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アースクライシス2019③〜ただ殺せ。

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019

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●その死に価値はない
「さあ、復讐の手始めだ! 恐れ慄け人間ども!」
 ニューヨークのある区域。逃げ回る人々を追いかけ引きずり出し、無残に切りきざむ女たちがいた。残虐で邪悪、かつてはその罪で処刑された原初の戦の女神―――戦神アシュラ。その殺戮衝動が『アシュラレディ』として受肉し、量産型の戦神として降臨していた。
 彼女の現在の目的は単純だ。『一般市民を、ただ殺戮しろ』。それはスカムキングから出された作戦であり、彼女にとっては息をするより簡単なことだった。……むしろ歓喜を催す、最高の命令であった。
「たまらないねぇ……でももうちっと、手ごたえがあった方が滾るってもんだ」
 悲鳴を上げ店へと逃げ込もうとした学生を背後から斬り捨てながら、アシュラは呟く。苦しみもがく彼にとどめの一撃を打ちこんでさっさとその死体を捨ておいた。
 戦いに歓びを見出す彼女にとっても、全米を恐怖に陥れたいスカムキングにとっても、一般人の命には価値がない。大勢の一般人の死、という惨劇になって初めて、人々の心を挫くカードとなりうるのだから。
 故に誰かに顧みられることもなくただ殺される―――男も女も、老人も子どもも、金持ちも貧乏人も、関係なく。
「猟兵、新種の侵略生命体ども! どうせならアタシの前に現れてみな! アタシと命のやりとりをしようじゃないか!」
 死体の転がる街中でアシュラは嗤う。これが戦争の狼煙であると。復讐の刻はここに来たれり、と。

●無価値な命などない
「諸君、戦争の時間だ!」
 サムライエンパイアでの決戦から早数か月……今度はヒーローズアースにて、進展が見られた。多くのグリモア猟兵が予知を得、猟兵たちへと協力を募っている。黒髪金眼の猟兵、アメーラ・ソロモンもそのひとりだ。
「今ヒーローズアースのアメリカ全土で起きていることは君たちも聞き及んでいるだろう? ジェネシス・エイトと呼ばれるオブリビオン共が各地で問題を引き起こしているようだが……私の予知はそのうちのひとつ。戦神アシュラのクローン軍団が一般人を無為に傷つけ、恐怖で全米の心を挫こうとしている。予知される惨劇はあまりにも残酷だ―――できれば阻止したい」
 アシュラの行動は単純だ。街中へ現れ抵抗のすべのない一般人たちをとにかく殺す……単純故に残虐で、酷い被害が出るのは明白。
「舞台はニューヨーク! どれだけの一般人が歯牙にかけられるかわからない以上、油断は禁物だよ。君らの活躍次第では、多くの人々が嘆き悲しむことになる」
 多くの一般人の未来が人質だ。彼らを救い、たくらみを阻止し、アシュラレディたちを倒してほしい。
「そうそう、少々不謹慎かもしれないが、この世界は元々ヒーローが大好きな世界だ。君たちが格好良く彼らを助けたら感激されるだろうねぇ。それを留意して旅立ちたまえ」
 アメーラのグリモアが輝く。それは戦場へと送られるテレポートの光。
 その光が止んだ時には、猟兵たちはすでに惨劇が起きる直前のニューヨークへと転送されていた。


夜団子
 ヒーローズアースで戦争だー!! みなさんこんにちは、MSの夜団子です。

●今回の概要
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 ニューヨークで暴れる量産型戦神アシュラをぶっとばしてください! 現場には多くの市民がいます。そして彼女たちの目的(命令)は「一般人を無惨に殺すこと」です。

●プレイングボーナス
 このシナリオには特別な「プレイングボーナス」があります。これに基づく行動をすると有利になります。
 今回の条件は「命令の実行を妨害する。」ことです。

 それではみなさまのプレイングをおまちしております。
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第1章 集団戦 『量産型戦神アシュラ』

POW   :    六剣陣
【手にした六剣のいずれか】が命中した対象を切断する。
SPD   :    阿修羅六業刃
【殺戮への欲望に身を委ね、連続斬り】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    降魔調伏剣
レベル×1個の【剣の形】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:otomo

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レイ・アイオライト
ただ殺すことが命令……考え無しだけど、分かりやすくて反吐が出るわ。

まずは一般人たちから遮るように、『雷竜真銀鋼糸』で鋼糸の結界を構築する。いわば、デスマッチみたいな感じにしましょうか。

六剣が迫ってくる……そんな多くの剣と刃を交えるほど馬鹿じゃないわ。
【幻術・黄昏ノ月輪】で周囲に強烈な幻惑効果のある鴉と蝶の群れを召喚する。
相手は、死なないあたしが何度も襲いかかってくるような幻覚に陥るでしょう。

がら空きの背中に向けて、魔刀の『暗殺』を実行するわ。

殺戮衝動に身を落としてると、逆にやりやすいわね。後ろががら空きよ。



「ただ殺すことが命令……考え無しだけど、分かりやすくて反吐が出るわ」
 その凛とした声がひとりのアシュラの元へ届いた瞬間、青白く輝く鋼糸が彼女の周りに展開した。雷竜真銀鋼糸……雷竜の髭とオリハルコンを使用して造られたそれは、アシュラと一般人の間を遮った。わずかに雷を纏う超硬鋼糸は結界のように展開しアシュラを封じ込めている。もし彼女ひとりを閉じ込めたのならば「一般人を殺す」目的のため無理にでも脱出されただろうが……それを読んだ暗殺者は共に閉じ込められることを選んだ。
「まるでデスマッチね。あたしたちとの戦いがご所望なんでしょ、アンタ」
 佇むレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)を見つけたアシュラは閉じ込められているというのにも関わらず爛々と目を輝かせた。彼女は戦神アシュラの中の殺戮衝動の権化。殺しも強者との闘いも、彼女を高ぶらせる要素でしかない。
「いい度胸じゃないか……それならアタシを、楽しませてくれるんだろうねぇ?」
 アシュラはその六つの腕にひとつずつ、六種類の剣を携えている。それぞれ特色も強みも異なるそれらは普通の人間が扱えば、いかに六本の腕があろうとも活かせることはない。しかし相手は戦神。すべての剣の特性を活かして襲い掛かってくることだろう。
(そんなやつと……そんな多くの剣と、刃を交えるほど馬鹿じゃないわ)
 レイは暗殺者だ。そして正面突破が、勝ち筋の全てじゃない。
「全てを惑わす魔性の大群、現れなさい!」
 その瞬間、レイの背中から漏れる影が、そのピアスから溢れる光が、二つの相反する魔力が周囲に広がった。舞うは影の蝶、飛来するは光の鴉。幻惑を催す蝶と鴉は、互いに交わりながら結界内を埋めつくしていく。
「な……っ! なるほど、分身か、こざかしい!」
 幾人に増えたレイは、それぞれが武器を構える。その姿たちを視界に収めたアシュラはむしろ喜々として、その六剣を構えて地を蹴った。
 血に飢えるアシュラにとって標的が増えたのは嬉しい誤算。その優れた剣技を持って、向かい来るレイを次々殺していく。
 ひとり、ふたり。九人、十人、と真っ二つに斬り捨てることに夢中となったアシュラ。しかしその数が二十人を超えた辺りで彼女も流石に違和感に気が付く。
 未だ『あたり』を引かない。避ける動きをするレイは優先的に殺しているというのに、斬ればすぐに霧散してしまう。まるで『あたり』などいないように―――。
「……殺戮衝動に身を落としてると、逆にやりやすいわね」
 ドシュッ、と鋭い一撃が、アシュラの胸を貫いた。それはアシュラの視界の外から。始めは全方位の攻撃を警戒していたはずだ。たくさんのレイを殺しているうちに自然と攻撃範囲を狭められていた? 不規則なようで、攻撃範囲が前に偏るよう、幻影たちの動きを制御していた―――?
「あ……ぐぁ……ッ」
「後ろががら空きよ。目も六つつけておくべきだったわね」
 アシュラの敗因は、レイが暗殺者であることを正しく認識できていなかったことだ。
 的確にアシュラの心臓を貫いた魔刀を捻り、真っすぐに斬りあげる。胸から上を真っ二つにされたアシュラは即絶命し、その場に倒れ伏した。鉄の匂いのする赤がアスファルトへ広がる。
「まずひとり……」
 まだまだアシュラたちは暴れまわっている。レイは雷竜真銀鋼糸を回収し、次の標的へと素早く接敵を開始した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネメシス・インフィニー
【心境】
「神の量産型…神って量産するもんなの?」
かみの大安売り…主婦大歓迎うさ(注:たぶん違う)

【行動】
ユーベルコード:スーパー・ジャスティス発動うさ~
おいらの正義が唸って叫ぶうさ~。
一般人の殺害なんてさせるもんか!
アリスをオウガに殺されてた日々を思い出すぜ。

常にアシュラの集団の前面に居るように高速飛行しつつ、兎戦流格闘術の『グラップル』『マヒ攻撃』。
ヒーローズマントを掲げて『存在感』を主張して、アシュラの意識をおいらに向けさせるうさ~。
来るならおいらの方に来るうさ~。

【その他】
他猟兵との絡みアドリブOK


姫守・刻煉
「目的の為なら手段を選ばずと言うのは理解出来なくもないですが、無辜の一般人にまで手を掛けると言うのは外道が過ぎるかと」

戦闘では敵の撃破の為に率先して攻撃にでます。
敵の意識を此方へ向けさせるよう気を配りつつ戦い、
「剣刃一閃」での打ち合いから更に踏み込み、返す刃で斬りかかります。

市民に矛先が向く場合は身を以て防ぐ事も踏まえ、
迅速な敵の殲滅を目的として相応のダメージは覚悟の上とします。

(二人称は姓に「さん付け」が基本で、敵には敬称を使いません。)



「一般人の殺害なんてさせるもんか! おいらの正義が唸って叫ぶうさ~」
 ぽんぽんと跳ねる毛玉、もといウサギがそのマントを翻しアシュラたちの前へ降り立った。ネメシス・インフィニー(時計ウサギの王子様・f21907)のゆるい姿にアシュラたちは一瞬ぎょっとそちらに意識を取られた。
「本当にいっぱいいるうさ……神の量産型……神って量産するもんなの? かみの大安売りで主婦大歓迎うさ?」
 妙な存在感を見せるネメシスにアシュラたちは戸惑っているようだったが、そのうちの一人が容赦なく剣を振り上げた。簡単に真っ二つにされるまるまるとしたウサギ……とアシュラたちの誰もが油断していたが、現実は異なった。
 キィンッ!
 奇妙な音を立ててアシュラの剣が受け止められる。もふもふとしたネメシスの短い腕……その拳が交差され赤いオーラを纏っている。そこに振り下ろされた剣はその先に進むことが許されず、斬りかかった一人のアシュラはその瞳を大きく見開いた。
「アリスをオウガに殺されてた日々を思い出すぜ」
 侮るなかれこのウサギはアリスラビリンスの虐殺を生き延びたウサギ。友人のアリスと共にオウガから逃げていた記憶はまだ生々しい。一般人の虐殺という戦場は彼にとってとても見覚えのあるものだった。
「目的の為なら手段を選ばずと言うのは理解出来なくもないですが……」
 ネメシスの意外な強さに気を取られたアシュラたちを襲ったのは白雪の巫女であった。霊力の込められた一振りは容赦もためらいもなく、アシュラたちを斬り捨てる。
「無辜の一般人にまで手を掛けると言うのは外道が過ぎるかと」
 姫守・刻煉(人間の戦巫女・f23281)の一閃から逃れ生き残ったアシュラたちが、我に返る。……やはり猟兵というのは油断ならない相手である、と。
「おいらも忘れちゃ困るうさ~」
 兎戦流格闘術で放たれる拳の一撃がアシュラを殴り飛ばす。麻痺を与えられたアシュラはその場に倒れ、ネメシスの追撃を許した。警戒度を引き上げていたアシュラたちはその六本の腕で剣を振るい、ネメシスを迎え撃つ。一方で刻煉もまた派手な立ち回りでアシュラたちを相手取っていた。
「さすがにっ……一対六が複数とは、厳しいものがありますねっ!」
 六本の剣を持つアシュラが、複数。それを相手取りながら攻勢に出るのは刻煉には難しい。その攻撃を捌いているだけでも手一杯だ。だがここで足を止めていては他に襲われる一般人を助けることはできない。刻煉はより迅速に倒す術を選んだ。
「こちらですっ!」
 打ち合いを続け防戦一方だった刻煉が一度すべての剣戟を弾き、一歩前へと踏み出した。当然素早く持ち直したアシュラの剣が多数の斬撃となって刻煉を襲う。いくつもの赤いシミが彼女の巫女装束に浮かび上がるが、それらが致命傷に至る前に、刻煉は刀を返した。
 二度目の一閃。刻煉の前にいたアシュラたちはたった一刀で、その腹を真っ二つに引き裂かれて即死した。傷をかばいつつ、敵の返り血と己の出血を拭いながら、刻煉が引くことはなかった。人々に仇なす可能性がある者がいる限り、刻煉は戦い続ける。
「来るならおいらの方に来るうさ~相手になるうさ~」
「屠られたい方からいらっしゃってください。戦は好みませんが、人々を守るためならば私は躊躇いたしません」
 二人の放つ強烈な存在感によって、その周囲のアシュラたちの注意がそちらに惹きつけられる。ネメシスの持つその姿とそれに相反する実力、刻煉の痛みを得てでも迅速に敵を倒すという強い意志。輝きともいえる二人の存在感はアシュラたちにとっても、一般人にとっても魅力的なものであった。
 なにかが輝けば輝くほど、そうでないものは意識の外に追いやられるものだ。アシュラにとって、一般人の命が無価値なものであったことも幸いした。アシュラたちの注意が完全に二人の猟兵へ向かった間に、襲われていた一般人たちはその場から逃れ、惨劇から脱することができたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナミル・タグイール
金ぴかいっぱいにゃー!最高デスにゃ!
全部ぶっ倒して金ぴか剥ぎ取るマスにゃー!
倒せば妨害もできて一石なんたらにゃー!

でもいっぱい剣ブンブン触ってて近づきたくないにゃ。
皆金ぴかだし呪いの金ぴかパワー使っちゃうにゃ!
UCで周りの金ぴか全部にナミルと同じ強欲の【呪詛】つけちゃうにゃー!
敵同士が金ぴか欲しくてたまらなくなるはずにゃ!無残に取り合えデスにゃー!
一般人は金ぴか付けたら危ないから捨ててにゃ。ナミルが回収しといてあげるからにゃ!(返さない)
数が減ったりぼろぼろになったところをナミルがザクザクして金ぴか剥ぐデスにゃ!

ナミルの金ぴか狙ってきたら許さないにゃ!斧でカウンターざっくりにゃ。



「金ぴかいっぱいにゃー! 最高デスにゃ!」
 惨劇が起きる舞台であるニューヨークの一区域に、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は降り立った。金欲、強欲の呪いにその身をひたす彼女がここに来た理由はひとつ……聞くところによると敵の戦神アシュラは全身に金ピカの装飾品を身に着けているというではないか。
 期待を胸にやって来てみればその言葉は本当だった。一般人を殺す前で返り血も浴びていない金の宝飾たちが、ニューヨークの日差しをうけてピカピカ輝いている。それを身に着けているアシュラがうじゃうじゃいるのだから、ナミルとしてはお宝の山が歩き回っているようなもの。垂涎ものである。
「全部ぶっ倒して金ぴか剥ぎ取るマスにゃー! 倒せば妨害もできて一石なんたらにゃー! 皆金ぴかだし呪いの金ぴかパワー使っちゃうにゃー!!」
 その呪いの源泉、全身に刻まれた黄金のタトゥーが、妖しく輝く。その瘴気ともいえる禍々しい輝きが、ナミルを中心に一帯へと広がり、攻撃かと警戒したアシュラたちは素早く身構える。
 確かにそれはナミルからの攻撃であった。しかし、それは呪詛。周囲の黄金を全て呪いの黄金へと変貌させる、悍ましい呪詛である。武器をかまえ、頭をかばう程度では逃れることはできない。
「―――きん、金だ、それはアタシの金だっ!!」
「あぁ!? これはアタシのものだよっ! アンタこそアタシの金を返せッ!」
「返さないなら殺してやるッ! はははッ、殺して金も手に入るだなんて最高じゃないかっ!」
 途端、集っていたアシュラたちがその殺意を仲間であるアシュラたちへと向け始めた。原因はその身を飾る黄金。呪いの黄金となったその宝飾たちは持ち主であるアシュラたちに強欲の呪いを植え付けたのだ。神たるアシュラが身に着ける黄金は最高級のもの。それを多く持っているのは同じアシュラたちのみ。そこに元来持つ殺戮衝動が加算され、アシュラたちは血みどろの戦いを始めた。
 殺し、奪い、横から手を出し、また殺すの繰り返し。同じ顔同士が醜く争う戦場は凄惨そのものであった。
「無残に取り合えデスにゃー! みんな倒れたらまとめてナミルが回収……にゃ?」
「うわあああ!! やめろ、くるな!!」
 アシュラだけが殺される戦場となったはずの場に、男の悲鳴が響いた。なんだと思いナミルがそちらを向くと一人の男がアシュラに詰め寄られていた。……その男の指には黄金の指輪がじゃらじゃらとつけられている。ナミルはその耳をピンと立て、男に迫るアシュラへ駆け寄った。
「待つニャー!!」
 男を殺そうとしていたアシュラを巨大斧でバッサリ叩き斬る。目の前のアシュラが叩き殺されたのを見て男は目を白黒させるが、構わずナミルは男に迫った。
「今その黄金を持っていると危ないから捨ててにゃ。ナミルが回収しといてあげるからにゃ!」
 返すとは一言も言っていないのだが、命が惜しい男はさっさとその指輪は外してナミルに渡した。アシュラ以外からも黄金を手に入れたナミルは嬉しそうにその指輪をしまう。
「さて、そろそろ頃合いにゃ? お宝探しの時間デスにゃ!」
 死屍累々、アシュラの死体と瀕死体が転がる道路を喜々として探る黄金猫。しばらくして後に、大量の黄金の戦利品をゴールデンミミックの口に押し込んでいるナミルの姿が見られたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルネ・プロスト
鬼さんこちら手の鳴る方へ?
そんなに飢えてるならルネ達がお相手するよ

人形達はUCで増やした分含めて死霊憑依&自律行動
森の友達は敵の攻撃対象となってる一般人がいないか情報収集

開幕UC
そっちが数でくるならこっちも数だよ
2+102体のルークは盾受けで一般人をかばう
2+102体のビショップはオーラ防御で一般人を護衛
8+408体のポーンは援護射撃で敵の攻撃を妨害
一般人から離れてる敵には一斉発射&乱れ撃ち&制圧射撃でさらに一般人から引き離す
敵への攻撃はポーンの銃撃主力に据える
敵UCはルークやビショップの防御行動で可能な限り防ぐ

数の暴力はルネの十八番
ジェネシス・エイトの一角が元とはいえ量産型相手には負けないよ



 量産型戦神アシュラの最も恐ろしい所は、彼女が『量産型』だということである。もちろん本来のアシュラより技量は劣るのだろうが、高い技能を持つ存在が軍団を成して襲ってくるというのは悪夢に近い。
 少数先鋭と数の暴力。どちらが強いかは時代や世界によって大きく異なってくるが、先鋭が大勢で市民を襲う、というのはどう考えても勝ち目がない。
 ならばどうするか。ルネ・プロスト(人形王国・f21741)は「さらに大きな数の暴力で打ち勝つ」ことを選択した。
「鬼さんこちら手の鳴る方へ? そんなに飢えてるならルネ達がお相手するよ」
 優に八百を超える自律人形たちを従え、ルネは現れた。襲われる人々を助け、アシュラたちを殲滅するために、本気の実力を解放する。
「そっちが数でくるならこっちも数だよ」
 引き連れられた人形たちが一斉に行動を開始する。真っ先に動いたのは森の友達という動物型の人形たち。彼らはその体の特性を活かし自由に駆け回り、広範囲の情報を集めていく。
 次いで動くのはルーク、そしてピジョップだ。大盾と全身鎧の重歩兵と木杖に祭服を着こんだ僧正という二種類の人形たちは、それぞれが人々を守るように一糸乱れぬ動きを見せた。
 キィンッ
「な……ッ人形ごときが小癪なッ!」
「くそッこちらは魔法か! 人間に攻撃が通らん!」
「……た、たす、かった……?」
「ああ……ありがとうございます……」
 死霊の魂を宿した人形たちはしゃべらない。だがルークはその大盾を、ピジョップはその守りのオーラで、的確に人々を守り続ける。
 守護に特化した彼らに邪魔をされては、いかに戦神といえども歯が立たない。連続切りによってルークの盾が傷だらけになっていっても、その斬撃のひとつたりとも、ルークは後ろへ通さなかった。
「ポーン! 一斉掃射!」
 ルネの指令に合わせ、他の多くのポーンたちがその手の銃火器をアシュラに向けた。背にルークやピジョップたちが一般人を逃がし、ポーンが壁となりつつ攻撃をすることで確実にアシュラから彼らを引き離す。
 整然と並べられ一斉に撃ち放たれた銃弾は、隙間のない弾幕となってアシュラたちに襲い掛かった。剣があろうとも銃弾を跳ね返せるのには限りがある。いくらか粘る者もいたが、最後には銃弾の雨にやられ、穴だらけとなったアシュラたちの死体のみが残った。
「数の暴力はルネの十八番だから。ジェネシス・エイトの一角が元とはいえ量産型相手には負けないよ」
 ふん、と鼻を鳴らしてルネはその長い銀髪を払った。屈強な人形たちを軍団で従えるルネの姿はヒーローズアースにありがながら幻想的で。まるで幼い銀の女王のようであったと、逃がされた市民のひとりは後に語った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アララギ・イチイ
一般市民の殺戮は戦争だと普通の出来事よね、それを許す理由は無いのだけどぉ

市民退避させる【時間稼ぎ】が必要ねぇ
敵の集団を巻き込む様(【範囲攻撃】)に【選択UC】だわぁ
でも、攻撃転用はしない、波動(=電磁波)に干渉する端末の効果で可視光(電磁波)に干渉、敵の周囲の可視光を完全遮断、暗闇に包ませるわぁ
一方市民に届く可視光はそのまま、避難に支障が出ない様にするわぁ

さて、上記の行動を実行しつつ、私に届く可視光はそのまま、上記の行動で混乱中?と予想される敵の背後に近づき、バトルアックスで【なぎ払い】して切り飛ばすわぁ(足音を立てずに注意
一応、【早業】の【武器受け】で防御する用意だけしておきましょうかぁ



「一般市民の殺戮は戦争だと普通の出来事よね、それを許す理由は無いのだけどぉ」
 ドレスに白衣、という奇妙な出で立ちの少女が、戦場へ現れる。どちらかといえば魔法を放ちそうな見た目のアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)だが彼女が扱うのはほとんど兵器ばかりである。
「市民を退避させる時間稼ぎが必要ねぇ。でも下手に隔離すれば逃げられなくなってしまうし……あれを使おうかしらぁ」
 アララギのその言葉に従うように、無数の操作端末が彼女から放たれる。放たれたものは波動干渉用のもの。直接攻撃性があるわけではないが、「波」と名の付くものに干渉することができる特性を持つ。この特性は恐ろしく汎用性が高い。例えば今回、アララギは「電磁波」に干渉を行った。
「なッ、なんだいッ!? 突然真っ暗に……」
「これはいったい……敵の魔術!?」
「くそっなにも見えないよッ!」
「あははっ、可視光を完全遮断されたら、そりゃあなにも見えなくなるわよねぇ」
 可視光とは、電磁波の中でも人が見ることのできる波長のことを指す。つまるところ、現実における「光」だ。これを遮断されれば当然、アシュラたちは光のない世界に閉じ込められることになる。
 目潰しや幻覚などの生易しいものではない。彼女たちの周りにはそもそも光が存在しないのだ。暴れようが目を擦ろうが、ないものは見ることができない。
 もちろんその場にいた一般人たちはその影響を受けてはいない。アララギが調節をしたからだが、アシュラたちに何が起きているのかわからない彼らは怪訝そうに、もしくは呆気に取られてアシュラたちを眺めている。
「死にたくないなら早く逃げることねぇ。流れ弾が来ても知らないわよぉ」
「! そこか!」
 声に反応したアシュラがその手を掲げ、背負った炎を操る。その熱さは光を失っても変わらない。空中で剣の形となったそれは声のした方へと向き、やたらめったらに撃ち放たれた。
「ほぉら、気づかれたじゃないのぉ」
「ひぃぃっ!」
 やれやれと言わんばかりにため息をつきながらアララギはその手のバトルアックスを構えた。大きな二振りを軽々と持ち襲い来る剣へ向かい思い切り振りぬく。
 けたたましい音を立てて頭上で爆発した炎の剣を見て、周囲にいた一般人は蜂の子を散らすように逃げ出していった。
「あらぁ、面倒くさいと思ったけど……同士討ちしてくれたなら結果オーライねぇ」
 先ほど以外に飛来した炎の剣のいくつかは、別のアシュラへと直撃したらしく焦げたアシュラの死体がちらほらと見受けられた。立ったまま錯乱しているアシュラたちは足音をひそめつつバトルアックスで楽にしてやれば、案外簡単に片はつく。
「だいぶ時間稼ぎはできたかしらねぇ。まあ殲滅まではまだまだかかりそうだけどぉ」
 声に向かって攻撃を行ってくるアシュラを上手く捌きながらアララギはそうつぶやいた。戦場には、まだまだ怒号が響き渡っている。

成功 🔵​🔵​🔴​

レナ・ヴァレンタイン
某氏曰く、人生の中でヒーローになれるチャンスは4回か5回だけだそうだ
――ここがその内の1回だ、残らず救うぞ

全武装をユーベルコードで複製
一般人狙いの敵を【スナイパー】【乱れ撃ち】【援護射撃】【二回攻撃】技能を組み合わせ、片っ端から銃撃&近接武装を遠隔操作で飛ばして攻撃
敵が大人しくターゲットをこっちに絞ってくればガトリングとアームドフォートの一撃、宇宙バイクによる突撃で迎撃
人質をとって盾にしようというなら、敵の頭が見えているなら【クイックドロウ】【スナイパー】技能で射殺
人質で身体が隠れているなら、最初に飛ばした近接武器を敵の背後から引き寄せ、無防備な部分を攻撃

最重要は一般人救助
身体を張って庇うとも


西条・霧華
「自らの享楽の為に戦火を広げる…。そんな事はさせません。」

守護者の【覚悟】を以て、皆を護ります
思い通りになんてさせません

【残像】を纏って眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『幻想華』
相手の攻撃は【見切り】、纏う【残像】で惑わして回避

市民に危機が迫っていれば全力で庇います
庇う際は攻撃を【見切り】、【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止め、返す刀で【カウンター】

我が身が鬻ぐは所詮殺人の為の剣に過ぎません
ですが、斬らねばならない者を前に躊躇う事だけはしてはいけないと思っています
あなたが世を脅かすというならば、私は守護者の【覚悟】を以て一時の修羅になりましょう



「時に霧華さん、知っているかね」
「? なんですか?」
 『ハンティング・ホラー』。そう名付けられた大型の宇宙バイクでニューヨークの街中を走りながらレナ・ヴァレンタイン(ブラッドワンダラー・f00996)は口を開いた。何を問いかけられるのか予想できず尋ね返す西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)。後部座席にどこか落ち着かない様子で座っている。バイクが慣れないのか二人乗りのタンデムに慣れていないのか……それは、わからない。
「某氏曰く、人生の中でヒーローになれるチャンスは四回か五回だけだそうだ。長い人生のうち、チャンスが多くて五回だけだなんて神様もなかなかケチなお方だな」
「チャンスは五回だけ……少ないように思えますが、それを活かせなかったらヒーローではない、ともいえるのかもしれません」
「おお、なかなか厳しい意見だね。まあなんにせよ―――」
 簡単に言葉を交わし合って、レナはバイクを停めた。ささやかな雑談のうちに現場へ到着したようだ。ニューヨーク内でもまだ手付かずの場所……アシュラたちも訪れるのが遅かったのか未だ血痕らしきものが散っていない、惨劇の起きる直前の場所へ、二人はやってきた。
「――ここがその内の一回だ、残らず救うぞ」
「はい。……守護者の覚悟を以て」
 その言葉とほぼ同時に、霧華は籠釣瓶妙法村正を手に戦場へと飛び出した。誰よりも速く、目にも止まらない疾走。居合の縮地法を活かしたそれにより一瞬でアシュラたちとの距離を詰める。彼女が目指すはひとりの少女に剣を振るうアシュラの元。
「自らの享楽の為に戦火を広げる……。そんな事はさせません!」
 金属と金属がかち合う音が響き渡る。少女の体を斬り裂くはずだった剣は霧華の刀で防がれ、想定外の乱入者にアシュラの目が見開かれた。しかしすぐに、その口元が楽し気に歪んだ。
「へえ、猟兵のおでましかい。一本受け止めるのに手いっぱいのようだけど、アタシにはあと五つ腕があるんだけどね?」
「やってみればいい……! 私はそのすべてを受け止めて見せます。あなたたちの思い通りになんてさせません!」
「大した覚悟じゃないか。だけど、アンタだって同類だろう?」
 その言葉に霧華の言葉が詰まる。おそらくアシュラが言っているのは霧華の殺人剣のこと。確かに守護者でありながら霧華が掲げるのは人を殺すための技。しかし、それを振るう覚悟もとっくに、決めている。
「……我が身が鬻ぐは所詮殺人の為の剣に過ぎません。ですが、斬らねばならない者を前に躊躇う事だけはしてはいけないと思っています」
 チラリと視界の端に映るレナの姿を、霧華は確認する。宇宙バイクや持っている装備すべてを駆使せんとしている彼女が、銃撃を躊躇っている理由。それはこの少女が射程内に入ってしまい危険だったからだ。スナイプすると言っていたがその役割を霧華は譲ってもらっていた。レナには、掃討に集中してもらいたい。
「はぁぁぁッ!」
 アシュラが本気になる前に。霧華はその刀を打ち返しその腹に思い切り蹴りを入れた。距離を離し、素早く少女を抱えて飛びのく。
「ぐっ小癪、な……ッ!?」
 霧華たちを追おうとしたアシュラの腹から光刃が飛び出した。かは、と息を吐き出し足が止まった瞬間、掃討が始まる。
「よし、一斉掃射! 人々は殺させん、こちらを見ろ!」
 レナのよく通る声と共に無数の銃撃音が鳴り響く。的確にアシュラを狙った銃弾に撃たれ、アシュラたちの狙いが人々からレナへと向いた。ひとりで掃射を行っていれば必然的に目立ってしまう。
 数人のアシュラが弾幕から逃れ、側面よりレナを襲撃せんと駆けだした。無防備となる本体を倒そうという立ち回りは正しい。が、それは二人の猟兵が敵でなかったときの話だ。
「……あなたが世を脅かすというならば、私は守護者の覚悟を以て一時の修羅になりましょう」
 やたらめったらに連撃を繰り出す先頭のアシュラの前に、少女を避難させた霧華が現れた。カチ、と刀を鞘から浮かせ、柄を握りこむ。
 反撃など許さない一刀が打ち放たれ、あっという間に先頭のアシュラの首が斬り飛ばされた。力を失い倒れるアシュラが一瞬、後続のアシュラたちへの妨害になる。
「ナイス時間稼ぎだ、霧華さん。そら、追加だぞ」
 『ヘクター』に『ギャラルホルン』。ガトリングとアームドフォートによる一撃が迫りくるアシュラたちへ確かなダメージを与えその連撃にブレを生じさせた。すかさずレナはバイクに乗り込む。
「おやすみの時間だ。大人しく眠りたまえ」
 大型のバイクによる轢き潰し。肉や骨が砕ける音を戦場に響きわたり、アシュラたちの血が大地へ散る。
 二人の猟兵は見事に人々を守り切った。少なくとも救われた人々やあの少女にとって、霧華とレナはヒーロー足り得たことだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニニニナ・ロイガー
はいはい復讐復讐。
人を侵略生命体とか呼んどきながら、自分が侵略してりゃ世話ないっすね。
まぁとにかく、その復讐は妨害させてもらうっすよ~

さて、目立たない技で申し訳ないっすけど、
ここは【見えざるモノ】で細くてしなやかな不可視の触手を大量召喚っす。
そのまま一般市民の方を引っ張ったり持ち上げたりして救助しつつ、
敵に巻き付かせて動きを封じて締め上げるっすよ。
向こうが物量作戦で来るなら、こっちも物量作戦っす。
さぁドビーちゃん、大暴れしちゃっていいっすよ。

で、アタシ自身は…『拳銃』を構えて隙を突いて…
逃げるっす!こんな刃物持ったキチガイ相手にしてらんねぇっす!チクショー!
できれば民衆と反対方向へ釣る形で!



「はいはい復讐復讐。人を侵略生命体とか呼んどきながら、自分が侵略してりゃ世話ないっすね」
 はーやれやれと少しけだるげな雰囲気を纏いながら、ニニニナ・ロイガー(一般UDC職員・f17135)が戦場に降り立った。白衣を着ていること以外、そこらの一般人と大差ない外見のニニニナは、一見猟兵のようには見えない。むしろ酷い隈にけだるげな雰囲気のせいか真っ先に逃げ遅れる人のような気さえする。しかし彼女の秘密はその内側……体内にあった。
「まぁとにかく、その復讐は妨害させてもらうっすよ~」
 おいでおいで~と手招きするニニニナ。しかし何者かがやってくるようには見えない。一番直近のアシュラが不可思議そうにニニニナを一瞥した。なぜあの者は逃げないのか。逃げないのならさっさと殺してしまおう、と足先がニニニナの方へ向いた瞬間、そのアシュラの体が宙に跳ね飛ばされた。
「さぁドビーちゃん、大暴れしちゃっていいっすよ!」
 ドビーちゃんと呼ばれた不可視の触手たち。これがニニニナの秘密だ。彼女の体の中には不可視の触手生命体が住んでいる。それはかつて植え付けられた細胞であり、ニニニナにとってはソウルメイトのようなもの。友好的なその触手は的確にアシュラを討つ。体を締め付け持ち上げ、地面に叩きつけたり踏みつぶしたり。不可視ゆえにアシュラには対策ができずにされるがままだ。
 一方で一般人救助も忘れない。アシュラたちと違い、一般人相手ではそっと優しくつまみあげるドビーちゃん。もしアシュラが一般人を掴んで離さないようならば、容赦なくアシュラの腕を折る。見えないものにつまみあげられたり、目の前で突然アシュラの腕が折れたりで救助された一般人は多少正気が削れたかもしれないが……命に代わると思えば安いものだ。
「ふっふっふ、向こうが物量作戦で来るなら、こっちも物量作戦っす。やっぱり不可視のドビーちゃんは効果てきめんっすね」
 少し離れた安全地帯で佇むニニニナ。戦闘は基本ドビーちゃん任せなのでどうしてもひとり離れたところで見守ることになる。そしてこんな阿鼻叫喚の中、一人余裕そうにしているのは「私の仕業です」と言っているようなもので……。
「見つけた、アンタの仕業かッ! 覚悟しな!」
「わわわッばれたっす!」
 ニニニナを斬ろうと駆けだしたアシュラに、ニニニナは慌てて拳銃を抜く。正直気休めでしかない銃だが、ニニニナは確実に当たるよう、アシュラの胴体を狙った。
 これだけ大規模にアシュラを攻撃したニニニナである、アシュラにとって彼女は想像外の魔術を使う術者のように見えてならなかった。未だにどう攻撃されているのかは予想もつかず、それゆえに彼女の構えた気休めの銃を必要以上に警戒してしまった。
 パンッ、と空々しい発砲音が響き渡る。
「……は?」
 予想に反したその威力。簡単に避けられたことにアシュラは一瞬呆けてしまった。なにせただの拳銃なのだ、戦神アシュラの身を削るには色々と足りてない。
 むしろニニニナは、今のうちにと言わんばかりに背中を見せて全力ダッシュをし始めている。
「……はぁぁぁッ!? アンタだましたねっ!?」
「勝手に勘違いしただけっすよ! あーもうこんな刃物持ったキチガイ相手にしてらんねぇっす! チクショー!」
 ぶんぶんと剣を振り回すアシュラに追いかけられながらニニニナはただただ逃げていく。その背中を追っているアシュラは気が付かなかった。他の人々と逆方向にニニニナが走り抜けていることを。
 ドビーちゃん、そしてニニニナの逃亡によって、結果としてその一帯の人々の命は救われることとなった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・ユメノアール
命は軽いモノじゃない、掛け替えのない大切なモノなんだ!
それを奪おうとするキミたちをボクは絶対許さない!

背後に一般人を庇い、アシュラの前に立ち塞がるように戦闘
ショウマストゴーオン!
混沌を纏いし勝利の化身よ!数多の想いを胸に、煌めく舞台へ駆け上がれ!
カモン!【SPクラウンジョーカー】!

クラウンジョーカーにはアシュラの攻撃を
ボクは後ろで一般人のみんなを庇いつつ『トリックスターを投擲』して援護

そして、クラウンジョーカーのユニット効果発動!
このカードは攻撃時、キミが傷付けてきた人たちの怒りを戦闘力に変換し、自分の戦闘力に加える事ができる!
レイジングチャージ!
怒りの一撃でアシュラをぶった切る


グラナト・ラガルティハ
戦の女神な…偶然だが俺も戦を司る者でな。
戦争だと言うのなら俺も介入させてもらおう…それが俺の役割だ。
そして戦に無辜の民を巻き込むその殺戮は見逃せない。虐殺は好むところではないのでな。
貴様はただの量産型。
そんなお前が俺に勝てる道理があるとでも?

【戦闘知識】で戦闘に適した行動を。
【火炎耐性】【オーラ防御】で敵の攻撃を軽減。
近距離敵には蠍の剣を遠距離的には神銃を使用。

【封印を解く】で神の力を限定解除。
【高速詠唱】でUC【業火の槍】発動。
【属性攻撃】炎で威力を強化。

アドリブ連携歓迎。



「みんな! ボクの後ろに!」
 派手な装飾の短剣が飛び、戦場を煌びやかな道化師が舞う。戦場にどこか不釣り合いな姿でありながらそれを活かし立ち回るフェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、短剣を牽制にしながら背中に一般人を庇っていた。彼らを無事に全員逃がすには、敵も一般人も多すぎる。壁のように立ちふさがりながら、それでもフェルトは笑顔を絶やそうとはしなかった。
「命は軽いモノじゃない、掛け替えのない大切なモノなんだ! それを奪おうとするキミたちをボクは絶対許さない!」
「吠えるじゃないか、猟兵! まあいいさ、木偶の棒を斬るなんて命令、退屈だとは思っていたからね。アンタはそいつらよりは楽しませてくれるだろう?」
「……吠えているのは貴様だ、量産品」
 フェルトの笑顔のままに放たれる怒気と、アシュラの悦を隠さない殺気。その両方がぶつかりあう戦場に、威圧的な声が響き渡った。その声にアシュラはピクリと眉を寄せたが、反対にフェルトは笑顔を深くする。その声の主が、味方であるとわかっているからだ。
「戦の女神な……偶然だが俺も戦を司る者でな。戦争だと言うのなら俺も介入させてもらおう。……それが俺の役割だ」
 フェルトの横に降り立ったグラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)はその火炎を燻らせながら、威圧感を抑えることなくアシュラたちを見下ろした。明らかに格上の神の登場に、アシュラたちが一瞬たじろく。それでも愉しそうに笑みを浮かべるのを見て、グラナトは顔を歪めた。戦いの神でありながら虐殺を好まないグラナトとその殺戮衝動ゆえに処刑されたアシュラ。同じ戦神でありながらその在り方は大きく異なる。
「みんな~大丈夫だよ! この人はボクたちの味方でつよーい神様だから!」
「…………」
 グラナトの威圧感に圧倒されてしまったのはアシュラだけではない。むしろ力を持たぬ一般人たちはアシュラたちよりもひどく呑まれてしまい、逃げる足が止まってしまっている者もいた。しかし、そこはフェルトの得意とするところ。振り返って笑顔を振りまけば少しずつ彼らも我を取り戻し、氷解していった。己の神性をよく知るグラナトは彼女の言葉を否定することも、振り返ることもなかった。
「退屈なだけの作戦かと思ったが……同じ戦神が出てくるなんてアタシらはツイてるよ! そこの道化師ひとりよりもよっぽど楽しめそうだ!」
「まずは前に出る。道化師よ、支援は任せよう」
「オッケー☆ 任せてよ。道化師はいつだって笑顔だけど、さっき言ったようにボクは今怒っているからね!」
 素早くその手にユニットカードを取り出したフェルトは、それを左腕のソリッドディスクにセットした。選んだカードには黒い衣を纏った道化師が描かれている。
「ショウマストゴーオン! 混沌を纏いし勝利の化身よ!数多の想いを胸に、煌めく舞台へ駆け上がれ! カモン! SPクラウンジョーカー!」
 カードから召喚された大鎌を持つ道化師が、走り出したグラナトを追うように飛行する。道化師はその大鎌で、グラナトは蠍の剣で、六剣のアシュラたちへ斬りかかった。激しい剣戟の音が、戦場に響き渡る。
「貴様はただの量産型。そんなお前が俺に勝てる道理があるとでも?」
 アシュラの一瞬の隙をついて、グラナトが袈裟懸けに斬り捨てる。吐き捨てた言葉に衝動が掻きたてられたか、生き残りのアシュラが理性をかなぐり捨てた。
「アンタのその神性とアタシの衝動、どっちが強いか試してみようじゃないかッ」
「……! ち……」
「守れ! クラウンジョーカー!」
 高速連続攻撃を仕掛けようとしたアシュラとグラナトの間にクラウンジョーカーが割り込んだ。かばうように大鎌で連続攻撃を受けるが、じりじりとパワーに押し負けていく。形勢有利をアシュラが確信するその瞬間、それがフェルトの狙いだった。
「クラウンジョーカーのユニット効果発動!」
 クラウンジョーカーの特殊効果、『断罪の一撃』。このカードは攻撃時、相手が傷付けてきた人たちの怒りを戦闘力に変換し、自分の戦闘力に加える事ができる。かつて処刑されるまでに殺戮を繰り返したアシュラだ、その受けてきた怒りは計り知れない。
「レイジングチャージ!」
「クソがッ!」
 その一撃が逃れられないと悟ったか、アシュラが短くなにかを唱えた。クラウンジョーカーの怒りの一撃を喰らった瞬間、その背面に宿っていた炎が剣の形に変貌し、標的へ向く。標的はフェルトの更に奥、逃げ行く人々に向いていた。
「っ! しま……っ!」
「案ずるな、問題ない」
 飛来する無数の炎の剣。しかして飛ばされた彼らはフェルトにすら届かず、ある一点でなにかに遮られ霧散した。驚いて瞬くフェルトだったが、次第にそれの存在に気が付く。それは炎神の加護、オーラともいえるグラナトの炎そのもの。自らに課した封印を解いたゆえに漏れた、本来の神性の炎。
「そんなものか量産型。その身で味わえ、業火とはこういうものだ」
 アシュラの炎を防いだグラナトの業火が、槍の形を模す。打ち込まれた業火の槍は他の残っていたアシュラたちを軒並み焼きこがし、死体さえ残さなかったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロク・ザイオン
……おれは。
ひとを、守りたいんだ。
(森の内にあって。厳しき自然と弱肉強食の理に晒されて。
為す術無き人間を守り、森から無事に逃がすこと。
……それが森番の仕事だと、心得ている)

(ひとの前に【かばい】立ち)
――ああァアアア!!!!
(「惨喝」を放ち【恐怖を与える】
敵は其処から動くな。
弱き唯人は、逃げろ。逃げろ。)
……これで。
お前が今すぐ殺せるのは、おれだけだ。
(敵の剣を【野生の勘】で躱しながら
「惨喝」で増した攻撃力で二刀を操り【早業】で【傷口を抉る】
速く。お前よりも、速く)

(その姿が、相対する敵と然程の違いが無くとも)

……おれは。
お前とは、違う。



「……おれは」
 森とは程遠い場所。アメリカの中でも屈指の都会、ニューヨークにふらりとその影は現れた。そこが戦場であるならば、たとえ森とは大きく異なる場所であっても『森番』の仕事を果たすべきだと、ロク・ザイオン(未明の灯・f01377)は思っている。
「ひとを、守りたいんだ」
 厳しき自然と弱肉強食の理に晒されて。為す術無き人間を守り、森から無事に逃がすこと、それがロクにとっての『森番』の仕事だ。
 その姿は人に近くとも、しゃべるのは苦手で人々との交流は控えめ。人なのか獣なのか、本人すらその認識は揺れ動く。
 それでもひとを守りたいというその意思で、彼女はまた戦場に立つ。
 ―――ああ、ここにもたくさん、守るべき人々がいるじゃないか。
「――ああァアアア!!!!」
 その咆哮を生物の本能を震わせる。人間が人間である前に存在する、生存本能。それが早く逃げろと悲鳴を上げた。その恐怖は目の前の神に勝り、人々は弾かれたように駆けだした。ロクと反対側に、ロクからできうる限り離れるように。
 一方でアシュラは逃げなかった。人々を追うこともなかった。それはロクを恐れなかったからではない。咆哮と共にロクの強い敵視と殺気が突き刺さり、がらでもなく恐怖を覚えてしまったからだ。
 その恐怖がたった一瞬だけのものだったとしても、ロクに背を向けて逃げ出すなんていう屈辱的なことはできない。しかし、背後にいるロクを無視して人々を追うほどの決断もできない。それほどまでにロクの咆哮が与えた恐怖と存在感は大きく、アシュラの意識に影響を及ぼした。
「……これで。お前が今すぐ殺せるのは、おれだけだ」
「…………なるほど、厄介払いってわけかい」
 アシュラの言葉には答えず、ロクは烙印刀と閃煌を抜いた。……二刀のそれぞれ違う刀身がギラリと輝く。
「それじゃあ……楽しく殺りあおうじゃないかッ!?」
 六剣を構え、駆けだしたアシュラ。同時に素早く地を蹴るロク。二刀と六剣、二人の武器がそれぞれかち合い、けたたましい音を立てる。
(速く。お前よりも、速く―――!)
 捌ききれなかった剣に斬られ血を吹いても、ロクが止まることは無い。むしろその刀のスピード自体は上がっていき、六つの剣を持つはずのアシュラが、だんだんと押され始める。
 ロクは願う、人々を守るため敵に打ち勝つ速さを。
 ―――その姿が、相対する敵と然程の違いが無くとも。
「……おれは。お前とは、違う……!」
 言い聞かせるようなその言葉と共に、ロクは烙印刀を振りぬいた。それは六本の剣の合間をすり抜けてそして、アシュラの首を刈り取ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

終夜・還
一般人の虐殺が目的だって?じゃー俺はそれを阻む正義の味方を気取ろうじゃねぇか

一般人に手を出そうとした所を【見切り】、【かばう】為に召喚した死霊達を攻撃ではなく、UC無効化狙いで放つぜ。どれだけ殺そうとしても、俺の死霊で庇い、阻む
【早業】じみた動きと【高速詠唱】を駆使してな


んで、アシュラにも直に【呪殺弾】を叩き込もうか。

嗚呼、そうそう
俺の攻撃は当たれば【生命力吸収】されちゃうから気をつけてね?特に呪殺弾♥

更に【挑発】して【存在感】を顕にしよう
俺を無視できない様に立ち回って俺へ攻撃を向けるように仕向ける。その上で、上手く【地形の利用】をしてアシュラを叩こう

俺と鬼ごっこしよーぜ、アシュラちゃぁ〜〜ん



 アシュラの攻撃が一般人を襲おうとするさなか、その周囲の空気が突然ひどく冷たいものとなった。気温が下がったわけではない。青空の太陽は変わらず照っているというのに、どこか肌に感じる空気だけが冷たいのだ。
 それの正体をアシュラたちはよく知っている。なにせ、己たちと似たような存在……もしかしたらアシュラたち以上に、嘆きという感情を抱えている分厄介かもしれないが……過去の存在であるという点において二者は共通する。
 振り下ろしたはずの剣は不可視のなにかに阻まれた。まじまじとその“なにか”を眺めてみればそこには、髑髏しか残らぬ死者の姿がある。それを知覚した時、アシュラは即座にその剣を引き、後退した。
「一般人の虐殺が目的だって? じゃー俺はそれを阻む正義の味方を気取ろうじゃねぇか」
 死霊たちの主であり召喚者、終夜・還(終の狼・f02594)がその片手に魔導書を持ちて、現れた。気取ろうじゃねぇか、と口にする天邪鬼でありながらその行動は堅実だ。確実に一般人を守れるよう、魔法陣が中に刻まれた記憶の書を支えとして高速詠唱を繰り返し、死霊たちの動きを誘導して庇わせ続ける。
「ええい、厄介なことを……!」
「俺がいる限り襲わせはしねぇよ。死霊で阻まれるとか、戦神ってのも大したことねぇなァ」
「このっ……!」
 死霊が召喚されるたびに共に漏れ出す瘴気がその場に停留し、溜まり、気や魔力といったものを乱す。剣の形になろうとしたアシュラの炎は、その前に霧散してしまい消えていった。剣が当たらぬのなら魔術で、というアシュラのたくらみは完全に封じられてしまう。
 そうこうしている間に人々は己の足で逃げて行ってしまった。追いかけようにもやはり、死霊がその間を遮ってしまう。今にも地団駄ふみそうなアシュラをせせら笑いながら還は別の魔導書を開いた。嘆きの書―――過去への呪詛と嘆きがつづられた危険な魔導書である。
「嗚呼、そうそう。俺の攻撃は当たれば生命力を吸収されちゃうから気をつけてね? 特に呪殺弾♥」
 まあ死にたいのなら止めないけど、と呟くやいなや、嘆きの書から浮き上がった瘴気が黒い弾の形を取りアシュラたちへ襲い掛かった。うまく剣で打ち消したものもいたが、数人は諸に被弾し倒れていく。
「小細工を弄す術者め……っ! 待ちなっ!」
「いいねェ童心に帰った気分だ。俺と鬼ごっこしよーぜ、アシュラちゃぁ〜〜ん」
 呪殺弾を打ち消すことができたアシュラたちは、術者である還を直接叩かんと剣を手に駆けだした。挑発の笑顔を浮かべながら還はその身を翻す。狭い路地裏にひらひらと手を振って入り込めば、頭に血が上り視野が狭まったアシュラたちは還を追いかけるという選択肢以外取れなくなった。
「おのれどこへ行った!」
「コッチコッチ~鬼さんこちら」
「あっちだ! 追うよっ!」
 スカムキングの命令も頭から抜けてしまったアシュラたちは、還のあとを追いかけて狭い路地裏に迷い込む。狭い場所ではその六剣も活かせなくなることも完全に失念して。
 こうして還はまんまとアシュラたちを封じ込め、人々を逃がすことにも成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

姫守・刻煉
「例え数が居ようと、退く理由にはなりません。続けて、参ります」

相手が一般人より此方に関心を向けるならば、
より目立つ行動を取るのみ、と言えますね。
…本来はあまり人目を引く行為は避けたいのですが、それどころではありませんし。
「巫覡載霊の舞」にて戦神楽を捧ぐと致しましょうか。
例え記憶に憶えがなくとも、この身は剣と縁の有るもの。
守護を忘れた殺戮の剣が降魔調伏を語るとは烏滸がましいとも思いますし。
その全て、全身全霊を以て払い落としてみせましょう。

「どれだけこの身を朱に染めようと、この意思折れる事はありません」



「例え数が居ようと、退く理由にはなりません。続けて、参ります」
 共に行動していた猟兵と別行動を選択した後、姫守・刻煉(人間の戦巫女・f23281)は敢えて広い場所に出た。
 剣を交えて、アシュラの特性はよくわかった。彼女たちは命令の遂行を第一に考えていながら、より戦い甲斐のある相手……つまりは自分たち猟兵に惹きつけられる特性がある。それは恐らく戦神という神性を持つが故なのだろう。ともあれ襲うべき一般人よりもこちらに関心が惹きつけられやすいというのはとてもありがたい特性だ。
「……本来はあまり人目を引く行為は避けたいのですが、それどころではありませんし」
 より強く、その存在感を表し、彼女たちの目を惹きつける。その決意のもとに刻煉は戦神楽を捧げ始める。剣舞扇を開き、道路の真ん中で神楽を舞う彼女の姿はひどく注目を引いた。すでに他の猟兵たちによって千々に散り、その数を減らしていたアシュラたちの視線を独占するように、彼女は舞う。
 刻煉には、過去の記憶がほとんどない。覚えているのはその姓と名程度で、出身地も家族と呼べる存在のことも覚えていなかった。それでもこの身は剣と縁あるもの。神楽の舞も、しみこんだように体が覚えていた。
 祝詞も流れるように口からこぼれていった。舞い踊るほどにその身へ神霊の加護が宿り、力が溢れていくのを感じる。
「っ、神降ろしでもする気かいっ!? はっ面白い、ならその前に焼き払ってやろうじゃないか!」
 アシュラたちの声もどこか遠くに聞こえる。その炎が剣となって己の身に降り注ごうとも神楽を舞う体は止まらない。
「降魔調伏剣! あの愚かな巫女を焼き殺しなっ!!」
(守護を忘れた殺戮の剣が降魔調伏を語る、とは。なんて烏滸がましいのでしょう)
 魔を降伏させ、心身を整え悪行を制することを、降魔調伏というのだ。本来守るべき剣の在り方を違え、人々を殺戮する剣が名乗っていい名前ではない。
「どれだけこの身を朱に染めようと―――」
 神霊の持つ加護が炎の剣の威力をいくらか弱めてくれる。それでも降り注ぐそれは刻煉の体を焼き、その肌に痛みを走らせる。
「この意思折れる事はありません!」
 神楽を終えた刻煉はその手になぎなたを持ち、強く振り放った。その衝撃波はアシュラたちへ次々と襲い掛かり、その身を打ち砕いていく。
 正しく全身全霊以って、刻煉はアシュラたちという魔を払いゆく。その寿命を縮め、その身に神霊を降ろしながら、彼女は人々を守るため真の意味で『降魔調伏』を成したのだった。

 多くの猟兵たちの尽力により、此度の惨劇は防がれた。しかしスカムキングの命を受けた者たちはまだまだいることだろう。ニューヨークの戦火は、まだ、潰えない。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月07日


挿絵イラスト