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武力、売ります。

#UDCアース

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#UDCアース


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●PMCはオブリビオン
 美しきイルミネーションに彩られた冬の街。クリスマスまで後ひと月もないこの時期は、吹く風は寒いにもかかわらず、どこか暖かさすら感じる。
 談笑しながら街を歩く家族。仲睦まじく手を繋いで語らう恋人たち。早くもサンタの装いを纏ってケーキを売り出すアルバイト。
 街は光に溢れている。あぁ楽しい、美しい、輝かしい。この平穏が続きますように。

 ――――平穏は中断、暴力の時間だ。

「きゃああああああああっ!!」
 突如、街に満ち溢れる悲鳴。そして同時に響き渡る連続的な銃声。
 街中のビルから銃を手にする兵士が出てきて、市街地を制圧する。そして街の人々を女子供の区別なく銃で殺戮する。
 イルミネーションは銃弾に砕かれる。街のサンタの衣服は赤い血で染め直される。笑いあう人々は恐怖の表情のまま絶命する。
 街が死と静寂に包まれるまでには、30分もかからなかった。

「ご覧いただけましたか、教団の皆様。これが我々PMC【ブレットドグマ】の実力です」
 糊の効いたスーツで決めた社長が、左手に構えるハンディカムへと向けてと呟く。そのDカードには、ここまでの悲劇が映像データとして余すことなく収められていた。
「瞬殺、無慈悲、暴力!邪魔の入らぬうちに街を制圧できます。街ひとつの生贄が欲しくなった時も心配無用!」
 社長の足は交番の前で止まった。拳銃を片手に応戦しようとした警官の、その亡骸の頭を拳銃で蹴飛ばす。暴力に立ち向かおうとした勇気をあざ笑うかのように。
 実際、男は笑っていた。そしてビジネススマイルを張り付けた瞳には、殺戮と支配の歓喜、そして敵など無いと言わんばかりの自信が宿っていた。
「武力暴力そして殺戮がご入用の際は、我々ブレットドグマまでご相談を!今ならお安く勉強いたしますよ!」
 それは、彼らの“プロモーション”だった。街一つを惨殺せしめる凶行は、その程度の理由で引き起こされたのだった。

●武力には武力を
「殺しの仕事だ」
 君津・輪太郎(悪滅の旅客・f22070)は、直截に話を始めた。
「勿論ターゲットはオブリビオン。それも、武力に特化した連中だ。奴らはPMC【ブレットドグマ(弾丸の教義)】を名乗っている」

 PMC――――Private Military Company、民間軍事会社。それは軍事力を使った商売を行う企業の事だ。
 本来のPMC(公的にはPMSCsとも)は直接戦闘よりも正規軍の訓練や後方警備、軍事行動時の補給などが主になる事が多いらしいが、彼らは人の常識に囚われぬオブリビオン。もっと直接的に、殺戮と支配のための武力を邪教団相手にひさぐ。

「で、奴らの“プロモーション”がUDCアースのとある繁華街で行われるという予知を俺は掴んだ。教団相手に売り込むPVを作る為だけに、連中は無辜の人々を虐殺するらしい」
 君津は傍らのホワイトボードに黒いペンで“ブレットドグマPMC”と綴り、そこから矢印を伸ばして“商談”、更に伸ばして“虐殺”と書き殴る。
「とんだクソ野郎だ。連中が本格的な“商売”に移る前に、全部ブッ潰さなくてはならない。それで悲劇は事前に阻止できる」
 ホワイトボードに書かれたブレットドグマPMCの文字を、今度は赤いペンでバツ印を上から刻む。
 続いて、彼は街の見取り図のようなものを書く。そのうちの建物の1つを、青いペンで塗り潰した。
「場所は割れている。犠牲になる街の一角にある小さいビルのうち数フロアだ。そこには事務員のみならず、兵士や装備も用意されている。つまりここが本拠地だ――――潰せ」
 机や什器などの障害物に紛れて、罠がある可能性にも気を付けろよ、と付け加える事を忘れない。
「社長もオブリビオンだ。指揮能力と精神系のユーベルコードを使ってくる。兵力を潰してもコイツが残っていると、逃れてまたPMCを再結成しかねない。逃さず殺せ」
 以上だ、と君津は話を区切る。そして出撃する猟兵たちの準備が問題無いことを確認すると、転移を開始した。


県 鼎
 クリぼっちでもそれなり楽しい県鼎です。
 ショッピングモールでクリスマスキャロルが流れていると、童心が蘇るのか無性に楽しくなってきます。

 今回のターゲットはPMC……より厳密にいえば、それを名乗る暴力組織です。彼らが殺戮を開始する前に、拠点とするビルを襲撃して潰してしまおう、というシナリオになります。
 舞台となるのは小規模なビルの数フロア。机やらPCやら印刷機やら色々なものが並んでおり、あとロッカーには彼らの武器が収められています。
 それらの障害物に配慮しながら、あるいは利用しながら戦うと有利に事を運べるかもしれません。
 それ以外のマスタリング方針については、私のMSページをご覧いただければ幸いです。

 戦いが終われば、守り抜いた冬の街で守り抜いた平穏を過ごす時間もあるでしょう。
 その為にも、猟兵の皆様の活躍に期待いたします。
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第1章 集団戦 『邪教の戦場傭兵』

POW   :    サーチ・アンド・デストロイ
【アサルトライフルによる精密な銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    ブービートラップ
【予め設置しておいたトラバサミやくくり罠】が命中した対象に対し、高威力高命中の【グレネードランチャー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フルファイア・アタック
【アサルトライフル】【ハンドガン】【銃剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:ボーアゲラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオンは過去より生まれた存在だ。
 戦場傭兵を起源とするあの連中は、オブリビオンとなった今では傭兵商売をしていた過去をなぞるように、商業活動の真似事をしているに過ぎない。
 それがブラック社長のオブリビオンと組み合わさって、ブラックもブラックな“売り込み”みたいな殺戮行為をしているという訳だ。

 ……ま、連中の過去や起源なんざどうでもいい。
 オブリビオンは殲滅、それだけだ。

「敵襲だッ!」
「総員応戦、襲撃者を蜂の巣にしろ!」

――――夜のオフィスの中、無数の銃口が、猟兵へと向けられる。
波狼・拓哉
こんばんは、死ね。
と口頭一番に闇に化けたミミックを投擲。わざと当たらないようにね。オフィスを暗くしてやりましょう。ま、暗視装備がないとは思いませんが…オフィス内で暗視装備を付けっぱなしってことはないでしょうし先手は頂けるでしょう。
自分は広がった闇にまぎれつつ、暗視ゴーグルを掛けて突入。戦闘知識、第六感、視力で闇の中動く敵を見切り、衝撃波込めた弾で撃ち倒してやりましょうか!相手が対応し始めたら武器落とし狙いに変えつつタイミング見計らって闇を解除。…さて元がどんくらい明るかったは知りませんけど…目に行くダメージが楽しそうですね!
(アドリブ絡み歓迎)



「こんばんは、死ね」
 開口一番、問答無用。
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はオフィスのドアを開け放つや否やミミックを投擲。【偽正・闇囁残証(ユゴス・コール)】が発動し、蛍光灯に照らされていたオフィスが闇に落ちる。
「なっ、闇討ちだと!?」
「くそっ、ナイトビジョン!ロッカーから持ってこい!」
 視界が突如暗闇に包まれ、襲撃者の姿が闇の中に消えたのだ。恐慌状態に陥らず対応が出来るだけ努力できている方だろう。だが仕掛けた側である拓哉は当然闇への備えが出来ている。探索用ゴーグルの暗視機能をスイッチオン、闇の中に敵の姿がありありと映し出される。
(さて、相手が対応する前に可能な限り数を減らしましょうか)
 視覚のみには頼らない。感覚を研ぎ澄ませ、至近距離用拳銃【ノット】を取り出す。左腕の黒水晶ブレスレットに右手首を置き、衝撃波をノットにチャージ、アンド、ファイア。衝撃波をモロに食らい、吹き飛ばされる戦場傭兵。威力は十二分だ。
「野郎、そっちか!」
 音に聞いて暗中に対応する戦場傭兵。だが正確な位置は分からず、黒水晶の力で通常以上に闇に溶け込んでいる拓哉を捉えるのは至難の業。命中率を優先してハンドガンで狙い撃つも定まらず、多少の幸運で当たったとしても防弾チョッキに阻まれる。
 傭兵側に幸運があったとすれば、それは装備ロッカーの位置を拓哉が把握していなかった事だ。装備はそちらに集められており、暗視ゴーグルも十分数がある。それらが行き渡り始め、傭兵側も闇討ちへの対応が出来始めていた。
「野郎、そこか!」
「いたぞ、撃て!」
 暗視ゴーグルを装備、光増幅度を最大に。闇の中に拓哉の姿を捉える。今度は外さない、ライフルに持ち替え拓哉を狙い撃つ。
 防弾性能のあるチョッキと言えども、ライフルの貫通力に対しては絶対の防御力は保証されない。多少は拓哉も手傷を負い始めていた。
 だが傷を受けながらも拓哉は応戦を続ける。拳銃を距離を選ばないバレッフに持ち替え、ライフルを弾き飛ばすために衝撃波を纏う弾丸で狙い撃つ。
 だが多勢に無勢、そろそろ厳しくなってきた。しかし策はもう1つ用意している。
「そろそろ頃合いですね……“さぁ、化け明かしなミミック!”」
 ミミック解除、闇から光へ。同時にゴーグルの暗視機能もOFF。闇に覆われていた蛍光灯の光が露わになり、再び室内を照らす。
「ぐあっ、眩しい!」
「目が、目が、目が!」
 感度最大に高めていた暗視ゴーグルが、平常の光を増幅して傭兵たちの目に送り込む。それはもはや閃光弾にも匹敵する光の暴力、瞳を突き刺す針千本。
 何も見えない。見えないだけならいいが、脳髄にすら響くほどの視覚刺激が傭兵たちを混乱せしめる。思わずゴーグルを投げ捨てるように外し目を抑えるも、抑えた所で眩暈が消えるわけでも無し。
 当然、傭兵たちは隙だらけだ。そこに付け込まぬ阿呆はいない。拓哉も策が刺さって心なしか楽しそうに見える。
「ではもう一度改めて、死ね」
 再びノットに持ち替え、拓哉を見ることすらままならぬ傭兵たちに素早く接近し、トリガー、トリガー、トリガー。
 蹴散らされる傭兵たち。まさしく阿鼻叫喚。場の主導権は、拓哉に掌握されていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊高・鷹介
・ふん、戦って散っていった連中の成れの果てか。で、やってることは……ケッ、「生前」と手段は同じで目的は真逆、と。さぁて、どう始末つけたもんかな。

・戦場はオフィスで障害物は多め。要するにあっちはそれに隠れながら攻撃を行ってくるってことか。なら話は簡単だ……粗悪品な俺が唯一使える力、「念動力」でその辺の備品を操作して暴れさせてやる。ついでに傭兵モドキどもにはその武装ごと【一時停止】をお願いしとこうか。
それでも近寄ってこれた奴、迫ってきた銃弾はカマキリを振り回して迎撃だな。

・さあ、頼みの障害物に潰されるか、それともカマキリの餌になるか……選べよぉ? 答えがその口から言えるならなぁ!?



 過去には己の武をひさぎ、その末に死んでいった者たち。その行為は今も同じではあるが、オブリビオンとなった今は“目的”が歪み反転した。守るべく戦う者は殺すべく戦う者に。
 ケッ、と下らなそうに吐き捨てる伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)。並ぶ銃口を前にしても動じない。シニカルにして冷徹。
(さぁて、どう始末つけたもんかな)
 膠着した状況、瞳を動かしてオフィスを観察。机、備品、障害物は多い。相手が傭兵なら、それを遮蔽物として利用しながら戦うのは習性みたいなものだろう。
 故に、機械の臓器なくして命を繋げぬ“粗悪品”たる鷹介が、その血脈に刻む武装。唯一にして最強なる異能が牙を剥く――――念動力。
「んじゃ、暴れな!」
 奥にいる傭兵の腰から下を隠していた机が、突如として動き出し傭兵を壁に押し付ける。腹部をしたたかに打ちつけた傭兵は銃を取り落とし、少なからぬ血を口からまき散らす。
 突然の奇襲に驚く傭兵たち。だが容赦はない、次なる追撃。椅子が滑って足を浚い、プリンタが飛んで頭を打ち、ロッカーが倒れて全身を埋める。
 この時点で数割の傭兵は戦闘行動が不能になった。だが残っている者もいる。彼らは果敢に武器を取り、鷹介の身に銃口を突き付ける。
「この野郎、ブッ殺す!」
「あ?何か言ったか、傭兵モドキ――――“おら、そこ動くな”」
 ライフルを向けた傭兵に対して掌を向け、ユーベルコードを発動。【一時停止】の強制命令、空間がその身を圧搾し動きを止める。傭兵は苦悶の表情を浮かべ、銃を取り落とす。
「う、動け……」
「威勢だけは良かったな、はいサヨナラ」
 念動力を行使し、机に乗ってたデスクトップパソコンを顔面に叩き付ける。それはちょっとした重量物、もはや鈍器と言ってもいい。それを全力で顔に叩き付けられれば、顔面が平らに整地されるだけで済めば良い方だ。
 だがユーベルコードも全ての敵を制圧できるわけではない。遠間で駄目なら接近戦を、銃剣を構え突撃する傭兵。半ば恐慌状態の戦況、破れかぶれながらも戦意だけはまだ失っていない。
「クソっ、串刺しだッ!」
「テメェがな!」
 今度は己の背中に念動力を集中。背中から生えるのはカマキリと名付けられた、その名の通りの形状の副腕――――或いは大鎌と呼ぶが適切か。外側から念動力で動かす外付けの機械腕。
 向かってくる傭兵の銃剣を弾き飛ばし、彼が驚愕の表情を浮かべた直後に胸への一撃。心臓を貫き、瞬時に絶命をもたらす。
「ハッ!これが実力の差だ。テメェら理解したか?」
 挑発的な、そして凶暴な表情を浮かべて鷹介は周囲を見渡す。趨勢はもはや決まったと言ってもいいだろう。
 それでも、傭兵は抵抗を諦めない。いや、それも戦場傭兵としての習性だろうか。拳銃を腰から引き抜き、銃弾を鷹介に向けて放つ。だが決死の抵抗も、カマキリの刃に敢え無く弾き返される。甲高い金属音が小さく響き、それで終わり。
「分かってねぇ奴もいるみたいだな。んじゃ、頼みの障害物に潰されるか、それともカマキリの餌になるか……選べよぉ?」
 返す言葉と同時に、拳銃を撃ってきた傭兵をカマキリで口元から両断する。
「つっても、答えがその口から言えるならなぁ!?」
 暴虐と圧殺、戦場傭兵たちは既に支配されていた。だがそれも、彼らがやろうとしていた事を思えば相応の報いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・ドレッドノート
アドリブ連携歓迎!
【SPD】

ふっ…そんな銃の撃ち方では、私に当てることはできませんよ。

【世紀末の魔術師】で複製した閃光弾で、窓の外に爆発を起こし、敵の目を惹きつけたら、
「レディース、アンド、ジェントルメーン…」
マントを翻してシュタッと部屋の反対側に現れます。

「さぁ、ショーの始まりだぜ!」
トラップに向けて無数のカードを投擲。フェイントを兼ねて敵の目をくらましつつ、トラップを誤作動させます。

続けざまに真紅銃をクイックドロウで連射。
「お帰りはこちらですよ。骸の海へのお土産に、実弾をプレゼント!」

後で挟み撃ちにならないよう、しっかり額を撃ち抜いてトドメを刺してから、次のフロアに向かいましょう。


ニトロ・トリニィ
アドリブ歓迎です!

へぇ、彼等が話に出て来た傭兵かな?
力強い目をしているけれど… そこに正義は無い。
平和を守る為にも、彼等は一人残らず狩らないとね。

敵は集団戦闘に長けているからね… 無闇に正面から突っ込むのは危険かな?
それなら《第七感》と〈目立たない/忍び足/暗視〉で気づかれない様に近づき、隙を見てククリナイフで〈二回攻撃〉や〈なぎ払い〉だ!

敵のUCにも《第七感》で対処かな!
どれだけ凄い罠だろうと、掛からなければどうと言う事は無いからね。

これで全員を倒す事は出来ないだろうけど、他の猟兵が動き易くなるくらいには混乱するはず…
フフ… 黒粘液の恐ろしさを思い知らせてあげるよ!



「ふっ……そんな銃の撃ち方では、私に当てることはできませんよ」
 銃口を向けられて尚、優美なる振る舞いを崩す事なきシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)。
 彼が優雅な挑発文句を告げた直後、閃光がビルの外で巻き起こる。
「ああっ!?」
「なんの仕込みだ今のは!?」
 瞬間、銃口を向けていた傭兵たちが窓の外へと気を逸らす。ユーベルコード【世紀末の魔術師】で仕込まれていた閃光弾が起爆したのだ。
 それだけだった。ただそれだけでしかなかったので、傭兵たちは再びシンの方へと向き直り――――いない、姿が消えた。
「レディース、アンド、ジェントルメーン……」
 声は、反対側から聞こえた。一斉に振り向く猟兵たち。そこには、マントを翻しながら着地するシンの姿。
 気を逸らしたのは僅か一瞬。その一瞬に、ただそれだけの隙間に、足音すら立てることなく回り込んだというのか。なんという早業、なんという身のこなし。
「さぁ、ショーの始まりだぜ!」
 瞬時に放たれる、無数のカード。ブービートラップを断ち切る、紅の影の名を冠した奇術師の象徴。トラバサミはあぎとを閉じ、くくり罠は切断される。奇術師の名に相応しき、華麗なる早業。
 だが、傭兵たちにとっての不幸はそれだけではなかった。彼らの最大の失策は、優美に立ち振る舞うシンに瞳を奪われたこと。その陰で音も立てずに歩む別の策謀に気付けなかったこと。
 突如、入口付近にいた傭兵たちが、心臓や首などの急所から血を噴きながら倒れる。そこにいたのは、静かにククリナイフを握るニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)。
「へぇ、君達が話に出て来た傭兵かな?」
 闇討ちに驚き、振り返る傭兵たち。ニトロは自身に向き直った彼らの瞳を一瞥した。力強く、鋭く、されど正義の心が見出せぬ濁った瞳。
 オブリビオンとなる前は正しき義の元に力を振るっていたのかもしれない。だがそれは今となっては“過去”だ。それは歪み、暴虐の為に力を振るう存在と化している。
 許容は、到底できない。
「平和を守る為にも、君達は一人残らず狩らないとね」
 故に、ニトロは告げる。それは猟兵の使命の元に。ブラックタールの恐ろしさを、連中に刻み込んであげようか。
「おっと、私のショーもまだ終わっていませんよ?」
 傭兵たちがニトロに気を取られた瞬間に、紅の弾丸が背後から脳天を貫く。目にも止まらぬ真紅銃の早撃ち、シンの速度は物や目だけではなく命すら盗む。
 だがそちらに対応しようとすれば、文字通り影に“溶け込む”ニトロの静かな奇襲に対応できない。連続攻撃となぎ払う一撃を使い分け、次々と傭兵の命を刈り取る。
 まさしく陽のシンと陰のニトロ。シンが華やかな銃撃で傭兵の命を射落とせば、音も無く忍び寄るニトロの斬撃が傭兵の命を断ち切る。前後で挟み撃ちに遭い、更に一方に意識を寄せることすらままならない。半ば即興とはいえ、2人は見事な連携を発揮していた。
 さらに言えば、シンが高い精度でブービートラップを解除できたのも、ニトロのユーベルコード【第七感】による未来予知が事前に伝えられていたからだ。勿論シン本人の技量もあってのことだが、猟兵の切り札たるユーベルコードがそれを補強することにより、彼の絶技は完全の域に達した。
 そしてユーベルコードを無効化された傭兵など、烏合の衆でしかない。銃やナイフで対応しようとするも、両者の戦闘技術の前には只のカカシも同然だった。
 制圧完了。このフロアにいた傭兵はあらかた片が付いた。静かになった部屋の中で、シンとニトロが向かい合い、互いの健闘を讃え合う。
「全員を倒すことは出来ないだろうと思っていたけど、君のお陰で仕事を成し遂げられたよ。ありがとう」
「いえいえ、こちらこそ。私もあなたの力添えで、最高のショーを繰り広げることが出来ましたよ」
 笑いあう2人。とはいえターゲットはここだけに居る訳では無い、まだ油断は禁物だ。制圧を急ぐべく、次のフロアへと向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミリア・ペイン
…こんな屑共と同じ空気を吸ってると思うだけで虫唾が走るわ
覚悟しなさい、蹂躙されるのはお前達の方よ

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
構える隙も与えない
【先制攻撃】で炎を一斉にばら撒くわ
炎には【呪詛】を込めてあるから苦痛で動きにくいでしょ

ロッカーは弾避けに使わせて貰おうかしらね
ただ、怪しげな気配を感じた箇所には近付かないでおきましょ【第六感】

私の狙いは一つ
奴らの武装を解除して丸腰にする事よ

攻撃する際は武器を持つ手を優先して狙うわ
武器狙い?…勘違いしないで
腕ごと吹っ飛ばすに決まってるでしょう?【部位破壊】

…武器を持たない一般人が踏みにじられる絶望と恐怖
その身で味わうがいいわ



(……こんな屑共と同じ空気を吸ってると思うだけで虫唾が走るわ)
 出発前に聞いた予知の内容を思い出し、ミリア・ペイン(死者の足音・f22149)は腹の中に憎悪を抱きつつ胸中で呟く。
 かつてオブリビオンによって故郷を奪われ、親しき人々を皆殺しにされた彼女。同じような悲劇をこの地に再現しようとする連中に慈悲を見せる道理は、無い。
 故に、蹂躙する。直ちに、全力で、確実に。
「“ほら……聞こえるでしょ?亡者があなたを求める声が”」
 接敵と同時にユーベルコード起動、【黒き怨恨の炎】。黒く染まった炎を纏う悪霊の魂、更に呪詛を重ねていよいよおぞましく。無数の炎がばら撒くように放たれ、傭兵たちを狙う。
 その向き先は手元、武器狙いか――――否、手だ。
「……武器を持たない一般人が踏みにじられる絶望と恐怖、その身で味わうがいいわ」
 部位破壊。手の甲に直撃し、炸裂する黒炎は武器ごと腕を吹き飛ばす。彼らがこれから起こさんとする悲劇を、無力な人々を蹂躙するという凶行を、さかしまに彼らの身に引き起こす。
「ギャアアアア!」
「腕が、腕があああああ!」
 武器を持つ腕を破壊され、腹の底からの絶叫を上げる傭兵たち。呪詛を纏うそれは、より強い苦痛を彼らに与える。
 彼らが苦痛に悶えているうちに、ロッカーの方へと躍り出る。邪魔になる傭兵を炎で蹴散らしながらも、弾避けの遮蔽物とするために身を潜める。第六感で気配をチェック、爆弾のような危険物は無さそうだ。
 ミリアの狙いから逃れた傭兵はライフルを構え、隠れたミリアに向けて連射。ロッカーはそこそこ丈夫だが、それでもライフルの貫通力は高い。致命傷を受ける程度ではないものの、多少弾が貫けてミリアも幾許かの傷を受け、その痛みに眉をひそめる。
「……少し痛いわね。でも、お前たちが人々に与えようとしている苦痛に比べれば、この程度」
 逃げる為にここに潜り込んだのではない。有利な位置を取り、オブリビオンの屑共に報いを受けさせる為だ。
 ユーベルコードを再度起動する。身を隠していたロッカーから姿を現し、怨恨を燃料として黒く燃える炎を放つ。狙いは徹頭徹尾変わらない、再び手へ。
 軌道は変幻自在、ミリアの意のままに。それぞれの炎が腕を狙い、爆ぜる。彼らの腕は二度と武器を取ることは無いだろう。
「覚悟しなさい、蹂躙されるのはお前達の方よ」
 そして、武器を落とした程度で許す彼女ではない。オブリビオンは問答無用で殺す、その誓いの通りに実行する。
 ミリアの背で数多の黒き炎が燃え上がる。地獄をここに。無辜なる者の痛みを知れ、オブリビオン。

成功 🔵​🔵​🔴​

バレッタ・カノン
よく訓練された兵隊だ
金で雇われている以上の士気も感じる
だからこそやりやすい

罠は無視だ
脅威はあのグレネードランチャーだろう
撃たせては危険だ

【怪力】による「マンホール」の【投擲】で敵のグレネードランチャーをはたき落とす
マンホールが手元に戻ってきたら再【投擲】で【二回攻撃】し射撃の機会を奪う

グレネードの直撃が回避できない状況ならばマンホールで【盾受け】し「マント」で爆発の火炎を回避

囲まれる前にUC鬼神で身体能力を向上

もっと速くだ

「重機関銃」の銃身と銃底で敵の手足を【怪力】を使い叩く
姿勢を崩させ首や頭等致命傷を狙える部位を【零距離射撃】

お互いに仕事だ
給料は私のものだな

悪く思うな

アドリブ、共闘大歓迎



 バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)は、綺麗に並べられた銃口を見て、いささか感心したように呟く。
「よく訓練された兵隊だ、金で雇われている以上の士気も感じる。だからこそやりやすい」
 行き届いた規律は行動の定型化に繋がり、柔軟性に欠く。バレッタはそこに傭兵たちの弱点を見出す。
 だから、例えば敢えて罠の存在を無視して進んでいく。踏み入った先に、風景に溶け込むように偽装されたトラバサミ。ガション、音を立ててあぎとが閉じる。しかし意に介せず、激痛耐性でその痛みは堪える。
「かかった!」
 グレネードランチャーを構える傭兵、バレッタは即座に判断する――――こちらから届く攻撃は間に合わない、撃たせるしかない――――マントを纏って爆炎に備え、マンホールを盾代わりにグレネードを受ける。
 爆風と衝撃、小型の榴弾とはいえ爆発の威力は相応。衝撃に思わずたたらを踏むも、耐熱マントは熱をよく遮った。マンホールもその衝撃を受け切った。凄いぞマンホール。
「くそっ、耐えやがった!?」
「危ないな、そういう玩具は没収だ」
 返す刃、マンホールを投じる。一般的なものであればマンホールは40㎏。それと同じ重量なのかは分からないが、少なくとも鈍器としては十二分。取り落とすどころでは済まず、銃身はへし曲がり、吹き飛び、受けた傭兵は腕に痺れるほどの衝撃を覚え、顔をしかめる。
「うごぁあっ!?」
 グレネードランチャーを吹き飛ばした後、何故か弧を描いてバレッタの手元に戻ってくるマンホール。それは本当に只のマンホールなのだろうか。戻ってきたマンホールを掴み取り、余勢を駆ってもう一擲。
 衝撃に手を震わす傭兵、次に狙うは胴体。彼が気付いたときには手遅れ、回避の間も無く直撃。吹き飛び、壁に叩き付けられ、肺の空気を衝撃で吐き出す。無力化完了、彼は肋骨を砕かれつつ気を失った。
「まだ足りないな、もっと早くだ」
 チマチマやっては片が付かない。そう判断したバレッタはユーベルコード【戦場の鬼神(タイタンフォール)】を起動する。憤怒、怨念、狂気、三つを重ねて限界を超越。肉体は更なる隆起を遂げ、満ち満ちる血管は少し弾けて血を流す。まさにその姿は鬼のごとく。
「“この姿は嫌いだ、あまり見るな”」
 故に目を見張ってくる連中は全てなぎ倒す。P15A2重機関銃を取り出し、他の傭兵に向けて接近。限界を超えた脚力は踏み込みの速度をも向上させる。傭兵たちはユーベルコードの力を帯びぬライフルで弾幕を張ってくるが、この程度では怯むまでもない。
 その機関銃はケタ外れの重量からして鈍器となる。そもそもバレッタは狙い撃つのが得意ではない。なので彼女にとっての最適解は――――
「砕けろ」
 最大まで満ちた筋力を全開、脚を狙ってフルスイング。鈍く鳴る嫌な音、間違いなく骨は逝った。だがこの程度では済ませない。立ち上がる力を失って膝を突かんとする所、垂れたこうべに銃口を突き付け、トリガー。
 ダン。
 鈍く力強い銃声と同時に頭蓋が砕ける。対物狙撃銃にも匹敵する口径の13mm弾、それは首から上を消し飛ばすほどの威力を秘めている。それを零距離で撃ち放てば、無事でいられる道理など無く。
「お互いに仕事だ。猟兵の給料は良いのでな、相応の仕事はしなくてはならん。悪く思うな」
 まさに鬼神が降りたかの如く、傭兵たちを蹂躙するバレッタ。もはや戦場とすら呼べぬ、これは処刑場とも言っていい。鈍く大きい銃声が響く度に、傭兵の命は次々と吹き飛んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
市街地となれば、派手な破壊は控えるべきか

敵へは顕理輝光で対処
罠と攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
全行動は高速詠唱及び『刻真』で無限加速し隙を作らず
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げる

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその行う全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
全力魔法の技法と『解放』を合わせて魔力を注ぎ強度と自壊速度を最大化

対処外である猟兵や一般人には影響無し
迷宮内から「外」へは何もできず、逆は自由な理不尽の檻だ
存分に憤れ

出口は自身に設定
俺か迷宮を破壊すれば自由の身だぞ
攻撃も自壊し消える中で何が出来るか試すが良い



「市街地となれば、派手な破壊は控えるべきか」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は、現状を冷静に把握しつつ淡々と呟く。
 眼前の事態の解決そのものは当然のように捉えているその態度は、平常的でありつつもこの状況でそう在ることが超常的、そしてある意味では挑発的でもある。それが対峙する傭兵たちにとっては癪に障ったのだろう。
「何ぬかしてやがんだ、テメェ」
「ずいぶん大層な余裕だな、死ね!」
 フルファイア・アタック。アルトリウスに向け、一斉に放たれる銃火。銃声銃声銃声銃声――――しかしそこに血肉が穿たれる音が聞こえない。
 顕理輝光『絶理』そして『刻真』。自らの存在を別の時間に置き、世界から断絶する。それは原初の理を手繰る異能の一端。
 驚愕する傭兵たち。あらゆる攻撃に手応えが感じられない。その理屈すら彼らには理解のしようがなく、また理解していたとしても概念に影響を及ぼす術を持たない。
 そしてアルトリウスは対応を緩めない。高速詠唱、刻真、行動加速。超克、供給。高速詠唱、刻真、更に加速――――
「“惑え”」
 詠唱はコンマ1秒にも満たなかった。その一瞬でユーベルコード【天楼】が起動。何の変哲もないオフィスが、迷路に変貌する。さらに重ねる『解放』、そして全力魔法。迷路の存在概念が強化される。
 突然の変転。己を閉ざす論理の牢獄。アルトリウスの詠唱に違わず、傭兵たちは惑う。
「なんだこれ、どうなってんだよ!」
「ってかなんなんだよアイツ!わけわかんねぇぞ!」
 只の“武力”である彼らにとって、原理を操作し概念にすら手を伸ばすアルトリウスはまさに埒外の存在。理解が及ぶ筈もない。
 試しに壁を撃とうとする者がいた。だが、弾丸は自壊した。グレネードランチャーを、ライフルを、手持ちの罠を起動する者がいた。その全ての結果が“自壊”した。
 あらゆる抵抗が無意味と化した。そして傭兵たちは自分自身が自壊し始めている事にも気が付いた。恐怖の声すら出ない、それももはや意味が無い。
 脱出を試みて歩みだす者もいたが、アルトリウスが“外”から供給した魔力を注がれ最大まで高められた自壊の速度は、出口まで辿り着く時間すら彼らに与えなかった。
 出口に待つのはアルトリウス。術者である彼を倒すか、迷宮を破壊するか。この論理に対する解は2つ存在したが、そこに到達する術が無い。
 アルトリウスが出口で待つ間、傭兵たちの姿を見ることは無かった。その理由は自明であった。決着がついたことを認識すると、アルトリウスはユーベルコードを解除、元のオフィスに戻った――――傭兵の1人とて残らぬオフィスに。

成功 🔵​🔵​🔴​

レナ・ヴァレンタイン
素人相手には、まあ効果的なのだろうよ
だが、戦争屋を名乗るなら戦車のひとつやふたつ、持ってくるべきだったな

ユーベルコード発動と同時に敵のいる室内へ向けてフォースセイバーと黒剣のナイフを室内に縦横無尽に走らせる
罠を張っていようがいまいが、室内全体ごとミンチにしてしまえば待ち伏せもなにもないだろ?

あとは【鎧砕き】を乗せたアームドフォートの一撃で障害物や隠れる壁ごと標的をぶちぬき、やぶれかぶれの突撃は【乱れ撃ち】【範囲攻撃】を乗せたガトリングのフルオートで迎撃
運よく弾幕をくぐりぬけてきた奴は拳銃の抜き射ちと乱射で仕留める

なにが民間軍事会社だ
いいとこ武装したチンピラの集まりとどこが違うのかね?



「素人相手には、まあ効果的なのだろうよ」
 レナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)が、己に向けられた銃口を見渡しながら嘲るように言う。
 彼女は素人には非ず、オブリビオン狩りを生業とする猟兵である。故に、この程度のこけおどしには動じてやる義理など無い。
「だが、戦争屋を名乗るなら戦車のひとつやふたつ、持ってくるべきだったな――――“ようこそ、我が荒野の世界へ。盛大に出迎えてやるとも”」
 それを証明するかのように、猟兵の絶技、ユーベルコードを発動する。【軍隊個人・総員集結(ジャック・レギオン・フルバレルオープン)】、彼女が持つ巨大な光剣“夜中の夜明け”と黒き刃の短剣“嘆きのアーノルド”を無数に複製、展開、射出。
 危険な刃がフロアを切り刻む。机も、什器も、ロッカーも一切合財を無差別でズタズタに刻み、当然室内に仕掛けてあった罠も刃が無惨に解体する。
「クソッ、退け!」
「隠れる場所が無い、避けろ!」
 中にいた傭兵も死角なき斬撃に泡を食ったように散開、うち何人かは飛び交う刃で刻まれバラバラになって絶命するも、素早く対応した傭兵の中には銃剣で逸らしながら命を長らえ、隙を見てレナに向けて銃撃を仕掛ける者もいた。
 ライフル弾が頬を掠めるのを感じながら、少しだけ感心したようにレナは呟く。
「成程、根性は案外あるようだな。では、これならばどうか」
 続いて展開するのはアームドフォート“ギャラルホルン”。終末を告げる角笛の名を冠する破砕砲。城壁をも破砕し、戦場の終局を開始するその姿には、正に相応しき名と言えよう。
 狙い、砲撃。砲弾は室内にて炸裂し、城壁を踏み砕く散弾が撒き散らされる。盾に出来るような机やロッカーはおろか、壁すら砕いて隠れ場所を薙ぎ払う。刃に対応していた傭兵もまた、装甲さえ貫く威力の散弾を受けて吹き飛ぶ。ボディアーマー程度の装備では耐えられるはずもない。
 これでもだいぶ片付いたが、仕上げにひと掃除。蒸気ガトリング“報復者ヘクター”を展開し、撫でるように掃射。フルオートで吐き出される弾丸が、ギリギリで生き残っていた傭兵を薙ぎ払う。
 空いた手でリボルバーを弄しながら、完全に沈黙したオフィスを見渡す。弾幕を突破してくる傭兵がいればこれで迎え撃つつもりだったが、既にオーバーキルも良い所だったようだ。
 展開してきた武装を収めながら、再び嘲るように呟く。
「なにが民間軍事会社だ。いいとこ武装したチンピラの集まりとどこが違うのかね?」
 ワン・マン・アーミーにも等しき戦力を展開する彼女と、オフィス数フロア分の白兵戦力しかない彼らを比するのは、いささか残酷な話だったかもしれない。
 だが、市民を害しようとする下衆な悪意など、彼女の言う通りチンピラ程度の屑だ。そう考えれば、彼らにはお似合いの末路か。

成功 🔵​🔵​🔴​

テラ・ウィンディア
……闘い
殺す度
正義や良識が消えていく
きっとそれは駄目な事なんだ
だから…そういうのを失った奴らをおれは…殲滅する

【戦闘知識】で周囲の罠の捕捉
罠を見つければ解除
その上で
掛かったふりをして泣き叫ぶ

やだっ痛いよっ!
シル姉様っ!助けてっ!いやぁぁぁっ!

(グレネードを向けられ)どうして…どうしてそんな事をすると…わたしたちがなにをしたの…?

……喜べ…お前達が狩ろうとしたのは無力な子供ではないよ
罪を犯さずに済んだ事を喜び
躯の海に帰れ
(グラビティバスターを向けて掃射

【第六感・見切り・残像・空中戦】で飛び回り翻弄しながら密集陣形を捕捉

ああ
おれは玩具の方が好きだ

グラビティブラストによる殲滅!
【一斉放射】で蹂躙!



「やだっ痛いよっ!シル姉様っ!助けてっ!いやぁぁぁっ!」
 突然オフィスに響く叫び声。そこには足を抑えるテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)がいた。
 年若き少女が苦しそうに叫んでいる姿を見て、傭兵たちは一瞬困惑した。しかし、オブリビオンの本能が彼らに目の前の少女が“敵”であると断定させる。
「ブリっ子ぶっても無駄だぞテメェ!」
 予知では女子供も躊躇なく殺害していた傭兵、相手が泣き叫んでいようが問答無用、アサルトライフルの銃口をテラに向ける。
「どうして…どうしてそんな事をすると…わたしたちがなにをしたの…?」
 対するテラは、涙声になって懇願するように語り掛ける。しかし傭兵は一顧だにせず、アサルトライフルの引き金を引いた。
「知るかクソガキ、死ね!」
 狙いをつけ、アサルトライフルを斉射。目の前の少女は蜂の巣になって――――いない。
 それどころか、姿も消えた。
「……喜べ…お前達が狩ろうとしたのは無力な子供ではないよ」
 声は天井から。重力制御で宙に静止し、グラビティバスターを構えるテラ。同じ声だが、先ほどの涙声ではなく、決意に満ちた声であるのが分かる。
「てめぇ、騙してやがったのか!」
「人聞きが悪いな。それでもお前は撃ったじゃないか」
 そう、彼らは撃った。撃ててしまったのだ。
 戦争は心を擦り減らす。殺すか、さもなくば殺されるか。その世界で生きていくうちに、正義は、良識は、邪魔な物となり捨て去ってしまう。それともオブリビオンと成り果てた事により、元はあった正義や良識が歪んでしまったのだろうか。
 どちらにせよ、それらは失われてはいけないもの。それでは駄目なのだと、戦う者にこそ正義と良識は備わってなくてはならないのだと、テラの心は叫ぶ。
 だから、それを失った者たちを殲滅する。それは、テラの決意。
「うるせぇ、撃ち落とせ!」
 傭兵たちはテラを撃ち落とすべく、アサルトライフルを手に弾幕を張る。だが、遅い。残像が残るほどの速度で天井スレスレを舞うテラを捉えることが出来ない。それどころかグラビティバスターの掃射によって次々と吹き飛ばされ、数を減じていく。
「さて、そろそろ殲滅しようか」
 周辺に散るように布陣する傭兵たちはあらかた片づけた。残るは密集するように固まる一団だ。
「“大地の力…存在の維持を司る力…星の力…我が手に集いて我が敵を滅せよ…”」
 ユーベルコード詠唱開始、突き出した掌に重力が収束する。それは殲滅開始の予告、傭兵たちへの死刑宣告。
「“グラビティ・ブラスト…往けぇ!!”」
 一斉放射。重力波が解き放たれ、傭兵たちの集団の中心で炸裂して彼らを吹き飛ばす。彼らは壁に、天井に、したたかに打ち付けられながら圧潰していった。
 これで、彼らが不正義を犯すことはもうないだろう。
「罪を犯さずに済んだ事を喜び、躯の海に帰れ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
良いねぇ、こういうクソッタレはやる事が単純だ。
クリスマス前の多忙時期。便利屋としちゃ稼ぎ時。派手にやろうか。

二丁銃を使ってビル内で暴れる。【二回攻撃】と【クイックドロウ】を駆使しつつ、連中を纏めて潰してく。装備はロッカーに収められてる…って話だが、流石に銃弾撃ち込んじゃ不味いよな?
爆弾や罠なんかがありゃ、フロアだけじゃなくビルごと吹っ飛ぶ可能性もある。
スプリンクラーに銃弾叩き込んで水を垂れ流した所にUC。紫雷の【属性攻撃】に広範囲に渡る【範囲攻撃】も付けてやるよ。
基本的には特注の銃弾を使うんだが、折角、大量の装備があるんだ。銃弾を頂いて使用するのもアリだ。
…高ぇからな、俺の特注銃弾は(肩竦め)



「良いねぇ、こういうクソッタレはやる事が単純だ」
 ホルスターに吊る二挺拳銃“オルトロス”に手をかけ、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は不敵に笑いながら傭兵たちを見回す。これから市民を虐殺しようとするクソ野郎だ、こっちの仕事もシンプルに済ませてしまっていいのだろう?
「クリスマス前の多忙時期。便利屋としちゃ稼ぎ時。派手にやろうか」
 相手の動きを待たず、神速の抜き撃ち。右で一発、左で一発、2人の傭兵が眉間に風穴を穿たれる。
 その速度に驚愕する傭兵たち。だがその暇など無い、すぐに気を取り直しカイムへの殺意を露わにする。
「野郎ッ、ぶっ殺せ!」
 状況が動いた。鳴り響く銃声のファンファーレ、カイムを出迎える無数の銃弾。だがカイムの方が早い、最初の攻撃で敵の陣形が崩れた、そこに転がり込み手荒な歓迎をいなす。
 パーティー・タイムだ。前後左右どこを撃っても敵に当たる。二挺のオルトロスが躍動し、周囲の敵を次々と撃ち抜く。
 だが敵も流石に数が多い。飛び交うライフル弾がカイムの頬や手足を掠め、僅かに血飛沫を散らす。連中もオブリビオンなだけあって、考えもなく蹴散らせるような敵でもない。
(ロッカーに銃弾でも撃ち込んで爆破してみるか?いや、フロアどころかビルごと吹っ飛ぶ可能性があるな)
 C4などは銃弾どころか火に放り込んでも爆発しないのだが、そういった安心できる爆薬ばかりとは限らないだろう。銃弾を満載した箱でも吹き飛べば、それこそ愉快で危険な花火大会の開幕だ。
 他には何か無いかと視界を探り天井に視線を向ける。あった、スプリンクラー。狙いを一瞬で付けてトリガー、弾丸を叩き込む。
 弾丸にて破損されたスプリンクラーが、突如として水を撒き散らす。天井を通じて傭兵たちへ、ルートは通った。
「“雑魚は退場の時間だ。舞台裏に引っ込んでな!”」
 ユーベルコード発動、【紫雷の銃弾(エクレール・バレット)】。紫色の閃光と共に銀の銃弾が放たれ、同じくスプリンクラーへと着弾。紫雷は水を通じてそれを浴びる傭兵たちへと伝わる。
「あばばばばばばば!?」
「ぎょああああああ!!」
 天井からの電撃を浴び、並々ならぬ絶叫を上げる傭兵たち。もう一丁オマケだ、2発目の紫雷の銃弾で広範囲を薙ぎ払う。全員纏めて紫雷に踊れ。
 自分自身はロッカールームに退避。そういえばロッカーには連中の装備もあった。
「オルトロスに適合する弾ぐらいあるか?……高ぇからな、俺の特注銃弾は」
 肩をすくめながらもロッカーのロックを破砕し、中身を物色してみる。ライフルにNVゴーグル、防弾チョッキなど色々あるが、肝心の拳銃弾はちょうどいいのが見つからない。
「ま、ズルは無しってコトか……それじゃ、お前達で稼がせてもらうぜ」
 机の陰に退避するなどして残った傭兵たちに死刑宣言。敵の数はさっきの二撃でだいぶ削れた、数が残っていなければ後は簡単に蹴散らせる雑魚ぐらいなものだ。
 再びオルトロスを抜く、さぁパーティー再開と行こうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

小前田・継葉
さーて、敵の根城に撃たれにきましたー……みたいなのは洒落になりませんね。
飛び道具を準備万端で構えてる相手にコンバットナイフ一本。正気か?って思いますよね。
大丈夫です、とっくに狂ってますので。

【エレクトロレギオン】を召喚、最高で150機くらいの機械が私の頼れる雑兵……ではなく尖兵です。
耐久性に難はありますが、沢山存在するので威圧感はあるでしょう。
彼らが戦い、【時間稼ぎ】する間に本体の私が【目立たない】状態で潜入。背後をとり物陰から【早業】で首を斬って【暗殺】していきます。
生前はどこぞの名のある傭兵だったのかもしれませんが、死んでしまえば結局は私のおもちゃと同じ。雑兵に変わりはないんですよ。



 かたや無数のライフルを並べ、かたや一本のコンバットナイフ。傭兵たちの中にはこう思う者もいた。“こいつ正気か?”そうです、狂っています。
 小前田・継葉(都市伝説・f22262)は、壊れた人間であるからして。
 とはいえ、壊れた彼女もわざわざ蜂の巣になりに来た訳ではない。この状況でまっすぐ斬り込むのは命を投げ捨てる行為も同然、そのぐらいの判断は付く。
(では、私の頼れる雑兵……もとい尖兵の力を借りますか)
 ユーベルコード発動、【エレクトロレギオン】。小型の機械兵器が継葉の周囲に展開される。その数160機、まぁ雑兵と言われれば否めないが、戦力としてはそれなり。
「チッ、撃ち落とせ!」
 数に頼った小者程度であれば、アサルトライフルではオーバーキルと傭兵たちは判断、取り回しの利く拳銃を抜いて対応する。引き金ひと引き、銃声一発ごとに爆散していく機械兵器。
 しかし質はともかく量であれば傭兵よりも上、数を頼りに押したり押されたりしながらそれなりに戦っている。それでも、決定的に傭兵との勝負を決めるには至っていない。

 拳銃で淡々と機械兵器を撃ち落としながら、傭兵はふと気付く。
「オイ……あのガキの姿が見えねぇぞ」
 そう、継葉の姿が無い。最初は機械兵器の中に紛れて立っていたはずだ。それが気付けばどこにもいない。
「なぁ、お前らアイツを見な……」
 振り向いて後ろにいる者に話しかけようとして、、そこで、彼は認識してしまった。
 死んでいる。
 喉笛を掻き切られ、鮮やかな赤い断面を晒して。それはあまりにも綺麗に、滑らかな傷跡で。
 傭兵は思わず息を呑んだ。殺られたのか、あの少女に。あいつはいつの間に動いていた?それはあまりにも自然で、あまりにも早い。
 このまま放置していたら確実にマズい。今相手をしている機械兵器もおそらく気を逸らすためのダミーだ。仲間に気付かせる必要がある。声を上げなくては。そうだ。アイツは俺達の後ろに迫っているかもしれない。手遅れになる前に
 ぴた。
 首筋に、冷たい鉄の感覚。

「ツギハ、オマエダ」

 無数の死体が、オフィスの血の海に浮かんでいた。
 そこにただ1人立つ、継葉の姿。返り血に手を染め、傭兵たちの亡骸を感慨も無さげに見渡す。
「生前はどこぞの名のある傭兵だったのかもしれませんが」
 継葉はコンバットナイフの血を拭い、懐に仕舞った。そして血の海を後にし、靴についた血を振り払って次のフロアへと足を向ける。
「死んでしまえば結局は私のおもちゃと同じ。雑兵に変わりはないんですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『敏腕ブラック社長』ヘルズプレジデント』

POW   :    ブラック社長式リスク対処:壊れちまったお前の世界
【人事課 】から【不当な異動通知書】を放ち、【社員を脅し戦わせること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ブラック社長式リスク対処:責任は突然に
自身の【企業の評価と全社員の給料 】を代償に、【責任転嫁させられた社員】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【地位への復帰から来る貪欲な欲望】で戦う。
WIZ   :    ブラック社長式リスク対処:内定式5秒前
【内定通知書 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 制圧。制圧。制圧。
 PMCを名乗るオブリビオンの集団【ブレットドグマ】が待ち構えているフロアは、次々と猟兵たちの手によって制圧されていった。
 そして最上階、社長室と名の付いた部屋。ノックもせずにドアを蹴破り突入する。広い室内、立派な赤い絨毯、奥には高級感の溢れる机。
「おや?おやおやおやおや。私の自慢の“商品”はどうやら壊れてしまったようですねぇ」
 待ち構えていたかのように、社長椅子に悠々と構えていた“社長”のオブリビオン。その周囲には、彼直属の親衛隊と思しきライフルを肩から提げる戦場傭兵が侍る。
「瞬殺、無慈悲、暴力!それがセールスポイントだったんですがねぇ。まぁ損失は仕方ない、後々補填するとしましょう」
 彼の“武器”である精神操作の呪力を秘めた書類を手にし、椅子からそっと立ち上がる社長。それに呼応するように、親衛隊社員もライフルを猟兵に向けて構える。
「ですが、まずはお客様に我が社なりの誠意を以ってお出迎えして差し上げねば。ようこそブレットドグマへ!武力暴力そして殺戮、わが社のサービスをご堪能あれ!」
シン・ドレッドノート
アドリブ連携歓迎
【SPD】

社長さん…残念ながら経営手腕はイマイチだったようですね。
骸の海でハローワークにでも行って出直しなさい!

戦闘が始まったら、銃弾を見切ってかわしつつ、マントをひらひらと翻して挑発。

社長のUCで可哀そうな社員が襲い掛かってきたところを、閃光の魔盾で受け流しつつ、カウンターで【雷光閃く刹那の弾丸】を発動し、真紅銃、精霊石の銃、4対のライフルビットをクイックドロウで射撃準備したら、一斉発射で撃ち抜きます。
「先ほど瞬殺、とか言ってましたね。本当の瞬殺とは、こうするんですよ!」

そのまま全銃器からの一斉連射で社長を蜂の巣にするとしましょう。
「お前の罪を数えなさい!」


カイム・クローバー
ご自慢の商品はあっちで大量に転がってるぜ。セールスポイントの宣伝がしたいなら街中じゃなく、骸の海でお仲間のオブリビオンにするんだな。

二丁銃で【二回攻撃】しつつ、紫雷の【属性攻撃】で社員ごと撃ち抜く。【クイックドロウ】を駆使しつつ、【範囲攻撃】で集団に対応するぜ。UCとはいえ、社員を使い捨ての駒程度にしか思っちゃいねぇ。アンタの見た目もそうだが、悪趣味なUCだ。
ライフルの弾道を【見切り】、【残像】で躱して回り込む。周囲を囲まれりゃ、こっちもUCだ。
…折角だ。社長室にも銃弾、ばら撒いてやるよ。机?絨毯?吹っ飛ばし甲斐があるぜ。
【早業】でリロード。今日はパーティさ。大量の銃弾、ご馳走してやるよ



「社長さん…残念ながら経営手腕はイマイチだったようですね」
「商品、商品って、要は下の階で転がっている連中の事か」
 ふわり、マントを翻しながらシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)が前に立つ。そして並び立つのはカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。オルトロスを構えて速射態勢。
「えぇ、どうやら私の不足を認めねばならないようで。まさか“商品”の品質を見誤るとは!これは仕入れ先の骸の海にもクレームを入れる必要がありそうですねぇ」
 対する社長、言葉だけを聞けば自らの非を認めているような言動で返す。だが結局は非があるのは自らではなく骸の海であると責任を転嫁する。
「そういう所ですよ、社長さん。骸の海でハローワークにでも行って出直しなさい!」
「いえいえ、あそこで再就職活動は御免被りますね!私はこの椅子が気に入っているのです」
「はっ、つべこべうるせぇな。椅子から叩き落として骸の海に突き返してやるからよ、商品のセールスポイントの宣伝でもなんでも好きにしてな。お仲間のオブリビオンにでもよ」
「何と乱暴な!まずは貴方がたに存分サービスしますよ、我が社員の鉛弾をね!」
 先手を取るのはブラック社長。親衛隊社員に向けて給料カットの書類をバラ撒き、彼らの悪意を猟兵に向けさせる。しかしオブリビオンの受け取る給料とは何なのだろうか。存在エネルギー的な何かか。とにかく戦闘力が向上した。
 対する猟兵、即興で連携を取る。シンが前に、カイムが後ろに。シンが舞うような動きで己に敵意を集中させつつ回避。弾道を見切り、魔盾で受け流し、華麗に舞う。
 その間にカイムが二挺拳銃の速射を社員に叩き込む。紫雷を帯びたその弾丸は、当たれば痺れ動きを止める。
「悪趣味なユーベルコードだぜ。商品呼ばわりと言い、社員を使い捨ての駒程度にしか思っちゃいねぇ」
「全くです、社員たちが可哀そうなもので。部下に対する愛が足りませんね」
 攻撃を受けつつも、軽妙に言葉を交わす2人。しかし敵が多い、対応するのも中々に骨だ。先程の雑兵と違い、ユーベルコードで強化されてしぶとくなっている。
「そんじゃま、一丁バラ撒いてやるとしようか。机も絨毯も高級そうで吹っ飛ばし甲斐があるぜ」
「えぇ、そうですね。瞬殺と嘯く社長に、本当の瞬殺とは何たるかを見せてやりましょうか」
 シンとカイムが同時にユーベルコードを展開する【雷光閃く刹那の弾丸(ライトニング・バレット)】、そして【銃撃の狂詩曲(ガンズ・ラプソディ)】。
 シンの真紅銃、精霊石の銃、ライフルビットが同時に狙いをつけ、カイムも銀の弾薬をオルトロスに装填、親衛隊社員たちへ突き付ける。
「“遅いですよ”――――お前の罪を数えなさい!」
「“弾代はツケとくぜ!特注品だから味は保証してやる!”――――大量の銃弾、ご馳走してやるよ!」
 撃ち方用意、ファイア。閃光が、魔弾が、銀の銃弾が、嵐のように吹き荒れる。社長室の全域を埋め尽くせ、どこに逃げようとも無駄だ。周囲の調度品に至るまで全てを蹴散らしてやる。
「むむむっ!?何たる衝撃!先ほど気に入っていると言ったばかりの椅子が滅茶苦茶になるではないですか!」
 書類を盾のようにして攻撃を凌ぐが、周囲の社員の防御には目も呉れない。手勢は徐々に削れていく。
 銃弾を吐き切り、硝煙が晴れる。親衛隊社員の多くに深いダメージを与え、社長の力も大いに削いだ。戦果十分と見ていいだろう。
「そこに直りやがれ、社長さんよ。弾薬も安かないんでな、お前を吹っ飛ばして足しにさせてもらうぜ」
「えぇ、あなたの社長の座も盗んで差し上げねばならないようです」
 油断なく目を向けながら、弾薬を装填し直す。まずは嚆矢を一撃、続く猟兵への足掛かりと成す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
生憎だが間に合っている

敵へは顕理輝光で対処
攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
全行動は『刻真』で無限加速し隙を作らず
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げる

魔眼・封絶で拘束
『天光』で戦域全て逃さず捕捉し、敵性個体全てを同時に封じる
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
何をしていようと消え失せるだろう

拘束中は魔力を溜めた瞳の内部に『再帰』で魔眼の力を循環させ保持
逃れる個体があれば即座に再拘束
魔眼の「準備」も高速詠唱の技法と『刻真』の加速で瞬時に終える

まあ捕らえていれば他の猟兵が始末するだろう
だからお前達には何もさせてやらん

※アドリブ歓迎



 武力暴力そして殺戮。顧客の皆さんにサービスサービス。ブレットドグマは皆様が笑顔になれる高品質なヴァイオレンスをお届けいたします。さぁさぁ遠慮なさらずに、どうかこの鉛弾をどうぞどうぞ。
「生憎だが間に合っている」
 一言で社長のプロモーションをバッサリ、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は動じない。顕理輝光『絶理』と『刻真』にて時間軸を変動、社員たちの弾丸の雨を回避。
「成程、概念操作でいらっしゃいますな。それならば!この私の内定通知書で我が社に組み込んで」
「無駄だ。“淀め”」
 有無を言わさずユーベルコード発動、【魔眼・封絶】。『天光』にて範囲を拡大され、戦域全てを捉える魔眼の束縛。
 放てば対手を従える内定通知書は、放たれることもなく霧散した。一切の動作が許可されない、ユーベルコードでさえも。
「ちょっとちょっとお客さま!それはあまりにもあまりじゃないですかぁ?皆さん黙って私どもの歓待をお受けするだけで良いでしょうに!」
 減らず口だけは回る社長。だが実際どうすることもできず、ただそこに立っているだけ。それ以上の攻撃を受けないのも、アルトリウスが自ら手を下す必要すら無いと見ているからである。
「お前達には何もさせてやらん。他の猟兵たちにでも始末されていろ」
 防御の術も回避の術も彼らには無い。当然、攻撃手段も封じられてる。実際、他の猟兵たちの攻撃にさらされたまま、彼らは何もできない。体力だけが削られていく。
 その能力で傭兵たちを自在に操ってきた社長が、自分の身体すら動かせなくなる。皮肉と言ってもいい結果だろう。
 ユーベルコード自体の効果時間が切れるまで、魔力の循環する瞳で見つめられたまま動けず、一方的に為すがままの状態であった。まさしく蛇に睨まれた蛙である。

成功 🔵​🔵​🔴​

伊高・鷹介
・おーおー、オブリビオンにもブラック労働ってあんのかよ……まあ、所詮は「再現」、社長と社員の寸劇みてぇなもんだし、同情もへったくれもねぇけどな。

・で、今日の宴会芸は責任逃れした社長とかわいそうな社員か。ふぅん、リアルなら様々な社会的制裁が社長にあるところだな。が、社員共も地位にしがみつきたい、と。なら話は簡単。
【暴れカマキリ】の射線上に社長を置き、社長に対し「念動力」での行動阻害をしながらの【暴れカマキリ】発動だ。社員が邪魔をすれば社員が。社長や地位よりも大事なものを社員にあれば社長がカマキリの餌になるってことだ。
ま、どっちに転んでも俺は損しねぇよ。あっちからしたら残酷な2択かもしれんがな?



「おーおー、オブリビオンにもブラック労働ってあんのかよ」
 傲慢に高笑いする社長と命令に唯々諾々と従う親衛隊社員を見て、伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)は興味深そうに呟く。
「……まあ、所詮は『再現』、社長と社員の寸劇みてぇなもんだし、同情もへったくれもねぇけどな」
 オブリビオンとは過去であり、敵であり、それ以上のものではない。なので、どちらにせよ倒すだけの敵である。
「さぁて社員諸君!我が社の命運ここにあり、目の前の猟兵を討伐するのです!結果を出せば幹部の地位も考えましょう!」
 戦闘用の給料カット書類をバラ撒き、強引な洗脳で部下の士気を強化する社長。ちなみに考えるとは言ったが確約はしていない。姑息。
「随分な宴会芸じゃねぇか。リアルなら社会的制裁モノだぜ」
 だがここはリアルに非ず。鷹介自身も言った通り、所詮は只の『再現』である。なので労基に代わり猟兵の出番、業務改善命令の代わりに骸の海へ叩き返してやる。
 一斉にライフルを構える親衛隊社員。だが鷹介が念動力で阻むが早い。銃口を逸らされ、弾を無駄撃ちする親衛隊。
 その隙を逃さずカマキリ展開、更に社長へと接近してカマキリの射程に捉える。そして親衛隊へと向け、警めるように叫ぶ。
「てめぇらが邪魔するならてめぇらを、社長や地位より大事なモンがあるなら代わりに社長をカマキリの餌にしてやる。俺はどっちでもいいぜ?」
 社長、しかし動じない。代わりに社員へと向けて、自信満々に告げる。
「わかっていますね?」
 そう、社長は社員の精神を書類によって操作し、生殺与奪を握っている。それが絶対であると信じ疑わないがゆえの一言。事実、親衛隊社員は鷹介に向けて突撃を仕掛けてきた。
「そうかい。ま、どっちでもいいっつったしな。じゃ、てめぇらが餌だ!“暴れろ!”」
 ユーベルコード【暴れカマキリ】を発動。宿るUDCの本能が目覚める。近寄る社員を刻む、刻む、刻む。その刃は慈悲を知らぬ。ただ血と肉を撒き散らすのみである。
 社員の突撃により逃げ出す隙を得た社長、すかさず社長机の背後へと飛び込み隠れる。
「どうした、逃げ隠れしているだけか?ま、直接てめぇを狩るよりは、周りの連中を仕留めてジワジワ追い詰めた方が面白ぇかもな!」
 親衛隊社員の数は少しずつ減る。それは社長の命数のカウントダウンの様に。

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
頼んでないサービスの押しつけは会社の質を下げますよ?なんせサービスしないと他のとこに追いつかないって言ってるみたいなもんですからね!
あ、返答は聞いてないです。つーか聞く気がないのでそのままミミックをぶん投げて…まあ、社員を盾にしますよね。つーかしろ。
化け侵しな、ミミックー。…やーこういうの言うのも何ですけど、社員に襲われるって経験するのは多分初なんじゃないですかね!最厄の時が始まりますね!あ、ミミック。後は適当に暴れといて?
自分は衝撃波込めた弾で通知書辺りを狙い撃ちしたりして社員が反逆してるのサポートしつつ嘲笑しておきましょう。近づいてくるのが居れば零距離射撃で処理しよう。
(アドリブ絡み歓迎)



「頼んでないサービスの押しつけは会社の質を下げますよ?なんせサービスしないと他のとこに追いつかないって言ってるみたいなもんですからね!」
「いえいえ、これは顧客への」
「あ、返答は聞いてないです。“さあ、化け侵しなミミック…!最厄の時が君に訪れる!”」
 問答する気は無し、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はひょいとミミックを投ず。【偽正・平界空音(ハッシュ・ホテップ)】、起動。
「…まあ、社員を盾にしますよね。つーかしろ」
「ブラック社長としては捨て置けない言葉ですねぇ。ではお望み通り!」
 異動通知書、異動先は社長の目の前。書類壱枚で呼び出され、死んだ目の哀れな親衛隊社員が盾にされる。
 そしてミミックから刀剣槍鎚様々な武器が飛び出る、バァ。それは盾にされた社員を蜂の巣に……しない。傷一つ彼にはついていない。
 だが異変。死んだ目の社員は唐突に光を取り戻し、社長に向き直る。そしてライフルを突き付け、やたら活き活きとした言葉でこう告げた。
「自分、目が覚めました!この会社を辞めます、退職届代わりに銃弾を受け取ってください!」
「なんと!この会社を辞めたいと!それはブラック的にショック!」
 吐き出される銃弾。仰々しい驚きと落胆の声を上げながらも、社長は呪詛入り書類を盾代わりに銃弾を弾き返す。
「…やーこういうの言うのも何ですけど、社員に襲われるって経験するのは多分初なんじゃないですかね!」
「えぇ、えぇ!何事も経験と申しますが、社員に歯向かわれるのも新鮮です!だが弱者に社長は務まらぬ、死ね!」
 拳を振り上げ、叩き落す裏拳。だが親衛隊社員もさすがの練度。銃を横にし、銃身で拳を受け止める。選り抜きの傭兵を親衛隊にしたのが仇になったか。
「むむむっ、我ながらプロダクツの品質にビックリ!しかし君の代わりは幾らでも居ますよ!」
「と、おもーじゃん?」
 社長の取り出したる更なる異動通知書、だが戦力を更に招聘するそれは衝撃波の籠った弾丸で撃ち落とされる。当然、銃撃の主は拓哉その人。拳銃パレッフの弾丸は素早くそして鮮やかに。
「あなた、卑怯ですよ!私の社員に戦わせて自分は高みの見物とな!」
「それ、社長が言います?」
 言いますとも、と言いながらハイキックで社員を蹴り飛ばす社長。反逆の社員とブラック社長の勝負、軍配は社長に上がったり。
 だが激戦により社長も社長で傷を得た。何より手駒に裏切られた精神的ショックは無自覚でも根深い……のか?

成功 🔵​🔵​🔴​

ミリア・ペイン
…残念だけれど、この会社は今日で終了よ
物理的にお前の首を切って退任させてあげるわ

【WIZ】《黒き怨恨の炎》
【オーラ防御】で攻撃を弾きつつ社長の懐まで一直線よ

…は?内定通知?知らないわよんなもん
飛ばされる前に全部燃やし尽くしてやるわ【先制攻撃】
こんなクソみたいな会社こっちから願い下げよバーカ

社員共の攻撃はその辺の障害物を【念動力】で操って防御
そのまま顔面にでもぶつけてやりましょ

社長の懐まで潜り込めたら全ての炎を纏め上げ
その貧弱そうな体に叩きこんでやるわ【部位破壊】

人の命はお前達の道具じゃないのよ
…社会のダニが、とっとと消えなさい


レナ・ヴァレンタイン
あんなものが商品になるならぼろい商売だ
私一人で3倍程度は軽く補えるぞ?

私の視線の届く場所にいた不運を呪うことだ
ユーベルコード起動。敵戦力展開後攻撃を仕掛けようとした瞬間に敵ボスの
目の前に“跳んで”攻撃だ
不意を突かれて戸惑っていれば連続次元跳躍で距離を取り、再び詰め、攻撃をしたと同時に退く、とヒットアンドアウェイの連続で追い詰めるぞ
他の連中で敵への視線の邪魔にならないよう、立ち位置には注意
流石に邪魔になるようならギャラルホルンで吹っ飛ばして道確保だ
視線でターゲット照準してる以上、それが遮られるとどうにもならんしな

最後は銃撃なり蹴り飛ばすなりでビルの外に吹っ飛ばす
営業成績と一緒に落ちて砕けろ


小前田・継葉
うわー清々しい程に非人道的企業。これは現役大学生の私としては内定辞退待ったなしですが、折角社長面接まで来ましたからね。惜しい人材を手放したと思って貰いながら死んでもらいましょう。

【目立たない】ように潜入。
あの社員を脅している異動通知を利用しましょうか。間違えて内定通知を拾ってしまうと敵のトラップに自らはまりそうなのでよく確認して。
拾った書類の裏白に、自前のボールペンで「ツギハオマエダ」と記入。【早業】でばれないよう素早く社長の前に滑らすように配置。隠れます。
社長の目に映ったのを確認したら、殺気を放ち【死刑宣告】で【暗殺】します。

次の異動は貴方ですよ社長さん、就活生のリークで異動先は地獄です。



「…残念だけれど、この会社は今日で終了よ。物理的にお前の首を切って退任させてあげるわ」
「あんなものが商品になるならぼろい商売だ。私一人で3倍程度は軽く補えるぞ?」
「社員を盾にしたり蹴り飛ばしたり、清々しい程に非人道的企業。これは現役大学生の私としては内定辞退待ったなしです」
 いよいよもって親衛隊社員の手勢も減り、本人もそれなりに傷付いた社長。そんな彼を黒炎宿すミリア・ペイン(死者の足音・f22149)が、左腕の帯電するナイフを展開するレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)が、コンバットナイフを構える小前田・継葉(都市伝説・f22262)が追い詰める。
「むむむっ、よく考えれば私ピンチなのでは?ですが、最後まで粘ってみせましょう!」
 現実を認識しているのかしてないのか、社長の方は口調だけは陽気に回る。口だけではなく手先も回る。回る手先で内定通知書を投擲。
「というわけで、まずは1名我が社にご案内!」
「…は?内定通知?知らないわよんなもん。“ほら…聞こえるでしょ?亡者があなたを求める声が”」
 だがミリアの攻撃が早い。ユーベルコード【黒き怨恨の炎】、紙なら当然炎で燃える。呪詛がこもっていようがこちらの怨恨の方が上だ。燃え尽き灰になって内定辞退サヨウナラ。ついでに一言吐き捨てておく。
「こんなクソみたいな会社こっちから願い下げよバーカ」
「むうっ、では勇敢なる我が社の精鋭よ!撃ち殺しなさい!」
 先手を封じられた社長、残る僅かな親衛隊社員に命令。このままでは我が社は倒産社員は路頭、それでも良いのかと社員を𠮟咤激励。お前の代わりは何人でもいると言ったその口で何を言っているのか、まぁとにかくけしかける。
 だがレナのユーベルコード【断ち切れぬ追撃者(ライト・ビハインド・ユー・ベイビー)】がその隙間を縫う。移動と回避を両立する次元跳躍により、社長の眼前へとダイブイン。
「“何処へなりとも逃げてみろ。私はお前を逃がさない”……親衛隊を名乗っても相変わらずの品質だ」
「何ぃっ!?」
 電撃を帯びるスタンナイフで一撃、シビれる刃が社長にヒット。社長に接近する敵を追い払わんと親衛隊社員がライフル銃撃するが、ヒットアンドアウェイの次元跳躍で撤収回避。
 回避のついでに攻城砲“ギャラルホルン”で邪魔してきた親衛隊社員を砲撃。しかし城壁すら打ち崩す大砲で生身の相手を吹き飛ばすのは、ナントカカントカ条約の無用な苦痛を与える兵器に違反したりしないだろうか。まぁいいやオブリビオンだし。とにかく邪魔な社員は吹き飛ばしておく。
 ひるんだ隙に今度はミリアが念動力で社長椅子を遠隔操作、頭を狙って親衛隊社員めがけてブン回す。回る回る、吹き飛ぶ吹き飛ぶ。邪魔な連中はだいたい片付いた。
「ひどいですよぉ、それは私のお気に入りの椅子と言ったじゃないですか!」
「あら、いいじゃない。どうせお前は今日で骸の海に左遷だし」
「だがその程度で負ける我が社員ではない!戦士よ、今一度給料を犠牲に立ち上が……む?」
 手元に召喚した給料カット通知の書類をチラと見て、怪訝な表情をする社長。黒のボールペンで裏にデカデカと描かれている奇妙な7文字。

 ツギハオマエダ

「だ、誰ですか?こんな落書きを大事な書類に……ッ!?」
 突然の殺気、動かぬ体。
「それは私です」
 喉元に冷たさ、鋭い刃。
 仕込みは継葉の手で、そのメッセージを見た者は死から逃れられぬ。その為のユーベルコード【死刑宣告(ツギハオマエダ)】。
 眼前に迫る継葉。さながらその姿は人の姿を取る死。そして喉元に押し付けたナイフを一閃。鋭く肉を切る刃、飛び散る鮮血。
「次の異動は貴方ですよ社長さん、就活生のリークで異動先は地獄です」
「うご……が……ご……」
 社長は致命傷を得た、もはや減らず口すら叩けない。既に勝負は決したであろう。だが最後の決定打を突き付けようと、ミリアが地面を蹴って肉薄する。
「人の命はお前達の道具じゃないのよ……社会のダニが、とっとと消えなさい」
 悪霊の魂を収束、呪怨を籠めて四肢と頭蓋へ、衝撃が骨まで砕いて吹き飛ばす。喉を切られた社長は苦痛に叫ぶことすらままならない。
 まだまだ、この程度では命を弄んできた社長への報復には生温い。レナがトドメとばかりにガトリング砲“報復者ヘクター”を構える。
「営業成績と一緒に落ちて砕けろ」
 弾丸の雨がボロボロになった社長の全身を打つ。衝撃に吹き飛ぶ社長、背中のガラス窓に叩き付けられる。尚も勢いは衰えない、そのまま乱射する弾丸がガラス窓ごと社長を蜂の巣にし、ついに砕けて社長は外へと吹き飛ばされる。
 さらば社長、もう起業なんてしないでくれ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『イルミネーションを見に行こう』

POW   :    ゆっくり歩いて回る

SPD   :    たまには羽を伸ばそう

WIZ   :    時々は息抜きも必要だ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ブレットドグマは滅びた。残った社員も徐々に駆逐されていった。
 UDC組織が後処理に着手するなか、君達は君達の任務から解放された。
 ビルの下にはイルミネーションに輝く街。それこそが君達の護った景色と言えるだろう。
 グリモアベースに戻るまではまだ時間がある。直帰するのもいいだろうが、この街でひと時を過ごしてもいいだろう。

 美しきイルミネーションに彩られた冬の街。クリスマスまで後ひと月もないこの時期は、吹く風は寒いにもかかわらず、どこか暖かさすら感じる。
 談笑しながら街を歩く家族。仲睦まじく手を繋いで語らう恋人たち。早くもサンタの装いを纏ってケーキを売り出すアルバイト。
 街は光に溢れている。あぁ楽しい、美しい、輝かしい。この平穏が続きますように。
シン・ドレッドノート
アドリブ絡みOK
【SPD】

きれいな街ですね…
夜の闇を明るく照らすイルミネーションの中をぶらぶらと歩きながら、クリスマスの雰囲気を楽しみます。

せっかくですから、私の最愛の妻に贈るプレゼントを見て回りましょうか。
妻が同じUDCアースの街角で営業しているバーに飾る置物もいいですね。
「あぁ、リースもいいですね…」
ドアに飾ると、クリスマスの雰囲気が増しますし。
お客さんにもよろこんでもらえるかもしれませんね。
娘にも何かプレゼントしたいですけど…
あのくらいの年頃の子には、何が喜ばれるのでしょう…?
悩むのも幸せな時間ですけどね。

最後にちょっと高めのシャンパンとジュースを買って、家族のところへ帰るとしましょう。


カイム・クローバー
イルミネーションに彩られた街か。護った、なんざ大それた事、言うつもりもねぇが、ぶらついてみるのも悪くねぇ。

どんなモンがあるのか、街中を散策してみるぜ。あちこちでイルミネーションが輝いて、『あわてんぼうのサンタクロース』の音楽が鳴っていたり。ケーキを売り上げようとするバイトを見て、ケーキぐらいは買って帰るか、とばかりにクリスマスケーキを二人分。…ちょっと買い過ぎたか。
適当なベンチに腰掛けて、街行く人々を眺めながら、良いモンだ、と心で思う。
不意に銃声。爆発音。腰の銃に手を伸ばすも、正体は頭上でビルに取り付けられた輝くテレビで映画の予告。
やれやれ、予知は終わったっつーのに…悪いジョークだ(肩竦め)



「きれいな街ですね…クリスマスの雰囲気に満ち溢れています」
「護った、なんざ大それた事、言うつもりもねぇが、ぶらついてみるのも悪くねぇな」
 シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)とカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)が、轡を揃えてイルミネーションに彩られた街を歩く。
 ビルの壁にはクリスマスツリーを模したイルミネーションが飾ってあったり、サンタの格好をしたバイトがケーキを売っていたり、クリスマスおなじみの歌が街角で流されていたり。
「……クリスマス前にやってきた、か」
「ん、どうかしましたか?」
「いや、クリスマスまではもうちょっとあるってのに、商売の方は気が早いんだな、ってな」
「ははっ、そうですねぇ。クリスマス当日に慌てて用意、ではもう間に合いませんからね」
 などと語り合いつつ、折角なので早出のサンタクロースからケーキを買っていくカイム。
「おや、2人ぶんですか?」
「ん、まぁな……買いすぎかもしれねぇが、まぁ俺以外にも食う奴はいるだろうしな」

 続いては、シンの用事。やってきたのはインテリアショップ。こちらもやはりクリスマス一色、モミの木を模した置物や、トナカイを駆るサンタのミニチュアが並んでいる。
「妻に何かプレゼントを買おうと思いましてね。UDCアースでバーをやっていて、そこに飾る置物を買うのもいいかなと」
「成程な。俺も何か見繕って行ってもいいかもな……つっても、まだ婚約段階だがな」
「娘にも何かプレゼントしたい所ですが……7つくらいの年頃の子には、何が喜ばれるのでしょう…?」
「んー、7つか。そこまで行くと俺も流石にな……」
 うんうんと悩みながらも、飾られているラインナップを眺める2人。乙女心は中々分からないものではあるが、それをああでもないこうでもないと悩んでいる時間もまた乙なものである。
 それに、賢者の贈り物の寓話のように、そこに想いが籠っていれば選んだものが最高のプレゼントになるのではないだろうか。そうでもない、という声も聞こえてくるかもしれないが……

 品定めには、カイムのユーベルコード【話術の心得(トーク・マスター)】が役に立った。店の人やお客さんとの意見交換で、品揃えの中でも選り抜きの品を選んだつもりだ。
 それを参考にしてシンは少し大きめの立派なリースを買って、ちょっと高級なシャンパンとジュースも買って、後は帰るだけの時間となった。
「転移の時間まではもう少しですね」
「あぁ、そろそろ帰る時間……ッ!?」
 突如聞こえる銃声と爆音。
 不意に聞こえるその音に、カイムは胸をどきりとさせつつ腰の拳銃ウロボロスに手を伸ばす。ブレットドグマの連中は殲滅した筈だ。そんなわけが、そんなわけが……
「カイムさん?……あれですよ、モニターの広告」
 少し心配気味なシンの指さす方を見てみると、そこに流れていたのは映画のCMだった。大音量でド派手に、目立つように。
『この冬一番の爆音と銃声が、映画館を震わせるッ!ザ・ハンターズ6、この冬公開ッ!』
 銃声の正体が分かって安心すると、カイムはウロボロスから手を放し、肩をすくめる。
「なんだ、驚かせやがって。予知は終わったっつーのに…悪いジョークだ」
「えぇ、悪いジョークですよ、本当に。こればかりは、猟兵の職業病ですね」
 互いにやれやれといった表情で、ジョークで済んでよかったと思いつつも帰途に着く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

伊高・鷹介
・やれやれ。やっと仕事も終わり、と。全く、ブラック企業なんて「過去の遺物」で十分だぜ。

・さて、と。せっかくだ、冬の街をフラフラ歩いてみようかね。
ケッ、どいつもこいつも浮かれて楽しそうで、幸せそうだな、オイ。
……その幸せ、手放すんじゃねーぞ。じゃねぇと、俺ら猟兵の仕事が無駄になっちまうからな。

・粗悪品からのせめてものクリスマスプレゼント、だ。イルミネーションを灯す電力にちと「念動力」や【一時停止】で干渉。光を街に流れるクリスマスソングに合わせて点滅させてみるか。
ちょっとした不具合に見せかけることぐらいはできるだろ……


ミリア・ペイン
…そっか、あまり気にしてなかったけれどもうすぐクリスマスなのね
道理で皆浮かれてる訳だわ

この裏で私達が派手にドンパチやってたなんて誰も知らないのよね
ま、知る必要なんて無いわよね
この当たり前の光景を私は守りたかっただけだし…



感傷に浸るなんて柄じゃない…
けど、まあ…今日くらいはいいかしら

せっかく街が綺麗に煌いてるんだもの
その景色を楽しむとしましょう

ねぇ、どこかに特大の奴は無いのかしら?
光源がたっくさんあって…目がチカチカするくらいの場所
一番綺麗な所を見て見たいわ

…たまには自分が平和を守ったんだって、誇ってもいいでしょ
自分へのご褒美もあげないと
だって…クリスマスだもの、ね



 ビルから歩き出して、ミリア・ペイン(死者の足音・f22149)は行き交う人々の群れを目にする。
 それはどこか浮足立っていて、どこか楽しそうで、今しがた自分たちが繰り広げていた暗闘とは無縁のようであった――――一歩間違えれば彼らが犠牲になった事を除けば。
「…そっか、あまり気にしてなかったけれどもうすぐクリスマスなのね。道理で皆浮かれてる訳だわ」
 UDCアースの人々は、UCD組織の所属者といった一部の例外を除けば、猟兵の存在を知らない。このビルで起こった戦いも隠蔽され、目撃者が万が一にでもいれば記憶消去銃にて“見なかった事”にされるだろう。
 それでも、彼らが知る必要はない、むしろ知らない方が幸せなのだとミリアは思う。UDC怪物の存在を知るということは、狂気との暗闘に身を投じること。猟兵のような強さが無ければ……いや猟兵であっても、それは余りにも辛く苦しい道程だ。
 だからこそ、彼女は戦っている。自分のようにオブリビオンに大事なものを奪われる人が一人でも少なく出来るように。この街の光景のように、なんでもない日々を護れるように。

 しばらく、ミリアは歩いていた。
 自分が感傷気味になっていることに、自分自身でも少し驚いていた。でもたまにはそれでいいだろう。暗い戦いを生き残ったのだから、それくらいの猶予はあってもいいはずだ。
 歩いているうちに、ショッピングモールの大広場のような場所についた。円状に芝生が植えられ、その中央には一本の樹が、これでもかと言わんばかりに電飾で飾り付けられていた。
「眩しい……でも、綺麗ね」
 傍らのベンチに座って、輝く樹を眺める。このあたりでは、きっと一番きれいだ。周囲のショップもそれぞれの個性を強調するようにイルミネーションで飾り付けられていた。
 音楽が流れている。UDCアースの住民であればだれもが知っているクリスマス・キャロルをオルゴール風にアレンジしたものだ。視覚が、聴覚が、クリスマスが来たることを人々に伝えていた。
 ちょうど、音楽の切れ目。次の曲は、英国起源の『We Wish You a Merry Christmas』だ。
「……?」
 電飾が点いたり消えたりする。故障だろうか?いや、でもなんだか音楽に合わせて点いたり消えたりしているようにも見える。意図的にやっているのかもしれない。
 それはそれでロマンチックだな、とミリアは少し心の温かさを感じた。

「メリークリスマス、エヴリワン。粗悪品からのせめてものクリスマスプレゼント、だ。オブリビオンのクソ野郎みたいな鉛弾よりは風情があるだろ?」
 広場のイルミネーションを遠くから眺めるのは、サイキック能力者の伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)だ。
 “粗悪品”を嘯く彼にとって唯一にして最強の武器、念動力。それをちょいと、小細工に使ってみる。
 イルミネーションの電源に念動力とユーベルコードの加減したものを使って干渉し、三拍子のリズムに合わせてつけたり消したりしてみる。あまりやりすぎなければ、電飾のちょっとした不具合程度には見せかけられるだろう、ぐらいの気持ちだった。
 少し遠い場所から眺めている限り、鷹介の“プレゼント”に夢中になっている人も何人かぽつぽつと見受けられる。流石に何を話しているかまでは聞こえないが、楽しそうな様子を見せている。
(全く、どいつもこいつもクリスマスの雰囲気に浮かれて楽しそうで、幸せそうだな、オイ)
 その幸せも、鷹介たち猟兵が命懸けでオブリビオンから守ってきたものだ。だからせいぜい、楽しくこの冬は過ごせよ、と。でなければ猟兵たちが何の為に勝利を勝ち取ってきたか、その意味がなくなってしまうだろう、と。
(……ま、たまにはこういう穏やかなムードもいいだろ)
 曲が終わると同時に、鷹介は電流への干渉を止める。イルミネーションに完全な電流が通じ、全ての光が輝き直す。
「さて、仕事も終わったし、そろそろ戻るか。全く、ブラック企業なんて『過去の遺物』で十分だぜ」
 再び光に包まれる広場を見届けると、鷹介はその場を後にした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

波狼・拓哉
…あーそういうばイルミネーションしてるとこ襲う予定だったんだっけ。どんなものなのか。ぶらぶら歩いて見て回るとしますか。

やっぱイルミーションしてるだけで大分雰囲気変わるな。…こんな感じの世界はなかったけ。常にとなると目に悪そうではあるけど。
しかし…一か月ないとはいえケーキは早すぎない?日日持つもんじゃないし…(適当に端末で検索)あー先に安くで味見してもらって本チャンはホールでと。考えられてんなこれ。

…まあ、その罠に掛かってるのが俺ですが。美味しかったら今度友達んとこ持って行こうっと。…ああ、ミミックの分もありますよ?だから勝手に出ないでね?後処理面倒すぎるから…
(アドリブ絡み歓迎)



 ふらりふらりとビルから外へ、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は平和な街の光景を目の当たりにする。
「…あーそういうばイルミネーションしてるとこ襲う予定だったんだっけ」
 予知では、この街一帯が血の海になっていた。それを護れたのも猟兵の活躍によるものではあるが、ようやくその実感が湧いてきたという次第か。
 折角なので、ぶらついてみよう。

 キラキラと街は眩しく、少し厳しく評すれば目に疲れる。でもその雰囲気もまた12月のムードだ。ちょっとした非日常感、これもまた悪いものではない。ずっと続けば目につかれるが。
「ケーキ、一足早くケーキ食べませんかー?」
 そこで目につく、サンタ格好のケーキ売り。流石に1ホールという程ではなく、12等分したものを売っているようではあるが。
「んー、一か月ないとはいえケーキは早すぎない?日日持つもんじゃないし…」
 などと疑問に思い、店名を端末でスマホで検索してみる。店の公式ホームページにデカデカと表示される、ケーキ売りの広告。
“クリスマスのケーキを一足早くお試し!クリスマス当日のホールケーキ予約もあります!”
「はぁ、つまりはちょっとした試供品、ですか」
 まずはケーキを軽く試してもらい、そこで味をアピールしたところで本番となるホールケーキの予約に結び付ける。そういう経営戦略のようだ。
「なるほど、はぁ、なるほど……」

「ありがとうございましたー!もし美味しければ、クリスマス当日向けのホール予約もありますのでどうぞ!」
 そしてしっかり経営戦略に乗っかる拓哉。それはそれで美味しそうに見えたので、とりあえず試しに買ってみることにしたのである。
「美味しかったら今度友達んとこ持って行こうっと」
 そう思いながらも、街中の公園に腰を落ち着けて周囲を見渡してみる。みんながみんな、冬のムードに浮かれ気味だ。
 今日自分たちが戦わなければ、彼らはこの冬を楽しむ事すら出来なかっただろう。この平穏も戦いの報酬だと考えると、それはそれでいいものかもしれない。
 ふと、ケーキの存在を何らかの形で知覚したのか、ミミックが少しがたつく。
「あぁ、ミミックの分もありますよ?だから勝手に出ないでね?後処理面倒すぎるから…」
 しばらく公園でゆっくりしていいかとも思ったが、ミミックの事が面倒だったので足早に帰ることにした。あの店の名前、一応憶えておかなくては。

――――

 猟兵たちの活躍により、血の悲劇は事前に防がれた。
 人々はつつがなくクリスマスの日を迎え、それぞれの形で楽しく過ごす事だろう。
 消えないイルミネーションの明かりが、街を夜通し照らし続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年12月17日


挿絵イラスト