アースクライシス2019⑮〜ガンナイト・ファイトシティ
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月夜の下の繁華街、マンハッタンの街角は閑散として、人気のない路地をネオンがむなしく照らしている。見る者もない巨大な屋外ビジョンの中でニュースキャスターがしきりにアースクライシス――多文明からの侵略者たちについて警戒を促していた。
『現在、マンハッタン市街地にて猟兵によるダークポイント撃破作戦が行われております。危険ですので市民の皆様は不要不急の外出を控えてください。
ダークポイントはヒーロー・ヴィランを問わず殺害する大変危険な存在です』
コツリと足音が響くと同時、映像が切り替り二丁の銃を構えた漆黒の男が映し出される。
『これがダークポイントの映像です。
銃を構えていますが、その攻撃手段はこれらの銃にとどまりません。
視線を向けた先を着火させるパイロキネシス。
無数のリボルバー拳銃を呼び出しての透過可能な弾丸の連射。
さらには銃口を向けた相手への精神作用による自殺衝動の刷り込みなど、多彩な攻撃手段を持ち非常に危険です。
万一遭遇した場合、刺激しないよう速やかに退避してください。
繰り返します。現在……』
コツリ、コツリ。警告を促す屋外ビジョンの上を人影が歩み、渕まで来たところで足を止めた。人影――ダークポイントが足元の画面を見下ろす。
「疑問:漏洩情報=詳細+正確。情報源=猟兵?
否定:警戒=無意味」
ダークポイントは屋外ビジョンから跳躍、飛び降りざまに発砲し屋外ビジョンのモニターを撃ち抜く。破損した部品が炸裂し爆発。ダークポイントは爆炎を背に着地して、コートを翻し走り出す。
「宣言:戦闘開始=蹂躙抹殺、勝者=己、猟兵=全員打倒」
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「ヒーローズアースでジェネシスエイトの一人、ダークポイントを撃破する機会が来た。
場所はマンハッタン。ビル街の死角に潜んでいたが、ヒーローたちの協力により隠れ家を暴くことができた。しかし、彼らでは戦闘には役者不足だ」
グリモアベースで予知を語るのはディスターブ・オフィディアン。
「ダークポイントの撃破が今回の依頼だ。
一番の問題は先制攻撃能力。こちらがUCを発動するより先に確実にUCを使用して攻撃してくる。逆に対策さえできれば有利に戦う事も出来るだろうが――」
そこまで言ってディスターブは頭を振る。
「ま、オレの案よりも実地で戦うお前たちの案の方が有効だろう。
知らしめてやるがいい、ジェネシスエイトと言えど、恐れるに足りぬとな」
雲鶴
敵役はステージに上がりました。彼を倒す主人公を募集中、雲鶴です。
さて今回はオサレバトルinヒーローズアースになります。
●以下、補足です
このシナリオの最終目的はダークポイントの撃破となります。
強敵であり、確実に先制攻撃を行ってきます。
被弾描写などが発生する可能性が高いです。【被弾時のリアクション】を仕込んでおくとオサレポイントが稼げるかもしれません。
●プレイングボーナス
このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。
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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(ダークポイントは必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
先制攻撃の内容については、プレイング時に選ばれたUCの属性に準拠します。
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●それでは皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ダークポイント』
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POW : ダーク・フレイム
【ダークポイントの視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【漆黒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ダーク・リボルバーズ
自身に【浮遊する無数のリボルバー】をまとい、高速移動と【全方位・超連射・物質透過・弾丸】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ダーク・アポトーシス
【銃口】を向けた対象に、【突然の自殺衝動から始まる自分への攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
七瀬・麗治
謎の敵ダークポイントを撃破せよ、か。戦闘はそれほど得意じゃないんだけどな。
オレはダーク・アポトーシスへの対策を立てるぞ。ずばり、この攻撃は催眠術の一種だと睨んだ。敵と接触する前に、防弾コートの中に記憶消去銃を忍ばせておく。で、やつがこちらにUCを使い、自殺衝動が高まったところで銃を取り出し、自分に光線の〈零距離射撃〉だ。「自殺せよ」という奴の催眠を、「自殺せよという命令を忘れよ」という〈催眠術〉で上書きしてやるのだ。そして今度は【模倣と解析】を発動、体内の寄生体が敵のユーベルコードを〈学習力〉でコピー。お前の技をそのままお返ししてやるぜ。さあ、お前はその銃をどうするかな?
枯井戸・マックス
ほお、生粋のガンナーって訳でもないか
色々と小細工も隠し持っているようで親近感がわくねぇ
だが、手練手管で俺を上回れるかな?
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銃口を第六感も活かしながら避け、途中で敢えて隙を見せて無防備に飛び出す
しかし飛び出すのは死体である依代だけというフェイント
俺本体は分離してUC発動だ
「来いコピーキャット!勝てたら店で丸一日俺のフリして過ごしていいぞ」
コピーキャット=主人と成り代わる事を望みとする人形
条件を提示し人形にダークポイントの姿を模倣させ、敵のUCを真似させることで相手の自壊を狙う
避けられても相手の隙を作れたなら御の字
決定打は他に任せよう
「確かに勝つのはお前だったな。見事、予言的中だ」
連携アドリブ歓迎
七那原・望
えくるん(f07720)と参加
予めえくるんに貰った耐火服を着込んでおくのです。
左右の機掌・プレストと7つに分離させた銃奏・セプテットを【念動力】で遠隔【操縦】。【援護射撃】の【一斉発射】で攻撃と撹乱を行いつつ、視線を遮り、炎を【武器受け】する目隠し兼盾としても運用。
何をしてくるかさえ分かってればやりようはありますね。
【第六感】と【野生の勘】で敵の動き、攻撃や視線を【見切り】、場合によってはセプテットやプレストの影に隠れつつ、絶えず空を高速で飛び回り【空中戦】。
ここですね……えくるん!
敵の動きに隙を見つけたら【Lux desire】を【全力魔法】で叩き込みます。
万が一の時は耐火服を脱ぎ捨てます。
七那原・エクル
七那原・望と参加
【防具改造】と【メカニック】で二人分の耐火服を製作して着ておく
耐火性にすぐれたガラス繊維を織り込んだ厚手の耐火服
高温の熱を感知すると耐火服内部の化学泡を用いた消火剤が噴出して酸素を遮断し炎の燃焼を阻害する
デフレクターシールドG2で身を隠して視線を遮りながら距離を詰めるよ
炎は【盾受け】で防御
上空のオプティカルデヴァスターカノンで砲撃、敵の注意を少しでもそらす
盾の耐久性が危険なら煙幕弾を発射して煙幕に身を潜めながら接近、視線に捉えられないようにする
防御時は盾裏に竜核結晶炉を装着して受けた衝撃エネルギーを吸収、攻撃時は竜核結晶炉で増幅したパワーを【衝撃破】として攻撃時に解放する
ナギ・ヌドゥー
ジェネシス・エイトは次々と発見されているぞ。
アンタの命もそろそろ弾切れなんじゃないか?
【ドーピング】で身体能力向上
敵UCが物質透過するならばこちらは物質ではない【オーラ防御】で対抗
そして同時に【誘導弾・制圧射撃】
このサイコパームから放たれるのは精神力を変換させた光線、物質ではないので奴の弾を相殺出来る筈!
これでどれだけ防げるか分からぬが、死なず動ければそれでいい!
今度はオレの連射を浴びろ!
【呪詛・殺気】を込めた【呪殺弾・制圧射撃】
この弾幕から抜け出そうとする動きを【第六感・野生の勘】で【見切り】
そこか!?UC発動し動きを封じる
【毒使い・部位破壊・傷口をえぐる・2回攻撃】毒を塗った刃の連続斬撃
十六夜・いろは
攻撃に気付いたのは、敵の追跡中に自身が炎上していることに気づいてから
撃たれた……? いえ、違う
これ、私の黄泉の炎ね?
バイクの操縦を誤らないように【騎乗】、自身を焼いている炎は【火炎耐性】で堪えて、立て直しを図る
……居た
【見切り】で銃口を向けられることを避けてのバイクアクションで跳びまわるダークポイントを【追跡】するわ
……嫌なものを見た
夫と、娘
私が、助けてくれなかったと責める目
自殺しようとさせられるなんて、復讐の鴉の名が泣くわ
……その正確な狙撃でも遠距離からでは殺しにくいでしょう?
機械のような正確さ、と思えばあなたも苛立つのですね
接近してきた隙を≪常夜の太陽≫は逃さない
黄泉の炎で燃やし尽くします
セシリア・サヴェージ
【ダーク・アポトーシス】による自殺衝動及び自傷行為は【狂気耐性】【呪詛耐性】である程度抑制できるはず。傷自体も【激痛耐性】で痛みを無視して行動します。
その上でUC【血の代償】を発動すれば、負傷の度合いに応じて戦闘力が上昇することでしょう。
自殺衝動も負の感情の一種とすれば、これもまた戦闘力増強につながる筈です。
対策とは少し違うかもしれませんが状況を利用させてもらいましょう。
ビル群を縦横無尽に駆ける敵など普段の私なら追いつけそうもありませんが、強化状態になった今ならばあるいは……。
【空中戦】【追跡】を駆使して追い詰め、暗黒剣を叩き込んでみせましょう。
イサナ・ノーマンズランド
「あいつ、高速で動き回るんだっけ。……どうやって近付こうかな……」
「あ、ちょうど良いものがあったかも……」
「……いっぽうてきな狩りのじかんは終わりだよ」
「こわいんだよ、戦いは。どっちの武器もお互いに届く距離で、敵意を直にぶつけあうんだから……!」
「……ッ、痛いけど……痛くないッ!」
段ボール(迷彩)を纏い【目立たない】よう【忍び足】で移動し、Full Metal Jacketを自律行動で先行させ、ダークフレイムの囮に。
燃やされている間に【ダッシュ】と【ジャンプ】で距離を詰め、【クイックドロウ】で散弾銃の【2回攻撃】【制圧射撃】を加え、【激痛耐性】と【ドーピング】で被弾覚悟の接近戦に持ち込む。
闇之雲・夜太狼
SPD
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!
ってカッコつけて登場したけど、銃口と視線から隠れる為、
【逃げ足】を活かして付近の遮蔽物に即座に退避&伏せ!
被弾しても【激痛耐性】で我慢我慢
反撃の時間だよ!
まずは隠れた自分ごと遮蔽物と、あれば周囲の散乱物を【念動力】で【空中浮遊】させる
「勝負だ、ダークポイント!」と声をかけて
姿は隠しつつ、ここにいるアピールでDPの注意を引き付け、
同時にDPの足元を対象に選択UCを使うよ
浮遊物を目隠しにしつつ、自分ごとDPに【投擲】だ!
俺の質量弾、逃げるしかないよね?
だけど周囲はツルツルだ!
動きが止まった所にMAGを叩き込むよ!
壥・灰色
自殺衝動か
おれが死にたいと思うわけがない――というのが対策にならないこと程度は分かる
じゃあ、もし希死念慮が襲ったのなら、こう考えよう
死ぬにしても、おまえと心中だ、とね
眼前には滅すべき敵
それは、おれが死にたくなろうが変わることはない
喰らったあとで『爆殺式』を起動
周囲全ての無機物に『衝撃』を伝播させ
ダークポイント及び自分を巻き込んで、激大爆発を発生させる
――まあ、死なない保証はないけど、おれの魔術回路――壊鍵はおれと共生関係にある。おれが希死念慮に囚われたとて、紙一重で自分が死なない程度に、自分への影響範囲は抑えてくれるだろう。淡い期待だけど
ダークポイントを吹っ飛ばせれば御の字だ
やってみるさ
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夜のビル街を駆け抜けるダークポイント。そこへ路地裏から1人の男が切りかかる。その斬撃を銃身で打ち払い、ダークポイントはさらに後ろに跳んで間合いを取る。
「オレの方は戦闘はそれほど得意じゃないんだけどな」
と剣を構えるのは七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)。
「色々と小細工も隠し持っているようで親近感がわくねぇ。だが、俺の方もそっちには自信があってね。手練手管で俺を上回れるかな?」
アタッシュケースを片手に油断なく銃を構え、仮面の下からダークポイントを狙うのは枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)。
状況は挟み撃ち。麗治の薙ぎ払いをダークポイントは跳躍で回避、麗治へ銃口を向けかけてビルの壁で三角飛び。一瞬後、その足跡をマックスの銃弾が貫く。
ダークポイントの着地音をかき消すように、エンジン音が響いた。漆黒の炎を手に纏わせバイクで疾走してくるのは、十六夜・いろは(ナハトレイヴン・f16414)。彼女が手を振るった瞬間、ダークポイントへ向けて炎が走った。跳躍、ダークポイントの体が宙に舞い、いろはへと銃口を向けた。直後、チラリと彼女の左に視線を向け銃口をそちらに動かすのが見えた。つられて視線を動かすいろは。
そこには誰もいない。空っぽのブティックに飾られた親子連れのマネキン。
――親子連れ、妻と夫と娘。今はもう、誰もいない。夫と娘を亡くしてから、私は妻から復讐者になった。誰もいない――、違う!
男が見えた、ショーウィンドウに映るいろはの姿、彼女のバイクの後ろに乗った、死んだはずの男。男が背後からいろはの耳元に口を寄せて囁く。
「どうして――助けてくれなかったんだ?」
反転、着火。手の炎をいろはは最大出力で背後に叩きつける。バイクの後輪が炎に焼かれて消え、大きく蛇行。脇のクラブにいろははバイクごと投げ出され、衝突。盛大な音と共にショーウィンドウが割れ、ガラスの破片の中にいろはが倒れこむ。
そこへ歩み寄るダークポイント。
「まずいな。おい行こう、麗治」
「分かってるさ!」
返答と同時、麗治は懐から銃を出し――自らのこめかみに押し付けて引き金を引いた。
唖然とするマックス、思わず口を開き仮面がずり落ちる。倒れる麗治の体の向こうでダークポイントが銃口を向けているのが見えた。
舌打ち、マックスは落ちた仮面を拾いもせず、アタッシュケース内部の悪魔を開放し――倒れ伏す。アタッシュケースの中で悪魔憑きの人形が笑った。
「死ンダ? 死ンダ! 明日カラ私ガお前ダ!」
悪魔の哄笑が響く中、ダークポイントが言う。
「殺害:完了=三人」
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「いいや0人だ。お前には誰一人殺させない」
言葉と共に拳を放つ。一撃がダークポイントの襟元を掠め、拳圧が衝撃波となってダークポイントの体を吹き飛ばす。それを追うように壥・灰色(ゴーストノート・f00067)が走る。
――希死念慮の押し付け。おれが死にたいと思うわけがない、だが。
ちらりと倒れた三人に目を走らせる。自分一人だけが防げるとも思えない。
「オレの命は預けるぞ『壊鍵』、奴を吹っ飛ばせれば御の字だ」
迫る灰色を迎え撃つようにダークポイントが銃口を向ける。湧き上がる自殺衝動に逆らうことなく灰色は魔術回路『壊鍵』を起動。術式を組み立て周囲の無機物を爆弾に変えていく。
自死に至る量、共生関係にある『壊鍵』が拒否信号を送るが、灰色はそれを無視。
「死ぬにしても、おまえと心中だ、ダークポイント。
滅すべき敵を残して自殺する、などと甘く見るなよ」
狙いを悟ったダークポイントが灰色へと発砲、その銃弾すらも爆弾に変え、灰色は右拳で迎え撃つ。衝撃波に銃弾が爆ぜ、同時に二人の周囲の無機物――道路、壁、瓦礫、全てが一斉に爆発した。二人の体が爆風に乗って宙を舞う。
落下と同時に灰色が呻き声をあげ、血を流しながらも立ち上がる。『壊鍵』が灰色の信頼に応えるように幾つかの無機物の起爆を止めて、灰色を生き延びさせていた。
そしてダークポイントもまた。
「見事:自殺衝動=攻撃への転化」
火傷を負いながらも立ち上がり灰色へと銃口を向けた。
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「させませんよ!」
傷ついた灰色を庇うようにセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が切り込んだ。闇を纏った禍々しい大剣を、上段からダークポイントへ叩きつける。
その一撃はダークポイントに銃身で受け止められ、競り合い。少しずつセシリアが押し勝ち、ダークポイントの額に刃を食い込ませるた。流血、同時にダークポイントが身を翻して刃を逸らし回し蹴り。セシリアを押しのける。たたらを踏んで態勢を整えたセシリアが見たのは、彼女に向けられたダークポイントの銃口。セシリアの大剣が彼女の首に近づき白い肌を切り裂いて――反転。その切っ先がダークポイントへと襲い掛かる。
「疑問:貴様=何故?」
「呪詛も狂気も慣れているのですよ、この剣のお陰でね!」
セシリアの一撃をダークポイントは跳んで回避、ビルの壁面を足場に再び跳躍し、さらにその上へセシリアが跳躍。頭上から暗黒剣を振り下ろす。構えた銃身をものともせず、叩き込んだ大剣がダークポイントを叩き落す。骨の砕ける音が響いた。追撃とばかりにセシリアは切っ先を地に向け、ダークポイントへ向けて落下。ダークポイントが横転して身をかわし、直後、アスファルトに暗黒剣の切っ先が突き立つ。
暗黒剣を引き抜きダークポイントへと向き直るセシリア。その体を包む昏い闇が彼女の流した血と植え付けられた自殺衝動を彼女の力に変えていた。
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構えなおすダークポイント。そこへ横合いから二人の猟兵が飛び込む。七那原・望(封印されし果実・f04836)と七那原・エクル(ツインキャスト・f07720)。二人とも銀色の耐火服を着て、ダークポイントへと急接近。
「無駄:耐火服=着火!」
ダークポイントの視線を受けて耐火服が黒い炎に包まれる。通常の耐火服であればダークポイントの言葉通り一瞬で焼き尽くされていただろう。しかしエクルがこのために作った特別製、すぐに内部の消火機構が反応、耐火服内部から消火剤が吹き出し、二人を守る。
その間に望は『機掌・プレスト』と『銃奏・セプテット』を分離展開、エクルは大型の機械盾『デフレクターシールドG2』を構えて備え付けの砲口からダークポイントへ砲弾を発射。ダークポイントの放った銃弾が砲弾を撃ち抜き――その穴から白煙があふれ出す。
立ち込める白煙がダークポイントの視線を遮ると、二人は即座に耐火服を脱ぎ捨てる。
「何をしてくるかさえ分かっていればやりようはありますね。行きましょう、えくるん」
白煙の中、望は七つの銃と二つの機掌を自在に操ってダークポイントを狙撃し、拳を叩きつける。さらに自らも白煙の中に紛れ込むように高速飛行、ダークポイントに狙いを絞らせない。
セプテットの一つが放った銃弾が煙を揺らし、望の翼をあらわにする。ダークポイントは回避を捨てて炎を操作。寸前、エクルが機械盾を手に飛び込む。望の放った銃弾がダークポイントの肩を貫き、エクルの機械盾がダークポイントの炎のエネルギーを吸収する。
「竜核結晶炉――エネルギ―充填完了、お返しだっ!」
エクルがダークポイントの懐に飛び込んでシールドバッシュ、直撃と同時にトリガー、取り込んだ炎のエネルギーを衝撃波に変えてダークポイントへとたたきつける。
衝撃音と共に、ダークポイントの体が吹き飛んだ。
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ダークポイントが落下していく先、無人の交差点へ駆け込んだのはナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)。
「ジェネシス・エイトは次々と発見されているぞ。
不死身のタネは分かっている、アンタの命もそろそろ弾切れなんじゃないか?」
「否定:勝者=己!」
ダークポイントは空中で身を翻し自身の周りに無数のリボルバーを召喚、そのままナギヘむけて連射する。放たれた銃弾へナギが手をかざし精神を集中。彼の白髪がかすかに浮かび、右手の中に光が生まれる。生成された不可視の力場が銃弾の軌跡を逸らした。
――やはり、物質でなければ奴の透過弾に干渉できる。
「ならば! 今度はオレの連射を浴びろ!」
ナギの右手の光が弾けた。無数の光線となって連射される銃弾を迎え撃ち、あるいはすり抜けてダークポイントの体に突き立つ。撃墜し損ねた銃弾がナギの頬を掠めるが、気にも留めない。ダークポイントの動きに集中。狙うべきは――。
足音が聞こえた。三角飛び、ダークポイントが信号機を利用して跳躍。
「そこか!? 捉えた!」
ナギの白い顔がさらに白くなり、主の血を吸った拷問器具が活性化、隙を見せたダークポイントへ襲い掛かる。
それを追って跳躍したナギの刃が、ダークポイントの体を十字に切り裂いた。
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拘束を受けたままのダークポイントが受け身をとることもできず落下。そこへ駆動音と共に近づく人影。イサナ・ノーマンズランド(ウェイストランド・ワンダラー・f01589)のパワーアーマー『Full Metal Jacket』だ。ダークポイントへ向けて突進しようと、駆動音と共に出力を高め――。ダークポイントの目に力がこもる。
「否定:先制、焼殺!」
パワーアーマーを黒い炎が包む、焼かれながらも突進するパワーアーマーと、その反対側で動く影。段ボールに身を隠し、息をひそめていたイサナだ。
「うわぁ、すごい炎。アーマーの中にいたらひとたまりもなかったね……。ちょうど良いものがあって助かったよ……」
イサナは段ボールを脱ぎ払ってダークポイントへと一気にかける。それに気付いたダークポイントがイサナへと炎を放とうとするが、無人操縦モードのパワーアーマーが炎に焼かれながらも突進して妨害、その隙にイサナはダークポイントを射程に捉える。
「こわいんだよ、戦いは。どっちの武器もお互いに届く距離で、敵意を直にぶつけあうんだから……! 一方的な狩りじゃない、その怖さ、味わってもらうよ!」
崩れた態勢でイサナへ銃口を向けるダークポイント、イサナもまたショットガンを抜き発砲。放った散弾がダークポイントの左腕に無数の穴をあけ、その銃口を逸らした。
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イサナへ背を向け逃走を図るダークポイント。その行く手を黄泉の炎が遮り、足が止まったところへ銃弾が飛来、跳び退ったところへ黒い剣が振るわれる。
一撃をまともに受けてダークポイントが転倒。それを取り囲んだのは三人の猟兵。いろは、マックス、麗治だ。
「否定:否定、否定、否定! 生存=不能!」
「確かにこの肉体は死んでいる。だがそれはもともとでね。俺の本体はこっちなのさ」
被りなおした仮面を叩いて答えるマックス。いろはは答えようとしないが、あちこちに包帯を巻き何者かに治療を受けた跡があった。そしてその何者か――麗治が口を開く。
「俺は確かにお前の技で自分の頭を撃った。この記憶消去銃で――」
そう言って麗治は銃口をダークポイントへ向けて見せる。
「お前から受けた自殺衝動を記憶を消去して、忘れたのさ。だが学習はした、模倣ができるほどに。さあ、お前はその銃をどうするかな?」
麗治は銃口をダークポイントへ向けたまま、薄く笑う。その殺気に弾かれたようにダークポイントは右手の銃を自らのこめかみに当てて発砲。
「お前の技だ、そのままお返しするぜ」
ダークポイントはぎりぎりで頭を引いて致命傷を避ける。与しやすしと見たかいろはへ向けて突撃。同時にいろはが右手を振るい、黄泉の炎が飛ぶ。
ダークポイントの背後へと走る黄泉の炎。命中の寸前よろめくようにダークポイントが身をかわす。炎の向かう先はいろは自身。漆黒の炎がいろはの全身を包むのを見てダークポイントがかすかに笑う。そのまま彼女の脇をすり抜けようとして、いろはの手がその腕をつかむ。
「それを待っていた。あなたが苛立って機械の様な正確さと用心深さを失い、隙を晒すこの時を!」
いろはを包む炎が言葉と共に燃え盛り、ダークポイントに燃え移る。常夜の太陽の如き昏い炎がダークポイントの生命力を吸い上げていろはに与える。
絶叫、力任せにいろはの手を振り払いダークポイントがワイヤーショットで跳躍、その場を逃れる。その後を追いながらいろはが顔の絆創膏をはがす。吸収した生命力によって既に傷は塞がっていた。
「……嫌なものを見た。自殺しようとさせられるなんて、復讐の鴉の名が泣くわ」
吸収した生命力では心の傷までは言えないものであるらしかった。
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ワイヤーを切り離し、よろめきながら路地を進むダークポイント。彼の頭上に影がかかった。乾いた銃声、即座に放たれた銃弾を人影が宙返りで回避。ビルの屋上に着地し満月を背後にポーズを決めたのは闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)
「ライアーヒーロー『クライウルフ』参上! 俺が来たからにはお遊びはここからだよ!」
無言の発砲、飛来する銃弾をスウェーでかわし夜太狼は屋上の反対側へと駆け出す。同時にダークポイントの周りにリボルバーが浮かぶ。先ほどに比べ半分以下になったそれを連射。放たれた銃弾はビルをすり抜け反対側にいる夜太狼を狙う。短い悲鳴、乱射された内の一発が夜太狼の左肩を撃ち抜いていた。お返しとばかりに夜太狼が手を振るえば、ビルの屋上にあった植木鉢が念動力によって動きだしダークポイントへ向けて放たれる。これは透過銃弾では止められない、が。
「同意:お前の行動=児戯」
降りくる植木鉢をダークポイントが裏拳で弾き飛ばす。瞬間、植木鉢が爆発した。不意の一撃にダークポイントの体が吹き飛ぶ。
「うわぁ、すっごい威力。灰色のにーさんの術式がかかったままだったから拝借したけど正解だったね。――さあそれじゃあ。勝負だ、ダークポイント!」
爆弾化した無数の瓦礫を念動力でダークポイントへ向けて落下させ、夜太狼もまたビルの屋上からダークポイントに向けて飛び降りる。
降りかかる瓦礫にダークポイントが退避しようと足を踏み出し、その足が氷を踏んだように滑る。夜太狼が植木鉢と共に放ったサイキックエナジーが、彼の足元を包みその摩擦を失わせていた。ダークポイントが慌ててワイヤーショットを放とうとするが――。
「遅いよ」
動きを止めた瞬間、夜太狼が放った銃弾がダークポイントの右手を撃ち抜き、ワイヤーショットを取り落させ――。灰色が爆弾へと変えた瓦礫がその頭上から降り注いだ。
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再度の爆発を受けて倒れたダークポイント、そこへ飛び込んだのは近くで待ち構えていた灰色、立ち上がったダークポイントに殴り掛かり、防いだところで背後の瓦礫を爆破。破片がダークポイントの背に突き刺さる。反撃の銃弾をセシリアが切り落とし、お返しとばかりに望が発砲、その銃弾をダークポイントが身をひねって回避、逃走用のワイヤーショットを発射し、先端のフックをエクルの楯が弾き飛ばす。ナギの放った光線がダークポイントの足を貫き、イサナのパワーアーマーがダークポイントに掴みかかる。逃れようとする足先をマックスの銃弾が牽制、ダークポイントが辺り一面に黒い炎を放ち、いろはの黄泉の炎がそれを飲み込む。同時に麗治が黒剣で切り付け、受け止めた銃身を夜太狼が撃ち抜いた。
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咄嗟にビルの屋上へワイヤーショットを放ち、ダークポイントが宙に舞う。包囲網を逃れた所へ、闇を纏ったセシリアが跳躍。ダークポイントが追撃を逃れようとワイヤーの巻き上げ速度を上げ――。
「逃がさない」
いろはが放った黄泉の炎がワイヤーに命中、同時にダークポイントの体が落下。迎え撃つセシリアへダークポイントが銃を向け、発砲。同時にセシリアはビルの壁を蹴って加速。放たれた銃弾が彼女の腕を掠めるが、その痛みを無視して暗黒剣を振りかざす。
「あなたを見逃せば更なる被害が出るでしょう。罪無き人々を護るため、ここで切り捨てる!」
一瞬の交錯、すれ違いざま振るったセシリアの暗黒剣が、ダークポイントの左手を切り落としていた。
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落下してくるダークポイントの真下、イサナがパワーアーマーを駆けこませる。ダークポイントがイサナへと炎を放とうと視線を向けた瞬間、麗治が声をかけた。ダークポイントへ銃口を向けて――。
「さあ、もう一度。自分の技を受けろ」
咄嗟に壁を蹴った銃口を躱すダークポイント。直後何かに気付いたようにその目が見開かれる。
「論拠:声掛け=不要+不利。
推定:再使用=虚偽!」
「ああ、ブラフさ。引っかかってくれて助かる」
無理な回避動作で動きにダークポイントはバランスを崩したまま落下、パワーアーマーの鋼鉄の拳がその腹に突き立つ。
そしてそこへナギが右手をかざす。
「本当にいいのか? 修理費は持たないぞ?」
イサナの首肯を受けてナギは右手に仕込んだサイコパームを再び起動。無数の光線をダークポイントへ向けて解き放つ。着弾の寸前ダークポイントが横転、落下。パワーアーマを盾にやり過ごそうとし――。
「甘い」
ナギがサイコパワーを集中、光線をパワーアーマに当たる直前に曲げ、その後ろのダークポイントへと誘導。ダークポイントの全身を無数の光線が灼いた。
●
ビルのガラスを破り屋内へと飛び込むダークポイント。会議室をよろめきながら駆け出す彼を追うように、同じ階のガラスが一斉に割れ、無数の瓦礫が飛び込んだ。先ほど灰色が爆弾化した瓦礫、その残りだ。そして灰色と夜太狼、二人の猟兵が窓越しにダークポイントを狙う。
「中を荒らさないためにも、出来れば爆破はせずに済ませたいな」
「はいはーい、俺の念動力にお任せあれ、ってね」
屋内で爆弾化した瓦礫と砕けたガラスが渦を巻き、ダークポイントへと襲い掛かる。咄嗟にダークポイントがリボルバーを呼び出し連射。狙いは三つ、灰色と夜太狼が様子をうかがう窓と二人が生み出した爆弾の渦、そして自身の背後の窓ガラス。
割れると同時ダークポイントは後ろへ跳躍、爆風と無数の破片に傷つきながら、ビルの裏側――反対側の路地へと逃れる。
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上空衛生砲からの通信で、エクルが即座にダークポイントの居場所を割り出す。猟兵の的確な追撃は彼のメカニックの技術によるところだ。
「いこう、えくるん」
「ああ、ここで仕留める!」
ビルの角を曲がった先、丁度ダークポイントが立ち上がったところへ二人は踏み込む。ダークポイントの向こうマックスが悪魔の人形を従えて銃を構えているのが見えた。
三人同時に頷きダークポイントへと攻撃を仕掛ける。望が飛行してセプティットを展開、ワイヤーで逃走しようとするダークポイントの頭上を抑える。同時にエクルが機械盾に備え付けの砲口から砲弾を連射。黒炎で反撃しようとするダークポイントの右目をマックスが撃ち抜く。さすがに悲鳴を上げ動きを止めた所へ、エクルが突進。ダークポイントの手を掴んで、空中へ向けて放り投げる。即座に意図を悟った望がダークポイントの下に回る。
「ここですね……えくるん! これで射線が取れます!」
彼女が取り出したのは黄金の果実、その内に込められた魔力を望が引き出すにつれ、辺りが昼間のように明るくなる。
「否定……、否定!」
宙に舞いあがったまま、ダークポイントは魔力のコアである黄金の果実を撃ち抜こうと銃を構え、自らのこめかみに押し付ける。
「邪魔はさせないぜ? 悪魔は既にお前の悪意を再現してる」
そう言って笑うマックスの隣、もう一人の『ダークポイント』が空中のダークポイントに銃口を向けていた。
「コピーキャット、模倣できるのは麗治一人じゃないのさ」
意に反してトリガーを絞ろうとする指を留めようとダークポイントが自ら指をへし折ったのと同時、望の術式が完成。放たれた光の奔流が空中のダークポイントを跡形もなく消し飛ばした。
その光景を見届け、マックスは傍らの『ダークポイント』――悪魔憑き人形の肩を叩く。
「確かに勝つのは『お前』だったな。お見事、予言的中だ。もっとも――俺達には勝てなかったがね」
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東の空が白み始めてきた。ジェネシスエイトの一人、ダークポイントが下され、銃火と血臭の闇夜が開けようとしているのだ。マンハッタンの街に平和な日常が訪れ新たなヒーロー達の誕生を祝う日は、もうすぐそこ。
大成功
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