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エンパイアウォー⑰~何も滲まぬ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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●何も滲まぬ
「エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか」
 その声は、さしてこの趨勢に興味などない、というような。
 水晶を身体より幾重にも重ねて背負う男はただ静かに赤い眼を細めていた。
「此度の私の目的は、ただ『持ち帰る』事のみ。この世界はよく『似て』おりますゆえ、 『業(カルマ)』の蒐集も興が乗りませぬ」
 そう呟いて――いえ、どうではありませぬなと男は小さく零した。
 己の身の在り様では、そう。何をしても、心など動かぬのだから。
 不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。
 それは、賽も振らずに勝つようなもの。
 斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょうと、薄ら笑うがそれすらも本心でないのかもしれない。
「戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか」
 それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。
 はてさて、それらを全て行ったとして――きっとおそらく、何も変わらない。
 ではあと、心揺らす物はなにかあるだろうかと思考を巡らせて、男は一つ。あることに心至った。
「猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……」
 さして、期待はしていない。何も、己の内には滲まぬのだとそんな口ぶりで、男――陰陽師『安倍晴明』は呟き落とした。

●向かい合うべくして
 鳥取城へと、向かって欲しいのだと終夜・嵐吾(灰青・f05366)は静かに紡いだ。
「まぁ、そこじゃろうなとは多少なりとも、思とったものもおるかもしれんけど」
 そこに陰陽師『安倍晴明』がいるので撃ってきてほしいと、嵐吾は紡ぐ。
 戦場は戦国時代に鳥取城で餓死した人々の怨念が渦巻く、鳥取城。陰惨なる気配の場所だという。
「安倍晴明は強敵じゃ。攻撃を、必ず受けることになるだろう」
 人の身ならぬ、輝く水晶を孕んだ男は飽いているようだ。
 その手にもつチェーンソー剣、水晶屍人を召喚し、そして五芒符でもっての攻撃。
 どれもくらえば、倒れることは必至だろう。
 けれどそれをどうにか耐えるか、かわすか――かわすのも、難しくよほどの対抗策を用意していかなければ恐らく、と嵐吾は言う。
「おそらく継戦はできん。一撃いれられるかどうか、それを重ねられるかどうか――というところじゃろ」
 それでも、行ってくれるかと嵐吾は言う。
 きっと奴の所業には思う事も多かろうがと。その思いのままにぶつけて来ると良いと言って手の内のグリモアを輝かせる。
 そして猟兵達は鳥取城へと、送られるのだった。


志羽
 御目通しありがとうございます、志羽です。
 締め切りなどについてはマスターページの【簡易連絡】にてお知らせします。
 プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、全員描写するとは限りません。

●シナリオについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●ルール
 陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 技能の先制攻撃は、この依頼においてはプラスとして加味しません。先手はとれません。
 技能はどう使うか。こういう風に見切って動く、などと具体的にお願いします。数値によっての判定も行いますので、技能が高いほどプラス判定となります。
 ただ見切る、だけでは攻撃をくらいます。そういう、格上の相手です。
(たとえば「右からの斬撃を、腕を盾代わりに。失う事覚悟の上で踏み込み拳を叩き込む」などです。)
 また純戦ですが、心情もきちんと伴っている方がプラス要素は高いです。

 判定は難易度相当で厳しめです。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リグレース・ロディット
あいつに一撃与えれるなら寿命なんて関係……ないよ。うん。惜しまない。ヴァンパイアになる方が嫌だけど仕方ないや。兄が倒したほうが良いって言ってたからさ!頑張るよ!!
【POW】セイメイの所に行く前に『血統覚醒』を使っておくよ。うん。命は、惜しまない。けど時間は大事。強いから先制攻撃なんて無理だろうけど避けるくらいには使えるはず。それでもなるべく早くキめるに変わりはないね。
右腕でも左腕でも。頭以外ならどこでもあげる。そのための『激痛耐性』。その代わり、一発殴らせろ。『カウンター』を狙って『黒剣影』で剣山みたいにぐさっと。拳で殴るとは言ってない。僕は愚直じゃないからね?

(絡み・アドリブ大歓迎)



 来客――猟兵のようですねと陰陽師『安倍晴明』は薄ら笑う。
 そしておや、と零してすぅと、視線向けた。
 その瞬間、己の命を削りつつも力高めていたリグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)の覚醒が解けた。真紅の瞳は金の瞳に。ヴァンパイアから、ダンピールへ。
「戻った……!?」
「はい。ここは私の領域でございますから」
 私の原理、原則、規律、法則で定められております、と晴明はおかしそうに紡いで。
「最初から己の力増してなど無粋。興がのらぬではございませんか」
 晴明は見せていただきたくあるのですと言う。
 己の不利をわかっているというのにどのような輝きをみせ、猟兵が心動かしてくれるのかと。
「まずはこの一刀の末をお見せください」
 歪な刃音を回して晴明はリグレースへとチェーンソー剣をもって距離詰めた。
 唸る刃の攻撃に、咄嗟に己が身を守るべく差し出したのは左腕だ。
 頭以外ならどこでもあげる――痛みも、何もかも絶えてみせると。
 痛む、零れ落ちそうになる痛みへの叫びをリグレースはどうにか堪えてみせた。
「耐えましたか。ではもう一方も差し出していただきましょう」
 晴明はもうひとつのチェーンソー剣に呪詛を籠めてリグレースの肉を砕いて裂いて血を撒き散らした。
「痛みのお味はいかがでしょう。さぁどうぞ、先程の姿になるのでしたらご自由に」
「っ……! 一発、殴らせろ!」
 瞳の色を真紅に変え、リグレースはアンパイアと成る。
 目の前の相手に一撃与えれるなら寿命なんて関係ない。
 惜しまない、ヴァンパイアになる方が嫌だけど仕方ないと割り切って。
 覚醒と同時に自分の影を、棘として束ねたリグレース。幾つも、晴明を足元から貫こうと生み出される。
「拳で殴るとは言ってない。僕は愚直じゃないからね?」
 しかしその棘を笑って、晴明はとんと身軽に避けてみせた。
「なるほどなるほど。けれど精彩さも欠け私には目に見えて明らかなもの」
 残念ながらあなた様はここで幕切れでございましょう。
 晴明の言葉と共に、呪詛が走り抜ける。その痛みにリグレースの意識はそこで、途切れたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

クラリス・ポー
SPD
先制攻撃は防げませんか…
私に向かってくるのは水晶屍人達ですね

野生の勘と第六感をフルに働かせ
襲ってくる屍人達の攻撃を獣奏器で武器受けして
猫の毛づくろいで対抗しましょう
闘い乍ら学習力で動きや習性を探ります
バランスが崩し易くなった処で
ダンスのステップを交えた逃げ足とダッシュで翻弄です
防御はオーラ防御
攻撃を受けたら激痛耐性で動ける程度に弱めます
殴られたって、痛くたって、私は猟兵…
もっと痛くて、悲しい涙を流した人を知っている
その人たちの為に、勇気で進むと決めていますニャ!

全ての屍人を相手にしている余裕はありません
清明への道が開けた一瞬を逃さないで
清明だってペロペロにして転ばせてしまうんですからね!



 ここに、とクラリス・ポー(ケットシーのクレリック・f10090)は晴明の前へと辿り着く。
「これはこれは。可愛らしいお嬢さんでございます。でしたら手厚くもてなすというのが道理でしょう」
 それでは賑やかに参りましょうかと水晶屍人を何人も晴明は生み出してくる。
 クラリスを囲むように迫る水晶屍人達。クラリスは右から襲ってくる敵を躱して素早く動く。オーラを纏い、攻撃弾いて。そして己の用いる全てで反応する。
 次は、左と野生の勘、第六感をも働かせて。
「っ!」
 けれど、ひとつ読みかわせなかった。迫る水晶屍人の爪がクラリスの身を削っていく。
 けれどそれを代償に――クラリスの前に道が開けていた。
 晴明へと真っすぐ、走り込めば手が届く。
 攻撃を受けた場所は確かに痛む。けれど耐性で和らぎ動けないほどではない。
「殴られたって、痛くたって、私は猟兵……」
 もっと痛くて、悲しい涙を流した人を知っている、とクラリスは金色の瞳をその先にいる晴明へと向けた。
「その人たちの為に、勇気で進むと決めていますニャ!」
 あなた達の相手をしている余裕はありませんとクラリスは滑り込むように走る。
「ペロペロにして転ばせてしまうんですからね!」
 そしてクラリスは晴明の片足を毛繕いでもって――摩擦抵抗を極限まで、減らして。
 すてんと。いとも簡単に転ばせてしまった。
 転ばされた晴明は驚いたように目を見開いて、そして。
「――ふふ」
 笑い零したのだ。
「ふふ、はは! 私がすてんところりん、このように転がされてしまうとは。なんとなんと、滑稽でありましょうか」
 このような事今までない。
 張り巡らされた罠でもなく、ただその身ひとつでいとも簡単に! まるで児戯のように!
 声上げ笑う、そこには確かに感情の色が乗せられていた。
「面白うございます、ええ、とてもとても」
 それもこんな小さなお嬢さんにと晴明は改めてクラリスに視線を投げる。けれど、クラリスの姿は水晶屍人の間にあり、囲まれて正面から向き合う事は無かった。
「ニャ!」
 逃げ場がないこの場所ではどうすることもできずクラリスは水晶屍人達に距離詰められた。そして攻撃を受け、その場にぺたりと伏せたクラリスの元へ影が差す。
「私に楽しい経験をくださり感謝しております」
 けれど、それは――此度はそう感じただけということ。次に転がされて楽しいと思えるかは、判りませんがと晴明は笑う。
 けれどその心を動かしたことは、間違いなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
アドリブ絡み、共闘OK

死者の眠りを妨げるだけでなく、
死者を弄ぶような奴は倒す…ただそれだけ…

[呪詛耐性]を施して敵と戦闘
敵のチェーンソーによる先制攻撃を妖刀を抜いて[早業でなぎ払い]、チェーンソーを[吹き飛ばす]
呪詛を籠めたチェーンソー攻撃は鉄塊剣での[武器受け]で真正面から受け止めよう
多少の攻撃は[激痛耐性]で耐えてみせる

無事に攻撃を耐えたら【ゲヘナ・フレイム】を発動して[ダッシュ]で
懐に潜り込もう
拳を振り上げ[力溜め、怪力、グラップル]による殴打を敵の顔面に喰らわしてその水晶のような肉体を[鎧砕き]で破壊してやろう…!



 ぼんやりと、ただ前を見ていた仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)は――その姿を見て、黒い瞳に光を灯した。
「死者の眠りを妨げるだけでなく、死者を弄ぶような奴は倒す……ただそれだけ……」
 その言葉を向けた相手、晴明はくつりと喉奥を鳴らして笑う。
 さて次の方は、私の心をどう擽ってくださるのかと両手のチェーンソー剣を唸らせて。
 とんと一足、迫る刃が見えてアンナは妖刀を抜いて、早業で薙ぎ払う。
 そのチェーンソー剣を吹き飛ばす――その気負いで振り払ったが抑え込まれ刀の切っ先が流された。
 払うはずが逆に吹き飛ばされ、その身を唸る刃が切り裂く。その刃は一撃で伏せに来たものだった。
「っ!」
「おや、耐えられますか――けれど、此方もございます」
 晴明はもう一方の、より一層邪な気配をもったチェーンソー剣を振り下ろた。
 その刃を、痛みに耐えながらアンナは鉄塊の如き巨大剣を操って真正面から受け止める。
 鈍い音が響く重さのある一撃にアンナは一瞬息を飲み、先程負った傷からぼたりと赤い滴が迸った。
 無事にとはいかなかったが晴明の一撃をアンナはどうにか堪える。けれど動ける時間はもう僅かだろうか。
 それがわかる。だからこそ、今向かうしかない。
 切り裂かれた傷からぶわりと地獄の炎が巻き上げ絶対に仕留めるという覚悟と殺意――それを、晴明へと向けた。
 すると晴明はふふ、と笑い零し嗚呼と吐息零す。
「よろしいですね、その感情は心地好く」
 心擽るものがあると笑う。
 格上である己に、心揺らがず真っすぐに向けて来る鋭利なる感情は晴明にとって面白いものであったようだ。
 アンナは懐へ、潜り込む。
 拳を振り上げ、己の持ちうる力を溜め、全てを乗せる。
 狙いはその――顔だ。
「その水晶のような肉体を、破壊してやろう……!」
 アンナは己の思いも何もかもを込めて、その身へと打ち込む。
 拳とぶつかる硬い水晶の感覚。その衝撃に痛みも増すがそれを踏み越えてアンナは晴明に一撃を見舞った。
 ぱらりと水晶の身が砕け、崩れ落ちる。
 晴明は欠けた己の身を見下ろしている。その姿を視界に捕らえ――アンナの意識は落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ライラック・エアルオウルズ
貴方の娯楽となる心算はない
その『心』、動く前にと
僕らが永久に留めてみせよう

カンテラを手に友を迅速に喚び出し
《全力魔法》で友にと力を添えて、
炎の火力を上げ壁作る様に《範囲攻撃》
放たれる札の多くを焼き払う様に試み、
叶わない物は《オーラ防御》で凌いだなら
炎の壁に隠れる間、一斉に刃を放つ

然れど、放つ刃は然程通るまい
炎も刃も唯の目眩ましとして、
密か手に取る刃に《属性攻撃》を乗せ
更に堅く、堅く、杭の様に仕立てたなら
タイミングを見計らい《ダッシュ》、
捨て身の《覚悟》を込めて
穿つ様に、刺す

冷静であれ、と思ったけれど
僕は貴方の飽く眸が酷く疎ましい
世界はこんなにも心滲む物で溢れているのに
――いっそ哀れだね、晴明



 また一人いらっしゃいましたかと晴明の機嫌は良い。
 ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)はその様にわずかばかり表情を歪める。
「さてさて、次はどのような手で参られますか?」
 その言葉に――ライラックは貴方の娯楽となる心算はないと静かに紡ぐ。
 その『心』、動く前にと。僕らが永久に留めてみせようとライラックはその手に夜を灯す、カンテラを揺らした。
「ではお相手願いましょう」
 晴明は五芒符をライラックへ向けて放つ。
 その様を目にすると同時にライラックは紡いだ。
「夜が訪れ、貴方は訪ねる」
 影が揺らめいて、友が迅速に喚び出される。
 晴明の放った符が向かってくる。それが辿り着く前にライラックは目の前に、友に力を添えカンテラより炎を揺らめかせた。
 その火力を上げ、壁を作る様に己の周囲に。
 符が炎の壁ぶつかり燃えていく。その様におや、と晴明は僅かに口端を上げた。
「ではもうひとつ、ふたつ重ねて――その炎に刻むと致しましょう」
 符の多くを焼き払う。しかし燃え尽きる前に符がいくつも重ねられ、炎の壁を通り抜け五芒を刻む。
 それをオーラで守り深めどうにか耐えきり、ライラックは一斉に刃を放つ。
 炎を突き破り、晴明へと向かう刃。
 それを己のチェーンソー剣で払い落す晴明。
 だがそうなると、ライラックは思っていたのだ。
 だからこの炎も刃も、唯の目眩まし。
 ライラックの手に密かにある刃を堅く、更に堅く杭のように仕立てあげ握りこんだ。
 晴明が新たな五芒符放つ、その隙に捨て身の覚悟をもって、己の身にそれが当たったとしても構わずに――穿つように、刺す。
 その刃が、水晶の身体に行き当たる。
 晴明の身が欠ける。欠けて抉りこむ、それより一層深く。
 肉を断つ感覚は一切なく、硬いだけの感覚が伝わるだけ。
「ははっ! 我が身を、削りますか!」
 面白いものを見たと、この世に飽いていた瞳は輝きを一瞬宿らせた。
 そのような瞳も出来るというのに――飽いたという。
 冷静であれ――そう、思っていたけれども。
「僕は貴方の飽く眸が酷く疎ましい」
 世界はこんなにも心滲む物で溢れているのにとライラックは思うのだ。
 この世のには、想像もできない物事が尽きない。好奇心のまま興味に敗ける。
 ライラックはそんな道程をこれまで歩んでいる。だからこそ、思うのだ。
「――いっそ哀れだね、晴明」
 何も心に滲まぬという晴明へただ静かに。
 晴明は、ふふと笑い零す。
 今は滲んでおりますよと喜悦を持って、ライラックへと五芒符を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

コノハ・ライゼ
みすみす動くのも癪だケド
アンタのやり口、胸糞悪くはあるんだよねぇ
喰らえと煩くざわつく程にはさ

初撃は当て易い胴狙いと読み武器の軌道『見切り』
『オーラ防御』纏い敢えて斜めに踏み込み直撃避けるヨ
次撃は確実な急所狙いと踏んで頭部を「柘榴」の刃でガード
もう一振りを敵武器に差し込み威力を削ごうか
受ける傷は『激痛耐性』足しに凌ぐケド、痛む顔なんて見せてやらない

流す血はこれ幸いと柘榴に与え【紅牙】発動
『スナイパー』で腕を狙い『マヒ攻撃』乗せた牙で裂き
軸変えずの『2回攻撃』で『傷口をえぐる』よう喰らいついて
コチラが本番とばかり『生命力吸収』
剥がしにきたら噛み付いた体ごと喰い千切ったげる
その方が面白くなるデショ?



 また一人伏せ、晴明は面白いと笑っている。
 敵意を向けられるのはこのような心地だったかと何かに心擽られているのは間違いなかった。しかし浮かべる笑みは、歪んでいる。
「みすみす動くのも癪だケド」
 その表情に、在り様にコノハ・ライゼ(空々・f03130)は思うのだ。
「アンタのやり口、胸糞悪くはあるんだよねぇ」
 喰らえと煩くざわつく程にはさ、と口端は歪み、コノハの薄氷の瞳は、いつもより一層冴え冴えと。
「そのような顔をなさる。私は何をいたしました?」
 わかっていて、言っているのだろう。晴明は教えて頂けたら幸いでございますとチェーンソー剣を手に向かってくる。
 その動きは、大きく、身体を真っ二つにでもしてやろうかと読み取れるほどだ。
 虫唾が走るとコノハはその動きを見切る。唸るその剣の起動は予想よりも早く、オーラで守り固めるがそれも削っていく。
 しかし斜めに踏み込んだ分、直撃は無い。だがその身を僅かに抉って攫って、鮮血をふき零させた。
 そしてもう片方のチェーンソー剣も唸る。それがどこに向けられるか――斜め下から振り上げられるのは頭に向けて。
 来る、と守るために柘榴の刃で向ける。刃と、回転し唸る刃が噛み合って晴明の揮う軌道が逸れた。
 だがそれだけでは何かが足りぬ気がして本能的に首反らす。
 力任せに、押し切る様に持ってこられた唸る剣先がコノハの髪、そのひと房を削っていった。
 ひやりとするものが駆け抜ける。
 それと同時に、最初に喰らったものの痛みが鈍く訴えかけた。
 耐性で凌ぐことはできる。だから痛む顔など見せてやらないと、コノハは笑って見せた。
「凌いだヨ。今度は、コッチの番」
 流れ落ちる、その血は柘榴の糧とする。
 紅色が牙を剥くように柘榴は姿を変え、殺戮し捕食する者へと成る。
 狙うなら――その腕。マヒを乗せた牙を裂くように閃かせて。
 けれど、晴明の水晶のその身は裂くというより砕けた。
 刃の先がその身に僅かにでも入っているのなら、軸変えず抉るように刃を返し二度目の攻撃で喰らいつき生命力を吸い上げる。
 視界の端でチェーンソー剣の刃が見えた。コノハは咄嗟に身を離すが、タダでやられるつもりもなく。
 噛みついた身体ごと食い千切って――いや、食い砕いて一歩下がった。
 代償はその身を深く削る赤い色。じわりと痛みも膨れ上がり、コノハはよろめくが踏み止まった。
「私の身は美味しゅうございます?」
 まったく美味しくない、とコノハは返す。
 ひと齧りのわりに大きな代償。わが身砕く意味はなかったでしょうと紡ぐ晴明へと、意味はあると笑って見せる。
「その方が面白くなるデショ?」
「ふふ、そうでございますね、面白く――」
 私もそう思いましょうと、愉快そうに零された言葉は、糸が切れるように崩れ落ちたコノハの耳には届いていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

冴島・類
波立たせぬ涼やかなかんばせ
ようやっと合間見えた姿は
随分な思い違いをした者で

愉しませに来たんじゃない
命を弄んだ外道の戯れの数だけ
斬りにきたんだ

到底敵わぬ力量差だとしても
構うものか
一人きりではない
他の猟兵も
聞いた無念も、胸に在る

符の先手攻撃は
見切りにて軌道を読み、芯への命中ずらし
躱しきれぬのも考慮し
愛刀を持たせた瓜江滑り込ませ
庇いを利用し、破魔の力込めた刀身で防ぎ盾がわりと
少しでも弾けぬか試み衝撃を削ぎたい

攻撃で傷を負っても
体が動くなら
刀を戻し、焚上の火を纒い
満ちる怨霊を喰い生命力吸収で
己の体に気合い入れ
反撃覚悟で踏み込み
炎込めた薙ぎ払いを放ちたい

お前が消えるまで
向かうのを止めない
そう、誓ったんだ



 血の匂いがこみあげる。
 すでに猟兵の何人かは斬り合って、この場に溜まるそれに冴島・類(公孫樹・f13398)は眉顰めた。
 その中に、静かに淡い笑み浮かべて立つ男――晴明の姿に。
 波立たせぬ涼やかなかんばせ。
 ようやっと合間見えた姿は――随分な思い違いをした者と、類は思う。
「次のお相手はあなた様でございますか」
 さてどのように愉しませていただけるのか――その物言いに類はいいえと首を振る。
「愉しませに来たんじゃない」
「では何をしに参られました?」
「命を弄んだ外道の戯れの数だけ――斬りにきたんだ」
 おや、それはまた大変な、と。
 晴明はそれが己を示しているのだとわかっている。わかっていて、笑うのだ。
 到底敵わぬ力量差だとしても構うものかと類は走る。
 決して一人きりではない。
 先に戦った猟兵達が居て、そしてこの後に続くもの達もいると知っている。
 そして――聞いた無念も、胸に在る。
 例え倒れようとも心は決して折れぬのだと思えた。
 晴明が幾重にも放ち躍らせる五芒符。
 類はその軌道を読み、芯への命中をずらす。
 けれどひらりと踊り、向かってくる符がある。
 躱しきれない――けれど赤い絡繰糸を引けば、愛刀持った瓜江が破魔の力込めた刀身で防ぎ盾代わりとなる。
 けれど刃とかみ合った瞬間に符は開いて業の怨霊が溢れかえり押し切ろうとする。
 怨霊達が零すものは声ではなく言葉ではなく。
 けれど、重い衝撃をも持って類に傷を負わせる。
 しかし身体が動く限り、類はただ前へ。
 刀を戻し向けられているその負の感情を――受ける。
「聞かせて。君の業、その全てを」
 怨霊の持ちうるものを食らって、糧として。
 命として吸い上げて己の身体の内で巡らせる。
 ただただ、痛い。浄化してもし足りず、憤怒も恨みも嫉みも混ざり合った強烈な想いが抑えきれず炎と食い合うばかり。
 けれど、その痛みも何もかもを炎として刃に乗せ、類は晴明へと向けた。
 反撃を受けるのは覚悟の上で踏み込み、薙ぎ払う。
 煌々と燃え上がった炎が晴明の身の上を駆けた。
「お前が消えるまで」
 向かうのを止めないと、絞り出すように声にする。
 そう、誓ったんだと紡いだ言葉に己の想い全て載せて。
 晴明の身に亀裂が走る。
 それは今まで重ねてきた攻撃の結実。その始まりだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒蛇・宵蔭
【血梅】

確かに、人の身は脆く。
その欠点を失った者が飽き飽きするのも無理もない話。
とはいえ戯れでこちらを壊されても困りますね。

鉄錆を構えて受ける。
刃の要に噛ませて身を守り、鉄錆を失う覚悟で致命傷を避ける。
自分の疵は耐える。死ななければいいんです。

ふふ、この瞳の力、久々に解き放ちましょう。
そうでなければ貴方に及ばぬのは不本意ですが。
起きろ、真赭。獲物は世紀の陰陽師の血です。

妖し白刃を抜き、直接斬り込む。
我が攻撃に一切の守りは無効。疵を掻き壊し、命を啜ってみせましょう。

相手の守りを通過し疵を毀し、二人の攻撃を通しやすく。
退屈凌ぎなら同胞にやって貰えば如何です?
私に怒りは無い。粛々と、罰するだけです。


蓮条・凪紗
【血梅】

伝説の安倍晴明と相見えるとは…陰陽師の端くれとしては願ってもない機会。
死して邪に堕ちたのか、元々こうだったのか。

両手指の刻印の爪を伸ばし、五指の爪にて初撃の剣を受け止める。
爪が削れ折れて剥がれても。その剣を力任せに除け、次の攻撃の間合いの内側に。
奴の服の袖を爪で裂き貫き、振るう軌道をずらして致命傷だけは避け。
代わりに指でも腕でも持って行き。

流るる己の血を触媒に魂喰の衝動発動。
生命を欲する獣が如く、再び伸ばした爪で斬り裂く。
意識があるうちは反撃して生命力奪う。しぶといから、オレ。
宵蔭とシノアの攻撃が決まりやすいように、二人への攻撃も間に入って受ける覚悟。
嫌がらせの如く喰らい付いちゃるわ。


シノア・プサルトゥイーリ
[血梅]で

戦場に、熱を持たないなんて困った方
戯れの相手に選んだ礼でも言うべきかしら?

黒剣で攻撃を受けましょう
刀身を滑らせ、手にしたイベリスを歯に絡ませられるかしら
無理でも軌道がズレれば良い
追撃があればあれば剣を持たぬ腕をあげるわ

えぇ、意識があれば良いの
血統覚醒を
傷は気にせず、カウンターから斬り込むわ

我は狩人。
血の海にあって、ただの敗北などあり得ない

黒剣にて仕掛けるわ
カウンターから駆け出し
私が先であれば二人を敵の視線から遮るよう盾となる

ふふ、血の舞台で踊るのは得意よ

二人とよく連携して、踏み込む機があれば迷わず一撃を

私の刀は鎧を砕き、貴方に傷を残すわ
さぁダンピール二人と陰陽師との舞台は如何?



「次は、あなた方でございましょうか」
 さて次は、どのような戦いを見せてくださるのでしょう。
 私の心を震わせていただけるのか、楽しみでございます、と晴明は言って。
「ああ、このような事を言えるあたり、もう震えておりますね」
 そう、続けて笑った。
 その声に――は、と蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)は笑い零す。
 けれどそれは僅かなる緊張のもとに零れたものだ。
「伝説の安倍晴明と相見えるとは……陰陽師の端くれとしては願ってもない機会」
 けどな、と凪紗は思う。
 死して邪に堕ちたのか、元々こうだったのか――それはわからぬところだが易い相手ではないのは間違いない。
 けれどただ、何の熱も感じられない。
 それは勿体無いとシノア・プサルトゥイーリ(ミルワの詩篇・f10214)は思うのだ。
「戦場に、熱を持たないなんて困った方。戯れの相手に選んだ礼でも言うべきかしら?」
 柔らかに紡ぐ。けれどその言葉は晴明の熱を少しでも誘うように。
 冷めて飽いたものは人では無い。
 確かに、人の身は脆くと、黒蛇・宵蔭(聖釘・f02394)は静かに紡ぐ。
「その欠点を失った者が飽き飽きするのも無理もない話。とはいえ戯れでこちらを壊されても困りますね」
 宵蔭は有刺鉄線のような形状の鞭を構えた。
 あの回転するチェーンソー剣――刃の要に噛ませば身を守ることができるだろう。しかし代償に、鉄錆を失うことになるかもしれない。
 それも覚悟の上。
 それでは参りましょうかと晴明はチェーンソー剣を唸らせ距離詰める。
 先ず一人目――そう晴明の口が動くのを宵蔭は見た。
 振り下ろされる刃、その動きを見て鉄錆を躍らせる。
 ギャリギャリと重い音が刃を巻き込む音を気にせず晴明は宵蔭の身を切り裂いた。
 鮮血が舞う、その様を他人事のように宵蔭は見ていた。
 疵は耐えるのみ。死ななければいい、これくらいでは、まだ死なない。と思うが次手、呪詛の絡んだもう一方の刃が続けて見舞われる。
 その横から両手指の刻印の爪を伸ばし凪紗が抑えようとする。
 晴明はその爪を見て面白そうに笑い、それを削り吹き飛ばす。
「その指まで頂いてしまいましょう」
 凪紗の爪が削れ、折れ、その指から無理矢理引き剥がされる。その痛みは言葉にもならぬものだ。指でも腕でも、持っていけばいいと耐えて、攻撃の内に入り込む。
 そしてその刃は、距離詰めたシノアにも向かうのだ。
「っ、させへんわ」
 それを視界の端に認めた凪紗は血塗れの指で晴明の服の端を裂き貫き、振るう軌道をずらす。
 それでもその刃はシノアに届こうとする。
 黒剣を掲げて受け止める。刀身を滑らせるが歪な音が奏でられていた。手にした、古く、血に汚れているシンプルな黒のマフラーをその歯に絡ませられるか――その前に破いて裂かれそうだ。
 それに、そうする暇を与えてくれない。
 重く伸し掛かる。そして他方からもう一対の呪詛の乗った刃が向かってくるのだ。
 咄嗟に、空いた手をシノアは上げてその一撃を食らう。
 引き裂かれるその腕は血に塗れ感覚は鈍く使い物にもうならないと扱うのをやめた。
 けれど、別にそれはどうだっていいことなのだ。
 意識があれば、それで良い――それは三人ともが思う事。
 指先が痛い。明確な痛みが逆に意識を際立たせ流れ落ちる一滴さえ無駄にせんと凪紗は紡ぐ。
「その魂、喰らう……!」
 その、両手の指先に埋め込まれている魔術翡翠。一度手折られてもその爪は再び形を成す。
 獣の如く、その生命手折らんと、吸い上げんと。欲するままに伸ばした爪で斬り裂くつもりで踏み込んだ。
「ふふ、いいですね。こうして向かってこられるのは」
 けれど、まだまだ足りませんと――呪詛を乗せたチェーンソー剣の音が唸る。
「しぶといから、オレ」
 しかし凪紗はその一刀を爪でいなし、一点を切り払う。
 ここで己が倒れても――その後には。
「宵蔭、シノア!」
 嫌がらせの如く喰らい付く。晴明は己の動きを阻む凪紗を先に伏せるべきかとその刃を向けた。
 その身を切り裂く痛み。だが託す相手が居てその機を埋めるなら十分だ。
 あとは任せたと、視線を向ける。
 それに二人は応えるのだ。
 意識はある、足は動く。ならばまだ一刀、向けることは可能。
 シノアは傷を気にせず、その瞳を真紅に染める。
 そしてまた、宵蔭もだ。
「ふふ、この瞳の力、久々に解き放ちましょう」
 瞳を真紅に輝かせ、ぬたりとする血の感触にうっそりと宵蔭は笑い、ふと息吐いて。
「そうでなければ貴方に及ばぬのは不本意ですが――起きろ、真赭。獲物は世紀の陰陽師の血です」
 妖し白い拵えの美しい太刀を抜き放つ宵蔭はそのまま、深くに踏み込んだ。
「ああ、決して無傷というわけではないのですね」
 ならばその疵を起点に、掻き壊し、命を啜ってみせましょうと宵蔭は踏み込んだ。
 真っすぐに突きいる。生命の水晶の身の一点を宵蔭の刃が穿つ。
「退屈凌ぎなら同胞にやって貰えば如何です?」
 怒りも無く、ただ粛々と、罰するだけ。
 怒るのは己の領分ではないと宵蔭は思うのだ。
 そしてシノアが一歩遅れて迫る。
「我は狩人――血の海にあって、ただの敗北などあり得ない」
 凪紗と宵蔭が繋いで、そして作った機。
 宵蔭の後ろから、その晴明の視界から隠れて不意を打つ。
 ふふ、とシノアは笑う。片手で支えて振るう黒剣の重さは生きて、まだ戦えると教えてくれる。
 血の舞台で踊るのは得意よと笑うシノアは、宵蔭を飛び越えてその剣先で――晴明の、水晶の身を突き砕いた。
「さぁダンピール二人と陰陽師との舞台は如何?」
 その身が砕かれる感覚が伝わっているのか。晴明はくっと喉奥を鳴らし笑って。
「ええ、ええ。これはなかなかに良き舞台でございます」
 けれど、と晴明は言う。
 私まだここでやられて差し上げる気はないのですよと告げる。
 晴明は呪詛の刃を再び振るい、三人の身を蝕んでその場へと沈めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユーフィ・バウム
私の何かが
この男を必ず仕留めなければならないと言っています
必ず、ここで倒すっ!

先に水晶屍人を召喚される形ですが、
囲まれる前に炎の【属性攻撃】を宿す武器での【なぎ払い】で
多くの水晶屍人を、可能なら晴明を巻き込む形で攻撃
【野生の勘】を働かせ合体する瞬間を【見切り】、
タイミング合わせる形で攻撃出来ると尚いいでしょうか。

晴明への道が開けたなら再度水晶屍人たちが群がる前に
【ダッシュ】【空中戦】で一気に間合いを詰め、
めいっぱい【力溜め】た【怪力】を活かしての攻撃!
《戦士の手》での組み付いての打撃で叩き込みます

敵からの攻撃が避けられない時は
【呪詛耐性】【激痛耐性】のある体に、厚い【オーラ防御】で
凌ぎきります



 ぱらりと、その身が崩れる。
 その様を静かに見つめているのか、内心面白がっているのか。
 晴明という男――その姿を目にユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の心は激しく波立っていた。
(「私の何かが――この男を必ず仕留めなければならないと言っています」)
 ひやりとした何かを感じる。己より強者であることはわかっているのだがユーフィが引くことはない。
「必ず、ここで倒すっ!」
 その声と共に駆ける。
 晴明は、次はお嬢さんがお相手ですかと、その肩より水晶屍人達を生み出した。
 ユーフィに向かう水晶屍人達。蠢き迫る水晶屍人達に囲まれる前に――いつもは叩き割る為の得物に炎を纏わせて、なぎ払った。
 燃え上がる、けれどその炎を気にせず迫る水晶屍人がいると感じて、捕まらぬよう見切ってその間を抜けた。
 しかしこの一瞬も僅かだと思えた。
 再び囲まれる前にこの拳を、とぎゅっとユーフィは握りこむ。
「殴りっこなら負けません。勝負っ!」
 走り、力を込める。己の持ちうるすべてをかけてユーフォは飛びかかった。
 晴明は高く跳びあがり仕掛けられたゆえか、それとも今までの攻撃重なったがゆえか。一瞬反応遅れ掴みかかられた。
 そしてユーフィの拳がその腹に打ち込まれる。
 びきりと鈍い、何かしらにヒビが入る音。晴明が息を飲む気配もあり、手応えがある――そう感じたのも一瞬。
 傍らから延びた手にユーフィは捕まった。
 水晶屍人達が群がり、噛みつかれ爪を向けられと攻撃受ける。
「はは、これは……さすがに連続でいただくわけには参りません」
 重ねて受けたら私でもどうなることやらと、力引き上げられた拳は晴明も重ねられれば耐えられるかというものだった様子。
 あともう一撃、と思うものの水晶屍人達に抑え込まれ、ユーフィの意識は途切れるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

筧・清史郎
伊織/f03578と

奥羽や鳥取での所業、全てこの目で見てきたが
決して許すわけにはいかない
予知し転送担う友、共に征く友が傍に在れば、強敵も恐れるに足らず
さぁ参ろうか、伊織

召喚された敵の予備動作見逃さず確り動き見切る
屍は知性低い故、残像駆使し伊織と敵を攪乱し攻撃躱す
清明にも細心の注意を
見切り躱す事に神経集中【開花桜乱】で強化
隙あらば即攻勢に転じ
薙刀振るい敵多数巻込み強化衝撃波放ち合体阻止
反撃は、伊織と連携し同時に別方向から清明狙う
どちらかが一撃見舞えれば上等
抜いた刀で清明の首狙い、伊織支援するよう衝撃波や残像等も有効活用

持ち帰らせる物など何もない
故に興も乗らぬのならば在るべき場所に早急に還るがいい


呉羽・伊織
清史郎/f00502と

イヤな空気――何もかもが、この上なく
これ程の怨念を、よくも

それでも
吐気こそすれ恐れは皆無
そーだな、意地を通しに行こう

全相手は困難と腹括り高数値を主に警戒
動き探り癖の情報収集し見切りの糧に共有
守りは利手と急所に集中
他は激痛耐性で抑える
清史郎と死角補いつつ
敵の目や矛先散らすよう残像駆使

合体時等に隙ありゃ即UC全活用
併せて早業で強化阻む呪詛の衝撃波を
清明への射線阻む、衰弱>低数値優先排除

道開く一瞬掴めば同時攻撃に
返す刀の早業で、支援に乗じ2回攻撃重ねる
どちらの手でも
刺し違えてでも良い
――俺が限界なら、せめて清史郎の援護に振絞る

お前の心なんざ知るか
くれてやるのは、唯無心の一撃だけ



 僅かに瞳眇めて、呉羽・伊織(翳・f03578)はイヤな空気――と、零した。
 何もかもが、この上なく。これ程の怨念を、よくもと思う程の澱。
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はあの男かと赤い瞳に青を宿らせてすぅと瞳細めた。
「奥羽や鳥取での所業、全てこの目で見てきたが」
 決して許すわけにはいかないと声音は涼やかなれど、滲む想いがある。
 個々へと送った友と、そして――共に征く友が傍に在れば、強敵も恐れるに足らずと不安はない。
「さぁ参ろうか、伊織」
「そーだな、意地を通しに行こう」
 傍らの男の微笑みに、伊織もふと笑って返す。この場の澱みに吐気こそすれ恐れは皆無と紡いで。
 先の戦いの残りだろうか。うぞうぞと蠢く水晶屍人たちの中へと二人飛び込む。
「それだけでは足りないでしょうから、どうぞこちらも」
 晴明は更にその数を増やし、新たに生みだされ行きなさいと命じられた水晶屍人は群れとなって襲い来る。
 全ての相手は困難と、その様から容易に知れる。
 この場はこちらのほうが良いだろうと、清史郎が振るう刃は花振舞。桜花弁舞う、桜の意匠が凝らされた優美な印象の薙刀が、敵が一つに重なる前に衝撃波を打ち放って崩していく。
 けれど他方から飛びかかってくるもの全てまで抑えきれず、どうにか清史郎はその動き見切り躱した。
 そしてさらにその死角よりでてきた一体を伊織が伏せる。
 一瞬噛み合った視線。互いのやるべき事はわかっていると交差し、同じ方向を目指す。
 妖刀の怨念纏った伊織の動きに水晶屍人は追いつけない。
 斬撃が衝撃波となって水晶屍人の群、その一角が崩れた。
 だが晴明の元より生み出されるそれは波のように終わりない。
 僅かの隙をついて、伊織と清史郎は晴明へと距離詰める。
 その後ろから水晶屍人が追ってくる。踏み込み喰らわせることができるのはおそらく、一撃。
 けれどそこに、全てをこめて。
「持ち帰らせる物など何もない。故に興も乗らぬのならば在るべき場所に早急に還るがいい」
 桜の意匠が凝らされた蒼き刀を抜き放ち、その首を狙って清史郎は振り下ろす。
 その逆から伊織も刃を返し、下から薙ぎ払った。
 どちらの手でも、刺し違えてでも良いと伊織は思う。己が限界であるなら、清史郎の援護をと思うがまだ動ける。
 だからこそ、共に踏み込んだのだ。
「お前の心なんざ知るか」
 くれてやるのは、唯無心の一撃だけ。伊織の冷ややかなる黒刀がその首筋を捕らえ、駆ける。
 互いの攻撃が重なる瞬間は同時。
 硬い音、無機質な音が重なって、水晶の欠片が僅かに跳ねる。そして笑うような吐息が零れ落ちた。
「私の首はそう安くはございません――ただ、それでも」
 削られれば多少なりとも思うところはございますねと晴明が落とす言葉には、僅かに苛立ちが滲み、同時に水晶屍人が傍に溢れかえる。
 物量で圧する。水晶屍人が掴みかかり、そして爪をたて噛みついてくる。
 敵の攻撃受け押し流されながら、その視界の端で伊織と清史郎は晴明の姿を捕らえた。
 首元撫でる晴明は、先程までとは違う表情を浮かべていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティル・レーヴェ
水晶を纏いし御仁
水晶屍人を繰る其方は同じく、か……?
死して尚安らげぬ哀しき兵を
これ以上産んでくれるな

妾に飛ぶ先制は五芒の符
続く者の為、地形の力を彼の身に与えるよりはこの身に受けるが良いか……

敢えて避けず勇気をもって己を鼓舞し破魔の力でどこまで耐え凌げるか
意識保つことが出来たらばUCの羽根を舞い飛ばす
晴明へ向けての足掻きと見せかけ向かわせつつわざと外し
続く者を護り癒すための陣を敷こう
2回攻撃が叶うならば己が真下にも1つ
己が攻撃の為でなく味方を支える為
1秒でも長う立って陣を維持

妾は……猟兵は1人ではない
示し合わせた友のみでは無く
同じ目的に集う兵の見せる共闘
その場での臨機連携
其方の眼鏡に叶うかの?



 猟兵二人に向けていた無数の水晶屍人たちを、晴明は消していく。
 そしてその先にまた、新たな猟兵が現れたことに柔らかに、けれど何の感情も無く言ってのける。
「これはまた、小さなお嬢さんが参りましたね」
 ぱらりと、その身の砕けた水晶を払いながら晴明は笑う。首をさするその様は――そこに攻撃を受け気になるのだろうか。
 ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)はその姿を紫色の瞳に映していた。
「水晶を纏いし御仁――水晶屍人を繰る其方は同じく、か……?」
 死して尚安らげぬ哀しき兵をこれ以上産んでくれるなと、白き鈴蘭を揺らしてティルは向き合う。
「そうは言われましても」
 笑いながら晴明は五芒の符をティルへと投げ放つ。
 この後に続くものが居る。ならば晴明の有利になる場所を生み出すよりはとティルはその身に受ける事を選んだ。
 敢えて避けず、己を鼓舞し破魔の力をその身に耐え凌ぐ。
 ティルの身体に五芒が刻まれ、痛みが走る。気が遠くなりそうな激痛に呻いて――けれど、意識は途切れずここにある。
「祈りを乗せて舞うがよい! 障害を廃し、仲間と我には加護を」
 ふわり、とその翼より羽根が舞う。
 晴明に向けての足掻きのように向かわせつつ、ティルはそれをわざと外す。
(「この後に続くものが……おるのだ」)
 その助けに。護り癒すための陣を広げる。
「妾は……猟兵は1人ではない」
 示し合わせた友のみで無く、同じ目的に集う兵の重ねたもの。
「其方の眼鏡に叶うかの?」
 その言葉を向けるティルの上を、影が一つ通り抜けた。それはこの後を引き継ぐために。

成功 🔵​🔵​🔴​

玖・珂
此れまで幾つもの水晶屍人を屠ってきた、いくつも
あれも戯れと申すか

対手は格上、完全には避け切れぬだろう
なれば
初手は腰を据え、覚悟もって黒爪で受け止めよう
怪力で鎖鋸を弾き飛ばし
続く攻撃の体勢を崩しておきたいところだな

迫る次手には早業で己のケープを剥ぎ
鎖鋸に絡ませ切れ味、命中を僅かでも削いでみるぞ
致命傷だけは負わぬよう第六感も駆使し身を躱そう
呪詛は効かぬ、耐性なくして守り人が務まろうか
傷は激痛耐性で凌ぎ、緋の花を開く

視力を澄まし脆い箇所を見極め、黒爪を叩き込む2回攻撃
寸分違わず同じ部位を穿ちその水晶を砕いてやろう
常なら生命力吸収も狙うが……お主のは頼まれても要らぬ

此処は退屈であったろう?
早う去ね



 ひとり、戦いを経てそこに崩れた少女の上を飛び越えて玖・珂(モノトーン・f07438)は晴明の元へと走る。
 その身に重ねられた攻撃はいくつだろう。
 斬られたか、削られたか、砕かれたか。いくつもの亀裂が走っている晴明。
 此れまで幾つもの水晶屍人を屠ってきた、いくつも。
 生み出したるあれも――戯れと申すか、と。
 珂の心にあるは憤りか、それとももっと別の何かなのか。
 ただそう、この目の前で悠然と笑っている晴明を認めることはできぬことは確かだった。
 相手は格上。珂は晴明からの攻撃を完全に避け切れないと珂は腰据える。
 その指にある黒爪で受け止めるという覚悟。
 晴明はチェーンソー剣を構え、それを珂に向ける。唸る音は凄烈さを秘めている。
 その刃を珂は怪力を持って弾き飛ばす。
 その様に晴明は驚きをたたえて瞬いた。それは己も気付かぬうちに重ねられたダメージの結実だ。
 しかしいとも簡単にというわけではない。その手に感じる痺れ、激しさもある。
 と、踏み込んだ一歩――守りの力と癒しの力が珂にもたらされる。
 それは先に戦った者が残した場だ。それに礼を紡ぐ暇もなく、次手が迫る。
 己のケープを剥ぎ、生命の持つチェーンソー剣へと絡ませて。
 晴明が笑う。小癪な事をと楽し気に。
 そのケープを絡ませながらも振り下ろされる、呪詛の乗った一撃を一歩深く踏み込んで。
 斬撃の中心をずらして浅く、受け止めた。痛みがある。けれど体は動くし、傷が癒える感覚もある。
 だが呪詛は侵食する。しかし、珂はふと薄く笑みを浮かべた。
「呪詛は効かぬ」
 耐性なくして守り人が務まろうかと零して。
 完全に防げているわけではないが激痛もどうにか耐えられる。
 そして――花開くなら今なのだろう。
 緋の花が緩やかに、珂の片目に咲き誇る。その花は命を吸い上げるが珂の能力を高める。
 どこだろうか、今最も弱い部分はと視線巡らせるのは一瞬のことだ。
 首に入った亀裂がある。それは体の中心へ響き、無数の亀裂がみてとれた。
 懐に潜り込みその場所へと、爪を滑りこませるようにたてた。
「その水晶を砕いてやろう」
 そして、力を込めその傷跡から爪を立てるように穿つ。常ならばその生命力を吸い上げることも狙うのだが。
「……お主のは頼まれても要らぬ」
 更に一歩、珂は踏み込む。
 晴明の身にかかる力は増し、そして首より亀裂が広がっていく。
「此処は退屈であったろう?」
 早う去ね、と――静かに紡ぐ。
 晴明はふは、と笑い零していいえと紡いだ。
「最後の最後は、なかなかに――楽しめましたよ」
 そう言って、首から始まりその身は砕けて水晶の欠片となる。
 砕けて、散り散りになり――晴明は、陰陽師『安倍晴明』は骸の海へと還ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月20日


挿絵イラスト