夏だ! スイカだ!! スイカボムだ!?
●とあるリゾートシップ内での陰謀
「近々、スイカ割り大会なるものが開催されるようだな」
「ああ、水着姿のおなごどもがキャッキャウフフとスイカを割るイベントか」
「許さぬ……そんなうらやまけしか……ゴホン、ハレンチなイベントがあるとは!!」
「かくなる上は……かくなる上は!!」
「「「「スイカ割り用のスイカをスイカボムに取り換えてしまえ!!」」」」
●なぜこんな頭悪い状況を予知してしまうのか
「唐突だが、リゾートシップでのスイカ割り大会に出てみないか?」
皆を前にグリモア猟兵藤崎・美雪が突然こんなことをのたまうものだから、猟兵たちの顔には「?」マークが浮かびまくり。
「いやな……普通のスイカ割り大会はスイカ割り大会なんだ。皆で目隠しして棒でスイカを割るというアレだ」
それはわかるのだけど、なぜ猟兵が出場しなければ? と引き続きハテナマークを浮かべる猟兵達。
「困ったことに、水着でキャッキャウフフするのが許せない、リア充爆発しろとか言い出す輩がとんでもない仕掛けをしたらしく」
リア充爆発……と聞いて一部の猟兵が目を輝かせておりますが、ちょっと落ち着いて下さい。
「スイカ割り大会に使われるスイカの一部が、なんと緑と黒にペイントされた爆弾……スイカボムに置き換えられていることが判明した」
それは大事じゃないか! とどよめきが起こる。
「しかも精巧に造られているらしく、持ち上げただけでは本物のスイカと区別がつかない……厄介だぞ」
さすがに爆発の威力はかなり抑えられているらしいが、仮に一般人がうっかりスイカボムを割った日にはけが人続出、イベントどころではなくなってしまう。
「ただ、今からではスイカボムの除去は間に合わない。そこで猟兵もスイカ割り大会に出て、スイカボムの被害を肩代わりしよう……というわけだ」
猟兵なら髪がチリチリになる程度ですむので、被害を肩代わりしよう、というわけだ。
「一応、主催者側でもスイカボムに置き換えた犯人を捜している。そちらは私も手伝うので、皆は全力でスイカ割りを満喫してくれ」
ハプニング含め全力で楽しんでもらえれば、それが首謀者をあぶり出すことにもつながるからな、と美雪は苦笑いを浮かべながら猟兵らに告げた。
「ちなみに、この状況に便乗して、海やスイカ割りを満喫しているリア充たちを爆発させようとしたらどうなるか……わかるな?」
遠慮なくこのハリセンでフルスイングして海に叩き込むからな? と鋼鉄製の巨大ハリセンを手にパンパンと打ちつけながら凄味のある笑みを浮かべる美雪を見て、リア充爆発行為に走ろうとしてた猟兵らがすごすごと退散。爆発するのは君たちの可能性が高いからね。
「まあ、私はそういうよからぬ行為を目論む輩を見張るのと、主催者を手伝って首謀者を探すので出場はしないが、皆、スイカ割りのほうはよろしく頼むよ」
猟兵らに頭を下げた美雪は、グリモアから音符を展開し、リゾートシップへの道を開いた。
――あなたが選ぶのは、このスイカですか?
――それとも、このスイカボムですか?
「シリアスに決めようとしてもおそらく無駄だぞ?」
……ソウデスネ。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
夏の最後にスイカ割りイベントを、とふと思いついて口にしたところ、
横にいた相方が、
「ああ緑と黒に塗り分けた爆弾を置いておくんだね」
とのたまいなさったので、こんなシナリオができてしまいました。
(※嘘のような実話です)
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このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、
獲得EXP・WPが少なめとなります。
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基本的にはスイカ割りを楽しんでいただくだけのシナリオです。
割れるかどうかは実際に判定しますので、判定に使用する能力値を1種、プレイング冒頭に記載願います。
ちなみに水着着用は任意となります。
●特殊ルール:美味しいスイカがスイカボムに!?
オープニングの通り、用意されたスイカの一部に「スイカボム」が混入しております。
スイカボムになるか否かは「オープンダイス」で決定します。
参加される方は、美雪の旅団「喫茶【スノウホワイト】(https://tw6.jp/club?club_id=1595)」に設置する専用スレッド「スイカかスイカボムか、あなたはどっち!?」で1回だけD100ロールをお願い致します。(プレイング送信前・送信後どちらでも可)
【青ダイスの目が0】の場合、そのスイカはスイカボムです。派手な音を立てて爆発します。ただし実害は髪がぶわっと爆発する程度。スキルやUCでの軽減は可とします。
逆に青ダイスの目が1~9であれば、そのスイカは普通に美味しいスイカです。存分にスイカ割りをお楽しみください。
なお、スイカボム大歓迎という豪気な方は、プレイングの冒頭に【スイカボム上等!】と一筆お願いします。この場合は必ずスイカボムになりますのでD100ロール不要。
逆にスイカボムになるかどうかをMSに一任していただいても構いません。この場合はMSが代理でD100ロールを行います。
その他、問題行動、公序良俗に反する行為、飲酒喫煙は全面禁止。お色気系ハプニングも起こりません。
また、グリモア猟兵藤崎・美雪の同行は【不可】とさせていただきます。
それでは、夏の最後のひと騒動をお楽しみくださいませ。
第1章 日常
『猟兵達の夏休み』
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POW : 海で思いっきり遊ぶ
SPD : 釣りや素潜りに勤しむ
WIZ : 砂浜でセンスを発揮する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
(9/2 2:50追記)
*マスターコメントからプレイング受付締切日の告知が漏れておりました。大変失礼いたしました。。
プレイング受付締切日は「最初にいただいたプレイングの失効日に合わせて」設定致します。決定次第北瀬のマスターページ及びTwitterで告知致しますので、送信前に今一度ご確認お願い致します。
月影・このは
■スイカボム、MSに一任
なるほど、スイカを入れ替え…
それは一大事ですね
えぇ、お任せください
この鋼鉄のボディ。爆発にも耐えきれます
この身を犠牲に一般人の方の被害を減らしましょう
首謀者の発見はお任せ致しますよ
オーラエンジンフルドライブ…
ハンマーアームセット…
足のバトルホイールを高速回転させ、勢いで上空に
自身の体重と落下速度を加え…
一撃を瓦を割るようにスイカに!!
(砂埃、もしくは爆炎の中から姿を現し)さぁ、次の相手(スイカ)はどこでしょう?
視界を隠し、気配を読み取り、相手代わりのスイカを粉砕する…
スイカ割り中々奥深いですね…
次は完全に殺さない(破壊しない)よう威力の調整に気をつけましょう
●スイカ割り(鋼鉄の手刀)
「なるほど、スイカを入れ替え……それは一大事ですね」
スイカ割り会場の主催者から改めて話を聞いた月影・このは(製造番号:RS-518-8-13-TUKIKAGE・f19303)は、腕を組みうんうんと頷きながら何か納得。
「えぇ、お任せ下さい。この鋼鉄のボディ、爆発にも耐え切れます」
ウォーマシンと自称しているけど、実際は超合金製だからね……まあ爆発には耐えれそうですが。
「この身を犠牲に一般人の方の被害を減らしましょう」
首謀者の発見はお任せしますよ、と主催者に言い残し、このはは棒を持たずにスイカ割り会場へ……あれ、棒いらないの?
棒も持たず目も隠さず、会場に現れたこのはを、一般人たちは「何しに来たんだコイツ」という目で見ているが、このはは気にしない。
「オーラエンジンフルドライブ……」
感情の昂ぶりに応じて出力を増す動力炉が、このはの一般人を守るとの想いに呼応し出力を増し。
「ハンマーアームセット……」
そして両手に鋼鉄製の拳を装着。もうこの時点で嫌な予感しかしねぇ。
さらに足のバトルホイールを高速回転させ、十分な遠心力を得たところで、徐にジャンプ!!
「とうっ!」
「おおっと飛んだ-ッ!?」
どこからともなく実況風の声が聞こえてきた気もしますが、それはともかく空高く飛んだこのははそのまま落下に転じ、自身の体重と落下速度を加え、瓦割りの要領でスイカに手刀を叩き付けた!!
どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
一瞬爆発と見間違いそうなほどの盛大な砂埃が……いや大量の砂が舞い上がる。
砂で視界が遮られる中、砂埃の中から現れたのは……笑顔のこのは!
「さぁ、次の相手(スイカ)はどこでしょう?」
『スイカ割り大会だから1人1個だよ!?』
まだスイカを叩き割る気だったのかこのはさん!?
その後、砂埃が止んだ後に現れたのは……砂浜に開いたクレーターと、その底で粉々になったスイカでした。
「視界を隠し、気配を読み取り、相手代わりのスイカを粉砕する……」
いや粉砕するのではなく単に割ればよかったのですけど。
「スイカ割り、なかなか奥深いですね……」
奥深いのかよ!? そもそもダイス振ったら大成功出た時点でオーバーキルだよ!?
「次は完全に殺さない(破壊しない)よう、威力の調整に気をつけましょう」
というかそもそも棒使ってねぇよ拳で割るなよ、という主催者のツッコミを受け流し、このははいい仕事をしたとばかりに額の汗を拭う仕草をしたのでありました。
ちなみにクレーターは主催者が必死に埋め戻しましたとさ♪
大成功
🔵🔵🔵
雷田・水果
【WIZ】【スイカボムMS一任】
※事前にダイスを振りましたが、MSに一任します。
「スイカ割り大会ですか。これは参加せずにはいられませんね」
西瓜大好きの水果は、ワクワクしながら大会に参加する。
「行きます!」
アリスランスを巨大ハンマーに進化させる。
目隠しをしてぐるぐる回り、止まるとよろけずにまっすぐ進む。
周囲の指示を聞きつつスイカの前に立ち止まり……
「ちぇすとー」
●スイカ割り(巨大ハンマー)
頭から棒を使わずスイカを割った剛の者が出た時点で、このスイカ割り大会、波乱の予感しかしません。いやスイカボム対策なので仕方ないのですが。
それはともかく、次に現れる猟兵は誰だ!?
「スイカ割り大会ですか。これは参加せずにはいられませんね」
腰まで伸びた銀の髪をなびかせながら颯爽と会場に登場したのは、黒のドラゴニアン用戦闘服に身を包んだ雷田・水果(人派ドラゴニアンの鞭使い・f19347)でした。なお、颯爽と登場はしておりますが、スイカ好き故、内心ワクワクしております。
普段なら鞭を持っている水果が本日携えているのは、使い手の想像力に応じて無限に進化するというアリスランス……あれ、水果さんも棒は持ってこなかったのですかい?
「行きます!」
掛け声とともに、水果は白銀のアリスランスを想像力で変化、巨大ハンマーに進化させる……ってあの、何をなさるおつもりでしょう?
それはともかく、水果はお作法通り目隠しをし、巨大ハンマーの頭部を砂について柄を棒代わりに、周囲をぐるぐると10回回って準備完了!
(「ちょっとふらつくけど平気です」)
水果は両手でしっかりと巨大ハンマーを構え、いざスイカの元へ!
「いけー、右だ―!!」
よろけずとも目隠しで前が見えないため、真っ直ぐに進むのは難しいが。
「もう少し左よ!!」
水果は大歓声の中から指示となり得る言葉を聞き分け、その通りに進み。
「そのまま真っ直ぐだよー」
1度も立ち止まることなく、よろけることもなく、ただひたすらスイカの元へ!!
「そこでストップー!」
指示通りにスイカの前で立ち止まった水果には、しっかりとスイカの気配が感じ取れているぞ! スイカボムかもしれないが!
「ちぇすとー」
水果は気の抜けた(?)掛け声と共に、全力で巨大ハンマーをスイカに叩き付けた!!
ぐしゃああああああああああ!!
スイカは爆発することなく、巨大ハンマーでぺしゃんこにされました。どうやらスイカボムではなく、普通のスイカだったようです。
ボムじゃなくてよかったね、水果さん!!
「あ……」
目隠しを取りスイカ割りの成果を確認した水果さん、目に涙を浮かべています。
「スイカ……食べられなくなりました」
泣きそうな声で呟く水果。そりゃ、巨大ハンマーを真上から全力で叩き付けたら潰れますが……すっかり肩を落としています。
「お嬢さん大丈夫、後で食べる分のスイカはあるから、終わったらみんなで食べような」
「ありがとうございます!!」
主催者に慰められた水果の顔に、笑顔がぱっと浮かんだのでありました。
……いや、そもそも棒を使おうよ棒を!!
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
平和な浜辺のイベント、スイカ割りを物騒なものに変えようとする物騒な輩がいるようだね・・・スイカボムとは悪辣な。リア充爆発?既婚のアタシはリア充なのかね。
とりあえずスイカを割って行けばいいんだね?(デニムビキニを着用)任せな。こういうのは得意なんだ。(目隠し)
スイカの位置を良く覚えて置いて上手く割れるように努力するよ。(近くで爆発音が)何が起こったんだ!?(爆発に巻き込まれた瞬の髪がチリチリになってライオンの鬣のように跳ねているのを見る)・・・随分男前になったじゃないか。やっぱりスイカボムが混じっていたか・・・(大爆笑)
真宮・奏
皆さんが楽しんでいる浜辺に爆弾とは物騒ですね。リア充爆破は良く聞きますが、本当に爆破してはダメでしょう・・・はい、私達で対処出来るなら、何とかしましょう!!
とはいえ、私、主に正面突撃しかしてないので目隠しされてぐるぐるされると真っ直ぐ歩ける自信がないのですよね・・・思いっきり棒を振り下ろしてみますが・・・
結果がどうなるにせよ、近くでの爆発音に思わず目隠しをはずします。そこにはライオンの鬣のように髪をちりちりさせた瞬兄さんが。兄さん、スイカボムを引いてしまいましたか・・・でも野性味溢れる兄さんも素敵かも?(そういう問題ではない)
神城・瞬
世の中にはリア充爆破を企む輩が多いと聞きます。浜辺に爆弾なんか仕掛けたらリア充でない人にも被害が及ぶのは避けられませんね。何とかしましょう。
スイカ割りなるものはやったことないですが、上手く割れるよう努力しましょう。いささか自信がありませんが・・・(棒を振り下ろす)
(爆発音。見事にスイカボムを引いたようだ)
・・・ふざけんなごるぁ!!髪がちりちりじゃねぇか!!折角気を入れて手入れしているんだぞ!!そこ、笑うんじゃねぇ!!責任者出てこい!!(ライオンの鬣のような髪と相まって咆哮と化していたとか)
・・・コホン。元に戻すの大変ですね、これ・・・リア充爆破の執念恐るべし、ですか。
●家族そろってスイカ割り(正当)
拳と巨大ハンマーと続けば、3人目もイロモノが出るのではないか?
そのような観客の期待と予想をいい意味で裏切ったのが……真宮家の3人でした。
「平和な浜辺のイベント、スイカ割りを物騒なものに変えようとする物騒な輩がいるようだね……」
まったく、スイカボムとは悪辣な、と腹を立てているのは、デニムビキニ姿の真宮・響(赫灼の炎・f00434)だった。
「皆さんが楽しんでいる浜辺に爆弾とは物騒ですね。」
「浜辺に爆弾なんか仕掛けたら、リア充でない人にも被害が及ぶのは避けられませんね。」
フリルビキニ姿の真宮・奏(絢爛の星・f03210)と、紺のサーフパンツ姿の神城・瞬(清光の月・f06558)も、どうしてこうなったと大きくため息ひとつ。なお、お二方は服装指定がありませんが、母親命令で水着を着用したということで!
「まあ、なんとかしましょう」
「はい、私達で対処出来るなら、何とかしましょう!!」
子供2人がやる気満々なところで、響の脳裏にある疑問が過り、首を傾げる。
「ところで、既婚のアタシはリア充なのかね」
確かに判断に迷うところだが、この件を斡旋したグリモア猟兵のリア充の定義は『老若男女問わず、今を思いっきり楽しんでいる人』なので、そういう意味ではこのスイカ割り会場にいる人は全員リア充ということになる。もちろん響も例外ではない。
――奇しくもその認識は、スイカボムを用意した首謀者(の一部)と同じだったりする。
「さて、お三方は何も……持ち込みませんね」
水着姿で現れた3人を前に、どこかほっと胸をなで下ろす主催者。
「ああ、スイカ割りのお作法通り、目隠しと棒でちゃんと割るよ」
「ではこれを」
主催者はスイカ割り用の木の棒と目隠しを3人に渡す。
「3人まとめて挑戦するかい? それともお1人ずつ?」
「3人一気に行きたいね。」
「わかった。セッティングするから少し待ってくれよ」
主催者が3人分のスイカをセットし、いざ、真宮家の挑戦が始まる!!
――後々、笑いの神が降臨することなど、露知らず。
●ぐるぐる回ってスイカ割り
「任せな、こういうのは得意なんだ」
棒をくるくる回しながら得意げになっている響は、まずはしっかりとスイカの位置と距離を記憶。
そして目隠しをした後、お作法に則って棒を地面に立ててその場で10回転。
(「さすがに方向感覚は少し狂うが、スイカの方角を見失うほどじゃないよ!」)
視界が遮られている以上、多少狂うのは仕方のないことだが、それでも響は普段のトレーニングで鍛えた体幹とバランス感覚、さらに戦士としての勘で、全くふらつく様子も見せずにスイカ目指して真っ直ぐ歩く。
「おおおっ」
「すげーあの人!! がんばれーそのままー!!」
観客の声援の中、響は迷うことなくスイカの前に到着。
「ええいっ!!」
思いっきり棒を振り下ろすと、しっかりとスイカの手ごたえあり!!
ぱかんっ!
スイカはやや歪ながらも2つに割れました!
というかスイカでよかったね、響さん!!
●くるくる回ってスイカ割り
響とは対照的に、奏は全くと言っていいほど自信がない。
(「私、主に正面突撃しかしてないので、目隠しされてぐるぐるされると真っ直ぐ歩ける自信がないのですよね……」)
それでも奏は目隠しをして棒を立て、くるくると10回転。
(「やっぱりふらふらします~!!」)
完全に方向感覚を失い、足元をふらふらさせながら明後日の方向へ歩き出す奏。
「フリルビキニのおねーちゃん、そっちじゃなーい!!」
「後ろ、後ろー!!」
観客の声に慌ててUターンする奏。
その後も観客の誘導と声援に後押しされ、足と頭のふらつきも徐々に取れ始め、奏は少しずつスイカに近づいていく。
「おー、いいぞー!!」
「そこだ、そこー!!」
やがて目の前にスイカっぽい物体がある気がした奏、思いっきり棒を振り下ろす!!
「えーい!!」
ぱかっ!!
なんと、スイカは綺麗に真っ二つに割れました!
スイカボムじゃなかったどころか、綺麗にクリティカルヒットしたよ奏さん!!
――その時。
ちゅごどーーーーーーーーーん!!
会場全体に響き渡る爆発音とともに、もうもうと立ちこめる煙。
どうやら何かが爆発したようだ、が……?
「何が起こったんだ!?」
思わず目隠しを外し、爆発音が聞こえてきた方角を見る響。
「何が起こったんでしょう?」
同じく目隠しを外し、爆発音の方角を探る奏。
――さて、2人が見たものは?
●ぐるぐる回ってスイカボム
少しだけ、時は遡る。
響に倣って目隠しをして棒を砂に突き立てる瞬だが、実はスイカ割りをするのは初めて。
(「まあ、上手く割れるように努力はしましょう」)
棒の周りを回ること10回、さすがに平衡感覚が狂うが、それでも周囲の観客(主に若い女子)からの声援と誘導を受けながらスイカに向けて進んでいく。
「右よ、右―!」
「いや、左だー!!」
「そのまま真っ直ぐよー!!」
観客の誘導でなんとかスイカの前に辿り着いた瞬、勢いよく棒をスイカに叩き付ける!!
カチッ。
「え?」
聞こえてきたのは、よく熟れたスイカを叩いた時のような軽快な音ではなく、何かのスイッチが入った音。
次の瞬間。
ちゅごどーーーーーーーーーん!!
実はスイカボムだったスイカが、棒で叩かれた衝撃に反応して爆発。
もちろん、至近距離にいた瞬はしっかり巻き込まれていました。
爆発に巻き込まれた瞬は、ご自慢の金髪が大爆発。具体的にはライオンの鬣の如く四方八方に伸び放題。一部焼け焦げたのか、焦げた臭いも漂う。
――一瞬の静寂。
「……ふざけんなごるぁ!! 髪がちりちりじゃねぇか!!」
ようやく現状を把握した瞬が咆えた!! 普段冷静な彼にしては珍しく口調荒げて咆えているぞ!! ……そりゃ、そうだよね。咆えたくなるよね。
それはともかく、瞬は「この髪は気合を入れて毎日手入れしているんだぞ!!」と怒り心頭。見れば声援を送ってくれていた観客も必死に笑いをこらえている。
「そこ、笑うんじゃねぇ!!」
瞬の怒りは笑いをこらえる観客にも向くが、笑いで済んで怪我人が出なかっただけ僥倖では……?
「責任者出てこい!!」
いやそう言われましても、グリモア猟兵はちゃんと説明したじゃないですか。見分けがつかないって。
主催者が出て来るより先に、爆発音と瞬の怒りの咆哮を聞きつけた響と奏がやって来るが……一目見て響は何かをこらえるように肩を震わせていた。
「……瞬、随分男前になったじゃないか」
「兄さん、スイカボムを引いてしまいましたか……」
奏も瞬からそっと目を逸らしながら呟くが、同じく肩は軽く震えている。
「……コホン。母さん、奏、笑いごとじゃないです……」
義母と義妹が来たことでようやく怒りを収めた瞬、逆に肩を落としています。
「やっぱりスイカボムが混じっていたか……く、くく……あっはっはっは!」
とうとう笑いをこらえきれなくなり、腹を抱えて大爆笑する響。
「でも野性味溢れる兄さんも素敵かも?」
「奏、そう言う問題ではないかと……はぁ」
世界一深い海溝よりも深いため息をつきつつ、再度大きく肩を落とす瞬。
「……元に戻すの大変ですね、これ……リア充爆破の執念恐るべし、ですか」
むしろここまでスイカボムが出なかった方が不思議なくらいですね……。
ちなみに瞬の髪型は、主催者に腕のいい美容師を紹介してもらい、なんとか元に戻したことを付け加えておこう。
……思うにこれ、一番出てはいけない方で出た気がします。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●唐突ですが主催者からのお知らせです
ぴーんぽーんぱーんぽーん。
「えー……爆発騒ぎで騒がせていることをお詫びいたします」
唐突に会場全体に流れるアナウンスは、主催者からのアナウンス。
「ご覧の通り、用意したスイカの一部が見た目で区別のつかない爆弾にすり替えられていたことが判明しましたので、猟兵の皆様にご出場いただき、皆様の安全を確保させていただきました」
そーだったのかー、と出場を止められた観客から納得の声。実は観客には出場を控えていただいておりました……やっぱり万が一があったら困りますからね。
「先程入った連絡によりますと、スイカをスイカボムにすり替えた輩は、全員お縄についたそうです。」
観客から沸き上がる歓声、そして安堵のため息。
「また、首謀者の手でスイカボムは全て除去されましたので、猟兵でない皆様にも安全にスイカ割りを楽しんでいただけるようになりました。どうぞ皆様、存分にお楽しみください!」
再度沸き上がる歓声。皆スイカ割り目的で来ていますから、ね。
「よっしゃああああああ!!」
「思いっきり満喫するぞー!!」
会場の方々から届く声を聞くと、猟兵らの苦労も報われた……のかな?
「なお、この一連の騒動の収束には、鋼鉄製ハリセンを持った方のご協力があったことを付け加えさせていただきます」
主催者からの謝辞に、何やってんだグリモア猟兵ーっ!? と一部の猟兵が突っ込んだとか突っ込まなかったとか。
ともあれ、この後は一般人も安全にスイカ割りを楽しめそうです。
さあ、スイカ割りフィーバータイム……?
リオン・リエーブル
スイカボム上等!
スイカでボム!
こんな楽しそうなイベント見逃すはずがないよねー!
もちろんスイカボムを選ぶよ
普通に割っても楽しいけどそうだなあ
この船の船長さんに直談判しちゃおう
小さな打上花火あげていい?
ダメなら砂浜でやるよ
スイカボムをリチウムとかマグネシウムとか色々調合した
おにーさん特製の火薬で包んで即席花火玉を作ろう
OKなら船で沖合いに出て筒の中のスイカボムに点火!
ダメなら砂浜に火薬控えめなボムを置いて威力絞った火属性UCで点火!
どっちにしても炎色反応で綺麗な花火を上げるよ
…本物のスイカに火薬仕掛けることもあるよね
そうなってもおにーさんはめげない
破裂したスイカは美味しく頂きました
これぞ夏!だよね
●スイカ割り(火薬)……?
「スイカでボム! こんな楽しそうなイベント見逃すはずがないよねー!」
なぜか全て撤去されたはずのスイカボムを大事そうに両手で抱え、笑顔でスイカ割り会場を後にしているのは、緑髪の美青年エルフ、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)。ちなみに500年以上生きているが、自称22歳……今は23歳でしたっけ?
それはともかく、主催者が撤去したスイカボムをこっそり拝借したリオン、いたずらっ子のような笑みを浮かべて何か考えた。
「普通に割っても楽しいけど……そうだなあ」
リオンの視線の先にあるのは、小さな遊覧船。
「この船の船長さんに直談判しちゃおう♪」
にんまり笑って、遊覧船へゴー!!
「……というわけで小さな打上花火あげていい?」
「船を爆破しないだろうなそれ!?」
リオンの抱えているスイカボムを見て難色を示す船長。しかしリオンはその程度ではめげない。
「大丈夫大丈夫!! これから花火に改造するから!」
「本当に大丈夫だろうな……? まあ花火程度なら耐えられるから構わんぞ」
「やったあ!」
船長の許可を得て、いそいそと甲板で準備を始めるリオン。
まずは甲板を痛めないように鉄板を敷き、その上に打ち上げ用の筒をセット。
そしてスイカボムは、リチウムやマグネシウム、ナトリウムなどが含まれた火薬を数種類調合したリオン特製火薬でしっかり包み、さらに油紙で上からしっかりくるんで、即席花火玉の完成!
「船長さん、花火が出来たよ!」
「よーし、沖へ船を出すか!」
ニコニコ顔の船長とともに、いざ沖合へ!
しかし、いざ打ち上げの段階になり、リオンは気づいた。気づいてしまった。
「……あれ、このスイカボム、導火線ないよねぇ?」
スイカボム自体が衝撃に反応して爆発するタイプですからね。
「叩くと爆発しそうだし、仕方ないなぁ……」
やむなく即席花火玉を筒から取出し、網に包んでぶんぶんと振り回すリオン。
「そーれっ!!」
勢いをつけて空高く投げた即席花火玉を火属性の弾で攻撃、衝撃を与えて着火!!
――どーーーーーーーん!!
空一面を覆う、色とりどりの大輪の花。
赤、緑、黄色、オレンジ、青……カラフルな花が空を覆い、音に気づいて見上げた人々の心を潤したのでありました。
「おーこれは綺麗だな」
「これぞ夏! だよね!!」
リオンも船長も即席花火に大満足。良いひと夏の思い出になりました!
……と、これで終われば綺麗に締められたのですが。
●綺麗に終わるはずがなかった
「せっかくだからもう1発行こう!」
上手くいったことに味を占め、もう1回やろうとするリオン。
「スイカボムはもうないのでは?」
「もう1個あるんだよ!」
リオンが取り出したのは、主催者から拝借しこっそり隠していた2個目のスイカボム。あれ、それ本当にスイカボムかな?
それはともかく、リオンは手際よく特製火薬でくるみ、網に包んで準備完了!
「それっ!!」
勢いつけて空高く投げ、再び火属性の弾丸で攻撃!!
――ぱーーーん!!
「ぱ、ぱーん?」
――ぱらぱらぱらぱら……。
「うわっ!! これスイカだ!!」
「スイカの雨が降ってきたじゃねえかよ!!」
今度は大輪の花にはならず、代わりにスイカの種とスイカ色の雨が降り注いだのでありました。
どうやら撤去したスイカボムの中に本物のスイカが混ざっていたようですね……。
こうして、スイカボムすり替え騒動から始まったスイカ割り大会は、無事に(?)幕を下ろしたのでした。
――今度こそ、おしまい。
大成功
🔵🔵🔵