●祭りの夜
目にも鮮やかな明かりを宿した稲荷提灯が、煌々と神社と続く道を彩っている。
軽快にリズムを刻む祭り囃子は、遠く響き。
賑やかな屋台から漂うは、食欲をそそる芳ばしい匂い。
楽しげに駆ける子ども達に、酒を呑み浮かれる大人達。
境内へと向かう人々の華やかな喧騒が、祭りの夜をにぎにぎしく華やかに彩る。
夜の空に弾ける花は、美しく爆ぜ映えて。
民草や、踊れ、歌え。
今宵、催されるは収穫を祝う祭り。
五穀豊穣を祝う、秋祭り。
●グリモアベース
「はぁい、はい。センセ達こんばんはっス~」
浴衣に身を包んだ小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は、いちご飴を片手にお辞儀を一つ。
「信長軍を倒したとは言え。サムライエンパイアにはまだまだ妖怪魑魅魍魎――オブリビオンの残党共がまだまだ跋扈しているっス!」
そういう訳で、と何処か楽しげに尾を揺らしたいすゞは、ぐうるりと猟兵達を見渡して。
「今日はセンセ達に一つ、秋祭りを満喫――いいえ、いいえ。秋祭りに賑わう街で敵の気配を探って貰うっスよー!」
あ、と顔を上げたいすゞは、瞬きを一度、二度。
「ああ、でも。こわーい顔で祭りを散策して敵の気配を探るような、――楽しい楽しい祭りに水を差す事、センセ達はしないとはおもうっスけれど……」
なんて付け足した彼女は、とびっきり悪戯げに。それこそ、狐の様に瞳を細めて笑う。
「どうせなら、センセ達もお祭りを楽しんできて欲しいンスよ。……ま、ま、ま、最後はピシッとお仕事もして貰うンスけれどね!」
よろしくっスよォ、なんて跳ねた彼女は、ぽっくり下駄を何時ものようにコーンと響かせて。
「ではでは、センセ達をエンパイアの秋祭りにご招待っス~!」
最後のイチゴを齧り取ったいすゞは、その掌の中でぴかりとグリモアを輝かせた。
絲上ゆいこ
こんにちは、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
浴衣が来たので、浴衣でお祭りに行きたいですよね?
浴衣が来たので、浴衣でお祭りに行きたいですよね!?
そういう訳で、浴衣が来たので浴衣でお祭りに行きましょう。
勿論、勿論! 浴衣イラストが無くとも大歓迎!
何でしたら👘を頭に記入して置いてくれれば、絲上が勝手に見繕います。
●ご連絡
このシナリオのプレイングは、【9/15 8:31】以降より受付を行わせていただきます。
18日位までは募集を行っているとは思いますが、タイミングによっては流してしまうかもしれません。
お手数をおかけ致しますが、よろしくお願い致します。
●一章でやる事
夜の稲荷神社にて、五穀豊穣を祝う秋祭りが行われています。
お祭りの夜を、ハチャメチャに楽しんで下さい。
魑魅魍魎や妖怪が減った事に、人々は浮かれています。
積極的に20歳を超えている方はお酒を振る舞われますし、なんだかとってもはっぴーな雰囲気です。
また屋台等は時代考証等を余り気にせず、やりたい事を書いてみて下さい。
なんとなくふんわりとちょっと時代的に無茶じゃないかなって時は、呪術法力等によってなんかこう、いい感じになっている筈です。
良き時に花火だって空を彩ってくれます。はっぴーですね。
お祭りを満喫する事で口の軽くなった人々から、次章以降のオブリビオンに関する情報はきっと勝手に出てくるでしょう。はっぴーですね。
一章だけのご参加も大歓迎です。
お祭りは楽しいですからね!
●迷子防止のおまじない
・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!
●その他
・プレイングが白紙、迷惑行為、指定が一方通行、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合は描写できない場合があります。
・小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)は転送にてんてこ舞いなので祭りには現れません。
それでは皆さんの素敵なプレイング、お待ちしております!
第1章 日常
『祭りを楽しもう』
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POW : 屋台を巡って色々食べよう
SPD : 屋台を巡って色々遊ぼう
WIZ : 花火を楽しもう
イラスト:薩目(さつま)
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
榛・琴莉
👘
お祭りって、どれもこれも普段以上に魅力的に見えますね。
こう言った気分、浮き足立つ…と言うんでしょうか。
赤いりんご飴が美味しそうですし、一つ買って行きましょう。
日本と似た世界だからか、並ぶ屋台も見覚えのあるものが多々。
金魚すくいに水風船、それに射的も。
…小さい頃、さっぱりだった記憶がありますね、射的。
当時は銃の扱い方なんてさっぱりで、弾が当たりゃしないったら…。
すみません、一回お願いします。
一、二発は手馴しに、比較的狙い易い物を。
その後は目玉商品、狙ってみましょう。
ついやってしまいましたが、さてこの景品は…
近くの子供たちにあげましょうか。
私は獲得した時点で満足なので、どうぞ。
ヴィクトル・サリヴァン
浴衣出来たからお祭りに行きたいなー。
れっつごーお祭り、えんじょい五穀豊穣。
日中はまだまだ暑いけど夜はひんやりいい気持ち。
それなら屋台のメニューもあれやこれや楽しめる。
団子に焼きそば、イカ焼きたこ焼き…おっと程々にセーブはしないと。
後の仕事とかじゃなくって…後で故郷帰って久しぶりに嵐の一週間耐久水泳コースやればいいかな…?
…食べた分は戦えば問題なし、うん(欲望に負けた感)
それからそれから、ここのお酒も興味あるんだよね。
清酒に濁酒、甘酒に。他にもあるなら程々に挑戦。
五穀豊穣、お米の酒もさぞかし美味いんだろうね。
お祭りとかに迷惑かけない前提で一般人も誘って燥いで楽しめたらなー。
※アドリブ絡み等お任せ
雲烟・叶
祭りってぇのは、見てるだけで楽しいもんですよねぇ。
生憎と自分は、何方かと言えば祓われるべき魑魅魍魎の類なんですが、ね。
人々の隙間を縫うように、のんびりゆっくり散策を。
負の感情を黒い靄として視認出来るが故に、こうして人々が賑やかに楽しく、負を置き去りにして遊んでいる場所はそれなりに好きだった。
屋台の呼び込みに腕引かれ、手慰みにと買った団扇を片手に。
辿り着いた神社の鳥居に寄り掛かり、人々の賑やかさを心地好さそうに眺める。
…………幾ら呪物でも、此処で呪いをばら蒔いたりなんぞしませんよ。ご心配なく。
背後の神様にそんなことを告げてみたりなんかして。
……折角なら、誰ぞ連れて来ても良かったですかねぇ。
都槻・綾
👘
振る舞い酒を片手に
宵祭りを漫ろ歩き
幾ら飲めども彩り変わらぬかんばせは
其れでも
提灯の燈りと
賑わいの華やかさに
ふくふくと綻んで
並ぶ屋台の呼び込みに
袖引かれ声掛けられるがまま
知らぬ者同士で朗らかに乾杯したり
射的や型抜き、金魚掬い、綿飴、林檎飴、其れから其れから――
尽きぬ興味に突き動かされ
好奇心を抑え込む野暮天など此の場に居よう筈もなく
存分に催しを満喫
両手いっぱいの戦利品は
「神からの賜りものですよ」と
悪戯っぽく笑みを浮かべつ
店番や金銭の都合で遊べぬ子等へ贈ろう
輝く瞳で礼を告げてくれる子供達の頭を撫でて
己もヤドリガミであるから偽りでは無いですよね、とは
胸の裡の呟き
社の祀神も大目に見て下さるに違いない
●揺れる提灯
夏の暑さも和らぐ、初秋。
頬を撫でる風が、心地良く。
「よう兄ちゃん、呑んでいきなよ」
ウェルカムサービスよろしく手渡された枡の、果実のように甘い香りを伴に。
「これは、どうも」
威勢の良い声掛けに、遠く響くは祭り囃子。
祭の熱気に浮足立った参道は、まるで昼と取り違えたような眩い光に満ちて。
都槻・綾(夜宵の森・f01786)は茜沈む角帯で絞られた、深縹に星彩宿す浴衣に身を包み。
五穀豊穣、豊年満作に沸く町並みは。
当て込みのかん酒屋、香具師に古道具屋まで、気取る事の無いあらゆる浮世の冥利に咽返る。
銀湾すら霞むほど祭りに浮かれる夜を、綾は漫ろ歩き。
「あ、そっちのも一つくれる?」
そんな酒屋の一店舗。
藍染の波模様の浴衣を着た、大きなシャチの姿。
徳利を開けてしまったヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が手を上げて店主に呼びかける。
秋あがりの酒は熟成が進んだ分、粗さがとれてまろやかな味わい。
麹の澱を濾しきらぬ白く濁った濁り酒は、どしりと濃厚なとろりとした呑み口。
エンパイアでは、夏月専ら売り巡るものは甘酒売りなどと謳う程、夏によく飲まれているそうだが。今日は飲めぬ者の為に振る舞っているのだと、渡された甘酒は優しい甘み。
他の屋台で買ったイカ焼きに焼きそばは、おつまみに。
「うーん、……後で久しぶりに嵐の一週間耐久水泳コースをやればいいよねぇ」
「いやいや兄ちゃん、でぇーじょーぶだってェ。ほれ、ほれ、コレも食いなァ」
そんな彼の背をバンバンと叩いて笑う庶人代表、初対面のむやみに距離感の近い酔っぱらい。
ここは赤ら顔の大人達が思い思いに笑い、呑み、言葉を交わし合う庶人の社交場。
庶人の社交上に必要なのは、打算でもカロリー計算でも無い。
ただ楽しむ事だけである。
「……んんん」
差し出された焼き鳥を齧りながら、立派な腹を撫で付けてサリヴァンは首を揺すり。
程々にセーブしないと、とは思っていたが。
……まあ食べた分は戦えば大丈夫、大丈夫。
問題ナッシング。
「よし、食べるぞ、呑むぞー」
「そうだそうだ、良いガタイしてんだから呑まなきゃ損だ!」
「じゃ、そっちの粕取焼酎もお願い……あ」
そこに通りかかるは、猟兵仕事中に見覚えのある背中。
サリヴァンは大きく手を振って。
「キミも呑んでいかないかい?」
「やぁやぁ、それは楽しげですねぇ」
呼び止められた背、綾は唇を綻ばせてふくふくと笑い。
袖振り合うも多生の縁と。
今日の出会いを祝して、それでは一杯。
――乾杯。
こういう場で見る食べ物は普通に店に並べられている食べ物よりも、ずっとずっと魅力的に見えてしまうのは一体何故だろうか。
雪白に映える麻の葉がちらりほらり。星の如く彩られた浴衣は黄色い帯でまとめ上げられて。
赤い飾り紐の先に揺れる銀の小鳥。黒曜を纏める、簪にももう一羽。
着付け屋に勧められるがままに身に着けた衣に合わせた下駄は、歩む度にころころと。
夜を染める秋光に、榛・琴莉(ブライニクル・f01205)はぐうるり回りを見渡した。
UDCアース……日本の過去にも似た世界だからだろうか。
光る宝玉すくいに、妖怪をモチーフにした料理屋台。
金魚すくいに、水風船。射的に、水飴。
もちろん見た事のない屋台もあれば、琴莉にも見覚えがあるものも多々並んでいる。
人混みに灯る灯りも、人々に満ちる夜の匂いも。
おいしいにおい、あまいにおい、平時とは違う、『まつり』の雰囲気。
――こういった気分が、浮足立つ……と、言うのでしょうか、なんて。
艶やかな真っ赤なりんご飴を一つ手に、琴莉はころころ道を歩み行き。
「……あ」
はたと目に止まったのは、射的の屋台。
過るのは、自らの幼き日の事。
あの頃は、銃の扱いなんてさっぱりで。――ようく狙ったって、弾が当たらなくてめちゃくちゃだったっけ。
「すみません、一回お願いできますか?」
指を立てて、琴莉は首を傾ぐ。
今となれば得物は、アサルトライフル。銃の扱いは、慣れたもの。
さあ、小さな私。
――あの日のリベンジと行きましょうか。
すぱん、と軽快な音を立てて。
おもちゃの銃からはじき出されたコルクが、小さな狐の置物を台から転がした。
「おお、あんた、なんとも上手だねェ」
「ええ、どうも」
目玉商品を狙う琴莉は、軽い相づちだけ。
軽い口ぶりで声を掛け、人の隙間を縫うように。
灯り灯る道を行くは、雲烟・叶(呪物・f07442)の姿。
こんなに雰囲気がある夜を楽しまなければ、嘘だろう。
――叶は呪物である。
それも只の呪物では無い。
災害級とあの組織では定義されている、特級呪物である。
人と変じてからも、悪意を招き、呪いを呼び、世界を狂わせる呪物である事は変わらず。
だからこそ。
彼より薫る薬草の香りは、世と我を隔てる『結界』なのである。
視界の端で薄明かりを漏らす美濃紙のくすぶりかえった置行灯よりも昏き靄は、今日は随分と少ない。
――叶には負の感情が、黒靄として視認出来てしまう。
だからこそ。
町が夜に逆らい煌々と光を照らし、笑い声響くこの場が。
負を置き去りにただただ笑い合う場所が。
とても欣快に、好ましく思えるものだ。
ひいらりひらり、白い狐が遊ぶ団扇を片手にたどり着いたは神社の鳥居。
狛狐が人々を見やるその場で、叶は肩を竦めて朱に背を預け。
人々のお饒舌りが耐えぬ、ざわめきに視線を向けて――。
遊びたい盛りであろうに、店番を頼まれたのであろう、じいと物欲しげに猟兵達を眺める兄妹達の姿。
「え、ねえちゃんホントにコレ貰っていいの? あれあっちのおんじの店のいっとうええやつやん!」
「にいちゃんもいいの? こんなの貰っていいの? わしらなあんにもお返しできないのに……」
大きな水鉄砲を手にぴかぴかと瞳を瞬かせて、首を傾ぐ兄。
その横で大丈夫なの、と尋ねる妹の瞳もぴっかぴか。
ぎゅっと手渡された物を握りしめる様子からは、兄妹が紡ぐ言葉とは裏腹。
もう渡された物を手離したくないと言う意志を強く感じられる。
「勿論。私は獲得した時点で満足なので――どうぞ」
「えぇ、神からの賜り物ですからね」
こんころりと踵を返して手を振る琴莉に。
随分と呑んだ後だと言うのに顔色はひとつも変わらず、とびきり悪戯げに嫣然と笑って少女の髪を柔く撫でた綾。
尽きぬ興味の好奇心の侭に楽しんだ後に、知らず抱えきれぬほどの収穫物を抱いていれば。
今日はこんなに楽しいお祭の夜なのだから。
すこうしばかり子達にわける事も、悪くは無いもので。
「では、良い夜を」
それにヤドリガミも神の一種には違いが無い。
『神の賜り物』に偽りは一つもありはしない、綾が神を名乗ろうがお狐様もお目溢しをくれるだろう?
空に流れ満ちる星河に負けぬ、輝き灯した町並みは割れるような賑わい。
ああ、良い夜だ。
ああ、楽しい夜だ。
「――そんなに心配しなくとも。幾ら呪物でも、此処で呪いをばら蒔いたりなんぞしませんよ」
自分が魑魅魍魎の類だとしてもね、と喉を鳴らした叶は、数え切れぬほど並ぶ鳥居の奥に居るであろう神様へとほつりと告げて。
しかし、まぁ。
こんなに良い夜ならば。
「……折角なら、誰ぞ連れて来ても良かったですかねぇ」
なんて、紫煙を燻らせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
太刀川・明日嘉
👘
リュシカ(f00717)と
浴衣なんて何年ぶりだかやぁ
私の国の文化だでねぇ、着付け覚えといてよかった
途中着崩れちゃったら直してあげる
まあでも祭りの楽しみ方と言ったらお酒飲みながらの食べ歩きかやぁ、やっぱり!
屋台回ろ回ろ
なんか気にあるのある?
って、リュシカ、またお財布の心配してるの
んもー、それくらい奢ってあげるに
友達とお祭りに来たのは初めてかやぁ
来年もまた、リュシカと一緒に来れるといいね
ほら、もしかしたらどっちかに恋人とかできてその人と行っちゃうかもしれないじゃない?
ああいや、それが嫌なわけじゃないんだけど
……お酒飲んだらちょっと口が軽くなっちゃったかやぁ、何言ってるんだろうね私
リュシカ・シュテーイン
明日嘉(f01680)さんとぉ
浴衣は初めて着ましたがぁ、私の柄も明日嘉のものもぉ、素敵で綺麗ですよぉ!
ししぃ、下着とか見えてしまいますのでぇ、もぉ、もし着崩れたら明日嘉さんにお願いしますぅ……
しかし本当にぃ、お祭りというものはとても賑やかですねぇ
……うっぅ、そのぉ、明日嘉さんにご迷惑はぁ……そぉ、それじゃありんご飴ぇ、というものだけでもぉ
はいぃ、この夏は余り遊びにいけませんでしたのでぇ、初めましてぇ、ですねぇ
……恋人ぉ、ですかぁ
私はそういった経験はありませんけどぉ、もしそういった未来でもぉ、明日嘉さんと一緒に歩いていきたいとぉ、思っていますよぉ
ふふぅ、飲みすぎたらぁ、私が介抱しますからねぇ
ルク・フッシー
👘レパルさん(f15574)と一緒です
(あわあわと慌てながら)げ、元気出してくださいレパルさん!
レパルさんが頑張ったから、皆さんが楽しくお祭りできるんです!
あ…そうだ!まだ遅くないですよ!ぼ、ぼ…ボクと一緒に浴衣を買いに行きましょう!オゴりますよ!
(買い物後)
はい、とっても似合ってますよ、レパルさん!
(レパルさん、この後オブリビオンが出る事、すっかり忘れてますね…でも、今は楽しみましょう)
お祭りでは積極的に遊ぶより、レパルさんについて行ってその姿を絵に描き残したいと思います
(色々おまかせします)
…どういたしまして、レパルさん。
これからも…一緒にがんばりましょう。
レパル・リオン
👘ルクちゃん(f14346)と一緒!
……浴衣…買うの忘れた…
だって戦争で忙しかったんだもん
でも流行に乗り遅れるなんてありえないわ…
死にたい…花火と一緒に爆発して死にたい…(ぐすん)
うう〜…ありがと、ルクちゃん…
(買い物後)
ルクちゃんルクちゃん!!浴衣よ浴衣!!!
えへへ、ルクちゃんもカッコいいわよ!よーし、今日は遊び倒すわ!
ルクちゃんルクちゃん!どのお店行く?何食べる?
とにかく遊んで食べて遊んで食べて、めいっぱい遊ぶわよっ!
(行き先おまかせします)
…みんな幸せそう…がんばって、ホントによかった。
一緒にいてくれて、ありがとう。ルクちゃん。
折角平和になって、お祭りがあると言われたと言うのに。
「……浴衣、買うの忘れちゃったわ……」
だって、だって、戦争で忙しかったんだもん。
桃色の瞳に涙をたっぷりと湛えて、ぺったりと耳を倒すレパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)。
「げ、元気だしてくださいよ、レパルさん……!」
そんな彼女を、どう元気づければ良いのか。
すぐには思い浮かべる事が出来ないルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)は、あわあわ慌てるばかり。
「あの、その……ほらっ、レパルさんが頑張ったから、皆さんが楽しくお祭りできるんです!」
「それでも……それでも……」
レパルは更に項垂れて頭を抱え、この世の終わりのような表情を浮かべる。
「流行に乗り遅れるなんてありえないわ……っ、ううううう……死にたい……、花火と一緒に爆発して死にたい……」
キマイラとしてこの失敗は、とてもとても痛いのようだ。
ルクは更にあわあわ、尾でたしたし床を叩いて。
「あ、ええっと、れ、レパルさん……し、死なないで……」
――はっと、そこで顔を上げるルク。
「あ……っ!」
そして彼は、俯くレパルの肩に手を添え、真っ直ぐに彼女の瞳を覗き込む。
「まだ、……まだ遅くないですよ!」
朗報に顔を上げたレパルは、ぴんと獣の耳を立て。
「ぼ、ぼ……ボクと一緒に、浴衣を買いに行きましょう!」
オゴりますよ!
なんて、ルクが真っ直ぐに言葉を重ねれば。
「うう~……うう、そうよね。……そうね。……ありがと、ルクちゃん」
ぱちぱちと瞳を瞬かせたレパルは、ようやくすこうし笑って立ち上がったのであった。
祭り囃子に湧く町並み。
立ち並ぶ屋台はそれ自体は置き提灯にも見えるよう。
手渡された枡に満たされた酒はとろりと甘い香り。
浮かれた空気を前にすれば、酒もすすむものだ。
「浴衣はぁ、初めて着ましたがぁ、綺麗で素敵ですねぇ!」
黒檀に大輪の花舞う衣。
桃の帯がそこに華やかさを添え、合わせたブーツはいつも通りすこうし高めのヒール。
纏められた髪の下に覗く首筋は白鷺のように白く。
へんにゃりと微笑んだリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)は、太刀川・明日嘉(色を失うまで・f01680)の前を歩きながら、くるりと回ってみせた。
リュシカのオーガンジーの飾り帯が甘く揺れる。
「そうねえ……しっかし、浴衣なんて何年ぶりだかやぁ?」
黒髪を簪で纏めた明日嘉は、黒縁眼鏡の縁を擡げ。
纏う浴衣はどこかレトロな雰囲気を感じる鈍に朱とのモダンなストライプ。
白い椿が咲く浴衣を引き締める黒い帯。
ちらりと覗く肩口には、深く墨が複雑に絡み合っている。
「ま、着崩れちゃったら直してあげるよ、下着が見えても困るだら?」
私の国の文化だでねぇ、なんて。
振る舞い酒の入った枡を傾け、ぐびと喉を鳴らした明日嘉は薄く笑って。
「あっぁ、ししぃ、下着が見えてしまうと、こっ、困りますのでぇ……! もぉ、もしぃ、着崩れたら明日嘉さんにお願いしますぅ……」
あまり動き回って人混みの中で着崩れてしまったりしたら、目も当てられないと。
くるくる回って見せていた足を止めて、ぴゃっと明日嘉の横を歩みだすリュシカ。
そんな彼女の様子に肩を竦めて、明日嘉はへらっと笑った。
あれ、もう枡の中にお酒が無いなあ。おかしいなあ。
「しかし本当にぃ、お祭りというものはとても賑やかですねぇ」
「そこかしこにお酒、向こうにゃ焼き鳥、味噌をつけた野菜に、鮎の塩焼き。揚げ餅に……、こーんなに美味しい物があればそりゃぁ、賑やかになっちゃうよねー」
さあさあ屋台を回ろ回ろ、なんて。
明日嘉は空になってしまった枡に注ぐ新しい酒を、眼鏡の奥瞳を輝かせて探しだし――。
「なんか気になる屋台はあ……、……?」
「うっぅ……」
屋台巡りですかぁ、……屋台巡りですかぁぁあ……。
横を見れば何故か呻くリュシカ。
片眉を上げる、明日嘉。
ははーん、思い当たる事は一つだ。
「……って、リュシカ。またお財布の心配してるの?」
「いぃ、いええええぇえ、だぁ……大丈夫ですよぉ……」
大丈夫と言いつつもその反応から見るに、おそらく図星。
今リュシカの頭中を過ぎっているのは、十中八九財布の中身の事であろう。
「んもー、それくらい奢ってあげるにぃ」
「えっぇえ、あっ、……あのぅ、……うっぅ、そのぉ、明日嘉さんにご迷惑はぁ……」
「はいはい、いくだら」
「……そぉ、それじゃありんご飴ぇ、というものだけでもぉ……」
お金と押しに弱い女リュシカは、明日嘉にさくさく連行されて行くのであった。
まあるく艶やかなりんご飴を、一つお買い上げ。
「ルクちゃん! ルクちゃん!! 見て、見て、どう? どう?」
赤に青、白に緑。
幾何学模様の散る鮮やかな黄色の浴衣に、兵児帯がひいらりひらり。
桃色の尾をはちきれんばかりに揺らしたレパルは、新しい浴衣にぴかぴか笑顔。
「はい、とっても似合ってますよ!」
「えへへ、ルクちゃんもかっこいいわよ!」
白亜色に鶯色の大きな幾何学模様。天鵞絨色の帯は、貝の口に結ばれて。
レパルとおそろいの柄模様ではあるが、単色で大きな柄という事もあり。
彼女と比べると、ルクの浴衣は随分と落ち着いた印象だ。
「ルクちゃん、ルクちゃん、どのお店いく? 何食べる?」
ぴょーんと跳ねるレパルは、褒められて更に上機嫌のご様子で。
「そうですねー」
と、ルクに尋ねつつも。彼女の目線はすでに定まっている。
ぴしっと屋台の一つをぴしっと指差し。
「まずはあの型抜きをやってみましょ! 成功したら良いものがもらえるらしいわ!」
「わっ、は、はーいっ」
――しかし。
……レパルさん、この後オブリビオンが出る事とか、すっかり忘れてますよね……?
尾を揺らしながら駆けてゆく彼女に、ルクは突っ込めない。
「ルクちゃーんっ、早くー!」
「は、はーい!」
それでも、それでも。
レパルが楽しそうならば、ルクも楽しいもので。
「ねえ、ルクちゃん」
そこに、一度足を止めて振り返るレパル。
「……みんな幸せそうだね! ……がんばって、ホントによかった」
そしてはにかんだレパルに、ルクは力強く頷いて。
「……それと。一緒にいてくれて、ありがとう。ルクちゃん」
「……どういたしまして、レパルさん。これからも……一緒にがんばりましょうね」
今はすこうし、オブリビオンの事も忘れて。
この時を、楽しもう。
備え付けられた床几に腰掛けた明日嘉とリュシカは、人波と祭り囃子、そして買い込んだ料理をつまみにちびちびと酒を傾ける。
「ん、友達とお祭りに来たのは初めてかやぁ」
「はいぃ、この夏は余り遊びにいけませんでしたのでぇ、初めましてぇ、ですねぇ」
ふうんと相槌に鼻を鳴らした明日嘉は、あんず飴を齧り。
水飴の優しい甘み。駄菓子を酒に合わせるのも、意外におもしろいものだ。
そして酒を一口。
……ほつりとこぼれた言葉。
「……来年もまた、リュシカと一緒に来れるといいね」
「んんぅ?」
「いや、ほら、さ。……もしかしたらどっちかに恋人とかできてその人と行っちゃうかもしれないじゃない?」
団子を齧りながら首を傾げたリュシカに、明日嘉は少しだけ視線を反らして仰ぐ様に手を振る。
「うぅん……恋人ぉ、ですかぁ」
ぱちぱちと瞳を瞬かせ、吊られた稲荷提灯を見上げたリュシカ。
「そうですねえぇ……、私はそういった経験はありませんけどぉ」
そして首を傾げて、リュシカはふと花が綻ぶように笑う。
「でもぉ……。もしぃ、そういった未来でもぉ、私は明日嘉さんと一緒に歩いていきたいとぉ、思っていますよぉ」
少しだけ目を丸くした明日嘉は、瞬きを一つ、二つ。
首を小さく左右に振って、肩を竦めて鼻を鳴らした。
「……お酒飲んだらちょっと口が軽くなっちゃったかやぁ、何言ってるんだろうね私」
「うふふぅ、飲みすぎたらぁ、私が介抱しますからねぇ」
「ん、そうだら?」
ならば、もう少しだけ。
あまいお酒に満たされた、杯を傾けて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
プロメテ・アールステット
👘
レイラ殿(f11422)と
先日のお礼も兼ねてお誘いしたが…
こういう場所は慣れていないからどう振舞えばいいのか悩むな
レイラ殿は楽しめているだろうか
「楽しい」との言葉に何だかふわふわする…これは嬉しいって感情か
うん?何か気になるものがあったのだろうか
彼女の視線の先を追ってみる
矢場の景品か
レイラ殿、何か気になるものがあるのか?
答えを聞いたら「わかった、任せてくれ」と頷き、矢場に挑戦
雀の根付が取れる得点は…あそこか
『視力』『戦闘知識』を活かして的を狙う
獲得したらレイラ殿に渡そう
お礼と友達という言葉に顔が熱くなってくる
炎が漏れた?何だか落ち着かないぞ
えと、その…お礼を言うのはこちらの方だ
…ありがとう
レイラ・アストン
👘
プロメテさん(f12927)と
浴衣を着てお祭りなんて、子供の時以来かしら
ましてや、同じくらいの年の子と来たのは初めてだわ
こうして並んで歩くだけでも楽しいものね――あら?
ふと目を惹かれ
足を止めるは矢場の前にて
景品の雀の根付がとてもとても可愛らしくて
プロメテさんの問いに答えれば
迷いなく矢場へ進んで行く彼女
私の驚きが冷めやらぬうちに
すごい、あっという間に的を射抜いてしまったわ
ありがとう
根付を受け取り瞳を和らげ
告げるお礼は誘ってくれたことも含め
雀が縁起の良い鳥というのは本当みたいね
友達との素敵な時間を運んできてくれたもの
え、炎?大丈夫?
束の間心配になるも
彼女の表情から察する
ふふ、照れなくてもいいのに
人々の声音にさざめく町並み、揺らぐ燈火は紅々と。
海の旅のほんのりしょっぱいやさしいバニラ味のお礼に、誘ってみたは良いけれど。
黒に紅のストライプ、黒の帯に揺れる揺れる金魚の尾めいた兵児帯を重ねた浴衣。
「……」
表情にこそ出てはいないが――戦人形であるプロメテ・アールステット(彷徨う天火・f12927)は、どうも未だこういう場所での振る舞いには慣れてはいない。
過る小さな不安。
――横を歩む彼女は、今楽しめているだろうか?
金糸の髪には椿を一輪。菖蒲宿した白に、紅の帯。
ころりころりと下駄を鳴らして淑やかに歩むレイラ・アストン(魔眼・f11422)を、プロメテは視線で伺い。
――浴衣を着てお祭りに来る事なんて、子供の時以来だ。
ましてや、同じくらいの年の子と来た事なんて、初めてで。
「……こうして並んで歩くだけでも、楽しいものね」
レイラは伏していた視線を少し上げて、言葉を紡ぎ。
その言葉に、少しばかり瞬きを重ねるプロメテ。
――なんだか胸の中で膨らむ、じんわりと暖かでふわふわとした感覚。
この感情の名前は、そう、……嬉しいという感情だろうか。
「――あら?」
「うん?」
ふと声を上げたレイラにつられて、足を止めた先は的弓場であった。
プロメテが釣られて追うレイラの視線の先は、景品の並ぶ棚へと向けられている。
「レイラ殿、何か気になるものがあるのか?」
「あら、……ふふ。思わず見惚れちゃったわね。ほら、あの景品の雀の根付がとてもとても可愛らしくて」
子供みたいだったかしらね、と上品に笑ったレイラの言葉にこくりとプロメテは頷いた。
「わかった、任せてくれ」
「……あら?」
「店主殿、挑戦させて貰おうか」
首を傾いだレイラに確認する事も無く、屋台へと歩んだプロメテは小銭と引き換えに弓を手に。
迷いなく貫くは――。
「これで合っていただろうか?」
「……すごいわね」
あれよあれよという間に。
小さな雀を引き連れて戻ってきたプロメテに、瞳を瞬かせるレイラ。
「ありがとう、とても嬉しいわ」
根付を受け取れば、レイラは眦を下げて。
告げた礼には、この祭りに誘ってくれた事も含まれている。
「雀が縁起の良い鳥というのは、本当みたいね」
「……?」
プロメテは瞬きを一つ。
「友達との素敵な時間を運んできてくれたもの」
遠く響く祭り囃子。
指先で根付を摘み上げれば、ふっくらとした雀と揺れる鈴が、ちりりと涼やかに音を立てて。
華やかな声が行き交う夜に、レイラは口元を優しく緩めた。
「……!」
一瞬目を見開いたプロメテは、ぱっと頬を抑える。
「……炎が漏れているかもしれない」
なんだろう、落ち着かない。
ありがとう。
友達。
思い出すだけで心がふわふわして、暖かくて。
顔の熱の上昇を感じる、どうしよう。変な感じだ。
「え、炎? ……大丈夫?」
プロメテの言葉に一瞬心配そうな声を上げたレイラは、ああ、と一瞬で得心した。
そう。
プロメテは――。
「……ふふ、照れなくてもいいのに」
頬を抑えて顔を真っ赤にするプロメテ。
そんな様子を見れば、レイラは擽ったそうにはにかんで。
「えと、その……。お礼を言うのはこちらの方だ、……ありがとう」
やっとの事で顔を上げて言葉を紡ぐ事に成功する、プロメテ。
ふわふわ、暖かい胸の内。
ああ。
雀が縁起の良い鳥というのは、本当の事なのであろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篝・倫太郎
【華禱】
この後を思うとちょっとどうかなぁと思うけど
振る舞い酒は頂くのが礼儀ってモンだし
今年の実りに感謝してる
来年も同等のそれを願ってる
その意思表示みたいなもんだし
……あ、ハイ
うん、言い訳した
飲みたいだけ、デス
ぷはーっ!やっぱ縁起物の酒は美味い!
すげー美味い!
んでも、一杯だけでエンリョして
夜彦といっしょに色々回る
夜彦が迷子になるってこたぁないだろし
あ……迷子になるとしたら俺の方だな、うん
ま、どこ行っても繋いでたもんな
そんな些細な事が嬉しいのは大概だけど
ちょっと恥ずかしいからナイショだ
でも、大人しく引かれておこ
だって、こういうのも新鮮で悪かねぇ
あぁ、これも言い訳だなぁと思いつつ
しっかりと手を繋いで
月舘・夜彦
【華禱】
私達がオブリビオン達と戦うのに合わせて此処に参加しているのですが
知らぬが仏というものです、今は楽しまなくては
秋の実りに感謝をしながら頂き
来年も同じく楽しめるよう、願いを込める
どの世界へ行っても、共通のように思いますね
……倫太郎殿、早く楽しみたいという顔をしております
前もお酒は戦いの前だからと控えておりましたね
今回ばかりは頂きましょう
お酒は私も頂きます
倫太郎殿が飲むものの半分程度にしておきましょう
彼ほどお酒が強い訳ではありませんからね
それから屋台を見て回り、何か摘まみましょう
エンパイアは私の方が詳しいですから
……おや、繋がないのですか?
今夜は私が倫太郎殿が迷わないよう引きますよ
揃いの浴衣と、狐の面は色違い。
振る舞い酒がなみなみと注がれた枡を前に。
「……この後を考えると、少し……、ちょっと、うん、どうかなぁって思うけどなぁ」
「えぇ、そうですね……」
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、神妙に声を交わした。
なんたって、この後はオブリビオンとの戦いが待っている。
その事は二人共ちゃあんと、理解をしているのだから。
しかし、しかしだ。
この祭りに参加している人々は、そのような戦いが行われる事は一つも知らず。
ただただ五穀豊穣を祝って、祭りを行っているもので。
渡されたこの枡に注がれたとろりと甘い香りの酒は、その祝いと祈りの気持ちが籠もった振る舞い酒だ。
「でも。振る舞い酒は頂くのが礼儀ってモンだし……」
それを断る事なんて、とてもとても。
「それにさ。俺は今年の実りに感謝してる、――来年も同等のそれを、いや、それ以上も願ってるんだ」
「……ええ、秋の実りに感謝をしながら頂き。未来に願いを込める事は大切でありましょうね」
どの世界に出向こうが、その気持ちは感じられる物だと。
瞳を細めて夜彦は小さく頷いて。
「そ。だからさ、この酒を呑む事は、その意思表示みたいなもんだよな」
枡を片手に神妙な面持ち。
倫太郎は萌葱色を揺らして、枡をじっと見やって言葉を紡いだ。
ゆらゆらゆれる、果実に似た香り。
「……倫太郎殿」
「……ハイ」
肩を竦めた夜彦は、眦を下げて。
「早く楽しみたいという顔をしておりますね」
困ったように短い眉をすこうし下げた倫太郎は、バレたか、と苦笑い。
「……ウン。ハイ。その通り。言い訳した。……飲みたいだけ、デス」
「前もお酒は戦いの前だからと控えておりましたものね」
口元に拳を当ててくすくすと笑った夜彦に釣られて、倫太郎もへんなり笑う。
「今回ばかりは頂きましょうか」
「おう!」
そうして枡を互いに掲げれば、五穀豊穣を祈って。
「――ぷはーっ! やっぱ縁起物の酒は美味い! すっげー、美味いっ!」
なみなみと注がれた枡を一気にあけてしまった倫太郎は、幸せスマイル。
「華やかな香りでございますね、するりと喉を通り抜けるようです」
そんなに酒に強い訳でも無いと、倫太郎の半分程の量だけ酒を注いで貰っていた夜彦ではあったが。
甘い香りもすっと消える喉越しの良さに、ほうと息を吐いて。
「んでも、ま。今は一杯だけでエンリョして……っと。そろそろ屋台も見に行こうぜ」
なんたって、今日は祭りを楽しむ事も仕事のうちだと言われている。
屋台を指差し、歩きだそうとする倫太郎。
そこに夜彦は、こっくり首を傾いで。
「……おや、今日は繋がないのですか?」
夜彦の伸ばした掌が、倫太郎の掌をきゅっと包み。
ん、と瞳を細めた倫太郎は、へへへ、と笑って鼻の下を擦った。
「……ま、どこ行っても繋いでたもんなぁ」
軽口のように紡がれる、倫太郎の言葉。
『いつも通り』、二人は手をつなぎ。
倫太郎は少し視線を反らし、ほうと息を吐いた。
提灯の明かりが紅がかっている事に、そして今が夜であることに感謝をする。
なんたって――その手を引かれる事が。
手を繋がないのか、なんて尋ねられる事が。
……こんな些細なことが、こんなにも嬉しいなんて。
「エンパイアは私の方が詳しいですからね」
今夜は私が、倫太郎殿が迷わぬように引きますよ、なんて。
手を引く夜彦の足取りは迷い無く。
「ん、頼りにしてます、なーんてな。……こういうのも新鮮で悪かねーなぁ」
気づかれているだろうか、いないだろうか。
あぁ、これも言い訳だなぁ。
できるだけ軽口の様に重ねる言葉は、照れ隠しが見え隠れ。
それでもこの握られた手は、おとなしく引かれておこう。
少し恥ずかしいけれど、――この嬉しい気持ちは本物なのだから。
からんころん。
二人はしっかりと、手を繋いだまま。
下駄の音は祭りの夜に、高らかに響く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オブシダン・ソード
👘
エチカ(f02721)と
浴衣の上にフード付きマント(怪しい)
戦争頑張ったからねぇ、僕も思い切り遊ばせてもらおう
エチカが食べ物中心で見るなら僕は…玩具類?
狐の面とかさすがにべったべただよねぇ
他にあるのは…笛とか独楽とか?
目移りしながらうろうろ
エチカが美味しそうなものを買っていたら僕も同じものを
お土産にするにも味見は必要でしょ、せっかくだし僕等も食べよう
はんぶんこ
輪投げはとりあえず荷物持ちして鼓舞
鳥笛か、いいねぇ
がんばれがんばれー
エチカの要請があれば僕も輪投げに参加
僕の分まで合わせて3セット揃えてあげるよまっかせて
あれぇ、全然取れない…も、もう一回!
それーっ
取れるまでやります
鴛海・エチカ
👘
オブシダン(f00250)と
さあさ、平和を取り戻した後のお祭りじゃ!
これを楽しまねばいつ楽しむのかというもの
一緒にいすゞの土産を見繕うのじゃ
チカは食べ物方面を見るかのう
林檎飴など定番か。いや団子も捨て難い
味見は最重要じゃからもぐもぐするのじゃ
おや、輪投げじゃ!
オブシダン、チカもあれがやりたい
上手く行けばあの可愛い花簪などが取れるやもしれん
それに鳥の水笛もあるぞ。ぴょろろと鳴るやつじゃ!
ううむ、俄然欲しくなってきたぞ
鳥笛をチカといすゞのでおそろいにするのじゃ
えいっ えいやー!
うう、輪を投げるのは難しいのう
こうなったら……ゆけ、オブシダン!
チカの分まで景品を手に入れるのじゃ
取れなくても泣かない
纏う雪白の衣の裏には、星河を宿し。ちらちらと瞬く星の連なる帯飾り。
甘くふかふかとした兵児帯は、夜明け色が重なり揺れる。
「さあさ、平和を取り戻した後のお祭りじゃ!」
これを楽しまねばいつ楽しむのかというもの! なんて。
ミルクを流し込んだような緩やかな糸髪を、薄桃色のリボンでざっくりと巻き纏めあげた鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)は魔法の杖のように、鮮やかな朱色のりんご飴を構えた。
「そうだねぇ。僕も頑張ったし、思い切り遊ばせてもらわなきゃね」
黒曜色に朱殷のストライプ描く浴衣の上に、フード付きマント。
ミステリアスと言うよりは、奇人、変人、怪しい人。
世界の加護がなければ、一発で町奉行に引っ立てられていてもおかしくない佇まい。
顔をフードで覆ったオブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)は、いつものゆるい笑みを浮かべて顎に指を寄せる。
「うむうむ、それに祭りに来れぬいすゞの土産も見繕うのじゃ」
りんご飴を齧りながら、エチカは頷き頷き。
「ふふふ。そう言いながら、君さっきからずっと食べてるよねぇ」
「味見は最重要じゃからのう!」
りんご飴をもうひとくち。
うむ、美味しい。
しかし祭りの土産の定番であるがゆえに、まだ選ぶ決定打に欠けていると言えようか。
「まあ、そうだね。美味しくないものをお土産にするわけにはいかないものねぇ、僕も食べよう」
「おお、ではやはり向こうの団子も、食べに行くのじゃ」
お団子は一本ずつ。あんこに、みたらし。
彼女が食べ物中心で土産を探すのならば玩具類でも探そうかと、オブシダンは回りをぐうるり見渡して。
立ち並ぶ古雑貨の屋台。
お土産に中古品というのは、少しだけ抵抗もある。というかお椀を貰っても喜ばないだろう。
笛に、独楽。
彼女は立派な笛を持っているし、独楽、独楽。ううん。
彼女が独楽を回す姿はなかなか想像がつかない。
お面屋さん。
手頃な所でいえば、百眼。
黒い狐面を手に取り、提灯の明かりに透かしたオブシダン。
「狐の面とかは、さすがにべったべただよねぇ……」
逆の手にはエチカにはんぶんこされた鯛焼きの頭。
鯛焼きの尾側を頬張っていたエチカが、ふと彼のフードを引いた。
「むむむ。オブシダン、輪投げじゃ、輪投げじゃぞ! チカもあれがやりたい!」
子ども達が取り囲む赤布の上には、立ち並んだ賞品達。
花簪に、達磨。
小さな狐のぬいぐるみに、鳥の形をした水笛。
一人の子どもがその笛を鳴らせば、鳥の声めいた音がひょろろと響く。
「へぇ、面白いね。確かにお土産に良いかもしれない」
「ううむ、俄然欲しくなってきたぞ。鳥笛をチカといすゞのでおそろいにするのじゃ」
そうと決まれば善は急げ。
エチカの荷物を預かり、オブシダンは応援係。
応援する事は得意なもので。
がんばれ、がんばれー。
「えいっ」
エチカの気合の一声。
ひょろろと賞品の群れの前へと落ちる輪。
「えいやーっ!」
力が弱すぎたかと、今度は思い切り振りかぶるエチカ。
ぱしんと音を立てて、賞品の並べられた段に当たった輪投げが目の前まで戻ってくる。
「う、うう……。思ったよりも……む、難しいのう……」
こうなれば、最終手段。
くるりと振り返ったエチカは、ぴしっと腕を広げて。
「ゆけ、オブシダン! チカの分まで景品を手に入れるのじゃ!」
「ふふふ、まっかせて。僕の分まで合わせて3セット揃えてあげるよ」
格好いいポーズで応じたオブシダンが輪を投げる。
ひょろろ。
「あれ」
ぱしん。
「……あれぇ?」
ころころ。
「……も、もう一回!」
「あいよっ」
店主の明るい声音に、どんどん溶けゆく小銭。
「負けるな、オブシダン! やればできる子じゃろう、がんばるのじゃー!」
がんばれ、がんばれー。
エチカの鼓舞技能はゼロだけれども。
あっ、花瓶がとれましたよ、良かったね。
――ややもすれば。
第六天魔王と戦った時以上に白熱しているかもしれない、輪投げとの戦い。
絶対に負けられない戦いが、そこにはあるそうで。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
高鳴・不比等
神羽・リオン(f02043)と参加
お嬢呼び
『お嬢に付いてくのがオレの役目なんでねぇ。それに、こんなべっぴんさんと居れるんだってんなら、仕事ほっぽりだしてでも来ますよ。』
彼女の隣に座り、空を眺める
『仕事?さぁて、ねぇ。少なくとも心地は良いですよ。』
いや、心地良いなんてもんじゃない
もうどっぷりと浸かっちまってる
『ん?あの時?』
何の…あぁ、そういえばこの前口を滑らせたっけ
『アンタを護るのがオレの役目だ。つまりその身体も、肉も、血の一滴までオレのモノって事。違うかい?』
彼女に…その身体に、体温に触れる
所有物だと主張するように
『なんてな。冗談ですよ。』
赤く染まった手で、その純白を穢しても許されるだろうか
神羽・リオン
高鳴・不比等(f02226)と参加
呼称:高鳴さん
「付いて来てくれて、ありがとう」
神社の階段に座り花火を眺め
彼の言葉には照れて
女子会で2人の関係について聞かれた事がふと浮かんだ
『お仕事だから彼は私の側にいるの』そう答えたけれど――
「高鳴さんは、今のお仕事……好き?」
本当に聞きたいことはそれじゃないのに、そうとしか聞けない自分に歯痒くなる
戦闘中に彼が口にした言葉を思い出して、その意味を尋ねた
「あの時は聞けなかったけれど、あれって……」
触れられると頬は紅く染まり、放心状態
冗談と言われると強がって
「し、知っているわよ……」
彼にとって私は単なる護衛対象
分かっているのに──
今日は……私らしくないわね
ルベル・ノウフィル
ザクロ殿(f03773)と
揃いのお面をつけ、浴衣を着て屋台巡り
ザクロ殿、りんご飴がお好きでしたね
僕は虹渦のペロキャンで対抗です
タコヤキにフランクフルトも忘れずに
大切なことですぞ
もっと食べるのです、はい、あーん
金魚がすいすい泳ぐ様子には尻尾をふりふり見惚れましょう
この子達、幸せなのでしょうか
ふと思い、すぐに忘れる
楽しいお祭りの夜に無粋は言いますまい
無限に成長?生命って不思議でございますね
花火を足すのです?楽しいですね
僕は火精霊を操れるようになりましたから、躍らせてみましょうか、楽しく愛らしく空を彩りなさい
芸術って永遠って言ったり爆発って言ったり変なのですね
世の中、変なことがいっぱいでございます
結晶・ザクロ
👘
⁼同行⁼
ルベルさん(f05873)と
⁼行動⁼
・白ザクロ
お誘いのまま揃いのお面をつけ、浴衣で散策のほどを
はい、りんご飴、好きなんです
って、えっ、ルベルさん、確かにお祭りの定番で五穀豊穣のお祭りだそうですけど、食べ物ばっかり
はひっ、えと、あ、あーんっ
(差し出された食べ物を思わずはむりと)
(好奇心に任せて動くルベルに振り回され屋台を虱潰しに)
・赤ザクロ
アハハ、動き回ってるうちに首飾り外れちゃった
にしても、たくさん取ったね
知ってる? 金魚って無限に成長するんだってね
それが幸せかどうかわかんないけど
うん、変な話はここまでにして
花火、折角だから足して遊ぼっか?
(UCの炎を、ルベルの火の精霊と共に空へ)
「ザクロ殿は、りんご飴がお好きですねー」
藍頭に斜めに掛かったお面、白地に赤い実の散る浴衣を葡萄色の帯で引き締めて。
虹渦のペロペロキャンディを片手に、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は祭り囃子に合わせて白銀の狼尾をゆうらゆら。
「はい、好きなんです」
白地に空色の麻の葉模様の浴衣に、南天が染め付けられた藍の帯。
ルベルとは逆方向に斜めに掛けられたお面は、彼とお揃いだ。
彼の言う通り紅くてまあるい鮮やかなりんご飴を手にした結晶・ザクロ(f03773)は、こっくりと頷き。
「ふふん、しかしタコヤキとフランクフルトも忘れてはいけません、これは大切なことですぞ」
逆手に構えていたフランクフルトをザクロへと差し出したルベルはあの伝説の、人に食事を与える時の構えだ。
祭りでこ焼きとフランクフルトを口にしない事は神罰に相当するので、皆さんには気をつけて欲しいって顔。
「えっ、あっ」
思わずフランクフルトを齧るザクロ。
ジューシーで美味しい。
「せいっ」
続いてルベルが下げていた袋から取り出したのは、たこ焼きの収められた舟皿だ。
器用に楊枝で差し出されると、思わずザクロはそれもぱくり。
多少冷えているとは言え、熱い。
はふ、ほふ。
「る、るべ、る、ひゃっ、ふっ」
熱くて言葉を紡ぐ事の出来なかったザクロは、ルベルに手を引かれながら暫しの咀嚼タイム。
はふはふ、ほふほふ。
ごくん。
「る、ルベルさん。た、確かにお祭りの定番で五穀豊穣のお祭りだそうですけど、……そんなに食べ物ばかり食べ」
ザクロの咀嚼タイムに新しいおやつを手に入れたルベルはそれも差し出して。
柔らかく柔らかく笑んで見せた。
「チョコバナナも美味しそうですぞ。さあさ、もっと食べるのです。はい、あーん」
「はひっ、え、えと、……あーん」
勢いに負けて、ルベルより差し出されたチョコバナナを齧るザクロ。
あまくておいしい。
「さあさあ、ザクロ殿! どんどん行きますぞ!」
「ひゃ、は、はあぁい」
ルベルに引かれて、光と笑い耐えぬ華やかな夜通りを二人は歩む。
いつの間にか空を彩りだした花火は夢のように儚く、一瞬の大輪を咲かせては夜空の中に消えてゆく。
星河を宿した浴衣に、大きな狐尾を巻きつけて。
「今日は付いてきてくれて、ありがとう」
対オブリビオン兵器開発会社の社長令嬢。
神社の階段に腰掛けた神羽・リオン(OLIM・f02043)は、ミルクのように流れる白いサイドテールをかきあげて言葉を紡ぎ。
「お嬢に付いてくのがオレの役目なんでねぇ」
紺地に更に濃紺の縞模様、古典柄の衣に生成り色の帯を重ねた浴衣。
リオンの横に腰掛ける高鳴・不比等(鬼人剣・f02226)は、令嬢のボディーガード。
「それに、こんなべっぴんさんと居れるんだってんなら、仕事ほっぽりだしてでも来ますよ」
何とも調子の良い言葉を重ねた彼は、カンカン帽を抑えて悪戯げに笑みを浮かべる。
そんな言葉でも、リオンはぱっと頬を朱に染めてしまうもので。
一瞬で脳裏に過るのは、六月のある日の事。
『――お付き合いするとなれば単なる護衛とは言えないでしょう?』
『――別にそういう事は……何も、ないのよ。高鳴さんは私の護衛がお仕事だから』
ああどうして、今こんな事を思い出してしまうのだろうか。
思わず掌で両頬を包んだリオンは、細く細く息を吐いて。
『……お仕事だから彼は私の側にいるの。きっとそれ以上でもそれ以下でも――』
だから、だから。
そういう気持ちで見てはいけないとは、知っているのに。
「……ねえ、高鳴さん。高鳴さんは、今のお仕事……好き?」
本当に聞きたい事はこんな事では無い事は、リオンが一番理解している。
しかし、これ以上踏み込めない。
「仕事? ――さぁて、ねぇ。少なくとも心地は良いですよ」
いつもの調子で応える彼。
少なくとも嫌がられては居ない事に、リオンは胸を撫で下ろして。
「それは良かったわ」
言葉を選ぶように、言葉を探すように。
それでも、……本当に聞きたい事は。
「……そういえば、あの時は聞けなかったけれど……」
「ん? あの時?」
不比等の問いに、リオンは自分の言葉に驚いたように口を押さえて。
しかしもう零してしまった言葉だ、腹を括って言葉を次ぐ。
「ほら、あの水晶屍人の軍勢を相手取った時よ」
「……あぁ」
得心した様子で頷いた不比等は、く、と喉を鳴らして。
――リオンの頬へと手を伸ばす。
「――アンタを護るのがオレの役目だ」
やわい陶器のようなすべやかな頬を滑り、顎下にく、と指を這わせて彼女の顎を擡げさせる。
自然。
不比等の顔へと向けられるのは、汚れを知らぬ令嬢のあどけない深紅の視線だ。
「つまり。その身体も、肉も、血の一滴までオレのモノって事。……違うかい?」
眇めた不比等の瞳は、深い深い血の色に揺れ。
その言葉は、その言葉は。
「な……ッ!」
とく、と跳ねるリオンの心臓。
それはまるで、リオンが不比等の所有物である宣言であるかのようで。
「……なんてな、冗談ですよ」
「し、……知っているわよ」
すっと腕を引いた不比等に、リオンは小さく首を振って言葉を返す。
そう、だって。
彼にとって、リオンは単なる護衛対象だ。
分かっている、分かっているのに。
今日は……私らしくないわ。
そこに。
ひゅうるり。――空に上る口笛じみた音に続いて、ぱんと音を立てる空。
咲いた華はあられのように残滓を煌めかせ、宙に溶け消え。
「全く、――綺麗なもんですねぇ」
空を見上げて呟いた不比等に、リオンは同意を重ねる。
「……そうね」
その彼女の肌を滑り、さらりと流れる白い白い美しい髪。
気づけば目で追ってしまっている事にふと気づいた不比等は、自嘲するように。
いつもの軽薄な笑みに唇を引き絞る。
『心地良い』なんてもんではない、こんなにどっぷりと浸かってしまっている。
それなのに。
全く、綺麗で困ってしまう。
紅く染まった手で、この純白を穢しても許される訳も無いだろう。
――その許しが、何よりも欲しいだなんて。
祭の夜を駆け回るうちに、気づけば解けてしまった首飾り。
ザクロの白髪は、紅に燃えて。
「アハハ、すごいね。たくさん取ったんだ」
「おお、ザクロ殿。そうですぞ、たっぷり取りました」
ルベルの手の内で、すいすいとびいどろの金魚玉の中を泳ぐ金魚。
――この子達、幸せなのでしょうか?
ふ、と過ぎる疑問。
しかしいつもの笑顔を浮かべたルベルは、すぐに忘れる事にする。忘れる事にした。
――楽しいお祭りの夜に無粋は言いますまい、と。
「ね、知ってる? 金魚って無限に成長するんだってね」
「ふーむ、無限に成長? ほっほうほう。生命って不思議でございますね!」
狼の尾をゆらゆら揺らして、笑うルベル。
重ねて笑うザクロも楽しげに。
――それで金魚が幸せかだなんて、知りはしないけれど。
「それはそうと――、ね。花火、折角だから足して遊ぼっか?」
「それは楽しいですね!」
空を見上げて、ザクロとルベルは力を籠める。
ユーベルコードの、火の精霊の炎がぱっと空を彩って。
予定外の大輪も空を見上げる祭り客達には、それが闖入者だと分かりやしない。
「――芸術って、永遠って言ったり爆発って言ったり変なのですねぇ」
「そうさ、世の中は変なんだよ」
「うむ、うむ。世の中、変なことがいっぱいでございます」
ならば、さあ、もう一輪。
舞えや、炎。
踊れや、精霊。
空に華を咲かせてみせようか!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
望月・舞夜
クラウ・ソラス(f18226)と
前、約束したんだよね。一緒に戦いに出て、剣としての彼を使って、相性を確かめる。そのために冒険に誘うって。
と、ゆーわけで――
(髪をばっちりまとめた浴衣姿で現れる)
ふっふふー、似合うー?
え? あはは、違う違う、だいじょーぶ!
いやいや起こるって何か。ボクのヒーローとしての勘がそー言ってる!(アメリカンドッグを咥えつつ)
お祭り周りつつ情報収集ね、聞き込み
……あ、見て見てクラウ! 射的だって、勝負しよ!
え、逃げるの? そっかぁ、剣のひとに銃は難しいかぁ~~~
※
一見何も考えずにはしゃぎ気味に遊び回る
ヒーローの勘は本当。聞き込みもぼちぼち
アレンジお任せ
クラウ・ソラス
舞夜(f16466)と
私を呼ぶということはつまり、ここが私を振るうに相応しい戦いの場というわけだ
というわけだ……というわけだ。それにしては随分動きにくそうな戦装束だね
いや世間知らずの私でもわかるよ。ここは祭りの会場というやつ
……なに、私奉納されたりするのかい? そういうわけではない? それはよかった
いやいやいやそれにしたって私何か騙されていないかい?
まあ私は剣である以上(今日の)担い手に付き従うものだからね
でもその手はちゃんと拭いてね。油がついた手で握られたくないからね、私は!
うん? 射的? 聞き込みはどこに? 私はやらないので楽しんでくると――
は? 私は聖剣だが? 射撃だって余裕でできるが?
「私を呼ぶということは――つまり、ここが私を振るうに相応しい戦いの場というわけだ」
宇宙(そら)を見上げ、朗々と宣言するクラウ・ソラス(ナイトベイン・f18226)は格好いいポーズ。
「そうだね、前約束したもんね」
「……それにしては随分動きにくそうな戦装束だね?」
こっくり頷いた現役JK、望月・舞夜(魔導英雄ソウルウィッチ・f16466)は、黒壇に艶やかに映える華散る浴衣姿。
纏めた髪も牡丹に彩られて綺麗なものだ。
たしかに剣――クラウを振るうには向いていない格好であると言えよう。
クラウ・ソラスは聖剣のヤドリガミである。
そう。
世界にたった一振り。
勇者とともに悪神を斬る唯一無二の聖剣だ。
それでも舞夜は約束をしたのだ。
――彼と戦場に出向いて、彼を振るって、相性を確かめると。
だからこそ今日は誘われた、……筈なのだが。
「ふっふふー、似合うー?」
「いや、何。世間知らずの私でもわかるよ。ここは祭りの会場というやつだろう?」
舞夜の問いに答える前に。
クラウはこめかみを抑えて、腕を差し出したちょっとタンマのポーズ。
「もしかして今日、私は奉納されたりするのかい?」
「え? あはは、違う違う、だいじょーぶ!」
「はあ、そういう訳ではない?」
「うん、違う違う」
「それは良かった」
同じポーズで固まったままのクラウに、手をひらひら振った舞夜。
「……」
「……」
一瞬の気まずい空気の後に、クラウはばっと顔を上げる。
「いやいやいや、それにしたって私何か騙されていないかい?」
「いやいや、起こるって何か。大丈夫大丈夫」
顔を上げたクラウに背を向けたまま、アメリカンドッグを購入した舞夜はサムズアップ。
「ボクのヒーローとしての勘がそー言ってるから、そこは安心して! さあさ、聞き込み聞き込み~」
「……まあ私は剣である以上、担い手に付き従うものだからね。文句は言わないさ」
ぱくぱくとアメリカンドッグを齧る舞夜に、うんうんと頷いたクラウ。
「あ。でもちゃんとその手は拭いてね。できればちゃんと洗って欲しい。油がついた手で握られたくないからね、私は!」
文句の多い聖剣である。
そんな彼の話を、舞夜は聞いているのかいないのか。
「あっ! 見てみてクラウ! 射的だって!」
「……うん?」
何を言い出すのだこのJK。目を丸くしたクラウは、首を傾いで。
「勝負しよ!」
「え? 今聞きこみするって言った所でなかったかい? 舌の根も乾かないうちに何を言い出すのだい、全く。私は射的なんてやらな」
「え? 逃げるの?」
舞夜に食い気味で重ねられた言葉に、クラウは瞳をパチクリ。
「は?」
食べ終えたアメリカンドッグの串をぷらぷらと揺らす舞夜は、驚くほどにいやらしい瞳をして笑う。
「あ~~~、そっか、そっかぁ。剣のひとに銃は難しいかぁ~~~、ごめんねえ、無理な事いっちゃって~~~」
「は? 私は聖剣だが? 射撃だって余裕でできるが?????」
「じゃあ勝負だね!」
「望む所だが???」
見ての通り、聖剣はチョロい。
舞夜はくすくすと笑って、クラウの腕を引く。
「アッ! 手は拭いたのかい!?」
「ほら、急ぐよー」
事実、舞夜の勘は間違えては居ない。
この後彼らが戦うことになるのは、事実である。
しかしそれまで祭りを楽しむ事は、とても大切な事。
祭りを楽しむ事こそ事件解決への第一歩だと、舞夜のヒーローの勘は告げていた。
さあ、勝負を始めようか。
まあ私は聖剣だからね、いやあ、斬る勝負ならなぁ、なんて。後に聞こえてきたとか、こなかったとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
へぇ、いちご飴にぶどう飴……果物をこういう風に食べ歩けるんだ
あの水風船可愛いなー
なるほど、釣らないといけないんだね
色んな屋台があってすごいね!
ヨハンも楽しんでくれてる?
屋台に目移りしているのも事実だけれど
彼だけを見ていると顔が真っ赤になってしまいそうで
……浴衣姿が、あまりにも眩しい
手を出されて視線が交われば
恥じらうように頷いてからその手を取って
えっと……向こうに戻ってもいいかな
らくがきせんべいでね、君の絵を描きたいなって
この距離感が嬉しくて心まであたたかい
もし人が疎らになっても、こうしててくれる?
そう返したらどんな顔が見られるかな
後に描く彼は、その時のやわらかな表情
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
人混みはあまり好きではない……んですけど
楽しむ姿が見れるのなら、まぁいいか
一応俺も楽しんでますよ。一応ね
隣に彼女がいれば楽しめもするだろう
夜と提灯の明かりの中、普段とは違う装いはいつも以上に目が惹かれる
行きたいところはあなたの行きたいところかな
連れていってくださいよ
手を差し出してみたらどんな顔をするだろうか
人混みにはぐれぬようにといつもより近い距離
偶にはこういうのも悪くない
……なんて言いつつ、今日はあなたのお気に召すままに
問い掛けには一度瞬いて、それからふっと笑みを零す
答えなんて決まっている
当たり前でしょう。それくらい知っていてくださいよ
きっとその後の彼女は笑顔だ
いちごにぶどう、りんごにみかん。
串に刺され。てかてかと飴を纏った果物達は、提灯の明かりに照り映えて。
「ねぇ、ヨハン。見て、みて! 果物をああいう風に食べ歩けるなんて、凄いね!」
朱の梨地織りに、白い華が舞う浴衣。
生成りの帯は、紅白を捩った帯飾りで綾取って。
果物飴の屋台を指差す、オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)。
「そうですね」
横を歩む藍に鈍色の縦縞模様。
古典模様の浴衣を身にまとったヨハン・グレイン(闇揺・f05367)は、相槌を一つ。
「わ、あの水風船も可愛いなあ、どこで売ってるんだろう?」
「先程、水に浮かせたあの風船を沢山みました。どうやら釣り上げなければ手に入れられないようです」
「なるほどー、釣らないといけないんだね……」
欲しいけれど、釣れるかなあ、なんて。
むむむ、と眉を寄せていたオルハの視線は、次の瞬間にはすれ違う祭客の持っていた鳥の形をした笛に奪われて。
「ね、本当に色んな屋台があってすごいね!」
「そうですね、色々ありますね」
笑ってぐうるり周りを見渡したオルハは、忙しそうに視線を移す。
……だって。
浴衣から覗く手首も、その白い首筋も。
じっと彼だけを見ていると、今にも顔が熱くなってしまいそうで。
「ヨハンもちゃんと、楽しんでくれてる?」
いつもの調子で相槌重ねるヨハンに、考えを隠す様に左右に首を振ったオルハは、ぱっと笑んで問い。
「……そうですね」
正直な所。
ヨハンはこの様にガチャガチャした場所も、人混みも、余り得意では無い。
――しかし。
祭りに表情をくるくると変えるオルハの姿を見る事は、悪い気分では無い。
だからこそ、――この言葉は本心だ。
隣に彼女がいるのならば、どのような場所も楽しめもするであろうと。
「ふふっ、なら良かった」
その返答は、オルハにとってとても嬉しい言葉。
こんころり。
下駄を鳴らして歩むオルハは、普段よりもずっと艶やかで。
ヨハンにしたって、――いつも以上に目が惹かれてしまっているのだけれど。
「ヨハン、次は何処に行きたい?」
そんな様子をおくびにも出さず。
オルハの次なる問いに、ヨハンは柔く肩を擡げた。
「行きたいところは、あなたの行きたいところかな」
「ふぇっ!?」
思いもよらぬその言葉。
思わず振り返ってヨハンの顔を見あげたオルハに、ヨハンは腕を伸ばして。
「連れていってくださいよ」
「え、……っと。……、うん」
眼鏡の奥の藍色に、射抜かれてしまったのであろう。
大きく跳ねた心臓に、落ち着くように心の中で言い含めて。
ゆっくりと頷いたオルハは壊れ物を扱うように、そっと黒い手袋に包まれた手を取った。
もう。
――浴衣姿がこんなにも眩しいのに、そんな事を言われてしまったら。
「じゃあ……、向こうに戻ってもいいかな? ――らくがきせんべいでね、君の絵を描きたいなって」
「良いですよ、行きましょうか」
軽い承諾。
人混みの中を歩む二人は、いつもよりもずっと近い距離。
はぐれぬようにと、彼は言うけれど。
この距離感がオルハは嬉しくて、心まで暖かくなるようで。
だからこそオルハは、ほつりと言葉を零した。
「もし人が疎らになっても、こうしててくれる?」
……答えなんて決まっていると言うのに。
ヨハンは一度だけ瞬きを重ね、息を零すように笑む。
「当たり前でしょう。それくらい知っていてくださいよ」
「……そっかあ」
抑えきれぬ嬉しさに、揺れるような笑みを顔いっぱいに広げたオルハ。
ヨハンは肩を竦めて、また笑う。
偶にはこういうのも悪くない。――本日は、あなたのお気に召すまま。
オルハがせんべいに描くヨハンの顔は、きっと柔らかく笑んでいる事だろうから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
グナイゼナウ様/f10678と
屋台荒しがしやすそうな浴衣ですね?
ふふ、冗談です。よくお似合いですよ。
浴衣にして少し派手な模様ですが…
戦勝祝いも兼ねていますから。
お仕事のことはあまり考えず、お祭りを楽しみましょう?
食べきれる範囲で屋台を満喫です。
かき氷、大判焼き、ソーセージにりんご飴。
お祭りの雰囲気が何よりのスパイスになりますね!
ええと、わたくしの荷物を持ったらそれ以上お買い物が出来なくなってしまいますよ?
お祭りは楽しんでなんぼのものてすからね。
さすがに猟兵だというのは、一般人には内緒ですけれど。
…けど、この人たちを、世界を。
守ることができて本当によかった。
……ええ、花火、綺麗ですね。
ヨシュカ・グナイゼナウ
穂結先輩(f15297)と
新しく仕立てた浴衣を纏い、先輩も白地に大柄な花模様が華やかな浴衣が良く似合って
これがヤマトナデシコ。とても、きれいです!(無邪気)
と言うわけで今日は屋台を蹂躙しに参りました(誇大表現)
こちらの世界は知らない物が沢山で。あんず飴、瓶ラムネ、たこ焼き、はし巻きに鶏卵焼et cetera
購入したものを両手に下げて。捻り芋…?トルネードポテトまで!エンパイアですよね?ここ。下さい!
お荷物お持ちしましょうか?(目指す紳士ムーブ)ええと、それはそうなのですけれど…?(経験値不足)
地元の人たちとお話もしたりして
皆が皆が幸せそうで。そういうのって素敵だなって思うのです
あ、花火!
「まぁ、グナイゼナウ様。随分と屋台荒しがしやすそうな浴衣ですね?」
生成りに空と榛摺の縦縞模様、大きく合いた胸元もそのままに。襷掛けをキメたヨシュカ・グナイゼナウ(一つ星・f10678)の姿に、穂結・神楽耶(舞貴刃・f15297)は優雅に花笑んで。
「……ふふ、冗談です。よくお似合いですよ」
「先輩も白地に大柄な花模様が華やかな浴衣が良く似合って……、これがヤマトナデシコ……!」
すごい、すごいと金の瞳をぴかぴかと瞬かせて無邪気にはしゃぐヨシュカ。
「ありがとうございます、ふふ。浴衣にして少し派手な模様ですが……戦勝祝いも兼ねていますから」
浴衣の雪白に舞う、大小の花の采色は咲き誇り。
口元を覆って笑う神楽耶の艶髪を纏める向日葵の簪も、彩めいて。
「兎も角。お仕事のことはあまり考えず、お祭りを楽しみましょうか」
「ええ、それは勿論!」
屋台に提灯咲く道を、歩みだした神楽耶を追って。ヨシュカは草履をぱたぱた、駆け出した。
――それはおそらく、蹂躙であったのだろう。
「これ下さい!」
かき氷に、大判焼き。
おおきなおおきなソーセージに、りんご飴。
ここはサムライエンパイアなので、料理に関してUDCアースの江戸時代の時代考証は必要はないのです。
びろびろとドリルのように一本につながった、揚げ芋に、箸巻き、卵焼き。
あんず飴に、瓶ラムネ!
たこやき、水菓子、ついでに鳥の形の水笛だってぴーひょろろ。
神楽耶とヨシュカは並んで、沢山増えた荷物と美味しい匂いを連れ歩く。
――ちょっと蹂躙は言いすぎたかもしれません。
兎も角、何より。
祭りの雰囲気と、共に歩き交わすお喋りは、何よりご飯が美味しくなるスパイスである事は確かで。
ひょろろろろ。
鳥の鳴き声に似た音を漏らす笛を口から離したヨシュカは、思い出したように神楽耶へと優雅に腕を伸ばし。
「先輩、お荷物お持ちしましょうか?」
目指すは紳士、なかなか格好良く決まったのではないだろうか。
ヨシュカはちらりと神楽耶を見やり。
「……ええと。わたくしの荷物を持ちますとグナイゼナウ様はそれ以上、お買い物が出来なくなってしまいますよ?」
只でさえ両手一杯のお荷物。
ぱちぱち瞬き。
すこうしだけ思案顔を浮かべたヨシュカは、格好良いポーズのままフリーズして。
「ええと、それは、……そうなのですけれど……?」
どうにも経験値不足の人形は、首を傾いで眉を寄せ。
「お祭りは楽しんでなんぼのものですから、わたくしの荷物は大丈夫ですよ」
「?? そう、ですか?」
「ええ、そうですよ」
「確かに……そうですね!」
納得してしまったヨシュカは紳士ムーブを失敗している事に気づいているのか居ないのか。
くすくす笑った神楽耶は、夜に灯された提灯の道の先を見やる。
祭りのざわめきに満ちているのは人々の喜び、笑い声。
――この人達を、世界を、護ることが出来て本当に良かった、と。
神楽耶はほうと、吐息を零して。
「あ。先輩、花火です!」
そこに響いたヨシュカの声、指差す先にはひょうろりと伸びる白煙。
空に上る頼りなさげな音に続いて、大きな破裂音。
夜空に大輪が咲き映える。
「とっても綺麗ですね!」
「……ええ、本当に」
楽しげな喧騒の中。
足を止めて空に目を奪われる人々の姿を振り返ったヨシュカは、瞬きを一つ。
なんだか皆が皆、幸せそうで、楽しそうで。
――こういうのって素敵だなあ、なんて。ヨシュカは思うのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミルラ・フラン
【酔人】👘
戦争勝利何より何より!
平和になればあたしも金儲けがやりやすいしね
さって、あたしらはお楽しみの時間だよ
ウナギの骨の素揚げ、肉の串焼き、鮎の塩焼き、それとこっちで入手した果実酒!早生の梨の果汁がたっぷり入ってるのさ
源次、クロウと共に神社の階段へ腰を下ろすよ
(手ぬぐいを尻の下に敷いて)
ふー、大分涼しくなったねぇ。夜風が気持ちいいや
「ああ、有難く頂くよ」(一献貰い)
(源次の献杯と共に、宗旨こそは違うが指で十字を切り)
ははは、飲み比べかい?
酒は命の水、即ち血にも等しい。血吸いの混じりもんのあたしは負ける気がしないねェ
そうだねぇ、あたし達は「ヒト」ではないけれど…でも、ハートは人間なのさ
叢雲・源次
【酔人】
終戦で市井はお祭りムードといった所か…いささか浮かれすぎているが(入手した食糧とお酒に眼を向け)…俺達とて例外ではないか
入手品:江戸前寿司、うなぎの蒲焼、地酒「男宿 純米大吟醸」
神社の階段に腰を下ろして入手品を広げる
「行儀がいいとは言えんが今はそれは無粋か。ミルラ、クロウ。まずは一献だ」
それぞれのお碗、自分のにも酒を注ぎ
「戦争の勝利に乾杯を。そして、散っていった者と死力を尽くし合った過去の武将達に献杯を」
杯を掲げ
旨いな…人在らざる身になりながら調整次第で酔うことが出来るのは幸いか…そういえばお前達も似たようなものか…この状況、酔狂だな
良いじゃないかクロウ…俺もそういう気分になる時はある
杜鬼・クロウ
【酔人】
浴衣イラ有
戦争は無事終結
残党がいるとはいえ
万々歳だなァ
今ぐれェ堅苦しいのは無しにしようや源次(肩組み
互いの健闘を讃えて祝杯と洒落こもうぜ!
屋台で唐揚げ、お好み焼き、金魚模様の錦玉羹購入
自前の酒持参(幻の地酒。辛口さっぱり
神社の石階段がひんやり冷たい
お猪口に一献貰い乾杯
ま、無礼講だ
酒も仰山揃ってるしハチャメチャに呑み比べしようや(提案
酒は弱くも強くもねェケド
調整って源次、お前も酔いてェのかよ(大笑い
ミルラ…ホントに酒強いのな
クソ…呑み過ぎた(ぐてー
花火見つつダメリガミが酒を飲み食し語らう
そういやココに”人”はいねェのか
だが人の心は集ってると、俺は思う
来年もお前らと…(源次へ凭れ介抱任せ
祭りの喧騒より、少しだけ外れた神社の階段。
うなぎの芳ばしい香りに、肉の匂い。
「いやー、戦争勝利何より何より!」
果実酒の瓶を手に。
白地にモダンな黒チェックの浴衣を、襟を抜いた粋筋風に着付けて。
コルセットめいた帯に飾られた飾りと、同じ色の花簪で髪を纏めたミルラ・フラン(薔薇と刃・f01082)は笑み栄え。
「平和になればあたしも金儲けがやりやすいしねぇ」
「脅威が失われたとは言え、市井のこのムードは、いささか浮かれすぎているようにも思えるが……」
少々苦言を呈した叢雲・源次(蒼炎電刃・f14403)も、歯車模様の濃藍浴衣に身を包み。
「いーやいや、残党がいるとはいえ戦争は無事集結。万々歳じゃねェか。」
今ぐれェ堅苦しいのは無しにしようや源次、なんて源次の肩に腕を回して。
そのまま背中をばんばん叩いたのは、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)の姿だ。
彼も彼とて菖蒲柄の浴衣に下駄をつっかけ。
エンパイア流のぱーてぃーぴーぽーとしての正しい姿。
「さあさあ、互いの健闘を讃えて祝杯と洒落こもうぜ!」
「……そうだな、俺達とて例外ではないか」
肩を竦めた源次は、クロウに肩を組まれたまま一緒に階段へと腰を下ろす。
そのまま階段に座るなんて――。
「行儀がいいとは言えんが今はそれは無粋か。ミルラ、クロウ。まずは一献だ」
「ああ、有難く頂くよ」「そう来なくっちゃ!」
そうして源次が擡げた地酒に、ミルラとクロウは猪口を掲げて。
それはさらりと透明度の高い、果実のように華やかに鼻に抜ける香り。
「――戦争の勝利に乾杯を。そして、散っていった者と死力を尽くし合った過去の武将達に献杯を」
「ハ、献杯ってな」
源次の音頭に合わせてクロウは猪口を擡げ。ミルラは指で十字を切る。
それは宗旨こそは違えど、祈る事は同じ事で。
猪口へと注がれた酒は、純米大吟醸・男宿。
雑味の少ない芳醇な味わいは、驚くほどサラリと喉を通り抜ける。
「……旨いな」
ほつりと零す源次に。
「おやまあ、飲みやすいこと。しかし――大分涼しくなったからねぇ、夜風が気持ちいいや」
猪口を開けてしまったミルラは、纏め髪より漏れ流れる朱色の髪をかきあげて。
手ぬぐいを引いて階段に腰掛けると、初秋の風に瞳を閉じる。
しかし、鼻孔をくすぐるのは酒の香りだけでは無い。
江戸前寿司に、うなぎの蒲焼の芳ばしい香り。
骨の素揚げに、肉の串焼き。鮎の塩焼きに唐揚げ、お好み焼き。金魚模様の錦玉羹まで。
小さな宴を行うには、十分すぎる程の御馳走達。
彼らが屋台で仕入れた並べられた戦利品も、目にも香りも実に華やかだ。
「おっと、今日は無礼講だろ? 酒も仰山揃ってる事だ、ハチャメチャに呑み比べしようや」
別に酒は、弱くも強くもねェケド、どうよ、なんて。
クロウは持参した、幻と謳われる辛口地酒を掲げて。
「ははは、飲み比べかい?」
先程酒屋で勧められて購入した、早生の梨の果汁がたっぷり入った果実酒を掲げたミルラが、華やかに笑う。
「酒は命の水、即ち血にも等しい。――血吸いの混じりもんのあたしは、負ける気がしないねェ」
「……承知した。人在らざる身になりながらも、調整次第で酔うことが出来るのは幸いだな」
杯をゆっくりと傾ける源次は、肩を竦めて。
「お? 何だ何だ、調整って源次お前も酔いてェのかよ」
「良いじゃないかクロウ。……俺にだってそういう気分になる時はある」
サイボーグである彼が酔おうと提案する事自体がクロウのツボに入ったらしく、彼は楽しげに大笑い。
「ああ。……そういえばお前達も似たようなものか」
なんと文字通り、酔狂な状況であろうか。
そして始まる呑み比べ。――ヤドリガミと、サイボーグと、ダンピールが呑み比べれば。
語り、食し、呑み。
空に花火が咲く頃にはグッデグデになったクロウと、真顔で杯を傾ける源次とミルラの姿。
「……ミルラ、ホンッッットに、酒強いのなァ……」
「まあね、そういうクロウは水でも飲むかい?」
「ンーや、まァだ大丈夫だぜ」
からからと笑うミルラに、ダメリガミになりつつあるクロウ。
だんだん呂律も回らなくなって着ているようだけれど、自己申告では未だ大丈夫だそうだ。
クロウは階段に仰向けた体勢のまま、唐揚げを一つ齧り。
よいしょと身体を起こして、あーダメ。やっぱり起こせない。
そのままくてりと、源次に凭れ掛かり。
「――そういやココに『人』はいねェのなァ」
「ん?」
源次は小さく頷き、ミルラが相槌一つ。
「だが人の心は集ってると、俺は思う……」
酔いに揺れるクロウの意識は、ふわふわと柔らかい眠気に誘われ始める。
彼の蕩けた言葉に、くつくつと喉を鳴らしたミルラは真っ赤な瞳を細めて。
「……そうだねぇ、あたし達は「ヒト」ではないけれど、……でも、ハートは人間なのさ」
「そうらぁ……、俺ァ、来年もお前らと……」
クロウが紡ぐ言葉は、そのまま寝息に飲み込まれ。
「……やれやれ」「……ははっ」
凭れ掛かられたままクロウに眠られてしまった源次は肩を竦めて、杯に残った果実酒をもう一口。
再び空を彩った花火を音に聞きながら、ミルラは笑った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月居・蒼汰
ラナさん(f06644)と浴衣で
…わあ、凄い賑やかですね
ラナさん、逸れないように気をつけて下さいね
焼き魚や焼き鳥の匂いに誘われつつ、お酒も少し
この賑やかな雰囲気だけで酔ってしまいそうだけど
ラナさんも何か気になるの、ありますか?
彼女が見たことない物も分かる範囲で教えつつ
甘い物なら綿飴とかどうでしょう?はい、俺もいただきます
なんて色々食べ歩きながら
いつもと違う衣装で過ごすのは新鮮で、少しどきどきするような
祭りの喧騒が遠く感じられるのは気のせい、かな?
…なんて思っていた所に響いた花火の音に我に返る
…綺麗ですね、花火
折角だから、もう少し近くまで見に行ってみませんか?
俺も一緒に見られて嬉しいですと笑って
ラナ・スピラエア
蒼汰さん(f16730)と
本当、賑やかですね
初めての浴衣で歩き難いので、はぐれないようにしないと
屋台って色々あるんですね
見たこと無い物ばかりで何があるのか…
蒼汰さんは何か気になる物はありますか?
お酒を飲む姿を、少し羨ましく思いつつ
わたあめ?
あ、あのふわふわの雲みたいなのですか?
どんな感じなのか気になります!
蒼汰さんも一緒にいかがですか?
初めての衣装に、初めてのお祭り
慣れない土地だけれど、気付けばすっかり満喫していて
わあ、花火…!
響く音に少し驚いた後、空を見上げて
はい、もっと綺麗に見える所がありそうですね
ふふ、以前見た時に蒼汰さんとも見たいと思っていたので
今日こうして、一緒に見れて嬉しいです!
参道にはいかにも美味しそうな匂いが溢れ、人々の流れは向こうに行ったり、こっちに来たり。
「……わあ、凄い賑やかですね」
濃藍に黒の縦縞。古典柄の浴衣に身を包んだ月居・蒼汰(泡沫メランコリー・f16730)は、少しだけ驚いた様に声を漏らして、横に立つ者へと視線を向け。
「ラナさん。人が多いですし、逸れないように気をつけて下さいね」
「本当、賑やかですね。……とと、そうですね。はぐれないように頑張ります!」
サイドテールに結い纏められた淡桜の髪が、秋風にふわふわ遊ぶ。
冴えた空色に白桜の散る浴衣にリボン帯を締めたラナ・スピラエア(苺色の魔法・f06644)は、行き交う人々の流れと立ち並ぶ屋台を興味深げに見渡した。
ラナは、この世界で行われるお祭りに来る事は初めてだ。
もちろん草履を履く事も、浴衣を着る事も。
煌々と夜を昼に塗り替えんばかりに吊るされた提灯も、威勢のよい呼び声が響く屋台も。
芳ばしい串焼きの匂いは、おなかのむしを擽るよう。
美味しい匂いとどこか神聖な雰囲気の交じった、賑々しい雰囲気も。
ぜんぶ、ぜんぶ、ラナにとっての初めてだ。
「屋台って、本当に色々あるんですね!」
「そうですね、本当に沢山。……ラナさんは、何か気になるの、ありますか?」
蒼汰に首を傾がれたラナは、瞳をぱちぱち。
好奇心に揺れるばかりであった苺の瞳を、すこしはにかみに細めて彼へと向ける。
「見たこと無い物ばかりで何があるのか、まだまだ分からなくて……」
見るもの全てが目新しいものばかり、きょときょとラナは周りを見渡して。
蒼汰さんは何か気になる物はありますか? なんて、逆に尋ね返す。
訊ねられた蒼汰は、少し向こうの屋台へと視線を向け。
「えっと、そうですね。甘い物なら綿飴とかどうでしょう?」
「わたあめ? ……あ、あのふわふわの雲みたいなのですか?」
蒼汰の視線の先を追ったラナは、ふこふこと膨れあがるその不思議な食べ物にぱっと花笑んで。
「あれが甘いなんて、どんな感じなのか気になります! 蒼汰さんも一緒にいかがですか?」
「はい、では俺もいただきます」
ふかふかおおきな綿あめを、二人で一緒にはんぶんこ。
「久しぶりに食べると、甘くて美味しいですね」
「ふふ、食べられる雲なんてこちらの世界には、美味しい魔法があるのですね」
そうして二人は漫ろ歩き、食べ歩き。
次に蒼汰が手にしたのは、果実のたっぷり入った果実酒の掛かったかき氷。
お酒が飲めるのは、大人の証のようで少し羨ましい。
少しだけ羨望の瞳を向けるラナのかき氷は、果物たっぷり。お子様でも安心ノンアルコール。
焼き鳥、焼き魚、あんず飴。
「あ、お面屋さんがありますよ」
気づけばラナも草履にも慣れて、すっかり満喫ムード。
「不思議なお面ばかりですね」
先行くラナが指差す先、団扇で自らを扇ぎながら蒼汰は眦を下げる。
――いつもとは違う雰囲気の服装で過ごす時間は、なんだかいつもと違って。
少しだけどきどきするような気がしてしまう。
祭囃子も、人々の喧騒も、なんだか遠く感じる様で。
――ぱあん。
そんな彼の背のずっと向こうで、大きな弾ける音が響いた。
「わあ、花火……!」
少しだけ驚いた様子のラナの声に振り向けば、次々に続く空の華の弾ける音。
なんだか、一気に現実に引き戻された様な気分だ。
「……綺麗ですね、花火」
ぱちぱちと二度瞬きを重ねた蒼汰は、引き戻された現実であるはずなのに、空に華咲く夢の様な光景に言葉を重ねて。
「折角だから、もう少し近くまで見に行ってみませんか?」
「はい、もっと綺麗に見える所がありそうですね!」
蒼汰の提案に、ラナは楽しそうに笑い。
内緒話をする時みたいに瞳を輝かせて、彼を見上げた。
「ふふ、……以前花火を見た時に、蒼汰さんとも見たいと思っていたので。――今日こうして、一緒に見れて嬉しいです!」
「そうですね、俺も一緒に見られて嬉しいです」
眩い彼女の笑顔に、蒼汰もつられて笑み栄え。
二人は並んで、歩き出す。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐那・千之助
華座敷
一灯の夜火の様な浴衣姿
2人の浴衣姿、普段に増して男前なのじゃ
おや可愛い飴は誰への土産やら
あれは?くじ引き?景品に麦の種は…え、無い?
ニュイ当たった!?すごいすごい
さて人が多いから迷わぬよう…
む、屋台の店員に浴衣女子発見(綿菓子屋に即脇見&直行
近寄れば娘より初めて目にする綿菓子に心奪われ、兄と弟が逆のよう
小石を入れたら綿が生まれた!
え、砂糖?(ぱく
口の中で消えた!
お食べお食べ、祭りのおやつは楽しい味じゃ
この人混みで難なく合流するとは流石クロトじゃ
と言いつつ私も探し出す自信はあるのじゃよ
夜空に踊る華を見上げ、分け合う屋台飯を口に運びながら心に呟く
花火のように刹那の安らぎだとしても、満足だと
霧島・ニュイ
華座敷
濃い水色の浴衣姿
猫のお面、ヨーヨー釣り、イカ焼き…
あっ、このイカ焼き美味しい、美味しい(はむはむ)
くじ引きを一つして、玩具をゲットし
…麦の種どうするのー?植えるの?
浴衣女子だ!
千之助兄さんと並んでざーっと向かう
イカ焼き食べてるので見学
ねえ、お姉さん。仕事上がったら僕達と花火見ない?あ、仕事なかなか終わらない?残念。
……兄さん綿菓子始めて?小石は砂糖ねー。でもいつ見ても凄いよねー。
からからと笑いながらも、勧められた綿菓子は食べる
ん、美味しい!
手をぶんぶん振ってクロトさんを呼び、持ってるご飯もねだる。焼き鳥うまー。
わー!!花火だー!!
見るの初めて!たーまやー、だっけー?
綺麗な華に目を奪われる
クロト・ラトキエ
華座敷
👘
楽しめ、と…
えぇ、承りました♪
振る舞い酒を遠慮無く頂戴し、屋台に繰り出して。
焼き鳥、タコ焼き…
酒のアテになりそう且つシェア出来そうな物を見繕い、
土産にりんご飴なんかも買って。
序でに屋台の主さんと世間話、
オブリビオンっぽい話にも耳をそばだて…
…え、何?麦の種?
視力も気配の察知も、それなりに自信はありますが…
千之助の強く眩い、ニュイの跳ねる様な、気配。
気を巡らせる迄も無く見付かる気がして。
…それが距離感というのであれば、実に、何とも――
屋台飯は分け合い、或いは頂いて。綿菓子に、甘味も悪くないな、と。
夜空に咲く華も実に見事で、
また、なんて次の約束を取り付けたくなるのも、必然だと思いません?
楜沢・紺
【楜沢家】 矢車模様の紺色の浴衣を着てお姉ちゃんのお手伝い! 修行とお小遣い稼ぎを兼ねるなんて欲張りなんじゃない?
だけど狐火の扱いならお任せだよ! お姉ちゃんが売り口上をしてる間、狐火が綿あめに燃え移らないよう集中しないと……。風力も加減を間違えたら飴がふっとんでべたべたになっちゃうよ……。
……こんなそんな調子でぼくも九本の尻尾、生えて来たらいいなあ
楜沢・玉藻
【楜沢家】
👘
紅葉や銀杏の柄の浴衣
帯の結び方はおまかせで
季節感を半歩先取りするのがおしゃれの粋ってやつよね
修行と出稼ぎを兼ねて弟と法術わたあめ屋台を出すわ
細かい穴の開いた金属の器を法術で熱しながら
ザラメを風の法術で掻き混ぜることで糸状に引き伸ばして
それを棒で巻き取ってわたあめ状にするの
少し焦がすことでキツネ色にして狐の尻尾みたいにするわ
さあ、花火の打ち上げまでに売り切るわよ!
いらっしゃい見てらっしゃい!
世にも珍しい尻尾みたいにモッフモフで思わず9個買いたくなっちゃうような法術わたあめ、七宝九尾焼き
1本と言わずに9本いかが?
瑞獣九尾狐の尻尾みたいで縁起がいいわよ?
「では、そちらのりんご飴を一つ。お土産なので包んで貰って良いですか?」
人々行き交う屋台通り。
たこ焼き、焼き鳥、漬物盛り。
美味しい匂いと振る舞われたばかりの枡酒を伴に、黒紅色に矢羽根あしらった浴衣を身に纏ったクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、屋台の店主に声を掛け。
「そう言えば最近、この辺りで妖怪や魑魅魍魎の噂を聞かなくなりましたね。これも天下の幕府が信長を討ったからでしょうかね」
「んーや、そうだなァ、随分平和になったもんだ」
そのまま店主と軽い世間話を交わして、かるーく情報収集。
「おや、その可愛い飴は誰への土産じゃ?」
同じく、色々買い出し中。
本日の召し物は、黒鳶に映える炎。一灯の夜火の様な浴衣姿。
人波の中からクロトの姿を見つけ出した佐那・千之助(火輪・f00454)が近寄って来ると、アメジストの瞳を細め。
「あ、兄さん、クロトさん! 向こうにくじ引きがあったよ、くじ引き! くじ引きしよー」
そこに更に駆けてきたのは、紺藤色の浴衣に猫のお面を斜めがけ。
ヨーヨーも手に、お祭りエンジョイ装備の霧島・ニュイ(霧雲・f12029)の姿であった。
手を大きく振り、振り。
「何? くじとな? 景品に麦の種はあるのか?」
「……麦の種があるかどうかは見てないけれど、どうするのー? 植えるの?」
「うむ、麦の種は……」
兄貴分と弟分の波長は合いまくり。面白そうなことには一直線。
ニュイに引き連れられ歩いて行く千之助、置いていかれたクロトは店主より包みを受け取り――。
「え、何? 麦の種?」
え? なんで?
脳の中の情報整理結果、でてきた言葉がそれだけであった。
麦の種だそうです。
――まあ、もう少し酒のアテの買い出しと聞き込みをしてから、彼らには合流すれば良いだろう。
次は何を買おうか。
二人の喜びそうな食べ物を考えながら、クロトは良い匂いのする屋台の群れに瞳を眇めて。
ニュイの手には、くじ引きで手に入れた竹の水鉄砲。
……くじ引きを終えた二人は、クロトの元に戻ろうとしていた筈なのだが。
「浴衣女子じゃ!」「浴衣女子だ!」
ストライクゾーンよりは、随分と幼すぎるかもしれないけれど。可愛らしいことはたしかで。
深支子色に沈む青磁色。
銀杏に紅葉が重なった秋の雰囲気は、真紅の金魚帯で華やかに彩られ。
わたあめの屋台に立つ楜沢・玉藻(金色の天井送り・f04582)の姿に、ノータイム寄り道。
「えいっ」
楜沢・紺(一ツ尾・f01279)が、狐火を燃やす。
からからからから。
細かい穴の開いた金属の器が狐火で熱されれば、ザラメ糖が玉藻の制御する風の法術で掻き混ぜられて。
糸状にふわふわと引き伸ばされたザラメ糖に、円を描く形で棒を掻き。
糸は紡がれ綿となる。
一瞬で膨れ上がった砂糖菓子の、おおきなおおきな雲。
「なんと、小石を入れたら綿が生まれた!?」
「……兄さん綿菓子始めて?」
あれは砂糖だよ、と兄貴分である千之助にニュイが教える様は、完全に関係が逆転したかのよう。
「え、砂糖?」
狐の姉弟が出しているわたあめは、すこうしあえて焦がす事で、香ばしさと狐の尾感をだした綿あめだ。
「あら、お兄さん。少し味見してみる?」
不思議そうな声を漏らした千之助に、玉藻は味見用の小さな綿あめを差し出して。
受け取った千之助は、そいつをぱくり。
「口の中で消えた!? か、買う!!」
今の千之助からは、ニュイの兄貴分たる威厳は、もはやゼロ。
瞳を瞬かせて、千之助は驚きを口にしながらノータイムでお金を出していた。
ダークセイヴァーにはこういう甘いお菓子も少なそうですものね。
受け取った綿あめは、ふわふわふかふか。まるで冬狐の尾のようだ。
「でも確かに一瞬であんなに膨れるのは、いつみても凄いよねえ。……そうそう、君、仕事上がったら僕達と花火見ない?」
「あはは、いいわね。……でも花火の打ち上げまでにぜーんぶ売り切るつもりだから、行けないわ、ごめんなさいね」
なんたって、これは修行と出稼ぎの一環なのだから。
ナンパをされる双子の姉とニュイの会話が気になるのだろう。
チラチラとそちらを見やりながら、魔法のようにどんどん生み出されるふかふかの狐尾を屋台の前へと並べて行く。
「そっかあ、残念ー」
ニュイのナンパは失敗だけれど、彼はそんなに気にした様子も無く。
甘さに瞳をぴかぴか輝かせている千之助が、そんなニュイに綿あめを差し出した。
「ニュイもお食べ、実に祭りのおやつは楽しい味じゃ」
「じゃあ貰うねー、……ん。おいしい!」
「ああ、やっぱり。いましたね」
そこに現れたのはクロトの姿。
――別段探そうと思って探したわけではない。
千之助の強く眩い。
ニュイの跳ねる様な、――気配。
探そうと思わずとも、この辺りにいそうと感じた場所に、二人がいたのだ。
「おお、この人混みで難なく合流するとは流石クロトじゃ!」
と言いつつも、千之助も先程彼を探しだした自負がある。
――きっと、それが彼らの『距離感』なのであろう。
しかし、それが『距離感』だというのであれば。
それは実に、何とも――。
「ねーそろそろ何処かに腰下ろして花火を見る準備しよー。あ、その前に、クロトさんその焼き鳥一本頂戴!」
「はいはい、つまみ食いですね?」
くすくすと笑ってニュイに一本焼き鳥を渡すクロト。
やきとりうまー。
「さあさあ、お店はまだまだこれからよ!」
「うん、頑張ろうね、お姉ちゃん!」
三人を見送れば、こっくり頷きあった双子の狐。
「いらっしゃい、見てらっしゃい! 世にも珍しい尻尾みたいに、モッフモフで思わず9個買いたくなっちゃうような法術わたあめ、七宝九尾焼き!」
威勢のよい玉藻の呼び声が、稲荷提灯の下で元気に響く。
「1本と言わずに9本いかが? 瑞獣九尾狐の尻尾みたいで縁起がいいわよ!」
玉藻が客引きをしている間、綿あめを作るのは紺のお仕事。
矢車模様の紺色の浴衣を、襷掛けで気合も十分。
狐火の扱いならば、姉にも負けるつもりはないのだから。
あとは、集中。集中。
すこうし綿あめを焦がすのは、上手にやらないと表面がただ溶けてしまうだけ。
溶かした上で、焦がすのはとっても難しい作業なのだ。
それに風力も一つ加減を間違えると、飴がばらばらに飛んでしまう。
「むむむ……」
――修行とお小遣い稼ぎを兼ねるなんて、すこーし欲張りじゃないかと思っていたけれど。
たしかに術を安定させる為には、良い修行になるかもしれない。
――楜沢姉弟の生まれた里に伝わるふるーい伝承。
大きな事を成し遂げたり、大切なことを学ぶと、一本ずつ。
ここのつまで尾の増える妖狐がいるという、言い伝え。
紺はその伝承を、強く信じている。
事実、玉藻は三本まで増やせた事があると言っていた。
「……ぼくも頑張らなくちゃ!」
棒を握る手にも力が籠もる紺。
……あっ。
ぱちん!
爆ぜる風。綿が弾けて顔にぺしゃんと爆ぜた。
音に振り向いた玉藻が首を傾げて。
「まあ! 紺、大丈夫かしら?」
「だ、だいじょうぶー……」
火傷もしていないけれど、紺は肩を落として。
顔があまい。
ううん。
――九本の尻尾が生えてくる日は、まだまだ遠いのかもしれないけれど。
いつのひか、いつのひか。
……あ、でも、綿あめ作成制御で増えた尾ってどうなんだろう?
そこに。
よく晴れた夜空を覆いつくそうとするように、巨大な菊が空で爆ぜた。
きらきらとした火の粉が、赤や青に染まって零れ落ちて溶けてゆく。
「あ」
「……花火だわ!」
わたあめ屋の狐姉弟は、空を同時に見上げて――。
空に咲いた華。
片手に焼き鳥を抱えたまま、両手を擡げたニュイ。
「たーまやー! ……だっけ?」
屋台飯の並ぶ床几台に一緒に腰掛ける皆に尋ねるように、ニュイは振り向き。
「かぎやーというのもあるそうですよ」
何処かできいた知識。
クロトが言葉を重ねると、へえとニュイは目を丸くして。
「じゃあ次はかぎやー、だねー! 花火って見るの初めてなんだよね、綺麗だなー」
「ああ、綺麗じゃの」
千之助がこっくりと頷き。
「本当です」
クロトも感想を重ねながら、渡された綿あめを一口。
口の中で解ける雲に瞳を細めて、……たまには甘味も悪くない、なんて。
「……また、一緒に花火を見に行きたいものですね」
そしてほつりと一言、願いを紡ぐ。
「わーい、行きたい行きたい!」
「そうじゃのう」
その願いには、二人も賛成の言葉を重ねて。
そうして千之助は眦を下げて、それを笑みへと変えた。
傾けた枡酒の水面に映る空華を、飲み干すように。
それがたとえ、――花火のように刹那の安らぎだとしても、満足だと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニヒト・デニーロ
◆鳴宮(f01612)と
花火が見たいの。
深海みたいな夜空に光る、人の作った星なのよ。
とっても綺麗なの、きっと、鳴宮も気にいるわ。
……私、機械なのに。
足を、くじいてしまって……不覚。
すぐに歩けるようにはなるけれど、花火大会には間に合わないと思うから。
……ごめんね、私から誘ったのに。
…………え。
大丈夫だから、私、機械だから、重いから。
……こ、この間って何!? 知らない、い、何時!?
……じゃ、じゃあ、おんぶ……
……して、もらう……
●
……花火よりも、熱を感じる躯体の方が気になって
つい、反射的に答えてしまうの
記憶に残るなら
きっと、思い出っていうの
私は、この景色が綺麗だと思う
……二人で、見れたから
鳴宮・匡
◆ニヒト(f13061)と
足をくじいて座り込むニヒトと
目線を合わせて、手を差し出す
行きたかったとこ、あるんだろ
連れて行くから、ほら、手出して
背負っていくよ、それなら間に合うさ
え? いや別にこの間も重くなかったし……
それに、一緒に来てるんだからさ
助けられなかった俺のせいでもあるし
その埋め合わせってことで、甘えてくれると嬉しいんだけど
……ん、素直でよろしい
それじゃ、行こうか
◆
見上げた夜の空は、確かに海の底に似てる気がする
瞬いて、消えても、どうしてか記憶に残る
こういうのは、なんて言うんだろうな
……思い出、か
ああ、そうだな、
……この景色が綺麗かは、まだわからないけど
一緒に来られてよかったと、思うよ
花火が見たいの、と言ったのはニヒト・デニーロ(海に一つの禍津星・f13061)からであった。
深海みたいに昏い夜空に光る、人の作った星。
とてもきれいで、きっと彼も気に入るだろうと。
でも今は。
――レースのふんだんにあしらわれたゴスロリ浴衣は、砂に汚れて。
慣れぬ草履に、挫いた足首。
「すぐに歩けるようにはなるけれど、花火大会には間に合わないと……思う」
左手で横ピースをしたまま座り込んだニヒトは、視線を転んでしまった地面へと落としたまま。
折角着付けた浴衣も、汚れてしまった。
折角一緒に着たのに、足を引っ張ってしまった。
私、機械なのに。
足をくじいてしまうなんて、……不覚。
「……ごめんね、私から誘ったのに」
「行きたかったとこ、あるんだろ?」
その彼女と目線を合わせるように。腰を落としてしゃがみこんだ鳴宮・匡(凪の海・f01612)は、手を差し出して。
「え?」
「連れて行くから、ほら、手出して。背負っていくよ。それなら間に合うだろ?」
すこしだけ顔を上げたニヒトは、海と深海の色の瞳を瞬かせて、ぱちぱち。
ん?
え?
せおう、……背に載せて、ささえ持つ事。
かれがせおう、……ニヒトを背に載せて、匡がささえ持つと言う事。
えっと……?
「…………え?」
「え?」
ニヒトの瞳と視線を交わした匡は、首を傾げて。
「大丈夫だから、私、機械だから、重いから」
やっと言語能力を少し復活させたニヒトが、いつもの真顔で言葉を紡ぐ。
「いや、別にこの間も重くなかったし……」
それは、いつかの夜の事。
彼女が桃をお裾分けにきた、あの日の事。
彼女がこのお祭りにお誘いにきた、あの日の事。
「……こ、この間って何!? 知らない、い、何時!?」
「それに、一緒に来てるんだからさ」
あの日、稼働限界を迎えたニヒトは知らなかったのであろう。
ぴゃっとする彼女に、匡はいつもの表情で言葉を次ぐ。
「助けられなかった俺のせいでもあるし、その埋め合わせってことで」
瞳を少しだけ、細めて。
頼むよ、と言った雰囲気の交じる声音。
「……甘えてくれると嬉しいんだけど?」
「……じゃ、じゃあ……」
そこまで言われてしまうと、ニヒトはだんだん語気を弱めながらも――。
「……おんぶ……、して、もらう……」
彼の手を取った。
「……ん、素直でよろしい」
小さく小さく肩を竦めて、匡は笑った。
笑えた、と思う。
「それじゃ、行こうか」
「……うん」
きょうは、ちゃあんと、起きているから。
背負われてたどり着いた先は、小高い丘。
少し屋台街からは、離れた場所ではあるけれど。きっと花火は綺麗に見えるだろうから。
「あ」
それでも、てっぺんに辿り着く前に空に弾けだした華。
「ん、始まったか」
匡はニヒトを背負ったまま、丘の頂上を目指す足取りを止めることはなく。
見上げる夜の空は、彼女が言ったように深海にも似ているように思える。
ちらちらと溶け消える火花の残滓が、視界にちらつく。
「不思議だな」
それがはじけて、溶けてしまったとしても。
何故だか、その輝きは脳裏に焼き付いたまま。
「――こういうのは、なんて言うんだろうな」
「記憶に残るなら。きっと、思い出っていうの」
ニヒトは思わず、反射的に応え。
「……思い出、か」
咀嚼するように呟く、匡。
「私は、この景色が綺麗だと思う」
「――……ああ、そうだな」
空に咲く華は、たしかに綺麗だけれど。
ニヒトは身体の前面で感じる、匡の体温が気になって仕方がない。
だからだろう、だからだろうか。
思わずニヒトは、言葉を重ねてしまうのだ。
「……二人で、見れたから」
ひゅうるり。
頼りなさげな音を立てて、破裂する短い音。
ぱん、ぱあん、と大きく弾ける音が続いて。
「俺には……この景色が綺麗かは、まだわからないけど。――一緒に来られてよかったと、思うよ」
あられが零れるように華が消え行く音に、匡の声が重なった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
中御門・千歳
【翠苑】の3人で参加
せっかくの秋祭りだ、浴衣姿といこうかねぇ
ということで、めかし込んで旅団の仲間と参加するよ
屋台は色々あるけれども、あんまり量は入らないからねぇ、林檎飴でも買って、ちまちま食べ歩くとしようかい
祭りってのは、こうして皆で眺めて歩くだけて楽しいもんだねぇ
絡新婦は飴細工かい?綺麗で食べるのが勿体なさそうだねぇ
ユエは林檎の形かい、?ヒッヒッヒ林檎同士でお揃いだねぇ
ほう、金魚すくいで競争かい?
どれ、あたしもちとやってみようかねぇ
久しぶりすぎてちと上手くいくか分からないけどねぇ
よっと……まだまだ捨てたもんじゃないねぇ、あたしも
(とりあえずの台詞です、勝敗おまかせ)
星舞夜・ユエ
【翠苑】の皆さんと
私も今年買ったばかりの浴衣です。
こんな大きいお祭りは初めてです。
とても賑やかですね。
やはり、より賑やかなほど、五穀豊穣を期待できるのでしょうか?
飴細工、とても綺麗です!
飴にはとても見えません、ガラスみたいです。
千歳さんのりんご飴をマネて、
私もリンゴの形の飴細工を買ってみました。
お揃いですね。
杼糸さんは、どの飴にするのですか?
ずっと、魚を飼ってみたいと思ってまして。
金魚すくい勝負、望むところです。
でも沢山は飼えないと思うので、目標は3匹です。
では私が買ったら、花火を見ながら食べるたこ焼きを、
おごっていただきましょう。
上手な掬い方を予習してきたので、負けませんよ。
(勝敗おまかせ)
杼糸・絡新婦
【翠苑】の皆で浴衣を着て、お祭り参加
お二人ともよう似合っとります。
花火もええけど、屋台観るのもワクワクしてええよな。
飴細工は飴の塊が何かに変わるてのが好きなんよ、
食べるのちともったいないけどね。
りんご飴もキラキラしてて美味しそうやね。
う~ん、自分は金魚の形かな。
さて、本物の金魚すくいか、自分もやってみよかな、
なんやったら競争せえへん?
自分が負けたらなんか奢らせてもらいまっせ。
さて、頑張りましょか(勝敗おまかせ)
夜道だというのにこんなに賑やかで、こんなに明るい参道。
揺れる稲荷提灯に、賑々しい屋台の呼び声、響く響くは祭り囃子。
のんびり歩くだけでも、お祭りの道はとても楽しいもの。
「こんな大きいお祭りは初めてです、とても賑やかですね」
星舞夜・ユエ(よだかのひかり・f06590)の星座を宿した空色の浴衣は、今日の夜にぴいたり映える。
いつもより高い位置で巻き纏められた髪を止めるいつもの星飾りも、まるで浴衣に誂らわれたようだ。
「やはり、より賑やかなほど、五穀豊穣を期待できるのでしょうか?」
「神様も賑やかな方がワクワクするやろうしね、そうかもしらへんねえ」
濃紺の肩掛けをひっかけて。
のんびり笑って頷いた、普段は白を纏うことの多い杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)も、今日ばかりは金の波模様に黒の浴衣。
「しっかし、お二人とも、浴衣がよう似合っとります」
首を傾げると一房だけ金の交じる絹のように柔らかそうな黒髪がさらりとなびいて、彼は二人を見やる。
「ありがとうございます、杼糸さんもお似合いですよ」
褒め言葉に、ユエは唇をやんわりと笑みに擡げ。
「ああ、そうかい? 有難うねぇ」
当然だろう? と言わんばかりに笑う彼女の、簪でまとめ上げられた髪。その刻まれた皺こそが、美しさの象徴のようだ。
朱色の帯は、背がピンと伸びるほど全体を引き締める差し色。
とびきりめかし込んだ中御門・千歳(死際の死霊術士・f12285)の浴衣は、黒曜色の地に揺蕩う金魚が涼しげに。
「嬉しいお言葉おおきに。……ほな、どこから周りましょかね」
「そうだねぇ、婆さんなもんで、あんまり量は入らないからねぇ」
ちらりと千歳が視線を向けたのは、様々な飴が並べられた飴屋台。
飴細工に、りんご飴。金太郎飴にべっ甲飴。
「林檎飴でも買って、ちまちま食べ歩くとしようかね」
屋台に近づいた千歳は、ひょい、と一本の林檎飴を擡げ。
「ああ、ええですね」
「わあ、いろんな飴がありますね……!」
そしてユエが、眼鏡の奥の瞳をぴかぴかと瞬かせて視線を奪われた物は――。
店主の掌の中で、蕩けた飴がどんどん練り上げられて、ハサミ一つで形作られてゆく飴細工だ。
最後にちょん、ちょん、と紅を落とせば、目の前であっというまに完成したのは、白狐。
「……とても綺麗です」
ほう、と頬に手を当てて。
目の前で作り上げられた飴細工の作品に、ユエは小さく吐息を零した。
「飴にはとても見えませんね……、ガラスみたいです」
「せやねえ。塊の飴が何かに変わっていくんは見てて面白いやんね、……ただ、食べるのがちともったいないけどねえ」
その横で並んだ飴細工を眺める絡新婦は、少しだけ悩んでいる様子。
何にしようかな。
「たしかに綺麗で、食べるのがもったいなさそうだねぇ」
ユエが飴屋になにやらお願いする様をヒッヒと笑って見やる千歳は、すでにお会計を済ませた林檎飴を齧っている。
「見て下さい! 千歳さんのりんご飴をマネて、私もリンゴの形の飴細工をお願いしてみました」
照れたように小さく笑ったユエが、きらきらと輝く紅を落とされた半透明のリンゴを二人へと掲げ見せて。
「ヒッヒッヒ、本当。林檎同士でお揃いだねぇ」
「はい、お揃いですね」
朱がかった透明なリンゴと、本物のリンゴが閉じ込められた飴。
どちらも提灯の明かりを照り返して、きらきらと。
「そういえば杼糸さんは、どの飴にするのですか?」
「う~ん、せやね。自分は金魚の形かなぁ」
絡新婦はひょい、と飴細工の金魚の刺さった棒摘むと、小銭を取り出し――。
それを見て思い出したように、ユエはぱちぱち、と瞬きを重ねて。
「そういえば……、私、ずっと、魚を飼ってみたいと思ってまして」
「お、ええねぇ。せやったら次は本物の金魚すくいで――なんやったら競争せえへん?」
自分が負けたらなんか奢らせてもらいまっせ、なんて、絡新婦が言うものだから。
「ほう、金魚すくいで競争かい? どれ、あたしもちとやってみようかねぇ」
「望むところです! でも沢山は飼えないと思うので、目標は3匹です」
きあいじゅうぶん。
千歳が不敵に笑って、ユエはまあまあ控えめな目標を掲げる。
「でも、私が勝ったら、花火を見ながら食べるたこ焼きをおごっていただきますよ」
目標は控えめでも、ちゃんと勝利後の事を考えているのは、ユエのちゃっかりした所かもしれない。
「ま、久しぶりすぎてちと上手くいくか分からないけど、行ってみようかい」
「はい、上手な掬い方を予習してきたので、負けませんよ」
「ちょっと本気ださせてもらいましょかねぇ」
なあんて。
数刻後にはたこ焼きを食べて、ほくほく笑顔のユエがいたとか、いなかったとか。
びいどろのちいさな金魚玉の中には、赤い金魚が、3匹。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ショコラ・リング
【GOATia】
お祭りというのは皆様が楽しそうにしている雰囲気だけでもワクワクしてまいりますね!
皆様の浴衣姿、新鮮な感じがしてとてもお綺麗なのです、縁日の華でございますね!
綿あめにカルメ焼き、リンゴ飴も良いでございます
色んな所から良い匂いがして目移りしてしまうのです
お、おねだりは、えっと……味見にちょこっとずつ分け合いっことかどうでございましょう……?
くじ引きでございますか、いいもの当りますでしょうか?
白熱する皆さんを見ながら、ボクも直観を信じて引いてみるのです
そろそろ花火の時間でございますか
音と光の組み合わせが色鮮やかでございますね……って、あれはお顔の花火でございますか!?
ネオン・スクアーロ
【GOATia】👘お祭りなんて一人じゃ絶対に来れないので…みんなについていきながら思い切りエンジョイします…っ。
お肉系を沢山食べて…お酒も断りきれずに沢山飲んじゃいながら祭りの空気を楽しみます。
食べ物は美味しいし…皆の浴衣も可愛いし…お祭り最高ですね…っ。
景品クジ…リアルのガチャですか…
ちょっとだけ挑戦したいですね。(ガチャ好き)
…もう一回だけ、もう一回だけっ。
こ、ここまできたらSSR(大当たり)を引かないと負けです…!
何円消えたかは考えたくないですね…。
花火も実際に見るととっても綺麗ですね。
来てよかったです…っ。
な、なんだか私達に似た花火があがってませんか…?
(嬉しいような恥ずかしいような
リダン・ムグルエギ
【GOATia】
事前に【コネクション:現地組織】と【売上金】を使って
友人の顔が空に浮かぶような花火玉を発注しておくわ
戦争特需とか言って売ったかいはあったわね
身銭もたっぷりだし
この女将衣装も板についた感じもしない?
…皆と食べ物シェアしてたら貫録も何もない気もするわね
あ、ビールもあるじゃなーい
ネオンちゃん、付き合いなさい!
景品くじとか楽しそうねー
皆もしてみない?リアル10連ガチャ
加熱する皆には苦笑しつつお金は渡すわ
特にしょこりんやクシナちゃんにおねだりされたら…ね
こうなったら全部のくじをひき切る勢いで遊んじゃいましょ?
(当たりの品はMSお任せ)
最後は花火でも観覧しましょ?
…サプライズ成功するかしら
クシナ・イリオム
【GOATia】
UCで偽の「人間サイズの私」を召喚して本体は懐に入れておく
本体と分身で胃の容量がだいぶ上がるからね
じゃがバターに焼きそばに唐揚げ…
揚げ物と炭水化物は大抵美味しいし熱量が高いから得だよね
…私は少食だから結構な量をみんなに食べてもらうことになるけど
え、くじ?
私は食べ物目当てだし(ハズレ)
こうゆうのは的屋が儲かるようになるって(ハズレ)
わかりきってるから(ハズレ)
どんな結果でも(ハズレ)
別に悔しくないよ(ハズレ)
…悔しくないけどお金貸してリダン。
私は戦闘以外で火薬を使ったことがないけど、こんな使いみちもあるんだね。
…困ったな。私は目立つタチじゃないんだけど(照れながら頬を掻く)
じゃがバターに、焼きそばに唐揚げ。綿あめ、かるめ焼きに、りんご飴。焼き鳥、串揚げ、焼き魚。
客引きも、振る舞い酒も断れず。
美味しい日本酒、いい匂いの果実酒、ぴりりと辛いお漬物。
やや着崩した朱色に萩柄浴衣、蛍光色の帯飾りに黄色い鮫のチャームを揺らしたネオン・スクアーロ(芋スナザメ🦈・f12521)は、ものすごく沢山の食物を抱えていた。
ネット弁慶は、現実の押しにあまり強くない。
「はー、お酒が美味しい……、お祭り最高ですね……っ!」
それでも、それでも、ネオンは楽しい様で。
また振る舞われてしまった枡酒をくっと煽りながら、へんにゃりと瞳を細めている。
「なかなかレベルの高いご飯が多いよね、うん、これも美味しいな」
花散る黒壇色の浴衣を着た、人間サイズの『自分』の偽物の肩で。
同じ浴衣を纏い、頷きながらじゃがバターを齧っているのは妖精のクシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)だ。
今日の彼女は偽物の自分と、本体の自分で胃の容量をあっぷして、沢山ご飯を楽しむ作戦である。
ついでに皆とシェアする事で、色んなものを食べる作戦でもあります。
あっ、ちなみに偽物のクシナは、今揚げ餅を齧っています。
揚げ物と炭水化物は、大抵美味しいし熱量が高いから、お得感が凄い。
「それにしても、皆様の浴衣姿は新鮮な感じがしてとてもお綺麗なのです! 縁日の華でございますね!」
カルメ焼きを齧り、齧り。
お祭りの雰囲気だけで、すでにワクワク。
そこかしこに気になる物がいっぱい。
アンテナみたいに獣の耳をぴこぴこと揺らしながら、ショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は朝顔柄の甚兵衛に合わせた青の首巻と尾が一緒にゆうらゆら。
「そりゃあそうよ。こーのアタシが、コーディネートと着付けをしたんだから似合ってるに決まってるじゃない!」
なんならサムズアップはおまけしておきましょう。今後とも、ご贔屓とご愛好の程よろしくお願い致します。
紅葉散る朱色の着物に、角のコーデまでばっちり。
悪徳呉服屋――、否。女将衣装のリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は、財布を口元に当ててにんまりと笑い。
「戦争需要で身銭もたっぷりだし、今日は楽しんじゃうわよ! ……あ、ビールもあるじゃなーい」
ネオンちゃん、付き合いなさい! なんて言うリダンは、自分では女将衣装が板についてきたとは言うものの。
「はっ、はあい……っ!」
食べ物をシェアしてビールを呑む姿は、女将というよりかは――。
アンテナみたいにぴこぴこしていた耳をぴっ! と向けてショコラは首を傾ぎ。
「おや、あれはくじ引きでございますか?」
「ま、景品くじとか楽しそうねー、皆もしてみる? リアル10連ガチャ」
彼の声にそちらを見たリダンは良いじゃない、と。
「しょこりんもおねだりして良いのよ?」
「お、おねだりは、えっと……っ!」
突然おねだり許可を貰ってしまって、わわわと合わせるショコラ。
「え」
ガチャ、と言う言葉に何より反応したのは酔っ払いであった。
「リアルのガチャですか……」
ガチャと言えば、ネオン。ネオンと言えば、ガチャ爆死。
「……ちょっとだけ挑戦したいですね」
そう、ガチャときくと疼いてしまう心を抑えられはしない。
ビールを飲みながら、ネオンの電脳ゴーグルの奥の瞳が肉食鮫のようにぎらぎらと欲に揺れる。
「しかし、いいものは当りますでしょうか……?」
何が当たるのだろうと、ショコラが立ち並ぶ景品を見やれば。
ハズレの場合は、まじないの掛かった光る玉やら、駄菓子やら、人形、おもちゃのアクセサリが選べるようだ。
当たりになると、三時間まんじゅう食べ放題券などの祭りの中で使える引き換えチケットや、特大江戸城模型。
大当たりは、旅行券だそうです。
「へえ、食べ物もあるんだ。ま、私は食べ物目当てだし」
早速。
クシナが銭と引き換えに、抽選箱へと手を入れて。
さっと取り出した三角形に折られた紙を開くと――、それは白紙であった。
「ま、まああぁ。こうゆうのは的屋が儲かるようになるって」
白紙。
「わかりきってるから」
白紙。
「どんな結果でも」
白紙
「別に悔しくないよ」
6等、醤油。
「……まあ、別に悔しくないけど、リダン、お金を貸してくれる?」
「クシナちゃん……」
醤油を渡されたリダンは苦笑を零し、しかたないわねえ、とお小遣いを手渡し。
しょこりん以外にも、クシナちゃんのおねだりにもリダンは弱い。
「まあ、悔しくはないけれどもう少しだけやるね、もう少しだけ」
うん、うん。クシナさん負けフラグ立ってますよ。
「……え、えと、こういうのはほとんど当たりが入っていない事はたしかですから……」
そこに財布を取り出し、燦然と参戦したのはネオンの姿だ。
そう。
これは、言うなればボックスガチャだ。
引けば確実に天井が見えるという点では、ネット上の多くのガチャよりは有情といえよう。
えいやっ!
――結果は、白紙7枚。8等が3枚。
「え、ええと……もう一回だけ……」
白紙。
「……もう一回だけっ!」
白紙。
「こ、ここまできたらSSRを引かないと負けです……!」
こうなってしまえばドツボ。
阿鼻叫喚地獄の有様をみせてきたくじ屋。
もう幾らつかったのか想像したくも無いけれど、後に引けない戦いがここにある。
「よーし、ではボクも一回だけ引いてみるのです……」
白熱する皆を眺めていたショコラも、意を決して――!
「えいっ!」
からん、からん、からん。
大きく響いた、ハンドベルの音。
――3等、特大江戸城模型。
「わ、しょこりん当たりじゃない!」
リダンが素直にぱちぱちと拍手を重ねると。
「わーい!」
前が見えなくなってしまう程に大きな箱に熨斗をつけて、手渡されたショコラは喜びの声を上げてぴょんと跳ね。
「……も、もう一回!」
「リダン、あともうちょっとお金を貸してくれるかしら??」
目の前で当たりを出されると、ガチャ敗者達はもっと引きたくなるもの。
よくわからないアクセサリをリダンの角などに装着してあげて、おねだりおねだり。
江戸城が欲しいかは別にして、当たりが引きたいものなのだ。
「もう、仕方ないわねえ。……こうなったら全部のくじをひき切る勢いで遊んじゃいましょ?」
苦笑を浮かべたリダンは、ざらりと軍資金を取り出して。
そうしてガチャ廃人達が再び無益な勝負を重ねようとした、その瞬間。
――ぱん、と空に炎の花が弾けた。
「……わ、花火でございます!」
音と、光。弾ける花は、空に瞬く星を掻き消すほど眩しい。
「……実際の花火はこんなに綺麗なのですね」
ほう、と空を見上げて息を漏らすネオン。
――まだ仕事は終わっていないのだけれど。
その美しさは今日は来てよかったと、心から思える程で。
とても楽しい時間、とても美味しいごはん、そして、皆の浴衣もとっても可愛くて。
ああ、なんて楽しい一日だったのだろう。
「へえー、私は戦闘以外で火薬を使う事はないけれど、こんな使い道も、……? あ、……あ??」
「……えっ、お顔の……?!」
クシナが言いかけた言葉を失って。重ねてショコラの驚いた声音が響く。
ほっぺたを抑えて、ネオンがひゃー、と声を上げた。
「なっ、なな、な、な、なんだか私達に似た花火があがってませんか…??」
そう、幾つかの花火の後に空に舞ったのは。
リダンの友人――、3人の顔であった。
「……サプライズは成功かしら?」
戦争需要、浴衣の売上金。
そしてコネクション。
リダンのおおきなおおきな悪戯は、大成功のようで。
「……困ったな。私は目立つタチじゃないんだけど」
ショコラは照れたように頬を掻いて、呟いた。
幾度も弾ける空の花。
お祭りの夜は、まだまだこれから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
勾月・ククリ
【土蜘蛛】
サムライエンパイアに来るのははじめて
UDCアースに似ててちょっと親近感だね
わ~い、軍資金!
何食べようかなぁ、とそわそわ
どれも美味しそうで目移りしちゃう
浴衣がかわいくてとってもはっぴーなきもち
べりるちゃんもよーこちゃんもすっごく可愛い~!
あとでお写真とろ!ね!
えへへありがとう!イドくんもとっても素敵だよ!
鈴カステラおいしい たこ焼きおいしい!
甘いのとしょっぱいので無限に食べられちゃう
耀子ちゃんもう一口、だめ?
わぁ!大人げないよ室長!
素直に負けを認める姿勢も大事!です!
もし屋台が破壊されそうなら他人のふりをします
だってこれもらった軍資金だけじゃ弁償しきれないよね!?
花剣・耀子
【土蜘蛛】
今月福利厚生費めちゃめちゃ出ていませんでした? 気のせい?
ありがたく頂きます。
褒め言葉もありがたく受け取りましょう。
折角のお祭りだもの。
食べ物は皆で摘まめるものを。
たこ焼きと鈴カステラでも買いましょうか。
……しょうがないわね。もう一口だけよ。
はい、あーん。
室長はよりにもよって射的を選ぶの。
ひっこみがつかなそうだったら止め、……まあ、そうね。
自己責任かしら。
そうね、よかった。
……褒めて貰う事でも無いけれど。ありがとう。
それじゃあ、べりるちゃんにはりんご飴をあげるわ。
知ってるひとも知らないヒトも、賑やかな夜。
――嗚呼、ひとまずは平和になったのね。
ヒトの手にかえせたなら、其れが良い。
星鏡・べりる
【土蜘蛛】
何があるか分からないって言ってもねぇ。
いっとくけど、私は今日戦えないからね。
浴衣のせいで、走る事すら難しいから〜
軍資金が世知辛いなあ~
でもこれだけあればそこそこ食べれるしいっか!
私もみんなで食べれる物を……と思ったけどやきとりにしよ。
お肉はやっぱりとりにく派。
射的(室長の訓練の成果)を眺めながら、景品を落とせてないのを見てニヤニヤする。
そしてムキになる姿を見て笑うし、行動も特に止めないよ。
私は大して何もやってないんだけどさ~
よーこの大事な世界がめちゃくちゃにならなくてよかったねぇ。
頑張ったご褒美にあんず飴奢ってあげる。
蜂月・玻璃也
【土蜘蛛】
浴衣姿は可愛いけど…
何がセクハラになるかわからないから黙っていよう
褒める気がないなら無理にコメントしないでくれ、イド…
えー、ではこれから軍資金…
組織から与えられた正しい意味での軍資金を配給する
ひとり1500円分まで
それ以上は自費となります…文句言うな!
UDC外だし領収書出ないしあんまり大きい金額渡せないんだよ
何があるかわからないから、俺は飲食は控えておこう
一応だよ、一応
となるとやっぱり…射的だな
こっそり訓練してる成果を見せてやる
ふふふ…みんな俺を見直すだろうな
ええっ!?今当たったじゃん!
こんな威力じゃ敵を制圧できません!
戦闘用兵装の使用を許可願います!
(腰のガジェットを抜こうとする)
隠・イド
【土蜘蛛】
👘
足りなければ自腹を切れば良いだけですし、構いませんよ
ふふ、とても良くお似合いですね
(各自の浴衣姿をベタ褒め)
確かに、せっかくのお召し物が汚れてしまうのは惜しいですね
まぁそんな心配などせずとも何か事件が起こるなんて事はないでしょう
室長も世界観によく溶け込んだ、チンピラのようで素晴らしい
まぁまぁ耀子様
仮に屋台を破壊しようが人を殺めようが、室長もひとりの大人ですので自己責任ということで良いのではありませんか?
(止めるのを止める)
ええ、ええ
今日も平和で何よりです
遠く花火を見上げながら
心にもない事を、と言葉には出さず自嘲
兵器が必要とされるのは、いつだって戦乱の世だというのに
神社の裏手に聳つ山間より、新涼たる風が吹き抜ける中。
参詣道に熱を齎すは、民草の神を祀りし営み。
熱気に満ちる屋台街を、夜をひっくり返さんばかりに照らしだす稲荷提灯の下。
部下達の前に立った蜂月・玻璃也(Bubblegum・f14366)は、驚かんばかりにありがちな紺色縦縞の甚平に身を包み。
「えー。ではこれから軍資金……、組織から与えられた正しい意味での軍資金を配給する!」
名前の書かれたポチ袋の束を持つ玻璃也の佇まいは、もはや親戚の子が沢山いるおじさんのお正月めいている。
「わ~い、軍資金!」
フィッシュボーンに編んだ萌葱の髪にも、大きな椿を咲かせて可憐に。
素直に両手を上げて歓声を上げる、椿をモチーフにモダンな明るい色合いの浴衣でバッチリキメた勾月・ククリ(Eclipse・f12821)。
「はい、金額はひとりUDCの物価で言う所の1500円分まで。それ以上は自費となります」
きっと皆の期待には添えないと理解しているからこそ。
皆と視線を合わせ無いようにポチ袋を手渡して、中学生のお小遣いみたいな額をお伝えする玻璃也。
「……そう、不思議ね。今月福利厚生費めちゃめちゃ出ていませんでした? 気のせいかしら」
大きな戦いも有った筈なのに、その金額はおかしいと。
燃える様な茜に沈む彼岸花。
浴衣に合わせてお団子に纏めた黒髪に、鬼灯飾りを揺らした花剣・耀子(Tempest・f12822)がポチ袋を口元へと寄せて首を傾ぎ。
「ええ~~、軍資金が世知辛いなあ〜~」
サイドテールに結った胡桃色。角には宝石飾りを添えて。
星降る浴衣に金魚帯をふわふわ揺らす星鏡・べりる(Astrograph・f12817)は唇を尖らせる。
そして、ポチ袋をひっくり返すと――。
わっ、本当に小銭しか入ってない。
「文句言うな! UDC外だし、領収書出ないし、あんまり大きい金額が渡せないんだよ!」
金食い虫なんて呼ばれている部署に、こんな予算が降りただけでもありがたく思ってほしい時の顔で、ええい、と腕を振る玻璃也。
「はい、ありがたく頂きます」
「でもこれだけあれば、まー、そこそこ食べれるしいっか!」
金額に苦情を言いつつも、なんやかんやで納得をした耀子とべりる。
「うーん、何食べようかなぁ」
元よりふわふわそわそわ。
屋台をチラチラ気にし過ぎているククリは、話を聞いているのか聞いていないのか。
「足りなければ自腹を切れば良いだけですし、構いませんよ」
やれやれと左右に首を振り。
元より期待などしていないと言った様子で血色の瞳を眇めたのは、無地の銀朱と涅色の半身合わせ。シンプルながらモダンなバイカラーの浴衣を纏った隠・イド(Hermit・f14583)であった。
彼はスッと一歩前へ踏み出すと、恭しく礼を一つ。
「そんな事よりも……本日の皆様のお召し物は、本当に麗しく素晴らしいものですね。べりる様のお姿なんて、この腐りきった世に舞い降りてしまった天女が現れたのかと思いました。ああ……。許されるのならばその羽衣を奪い、天へと帰る事ができぬように閉じ込めてしまいたいと願う程、愛らしいお姿でございますね」
「やだなあ、イドくんまた面倒くさい事言って〜」
笑顔で雑に応えたべりるに、眩しそうに瞳を閉じたイドは瞳を一度閉じ。
次にククリの前で膝を突いて、微かに色合いの異なる翠の双眸を見上げた。
「――それにククリ様のレトロモダンなお召し物には、この世界の者達にも眼福でございましょう。ククリ様の楚々たる輝きの前には、椿も全て頭を垂れて、愛らしきククリ様を彩る事しか出来ぬでしょうに。ああ、その可愛らしい髪型もよくお似合いですよ。お慕い申しております」
「えへへ、ありがとう! イドくんも何を言っているかわからないけれど、とっても素敵だよ!」
そこで掌をぽんと合わせたククリは、べりると耀子に向き直り。
「そうそう、べりるちゃんもよーこちゃんもあとでお写真とろ! ね! すっごくすっごく可愛いもんね〜!」
ククリは浴衣も、友達たちもかわいくて、とってもとってもはっぴー。
それに屋台から漂う美味しい匂いが合わさったら、やったあ、最高に楽しい!
「あー、いいね。後で撮りっか!」
「そうね、後で撮りましょう」
ぴっかぴかの笑顔のククリに頷いた、べりると耀子。
それをイドは、真っ直ぐに見据え。
「鬼灯の灯籠は死者を導くと言いますが、明けの空に彼岸花と鬼灯を背負うそのお姿でわたくしをどこに導いて下さるのでしょうか耀子様。結われた髪も、流れる墨のように嫋やかで美うございます。そのお召し物、婉容にも凛としたそのお姿に本当に良く映える」
「ええ、そう。ありがとう」
耀子は小さく頷くだけ。
それでも過剰な褒め言葉も、今日ばかりはありがたく受け取っておきましょう。
だって、今日は折角のお祭りなのだから。
最後に一応イドは振り向き――。
「あー、室長も世界観によく溶け込んだチンピラのようで素晴らしいですよ」
「褒める気がないなら無理にコメントしないでくれ」
イドが欠伸混じりで雑に褒めれば、玻璃也はめちゃくちゃ嫌そうな顔で応じた。
雑すぎる。
――しかし、しかしだ。
正直部下達の浴衣姿は可愛いとは思う。
可愛いとは思う。――が。
何を持ってセクハラ扱いされるかも解らぬ、世知辛い世の中だ。
室長という立場故に。
玻璃也は彼女達を褒める言葉は、その口を閉じこめたまま。
屋台へと駆けてゆく彼女達の背を、見送る事しか出来ないのであった。
――それはそうと。見てるだけでもセクハラ扱いになる事も、あるそうですよ。
床几台に腰掛けて。
「うーん、やっぱりお肉はとりにくだよね」
ぼんじり、皮に、ももに、ねぎま。
焼き鳥を齧るべりるは、幸せスマイル。
その横で、ククリもやっぱり幸せスマイルぴっかぴか。
耀子が皆で摘めるようにと買ってきた、たこ焼きと鈴カステラを交互に食べれば、甘いのとしょっぱいので無限に食べられちゃう。
美味しいおすそ分けにはっぴーになっていたククリは、ふと首を傾げて。
「そう言えばわたしはサムライエンパイアに来るのは、はじめてだけど……。やっぱりUDCアースに似てて、ちょっと親近感だねー」
「ええ、そうね。やっぱり似ている所もあるわ」
――この世界は、彼女の故郷だ。
だからこそ、耀子はすぐに頷いた。
それは、歴史だって。
街並みだって。
食べ物だって、そう。
楊枝に刺したたこ焼きを、耀子はじいっと見つめ。
「……耀子ちゃん」
そんな彼女の様子に。
ククリは言葉を選ぶように、慎重に口を開き真剣な瞳。
「何かしら?」
冴えた青を揺らして、耀子は彼女の次の言葉を待つ。
「もう一口……だめ?」
それはククリのたこ焼き食べたいなの顔。
もうちょっとだけ、たべたいなー!
「……しょうがないわね」
肩を竦めて。
「もう一口だけよ」
瞳を柔く細めた耀子は、たこ焼きを持ち上げて。
はい、あーん。
「おいしいー!」
ククリは鈴カステラもたこ焼きも、本当に美味しくてはっぴー。
友達にあーんしてもらえて、もっともっとはっぴー!
「しつちょーは食べないの?」
「ん。――何があるかわからないし、俺は飲食を控えておくよ」
そう。
今まで体験してきたUDCの呪いのように、どこにオブリビオンの罠が仕込まれていてもおかしくは無い。
だからこそ何かを食べたことによって、後に不利になるような現象が起きないとも限らない。
慎重を期すためには、飲食の我慢が必要になる事もあるだろう。
しかし、楽しんでこいと予知を見た者は言っていた。
ならば、と。
「何があるか分からないって言ってもねぇ。言っとくけど、私は今日戦えないからね」
戦う気の無い宣言をするべりるに踵を返して、立ち上がった玻璃也は一つの屋台へと向かって歩み出す。
「……室長?」
飲食をせずとも、楽しめる屋台も色々あるだろうが――。
「やっぱり射的だよな」
最近こっそりと訓練を重ねた成果を、今こそ見せる時が来たという事だ。
ふふふ、みんな俺を見直すだろうな。
もしかしたら何も言わずとも、毎日挨拶だってしてくれるようになるかもしれない。
玻璃也はコルクを銃口に詰めて、景品を見据え――。
「えっ……」
その様子に焼き鳥を齧るべりるは目を丸くして、耀子は怪訝な表情。
「……どうしてよりにもよって、射的を選ぶのかしら?」
彼のへっぴりへっぽこ銃の腕を、土蜘蛛の面々で知らぬ者は居ない。
「……ひっこみがつかなそうだったら止め……」「まぁまぁ耀子様」
やれやれと立ち上がろうとした耀子を押し止めたのは、イドであった。
「仮にではありますが――、例えば室長が屋台を破壊しようが人を殺めようが、室長もひとりの大人です。それ即ち自己責任ということで良いのではありませんか?」
放っておくのが一番だと。
優雅に笑むイドに、耀子は瞬きをひとつ。
「……まあ、そうね。自己責任かしら」
それで納得して良い理論でもないが、自らがリスクを負う必要もないと理解した耀子は、そのまますとんと床几台に座り直す。
「ええっ!? 今当たったじゃん!」
そこに予想通りすぎる玻璃也の声が響いて来たが、予想通りなので誰も驚きはしない。
べりるだけがニコニコと鏡を取り出して、くるくると回し始め――。
「やっぱ当たってないじゃーん」
指を指して、室長を笑った。
「いや、今迄のはちょっとしたチューニング合わせだよ」
小銭を差し出して5回分の金額を一気に店主へと渡した玻璃也は、再び銃を構え。
打ち出されるも景品に掠る事も無く、コルクはひょーんとあらぬ場所へと飛んで行く。
「あーーっ、こんな威力じゃ敵を制圧できません! 戦闘用兵装の使用を許可願います!」
わっ。
滅茶苦茶な事を言い出す玻璃也。
「わぁああ! 大人げないよ、室長! いけませーん、だめでーーすっ! 素直に負けを認める姿勢も大事! です!」
「ええい、絶対このコルク銃が悪い!!」
ククリすら正論を吐かせて。玻璃也がガジェットを抜こうとするのを、二人は引き止めじゃれあう。
でも、もし本当に屋台が破壊されそうならば、ククリは踵を返して他人のふりをする所存です。
だってそんなの、もらった軍資金だけじゃ弁償しきれないよね!?
そこへ。
――ぱあん、と響く破砕音。
いつのまにか、空に弾け出した光の華。
室長の痴態記録を完全に鏡に委ねたべりるは、耀子の横に腰掛けて焼き鳥をもう一口齧り。
「……私は大して何もやってないんだけどさ~」
爆ぜた炎が、ちらちらと夜空に消える。
夜空に開く大輪の華を見上げながら、べりるは少しだけ笑ったように見えた。
「よーこの大事な世界が、めちゃくちゃにならなくてよかったねぇ」
頑張ったご褒美にあんず飴奢ってあげる、なんて。
べりるは耀子に、あまいあまいおすそわけ。
「それじゃあ、後でべりるちゃんにはりんご飴をあげるわ」
きっと、耀子も笑ったのであろう。
後始末だって大変だったし、宿題だって大変だったけれど
――知ってるヒトも、知らないヒトも、賑やかな夜。
「こんなに賑やかな夜を楽しめるだなんて、ひとまずは平和になった証拠よね」
青の双眸を空へと向けて、耀子は呟いた。
この夜を、この空を、この世界を。
――ヒトの手にかえせたなら、其れが良い。
「そうだねー」
「ええ、ええ。……今日も平和で何よりです」
相槌を打つのは、べりるとイドだ。
イドは笑う。
――心にもない事を、と自らを笑う。
イドは、武器だ。
イドは、兵器だ。
兵器が必要とされるのは、いつだって戦乱の世だと言うのに。
すべての世界が。
――UDCアースが平和になった時。
その平和の中に、自らが含まれている訳も無いと言うのに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
重松・八雲
【白】
祭の秋、食欲の秋だのう!(きらっきら笑顔)
儂らも全力で五穀豊穣を祝い祈ろう!
では手始めに――(見渡した瞬間、出店にもふっと鎮座する狐の円らな瞳と目が合い)あのもふもふ可愛い稲荷様ぬいを賭け射的勝負を!
清史郎殿もあの魅力がお分かりか、やはり同志!
ふわひよ様も後で是非とも仲間に迎えよう!
ってこういう時だけは実に上手いのう伊織よ!
ならば隣のふわふわ可愛い色違い稲荷様も見事射止めてみせよ!
(最早勝敗そっちのけで手にしたもふに夢中になりつつ、ぬいの円らな瞳と共に期待に満ちた眼向け)
無論礼も祝勝もするとも
屋台甘味三昧で!
儂らの秋も実り豊かになりそうじゃな!
(もふと甘味に大満足の笑顔で、甘酒乾杯を!)
呉羽・伊織
【白】
平和な賑わいってのは良いモンだな
浴衣美人も多くて目も潤うし!
(白満点な一行から若干目背け)
爺サンははしゃぎすぎて迷子るなよー
って早速ほいほいと!
確かに可愛いケド、こりゃ既に爺サン…と清史郎も、逆に射抜かれてるな!
ひよこもポポ丸と並べたくなる雰囲気だなーアレ!
よし、びしっと落として見せよーか
(本当に意外と上手く落とし、どやーと振返り)
だけは、は余計だってのー!
(抗議しつつもうっかりぬいと目が合い)
…まァ欲しーなら頑張るケド
大の男が揃ってカラーいなり&ひよこ祭かー!
(気付けばけだまみれな戦利品)
全く、この秋も賑わいが絶えそーにないな
(甘酒や甘味にもまみれつつ、笑って乾杯交わし御祭気分に浸り)
筧・清史郎
【白】👘
祭りか、賑やかで良いな
季節は秋、五穀豊穣を願いそして実りに感謝しよう
それに何と言っても、屋台に並ぶ甘味に……おお、もふもふまで(超甘党もふもふ好き
もふもふ可愛い稲荷様を賭けた勝負、これは負けられないな
全力で参ろうか(超真剣
ああ、もふもふは正義だ(八雲に同士の眼差し
俺は、もふもふ稲荷様は勿論だが、あのふわふわひよこさんも是非とも射止めたい
だがまずは勝負、狙うはあの灰色のもふもふ狐さん
伊織は流石の腕前だな、菊里の駄菓子も美味しそうだ(微笑み
(狐とひよこもふりつつ)甘味三昧、非常に良いな
夏も皆と共に楽しく充実した時間を過ごせたが
巡り来た秋もまた、楽しいものになりそうだ(甘酒で乾杯しつつ笑み
千家・菊里
【白】👘
食道楽的にも五穀豊穣は重要――感謝と祈願を捧げつつ、祭と恵みを満喫しましょう
(目を背けた約一名には、現実見ましょうねとにっこり)
それにしても見渡す限りの誘惑祭で困りますね
浮かれるのも真剣になるのも無理はありません
(駄菓子景品もチラチラ見つつ勝負に乗り)
いなりさんもひよこさんも和みオーラ全開ですし、いっそこう、お揃いで色とりどり並べたくなるもふもふ達ですね
そして伊織は(何かはからっきしですけど)こういう射止め方だけは見事ですねぇ
(いつの間にか自分もちゃっかり稲荷様や駄菓子げっとし、堪能&お裾分けし)
ふふ、待っていました美食三昧
季節は変われど満ち足りた日々は連綿と――(祈りと共に乾杯を)
あまい匂い、芳ばしい匂い。
「祭の秋、――食欲の秋だのう!」
立ち並ぶ屋台にその厳つい顔を、あどけないぴっかぴかの笑みに変えて。
枯茶色に雲を宿した浴衣を纏った重松・八雲(児爺・f14006)は、振る舞われた甘酒を啜り、皆へと振り向いた。
「甘味の屋台も沢山あるようだ、儂らも全力で五穀豊穣を祝い祈ろう!」
「いやぁ、確かに。食道楽的にも五穀豊穣は重要――、恵みたる祭を楽しみましょうか」
勿論、感謝と祈願を捧げつつ、と。
頷き、笑んだ千家・菊里(隠逸花・f02716)は、彼岸花の咲く、明け色の浴衣を揺らしてぐるりと屋台を見渡し。
なんとも腹の虫を擽る匂いに、狐の耳を小さく揺らす。
見渡す限りの誘惑なんて、ここは天国、極楽浄土か、はたまた地獄だろうか。
「しかし、なんとも賑やかだな」
草履をはたりと。
顎先に指を寄せた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)も、本日は深い藍色に桜散る浴衣姿。
「おお、平和な賑わいってのは良いモンだ。――浴衣美人も多くて目も潤うしなー!」
相槌を重ねる声。
黒が紫に沈む浴衣は、流水文を揺蕩わせ。呉羽・伊織(翳・f03578)がぐるりと見渡したのは、道行く祭り客達の姿だ。
可愛い娘だけ薄目で見やり。細心の注意を払って、彼女たちと今日の連れ達を視線の中で同居させないようにする。
なんたって厳つい顔を先頭に浴衣姿の野郎共が雁首揃えて歩く姿で、潤いが得られるわけがないだろう?
「……現実見ましょうね」
明らかに目を背けている様子の伊織に、菊里はニッコリと非情な声をかけ。
「み、見てるっつーの。……あー、ウン。爺サンははしゃぎすぎて迷子るなよー」
伊織は指摘には目を反らしたまま、誤魔化すように言葉を重ねた。
「……って」
そうして伊織が前へと視線を戻した瞬間。
「早速ホイホイと引っかかってんな」
射的屋の店先に鎮座する、ふかふかの狐のぬいぐるみと見つめ合う八雲の姿を見つけてしまい、伊織は眉を寄せる。
視線を上げた八雲は、伊織に見られている事に気がつくと悪戯げな笑顔を浮かべて。
「では手始めに――」
ぬいぐるみを指差すと、朗と声を張り上げて高らかに宣言を行った。
「あのもふもふ可愛い稲荷様ぬいを賭け、射的勝負じゃ!」
「ふむ……、もふもふ可愛い稲荷様を賭けた勝負となれば、これは負けられないな」
そんな八雲の言葉に一番に反応を返したのは、清史郎であった。
視線を一度落とした清史郎は、キリリと狐のぬいぐるみを見つめ――。
「それでは、全力で参ろうか」
びっくりするくらい真剣な真顔で小銭を取り出すと、コルク銃を手に取った。
「おおお! 清史郎殿もあの魅力がお分かりか! やはり同志じゃの!」
「ああ、もふもふは正義だ。――しかし。俺はもふもふ稲荷様は勿論だが、あのふわふわひよこさんも是非とも射止めたい」
「なんと、……いいや、解るぞ。わしもそう思っていた所じゃ。ふわひよ様も後で是非とも仲間に迎えようぞ!」
八雲と清史郎は同好の士としての熱い眼差しで視線を交わし合い。
ふわもこトークに花を咲かせる、甘いのと可愛いもの好き成人男性ズ。
「――だが、まずは勝負!」
「ああ、負けはせぬ」
内容はふわもこトークでも、表情は真剣そのもの。
まず狙うはあの灰色のもふもふ狐さん。
二人は、銃口を真っ直ぐにぬいぐるみへと向けて――。
「確かに可愛いケド、……こりゃ既に爺サン……と清史郎も、逆に射抜かれてるなー」
「これだけ誘惑が多ければ、浮かれるのも真剣になるのも無理はありませんけれどね」
肩を竦めて笑った伊織も、勝負ならばと小銭を取り出して。
菊里は菊里で景品棚に置かれた駄菓子に心惹かれている様子で、そちらをチラチラ見やりつつコルク銃を手に取った。
「たしかにいなりさんもひよこさんも和みオーラ全開ですし。……いっそこう、お揃いで色とりどり並べたくなるもふもふ達ですものねえ」
小さく頷きながらのんびりと言葉を重ねる菊里は、できれば駄菓子だって多めにとりたい。
「そう言われれば、ひよこもポポ丸と並べたくなる雰囲気だなあ、アレ! よっし、びしっと落として見せよーか」
言うが早いか、一発、二発。
コルクを詰めては打ち出した伊織は、続けてひよこと狐のぬいぐるみを1匹づつ撃ち落とし。
「ってこういう時だけは実に上手いのう伊織よ!」
はっと振り向く八雲。
「伊織は……、確かにこういう射止め方だけは見事ですねぇ」
続けてはー、と少しだけ見惚れたように吐息を零した菊里は、言葉と言葉の間に何かしらはからっきしだけれどと言う微妙な間合いを交えつつ、ようく狙って駄菓子を撃ち落とす。
「ようし伊織、そちらの隣のふわふわ可愛い色違い稲荷様も見事射止めてみせよ!」
「だけは、は余計だってのー! ……って、そっちのォ?」
もはや勝負では無く、ぬいぐるみが欲しいだけになりつつある八雲の元気なお願いに、伊織は片眉を上げて瞳を眇め――。
ぬいぐるみと視線がばっちりあってしまう。
「………まァ欲しーなら頑張るケドさー」
「おお、伊織は流石の腕前だな。菊里も見事に落とすものだ」
「いやぁ、なかなか面白いものですね。……おひとつ食べます?」
「では、お言葉に甘えて頂こう。
灰狐を抱き上げた清史郎ものんびりと微笑むものだから、菊里も駄菓子を一つ手渡して。
なんとも和やかになってしまった射的勝負。
勝ち負けも忘れて、狐とひよこ、そして駄菓子を狙って――。
――床几台の上に並んだ、色とりどりの狐とひよこのぬいぐるみ達。
その後ろに並ぶのは、幾つもの酒瓶に、未だ湯気漂う沢山の料理の群れ。
「大の男が揃ってカラーいなり&ひよこ祭かー」
伊織の言葉通り。
あの後、射的屋台で沢山の景品を手に入れた皆は、思い思いの食べ物を仕入れて。腰を下ろしたのが、今であった。
「ふふ、待っていました美食三昧」
上機嫌で甘酒を注ぐ菊里に、清史郎はひよこと狐を膝上に載せたまま。
「こちらは甘味三昧か、非常に良いものだな」
焼き鳥に焼きそば、揚げ芋におにぎり。
甘味好きが揃えばおやつも充実。
白玉に焼き栗干し柿、砂糖入り金時。餅に大福――。
「夏も皆と共に楽しく充実した時間を過ごせたが、巡り来た秋もまた、楽しいものになりそうだな」
柔らかく花笑んだ清史郎は、皆を見やる。
「全く、この秋も賑わいが絶えそーにないな」
「ささやかながらに、たくさんの戦利品の礼と祝勝の宴じゃ」
笑う伊織に、八雲も狐を膝に抱いたまま。
菊里が瞳を細めて、甘酒を掲げれば。
「では」
豊かな実りに祈りと感謝を捧げて。
――乾杯!
「……全く、儂らの秋も実り豊かになりそうじゃな!」
一気に甘酒を煽った八雲が、からからと笑う。
ふかふかのぬいぐるみに、美味しいごはん。
甘やかな菓子に、飲みやすいさらりとしたお酒。
――幾度季節は流れど、仲間たちと一緒ならば。
満ち足りた日々は連綿と続いてゆくのであろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アレクシス・ミラ
双星
ああ、色々見て回ろう
…セリオス、狐面に興味があるのかな?
彼が見てない隙に買う
…これは後で渡そう
果物の飴か
セリオス、どれがいい?僕が買うよ
…僕?…僕には全部は多いから、君のを少し貰ってもいいかな
(…ということにしないと、納得しないだろうからね)
美味しそうに食べるなぁと目を細めながら眺め
林檎飴も一口貰う
うん、美味しい
酒?…だーめ
君、呑みすぎちゃうだろ?
こっち(甘酒)で我慢。…ね?
彼に甘酒を渡して、折角だから僕も…
…え?
既に僕が持っている甘酒と同じ甘酒を勧めるセリオスに目を丸くする
…表情を輝かされては断れないな
自分のはさりげなく隠して、貰おう
ーーセリオス
買っていた狐面を彼の頭に被せる
君にあげるよ
セリオス・アリス
双星
別の世界の祭りとは違って
これはこれで面白れぇよな
狐の面を興味深々で眺めたり
アレス!見て見ろよ
果物なのに飴だぜ!
えっ買ってくれんの!?
…じゃあ一番デカいリンゴだな
アレスはどれにするんだ?
ふーん、そういう事なら仕方ねえな
分けてやるよと自慢げにご機嫌で
ん~!うまい
ほら、アレスも食えよ!
ずいっと口元へ持って行く
アレスがうまそうにしてると二倍うまく感じるな
あ、酒もあるな!
いいじゃんちょっとだけだって
…むー
渋々受け取り口をとがらせ
…だって酒じゃねえんだろ?
…!なんだこれうまいな!?
ほらアレス!
自分の持ってる甘酒をアレスに飲ませようと
へっ!?これ…最初に見てたやつじゃん…
お面を大事に撫で
ありとな、アレス
立ち並ぶ屋台に、空を赤々と灯す稲荷提灯。
光に照らされて参道を並び歩む、灰白色の浴衣を身に纏ったアレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)と、紺に星散るのセリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)の浴衣は、帯がアレクシスの浴衣と揃いの柄だ。
「別の世界の祭りとは違って、これはこれで面白れぇよなー」
キョロキョロと周りを見渡すセリオスは、色んなものに目を留める。
先程は狐面を興味深々で眺めていたかと思えば。
「アレス! 見てみろよ、果物なのに飴だぜ!」
今度は飴屋を指差して、黒曜石のように滑らかな髪を揺らしてアレクシスに振り向いている。
「果物の飴か。――セリオス、どれがいい?」
彼の輝かんばかりの花笑みに、僕が買うよ、とアレクシスは眦を下げて。
「えっ買ってくれんの!?」
どれにしようかな、と更に瞳を輝かせたセリオスは、改めて真剣に飴と向かい合い。
ぴかぴかと宝石のように輝く飴に閉じ込められた果物を見やる。
みかんに、ぶどうに、あんずに、いちごに、りんご。
「……じゃあ一番デカいリンゴだな。アレスはどれにするんだ?」
「ん、…僕? ……僕には、丸々全部は多いからね。君のを少し貰ってもいいかな?」
――と、言うことにしないとセリオスは納得をしないだろうから。
古くから続く彼との付き合いの中で、アレクシスは彼のあしらい方が随分と上手くなったものだ。
「ふーん、そういう事なら仕方ねえな……、分けてやるよ!」
それは次がれたアレクシスの自慢げでご機嫌な声音が、何よりも証明しているようだ。
早速りんご飴を齧ったセリオスは、上機嫌のまま。
「ん~!うまいっ! ほら、アレスも食えよな!」
実に美味しそうに食べるものだ、と瞳を細めて眺めていたアレクシスの口元へと差し出されるりんご飴。
「うん、じゃあ一口……」
セリオスに勧められるがままに、アレクシスもりんご飴を一口。
ぱり、しゃく。さく。
表面の飴が砕け、りんごのさっくりとした噛みごたえ。
「美味しい」
「そうだろ、そうだろー」
アレクシスの答えに、セリオスは口端を満足げに擡げて笑い――。
次の瞬間には、また別の物を見つけている。
「あ、酒もあるな!」
「え? だーめ。君、呑みすぎちゃうだろ?」
そりゃあ、あるだろうけれど。
アレクシスがセリオスの前へと歩み、一歩前を歩む事で酒屋に突撃しようとしたセリオスの動きをブロック。
「いいじゃん、ちょっとだけだってー」
「だぁめ」
重ねてアレクシスはセリオスを止めながら、店主に注文を告げ。
「……こっちで我慢、ね?」
そうして枡に注がれた、とろりと白濁した液体。
――甘酒を、アレクシスはセリオスへと差し出して。
「……むー」
納得がいかない、と行った様子で唇を尖らせつつも、渋々枡を受け取ったセリオス。
鼻を近づけてすんと鳴らせば、全くアルコールの匂いはしない独特な香り。
「……だってさぁ。コレ酒じゃねえんだろ?」
「お酒を作った時に出る、残り部分を加工したもの、みたいだね」
自らの甘酒の枡を受け取ったアレクシスは、説明の張り紙を読み上げ。
ふうんと呟いたセリオスが、枡を傾け一口。
「……!? なんだこれうまいな!?」
「それは良か」「ほらアレス! 飲んでみろよ!」
美味しさに感動したのであろう、アレクシスの言葉にかぶせるように甘酒を差し出したセリオス。
「え?」
アレクシスは彼の動きにびっくりしてしまう。
そりゃあ、そうだ。
全く同じものを手にしている相手に、全く同じ物を勧めるのだから。
セリオスは気づいているのか、いないのか。美味しい物をシェアしたい一心なのであろう。
瞳の青に宿る煌めきは、星の如く。
「……そうだね、貰おうか」
自らの枡をさり気なく机の端に置いて、セリオスに気づかれぬように。
セリオスの枡に入った甘酒を一口。
「うん、美味しいね」
「そうだろ!」
花が綻ぶように笑うセリオスに、アレクシスは釣られたように笑みを浮かべて。
「――セリオス、君にあげるよ」
彼の頭に、黒い狐面を被せてやった。
「……へっ!? え、これ……」
そう、その狐面はセリオスが熱心に見ていた面。
アレクシスがこっそりと買っておいた狐面だ。
「……ありがとな、アレス」
そうして、セリオスは狐面を大事そうに一度柔く撫でて。
擽ったげに、笑った。
「どういたしまして」
首を小さく傾いで、アレクシスも笑みを零した。
セリオスが嬉しいと、アレクシスも嬉しい。
アレクシスた嬉しいと、セリオスも嬉しい。
祭りの夜は、まだまだこれから。
さあ、次は何をしようか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ギド・スプートニク
f04551/シゥレカエレカと
👘
振る舞われた酒を片手に、彼女の着付けが終わるのを待つ
その姿に一瞬だけ目を奪われるが、すぐに何もなかったよう平然と振る舞う
彼女の世辞には「そうか、ありがとう」と答え
和の装いはどうにも慣れぬな
感想を求められれば素っ気なく褒め
酒について尋ねられれば振る舞われただけだと答える
大丈夫か?
エンパイアの酒は割とアルコールが強い印象があるのだが
調子よく飲み始めてしまう彼女
ふらつく翅を見れば、言わんことではないと溜息ひとつ
それ以上飲むのは流石に宥めて
どうしたものか
巾着袋にでも入れておいた方が安全だろうか
上機嫌な彼女をそっと抱きかかえ、そのまま祭りを闊歩する
シゥレカエレカ・スプートニク
夫、ギド/f00088と
👘
そう、この服、ユカタって言うのよね!
お友達にキモノを教えてもらったとき、自分でも調べたの
外世界の人間でも上手く着こなせるかしら、
…
……
ああ…っ
格好いい…っ
もうっ、ギドってば本当に何でも似合っちゃうんだから!
ギドの凛のした雰囲気にユカタの涼しげなシルエットが相まって…
やーんっ
……あっ、ギド何飲んでるの?この世界のお酒?
へえ…わたしも貰ってこようかな
ええ、ええ、ほんの一杯だけにするわ!
だって、飲んだことないんだものっ
あ、これ、おいしい…飲んだことのない味…
おいしいね、ギド
どうやって作るのかしら…
ま、まだこれくらい大丈夫だもん
ほら、こんなに飛べるし!
だからもう1杯…だめ?
昏い市松柄に蝙蝠柄の浴衣に、灰の角帯。
稲荷提灯も賑々しく輝く、参道の入り口で、振る舞い酒の枡を口に寄せたギド・スプートニク(意志無き者の王・f00088)は凛と立っていた。
「ご、ごめんなさいっ、ギド。――お待たせしちゃったかしら?」
そこへ慌てた様子で翅で風を切りながら、ギドの胸へと飛び込んできたのは――。
楚楚と真珠めいた白に青のライン、燕柄の浴衣。赤と黄の半幅帯を飾るは牡丹。
丁寧に結われて二つの団子に纏められた髪は簪があしらわれて、白く細い首筋が覗いている。
シゥレカエレカ・スプートニク(愛の表明・f04551)は、ギドにぶつかる直前でホバリングをして、彼を見上げた。
「いいや」
――美しいものだな。
ほんの一呼吸の間だけ彼の冴えた空色の瞳が揺れたのは、自らの妻に見惚れてであろうか。
素っ気無くも響く、ギドの返事に。
「えっと。髪の毛を結うのに時間がかかっちゃって、ごめんなさい……あっ、そうそう、この服、ユカタって言うのよね!」
いつだったか、びいどろの金魚に教えてもらった事を思い返しながら。
シゥレカエレカは落ち着かなさげにくるくると、言葉を紡ぎながらギドの周りを飛び回る。
「その、お友達にキモノを教えてもらったとき、自分でも調べたのよ。……外世界の人間でも上手く着こなせるかしら、って……。どう、変じゃないかしら?」
くるくる、ぱたぱた。
ああ、彼女はどうにも落ち着かない。
「よく似合いだ、良いものを選んだな」
落ち着けない。
ああ、だって、だって。
「そう? そうかしら、ふふ。ありがとう!」
そこまで言葉を紡いでから、シゥレカエレカはくるりと後ろを向いてしまう。
褒められた事は、勿論、勿論嬉しくて。
頬がぽぽぽと燃えている事も、感じているけれど。
両頬を掌で抑え込んで、ああ、もう。
なんて……。
なんて…………っ。
「………………ああ……っ! なんて、なんて、なんて、格好いいのかしら……っ!」
我慢出来ずに。
もう一度くうるりと回ったシゥレカエレカは、ギドと視線を合わせて。
「もうっ、もうっ、ギドってば! 本っ当に、何でも似合っちゃうんだから! ギドの凛のした雰囲気に、ユカタの涼しげなシルエットが相まって……やーんっ」
「そうか、ありがとう。……和の装いはどうにも慣れぬがな」
ふるふると顔を左右に降って、やんやん。
照れながらもべた褒めしてくるシゥレカエレカに、ギドは平然とした様子でもう一口枡酒を啜り。
はた、と顔を上げたシゥレカエレカの瞳に宿ったのは、好奇心の色。
「……あっ、ギド何飲んでるの? この世界のお酒?」
「ああ、振る舞い酒だそうだ」
「へえぇ……、わたしも貰ってこようかな?」
この世界には、妖精サイズの合わせた飲み物は無いだろう。
貰ってくるとすれば小さなカップを用意してもらったとしても、彼女の身体に対しては随分大きめのサイズになるだろう。
ならば、自らとシェアするほうが未だマシだろうか。
ギドは少しだけ瞳を細めて、少し考えてから自らの持っている枡を差し出した。
「――大丈夫か? エンパイアの酒は割とアルコールが強い印象があるのだが……」
「ええ、ええ、ほんの少しだけにするわ! だって、飲んだことないんだものっ」
そう彼の小さな妻は、とてもとても好奇心が旺盛なのだ。
だからこそ彼女は、ギドの妻と成ったとも言えるのだろうけれども。
大きな枡を両手で抱えると、シゥレカエレカは口を付けて、一気に傾けて――。
「あ、これ、おいしい……、飲んだことのない味だわ」
さらりとした飲み口。
透明度の高い日本酒は、果物にも似た香りをふうわりと漂わせている。
「うん、うん。おいしい、一体どうやって作るのかしら……?」
こく、こく。
元よりギドが飲んで減っていたとは言え、枡の中身がどんどん減っていくのが見える。
「……大丈夫か?」
すっかり空けられてしまった枡を受け取ると。
ギドはもう一度、同じ言葉を重ねて。
「ま、まだこれくらい大丈夫だもん、ほら、こんなに飛べるし!」
力強く宣言したシゥレカエレカの瞳は、ギドを見つめたままとろりと据わっている。
飛べるし、といった割りには飛び立つ事も無く。
翅をその場ではためかせたまま、ギドの掌の上へとぺてりと落ちるシゥレカエレカ。
「だからもう1杯……だめ?」
「……その有様で許可をおろせるわけもあるまいよ」
「んーっ、残念ーっ」
何故か楽しげに翅をぴぴぴと揺らす彼女に肩を竦めたギドは、彼女をそっと抱きかかえて。
――どうしたものだろうか。
この祭の中ならば、彼女を休めるのに良い物でも売っているかもしれないな、と。
そうして彼は、シゥレカエレカを抱いたまま。
石畳に草履の足音を響かせて、祭りの只中を歩みだす。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『まっしろピヨすけ』
|
POW : 超もふもふもーど
全身を【膨らませてめちゃくちゃモフモフな状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : もふもふあたっく
【もふもふ体当たり】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : もふもふソルジャーズ
レベル×1体の、【額】に1と刻印された戦闘用【ミニまっしろピヨすけ】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
イラスト:Miyu
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●異変
「ひよこ、ひよこはいかがかね。可愛いひよこだ」
賑々しい祭りの中、不思議と通る客引きの声。若い男の声。
彼の引く屋台に詰まっているのは、白い鳥。
「――まあ、要らずとも寄越すのだけれどね」
おいき。
声を掛けられ、小さな鳴き声をあげた彼らは――。
ひよ、ひよ、ひよ。
「うわっ! なんだこの鳥共は!」
「止めなさいよ!」
一斉に飛び立つと、祭り中の食べ物を『食い荒らし』始めた。
猟兵達は、理屈でなく理解ができる。できてしまう。
今こそ食べ物に夢中であるが、この鳥達はオブリビオンで。
――食べ物が無くなった後に、次に彼らが食い荒らし始める物は――。
賑々しく集う、人間たちであろうと。
レイラ・アストン
プロメテさん(f12927)と
あら。ひよ、こ…?
ひよこというよりシマエナガに似ているような
ただの可愛らしい鳥なら
もう少し眺めていたいところだけれど
「プロメテさん、行きましょう」
オブリビオンを放置はできないもの
…動物好きな彼女には、少し気の毒だけれど
前衛はプロメテさんにお願いして
私は『オーラ防御』を展開しつつ
『逃げ足』で素早く後ろに下がるわ
友達の背中を守る為にね
敵群の位置を『見切り』
プロメテさんの攻撃から逃れた個体を
延焼に気を付けながら
【ヴァルプルギスの篝火】で焼き払っていきましょう
本当に、ただの可愛らしい鳥ならよかったのに
もふもふに埋もれて幸せそうな
友達の姿を眺めていたかったわ
…なんてね
プロメテ・アールステット
レイラ殿(f11422)と
ひよこ屋に吸い寄せられそうになる(無自覚な動物好き
では一羽…いや、家には猫と犬がいたな
特に猫達は仲良くできるだろうか…
真顔で考えかけるも、レイラ殿の声で我に返る
「そ、そうだな…オブリビオンとは暮らせないし」
レイラ殿、私の後ろに下がって
何があっても貴方を守る
…大事な友達だから
【トリニティ・エンハンス】で防御力を強化
『戦闘知識』『地形の利用』を活用、前衛として立ち回る
レイラ殿を『かばう』
敵の攻撃を『武器受け』、『怪力』で『なぎ払い』
レイラ殿を狙う敵を優先、炎の『属性攻撃』『範囲攻撃』で『鎧砕き』
彼女の炎が私を導いてくれる
だから迷わず戦える
…可愛いけど
でも、手加減はしないぞ
榛・琴莉
祭荒らしとは、無粋極まりないですね。
捨て置くわけにはいきません。が…
全く、浴衣が汚れたらどうしてくれるんですか。
せっかく着付けてもらったのに…
仕事ですよHarold。
今日はコートではなく浴衣ですが、袖口から飛び立つ位なら支障はないでしょう。
向かって来たヒヨコに、【武器改造】で針に変化させたHaroldをUCで放ち【串刺し】に。
一撃で仕留めたなら良し。
足りないならば【2回攻撃】で確実に。
何方かと協力できる状況ならHaroldを分散させて針の数を増加。
細くなった針では縫い止めるのが精々ですが、その分、多くを足止め出来れば上々です。
物理的な攻撃手段であれば、Haroldごとで構いません。
戻りますので
レパル・リオン
ルクちゃん(f14346)と一緒!
んー?ひよこ?何の騒ぎー?
…げげーっ!そういえば怪人(オブリビオン)が出るんだったわ!
…忘れてた!
お祭りが台無しになっちゃうのは残念だけど…人が傷つく方がガマンできない!
【猟兵放送!】で現場を撮影して、空に浮かべた巨大モニターを通して生中継!一般人に呼びかけて、避難してもらうわよ!
お祭りに来てるみんなー!白いひよこの怪人が現れたわ!食べ物をオトリにして逃げてー!
避難ついでに応援をもらってパワーアップ!浴衣が汚れる前にやっつけるわよ!
うっ、動きづらい…!キックは難しいけど、パンチならできるっ!うおおおっ!
ルク・フッシー
レパルさん(f15574)と一緒に
あ…ひよこのオブリビオン!
食べ物が襲われてるだけで済んでるウチに、倒さないと…!
折角の浴衣を汚すのもしのびないです…が、人々を守る方が大事です!
ぼ、ボク達が相手です…!
と、とにかく落ち着いて戦いましょう…【花宴描画】で絵筆を塗料の花びらに変えて操作し、召喚されたオブリビオンをそれぞれ花びらで取り囲み、合体前に各個撃破していきます
レパルさんや他の猟兵の皆さんを攻撃に巻き込まないようにしないと…浴衣を塗料まみれにしてしまってはいけないですから…
稲荷提灯に落ちる、幾つもの白い影。
――ひよこはいかがかね。
「あら。ひよ、……こ……?」
レイラがレンズの奥の蒼を、夜空へと向ければ。
一斉に飛び立ち始めた白い大福のように膨れた鳥たちが、空を埋め尽くさんばかりに飛んでいた。
鳥達の狙いは、屋台に立ち並ぶ食料。客たちの手に持った食料。
レイラは瞳を瞬かせて、聞こえてきた声をリフレイン。
ひよこ。
え、でも、この鳥達って――。
「ひよこというよりシマエナガに似ているような……」
「……うん?」
ひよこ売りの言葉に、反射的にプロメテの脳裏に過ぎったのは、あの小さな洋館の姿であった。
放浪癖を持つ吟遊詩人の代わりに、自らが管理するあのお家。
ベッドの上で眠る小さな子猫たちに、母猫。
そして庭を駆ける黒い柴犬の姿。
……ひよこか。
一羽連れて帰るのも一興だろうが、家は既に先住民たる彼らも居る事だ。
ひよこ、ひよこか。
猫とひよことは、仲良くできるものだろうか。
あの好奇心旺盛な子猫たちが、ひよこに襲いかからないとも限らない。
そうなると……。
「プロメテさん、行きましょう」
真顔で考え込んでいたプロメテに、声をかけたレイラ。
プロメテはっと我に返って、瞬きを二度重ねて。
「……そ、そうだな。これはどう見てもオブリビオンだものな」
どれだけ可愛くとも、オブリビオンとは、一緒には暮らせない。
倒すべき敵だ。
「……」
レイラが見た限りでは、プロメテのその感情の薄い表情には、大きな変化は無いが。
――自覚は無いようだが、動物が好きなプロメテが少し気の毒だとレイラは思う。
これがただ可愛らしいだけの鳥であれば、もう少し眺めている事もできただろうに。
しかし。
このオブリビオンを放置すれば、好ましくない未来が待ち構えて居る事も。
レイラには瞳に見えて理解ができてしまうのだ。
「レイラ殿、私の後ろに下がって」
ルーンソードを抜いたプロメテが、掛ける声のままに。
レイラは伏せた蒼を一度細めて、防御の力を宿して、プロメテの背後へとバックステップを踏んだ。
――何があっても貴方を守ろう。
――あなたの背中は、私が守りましょう。
貴方は。
あなたは。
大切な友達だから。
白い白い鳥を、真っ直ぐに見やり――。
ひよ、ひよ、ひよ。
近づいてくる大量のオブリビオンの気配。
「あ……、オブリビオン!」
慌てた様子でルクはレパルを庇うように、彼女の前へと出て大きな絵筆を前へと差し出して構えた。
「そういえば、怪人が出るんだったわね!」
ルクの後ろで、げげげっ、忘れてた! なんて。
口を覆って驚いたレパルは、むむーっと眉根を寄せて。
「――お祭りが台無しになっちゃうのは残念だけど……、人が傷つく方がずっとガマンできないわ!」
決意に瞳を燃やしたレパルの身体から出て来た、謎のエネルギーが膨れ上がる。
彼女の言葉にルクはコックリと頷いて。
「は、はい……! 折角の浴衣を汚すのもしのびないです……が、人々を守る方が大事ですっ……!」
ひよひよひよ。
目の前の屋台に襲い掛かり、食べ物に向かって暴虐の限りを尽くしだしたまっしろのピヨすけ達に。
ルクは絵筆を大きく振るってその筆先に塗料を宿し、キリリと敵を睨めつけた。
「ぼ、ボク達が、相手ですっ……!」
彼の言葉と同時にレパルより漲った力が、膨れ爆ぜた。
そうしてレパルの後ろに浮かび現れるのは。
複数の巨大モニターとそのモニターに生放送を行うための設備たちだ。
「あー、テスト・テスト」
1カメオーケー、2カメはどう?
レパルはカメラ目線で、ウィンク一つ。
準備はオーケー。
――さあ、放送開始よ!
「お祭りに来てるみんなー、御機嫌如何? 早速だけど、白いひよこの怪人が現れたわ! 今持っている食べ物をオトリにしてひよこから離れてーっ!」
巨大モニタに映し出されたレパルは、祭り客達に大きな声で呼びかける。
一般人達に被害が及ばぬように、願うように。
「い、行きます……!」
一気に踏み込んだルクが大きく絵筆を振るうと、跳ね飛ばされるように塗料の花弁が舞った。
白い鳥達が、行き交う屋台立ち並ぶ参道。
幸い鳥達の興味は、今はこちらには無いようだから。
少しばかり目立つ位置に行っても大丈夫だろう。
逃げる人々の波に逆らって、琴莉は下駄を鳴らして塀の上へと飛び乗る。
「しかし、祭荒らしとは、無粋極まりないですね」
遮蔽物が少ない塀の上はとても視界が良い、琴莉はぐうるり周りを見渡して戦況を確認。
屋台の食べ物、人の持つ食べ物を啄み、突き、飲み干して。
すべてを喰らいつくさん勢いで飛び回る白い鳥たち。
走り回る猟兵達が白い鳥達を倒してはいるが、その数は膨大だ。
まるで畝る白い雲のようにも見える、鳥たちの数。
「捨て置くわけにはいきません、……が」
――全く。
折角着付けてもらったというのに、浴衣が汚れたらどうしてくれるつもりだろうか。
表情筋の動きは少なく、いつもの無表情で小さく片眉を上げた琴莉。
そうして腕を掲げると、浴衣の袖口が秋風に揺れた。
「仕事ですよ、Harold」
風をはらんで揺れる袖より、小さな呼びかけに応えた小さなUDC達。
水銀色のとろりとした何かは、何羽もの成り損ないの鳥を形づくれば袖口より羽ばたき飛んで。
その形が、ぎゅるりと捻じくれた。
琴莉の登った塀の上からは、戦う仲間たちの姿もちらほら見える。
ならば、数を増やして足止めする方が彼らの為にも成るだろうと。
琴莉は鳥もどき達を大量の針へと転じさせて――。
「……では、速やかに終わらせましょうか」
琴莉の号令一つ。
白い鳥達に、銀の針雨が降り注ぐ!
ルクの花弁を避けて、彼へと迫っていた鳥が地面に一斉に縫い留められ。
「あ、ありがとう……っ」
礼を口に。ルクが大きく筆を振るえば、針の筵と化した白い鳥達が塗料に色づく。
その後ろでジャンプしようとして、変なステップを踏んでしまったのはレパルの姿だ。
「うっ、動きづらいわ……っ」
浴衣がはだけないように気をつけると、どうにも変な動きになってしまう。
「でも、パンチならできるもの! うおおおおおっ!」
レパルはうーっと唸ってから低く低く身構えなおすと、針に捉えられた鳥達を叩き伏せ。
鳥が倒れれば、繋ぎとめていた針は蕩けて琴莉の袂へと帰りゆく。
水銀のような不定形。
少しくらい猟兵の攻撃に巻き込まれたって、その形は戻るもの。
「まだまだ仕事はありますよ、Harold。――次です」
「怪人を全部倒すわよっ!」
銀の鳥もどきが太い針と化して、琴莉の号令に従って鳥を串刺し。
大きく腕を振るったレパルが元気に鳥を叩き落とす。
「……き、気をつけよう……」
ふるると首を振るったルクが、絵筆をぎゅっと抱きしめて頷く。
……もし間違えて彼女たちの浴衣を、この塗料で汚したりしたら。
彼女たちが嫌がる事は勿論だけれど、――あの綺麗な浴衣を汚す事はとてもルクにとって嫌なことだから。
餌を一心に喰らう鳥たちも、攻撃を行われれば猟兵達へとその嘴を向ける。
「はっ!」
弾丸のような速さで体当たりを行われたとすれば、その相手がどれだけもふもふまふまふの身体でも痛いものだろう。
こちらへ向かってきた鳥に対峙したプロメテはルーンソードに炎を宿して一匹目を薙ぎ払うと、続く鳥達が連なってこちらへ向かってくる姿に金色を少し眇めた。
「少し借りるぞ」
そして足元に落ちて転がっていた、大きな鍋を後ろ足で蹴り上げると逆の手で掴み上げ。
すこここここん。
続きカッ飛んできたピヨすけ達の突進を、その大きな鍋で受け止め切り。
「――篝火よ」
重ねて。
プロメテの背後に立っていたレイラが力を籠めれば、優しい色の炎が鳥たちを躯の海へと焼き尽くし還し。さらさらと砂のように溶け消え行く。
「ありがとう、レイラ殿」
プロメテが短く礼を重ねれば、レイラは小さく首を振って。
――この大量の鳥たちが、本当にただの可愛らしい鳥達であれば。
もふもふに埋もれて幸せそうな友達の姿を見ることもできただろうに。
「……なんてね」
自分の想像に肩を竦めたレイラは、こちらへ向かい来る敵を真っ直ぐに見つめてバックステップを踏んだ。
「……フッ!」
彼女と入れ替わり一気に踏み込んだプロメテは短く鋭い呼気を吐いて、炎纏うルーンソードを敵群へと叩き込む。
レイラの篝火は、プロメテにとって導きの炎だ。
どれほど敵が、可愛くとも。
どれだけ敵に、囲まれようとも。
――背を守り立ってくれるレイラの炎が、プロメテを導いてくれるだろうと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
はぁ……騒がしいというか、なんというか……
数が多いのは厄介ですね。群れてるのも好きじゃないですし……
……間違っても攻撃しづらいなどと言わないでくださいよ(念を押す)
見た目でどうこう思うことはありませんので、焼きましょう
お祭りですし、焼鳥にするのがちょうどいいんじゃないですかね
まぁさすがに食べられはしないでしょうけど
『焔喚紅』から黒炎を喚び、目に付く個体を焼いていきます
呪詛と全力魔法で鳥だけに高火力を喰らわせていきましょう
あまり数が多い場合は、
炎で追いやりオルハさんの攻撃範囲まで誘導しトドメをお任せしましょう
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
騒がしいのはあっちだね
きっとオブリビオンだよ、行こう!
か……可愛い!!とってももふもふ!
しばらく見……
うう。わかってるよ、攻撃するからー……
焼き鳥(唖然)
それならさっき売ってた分で十分じゃない?
って私の話聞いてないよね?
合わせるしかないかっ
あの子達の体当たりならむしろ歓迎なんだけど
ヨハンの視線が痛そうだから真面目にやらなきゃ
【範囲攻撃】で多くのもふもふを一気に薙ぎ払い
食べ荒らしを阻止するように、
【武器受け】で嘴から食べ物を守りつつ
手分けして効率よく退治していこう
炎で追いやられた子達は私が槍で手厚く葬るね
食欲旺盛なのはいいことだけど、これ以上はだめ
悪く思わないでね
「か……、可愛い!! とってももふもふ!」
ふかふかもこもこのピヨすけ達が屋台に群がる姿に、獣の耳をぴーんとアンテナのように立てたオルハが瞳をぴかぴかに輝かせる横で。
鳥の蛮行にわあわあと怒っていた店主が、どんどん集まってくる白鳥の勢いに諦めて避難を始める。
――それで良い。そうでなければ、人を守りながらなんて戦いづらくて仕方が無いだろうから。
ヨハンは肩を竦めて、視線を伏せ。
しかし、しかしだ。
「はぁ……」
ゆっくりと視線を上げたヨハンは、群がる鳥たちに眉根を寄せる。
どんどん増えて、白鳥タワーになりつつある屋台。
「騒がしいというか、なんというか……」
何にせよ、数が多いのは厄介だ。
それに群れている様子が、ヨハンは得意でも無い。
「ヨハン、ヨハン、可愛いよ! しばらく見てても……」
「……オルハさん」
めろめろな声を上げるオルハに、ヨハンは嗜めるような視線を向け。
「間違っても攻撃しづらいなどと言わないでくださいよ」
念押しの言葉。
可愛さに流されない平時通りのヨハンです。
「……うう。わ、わかってるよー、攻撃するからー……」
紅色の浴衣を揺らしてオルハもいつもの得物――特注の三叉槍を構えると、渋々頷き。
「はい、どうも。解ってくれているのならば、いいですよ」
ヨハンの銀指輪の上で、煌々とゆらめく炎を封じた紅石が力を揺らす。
そう、ヨハンは平時通り。
敵が可愛らしい見た目をしていたとしても、ヨハンが心動かされる事は一つとして無い。
「さて。お祭りですし、焼焼鳥にするのがちょうどいいんじゃないですかね」
「えっ、や、焼鳥……?」
な、なにをいいだすの! って顔。
オルハがぴょんと耳を立てて、唖然とした様子で呟いた。
「まぁ、さすがに食べられはしないでしょうけれど」
「それなら、さっき売ってた分で十分じゃない? え、ヨハン私の話きいてる!?」
きいてない。
石に渦巻く炎は煤よりも、黒く燃えあがり。
「うう、合わせるしかないかっ!」
炎が爆ぜるに合わせて。
オルハは大きく踏み込むと、屋台に群がる鳥達へと槍を円を描く形で薙ぎ払う!
ヨハンの放った炎は巡る魔力も十分。
強い呪詛の籠もる力ある炎ではあるが、それはユーベルコードの力が巡り切った炎では無い。
ぴっ!
黒焦げとなりつつも。
何とかその身体を保ったピヨすけが、ふかふかの羽毛の奥からオルハを睨めつけて――。
最後の力を振り絞って、ぴぴぴぴぴと懸命に羽根を羽ばたかせて飛び込んでくる!
か・かわいい~~~!!!
こんなに可愛い体当たりならオルハ的には歓迎ですらあるのだけれど。
わざと受けたりしたらヨハンの視線が冷え切ってしまう事は、想像に難くない。
「よっと!」
真面目にやらなきゃね、と。
身軽に跳ね避けたオルハは、槍を支点にくうるりと回って。
勢い余って壁に激突すると跳ね返ってきたピヨすけをぽーんと蹴り上げた。
やわらか~い。
重ねて、屋台の裏側に居た鳥たちがオルハへと向かって一斉に羽ばたいて――。
「オルハさん、そのまま3歩後ろへ」
「えっ、うん!」
ばらばらと襲いかかってくるピヨすけを槍であしらいながらオルハは、ヨハンの言う通り、いっぽ、にほ、さんぽ。
その瞬間。
黒い炎が蛇のように捻じくれてオルハの頭と目前スレスレを駆け抜けていった。
追い立てられるピヨすけ達。
「そのまま前に」
「うん!」
ヨハンの意図を理解したオルハは、大きく頷いて炎を追うように駆ける。
暴れる黒い炎は、食事を貪っていた鳥達を逆に喰らう蛟のように。鳥を追い詰め、目の前の袋小路へと追いやって――。
「食欲旺盛なのはいいことだけど、これ以上はだめだよ!」
勢いを付けて一気に地踏み込んだオルハは、三叉槍を高く高く振り上げて。
「悪く思わないでねっ!」
一箇所に纏められた鳥達を、一気に貫いた!
溶け消える鳥達。
アンテナみたいにぴーんとはられたオルハの耳が、遠く聞こえる騒音にぴぴぴと揺れた。
「……ヨハン、むこうがまだ騒がしいよ。行こう!」
と、駆け出そうとした瞬間。
慣れぬ草履という事もあってか、地面のヒビに足を引っ掛けたオルハ。
「っと、確認もせずに突然走るな。危ないでしょう」
やれやれ、と彼女を受け止めたヨハンは。――なんとかよろめかなかった。
セーフ。ちょっとは体力がついている。
「わ、わわっ、ご、ごめんねっ」
そうして二人は次の戦場へと向かい、歩みだし――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雲烟・叶
おや、見た目だけは平和な顔してえげつない
でもまあ、分かりやすい敵ですね
今宵は五穀豊穣を祝う善き祭りの日ですからねぇ、おいたはちと無粋じゃあねぇですか
数も多いし仕方ねぇですね、狩りと行きましょ
──おいで、お前たち
身に纏う煙がぶわりと広がって、主人の【呪詛】の力を得て溢れ宙を駆け出す管狐の群れ
おいでおいでと【誘惑】で誘き寄せ、或いは【恐怖を与える】で恐慌させ、爪や牙、呪炎で喰らいつく
飛ぼうが追い付きますよ、彼らは身軽なんで
おや、大元の自分を仕留めようと?
……残念でした
彼らの使役者が、何故弱いと思うんです?
【カウンター、呪詛、生命力吸収、吸血】
これでもね、黒靄のない鮮やかな景色の方が好きなんですよ
客の持っていた、豆菓子を浚い。
屋台に並ぶ串焼きを突き齧る、悪食の白い小鳥達。
ぴぴぴと交わす鳴き声は一匹ずつはそうでもなくとも、コレほどの数が鳴けばもはや騒音である。
「今宵は五穀豊穣を祝う善き祭りの日ですからねぇ、――おいたはちと無粋じゃあねぇですか?」
手には団扇を持ったまま。
その足取りには焦りの一つも見えぬ叶が、神社の境内より歩み下りて。
鳥達に尋ねてはみるが、返事はその留まる事無き暴食のみ。
平和な顔をしてやることはえげつない小鳥達に、煙くゆる長煙管を大きく吸い込んだ叶は長く長く息を吐いて。
――おいで、お前たち。
身に纏った白煙がゆらりとたなびき、宙を駆けるように。
ぐるりぐるり、叶の周りを羽ばたくように流れる煙が実体を持ち、形を成す。
それは狐。
煙より姿を現した管狐の数は、36匹。
「さあ、御馳走だ。祭りの夜を楽しんでおいで」
コン。
遠く響くは、止まらぬ祭り囃子。
妖怪変化が現れようと、神に捧げる神楽は止まらない。
呪炎を燃やし、爪を剥き。管狐はピヨすけへ達へと喰らいつく。
ひよひよ、ぴぴぴ。
仲間たちが喰らわれる様に、ピヨすけは更に小さなピヨすけ達を侍らせて――。
「おや、こちらに向かってくるだなんて。大元の自分を仕留めようと?」
健気ですねぇ、と小さく笑った叶は白煙をふうと吐きかけた。
――残念でした。
「彼らの使役者が、彼らより弱い訳がないでしょう?」
蝕む煙。
呪詛に満ちた煙。
空中で動きを留めた鳥を、長煙管でてん、と払い落とす。
風に溶ける砂のように、倒れた鳥達は溶け消えて。
「これでもね、黒靄のない鮮やかな景色の方が好きなんですよ」
ああ。
あの色に満ちた参道の悲しい事よ。
叶は、煙を燻らせて。
成功
🔵🔵🔴
佐那・千之助
※酒により半吸血鬼化
吸血衝動+記憶障害+紅眼
友とはぐれ別行動
先程とは別人の様
冷徹な紅眼巡らせ
曖昧な記憶さらえば耳に残る声
千之助とは誰の名か…
童の焼き魚を食べる鳥を発見、鳥鷲掴み
童は沢山食ってせいぜい血を増やしておけ(童逃がす
今は此れで飢えを凌ぐか
…。毛が邪魔で牙が届かぬ
可愛い等という感性は持ち合わせておらん
容赦せぬ。悪く思え
超もふ:放置→萎んだ直後焼く
もふ当:第六感で避け焼く
もふソ:召喚主を焼く
怪我人:血を無駄に流すなと夢見鳥で癒す
血の為に動く冷血漢
結果的にいい人ムーブ
戦闘後
不意に指先に触れた帯飾り
冷えた感触でか括り付けた守り石の魔力か
友の記憶が押し寄せ瞳に正気を取り戻す
焼き鳥だらけ…一体何が
歩む下駄の音は、幽鬼のように。
アメジストの瞳は冷徹たる血色の瞳に染まり、冴え冴えと。
酒精に曖昧に溶けた記憶。
耳に残る音、声。――千之助?
ああ、誰の名であっただろうか。
私は、――……。
わぁん、わあん。
そこに響いた泣き声。
見れば、参道に立ち尽くした子どもが一人泣いている。
子どもの持った焼き魚を齧る、白い鳥。
恐ろしくて逃げる事もできなくなってしまったのであろうか。
「……ああ、童よ」
ひょい、とその鳥を掴んだ千之助はびくりと肩を跳ねた子どもを見下ろして。
「沢山くって、精々血を増やしておけ。それはお前のものだ。ほれ、行くが良い」
酷く喉が渇いた気がする。
千之助が白い鳥をそのまま齧ると、ぴゃっと肩を跳ねた子どもが更に大泣きしながら逃げていった。
礼も言わず失礼な奴だが、まあいつか良い血になるだろう、と。
思う間も無く、千之助には困難が待ち受けていた。
「――羽毛が邪魔で牙が届かぬな」
ふこふこに成ったピヨすけは、実質無敵。
噛めない飲めない、口の中は毛まみれ。
「……ふうん」
噛めぬピヨすけを握ったまま鼻を鳴らせば、ころりと下駄の音を響かせて千之助は歩みだす。
西に転んだ少女がいれば。
「何だおぬし、無駄に血を流しおって。勿体無いな」
血の為に癒やして感謝され。
東に鳥が群がっていれば。
「邪魔だ」
地獄の炎が鳥達を焼き尽くす。
血に飢えたダンピール――、酔っ払った千之助は友とはぐれ。
求める血が為に、移ろう記憶も定かで無いままに。
本人の自覚とは離れた場所から結果的に正しい行為を繰り返す。
「……またおぬしらか、いい加減しつこいものだ」
幾度目の鳥退治であろうか。
ぴぴぴと炎に巻き上げられて、焼き鳥と化した鳥が地へと落ちて。
吐息零して、不意に触れた帯飾り。
「……ッ!」
大きく目を見開き、とくん、と身体が跳ねた。
血色が引いて、その瞳に紫が宿り戻る。
「……あ、……れ?」
――それは冷えた感触か、それとも守り石の効果か。
「ここは……?」
兎も角、正気を取り戻した千之助は周りを見渡した。
落ちた黒焦げの鳥。
祭りにきた記憶はあるが、周りに居ない同行者達。
「……一体、何が?」
呆然と呟く千之助。
ええとね、お兄さん酔っ払ってましたよ。
成功
🔵🔵🔴
霧島・ニュイ
華座敷
クロトさん(f00472)と
兄さん、酔い覚まし部屋にでもいるのかなー
…!滅茶苦茶かわいい…!!飼いたくなる可愛さ…!!
いざもふもふ…!!
一般人に避難を促し、食べ物食べ漁ってる所を後ろから
一番大きなもこもこに、うりゃ覚悟しろ、もふっっ
沈みそう、あー心地良い!!
クロトさーん、ヤバいよ殺人級のこの手触り、羽根の圧力っぷり
あー…(間抜けな声を出しながら回収されてく
堪能した所で、残念だけどお仕事
もふーってするふりをし【だまし討ち】
銃を後ろ頭に突きつけて【零距離射撃】
出来るだけ苦しませずに眠らせたいから【2回攻撃】で手数を増やす
おっと…鋼糸?あっぶなー(舌を出し)
巻き込まれないように離れ手腕を拝もう
クロト・ラトキエ
華座敷
ニュイ(f12029)と。
もうお一方…彼は、大丈夫かと気にはなりますが。
ま、突き詰めぬ方が良き事もありますし。
さて。
いすゞの言を借りますなら、『こわーい顔』は祭じゃ不粋。
UC発動。
民に不安を与えぬよう風の魔力を纏うに留め、
意図的に相手のUCを誘発し…
「はーい、失礼しますねー」と敢えて軽い調子で動けないヒヨコを回収回収♪
でもってニュイも同時に回収。
人様の少ない処で存分に、ね?
巻き込む事無いと判断した所でUC解除。
敵以外害しませんとも。
範囲攻撃の要領で広範に鋼糸を舞わせ絡げ。
手首一つで引き斬り断つ2回攻撃。
飢えているのでしょう?
終わりの味、存分に召しませ。
さぁて…
では次は、人探しと参りますか
「うーん。兄さん、酔い覚まし部屋にでもいるのかなー?」
「どうでしょうねぇ」
きょときょと周りを見渡すニュイは、千之助を探す様に。
そこはクロトも気になる所ではあるが、――突き詰めぬ方が良き事もあるだろうとも思う訳で。
そこに、はた、と一匹。
舞い降りたのは白い鳥であった。
「……えっ、なにこれ……滅茶苦茶かわいい…!! 飼いたくなる可愛さ…!!」
胡桃色の髪をぴょんと跳ねさせて、ニュイが瞳を輝かせる。
えー、なにこれなにこれ、もっふもふ!
喜ぶニュイの横で、ゆるく困ったように眉を下げたクロトは空を見上げて。
「……いやあ、飼う訳には行かなそうですね」
柔和な表情のまま呟く言葉。
そう、クロトの言う通り。
またたく間に増えた白い鳥は、空を埋め尽くさんばかりと成っていた。
「えっ、うわー、すっごい! もふもふ祭り!!」
そうして一斉に舞い降りて。
人々の食事を浚い、屋台を襲い出した鳥達。
「うーん、――でもこの有様は少し頂けませんね」
その彼らより漂うのは、濃厚なオブリビオンの気配。
いすゞの言を借りるのならば、『こわーい顔』は祭には不粋だとクロトは肩を竦めて。
大きく腕を振るうと風の魔力がクロエに纏われ、その衝撃が鳥達を駆け抜ける。
刹那。
食料を突いていた鳥達は、一斉にふっこり膨らんで地へと落ちた。
――それは彼らの特性を付いた、クロトの機転だ。
「……うわーっ、覚悟しろーっ!!」
ニュイが感動の声を上げて、膨らんで動かなくなった鳥達にダイブ。
覚悟とは何なのか。
「あーっ、最高の羽毛! 沈みそう! クロトさーん、ヤバいよ殺人級のこの手触り、羽根の圧力っぷり……」
そして駄目になるニュイ。もうだめ。
「はいはい。あ、皆さん失礼致しますねー」
かるーくニュイをあしらいながら。
その当たりに落ちていた大きな鍋を拾ったクロトは、膨らんで動かなくなった鳥達をひょいひょいと鍋へと放り込んで行き、ついでにニュイの首根っこも掴んで。
「良いお祭りを~♪」
「あー……」
なんて。
呆気に取られた人々に、手を振り振り去って行く。
えっ、何? って顔をする残された人達。
あれはね、信長をも討伐した猟兵達です。
「……さてと、お料理開始ですね」
少し人々から離れた場所へと移動を行うと、クロトは纏う風の魔力を散らし。
「はー……、残念だけどもふもふ堪能もおしまいかー」
ふこふこを一匹持ち上げたニュイは瞳を細めて、別れを惜しむよう。
「ま。まだまだ沢山居るみたいですから倒しながら堪能すれば良いですよ」
飄々と笑んだままクロトが、手際よく鍋の上に鋼糸をしゅるりと張り巡らせ。
「――飢えているのでしょう? 終わりの味、存分に召しませ」
無敵のふかふかを彼らが解いた瞬間に、手首を返して鋼糸を引き絞った。
ぴ。
鍋ごと、すらりと斬れ落ちる白い鳥たち。
「うぉっと……鋼糸? あっぶなぁ」
ついでにニュイの掴んでいたピヨすけにも鋼糸は巻き付いていたようで、ニュイの掌の上で切られて、砂のように溶け消えた白い鳥。
目を見開たニュイは、べ、と舌を出し。
そうして銃を構えたニュイが、鋼糸の隙間から漏れたピヨすけへと弾丸を二発叩き込んだ。
さっと敵の処理を終えたクロトは手をゆるくはたいて。
鋼糸を巻き上げながら、ニュイを見やった。
「さぁて、……次は鳥を倒しながら、人探しと参りますか」
「あー、そうだねー、兄さんも心配だもんね」
同意に頷いたニュイは、クロトについて歩みだし――――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
月舘・夜彦
【華禱】
ただ食べ物を啄むだけならば微笑ましいのですが
次に彼等が狙うのは人ですからね
倫太郎殿はもふもふが好きなのでしょう
かく言う私も、柔らかな触り心地は癒されます
体が膨らんでいる間は身動きが出来ないようですから触れられそうです
普通の見た目さえ柔らかそうだと言うのに膨らむと綿毛のようですね
そして触り心地も……素晴らしい
倫太郎殿も癒されているようで私も嬉しく
今は危険はありませんが、術を解いた時が問題ですね
残念ながら……だめです
いえ、倫太郎殿が緩んだ顔をされているので揃ってかわいそうに
しかし心を鬼にして倒さねばなりません
堪能後は抜刀術『陣風』にて一掃
私も好きですよ、もふもふ
篝・倫太郎
【華禱】
拘束術使用
や、別に拘束しねぇでも……
動けない状態で超もっふもふだけど
もっふもふだけど!
もふもふ状態で動けないのを存分に堪能……
してもいいかな?いいよな?
(もふもふもふもふ)
ふっかふかだ……
夜彦ーすっげぇもっふもふー
(滅茶苦茶ご機嫌)
や、ほら、動けねぇって事はさ
食い荒らしは出来ねぇだろ?
一応、阻止はしてるってコトでいんじゃね?
ダメ?ダメかー……
え?だって、物凄い微笑ましい、残念なものを見る目で俺の事見てたぞ?
あんた、今……
充分もふもふ堪能したら他の連中がダメージ入れた敵に
華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃してく
敵の攻撃はオーラ防御で防ぐ
え?ふかふかもふもふって触り心地良くねぇ?
倫太郎が見えぬ鎖を引いた瞬間。
その身体を膨らせて、ぼてぼてと地へと落ちた白い鳥たち。
「なあ、夜彦。……これすっげえもふもふじゃねぇ……?」
「そうですね、普通の見た目さえ柔らかそうだと言うのに。膨らむとまるで綿毛のようですね」
夜彦が一匹拾い上げて突くと、この状態ではどうやら攻撃は通りにくそうである。
が、ふっかふかだ。
ふっかふか。
「……夜彦。これ、もふもふ状態で動けないのを存分に堪能……してもいいかな?」
いいよな? なんて萌葱の髪を揺らして首を傾ぐ倫太郎は、きっと止めてもふかふかもふもふするのであろう。
「たしかに、体が膨らんでいる間は身動きが出来ないようですから。触れられそうですね」
倫太郎はこういう柔らかな触り心地が好きなのであろうと、眦を下げて笑う夜彦。
夜彦としてもこのような触り心地は、どちらかといえば好ましいもので。
「ふっかふかだ……、なぁー、夜彦ーすっげぇもっふもふー」
それにとても上機嫌で頬ずりやら掌の中で鳥をふかふかとする倫太郎を見る事も、夜彦としては嬉しき事でもあった。
ちら、と頬にふこふこの鳥を当てながら、夜彦を見た倫太郎。
「なぁなぁ、や、ほらさ。……動けねぇって事はさ。食い荒らしは今出来ねぇだろ? ――これで一応、阻止はしてるってコトでいんじゃね?」
だって今は、ピヨすけ達は動いてないもんね。
ふかふかだし。
なによりふかふかだし。
「――今は危険はありませんが、術を解いた時が問題ですから……。残念ながら……だめです」
ぴかぴかきらきらした倫太郎の瞳を見ていると、ダメというのも心苦しくあるのだか。夜彦は左右に首を振ってきっぱりノー。
「ダメ?」
食い下がる倫太郎。
「ただ食べ物を啄むだけならば微笑ましいのですが……、次に彼等が狙うのは、おそらく人ですからね」
ダメですね、ともう一度左右に首を振る夜彦。
倫太郎はそっかあ、と瞳を細めて。
「ダメかー……、そうだよな。人を襲うのはたしかにダメだよなー……」
眉を寄せ、どこか哀しげに倫太郎は肩を落とす。
そんな彼の様子に、優しく微笑んだ夜彦。
――ぱちぱち。
倫太郎は瞬きをいっかい、にかい。
「……あんた、今。ものすごく微笑ましい残念なモンを見る目で俺の事を見てなかった?」
訝しげな口調で、確認するかのよう。
あ、と小さく言葉を零して。夜彦は苦笑を浮かべた。
「いえ、……倫太郎殿がものすごく緩んだ顔をされていたので、ついかわいそうになりまして……」
倒さなければいけないのは本当に残念ですね、なんて言葉を重ねて。
「……はー。まあいいか、もふもふも堪能したもんな。……そろそろ倒すかぁ」
「ええ、心を鬼にして倒さねばなりませんね」
頷いた夜彦は、刀の柄へと手を添えて。
倫太郎がぎゅっと薙刀を薙刀を握りしめる。
ふかふかもふもふの触り心地は良いものだけれども。
オブリビオンは倒さなければいけないもの。
そうして二人は、無敵モードの解けた鳥へと向かって――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クラウ・ソラス
続けて舞夜(f16466)と
まさか本当に出て来るとは……
一先ずは約束通り《群青の空》で本来の姿へ
さあ遠慮なく振ってみたまえ
ん、キミ前に手を握ったときより随分ごつごつしているね?
え、それで握るつもり――痛い!もっとデリケートに!
引き摺らない…⚔️+1
叩きつけない…⚔️+1
優雅…⚔️+3
刀身に返り血みたいなサムシングすらつけない…⚔️+5
一撃で仕留める…⚔️+10
⚔️…聖剣pt
点数のつけ方は加点方式
痛かったら痛かった分減点(大事)
ポイントの得られない動きにはアドバイスをしよう
そうアドバイス――言ってる傍から叩きつけるんじゃない!いたい!
ん。着物の下には下着を着用しない物――と聞いた
勉強になったな!
望月・舞夜
引き続きクラウ(f18226)と
ほーら、言ったでしょー!
「〈夜魂鎧装〉限定展開・悪魔の腕」(アイテム)を装着!
怪力を発揮。変身したクラウを握って戦うよ!
え、ゴツゴツ? やーほら鎧だからさぁーっていうか女の子の手に何言うの!(ごりごり)
うわ可愛くて斬りにくーい……ってワケにもいかないか。ゴメンネ、ヒーローの務め!
ふんふん、なるほど……てやー!(一刀両断)(+10pt)
って、えー、なに、剣筋が乱暴? 返り血?
注文が多いなぁ――こう?
※
言われたことはさらっとこなす天才肌
浴衣のままだが器用な足運び
戦闘後、裾が乱れ気味なのに気付いて赤くなる
「…………見た?」
「着けてるよっ!!」(放り投げる)(-1pt)
夜空を埋め尽くす白い影。
食物へと向かって一直線に飛びかかって行くまっしろなピヨすけ達。
「え、まさか本当に出て来るとは……」
「ほーら、言ったでしょー!」
ヒーローの勘はよく当たるのだ。
胸を張る舞夜に、クラウは金糸の髪をふるふると揺すって。
「まあ良いさ、そうとなれば約束を果たすだけなのだから」
――我は聖なるもの。我は闇を切り裂くもの。
我が真名を呼べ――。
クラウがその身に力を巡らせれば、彼の姿は解けるように。
身体を一振りの剣、聖剣クラウ・ソラスと姿を変えて。
「はーい、じゃあ行こうか!」
「あれ? キミ前に手を握ったときより随分ごつごつして……」
それもその筈。
舞夜は同時に亜空間より腕部装甲を展開する黒き篭手を腕に纏いながら、聖剣へと手を伸ばしていたのだから。
「え? ゴツゴツ? やーほら、これ鎧だからさぁ」
「エッ、ちょっとまってそれで握るつも……ッ、痛い! 痛い! ゴツゴツしすぎている! もっと優しく! 私はデリケートなのだよ!」
そうして篭手を纏った掌で、きゅっとクラウを握りしめた瞬間聖剣がめちゃくちゃ喚いた。
「っていうか、女の子の手に何言ってるの!? 失礼だよ!」
乙女の主張。舞夜は柄をごりごり。
「あああああ!! 痛い! 痛い! そんな事より聞きたまえ!」
「え、なあに?」
そうして始まるは、クラウの聖剣講座。
引き摺らない……⚔️+1。
叩きつけない……⚔️+1。
優雅……⚔️+3。
刀身に返り血みたいなサムシングすらつけない……⚔️+5。
一撃で仕留める……⚔️+10。
「聖剣ptの点数の付け方は加点方式だよ、痛かったら痛かった分減点するので注意するように」
「え、突然何?」
「そうそう。ポイントの得られない動きには、私が直々にアドバイスをしよう」
クラウの話を聞いているのか、いないのか。
「あっ、敵が向かってきたよ!」
舞夜はこちらへと向かってきた気配に、はっと顔をあげて。
ぴぴぴぴぴ。
可愛い小鳥が、ミサイルの如くこちらへと突っ込んでくる!
「うわ、可愛くて斬りにくーい……。……けど、だからって斬らないわけにも行かないからね、ゴメンネッ!」
それもヒーローの努め、と。
草履で地を踏み込むと、一気に振り斬る形でクラウを振るった舞夜。
「てやー!」
敵を一刀両断(+10pt)しながら、勢い余ったクラウの刃が床へと叩きつけられた。
「いったあああああぁあッ!! 言ってる傍から叩きつけるんじゃない! 振り落とす時は地面に気をつけて。――ああ、そのまま腕を伸ばしてそう、今、横薙ぎに振るって!」
「ふんふん、えー、こう?」
クラウの指示通りに舞夜が刃を振れば。すぱん、と飛びかかってきた白い鳥が叩き落され、ぴぴ、と一撃で仕留められて(+10pt)地に落ちるピヨすけ。
「ああ、ダメダメ。乱暴な動きで軸がぶれている! もっと腰を落として重心を安定させてくれるかい? ちゃんと構えればそれだけで切れ味はもっと良くなるよ。そうすれば返り血を浴びる事もないだろうに」
「えー、何? 剣筋が乱暴? 返り血? ……もう! 注文が多いなぁ!」
なんていいながらも、クラウの指示通りに腰を落として、構えた舞夜は、優雅(+3pt)に刃を薙いだ。
「……良くなったじゃないか!」
「ふふーん、そうでしょ!」
なんだかんだで、言われた事をさらりとこなしてしまうのが舞夜なのだ。
クラウの指示に従いながらも、舞夜は手早く鳥達を片付け終え。
ふう、と額の汗を拭って――。
そうして。
浴衣の裾が乱れている事に気がつけば、ぴゃっと舞夜は肩を跳ねて裾を引いた。
「……ねえ、クラウ」
見た、と尋ねようとした舞夜に。
「なんだい、ああ、そうそう。本来は着物の下には下着を着用しない物だそうだ」
聖剣は豆知識を一つ披露。(デリカシーpt-100)
「……着けるにきまってるでしょっ!!!!!!」
顔を真っ赤にして、舞夜はクラウを放り投げた。
「ああもう! 私は聖剣だよ!? その様に扱うんじゃあない!」
「うるさーーーーいっ!」
かっ飛んでいくクラウは、首を傾ぐ。
全く、折角勉強になる知識を与えてあげただけだと言うのに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
中御門・千歳
【翠苑】の3人で参加
祭りの邪魔たぁ、風情も何も分かって無いやつだね
迷惑な鳥畜生どもも退治せにゃ、ならないねぇ
『式神召喚・雷獣』を使用して式神の雷蔵を召喚するよ
小さな飛び回る鳥にゃぁ、雷蔵の雷が効果的さね
ユエが敵を集めてくれるみたいだねぇ
雷蔵、その邪魔くさい鳥どもをお前の雷で撃ち落としな!
あたしの戦闘はいつも式神頼りだからねぇ、近寄られるとちと面倒だねぇ
絡新婦、すまないねぇ……助かったよ
(アドリブ歓迎)
杼糸・絡新婦
【翠苑】の皆で参加。
SPDで行動
祭りに水さすのは関心しまへんなあ。
なかなか美味しそうなレプリカやんね、
うまい具合に誘われたんなら歓迎しようか。。
久々に千歳さんの召喚見たけど、
相変わらず頼りになりますな。
ほな、自分も頑張らせてもらいましょ。
【フェイント】を入れ攻撃し、
こちらへの攻撃を誘う。
また仲間への攻撃は【かばう】を使用。
いただこうか、サイギョウ。
力を抜いて攻撃を受け、
オペラツィオンマカブルを発動、
排出してお返しする。
また、【見切り】で回避したり
【敵を盾にする】ことで攻撃を防ぐ。
星舞夜・ユエ
【翠苑】の皆さんと
お祭りの食べ物だけで気が済んでくれたら良かったのですが…
可愛らしいだけに、残念です。
お祭りを楽しんでいる方を巻き込まずに攻撃出来る技を持っていない為、
【レプリカクラフト】でわたあめとイカ焼きのレプリカを作成し、
ひよこ達をおびき寄せようと思います。
しょっぱい物も、甘い物もありますよ。
どちらが良いですか?
食べ物を粗末にしている気がして悩みますが、
誘導の際、レプリカは床に置いたり投げたりして誘導する事も考えます。
誘ったひよこ達は千歳さんと雷蔵さんの所へ優先的に。
逃した子達は、きっと杼糸さんとサイギョウさんがが何とかしてくれます。
二人の攻撃の邪魔にならない様に気を付けて移動しますね。
ぴぴぴぴぴ。
騒然となった参道を、人々が駆け抜け逃げゆく中。
降り注ぐ白い鳥達は、祭り客の持った菓子を、屋台に並ぶ飴を、地に転がった飯を。
啄み、喰らい、荒らしてゆく。
「お祭りの食べ物だけで気が済んでくれたら良かったのですが……」
可愛らしいだけに残念だ、と。
眉根を寄せたユエは両掌を合わせて、掌の間に生まれた力で粘土を捏ねるように形作る。
何が良いでしょうか、持ちやすくて、食べやすいもの――。
ぱちぱち、と彼女は瞳を瞬かせて。
「全く。祭りの邪魔たぁ、風情も何も分かって無いやつだねぇ」
千歳が林檎飴の芯をゴミ箱へと千歳が投げ入れようとすると、その芯すら齧りだすまっしろピヨすけ達。
やれやれと肩を竦めた彼女はそのまま帯揚げの内側より召喚札を引き抜いて。
蒼を宿らせると、その唇に笑みを載せた。
「せやねぇ、祭りに水さすのは感心しまへんなあ」
言いながらも、絡新婦の視線はユエの手元へと。
生みだされたレプリカ――綿飴とイカ焼きの出来栄えに、彼はへえと息を漏らして瞬き一つ。
「しっかしレプリカといっても、なかなか美味しそうに作れるもんやねえ」
「はい。上手にできました。……しょっぱい物と甘い物、どちらが良いのか悩んだのですけれど」
そうして。
食べ物を粗末にしている感じがして、少し気が引けはするが。
ひょい、ひょい、ひょい。
ユエはレプリカの綿飴とイカ焼きを交互に床へと投げ出しだすと。
そのまま参道の外の少し開けた広場まで食べ物の道を生み出して、誘導を始め。
ぴっぴっぴっ。
ひょい、ひょい、ひょい。
それに連なり、疑うことも無く追いかけてくるピヨすけ達。
「さぁてと、じゃあいくさね。――雷蔵!」
千歳の呼び声に、符に宿ったまじないが解けるように形を生む。
捻れた空間より喚び出されるは、頭は猿、四肢は虎、尾は蛇の鵺。
――雷蔵が地へと降り立ち、小さく吠えた。
「へえ、相変わらず頼りになる召喚やなあ」
などと、感心してばかりはいれない。
絡新婦もきゅっと、指先に結んだ糸を引き絞り。
「ほな。うまい具合に誘われてくれてるみたいやし、歓迎しよか」
かこん、と小さな音。
脱力していた狩衣を纏った狐人のからくり人形に、力が籠もり――。
「ほな、サイギョウ。自分らも頑張らせてもらいましょか」
絡新婦がくん、と糸を引くように指先の形を作れば。
柔和な笑みをその顔に張り付かせたまま、サイギョウを鳥達へと一直線に駆けさせた。
ユエを追いかけてくる鳥の数は、どんどん増えている。
「えいっ」
駆けるように距離を取るユエが綿飴のレプリカを空中に投げ出すと、空中で綿飴へと殺到する白い鳥達。
そこに。
「雷蔵。その邪魔くさい鳥どもを、お前の雷で撃ち落としちまいな!」
そこに重なるは、鋭い千歳の指示の声。
キッと小さな声を上げた雷獣が力強く跳ねて紫電を爆ぜさせると、何羽ものピヨすけが地へと転がり。
仲間たちへの攻撃に、一気に警戒色を深める小鳥達。
ぴぴぴぴぴ。
こちらを敵と認識した様子で、旋回すると急加速を行い――。
「さあ、いただこうか、サイギョウ」
絹のような髪をさら、と風に遊ばせて。
加速する鳥達の前に、だらりと力を抜いて割りいるのは絡新婦の姿だ。
ぴっ!
貫かんばかりの勢いでカッ飛んできた鳥の体当たりは、たしかに絡新婦へと叩き込まれたが。
――攻撃を受けたはずの絡新婦は、不思議と脱力をしたまま。
その指先には一つも力が籠もっていないように見えるのに。
代わりに地に立つサイギョウが、突如吹き飛ばされたかのように地を滑った。
ぴぴぴ。
体当たりを行った勢いそのまま、悠々と宙返りしようとした鳥が突如――。
ぴっ!?!
がくん、と叩き落されたかのように。
絡新婦へと鳥達が放った衝撃をそのまま、自らに跳ね返された鳥達はそのまま地へと伏せて。
「すまないねぇ、助かったよ」
そこに重ねて雷を放たさせた千歳が、鳥たちと間合いを取りながら絡新婦へと視線を投げかけた。
なんたって千歳の戦い方は、式頼りだ。
あまり接近されると、すこしばかり面倒なもので。
「いいえ、お互い様やからね」
く、と笑みを深めた絡新婦がサイギョウの糸を引いて、更に鳥を叩き伏せる。
そこへ、ぱたぱたと駆けてくる足音が響き。
重なるは、幾重もの羽音。
「次のひよこ達、きます!」
イカ焼きを片手にユエが二人に声をかければ、千歳も絡新婦も頷いて。
「はいはい」
「さ、もう少し気張りましょか!」
――殺到する白い鳥たちを、見事な連携で三人は撃ち落としてゆく!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
グナイゼナウ様/f10678と
見目だけならぬいぐるみにしたいくらいですのに…
下手なオブリビオンより厄介な手合いではありません?
せっかくのお祭りが台無しじゃないですか。
というわけで、ポップコーンを撒いて誘導します。
ほらほら、こっちの方がいい餌がありますよ!
鬼は外……というかここがそもそも外ですからね。
むしろ手の鳴る方へ集まれ~みたいな?
──ま、鳴らすのは手じゃなく刃なんですけど。
おいで、【神遊銀朱】。
集まってきた鳥たちを纏めてなぎ払いましょう。
討ち漏らしはグナイゼナウ様がカバーして下さいますからね。
任せますよ、後輩?
ヨシュカ・グナイゼナウ
わ、シマエナガみたいな鳥がたくさん。かわいいですね
屋台を襲って…?全然かわいくないですね
という訳で地元の人に避難を促しつつ、我々が発案したのは、ポップコーン&フライドポテトばら撒き大作戦です
沢山いるというのなら一箇所にまとめてしまおうと
ほらーおいしいですよー(ばら撒く🍿)オニはソト?これは違いますね(ばら撒く🍟)
手のなる方へ、ふむふむ(叩いてみる)
ああ、後それらには【惑雨】が染み込んでいますので(異物混入)
先輩の【神遊銀朱】が狩り零した鳥達を
摂取した【惑雨】で動きが鈍っているでしょうし、【見切り】【早業】で一羽一羽確実に
任されました、先輩!
ぴぴぴぴ。
まるで豆大福のような白い鳥が、稲荷提灯を揺らして祭りへと舞い降りてくる。
「わ。シマエナガみたいな鳥がたくさん来ました、かわいいですね」
ヨシュカはぴかぴかと金色の瞳を輝かせて、拳をきゅっと握りしめて。
「わ。シマエナガみたいな鳥が食べ物を襲い出しました、全然かわいくないですね」
そのまま屋台や人々の持つ食べ物という食べ物を喰らいだした白い鳥に、ヨシュカは肩を落とした。
「まあ……、見目だけならぬいぐるみにしたいくらいですのに。……下手なオブリビオンより厄介な手合いではありません?」
もう、と肩を竦めた神楽耶は片眉を上げて。
五穀豊穣を祝い、祀る祭りを台無しにする行い。
この夜に五穀を食べ尽くさんとする勢いを見せる鳥達は、なんとも縁起の良くない話である。
「今日のお祭りを台無しにしない為にも頑張りましょうか」
「了解しました、先輩! ……して作戦は?」
神楽耶の言葉に得心したと大きく頷いたヨシュカは、そのままかくんと首を傾げた。
「ほらほら。こちらのほうが美味しい餌がありますよ」
「えーと、オニはソトー」
ぱらぱらと雨のような音を立てて、地に溢れ零れるはポップコーンとフライドポテト。
店主が逃げだし、床へとブチまけられていた食物を拝借した神楽耶とヨシュカは、ぱらぱらと撒き餌のように弾けたもろこしと細く切って揚げられた芋を撒いて、人気のない広場まで道を作り出していた。
「鬼は外……というかここがそもそも外ですからね……」
ヨシュカの言葉に瞳を細めて、適切なのかは微妙なラインの言葉を重ねる神楽耶。
「違いますか? ではフクはどこへ行ってしまったのでしょうか」
「神様の所ですかねー。それよりも、鬼さんこちら、手の鳴るほうへ、みたいな感じでしょうか?」
「ふむふむ」
何処かのんびりした会話を重ねながら、ヨシュカがパンパンと手を叩く。
ぴぴぴぴぴ。
自ら達がオブリビオンで在る故に、人を警戒しない白い鳥たちはおとなしく群れを成して付いてくるが――。
ぴっ!?
突然泡を吹いて倒れる鳥。
「……ああ、言い忘れていました。そのご飯には惑雨が染み込んでいますのでお気をつけて」
――惑雨。
ヨシュカの掌の亀裂より零れる、黄金を溶かした様な揮発性の液体は敵へと幻覚を見せる。
そもそも、身体に掛けるだけでも幻覚を見せる液体を、体内へと取り入れてしまえばさもありなん。
「それに、わたくしが鳴らすのは手ではなく刃ですしね」
――おいでませ、神遊銀朱。
泡を吹いたりわたわたしている白い鳥達を、ぐっと身を低く構えた神楽耶が太刀を向ければ。
複製された刀が鳥たちを一斉に撫で斬りと。
それでもなんとかその刃を避けた鳥たちが、ふかりと身体を膨らせて小さな鳥達を召喚し――。
返す手で太刀を構え直しながらも、神楽耶は唇に笑みを載せて呟く。
「――任せました、後輩」
「任されました、先輩!」
丁寧に一羽ずつ。
討ち漏らした白鳥を貫くは、ヨシュカがお土産屋さんで買った手裏剣だ。
残されたポップコーンとフライドポテトの道を追って、敵はまだまだこちらへと向かってきている。
「さあ、豊穣を脅かす者を排除し、豊穣を願う今日のお祭りの仕上げと。今年の五穀豊穣を、堅きものと致しましょうか」
「ふむふむ、今日の催しはそういう感じだったのですね」
多分違うけれど。
縁起が良さそうなのでそんなかんじで。
太刀を構えた神楽耶と、手裏剣を格好良く構えたヨシュカは背中合わせ。
敵たちを睨めつけて――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
【双星】
ああ、せっかくの祭りと食いもんをこれ以上ダメにさせるか
まとめて焼き鳥にして、お前らを食べ物にしてやる
…んだよアレス
別に略奪なんかしてねぇじゃん?
因果応報ってやつだって
ほら行くぞ!
鳥を誘き寄せるなら…鳥の囀ずりをぶつけてやればいい、なあアレス?
何時もみたいに押しきるでもなく囮を任された事に、隣のアレスの存在にご機嫌で
さあよく聞けよ
【囀ずる籠の鳥】
誘って、惑わせて、挑発して
屋台から鳥を離す
アレスに庇われながらもなるべく多くを引き寄せるように歌おう
ついでに歌で自分とアレスを鼓舞するように
―さぁ、こっからが本番だ
アレスの雷にやられたヤツらに
畳み掛けるように炎の属性を纏わせた剣をふるい
斬撃で斬る
アレクシス・ミラ
【双星】
無粋…いや、許すまじき行為をする鳥だね
ここから引き離そう…って、君の言い方
食いしん坊か?それでは向こうとほぼ一緒だぞ
…いや、確かに略奪はしていないが
そもそもあれを焼いても骸の海に還るだけで食べられは…あ、逃げた
引き離す為の誘き寄せは…いつもなら君に任せるのは心配だけど
今は傍に僕がいる。…僕が君を守ればいい
だから、任せたよ。セリオス
セリオスが鳥達を誘き寄せたら
かばうように前へ
無害そうな見た目でも…手加減は、しない!
【絶望の福音】で行動を予測
体当たりを避け、セリオスへ向かう鳥はカウンターに雷属性を宿した剣で叩き落とす
一気に落とすよ!
剣に宿した雷の魔力を放出、周囲に拡散させ範囲攻撃
マヒを狙う
屋台に群がる白い鳥。
揚げた芋も、きれいな飴も、寿司も、団子も、味噌を塗った野菜も、焼き鳥すらも。
喰らう、喰らう、喰らう。
すべてを喰らいつくさん勢いで、啄み齧り、突く群れ。
「……無粋……いや、許すまじき行為をする鳥だね」
呆気に取られたかのように、アレクシスは小さく呟き。
「ああーっ! もう! せっかくの祭りと食いもんをこれ以上ダメにさせてたまるかっ」
その横で憤った様子で両拳を硬く握りしめたセリオスが、地を蹴った。
「まとめて焼き鳥にして、お前らを食べ物にしてやる!」
「……って、君は食いしん坊か? それでは向こうとほぼ一緒だぞ?」
そんなセリオスの言い分に、眉を寄せたアレクシス。
へ? と首を傾いだセリオスは。
「んだよアレス、……俺は別に略奪なんかしようとしてねぇじゃん?」
「……いや、確かに。略奪はしていないが……」
そういう事では無い、と。
こめかみに人差し指を当てたアレクシスは、眉間の皺を濃くして。
「そもそもあれを焼いても骸の海に還るだけで食べられは……」
「因果応報ってやつだって、ほら行くぞっ!」
そんな事どうだって良いだろうと行った様子で、セリオスはさっさと鳥の群がる屋台へと駆け出した。
「ああ……もう、はいはい」
彼を追ってアレクシスも駆ける。
「なあ、アレス。鳥を誘き寄せるなら、鳥の囀ずりをぶつけてやればいい。……やっても良いか?」
「……ああ。任せよう、セリオス」
囮を買って出たセリオスの言葉に、アレクシスはこっくりと頷く。
今までアレクシスは、セリオスが前へと出る事を良しとはして来なかった。
アレクシスに護られるばかりのセリオスは、それを良しとはしていなかった。
アレクシスは、セリオスを守りたい。
セリオスだって、アレクシスを守りたい。
相反する感情は、本来ならば相反する訳は無かったのだ。
剣には盾の守りがあるように。
盾には、剣の守りがついている。
だからこそアレクシスは、セリオスが鳥たちをおびき寄せる事を良しとした。
――今は傍に、盾たる自らがいるのだから。
僕が、君の盾と成れば良い。
「よーっし、任せろよ!」
俺が、お前の剣と成れば良い。
囮を任せられた事に、セリオスは上機嫌。
その唇に、力強く歌を灯す。
さあ、よく聞けよ。
その歌声に魔力は刻まれ、世界は従う。
身を軽くするような、鼓舞を宿したその響き。
ひよ、ひよ、ひよ。
食事でなく、歌に耳を傾けた鳥たちがセリオスへとふらふらと近寄り――。
その彼を庇う形でアレクシスは、剣を構えて立ち尽くす。
その見た目がどれだけ無害そうでも、手加減はしない。
アレクシスには、――護るものがあるのだから。
「――はっ!」
大きく一文字に剣を振るえば、雷を宿した剣筋は鳥達を焼き尽くし落とし。
落ちた鳥達はさらりと砂が溶けるように、その姿を掻き消してゆく。
ぴぴぴっ!
仲間たちが落とされた事で、向けられた敵意にはっと気が付き。
鳥達の歌声にとろけていた瞳が、我に返ったかのように。
ぴっ。
――セリオスに向かって、一気に加速する白い小鳥。
いいや、こっからが本番だ!
唇に笑みと旋律を載せたまま、セリオスは炎を纏う剣を逆袈裟に振るい。
更にセリオスへと向かってカッ飛んできた鳥を、交わすようにアレクシスは袈裟斬りに叩き落とす。
「さあ、一気に行こうか!」
歌声響く最中。
アレクシスが爆ぜさせた雷撃は、鳥達へと炸裂し――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
太刀川・明日嘉
リュシカ(f00717)と
やいやい、可愛いひよこかと思ったら……結局はオブリビオンってことかやぁ
ちょっとかわいそうだけど、しょんないねぇ
さあリュシカ、お祭りを守りにいかざあ
出番だよ黒剣・百花繚乱
私の腕に喰い付きな
剣の侵蝕でせっかくの浴衣の袖が破けちゃうけど……ううん、もったいない
前に出て、リュシカの盾になるわ
――黒剣解放・桜。
さあ喰らいなさい、過去を塵に還す黒の嵐。
近づく子は全部打ち払ってあげるで、リュシカは遠い子をお願いね
私は遠距離攻撃は得意じゃないけど、私にできないことはリュシカがやってくれるから
リュシカ・シュテーイン
明日嘉さん(f01680)とですよぉ
あっぁ、ああぁ!
屋台がぁ!
むっぅ、むうぅ、可愛いですけれどもぉ、明日嘉さんと一緒にぃ、お祭りは守ってみせるんですからぁ!
浴衣姿の明日嘉さんを前に立っていただくのでぇ、手早く終わらせますよぉ!
ううぅ、明日嘉さんの袖がぁ……!
許しませんぅ、許しませんよぉ、可愛くてもぉ!
近い敵は明日嘉さんをお頼りしますっぅ!
出し惜しみはしませんぅ、着物の裾に隠していた爆破のルーンを刻んだ法石をスリングにセットしぃ、複数弾一斉掃射しますぅ!
全て爆破し虚空に散りなさいぃ、ふぁいあっぁ!
近い敵は苦手ですけどぉ、明日嘉さんが傍にいてくれるのならぁ、死角なんて一切ないんですからっぁ!
「やいやい、可愛いひよこかと思ったら!」
「あっぁ、あぁぁ~~……、屋台がぁ……!」
明日嘉の威勢のよい声に、呆然としたリュシカの声が重なる。
ひよ、ひよ、ひよ。
「はぁ……、こんな見た目でも結局はオブリビオンってことかやぁ……」
「むっぅ、むうぅ……。確かに可愛いですけれどもぉ……」
たこ焼き、まんじゅう、寿司に、酒まで。
ぱちゃぱちゃ酒で泳ぎ遊ぶように羽根を動かす様は、実際とてもかわいくは在るが。
その行いはとてもではないが、看過できる行いでは無い。
喰らい、貪り、突いて、啄む。
その勢いは、正に災禍と言えよう。
五穀豊穣を祈り祀る祭りを踏みにじる、恐ろしく罰当たりな行いだ。
「ま、ちょっとかわいそうだけど、しょんないねぇ。――さあリュシカ、お祭りを守りにいかざあ」
「はいぃ、明日嘉さんと一緒にぃ、お祭りは守ってみせるんですからぁ!」
ううん、折角の浴衣だと言うのに、少しだけ勿体ないけれど。
呟くように。
レンズの奥の瞳を黒曜に揺らした明日嘉が、腕を前へと突き出す。
――出番だよ、黒剣・百花繚乱。
明日嘉の腕を喰らい、纏わり付くは黒き怨嗟。
溢れた黒は浴衣の袖を齲蝕させたように、黒く焦がし。
現れた刀身は、揺らめく炎の舌のように波打つ黒。
「って、あっぁ、ああぁ……。うううぅ、明日嘉さんの袖がぁ……!」
折角オシャレしたと言うのに。
折角お揃いだったと言うのに。
敵が現れた事によって台無しになってしまった明日嘉の浴衣に、何よりも憤ったのはリュシカであった。
「許しませんぅ、許しませんよぉ、可愛くてもぉ!!」
裾から取り出した法石を両手に握りしめたリュシカは、その緑の瞳の奥に決意の色を宿して。
「おやまあ、そんだけ怒ってもらえたら、きっと浴衣も本望やねぇ」
リュシカの盾と成り、彼女の前へと立って。
肩を竦めて苦笑を浮かべた明日嘉は、ひゅうるりと空を切って。
黒の刃へと、力を宿す。
ああ、触れれば移る、崩壊の因子。
森羅万象何もかも、最後にゃ塵芥と化すでしょう。
――黒剣解放・桜。
「さぁ、喰らいなさい、過去を塵に還す黒の嵐!」
炎の舌は解けて、炭と化した桜の花弁へと。
散る、散る、黒き桜吹雪は周りをはためく白き鳥を巻き込んで。
解ける溶かす、零れ落ちる。
崩れ落ちるように、地へと鳥達は還ってゆく。
「近づく子は全部打ち払ってあげるで、リュシカは遠い子をお願いね?」
「はいぃ、出し惜しみはしませんぅ!」
巨大な木の枝で創られたスリングを構えたリュシカは、桃色の髪を跳ねて大きく頷いて。
緑瞳が見据えるは、人々が避難を終えた先。
沢山の小鳥達が群れ集まり、瓦礫と化しだした屋台村。
「全て爆破し虚空に散りなさいぃ、ふぁいあっぁーーーっ!」
リュシカがぐぐっと引き絞った大きなゴムより手を離すと――。
屋台に群れる小鳥達に向かって、爆破のルーンが刻まれた法石を複数弾一斉掃射した!
どかん、どかん。ぱかん。
ぱきん。
割れる音、爆ぜる音、鳥の落ちる音。
近い敵が、リュシカは苦手。
遠い敵が、明日嘉は苦手。
しかし。
遠くに聞こえる敵は、リュシカが落とし。
近くに見える敵は、明日嘉が溶かす。
そうして遠近を補い合う二人に、敵う敵などきっと居やしないのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
都槻・綾
――こら、おいたはいけませんよ、
方々を食い荒らし中の白いもふもふを
ひょいと摘まみ上げれば
くちばしやふっかり羽毛に食べ残しをつけたまま
きょとんと見上げてくるから
其れは其れは卑怯なくらい愛らしいけれど
斯様に五穀を啄み尽くされては
豊穣を祝う祀りが台無しになって
神がお怒りになってしまいます
ほんのり笑みつつ
高速詠唱で編むのは、花筐
祭りを楽しむ人々が
恐れや穢れを感じずに済むように
破魔と浄化の祈りを籠めて
指に挟んだ霊符で手乗りの小鳥をふぅわり撫でたら
途端に符がほどけ
数多の萩の花弁となる
周囲で悪戯中のとり達をも
葩の柔い嵐がひらひらくるくる舞い包んで
ひよこを嗾けた男の許から
余さず残さず
彼方の海へと連れ去るだろう
吊り下げられた稲荷提灯が、照らし出すは鳥ばかり。
五穀豊穣を祈る祭の下、恵みを喰らい、突き、貪る。
先程までは、人々が酒を酌み交わし笑顔に満ち満ちていた参道も。
今では人々は避難してしまって、人のいない屋台へと群がる白い鳥の群れ達。
そこへ先ほどと同じ足取りで、歩む男の姿がひとり。
ころん、つっかけた下駄が心地好い音を立てて屋台へと寄り。
「――こら、おいたはいけませんよ」
そのままふかふかとした白い鳥へと手を伸ばすと、ひょいと一羽ばかり摘み上げた男――、綾。
食事を邪魔された白い鳥は、邪魔をするなと言わんばかりに綾の手中でふるふると首を振り。
彼を見上げれてから、ぴぴぴと身体を捩った。
その真っ白な羽毛に食べ残しの欠片をくっ付けた姿は、とてもとても愛らしくあるのだけれど。
しかし、彼らは祭りを喰らい尽さんとするオブリビオンだ。
「斯様に五穀を啄み尽くされては。豊穣を祝う祀りが台無しになって、神がお怒りになってしまいます」
綾は嗜めるように、唇に人差し指を当てて花笑み宿し。
力ある言葉を紡いで、破魔と浄化の祈りを重ねる。
――祭りを楽しむ人々が、これ以上恐れや穢れを感じずに済むように。
指に挟んだ霊符で小鳥をなぞれば、ぞろりと符がほどけるよう。
数多の萩の花弁と化せば、綾の掌の中で慌てた鳥がさらに小さな鳥を召喚しようとするが、綾はそれを許さない。
葩舞う柔い嵐は鳥たちを巻き込んで、その小さな白を攫うように、拐かす様に。
「さあ、お帰りなさい」
秋の香り揺れる花吹雪は、小さな鳥達を迷わずあの海へと送ってくれるだろうから。
ほつりと綾は、別れを零した。
ゆらゆら揺れる稲荷提灯は今はもう、壊れた屋台の傍に立つ男をひとり照らすばかり。
成功
🔵🔵🔴
叢雲・源次
【酔人】
連係◎
ようやく目覚めたかクロウ。
状況は見ての通りだ…オブリビオンが出現した…
見た目は可愛らしいが、放っておけば被害が及ぶのは食料だけでは済むまい
行くぞ二人共、仕事だ
いつもと装備が異なるが…さしたる問題はあるまい
何より、こうして和装で刀を振るうというのも画になるだろうよ
(先ほどまで酔っていたせいか状況を楽しんでいる模様。ちなみに義体の調整で酔いは醒めている。が気分は良いままのようだ)
クロウが魔風を宿した剣を振るえばその吹き溜まりに奴らは集まるはず
「でかしたクロウ…そして、やるぞミルラ。怪鳥退治だ」
瞬転、踏込み
「七閃絶刀。」
吹き溜まりに集まったオブリビオンの群れへ一瞬七斬の剣技を見舞う
ミルラ・フラン
【酔人】
連携◎
ようクロウ!まだ太陽は昇らないが朝が来たよ!!
(ユーベルコードを思いっきり叩き込んで回復)
ん?ここ、祭の会場。敵、あれ。OK?
(クロウに視線を合わせて、もふもふを指差し)
そんじゃあ、まぁ……仕事の時間だ
(酔姿紅の柄に手をかけ)
怪我したらあたしに言いな。すぐ治すから
手近なヤツから【二回攻撃】で潰していく
斬りながら、クロウの起こした魔風でもふもふどもが吹き溜まっていく方向へ
OK、源次!
あたしの睨み付け……【恐怖を与える】と【誘惑】の技能で、こいつらの動きを一瞬でも停止させる!
源次と同時に、あたしも酔姿紅で【先制攻撃】
さて、おあとがよろしいようで
杜鬼・クロウ
【酔人】
連係◎
うぅ…(魘され
完全に泥酔し寝てる
ミルラのUCで回復
…ァ?ココどこだ?(記憶飛び
祭の途中で寝ちまってたか
ミルラ助かったわ
で、今どういう状況?(珍しくボケ
ぴーちくぱーちく煩ェよ、鳥共が!寝起きに優しくねェなクソ(頭掻き
(…二人とも全然酔ってねェのな
【魔除けの菫】使用
足止め中に三人で各々ボコる
人様の食べ物勝手に食い荒らしやがって
食べモンの恨みは怖ェぞ…多分
浴衣故に普段より動き鈍め
浴衣用に所持した護衛用の刀で戦闘
慣れず大振り気味
動きは最小限に威力は最大限に
仲間の死角にいる敵を剣で受けて屠る(武器受け・部位破壊
魔風を宿した剣で大量のもふ掃除(2回攻撃・属性攻撃
あァ、後は頼むぜお二人サンよ!
ヴィクトル・サリヴァン
えー折角楽しんでたのに何か乱入者?
いけないね、実にいけない。
放った奴は後で痛い目見せるとしてまずは屋台への被害を抑えないとね。
UCで空シャチの群召喚。お祭りを守る為に空の仲間達参上、惨状?
程々に合体させて数減らし強さ上げてから屋台を守りにれっつごー。
屋台その他諸々を壊さないように空シャチ飛び回らせて敵を探してがぶりと攻撃。
向こうが体当たりしてくるなら尾びれでぱしーんと真上に跳ね上げてあーんとさせればふかふかポップコーン感覚で数減らせるかな?
俺自身も駆け回って狭い所とかに逃げ込んだ相手に銛で攻撃。
高速詠唱で風の魔法使って上空に吹き飛ばし、かーらーのー空シャチがぶうも狙うね。
※アドリブ絡み等お任せ
夜空に響く、鳥たちの囂しい鳴き声。
遠く響く祭り囃子に沸く人々の賑わいに、交じりだしたのは怒号に悲鳴。
「えー……? 折角楽しんでたのに、何か乱入者?」
徳利片手に頭を擡げたヴィクトルが振り向けば、屋台へと突っ込んできたのは白い鳥であった。
屋台主の制止も虚しく。小さな闖入者達は、酒に泳ぎ、つまみのししゃもを喰らい、豆菓子を啄む。
「うわぁ、……これはいけないね、実にいけない」
お猪口をくっと煽ってから机に置くと、ヴィクトルは眉間に皺を寄せて立ち上がる。
これがただの鳥達の異常行動では無く、オブリビオンの襲撃だと言うことは気配ですぐに理解が出来た。
しかも、――おそらくこの祭を狙ってこの鳥達を放った奴がいるのであろうと、ヴィクトルは推理する。
「……鳥を放った奴は、後で痛い目見せるとして。まずは屋台への被害を抑えないとね」
酒気混じる吐息を零したヴィクトルは、大きく腕を広げてその身体に術の力を漲らせ――。
「う、……ぅ」
小さく小さく響いた声は、夜に魘されたかのように響く。
眉を寄せて、苦しげに瞳を瞑るクロウに落ちた、人影。
影の主。朱色の髪が秋風に靡き。
強く握りしめたロザリオ、上半身を引き絞って大きく振りかぶると――。
「よーう、クロウ! まだ太陽は昇らないが、朝がきたよ!!」
華やかな声と共に。癒やしの加護を纏った拳で、ミルラはクロウの頬を殴り抜いた。
「ん、……うあ、あ……ァ……?」
ミルラの拳は、癒やしの拳。
完全に泥酔して転寝する男だって、一発でお目々パッチリだ。
しかし、しかし。
それは目覚めの一発としては、強烈すぎる一撃。
階段に後頭部を強かに打ち据えられながらも、なんとか意識を取り戻したクロウ。
「ココ、どこだ……? 今どういう状況?」
クロウは周りを見渡し。
ううん、頭が殴られたみたいにぐわぐわ。
気分こそスッキリしているが、まったくきおくにございません。
それでも解る事は……。
ぴい、ぴい、ぴい。
「……ああもう! ぴーちくぱーちく煩ェよ、鳥共が! 寝起きに優しくねェなクソ……」
ぴい、ぴい。
頭上を飛び回って喚く小鳥たちの、余り優しくない目覚ましだ。
ガリガリ頭を掻いたクロウは、瞳を眇め。
「ようやく目覚めたかクロウ」
刃を降って鳥を落とした源次は、いつもの平然とした表情で挨拶を。
「ここ、祭の会場。敵、あれ。OK?」
未だ座り込んだままのクロウとしっかり目線を交わす形で見下ろしながら、ミルラは指差し伝える。
「見ての通り、オブリビオンが出現した。今は食料に喰らいついているようだ」
補足するように源次が言葉を次いだが、猟兵としての勘はそれだけで済む訳が無いと告げている。
そう、あの鳥達は見た目は可愛らしいが。
このまま放っておけば、被害が及ぶのは食料だけでは済むまい、と。
「そんじゃあ、まぁ……、仕事の時間だ、起きられるか?」
「目覚めたなら、行くぞ」
酔姿紅の柄に手をかけたミルラが笑い、源次が振り向くこと無く告げる。
「あァ、大丈夫」
……あんだけ呑んでおいて酔ってるのは俺だけかよ。
肩を竦めたクロウは、ザルってのはしかたねえなあと首を振り。
「すっかり目も覚めたモンだわ。おう、ミルラ助かったわ、早速仕事を始めようぜ」
やっとの事で立ち上がったクロウは、耳を彩る菫青石を指先でなぞって唇の端を笑みに変えた。
空を泳ぐシャチの群れ。
「さあ、お祭りを守るために空の仲間参上、なんてね」
惨状? なんて小さく付け加えて笑ったヴィクトルが大きく指揮をする様に銛を付き動かすと、海の――空のギャング達は大口を開けて小鳥たちを浚い、飲み込む。
ソレはさながら、空で行われるイワシトルネードVS海のギャングと言った感じの大暴れ。
「あァ、やってるねェ」
シャチが泳ぐ様を見上げたクロウが地を掌で撫でれば、片割れの写し宿した力が揺れて。
「――さあクソ鳥共、人様の食べ物勝手に食い荒らしやがって! 食べモンの恨みは怖ェぞ!」
多分な、と付け加えたクロウの言葉に、力は呼応し。
ぴっ!
空を自由に飛び泳いでいた小鳥たちは、地へと縫い留められる。
「吹っ飛べやァッッ!!」
成れぬ装束はクロウの動きを多少阻みはするが、知ったことか。
大きく踏み込んだ足。
魔風を宿した刃を振り抜けば、小鳥たちを巻き取るように風が吹き荒ぶ。
ころころと小鳥たちは一箇所へと纏められ――。
「でかしたクロウ。……合わせろミルラ、怪鳥退治だ」
「OK、源次!」
瞬きすら許さぬ程の、一瞬の踏み込み。
源次は地に転がる鳥達を撫で斬り、返す手で斬り上げ。
次いで紅の刃を振るうミルラは、鬼気迫る気迫。
地に縫い留められた鳥たちは震える間も与えられず、素っ首を叩き落される。
「追加来たぞ、まだまだ行くぜ、お二人サンよ!」
「任せな! ――それに怪我したらあたしに言うんだよ、すぐ治すからね」
返す手で大きく切り払ったミルラが、稲荷提灯の燈に薔薇色の光を刃に照らしながら花笑み。
「あァ、わぁったよ」
それが癒やしだと分かっていても、殴られる事は殴られるのだ。
できるだけ怪我をしないようにしようと心に誓いながらクロウは頷き。
源次が石畳を踏めば、コッと甲高い音が響く。
刃を横一閃すれば、鳥達がさぱっと崩れ。
「……いつもと異なる装備だが」
既に調整は行い、既に酔いはすっかり醒めているはずなのだが。
表情こそ代わらぬが、源次の呼気には気分の良さが漏れていた。
「――こうして和装で刀を振るうというのも、なかなか画になるだろうよ」
「そうだねえ」
のんびりと返事を重ねたのはヴィクトルだ。
カッとんできた小鳥を尾びれで打ち上げると、空を泳ぐシャチの口へとナイスショット。
「じゃあ、俺からも追加だよ」
ヴィクトルが再び指揮者のように振り上げた銛は、嵐のごとく。
風を巻き上げ、鳥を巻き上げ――。
「了解した」
「まーた、集めたモンだなァ!」
「一気にいこうか!」
そうして酒飲み達は、一斉に刃を振り下ろした!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鴛海・エチカ
オブシダン(f00250)と
にゃああ、お土産用の飴が! 団子が!
おのれ、許さぬのじゃひよこめ!
星海の魔女の名においてお仕置きなのじゃ
『環想帰結』、星黄泉の力よ!
箒に跨ってぴよすけを躱しつつ花瓶は死守
星霊杖から光を放ってオブシダンの援護を
あまりにも彼が囲まれるようなら
杖を振り流星の魔力を放ち敵を穿ち引きつける
しかしチカは近接には向いてないのでのう
がんばれがんばれオブシダン(鼓舞0)
と、あまり巫山戯てもおれぬな
この祭を邪魔しに来た者はおそらくこやつらだけではなかろう?
愛らしかろうとも狼藉をはたらくのならば容赦はせぬ
――星よ。疾走れ、穿て
集めた所で一網打尽じゃ
楽しい祭を邪魔したこと、後悔するが良い!
オブシダン・ソード
エチカ(f02721)と
いやー先に全部たいらげておいてよかったねぇ
…え、お土産の分が?
それはよくないなぁ
皆の迷惑にもなるし、ここで蹴散らしてあげよう
エチカの援護を当てにしつつ前衛へ
輪投げで取った花瓶は任せたよエチカ
割っちゃダメだよ。絶対だからね
多分敵の数が多そうだから、手当たり次第に剣の腹で叩き落して、蹴り飛ばしていこう
はいはい、応援ありがとう元気がでるナー
めっちゃモフモフしてて無敵でも気にしない
どんどん蹴り転がして一箇所に集めて行くからね
ほらほら、いい加減観念した方が身のためだよ君達
範囲攻撃で炎の魔法をちらつかせてあげる
焼き鳥
脅すだけ脅したらエチカの魔法に任せよう
がんばれがんばれー
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ。
白くてふかふかの鳥達が群がる様は、少しだけ牧歌的で可愛くもあるのだけれども。
フードの奥の赤い瞳は見えはせぬが、額に掌を当て。鳥に群がられている屋台を眺めるオブシダン。
「いやー先に全部たいらげておいてよかったねぇ」
そんな屋台を襲う鳥たちの姿に、オブシダンから一番始めに出てきた言葉は随分と不謹慎であった。
「ねえ、エチ……」
そうして自らの横を見下ろすと、
「にゃああ、お土産用の飴がっ! 団子がっ!」
鳥が群がる屋台と同じ位、白い鳥に群がられている同行者の姿。
えいえい、腕を振るも鳥達は全く動じない。
ひよ、ひよ、ひよ。
ははーん、これはお土産が食べられているなあ。
オブシダンは敏い剣なので、すぐ理解ができます。
顎に指先を寄せて、いつもの胡散臭い笑みのまま。
「これはよくないなぁ」
食べ物が無くなれば興味がないと言わんばかりの引きっぷりで鳥が飛んでゆくと、エチカがぴょんぴょんプリプリ怒りの表明。
「おのれ、おのれーっ! 許さぬのじゃひよこめ!」
悠々と空を飛ぶ鳥をむーっと睨めつけたエチカは、魔力を星に変えて瞬かせ。
天球儀を模した星杖を掲げれば、ぱん、と爆ぜた星が大きな魔女帽子を呼ぶ。
――星よ。疾走れ。
ミルク色の糸髪が解けて、舞う。
ゆるい編み込みが一人でに編み込まれれば、ぴょんと長い耳が揺れた。
――穿て、耀け。
まばゆく光った浴衣が星光に飲み込まれ、花のように広がるスカート。
軽いステップに合わせて跳ねた光が、ブーツを生え伸ばして――。
ぽん、と星が弾けて魔女帽子に桃色のリボンが結ばれた。
――あの日に夢視た世界に届くよう、――。
最後に箒型ガジェットを握りしめれば、白の飾り紐がゆうらり揺れた。
そう、それは。
それこそは、光と星を纏う星黄泉の魔女の姿だ。
「さあ、行くぞオブシダン!」
「そうだね。皆の迷惑にもなるし、ここで蹴散らしてあげよう」
箒に跨ったエチカの声に、オブシダンも黒曜石の剣――自らの器物を抜き。
同時に二人は、空を、地を、駆け出した。
踏み込んだオブシダンが叩き込むのは、剣の腹。
飛ぶ勢いを殺された鳥が落下しきるまえに、行儀悪く膝を前に差し出す動きの反動だけで鳥を蹴り上げると、次の鳥を叩き落とし。
感触だけでまっふり膨らんだ鳥達に攻撃が通ってないのは分かっている。
だからこそ、こうやってひとまとめにして、っと。
「しかし、お土産もほとんど失ってしまったのじゃ、この花瓶だけは割らぬよう気をつけて戦わねばのう」
弾かれた弾のようにカッ飛ぶエチカは、鳥の隙間を縫って飛び回って翻弄しながら。杖に宿した星の力を、光と成す。
「うん。輪投げでとれた唯一に近い戦利品だものね、本当に任せたよ」
「うむうむ、チカに任せておくが良い!」
一気に踏み込んだオブシダンの周りを囲む鳥達がもこもこ増え、エチカはぐうるりと箒で旋回しながら杖を瞬かせ。
「ひよこども、こっちじゃ!」
空を掻くように杖を振れば、引き寄せるように朗々と告げて星を叩き込んだ。
「……と、惹き付けはしたがチカは近接には向いてないのでの! がんばれがんばれ、オブシダン!」
エチカの鼓舞はゼロ。
「わあー。めちゃくちゃ元気が出るナー。応援ありがとう」
そのまま心こもらぬ声を漏らすオブシダンの横を一直線にすり抜けてゆくと、エチカはまるっと鳥の集団をオブシダンに押し付けた。
「ほーむらーん、ってね」
勢いよく飛んできた鳥達の動きは、直線。
その直線に剣を差し込んで、鳥達を叩き落としながら。
衝撃で膨らんだ鳥達を纏めて蹴り上げたオブシダンは、黒い黒いマントを揺らして。
エチカは宙を蹴るように、箒をきりかえして空をUターン。
――しかし、あまりふざけてばかりはいられないだろう。
この祭りを邪魔しに来た者達は、おそらくこの鳥達だけではない。
なんたってこの鳥達は、夜を舞う鳥では無い。おそらく手引をした者がいるのであろうと、エチカは考えを巡らせて桃色の瞳を細めた。
「ほらほら、いい加減観念した方が身のためだよ君達」
オブシダンの常よりの胡散臭い笑みは、脅す言葉がよく似合う。
赤を描く指先に炎をちらつかせながら、箒に跨ったエチカの動向を視線だけで追い。
「エチカ、後は頼んだよ」
彼女が真横をすり抜けていく気配に、がんばれー、とオブシダンは鼓舞の一言を。
オブシダンの鼓舞は106。
「うむうむ! 愛らしかろうとも狼藉をはたらくのならば容赦はせぬ!」
ぐうるりと再び旋回してきたエチカがコックリと頷いて、大きな魔女の帽子をふかふかと揺らした。
そうして、エチカは星の力を宿した杖を構え。
「楽しい祭を邪魔したこと、後悔するが良い!」
――星よ。疾走れ、穿て。爆ぜる魔力、煌めく星。
集められた白い鳥達に、流星が降り注ぐ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千家・菊里
【白】
度が過ぎる食いしん坊は困りますねぇ
どんなに可愛い顔をしても、暴食は駄目ですよ
景観や人心が徒に荒らされぬよう配慮し戦闘
敵を炎壁で囲い移動阻む・※屋台や人々と隔てる様にUC展開
食物見せ囮にも
皆で仲良く――飛んで火に入る秋の鳥になると良いですよ
※延焼は即消化
危険時はオーラ防御纏い身も盾に
炎には呪縛呪詛も籠め全体牽制
高数値は炎合体で対抗
接近敵はちゃかりもふ
る序でにマヒ攻撃霊符ぺたり
五穀豊穣は皆で分かち合うもの
貪欲に食い荒らす害鳥は、丸焼きにして稲荷神への供物にしましょうか――なんて冗談ですよ
ご安心を、やる時は一瞬で灰にします
もふもふはぬいぐるみ達で十分
彼らはころりと骸の海へ落とし、再び平和な祭を
重松・八雲
【白】
可愛い、ひよこ…!
なんとけしからん強敵か!
こうなれば纏めてふるもっ…ふり倒すまで!
衝天とオーラ防御で心身固め(惑わぬぞ…!と腹括り)、豆菓子掲げいざ囮に!
心も祭も荒れ果てぬよう人々や屋台かばいつつ、鳥をもふっと包囲網の中へ吹き飛ばし
特に人の食物強奪寸前>衰弱>高数値優先で対処
…斬るのはちと心が痛むで、連珠と素手でぽふっともふっと極力一撃で楽に!
無理なら気絶攻撃でぴよらせよう
超もふもふは――おお流石清史郎殿、名案!
渾身の鎧砕き(もふもふ)で共に挑もう!
自然ならざる存在が豊穣を乱す等、あってはならぬ――が、丸焼きはやめよー!
くっ、全て済めばまたふわひよ様達に癒され直そう…!
なむなむもふもふ!
呉羽・伊織
【白】
可愛くとも物騒な押売や暴食は頂けねーな
…って食気特化のお前(菊)がソレ言う?
もふ好き組の言動も若干やられ気味?だし、ホント強敵…!
人も食も護る為、連携し敵を遮る・囲む形に
優先は爺サン同様で手分けし対処
敵が食物狙うなら、菓子見せ囮に
豆が欲しいか何とやら、でなくて悪いな!(準備万端な皆に笑い)
集られ沈められねーよう残像で撹乱
早業で豆鉄砲ならぬ変眩重ね素早く数減らし
闇と毒で感覚奪いつつ極力一気に仕留め、る
(うっかり目が合いふわもこに当てられねーよう密かに警戒)
いや菊里は結局無情だし、清史郎もやっぱ肉食だな!?
酒はまた後で平和になー!
兎も角、災いの化身は狩るのみ
――可愛いひよこは既に山盛だしな!
筧・清史郎
【白】
食いしん坊の鳥さんか
だが少々行儀が悪いようだな
害を及ぼすのならば、纏めてもふりつつ成敗しよう
命中率重視【桜華葬閃】で皆の討ち漏らしを確実に斬っていく
豆が欲しいか、か(伊織の言葉にふと思いつき
鳥さんが逃げぬよう、先程購入したこの豆大福で誘き寄せようか
超もふもふもーどは刀も通らぬだろうので、ぽふっと全身でもふもふ
もふっていれば手触りで技解除の瞬間が分かるからな
八雲も是非共に(微笑み
無敵解除次第、命中率重視【桜華葬閃】を
可愛いからと油断せず
鳥さんの攻撃確り見切り、残像駆使し躱そう
丸焼きか、災魔でなければ酒の肴に良いかもしれんが(しれっと
五穀豊穣を願い祝う今宵、この桜吹雪で還るべき場所へと送ろう
突然の嵐の如き鳥たちの来襲に、店主が離れた屋台に残された食事を啄む白い鳥たち。
それは全てを喰らい尽くす災厄の姿だ。
「食いしん坊の鳥さんか、だが少々行儀が悪いようだな」
真面目な表情で呟いた清史郎は、その腕にひよこのぬいぐるみを抱いたまま。
「おぉ……、なんと可愛くけしからん強敵か!」
同じくひよこのぬいぐるみを抱いた八雲が、眉間の皺を深くした。
「ああ、害を及ぼすのならば、纏めてもふりつつ成敗しよう」
「そうじゃの! こうなれば纏めてふるもっ……ふり倒すまで!」
清史郎の力強い言葉に、大きく頷き返す八雲。
「……おいおい、もふ好き組の言動が若干やられ気味ジャネ?」
片眉を跳ねた伊織は瞳を細め、改めて白い鳥達を見やり。
「しっかし、可愛くとも物騒な押売や暴食は頂けねーな」
「いやぁ、度が過ぎる食いしん坊は困りますねぇ」
どんなに可愛い顔をしても、暴食は駄目ですよ、なんて涼やかな表情で菊里が小さく首を傾けた。
「……って、……え? 食気特化のお前がソレ言う?」
「いやいや、俺なんてまだまだです」
伊織の言葉には、菊里は手をひらひらゆるーく笑んで。
「さぁてと、行きましょうか」
その指先に、狐火を灯して皆を促すように。
「……おぉ、恐ろしい強敵だが、ゆくぞ!」
どれほどもふもふでも惑わされぬように。
強く強く腹を括った八雲が、きりりと前を睨めつけた。
準備が整った様子の皆に、伊織は唇に笑みを宿して闇に染む暗器を手に。
「豆が欲しいか何とやら、でなくて悪いな!」
「ええ、皆で仲良く――飛んで火に入る秋の鳥になると良いですよ」
くうるりと回した指先より、跳ねる炎。
菊里の狐火が壁の如く燃え上がれば、戦いの火蓋を切った。
「はッ!」
細く鋭い呼気を漏らして、鳥を撹乱する伊織のステップは残像を残すほど早く。
豆代わりの手裏剣は、捷巧と敵を貫き落として征く。
あっ、じっと目を合わせると、ふわもこに脳がやられそう。
さっと目を反らす。
蒼き刀を振るう清史郎が、はたと思いついた様子で。
「そうか、――豆が欲しいか、か」
携えた巾着より包みを取り出すと、そこに収まっていたのは豆大福だ。
「鳥さんが逃げぬよう、これで誘き寄せてみ……おお……」
言うが早いか。
清史郎の手元の食物をみた瞬間にカッ飛んできた白い鳥。
一気に清史郎が刃を振るうと、防御を固める事でふっくらと膨れた鳥がぽてんと地面に転がった。
防御に特化した故に動けなくなった鳥は、まるで豆大福のよう。
「おお! 菓子のおびき寄せ効果は抜群じゃの!」
八雲が明るく驚きの声を零して。
なれば、と豆菓子をばらまいた刹那。
八雲へと一斉に鳥達は殺到する。
「ぬ、おおお!!」
ぴ、ぴ、ぴ、ぴ。
コレは敵。敵が向かってきている。
しかし脳がバグを起こしてかわいいとしか思えない。
かわいいフェスティバルに目を丸くした八雲がぐっと息を呑んで。
ああ、これは敵だ、と脳に再インプット。
それでもどうにも、斬るには心が痛むと大きく拳を振り上げると、守護のオーラは鳥達を吹き飛ばし――。
豆大福のようにふっくらとした鳥達がぼてぼてと地に転がる。
あっ、かわいい~~!!
かわいい!
「しかし。こうなってしまうと、どうにも攻撃が通らないようだな」
清史郎が一匹、ふかふかの鳥を拾い上げると瞳を眇めて。
「ああ、そうみたいですねぇ。どうします? 焼いときます?」
煌々と燃える狐火のファイアウォールを横目に、菊里が霊符を鳥にぺっと貼りながら首を傾げた。
「ま、丸焼きはやめよーっ!!!」
慌てた八雲はわたわた。
「……いいや、大丈夫。こうやってもふっていれば手触りで技解除の瞬間が解るだろう?」
「おお。……流石! 清史郎殿、名案!」
なんて言いつつ、動かない鳥達を存分にもふり出した八雲と清史郎。
無敵もふもふが解除次第ちゃんと戦いますから、ね。
このもふもふしている動きは鎧を砕いている所なので、ちゃんと彼らは戦っています。
本当です。
「程々にしとけよー」
やれやれと眉を跳ねた伊織は豆菓子を撒いては属性宿した暗器で鳥を一閃し、燃える菊里の狐火は鳥の数を確実に減らす。
「五穀豊穣は皆で分かち合うもの。貪欲に食い荒らす害鳥は、丸焼きにして稲荷神への供物にしましょうか?」
なんて、冗談めかして菊里が笑えば。
「自然ならざる存在が豊穣を乱す等、あってはならぬ――が、や、やっぱり丸焼きはやめよー!」
「丸焼きか、災魔でなければ酒の肴に良いかもしれんが……」
再び慌てた八雲に、しれっと言い放つ清史郎。
もふもふに包まれた二人(ちゃんと戦闘している)が正反対の反応を返した。
「ご安心を、やる時は一瞬で灰にします」
安心要素の無いお返事の菊里は、肩を竦めて。
「大体もふもふはぬいぐるみ達で十分ですよ。彼らはころりと骸の海へ落として、再び平和な祭を取り戻すとしましょう」
そうして鳥を一瞬で灰と化し、首を傾げた。
「いや、菊里は結局無情だし、清史郎もやっぱ肉食だなっ!?」
酒はまた後で平和に飲もうぜ、と豆を巻く伊織は肩を跳ね。
「しかし五穀豊穣を願い祝う今宵を邪魔するが無粋は確か」
清史郎もそこはわきまえている、と言葉を重ねて。
「あ……」
そこに、少しだけ残念そうな八雲の声が響いた。
膨らみきっていた羽毛がしぼみ、ふっかりかんが失われてしまう白い鳥。
「――さて、そろそろこの桜吹雪で還るべき場所へと送ろうか」
「くっ、全て済めばまたふわひよ様達に癒され直そう……」
刃を構え直した清史郎に、少し肩を落とした八雲がオーラを纏い直す。
二人は、鳥達を睨めつけて――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鳴宮・匡
◆ニヒト(f13061)と
ニヒト、足大丈夫?
あれだったら休んでても……
……わかったよ
ただし、無茶はしないように
引き抜いた自動式拳銃で狙撃
一般人に近い敵から順に処理していくよ
的が小さかろうが、誤射するほど腑抜けちゃいない
しっかりと動きを見切り、よく狙って、効率よく一射で落としていく
流れ弾を作りたくないからな
……もうUFOには驚かないからな……
ニヒトが粗方引きはがしてくれるようなら
安全を確保したところから避難して貰うよう声掛けを
こういう役回りは柄じゃないんだけど
犠牲が出たんじゃ、きっと嫌だろう
楽しい思い出は、楽しいままにしてやりたいから
……うん、射的?
いいよ、今度祭りに行くときは何か取ってやろうか
ニヒト・デニーロ
◆鳴宮(f01612)と
……楽しいお祭りを、台無しにはさせられないから。
大丈夫、私には、これがあるもの
おいで……(ポーズを決める。空からヒトデ型UFOが現れる)
……かわいいからって、遠慮はしないわ
片っ端から触手アームで「手をつなぐ」事で鹵獲、UFOの中に取り込んでいくの
すばしっこいのはミューテーションビームで直接拉致してしまうわ
……その後どうなるかは、秘密。
……鳴宮、射的、上手ね
なにかとってもらえば、よかったかしら……?
降り注ぐ災厄、白き悪魔。
屋台を、五穀豊穣を。
喰らいつくさんと、次々と降り注ぐ白き鳥達の姿。
「……ニヒト、足大丈夫?」
匡とニヒトは二人並び立ち、横の彼女を気遣う言葉を漏らした匡。
「あれだったら休んでても良いけれど」
ううん、と首を横に降ったニヒトは横ピースはそのまま。
「大丈夫、私には、これがあるもの」
――楽しいお祭りを、台無しにはさせられないから、と空を見上げた。
すっと逆の手を掲げて、蒼と漆黒の瞳を夜空に向けたニヒト。
おいで。
その瞬間、空に波打つような鋭利な軌道を描いて現れたのは――。
巨大なヒトデの形をしたUnidentified Flying Object。略してUFO、未確認飛行物体。
いいや、今確認はされているので未確認では無いかもしれないが細かいことはおいておこう。
空を埋め尽くす白い鳥達の背に、浮かぶ巨大なヒトデ。
「……かわいいからって、遠慮はしないわ」
すとん、とそのヒトデの上に乗り込んだニヒトは彼を見下ろして。
肩を竦めた匡が、観念したかのように小さくかぶりを振った。
「……わかったよ。ただし、無茶はしないように」
そうして敵へと向き直った匡が自動式拳銃を構えると、滑空してきた鳥へと狙いを定め。
――匡の重ねてきた鍛錬は、重ねてきた死体の数は、彼を裏切る事は無い。
小さな小さな的であろうが、3136メートル先の的であろうが、正確に射抜いてみせよう。
匡の丁寧に放つ弾は、確実にピヨすけを撃ち落とす。
重ねて。
空に浮いたUFOだって、ただ現れただけではない。
「手をつないで、……全て鹵獲」
にょろりと触手を伸ばせば、片っ端から腹の裏にある口へと鳥を収めてゆく。
なんだったらビームもでている。
なんだこのヒトデやりたい放題か?
食べられたらどうなるかだなんて、秘密なのだけれど。
「……もうUFOには驚かないからな……」
大暴れするヒトデを改めて見上げた匡はぽそりと呟き。
「妖怪変化の類が現れているようだ、退治をするから少し避難を頼めるか?」
そして、――こういう役回りは柄では無いけれど。
犠牲が出てしまう事はきっと嫌だろう、と。
匡は空で行われている、鳥VSヒトデ世紀の決戦を口を開いたまま呆然と見やる祭客に声を掛ける。
――楽しい思い出は、楽しいままにしてやりたいから。
ちらりと空を見やりながら、祭客の背を押し。
「後、その飴捨ててくれるか?」
一度掌の中で回すと、しっくりくる形に構え直した銃。
客の持つ飴へと向かってカッ飛んできた鳥の頭を、そちらを見ることも無く放った一撃で貫いた。
それをじっと見ていたニヒトが、すうっと滑空してくると匡と視線を交わして。
「……鳴宮、射的、上手ね」
「……うん、射的?」
こくん、とニヒトは頷く。
「なにかとってもらえば、よかったかしら……?」
「……いいよ、今度祭りに行くときは何か取ってやろうか」
呟く彼女に、匡は笑って見せた。
次はもっと、平和なお祭りで。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蜂月・玻璃也
【土蜘蛛】
やっぱりこうなったじゃないか
くそう、業務外だけど放っておけない!
できれば避難誘導くらいは……手伝ってくれない?
と浴衣の部下たちへ下手に出る
耀子がやる気で助かった
浴衣でもあの足さばき、流石だな…
いや、感心してる場合じゃない
大丈夫だ!援護はまかせろ!
今日の俺は鬱憤が溜まってるぞ
銃型ガジェットを抜いて撃ちまくる
自分の獲物さえ使えればこの通りさ
見た目になんて惑わされない
ぬいぐるみの替わりにお前らをお持ち帰りしてやろうか!
わはははは……痛っ!
……くはないけど、なんだ?
後頭部に柔らかいものが当たったぞ
えっなに!?
どんどん飛んでくる!
痛いっ……今度はほんとに痛い!
こら、啄むんじゃない!!
星鏡・べりる
【土蜘蛛】
やっぱこうなるんだなぁ~
それじゃ避難誘導しておくね。
はいはい、みんなこっちこっち。
慌てず騒がずゆっくりと、ついでに食べ物は置いて逃げてね。
食べ物が無くなったら次は人を食べだすらしいよ?
この分だと私が戦う必要もないでしょう。
避難誘導して猟兵が頑張るところでも眺めておこうかな。
もし、はぐれひよこだとか避難誘導の邪魔になるひよこが出てきたら踏みつければいいかなぁ……
でも、踏んづけて中身が飛び散ったらイヤだから……ああ、これを使おう。
少し前にもこんな事あったよね、焼き鳥の串で上手い事なんとかしよっと。
倒しきれなかったら掴んで室長の方に投げれば倒してくれるでしょ。
え~い、それ!
花剣・耀子
【土蜘蛛】
楽しい事の前後には労働が付きものなのよ。知ってる。
お仕事の時間よ。
避難誘導はお任せして、あたしはアレを斬りにいくわね。
……、これはひよこなのかしら。
まあ良いわ。名前がなんであれ、やることは変わらないもの。
この類の、見目を擬態する手合いは好かないの。
お祭りに乱入するなんて無粋な真似をしてくれるだけ有り難いわ。
心置きなく斬り捨てられる。
任せろと言われたので任せるわね。
ひよこを剣風で巻き上げて、室長の方へどんどんトスしていきましょう。
避難させるための道を開けることを優先に。
掃いて流すだけなら、周囲を気にする必要もなくて早いもの。
埋まらないよう頑張って。
あらかた片付いたらちゃんと斬るわ。
「あーーーーっ、もう! やっぱりこうなったじゃないか!」
「うんうん、予想はしていたけれどやっぱこうなるんだなぁ~」
玻璃也の嘆きに、そうだよねーって顔で頷いたべりる。
猟兵が集まってこうならない訳ないんだよ、お話の展開的に。
土蜘蛛豆知識の一つだよ、皆は覚えておいてね。
「くそう、業務外だけど放っておけない! ……だから、その……できれば避難誘導くらいは……手伝ってくれない?」
ガジェットを手に、浴衣姿の部下達にちょっとばかり自信が無さげにお願いを重ねる玻璃也。
ぴい、ぴい、ぴい。
彼らが話をしている間も、屋台街の喧騒から上がる怒号に悲鳴は大きくなるばかり。
既に戦わない宣言をされてた後なもので。
玻璃也の繊細なハートの中で、心苦しさと言うことを聞いてくれ頼むの心がせめぎ合う。
「ええ、ええ。楽しい事の前後には労働が付きものなのよ。知ってるわ」
そんな事は織り込み済みだと、耀子は機械剣を抜き構え。
冴えた蒼を細めれば、一気に跳ねた。
浴衣姿であろうが、いつもとさほど動きが変わらぬのは彼女の鍛錬の賜物であろうか。
「……でも、これって、ひよこなのかしら?」
遠く聞こえた声は、『ひよこ』だと言っていた。
しかし、耀子の目にその見た目は、そう。シマエナガという鳥に似ているように見える。
白い鳥の最中に降り立ち。ぐん、と身を低く構えた耀子は機械剣で大きく円を描くように。
――まあ良いわ。名前がなんであれ、やることは変わらないもの。
大きく切り込むと、ピヨすけたちは大きく膨らんだ。
……あら?
「はーい、じゃあ私は避難誘導しておくね」
ひょいと立ち上がったべりるは、草履をぺったらぺったら。
何故か膝のあたりにも可愛い紐がついているので、彼女は今日とても歩きにくい。
可愛いには犠牲がつきものなのだ。
「ああ、ありがとう、頼んだぞ!」
二人ばかりなんとか動きだしてくれた部下に、胸を撫で下ろす室長(カリスマが無い)は前をキリリと向き直り。
「――今日の俺は鬱憤が溜まってるぞ、よし、耀子! 援護は任せろ!」
力強く宣言すると、玻璃也はガジェットより毒弾を放ちだす。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとはよく言ったもの。
「わははは、自分の得物さえ使えればこの通りさ。ぬいぐるみの替わりにお前らをお持ち帰りしてやろうか!」
真横まできた鳥は上手に撃ち落とせた玻璃也は上機嫌。
更に狙いを定めて。
「ええ、任せろと言われたので任せるわね」
そしてコックリ頷いた耀子が、大きく刃を振るうことで生まれた風で鳥を巻き込むと。
ひょーいと、そのまま玻璃也の方へと投げ込みだした。
「えっ、何? おおい、耀子さん、反抗期?」
やる気だったんじゃないのか?
玻璃也へと、ぼてぼてと膨らんだ大福のような鳥達が転がってくる、落ちてくる。
それは当たるとふかふかして、痛い程でも無いけれども。
どんどん落ちてくる、もふもふしてる。
「私とはちょっと相性が悪いみたいなの、このままじゃ時間が掛かりそうだから。頼んだわ、室長」
試作機の使用を認めてくれるならば別だけれども、使わせてくれないでしょう?
身軽に跳ねた耀子は避難の道を切り開く事を優先して。
祭客達の前に立って機械剣を振るうと、剣圧で巻き上げて玻璃也の方へと飛ばす、飛ばす、飛ばす。飛ばす。
――掃いて流すだけならば、周囲を気にする必要も無く。何よりも一番早く、避難を行わせる事ができるだろうから。
「はいはーい、みんなこっちこっち。慌てず騒がずゆっくりと、ついでに食べ物は置いて逃げてねー」
食べ物が無くなったら次は人を食べだすらしいよ? なんて。
避難する人達の先頭に立ったべりるは手を大きく上げて。
この分ならば自分が戦う必要もないだろうと、周りの戦闘を見やりながら思考を巡らせる。
「うーん、でも、はぐれひよこがこっちに来たら……」
鳥に食べられる前に。
自分の大切な軍資金で買った最後の焼き鳥を齧ると、同時にカッ飛んできた鳥。
む、と碧色の瞳を眇めると、べりるは串を握りしめて拳を叩き込み。
「……少し前にもこんなことなかったっけ?」
食べ終えた串に刺した鳥は、さすがオブリビオン。これだけでは倒れてくれていない。
ううん、と少しだけ考えた様子のべりるは――。
「室長~、パース!」
朗らかに笑んで室長に投げ込む事にした。
「えっなに!? 痛い!?!?!?」
ふかふかしていない鳥は痛い。
べりるに投げ込まれた鳥についばまれて涙目になる玻璃也。
射撃の腕が酷すぎて、低い命中率。
ガジェットをめちゃくちゃに打ち抜く玻璃也。
「うーん、室長やっぱりもうちょっと練習したほうが良いんじゃない?」
首を傾ぐべりるは、ちょっと離れると下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、って感じになるなあと鳥を投げて。
「こちらがあらかた片付いたら、ちゃんと斬るわね」
埋まらないように頑張って、と耀子も鳥を投げる。
「お、おあーーっ」
玻璃也は鳥に埋まった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
楜沢・玉藻
【楜沢家】
ただのひよこ売りならともかく
人に迷惑をかける妖怪オブリビオンはお呼びじゃないわ!
楽しいお祭りを邪魔する人には退場願いましょうか
紺に先行してピヨすけのモフモフを刈ってもらい
紺がモフモフを刈ったピヨすけの間合いに踏み込むわ
モフモフの薄くなったところを狙って
猛虎硬爬山で浸透勁を叩き込む
浸透勁なら多少モフモフが残っていたり
狙いが外れてもダメージが通るはずよ
「紺、どんどん次を刈り取っちゃって!」
「仕上げはお姉ちゃんにまかせなさい!」
さあ、ひよこの来る方を辿って行けば黒幕のところ辿り着けるはずよ!
楜沢・紺
【楜沢家】もふもふした生き物を利用して楽しいお祭りを妨害するなんて、何て卑怯なんだ! 僕が責任をもってもふもふを刈り取る! 剣刃一閃! 命刀一尾を使ってピヨすけのもふもふを刈り取っていくよ! 刈っても刈ってももふもふが! くっ……! こんなに厚くてたっぷりのもふもふ。お布団が一体何枚できるんだ! 切り刻む事は難しいと思うけど。なんだか可哀想だから刈るのはもふもふだけにするよ。 仕上げはお姉ちゃんにお任せだよ!
ぴい、ぴい、ぴい。
ふかふかもふもふ、可愛い白い鳥たちが屋台に群がり。
その重みで屋台が崩れ落ちる。
ばらまかれた食事に、鳥たちが更に殺到し――。
「紺、聞こえたかしら?」
「うん、お姉ちゃん。聞こえたよ!」
――『ひよこ、ひよこはいかがかね』。
この惨状を生み出した黒幕が、近くにいる。
声が聞こえたという事はそういう事であろう、と。
「いこう、お姉ちゃん!」
「ええ、ただのひよこ売りならともかく。人に迷惑をかける妖怪オブリビオンはお呼びじゃないわ!」
双子は顔を見合わせコックリと頷き合うと、一気に地を踏み込んで、駆け出した。
襲い来る敵は、ひどくもふもふで。
向かい来る敵も、ひどくもふもふだ。
「はぁッ!」
玉藻が地を踏切り飛んで、オーバースロー気味に拳をねじ込むとふっくらと膨らみダメージを全て受け流す白い鳥。
「……紺! このもふもふどうやらダメージを吸収するようだわ!」
「うう……、こんなにもふもふした生き物を利用してお祭りを妨害するなんて……なんて、なんて卑怯なんだ……!」
玉藻の気づきに、嘆く紺。
冷たく輝く刃――命刀一尾をスラリと抜くと、しっかと構えて紺は前を向いた。
「お姉ちゃん、そのもふもふは僕が責任をもって刈り取るよ! ……そのもふもふがダメージ吸収素材なら、それで攻撃が通る様になる筈だよ!」
「ええ、やってみましょうか!」
両脇を引き締めて、重心を落とした紺は鋭く地を踏みしめて。
状態を捻って、肩を入れ。
一閃。
もふもふのもふもふを、もふもふと削ぎ落とす!
「……これで……っ!」
「行くわよっ!」
横合いから突っ込んできた玉藻が氣を巡らせると、地を重く重く踏み込み。
まるで刃のように拳を振り落とせば、白い鳥がぴっと声を上げて叩き落された。
「よしっ、通った! ――紺、どんどん次を刈り取っちゃって! 仕上げはお姉ちゃんにまかせなさい!」
「了解っ!」
駆ける、刈る。
浸透勁を叩き込む。
もふもふふかふか。
幾度も幾度も重ねられる攻防は、たっぷりのもふもふを生む。
「くっ……! 刈っても刈っても、もふもふが……!? こんなに厚くてたっぷりのもふもふ。お布団が一体何枚できるんだ……!?」
「紺、くじけちゃだめよ。どんなもふもふにもいつか終わりはくるものよ!」
さっきからつっこみが居ない様子なので僭越ながらつっこませて頂くと、紺の驚きポイントはちょっとズレている。
もふもふしながらも、二人はピヨすけの現れる方向。
確実に、着実に、黒幕へと距離を詰め行き――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『嗤う厭魅師』
|
POW : 人を呪わば穴二つ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【召喚した対象の影姿で再現し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD : 呪殺符
レベル×5本の【即死】属性の【呪符】を放つ。
WIZ : 蟲術
【猛毒】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:九廸じゃく
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「御狐・稲見之守」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●こういう祭は好かんねん
「――見つけたわよ、黒幕!」
ひよひよ、ひよひよ。
彼の横に置かれた屋台の上には、おとなしく白い鳥達が収まっている。
「おんや、お二人さん。そんなに急ぎはって、何処いきはるの?」
煙管から口を離した若い男は、ふうと煙を吐き出して。
まるで狐のような笑みで、微笑んで首を傾げた。
「あんなにもふもふした生き物でお祭りを妨害するなんて、卑怯者!」
紺が憤ったように腕を振るうと、もふもふの欠片がふかふかと飛んでいった。
笑う男は、首を傾ぐ。
「なんや、おかしいねぇ。お祭りいうたら、ひよこがつきものやないの?」
軽口を叩きながらも、張り付いた笑みはそのまま。
「折角たくさん連れて来たけど喜んでもらえへんかったみたいやねぇ。それにあんたらみたいな小さい子は、ああいうひよこが好きなもんやと思たんだけど……」
符を取り出した厭魅師は指先に幾枚もの符を這わせて、ひらりひらりと弄び。
「まあ、せやね。うちはここの神さんがどうも気に入らへんねや。皆に祝われて楽しそうで、幸せそうで、ああ、イヤんなるわ。せやからね――邪魔する邪魔するんやったら、容赦はせえへんで」
そのまま口元に符を寄せた厭魅師は、双子を睨めつけた。
「容赦をしないのはこちらの方よ、――楽しいお祭りを邪魔する人には、ご退場願うわ!」
「ここに祀られているのはお稲荷さんだ、僕達にだって無関係の神様じゃない。――お祭りの妨害は許さないよ!」
重心を落として玉藻は構え、刃を携えた紺も低く腰を落とす。
双子と厭魅師は、視線を真っ直ぐに交わし――。
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
本当、気に入らないな
楽しい時間を邪魔してくるなんて
ヨハンの言葉に頷いて槍を構える
容赦しないのはお互い様なんだから!
まずは一気に距離を詰めて一突き
元々力試しのつもりだったけど……楽に倒せる相手ではなさそう
あの呪符、なんだか嫌な予感がする
下手に相殺は狙わずに
一枚すら掠ることのないように見切らなきゃ
そうする前に切り裂かれる呪符に笑みが浮かぶ
助けられてばかりだね
ヨハンの援護に応えるためにも攻めの手は緩めない
多段突き、なぎ払い、時にナイフ投擲と
色んな戦法をとることで次手を読ませないようにしよう
大丈夫だよ、ヨハン
この戦いが終わった後、笑っているのはあいつじゃない
私達の方だから
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
分かり易いのは嫌いじゃないですね
気に入らないから荒らしてやろうって訳でしょう
それならば、こちらはあんたが気に入らないから邪魔してやろう
正直祭り自体への思い入れというものはそれほど無いんですけどね
わざわざ邪魔する腐った性根は見上げたもんです
前は彼女に任せて後方からの支援を
『蠢闇黒』から闇を喚び、前を行く彼女の防御を担う
呪符はすべて切り裂き散らしてやろう
声を掛けずとも彼女の動きは分かる。それに合わせてより効率的に援護をするのみ
黒闇を当てられたら、侵蝕する昆冥により宣告する
嗤うな
軽薄な笑みが気に入らないんですよ
「へえ、分かり易いのは嫌いじゃないですね」
コツとヒールの音を響かせて。
「気に入らないから荒らしてやろうって訳でしょう?」
瞳を眇めたヨハンはオルハと並び立ち、黒い手袋をきゅっと引き絞る。
まっすぐ見据える藍に染まる瞳は、狐面の男を射抜くよう。
正直。
ヨハンの祭り自体への思い入れというものはそれほどありはしない。
しかし、しかし。
「それならば、こちらはあんたが気に入らないから邪魔してやろう」
「うん、楽しい時間を邪魔してくるなんて!」
こっくりヨハンの言葉に頷いたオルハが、重心を低く構えるは慣れた得物、三叉槍。
「――容赦しないのはお互い様なんだから!」
力に対して、撫でるように力の方向性を変えただけ。
鋭く踏み込み槍の穂先を押し込めば、コツと煙管に穂先が引っ掛けられて軽く捌かれる。
「……っ!」
力試しのつもりであったが、――楽に倒せる相手ではなさそうだ、と。
オルハは翠瞳を細めて敵を見やって。
「おお、怖いこわい。そんな剣幕でみんといて、恐ろしゅうて泣いてまうわぁ」
切り替えされた煙管がするりと抜けて。
厭魅師はゆうらり滑るような足取りで、オルハより距離を取り。さっと指を滑らせればその手に幾枚も符を現し。
「……あの符、なんだかすごく嫌な予感がするよ!」
オルハはその禍々しさに、ひゅ、と息を呑んだ。
それは、羽根がぞっと逆立つ程の心地悪さ。
一枚すら掠ってはいけない、という本能の訴え。
瞬時に地を蹴り飛んで後退をしながら、オルハは背を守る彼に注意を呼びかけ。
「そうですね、オルハさん行っていいですよ」
それでも、彼は進むことを勧める。
「……! 分かった!」
ヨハンの言葉に頷いたオルハは、一気に跳躍して再び前進した。
心地悪さは背をぞわぞわと震わせはするけれど。
――彼がそういうのならば、大丈夫なのだから!
「女の子を盾にしはるん? 随分やなぁ」
くつくつと嗤った厭魅師は、幾つもの符を浮き上がらせて嵐の如く一斉に放ち。
オルハは符を槍で突き刺し、槍で払い。
跳ねる、避ける。
迫る符の数は増える、増える。
「あなたの腐った価値観では、そう見えるかもしれませんね」
ヨハンの短い言葉。
どれほど彼女を見てきたと思っているのだ。
――声を掛けられずとも、掛けずとも。オルハの動きなんて手に取るように理解ができる。
蠢く闇を封じた黒石が銀指輪の上で、流し込まれた墨の様に闇をさざめかせる。
一気に膨れ上がった影は、闇は、オルハが避けきれぬ角度で迫った符を一気に防ぎ、裂いた。
「……助けられてばかりだね!」
オルハの唇に自然浮かぶ笑み。その笑みは彼の信頼に、援護に応えよう、と浮かぶもの。
ヨハンに操られた闇と、オルハの槍が同時に厭魅師を鋭く貫き――。
そのまま槍を引くと、壊れた屋台を蹴って。背に迫った符を避けたオルハは、続いてナイフを鋭く投擲した。
それは厭魅師の額を狙っての一撃。
「いややわァ、そんなん人になげたら」
真っ直ぐに向かい来る銀の刃に、厭魅師は嗤う。
――厭魅師の前に膨れ上がった影。
それは、ヨハンの使う黒闇と同じ色。
ナイフを絡め取った闇は、逆にオルハへと向けられ――。
「……うるさい、『嗤うな』。軽薄な笑みが気に入らないんですよ」
「っ!」
そのヨハンの言葉はルールだ。
ルールによって縛られた、まじないだ。
そのルールは厭魅師にとって、守ることの難しいもの。
何たって、常に彼は笑っているのだから。
しかしそのルールを破った事で、確実に身体は蝕まれる。
予想外につきんと痛んだ身体に、思わず影の狙いを反らしてしまった厭魅師。
「大丈夫だよ、ヨハン」
その上へと、大きく翼を広げて降り落ちてきたのはオルハの姿だ。
「この戦いが終わった後、笑っているのはあいつじゃない。私達の方だから!」
オルハの鋭い一撃が、厭魅師へと叩き込まれ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篝・倫太郎
【華禱】
え?僻みっぽいだけなんじゃねぇの……?
や、流石に口には出さねぇけど
あ、うん……
夜彦の判ってますよって視線には笑って誤魔化して
言わないって……
言ってる余裕、なさそうだし
拘束術使用
射程内なのを確認して鎖で先制攻撃
同時に華焔刀でなぎ払い
刃先返しての2回攻撃
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防いでカウンター
夜彦の影とか正直なトコ、気持ちが昂らねぇ訳じゃねぇよ
絶対に強いやつじゃん……
怪我するとすげぇ心配すっから
キヲツケマス、ヨ?
言いつつも夜彦の影姿に対して拘束術使用
ま、夜彦の言う通りでさ
俺の影姿が出たって同じとは限らねぇ、ってな?
一度だけ、ってんなら真っ向勝負と行こうじゃねぇの
月舘・夜彦
【華禱】
……捻くれているとも、妬いているとも
倫太郎殿も何か言いたげなので黙って頷いておきましょう
理由は如何であれ、オブリビオンには変わりありません
倫太郎殿の先制攻撃に続き、ダッシュにて接近
接近戦へと持ち込みます
敵からの攻撃は残像・見切りより躱してカウンター
回避出来ないものは武器受けにて防御
連携して攻撃を繰り出し、命中率重視の抜刀術『風斬』
防御されれば私の影姿が出るのでしょう
倫太郎殿戦いたそうですが、油断は禁物ですよ
ですが、あくまで再現した己
攻撃までも全く同じとは限らないでしょう
倫太郎殿が影姿へ拘束術を繰り出したのを合図に早業の抜刀術『風斬』
攻撃力重視併せ2回攻撃
――勝負!
倫太郎は唇をむずむずさせて、言葉を我慢していた。
え?? 何? ソレって僻みっぽいだけなんじゃねぇの……?
その横で刀の柄に手を沿えている夜彦も、優しい視線。
……捻くれているとも、妬いているとも思うけれど。
口にはしない優しさ。
しかし、しかし。
敵の理由は如何であれ、オブリビオンであることに代わりはない。
二人が視線を交わすと、なんだか生暖かい雰囲気になってしまった。
……ああ、うん。いわない、言わないよ。
言っている余裕なんて、無さそうだから。
――鳥達への攻撃を、見られていたのであろうか。
見えぬ鎖を引いた倫太郎は、厭魅師にその鎖を逆に引き絞られている感覚を感じる。
次ぐはすっかり身に染み付いた、慣れた動き。
薙ぎ払いからの刃先を返しての二度目の攻撃を符で弾かれ、眉を顰めた。
――ああ、本当にそんな事言っている余裕なんて無さそうだ。
倫太郎が瞳を細めれば。次いで踏み込んだ夜彦が鋭く刃を抜いて、駆ける刃風。
「アハハ、こうやってると一緒に踊ってるみたいで愉快やねえ」
斬られながらも、厭魅師は嗤う。
ゆうらり、彼の影が蠢いて。影が伸びる、膨れ上がる。
形作られたのは、倫太郎と夜彦の影だ。
「!」
一瞬だけ、倫太郎の目が輝いてしまったのは不可抗力とも言えよう。
――気持ちが昂ってしまうのは、羅刹として自然な事。
戦闘狂の種族たる、羅刹の本能。
ああ、夜彦の影なんて絶対に強いだろう!
本気で傷つけるつもりで戦ったって、相手は只の影だ。
「……油断は禁物ですよ」
嗜めるように夜彦に注意をされれば。
影へと見えぬ鎖を放ちながら、倫太郎は空笑いを浮かべて。
「……、あ、ハイ。キヲツケマス、ヨ?」
いつもの、ちょっと図星を突かれたときの口調。
……怪我するととても心配をされるし、気をつけようという気持ちは本物だけれども。
「それにあれは、あくまで己の技を再現しただけの影でしょう?」
「そうだな、俺の影姿が出たって同じとは限らねぇ、ってな?」
二人は影にそれぞれ対峙し――。
「では――勝負といきましょうか」
とは言え倫太郎の影の行う動きは、夜彦にとって酷く見知ったものだ。
倫太郎との共闘を、幾度重ねて来ただろうか。
数えはしない、もうきっと数えられるような数ではないだろうから。
だが、だからこそ。
彼の『得意の戦い方』は、夜彦が誰よりも知っている。
影の倫太郎が放つ鎖のタイミングだって、手にとるように分かってしまう。
影の倫太郎が行う薙ぎ払いだって、二度目の切り返しだって。
『彼の動きなら、知っている』。
見えぬ鎖を絡め取り。
引っ掛けて捌いた影の薙刀を刃で切り裂くと、夜彦は鋭く踏み込んで。
「――一度だけ、ってんなら真っ向勝負と行こうじゃねぇの!」
ああ、自分で言ったことではあるが。
夜彦の影の行う動きは、倫太郎にとっても酷く見知ったものであった。
夜彦との共闘を、幾度重ねて来ただろうか。
数えはしない、もうきっと数えられるような数ではないだろうから。
だが、だからこそ。
彼の『居合を抜くタイミング』を、倫太郎は誰よりも知っている。
鎖に絡め取られた、影の夜彦の身体。
そのまま居合を放たれれば、きっとその速度には付いて行く事はできないだろう。
だからこそ、倫太郎は突っ込んで。
――一度その身を、地に伏せた。
突然その身を低く構えられた事で、スかされた剣は空を掻いて。
萌黄色を少しだけ刈った剣圧を感じながら、立ち上がった倫太郎は薙刀で一気に影を貫いた。
さぱり、と倫太郎と夜彦の影が斬られ、貫かれ、掻き消える。
「さあ、次は本体だぜ!」
「ご覚悟を」
そして二人は、小さく笑んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レパル・リオン
ルクちゃん(f14346)と一緒!
あの怪人、ヤバそう…!本気でやらなきゃね!
怪人の所に着く前に浴衣を素早く脱いで、いつもの服に早着替えするわ!
ほら、ルクちゃんも!(服を着替えさせる)
あーゆー奴は、何かする前に倒すのが1番よ!
猛毒や呪符を放つ前に、【瞬打】を食らわせるわ!ダッシュで踏み込みアゴ狙いの高速パンチ!頭を揺らしてふらつかせる!
そのまま捕まえて!持ち上げてぇっ!
頭から投げ落とす!でりゃあっ!
今よ!やっちゃえ、ルクちゃん!
アドリブ大歓迎!
ルク・フッシー
レパルさん(f15574)と一緒です
う、強そうです…浴衣のことばかり気にしてはいられなそうです…!
そ、そうですね…浴衣を脱げば…
(レパルの早着替えを見る)おおっ!レパルさん、凄いです!
…ひゃんっ!?(服を着替えさせられる)
と、とにかく戦いましょう!
レパルさんがオブリビオンを地面に叩きつけた所で、【連射塗装】を使います
呪符も猛毒もひよこも焼き尽くす炎属性の紅い塗料弾、全弾まとめてオブリビオンに浴びせます!
アドリブ、歓迎します
レイラ・アストン
プロメテさん(f12927)と
先程のひよこのように
時には戦うのを躊躇うような
オブリビオンもいるけれど
幸いね。この男はそういった類ではなさそうだもの
私も攻撃に転じましょうか
鎖蛇に『呪詛』を乗せて伸ばし
鞭の要領で打ち据えて『マヒ攻撃』
敵の蟲術には『オーラ防御』を展開し身構える
けれど瞳に映るは
私を庇うプロメテさんの背中
ああ、この男を生かしてはおけないわ
オブリビオンというだけでなく
私の友達を傷付けたのだもの
込み上げる敵意に応じ
発動するは【憤怒の審判】
奴を何処までも追いかけて、追い詰めて
食らい尽くしてしまいなさい
守ってくれてありがとう、プロメテさん
でも、自分のことも労わってね
貴女が苦しむ姿は見たくないの
プロメテ・アールステット
レイラ殿(f11422)と
そうか、祭りにはひよこがつきものか…
しかし虚しい男だな
邪魔することでしか鬱憤を晴らせぬとは
だが見逃すわけにはいかないな
『戦闘知識』『地形の利用』を活用
敵の攻撃を『武器受け』て『なぎ払い』、炎の『属性攻撃』
敵からレイラ殿を『かばう』
蟲術は『毒耐性』と『激痛耐性』で耐え凌ぐ
大丈夫か?レイラ殿
私は問題ない、この程度の猛毒など取るに足りぬ
【ミレナリオ・リフレクション】で敵の攻撃を相殺、レイラ殿が攻撃できる隙を作る
友人を守れる
彼女が私の為に怒ってくれ、傷を気遣ってくれる
その全てが私に力を与えてくれる
ありがとう、私は大丈夫…独りではないから
孤独なお前には分からぬだろうな、厭魅師よ
禍々しい呪詛の気配が、濃厚に膨れ上がる戦場と化した参道を、駆ける草履の音は二つ。
「あの怪人、ヤバそう……」
「うう……、強そうです……」
ふるると毛並みを揺らして眉間にきゅっと皺を寄せたレパルの後ろで、ルクが筆を握りしめ。
「今は浴衣のことばかり、気にしてはいられなそうですね……」
「そうね」
短いレパルの返事に、なんと無しにルクが彼女を見やると――。
「!?」
既にレパルは、いつもの何処か魔法少女めいた服装を纏っていた。
これぞレパル必殺、早着替えである。
「おおっ! レパルさん、凄いです!」
ルクは瞬き一つ、目をまあるくして明るく驚いてみせるけれど。
――そりゃあ。
一緒に選んだ浴衣を、レパルがすぐに着替えてしまうのは少しだけ寂しいものだ。
しかし今は戦いの最中。そんな事を言っていられないだろう、とルクは頭を振る。
と、そこに伸びてきたのは桃色の掌。
「ほら、ルクちゃんも!」
「えっ、わっ、……ひゃんっ!?」
身体をきゅっと隠してはみるが、気づけばいつものサロペット姿。
そんなこんなで。
瞬きの間に、レパル直々に早着替えさせられていたルクはぷるぷるする。
女の子に、ひとまえでこんなことをされてしまうなんて……。
朱色の髪を、秋風に揺らし。
感情の色の薄い金色が、厭魅師をまっすぐに見つめている。
「そうか、祭りにはひよこがつきものか……」
彼の言葉に、その睫毛を小さく揺らして視線を下げたのはプロメテだ。
「……虚しい男だな」
呟く言葉に宿る音は、酷く冷たい。
自らの気に食わぬ物を邪魔することでしか、鬱憤を晴らすことが出来ないだなんてあまりに虚しい。
そもそも彼はもうこの時間の生き物で無いのだから、元の形からは随分と歪んでしまっているのかもしれないけれど。
今の彼の姿は、何よりも虚しくプロメテの瞳に映ることは事実であった。
「唯一幸いと呼べる事は、あの男が戦う事に躊躇を感じさせる類のオブリビオンでは無い事ね」
肩を竦めて。淡い蒼を眇めたレイラが、赤蛇を模した呪具を腕に纏い言葉を重ねると、プロメテは小さく頷き。
「見逃すわけにはいかないな」
「そうね、行きましょうか」
こん、と下駄を鳴らし、プロメテがルーンソードを引き抜くと同時にその刀身に火花を纏わせれば、一気に地を踏み込んで。
「おやまあ、こんなに苦情がくるん、えらいひよこちゃんは不評やったみたいやなァ。残念やわぁ」
嗤う厭魅師に一気に肉薄。
大きな円を描くように刃を振り上げると、炎が爆ぜて一気に手元の符を燃え上がらせた。
「はっ!」
鋭く吐き出された呼気。プロメテの背の後ろで、レイラが蛇頭を撓らせて。
弧を描いた赤い鎖蛇は、鞭の如く鋭く厭魅師を狙い――。
「そったらなァ」
その鞭に打ち据えられる寸前。
言葉を漏らした厭魅師より大量の蟲が溢れて、蛇を覆った。
「かわええかわええ悪戯玩具はどやろ? 皆びっくりしてくれはるで。お祭りにぴいたりの玩具やろ?」
誂うように狐のように笑った厭魅師は、袖口から留まること無く溢れる、大量の蟲をぞぞぞと地に駆けさせて。
それは屋台を這って、地を這って、壁を這る黒き大群。
「!」
そうしてそのまま、蟲はレイラへと殺到し――。
咄嗟にレイラはオーラを編み上げて掌に集中させて、淡い防御壁を生み出すが。
……しかし。
レイラが息を呑んだ視線の先に在ったのは、プロメテの背であった。
「――大丈夫か? レイラ殿」
プロメテは蟲に絡みつかれ噛みつかれ、その身に毒針を押し込まれようとも。
後から後から湧き溢れる蟲を叩き落として、その炎で焼き潰し。
――レイラを護ると、立っていた。
「プロメテさん……」
「問題ない、この程度の毒等取るに足らぬ」
細く囁いたレイラに、プロメテはいつもどおりの口調で応じ。
返す腕でプロメテが放つは、炎で生み出された蟲だ。
自らに食らいつく蟲を、地を這う蟲を。プロメテの放った炎の蟲が食らいつけば、酸い匂いを立てて燃やし尽くし相殺する。
「……ああ、あの男を生かしてはおけなくなったわ」
レイラは囁く。
それは彼がオブリビオンというだけで無く――。
「私の友達を傷つけたのだもの」
眼鏡の奥の伏し目がちな蒼に混じる憎悪、敵意。
ゆうらりと彼女の周りに揺れる霊気。それは幾匹もの――狼の姿を借りた霊体を喚び出して。
「奴を何処までも追いかけて、追い詰めて、……食らい尽くしてしまいなさい」
レイラが掌を広げて腕を振るうと、狼は一斉に駆け出した。
「行くわよ、ルクちゃん!」
狼の踏み込みに合わせて飛び出したのは、レパルだ。
獣の膂力と同じ加速で、一気に踏み込むと。
「――よっ!」
次に何かする前に倒してしまえば良いのだろう。
一瞬で肉薄したレパルが狙うは、嗤う厭魅師の顎先だ。――身を低くして一気に地を蹴った彼女は、鋭く拳を叩き込み!
そこへ駆け込んできた狼は、大口を開いて。敵へと牙が殺到する。
重ねてとーんと後方へ飛んだレパルが、吠えるように。
「今よ、やっちゃえルクちゃん!」
「は、はいいっ!」
声を掛けられたルクが、大きな絵筆で空に赤い線を描いた。
描かれた線が一瞬でばらりと解けて、それらはまるで銃弾のように一斉にカッ飛び。
全弾纏めて、赤に、赤に、塗りつぶす!
赤に染まる厭魅師より炎が爆ぜ燃え上がり――。
「……ねえルクちゃん! ……こいつを倒し終わったらまた浴衣に着替えようね!」
「……はいっ! がんばりますっ!」
レパルの言葉に、ルクは絵筆を更にぎゅうっと握りしめた。
そう、すぐに着替えてしまってそのままだなんて、勿体ない。
折角綺麗なまま保管できるように脱いだのだから、その後はまた着替えれば良いのだ。
――今日は折角のお祭りの夜なんだから。
「守ってくれてありがとう、プロメテさん」
プロメテの服の汚れを払った、レイラは瞳を細め。
「……でも、自分のことも労わってね?」
貴女が苦しむ姿は見たくないの、と瞳を伏せるレイラに。
く、と喉を鳴らしたプロメテは、その表情の薄い眦を少しだけ下げた。
プロメテは思うのだ。
レイラを、――友人を守れる事の喜びを。
彼女が私の為に怒ってくれ、傷を気遣ってくれる喜びを。
「……ありがとう、気をつけるよ。でも、私は大丈夫だ」
――独りではないから。
その全ては、プロメテに力を与えてくれる喜びだ。
そうして剣を構え直したプロメテは厭魅師を睨めつけて、地を一気に踏み込んだ。
その動きに合わせて、レイラが蛇を構えたのが感覚で解る。
ああ、この喜びを孤独なお前には分からないだろうな、と。
唇の端を、すこしだけ笑みに歪めて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
望月・舞夜
クラウ(f18226)と
いよいよ大ボス登場だね。皆が楽しむお祭りを邪魔するなんて言語道断!
普段ならここで変身、なんだけど。
魔導英雄ソウルウィッチ、今日は剣技でお相手するよ!
パワー頼りになっちゃうし篭手もなし
さっきの感じ、頼りに出来そうだしね。あくまで優雅にスピードで――
だーってクラウが文句付けるから……なんか言い方やらしくなぁい!!?
呪符、大丈夫なんだね。じゃ、全部切ってくよ!
目標は返り血ゼロ!
もしクラウでの一撃が防御・コピーされたら、咄嗟に逆腕に篭手とナイトスラッシャーを装備して受け止め
そのままクラウでトドメ!
「ご、ごめんってば、咄嗟に……拗ねないでよー、刃のお手入れ優しくしたげるからさぁ」
クラウ・ソラス
続けて舞夜(f16466)と
そのまま私本来の姿のままのほうがいいだろうね
直ぐにまた戦いになるだろうから――ん、あれ、今度は籠手無しかい?
漸くわかってくれた……ああ、もう少し上の方
手袋あるほうがいいかも。持っていないかい??
――それはともかく。こういう席に泥を投げるのはよくないなぁ
私もまあ、祀られる側だからね。快く思わない気持ちはわかるよ
だから少し、静かになってもらわないといけないね
それじゃあ行こうか、舞夜。採点の続きを始めよう
即死属性の呪符は私なら問題なく斬れる
速さで押していこう
……しかし二刀流
まあいいけどね?
その必要もあったわけだし、私をコピーされたらまあそれはそうせざるを得ないし?
「いよいよ大ボス登場だね!」
聖剣――、本来の姿のままのクラウを片手に舞夜は厭魅師を見やり。
「皆が楽しむお祭りを邪魔するなんて言語道断! っと……」
元気に啖呵を切ると、黒髪を揺らしてううんと顎先に指を寄せた。
「……普段ならここで変身、なんだけど」
本気で変身するとあまりに禍々しき鎧姿と化す舞夜は、普段より一部だけ鎧を喚び出して変身するのだが――。
「ん。あれ、どうしたんだい?」
「うん、――魔導英雄ソウルウィッチ、今日は剣技でお相手だよ!」
そのままぴしっとクラウを構えて、かっちょいポーズをキメるのであった。
「おや! 篭手も無しで……、漸く分かってくれたのかい?」
「だーって、クラウが文句付けるし、……ま、さっきの感じなら、たしかに頼りに出来そうだしね。あくまで優雅にスピードで――」
「ああ、もう少し上の方を持って、羽毛のように優しく! ああ、……手袋はあるかい? そちらのほうが絶対に良いよ、指紋もつかないし」
舞夜の言葉にかぶせるように、自らの願いを重ねてくる聖剣。
肩を舞夜は少しだけ竦めて。
「はいはい、じゃあ行くよ」
「あ! キミ! 話を……!」
とーん、と軽く跳ねる舞夜。
それは彼女の名前の如く、夜を舞う優雅なジャンプだ。その身体能力は彼も認める所、クラウは舞夜の掌の中で気を取り直し。
「まあ、――ともかく。こういう席に泥を投げるのはよくないなぁ。……私もまあ、祀られる側だからね。快く思わない気持ちはわかるよ」
「そうだね、気に食わないからってお祭りを邪魔するのは良くないや」
「ん。だから少し静かになってもらおう。……さあ、舞夜。採点の続きを始めようか」
「……なんか言い方やらしくなぁい!!?」
戦いの最中にあっても、軽口も朗らかに。
距離を詰めれば敵も警戒をする。
鋭く跳ね跳んできた符は、死の気配を濃厚に宿した禍々しきオーラを纏っている。
「――あの程度の呪いならば、私の『魔』を切り裂く刃に輝きに汚れを落とす事も無い、舞夜! 斬るんだ!」
「了解、全部斬ってくよっ!」
その禍々しきオーラに、一枚たりとも掠るつもりは無いと。
踏み込み突き出されたクラウの刃が、前方から迫る符を真っ二つに斬り。
舞夜は身を低くして、手首を返すと逆水平に刃を薙ぎ払う。
そのまま更に迫った符を断ち切ると、肉薄した厭魅師の腹を刃で薙がんと――。
した、その瞬間。
厭魅師の足元より膨れ上がった影が、クラウの形を宿した。
薙ぎ払う前に振るわれた影刃は、クラウと噛み合わされて。
「!」
このままでは押し負ける。それに符を重ねられたりしたら――。
嫌な予感を感じて咄嗟に飛び跳ねた舞夜が、クラウを握る手とは逆の手に自らの篭手と――剣の形態を取ったナイトスラッシャーを喚び出すと。
追いかけてきた影のクラウを、逆手に握ったナイトスラッシャーで受け止めた。
「……ッ!」
鋭く吐き出される呼気。影の膂力は、自らの膂力と同じもの。
ギリリと噛み合わされた刃は身体強化の力を宿す夜魂鎧装の分、先程の舞夜より、今の篭手を纏った舞夜のほうが強い。
無理矢理弾き返した影刃を、逆袈裟に振り上げた逆手のクラウで断ち切ると、舞夜はとーんと跳ね。
そのまま空中で円を描くみたいに空中回転をしながら厭魅師へと斬りかかる!
「えーいっ!」
そして、敵の腕を深く斬りつけると、勢いそのまま厭魅師の背後へと飛んで距離を取り――。
剣がふうん、と言った。
「……しかし、そうか、そうだね、二刀流か。ふうん、まあいいんだけれどね。うん。その必要もあったわけだし。そう、うん。私をコピーされたらね。まあ、まあ、まあ。そんな時はそうせざる得ないだろうし、いいんだけれどね。ふうん」
全然良く無さそうな剣。
「ご、ごめんってば、咄嗟に受けようと思ったらああなって……」
困ったように言葉を重ねる舞夜。
「いやあいいんだよ、ふうん! 私という剣がありながら! それでも必要があったわけだからね!」
「わああ、拗ねないでよー。刃のお手入れ優しくしたげるからさぁー」
地へと降り立った舞夜は、すね始めた剣をなだめて、すかして。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
【酔人】
ち、厭な笑いだ
人の倖せを素直に喜べねェ捻くれ者か
…テメェの腹ァ中読めねェし理解する気もねェが
こっちもオシゴトなンでなァ
きっちりケジメつけさせてもらうわ
楽しい祭の余韻に早く浸りたいンでな
逃がさねェよ(源次達と取り囲み
【奏上・三位一体之祓剣】使用
攻撃力up
数で有利な分、攻撃手休めず
和服で戦う昔の感覚取り戻す一段と動きが良く
玄夜叉で敵へ連撃し戦力削る(2回攻撃
仲間が危険ならかばう
敵に防御されたら影と対峙
ハ、影如きに俺が敗けるとでも?(恫喝
攻撃はスレスレで躱す
風を味方にし敵を一刀両断
恩に着るぜミルラ!
源次と目配せ
言葉不要
語るは思いと剣筋
黒外套が宙を舞う
虹駆で一回転し敵本体へ剣で一閃(部位破壊
ミルラ・フラン
【酔人】
あたしの信じる神とは違うが、神を軽んじる奴にはそれ相応の報いを受けてもらおうじゃないかい?
ただでさえ、ここの神様は商売の神様だと云うだろう?
冒涜したツケは払って貰わないとねえ?
Signorina Torturaを棘付き車輪に変えて厭魅師へけしかける
クロウ、源次、あたしは面で行くから、正確な一撃は任せたよ
厭魅師が攻撃を避けるようならすかさずトラバサミへ変化させて設置
毒か!だがね、呪いの毒が神の下女に通用すると思ったかい!?
(【祈り】【オーラ防御】で対抗)
【誘惑】でもって惹きつけて、Attraente Cremisiで攻撃
逃がさないよ!
今だ!殺っちまいな!!
叢雲・源次
【酔人】
他者を妬むのは良い。それが人が持ちうる感情の因果というものだ。
だが、しかし…その因果を良しとし愉悦を感じるというのならば…貴様も邪神の類と相違無い
祭りにはひよこがつきもの。と言ったな?
いいや違う…貴様にとって今この瞬間、この場は祭りなどでは無くなった
「此処が貴様の地獄と知れ。」
真打ちとも言える対神太刀を抜き八双の構え、蒼き煉獄の炎が刀身から揺らぎ溢れる
クロウ、ミルラの援護を受けながら、地面が陥没するかのような勢いで踏込み
「加減は無しだ…耐えてみせろ」
全力で振り下ろす
一帯を吹き飛ばさんばかりの衝撃と共に返し刃
真上へ向け振るわれた刃と共に蒼き炎が火柱となって吹き荒れる
雲烟・叶
やれやれ、無粋の大元は此処でしたか
おまけに動機は誰からも見られず祝われず祀られない嫉妬、と。嫌ですねぇ、見苦しい
鳥共のせいで立ち上ってしまった黒靄は、広がる前に喰らってしまいましょう
此処の神さまにも、参拝客にも、後々影響があると困りますし
……ふふ、お生憎さまですねぇ
自分にとっちゃ、単なる力を増す餌でしかねぇんですよ
ご馳走さまです
【誘惑、恐怖を与える】で怖気と共に敵の攻撃を己に惹き付けて誘発し、合わせて【カウンター、呪詛、生命力吸収、吸血】
人を呪わば穴二つって言うでしょうに
あんたが振り撒いた負の感情、纏めてそっくりお返しします
自分です?
今更ひとつやふたつの呪詛が増えた所で変わりゃあしませんよ
「――やれやれ、無粋の大元は此処でしたか」
厭魅師の姿に肩を竦め銀の視線を細めると、口を離した煙管より紫煙を吐き出した叶。
「ち、厭な笑いだ。……人の倖せを素直に喜べねェ捻くれ者か」
クロウが黒髪を揺らして、こんと下駄の音を響かせると、魔剣を地に立てた。
「他者を妬むのは良い。それが人の持ちうる感情の因果というものだ」
その後を追って、ゆっくりと歩んできた源次が口を開き。
「だが、しかし……。その因果を良しとし、愉悦を感じるというのならば。それはまた、邪神の類と相違無いだろう」
そうして、すらと構えたのは対神太刀、――黒ノ混沌だ。
剣先を水平より少しだけ下げ、そのまま擡げた刃は真上を指し。
低く腰を構えて真っ直ぐに敵を睨めつければ、煉獄の炎が蒼と揺らめく。
「その愉悦が、動機が誰からも見られず祝われず祀られない嫉妬、だなんて。嫌ですねぇ、見苦しい」
煙管の草をひっくり返し踏みにじり、己と世界を隔てるまじないを一時的に捨てて。
やれやれと周りを見渡した叶の瞳に映る立ち上る黒靄は、彼に見える形と化した『負の感情』だ。
楽しい筈の祭りに負の感情を残す事は許せぬ事、全部全部食らってしまおうか。
叶がすう、と大きく息を吸えば煤のように黒靄が――、『負の感情』が身体へと集まり、溶ける。
それは人へ変じても尚、悪意を招き、呪いを喚び寄せ、世界を歪め狂わせる叶の特性。
呪詛も怨嗟も、全て叶の餌でしかありえない。
「……ふふ、お生憎さまですね、……ごちそうさまです」
ぞろ、と体の中で蛇のように這い巡る、虞の感情の感覚は慣れたもの。
笑んだ叶は、ゆっくりと歩み出し。
「――祭りにはひよこがつきもの、と言ったな?」
下駄をからころ。彼に合わせて踏み出す、源次の姿。
いいや、と首を振った彼はまっすぐに敵を睨めつけて。
「貴様にとって今この瞬間、……この場は祭りなどでは無くなった」
言葉を言い切り、陽炎が揺らく刹那。
源次は地を割らんばかりの勢いで、地を蹴った。
「……此処が、貴様の地獄と知れ」
「そうだねぇ。あたしの信じる神とは違うが、神を軽んじる奴にはそれ相応の報いを受けてもらおうじゃないかい?」
踏み込む源次に合わせて。
拷問具を棘付き車輪と変えたミルラは、その面差しを艶笑と。
「ただでさえ、ここの神様は商売の神様だと云うだろう? 冒涜したツケは払って貰わないとねえ!」
そうしてミルラの放った、棘の生えた車輪は地を噛みちぎるように割き駆けて。
同時にクロウが、片腕で巨大な剣を掲げて飛び出した。
「あァ! ……テメェの腹ァ中読めねェし理解する気もねェが、こっちもオシゴトなンでなァ!」
鋭い踏み込みからスライディング気味に突っ込むクロウは、厭魅師の軸足を刈払い。
「きっちりケジメつけさせてもらうわなァ!」
「加減は無しだ……、耐えてみせろ」
クロウの蹴りにバランスを崩した厭魅師へと、源次は重き太刀を叩き込む。
思わずあげた厭魅師の腕に響く、みぢりと肉が軋む感覚。
「……ッッ!!」
激しい衝撃が、厭魅師の身体を突き抜ける。
その衝撃は参道の石畳をひっくり返し。
源次がその返す手で刃を真上へと振るえば、蒼き炎が火柱と化す。
「ほんま、いけずやわあ。一緒にお祭りしよ、いうとるだけやん? なあ?」
青く青く燃えながら、厭魅師はまだ嗤う。
厭魅師の落とされた腕。崩れ落ちた肉が溢れれば、ぞわと毒蟲と化して。
重ねて膨れ上がる影は、人の形を成した。
そうして焼け焦げた色鮮やかな衣装を風に靡かせれば、煤が解けて零れる。
「いってくれるかい?」
厭魅師の声かけに毒蟲は一斉に這い出し、影が駆けて――。
「――その蟲は毒か? だがね、呪いの毒が神の下女に通用すると思ったのかい?」
くつ、と笑ったミルラの聖なる祈りによって。
蟲はこちらへと向かい切る前に、まるで墨が溶けるようにその場で黒い染みと化して。
駆ける影は、クロウと向き合った。
袈裟に叩き込まれた刃を受け止めて、滑らせて、弾いて、交わして。
横薙ぎに振るわれた刃を、掌を這わせた刃で受け止める。
影の巨大な刃と巨大な刃は、鈍い音をたてて交わしては離れ。
こんころ響く下駄の音。和服はとてもクロウに馴染む。
染み込んだ過去の感覚は、彼の動きを更に尖らせる。
「――ハ、影如きに俺が敗けるとでも?」
そうして鬼神のように口端を笑みに擡げたクロウが、大きく跳ねると――。
「ああ、アンタが影如きにやられるわけはないねェ」
肩を竦めて笑ったミルラが交わす形で放った棘車輪が、影を引き倒した。
「恩に着るぜミルラ!」
重力を味方に。
風を纏った一撃をクロウが影に叩き込めば、一刀両断。
地へと降り立ちながらクロウはちり、と源次と視線を交わした。
こっくりと頷いた源次は、再び強く、強く踏み込んで。
間合いを取った厭魅師を、追って駆ける叶。
「まだ呪いを巻くおつもりで? ――人を呪わば穴二つって言うでしょう」
刹那の踏み込み。
呪いによって身体能力の上がった叶は、満身創痍の敵の懐に潜り込み。
掌を広げれば吹き出した黒き靄を、巨大な牙と顎を持った化け物のように広げて。
「あんたが振り撒いた負の感情、纏めてそっくりお返しします」
「えらいええもんくれはんねやなあ」
目尻に引いた紅も鮮やかに、叶は瞳を細めてまるで嗤うよう。
思わず身を引いた厭魅師の足元へと、巨大な薔薇の花弁が幾つも刺さる。
「――今だ、殺っちまいな!!」
響いたのは、ミルラの声音。
「あァ、さっさとやっちまって楽しい祭の余韻に早く浸りたいンでな。――逃さねェよ」
黒い外套を脱ぎ捨てたクロウが、まるで翔び遊ぶ風のように躍り出て。
交わす形で、源次の重い重い踏み込み一つ。
鋭く吐き出された呼気が重なり。
黒き靄の牙と、二つの刃が振りかざされ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霧島・ニュイ
華座敷
カラフルだねー、人生楽しそうだね?
気に入らないから壊したいっていうのは分からなくないけどさー
でもだぁめ
リサちゃんレッツゴー!
少女羅刹のからくり人形を操り、ポカスカと攻めさせる
それは気を逸らすための【フェイント】
敵の隙を縫って、不意打ちの一撃を銃で【スナイパー】【騙し討ち】で叩き込む
さぁて…お次は…
【弾丸乱舞】で乱れ撃ち♪さあ、存分に食らいなよ
リサちゃんは怪我しないように下げるよ
敵の攻撃は注視して避けたい
クロトさんの鋼糸の脅威に舌を巻き
兄さんの炎にあちー、と手で仰ぐ
本当に頼りになりすぎるなこの人達
ずっとリサちゃんと二人だったから嬉しいな、って
あはは、二人とも強すぎるよー
それがなんだか嬉しい
佐那・千之助
華座敷
童の泣き顔がちらついて
酔った間に何かした様で罪悪感
おのれ諸悪の根源許すまじ
いや私も悪い、が…!
…何ぞ、恨み在るなら哀れと思うが
楽にしてやる事しか出来ぬ
厭魅師を認めれば雑念消し去り
ニュイの援護
しらっとした顔で予備動作なく炎を展開
目眩まし+攻撃
背の箱ごと焼く二回攻撃
炎の餌食は意図した敵のみ
護るために私がおるのよ
黒剣を鞭に変形させ弾く、オーラ防御で庇う、一息に穿つ反撃
負傷者は夢見鳥で回復
疲労したら炎を介して生命力吸収
呪符らしき動作に気付けば炎で妨害
大切な二人、呪えるなどゆめ思うな
クロトの呼び声半分程で炎の即レス
…なんとまあ鮮やかな手並みよの
ニュイの喜びに同感で
それは、そなたらと居ればこそ
クロト・ラトキエ
華座敷
お二人共やる気十分で善き哉、と。
ならば此方も、多少真面目に。
私が援護と在る以上、彼らを阻めるなど思わないでくださいませ?
猟兵と相対する立ち回り、
戯言のパターン、
攻撃範囲、体捌き、術の予備動作。
観察、分析、把握。
相手の癖、思考をも糸口に、戦闘知識も上乗せ…
対処もまた見切り也。
浴衣も慣れたもの。
UCの風の魔力を防御力に、前へ。
ニュイの似姿現れれば、錘ごと鋼糸を振るい初撃打ち据える盾に。
猛毒が来るなら、千之助の名を呼び炎を請い、そこに己の風を併せ…
風が炎煽れば大火となり、大風を呼ぶ。
毒散らし且つ目眩しを狙う。
言ったろう?
私を前に彼等を傷付けられるだなんて…
甚だ残念な勘違い。
隙突く役割は、二人に
千之助は、人の盾と成るが為に。
陽光宿す明るい髪は、常闇の世に惑う人々の標となるべく伸ばしている程。
そんな彼の脳裏に今。ぐるぐると過りつづけている光景は、大泣きしながら駆けてゆく童の面で。
「……ううむ」
眉を寄せてこめかみに掌を当てた千之助は、なんともしがたい罪悪感に襲われていた。
酔って皆と逸れた間に、自らが『何か』をしたのであろう。
そう。
『何か』をしたのであろうが、どうにも記憶は混濁したまま。
靄がかかったように、思い出す事ができない。
……思い出す事が出来ない故に、脳裏にちらつき続ける泣き顔。
何だろうか、泣かせてしまったのだろうか。
細いため息を吐いた千之助は、ゆっくりと顔をあげて。
紫の瞳を揺らめかせて、敵をまっすぐに睨めつけた。
「……おのれ、諸悪の根源許すまじ……!」
いや私も悪いのだが、なんて。再び千之助は頭を抱え。
その横で、ニュイは首をこっくり傾げる。
「カラフルだねー、人生楽しそうだね?」
椿の花を纏う可憐な少女の羅刹を模した人形――リサを糸で引きながら、小さく肩を竦めてニュイは少し笑う。
「気に入らないから壊したいっていうのは分からなくないけどさー」
確かめるように、指先に這わせた糸をぎゅっと強く引き絞り。
「でも、だぁめー」
誂うような言葉と共に。
ニュイが腕を強く引くと、リサが勢いよく地を蹴り飛び跳ねた。
「なんや、分かってくれたんちゃいますの?」
猟兵達と交戦を続ける厭魅師は、既に満身創痍たる有様ではあるが。
それでも、狐のように嗤い。
示し纏うは、まじない宿した呪符を幾枚。
「いいや、分かりはせん。……何ぞ、恨み在るなら哀れと思うが、私には楽にしてやる事しか出来ぬ」
ふ、と。顔を上げた千之助の言容は、既に平時と同じ色。
視線の先――意識を向けた敵へと向かって、炎を這わせて。
一気に攻める二人を後ろから観察していたクロトは、柔和に笑みを浮かべたまま。
「お二人共やる気十分で善き哉、ですね」
ならば此方も、多少真面目になんて。
軽口を叩けど、彼の深い蒼色の瞳は敵の動きをしっかりと目に焼き付けている。
観察、分析、把握。
――私が援護と在る以上、彼らを阻めるなど思わないでくださいませ?
大きく跳ねたリサに向かって符を交わした厭魅師は、きゅっと後ろへと踏み込んで。
厭魅師の意識が炎とリサに向かった、その刹那。
「はい、うっそー♪」
リサが糸を引かれて、後方へと人ならざる動きで退いた。
それもそのはず、彼女は人形。
同時に敵の足を狙って放たれたのは、銃弾であった。
後方でマスケット銃を構えたニュイは、リサを下がらせながら重ねてもう一発。
「ッ!」
不意打ちに避け損なった一撃は、厭魅師の足取りを奪い。
這いよる炎が蛇のように、貫かれたばかりの足元へと絡みつく。
「いややわぁ、そういうの性格わるぅて!」
ニュイの銃弾が幾度も放たれれば、厭魅師は大きく腕を振るい。
膨れて捻れた影は、ニュイの姿と化して。マスケット銃を構えて――。
「護るために私がおるのよ」
その射線上に割り入ったのは、千之助であった。
人々の盾であれ。
黒剣が鞭へと変形して、鋭く撓り。
「僕も居ますよ」
笑ったクロトが、鋼糸を錘ごと大きく振るう。
影の銃口があらぬ方向へと向けられると、ニュイを形取った影がどろりと解け。
解けた先から、地を這う蟲と化す。
それは毒蟲。地を這って、地を犯して、瘴気を撒き散らす禍々しき呪いだ。
「おあーっと、気持ち悪いなっ!?」
ニュイがわわわ、と慌てた瞬間。
「――千之助!」
クロトより響くは、鋭い呼び声。
「相分かった」
大切な者達を、呪えるなどゆめ思うな。
応じた千之助より爆ぜた炎は、自らを呼んだ声に重なる程速く。
同時にクロトが放った魔力が、嵐の如き風を喚ぶ。
炎を煽り、巻き上げ。
成すは大火、大風。
巻き上げられた蟲共が焼かれ、風にすり潰され。
「あちちち……!」
ニュイは二人の猛攻に一歩引きながらも、銃を放つことは忘れずに。
――本当に頼りになりすぎるな、この人達。
「あはは、……二人とも強すぎるよー」
戦闘中だと言うのに。
ずっと人形と二人だったニュイは、それがなんだかとても嬉しくて唇に浮かんだのは笑みであった。
「――それは、そなたらと居ればこそであろう?」
彼の笑みに視線だけで応えた千之助は、更に炎を放ちながら。
こくりと頷くクロトも、未だ敵の観察を続けている。
「さあ、もう少し頑張りましょうか」
――私を前に彼等を傷付けられるだなんて、甚だ残念な勘違いを正してやろう。
クロトは誓いを胸に。
巻き上げた風を腕に纏って、敵へと叩き込む。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
星舞夜・ユエ
【翠苑】の皆さんと
理解力が不足していて申し訳ないのですが、
厭魅師さんは、寂しかったということでしょうか?
厄介な技が多いですね。
遠距離魔法はかわされ易そうですし、
私は【ミレナリオ・リフレクション】で、呪殺を優先的に、
可能であれば蟲術も相殺しようと思います。
呪詛を引き受ける覚悟なんてされても困ります。
そんな事、絶対にさせません。
回復は前衛で戦ってくださる、杼糸さん優先でお願いします。
千歳さんの手を煩わせぬ様、攻撃の傍ら、
相手の毒攻撃を【見切る】努力をしますね。
祝福してあげる事は出来ませんでしたが、供養をすることは出来るでしょうか?
ここのお稲荷様にお願いしたら、一緒にお祭りを楽しめるかもしれません。
杼糸・絡新婦
【翠苑】の皆で参加。
SPDで行動
つまらん理由やなあ、
気に入らんでぶち壊してええんやったら、
自分も壊されてええんやろ。
神さんの呪詛を引き受けるが人形遣いの真髄、
さあ、呪う覚悟は出来とるかい。
【挑発】と【パォーマンス】による視線誘導で
こちらにあえて攻撃を仕向ける。
他に気を取られているなら【忍び足】で接近、
【フェイント】で攻撃。
無論、星舞夜や千歳さん狙ってきたら【かばう】
で攻撃を引き受ける。
いやいや、お任せするぶん、
こちらもお任せくださいか。
さあ、お返ししようか、サイギョウ。
受けた攻撃は【見切り】を利用し、
タイミングを合わせ脱力し、
オペラツィオンマカブルを発動する。
中御門・千歳
【翠苑】
ようやく黒幕のお出ましかい
しっかり責任とってもらわにゃならないねぇ
さてさて、呪いと毒とくりゃぁ、面倒この上ない相手だよ
それでもね、あたしの仲間はそれ以上に優秀でねぇ
仲間の守りを頼りにさせてもらってね、あたしゃ式神召喚といこうかね
『式神召喚・具足』で侘助と錆丸を召喚するよ
錆丸に巻き付かせて足止めさせ、侘助にぶった切らせるよ
万一毒を全体に飛ばされちゃぁ、召喚が妨害されちまうからね
毒をくらった時には『式神召喚・合戦』を使用するよ
この雅なリズムに仲間たちは楽しんでくれるだろうけどね、祭りを台無しにするようなあんたにゃ、この風流さは分からないだろうねぇ
おいたの罰を受ける覚悟はそろそろ出来たかい?
「ようやく黒幕のお出ましかい」
コキリと腕を鳴らした千歳は、式神召喚札を掌に取り。
「つまり」
生真面目そうな面持ちで呟いたユエが金の瞳に宿すのは、純粋な疑問の色だ。
「厭魅師さんは、寂しかったということでしょうか?」
「そうやとしたら、随分とつまらん理由やなあ」
狩衣を着た狐人の人形の糸を引いた絡新婦は、はたはたと睫毛を揺らして瞬き一つ、二つ。
「せやけど。気に入らんでぶち壊してええんやったら、自分も壊されてええんやろ?」
「そうだね、しっかり責任とってもらわにゃならないねぇ」
軽口めいた絡新婦の言葉に、笑った千歳は札に魔力を流し宿し。
地へと投げ喚び出されたのは、髑髏顔の鎧武者の侘助と、鋼で出来た大百足の錆丸だ。
この者達を呼び出している間、千歳には強い集中が必要だ。
その間、殆ど彼女自身は戦力とはならなくなってしまうが――。
しかし、背を預けるのはこの仲間達だ。
ならば自らまで攻撃が通る事も無いだろうと、千歳は唇を笑みに擡げて、二人を見遣る。
なんたって、こんなに優秀な仲間達なのだから。
少しばかり頼ったとしても、何ら問題は無いだろう、と。
「ではひとつ、神殺しといこか」
人形の糸を引く絡新婦の言葉は、敵愾心を煽るかのように響く。
「――神さんの呪詛を引き受けるが人形遣いの真髄。さあ、呪う覚悟は出来とるかい?」
「へぇ、へぇ。構もうてくれるなんて優しいなァ」
それを受けて厭魅師は、懐へと手を這わし。
同時に駆けだした人形が腕を突き出せば、掌に埋め込まれた玉が紅く燃えるように煌めいた。
数歩下がった厭魅師は、交わす形で右腕を薙ぎ払うように。
取り出した呪符を振い、鋭く飛ばし。
まっすぐに絡新婦へと向かってくる符。
――それは絡新婦が望み、誘った通りの動き。
上手く行きすぎて笑ってしまいそうな唇を緩めて、彼はだらりと力を抜いた。
彼の動きに合わせて、人形がかくん、と動きを止めて。
ただ立ち尽くすばかりの絡新婦へと、呪符が迫る。
「……いえ、呪詛を引き受ける覚悟なんてされても困りますよ」
眉を寄せたユエが、掌に宿した星を符に変えて。
大きく踏み込めば産み出したばかりの符を、呪符へと叩き込む。
――あの符は酷く禍々しい気配を感じる。
それが作戦だとしても、それが策だとしても。
アレを彼に受けさせたくはないと、ユエは思ってしまったのだ。
駆けた星符が、呪符と重なった瞬間。星が爆ぜ飛んで、その呪いを相殺し――。
「……杼糸さん、あまり無茶しないで下さいよ」
呟いたユエの気持ちを無下にもできぬ、と。肩を竦めて笑った絡新婦は人形を更に引いて。
「いやあ、優しいな千歳さん」
「――行きな! 侘助、錆丸!」
二人に向かって攻撃を放ったばかりの敵へと、鋭く向けられた千歳の声音に合わせて。
死角より地を這った錆丸と地を蹴った侘助が、厭魅師へと噛み付くように襲いかかる。
足下へと食らいついて刈り取る鋼の大百足。
重ねて頭上へと振り下ろされたのは、鎧武者の巨大な刀であった。
「そういうんはさっきからいっぱい貰うてばかりで、まあまあお腹いっぱいやわあ」
足元を絡め取られれば、たとえオブリビオンだとしても退くにも引けず。
それでも狐めいた笑みをへりつけた厭魅師の面は、崩れる事は無い。
振り落とされる刀に向けて、まっすぐに伸ばされた腕。
その掌に宿った黒が膨れ上がれば、幾匹もの毒蟲と化してまるで盾の如く。
盾とされた毒蟲は潰れ、裂かれ。
それだけで呪いは、怨嗟は、瘴気は。清浄を喰らうかのように、撒き散らされ――。
「本当に雅でない奴だねェ!」
その様子に片眉を跳ねて肩を竦めた千歳は、撒き散らされる毒に撫でられぬように、バックステップを踏んで吼える。
「では。攻撃をお任せしたぶん、こちらはお任せくださいな」
そこに。
逆に毒蟲達へと踏み込んで、立ち向う絡新婦は良く響く声で呟いて。
「杼糸さん?」
目をまんまるくしたユエが、その魔力を渦巻かせる前に。
前へと躍り出た絡新婦は、ユエを見てその眦を柔らかく下げた。
「!」
抵抗も無く、絡新婦が毒蟲に沈む。
噛みつかれ、貫かれ、その毒を――。
刹那。
小さな音を立てて、蟲が爆ぜた。
噛み付いたのは、貫いたのは、蟲達だというのに。
蟲達はその身を爆ぜさせて、逆に毒に身体を侵されて、ほとり、ほとりと地へと落ち行く。
「さあ、お返しやね、――サイギョウ」
眦を下げたままの絡新婦は、まるで攻撃を受けた事実など無いかの様に歩み。
指先をきゅっと引けば、狐を模した人形が地を這うがごとく低い位置から踏み込んで。
一気に厭魅師へと、喰らいつく。
それは、オペラツィオン・マカブル。――受けた攻撃を無効化して、人形から排出する技だ。
小さく眉を顰めたユエは、もう、と肩を竦めて。
……仲間に、無茶をしては欲しくはない。
しかし。
それでも、それが戦い方ならばサポートする他にないだろう。
相殺を狙って魔力を練り上げながら、ユエは口を開く。
「――祝福してあげる事は出来ませんでしたが、供養をしてあげたいものですね」
「ヒヒヒ。おいたのお仕置きを終えたならば、ソレも良いかもねェ!」
そんなユエの言葉に、千歳はおかしげに笑った。
歪められた過去を供養してやろうだなんて、なんて優しい子なのだろうか、と。
「それにここのお稲荷様にお願いしたら、一緒にお祭りを楽しめるかもしれませんよ」
「ああ、そうだねぇ。――お祭りは皆で楽しめた方がずっと楽しいだろうからねぇ」
遠く響く祭り囃子。
自らの頼もしく、優しき仲間たちを護るがために。
千歳は式へと叱咤を飛ばして、笑みを深める。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ヨシュカ・グナイゼナウ
先輩(f15297)と
自分がモテないからってそういうのは良くないですよ。あなたも普通にお祭りを楽しめば良かったのに。そんな性根だからモテないんですよ
オブリビオンを引き付けて、盾となって下さっている先輩の影の中【闇に紛れて】接近
明るければ明るいほどその影は暗くなる
行動は迅速に、あまり時間をかけてはいけない。隙を見、【フェイント】をかけて奇襲
符が来る様であれば【見切り】、開闢で符を斬って【武器落とし】【七哲】を【早業】で至近距離から叩き込み。これだけ近ければ外す方が難しいでしょう
力を削ぎ落として仕舞えば、次はこちらの反撃です
…先輩ありがとうございました。あいつぶちのめしてやりましょう
穂結・神楽耶
後輩/f10678と
「自分はお祭りを楽しめないから邪魔をしよう」?
その我儘で楽しみを奪われた方がどれだけいたことか。
オブリビオンに言っても詮無きかとは存じますが…
その性根、《破魔》の炎でなぎ払って差し上げます。
【朱殷再燃】──
言葉での《挑発》と、纏う炎の《存在感》で気を惹き。
これだけ明るければ影がどこに潜んでいるかも分からないでしょう?
積極的にこちらを狙っていただいて攻撃から庇い。
七哲を通す隙をこじ開けます。
これはグナイゼナウ様には内緒なんですけど…
わたくし自身、「神社」というものに縁があるので。
そこを穢すとあらば容赦はできません。
かみさまだって、お祭りが楽しみなんですよ。
榛・琴莉
まさか、神様へのやっかみで祭りを邪魔するとは…
心が狭いって言われません?
先程の射的屋台から、銃を一丁お借りします。
Mikhailを取りに戻る時間はありませんしね。
殺傷力は期待できませんが問題ありません。
銃の形さえしていれば、それで。
UCで魔弾を召喚、呪符を撃ち抜き仲間の援護を。
Haroldでも良いんですが…流石に、あれはヤバそうですし。
召喚された魔弾は、幾度も軌道を変えて対象を追尾するもの。
対象は呪符。
仲間の邪魔にならないよう、間を縫うように。
何度その紙切れが放たれようとも、その分、撃ち落とすまで。
「……『自分はお祭りを楽しめないから邪魔をしよう』? その我儘で楽しみを奪われた方がどれだけいたことか」
その手には得物を握ったまま。黒髪を揺らした神楽耶は、ムッとした様子で呟いた。
「そうです。自分がモテないからってそういうのは良くないですよ」
先輩の言葉に強く頷き。
酷く真面目な顔で言い放ったヨシュカは、金色の瞳の中にゆらゆらと十字の光を宿している。
「そんな性根だからモテないんですよ」
あなたも普通にお祭りを楽しめば良かったのに、なんて。
ヨシュカが重ねるは、もはやいいかがりに近い罵倒。
――それは、オブリビオンに言っても詮無き事かもしれないけれど。
「その性根、破魔の炎で撫で払って差し上げましょう」
走り込んだ神楽耶へと視線を向けて嗤う厭魅師の手には、呪符が幾枚。
「そりゃあ丁寧にありがとさんなあ、お嬢さん」
揶揄うような敵の声へと重なって、朗と響いたのは琴莉の声だ。
「まさか、神様へのやっかみで祭りを邪魔していたとは。……あなた、心が狭いって言われません?」
あっ、これも罵倒ですね!
奥屋の上へと立った琴莉は、お店からお借りした射的銃を手に構え。
――愛用のアサルトライフルを取りに戻る時間はなかったが。
弾がコルクであろうと、術を籠めさえすれば。
それはライフルとなんら遜色の無い攻撃力を、持ち合わせる事となるだろう。
眇めた瞳で狙い撃つは、符を持った厭魅師の手先。
おもちゃめいて甘い照準への微調整は、先程屋台にて既に済ませている。
氷の魔弾が彼の手へと命中すると、その掌が一瞬で氷に包みこまれ。
燃え盛れ、我が悔悟──
その生まれた隙を狙って炎を纏って燃え盛る神霊と化した神楽耶が、重さを忘れたかのように大きく跳ねた。
――これだけ明るければ、影がどこに潜んでいるかも分からないでしょう?
太陽の如く火花を散らして翔ける神楽耶は、敵に向かって愚直なまでに。
その明かりは祭りの夜を照らす行灯よりもずっとずっと眩いもの。
「そんなにぴかぴかして、まるでお祭りみたいやなあ」
敵の軽口は留まりはしない。
眩い光に視線を奪われ、踏みとどまった厭魅師はガードに腕をあげて。
飛び交う炎に対して、防御の符を構えた。
――明るければ明るいほどその影は暗くなる。
眩き光に潜む影。
ひっそりと地を蹴り込んで、ヨシュカは疾風の如く影を踏み。
逆手に握りしめた短刀を、逆袈裟に振り上げると。
眩しい眩しい明かりの影、敵の死角より飛び出した。
「――痛くても、我慢してくださいね」
これだけ近ければ、外すほうがずっと難しいものだ。
低い位置より突然放たれた刃が、炎の明かりを浴びてぴかりと輝き。
厭魅師の肩口を、抉り裂く。
ぼとぼとと肩口より溢れるは、黒い鮮血。
それは溢れる度に、毒の蟲と化して――。
「――させませんよ」
「させるものですか」
蟲が這い出すと同時に、重ねられた琴莉と神楽耶の言葉。
放たれた炎と氷の魔弾は、厭魅師の肩口を焼き、凍らせて。
一瞬で爛れた傷口は、流れる鮮血を乱暴にも抑え込む。
大きく膨れ上がった炎に焼き切られた蟲は、一瞬で砂と化して。
その隙を逃す事もなく、ヨシュカは大きくバックステップを踏んで距離を取る。
あれで腕はもう使い物にならないだろう。
――力を削ぎ落として仕舞えば、次はこちらの反撃だ。
「お二人とも、ありがとうございました」
開闢を身体の前へと差し出して、低く構えたヨシュカは二人の顔を一瞬だけ見遣って。
「あいつ、ぶちのめしてやりましょう」
小さな宣言、やり遂げるべき宣言。
「勿論ですよ」
「はい、何度紙切れを、……蟲を放とうとも。撃ち落としてやりますよ」
返る返事は、朗らかなもの。
神楽耶は瞳を細め、炎の身を大きく展開させてゆらゆら揺れた。
――『神社』という地は、ヤドリガミである神楽耶自身にとって、とてもとても縁の深いものだ。
その地を。
この敵が、このオブリビオンが。
――『神社』を穢すというのならば。
この生命を削ろうとも、この寿命を削ろうとも。
容赦をする事は、神楽耶にはできない事であった。
脳裏に過ぎるは、あの日の炎。
「……かみさまだって、お祭りが楽しみなのですから」
ぽつり、と神楽耶が囁くと同時に。
「いきましょう!」
琴莉の放つ弾を号令に、浴衣の帯を跳ねてヨシュカが再び飛び出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千家・菊里
【白】
神前にして祭の場に、妬み僻みを持込み荒らし回るとは無粋極まりないですね
さて、ひよこのお礼に――どう料理して差し上げましょうか
あ、俺にも後で祝勝の焼鳥をお願いしますねぇ、伊織(にこり)
オーラ防御や各種耐性で護り固め、皆さんにも気休めながら※毒・呪詛耐性と破魔の力込めた霊符付与
祭を楽しみ直す為にも、先ずは魔除けを万全に
敵攻撃時にも重ねて※を範囲攻撃で舞わせ、緩和や相殺試行
――それをフェイントに、すかさず早業による2回攻撃でUC護符も紛れて飛ばし本命牽制
但し防御許しそうな時は、UC使わずマヒ攻撃霊符で代用
呼ばれぬ客は纏めて骸の海へ返品しましょう
今宵祝うは五穀豊穣
悪徳な商売繁盛等、赦しませんとも
重松・八雲
【白】
おおこんな所にもかわいいふぇす!
…否、あれが悪徳ひよこ屋か!
早う畳んで良き祭を取り戻そう!
そして平和な癒しを!
ひよこへの彼是断つ様に再び覚悟等々籠め衝天
(羽毛玉…ではなく親玉の動向を)刮目せよ、儂!
オーラ防御や各耐性も纏い耐久補強
敵の癖・隙探り、見切りと飛翔で危険回避
仲間危険時は飛込み庇う(影や符は刀で武器受けしつつ捌く・毒は連珠振り破魔や風圧で吹き飛ばせぬか試す)
攻撃は敵の防御乱れた機を見極め、飛翔で一息に死角へ
皆の攻勢に繋ぐべく、怪力で刀や連珠叩付け気絶攻撃
可愛いひよこを可愛げ無き身勝手に利用するとは言語道断
あとひよこ好きに老いも若きも関係ない!
人の心や祭を乱した罪は重いぞ
覚悟せい!
呉羽・伊織
【白】
邪魔すんなら――そーだな、お前みたいなの相手なら遠慮なくやれて助かるわ
…爺サンはまた普通のふわひよ取ってやるから前見ろ前!
んで焼鳥打上は良いケド、割勘でなー!
防御面は各耐性で補いつつ、敵動作探り情報収集と見切りで致命阻止
攻撃読めりゃ、早業と部位破壊で風切放ち攻撃源潰す
呪や毒にゃ、相殺狙いの呪詛&毒乗せた霊符放ったり烏羽で切払って抗う
こーいうモンにゃこっちも慣れててな、易々やらせるかよ
UCは確実に防御破れると見た時の切札に
2回攻撃でフェイントや残像交え欺きつつ、闇と毒属性で目潰しや返礼を
勝手な商売で祭に水差した代価は高くつくぜ、奸商
無法な的屋は店仕舞いの時間だ
神前にゃ再び明るい繁盛と豊穣を
筧・清史郎
【白】
楽しい祭りの邪魔立てをするだけでなく、それにふわもこさんたちを利用するとは
その様な不届きな輩は成敗せねばだな
祝勝の焼鳥か、それは楽しみだ(微笑み
そのためにも気合い入れて参ろうか
開花桜乱にて強化後、敵へと斬り込もう
敵に生じた隙を見切り見逃さず、衝撃波伴う蒼桜綴の連撃を見舞う
敵の呪殺符も、強化した見切りや残像を駆使し確りと躱そう
もしも躱せぬならば愛用の扇で受け防ぐ
皆と連携し、別方向から攻撃を仕掛けられるよう動こう
敵に隙を生じさせ、その隙を見切り、攻め込み斬り伏せよう
ああ、ひよこさんは老若男女に愛されている存在
俺もふわもこは大好きだ(微笑み
今宵は五穀豊穣を願い祝う夜、無粋な輩はご退場願おうか
「おお! こんな所にもかわいいふぇすが……!」
屋台の上に収まった白い鳥達を見かけると、思わず足を止めてしまう八雲。
ひよひよ。
かわいい~。
「いや、……爺サンはまた普通のふわひよ取ってやるから、前見ろ前!」
と後から駆けてきた伊織に諭され。
八雲は視線をなんとか敵へと向ける事に成功する。
その視線の先。
満身創痍めいた姿ではあるが――。
「あれが悪徳ひよこ屋か!」
朱に空の混じる瞳を細め、清史郎も厭魅師を見上げれば頷いて。
「楽しい祭りの邪魔立てをするだけでなく、ふわもこさんたちを利用するとは……。不届きな輩は成敗せねばな」
「おぉ! 早う畳んで良き祭を取り戻そう! そして平和な癒しを!」
ふわもこぬいぐるみを今も胸に抱きたいと願う八雲の拳が、ぎゅっと気合に握られる。
あと横を見ると、屋台に詰まっている鳥もかわいい。
ひよひよ。
かわいい~。
ちょっと顔が緩む八雲と清史郎。
「おんや、やはり祭りにはひよこが必要みたいやないのねぇ」
口元を隠して、敵意を向けられながらもころころと笑った厭魅師は、屋台の瓦礫の上より男達を見下ろす。
その身体こそ傷にまみれてはいるが、未だ厭魅師は戦意を失っては居ない。
伊織がへら、と笑んで浴衣の袖をくっと引いて。
「だけど、まー、――そーだな、お前みたいなの相手なら遠慮なくやれて助かるわ」
その掌の中に隠すように暗器を構え。
「さて、ひよこのお礼に――どう料理して差し上げましょうか?」
神前にして祭の場に、妬み僻みを持込み荒らし回るとは無粋極まりない、と。
菊里が符を手にゆうるりと構えれば。
「あ。伊織」
思い出したかのように、伊織を横目で見て言葉を次いでにっこりと笑った。
「俺には後で祝勝の焼鳥をお願いしますねぇ」
他の皆さんにはふわひよなんでしょう。
「……焼鳥打上は良いケド、割勘でな!」
ふわひよだけでは無く、焼き鳥までおねだりされてしまった伊織は肩を竦めて。
「ああ。祝勝の焼鳥か、それは楽しみだ」
清史郎も微笑みながら、優雅に構えるは桜散る蒼き刀。
「――さあ、気合を入れて参ろうか」
身を低く構えて瞳の位置で刃を真一文字に煌めかせると、清史郎は首を傾いだ。
「うむ!」
気を抜けば今にも視線が白い鳥の詰まった屋台へと向かいそうになる八雲は、その号に一際気合の入った声で応じる。
刮目せよ、儂! そう、敵! 厭魅師を!! ひよこじゃない方!
「かわいい子やったら、せやねえ、まだ出せるんやけど……」
「何ィ!?」
刮目した八雲。強い気持ちは守護の加護と成り。
え、と口を開いた厭魅師より這い出して、吹き出したのは黒い黒い蟲。
地を這う毒蟲は、袖口より零れ、溢れ、一斉に膨れ上がる。
「そ、それはかわいいとは言わんじゃろ!?」
「おやまぁ。皆さん、気休めですけれど――」
菊里が素早く加護を籠めた霊符を皆に貼り、構えるは七星七縛符。
「破ッ!」
「こーいうモンにゃこっちも慣れててなあ、――易々やらせるかよ」
やれやれと片眉を跳ね。
凛と冷えた色返す黒刀を構えた伊織が、一気に地を蹴った。
菊里が放った符に足止めされた毒蟲達の上を悠々と跳ねて、狙うは本体――厭魅師だ。
ひいらり溢れた花弁。
自らに加護を宿した清史郎が、後から飛んだというのに伊織の真横に付けて。
同時に厭魅師の前でステップを踏めば、左右に跳ねる二人。
――背負うは夜の月。
刃を交わして、伊織と清史郎は厭魅師へと斬りこみ伏せんと。斬撃を振り下ろし。
「みてのとおり、うちもうボロボロやねんから、ちょっとくらい手加減してえや」
交わされた刃を肩の骨で受け止めて。
溢れる黒い血。
それでもなお、厭魅師は嗤う、嗤う。
滑るように彼の身体から浮いた呪符が、目前で刃を振り終えた二人に向かって――。
「させんッッ!!」
気合の一喝と共に横合いからカッ飛んできたのは、飛翔する八雲の刀を伴う体当たりであった。
「っく!」
強かに身体を打ち据えられて、横っ飛びに地を滑った厭魅師を追って、八雲が更に敵を蹴り上げて。
「ナイス、爺サン!」
伊織の闇に染む暗器が風を切り。鋭く放たれた手裏剣が、転がった厭魅師を地へと繋ぎ止める。
「ああ。今宵は五穀豊穣を願い祝う夜、無粋な輩はご退場願おうか」
ひいらり。
扇を遊ばせて、愚直に放たれた符を受け跳ねさせた清史郎は、禍々しき気配を今この場で断つべく蒼き刀を構え直し。
「はい、呼ばれぬ客は纏めて骸の海へ返品しましょう。――悪徳な商売繁盛等、赦しませんとも」
毒蟲の動きを止め、皆に加護を与える符はその場に結界の如く。
霊符を幾枚も纏う菊里は、敵を睨めつけるように見下ろして微笑んだ。
「そうそ、勝手な商売で祭に水差した代価は高くつくぜ、奸商」
無法な的屋は店仕舞いの時間だ、なんて。
清史郎に合わせて構えた黒刃を手に。伊織は上半身をぐっと引き絞ると――。
「人の心や祭を乱した罪は重いぞ、覚悟せい!」
――神前に捧げるは、再び明るい繁盛と豊穣の願い。
力任せに刃を叩き込んだ八雲が吠えると、再び同時に踏み込んだ伊織と清史郎が合わせて、迎撃に刃を振り下ろし――。
「あとの、あとの! 可愛いひよこを可愛げ無き身勝手に利用するとは言語道断!!! 後もう一つ言うと、ひよこ好きに老いも若きも関係ない!」
「ああ、ひよこさんは老若男女に愛されている存在であるからな」
ついでに八雲と清史郎がひよこさんへの苦情めいた言葉を重ねた。
ひよひよ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蜂月・玻璃也
【土蜘蛛】
駆除のために溶かした鳥の羽毛やら臓物やらがベタベタして…
身も心も気持ち悪い…
まあ、元凶をやっつけたところですぐに平和にはならないよな
穏やかな日常ってのは草の根活動さ
べりる助かる!あとでラムネ買ってやるからな!
あー、霊犬くん
ちょっと臭うだろうがすまない
毒は俺がなんとかするから、呪力をなんとかしてくれ
耀子と霊犬を射撃で援護しながら
敢えて敵の攻撃に突っ込んでいくことで、
体を侵食する毒を殺しながら新しい毒を生成する
なんせカミサマだって殺す力だ
「毒を殺す毒」を作るくらいわけないさ
いくぞっ、《蟒蛇嚥下》!
なんか珍しく毒使いっぽい仕事ができてる気がする!
頼んだ、耀子っ!
花剣・耀子
【土蜘蛛】
……嗚呼、そうね。
信長が斃れたところで、おまえのような輩は勝手に消えてはくれないのだわ。
映されるのがあたしなら都合が良い。
その剣の軌道を逆凪に、合わせられた分だけ斬り返す。
過去の再現だけで、現在に勝てるとでも思っているの?
只の1より、3を足した方が強いに決まっているじゃない。
毒は室長がなんとかしてくれるでしょう。きっと。
困ったときだけ頼りにするわ。
視界内、飛び交う呪符を皆に届かないよう斬りながら接敵。
あたしに届く呪符は呪詛を籠めた左腕で弾き飛ばすわ。
殺せるものなら殺してみなさいな。
――ねえ。折角の佳い夜に水をさされて、あたしは怒っているのよ。
特大の穴を開けてあげるから、墜ちなさい。
星鏡・べりる
【土蜘蛛】
全然平和になってないじゃん、この世界。
もー!もー!ああ、もう仕方ない!
ヤタ、迷彩解除!ついでにコード・ミサキガミ!
おいで、霊犬。
霊犬、アンタは穢れや呪いを祓いなさい。
本体は他の人に任せて相手をしないようにね、多分勝てないよ。
私はその辺に隠れてアンタに力を流し込み続けるから。
室長とよーこ、この子を余裕があったら守ってやって。
正直こんなの全然得意じゃないからほとんど効果ないかもしれないけど
呪いだとか毒だとか、多少はマシにできるはずだから。
よし、えーっと……私ができるのはこんなところか。
じゃ、あとよろしく!
「ベタベタする……」
玻璃也は死ぬほどつらそうな呟きを漏らすと、モノトーンの髪にへりついた汚れを掌で払い落とす。
彼は先程の戦いで、既に満身創痍。
なにかと、ねとねとする何かの液をえいっと手を振るって。
あっ、とれねぇなあ~って顔をする横。
「……えー。全然平和になってないじゃん、この世界」
肩を竦めたべりるは、少しだけ頬を膨らせるように呟き。
「……嗚呼、そうね」
耀子が顔をあげると、鬼灯飾りが揺れる。
「信長が斃れたところで、おまえのような輩は勝手に消えてはくれないのだわ」
深い蒼が睨めつけるは、嗤う男。
呪いを撒き、毒を撒き、怨嗟を捲き、嗤う厭魅師。
「まあ、元凶をやっつけたところですぐに平和にはならないよな……」
穏やかな日常ってのは草の根活動さ、と耀子の背へと声を掛ける彼女の上司。
――ベタベタを取る事を諦めた玻璃也は、ガジェットをしっかりと構え直して。
目の前にいるのは、オブリビオン。
UDCと呼ばれる存在では無いが、明確な世界の敵。
盛大なため息を零してから、べりるは空中をタップするように指先を遊ばせて。
「あー。もー、もー! ああ、もう!! 仕方ないなぁー!」
ヤタ、迷彩解除。コード・ミサキガミ。
――おいで、霊犬。
べりるの呼び声に、ひょいん、と姿を現したのは犬の姿を摸る、青き霊体を星明かりと燃やす分霊だ。
尻尾をはたはた振る犬の前にしゃがんだべりるは、両頬を包み込んで言い含めるように。
「霊犬、アンタは穢れや呪いを祓いなさい。……本体は他の人に任せて相手をしないようにね、多分勝てないよ。私はその辺に隠れて、アンタに力を流し込み続けるから」
命令を終えて犬より手を離したべりるは、次は同僚と上司に鈴みたいにまんまるな翠瞳を向けて。
「って事で、室長とよーこ。この子を余裕があったら守ってやって」
呪いだとか毒だとか、多少はマシにできるはずだから、とべりるは立ち上がる。
いやもう、ホント。
正直こういう加護みたいなのは本当に得意じゃないし、効果は無いかもしれないけれど。
やらないよりは、ずっとマシだろう。
「ああ。助かった、べりる。あとでラムネ買ってやるからな!」
「うーん。ラムネもいいけれど、こういう時のお小遣いを弾んでくれるほうが嬉しいかなー」
「一旦持ち帰って検討させて頂く!」
「ビジネスパーソンの逃げる時の常套句じゃん」
敵がこちらをみた、と感じた瞬間に耀子は駆け出している。
睨み据え返す瞳は、青空よりも深い蒼。
「ねえ。折角の佳い夜に水をさされて、あたしは怒っているのよ」
――特大の穴を開けてあげるから、墜ちなさい。
それは嵐。
それは彼女を示す言葉そのもの。
突き上げるように放たれる冴え冴えとした白刃は、まっすぐに敵を捉えて。
刹那。
敵の影が膨れあがったかと思うと、捻れて人の形を取る。
彼女と同じ踏み込み。
叩き込まれた剣筋は、自らと同じもの。
「……ふうん」
影剣の軌道を逆撫でする形で、耀子は剣を交わす。
振り下ろされる、振り上げる。
薙がれる、逆薙ぎ。
影と耀子は、合わせられた分だけ斬り返し――。
「耀子!」
玻璃也の声に合わせて、きゃんと霊犬が吠え。
ガジェットの照準をきちりと合わせ……あわせたけれどまあ、まあ。
威嚇程度にはなっているだろう、幾度も弾を放ち援護する玻璃也。
「おや、かわいいかわい犬コロがいはるねえ」
耀子の対応を影に任せてくすくすと嗤う厭魅師は、狐のように瞳を細めて。
「あんたらも可愛がってあげな、不公平やからなぁ」
鋭く刃のように放たれたのは、呪符だ。
「……っ!」
耀子が影と打ち合いながら、符を裂き斬り、一歩下がって。
る、と唸る犬。
――そう、彼は犬の形をとっているだけで、その本質は機械鏡とリンクした分霊である。
重力を置き去りに、流星のように星を燃やして駆けた犬が耀子の前へと飛び込んだ。
「あらワンちゃん、ありがとう」
霊犬は跳ねては符を齧り、燃し、それでも間に合わぬ符は――。
影を捌く剣を、片手で切り返し。
強い呪詛の力を纏う、耀子の左ストレートが符を貫いた。
「……殺せるものなら殺してみなさいな」
霊犬が、援護いらんくない?? みたいな顔をする。
きゅーん。
「せやったら、こっちも試してみよかあ」
続いて厭魅師がかるーい様子で腕を払えば、地を這うは毒蟲。
「――それは毒、かしら。ふうん、そんな毒で室長が斃れるとでも?」
耀子の誘導。
困った時だけは、上司も頼りにするものだ。
「……そうだな! 俺がなんとかするッ!」
偶に頼られるとイキイキしがちな玻璃也が、一気に地を蹴ると毒蟲の群れへと自ら突っ込んで行く。
――喰らわれる、刺される、千切られる。
玻璃也の白い肌が、あっという間に浅黒く染まり、肌が爛れる。
毒に喰らわれながら――。
毒を喰らう、毒を殺す。
それはある意味、時間との勝負だ。
毒に侵食される事で、新しい毒を生成する。
毒を以て毒を制す、の具現。
――玻璃也は信じている。
カミサマだって殺す力が、『毒を殺す毒』を作ると。
一瞬で腫れ上がった身体。酷い吐き気、頭痛、痛み、ずぐずぐと内蔵が溶けるような感覚。
それでも、それでも。
力を練り上げれば、それは毒を産んだ。
毒薬変じて薬となる、と。
「――頼んだ、耀子っ!」
ワクチンウイルスに満たしたガジェットを毒蟲共に叩き込みながら、玻璃也は吠える。
「……ええ、いい加減遊ぶのはおしまい」
影を一太刀で打ち払った耀子は、影と打ち合いながら自然と近づいていた厭魅師へと間合いを一気に詰め。
「過去の再現だけで、現在に勝てるとでも思っているの? ――只の『1』より、『3』を足した方が強いに決まっているじゃない」
剣を構えて――。
大成功
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都槻・綾
おや
随分と賑やかな妖ですねぇ
祭りを邪魔したいのでしょうが
逆効果かもしれませんよ
何せ此方の祀神は
賑わいを大変喜んでいらっしゃるのでしょう?
緊迫感無き様子の笑みに、篠笛を取り出す所作も優雅
然れど
研ぎ澄ます第六感で厭魅師の挙動を見逃さず
行燈の如く仄かに灯りて身を包むオーラで防御
いっそ此の舞台を神楽として
稲荷へ奉納しましょ
祭りに囃子は付き物だから、と
微笑んで笛に唇を寄せ
奏でる調べは鳥葬の招き
生じる数多の羽搏きで啄み食らう
厭う神に
意図せず自らを捧げる事になったあなた
せめて仕舞いはうつくしく
澄んだ秋風が如く伸びやかな音色で
彼方の海へ送りましょう
全てを終えたら人々へ声掛け
祭りの宵は未だ未だ此れから、ですよね
ヴィクトル・サリヴァン
ご馳走さまー、とシャチ達送り返してたら黒幕登場?
いやあそういう理由で動けるなんて元気が有り余ってて羨ましいなあ、ぶぶ漬け食べとく?
…んー、本場の人ならもっと上手く言えるんだろうけど。
言い直すのもアレだし、さっさと片付けよっか。
距離を取りつつ高速詠唱からの水の魔法で牽制、他猟兵援護。
相手の足元を泥濘に変えて隙を作ったり水弾で妨害したり。
隙が見えたら銛を投擲、UC発動。水のシャチに真上から食い千切らせる。
敵が防御して影姿で再現された場合は影の銛を弾き飛ばしてUCの命中条件を満たさせないように。
いや投げ辛いよね。その服だと。
浴衣位にシンプルなら楽なのに残念だったねーと煽ったり。
※アドリブ絡み等お任せ
「おや、ひよこに、蟲に。符まで沢山。随分と賑やかな妖ですねぇ」
色合いも相まって、と緊張感も薄く、ゆるく笑んだ綾。
「祭りを邪魔したいのでしょうが、逆効果かもしれませんよ」
何せ此方の祀神は、賑わいを大変喜んでいらっしゃるのでしょう? と綾が篠笛を優雅に取り出せば。
そんな彼の少し後方でヴィクトルは首を傾ぐ。
「いやあ、お祭りが羨ましいーみたいな理由で動けるなんて元気が有り余ってて羨ましいなあ。……ぶぶ漬け食べとく?」
首を傾げるヴィクトルは、ううん、と唸る。
「……んんー。本場の人ならもっと上手く言えるんだろうけど、難しいものだね」
大体お茶漬けを出した所で帰ってはくれないだろうし。
言い直すのもアレだし、と言い直しはしなかったけれど。
敵は随分と既に、猟兵達に痛めつけられているようだ。
それでも、帰る気がないと言うのならば、ヴィクトルだって容赦はする予定は無い。
距離を詰める事も無く、魔力を練り上げたヴィクトルは、前線で戦う猟兵達の援護と、水弾を幾つも放ち。
遠隔攻撃にうっとおしそうに眉を跳ねた厭魅師が、ちまちま水を飛ばしてくるヴィクトルへと視線を向けた。
「それうちの真似? ようよう似てはりますよ、あともう少し足りへんのは……そうやね、上品さやありませんか?」
言葉を紡ぎながら、零れる黒血は蟲と化し。
ぞろぞろ地を這い迫りだす、禍々しき行進。
「うえー……、その蟲の趣味がいいとも、上品とも俺は思わないけど?」
ヴィクトルが肩を大きく竦めて、地へと幾つも水を叩き込みながら銛を手にし。
そんな水飛沫を舞台として。
綾は優雅に、優雅に舞うように。
嗚呼、嗚呼。
祭りには囃子が付き物でしょう。
――いっそ此の舞台を神楽として、稲荷へ奉納しましょ。
奏でる旋律は、澄んだ音。
纏う彩りに染む鳥の、疾てなる羽搏き。
数多の羽搏きは、黒蟲を啄み、突き、喰らい。
――ねえ、ねえ。
厭う神に意図せず自らを捧げる事になった、あなた。
せめて、せめて、仕舞いはうつくしく。
伸びやかな音色は、澄んだ秋風が如く。
いつしか旋律に乗せて、数多の羽搏きは厭魅師を喰らい出す。
「シャチに食わせるのもアレだけど、鳥に食わせるのもなかなかアレだねえ」
軽口を叩いたヴィクトルは、それを好機と。
さあ、追いかけて、齧り付いて――喰い千切れ。
上半身を捻って銛を思い切り投げつけると、水の身体を持つ大きなシャチが空に産まれた。
「さ、パクッといっちゃおうか」
とぱん、と大きな水音が響いて嗤う厭魅師へと食らいつく水の鯱に、空舞う羽搏き。
防御に膨れ上がったヴィクトルに似た影は、銛を一つ手にしているが。
「――いや投げ辛いよね。その服だと」
浴衣位にシンプルな服ならば、楽に投げる事が出来たのに残念だったね。
なんて、ヴィクトルは水の弾を周りに侍らして笑って後方に大きく飛んだ。
響く、響く。
綾の篠笛より響く祭り囃子は、鳥葬を唄う。
さあさ、この戦を終えても、祭りの宵は未だ未だ此れから。
賑々しく、神にこの勝利を捧げよう。
華やかに、神にこの夜を捧げよう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オブシダン・ソード
エチカ(f02721)と
嫌がらせするよりは、誰かの狙いを叶えるとか、いっそ一緒に楽しんじゃった方がお互い得だよ
まぁ、わかってくれないよねぇ。僕もオブリビオンはちょっと…
エチカが隙を作ってくれるなら、僕はそこを確実に突けるように集中しよう
ああ、いいねぇ綺麗な流れ星だ
願い事とかした方が良いかな、えーと
引き続き器物の剣を片手に接近
それじゃあちゃんと付いてくるんだよ、星黄泉の魔女殿
慌てて花瓶を割らないようにね
狙うは一閃
エチカの術に応じて敵が動いたところを狙って
UCで技を掻き消してあげる
君の願いは叶わない、ってね
無事終わったらちょっとぶらぶらして帰ろうか
ねえ友人殿
花火も好きだけど、僕は星空も好きだよ
鴛海・エチカ
オブシダン(f00250)と
ふむ、気に入らぬから他を巻き込むと云うか
お前の裡にどのような思いがあるかチカには分からぬ
じゃがお前なりの道理があるように、我らにも戦う理由がある
二律排反、星の命題よ!
星霊杖を手にして紡ぐは流星の雨
華麗に綺麗に星のひかりを降らせてやろうぞ
オブシダン、チカが隙を作りつつ花瓶を守るゆえ後は頼んだぞ
我とて星海の、いや、今は星黄泉の魔女じゃ
遅れは取らぬ。お主の力を存分に揮うが良い
食べ物の恨みは怖ろしいのじゃよ
とくと見よ、これが我らの五穀豊穣友情ぱわーじゃ!
終われば祭花火など見れるかのう
この先も平穏が続く事を夜空に咲く花に願おう
それから、我ら……友三人が永く共にいられるよう――
ニヒト・デニーロ
◆鳴宮(f01612)と
楽しい思い出。素敵な時間。
祝いを呪いに変えるなら。
私は、あなたを許さない。
左手を、顔の前から外す。
私の左目に映るモノは、全部ネジ曲がって“ぐしゃぐしゃ”になってしまうから。
今だけは、機械に戻るわ。
この心と身体が、人じゃなくたって構わない。消滅させてやる……!
(……事件が起こるとわかっていても)
(私は、この時間が楽しかった)
(だから、許せない)
(ああ、でも)
(この姿を、あまり見ないで欲しい――)
「…………私のこと」
怖くないよね? と聞く勇気は、さすがにない。
きっとあなたは、なんで? と問い返してくるとしても。
鳴宮・匡
◆ニヒト(f13061)と
俺は、“ひと”のような心を持たないから
だからお前が無辜の人々の平穏を害そうと
そんなことに、憤ることなんてできないけど
それでも、
ニヒトにこんな顔をさせたことだけは
……そうだな、きっと、許せないと思ってる
左手を下ろしたニヒトの後ろから
射撃で彼女を援護するよ
それが「大変なことになる」と言っていた彼女は
きっと、見られたくないだろうから
ニヒトの前には立たないけれど
ニヒトへと向かう攻撃は、全て撃ち落とす
傷の一つもつけさせない
彼女が何を怒っているのかすら
俺は、わかってやれないけど
何かに心を動かすことのできる
どうしようもなく“ひと”らしい彼女のことを
守ってやることくらいは、できるから
猟兵達に囲まれる厭魅師を見下ろすエチカ。
斯様に傷ついてまで、他を巻き込んでまで。
厭魅師には、祭りを邪魔しなければいけない理由があるのであろう。
しかし。
「お前の裡にどのような思いがあるか、チカには分からぬ」
鈴のように丸くて大きな淡桃色の瞳を揺らすこと無く、男を見やるエチカの手の中でぱちぱちと星の魔力が弾け。
目深にフードを被った男――オブシダンはその言葉に頷くでもなく。
「僕は嫌がらせするよりは、……誰かの狙いを叶えるとか、いっそ一緒に楽しんじゃった方がお互い得だと思うけれどね」
剣の柄に手を当てたまま、飄々と言葉を紡ぐ。
だらりと垂れ下がった腕を庇う様子もなく、厭魅師は小さく首を傾ぐばかり。
「ええアドバイスもろてしもたなァ、なんや、ひよこのおもてなしは面白うなかったみたいやね」
相手はオブリビオン。
何を言っても詮無きこと、そんな事は知っている。
だからこそ、これはただの軽口に過ぎないのだ。
「――まぁ、わかってくれないよねぇ」
「しかしのう、お前なりの道理があるように、我らにも戦う理由があるのじゃ」
星霊杖を大きく振るったエチカの視線は、ずっとまっすぐに、まっすぐに。
「オブシダン、チカが隙を作りつつ花瓶を守るゆえ後は頼んだぞ!」
エチカは星海の、いいや、――今は星黄泉の魔女である。
星黄泉の魔女として、後れを取る訳にはいかぬもの。
――二律排反。
「星の命題よ、因果と為って廻れ!」
糸のように丁寧に紡がれた魔力は、流星の雨を喚び。
花火のように空より現れた、流星の矢はぴかぴかと瞬き、星は地へと楔を結ぶ。
「了解、星黄泉の魔女殿。――慌てて花瓶を割らないようにね」
「無論じゃ!」
星が落ちる事をきっかけに、飛び出したオブシダンの手には黒曜の剣。
「ああ、いいねぇ。綺麗な流れ星だ」
オブシダンは願い事とかした方が良いかな、なんて軽口紡ぎ、口元には軽薄な笑みを浮かべたまま。
「せやねえ、そういうのもお祭りのおもてなしには素敵かもしらへんね」
続く流星の雨に壁を蹴り、屋台を蹴り。
「うちの願いは、ここの神の悔しがる顔だけやよ」
応じた厭魅師は、大きく跳ねて矢を躱しながら。
ぞ、と服の裾より影を蠢かせる。
「それは、それは、残念だね。――君の願いは叶わないみたいだ」
フードの隙間から時折覗く、赤い赤い瞳はそれを見逃しはしなかった。
黒曜が宙を斬れば、裾の中身毎断ち切られる毒虫。
「うむ、うむ! 食べ物の恨みは怖ろしいのじゃ」
その言葉に応じたのはエチカだ。
「――とくと見よ、これが我らの五穀豊穣友情ぱわーじゃ!」
大きな魔女帽子を風に揺らして、胸を張り。
更に重ねる流星の矢。
「……いけずやなあ」
蟲を呼び損ねて、眉を寄せた厭魅師は更に地を蹴って。
「おっと、友情ぱわーで僕もいけずをするからね」
重ねて踏み込んで距離を詰めたオブシダンが、いつもの笑みを張り付かせたまま逆袈裟斬りに斬撃を放った。
そこに。
「――楽しい思い出。素敵な時間」
小さく小さく、呟くニヒト。
――ニヒトは、事件が起こると解っていても、この時間が楽しかった。
嬉しかった。
綺麗だと思った。
だから、だから、だから。
許せない、許せない、許せない。
彼女は横ピースに固定されていた左手を、顔の前から下ろす。
じっと見てしまえば飲み込まれてしまいそうな程。くらい、くらい、漆黒の瞳。
ニヒトの左目に映るモノは、全部ネジ曲がって『ぐしゃぐしゃ』になってしまうから。
指の隙間から世界を覗く事を、ニヒトは人として止めはしない。
それでも、それでも。
「祝いを呪いに変えるなら。私は、あなたを許さない」
今だけは、機械に戻ろう。
この心と身体が、人じゃなくたって構わない。
この時間を潰そうというのならば、この時間を壊そうというのならば。
――私は、あなたを潰して、壊して。
「消滅させてやる……!」
軋む屋台。
軋む世界。
「えっ」
慌ててオブシダンが後方へと飛ぶと、流星の矢と屋台と壁が捻れて、混ざって。
巻き込まれた厭魅師の足がぐじゃりと捩じ切れた。
漆黒の瞳で観測した世界が、混ざっていく。
かき混ぜられてゆく。
――ああ、でも。この姿を、あまり見ないで欲しい。
……私は、機械だけれど。
「……」
匡は、『ひと』のような心を持っていない。
心なんてとうの昔に捨ててしまった『ひとでなし』だ。
だからオブリビオンが、――敵が無辜の人々の平穏を害そうと。
それが悪い事で防がなけれないけない事だとは、『理屈』では理解出来る。
しかし、そんなことに憤る事なんてできない。
それでも、それでも。
ニヒトにあんな顔をさせたことだけは。
「――……そうだな、きっと」
許せないと、思っている。
ニヒトの背後で、匡は異邦人の名を持つ自動式拳銃のスライドを引く。
彼女が左手を下ろすと、『大変なことになる』と彼女は言っていた。
だからこそ、彼女はその姿を見られたくないだろうから。
匡は呪符がぷかりと厭魅師が浮かせた瞬間に打ち抜き落とした。
――ニヒトが何に怒っているのかすら、匡には解ってやることはできない。
それでも。
何かに心を動かす事の出来る彼女の事を。
なによりも、どうしようもなく『ひと』らしい彼女の事を。
守ってやる事くらいは、できるだろうから。
「――……傷の一つも、つけさせる訳ないだろう」
既に満身創痍の敵の動きを見切る事なんて、匡にとっては赤子の腕をひねるようなもの。
弾を放つ。
精確に急所を射抜く。
弾を放つ。
攻撃の予備動作を阻害する。
エチカが落とす流星の矢に、オブシダンの放つ斬撃が重なり――。
ぐしゃり。
ニヒトの瞳に、残骸と建物に掻き混ぜられた敵は、砂のように解け消え。
幾つかの屋台は壊れてしまったとは言え。
無法者がいなくなれば、それはそれでお祭りなのだ。
戻ってきた者たちは、祭りに重ねて祝賀ムードに沸き。
星瞬く空に再び蕾開くは光の華。
稲荷提灯は変わらず、秋風に揺れて。
赤い赤い光が、ゆうらゆら。
再び浴衣を身に着けた者、整えた者。
草履を、下駄を、参道に響かせて。
「のう、オブシダン。この先も平穏が続く事を、チカはあの花に願おうと思うのじゃ」
再び夜空に舞った華を指さして。
逆の腕で大事そうに土産の花瓶を抱くエチカは、ミルク色の髪にリボンを跳ねさせて笑う。
「それから、我ら……友三人が永く共にいられるようにのう」
フードの端を揺らして、オブシダンは瞬き一つ。
「ねえ友人殿」
そうして。
空を見上げていつもの笑みで、彼は言うのだ。
「花火も好きだけど、僕は星空も好きだよ」
「……ふふ、奇遇じゃのう、チカもじゃよ」
視線を交わして、二人は笑う。
散る火花、再び咲く華。
ニヒトの左手は既に何時もの定位置、横ピース。
匡とニヒトは先程とは違って、言葉交わすことも無く。二人並んで、花火の咲く夜空を見上げていた。
「……」
――記憶に残るなら、きっと思い出。
一緒に来れてよかったと、言ってくれた匡をニヒトは見ることが出来ない。
「…………私のこと」
「……ん?」
匡の小さな返事に。
ニヒトは呟いた言葉の続きを、紡ぐ事が出来ない。
――怖くないよね?
なんて、聞く勇気を、ニヒトは持ち合わせていない。
きっと匡は、なんで? なんて、問い返してくるとしても。
そのまま押し黙ってしまったニヒトの横で、匡は口を開く。
「……射的」
「……射的?」
想像もしていなかった言葉に、思わず顔を上げたニヒトは逆に聞き返してしまう。
「何か取ってやるって言っただろ?」
なんてこと無い様に匡は言う。
再び祭は、祝賀ムードに再開されたのだ。
射的の屋台くらい、きっとあるだろう。
「行こうか」
そうして、ニヒトに匡は手を差し出す。
民草や、踊れ、歌え。
今宵、催されるは五穀豊穣を祝う、秋祭り。
見事敵を退け、國を守った英雄たちを祝う、秋祭り。
大成功
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