはお前だろう』という言葉で、伸ばした手を振り払われた時の絶望も、真宮・響(赫灼の炎・f00434)はこれでもかと体験してきた。それでも生きてこれたのは、自分には忘れ形見が――子供がいたから、死ぬという選択肢がなかっただけで。彼女の場合は、それすらなかった。

「周囲の方の無理解と心無い言葉はお辛かったでしょう。でも、少なくとも私達家族は知っています。悲しんで影朧になるほど貴方の愛は純粋で、一途だった。ここまで愛を貫ける方を羨ましく思います」
「とりまく人達が悉く無理解の人達だった。愛する人達に裏切られた上、悪意を向けられてさぞや辛かったと思います。でも、貴女は人を一途に愛したのですから、罪はありません」

 囚われてくれないのか、この悲哀に満ちた水の檻に。そう言いたげだった瞳は、3人の言葉に、僅かに潤む。怪異『泡沫の人魚』は涙を流した。

「貴女が1人で寂しくて、冷たい所で悲しんでるなら、私達が寄り添って、温もりを分けて上げましょう。・・・私も恋する乙女ですから」
「周りがなんといおうと、僕らは貴方の味方です。貴女が次の生で良き縁に巡り合えますよう」

 神城・瞬(清光の月・f06558)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)が娘の手をそっと握った。——もはや、その目に戦闘の意思はなく。響はドラゴンから降りたつと、娘の涙を拭ったのちに、抱きしめた。……もう大丈夫、と彼らは微笑む。

「アンタは1人じゃない」

 ―—嗚呼、私、その言葉がずっと、欲しかった。

 娘の抱えていた凍るように冷たい孤独と裏切られた悲しみが昇華していく。後に残ったのは、裏切られてもなお捨てられなかったのだろう。1人分の婚約指輪、たったそれだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『像華『面映』』

POW   :    アナタの望むままに
全身を【相手の逢いたいと願うものの姿】で覆い、自身が敵から受けた【欲望】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    アイしてあげるから
自身が【慈しみや憐み】を感じると、レベル×1体の【肉体を侵食する綿胞子】が召喚される。肉体を侵食する綿胞子は慈しみや憐みを与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    目蓋を閉じて、身を委ねて
【ハナミズキの花弁】【甘い芳香】【影の枝の揺籠】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
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 ——ねぇあなた、私はあの子を、救うことができませんでした。
 ——ねぇあなた、私はあの子を、守ることができませんでした。

 ——ねぇあなた、だから、せめて私はあの子を、待つことにしたのです。

 ○○年○月○日○時○分。
 遺体発見時、母親の身体からは1本の樹が芽吹いていたのだと云う。
 家主からの依頼で遺体を撤去する作業が行われたが、悉く失敗。

「あの子が、かえるのを、私はずっと、ここで待つの。今度こそ誰からも傷つけられないように、何処へも行かないように、この腕の中にしっかりと収めて、離さない。あの子が望むものを与えるわ。その為なら私は――母親という殻を脱ぎ捨ててもいい」

 遺体は当時撤去に赴いた公的機関に属した人間ごと消えさった。
 後には、服だけが取り残されていたという。
真宮・響
【真宮家】で参加。(アドリブ・連携歓迎)

(娘の残した婚約指輪を拾って、溜息)確かに、母親にとって娘の不幸は我が身を斬り裂くような出来事だろう。また悲しい目に遭わないように護りたい気持ちも分かる。・・・分かるからこそ、止めないとね。アンタはもうこの世にいてはいけないんだ。娘の所に送ってやるよ。

飛んでくる攻撃を【オーラ防御】【見切り】【残像】で凌ぎつつ、爆炎槍・其之弐で撃ち返す。勝負を決められるとは思ってないよ。後続の猟兵の助けになれれば。アタシ達はアンタを苦しみから救いたい。その気持ちは本当だ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。(アドリブ・連携歓迎)

お母さんっていうのは、娘さんを護るものです。・・・私もお母さんに愛され、大事にして貰ってます。体を張って護って貰ってます。・・・その身が影朧となろうとも、娘さんを護りたい。・・・でも止めなければなりません。この世ならざるもの故。

【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】で防御を固めながら、お父さんの幻影が見えても構わずに突進して【二回攻撃】【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で牽制しつつ、流星のタックルで吹き飛ばします。態勢は整えました!!皆さん、この方を救ってあげて下さい!!


神城・瞬
【真宮家】で参加。(アドリブ・連携歓迎)

我が身が影朧になろうと、娘を護る。もう二度と悲しい目に遭わないように。僕の実母は僕を庇って命を落としました。だから、気持ちは痛い程良く分ります。惜しむべくは貴女がこの世ならざるもの。せめて黄泉で一緒になれるように。

飛んでくる攻撃を【オーラ防御】で凌ぎながら、月光の狩人を発動。月光の狩人と共に【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を重ねます。これで勝負が付くとは思ってません。あの方が話を聞いてくれるようにまずは動きを止めます!!後はお願いします!!



 ―—ねんねん、ころりよ、おころりよ。

 子守歌が響きわたる。遺体撤去に赴いた者たちは皆、歌い手である彼女を『母親』『伴侶』『愛妹』など、思い思いの望む姿に見えているようで、慈愛に満ちた表情を浮かべては、甲斐甲斐しく彼女の世話をする。しかし彼女の歌は、悲哀の恋愛劇に疲れた、たった1人の愛する娘の為のモノであると猟兵達はすぐに理解できた。
 生命力を吸収され続けている状態を放っておけば、民間人の命も危ないだろう。

(僕の実母は僕を庇って命を落としました)

 だから、今度こそ守りたいという悲痛な願いを神城・瞬(清光の月・f06558)は否定することは出来なかった。真宮・奏(絢爛の星・f03210)もまた、同様に母親だったモノを見て眉尻を下げる。

(お母さんっていうのは、娘さんを護るものです。……私もお母さんに愛され、大事にして貰ってます。体を張って護って貰ってます)

 でも、と彼らは武器を握る。惜しむべくは彼女がこの世ならざるものであることだ。未練を断ち切らなければならないだろう。……せめて黄泉で一緒になれるように。

 真宮・響(赫灼の炎・f00434)は同じ『母親』という立場であるのもあって、彼女の気持ちが痛いほどよくわかった。娘が消える間際に残した婚約指輪を掌の中でぎゅっと握りしめた後、向きなおる。

「確かに、母親にとって娘の不幸は我が身を斬り裂くような出来事だろう。また悲しい目に遭わないように護りたい気持ちも分かる。……分かるからこそ、止めないとね。アンタはもうこの世にいてはいけないんだ。娘の所に送ってやるよ」

 敵意に気が付いたらしい『母親』は黒い枝を揺らす。ぶわりと風が吹いた時のように、甘い芳香を放つハナミズキの花弁が舞い散って、3人に襲いかかったが、手練れでもある3人はそれぞれしっかりと身を守り、技を封じられぬようにする。剣と槍をそれぞれ携え、攻撃を加えていく。
 途中、彼らの目に『家族を愛した男性』や『己を庇って死んだ女性』の姿が映る。怯みそうになる、挫けそうになる。

 ——けれど、それでも。前を向かなければならないのだ。残された者は。

 広がる綿帽子を流星でもって弾き飛ばす奏。漏れた攻撃は響がすかさず燃やして塵へと還していく。瞬は召喚した狩猟鷲を飛ばすと、共に連携した攻撃を放つ。攻撃手段である、あの黒い禍々しい枝を手折らなければ、持久戦に持ち込むのは危ないだろう。
 彼らはただ『倒す』ことをしたいわけでは無い。『納得してもらったうえで倒し』たかった。娘と共に黄泉の国へと渡り、転生し、また巡り合えるためにはそれが必要不可欠だと考えたのだ。

「さあ、獲物はそこですよ!! 容赦は不要です!!」

 瞬の攻撃を防ぐことに集中した『母親』に、死角から狩猟鷲が飛び出した。鷲は鋭い爪でハナミズキの花と綿帽子を毟り取っていく。嘴でもって枝を折っていくたびに、『影の枝』が悲鳴のような声を上げて、折った先から空中に霧散していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

これは母親!?
……いや、母親である事を捨てたのかい?
ともかくこの樹、ヤバすぎる!
取り込まれないように……

……いや、ここで拒絶しちゃダメだよな。
それこそ、無遠慮に排除しようとしてた周りと一緒だ。
綿胞子は『オーラ防御』の障壁でなるべく防ぐとして、
「彼女」に思念の絆を繋ぐ。

アンタの孤独、そして悲しみ。
アタシは全てを分かるとは言わない、言えない。
けど、これだけは伝えさせてくれ。
さっきの逢瀬で繋がった、娘の想いをそのまま伝える。
娘はまた「先立った」事実もね。
戻ってきて、また行っちまったんだ。
……もう、待たなくてもいいだろう?

女として、母として、今一度。
転生して、追いかけな?



 攻撃の手は緩んだものの、完全に失われたわけでは無い。数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はハナミズキの花弁からオーラを持って身を守りながら、彼女の脅威性について考えていた。求める者に擬態して思いに応じる。けれど、その裏で生命力を奪うというのは、まるでハナカマキリや食虫植物のようだ。
 溺死した『娘』のかえりをいつまでも待つ。その執念が作りあげた力に、手が震える。

(これは母親!? ……いや、母親である事を捨てたのかい? ともかくこの樹、ヤバすぎる! 取り込まれないようにしないと……)

 目の前で『親友』の姿をかたどられる前に決着をつけようと、拳を握った、が、頭振った。違う。それではそれこそ、無遠慮に排除しようとしてた周りと一緒だ。

「アンタの孤独、そして悲しみ。アタシは全てを分かるとは言わない、言えない。……けど、これだけは伝えさせてくれ」

先ほどのの逢瀬で繋がった、『娘』の想いをそのまま伝えるべく、ユーベルコードを打ち放つ。

「戻ってきて、また行っちまったんだ。……もう、待たなくてもいいだろう?」

 ―—思いよ、届け。今度こそ。

 悲しみという炎に燃え、復讐をか辿っていた『母親』の敵意は失われた。しおしおとハナミズキの花が散って逝く。

 あとには、すすり泣く『母親』の姿だけがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宇冠・龍
由(f01211)と参加

私もあの人を取り戻せなかった
お腹にいたあの子を抱きしめてあげることが叶わなかった
貴女の気持ちは痛いほど分かります
けれども母という無二の繋がりは、どんなになっても脱ぎ捨てられないものだと信じてもいます


先の戦闘で触れた人魚の水流
【枯木竜吟】を用いて娘さんの霊をもう一度だけ呼び出します
死後、交わることのなかった親子を会合させましょう

絶望の淵に垣間見た娘さんの思念は、決して甘いだけのものではありませんでした
水の中は冷たく、一人では寂しいそうです。母と子の絆も、また愛情
親は子のためならなんだってできるんですもの
ならば二人共に転生して、新たな生を送ることだってきっとできますよ


宇冠・由
お母様(f00173)と参加

百火繚乱にて炎の盾を周囲に散布
綿胞子からの攻撃をかばい迎撃し、私たちやお母様の呼び出した霊を守ります
娘さんの霊ならば、慈しみを感じて反射的に攻撃してしまうかもしれませんから

親は子のためならなんだってする。ええ、お母様も私の我儘をいつも聞いてくれます
ですが、子供だって親を守りたい、親孝行をしたいってときだってあります
失ってから気付いては、悲しすぎますからね……

過去はもう変えられない。けれど未来は変えることができるかもしれない。お母様の口癖です
ですから私も信じています
このお二人がまた母と子として転生し、今度こそ明るい未来を築いてくださることを



「『眠りし記憶に宿りし霊よ、今こそ蘇り我が前に現れいでよ』」

 宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)のその言葉と共に、ユーベルコード『枯木竜吟』が発動する。巻き上げられた水流とともに現れたのは――先ほど召された『娘』の姿であった。

「嗚呼、嗚呼……! 愛しい、私の……」

 会いたくて、会いたくて、たまらなかった。死んでもなお、姿形、散財が歪んでもなお、その為に『母親』は待ち続けた。――『娘』との邂逅。反射的に、慈しみの感情が由来である綿帽子が舞い散るが、それを予測していた宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)のユーベルコード『百火繚乱《嶺上開花》が全て焼き払う。
 『娘』に伸ばした手を慌てて、引っ込める『母親』。そうだ、もう、この手は、この腕は、あの子を抱きしめるには相応しくない。だって、その手は血に汚れてしまった。この魂は穢れてしまった。
 しかし、そんな彼女を勇気づけるように龍と由は声をかける。

「絶望の淵に垣間見た娘さんの思念は、決して甘いだけのものではありませんでした。……水の中は冷たく、一人では寂しいそうです。母と子の絆も、また愛情。
 ……親は子のためならなんだってできるんですもの。……ならば二人共に転生して、新たな生を送ることだってきっとできますよ」
「――『過去はもう変えられない。けれど未来は変えることができるかもしれない』――お母様の口癖です。ですから私も信じています。

 大丈夫。どんな姿でも、どれほど汚れても貴方は彼女のたった1人の母親なのだ、と。

 その言葉に涙して、両腕を広げた『母親』と、広げられた両腕に収まり、泣き笑いの表情を浮かべる『娘』。ハナミズキの花弁が舞い上がり、同時に、泡沫がぶわりと広がって。

 後には、何も残らなかった。……彼女たちの未練は、この世から消えたのだ。

「おやすみなさい」
「どうか、来世では母娘共に、幸せになれますように」

 祈るような猟兵の母娘の言葉は、きっと天に届いただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月27日


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#サクラミラージュ


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠四辻・鏡です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト