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潜む妖花のマスカレイドナイト

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #お祭り2019 #ハロウィン #装魔封災戦

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#装魔封災戦


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●綺麗なトレジャーに囲まれた会場(意味深)
「なぁ、今日の為の飾り付け超頑張ったんだぜ!」
「そうだな、花丸をやろう……お?」
 学生と教師の会話が在る。
「この花は……誰の創造の魔術組み上げによるものだ?バランスがいいな」
 教師は部屋の角という角に設置された花に、関心を抱く。
 これならば、芸術点を幾つかプラスしてもいい、とも思う。
 部屋の中は学生が中心に飾り付けた筈だ。
 であれば、この花は誰かが魔術的に創り上げたものか。
「え?花瓶に誰か花が?」
「……花?」
 つい最近、地下迷宮に出向いた学生があらぬ方向をみていた。
 おとなしそうだから無視していた。
 教師の問いかけも、流れるように知らないと返した。
「流石に自然発生して生まれるわけがないだろう……ん?」
 ――ガタガタ。
 揺れる角が、視界に入ったのを老眼のせいに気づかなかった振りをして。

●マスカレイドナイト
「聞いた話ではかつてのアルダワ魔法学園も、ヒーローズアース並の大規模な戦いが在ったようね」
 空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)は資料を元に猟兵へ話しかける。
 見つかった古文書に、その伝承があったらしい。
「まぁ、そうね。ざっくり言えば災魔の姿に紛して災魔の懐に紛れ込み、奇襲により封印を決行した日らしいわ、アルダワのハロウィンって」
 奇襲作戦は成功に終わり、それを祝う日として今もその日はパーティーが催される。
 その奇襲の名前は、装魔封災戦(そうまふうさいせん)。平たく言えばハロウィンで相違ない。
 災魔に扮して奇襲した日、であった以上、災魔が扮して現れる事はまぁ、おかしなことではないだろう。
「【Q】によって、それが予知された、というわけね」
 迦楼羅は困ったように、笑った。
「私の予知は、部屋の角張った所に花瓶を配置している……こう、何とも歪な会場ね」
 多角形、って言えばいいのかしら、こう角がすごく多いのと迦楼羅は言う。
「角は災害を喚びやすいから、物置いて防ぐ……そんな結界術式が張ってある、らしいわ」
 じゃあそんな部屋でやらなければいいのに、と思うがそれは言ってはいけない。
「花瓶に咲く花が……」
 言わずもがな、それが災魔であり、オブリビオンだ。
 しかも多角の数だけ配置された花瓶の数だけ存在している。
「パーティー参加者である学生と教員を襲う事はもう必須案件よ、でも回避する手立てはあるの」
 会場は、簡易だが仮装が義務付けられている、という。
 ごちそうも、プレゼントも、クリスマス並の持ち込みがあるし、南瓜南瓜した飾り付けが満載だ。
 学生も、教員も何も思いつかなければ、顔を隠す仮面を一つ付ける。
「皆は学生より、教員より自信たっぷりに仮装してればそれだけで注意を反らせるのよ」
 会場に現れた災魔は、仮装したものに因縁を感じて襲いに行くだろう。
 パーティーの余興である、と思わせるのも一つの手。
 記念日である以上、学園側もサプライズの持ち込みは大歓迎だ。
 災魔は知能低下を起こしているようで、学生たちと間違えて猟兵を狙ってくる。
 それを優位に活用するといいかも知れない。
「……仮装は、そう!私並みに目立つくらいが理想ね」
 目立ちすぎるくらい、は必要ないが存在を主張するくらいで、丁度いい。
 燃える炎の女は、そう満足気に宣言した。


タテガミ
 こんにちは、タテガミです。
 誰ですか、明らかにやばい花を会場に設置したのは。
 観賞用にしては、ゴツいですよ流石ハロウィンですね!

 この依頼は【Q】の成功による、【一章】構成の依頼になります。
 お花の皆さんは「仮装した者を優先的に狙う」為、猟兵が目立てばアルダワ学生、教員に被害は必然とでなくなります。乱入するだけで怪我人が減るなんて、我々はなんて素敵な転校生なんでしょう。さぁ転校生、存分に存在感をアピールして!

 パーティーを楽しみながら仮装をアピールしつつ。
 戦って下されば、何もおかしなことはありません。

 戦いだけに来た、雰囲気を楽しみながらふんわり戦うでもまぁ……大丈夫でしょう。
 ふわふわ花瓶から飛び出して貴方の元へ来たり、花瓶ごと爆発したり危険なので。
 出来たら、そちらの対処は宜しくお願いします。
 角からくるぞ、気をつけろ!

 仮装についてはSDイラストを頼んでいる方もそうでない方も服装(のテーマ)をリクエストする感じでプレイングに記載して欲しいのです。短くても大丈夫です。
 ・貴方の仮装イメージを守りたいからです。
 ・ただし版権名などをだされませんように、お願いします。採用できなくなります。

 記載が無ければ貴方は、勝手にそれっぽい色の仮面をつけて戦い赴きます。
 いえーい素敵なハロウィンマスカレイドナイトを。
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第1章 集団戦 『葬彩花』

POW   :    寄生準備
【自爆により催眠効果のある花粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    養分吸収
【花弁から放たれる極彩色の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【周囲の生気を消費して燃え続ける】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    捕食行動
【花弁】が命中した対象を爆破し、更に互いを【絡みつく茨】で繋ぐ。

イラスト:まつもとけーた

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

樹神・桜雪
【WIZで判定】※絡み・アドリブ歓迎

仮装は柴犬耳+柴犬尻尾つきのバンパイア
マントは闇夜の黒で全身を覆うほどに長いが尻尾で少し捲れている
腰にはバンパイアのマントをつけたシマエナガのぬいぐるみ

来る前に仮装について調べてお店に行ったら、これが良いって言われて
属性すごく迷子になってない?大丈夫?
周囲の仮装と南瓜の装飾に少しだけテンション上がって、それっぽく振る舞ってみる
すこく楽しいし美味しいよね

花に対しては不意打ちを受けないように気を払いつつ、爆発に巻き込まれないようにUCで動きを封じようと試みる
楽しいパーティを邪魔しちゃダメ
合間をぬって攻撃して、他の人が爆破されそうになるなら『かばう』させてもらうね


フランベル・エンツィアン
アドリブ、連携歓迎

やったー!!ハロウィンパーティだー!!
お菓子とかいっぱい食べていいのかな!?
と、目をキラキラさせながら会場へ
仮装はこの前あった狼たちがかっこよかったので真似をして、相棒の小竜ウィステリアは半透明な被りものでクラゲ風

へへー、悪戯は苦手だけどお菓子は最高!
いっぱい食べるぞー!プリンとかないかな?大好物!
ウィステリアは何食べるー?
とお菓子を食べたりしながらうろうろするよ

……待って、聞いていたけどあの花禍々しすぎない!?
学園だと気にしないのが普通!?怖いよね、あれ!?
は、早く倒してしまわなきゃ思う存分楽しめないよ!
ウィステリア、やっちゃって!!(UC発動)


辻・莉桜
…いや、この花はまずいんじゃないのかな
私としては、その美的センスがね、うん
でもそんなことを言っている場合じゃないよね
わかったわ、桜のほうが美しいことを教えてあげる

鮮やかなピンク色のワンピースとブーツ
ピンク色の髪飾りで桜の精が桜の精のコスプレを
全身で桜を表現して
刀にも桜の花びらをほどこし鮮やかに

つまむチョコもピンク色 イチゴ味、美味しい
ピンク色のアイシングクッキーを頬張って
放たれた炎を【武器受け】で対処
炎なんて綺麗じゃないわね!
UC使用 桜を纏って【衝撃波】で一閃
花なら、鮮やかに、潔く咲きましょう?

絡み、アドリブ歓迎です



●ハロウィンに咲く毒の花は

 壁をはしるパイプラインが一斉に、ぷしゅーっと色とりどりの煙を吹く。
 赤青黄色、それから言葉に出来ないぐちゃぐちゃなおかしな色。
 会場は思った以上に広さがあり、それらの煙が誰かの顔に吹き掛かることはない。
 不思議な色の煙はこの場所を、誰もが災魔のフリをする魔空間へと演出しているのだ。心が踊るアルダワ魔法学園は、仮面の奥に名前を隠して開幕を告げた――。

「やったー!!ハロウィンパーティーだ!がーおー!」
 噂を聞きつけたフランベル・エンツィアン(彷徨う少年・f21786)は目をキラキラ輝かせながら会場へ訪れた。
 挨拶代わりに、アリスラビリンスで一緒に過ごした狼たちの真似をして。
 ――皆、かっこよかったからね!
 姿もまた、小柄な姿より強そうに主張するピンと尖った大きめな耳に、ふさふさな尾。ちょっぴり鋭利そうな爪を携えた手袋を身につけて、愉快な仲間の"なかま"に慣れそうな服装だ。
 相棒の小竜ウィステリアも、半透明な被りものを纏っており、それはクラゲのようにふよふよ揺れた。
「そうそう、その調子で仮装も一緒に楽しんで行って?楽しまなくちゃソンだもの」
 ふふふ、と猫の仮面をつけた学生が微笑ましそうに笑っている。
「ほらみて、あの子。あの子の服装も可愛らしいわよね」
 兎っぽい仮面をつけた学生が、猫の仮面の学生を肘で小突く。
 その視線の先には……。
 ――属性、すごく迷子になってない?ほんとうに?大丈夫?
 自問自答を繰り返す、樹神・桜雪(己を探すモノ・f01328)の姿があった。
 彼の姿はひとえに見れば闇夜の黒に覆われた、ダークセイヴァー的に言うなればヴァンパイアの領主のような立派さがある。
 しかし、背の高めのな彼が着こなしても"可愛い"と言われる部分があるのだ。
 ――来る前に仮装について調べてお店に行ったら……これが良いって。
 少し不安げに頭を下げれば頭上にぴょこんと主張する柴犬な耳と、マントを少し捲り上げてゆらゆら揺れる柴犬の尾。マントと銀髪と犬要素だけでも桜雪の仮装力は高かったが、腰にまぁるい白も揺れる。
 ――あぁでも、あの子も近い感じだね?じゃあ合っていたのかな。
 彼の相棒を模した、シマエナガのぬいぐるみが彼同様にマントをつけているのだ。
 それ故に、女子学生の目が可愛らしさに気を取られた。
「あら、これ……花びらかしら。綺麗ね」
 学生の頭上をひらひらと花びらが舞っていた。
 いつの間にか伸ばされた捕食行動の先駆けが聞こえた桜雪は、周囲を慌てて見回す。壁際で仮装した学生に狙いをつけて。
 絶賛、力を行使中でぽぅと怪しく輝く花が幾つかあった。
「……君たち、だね?」
 靴音を鳴らすように堂々と近づいて、緑色の目を光らせて。
 淡々と言い放ちながらヴァンパイアなマントをバサリと広げて、誰からも異常が見えないように夜の影に隠した。
「皆が楽しいパーティを、邪魔しちゃ……だぁめ」
 花瓶に、ではなく活けられてるっぽく脱出逃走を試みない、葬彩花に。
 空のように透き通った札を、ペタリと貼り付ける。
 淡々と零した言葉に、少量の温度を感じさせるのは雰囲気と装飾によるものか。
 尻尾と耳がふわりと揺れる。貼られた札の効果で七星七縛符は成立し、ふわり浮かんだ幻想の花びらはかき消えた。
 相棒によく似た白だけが、――それをずっと見ていた。

「へへー、悪戯は苦手だけどお菓子は最高!」
 まさに夢の空間!とフランベルが、大好物のプリンを目にしてより一層、目を輝かせる。
「あらありがとう?アルダワ料理研究部自慢の、学食より美味しいと評判のプリンなの!是非食べてって!」
 猫の仮面の学生が嬉しそうに、スチームの温度をとか、数人がかりで炎の魔術でじっくり……と何かを語るがフランベルはあまり聞いていなかった。
 卵の甘さがとろけるプリンがあまりに、……美味しかったので。
 味の感想を伝えるつもりでいたフランベルだったが、褒められた分愉悦に酔いしれた学生は聞く耳を持っていなかった。
 ――そんなに嬉しかったんだね。ごちそうさま。
 軽くお礼を呟いて、わくわくお菓子の探検を続けていく。
「ウィステリアは何食べるー?」
 がうー、と相づちを返した小竜と共にご自由に、というラムネをひとつふたつとつまみ食いしていると。

 ……ガタガタ。
 揺れるなにかの音がする。

「……ちょっと待って、聞いていたけどあの花禍々しすぎない!?」
 狼な少年は確かに見た。オブジェにしては禍々しい、葬彩花が鎮座しているのを。
 動きは殆ど無いが、わずかにぶるぶる震えている。
「学園だと気にしないのが普通!?怖いよね、あれ!?」
 フランベルの驚きに、応える学生は特に居なかった。
 数人が聞かなかったフリをするように、黙々とお菓子を口に運んでいるのが気になるが。今しがた、一人が緊張感に耐えきれなくなって人知れずお茶を吹いた。
「……いや、この花はまずいんじゃないのかな」
 ふわりと微笑むように、声を掛けた辻・莉桜(花ぐはし・f23327)。
「ま、まずい?」
「あぁ、私としては美的センスがね、うん」
 ――でも、そんな事を言ってる場合じゃないよね。
「あなたたちよりも、桜のほうが美しいことを教えてあげる」
 鮮やかなピンク色のワンピースとブーツに身を包んだ莉桜は、更にピンクの髪飾りを付けていた。
 上から下まで"桜の精"と魅せながら、ふんわり自前の桃色の髪を揺らして微笑む。
 彼女自身が桜の精であるが、サクラミラージュ出身でなければ遠く幻想的な仮装に見えることだろう。
 全身に桜を現して、まるでひとり幻朧桜のように花びらを舞わせる。
 退魔の霊刀も桜モチーフに花散里の名を冠するが、そちらも花びらを纏えば余計に鮮やかさは増した。
「恨み妬みでちょっかい出したいのかな、……あ、でもちょっと待って?」
 猟兵の敵意に、目立った仮装に花弁を撒き散らす葬彩花が見えた。
 散らした花弁がぼ、ぼ、と火を灯して花弁は極彩色に染まり燃え上がる。
 ――つまむチョコもピンク色。ふふ、イチゴ味ね、美味しい。
 パーティーだからと並べられたピンク色に手を伸ばして、はにかむ桜の精。
 ――ピンク色のアイシングクッキーを頬張って、ふふ。
「本当に待ってくれたのね?」
 もぐもぐ、とお菓子をつまみながら、莉桜が話しかければ一斉掃射と火のついた花びらは猟兵たちへ飛んできた。
「……すこぉし、頭を下げていて?」
 フランベルと小竜ウィステリアはその意図を察して咄嗟にしゃがみ込む。
 その上を、ふぉんと桜を纏った霊刀が炎の花弁を切り裂き、かき消す。
 ぱらぱらと炎の欠片が舞うが、床に落ちきった名残をブーツで踏んで何事もなかったように言い放つ。
「炎なんて綺麗じゃないわね!」
 ――桜のほうが綺麗よ、ずっと、ずっとね。
 莉桜の言葉に、葬彩花がついに花瓶から抜け出して、猟兵たちへ突っ込んでくる。
 現した下部にエネルギーをこれでもかと集中し、煌々と光りながら。
 コォオオオと耳に痛い音がする。これは自爆の――……。
「顔?がどこかわからないけど、急には――止まれないよね?」
 透き通った薄桃色の刃が、上部下部その真中を薙ぐ。
 クッキーを一つ、頬張りながらの普段ではありえない事に、味に心動かされるようでありつつも。
 桜雪が一番、ヒトであれば痛いだろう場所を思い切り薙ぎ払ったことで自爆は軌道が逸れてボン、と誰の被害も出さない爆発だけが耳に響いた。
「狙いを付けてどうぞ、こちらへ。一体がダメならどうぞ何体でも」
 莉桜の思惑に乗るように、葬彩花が花瓶から脱出し捨て身の攻撃を仕掛け始める。
「花なら、鮮やかに、潔く咲きましょう?」
 ――刹那的に、咲き誇って、散るのが花よ。
 霊刀の一閃を、衝撃波に乗せて穿つ。
 爆発するよりも花粉が飛ぶよりも早く、決定的な一撃を。
「ウィステリア、今だよ、やっちゃって!!」
 ――早く倒してしまわなきゃ、思う存分楽しめないよ!
 頷く小竜は藤花を纏った風のブレスで一気に花を散らし、吹き飛ばす。
 体を捻って、より範囲を拡大させ、禍々しい花の色は藤花のふんわり紫に染まる。
 桜の花びらと、藤の花びらが会場の色を更に綺麗なモノへ染め上げた瞬間であった。はじめから在ったという花瓶も、どれ一つとして割れていない。
 被害が何処にも出なかったことに安堵した猟兵たちが、視線を合わせて穏やかな気配とともにパーティーに混ざり直した辺りで、学生たちが災魔と対峙する転校生に気がついた時には、攻撃的な個体は殆ど地に沈んで物言わぬ花と化していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

黒いマントに骸骨の仮面を装着。
死神の仮装をします。
私のような処刑人が、死神の仮装するとリアルすぎるでしょうか……。
……まあ、いいか。
こういう時はリアルなほうがウケがいいはず…たぶん、きっと。

パーティーを楽しみにきました。
ハロウィンのお菓子やお料理をいただきにきた死神です(真顔)
ついでに、花の命も刈り取っていきましょうか。
灰は灰に、塵は塵に。すべてを刈り取るのが死神の仕事です。

爆発で他の人が巻き込まれないように気をつけつつ、【血を欲す白薔薇の花】で敵を攻撃。
自身の周囲に花びらを展開し、妖花を討つ。

これで一掃できたでしょうか?
終わったら、パーティーの続きを楽しまないとですね。



●花の色を知る死神

 誰かのフラスコが魔術構築失敗でボン、と音をたてたり賑やかな会場で平和的な笑い声が、仮面越しに幾つも聞こえる。時々、スチームを蒸した匂いが立ち込めるが、誰かが張り切って改造蒸気機械の披露でもしているのだろう。
 そんな中をかつーん、かつーんと妙に響くフロアの一角を歩く黒衣の男。
 黒いマントは動作に合わせてゆらりゆらりと、控えめに揺れて。
 しかしその表情は骸骨の仮面に閉ざされている。
 ――私のような処刑人が、死神の仮装するとリアルすぎるでしょうか……。
 有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)馴染みの深い夜を伴って、パーティへやってきたのだ。
 処刑を生業にする家系の生まれで在る以上、仮装というには現実味が在りすぎる可能性も考慮しようと思ったのは否定できない。あまり派手に動けば、『本物だ』と微量なりとも赤色の香りに気づく者が出るかも知れず……。
 ――……まあ、いいか。
 仮面の下に表情を隠した死神が、現れた所で学生からも教師からも特に呼び止められなかった。
 それであれば、これは『気合を入れて仮装した』誰かに見えるのだろう。
 ――……こういう時はリアルなほうがウケがいいはず……たぶん、きっと。
 すこし人混みに紛れてみれば、肩を誰かが叩いて来たので、振り向く。
「おー!皆思いつかなくて仮面だけの子が多いのだけど」
「……えと、ちゃんと足とかあるんだよね…………?」
 わくわくそわそわ、という面持ちで幾何学模様の仮面を付けた小柄な男子学生が夏介に声を掛けてきた。
「ありますよ、そりゃあ……幽鬼的に、見えました?」
「見えた見えたすごぉーいリアル!記録術式起動させるからさ、一枚記録残させてくれない?」
 俺たち不思議記録同好会なんだ、と謎同好会名を告げられたが、要するにふしぎ発見する活動でもしているのだろう。
 殆どが仮面に普段着だけという中で、猟兵たちの仮装は目立っていた。
 つまり、それも記録に残したい、という話である。
「ハロウィンのお菓子やお料理をいただきにきた死神です」
 お代替わりに真面目な声色で要求した言葉は、トリックオアトリート。
 意味合いは若干異なるが、男子学生たちは笑って、その意味を理解する。
「あぁこわい!応えないと、命がないぞー」
 棒読みな台詞とともに不思議なオバケなチョコが乗ったカップケーキを差し出し机に置く。
「……あぁ、残念です。二人の命の刈り取りは諦めましょう。しかし、…………少々用を思い出しましたので、お時間を頂いても?」
 夏介は二人の背後でぼんやり光る、花瓶の中身を睨んでいた。
 少し遠くでも、点在して灯っている怪しい明かり。
 花が、花弁を撒き散らしている――。
「いいよいいよ!君にも待ち合わせとか在るんでしょ?俺ら此処らへんに居るから預かってるよ」
「気合が入った仮装だもんね、皆に見せないともったいないよ!」
 彼らがそう言うので、頭を少し下げてその場を足早に離れる。

 ――ゆっくりふわふわと、舞っていますね。……歪な、色だ。
 それらは命を食らった事のある輝き方だ、と夏介は思う。
 穢れに溢れ、綺麗とは形容できない。ただ、何も感じない人には幻想的ではあって。
 死を間近に生きる者には死が形を持って手招きしているようにも見える。
「どれをお前、というかは迷いますが……私は問いましょう」
 ――live or die?(生きるか、死ぬか)
 応える口が無いのを分かって、問いかけは口にせず自身が持ち得る武器を白薔薇の花びらとと溶かして、周囲に展開する。
「紅く染めよ、と女王が言った……灰は灰に、塵は塵に。刈り取る事を望まれた」
 葬彩花の花弁を敢えて触らない。
 血を欲する白薔薇の花弁を、葬彩花本体に容赦なく襲わせた。
 花瓶に映えた禍々しさが、夏介の攻撃的白に染め上げられる。
 人の味を知っているのだろう葬彩花を締め上げるようにみっちり群生させた花びらが、段々と紅く染まっていく……。
「爆発なんて、殺しのキッカケとしては三流だろ」
 悲鳴も、懇願も、生への渇望も葬彩花からは返ってこなかった。
「花の命を刈り取り連れ去る。それが今夜の死神の、……仕事ですよ」
 白薔薇が深紅の薔薇と変じた花瓶を見て、妖花の命の果てが如き色を、無造作に手で散らす。
 花瓶の中には、……何も、なかった。
 ――これで一掃できたでしょうか?
「残っていれば全て貰っていきましょう」
 死神が、先程した約束の元へ戻っていく。
 何事もなかったように、溶け込んだ違和感を摘み取って。
 ハロウィンナイトでの用途不明の爆発は、よくある日常のようであったと、後日学生が語っていた。


『怪しい花を持ち込んだ学生のクラスは、一ヶ月の学園内全ての完全清掃のもと反省すること』
 そんな注意書きが、今宵この場に居た学生に配布されたという。
 芸術点に加点どころか大減点。数人の学生が行った隠蔽は、教師に学園に、簡単に看破されてしまっていたのであった。
 しかし、連帯責任を追わされた学生たちは、とても前向きで。
 ハロウィン装飾の片付けに奔走し、環境美化に真摯に向き合ったという――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月05日


挿絵イラスト